兄「兄は義妹をこよなく愛す」(174)

妹「すー、すー……」

妹「うーん……」ゴロゴロ

妹「ん……」

ガチャ
兄「おい、妹」

兄「……なんだ、寝てるのか」

兄「……腹丸出しで、まったく」

兄「毛布を掛けて、これでよし」

兄「起きたら飯だからな。聞いてるか」

妹「すー、すー……」

兄「どうせ匂いにつられて来るだろう」

トントントン
ジャッ ジャッ
ジュワァ

ギィ
トテトテ
妹「にーさん」

兄「起きたか」

妹「いいにおいがする」

兄「昼飯だ」

妹「なに?」

兄「ラーメン」

妹「麺類か……」

兄「土曜の昼は麺類だと相場が決まってるんだ」

妹「そうなの?」

兄「手間がかからないし、うまいだろ」

兄「うちでは大抵そうだったからな」

妹「ま、別になんだっていいけど」

妹「早くちょーだい」

兄「三分待て。麺を茹でる。それくらい我慢しても餓死しない」

妹「するよ」

兄「本当か」

妹「するする。マジする。はいした。ぐえー」

兄「……」

妹「無視すんな、ばかにーさんめ」

兄「コメントに困ってな」

妹「妹を無視することは許されないのです」

兄「うん、そうだったな」

妹「わかればよろしい」

妹「で、まだ?」

兄「できたぞ。ほら」

妹「おいしそう」

兄「おいしいぞ」

妹「たとえ市販の袋麺に野菜炒めを乗っけただけでも」

兄「そのひと手間が大事なんだ」

妹「ふーん」

妹「いただきます」

兄「おあがりなさい」

妹「ズルズル これ ズルズル 熱いけど ズルズル うまい」

兄「そりゃよかった ズルズル」

妹「ごちそうさまでした」

兄「おそまつさまでした」

妹「……」

兄「どうした」

妹「ありがと」

兄「ん?」

妹「だから、その……」

兄「うん」

妹「……」

兄「……」ジー

妹「なんでもないよ、ばか」

兄「うん。ごめん」

妹「ほんとに、にーさんはばかなんだから」

妹「言葉がなきゃわたしの言うこともわからないなんて」

妹「だめなにーさん」

兄「ごめんってば」

妹「座って!」

兄「え?」ストン

兄「うん」

妹「それでよし」チョコン

妹「うむうむ。快適じゃ」

兄「膝の上が?」

妹「手をまわしてもいいよ」

兄「手?」

妹「まわしてもいいよって言ってるの!」

兄「わかったわかった」ギュ

妹「……」

兄「ふー。満足か?」

妹「ごめん」

兄「構わないけど。お前のためだし」

妹「そういう恥ずかしいこと言わない」

兄「ごめん」

妹「謝らない」

兄「ご、……」

妹「ね」

兄「ん?」

妹「わたしのこと、好き?」

兄「好きだよ」

妹「愛してる?」

兄「愛してるよ」

妹「ぐへへへ……」

兄「邪悪な笑みだ」

妹「おっと」

兄「ていうか、恥ずかしいこと言わせるな」

妹「にーさんはわたしのために尽くすのです」

兄「はいはい」

妹「にーさん」

兄「ん?」

妹「呼んだだけ」

兄「そうか」

妹「にーさんにーさん」

兄「ん?」

妹「呼んだだけ。えへ」

―――――

妹「すー、すー……」

兄「寝てしまった」

兄「気楽なやつめ」

ピリリリリリ
兄「ん、ケータイが……」

友『よぅ!』

兄「どうした」

友『居酒屋のクーポンが三人からなんだよ。お前も来い』

兄「数合わせか」

友『たまには息抜きも必要だぜ』

兄「三人ってことは、あと一人は?」

友「女だ」

兄「二人で楽しんで来ればいいだろ」

友『勘弁してくれよ、息が詰まる』

友『結構評判の居酒屋なんだって! な?』

兄「……」チラッ

妹「すー、すー」

兄(書置きをしておけば、問題ないか)

