静「幽霊屋敷に住もう」 (395)

※初めに

・このSSは「静・ジョースターの奇妙な日常」の続き・第九話です。
一応ジョジョのSSですが、大半がオリジナルとなっています。

・小説や読み切り等、もはやジョジョではない所からもネタを使っています。ご注意を。

・今回のお話、だいぶ短いと思います。

・長くなりましたが、書かせていただいます。

一話
静・ジョースターの奇妙な日常
静・ジョースターの奇妙な日常 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1363790589/)

二話
仗助「静のやばい物を拾ったっス」
仗助「静のやばい物を拾ったっス」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1365094145/)

三話
静「ジャンケン教師がやって来た」
静「ジャンケン教師がやって来た」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1367669400/)

四話
静「引きこもりのうちへ遊びに行こう」
静「引きこもりのうちへ遊びに行こう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1368951927/)

五話
静「泥棒をしよう」
静「泥棒をしよう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1370177583/)

六話
静「ペーパー・バック・ライターは父親に憧れる」
静「ペーパー・バック・ライターは父親に憧れる」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373404472/)

七話
静「お見舞いへ行こう」
静「お見舞いへ行こう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1379932767/)

八話
静「日本料理を食べに行こう」
静「日本料理を食べに行こう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1383137249/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1386418852

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

承太郎「やれやれ……やっと追い詰めたぜ」

チェスタ「……」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

メイ「ぐっ……うっ!ううっ!」

承太郎「有栖川メイ」

ドン

メイ「ちぇ……チェスタ、どうして……?」

チェスタ「……」

メイ「どうしてッ!?私を『裏切った』のッ!!?」

チェスタ「『裏切り』……?違うな」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

チェスタ「俺は最初から……メイ、君を利用していただけにすぎない。俺の目的……『幸せになる』という、大いなる野望のためにな」

メイ「…………」

チェスタ「教えてやろう。『天国』へ必要なものは……メイ、君の死だ。君が一度『スタンド』を捨て去ることで……死ぬことで、君は俺となり、俺は君となる。それこそが、『天国の時』に必要なものなのだ」

メイ「……何を……言っているの?チェスタ……」

承太郎「……」

チェスタ「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

メイ「私は……私の求める『天国』は、そんな所にない。私はッ……」

承太郎「……恨みは無い。しかし、第二の『DIO』となる存在を、捨て置く事は出来ないんでな……」

ザッ

メイ「待って!私は!私は――!!」

メイ「私の求める『天国』は――私の目的はッ!!」

承太郎「『スター・プラチナ』」

ドンッ!!

メイ「あ……ああッ」

スター・プラチナ『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ』

メイ「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

…………

…………

メイ「あああああああああああああああああああああ!!!」

ガバッ!!

チェスタ「……?」

ウォーケン「……」

メイ「……ハァッ!!ハアッ!ハァッ……」

杜王町、とある住宅――

メイ「ハアッ……ハアッ……ゆ……『夢』……?」

チェスタ「……どうかしたのか?メイ。酷くうなされていたようだが……」

スッ……

メイ「!!――私に近付かないでッ!!」

バシッ!

チェスタ「!……」

メイ「……ハァ、ハァ……」

チェスタ「……すまない」

ウォーケン「悪夢でも見てしまったのかい?」

メイ「……」

ウォーケン「僕もよく見る。精神が不安定な時……最も気にしている悪い出来事を、人は夢に見てしまうものさ。僕の悪夢はもっぱら、この平穏な日常が崩れてしまうというものだったが……」

メイ「……」

ウォーケン「近頃は見なくなったな。たぶん、もうすでに『平穏』なんて、崩れてしまったからだろうね」

メイ「……貴方の話はつまらないわ」

ウォーケン「これは失礼。学が無いものでね……吸血鬼が喜ぶ話なんざ、僕の口からは引っくり返っても出そうにないよ」

メイ「チェスタ……貴方は」

チェスタ「何だろうか?」

メイ「……私の味方よね?」

チェスタ「?……何を今更」

メイ「……」

チェスタ「……メイ?」

メイ「二人きりで……『天国の時』を待つのよね?」

チェスタ「……ああ」

メイ「その言葉に偽りは?」

チェスタ「無い。俺は神を愛するように、君の事を愛している」

メイ「……」

チェスタ「……非道い夢を見たようだな」

メイ「……殺される夢ばかり見るわ。これも全部……彼らのせいね」チラリ

チェスタ「……まさか、まだ追跡されているのか?」

メイ「3キロ先にいるわ。こちらに向かってきている」

チェスタ「居場所を変えたばかりだぞ」

メイ「こちらのいる所がわかるような、そんな能力を持っているようね。例えば、双葉双馬の『ペーパー・バック・ライター』のような……ね」

チェスタ「……日の入りまであと1時間はある」

メイ「コートでも日傘でも何でもいいわ。探して頂戴。ウォーケン、貴方は後始末を」

ウォーケン「死体ならもう消している」

メイ「私の髪の毛一本すら、残さないように消して頂戴。何を手がかりにして追跡しているか、解ったものじゃあないから」

ウォーケン「わかった。……君のご命令とあらば」

メイ「ああ……今夜はどこで休もうかしら」

チェスタ「……」

メイ「私はいつまで……惨めに逃げ惑いながら過ごせばいいの?このままだと、私……『天国』へと到達する前に、おかしくなってしまうわ」

ウォーケン「メイ、僕の家などどうだろう?」

メイ「却下よ。貴方にはまだ仕事がある。まだ貴方は死ぬべきじゃあないわ」

ウォーケン「……そうか。それは残念だ。君のためなら命など惜しくないのだけど」

メイ「掃除が済んだのなら、貴方は去りなさい。貴方には貴方の生活があるはずよ」

ウォーケン「そうだな。早い所『魂』を集めないと……バレないように、少しづつ確実に」

スタスタ……

メイ「行きましょう、チェスタ。次の隠れ場所を探さないと」

チェスタ「……」

メイ「……チェスタ?」

チェスタ「メイ……俺の戯言に付き合ってくれるか?」

メイ「……なあに?」

チェスタ「俺は今から不確かな事を言う。君にこんな話はしたくないんだが、仕方ない」

メイ「……」

チェスタ「……学生が話すようなただの噂話で、全くの嘘っぱちかもしれない事なのだが……」

メイ「?……」

チェスタ「……とっておきの、場所があるんだ」

…………

…………

シーラE「『ヴードゥー・チャイルド』」

ビシッ!

モゾモゾ……

『とっておきの、場所があるんだ……あるんだ……あるんだ……』

シーラE「……」

ガチャ

フーゴ「家には誰もいない。誰かが住んでいたという形跡もないな」

シーラE「けど、数時間前までここに吸血鬼がいたことは確かね。『後片付け』が得意な部下でもいるんじゃあないの?」

フーゴ「ああ。……民家だというのに、形跡が『無さすぎる』……奇妙なくらいに綺麗だ。ホコリ一つ残っていない」

シーラE「けど、ニオイは隠せていないわ。腐臭がする。東の方へ向かったみたいね。……太陽から逃げるように」

フーゴ「……『ヴードゥー・チャイルド』で、何か情報は?」

シーラE「何も。……向こうも私達に気付いてる。極力情報を漏らさないようにしているわ。……本当、面倒な奴らね」

シーラE「ただ……一つだけ」

フーゴ「何?」

シーラE「『とっておきの場所がある』……吸血鬼の仲間がそう言ったみたい」

フーゴ「とっておき?」

シーラE「場所については何も言ってない。その後すぐに逃げたみたいだわ。けれど、この言葉が『ヴードゥー・チャイルド』で浮き彫りになったって事は……」

フーゴ「……『聞かせたくない言葉』……って事か」

シーラE「全く、こんな任務になるんだったら、ムーロロの奴でも連れてくるべきだったわ」

フーゴ「意外だね。『見張り塔』の占いを信じているのかい?」

シーラE「私達が苦労してる中、アイツがのーのーとイタリアで茶をすすってるのが気に食わないだけよ」

フーゴ「それは同感」

シーラE「……急がないといけないわね」

フーゴ「……」

シーラE「『とっておきの場所』へ、逃げられる前に捕まえるわよ」

フーゴ「……ああ」

…………

今回はここまでです。

ムーロロが日本に来ていないのは、
ムーロロの能力が実は「占い」ではなく「暗殺」であるため、メイの居場所を予言することが出来ない→能力がバレることを防ぐため。
何かと理由をつけて
(あーっ、あっあっあっ、やめろッ、オレはニホンって国が本能的に嫌いなんだよッ)
来ていないという感じです。


今気付いたがタイトル「屋敷幽霊」じゃなくて「幽霊屋敷」なんだな

>>21
まあ、ずばっと言っちゃうと「屋敷幽霊」の話になりますね。

えー、水曜投下予定です。遅れて申し訳ありません。
年末年始忙しいというマジファックな仕事についているので(料理人じゃあないよ)
年明けまであまり投下出来ないと思います。もうしばらくお待ちを。
もう一つのスレの方は年末とかでも普通に投下できると思いますけど……。

雑談はすごく面白いし、好きでして、ここのレス見るのは毎日の楽しみなのですが、
出来ればこのスレにそった内容でお願いします。
改善点とかがわからないと、ひとりよがりの自己満足な作品になってしまいますので……
まあジョジョ話したいのはよくわかるよ!私もしたいもん!だから強くは言えないけどさ!禁書×吉良の話とかしたいけどさ!
ジョジョSS雑談スレとかたしかあったはずですし……そちらでお願いします。

>>54
禁書×吉良ってことはうちのスレ見てくれたのですか。ありがたやありがたや。実はあなたのSSのおかげで書いてみようっていう『やる気スイッチ』がオンになったのです
構成、セリフ回しは原作通りに。荒木先生が本当に書いてそうな雰囲気作り。参考になります。今の私の目標はあなたです。結婚しよ(アフリカンジョーク)
改善点は特にないです。ただ「初心忘れるべからず」とだけ。クオリティ維持が難しいですからね

雑談は私のスレとかでやって下さい。こちらと違って知名度ない単発物ですから埋まる事もないだろうし。

…………

キィ~ン コォ~ン カァ~ン コォ~~ンッ……

静「……」

スッ……

静「手首の角度は直角90°を保つ。各指は曲げずに真っ直ぐを保つ」

クイックイッ

静「ふぅぅぅ~~~~ぅぅぅ~~~~」

グルングルン

静「ふぅ~~~~」

グルンッ

静「手のひらを前へ……ひじも真っ直ぐ手首の角度は直角を保ったまま……一本ずつ折る。1.2.3.4.5……再び一本ずつ指を開く。2.3.4.5」

プルプルプル

静「……以上。授業終わりの『ストレッチ』……終わり」

ブラブラブラブラ

ガヤガヤガヤ

虻村「おうっ、静ァ~~帰んのかよッ?」

静「あったりまえでしょォ~~。学校にいてもする事ないしッ」

委員長「僕達、帰りに億泰さんの所に寄ろうと思ってるんだけど……静さんもどうだい?」

静「パ~~スッ。今日兄さん早く帰ってくるらしいから、美味しいご飯でも食べに連れてってもらうのよッ」

広瀬川「へえ~~。兄妹仲がいいんだね」

静「普通よ普通。いたって普通ウーッ。ていうかアンタ達、舌切られたばっかだってェーのに、よくまたあの店に行こうと思うわね」

委員長「まあ、君のせいでちょっとばかり奇妙な現象には、慣れっこになってしまったからね……」

虻村「それによォ~~あの店の料理が死ぬほど美味いっつーことは、紛れも無い事実だからなァ~~ッ!」ヨダレズビッ!

