あまくさっ☆〜�姉弟。 (958)


  にゃーん・・・・・


香焼「ただいまー……って、大分久々に帰った気がする」ガチャッ...

ステイル「君は何を言ってるんだ?」ズカズカ...

香焼「いや何でもない……って、家に入る時ぐらい煙草消してよ」チラッ

ステイル「あの3馬鹿姉妹(神裂、五和、浦上)に何言われようと、知った事じゃないさ。君ん家は僕の喫煙所」ズカズカ・・・プカー

香焼「おまえなぁ。後で自分が姉さん達に文句言われるんすよ」ブー・・・

ステイル「じゃあ上司権限で黙らせる」フンッ

香焼「うわぁ横暴。まぁ五和と浦上程じゃないか、、、ただいまー―――」ガチャッ



 ≪第13回:サブキャラ及びモブキャラの地位向上を訴える会(主に私ら)≫



五和「―――だーかーらっ! もっと大胆にアピールしなきゃ駄目なんですって! 姉さんイロモノでしょう!」ビシッ!

神裂「だ、誰がイロモノですかっ!! 自分でやりなさい、自分で!」ガーッ!

五和「嫌ですよ! 上条さんに変な目で見られたらどうするんですか!」ブー

神裂「てめっ……ふんっ! 最早手遅れでは無いのでしょうか、ねっ」フンッ

五和「あー言ったなー! 言いましたね!? そういう事言います?! 信っじられない!」ムキー!

浦上「あらら、何か本題から反れてる気が……って、おかえりー」チラッ

香焼「―――……て、は? 何この横断幕?? 何してんすか???」ジトー...

浦上「メタな話で新約に入ってから出番がまるで無いサブのお姉(五和)、そして私や香焼みたいなモブを―――」

香焼「そこまでだ」ピッ・・・

ステイル「―――……まぁレギュラー(?)だった筈の僕や神裂まで出番が無いからね」ハハハ...

香焼「そ・こ・ま・で・だっ!!」タラー・・・

浦上「アハハ。とりあえず、今は本題そっちのけでいつもの様に上条さんめぐって上姉2人がバタバタ中ですヨ」チラッ

五和「―――あーもう! そこまで言うなら勝負です! 勝負! 浦上(ウラ)、PS6とスト7準備!」バッ!!

神裂「―――ハッ! 良い度胸です! 麦野さんと固法さん指導の下、極限まで鍛えたサ○ットで叩きのめしてやります!」ムンッ!

ステイル「神裂。大分ゲーマーになったな」ハァ・・・

香焼「友人の影響というか……まぁ多少俗っぽくなったのは『人』として良い事っすけど」ポリポリ・・・

浦上「何にせよ、2人が本気で勝負する度据え置き機が壊れるんですけどネー」ニャハハ・・・

香焼「それ自分の実機なんすけど」タラー・・・

神裂・五和「「ウガぁーーーーっ!!」」ドーンッ!! ドンガラガッシャーン・・・

ステイル・浦上「「あ」」タラー・・・

香焼「……はぁ」フコウダー・・・





    あまくさっ☆~④姉弟。





もあい「にゃー」ハジマルヨー!


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1366383141

どーも。殆どの方ははじめまして。極稀で前スレを覚えている方はホンットにお久しぶりです。
この物語は『とある魔術の禁書目録』及び『とある科学の超電磁砲』の二次創作SSで原作崩壊・厨二等含む駄文でございます。
約1年越しの忘れた頃に新スレ……書くなら新しい話書けよ、とか言わんで欲しいです。

昔に比べリアルが無理ゲーレベルでハードになってるんで、週一もしくは隔週更新になると思います。
文章スタイル・システムは、偶に地の文入りの短編モノSSになるかと。因みに、劇場版及びPSP版はまだ観てないし未プレイです。

あと重要な点で……今まで時系列無視でしたが、一応今回から『WWⅢ以降』という設定とします。
まぁ主な違いは『フレンダ・垣根死亡済み』といった辺りです。ただ垣根は、未元体垣根(カブトムシさん)として出すかもしれません。



以下、大まかな設定。

・メインは天草式十字凄教の……香焼、五和、浦上、そして神裂。

・基本皆ほのぼの。性格は本編より丸い。  例) ステイルが14歳相応。神裂が18歳相応。禁書目録が左2人とそれほど仲違いしてない。

・大きく二分して「学園都市編」と「英国編」。ラブラブ、エロエロは未定。

・組織設定や社会背景等はやたらリアル思考……だけど駄文。凡ミス多々。

・アンケートやリクエスト、偶に安価の御協力お願いします。



※前作を先に見て頂けると色々早いです。




<勝手な設定>

・天草式の若手数名は偽戸籍(ダミーID)で学園都市の学校・生徒の中へ紛れ込んでいる。所謂、潜入任務である。
 コレは英国清教の命であり、また、アレイスター(あちら)側の意向。
 表向き――無論、一般的には裏である――英国側としては学園都市の動向を探るスパイ。
 しかし裏向きには――若手には悪いが――……アレイスター監視下の人質でもあった。

・神裂は土御門からの呼び出し、禁書目録の『監視』という名のお世話(加え、上条当麻に会いに)、教徒の活動視察で学園都市に来る。

・カルテッ娘・・・必要悪の協会(ネセサリウス)に所属・使者・嘱託として出入りする(やかましい)少女達。
        基本、食堂や女子寮の応接間(サロン)、ステイルの個室兼執務室に屯してる。  
        面子:アニェーゼ、アンジェレネ、サーシャ、レッサー(予備娘:ランシス)。

・必要悪の教会女子寮・・・その名の通り。寮長(仮)はオルソラさん。どんどん人が増えるよ!

・姫様・・・英国王女3姉妹。何故か香焼やカルテッ娘と仲良し。特にキャーリサ姫は暇してると食堂で一緒にトランプ等してる。

・もあい・・・絹旗最愛が拾い、香焼が預かって半ば飼っているぬこ。決して絹旗本人ではない。

・⑦・・・削板軍覇。読み方は根性、正義、バカ。週4くらいのペースで香焼宅に入り浸ってる。

・学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』・・・理事校指定の高級マンション。香焼宅(天草本部と教会の金で借りてます)。

・火織姉さん18歳・・・歳相応。お友達はむぎのんとこのりんとあわきん。五和や浦上も混ざって香焼宅で騒いでる(※浦上除く17~19歳組)。

・新制アイテム・・・仕事抜きで香焼宅と仲良し。最愛とむぎのんは週4くらいのペースで入り浸ってる。

・グループ・・・既に解体済みの暗部班の筈だが、何故かボチボチ招集する仲良しクラブ(無論、本人らは全員否定)。

・メンヘラ少年ステイル君14歳・・・必要悪の協会№1ツンデレ。都市では神裂と類似行動。何故かかなり暇人。香焼と仲良し(本人は否定)。

・カミやん病・・・読んで字の如し。『彼』っぽくなる。

・早朝ランニング・・・週に2,3回、香焼と佐天が行ってる。走ったりストレッチしたりお茶飲んだり逢いb……一緒にトレーニング。

・神崎 香(こうざき かおる)・・・誰かさんの女装姿。僕っ娘。所属は常盤台中学。超能力者第5位:心理掌握(食蜂操祈)に気に入られてる。

・土御門&海原With妹達(※主に御坂蛇:17600号)・・・香焼の『暗殺』及び『潜入』修行の師匠分。

・上条当麻&禁書目録Withスフィンクス・・・憧れのお兄さんと居候's。主役さんは出番が少ない。禁書さんは神裂目的でよく遊びに来る。


また追々捕捉してきます。分からない事や意見があればドンドン質問やコメしてください!


それでは……ボチボチ投下!

 ―――とある日、PM06:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・香焼side・・・



日没が早くなってきた今日この頃。自分――天草式十字凄教の学生信徒……香焼は、無人バスの中にいた。


バスアナウンス『次は第1学区学生住宅街一丁目、学生住宅街一丁目ー。御降りのお客様は―――』


ボタンを押す。


香焼「んー……眠い」ハァ・・・


学園都市の未来を担う理事候補生の養成学校で、基本的には朝8時から夕方6時まで缶詰状態。
自分が通う学校は、この街で珍しい文系メインの私立学校だ。

無論、理事になりたいが為に通っている訳ではない。『潜入任務』という名目である。
ただし折角、学費を天草本部及び英国清教から負担して貰っているのだからダラダラと過ごすのは勿体無い。
得られる知識は得ておこう。きっと自分の将来に役立つ。


香焼「でも最近、勉強ついていけなくなってきたかもしれないっすね……正直、シンド―――ん」チラッ


玄関前に都市製のバイク(新型ビッグスクーター)が置いてある事に気付く。


香焼「まぁいつもの事か」ハァ・・・


ちょっと前までの自分なら急いでエレベーターに跳び乗り、7階のボタンを押して、一番奥の我が家へとダッシュしていただろう。
だが今やそれが日常。慣れた、というより色々諦めた。


香焼「さて……頼むから、あんまり馬鹿な事してるなよ」テクテク・・・


適度な速度で歩き、エントランスの鍵を開けエレベーターに乗る。
余談だが、ボタンを押さなくても鍵の認証だけで目的の階に止まってくれるタイプなので両手が塞がってたりすると大分楽だ。
さておき、7階到着……大丈夫、我が家の方から声は漏れてない。

というのも、先日同じフロアの住人から苦情がきた。勿論僕が居ない時の苦情だが内容は単純。『五月蠅い!』と。
全く、都市制の完全防音部屋の壁貫いて騒げる馬鹿共に花を送りたい。


香焼「やれやれ。今日は何人居る事やら」テクテク・・・


部屋の家主は無論僕なのだが、鍵が開いてる事が殆ど。
因みに鍵の所有者は僕、姉3人、ステイル、土御門、建宮さん。ただ彼らは『僕の知る限り』だ。もっと増えてるかもしれない。

上記は身内やら同僚・上司だから止むを得無しとしても噂だと姉さんの友人らや、上条さんまで持ってるとか……あくまで噂だが。
やはり早めに鍵回収しなきゃ駄目か。でも鍵無しでも入れる能力者さん達もチラホラ居るから困る。


香焼「あれ? 相当危険?」ハハハ・・・


まぁ一同、人格者の筈、と信じたい、うん、多分。

兎角、家の前でアレコレ悩むのも傍から見れば変人なので、意を決してドアノブに手を伸ばす……やはり開いてた。問題は靴の数だが―――


香焼「……6,7,8足……8人も」ハァ・・・


―――大分多い。姉3人と姉の友人3人、そして僕の友人2人の靴だ。
しかし、様子がおかしい。いつもこの人数であれば頗(すこぶ)る喧しい筈なのだが、妙に静かである。テレビの音一つ聞こえない。
あの面子が揃って、大人しく出来る筈がないのにこの沈黙。


香焼「…………、」ゴクッ・・・


いくつかのケースが考えられた。僕を驚かす為に一同がこそこそ悪巧みしてたり、喋ったら負けな遊びをしている、とか。

もしくは……敵襲。
面子がメンツなだけに、襲われる可能性なら十分ある。ただ、もしそうだった場合、その面子が『負ける』筈も無いのだが。
しかし最悪、彼彼女らよりも強く恐ろしい『誰か(何か)』が敵だったとしたら。


香焼「ゾッとしないっすね」スッ・・・


その『最悪』に備え、制服裏の短刀に手を伸ばしておく。そして、居間のドアノブを掴み……静かに様子を伺った。そこには―――


神裂「……、」ゴゴゴゴ・・・

絹旗「……、」ドドドド・・・


―――意味不明な光景が―――


五和「う、ぅ」グデェ・・・

浦上「きゅー」グルグル・・・

麦野「痛ちち……くっそ」ビジバジ・・・

結標「あー……もー」ブラーン・・・

ステイル・削板「「」」チーン・・・


―――広がっていた。


香焼「な、な……なんじゃこりゃああああああぁ!!?」ギョッ!!

固法「あ! こ、香焼くん。おかえり……えぇっと、その、あのね」タラー・・・

もあい「みー」ポリポリ・・・


敵襲か! やっぱ敵襲なのか!? 魔術師の仕業?! それとも都市側からの刺客か!!?


固法「な、何言ってるかよく分からないけど色々あって……その、ごめんなさい」アハハ・・・

香焼「…………、」ダラダラ・・・

もあい「にゃう!」パフパフッ! ジタバタッ!


とりあえず現状説明が欲しい。あと固法さん。ウチの猫(もあい)をそんなに強く抱えないで下さい。谷間で窒息しかけてます。


固法「ご、ごめんなさい!」ハッ!

香焼「いえ。で、その……姉さん? 最愛?」チラッ・・・

神裂・絹旗「「…………、」」ゴゴゴゴ・・・


なぁにこれぇ。

とりあえず、本人らに声を掛けてみるか。


香焼「カオリ姉さーん。女教皇様ー」タラー・・・

神裂「香焼。おかえりなさい……あと、家(ココ)では教皇扱い禁止でしょう」ゴゴゴゴ・・・

香焼「は、はぁ……最愛さん?」タラー・・・

絹旗「香焼……少し静かにしてて下さい。今、超集中してるんです」ドドドド・・・


何にさ?

因みに……今カオリ姉さんの対面に居る少女は僕の友人、絹旗最愛。僕と同い歳だが凄腕の能力者さん。
とある雨の日に出会い(第2話)、子猫(もあい)をきっかけに仲良くなった。

かなりの人見知りだが、仲良くなると面倒見がよくなる。ただし年下や動物など、純粋で慾の少ないモノに対しては幾らか心を開く様だ。
もうちょい付け足すと……怒ると、手がつけられない程、恐ろしい破壊魔に変わる。
趣味はB級映画等の観賞、浜面さんイジメ、猫とじゃれること。

WWⅢ以前は色々『危険な事』をしていたが今は普通の女の子、、、の筈。


固法「うーん、何といいますか……多分御覧の通り」ハハハ・・・

香焼「腕相撲っすか」ジー・・・

固法「うん」ポリポリ・・・


テーブルの上に右肘を乗せ、左手で角を掴み、右手を組んでいる。
正確には、最愛は不可視の『装甲(アーマー)』をグローブ・肘当ての様に展開しているので、
姉さんの手とテーブルから約2センチ程『離れて』いる。これが彼女の能力……窒素装甲(オフェンスアーマー)。


香焼「じゃあ、そっちのグデってる面子は」チラッ・・・

固法「あはは……負け組? トーナメント形式だったから、うん」タラー・・・

もあい「なぅ」ベシベシッ

敗者's『……、』チーン・・・


誰が誰に負けたかは分からないが、酷い有様だ。
野郎二人は完全に白目向いて気絶状態。てか軍覇、何処から入った。玄関に靴無かったぞ。


固法「ベランダから」チラッ・・・

香焼「サラッと言ってますけど、此処7階っすからね」ハァ・・・

削板「」ボーン・・・


非常識にも程があるが、此処に居る全員が非常識の塊だから納得するしかない。

彼の名は削板軍覇。学園都市230万人の頂(いただき)たる超能力者(レベル5)の第7位であり至高の『原石』。
ひょんな事(第8話)から彼もまた友人となった。年齢は僕の一つ上。ステイルと同い歳……らしい。何故か毎回年齢を誤魔化されてしまう。

性格は一言で、熱い。単純で脳筋気質な所はあるが馬鹿では無い。『正義』や『根性』で世界が回ってると信じてやまないタイプ。
基本、情で動くが考えるのが面倒になってしまうととりあえず暴走してしまうのが偶に疵。能力は……不明。

さておき……五和は肩を抑えて苦悶の表情。肘から先、プラプラしてるんだが大丈夫か?
浦上は野郎二人同様、目を回して気絶中。当分気が付きそうもない。
淡希さんは氷いっぱいのバケツに手を突っ込んでる。よくよく見ると異様に膨れ上がってた。
そして麦野さんは―――


麦野「くっそ……マジ、バケモンよ」ビリ・・・ビリ・・・

香焼「……えっと」ダラダラ・・・

固法「軽くホラーよね」アハハ・・・


―――肘から先、左手もげてる。しかも接続部(?)がビリビリいってるし。


香焼「いやいやいやいや! 軽くない! ってかホラーじゃ済まないっすよ!? だ、大丈夫なんすか?!」アタフタ・・・

麦野「っさいわね……二日で直(治)るわよ。それよか、風呂場借りるわ」グデェ・・・

香焼「え、あ、はい?」タラー・・・

麦野「サポーター取っちゃうのよ。肩から外す為に服脱がなきゃなんねぇから風呂場借りるっつってんの。良いわね」テクテク・・・

香焼「さ、ぽーたー?」ポカーン・・・


言葉の意味がよく分からないが、義手を根元(肩部)から外してしまうという事だろうか。


麦野「そ。流石に壊したままつけとくの拙いから……美偉、ちと手伝って」チラッ・・・

固法「あ、うん」スッ・・・


確かに、片手になったら何かと不便なのだろう。という訳で状況説明してくれる筈の固法さんが消えてしまった。
そういえば何で固法さんは無事なんだ?


結標「あの牛乳メガネ(うしちち)が、こういう力勝負する訳ないでしょう」ハァ・・・

絹旗「てか姉貴さんに何かあったら兄貴さんに殺されます」ジー・・・


兄貴さんというと、確か固法さんの彼氏さんか。てか殺すって、物騒な。


結標「あの喧嘩屋は老若男女強弱関係無しに、固法(彼女)ヤられたらブチギレるわよ……ぃ痛っ!」ヒリヒリ・・・

香焼「はぁ……大丈夫っすか」タラー・・・

結標「あーもぅ無理。痛い。絶対骨折れてる。手の肉ミンチってる。血管破裂してる」ジトー・・・

絹旗「さっきビービーギャーギャー超煩いですね。超手加減したんです。超大袈裟ですよ」フンッ

結標「チッ! アンタねぇ! 自分が負けるかもしれないからってあんな反則手を―――ッッ!!」イダダッ!!

香焼「あ、淡希さん! 暴れないで」アワワ・・・


どんな『手』だったかは分からないが、淡希さんは最愛に負けたらしい。

この3人は、姉さん達の友人(淡希さんは僕の友人でもあるが)の先輩方。
左手がポロリしちゃってるワイルド(?)なお嬢様っぽい人は軍覇同様、超能力者で第4位の原子崩し(メルトダウナー)、麦野沈利さん。
最愛の姉分(上司)で、WWⅢ(第3次世界大戦)以前は色々『危険な事』をしていた筆頭さんとか何とか。

眼鏡の清楚な巨乳さんは固法美偉さん。風紀委員の支部長さんで、皆の纏め役。カオリ姉さんと麦野さんを止められる唯一の人。
強能力者(レベル3)の透視能力(クレアボイアンス)使いだが、その実、元武装無能力者集団(スキルアウト)出身の元ヤンさんらしい。

そして先程から氷水入りのバケツに手を突っ込んで最愛を罵っている露出の多い女性は大能力者、結標淡希さん。
彼女もWWⅢ(第3次世界大戦)以前色んな『危険な事』をしていた元学生運動(テロ屋)のリーダーさん。能力は座標移動(ムーブポイント)。

皆さん、しょっちゅう此処(ウチ)に足を運ぶ面々だ。

しかしまぁ腕相撲じゃ淡希さんに勝ち目は無いだろうけど、どんな戦い方したんだろう。


結標「負けてないわよ。アイツの反則負け!」キーッ!

絹旗「超負け犬の遠吠えですね。先に反則手使ってたのはそっちでしょう。まったく、こんなのが同じ大能力者だとは」フンッ

結標「このガキャ……私は白井さん以外の同強度(レベル)に負け認めないわよっ! って、痛たたっ」クゥ・・・

神裂「結標さん、暴れると悪化しますよ」チラッ・・・

絹旗「やれやれ。じゃあもう一方の手で勝負しますか?」ジトー・・・

結標「鬼! 悪魔! コミュ障! ロリータ!」ムキーッ!


だから暴れないで下さいっての。最愛も挑発しない。


絹旗「そうですね。少々大人げなかったです」ジー・・・

神裂「さて……ではそろそろ」チラッ・・・

絹旗「ええ」コクッ・・・


再び、何かよく分からないプレッシャーがぶつかり合う。
『ゴゴゴゴ・・・』とか『ドドドド・・・』とか、変な擬音が目に見えるんだけど、ヤバくね?


香焼「って、ちょっと待った! この惨状で続ける気っすか!? 駄目駄目! ストップ!」アワワワ・・・

五和「……無駄よ、コウちゃん」ジー・・・

香焼「なんでさ」タラー・・・

五和「これはね、士(もののふ)の戦い。避けられないのよ」ジーン・・・


意味不明。


五和「これは聖戦。振り返れば数十分前の出来事。でも遙か昔から確約されていた戦いでもある」シミジミ・・・

香焼「五和……救急車呼ぼう。頭がピンチみたいっすね」ジトー・・・

五和「そう、顧みれば各々の絶対に譲れないプライドが、そこにあった……―――」カイソー!

香焼「いつもなら『コウちゃん酷っ!』とか言うくせにスルーしやがった!? てか勝手に回想?!」ハァ!?

もあい「みゃう」ペシペシッ


聞いても無いのに回想スタート。まぁ知りたかったから助かるが……なんか阿呆臭い予感しかしない。

 ―――とある日、PM04:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・五和side・・・





五和「―――ただいま帰りましたー」ガチャッ

浦上「右に同じくー」テクテク


授業が終わり、待ち合わせをしていた浦上(ウラ)を拾ってバイクで帰宅。
私達の潜入担当地区の第7学区と香焼宅(コウちゃん家)がある第1学区は隣合わせなのだが、結構距離がある。
というのも、23区中最も広い第7学区の南方にある『学舎の園』に私達の学校(潜入担当地区)はあるので、
それなりの移動距離になってしまうのだ。まぁ望んで学舎の園勤務にしたのだが……やっぱ距離があると面倒。

勿論、第7学区に私の寮&浦上のアパートはあるが、香焼宅(こっち)に集まるのが習慣となっている。理由は特になし!


神裂「おかえりなさい」テクテク

もあい「んなー」フシフシッ


我らが女教皇様(プリエステス)―――もとい、長姉殿が出迎える。
英国に居る事が多いが、最大主教様&マグヌス主教補佐のお使いや、土御門or統括理事長やらに呼び出されて学園都市に来る事もチラホラ。
そんでもって、都市の指定ホテルに居座るより香焼宅(ココ)で主婦業をする事の方が多い。


浦上「ただいまです。っと……お客さんですか?」チラッ

神裂「ええ、いつもの面々で」コクッ

五和「じゃあ早めにご飯作っちゃった方が良いですよね?」スッ

神裂「いえ、下準備は済ませてますから。とりあえず荷物を置いて来なさい」テクテク


今日は私の夕飯当番なのに、姉さんにやらせてしまった様だ。申し訳無い。
リビングに入ると、見知った顔がテーブルを囲んでいた。


五和「こんにちわ」ペコッ

絹旗「こんにちは。お邪魔してます」ペコッ

麦野「うぃー……んー、此処の扉か?」カチャカチャッ・・・

結標「違うわ、そっちの奥の……お邪魔ー」チラッ


もあいを抱え礼儀正しく頭を下げる香焼の友達と、テーブルに突っ伏し携帯ゲーム機カチャカチャ動かす姉さんの友人(?)2人。


絹旗「んもー。2人とも、超失礼ですよ」ジトー・・・

麦野・結標「「あぃあぃ」」カチャカチャ・・・

絹旗「はぁ……すいません」ペコッ

浦上「にゃはは。いつもの事ですネ」クスクスッ


香焼宅(ウチ)に来て、好き勝手遊んで、食べて、だべって、帰る。いつもの事。


麦野「てか火織。アンタも早くミッション戻りなさいよ」カチャカチャ・・・

結標「もうちょいで隠しステージ解禁よ。さっさとして」カチャカチャ・・・

神裂「はいはい」テクテク


携帯ゲーム機を手に、FPSでセミオートショットガンぶっ放す女教皇様の姿。
本部(天草式十字凄教)のお偉いさん(ジジイ)達に見せたらショック死するだろう。

だがかつての女教皇様とは思えぬ程に『人間』らしい……少なくとも私や前線で働く教徒達はこれで良いと思っている。

そういえば固法さんがまだ来ていないが。風紀委員(ジャッジメント)の仕事だろうか。


神裂「終わったら寄ると言ってましたよ……あ、やばっ」カチャッ

麦野「黒妻くん、今日夜勤らしいから彼のアパート(アッチ)には寄らないそうね……ほぃ、回復」カチャッ

結標「夜勤ってあのチンピラ、今何のバイトしてんの? 現場(工事)とか呑み屋とか? って……そっち逃げたわ」カチャッ

麦野「警備員よ。警備員(アンチスキル)じゃなくて『警備員』のバイト……うっし。ヘッドショット」タンッ

五和「ははは、ややこしいですね」ポリポリ・・・


とりあえず、ご飯は多めに準備しとこう。まだ固法さん以外にも来客あるだろうし。


絹旗「あ、手伝います」ヒョコッ

五和「ありがと。でもまだ良いかな……とりあえずお手伝い必要な時お願いするから、今はもあいと遊んでてあげて」フフッ

もあい「なー」コロコロッ

絹旗「ん……分かりました」コクッ


流石、コウちゃんの花嫁候補。気が効くという点ではカルテッ娘より上だ。


浦上「どちらかといえば、香焼が『嫁(ヒロイン)』って感じですけどネ」ハハハ

五和「確かに……皆、コウちゃんより強いしなぁ」ハハハ

神裂「本人が聞いてたら、さぞオカンムリでしょうね」ハァ


と言いつつ、姉さんも否定しない。確かに中一男子にしては幼いし、何より可愛い……無論、『男の娘』的な意味で。

しかし、それは香焼に限った事では無いかもしれない。


麦野「んー、ウチの浜面? あー……いや、ヒロインは無ぇな」ジトー・・・

絹旗「浜面がヒロインとか、世も末です。超有り得ません。超キモいです」コロコロッ

もあい「なぅ」ペシペシッ


言いたい放題。多分、本人目の前でも言うんだろうなぁ。


結標「とか何とか言いつつ、コイツらなりの愛情表現で……っておわぁ!? ちょ!? フレンドリーファイヤ?!」ギョッ!

麦野「おほほほ。丁度、射軸上に居たモノでぇ」カチャカチャ・・・

結標「くっ……陰険な……てか、アンタら。最近毎日香焼くん家(此処)で夕飯喰ってってるそうじゃない。自分家で喰わないの?」チラッ

絹旗「超余計な世話です。というか、どの口言いますか?」ジトー・・・

結標「私は月詠宅(家)で半分、外食と此処半分くらいよ。アンタら、他の2人(+α)と飯喰わないの?」


そういえば、最近浜面さんと滝壺さんと一緒に行動する機会が減ってるとか。


麦野「まぁ別に四六時中一緒に居る訳でも無いし……色々、ね」カチャカチャ・・・

絹旗「そうそう、超色々あるんですよ」ゴロンッ

結標「ふーん……私にゃ関係無いわね」カチャカチャ・・・


成程、空気を読んでる訳か。浜面さんも幸せモノだな。


絹旗「というか、私らが邪魔しなくともフレメア(おチビ)が超邪魔してるでしょうから」ケケケケ・・・

結標「あっそ」カチャカチャ・・・

神裂「では、フレメア嬢もココに連れてくれば良いのでは?」フム・・・

麦野「駄目よ」ジトー・・・

神裂「え?」キョトン・・・

麦野「兎に角、駄目よ。あの娘の面倒は浜面が見る。これは決定事項なのよ」フンッ

絹旗「といいますか、浜面以外に懐きませんからね。あとは……滝壺さんの貞操の為に」ボソッ・・・

五和「貞操って」タラー・・・

浦上「まぁ男の子女の子ですからー」フフフ・・・

神裂「う、浦上……とりあえず、深くは触れないでおきましょう」チラッ

五和「ん」コクッ


身内の情事か。私だってあまり上条さん云々で姉さんと口論したくない。

今日は此処までです。明日……ってもう今日だけど、続き投下します。

ホント、久々のSSなんで多々至らぬ点はあると思いますが御勘弁下さい。

あと、今後の意見リクエスト質問感想罵倒を頂けると嬉しいです。

ではまた次回! おやすみ!

こんばんわ。続き、投下します。

 ―――とある日、PM05:20、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・五和side・・・





適当な頃合いで夕飯の準備に取り掛かる。下準備は姉さんがしてくれたのでパパパッと拵えるだけだ。
コウちゃんのエプロンを装着した絹旗助手に意見を聞く。


五和「ご飯はタイマー掛ってるし、汁物もOKっと……最愛ちゃん、今日は何食べたい?」パパパッ

絹旗「お任せしますよ。五和さんの料理は超プロ級ですから」コクッ

麦野「じゃあ、むにえるー。鮭のー」カチャカチャ・・・

結標「やきにくー。上カルビー」カチャカチャ・・・

絹旗「……駅前の定食屋にでも行って下さい」ハァ・・・


確かに、作り甲斐が無いチョイス。花嫁修業的にはもうちょい捻ったメニューにしたいところ。


五和「あはは。えっと、サーモンあったかなぁ……あとはお肉で……よしっと」フムフム・・・

絹旗「決まりましたか?」チラッ

五和「うん。冷蔵庫にあるモノで適当に」ガサガサ・・・

浦上「流っ石お姉ですネ。一家に一人助かります」フフッ

結標「ほんっと、ウチにも欲しいわー。五和ー、結婚してー」カチャカチャ・・・


嬉しい事言ってくれますけど、姉さん程じゃないですよ。あと、私は結婚を前提にお付き合い(?)している方がいますので(一方的に)。


麦野「いや、どっちもレベル高いわよ……でも火織は私の嫁だから」カチャカチャ・・・

神裂「じゃあ、せめて私より稼いで下さいね」ニコッ

麦野「くっ……無理難題を。というか、スルー力が上がってる」ハァ・・・

神裂「御蔭さまで。あ、2人とも……そこトラップが」ヤバッ・・・

麦野・結標「「え」」ピタッ・・・


『ちゅどーん』と爽快な音。一寸沈黙の後、姉さんへの友軍射撃が始まった。
因みに、姉さんの年収は軽く小国の国家予算並みとか何とか。でも多分、麦野さんもそのくらい稼げそうな予感がする。

さておき、そろそろ包丁を握ろう。今日の献立はサーモンのカルパッチョに海藻と肉のサラダ。
私が鮭を下ろしている間に、最愛ちゃんが野菜を切る。


絹旗「よいしょ……こんなもんで良いですか?」シャキシャキ・・・

五和「うん、大丈夫です。最愛ちゃん、大分上手になったね」スッ・・・スッ・・・

絹旗「五和さんや姉貴さんの御蔭です」フフフッ


ちょっと前までは大根のブツ切りくらいしか出来なかったのだが、最近ではキャベツの千切りくらいは出来る様になってきた最愛ちゃん。
それからある程度、調理を済ませ盛り付けの手前で終わらせる。
家主殿(コウちゃん)が帰ってくる時間は早ければそろそろだし、遅ければあと2時間くらいだ。
普通なら準備が早いくらいだが都市製の冷蔵庫の御蔭で、作った料理の鮮度が長持ちする。ホント、技術の賜物。

一段落終え、一服しようかと時計を見た。


五和「んー、そろそろかな」チラッ

絹旗「え……ああ」ジー・・・


5時半過ぎ。そろそろ、別の客人が現れる。


麦野「美偉もそろそろ着くって……ってかさぁ、何で『アイツ』まで入り浸ってんのよ」ハァ・・・

神裂「まぁまぁ。仲良くしましょう。同じ超能力者でしょう」ハハハ・・・

麦野「うわぁ『同じ』とか言われたし。かーなーり、心外だわ」ジトー・・・

結標「いやいや、超能力者(アンタら)総じて人格破綻者じゃ……ってにょわぁ!? RPG!!」ドカーン!!


そんなに悪い子じゃないんですけどね、と噂をすれば何とやら。インターホンと窓を叩く音が同時に鳴った。


絹旗「うげっ。野郎二人が同時に来ました」タラー・・・

神裂「あははは……玄関は私が行きましょう。もしかしたら固法さんも一緒かもしれませんし」テクテク・・・

浦上「そんじゃ私はベランダで」トコトコ・・・


2人同時に行動。そして、ほぼ同時に現れる男子(?)2人。


削板「こんばんはー! 腹が減りました!」ドーンッ!

ステイル「ん……邪魔する」テクテク・・・

絹旗「超喧しいのと超根暗いのが来ました」ウゲェ・・・

削板「うっせぇ超小っこいの。って、香焼まだ帰ってきてないのか?」キョロキョロ・・・

ステイル「見れば分かるだろう阿呆。というか、君はまたベランダ(そこ)から侵入したのか」ジトー・・・

削板「ベランダ(此処)が俺の玄関です。つーか、テメェいつもどうやって玄関から入ってんだ? オートロックだろ?」ジトー・・・

絹旗「そういえば……いつもエントランスの施錠無しで入ってきてますよね? 何で?」キョトン・・・

ステイル「いや、何でも何も……ほら」スッ・・・


カードキー。所謂、合い鍵。


絹旗・削板「「なっ!?」」ジー

ステイル「そういう事だ。五和、コーヒーを頼んで良いか」テクテク

五和「あ、はい」コクッ

削板「ちょ、待て! 何でテメェが香焼ん家の鍵持ってんだよ!」ジトー・・・

絹旗「ズルいです! 超ズルい!」ジトー・・・

ステイル「いや、ズルいも何も……まぁそれだけ彼から信頼されてるって事じゃないのか? 君達よりもな」ニヤリ・・・

絹旗・削板「「」」チーン・・・


いやいや、また適当な事を。2人がショックで真っ白くなってますよ。

とりあえず姉さんがフォロー。


神裂「まったく、意地の悪い事を。ステイルはこの部屋の賃貸契約の関係上、鍵を持っているだけですよ。他に他意はありません」ヤレヤレ・・・

ステイル「ま、そういう事だ」ハハハ

削板「ぐっ……騙しやがって」グヌヌ・・・・

絹旗「そ、そうですよね。超冷静に考えれば、この超不良似非神父が私より信頼厚い訳が無いです」フンッ

ステイル「いやいやいや、それはそれ。これはこれ」フフフ・・・


何か、こう、見えない火花が散ってます。
マグヌスさん、自分ではコウちゃんの『友達ちゃうわ』とか言ってるクセに、本人居ないとこだとデレるんだから。


結標「良いなぁ。私も香焼くん家の鍵欲しい。あ、そうだ。後で合いカギ作らせて貰おー」ニヤッ

絹旗「なっ!? だ、駄目です! 絶対駄目!! 超々チョー駄目ですっ!!」バンッ!

結標「あら、何故?」フフフ・・・

絹旗「駄目なモノは駄目です! アンタに鍵渡したら香焼が色々超ピンチになります!」アタフタッ

削板「てか、コイツの場合本気出せば不法侵入し放題だよな」ジトー・・・

結標「人聞き悪い事言わないでよ。まるで私が変態みたいな――」

麦野「変態っしょ?」キョトン・・・

結標「――……アンタねぇ」ジトー・・・

神裂「こらこら、喧嘩しない」メッ


不満げに引き下がる一同。
確かに結標さんは能力的に本気出せば不法侵入し放題だろうけど、易々と本気『出せない』らしいから。その点信用してます。


五和「確かに何も知らない人からしてみれば不信がりますよね。あ、マグヌスさん。コーヒーです」アハハ・・・

ステイル「まったく、人が増え過ぎるというのも難だな……ん」スッ・・・カチッ・・・

一同『…………、』ジトー・・・


煙草を取り出したマグヌスさんに、全員からの無言の圧力。


削板「おまえ、相っ変わらず自己中だよな」ジトー・・・

絹旗「未成年のくせして……まぁ未成年って方が超嘘っぽいですけど」ジトー・・・

麦野「てか、よく喫わない面子の前で堂々と喫おうと思えるわよね」ジトー・・・

結標「これだから喫煙者は。せめて分煙出来れば叩かれないでしょうに」ジトー・・・

3姉妹「「「あはは」」」ジトー・・・

ステイル「……う」タラー・・・


流石に気拙くなったのか、無言で姉さんに助けを求める14歳男子(主教補佐)。
そんでもって、シレッとベランダの方を指差す18歳女子(補佐代行)。『喫うな』と言わない辺りが温情か。
トボトボとコーヒーカップを持って、無言でベランダへ出張る上司殿。肩身の狭い事で。

サーシャってロシアの人じゃなかった?
必要悪の教会に移籍したのかな?

ベランダに常備してある灰皿(もあいの猫缶)に灰を落とす我らが上司。態々『ステイル専用』と書いてある。
リアルな意味で窓際族とは……前線で見せる鬼神の如きオーラがこれっぽっちもありません。いと憐れ。


削板「よしっ。悪は去った」フンッ

絹旗「残る悪はアンタですね……あと、ついでにそこの2人も」ボソッ

削板「はぁ? 悪はテメェだろ。どっからどう見ても俺は正義だ」ドーンッ

麦野「そうそ……って、絹旗ちゃーん。今ちゃっかり私も悪にカウントしなかったかぃ??」ギロリ・・・

絹旗「さぁて。何のことやら」ポカーン・・・

浦上「はははは。最愛ちゃんも言う様になりましたネ」クスクス・・・

結標「ほんと、近くに居ると口の悪さは似るのね」チラッ

麦野「ほざけ」ジトー・・・


また険悪に……また姉さんが注意しようとした時、インターフォンが鳴った。今度はエントランスからだ。


固法『こんばんは。ごめんなさい、遅くなっちゃった』ペコッ

五和「いえいえ、今開けまーす」ポチッ


仲裁役登場。流石風紀委員というべきか、一同頭が上がらない人。
姉さんも麦野さんも結標さんも姐御肌ではあるのだが、3人共物騒な意味での姐御肌だからなぁ……日常的には彼女が強いのだろう。

という訳で、一同ピリピリムードから普通に戻る。


固法「お邪魔しまーす。はい、お土産」スッ・・・

五和「ありがとうございます。態々すいません」ペコッ

固法「良いの良いの。いつもご飯作って貰ってばっかだから……あら、今日は勢揃いね」フフッ

麦野「大分掛ったじゃない。何か面倒な事件でもあったの?」チラッ

固法「ちょっとね……解決はしたんだけど、また御坂さんが」ハハハ・・・


一同『また超電磁砲(アイツ)か』といった顔。


固法「詰め所で大人しくしてなさいって言ったところで聞かないのよね……ホント、私と白井さんだけで十分なのに」ヤレヤレ・・・

麦野「んでもって、例の如くヤリ過ぎで警備員に怒られてきたっと。目に見えるわ」ハハハ

固法「笑い事じゃないわよ。その後、上条くん見つけるなり消えるし。それ追っかけて白井さんも消える……全部私と初春さんに押し付け」ンモー

結標「相変わらず幻想殺しと白井さんは大変ね……って、五和?」チラッ

浦上「アハハハ……お姉。姉様。顔、顔」ニャハハハ・・・


いけないいけない。顔に出てた。
しかし、あの超能力者第3位さん。些か『上条約』違反が目立つ気がする。その内、罰が下りそうだ。


絹旗「しかし、最近事件多いですよね。昨今、そんなに治安悪化してるんですか?」フム・・・

固法「件数だけで見ればそうでもないんだけど、性質の悪い犯罪が増えててね。WWⅢ(第3次世界大戦)後、特に」ハァ・・・

神裂「性質が悪い、というと?」キョトン・・・

固法「テロ紛いとか武器密輸・技術売買とか、兎に角、ちょっと前まで大々的に見えなかった事件が明るみに出てきたっていうか」ポリポリ・・・

麦野・結標「「…………、」」フーン・・・


原因の一つは『彼女達(元暗部)』だろう。都市に仇為す輩に対する抑止力だった『彼女達』が引退した所為もあってか、
表際で粛清してきた犯罪を表立たせてしまっているのだと考えられる。

>>24・・・サーシャはロシアからの使者としてしょっちゅう英国に足を運んでる、という勝手な設定です。


   * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *


無論、『新入生』達も奮闘している様だが、所詮は出来合の新人(ルーキー)。玄人達(ベテラン)程上手く立ち回れない。
故に、水面下で防げなかったツケが風紀委員や警備員に負担が回って来ている訳だ。因みに、これは土御門の論。


麦野「まぁ怪我しない程度に頑張りなさい。テロ屋っつっても、コイツみたいなスカポンが犯罪のリーダーやってたりすんだから」クイッ

結標「誰がスカポンよ。それに元よ、元。あとテロ屋じゃない」フンッ

絹旗「でも技術売買しようとしたんでしょ」ジトー・・・

結標「まぁそれはそれ。てかアンタらだって……―――」フンッ

麦野「……ん」チラッ

結標「―――……はぁ」ポリポリ・・・


何かを言い掛けて止める結標さん。何を言うつもりだったかは分からないが、言わない方が良かろう。
私達(天草の潜入学徒)は土御門経由や独自の情報網で、学園都市の表裏情勢をある程度把握しているが、
固法さんの様な一般人に話す様な話では無い。

ただ、元武装能力者集団出身という事もあってか、この都市の『闇』についてある程度知識はあるらしい。


削板「ふんっ! まぁ大抵の悪党共は俺が退治してやるけどな」ムンッ

絹旗「超頼りなりませんから。姉貴さん、もし何かあったら私を呼んで下さいよ。超助っ人します」ムンッ

固法「ありがとう。気持ちは受け取っておくわ」フフッ

麦野「アンタらの手伝いは超電磁砲(レールガン)並に有難迷惑だってさ」ハハハ

絹旗・削板「「何をっ!」」ウガーッ!

神裂「こらこら」ヤレヤレ・・・


本当に仲良い事で。


麦野「とりあえず、まだ坊や帰ってこないらしいから美偉も参加しなさい」カチャカチャ・・・

固法「あ、うん」テクテク・・・

浦上「固法さん、何か飲みます?」チラッ・・・

固法「ありがとう。じゃあいつもので」ペコッ

結標「……また牛乳」タラー・・・

固法「別に良いでしょ」ブーブー

麦野「アンタも見習いなさい。美偉の胸の5割は牛乳詰まってんのよ。残り半分は彼氏に揉まべぼわぁ!?」ゴチンッ!!

固法「っ~~~~~ッ! 変態っ!!」カアアアァ///


超能力者相手にクッション投げつける固法さん。そういえばまた胸が大きくなったとか何とか。
姉さん程大きくは無いが、未だに成長してるバストの秘密は牛乳か……それとも彼氏の存在か。何にせよ羨ましい。


結標「そいやぁ何でこの家の冷蔵庫、こんなに牛乳入ってんの? こいつの為?」チラッ・・・

浦上「あはは、いえいえ。まぁ固法さんもですケド、あのですねぇ……牛乳神話を信じてる人がいますので」ニャハハ


身長を伸ばしたい人がいるんですよ。
あと、最愛ちゃん。思い出したかの様に牛乳ガブ飲みしないで下さい。急に胸も身長も大きくなったりしないし、お腹下しますよ。

 ―――とある日、PM05:40、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・浦上side・・・





そろそろ削板くんのお腹の虫が三重奏を奏で始めた。姉様達もゲームに飽きてきた頃合い。


削板「―――ったく、香焼遅いなぁ」グルルゥ・・・

結標「仕方ないっしょ。アンタと違って真面目に学校通ってんだから」グデェ・・・

麦野「だからー、アンタも人の事言えないでしょー」グデェ・・・

絹旗「総じて『お前が言うな』って返ってきますよ」ヤレヤレ・・・


この中で真面目に学校通ってるのは私とお姉と固法さんくらいだ。
尤も、天草の潜入学徒が『真面目』に通ってるかと言われれば疑わしいのだが。


神裂「しかし、皆さんは学校へ行かなくとも単位が貰えるのでしょう?」フム・・・

麦野「まぁね。優等生だから」ハハハ

結標「少しは謙遜しなさいっての。とりあえずレポート書いて席置いてりゃ学校(アッチ)も満足だかんね」コクッ


学校側としてみれば高い強度(レベル)の生徒が在籍してくれているだけで見栄が張れる。
都市外の高校・中学的に言えば『名門高校(大学)進学率○%!』と謳う様なモノか。確かに宣伝効果はあるので合理的かもしれない。


ステイル「生々しい話だ。まるで学生とは思えん……商品扱いだな」ヤレヤレ・・・

絹旗「超余計なお世話ですよ。ってか、そういうアンタこそ学校出てるんですか? 自称14歳なんでしょう?」ジトー・・・

ステイル「自称じゃなく本当に14だ。僕は飛び級で大学出てる。博士号まで終えてるよ。証拠もある」フンッ

削板「ウソ臭ぇ。どうせ碌でも無ぇ方法で卒業してんだろ? 金で単位買ったとか」ジトー・・・

ステイル「些か心外だな。まぁどうとでも言え……神裂だって同じ要領で博士号まで終えてるよ」チラッ

神裂「え。ま、まぁ……あはは」ポリポリ・・・


確かに、姉様は天性の天才だ。勉強云々は15前後で終えてた筈。


結標「でもそれって、所詮『外』の勉強レベルでしょ。学園都市の勉強レベルじゃ中学生レベルなんじゃない?」フーン・・・

五和「えっと、都市は能力開発や理数系には特化してますけど。文・体育・技術・芸術系は外と大して変わりませんよ」コクッ

ステイル「というかそれ以下の部分も多い。現に……例えばおチビ君。喜望峰(ケープホーン)の場所、分からないだろ?」チラッ

絹旗「け、けーぷほーん? 角? 動物ですか?」キョトン・・・

ステイル「じゃあ……バルト三国、3つ全て言えるかい?」チラッ

結標「わ、私!? ば、ばとる? さんごく……三国志? 中国?」タラー・・・


最愛ちゃん、結標さん……可哀想な目を向けざるを得ない。


ステイル「はぁ……五大湖、全部」チラッ

削板「上流から順にスペリオル湖、ミシガン湖、ヒューロン湖、エリー湖、オンタリオ湖。馬鹿にすんな。一般常識だろ」ジトー・・・

麦野「因みに喜望峰は南アのケープタウンにある岬。バルト三国はエストニア、ラトビア、リトアニア……そいつらのオツムが弱いだけよ」ハァ・・・

ステイル「ほぅ……一緒にするな、だそうだ」チラッ

絹旗・結標「「うっ」」タラー・・・


これが超能力者(レベル5)と大能力者(レベル4)の差か。

悔しそうな2人にフォローを入れる眼鏡天使さん。


固法「まぁ2人とも社会が苦手なだけよね」ハハハ・・・

結標「そ、そうよ! それに、そんなの覚えたって将来役に立たないわ!」タラー・・・

絹旗「え、ええ! 理数系さえ出来ればこの街で生きる分には事欠きません!」タラー・・・

ステイル「一般常識だって、さっきそこの⑦(根性)馬鹿が宣たが」ジトー・・・

絹旗・結標「「ぐっ」」タラー・・・

麦野「まぁそいつら一般人じゃないから。ヒッキー的な意味で」ハハハ

絹旗・結標「「ヒッキーちゃうわ!」」ムキーッ!


確かに、どんなに凄い論文書けても地図読めなきゃ生きていけないって本で書いてあったな。
そういう意味でも、この街の人間は箱庭(都市)の外へは出れないのかもしれない。


神裂「まぁまぁ。そういうステイルだってエクセルやらパワポやら、PC業務苦手でしょう。確か物理や高校数学も完璧では無かったと」チラッ

ステイル「余計な事を……そんな事務作業、僕の仕事じゃない。というか神裂、君もPC作業苦手だろ」フンッ

絹旗「わぁ超ダサいです。現代人とは思えません。もしかしてワードのレイアウト設定も出来ないとか?」プフー!

結標「今時小学生でも出来るわよねー。一般的な、都市の外の、小学生でも」ジトー・・・

ステイル「そ、それくらい出来る! ただ、僕の場合はそういう資料を作る必要が無いんだ」フンッ

五和「基本、ハンコ押す側ですからね……14歳なのに」ハハハ・・・ジトー


資料作る側筆頭(お姉)の妬み声。確かに、こんな中学生は嫌だ。


削板「どっちもどっちだな」フンッ

絹旗「ぐぅ……非常識の塊に常識語られると、超腹立ちますね」グヌヌ・・・

麦野「超能力者なんて輩は常識兼ね備えた上で非常識やってんのよ」サラッ・・・

神裂「麦野さんが言うと説得力ありますね」ポリポリ・・・


本人曰く『私は超能力者の中でも常識ある方』だそうだ。即座に『超嘘です』と最愛ちゃんに返されたが、ゲンコツで黙らせてた。
まぁ他の6人はどうなってんだろう。


固法「でも御坂さんは、結構常識あると思うんだけどなぁ」ポリポリ・・・

麦野「えー」ジトー・・・

結標「うーん」ジトー・・・

絹旗「えっと……あー」ジトー・・・

削板「……無いな」ジトー・・・

固法「あらら」ハハハ・・・


この場に本人が居なくて良かったと思う。

それにしても御坂さんとやら。あまり面識は無いがどんな人なのだろう。


麦野「んー。あの娘、結構手ぇ早いじゃない。戦闘狂(バトルジャンキー)の類じゃね?」チラッ

削板「まぁ俺らが言えた義理じゃないけどな……あれも血に飢えてる感じはする」チラッ

結標「御坂さん、まるっきり『オレより強いヤツに会いに行く』とか『敗北を知りたい』とか言うタイプでしょ」チラッ

絹旗「喧嘩っ早いという点では麦野以上な気も。まぁ麦野は『殺す』と思った時には行動しちゃってるタイプなんで超危険ですが」チラッ

麦野「人を三大兄貴みたいに言うなボケ」バシッ

固法「う、うーん……そう言われると否定できない」タラー・・・

浦上「で、でもそれ以上に義理人情に厚いんでしょう? そういう点でも有名ですし」ハハハ・・・

固法「そうね。そういう点では確かに……でも、うーん」ポリポリ・・・


拙い。無理矢理話を逸らそう。固法さんが御坂さんのフォロー出来なくなる前に。


浦上「そ、そーいえば、この前香焼が家の鍵集めなきゃとか言ってましたヨ」アハハハ・・・

神裂「む? と言いますと?」キョトン・・・

五和「あ、姉さんにまだ言ってませんでしたね。契約の関係上、半年置きに鍵を交換しなくちゃならないそうです」コクッ


セキュリティーの関係上、定期的に鍵交換を行うそうだ。
家主が住み続けてるのに交換するのは変な気もするが、それだけ防犯には五月蠅いのだろう。流石最新鋭のマンション。


浦上「まだ先の話ですけど、近々お二人の鍵も香焼に渡して下さいネ」チラッ

ステイル「面倒な……まぁ更新の関係なら止むを得ないが」フム・・・

神裂「仕方無いでしょう。土御門からは受け取ってあるんですか?」ジー・・・

五和「近い内、コウちゃんに渡すそうです」コクッ

結標「は? 何で土御門?」ポカーン・・・


何でと言われても、彼が鍵を持ってるからとしか。


結標「いやいや、何でアイツが持ってんのよって事」ジトー・・・

五和「えっと……賃貸契約の名義上?」アハハ・・・

結標「……ふーん」ジトー・・・


皆が居る手前、上司とは言い辛い。彼は色んな意味で有名人過ぎる。


削板「しっかし、納得いかねぇな。何で来もしないヤツや不良神父が鍵持ってんのに、俺が持ってないんだ」ジトー・・・

ステイル「その理屈はおかしい」ハァ・・・

絹旗「いや、でも確かに。超腑に落ちませんね」ムゥ・・・

結標「確かに、来ない人間(土御門)が持ってるくらいなら私が持っときたいわね」フム・・・

ステイル「願望云々の話じゃなかろう。これは契約上の」ハァ・・・

削板「はいはい、契約契約……んでもまぁ、香焼が良いって言えば俺も合い鍵作って良いんだろ?」チラッ

五和「え? うーん……どうだろう」ハハハ・・・

絹旗「そうなんですか!?」ジー・・・


難とも言えないけど、香焼なら何だかんだでOK出しそう。

合い鍵計画で話が盛り上がる最中、空気を読めない上司殿がぼやいた。


ステイル「いや、駄目だろ」ジトー・・・

削板「何でだよ。お前の意見関係無いだろ」フンッ

絹旗・結標「「そーだそーだ」」ブーブー

ステイル「じゃあ君達は、他人に自分の家の鍵を易々渡せるか?」ジトー・・・


確かに、それを言われると弱い……―――


削板「は? 鍵なんか持ってねぇし」サラッ

絹旗「私は渡せますよ」サラッ

結標「同じく」サラッ

ステイル「…………、」ポカーン・・・


―――……筈なんだけどなぁ。常識通用しないらしい。


固法「こらこら、困らせないの。えっと、ステイルくん。多分彼女達、『自分名義の部屋』の鍵は渡せるって意味で言ってるだけだから」ハハハ・・・

ステイル「……は?」ポカーン・・・

麦野「まぁ使ってない部屋の鍵だったら渡したって問題無いわよね」ハハハ

五和「あぁ。2人とも半ば居候ですしね。削板くんは研究所住みだから鍵要らないんですよね」チラッ

削板「そーゆーことです」ムンッ


成程。じゃあ居候宅の鍵は?


結標「絶っっっ対、渡さない」キリッ

絹旗「私は渡しても良いですよ」サラッ

麦野「はははは、殺すわよ」ニッコリ


此処ら辺、人間性が出る。というより宿主と居候人の信頼関係か。


ステイル「ったく……兎に角、そういう事だ。普通はプライバシー云々言って他人にホイホイ鍵なんか渡さない」ハァ・・・

削板「まったく分からん。何がそういう事なんだ」ムンッ

ステイル「……お前は論外だ、人類皆兄弟思考(根性バカ)」ジトー・・・

絹旗「むー……でも、無理矢理貰おうって言ってる訳じゃなくて、もし可能ならって意味で」ジー・・・


じゃあ、逆に考えてみたら如何だろう。


絹旗「へ?」キョトン・・・

五和「もし、コウちゃんが最愛ちゃん家の鍵頂戴って言ったらって事かな」チラッ

絹旗「え、いや、だから私は麦野と同棲状態ですから」キョトン・・・

麦野「んー……もしアンタが一人暮らしに戻って、その家の鍵を坊やがくれって言ったら?」ニヤリ・・・

絹旗「ぇ……なっ!?」ギョッ///


あからさまにキョドる最愛ちゃん。予想通り過ぎる反応をどうも。

恥ずかしさと悔しさで真っ赤になる最愛ちゃんにちょっかいかける大人なお姉さん。


結標「あらら、ふふふ。まぁ私は渡せるけどね」ニヤリ・・・

絹旗「んなぁ!?」バッ///

削板「俺も構わないが」サラッ

絹旗「ぐっ……わ、私だって、も、問題にゃいです」グヌヌ・・・///


野郎2人以外、ニヤニヤ。可愛いのう。


固法「こらこら。あんまり意地悪言わないの。兎に角、本人がこの場に居ないと何ともね」ヨシヨシ

神裂「そうですね。ただ、合い鍵作れる数に上限があった筈ですからそれを踏まえて」フム・・・


本鍵(香焼)、スペアキー×2(姉様が建宮さんから預かってるモノ&土御門)、合い鍵(私、お姉、マグヌスさん)。計6つ。
合い鍵だけでいえば3つまでか……でも確か上限以上に量産してた気もする。でも誰が持ってたか忘れてしまった。


削板「ふむふむ……じゃあ新しい合い鍵はステイルに替わり俺だな」ムンッ

ステイル「だから、話聞いてたか? いや、聞いてないんだろうね」ハァ・・・

結標「じゃあ土御門のスペアは私が貰うわね」ニコッ

ステイル「だから……はぁ」グデェ・・・

絹旗「わ、私は、えっと……うーん」チラッ・・・チラッ・・・


私とお姉、姉様を見遣る子猫ちゃん。


五和「あははは。じゃあ私とウラが兼用するから最愛ちゃんに一つですね」クスッ

絹旗「あ、ありがとうございます!」パアアァ!

ステイル「……君らも悪乗りが好きだな」ヤレヤレ・・・

麦野「じゃあ私と火織と美偉の兼用キーが一つね。これで全部かしら」ハッハッハ

ステイル「…………、」ジトー・・・


あからさまに呆れ顔する主教補佐殿。ニコチン切れたのかな。


ステイル「はぁ……兎に角、一度僕か土御門が管理して、そこから配布した方が良さそうだな」ヤレヤレ・・・

五和「え? いや、冗談ですよ。そんなに真に受けなくても」チラッ

絹旗「じょ、冗談なんですか」ガーン・・・

五和「あ、いえ、その……あははは」タラー・・・

ステイル「いや、君と浦上が兼用するという点では構わないだろう。ついでに、神裂も共に兼用だ」サラッ

神裂「はい? 何故私まで?」キョトン・・・

ステイル「しょっちゅう来る訳でも無い。香焼、五和、浦上の3人の内誰かが持ってれば十分だろ。残りは土御門か僕で管理しよう」コクッ


いきなり横暴な事を宣う上司。何これ新手のパワハラ?


ステイル「あのだなぁ……香焼のプライバシー云々以前に『分かる』ね? 3人共」チラッ

3姉妹『ぅ……、』タラー・・・


香焼宅(ココ)は仮住まいとはいえ『必要悪の教会(ネセサリウス)』と『天草式』のセーフハウス的な機能も持っている。
情報管理はしっかりしているとはいえ、漏洩してはいけないデータ諸々がある事も確かだ。

しかし、腑に落ちない。


五和「で、でもコウちゃんがOKしてる以上問題無いんじゃ」ムゥ・・・

ステイル「家主とはいえ借主ではない。皆まで言わせるな」フンッ

神裂「しかしですね。あの子はこの家で何より平穏を大事にしています」ジー・・・

ステイル「その点は目を瞑ってやってるだろう。問題はそこではなくセキュリティーの話だ」ヤレヤレ・・・


言ってる事は御尤もだが……何か、嫌だなぁ。


削板「おいおい、さっきから黙って聞いてりゃ偉そうに」ジトー・・・

ステイル「部外者は黙っててくれ」フンッ

削板「意味分かんねぇ。この家的にいえば部外者はテメェの方だろ? 香焼の姉ちゃん達に比べりゃお前の方がよっぽど部外者だっつの」ケッ

ステイル「は?」ジトー・・・

絹旗「確かに、香焼のお姉さん達はアンタに比べて超頻繁に来てます。てかアンタ、此処に居る誰よりも来る回数少ないでしょう」ベー

ステイル「来る来ないの問題ではなく、賃貸契約の話だ。僕がそれに関わっている以上は筋が―――」

結標「またそれ? ほんっと、図体の割に器小さい男ね」ハァ・・・

ステイル「―――……む」ムスー・・・


何だかまた険悪な感じ。マグヌスさん、そろそろ手(火)が出そうな雰囲気。


固法「え、と……とりあえず、そろそろ香焼くん帰ってくる事だし本人の意見も聞いてからでも遅くないでしょ。ね?」ポリポリ・・・

ステイル「いや、これはアイツの意見よりも本来僕や神裂が決めねばならない事だ」ジトー・・・

神裂「う、うーん」タラー・・・

麦野「はははは。坊やの意見を聞きたくないのは、自分に不利な応えが返ってくるって分かってるからよねー」フフフ・・・

ステイル「う……、」タラー・・・


この重い空気の中、唯一展開を楽しんでる超能力者第4位さん。削板くんじゃないけど、ほんと、良い根性してます。


麦野「ま、でもアンタにゃアンタの考えがあるんだろうし、所詮他人の私らが如何こう言えないのも確かよね」フフッ

絹旗「麦野はどっちの味方なんですか」ジトー・・・

麦野「どっちでも無いわよ。ただ、此処に遊び来れなくなるのは困るわよね。丁度良い屯(たむろ)場所だし」ムーン・・・

削板「適当な女だなぁ。何か解決法ある訳じゃないのかよ」ッタク・・・

麦野「別にー……まぁ適当に、鍵賭けてジャンケンかクジ引きでもすりゃ良いんじゃね」ハハハ


そんな単純フランクな方法で納得する訳―――


絹旗・削板「「それか!」」ビシッ・・・


―――……えー。マジですか。

流石にこれは、苦笑せざるをえない。


ステイル「はぁ……馬鹿共が」ヤレヤレ・・・

削板「うっせ! 勝負だ、勝負!! ジャンケンか? それともあみだくじか?」ビシッ!

絹旗「私的には運任せの勝負は好きじゃありません。此処は超公平にゲームで勝負です!」バッ!

ステイル「僕は機械のゲームは苦手だし、そもそも他人の家の鍵を賭けて勝負なんてする気にもならん」タラー・・・

削板「因みに、俺もあんまゲームしないから最愛の意見は却下な」ムンッ

絹旗「むぅ。じゃあ何なら良いんですか?」ジトー・・・

ステイル「だから、しないと……ん。そうだな」ニヤリ・・・


何やら不敵な笑みを浮かべるマグヌスさん。重たそうに立ち上がり、外套(マント)からカードの束を取り出した。


ステイル「これなら良いよ」スッ・・・

絹旗・削板「「トランプ?」」キョトン・・・

ステイル「万人に分かり易く『公平』だろう。ポーカーでも良いし、大富豪・大貧民でも良い。好きなので良いぞ」フフッ

絹旗「まぁそれなら……でも、内容を何にするかで超変わってきますね」ウーン・・・

削板「ババ抜きとか、神経衰弱とかか?」ポリポリ・・・


マジメに悩む2人。それを見て意地悪く微笑む神父さん。見るに兼ねた姉様が口を挟む。


神裂「はぁ……駄目です」ヤレヤレ・・・

絹旗「はい?」キョトン・・・

神裂「ステイルに大抵のカードゲームで勝てませんよ」マッタク・・・

削板「は? 何で?」ポカーン・・・

ステイル「おい、神裂。余計な事を言うな」ジトー・・・


だって、カード扱わせたら英国でも屈指に入る人ですから。


結標「んー。どゆこと?」ポカーン・・・

五和「あはははは……何と言いますか、言葉が悪いですけど、イカサマの天才です」ポリポリ・・・

絹旗・削板「「なっ!?」」バッ・・・

ステイル「チッ……余計な事を」ボソッ・・・


彼とトランプ勝負してカモになった必要悪の教会の人々は数知れず。
本当はタブーだが賭け事をした連中のトータル巻き上げ額は、云百万円。因みに主教様と女王陛下、第二王女もカモになってます。


削板「てめっ! 鼻っから勝ち目無い勝負させる気だったのか!?」バンッ

ステイル「やれやれ……さて? 何の事かな?」シレット・・・

絹旗「超根暗! 超陰険です! 超性格最っ悪です!」ガー!

ステイル「何とでも言え。兎に角、元より勝負する気なんかないんだから茶番仕立てでも構わないだろ」フンッ・・・

削板「ぐぬぬぅ……オマエなぁ……こうなったら『真剣』に、勝負でもすっかコラ」ジー・・・

ステイル「ほぉ……それは分かり易いな。そういうのなら、乗ってやっても良いぞ」ニヤリ・・・


うわ、拙い。非常にまっずい。

男子2人が立ち上がり、ついでに最愛ちゃんも肩を回し出す。そして楽しそうな麦野さんの顔。


ステイル「2人同時でも構わないよ。香焼が帰ってくる前にベランダに干しといてやろう」サラッ・・・

削板「あんだと?」キッ・・・

絹旗「超能力者(根性バカ)と大能力者(私)相手に、よくそんな口が聞けますね。無能力者(レベル0)さん」ジトー・・・

ステイル「僕は能力者に負ける程、落ちぶれちゃいないよ。さて……外に出るか? 根性脳筋に強化人間」ニヤリ・・・

削板・絹旗「「…………、」」ピリピリ・・・

固法「こ、こら! 止めなさい!」タラー・・・

絹旗「姉貴さん……止めないで下さい」スタッ・・・

削板「コイツ、一度根性叩き直さねぇとなんねぇみたいだ」スッ・・・


ヤバい。空気がかなり、ヤバい……もう鍵とか如何でもよくなってただの喧嘩前になってる。


麦野「ノッポが勝つにカルパッチョ2枚」フフフ・・・

結標「いや、野郎二人は何だかんだで女に甘そうだからジャリガールが勝つっしょ。カルパッチョ3枚」ジー・・・


麦野さん、結標さん。誰が勝つとか賭けしないで下さい。
三人が玄関に向かおうと、立ち上がった刹那―――


神裂「ステイル」ジー・・・

ステイル「なに、ものの数分で片付けて」スッ・・・

神裂「ステイル」ジトー・・・

ステイル「くる、か……ら」ピタッ・・・

神裂「……、」ゴゴゴゴ・・・

ステイル「……ぅ」タラー・・・


姉様の いあつ。 マグヌス神父は うごきがとまった。


神裂「絹旗さん、削板さんも……喧嘩の末、誰かが怪我したら『誰が』一番悲しみますか?」ジー・・・

絹旗・削板「「うっ」」タラー・・・


流石姉様。説教はお手の物。


麦野「ちぇっ。つまんねーの」ブーブー

固法「……麦野さん」ニコリ・・・

麦野「じょ、冗談よ。コイツがノリノリだったからついね」アハハ・・・

結標「おま、人の所為にすんなし!」タラー・・・


こっちも解決。


神裂「まったく……兎に角、この件は香焼が来るまで保留です」ハァ・・・

ステイル「しかし、だなぁ」ムゥ・・・

神裂「ステイル。あの子も馬鹿じゃありません。『分』は弁えて判断を下すと思いますよ」コクッ

ステイル「ふむ……まぁ」ポリポリ・・・


些かマグヌスさんが不利になる気はしますけどね。

渋い顔をするマグヌスさんの横で、同じく口をへの字にするお姉。


五和「因みに、私らも微妙に不利になる気もするかな」ウーン・・・

結標「ん? 私らって?」チラッ

五和「私とウラです」ハハハ・・・


確かに、香焼なら私かお姉の鍵を没収するとも言いかねない。それは色々不便で困る。


神裂「それならそれで止むを得無しでしょう。あの子が家主です」コクッ

五和「うーん、でもそれだと面倒なんですよ」ハァ・・・

結標「じゃあそん時は私が部屋に飛ばしたげるわ」フフッ

五和「あ、その手があったか」ピンッ

麦野「流石『案内人』は伊達じゃないってか。そういう意味じゃ便利ねー、アンタの能力」フーン・・・

結標「もっと褒めても良いのよ」ニッコリ

絹旗「でも自分自身は『移動』出来ないくせに。超欠陥能力ですよね」ブー

結標「くっ……アンタは絶対飛ばしたげない。もしくは壁の中に埋める」ジトー・・・


相変わらずこの2人、相性悪いな。


削板「うーん……でもなぁ」ハァ・・・

ステイル「なんだ。まだ腑に落ちないのか」ジー・・・

削板「だってよぉ……不利っちゃ不利じゃん。香焼、頭良いから理屈捏ねて俺に鍵くれない気がする」ウーン・・・

絹旗「あら。自覚あるんですね。自分が鍵貰えないって」フーン・・・

削板「俺だけじゃなくお前もだよアホ。やっぱ身内じゃないとダメなのかなぁってな」ポリポリ・・・

絹旗「う、うーん」タラー・・・


当たり前の事だが納得いかない様子。最早、此処に居る全員が不安になっていた……あ、何故か楽しんでる麦野さん除いて。


固法「えっと、こ、香焼くん遅いわね。やっぱ授業大変なのかしら」ハハハ・・・

一同『……、』シーン・・・

固法「あー……うん」ポリポリ・・・

麦野「美偉が場を盛り上げるのに失敗しましたー」ハハハ

固法「む、麦野さん。何とかしてよ」タラー・・・

麦野「え? この死刑宣告待つ感じ、良いじゃん」フフフ・・・

結標「やっぱ歪んでるわね」ハァ・・・

麦野「うっせ。とりあえず、ゲームでもして待っとく?」スッ・・・

結標「んな、ふいんきじゃないでしょ」ヤレヤレ・・・

絹旗「麦野はふいんき関係無いですから。超KYですし」ハァ・・・

麦野「テメェら……雰囲気(ふんいき)も読めないオツム弱いヤツらに空気云々言われたかねぇわ」チッ


余計空気が重たくなった。これ、誰かが発言する度に場が暗くなるパターンだ。

全員がボーっとする最中、お姉が無茶ぶりしてきた。


五和「ちょっと、ウラ。さっきから傍観してないで何か考えないの」ボソボソ・・・

浦上「え? あーうーん。そうですネー……とりあえず、さっきの続きでこの中での勝負はつけといたら如何です?」フム

ステイル「は?」ポカーン・・・

削板「どういう事だ?」キョトン・・・


だから、香焼の判断云々は置いといて。この面子で鍵候補を決めておくという事だ。


絹旗「でもさっき、神裂さんがダメって」チラッ

浦上「勿論、危ないのは駄目ですヨ。だから危なくないの。方法は、そうですネー」ジー・・・


ゲームは出来ない人が居るし、カードはマグヌスさんと固法さんの独壇場になる。
運任せでも良い気はするけど、納得いかない人が出てくる。

となると、このスペースでし易い勝負といえば―――


浦上「腕相撲とか」ピンッ

一同『え』ポカーン・・・


―――これだ。何だかんだで、皆力は強い。『自力』が弱くても能力等で補える。
私と固法さんがちょい不利だけど、まぁ私らは負けても問題無い気がするからOK。


麦野「おー、良いじゃん。流石キレ者浦上ちゃん」フフフ・・・

絹旗「まぁそれなら……って、麦野も参加するんですか!?」ゲッ・・・

麦野「当ったり前じゃん。こんな楽しそうな事、私が傍観してるとでも?」フフフ・・・

結標「ふーん……まぁ如何とでもやり様はあるかしら」フムフム・・・

削板「うん、分かり易い。シンプルで良いな」ムンッ

固法「危険な気もするけど……まぁタイマンよりは大丈夫、かな」ポリポリ・・・


よし、科学(そっち)サイドはOK。

あとは魔術(こっち)組。


五和「あはは。私は構いませんけど……姉さん、有利過ぎなんじゃ」チラッ

神裂「無論、手加減しますよ。私が本気を出したら怪我人出ますからね」コクッ

ステイル「鍵の数からしておかしい勝負な気もするが……まぁ良い。女子供に負けないだろ」サラッ


あ。


絹旗「ほぉ」ピクッ

麦野「あら」ピクッ

結標「言うじゃない」フフフ・・・


おめでとう、マグヌスさんにフラグが立ちました。


ステイル「え」タラー・・・

固法「まったく。とりあえず、本気で能力使っちゃ駄目よ。特に麦野さん。分かった?」ジトー・・・

麦野「あいよー。フフフ……楽しみだわー」ニコニコ・・・

固法「駄目だ聞いてない」ハァ・・・

結標「てか、中坊2人は手加減云々の能力じゃないっしょ。大丈夫なの?」ジー・・・

絹旗「安心して下さい。怪我しない程度に、超瞬殺してあげますから」ニッコリ

削板「よく分からんが、安全第一で全力全壊します」ウン


物騒だが大丈夫だろう。ギャグパートだし。


浦上「それじゃあ組み合わせですけど、9人だから……1人シードでクジ作って」カキカキ・・・

固法「あ、私抜いて良いわよ。審判するわ」チラッ

麦野「そうね、美偉に怪我させらんないもん」フムフム・・・


曰く、固法さんにけがさせると泣いたり笑ったり出来なくなるとか。


固法「誰も怪我しちゃいけません。その為の審判です」ンモー・・・

結標「牛乳(うしちち)なら確実か。能力的にも風紀委員的にも」ウム・・・


さーて、ではクジを作りましょう。

 ―――とある日、PM06:00、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・五和side・・・






クジ引きの結果……Aブロック一回戦:姉さんvs削板くん。二回戦:麦野さんvsマグヌスさん。
Bブロック一回戦:ウラvs最愛ちゃん。二回戦:私vs結標さん……となった。

なんか初っ端から事実上、決勝な気がする。


削板「一番上の姉ちゃんか。まぁこん中の女子連中じゃ一番強そうだな」フム・・・

神裂「さぁ。どうでしょう」フフフ・・・


どっちも化け物で常識破り。規格外過ぎて勝敗の想像がつかない。


固法「じゃあルールだけど、基本は一般的な腕相撲ね。能力は怪我しない程度に使用可能。OK?」チラッ

削板「はいはい。まぁ意図せずして能力出ちまうんだけどな……って、姉ちゃん能力者なのか?」キョトン・・・

神裂「さぁ」ジー・・・

麦野「ふふふふ。見モノね」ニヤニヤ・・・


さっきから意味深な事を仄めかす麦野さん。姉さんの強さ知ってるのだろうか。


麦野「私は前に火織と腕相撲した事あるもの」フフッ

絹旗「え? 結果は?」キョトン・・・

麦野「なーいしょ。まぁ私並には力あるわよ。(ホントは負けたけど……『今』の私の『左手』なら負けっこ無いわ)」ニヤリ・・・

ステイル「神裂並に、だと?」タラー・・・


麦野さんも能力抜きで常人じゃないらしい。


固法「さて、じゃあ準備は良いかしら。肘から先が何処かでも触れたら負けよ」ジー・・・

神裂「はい。では、お手柔らかに。右で良いですか」スッ・・・

削板「あいよ。あ、手洗ってきた方良いですか?」スッ・・・

神裂「別に気にしませんよ」フフッ

削板「では失礼……見た目の割にゴッツい手だな。(こりゃ様子見無しでいった方が良いな)」スッ・・・ガシッ

神裂「あら、女性に対して失礼ですよ。(やはり、見た目通り握力も強い。多少、本気を出しますか)」


固法さんが2人の手の上に掌を乗せ……セット。


固法「レディ……ゴーっ!」バッ

削板「フンッ!!」ガッ!!

神裂「っ……ほぉ」ギギギ・・・


いきなりピタリと止まった。


削板「ぐっ……ぬぬぅ」ギリギリ・・・

神裂「強い、ですね」ムゥ・・・


大分力んで根気の入った顔の削板くん。反面、余裕シャキシャキの姉さん。多少、真剣な顔か。

しかし『何も』知らない人間からしてみれば、不可解極まりない事。


絹旗「え? へ?!」ポカーン・・・

結標「第7位相手に余裕あるとか……オカシイわよね」タラー・・・

麦野「しかも本気出してないし」ハハハ・・・


姉さんが本気出したらテーブル壊れます。


ステイル「神裂、大人げないぞ。さっさと終わらせろ」ハァ・・・

神裂「えっと、あはは」クイッ・・・

削板「ぬをっ!?」グイッ・・・


徐々に不利になる削板くん。やはり能力者といえど力で『超人』には勝てないか。


削板「ぐぅ……こん……じょおおおおおおぉだあああああぁ!!」ドドドド・・・

神裂「お?」ピタッ


姉さんの勢いが止まる。そして、削板くんの背後から謎の炎(?)がメラメラいいだした。


結標「うっわ。暑苦しい」ジトー・・・

絹旗「アイツの馬鹿力の度合い、謎のエフェクトで変わりますから超分かり易いんですよね」ハァ・・・

ステイル「ふむ。能力なのか? というか、アイツの能力自体謎か」ジー・・・

麦野「まぁ自分自身、能力どんなモンか分かってないっぽいからね。自分だけの現実(パーソナルリアリティ)崩壊よ」ッタク・・・


自分だけの現実……分かり易く言えば、能力者一人ひとりが持つ固有の能力発生源。
その『現実』が自中確固となればなるほど『強度(レベル)』は高くなると授業で習った。

しかし削板くんにはその『自分だけの現実』が無い。いや、無い訳ではないがそれが他の能力者の『現実』の定義には当て嵌まらない。

そういう意味で正体不明。これほど怖いモノは無い……香焼曰く『軍覇に限界は無い』との事。
気分が最高潮に盛り上がれば神様でも殴れるし、逆に最低に落ち込めば蟻の子にも負けるとか。


削板「ふんぬっ! な、め、るなぁっ!!」ドーンッ!

神裂「くっ……確かに、失礼を」ググググ・・・


謎の爆発エフェクト。特撮の戦隊モノでみるアレだ。因みに、熱かったり物が壊れたりしない不思議。


浦上「ありゃりゃ……形勢逆転」ホー・・・

麦野「火事場の糞力ってヤツかしら? まぁ気力次第で上限無いんでしょうけど」ハハハ・・・


しかし、姉さんはまだ本気を出してない。


神裂「くっ……やはり、凄いですね。麦野さんといい貴方といい、超能力者は途轍も無い力を秘めてます」グッ・・・

削板「ぐぐぅ……ふんっ!!」ギリギリ・・・

神裂「では、私も……『人』として最大限の力で応えましょう」グイッ!


素(人として)の力のMAXを出すらしい。

因みに、姉さんの全力全開は『聖人』の力と『魔術』による身体強化の双方を使った時だ。


削板「ぬっ……だああぁ!!」イギギギ・・・

神裂「っ……フンッ!!」カッ!!

削板「いぃっ!! づぉっ!!?」グラッ・・・


一瞬―――


削板「おっぱおっ!!!」ゴガンッ!!

