綾乃「あざとくないですから!」ちなつ「杉浦先輩ほどヘタレじゃありません!」 (83)


生徒会室



綾乃「歳納京子ったらまたプリント出し忘れてるわっ」


千歳「あら…そうなん?」

 
綾乃「まったく歳納京子ったら…いつもいつも面倒なんだから」


綾乃「行くわよ!」


千歳「ええよ~」


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学校玄関



あかり「ちなつちゃん、せっかくだから今日一緒に遊ばない?」


ちなつ「ごめん、そんな気分じゃないんだよね…」



綾乃「(歳納京子~♪…ってあれ?玄関で話してるのって赤座さんと吉川さんじゃ…)」


千歳「ごらく部休みなんちゃうかな」

綾乃「あの赤座さん…今日ってもしかしてごらく部休みだったり…?」


あかり「あっ杉浦先輩、ごらく部はその…京子ちゃんと結衣ちゃんが…」


ちなつ「今日は休みです。杉浦先輩もプリント届けるの諦めたほうがいいです」


綾乃「え…なっ…どうして?」


千歳「提出期限が今日の放課後までなんよ…歳納さんは部室におるん?」

あかり「京子ちゃんいるけど…今日はなんか特別な日とか言って」


ちなつ「あっ、そうでしたか。杉浦先輩はまだ知らないんですね」


綾乃「何のことかしら…?」


ちなつ「でしたら、一度部室に足を運んでみてもいいですかもね」


ちなつ「杉浦先輩の目で確かめるといいですよ」


綾乃「まさか…」ウッ

―――――――――――――――――
ごらく部部室



綾乃「(たしか吉川さん…戸を開ける前に中の様子をこっそり確認した方がいいって言ってたわよね…)」


千歳「待って綾乃ちゃん……」


綾乃「……えっ…」

綾乃「…っ……」ゴクン












結衣「京子…大好きだよ///」


京子「えへへ、私も大好きだよ…結衣///」ムギュッ


結衣「嬉しいよ京子…」ギュ

京子「このまま二人だけで居れたらいいね」


結衣「そうだな」


京子「でも昨日夜遅くまで起きてたから眠くなってきたなぁ…」


結衣「じゃあ今日はこのへんにして置こっか。綾乃たちが来たら困るし」


京子「なんか学校でってのもスリル感あっていいね」


結衣「ま…まあな」


結衣「でもあかりたちには悪いから今日は特別な…」

―――――――――――――――――――

生徒会室へ戻る途中



綾乃「(私は思い出した…あの放課後のこと。何だか現実帯びていなくて、ただただ顔が熱くて、何が何だかよくわからないままに時間が過ぎていった…)」



綾乃「(たしか私…最後に励ましてたような…)」



綾乃「(私ったら馬鹿ね…かってに自分の中で夢だと思ってたんだわ…。またいつも通りの日々が続いていくのだと…ただそう思ってた…)」



綾乃「ぐずっ…ぐす…っ……私っ…私っ…」ウルウル


綾乃「(なんでだろう、思い出した途端に涙が…)」


千歳「綾乃ちゃん…」


千歳「(あんだけ歳納さんのことが好きやったんや…無理もあらへんな……)」



生徒会室




綾乃「…ぅぅっ………」グスン


千歳「綾乃ちゃん…もう泣かへんで…」


千歳「こればかりはどうすることもできへん…ごめんな…」



向日葵「すっ…杉浦先輩、一体何があったんですか?」


櫻子「あっ、杉浦先輩どうしたんですか?」


千歳「(古谷さんたちもだいぶ心配しとるねん…)」


千歳「綾乃ちゃん…古谷さんたちには話していいんちゃうかな…?」


綾乃「…ぐすっ………うん」


―――――――――――――――――――――――――






向日葵「まさか歳納先輩と船見先輩が付き合っていたなんて…思いもしませんでしたわ…」


向日葵「(幼馴染だってことは知ってましたけど…)」


櫻子「えっ、向日葵まだ知らなかったの!?」


向日葵「な…なんですって?」


櫻子「もうとっくに付き合ってるよ。大体一週間くらい前からかなぁ」

櫻子「あかりちゃんやちなつちゃんの話だと、ちょっとイケない関係だったりして」イシシ


向日葵「ちょっと櫻子、今は…」


櫻子「あっ、ごめんなさい…」


櫻子「(調子に乗ってつい……)」

……………………………

ちなつ「櫻子ちゃんには話したくないんだよね…」


ちなつ「すぐに人にベラベラ喋っちゃうし」