静「夜は普通に高いらしいわよ、あの店。虻村カネあんの?」

広瀬川「あ、そういえば静さん。『奇妙』といえば……」

静「なあに?」

広瀬川「最近学生の間で噂になってる、『幽霊屋敷』って知ってる?」

静「『幽霊屋敷』ィ?海の底の色を知らねーように、そんな話は知らないわ」

広瀬川「ううん、静さんなら何か知ってるかも、って思ったんだけど……」

委員長「何だい、『幽霊屋敷』って?」

虻村「まーた康司の『オカルト好き』が始まったぜェ~~。『杜王町七不思議』はもういいのかよッ?」

広瀬川「これはその『七不思議』に新たに加わるかもしれないって言われてるくらい奇妙な話なんだけどさ……ほら、『七不思議』の『人体模型の呪い』って、本当は人が引き起こした快楽殺傷事件だったっていう話でしょ?」

委員長「その話も噂話じゃあないか。犯人が捕まったっていうさ。……まあ、『人体模型の呪い』の噂を、聞かなくなったのは事実だけどね」

広瀬川「実はね……ここではない何処か、この世とあの世の境界線に……『存在しないはずの屋敷』があるんだってさ」

静「『存在しない』?」

広瀬川「建っているはずのない場所に建っていて、もう一度そこに行こうとしても簡単には入ることが出来ないんだって。……それでね、その屋敷の中は、見るも無残に荒れ果てていて……」

委員長「……」

広瀬川「壊れた食器や窓ガラスに混じって……人のバラバラになった死体が転がっているんだって。それをやったのは、血に飢えた凶暴な幽霊なんだ……っていう話……」

静「……」

虻村「……ゴクリ」

静「うーん……20点かな」

広瀬川「えッ?」

静「怖い話としてはオソマツよ。その幽霊の生前のこととかをもうちょい練ったほうがいいんじゃあないのォ?あと、日本の怖い話なら、スプラッターよりも忍び寄る怖さっていうのが欲しいわね。……直接的な死の描写じゃあなくって、背後に立つだけとか追いかけてくるだけとか……そういう風な感じのほうが怖さ倍増じゃあない?」

委員長「……冷製なダメ出しだね」

広瀬川「い、いやっ!これはボクが考えた話なんかじゃあなくって!最近噂になっている話なんだよッ!」

静「それに、幽霊って別にあたしにとっては、『奇妙』でも『怖く』もなんともないわよ」

虻村「強がってんじゃあねーよッテメェ~~」

静「強がりっていうかさ……ほら、あたしって……『能力』を持っているでしょう?」

広瀬川「ええっと、たしか『守護霊』だっけ?」

委員長「『スタンド』って呼んでたっけ、君はたしか」

静「そう。『スタンド』……生命力が形となって見えるようになったもの。その生命力がさ、何か強い心残りとか未練とかで、死んでもこの世にしがみついたとしたら……それって『幽霊』って言えるんじゃあないの?」

虻村「フーン……よくわかんねェぜ」

静「だからさ、『幽霊が出る屋敷』だったら、普通に存在する可能性があるっていう話ッ。『存在しないはずの屋敷』っていうのはスゴイ興味があるけど、ただの『幽霊屋敷』に言うほど興味は無いわねーッ。死んだ魂があたしと一緒に、冒険してくれる事なんて無いでしょう?」

広瀬川「それは……そうだろうけど……」

静「どーせなら『屋敷』のほうが『幽霊』だったら面白いんだけどねーッ!アハハハハハハハハハ!」

…………

…………

仗助「静、これから『屋敷幽霊』に行くけどよォ~~……ついて来るか?」

バン

静「……」ポカーン

康一「静ちゃん、お帰り。お邪魔しているよ~、学校生活にはもう慣れた?」シタッ!

静「ええ、はあ、まあ……じゃあねーだろッコラッ!帰宅直後に全く意味わかんない事言うなよなァァ~~ッ!!」

静「康一さんがいるって事は置いておくわ。……どうもこんにちは。狭くてキタネー家ですけどゆっくりして下さい」ペコリ

康一「いやあ、成長したねェ~静ちゃん。ちょっと前までこーんな小さい赤ちゃんだったのに」

仗助「狭くて汚いって……おれがガンバッて建てた新築の家を、何だと思ってるんだよッコラッ」

静「兄さんだって、何だと思ってるのよッ」

仗助「は、はあ?」

静「一戸建ての家に住んでるくせに……『幽霊屋敷』ィ?そんなのに興味あるっての?意外とガキね……この家引っ越してそこに住むつもり?」

仗助「住む訳ねェだろうがよ~~ッ。それに、おれの提案じゃあねえよ」

康一「静さん、実はぼくが言い出したことなんだ」

静「……康一さんが?」

康一「財団からの仕事だよ。S市内の方で『屋敷幽霊』が見つかったっていう情報があったからさ……それが事実なのかどうか、調査してほしいってね。ちょっと交通の便が不便な所だから、仗助くんの車に乗せてもらおうと思ったんだ」

仗助「『屋敷幽霊』なんてそうそう見れるもんじゃあねーだろう?来て損は無いと思うぜェ~~」

静「あたしオトナのレディーだからさァ~~、『幽霊屋敷』なんて心霊スポット、全く興味無いのよねーッ……」

仗助「静ァ、『幽霊屋敷』じゃあねーぜ」

静「……?」

仗助「……『屋敷幽霊』だ」

静「……もっかい言って?『屋敷……』何?」

康一「『屋敷幽霊』……そこには今から60数年前――ある『貴族』の屋敷が『建っていたんだ』。時代は太平洋戦争末期――S市は米軍の猛烈な空襲にみまわれ……その貴族の家はこっぱみじんに吹き飛んだそうだよ」

仗助「その時幸いそこで死人は出ていねえ。その屋敷の貴族も生き延びて貿易商として財を成している。これが当時の新聞だ……」カサッ

康一「だけど、その『貴族の屋敷』は今も存在しているんだ。『その家自体が霊魂となって、未だにその場所にある』……言ってることわかるかなあ?」

静「……その、つまり人じゃあなくって、『家が幽霊』ってこと?」

仗助「その種のもんを、今まで見たこととか聞いたことあるかよ?」

静「あるなら『屋敷が幽霊だったら面白いのに』とかいうくだらないジョーク言わないわよ。……ちょっと面白そうじゃあないの」

ザッ

バタンッ

仗助「んじゃあ、さっそく行くぜ。静ァー、後部座席だからってゴロゴロすんなっ。キチンとシートベルト閉めやがれ」

静「康一さん、このCD入れて」ハイ

康一「これ?」

静「霧のメロトロンどお思う?霧のように降りてくるメロトロン――こわれかけ――燃える朝やけ――1分37秒のところ……好き?」

康一「?メロ?……」

仗助「康一、付き合うな。静の洋楽話に付き合ったら日が暮れるぜ」

ブロロンッ!

ブゥ――ン……

仗助「その『屋敷幽霊』の住所わかるか?」

康一「片平町。S市の駅から2キロくらいかな」

静「あのあたり何も無くない?半径500メートル以内に立ち入った事ないわ」

仗助「飲み屋があったなあ、たしか。……大学の先生と行ったことあるぜ」

静「うっわ、情報の繋がり方がオッサンね。兄さん見た目はまだ若いんだから、もうちょっと『元気ハツラツゥ!』でいないといけないわよ。人間気が付くとすぐフケるんだから」

仗助「見た目だけじゃあなく全体的にまだまだ若いっつーのッ」

康一「仗助くん、カーナビがあるなら大まかな住所入れるけど?」

仗助「悪ィ康一、この車じいちゃんのおフルでよォ~~……んなハイテクなもん積んでねぇんだよ」

静「兄さんと一緒で古臭ェーわ」

仗助「今スグ降ろしてやってもいいんスよッ?コラァーッ」

ブゥーン……

…………

本日はここまでです。
短くてごめんなさい……。

>>55
まさか見られていたとは……。恐縮です。
ジョジョで一番好きなキャラが吉良な私が、ドはまりしたSSです。未完で終わっていてめちゃくちゃ悲しい思いをしていました。
ひっそりと応援していますので、今回は『3つのT』を行わないようお願いします。マジで。

ガッツの『G』
ミッツの『U』

>>73
『やらないで』と言われると『やりたくなる』……いえ、冗談です。疾走しても失踪はしないです。たぶん。
できれば感想等頂けたらと思います。久々すぎて面白い物が書けてるか不安で仕方ないです。
ちなみに1番好きなキャラはウェザーなんです。2番目が吉良。

最後に1つだけ。乙です



冒頭でウォーケンが悪夢云々について色々語ってたとき、(あ、こいつの話つまんねーわ)って思ってたら、メイさんも同じこと思ってたようだ
なんか……ごめんな、ウォーケン…


そういえば>>1って、「荒木飛呂彦の超偏愛!映画の掟」は読んだことあるのかな

>>77
酉抜いてるけどそちらで感想とか支援とか普通に書いてますよー。
ジョジョSSはだいたい目通すようにしています。バイツァ・ダストは破るのがムズかしい能力ですので、これからとても短い時間の中、佐天さんがどう行動するのか楽しみです。

最近のSSではまどマギ×ジョジョ5部が面白かったなあ。まどマギ好きなんで……。
静ジョ終わったらジョジョ作品で何かクロスやりたい。

>>82
私は漫画家・荒木飛呂彦先生の作品が好きなので、そういうモノは目を通してないですね……。
私自身が映画をあまり見ないというのも理由の一つです。最後に見た実写映画アバターだわ。アニメはまどマギ2回見に行ったけど。

えー、次回投下は金曜日を予定しています。
遅くなってすみません。クリスマスの予定は仕事です。楽しい(自己暗示)

…………

バタン

仗助「着いたぜェ~~。片平町だ……」

康一「うーん、ビルが立ち並んだ所だけど、本当にこんな所にあるのかなぁ……?財団の情報とはいえ不安だよォ~~」

静「くっ、くっ……」

チョン!

静「やったッ!!自分のヒジ舐めれたァァ~~~~っ♪」

康一「……」

静「アハハハハハハハ達成感~~」

康一「……」

仗助「おっ、身体柔らかくなったじゃあねーか。ちょっと前まで前屈すらマトモに出来なかったのによーッ」

静「体育のテストで恥ずかしい目にあったからね。寝る前にシッかりストレッチして毎日ちょっとずつ訓練すればこんなモンよォ~~。今なら両肘舐めれるわよ。レロレロレロレロレロレロレロ」

仗助「なるほど……スゲーッうらやましいな。で、康一。ここから先の詳しい場所はわかんねーのか?」

康一「うん。路地裏とか……人目につかないような所に建ってると思うんだけど」

仗助「しょーがねーっスね……手分けして探すかァ。見つけたら携帯に連絡ってことで」

静「お腹空いたしね。さっさと見つけて調査しちゃいましょッ。兄さん、今日は晩御飯豪華なのにしてよね~~ッ」

仗助「康一……どっちが先に『屋敷幽霊』を見つけられるか勝負しようぜ。負けたら静のメシ代持つ……っていう……」

康一「仗助くん……もしかしてお金ないの?」

静「♪~~♪♪~~」

スタスタ……

静「……うーん、とりあえずビルの隙間に入ってみたけど、そもそも『屋敷幽霊』なんて見たことないから、よくわかんないわね……スッゴク小さかったり見えなかったりしたらどうすればいいのかしら」

スタスタ……

静「……あっ、猫」

ニャーン

静「……あたし、猫って苦手ね。エラソーにガンたれてくるんだもの。アンデスの山中で遭難したら、食べちゃうわ、絶対」

タタッ!

静「?……ああ、こっちにも道があったのね。狭いけど、あたしなら通れ……」

スルスル……

ピタッ!

