まる子「電子ドラッグ……?」(148)

戸川先生「はい、それでは今日は彫刻等で彫っていきましょうね」

戸川先生「彫刻刀は大変危険ですので、使用する際には十分気をつけてください」

まる子「たまちゃ~ん、あたしゃこの図工の時間がどうも苦手でねぇ」

たまえ「版画って難しいよね…私も全然進んでないし」

ガタッ

山田「…」

まる子「山田?どうしたのさ?」

山田「あああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

ザンッ!!

彫刻刀をまる子の机に突き立てる

たまえ「や、山田!?」

まる子「何すんなのさ!!先生が危ないって言ってたじゃん!」

山田「さくらぁ…彫刻刀で彫るのって気持ちいんだじょぉ…」

山田「ハァハァハァハァ」

まる子「や、山田……?」

たまえ「目がイッちゃってるよ!」

戸川先生「山田くん…!何の騒ぎですか…!」

浜崎「先生ェ!山田の奴が彫刻刀をさくらの机に突き刺したんだよ!」

戸川先生「山田君、すぐに席に戻りなさい」

山田「先生……オイラ…彫刻刀を見ると…興奮するだじょぉ……ハァハァ」

戸川先生「皆さんは教室から出てください」

ブー太郎「しょ、職員室に行って他の先生を呼んでくるブー!」

浜崎「ブー太郎!行こうぜ!!」

タッタッタ

大野「おいおい…山田の奴、どうしちまったんだよ…」

杉山「様子がおかしいよな」

野口「…」

藤木(犠牲になるのは先生だけでいいよ…)

永沢「君、まさか自分だけ助かりたいなんて思ってないよな?」

藤木「…うぇっ!?」ビクッ

永沢「やっぱり図星だね、君のような卑怯な人間の考えそうなことだ」

藤木「そ…そんな、僕は自分だけ助かりたいなんて思ってないよ…」

永沢「じゃあ、今すぐ山田くんを止める事が出来るのかい?」

藤木「……」

永沢「見栄を張るのはみっともないから止めろよ」

藤木「ごめん…うぅっ……」

山田「アーアーアー」

ブンブンッ

彫刻刀を先生に投げつける

戸川先生「…!!」

ヒュンッ

先生は上体を逸らし回避する

まる子「先生ぇ!!」

戸川先生「皆さんは早く外へ…!ここは先生が何とかします!」

ガラガラッ

生徒達は廊下へ飛び出した

たまえ「はぁはぁ…」

まる子「先生…ホントに1人で大丈夫なのかな…」

たまえ「それにしても、山田がよりおかしくなって驚いたよ…」

まる子「そうだねぇ~何かスイッチが入ったっていうか…」

野口「…クックックッ」

まる子「野口さん!」

野口「本当になにかスイッチが入ったみたいだねぇ…」

まる子「やっぱり野口さんもそう思うよね」

ガシャンッーーーー!!!

たまえ「きゃああーーーー!!」

教室の中からガラスの割れる音が聞こえた

戸川先生「くっ……」

右肩から血を流す先生

山田は大量の彫刻刀を持ち笑みを浮かべている

山田「あはははははーーーーーwwww先生が血だらけだじょーーーwwww」

山田「気持ちいッッーーーー気持ちいじょーーーーー!!!!!」

たまえ「今の山田の声だよ…!!」

まる子「血だらけって…先生の身になにかあったんじゃ…!」

浜崎「ダメだ、他の先生は忙しくて来れねぇってよ!」

ブー太郎「戸川先生しか頼れないブー…」

まる子「じゃあ…あたし達が助けるしか…!」

野口「行っても先生の足を引っ張るだけだけどねぇ…クックックッ」

まる子「でも!!」

戸川先生「山田くん…落ち着いて先生と話をしましょう」

山田「話?」

戸川先生「そうです、なにか悩みがあるなら先生に相談してください」

戸川先生「私はいつでも山田くんの味方ですよ」

山田「先生……」

戸川先生(どうやら、元に戻りそうですね…)

