幼「妹ちゃんのブラコン卒業式を始めます!」 (237)

妹「あなたは人の部屋に突然侵入して何を言っているんですか?」

幼「シャラップ! まずは私の話を聞きなさい!」

妹「いやです」

幼「え」

妹「聞こえませんでしたか? 耳の穴が足りないのなら釘でも打って増やしてあげましょうか?」

幼「もしかして怒ってる?」

妹「いいえ、まったく。ですが迷惑なので消えてくれませんか?」

幼「怒ってるじゃん」

妹「はぁ。私はいきなり部屋に来られたので迷惑だと思っているだけです」

幼「もう事態は一刻の猶予も許されないんだよ、妹ちゃん」

妹「では一人が頑張ってください」

幼「私一人頑張っても意味ないんだよ! 妹ちゃんがブラコンを卒業しなくちゃ!」

妹「私はブラコンじゃありません。だから卒業する必要もありません」

幼「自覚症状がないのは問題だね……」

妹「言い掛かりにも程があります」

幼「こうなったら自覚させるしかないよね」

妹「事実無根なのですから自覚しようもありませんよ」

幼「じゃあ問題! あの机の上の写真立てに飾ってあるのは誰の写真?」

妹「兄さんの写真です。家族の写真を飾るのは当たり前でしょう」

幼「問題その2! 妹ちゃんが毎日一緒に登下校しているのは誰?」

妹「兄さんです。同じ学校に通っている兄妹が一緒に帰らない理由がありません」

幼「最後の問題! 異性の理想のタイプを具体的に語ってください!」

妹「普段は優柔不断に見えて、いざという時には頼りになる。兄さんみたいなタイプです」

幼「完全に自覚あるじゃん」

妹「例え話ですよ」

幼「兄みたいなタイプが好きなんだよね?」

妹「はい」

幼「兄の事が好きなんだよね?」

妹「はい」

幼「異性として好きなんだよね?」

妹「変な事を言わないでください。兄妹として好きなんですよ」

幼「じゃあ兄に彼女ができてもいいんだよね?」

妹「例えトイレに逃げ込んでも必ず息の根を止めます」

幼(本気で殺る気の目だ)

妹「仕方がありませんね。もし仮に私がブラコンだとして、幼さんに何の関係がありますか?」

幼「私は二人が不幸にならないか心配なんだよ」

妹「いつから幼さんは他人の幸不幸を勝手に決められるほど偉くなられたんですか?」

幼「一般論だよ」

妹「幼さんは他人を一般論で語ろうとするほど馬鹿でグズで愚かだったんですね」

幼「落ち着こうよ」

妹「私は落ち着いてますよ? 幼さんの方こそ、私に遠慮して部屋を出るくらいの遠慮もできないんですか?」

幼(顔は笑ってるのに全然穏やかに見えないのが逆に凄い)

幼「つまり妹ちゃんはブラコンを卒業する気がないんだね」

妹「私はブラコンじゃありませんし、そもそも他人の恋愛感情はどうこう言うべき事じゃないと思いますよ」

幼(私は恋愛感情とまでは言ってないのにね)

妹「分かったなら消えてくれますか?」

幼「もう、妹ちゃんは頑固なんだから」

妹「私ほど柔軟な人間はなかなかいないと思いますよ」

幼「そうかな。まあ、こうも拒まれちゃ仕方ないよね。じゃあね」

妹「そうそう、一応言っておきますが……私は猫が嫌いです。特に泥棒する猫は殺したいくらい大嫌いです」

幼「私も猫は嫌いだなぁ。特に男の前でだけ皮を被る猫が大嫌い」

妹「奇遇ですね」

幼「そうだね。ばいばい」

妹「ええ、二度と来ないでくださいね」

幼「シスコンを卒業しなさい」

兄「いきなり命令形かよ」

幼「シスコンは黙りなさい!」

兄「いきなり酷くね?」

幼「シスコンの100の弊害!」

兄「おう」

幼「異性にモテない! 私が嫌! なんかキモい! 以上!」

兄「三つだけかよ」

幼「卒業しなさい」

兄「そう言われましても」

兄「そもそも俺シスコンじゃないだろ」

幼「兄妹揃ってこれか」 ボソッ

兄「え、何?」

幼「別に。面倒臭いから無視するね」

兄「んなアホな」

幼「兄はシスコンだからね、完全に。このままじゃ近親相姦とかしちゃう変態だよ」

兄「絶対にないから」

幼「なんでそう言えるの?」

兄「普通にありえない」

幼「だからなんで?」

兄「だって俺お前の事好きだし」

幼(ん?)