一同『っ!?』ギョッ・・・


―――まさに、一撃だった。


神裂「ふぅ……削板くん、君はもっと強い筈でしょう。遊び事では嫌が応にも全力は出せませんか」スッ・・・

削板「」チーン・・・


ヒーローに負けた怪人の爆破宜しく撃沈した削板くん。ピクリとも動かなくなった。
怪我は無い様だが精神的なショックが大きかったのだろう。

それより、あーあ……机にヒビ入った。知ーらないっと。


神裂「固法さん」チラッ

固法「え、あ、うん……神裂さんの勝ち」タラー・・・

麦野「まったくもって、予想通りね。でもちょいと大人げ無いわよ」ハハハ

神裂「仮にも勝負事ですから、手加減し過ぎるのも失礼でしょう。それに……うん」フフッ

削板「」プシュー・・・

麦野「まぁね。アレがマジで本気なったら、どうなるか分からないものね」ハハハ・・・


私やウラなら確実に負けてた。身体強化の魔術使っても勝てない相手だったろう。


麦野「さーて、じゃあ次は私とノッポくんね」チラッ

ステイル「ふむ」コクッ


普通に考えれば体格と魔術による筋力強化でマグヌスさんだろうけど、相手は麦野さんだしなぁ。


絹旗「麦野。これは『腕相撲』ですからね。分かってますか?」ジー・・・

麦野「はいはい。まぁ彼が何かしらの『ズル』しなきゃね。それ以外は『自力』で戦うわよ」フフッ

ステイル「……、」ジー・・・


問題はマグヌスさんが何処まで『力』を使うかだ。


固法「じゃあ、右手で良いかしら? というか右手にしましょう」チラッ

ステイル「ん? まぁどっちでも良いが」キョトン・・・

麦野「別に『左』でも良いわよ」フフフ・・・

神裂「……右にしてください」ハァ・・・


姉さん達は何かを憂いてる様だが、何だろう。左右の問題? 利き腕?

問うてみても、ただただ苦笑い。


結標「まぁ、その……多分後で分かるわ」ハハハ・・・

浦上「もしかしてアレですか? 『沈まれ! 私の左腕!』的な」ニヤニヤ

絹旗「超近いです。性質が悪いのは、その左手を制御しちゃってるところでしょうか」ハァ・・・


なにそれこわい。


固法「えっと、それじゃあ怪我しない程度に……準備良いかしら」スッ・・・

ステイル「ん。(様子見はいらないな。神裂と並ぶなら手は抜けまい)」コクッ

麦野「あいよん。(さぁてと、どの程度かしら)」コクッ

固法「それじゃあ、レディ……ファイッ!」カンッ


手が離れ―――


ステイル「むっ?」グッ・・・

麦野「わっ」グググ・・・


―――ステイルさんが押した。


浦上「おー、マグヌスさん。初っ端から全力カナ? (全力で身体強化しちゃってらぁ)」ハハハ・・・

絹旗「うそ! 麦野が一般人に押されてます!?」キョトン・・・

結標「一般人じゃないっしょ」ハハハ・・・


この場に一般人はいません。


ステイル「チッ……化け物か」ギリギリ・・・

麦野「いやいや、アンタこそ……じゃあ割と本気出させて貰うわっ」グッ!

ステイル「っ!?」ググググ・・・


魔力で強化した筋力相手に互角を張る麦野さん。マジ怖ぇ。
まぁ元々、マグヌスさんはステゴロでブイブイ言わせるタイプじゃないから元の筋力は弱いのかもしれない。


ステイル「くっ……拙い」ググググ・・・

麦野「ほらほらー。自称14歳くーん。お姉さんに負けちゃうぞー」ニヤニヤ・・・

ステイル「こ、の……っ」カチッ・・・

麦野「んー? どったのー?」グイグイッ

ステイル「……、」ブツブツ・・・


何かモゴモゴ言い出したマグヌスさん……って!?


麦野「うを熱っ!!?」グラッ!

神裂「ステイルっ!!」ギロッ!

麦野「なっ……テメェ、何かしやがったわね?」ググググ・・・

ステイル「ふん……さぁね」グイッ・・・


マジ大人げない。

麦野さんの劣勢に不審がった最愛ちゃんが尋ねてきた。


絹旗「あー、例の『マジック』ですか?」ジー・・・

結標「アンタらの『それ』は、私ら理解出来ないものね」ヤレヤレ・・・


一応、最愛ちゃんには魔術に関して適当に誤魔化して伝えてある。
結標さんは土御門と関わっているので微妙に詳しいのかもしれないが、理解は出来てない筈。
さておき。多分先程はマグヌスさんが『発火』か何かで、掌から火か熱を出したっぽい。
様子を見るに火傷するレベルのモノではないらしいが、麦野さんを怯ませるには十分だったようだ。


麦野「そう……そっちがその気なら!」キュイイイイィン・・・

ステイル「むっ!? ぐっ……なっ!?」ジュウウゥ・・・

神裂「む、麦野さん!?」ギョッ・・・


2人の手の間から煙が上がってる!?


結標「あはは。アツアツねぇ」ニヤニヤ・・・

絹旗「そういう問題じゃないでしょう……てか、麦野!」タラー・・・

固法「もぅ! 怪我する様なら両者負けよ!」タラー・・・


噂に聞く『原子崩し』の能力か。だとしたら、ある意味マグヌスさんと相性が良い能力かもしれない。だが、あくまでこれは腕相撲です!


麦野「チッ……まぁ良い……かっ!」グイッ・・・

ステイル「むぎっ!」グググググ・・・カチッ

麦野「熱っ! って、アンタまだ手から何か出してんのね……頭キた……ドラアアアァーーーzッ!!」プッツン・・・

ステイル「ぃっ!?」ググググ・・・

絹旗「あ。麦野がプッツンしました」タラー・・・


純粋なゴリ押し。優雅さの欠片も無い。


ステイル「なっ……人間の力か!?」ダラダラ・・・

麦野「オラオラオラオラッ!! 貧弱だぞッ!! 男の子だろぉっ! キン○マ付いてんの……かッ!!!」グンッ!!

ステイル「ヴェッダァ!!!」バキンッ!!


ズルしたのに、負けた。正直恰好悪い。


ステイル「」チーン・・・

固法「しょ、勝者……見ての通り」アハハ・・・

麦野「ふぅ……熱ちっ。まぁ浜面よか強かったわ」フーフー

神裂「まったく、無茶をして……手は大丈夫ですか?」スッ・・・

麦野「へーきへーき。ちょっと赤くなったくらいよ。少し冷やせば問題無いわ」サラッ

結標「やれやれ……てか、アンタさっき何したのよ」ジトー・・・

麦野「ないしょー♪」ニヤリ・・・

絹旗「アッチの手を融解させようとしたか、もしくは単純にビームで手をブチ抜こうとしたのかと」ハァ・・・

麦野「さぁねー。まぁこれ以上粘ってたらもしかしてそうしてたかもしれないけど」フフフ・・・


素直に負けといて良かったですネ、マグヌスさん。

とりあえずうつ伏せで再起不能ってる男子2人は捨て置いて、と。


浦上「次は私と最愛ちゃんですネ……あー、手加減宜しく」ニャハハ・・・

絹旗「ええ。0,2秒で終わりにしてお茶飲みましょう」コクッ

浦上「ウヒャー。おっかなーい!」キャー!


多分、如何足掻いてもウラは負けるだろうな。


絹旗「右でも左でも良いですよ。あ、先に言いますけど私は能力使いますからね」ジー・・・

浦上「ははは……怖いなぁもぅ……能力無しじゃ駄目カナ?」チラッ

絹旗「駄目です。超駄目」ムンッ

浦上「えー何でー?」ツンツン・・・


確かに、負けそうになったら能力展開すれば良いのでは?


麦野「そしたら、その子瞬殺よ。能力出す前に負けるわ」ハハハ

浦上「え」キョトン・・・

絹旗「麦野……余計な事言わなくて良いですって」ジトー・・・

固法「あはは……うーん、最愛ちゃん。能力無しだと私はおろか、打ち止めちゃんにも苦戦するから」ハハハ・・・

絹旗「あ、姉貴さんまで! 余計な事言わないで下さいって言ってるでしょう!」カアアァ///


なるほど。噂通り、能力に頼りっきりのタイプか……って小学低学年クラスに苦戦て、どれだけ自力弱いんだ。


絹旗「と、兎に角! 能力は使わせて貰います!」ムンッ!

浦上「にゃははは。しゃーないですネ」ポリポリ・・・スッ


準備OK。ウラがどれだけ持つか楽しみだ。


固法「それじゃ、レディ……ゴッ!」カンッ

浦上「ふんぬーっ!!」ウラー!

絹旗「……うん」ポリポリ・・・


やはりビクともしない。勿論、ウラは全力で魔術による筋力強化してる筈。
対して最愛ちゃんは頬を掻く余裕すら見せてる。


浦上「ヤッバ! 何これ!? 壁押してるみたいなんですケド?!」ズーン・・・

絹旗「えっと……押して良いですか?」ハハハ・・・

浦上「ちょ、まっ……こ、こうなったら!!」バッ!


何か秘策があるのか。


浦上「カモーンっ! もあーい!!」ニャー!!

一同『え』キョトン・・・

絹旗「は?」ポカーン・・・


何故に猫(もあい)を?

ウラに呼ばれ、とことこと歩を進める子猫さん。


もあい「なぅ?」トコトコ・・・

浦上「もあい! テーブル上がって……此処にお座り!」ピッ

もあい「にゃ」スタッ・・・ペタッ

絹旗「へ……あ!?」ギョッ・・・


今の状況。もし最愛ちゃんが勝ったら、もあいがペチャンコ。
つまりウラの負け判定ゾーンに、もあいが居座ってます。


絹旗「な、何て恐ろしい真似を!? 超鬼畜ですよ! 浦上さん! 人間のやる事じゃない!!」ガーン・・・

浦上「ふはははっ! 勝てばよかろうなのだーっ!!」ニャハハハ!

もあい「みー」ジー・・・


でもウラが勝てないのも変わりない。所謂、千日手状態だ。


固法「まったく……決着つかないので、こっち来ましょうねー」ヒョイッ

もあい「にゃ!」ピョンッ

一同『あ』タラー・・・


まぁそうなるわな。


浦上「ちょ、えっ! も、もあい!? お、オカしいですヨ! 固法さああああぁんっ!!」ニャー!!

絹旗「……ふんっ!!」グンッ

浦上「ごとらたんっ!!」チュバーンッ!!


凄い勢いで負けた。しかも何故かフッ飛ばされた……まぁ私も最愛ちゃん相手だったらああなってただろう。


固法「やれやれ。勝負アリ」ピッ

絹旗「同情しませんよ。もあいを使った罰です」ムンッ

浦上「きゅー」グルグル・・・

もあい「んなー」ペシペシッ


流石、大能力者。パワーが段違い。
さて、次は私と結標さん。此方も大能力者ではあるが、最愛ちゃんと違ってパワー型では無い。


麦野「五和ー。頑張んなさいよー。そいつ純粋な力は美偉くらいだから」ハハハ

結標「いきなり私に不利な情報教えんな!」ウガー!

神裂「では結標さんにもアドバイスを……その子は香焼の3倍は強いですよ」サラッ

結標「あら、どーも……って! それかなりピンチよね!?」タラー・・・

絹旗「香焼超弱っちいですから比較対象になりませんよ」サラッ

五和「あははは、コウちゃん可哀想」タラー・・・

結標「アンタは香焼くんの厄介さしらないからそんな事言えんのよ」ハァ・・・


何だかんだでコウちゃんと喧嘩する事多いらしいからな。それなりに、あの子の実力を知っているのだろう。

しかし私とて潜入部隊の長。情報収集という点では負けはしない。結標さんの能力については知り尽くしている。


結標「まぁ良いわ……悪いけど、私も最初から能力使うわよ」ハァ・・・

五和「じゃあ私も全力でいきます」コクッ


下手に能力行使される前に押し倒した方が無難だろう。という訳で、セット。


固法「それじゃあ、レディ……ゴー―――」

五和「っ」グイッ


開幕と同時に倒す。


五和「獲った!」グイッ

結標「ん」スッ・・・

麦野「ありゃりゃ。もう終わりかよ」ジー・・・

結標「いえ、獲ったんじゃない……『獲られた』のよ」ブンッ・・・


刹那―――


五和「……え」パッ・・・

結標「よいしょ。審判私の勝ちでしょ」サラッ

固法「―――え」キョトン・・・

一同『は?』ポカーン・・・


―――身体が宙に浮いて……落ちた。


五和「とんびっ!!?」イタタタッ!

固法「え、あ、えっと……あれ?」タラー・・・

麦野「えー……意味分からんわ。何で? アンタ、ズル過ぎよ」ジトー・・・


要するに、私の身体を座標移動(ムーブポイント)で飛ばしたのだ。意表を突かれて肩から落ちた……かなり痛い。
しかしこれでは勝負も何も無いだろう。寧ろ、結標さんの戦意喪失により負けなのではなかろうか。


結標「あら。私は腕相撲のルールに則って戦ったまでよ」サラッ

絹旗「超意味分かんないです」ハ?

結標「最初に審判が言ったじゃない。『基本は一般的な腕相撲』って」チラッ

固法「言ったけど……でも、うーん」ポリポリ・・・

結標「やれやれ……腕相撲ってのは、肘が浮いた時点で負けじゃないの?」フフフ・・・

神裂「た、確かに」タラー・・・


そういう事か。私が結標さんの腕を倒すより早く、座標移動させられたから……私の負けと。


五和「痛たぁ……えー」ジトー・・・

結標「だって、こうでもしないと勝てないでしょー私。まぁあと何手か考えてたけど、全部同じ様な戦法よ」フンッ


まったく困ったモノだ。審判も判定し辛かろう。

案の定、固法さんは小首を傾げて頬を掻いていた。


固法「えーっと、うーん。仕切り直しが一番でしょうけど、五和さん肩打っちゃったっぽいし」タラー・・・

五和「はぁ……私の負けで良いですよ」ヤレヤレ・・・

結標「あら、ありがとう」フフッ

絹旗「えー。超ずるーいでーす」ジトー・・・


もし反則勝ちしても、この肩では次の勝負で最愛ちゃんには勝てっこない。潔く引くべきだろう。


固法「じゃあ、結標さんの勝ちという事で。次は準決勝ね」チラッ

麦野「はいはーい」ニヤリ・・・

神裂「ええ」コクッ


結局、勝ち残ったのは能力者3人と姉さんか。野郎共と私ら、情けない。


固法「じゃあ準備を……の前に」チラッ

神裂・麦野「「ん?」」キョトン・・・

固法「場合によっては、強制的に止めます」キッパリ

麦野「は? なんでよ?」ポカーン・・・

固法「貴女達2人の勝負は危ないから」ジトー・・・

神裂「いや、怪我しない程度にやりますって」フム・・・

麦野「そーそー。美偉は心配性なんだから」ハハハ

固法「心配、で済めば良いんですけど」ハァ・・・


確かに、この2人が全力でぶつかると色々拙い。統括理事長直々にストップ入れにきそうな組み合わせ。


固法「じゃあ、準備して」ヤレヤレ・・・

麦野「あいよー……じゃあ……左で」スッ・・・

神裂「分かりました」スッ・・・

固法「はい、ストップ」ピタッ

麦野「なんでよ!」エー・・・

固法「駄目なモノは駄目。そうでしょ、最愛ちゃん」ハァ・・・

絹旗「そうですね。超危険です」ジトー・・・


そんなに拙いのか。例の『左手』は。


麦野「大丈夫よー。ね、火織」フフッ

神裂「私は気にしませんけど」サラッ

麦野「ほーら」ニヤニヤ・・・

固法「うーん」ポリポリ・・・

絹旗「いや、神裂さん。麦野の左手は右手の数倍、超危険なんですって」ハァ・・・

神裂「知ってますが」サラッ


え。

何を、知ってるんだ?


麦野「ま、美偉と火織は『左手』と『右目』見たからね」サラッ

絹旗「ぇ……そうなんですか」タラー・・・

固法「ええ。何でそうなったかは深く聞いてないけど」ハァ・・・

神裂「……、」チラッ・・・


姉さんから『貴女も深くは聞くな』と目で合図された。皆さん、色々あった様で。


麦野「安心なさい。手加減してあげるから」ニヤリ・・・

神裂「む」ピクッ


あー、ヤバい。ああ見えて姉さんも負けず嫌いだ。今ので火が点いたぞ。


神裂「良いでしょう。受けて立ちます……固法さん、審判を」スッ・・・

麦野「ほれほれ。準備OK」ガシッ・・・

固法「んもー……危なかったら止めに入るからね」スッ・・・

神裂「構いません。(握力は以前と大差無い様に思えますが……都市製の義手がどの程度のモノなのか)」ガシッ

麦野「あいよー……火織ちゃーん。様子見なんかしたら、負けるわよ」フフフ・・・


レディ……ファイっ!


神裂「っ……ッッ?!」グッ・・・ピタッ!

麦野「ふふ……ふふふふっ!」ピタッ・・・


姉さんが、押せない!?


麦野「うふふふふ……あーっはっはっはっはっ!!」ピタッ・・・

神裂「くっ……これ程までに、強固とは」グググ・・・

麦野「いーひひひひっ! 火織ちゃーん……昔の私とは違うのよーん」ニヤリ・・・

絹旗「麦野、超悪の親玉みたいです。まぁ悪ですけど」ジトー・・・

麦野「うっせ! ほらほら、本気じゃないでしょう? もっと力みなさい……じゃないとっ!」グイッ!

神裂「っ……ふっ!!」ググググ・・・ピタッ

麦野「負けちゃうわよー。あ、そうだ……負けたら3日間、着せ替え人形ね」ニヤリ・・・

神裂「それは……困る……っ」プルプル・・・


それはそれで見てみたい気もする。
さておき、アレほど本気な姉さんは久しぶりに見た。多分、魔術抜きでの本気だろう。さて、身体強化を使うのか。


麦野「ほらほら。奥の手、使いなさいよー。じゃないと……ほれっ」グイッ!

結標「うわぁ……悪い顔」タラー・・・

絹旗「まさに麦野ですね……てか、今麦野何割ですか?」ジー・・・

麦野「7割ってとこかしら」サラッ

絹旗「へー……神裂さん超凄いですね」ジー・・・


麦野さんはまだ全力じゃないのに、何が凄いのだろう。

最愛ちゃんが解説を始める。


絹旗「麦野の左手の7割8割っていったら、私の能力の5割くらいですよ」ヘー・・・

結標「それ、凄いの?」ポカーン・・・

絹旗「私の5割は、アスファルトの地面殴って直径10mくらいのクレーター作れます」サラッ

固法・結標「「……、」」タラー・・・


それで人間殴ったら一溜りも無いんだろうなー……でもそれと競ってる姉さんも、やはり化け物だ。


神裂「っ……五和」プルプル・・・

五和「は、はい!」バッ

神裂「ステイルは……まだ、気絶、してますか?」プルプル・・・


未だにうつ伏せで倒れてます。


麦野「まーだ軽口開ける余裕があるのね……じゃあ、一気に潰すわよー……んッッ♪」ガッ!!

神裂「なら……良いでしょう……フンっ!!」ググググ・・・・ガッ!

麦野「うをっ!?」ピタッ・・・

神裂「……。(まさか、並の人間相手に魔力を使うとは)」グイッ・・・

麦野「なっ……ちょ、最新型の駆動鎧(パワードアーマー)並の馬力を!?」ググググ・・・

神裂「……麦野さん」ボソッ・・・

麦野「こ、こうなったら……トップギアでっ!!」キュイイイイィン・・・

神裂「っ……その義手は、丈夫ですか?」ググググ・・・

麦野「う、ぐぅ……都市製の、最新型って……言ったでしょ……うぎぎぎっ!」ググググ・・・


あ、ヤバい。


神裂「なら、大丈夫ですね……スペアもあるのでしょう―――」スッ・・・カッ!

五和「ねねねね、ね、姉さんストップ!!」アワワワ・・・

神裂「――――ッ―――」ガオンッ!!


機械が、壊れる音。


麦野「ぁ……い、痛だだだだだだぁ!!」キュルルルルッ・・・バキンッ・・・ビジバジビリビリ・・・

神裂「―――あ」バリイッ!!

固法「ちょ、そ、それまで!!」アワワワ・・・


麦野さんの左手が、もげた。それでもって、ターミネーターの映画みたいになってる!?


神裂「む、麦野さん!? ご、ごめんなさい!!」アタフタ・・・

麦野「いっっっってえええええぇ!! うぎゃあああぁっ!!」ジタバタッ!

絹旗「む、麦野! 超落ち着いて下さい! まず義手との神経回路シャットダウンして!」アタフタ・・・

固法「え、えっと、救急車呼んだ方が良いのかしら」アワワワ・・・

結標「すぷらったーっ!!? この惨状なんて説明すんのよ! と、とりあえず何とかなんないの?」ダラダラ・・・


この死愚累々の光景を見られるのは確かに拙い。兎に角、麦野さんの応急措置(?)に掛った。

上腕から漏れてる謎の発光物質を止め、今にも暴れ回りそうな麦野さんを総出で抑え込み……何とか収拾。


麦野「あー痛てて……負けたー」グデーン・・・

神裂「す、すいません」タラー・・・

麦野「謝んないでよー。負けた私が憐れじゃない……にしても、ホント強いわね」ジトー・・・

結標「要は駆動鎧と腕相撲して勝ったっつー様なモンでしょ? 有り得なくない?」タラー・・・

絹旗「私は勝てますけど」サラッ

結標「アンタは論外よ。まぁ皆バケモンって事ね」ハァ・・・


流石、我が姉にして教皇様。これが世界に20人といない聖人か。やはり人外もいいとこだ。


固法「はぁ。とりあえず、今の勝負神裂さんの勝ちだけど……もう終わりにしない?」ジー・・・

絹旗「え! 何でですか!?」エー・・・

固法「もう少しで香焼くん帰って来るもの。この有り様見たらどうなる事やら」タラー・・・


確かに。驚愕のあまり気絶しかねない。


結標「私は賛成」サラッ

神裂「やっといて難ですが……私も構いません」コクッ

絹旗「えー」ブーブー・・・


最愛ちゃんは消化不良な御様子。


絹旗「すぐ終わりますって。超即行で終わらせますから!」ネーネー!

結標「聞き分けのない子ね」ハァ・・・

絹旗「ふーんだ。負けるのが怖いからって逃げるんですか」ベー!

結標「……ええ、それで結構」フンッ

絹旗「きーっ! 大人ぶって! それでも同じ大能力者ですか!」ニャー!!

固法「意味が分からない……とりあえず、気絶してる皆起して夕飯に備えておきましょう」アハハ・・・

絹旗「むぅ」ジトー・・・


何だか可哀想だが止むを得まい。麦野さんからも何か一言。


麦野「まぁストレス発散として帰ってから浜面サンドバック替わりにすんのも程々にな」ビリビリ・・・

絹旗「しませんよ……脛蹴るくらいしか」ムゥ・・・

麦野「アンタ、この前も『肩パンくらい』とか言って骨にヒビ入れかけたじゃない」ヤレヤレ・・・

一同『……、』タラー・・・


あちゃー。このままだと浜面さんがピンチ。

姉さんと固法さんは無言で視線を合わせ、口を開いた。


神裂「え、えっと、あと一回だけ勝負してあげては?」タラー・・・

固法「そ、そうね。浜面くんの為にも」アハハ・・・

絹旗「え、良いんですか!」パアアァ!

結標「……えー」タラー・・・


ここはわざと負けて、さっさと夕飯の準備するのが手かと。


結標「はぁ……しゃーないわね」ヤレヤレ・・・

絹旗「うっし!」バンッ!

固法「準備早っ! えっと、じゃあ怪我しない程度にね」ポリポリ・・・


面倒臭そうな結標さん。反面、ノリノリでスタンバる最愛ちゃん。


麦野「あはは……悪いわね」ボソッ・・・

結標「ったく、カルパッチョ2枚よ」ヤレヤレ・・・

絹旗「何話してんですか! 超パパパッと片付けちゃいますから早くしてください」ウキウキ・・・

結標「はぁ……まぁやるからには勝つけどね」フフッ


先程と同じ手使うのか。


結標「一度見られた技使う程馬鹿じゃないわよ、私は」サラッ

絹旗「何でも良いですよ。私は負けませんから」フフフ・・・

結標「随分自信満々ね。私の能力とじゃ相性悪いでしょうに」クスクス・・・

絹旗「相性とか能力とか関係無しに勝つ方法がありますので……さぁ! 勝負です」スッ・・・


秘策アリ、か。


固法「それじゃあ、用意良いわね……ホント、お互い怪我させちゃ駄目よ」ジトー・・・

絹旗「……、」ジー・・・

結標「はいはい」スチャ・・・


始めっから軍用懐中電灯を準備する結標さん。能力使う気満々だ。


固法「えっと……最愛ちゃん、良いのかしら?」チラッ

絹旗「超構いません。超秘策がありますので」ジー・・・

結標「ふーん……そ。じゃあ遠慮しないわ。(居合い勝負って訳ね)」フフフ・・・


どちらが先に能力を使うかが勝敗の分け目か。


神裂「しかし、絹旗さんの秘策とは何なんでしょう? 心当たりありますか?」チラッ

麦野「あ? んー……あの力馬鹿がねぇ。まぁ言葉通り即行で倒すとかじゃないの? あの子、結構単純だから」ジー・・・


だがそれでは勝てない。現に私は負けた。

スピード勝負では神経伝達速度の関係上、勝てっこない。もしそれを上回るとすれば、それはフライングしかない。


固法「では……レディ……―――」

結標「……ふふっ」スチャッ・・・

絹旗「…………、」ニギュッ!

結標「……え」ピタッ・・・


今何か変な音した。


固法「―――ゴー!」カンッ!

絹旗「んっ」グイッ・・・


ぽてっ。


麦野「は?」ポカーン・・・

神裂「え?」キョトン・・・

固法「あ、れ? えっと……最愛ちゃんの勝ち」タラー・・・

絹旗「……、」パッパッ・・・


呆気無さ過ぎる。八百長試合の如く、結標さんが負けた。しかも両者力も入れず。


麦野「ありゃ。何だかんだ言って大人ね。アンタ」ジー・・・

結標「……、」プルプル・・・

神裂「ん……結標さん?」スッ・・・

結標「……ぃ」プルプル・・・

固法「え?」キョトン・・・

結標「いっ………………いったああああああぁあああああぁいぃっ!!」ウギャアアアァ!!

一同『っ!?』ビクッ!?


何が起きた。


結標「痛い痛い痛い痛いいったああぁいっ!! うわあああぁーん!!」ジタバタッ!

固法「け、結標さん!! どうしたの!?」アタフタ・・・


右手を抑えて転げ回る結標さん。


絹旗「あーあー。超大袈裟ですね」フンッ

麦野「アンタ……何したのよ」ジトー・・・

絹旗「別に。ちょっと力んだだけです」サラッ

麦野「ちょっとって」チラッ


結標さんの右手は、真っ赤に膨れ上がっていた。


結標「アンタ、ねぇ……っ……痛ぃ……マジ、ふざけんな」グヌヌゥ・・・ギロッ・・・

神裂「あ、暴れないで。急いで冷やしましょう。五和氷を!」ジー・・・


バケツに水とありったけの氷を準備して、結標さんの右手を突っ込む。簡易な応急措置だが、しないよりマシだろう。

結標さんがギャーギャー騒ぐ中、固法さんが最愛ちゃんに怒りの目を向ける。


固法「最愛ちゃん! 何したの!?」タラー・・・

絹旗「べ、別にそんなに怒らなくても……ただ、ホントに、ちょこっと力を込めただけで」ムゥ・・・

結標「っ……そいつ、『ゴー』の前に……握りやがって。痛たた……御蔭でこの様よ」プラーン・・・


所謂『握撃』。右手を握り潰そうとしたのか。だから開始直前、変な音がした訳だ。


麦野「アンタ、相変わらず手加減下手糞ね」ハァ・・・

絹旗「ほ、ほんとに超手加減しましたって! ソイツが超大袈裟なんです」タラー・・・

固法「最愛ちゃん」ジー・・・

絹旗「ほ、ホントですって。だって3割も出してな――」

固法「最愛ちゃん」ジトー・・・

絹旗「――い、で……す、よ」ムゥ・・・


固法さんに怒られてしょげる最愛ちゃん。


固法「もぅ……結標さん。右手、出して」スチャッ・・・キイイィ・・・

結標「っ」グッ・・・

固法「骨は……折れてないわ。ただヒビと剥離の可能性があるかも。とりあえず今は冷やして」スチャッ・・・

結標「あいよ……はぁ。マジ最悪だわ……こりゃ日常生活支障出るわね」ジトー・・・

絹旗「うっ」タラー・・・


固法さんの透視能力(クレアボイアンス)で骨の具合を見る。
尤も、固法さんの強度は強能力(レベル3)程なので大まかに骨が折れてるか如何かの判別くらいしかできないとか。

さておき、どうしたものやら。


神裂「五和」ボソッ・・・

五和「あ、はい」スッ・・・

神裂「結標さんに『治癒』を。簡易なモノで構いません」ボソッ・・・

五和「え、でも、良いんですか? 魔術による治癒は後々ばれると厄介ですよ」ボソッ・・・

神裂「だからばれない程度に……もし身内にばれたら私が適当に誤魔化しますから」コクッ


身内とは土御門やそこに転がってるマグヌスさんの事。
秘匿すべき魔術を滅多矢鱈に使うべきではない。ばれたら怒られるだろう……でもまぁばれなきゃOKです。


固法「最愛ちゃん。ごめんなさいは」ジー・・・

絹旗「……だって、ホントに手加減したんですよ」モジモジ・・・

固法「でも怪我しちゃったのよ」メッ・・・

絹旗「……、」ムゥ・・・

麦野「はぁ……頭下げる事覚えなさい。これからは『そういう生き方』も覚えてか無きゃなんないでしょ」チラッ

絹旗「……でも」ジー・・・

結標「別に良いわよ……でも、気をつけなさいよ。アンタの能力は意図せずしてこういう能力なんだから」ハァ・・・

絹旗「……言われなくても分かってますよ」ムスー・・・


反省してるが……謝りたくない御年頃なのだろう。しかし困った能力だ。『守る』面では便利だが『攻撃』の面では危険すぎる。

とりあえずこれ以上は危険と判断。固法さんが終了を指示する。


固法「もぅ……とりあえず皆起して夕飯の準備するわよ。麦野さんと結標さんはすぐ応急処置して」ハァ・・・

神裂「待って下さい」ジー・・・

固法「え」ピタッ・・・

神裂「……絹旗さん」チラッ

絹旗「え、あ、はい」キョトン・・・

神裂「此方へ」ジー・・・

一同『??』ポカーン・・・


テーブルの前に坐す姉さん。何をする気だ……まさか説教じゃあるまい。


絹旗「えっと、その」ポリポリ・・・

神裂「……決勝です」スッ・・・

固法「なっ!?」ギョッ・・・


まだ続けますか!?


麦野「ちょっと火織!?」タラー・・・

神裂「絹旗さん。貴女はきっと、腕相撲で負けた事がないのでしょう……いや、腕相撲だけの話では無い」ジー・・・

絹旗「は……何を」キョトン・・・

神裂「今から私が『本気』でも裕には勝てない相手になりましょう」スッ・・・

麦野「ちょ、か、火織! その子の本気の馬鹿力はホントにヤバいわよ。第一位(白モヤシ)にプレスされる様なもんで」タラー・・・

神裂「天使級が相手でも、私なら数分は持ちます。来なさい、絹旗さん」ジー・・・

絹旗「えっと……マジで言ってるんですか?」タラー・・・チラッ

固法「はぁ。私的には是が非でも止めたいのだけれども」ジトー・・・


姉さんに全力全開出されると困るのだが。だが、説教モードの姉さんは何を言っても聞き入れない。


神裂「すいません。しかし、こればかりは引けません」ジー・・・

固法「もぅ。最愛ちゃん」チラッ

絹旗「むぅ……麦野とそこの⑦。どっちが強かったですか?」ジー・・・

神裂「どっちもどっちです。能力の底力は削板くんでしょうが、素の力はサイボーグたる麦野さんの方が上でした」コクッ

麦野「サイボーグ言うなし。義手だ、義手」ハァ・・・

絹旗「じゃあ私はその両方を兼ね備えた超パワー型ですよ? その意味、分かりますよね」ジー・・・


最愛ちゃんの能力の本質は『守り』らしいのだが、鎧と盾を打撃武器にして戦うタイプ。
それも超重量級の防具(鈍器)を軽々振り回すので、攻勢で考えてもとても危険だ。


神裂「しかし絹旗さん。貴女は井の中の蛙です」コクッ

絹旗「え」ピタッ・・・

神裂「貴女は確かに学園都市の中では指折りの力持ちなのでしょう。しかし『世界』には貴女レベルの存在は最低20人はいます」ジー・・・

絹旗「へぇ。そんな連中とやりあった事があるんですか?」ジー・・・


『かもしれません』とテーブルに肘を置き、準備をする姉さん。固法さんはもう諦めた御様子。

最愛ちゃんも流石に止めようと思っていた様だが、これだけ啖呵を切られては引く気になれない。


絹旗「まぁ良いでしょう。麦野の左を倒せるなら良い勝負は出来るのかもしれませんし」スッ・・・

神裂「結構……加減は無用です。もしかしたら、私が胸を借りる立場になるかもしれませんけどね」ガシッ


始めっから身体強化アリでいく気だろう。最愛ちゃんも目が本気だ。2人が手を伸ばし、ポジションを取る。


神裂「固法さん、ジャッジを。(これが『装甲』ですか。魔術の衣(ベール)を纏った魔術師と対した事はありますけど、これは違う)」ジー・・・

絹旗「っ……準備OKです。(『籠手』に掛る負荷が大きい……相当な握力ですね)」グッ・・・

固法「え、まだ私が審判するの」タラー・・・


戸惑う固法さん。難儀な事で。それから硬直状態が続き……数分後、部屋のドアが開いた―――





 ―――回想終了・・・香焼side・・・





香焼「―――色々ツッコミたい事だらけなんすけど」ドヨーン・・・


鍵やら何やら。


香焼「兎に角、2人を止めないと」ハァ・・・

五和「あれ? コウちゃん、話聞いてた?」キョトン・・・


勿論聞いてた。でも納得できない。


麦野「甘ちゃんが」ベシッ

香焼「あうっ!? む、麦野さん?!」ビクッ

麦野「アンタの姉ちゃんが直々にウチの力馬鹿説教してくれるってんだから、黙ってみてなさいよ」ハァ・・・

固法「麦野さん、ちゃんと服着て! 男の子の前よ」アタフタ・・・

麦野「この子は半分女だから良いのよ」サラッ

香焼「じ、自分は正真正銘男っすよ!」アタフタ・・・


義手を外してきて、服を切るのが面倒だったのかかなり際どい恰好の麦野さん。上半身、下着とYシャツだけでかなり肌蹴てる。
って……勝手に人を女子扱いしないで欲しい。あくまで『香(カオル)』は仕事上の変装姿だ。


麦野「私の胸チラ見て欲情しないインポ野郎は女で十分よ……それより邪魔しちゃ駄目だからね」ジー・・・

香焼「イン……ったく」ハァ・・・


話を聞く限り、姉さんは最愛に『敗北』を教えたいみたいだが……実際どうだろう。
失礼ながら、内心『私も本気を出せそうです(ワクワク)』とか思ってるんじゃなかろうか。結構バトルジャンキー気質あるからなぁ。


神裂「香焼、あとで説教」チラッ

香焼「な、何も言ってないでしょう!」アタフタ・・・

神裂「顔に書いてあります」ジトー・・・


心の声(地の文)を読まないで下さい。

ホント、貴女は読心能力持ちですかっての。


五和「コウちゃん。基本、心の声が全部漏れてると思った方が良いよ」ハハハ

香焼「そんなんあって堪るか! というか、もう自分帰って来たんだからご飯にしましょうよ。他の皆も起して、ね」タラー・・・

麦野「くどい」グイッ・・・

香焼「あうわっ!?」モフンッ!

麦野「良いから黙って見てなさい」ジー・・・

香焼「う、うがっ! ふ、ふぎほはん! くふひい!(麦野さん、苦しい)」ジタバタッ

五和「あー、コウちゃんがまたラッキースケベってるー。アニェーゼ達に言ってやろー」フフフ・・・


腋でチョークを固められた。五和が何か言ってるが苦しくて良く分からない。


結標「てか、いつまで硬直してんのよ。さっさと始めたら」ジー・・・

神裂「……固法さんが」チラッ

固法「え」ピタッ・・・

絹旗「姉貴さん。いつ合図を出すんですか?」チラッ


何だ、律義に審判待ってたのか。


固法「えっと……ホント、これ以上怪我人出しちゃ駄目よ」ハァ・・・

神裂・絹旗「「……、」」ジー・・・

固法「んもぅ……それじゃあ……レディ……、」ジー・・・


空気が張り詰める。そして……嫌な予感がする。


固法「……ごー」カンッ!

神裂「フンッ!!」グイッ!

絹旗「っ!? ホントに……強いんですね」ギョッ・・・グググ・・・

神裂「っ……ムンッ!」グイッ!

絹旗「私、6割は出してるんですけど……流石、麦野の左に勝っただけはあります」ジー・・・


初手は姉さんがリード。多分、最愛は油断したのだろう。でもまだ余裕がある。


絹旗「ですが、やはり私には勝て―――」

神裂「お喋りが過ぎます……よっ!!」グイッ!

絹旗「―――ッっ?!」ギギギ・・・


姉さんもまだ全力では無かった様だ。最愛は慌ててギアを上げる。


結標「よく分かんないけど……凄いってのは分かるわ」タラー・・・

固法「だ、大丈夫よね。2人とも、怪我しないわよね」ハラハラ・・・

麦野「問題無いわ。2人とも、そこの⑦(根性馬鹿)並に頑丈だから」チラッ

五和「問題は……テーブルが」タラー・・・


え。

嫌な音がする。


神裂「ぐっ……ッ!!」ググググ・・・ギシギシ・・・

絹旗「んっ……くーっ!!」ピタッ・・・ミシミシ・・・


うそーん。


結標「お、チビが巻き返してきたわ」ホー・・・

麦野「7,8割かしら……というかこれ以上力出したら、あの子『反転』するわよ」ジー・・・

固法「は、『反転』って?」キョトン・・・

麦野「どこぞの白髪ネギ(セロリ)みたくなんのよ」チラッ


確か能力使用時に精神が高ぶると一方通行(アクセラレータ)さんみたいになるんだった。
F(ファッキン)口調を多用して……あれ? そういえば姉さんもキレるとF口調多用するよね。


五和「姉さんのF口調は素ですから」ハハハ

結標「え? アイツ、粗暴な言葉使うの?」キョトン・・・

五和「滅多に言いませんけどね。マジギレすると言いますよ」タラー・・・

結標「マジで? どんな感じに?」ヘー・・・

結標「それこそさっきの麦野さんみたいな口調とか、『るっせんだよ、ド素人がぁ!!』とか」ハハハ・・・

麦野・固法「「嘘っ?!」」ギョッ・・・


またオマエは余計な事を。姉さん、横目で睨んでるぞ。


絹旗「ぐっ……ンぎぎィ!! 本気で……超、強いンですね……っ」ググググ・・・グイッ!

神裂「をっ!? っ……いよいよ、本気ですか……ッ!!」ピタッ・・・

絹旗「う、ぐゥ……むンッ!!(マジ、人間ですか?! 私の『装甲』と張り合うとか超有り得ないですけどっ)」グガンッ!

神裂「チィっ! ぉ……これ程の、力とはっ。(純粋な力と考えれば『後方』並……いや、それ以上かっ)」グギャンッ!

絹旗「うゥっ!(六枚羽の特攻よりも、強い……ッ……ですねッ)」グゴンッ!!

神裂「ぐっ……ハァっ!!(末恐ろしい……だからこそ、この子を勝たせてはいけないっ)」ガギンッ!


凄い音が鳴り響いてる。何だ、これ。


五和「何って……テーブルの悲鳴でしょ」ジー・・・

香焼「え……ええぇ!? ちょ、な、ま……審判!?」バッ・・・

固法「香焼くん……ごめん、無理。私あの2人止める自信無いな」アハハ・・・

香焼「え、う、うそ……麦野さん、淡希さん!」バッ・・・

麦野・結標「「むりー」」ビシッ

香焼「……うぇ」ドヨーン・・・

五和「わ、私に頼ってくれても良いのよ」チラッ・・・

香焼「一番頼んなんねぇ」フンッ

五和「」チーン・・・


ヒビとか凹みとか、凄い事になってるんだけど。兎に角……って、もう手遅れっぽい!

咄嗟に止めに入ろうとしたが、無理だった。


神裂「ぐっ……チェストオオオオォッ!!」グワラゴワガキーン!!

絹旗「にっ……ドォルラアアアアァッ!!」ドガラガッシャーン!!

香焼「つ、机が二つに割れたあああぁ!!」ギャアアァ!!


それでもなお止めない2人。


香焼「ちょ、床で勝負すんのは無し! 下の住人が!!」アワワワ・・・

固法「えっと、大丈夫。下は空き部屋よ」キュイイイイィン・・・

香焼「冷静に能力使わないで下さい、そしてその情報2人に伝えないで下さーいっ!!」ウワーン!


上半身を器用にそのままの姿勢で垂直移動し、勝負続行する2人……早速肘の下、床凹んでるし!?


神裂「ぬ、おおおおおぉ!!(術式開放っ!! 全魔力を右腕と右肘にぃ!!)」ミシミシ・・・

絹旗「は、あああああァ!!(『装甲』を全て『籠手』と『肘甲冑』にぃ!!)」バキバキ・・・


力は互角。ただし重機と重機がぶつかり合っている様なモノ。これは床が持たない! 助けて上条さーん! 浜面さーん!


麦野「うっせ。ビービーギャーギャー泣いてんじゃないわよ。そんなんだから女扱いされんの」ジー・・・

固法「あははは……2人は今頃ご飯食べてるんでしょうねー」トオイメー・・・

五和「英雄は、ギャグパートには、現れず。コウちゃん心の俳句」サラッ


メタい事言ってんじゃねぇ。


神裂「ぐっ……ッッッ!!(っ!? 多少、力が弱まった?!)」グググ・・・グイッ!

絹旗「うっ……っっ(くぅ……疲れ、が)」ピタッ・・・ミシミシ・・・


最愛が微妙に押され始めた。一体何が起きたんだ?


麦野「あー……弱点出たわね」ハハハ・・・

結標「弱点?」チラッ

麦野「素の力よ。見ての通り、あの子は能力に頼りっきりだから素の力は歳相応以下なの」ジー・・・


それは知ってる。だがそれを能力でカバー出来るんじゃないのか。


麦野「普通ならね。でも、そうそう有り得ないけど相手が自分と互角またはそれ以上の時は、スタミナの消費が激しくなる」クイッ

結標「ふーん……じゃあ純粋にガソリン切れ?」ジー・・・

麦野「そゆこと」ハハハ・・・


確かに……前に佐天さんと一緒にやってる早朝ランニングに連れて行ったが、1km過ぎた辺りでバテてた。


神裂「(好機!)っ……フンッ!!」グイッ!

絹旗「う、にゃ……くっ!」プルプル・・・

神裂「っ……貴女は、十分強い! しかし、それでも勝てぬ相手もいるのです。私の様な無能力者(レベル0)にさえ、勝てない!」グググ・・・

一同『いやいや』ビシッ


誰も貴女の事を『無能力』だと思ってませんから。

最愛が踏ん張る。もう折れる寸前だが、意地で支えてるのだろう。


神裂「しかし……これで終わりですッッ!」グワンッ!!

絹旗「ッッ……く、そぅ」ウニャァ・・・


勝敗が決まる。漸く、終わる。


結標「……ほら」ツンツン・・・

香焼「え」キョトン・・・

結標「応援したげたら」ジー・・・

香焼「え、な、何を」ポカーン・・・

結標「友達なんでしょ」フフフ・・・

香焼「はえ。い、いや……まぁ、そうっすけど……いやいや、それとこれとは」ポリポリ・・・

五和「コウちゃん、薄情者ねー」ブーブー

香焼「おま」ジトー・・・

五和「ははは。まぁカオリ姉さんは応援しなくても怒らないわよ。それより……最愛ちゃんね」フフフ・・・

香焼「……、」ジー・・・


僕が如何こうしたからって、変わりはしないだろう。というか終わるならさっさと終わって欲しいのだが。


麦野「喧しい。応援なさい」ガシッ

香焼「うわっ!?」アタタ・・・

麦野「ほれー、絹旗ちゃーん。こっちの坊やが応援してるわよー」オーイ

香焼「ちょ、む、麦野さん!」アタフタ・・・

絹旗「っ!?」チラッ


目が合った。必死な顔。此処まで苦しそうな最愛はマラソンの時以来だ。


結標「ほれほれ」ツンツン・・・

香焼「え、あ、うん……頑張れ、最愛」コクッ

絹旗「っ……んっ」グッ・・・

神裂「……ふっ」ググググ・・・ピタッ・・・


多分、此処で負けたらこれから待ち受ける『日常』でのハードルにも、簡単に屈してしまうだろう。


香焼「負けても良いよ……でも、諦めるな」ジー・・・

絹旗「くっ……言われなくても……っ……そうしますよっ!! てか……負けませんッッ!!」ウギギ・・・

神裂「……、」フフフ・・・


寸前の所で、最愛が巻き返す。ただ、姉さんの余裕な表情を見るに手心を加えている様だ。

早く終わって欲しいとは思うものの、やはり簡単には諦めて欲しくない。


麦野「へぇ」ニヤニヤ・・・

香焼「……何すか」ムゥ・・・

麦野「別にぃ。ただ、あの子の扱い方上手になってきたわね」フフフ・・・

香焼「扱ってなんかいません。普通に応援しただけっす」ジー・・・

結標「まぁまぁ。初々しいわね。甘酸っぱー」ニヤニヤ・・・

五和「良いですねー。少年漫画っぽくて」フフフ・・・


勝手に言ってろ。


絹旗「んっ……うにゃああぁっ!!」ググググ・・・

神裂「っ……ふふっ」クスクス・・・

絹旗「う、ぎぎ……負ける、もんですかぁ……っ!!」ググググ・・・

神裂「……、(信頼ですか……確実に『救いの手』は伸びている様ですね、香焼)」フフッ


最愛が巻き返す。ただ姉さんの余裕な表情を見るに手心を加えている様だ。


神裂「……絹旗さん」ジー・・・

絹旗「ぐぅ……ふんっ!!」ググググ・・・

神裂「頑張って基礎体力をつけなさい。せめて、一般的な女子中学生くらいに」ジー・・・

絹旗「むっ……ハァッ!!」ググググ・・・

神裂「さすれば……今の倍は強くなる筈です……頑張りなさい―――」ガオンッ!!


そう言って、姉さんは……力を込めた。


絹旗「―――あ」バンッ・・・


決着がつく。最後は何とも、呆気無かった。

 ―――とある日、PM07:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・香焼side・・・






その後、気絶してる連中を起し後片付けを終え、夕飯に。


絹旗「はぁ」ドヨーン・・・

香焼「最愛」ジー・・・

絹旗「……ん」モグモグ・・・


負けたのがショックだったのか、箸の動くスピードが遅い。


ステイル「まったく、テーブル無しの食卓とは……民度が低いにも程がある」ヤレヤレ・・・

神裂「床で団食を取る国は結構ありますよ。馬鹿にしない」モグモグ・・・

削板「そうだぞ。まぁ宴会みたいで良いじゃねぇか」モグモグ・・・

ステイル「割れたテーブルが部屋の端にあるのに呑気だな。というか、床まで凹んでるし」ジー・・・

浦上「私達が気絶してる間に何があったんですかネ」ハハハ


それはそれは、悲惨な光景が。


五和「まぁまぁ。とりあえず業者にお願いして床修理しましょう。あと、新しいテーブルも調達して」コクッ

麦野「知り合いのインテリアショップから安値で仕入れといてあげるわ。カタログ持ってくるから選びなさい」モグモグ・・・

結標「あ、私もそのカタログ見たい。小萌の部屋、昭和の家具しかなくて困ってんのよ」モグモグ・・・

削板「良いじゃねぇか、趣があって。ん……カルパッチョ、喰わねえなら貰うぞ」チラッ

絹旗「……、」モグモグ・・・

削板「おーい……貰うぞー」チラッ

絹旗「……どーぞ」モグモグ・・・

削板「お、おぅ」スッ・・・

固法「削板くん」チラッ

削板「あ……うぃ」ピタッ・・・


調子狂うなぁ。


ステイル「おい……何があった」ボソッ・・・

香焼「ん……最愛、全力出して姉さんに負けたんだ」ボソッ・・・

ステイル「いや、普通神裂に勝てないだろ」チラッ

香焼「姉さんも全力出した。身体強化もフルスロットルで」コクッ

ステイル「……あの娘、バケモノか」タラー・・・


普通の子だよ。能力がちょっと強力なだけ。

無口な最愛の姿を見て、溜息をつく麦野さん。


麦野「ったく、偶に負けるとホント暗くなるんだから……あ、火織。サラダちょーだい」アーン・・・

神裂「はいはい……って、何故私が親鳥みたいな真似を」スッ・・・

麦野「アンタが左手ブッ壊したからでしょ。因みに、治(直)るまで私の片腕(恋人)だから」パクッ・・・ニヤリ

神裂「はぁ!? というか、麦野さん右利きでしょう!」ジトー・・・

麦野「細けぇ事は良いのよ。次、米ちょーだい」フフフ・・・

結標「じゃあ私も右手痛いから……香焼くん、あーん」アー

香焼「はい?」ポカーン・・・

結標「あーん……だって利き手痛いんだもん。だからー」アー

香焼「……はぁ」スッ・・・

絹旗「ふんっ」ズビシッ!

結標「ぐえっ!?」ゲホゲホッ

絹旗「私のせいなんだから、私が喰わせますよ……次はツマヨウジで良いですか」ジトー・・・

結標「てめ、マジふざけ……あ、嘘。自分で食べます」タラー・・・


そうしてください。じゃないと口の中穴だらけになります。因みに五和の『治癒』の効果もあって淡希さんの右手は腫れ以外、殆ど治っている。


五和「私は肩痛いままなんだけどなぁ」アハハ・・・

固法「あははは……まぁそこまで強く打ってないと思うけど、介助必要?」チラッ

五和「あ、いえ、大丈夫です」ポリポリ・・・

麦野「あー、美偉が浮気したって黒妻くんに言ったろー。しかも相手は五和だって。ショック受けるわよー」ヒヒヒッ

固法「意味分かんないわ。第一、五和さんは……あ、うん」ジトー・・・

五和「……、」モグモグ・・・

神裂「……、」パクパク・・・


暗黙の了解。この2人が一緒に居る時に好きな人の話題を振らない事。


麦野「え、と……ほら、じゃあ怪我させたの結標だし、アンタが介助すりゃ良いんじゃね」ハハハ・・・

結標「訳分かんないわ。私も右手痛いのにどうやって」ハァ・・・

麦野「そりゃ能力で、ヒョイッと」スッ・・・

結標「んな下らん事の為に能力使いたかないわよ……しかも微妙にズレたら珍妙な事故に繋がるわ」ジトー・・・


確かに、頬からカルパッチョとワカメが飛び出てる五和を見たくはな……あ、やっぱ見たいかも。


五和「コウちゃん酷っ!」ジトー・・・

浦上「んでもって、それ写メって建宮さん達に送りましょう! きっと大ウケ間違い無しですヨ」フフフ・・・

五和「う、ウラ!!」ムギギ・・・


皆が笑う。やっといつもの調子に……一人除いて。


絹旗「……、」モグモグ・・・

香焼「……むぅ」ジー・・・


やれやれ、難しいな。

 ―――とある日、PM08:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・香焼side・・・





最終下校時刻は当に過ぎた。男子2人と身内(3姉妹)以外は帰り支度を始める。


麦野「浜面、あと15分くらいで来るって。ったく、さっさと迎え来いっつの」フンッ

固法「いやいや、結構距離あるのに15分は早いでしょ……そんなに飛ばして来ないでよ」タラー・・・

結標「にしても、相変わらず悪いわね。送って貰っちゃって」チラッ

麦野「美偉のついでよ。じゃなきゃ放り投げてるわ」サラッ

固法「こらこら」ハァ・・・


毎度毎度タクシー代わりに呼び出される浜面さんも不憫だな。さておき、未だに静かな猫さん一匹。


もあい「なぅ」ペシペシッ

絹旗「……、」ニャー・・・


困ったな。どうしたものか。


削板「……おい、香焼」ツンツン・・・

香焼「あ、うん」ポリポリ・・・

ステイル「君の仕事だろ、ああいうのは」テクテク・・・

香焼「うーん」ポリポリ・・・


と言われても。


ステイル「やれやれ……一服して来る」ガララ・・・

香焼「え、はい」コクッ

削板「そんじゃ……俺は帰っかな。そろそろ俺の助けを必要とする連中が増える時間帯だ」ヨイショッ


相変わらず自警活動か。毎日欠かさず続けて、ホント、軍覇は凄い。


削板「日課だしな。俺にしか出来ない事よ……ま、お前にしか出来ない事もあるだろ、香焼」ポンッ

香焼「え」キョトン・・・

削板「じゃあな。また来るぜ」ガララ・・・バッ!


颯爽とベランダから消える第7位。ビルからビルへと飛び移って行った……これまた危険な真似を。
さて、五和と浦上は食器を片付けてるし、姉さんは麦野さんの帰り支度の手伝い。

残ったのは、僕ら2人。


香焼「ん……最愛。もう浜面さん、迎え来ちゃうよ」チラッ

絹旗「……はい」ジー・・・

もあい「みー」チラッ


覇気の無い声が返ってくる。とても気拙い。

仕方ない……率直に聞くか。


香焼「えっと、その……負けたのが悔しい?」ジー・・・

絹旗「……どうなんでしょう」ムゥ・・・

香焼「分からない?」ジー・・・

絹旗「……、」コクッ・・・


複雑な心境らしい。素直に負けを認められないのだろうか。


絹旗「いえ、負けは負けです。超完敗でした」ジー・・・

香焼「そう、かな。頑張ってたじゃないか」コクッ

絹旗「確かに、頑張りました。超頑張りました」ムゥ・・・

香焼「だから、悔しいんでしょ」スッ・・・

もあい「にゃっ」スタッ・・・

絹旗「でも……何て言うのか」ジー・・・

香焼「ん?」キョトン・・・


何かを言い淀み、ボソボソ呟き始めた。


絹旗「負けるのは、初めてじゃないんです。というか、私はしょっちゅう負けてますよ」ムゥ・・・

香焼「……そうなの?」ポカーン・・・


無敵要塞の最愛でも負けるのか。


絹旗「まぁ私は、何だかんだで弱点だらけですからね。そこを突かれれば負けます」コクッ

香焼「確かに物事に絶対は無いからね」コクッ

絹旗「でも、純粋な『力』勝負で負けたのは初めてでした。しかも能力云々抜きでの人間相手にです」ハァ・・・

香焼「カオリ姉さんは……規格外だから」ハハハ・・・

絹旗「でも、負けは負けです」ムゥ・・・


絶対的な自信があった。だから『自力』勝負で負けた事が悔しいのか。


絹旗「もしこれが殺し合いなら私は―――」

香焼「最愛」ジー・・・

絹旗「―――っ……ごめんなさい」ビクッ・・・


もう、君は『卒業生』だ。


絹旗「すいません。ただ……もしこれから先、何らかの自体で神裂さん程の力の持ち主が現れたら、私の装甲では耐えきれませんよね」ハハハ・・・

香焼「……、」コクッ

絹旗「でも、それは良いんです。負けそうになったら別の手を使えば良いし、最悪逃げれば良い。超恰好悪いですけどね」ポリポリ・・・

香焼「生きてなんぼでしょ。行き恥云々言うのは戦人だけっす」ジー・・・

絹旗「ええ。まったくです。私は騎士道とか武士道とか、そんなの語る気サラサラありませんから」ジー・・・


では、何故そこまで悩む。

一寸の無言の後、ボソリボソリと恥ずかしそうに口を開いた。


絹旗「……から」ボソッ・・・

香焼「え」キョトン・・・

絹旗「応援、してもらったのに……負けちゃいましたから」モジモジ・・・

香焼「……ぁー」ポリポリ・・・


成程。


絹旗「折角、応援してもらったのに……超情けないですよね」ハハハ・・・

香焼「最愛」ジー・・・

絹旗「あーもう……ごめんなさい」ハァ・・・

香焼「……まったく」ポンッ

絹旗「っ!?」ビクッ・・・


そんな事で悩んでたのか。


絹旗「そ、そんな事って……むぅ」ムスー・・・

香焼「ははは。まぁさっき、姉さんも言ってたでしょ。まだまだ伸びるって」フフッ

絹旗「……うーん」ジー・・・

香焼「頑張ろう。最愛」フフッ


今まで、大した努力もしてこなかったのにこれだけ強いんだ。努力を重ねればもっともっと強くなる。
それこそ、超能力者(レベル5)に近付ける程に。


香焼「自分も、最愛に負けないくらい頑張るよ。だから一緒に努力しよう」フフッ

絹旗「……はい」フフッ・・・

香焼「頭に『大』より、『超』が付いてた方が最愛らしいよ」クスクス・・・

絹旗「んもー。馬鹿にして」フフフッ


それで良い。お互い頑張ろう。


神裂「調子が戻った様ですね」テクテク・・・

香焼「姉さん」チラッ

絹旗「ええ。大分、ショックでしたが、何とか」フフッ

神裂「結構。その意気です」フフッ・・・ポンッ


力強く頭を撫でた。


絹旗「次は負けませんよ」フンッ

神裂「ふふっ。一朝一鍛で抜ける程、私は弱くありませんよ……励みなさい」クスッ

絹旗「ええ。絶対、勝ってみせます」ニカッ!


姉さんに勝てるようになったら、世界でも屈指のパワーリストになるだろう。

尤も、力だけが全てでは無い。知恵や精神力も必要だ。
全てにおいて完璧な姉さんに勝つには、そういった点でも成長しなければなるまい。


神裂「ふふふっ。では、そうですね……こういうのはどうでしょう―――」ボソッ・・・

絹旗「え……―――っ!!?」カアアァ///

香焼「ん?」ポカーン・・・

神裂「―――……ふふっ。そういう事で」クスクス・・・

絹旗「わ、にゃ……が、頑張ります! 超頑張ります!」ニャー///


姉さん、何を言ったんだ?


神裂・絹旗「「内緒です」」フフフッ

香焼「えー」ポリポリ・・・


気になるなぁ。


神裂「さて。そろそろ迎えが来ますよ。支度をなさい」クスクス・・・

絹旗「はい!」パタパタ・・・

もあい「みゃー」パタパタ・・・

香焼「はぁ……姉さん、何言ったんすか?」チラッ

神裂「さぁ。とりあえず、頑張れとね」フフフ・・・

香焼「もぅ、誤魔化して」ジトー・・・

神裂「2人だけの秘密です……さておき、香焼」チラッ

香焼「何すか」ジー・・・

神裂「伸ばした『手』を、きちんと掴んで貰ってる様ですね」フフッ

香焼「……、」ピタッ・・・


救いの手。ただ伸ばすだけではなく……その手を掴んで貰わねば意味が無い。


神裂「きっと、あの子だけではない。貴方が伸ばした『手』は、確実に皆に届いているのでしょう」ポンッ

香焼「だと、良いんすけど」ハハハ・・・///

神裂「ええ……これからも頑張りなさい。彼女もますます強くなる様です。負けぬ様に、ね」フフッ

香焼「ははは、厳しいっすね」ポリポリ・・・


一度掴んだ手は離さぬ様、放されぬ様。


神裂「その『手』は何れ『環』を為します……いつかは『彼』程に、大きくなるやもしれません」コクッ


歯が浮く様な台詞だが、姉さん(女教皇様)が言うと重みがある。

皆の英雄になりたいだなんて思わない。でも、せめて目に見える範囲の救えるモノは『手』を伸ばしたい。
どんなに困難でも、諦めない。それが、平穏の中でしか『手』を伸ばせない、ちっぽけな僕の願いだ……―――

<おまけっ!>



五和「さてさて、お客人は帰りましたか……あ! 思い出した!」ピンッ!

浦上「お姉、どったの?」チラッ

五和「鍵!」ビシッ

一同『あ』ピタッ・・・

浦上「そいやぁ、そんな話題してましたネ。てかそれが切欠か」ニャハハ

五和「コウちゃん、どうする?」チラッ

香焼「どうするも何も……ステイルの言う通りで良いんじゃないのかな」コクッ

五和・浦上「「」」チーン・・・

ステイル「Yes!!」ビシッ

神裂「ふむ……それだと、今までの夕飯当番のローテーションが崩れますよ」ジー・・・

五和「お風呂掃除当番とか洗濯当番もズレちゃうよ! 良いの!?」ビシッ

香焼「あ、うーん……それは確かに困るな」ポリポリ・・・

ステイル「と、当番って……君達、ホント兄弟姉妹みたいな事を」タラー・・・

五和「そりゃ姉弟ですから!」ムンッ!

浦上「それじゃあ……マグヌスさんも参加します。家事のローテー」ニヤリ・・・

ステイル「ぐっ……仕方ない。この件は保留だ」タラー・・・

五和・浦上「「いやったー!!」」ヒャッホー!

神裂「助かりましたね」ハハハ

香焼(ステイル、とことん日常色に弱いなぁ)ハハハ・・・



 ―――一方……



固法「―――浜面くん。どうも、ありがとうね」バタンッ

浜面「いえいえ、兄貴によろしく。それでは……―――……はぁ。俺はいつから無賃タクシー屋に」ハァ・・・

絹旗「昔からでしょー。ふんふふ、ふんふふ、ふんふーふーん♪」ウキウキ・・・

麦野「アンタ、どったのよ。ドンヨリしてたと思ったら急にテンション上げちゃって」ジー・・・

絹旗「ふふふ。何でもありませんよー」フフフッ

麦野「はぁ。まぁ良いけど……そいやぁさっき、火織と何話してたの?」チラッ

絹旗「んふふー。内緒ー♪」ニコニコッ

麦野「……いらっとするわね。片腕だけど暴れるわよ」ジトー・・・

浜面「お願い、暴れないで! 車換えたばっかりなんです!!」ウワアアァ・・・


 ギャーギャー・・・・


絹旗(ふふふ……『私に勝ったら、鍵を譲りましょう』……ふふっ! 超楽しみです!)ニコニコッ

  ≪おまけっ!!≫


アニェーゼ「はーい。という訳で私達も腕相撲しまーす」ビシッ

カルテッ娘『いえーい!』ヤー!

香焼「何が、という訳なんだろう」タラー・・・

ステイル「知るか。というかまた僕の部屋で」ハァ・・・

レッサー「最初の組み合わせは言い出しっぺのアニェーゼと……コウヤギでーす!」ビシッ

アニェーゼ「うっし! ボコります!」フンッ!

香焼「えー……危険な魔術使うの無しっすよ」タラー・・・

サーシャ「無論です。第一の確認ですが、基本、使って良いのは身体強化だけですよ」コクッ

アンジェレネ「大丈夫。誰かさんみたいに、負けそうになったからって掌から火焔なんて出しませんよー」フフフッ

ステイル「ぐっ……何故それを」タラー・・・

レッサー「さーさー。さっさと始めましょう! それじゃあセット!」ジー・・・

香焼・アニェーゼ「「ん」」スッ・・・ガシッ

サーシャ「第一の予測ですが、純粋な力ならコーヤギーでしょうね。だけど、アニェーゼの方が魔術師としての格は上です」ジー・・・

アンジェレネ「でも、身体強化特化って訳じゃないですからね。その点、普段使い慣れてるコォヤギくんに分があるかな」コクッ

レッサー「レディ……ンゴー!!」カンッ!

香焼「んっ!」グイッ

アニェーゼ「ん、ぎっ!」ググググ・・・

ステイル「やはり香焼の方が有利か」プカプカ・・・

サーシャ「ですね……って、第一の忠告ですがドサクサ紛れて煙草喫わないでくれます?」ジトー・・・

アンジェレネ「『此処は僕の部屋だ』って言うのも無しですよ」ジトー・・・

ステイル「此処は僕の……チィ!」ケシケシ・・・

アニェーゼ「外野五月蠅ぇです! くぅ……わんこに負けるなんてぇ……ぐぅ!」ギギギ・・・

レッサー「悔しい!(ビクンビクンッ!) でも感じちょばぁわっ!!」ゴツンッ

アニェーゼ「うっせ!! 黙れ淫売女!!」ウガアアァ///

レッサー「うぎぎ……仕方ない。援護しますか……ねぇ、コウヤギ」チラッ

香焼「んっ……何、さ……ふんっ!」グイッ

レッサー「最後に右手で○○○○ったの、いつですか?」サラッ

香焼「ぶをっ!?」カアアァ///

アニェーゼ「し……死ねええええぇ!!!」ゴガンッ!!

香焼「ぬわぁ! って痛たたたたたぁっ!! 負けた! 自分負けたからああぁ!! もう放してえええぇ!」ギャー!!

アニェーゼ「五月蠅い!! 変態犬!! 盛り犬!! 去勢しやがれってんです!!」ガンガンガンッ・・・カアアァ///

香焼「何で自分があああぁ!!」フコーダー!!

レッサー「ふひひwwさーせんwww」ケラケラケラ!

アニェーゼ「テメェも死ねええええぇ!!」グオンッ!!

レッサー「んぎゃあああぁ!! ハイキイイィック!!」アベシッ!!

ステイル・アン・サーシャ(((馬鹿だ)))ハァ・・・




白い甲虫さん「おわるよ」ビシッ!

はい。以上です。

久々のSSだったので、リハビリがてらでした。多々不備があったと思いますが御了承を。
今後ですが、超スローペースでの投稿となると思います。書き溜めするか思い付きで書くかは未定です。

因みに、次回の話はアバウトにしか決まってません。特に英国編はどうしようかなーと。
ただし基本主役は香焼でサブは3姉妹&ステイル。加え、都市編は絹旗。英国編はカルテッ娘がサブ。
場合によっては香焼以外の3姉妹が主役もありです。



とりあえず次回のアンケート!

①都市編:折角超電磁砲2期やってるんで、黒子の話。

②都市編:WWⅢ後という事で、海鳥の話。

③英国編:現状思い付かないので、カルテッ娘の内の誰かをメインにした話。

④その他:都市でも英国でも、それ以外の国やキャラでも、何でもリクエストをどうぞ。(劇場版以外)



それではアンケート協力、今後の意見、リクエスト、質問、感想、罵倒を頂けると嬉しいです。
んじゃまた次回! ノシ”

>>73…だったら「あまくさっ」の中での違う出会いを見てみたいな。
アニェーゼと絹旗の絡み(香焼関係での)がまた見たいし

こんばんわ。アンケは……②の黒夜話かな。黒子と英国はまた次回以降に。

>>75・・・やるとしたら別シュチュにすべきか、それとも以前のをリスペクトして書き直した方が良いでしょうか?

それではボチボチ投下します!

 ―――とある日、PM05:00、学園都市第7学区、とある仮眠室(レストハウス)・・・黒夜side・・・




電話の女『―――……だーかーらっ! 何でもっと上手にやれないのよ! このスカタンっ!!』ガーガー!!


あーもう。ホント……五月蠅い。


電話の女『はぁ……マジメに聞いてる? どうせ聞いてないんでしょうねーっ。こいつときたらっ! 第一ねぇ……―――』ガミガミ・・・


喧しい。これだから年増(オバン)のヒスは嫌なんだ。
研究所時代からそう。野郎の研究者より女の研究者の方が色々面倒。無駄にネチっこかったり声荒げたり陰険だったり。
やっと肩身が楽になったかなーと思った矢先、これだ。変な『上司』さんとやらが上につきやがって。


電話の女『―――って、ちょっと! ホント聞いてんのかしらーっ?! 黒夜! 銀十字!』ギャーギャー!

黒夜「……聞いてるっつの」ハァ・・・

シルバークロース「同じく……あと、人の名を和訳するな。しかも十字じゃない」ハァ・・・

電話の女『だったら云とか寸とか言ったらどうなの! こいつときたらっ!』キー!


だるー。仮眠2時間くらいは取ったけど、実質夜勤明けでこの声は頭響くわ。


電話の女『アンタらねぇ……ったく。いいかしら? もう一度しか言わないわよ』チッ・・・

黒夜「あーうんうん。大丈夫ー。全部聞いてたからー。何度も言わないでOKでーす」ボウヨミー

電話の女『お黙るっ! 例え聞いてても同じ失敗何度も繰り返されてんだからアンタらの耳にタコ出来るまで言うわよーっ!!』コイツトキタラッ!

シルバークロース「分かった分かった。だから電話越しに叫ばないでくれ」ハァ・・・

電話の女『チッ。まずは昨日までの件だけど……―――』アーダコーダ・・・


何でこんなヤツが上司なんだ。今まで通り私がトップ、サブ(という名の駒)に銀幕(コイツ)の二人組で良いだろう。
確かに『あの日のミス』は上の連中からしてみりゃ痛かったのかもしれんが、
だからといって監督役を付けたからって如何こうなるものでも無いだろう。寧ろ精神衛生的に悪い。自由にノビノビやらせてくれー。


電話の女『―――って事なの。分かる?』コイツトキタラー

シルバークロース「十分理解してるさ」グデェ・・・

電話の女『じゃあ何故出来ないのよっ! こいつらときたらっ!』ムキー!

黒夜「ケッ……っせぇなぁ」チッ

電話の女『あーん……黒夜ちゃーん。何ですって?』キッ・・・

シルバークロース「……はぁ」ダルー・・・


いい加減、ヒスに付き合うのも嫌になってきた。

大体、こういうガミガミ叫ぶ女の言う事は不条理極まりないと相場が決まってる。


電話の女『あのねぇ……アンタらがもっと上手くやれば―――』

黒夜「いやいやいやいや。テメェ含め『上』は馬鹿か? まぁ馬鹿なんだろうけどよぉ」ジトー・・・

電話の女『―――っ!? こ、こいつときたらっ』キリキリ・・・

黒夜「良いか。正直に言うぞ……私は優秀で、何だかんだで銀幕(コイツ)も優秀だ。仕事はキッチンとこなしてやってる」フンッ

電話の女『はあ? こいつ……何言ってるの? 今までの私の話聞いてた? 仕事出来てないから、こうやって説教してんのよっ』ムンッ

シルバークロース「やれやれ。この拷問染みた爆音怒号が『説教』とはな」ハァ・・・

電話の女『こ、の……じゃあもっとスピーカーの音量上げてやりましょうか?』コイツトキタラ・・・

シルバークロース「勘弁だ」グデェ・・・


この女(アマ)、ただ単にストレス発散の為に私らに当たり散らしてるだけなんじゃなかろうか。そうとしか思えない。


黒夜「はいはい、分ーった分ーった……テメェの言い分も譲歩してやる。確かに私らの仕事は完璧じゃねぇかもしれん」ジー・・・

電話の女『ふんっ。珍しく物分かりが良いわね。だったら―――』

黒夜「問題は『上(そっち)』が私ら(こっち)に振ってくる仕事の量だっつのボケナスがぁ!!」ウガー!!

電話の女『―――なん、で……ん……え』キョトン・・・


いやいや、黙るなよ。


黒夜「チッ……多過ぎだ阿呆。幾ら私らが優秀な暗部で、セミオート駆動鎧(パワードアーマー)を頭数に入れられるっつってもよぉ」ギロッ・・・

シルバークロース「流石に仕事の件数が多過ぎる。加え、ペースも早い。機械である以上、メンテナンスは必要なのだぞ」ハァ・・・

電話の女『そ、そのくらい分かってるわよ』コイツトキタラ・・・


分かってないな、こりゃ。


黒夜「あのさぁ……色々物騒なのは分かるぜ。WWⅢ(第三次世界大戦)終戦後で、都市の立場は悪くなる一方だしさぁ」ハァ・・・

黒夜「でもこんだけ『仕事』が多いってのぁ異常じゃねぇか? 統括理事会、真面目に政治してんの?」ジトー・・・

電話の女『んな事、駒であるアンタの知った事じゃないでしょ。余計な御世話』コイツトキタラ・・・

黒夜「へぇへぇ。でもなぁ……この一週間に10件って如何いうこった? 頭おかしいだろ?」ケッ・・・

シルバークロース「単純計算で一日1,2件、私達(暗部)を要する事件が起きてるという事だ。異常以外の何物でもない」フンッ


対テロ仕事に粛清・暗殺。密輸入防止にお薬(?)の発送護衛。
ホントに要人だか如何だか分からんヤツのSP・警護にパーティー会場のセッティング、等など。

前々(都市設立当初)からこの街でテロやら何やらが多かったのはガキでも分かる事。
昨今の情勢の変化で学園都市に牙を剥く輩、この機を利用して悪巧みをしてやろうという連中が更に増えたのは確かだ。
その為、風紀委員(ジャッジメント)や警備員(アンチスキル)で手が回らない事件、
もしくは彼らに任せられない『仕事』も増えた、という単純計算になる。


黒夜「てか、別に私らの仕事じゃなくても良いモン多々あんだろ! 何だよパーティーのセッティングって!!」ウガー!

シルバークロース「一昨日の子猫探し……正直、『暗部』の存在意義を見詰め直したぞ」ジトー・・・

電話の女『こいつときたら……私だって頭痛いのよ。意味分からん仕事振られて対応困るのがアンタらだけだと思わないでっ!』キーッ!


なんだ。結局コイツも左遷組って事か。きっと『クーデター』の時に厄介な側に付いてたんだろうな。

しかしまぁ今の暗部も大幅に『人事異動』があった様だ。
多くの『卒業生』の所為でそれなりの『新入生』が人材補強に当てられ、機能を失った旧暗部組が再構成されたらしい。


シルバークロース「やれやれ。とりあえず、せめて突発的な仕事は減らしてくれ。此方も準備がある」コクッ

電話の女『出来ればしてるわ。でもやり易い仕事はぜーんぶ「木原」の連中とか心理定規(メジャーハート)の班に持ってかれるし』コイツトキタラ!!

黒夜「ケッ。古参(オールド)共が優先ってか。まったく、新人(ルーキー)は辛ぇわな」フンッ

電話の女『古参じゃなくてアッチは玄人(ベテラン)なのよ。アンタ達はまだまだ素人』ハァ・・・


言ってくれる。電話越しじゃなかったら身体中串刺しにしてやってるのに。


電話の女『あーもぅ……ほんっと、麦野の頃は楽だったのに……なーんでこんなショッボい班に回されたかなぁ』ジトー・・・

黒夜「あ?」ギロッ・・・


麦野……麦野沈利か。


電話の女『ええ。アンタが大っ好きな旧「アイテム」の皆さん。特にあの子は敏腕だったわ……キレるとマジ面倒だけど』ハハハ・・・

黒夜「……私が、アイツより劣ってると?」ジトー・・・

電話の女『当ったり前じゃない。全てにおいてよ、全部全部。強度(レベル)もカリスマもビジネススキルも』コイツトキタラ・・・

黒夜「何、を……くっ」ギリッ・・・

シルバークロース(反論出来ないな)チラッ・・・


確かに、あの全身光学砲台女(ゲー○ルク)に比べたら私は強度もカリスマも低いかもしれない。
しかしヤツよりも『強い』筈だし『上手く』仕事をこなせる自信もある。

不幸なのは『現状』だ。もし私がWWⅢやクーデター以前に暗部の一角として名を連ねていたら、
間違いなくヤツより名を馳せていただろう。その逆に、ヤツが今の私の立場なら3日で『プッツン』して一人大反乱してたと思う。


電話の女『……はぁ』アンタトキタラ・・・

黒夜「んだよ」ジトー・・・

電話の女『無理ね。アンタは精々駒の一人。リーダー格は無理。実際現状分かってんでしょ?』ヤレヤレ・・・

シルバークロース「確かに……私もだが、人を惹っ張るタイプでは無いな。ドチラかといえば一、兵器として導入され成果を発揮する」コクッ

黒夜「……チッ」ギリッ・・・


そんな事は分かってる。私にカリスマなんかない。だがしかし、例え一人相撲でも何人分もの戦力になる。
『新入生』といえども、その自負と誇りはある。


電話の女『まぁその点は認めるわ。でも所詮、駒は駒。リーダークラスも駒は駒』サラッ・・・

黒夜「ハッキリ言うねぇ。ま、下手に誤魔化されるよかスッキリすっけどさ」フンッ

電話の女『でも、あの子は「飛」とか「角」級の駒。アンタ達は精々「馬」か「銀」ってとこよね』ハハハ

黒夜「……あんまハッキリ言うのも、身ぃ滅ぼすぞ」ジトー・・・

電話の女『でもそうなのよ。もし仮に、アンタが旧「アイテム」にいても所詮は麦野以外の他人員の代わり程度……意味、分かる?』ニヤリ・・・

黒夜「っ」ピキッ・・・


私が、あの『ノロマ』と同程度だと?

何故優秀な私が、アイツみたいな粗悪品と同列に見られなきゃならんのだ。


電話の女『ま、そう言われたくないんなら仕事頑張りなさい』キッパリ・・・

黒夜「ざけんな、ボケ……いつか殺すかんな」ギリッ・・・

電話の女『はいはい。とりあえず今の段階で分かってる仕事はメールしとくから上手く処理なさい』カタカタカタカタ・・・

シルバークロース「ああ……って、待て待て。まだ此方の言い分が終わってないぞ」ピタッ

電話の女『え?』キョトン・・・

シルバークロース「まず扱える下請けの武装無能力者集団(スキルアウト)の人数だが、少な過ぎる。せめて今の倍を―――」アーダコーダ・・・

電話の女『うーん、それもアンタ達で調達して欲しいんだけどなぁ。現に「木原」の連中やら心理定規の班は―――』アーダコーダ・・・

黒夜「……糞っ」ガタッ・・・テクテクテク・・・


胸糞悪い。


シルバークロース「―――しかしだな、此方としてはまだ勝手も……おい、黒夜。何処に行く」チラッ

黒夜「知らん。帰る。あと任せた」テクテク・・・

電話の女『―――ちょっと、こいつときたら……まぁ良いわ。せめて最低限の仕事はして頂戴よ。私の評価も懸かってるんだからね』ハァ・・・

シルバークロース「いや、待て。勝手にOKするな……黒夜、私に押し付ける気か? この仕事量を!?」タラー・・・

黒夜「わー。ありがとー。流石シルバークロースさまー。マジかっけー」ボウヨミー

シルバークロース「意味が分からん! って、オイ! 待て! このっ……はぁ。何を言っても無駄か」ドヨーン・・・

電話の女『ったく。所詮はガキね……ま、頑張りなさい。男の子でしょ』コイツトキタラー

シルバークロース「……私だって、退院したてで本調子じゃないのだが」ハァ・・・


後ろでゴチャゴチャ煩いが、もう仕事する気分じゃない。帰ってシャワー浴びてとっとと寝たい。そんでもって明日は仕事休む。
一週間休み無しとか馬鹿だろ。コンプライアンス的にアウトじゃボケ。


黒夜「ケッ……面白くねぇ……オイ、誰かいないのか。帰るから車出せ」テクテクテク・・・


無音、、、あれ? スキルアウトは?


