胡桃「塞ってボンバーマンに似てるよねー」塞「は、はァ!?」(249)

塞「ど、どこが・・・っ!?」

胡桃「いや、そのお団子アタマとかさー」ピコピコ

塞「・・・」

胡桃「あだ名はサエボンとかどう? あ、勝った」ぼーん!

塞「なにそれ・・・馬鹿にしてんの?」

胡桃「え、バカにしてないよっ。可愛いじゃん」

塞「・・・」イラッ

塞「・・・じゃあ胡桃はチビボンね」

胡桃「・・・なにそれ。私ボンバーマンじゃないし」

塞「私だってボンバーマンじゃないっ!!」

胡桃「いやボンバーマンとは言ってないよ。ボンバーマンに似てるって言っただけ」

塞「はァ!? 同じことでしょっ!」

胡桃「・・・なにそんな怒ってんの? たかが冗談じゃん」

塞「あんたがそういう人の癇に障るようなこと言うからでしょっ!!」

胡桃「・・・塞ってほんと怒りっぽいよねぇ。年なんじゃないの?」

塞「っ・・・!! は、発意障害のあんたにだけは言われたくないわ」

胡桃「・・・ッ」ピキピキ

塞「前々から思ってたんだよね・・・チビのくせに偉そうにしてさ」

胡桃「・・・っ! チビっていうなっ!」

塞「ははん、やっぱり気にしてたんだァ・・・そりゃそうだよねぇ、そんだけチマけりゃね」

胡桃「・・・ッ! あんたなんてババアのくせに!」

塞「はァ? どこが? あんたと同い年なんですけど?」

胡桃「中身がってことだよ、おバカさん。趣味が石集めとかババア臭すぎ」

塞「・・・っ///」

胡桃「お願いだから部室にはもってこないでよね。汚くなるから」ププ

塞「も、持ってこないし! ていうかあんたにとやかく言われる筋合いなんてないっ!!」

胡桃「あとなんだっけ。中学の卒業文集で好きな食べ物は・・・」チラッ

塞「あ、あれは・・・っ///」

胡桃「もずく・・・だっけ? みんなにすごく笑われてたよねぇ」クスッ

塞「べ、べべべ別にいいでしょっ!! 健康にだっていいんだからっ!」

胡桃「健康ってw ますますババ臭いんだけどっ」

塞「~~~~~~っ!!!」

塞「あぁぁあああああっもうむかつく!! チビチビチビっ!!」

胡桃「っ!? う、うっさいなァ! 二度と言うなっていったでしょっ!!」

塞「黙れ、チビチビチビっ!!」

胡桃「だ、だいたい人の生まれつきの体型をやり玉にあげるとか最低っ!」

塞「最低なのはあんたでしょっ! チビ!」

胡桃「うっさいだめれババア!!」

塞「あっ、噛んだ噛んだ~!」

胡桃「~~~~~~っ!! そうやって人の揚げ足ばっかとるとこが最っ低なのっ!!」

塞「はいはいそうですかァ! ごめんなさいでしたァ!」

胡桃「むっかぁあああああっ!!! このナルシスト!!」

塞「な、ナルシストって何よっ・・・」

胡桃「私この前見ちゃったもんっ、あんたがモノクルかけて鏡の前でポーズきめてるとこっ!」

塞「・・・は、はァ~!? そんなの知らないしっ!」

胡桃「とぼけんなっ! 『なんか大人っぽいかも』とかドヤ顔で言ってただろうがっ!」

塞「そ、そんな顔してないっ!!」

胡桃「あ、じゃあやってたことは認めるんだァ」ニヤニヤ

塞「ぐ・・・う、うぅ」ワナワナ

胡桃(よしっ、今のうちに畳みかけちゃえ・・・!)

胡桃「だいたいあんたと一緒にいると恥ずかしいことが多くて敵わないんだけどっ」

胡桃「スーパーではレジ袋とるとき指舐めるし、椅子から立ち上がるとき『よっこらしょ』とか言うしっ」

塞「・・・」

胡桃「トイレは和式トイレじゃないとダメだし、石集めが趣味だし・・・ってこれはもう言ったか」

胡桃「まァ要するにどんだけババアなんだよってこと」

塞「・・・っ」

胡桃「なにー? 泣きそうなの?」

胡桃(・・・よし勝ったっ)