幼「ごめん、よく聞こえなかったんだけど……今なんて?」

兄「聞こえなかったならいい」

幼「もう一回だけ」

兄「……お前の事が好きだ」

幼「わひゃー!」 ダイブッ

兄「おぇえ!?」 ドタンッ

幼「私も愛してる! 今すぐ子作りしよう! 私が一生養ってあげるから!」

兄「逆だろ!」

幼「いいの! 兄は働かなくていいから家で私の帰りを待ってて! そして子供は100人作るの!」

兄「ちょっとマジで落ち着け」

幼「ごめん、幸せすぎて心がトリップしちゃってた」

兄「お前どんだけ俺が好きなんだよ」

幼「え? 熱量で言うと原初宇宙くらい?」

兄「よく意味が分からないが、やたら愛されてるんだな俺」

幼「それにしても……そっかー、兄は私が好きなんだ?」

兄「子供の頃からな」

幼「私は生まれた時から好きだったよ」

兄「大袈裟すぎるだろ」

幼「前世のミジンコだった時から好きだったよ」

兄「お前の前世はミジンコだったのか」

幼「兄はクリオネだったよ」

兄「似てるようで全然違うなそれ」

幼「えへへへへ、私も兄に愛されちゃってるんだよなー」

兄「恥ずかしいからあんまり言うなよ」

幼「式はどうする?」

兄「なんで結婚式の予定の話になるんだよ」

幼「あ、その前に初デートだよね! お金は全部私が出すから安心してね!」

兄「お前は男をダメにするタイプだな……つーか俺、デートしたりしないぞ」

幼「どういうこと?」

兄「お前と付き合う気ないし」

幼「え? あ、そうなんだ」

兄「うん」

幼「それじゃ私今すぐ自殺するね」

兄「お前は何を言ってるんだ?」

幼「そうだよね、兄の邪魔にならないように樹海辺りでひっそり死ぬべきだよね。ごめんね」

兄「そういう話ではなくて」

幼「なんかもう私の存在が罪だよね。兄に愛されてるつもりになって調子に乗っちゃって」

兄「存在が罪って」

幼「もうなんでもいいから死にたい。ああ、なんか死ぬのも面倒臭くなってきた。飢え死にしよう」

兄「落ち着けよ。お前の事は好きっつーか……愛してるよ」

幼「慰めなくていいよ。あと二週間くらいで自然に死ぬから」

兄「だから死ぬなって」

兄「いや本当に。でも付き合うのは無理だ」

幼「何なの? そろそろ私、幸福と不幸の繰り返しでおかしくなって死んじゃうよ?」

兄「あんまり言いたくないんだよ」

幼「なんで?」

兄「わかるだろ? ……妹の事だよ」

幼「妹ちゃん?」

兄「俺が誰かと付き合ったりしたら大変な事になるだろ。あいつ超ブラコンだし」

幼「そうだね、だから私も……って、気付いてたの?」

兄「そりゃまあ」

幼「意外。そういうの鈍いと思ってたのに」

兄「あれだけ四六時中一緒にいられれば普通にそう思うって」

幼「うんうん」

兄「それに、俺が留守の間に使ってるらしくてベッドから妹の匂いがするし」

幼「なんですと!?」

兄「歯ブラシも俺のを使ってるらしくて毎朝しっとり濡れて使用済みになってるし」

幼「はいぃ!?」

兄「……それに、隣の部屋から喘ぎ声まじりに俺の事を好きだのって聞こえてくるしさ」

幼「有罪、死刑」 ボソッ

兄「だからお前とは付き合えないんだよ」

幼「その理屈はおかしい」

兄「そうか?」

幼「逆でしょ。私と付き合えば妹ちゃんがブラコン卒業するチャンスだもの」

兄「まあな」

幼「なら付き合ってよ! 付き合わないと死んでやる!」

兄「……ヤバいんだよ」

幼「ヤバい?」

兄「なあ、何も聞かずに諦めてくれないか?」

幼「無理」

兄「無理か……」

兄「これからする話は他言するなよ」

幼「心の奥に仕舞っとく」

兄「信じるぞ。……俺の周りでさ、変な事故が何度も起きてるんだよ」

幼「事故?」

兄「ああ、事件と言った方がいいのかな」

幼「どんな?」

兄「仲良くしてた女子が階段から落ちたり、隣の席の子が車に轢かれたり、告白してきた女の子が突然不登校になったりさ」

幼「妹ちゃんの仕業ね」

兄「証拠はないんだけどな、それっぽい事を言ってた女子がいてさ」

幼(よし、妹ちゃんを殺して兄と付き合おう!)