櫻子「絶対誰にも言わないと固く誓いますんでっ、そこをどうかお願いします」ペコ


ちなつ「ったくもう、そこまで言うなら…」ハァ


ちなつ「…」ヒソヒソ


櫻子「えっ…まじで?」

……………………………


櫻子「(ううっ…ちなつちゃんごめんっ…)」

綾乃「…っ……ぐすっ……」ズズッ


千歳「歳納さんも船見さんもいい人だし、きっとこれからも仲良くしてくれるはずやで。せやから…」


綾乃「私…私……私ったら……ちゃんと本当の気持ち伝えられなかったの…」


千歳「えっ…」


向日葵「えっ」

櫻子「も、もしかして告白されたんですか…?」


綾乃「そうじゃないわ……」


綾乃「先々週の金曜日の放課後…誰もいない教室で…私は歳納京子と………」












10日前




綾乃「い…いきなり、ふたっ…二人きりで話したいなんて、どど…どうかしたのかしら?」



京子「綾乃……」



京子「綾乃の正直な気持ちを伝えてほしいんだ。その…綾乃は私のことどう思ってる…?」

綾乃「ええっ…なななんで急に///」カァ



京子「ホントいきなりで意味分かんないよね…ごめんね…」



綾乃「……」



京子「じつはさ…今自分ではどうしようもないほど気持ちが混乱してて…」



京子「もう…どうしたらいいか……わかんない…っ……」ポロポロ



綾乃「と…歳納京子……」


京子「ごめんね…いきなり泣いちゃって」



京子「綾乃っ」ガッ



綾乃「えっ…えっ…///」



京子「綾乃の『好き』は本気なの!?」



綾乃「本気って……えっ///」


京子「最初ね…みんなのこと思い浮かべていたら…私の頭の中では四人の人影が最後まで残ったの…」



京子「きっとそれが今…私が気になっている人なんだと思う…」



京子「でもすぐに…そのうち二人に対しての『好き』はたぶん違うって思ったの…」


京子「お願い…っ…私は綾乃が傷ついちゃうことなんて耐えられない…」グスッ



綾乃「(どうしよう、私なんて言ってあげたら……)」







綾乃「べ…べつに私はどうも思ってないわよ」


京子「あ…綾乃…?」

綾乃「もう…歳納京子ったら勘違いしないでよね。と…というか、歳納京子がそんなことで悩むなんて罰金バッキンガムなんだから!ね」


京子「綾乃……うふっ」


京子「そんなこと言って…もしも私が誰かと付き合うことになったら綾乃は寂しいんじゃないの?」


綾乃「だっ、大丈夫よ…私には千歳がいるし…。どんな時だってあんたらしく自分のことを大切にしなさいよ」


京子「ありがとう。綾乃のおかげで決心できたよ」




綾乃「う…うん」

京子「あっ、結衣待たせてるんだった。それじゃっ、綾乃」

綾乃「うん、それじゃまた…」

ガラガラ スタスタスタ




シーン

綾乃「(今この教室には私一人ね……)」






綾乃「なんだろう…私ったら歳納京子と話せて嬉しかったのかしら…」




ガラッ

千歳「綾乃ちゃん?」

綾乃「千歳!?い…いつから」


千歳「綾乃ちゃんが歳納さんと約束あるから言うて、随分と時間経っとったから」


千歳「まさか誰もいない教室で二人きりで…」


綾乃「べつにそんなんじゃないわよ。えっと…なんのことだったかしら…」


千歳「そんな嘘つかなくてもいいやんか~」


綾乃「いや、本当になんだったか思い出せない…。私…歳納京子と何の話を」


千歳「思い出したら教えてな…?」

――――――――――――――――――――
千歳「そうだったんや…」


綾乃「あの時ちゃんと気持ちを伝えていれば…もしかしたら結果は違っていたかもしれない…」


綾乃「私の馬鹿…なんで正直に好きって言えなかったの…」ポロポロ


西垣「まっ、そこまでされて好きと言えないなら、この先だって歳納とはそれ以上でもそれ以下でもない微妙な関係。そうなんじゃないか?」

向日葵「えっと西垣先生、杉浦先輩を傷つけるような発言はどうかと…」


西垣「たぶん船見はちゃんと素直に『好きだ』って言ったんだろうよ」


綾乃「…っ」


向日葵「西垣先生」


西垣「あいつら、普段から仲いいから余計に照れくさかったんじゃないか。船見はよく頑張ったな」


向日葵「西垣先生!!」

西垣「ああすまんすまん。私も大人げなかったようだ」


千歳「西垣先生…」


西垣「ん?」