塞「・・・るさい」

胡桃「え・・・?」

塞「うっさいドチビっ!! あんたこそ恥ずかしいのよっ!!」

塞「充電とか言ってシロの膝に座るのとかあざといし、あれって自分がチビってこと強調してるだけじゃんっ!」

胡桃「・・・」

塞「なにかというとかわいさアピールしてぶりっ子ウザいんだよっ!!」

塞「口をキッって結んでるのもなんか気に障るし、顔殴りたくなる・・・っ!」

塞「だいたいあんた無能力者で麻雀部のお荷物なんだから、少しは立場弁えなさいよっ!!」

胡桃「・・・っ」

塞「ハァ・・・ハァ・・・どうなの、なんか言い返しなさいよ・・・っ!」

胡桃「・・・っ、うるさいうるさいうるさいっ!! 死ねババアっ!!」

塞「・・・っ!?」

胡桃「あんたなんて死んじゃえ!! 早く老衰しろっ!! バカっ!」ダダッ

塞「なっ・・・あんたこそ穴に嵌ってそのまま餓死しちゃえよバカーーっ!!」

塞「・・・」

塞「っ、うわぁあああああっ!!! むかつくむかつく~~~っ!!!」ダンダンッ

---------------------
豊音「―――ってことがあったみたいでー・・・」

白望「・・・」

エイ「・・・」

豊音「教室ちょー居づらいんだけどどうしたらいいかなー・・・とかとか」

白望「くだらない・・・寝る」バタッ

豊音「ひ、ひどいよシロ~っ」

エイ「シロ、マジメニカンガエルッ!」バンッ

白望「いったァ・・・だってそんなの私の知ったこっちゃないし」

豊音「えっ、だって同じ部活の友達じゃんっ」

エイ「ナカナオリシテホシイ・・・」

豊音「うんっ、私もそう思うよー・・・」

白望(・・・ダルい)

白望「とりあえず二人に会ってみないことには・・・」

エイ「ブカツ!」

豊音「う~ん、でも部活ちゃんときてくれるかなー・・・」

白望「まァ、今日は様子見でいいっしょ・・・部活こなかったらこなかったで考えればいいし」

豊音「そうだねー・・・」

エイ「ウン・・・」

---------------------

塞「・・・」

塞「・・・っ」タンタンタン

塞「・・・」イライラ

塞(あのチビが視界に入ってすっごく邪魔・・・っ)

塞(豊音は授業終わったらそそくさとどっか行っちゃうし・・・)

塞(そういえば今日部活どうしよっか・・・)

塞(あのチビがくるんだったら行きたくない・・・けど)

塞(なんかそれで行かなかったら私がアイツに譲ったみたいな形になるし、何より負けた気がして気に食わない・・・っ)

塞(そもそもアイツが発端なのに、どうして私がこんな思いしなきゃなんないのよっ)

塞「・・・」タンタンタンタンタンッ

塞(・・・今回ばかりは絶対に私の方からは謝らないんだから・・・っ!!)

塞(まァ、向こうが謝ってきたって簡単には許してあげないんだけどさ・・・っ)

塞「・・・ハァ」

---------------------
胡桃「・・・っ」

胡桃「・・・うざ」

胡桃(なんかあのババアがいるから、後ろ振り向きづらいしほんと不便・・・っ)

胡桃(なんかさっきから貧乏ゆすりしてるし、ほんっと気持ち悪い・・・っ!)

胡桃(ババアっていうかむしろ底意地の悪いジジイって感じっ)

胡桃(豊音もどっか行っちゃうし・・・もしかしてシロたちのとこ行ったのかな・・・)

胡桃(私も行きたいけど、行ったらこの無言の戦い?に負けたような気がしてなんかイヤ・・・っ)

胡桃(だから今日の部活だって何がなんでも行ってやる・・・っ)

胡桃(アイツにだけは負けたくない・・・っ!!)

胡桃「・・・」

---------------------
ガラッ

豊音「た、ただいまー」

胡桃・塞「あ、トヨネ!」

胡桃「・・・」チッ

塞「・・・っ」タンタンタンッ

豊音(・・・うぅ・・・二人とも怖いよー・・・)

豊音「あ・・・ふ、二人は今日部活行くー・・・?」

胡桃「もちろん行くよっ」チラッ

塞「・・・」

塞(やっぱりくんのかァ・・・でもここで引き下がるわけには・・・っ!)