山田「無理だじょー」

戸川先生「え」

山田「無理に決まってるじょーーーー!!!!誰にも止める事は出ないんだじょーーーー!!!」

山田「うあああああああああああ!!!!!」

ヒュンヒュンッ

狂ったかのように彫刻刀を取り出し投げつける

戸川先生「ぐぁぁああああああああ!!!」

山田「あははははーーー刺さったじょーーーーー」


たまえ「先生の悲鳴…!!」

まる子「もう無理だよ!このままじゃ先生が死んじゃうよぉ!!」

杉山「大野、行くぞ」

大野「ああ…アップは済ませてきたぜ」

まる子「ちょ…ちょっとあんた達、中に入って何するつもりなのさ!?」

たまえ「危ないよ!」

大野「サッカーボールさえあれば何とかできるだろ」

杉山「それより、女子達は全員下がっとけ」

山田「んんんん?」

杉山「大野!行くぞ!!」

大野「あぁ!!」

2人はドリブルをしながら山田に突っ込む

まる子「は、速い…!あれならいけるかもしれないよ!」

山田「ああああああああ!!邪魔するなじょーーーー!!!」

ヒュンヒュンッ

杉山「おっと…!」

大野「投げつけられた彫刻刀なんて強烈なプレスに比べたら屁でもないぜ!」

シュンッ

軽快なステップで回避していき山田に近づく

大野「行け、杉山!!!」

ポーンッ

杉山「うおおおおーーー!!!山田に届けッ!!!シューーートォーー!!」

ズドンッーーー!!

無回転ボールが山田の顔面に直撃

ガシャンーーーーッ!!

大野「よし、ナイスゴールだぜ!」

杉山「ナイスアシスト!」

まる子「先生…!」

廊下にいた生徒たちが一斉に駆け寄る

戸川先生「くっ、すぐに救急車を呼んでください…」

花輪「ヒデじい!すぐさま救急車を!」

ヒデじい「かしこまりました、坊ちゃま」

野口「…」

強烈なシュートを受け気絶している山田に近づく

野口(…何かありそうだね…くっくっくっ…)

ピーポー ピーポー

怪我を負った先生と山田は救急車に運ばれた

お昼の授業は自習時間となった

まる子「……」

丸尾「はいはい皆さん!そんなに落ち込まずに!!」

丸尾「この学級委員の丸尾末尾が責任を持って皆さんを引っ張っていきたいと思います!」

丸尾「今回の事件、ズバリ!山田くんが全て悪いと言えるでしょう!」

丸尾「容態が回復次第、皆さんで山田君を攻め立てようではありませんか!」

まる子「丸尾くん…ちょっとうるさいよ」

丸尾「う、うるさい!?」

浜崎「引っ込め丸尾ーー!山田はなにも悪くねーだろ!!」

ブー太郎「そうだブー!オイラ達の仲間だブー!」

丸尾「うぅっ…ううう」ピクピクッ

キートン「5時間目」

藤木「永沢くん…なんとか事件が終わってよかったね」

永沢「本当にそう思うのかい」

藤木「え?」

永沢「面白い資料が図書室にあったんだよ」

藤木「面白い資料…」

……



パサッ

永沢「この新聞の記事、見てみろよ」

藤木「…人が突然暴れ出す…?」

永沢「さっきの山田くんと症状が似てると思わないか?」

藤木「…!!」

藤木「某男性は女性に対していきなりバックドロップを…」

藤木「サッカー観戦をしていた多くの人間が突然暴れ出す事件が…」

永沢「古い記事だからこれ以上の事は詳しく分からないんだ」

藤木「だからって、さっきの山田くんの症状がこの過去の事件と一緒とは限らないんじゃ…」

永沢「だからこそ僕達で調べる必要があるのさ」

藤木(えぇ…僕そんな危険な真似したくないのに…)