静「い、いやッ!!通れないわッ!ムネがつっかえて通れないわッ!あたしってば、ほら!大人のレディーだから……全然通れないわね~~ッ。ああ~~残念ッ!康一さんなら通れたかなァァ~~?」

ボソボソ……ボソ

静「……?」

……ボソ……ボソボソ

静「……道の先から……声が?」

……ボソボソ……

静「……~~うーッ……つっかえて通れないのに……全く全然通れないのにィ……」

……スルスル……スルリッ

静「……クソッ、余裕で通れちゃったわ。……なんか負けた気分……」

静「で、さっきの声は……?」

???「……クソッ!あの女坊主(あま)……住所が近いからおかしいと思ったんだ!」

静「……?」

???「『君のために素敵な家を見つけた。今度は本物だ』……だと?左腕だけじゃあ足りないみたいだなッ。今度は眉間に三発撃ちこんでやる。きっかり三発な……あの世を体験させてやるぞ、絶対にッ」

静「……あのォ~~……?」

???「!!」クルリッ!

???「……おや、誰だい?いや……『何』だい?君は……?」

静「あ、ゴメンナサイ……こんな路地裏に入って来ちゃって。この付近に住んでる人ですか?」

???「いや、わたしは家を持っていないんだ……住民じゃあない。君のようにたまたま入り込んだだけだよ」

静「持ってない?(ホームレスか?この人……)」

???「……ふむ、しかし……君は……?」ジロジロ

静「?……何ですか?」

???「いや、何……君のような若い娘と話すのは久しぶりでね。こんな姿になる前の自分は、一歳でも若い女と話すのを
喜んでいた……ような気がするよ」

静「は、はあッ?」

???「おっと!誤解するなよ……別に小児性愛者という訳じゃあないぞ。ただ、腐った卵みたいな精神をした女坊主以外の女性と話すのが嬉しくてね……それとも君も坊主なのか?もしくは巫女?信心深いようには見えないが……」

静「……なんの話?」

???「失礼、別にどうでもいい事だったな……わたしが見えようと見えまいと」

静「?……」

???「それで、君は……どうしてこんなひと気の無い路地裏に来たんだ?猫が触りたいならペットショップへ向かう事をお勧めするが」

静「別に、触りたいとは思わないわね。……実は、エト……貴方に言っても仕方ないかもしれないけど……探してるものがあって」

???「探してるもの?指輪か何かかい?」

静「いえ。……えっと、ちょっとオカルトじみて恥ずかしいんですけど……『屋敷幽霊』を探してるんです」

???「……何?」

静「あっ、えーっと、説明は難しいんですけど。『幽霊屋敷』じゃあなく『屋敷幽霊』なんですよ。『屋敷』が『幽霊』。あたしも見たことは無いんだけど、この付近に建ってるらしくって……」

???「……どっちもお勧めはしないな」

静「……えっ?」

???「いや……『屋敷幽霊』が見たいなら、ここから数百メートル西だ。『屋敷幽霊』な『幽霊屋敷』が見たいなら、すぐそこ……」

静「……場所知ってるんですか!?ていうか、『すぐそこ』って……?」

???「今しがた『そこ』を見てきた所だよ。わたしも、何だ……オカルト話が好き、みたいなものでね」

静「『屋敷幽霊』な……『幽霊屋敷』?」

???「まあ、どちらもそう変わらないだろう。向こうの『屋敷幽霊』にいた『掃除屋』も、幽霊みたいなものだったし……いや、幽霊なんかじゃあないな。あれは」

静「……どういう事です?っていうか、アンタこそ……何者だっての?」

???「別に、ただ……わたしだけの『結界』がある部屋を探していてね。少し前までは仕事を生きがいにしていたが、最近は部屋さがしも生きがいになっている。眺めのいい部屋を探しているんだ……」

静(仕事があるのに……住む所ないのォ?)

???「それで、今まで色々な所を見てきたんだが……ここも外れだな。前見た所よりかは幾分平和だが、スピーカーの音響でワーグナーの音楽に陶酔できないのはいただけない。こんな部屋じゃあカメだって落ち着けないだろうな。クソッ」

静「そんなにうるさい所なの?別に工事中とか線路の近くだとかじゃあないみたいですけど」

???「行儀よくしていれば大丈夫かもな……自信が無いなら近づくことはお勧めしないぞ。まあ、もっとも……新しくくっつく『左腕』のアテがあるなら、構わないが」

チラリ……

静(?……この人、なんだか……『左手』だけやけに細くて綺麗ね……?)

静「と、とにかく……この奥にあるんですね?『屋敷幽霊』」

???「『幽霊屋敷』……いや、どっちでもいいな。それは君が見て決めることだ」

静「えっと……その、危険とか……無いですよね?」

???「さあな。それも君しだいだろう……一つだけ言うとするならば、わたしはこんな家に住むのは御免だ」

静「ま、まあ幽霊の屋敷だものね」

???「それはむしろ嬉しい所なのだが……わたしは、リラックスしてのんびり出来るはずの自分の家で、他人の目を気にして過ごしたくないのでね」

静「……屋敷に幽霊でも住み着いてるの?」

???「いや、『結界』は無かった。住み着いてるというより、むしろあいつも『掃除屋』……と、いうのも違う気がするな……まあいいか」

静「……結局の所、よくわかんないわね」

???「大事なのは、わたしは今日も夜を過ごす部屋が無いということだ……はあ……」

静「……」

???「……今夜はどこで休むとするか……」

スタスタスタ……

康一「……静ちゃん?声が聞こえたと思ったら、そこで何をしているの?」ヒョコッ

静「康一さん!」クルッ

康一「狭い所だなあ……よくこんな所に入れたね?ぼくでも結構通るのつらいのに……」

静「丁度よかった!康一さん、この人『屋敷幽霊』に詳しいみたいで――」

パッ!

シーン……

康一「……?誰も居ないけど?」

静「……あれっ?」

キョロキョロ

静「お、おかしいわね……ついさっきまでそこにいたのに……」

康一「本当の幽霊にでも出会ったんじゃあないかな?それとも……疲れて寝ぼけてたとか?」

静「ちょ、ちょっと!寝ぼけてなんかいないってのッ!ホントーにそこでお話してたのよッ!マジに『屋敷幽霊』に詳しい人で……ちょっぴり変態っぽかったけど」

康一「だ、大丈夫なの?そんな人と話して」

静「大丈夫。あたし強いもん」

康一「ぼ、ぼくは心配だよォ~~……寝ぼけてたほうが何倍もマシだよ」

静「だから本当だって!その人が言うにはこっちに……」

スタスタ…

バッ!

静「……」

康一「……」

静「……何も、無い……」ガックリ

康一「……」

静「クッソォ~~……やっぱりただの変態だったのね。おかしいと思ったもん、出会ってすぐの赤の他人が『屋敷幽霊』なんて知ってるわけないわよね……」

康一「……」

静「康一さん、ちょっと外の道路に出ましょう。ここジメジメして薄暗くって息がつまるわ……ゴホ」

康一「……」

静「……康一さん?」

康一「静ちゃん、あれ……」

静「……?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

康一「ビルとビルの隙間に……紙のようにペッタリ張り付いて……!」

静「……!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

康一「これは……」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

静「あったわ……すごい」

康一「本当に……こんな場所があるなんて……」

本日はここまでです。
また来年会いましょう。
……ホントは年内に静ジョシリーズ完結させるつもりで2話目書いたのになあ(1話はブン投げる気満々だった)

左手だけやけに~のくだりでエンヤ婆の親戚かと思ったが、吉良なのか。
デッドマンズQの内容は知らないな・・・・・・

>>115
あ、ごめんなさい。短編読んでねーよ、って方のために大雑把に説明しますと、
死んで幽霊となった吉良は、生前の記憶の大部分を無くし、自分が何者なのか?を思い出せないながらも、「心の平和」を求めて「殺し屋」という仕事を生きがいに過ごす、という話です。

デッドマンズQ既読の方へ……左腕、くっついたみたいです。
女坊主は、自分の生命と引き換えに、吉良に家を紹介する……吉良はそこで様々なアクシデントに見まわれ、また女坊主を殺そうとする。そしたらまた新たな家を紹介する……という、今までのビジネスの関係とはまた違う関係が生まれた、みたいな感じで書いてます。
幽霊屋敷に吉良が住んでるとかいう話でも良かったけど……やっぱり吉良には幽霊としての生き様について、大きな謎(クエスションズ)を抱えたままでいてほしかったので。

今年もあっというまだったなァァァ~・・・・・・ハッ!? 今はもう新年!?

明けましておめでとうございます。
関係無く仕事ですので、少し投下遅れます。ごめんなさい。

今更なんですが、自分が書いてる別のssの宣伝とかしたらヒかれますかね?

酉で検索すらしないクレクレの馬鹿が増えるだけだからやらなくてOK
本当に見たい奴は検索するだろうし

酉が違うとかなら、誘導URLだけ貼れば?

前スレの話を蒸し返すようで悪いけど静が飯を透明にしたのはマナー違反じゃないかってレスにスタンドは大衆に認識されないからおkみたいなレスが返ってたけど
富豪村で露伴が一究にヘブンズした時にマナー違反認定されて編集心臓発作起こしたんだよね
実際ケースが違うしどうでもいいけどさ

>>130
酉一緒だわ。ググれば出るわ。ごめん
長い正月休みの暇つぶしにどうぞ

>>131
スタンドで殴るのは違反だけど透明にするのは違反じゃあないかなと……
ヘヴドアで記憶を読むのは違反だったけど、書き込むのは違反じゃあなかったし、いいかなと。
っていうかぶっちゃけ荒木先生のさじ加減ですよね。

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「し、しかし……こんな薄っぺらいとは思わなかったわ。屋敷幽霊が……」

スッ……

静「こんなのに、どうやって入れば……」

ドギュン

静「!!」

クルッ

静「えっ……なっ!?」

バァァァアァ

静「グ……グレート。中に入ると……立体的になるなんて」

静「へえ……」

コンコン

静「こんな小さなゲタ一つも『幽霊』で『できて』いるの?この下駄箱も?スゴイわ……マジで意味わかんない」

康一「と、とにかく仗助くんに連絡しないと……」ゴソゴソ

静「あれは何かしら?」スタスタ

康一「ちょ、ちょっと静ちゃん!」

静「何?」

康一「仗助くんが来るまで中に入るのは待とう。どんな危険があるかわからないし……」

静「心配しすぎだってのーッ。ちょっぴり探索するだけよ、少ォしだけ……ね」

康一「も、もう~~」

ガラガラッ

静「この靴磨き油も『幽霊』?」

ネトォ

静「……」

ゴシゴシ、キュッキュ

静「……みたいね。靴がちっとも綺麗にならない」

シボッ

静「このマッチの火も『幽霊』?他のものには燃えうつらないけど……どうしてマッチは燃えるのかしら。マッチも『幽霊』なら燃えそうにないもんだけど」

康一「静ちゃん……ダメだってェ~~あまり好き勝手行動するのは……」

静「自由に見れないと、ここに来た意味ないんだっての。特に兄さんだったら、事件現場を守る警察官みたいに絶対触らせてくれないんだもの。今のうちに見て回るわよ~~ッ。この部屋は何かしら?」