黒夜「おーい! 誰かー……返事しろっつってんだ下っ端共っ!!」ガンガンッ!!


しーん。


黒夜「こ、の……っ」プルプルプル・・・

シルバークロース「―――黒夜! 喧しいぞ! 帰るならさっさと帰れ! 気が散る!」バンッ!

黒夜「っせ!! スキルアウト共どうした!? 1人2人、残ってたろ!!」ガンッ!


何で誰も居ないんだ。暗部と下請スキルアウトはセットだろうが。

当たり散らすイライラMAXの私に、シルバークロースはとても冷ややかな目を向け宣うた。


シルバークロース「え……帰ったろ」ジトー・・・

黒夜「かえ……はぁ!? 挨拶も無しに?!」ピキッ・・・

シルバークロース「いやいやいや。挨拶していったさ。私は止めたのに、君が上の空で適当に『うぃ~』とか言って帰したんだろう」ジトー・・・


え、マジで?


シルバークロース「……はぁ。駄目だコイツ」ヤレヤレ・・・

黒夜「うっ……で、でもよぉ。不良(スキルアウト)やってんなら私らの言う事は絶対で」タラー・・・

シルバークロース「私達にそんな人望無いだろう。仕事中は畏怖の念で動かしているが……オフは近付きたくも無かろうに」ジー・・・


確かに。好き好んで暗部の輩と仲良子良ししたがるスキルアウトなんかいる訳がない。


黒夜「でも家に帰るまでが暗部だろうが」ブーブー

シルバークロース「子どもか? あ、いや、子どもか」ハァ・・・

黒夜「ぶっ殺すぞ!?」キー!

シルバークロース「はいはい……兎に角、2人とも忙しかったそうだ。仕方無かろう」クルッ・・・


スキルアウトのくせに忙しいも糞もあるか。


シルバークロース「一人はバイト。もう一人は定時制の高校らしいな。夜勤明けからオールで御苦労さまだ」フンッ

黒夜「不良なのに内心は真面目くん達だったの!? 何それヤダ!!」エー・・・


意味分からん。上は何でそんな手合いを寄越すか。やはり嘗められてる。


シルバークロース「ハァ……兎に角、さっさと帰れ。ただし家でPC作業くらいはしてこい。全部私に押し付けたりするなよ」ジトー・・・

黒夜「うー……あいあいさー」チッ・・・


面倒臭いが、やるしかない。
暗部として生きていく以上、出だし(今)が正念場だ……どんなに面倒臭かろうが、やる事はやる。

それで全てを見返す。それだけだ。


シルバークロース「あ、それとタクシー使って帰るなよ」ガチャッ

黒夜「は? 何で?」ピタッ

シルバークロース「経費削減」サラッ

黒夜「コイツ細けぇっ!」ウガー!


何かもう、悲しくなってきた。

 ―――とある日、PM05:30、学園都市第7学区、とある公園(イカれ自販機在中)・・・黒夜side・・・





面倒臭ぇ面倒臭ぇとボヤきながら帰路に付く。辺りはホドホド暗くなり歩いている学生も少なくなってきた。
自費でタクシー乗って仮屋まで帰ろうと考えたがマネーカードの残額が少ない事に気付き、諦めて徒歩帰宅する羽目に。
途中コンビニか何処かでチャージしようとも思ったが、チャージする為の金を下ろすATMが見つからなかった。

もう色々ツいてない。マジ泣きそう。


黒夜「……もう散々」トボトボ・・・


如何して暗部の私が、こんな惨めな思いをせにゃならんのだ。学園都市『暗部』のエージェント様だぞ。


黒夜「こりゃブラック企業だな……何処訴えれば良いんだろ」ハァ・・・


何処訴えても無駄なのは分かってるが、遣る瀬無い気持ちでいっぱいである。
ふと、目の前に自販機を発見……喉が渇いている事に気付く。そういえば飲まず食わずで仕事してた。

少ない残高だが、ジュース一本買うくらいの金額は残っているだろう。
そう考え電子マネーのボタンを押し、カードを近付け……―――


黒夜「……ん?」キョトン・・・


―――……反応無し。おかしい。


黒夜「何でだよ……って、はぁ?」ピタッ・・・


電子パネルに『電子マネー使用中止』と流れている。どうしてこう……ふざけてる。
こっちは色々と疲れとイライラが募っているというのに。


黒夜「何とかなんねぇのかよ……けっ!」ジトー・・・


生憎、余計な金(札・小銭)は持ち合わせていない。持ってたらタクシー使ってる。


黒夜「チッ! ざけんなっつの! テメェもアイツらも、嘗め腐りやがって!」ガンッ!


辺りを気にせずモノに当たる。正直、イライラの限界だった。
最近無駄に『良い子ちゃん』を演じてた所為もあってか、ストレスはマックス状態。

これ以上やったら風紀委員や警備員、警備ロボが来てしまうだろうという事すら忘れ、自販機を蹴り捲った。


黒夜「何だよもぅ! 何で私がこんな目に!!」ゲシゲシッ!

??「ちょっと、君!」パタパタッ!

黒夜「このっ……え、あ、ヤベ」ピタッ・・・・


此方に近付いてくる声と足音で我に帰る。こんな事で補導されたらシルバークロースや『上』に何て小言言われるか分かったもんじゃない。
幾ら無敵の海鳥ちゃんといえど、泣く子と白昼公道での警察組織には勝てない。

急いで此処から面駆らないと、、、と走りだそうとした時だった。


??「なぁに自販機相手にストリートファイトしてんですかね。これだから短気な超お子様は」ヤレヤレ・・・

黒夜「……あ」ピタッ・・・

??「最愛、そんな事言ってないで止めなよ。警備員来てからじゃ遅いよ」ハァ・・・


見知った声。

最大級にムカつく声。一っ番聞きたくなかったヤツかもしれない。
何故かって? 思わずブッ殺したくなるから♪


黒夜「チッ……なんだ、チビか」ホッ・・・

絹旗「そっくりそのままお返ししますよ、超チビ」フンッ

黒夜「あん?」ジトー・・・


絹旗最愛……不幸にも私の姉妹分。勿論、私の方が優れてるから姉方。


絹旗「何ですか、その目は。折角人が止めてやったというのに。それともこのまま不良少女宜しく補導されてた方が良かったんでしょうか」フンッ

黒夜「ピーピーギャーギャー饒舌なこって。どうしたら黙る? 口に待針でも刺しといてやっか?」ケッ・・・

絹旗「やれやれ。人の善意すら分からない程に激おこプンプン丸って訳ですか。超ガキですね。何でもかんでも反抗したいお年頃?」ハンッ

黒夜「なんだ、テメェの辞書の中に善意なんてモンが載ってたのか。てっきり悪意の塊なんだと思ってたぜ。暴力女」ケケケッ

絹旗「アンタねぇ……、」ジトー・・・

黒夜「あんだよ……やるのか」ジトー・・・


丁度良い。コイツをボコボコにしてストレス発散してやろう、そうしよう。
一寸の無言の後、掌を絹旗に向け……―――


??「こらこら、喧嘩しないの」ッタク・・・

黒夜「……は?」チラッ

絹旗「してません。コイツが超勝手にキレてるだけですよ」チラッ

??「それでもそれに乗っかる最愛も悪い」メッ

絹旗「むぅ」ジー・・・


―――……何だ、コイツ。


??「えっと……確か、前に会ったよね?」ジー・・・

黒夜「は? おい絹旗。コイツ、誰だ?」チラッ

絹旗「一度病院で会ったでしょう。その時、香焼は入院してて、アンタが勝手に見舞いに付いて来ました」ハァ・・・

黒夜「あー……そういえば」ポリポリ・・・


あの時(第18話)の。


黒夜「お前のセフrエンドレぇっ!!? 危な!!」ヒョイッ!

絹旗「あ、アンタマジブッ飛ばしますよっ!! 何言ってんですか!!」カアアアァ///

黒夜「だからって地面刳る程殴んなアホ……まぁまぁ真っ赤になんなしー。彼氏の前だからって恥ずかしがんなよー」フフフ・・・

絹旗「にゃにゅがぁ!! 殺す!!」ムキー!!

香焼「こらこら」ハハハ・・・


女男が絹旗を宥める。見せつけやがって。

怒りで全身の毛が逆立ってる猫みたいな怒り方をする愚妹ちゃん。ホント、ガキだなぁ。


絹旗「ふしゃー!」グルルル・・・

香焼「どうどう……えっと、それで……黒海さん」チラッ

黒夜「黒夜だ、間違えんな」フンッ

香焼「あ、ごめん」コクッ

絹旗「そうですよ、いくら何でも名前間違えるなんて夜鳥に超失礼です」コクッ

黒夜「今のワザとだよね? お前、やっぱ喧嘩したいんだな……イースター島の巨顔」ジトー・・・


一寸沈黙。


絹旗「???」キョトン・・・

香焼「えっと」タラー・・・

黒夜「あーそっか。そいつ馬鹿だったな。説明してやんないと……いいか、絹旗ちゃん。イースター島ってのがあって―――」

絹旗「はいはい」コクコクッ

香焼「……、」アハハ・・・


少女説明中。


黒夜「―――という意味だ。つまり、私が言いたい事分かった?」アーユーOK?

絹旗「ふむふむ……って、誰がモアイですかああぁ!!」ムキー!

黒夜「やっと分かったか」ハァ・・・

香焼「理解すんの遅っ!? あと自分で言った! って、だから喧嘩しないでよー」ンモー・・・


優男が割って入る。くっそー、コイツいなけりゃ今頃ストレス発散してるんだけどなぁ。


香焼「はぁ……で、黒夜さん。自販機蹴っちゃ駄目っすよ。ただでさえ、この自販機壊れかけてるんすから」クイッ

黒夜「知るか。商品買えないこのポンコツが悪い」フンッ

絹旗「だからって自販機に当たるなんて超野蛮ですよね」ヤーイ

香焼「そういう最愛も、前にこれ殴ってたでしょ」ジトー・・・

絹旗「うっ」タラー・・・


オマエが言うな状態。


香焼「まったく……それで、何で買えなかったんすか?」ジー・・・

絹旗「きっと自販機に超嫌われてるんですよ。もしくは二千円札とか超稀有なヤツ突っ込んだとか」チラッ

香焼「上条さんじゃあるまい……で?」チラッ

黒夜「……ん」クイッ


話してやる義理も無いが、これ以上巻き込まれるのも厄介なのでさっさと話を終わらせよう。

電子マネーのパネルを指差す。優男と絹旗は表示を見詰め、何やら納得した。


絹旗「成程……アンタ、超ツいてないですね」ハハハ

黒夜「っせぇわ」ケッ

香焼「確か昨日の夕方、上条さん追い駆けて御坂さんが色々ブっ放してたから、その所為で調子狂っちゃったのかな」ジー・・・

黒夜「は?」ポカーン・・・

絹旗「また超電磁砲ですか……さっさと逮捕しろって話です」ジトー・・・


何が何だかサッパリだ。何で第3位と幻想殺しの名前が出てくる?


香焼「で、小銭は持ってないの?」チラッ

黒夜「無ぇよ。マネーカードだけだ」フンッ

絹旗「超馬鹿ですね。全部が全部電子マネー使える場所じゃないのに」ハハハ

黒夜「うぜぇなぁ。オマエは私に一々突っかかんなきゃ気が済まんのか? ボケ」ジトー・・・

香焼「だからもぅ……とりあえず分かったから、喧嘩すんな」メッ


この委員長というか優等生キャラもウザいな。この手の輩は苦手だ。


香焼「それで、何が飲みたかったの?」チラッ

黒夜「は?」キョトン・・・

香焼「どのジュース?」ジー・・・

黒夜「どのって……これだ」クイッ


コーヒーソーダ-粗引きブラック味。


香焼「……、」タラー・・・

黒夜「んだよ」ジトー・・・

香焼「い、いや、その……相変わらず凄い自販機だなぁと」ハハハ・・・

絹旗「香焼。素直に『舌オカシイんじゃないの』って言ってやればいいんです」コクッ

黒夜「お前、マジ煩いわ。ホント黙れ」チッ

香焼「だから、もぅ……喧嘩する程仲が良いのかなぁ」チャリン・・・

絹旗・黒夜「「はぁ!?」」ギロッ・・・

香焼「睨まないでよ……よいしょ」ポチッ・・・ガタンッ


って……何してんだ、コイツ。


香焼「はい」スッ・・・

黒夜「は?」キョトン・・・

香焼「だから、ジュース。お目当ての」コクッ

黒夜「……、」ポカーン・・・


何故に?

私が買いたかったジュースを手に、突きつけてくるチビ男。何のつもりだろう。


香焼「何故って言われてもなぁ……とりあえず、これが欲しかったんでしょ。だからもう自販機蹴らないでよ」スッ

黒夜「え……あ、うん……っていやいやいや!」ポカーン・・・ハッ!

絹旗「香焼! 超狡いです! コイツ甘やかしちゃ駄目ですよ!」ニャー!

香焼「じゃあほら、最愛も選んで良いから」チャリン・・・

絹旗「わーい……って! それとこれとは話が違います!」ポチッ・・・ガタンッ

香焼「でもちゃっかり買ってるし」ハハハ・・・


冷たい坦々スープ。それ絶対美味しくないだろ。


絹旗「お前が言うな! 何ですかそのコーヒーソーダって。味覚まで第一位(白モヤシ)リスペクトしちゃってるんですか?」ウゲェ・・・

黒夜「いやいやいや。坦々スープって温かいから美味しいんだろ? しかもそれスープ単体で飲むモンじゃねぇし」タラー・・・

香焼(どっちもどっちだよね)ハハハ・・・

絹旗「まったく……って、そうじゃない! だからコイツを甘やかしちゃ駄目ですって」ムンッ

香焼「別に甘やかしてないよ。困ってたから助けただけっす」チラッ

黒夜「……別に困ってねぇよ」フンッ


とんだお節介焼きだな。


絹旗「ぐぬぬ。カミやん病の弊害が……こんにゃろー。感謝の一言も無しですか。これだから育ちの悪い子は!」ンモー!

黒夜「え? テメェと同じ研究所(場所)で育ってんだけど? あと、オマエだってありがとうの一言も言ってねぇぞ」ジトー・・・

絹旗「うっ……そ、そうでしたっけ……ジュースありがとー、香焼ー。ほら、言いました!」ヒューヒュー・・・

黒夜「都合いいヤツだな。こんなんに付き合ってて、オマエも大変だろ」フンッ

香焼「あははは。慣れたっす」コクッ

絹旗「誰がこんなんですか! 香焼も否定して下さい! このぅ……兎に角、お礼言わないならそのジュース寄越しなさい!」ブンッ!

黒夜「……、」ヒョイッ

絹旗「ふんっ!」バッ!

黒夜「やだ」ヒョイッ

絹旗「こいつっ!!」シュバッ!

黒夜「いーやーだ」ヒョイッ


ガキかコイツは……ガキだったな。
あれ? デジャビュ?


香焼「最愛、いいから」ヤレヤレ

黒夜「けっ……貰っといてやる」フンッ

絹旗「こ、のぉ!」ムキー!

香焼「最愛」ポンッ

絹旗「くっ……超覚えてなさい」ムググ・・・

黒夜「はい忘れた」ポカーン・・・


この阿呆を串刺しにしてやるつもりだったが、ジュースに免じて許してやろう。

しかしまぁ絹旗のこの体たらく。腑抜けたモンだなオイ。


絹旗「あー言えばこー言う……香焼! 行きますよ!」プンスカッ!

香焼「はいはい」ハハハ・・・

黒夜「……何処行くんだ」ジー・・・

絹旗「何処行こうが私達の勝手でしょう」フンッ

黒夜「ラブhおぶねっ!?」ゴガンッ!

絹旗「あ、あああ、ああ、あ、あ、アンタねぇ!!」カアアアァ///


コイツ取り乱してまた能力乱用を……図星か?


絹旗「んな訳無いでしょう! 超変態バカ夜!」ムキー///

香焼「ウチでご飯食べるんすよ。最愛、一人にしておくとファミレスばっかっすからね」コクッ

絹旗「ご、ご飯くらい炊けますよ! あとふりかけとインスタントのお味噌汁があれば」アタフタ・・・

香焼「結局、マトモな食事じゃないっしょ。身体壊すって」ヤレヤレ・・・

絹旗「む、むぅ」ポリポリ・・・


随分とアットホームな御様子で。コイツは絹旗の主婦(おかん)か何かか?
もしかして学校、繚乱? 男子って通えたっけ? あ、実はコイツ女男じゃなくて男女だったとか……それなら納得だな。


黒夜「ふーん……まぁ不純異性交遊も程々にな。いや、不純同性交遊か」テクテク・・・

絹旗「しませんっ! あと、ど、同棲なんか出来ませんよ!」ムキイィ///

黒夜「ははは。まぁ絹旗ちゃんにビアンの気があっても私は気にしないぜー」ケラケラッ

絹旗「さっきから超淫乱な言葉ばっか使ってぇ……変態! 超変態!」フシャアアアァ///

香焼「最愛……多分、同棲じゃなくて同性。同じ性別って事……また女と間違えられた」ハァ・・・


なんだ。違うのか。


絹旗「え? ああ、そういう……なら仕方ないですね。香焼は超女々しいですから」ウンウン・・・

黒夜「オマエ、フォローする気0だな。しっかし、単身男の家に飯食いに行くとはオマセさんだねぇ」フーン・・・

香焼「ウチには姉が居るし他の知り合いも来るから、その点問題無いっすよ。最近、夕飯は結構な人数で団囲むしね」コクッ

黒夜「あっそ。賑やかなこって」フーン


楽しそうな顔。最早、暗部の面影も無い……やっぱなんかムカつく。


??「といっても、増え過ぎな気もするぞ。あ、香焼。俺はこの『100%無塩野菜ジュース(ホット)』で」クイッ

??「君もその一端なのでは? 香焼、僕は『果肉入りコーヒー』だ」クイッ

絹旗「うをっ!?」ビクッ!

黒夜「な、何だコイツら!? どっから出てきた!?」ギョッ・・・

香焼「ステイル、軍覇……いきなり現れて、しかも当たり前の様にジュース奢らせないでよ」ハァ・・・


黒い外套着たバカデカいロン毛の外人と、見るからに暑苦しい鉢巻き白ラン野郎。

って……資料で見た事ある顔が居る。あの暑苦しいヤツは、あの有名な超能力者第7位(根性バカ)だ。


削板「女共には奢るのに、俺らには奢れないってか? 酷ぇぞ香焼」ショボーン・・・

香焼「あーはいはい。奢りますよー……いつから居たのさ?」チラッ

ステイル「君がそこの少女に説教始めた辺りから」チラッ

絹旗「全っ然気付かなかったんですけど」タラー・・・

ステイル「根性バカが『今出たら気拙いから隠れるぞ』と雑木林の方に……何故僕まで」ハァ・・・

削板「だって絹旗が喧嘩してるっぽかったしー。まぁもし香焼が2人の喧嘩に巻き込まれてピンチになったら助けに出て行ったけどな」ムンッ

絹旗「超必要ありません。香焼を守るのは私一人で十分です!」ムンムンッ!

削板「バーカ。香焼を守るのは俺の役目だっつの」フンッ

絹旗「世迷言を。アンタじゃオツムが超弱くて守れません。私が引き受けます」ベー


何でコイツら騎士気取りしてんの? しかもお姫様はこの優男?
あと絹旗ちゃん、貴女も頭残念な方だよね。お姉ちゃんちょっと心配よ。


ステイル「君は相変わらずヒロインなんだね」ハハハ

香焼「まったくもって嬉しくないっす」ハァ・・・

削板「遠慮すんなよ香焼。とりあえず、そろそろマンション向かおうぜ。お腹の虫が限界で……あ、ジュースは買ってね」クイッ

絹旗「自分で買いなさい。お金あるでしょう……というか貴方達今日もご飯食べに来るんですか?」ジトー・・・

削板「はい、定時です」キリッ

絹旗「何が『キリッ』ですか。超図々しいですね」ジー・・・

ステイル「お前が言うな、と言って欲しいのか?」カチッ・・・ジジジ・・・フゥ・・・

香焼「ステイル、公園で煙草喫わないでよ」ンモー・・・


わんやわんやと騒がしいヤツらだ。これ以上巻き込まれるのも厄介だし、そろそろ退散しよう。


香焼「―――あ、帰るの?」チラッ

黒夜「ん……これ、どーもな」テクテク・・・

香焼「うん。あ、黒夜さんも良かったらご飯一緒に」ジー・・・

黒夜「結構。帰って寝る」テクテク・・・

香焼「……そっか。じゃあ気を付けて」コクッ


喧しい連中に見送られながらこの場を後にする。
ほんと、ああいう和気藹々とした雰囲気は苦手だ。一気に毒抜けしてしまう……現に仕事の事、忘れちまった。

しかし、ふと思い出す。確かあの優男も私と『同類』だった筈では?
以前、絹旗のヤツが暗部に居たという事を知っていたとか何とか言ってたと記憶している。

それなのに……あの抜けっぷり。どういう事なのだろう。


黒夜「あーもー……さっさと寝よー」テクテク・・・


考えても無駄か。私に害が無いなら関係の無い事。とりあえず、コーヒーソーダの蓋を開ける。


黒夜「うん。拙い」ウィー・・・


だがこの味がクセになる。
兎に角、今日の事は忘れてとっとと寝よう。それに限る。

 ―――4馬鹿side―――



削板「―――あー、早く着かねぇかなぁ」テクテク・・・ギュルルルル・・・

絹旗「一々煩いですね。あと、それお腹下った時の音じゃないですか?」テクテク・・・

削板「正真正銘腹の虫です……って、不良神父。歩き煙草すんな」テクテク・・・ジトー・・・

ステイル「ん?」テクテク・・・プカー・・・

絹旗「これだから喫煙者は」ヤダヤダ・・・

ステイル「別に迷惑掛けてないだろ」ワッカッカ・・・

削板「大アリだ。受動喫煙だ、受動喫煙。あと風紀委員や警備員に補導されんなら俺ら巻き込むなよ」ケホケホッ

香焼「因みに、喫煙地区以外での喫煙が警備ロボに見つかったら通報されるからね。マジで気を付けた方が良いっすよ」チラッ

ステイル「だ、大丈夫だろ」タラー・・・

香焼(煙草が原因で都市側に補導されたら、姉さんや土御門がブチ切れるだろうなぁ)ハハハ・・・

絹旗「ふーん……あ、警備ロボ」ピッ

ステイル「っ!?」バッ!! タバコポイッ!!


 しーん・・・・・


ステイル「……え」キョトン・・・

削板「おwwwまwwww」プルプルプルプル・・・

絹旗「超wwwビwwビwwリwww」ニャハハハ!

ステイル「な! ま、や、喧しい!!」マッカッカアァ///

香焼(まんま不良ぶってる中学生っすよ)クスッ



 にゃーん・・・・・



削板「ところで、さっきの誰だ?」チラッ

香焼「え。うーん、何というか……最愛の姉妹分」チラッ

ステイル「彼女の? 全く似てなかったが、何の姉妹分なんだ?」フム・・・

絹旗「……超色々あるんですよ。オイエジジョーってヤツです」テクテク・・・フンッ・・・

削板「ふーん……因みに、どっちが姉ちゃん?」ハテ・・・

絹旗「私です」キッパリ!

香焼「そうなの?」キョトン・・・

絹旗「誰が何と言おうと、私が姉です」ハッキリ!

ステイル「ん? 理由は?」チラッ

絹旗「ありませんが、私が超上です」ムンッ!

野郎's『……、』ジー・・・

絹旗「な、何ですかその目は」ウッ・・・

削板「いや、別に。(絹旗が妹だな)」テクテク・・・

ステイル「双子、という事で纏めておこう。(此方が妹だろうね)」テクテク・・・

香焼「ま、まぁ姉妹なら仲良くしないとね。(最愛お姉ちゃん……無いわー)」テクテク・・・

絹旗「あれ、何これ?! 超馬鹿にされた気がします!!」フシャー!!

すいません、短いですが今日は此処まで。
なんか絹旗がお馬鹿キャラになってる……どっかで汚名返上させないと!

今回はギャグ路線でいきたいんですが、正直アヤフヤなプロットなので、安価協力お願いするかもしれません。

とりあえず、また次回! ノシ”

乙かれ
>>77その辺とやるかやらないかめおまかせするけど
もう出会ってる設定なら回想になるよね?

こんばんわ。ボチボチ、がんばるん。
あと適当に安価協力頼むかも。

>>92・・・回想はさっくりやりますよ。ほんとサラリと。

 ―――とある休日、AM10:30、学園都市第7学区、とある公園(イカれ自販機在中)・・・香焼side・・・




世間様でいう休日の御昼前。公園には学生達が疎ら疎らに足を運んでいる。
ある者はボール遊びを、ある者はかくれんぼを、またある者は近道がてら通り過ぎるだけだったり。
そんな中、僕は最早定位置(ポジション)と言っても過言ではない自販機近くのベンチに座っていた。


香焼「……もうちょい時間掛るみたいだ」カチカチ・・・

もあい「みゃー」ゴロゴロ・・・


目的は友人との待ち合わせ。今日は映画を見に行く予定だ。
馬鹿姉からは『今日もデート?』とか茶化されたが、別にそんなのではない。寧ろ―――友人には失礼だが―――苦行だ。
彼女が観る映画は正直……酷い。何が酷いかというと、全部。兎に角総じて面白くない。

既に何度か彼女の映画に付き合ったのだが、精神力が削れた。観るに堪えない。

本来、彼女と映画を観に行く筈の兄貴分がいたのだが『頼む、代わってくれ……無理ならせめてローテーションで!』と懇願された為、
現状に至っている。最初は泣く程嫌なのか、と苦笑していたが……甘かった。付き添えば分かる。アレは地獄だ。


香焼「他に一緒に行く人いないのかなぁ」ハァ・・・


彼女―――絹旗最愛の交友関係を考えてみる。残念ながら、友人が多い方では無い。
元々極度な人見知りな上に、人と接する機会が少なかった彼女。友達と呼べる人間が少ないのも仕方のない話か。
しかし、最近は多少心を開いている様で、ボチボチ友と呼べる人間を増やしている。

だが流石に、彼女の『周りにはちょっと理解出来ない趣味』に付き合える程、親しい友人はまだいないっぽい。


香焼「まぁ別に自分か浜面さんが時間作れば良いだけの話だもんね」ハハハ・・・

もあい「にゃう?」チラッ・・・


基本的に自主的な行動を取らない彼女。変な趣味とはいえ、自発的になるチャンスを潰してやるのは勿体無い。
普段は誰かが誘わなければ家から出ようともしないのだが、WWⅢ後『仕事』を辞めた今、このままヒッキーちゃんになられても難だ。
折角、日の下に立てるチャンスが廻って来たのだ。存分横臥させないと。


香焼「自分に出来る事なんてタカが知れてるっすけどね」ポリポリ・・・


せめて一緒に居てやれるくらい。あとはまぁ苦手分野の勉強教えたり、子猫(こいつ)を預かったり。
尤も、自分も暇人では無いので常に一緒に居てやれる訳ではない。僕の『仕事』と先約が無い時に限る。

ただ、最近は戦争ムードが終結した御蔭か大分任務は楽になってきてる。
都市内では、都市の動向間諜よりも重要監視(保護)対象―――禁書目録と上条当麻さんの見張り(という名の遠巻きな護衛)が主となっている。
英国に戻っても、都市での報告書きと教会関係者(お偉いさん)の慰安訪問護衛など、簡単な任務が殆ど。
偶に厄介な『魔術(場合によっては科学や軍事)結社』を相手にする仕事もあるが、大体は短期決戦で片付けるので時間は掛らない。


香焼「まぁ、自分は大抵後方支援だからなぁ……はぁ」ジー・・・

もあい「なぅ」ペシペシッ


天草式の教徒の中でも若輩者たる自分は一介の戦力としているには、まだまだ小っぽけ過ぎる。


香焼「もっともっと頑張らないとね」ボー・・・


アンニュイ、、、上の空でボンヤリもあいを撫でている……そんな時だった。


??「ん? よぉ」テクテク・・・

香焼「ぇあ?」ポカーン・・・

??「香焼じゃないか」テクテク・・・


足音が近付いてくる。やはり僕を呼ぶ声。そしてこの声の主は……


上条「うっす」テクテク・・・

香焼「上条さん」ペコッ


……我らが英雄殿。上条当麻氏。


上条「どうしたんだ、こんなとこで」ノシ

香焼「ちょっと待ち合わせを。上条さんは……あー」ジー・・・


休日なのに制服姿。学園都市じゃ休日も私服という校則がある学校も珍しくは無いが、彼の場合は違うだろう。


上条「おいおい、勝手に補習って決めつけんなよ」ハハハ

香焼「あれ? 違うんすか?」キョトン・・・

上条「まぁ、うん。半分当たりなんだけどな……朝一で提出物置いてきただけだ。ったく、休日なのに先生も人が悪い」フコウダ・・・

香焼「……あははは」ポリポリ・・・


月詠さんも忙しい事で。


香焼「それじゃあ今からお帰りで」ジー・・・

上条「ああ。まぁ今日は風斬がインデックスの事見ててくれてるからゆっくり帰るよ……隣良いか?」ヨイショッ

香焼「あ、はい」アタフタ・・・

もあい「にゃ」スタッ


ベンチを占領していたもあいが僕の膝の上に乗り、上条さんがそこに座る。何だか緊張するなぁ。


上条「あー平和だー」ボケー・・・

香焼「そうっすね」ハハハ・・・

上条「当たり前の事なんだろうけどなぁ」ボケー・・・

香焼「その筈なんすけどね」アハハ・・・


幸か不幸か、何故か常にその対極に居るのがこの人だ。


上条「そいやぁ最近如何だ。姉達と上手くやってるのか?」チラッ

香焼「ええ。それなりに……五和と浦上の破天荒にはボチボチ慣れました」ポリポリ・・・

上条「そっか。でも五和が破天荒ってのは未だに信じられないな」ウーン・・・


アイツ、超猫被ってますよ……とは言わないでおいてやる。感謝しろ。


上条「神裂は?」フムフム・・・

香焼「姉さんは相変わらずっすけど、丸くなりましたね。良い意味で」フフッ

上条「確かに。でもそれはやっぱ香焼とか五和達の御蔭だろ?」チラッ

香焼「だと嬉しいんすけど。都市での友達の影響も大きい様で」コクッ

上条「ああ、麦野さんとか固法さんとかか……しっかし、この繋がりも統一性無いよな」ハハハ

香焼「そうっすね」クスッ


片や一、宗派の教皇。片や、元暗部のリーダー。片や、風紀委員の支部長。
何というか……恐ろしくベクトルの違う三人が仲良くやってる。

三者三様だからこそ上手くやっているのかもしれない。とりあえず、要は『一般人』たる固法さんか。
彼女が中に居てくれるからこそ、姉さんと麦野さんとのバランスが取れているのだと思う。


上条「ま、色々あるけど人間臭くなったんだろ」ニカッ

香焼「はい」フフッ


それはそれは、嬉しい事。
人として生まれ落ちたものの、その身に背負った運命はあまりに大き過ぎた。故に人の心を殺し、祀られるがまま聖人を全うしてきた。

教徒である僕らは何も出来ず、指を咥えて見てるだけ……しかし、新しい風が舞い込んだ。


香焼「一番は、上条さんの御蔭っすよ」コクッ

上条「ははは。俺は大した事してないさ。思った通り動いたらこうなっただけ」ポリポリ・・・

香焼「でも結果的に、凄い事っす」ジー・・・


誰にも出来なかった事だ。あの方の心を開いた。人としての心を取り戻してくれたのだ。
姉さんだけじゃない。あの偏屈なステイルも同じ。少しずつだが、歳相応になってきている。


上条「そうだな。現に2人ともインデックスとの蟠(わだかま)りが解けてきてるっぽいし……ステイルはもうちょい掛るか」ハハハ・・・

香焼「ええ。アイツは意固地っすから」フフッ


それでも普通に話せる程度には戻った。


上条「何でもアニェーゼ達が説教したとか聞いたけど、マジか?」フム・・・

香焼「え? あー、うーん……説教っちゃ説教っすかね」ハハハ・・・

上条「特にアニェーゼだけど、アイツら犬猿の仲なのに。よくステイルが黙って聞いたな」タラー・・・

香焼「黙ってなかったっすよー。もう一触即発寸前で大変だったんすから」ハァ・・・


悲劇のダークヒーローを気取る不良神父に、それ以上の不幸な過去を持つ彼女が喝を入れた。(第9話参照)


上条「ん。不幸を天秤に図るのは難だけど、確かにアニェーゼやアンジェレネ達の過去の方が悲惨そうだよな」ジー・・・

香焼「深くは聞いてないっすけど、一人の女性から忘れ去られる辛さと、家族を殺された辛さ……傍から聞けば、ね」フム・・・


とりあえず、ステイルを説得出来るだけの弁だった。ただ納得は出来てなかった様子だが。


上条「お固いこって」ハハハ・・・

香焼「でも、大分柔らかくなったんすよ……頑固なのは子どもだからかな」フフッ

上条「アイツの事、同年代扱い出来るお前も凄いよ」コクッ

香焼「仕事抜けばステイルはガキっすよ。身長と煙草のせいでそう見えませんけど、結構流行りの話とかしますし」ウンウン

上条「想像付かない」キョトン・・・

香焼「元のイメージがイメージなんで仕方ないのかと。姉さんも同じ理由っすね」アハハ・・・

上条「神裂もか……でも最近はインデックスとメールしてるってんだからビックリだよな」クスッ


最近じゃ普通に携帯弄るし、ゲームもする様になった姉さん。聖人が俗っぽくなって如何すんのと上から怒られそうな体たらく。
でも、その姿こそ、僕らが望んでいたモノ。

ただ『そうあれかし』と紡いでいるだけじゃ何も始まらない。


香焼「……そういう風に皆を引っ張ってくれたのは貴方っす」チラッ

上条「買い被り過ぎだよ。さっきも言った通り、俺は我儘通しただけ」ポンポンッ

香焼「その我儘を通すってのが難しいんすよ」ウーン・・・

上条「そうかなぁ……普通だよ、普通」ポンポンッ


この我儘こそ最大の武器。『幻想殺し(右手)』も勿論の事ながら、彼の一番の強さは折れない心。
ある種の超人。何物にも干渉されない右手、何者にも干渉されない心。


上条「いやいや。そんな化け物みたいな……まぁ敢えていうなら究極に人間臭いだけだろ、俺って。あれ? これ自虐?」ポリポリ・・・

香焼「でも皆そこに魅かれるんでしょう」フフッ

上条「うーん……生意気なヤツ。中坊のクセに理屈っぽいわ」クシャクシャ・・・

香焼「えへへ、すいません」ポリポリ・・・


よく言われます。


上条「でもさ、俺からしてみりゃお前も凄いよ」ポンポンッ

香焼「え」キョトン・・・

上条「だってさぁ。自分で言うのも難だけど、俺って正直やりたい事やったらその後ブン投げるタイプじゃん」アハハ・・・

香焼「そ、そんな事無いっすよ!」ブンブンッ

上条「いや、そうだと思うぞ。インデックスは別として、殆どの事件のアフターケアなんてしてないだろ」コクッ


そう言われてみると……そんな気も。
しかし、彼に感化された連中は皆目一同『更生』しているので、そんなにアフターケアなど必要としない。


上条「メンタルな話はそうかもしれない。でも終わった事は必要悪の教会だったり土御門だったりゲコ太先生(冥土帰し)に任せっぱだ」タラー・・・

香焼「それは……だって、上条さんは元々一般人っす。そこまでやってもらう義理は無い」チラッ

上条「だから、そこなんだよ。そういう点で俺は卑怯だと思うぞ。一応、気には掛けてるけど基本、投げっ放しの無責任」ポリポリ・・・

香焼「いやいやいや」ブンブンッ


確かに……そう言われると反論できない。
それでも、彼の場合。彼のフォローをしてくれる仲間が居るという強みもある。

発起から事後処理まで含め、彼の『勢力』が動く。それも世界規模で動くというトンデモない仕組みだ。


上条「はぁ……煽てるのが好きだな、香焼」ポンポンッ

香焼「いや、本当の事言ったまでっすよ」コクッ

上条「はいはい……話戻すけど、お前の凄いとこは『今』じゃなく『後の事』を考えてるとこ」ポンポンッ

香焼「……え?」キョトン・・・


何だそりゃ。

何て言えばいいのかな、と小首を傾げ、閃いた様に言葉を発した。


上条「そう! 後先考えつつも、立場上色々大変なのに頑張って『平穏』してるってとこだよ」フフッ

香焼「そ、そんなそんな! 上条さんに比べれば自分なんて!」アタフタ・・・

上条「俺は無能力者(レベル0)の一、学生だから自由に動けるんだ。土御門がそんな事言ってたよ。まぁ動かし易いとも言えるか」ハハハ・・・

香焼「い、いやぁ……そこは自分の口からは何とも」ポリポリ・・・


仮に、上条さんの『幻想殺し』に強度(レベル)が付いてたら『学園都市の能力者(所有物)』として厄介な扱いになっていただろう。
あの超能力者第一位(レベル5最強)の一方通行を倒した件だって、彼が無能力者(レベル0)だったからこそ。
でなければ量産型能力者(レディオノイズ)計画が根本から覆される事は無かった……のだと思う。


上条「お前は魔術師ながらもこの都市で任務こなし、学生して、色んな連中と『日常』『平穏』してる」ポンッ

香焼「それは他の潜入学徒達も一緒っす」ムゥ・・・

上条「確かに香焼以外の天草の学徒陣もそうしてるのかもしれない。でも基本『任務だから』やってるだろ」ジー・・・

香焼「自分も、任務っすよ」ウーン・・・


別段、他の学徒と違いは無い。


上条「ふーん……じゃあ、神裂やステイル。浜面んとこの絹旗とかと仲良くしてるのも任務だからか?」チラッ

香焼「そ、そんな訳ないでしょう」ジー・・・

上条「だよな。体裁だけで考えりゃお前は一介の教徒だろ。でもって、あの2人は雲の上程偉い『位』の筈」コクッ


主教補佐に己が教皇。実は五和でさえ若衆筆頭で、自分が気軽に話せるレベルでは無い。


上条「でもお前は家族として、友達としてアイツらを支えてる。俺とは比べ物にならないくらい親密にな」ポンッ

香焼「で、でも上条さんは特別で」アタフタ・・・

上条「だったら香焼だって特別さ……お前も頑固だな。少しは自分の事認めてやれよ」ナデナデ・・・

香焼「そんな! 恐れ多いっす」カアアアァ///


恐縮。自分はそんな大層な人間じゃない。


上条「絹旗だって、今はもう『卒業』したらしいけど、昔は『暗部』ってヤツの一員だったんだろ」ジー・・・

香焼「え、あ、その……はい」ムゥ・・・

上条「その時から仲良くして、どうにか『表』に引き上げ様と頑張ってた。結標さんもそうだったか」チラッ

香焼「でも、結局どうにかなっちゃいましたね」アハハ・・・


WWⅢ終戦後、僕やカオリ姉さんが何をするでもなく暗部としての『アイテム』は解散してた。
結標さんも一線から足を洗ったと見える。


上条「それでも凄いのは我慢した香焼だよ」ポンポンッ

香焼「よく分かりません」キョトン・・・

上条「正直、俺が香焼と同じ立場だったら我慢出来ずに麦野さんに喧嘩売ってただろうな」ハハハ・・・

香焼「……そうっすか」ジー・・・


確かに、愚直なまでに己が信念を曲げないこの人なら麦野さんと殺し合いになっても暗部を解体させようとしただろう。
でもきっと、成功する。この人は麦野さんを殺さずに、麦野さんに殺されずに全てを解決する……そう思う。

そうなってたなら、きっとフレンダさんだって……


上条「香焼」ジー・・・

香焼「あ……すいません」ムゥ・・・


死者は生き返らない。


上条「IFの話は無駄だよ……兎に角、暗部の『現状』に関しちゃ浜面や一方通行が頑張った結果だろ」ポンポンッ

香焼「はい……感謝してます。上条さんと同じくらい」コクッ

上条「うん……ただ」ピッ

香焼「え?」キョトン・・・


話戻すけど、と苦笑した。


上条「あの2人も俺と同じで、後の事までは深く考えなかったと思うぞ」アハハ・・・

香焼「後の事、といいますと?」ポカーン・・・

上条「例えば絹旗だけど……浜面から聞いたんだが、アイテム以外に友達居ないだって? あ、いや、居なかったのか」チラッ


今は僕や軍覇、佐天さん達が親しくしているが……確かに最愛は人とコミュニケーションを取るのが苦手だ。
初対面の人だと尚の事。基本的に無愛想なまで沈黙してるか、その場から逃げ出す。もしくはプッツン切れて……危険な状態に。


上条「自分が友達になってやるだけなら簡単だ。でも、お前はその『先』を考えてる」ポンッ

香焼「……分かりません」ムゥ・・・

上条「出来るだけ『普通の少女』に。せめて学校に通える程に更生してやろうとしている。違うのか?」

上条「滝壺は同じ事を考えてるかもしれないけど浜面はそこまで考えてなかったと思うぞ」コクッ

香焼「お、大袈裟な。そういうのは月詠さんや黄泉川さんの仕事っすよ。自分は……浜面さんと同じっす」ハハハ・・・

上条「……謙遜だな」ポンポンッ

香焼「いえいえ」モジモジ・・・

上条「絹旗だけじゃない。ステイルや第7位(削板)。英国に居るアニェーゼやレッサーも……全部含めて『平穏』にしようとしてる」コクッ


強くも何ともない自分には『一般人(ガキんちょ)レベル』で、皆と仲良くする事くらいしか出来ない。


上条「そういうの大事だと思うぞ。例えば、アニェーゼの部隊やレッサー達のチームは外様(とざま)で居心地悪い筈だ」

香焼「そんな事無いっすよ。ステイルや女教皇様始め、皆良くしてるっす」

上条「でもインデックスや土御門が言うには、英国も一枚岩じゃないんだろ?」


確かに、皆が皆そういう目で彼女らを見てないだろう。外様は何処までいっても外様だ。
女子寮の方々や姫様達は基本良い人だが……教会及び協会、騎士団の『右派』辺りからの外様に対する風当たりは厳しい。

現にアニェーゼ部隊や嘱託結社の新たなる光に与えられる仕事は、本隊がやりたがらない汚れ仕事や面倒仕事が殆ど。
因みに、天草式(ウチ)の部隊は教皇が英国教会の中でも良いボジションに居るので、まだマシな仕事が回って来る。


上条「難しい話はよく分かんないけど、そういうイザコザって嫌だよな」ポリポリ・・・

香焼「ええ。顔も分からない背広組(大人)が勝手に決めてる事っすからね」ハァ・・・


それに関しては自分や五和レベルが如何こう言ったところで変わらない。どうしようもない事。
だからせめて、日常くらいは子供らしく暮らしたいのだ。

子供が子供らしく、そうありたいだけ。


上条「子供は『子供らしく』なんて、客観的な事考えないぜ。まぁでもアニェーゼ達からしてみりゃ嬉しいんだと思うよ」ナデナデ・・・

上条「要は同年代として……同級生(クラスメイト)的なノリで接してくれる人が居るって事だ」ハハハ


成程、分かり易い。


上条「しっかし、お前らに『子供らしい』云々言うのは難だよな。魔術師に年齢なんて関係無いんだろうけど」フム・・・

香焼「基本、秘匿性さえしっかりすれば関係無いっすからね」コクッ

上条「へぇ……まぁそれ抜きにしても、お前はガキっぽくないな。やろうとしてる事は『普通の子供』のそれなのに、考え方が大人だ」ポンポンッ

香焼「うーん……まぁ理事校でチャイルドソルジャーの人口増について学んだりすると、考えさせられちゃいますから」ポリポリ・・・

上条「中学生でそんな授業すんのかよ」タラー・・・

香焼「専攻次第っすけどね。自分は宗教論と国際政治メインなんで。副専攻は都市運営っす」

上条「……理事校パネぇわ」アハハ・・・


WWⅢ前後での子供兵士の率は異常だ。20世紀末のおよそ2倍。尤も、これは隠れていた数字が咋(あからさま)になったとも捉えられる。
それはこの街の暗部や、各宗教の戦闘修道士(魔術師)達の年齢比率を考えれば顕著に分かる。


香焼「この世界は異常っす。子供が戦場に立ち過ぎる」ジー・・・

上条「お前が言うなって言われそうだな」ハハハ

香焼「た、確かにそうなんすけど……えっと、未成年が武器を持つ時代なんて20世紀で終わりの筈だったんすけどね」

上条「そうなのか? うーん……とりあえず、単純に考えて子供が戦うってのは良くないよな」

香焼「はい。自分らが大人になって、自分らの子供が出来る頃には『子供兵士』なんて言葉を無くしたいっすね」


到底不可能だろうけど、ちっぽけな僕の願い。前線に立つ未成年の魔術師や暗部を減らしたい。
ついでに、実験動物の様に人身売買される子供達や、この街の社会現象たる『置き去り(チャイルドエラー)』なんかも無くしたい。


上条「だから、まずは身近なところから……だろ? やっぱ『先』の事考えてるじゃないか」ポンッ

香焼「……、」モジモジ・・・///


『先』とか『後の事』とか、あんまり意識はしてなかったが、そうなのかな。


上条「ははは。まぁ頑張れよ」ポンポンッ

香焼「……あ、ありがとうございます」モジモジ・・・///

上条「しっかし、俺も頭が良かったらお前とか土御門みたいに10手100手先まで見通して動けるんだけどなぁ」ハハハ

香焼「考える前に行動しちゃうって事っすか?」チラッ

上条「そうそう。お前らは考えてから行動するだろ? よく分からんけど、インデックスとか御坂にもそれで怒られるかな」ポリポリ・・・

香焼「土御門は確かにそうかもしれないっすけど……自分は考え過ぎで動けなくなったりしますから」アハハ・・・


そういう点では勘だけで動ける軍覇や、考えながら行動出来る最愛やステイル、
思いっきりで勝負に出るレッサーやアンジェレネ、物事を即決断できるアニェーゼやサーシャは羨ましい。


上条「はははは。頭の回転が良いのも困ったもんだ」ポンポンッ

香焼「これが任務なら命取りっすよ」モー・・・

上条「そうだなぁ……まぁでも任務中に動けなくなる様な事はそうそうないだろ」ツンツン・・・


そう願いたい。誰しも、うっかりミスなんかで死にたくはない。

魔術師が人並みに死ねると思うな、とステイルは謳っているが……別に普通に天寿を全うしても構わないと思う。
『今』の姉さんを見てれば、特にそう思える。

魔術師だろうが能力者だろうが、人間だもの。


上条「どうも、ステイルやら一方通行やら……ああいう手合いのヤツらは地獄に行きたがるよな」ハハハ・・・

香焼「第1位さんは分かりませんが、ステイルは厨ニっすから。年齢的にも」クスクスッ

上条「だな」アッハッハ


存外、地獄も良い所なのかもしれない。


上条「まー、アイツは戦闘とかじゃなくて肺癌で死ぬと思うのは上条さんだけでしょうか?」ニヤニヤ・・・

香焼「いえいえ、皆言ってます」クスクスッ


でも本人は、本望だ、とか言うから困ったもんだ。


上条「でも周りが気に掛けてくれてるんだからアイツも幸せモンだよ」ジー・・・

香焼「ええ」コクッ


死んだら悲しんでくれる人がいるってのは、救いなんだろう。


上条「『さよならだけが人生だ』ってヤツか。授業でやった様な」ウーン・・・

香焼「井伏鱒二っすか……それ使い所違いますよ」アハハ・・・

上条「え、マジ?」タラー・・・


『さよならだけが人生だから、今この出会い、時間を大切にしよう』という意味だが……まぁこの人らしい。


上条「か、上条さん馬鹿だから分からんのですよ」チーン・・・

香焼「ま、まぁまぁ」ハハハ・・・

上条「賢ぶって難しそうな詩を使ってみたら、中学生に違うよと指摘されたでござる……ってか」ハハハ

香焼「何キャラっすか」プッ


面白い人だ。


香焼「……でも、良いな」ボソッ

上条「ん?」チラッ

香焼「あ、いや何でも」アハハ・・・


やはり、男の人と一緒に居るのはホッとする。普段が女ばかりだからかな。


上条「ははは、確かに。香焼は女家族の末っ子長男って感じだもんな」ポンッ

香焼「ええ……久しぶりに建宮さん達と同部屋になったりするとはしゃぎたくなったりします。変っすかね」アハハ・・・

上条「んー、環境じゃねぇか? そういう上条さんも、ほら。普段(居候)が普段(女の子)だし……気持ちは分かるぞ」ポンポンッ

香焼「そ、そうっすよね! やっぱり!」ウンウン!


良かった。この人はステイルとか軍覇みたいに、馬鹿にしたり呆れたりしない。やっぱ英雄さんだ!

大袈裟だな、と苦笑する上条さん。しかし共感して下さるだけで嬉しいのですよ。


上条「色々悩んでんだな。ま、いつでも相談しろよ」ナデナデ・・・

香焼「ありがとうございます」エヘヘッ///


天草式の兄貴分達と違う感じの……お兄ちゃん、的な……い、いやいやいや! 何考えてるんだ僕!
そんなそんな恐れ多い事を! この人は英雄さんだ。『お兄ちゃん』だなんておこがましいにも程がある。


上条「ん? どうした? 何赤くなってんだよ」ツンツンッ

香焼「うぇ!? い、いえ! 何でも……あはははは」ポリポリ・・・///

上条「???」キョトン・・・


いけないいけない。


上条「まぁ良いが……何か俺ばっか色々聞いちゃったな。お前も色々聞いていいぜ。力になるか如何か分からないけど、話くらいは聞くよ」ポンッ

香焼「え!? あ、えっと……その」ウーン・・・

上条「何でもいいさ。仕事の悩みでも日常の悩みでも愚痴でも。応えられる範囲なら質問でも」ポンポンッ

香焼「し、質問っすか?」ジー・・・


聞きたい事は山ほどあるのだが、どうしよう……とりあえず―――



・安価          >>105        



女の子の扱いについて

―――じゃあ、そうだな。


香焼「ざっくばらんっすけど、上条さんは女性に如何接してますか?」ジー・・・

上条「え?」キョトン・・・

香焼「えっと、何ていうのかな。心持とか、実際の対応とか」ポリポリ・・・

上条「いや、それを聞かれましても……上条さんが聞きたいくらいなんですが」アハハ・・・


どの口言いますか。


香焼「じゃあ、例えば禁書目録に対しては?」

上条「インデックス? あいつの扱いかぁ……『飯』だな」キッパリ・・・


言うと思ったが、それ以外で。


上条「それ以外ねぇ。まぁなんだ……一番はやっぱり、危険な事に巻き込ませたくないよな」ウン・・・

香焼「それは女の子だからというより、『禁書目録(あの子)』だからっすか」フム・・・

上条「あいつに関しては、ちょいと特別だしな。応えるのは難しいかもしれない」ハハハ・・・

香焼「じゃあ仮に、彼女を『女の子』として見て、如何接してます?」ジー・・・


これ、皆結構気になってる所。


上条「む、難しいな……うーん、あいつを女の子としてねぇ……、」ポリポリ・・・


『ウーン・・・ムゥ・・・』と大分唸っている。そんなに悩む事なのか。


上条「えっと……悪い。あいつに関してはあんまそういう事考えたくないんだわ」ポンッ

香焼「え」ポカーン・・・

上条「その、さ。一緒に暮らしている以上、男だとか女だとか考え出すと……な」ポリポリ・・・

香焼「……あー」フムフム・・・

上条「お前だってそうだろ? 五和達は姉弟みたいだからっつっても、正直血は繋がってない訳だから色々意識しちゃうと――」ハハハ・・・

香焼「ありません」キッパリ

上条「――居辛、く……え?」ポカーン・・・

香焼「ありません」キッパリ・・・

上条「ま、マジ? あ、でも上司と部下っていう関係あるから公私がしっかりと―――」

香焼「カオリ姉さんはそうかもしれないっすけど、五和と浦上はありえません」キッパリ・・・

上条「―――そ、そうか」タラー・・・


申し訳無いが『僕と五和&浦上』と『上条さんと禁書目録』との関係とは大違いだ。

しかし、まぁ……上条さんが彼女に対して『そういう感情(意識)』を持ち合わせているのだと分かっただけでも吃驚だ。
『意識はしない様にしてる』という事は、可能性は0では無いんだろう。


上条「でもインデックスは俺の事、男子として見てないだろうからなー。俺の心配は杞憂だろうよ」ハハハ

香焼「……、」フフッ


そんな訳が無かろう。この話を聞いたら禁書目録はこの人に噛み付きつつも、ニヤニヤしてしまうだろう。

いや、しかし例えの相手が悪かった。


香焼「それじゃあ御坂さんは? しょっちゅう絡んでくるでしょう」ビリビリト

上条「御坂の扱い? 適当だよ」サラッ

香焼「はい?」キョトン・・・


アンタ何言ってますの?


上条「いや、だって基本喧嘩売ってくるし。だから適当に相手したり、忙しかったら流したり逃げたり」ウンウンッ


こればかりは、普段の御坂さんが悪いな。


香焼「じゃ、じゃあ喧嘩以外で」アハハ・・・

上条「喧嘩以外って……罰ゲームとか俺の事荷物持ちに使ったりとか?」ウーン・・・


それをデートと言うんですよ。


香焼「ええっと……『女子』として、御坂さんとの接し方は?」ハハハ・・・

上条「御坂を女子としてみる? うーん……御坂、かぁ」ポリポリ・・・

香焼「禁書目録もっすけど、容姿端麗で才色兼備な方だと思いますよ」コクッ

上条「……2人とも『黙ってれば』な」タラー・・・

香焼「う」タラー・・・


否定してやれない。ごめんなさい、2人とも。




 ***********


御坂「―――黒子」カチッカチカチカチッカチッ・・・ボソッ・・・

白井「今の今までカチカチカチカチとリ○ム天国やってたくせに、急に真面目な顔して何ですの?」キョトン・・・

御坂「……私、クーデレキャラ目指してみる」サラッ・・・

白井「は? ぇ……そーですか。ご健闘をお祈りします。(いつもの病気か……ツンデレの権化が何を言ってんですの?)」ボウヨミー・・・



 ***********



禁書「―――ひょうか」モグモグッ

風斬「えっと、口の中に物を入れた状態で話をするのは……よくないかな」インデックスノオクチフキフキ・・・

禁書「んぐっ! ぷはー……私、クールビューティーに教えを請うてみたくなったんだよ」キリッ・・・

風斬「え、あ、そ、そう……頑張ってね。(何を真似るのかな? 上条くんの為に……小食見習うの、かな?)」アハハ・・・

兎に角! そういう事を聞きたいのではない!


香焼「じゃあ彼女も仮に『女の子』として見ると、でいいっすから」ハァ・・・

上条「むー……じゃあやっぱり『適当』だよ」コクッ

香焼「ホントに?」エ・・・


随分と冷淡だ。


上条「いや、『適当(ゾンザイ)』に扱うって訳じゃないさ。『適当(取り繕う必要も無し)』に相手出来るって意味だ」コクッ

上条「あいつは気兼ね無く何でも話せるよ。勿論、魔術サイドに関しては控えるけど、それ以外なら何でも」ウンウンッ

香焼「……信用してるんすね」フムフム・・・

上条「信頼さ」ハハッ


しかし、この感情は一方通行さんや浜面さん達に似た想いなのではなかろうか。


上条「あ、そうだ。それだわ」ピンッ

香焼「はい?」ポカーン・・・

上条「女子としてだろ? 何だかんだいっても、あいつは女の子だ。だから野郎達とは違うよ」コクッ

香焼「といいますと?」フム・・・

上条「あんまり戦わせたくないよな。あとガサツな事もして欲しくない。男以上に男勝りだろ、あれ」ハハハ

香焼「確かに」ハハハ

上条「さっき子供らしくって言ってたけど、あいつの場合は『女の子』らしくして欲しい……かな」ポリポリ・・・

香焼「御淑やかにしてろ、って事っすか?」

上条「性格上そりゃ無理だろうからさ。だから、常に前に立っててやらないととは思う。騎士気取りって訳じゃないが守ってやんなきゃな」コクッ


真っ直ぐな目で『それが男だろ』と告げた。


上条「ははっ……古臭いかな。今時女性は男の後ろに居なきゃ駄目なんだって考え」ポンッ

香焼「いえ、恰好良いっす」コクッ

上条「そういう点では神裂とか五和にも、同じ事考えちゃうよ。勿論、皆俺なんかよりも強い女性ばっかなんだけどさ」アハハ

香焼「いえ、上条さんは強いっす」フフッ

上条「いやいや。まぁ総括すると……俺は流され易い。特に女性には頭が上がらない。こればかりは『血』だからしゃーないな」ハハハ・・・

上条「でも、何だかんだいっても女性は弱いんだ……いや、強いんだけど、弱い……んー、説明難しいな」エット・・・


ニュアンスは分かる。精神的な沸融点が低いのは女性だと本で読んだ覚えがある。
加えて、当たり前だが男性に比べて女性の身体能力は下がる。


上条「簡単にいえば、時に寛容に。時に厳しく……だな。当たり前過ぎたか」ハハハ

香焼「いえ。参考になります」ペコッ


言うは易し。起すは難し……この人の様に、実行できる器になりたい。


上条「あ。でも正直最近やり過ぎかなぁって反省したりもするんだわ……やっぱ女性殴っちゃ駄目だよなー」アハハ・・・

香焼「え、えっと……あはは」タラー・・・


残念ながら自分にはその度胸がありません。出来るものならやってみたいが……返り撃ちだろうな。

こんばんわ。遅くなってすいません、、、ボチボチ投下!


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―――……それじゃあ今度は、男友達について。


上条「はぁ。これまた普通な質問を」

香焼「話とか遊びとか、参考にしたいんで是非教えて欲しいっす」

上条「参考っていってもなぁ。普通だぞ、普通。多分お前と同じ様なもんかと」チラッ・・・

香焼「……、」ジー・・・

上条「……香焼?」キョトン・・・


その……何というか……えっと……うん。察して下さい。


上条「……え」タラー・・・

香焼「……、」ジー・・・

上条「い、いや、いやいやいや。お前、天草式では男の仲間多いだろ」アハハ・・・

香焼「男性陣の殆どは年上っす。学徒の面々も自分より年上で、友達っていうより先輩のイメージが」ジー・・・

上条「が、学校のクラスメイトとか!」ホラ!

香焼「理事校の学生は仲良子良しなんてしません。故郷での友達には此処数年会えてないっすね」ジー・・・

上条「うっ」タラー・・・


あー……男友達欲しい。


上条「じゃ、じゃあこの質問意味無いんじゃ」ボソッ・・・

香焼「……、」ウルウル・・・

上条「あ、あー! ほらっ! アレな! ステイルとか削板とかとの付き合い方って事だよな!」アタフタ!

香焼「……はい」コクッ・・・

上条「そ、そうだなぁ。うん。(不登校の親戚持った気分だ)」タラー・・・


寧ろ男友達の増やし方を教えてもらいたい気もするが……現実(原作)的に考えて、知人に僕と同年代の男子がいないので無理だろう。


上条「んー……世間話とか学校の話とか、昨日のTVの話題とか新作のゲームの話とか―――有り体な感じだよ。お前らと変わんないって」コクッ

香焼「ありてい、っすか」フム・・・

上条「基本的に男も女も変わんないだろ。同じ様な話すりゃいいんだ」ピッ

香焼「でも、男女じゃ話題も違うんじゃ」ウーン・・・

上条「変なとこで意固地だな。サーシャみたいなヤツ……ま、違いがあるとしたら『馬鹿な話』するかしないかじゃないか」ビシッ


馬鹿な話?


上条「んっと……あー」ポリポリ・・・

香焼「上条さん?」ジー・・・

上条「その、だな……そういえばお前、中坊だから教えて良い事と悪い事ある様な気がして」アハハ・・・

香焼「はい?」キョトン・・・

上条「俺が変な事教えて、神裂とか五和に怒られるのも難だしなぁ」ポリポリ・・・


どゆこと?

姉さんや五和に怒られる様な話……と、よくよく考えれば分かる事か。


香焼「あー、そういう」ポリポリ・・・

上条「分かったか」ハハハ


確かに『破廉恥な』とか『男子って馬鹿ですねー』とか言われそう。
正直、自分もそういう話は得意ではない。


上条「香焼、ムッツリだな」プニッ

香焼「ふぇ?」ムニュッ

上条「まぁでも、そうだよなぁ。建宮とか牛深とかの近くに居れば嫌が応にも聞こえてくるか」ハハハ


あの人達はまさに『男』ですから。一応既婚者だけど野母崎(ノモ)さんも混じって馬鹿な会話してるし。


上条「なんだ。目の前に良い例が居るじゃないか」フムッ

香焼「え……でも、あの人達は」タラー・・・

上条「きっと俺も同じ様な話してるよ。土御門とか青ピとかと普通の話や馬鹿な話」ハハハ

香焼「上条さんが?」キョトン・・・

上条「おいおい、上条さんを聖人君主だなんて思ってくれるなよー。普通の高校生だ、普通の。女子のタイプの話もすればエロ話だってする」


確かに。この人はあくまで『一般人』代表だった。


上条「それこそ、性別は違うけどレッサーのノリで馬鹿やる2人が親友だぜ」ハハハ

香焼「……羨ましいっす」フフッ

上条「お前だってステイルや削板とそういう……ステイルは無理か」ウーン・・・


アイツは『女なんてどれも一緒だろ』とか流すし、
軍覇も『そんな事より根性と正義の関係について!』とか熱く語り出すから話にならない。


上条「頑張れ。2,3年もすりゃそういう話出来る様になると思うぞ」アハハ・・・

香焼「そう願います」ハァ・・・

上条「うん……まぁ話戻すけど、基本は男女共に同じ様な会話だろ。あとは如何に異性には話せない事を駄弁るかじゃないか」ポンッ

香焼「……参考にします」ペコッ


異性には話せない事。同性内だからこそ話せる事か。


香焼「……自分も」ムゥ・・・

上条「ん? 何か隠してる事あるのか?」ニヤニヤ・・・

香焼「い、いえいえ! そんな事は!」アタフタ・・・///

上条「なんだよー。上条お兄さんに話してくれてもいいんだぜー」ツンツンッ

香焼「な、無いっすよ!」アワワワ・・・///

上条「ほら。気になる女子とか、えっちぃ本の隠し場所とか」プニプニッ

香焼「いーませーん! そ、そんな本も持ってませんから!」カアアァ///

上条「またまたぁ。中一ならそういう話とかあってもおかしくないっしょー。一方通行みたいに『知らン、ボケ』で通すの無しだぜ」フフフ・・・

香焼「あわにゃにゃ……―――」///


その後、色々と詰問されて姉さん達にも内緒にしている事は話したり教えてもらったり……やっぱり中学生と高校生は違うのだなぁと実感した。


上条「―――んで、そんなとこだな……って、おい」ポンッ

香焼「ふぇあ!?」///


内容が過激過ぎて途中から聞いてなかった。一応、自分を中学生と見做してフィルター掛けて話す建宮さん達とは違い、
歳が幾分かしか違わないこの人は包み隠さず『色々』話してきた。


上条「ははは。建宮達に揉まれてきたっつってもやっぱ中学生だな」ツンツンッ

香焼「べ、別にそういう話ばっかじゃないっすから……あと、そんなに子供扱いしないで下さいよー」ムゥ///

上条「ははは、子供子供。きっとガチで土御門とエロ話してみたら気失うぞ」アハハ


一生するつもりはないのでご安心を。


上条「しっかし、意中の女子がいないってのは意外だな。アレだけ周りに女子ばっかなのに?」フム・・・


お ま え が い う な。


上条「まだ中学生だしな。高校生にもなれば彼女の一人も欲しくなるのですよ……あーリア充なりてー」ハァ・・・

香焼「いやいやいや。リア充じゃないにしても女性に関しては事欠かないんじゃ」ジトー・・・

上条「はい?」キョトン・・・


駄目だこの人、やっぱ自覚無い。


上条「いやいやー。上条さんの事を彼氏にしてくれる物好きなんてそうそう居ませんって」アハハ


いつもこのノリだ。ネガティブなのか、それとも『分かってて』このノリを貫いているのか……僕には判断つかない。
しかし―――ふと、意地悪な疑問が浮かんでしまった。


香焼「じゃあ……仮に」ボソッ

上条「ん?」チラッ

香焼「仮に……五和か、カオリ姉さん。恋人かお嫁にするなら?」チラッ

上条「はひ?」ポカーン・・・


なんか凄い事聞いちゃった気がする。





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 <同刻、学園都市第1学区、ディレクターズマンション>


神裂・五和「「――――っ!!?」」バンッ!!

浦上「姉様!? お姉!? どったんですか!?」タラー・・・

神裂「いえ……何やら不穏な感じが」ギリギリ・・・

五和「私らの知らぬところで(上)条約違反が行われている様な」

浦上「ふーん……誰かが逢引でもしてるんじゃないカナ。もしかしたら……案外、身内が」ニヤニヤ・・・

神裂・五和「「っ?!」」ギョッ・・・


上条「神裂と五和を? いやいや、そんな無理難題を」アハハ・・・

香焼「2人とも、そういう目では見れないっすか?」フムフム・・・

上条「そういう事じゃないけど……うーん」ポリポリ・・・


やっぱり意地悪な質問だったか。とりあえず、仮にだ。仮に。


上条「仮に、ねぇ……だって2人とも完璧超人みたいな女性だろ。上条さんには勿体無い限りで」ハハハ・・・

香焼「どこが」エー・・・

上条「え?」チラッ

香焼「え」キョトン・・・


何か変な事言いました?


上条「え、あ、いや、聞かなかった事にする……しかし、あの2人となるとなぁ」ポリポリ・・・

香焼「兎に角、あの2人限定で」キッパリ

上条「料理は完璧だし、文武両道。おまけに超が付く程べっぴんさんでボインさん」ムゥ・・・


全て認めるが、性格面を考慮して無い。


上条「確かに2人ともキレるとヤバいな」ハハハ・・・

香焼「キレたらオカシくなるのは確かにっすけど、五和は常に馬鹿っすから。姉さんはまだちょっと常識が足りない感じもしますね」

上条「お前よく言うけど、その『五和が馬鹿』ってのが未だに信じられないんだよなぁ」ウーン・・・

香焼「……とりあえず、身内からしてみりゃお転婆極まりないっす」


猫を被ってる、とは言わないでおいてやる。それを言ってしまうとフェアではないからな。


上条「神裂は……常識無いっていうより、古臭いっていうのかちょっとオバサン臭いとこあるよな」ポリポリ・・・

香焼「確かに」ハハハ・・・

上条「五和は五和で、俺が知る限り女子として無防備過ぎる様なとこもあるし」フムフム・・・


そこだ。アイツは基本恥らいが無い。
服装的には姉さんも恥らいが無いけど、魔力を練るのに左右非対称が云々言い出すのでその点は諦めてる。


香焼「あ、でも最近の姉さんは固法さんとか麦野さんの御蔭で普通の服着る様になりましたよ」

上条「そうだな……あー」ポリポリ・・・

香焼「どうっすか?」フムフム・・・

上条「……うん」ムゥ・・・


この前着てたロングスカートとセーターに髪降ろしてた時の恰好なんて、上条さんの好みの女性のタイプからしてみれば、
ド真ん中ストライクゾーンぶち抜けて求婚レベルモノだと思うのだが。


上条「確かに……あれはクラッときた」コクコクッ

香焼「年上で、寮の管理人さん……とはいきませんけど、オルソラさんの補佐みたいな感じで切り盛りしてますしね」ハハハ

上条「あれ? 実は超ストライクゾーン?」キョトン・・・


おお! これは遂に脈アリきたのか!?


神裂「ふふ……ふふふふふっ」ドヤァ・・・

五和「うぎぎぎぃ」ギリギリ・・・

浦上「お姉怖っ!? あと、いきなりニヤけ出してドヤ顔する姉様も怖いですヨ」タラー・・・

五和「こうなったら……私! 今から寮の管理人さんとして潜入します!」バッ!!

神裂「ちょ、待てこら! 唯一出来た私のアイデンティティ奪う気ですか?」ガシッ!

浦上「というか、何処行く気なの?」チラッ

五和「無論! 上条さんのアパートの管理人として潜入を!! あくまで任務なので止むを得なく! はい!」ズルズル・・・

神裂「させるかこの女(アマ)ぁ! そんな任務にハンコ押しません! てか上条約モロ違反だ阿呆!!」ガッシリッ!

五和「いーやーだー! 私も管理人さんになーるんでーすっ!!」ウガー!

神裂「面白がって建宮が許可しても私は許可しませんっ!! ってオイ! 勝手に稟議書書き直すなー!」ウガー!


 ギャーギャー!


浦上「ありゃりゃ……――Pi――……あ、もしもし。対馬さん? まーたお姉と姉様が馬鹿な喧嘩始めたので止めてもらえます?」ハハハ




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割と近くで大喧嘩始まってそうな気もするけど、特に気にしない。


上条「でも神裂、たまにしかあの恰好しないしなぁ」ポリポリ・・・

香焼「あー、はい。普段はどうしても『いつもの恰好』しちゃってますね」アハハ・・・

上条「そういう点も考えると、やっぱ五和か」ウーン・・・

香焼「……ふーん」

上条「ま、恋人(身近)が五和。嫁(理想)が神裂……の私服Verって感じかな」ビシッ


なるほど。無難な回答をどうも。


上条「でもまぁ、あくまで仮の話だ。俺にはあの2人は勿体無いよ」アハハ

香焼「そんな事無いっすよ。寧ろ貰ってやって下さい」ペコッ

上条「あはは、変なヤツ。お姉さん達に怒られるぞ」ポンッ

香焼「大丈夫っす。この話は秘密にしとくんで」ニヤニヤ・・・

上条「やれやれ……ま、身近って意味なら浦上もお前も恋人にできそうだけどな」ハハハ

香焼「浦上はやめと、いた、ほ……ぅ……え」ピタッ・・・


今、意味不明な発言が。


上条「え? だからお前ら姉弟全員。気を使わないで済むし」コクッ

香焼「……はわっち?! じ、自分も!?」カアアァ///

上条「あ、そっか。あははは。間違えた間違えた……まぁ香焼が『彼女』だったらアレだな。危ないな、ははは」ポンポンッ

香焼「」キュウウゥ///


その、なんだ……嬉しいけど、恥ずかしいです……じゃなくて! 駄目です! おかしいです! あぶのーまるです!


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神裂「……なんだか」ピキッ

五和「無性に……コウちゃんを」ピキッ

浦上「にゃはは……あーあー、知ーらない」フフフ・・・


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ふざける上条さんをテレ隠し(?)がてらポカポカ叩く。


上条「あっはっは。悪い悪い。ま、とりあえずお前らは強いからなさっきも言ったけど彼女とか恋人とかって意識するのは難しいよ」ハハハ

香焼「んもー、自分は男っすよ。『お前ら』に一括りしないで欲しいっす……姉さんや五和は『戦友』みたいな感じっすか?」チラッ

上条「そういうのもまた違う。何ていうのか難しいけどな。でもまぁ神裂や天草式の連中は俺の意図せずして戦いに出るだろ」ポンッ


急に真面目な話に戻ったが教義がある故、それを全うするべく動くのが教徒の役目だ。


上条「家庭的な彼女を作るには、今の俺の現状じゃ難しいだろ」ハァ・・・

香焼「どうしても戦いの中心に居ますからね」コクッ

上条「昔は意図せずしてだったかもしれないけど、今は進んで戦火に飛び込んでる……少しでも早く火を消す為に」ジー・・・


でも、あくまで独り善がりだけどなと、悲しく微笑んだ。


上条「魔術と科学。グレムリンとか魔人とか聖人とか超能力者とか原石とか……統括理事とか色んな教会とか、そのトップとか」ハァ・・・


皆、仲良く……とまでは言わないけど、互いの妥協点を探し合わなきゃ平和にはならない。


上条「妥協点って言い方は変かな。『譲り合う』とか『認め合う』心って大事だろ……兎に角、それを模索しないと」ジー・・・


この国の美徳、尊重と謙譲。やはりこの人も日本人なのだ。


上条「んー。そんな平穏が訪れるまでは上条さんに家庭的な彼女が出来る事は無いかな」ハハハ


結局、この人は『恋人』を作る事を望んで無いのかもしれない。
あくまで現状は、だけど、平和になって初めて自分の幸せにも甘んじるのだろうか。


上条「買い被り。実際、もてないから彼女が出来ない。ただそれだけの事ですよーだ」アハハ

香焼「……ふふっ」

上条「守れるモノは守ってきたつもりだ……だからこれからは、ボチボチ攻めなきゃ駄目かもしれない」ポンッ


この人は益々強くなる。そして周りも引っ張られ、勢力が拡大する……でもそれは上条さんの望むところでは無い。


香焼「じゃあ……守るべき人が、戦う姿は?」ジー・・・

上条「……、」ポンッ・・・


姉さんや五和は天草式という大義で戦えるが……禁書目録や御坂さんが、自分の為に戦うのは……如何考えているのだろう。




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すいません。此処まで……寝まふ。

(男の子にフラグ立てちゃ)いかんのか?