兄「わかった、行くよ」

友『さすが、持つべきものは友達だ! いいか、場所はな――』

兄「……行ってくるから」

兄(悪いけど、出前でも食べてもらおう)
ギィ バタン

妹「ん……」

妹「にーさん?」

妹「にーさん……?」

妹「どこ?」

妹(テーブルに紙……)

『友人に誘われて飲みに行くことになった。遅くはならないけど、ご飯は一人で食べてくれ。お金は共用財布から出して』

妹「……」

妹「ばかにーさんめ」

妹「こんな可愛い妹ほっといて、まったく……グス」

妹「にーさん……」

妹「わがままもう言わないから、早く帰ってきてよぉ……グス」

妹「ちゃんと毛布ありがとうって言うから……」

妹「さびしいよぉ……」

――――――――――――――――
友「じゃ、楽しい夜にー」

三人「かんぱーい!」

友「うまいね! 久しぶりのビールはうまい!」

友「ソーセージでもあると最高なんだけどな」

兄「頼むか?」

友「だめだめ、ここ辛いのしか置いてないから」

兄「あ」

女「そ。あたしが食べられないから勘弁してね」

女「野菜ならいくらでも食べてあげるんだけど」

友「子供舌め」

女「香辛料が苦手なだけで子供認定しないでくれる?」

兄「喧嘩すんなよ」

二人「してない」

兄「はは、仲の良いことで」

女「そっちはどう」
兄「え?」

女「妹さん。仲良くしてる?」

兄「ま、そりゃね」

友「俺も妹ほしいわ。姉なんていらねーよ」

兄「妹なぁ」

友「いらねって、そんなテンプレ」

女「あんた何言ってんの?」

友「どうせあれだろ? 妹なんてそんないいもんじゃねぇよ、とか言うんだろ?」

友「そういうのはもう腹一杯なんだよ!」

兄「どうしたの」

女「それがね」

友「聞いてくれよぉ、後輩同士でくっつきやがってよぉ」

友「すっげぇ精神的にショックなんだよなぁ」

女「女日照りで雑草すら生えなさそうね」

兄「こいつの場合は土壌が悪い」

女「得たり、って感じ」

友「おいおい慰めてくれよぉ」

女「いいから飲め、飲め。あたしのをやろう。ビールだ」

兄「なにそれ」

女「デリリウム」

兄「ピンクの像か」

女「見てもらいたいもんねぇ」

友「うめぇ、うめぇよぉ……」

女「そりゃよかった」

友「女ァ、付き合ってくれぇ!」

女「うっさい」プシッ

友「うごぉっ! レモンの汁が、目に、目に!」

女「もう」

兄「やりすぎだろ」

女「これくらいがちょうどいいのよ、ドMだし」

友「ハァハァハァ」

兄(ほんとだ……なぜ知ってるんだ?)

 一時間後……

友「女ァー!」ダキッ

女「うっさい」ゲシゲシ

友「もっと、もっとだ女ァー!」

女「うん、じゃあね」

兄「その……大丈夫か?」

女「慣れたもんよ」

兄「付き合っちまえばいいのに」

女「ま、こっちにもいろいろ事情がね」

兄「さいですか」

女「なんでこんなのに惚れたんだか」

兄「惚れた弱みはきついらしいぞ」

女「うん、知ってる」ニカッ

兄「いい笑顔だ」

女「早く帰りなさいや。妹さん、待ってるんでしょ」

兄「あ、うん。それじゃ」

――――――――
ガチャ
兄「ただいまー」

兄(部屋の中が暗い?)

兄「いもうとー?」

兄(どっか食べに行ってるのか?)

兄(でも、靴は……)

兄「まさか」

ダダダダダッ
ガチャ

兄(部屋にはいない、ってことは、居間!)