兄「口に出さなくても妙な事を考えてるのは分かるからな? やめろよ」

幼「え、私全然何も考えてないよ?」

兄「お前さ、俺をどんだけ鈍いと思ってるんだよ」

幼「むぅ」

兄「とにかくさ、俺は誰とも付き合う気はないし、妹とそういう関係にもならない」

幼(妹ちゃんさえいなければ上手く行くのになぁ)

兄「まあ、妹もその内に他の男ができて冷めるだろう」

幼「ないない」

兄「かもな。……お前も俺なんか忘れてさ、適当に良い男見つけろよ」

幼「宇宙が何周してもありえない」

兄「嬉しいけど、無理やりでも忘れろ。んじゃ、この辺でお開きだな」

幼「納得いかないー!」

兄「はいはい、またな」

妹「おはようございます、兄さん」

兄「ああ、おはよう。その消臭スプレーは何なんだ?」

妹「これですか? 兄さんの部屋から嫌な匂いがするので」

兄「掃除は毎日してるつもりだけど」

妹「猫の匂いが少し」

兄「猫ね。俺は猫より犬派だな」

妹「わん」

兄「ん?」

妹「わんわん」

兄「可愛い犬だな」 ポンポンッ

妹「くぅん」 スリスリ

妹「兄さん、朝ご飯はどうしますか?」

兄「フレークでいいよ」

妹「はい」

兄「あのさ」

妹「なんでしょうか?」

兄「あー……お前のクラスの男子ってどう?」

妹「どうと言われますと?」

兄「格好良い奴とかいないの?」

妹「さあ? 顔も名前も覚えていませんから」

兄「ああ、そう」

妹「寒いですね」

兄「そうだな」

妹「兄さんの手は温かいですね」 ギュッ

兄「妹の手は冷たいな」

妹「手が冷たい女は心が温かいんですよ?」

兄「そうか」

妹「兄さん」 ピタッ

兄「歩きづらいんだが」

妹「ゆっくり歩いても間に合いますよ」

兄「いや普通に邪魔」

妹「邪魔……」 ビクッ

兄(やべっ)

兄「嘘だよ。くっ付いてた方があったかくて良い」

妹「はい♪」

友「おはよっす」

兄「おはよっす」

友「顔色悪くね?」

兄「普通普通」

友「マジで? お前の普通ヤバすぎ」

兄「超ヤバい」

友「ありえねー」

女「兄くん友くんおはよー」

友「おはよっす」

兄「……」 ペコリッ

友「兄テンション低すぎぃ!」

女「兄くんは恥ずかしがり屋なんだよ、友と違って」

兄(ヘタに仲良くなると危ないから返事できないだけなんだよね……)

完結させろよ

妹「兄さん」

兄「ああ」 ガタッ

友「俺も俺も」

女「え、どこ行くの?」

兄「昼飯」

妹「……」

女「私も一緒に行っていい?」

友「オッケーだべ?」

兄「んー」

妹「いいんじゃないですか?」

兄(あ)

兄「ごめん、俺はちょっと……」

女「え?」

兄「女さんが嫌とかじゃないんだけど、あんまり大勢で食べるのって苦手で」

妹「……」 ニコッ

兄「はぁ」

兄(ゆっくり休めるのは便所くらいか)

友「ふぃー」

兄「なあ友」

友「あー?」

兄「うちの妹ってどう思う?」

友「超可愛い」

兄「狙ったりしねえの?」

友「いいのか?」

兄「結果は保証しない」

友「おっけ」

兄(いつまでも理想のお兄ちゃん演じてられないよなぁ)

『――という事があったんだ』

『兄が積極的に私との事を考えてくれたのは嬉しいけど、それが今の状況とどう関係あるのよ』

『あまり長いやり取りはできないから手短に言うが、俺が友と付き合せようとしてるのが妹にバレた』

『なるほど』

『なるほどって、これだけで分かるのか?』

『本格的に病んじゃったんでしょ』

『ああ。今は家のトイレに籠もってお前にメールしてるが、履歴もすぐに消去する。そっちからは送らないでくれ』

『ヤバいの?』

『俺かお前か、もしくは両方が死ぬ。今も妹がドアをガンガン叩いてr』

妹「兄さん」 ガチャッ

兄「……トイレ中だぞ」

妹「ズボンも下ろしてないじゃないですか」

兄「便意を待ってたんだよ」

妹「どうしてスマホを弄ってるんですか?」

兄「暇潰しにゲームしてたんだよ」

妹「本当ですか?」

兄「もちろん本当だ」

兄(これはもう消してる暇はないな) ポチャンッ

妹「便器の中に落ちてしまいましたね」

兄「落ちてしまったな」

妹「これでもう私以外の誰とも話さなくていいですね」

兄「……」

兄(昨日みたいに詰問されるよりは良いと思えばいいのかなぁ……)


妹『兄さん』
妹『今日友さんに告白されました』
妹『兄さんが応援していると聞いたのですが』
妹『嘘ですよね?』
妹『冗談ですよね?』
妹『兄さんは私の本当の気持ちを知ってますよね?』
妹『兄さんの鈍いフリに、私が気付いてないと思いましたか?』
妹『私の気持ちを知っている兄さんが、他の人に告白させるなんて残酷な事をするはずないですよね?』
妹『答えてください』
妹『私の何が嫌いなんですか?』
妹『髪ですか? 幼さんと同じ髪型にすれば愛してくれるんですか?』
妹『顔ですか? 幼さんと同じ顔に整形すれば愛してくれるんですか?』
妹『スタイルですか? 幼さんと同じスタイルになれば愛してくれるんですか?』
妹『喋り方ですか? 性格ですか? 私は兄さんが愛してくれるならどんな風にでもなりますよ?』
妹『どうすれば愛してくれるんですか?』
妹『幼さんを殺せば愛してくれるんですか?』
妹『世界中の女を一人残らず殺せば愛してくれるんですか?』
妹『兄さん、答えて』
妹『ねえ、兄さん』
妹『兄さん』
妹『兄さん』
妹『兄さん、兄さん、兄さん、兄さん、兄さん、兄さん、兄さん、兄さん、兄さん、兄さん、兄さん、兄さん、兄さん』