ガチャッ

ヒョコッ

静「うわっ、何?この部屋……」

康一「えっ?」

静「入らないほうがいいわよ康一さん……見て、メチャ不安定な『ガラス製のオブジェ』がいくつも並んでる」

オォォォォ……

康一「ホントだ……こんな事言うのも何だけど、少し趣味が悪いかなあ」

静「この屋敷の主人の好みなのかしら?センスバリバリの静ちゃんとは仲良くなれそうにないわね……ドアを閉める衝撃だけで倒れそうだわ」スッ

パタン……

静「……幽霊を『壊したら』どうなるのか?っていう好奇心もあるけどォ~~……ま、いいわ。他の部屋も見て回りましょう」

…………

…………

コトン

康一「裕福そうな男性の写真だ……この屋敷の元……持ち主かな?」

静「夢野久作に小栗虫太郎……いい趣味してるわ。『ドグラ・マグラ』じゃあなくって『瓶詰地獄』っていうのが通ね」

康一「そうかなあ?ぼくはそう思わないけど」

静「洋楽のレコードとか無いかしら?レッド・ツェッペリンの初版レコードとかァ~~」

ガシャガシャ

康一「時代的に無いだろうね、たぶん」

静「シューベルトの『白鳥の歌』とかモーツァルトのピアノ協奏曲27番とかはあるのに……SP盤。あたしの欲しいもんは無いのかなァ~~。食器やナイフなんてもらっても仕方ないしィィ~~」

ガシャガシャガシャ

康一「静ちゃん、もしかして……『泥棒』する気?」

静「人聞きの悪いこと言わないでよ。幽霊の道具がこの屋敷から離れたらどうなるのか?っていう好奇心……それだけだっての。どーせ屋敷の元主人は死んでるんだし、もらって帰らない手はないわ」

ガシャガシャガシャ

康一「確かにこの屋敷に昔住んでた人はもういないよ。けどさ……今、『幽霊』となったこの屋敷に『誰か』が住んでるかも……とか」

静「……」

ピタリ

康一「……ちょっぴり、気にならない?」

静「いや……住み着いてるのは『いない』って、さっきの変なオッサンが言ってたわ。それに、ただの幽霊だったら怖がる事もないし」

康一「あ、そう……」

静「……けど、あのオッサン……『むしろあいつも掃除屋』……とか、言ってたわね」

康一「?……『掃除屋』?」

静「あたしもよくわかんないけど……この屋敷、『何か』があるのは確かだと思いますよォー」

康一「えっ!?じゃ、じゃあのんびり中に入って探索しちゃあダメじゃあないかっ!静ちゃんは早く外に出て!あとはぼくが調べるよッ!」

静「もーっ、ホンット兄さんと同じで心配性なんだからッ!赤ん坊のころからあたしを知ってるからって、そういう態度やめろってのーッ!あたしもう赤ん坊じゃあないのよ?」

ガチャガチャ

康一「そ、そうだけど……やっぱり心配なんだよ。静ちゃんに何かあったら、って思うと……」

静「わかったわよ……わかった。すぐにここから出るわよ」

康一「本当?」パアア

静「その代わり、幽霊の道具を盗る事については目ェつむってくださいねェ?この幽霊のマッチは面白いわ……後で火つけて兄さんのポケットに入れてみよう」

ゴソゴソ

康一「わ、わかったよ……はあ」

静「そうだ、戸棚の奥とかに何か隠してるかもしんないわねッ!ヘソクリとかァ~~秘密の日記とかッ!幽霊のお金とか持ってても仕方ないけど、金運アップのお守りにはなりそうだわ」ガラガラッ

ゴロッ……

静「!!」

静「な!?……!?……!!」

ガシャアア――ンッッ!!

康一「うわーっ、やった?」

スカッ!

ボトンッ

静「つ……『ツボ』?」

康一「ツボが……戸棚に入っていたんだね」

静「な……こんな不安定なモンを何で戸棚にしまうのよ?割っちゃったわ……幽霊の品物も壊れるのね」

康一「粉々になっちゃったね……仗助くんなら直せるのかな?」

静「誰も住んでない屋敷幽霊の『後片付け』なんて不毛だわ……割っちゃったのはちょいと罪悪感あるけど、軽く掃除するだけでいいでしょ、こんなの……」

ザッザッ

康一「だからって、足で集めるなんて……」

静「ほうきとチリトリがあれば使うんですけどねーッ……こんなの適当に集めるだけで…………?」

カチャリ……

静「…………あ?」

カチャ……

静「ん??……?ツボの破片に混じって何か落ちてる……???なんだ?今物色してる時には気づかなかった。いつの間に落ちてたんだろ」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「?なによ、これは~~~~?この『形』なに……落ちてる。この『形』……ゆ…………び……みたい、だけど……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「……」チラ

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

クルッ

静「だ……『誰』のですってェ――ッッ!!?」ブシュウウ!!

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

康一「しッ!!静ちゃん!?その左手の小指は……!!?」

静「ぐ、うう……!わからない……なんで!?どうして……あたしの、小指が…………!?」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

???『アアアアア……アア……』

静「――えっ?」

バッ

静の後ろに、『何か』がいた……
人の形をしていた。次の瞬間には猫になっていた。
そう思うと、『それ』はいつの間にか身の丈3メートルほどの熊となり、
瞬きをしている間に首の無い死体の姿となった。

静「なっ!?何だァァ~~~~こいつはァァ――ッッ!!?」

???『アアアアアアアアアアアア……ウアアアアア……!!!』

康一「こいつがッ!!静ちゃんの指をッ!?」

???『アアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』

グオッ!

静「!!攻撃してくるッ!!『ワイルド――」

ブアッ!

静「――ハニィィィィィィィィィ』イイイイ!!!」

ワイルド・ハニー『ドラアアアアッッ!!』

ブォン!

???『アアアアア!!』

メシャアッ!!

???『ブゲアアアアアアアアア……!!』

静「!?何よコイツ、てんで弱い――」

スカッ!

ボドンッ

静「…………は?」

ドクッ、ドグッ……

静(な、何かが……『落ちた』……あたしの顔から?『何』が?……あたしは今……今ッ!『攻撃』はしたけど、『攻撃を受けてなどいない』はずよ……!)

ドグッ……

康一「し……静ちゃん……う、ううっ!!」

静「あれは……今、『落ちた』のは……!!」

ブシュウウ!

静「あたしの『耳』よぉォォォォォォ――!!!」

ギャ――z__ン!!

???『アアア……アアアアアアア!!!』

ザリッ!ザリッ!

康一「うわあああああああああああああああ!!!」

静「サッパリわかんない……!何だっていうのよコイツはぁッ!!?この屋敷幽霊の――」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

???『アアアア……ガアッ!アアッ!』

静「――『幽霊』だっていうのォォォォォ!!??」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

今回はここまでです。
遅くなって申し訳ありませんでした。

木曜投下予定です。
本当にごめんなさい。このssはしっかり矛盾や変な点が無いよう、しっかり書いてから投下したいので……
深夜のほうは即興で思いついたことぶち込んでるからすぐ書けるんですよねえ

ほらな、ぼーっと書いたら「しっかり」二回書いてるよ。アホか

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

???『アアアアアアアア!!!』

静「うおおおおおおお!!」

ワイルド・ハニー『ドラドラドラドラ!!』

ドゴドゴドゴ

???『グアアアアア!!』

スカッ!スカッ!スカッ!

ボドドンッ

静「ぐっ!ううっ!!」ドクッドクッ

康一「静ちゃん!一旦逃げよう!奴の攻撃の『謎』がわからないと――」

静「奴にダメージが入ってんのは見ればわかるわッ!このまま攻撃し続ければ勝てるッッ!!」

康一「けどッ!静ちゃん……もう指がほとんどッ!」

静「来いッ!今度こそ再起不能にしてやるわ――ッッ!!」

???『グアッ!ガアアッ!』

???『アアアアアアアアアアアアア!!!』グオッ!

静「ブチ消してやるッ!!『ワイルド――」

康一「『エコーズACT3』!!」

ドン!

エコーズACT3『必殺!3FREEEEEEZE!!!』

ドシュ!ドシュ!ドシュウ!!

???『ガアッ!?』ヨロッ……

ドズ――ン!!

静「こッ!康一さんッ!」

エコーズACT3『3FREZZE……アノ謎ノクソッタレスタンド自身ヲ『重ク』シマシタ』

???『アアアア……アアア!!』バギッ!バキッ!

康一「今のうちに、逃げるよ静ちゃん!屋敷から出て仗助くんと合流しないと――」

スカッ!

ボドン!

康一「ぐッ!?が……ハアハア……」

静「こ……康一さん!?」

康一「あ……ぼ、くの……『喉』が……ヒュー、ヒュー……」

ドクッ!ドクッ!

康一「『落ちた』……声が……い、きが……!」グラッ……

ドシャアッ!!

???『アアアア……アアアアア!!』

静「う……うわあああああああああ!!!」

静「康一さんッ!!しっかりしてッ!早く兄さんに治してもらわないと……!」ガシッ!

ズルズル……

???『アアッ!!アアアアッ!!』

ザッ!ザッ!

静「こっちに来るんじゃあねーわよッボケェーッ!」

ガシッ!

静「この『花瓶』でも……食らいなさいッ!」ビュッ!

バリィ――ン!

静「クソッ!外しちゃったわ!けどビビったでしょ!?逃げないけどビビってる!ふざけんなゲロっ吐き野郎――ッバーカバーカ」スカッ!

ボドンッ!

静「あっ……えっ!?」ダラダラ……

???『アアア……アアアアア……』ザッ!ザッ!

静「な……何で!?どうして……?今ッ!あたしとあいつとは少し『距離』があるのに……!攻撃の動作なんて全く見えなかったのにッ!!」

ドクッ、ドクッ……

静「攻撃なんて絶対に!受けてなんかいないのにッッ!!なんで今、あたしの右耳が吹っ飛んだのッッ!!?」

???『アアアアアアアア!!』

ザッ!ザッ!!

静「ゆ……指もいっぱい切り落とされちゃったし!両耳も落ちた……サングラスがかけられないわッ!チクショウッ!!」ジリジリ

???『アアアアアアア……』

静「攻撃の動作が無いのに攻撃されているッ!これは一体――」ジリジリ……

パキッ!

静「――はっ!」バッ!

静「さ、最初にあたしが誤って割っちゃった、『ツボ』の破片……?」

パキッ……

静(も……もしかして、『これ』のせいか?あたしが……『割っちゃった』から、とでも言うの?)

???『アアアアアアアア』ザッ!ザッ!!

静(あたしが『ツボ』を割ったら、あたしの小指が切り落とされて、コイツが現れた……康一さんはコイツを重くした時、『屋敷の床』を壊したわ。そして今、『花瓶』をコナゴナにしたら右耳が吹っ飛んだ。いくつか『謎』は残るけど――)

???『ウアアアアアアアア!!』

静「コイツはッ!!何かを『壊した』時に攻撃をしているんだッッ!!くっ――」ズルズル……

バタァ――ン!!

静「ハァ、ハァ!」ガチャリ!

ガチャガチャ!バンバン!!

静「鍵を閉めたから、少しは時間稼げると思うわ……『何かを壊したら攻撃される』……攻撃のカラクリは何となーくわかった。慎重に行動すれば問題無いわね」

康一「……」ドクドク……

オォォォォ……

静「康一さんの出血が激しい。あたしも大概だけどーッ、兄さんに治してもらわないとマジにヤベェーッわッ。この部屋は屋敷のどの辺り……」

クルッ……

静「――!!」

静「こッ!!この『部屋』はッ……まさか!!『そんな』!!」

ド ン

静「この部屋はッ!!『ガラスのオブジェ』の部屋だァァァァァァァ!!!」

ギャ――z__ン!!

静「うわああ!!さっきあたし!!勢い良く『ドア』を閉めちゃったわッ!!ドアを閉めた衝撃で――!!」

グラッ!グラアッ!!

静「あっ!!うわあああっ!!た、倒れ――!!」

グラア――ッ!!

静「う……おおおおおおおおおおおおお!!!」

静「『波紋疾走』ッッ!!」

ドガアーッ!!

バリ!バリ!!バリ!!

グラァ――……ア……

静「!……ハァ!ハァ!」

ピタッ!!