塞「いくいくっ!」

豊音「そ、そっかー! それはよかったー!」

胡桃「・・・」チッ

塞「・・・」フンッ

豊音「あー・・・ははは・・・」

---------------------
部室

ガラッ

豊音「ど、どうもー・・・」

エイ「コンニチハ!」

胡桃「やっほー! エイちゃん、シロ!」

白望「・・・ん。あれ、塞は?」

豊音「なんかなんかー、トイレ寄ってから行くってー」

エイ「ダイジョウブカナ・・・?」

胡桃「平気へいき。どうせ便秘かなにかだって」

白望「・・・」

白望(これはまじで喧嘩っぽいなァ・・・めんど)

胡桃「それよりさ、早く始めちゃおうよっ」

豊音「え、でもでも塞がまだ来てないし・・・」

胡桃「いいじゃん、どうせ一人は見てることになるんだか(ry」

ガラッ

塞「遅れてごめーんっ」

胡桃「・・・」チッ

塞「・・・」

豊音「あわわわー・・・」オロオロ

エイ「コンニチハ!」

塞「・・・っと、こんにちはエイスリン」ニコッ

豊音「・・・」ホッ

白望「・・・ん~」ボリボリ

---------------------
豊音「―――というわけで私が外れるねー」

エイ「ウン!」

胡桃「・・・」

塞「・・・」チラッ

塞「ハーア・・・私、トヨネと打ちたかったなァ・・・」

胡桃「・・・」イラッ

胡桃「待っててトヨネ。私がすぐに誰か飛ばして終わりにさせるからっ」

塞「・・・っ」イライラ

胡桃「・・・ふん」

白望(もう帰りたいなァ・・・)ジャラジャラ

---------------------
塞「―――ロン」

胡桃「・・・はいはい」スッ

塞「・・・ちょっと、ちゃんと届くように寄こしなよ」

胡桃「っ! はいはいじゃーこれでいいですかー」ポーイッ

塞「・・・っ」イラッ

塞「ちょっと大切に扱いなさいよっ。これみんなのお金で買ったものなんだから」

胡桃「それくらいで傷つくわけないでしょ。アホじゃないの」

豊音「あ、あのあの・・・」

塞「私は扱い方の問題を言ってるのっ!!」



白望「あのさー」

胡桃・塞「・・・っ」

白望「・・・続けてもいい?」

胡桃「あー、ごめんねシロっ! ・・・まぁ、私は悪くないんだけどさー」

塞「・・・いるよねー。すぐ人のせいにするやつー」

白望「・・・」

エイ「・・・タノシクナイ」

胡桃「・・・えっ」

エイ「コンナノマージャンジャナイ・・・ヤメヨ」

豊音「え、エイスリンさん・・・」

塞「・・・っ」

白望「そうだなぁ・・・やめるか」

胡桃「え、・・・じゃあ何するの?」

白望「・・・部活はもう終わり」

塞「・・・」

白望「・・・胡桃と塞は帰っていいよ。私は二人に用あるから」

塞「・・・そっか。じゃ私帰るわ」ガタッ

塞「お先ー」

ガラッ...ピシャリ

白望「・・・」

胡桃「そ、そう・・・じゃ私も帰るっ」タッタッ

ガラッ...ピシャリ

豊音「・・・うぅ」

エイ「・・・っ」

白望「・・・」

白望「・・・仕方ない。私もできるだけ努力する」

豊音「シロー・・・」ウルッ

白望「な、泣かないで・・・」

エイ「デモ・・・ドウスル?」

白望「うーん・・・二人とも意固地になってるし、正攻法じゃうまくいかなそう」

豊音「じゃ、どうするのー・・・?」

白望「・・・んー」

エイ「・・・アソビイク」

豊音「えっ・・・?」

白望「・・・みんなでどっか遊びに行くってこと?」

エイ「・・・っ」コクコク

エイ「・・・♪」カキカキ

エイ「・・・ハイ」スッ

白望「川・・・? 水浴びに行くってこと?」

エイ「・・・っ」コクコク

豊音「い、いいかもー・・・楽しそう」

白望「まぁ・・・そうやって地道にやってくしか方法はないかぁ」

白望「・・・うん、それでいこう。二人には私から連絡しとく」

豊音「二人が早く仲直りできるといいねっ」

エイ「・・・ウン!」

---------------------
白望「―――ってことなんだけど」

塞「・・・」

白望「・・・塞もくる?」

塞「・・・」

白望「・・・別に胡桃とは無理に話さなくてもいいから」

塞「っ・・・やっぱり聞いてたんだ」

白望「・・・じゃトヨネに話したのは塞?」

塞「・・・まァ・・・ね」

白望「・・・ふーん」

白望(人に話したってことは、やっぱりこのままじゃいけないって思ってるのかなぁ・・・)