こんばんわ。続きを。ぽちぽち。

>>124-125・・・(同性として)いかんでしょ


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一寸、空を仰いで、呟いた。


上条「やっぱ、嫌だよ」フム・・・

香焼「貴方の為でも?」

上条「尚更嫌だ」コクッ


自分を思って戦ってくれるのが、嫌なのか。


上条「だって、戦うって事は傷ついたり傷つけられたりするだろ……自分の大切な人達がそういうのに巻き込まれていくのは、宜しくないよ」

上条「確かに、御坂は俺より強いしインデックスだって俺なんかよりずっと頭がキレる」

上条「盾にしかなれない俺よか、2人の方がかなりの役には立つ筈だ」


御坂さんの『矛(雷)』と禁書目録の『頭脳(知識)』。もはや戦術級のそれを過小評価する輩は何処にもいない。
それでも、この人は……やはり『盾(守る側)』なのだろう。

御坂さんは、この人の方に『正義がある』と決めつけ、何と託けても彼の『勢力(側)』に入り込もうとする。
禁書目録に至っては、この人が……『全て』といっても過言ではない。故に彼の『勢力(傍)』から離れる事は無い。

信頼してくれるだけなら嬉しい筈だ。しかし、戦いの渦中に巻き込む状況はこの人の良しとするところでは無いのだろう。


上条「でも、嫌だよ」ポンッ

香焼「御坂さんは『ついてくるな』って言っても、ついてきちゃいますけどね」ハハハ・・・

上条「御坂はなぁ……その点、インデックスには感謝してるよ」ポリポリ・・・

香焼「感謝?」キョトン・・・


戦いが起こる度、毎度毎度家に置き去りにしていく事を『感謝』できるか。


上条「申し訳無いとは思いたくないな。何だかんだ言って、待っててくれるんだ。俺の帰る場所で」ニカッ


勿論、帰る度に『勝手に出て行ってごめん』とは言うのだろう。それでもって禁書目録はいつも通り、この人に噛み付く。
それが日常。ちょっとバイオレンスかもしれないがこの人なりの『平穏』。

ごめんなさい、より、ありがとう。

前に固法さんが言っていた『居場所』について……自分が自分らしく居られる場所。それが『居場所』だ。
やっぱり、禁書目録が待つあの学生寮の一部屋が、上条当麻が上条当麻で居られる場所なんだ。


上条「黒妻さんにも同じ事言われた気がするな。流石夫婦」ハハハ

香焼「そうっすね……でも、そういう意味では御坂さんも同じなんじゃ」チラッ

上条「え」キョトン・・・


彼女が常に、隣に、共に立ってくれているからこそ……戦いの中であっても、上条当麻が上条当麻で居られる。
御坂美琴という『日常』が傍に居て戦ってくれるからこそ、上条当麻は『常』を忘れず右手を奮える。


上条「あー……そういう風には考えた事無かったな。でも、うん……そうかもしれない」ポリポリ・・・


姉さん達には申し訳ないが、彼の左右には―――いつも、あの2人が居る。
幸か不幸か……いや、この人はきっと『幸せな事だよ』と応えるのだろう。

しかし、この人はやっぱり古いタイプの日本男児的な考えを持った人なのだなぁと感じた。
声を大にして言いはしないが、戦場に女子は立つべからず、といった心情なのだろう。


上条「だって、嫌だろ? 女の子が戦う姿ってさぁ」ウーン・・・

香焼「えっと、あはは……天草式(ウチ)は女教皇様が魁(さきがけ)るタイプなので」ポリポリ・・・

上条「お前はそれを可憐だとか恰好良いと思うか?」フム・・・

香焼「それはまぁ、その……ちょっとは」ハハハ・・・


現に戦場を駆ける女教皇様は恰好良い。五和だって、普段はアレだが、戦場では輝いて見える。
綺麗な服を身に纏う女性らしい彼女達も可憐だとは思うが……やはり剣を握ってこそ、華がある御方だ。


上条「ふーん……じゃあやっぱ、そこが俺とお前との違いかな」ポンッ

香焼「残念ながら」アハハ・・・

上条「出来れば、神裂や五和にも戦場には立って欲しくないよ……まぁ信念があるんだろうから如何こう言えないけどさ」ハハハ


申し訳無いが、戦場に立つ教皇としての姉さんは『女性』としてではなく、寧ろ『大将』として見てしまう。
此処が職業魔術師と一般人との違いだろう。何だかんだいっても……僕は魔道を行く者だ。感性は異なる。


上条「天草式の面々は同僚とか先輩として見てしまうから仕方ないかもしれない。でもさ」ポンポンッ

香焼「はい」キョトン・・・

上条「……アニェーゼ達は?」チラッ

香焼「え」ピタッ

上条「必要悪の教会の連中……の中でも、お前と親しい同年代の娘達。そいつらが戦うのは如何だ?」ジー・・・

香焼「そ、それは」タラー・・・

上条「教会の面子じゃないけど、レッサーやサーシャは?」ジー・・・


沈黙。


香焼「……皆、魔術師だから」ボソッ

上条「魔術師だから、仕方ないのか?」ハァ・・・

香焼「彼女達にも、主義主張があります……自分はそれについて如何こう言えた立場じゃないっすよ」コクッ

上条「汚れ仕事でも?」フム・・・


意地悪な質問だ。


香焼「……上条さん」シュン・・・

上条「あー……悪い悪い。ちと卑怯な質問だったな」ナデナデ・・・


僕が『応えられない』のを分かってて聞いてきた。


上条「『魔術師だから仕方ない』で片付けるのは楽さ。現にステイル辺りはそう割り切ってるだろ」ポンッ

香焼「はい」ショボーン・・・

上条「でも、お前は割り切れない。別に良いじゃないか」ポンポンッ

香焼「それじゃあ魔術師として半人前っす。だから、いつまで経っても『危険な仕事(メイン)』や『汚れ仕事』を任せてもらえない」ムゥ・・・

上条「落ち込むなよ。まだ子供だって事だ……今はそれに甘んじとくべきだと思うぜ」コクッ


子供で居られる間は、というが……現に僕の身の回りの同年代は皆『最前線』に居る。
姉さんや建宮さん、そしてこの人にも怒られるとは思うが―――僕もそこに立ちたい。立って、彼女達の負担を少しでも減らしたい。

しかし、いや、やはりというべきか……彼は難しい表情をしていた。


上条「……分からないな」ハァ・・・

香焼「あはは……分かっちゃったら困りますよ」ポリポリ・・・

上条「魔術師とか、この街の暗部? だっけか……やっぱ変だよ」ジー・・・


そう感じるのが普通。一般から見ての悪―――故に、必要悪。


上条「目には目をってか……ハンブラビだっけ?」ウーン・・・

香焼「海ヘビ?」キョトン・・・

上条「いや、違……あーどーせ上条さんは馬鹿ですから良いですよ! じゃなくて!」ツンツン・・・

香焼「ほふぇん」ムキュ


ほっぺ押さないで下さい。喋れません。


上条「兎に角、必要悪の『必要性』について。否定はしないけど肯定も出来ないな」ポンッ

香焼「ぷはっ……ふー……それで良いと思いますよ」コクッ

上条「で、それから……出来ればお前にも肯定して欲しくない」ポンポンッ

香焼「……、」ムッ・・・

上条「魔術師としてのプライドはあるんだろうけどさ。違うベクトルから『救い』ってのを差し伸べるのも手だと思う」ナデナデ・・・


難しい事を仰る。


上条「魔術師の全員が一生涯、魔道に足突っ込んでる訳じゃないだろ。能力者だって一般企業に就職する人だっている」コクッ

香焼「はい」ジー・・・

上条「だから、香焼も香焼らしい将来を見つければ良い。そうすればお前がさっき言ってた『子供が武器を握らない世界』だって作れるよ」

香焼「そんなもんすかね」ムゥ・・・

上条「そんなもんだ」ナデナデ・・・


しかし、やっぱり、今はまだ魔術師でありたい。堂々と『表』に立つのは、自分が今の仕事に納得してからだ。


香焼「自分はまだ何も知らないっすから……全部、見極めたいなって」コクッ

上条「『汚れた』仕事も?」ジー・・・

香焼「じゃないと、ステイルやアニェーゼ達と同じ土台に立てないっす。それに……最愛も」コクッ

上条「元暗部だろ。今は平気なんじゃないのか」キョトン・・・

香焼「……、」ウーン・・・


彼女は、もし、浜面さんや仲間がピンチの時は戦うだろう。今の最愛ならきっと相手を殺さない様、努力して戦う。


香焼「でも、一番恐れてるのは……彼女がまた『堕ちる』様な事があったら」タラー・・・

上条「成程。だから『表裏』全部知った上で『表』の方から引っ張り上げてやるってか」ジー・・・

香焼「可能なら、はい」コクッ

上条「なんだ。やっぱお前だって女子に戦ってほしくないんじゃないか」ハハハ


こればかしは、難とも。
男としての意地と、魔術師としてのプライド……ハリネズミのジレンマだ。

 ―――とある休日、PM00:00、学園都市第7学区、とある公園(イカれ自販機在中)・・・香焼side・・・





気が付けば正午を回っていた。上条さんと話し込んでいて時間をすっかり忘れてしまっていた。


上条「―――っと、もうこんな時間か」チラッ

香焼「あ、ホントだ。長々すいません」ペコッ

上条「いやいや、此方こそ」ポンッ


この人とサシで話せる時間は貴重だ。きっと姉さん達に知れたら妬まれるな。


香焼「それにしても、最愛遅いなぁ」ウーン・・・

上条「そいやぁ待ち合わせしてたんだっけな」ポンポンッ

香焼「はい」コクッ

上条「何時の待ち合わせだったんだ?」ナデナデ・・・

香焼「10時半だったんすけど、何か立て込んでるみたいで」ポリポリ・・・

上条「そっか」プニプニ・・・

香焼「ふぁい」コクッ

上条「……、」ツンツン・・・

香焼「……、」ジー・・・

上条「…………、」ナデナデ・・・

香焼「…………、」ジー・・・

上条「………………、」ワシャワシャ・・・

香焼「………………、」ジー・・・

上条「……………………、」ナデナデ・・・

香焼「……………………、」チラッ

上条「………………………………………………………………、」ナデナデ・・・

香焼「………………………………………………………………、」モジモジ・・・

上条「………………………………………………………………………………………………………………………………、」ナデナデ・・・

香焼「………………………………………………………………………………………………………………………………あ、あの!」モジモジ・・・///

上条「………………………………………………………………………………………………………………………………………………あ、うん?」チラッ


えっと。


香焼「さっきから、ずっと気になってたんすけど」モジモジ・・・///

上条「うんうん」ポンポンッ


何でずっと、僕の頭撫でてるんだろう。割と最初の方から。


上条「え?」キョトン・・・

香焼「え」ポカーン・・・

上条「……………………………………………………………………………………………………………………何でだろ?」ウーン・・・


えー。

この人、無意識で人の頭撫でるのかな。


上条「いやいや、流石にそんな性癖ないですよ」アハハ

香焼「じゃあ、自分が魔術使うのを防ぐ為とか?」チラッ

上条「それも違う。てか、何で魔術使う必要あるんだよ」ポンポンッ


まぁ確かに……って言ってる傍から、ほら、まただ。


上条「え……あはは。マジだ」ポンポンッ

香焼「な、何なんすか」ムゥ・・・///

上条「うーん。可愛いから?」ハッハッハッ

香焼「なっ!? ば、馬鹿にしてっ!!」カアアアァ///

上条「冗談だよ、冗談」ナデナデ・・・


ホント、訳が分からない。


上条「まぁアレだ。撫で易い高さに頭があったんだ」ポンッ

香焼「む……チビって言いたいんすか」ムスー

上条「違う違う。何ていうのかなぁ……とりあえず撫で易いんだって」ポンポンッ

香焼「……何だかなぁ」ハァ・・・///

上条「同性だし年下だし、気兼ね無くタッチ出来るって意味だ。まぁ兄貴分のスキンシップだと思え」ハハハ

香焼「うーん」ポリポリ・・・///

上条「あ、でも嫌だったか?」ピタッ

香焼「いや、その……むぅ」モジモジ・・・///


嫌では無い。寧ろ……嬉しいかも。
そういえば、よくよく考えると建宮さん達にも頭撫でられる……そんなに撫で易い頭なのかなぁ。


上条「上条さんは妹分は沢山いるけど、弟分がいないからなぁ。そういう意味でも丁度良いのかも」ハハハ

香焼「お、弟」チラッ・・・///

上条「その点、お前は弟妹が少ないよな。知り合いの年下ってアンジェレネとランシスくらいか?」ポンポンッ

香焼「え、ええ」コクッ・・・///

上条「そっか。まぁ逆に姉貴兄貴分は多いもんな」ナデナデ・・・


多いのだが……上条さんの様に『普通の兄』的な人はいない。


上条「確かに、兄とも父とも取れる連中多いよな。あとは同僚だし、俺みたいなのとはなんか違うか」ポンポンッ

香焼「は、はい」ムキュゥ・・・///

上条「じゃあ……試しに『当麻兄ちゃん』って呼んでみ」ニヤニヤ・・・

香焼「にゃい!?」ギョッ///

上条「もしくは『兄貴』でも『にーに』でも可。好きに呼んでみ」ハハハ

香焼「そ、そんなそんな!!」カアアァ///


な……なんぞ、これ!? 上条さん! 土御門ともう一人の親友さん(青ピ)に毒され過ぎなんじゃないっすか!?

弟願望が強いのか、それとも単に僕が恥ずかしがる姿を見たいのか……どっちにしろ意地悪だ。


上条「ほれほれ」ナデナデ・・・

香焼「くっ」ムゥ・・・///

上条「言ったら手ー放してやるぞー」ニヤニヤ


いや、撫でられるのは満更でもn……いやいや! 恥ずかしいから止めて下さい!


上条「言えば楽になるって、ほらー。そんな恥ずかしがる事でもないだろ」ポンポンッ

香焼「……お」モジモジ・・・///

上条「お?」ニヤニヤ・・・

香焼「お……お、おに」モジモジ・・・///

上条「んー?」フフフ・・・

香焼「お……にぃ……い――――――――――――――








                         とう、ま、おにい








                            ――――――――――――――――ぃー、、、やっぱ無理っす!!」カアアァ///

上条「あーなんだこんにゃろー! 散々期待させといてー!」ガシッ! ワシャワシャ!!

香焼「にゃいあらん!!?」ボンッ//////////////

上条「はははは。まぁ面白いもん見れたから満足だな」ムニムニッ

香焼「ひ、酷いっすよー! てか、離してください! はーなーしーてー! んー! んー!!」ジタバタ・・・///

上条「こやつめこやつめ」グニグニッ


ガッチリとホールドされて捏ね繰り回された……もうお婿に行けない。


上条「はっはっはっは。まぁこのくらいで勘弁してやろう」ポンッ

香焼「うー……乱暴された……責任取って下さいよ」クスンッ・・・///

上条「はいはい、お嫁にでも何にでも貰ってやらぁ」ハハハ

香焼「また馬鹿にして」ムゥ・・・///

上条「まぁその内、土御門と一緒になってからかってやろう」フフフッ

香焼「もー。勘弁して下さいよぅ」ハァ・・・///


相変わらず、この人には勝てないな。

またわしゃわしゃと僕の頭を撫で始めた直後、上条さんの携帯が鳴った。


上条「はいはい……――Prrrrrr!――と、電話……げっ。インデックス」タラー・・・


暴食シスターが暴れ出す時間だ。


上条「あー、休日の昼飯時は風斬に任せっぱは拙いな」アチャー・・・

香焼「何でもかんでも食い散らかし出しますね」アハハ・・・

上条「やれやれ……まぁ案の定、神裂からアイツの分の食費は仕送りしてもらってるからな。助かってるよ」コクッ


当たり前だ。そのくらいしなければ此方として申し訳が立たない。


上条「でも、最近ちょっと額が多い気もするんだけど……間違ってない? 後から返せとか言われるんじゃ」ポリポリ・・・

香焼「いえ、きっと姉さんとステイルが気持ち多めに振り込んでるんだと……受け取って下さい」ペコッ

上条「なんか悪いな……とりあえず今は甘んじるよ。ありがとうっ言っといて」ポンッ


こういう所は現金な人だ。まぁ人間臭くて良いと思う。


上条「さーてっと……とりあえず、また何かあったら気軽に相談して来いよ」スッ・・・

香焼「はい」コクッ

上条「仕事のアドバイスとかは出来ないけど、今日みたいに私生活のアレコレとか愚痴は聞くぜ」ポンッ

香焼「ありがとうございます」フフッ

上条「じゃあな……――Pi!――……あーはいはい。風斬か……え? インデックスがキレてる? あー空腹限界かー」タラー・・・

上条「って……え? お腹空いたじゃなくて兎に角、俺に怒ってるって? なんでさ!?」ウーン・・・

上条「は? 枕齧りながら『女側として絶望級のフラグおっ立ててるんだよ!!』って叫んでる? 意味が分からない……―――」テクテクテク・・・


よく分からないが、大変そうだな。でも、これもまた『日常』……頑張れ、上条さん。


香焼「でも、当麻お兄ちゃん、か……えへへ……―――って、あれ?」ニヤニヤ・・・ピタッ

御坂「―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」ダダダダダ・・・


あ。今度は御坂さんだ……如何して鬼の形相で、かなりの電気を帯びながら走ってるんだろう?


御坂「―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――、」ピタッ・・・ビリビリ・・・

香焼「ん?」ジー・・・

御坂「―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ッ!!」ビジバジッ!!!

香焼「ひ、うぇっ!?」ギョッ・・・

御坂「っ……チッ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。。。」ダダダダダ・・・


一瞬、もの凄いガンが飛んできた……何だったんだろう。くわばらくわばら。



                ~~~一方、時は遡り~~~



 ―――とある休日、AM10:30、学園都市第7学区、とある公園(イカれ自販機在中)・・・黒夜side・・・




世間様でいう休日の御昼前。公園には学生達が疎ら疎らに足を運んでいる。
ある者はボール遊びを、ある者はかくれんぼを、またある者は近道がてら通り過ぎるだけだったり。
そんな中、私は……何をする訳でも無く適当に散歩していた。


黒夜「……あー、めんどー」カチカチ・・・


目的なんか無い。所謂、通行人K状態。
実のところ、休日のサービス残業をシルバークロースに全部押し付けて逃げ出してきたのだ。


黒夜「やーってられっかっての」ハァ・・・


暗部になりゃ好き勝手出来ると思ってるヤツがいるとすりゃ、ソイツは脳内お花畑のハッピーちゃんだ。
実際は公僕の延長。汚れ仕事な分、警備員やら理事職員に比べて性質が悪い。


黒夜「……ほんと、何してんだか」ボー・・・


自分でも何がしたいんだか、よく分からなくなってきた。
嘗ての『誰かさん』みたいに無敵になりたい訳でもないし、かといって平穏を望んでる訳でもなし。

今の私、宙ぶらりんな存在。


黒夜「あー……アホくさ」ケッ・・・


アンニュイ……おセンチにもなる。


黒夜「……ん」ピタッ


ふと、先日色々あった『自販機』の前で―――アイツを見つけた。
絹旗のヤツがベッタリだった女男。名前は何といったか……呼び名なんて如何でも良いか。

しかし、アイツが私と『同業者』だってのは未だに信じられない。ただの青臭いガキじゃないか。

ただ、この仕事をやってる上で気付かされるのだが、人は見た目に依らない。
実はアイツも私や絹旗同様、凄腕の殺し屋だったりするのかもしれない。


黒夜「……ふーん」ジー・・・


一人でベンチに座ってるのを見る限り、誰かと待ち合わせでもしているのだろう。
まさか私みたいにボッt……孤高なキャラではあるまい。もしくは日向ぼっこが趣味の老人嗜好なボケガキか。

何にしろ暇だし……気分転換にからかってやろう。そんな事を考えた刹那―――、一番苦手なヤツが現れた。


黒夜「うげっ!? 幻想殺し!」タラー・・・


優男の傍に近寄り、隣に座るウニ頭。そういえばこの前、知り合いみたいな話してたけどマジで関係者だったのか。
しかし、だとすると女男が『同業者』だというのにも納得出来る。『幻想殺し』の周りに一般人はいない……この業界での噂の一つだ。


黒夜「……、」キョロキョロ・・・ススス・・・


自然にアイツらにばれない様、背後の草繁に回り込んでしまった。自分でも何でこんな行動を取ったか分からない。
究極に暇だった所為か、それともアイツらに興味を持ってしまった所為か……『攻め』の思考の代表たる、好奇心に突き動かされた所為か。

兎も角、ヤツらの言動に耳を傾けてしまった。

はい、今日は此処まで。やっとメインに入れる。
しかし香焼を上条さんとイチャイチャさせ過ぎた……悪かったと思う、、、でも謝りません。

とりあえず適当に質問意見感想リクエスト罵倒等々お願いします。それではまた次回! ノシ”



「上条当麻 痴情のもつれで全身を食いちぎられて死亡」
「香焼?? 八つ当たりで暴行を受け感電死」

黒いノートにこんな一文を書いたかのような展開
(香焼のフルネームわかんなかった‥)
‥にならなくて良かった

ヒロイン(笑)共が何をしでかそうがこのss内なら一向に構わんが
連中の手でデッドエンド(強制終了)ってのは無いことを願う
(逆なら(このssには合わないけど)ともかく)

何だこのかわいい生き物はw

とにかく乙です。
次も楽しみにしてます

やだ、カップリングでもないのにインさんとみこっちゃんが女子扱い受けてる‥‥上条さんイケメソ
あとわんこーやぎカワイイ。流石メインヒロインww

>>136
的確すぎる…

新約キャラはもっと出ますか?トールとかバードウェイとか出せるなら出してほしいかも

こんばんわ……PCの電源落ちて書き溜めた分が全部トンだ。泣きたい。やっぱ定期的に保存しなきゃ駄目だな。


>>136 >>139・・・デッドエンドはありませんよ。基本ギャグSS(のつもり)なんで。

>>137 >>138・・・だってヒロインだもの!

>>140・・・出します。主に英国編かな。


とりあえず、頑張って書き直したモノをボチボチ投下します。

スニーキングゲームのプレイヤーキャラよろしく、ヤツらの背後まで迫る私。
辺りの雑多音やら風で繁みが揺れる音で皆までハッキリ聞こえる訳ではないので、
それなりに声が拾える良い位置に着くまでボチボチ時間が掛ってしまった。

さーて、何の話をしてるやら。


上条『―――――――と上手くやってるのか?』

香焼『ええ。それなりに……五和と浦上の――――――慣れました』

上条『―――でも五和が――――――信じられないな』


まだよく聞こえない。でも、これ以上近付くと気付かれ兼ねない。此処らで妥協しよう。


上条『神裂は?』

香焼『―――相変わらずっすけど、丸くなりましたね―――』

上条『―――でもそれはやっぱ香焼とか五和達の御蔭だろ?』

香焼『だと嬉しいんすけど―――影響も大きい様で』

上条『ああ、麦野さんとか固法さんとかか……―――――統一性無いよな』

香焼『そうっすね』


今、第4位の名前が出た。もしかして『仕事』の話か?
いや、幻想殺しはあくまでフリーランス。何処の組織にも属さない筈だ。
しかし……この情報もいつのモノか定かではない。という事は何か新たな展開が起きて、今コイツと繋がっているという可能性もありえる。

色々考えている最中、話は進む。


香焼『―――上条さんの御蔭っすよ』

上条『ははは―――――――思った通り動いたらこうなっただけ』

香焼『でも結果的に――――――』


朗らかな雰囲気。おかしい……なんか、おかしい。


上条『そうだな――――――インデックスとの蟠(わだかま)りが解けてきてるっぽいし……―――もうちょい掛るか』

香焼『ええ。アイツは――――』


目次(インデックス)とは何かの隠語だろうか。
ちょいちょい意味不明な単語が出てくる。あと横文字が多い。人の名前なのか物事の名称なのかよく分からない。

とりあえず、気になってしまう。


黒夜(しっかし……楽しそうに話してんのな)ジー・・・


時折真面目な表情はするものの、基本ほんわか喋ってる。

もしかして……単なる世間話か何かだったりして。


香焼『……――――――貴方っす』

上条『買い被り過ぎだよ―――――――――我儘通しただけ』ポンポンッ


ん?


香焼『――――――難しいんすよ』

上条『―――……普通だよ、普通』ポンポンッ


あれ……ん?


上条『―――そんな化け物みたいな……まぁ敢えて――――――だけだろ、俺って――――――』

香焼『でも皆そこに――――――』

上条『うーん……―――――――――理屈っぽいわ』クシャクシャ・・・

香焼『えへへ、すいません』


ちょっと、おかしい。何がおかしいかっていうと。


上条『でもさ――――――お前も凄いよ』ポンポンッ

香焼『え』


なんで、アイツらイチャイチャしてんの?


黒夜(え? いや……男子でもこんな風にベタベタするもんなのかな)ジー・・・


正直、私は『日常』から掛け離れた生活を送っている為、一般的な男子同士の交流について詳しくない。
漫画やTV等でのは知識はあるが、実際どんなものなのかは見た事が無かった。

よく女子(笑)同士だと過剰にスキンシップを取ったりしてると漫画では読んだ事があるが……男子もそうなのだろうか。


上条『メンタルな話は――――――でも終わった事は必要悪の教会だったり土御門だったり――――――』

香焼『――――――上条さんは元々一般人っす―――義理は無い』


なんか結構真面目話してるけど、2人の行動が気になって耳に入らない。


上条『はぁ……―――好きだな、香焼』ポンポンッ

香焼『―――本当の事言ったまでっすよ』

上条『はいはい……――――――お前の凄いとこは『今』じゃなく『後の事』を―――』ポンポンッ

香焼『え?』


また頭撫でた。


黒夜(チビ男の方も嫌がってないし、もしかしてこれが普通?)ウーン・・・


やはり私が一般常識に疎いだけなのかもしれない。

もうちょい様子を見てみるか。


上条『お前は魔術師ながらもこの都市で任務こなし――――――『日常』『平穏』してる』ポンッ

香焼『それは他の潜入学徒達も―――』

上条『確かに香焼以外の天草の学徒陣も――――――でも基本『任務だから』―――』

香焼『自分も、任務っすよ』


やっぱ満更でも無い顔。幻想殺しも幻想殺しで自然な手つきで頭を撫でる。
あと……今なんか重要な単語が聞こえた様な気がしたけど、まぁ良いか。


上条『ふーん……――――――浜面んとこの絹旗とかと仲良くしてるのも任務だからか?』チラッ

香焼『そ、そんな訳ないでしょう』ジー・・・

上条『だよな――――――お前は一介の教徒だろ――――――偉い『位』の筈』コクッ


見詰めってる……えっと、これも普通?
あとやっぱ重要な文言が耳に入ってるけど、ヤツらの一挙一動の方が気になって言葉が耳に入らなかった。


上条『でもお前は――――――アイツらを支えてる。俺とは比べ物にならないくらい――――――』ポンッ・・・

香焼『―――上条さんは特別で』アタフタ・・・

上条『―――香焼だって特別さ……――――――少しは自分の事―――』ナデナデ・・・

香焼『―――――――――』カアアアァ///

黒夜(!?!?!?)マジマジーッ・・・


赤くなったぞ。これでも普通か!? 特別とか言ってますけど?!


上条『絹旗だって―――――――――昔は『暗部』ってヤツの一員だったんだろ』

香焼『え―――……はい』

上条『―――仲良くして、どうにか『表』に――――――結標さんもそうだったか』

香焼『―――結局どうにかなっちゃいましたね』


ちょいちょい絹旗の名前が出てきてる気がするが最早どうでもいい。
それより幻想殺しの手の動きと優男の表情が気になってしょうがない。


上条『それでも凄いのは我慢した―――』ポンポンッ

香焼『よく分かりません』

上条『――――――香焼と同じ立場だったら我慢出来ずに麦野さんに――――――』


もしかして、噂の『右手』で女男の『何か』を打ち消してる?
いや、しかし、そんな感じはしない。寧ろ幸せオーラ的な何かが出てる様な気もする。


上条『IFの話は無駄だよ……兎に角、暗部の『現状』に関しちゃ浜面や一方通行が頑張った結果だろ』ポンポンッ

香焼『はい……感謝してます。上条さんと同じくらい』


もしや、理解し難いのだが……俗にいう同性愛とかいうヤツか。


黒夜(いや、でも流石にそりゃ無いか)


これも風の噂だが、幻想殺しは一夫多妻制を企める程の女っ誑しだと聞く。
あのチワワ男子も傍から見る限り、絹旗と良い感じだったと思う。

兎に角、私の中で『健全男子の語り合い』説と『割とアブノーマル』なイメージが鬩ぎ合っていた。
その所為か変な妄想が止まらない……如何いう事だ、これ。第一位(白モヤシ)の思考パターンの弊害?


上条『――――――――――――』ポンッ

香焼『――――――』

上条『――――――――――――』

香焼『――――――』

上条『―――――――――――』ポンポンッ

香焼『―――』モジモジ・・・


全っ然、会話が頭に入らない。
なんでチビ君はモジモジしてるの? やっぱそうなの? 『びーえる時空』的なモノなの? 

暫く観察してみたが、やっぱりモジモジしてる。あと赤くなってる。これは確定事項か? (※黒夜視点です)


香焼『……でも、良いな』

上条『ん?』

香焼『あ、いや何でも……(男の人と)一緒に居るのは(普段が周りが女性ばかりなので)ホッとします』


やっぱり! そうなのか!?    (※黒夜視点ですよ)


上条『ははは、確かに。香焼は――――――感じだもんな』ポンッ

香焼『ええ……久しぶりに―――同部屋になったりするとはしゃぎたくなったりします―――』

上条『んー――――――そういう上条さんも、ほら。普段(??)が普段(???)だし……―――』ポンポンッ

香焼『そ、そうっすよね! やっぱり!』ウンウン!


何か凄く良い雰囲気。バラとか見えそう。(※あくまで黒夜視点です)


上条『色々悩んでんだな――――――』ナデナデ・・・

香焼『ありがとうございます』エヘヘッ///


えっらく嬉しそうだな、ちっこい方。コイツ女なんじゃないかと思うくらい乙女チックな笑顔。  (※勿論、黒夜視点)


黒夜(あ、でもそれなら全部納得いくか)ドキドキ・・・


『女男』じゃなくて『男女』か……しかし、例えそうだとしてもベタベタ過ぎる。何にしろ変だ。


上条『ん? どうした? 何赤くなってんだよ』ツンツンッ

香焼『うぇ!? い、いえ! 何でも……あはははは』ポリポリ・・・///

上条『???』キョトン・・・

黒夜(!!!???)ギョッ


頬をつついた。そして照れた。


黒夜(こりゃ予想確定か)マジマジ・・・


既にそういう『目』でしか彼らを見れなくなってしまった。
思考植え付けられるのって怖いね。      (※一通さんの思考回路は全く以て関係ありません)

さておき、どうやら今から幻想殺しに質問をする様だ。
もしかして『大胆質問でカレの気を引いちゃえ♪』的なスイーツ(笑)展開が起きるかも……と期待した時―――


 Prrrrrrr!


黒夜「い”っ!?」ギョッ・・・


―――電話が鳴る。何故マナーモードにしておかなかったのだ、私!
兎に角、2人に気付かれる前に急いでその場を離れる。


黒夜「糞っ……良い所で、誰だっつの!」パタパタパタ・・・サササッ……チッ・・・


って、決まってる。


黒夜「あんの機械オタク野郎ぉ」ギリギリ・・・


無視っても良いが、どうせまた掛けてくる。
電源オフにしたらオフにしたで別の手段使ってでも連絡取りにき兼ねない。止む追えず通話ボタンを押した。


黒夜「チッ……あんだよ!」Pi!

シルバークロース『何を怒っているのか分からないが、ブチ切れたいのは私の方だと理解して貰いたい』ギリギリ・・・

黒夜「……ケッ」フンッ・・・

シルバークロース『黒夜、お前は何処で油を売っている? 私に全て押し付けて……さっさと戻ってこいっ!!』バンッ!

黒夜「っせぇなぁ……面倒ならテメェもふけ込みゃいいだろ」グデェ・・・

シルバークロース『出来れば当にやっている! お前が逃げた後、監視を付けられたのだ! あの女(アマ)ぁ……ふざけおって』チッ・・・


勿論『女』とは私の事じゃ無く、私達の上司(仮)の『電話の女』の事である。ホント、ふざけてるよな。うん。


シルバークロース『お前もだ、オマエも! さっさと戻って来て手伝え、阿呆!』ガー!

黒夜「チッ……んな監視、蹴散らせんだろぉが」ハァ・・・

シルバークロース『やったら反逆罪で粛清対象だ。ガキでも分かるだろう!』キッ


いや、ガキは暗部やらんし。


シルバークロース『そういう屁理屈捏ねるヤツがガキなんだ……で、お前は暗部。つまり暗部にもガキはいる』フンッ

黒夜「テメェはテメェで理屈臭ぇわ、ボケ! あとちゃっかり人の事子供扱いすんな、殺すぞ」ウガー!

シルバークロース『では与えられた仕事はこなせ! でなければいつまで経ってもガキだ、莫迦者!』ギロッ

黒夜「うっ……、」タラー・・・


畜生、口でコイツにゃ勝てん。

仕方ない。下手に言い訳しないで適当言っておくか。


黒夜「ファッキン……もうちょいしたら帰るから」フンッ・・・

シルバークロース『今すぐだ』キッパリ・・・

黒夜「大目に見ろ! 私はガキなんだろ!」フシャー!

シルバークロース『くっ……開き直りおって……兎に角、さっさと帰ってこい!』チッ・・・


じーざす。いいとこだったのに……あ、そうだ。


黒夜「……なぁ、シルバークロース」ボソッ

シルバークロース『あ? 遅延の言い訳する様ならスキルアウト共にお前を探しに行かせるぞ。その人件費はお前の給料から天引きで――』

黒夜「違ぇよ阿呆。ただ聞きたい事があるだけだ」フンッ

シルバークロース『――……なんだ? 仕事の件かい』ジー・・・

黒夜「いや、仕事じゃねぇんだけど……その、私にゃよく分からん話でさ」ポリポリ・・・

シルバークロース『……ん?』ポカーン・・・


自分が世俗に疎い事を承知で聞く。


黒夜「男子って、ベタベタとスキンシップ取るもんなの?」サラッ・・・

シルバークロース『……は?』ポカーン・・・

黒夜「いや、だから男子は男子同士で頭撫でたり頬突いたりすんのか?」ポリポリ・・・

シルバークロース『……はぃ?』キョトン・・・


沈黙。アッチも意味不明な事聞かれて呆けてるだろうけど、私もこれ以上聞くのが気拙い。


シルバークロース『あー……すまん。もう一度言ってくれ。私の聞き間違いかもしれない』タラー・・・

黒夜「男子って、いや『男』でも『男子』でもどっちでも良いんだけど、頭撫でたり――」

シルバークロース『オーライ。もういい……私の耳が腐ってた訳じゃなかった様だ』ハァ・・・

黒夜「――……じゃあ、教えて」コクッ・・・

シルバークロース『……、』ウーン・・・


何故黙る。


シルバークロース『その……申し訳無いのだが、今一、質問の意味と意図と意義とシュチュエーションがつかめない』


意味はそのまま。意図は好奇心。意義は無い。シュチュエーションは詳細説明する。


黒夜「かくかくしかじか」シカクイムーブ・・・

シルバークロース『……、』タラー・・・

黒夜「おい、何か言えよ」ムゥ・・・

シルバークロース『……黒夜、お前何してるんだ?』タラー・・・

黒夜「質問に質問で返すなよ、マヌケ。真剣に聞いてんのに」ウー・・・

シルバークロース『真剣、という言葉が本当なら尚性質が悪い』ハァ・・・


あーもう……聞いた私が馬鹿だった。ユーモアの無いコイツがマトモに返してくれる筈が無かったな。

よくよく考えりゃコイツも私同様に友達なんてものはいない。応えられないのも仕方ないか。


シルバークロース『いやいや。申し訳無いが、私以外の誰に同じ質問をしても同じ様な返しがくると思う』コクッ

黒夜「そうなの?」フム・・・

シルバークロース『やれやれ……とりあえず、真面目に応えるが』ジー・・・

黒夜「うん」コクッ

シルバークロース『一般的、客観的に考えてもオカシイ』タラー・・・

黒夜「や、やっぱそうだよな! 私が常識知らずな訳じゃないんだよな!」ホッ・・・

シルバークロース『お前の非常識っぷりは否定しないが、そのシュチュエーションの方がよっぽど常識外れだろう』フム・・・


だよな。私が変なんじゃないよな。


シルバークロース『仮にその2人が仲の良い兄弟か幼馴染だというなら、まぁ考えられなくもないのだろうが』ムゥ・・・

黒夜「例えそうなら、頬赤く染めたり撫でられて嬉しそうにモジモジするのか?」ウーン・・・

シルバークロース『ありえん』キッパリ・・・

黒夜「そっか……じゃあ、アイツらは」チラッ・・・

シルバークロース『話を聞く限り、中学生男子の方は……惚れてそうだな。しかし実際この目で見てないから絶対とは言えない』タラー・・・

黒夜「うん。じゃあ幻想殺(イマジンブレ)……高校生の方は?」

シルバークロース『此方に関しては先程言った「気の良い兄貴(分)」かもしれない』


成程。つまり、チビ男の『片想い』ってヤツか。


黒夜「ふむふむ……とりあえずありがとう。なんとなく分かったかも」スッ・・・

シルバークロース『どういた……いやいや、待て黒夜。お前、マジで何をしている? というかさっさと帰ってこ―――』Pi!

黒夜「……よしっ」グッ・・・


やはりこの目で事の真偽を確かめる必要がある。案の定、2人はまだ話中の様だ。
自分でもよく分からない決心に突き動かされ、私は2人の後ろの草繁に戻った。


黒夜(大分、間合いちゃったけど何してるか……っ!)ドキッ!

香焼『……自分も』ムゥ・・・

上条『―――何か隠してる事あるのか?』ニヤニヤ・・・

香焼『い、いえいえ! そんな事は!』アタフタ・・・///

上条『なんだよー。上条お兄さんに話してくれてもいいんだぜー』ツンツンッ

香焼『な、無いっすよ!』アワワワ・・・///

上条『ほら。気になる女子とか、えっちぃ本の隠し場所とか』プニプニッ

香焼『いーませーん! そ、そんな本も持ってませんから!』カアアァ///

上条『またまたぁ。中一ならそういう話とかあってもおかしくないっしょー。一方通行みたいに「知らン、ボケ」で通すの無しだぜ』フフフ・・・

香焼『あわにゃにゃ……―――』///


なんつー話を……というか、先程以上にイチャイチャしてる。加えて猥談とか、やっぱコイツら危ない匂いがする。


上条『―――んで、そんなとこだな……って、おい』ポンッ

香焼『ふぇあ!?』///

黒夜「……ふぇにゃ」モジモジ・・・///


幻想殺しのえっちぃ話に聞き入ってしまった……中学生相手になんて過激な内容を!


黒夜(だ、男子高校生ってあんな会話するのか……大人だわ)モジモジ・・・///

上条『ははは――――――やっぱ中学生だな』ツンツンッ

香焼『―――そういう話ばっか――――――そんなに子供扱いしないで下さいよー』ムゥ///

黒夜(が、ガキ扱いすんなっつの! 別に恥ずかしくねぇよーだ)ムギギ・・・///

上条『ははは、子供子供―――土御門とエロ話してみたら―――」アハハ


更に上がいるの!? ふ、不潔だ!


上条『しっかし、意中の女子がいないってのは意外だな。アレだけ周りに女子ばっかなのに?』フム・・・


お ま え が い う な。


上条『―――高校生にもなれば彼女の一人も欲しくなるのですよ……あーリア充なりてー』ハァ・・・

香焼『いやいやいや――――――女性に関しては事欠かないんじゃ』ジトー・・・

上条『――――――上条さんの事を彼氏にしてくれる物好きなんて――――――』アハハ・・・


絹旗ちゃん風に言うなら『超朴念仁ですね』ってヤツだな。
それからまた暫くよく分かんない会話が続いた……相変わらず頭は撫でている。幻想殺しの意図が分からん。


上条『あはは――――――お姉さん達に怒られるぞ』ポンッ

香焼『―――この話は秘密にしとくんで』ニヤニヤ・・・

上条『やれやれ……―――――――――お前も恋人にできそうだけどな』ハハハ

香焼『浦上はやめと、いた、ほ……ぅ……え』ピタッ・・・


え?


上条『え―――――――――気を使わないで済むし』コクッ

香焼『……はわっち?! じ、自分も!?』カアアァ///

上条『あ、そっか――――――……まぁ香焼が『彼女』だったらアレだな――――――』ポンポンッ

香焼『』キュウウゥ///


今、幻想殺しがちっこいのの事『恋人』とか『彼女』とか言わなかったか?
聞き間違いかと思ったが、チビ男が真っ赤になってポカポカ叩いてるところを見るに、間違いない様だ。


黒夜(い、いや、待て待て! からかっただけかもしれない!)マジマジ・・・///


逸る気持ちを抑え、ヤツらの様子を見守る……何か色々ゴチャゴチャ言ってるがよく分からない。

魔術とかグレムリンとか魔人とか聖人とか超能力者とか原石とか統括理事とか色んな教会とか暗部とか汚れ仕事とか殺しとか。
重要そうな事言ってるけど、2人の仕草やらイチャイチャ発言が気になって他が頭に入らない。


黒夜(で、でも……どうしよう)アタフタ・・・///


この『秘密』を知った所で、如何すれば良いのだろう。

正直、私は先程いった通り一般生活やら日常生活やら『平穏』には疎い方だ。その代名詞たる『恋愛』云々は尚の事。
しかもいきなりノーマルぶち抜けてアウトローというかビーンボール級のシュチュエーション。


黒夜(というかこの2人の関係、他の奴ら知ってんのかな)ドキドキ・・・///


特に、絹旗。あの女男と仲良さそうだったけど、この関係知ってて一緒に居るのかな。
もし知らないのだとしたら、とても……『面白い』――【悲しい】……話だと思う。

私個人的にはかなり……『楽しそうな』――【腹立たしい】……結果が待ち受けてそうだ。

あーだこーだ色々考えている内に、気が付けば正午を回っていた。随分と長くイチャイチャするもんだな、あの2人。


上条『―――』プニプニ・・・

香焼『―――』コクッ

上条『―――』ツンツン・・・

香焼『―――』ジー・・・

上条『…………、』ナデナデ・・・

香焼『…………、』ジー・・・

上条『………………、』ワシャワシャ・・・

香焼『………………、』ジー・・・

上条『……………………、』ナデナデ・・・

香焼『……………………、』チラッ

上条『………………………………………………………………、』ナデナデ・・・

香焼『………………………………………………………………、』モジモジ・・・

上条『………………………………………………………………………………………………………………………………、』ナデナデ・・・

香焼『……………………………………………………………………………………………………………………………あ、あの!』モジモジ・・・///

上条『…………………………………………………………………………………………………………………………………………あ、うん?』チラッ


長ぇよ! いつまで無言でナデナデしてんだ!

誰に見られてる訳じゃないが……まぁ私はずっと見てるんだけど……いい加減恥ずかしくなったようだ。


香焼『さっきから、ずっと――――――』モジモジ・・・///

上条『うんうん』ポンポンッ


白昼堂々イチャイチャするもんじゃありません。しかも男同士で。


上条『え……あはは―――』ポンポンッ

香焼『な、何なんすか』ムゥ・・・///

上条『うーん。可愛いから?』ハッハッハッ

香焼『なっ!? ―――――』カアアアァ///

上条『――――――』ナデナデ・・・

黒夜(っ!!!?)アワワワ・・・///


か、可愛いって言った!


黒夜(やっぱコイツら……うん)モジモジ・・・///


複雑な感情。
別に同性愛について如何こうイチャモンつける気は無い。ただそれは否定はしないという意味で、その一方肯定もしないという意味合いだ。
私に『その(ビアン)っ気』は無いし、巷でいうとこの『腐女子』という訳でもない。

ただ、もしコイツらの片方が女であっても……多分、私が今抱いている複雑な思いは変わらないのだろう。


黒夜(……むー)ジトー・・・///


これはやはり、見なかった事にして帰るのも手ではなかろうか。そんな事を考えた刹那―――


    Prrrrrrr!


黒夜「うをっ!?」ドキッ!!


―――電源落とすのに忘れてた!


黒夜(ヤバいヤバいっ!!)Pi! Pi!

シルバークロース『黒夜、貴さm―――』ガチャッ・・・ツーツーツー・・・

黒夜(くっ……ば、ばれたか?)ハラハラ・・・タラー・・・


急いで電話を即切り。今度は間違いなく電源を落とす。
そして、恐る恐る2人の様子を伺う……大丈夫だ、ばれてない。


上条『―――――――――散々期待させといてー!』ガシッ! ワシャワシャ!!

香焼『にゃいあらん!!?』ボンッ//////////////

黒夜(っ!!?)オワァ///


なんか凄いハードな事してらっしゃる。

例え普通の男女カップルでも、こうはイチャイチャしないんじゃないかなぁ。
いや、女子同士ならふざけてこういう事するのかもしれないけど……やっぱ野郎同士じゃおかしいだろ。


上条『はははは――――――満足だな』ムニムニッ

香焼『ひ、酷いっすよー! てか、離してください! はーなーしーてー! んー! んー!!』ジタバタ・・・///

上条『こやつめこやつめ』グニグニッ


ガッシリと抱きかかえられ全身弄り撫で回されるちっこいの……昼間っから大胆だ。


上条『――――――まぁこのくらいで勘弁してやろう』ポンッ

香焼『うー……乱暴された……責任取って下さいよ』クスンッ・・・///

上条『―――お嫁にでも何にでも貰ってやらぁ』ハハハ

香焼『また馬鹿にして』ムゥ・・・///

黒夜(お、お嫁って!)アワワワ・・・///


これは確定ですね。間違いない。


黒夜(……、)タラー・・・///


とりあえず、これ以上の出刃亀行為は不要だろう。
私は空気の読める女だ。あとは若い2人に任せてこの場を去ろう。無論、この事は私の胸中にしまっておいてやる。


黒夜(感謝しろよ)コソコソ・・・

???「にゃー」ツンツン・・・

黒夜(……ん)ピタッ・・・

???「なーぅ」フシフシッ

黒夜(猫?)キョトン・・・


野良猫? いや、首輪してるから飼い猫か。


???「みぃ」ペロペロ・・・

黒夜「……、」ムゥ・・・

???「みゃー」スリスリ・・・

黒夜「……、」ナデナデ・・・

???「にゃーん」キモチー・・・

黒夜(……かわいい)ホンワカ・・・


子猫は可愛いなぁ……じゃない。んな事してる場合じゃなかった。さっさとこの場から撤退を―――


香焼『もあいー』オーイ・・・

???「なぅ?」チラッ・・・

黒夜(ん?)チラッ・・・


―――アイツら、逢引終わったのか。じゃあ尚の事、さっさと離脱しないと。

しかし、事もあろうか不都合な展開が。


香焼『もあい。出ておいでー』オーイ・・・

???「みゃーう」コッチコッチ・・・

香焼『……ん? こっち?』ガサガサ・・・

黒夜(うぇ!? な、何でコッチ来るんだよ!)ギョッ・・・


何故か此方(背後の草繁)の方に入ってくるチビ男。ヤバい、急いで逃げろ!


???「なぅ」ヨジヨジ・・・

黒夜(ちょっ!? おま、肩登るな!!)シッシッ!

???「にゃっ」ブラブラ・・・

黒夜(はーなーれーてー!)アタフタ・・・

???「にゃんっ」アソンデー

香焼『もあい? こっち?』ガサガサッ・・・

黒夜(ぃやばっ!)バババッ・・・


猫を払おうとするも、中々離れてくれない。こうなったら猫と一緒にエスケープを!


???「みゃっ」ガシッ・・・モゾモゾ・・・グイッ・・・

黒夜「ひゃあぁ!?」ギョッ・・・


全く以ての余談だが、私の服は両脇腹が紐閉じのクロスになっている。
そこが猫の『爪砥ぎ』なんかに見えなくも無いんだが……いや、でも常識的に考えて猫が爪引っ掛けてくるとは思わなんだ。


黒夜「や、止めろっての……ひんっ! く、くすぐったっ!」ゾクゾクッ・・・

???「にゃーぅ!」ココカ?ココガイイノカ?

黒夜「うひゃひゃひゃっ! ちょ、おまっ、にゃ!」ビクビクッ!

???「なーぉ!」ウヒョー!

香焼『もあい? こっち……って」ガサガサ・・・ピタッ・・・


あ。


香焼「……え」ピタッ・・・

黒夜「……う」ピタッ・・・


あちゃー。


???「にゃん」ツンッ

黒夜「ひっ! だ、だから離れろ!」ジタバタッ・・・

???「にゃー?」クシクシッ

黒夜「ウィヒヒッ! や、止めろっつーの!」モゾモゾッ

香焼「……もあい。おいで」スッ・・・

もあい「にゃ?」チラッ・・・スタッ・・・


もあいって、その猫の名前かよ! ネーミングセンス無ぇな!

って、それどころではない!


香焼「……黒夜、さん?」ジー・・・

黒夜「あー……えっと」タラー・・・

香焼「……何してたの?」キョトン・・・

黒夜「そ、そのだな……あの、うん」ダラダラ・・・


アチラからしてみれば、今さっきまで自分らが座っていたベンチの後ろの草繁で、己がペットと戯れるおかしな娘が居ると目に映るだろう。
問題は『いつ』から居たのか、といったところだろう。さて、どうしたものか……そうだ!


黒夜「こ、この前のお返しをと思ってな!」アハハハ・・・

香焼「はい?」キョトン・・・

黒夜「じゅ、ジュースを! お、奢ってもらったろ! だから、恩返しをさぁ! うん!」アタフタ・・・


この場に居た事は誤魔化して自販機の方へ向かう。些か強引だとは思うが、さっさとこの場から逃げねば!


香焼「……、」ジトー・・・

黒夜「きょ、今日は私が奢る。何が良い?」アハハハ・・・

香焼「……、」ジトー・・・

黒夜「ほ、ほら! 折角人が奢ってやるっつってんだ。さっさと選べよ」タラー・・・

香焼「……、」テクテク・・・

黒夜「よし、待ってろ。今マネーカードを……って、あれ」ピタッ・・・


反応無し。


黒夜「あ、れ……えぃ」ピタッ・・・シーン・・・

香焼「……、」テクテク・・・

黒夜「このっ……なんでっ」ピタッ・・・ピタッ・・・シーン・・・


電子マネーが使えない!


香焼「まだマネーカード使用中止みたいっすよ」テクテク・・・チャリンチャリン・・・

黒夜「はぁ!? 業者何やってんだよ!」タラー・・・

香焼「……選んで良いっすよ」ジー・・・

黒夜「え、あ、どうも……って」ピッ・・・ガタンッ・・・


反射的に『コーヒーソーダ-粗引きブラック味』を押してしまった。


黒夜「……、」ヤッチマッタ・・・

香焼「はい」スッ・・・

黒夜「……くっ! は、払えば良いんだろ! 払えば!」ゴソゴソ・・・

香焼「……、」ジー・・・

黒夜「あー畜生! また小銭持ってねぇ!!」キー!