静「く……『くっつく』波紋を床に流した。マジに……ドキュン危機一髪ぅ~~だわ。これだけの数の物壊しちゃったら……流石に死んでた か も」

コトン、コトンコトン……

静「ハァ、ハァ……この部屋はトラップのようなものなのね……」

???『アアアアア……』

ガチャリ!

???『アアアアアアアア……』

ギ……ギギイ……!!

静「……カラクリはわかったわ。もうアンタなんかに負けない……!」グッ

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

???『アアアアアアアアアアアア!!!』グアッ!

静「全力で消すッ!喰らえッ――」バッ!

『攻撃しちゃあダメだ!!静ちゃん!!!』

静「――ッ!?」

ピタッ!

???『アアアアアアア!!!』グオッ!

???『アアア!!アアアアア!!』グッ!グッ!

静「……!?」

???『アアアアア!!アアアアア!!』グオオ!グッグッ!!

静「……こいつ、『攻撃して来ない』……?」

『攻撃しちゃあダメなんだ……コイツは、威嚇して攻撃を誘っているだけなんだ……!』

静「こ、康一さん!?喉を切り落とされて、話せないはずじゃ……!?」バッ

康一「ぐっ……」ブルブル

エコーズACT1『ぼ……ぼくのエコーズは『音』のスタンド……能力を使って声を出したんだ……ハァ、ハァ』

静「な……なるほどォ」

エコーズACT1『けど、あまり持ちそうにないから……ぼくの考えを簡単に言うよ。コイツは、このスタンドは……『この屋敷自体』なんだ』

静「……屋敷『自体』?」

エコーズACT1『屋敷を守るために、この『屋敷幽霊』が生み出した『スタンド』なんだ……守るためのスタンドだから攻撃はしないけど、この屋敷と、こいつに攻撃をすれば……攻撃される。そういうスタンドなんだよ。……たぶん』

???『アアア!!アアアア』

ブン!ブン!

静「……物がスタンドを出すなんて……あるのォ?そんな事?」

エコーズACT1『杜王町には『鉄塔』のスタンドがあるっていうし……承太郎さんは『剣』のスタンドと戦ったことがあるって言ってた。そういうものも、存在するんだよ……』

静「……」

???『アアアアアア…………』

スッ……

静「……消えた」

康一「……ぐうっ……」パタッ

静「……」

シーン……

康一「……」

静「……攻撃したり、壊したりしなかったら……案外静かで暮らしやすいのかもね……立地条件も悪くないし」

静「だが帰る」

バンッ

静「二度と来るつもりもないわ」

ズルズル……

康一「……うう……」

静「ハァ、ハァ……」

タッタッタ……

仗助「おーう静ァ~~。探してたんだよ……って、何だァァ――ッその怪我はァァァァ!!?」

静「……一足遅いっての。兄さん……」ガクリ

――静・ジョースター……仗助のスタンドにより傷は完治。もう変な噂話には首を突っ込まないと心に決めた――

――東方仗助……二人の傷を治した後も、静の身体の事を気にするが、「兄さん、いい加減ウザい」と言われてヘコむ。最近いい所が無い――

――広瀬康一……この後仗助のおごりで豪華なご飯を食べた――

…………

…………

メイ「素晴らしい家だわ、チェスタ!」

チェスタ「喜んでくれて、何よりだ」

オオオォォォ……

メイ「こんな屋敷があるなんてね……ここなら誰にもバレないわ。食べ物が無いのは残念だけれど、そこはチェスタ……貴方を頼りにしてるわよ?」

チェスタ「任せてくれ」

メイ「追いかけられる恐怖からの開放……ふふ、スガスガしいわ。歌でも歌っちゃいたい気分!ンッンッンン~~♪んふ♪……あとは『天国』に到達出来ればそれでいい。焦ることは無いわ。焦らずに、ゆっくりと……焦っちゃダメよ……うフフフ……」

チェスタ「……メイ」

メイ「?……何かしら?」

最高に『乙』ってヤツだぁぁーーッ!!!

チェスタ「……物を壊すんじゃあないぞ」

オオオォォォォ……

メイ「わかっているわよ。……フフフ」

…………

…………

シーラE「……おかしい」

フーゴ「?」

シーラE「クンクン……どういう事だ?これは……」

フーゴ「何かあったのかい?」

シーラE「……」

フーゴ「シーラE?」

シーラE「……吸血鬼の痕跡が、消えた……ニオイまで」

フーゴ「……何だって?」

シーラE「吸血鬼が消え去ったのよ。完璧に、この世から……!」

フーゴ「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

フーゴ「ありえるのか?そんな事……死んでもニオイくらいは残るだろう?」

シーラE「わからないわ。獲物の追跡なんて何度もしたけど、こんな事初めてよッ。クソッ!」

フーゴ「……」

シーラE「……見失ったわ」

フーゴ「探そう。何としても……!」

シーラE「ええ……!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ……

…………

⇐To be continued=・・・?

スタンド名―ハウス・オブ・ザ・ライジング・ムーン
本体―なし(屋敷幽霊自体)

破壊力―なし スピード―なし 射程距離―B(屋敷一個分)
持続力―なし 精密動作性―なし 成長性―E
この屋敷に住むものは、絶対に『壊しては』ならない。
もしも何かを壊してしまえば、その破壊は我が身に振りかかるだろう。
貴方が何も壊さないのならば、この屋敷は貴方にとって、最高の住処となる。

名前元ネタはアニマルズのHouse of the Rising Sunから。
書き忘れてたけど、前回の虹村那由他のスタンド『まほろば○△』はポルノグラフィティの曲からです。(流石に解るだろーけど)
マナーは犯すか犯さないかの二択(マルかペケ)だというのに、名前はマルとサンカクという……ちょっとしたお遊び。

スタンド名―ハウス・オブ・ザ・ライジング・ムーン
本体―なし(屋敷幽霊自体)

破壊力―なし スピード―なし 射程距離―B(屋敷一個分)
持続力―なし 精密動作性―なし 成長性―E

この屋敷に住むものは、絶対に『壊しては』ならない。
もしも何かを壊してしまえば、その破壊は我が身に振りかかるだろう。
貴方が何も壊さないのならば、この屋敷は貴方にとって、最高の住処となる。

名前元ネタはアニマルズのHouse of the Rising Sunから。
書き忘れてたけど、前回の虹村那由他のスタンド『まほろば○△』はポルノグラフィティの曲からです。(流石に解るだろーけど)
マナーは犯すか犯さないかの二択(マルかペケ)だというのに、名前はマルとサンカクという……ちょっとしたお遊び。

はい、またエルメェスが来ましたね。
今度6部の短編SS書こうかな……。

えー、静ジョ9話完結……
なのですが、ちょいと『番外編』を書こうと思うので、少しお待ちを。
土曜投下予定です。投下出来なかったらゴメン。

あと>>223
ちょっと落ち着けw

土曜仕事になった。仕事辞めてえ
えー、本当に申し訳ありません。少々お時間を下さい……

まず番外編ってなにすんの?

>>240
あるキャラの、杜王町での奇妙な日常を書こうかと。

今思ったけど、なんか今回のスタンド説明、グリードアイランドっぽいっすね

うおあああありがとうございますっ
こーいうの見るとやる気がムラムラ湧いてくるよなァーッ!
本当にありがとうございました。支援分以上を楽しさで返せるよう頑張ります。

火曜か水曜に投下します。ハイ。

支援絵ありがとうございます。
どんな支援絵でも嬉しいに決まってますよ。私自身は絵描くの好きだけど下手ですからねー……絵描ける人尊敬する。
チェスタ……こんなんか?
http://i.imgur.com/E1Xoytv.jpg

ふええ……なんかギスギスした空気変えるために自分の描いた絵投下して総ツッコミ食らおうと思ったのに、誰も突っ込んでくれなかったよお……

投下始めます

――番外編――

『シーラEちゃんとフーゴくん』

・キャラ崩壊あり

・静ジョ本編とほぼ関係無し

・二人は恋人では無く、仕事仲間

・フーゴくん31歳、シーラEちゃん29歳

フーゴ・シーラE、来日三日目
『カフェ・ドゥ・マゴ』テラス――

フーゴ「……ふう。三日でだいたいこの辺りの地理は把握出来たね。隠れられそうな場所や人通りの少ない場所もわかった」

シーラE「……」イジイジ

フーゴ「あとは君の『ヴードゥー・チャイルド』で……シーラE?」

シーラE「んー?」ギュッ

フーゴ「……何をしているんだい?」

シーラE「何って……」グッググッ

シーラE「……できたーッ。あめんボ」ジャーン

フーゴ「……」

シーラE「浮いた」プッカァーッ

フーゴ「……」

シーラE「んふふー。どう?フーゴ」チョンチョン

フーゴ「んー……『どう?』って聞かれると……」

フーゴ「……クリップで出来たものが浮くとは……面白いものを作るね」

シーラE「スゴイでしょ?ねえねえ、うらやましい?」

フーゴ「うん。少し……どうやって作るんだい?教えてほしいよ」

シーラE「別に教えてあげてもいいけど、アンタぶきっちょそーだからねェ~~。作れるかな?アンタのあめんボぷくぷく沈んじゃいそーだわ」

フーゴ「努力するよ」

シーラE「んじゃ、コレ持って……色は紫でいい?あたしは赤で作るけど」

フーゴ「何でもいいよ……作れたらそれで」

シーラE「じゃッ、まずはこの部分を伸ばして――」

…………

…………

プクプク……

フーゴ「……クソッ!どういう事だこれはァ~~ッ?ぼくのあめんボだけ『浮かばない』なんて!」

シーラE「うっわ、『ぶきっちょ』だとは思ってたけど……これほどとはね。さすがのシィラ先生もお手上げよ、コレ」

フーゴ「もう一回だシーラE……もう一回最初から教えてくれ。次は完璧に作ってみせるッ!ぼくも赤いクリップを使うぞッ!」ガシッ

シーラE「たぶん色関係ないわよ……あんたの腕が悪いだけだって」

店員「あのォ~~……」

フーゴ「ん?」クルリ

店員「お取り込み中、申し訳ございません。ご注文は……?」

フーゴ「ああ、失礼……そういえば何も頼んでいなかったね。えーっと……」パサッ

シーラE「へえ、結構いろんな飲み物あるのね……」ヒョコッ

フーゴ「シーラE、君は何がいい?」

シーラE「……アンタは?フーゴ」

フーゴ「ぼくは……ブレンドでも頼もうかな」

シーラE「じゃああたしもそれ」

フーゴ「すみません、ブレンド……」

店員「はい、ブレンドコーヒー2つですね?」

フーゴ「……いや」

シーラE「?」

フーゴ「やっぱり、少し甘いものが飲みたいな……ブレンド一つと、このキャラメルフラペチーノ下さい」

シーラE「!ちょ、ちょっと!!」

フーゴ「何?」

シーラE「あたしも……それ」

フーゴ「?……どれ?」

シーラE「それ飲みたい。……アンタの頼んだヤツ」

フーゴ「……ブレンドじゃあなかったのかい?」

シーラE「あたしも、きゃらららふららちーの飲みたいって言ってんのッ!」

フーゴ「言えてないよシーラE……」

フーゴ「全く……何も同じものを頼まなくても良かっただろう?」

シーラE「うっさい」パラパラ

フーゴ「なんだかなあ、真似されてるみたいで少し居心地が……」

シーラE「別にアンタの真似なんかしてないわよッ。ちょーどあたしも甘いの飲みたかったの」

フーゴ「けどねえ……」

シーラE「うっわ、ねえ見てよフーゴこれ」ヒョイッ

フーゴ「ん?何?」

シーラE「チョコレートパフェだって……スッゲ、めちゃくちゃ甘ったるそうなチョコソースが『これでもかッ!』ってくらいかかってるわ……こんなの頼むヤツの気がしれないわね」