兄(思い出すだけで頭痛がする……)

妹「どうしたんですか?」

兄「考え事をな」

妹「幼さんの事ですよね」

兄「せめて疑問形で聞けよ」

妹「まだ殺しませんよ」

兄「……」

妹「幼さんを殺したら兄さんに嫌われますから殺しませんよ」

兄(これ本当にどうすればいいんだろうなぁ)

兄(解決法その1。俺が妹と付き合う)

兄(却下。妹を異性としては見られない)

兄(解決法その2。妹に俺を諦めてもらう)

兄(それができれば苦労はしない)

兄(解決法その3。現状維持)

兄(その結果が現在なわけだ)

兄(解決法その4。妹を上手く騙して宥める)

兄(鈍いフリまでバレてるのに無理ゲー)

兄(結論、どうしようもない)

兄(つまり、このまま妹が暴走して何らかの事件が起きるのを待つのみか)

兄(ねーよ)

兄「あのさ」

妹「はい」

兄「俺、お前の事は妹として本当に本当に大好きだし愛してるよ」

妹「はい」

兄「お前の事は本当に本当に可愛いと思ってるよ」

妹「はい」

兄「もし妹じゃなけりゃ隣にいるだけでドキドキしまくりだと思う」

妹「はい」

兄「でも妹にそういう感情はないんだよ」

妹「はい」

兄「諦めてくれないか?」

妹「いやです」

兄「そうですか」

兄(ヘタに追い詰めるのも危ないし、放っておいても危ないし)

兄(かといって妹と付き合うのも突き放すのも兄としては無理だ)

兄(これぞまさに八方塞がり!)

兄(全然笑えません)

兄「どうしてこうなった」

妹「兄さんが悪いんだよ……」

兄「俺?」

妹「私に優しくするから、だからどんどん兄さんを好きになって、離れられなくなって、兄さん無しで生きられなくなって!」

妹「責任取ってよぉ……」 ダキッ

兄(取れるものなら取りたいんだけどなぁ)

幼「ストップ近親相姦! ノーブラコン!」 ズタタッ

妹「……」 ギロッ

兄「おいバカ空気読めよ! ヤバいって言ったろうが!」

幼「愛する兄のピンチを見過ごせるほど私の愛は腐ってない!」

兄(嬉しいけど全然嬉しくねえ! ああ、腕の中の妹の目が底なし沼みたいな光沢に……)

妹「私、言いましたよね? 兄さんに近付いたら殺すってメールもしましたよね?」

幼「だから何? 言っただけで願いが叶うお花畑にでも住んでんの?」

妹「有言実行しますよ?」 スルッ

兄「その包丁仕舞えよ!」

幼「これって正当防衛だよね?」 チャキッ

兄「なんでサバイバルナイフなんて持ってるんだよ!」

兄(もうこうなったら俺が刺されて収めるしか……)

ウウウウーッ

兄(あれ、パトカーのサイレンが家の前で止まった?)

妹「……」

幼「兄?」

兄「いや、俺じゃ」

妹「せっ!」 ビシュッ

幼「ちょ!? 状況考えなよ!」 スッ

妹「関係ないです。警官が来るまでに幼さんを殺せば問題ないです」

兄「やめろ! お前は俺を殺人犯の兄貴にしたいのか!?」

妹「……っ」 ギリッ

兄「二人とも、刃物を置け」

妹「はい……」 幼「うん……」 カチャッ

兄(なんとかなった、のか……?)

兄(あれから警察に事情を聞かれて、結局は署まで連れてかれた)

兄(さすがに妹と幼馴染が俺を奪い合ったとは言えず、情緒不安定になった二人が争った、とだけ伝えた)

兄(二人の方がどう話したかは知らないが、警官も一応の納得はしてくれた)

兄(もっと苦労したのは両親への説明だったが、あの重い空気はもう思い出したくもない)

兄(聴取が終わって家に帰されたのは日を跨いだ後で)

兄(更に、これからの妹の事についての妹抜きの、つまり俺と母さんと父さんの家族会議が始まり)

兄(結局、父さんの田舎の祖父母に預けて様子を見る、という事になった)

兄(両親の中では、今の環境が妹の精神状態を悪くしているという結論に至ったらしい。大体合ってる)

兄(翌日、妹は母さんに付き添われて田舎へと旅立った)

兄(そして幼の方も似たような処遇になったと父さんから聞いた)

兄(大切な妹、大好きな幼馴染。両方を失った俺は三日間学校を休んで……そして)