兄「妹!」

妹「ん……う……」

兄(酷い汗だ……)

妹「お、に、……ん」

妹「ごめ……わた、し……わ、ま……なおす、から」

兄「あんまり喋るな。水飲むか? ご飯は?」

妹「おに、ちゃん……」

妹「すき」

兄「あぁ、俺もだ」

妹「やったぁ……」カクン

妹「すー、すー……」

兄「……」

兄(くそ、俺のばかやろう)

――――――
兄「愛情欠乏性症候群?」

医者「はい」

兄「……なんなんですか、それは」

医者「愛情の不足がもたらす様々な体調不良のことを指します」

医者「主な症状は、発熱、発汗、動悸、眩暈」

医者「より欠乏が深刻になると、意識を失うことも」

兄「妹は、妹は大丈夫なんですか!?」

医者「不幸中の幸いですが、この病気での死亡例は確認されていません」

兄「……珍しい病気なんですか」

医者「潜在的には多いでしょう。しかし、臨床例は少なく……」

医者「現在のところ、対症療法しか存在していません」

兄「と、いうと」

医者「わかりやすく言えば、貧血のようなものです」

医者「鉄分が足りないと貧血になります」

医者「こちらも同じように、愛情の不足が体に悪さをするんです」

兄「そんな……だって、感情でしょう?」

医者「感情だからですよ」

医者「医者の私が言うのもなんですが、肉体は精神の容器にすぎません」

医者「精神が疲れてしまえば、肉体に処置をしても、それは大した意味を持たない」

兄「妹は、愛情を欲しがっていると?」

医者「妹さんですが、あまり栄養状態が良くない」

兄「!」

医者「それに……多少、体に痣がありました」

兄「それってつまり」

医者「恐らくは……」

兄「あんの野郎っ……!」

医者「落ち着いてください。もう親御さんはこの世にはいないのです」

医者「法的にはともかく、実質、あなたがあの子の面倒を見なくてはならない」

兄「そのつもりです、最初から」

兄「たとえ母親の再婚相手の連れ子であったとしても」

兄「幸い、保険金と慰謝料で十分な蓄えができちゃいましたから」

医者「そうですか……わかりました」

医者「この病気は、愛情が鍵です。親子愛、兄弟愛、なんでもかまいません」

医者「妹さんに愛を注いであげてください」

兄「はい」

―病室―

コンコン
妹「はい」

兄「やぁ」

妹「あ……その」
兄「久しぶり」

妹「……」

兄「最後に会ったのいつだっけ」

妹「……知らない」

兄「お盆だったか、正月だったか……」

兄「ま、いっか」

兄「調子、どう」

妹「……まぁまぁ」

兄「そっか」

妹「あの」

兄「うん」

妹「お兄さんは、遠くに住んでる、ん、ですよね」

兄「んー……遠くっちゃ、遠くかなぁ」

兄「バスで五時間くらい、JRで三時間くらい」

妹「そっか」

兄「ここよりは田舎だけどね、いいところだよ」

兄「ま、居酒屋と畑くらいしかなくて、子供向きではないかもね」

妹「言うほど子供じゃないですけど」

妹「大学生と比べないでください」

兄「あ、そうだね。ごめん」

妹「……」

兄「病院は暇?」

妹「……別に」

兄「別に?」

妹「なに。なんなの」

兄「なんでもないよ」

妹「なんでもないなら、いなくたっていいじゃないですか」

妹「バカにされてるみたいでいやです」

兄「ごめん。そういうつもりはなかったんだけど」

妹「久しぶりのお喋りなのに」

兄「クラスの友達は」

妹「……」

妹「うっさいです! 出てけ!」

兄(あっちゃ……)

兄(地雷踏んだか)

兄「ご、ごめんごめん。じゃあ俺とお話ししようか」

妹「いやです」

兄「でも」

妹「いやだっつってんじゃないですか!」

妹「っ……!」フラッ

兄「っ! 大丈夫!?」

妹「ただの立ちくらみです……っ」

兄「立ってないじゃん……」

妹「う、うるさい! うるさいうるさいうるさい!」

妹「っ……」ハァハァ

兄「とりあえず、ナースコール……!」

――――――――――――
兄「だいぶ調子はよくなった?」

妹「今日も来たんですか」

兄「うん」

妹「大学生ってのは随分と暇なんですね」

兄「そういうわけでもないよ」

妹「ふーん」

兄「勉強は楽しいよ」

妹「全然わかんない」

時系列入れ替わった?