あ、ちなみにこれは電話での会話です

白望「・・・それで、いく?」

塞「まー・・・そこまで言うなら・・・」

白望「わかった・・・じゃ、さっき言ったところで待ち合わせ」

塞「うん、それじゃ・・・」ガチャン

塞「・・・ハァ」

塞「私何してんだろ・・・普通なら断るところでしょうが」

塞「・・・」

塞「シロたちも大変だろうなぁ・・・私たちなんかのために」

塞「エイスリンも怒らせちゃったし・・・なんか悪いことしてる気分」

塞「・・・でも私からは絶対に謝るなんてできないから・・・」

白望「―――で、胡桃はくる?」

胡桃「さ、塞はくるって・・・?」

白望「うん」

胡桃「・・・」

白望「塞にも言ったけどさぁ・・・これは別にあんたら二人を仲直りさせようとかそういうんじゃないから」

胡桃「・・・っ!? な、仲直りって何のこと?」

白望「・・・いまさらでしょ。今日の部活であれだけ見せつけといて」

胡桃「・・・っ」

白望「まぁ無理にとは言わないけど。これはあくまでエイスリンからの遊びのお誘いだから」

東海だから知らんけど岩手で水浴びとか試練レベルじゃないの?

胡桃「・・・んー・・・じゃあ行くよ」

白望「・・・そう。よかった・・・じゃさっき言った通りの時間に」

胡桃「・・・うん」

白望「それじゃ」ガチャリ

胡桃「・・・ハァ」

胡桃「・・・やっぱりばれてたのか・・・まぁ、そうだよね・・・」

胡桃「シロはああ言ってたけど、これって明らかに・・・そういうことだよねぇ」

胡桃「塞はなんで行こうなんて思ったんだろ・・・」

胡桃「・・・っ」

胡桃「まさか・・・ね」

>>85
すまそ、これ夏設定です

---------------------
当日

ミーンミンミンミンミン

エイ「オマタセ!」

豊音「わぁー。エイスリンさんその麦わら帽子おしゃれー!」

エイ「フフーン、アリガト!」ニコッ

白望「じゃこれで全員ね」

胡桃「・・・」

塞「・・・」

エイ「シュッパツ!」

豊音「おー!」

白望「・・・って言ってもすぐそこの川なんだけど」

エイ「サエ、クルミ! ハヤクイコ!」ダダッ

塞「えっ、あ、ちょっと待ってエイスリンっ!!」

胡桃「ひ、引っ張んないで・・・っ!」

―――

バシャーン

エイ「プハッ・・・ツメタイ!」

塞「うわっ、ほんとだ・・・」

胡桃「エイちゃんはこの川で水浴びするの初めてか」

エイ「ウン!」バシャバシャ

胡桃「ふふ、いいとこでしょ?」

エイ「ウンっ!」ニコッ

豊音「私も混ぜてー・・・ってうわぁー!!」ズテッ

バシャーン

塞「ちょっ、トヨネ大丈夫っ!?」

豊音「ぷはぁっ! 平気だよー!」ニコニコ

胡桃「び、びっくりさせないでよっ!」

エイ「スゴイミズシブキっ!」

豊音「えへへー♪」

塞「シロも早くこっちきなよーっ!」

白望「・・・はいはい」

「うわぁー!」バシャーン「トヨネったらなにしてんのよー!」
「トヨネドジ!」「あははっ、子供みたいっ」

白望「・・・」

白望(なーんか・・・案外早く仲直りできそうなのかなぁ、なんて・・・)

塞「ははっ、シロってば何やってんのー!」

塞(あー・・・なんかここ数日の鬱憤が嘘みたいだ・・・)

塞「・・・」チラッ

胡桃「ほらほらーっ!」バシャバシャ

塞「・・・」

塞(ハァ・・・あんなことでいがみ合ってたのがバカみたいだわ・・・)

塞(で、でもでもっ・・・私の方からは絶対に謝らないって・・・!)

胡桃「・・・ははっ」クルッ

塞「・・・あっ」

胡桃「あっ・・・」

塞(や、やばっ・・・これは不意打ちすぎ・・・っ)

胡桃「・・・っ」モジ

塞(む、向こうも困ってるぞ・・・って私だってどうしたらいいか・・・っ)

塞「・・・」ゴクリ

塞「あ・・・あのさ・・・」

胡桃「・・・ん」

塞「え、えっと・・・」ドキドキ

塞(やばいやばいやばい・・・なんでこんな緊張してんだ私ーっ!)