フーゴ「……うん」

シーラE「こんなにデカデカとメニューに写真載せちゃって……人気あんのかな?これ。すごい甘くて重たそうだわ。3時のおやつに食べたら晩御飯とかいらなくなりそうなボリュームね」

フーゴ「……そうだね」

シーラE「こんなん頼むヤツなんて、成長期で胃も頭もカラッポの女子高生だけよ。あたし無理無理。絶対食べきれないもの」

フーゴ「……はあ」

シーラE「まあ甘いのは嫌いじゃあないけどさぁ~~……あたし結構スタイルいいし、やっぱ甘いものとか肌に悪そうだし……こういうのって絶対無理よねェー」

フーゴ「……」

シーラE「まあ……味が気になるか?って言ったら、ちょっぴり気になるけど……ただそれだけよね。全然あたしは興味とか全く無いし――」

フーゴ「……食べたいのかい?」

シーラE「は、はあッ!?そそそ、そんな訳ないしッ!」

フーゴ「食べたいんだろう?」

シーラE「いや、全然そんな……こんなの十代の若い女の子が食べるモンよ。あたしみたいな大人の女性には……」

フーゴ「すみませーん、チョコレートパフェ一つ」

シーラE「話聞けッフーゴ!」

…………

…………

フーゴ「……うん、おいしい。やっぱりフラペチーノにしておいてよかった」チュー

シーラE「全く……あたしこんなの食べたくないのに、頼んじゃうんだから……バカフーゴ」ニコニコ

フーゴ「……食べないのなら、ぼくが全部食べるけど?」

シーラE「はあ?アンタに食わすなんてドブに捨てるようなモンよッ。あたしが責任もって全部食うわ」

フーゴ「あ、そう……」

シーラE「あーん……」

パクッ

シーラE「……ん……んふ、んふふふふふ……」ニコォ~

フーゴ「……美味しいかい?」

シーラE「美味しいわけないじゃあないの。甘いわ……アマすぎ。あたしの口に合わないわね」パクパクッ!

フーゴ「そう。……そりゃあ、良かった」

シーラE「んふふ♪」モグモグ

フーゴ「!……そうだシーラE」

シーラE「何?アンタにはあげないわよ?」モグモグ

フーゴ「ちょっとスプーン貸してくれないかい?」

シーラE「?……いいけど……何で?」

カチャッ

フーゴ「はい、シーラE」スッ

シーラE「?」

フーゴ「あーん」スーッ

シーラE「!?なッ……!!」

シーラE「ば、バッカじゃあないのッ!?そ、そんな……こここ、コイビトどーしがやるような事……あたしがやる訳ないじゃあないのッ!」

フーゴ「……」ジッ

シーラE「甘ったるいパフェのニオイでアンタまでおかしくなったんじゃあないの?バーカ、バカバカ。バカフーゴ」

フーゴ「……」ジッ

シーラE「……」

フーゴ「……あーん」スッ

シーラE「……うっ……うーっ、うーっ……」

フーゴ「……」

シーラE「……あ……」

シーラE「……あ……あーん……///」プルプル……

フーゴ「なんちゃって」ヒョイッ

パクッ!

シーラE「んがっ!?」ガチッ!

フーゴ「ああ、甘いけど後味はスッキリしていて美味しいじゃあないか。なかなかの美味しさだよ、うん」モグモグ

シーラE「……」プルプル

フーゴ「うん?どうかしたのか、シーラE?少し顔が紅いようだけど……?」

シーラE「ッ!」カァァ///

フーゴ「パフェなんて血糖値の上がりそうなもの食べたからかな?大丈夫?気分は悪くない?」ニヤニヤ

シーラE「……ぐ、ぐ……!」

フーゴ「熱でもあるのかい?これは大変だあ。早くホテルに戻って――」

シーラE「……『ヴードゥー・チャイルド』ッッ!!」ギャーン!!

フーゴ「ストーップ!待った!ぼくが悪かった!からかってすまないッ!!『スタンド』は反則だッ!!」

シーラE「ったく……次やったら全身唇だらけにしてやるわ」カチャッ

フーゴ「悪かったよ、もうしない。……意外な面が見れて満足した」

シーラE「からかいやがって……はあ」アーン

フーゴ「……あ、そういえば」

シーラE「ん?」モグモグ

投下お疲れ様です。

>>249の者ですけれども、加筆修正したものをpixivにうpしてしまったのですがネタバレ防止のためにワンクッション入れたほうが良かったでしょうか?

フーゴ「さっきぼく、そのスプーン使ってしまったよ……すまない」

シーラE「……んぐッ!!?」ビクンッ!

フーゴ「あー、ぼくはそういうの気にしないタイプなんだけど……君ってそういうの気にする方?電車のつり革持てないタイプかい?」

シーラE「……ん……んー!んー!!」プルプル

フーゴ「悪かったって……ほら、新しいスプーンもらってきてやるから……」

シーラE「ゴクンッ……い……いい、わよッ……別に……」

フーゴ「?」

シーラE「別に……あたしも、気にしないし……」カチャ

フーゴ「……そう?」

シーラE「こういう仕事についてるから、任務によっては土でもなめて飢えを凌がなきゃならない時もあんのよ?これくらいの事、いちいち気にしてたら生きてらんないわよッ」パクッ

フーゴ「まあ、それもそうなんだけど……」

シーラE「~~……ッッ///」プルプル

フーゴ「やっぱりスプーンもらってくるよ……」

…………

人工呼吸したじゃないですかー

…………

フーゴ「……でね、ここは住宅地になっているんだが、母子家庭が多いらしくて――」カキカキ

シーラE「……」ポケーッ

フーゴ「――だから、この辺りは吸血鬼の餌場として――」カリカリ

シーラE「……!」

フーゴ「ぼくの予想としては、吸血鬼はここから1キロの範囲に――」

シーラE「あー、ごめんフーゴ」

フーゴ「うん?」

シーラE「悪いわね……ちょっとだけ失礼するわよ」ガタン

フーゴ「……何処か行くのかい?」

シーラE「うっさいわねーッ、お手洗いよ。お・て・あ・ら・いッ」スタスタ

フーゴ「トイレなら逆――……行っちゃった」

シーン……

フーゴ「……どうかしたのかな……?」

おばさん「♪~~♪~~」テクテク

犬「ハッハッハッハッ……」テクテク……

ザッ!

シーラE「……」

ズンッ

犬「ワンッ?」ピクンッ

おばさん「んー?なあに、アナタ……?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

シーラE「……」

犬「……」

おばさん「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

シーラE「……んふっ」ニコッ

シーラE「んへへ~、トトォ、トトォ~~ッ♪」ナデナデ

犬「ワンッ!ワンッ!ヘッヘッヘッヘ」パタパタ

おばさん「あらっ!ウチの子がこんなに懐くなんて……アナタ犬好きなのねェ~~ッ」

シーラE「うんっ!大好きー♪うへへ~~ッ」ワッシャワッシャ

犬「ヘッヘッヘッヘ!クゥーンクーン」ゴロゴロ

おばさん「こんなかわいい娘に遊んでもらって、ウチの子も嬉しそうだわ。もっと遊んであげてねえ」

シーラE「はいっ!うふ、んふふふふふ♪トトォだぁ~~っ♪」グワッシグワッシ

犬「ワンワンッ!」モミクチャッ

…………

…………

物陰――

フーゴ「……」コソッ

コソコソッ

フーゴ「……」ジーッ……

ウヘヘ~

ワンワンッ!

フーゴ(う……うわあ……)ドンビキ

…………

…………

シーラE「ふうっ!待たせたわね、フーゴ」ツヤツヤ

フーゴ「いえ。……遅かったですね」

シーラE「少しお手洗い混んでたのよ。悪かったわね……何の話してたっけ?」

フーゴ「吸血鬼の潜伏場所について。……あちらの方向ではお手洗い、遠かったでしょう?」

シーラE「んー?まあまあね」

フーゴ「……そんなに混んでたんですかあ?」

シーラE「まーそこそこよ」

フーゴ「……犬可愛かったですねえ?」

シーラE「うん!すっごく可愛かった!やっぱり犬は大型犬よねぇー!表情豊かで飽きないし、何より――……」ハッ!!

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

フーゴ「……」

シーラE「……おいフーゴ」

フーゴ「なんです?」

シーラE「……とりあえず、こっち向け」

フーゴ「嫌ですよ」

シーラE「いいからこっち向け。ブン殴るわよ」

フーゴ「嫌ですって。……今そっち向いたら……プッ!プククッ!……笑いが、クッ!クククッ!!」

シーラE「……」プルプル

フーゴ「無愛想な貴方が、犬を……ククッ!まるで子供みたいに……ぷぷっ!」

シーラE「……ッ~~……」プルプル

フーゴ「満面の笑みで、犬を……ぷはっ!あはは!あんなの見たことないッ!ぷははは……!」

シーラE「……『ヴードゥー・チャイルド』ぉぉぉ!!!」ズギャーン!!

フーゴ「だからそれは反則――イテッ!殴るのはやめろォーッ!!」

…………

やっべ、おまけなのに長いわ……次回に続きます。

>>297
ありがとうございます。また幸せが増えました。
双馬はこれから先結構出てくると思いますし、別にネタバレとかしてもいいんじゃあないですかねえ。
ぶっちゃけ一話から『わかる人にはわかるだろうな』って思って書いてましたし。

>>300
人命救助と男女関係は別だから……(ふるえ声)

静「『ワイルド・ハニー』ッ! 地面を限界まで透明にしたッ!」

敵「イィィィイイィッッ!? オッ、オレは高所恐怖症なんだよォォ~~~ォォォッ!!!」ガクガク
みたいなギャグっぽい戦闘での使い方ありそう

二度同じ事を言わせないで下さいよ……
最初に「キャラ崩壊あり」と、はっきり書いておいたはずですよ……無駄無駄……

まあ、あのころは二人出会ったばっかだったし、シーラEはトリッシュみたいに、ナメられないようツンツンしてたんじゃないですかね?
10年以上コンビ組んでたらそりゃデレ期にも入りますよ。知らんけど

…………

シーラE「あたしアンタ嫌いだわ」ブスッ

フーゴ「そりゃどうも。……いやあ、しかし……」

シーラE「?」

フーゴ「君が犬派だったとはね……」プルプル

シーラE「殴られ足りないの?フーゴ。唇つけてショック死させてあげてもいいのよ?」

フーゴ「ああ、はいはい。悪かった……もう言わないって。本当に」

シーラE「ったく……いい天気だっていうのに、アンタのせいで憂鬱だわ……」

静「……あれっ?貴方達は……」ヒョコッ

仗助「あんッ?イタリアコンビじゃあねーか」ヒョコッ

シーラE「んあ?」

フーゴ「ああ、『ジョジョ』の遠い親戚だという……ジョースケさんとシズカさん、でしたね?」

静「こんにちは。フーゴさんにシーラEさん」ペコッ

仗助「おうっ。先日はどーもよォ~~ッ」ペコッ

シーラE(動きがシンクロしてるわ……)