>>73
回想です。わかりにくかったかな、反省



兄「勉強?」

妹「勉強が楽しいって思えることですよ、ばか」

兄「ばか、か」

妹「え、あ、あの、違う」

兄「……どうしたの」

妹「うっさい!」

兄「辛辣だなぁ」

妹「……難しい言葉を使わないください」

兄「厳しいなって」

妹「……きびしい、ですか?」

兄「あー、まぁ、うん」

妹「……」

兄「そうだ。聞きたいことあるんだけど」

妹「え?」

兄「田舎に住みたいと思わない?」

―――――――――――――――
妹(ん……夢……?)

妹(……あ、冷たい……)

妹(おでこ、きもちー……)

妹(手、握られてて……)

妹(って、)

妹「あれ?」

兄「おはよう。いや、おそようかな?」

妹「にーさん」

兄「動いて大丈夫?」

妹「よくなった。動機も、眩暈も、なんもないです」

妹「けど……」

兄「けど?」

妹「ひざまくらは恥ずかしい」

兄「別に誰も見てないし」

妹「お天道様が見てる」

兄「おう、古風な言い回し」

妹「にーさんは恥ずかしくないんですか、面の皮厚太郎ですか」

兄「厚太郎なのかもなぁ」

妹「面の皮と呼んでやります」
兄「それは嫌すぎる」

妹「そうだ、にーさん」

兄「ん?」

妹「あの……その、ですね」

兄「どうした」ギュッ

妹「なんで手を握るんですか」

兄「なんとなく」

妹「……面の皮め」

兄「せめて人間にしてくれ」

妹(結局、言えなかった)

妹(毛布……)

兄「ふぁああぁ……」

妹「眠いの?」

兄「だって、お前、時間見ろよ」

妹「……日付変わってる」

妹「凄い、初めて」

兄「正月ですら寝るもんな、お前」

妹「うん。どきどき」

兄「大丈夫なら、部屋に行くか?」

妹「んー……」

兄「?」

妹「もうちょっと、このまま」

兄「そうか」

兄「ふぁああぁ……」

妹「眠い?」

兄「けっこう、酒入ってるからな」

妹「わたしも飲んでみたいな」

兄「大学入ったらな」

妹「二十歳からじゃないの?」

兄「守ってるやつなんていない、大丈夫だ」

妹「うわ、不良だ」

兄「大丈夫大丈夫」

妹「大体みんなそういうんだよ」

兄「俺もその他大勢の中の、一人だからな。ふぁああぁ……」

妹「お兄ちゃん?」

兄「……」

妹「寝たの?」

兄「ぐー、ぐー……」

妹「あ、寝ちゃってる」

妹「寝顔可愛いなぁ」

妹「でも、男の人ってそういわれたら喜ぶのかな」

妹「うーん」

妹(男の人の脚って、固いんだなぁ)

妹(なんか……わたしもまた、眠くなってきた)