妹「田舎のオジサン達に開発されちゃいましたwwww」

幼「迷惑かけちゃってごめんね…
でももう大丈夫!私、彼氏出来たんだ!
今度友達のパーティーに連れて行ってくれるんだって!」

兄「……」

兄(三日も休んだ後だと、教室にも入りづらいな……)

兄(おはよう)

兄(うん、ここは普通におはようだな) ガラッ

兄「おはよ」

兄(あれ、なんかやけに視線が集まって……)

友「おはよっす!」

兄「……おう、おはよう」

友「三日も休むから心配したぞ!」

兄「ああ、色々あってさ」

「妹と二股したんだろ」

兄「は? ……今言ったの誰だ?」

友「放っとけって」

兄「……」

兄(嫌な感じに噂が広まってるみたいだな……)

>>77
もうそれでいいな

一瞬待て待てと思ったけど
似たような締めにする気だったか?

友「俺も聞きたい事はある」

兄「だよな」

友「でも聞かない」

兄「なんで?」

友「お前も話したくないだろ? 一番辛いのはお前だろうし」

兄「……」

友「なんだよ?」

兄「お前ってすげえ良い奴だったんだな」

友「それ地味に酷くね?」

兄「そうか? 誉めてるつもりだけど」

友「俺元々良い奴だからな? ちゃんと気付いとけ」

兄「お前それ自分で言って好感度下げてるからな」

女「おはよっす」

兄「あ、女さん。おはよう」

女「うわっ」

兄「何?」

女「兄くんから初めておはよう言われた!」

友「言われてみるとレア!」

兄(今は妹がいないからな)

女「もっかいもっかい! ……おはよ!」

兄「お、おう。おはよう」

女「きゃああ! おはようキター!」

友「女さんアゲすぎぃ!」

兄(こんな事は思っちゃダメだと分かってるんだけど)

兄(こんな風に普通の学生生活を送れるなら)

兄(二人がいなくなった事も悪くないと思えてしまう)

兄(最低だなぁ、俺)

本物の幼馴染をぶっ殺して自分を幼馴染そっくりの顔や体型に整形した妹が幼馴染に成り済ましてて
SSの最後あたりで、それをほのめかす……みたいな展開になったら教えて

>>88
それいいな

女「……私さ、兄くんから嫌われてると思ってた」

兄「え、なんで?」

女「だって、私から話しかけても全然反応してくれないし」

友「兄は恥ずかしがりだから~って言ってたじゃん」

女「私そんな言い方しないから!」

兄「あー、俺ちょっと女子と話すの苦手でさ」

女「そうなの? 兄くんモテそうなのに」

友「俺は?」

女「トイレに行けば?」

友「なんで?」

女「だって友、鏡持ってないでしょ?」

友「意外に毒舌だよね。ああでもそこが良い!」

女「それより兄くんが女の子が苦手って所、聞きたいな」

兄「そのままの意味だよ」

女「でも今は普通に話せてるよね」

兄「なんとなくね」

女「私達、相性良いのかな?」

友「んんー?」

兄「あはは、かもね」

女「良かった、兄くんもそう思ってるんだね! よ~し! 私がどんどん兄くんの女の子嫌いを治してあげる!」

兄「お手柔らかに」

兄「友、帰ろうぜ」

友「え? 珍しいな」

兄「ん、まあ妹もいないしな」

友「ああ、そうだったっけ。そうか……」

兄「何? 用事でもあったか?」

友「特にないんだけどさ」

女「あれ、二人ともどうしたの?」

友「あー……これから二人で遊びにでも行こうかって話でさ」

兄「え?」

女「そうなの? 私も混ぜてもらっていいかな」

友「だってさ」

兄「……まあ暇だしいいけどさ」

女「兄くんと初遊びキター! キタキター!」 ピョンピョンッ

兄「女さんっていつもこうなのか?」

友「……鈍いよなぁ」 ボソッ

兄「寝取られって良いよなぁ」

妹・幼「!?」

>>98
そして事後になってから「俺淫売は嫌いだから」とか言い出すんですね分かります

女「わふー!」

友「わふー!」

兄「わ、わふー?」

女「一番手、女! 歌います!」

友「ひゅーひゅー!」

兄(普段は妹と一緒にいるからほぼ初カラオケなんだよなぁ)

兄(人が歌ってる時って何してればいいんだろう)

兄(女さん上手いなぁ)

友「あー、悪ぃ。ちょっと用事入ったわ」

兄「え?」

友「すぐに終わるかもしれないし、二人で遊んでてくれよ」 ソソクサッ

兄「ええええ!?」

兄(いやいやいやいや、そんな急に二人きりにされても!)