私の馬鹿! これじゃあ言い訳出来ないし、逃げれない! 誰か助けろ!

 ~~~~~~~~~~・・・香焼side・・・~~~~~~~~~~~




正直、僕自身状況が掴めなかった。目の前には知人の少女。急ぐ様にアタフタしている。


黒夜「あー畜生! また小銭持ってねぇ!!」キー!

香焼「黒夜さん」ジー・・・

黒夜「な、なんだよ。(ま、拙い)」タラー・・・


冷静に状況を整理しよう。
先程まで僕は上条さんと話をしていた。 → 話が終わったのでもあいを探した。 → 草繁の中にもあいと黒夜さんが居た。

うん、疑問は二つ。


香焼「何で、草繁の中に居たの?」ジー・・・

黒夜「うっ……えーっと。(出刃亀してましたー、だなんて言えねぇよ!)」ポリポリ・・・

香焼「……いつから、居た?」ジトー・・・

黒夜「……っ。(最初っから居ましたー……怒ってるのか?)」ダラダラ・・・


僕の中で最悪のケースが浮かんだ。もしかして、上条さんとの話を聞かれていたか?
この街の人間に聞かれてしまっては拙い『魔術』やら『任務』の話もしていた。特に彼女は『暗部』の人間……非常にヤバい。


香焼「ねぇ。いつから」ジー・・・

黒夜「さ、さぁ。気付いたら居たなぁ。(誤魔化せ、私!)」ヒューヒュー・・・

香焼「……、」ジー・・・

黒夜「な、何だよ。(無理か……どうやって逃げよう)」タラー・・・

香焼「聞いてたの?」ジトー・・・

黒夜「なっ!? (何でばれた!?)」ドキッ・・・

香焼「(顔に出てる……)聞いてたんだ」タラー・・・


抜かった……せめて『仕事』の話をする時くらい周囲に気を付けるべきだった。


黒夜「な、何も見てないし聞いてないぞ。(コイツ、読心能力を!)」アタフタ・・・

香焼「いつから?」タラー・・・

黒夜「だ、だから見てないっつの!(無理矢理逃げても良いが、追いかけられたら面倒だし)」ウーン・・・

香焼「……誰かの指示?」タラー・・・

黒夜「違うよ! 偶然だ、偶然。ホント! (能力使って張っ倒して逃げるのは……昼間っからは拙いよねぇ)」アタフタ・・・


気拙い沈黙……こうなったら腹を割って話す他無い。本当に偶然ならまだしも、もし何かしらの諜報作業なら手を打たなきゃならないし。


香焼「……ちょっと、お話しよう」クイッ・・・

黒夜「うっ……わ、分かった。(しゃーない。こうなりゃコッチも色々聞いちゃるか)」コクッ・・・

黒夜(幻想殺しとの『関係』について……本当にデキてるのか如何か問い質してやる)フム・・・


案の定、素直に付いてきてくれた。どうやら偶然というのは嘘では無いらしい。
もし諜報だったら、どんな手を使ってでもこの場から離脱して情報を持ち帰る筈。

そうでないのなら、何とかして口止めしなきゃ……ベラベラ喋られたら堪ったものではない。

しかしこの時、素直に逃がしておけば良かったと後悔するのは、もうちょい後になってからだった……―――

今回は此処までで。次回からサブタイ通りの展開に入っていきます。
ボチボチ安価とか取っていくかもしれないので、その時は宜しくお願いします。

それではまた次回! ノシ”

こんばんわ・・・・・私事だけど、ネタならまだしも実際にホモ扱いされんのって困るし怖いんよー。

ボチボチ投下します。

   ―――一方、AM10:00、とあるマンション一室、絹旗side・・・・・





絹旗「―――あーもぅ! 何で私まで手伝わなきゃならないんですかっ! 今日は用事あるって事前に言ってたでしょ!」フシャー!

浜面「んな事言ってもしゃーないだろ。本人もプライド捨てて頼み込んでるみたいだし」チラッ・・・

フレメア「……お願いします、、、にゃー」ドゲザァ・・・

絹旗「プライド捨てた人間は語尾に超あざとく『にゃー』なんてつけません! 土下座で何もかも許されると思ってるのは外人だけですよ」キー!

浜面「そう言ってやんな。とりあえず明後日までにこの量の宿題片付けないと先公から倍プッシュ食らうらしいしよ」ハァ・・・

絹旗「超自業自得でしょう。今までこんなに宿題溜め込んでた自分の不肖を超呪うべきですねっ」フンッ

浜面「そりゃそうなんだが、此処最近色々あって学業疎かになってたのも確かだし」ポリポリ・・・

絹旗「……、」チラッ・・・

フレメア「うー……お願いします」ドゲザザザァ・・・

絹旗(この子には『普通』の少女として、普通の学生生活を送らせたい……ですか)ハァ・・・

絹旗「ったく……それにしても超多過ぎでしょ。夏冬休みの宿題を休日二日で片付けろって言ってる様なもんです」ジトー・・・

フレメア「うん。実際『冬休みのとも』で終わり切らなかった分も上乗せで入ってるよ」キッパリ

絹旗「この糞ガキゃあああぁっ!!」シャー!!

浜面「落ち着けバーロー! 皆まで手伝えとは言わんから! な!」ドードー・・・

絹旗「ふーふー……チッ……てか、麦野と滝壺さん超ずるくないですか? コレ分かってたら私も早々出発してましたよ」ジトー・・・

浜面「麦野は昨夜から『用事』で、滝壺は病院で検査だ。仕方ない」コクッ

絹旗「私だって映画の約束会ったんですよ。劇場版『銅力彩未(どうりきあやみ)の暴走』観に行く予定がっ!」ムゥ・・・

浜面「(うわぁ、俺の番じゃなくて良かったぁ。坊主、死ぬなよ)まぁ、その……運(タイミング)が悪かったと思って付き合ってくれ」ポンッ

フレメア「(何その映画、爆死確定)どうか……よろしくお願いします」ペコッ

絹旗「んもー……てか、何で冬休みの宿題まで終わってないんですか? ホント、超馬鹿な娘なの? 死ぬの?」ジトー・・・

フレメア「それは……、」シュン・・・

絹旗「ん」ジー・・・

フレメア「お姉ちゃんが、毎年手伝ってくれてたから……今年も手伝って貰おうと思ってた……のに」ショボーン・・・

絹旗「ぐっ……超シリアルな」タラー・・・

浜面「(シリアスだぞ、お馬鹿)とりあえず頼むよ。正直俺一人じゃ間に合いそうも無くてさ」ポリポリ・・・

フレメア「浜面のオツムじゃ小学生レベルの宿題でも悪戦苦闘しちゃうからにゃあああぁ痛たたたたたーっ! ほ、ほっぺがー!!」フギャー!

浜面「お嬢さーん……あんまり調子乗るなよー? 何一つ手伝わないで追い出してやっても良いんだぜ」ニコニコ・・・ギリギリ・・・

フレメア「ふ、ふいにゃへん……ふにゃっ! 痛つぅ……と、兎に角お願いします! そっちも!」ペコッ・・・

絹旗「……、」ハァ・・・

フレメア「……絹旗『お姉さん』。お願いします」ウルウル・・・

絹旗「お、お姉さっ……ちょ、超しょうがないですねぇ。私は『お・ね・え・さ・ん』ですからねぇ」エッヘンッ!

フレメア「ありがとうにゃー! (ふふふ……超チョロいんにゃあ)」ワーイ・・・フフフ・・・

浜面「(コイツ、普段年下扱いされてばっかだから弟妹キャラに弱いよなぁ)すまん、助かるよ」ハハハ・・・

  ―――とある休日、PM00:30、学園都市第7学区、とある公園(イカれ自販機在中)・・・・・





並んでベンチに座る少年と少女。お互い何を話して良いのか分からず、初々しくもモジモジしてジュースを啜ってる―――


香焼・黒夜「「……、」」モジモジ・・・


―――傍から見ればそんな風に見えるだろう。
しかし正味は全然異なる。気拙いといえば確かに気拙いのだが、実際は恋慕云々のそれではないのだ。


香焼・黒夜((ど、どうしよう))タラー・・・


少年は危惧していた。彼女は先程の話を『何処まで聞いてしまったのか』を。
魔術やら英国やら潜入学徒の任務やら、人に聞かれては拙い話がわんさかあった。
加え、よりによって相手は『この娘』という事態。一般人に聞かれてもアウトな会話を、更に厄介な暗部の人間に聞かれた。


香焼(……兎に角、冷静に聞き出そう)ゴクリ・・・


何処まで知ったか。それが重要だ。
その上で、自分だけで対処するのか、上司(五和や土御門)に相談するのか、次の行動を判断しよう。

一方、少女は悩んでいた。コイツは本当に『幻想殺しと恋仲なのか』を。
何故こんな事に興味を持ってしまったかは分からない。普段の自分からしてみれば酷く如何でもよい、下らない事なのだ。
しかし、見てしまった人物が人物なのだ。


黒夜(だってさぁ……コイツと上条当麻だぞ?)チラッ・・・


片や、知人全ての『中心』といっても過言ではない英雄。片や、不肖ながらも『愚妹』と懇意にしている少年。
この関係を知って如何こうするつもりもないのだが、兎に角、気になって仕方がなかった。


香焼・黒夜「「……、」」ゴクリ・・・


互いに緊張しているのか、喉を鳴らす。
周囲は休日を満喫する子供達の遊び声や、野良猫達が戯れる鳴き声で賑やかだったが、そんなモノは耳に入らなかった。

どちらが先に口火を切るか。お互い無言の牽制……しかし、このままでは埒が明かない。
勝負を掛けるなら一気に行くしかないのだと―――


香焼・黒夜((……よしっ))グッ・・・


―――言葉を発す。


香焼「あのさっ。黒夜さん!」バッ

黒夜「あのにゃ……っ!」グッ・・・

香焼(よしっ……てか、今噛んだよね。『あのにゃ』って……『にゃ』って)タラー・・・

黒夜(先言われた! あと噛んじまったああああぁ!! 『にゃ』って何だよ! んなキャラちゃうだろ私ぃっ!!)グヌヌゥ・・・


駆け引きの勝敗は少年に上がる。
普段なら『お先にどうぞ』などと譲ったりもするのだが、今回ばかしは譲れない……にゃ。


香焼「えっと、とりあえず……今日は何してたの? お休み?」チラッ

黒夜「……ああ」コクッ

香焼「そっか。自分もっすよ」ジー・・・


非常に下らない会話から入ってしまったが、この雰囲気でいきなり不仕付けな質問をするよりは幾分マシだろう。

しかし、此処で問題が生じる。


香焼「晴れて良かったっすね」ジー・・・

黒夜「そうだな」コクッ

香焼「うん。そのジュース、美味しいんすか?」チラッ

黒夜「普通」コクッ

香焼「普通、かぁ。あー……猫好き?」チラッ

黒夜「割と」コクッ

香焼「そ、そうなんだ……休みの日は、よく此処(公園)来るんすか?」ジー・・・

黒夜「来たり来なかったりだ」コクッ

香焼「へ、へぇ……うん」タラー・・・


会話が続かない!
元々自分らは共通の友人(?)が居る程度の知人であって、馬鹿なテンションであーだこーだ聞ける間柄ではないのだ。
返事が返ってくるだけマシだが、こんな会話の壁打ち状態では気拙い雰囲気から脱け出せない。


香焼(出会った頃の最愛相手にしてるみたいだ)アハハ・・・


今でこそ積極的に絡んでくる例の『共通の友人』さんだが、昔はまんま、隣に座るこの少女と同じ対応だった。
会話の一方通行とは言ったモノだ……第一位の思考回路っぽいだけに。

ただし、目の前の少女と友人の違いは『攻め』か『守り』かというところにある。
かつての友人であれば初対面の相手に対し無言(守り)を貫き通すのだが、隣の少女は違った……彼女は初対面だろうが質問(攻撃)する。


黒夜「……なぁ」チラッ

香焼「あ、うん」ピクッ

黒夜「……あのよ」ポリポリ・・・


だがしかし、残念な事に言葉が出ない。いや、言葉を選んでいるが故に質問しかねている。
率直に聞くべきか、それとも彼の様に当たり障り無い会話から入るべきか……それは無理だ。
何だかんだいっても、絹旗最愛の姉妹分。育った環境は同じな訳で、コミュニケーション力に欠けるのだ。一般会話なんて苦手もいいところ。


黒夜「……、」タラー・・・

香焼「く、黒夜さん」ジー・・・

黒夜「な、何でもねぇよ。(くそっ! 何聞きゃ良いんだっつの!)」アタフタ・・・


普段の彼女であればアバズレビッチ宜しく、F口調全開で遠慮構わず突っ掛かる筈なのだが、ケースがケース。
無意識に妙な気を使ってしまうので下手に騒ぎ立てる事は出来なかった。


香焼・黒夜「「……、」」タラー・・・


結局、無言。更に雰囲気が悪くなったので余計性質が悪かった。
このままでは平行線で無為に時間だけが過ぎて行ってしまう……少年は意を決した。


香焼「ハァ……黒夜さん」チラッ

黒夜「お"、お”ぅ!?」ビクッ・・・

香焼「(何だ今の声?)……腹割って話そう」ハハハ・・・

黒夜「え、あ、うん。(変な声出しちまった!)」タラー・・・


少女は固唾を飲んで、少年の言葉に耳を貸した。


香焼「じゃあ、真面目に聞くけど……何処から聞いてんすか?」ジー・・・

黒夜「え。う、うーん……そうだなぁ」タラー・・・

香焼「誤魔化さなくて良いっすよ。聞かれた自分が悪いんだし、怒んないっすから」コクッ

黒夜「……、」ポリポリ・・・


彼女が本当に『偶然』この場に居合わせたなら、怒る必要は無い。
盗み耳立てた行為については褒められたものではないが、こればかりは此方の落ち度。
ただ、彼女が諜報活動を誤魔化す為に嘘を吐いているのだとしたら……やはり考え物だ。

尤も、暗部の諜報活動であればあんな明から様な出刃亀スニーキングをする訳もなかろう。


黒夜「……ぶっちゃけ」ボソッ

香焼「うん」コクッ

黒夜「最初から」タラー・・・

香焼「……そっか」ハァ・・・

黒夜「じゅ、純粋に興味だったんだ。知り合いが二人揃って何か話してるなぁって思ってよ」タラー・・・


少女の言葉に嘘はない。
確かに最初はこの少年が『同業者』だと聞いていたので、仕事の話やらを盗み聞きしてやろうと考えた。
しかし、実際(?)はただの合瀬だった……『ただの』ではないか。


香焼「初めから、自分と上条さんを付けてた訳じゃないんすね?」ムゥ・・・

黒夜「最初見っけたのはお前だけだ。そん時はからかってやろうと思ってたけど、後から幻想殺しが来て……その、うん」モジモジ・・・

香焼「ハァ……声掛ければ良かったのに。(見た目に依らずシャイなのかなぁ)」ヤレヤレ・・・

黒夜「で、出来る訳ないだろアホ!(あんなイチャイチャしといて、邪魔できるかっつの!)」アタフタ・・・

香焼「……因みに、全部聞こえたんすか?」ジー・・・


重要なのは此処。別段、聞かれても問題無い他愛無い話が多かったが、仕事関係の話もボチボチしていた。
故に、もし聞かれていたなら対処を考えねばならない。


黒夜「聞こえたり、聞こえなかったり……ホントだって! 嘘じゃねぇよ!」アタフタ・・・

香焼「……信じるよ」タラー・・・


ならばこれ以上、下手に此方から口を開かない方が良かろう。
変に疑いを掛けて盗み聞きされていなかった事まで勘付かれては難だ。

ただ、確認として尋ねておく。


香焼「それじゃあ、何か質問は?」チラッ

黒夜「え」キョトン・・・

香焼「応えられる範囲で応えるっす。勿論、無理なのは黙秘させてもらうけど」ジー・・・

黒夜「お、おぅ」ウーン・・・


駆け引きだ。アチラの質問から何処まで聞いたかを把握する。
そして、アチラが外部に漏らすか如何かの意図を確かめる。

一方……少女からしてみれば意味が分からなかった。やけにオープンだ。何故?


黒夜(開き直ったのか? てか、もしかしてコイツらの関係って私が知らなかっただけで結構有名なの?)タラー・・・


何にしろ、少年の真面目な顔。アチラは覚悟を決めた様だ。では此方も覚悟して聞く。


黒夜「お前と、幻想殺し……上条当麻の関係は、その」モジモジ・・・

香焼「……歯切れが悪いね」ジー・・・

黒夜「う、うっせぇな! ええっと……さっき見た通り『そういう(恋愛)関係』なのか?」チラッ

香焼「(『そういう関係』と誤魔化して聞いてくるって事は確信は掴めてないのか。なら此方も誤魔化す)……聞いてた通りかと」ジー・・・

黒夜「そ、そうなのか」ムゥ・・・


アバウトな返答にも納得する少女。という事は、やはり全て聞かれていたのかと後悔する少年。
他方、少女も後悔した……何故か胸が痛む。聞くべきでは無かった。世間一般でいう『片想いしてた憧れの先輩が彼女持ちだった』的な感覚。


黒夜「いつから(付き合ってた)?」チラッ

香焼「(これ以上、下手に応えると拙い)……答えたくないっす」キッパリ・・・

黒夜「そう……じゃあ、アイツとの付き合いは長いのか?」

香焼「(これくらいは、大丈夫か)半年経ったくらいかと)」

黒夜「半年、か。(学生カップルとしちゃ長からず短過ぎず、なのかな)」


自分の話を聞かれないという事は、『狙い』は彼なのか。


黒夜「でもよ。ぶっちゃけ、その……お前にゃ悪ぃが『アブノーマル(同性愛)』な世界だろ? お互い納得してんのか?」モジモジ・・・///

香焼「アブノーマル(危険)? そんな事言う君だって『そういう世界(暗部)』の人間じゃなかったの?」ジトー・・・

黒夜「はぁ!? お、お前と一緒にすんな! 私は『別の世界(ノーマル)』の住人だっつの!」アタフタ・・・///

香焼「別の世界(もっと危険)ねぇ」ヤレヤレ・・・


ぶっちゃけ秘匿性でいえば、この街の暗部より魔術師の存在の方が『深い場所』にあるのだが。
ただ、彼の安全の為にこれだけは言っておく。


香焼「上条さんはあくまで『一般人』っすよ」キッパリ

黒夜「はぁ!? 一般人(ノンケ)だぁ!?」ポカーン・・・

香焼「信じられないかもしれないっすけど、彼は嫌が応にも自分らの世界に巻き込まれて、今の状況に置かれてるだけっす」コクッ

黒夜「お前ら(ホモ)の世界に巻き込まれたって……意味分かんねぇ」アタフタ・・・///

香焼「まぁ有名な話っすけど、上条さん、そういう(不幸)体質っすからね」ハハハ・・・

黒夜「そ、そういう(ゲイ)体質っ!!?」カアアァ///

香焼「え? 知らなかったの」キョトン・・・

黒夜「し、知らねぇよ……有名なのか」タラー・・・///


先天性の同性愛者……もしかしたら、性同一性障害なのか。ドチラにしろ、信じられない。


黒夜「えっと……お前らの出会いは?」モジモジ・・・///

香焼「それは応えられないっす」キッパリ・・・

黒夜「じゃあ、どっちから(告ったん)だ? お前から? アイツから?」モジモジ・・・///

香焼「どっちからって訳じゃないっす。彼は相変わらず色々巻き込まれて、自分は自分らの立ち位置に居ただけっすよ」ジー・・・

黒夜「『お前らの立ち位置(ホモ)』に巻き込まれたって事は、やっぱお前から(告白したの)か」ムゥ・・・///

香焼「(魔術の世界に)巻き込んでしまったと考えれば確かにそうっすね」コクッ

黒夜「お、お前。見掛けに依らず大胆だな」ボソッ・・・///


そして幻想殺しはコイツを受け入れた訳か……凄い世界だな。


香焼「でも……そっち(都市側)だって、上条さんの事巻き込んでるでしょ」ジー・・・

黒夜「ま、巻き込んで無ぇよ! てか私とアイツ、そんなに面識無ぇし。どっちかってと苦手で……まぁ多少借りはあっけどよ」モジモジ・・・

香焼「ふーん」ジー・・・

黒夜「わ、私の話なんか如何でもいいんだ! とりあえず、その……もういい」スッ・・・

香焼「え」キョトン・・・


こんな問答で納得したのか、と少年は呆気に取られた。


黒夜「でも……お前らの(恋人)関係が有名だってのは正直驚いた」ハァ・・・

香焼「え。いや、上条さんの関係(魔術との関わり)は有名じゃないっすよ」キッパリ

黒夜「え、だってさっき」ポカーン・・・

香焼「有名なのは彼の『体質』で、自分らとの関係は秘密っすよ」タラー・・・

黒夜「あ、そういう」コクッ


いや、それでも驚きなのだが。


黒夜「じゃあさ……お前が『そういう人間(同性愛者)』だって知ってるヤツは多いのか?」チラッ

香焼「(魔術の存在を知る人は)殆ど居ないっすよ。秘匿されるべきモノだから」ジー・・・

黒夜「そりゃそうだよな。大っぴらに言えたモンじゃねぇ……じゃあ私は特別か」ハハハ・・・

香焼「そうなるね」タラー・・・


コイツの弱みを握った訳か。まぁ誰に言う訳でも無いのだが……しかし、ふと、とある人物が頭に浮かんだ。
それは少年と少女にとって、共通の知人。


黒夜「……絹旗のヤツは」チラッ

香焼「え」ピタッ・・・

黒夜「アイツは、知ってんのか?」ジー・・・

香焼「さ、最愛は……その」タラー・・・

黒夜「知らねぇのか……へぇ。ふーん……まぁそりゃ後ろめたいもんなぁ」ニヤリ・・・

香焼「う、後ろめたいって訳じゃ」タラー・・・

黒夜「じゃあ何で言わないんだ? お前はアイツの秘密(暗部)知ってたのに?」ジトー・・・

香焼「っ」グッ・・・


少年の苦悶の表情。
これを見るやいなや、少女は先程の出刃亀行為の後ろめたさから一転して、嗜虐心が沸き上がってきた。


黒夜「へぇ……黙ってるんだ。友達なのにぃ。アイツ、お前には心開いてたっぽいのになぁ……隠し事されてたんだぁ」ニヤニヤ・・・

香焼「し、知らなくたって良い事だってあるっすよ」キッ・・・

黒夜「確かにな。でも、お前はアイツの事色々知ってて、アイツはお前の事を知らない……卑怯臭ぇな」フフフ・・・

香焼「っ……い、いずれ、時が来たら言うつもりっす」タラー・・・

黒夜「そ」ニヤニヤ・・・


良い顔。純粋にそう思ってしまった。
少女の思考は第一位の鋭利な部分を植え付けられている。故に、少々……いや、かなり性格が歪んでいる。

そして少女は、彼が今、尤もして欲しくない事を告げる。


黒夜「……言って良い?」ニヤリ・・・

香焼「ぇ」ピタッ・・・

黒夜「大事な大事な絹旗ちゃんに……アンタの事」ニヤニヤ・・・

香焼「っ!」ズキッ・・・


あぁ、素敵な顔。


香焼「だ、だから自分で言うって。てか、他人に言うつもりはないって最初に言ってただろ!」キッ・・・

黒夜「気が変わった、とは言わないが……まぁもし仮にだ。絹旗のヤツがお前と同じ様に『何故か』お前の秘密知っちゃったら?」フフフ・・・

香焼「オマエっ!」グッ・・・

黒夜「おっと、言葉には気を付けた方が良いんじゃないのぉ? まぁあくまで止むを得ずって具合に……例えば」ニヤリ・・・


その現場を見てしまった。匿名のメール。出処不明な噂が広まってしまった……など。


香焼「……、」ダラダラ・・・

黒夜(イッヒッヒッ! 堪らないなぁホント。虐め最高)ニヤニヤ・・・


無論、実際にそんな事するつもりはない。それをしてしまえば幻想殺しを敵に回し兼ねないからだ。
アレを敵にすると、色々拙い。純粋に相性は悪いし、上からは怒られるし……あとは借りがあるし。

コイツと絹旗についてもそんなに興味は無いので、正直、如何でもいい。


香焼「……お願い。黙っててくれ」ペコッ

黒夜「あるぇ? 敬語はー?」フンッ

香焼「っ……お願いします。さっきの話は他言無用でお願いします」ペコッ

黒夜「ふふふふ……如何すっかなぁ」ニヤニヤ・・・


まぁ、これ以上虐めると幻想殺しに告げ口され兼ねないから、このくらいにしとこうか。
そんな事を考えた刹那、少年の携帯が鳴った。


香焼「……、」Prrrr・・・

黒夜「あ、出ていいぞ」コクッ

香焼「……、」スッ・・・

黒夜「でも、この場で出ろ。逃げたら殺す……社会的な意味で」ニヤリ・・・

香焼「くっ」チラッ・・・


着信の相手を見る……最悪なタイミングだ。


黒夜「ん……どうした、出ろよ。別に会話の邪魔なんかしねぇって。私ぁTPOは弁えるタイプでっさぁ」フフフ・・・

香焼「……、」ダラダラ・・・

黒夜「……ん?」ジー・・・

香焼「な、何さ」タラー・・・

黒夜「おい、相手誰だよ?」ジトー・・・

香焼「姉っす」ジー・・・

黒夜「へー」ジー・・・


沈黙……そして―――


黒夜「貸しな」バッ!

香焼「ちょっ!!?」ギョッ・・・


―――一気に奪う。画面に表示されている名前は……あぁ、最高。


黒夜「ふふふ、やっぱそういう事ねぇ……あ、もしもし。絹旗ちゃーん?」Pi!

香焼「オマエっ!!」バッ!

絹旗『もしも……ぇ』ピタッ・・・


携帯を奪い返そうとする少年を目で牽制する少女。その意味は、言わずもがな。


黒夜「私、私。私だけどー」フフフ・・・

絹旗『……何してんですか。冗談にも程がありますよ』ジトー・・・

黒夜「ところがどっこい、冗談じゃないんだよねぇ。何の用? デートの御誘いだった?」ヒヒヒ・・・

絹旗『超喧しいです。良いからさっさと香焼に替わって下さい、この超アバズレ女が』ギリッ・・・

黒夜「だからぁ、今愛しの香焼ちゃんは忙しくて出られないの。代わりに私が伝言っといてやるよ」ウンウンッ

絹旗『超意味不明です。何これ電波ジャック? それとも新手のドッキリですか? 超性質悪いんですけど』ジトー・・・

黒夜「マジ超現実。しゃーないなぁ、それじゃあ替わってやるよ……終わったら切らずに私に寄越せ。切ったら……分かってるよな?」ニヤリ・・・

香焼「っ」コクッ


少年は受け取り、嫌な汗を掻きながら電話に出た。


香焼「……もしもし」スッ・・・

絹旗『香焼? ホント、何なんですか? 超意味不明です』ハァ・・・

香焼「自分も訳分かんないよ。何でこうなったんだか」ハァ・・・

絹旗『大丈夫ですか? もし何かされてる様なら直ぐにでも助け行きますよ』ジー・・・

香焼「今は大丈夫かな……それで、如何したの?」チラッ

絹旗『あ、はい……超申し訳無いんですが、待ち合わせに超遅れそうで。超緊急の問題が山積みに押し寄せてきちゃいました』ヤレヤレ・・・

香焼「そうなんだ。まぁ仕方ないよ……とりあえず映画は無理そうだね」ホッ・・・

絹旗『ええ、超残念です』ムゥ・・・


彼女には悪いが言わせてもらう。神様、ありがとう。


絹旗『一応超頑張って課題終わらせるんで……迷惑じゃなきゃ夕方辺りにでもお伺いして良いですか?』ペコッ

香焼「うん、待ってるよ」コクッ

絹旗『ホント、すいません。それじゃあまた後で』スッ・・・

黒夜「おい」クイッ

香焼「あ、ちょ、ちょっと待って!」アタフタ・・・

絹旗『え?』キョトン・・・

香焼「……黒夜さんが替われって。何か話があるみたい」ハァ・・・

絹旗『私は超無いんですが』エー・・・

香焼「自分を助けるためだと思って、お願い」ペコッ


明から様に嫌そうな嘆息が聞こえたが、止むを得ず電話を続けた。


絹旗『あー、通話代が超勿体無いです』ジトー・・・

黒夜「そういうなって。折角御姉様が電話してやってんのに」ニヤニヤ・・・

絹旗『誰が姉だ。私が姉だっつの』フンッ

黒夜「はぁ? マジ有り得ねぇ。オマエ妹、私姉。これこの世の摂理。OK?」

香焼(ホント、こういうとこは姉妹だなぁ)タラー・・・


下らない姉妹論争が暫く続き、少女は本題に入る。それはそれは……唐突な爆撃。


黒夜「―――あ、そうそう。面白ぇ事教えてやるよ」ニヤリ・・・

絹旗『は? 超C級映画のエンドロールにつく下らないNG集並に超ツマラナイ黒夜がどんな面白い話振ってくれるんですか?』

黒夜「今からコイツ私の奴隷になったから」ニヤリ・・・


沈黙数秒。そして、少年と電話越しの少女が口を揃えて告げた。


香焼・絹旗『「は?」』キョトン・・・

黒夜「だから奴隷。私の従者。下僕くん一号……あ、一号は銀幕(シルバークロース)の野郎だから二号か」アハハ

絹旗『超絶! 理解不能なんですけど!?』ハァ!?

香焼「い、いやいやいやいや! 意味分からない! 何言ってんのさ! ふざけな―――」タラー・・・

黒夜「おい……奴隷のクセに、生意気だぞ? なぁ……いいのか?」チラッ・・・ボソッ・・・

香焼「―――っ」グッ・・・


何も言えない。


絹旗『……黒夜。アンタ、いい加減にしなさいよ』ギッ・・・

黒夜「あららぁ? おこなの? プンプン丸なの?」ニヤニヤ・・・

絹旗『オイ!』ガンッ!

黒夜「ま、決定事項だから文句つけんなよ。そんじゃ私は以上で……奴隷くんから何かある?」スッ・・・

香焼「……もしもし」スッ・・・

絹旗『ちょっと香焼!』キッ・・・

香焼「ごめん、後でちゃんと説明するよ……心配しないで……っていうのは無理だろうけど、自分は大丈夫だから」タラー・・・

絹旗『私が全っ然大丈夫じゃないんですよ!』フシャー!

香焼「……兎に角、ごめん。また後で、夕方時に」スッ・・・

絹旗『香焼! ちょっとまだ、待っ―――』Pi! ツー・・・ツー・・・


電話を切る……そして、隣でニヤニヤ微笑む少女を睨みつけた。


香焼「地獄に堕ちろ」ギロッ・・・

黒夜「ふふふふ……良い子だな。専ら、そのつもりさ」ハハハ


少女は楽しそうに歩き出す。


黒夜「さぁ、連いといで。犬っころ。逃げたら殺すかんなー」ヒヒヒッ!

香焼「……あんまりだ」フコウダー・・・


意地悪を通り越して悪魔の所業。涙目になりながら、渋々とリアル小悪魔少女の後を追った……―――


以上です。如何転んでもバッドエンドな予感!
まぁでもシリアスじゃないから死にはしないのでOKって事で。

とりあえず、黒夜と香焼に『何処』行きたいか『何』させたいかリクエスト取ります。
安価じゃないので適当にリクお願いします。

それじゃあ例の如く、質問意見感想罵倒等々お願いします。ではまた次回! ノシ”

おつ!やはり香やんも上条さんと同じで女難の相が出ておるww
とりあえずリクは夜の街で夜遊びしてたら番外さんとバッタリなんてシチュはアリですかね?

日本語って難しいwww

乙!

乙! いわゆるアンジャッ臭って訳ねww

ゲーセンでUFOキャッチャーとか良いんじゃない キャラに似合わずカワイイ物好き‥‥でも全部破裂させるよみたいな
んで、イライラMAXのみこっちゃんにバッタリと!

番外さんに(香焼とお揃いで)ネコ耳とか装備させられちゃう黒にゃんお願いします
あと黒妻にーさんに「教育」されるのもいいかも



黒夜の偏見が更に曲解して伝わり

上条と香焼 vs 女子連合(魔術と科学の結合組織状態)

みたいな事になりそうだな
(ギャグ補正皆無で)
だが
そんな状況で上条達の方に味方する女子が現れれば
まさにそんな彼女こそ真のヒロインだろう

ビオランテ「‥フフフ‥」
イルカ「」
無個性「?」

「上条×香焼」じゃなくて「上条と香焼」な

スフィンクスともあい「「にゃー」」

おおっ!!戦力外にもほどがあるけど味方いたよ!
「人間じゃない」だぁ!?贅沢ぬかすな!!


スレが来てたことに気付かなかったぜ

こんばんは。ボチボチ書きます。


>>171・・・カミやん病患者だから仕方ないね。やっぱワーストさん&黒にゃんの組み合わせは人気なのかな

>>172・・・難しくも美しいのが日本語ですよー

>>173・・・ウチの御坂さんは暴走キャラ筆頭だから何しでかすか分かりゃん

>>174・・・猫耳香焼とか誰得?w 黒妻さんねぇ……新約で如何絡ませるか悩みどころ。第6位(仮)さんとは知り合いだったりしないのかな?

>>175・・・上条約に則り香焼の勝ちという事で女子達は潔く引き下がるべし!w あと……■■さんの事を無個性と言ったな? 訴訟も辞さない

>>176・・・ひっそり書かせて貰ってますんよ


では投下どー。

  ―――とある休日、PM01:00、学園都市第7学区、商店街・・・香焼side・・・





黒夜「ふんふふ。ふんふふ。ふんふーふーん♪」テクテク・・・


割と上機嫌な黒夜さんの後ろを歩く。今のところ、特に酷い事を命令されたり強制されたりはしてない。
正直、こういう風に傍から見ている分には至って普通の少女っぽい。
多少、服装は独特だがこの街には彼女も薄れて見える程のファッションセンスの持ち主が闊歩してたりするので、別段問題無かろう。


黒夜「さーて、どーすっかなぁ」ヒヒヒ!

香焼「……、」ハァ・・・


まぁいい。コレを機に、彼女や今の暗部についても色々聞き出そう。
もしかしたら彼女も嘗ての最愛同様に『救いの手』を差し伸べるべく存在なのかもしれない。


黒夜「とりあえず、腹減ったな……おいポチ」チラッ・・・

香焼「……、」テクテク・・・

黒夜「おい、ポチ」ゲシッ!

香焼「あ痛っ! え、じ、自分?」ポカーン・・・

黒夜「そうだよ。奴隷のポチだ」ベシッ!

香焼「うわっ! ちょ、意味分かんない。あと、一々叩かないでよ」ジトー・・・

黒夜「生意気だぞ? そういう口の聞き方して良いと思ってるのか?」ニヤリ・・・


面倒な……アニェーゼの粗暴さとレッサーの我儘っぷりを足した感じだ。


香焼「自分には香焼って名前があるんすよ」ッタク・・・

黒夜「じゃあ、わんこーやぎで」フーン・・・


どっかの女子寮でチビッ子シスターが立ち上がった気がした。


香焼「それは止めておいた方が良い……じゃあ自分は何て呼べば良いんすか? 黒夜さま? それともお嬢様とか?」ジトー・・・

黒夜「うわぁキモい」ジトー・・・

香焼「オマエなぁ」ハァ・・・

黒夜「今まで通りで良いっつの。ま、私はテメェの事は好きに呼ばせて貰う」フフッ

香焼「お手柔らかに」ヤレヤレ・・・


兎に角、機嫌さえ損ねさせなければ問題なかろう。


黒夜「それより、腹減ったわ」チラッ

香焼「あー、うん……そういえば自分もお昼まだだ」コクッ

黒夜「テメェん腹具合なんか如何でも良いわ」ケッ

香焼「はいはい、そーっすね」ハァ・・・

黒夜「……こいつ」ゲシッ

香焼「わっ! 何で蹴るのさ」ズサッ

黒夜「その空かした態度が気に食わねぇの。もっと愛想良く出来ないのか?」フンッ


お前が言うな、と反論してやりたかった。

本来であれば最愛と映画を観に行った後、適当にご飯を食べる予定だった。
ぶっちゃけ、彼女が選ぶ映画の種類によっては鑑賞後ご飯が喉を通らなかったりする。

前に『空飛ぶスパゲッティ教団』題材のC級ホラーを観たのだが……数日間、スパゲッティが喰えなくなった。


黒夜「どうすっかなぁ。徹夜ばっかでピザとかジャンクフードとか、出前モンみたいな味は飽きたしよー」ウーン・・・

香焼「ちゃんとした料理は食べないの?」チラッ

黒夜「ピザとかバーガーだって料理だろうが。馬鹿にすんなし」ポカッ

香焼「痛っ……また叩く……そういう意味じゃなくて、栄養のバランス考えてご飯食べないと」ハァ・・・

黒夜「うっせ。お前は私のオカンか」ケッ!


こんな不良娘要りません。


黒夜「何か言ったか?」ギロッ・・・

香焼「何も……しかしまぁ、此処まで最愛と同じとはね」ハハハ・・・

黒夜「あ?」グイッ・・・

香焼「最愛も、放っておいたらファミレスとかレトルトばっか食べてるんだ。基本、自炊出来ないっぽいし」ハァ・・・

黒夜「だっせ」ハッ

香焼「そういう黒夜は自炊出来るの?」チラッ

黒夜「……うっせ」ゲシッ


予想通りだ。出来る訳無いか。


黒夜「ほんっと、生意気なヤツ。鞭か何かで引っ叩かないと駄目か?」ジトー・・・

香焼「勘弁願いたいっすね」ハァ・・・

黒夜「ふんっ。だったら従順に愛想良く尻尾振ってろっつーの。じゃねぇと首輪とリード付けるぞ」

香焼「自分にそんな趣味は無いっすよ」ヤレヤレ・・・

黒夜「チッ……あーとりあえず、飯だ」テクテク・・・


ズカズカ進む黒い少女。何処へ向かうやら。


黒夜「あー……お前、この辺の良い店知らねぇか?」チラッ

香焼「え」キョトン・・・

黒夜「飯屋だよ、飯。何でも良いから」フンッ

香焼「えっと……何で?」ポカーン・・・

黒夜「ケッ……私ぁジャンクフードとかコンビニくらいしか行かねぇから、喰いモン屋なんぞ知らねぇんだよ」


だから僕に聞いたと……さっきジャンクやレトルトでも良いと言わなかったか?


黒夜「う、うっせ! さっさと案内しろ」ケッ!

香焼「はいはい……じゃあどうしようか。何食べたいの?」チラッ

黒夜「だから任せるって。好き嫌い無ぇから早くしろ」フンッ

香焼「急に言われても困る」ウーン・・・

黒夜「はーやーくー」ブーブー


しかし、自分もお腹が減ってるし……適当に食べに行こう。それじゃあ折角だし――― >>181 ―――に行こうか。

ちょっと高そうな洋食屋

このssシリーズでは割とヒロインしてる姫神さんを無個性なんて言いませんよ
そもそも「ホモが嫌いな(ry」な更なる異次元の住人ズと並べて書く道理がない

まあ‥並び順がおかしかったかもしれませんけど
ちなみに「無個性」以外では
・ゼロ
・体力優秀者
・金属バット
・not第四
このあたりが候補でした

すんません、寝ちまいました……ボチボチ投下。


**************************************


―――近くにレストランがあったと思う。そこに行こうか。


黒夜「ん。まぁ任せるけど……結構歩くのか?」チラッ

香焼「そうでもないよ。すぐ着く筈」テクテク・・・


尤も、この店の存在は僕が見つけた訳ではない。
五和と浦上が食べ歩きで見つけてきた店だ。ホント、任務の合間に何やってんだか。

大通りから数分歩いた所で大人びた雰囲気の小道に入る。そこで小洒落た洋食屋を発見。
この通り自体、人の入りは多くは無いが、立ち並ぶ店々は老舗の雰囲気を醸し出していて一見さんは入り辛い感じがする。


香焼「此処っすね」テクテク・・・

黒夜「へぇ……やってんのか?」キョロキョロ・・・

香焼「土日にクローズ出してる飲食店なんてそうそう無いっすよ。とりあえず入ろう」カランカラン・・・


店内のイメージはレトロ。正直、中学生2人が入る様な店では無いのかもしれない。
現に年輩の夫婦が奥に一組、研究者っぽいダンディな男性がカウンター席に一人座ってる程度。これまた常連さんな感じ。

僕らは適当な席に座る。カウンター奥から御冷とおしぼりを持ってきた妙齢のマスターさんに頭を下げメニューを開いた。


黒夜「……あんまり品数は無ぇんだな」ジー・・・

香焼「ファミレス主体の昨今で、こういうお店は少ないっすよね」ハハハ

黒夜「しかも結構高ぇし。カレーが1,000円超すのかよ」タラー・・・

香焼「それだけ美味しいんじゃないのかな」コクッ・・・


とりあえず、ランチタイムという事で適当にAランチ・Bランチを注文した。
さて……料理が出来るまで暫し対面。何を話そうか。


香焼「……ねぇ」ジー・・・

黒夜「あん?」チラッ

香焼「黒夜さんは、学校行ってるの?」

黒夜「行ってる訳無ぇだろ。てか暗部所属の人間で学校行ってるヤツの方が稀だわ」フンッ

香焼「そっか。でも所属してる学校はあるんでしょ?」

黒夜「一応は。絹旗のヤツと同じな筈」ジー・・・


長点上機だか霧ヶ丘付属の中学か。あくまで書類上の在籍と。


黒夜「お前は?」チラッ

香焼「前にも言ったけど理事会付属の中学校っすよ」コクッ

黒夜「……は? 理事会付属だぁ?」ポカーン・・・

香焼「『▲▲▲学院中等部』っす。知ってる?」スッ・・・

黒夜「この街住んでて、理事会付属の学校知らねぇヤツはモグリか何かだろ……へー。学生証マジモンか。ボンボンなのな」ジー・・・

香焼「そんなんじゃないっすよ。色々あってね」ハハハ・・・

黒夜「……ま、便利だろ。コネとかセキュリティとか駆使できるし」フーン・・・


興味があるのか、僕のIDカードをクルクルと回しながら眺めていた。

それからICチップの辺りや磁気コードを指でなぞった後、満足したのか学生証を返した。


黒夜「しかしまぁ、よく学生やってんのな。信じられねぇ」スッ・・・

香焼「一応、年齢的にも学生っすからね。そういえば黒夜さん何歳なの?」

黒夜「……女性に歳聞くとは、失礼なヤツだな」ジトー・・・

香焼「まぁまぁ」ハハハ・・・

黒夜「ったく……お前と同い年だよ」フンッ


という事は12歳か。いや、もう13歳になったのだろうか。ドチラにしろ、僕や最愛と同学年なのだろう。


黒夜「てかよ」ジー・・・

香焼「え」キョトン・・・

黒夜「『さん』付け止めろ」ジトー・・・

香焼「……え」ポカーン・・・

黒夜「なんか、こう……むず痒いわ」ハァ・・・


さっきまで奴隷だの敬語云々言ってたくせに。


黒夜「っせぇ。言う事聞け!」ゲシッ

香焼「ちょ! テーブル下で蹴らないでよ!」イタタ・・・

黒夜「チッ……調子狂うわ」フンッ・・・


何故か気拙そうに窓の外を眺める黒夜。こう、大人しく座っている限りでは歳相応の少女にしか見えなかった。


黒夜「……何だよ。人の顔ジロジロと、気持ち悪い」チラッ

香焼「あ、いや。あはは」ポリポリ・・・

黒夜「……けっ」ツーン・・・


とりあえず常時不機嫌そうなのはデフォなのだろう。


香焼「……そういえば、黒夜さんも――」

黒夜「『さん』付けすんな」ゲシッ

香焼「――痛っ……ごめん。黒夜も能力者なんでしょ。どんな能力なの?」ジー・・・

黒夜「……絹旗のヤツから聞いてねぇのか?」チラッ

香焼「特には」コクッ

黒夜「じゃあ教えねぇ」フンッ

香焼「じゃあ勝手に聞く」フフッ・・・

黒夜「ぐっ……お前なぁ」ジトー・・・


きっと最愛なら教えてくれるだろう。


黒夜「チッ……聞いたらアイツにお前の秘密ばらすぞ」ジトー・・・

香焼「じゃあ聞かないから黒夜の口から教えて。別に誰に言う訳でも無いんだからさ」ジー・・・

黒夜「おま……は? 意味分からねぇ……マジ調子狂うわ」タラー・・・


面倒臭そうに御冷を啜る黒夜。別に変な事聞いてる訳じゃないんだけどなぁ。

一寸の無言の後、コップの中から氷を舌で拾い、口の中でボリボリ砕き始めた黒夜。
そして大きな嘆息を吐いた後、ポツリと告げた。


黒夜「ハァ……絹旗のヤツと似た様な能力だよ」ボリボリ・・・

香焼「最愛と似た?」キョトン・・・


大能力(レベル4)の『窒素装甲(オフェンスアーマー)』に似た能力というと。


香焼「何かを『装甲』化して身に纏うタイプの能力?」フム・・・

黒夜「逆だ、逆。装甲の方じゃねぇ」フンッ

香焼「それじゃあ……オフェンス? それとも窒素?」フムフム・・・

黒夜「まぁそんなとこだ……ってかアイツ、お前にそこまで能力教えたのか?」ジー・・・

香焼「え」キョトン・・・

黒夜「お前とアイツの仲がどんだけ親しいかは知らんけど、アイツがそうベラベラ自分の能力について話すとは思えねぇんだが」ジトー・・・

香焼「……あー」タラー・・・


確かに、僕は最愛本人の口からハッキリと能力の説明を受けた事は無い。
教わったのは能力名と強度(レベル)、それからざっくりな概要だけだ。

しかし実際は、カオリ姉さんと土御門の資料を読ませて貰っているので、彼女の『能力開花課程』についてアバウトに知ってたりもする。


黒夜「……テメェ、勝手に調べたな?」ジトー・・・

香焼「ち、違うよ! 自分はざっくりな概要しか知らないから」アタフタ・・・

黒夜「アイテム。暗闇の五月計画」サラッ・・・

香焼「っ!」ドキッ・・・

黒夜「ふーん……なるほど……そしてお前が『知ってる』という事を、絹旗ちゃんは『知らない』と」ジー・・・

香焼「な、何の事かなぁ」タラー・・・

黒夜「嘘が下手糞だな」ハッ


参ったな。


黒夜「ふむふむ。お前がどんなヤツか分かってきたぞ。後ろめたいクセに首突っ込んで後悔するタイプか」ハハハ

香焼「と、兎に角! いずれ自分から言うっすから、その……最愛には内緒にしててよ」タラー・・・

黒夜「ま、お前の態度次第だな。あんまり私を怒らせんなよ」フフッ

香焼「うー……自分も調子狂いっぱなしっす」ハァ・・・

黒夜「お互い様だ。まぁとりあえず……こんな能力だ」スッ・・・ピタッ

香焼「え」ポカーン・・・

黒夜「ばーんっ」ドッ・・・


僕の肩の辺りに掌を向ける黒夜。そして―――



 

       ガオンッ





―――……え。

一瞬、何が起きたのか分からなかった。変な射出音の様なモノが聞こえたけど、別段変わった様子は無い。
僕が呆気に取られていると、黒夜は面白そうに自信の首の辺りを叩いてサラリと告げた。


黒夜「ククククッ。此処此処」ポンポンッ

香焼「え」キョトン・・・


自信の首回りを探ってみる。すると……パーカーのフード部分に小さな穴が開いていた。


黒夜「ハハハ。ま、こんな感じの能力だ。驚いたか?」ニヤニヤ・・・

香焼「お、驚くも何も……意味が分からない」タラー・・・

黒夜「だろうな。とりあえず、やろうと思えば服だけじゃなくてお前の呼吸器の風通しを良くしてやる事だって可能って訳だ」ニヤリ・・・

香焼「……、」ポカーン・・・


如何いう事?


黒夜「しょうがねぇな。オツムの弱い香焼ちゃんの為に説明してやるけどよぉ」フフン・・・

香焼「い、いやいやいや……そういう問題じゃなくて」タラー・・・

黒夜「あ?」ポカーン・・・

香焼「今、何? 攻撃したって事?」タラー・・・

黒夜「そ。服に穴開けたった。いやぁ久々に手加減したなぁ。3m以下に抑えんのって精密作業だから逆に大変なんだぜ」ハハハ


つまり……口で説明するより、実際見せた方が早いと判断した訳か。


香焼「……、」ハァ・・・

黒夜「なんだよ」ジー・・・

香焼「いや、もういい」ハァ・・・

黒夜「……はぁ」キョトン・・・

香焼「もう良いよ。他人に迷惑掛けそうだから」ジトー・・・


多分彼女は、心の中で『やる』と決めた時には既に行動しているタイプだ。
今は軽い自己紹介みたいなノリで能力を使用したけど、もし本気で攻撃しようとした際には……かなり危険だろう。


黒夜「んだよ……つまんねぇ」ケッ・・・

香焼「場所考えなって……まぁその、黒夜の能力に興味持ったのは自分っすから、教えようとしてくれた君に悪気は無いんだろうけど」ポリポリ・・・

黒夜「……ふんっ」プイッ・・・

香焼「えっと、とりあえず……射出系の能力かな。窒素弾丸とか」ハハハ・・・

黒夜「……さぁね」ジー・・・


何故かムスっとしてしまった。まるで楽しみを止められた子供だな。

如何こうしている最中、マスターがランチを運んできた。
僕が頼んだAランチは海老フライや蟹クリームコロッケ等のフライ定食。
黒夜のBランチはハンバーグやチキンソテー、豚の生姜焼き等の肉定食。

ドチラもランチメニューなのでライスとサラダとスープがセット。食後にコーヒーが付くらしい。


香焼「結構多いね」ジー・・・

黒夜「……ん」ジー・・・


冷める前に頂こう。

僕がナイフとフォークでコロッケを切り始めた時、まだ彼女は動かないままだった。
何か苦手なモノでも入っていたのだろうか。先程は好き嫌いは無いと言っていたけど。


香焼「黒夜?」チラッ

黒夜「……、」ポリポリ・・・

香焼「……あぁ」ピンッ


なるほど。


香焼「すいません」チラッ

マスター「はい」テクテク・・・

香焼「御箸を一膳お願いします」ペコッ

黒夜「え」キョトン・・・

マスター「かしこまりました」コクッ


割り箸を受け取り、黒夜に渡した。


黒夜「……何だよ」ジトー・・・

香焼「別に」スッ・・・

黒夜「……チッ」パシッ


別にナイフを使えなくても恥ずかしい事では無い。
僕だって昔はテーブルマナーのテの字も理解出来ず、普通に箸を使っていた。


黒夜「……ふんっ」モグモグ・・・

香焼「こういう時は素直に頼んでも良いんすよ」クスッ

黒夜「っせぇな。日本なんだから箸だけ置いときゃ良いんだよ」ケッ

香焼「はいはい」フフッ


見栄っ張りは姉妹同じか。


黒夜「お前は慣れてんだな。流石ボンボン学校出身って訳か」フンッ

香焼「いや、自分は海外生活長いから」モグモグ・・・

黒夜「は? 帰国子女?」チラッ

香焼「うーん……何というか」モグモグ・・・


英国暮らし半分、都市生活半分といった具合……この話は盗み聞きされてなかったのか。


香焼「交換留学みたいな感じかな。学園都市と英国って仲良いでしょ。だから行ったり来たりで」コクッ

黒夜「へぇ。知らんかった」モグモグ・・・


適当に誤魔化す。ちょっと考えれば嘘だと分かる事だが、あまり興味が無いのか、あっさり信用してくれた。


黒夜「理事養成学校ねぇ……『私ら』にとっちゃ、いずれ上司になる連中か」ジー・・・

香焼「いやいや。何だそりゃ」ハハハ・・・

黒夜「しらばっくれやがって」モグモグ・・・


確かに、一部の『理事役員』はそういう汚れ仕事も受け持つが、そんなのは微々たるモノ。基本は都市運営で忙しい筈だ。

そもそも、暗部の上下関係について全てを理解している訳ではない。
それは駒たる彼女も同様の筈。土御門辺りなら知っているのかもしれないが、まだそこまで教えて貰っていない。

箸を受け取ってガッツく様にランチを平らげた黒夜は、サービスのコーヒーを啜りながら窓の外を眺めていた。


香焼「食べるの速いね」チラッ

黒夜「誰かさんみたいにお上品に食べれないんでね……ふむふむ」スッ・・・


砂糖もミルクも入れないまま、豆本来の味を楽しんでいるらしい。
僕にはまだブラックの良さが分からない。素直に大人だと感じた。


黒夜「ところで」チラッ

香焼「はいはい」モグモグ・・・

黒夜「前に言ってたが……お前もシノギなんだろ」ジー・・・


さっきまでその件で問答していたのに、今更それを聞くのか。


黒夜「じゃあ、お前も能力者なのか? 前に私と絹旗のヤツをワイヤーみたいなので縛ってたけどさ(※)」ジー・・・

※ただいま:第⑥話(17話)参照。

香焼「前に無能力者(レベル0)って言った筈だけど」モグモグ・・・

黒夜「おいおい、無能力者に出来る芸当とは思えないんだがなぁ……私に隠し事して良いと思ってんの?」ジトー・・・

香焼「……、」ジー・・・


厄介な……しかし、これで先程『魔術』について聞かれてないという事が分かった。


香焼「確かに、さっき能力を見せて貰った以上、イーブンじゃないっすね」モグモグ・・・

黒夜「物分かりが良いじゃない」フフッ

香焼「でも、大っ平に見せれたもんでもないよ。色々危険だから」モグモグ・・・

黒夜「じゃあ口で説明しろよ。誰も見せろなんて言ってねぇだろ」ジー・・・

香焼「……マジック」ボソッ

黒夜「あ?」キョトン・・・

香焼「マジックだよ、手品。種も仕掛けも『ある』マジック。この前使ったのはそれ」モグモグ・・・ゴチソウサマデシタ・・・


嘘は吐いていない。実際、魔術はそういうものだ。


黒夜「……意味分からん」ポカーン・・・

香焼「理解したら拙いんすよ。能力者が理解して良いモノではないから……あ、砂糖とミルク取って」チラッ

黒夜「アバウトな。抽象的過ぎんよ。隠し事すんなっつってんじゃん……ん」スッ・・・

香焼「どうも……といっても、理解出来ないと思うよ」ハハハ・・・


魔術を理解するという事は、オカルトを信じろという様なモノだ。
超現実主義・科学信仰のこの街の住人では理解はおろか、認識すら出来ないだろう。


香焼「じゃあ一つ、教えるけど……自分は十字教徒っす」ゴクゴクッ・・・

黒夜「……マジ?」タラー・・・

香焼「ははは。やっぱそういう目で見られちゃうよね」クスッ


オカルト以前に『宗教』云々を毛嫌いするのが学園都市。これでは到底、魔術について理解し得ないだろう。

勿論、宗教色の無い魔術というモノも存在するが、それは僕の知る魔術とは『基盤』が違うので、魔術とは呼べないかもしれない。
実際、大陸の『仙術』やら『气道』なんかは十字教のそれとは基盤が違う。

禁書目録に語らせれば『起源』は同じらしいのだが、やはり理解はできない。


香焼「ま、そんな感じで理解出来ないんすよ」ハハハ

黒夜「……邪道ってヤツか?」ウーン・・・

香焼「確かに。この街の人間からしてみれば、そうかもしれないっすね」コクッ


ただ、真の一般人からしてみれば能力者だろうが魔術師だろうが異能は異能。
都市外の人々の言葉を借りれば……突然変異者だ。


黒夜「はっ。私らが『ミュータント』ねぇ。言い得て妙だな」ハハハ

香焼「怒らないの?」チラッ

黒夜「別にー。言わせときゃいい。持たざる者の僻みさ」フフッ


確かに。能力者は『才能ある者』だ。選ばれなかった者達からしてみれば僻みなのかもしれない。
ただ……現在、能力者の迫害問題も深刻化している。一般社会(世界)に馴染めない人々……いや、人権すら認めてもらえない事も屡。

結局、この街の中で生きていくか、もしくは能力を一生使わず世間に溶け込むかの二択となる。


黒夜「小難しい話だな。んな考えするだけ無駄ってモンだ」フンッ

香焼「そうかな」ムゥ・・・

黒夜「今を楽しく生きれりゃそれに越した事はねぇ。先の事なんざ今日生き延びたら考えればいい」ジー・・・

香焼「ゲリラ難民とかチャイルドソルジャーみたいな考えっすね」スッ・・・

黒夜「現にそうだろ。未成年ばっか暗部に起用する……ま、そういう風にしか生きられない私ら……同情するか?」チラッ

香焼「……、」ジー・・・


以前、一方通行さんが言っていた……『殺し以外での生計の立て方を知らねェガキ共だっているンだ』と。
この子も最愛同様、という訳か。


黒夜「そういう目すんなや。お前だって同業だろ……身内から娼婦扱いされる事程惨めなモンは無いよ」ボー・・・

香焼「……ごめん」コクッ

黒夜「ふんっ……とりあえず出るか。まぁまぁ上手かった」スッ・・・


席を立つ少女。
結局、この子も昔の最愛と同じなのか。志云々を抜けば、現状のサーシャとも同じだろう。

ああ、駄目だ……如何して僕はそういう『目』で見てしまうのだろう。これではいつまで経っても、同じ土台に立てない。


黒夜「ごちそうさん。お勘定お願い」テクテク・・・

マスター「お粗末さまです。お会計は別々で」チラッ

黒夜「一緒で良いよ。電子マネーで」スッ・・・

マスター「あー……申し訳無い。ウチ、現金のみなんだ」ポリポリ・・・

黒夜「此処もかよ!」エー・・・

香焼「……あはは」スッ・・・


結局、僕の奢りか。マスターさんが同情してくれたのか幾分、易くなったのが不幸中の幸いである。

  ―――とある休日、PM02:30、学園都市第7学区、商店街・・・香焼side・・・




お店を後にして商店街に戻る。休日の昼下がりというだけあって、かなりの混み様だ。


香焼「……それで、何処行くの?」チラッ

黒夜「さぁ」テクテク・・・

香焼「さぁって……じゃあ帰って良い?」ハァ・・・

黒夜「駄ー目」フンッ


何がしたいんだか。


香焼「普段、こういう風に街中ブラブラするの?」テクテク・・・

黒夜「ボチボチな。お前は?」チラッ

香焼「割と。一人では来ないけどね」コクッ

黒夜「ふーん……お前、ダチ多そうだもんな」テクテク・・・

香焼「そうでもないよ。黒夜は……あー」ポリポリ・・・

黒夜「うっせ。殺すぞ」ゲシッ


まぁ友達居ないよな。居ても友達と認めなさそう。


香焼「でも、同僚の人とかとご飯食べたりしないの?」テクテク・・・

黒夜「同僚らしい同僚なんて一人しか居ないっつの。そいつもそいつで根暗だから、あんま一緒に行動しねぇ」フンッ


どんな職場だ。精神病みそうだな。


黒夜「仕事はあくまで仕事だ。割り切るのは当然だろ」チラッ

香焼「そうっすけど」ウーン・・・

黒夜「はっ。お前は仕事に私情持ち込みそうなタイプだもんな。見た目で分かる」ニヤリ・・・

香焼「そ、そんな事は無いよ」ムゥ・・・

黒夜「どうだか」フンッ


意地の悪い顔。


黒夜「さて、と……歩き疲れたわ。どっか座る場所無い?」チラッ

香焼「え? うーん……噴水広場の辺りなら」コクッ

黒夜「じゃあそこ行く。案内しろ」テクテク・・・


さっきから何がしたいんだかよく分からない。とりあえず彼女が満足するまで付き合うしかないか。
一寸後……目的地に到着。ワゴンカーでアイスやクレープが売っているので結構な人の数だ。

座る場所は、丁度噴水の円周か。


黒夜「まぁ良いか……コーヒー買ってきて」クイッ

香焼「さも当たり前の様に命令するし……あーはいはい。買ってくるよ」テクテク・・・

黒夜「ふんっ……ほら、カード。奢られるのは性に合わねぇんだ。ついでにお前の分も買え」スッ・・・


こういうとこは気前が良いんだな……でも、案の定、またしてもマネーカードは使えず。結局僕の自腹となった。

アイスコーヒーと抹茶オレを持って彼女の待つ噴水へ戻る。何をする訳でも無く、ポケーっと上の空な黒夜。


香焼「はい」スッ・・・

黒夜「あ……おぅ」コクッ


乱暴ではあるが、最愛に比べたら割と社交的なのかもしれない。
さて……またしても二人並んで座ってる状況な訳だが、何を聞こう。そろそろ思い切った事を聞いても大丈夫かな。


香焼「ねぇ」チラッ

黒夜「……んー」チューチュー・・・

香焼「黒夜の仕事って、どんなの?」ジー・・・

黒夜「ご想像通りじゃね」チューチュー・・・


ざっくばらんだな。


黒夜「お前や絹旗のヤツと同じ様な仕事内容だろ。まぁお前がどこまで汚れ仕事してるかは知らんし、絹旗に至っては『元』だからな」フンッ

香焼「……なるほど」コクッ

黒夜「そういう、お前は?」チラッ

香焼「……多分、同じく想像通りっす」チューチュー・・・


アチラが曖昧に誤魔化す以上、此方も適当に応える。


黒夜「全然想像出来ない」サラッ

香焼「ありゃ」ポカーン・・・

黒夜「だってお前暗部っぽくないし」キッパリ・・・

香焼「くっ……言わないで欲しいっす」ハァ・・・

黒夜「んだよ。溜息なんて吐くな」ジトー・・・


上条さんにも言われたけど、そんなに『裏』っぽくないかなぁ。
まぁ日常に溶け込む戦術を主とする天草式にとっては褒め言葉なのかもしれないけど……それでもガックリくる。


黒夜「なるほど。『迫』を付けたい訳か。でも、殺気プンプン醸し出してるヤツなんか仕事になんねぇよ」ハンッ

香焼「いや、そういう問題じゃないんすけど……とりあえず甘ちゃんじゃないのになぁ」ウーン・・・

黒夜「ベイビーフェイスはベイビーフェイスで武器になんよ。私や絹旗ちゃんだってパッと見、殺し屋だって判断出来ねぇだろ」フフッ


そうだけど、何か違う。この問答に疑問を感じてしまう。


黒夜「ま、お前と私とドッチが先に『処女(童貞)』切ってるかは知らねぇが、そんな悩む事でも無ぇんじゃね」ジー・・・

香焼「そういう表現、嫌いっす」ムゥ・・・


口にはしないが現に僕は『童貞』を切ってない。そういう意味で同業者達からしてみれば……卑怯者なのだと思う。


黒夜「あらら、お上品なこって。とりあえず躊躇ったら殺られる世界に居る以上、下らねぇ事で悩んでんじゃねぇよ」フンッ

香焼「……はぁ」ジー・・・

黒夜「冗談抜きで同業者からのアドバイスだと思っとけ。もしかしたら敵対すっかもしれねぇがよ」ハハハ

香焼「御免蒙りたいね」ハハハ・・・


これが彼女の……いや、暗部の『覚悟』か。先程感じた『凄み』がそれなのだろう。

それから暫く無言だった。特に話したい事も無いし、下手に口を開けば互いにボロが出るかもしれない。
僕らしくないかもしれないが、妙に慎重になってしまっていた。

土御門や淡希さん、海原さんと暗部について話す機会は多かったが、どうも彼女は雰囲気が違う。
根っからの闇というか、何というか。形容し難い何かを纏っている感じ。

あれやこれや考えている最中、彼女がポツリと告げた。


黒夜「……つまんねぇか?」ボソッ

香焼「え」ピタッ・・・

黒夜「悪かったな。幻想殺しみたいに楽しくお話出来なくてよ」フンッ

香焼「あ、いや……こっちこそ」ポリポリ・・・


気を使わせてしまった。まったく、駄目だな。


黒夜「……どうも、日和った世界は苦手だ」ハァ・・・

香焼「自分の友人にも、似た様な事言うヤツ居るよ。多分、黒夜より捻くれてる」ハハハ

黒夜「私より歪んでるヤツが居るとしたら、そりゃ大層な社会不適合者だわ」フンッ


確かに、ステイルは日常生活に溶け込むのが苦手である。
しかし、立場上公の場に出て愛想笑いしたりしなければならなかったりするので頑張っているとは思う。


香焼「黒夜だって、公の場に出て相応を演じたりしなきゃならない事だってあるんじゃないの?」チラッ

黒夜「私はそういうの嫌いだから、全部相方に任せてる」ジー・・・

香焼「ははは……最愛も演じるのとかは無理だもんね」ポリポリ・・・


そういう仕事は全部麦野さんやフレンダさんに任せてたと聞く。


黒夜「……私の前で麦野沈利の名前は出すな。胸糞悪い」ケッ・・・

香焼「え……苦手なの?」チラッ

黒夜「違う。嫌いなんだ」チッ・・・

香焼「あー……ははは。正直、自分も昔は嫌いだったよ」ポリポリ・・・


今は丸くなったけど、昔は自分の中で完全な『悪』だった。ぶっちゃけ、今でも苦手である。


黒夜「……なぁ。こんなん聞くのは変かもしれんが、そのお前が嫌いだった頃のアイツと私の違いは何だ?」チラッ

香焼「違い?」キョトン・・・

黒夜「強度(レベル)とか見た目以外で。ハッキリ言ってくれていい」チラッ


これまたおかしな質問を。ただ、真面目な顔で聞かれている以上、真面目に答えねばなるまい。


香焼「あの人は……完璧っす」ムゥ・・・

黒夜「何が?」フム・・・

香焼「全てにおいて。能力容姿は勿論、カリスマ性や処世術、人心把握までも」コクッ

黒夜「私には何が足りない?」ジー・・・

香焼「うーん……自分は黒夜って人物をよく知らないから違いは分からないけど……正直、黒夜は最愛に近いでしょ」チラッ

黒夜「っ……やっぱ、そうなのか」ムゥ・・・


一瞬、凄い形相で睨まれたが、直後に怒られた後の子猫の様に萎んだ。

彼女も彼女なりに、コンプレックスがあるのだろうか。


香焼「えっと、殆どの人間が麦野さんと比べたら劣っちゃうよ」ポリポリ・・・

黒夜「それじゃ駄目だ。私はアイツ以上になんなきゃなんねぇ」ジー・・・

香焼「……超能力者(レベル5)になりたいの?」フム・・・

黒夜「違ぇよ。能力者にとって大事なのは強度(レベル)より、能力とその使い方だ」フンッ


確かに。幾ら高い強度の能力を持っていたとしても使い方が杜撰なら宝の持ち腐れだ。


黒夜「そういう話をしてんじゃねぇ。要は暗部に居る上で、アイツ以上の力を持つ為にはって事だ」グッ

香焼「麦野さん以上に、かぁ……何でそんなに比べたがるの?」キョトン・・・

黒夜「単純に、見下されんのが気に食わねぇ」チッ・・・

香焼「見下すって……誰から?」ムゥ・・・

黒夜「『上』の連中や同業者、それから『卒業生』の連中からだ。言わなくても分かるだろ」フンッ


成程。望むのは最強か。それも暗部という暗く狭い世界の中で。


香焼「……そこまで、やりがいを持ってるんだ」ジー・・・

黒夜「やりがいじゃねぇ。全てだ」コクッ・・・

香焼「じゃあ、そこも違いだと思う」フム・・・

黒夜「は?」ポカーン・・・

香焼「だって、あの人は暗部を『遊び場』程度にしか考えてなかったと思うよ」サラッ・・・

黒夜「……、」キョトン・・・


直接聞いた訳ではないが、あの人の話しっぷりと性格上、望まず暗部堕ちした訳ではないっぽい。
寧ろ実験の為か、自分の実力を測る為か……喜んで闇の中へダイブしていったタイプだ。
超能力者(レベル5)は総じて人格破綻者と聞くが、彼女はその最たる例だろう。


香焼「だから、真面目に考えるだけ無駄な様な」ポリポリ・・・

黒夜「ざけんな……遊び? 意味分かんねぇ」ギロッ・・・

香焼「いや、本人に聞いた訳じゃないから確実ではないけど。少なくとも、楽しんでた感が否めないっす」ムゥ・・・


申し訳無いが、当時の彼女についてはそういう目でしか見られなかった。


香焼「それでも彼女は、飴と鞭を使い分けて、能力と性格の恐怖で全てを仕切ってたんじゃないかな」ポリポリ・・・

黒夜「飴と鞭、か」フム・・・

香焼「うん。人間は鞭だけじゃ動かないっすからね」コクッ

黒夜「私には飴が無ぇってか」チッ・・・

香焼「どうだろう。ただ、人心掌握に必要なのは鞭よりも飴だから……もしくは理想とか主義っすね」ジー・・・


これはアニェーゼの弁。僕とそう歳は変わらないのだが、252人の精鋭部隊を率いる若きカリスマの論。


黒夜「……私には難しいな」チッ・・・

香焼「鞭よりは簡単なんだけどね。てか、今更なんすけど……黒夜ってリーダーなの?」ジー・・・

黒夜「一応な」フンッ


成程……しかし、残念ながら、そうは見えなかった。先天的にも後天的にも、彼女は指導者タイプではないと見える。

優秀な兵士が優秀な指導者とは限らない。その逆もまた然り。


香焼「因みに、お金の為じゃないよね?」ジー・・・

黒夜「んなモン要らねぇよ。馬鹿にすんな」ジトー・・・

香焼「そう……正直、どうしてそこまで暗部に傾倒するのか分からないな。別に暗部じゃなくても力を証明出来る場所はあるにに」

黒夜「お前にそこまで教える義理は無ぇよ」フンッ


そう言われてしまえばお終いだ。


黒夜「……私も話してて分かったが、お前は基本『悪』じゃねぇな」チラッ

香焼「っ……別に、悪だろうが善だろうが構わないっす」ジー・・・

黒夜「ふんっ。暗部を毛嫌いする様な発言ばっかじゃねぇか。ホントにシノギかよ」ジトー・・・

香焼「自分は、そういう括りは嫌いなんすよ」ジー・・・

黒夜「日の下と日蔭の線引きが出来ないヤツ程、危険なモンは無ぇよ」フンッ


ステイルにも、全く同じ事を言われる。だがしかし、自分だって魔術師だ。


香焼「『必要悪』の必要性ぐらい、理解してるよ」ムゥ・・・

黒夜「でも納得できてないんだろ。危険なヤツ」チラッ

香焼「……快楽主義で暗部に居る様な人に言われたくないっす」ムスー・・・

黒夜「快楽主義ねぇ。否定はしないが、私もある程度の誇りは持って仕事してる……あんまり嘗めた口聞くなよ」ジトー・・・

香焼「誇りって、なんすか」チラッ

黒夜「暗部が『全て(誇り)』なんだ。それ以上でも以下でも無ぇ。『裏(この世界)』に居る人間が悪の頂点を望んで何が悪い」ムンッ


ああ、そうか。疑問が分かった。


香焼「なんで、悪が全てなの?」ジー・・・

黒夜「なんでって……応える必要は無ぇ」フンッ

香焼「応えられないんだ」フーン・・・

黒夜「なっ……応える義理が無ぇだろ! ただそれだけだ」チッ・・・


彼女は『悪』に対して崇高な幻想を抱いているだけなんだ。
此処まで狂信しているという事は、先天的に悪なのか、もしくは洗脳・植え付けられた感情によるもの。
これを解除するには更なる上書き洗脳か、もしくは幻想を砕く他無い。

ただ……これをしようとは思わない。何故か分からないけど、彼女に『救いの手』が必要だとは思えなかったから。

そしてもう一つの疑問。もしかしたら、この言葉で、彼女の幻想は軽く崩壊してしまうかもしれない。


香焼「暗部が、悪の頂点?」チラッ

黒夜「んだよ」ジトー・・・

香焼「……狭いっすね」ハァ・・・

黒夜「あ?」ピクッ・・・

香焼「世界には……もっともっとオゾマシイ『闇』が渦巻いてるっすよ。この街の闇が悪のトップだなんて……了見が狭過ぎる」ジー・・・

黒夜「何を偉そうな」ジトー・・・

香焼「……もし、暗部を続けるなら何れ分かる筈だよ」コクッ


それはそれは残酷な世界。少なくとも、魔術の存在を知らない彼女はまだ平穏なのかもしれない。

淡々と喋る僕の言葉に、何かを感じたのか、口籠る黒夜。


黒夜「い、意味分からねぇ。脅しのつもりか」フンッ・・・

香焼「脅し……で済めば良いっすね」コクッ

黒夜「……、」タラー・・・


彼女の方が危険な『人間』かもしれないが、僕の方が危険な『世界』に居る。これは確かだろう。
兎に角、これ以上は何も言うまい。忠告はした。


香焼「えっと……ごめんね。嚇しちゃった」ハハハ

黒夜「……ただの甘ちゃんじゃねぇってのは分かったよ」フンッ

香焼「そりゃどうも」フフッ


仮にも『必要悪』の人間だ。時が来れば躊躇いはしない。


黒夜「……てか、もしかしてさ」チラッ

香焼「はい」コクッ

黒夜「幻想殺しも、お前と同じくその『世界』に居るのか?」ジー・・・

香焼「あの人は、最深部まで行ってるよ。自分なんてまだまだ浅い部分っす」ハハハ・・・

黒夜「……じゃあ私は、もっと浅いって訳か」ムッ・・・

香焼「どうだろうね……ただ、さっきから言ってるけど、比べる様なモノではないよ」コクッ


暗部の殺し屋たる彼女は井の中の蛙。魔術師だけど生温い僕は世界の裏側を見てる。
最も一般人の筈の上条さんが全ての最深部にまで足を突っ込んでいる。

変な理(ことわり)だ。


香焼「何が凄いとか、何が危険とか……そういう次元じゃなくなるよ。あの人基準にしちゃうとね」ハハハ・・・

黒夜「ふーん」ジー・・・

香焼「自分も偉そうな事言える程、浸かっちゃいないけどさ……って、何?」チラッ


先程の据わった目とは打って変わって、生温かい目。


黒夜「いや……やっぱ、アイツの話する時は楽しそうなんだな。お前」ジー・・・

香焼「え。いや、そんな事は」ポリポリ・・・

黒夜「そんなに好きなの?」ジー・・・

香焼「す、好き!? い、いやいやいやいや! 恐れ多い!」アタフタ・・・///

黒夜「何を今更。別に文句つけるつもりは無ぇよ……多少抵抗はあるけど」フンッ・・・


抵抗って何だよ。


黒夜「とりあえず、アイツについては元々興味があったが……やっぱお前にも興味が沸いてきた」スタッ・・・

香焼「は?」キョトン・・・

黒夜「次、行くぞ。ついてこい」テクテク・・・

香焼「……はぁ」ポカーン・・・


意味が分からないよ。
兎に角、流されるがまま彼女の後を追った。一体如何なる事やら……―――

はい、今回以上。なんか話が進まない。
何故暗部談義してるんだ、コイツら。というツッコミは無しで。

次は安価取ったりしてく予定です。出演キャラとか移動場所とか……協力宜しく。

それではまた次回! ノシ”

こんばんわ。ボチボチ書きます……寝落ちたらゴメンね。

  ―――とある休日、PM03:15、学園都市第7学区、商店街・・・香焼side・・・





何をする訳でも無くブラブラ歩くパンクな少女の後を追う。
ぶっちゃけ気配遮断の術式で、フラリと消えても気付かれない様な気もするが、バレた時が厄介なのでそれはできない。


香焼「ねぇ」テクテク・・・

黒夜「何処行くの? ってか。お前さっきからそれしか聞かねぇな」テクテク・・・

香焼「だって教えてくれないんだもん」ジトー・・・

黒夜「教える必要ねぇし。黙って連いてくりゃ良いんだよ」フンッ


横暴な事を宣う……実際行く場所決まってないだけなんじゃないのかな。
というか、この子はこの辺詳しいだろうか。さっきも土地勘無い様な発言してたけど。


黒夜「……嘗めんな。都市の地図くらい頭に入ってるっつの」ケッ

香焼「地図は入ってても詳細マッピングされてなきゃ意味無いっすよ」ジー・・・

黒夜「……、」タラー・・・


成程。必要最低限の『道』と『目印』くらいしか把握して無いといった感じか。


香焼「はぁ……行きたい場所あるなら案内するよ。自分、此処の学区なら殆ど把握してるから」ヤレヤレ・・・

黒夜「う、うるさい! 命令すんなっ」キッ・・・

香焼「はいはい」ハァ・・・


まさに徒労だ。これでは日が暮れてしまう……というか、日が暮れたら帰してくれるのかな。
先行きを案じていると、黒夜はピタリと止まった。


香焼「目的地?」チラッ

黒夜「……ん」クイッ


彼女が指をさしたのは―――



①最新のゲームセンター

②セブンスマート

③ペットショップ

④その他(具体的に)



   安価 >>206

―――ゲーセン?


香焼「へぇ。ああいうとこ行くんだ」ジー・・・

黒夜「……、」テクテク・・・

香焼「あ、ちょっと」テクテク・・・


無言で歩き出す黒夜。今一掴みどころが無いな。


香焼「もぅ……黒夜もゲームとかするんだね」チラッ

黒夜「私は据え置きか携帯機専門だ。箱とかPCゲはしねぇよ」テクテク・・・

香焼「は?」ポカーン・・・

黒夜「良いから黙って連いて来い」フンッ


そそくさと先へ進む。何がしたいんだか。

そういえば此処は最近出来たゲームセンター。敷地面積はそれほど広く無いが、立体的に高いのでそれなりに大きい様だ。
箱モノにしろシューティングにしろカードゲーにしろ、諸々の最新機種が揃っているのでそれなりにウケは良いらしい。

因みにこれ、浦上情報。


黒夜「チッ。喧しいな」テクテク・・・

香焼「まぁゲーセンだからね」ハハハ・・・


休日という事もあってか人も音も混み合っている。
特に1Fはプリクラやクレーンゲーム、子供向けのコインゲームのコーナーなので賑やかさ満載だ。

そんな中、黒夜は周りに目もくれずスタスタとエレベーターの方へ向かって行った。
目的のゲームが上の階にあるのか、と思いきや……最上階のボタンを押す。その階は何も無いんだけど。


香焼「……何処行くの?」ジー・・・

黒夜「見てりゃ分かる」フンッ

香焼「まさか、違法カジノとかじゃないよね」タラー・・・

黒夜「んなモンこの学区にゃねぇ。第3学区と第10学区に殆どだ」ジー・・・

香焼「第3学区のは合法でしょ……第10のは確かに違法だけど」ハハハ・・・


この街には公的資金で運営する公称綺麗なカジノから、
昔シノギ的なヤのつく人達が仕切るブラックな賭博場まで様々なギャンブル場が存在する。子供主体の街なのにおかしな話だ。

さておき、最上階……8Fに到着。通常停まらない筈のその階で、扉が開いたその先には。


香焼「……スタッフルーム?」キョトン・・・

黒夜「見ての通り」テクテク・・・


真っ直ぐ扉へ向かう。え? 何で?


黒夜「まぁ営業みたいなモンだ。深くは聞くな」テクテク・・・

香焼「え、営業?」ポカーン・・・

黒夜「こういうのも暗部の立派なシノギだ。聞いた事ねぇのか?」チラッ

香焼「いや、その……はい?」ポカーン・・・

黒夜「……まぁ黙って私の後ろに居りゃ良いんだ」コンコンッ・・・ガチャッ・・・


意味が分からない……休みじゃなかったのか?

唖然としている僕にはお構いなし。我が物顔でズカズカとスタッフルームに乗り込む黒夜。
いきなり扉を開けられ中に居たスタッフは、驚きのあまり椅子をずらした。


黒夜「……煙草臭ぇな」フンッ

店長「あ、アンタか」ドキッ・・・

黒夜「んだよ。自分のシマの見周りに来ちゃ悪ぃか」ズカズカ・・・

店長「いや……しかし、来る前に一報欲しかったよ」ハァ・・・

黒夜「見られちゃ拙いモンでもあったか」フンッ

店長「そんなもんはないが……こう、心の準備がだな」ヤレヤレ・・・


大きな溜息を吐き、紫煙を揉み消す店長さん。まさに雇われ店長といった感じの30前後の男性。
周りに居たスタッフは気を使ったのか、そそくさと部屋から出て行く。

僕の事を黒夜の部下だと勘違いしたのか、一同、僕に一礼してエレベーターに乗り込んだ。何だか申し訳無い。


黒夜「けっ。茶の一つも出さねぇのかよ」フンッ

店長「そう言わんでくれ。分かるだろ? 皆アンタが怖いんだ」ハァ・・・

黒夜「私がいつ、この店に実害加えたよ」チッ・・・

店長「そういう問題じゃない……あくまでバイトの子達は一般人だ。アンタみたいなシノギの連中が怖いのは当たり前だろ」ジー・・・


つまり、ヤクザ屋さんでいうとこの『守(もり)』商な訳か。もしかして上がり金とか守代とか受け取ってるのかな。


店長「……ところで、其方の彼は?」チラッ

黒夜「ツレだ。気にすんな」ドサッ・・・

店長「と言われてもねぇ……一応、部外者厳禁なんだが」ジトー・・・

香焼「あ、えっと。すいません」タラー・・・

黒夜「そいつも私の同業だ。おい、突っ立ってねぇで座れ」クイッ


勝手にこの場を仕切る黒夜。僕と店長さんの気拙さったらありゃしない。
とりあえず、申し訳無い気持ちでいっぱいだが、黒夜の言うとおりソファに坐した。

それから暫く店長さんと黒夜が小難しい話を始めたので、僕は放置状態。
一応、適当な缶ジュースを渡されたのが唯一の救いか……多分これ、景品の余りだろう。

数分後、話を終えたらしい黒夜は僕の斜め向いのソファに転げこんだ。店長さんは元居た席に戻りモニターの監視っぽい事をしている。


香焼「あの……色々聞きたい事が山積みなんすけど」タラー・・・

黒夜「あん?」ゴロン・・・

香焼「何しに来たの?」チラッ

黒夜「見て分かんないか?」ゴロゴロ・・・

香焼「分かりません……営業? 仕事? 休みって言ったよね?」ジトー・・・

黒夜「まぁ暇潰しがてらの顔出しだ。此処、休憩室代わりにも使ったりするし」ゴロニャー・・・


尚更意味が分からない。


黒夜「簡単に言えば、同僚騙す為に仕事してるフリでもしねぇと拙いんでね。だからダミー営業」ハハハ

香焼「……やっぱ意味不明」タラー・・・

店長「同じく。とばっちりでシルバークロースさん(彼)に怒られるのは勘弁だよ」ハァ・・・


この人も苦労人っぽいな。あーめん。

唖然としている僕にはお構いなし。我が物顔でズカズカとスタッフルームに乗り込む黒夜。
いきなり扉を開けられ中に居たスタッフは、驚きのあまり椅子をずらした。


黒夜「……煙草臭ぇな」フンッ

店長「あ、アンタか」ドキッ・・・

黒夜「んだよ。自分のシマの見周りに来ちゃ悪ぃか」ズカズカ・・・

店長「いや……しかし、来る前に一報欲しかったよ」ハァ・・・

黒夜「見られちゃ拙いモンでもあったか」フンッ

店長「そんなもんはないが……こう、心の準備がだな」ヤレヤレ・・・


大きな溜息を吐き、紫煙を揉み消す店長さん。まさに雇われ店長といった感じの30前後の男性。
周りに居たスタッフは気を使ったのか、そそくさと部屋から出て行く。

僕の事を黒夜の部下だと勘違いしたのか、一同、僕に一礼してエレベーターに乗り込んだ。何だか申し訳無い。


黒夜「けっ。茶の一つも出さねぇのかよ」フンッ

店長「そう言わんでくれ。分かるだろ? 皆アンタが怖いんだ」ハァ・・・

黒夜「私がいつ、この店に実害加えたよ」チッ・・・

店長「そういう問題じゃない……あくまでバイトの子達は一般人だ。アンタみたいなシノギの連中が怖いのは当たり前だろ」ジー・・・


つまり、ヤクザ屋さんでいうとこの『守(もり)』商な訳か。もしかして上がり金とか守代とか受け取ってるのかな。


店長「……ところで、其方の彼は?」チラッ

黒夜「ツレだ。気にすんな」ドサッ・・・

店長「と言われてもねぇ……一応、部外者厳禁なんだが」ジトー・・・

香焼「あ、えっと。すいません」タラー・・・

黒夜「そいつも私の同業だ。おい、突っ立ってねぇで座れ」クイッ


勝手にこの場を仕切る黒夜。僕と店長さんの気拙さったらありゃしない。
とりあえず、申し訳無い気持ちでいっぱいだが、黒夜の言うとおりソファに坐した。

それから暫く店長さんと黒夜が小難しい話を始めたので、僕は放置状態。
一応、適当な缶ジュースを渡されたのが唯一の救いか……多分これ、景品の余りだろう。

数分後、話を終えたらしい黒夜は僕の斜め向いのソファに転げこんだ。店長さんは元居た席に戻りモニターの監視っぽい事をしている。


香焼「あの……色々聞きたい事が山積みなんすけど」タラー・・・

黒夜「あん?」ゴロン・・・

香焼「何しに来たの?」チラッ

黒夜「見て分かんないか?」ゴロゴロ・・・

香焼「分かりません……営業? 仕事? 休みって言ったよね?」ジトー・・・

黒夜「まぁ暇潰しがてらの顔出しだ。此処、休憩室代わりにも使ったりするし」ゴロニャー・・・


尚更意味が分からない。


黒夜「簡単に言えば、同僚騙す為に仕事してるフリでもしねぇと拙いんでね。だからダミー営業」ハハハ

香焼「……やっぱ意味不明」タラー・・・

店長「同じく。とばっちりでシルバークロースさん(彼)に怒られるのは勘弁だよ」ハァ・・・


この人も苦労人っぽいな。あーめん。

兎に角、さしつかえなければ今此処で何をしに来たのか教えてもらいたい。
暇潰しで、という事ではなくて『仕事』として今、何しに来たのか。


黒夜「何ってそりゃ、さっき言った通りよ」フンッ

香焼「守(もり)?」ジトー・・・

黒夜「守っつぅか……一応、経営だ」フンッ

香焼「け、経営?」ポカーン・・・

黒夜「此処は暗部(私ら)の資金源だからな。出資も上がりも私らで運営」コクッ


そういう仕組みか。よくヤクザドラマに在る様な不条理なショバ代要求とかって訳じゃないんだ。


黒夜「やっても良いが……無理だな。老舗のゲーセンとかパチ屋は警備員(アンチスキル)が守やってるし」チッ・・・

香焼「え」キョトン・・・

黒夜「おいおい、都市運営で習わなかったか? 都市の風営法。仮にも理事校生なんだろ」ジトー・・・

香焼「都市の、風営法」ウーン・・・


そういうグレーな部分は、実地研修に入る高等部に上がってから習う予定。


黒夜「鈍間なカリキュラムだな……要は、こういう大衆娯楽施設とかってのは縄張り争いあんの」フンッ

香焼「暗部間だけじゃなくて?」キョトン・・・

黒夜「暗部間での縄張り争いなんて少ねぇさ。区分けは『上』がするからな。警備員も同様。身内でのイザコザは無し」コクッ

香焼「でも、警備員の『上』も暗部の『上』も同じ理事役員の背広組なんじゃないの?」キョトン・・・

黒夜「だからその背広組同士で場所取り合戦してんだよ。駒は私ら現場。警備員でいえば所轄」ピッ


まんま都市外の警察とインテリヤクザの縄張り争いだな。


黒夜「ただ、暗部は最近一度『崩壊』しただろ。だから殆ど縄張り持ってねぇ」ケッ・・・

香焼「あー。だからこういう新店の守くらいしか持ってないんだね」コクッ

黒夜「そゆこと。老舗やら元々暗部の持ちモンだった店のケツ持ちは殆ど警備員に持ってかれた……ったく、金あるクセによぉ」フンッ


暗部の仕事も一筋縄ではいかないんだね。


黒夜「加えて……此処の学区は武装無能力者集団(スキルアウト)が顔を利かせている。所謂、第3勢力だ」チッ・・・

香焼「第3勢力……ショバ代縄張り争いの?」フム・・・

黒夜「ああ。まるでギャング気取りでよぉ。警備員も黙認しやがって」ゴロン・・・


スキルアウトの自警団か。噂には聞いた事がある。
頭(ヘッド)の名前は、確か『ハンゾウ』とかいったか。天草式(ウチ)の重要チェックリストにも名前が上がる程のキレ者らしい。


香焼「何で黙認するんすか? 警備員とスキルアウトっていったら水と油でしょ」ムゥ・・・

黒夜「さぁな。他の学区の馬鹿なスキルアウトならまだしも、この学区の最大勢力のアイツらはヘマしないらしい」フンッ

店長「それに義賊扱いされてんだよ。風紀委員や警備員の目の届かない所まで自警活動してるからな」チラッ

香焼「弱者の味方って訳っすね。風紀委員や警備員が黙認する程にウケが良いと」ヘェ・・・

黒夜「何様か知らねぇが調子乗りやがって……命令で止められてなきゃ即座にブッ潰すのによぉ」ケッ・・・

店長「そしたらアンタは一気に悪者扱いだな。義賊(弱者の味方)を崩壊させた暗部の狗として」チラッ


イメージ戦略とは怖いものだ。非公認組織が英雄視されるのは理事会からしてみれば目の上のたんこぶだろう。

すいません、全然進まなかったけど寝ます。

次回は普通にゲーセンで遊ばせます。また安価取ったら宜しくです。では!ノシ”

こんばんわ。ゆるーり投下します。

ブラックコーヒーで一服した黒夜は、其処ら辺に置いてあった雑誌をパラパラと流し読みし、かったるそうに立ち上がった。
そして、のらりくらりと壁のグラフやポスター等を眺めながらぶらり部屋を一周し、店長に一言。


黒夜「じゃ、帰るわ」チラッ

香焼「……は?」キョトン・・・

店長「あいよ。御苦労さんです」ノ”


ほんと、何しに来たのだ。マジでただの視察というか休憩がてら寄っただけかい。


店長「そいつ、いつもそうだぞ」ハハッ

黒夜「うっせ。こう見えてちゃんと業績とかクレームノートとか見てんだよ」フンッ

香焼「へぇ。意外っすね」ポカーン・・・

店長「基本見るだけで俺に任せっ放しだけどな」ジトー・・・

黒夜「やかましいわ。マネジメントはお前の仕事だろ。私は守と出資専門」チッ

店長「さいですか。そんじゃガキがいると煙草喫えなくて仕事集中出来ないからお帰り下さい」ピッ


暗部相手に随分言う人だな。
短気な黒夜なら即座にプッツンしてしまいそうだが、鼻を鳴らすだけで何も言わなかった。これまた意外。


黒夜「……んだよ。その顔」チラッ

香焼「え。あ、いや、随分と度胸のある店長さんだなぁって」ハハハ・・・

黒夜「恐れ知らずなだけだ」フンッ

店長「はいはい。まぁ上司とはいえ、その人まだ中坊だしな。こちとらオッサンだし、ヘコヘコ謙りたくないんだよ」チラッ


もしかして、黒夜が暗部という事を知らないのだろうか。

疑念と不安の目で黒夜と店長さんと流し見る。すると、此方の意を察したのか店長さんは苦笑して告げた。


店長「ははっ。知らない訳ないでしょ。俺は仮にもスキルアウト出身で、しかも昔は下請けもしてたからな」コクッ

黒夜「今も下請けみたいなモンだろ」ハハッ

店長「言ってくれる。まぁ割とこの仕事が気に入ってるから構わねぇけど」フフッ


スキルアウトや暗部の下請け出身でも、結果的にこういう形で仕事に就けるのであればまだ良い方なのかもしれない。


黒夜「ま、こういうガキの遊び場の切盛りが上手なのは褒めてやるよ。今んとこ、お前の代わりは居ねぇからな。頑張れ社畜」ハハハ

店長「褒めてんだか貶してんだか」ヤレヤレ・・・


多分、素直に人を褒める事が出来ないタイプの黒夜からしてみれば最高の賛辞なんだと思う。
さておき、此方に目配せをした黒夜はこれ以上何も言わず扉へ向かった。
僕は店長さんに缶ジュースのお礼を述べ、急いで黒夜の後を追う。

彼女がドアノブに手を掛けたその時、煙草に火を点けた店長さんがポツりと呟いた。


店長「偶にはアンタも金落としてけ」カチッ・・・フゥ・・・

黒夜「あー?」ピタッ

店長「遊んでけっつってんの、自分の店(ゲーセン)で。現場体験も大事だぜ」モクモク・・・

黒夜「意味分かんね」フンッ

店長「その坊主、連れか何かは知らんけど……デートなんだろ」ニヤッ・・・


ありえません。


黒夜「おい、額で煙草喫いてぇなら早くそう言えよ」ピキッ・・・

店長「おー怖。まぁ冗談さておき、率先垂範って言葉もある。アンタが金落としてってると分かりゃバイトだってウチの台で遊ぶぞ」フンッ

黒夜「……、」チッ・・・

店長「それとも、アレか。ゲーム苦手か?」フフフ・・・

黒夜「てめ……分ーったよ。適当に遊んでったる」ズカズカ・・・

店長「まいどー」プカー・・・フフフ・・・


面白い人。言葉も巧みだし、並のスキルアウト上がりには思えないな。


店長「あと、坊主。ウチのオーナーさんの事宜しく頼むぜー。友達少ねぇからな」ハハハ

香焼「あ、はい」コクッ

黒夜「だ、黙りゃ! お前も返事してんじゃねぇよ、このボケっ!」ゲシッ!

香焼「あ痛っ!」ゴンッ


店長さんの笑い声と煙草の匂いに見送られながら、僕らはスタッフルームを後にした。

不機嫌そうな黒夜と2人きりのエレベーター。特に話す間もなく、次の階(7F)で降車した。
そこは少々年齢層高めの人が遊んでいるコーナー。所謂、換金無しの御遊びパチンコ台や競馬ゲーム、電子ルーレット的なモノが集まっている。


香焼「こういうとこで遊ぶの?」チラッ

黒夜「は? 遊ばねぇよ。やり方知らねぇし」フンッ

香焼「じゃあ何で」キョトン・・・

黒夜「適当にブラブラ回ればアイツも文句言わねぇだろ」テクテク・・・

香焼「遊ぶ気無いんだ」アハハ・・・


何だか店長さんに申し訳無い。
話は変わるが、偶にゲーセンのコイン・メダルゲームで景品交換出来たりする場所がある。あれって大丈夫なのかな。
換金は出来ないけど景品と交換可能って、風営法とかで引っ掛かりそうな気がする。

現に此処もメダルで景品と交換可能だ。そこんとこ如何なのだろう。


黒夜「外は知らねぇが、学園都市は日本の治外法権みたいなモンだ。一緒にされても困るだろ」テクテク・・・

香焼「でも子供主体の街でそれをやると破綻するお馬鹿さんも出てくるんじゃ」ウーン・・・

黒夜「だからだろ。学生以外から金巻き上げれねぇんだから、学生相手にパチとか競馬の真似事するしかねぇ」コクッ


勿論レートは低めだけど、と付け加えておく。
しかし、社会問題にもなっているが『学生ローン』的なモノも存在する。下手すりゃ若くして自己破綻コースだ。


香焼「そういうのって暗部が切盛りしてたり?」チラッ

黒夜「一部はな。だけど、貸出上限も金利も低い。決してアコギ商法って訳じゃねぇさ」コクッ

香焼「成程、勉強なります……でも、賭博施設と金融業の大本が同じってマッチポンプ的な気も」アハハ・・・

黒夜「考え過ぎだ。別に強制してんじゃねぇんだし、そこは自己責任よ。破綻の沼に嵌まるヤツは勝手に沈んでく」フンッ


確かに。破綻したくなきゃ借りなきゃ良いんだし、それ以前にこういうゲームをしなければ良い。
ホント、ギャンブル中毒とは怖いモノだ……建宮さんとか大丈夫かな。


黒夜「しっかしまぁ、ジャラジャラジャラジャラと煩ぇわ」テクテク・・・

香焼「自分もこういう場所苦手っす」アハハ・・・


おまけに煙草臭い。まんまパチ屋的な雰囲気だ。


香焼「でもやっぱり大学生とかスキルアウトが殆どって感じかな」キョロキョロ・・・

黒夜「大人もチラホラ居っけど、馬鹿そうなヤツらばっかだ。スロットとか玉弾きがそんなに楽しいのかねぇ」ジトー・・・

香焼「やらないから何ともね……って、あれ?」ピタッ・・・

黒夜「ん?」チラッ


今、スロットコーナーに……在り得ない人が。

ぶっちゃけ、現実逃避。早くこの場を立ち去ろう。


黒夜「どったん?」チラッ

香焼「い、いや。何でもない……見間違いだよね」ハハハ・・・

黒夜「何だ? 知り合い?」ジー・・・

香焼「ううん。多分、見間違い。あの人が居る訳無いから」ポリポリ・・・

黒夜「スロットコーナーか……あー。アイツの事か」ピッ

香焼「……え」ジー・・・


えっと……まぁじで?





















御坂「チッ……ゲコ美リーチ終わり早過ぎよ」Pi・・・PON、PON、PON!






















香焼「」

黒夜「なぁ、アレって第3位じゃね」ジー・・・

香焼「」

黒夜「……おい」ベシッ


痛い……という事は、現実か。信じられん。
少々古い機種のスロット『ゲコ太の拳 仁 』の前に一人ポツリと座り、右・左・中のボタンをリズム良く押す御坂さん。何故か機嫌悪そう。

直視してしまった現実に、僕は唖然とする外なかった。


黒夜「ふーん。常盤台の超電磁砲(レールガン)がスロットゲームに興じてるたぁ……ふふふ」スッ・・・

香焼「ちょ! 携帯取り出して何する気さ!」アタフタ・・・

黒夜「拡散」ニヤリ・・・

香焼「だ、駄目だよ!」ブンブンッ!

黒夜「なーんだよー。邪魔すんなってー」ニヤニヤ・・・


何としても阻止せねば……彼女の風体の為に! あと白井さんをショック死させない為にも!
黒夜にシャッターを切らせまいと、携帯カメラの前で手をブンブン振って邪魔をする。
しかし、残念ながら黒夜の持っている携帯は都市の最新機種。どんなブレも何のそのな瞬間撮影機能付き。

僕の妨害も虚しく、シャッターが切られる―――刹那。


???「おいこら」グイッ

黒夜「んにゃに!?」パシャッ・・・

香焼「あ」ブンブン・・・

???「何してんだか知らないけど、盗撮はNGじゃん」グッ


長身の女性が黒夜の手首を掴み持ち上げた。この人は確か……警備員の。


香焼「黄泉川さん」ジー・・・

黄泉川「ん? 少年、私の事知ってるじゃん?」チラッ


そりゃもう良い意味で重要チェックリストですから。あとは、月詠さんから噂は兼々。


黒夜「うげっ……お前かよ」タラー・・・

黄泉川「これはこれは、DQNなカップルが騒いでると思いきや番外個体の友達じゃん。今日は彼氏連れ?」チラッ

黒夜「ワースt……うわぁ。あのアバズレの友達扱いされんのは、コイツの彼女扱いされんのと同じくらい嫌だっつの!」フシャー!

黄泉川「基準が今一分からないじゃん。さておき、いくら御坂が有名人とはいえ盗撮は駄目じゃんよ」スッ・・・

黒夜「けっ。うっせーばばぁ―――」フンッ

黄泉川「……ふんっ」ゴツンッ

黒夜「―――ぃッッ~~ーーー~~つぅ~~~~ーー~~~ーーーー~~~~ー~~ッッ!!」グギギ・・・


黒夜にゲンコツ振るうなんて、トンデく恐ろしい真似を。
しかし、黒夜は涙目で睨みつけるだけで何もしない。この人の事を怖がってるのだろうか。


黒夜「くそぅ……覚えてろよ」ウギギ・・・

黄泉川「はいはい、忘れたじゃん。さーてと、そんじゃ戻るかなー」キョロキョロ・・・

黒夜「チッ……この不良警備員が。教師がパチンコして良いのかよ」ジトー・・・

黄泉川「教師だって人間じゃん。休日余暇の過ごし方まで御上に決められないじゃんよ」フフッ


無論、あくまで業務に支障のない程度にだろう。

ゲンコツが響いたのか、うっすら涙目の黒夜。存外、子供っぽいなぁ。


黒夜「詭弁を……てか、お前一人で来たのかよ。休日に女一人パチンコって」ハンッ!

黄泉川「相変わらず生意気なガキだこと……一人じゃないじゃん。ほれ、そこ」クイッ

香焼・黒夜「「え」」チラッ・・・






月詠「―――……黒妻ちゃん、相変わらずジャ○ラーとか渋いの打っちゃってるんですねー」Pi・・・PON、PON、PON!

黒妻「つまんねぇですけど一番稼ぎ易いっしょ。月詠さんの打ってる『カナミン 2 』よりは……あ、火借りて良いっすか」Pi・・・PON、PON、PON!

月詠「はいはい。いやぁしかし、午前中は参っちまったのですよ。今日もお馬鹿ちゃん達の為にサービス出勤してー―――」Pi・・・PON、PON、PON!

黒妻「でも好きでやってるんでしょ。オレなんか美偉に『休日も平日も家でゴロゴロしてるんですね』ってさぁ―――」Pi・・・PON、PON、PON!






幼女とヤンキーが並んでスロット打ってる。


黄泉川「パチ仲間じゃん。他にも浜面とか半蔵誘ったんだけど忙しいらしくて……桔梗も最近勉強忙しくて付き合い悪いし」ブーブー

黒妻「浜面だぁ? アイツもパチンカスかよ……つくづく救えねぇな」ハァ・・・

黄泉川「カス言うなし。でもアイツ、彼女出来てから不良っぽい事から離れてってんな……つまんないじゃん」ハァ・・・


そこは喜びましょうよ、教師として。


黄泉川「あ、そういえば番外個体が『もし黒にゃん見かけたら教えて』とか言ってたじゃん。最近会ってないの?」チラッ

黒夜「勘弁して下さい会いたくないです」キッパリ・・・


その『ワースト』って人の事どんだけ苦手なんだ。


香焼「ま、まぁ……って月詠さん!?」タラー・・・

黄泉川「今更? てか知り合いじゃん?」チラッ

香焼「え、ええ。色々と……(第4話参照)」ポリポリ・・・

黄泉川「へぇ。見た目はアレだけど酒も煙草もギャンブルも並以上やるからね……おーい、小萌先生ー」ノ"


態々呼ばなくても良いのに……というか、こんな場所で知人と会うの気拙いだろ。


月詠「―――だから黒妻ちゃんはガツンと固法ちゃんに……って、はい?」チラッ

黄泉川「ん」クイッ

香焼「……あはは」ペコッ

月詠「あら!」ピタッ・・・

黒夜「ん?」ピタッ・・・


椅子から降りテトテトと此方に寄ってくる年齢不詳の幼女教師。
ついでにヤンキーさんも連いてきた。確かこの人は……固法さんの彼氏さん(※ヒモ)だっけ。

※あくまで麦野さんと結標さん曰くです。

僕が大人の遊び場(ギャンブルコーナー)に居る事を怒るでもなく、まして自分がこんな場所に居る事を悪びれる訳でもなく、
満面の笑みで此方に寄って来た月詠さん。律義に煙草は消している。

この事、淡希さん知ってるのかな?


月詠「これはこれは香焼ちゃん! 珍しいとこで会っちゃいましたね。まさか香焼ちゃんも台選びに」フフフッ

香焼「こ、こんにちは。残念ながら自分はパチもスロもやった事無いんで。とりあえず興味がてら覗いただけっす」ペコッ

月詠「成程なるほど。まぁやらないに越した事はないのですが、もし始めても程々にするのですよ。それと、此方は?」チラッ

黒夜「……何だこの生物」タラー・・・

香焼「く、黒夜!」バッ・・・

黄泉川「一方通行みたいな事言うじゃん」ハハハ

月詠「ひ、酷いのですよ……まぁ言われ慣れてますけど」ハァ・・・


確かに永遠の謎だけど、聞くに聞けない問題。とりあえず、黒夜の紹介と此処に居る理由を適当に誤魔化しておく。


月詠「―――ふむふむ……しかし、香焼ちゃんも誰かちゃんみたいに女の子の知り合いが多いのですね。その内モゲちゃいますよ」フフフ・・・

香焼「モゲるって何が?」キョトン・・・

黒夜「ナニがだろ」キッパリ

黄泉川「ナニがじゃん」ハッキリ

黒妻「おいこら女性陣」ハァ・・・


三人に何故かツッコむ黒妻さん……モゲる?

そういえばこの人とはチャリティ演奏会の時(※すんどめ。第三話:20話)以来久しぶりか。
あの時は『香(かおる)』だったっけ。固法さんがばらしてた所為で即行女装がばれたな。


黒妻「ったく……とりあえず、年齢制限は無ぇけどガキが長居して良い様なフロアじゃねぇよ。早めに降りな」コクッ

香焼「あ、はい。そろそろ行きます」コクッ

黒夜「チッ。ガキガキって……全員して嘗めやがってよ」ジトー・・・

黄泉川「ガキは何処まで行ってもガキじゃん。まぁ大人になりゃそう言われてる内が羨ましく思えてきたりもするじゃんよ」フフッ

黒夜「訳分かんね。つーか、アイツは良いのかよ」クイッ


そういえば忘れてた。








御坂「ハァ……台、変えようかしら。今日は駄目ね―――」Pi・・・PON、PON、PON!








一寸真顔になった後、顔を見合わせ、苦笑する大人三人。何なのだ?

人差し指を立て、小声で呟く黄泉川さん。


黄泉川「ははは。御坂はよくスロット打ってるじゃんよ。今に始まった事じゃないからな」シー・・・

黒夜「常盤台のお嬢様がねぇ。意外だわ」ジー・・・

月詠「本人曰く『硬貨(メダル)を集めるのに一番効率が良い』そうなのですよ。だからあんまり景品交換もしないみたいで」チラッ

黒夜「景品交換もしねぇのにメダル稼ぎだ? 何の為?」キョトン・・・


成程。そういう事か。


香焼「超電磁砲の『弾丸(コイン)』調達っすね。(スロットでメダル馬鹿稼ぎとか、どんだけ超電磁砲ブっ放してるんだろう)」ハハハ・・・

黒夜「あーそゆこと……でも当たればデカいが外れりゃスッカラカンじゃね。(機嫌悪そうだし『誰か』に乱射でもしてきたんだろ)」フーン・・・

月詠「超能力者の頭脳ならそうそう負け越さないと思うのですよ。パチもスロも確率モノなので」コクッ

黒妻「まぁぶっちゃけ余所に見せられたもんじゃねぇわな。身内にもあんま見せらんねぇけど」ククク・・・


学園都市の看板娘(アイドル)が、ゲーセンの煙たいパチンコフロアでブツクサ言いながらイライラとスロット打ってる姿。
御世辞にも華やかとは言えないだろう。ぶっちゃけ幻滅もいいところ。
重ねて言うが、白井さんがショック死するレベル。ついでに打ち止めちゃんもグレるレベル。


黄泉川「兎に角、内密に頼むじゃんよ」ポンッ

黒夜「けっ。知った事か……馴れ馴れしく触んなっつの」フンッ

黄泉川「やれやれ、相変わらずパンクしてるじゃん。そっちの少年、この子の事頼むじゃんよ」コクッ

香焼「ええ、言わせませんから」ハハハ・・・

黒夜「……ふんっ」ゲシッ!


だから一々ヤツ当たりで蹴らないで下さい。そろそろ本気で、脹脛痛くてしゃーないです。


黄泉川「そんじゃそろそろ戻るじゃんよ」スッ・・・

月詠「また遊びに来て下さいね、香焼ちゃん」フフッ


挨拶の後、元居た台に戻る2人。


黒妻「じゃあオレは一匹狼んとこ行ってくるかなー……いよ! お嬢ちゃん。なんか機嫌悪そうだな」カツカツ・・・

御坂「―――……あ、どうも。ちょっと色々と……またパチンコですか?」チラッ

黒妻「まーた上条か? オレもスロだよ。ゲコ太か……出てる?」ジー・・・

御坂「ち、ち・が・い・ま・すっ!! もぅ……今日は駄目みたいですね。先輩の先輩は?」ジャラジャラ・・・

黒妻「駄目っつー割にはドル箱重ねてんじゃねぇかよ。オレはボチボチかな。5,000円勝ちくらい」コクッ

御坂「なら良いですけど、程々にしてくださいよ。固法先輩、一昨日も愚痴ってましたから」ジトー・・・

黒妻「あの前の日は偶々調子悪かっただけだ。トータル勝ってっから問題無ぇよ」フンッ

御坂「そういう人に限って破滅するんですよ。いい加減定職就かないとホントに先輩に捨てられますよ―――」Pi・・・PON、PON、PON!

黒妻「くっ……中坊のクセに生意気な。言われなくても分かってらぁ―――」Pi・・・PON、PON、PON!


固法さんがこの光景見たら無言で血涙流しそうだな。


黒夜「阿呆が2人」ハハッ

香焼「……ノーコメントで」タラー・・・


とりあえずこれ以上用も無いので、このフロアを後にする事にした。

すまん。飯食ってきます。


安価! 2人が次にゲーセンで遊ぶモノは?



>>225











おれの夕飯の安価じゃないよ!

ガンダム extream vs

ただいま。伊勢海老なんて殻にグラタン詰めたヤツしか喰った事ねぇわw




*****************************************************




階段を使って下に降りる黒夜。このままだとそそくさ外に出てしまうだろう。
それでは何となく店長さんに申し訳無い。


香焼「ねぇ黒夜」チラッ

黒夜「ん」テクテク・・・

香焼「折角だし、何でも良いから遊んで行こうよ」コクッ

黒夜「意味分からん。ゲーセンで遊ぶくらいなら家で据え置きやってた方が良いだろ」フンッ


だからそういう問題じゃないんだけど。
さておき、3階まで降りた辺りでフロアを眺めてみる。此処は格ゲーコーナーの様だ。


香焼「……ねー」テクテク・・・

黒夜「お前もしつけぇな。やんねぇったらやんねぇ」フンッ

香焼「まだ何も言って無いじゃん」ムゥ・・・

黒夜「どうせ『寄ってこう』とか言うんだろ」ケッ

香焼「……箱モノ苦手だからやりたくない、と」ジー・・・

黒夜「何とでも言え。やらんもんはやらん」テクテク・・・


残念。最愛や軍覇なら今の挑発でノってくるのだが、彼女はそんなに甘くはない様だ。
こうなれば……止むを得ない。


香焼「……じゃあ、自分だけちょこっと遊んでくる」スッ・・・

黒夜「ハァ?」チラッ

香焼「ゲームしてくる。面倒なら帰って良いっすよ」テクテク・・・

黒夜「ちょ、お前、待て!」ジトー


あーだこーだ言われる前に格ゲーコーナーに入り込む。
『秘密ばらすぞ!』とか『奴隷のクセに!』とか騒がれる前に100円入れてしまえばコッチのものだ。

ただ、仮に呆れて帰られたらそれはそれで危険なのだが……


黒夜「チッ。てめぇなぁ」テクテク・・・


……案の定、連いてきてくれた。案外、構ってちゃんなのかもしれない。


香焼「ふふっ。ありがと」ニカッ

黒夜「うっせ。ホント、腹立つガキだ」ジトー・・・

香焼「黒夜だってガキでしょ。あ、折角だから対戦する?」フフッ

黒夜「誰がやるかって―――」

香焼「負けた方が勝った方の言う事一つ聞くっての如何? あ、勿論横暴過ぎない程度のを」ニヤリ・・・

黒夜「―――……む」ピクッ・・・


よし! 乗っかった。これで僕が勝てば一石二鳥だ。

とはいえ、並の口約束で勝っても仕方ない。
黒夜が全く知らない台で勝負して勝っても『今のは無効だ!』とか怒りかねない。最悪、プッツンして秘密をばらすかも。
此処は平等に、寧ろ相手に有利な状況下で勝ってこそ、約束に在り付けるというモノだ。


香焼「台は黒夜が選んで良いよ」フフッ

黒夜「……随分、気前良いじゃねぇか」ジトー・・・

香焼「まぁノリ気じゃない黒夜を無理に誘ったのは自分っすからね」コクッ


とか言いつつ、内心ニヤける。彼女には悪いが、天草式の先輩方の御蔭で古今殆どの格ゲーはやりこんでいるのだ。
主に五和、浦上の御蔭(所為)で……ぶっちゃけサンドバック代わりの練習相手は辛かった。アイツらやり込み過ぎ。

さておき、彼女は一体何を選ぶのだろう。


黒夜「じゃあ……それ」ピッ

香焼「へぇ。これまた何で?」ジー・・・

黒夜「据え置きで、相方とよく対戦すっからな。お前はやった事あるのか?」チラッ

香焼「うん。据え置きも携帯も両方やった事ある」テクテク・・・

黒夜「じゃあ決まりだ」テクテク・・・


彼女が選んだゲームは……『機動戦士○ンダム EXTREME VS. ALL LEGEND』。
所謂『ガ●ダム VS.』シリーズの第10世代で、歴代のサブからモブまで殆どの機体(MS・MA)が参戦している。

空いている対面席に座り硬貨を入れる。因みに、硬貨を持っていない黒夜に100円を渡したのは言うまでもない。


黒夜「……因みによ」チラッ

香焼「ん?」チャリン・・・

黒夜「負けたら何でも言う事聞くって嘘じゃねぇな?」チャリン・・・

香焼「男に二言はないっす」フフッ

黒夜「女男がよく言うわ……ふふふ。お前、更に奴隷街道まっしぐらよ」ニヤリ・・・

香焼「女扱いしてられるのも今の内だよ。あと、黒夜こそ、負けたら約束守りなよ」カチャカチャカチャ・・・

黒夜「勿の論よ。ま、お前が勝ったらの話だけどな……さぁてどんな恥ずかしい命令してやっかなぁ」クスクス・・・


余裕の表情。家で相当やりこんでると見た。
だがしかし……此方はゲーセンでサンドバックにされてきたのだ。易々勝てると思ったら大間違い。

さて、キャラクター選択。


黒夜「私は……―――」カチャカチャ・・・ポチッ

香焼「自分は……―――」カチャカチャ・・・ポチッ


両者機体決定。そして……互いの手の動きが止まる。


香焼「え……『シルヴァ・バレト』? そんな機体あったっけ?」タラー・・・

黒夜「あ、『アマクサ』だぁ? 聞いた事無ぇぞ?」タラー・・・


黒夜が選んだ機体に戸惑う。こんな機体見た事無いんだが。
現状、分かるのはコストが2500という事。あと見た目が青っぽくてガンダムタイプ、あとはUC世代というロゴだけ。

一方、黒夜もキョトン顔。
コストは同じく2500。此方も見た目はガンダムっぽいが、カメラが木星型ゴーグルである。ロゴはクロスボーン。

お互い知らないのも無理はない。第10世代ともなれば機体が多過ぎて、コアなファン(ガノタ)でもない限り、皆まで把握出来ないのだ。


周りの客(うわぁ……あの2人、マニアックな機体選ぶなぁ)ジー・・・

お互い戸惑いを隠せないままバトル開始。因みにCPUは無し。


香焼(とりあえず、様子見かな?)カチャカチャ・・・

黒夜(訳分からんが……関係無ぇ)トンッ・・・


距離を置いてライフルで牽制する。黒夜も特に動きは無い様なので同じ考えなのか……と思いきや。


香焼「っ!!」バリッ!


いきなり機体がスタンした。


香焼「なっ……何、今の!?」カチャカチャ・・・

黒夜「遅ぇ」フフフ・・・


追撃のビームが2発。あっけなくダウンを取られた。
出処が分からない所を見るとファンネル・ビット、もしくはインコムか。


黒夜「教えるかっつの。立ち上がったら即叩くわ」ニヤリ・・・

香焼「……なるほど」カチャッ・・・


何となくだが、相手が中遠距離型だという事が分かった。ならば……近付くまで。


黒夜「はいはい。ビリビリっと」カチャッ・・・

香焼(要は『海ヘビ』みたいな武器も持ってるんすね。両手が分離するのを見る限り……Mk-Ⅴ系か)タンッ・・・

黒夜「ちょこまか逃げるか。本人みたいな機体だな」ハハハッ

香焼「……まぁスピードなら負けないよ」カチャッ・・・


動き回り距離を詰める。兎に角、ブースト吹かしておけばビット系やら有線式に捉えられる事はない。
勿論、易々近付かれまいとライフルやミサイルを撃ってくるが、直線的な武器なら簡単に避けれる。


黒夜「チッ……まぁ近距離でもやれらぁ」カチャッ・・・


サーベルを持ち出し、切り掛ってくる黒夜の機体(シルヴァ・バレト)。
此方も同じタイミングになり、切り離し状態になった。


黒夜「だったら!」タンッ!

香焼「っ! シールドにランチャー付きか」スッ・・・

黒夜「逃がさねぇよ」カタカタッ

香焼(有線ハンド! 捕まったらスタンで追い打ち掛けられる……だったら!)カチャカチャッ


奥の手を。

先程同様に有線武器を多用しようとする黒夜。


黒夜「そのまま、そっこーインコムで削ってや―――」トンッ

香焼「……よいしょ」バンッ・・・グルグルグル・・・

黒夜「―――や……るってうぇえええぇ!?」ギョッ・・・


シールドに付いてるハイパーハンマー射出。近距離で振り回す事でHPをガリガリ削った。


黒夜「んだそりゃ!? アリかよ、そんなの!」アタフタ・・・

香焼「インコムと有線式ハンド持ちに言われたくないっす」ハハハ


アマクサの基本装備はビームライフルとビームサーベルのみ。
近距離になれば色々トリッキーな技が出来るが、黒夜の機体に比べれば武器や技は少ない。


香焼(まぁゲームのシステム上、サーベルの出力は関係無いから世代が違っても打ち合いが切り払いになっちゃうのが辛いかな)ハハハ・・・


本来、世紀が異なればジェネレーターやらスラスターの出力も違うので、圧倒的な差が生まれる筈なのだが、そこはゲーム。


黒夜(チッ……近距離戦考えるんだったらドーベン・ウルフ選らんどきゃ良かった)ハァ・・・


近距離でハンマーの振り回しに勝てる武器がない。
シルヴァ・バレトの一世代前たるドーベン・ウルフなら腹部メガ粒子砲や大型対艦ミサイルが付いていたので何とかなったかもしれない。
今回は機動性を優先してしまったので、この始末。


黒夜「だが……それ振り回してる最中は鈍足だろ。有線ハンドで止めてやらぁ」カチャカチャ・・・

香焼「甘いっすよ」フフッ


両手が離れた瞬間、ハンマーをキャンセル。そのままシールドクローを展開。


黒夜「ま、まだ隠し武器!?」ゲッ!

香焼「ほい」ガシッ・・・バキンッ!

黒夜「ちょ、待っ!」アタフタ・・・

香焼「はいはい」ザンザンッ!

黒夜「しかも連撃モーションかよ! このぅ……頭来た」グヌヌ・・・


黒夜のHPは残り僅か。これなら一度撃破出来るだろう。


黒夜「だったら……逃げ回ってりゃ有線武器が勝手に何とかしてくれる!」ガチャガチャ・・・

香焼「なら追い駆けるまで」タンッ・・・


再び距離を取る黒夜。反して距離を詰める僕。
お互い直線武器に当たらぬ様、変則的な動きをしているが有線武器に追われている僕の方が大幅に移動している。
尤も、一発当てれば撃破可能なこの状況で……不利なのは彼女の方だった。


香焼「―――そこっ」タンッ

黒夜「にょわっ!?」ドカーン・・・

香焼「一回撃破っと」フゥ・・・

黒夜「うぐぅ……もう墜ちねぇぞ」ギリギリ・・・


復活後、一切此方には近付かずインコムと有線ハンドを飛ばしてくる黒夜。何とか近付こうとするのだが、逃げられる。
結局、偶に近付いてダメージを与えられるものの、基本は此方がインコムでチマチマ削られて一進一退の状況になっていた。

一旦此処まで。起きたら再開。


安価! 勝者は香焼と黒夜どっち!?



>>234



因みに質問受けます。特に『VS.』の展開についてとか、もし参戦したらという独自妄想なんで。
あ、興味ある方はシルヴァ・バレトとアマクサについてググって調べてみてね。

こんばんわ。ボチボチ投下しやす。

なんやかんやで数分後……―――


黒夜「ぐっ! こっちくんな!」ガチャガチャ・・・

香焼「……ほい」タンッ!

黒夜「うぎゃっ!?」バンッ!


―――爆音。そして、戦闘終了。


香焼「自分の勝ちっすね」フフッ

黒夜「畜っ生!」フシャー!


ラストは時間切れを狙って逃げ回っていた黒夜だが、オーバーラインまで追いつめればコッチのもの。
インコムと有線式ハンドを避けて近接格闘のパターンで圧倒出来た。

悔しそうに立ち上がった黒夜はウギギと僕を睨みつけ、踵を翻そうとした。


香焼「あれ? どうしたの?」ニヤニヤ・・・

黒夜「帰る!」フンッ!

香焼「はいはい。でも、その前に」ニヤリ・・・

黒夜「うっ」タラー・・・


約束は約束だ。


黒夜「あ、あのなぁ」ダラダラ・・・

香焼「うん」ニコニコッ

黒夜「……チッ」ギリリ・・・


大見栄切った以上、彼女も逃げはしまい。
とりあえず、後ろで順番待ちをしている人も居たので僕も立ち上がり彼女の方へ向かった。


香焼「まぁ、下に降りよっか」フフッ

黒夜「ぐっ……この野郎」イライラ・・・

香焼「さっきの約束は外出てから決めるよ」テクテク・・・

黒夜「こいつ……覚えてろ」チッ・・・


今にも蹴りが飛んできそうだったが、周りの目があってか、彼女も自重してくれた。


黒夜「た、偶々だ! 機体の相性悪かったんだっつの。次やったら勝つ!」フンッ!

香焼「はいはい。じゃあもう1ゲームする? 今度は対等になるようお互いジム辺りで」ニヤッ・・・

黒夜「じ、ジムだと」タラー・・・


特徴も何も無い機体で勝負した場合、勝敗はやり込みの具合で決まる。
インコムやらビットに頼りっ放しでライフルやら近接等、基本操作が苦手そうな黒夜では、
五和と浦上に徹底指導された僕には勝てっこないだろう。


黒夜「じゃあ、他のゲームで!」ウギギ・・・

香焼「ははは。負けず嫌いっすね」ポリポリ・・・

黒夜「うっせ! 勝負しろ! 私が勝つまで!」ウニャー!


いい性格してるよ。そういう諦めが悪い所、最愛そっくりだ。

でもまぁ……此方にも言い分がある。


香焼「別に良いけど、自分はこれ以上お金出さないっすよ」チラッ

黒夜「は?」ジトー・・・

香焼「黒夜、小銭持ってるの?」ジー・・・

黒夜「」チーン・・・


貴女マネーカードしか持ってないでしょう。正直、これ以上奢るの厳しいです。


黒夜「……ケチ」ムスー・・・

香焼「ケチじゃない。この前から合わせてどれだけ集る気っすか」ハァ・・・

黒夜「……くそっ」テクテク・・・


意気消沈。ドヨーンという効果音が目に見えそうな具合で階段へ向かう黒夜。被害者僕の筈なのに、なんか申し訳無く感じる。
何とも言えない雰囲気のまま、1階に降りる。調子狂うなぁ。


香焼「えっと、黒夜」チラッ・・・

黒夜「……んだよ」テクテク・・・

香焼「あー……その」ポリポリ・・・

黒夜「何でございますか何なりとご命令下さいご主人様」ジトー・・・


開き直りやがった。


黒夜「私に命令してぇんだろゲスい事してぇんだろエロい事してぇんだろ!? 同人誌みたいに! 安価みたいに!!」ギロリ・・・

香焼「何言ってんのこの人!」タラー・・・

黒夜「ふんっ……まぁでも、お前はそっち(ホモ)だから私(女)にゃ興味無ぇか」テクテク・・・

香焼「意味分かんないっす」ハァ・・・


ギクシャクしながらゲーセンを出る。いつの間にか空が茜色に変わっていた。
ふと、彼女が自動ドアの辺りで立ち止まった。何を見ているのかと思いきや……店の外にあるガシャポンだった。


黒夜「……、」ジー・・・

香焼「どうしたんすか?」チラッ・・・


何を見詰めているのかと思いきや、最近女子に流行りの『キルぬこー』のガシャポンだった。
血塗れ包帯姿のデフォルメにゃんこがキモ可愛いとかで人気だとか。浦上も携帯のストラップとしてブら下げてたっけ。


香焼「欲しいの?」チラッ・・・

黒夜「……何でもねぇよ」フンッ

香焼「ふーん」ジー・・・

黒夜「……行くぞ」スタッ・・・


何だかんだいっても12,3歳の女の子って訳か。
そういえば猫が割と好きとか言ってたし、ファッションを見るにパンク系という事もあってか、このマスコットは弩ストライクなのかも。


香焼「ちょっと待って」スッ・・・チャリン・・・

黒夜「……は?」ピタッ・・・


我ながら甘いなぁと感じる。

何か言おうとする黒夜を後目に、有無を言わさずレバーを回した。


香焼「よいしょ」ガタンッ・・・コロン・・・

黒夜「おま―――」

香焼「んー……これ、似た様なストラップ持ってるし……もう一回」ガチャン・・・

黒夜「―――え、な……ぃ」キョトン・・・

香焼「あー、これなら良いかな。缶バッチ」コロンッ・・・


2回分。


香焼「うーん。このストラップ如何しよう。要らないけど、捨てるの勿体無いし」チラッ・・・

黒夜「……お前」ジトー・・・

香焼「ふふっ。どうぞ」スッ・・・


我ながら下手な演技だ。黒夜は無言で手を伸ばし……先日のジュースの時の様に受け取った。


黒夜「……馬鹿じゃねぇの」フンッ

香焼「あはは。素直にありがとうは言ってくれないんだね」フフッ

黒夜「……ばか」ムゥ・・・


歳より幼く見える程に、子供染みた表情。ああ、そうか……この子もやっぱり。


黒夜「……、」ギュッ・・・


ストラップが入ったままのガシャポンのケースを強く握るその小さな手が、やっと……『救い』を求める手に見えた。


香焼「ねぇ黒夜」チラッ・・・

黒夜「……行くぞ」テクテク・・・

香焼「うん」コクッ・・・


何処に行くかは分からない。だけど引き続き、この『子供らしくない子供』の後を追う事にした。


香焼(……あ、何か忘れてる様な)チラッ・・・


無意識に取り出した缶バッチの黒猫を見詰め、何かを思い出そうとするが……何だろう。とりま、今は彼女を追う事が先決か。