妹「おやすみ」

―――――――――

チュンチュン チュンチュン
妹「ん……まぶし……」

妹「朝か……」

妹「にーさん……」

兄「ぐー、ぐー」

妹「寝てる」

妹「ふふ」

妹「あ、風邪ひいちゃう」

妹「よいしょ……毛布」

妹「学校は……ないよね。日曜日だし」

兄「ん……」

妹「にーさん」

兄「あ……妹」

妹「起こしちゃった?」

兄「ん……まぁ、大丈夫」

兄「ってか、ソファで寝てたんだな。毛布は……」

妹「……」

兄「ありがと」

妹「ぜ、全然ですし」

兄「昨日はごめんな」

妹「ぜ、全然ですしっ」

兄「そっか」

兄「入るk「入るっ!」

兄「……ほれ、来なさい」

妹「わーい」ボスッ

兄「ていうか、すげぇ足が痺れてる」

妹「私、枕にしてた」

兄「その記憶はあるわ……ま、治るまでこうだな」

妹「ぐへへへへ」

兄「邪悪になってるぞ」

妹「おっと失礼」

妹「ぬくぬく」

兄「そうだなぁ」

兄「って、まだ五時半かよ。どうりで眠いわけだ」

妹「寝なおす?」

兄「とりあえず、ぬくぬくしてよう」

妹「まったく本当ににーさんはぬくぬくさんなんですから」

妹「わたしは困ってしまいますよ、うふ」

兄「くっつきすぎで苦しい」

妹「大丈夫大丈夫」

兄「お前が決めるのか」

妹「そうです。にーさんはわたしの言うことだけをきいてりゃいいんです」

兄「女王様だな」

妹「プリンセス・イモウトとお呼びなさい」

妹「パンがなければお米を食べればいいのよ!」

兄「なにいってんだこいつ」

妹「怒らないでよぉ」

兄「いや、怒ってないけど」

妹「ふふ」

兄「おい、また近づいてきてる」

妹「にーさんは体温が高いのですね」

兄「そうか?」

妹「子供みたい」

兄「そうかぁ?」

妹「そうです」

妹「もっとひっついていい?」

兄「んー……」

妹「ひっつきます」

兄「俺の意思は無視かい」

妹「え」

兄「ん?」

妹「迷惑、だった?」

兄「そういうわけじゃないけど」

妹「ほんと?」

兄「うん」

妹「そっか、そっか」

兄「ちゃんとお前のことは好きだよ」

妹「わたしも」

兄「……」
ナデナデ

妹「んー」

兄「……」
ナデナデ

妹「んふふ」

妹(あぁ……)

妹(だめだなぁ、わたし)

兄「おい……」

妹「え?」

兄「どうした、どこか痛いのか、苦しくないか、大丈夫か!?」

妹「な、なんのことですか、にーさん」

兄「いや、だって、お前泣いてるし」

妹「泣いてる?」ポロポロ

妹「……あは、ほんとだ」

兄「大丈夫か?」

妹「わたし、泣いてるよ、はは」

兄「……」

妹「ごめん」

兄「……?」

妹「部屋で、寝てくる」

兄「……おやすみ」

妹「……」

―喫茶店―
兄「――ということなんだけど」

女「はぁ、あんたもちゃんと保護者やってんのねぇ」

兄「いろいろあってな」

女「それ、いつの話?」

兄「昨日……」

女「そのあとはどうしたの」

兄「食事に読んでも来なかったよ。お腹すいてないって」

兄(病気で体調が悪くなったようには聞こえなかったから、大丈夫なんだろうけど……)

友「直接聞いて、腹割って話し合うのが一番手っ取り早いんじゃねェの?」

女「ばかねぇ、思春期の女の子にそんな気軽に話せるわけないでしょ」

女「デリケートなんだから、気を付けないと」

兄「お前にもそういう時があったのか?」

女「なに、アンタまでそういうことを言う気? 失礼だわね」

兄「いや、そういうつもりじゃ」

友「そうだそうだー」

女「あんたは黙ってなさい」

女「ま、でも、ある程度は間違ってないと思うけど」

女「しっかり心配してるって雰囲気だして」

女「話したくなったらいつでも話せよって」

女「待ちに徹するのがいいかもね」

兄「参考になります」

友「血ィ繋がってないんだろ? 暮しには慣れたのか?」

兄「まぁ、半年もすればな」

兄「仲がいい自負はあるんだが」

兄(さすがに妹の病気のことは言えない……)

友「頼りがいのある兄貴も結構だけどさ」

友「頼りっぱなしって、思ってるより辛いんだよな」

女「そう?」

友「それはお前が長女だから言えるんだよ」

友「プレッシャーていうのかな。申し訳なさはどうしても出てくるもんだよ」

友「義理の妹ともなれば、特にじゃないか?」

兄「彼氏とか友達とか作ってくれればいいんだけどな」

女「まだできないの」

兄「引っ込み思案らしくてな」

女「『お兄ちゃん』してるわねぇ」

友「実にな」

女「じゃ、うちらはそろそろ時間だから」

兄「おう」

兄「お礼として、御代は持つよ」

友「さんきゅー」

兄「で、どこ行くんだ」

友「映画」

女「ハングオーバー」

兄「……」

女「ばいばい」

兄「お、おう」

兄(あいつは俺がいないとまともな日常生活を送れない)