女「ありがとうございましたー! ……ってあれ、友は?」

兄「用事できたとか」

女「どうしたんだろ?」

兄「さあ」

女「まあいっか」

兄(よくないだろ)

女「それより兄くん、何歌うの?」

兄「いや俺、あんまりこういう所来ないから」

女「そうなの? 珍しいね。普段何してるの?」

兄「……特には」

女「そうなんだー」

兄(妹の世話とは言えやしないよ)

女「……なんかダメだなぁ」

兄「え、何が?」

女「笑わないでね?」

兄「う、うん」

女「私ね、前から兄くんと仲良くなりたかったんだ」

兄「俺と? なんで?」

女「雰囲気かな。……なんかね、目が離せなくなる感じ」

兄「そんな風に言われた事ないな」

女「兄くんが人を寄せ付けないようにしてるから、みんな話しかけづらいんだよ」

兄「そうかな?」

女「そうだよ」

女「だからね、こうやって話せる機会ができて、私すっごく嬉しいの」 ググイッ

兄(女さんぐいぐい来るなぁ)

女「でも兄くん、私に壁作ってるよね?」

兄「壁?」

女「本音で話してくれてない感じ、すっごく感じる。秘密ありますって感じ」

兄「……」

女「否定しないんだね」

兄「否定はしないけど勘弁して欲しいね。女さんさ、そういう距離の詰め方はズルいよ」

女「ごめんね、ウザかったよね」

兄「いや、そこまでは」

女「兄くんさ、すっごく憂鬱な顔してる時あるから心配になるの。……って、これもズルい言い方かな?」

兄「俺、そんなに面白い人間じゃないよ」

女「自分じゃ分からないんだね」

兄「んー」

女「兄くんは、フェロモンって言うのかなぁ、兄くんじゃなきゃダメっていう何かがあるんだよ」

女「それはもう絶対に絶対に絶対に兄くんだけってなっちゃうくらいすっごい何かで」

女「み~んなそれにやられちゃってるんだよ!」

兄「……俺は麻薬ですか?」

女「あはは! 兄くんを売ってひと儲け出来ちゃうね!」

兄「人身売買だよねそれ」

身近にいたらたまったもんじゃねえなこれ

女「それじゃ、兄くんの心の壁が消えるように頑張ろうかな」

兄「程々にお願いしますね」

女「私はやるとなったらトコトンやるタイプだからね!」

兄「女さんウゼー」

女「そうだよ? 私はウザいくらい頑張らないとね、あんまり素材良くないから」

兄「そんな事ないと思うけど」

女「相手が悪すぎるだけかもね。それより歌おうよ! デュエットならいけるでしょ?」

兄「知ってる曲なら」

女「ふふん、任せなさい! これとこれと、それにこれ!」

兄「あ、全部知ってるわ」

女「それじゃ入れるね」 ピッ

兄(妹が戻って来たら大変な事になるけど……)

兄(それまではいいよな、こんな放課後もさ)

女「あー、楽しかった! まだ歌い足りない感じ!」

兄「俺はもうガラガラ。……友から連絡ないな」

女「忙しいんだよ、きっと」

兄「そうかな。それならそれで連絡入れる奴だと思うけど」

女「これからどうする?」

兄「んー、さすがにあんまり遅くなるとなぁ」

女「そっかー。……あ、そうだ!」

兄「どうしたの?」

女「うちで晩御飯食べて行かない?」

兄「なんでそうなるん?」

女「私料理上手いんだよ?」

兄「しかも女さんが作るのかよ」

女「自炊してるからね。うち両親が全然帰って来ないからさ」

兄「それって家に行っても女さんと二人って事?」

女「そうなるかな」

兄「帰るわ」

女「お願いー!」

兄「普通にまずいでしょ」

女「……一人で食べる晩御飯って美味しくないんだもん」

兄「だからって俺はないでしょ」

女「兄くんの意地悪」

兄(そんな可愛く言われましても)

女「えいっ」 パシッ

兄「え? ちょ!」

女「このお財布を返して欲しくば、私の家に来なさい!」

兄「そんな無茶苦茶な」

女「お願い聞いてくれたらなんでもするからぁ」

兄(こういうタイプは言っても聞かないし、一応要求は飲みつつ拒否入れるくらいがいいかな)

兄「はいはい、わかったよ。……でも俺、ワガママな子って嫌いだわ」

女「今度から気を付けまーす」

兄(軽く流されたな。どうも女さんは手強いな)

女「私の料理、楽しみにしててね?」

兄「へー、綺麗な部屋だね。景色も良いし」

女「夏は遠くの花火大会とか見えるんだよ。あ、適当に座ってて」

兄「うん」

兄(でも匂いっていうか、あんまり生活感がないな)

女「それじゃぱぱっと作っちゃうね! 親子丼にサラダにお味噌汁なんてどうかな?」

兄「親子丼好きだわ」

女「それじゃ作っちゃうね」

女「エプロン装着!」

兄「おー」 パチパチ

女「可愛い?」

兄「カワイイヨ」

女「うわテキトー」

兄「いいからさっさと作れよ」

女「兄くん、なんか私の扱い雑になってない?」

兄「ワガママな子の相手は適当にする事にしてんの」

女「妹さんには甘い癖に」

兄「ああ、そういや昼休みは教室まで来てたもんな」

女「他にも結構見かけてたよ。よく二人で一緒にいるんだもん」

兄「意外に見られてるんだなぁ」

女「そだね。……よーし、やるぞー!」

女「……」 トントントントンッ

兄(妹と幼、今頃何やってるんだろうな)