 ~~~~~~~~~~~~~~~~一方、その頃、とある公園(イカれ自販機在中)~~~~~~~~~~~~~~~~~




もあい「―――……にゃぅ」トボトボ・・・ア!ゴシュジンサマ!

絹旗「―――超遅くなってしまいました……あ! も、もあい! 香焼は何処に!?」アタフタ・・・

もあい「……みゃ」スリスリ・・・イヤードコデショー・・・

絹旗「や、やっぱりあの超アバズレが香焼を拉致ったんですね!?」ダラダラ・・・

もあい「なぅ」ヒョイッ・・・コクッ

絹旗「どどどどうしましょう、香焼が超酷い事されちゃいます! 同人誌みたいに! 安価みたいに! だ、誰かに助けて貰わないと!」アワワワ・・・

もあい「……にゃー」アワテスギーハナシコジレルー!

  ―――とある休日、PM05:00、学園都市第7学区、郊外・・・香焼side・・・





小学生くらいの子供達が寮へ帰り始める中、特に何を話す訳でもなくトコトコ進む僕達。
彼女に行く宛てがあるのかは分からない。もしかしたら自然に別れても、もう何も言わないかもしれない。

しかし、何故か、彼女から離れられない自分が居た。


黒夜「……なぁ」ボソッ

香焼「うん」テクテク・・・


お互い顔を合わせない。


黒夜「何でついてくるんだ」テクテク・・・

香焼「何でって……ついてこいって言ったのは誰かな」ハハハ・・・

黒夜「……律義なこって」フンッ


やはり、もう奴隷扱いするつもりはないのだろう。


黒夜「命令」チラッ・・・

香焼「え」キョトン・・・

黒夜「負けた方が言う事聞くってヤツ。忘れたのか?」テクテク・・・

香焼「あー……そういえば」ポリポリ・・・

黒夜「抜けてんな。もう『奴隷扱い』すんなって言えば終わりだぞ」ハッ・・・

香焼「確かにそうだけど……でもそしたら『秘密』ばらされるかもしれないでしょ」テクテク・・・

黒夜「……、」フム・・・


最早そんな卑怯な真似はしないと思うが、気が変わったとか言ってベラベラ喋られても厄介だ。


黒夜「そうだな……そうかもな」フンッ・・・


少々不機嫌な様子で歩足を速める黒夜。一体何処に行きたいのだろう。


黒夜「別に、行きたい場所なんざねぇさ」スタスタ・・・

香焼「そっか」テクテク・・・

黒夜「それよか、お前こそ帰らなくて良いのか? きっと絹旗のヤツ、お前の事探し回ってんぞ」スタスタ・・・

香焼「多分、大丈夫かな」コクッ・・・

黒夜「嘘吐け。さっきから携帯鳴ってっけど、絶対ぇ絹旗だろ」フンッ


最愛には申し訳ないが、先程から無視を決め込んでる。
もし電話に出たら出たで、黒夜がちょっかい出し兼ねないだろう。兎に角、今は黒夜に付いて回りたい。


黒夜「邪魔しねぇよ。てかお前、意外と粘着質なのな。ストーカー気質アリか?」ジトー・・・

香焼「何だよ、いきなり」ムゥ・・・

黒夜「……んでもねぇよ」チッ・・・

香焼「変なの」テクテク・・・


また暫く無言が続く。しかし、最初の頃に比べ、そんなに居心地の悪いモノではなくなっていた。

北上する事、数分後……商店街を外れマンション街にポツリとコンビニが見えた。
正直、かなり歩いたので休憩したい所なのだが。


黒夜「……何か買うか」チラッ・・・

香焼「え。あ、うん」コクッ・・・


此方の意を察してくれたのか多くは言わずに店内に向かった黒夜。意外と気配りが出来る。
バイトの気だるい挨拶に迎えられ、適当にお茶を選び、レジに持って行こうとしたら商品を黒夜に奪われた。今度こそ彼女が奢るつもりらしい。
プライベートブランドの緑茶とブラック缶2本をマネーカードで支払いコンビニを出た黒夜は、特に何も言わず店舗前のベンチに腰かけた。
とりあえず一言感謝の意を伝え、横に座る。


香焼・黒夜「「……、」」ボー・・・


虚ろな目で缶コーヒーを啜る黒夜。何を考えているやら。


黒夜「……お前さ」チラッ・・・

香焼「ん」キュポッ・・・ゴクゴク・・・

黒夜「アイツの何処が好きなんだ?」ジー・・・

香焼「ぶふぁ!? な、何を?!」ダラダラ・・・


いきなり訳の分からない事を。


香焼「てか、アイツって誰っすか」フキフキ・・・

黒夜「決まってんだろ……幻想殺し」ジー・・・

香焼「うぇ!」///


意味不明。何故いきなり上条さんが。


黒夜「今更取り繕うのか? さっきの話の続きだろ」フンッ・・・

香焼「あ、うん。忘れてなかったのね」ポリポリ・・・

黒夜「……で?」ジー・・・


要領を得ない質問な気もする。というか『好き』って。


香焼「好きというか、尊敬に近いっす」コクッ・・・

黒夜「尊敬ねぇ。あんだけ(イチャイチャ)話してたのに?」ジー・・・

香焼「それはその……確かに当たりを気にせずする(裏側の)話では無かったかも。現に見られちゃったし」タラー・・・

黒夜「一応常識はあるんだな。まぁそれだけ(イチャイチャ)熱中するって事は、それだけの仲(バカップル)なんだろうけどよ」フンッ

香焼「……だったら良いな」ハハハ・・・///

黒夜「けっ。ノロケかよ」チッ・・・

香焼「は?」キョトン・・・

黒夜「なんでもねぇよ。あーブラックが甘ぇ」ジトー・・・


不機嫌そうにコーヒーを啜る黒夜。


黒夜「んで……何処が好きなんだ? まぁ尊敬ってんなら尊敬でも良いけどよ」ジー・・・

香焼「含みのある言い方っすね……まぁ、その、色々『恩人』だから。あとは全てにおいて『折れない』所かな」コクッ・・・


今度は素直に納得する黒夜。やはり彼女も上条さんの魅力は理解しているのか。

何やら勝手に自己解決(満足?)したらしい彼女は、これ以上何も言わなかった。
では此方からも質問させて貰う。


黒夜「ん?」ゴクゴク・・・

香焼「答えたくなかったら別に良いんだけど……黒夜が暗部に入ったのは最近なんでしょ」チラッ・・・

黒夜「まぁ最近っちゃ最近だな。尤も『本格的』にはって意味ではだけど」ボー・・・

香焼「WWⅢ以前も、危ない事してたの?」ジー・・・

黒夜「危ない事っつーかさ。私自身が『危ないモノ』だったからよ」ハハハ


自身をモノ扱いする彼女。


黒夜「兎に角、私を制御できる科学者が居なかったんだわ。常に暴走状態(ビーストモード)ってヤツ?」フフッ

香焼「……乱雑解放(ポルターガイスト)?」タラー・・・

黒夜「違ぇよ。能力の制御じゃねぇ。『思考』の制御さ」フンッ


例の『暗闇の五月計画』というヤツか。


香焼「でも、最愛は正常なんでしょ。黒夜だって問題無い様に思えるけど」キョトン・・・

黒夜「だから当時はだっつの……まぁ認めたかねぇが、暴走したんだよ。凶暴化ってヤツ」ジー・・・

香焼「何、それ」ポカーン・・・

黒夜「さぁ。んな時の事なんざ覚えてねぇ。理性ブッ飛んでたからな」ケッ・・・


じゃあ彼女は悪くない。悪いのは科学者(大人)だ。そいつらが報いを受けただけ。


黒夜「へぇ……お前、意外と冷淡だな」フーン・・・

香焼「だって如何聞いても黒夜悪くないじゃん。寧ろ被害者だと思う。自業自得」コクッ・・・


根本が十字教思想の僕らからしてみれば、生命倫理を冒涜し、利己主義に奔った末路と言えよう。
シェリーさんや、ローマの前方のヴェントの怒りも理解できる。


黒夜「別に悲劇のヒロイン気取る気は毛頭無ぇよ……ま、ブッ殺しちまったけど一応感謝してんだぜ。あの科学者(馬鹿)共には」ハハハ

香焼「現状?」ジー・・・

黒夜「そゆ事。『優等生』っ言われてきた絹旗ちゃんよりも、ずっと強くなったからなぁ。暗部で働くのは便利この上ない」ニヒヒッ


劣等感から優越感に。人間であれば誰しも喜ぶもの……彼女の場合は歪んでいるが、思考の問題だろう。止むを得まい。


香焼「でも、その……断らなかったの?」チラッ・・・

黒夜「実験を? ハッ……10にも満たねぇ『置き去り(チャイルドエラー)』のガキは、研究者共からしてみりゃモルモットさ」ハハハ

黒夜「親に捨てられ夢も希望も無く、胸の真ん中にポッカリ穴空いたガキに、まともな思考が出来ると思うか?」フンッ

香焼「必要とされるだけ、マシだと?」ジトー・・・

黒夜「それが『救い』さ」グググ・・・


そんな『救い』は認めない。


黒夜「脳味噌弄られたり劇薬飲まされたり注射されたり身体中に管ブッ刺されたり、あまつさえ『人』としての機能を捥がれても」ジー・・・

黒夜「それでも『君の力が必要だ』なんて甘く囁かれたら……普通のガキなら目ぇキラキラさせて大人に縋るわ」コクッ・・・


間違っている。間違っているけど……これが現実。これが、学園都市の研究者(大人)なのか。

勿論、月詠さんや黄泉川さん、鉄装さんの様な人格者も居る。だが、この街ではそういう大人がマイノリティな気がしてならない。


黒夜「とりま、最初の質問に答えっけど……目立った行動はしてなかったさ。大人しく檻の中に居た」フンッ

香焼「檻?」キョトン・・・

黒夜「AIMジャマーとCD(キャパシティダウン)、ガンガン効かせた部屋ん中だ。ま、御蔭で色々制御出来る様になった」ゴクゴク・・・


何から何まで非人道的だ。彼女も彼女で割り切ってるのがいけないのだろうけど。
この時、僕がどんな表情をしていたかは分からない。ただ彼女にはこれが滑稽に見えたのだろう。意地の悪い笑みを浮かべ、愉しそうに囁いた。


黒夜「絹旗ちゃんも私と似た様な事されてんぜ。いやぁ私より優秀だったから、もしかして私より酷ぇ事されてたかもしんねぇなぁ」ニヤニヤ・・・

香焼「な……っ……べ、別に、良いよ。言わなくて」ブルッ・・・


黒夜に対する怒りより、寒気が奔った。背筋に刃物を突き付けられた様な悪寒。


黒夜「例えばぁ、全身の表面剥がして皮膚呼吸でCO2じゃなくN2出せる様にしたり、穴という穴から液体窒素流し込んでみた―――」

香焼「や、止めてよ!」ガタッ・・・

黒夜「―――り……ふーん。想像しちゃった? へぇ……やっぱ、特別なのな。アイツ」ニヤニヤ・・・

香焼「違う……そういう事じゃない。兎に角止めて」ブルッ・・・

黒夜「はいはい」フフッ


オゾマシイ……そんな事考えたくない。やっぱり彼女は歪んでる。人の不幸が蜜の味なのか。


黒夜「ま、お前が想像した以上の事されてっかもしんねぇ。此処はそういう街だ。分かってんだろ?」ゴクゴク・・・

香焼「分かってても、許容出来ないっす」フルフル・・・

黒夜「潔癖症だな。いや、それが普通か。例え『裏』の人間でも容認出来無ぇ事もあらぁ」ハハッ

香焼「……もう止めよう」ゴクゴク・・・


嫌な汗が出た。異様に喉が渇く。精神衛生上、していい話ではない。
それから暫く、彼女は隣でニヤニヤしていたが、気持ち悪い想像が駆け巡って僕は気が気ではなかった。


黒夜「面白いヤツ。やっぱ同業とは思えねぇ」ククク・・・

香焼「……今の話聞いて、割り切れる方が異常っすよ」タラー・・・

黒夜「そうかそうか。そんだけ絹旗ちゃんのショックがデカかったんだな」フフフ・・・

香焼「最愛はだけじゃ無いっす……黒夜の話も含め全部だよ」グッ・・・

黒夜「さいですか。お優しいこって。まぁこれ以上は虐めねぇさ」ニヤニヤ・・・


ホント、スイッチが入るとトコトン悪人面になる。勘弁して欲しい。
兎に角、嫌な話を忘れよう。何か明るい話でも……と頭を切り替えた時―――





????「―――ん? おやおやぁ……あーっ! やっぱクロにゃんだぁーっ!!」ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!

香焼「え」キョトン・・・

黒夜「は……な! ま、ちょ、うげぇっ!!?」ギョッ!





―――遠くから獲物を見つけたジャッカルの様に満面の笑みを浮かべ、電光石火の如く猛ダッシュしてくる女性が見えた。

今回は此処までです。次回はやっとあの人登場。さて、誰かな?

とりあえず例の如く、質問意見感想罵倒等々受け付けます。そんでは! ノシ”

数十メートル先から奇声なのか歓喜の声なのか、よく分からない大声を上げて此方に猪突猛進してくる女性。
それを見るや否や、黒夜は立ち上がり僕の事もお構い無しに逃げ去ろうとした。

しかし……もう遅い。


????「ボオオオオオォルテッカアアアアァ!!」ビリビリビリ――z__ッ!

黒夜「ぴかちゅあっ!!」ドゲフゥ!!

香焼「く、黒夜っ!?」ギョッ!


電気ネズミ宜しく、光の速さで体当たりブチ咬ます女性。
吐血の如くブラックコーヒーを吹き出しながら、黒夜はベンチ脇に押し倒された。


????「ふふふふふ……ミサカから逃げようったって一億と二千年早いよーぅ」ガッシリ!

黒夜「ぐ、ぉ……お前、や、やめろ!」ジタバタ・・・

????「イッヒッヒッヒッ! いやぁ此処で会ったが百年目ってヤツ? 最近中々黒にゃんに会えなくて色々溜まってたのよねー」ニヤニヤ・・・

黒夜「ひぃ!」ダラダラ・・・


咋(あからさま)にビビってる黒夜。誰だ、この人。


????「さぁて……如何してくれようか」ワキワキ・・・

黒夜「ちょ、待っ! お、おい! 助けろ!」バッ!

香焼「え、あ、はい?」キョトン・・・


助けろと言われても余りに唐突な事態過ぎて、現状に付いていけないんだけど。
ポカンと呆気に取られている僕に気付いたのか、スウェットを着た目付きの悪い女性は小首を傾げ、黒夜に尋ねた。


????「何あれ?」クイッ

黒夜「うっせ! まず退けよ、お前!」ジタバタ・・・

香焼「えぇっと……初めまして」ペコッ

????「あー……うん。どーも」コクッ

黒夜「だから、私に跨りながら平然と挨拶交してんじゃねぇよボケっ!」フシャー!


ぬくりと立ち上がり、僕の全身をジロジロと見詰め……ポツリ一言。


????「彼氏?」チラッ

黒夜「違ぇよアホっ!」ウニャー!

????「酷い! ミサカというものがありながら……これはもう調教する外無いよね!」ギランッ!

黒夜「だから話聞けぃ!!」ワーワー!


傍から見てると面白いが、黒夜が必死過ぎて憐れになってきた。仕方ない、助けてやろう。


香焼「自分は彼氏じゃないっすよ。黒夜の友達で香焼っていいます」ペコッ

????「あ、御丁寧にどうも。ミサカは黒夜ちゃんのご主人さまで番外個体(ミサカワースト)と……って、友達っ!?」ポカーン・・・

香焼「え、あ、はい。(『ミサカ』ワースト? 妹達の一人?)」コクッ

番外個体「う、嘘……コミュ障の黒夜にミサカ以外の友達なんて出来る訳無いじゃん!」バッ!

黒夜「誰がコミュ障じゃ……ダチじゃねぇよ。連れだ、連れ。あと勝手にテメェと私をダチにすんなし」フンッ


そういえば先程ゲーセンで黄泉川さんが『ワースト』が如何こう言ってた気がする。
成程、きっと彼女の事だろう。何となく仲が良さそうだ。

確かに、よくよく見ると御坂さんに似ている。言っちゃ難だが機嫌が悪い時の御坂さん。
ただ、本人や他の妹達に比べ少々大人びてる感じがする……まぁ家庭の事情で色々あるのだろう。
機会があれば、海原さんか御坂蛇(プロスネーク:17600号)さんに聞いてみよう。


番外個体「いやぁしっかし、まさか黒にゃんに会えるとは思わなんだ。きっとミサカの日頃の行いが良い御蔭ね!」ニッコリ

黒夜「じゃあ私は日頃の行いが悪いんだろうな……いつもアオザイだから目立って見付け易いのに、何で今日に限ってスウェットで」ハァ・・・

番外個体「んもーツンデレなんだからー。そりゃ毎日毎日民族衣装なんて着てられませんよーだ」ニヤニヤ・・・ワキワキ・・・

黒夜「ちょ、な、寄るな! 近付くな! ドたま穴開けっぞ!」アタフタ・・・

番外個体「さぁて、どうしようかなぁ……あんな事やこんな事を……ぎゃはっ☆」ワキワキ・・・

黒夜「う、撃つぞ! それ以上こっち来たらブッ放すかんな!」ブンブンッ


黒夜でもあそこまで必死になる事があるのか。両手をワーストさんに向けて威嚇している。
そして、先程まで散々からかってた僕に対してすら、縋る様な目で助けを求めていた。


香焼「えっと、嫌がってますけど」タラー・・・

番外個体「いやー、嫌よ嫌よも好きの内ってねぇ。この子、実はマゾだからミサカの『可愛がり』喜んでるのよ」ビリビリ・・・

黒夜「誰がマゾじゃ! ちょ、ホント、止めろ!」スッ・・・

番外個体「ほーれ。超電磁バンザーイ」クイッ!

黒夜「こんばとにゃーっ?!」バンザーイ!


マヌケな掛け声と共に、黒夜が万歳した。何事?


番外個体「キヒヒッ! サイボーグの腕が仇となったねー。嫌が応にも金具入っちゃってるでしょん?」ビリビリ・・・

香焼「あー、なるほど。磁界操作っすか」ヘー

黒夜「冷静に納得してんじゃねぇよボケっ! 頼むから助けろ……このままじゃ何されるか分からん!」ガクブル・・・

番外個体「んふふっ♪ 黒にゃんは既に、マグ●ートーを前にしたウルヴァ○ン状態だよん。あ、私がマグニー◎ーね」ニヤニヤ・・・

黒夜「全身骨抜き!? 嫌あああぁ! 助けろおおおぉ!」ジタバタ・・・


そんな大袈裟な。精々こちょがす程度でしょう。とりあえず、生温かい目で◎ムとジェ○ー的なやり取りを眺めてよう。


番外個体「そんじゃあ……今日はこの黒ぶち猫耳をー」スッ・・・

黒夜「どっから出した!? い、嫌! 止めて!」ジタバタ・・・


ギャーギャー騒ぐも虚しく、強制的に猫耳装着。


番外個体「ぎゃはははっ! 似合ってんぜー。どうよ、坊や」ウリウリ!

香焼「え。あ、はい。可愛いっすね」ハハハ・・・

黒夜「おま、後で殺すからにゃ……にゃ?!」ギョッ・・・


『にゃ』って……そこまで役作りしなくても。


番外個体「おー。猫耳追加オプションの『口調がぬこ化』機能は働くみたいだね」アッハッハッ

香焼「何その無駄オプション!? 誰得っすか? ってか何の為に誰が作ったの?」タラー・・・

黒夜「羞恥心で死にゃる……いっそ殺せ」ニャ・・・

番外個体「ぷふー。真っ赤っかー。いやぁ頭イカれた科学者達も、少しは良い仕事するねぇ。皆死んでっけど」ギャハッ

黒夜「殺して正解だったにゃ……にゃだ。この語尾」ウニャ・・・


赤面涙目の黒夜。こうまで一方的だと可哀想になってくるな……可愛いけど。

とりあえず助け舟を出しますか。


香焼「あー……自分らそろそろ行かなきゃなんないんすけど」ポリポリ・・・

番外個体「じゃあ次は何にしようかなぁ。色々試したいパーツ沢山あるのよねー」ゴチャゴチャ・・・

黒夜「何で常に持ち歩いてんだにゃ! てかどっから出したにょ?!」ダラダラ・・・


聞いてないし。


番外個体「この肉球パーツっての面白そうじゃね? 取り付けてみよー」グイッ・・・

黒夜「おい馬鹿止めろ!」ガクブル・・・ウニャー!

香焼「あのー、ワーストさーん」オーイ・・・

番外個体「んー……あれ? これどうやって付けるの? あ、そっか……手首から先で差し替えか」ガシッ

黒夜「ちょ!」ギョッ・・・

香焼「え」キョトン・・・


愕然。この人は何の躊躇いもなく……黒夜の手を『捥ぎ』取った。


黒夜「いっっっっー――――――っっっってええええええええええぇ!!」ウニャアアアアァ!!

香焼「ちょ、く、黒夜!?」アタフタ・・・

番外個体「あ、いっけねー。痛覚遮断すんの忘れてた」アハハ・・・

香焼「わ、ワーストさん!!」ガシッ!


余りにも非常識な行動に思わず腕を掴んでしまった。というか常識非常識のレベルじゃない。最早猟奇的だろ。


番外個体「あーダイジョブ大丈夫。この子の手、義肢だから。あれ? 知らなかった?」チラッ

香焼「そういう問題じゃないっすよ! 何考えてるんすか!」ギロッ・・・

番外個体「うーん……愉しい事?」ハハハッ


駄目だ、この人も歪んでる。


黒夜「痛い痛い痛い痛い痛ああああぁい! うにゃああああぁん!」ニャー・・・

番外個体「ありゃりゃ、泣いちゃった。これだから痛みに慣れてないお子ちゃまは困る」ハァ・・・

香焼「御託はいいから! 兎に角、急いで戻して下さい!」アタフタ・・・

番外個体「はいはい。えーっと―――」カチャカチャ・・・


にゃーにゃー泣き喚く黒夜。最早クールさもパンクさも無い。先程とは別人過ぎる。
まるで注射を嫌がる様な、ただただ普通の少女にしか見えない。

一寸後……手首から先が戻った。しかし。


番外個体「―――……おしっ。OKかな」カチッ

黒夜「うぅ……ひっく……みゃ……ぅぅ」ポロポロ・・・

香焼「……、」タラー・・・


何故、猫の手?

未だ啜り泣く黒夜をニヤニヤ眺めながら、クスクス微笑みポツりと告げた。


番外個体「あーまちがえたー(棒)」ニヤリ・・・

香焼「ワーストさん!」タラー・・・

黒夜「うにゃぅ……っ……お前……殺すっ」グッ!

香焼「っ!」ギョッ・・・


明確な殺気。
拙い。黒夜がキレた。掌(肉球)をワーストさんに向け―――


香焼「黒夜!」バッ!

黒夜「マジで死にェ!」フシャー!

番外個体「……、」ジー・・・


―――ぽふんっ。


香焼・黒夜「「…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え」」キョトン・・・

番外個体「……ぷっ」プルプル・・・


窒素の槍が、出ない。その代わり……マシュマロの様に凄く柔らかそうな『何か』がワーストさんに当たった。


番外個体「くっ……ギャハハハハハハハハハッ! ぽ、『ぽふんっ』だって! 『ぽふんっ』て!」ゲラゲラゲラゲラッ!

黒夜「て、テメェ……何しやがったァ!?」ニャー!!

番外個体「うーひっひっひっ! っべー! マジウケるっ……あー可笑しい。だーっははははっ!」プルプル・・・

黒夜「ッ~~~~~っ!!」ポカポカポカポカッ!


笑い転げるワーストさんを肉球で只管(ひたすら)乱打する黒夜。とても痛くなさそう。
正直、何が何やら訳ワカメ。ふと、ワーストさんのポケットから紙が一枚落ちたので拾い上げてみる……取扱説明書だ。


香焼「『肉球パーツ』……被検体が暴走した場合、このパーツを取り付ける事によって事態の鎮火を図る……何これ」タラー・・・

番外個体「あひゃひゃひゃ! と、とりあえず、爆発する槍出す代わりに……ぷふっ……やんわか肉球を射出するんでしょ」プルプル・・・

黒夜「マジ……ざけンにゃよ」ウギギギ・・・///


もう猫のコスプレにしか見えない。これで『暗部の人間です』と言っても誰も信用しないだろう。


番外個体「あー面白い。これだから黒にゃんはネタキャラとして最高なのよ。ミサカマジ満足」ウィヒヒッ!

黒夜「っせェ……ホント、戻ったら殺すかンなァ」ギロリ・・・///


黒夜さん……残念ながら睨んでも怖くないです。


黒夜「黙りゃ!」ゲシッ!!

香焼「あ痛っ! な、何で蹴るのさ!」ウワッ

黒夜「ニヤニヤしてンじゃねェよ……もぅ、やだ」ウニャァ・・・


明らかにテンションがガタ落ち。興奮冷めてダウナーなってらっしゃる。

本気で可哀想なので、そろそろ戻して下さい。
そう頼もうとしたのだが……ワーストさんはまだ何かをしでかそうとしてた。


番外個体「そんじゃあ次はこの尻尾をー」スッ・・・

香焼「ま、まだ虐める気っすか!?」ギョッ・・・

番外個体「え? 虐めじゃないよ。ミサカと黒にゃんは遊んでるだけ」ハハハ


虐めっ子は大抵そう言うんです。


黒夜「もぅ、勘弁してよ」ミー・・・

番外個体「これって……尻に刺すのかな? それとも黒にゃん、尾骶骨にジョイント付いてる?」チラッ

黒夜「ひぃ」ガタガタ・・・

番外個体「という訳でミサカがヒン剥いて調べちゃおー! さぁ、お尻出しなさーい」ワーイ!

黒夜「い、いやぁ!!」バッ!

香焼「わっ!」ドンッ


耐えきれなくなったのか、僕の後ろに隠れガタガタ震える黒夜。全く以て人前での最愛みたいだ。


番外個体「ちょっとー、黒夜ちゃーん」ブーブー・・・

香焼「はぁ……そろそろ本気で嫌がってますから止めましょう」ジー・・・

黒夜「……、」ウニャァ・・・

番外個体「何だよ」ジトー・・・


玩具を取り上げられた様な目で此方を睨むワーストさん。


番外個体「ふーん。嫌だって言ったら?」ジー・・・

香焼「止めます……まだ黒夜の事、無理矢理玩具にする気っすか?」チラッ

番外個体「だとしたら?」ニヤリ・・・

香焼「質問に質問で返されても困るっす。禅問答じゃないんすから。兎に角、もう止めて下さい」ペコッ

番外個体「……ケッ。正義の味方気取りかよ」ジトー・・・


面白くなさそうにガンくれるワーストさん。
元々の目付きと、カオリ姉さん程ではないが女性にしては身長が高い所為か、威圧感が大きかった。

暫時無言で睨み合う。黒夜は未だにワーストさんとは顔を合わせず、僕の後ろで震えたまま。


番外個体「クッソ生意気なチビだなぁ。調子乗らないでくれる? ミサカ怒らすと怖いよ」ジー・・・

香焼「脅しっすか? これ以上やるなら黄泉川さんに言います」ジトー・・・

番外個体「うっ……そ、それは困る」タラー・・・

香焼「だったら止めて下さい。自分らはもう行くので邪魔しないで」コクッ

黒夜「……、」チラッ・・・

番外個体「……チッ」ジトー・・・

香焼「失礼します。行くよ、黒夜」グイッ・・・

黒夜「あ……うん」テクテク・・・


険悪な雰囲気だが、これ以上構ってられない。
黒夜の『両手』を拾い、彼女の手(肉球)を引いて彼女の脇を抜ける。

・訂正:>>254・・・彼女の手(肉球)を引いて彼女の脇を抜ける。 ⇒ 彼女の手(肉球)を引いてワーストさんの脇を抜ける。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


しかし、その刹那。


番外個体「待てよ」ガシッ

香焼「っ」ドキッ・・・


肩を掴まれた。五和並に強い握力。


香焼「何すか。通して下さい。もう満足したでしょう」ジー・・・

番外個体「確かに、満足したかもしれない」ジトー・・・

香焼「だったら」クイッ・・・

番外個体「でも、ミサカはねぇ……嘗められるのが大っ嫌いなんだ。特に、お前みたいなチビで英雄気取りのガキんちょだと尚更」グッ・・・


離してくれない。困った。喧嘩する気はないのに。
黒夜は僕の後ろで如何して良いか分からない様な顔をしている。


香焼「殴って気が済むならどうぞ」ジー・・・

番外個体「そういう偽善チックなのもマジ腹立つんだけど。ミサカの性格的に超NGだわ」グイッ・・・

香焼「っ」ウッ・・・

黒夜「ちょ、止めろよ」アタフタ・・・ウニャー・・・


胸倉を掴まれた。本気で殴ってきそうだ……まぁ挑発染みた事を言ってしまった自分にも非はある。仕方ない。


番外個体「何だよ、その目……気に食わない。気持ち悪い」ジトー・・・

香焼「……、」ジー・・・

番外個体「……チッ」グググッ・・・

黒夜「おい、止めろって!」オドオド・・・ニャウ!


右手で抜き手を取るワーストさん。中段突きか……我慢しよう。
歯を食いしばって腹部への衝撃を覚悟した―――瞬間。


????「阿呆ンだら」ゴツンッ!

番外個体「いぃ~~~~~~~~~~~~~~~っつぅ~~~~~~~~~~~~っ!!」ジーン・・・

香焼・黒夜「「えっ」」ギョッ・・・


ワーストさんの後方から一撃、チョップが下る。その場でしゃがみ込み悶絶する彼女の後ろには……見知った顔が2人。


一方通行「何店の前でビービーギャーギャー騒いでやがンですか? 恥ずかしいったらありゃしねェ」ジトー・・・

打ち止め「んもー。番外個体はいっつもいっつも問題行動ばっか起してー……ミサカはミサカは心底呆れてみたり」ハァ・・・

黒夜「にゃ……一方通行」タラー・・・

一方通行「ン……テメェはテメェで何とも愉快な恰好してやがンな」ハンッ

打ち止め「おー、クロにゃん可愛い! ってミサカはミサカは携帯取り出してパシャる準備をしてみたり!」スッ・・・

黒夜「や、止めてくれにゃ」アタフタ・・・


本気で泣きそうなので止めたげてよぅ。

今回は以上で。あ、『窒素肉球』のルビで良いの有ります? 募集しますw

それではまた次回! ノシ”

こんばんわ。今日こそボチボチ投下します。



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とりあえず険悪な雰囲気は解消。何事もなく帰れそうだ。
頭を抱えて蹲(うずくま)ってるワーストさんを捨て置き、謝礼を述べる。


香焼「ありがとうございます」ペコッ

一方通行「あ? テメェは……ン?」ジー・・・

打ち止め「クロにゃんの彼氏? ってミサカはミサカは興味津津に聞いてみる」キラキラ・・・

黒夜「違うっつの……何度目だ、このやり取り」ニャァ・・・


一応、二人とは面識がある。
一方通行さんとは淡希さんの家出の件で。 (すんどめ。第四話:21話参照)
打ち止めちゃんとはチャリティコンサートで……尤も、この時僕は『香(かおる)』だった。(すんどめ。第三話:20話参照)

一寸ばかし僕の顔を見詰めた一方通行さんはボソリと告げた。


一方通行「あァ思い出した。確かお前、結標のペットか」フム・・・

打ち止め「え? アワキンのペット?」キョトン・・・

香焼「違います、友達っす」ハァ・・・

一方通行「まァ何でも良いが」チラッ・・・

黒夜「にゃ、にゃんだよ」タラー・・・

一方通行「……ふーン」ジー・・・


先程から感嘆詞ばかりの第一位さん。ハッキリ言わない人だな。まぁ何を言いたいのかは想像出来るけど。


一方通行「オイ、ガキ。先に店ン中入って菓子とジュース選ンでろ」クイッ

打ち止め「ふぇ?」キョトン・・・

一方通行「今日は奮発してやる。700円分籠入れといて良いぞ」スッ・・・

打ち止め「え!? いつもは400円までなのに!?」キランッ

一方通行「はいはい。はよ行け」シッシッ

打ち止め「うっひょい! 何かよく分からないけど今日は太っ腹ね! ってミサカはミサカは受け取った千円札を握りしめ店内突入ー!!」ウヒャー!

一方通行「700円までだ。それ以上買ったら明日のオヤツは黄泉川特製『炊飯器たくあン』オンリーだからな」ジトー・・・

打ち止め「分かってまーす。それじゃあミサカはミサカは『うまか棒』を1本×70回買う準備をしてみたり!」タタタタッ・・・


色々ツッコみたかったが我慢しよう。

しかし、あのくらいの年代が可愛い盛りだ。


一方通行「そう思える内が華だ。毎日アレに振り回されてっと嫌になる……さァて」チラッ・・・

黒夜「だから、にゃによ」ジー・・・

一方通行「なァに、コミュ障のテメェがツレと居るってェのが新鮮に思えてなァ。ダチなンざ浜面とコイツ(番外個体)だけかと思ってたぜ」ハンッ

黒夜「ふんっ。誰かさんに似ちまった御蔭でダチは居にぇえよ」ニャハハッ

一方通行「だろォな」ケケケッ

黒夜「あとコイツと浜面とソイツ(ワースト)が私のダチに見えんなら眼下行った方が良いにゃ」フンッ


何この口の悪い自虐兄妹。ぶっちゃけ、黒夜が『ぬこ語』使ってなかったらタダの罵り合いに聞こえていただろう。
さておき、先程から気になっていた事を黒夜が尋ねた。


黒夜「てか何でテメェがこんなとこに居るんにゃ」ジトー・・・

一方通行「そりゃコッチのセリフだ。何でウチ(ファミリーサイド)の近所ウロウロしてやがる」フンッ

黒夜「……別に私の勝手にゃろ」チッ・・・

香焼「いや、自分も何で此処まで来たのか知りたい」ジー・・・

黒夜「え」チラッ・・・タラー・・・


この様子じゃ、また何も考えずに歩いてたな。


黒夜「き、企業秘密にゃっつの!」フンッ

一方通行「あーはいはい。マジで偶々な」ハッ

黒夜「企業秘密っ!」フシャー!

番外個体「痛てて……んもぅ。ツンデレさんめ。ぬこ語で凄んでも可愛いだけだぞ♪」チラッ

一方通行「お前入っとややこしくなっからもうちょいヘコンでろ」ビシッ

番外個体「ふーちぇぃんっ!!」イデェ!


一見軽そうに見えるチョップなのだが、そんなに痛いのだろうか。例のベクトル操作ってヤツかな。
さておき、ノラリクラリと首を動かし、蚊帳の外で苦笑していた僕に視線を向ける一方通行さん。
先程の気だるそうな雰囲気から一転、低めのトーンで尋ねてきた。


一方通行「ンで……そっちの」チラッ・・・

香焼「え」ピタッ

一方通行「ダチじゃねェとなりゃ何だ」ジー・・・

香焼「はい?」キョトン・・・

一方通行「しらばっくれンのは勝手だが、オレが温厚な内にゲロっちまった方が見の為だぜ」ジー・・・


と言われても困る。

一応、僕は友達のつもりなのだけど。


一方通行「……、」チラッ・・・

黒夜「コッチ見んにゃし。ソイツが勝手に言ってるだけにゃ」フンッ・・・

一方通行「ふン。じゃあ何なンだ」ジトー・・・

黒夜「ただの……『連れ』だ」ケッ・・・


歯切れの悪い黒夜を疑う第一位さん。


一方通行「『タダの』ねェ……結標とお友達でテメェや土御門と仲良しって時点で『ただの』人間な筈無ェンだが」チラッ・・・

香焼「それは、その」タラー・・・

一方通行「加えて結標とタメ張れる程の力量。まさかとは思うがよォ―――」ジー・・・

黒夜「それは無い」キッパリ・・・


突然口を挟む黒夜。何が『それは無い』のだ?


黒夜「ソイツが『新入生』かって事だろ? そりゃ見当違いだ。もしかして『同業』なのかもしれないけど、仲間じゃねぇよ」ジー・・・

一方通行「―――……、」フーン・・・


成程。彼は僕が敵意ある者か如何か疑っている。


一方通行「じゃあ、何モンだ」ジー・・・

香焼「あー、敵意は無いっすよ。寧ろ仲良くしたいなぁって」アハハ・・・

一方通行「疑わしくは罰せよ、なンつゥ言葉もあるな」ジトー・・・

香焼「困ったなぁ」タラー・・・


本当にこのままでは何をされるか分からない。此処は、仕方あるまい。


香焼「とりあえず、同業者かもっていう件は否定しないっす。ただ」ジー・・・

一方通行「ン」ジトー・・・

香焼「自分は『上条さん』の味方っす。直接彼に聞いたって良い」ボソッ

一方通行「……そォか」スッ・・・

黒夜(やっぱコイツ、アイツの事を)ジー・・・


上条さんの味方と告げた瞬間、言葉から圧力が消える。何とか納得して貰えた様だ。


一方通行「なら、如何でも良い。悪ガキ同士仲良しごっこやってろ」クルッ・・・テクテク・・・

香焼「はぁ」ポリポリ・・・

黒夜「だから仲良しとかそんにゃんじゃねぇっつーの」ケッ・・・

一方通行「はいはい。精々痛い目見ねェ様にな……オイ、いつまで寝てンだ」ゲシッ

番外個体「痛っ! 自分でやっといてからにぃ。このサド男! シスコン! ロリコン! ミサコン!」グハッ

一方通行「だから喧しい。店ン前で大声上げンなボケ」ビシッ

番外個体「だうわっっ!!」ゴツンッ


馬鹿だ、この人。まるで学習してない。

頭を抱えて声にならない悲鳴を上げるワーストさんを後目に、黒夜が毒づく。


黒夜「ソイツのロリコンは認めるが、シスコンは止めろにゃ。私とソイツが兄妹みてぇじゃにぇか」ジトー・・・

一方通行「殺すぞ。あとミサコンって何だ、ミサコンって」ハァ・・・

黒夜「ミサコンはミサコンにゃ」フンッ


土御門曰く、『御坂美琴とその周りコンプレックス』だったか。上条さんや海原さん、白井さんもそれだとか。
さておき興が反れたのか、これ以上何も言わずコンビニも向かう一方通行さん。その後ろ姿に悪態吐きつつヨロヨロと立ち上がるワーストさん。


番外個体「ちぇっ。つまんねぇのー」チラッ

黒夜「っ……何にゃよ」タラー・・・

番外個体「別にぃ。ま、次はバレない様に上手くやるから楽しみにしてて♪ 路地裏とか公衆トイレとか」ニヤリ・・・

黒夜「死ねゲス女(おんにゃ)! あと早く猫耳(コレ)外せ!」フシャー!

番外個体「えー面白い(カワイイ)のにー」ブーブー

黒夜「良いから!」ンニャー!

番外個体「ふーんだ。自分で外せよ」ベー

黒夜「出来たらとっくにやってるにゃ! 肉球の所為でモノ上手く掴めねぇんだよ」シャー!


確かにその手じゃ日常生活に支障が出る。


番外個体「じゃあその坊主にやってもらいな」ケケッ

香焼・黒夜「「は?」」ピタッ・・・

番外個体「という訳でミサカはコンビニ入りまーす。バイバ~イ」テクテク・・・


逃げる様にこの場から立ち去ろうとするワーストさん。いや、それはおかしい。


香焼「ちょ、待って下さい」アタフタ・・・

番外個体「待たねぇよー。精々恥掻きなさーい」イッヒッヒッ

香焼「自分、外したり付けたりなんか出来ないっすよ」タラー・・・

番外個体「だーから、黒にゃん(本人)に文字通り『手取り足取り』教えて貰いな」フンッ

黒夜「んにゃっ!?」ギョッ・・・


とことん意地悪な人だ。


番外個体「あ、そうだ――」ピタッ

香焼・黒夜「「え」」チラッ

番外個体「―――アンタの顔、覚えたからな。まぁ夜道は気をつけるこったね」ジー・・・

香焼「な! ま、まだ怒ってるんすか。人間小さいっすね」タラー・・・

番外個体「怒ってるんじゃない。目ぇ付けたのさ……黒夜ちゃんみたいにね」ニヤリ・・・


ゾクリと、悪寒が奔る。

無言の圧力。しかし、脅しには屈しない。


香焼「……お好きにどうぞ」ジトー・・・

番外個体「ケッ! いけ好かないガキ。大人ぶりやがって」イラッ

香焼「増せガキですいません。黒夜、行こう」チラッ

黒夜「お、おぅ」ニャウ・・・

番外個体「……、」ジー・・・


再度、黒夜の手(肉球)を引いてコンビニから離れようとした―――刹那。


番外個体「……、」ガシッ

香焼「っ……問題行動を起せば一方通行さんが―――」バッ

番外個体「ふんっ!」スパッ!

香焼・黒夜「「―――っ!?」」ギョッ・・・


有無を言わさず頭を叩かれた……いや、違う。頭に『何か』された。


香焼「な、何を!?」ビクッ・・・

番外個体「ふふーんだ。今日はこれくらいで勘弁してやる」テクテク・・・


引き留めようとしたがそそくさと店内に入って行ってしまった。別に痛くはなかったが勝手に因縁付けられた。しかも凄く馬鹿にされた気がする。
正直、追い駆けて文句を言いたかったが、大人げないので止めておこう。


香焼「ったく。って、黒夜。どうしたの?」チラッ

黒夜「あ、いや、その……あははは」タラー・・・

香焼「え」キョトン・・・


苦笑しながら僕の頭上を指差す黒夜。そういえば何かされた様な。恐る恐る手を伸ばし、髪を触ると―――


香焼「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ!?」ピクッ・・・

黒夜「お前も、やられたにゃ」ハァ・・・


―――そこには『何か』が生えてた。急いでコンビニのガラスで自分の姿を確認すると、頭に……耳が。


香焼「な、何じゃこりゃああぁ!?」ギョッ・・・

黒夜「うっせぇ……とりあえず、騒ぐにゃ」タラー・・・


所謂、犬耳。急いで外そうとするが何故か取れない。


香焼「な、何これ。カチューシャじゃない」アタフタ・・・

黒夜「多分それ、ウィッグの一種にゃ。それだけならまだしも、何か接着剤みたいなの付いてる……無理に取ろうとすると髪抜けるぞ」ハハハ・・・

香焼「黒夜のもそうなの!?」ガーン・・・

黒夜「私のは磁力によるジョイント式。それこそカチューシャみたいなモンだから外すのは楽にゃ」フンッ

香焼「じゃあ何で自分のはそうじゃないの!」エー・・・

黒夜「何でって……それ、私のオプションパーツじゃにゃいからっしょ」ジー・・・


じゃあ何か……あの人、常にこういう悪戯道具持ち歩いてるのか。


黒夜「まぁ私と同じで悪意の塊みたいなヤツだからにゃ。いっつも何かしら悪さ考えてたり、誰かに迷惑掛けようと思ってる女にゃ」ハァ・・・

香焼「性質が悪い……あーもぅ。これ髪洗った時落ちるのかなぁ」ハァ・・・

黒夜「暫くはそのままだにゃ」ハハハ

香焼「人事だと思ってー」ウー・・・

黒夜「いや、他人事とは思えにゃんだ……とりあえず行こうぜ。今更だが、人の目につく」チラッ


人気は少ないが、先程から騒いでいた所為で野次馬が沸き兼ねない。この場から去ろうという意見には同意したい。


香焼「あ、でも一方通行さんなら耳なんとかしてくれるかも」ア・・・

黒夜「期待すんにゃ。アイツは嗜虐スイッチ入ると私とか番外個体(バンコ)以上にサディストになるから」チラッ

香焼「え」ピタッ


店内で幼女と姉キャラに引っ張られてる彼が?


黒夜「アイツは人格破綻者(レベル5)の筆頭(第一位)。キチガイの頂点だ」フンッ

香焼「そうは見えないけど」ウーン・・・

黒夜「他の超能力者、見た事あるか? ソイツらの例で考えてみろ」テクテク・・・

香焼「……あー」タラー・・・


第二位、第六位以外の超能力者全員を知っているが、確かに(残念ながら)、スイッチが入ると危険になる人が多い。
結局、彼もそうなのか。


香焼「で、でも打ち止めちゃんが居れば」パッ

黒夜「その頭(犬耳)をMNW(ミサカネットワーク)にアップされても良いならにゃ」テクテク・・・

香焼「」チーン・・・


それは拙い。御坂蛇(プロスネーク)さんに見られた日には……何されるか分からない。


黒夜「分かったら行くぞ。あ、とりあえず私の耳外してくれにゃ」チラッ

香焼「……、」ジトー・・・

黒夜「あ? にゃんだよ」ジー・・・

香焼「黒夜だけ外す気っすか?」ムゥ・・・

黒夜「当たり前ににゃろ。恥ずかしいったらありゃしにゃい」ハァ・・・

香焼「……狡い」ウー・・・

黒夜「はぁ!? コッチは手まで猫になってんだよ! 狡いも卑怯も無ぇだろ!」フシャー!

香焼「自分が外すまで、一緒に付けててよ」ジー・・・

黒夜「にゃにをっ!?」イラッ・・・


一人だけこんな恰好じゃ恥ずかしいし。どっちにしろ僕が外してあげなきゃ黒夜は自力で外せない。


黒夜「おま……今更ガキみてぇな事言ってんじゃにゃいぞ」ウギギ・・・

香焼「フード被せてあげるから」ファサッ

黒夜「ちょ、おまっ!」アワワワ・・・///


僕も黒夜も幸いな事にパーカー族。頭を隠すのに困らなかった。
人間の『両手』を抱えた僕と『猫娘(黒夜)』は、人気の無い空き地か公園を見つける為、夜道を歩いた。

   ―――一方その頃、絹旗side・・・・・



絹旗「―――ぐぬぬぬぅ。香焼が電話に出ません。きっと黒夜から超酷い虐めを受けてて電話に出られないんですね」フシャー!

絹旗「このまま右往左往してる間にも黒夜の超悪質な嫌がらせが続いてしまう筈……どうすれば」タラー・・・

もあい「なぅ」トコトコ・・・

絹旗「はぁ。滝壺さんが居れば超即行見付けられるんですけど、病院ですし。力を借りられない以上、自力で見つけなきゃ」ムンッ・・・

もあい「にゃ?」チラッ・・・

絹旗「おまえ(もあい)が香焼の匂いを探り当てられるならそれを信じますが、学園都市は超広いですしね」ジー・・・

もあい「みゃぅ」ジー・・・

絹旗「誰かの力を借りましょうか。でも……誰の力を」ウーン・・・


ざっと頭に浮かぶのは……削板(根性バカ)、ステイル(不良ノッポ)。


絹旗「あー……超駄目ですね、頼りなりません」ムゥ・・・


他には、佐天や初春、春上達だが。


絹旗「私にだって、黒夜相手に巻き込んで良い人間と駄目な人間の区別くらいつきます」フム・・・


となると……浜面か。しかしまだフレメア(おチビ)の付き合いで忙しいだろう。
黒妻(兄貴さん)や那由他も、新入生相手に巻き込んで良いものか如何か。

では、あの結標(アバズレ女)は?


絹旗「力を借りるのは超癪ですけど、香焼のピンチとなれば手伝ってくれそうな気もします! さっそく……って」ア・・・

もあい「みぃ?」キョトン・・・


連絡先を知らんかった。


絹旗「あーもぅ! 超使えませんねっ!」ムギギィ・・・

もあい「にゃん」ジトー・・・

絹旗「超仕方ありません。香焼の言い付け通り、マンションで待ちましょうか」ハァ・・・

もあい「みゃう」トコトコ・・・

絹旗「でも、五和さん達になんて説明すれば良いですか……あ」ピタッ・・・

もあい「なー?」キョトン・・・

絹旗「そっか! 香焼のお姉さん達に相談すればいいんです! その方が超早い!」バッ!

もあい「にゃっ」ガシッ

絹旗「もあい、超急ぎますよ! しっかり掴まっててください!」シュバッ!

もあい「んなぅ!?」アーレー・・・

  ―――とある休日、PM06:00、学園都市第7学区、郊外の公園・・・黒夜side・・・





コンビニから数分歩いた所、人気の無い公園を見つけた。
遊具や花壇もない空き地に近いその場所で、ポツンと置いてある古びたベンチに私らは腰掛ける。


黒夜「此処なら良いにゃろ」キョロキョロ・・・

香焼「でも、道路から丸見えっすよ」チラッ・・・

黒夜「その程度は我慢するっきゃにゃいだろ。さぁ、さっさと取ってくれ」チラッ・・・


パーカーのフードを下ろし、猫耳を曝け出す。やっとこれで変な口調が直る。
香焼は私の頭上の突起を掴み、ゆっくりとそれを持ち上げた。


香焼「よいしょ。これで大丈夫?」スッ・・・

黒夜「ん……あーあー……大丈夫っぽい。助かったわ」ホッ・・・

香焼「良かったね」フフッ


しかし、まだ手(肉球)が残ってる。問題はコッチだ。


香焼「えっと、これはどうやって外すの?」ジー・・・

黒夜「手首の辺りに薄くボタンみたいなの付いてるだろ。それ押しながら取り外してくれ」クイッ・・・

香焼「分かった。あ、でも」チラッ・・・

黒夜「ん?」キョトン・・・


困った様な顔をする犬耳野郎。何事か。


香焼「その……痛くないの? さっき手捥がれた時、痛がってたじゃん」ジー・・・

黒夜「ああ、そういう。気にすんな」ハハッ


さっきは痛覚遮断する間もなく、無理矢理外されたから泣く程痛かったのだ。
今回は前もって外すと分かっている。色々と準備は可能だ。


黒夜「ほれ。頼む」ピョコッ

香焼「そっか……じゃあ、外すよ」カチャッ・・・


私の手首を掴み、ボタンを押しながらゆっくり、引っ張る。


黒夜「……うっ」ピクッ・・・

香焼「ご、ごめん。痛かった?」タラー・・・

黒夜「良いから……続けろ」ジー・・・

香焼「う、うん。分かった」グッ・・・

黒夜「……ぁ」ピクッ・・・

香焼「あ!」アタフタ・・・

黒夜「ぅっ……っ……一々、止めんな……一気にやれ」フゥ・・・

香焼「そ、そうだね」ハラハラ・・・


中途半端に止められるとムズムズする。変な感覚だ……だから余計なオプションパーツは付けたくない。

やっとの事、肉球が外れる。あとは通常の手を付ければ終わり。


黒夜「―――ふぅ……次は填める方だ。やり方は同じ様にボタンを押しながら取り付ければ良い」チラッ・・・

香焼「このジョイント部分を差し込めば良いんだね」クイッ・・・

黒夜「そゆこと。さ、お願い」スッ・・・


手首から先の無い腕を挙げる。これでやっと……と思った矢先、香焼の動きが止まった。


黒夜「ん?」チラッ・・・

香焼「……、」ジー・・・

黒夜「どうした?」キョトン・・・


しかめっ面で何かを考えている様だった。そして、何を言うのかと思いきや。


香焼「ねぇ」ジー・・・

黒夜「あ?」ハァ・・・

香焼「もし、これ(手)を付けなかったら、黒夜は能力を使えないの?」ジー・・・

黒夜「……は?」ポカーン・・・


言うに事欠いて、そんな事。


黒夜「だったら何なんだ」ジトー・・・

香焼「……、」チラッ・・・

黒夜「悪ぃが、メインハンド(それ)が無くても予備(スペア)がある。それに私は『無数』に掌を準備出来る」フンッ

香焼「……そっか」スッ・・・


何を思ったかは知らんが、下らない。引き続き接続作業に移る。


香焼「能力者って便利だね」カチッ・・・グググ・・・

黒夜「んっ……ぁ……そうでも、ねぇよ……あぅ……っ」ピクッ・・・

香焼「やっぱり痛い?」チラッ・・・

黒夜「途中で、止めるな……んっ……さっきも言ったが、一気にやれ……ふぅ」ビクッ・・・

香焼「ご、ごめんね」グイッ・・・ガチャンッ・・・

黒夜「っ……まぁ、こんな事出来るのは能力者だからっつーより……ぁ……サイボーグだからだな……ぅ!」ギリッ・・・


やはり取る時より、填める方が痛む。
手首から先が戻った右手の痛覚を戻し、グーパー握り締め、異常が無いか確認する。

上空に向かって『槍』を射出してみる……問題無い様だ。


黒夜「続きやって」ヒダリテ・・・

香焼「うん」ギュッ・・・

黒夜「でもよ。何で……んっ……そんな事聞く?」チラッ・・・

香焼「……分かんない」グググ・・・

黒夜「ふーん……ふ、ぁ……ぅっ……まぁ、良いけど」ピクッ・・・


やっと両手が戻った。これで何もかも元通り。

なんだかドッと疲れがきた。もう歩ける気がしない。


黒夜「はぁ、災難だった」グデーン・・・

香焼「あはは。御苦労さま」ポリポリ・・・

黒夜「ホントにな。ま、お前はまだ苦労しそうだけどよ」チラッ・・・

香焼「……そうだね」ハァ・・・


未だにフードで耳を隠してるわんこ君。気持ちは分からんでも無いが、何故か悪戯したくなる。


黒夜「ふむふむ……えいっ」ガシッ・・・

香焼「えっ!?」ギョッ・・・

黒夜「んー。感覚あるの?」ニギニギ・・・

香焼「は?」キョトン・・・


犬耳を握ったり引っ張ったりしてみるが、特に反応は無い。
そりゃそうか。普通の人間は、私のオプションパーツ(猫耳)と違って感覚までリンクする筈が無い。


黒夜「あったら面白かったんだけどなぁ」ハハハ

香焼「冗談キツいね。君を含め、周りに何されるか分かったもんじゃない」タラー・・・

黒夜「まぁ現状でもしっかり弄られそうだけどな」ニヤニヤ・・・

香焼「やれやれ……もう良いでしょ。フード被らせて」ジトー・・・

黒夜「首輪似合いそうだな。コーギーの尻尾とか合いそう」フムフム・・・

香焼「嫌だよ。恥ずかしい」ムゥ・・・


私の手を払い除け、早々とフードを被った。勿体無い。


香焼「ったく……まぁでも」チラッ・・・

黒夜「ん?」キョトン・・・

香焼「黒夜も泣くんだね」フフッ

黒夜「んなっ!?」カアアァ///

香焼「あそこまでわんわん泣くとは思わなかったよ。そんなに嫌だったんだ」ニヤッ

黒夜「わ、忘れろ!」ウギギ///

香焼「あははは。はいはい」クスクスッ


畜生、嘗めやがって。さっきの借りが無きゃブッ飛ばしてたのに。


香焼「いやぁ最愛も黒夜も、普段はクールなのにね。やっぱ普通の年頃なのかな」チラッ

黒夜「うっせ。一緒にすんな」ケッ・・・///

香焼「でも、自分はそっちの方が好きだな。子供っぽい方が可愛いよ」フフッ

黒夜「んなっ……べ、別にお前に好かれたって嬉しかねぇわ」ジトー・・・///

香焼「やれやれ。意固地だね」クスッ

黒夜「勝手に言ってろ。あほ」ムゥ・・・///


何故そんな歯が浮く様な事をサラリと言えるのか、信じられん。

とりあえず、そろそろ辺りも暗くなってきたし、アジトへ戻るべきか。
そんな事を考えた時、わんこ系男子がポツリと尋ねてきた。


香焼「そういえばさっき、無数に手が出せるとか言ってたけど」チラッ・・・

黒夜「手が出せるっつぅか、操れるんだ。今は専用のオプションパーツ持ってねぇから無理だけどな」コクッ

香焼「えっと……触手的な?」タラー・・・

黒夜「違ぇよ、変態」ジトー・・・


あくまで『発射口』を増やすだけ。手(スレイブ)の一本一本をマニュピレーター代わり(精密操作)に使用する事は不可能だ。
まぁパーツを弄れば出来ない事もないのだが、現状しようとは思わない。


香焼「ふーん。やっぱ便利っすね」ジー・・・

黒夜「さっきも言ったが、こりゃ機械の身体だから出来る芸当だ。能力者云々じゃねぇさ」コキコキ・・・

香焼「機械の、身体かぁ」フム・・・

黒夜「なんだ。お前も欲しいのか? 銀○鉄道乗っちゃいたい系?」ジー・・・

香焼「い、いや、その」アハハ・・・


好き好んで自分の体弄る一般人なんかそうそういない。
私だって『きっかけ』が無ければ普通に五体満足な健常者だったかもしれない。


黒夜「ま、私はこの身体を気に入ってる。やろうと思えばどんどんグレードアップ出来るしな」コクッ

香焼「もっと、身体を弄るの?」ジー・・・

黒夜「必要ならな。脳味噌以外は機械に変えてもいい」フンッ

香焼「なっ」ギョッ・・・

黒夜「人間の身体なんてのは所詮、脳味噌以外は付属物だ。心(自分)が脳味噌にあるなら、それ以外は変えても平気だろ」サラッ


驚いた顔……無理も無い。常人にゃ理解出来まい。
それから、わんこ君は暫く考え込んでいた。そして、一言。


香焼「身体髪膚親より生ず 敢えて毀傷せざるは孝の始め也」ボソッ・・・

黒夜「は?」キョトン・・・

香焼「孔子の言葉。身体は父母からの賜り物なのだから大事にしなくちゃいけない」ジー・・・


なんだ、そんな事。


香焼「己の身体を傷つけないって事が親孝行の始まりって意味っすよ―――」

黒夜「親なんていない」フンッ

香焼「―――ぁ」ピタッ・・・

黒夜「顔も知らねぇし声も知らない。まして名前すら知らねぇわ」ボー・・・


子供を捨てた親に義理立てする程、人間できちゃいない。


香焼「……ごめん」シュン・・・

黒夜「別に。まぁ置き去り出身(チャイルドエラー)っての抜きにしても、私は異常な方さ」ハハハ

香焼「……そっか」ポリポリ・・・

黒夜「おう。だからそういう顔すんな。同情してんじゃねぇよ、ボケ」クスクスッ


まったく、とんだお人好し。

兎に角、この後だが。


黒夜「あー……そろそろシルバークロースがプッツンするな」チラッ・・・

香焼「え」キョトン・・・

黒夜「同僚だ。仕事抜け出してきたっつたろ―――お前は、絹旗大丈夫なのか?」ポリポリ・・・

香焼「……あ」タラー・・・


忘れてたのか。危機感無いヤツ。アイツ、キレさせると厄介だぞ。


香焼「着信履歴がヤバいっす」アチャ・・・

黒夜「私は……そうでもないな」アレ・・・


電源切ってたから、途中で諦めたのか。まぁそれならそれで助かる……帰ってから面倒だけど。


香焼「どうしよう。多分、怒ってるよね」ハァ・・・

黒夜「安心しろ。怒りの対象は私で、お前はただ心配されてるだろうよ」ハハッ

香焼「それはそれで嫌だなぁ」ウーン・・・

黒夜「庇護対象になりたくないってか? 残念ながら絹旗ちゃんはお前より強ぇよ」ハハハ

香焼「いや、そういう事じゃなくて。それもだけど」ポリポリ・・・


眉をしかめ、私の方を向いて一言。


香焼「ケンカにならない?」ムゥ・・・

黒夜「……は?」ポカーン・・・

香焼「最愛と、喧嘩しないでね」ジー・・・


そんな事を気にしてんのか。


黒夜「馬鹿か、お前」ハァ・・・

香焼「いや、仲良くしなきゃ。姉妹なんでしょ」ジー・・・

黒夜「お前が思ってる様なユルふわ姉妹じゃねぇよ。さっきも言った通り血み泥関係っつー意味で姉妹なだけだ」ッタク・・・

香焼「うーん……でも」ジー・・・

黒夜「チッ。お前は、ほんと甘ちゃんだな……とりあえず奴隷は終わり。帰って良いぞ。安心しろ、秘密はばらさない」スッ・・・


ふいに、先程買って貰ったガシャポンの存在に気付いき……色々考えた後、立ち上がって一眼もくれず歩き出した。
まったく、少々コイツの『毒気』に振れ過ぎた。このままじゃ日和って馬鹿になってしまう。
これ以上は何も話すまい。さっさとこの場を―――


香焼「待って」ジー・・・

黒夜「……何だよ」ピタッ・・・

香焼「思い出した。自分はまだ『命令』してなかった」コクッ


―――そういえば、そんな約束してたっけ。ホント、今更だな。


黒夜「ったく……はいはい。何でございますか。何か買って欲しいモノでもある? それともやっぱ男らしく馬鹿な願望?」ヤレヤレ・・・

香焼「そんなんじゃないよ……じゃあ、黒夜。今から―――」スッ・・・


そして、コイツは有り得ない事を宣った……―――

今回はここまで。次回で終わりに出来たら良いけど、亀スレだから無理かな。

とりあえず次の話のリクでも取り始めようかと。希望あれば書いて下さい。そこからアンケートするかも。

例の如く質問意見感想罵倒リクエスト、お願いします。では! ノシ"

こんばんわ。ボチボチ投下。

 ―――とある日、PM06:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・絹旗side・・・




第七学区のいつもの公園から南北線に乗り、最寄りの駅から超ダッシュで香焼の家へ向かう。
もしかしたら既に黒夜から解放され自宅へ帰っているかも、なんて淡い期待も抱いてみるが、多分それは無いだろう。
彼の性格なら、事が終われば私に一報入れている筈。

兎角、急いで彼の部屋のインタホーンを鳴らす。外に白のビックスクーターがあったという事は彼のお姉さんが居る筈だ。


絹旗「あー……超早く出て下さいっ」アタフタ・・・

もあい「にゃぅ」フシフシッ


ガチャリとノイズ混じりの接続音。


五和『はいはい。ドチラ様で……って、あら。最愛ちゃん』ジー・・・

絹旗「はい。私です!」コクッ

五和『あれ? 今日、コウちゃんと一緒に映画行ってたんじゃなかったの?』キョトン・・・

絹旗「その件で超色々トラブル生じまして……中で説明させて貰えませんか」パタパタ・・・

五和『はいはい。分かりました』Pi!