千歳「綾乃ちゃんだって分かってます…」


西垣「私は嫌われたって構わないよ。松本がいるしな、なぁ松本?」


りせ「…」ヒョコ


りせ「…」プイッ


西垣「おおい、松本っ!」

西垣「違うんだ、松本、私が極悪人みたいに勘違いしないでくれ。まあ最後まで話を聞けって」


りせ「…」


西垣「杉浦…お前はこれからも出会いっていうのがあるはずだ」


綾乃「……」コクリ


西垣「私は杉浦が同じ過ちを繰り返さないためにアドバイスをしたかっただけなんだ」

西垣「わかってくれたか…な?」


松本「…、」プイッ


西垣「おい松本~、最初からそう言えばいいじゃないかってたしかにそう言ったら元も子もないけどな…私は大の大人として厳しい現実というものを」


綾乃「ありがとうございます」


西垣「おっ」ピカ


綾乃「私は西垣先生の考えは受け入れられないです」

西垣「っておい…」ガクン


綾乃「よく考えてみたら、もしあの時私が『好き』といって歳納京子を混乱させてしまったら、歳納京子が辛くなるだけですもの…」


綾乃「それに…」


西垣「まだあるのか…?」


綾乃「やっぱりまだ言えませんわ…」


西垣「…?」


綾乃「歳納京子に対する気持ちがどんなものだったのか…私自身ですら上手く説明できませんし」

綾乃「仮にもし私が歳納京子と付き合ってしまったら、私よりもずっと傍で見守っていた船見さんが可哀相よ…」


西垣「おい待て。気持ちの切り替えが早すぎやしないか杉浦は…」



西垣「まあどうやら杉浦のほうが一つ大人だったようだ。今回ばかりは私の負けだ」


スッ


千歳「綾乃ちゃんどこか行くん?」


綾乃「ええ、帰るわ…」


ガチャ バタン





西垣「杉浦…強く生きろ」

向日葵「一件落着ってところでもなさそうですが…」


向日葵「それにしてもあなたはさっきの気まずい状況の中でよくノウノウとプッキーかじってられますわね」


櫻子「だって退屈なんだもん」

向日葵「あなたには呆れを通り越して尊敬の念を抱きますわ」


櫻子「尊敬してくれんの?ありがとー」


向日葵「全く駄目ですわ…」


千歳「(綾乃ちゃんほんまに気持ちの整理がついたのかなぁ…)」



千歳「ごめんな…うちも綾乃ちゃんが心配だから今日は帰らせてもらうわ」


―――――――――――――――――――――――――
帰り道



綾乃「(あれは吉川さん…一人で公園のベンチになんて座ってどうしたのかしら)」


綾乃「(そういえばたしか、吉川さんも船見さんに相当懐いていたわよね…)」


綾乃「(そうだ…吉川さんなら私の気持ちを一番分かってくれるかもしれない)」




綾乃「えっと…吉川さん?」


ちなつ「あっ、はい…って杉浦先輩!?」

この辺で一晩寝床に就きたいと思います

綾乃「こないだのことだけど…実際に船見さんと歳納京子が抱き合ってるところを見てしまったわ」


ちなつ「そうですか…」


綾乃「今は辛い時期だと思うから、お互い支え合っていきましょ?」


綾乃「なんだか馴れ馴れしくてごめんなさいね…普段からあまり話さないのに」


ちなつ「そうやって京子先輩にも話しかければよかったんじゃないですか…」


綾乃「えっ…今何か…?」


ちなつ「ええ、そうやって京子先輩にも積極的に話しかけてればよかったんじゃないですかって」


綾乃「そ、それは…」


ちなつ「私はちゃんと結衣先輩に自分の気持ち伝えましたから。最初から結衣先輩は私に振り向くことはないって、薄々気づいてはいましたけどね」


綾乃「…」


ちなつ「ただ、胸の内にずっとしまっているほうが嫌でしたので。後悔なんてしてませんよ」


ちなつ「寧ろすっきりしてます」

綾乃「そう…そうよね…そうじゃないとやっていけないものね」


綾乃「(先輩として恥ずかしいわ。吉川さんはもう前を向き始めて…)」


ちなつ「って…」


綾乃「…?」


ちなつ「そんなわけないでしょうが…」ワナワナ


綾乃「吉川さん…?」アレ

ちなつ「本当は悔しくて…悔しくて」


ちなつ「私はもう結衣先輩に必要とされていないんだと…」グズグズ


綾乃「辛いのは分かるわ…。だからお互い話し合うことで少しは…」




ちなつ「ウフフ…そうだ…いいことを思いついたわ」


ちなつ「二人を別れさせればいいんだわ」ウフフフフ