塞(いやもうなんか言うっきゃないでしょっ! いけ私っ!)

塞「・・・く、胡桃って胸小さいよねー!」

胡桃「・・・っ///」

塞(あ・・・やば)

塞「な、なんていうか幼児体型っていうかさぁ! まぁそういうのが好きな人もいるんだろうけどっ」

塞(や、やばい・・・なに言ってんだ私・・・)

塞「やっぱ胸はでかくないとーっ! そういえば揉めば大きくなるらしいよー?」

塞「ということでここはひとつ、私が・・・」

バシンッ

塞「・・・痛っ・・・」

胡桃「・・・っ」

エイ「・・・ァ」

豊音「・・・」

白望「・・・」

塞「・・・ど、どうしt(ry」

胡桃「・・・なにそれ・・・?」

塞「・・・え」

胡桃「なんなのそれ!?」

胡桃「せっかく・・・せっかく仲直りできるんじゃないかと思ったのに・・・っ」

胡桃「開口一番がそれ!? 人が気にしてることいつまでも引きずってさぁ!!」

胡桃「あんたって・・・やっぱ最低だよっ!」

塞「・・・」

胡桃「・・・わたしもう帰る・・・」

ハァ・・・即興って難しい・・・

塞「・・・ちょっと待ってよ」

胡桃「・・・は?」

塞「人が勇気振り絞ってしゃべりかけたっていうのにさ・・・」ワナワナ

塞「そ、そういう言い方ないでしょっ!? あんた自分勝手だよっ!!」

胡桃「・・・は、はぁ? 話しかければ何でもいいと思ってんの? バカじゃないのっ!?」

塞「バカじゃないしっ! 別に胸のことだって今までさんざん言ってきたじゃんっ!」

塞「それをあたかも今さっき初めて侮辱されたようにさっ!!」

胡桃「・・・た、タイミングってもんがあるでしょ!! 塞はデリカシーなさすぎなんだよっ!!」

塞「タイミングってなに!? デリカシーって何さ!? わかるように説明してみなさいよ! ほらできないんでしょ!?」

胡桃「はぁ? なにそれ意味わかんないしっ! あんたそういう逃げ方しかできないのっ!? ほんっと卑怯だよね!」

塞「うっさいっ! 卑怯はどっちだ、このバカっ!!」ドンッ

胡桃「・・・わっ・・・痛っ!」バシャン

エイ「ヤメテ・・・」

胡桃「やったなぁー!!」ドンッ

塞「うわっ・・・ぐっ!」バシャン

豊音「ふ、二人とも・・・っ」

塞「なにすんのよこのアホっ!」ドンッ

胡桃「きゃっ・・・っ!!」バシャン

エイ「ヤメテ・・・」

胡桃「あんたが先に押してきたんでしょうが・・・っ!!」

エイ「モウヤメテっ!」タタッ

どんっ

エイ「・・・っ!」バシャン

豊音「え、エイスリンさん・・・っ!」

エイ「・・・プハァ・・・タスケっ・・・」バシャバシャ

胡桃「え・・・」

塞「ま、まさかエイスリンって泳げないんじゃ・・・」

サッ

白望「・・・っ」グイッ

ザバァッ

エイ「・・・ゲホッ・・・ゲホッ」

胡桃「え、エイちゃん・・・っ」

白望「・・・大丈夫?」

エイ「・・・ウッ・・・ヒック・・・」ポロポロ

エイ「ナンデ・・・ナンデコンナコトスルノ・・・」

塞「・・・っ」

なんか今日は全然筆が進まねえ・・・

一瞬
塞「なにすんのよこのアホっ!」ドンッ
胡桃「きゃっ・・・っ!!」バシャン
エイ「ヤメテ・・・」
胡桃「あんたが先に押してきたんでしょうが・・・っ!!」
エイ「モウヤメルンダッ!」タタッ
って見えた

胡桃「ご、ごめん・・・ごめん、エイちゃん・・・」

白望「・・・私、エイスリンを送ってくから・・・」

白望「歩ける・・・?」

エイ「・・・」コクッ

エイ「・・・」チラッ

塞「・・・っ」

胡桃「・・・」

スタスタ...

豊音「・・・私、二人の荷物持ってくねー・・・」

塞「あ・・・うん・・・」

胡桃「・・・」

カナカナカナカナカナ...