日頃の信頼関係もあってか、すんなりとオートロックを解除しエレベーターを降ろしてくれた。
頭の上の子猫を振り落とさない様に、超急いで彼の部屋へ向かう。
7階のランプが点き、エレベーターを降りると既に部屋のドアを開け、五和さんが待っててくれた。


五和「こんばんは、最愛ちゃん。どうしたの? そんなに慌てて」キョトン・・・

絹旗「ハァハァ……ふぅ。こんばんは。えっと、その」アタフタ・・・

五和「とりあえず中に入ってくださいな。一服ついてゆっくり話しましょう」スッ・・・


促されるまま部屋に上がる。靴の数からして、今日はお姉さん達だけみたいだ。


絹旗「削板とかステイル、姉貴(固法)さん達は?」チラッ・・・

五和「今日は来てないですね。削板くんはいつ現れるか分からないけど」ハハハ


内心ホッとする。正直、黒夜……というか新入生関連の話はあまり多くの人には聞かれたくない。
加え、不幸にも『身内』の恥だ。信用に値する人以外には話せない。

玄関で、もあいを下ろしリビングへ向かうと、彼の長姉と末姉が坐していた。
キッチンからは夕飯の香ばしい匂いがするけれども、其方について如何こう言ってる暇はない。


浦上「ありゃま。マジで最愛ちゃん一人ですネ」キョトン・・・

神裂「ふむ。女の子を一人放っぽり出す様な子では無い筈なのですが」ジー・・・

絹旗「あ、え、と。その」アタフタ・・・

五和「あーもしかして……喧嘩しちゃったとか?」アハハ・・・

絹旗「ち、違います。あの……うーん」タラー・・・

3姉妹「「「ん?」」」ポカーン・・・


しまった。急いでいて何を如何説明すべきか考えてなかった。

あーうー言いながら超テンパってる私に三人は苦笑しつつ、まずは座る様促してきた。。


浦上「んー。とりあえず、麦茶でも飲んで落ち着いてくださいナ」スッ・・・

絹旗「は、はい」ペコッ・・・

五和「ささ、座って。あ、お鍋の火止めておこう。最愛ちゃんも食べてくでしょ?」チラッ

絹旗「頂けるなら、超喜んで」コクッ・・・ゴクゴク・・・


コップ一杯分一気飲み。そして大きく息を吐いた後、ポツポツ口を開いた。


絹旗「あの、まず……私は今日、香焼と映画行ってません」フゥ・・・

五和「……へ?」キョトン・・・

絹旗「だから映画には行ってないんです。折角、劇場版『銅力彩未(どうりきあやみ)の暴走』観に行く予定だったのに」ハァ・・・

神裂「え。(うわぁ……逃げましたね、香焼)」タラー・・・

五和「あっ。(心中お察しします……逃げたんだね、コウちゃん)」タラー・・・

浦上「にゃはは。(何その映画。逆に観てみたい)」タラー・・・


ウルトラZ級という事で超絶楽しみにしていたのに。だが、観れなかったモノは仕方あるまい。


神裂「えっと、うん。どんな理由があろうとも約束は守るべきですよね」フム・・・

五和「そ、そうですね。(逃げたくなる気持ちは分からんでもないけど)」ポリポリ・・・

浦上「男の子としてアウトですヨ。まぁ最近女々しくなり過ぎてその誇りが消えかけてるかもしれないですケド」ハハハ

絹旗「その、そうじゃなくて……香焼が来れなくなった理由がありまして」タラー・・・

神裂「ん?」フム・・・


視線が集まる。何と説明したものか。


絹旗「実は……超ハッキリ言ってしまうと、私の妹分に連れ攫われました」ハァ・・・

五和「は?」ポカーン・・・

浦上「い、いもうと? 最愛ちゃんの?」キョトン・・・

神裂「それは、噂に聞くセイヴェルン嬢の事ですか?」フム・・・

絹旗「いえ、フレメアさん(おチビ)ではありません。私の……姉妹分です」ジー・・・


3人揃って呆気に取られた顔。無理も無い。殆どの人が知らない事実だ。


五和「えっと『姉妹分』って言うからにはウチ(天草4姉弟)みたいに血は繋がってないけど家族分って事かな?(NTRシュチュ?)」ジー・・・

絹旗「それもそうなんですけど、此処とは超違います。そんな生易しい関係じゃありません」ムゥ・・・

神裂「姉妹分なのに生易しくない?(英国王女姉妹みたいな感じでしょうか?)」ウーン・・・

浦上「仲の悪い姉妹なんですか。(お姉と姉様もある意味『ライバル』でしょ)」ハハハ・・・

絹旗「どっちかっていうと超犬猿の仲です。犬猿どころじゃなく……えっと……そう!」ウーン・・・


超分かり易く言うと多分、超アバズレビッチ(結標)と超変態淑女(白井)みたいな関係。

結構有名な噂だが、あの二人は超因縁の仲だと聞く。しかし三人は雁首揃えて否定してきた。


神裂「いや……白井さんとやらをよく知りませんが、その例えがオカシイ事だけは分かります」キッパリ・・・

五和「それだと片方(結標さん)が一方的に歪んだ愛情押し付けてる感じになります」ハハハ・・・

浦上「ぶっちゃけあの関係って、白井さんが○ムロで、結標さんはシャ○ですからネ」ニャハハ・・・

絹旗「へぇ。あのアバズレ、白井の事好きなんですか……って、そうじゃない!」アタフタ・・・


例えは外れたみたいだが、兎に角、私と黒夜は超危険な関係なのだ。


絹旗「私と顔合わせるなり何かと超イチャモンつけて超喧嘩しようとしてくるんです。超性格歪んでるんで超危険なんですって」タラー・・・

五和「いやぁ、でもコウちゃんなら並大抵の女の子懐柔させますよ。(それより会話に『超』が多過ぎて読解し辛いんですけど)」HAHAHA!

浦上「カミやん病ェ……香焼爆発しろ!(しゃーないですヨ。最愛ちゃんのアイデンティティですしおすし)」ヒャー!


駄目だ。香焼の超甘ちゃんっぷりが際立ち過ぎて、黒夜の超危険性が伝わらない。


神裂「まぁまぁ二人とも。彼女の顔は真剣です。少々真面目に」チラッ

五和・浦上「「はーい」」コクッ

神裂「さて……貴女がこんなに取り乱してるのも珍しい。どうやらその姉妹分とやらは『訳アリ』の様ですね」ジー・・・

絹旗「うっ」ピタッ・・・


吸込まれる様な眼。姉貴(固法)さんの裸眼にも負けないくらい、何もかもを見透かしている様だ。
超色々端折って話してしまうのも手だが、何処まで説明出来たものか。

正直なところ―――腹を割って話してはいないが、香焼を含めこの家の住人が『一般人』でない事は気付いている。
多分逆に、彼女達も私(を含め麦野や結標)が『一般人』でない事を知っているだろう。

しかしだ……この家の中ではあくまで日常を貫かなくてはならない暗黙のルールがある。それはあの麦野でさえ守っているのだ。


絹旗「と、兎に角、あの子は超危険なんです。一度目を付けたら飽きるまで玩具の様に超酷使します」タラー・・・

五和「そういうのはアニェーゼとかレッサーで慣れてるから大丈夫だと思うんだけど。飽きたら解放されるんじゃないの?」フム・・・

絹旗「なら良いんですが。最悪、機嫌を損ねた場合は怪我じゃ済まないんです」タラー・・・

3姉妹「「「……、」」」ピタッ・・・


三人の雰囲気が変わった。


神裂「絹旗さん。こんな聞き方をしたら失礼かもしれませんが、その姉妹分とやらは麦野さんとドチラが『危険』ですか」ジー・・・

絹旗「え……ふ、沸点の低さだけで言えば黒夜の方が超低いです。キレた後でいったら麦野が超倍ヤバいですけど」コクッ・・・

五和「その『黒夜』さんっていうのが、姉妹分さんなのね?」ジー・・・

絹旗「はい。黒夜海鳥。私と同じく大能力者(レベル4)です」コクン・・・


三人は顔を見合わせ、2,3目配せをした後、上姉2人が立ち上がりサラリと告げた。


神裂「少々失礼……五和―――」チラッ・・・クイッ

五和「はい。あ、ウラ。最愛ちゃんと夕飯の準備やっといてくれる? すぐ戻るから―――」ニコッ

浦上「あいあいまむ。さぁて、そんじゃパパッとやっちゃいましょうネ」ポンッ

絹旗「え、あ」キョトン・・・


二人は笑顔で立ち上がり、そそくさとベランダへ消えた。

私は二つの意味で戸惑った。
一つは私お構い無しで何かを『決め』に行った事。もう一つは……この三人が一瞬醸し出した『雰囲気』に。


浦上「ふふふっ。まぁまぁ、お姉達に任せておきんしゃい。何も心配する事なかですヨー」グイグイッ

絹旗「え、あ、はぁ」タラー・・・

もあい「なぅ」トコトコ・・・


笑顔の浦上さんに背を押されキッチンへ。
何だか超有耶無耶にされた気がするけど……麦野より凄腕の神裂さんが居るなら大丈夫かもしれない。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ベランダ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



神裂「―――やれやれ。あの子は、また」ハァ・・・

五和「まぁ今回は自発的というより捕まった様ですし、止むを得ずなんでしょう」ハハハ・・・

神裂「ですかね……それで、今香焼が一緒に居る少女については?」ジー・・・

五和「最新版の要チェックリストに名前が挙がっています。黒夜海鳥……暗部ですね。例の『新入生』の一人」コクッ

神裂「『新入生』ですか……此処はやはり土御門の指示を仰ぐべきですかね」フム・・・

五和「そうすべきなんでしょうけど、また怒鳴られますよ」ハァ・・・

神裂「仕方ないでしょう。事が事です……因みに、彼女の『姉妹分』というのは?」クイッ

五和「あー……確か同じ研究施設の出です。置き去り(チャイルドエラー)を実験に使用した、第一位の思考回路植え付け云々の」ボソッ・・・

神裂「シェリーが聞いたら発狂しそうな下衆い真似を……成程、だから彼女も口淀んだ訳ですか。律義な子です」ジー・・・

五和「腹を割らずに収めたいのでしょう。香焼と互いに『正体』を明かすまでは……それで、如何します?」コクッ

神裂「教皇として、というより必要悪の教会(ネセサリウス)的には、やはり土御門に一報すべきなのでしょうけど……貴女的には?」ジー・・・

五和「あら。進言しても良いんですか?」ポリポリ・・・

神裂「現場を指揮してるのは若衆筆頭たる五和でしょう。意見があるならどうぞ」フフッ

五和「あはは。じゃあ、その、ぶっちゃけ放置で良いかと」ハハハ・・・

神裂「……、」フム・・・

五和「これはあくまで若衆筆頭というより『姉』としての意見なんですけどね。あの子はそんじょそこらの闇なんかに負けませんって」フフッ

神裂「……ふっ」クスッ・・・

五和「あ、笑いましたね。結構真面目に答えたんですよ。女教皇様酷ー」ムゥ・・・

神裂「いえ、ふふっ。そうですね。教会とか教皇という立場を抜きにしたら……私個人も同感です」ニコッ

五和「あはは。姉馬鹿ですね、お互い」クスクスッ

神裂「ええ―――とりあえず責任は私が取ります。土御門に指示を仰ぐのは最後という事で」コクッ

五和「恐れ入ります。今は電話か直帰を待ちましょう―――姉さん」コクッ

神裂「ふふっ。それでは中へ戻りましょうか。絹旗さんを不安がらせない為にも」スッ・・・



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~リビング~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



一寸後、思っていたより割と早めに二人が戻ってきた。

何か告げるのかと思いきや、別段何も言わず、先程の様に夕飯の準備を再開したり雑誌を読み直したりしだした。


五和「さーて、料理の続き続きっと。ウラ、最愛ちゃん。ありがとうございます」テクテク・・・

神裂「よいしょっ……あ、栞挟むの忘れてた」ドコカラダッケ・・・

絹旗「あれ……えっと」チラッ

浦上「ん? 何じゃね?」カチャカチャ・・・

絹旗「……、」ウーン・・・

浦上「あははは。まぁ気持ちは分からんでも無いですけど、あの二人が『そうする(待つべし)』って判断したならそうなんでしょう」コクン・・・

絹旗「そ、そんな!」アタフタ・・・

浦上「まぁまぁ。何だかんだいっても、香焼は男の子ですからダイジョブでしょ」フフッ


でも、超弱っちい。


浦上「そりゃーあの子はこの中の誰よりも弱いですヨ」ハハハ

絹旗「じゃあ!」グッ・・・

浦上「でもネ。男の子って不思議な生き物でして、女の子の理屈じゃ測れない何かを持ってるんです」ピッ

絹旗「はい?」タラー・・・

浦上「まぁその逆も然りなんですけど。とりあえず、信じてみましょ」クスクスッ


今一理解できない。


浦上「うーん、じゃあ私達の弟ですしうすしお」ビシッ

絹旗「超余計に訳ワカメです」ポカーン・・・

浦上「にゃはは。それじゃあ……そうだネ。最愛ちゃんの知る香焼って、そんなに弱いカナ?」チラッ

絹旗「え」ピタッ・・・

浦上「勿論、純粋な力とか能力如何こうの話じゃないですヨ」フフフ・・・


私が知る彼。


絹旗「……よく、分かりません」ムゥ・・・

浦上「ありゃ」フムフム・・・

絹旗「香焼は私に超隠し事ばかりしてます。自分は人の心にズカズカ踏み込んでくるクセに」ムゥ・・・

浦上「あはは、そですね」ポリポリ・・・


彼自身はあまり己をオープンにしない。


絹旗「でも」ジー・・・

浦上「うん」チラッ

絹旗「たまぁに……超偶にですけど」ムゥ・・・///


本気になった時の浜面の様に『強く』なる。普段は周りの誰よりも超弱いクセに、スイッチが入ると不意に、超頼れる存在となる。
それこそ力、能力云々じゃない―――心がだ。

些か削板の様な根性論だとは思うが、こればかしは確かに理屈じゃない。

色々想い悩む私を傍目に、何やら愉しそうな……というより意地悪な笑みを浮かべる浦上さん。


浦上「んふふっ」ニヤニヤ・・・

絹旗「な、何ですか」タラー・・・///

浦上「いんやぁ。なんでも」クスクスッ

絹旗「……んもー」グヌヌゥ・・・///


なんか馬鹿にされた気がする。


浦上「とりあえず待ちましょ。もし帰って来なかったら来なかったで……姉様と五和が直で出張る筈だから」

絹旗「そ、そうなったら私も!」バッ

浦上「うーん……それは多分、止めといた方が良いですネ」ジー・・・

絹旗「私だって力になります。そんじょそこらの輩とは比べ物にならないくらい―――」キッ

浦上「……香焼は多分、最愛ちゃんが戦う姿見たくないと思いますヨ」サラッ

絹旗「―――ぇ」ピタッ・・・

浦上「これまた、その逆も然り。仮にだけど……自分が戦ってる姿を最愛ちゃんに見られたくないと思う」コクッ


何故。


浦上「そりゃ男の子だから」フフンッ

絹旗「……浦上さん、さっきからそればっかです」ムゥ・・・

浦上「じゃあ最愛ちゃんは自分が戦ってる姿を香焼に見られたい?」ジー・・・


それは……まぁ『仕事』じゃないのなら見られても構わない。『嘗て』の私ならいざ知らず『今』の私なら能力を見られても問題は無い。


浦上「にゃはは、意地っ張り。まぁでも……あの子は女の子が戦ってる姿を嫌うタイプですよ。あ、私ら(天草衆)は別か」ハハハ

絹旗「超意味不明です」ウーン・・・

浦上「ま、その辺は追々。さておき、あの子は二つの意味で己の戦ってる姿を見て欲しくないと思いますネ」コクッ

絹旗「2つ?」キョトン・・・

浦上「一つは、己の『戦い方』を最愛ちゃんに見せたくないから」ピッ


香焼の戦い方……そういえば、彼が本気で戦ってる姿を見た事は無い。
一度『マジック』とやらで障壁だかバリア(?)っぽいのを張った所は見た事があるけど、所謂『暴力』を奮っているのは見た事が無い。


浦上「んで、もう一つは……さっきも言った通り、あの子はやっぱり弱いから」アハハ・・・

絹旗「え」ピクッ・・・

浦上「頭は回るけど、実力が伴わないタイプ。自分が負ける姿を他人に見せたがる人間なんて居やしないでしょ」ポリポリ・・・


やっぱり、弱いのか。


浦上「まぁでも、頭は回るから賢しい手を使えば『能力者』相手には勝てるかもしれませんネ」フフフ・・・

絹旗「はい?」キョトン・・・

浦上「ふふふ。私から聞いたってのは内緒にしてくださいネ……実はあの子、結標さんと互角張ったんですヨ」ニヤリ・・・

絹旗「っ!」ギョッ・・・


普段から馬鹿にしてはいるものの、あの結標淡希の実力は私だって認めている。
大能力者として頭打ちになっている私に比べ、滝壺さん同様、超能力者(レベル5)候補といわれる逸材だ。

いつのまにか続編きてたー!!!!!!!!!!!

素直にうれしい!

その実力者たる座標移動(ムーブポイント)と拮抗した? あの甘ちゃんが?


浦上「まぁ条件付きの勝負でしたけど……おっと、これ以上ばらすと怒られます」シー・・・

絹旗「……、」ムゥ・・・

浦上「兎に角、やり様によっちゃ勝てる子なんです……それでも地力の弱さは否めませんから」ハハハ

絹旗「……そうですか」ウーン・・・


やっぱり、私はまだまだ彼の事を知らない。


浦上「負ける確率が高い以上、やっぱり見られたくないでしょ」チラッ

絹旗「……はぁ」ポリポリ・・・

浦上「ま、ドンと構えて帰りを待っててあげるのも女子力ってヤツです」クスッ

絹旗「そんな女子力聞いた事ありません」フフッ・・・

浦上「ははは。長崎限定の女子力だったかな」クスクスッ


学園都市という名の『鳥かご』で育った私にとって、都市の『外』の話は貴重だ。参考にさせて貰う。
とりあえず、いつ彼が帰って来ても良い様に、私も手伝いを―――






     「ただいまー」







―――……噂をすれば何とやら。


絹旗「っ!」ハッ!

浦上「ほら」ニカッ

神裂「ふふっ……五和の進言に従っておいて正解でしたね」クスッ

五和「いえいえ。あ、最愛ちゃん。お馬鹿ちゃんのお出迎え頼めるかしら」パチッ

絹旗「は、はいっ!」パタパタ・・・

もあい「にゃ」トコトコ・・・


全く超心配掛けてくれて……超説教してやろう。この野郎。

>>285・・・超ありがとうございます!




 ―――とある日、PM07:00、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』・・・香焼side・・・




我が家に帰ると、姉達以外の靴が一足分多くにあった。サイズからして確実に最愛のモノだ。そして予想通り、彼女の声が聞こえる。
『ただいま』の一寸後、パタパタとスリッパの音が此方に向かってきた。


絹旗「香焼!」タタタタ・・・

香焼「最愛、ただいま」コクッ

絹旗「まったくもう! 超心配したん、です、か……ら……、」ピタッ・・・


僕の顔を見るなり挙動が止まった最愛。いや、僕の顔の延長上―――後ろの人物を見て止まったのだろう。
予想はしてたが、まぁ無理も無い。


黒夜「……よぉ」ジー・・・

絹旗「ぇ……なっ」タラー・・・


唖然の表情の最愛。気拙そうな相貌の黒夜。


絹旗「こ、香焼」チラッ・・・

香焼「あーえっと」アハハ・・・

絹旗「っ……もしかして、何か脅されてるんですか?」ギロッ・・・

香焼「違う違う」ポリポリ・・・


何と説明したものか。


香焼「とりあえず、居間に行こうか」チラッ

黒夜「けっ」ハァ・・・

絹旗「ま、待ちなさい!」バッ・・・

黒夜「あん? ったく……だから言ったろ。予想通りじゃねぇか」ジトー・・・

香焼「あはは……最愛。兎に角、居間で話そう」チラッ


宥めようと試みるが聞く耳持たず。黒夜の前に手で敷居を作り、一歩も動こうとはしない最愛。


絹旗「香焼……私、前に超言いましたよね。ソイツは超危険なヤツなんだって」ジー・・・

香焼「うん、言ってたね。でもそうでもないかも」チラッ

黒夜「チッ。嘗めやがって」ジトー・・・

絹旗「何があったんですか? 場合によっちゃ、私が『超解決』しますから」ギロッ・・・

香焼「最愛、だから勘違いしないで」ハァ・・・

黒夜「あのよぉ絹旗ちゃん……コッチだって被害者なんだわ」ヤレヤレ・・・

絹旗「言い訳超無用です!」グッ・・・

黒夜「マジだっつの、超マジ。誰が好き好んでこんなヤツの家にお呼ばれせにゃならんのだ」ジトー・・・

香焼「あはは。酷いなぁ」ポリポリ・・・


話は戻るが……先程僕は彼女に『ウチで一緒にご飯食べよう』と命令したのだ。

案の定、それを聞いた彼女は呆気に取られ絶句していたが、反論しようにも約束が約束の為、渋々此処まで連いてきたという現状。


絹旗「……え」キョトン・・・

香焼「本当っすよ。自分が招待したっす」コクッ

絹旗「う、そ」ジー・・・

黒夜「これが演技で、私がコイツ脅して家まで上がり込んでる様に見えんのか?」ッタク・・・

絹旗「……、」グッ・・・

香焼「だから、最愛。まずはリビングで話を」スッ・・・

絹旗「っ」ギロッ・・・

香焼「な……何で睨むのさ」タラー・・・

黒夜「おー怖っ」ヤダヤダ・・・


先程まで黒夜を睨んでいた双眼が、今度は僕を睨んできた。何を言いたいのかは分からないが、えらく怒ってらっしゃる。
それから暫く無言の険悪ムードが続く……さておき、話は替わるが―――


浦上「奥さん、何アレ? 隣の香焼さん家、修羅場ですか? んもーやぁねぇ」ヒソヒソ・・・コソコソ・・・

五和「あらあらまぁまぁ……アレ絶対、旦那さんが悪いのよ。奥さん騙して浮気したに決まってますわ」チラチラ・・・ボソボソ・・・

神裂「ひ、昼ドラ展開というヤツですか……麦野さんや固法さんが好きそうな話ですね」ハラハラ・・・ドキドキ・・・


―――おい3馬鹿姉妹。アホ言ってないで早く助けろ。


五和「ヒソヒソ…―――…あ、コウちゃんが目でSOSサイン出してる」チラッ

浦上「えー。面白そうなのにー」ブー・・・

神裂「あはは……とりあえず、あの場で膠着されても困るので何とかしましょう」スッ・・・


やっとの事、姉さんが此方に歩み寄ってきた。


絹旗・黒夜「「……、」」ゴゴゴゴ・・・

神裂「あーもし。お二人とも」コホンッ

絹旗「あ」ピタッ・・・

黒夜「……ん」チラッ

神裂「其方のお嬢さんははじめましてですね。私は彼の姉分で神裂火織といいます」ニコッ


知らない人物に話を振られて驚いたのか、言葉に詰まる黒夜。『あーえー』とか悩んだ後、僕の方を向いて尋ねてきた。


黒夜「おい……アレ、マジでお前の姉ちゃんか?」チラッ

香焼「あくまで姉弟分っすよ。血は繋がってない」コクッ

黒夜「だよな、似てねぇし。それにあの恰好……何よ?」ボソボソ・・・

香焼「あー……ファッション?」タラー・・・

黒夜「痴女か? 痴女なのか? スタイリッシュ残念美人?」ボソボソ・・・

香焼「……あはは」チラッ・・・

神裂「」ピキッ・・・


今日は麦野さん指定の私服ではなく、いつもの左右非対称着な姉さん。
とりあえず思っても言わないであげて。あの人、聖人耳(地獄耳の亜種)で丸聞こえだから……現に笑顔だけど眉と口端がピクピクいってる。

ぶっちゃけ姉さんが爆発しないかどうかハラハラしていたが、そこはやっぱり聖人様。
多少眉間に皺を寄せた後、平静を保ち、最愛に告げた。


神裂「と、とりあえず中へどうぞ。絹旗さんも……彼女とどんな関係か深くは聞きませんが、そう邪険にしないでください」ポンッ

絹旗「……、」ジトー・・・

黒夜「別に暴れるつもりはねぇよ。お前が喧嘩売ってこねぇ限りはな」フンッ

香焼「最愛、自分からもお願いっす」コクッ


一寸の間の後、視線を姉さんに移し……踵を翻す。漸くリビングへ引き返してくれるようだ。


絹旗「もし、少しでも超馬鹿な真似をしたら追い出しますからね」ギロッ・・・テクテク・・・

黒夜「はいはい。お邪魔しまーす」ペコッ


最愛。此処、君ん家じゃないよ。


香焼「ふぅ……あ、姉さん。すいません。遅くなりました」ペコッ

神裂「おかえり。まったく貴方は相変わらず……まぁ良いでしょう。成り行きは如何あれ、貴方なりに考えがあるのでしょうね」ハァ・・・

香焼「あはは。考えは、あんまりないんすけど」ポリポリ・・・

神裂「放っておけなくて、ですか?」フム・・・

香焼「そんなとこっす」コクッ

神裂「やれやれ。とりあえず……彼女が『どのような』人間か、分かっての行動なのですね?」ジー・・・


やはり姉さん達も黒夜の事は知っていたか―――そりゃそうだろう。暗部の新体制については嫌が応にも耳に入る重要事項だ。
とりあえず、姉さんの問いに、無言で頷く。


神裂「では、何も言いません。あくまで『友人』を招いただけなのであれば、土御門への報告も必要無いでしょう」クルッ・・・テクテク・・・

香焼「ありがとうございます」ペコッ

神裂「感謝されるいわれは無いですよ……お腹が減ったでしょう? 夕餉の準備は出来てます」フフッ


ホント、頭が上がらない。


黒夜「……ん」チラッ・・・

五和「こんばんは」ペコッ

黒夜「ども」コクッ・・・

浦上「どもども。いやぁ香焼の知り合いの女の子の中では珍しいタイプの娘ですネー。ドライっていうかパンク系?」ジー・・・

五和「ささ、中へ。私達の自己紹介は後ほど……あ、おしぼりどうぞ」スッ・・・

黒夜「え、あ、うん。ありがとう。(おしぼり? どっから出した?)」コクン・・・


馬鹿二人が廊下で絡み出した。さっさと居間へ向かえというに。


絹旗「香焼! 超早く来なさい!」フシャー!

香焼「あーはいはい……ヤバいなぁ。かなり怒ってる」テクテク・・・

神裂「超(マジ)オコスティックファイナリアリティぷんぷんドリームというヤツですかね」テクテク・・・

香焼「ぇ……姉さん?」タラー・・・

神裂「はい? 何か?」キョトン・・・


また麦野さんか淡希さんが馬鹿な事教えたな……まぁ聞かなかった事にしよう。

さて……中へ入ったのは良いが部屋の空気がお通夜というか冷戦状態。最愛の不可視の装甲が心成しかモヤモヤと赤黒く沸いている様に見えた。

一方の黒夜は些か面倒臭そうに頬杖付いて反対側に座っている。

余談だが先日(前回)誰かさんの所為でテーブルがブッ壊れた為、新しい食卓を買った。
麦野さんの紹介もあってか、デザイン性の高いオシャレな大型卓机。


絹旗「……、」イライラ・・・

黒夜「ふんっ」チッ・・・


気拙い。五和と浦上に目で合図して助けを求める。


五和「(やれやれ)……あー、そういえば自己紹介がまだでしたね。私は五和といって姉さんと同じく香焼の姉貴分です。んで、こっちも」クイッ

浦上「浦上です。よろしくネ……えっとー」チラッ・・・

黒夜「黒夜、です」ウィ・・・

浦上「そんなに畏まらなくて良いですヨ。聞くからに敬語苦手なんでしょ?」フフッ

五和「フランクで大丈夫です。私達、海外暮らし長いのでそういうの気にしませんから」コクッ

黒夜「……じゃあ、そうさせて貰う」チラッ・・・


黒夜は馬鹿二人に任せておけば大丈夫そうだ。問題は……もう一方か。


絹旗「……、」メラメラァ・・・

香焼「最愛……そんなに怒らないでよ。忠告聞かなかった自分も悪いんだろうけど、何でそんなに怒るのさ。そこまで黒夜が嫌いなの?」ムゥ・・・

絹旗「っ……ばか」ジトー・・・

香焼「もぅ。分からず屋」ヤレヤレ・・・

絹旗「どっちがですか。取り返し付かない事になっても知りませんからね」フンッ・・・


変なとこで頑固なんだから。カオリ姉さんが居るこの場で『万が一』が起きる可能性は0に等しい。


香焼「ったく。どうすれば機嫌直してくれるの?」ジー・・・

絹旗「……知りません」フンッ

香焼「じゃあ今から黒夜追い出す? そんな真似出来るの?」ハァ・・・

絹旗「知りませんって。私の家じゃないんでしょ。香焼の勝手にすれば良いでしょう」ムスー・・・

香焼「な、ん」イラッ・・・


前に建宮さんが言ってた事を思い出した―――『女は機嫌損ねると理不尽な怒り方するのよな。女人須らく、ヒステリックの傾向はあるぞ』と。
だからこそ『男が寛容になってやらにゃならん』と既婚の野母崎(ノモ)さん談。とりあえず、此方が怒鳴ったり手を出したら負けだ。


香焼「ハァ……確かに、相談しなかったのは悪かったっす。その点は素直に謝るよ」コクッ・・・

絹旗「ふんっ。そういう問題じゃないんです」プイッ

香焼「兎に角、自分が悪い。認めるよ……だから機嫌直して。あと、黒夜と仲良くしろとは言わないから邪険にしないでよ」ペコッ・・・

絹旗「何でそう、卑下して……誰も香焼が悪いだなんて言ってないじゃないですか。貴方の博愛主義は今に始まった事じゃないです」イライラ・・・

香焼「……・・・・・・・・・・・ごめん」ペコッ

絹旗「だから、謝るなって言ってるのに……悪いのは黒夜であって貴方じゃないでしょう……あーもぅ! そんな顔しないで下さい」ッタク・・・


漸く折れてくれた。上条さんの助言通り『暫く黙って、様子見て、真剣な顔で謝り続けろ』作戦成功。
流石、女性慣れしてる人のアドバイスだ。効果覿面っぽい。

最愛が落ち着いた所でやっとご飯に移れる。
因みにカオリ姉さん……僕らの様子見て生温かい目しないで下さい。そのニヤニヤ、イラっときます。

はい、寝ます。次で終われば良いな

引き続き次回のリクエスト募集。今んところ英国編多いかな。とりあえずリクエストからアンケとりますんで

それではまたネ! ノシ”

こんばんわ。ノロノロ投下します。

夕飯の準備が整った。
今晩の献立は、野菜たっぷりトマトカレー・水菜と大根と新玉葱のサラダ・冷やしパンプキンスープ。
最愛と黒夜は目の前のプロ級の料理に目を丸くし『おぉ』と嘆息を漏らしていた。そんな二人の様子に、五和も御満悦。


神裂「では、いただきましょうか」コクッ


合掌。そしてスプーンが動く。


絹旗「んー。トマトとカレーって合うんですね」モグモグ・・・

五和「ええ。もう少しトマトピューレの分量増やすとハヤシライスみたいな味になるかな」コクッ・・・

神裂「この冷スープは市販のモノを?」スッ・・・

五和「いえ、南瓜を『こす』とこから作りましたよ。まぁ数日前から準備してたんで、今日は煮込んで冷やしただけです」カチャ・・・

浦上「あ。この新玉(玉ねぎ)は実家から送られてきたヤツですネ?」シャキシャキ・・・

五和「そうそう。十分甘いから湯掻く必要無し」ピッ


流石の腕前なだけはある。まぁ黙ってれば女子力高いからな。


香焼「黒夜、おいしい?」チラッ・・・

黒夜「ん……あぁ。普通に旨い」モグモグ・・・ムシャムシャ・・・


簡潔な感想だが、その反面、スプーンを動かすスピードはかなりのハイペース。おかわりしそうな勢いだ。
さて、このまま何事も無く食事が済めば良いのだが。


香焼「……、」チラッ・・・

絹旗・黒夜「「……、」」モグモグ・・・


とりあえず互いに意識しない様にしているっぽい。


浦上(何かこう……水面下でドロドロしてそうですネ)チラッ・・・

神裂(下手に此方から触れない方がいいでしょう。空気を読んで何事も無く済めばそれに越した事はありません)チラッ・・・

五和(でもこの空気……ピリピリしてないけど、いつ爆発するか分からない感じが嫌です)チラッ・・・


我が家にN2爆弾を二発転がしている様なモノ。ただ、最愛が冷静になってくれた御蔭で火は入ってない。
無言という訳ではないが、少々気拙い雰囲気は継続。そんな中、空気お構い無しな動物さんが行動を開始した。


もあい「にゃん」トコトコ・・・

香焼「あ。もあい、駄目だよ。自分の餌あるでしょ」スッ・・・

もあい「なっ」ヒョイッ・・・スタッ

黒夜「ん」モグモグ・・・

もあい「みー」トコトコ・・・スリスリ・・・


胡坐を掻いてカレーを頬張ってる黒夜の膝の上に乗っかった。


もあい「みゃっ」ジー・・・

黒夜「……おぅ」ポフポフ・・・

もあい「にゃー」フシフシッ

黒夜「……ふふっ」ニャー・・・


そういえば猫好きって言ってたな。

幾分か和んだ様に思えた……が―――


絹旗「もあい。コッチきなさい」モグモグ・・・

もあい「なぅ?」チラッ・・・

4姉弟『っ!?』ピタッ・・・

絹旗「そいつは超危険ですから、近寄っちゃ駄目です」チラッ・・・モグモグ・・・

黒夜「あん?」モグモグ・・・

絹旗「……もあい」モグモグ・・・


―――最愛さん、勘弁して下さい。僕と姉さん達は顔を見合わせ息を飲んだ。


もあい「みゃん」ジー・・・

黒夜「ふっ……ははは、私から離れたくないってよ。残念だったな、絹旗」フフッ

絹旗「……は?」イラッ・・・

黒夜「おーよしよしっ。お前良い子だな。飼い主さまに似なくて良かったわ」ナデナデ・・・

もあい「にゃあ」フシフシッ

絹旗「……チッ」ミシッ・・・

4姉弟『……、』ハラハラ・・・


スチールスプーンがヒン曲がる音。
もあい、とりあえず退きなさい。お前の所為で部屋中に窒素充満してる気がします。


香焼「さ、最愛。今ご飯中」タラー・・・

絹旗「分かってますよ……ふんっ」ガバガバッ!

黒夜「やれやれ、品の無ぇ喰い方だ。どっちが猫だか分かんねぇな」モグモグ・・・

絹旗「ひゃんへふっふぇ!(何ですって!)」ムガー!

もあい「にゃっ」ビクッ

香焼「だから最愛!」タラー・・・

絹旗「ふぁっふぇほいふふぁ!(だってコイツが!)」ギロッ・・・

香焼「口に物含んで喋らないの……黒夜も。挑発しない」チラッ・・・

黒夜「別にー。本当の事言ったまでだ」フンッ

香焼「言い訳しないの」ハァ・・・

絹旗・黒夜「「……、」」ジトー・・・

もあい「……にゃう」ヒョイッ・・・トコトコ・・・


流石に猫も空気を読んだ。しかし、やっぱこうなるか。


神裂(……説教したくはないのですが、怒るべきでしょうか)チラッ・・・

浦上(いや、香焼がしてますから姉様は控えた方が……それより、お姉。空気変えてヨ)チラッ・・・

五和(わ、私!? え、えーっとぉ……無茶振りだなぁ)タラー・・・


姉達が何とかしてくれそうな予感。

睨み合う二人の間に手を伸ばし、何かを訴えようとする五和。


五和「―――……こっ」スッ・・・

神裂・浦上((やるんだな!?))バッ・・・

絹旗・黒夜「「ん?」」チラッ・・・

五和「こ……コウちゃんによる! 上条さんのモノマネまで!」ビシッ!!

一同『……え』ピタッ・・・


は?


五和「3,2,1!」バッ!

香焼「……、」モグモグ・・・

五和「んーっ……どうぞっ!」ババッ!!

香焼「……、」スススッ・・・

五和「どーぞっ!!」ズバッ!

香焼「最愛、スプーン換えた方が良いでしょ。持ってくるよ」スッ・・・

絹旗「え、あ、はい」チラッ・・・

五和「さ、3,2,1……どーーーーぞっ!!」ドンッ!

香焼「黒夜。もあい撫でちゃったから一回手洗った方が良いよ……最愛。はい、スプーン」チラッ・・・

黒夜「ん、お、おぅ。洗面所借りる」チラッ・・・

絹旗「あ、ありがとうございます」チラッ・・・


流石、五和だ。空気ブッ壊すプロは伊達じゃない。


五和「さ……3! 2! 1!」アタフタ・・・

香焼「さて、御馳走様でした。おいしかったよ、五和」ペコッ・・・

五和「ど、どうぞぉっ!!」ビシッ!

香焼「あ、最愛と黒夜は食べ終わったらそのままで良いよ。自分運ぶから」コクッ

黒夜「あ、あぁ」チラッ・・・

絹旗「じ、自分でやります。それより……えっと」チラッ・・・




五和「さ、さーん!! にぃー!! いーーーーーちぃ!!」ズバシッ!!




香焼「……、」ジトー・・・


まだやってんの?


浦上「香焼……やったげなよ。お姉、恥ずかしくて後に引けなくなってますヨ」ボソボソ・・・

神裂「そうですね。見るからに可哀想です」ボソボソ・・・


正直、ツッコみたくないんだが……――― >>301(安価)


 ①仕方ない。モノマネしてやる        ②勿論、スルーで        ③いや、お前がやれよ

―――……スルー一択。


五和「さ、3! 2! 1!」バッ!

香焼「……、」シレッ・・・

五和「ど、どー……ぞ……ぅ」ダラダラ・・・

浦上「お姉ェ……頑張った」ポンッ・・・

神裂「奈何せん、そのフリ方には無理がありましたね」ポンッ・・・

五和「う、うぅ」ドヨーン・・・


コイツ、馬鹿だ。


絹旗「あーその、超どんまいです」ハハハ・・・

黒夜「わ、私は面白かったと思うぞ」タラー・・・

もあい「にゃう」ジー・・・


元凶二人の必死なフォロー。五和が血涙流しそうな顔してるが、結果オーライ。
とりあえず、まず山一つ越えたといったところか。


絹旗「ごちそうさまでした」ペコッ

黒夜「でした」ペコッ

五和「……お粗末さまでした」アハハ・・・

絹旗「げ、元気出して下さいよ。香焼が超冷めてるのなんていつもの事でしょ」ポリポリ・・・

黒夜「代わりに絹旗が浜ちゃんの真似するってから安心しろ」コクッ

絹旗「し、しませんよ! アンタがしてください!」ハァ・・・

黒夜「じゃあ第4位の真似しろ」サラッ

絹旗「む、麦野の真似!? え、えっと……って! しませんから!」タラー・・・


最愛による麦野さんの真似……見てみたいかも。


五和「じゃあ姉さん、やってください」チラッ・・・

神裂「麦野さんの真似ですか? んー……あー」ムゥ・・・

浦上「え! やるんですか!?」タラー・・・

神裂「『鮭喰いたい』とか『ブッ殺す』って言ってればモノマネになるんじゃないですか?」サラッ・・・

絹旗「あー。確かに」プフフッ・・・


この場に本人居なくて良かったですね。


浦上「じゃあ建宮さんのモノマネ」チラッ・・・

五和「あ、それなら。あーこほんっ……『帰してくれんかぁ、長崎に帰してくれんかぁ』」グデェ・・・

神裂・浦上「「ぶはっwwww」」プルプル・・・

絹旗・黒夜「「へ?」」ポカーン・・・

五和「『なにしてんだよぉ、帰りたいんだよ。俺は』」サラッ・・・

神裂・浦上「「あひゃはははははっwww」」ゲラゲラゲラッ!


五和さん、天草ローカルネタは止めましょう。最愛と黒夜が唖然としてます。

 ―――とある日、PM08:00、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』・・・香焼side・・・





全員が食事を終え、団欒タイム―――といきたい所なのだが、そうは問屋が卸してくれなかった。
片付けを手伝おうとした僕は最愛に捕まり『お話』する事に。勿論、黒夜も同席だ。
姉さん達は空気を読んだつもりか、総出で片付けやらお風呂沸かしにやらに動いた。


香焼「……あの」チラッ・・・

絹旗「さて」スッ・・・

黒夜「んだよ」ジー・・・


僕・最愛・黒夜の順に座っている。


絹旗「さっきは超アヤフヤにしてしまいましたが、今度こそ超ハッキリ答えて貰いましょう」ジー・・・

香焼「え。さっき言った通りなんだけど」ウーン・・・

絹旗「さっきのじゃ超不十分です。香焼が黒夜連れてきたって事しか分かりませんでしたし」チラッ・・・

黒夜「んだっつの。それで十分じゃねぇのか」フンッ

絹旗「いえ、超説明不足ですね」ジトー・・・

香焼「さ、最愛」タラー・・・

絹旗「喧嘩する気はありませんよ。部屋の中ですし、皆さんに超迷惑かけちゃいますから」フンッ


あくまで冷静を装いお茶を啜る最愛さん。それでは何が聞きたい。


絹旗「まず黒夜。アンタ、何で香焼の事拉致ったんですか?」ジー・・・

黒夜「……、」ジー・・・

絹旗「答えられないと……じゃあ香焼。教えて下さい」チラッ・・・

香焼「え。あ、うん……その」ポリポリ・・・


参った。『秘密』を握られたから止むを得ず命令に従っただなんて言えない。


黒夜「……暇潰しがてら散歩してたらコイツ見っけた。んで、面白そうだから嫌がらせに奴隷として遊んだ。それだけだ」フンッ

香焼「え」ピタッ・・・

絹旗「……本当ですか」ジトー・・・

香焼「あ、えっと……奴隷っていうか」タラー・・・

黒夜「お前なんて奴隷で十分だ」ケッ・・・

絹旗「……分かりました。要は私と香焼への超嫌がらせって訳ですね」ッタク・・・

黒夜「ケケケッ。そーゆーこった」ニヤッ・・・


彼女は何故か僕を庇った。『秘密』の事を隠してくれた。
さっきまで散々、この事を最愛にばらすと脅していたのに……何故だ。


絹旗「じゃあ何を如何奴隷にしてたんですか。単に虐めまくったとか?」ジトー・・・

黒夜「さぁ。御想像に任せる」シレッ・・・

絹旗「っ……香焼!」ジロッ・・・


何でそう悪役ぶるのかなぁ。そんなやり方、最愛を怒らせるだけじゃないか。

申し訳無いがハッキリ言わせてもらう。


香焼「普通にご飯食べたりゲーセン行ったり、コンビニ寄ったり……ブラブラしてただけっすよ」サラッ・・・

黒夜「チッ……(余計な事を)」フンッ

絹旗「え……こ、香焼。黒夜の事庇う必要なんてないんですよ」ゴゴゴゴ・・・

香焼「本当だよ。別に虐められてなんかない」フルフル・・・

絹旗「じゃあ……何で」スッ・・・


僕の顔、いや頭を指差す最愛。


絹旗「『犬耳』なんて付けてるんですか! 絶対無理矢理付けさせられたんでしょ!!」ビシッ!

香焼・黒夜「「あ。(忘れてた)」」ピタッ・・・

3姉妹(((つ、遂に聞いた!)))ドキドキ・・・


そういえばずっと付けっ放しだった。てか取れないし。


絹旗「何ですか、それ。どうせ悪戯で超強制されてたんでしょ」フンッ

香焼「じ、自分の趣味でぇ」タラー・・・

絹旗「だとしたら明日から香焼との接し方考えさせて貰います」ジトー・・・

香焼「そ、その」アタフタ・・・

黒夜「チッ……そうだ。私が被せたんだよ」フンッ

香焼「違う! ハッキリ言うよ……やったのは黒夜じゃなくて一方通行さんのツレの目付きの悪いミサカさんっす」チラッ・・・

絹旗「番外個体が? 何で?」タラー・・・


余計な事言うな、という目で黒夜に睨まれた。


黒夜「……あのアバズレ女に絡まれたんだ。んで、こうなった」フンッ

絹旗「証拠は?」ジトー・・・

香焼「証拠っていうか、彼か打ち止めちゃんに聞けば分かるっす」コクッ

絹旗「……超言いきるって事は嘘ではない様ですね」ジトー・・・

香焼「うん。あと、ゲーセンとか行ってきた証拠に……ほら」スッ・・・


『キルぬこー』の缶バッチ。


香焼「ガシャポンで買ったっす。黒夜にも同じシリーズのキーホルダーを―――」

黒夜「ちょ、馬鹿! 言うな!」バッ!

香焼「―――むごっ」

絹旗「……、」イラッ・・・


説明しようとしたら慌てて口を抑えられた。何故止める?


五和(要は黒夜ちゃんとデートしてきてプレゼントまで買ったと)ハァ・・・

浦上(でも本人にはその自覚無し。ばれると恥ずかしいし、最愛ちゃんキレるから隠そうとしてるんですネ)ハハハ・・・

神裂(犬猿の仲による修羅場と思いきや、カミやん病による修羅場だったとは……香焼、貴方という子は)タラー・・・


遠くから変な視線。なんかよく分からないけど馬鹿にされた気がする。

とりあえず言える範囲は全部言った。


絹旗「……分かりました」ジトー・・・

香焼「あ、うん。良かった」ホッ・・・

絹旗「本当に超何もしてない様ですね」チラッ・・・

黒夜「ったく。だからさっきからそう言ってんだろ」フンッ

絹旗「アナタの普段が普段なんですよ」ジトー・・・

黒夜「はいはい。ま、安心しろ。お前はデートか何かと勘違いしてっかもしんねぇがそんなんじゃねぇからさ」ニヤッ

絹旗「にゃ!? し、してませんからっ!?」アタフタ・・・///


デートって大袈裟な。


黒夜「それからよぉ……お前も知ってる通りコイツは多分、『誰』であろうがお構い無しにズカズカと人の心に踏み込んで来やがる」ジトー・・・

香焼「え」キョトン・・・

絹旗「……、」ピタッ・・・

黒夜「多くは言わねぇが……私と絹旗の『違い』なんて、微々たるモンだろ。少なくともコイツにとっては如何でも良いみてぇだ」クイッ・・・

絹旗「そうですか……いや、そうですね」ハァ・・・


何やら二人だけで納得してる御様子。僕、おいてけぼり。


黒夜「それに……幸か不幸か、コイツは私を『そういう目』では見れないそうだ」ハハッ・・・

絹旗「えっ」ドキッ・・・

黒夜「……ま、お前は如何だかな。自分で聞け」フンッ・・・

絹旗「く、黒夜」タラー・・・


『そういう目』って何だろう。冷ややかな雰囲気は消え去ったが、モヤモヤとした空気が漂っている。


香焼「あーその……とりあえず、デザートでも食べない? カップゼリーあるよ」ポリポリ・・・

絹旗・黒夜「「……、」」ジー・・・


困った。また無言……頼りの姉さん達は。


神裂「……、」ポリポリ・・・

五和「……あー」フイッ・・・

浦上「にゃはは」タラー・・・


駄目か。


香焼(仕方ない)ハァ・・・


何か質問してみよう。皆まで聞けなくても、二人の関係について『腹の内』を聞いてみたいし……―――



      >>307(安価)・・・絹旗と黒夜に質問


二人が窒素に関係する能力を持っているけど何か関係があるのかな…

―――それじゃあ『腹』を割って聞いてしまうか。


香焼「二人は姉妹分なんでしょ」チラッ・・・

絹旗「……ええ」ジー・・・

黒夜「不幸にもな」フンッ

香焼「それは、その……如何いった意味で?」ジー・・・


途端、最愛に睨まれた。


絹旗「……超色々あるんです」ジトー・・・

香焼「あ、うん。ごめん」タラー・・・

黒夜(知ってるクセに)ケッ・・・


黒夜とは先程話したが、最愛的にはタブーな話題だったか。


黒夜「……聞きてぇ事あんならハッキリ聞けよ」フンッ

絹旗「黒夜!」バッ!

黒夜「別に良いだろ。ただの甘ちゃん坊やじゃねぇみてぇだし」サラッ・・・

絹旗「っ」チラッ・・・


無論、まだ最愛と互いに『正体』を明かす気は無いので皆まで聞く気はない。


香焼「最愛の能力は大能力(レベル4)の窒素装甲(オフェンスアーマー)だったよね」チラッ・・・

絹旗「……はい」ジー・・・

香焼「黒夜のは……窒素爆猫(ボンバーにゃんこ)だっけ?」キョトン・・・

黒夜「にゃっ!? ぼ、窒素爆槍(ボンバーランス)だ! ブッ殺すぞ!」カアアァ///

香焼「あ、ごめん」アハハ・・・

絹旗「にゃんこ?」ポカーン・・・


肉球のインパクトが大きくて、つい。


香焼「さておき……二人が窒素に関係する能力を持っているけど何か関係があるのかな」チラッ・・・

絹旗「っ」グッ・・・

黒夜「……、」フンッ・・・

香焼「答えたくなかったら良いけど……もしかして『能力』的な意味で姉妹って事で合ってる?」ジー・・・

絹旗「……そんな感じです」ボソッ・・・


成程、黒夜の言う事は本当だったか。
疑う訳ではないが『暗闇の五月計画』なんてダーティーな計画、俄かには信じがたい。例え土御門の資料を見たとしてもだ。


香焼「研究所が一緒だった、みたいな?」ジー・・・

絹旗「はい……もう良いでしょう。ただそれだけの関係です」タラー・・・

黒夜「酷ぇ言い分だな。全く似た様な能力開発課程(カリキュラム)受けてきたっつーのに」ハハッ

絹旗「私と貴女とじゃ超違います! 現に『考え方』が真逆でしょう!」キッ・・・


攻守『思考』の差、か。

激情する最愛を見て何を思ったか黒く微笑む黒夜。


黒夜「どうだか。『根本』が一緒だと『過程』は如何あれ『結果』が同じとこに行きついてるんじゃねぇか」ニヤッ・・・

絹旗「っ……一緒にしないでください。超不快です」ギリッ・・・

黒夜「はいはい。良い子ちゃんぶって……『私はもう超潔白です』とでも言う気か? 偽善者」ジトー・・・

絹旗「黒夜っ!」バンッ!


立ち上がり拳を握る最愛。対して冷静に右掌を向ける黒夜……拙い。


香焼「ご、ごめん。自分が変な事聞いたからいけなかったっす……もう止めよう」タラー・・・

絹旗「……、」ギロッ・・・

黒夜「……ふんっ」スッ・・・


互いに視線を逸らし、嘆息を吐く。いくらカオリ姉さんが監視してるとはいえ言い過ぎた。


黒夜「……てかよぉ。お前もデリカシー無ぇな」チラッ・・・

香焼「だからゴメンって」タラー・・・

黒夜「忘れんなよ。私はお前の『秘密』握ってんだ」ジトー・・・

香焼「っ……わ、分かってるっすよ」ゴクリ・・・

絹旗「……え」ジー・・・


大人しくしてたから忘れてたが、この場でばらされたくない。特に最愛が居る今は。


絹旗「……香焼」ジー・・・

香焼「あ、うん……ごめん」コクッ・・・

絹旗「いえ……此方こそ」ペコッ・・・


互いに……聞くに聞くに聞けない。もはやいつ腹を割れば良いのか分からなくなっている。
暗部の『クーデター』以前に出会い、WWⅢ(第三次世界大戦)を越え、今に至るが……それでも尚、明かせない事実。


黒夜「ふんっ。お前ら気持ち悪ぃ関係だな」ジトー・・・

香焼・絹旗「「……、」」ジー・・・

黒夜「何ビビってやがんの? 隠し事ばっかの友達で満足?」サラッ・・・

絹旗「黒夜には……関係無いでしょう」ズキッ・・・

黒夜「はいはい。そーですね……まぁ私はお前らの『秘密』しってっから如何でも良いけど」チラッ・・・チラッ・・・

香焼・絹旗「「っ」」ギョッ・・・


お願いだから、急かさないでくれ。僕らは僕らのタイミングで『告白』したい。




神裂(やはり、拙いですか。ばれてる様ですね)チラッ・・・

五和(やれやれ……彼女が帰ったら土御門に連絡を?)チラッ・・・

神裂(そうすべきなのでしょうが、彼女はベラベラと他人に言い触らすタイプでは無いと思います)ジー・・・

浦上(まぁこれ以上、香焼が問題行動起すと本格的に『粛清』され兼ねないですからネ……黙っておけるなら黙ってた方が)ポリポリ・・・

神裂(……とりあえず責任は私が取ります。『もしも』があった際は、彼女の記憶操作を)チラッ・・・

五和(了解。結界の準備は出来てますからいつでも)コクッ・・・

ふと、疑問が浮かんだ。

僕は独自の調べで最愛の『素性』を知っている。その上で、彼女の口から真相を聞くまでは何も尋ねないつもりだ。
だが逆に、彼女は如何なのだろう。もしかしたら僕と同様、何かしらの方法で僕の『素性』を知り得ているかもしれない。
例えそうじゃなくても、最低限、僕が一般人ではないという事は勘付いてる。

だとしたら……彼女は僕の口から『告白』を聞きたいのだろうか。それとも、何も知らない普通の友人関係のままで居たいのだろうか。


香焼・絹旗「「……、」」ジー・・・


分からない。でも、分からないままでも良い様な気はする。


黒夜「……じれってぇ」イライラ・・・

香焼「黒夜」チラッ・・・

黒夜「んだよ、テメェら。ロミオとジュリエットでも気取ってんの? そういう訳じゃねぇんだろ」ジトー・・・

絹旗「黒夜には、関係ありません」シュン・・・

黒夜「ああ、関係無いね。だけど私はお前らの『秘密』を知ってるし、お前らは私の事を知ってる」チッ・・・


最愛が驚いた様子で此方を見る。僕は無言で頷いた。


絹旗「な……何処まで、聞いたんですか」ボソッ・・・

香焼「……、」ジー・・・

黒夜「『殆ど』だ……コイツの姉ちゃん達が居るこの場では詳細は言わねぇが」ボソッ・・・


駄目だ、ばれてしまう。


香焼「黒夜。もう終わりにしよう……無理矢理誘って悪かった」チラッ・・・

黒夜「いつまで逃げる気だ。こんな事言う柄じゃねぇが、隠し続けて傷付くのは絹旗だぞ」クイッ・・・

絹旗「っ! わ、私は!」アタフタ・・・

黒夜「多分、コイツはお前の事を殆ど知らねぇ。それでもお前の事をそれなりに慕ってる。健気なモンだ」フンッ・・・

香焼「っ」グッ・・・

黒夜「だが『秘密』を知ったら、かなりショック受けるだろうよ……そういう意味では言わない方が良いかもしれん」チラッ・・・

絹旗「え」ピタッ・・・


余計な事を。


黒夜「お節介焼きたい訳じゃねぇが……私はな、絹旗。お前が知りたいっつーなら、コイツの『秘密』を教えてやっても良い」クイッ・・・

香焼「なっ」ギョッ・・・

黒夜「自分でも何でこんな事言うのかは分からない。だが、一方的に知らないお前があまりに憐れに思えちまう」ジー・・・

絹旗「そ、そんな」グッ・・・

黒夜「お前らは互いに隠し事してるつもりかもしんねぇけど、実は一方的だぜ。他方は『知ってる』ぞ」チラッ・・・


お願いだ。これ以上、僕らの心を掻き回さないでくれ。


黒夜「さぁ絹旗、どうする。このまま『おともだち』で十分か? それとも『秘密』を聞いて対等な関係になりたいか?」ジー・・・

香焼「黒夜!」バッ!

黒夜「お前は黙っとけ。さぁ絹旗……知ったら残酷な結果しか待ってねぇこの関係、お前は如何したい?」ジー・・・


幸か不幸か、彼女は情が沸き過ぎたのだ。僕と、彼女の姉妹分に。だからこそ……隠しておけないと判断したのだろう。

そして、この情が沸いた悪魔の囁きに……耳を傾けてしまった少女。


絹旗「……し、知りたい、です」ボソッ・・・

香焼「っ……最愛」タラー・・・

絹旗「私、貴方の事……何も知りません」ジー・・・

香焼「そ、そんな事無い。一緒に遊んで、映画見て、ご飯食べて……都市では家族同然に暮らしてるじゃないか」グッ・・・

絹旗「でも! それでも……私は、貴方を知らない。香焼は隠し事が超多過ぎて」ジー・・・

香焼「っ」ダラダラ・・・


拙い。


香焼「か、必ず言う。だから今は!」アタフタ・・・

絹旗「貴方はいつもそうやって誤魔化します……超言わない気なんでしょう?」ムゥ・・・

黒夜「……決まりだな」フンッ・・・


この場で言う気か。今、此処で。


絹旗「黒夜……教えて下さい。『秘密』とやらを」ジー・・・

黒夜「良いんだな? 多分、かなりキツい事実だぜ……ショックじゃ済まねぇかもしんねぇぞ」チラッ・・・

香焼「最愛っ! 黒夜っ!」バッ!

黒夜「黙ってろ」スッ!


掌を僕に向ける彼女。しかも今回は最愛が止める事はない。


絹旗「ええ……本当は香焼本人の口から超聞きたかったんですが、超腹を決めます」ジー・・・

黒夜「ああ、じゃあ教えてやる……動くなよ、甘ちゃん」コクッ・・・

香焼「チッ!」チラッ・・・


姉さん……いや、女教皇様達に視線を送る。
僕が何を言う訳でもなく、五和と浦上が人払いの結界を張り、姉さんが此方に歩み寄って来てた。


神裂「……黒夜さん」テクテク・・・

黒夜「その様子じゃアンタも知ってんだろうが、私は言う」チラッ・・・

神裂「あくまでこの子達の意志を尊重したい。私と麦野さんの中で決めている事です……それを貴女が崩すのは度し難い」テクテク・・・

黒夜「アンタらの意見なんざ知らん。というか、アンタも香焼(コイツ)の『秘密』知ってて黙ってんならイカれてんよ」ジトー・・・

神裂「だとすれば、私の所為です。だから止めなさい(やはり魔術師としての正体がばれましたか)」ハァ・・・

黒夜「アンタの所為だ? アンタの所為でコイツが『その道』に奔ったのか?(腐女子の究極系か)」タラー・・・

神裂「そうとも言えるでしょう。ですから彼らの意志・タイミングに任せたい(自分から絹旗さんに打ち明けるのなら止めはしません)」コクッ・・・

香焼「姉さん! 黒夜、違う! 姉さんの所為じゃない!」アタフタ・・・

黒夜「(自分の『嗜好』の為に弟分をBLに奔らせるとは、正真正銘腐ってんな)……私が知ったこっちゃねぇ」チラッ・・・


そして彼女は、姉妹分に向き直った。


黒夜「いいか。コイツは……―――」


こうなれば力尽くでも止めるしかない。
僕は『消音』の魔術を展開し、最愛に詰め寄る。女教皇様は『忘却』の術式を展開させ、黒夜に手を伸ばす……そして。

彼女は告げた。











黒夜「幻想殺しと……上条当麻と付き合ってんだよ!」バンッ!!











え。


絹旗「……え」ピタッ・・・

神裂「は」ピタッ・・・

五和「んなっ!?」ピタッ・・・

浦上「うほっ!?」ホモォ・・・

もあい「にゃー」キョトン・・・


何、それ。怖い。


黒夜「上条当麻とコイツ、恋人同士なんだよ……公園で逢引してんの見ちまってな」ハァ・・・

絹旗「う、そ」ガーン・・・

黒夜「嘘じゃねぇよ。辺り気にせずイチャイチャしてた。ソイツ自身も認めてるし」コクッ・・・

香焼「」


意味不明。


神裂「……香、焼」ギギギギ・・・

五和「……コウ、ちゃん」ガガガガ・・・


おい、待て。


香焼「ちょ、待、え? うぇ!? えええええええええぇ!?」ギョッ・・・

黒夜「何だよ……私は別に同性愛云々否定しねぇよ。付き合ってもう半年くらい経つって言ってただろ」ジトー・・・

香焼「い、言ってない!」アタフタ・・・

黒夜「上条当麻はノンケだったのに、お前がアブノーマルな世界に巻き込んだって。お前から告白したとも言ってた」ジー・・・

香焼「な、何だよそれ!? 言ってな…―――…あ」ピタッ・・・


少々振りかえる――― >>164-167 ―――まさか。


香焼「……そ、そういう事?」ダラダラ・・・


全てを悟った。そして……黒夜に向けられていた女教皇様の、いや、カオリ姉さんの手が此方に向かってきた。

逃げ様にも逃げられない。僕の右肩をガッチリ万力ホールド。


香焼「ね、姉さん?」ダラダラ・・・

神裂「……香焼」ガシッ・・・

香焼「ご、誤解っす! その、説明すると長くなりますが……ちょ、マジで!!」アタフタ・・・


ヤバい。まぁじでピンチ。


香焼「く、黒夜! あれはそういう意味で言ったんじゃない! 互いに意味を取り違えてただけだ!」バッ!

黒夜「今更見苦しいぜ……現に撫でられて頬染めてたり、抱きついたり、あげくには『お嫁に貰ってやらぁ』とか言われてたクセに」ジトー・・・

香焼「言われて……なっ!?」ダラダラ・・・


※言われました。


香焼「違っ! そういうアレじゃなくて! こう、ふざけて! じゃれあった延長で! って姉さん痛たたたたったたたあぁっ!!」ウギャー!

神裂「……香焼」ギリギリギリギリ・・・

香焼「あががががががぁ……さ、最愛! 助けて! 今黒夜言ったの間違いだからぁ!!」ジタバタッ・・・

絹旗「……、」ジー・・・

香焼「さ、最愛さん!!」ダラダラ・・・


此方に伸びる救いの手―――


絹旗「……、」ガシッ・・・

香焼「え」ギョッ・・・


―――ではない。何故僕の頭を掴むの?


絹旗「……香焼」ガシッ・・・ミシミシミシミシッ・・・

香焼「痛だだだだだだだだだだだだぁっ!! ちょ、さ、ざいあいっ!!」アバババババ・・・

黒夜「やっぱり怒るか……幾ら私が非日常の人間だからっていっても、お前の気持ちは分かるぜ。乙女心を弄ばれたんだもんな」ポンッ・・・

香焼「おまっ! 何間違った解釈しやがったクセに悟った様な事をぼばばばばばっ!!」ギャースッ!!

黒夜「……遅かれ早かれ、自分で告白したってこうなってたんだ。別に介錯してやった私に感謝する必要はないぞ」フゥ・・・

香焼「しないよ! 絶対しない! 寧ろ逆!!」ウギャアアァ!!


握力90kgオーバーの二人に万力される僕の体。ヤバい。死ぬ。


五和「あは、あははは……コウちゃんが、上条さんと……あははは、ははははははははっははははははっははっ!!」ビー・・・

浦上「あ、お姉が壊れた」タラー・・・

五和「あははっはははははっはっはははっははは、はは……コウちゃんと上条さん殺して私も死ぬ」スッ・・・

香焼「お前は包丁置けええええぇ!! ってか浦上ぃ!! お前大体察してんだろ!! 助けろやああぁ!!」ダラダラダラ・・・

浦上「安心して! 人払いの結界張ってるから何とかなりますヨ♪ (まぁ最近調子乗ってたから良い薬でしょ)」ニッコリ・・・

香焼「やめっ……って、姉さ……最あ……い……がっ……ぁ」コキャッ・・・

神裂・絹旗「「……、」」ギリギリギリギリ・・・メキョッ・・・

黒夜「……あーめん」ナムナム・・・


神様、世界って残酷ですね……―――……結局、僕は気絶してしまい、誤解が解けるのは日を跨いでからになってしまった。

はい、今回は以上。次回で第Ⅱ話は終わりです。

引き続きⅢ話のリクエスト募集。今のとこ英国編が有望かな?

とりあえず質問意見感想罵倒などなど、よろしくお願いします。では! ノシ”

こんばんわ。今回で終わらせ・・・たい。

      ―――翌朝・・・・・




目が覚めた。


香焼「―――……、」ン・・・


寝てしまったのか、気絶してしまったのか思い出せない。


香焼「……ぁ」ギシッ・・・


とても寒い。身体が軋む様に痛い。まるで世界が逆転して見える。


香焼「……ん?」ピタッ・・・


世界が逆転して―――って。


香焼「ちょ……ぎゃああああぁ!!」バッ!!


何故僕は逆さ宙吊りされてるんだ? そりゃ寒い筈だ。そりゃ痛い筈だ。そりゃ反対に見える筈だ。
慌てて身体を揺らし現在地を確認する……どうやら自部屋のベランダの様だ。
因みに、日の方角と高さから換算するに朝8時くらいといったところか。

これが『昨日の明日』ならまだ休日なので何とかなるが、丸一日以上気が付かなかったとなると今日はもう平日。それは拙い。


香焼「だ、誰か! おーい!」ガタガタガタガタ・・・


部屋に向かって叫んでみる。兎に角現状を打開しないと。


香焼「おーい……呼んでもこないか。じゃあ縄を―――って」ミシッ・・・


縄抜けしようと思ったが、案の定拷問縛りでガッツリ固定されてる。
それならばナイフで切ってやろうと考えたのだが、全ての装備が取り外されていた。


香焼「やられた……あーもぅ」ブラーン・・・


少々落ち着こう。まずは状況整理だ……何故こんな事になってるのか。誰がこんな事をしたのか。いつから吊られているのか。


香焼「……考えるまでも無いか」ハァ・・・


残念ながら、昨日の事はハッキリと覚えている。あれが夢であってくれればどれだけ嬉しいか。
大きな溜息を吐き我が身の不幸を嘆いて天を、いや地を仰ぐ。


香焼「……ぁ」ガタガタ・・・


タマヒュン状態になった。これ、縄抜けしないまま落ちたら頭からズドンだわ。


香焼「冗談、キツいよ」アワワワ・・・


今の状態を歩行者に見られたら確実に通報されてしまう。
申し訳ないがこんな馬鹿な成り行きの近所迷惑で固法さんや白井さんの厄介になりたくはない。


香焼「ほんと、誰かー! 姉さーん。五和ー。浦上ー」ガクブル・・・


駄目元で叫ぶ―――一寸後、幸か不幸か、ベランダの窓が開いた。

鬱血的な意味で頭に血が上る中、顔を出したのは……末姉殿。


浦上「ふぁ~……おはよ。うー、やっぱ朝方は寒いですネー」ムニャムニャ・・・

香焼「おま……いや、御託は結構。まずは助けて」ガタガタ・・・

浦上「んー……どーしよっかなぁ」ジー・・・

香焼「ホント、マジ、助けろ……助けろ、ください、っす」ブルブル・・・

浦上「あはは。言語機能に異常発生ってヤツ?」ニヤニヤ・・・


ふざけるのも大概にしてくれ。


浦上「はいはい。傍から見てる分には面白いのになぁ」クスクス・・・

香焼「そういうの、いいから……お願い」ブルブル・・・ブラーンブラーン・・・

浦上「でもー。勝手に助けちゃったら姉様やお姉達に怒られるし」フーン・・・


姉さん、貴女を犯人です。


浦上「にゃっはっはっ! 香焼が壊れたー」ジー・・・

香焼「……、」ガクブル・・・

浦上「……ありゃ。ツッコむ気力も無いか」ジー・・・


頼むから早くしてくれ。


浦上「しゃーないですネ。まぁでも縄は解きませんよ」グイッ・・・

香焼「寒くなきゃ、何でもいい。早く、部屋、中に」ガクガク・・・

浦上「はいはい」グイッ・・・グイッ・・・


乱暴に引き上げられる。吊るされた冷凍マグロの気持ちってこんな感じだろうか。
さておき、残り1m程で漸くベランダから解放される……と安堵した時だった。


     『浦上さーん』


部屋の中から声。


浦上「ん? はーい」パッ・・・

香焼「え」ギョッ・・・

浦上「……あ」チラッ・・・


急降下……いや、何故か重力に従って落下してる筈なのだが、不思議な事に天に昇ってる様な気持ちになる。
なるほど、飛び降り自殺者が最後に見る光景ってこんな風なんだなぁ。


香焼「……、」ヒュンッ・・・

浦上「ちょ! あ、ヤベッ……てへっ☆」ペロッ♪


あ、これ死んだわ。


香焼「――――――――。」


思えば短いけど濃い一生だったなぁ……お父さん、お母さん。先立つ不孝をお許しくださ―――







   『ふんっ!』ガシッ!!






―――る必要ないみたいです。


香焼「ぐふぇっ!!?」ギチュッ!!


地上2,3mくらいの所で急ブレーキ。とりあえず頭蓋粉砕の危機は免れたが、内臓がはみ出そうになる。
そしてそのまま……急上昇。





   『そいやっと!』グンッ!





無反動から凄い勢いで逆バンジー。怖すぎて逆に絶叫出来なかった。


香焼「っ~~~~~~~~~~~~~ッ!!?」アガガガガガガ・・・


勢い余り、7階通り越して屋上まで飛ばされる。そしてまた、自由落下。
このまま人間ヨーヨー状態が続くのかと恐怖したが、今度はそんな事はなく、7階を通過(降下)する寸前で足を掴まれた。


浦上「おー! ナイスキャッチ」パチパチパチ・・・

絹旗「まったく、超馬鹿野郎ですね」ガシッ・・・

香焼「」チーン・・・


寝起きの所為か、昨日の所為かは分からないが機嫌が悪そうな寝間着姿の最愛に助けられた……でも正直、少しチビッた。


絹旗「……ふんっ」ジトー・・・

香焼「」オハヨウ・・・

浦上「えっとー。とりま、部屋の中に連行しましょうか」クイッ・・・

絹旗「分かりました」ドサッ・・・ズルズル・・・

香焼「ぐへっ」イタイ・・・


引きずられながら室内に入る。敷居の部分が非常に痛かった。
さておき、やっとの事温かい場所に。自分の部屋なのに楽園に思えた。


絹旗「何処置いときましょうか」チラッ

浦上「その辺適当にで良いんじゃない? ソファの上にでも投げとけば?」コクッ

絹旗「了解です」ポイッ

香焼「むふぁっ」ボフンッ・・・


最早モノ扱い。あんまりの仕打ちだ……特に浦上。お前、大体察してるだろう。

とりあえず、縛られた状態であっても部屋の中に入れたのは嬉しい。
ぶっちゃけこのまま寝たいのだが……そうも言ってられないだろう。


香焼「……ねぇ」チラッ・・・

絹旗「……、」シラー・・・

香焼「最愛」ジー・・・

絹旗「……、」フンッ・・・


駄目だ。昨日の事を根に持ってる。


浦上「にゃははは。まぁ自業自得ってヤツですヨ」ニヤニヤ・・・

香焼「この道化……そういえば姉さん達は?」キョロキョロ・・・

浦上「ああ、姉様とお姉なら」クイッ・・・


窓の外を指差す。何事?


浦上「上条さんとこかな」ハハハ・・・

香焼「え」ピタッ・・・

浦上「今頃上条さん、必死こいて都市から脱出図ろうとしてますヨ。聖人やら超能力者やらに追っ駆けられて……死ぬ気で鬼ごっこ的な」ハハハ・・・


姉さん達だけじゃなくて御坂さんまでと……何故拡散したし。


浦上「んー……何ででしょうネ」ニヤニヤ・・・

香焼「お前だな。お前が発端だな」ジトー・・・

浦上「にゃんのことかね?」フフーン


ゲスい真似を……上条さん、僕は味方ですからね。


浦上「あっはっは。まぁ面白ければ結果オーライですって」ニヤリ・・・

香焼「悪乗りが過ぎる……お前、ホント良い根性してるよ」ハァ・・・

浦上「削板くん程じゃないけどネ」アハハ


構うだけ無駄か。最早コイツを仲介に最愛と交渉するだなんて考えは止めた方が良いだろう。
となると元凶たる黒夜本人の誤解を解いてからじゃなければ。


香焼「そういえば……黒夜は? 帰ったの?」チラッ・・・

絹旗「……、」クイッ・・・

香焼「え」キョトン・・・


無言で僕の下―――ソファの下の方を指差す最愛。死角になって見えなかったが、そこには布団が敷いてあり。


黒夜「……ん」ゴロン・・・

香焼「な……泊まったの?」タラー・・・

浦上「えぐざくとりー」コクッ

香焼「最愛は平気だったの? その……黒夜と一緒でも」チラッ・・・

絹旗「別に。基本、会話さえしなければ喧嘩もしませんから」フンッ・・・


僕のハーパンとパーカーを着て寝ている黒夜が居た。

何故黒夜が泊まったかはさておき、彼女に起きて貰いたいのだが、この様子を見るに無理だろう。
無理矢理起しても良いが、機嫌を損ねて&寝惚けて能力ブッ放されても困る。あと見るからに低血圧そうだから可哀想。となると……―――


絹旗「……、」ジトー・・・


―――此方と向き合う外無い。


香焼「……最愛」ジー・・・

絹旗「……、」フンッ・・・

香焼「口も聞いてくれないの…―――…浦上」チラッ・・・

浦上「んー?」フム・・・

香焼「マジで風邪引きそうなくらい身体が冷え切ってる。お風呂沸かして来てくれないか?」ジー・・・

浦上「えー、めんどー」ブー

香焼「……おねがい」ジー・・・

浦上「(ありゃ……真面目なお話する気カナ)……へいへい。丁度良い湯加減になる様じっくり調節してきますヨ」ヤレヤレ・・・


何とか空気を読んでくれた。


浦上「あ、香(かおる)ちゃんとデート一回で手を打つって事で」ニヤリ・・・

香焼「ぐっ……は、早く行け!」グヌヌゥ・・・

浦上「にゃっはっはっ。楽しみですネー」トコトコ・・・


抜け目ないヤツ……さて、と。


香焼「今から、独り言を言うっす」ボソッ・・・

絹旗「……、」エ・・・


何処から話そう。


香焼「まず結論から言ってしまうと、昨日の自分と黒夜の話は完全に会話のキャッチボールミスっす」コクッ・・・

絹旗「……、」フンッ・・・

香焼「ホントは、上条さんと自分はもっと重要な話してたんすけど黒夜に勘違いされちゃって……内容は、言えないけど」ポリポリ・・・

絹旗「……、」ピクッ・・・

香焼「それを聞かれたと思ってたから。それで昨日は終始最愛に『ばらすぞ』って脅されたから、その事ばらされると勘違いして」ウーン・・・

絹旗「……何で」ジー・・・

香焼「でも実際、黒夜は自分らの話聞いてたんじゃなくて、お馬鹿にもイチャイチャしてるとか勘違いを―――って、え」キョトン・・・

絹旗「何で……言えないんですか。それじゃあ、本当か嘘か超分かりませんよ」ジトー・・・


仰る通りだ。しかし。


香焼「……ごめん。今は、まだ言えない」タラー・・・

絹旗「結局それ……もぅ……超同道巡りじゃないですか」ハァ・・・

香焼「必ず言う、約束する。でも今は言えない……キチンと真面目に聞いて欲しいから、今は言えないんだ」ジー・・・

絹旗「……、」ムゥ・・・


その時には勿論、お互いに、腹を割って、話したい。それが予てからの願いでもある。

すいません。寝落ちてました・・・続きは夜に!