綾乃「ちょっと吉川さん、あなたなんてことを…」


ちなつ「もちろん私も強引な手段は使いたくないです」



ちなつ「杉浦先輩、まだ京子先輩に未練があるんですよね?」

綾乃「…」

ちなつ「その様子だとあるんですね」


綾乃「だっ、だからって、あなたには関係のないこと…」



ちなつ「京子先輩を気を引きつけてほしいの」


綾乃「ななな…何を言ってるのあなたは」


綾乃「もう付き合っているわけですし、そんなことできるはずないじゃん」



ちなつ「できますよ…」


綾乃「!?」

ちなつ「京子先輩の性格を思い出してください」


綾乃「歳納京子の性格…?」


ちなつ「そうです。誰にでも気があるように振る舞う、自分本位の性格」



綾乃「たしかに言われてみればだけど…」


ちなつ「スバリ言いますと、京子先輩は簡単に心変わりするはずです」


綾乃「ええっ…ま、まさか…いくらあの歳納京子でもそんなこと…」

ちなつ「杉浦先輩はだからヘタレなんですよ」


綾乃「へ…ヘタレって、あ、あなたね」


ちなつ「京子先輩が好きなら、今からでも行動で見せてみればいいんじゃないですか?」


綾乃「(この子の本性がこんなに腹黒いものなんて…)」



――――――――――――――――――――――――――――――

私はひたすら結衣先輩にアタックし続けますので、杉浦先輩は京子先輩を動揺させて下さい。杉浦先輩が京子先輩を陥れたなら、結衣先輩は諦めるはずです…きっと…




ちなつ「結衣せんぱぁ~い、たとえ結衣先輩が振り向いてくれないとしても、私は結衣先輩のことだけを想い続けてますぅ~」


結衣「あ、ありがとちなつちゃん。気持ちは嬉しいけど、答えてあげられなくてごめんね」


ちなつ「いいんですぅ、私は死ぬまで結衣先輩の看病してあげますから」


結衣「ち、ちなつちゃんありがとう…」


結衣「(どうしたんだろう…今日のちなつちゃん、なんか怖い…)」


綾乃「(吉川さん…明らかに壊れてるわ…)」


綾乃「(あんなこと…友達にすることじゃない…)」


トコトコ



京子「おう、綾乃―、どした?」


綾乃「あっ、いや…その…」


綾乃「船見さんとは上手くいってるのかしら…?」


綾乃「(って、私ったらなんてこと聞いてるのよっ…)」


綾乃「(お互い気まずくなるだけじゃないの…)」

京子「正直微妙かな…」ワラワラ


綾乃「そ、そう…」



綾乃「(二人で熱いハグまでしてたっていうのに…)」


京子「心配してくれたの?ありがとね、綾乃」


綾乃「え、ええ、当然でしょ」アハハハ



京子「…付き合うってなんだろうね…」


綾乃「えっ?」


京子「いやなんでもない。それじゃねー」


綾乃「ええ…また…」

――――――――――――――――――――――――――――――――――

綾乃「ふぅ…」



ちなつ「ちょっと、杉浦先輩」


綾乃「よ、吉川さん?もしかして見てたわけ?」


ちなつ「なにが『ええ…また…』ですか。気を引く気ないんですか?」


綾乃「ええ、私は吉川さんには協力しないわ」

ちなつ「そ、そうですか…」


ちなつ「(困ったわ…これじゃあ作戦が台無しよ…)」


ちなつ「(あっ)」


ちなつ「たしか杉浦先輩の話で、京子先輩が少なからず想いを寄せていた人物が四人居たって言ってましたよね?」


綾乃「そ、そう…でしたっけ?」


ちなつ「一人は結衣先輩、もう一人は杉浦先輩…残りの二人は」


綾乃「さあ……というか、それを知ってどうなるのよ?」



ちなつ「千鶴先輩……」


ちなつ「そうだわ、千鶴先輩だわ!」

綾乃「ちょっとあなた、次は何を…」



ちなつ「(杉浦先輩は全然使えない)」


ちなつ「(ここは千鶴先輩を説得させて、京子先輩を動揺させることができれば…)」


綾乃「(嫌な予感がするわ…)」

――――――――――――――――――


ちなつ「というわけで千鶴先輩、京子先輩に…」


千鶴「悪いが私は協力しない」


ちなつ「な、なんでですか?」


千鶴「なぜ私がお前の言うことを聞かなければいけないのか理解不能だ」


ちなつ「うぐっ」ムキーッ


千鶴「それに、むしろ歳納なんたらという邪魔な存在が消えた今こそ、姉さんが杉浦さんに近づくチャンスだから」



ちなつ「そうですか、これを見てもそんなことが言えるんですか?」チャリチャリ