兄(どんなに頑張ったところで、愛情は二日あれば枯渇する)

兄(状況によっては数半日で……)

兄(愛情は目に見えない分だけ難しい)

兄(俺が注いでいるつもりでも、それを確認するすべがないのだ)

兄(あー、家に帰ったらいっぱい撫でてやらないと)

兄(ともかく、現状だ。話をしなきゃどうにもならない)

ガチャ
兄「ただいまー」

トントントン
ジャー ジャー
妹「……」

兄「なぁ」

妹「あ、もうすぐできるから、待っててください」

兄「お、おう」

兄(だめだ、ペースに飲まれてしまう)

兄(部屋から出てきて、会話をできただけでもよしとするか……?)

兄(いやいや、そんな消極的な!)

兄「なぁ」

妹「もうちょっと待ってくださいね」

兄「……うん」

兄(俺弱いなぁ)

妹「できましたよ、と」

妹「野菜炒めと餃子です。味噌汁はジャガイモ」

兄「おー、うまそう」

妹「うまそうじゃなくて、うまいんです」

妹「学校の家庭科の授業でも、わたし、リーダーやったんですから」

兄「前に言ってたな。じゃ、いただきます」

妹「はい、どうぞ。いただきます」

兄「餃子、うまい」

妹「肉汁出てます」

妹「にーさんは箸使いが上手ですね」

兄「そうか?」

妹「そうです。わたしはあんまりうまくなくて」

兄「根気よくやっていれば慣れるさ」

妹「そんなもんですか……うーん」

兄「ごちそうさま」

妹「お粗末さまでした。ごちそうさま」

兄「うん……」

妹「にーさん、食器、ちゃんと下げてくださいよ」

兄「わかってるよ」

妹「あと、座ってください」

兄「どこに」

妹「座ってといったらソファと相場が決まってるもんです」

兄「それは初耳だ」

妹「初耳でもいいので、どうぞ」

兄「……」ボスッ

妹「……」トスッ

兄(沈黙が、辛い)

兄「なぁ――んっ!」

兄(顔が、というか、唇がぁっ?)