---------------------
臼沢邸

ザァーーーーーーーーー

塞「雨だ・・・」

塞「エイスリン、大丈夫かな・・・」

prrrrrrrrrrrrr

塞「え、電話・・・?」

ガチャ

塞「はい・・・って、シロ・・・?」

塞「うん・・・うん・・・え・・・」

塞「エイスリンがいなくなった・・・!?」

---------------------
鹿倉邸

胡桃「え、エイちゃんが・・・?」

白望「うん・・・私が帰った後すぐにエイスリンの家から電話かかってきた」

胡桃「わ、私のせい・・・?」

白望「・・・今はそういうのはなし。警察には連絡してあるけど、やっぱり人手が足りないみたい」

白望「だから・・・胡桃たちも探すの手伝って」

胡桃「う、うん・・・っ!」

白望「・・・この雨で川が増水してるかもしれないから、注意して」

胡桃「川・・・か・・・」

---------------------
ザァーーーーーーーーーーーーーー

塞「・・・か、風が強い・・・っ」

塞「雨具で来た方が正解だったかも・・・っ」

塞「・・・」

塞「エイスリン・・・どこへ行ったんだろう・・・」

塞(最後に見たエイスリンの表情・・・すごくつらそうな顔してた・・・)

塞「それもこれも私たちのせい・・・か」

塞「い、いや、今はエイスリンを探し出すことが優先だ・・・っ」

塞(でも・・・なんかひっかかるんだよね・・・)

塞(なんだろう・・・エイスリンの表情・・・じゃなくて・・・なんだろう?)

---------------------
ザァーーーーーーーーーーーーーー

胡桃「エイちゃん・・・エイちゃん・・・っ」

胡桃(なんとなく、エイちゃんはさっきの場所にいるような気がする・・・なんでだろう?)

胡桃「・・・」

胡桃「そ、そういえば・・・」

胡桃(帰り際のエイちゃん、いつも耳に挟まってるペンがなかったような・・・)