―パソコン教室―

担任「はい、じゃあ一斉にパソコンの電源入れてー」

ピッ

ヴヴヴヴヴヴヴ

生徒「…」ピクピクッ

担任「どうした?」

生徒「ぎゃああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

浜崎「大変だ!!他クラスでも山田と同じように発狂した生徒がいるらしいぜ!」

まる子「えぇー!?」

ブー太郎「その生徒はパソコンの画面を見た途端、暴れ出したらしいブー…」

野口「…くっくっくっ」

丸尾「ズバリ!この学校は呪われているでしょう!」

大野「まあ、呪いっていってもピンとこねーけど」

杉山「山田以外の生徒も発狂したんならそう思っても悪くないな」

まる子「ちょっとあんた等まで…呪いなんて有り得ないさ!」

野口「ありえない、なんてことはありえない…くっくっくっ」

たまえ「野口さん…」

野口「嫌な予感がしてならないね…まったく…」

友蔵「…むぅ、パソコンのタイピングとやらは難しいのう」

すみれ「あらおじいちゃん、パソコンの練習ですか?」

友蔵「今度の老人会でパワーポインターを使って発表をするんじゃ!」

すみれ「それは大変ですね…」

友蔵「パワーポインターどころかタイピングすらまともに出来ん…ううう!!」

すみれ「夕飯の用意にしてきますね」スタスタ

友蔵「いつもご苦労様じゃ」カタカタッ

友蔵「んん?変なサイトにきてしまったぞ…」

「このアドレスクリックしたら肩こり治りますよ☆」

友蔵「ほう!このアドレスをクリックするだけで肩こりが治るとな!」

友蔵「今の時代、整骨医院に行かなくてもネットで肩こりを治す時代なんじゃな!」

キートン「警戒心が薄すぎる老人である」

友蔵「それっ!クリックじゃ!!」


カチッ

キーーーーーーンッ

友蔵「…」ぶるぶるっ

友蔵「アヒッィ…」


まる子「ただいまー!」

すみれ「おかえり、随分早かったじゃない」

まる子「それがさぁ…学校で色々あってねぇ」

すみれ「なにかあったの?」

まる子「山田の奴が急に暴れて彫刻刀を先生に投げつけたりしたんだよ~」

すみれ「まあ…山田くんが…?」

まる子「それで、今日は6時間目無しで帰ってきたって訳」

まる子「そうだ!おじいちゃんは?」

すみれ「部屋でパソコンの練習をしてるみたいよ」

まる子「パソコン…?」

タッタッタ

まる子「おじいちゃーん!まる子にもパソコンやらせてよ~!」

友蔵「…おぉ、まる子や…こっちへ来なさい」

まる子「うん?」

スタスタ

友蔵「…可愛い可愛いワシの孫じゃ」

まる子「わ、分かってるよおじいちゃん…」

友蔵「ワシが…ワシがまる子を護ってやらねばならん…」

まる子(なんだろう、いつもと様子が違う気が)

すみれ「まる子!このテストの点数はなに!?」

「18点」

まる子「げぇぇーー!!どうしてお母さんがそれを!?」

すみれ「さっき、あんたの勉強机掃除してたら偶然見つけたのよ!」

すみれ「また、あんたはそんな点数取って!」

すみれ「普段から勉強してないからこんな点数とるんでしょうが!」

まる子「うわあああん!怒らないでよーー!」

すみれ「今日は夕飯までずっと勉強してなさい!」

まる子「嫌だぁーおじいちゃん助けてーー!」

グイッ

友蔵「…まる子…や……」

すみれ「いいんですよおじいちゃん、甘やかさなくても」

友蔵「…ワシのまる子になにをするんじゃアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」

バキィッ!!!

すみれの顔面にグーパンチを放つ

すみれ「ぐばっぶぁああ」

まる子「!!?」

すみれ「……」

まる子「お、おじいちゃん!お母さんになんてことするのさ!!」

友蔵「まる子…まる子はワシが護ってやらねば…!!」

友蔵「例えがそれが身内であろうとも…!」

まる子「おじいちゃん……?」

ひろし「おぉ~い、今の音なんだようるせーな」

まる子「お父さん!」

ひろし「あぁん?なんで母さんが血だらけで倒れてんだぁ?」

ひろし「タンスの角にでも顔をぶつけたのかよ」

キートン「なぜそういう発想に至るのか、この男の思考回路が見てみたいものだ」

友蔵「ひろしィィッ!!!!」

パソコンを持ち上げ畳の上にたたきつける

ガシャンッーーー!!!