千鶴「それは姉さんが杉浦さんと買ったお揃いのアクセサリー…なんでお前が」


ちなつ「さあ、どうしてでしょう。私にとってはどうでもいいものですから、川に投げ捨てちゃうこともできるんですよ?」


千鶴「おい、お前いい加減にしろよな」


ちなつ「川に捨てちゃってもいいんですね?」チャリチャリ


千鶴「…くっ……」

――――――――――――――――――――――――

廊下



京子「おっ、千鶴―」


千鶴「…」


京子「あれ…どした?元気…ないのか」


千鶴「気をつけろ」


京子「えっ、急にどしたの?」


千鶴「吉川がお前ら二人を引き離そうと企んでる」


京子「う、嘘だよね…?てかなんで千鶴が…」


千鶴「忠告はした…」スタスタ

―――――――――――――――――――


教室



櫻子「えーっ、そんな悪い人には見えないけどなぁ」


ちなつ「櫻子ちゃんと向日葵ちゃんに力になってほしいの」


櫻子「ちなつちゃんの頼みだもん、何でも引き受けるよ」


向日葵「私も何か吉川さんのためにできることがあるのでしたら」

一旦落ちます

ちなつ「(このまま順調に味方を増やしていけば…)」


―――――――――――――――――――
生徒会室




綾乃「…」ハァ…


千歳「綾乃ちゃん、吉川さんは歳納さんと船見さんを別れさせるつもりなんよ。千鶴が言っとったよ」


綾乃「知ってるわ…」


綾乃「あまりに酷いようだと、ほっておくわけにもいかないかもしれないわね」


千歳「そやね、でもうちは綾乃ちゃんと歳納さんの妄想が出来るようになるから嬉しいねんけど」


綾乃「千歳…いくらなんでも今の発言はどうかと思うわ」


千歳「ごめんな、でもうちは歳納さんの相手は綾乃ちゃんが相応しいと思うで」


綾乃「ありがとう千歳……」


――――――――――――――――――――――――

ごらく部部室



あかり「京子ちゃん、結衣ちゃん、大事な話って?」


京子「実はさ、私達付き合うのはやめようと思う」


あかり「え、えっ…」


結衣「いろいろ考えたけど、それがやっぱり一番いいかなって」


あかり「で、でも…やっと京子ちゃんも結衣ちゃんも恋人同士になれたのに…」


京子「いいのいいの、私達にとっては恋人同士でも幼馴染でもほとんど変わりなかったから」エヘヘ


結衣「それよりも、あかりとちなつちゃんがまたごらく部に帰ってきてほしいなって」

結衣「こんなの…私達が望んだごらく部じゃないから…」


あかり「結衣ちゃんごめんね…」グスン


あかり「あかり京子ちゃんと結衣ちゃんを応援したかったのに…」グスン


京子「あかり、ありがと…。あとでちなつちゃんにも伝えてくるよ」


あかり「京子ちゃん…」

京子「結局付き合ってみたって感じで、恋人らしいことは何も出来なかったけどね!」


あかり「(あれ…?何かおかしいな)」


あかり「きょ、京子ちゃん…もぉ嘘つかなくても」


京子「えっ?嘘って」


あかり「京子ちゃんと結衣ちゃんが抱き合っているところを…ちなつちゃんと」


京子「んん?」

結衣「ま…まさか…」


結衣「これって…」


京子「ゆ、結衣、そんなわけないよ!」


京子「あれって…ゆ、夢…じゃなかったの?」


結衣「あかり、それっていつの出来ごとだかわかる…?」


あかり「えっとぉ…先週くらいかな、放課後ちなつちゃんと部室に行ったら…」


あかり「京子ちゃんと結衣ちゃんがいきなり熱々のカップルさんみたいになってて、あかりには
まだ刺激が強いかなぁって…」アタフタ


あかり「でも…ちなつちゃんは付き合ってるんだから当然でしょって」

京子「(ちなつちゃんも相当ショックだったろうな…)」


結衣「(やっぱり何かおかしいと思ってたんだ…)」



あかり「あれ…京子ちゃんも結衣ちゃんも様子が変だけど、何かあったの?」


京子「私達…そのことについてよく思い出せなくてさ」


結衣「恐らく、西垣先生から貰った怪しげなチョコが原因じゃないかな…」


あかり「えっと…西垣先生が!?」


京子「形もハート型だったし、見た目も美味しそうだったから結衣と1個ずつ食べたよね」

結衣「今考えれば疑うべきだったよな」


あかり「えっ…で、でもなんで西垣先生が…」


京子「たしか…」




(回想)