胡桃「・・・っ!!」

胡桃「まさか、私が押して溺れそうになったときに落っことしたんじゃ・・・」

胡桃「エイちゃんはそれを探しに・・・」

胡桃「やばい・・・っ! 早くいかないと・・・っ!」タッタッタッ



胡桃「うわ・・・すごい水かさが増してる・・・」

胡桃「エイちゃーーーーーーーーーーーんっ!! どこーーーーーーーーーーーーっ!!?」

胡桃「ダメだ・・・雨音が強すぎてかき消されちゃう・・・」

「・・・ィーーーーンっ!!」

胡桃「・・・あの声は・・・」

「エイスリーーーーーーーーーーンっ!! いたら返事してーーーーーーーーーっ!!」

胡桃「塞だ・・・」

胡桃「・・・っ」

胡桃「わ、私ってば、こんな時までなに意固地になってるんだ・・・っ」

塞「あ・・・胡桃・・・」

胡桃「・・・っ」

胡桃「・・・エイスリンは・・・」

塞「・・・ううん、まだ見つからない・・・」

胡桃「たぶん・・・エイスリンはペンを探しに来たんだと思う・・・」

塞「・・・うん、あの時に落としたんだ。私もさっき気づいた・・・」

胡桃「早く探し出さないと・・・っ」

塞「うん・・・今日水浴びしてたとこを探してみよう・・・っ」

---------------------

塞「ダメだ・・・完全に沈んでる・・・」

胡桃「・・・そもそも川に流れたペンを探すなんて無理なのに・・・っ」

胡桃「なんで・・・なんでよエイちゃん・・・っ」ポロポロ

塞「・・・っ」

「二人とも・・・」

塞「・・・誰っ!?」

豊音「・・・ここにいたんだね」

胡桃「と、トヨネ・・・」

塞「え、エイスリンは・・・?」

豊音「・・・」フルフル

胡桃「・・・そ、そんな・・・」

塞「・・・もうダメだよ・・・きっと」ガクン

豊音「・・・」

胡桃「な、なに諦めてんのっ!!? エイちゃんはきっとまだ・・・っ!!」

塞「だってっ!! この雨にこの増水!? もし川に来てたんだとしたら、助かるはずない・・・っ!!」

胡桃「あ、あんたそれでもエイスリンの友達なの・・・っ!!?」

塞「あたりまえでしょっ!! でも、でも・・・っ!!」

豊音「・・・っ!! みんな、あれ・・・っ!!」

胡桃「あ・・・」

ちょっと訂正

塞「だってっ!! この雨にこの増水だよ!? もし川に来てたんだとしたら、助かるはずない・・・っ!!」

胡桃「エイちゃんっ!!」

塞「でも、川の中州に取り残されて・・・っ」

豊音「・・・」

胡桃「ど、どうしよう・・・!?」

豊音「たしか・・・近くのプレハブにワイヤーリールがあったはず・・・」

塞「まさか私たちで助けるつもり・・・!? そんなの無理だよ・・・っ」

豊音「でもっ! やるしかないよっ!! 救助隊が着くのだってどれくらいかかるかわからない・・・っ」

塞「・・・っ」

胡桃「・・・と、トヨネはそのワイヤーなんとかっての持ってきて・・・っ!!」

豊音「・・・!? う、うん・・・わかったよ・・・っ」ダダッ

塞「く、胡桃、本気・・・っ!?」

胡桃「・・・もちろん。だってエイスリンは大事なお友達だから・・・っ」

塞「・・・」

ごめん、咲見るんでちょっと休憩
保守は自分でやります

豊音「―――もってきたよっ!」

胡桃「ありがと、トヨネ・・・塞、119番に連絡しといて。あと白と先生にも」

塞「胡桃・・・」

豊音「ど、どうするのっ?」

胡桃「・・・ダメかもしれないけど、まずは上流の方から中州に向けてワイヤーを投げてみるっ」ヒュン

ビュウウウウウウウ

塞「ダメだ・・・風が強すぎて・・・」

豊音「でもでもっ、エイスリンさんは気づいたみたいだよっ」

胡桃「よし・・・こうなったら、私が直接行くよ・・・っ」

塞「ば、バカじゃないの!? そんなの無理にきまってる・・・っ!」

胡桃「やってみなきゃわかんないっ」ガシッ

豊音「胡桃・・・」

胡桃「二人とも・・・リールしっかり押さえといてっ」

塞「・・・待って」

胡桃「えっ・・・?」

塞「私が行く・・・っ」ガシッ

胡桃「ち、ちょっと・・・っ」

塞「・・・あんたちっこいんだから、水流に押し流されやすいでしょ」

塞「豊音も、逆に身長高すぎて動きにくいと思うし・・・私が適任だと思う」

胡桃「・・・さ、塞・・・」

塞「大丈夫・・・、絶対にエイスリンは助けるからっ!」グッ

豊音「塞・・・死なないでっ」

塞(やばい・・・私すっごく震えてる・・・)ガクガク

塞(でも・・・胡桃はあんなに必死でエイスリンを助けようとしたんだ・・・)

塞(責任とかじゃない・・・友達だからっていうただそれだけの理由で・・・っ)

塞「・・・行くぞっ」バシャン

巻きで行きます

塞「っ・・・ごがっ・・・」

塞(やばい・・・予想以上に水かさが・・・)

塞「・・・っ・・・」

塞(・・・リールはしっかり押さえてくれてるみたい・・・)

塞(だからこそ・・・諦めるわけには・・・いかないっ!!)

塞「ぷはぁっ・・・!」

エイ「さ・・・サエ・・・」ポロポロ

塞「ごほっ・・・た、助けに来たよ・・・エイスリン」ニコッ

エイ「・・・っ」

塞「ほら、早く私の手につかまって・・・っ」スッ

エイ「う、ウン・・・」ギュ

ズズズズズズズッ

塞「・・・っ!!」

塞(・・・やばいっ!! 流木が・・・っ!!)

塞(このままのペースじゃ・・・二人とも巻き添えになる・・・っ!!)

塞「・・・」ゴクリ

塞「エイスリン・・・っ! 絶対にこのワイヤから手を放しちゃダメだからねっ!?」

エイ「・・・さ、サエ?」

塞「・・・胡桃によろしく

バッ



エイ「サエーーーーーーーっ!!」

塞「――――ンン・・・」

塞(あれ・・・私まだ生きてる・・・)

塞(でも・・・なにこの冷たさ・・・水・・・?)