復活してたばかりか更新が早くて嬉しい

お疲れっすー

寝落ちはともかく
ヒロインズが登場する度に自分の株を暴落させんのは
何かのうさばらしですか?

「もっとやれ!ミコト株のライフはとっくにゼロよ!」
なんて言われかねませんよ

‥え?間違ってる?

こんばんわ。寝落ちないよう頑張る。


>>324・・・でも亀スレですいません

>>325・・・このSSでみこっちゃんはヒロインちゃいます、ヒーローです!(言い訳)

今告げた事は言い訳がましくも本心である。尤も、上条さんとの関係についての弁解にはなってないが察して欲しい。
暫時、無言が続いた。これ以上、此方から下手に言う事も無い。


絹旗「じゃあ……私も独り言を」ボソッ・・・

香焼「え」ピクッ・・・


僕の横(足元)に腰掛け、未だ夢の中にいる黒夜を見詰めながらボソリと呟いた。


絹旗「私は数ヶ月前まで……この子と『同じ事』をしていました」ジー・・・

香焼「っ」バッ・・・

黒夜「……むぅ」スヤスヤ・・・


超唐突。


絹旗「黒夜が今どんな事を―――というより『どんな世界』で生きているか、知っていますか」チラッ・・・

香焼「……、」ジー・・・

絹旗「……そう」ハァ・・・


無言は肯定。


絹旗「正直、これを告げたら貴方と『さようなら』しなきゃならないと思ってます」チラッ・・・

香焼「……最愛」ムゥ・・・

絹旗「散々『この子は超危険だ』とか『この子に近付いちゃ駄目』とか言ってたクセに……実のところ、私だって五十歩百歩なんです」シュン・・・

香焼「……っ」グッ・・・

絹旗「誰かさんの口癖を借りれば『結局、私の手だって超汚れてる訳』です」ジー・・・


否定、できない。


香焼「何で、そんな事」タラー・・・

絹旗「超急に言うのかって? 何故でしょうね。自分でもよく分かりません……もしかしたら、いや、超確実に嫌われる事なのに」ジー・・・

香焼「……っ」ゴクッ・・・

絹旗「でも、こんな言い方したくはありませんが……香焼。貴方―――気付いてたんでしょう」サラッ・・・


え。


絹旗「ほら、やっぱり。超顔に書いてますよ」ハハハ・・・

香焼「っ」タラー・・・

絹旗「それでも。私が『卑しい女』と分かってても、友達でいてくれてた……違いますか?」チラッ・・・

香焼「い、卑しいだなんて思った事無いよ!」グッ・・・

絹旗「……ええ、そうですね。貴方はそんな事考えない超甘ちゃんでしたね」フフッ・・・


心底悲しそうな笑み。


絹旗「なんでかなぁ」ボー・・・

香焼「……最愛」ジー・・・


虚空を見詰める彼女が何を考えているのか、僕には分からなかった。

今から彼女が何を言おうとするかは分からない。だけど、これだけは言える。


絹旗「香焼―――」

香焼「さよなら、なんて言わせない」キッパリ・・・

絹旗「―――っ……、」


僕は友達の『手』を離す様な真似はしたくない。


香焼「最愛が何をしてたかなんて、知らない。そんな告白も如何でも良い。今君は日の下にいる……それで十分」チラッ・・・

絹旗「……、」ジー・・・

香焼「反省、してるか如何かは分からないけど、二度と踏み外したくないって思ってるんでしょ?」ジー・・・

絹旗「……、」コクッ・・・

香焼「だったら自分は今の最愛を褒めもしないし貶しもしない。今まで通りだ……もし仮に、尊敬するのであれば、それは―――」


浜面さんにだ。


絹旗「っ!? ま、まったく……何処までも知ってるんですね」ハァ・・・

香焼「ごめん。でも、上条さんと同じくらい尊敬してるっす」コクッ

絹旗「あんな超バカ面、敬う必要ありませんって」アハハ・・・

香焼「全く、素直じゃないっすね。感謝してるクセに」フフッ


苦笑する最愛は幾分か気分が和らいでいる様に見えた。


香焼「兎に角、皆まで言う必要はないっす……今はこれ以上聞きたくない」フルフル・・・

絹旗「……でも」ムゥ・・・

香焼「自分がそんなに潔癖症に見える?」チラッ・・・

絹旗「……分かりません。でも、超粘着質なのは知ってます」ポリポリ・・・

香焼「せめて諦めが悪いと言って欲しいな」アハハ・・・


地獄に落ちる事が確定している人間にだって友達は居ても良い筈。
此処で最愛を切り捨てるという事は……ステイルやアニェーゼ達と縁を切るとも同義だ。そんな真似は出来ない。


絹旗「貴方の性格上こうなる事は分かってましたけど、逆に超モヤモヤしますね……いっその事、突き放してくれた方が超楽なのに」ムゥ・・・

香焼「うん、許(はな)さないから安心して」ニコッ

絹旗「……変態」ハァ・・・///


一段落だが―――彼女が『一つ』吐露した以上、此方も『一つ』打ち明けねばなるまい。


香焼「……最愛」ジー・・・

絹旗「何ですか? 『実は本当にホモなんだ』とかだったら聞きたくないですよ」ジトー・・・

香焼「ざけんなっての……じゃなくて、質問させて」チラッ・・・

絹旗「ええ、どうぞ」コクッ・・・

香焼「君は……さっき自分が『君がどんな事をしていたのか』知っていた様に、君も『香焼(自分)がどんな事をしているのか』知ってるの?」

絹旗「……、」ム・・・


険しい顔をする最愛。この顔は肯定というよりも『勘付いてた』といった感じか。

言葉に困っている様なので、これ以上は聞かない。


絹旗「とりあえず、一般人じゃないってのは何となく」コクッ・・・

香焼「うん……黙っててゴメン」ペコッ・・・

絹旗「いえ、私だって隠してたんですから御相子です」ハハハ・・・


ドチラかといえば僕の方が知り得ていたので天秤は吊り合ってないのだが、秘匿性の関係上止むを得ない。


絹旗「でも気になる事が……香焼は、その……私達と同じ『暗部』なんですか?」チラッ・・・

香焼「そうとも言えるし、違うとも言える」ジー・・・

絹旗「また超曖昧に誤魔化す」ムゥ・・・

香焼「ただ一つ言える事は……自分らは君達と違って都市・理事会の『影』ではないよ」ボソッ・・・

絹旗「え」ピタッ・・・


戸惑いの顔。
そりゃそうか。都市or理事の直下でないとしたら、それは部外者の、余所者が潜入してるという事に結びつく。


絹旗「テロリストか運動家? それに『自分ら』って事は、もしかして」チラッ・・・

香焼「テロ屋ではないよ。どっちかといえば都市の味方よりだし……あー『自分ら』っていうのは多分、お察しの通りっす」コクッ・・・

絹旗「やっぱり……普通の姉弟ではないと思ってましたが、そうだったんですね」ムゥ・・・

香焼「うん……あ、姉さん達にはこの話を」ボソッ・・・

絹旗「分かってます。超他言無用で」コクッ・・・


多分、浦上は聞き耳立ててるだろうが空気を読んで聞かなかった事にしてくれるだろう。


香焼「兎に角、昨日黒夜が勘違いした『上条さんと自分』の話は、この内容だったんすよ」ハァ・・・

絹旗「といいますと……仕事の話? え、でも幻想殺し(イマジンブレイカー)は」キョトン・・・

香焼「彼は一般人っすけど、誰よりも『深い所』に居るからね。都市の暗部なんか生温い程の『闇』にすら触れてる」コクッ・・・

絹旗「暗部より深いって……いや、その前に、何で貴方はそんな事を知ってるんですか?」ジー・・・

香焼「……あー」ポリポリ・・・


拙い。言い過ぎたか。流石に魔術の事は隠したいのだが……仕方ない。嘘を吐かずに誤魔化そう。


絹旗「上条当麻が超『重要人物』だって事は暗部に携わってれば気が付きます。でも、貴方は、いや貴方達は何故」ジー・・・

香焼「えっと……恩人なんすよ、上条さんは。詳しくは話せないけど……カオリ姉さんを救ってくれた」コクッ・・


勿論僕ら、一介の教徒も『法の書』の際に助けられてはいるが、一番はあの女教皇様の心の荷を軽くしてくれた事だ。


絹旗「……よく分かりません」ウーン・・・

香焼「要は最愛達(アイテム)でいう浜面さんみたいな感じっす」ピッ

絹旗「はあ。何となく……つまりは英雄(ヒーロー)ってヤツですね」フム・・・

香焼「そんな感じかな。成り行きは如何あれ、結果的に救われたんすよ」コクッ・・・

絹旗「ふーん……だから今でも親交が合って、仕事の話をしちゃったと」フムフム・・・

香焼「大体そゆこと」コクッ・・・


漸く誤解が解けそうだ。

お互い、まだまだ色んな事を隠しているし、本当は最後まで応答したい。
だけどそれはまた今度。場に流されて仕方なしにではなく、場を設け面と向かって真剣に、腹を割りたい。


香焼「とりあえず、納得してくれた?」ジー・・・

絹旗「ええ、ある程度」フフッ


やっと普通に笑ってくれた。これで縄を解いて貰えるだろう。


香焼「じゃあ、最愛―――」

絹旗「あ、でも最後に」ピッ・・・

香焼「―――え」


真面目な顔で、しかし恥ずかしそうに質問される。


絹旗「ほ、本当に……ホモじゃないんですよね?」チラッ・・・///

香焼「」


まだ言うか。


絹旗「だ、だって、そっちの超誤解は晴れてませんし」モジモジ・・・///

香焼「いやいや。そんなんどうやって証拠見せろってのさ」ハァ・・・

絹旗「じゃあ、その……付き合ってる子とか、いるんですか?」ポリポリ・・・///

香焼「は?」ポカーン・・・


何故そうなる。


絹旗「も、もし好きな子がいたら疑惑が超晴れるじゃないですか。勿論女子ならですけど」コホンッ・・・///

香焼「成程ね……でも、困ったなぁ」ウーン・・・


現状、彼女なんていない。残念ながら好きな子もいない。
僕の周りの女性陣は皆魅力的だし、甲乙つけがたい限りだ。どうしたものかな。


絹旗「じゃ、じゃあ好きなタイプは?」ドキドキ・・・///

香焼「急に言われても……うーん、好きなタイプねぇ」ムゥ・・・

絹旗「……、」ジー・・・///


さっきから質問の方向性が可笑しい気がするが、最愛が満足するなら答えるか。


香焼「じゃあ……理想はカオリ姉さん。ただ、変なファッションじゃなく多少俗っぽくて今日みたいにブッ壊れてない時の」サラッ・・・

絹旗「と、年上好きですか!?」ガーン・・・

香焼「いやいや、そういう意味じゃなくてほら、姉さんって容姿端麗才色兼備文武両道の完璧超人でしょ」ハハハ

絹旗(た、確かに……ハードルが超高すぎる)ウーン・・・

香焼「まぁでも、あくまで理想。実際付き合うなら同年代っすね。お互い気を使わなくても大丈夫だろうから」コクッ・・・

絹旗「……ふむふむ。(つまり将来的には神裂さんみたいになる幼馴染であれば超OKという訳ですか)」ウッシ・・・

香焼「てな感じで、おーけー?」ジー・・・

絹旗「ええ、まぁ。私的には」コクッ・・・


満足した御様子。これで疑惑も晴れたかな。

兎に角、一刻も早く解縛して欲しい。正直身体の節々が痛くてしょうがない。
幸いにも浦上はまだ戻ってきてないし、今の内に外して貰おう。


香焼「最愛。そろそろ縄を」チラッ・・・

絹旗「え、あ、そうですね。超忘れてました」グッ・・・


正直結び目が強固過ぎて解くのは難しそうなので、直接縄を無理矢理引き千切ろうと最愛が踏ん張った……しかし中々千切れない。
因みに今僕を締め付けているこの縄は普通の縄ではなく、任務や戦闘で用いる鋼糸(ワイヤー)である。しかも一番太い番号のモノ。


香焼「痛っ」ギュウウゥ・・・

絹旗「え。あーちょっと我慢して下さい」ギチギチギチギチ・・・

香焼「も、もうちょっと、優しく出来ないかな」フー・・・

絹旗「分かりました……んっ」ミヂッ・・・

香焼「っ!」ビクッ・・・

絹旗「す、すいません……一度離しましょうか?」スッ・・・

香焼「だ、大丈夫だよ……っ……思いっきりやっちゃって」ン・・・

絹旗「……すぐ終わります。超我慢して下さい」フンヌッ・・・


ブチッ・・・


香焼「いっ~~~~~~っ……くぅ」ハァハァ・・・

絹旗「やっと少し千切れました……って、香焼。血が」ア・・・

香焼「だい、じょぶ……だけど、もうちょい優しくしてくれると……嬉しいな」ハァハァ・・・

絹旗「ごめんなさい。加減が超難しくて」ムゥ・・・

香焼「気にしなくて良いよ……いっ……あと数回で、外れると思うから」コクッ・・・


ハサミやナイフで切れれば良いのだが、柔な刃物では刃毀れしてしまうほど堅い鋼糸だ。
姉さん達なら魔術で外す事が出来るが、多分そう易々と解いてくれないだろうから……最愛の馬鹿力を頼る外無い。


香焼「思いっきりきていいっす」チラッ・・・

絹旗「……分かりました。手加減しません」ヌッ・・・

香焼「うん……ぁんっ!」ビクッ・・・


我慢する事数分―――やっと解けた。服はボロボロで、身体中に縄の後が残ってる。所々血も出ていて我ながら痛々しい姿。


絹旗「大丈夫ですか? 超グロッキーなってますけど」タラー・・・

香焼「ハァハァ……ありがと……んっ……大丈夫、じゃないかも」グデェ・・・アハハ・・・

絹旗「身体起こせます? 一人で歩けますか?」アタフタ・・・

香焼「そのくらいは、平気っすよ」フゥ・・・


さて、ではソファから身体を起して―――


黒夜「……、」モジモジ・・・///

香焼「……あ」チラッ・・・

黒夜「っ!」ギョッ・・・///


真下で寝ていた黒夜と目があった。なんだ、起きてたのか。

おはようと一言声を掛けたが、様子がおかしい。
なんかモジモジしていて顔が赤く、此方と目を合わせようとしない。まるで昨日公園であった時の様な。


絹旗「黒夜、起きてたんですか」ジー・・・

黒夜「お、おぅ……そ、その」モジモジ・・・///

絹旗「まぁ見ての通り蟠りは超解消しましたよ。要はアンタの超勘違いだったんですね」ヤレヤレ・・・

黒夜「……、」モジモジ・・・///

香焼「黒夜?」キョトン・・・


意図的に僕達と目を合わせない。やっぱり変だ。
いつから起きてたかは分からないが、もしかして勘違いした事がそんなに恥ずかしかったのだろうか。


黒夜「……えっと、さ」モジモジ・・・///

絹旗「はい?」キョトン・・・

黒夜「その……仲直りするのは結構だが、朝から『お盛ん』過ぎやしねぇか」チラッ・・・///

香焼・絹旗「「……は?」」ポカーン・・・


超意味不明。


黒夜「いや、流石に直視できなかったけどさ……真後ろで、えっと……『そんな事』されてたら、目ぇ覚めちまうよ」モジモジ・・・///

香焼「……何言ってんの?」ハイ?

黒夜「せめて、人が居ないとこで『そういう事』はしてくれよ……安心しろ、黙っとくから」ムゥ・・・///

絹旗「超理解不能なんですけど、何が言いたいんです?」ハァ・・・

黒夜「……言わせんな、変態共」カアアァ///


変態って、何でさ。


浦上「それはこういう事さ!」バンッ!!

香焼・絹旗・黒夜「「「っ!!?」」」ギョッ!


いきなりリビングに飛び込んでくる馬鹿2号。(1号=五和、V3=カオリ姉さん)
手には携帯。何をするかと思えば、レコーダー機能を起動し再生しだした。



『―――痛っ』ギュウウゥ・・・     『え。あーちょっと我慢して下さい』ギチギチギチギチ・・・

『も、もうちょっと、優しく出来ないかな』フー・・・   『分かりました……んっ』ミヂッ・・・

『っ!』ビクッ・・・   『す、すいません……一度離しましょうか?』スッ・・・

『だ、大丈夫だよ……っ……思いっきりやっちゃって』ン・・・  『……すぐ終わります。超我慢して下さい―――』フンヌッ・・・


                   ブチッ・・・


『―――いっ~~~~~~っ……くぅ』ハァハァ・・・   やっと少し千切れました……って、香焼。血が』ア・・・

『だい、じょぶ……だけど、もうちょい優しくしてくれると……嬉しいな』ハァハァ・・・  『ごめんなさい。加減が超難しくて』ムゥ・・・

『気にしなくて良いよ……いっ……あと数回で、外れると思うから』コクッ・・・



香焼・絹旗「「」」チーン・・・


何だ、これ。

唖然とする僕ら。反面、ニヤニヤし続ける浦上。そして茹でダコ並に真っ赤な黒夜。


香焼「……つまり?」ギギギギ・・・

浦上「そうちょう から おたのしみ でしたネ」ニッコリ

香焼・絹旗「「んなっ!?」」カアアァ///


何を如何間違えたらどうなる。


浦上「いやぁ音声だけ聞いたらR-18SSですヨ。しかもドッチが男だか分かりませんネ」ハハハ

香焼「ちょ、おまっ!? 訳分からん!」エー・・・

黒夜「やっぱお前、ホモ違うかもしれんな」コホンッ・・///

香焼「初めっからそう言ってるだろ! でも決めつける根拠がオカシイ!」アタフタ・・・

絹旗「そ、そうです! てか黒夜も浦上さんも見てたんでしょ! だったら、ただ縄を解いてただけだって分かる筈です!」カアアァ///

黒夜「私、音しか聞いてなかったから……その、うん。香焼(お前)両刀(バイ)なんだな」チラッ・・・///

香焼「なんでそーなるの?!」ハァ!?


コイツまた勘違いしてやがる。


絹旗「う、浦上さん!!」アワワワ・・・///

浦上「最愛ちゃん……既成事実」ボソッ・・・

絹旗「……っ!!?」ボンッ/////////

香焼「さ、最愛!? 浦上、お前何言った!!」ギョッ・・・

浦上「さーねぇ」フフフ・・・


今度は最愛の様子までおかしくなった。フリーズして動かない。


浦上「あ、因みに既にお姉と麦野さんには送信済みですのでご安心を」ンフフ・・・

香焼「不安しかねぇよ! よりによって麦野さんまで……お前マジ性格腐ってんな!!」ガアアァ!!

黒夜「煩ぇヤツ……テレ隠ししたい気持ちは分かるけど、少し落ち着けよ」モジモジ・・・///

香焼「黒夜が勘違いしなきゃ全部纏まってたんすよ!」ンモー!

絹旗「む、麦野にまで、き、既成……事実……あはは」ガクガク・・・///

香焼「最愛が壊れた!」ウワーン!


結局、二重の誤解を解くまで一ヶ月は要する事になった。
今回の教訓は……暗部といっても普通のガキでした。いや、普通じゃないか。


黒夜「お前ら……私と同い年なのに、大人だなぁ」モジモジ・・・///


発情期間近で妄想力高め&勘違い多めの増せガキさんでした。あー不幸だ。












もあい「にゃぅ」オワレ!

以上です。やっぱ一話辺りが長くなる傾向を直したいですね。


それでは次話のアンケート!


①英国編:アンジェレネメイン(真面目orほのぼの)

②英国編:アニェーゼメイン(真面目orしんみり)

③都市編:黒子メイン(真面目&ピリピリ)

④その他(具体的にお願いします)


※()内は未定です。


もしかしたら明日、第Ⅱ話のおまけだけでも投下するかも。
それでは質問意見感想罵倒アンケート協力よろしくお願いします! ノシ”

こんばんわ。アンケは1になりそうかな?

ちょこっとⅡ話のおまけやります!

        <おまけ!>


 ―――第7学区、とあるオンボロアパート一室・・・・・



 コンコンッ・・・


上条「」ビクッ!!


 ガチャッ・・・


上条「だ、誰でせうか」ガクブルガクブル・・・ボソッ・・・


 ギイイィ・・・


浜面「―――……うーっす。大丈夫か?」ガチャッ・・・

上条「は、浜面か……良かった」ホッ・・・

浜面「ビビり過ぎだぞ、アンタ。まぁ境遇が境遇だからしゃーないかもしんないけど」ハハハ・・・

上条「お前なら分かるだろ。女性の恐ろしさってヤツ」ガタガタ・・・

浜面「あははは……しかし難儀なモンだな。昨夜いきなり『助けてくれ』ってメール着た時は何事かと思ったぞ」ドサッ

上条「俺だって訳分かんないさ。いきなり知人の女性達が襲いかかってきて……マジで死ぬかと思ったわ」タラー・・・

浜面「何したのか本当に心当たりねぇの? 幾ら特級フラグ建築士のアンタでも、そんな理不尽な事そうそうありゃしないぜ」フム・・・

上条「分かれば苦労しないって……始まりはいきなりインデックスが噛み付いてきたんだが、これがもう怖くて怖くて」ブルブル・・・

浜面「いつもの事じゃないの?」ハテ・・・

上条「今回の噛みつきは普通じゃなかった。アレだ、噛み千切るとか噛み砕くとかの顎レベル。ぶっちゃけ喰われるかと思った」ガタガタ・・・

浜面「あの暴食シスター、遂に居候主まで食料として見做したか……しっかし何でそんな奇行に奔ったかねぇ」タラー・・・

上条「分からないんだって。直前まで神裂とメールしてたみたいなんだけど、突然『その不貞は万死に値するんだよ!』とか叫び出して」ハァ・・・

浜面「不貞? あー……エロ本か何か見つかったとか?」チラッ・・・

上条「残念ながら上条さん家にそんなもんありません。インデックスさんが居候している間は全部携帯のムービーかネットの動画です」キリッ

浜面「『キリッ』じゃねぇよ……まぁ俺も同居人仲間(アイテム)が女性ばっかだから似た様なモンだけどさ」ハハハ・・・

上条「それはさておき、この騒動を早く解決せにゃ上条さんは明日から学校にも通えませんよ」トホホ・・・

浜面「お馬鹿なのに真面目ちゃんだな。ま、このアパートは好きなだけ使ってくれ。スキルアウト仲間の廃屋アパートだから家賃もいらん」コクッ

上条「ホント、恩にきります。何れ恩返しはしたい……俺が生きてたら」ペコッ

浜面「不吉な事を……とりあえず食料・水は持ってきた。電気も無理矢理引っ張ってきてるから好きに使って良いぞ」コクッ

上条「何から何まですまないな。やっぱ持つべきモノは男の友達だわ」ウルウル・・・

浜面「アホな事で感動する暇あったらさっさと原因を探した方が良―――」


 ガチャッ・・・


上条・浜面「「―――っ!!」」ビクッ・・・


 ギイイィ・・・


一方通行「……、」スッ・・・

上条「あ、一方通行か! ビビらせんなっつの」ホッ・・・

浜面「ノックぐらいしてくれよ。心臓に悪過ぎる」ハァ・・・

一方通行「……、」ユラユラ・・・

上条「いや、しかし時間掛ったな。すぐそこのコンビニ行ってくるって言ってから一時間以上経ったぞ」チラッ・・・

浜面「どうせコーヒー棚買いして店員困らせたんだろ」ヤレヤレ・・・

上条「そのお金の羽振りが羨ましいです……そういえば頼んだ下着買ってきてくれたか?」フム・・・

浜面「冗談で女性物下着とか買ってきてたらアンタの事見直す」ハハッ

上条「ざけんなアホ。お前や土御門じゃあるまい……なぁ一方通行」ヤレヤレ・・・

一方通行「……、」ジー・・・

上条「ほら、呆れてモノも言えないってさ」フンッ

浜面「ったく、それだけ軽口叩けりゃもう外歩いても大丈夫だな」ジトー・・・

上条「ちょ、おま、み、見捨てる気か!?」アタフタ・・・

浜面「冗談だよ。今アンタの事、外に放っぽり出したら第三位辺りに取っ捕まって電気椅子に掛けられかねないからな」ハハハ・・・

上条「ま、真っ黒焦げになるのは白井の特許で」ガクガク・・・

浜面「ははは。ビリビリ中学生も何だかんだで人格破綻者(レベル5)だからな。『プッツン』したら麦野と同じで何しでかすか分かんねぇ」コクッ

上条「えー。麦野さん優しいだろ。偶に御茶目だけどクールで品があって大人な女性的な感じ」ピッ

浜面「馬鹿お前、アイツの事何も分かってねぇな。確かに今は大分丸くなったけど、それでも『クール』とは真逆にいる女だぞ、アレは」タラー・・・

上条「マジで? 信じられん」タラー・・・

浜面「タイショーはあんまり麦野に絡まれてないからそんな事言えんだって」ヤレヤレ・・・

上条「んー。まぁ浜面の仲間&神裂の友達っていう感じでしか会ってないからな」フム・・・

浜面「付き合い続けりゃその内分かるさ……って、一方通行さんや。あんさんいつまで玄関に突っ立ってんの? 早く上がれって」チラッ・・・

一方通行「……、」フラリ・・・フラッ・・・


 ドサッ・・・


上条・浜面「「え」」ピタッ・・・









御坂「―――・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・見ィツケタ」ニッコリ











上条「ひぃぎゃあああああぁああああああああぁあああぁ!!」ドンガラガッシャーン・・・

浜面「っ~~~~~~~~~~~~~ッッ!!?(声にならない恐怖)」バッタンキュー・・・

上条「あ、あああ、あ、一方通行っ!?」ギョッ・・・

御坂「まさかコンビニでバッタリ出会えるとは思わなんだわ……御蔭で私が『一番乗り』ね」フフフフ・・・

浜面「お、おまっ……ど、どど、どうやって第一位を」ガクブル・・・

御坂「そりゃあの手この手を。主に打ち止め懐柔したんだけどね」フフフ・・・

浜面「こんの地獄姉妹があぁ!!」ダラダラ・・・

朝7時に寝落ちか?
内容はどっかのおバカさんの「もっとやれ」への返信か

警備員か寮監様の出番と
それに伴う激レア展開、
ヒロイン?の逮捕エンドによる脱落に期待

無いとは思うが
主人公補正がなくなったことで死亡からの
土御門辺りがあわただしくなる展開なら
本編でお願いします

おまけは寝落ち?

アンケは1のほのぼのを切に希望します

こんばんわ・・・ヤバい。寝落ち癖が再発しだしてる。


>>343・・・基本、上条さんに関するカップリング要素は皆無だと思って下しあ

>>344・・・寝落ちゴメンなさい。次オチたらR-18書きま―――


それじゃボチボチ投下。

御坂「さぁて……御望み通り、鉄の椅子に縛り付けて高圧電流流してあげる」フフフフ・・・

上条「っ!!?」ギョッ・・・

浜面「ちょ、ま、待てよ嬢ちゃん! マジでコイツが何したってんだ!?」タラー・・・

上条「そ、そうだ! もし話合いで解決できるのなら、それを望む!」ダラダラ・・・

御坂「さぁ……自分の胸に聞いてみれば?」ゴゴゴゴ・・・

浜面「ひっ……お、おい、やっぱアンタ何かしたんだって! 思い出せよ!」チラッ・・・ハラハラ・・・

上条「そ、んな事言われてもマジで身に覚えが無いんだって」ダラダラ・・・

御坂「身に覚えが無いと……そうよね。アンタ自身に悪気なんかある訳無いものね」ドドドド・・・

浜面「ほら絶対ぇ何かしてんだよ! アレか? また無意識で女誑しこんだか!?」ジトー・・・

上条「意味分かんねぇよ! 兎に角逃げるぞ!」バッ!

浜面「第一位は!?」チラッ・・・

上条「御坂も死人に鞭打ったりしない筈」チラッ・・・

一方通行(死ンでねェよボケ。馬鹿姉妹(美琴&打ち止め)に電極制圧されて動けねェンだ)ジー・・・

上条「早く窓から脱出を!」ガラララ・・・

浜面「ちょ、早―――」







禁書目録「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁい」ニッコリ







上条・浜面「「ぎゃああああああぁあああああぁ!!」」ギョッ・・・

禁書目録「うふふふ……まさか廃ビル内のアパートに隠れてるとは思わなかったんだよ」ニコニコ・・・

上条「い、インデックスさん。ど、どうして此処が」ガクガクガクガク・・・

禁書目録「『協力者』にお願いしたんだよ」フフフ・・・クイッ・・・

上条「きょ、協力者だと……まさか風斬がこんな馬鹿騒ぎに手を貸したっていうのか!?」タラー・・・

禁書目録「ひょうかじゃないんだよ。お願いしようと思ったけどいつの間にか帰っちゃってた」フム・・・

上条「じゃあ誰が……まさか神裂&五和と手を組んだんじゃなかろうな」ダラダラ・・・

禁書目録「かおり達はかおり達で動いてるからね……私がお願いしたのは……彼女なんだよ」スッ・・・

上条・浜面「「え」」ピタッ・・・






滝壺「うぃー」ピースピース






上条・浜面「「んなぁ!?」」ギョッ・・・

滝壺「やっほーはまづら。貞操は無事かな?」ジー・・・

浜面「な、何で……え? はい? 滝壺さん?!」オドオド・・・

寝落ち?

だったらR-18よりほのぼの短編のほうがうれしいなあ

R-18はレッサーがまだだったよね?

上条「お、おい浜面。何でお前の彼女さん、ウチの居候に手ぇ貸してんでしょうか」チラッ・・・ダラダラ・・・

浜面「こ、コッチが知りてぇんだけど……てか貞操って何よ」チラッ・・・ダラダラ・・・

滝壺「いんでっくすに『しあげの貞操の危機なんだよ!』って言われて居ても経ってもいられず協力した」コクッ

浜面「だからその『貞操の危機』ってのが意味分からん! あと滝壺。お前、その暴食シスターと知り合いだったのか?」タラー・・・

滝壺「きぬはた経由でメル友だよ」チラッ・・・

浜面「そ、そうなの? てか絹旗も知り合いかよ」エー・・・

上条「もうゴチャゴチャで訳分からん……てか、何で此処分かったんだ? 滝壺の能力(AIMストーカー)?」チラッ・・・ダラダラ・・・

浜面「いや、でも身体に負荷掛る能力だから広範囲索敵とかは控えてた筈なんだが……まさか!?」ギョッ・・・

滝壺「違うよ、はまづら。広範囲索敵なんか使ってない」フルフル・・・

浜面「じゃ、じゃあ何なんだ?」タラー・・・

滝壺「そこの彼……かみじょうはこの街で二番目に『発見』し易いの。だから思考を研ぎ澄まさなくても見付けるのは簡単」チラッ・・・

上条・浜面「「え」」キョトン・・・

滝壺「かみじょうは一寸たりともAIM拡散力場を発してない。だから彼の周辺は不自然な程に真っ白透明な信号になる」コクッ

上条「え、マジで? 俺ってAIM拡散力場発生してねぇの? それってこの街の人間としてアウトなんじゃ」タラー・・・

滝壺「因みに一番発見し易いのは、はまづら。理由は単純で、これでもかっていうくらい信号を覚えたから」ジー・・・///

浜面「お、おぅ」ポリポリ・・・///

上条・御坂・禁書「「「」」」イラッ・・・

浜面「あーコホンッ……でも何で俺がタイショウと一緒だなんて分かったんだ?」タラー・・・

禁書目録「とうまは本気で困るとあくせられーたかしあげ、もしくはもとはるに相談するでしょ。つまり私の勘は当たった」コクッ・・・

浜面「そういう……逃げらん無くね? 向こうに滝壺居る以上逃げても無駄な気が」タラー・・・

上条「ぜ、前門の虎。後門の狼状態……詰んだか……いや、だったらまだ上と下が!!」バッ・・・





五和「ところがどっこい、インしたお」カパッ!

神裂「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・こんばんは」カパッ・・・





上条「どっから出てきたオイ!?」ギョッ・・・

浜面「ゆ、床から包丁持った虚ろな目の女性が!? 天井からはスタイリッシュ痴女が!?」ギョッ・・・

神裂「失礼な……さておき、よくもまぁウチの末弟に不埒な真似を」ゴゴゴゴ・・・

五和「上条さんとコウちゃん殺して私も死ぬ上条さんとコウちゃん殺して私も死ぬ上条さんとコウちゃん殺して私も死ぬ……――」ブツブツブツ・・・

上条「一人冗談抜きで怖い人がいる!!」ダラダラ・・・

浜面「もう何が出てきても驚かない……って、コウちゃんって誰だ?」チラッ・・・

上条「え? 多分、香焼の事かと」タラー・・・

浜面「絹旗と仲良いエリート坊主? ソイツも如何かしたのか」キョトン・・・

上条「さ、さぁ。この前公園で会ったけどそれっきりで―――」ダラダラ・・・

女性一同『』ギロッ・・・

上条・浜面「「ひぃ!!?」」ダラダラ・・・

神裂「あくまで白を切る気ですか……ならば宜しい。『上条約』約定第5ノ2項により、粛清を開始します」ドドドドド・・・

五和「殺して死ぬ殺して死ぬ殺して死ぬ殺して死ぬ殺して死ぬ殺して死ぬ殺して死ぬ殺して死ぬ殺して死ぬ殺して死ぬ――」ブツブツブツ・・・


 ドドドドドドドドドドド・・・・・・


浜面「ちょ、オイ。どうすんだ」チラッ・・・ダラダラ・・・

上条「ど、どうするって……どうしようもない気が」チラッ・・・ハラハラ・・・

一方通行(頼むから早く解放してくれェ)チーン・・・

浜面「そうだ! お、オイ滝壺! お前からそいつらに話合いに乗る様交渉を!」アタフタ・・・

滝壺「出来ると思う?」タラー・・・

浜面「……ですよねー」チーン・・・


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・


浜面「あ、アレじゃねぇの!? 香焼っつー坊主関係してんじゃね?」ダラダラ・・・

上条「香焼が? わ、分かった……おい、神裂!」バッ!

神裂「……、」ジトー・・・

上条「香焼が如何したんだ!? オレ、香焼に何かしたか?! マジで身に覚えが無いんだよ!」タラー・・・

神裂「……これはルチア的に言えば去勢モノですね」シャキッ・・・

五和「して死ぬ殺し死ぬ殺し死ぬ殺して死ぬ殺して死ぬ殺して死ぬて死ぬ殺て死ぬ殺して死殺して死ぬ――」トテトテトテトテ・・・

御坂「香(かおる)ちゃんの兄貴分とはいえ……『その道』に奔った以上、アンタを含め葬らせて貰うわ」ビジバジ・・・

禁書目録「小便は済ませた? 神様にお祈りは? 部屋のスミでガタガタ震えてないで命乞いをした方が良いんじゃないかな?」ギンッ・・・

上条「あばばばばばばば……、」ガクブル・・・

浜面「こ、これやっぱ俺にもトバッチリくる系!?」ギョッ・・・

滝壺「大丈夫、はまづら。そんな浜面の死に水は拾ってあげる」ナムナム・・・

浜面「」チーン・・・

一方通行(あのォ。いい加減放置されんのシンドいンですけどォ……特にそこの雌ラ●チュウ、お前絶対ェ後で説教な)ジー・・・

上条「ど、どうしてこうなった」フコウダー・・・

滝壺「その血(不幸)の運命的な?」ウーン・・・

浜面「世界が二巡しても続きそうな不幸って何だよ! あーもぅ! 当の坊主は絹旗と朝チュン疑惑あるってのに!」ウガー!

女性一同『……え』ピタッ・・・

禁書目録「こうやぎともあいが」チラッ・・・

御坂「朝チュン……だと」ピタッ・・・

浜面「あれ……え?」キョトン・・・

滝壺「はまづら、何それ」ジトー・・・

浜面「え、あ、いや。さっき黒夜からメールが来て―――」


 少年説明中・・・・・


浜面「―――って訳ですが」タラー・・・

女性一同『……、』シーン・・・

上条「な、何なんだ……てか香焼、アイツまた誤解を招く様な事を。アレだけ注意しろって言ったのに」ハァ・・・

一方通行(お前が言うな)ハァ・・・

神裂「……これは」ピタッ・・・

五和「一時保留ですかね」チラッ・・・

浜面「……おい。アイツらの動き止まったぞ。今の内に逃げるか?」チラッ・・・ボソッ

一方通行(忘れ去られてるっぽいけど、頼むからオレも連れてけよ)ジー・・・

禁書目録「……とうま」チラッ・・・

上条「は、ふぁい!?」ビクッ・・・

御坂「アンタ……ノンケ? それとも黒子や結標と同じ部類?」ジトー・・・

上条「い、意味分からんが、白井や結標さんと同じ人種扱いされんのは心外ですよ」タラー・・・

神裂「ではハッキリ問いましょう、上条当麻。貴方は……香焼と付き合ってるんですか?」ジー・・・

上条「」リカウフノウ・・・

浜面「……大将、固まってんだけど」タラー・・・

一方通行(そりゃいきなりホモ疑惑フッ掛けられたら困惑すンべ)ヤレヤレ・・・

上条「いや―――――いーやいやいやいやいやいやいやいや! 上条さん、ホモでもショタでも無いですよ! 何その質問怖い!」ダラダラ・・・

五和「しかし昨日コウちゃんと公園で逢引していたとの情報が」シュン・・・

上条「逢引だぁ? ベンチ座ってくっちゃべるのが逢引っつーのかよ」ハァ・・・

五和「火の無い所に煙は起たないって言いますが……姉さん、これ『白』っぽいですよ」チラッ・・・

滝壺「その情報ソース何処?」ジトー・・・

神裂「……黒夜さんの話は間違いという事でしょうか」タラー・・・

一方通行(あのガキ、間違った事しか言わなくね? 思考がアレな所為か、決めつけたらそれしか見えねェヤツだし)ジー・・・

浜面「じゃあこの『朝チュン』情報も疑わしいな」フム・・・


 わおーん・・・・・


御坂「……か」ボソッ・・・

上条「え」キョトン・・・

御坂「解散っ!!」バッ!!

上条・浜面「「は?」」ポカーン・・・

五和「やれやれ……とりあえず一難去りましたね。あ、コウちゃん干しっ放し(物理的に)だ。早く下ろしてあげないと」アセアセ・・・

禁書目録「まったくもー。人騒がせなんだよ……あ、かおりー。今から昼ごはんお邪魔して良いー?」テクテク・・・

神裂「はいはい、どうぞ」ニコッ

上条「へ?」キョトン・・・

浜面「あ、むぎのが家に一人だ……まぁいっか。夜まで寝てるだろうし、絹旗も帰り遅いよな。滝壺、どっか寄ってから帰るか」ハァ・・・

滝壺「うん」ウキウキッ

上条「あ、れ?」ウーン?

御坂「ったくもー……ほら、アンタいつまで寝てんのよ。邪魔になるから帰るわよ」ズルズルズルズル・・・

一方通行(ぐべェ!? チョーカー引っ張んな!! お、ま、後で絶対ェ殺すかンな! あ、ちょ、マジで首〆るっ!!)ピチピチ・・・


  カー・・・カー・・・・・


上条「んー……何だ、これ」アボーン・・・チーン・・・







かぶとむしさん「おわりますよ」ピヨピヨッ

はい、gdgdったけど以上です。
黒夜の後日談が書けなかったけど、需要あるんだか無いんだか。まぁ別の機会に。


>>347・・・1レス短編とか上手に書ける様になりたいですね。その内別スレか携帯からやってみようかな。

>>348・・・カルテッ娘だとサーシャとレッサーのアフターがまだですね。あ、親戚のSSだけど!



引き続き第Ⅲ話のアンケート!


①英国編:アンジェレネメイン(真面目orほのぼの)

②英国編:アニェーゼメイン(真面目orしんみり)

③都市編:黒子メイン(真面目&ピリピリ)

④その他(具体的にお願いします)


※()内は未定です。


もし見てらっしゃる方で未回答いらっしゃったら協力お願いします。
それでは質問意見感想罵倒もよろしく! じゃあまたね! ノシ”

ここのカルテッ娘が見たいから常駐してる人もいるんですよ!俺みたいに!

ということでカルテッ娘スピンオフ期待

春上さんとか

駒場さん出すなら変にキャラを変えてほしくないな

超電磁砲Sの特典小説、まさかの天草式がメインとか

・原作者・鎌池和馬書き下ろし小説(イラスト/はいむらきよたか)
  「とある魔術の禁書目録SS -『必要悪の教会』特別編入試験編-」
  全巻集めると、なんと電撃文庫二冊分のボリュームに!
  天草式十字凄教の面々は、イギリス清教の一員になれるのか……?
  原作小説7巻後の、知られざるエピソードを描く!

こんばんわ、お久しぶりです。
近々ネットの回線が変わるかもしんないのでちょっと書き溜めする事になるかもしれません。

スピンオフというか携帯からの投稿については追々書こうかと。


レス返信!
>>358-359・・・確かにカルテッ娘出したいですね。出来ればやっぱ香焼関係無くってのがベターかな

>>360・・・春上さんメインかぁ。どんなんだろう? 『よつばと』的なノリで皆と絡ませるとかw

>>361・・・私の書く『駒場さん』だと、どうしても二面性になってしまうのが難点ですね。駒場さん本人でSS書くのは難しいかも

>>362・・・まぁじで!? しかしDVD集めるのは……うーん(苦笑)



とりあえず、書き溜め分ある程度投下します!

 ―――とある日、AM10:30、英国、イギリス清教第零聖堂区『必要悪の教会(ネセサリウス)』敷地内、多目的グラウンド・・・・・






『魔術師』と言われてパッと思い付く印象は『根暗』だったり『陰湿』だったり、ドチラかというとインドアなイメージが先考してしまう。
実際に『真理』やら『根源』に近付く為、引き籠り気質の研究者タイプな魔術師も少なくはない。
『協会』の魔術師なんかはそういう輩が多いと聞く。確かに魔術を極める上では其方の方が正しいのかもしれない。

だがしかし、そんなタイプの魔術師は非生産的で、現場からしてみれば―――ただの自慰行為に励むオタクにしか思えない。
逆に彼らからしてみれば現場で活躍する魔術師を『野蛮』とか『品が無い』とかいうのかもしれないが……話が逸れたか。

兎に角、僕ら―――必要悪の教会(ネセサリウス)の人間は前者のヒッキー型魔術師ではない。
故に一般教養・常識は必要不可欠だし、MP的な魔力以外にHP的な体力(スタミナ)も底上げしとかなければならないのだ。


建宮「―――よーし、香焼。浦上。もう少しピッチ上げるのよな」ピーッ・・・

香焼「はい」タッタッタッタッ・・・

浦上「はいはーい」タッタッタッタッタッ・・・


何をしているかというと、英国教会及び騎士派での若手合同トレーニングというモノ。
主に基礎体力及び体術、それから応用で魔術・術式指導といった形である。今はアップがてらの長距離走の最中だ。

因みにこれは主教や騎士団長主催のモノなので若手の魔術師や騎士見習いはほぼ強制参加。
中堅所や玄人・年輩(ベテラン)陣の多くは指導側に回っている。


神裂「ふむ……やはり天草式(ウチ)の教徒は体力面では優秀ですね」フフッ

建宮「でなけりゃゲリラ戦法なんかやってられんのよね」ジー・・・

諫早「昔ながらそうですからなぁ……私から見りゃ、建宮。お前も参加する側なんだが」チラッ

建宮「じっさん。そりゃ勘弁なのよね」ハハハ・・・


我らが天草式の女教皇様(プリエステス)と教皇代理、及び相談役(諫早さん)、他数名は所謂講師陣。
他にはというと―――


騎士団長「流石St.神裂の教徒といったところですね。あのスタミナは羨ましい」コクッ・・・

神裂「いえいえ。騎士派の見習い達も中々優秀ですよ。常日頃から鍛錬が為ってる様ですね」チラッ

騎士団長「ははは。仮にも『騎士』を名乗る以上それ相応のモノを身につけて貰わねば。日本で言うところの『ブシドー』というヤツです」ムンッ

オルソラ「あらあら。相変わらず騎士団長殿と神裂は仲の良い限りでございますね」ニコッ

騎士団長「そ、そうですか! いやぁ難とも」ハハハ

シェリー「……単純な野郎だ」ジトー・・・

建宮「騎士道だの武士道だの、古臭い人なのよね」ジトー・・・

対馬「お馬鹿、聞こえるわよ」ヤレヤレ・・・


―――あんな感じ。


諫早「やれやれ。まだまだ若いな……おい、牛深ー! 野母崎(ノモ)ー! 周回遅れだぞー!」キッ!

牛深「あいあい……何でオレらはトレーニング側(コッチ)なんだか。普通指導側(アッチ)っしょ」ダラダラ・・・

野母崎「てか、建宮と対馬がアッチってのが気に食わん。コッチ来やがれ、アラサー組」ダラダラ・・・

諫早「馬鹿共! 無駄口叩いてると10週くらい追加するぞ!」ガーッ!

牛深・野母崎「「勘弁してくれ」」ウヘェ・・・


何故か若手と混じってトレーニングしてる兄貴分2人。先日羽目外して呑み屋で粗相した罰だとか何とか。

そんな彼らを後目に黙々と走る自分。それから隣で軽口叩く馬鹿二号。


浦上「にゃはは。あの2人は相変わらずですネー。建宮さんは良い様に逃げたのカナ?」フフッ・・・

香焼「お前、随分余裕だな」ハァハァ・・・

浦上「んにゃ。んな事ぁ無いですヨ」ニコッ

香焼「嘘吐け……何で自分のペースに合わせてんのか知らんけど、もうちょい前の連中辺りに付けよ」ジトー・・・

浦上「いやぁ此処で無理すると後々大変ですからネ。香焼のペースくらいが丁度良いんですって」♪


腹立つ事を。コイツはコイツでいつも上手に抜き所を選んでる。
僕の持久走ペースは並の中学男子のちょい早いくらいだが、天草式の若衆の中ではケツの方。
でも浦上は実際、中学三年にして超高校級のアスリートレベルだったりする。若衆の中ではそれこそトップクラスの筈。


浦上「まぁお姉達程じゃないですけど」チラッ

香焼「……、」タッタッタッタッ・・・


若手の先導集団―――騎士派の男子と並走する我らが若衆筆頭殿……と、嘱託結社のリーダーさん。そして武装修道女部隊の参謀殿。


若手エリート騎士's「―――」タタタタタタッ・・・

五和「―――」スタタタタタタッ・・・フゥ・・・

ベイロープ「―――」スタタタタタッ・・・ムッ・・・

ルチア「―――」スタタタタタッ・・・ハァハァ・・・


マジでプロの陸上選手かってくらい早い。今からアスリートとして転向してもやってけるだろう。


香焼「騎士派のエリート候補の人達も凄いけど……あの三人も男性に負けてない辺り、ヤバいよね」ハハハ・・・

浦上「いやはや。凄いスゴい」ヒョー

レッサー「フゥ……追い付いたぁ。なぁにが凄いんですか?」ピョコッ

浦上「およ? あら、レッサー」キョトン・・・


丁度僕らの真後ろからピッチを上げて詰め寄ってきた3人。


アニェーゼ「ハァハァ……アンタら早過ぎんですよ」タッタッタッタッ・・・

レッサー「アニェーゼっちー。無理に私に付いてくる必要無いですよ。それでも周回遅れしてるんですから」チラッ

アニェーゼ「うっせ……フゥ……こちとら部隊長っつー面子があるんですよ。ある程度キバんねぇと下に示しが付かねぇんです」ハァハァ・・・

浦上「頑張りますネー、隊長さんは。まぁそれでも部隊の中では真ん中くらいみたいですけど」フフッ

アニェーゼ「言ってくれるなっ……ハァハァ……これでもまだ12(歳)なんです……アンタらのペースが早過ぎなんですよ」グデェ・・・

レッサー「と言いますが私と貴女じゃ1,2歳程度しか変わらないんですよ。まぁ肉体派魔術師じゃないですからしゃーないか」フム・・・

アニェーゼ「くっそー……余裕ブッこきやがってぇ」ハァハァ・・・


いつの間にかアニェーゼのペースに合わせてる僕達。建宮さんに目付けられそうで怖いな。
さておき、先程から一緒に付いてきてたもう一人はというと―――


フロリス「……かったりぃ」ダラダラ・・・

浦上「にゃははは。ですよネー」ポリポリ・・・


―――不良娘2トップが並んでしまった。これは指導者側の目に入る。

しかし中堅の目も気にせず、グダグダと他愛無い話を続ける姉貴ーズ。


フロリス「ルチアっちは相変わらず真面目過ぎんだよ。こんな訓練、給料にもならねぇんだから手ぇ抜けっつの」ジトー・・・

浦上「まぁでも、お宅のリーダーと五和はガチであのスピードなんだろうけどネ」ジー・・・

レッサー「んー? 堅ブツさん(ルチア)は違うんですか?」チラッ

アニェーゼ「ふぅ……あの子、根性で付いて行ってるんですよ。実際のペースはもっと遅い筈です」ハァハァ・・・


では何故、後先考えずアップがてらのこのランニングで飛ばしているのだろう。


アニェーゼ「真面目なのもありますが単に負けず嫌いなんですよ、あの子。あとまぁ騎士派、ってか男性に負けたくないんでしょう」ジー・・・

フロリス「なるへそ」ヘー・・・

浦上「『女嘗めんな』って感じですかネ……いや『アニェーゼ(ウチの)部隊嘗めんな!』って方かな?」フーン・・・

フロリス「どっちもじゃないか」チラッ

アニェーゼ「さぁ、どうでしょ……ハァハァ……もうヤバい。あと何周ですか?」グデェ・・・

香焼「自分らがあと1周半だから……アニーは2周半かな。頑張ろ」フゥ・・・

アニェーゼ「うぃ」ハァハァ・・・


今更だが、この多目的グランドは並の陸上競技場程の広さがある。(400mトラック程)
加えて外周は、それなりの距離のランニングコースになっているのでアップには丁度良い感じだ。とりあえずペースを崩さない様にしないと。


浦上「え? もうあと2周なの?」キョトン・・・

香焼「おま……適当なペースで走ってるから確認してなかったな?」ジトー・・・

フロリス「んなモン必要無いっての……ったく。リーダーも何でこんな面倒訓練参加するなんて言い出すかなぁ」ハァ・・・

レッサー「うーん……あの人も変に真面目なとこありますからね」ハァハァ・・・

アニェーゼ「当たり前です。上に立つ輩が適当じゃ……ハァハァ……組織が成り立ちませんよ」フゥ・・・


説得力のあるお言葉。


アニェーゼ「ハァハァ……とりあえず、ウラカミ。フロリス」チラッ・・・

浦上・フロリス「「ん?」」キョトン・・・

アニェーゼ「アンタら、そろそろ真面目に走った方が身の為ですよ」フゥ・・・

浦上・フロリス「「え?」」ポカーン・・・


指導陣の方を顎で指す。そこには……怒髪天のクワガタ頭。


建宮「ウラぁー! フロリスー! 手ぇ抜いてんじゃねぇのよなーっ!」ウガーッ!

浦上・フロリス「「うげっ」」ギョッ・・・

神裂「まったくあの子達は」ハァ・・・

対馬「気持ちは分かりますけどね……2人とも! 前の集団追い越せなかったら騎士団長に一本入れるまで終わらない模擬戦だからね!」バッ

騎士団長「え」ポカーン・・・

シェリー「おうおう、キッツいねぇ」フフフッ

オルソラ「まぁまぁ。あの子達は最近お痛が過ぎているのでございますので……良い薬かと」ニッコリ・・・


ほれ見た事か。ざまぁみろ。

戸惑う騎士団長を余所に、勝手に話が進んでる様だ。勿論、困るのは騎士団長だけではない。


浦上「え、何それ!? ムリゲー!!」タラー・・・

フロリス「なっ……わ、私は別にアンタらの言う事聞く義理無いし―――」


五和「―――よっと。男女混合で7着……結構好タイムですね。でもベイロープに負けちゃいましたか」Pi!

ルチア「ハァハァ……ゲホゲホッ……流石に、疲れましたね……あー、私何着でしょう?」ヨロヨロ・・・

ベイロープ「ふぅ。何とか体裁は保てそうね……ルチアは12着。頑張ったじゃない……あ、騎士団長。フロリスお願いしますね」チラッ・・・

騎士団長「あ、はい」コクッ

五和「浦上もしっかり扱いてやってくださいね」ニッコリ

騎士団長「え、うん」コクッ


浦上・フロリス「「―――……、」」タラー・・・


突如、700m地点から無言で猛ダッシュを掛ける2人。速過ぎだ、アイツら。あからさまに手抜きがばれる。


レッサー「コウヤギ。そんじゃ私達も競争と行きましょうか? 私に負けたらスパッツかブルマ穿いて貰いますね」ニヤリ・・・

香焼「っ!?」ギョッ・・・

アニェーゼ「ぜぇぜぇ……アンタらも余裕あんじゃねぇですか」ジトー・・・


とりあえずブルマやらはさておき、女教皇様の前で無様な順位を晒すのは嫌なので400m地点でスパートを掛けた。
因みに……何とか勝てました。(レッサーの尻尾掴みました。反省はしてない、でも一応謝ってやる)



  ――一寸後・・・・・



香焼「ふぅ……疲れる」グデェ・・・

浦上「うげぇ……マジ危なかったぁ」ダラダラ・・・

フロリス「ホント、冗談キツいわ」ダラダラ・・・

レッサー「ふにゅぁ」ダラダラ・・・


休憩がてらのストレッチで多くの若手が愚痴っていた。
一応この訓練にもタイムスケジュール的なモノはある訳で、速くゴールした連中の方が必然的に長く休める事になる。
僕やレッサーは丁度真ん中の方なので比較的普通の休憩時間となった。

兎に角、今から始まるハードなスケジュールで節々を痛めぬ様、息を整えながら念入りにストレッチをしておく。
そんな僕らの近くに、スポドリを持った友人が駆け寄ってきた。


サーシャ「皆さん、お疲れ様です。とりあえず第一の補給ですよ」トコトコ・・・

香焼「あ、うん。ありがとう」コクッ


一応ロシアからの使者たる彼女は今回の訓練とは無関係。
しかし、義理堅いというか友人想いの彼女は参加はせずとも給水救護等の手伝いをしていた。


レッサー「サーシャぁ……貴女だけ参加しないなんてズルいですってー」ジトー・・・

サーシャ「と言われても。第一の回答ですが、仮にも一線を置いてる身なので」ハハハ・・・

香焼「そうだよ。こうやって水持ってきてくれるだけでも感謝しなきゃ」コクッ

レッサー「うぃ……あ。アニェーゼっちが到着ですね」チラッ・・・


ヨロヨロと此方に歩み寄ってくる部隊長殿。歳相応以下の体躯の割には頑張った方だと思う。

サーシャを見るや否や一目散に水を受け取り、ガブ飲みした後その場に転げ込む。


アニェーゼ「ハァハァ……ふぅ……きっつー」ゴロン・・・

サーシャ「お疲れ様です。第一の助言ですが、キチンとストレッチしないと硬くなりますよ。怪我の元です」スッ・・・

アニェーゼ「あんがと……ふぅ。まぁボチボチやりますよ」グググ・・・

フロリス「しっかし、こんな真面目な訓練すんのなんて始めてだな。アップでこれとは……キッツいぞ」フゥ・・・

レッサー「所詮、新たなる光(私ら)は結社ですからね。魔術以外の訓練なんてマトモにした事無いですよ……其方は?」チラッ

アニェーゼ「ふー……部隊(ウチ)はローマ時からこういう訓練してましたけど、やっぱ騎士派(野郎共)が居ると違いますね」ジトー・・・

浦上「天草式(ウチ)は基本男女混合でスポ根連中が多いですから」ポリポリ・・・


聖人たる女教皇様筆頭に、建宮さんや五和など、頭脳派より肉体派が多い部隊だ。
加え高校大学生くらいの年代も多い為、こういう基礎訓練では周りより秀でる事が多い。

まぁ……そん中でも僕くらいに半端な実力の者いるけど。


サーシャ「また卑下を。第一の意見ですが、コーヤギーはまだ身体が出来てないでしょう。所謂成長期真っ只中です」ピッ!

レッサー「今無理しちゃうとタダでさえちっこい身長が現状ストップしちゃいますよ。それはそれでショタキャラ貫けるでしょうけど」ニヒヒッ

香焼「むっ……レッサーやサーシャだってそんなに大きい訳じゃないじゃん」ジトー・・・

レッサー「べっつにー。私は女子ですから小柄で可愛い系でも通せますよーん」フフッ

サーシャ「馬鹿の意見はさておき、第一の反論ですが、お国の血筋柄多少無理をしても身長は伸びますので」ツンッ


畜生。日本人がチビなのが裏目かしい。
そんなこんなしてる内に、後続組が続々到着。時間的にもそろそろゴールしとかないと次の訓練を迎えるのに厳しい頃だ。


建宮「―――さて、と。殆どゴールしたみたいなのよな」ジー・・・

対馬「残り数名ね。リスト見る限りでは、まぁ予想通りの面子かしら」ハハハ・・・

騎士団長「どれどれ。んー……流石に男子は居ない様だな」フム・・・


指導者陣が次の訓練の準備に入る様だ。それにしても、まだゴールしてない人が居るのか。


浦上「流石に天草式(ウチ)の連中じゃないと思いますけど……あー」チラッ・・・

アニェーゼ「……はぁ」ポリポリ・・・

フロリス「やれやれ」フゥ・・・


よくよく考えたら、僕らの友人に体力事が苦手な娘も居たな。


香焼「……アニー」チラッ・・・

アニェーゼ「まぁあの子は、ホントこういうの苦手ですから。本人なりに頑張ってんでしょうけど」ムゥ・・・

レッサー「ウチのお嬢も持久力無いですからね」ハハハ


人には向き不向きがある。仕方あるまい。
そんなこんなやっている内に、次の課目が始まる時間帯。ボチボチ整列を開始いた辺りで……漸く彼女達が現れた。


アンジェレネ「ハァハァ……うー」ヘタヘタ・・・

ランシス「ゼェゼェ……もう、だめ」クタクタ・・・


ビリっけつ。ゴールと同時に芝生へ蔕り込んだ。

そんな2人の姿を見てか、整列の中から嘲笑がこぼれるのが聞こえた。


サーシャ「2人とも、お疲れ様です。と言いたいところですが……第一の報告です。もう次の課目ですよ」ポリポリ・・・

アン・ラン「「むきゅぅ」」グヘェ・・・


 クスクス・・・ アレ ドコノブタイダヨ  フフッ ローマダロ  アト、ショクタクノ・・・ クスクス・・・


ルチア「っ」ギリッ・・・

ベイロープ「ったく……あの子は」ヤレヤレ・・・

騎士団長「静粛に」キッ・・・

一同『……、』ピタッ・・・

騎士団長「アップがてらの長距離走御苦労。少しは堪えた様だな。えー、では次の訓練だが―――」


此方に向けて一言。団長さんが皆の意識を逸らしてくれた。
考えようには、二人を捨て置いて次のメニューに入ったといっても過言ではないかもしれないが……止むを得まい。


オルソラ「あらあら。クタクタでございますね。少々休んでから次のメニューに参加なさった方が宜しいと思いますよ」スッ・・・

アンジェレネ「だ、大丈夫……ハァハァ……です」グッ・・・

ランシス「むぅ……私は、ちょっと休むよ」クタァ・・・

サーシャ「アンジェレネ。第一の助言ですが、無茶をしないで。自分のペースで参加するべきですよ」トンッ

アンジェレネ「ふぅ……ありがとう、サーシャちゃん。ホント大丈夫だから。心配しないで下さい」ニコッ・・・


ヨレヨレと危なっかしい足取りで整列に加わるアンジェレネ。結局、碌に休憩も取らずに次の瞬発力・筋力トレーニングに参加していた。


神裂「やれやれ……対馬」フフッ

対馬「はいさ。いつでも救護出来る様にしておきます」コクッ

シェリー「タダの悪戯娘じゃねぇってこったな。ま、今日は旨いモン喰わせてやっか」ハハッ


あの根性は評価に値する、といった感じかな。


サーシャ「もぅ……第一の予想ですが、この場合貴女の判断が正しいと思いますよ。ランシス」チラッ・・・

ランシス「別に正しいとか間違ってるとかじゃないでしょ。とりあえず私はベストを尽くせる状態まで調子戻ったら参加するよ」フゥ・・・

サーシャ「賢いですね。まぁ因みに……第一の気休めですが、貴女がビリじゃないので悪しからず」コクッ


外周の方を指差すサーシャ。そこには―――


ステイル「ぜぇぜぇ……ハァハァ……ゲホゲホッ」グデリグダリ・・・

一同((((……えー))))タラー・・・


―――主教補佐殿の姿。


諫早「あー、主教補佐。あと4周残ってるぞ」ポリポリ・・・

ステイル「ぐぅ……何故……僕が、こんな学生の体育の授業みたいな事を……ゲホゲホッ!」ガビーン・・・

建宮「やれやれ。ステイルは特別メニューで午前いっぱいランニングさせる、で良かったのよな?」チラッ・・・

神裂「ええ、あの子は……ローラからそう指示されてます。今日一日でニコチン全部絞り出すくらい走らせろと」ジトー・・・


偶には運動しろ。軍覇を見習え。

 ―――とある日、PM04:30、英国、イギリス清教第零聖堂区『必要悪の教会(ネセサリウス)』敷地内、多目的グラウンド・・・・・





一通りの訓練が終了し、女教皇様が閉講宣言をした。騎士見習いも魔術師も若手一同は皆グッタリしている。
そんな中、ある者は律義に自主トレを始め、ある者は講師陣には内密に合コンのセッティングを始めたりしてる。

僕はというと……とりあえずステイルの介護。


香焼「んもー。だらしない」ハァ・・・

ステイル「」ウッセ・・・

香焼「何で外周8周に半日掛るのさ。仮にも教徒が見てる前でしょ」パタパタッ・・・

ステイル「」スキデ サンカ シタンジャ ナイ・・・ローラガ・・・コロス アノアマ・・・

香焼「何言ってるか分かんないっすよ。とりあえず今のステイルの姿、軍覇と最愛に写メ送って良い?」ジー・・・

ステイル「……勘弁しろ」グダグダ・・・


やっとの事身体を起すステイル。そのまま何処から取り出したのやら、煙草を咥えた。


ステイル「火」チラッ・・・

香焼「無いよアホ。てか此処禁煙だ」ハァ・・・

ステイル「知るか。あーもぅ……魔力練るのもダルいな」ボッ・・・

香焼(今喫ったら、きっと―――)

ステイル「っ……ゲホゲホッ! ゴホゴハッ!!」グラグラ・・・


―――言わんこっちゃない。気管支へのダメージとヤニクラの所為で再度ヘタり込むノッポ馬鹿。
相当むせたのか、嫌な咳が止まらない様子。良い薬だと思いつつも、可哀想なので水を渡してやった。


ステイル「ッ~~……う”ぅ……死ねる」ダラダラ・・・

香焼「ニコチンとタールに殺されるなら本望だとか言ってなかったっけ?」ヤレヤレ・・・

ステイル「喧しい、ぼけ」グデェ・・・

香焼「言葉に迫が無いっすよ。まったく、女教皇様に見つかったら何言われるか」ハァ・・・


未だ建宮さんや騎士団長達と今日の指導の総括やら振り返りをしているコーチ陣の方を見遣る。
すると、其方の方からトコトコ歩み寄ってくる影が見えた。


アニェーゼ「あら。まだ残ってやがったんですか。二人でひっそりホモホモしいこって」テクテク・・・

香焼「アニー……勘弁してよ」ハァ・・・


ホモ疑惑はこりごりです。


レッサー「え? でも……コウヤギはカミジョーと付き合ってるって皆言ってますけど……ねぇ」モジモジ・・・///

香焼「まだ言うか。尻尾捥ぐぞ」ジトー・・・

サーシャ「それについては追々聞きますが……先にマグヌス。第一の所感ですが、ダラしなさ過ぎます」ジトー・・・

ステイル「煩い。余計な御世話だ」フンッ・・・

アニェーゼ「主教補佐殿が下々の者と共に訓練に参加するなんて聞いてたんで、どんな鼓舞かと思いきや……呆れますね」ハハッ

ステイル「……黙ってろ」ムスー・・・


反論したくともまだまだ疲労が残っていて言い返す気力も無いステイルさん14歳。

さておき、そういう三人もまだ残ってたのか。


アニェーゼ「私は部隊長として、サーシャは今日の手伝い要員として訓練の総括に参加してたんです」クイッ

サーシャ「まったく、St.オルソラに捕まらなければ補給救護班の手伝いなどしなかったモノの」ハァ・・・

レッサー「とか言いつつ、模擬戦とか参加したくてウズウズしてた口じゃないんですかー?」ニヤッ・・・

サーシャ「だ、第一の反論ですが人を何処ぞの戦闘狂みたいに言わないで下さい!」ムゥ・・・


高位の魔術師とか高強度の能力者って、何故か分からないけど『心躍る闘い』みたいなのを求めるからなぁ。


レッサー「因みに私はリーダーを待ってました。今日はフロリスの車で来たんで全員揃わないと帰れませんでしたから」コクッ

香焼「成程……あ、そういえばアンとランシスは?」キョロキョロ・・・


出だしで遅れた所為か、その後の訓練も本調子では無かった二人。
ランシスのは瞬発力・筋力トレーニングをガッツリ休んでた御蔭で、その後の基礎魔術訓練やら模擬戦はボチボチ参加できてたが、
アンジェレネの場合、根性で最後まで付いて行こうとしてたのでダラダラと全力を出せないまま最後まで訓練に参加していた。


レッサー「ランシスは基礎魔術で気になった所があるみたいなんで講師陣に質問しに行きましたよ。まったく、私に聞けば良いモノの」ヤレヤレ・・・

サーシャ「第五の意見ですが、貴女は天才肌なのでモノを教えるのに向かないでしょう」チラッ・・・

アニェーゼ「天才肌なのは認めますが……それ抜きにして、レッサーからモノ教わろうなんて気にはならねぇですね」ハハッ

ステイル「珍しく同意しよう」コクッ

レッサー「酷っ! いやでもある意味褒められた?」ムーン・・・


僕から言わせれば此処に居る4人は一同、十代にしてエース級の『天才』と呼ばれる神童達だ。
才能無き者が有る者に追い付く為の『魔術』とはいわれるモノの、その『魔術』を開花・磨くという点で秀でている彼ら。
僕がどんなに努力した所で魔術師としては追い越すは愚か、追い付く事も出来ないだろう。


ステイル「……それで、アンジェレネは?」チラッ・・・

アニェーゼ「アンは……まぁ、うん」ポリポリ・・・

サーシャ「第四の返答ですが、先程までルチアにお説教を受けていましたね」アハハ・・・

レッサー「ほーんと、可哀想に。人には向き不向きあるんですから仕方ないですよ。ねぇ、スタミナGの主教補佐さん」ニヤッ・・・

ステイル「だから黙れ。弱点丸出し女郎」ニギッ

レッサー「ふ、ふにゃああぁっ!? し、しっぽはらめてくらさああぁいいぃっ!!」ミギャアアァ!!


武器にして弱点って如何なんだろう。諸刃の剣ってヤツかな。さておき、アンジェレネだが……今もルチアさんの説教を受けてるんだろうか。


サーシャ「いや、それは無い筈です。第二の解説ですが、先程ルチアはウラカミとフロリスに連れ去られてました」コクッ

レッサー「引き離したんでしょう。『普段の生活態度が現れてる』だとか『精進が足りない』とか憐れになる様な事言ってましたから」ハァ・・・

アニェーゼ「ったく。ルチア(あの子)は頭硬くて困ります。自分にも他人にも厳しいですから……美徳っちゃ美徳なんでしょうけど」ヤレヤレ・・・


五和や浦上もそんな事言ってたっけ。


レッサー「あ。でもさっきルチア、騎士派のイケメン'sに声掛けられまくってましたよね」ニヤリ・・・

アニェーゼ「あの子は絵に描いた様な敬虔なクリスチャンですからね。身内贔屓抜きでも容姿もベッピンさんですから」フゥ・・・

サーシャ「第三の補足ですが、スタイルも良いですしね。しかも色んな意味で『強い』女性……魅かれる男性は多いのでしょう」コクッ

レッサー「そのまま合コンでも行ってくりゃ良いのに。現にウラカミとフロリスに連れてかれそうになってましたけど」フフフ・・・

ステイル「フロリスが合コン行ったら、君ら車(アシ)無くなるんじゃないのか?」ヤレヤレ・・・


それ抜きで、浦上のヤツ……またもやルチアさんを悪い道に引き吊り込もうとしたがって。姉さんに言いつけてやる。

それは後にするとして……問題のアンジェレネさんは如何したのだ。


アニェーゼ「自主トレだと。アンジェレネ(あの子)はあの子で、思い込んだらとことん思い詰めるタイプですから」ハァ・・・

香焼「自主トレ……何処で? グランド内には見えないけど」キョロキョロ・・・

サーシャ「第五の返答ですが、外周をランニングしてます。律義にも苦手分野を特訓するんだそうで」コクッ

レッサー「クールダウンならまだしも、終わってからのマラソンだなんて……ぶっちゃけマゾもいいとこですよ」ヤレヤレ・・・


難とも根性論的思考。レッサーが言うとおり、まるで意味が無い。


ステイル「やれやれ。そんな無理をしなくともランシスの様に他に学ぶべき事があるんじゃないかい」フゥ・・・

サーシャ「同意します。第六の意見ですが、あまりに非効率かと。これでは徒労ですよ、部隊長殿(アニェーゼ)」チラッ


ポリポリと頬を掻き、困った顔をするアニー。言いたい事は何となく分かる。
頑固なアンに言っても無駄だし、何より彼女の意志を尊重したいといったところだろう。


アニェーゼ「まぁ夕飯までには戻る様、付き合うつもりですよ。それ以上続けるようなら耳引っ張ってでも連れ帰ります」ハァ・・・

レッサー「御苦労な事で……あ、リーダー終わったみたいです。じゃあ私はこの辺で」アハハ・・・

サーシャ「お疲れさまでした。また明日」コクッ

アニェーゼ「あいよ。お疲れさん……さーて、じゃあ私も―――」フゥ・・・


部隊長というより『お姉ちゃん』として『妹』を心配する様な顔。


アニェーゼ「―――ほれ、わんこーやぎ」グイッ

香焼「へ? ぐほっ!?」ゴロッ・・・

アニェーゼ「私だけ走んのも難ですから。連いてきなさい」ハリー!

香焼「は……えぇ? そ、そこの二人は?」タラー・・・

サーシャ「あ、わ、私はこの後大使としての仕事がー」ヒューヒュー・・・

ステイル「……そいやぁ仕事が溜ってるなぁ」キョロキョロ・・・

香焼「お、お前ら……自分も天草の仕事が―――」

アニェーゼ「かーんーざーきー! たーてーみーやー!」オーイ!

香焼「―――ちょ、アニー!?」タラー・・・


 ハイハーイ。  ナンナノヨナー?

アニェーゼ「わーんこー、借ーりまーすよー」ノ"

 ドーゾー。  チャント カエスノヨネー。


アニェーゼ「うぃ。良いって」クイッ

香焼「」チーン・・・


おー人事。おー人事。


アニェーゼ「そんじゃ行きましょうか」ズルズル・・・

ステイル(どなどなどーな~、ど~な~)ノシ

サーシャ(コヤギを乗ーせーて~)ノシ


やれやれ、薄情者共め……まぁやるからには頑張りましょうか。友人の為にも。

はい、今日は以上で。サブタイなのにアンジェレネが全然出ない謎。因みに、また書き溜めるかもしれません。

携帯投下については来週からの通勤時間と仕事内容に因りますので悪しからず。
因みに、クロスオーバーとかは割とやり尽くされてますよね。


それでは例の如く質問意見感想罵倒リクエストなど等、よろしくお願いします! ノシ”

こんばんわ。ボチボチ投下。寝落ちたらスマソ。

あ……私まだ劇場版見てないです……

まぁでも噂程度にどんなキャラかってのは知ってますので、差し支えない程度に弟子魔女やらアリサさん達をニュアンス出しします。
そんじゃよろしく。

 ―――とある後日、AM10:30、英国、イギリス清教第零聖堂区『必要悪の教会(ネセサリウス)』内、主教補佐執務室兼私室・・・・・



  カチッ・・・カチッ・・・カチッ・・・



ステイル「―――……ふぅ」ドサッ・・・

ステイル「流石に仕事を溜め過ぎたね」ヤレヤレ・・・

ステイル「しかしまぁ書類が多過ぎる。一応、僕のメインはデスクワークではなく現場の人間なんだが」ハァ・・・


  カチッ・・・カチッ・・・カチッ・・・


ステイル「チッ。ローラの奴、少しは自分で判を押せっての。僕と神裂に任せっ放じゃないか」カキカキ・・・

ステイル「ホント、『主教補佐』だなんて大それた肩書きが怨めかしいな。というか望んで就いた訳じゃないのにな」グデェ・・・

ステイル「なぁにが『それ相応のラベルがありける方が迫が出たもうてよ』だボケ。結局、仕事押し付ける為だろ」ポリポリ・・・スッ・・・


  カチッ・・・カチッ・・・カチッ・・・


ステイル「ったく、火が点かん……遣る瀬無い。とりあえず一服だな。コーヒーでも……おい、香や―――」チラッ・・・


    シーン・・・


ステイル「―――って……馬鹿か、僕は」ハァ・・・

ステイル「……、」ウーン・・・

ステイル「今日は香焼(アイツ)、都市に居るのか。じゃあ神裂も一緒だな」ムゥ・・・

ステイル「いっその事ローラに茶でも淹れさせるか……いや、止めとこう。何を盛られるか分かったもんじゃない」ハァ・・・

ステイル「あーもぅ……しっかし、この間の筋肉痛がまだ取れないな」コキコキ・・・

ステイル「運動不足、じゃない筈なんだけどね。定期的に身体は動かしてるし……何故だかなぁ」フム・・・


   Prrrrrrrrr!


ステイル「ん? 内線……じゃないな。携帯でも無い……あー」ジー・・・


   Prrrrrrrrr!


ステイル「PCのテレビ通話か。如何使うんだったかなぁ……おーい、香y―――だから僕は馬鹿か」ポリポリ・・・

ステイル「というか誰からだ? アドレス登録の仕方分からないから香焼とレッサー、サーシャ以外は非通知だし……無視ろうか」フム・・・


   Prrrrrrrrr!


ステイル「……、」ジー・・・プカー・・・


   Prrrrrrrrr!


ステイル「……、」ジー・・・プカプカ・・・


   Prrrrrrrrr!


ステイル「……だぁもう! 此処か? クリックするだけで良かったか?」Pi!


  ピコーン・・・・・


ステイル「あーはい。此方ステイル=マグヌス。ドチラさまで?」カチッ・・・

?????『あ! やっと出ました! おーい、ステイルさーん』ノシ”

ステイル「……え」ピタッ・・・ポカーン・・・

?????『もしもーし……あれ? 無反応? ちょっとお姉さーん。これちゃんと繋がってるー?』チラッ

??????『んー……おーい、根暗メンヘラツンデレロリコン公害煙スタミナG木偶の坊似非神父34歳。聞こえてるかー?』カチカチッ

ステイル「……聞こえないから切るぞ」スッ・・・

??????『何だ。聞こえてるじゃないか。というか通話に出るまで1分近く掛けるとか阿呆か、貴様は』ヤレヤレ・・・

?????『もう、お姉さん。そういう口の悪い言い方しないの! ごめんなさいね、ステイルさん』ペコッ・・・

ステイル「いや……君は悪くないよ、パトリシア。悪いのはそっちの性悪ブラコン黒幕気取り似非カリスマ10ちゃいな姉の方だ」ハァ・・・

レイヴィニア『よしっ。その喧嘩買った』グイッ

パトリシア『んもー。だから売り言葉に買い言葉は駄目ですって! 二人とも子供なんだからぁ』ムゥ・・・