フーゴ「もう動いて平気なのですか?なかなか深い傷でしたが……」

仗助「おお。怪我してぶっ倒れてたのが夢だったみてェーに綺麗サッパリだぜェ~~。イタリアの親戚さんに礼言っといてくれよ。マジで助かった」

静「兄さんの怪我治してくれて、ありがとうございましたっ」ペコッ

フーゴ「いえいえ……礼ならぼくでは無く、『ジョジョ』に言って下さい」

シーラE「さすがジョルノ様の能力ねェ~~ッ!……殺人ウィルス撒き散らすだけのアンタとは違うわ」チラリ

フーゴ「…………」

シーラE「ちょ、ちょっと。無言にならないでよ……冗談だって」アセアセッ

フーゴ「お二人は、お出かけ中ですか?」

仗助「まあそんな所っす」

静「映画見に行くんですよ。『デッドプール―マーク・ウィズ・ア・マウス―』」

フーゴ「デッ……ああ、アメコミの」

仗助「おれはアメコミの実写なんざ興味ねーんだがよォ~~……」チラリ

静「いやいや兄さん、ついにデップーが主役で映画デビューなのよ?これは見なきゃあ損よ、ソン!」

仗助「結構前に映画に出てただろ?そのキャラ」

静「あんなのデップーじゃあないわよッ!ファンを馬鹿にしやがって……あたしぜってェー認めないからね。今回の映画は期待してるわよ。ヘッドプールもレディプールも出るんだから!第四の壁は壊してくれるのかなァ~~?」フンフン

仗助「鼻息荒ェーよオメー……」

フーゴ(……この娘の趣味は、よくわからないな……)

シーラE「へー、デップー映画化したんだ。見たいなあ……」

フーゴ「えっ」

シーラE「えっ?」

フーゴ「シーラE、君の好みって……」

シーラE「うるさいわよ、フーゴ」ズズッ

静「……」ジーッ……

シーラE「?……何?」

静「あッ!いえいえ、何も」

シーラE「……何も無いのに、人の顔をじろじろと見るものじゃあないわ。失礼よ」

フーゴ「シーラE、一般の女の子に言い過ぎだ」

仗助「いや、スンマセン。ウチの妹が……」

静「あのっ!いえっ!そのォ~~……前に会った時から、その……『格好いいな』って、思ってまして!」

シーラE「!……あたしが?」

静「シュッとしててキリッとしてて、女性の『スタンド使い』として先輩で……ちょっぴり憧れちゃってるんですよ、あたし」

シーラE「そ、そう?……そう言われて、悪い気はしないわね」

静「あのッ!質問なんですけど……どうやったらあたしも、シーラEさんみたいに格好よくなれますか?」

シーラE「んー、そうねェー……まず女ってナメられたらお終いよ。だから――」

フーゴ「犬を見つけたら笑顔で近付いて撫で回すといいですよ」ボソッ

静「……は?犬?」

シーラE「フーゴテメェー表出な」ガタンッ

フーゴ「嫌に決まってますよ」シレッ

仗助「……んじゃあ、そろそろおれら行きますんで」ペコッ

静「ありがとうございましたァ~~ッ!またお話させて下さいねッ!」フリフリ

シーラE「ええ、またね」ヒラヒラ

フーゴ「……仲の良い兄妹だね。今時珍しいんじゃあないか?」

シーラE「ええ。……」

フーゴ「?……どうかしたかい?」

シーラE「んー……ちょっとね」

フーゴ「……」

シーラE「……クララ姉さまの事……思い出しちゃって」

フーゴ「!……」

シーラE「優しい人だったのよ。……彼女のお兄さんのようにね」

フーゴ「……うん」

シーラE「……」

フーゴ「……」

シーラE「……アンタには感謝してる」

フーゴ「何だい、急に」

シーラE「……ごめん、暗い話するつもりじゃあなかったのよ」

フーゴ「わかってるよ」

シーラE「……」

フーゴ「……」

シーラE「あー、えっとさ。フーゴ」

フーゴ「はい?」

シーラE「さっきの話聞いてさ、あたしも映画見たくなっちゃった。今から行かない?」

フーゴ「映画……ねえ」

シーラE「あ、あとさ。この町にはすごく美味しい高級イタリア料理の店あるらしいわよ。トラサルディーっつって、あたし達と同じイタリア人がやってるんですって」

フーゴ「高級イタリア料理?」

シーラE「日本で食べる祖国の味っていうのもなかなかじゃあない?映画終わったらそこでディナーにしましょうッ」

フーゴ「うーん……それは、いいんだけど」

シーラE「?……何?」

フーゴ「君……その格好で高級料理店に入るつもりかい?」

シーラE「格好についてはアンタに文句言われたくないわね……!」

フーゴ「ぼくはスーツにネクタイじゃあないか。君のように変な民族衣装を着てる訳じゃあない」

シーラE「穴あきスーツに素肌ネクタイの何処が普通なのよッ!あたしのほうがまだマシだわッ!!」

フーゴ「君は露出も多いし……初夏とはいえ寒くないのかい?」

シーラE「動きやすいからいいのよコレでッ!だからそれを言うならアンタだって――……」

フーゴ「?……どうかした?」

シーラE「……フーゴ、ちょっと立ちなさい」

フーゴ「何で?」

シーラE「いいから、さっさと立ってこっち来る」

フーゴ「……?」ガタンッ

スタスタ……

シーラE「まったく……」ガタン

フーゴ「何?いきなり……」

シーラE「動かないで」スッ……

キュッ、キュッ

フーゴ「!……」

シーラE「ネクタイ曲がってんのよ。全く……アンタの唯一マトモな所なんだから、きちっとしなさいよねーッ」

フーゴ「……」

クイックイッ

シーラE「……んー?これどうやって結んでるの?」

ゴソゴソ……

フーゴ「……」

シーラE「えーっと、ここを引っ張ったら伸びるから……」

クイクイッ

フーゴ「……」

シーラE「んー、なんか不格好ね。一回外して結び直したほうがいいかも……」

フーゴ「……」

ギュッ!

シーラE「――ッ!!」

ドゴオッ!!

フーゴ「うごふッ!!」

フーゴ「ちょ……!シーラE、みぞおち入ったぞ……ゲハッ!」

シーラE「あ、あ、あ……アホウ!何!?何で今抱きしめたのッ!?」

フーゴ「なんでって言われても……ネクタイ直すのに時間かかって暇だったし」

シーラE「暇つぶしに抱きしめんなあッ!」

フーゴ「あとほら、ぼくの方が背が高くて、丁度こう……君が抱きしめやすい位置にいたし」

シーラE「だからって抱きしめんなあッッ!!」

フーゴ「いやあ、ぼくの腕に綺麗に収まるんだよね……お昼寝する時に抱きしめたら安眠出来そうだ」

シーラE「アンタあたしの事何だと思ってんの!?」

フーゴ「……安眠抱きまくら?」

シーラE「バカァーッ!!」

ドカァーン!!

フーゴ「ぷげえええええ!!?」

…………

…………

シーラE「もうっ、もうっ、もうっ……!」プンプン

フーゴ「悪かったって。本当に……いい加減ぼくの指を噛んでる唇を消してくれないかい?」ガジガジ

シーラE「……ホンット、あんな事マジでやめなさいよね……!」

フーゴ「ああ」

シーラE「……本当にわかってる?」

フーゴ「うん」

シーラE「……神に誓って?」

フーゴ「……」

シーラE「目ェそらすなコラ」

フーゴ「いやあ、だって……君をからかうのは楽しくってさ……」

シーラE「『ヴードゥー・チャイルド』ぉー。全部の指噛み付くようテーブルに唇出しなさい」

フーゴ「アイダダダダダダダ!」ガジガジガジガジ!

シーラE「罰として、ここの支払いアンタ持ちね」

フーゴ「わかったよ。……はあ」

シーラE「ため息つきたいのはこっちよ。ったく……世間は平和だっていうのに、アンタといたら心が休まらないわ」

フーゴ「そりゃあどうも、すまなかったね」

シーラE「クッソー……」

キャアアアー!!

ワンワンッ!!

シーラE「?……何?騒がしいわね……」

「キャー!!ひったくりよォォーッ!!」

「ワンワンッ!!」

ブゥゥ――ンッ!!

ひったくり「へへへッ!!」

「誰かそいつを捕まえてェェ――ッッ!!」

フーゴ「……世間もそうそう、平和じゃあないみたいだね」

シーラE「フ~~ゴぉ~~」ダルッ

フーゴ「……何?」

シーラE「んっ」ビッ

フーゴ「……ぼくが行けってかい?」

シーラE「うん」

フーゴ「嫌だよ」

シーラE「何で?」

フーゴ「殺しちゃったらどうするんだい?」

シーラE「手加減しなさいよ」

フーゴ「即死しちゃうよ。わかってて言ってるよね?」

フーゴ「捕まえるだけなら君が適任だろ?シーラE」

シーラE「嫌よ。面倒臭いもの」

フーゴ「自分の嫌な事を人に押し付けないで下さい」

シーラE「しょうがないわね……フーゴ」

フーゴ「はい」

シーラE「奇数!!」

フーゴ「……じゃあ、偶数」

シーラE「ビン!ブン!」

フーゴ「バン」バッ

シーラE……2
フーゴ……2

フーゴ「ぼくの勝ちですね」

シーラE「ちょ!タンマ!今の後出しだったわ!もっかいもっかい!!」

フーゴ「嫌だよ。僕の勝ちですー」

※ビンブンバン(bimbumban)……イタリアのじゃんけんのようなもの。
二人の出した数の合計が偶数か奇数かで勝ち負けが決まる。大変まどろっこしい。

シーラE「ううう……クッソー、子供ん時はこれ負け知らずだったのに」

ヴゥゥーン!!

フーゴ「シーラE、ひったくり犯のオートバイが逃げていく。早く行った方がいい」

シーラE「っつってもさ、やっぱりこんなの盗られた方が悪いと思わない?あたしら正義の味方じゃあないし、律儀に助けなくっても……」チラリ

おばさん「誰かァァ――ッ!助けてェェーッ!!」

犬「キャイン!キャイン!!」

シーラE「……あっ」

フーゴ「えっ?」

シーラE「さっきの、犬のおばさん……!」

フーゴ「……あ、本当だ」

シーラE「……」

おばさん「誰かァァ~~ッ!……」

シーラE「……ったく。しょうが無いわね」

ズアッ!

シーラE「『ヴードゥー・チャイルド』ッ!!」

ヴードゥー・チャイルド『エリィッ!!』ドガアッ!!

ビシ!ビシ!ビシ!!

ひったくり「ははっ!ノロマなババアだぜッ!じゃあなァ――ッ!!」

ブゥーン!

バカッ!

唇『あーん……』アングリッ

ひったくり「!?――えっ?」ガチッ!

ガクンッ!!

ひったくり「うっ……うおおおおおおおおお!!?」

ギャルギャルギャルギャル!!

ドッガァ――ンッ!!

シーラE「地面に『唇』を付けた。とびっきり大きなヤツをね……前輪がハマって盛大にコケたみたいだけど……ま、あたしには関係無いわね」ズズズッ

フーゴ「……」

シーラE「んー、美味しいわね。このコーヒー♪」

フーゴ(……やっぱり君が適任じゃあないか)

ひったくり「う、ううう?……クソッ!何が起こったんだ……?」

ザッザッザッ……

ひったくり「……うっ!?」

シーラE「ヴォンジョルノ、コソ泥さん。……あたしの前で悪事を働いたのが運の尽きだったわね」

フーゴ「……」

バン!

ひったくり「て……テメエらの仕業かッ?……クソッ!!」ギリッ!!