女「兄くん、何か話してー」 トントントントンッ

兄「え、今? 危なくない?」

女「大丈夫、私二つの事できるタイプだから」 トントントントンッ

兄「ふぅん」

女「……あの事聞いてもいいかな」 トントントントンッ

兄「あの事?」

女「妹さんと、幼馴染の幼さんの事」 カチッ

兄「……」

女「みんな色々言ってるみたいだけど、私あんまり信じてないんだ」 ジュゥゥゥゥッ

兄「別に、それほど間違ってないよ」

女「そうかな」 カチッ

兄「そうだよ。俺が二股を掛けて警察のお世話になったってだけ」

女「二股なのかな」 ジュワアアアアッ

兄「違うと思うの?」

女「だって、本当に兄くんが悪いなら、幼さんや妹ちゃんが休んでて、兄くんが学校にいるのは変でしょ?」 カチャカチャ

兄「色々と複雑なんだよ」

女「そっか、複雑なんだね」

女「はい、完成です」 カタンッ

兄「……」

女「どうかな?」

兄「すげえ」

女「ほんと?」

兄「店の親子丼みたいだ。食べていい?」

女「どうぞどうぞ」

兄「いただきまーす。……美味っ!」

女「やった! これね、たくさん練習したんだぁ」

兄「へー」 モグモグッ

女「これで少しは兄くんの気持ちも晴れたかな?」

兄「ん?」 モグモグッ

女「美味しいもの食べると幸せな気持ちになるでしょ?」

兄「それ自分で言っちゃう?」

女「えへへ。……私ね、兄くんに元気になって欲しいの」

兄「俺に?」

女「だって、やっぱり包丁やナイフを持ち出す人が悪いし、兄くんは悪くないもん」

兄「……」

女「だからね、兄くんの好物を食べてもらって元気に」

兄「ねえ」

女「何?」

兄「なんで二人が持ってたのが包丁やナイフだって知ってんの?」

女「それは噂で聞いたからだよ」

兄「そんなの噂になってるわけないじゃん。あの場にいた三人と警察しか知らないよ」

女「偶然じゃない?」

兄「偶然で包丁やナイフって出て来るの? おかしくない?」

女「そんな事言われても困るよ」

兄「ていうか、俺の好物もなんで知ってんの?」

女「それは友から聞いて」

兄「カラオケの時もさ、普段カラオケに来ない俺が知ってる曲だけを選んでたよね」

女「偶然だよ」

兄「お前、何なの?」

女「私は女だよ?」

兄「そんな事聞いてない」

女「ふーん。じゃあ何を聞いてるのかな?」

兄「ずっとさ、気になってたんだよね」

女「何が?」

兄「あの時、誰が警察を呼んだのか」

女「あの時って言われても分かんないよ」

兄「分かってるよね? あの状況で警察を呼べたのは普通に考えれば俺達三人だけ」

兄「でも、二人には呼ぶ理由がない。現に二人とも警察に捕まってる。そして俺は呼んでない」

女「うんうん、それで?」

兄「パトカーのタイミングも良すぎる。何が起こるか分かってたみたいだった」

女「うんうん」

兄「お前どうやって俺達を見てたんだ?」

女「えへへ、えへへへへへ」 ニコッ

女「それはねー……そろそろかなぁ」

兄「は? ……あ?」 グラッ

女「やった! 兄くんゲットだね!」

兄(身体に力が入らねえ……)

女「それじゃ私の秘密、教えちゃおうかな!」 ズルズルッ

兄(俺よりずっと小さい身体の女に、簡単に引きずられてく。どこに?)

女「期待してる? しちゃってる? ふふふー」 ズルズルッ

女「じゃじゃじゃーん! ここが私の部屋でーす!」 ガチャッ

兄「……」

女「ビックリした? ビックリしちゃった?」

兄(うちの妹も大概どうかしてる部類だったし、幼もおかしな所はあった)

兄(でもこれはもう、狂ってるとしか言いようがないだろう)

女「これはね、兄くんが朝ご飯を食べてる時の横顔でね!」

女「これはねこれはね、夜遅くまで起きてて欠伸した時のアップでね!」

女「これが……ふふふ、一人エッチで射精しちゃった瞬間の顔!」

女「つい舐めたくなっちゃう」 ペロッ

兄(壁と天井を隙間なく覆い尽くす俺の顔顔顔顔顔顔)

兄(いくつも併設されたパソコンのモニタには俺の家のライブ映像)

兄(こいつ、マジモノのストーカーだ)