ひろし「な、なんだぁ?じいさんの奴とうとうボケちまったのかよ!」

まる子「おじいちゃん、急にこんな態度になっちゃんだよ!」

ひろし「あぁん?」

友蔵「死ね死ね死ね死ね死ね 死ね×7 死ね×5 友蔵、心の俳句」

ひろし「じいさんの俳句のキレが悪すぎんだろこれ」

ひろし「まる子ぉ…!さっさと警察に通報すんぞ!」

まる子「えぇ!?おじいちゃんを警察に突き出すっての!?」

まる子「かぁ~~っ、あんたはどこまで薄情な男なのさ!」

ひろし「バカやろう!そんなこと言ってる場合じゃねぇだろ!」

まる子「えぇいっ!」

ドンッ

まる子は友蔵の片足にぶつかった

友蔵「くぁああああ」

ゴツンッ

バランスを崩した友蔵はタンスの角に後頭部をぶつける

友蔵「!!!」

バタッ

ひろし「で、でかしたまる子!さっさと母さんとじいさんを病院に連れて行くぜ」


医師「それでは1週間ほど入院といった形で…」

ひろし「…はぁ、とんだ災難だったな」

まる子「おじいちゃんとお母さん軽傷で済んだから良かったけど…」

ひろし「今日の夕飯は出前だな」

まる子「やったー!出前だ出前ーー!」

キートン「子供というのは単純なものである」

???「実験は…成功だ……」

???「改良の余地は必要ない…後はこれを多くの人間に見せるだけ…」

???「もう少しで…もう少しで夢が叶う…」


まる子「はぁーやっぱりお寿司は美味しいねー」

姉「お母さん…大丈夫かな…」うるうるっ

まる子「やだ、お母さんが死ぬ訳ないじゃん!あのお母さんが!」

姉「あんた、ホントに家族なの…?」

まる子「なにさ!まる子だってお母さんのこと心配してるよ!」

ひろし「おい、コラ!喧嘩すんじゃねぇ!」

まる子「うわああああああん!!だってお姉ちゃんがああああ!!」

―3日後―

戸川先生「皆さん、お騒がせしました」

たまえ「先生!」

顔中に包帯をグルグル巻きにした先生が登場した

浜崎「せんせーそんな状態で授業出来るのかよー?」

戸川先生「ええ、もちろんですとも」

たまえ「先生も私達のために無理矢理退院してきたんだろうね…」

まる子「涙が出るねぇ~あたしゃ先生に国民栄誉賞を授けたいよ」

キートン「何様のつもりなのだ」

永沢「先生、山田くんの容態は?」

藤木「永沢くん……」

戸川先生「意識が戻ってから、少し山田くんと話をしました」

……



戸川先生「…山田くん」

山田「先生ごめんじょー…おで、何も覚えてないんだじょー」

戸川先生「覚えて…ない?」

山田「前にパソコンの時間に変な動画を見てから興奮しちゃって…」

戸川先生「変な動画…ですか…」

山田「もうパソコンは見ないじょーー!」


戸川先生「ですから、皆さんもパソコンを使用するのは控えてください」

戸川先生「まだハッキリとは分かっていませんが…」

野口「…パソコン…ねぇ……」

まる子「パソコンならうちのおじいちゃんと一緒だ」

たまえ「え?」

まる子「うちのおじいちゃんもパソコンを見て発狂し始めたんだよ!」

野口「…さくらさん、具体的に教えてくれないかい?」

まる子「うん」

……



たまえ「まるちゃんを護るためにお母さんを殴り飛ばした…」

まる子「ホントに図工の時間の山田と同じだったんだ」

野口「1つ分かってる事は、2人共パソコンで何かを見てスイッチが入ったって事だねぇ…くっくっくっ」

まる子「その何かってなんだろう…」

まる子「お見舞いに行った時におじいちゃんに聞いてみたら」

まる子「肩こりが治るサイト~って書かれたアドレスをクリックしてから意識が無かったって…」

たまえ「肩こりが治るサイト?」

野口「なるほど…そう偽れば押してしまうのは無理もないね……」

永沢「藤木くん」

藤木「どうしたの?」

永沢「5年生は学級閉鎖をしてるみたいだよ」

藤木「えぇ!?」

永沢「原因は言わなくても分かるよな?」

藤木「あ、山田くんと同じ症状…」

永沢「2日前の運動会の予行練習で3人の生徒が発狂し始めて次々と生徒を殴り始めたんだ」

永沢「それにより5年生の半分が重軽傷を負って学級閉鎖になったのさ」

永沢「発狂した3人は事件の記憶がないんだとさ」

藤木「おかしいよ…それだけ暴れておきながら記憶がないなんて…」

永沢「この事件、裏で誰かが糸を引いてるように思えるね」

藤木「そんな…黒幕がいるって言うのかい…?」

永沢「可能性は否定しきれないだろ?」

藤木「確かに…」

永沢「今はともかく、パソコンを見ないようにしないと」

藤木「さくらのおじいちゃんは変なアドレスをクリックしたらしいよ」

永沢「ネットを経由して感染者を増やすつもりなのかもね…」

永沢「藤木くん、今日放課後空いてるかい?」

藤木「え?放課後なら…」

永沢「ネットカフェに行ってそのサイトを探してみようよ」

藤木「えぇ!?」