西垣「(おっ、いいところに)」


西垣「歳納、今チョコが完成したところなんだが、よかったら試食してみてくれないか?」


京子「本当にチョコですか?体の中で爆発とか…」


西垣「普通のチョコだ、ほら」


りせ「」パクッ


りせ「」モグモグ


りせ「///」ウットリ


西垣「松本もほっぺたが落ちるほど美味しいって言ってるぞ」


京子「たしかに、問題はなさそう…」

―――――――――――――――――――――――――
京子「って感じで、二つ貰ってきたわけだが」


結衣「バレンタインでもあるまいし、あの先生が普通のチョコを作るなんてあり得ないだろ」



京子「じゃあ今すぐ誤解を解かなきゃ」

京子「たぶん綾乃にも見られた可能性が高い…」



あかり「(西垣先生はその時はもう京子ちゃんと結衣ちゃんが付き合い始めたこと知ってたのかな…)」

――――――――――――――――――――――――――――――――


向日葵「(吉川さんの話…何かおかしい気がしますわ)」


向日葵「(遠回しに歳納先輩と船見先輩が別れてくれたら嬉しいみたいなことを言ってた気もしますし…)」ボソボソ


綾乃「あら、古谷さん」


向日葵「杉浦先輩…どうかしましたか…?」


綾乃「今、吉川さんがどうたらって言ってなかったかしら?」


向日葵「あ、はい…」


綾乃「詳しく教えてもらえないかしら?」


向日葵「(何でかしら…)」


向日葵「えぇ……」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

………………………………………

櫻子「ちなつちゃんは歳納先輩のこと嫌いなの?」


ちなつ「べつに、嫌いではないよ」



櫻子「そ、そっか…」


トタトタトタ

向日葵「吉川さん、今すぐ生徒会室に来てもらえます?」


櫻子「えっ、急にどうしたんだよ。私は今ちなつちゃんと作戦を立てて…」


向日葵「お願いだからあなたは黙ってて。いいかしら?吉川さん」


ちなつ「べつにいいけど」


櫻子「わ、私も付いていくよ」


――――――――――――――――――――――――――――――――――
生徒会室



ガチャ

ちなつ「失礼します」ソワソワ


ちなつ「…!」


ちなつ「(なんで皆しているんだろう…?あかりちゃんに、それに千鶴先輩まで…)」


ちなつ「(杉浦先輩方は私のことを睨んでいるように思えるし…)」


櫻子「お、おやおや皆さんお揃いのようで…」


櫻子「(こ…この状況はなんなんだ)」アセアセ


向日葵「櫻子余計な口は挟まないでくれる?今から大事な話がありますから」



ガチャ

京子・結衣「失礼します」


結衣「少し遅れてしまって申し訳ありません…」


西垣「おう、とりあえず本題のほうを」


京子「あっ、えっと…私達、別れることにしました」







ちなつ「えっ…」


ちなつ「(そんなはず…)」


向日葵「(先輩方可哀相ですわ…)」


櫻子「マジですかぃ…」




京子「ごらく部と生徒会の皆にはちゃんと伝えたいと思って、

今日このようなかたちで皆には集まってもらいました」


結衣「最後まで隠れて付き合うような形になってしまって、皆には悪かったと思ってます」


京子・結衣「ごめんなさい…」






ちなつ「きゅ、急にどうしたんですか…」


結衣「ちなつちゃんも、ごめん…」


京子「ちなつちゃん、私たちのあの部室での行為見てさ…嫌な思いしたんだよね」


京子「ごめん…」


ちなつ「京子先輩…?えっ…いや、そんなの付き合っていれば当然のことで…」

ちなつ「というか見てしまった私が悪いっていうか…」アセアセ

 