シーラE「抵抗なんてするんじゃあないわ。無駄だからね……無駄無駄。ジョルノ様の嫌う行為だわ。黙って大人しく、捕まっときなさい。……あたしを怒らすんじゃあないわよ」

ひったくり「うるせェェェ――ッ!!テメェーのせいで人生お終いだぜこのクソッタレ女がッ!!『変な格好』しやがってよォォォー俺を見下してんのかッこの『クソダサコスプレ女』がよォォォ――ッッ!!!」

プッツーン☆

フーゴ「あっ」

ひったくり「……えっ?」

シーラE「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

フーゴ「ちょ、ちょっとシーラE……?彼もきっと、悪気は無かったんだと思うよ?その、つい勢い余って言ってしまっただけなんだ。たぶん。だから、その……」

シーラE「……」ギロッ

フーゴ「……あー、いや……なんでもない」

ひったくり「?……?何言って……やがんだ?な……何だよ?この……『凄み』はよォ……!?」

シーラE「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

ひったくり「お、おい待て……やめろオイ。俺今オートバイでコケてよォ……腰打っちまったし、スリキズ作っちまったよお。イテテ!……こんな怪我人を……ブチのめすなんざ、しねえよなあ?な?……」

シーラE「……」

ひったくり「……『コスプレ女』よぉ~~ッ?」

シーラE「『ヴードゥー・チャイルド』」

ヴォン!!

ヴードゥー・チャイルド『エェェェエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリィィィィィィィィイイイイイイ!!!!!!!』

ひったくり「ヤッダーバァアァァァァアアアアア!!!!」

ドッガァァ――ンッ!!

フーゴ「やりすぎだシーラEィィ――ッ!!」ズガビーン!!

ひったくり「ひ……ヒクヒク……」ピクピク……

フーゴ「し……シーラE?」オソルオソル

シーラE「あ……あたし……こいつ警察につきだしたら、服屋行くわ……センス悪いって店員にバカにされるのも結構いいかもね……キチッとしたスーツも欲しい!イタリア製の高級黒スーツよ!ネクタイもつけてみよう!」

フーゴ「……ぼくが買ってあげますよ……」

シーラE「……うん」

…………

…………

服屋――

シーラE「ふーん……」キョロキョロ

フーゴ「様々な服がありますね……」ウロウロ

店員「いらっしゃいませェ~~ッ。本日はどのような服をお探しでェ?」

シーラE「あ、えっと……動きやすそうな黒のスーツとか――」

フーゴ「とりあえず、彼女に似合いそうな可愛い服とかありませんか?」ズイッ

シーラE「ちょ、ちょっとフーゴ!」

フーゴ「せっかく服屋に来たのだから、色々試さないと損だろう?」シレッ

シーラE「け、けど……かわいい服って何よ」

フーゴ「何って……女性ならそういう服が欲しいんじゃあないのか?」

シーラE「……似合わないって、あたし。……こんな傷だらけの顔だし」

店員「いやいやァ、お姉さんホンット美しいじゃあないですかァ~~。やっぱガイジンさんは出来が違うなあッ!」

フーゴ「だってさ、シーラE」

シーラE「適当なおべっか使ってんじゃあないわよ」ブスッ

店員「いやいや本当ですって!こりゃあ服の選びがいがあるなあッもうっ!!んじゃっ、ちゃちゃっと全身コーディネートしちゃいますねェ~~ッ。彼女素材がイイーッから何でも似合いそうですねェ~~ッ!」ニコニコ

シーラE「えっ、ちょ、マジで?」

店員「彼氏さんはここで少ォしお待ちを……すぐ済みますので。それではァ~~ッ!」ガシッ!

シーラE「ちょっと、待っ、引っ張らないでよ!そもそもあいつ彼氏じゃ……ちょ!フーゴ!ふーごぉ~~っ!!」

ズルズル……

フーゴ「……ぼくも少し、服でも見るか……」

…………

…………

フーゴ「……うーん、このネクタイは少し派手かな?でもなあ……」

店員「お待たせしましたあっ!コーディネート、終わりましたよおっ!」

バーン!

フーゴ「おっ?どれどれ?」クルッ

シーラE「う……ううううう~~ッ……!!」モジモジ……

フーゴ「……」

ミニスカート フリフリッ♪

リボン プリプリッ♪

店員「いやァ~~、ホンット可愛らしいお姉さんでしたからね。服装も可愛らしく決めてみました。どうですっ?彼氏さんッ?」

フーゴ「……どうって……いやあ、うん……」ジロジロ

シーラE「見るなバカッ!殺すわよッ変態!!」ガルル

フーゴ「うん。いいんじゃあないかな」ニコッ!

シーラE「へあっ?」

フーゴ「すごくいいよ。このフリフリのスカートとか……ちょっと大きめの上着とかもいい感じだね、うん……可愛いよ?」

シーラE「かっ!……か、かわいいとか……///」モジモジ

フーゴ「うん!いつもの訳がわからない民族衣装に比べたら、1000倍マシだねッ!」ニコッ!!

シーラE「エリイッ!!」ドゴオ!!

フーゴ「なんで殴るのッ!?」ゲハアッ!

…………

…………

シーラE「やっぱりあたしには、こういうのが似合ってるのよ……動きやすいし」ピシッ

フーゴ「パンツルックのスーツですか」

シーラE「イタリア製は肌に馴染むわね……あたしこれ買うわ。こういう服なら、日本でも目立たないでしょう」

フーゴ「さっきの可愛い服は?」

シーラE「捨てときなさいよ。絶対いらない」

店員「あのォ、一応ウチの商品ですので……」

シーラE「フンッ!」

フーゴ「……」

フーゴ「……可愛かったのになあ」ボソッ

シーラE「ッ!……」

フーゴ「……本当にいらないのかい?」

シーラE「……しつこいわね。いらないわよ……マジに」

フーゴ「しかし……」

シーラE「フーゴ、あたし達は『裏の世界』の人間よ」

フーゴ「!……」

シーラE「これから先も、ずっとずっと……薄暗い闇の中で生き続けなくちゃいけないのよ」

フーゴ「……ああ」

シーラE「あたしは、あたし達は……人並みの幸せなんか、手にしちゃあいけないのよ。それはきっと……弱さに繋がるから」

フーゴ「……」

シーラE「わかったなら、早くスーツの代金払ってきてよ。任せたわよ」プイッ

フーゴ「……シーラE」

シーラE「ん?」

フーゴ「それでも、きっと……ジョジョなら、きっと。……ぼく達にも、幸せを掴む権利はあると……力強く、言ってくれるはずだ」

シーラE「!……」

フーゴ「……外で待っていてくれ」スタスタ

シーラE「……わかったわ」

フーゴ「…………」

店員「えーっとォ……それでは、イタリア製のスーツの代金ですがァ……」カチャカチャ

フーゴ「……あの、すみません」

店員「はい?」

フーゴ「もうひとつ、あれを――」

…………

…………

カランカランッ……

フーゴ「待たせたね」

シーラE「……遅かったじゃあないの」

フーゴ「ああ。すまない」

シーラE「ったく……さっさと行くわよ。会計にどんだけ時間かかってんだか……」

フーゴ「シーラE」

シーラE「ん?」

フーゴ「これを……」

ガサッ

シーラE「!……これって……?」

フーゴ「さっきの服だよ。……プレゼント用に、包装してもらってたんだ」

シーラE「んなっ!バッカじゃあないのッ!?そんなもんいらないわよッ!あたしをからかってんの?」

フーゴ「……」

シーラE「アンタにバカにされるに決まってるのに、着るわけないじゃあないのッ!!そんなもん捨てて――」

フーゴ「着なくてもいい」

シーラE「……何?」

フーゴ「着なくても、いいんだ。ただ、ぼくは君に……『プレゼント』をしたかった。ただ、それだけなんだ」

シーラE「……」

フーゴ「そして、いつか君が……心の底から『幸せ』だと、そう感じた時に――」

ガサッ

フーゴ「……袖を通してみてくれ。きっと……君の笑顔に、この服は……ぴったり似合うと思うんだ」

シーラE「……」

フーゴ「……」

シーラE「……バカ」

フーゴ「……」

シーラE「ばーか。ばかばか。バカフーゴ」

フーゴ「……」

シーラE「……」

フーゴ「……」

シーラE「……もう……」

ガサッ

シーラE「あ……ありがとう。……パニー」

ニコッ!

フーゴ「ッ……!」ドキッ

シーラE「……えへへ……」テレテレ

フーゴ「……ミスタの前でその名前で呼んだら、キレるからね。ぼく」

シーラE「なんでよぉー」

フーゴ「からかわれるに決まってる」

シーラE「いいじゃあないの。いつもあたしをからかってる罰よ♪」フフン

フーゴ「ったく……」

フーゴ「さあ、そろそろ行こうか?シーラE。十分息抜きは出来ただろう」

シーラE「ええ。この動きやすいスーツなら、吸血鬼にもすぐ追いつけそうだわ」

フーゴ「このすぐ近くのマンションで、失踪事件が起きたらしい。……さっそく行ってみよう」

シーラE「ふんッ……すぐに追いついてみせるわ。あたしの『ヴードゥー・チャイルド』の能力でね」

フーゴ「頼もしいよ」

シーラE「トドメをさすのは、アンタよ?フーゴ」

フーゴ「ああ。……任せてくれ」

ザッ!

シーラE「うーんッ!……今日は良い日ねぇ、フーゴ」

フーゴ「まったくだ」

シーラE「空が青くって……いい気持ち」

フーゴ「ああ」

シーラE「……」ニコッ

フーゴ「……」ニコッ

シーラE「行くわよ、フーゴ……追跡再開よッ!」ザッ!

フーゴ「ああッ!!」ザッ!

シーラE「頼りにしてるわよ?……『相棒』」

フーゴ「ぼくもさ……『相棒』」

シーラE「……ふふっ!」

フーゴ「……ははっ!」

ザッ!!

…………

…………

おしまい。

…………

という訳で、静ジョ九話おまけ分含めて終了です。
元々とある場所で、日常ギャグばっかずーっと書いてたんで、こういうのラクだわ……ホント。

実を言うと(こんな事言ったら怒られるかもしんないけど)
ジョジョ女キャラで一番好きなの、シーラEだったりします……。
「傷だらけの顔」とか「血が出るかと思うほど指を耳に突っ込んだ」とかの描写で、
「ゴリラみてーな顔したブッサイクな女なんだろうな」とか思ってたら、
不意打ちでめちゃくちゃ可愛い挿絵が入って……ホレました。
今回の番外編は完璧自分の趣味です。
pixivにシーラEのイラストもっと増えればいいのに。

こういう話書くのは好きなのですが、本編進まないのでほどほどにしときます。
だいぶ満足しましたので……
次スレはまた今度建てますー。

あと、途中アメコミネタ入れたのは、幼じょりーんの人の影響……
なのですが、私自身はあまりアメコミ知らないので……デップー好きな方いたらすみません。
謹んでお詫び申し上げます。

あァ~このコンビええのんじゃあァ~
>>1もアメコミファン!?って思ったけど、単にサービスしてくれたのね。ありがとうございやす!このためだけに調べてくれたっぽいのが泣けます
全然問題ないでっせ!映画のデップーはデップーじゃないからね!全然知らないって言ってるわりには普通にファンが言ってそうな事言ってるから困惑するわ
次スレも待ってます!あと気になったのはこのコンビはイ~イ感じだけどムーロロはどういう立ち位置なのかなァ~

>>384
実は、アメコミは本当全然わからないのですが、デッドプールマーク・ウィズ・ア・マウスだけは持ってます。
下半身パンツ一丁のアメコミヒーローを見て「なんじゃこら?」と思い購入。
独特のノリについていけなかったけど、何度も読むうちに好きになりました。
2015年には本当に映画化すればいいですねえ。

ムーロロは、表向きフーゴやシーラEの(使えない)上司として威張り散らしてますが、
裏では組織の幹部として、危険な裏の任務を担当している……という風なイメージですねえ。
彼はあまりキャラ掴めてないんで、書くことは無いと思います。たぶん。

次スレです。
静「双葉双馬は静かに暮らしたい」
静「双葉双馬は静かに暮らしたい」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1391689545/)
2ケタに突入しましたが、これからも応援をば……。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年07月29日 (土) 01:53:24   ID: PFE7AXqP

そーいえばデップー少し前に映画出たなー

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