永沢「こっちから待ってても仕方ないだろ、調べるんだよ」

たまえ「曇ってきたね…」

まる子「あ~今日傘持ってきてないから降られると困るよ~」

みぎわ「花輪ぐぅーーーん」

花輪「や、やぁベイビー…」

みぎわ「あたし、すっごく不安なのぉぉ~!」

みぎわ「花輪くんなら護ってくれるわよねぇ~~?うっふーんんん!」

花輪「あ…はははっ……」

―パソコン教室―

カタカタッ

藤木「5時間目の授業はどうするのさ?」

永沢「サボるよ」

藤木「えぇ!?そこまでして調べる必要ないよ!」

永沢「僕は一刻も早くこの事件を解決したいんだ」

永沢「これ以上犠牲者を増やす訳にはいかないしな」


藤木「ネットカフェに行くんじゃなかったのかい…」

永沢「調べて見ると今の僕達の年齢じゃ追い返されるからね」

永沢「学校のパソコン教室が1番安全って訳さ」

藤木「……」

カタカタッ

永沢「手当たり次第、サイトを探し回ってくれよ」

藤木「分かったよ…

カタカタッ

……



永沢「1時間ぐらい探してるけど一向に見つからないな…」

ウィーン、ウィーン、ピコピコッ

藤木「…」

永沢「藤木くん、人が一生懸命探しているのに君は暢気にブラウザゲームかい?」

藤木「ひぃっ!」ビクッ

永沢「もういいよ、僕1人でするから」ぷいっ

藤木「ま…待ってよ!僕も手伝うからさ!」

永沢「やる気の無いやつは出て行け」

ピシャッ

廊下に放り出される藤木

藤木「あーあ…なんだよあのタマネギ…」

藤木「僕はむしろ発狂者が増えてほしいよ」

藤木「そして、笹山さんが襲われた所を僕が助けて…ウフフッ」

永沢「…」

カタカタッ

永沢「見つからないな…さすがに目が疲れてきたよ」

ガタンッ!!

永沢「ん!?」

パソコン教室には永沢しかいないのだが

清掃用具箱から大きな物音が聞こえた

永沢「…誰だ!?」

小杉「アァッ…腹減ったなぁ……」

佐々木「ヒッヒッヒッ」

ブー太郎「永沢も一緒に気持ちよくなるブー」

清掃用具箱から次々と生徒たちが出てくる

永沢「な、なんだ!?一体いつからそんなところに…!!」

小杉「おら…さっさと見せてやるよ」ガシッ

永沢「やめろ!!離せッ!!!離してくれえええええーーー!!!!」

藤木「ふんふんふーん」

永沢「…藤木くん」

ピタッ

藤木「な、永沢くん…?」

永沢「どこに行くんだい」

藤木「どこって…教室に戻るんだよ……」

永沢「君も一緒に気持ち良くなろうよ」

ガタガタッ

小杉「ウゥッ…ヒィッ……」

ブー太郎「アァァッ」

佐々木「キシャァァァ!!!!!」

藤木「!!!?」

永沢「もう事件は解決しなくていいんだ…一緒に気持ち良くなろう」

藤木「な、ない言ってるんだよ…!解決するんじゃなかったかのかい!?」

小杉は大声を上げながら拳を振り回す

ぶんぶんっ

藤木「うあぁっー!!」

ドシャーーーンッ

小杉の右拳が学校の壁にめりこんでいる

藤木「な、なんてパワーなんだ…!!」

小杉「藤木ィ…さっさとお前の肉食わせろよ…人の肉が食ってみたかったんだよなああああ!!!」

藤木「くっ!」

ブー太郎「死ねブー」

辞書の角を藤木にぶつけようとする

藤木「うわあああああああ!!!」

永沢「藤木くん…諦めて僕達の仲間になれよぉ…フフフフッ!!!!」

まる子「今日も学校終わったねぇ」

たまえ「藤木達が見当たらないけどね…」

まる子「あ、そういえばどこ行ったんだろう~」

まる子「小学生でまさか授業エスケープなんて大した度胸だねぇ」

ピンポンパーンポーン

「教室にいる生徒の皆さんはすぐに帰宅してください」

「繰り返します、教室にまだ残っている生徒はすぐに…」

たまえ「どうしたんだろう?なにかあったのかな?」

野口「音が聞こえる…」

まる子「え?」

ガシャンッーーー!!ガシャンッーーー!!!

浜崎「何の音だ!?」

城ヶ崎「見て!他の生徒が一斉に下校してるわよ!」

杉山「クッ…俺達も急いで下校しようぜ!」

大野「お前等!すぐにランドセル背負って逃げろ!」

ガラガラッ

戸川先生「皆さん!!教室のドアの鍵を閉めてください!」

関口「あぁ~ん!?なんでだよ!?」

戸川先生「廊下で暴れまわっている生徒が多数います!今出るのは危険です!」

城ヶ崎「そんな…!それじゃあ私達が逃げられないわ!」

野口「…詰んだねぇ……」

まる子「永沢達も戻って来てないし…どうするのさ…!」

戸川先生「先生が様子を見てきますから、皆さんは待っていてください」

大野「先生!外は危険だからダメだ!!」

戸川先生「危険を冒してでも私は行かないとダメなんです」

キートン「生徒の傍に担任がついてやらなくてどうする」

藤木「うぁあああああああ!!!」

バンッ!!

なんとか図書室に逃げ込んだ

ドアの前につっかえを置き、封鎖する

ガンガンッ!!!

