一歩「倒れろ!倒れろ!倒れろぉ!」ズガ!ズガ! ぼく「っ…」 (58)

鷹村「なんつう気迫だ…!」

青木「あぁ、一歩のやつ…殺す気だぜ…!」

鷹村「ちげぇよ、相手の方だ!!」

木村「…あのラッシュをもろに食らってなお、アイツの目は死んでねぇ!!」

青木「なにか…ねらってやがんのか!?」
鷹村「わからねぇ…が―――」

……セコンドサイド

八木「きまりましたね…!」

鴨川「…モロに入っとる。アゴをかちあげてからのデンプシーロールは必勝パターン。しかし…」

鴨川「この違和感は…なんじゃ……!!?」

一歩「倒れろ!倒れろ!倒れろ!倒れろ!倒れろ!!!」

実況『右!左いい!右ッッ!左イイイイ!!正に蟻地獄!!!一度ハマると決して抜け出せない!!!』
実況『これが幕之内!!これが幕之内のデンプシーロール!!!!!!!』

一歩「倒れろ!倒れ………   審判「ストップだ幕之内!!ゴングだ!!!」

カァンカァンカァンカァンカァン!!!

一歩「…っ!決められなかった…でも、次で絶対!」

鴨川「…第2ラウンドを終えて小僧にダメージは殆ど無い。やはり儂の思い違いじゃったか」

鴨川「よし小僧!次で確実に決めるんじゃ!くれぐれもガードを下げず、丁寧にな」

一歩「はいっっ!!!」

僕「…」
俺「し、死んでる!」

ボックス!!

ぼく「……」ハァッハァッ

一歩「満身創痍…よし!行ける!!」ダッ
実況『おっとぉ幕之内、挑戦者の元へダッシュ!勝負を決めにきたかぁ!?』

一歩「これで…終わりだ!!!」

鴨川「っ!いかん!!小僧!!!」

一歩「なっ…!!!」

大振りな右ストレートに、僕はカウンターを合わせる
スパン!と、鋭いパンチがチャンピオンの頬を貫通する

一歩「か…は……」

鴨川「っ!構えい!!バカモンが!!!」
実況『たっ立場逆転!!!挑戦者意地のラッシュラッシュラッシュ!!先ほどのダメージがまるで消えたかのような鋭いパンチの応酬だああああ』

青木「一歩!!なにやってんだよ打たれまくりじゃねぇか!!」

木村「違う。うてないのさ」
青木「……は?」

鷹村「今のカウンター…、確実に狙ってやがった。1ラウンド、2ラウンドの奴の劣勢は伏線」

鷹村「堅実な一歩のボクシングを崩すためにわざとデンプシーロールを貰い、完全に一歩の勝機を確定させ、基本を捨てて勝ちに来た一歩の大振りに」

青木「したたかにカウンターを返したって…事…か!」

鴨川「迂闊じゃった…!まさかリバー→ガゼル→デンプシーロールをわざと受けにくるなど……!!」

実況『形成逆転!!!挑戦者決死の意地!!これがボクシングです…!!!』

一歩「か…あ…うげっ……!い、い……」ドサァッ…

実況『ああっとぉ!!チャンピオンダウン!これはまずい倒れ方!』

審判「ニュートラルコーナーまで下がっ……うわっ!?」

実況『ちょ…挑戦者、審判を振り切ってチャンピオンの元へ!まさか気付いていないのか!!』

挑戦者は審判を振り切り、倒れているチャンピオンの元へ

ぼく「うがああああ!!」ダダダ!

鴨川「なっ!抑えんか審判!!」

挑戦者はチャンピオンの右腕を踏みつけた!!