妹「ぷはっ……」

兄「おま、なにを……」

妹「わたしは言いました。さっき」

妹「ちょっと待っててくださいねって」

兄「あれは……」

妹「にーさん、愛してます」

兄「いやいや、兄妹だから」

妹「血は繋がってませんよ」

兄「そういう問題じゃあないだろ……」

妹「それなら!」

妹「わたしはどうやって、にーさんに尽くせばいいんですか……?」

妹「にーさん。わたしは、にーさんの愛情に、応える術がありません」

妹「どうやったら素直になれるんですか? ありがとうって言えるんですか?」

妹「わたしはもう、いつ愛想を尽かされるか、気が気でないんです」

妹「あげられるものなんて貧相な体くらいですけど」

妹「それでも、にーさんなら」スルリ

兄「落ち着け、お前落ち着け!」

兄「俺はお前にそういうことを求めてない! 見返りとかいらない!」

妹「わたしは素直になりたいんです!」

妹「ちゃんと恥ずかしがらずに好きですって言いたいんです!」

妹「にーさんが優しくするたび、おかしくなっちゃいそうなんですよ!」

妹「もらいっぱなしはいやなんです、にーさんにも……」

妹「にーさんにも、お返しをしたいんですよっ!」

妹「当然じゃないですか、好きなんですから!」

妹「ばか!」

妹「もうわたしどうしたらいいのかわかんなくなっちゃってるんですから!」

妹「どうしてくれるんですか!」

妹「う……ぐす、ひっく……」

妹「もうやだぁ……」

兄「……」

兄「妹」

妹「なんですか……ぐす」

妹「っ!」

兄「ほら、ぎゅー」

妹「だから、やめてくださいって――わふっ」

妹「ちょっと、強い、です!」

兄「好きだ」

妹「うう……だからぁ、ずるいですよ」

妹「にーさんいないと生きていけない人間に、もどかしい思いさせて……」

兄「なぁ」

妹「……はい」

兄「俺は、そんなことは知らん」

妹「は」

兄「病気がどうとか、知らん」

兄「俺はお前を幸せにしたいから愛してる、それだけ」

兄「お前がどうとか考える必要はない」

妹「なっ……考えちゃうからしょうがないでしょ!」

兄「勝手に考えてろ!」

妹「それが妹に言う言葉ですか!?」

兄「いいか!」

兄「お前が病気だろうがそうじゃなかろうが! 尽くそうが尽くさなかろうが!」

兄「俺はお前をこよなく愛す」

妹「……恥ずっ」

兄「うっせ」

妹「ふーん。そういうスタンスなんですね、にーさんは」

妹「じゃ、お言葉に甘えますよ」

兄「ん?」

妹「勝手にします――んっ!」

妹「ぷは。愛してますよ、にーさん。んっ」

兄「ん、ちょ、おい、妹――んっ」

妹「こんなに固くして……いっぱい尽くしてあげますよ、にーさん」

 夜は、更ける。

―――――――

兄「……もっかい言ってみ」

妹「できちゃいました」

兄「なにが?」

妹「言わせるんですか?」

兄「俺、父親?」

妹「そういうことになります」

妹「にーさん、私をこよなく愛してくださいねっ」

END

えろ、書いたことなし

おk、頑張ってみよう

妹「にーさん、なんでこんなおっきくなってるんです?」

妹「なんだかんだいって、やらしーんですねぇ」

兄「ちょ、やめ」

妹「いやですよ、こんな機会二度とあるかわかりませんし」

妹「固くしながらじゃ説得力ないです」

妹「気持ちいいですか?」スリスリ

兄(やばい、これは……)

妹「気持ちいいですか、って聞いてるんですよ」

兄「きもちいい、です」

妹「触るだけで気持ちよくなるなんて、にーさんは変態ですか?」

妹「しかもパンツの上からなのに」

兄「く……」

妹「じかに触ったらどうなるのか……」


妹「脱いでください、にーさん」

兄「なっ」

妹「してほしいなら、脱いでください」

妹「手でスリスリしてほしいですか? それともお口でぐちゅぐちゅしてほしいですか?」

妹「ま、どっちにしろ、脱がないと」

兄「……」スッ

妹「うんうん、にーさんは偉いですね」

妹「あは、すっごい」

妹「上向いてて……触ってあげますね」

妹「唾でぐちょぐちょにして……」

妹「凄い固い……」

兄「うっ」

妹「あ、ぴくって動きました。感じてるんですか?」

兄(息が……)

妹「どうですか、妹の唾塗れになった感想は」

兄「……」

妹「感想は?」

兄「きもちいいです……」

妹「さっきも同じこと聞きましたよ」

兄「妹の手、ぬるぬるで、気持ちいい」

妹「それはよかったです。じゃ、いっぱいこすってあげますから」
クチクチ… グチュグチュ グチュ

兄「う、あぁ……」

妹「やらしい顔してます……それに、匂いも……ペロ 味も……」

妹「にーさんの舐めていいですよね? 舐めますから」

妹「んっ……ピチャピチャ……おいし……チュプ、ペロ……チュルチュル……」

兄「い、妹ッ」グッ

妹「――――ッ!?」
妹(喉の、奥まで……)

妹(くるし、けど……どきどきする)

妹「んっちゅ……れろっ……ちゅっ…ぢゅっ……ぷはぁ……」チュパチュパ

兄「うっ……」

兄「はぁはぁ……」

妹「ちゅぱっ……ちゅ、じるっ……れろ、ちゅる……」

妹(あ、なんか、ぴくぴくしてきた)

妹「もう、じゅるる……れほうれふか」

兄「ご、ごめん、口の中にっ」

妹「いいれふよ、ちゅぱ、らひて、ちゅ、らひてくらはい!」ジュルルルルッ

兄「イクッ」ドクドク

妹(いっぱい……)

妹「ごくん。……うえぇ」

妹「おいしくない……」

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