西垣「じつは私が作ったチョコレート(仮)が原因だったらしい」


ちなつ「そ、そうなんですか…」


ちなつ「って、ええええええっ!?」



綾乃「そ、そそそそそ、それは初耳だわ!?」


西垣「なんだ杉浦もか、いや~すまんすまん」


りせ「…」ヤレヤレ





千鶴「別れるってさ、思い通りになって良かったんじゃない?吉川さん」



ちなつ「は…?な、なによ」


綾乃「正直に言いなさい、あなたがしようとしていたことを」


ちなつ「わ、私は何もしてないしっ…」


千歳「うちらは知ってるんよ、吉川さんがしようとしていたことは」





綾乃「あなた、歳納京子と船見さんを強引に別れさせようとしていたでしょ?」

櫻子「えっ…」


結衣「そ、そんなはず…ちなつちゃんが」


ちなつ「(どうしよ…私大変なことしでかしちゃった)」


ちなつ「(本当にどうしよ…)」グスン



京子「それ、前に千鶴も同じようなこと言ってたけど、本当にちなつちゃんが私達を別れさせようとしていたの?」



向日葵「私はその手伝いをさせられるところでしたわ…」


櫻子「おい向日葵、裏切りかよ!私達ちなつちゃんの友達だろ?」


向日葵「もちろんですわ。でもいくら友達だからといって、人としてやってはいけないことは許してはいけませんわ…」


向日葵「櫻子もそれくらいわかるでしょう?吉川さんはきちんと歳納先輩方に謝るべきですわ」


櫻子「わっ、私は最後までちなつちゃんの味方をするからな!」


櫻子「ちなつちゃんだって前から船見先輩のこと好きだったんだよ…。仕方ないじゃんか」ウルウル



千歳「千鶴を利用して歳納さんを脅させようとしたことも知ってるんよ」


綾乃「そうよ…今すぐ二人に本当のことを言って謝りなさい。人として当然のことよ」



ちなつ「違う…私はそんなこと…そんなこと絶対に…」グスン




ちなつ「(失いたくない…)」




ちなつ「(本当のこと言ったら…もうごらく部に二度と顔合わせできない…)」


櫻子「ちょっ、みんなして責めたらちなつちゃんが可哀相じゃ…」




京子「(ちなつちゃんはたしかにたまに怖いって思う時があるけど…)」


京子「(……)」


京子「(決めたっ…)」






京子「私はその話信じれないな」


綾乃「とっ、歳納京子っ!?」


千歳「歳納さん!?」


京子「ちなつちゃんの性格は知ってるけど、ちなつちゃんはそんなことをするような子だとは思わないよ」


ちなつ「(えっ…京子先輩…なんで私を庇うの)」グスン

結衣「私も…。ちなつちゃんはやってないって言ってるし、第一ちなつちゃんを辛くさせたのは私と京子だから」


結衣「ちなつちゃんはしてないんだよね?」


ちなつ「…グスン」コクリ




ちなつ「(結衣先輩、京子先輩ごめんなさい。私は最低です…)」




ちなつ「(こんな私でも傍に居たいから…)」




綾乃「あなたいい加減にしないと…」


タッタッタッタッ

ガシッ


綾乃「相手が何も言わないからっていい気になって、図々しいんじゃないの!」


ちなつ「や…め………て」ウルウル


ちなつ「(もう消えてしまいたい…私なんて…死にたい…死にたい)」


千歳「あ、綾乃ちゃん…」


向日葵「杉浦先輩それはさすがに」




京子「あ、綾乃っ?離してあげて…ちなつちゃんが怖がって…」


結衣「ちなつちゃんになんてこと…」



ちなつ「…」グスン



綾乃「吉川さん」