永沢「藤木ィ…!!開けろ!!!開けろおおお!!!!!!!」

藤木「ハァハァハァ…この状態がいつまで持つかわからないや…」

ガンガンッ!!

藤木「どうしよう…外に行けば僕もきっと同じような目に…」

藤木「だからと言ってこのまま助けを待つのも…」

藤木「なにか武器になるものはないかな」

キョロキョロ

藤木「この本のバーコードを読み取る奴は使えそうだな…」

藤木…2階の図書室

中毒者…図書室前

戸川先生…職員室付近


まる子「先生…」

杉山「俺達はこの教室を絶対に護り抜くぞ!」

関口「けっ、なにかっこつけてんだよ」

大野「あ?なんだテメェ!」

グイッ

関口「や、やんのかよ!」

杉山「バカ!!お前等こんな時に喧嘩すんなよ!!」

花輪「ヒデじい」

ヒデじい「はっ」

花輪「廊下で様子を見てきてくれないかい?」

ヒデじい「坊ちゃまのためなら、例え地獄でも行きますぞ」

ガラガラッ

花輪「ヒデじい…頼んだよ……」

まる子「花輪くん!ヒデじいに行かせて大丈夫なの!?」

花輪「ヒデじいなら心配いらないさ、むしろ敵の心配をするべきだよ」

みぎわ「うっふーん、さすが花輪くぅーん」

花輪「…レディも様子を見に行ってくれないかな」

みぎわ「もちろん花輪くんの頼みなら行くわァァ」

ガラガラッ

花輪「ニヤッ」

キートン「こうして、また1人犠牲者が増えるのであった」


―学校前―

友蔵「まるこやぁ…」

ひろし「おい、じいさん早いとこまる子を迎えに行って帰ろうぜ」

友蔵「他の学年の生徒はみんな避難したみたいじゃのう…」

ひろし「まる子の奴ももう帰ったんじゃねぇ~か?」

友蔵「いやいや!万が一取り残されている可能性も否定しきれんじゃろ!」

ひろし「ったく、めんどくせぇじいさんだぜ」

友蔵「行くぞひろし!ワシは孫のためなら命も捨てていける!」

ひろし「ふざけんな!俺ァまだ死にたくねぇーよ!」

……



藤木「このほうきとちりとりは使えそうだ…」

シーン

藤木「そういえば、外から音がしなくなったや」

藤木「諦めて帰ったのかな?」

ギィィッ

藤木「ひっ…!なんの音!?」

ガタガタッ…

シーン……

藤木「あはは…なんだろう……疲れて幻聴が聞こえてるのかな」

藤木「早いとこ武器を持って図書室から出よう」

藤木「よし、音はしないし今の内に……」

ギィィィィッ

ゆっくりとドアノブを回し開く

藤木「ほっ…やっぱり外には誰もいないや……」

ふと、天上を見上げると

永沢「ふ・じ・き・く・ん」

藤木「ウアアアアあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

逆さ吊り状態の永沢がぶら下がっていた

戸川先生「今の悲鳴は…!?」

戸川先生「確か図書室の方から…!!」

みぎわ「…」

戸川先生「!」

みぎわ「先生、気持ちよくなりましょう」

ベキンベキンッ

戸川先生「…ッ!!!!」


―給食場付近―

ひろし「おぉ~じいさんいい匂いがしてきたぜ」

ひろし「ちょっとつまんでくか」

友蔵「コラひろし!!こんな状況に置かれながらなにをバカなことを言ってるんじゃ!!」

ひろし「うるせーな、腹が減っては戦はできねぇだろ?」

ひろし「おっ、ポークカレーか」

ヒデじい「…くっ」

ヒュンヒュンッ

スパンッ

担任A「うががっぁあああ」

生徒B「うひょおおおおおおおおおお」

ヒデじいは中毒者達を次々と投げ飛ばしていく

ヒデじい「数が多すぎる…!このままではいくら私でも…!!」


戸川先生…死亡?

藤木達…図書館付近

ひろし組…給食場

ヒデじい…3階廊下

みぎわ…不明

ガンガンッ!!!