塞(そうか・・・あのときワイヤーから手を放して・・・そのまま流されて)

塞(たぶんこの岸壁に引っかかったんだ・・・)

塞(なんて幸運なんだろ・・・いや不運かな? この水温じゃたぶん助からない・・・じわじわ殺されてくんだ・・私)

塞「・・・」

塞(でも・・・最後にエイスリンを助けられて・・・そして――)

塞(――胡桃と話すことができて・・・よかった・・・)

塞「―――」

「―――――ーーーーーーーーーーーーーッ!!」

「塞ーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

塞「この声は・・・」

---------------------
胡桃「塞ーーーーーーーっ!!!」

姉帯「塞ーーーーーーーーーーっ!!」

エイ「サエーーーーーーーーーーっ!」

胡桃(塞・・・目を閉じちゃダメだ・・・諦めないでっ)

胡桃「塞--------------っ!!!」

---------------------

塞(胡桃が・・・みんなが私を呼んでる・・・)

塞(そっか・・・ここで目を閉じたら私・・・)

塞「・・・」

塞(わかったよ、胡桃・・・私、最後まで頑張って生きてみる・・・っ)

塞(たとえこのまま助けられずに死ぬんだとしても・・・)

塞(あんたたちの声が届き続ける限り・・・私は抗うからっ!!)

---------------------

胡桃「・・・あ」

豊音「胡桃・・・? どうしたの?」

胡桃「塞が・・・笑ったような気がしたんだ・・・」

エイ「サエマダイキテル! ワタシタチ、モットヨビカケル!!」

胡桃「・・・うんっ! そうだねっ!」

胡桃「塞ーーーーーーーーーーーーっ!!!」

---------------------

塞「・・・」

塞(やばいかも・・・目が見えなくなってきた・・・)

ブロロロロロロ

塞「・・・」

塞(もしかして・・・ヘリコプター・・・かな?)

塞「・・・やっと、来てくれたんだ・・・―――


---------------------

塞「―――ん・・・」

塞「ここは・・・ってうわっ!!?」バッ

塞「く、胡桃・・・っ!?」

胡桃「塞っ・・・さえっ・・・」ポロポロ

塞「ここ・・・病院・・・?」

塞「私・・・もしかして助かった・・・?」

白望「・・・そうだよ。塞がんばった」

豊音「うぅ・・・ぐじゅ・・・」ボロボロ

エイ「・・・すぅ・・・すぅ」

塞「エイスリンも・・・よかった・・・無事で」

胡桃「塞・・・ごめんね・・・ほんとにごめんっ」ポロポロ

塞「・・・もう、そんな泣かないでよ。小っちゃい子じゃないんだから」

胡桃「だって・・・だってっ・・・」

塞「私はもう気にしてないよ・・・胡桃が呼び掛けてくれたこと、ちゃんと覚えてる」ギュ

胡桃「さえぇ・・・っ」ボロボロ

豊音「うぅ・・・うぇえええええんっ!!」ボロボロ

白望「なんで豊音がそんな泣く・・・」

豊音「だって・・・嬉しくって・・・また昔みたいに戻れて・・・っ」

塞「そうだね・・・ごめん、シロもトヨネも・・・迷惑かけて」

白望「もういいよ。塞とエイスリンがちゃんと生きててくれただけで」

塞「・・・ありがと」

塞「エイスリンにも、すごく迷惑かけちゃった・・・」

白望「大丈夫。許してくれてる・・・ほら」スッ

塞「これ・・・エイスリンがいつも持ち歩いてるボード・・・」

〈宮守のみんなが仲良く笑顔で笑っている絵〉

塞「・・・っ・・・エイスリン・・・ペン、ちゃんと見つかったみたい・・・」ポロポロ

白望「・・・うん。そうだね」

白望「エイスリンは、自分の理想を描き出す・・・エイスリンはいっつもこんな絵ばっか描いてた

胡桃「今回も、エイちゃんの夢は叶ったってこと・・・?」

白望「・・・うん。だからこれからもこんな風に笑っていられる。いや・・・」

白望「そうしていかなきゃならない・・・」

塞「・・・うん・・・そうだねっ」

エイスリン「・・・」スヤスヤ

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それからもずっと日常は変わらず、滞りなく過ぎていった―――

ときには喧嘩もするし、悲しいこともあるけれど、それでもみんな最後には笑っていられた
それはやっぱり、今回の出来事がみんなの胸にしっかり残り続けているからなんだと思う
エイスリンは理想を描き出す・・・
でもそれはやっぱり私たちがそうする努力をすることで、初めて成し得るものなんだろう

―――これは、私たち5人がそういう当たり前のことに気づくきっかけとなった、ほんのちょっとした事件の顛末である

fin

だいぶ遅くなった。支援してくれた人さんきゅ
やっぱり当てもなくSS書くもんじゃあないね
最後まで胡桃×塞を貫くつもりだったけど、なかなかうまくいかないもんだわ

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