一歩「うっああ!?」

審判「っ!ニュートラルコーナーへ!!!!」

ようやく自我を取り戻したのか、挑戦者はコーナーへ戻る

鴨川「っ!今のは反則じゃ!!わざと足を踏みつけおったんじゃ!」

実況『審判の判断は…無効!!これは痛い!チャンピオン幕之内、右腕負傷!』

ぼく「へ、ざまぁねぇぜ糞チャンプが。俺のラッシュをモロに受け、尚且つ不慮の事故で右腕負傷。」
ぼく「けひひひひ…、こりゃあベルトは貰ったな」ニタニタ


鴨川「くぅ…奴め、確実に狙っておったわ…!たてぇ!小僧!!」

一歩「うぅ…」

青木「たてぇ一歩!」 木村「あの糞野郎ぶっ潰せ!!」

鷹村「…」

実況『おぉっと!幕之内、立ったあああああ!!しかしダメージが大きい、フラフラだああああ』

審判「…目をみせて」

一歩「…行けます!」 審判「……よし、ボックス!」

ぼく「ちっ!サンドバックが…」

チャンピオンの元へダッシュ、勝負を決めにいったぼく

鴨川「くっ、ガードをあげんか、小僧ぉぉ!」

一歩「う…」

ぼく「しねぇ!死ねよ!!くたばれぇ!!」

両脇から、突き刺さるようなぼでぃ、幕之内はまるでサンドバックのように揺れるだけ

ぼく「しね!死ね!しね!しね!!」

鴨川「ぐっ……」

八木「かっ会長…タオルを……」

リングが鮮血に染まる。挑戦者決死のボディーブロー、チャンピオンがついに崩れた!

鴨川「くっ……」グッ……

ぼく「しねぇぇぇ」

青木「あっー!」 木村「まずい、これで倒れちまったら…」

鷹村「試合が止められちまう…!ただでさえボロボロなんだ…審判だって何度も手をあげようとしてやがる!」

鴨川「こぞぉぉぉぉ!!!」

一歩の体がリングへ付こうとした瞬間…腰を入れ、全身の体重の乗った低空スマッシュが挑戦者のボディーへヒット!

ぼく「こっ…………?」

実況『な…、チャンピオン意地のカウンターあああああ!!これは凄い!自身の置かれた悪状況を利用した!!!』

一歩「っ!そうだ!約束したじゃないか!…僕は…これ以上負けるわけには行かないんだ!!!」

負傷したはずの右腕を構え、挑戦者の顎に向けて放つ!

BGM inner light

ぼく「…ばか…が、こんな大振りくらい、カウンター…え?」

右ストレートが挑戦者の顎を貫く!!
挑戦者の体はまるでマトリックスのように逆に折れ曲がる!

鷹村「バカが、一歩の土俵でデンプシーロール破りなんざ出来るわけねーんだ」

木村「ようやくさっきのリバーブローが効いてきやがった!」

青木「いけぇぇ!一歩ぉぉ!」


ぼく「ふざけんな…オレは…俺は……!!ぶふぇ!」

左が下腹部に刺さる。右が頬を貫く。そして、丁寧に放たれた左アッパーが挑戦者の顎を砕く!

鴨川「よ…よし!そのまま…そのまま決めるんじゃあああああ」

一歩「ぬぉああああああ!!」

全身全霊右ストレート、顎をかちあげられた挑戦者は動けない

一歩「ぬあああああああああああ!!!」』

ぴたっ…

実況『っ!チャンピオン、右ストレートの勢いが消えた!!先程の事故が効いてきたかああああ!!』

一歩「っ!動け!動け…あ――、動か……」

ぼく「少々焦っちまったが…これで終わりだ!!」

挑戦者渾身の右は、チャンピオンのテンプルへ――――

瞬間、幕之内が前のめりに倒れるように重心が崩れ、挑戦者のフックは空を切った……

ぼく「…がっ!!!」

青木「リバァ!!」

ぼく「ごへぇっ!」

木村「アッパー!!…こりゃあ……」

鷹村「っ!このリービングは………」

実況『で、でたあああああああ!!!チャンピオン二度目!正真正銘必勝パターン、デンプシーロールだあああああ!!!』

規則正しいリズムで放たれるそれは、挑戦者を不自然な形へ変えてゆく

実況『左!右!左!右いいい!止まらない!!止められない!!!そしてぇぇぇぇ!』
実況『みっぎひぁいああいいいい!!!挑戦者ダウーン!!審判これはカウントを取らない!勝者、赤コーナー、幕之内一歩ぉぉぉぉ!!』

BGM 夕空の紙飛行機

会場が幕之内コールに包まれる

鴨川「ふん…なにやっとる。さっさと挨拶せんか。応援してくれた観客にな」

一歩「へ…ぼく…本当に……!!」

鴨川「ヒヤヒヤさせおって。お主の勝ちじゃ、小僧!!!」

一歩「っ!…あ…」ドサッ

鴨川「…ふん。」

――とあるボクシングジム

?「奴が負けた?」
?「おいおい、まじかよ」
?「びびんなよ。次はお前の番だ…幕之内をぶっつぶせ」
?「はい」

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