まる子「うあああ!さっきより敵が増えてるじゃんか!!」

野口「…くっくっくっ…絶対絶命ってやつだねぇ…」

たまえ「ヒデじいやみぎわさんも戻って来ないし…!!」

関口「おい、たかし!」

たかし「せ…関口くん……」

関口「この黒板消し貸してやるから、外の敵を退治してこいよ!」

キートン「そんなクソ武器でどうにかなると思っているのだろうか」

たかし「む、無理だヨォ…僕じゃ無理だよぉ・・・!!」

関口「お前みたいにウジウジしてる奴は行くべきなんだよ!!」

まる子「止めなよ関口!!」

たかし「…行くよ…僕、行くよ…」

たまえ「たかしくん待って!!」

まる子「今行くと外の中毒者達に何されるか分かんないよ!!」

たかし「いいんだ…」

ガラガラッ

関口「へぇっ!ちったぁ度胸あるじゃねーか!」

まる子「ひどいよ関口!!たかしくんに行かせるなんて!」

杉山「関口、お前も行けよ」

関口「あ…ぁあ?」

杉山「お前の度胸も俺達に見せてみろよ」

関口「うっ…」

杉山「この黒板消しクリーナ貸してやるから」

スッ

関口「ち、畜生~~~ッ…!!!」

ひろし「ナンにカレー包んで食うとうめーなぁ!」

友蔵「ひろしや…何やら悲鳴が聞こえてきたんじゃが…」

ひろし「へっ、気のせいだろ!じいさん耳のメンテナンスぐらいしっかりしとけよな~」

友蔵「ひろし!!まる子を助ける気はあるのか!?」

ひろし「分かってる分かってる、今行くよ…っと」

ゾロゾロッ

戸川先生「…」

友蔵「ん?あれは、まる子の担任の先生じゃ!!」

戸川先生「おや、さくらさんの…」

ひろし「なんだ担任が来てくれりゃ話は早いじゃねーか、とっとと帰ろうぜじいさん」

友蔵「すみませんが、まる子のお迎えに来たのですが…」

戸川先生「その必要はありませんよ」

友蔵「はて?」

戸川先生「残りの生徒はゆっくり始末しますから」

スッ(拳銃を構える)

友蔵「…なっ」

ひろし「じいさん、危ねぇっ!!!」

ドンッ(突き飛ばす)

パンパンッ!!

戸川先生「おや、よく避けましたね」

ひろし「ボサっとすんじゃねぇ!」

友蔵「うぅっすまんのう…老眼鏡を忘れてしまって銃弾を避けきることが…」

キートン「老眼鏡をつけていれば避けれたつもりなのか」

関口「クソッ…!あいつら全員俺を見下しやがって!!」

関口「敵の1人をぶっ倒してやるよ!!」

小杉「よぉ」

関口「!!」

小杉「誰をぶっ倒すんだって?」

関口「こ、小杉!!食らえ!!!」

クリーナーの粉を撒き散らす

小杉「ごほっごほっ」

関口「やったーー!ざまぁみろ!!倒したぜ!!!」

ガシッ

小杉は関口の首根っこを掴んだ

関口「がはぁっ…!!」

小杉「お前の首、女みてーだな…」メキメキッ

関口「がぁぁぁ…!!!?」

ひろし「じいさん、逃げるぞ!!」

友蔵「なっ!?まる子を置いて逃げろというのか!?」

ひろし「相手は拳銃持ってるんだぞ、勝てる訳ねーだろ!」

友蔵「くぅっ……」

戸川先生「逃がしませんよ」

スッ

ひろし「おい!!早く逃げねぇとまた拳銃ぶっ放されんぞ!!」

戸川先生「ファック」

野口「ふんっ」

ピンーッ…コロコロッ

シュワァァァァァ

戸川先生「煙幕…!?」

野口「さっ、早くこっちへ」

友蔵「ごほっごほっ!なんじゃあこの煙はぁああああ」

小杉「グチャグチャ…」

関口「…」

小杉「へへっ、やっぱり人の肉はうめぇな…」

たかし(せ…関口くんが食べられてる…!?)

小杉「にちゃっにちゃっ」

たかし(あ、足が震えて動けない…!)