綾乃「あなたっていう人は…あなたっていう人は…」


綾乃「あなたにとって船見さんは何なの?」


綾乃「大切な先輩じゃないの…歳納京子だって」


綾乃「あなたはこのまま騙し続けるつもり?」




結衣「もういいって…」


結衣「そんなのどっちでもいいよ」


綾乃「どっちでもよくない…」ボソボソ


結衣「綾乃はなんでそこまでして…」

綾乃「どっちでもいいわけないじゃないの!」



綾乃「私が…もし私が船見さんの立場だったら絶対許せないわ…」グスン


綾乃「やっと叶った恋なんでしょ…なのに自分以外の誰かに引き離そうとされるなんて…絶対嫌よ…絶対!」


京子「綾乃の気持ちはよく分かるよ…でも…もうちなつちゃんは許してあげて」











ちなつ「…ごめんなさい」




結衣「ちなつちゃん?」


ちなつ「杉浦先輩達が言ってることは全部本当です…」



京子「ちなつ…ちゃん?」



ちなつ「私…私…グスン……先輩方に最低な……グスン……ことを」






綾乃「(吉川さん悪かったわね…)」


綾乃「(でも仕方ないのよ…これが報いだから)」




櫻子「(ちなつちゃん可哀相だよぉ…許してあげてよ…)」


向日葵「(辛いですわ……)」


結衣「ちなつちゃ…」


ちなつ「結衣先輩…私も゛う結衣先輩にも゛京子先輩に゛も…゛顔向けでぎな゛い゛です…」グスン





京子「さてと…、久しぶりに四人で部活出来るね!ちなつちゃんも行こ!」


綾乃「えっ…ちょっ」



結衣「もう大丈夫だよ、ちなつちゃん。涙なんかもう拭いてさ」ナデナデ


ちなつ「だって私…」


結衣「今日のことはもう忘れてさ、ほら、これからもちなつちゃんの美味しいお茶飲みたいな」


京子「堕天使なちなちゅも可愛いよー」エヘヘ


ちなつ「…」グスン

京子「ちなちゅ?」


結衣「ちなつちゃん?」


ちなつ「もうどうすればいいかわからなくて……グスン……先輩方の優しさが辛すぎて…」


京子「ちなつちゃんのことは私達が一番よく分かってるから」


京子「本当はそんなことがしたいんじゃなかったんでしょ」


京子「ってもー、あかりはなんでちなつちゃんより泣いてるんだよー」


あかり「だって…だってぇ……グスン…また四人揃って一緒に帰れると思うと嬉しくって」


結衣「ごめん…あかりいたんだ?」


あかり「もぉ結衣ちゃん、あかりずっといたよぉ」

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バタン




綾乃「(全く…ヘタレはどっちよって……)」



綾乃「(でも吉川さんが羨ましいわ…)」



綾乃「(私…ある意味あの子に負けたのかしら)」



綾乃「(でも…)」

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帰り際



京子「綾乃もありがとう!綾乃とももっと話したいって思ったよ」


綾乃「そう?……こっちこそ…ありがと」


綾乃「私は何も出来なかったけど…」


綾乃「あと吉川さんにも悪かったと思うから、私からって言って謝っておいてほしい…」


京子「ちなつちゃんにね…大丈夫だよ。伝えとくね」





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おわり

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