物陰に隠れながらその様子を見ていたたかし

小杉は首を180度回転させ

ゴキンッ

小杉「なぁっに見てんだぁよぉ………?」

たかし「!!!!!!」

―理科室―

ひろし「げほっげほっ…ふぅ~なんとか助かったぜぇ」

友蔵「野口さん、恩に着ますぞ」

野口「いえ…あたしはまだ他の生徒を助けるんで2人はここで隠れておいてください」

タッタッタ

友蔵「あぁっ!野口さん!!危険じゃぞ!!」

ひろし「おい…じいさん……」

友蔵「なんじゃ?」

ひろし「なんで床に血がついてんだ?」

友蔵「確かに…触ってみてもまだ生温かいのう…」

ひろし「どういう意味か分かるだろ……」

友蔵「え」

中毒者達が学校内で暴れ出してから2時間が経過

まる子のクラスメンバーも徐々に中毒者化されていく

花輪「クッ…ひでジイが帰ってこない…!!」

まる子「野口さんも出て行ったきりだもんね…」

たまえ「もう嫌だ…もう嫌だ……」

丸尾「ズバリ!絶対絶命でしょう!!」

浜崎「ブー太郎、なにしてんだよ…早く戻って来いよ…」


ひろし「ハァハァ…」

みぎわ「うぅっぁあああああ」

佐々木「ウッヒィッ!!」

友蔵「この子達はみなまる子のクラスメイトのようじゃのう!」

ひろし「何度殴ってもキリがねぇ…じいさん、先行けよ」

友蔵「なっ!?」

ひろし「…シュボッ」

タバコにマッチで火をつける

ひろし「ぷはぁー」

ひろし「行けよ、じいさんまで死んだら意味がねぇだろ」

友蔵「なにを言ってるんじゃぁ!!自分の息子を見捨てる訳がないじゃろ!!」

ひろし「俺はさっきの攻撃で右足が思うように動かなくなっちまった」

ひろし「それなら、動けるじいさんを逃がした方が良いに決まってんだろ」

ひろし「まる子とここの生徒達を救ってくれ…」

友蔵「ひろし…!!」

小杉「アーッ…アーーーーー!!!!」

ひろし「奴さんが来たぜ…さっさと行ってくれじいさん」

友蔵「うううううううーーー!!!!」

ひろし「早く行っちまえじいさん!!!!!!」

友蔵「すまん…!!お前はワシの誇りじゃ…!!!」

タッタッタ

ひろし「へぇっ…まる子の事頼んだぜ」

小杉「うおおあああああ!!」

ひろし「来いよ、俺がまとめて相手してやるぜ」

ひろし「大人舐めんじゃねーーーぞ!!餓鬼共が!!!!!」


藤木「ハァハァハァ…」

永沢「…」ピクピクッ

血まみれの辞書を握り締めている

藤木「やっと…動かなくなった……」

藤木「永沢くん、人間の生命力舐めちゃいけないよ!!!!」

藤木「アハハハハハハッ!!!!!」

友蔵「まる子や!!」

まる子「おじいちゃん!?」

友蔵「他の生徒達も逃げるんじゃ!今すぐ逃げるんじゃあ!!」

たまえ「まるちゃんのおじいちゃんが戻ってきたよ!」

杉山「よーし、今の内に全員外に出るぞ」

大野「道は俺達が開けてやるよ」

ドンッ!!

サッカーボールを蹴り中毒者達を蹴散らしていく

ついに、教室からの脱出を試みるまる子達


ひろし「…クソッ…なんてバカ力してやがんだ…」ボタボタッ

小杉に頭部を100発近く殴られ血を流すひろし

小杉「お前の骨は美味そうだなぁ~あ」

ひろし「へっ…なんか匂わねぇか?」

小杉「……ガソリン……?」

小杉「くっ…クソぉぉ!!血の匂いで分からなかったぞ!!」

ひろし「俺ァ、最後火に包まれて死にてぇんだよ」

ひろし「火葬ってやつだぜ」

小杉「やめろおおおおおおおおおお!!!!!!」

ひろし「あばよ…」

ピンッ

火のついたタバコを床に落とす

ボォォォォォォッッッ!!!

ガソリンに引火し一気に大炎上を起こす理科室

友蔵「……なんじゃ今の音は!?」

たまえ「理科室の方から聞こえてきたよね…」

友蔵(理科室…!くっ、ひろしの奴…無事なのか!?)

―校庭―

まる子「ははぁはぁはぁ…!!」

たまえ「何とか…外に出れたね……」

城ヶ崎「見て!理科室が炎上してるわ!!」

友蔵「ひ、ひろしぃぃぃーーー!!!」

まる子「お父さんが理科室にいるの!?」

友蔵「すまんまる子…ひろしの奴を助け出すことが出来なかったんじゃあ…」

まる子「そんなぁ…ううぅっ…お父さああああああん!!!!」


学校内に残っていた生徒は全て……中毒者と化していた

それから数時間後、街にいた住民も電子ドラッグと呼ばれる物で次々と感染していった

まる子達の街はほぼ壊滅状態となっている

……



弥子「電子ドラッグ…!?」

ネウロ「ふむ、どうやら他の地域で起きているようだな」

弥子「どうして電子ドラッグが…HALは消滅したはずじゃ?」

ネウロ「何者かが再び同じような物を作ったのだろう」

弥子「そんな……」

ネウロ「さて、行くか」

弥子「え?」

ネウロ「このまま放置しておけば、いずれ中毒者達が他の街にへと流れてしまう」

ネウロ「そうなる前に食い止めなければならん」

弥子(やっぱりネウロでも放っておけないんだよね…)

キートン「後半へー続く」

おわり

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