まあこんだけストーカーしといて実害出さなかったしな

女「私ね、一目惚れだったんだよ?」 クルリッ

女「入学式の日に見た時から兄くんの事が大大大大大好きになっちゃったの!」

女「でも兄くんはいつも妹と一緒にいるし、たまに話してる女の人、幼さんが好きなのも分かっちゃった」

女「兄くん、目が違うんだもん」

女「いつも私は見てるだけ。せめて近くで見ていたい。だから画面越しにでも、兄くんの側にいたかった」

女「でもね、今はこんなに近くに、映像じゃない本物の兄くんがいる!」

女「もう私幸せで壊れちゃいそう!」

兄「さ……だ……」

女「最初からだろ、なんて言わないで。私をおかしくさせたのは兄くんなんだからね?」

女「誰にも愛されない寂しい私の前に、兄くんが現れたのが悪いんだよ」

女「邪魔な女はみんないなくなった。今までも何人も排除してきたけど、ふふ、あの二人がいなくなってこれで」

女「これで兄くんは私の物だよ?」 チュッ

兄(これはもうダメかもわからんね……)

妹フラグきました

女「はぁ……兄くん……」 スンスンッ

女「兄くんの匂いがするよぉ」

女「えへへ」

女「二人の初めてはね、この愛の詰まった部屋でするって決めてたんだよ?」

女「ここで結ばれた私達はね、永遠に一緒にいるの」

女「生きてる間も死んでからもずっとずっと一緒、他の誰もいない所で」

女「愛し合い続けるの。兄くんの子供が生まれたら三人で暮らすの」

女「大丈夫、うちの両親は外面だけは気にする人達だから絶対に秘密は守れるよ」

女「男の子だったら兄くんと同じ名前を付けるの。女の子だったらね」

女「殺して捨てるの。だっていらないから」

女「えへへへへ」

兄「……ぅ」 グッ

女「まだ動けるの? でも大丈夫、兄くんのためにベッドに手錠を付けておいたから」

女「これからはもうベッドから降りなくて済むね! ふふふ!」

女「兄くんの味……」 ペロッ

女「しょっぱいね」

女「首も」 ペロッ

女「肩も」 ペロッ

女「お腹も」 ペロッ

女「指も」 ペロッ

女「膝も」 ペロッ

女「ここも」 ペロッ

女「あ、今動いた? 気持ち良かったの? もっとして欲しいの?」

女「でもダメだよ」

女「ここはね、私達がもっともっとたくさん触れ合って、心と心が完全に一つになってから触るの」

女「まだ早いから我慢してね?」

兄「ふざ……」

女「声も出るようになったんだね。いいよ、この部屋は防音だから。いくら叫んでも大丈夫」

兄(そういう心配は出来るのに、なんでこんなに根本的に間違ってるんだろう)

こういうの、子供が生まれてからのアフターも楽しみなんだよな

>>158
出来た息子も極度のファザコンで母親と斬り合ったりするのか?

女「そうだ、兄くんが産まれた時のために練習しておこうよ」

女「ほら、ママのおっぱいでちゅよ?」

女「ちゃんと吸わないと大きくなれまちぇんよ?」

女「……」

女「吸ってくれないなら、私、ちょっと怒っちゃうかも」

女「兄くんのお家に間違って火を付けちゃったりしちゃうかもよ?」

女「あんんっ」 ピクッ

女「そうそう、上手だよ。もっとしっかり吸ってね?」

兄(なんでこうなったんだろう) チューチューッ

兄(今更考えても遅いけど、俺はもっと早く気付けなかったんだろうか)

兄(そういえば、友はどうして途中でいなくなったまま連絡しなかったんだろう……) チューチューッ

>>160
いや、息子だった場合の、姉ショタ的な

>>162
ああ、息子と父親で斬り合うのか

数時間前

友「はぁ」

友(友達を売ったみたいで気が引けるなぁ)

友(でもなぁ、女ちゃんも悪い子じゃないし)

友「だからって二人きりにして置いて来るのはダメだよなぁ!」 ワシャワシャッ


女『お願い! 放課後に兄くんと一緒に遊べるようにセッティングして!』
女『落ち込んでる兄くんを励ましたいし、私、前から兄くんが気になってたの!』
女『私と兄くんのためだと思って、ね?』


友「はぁ……」

友「兄は女さんと二人でいるのに、俺は一人ぼっちか」

友「あ、そうだ! これってチャンスじゃん!」

友(様子が気になるから報告してくれって言ってた来たのは向こうの方なんだし)

友「これってまだ脈ありって事だよな」 ニコニコッ

友「メール完了っと」

ブーッ ブーッ

友「うわ、返信早っ!」

『すぐに帰りますから駅まで迎えに来てください』

友「ええっ!?」


妹「……なんであなたまでいるんですか?」

幼「私もさっき着いた所でね、あんたの姿が見えたから追いかけたわけ」

友「あの」

妹「邪魔です。今はあなたよりも邪魔な女がいます」

幼「で、そのついでに抜け駆けすると。もちろん私も付いてくからね」

友「えと」

妹「友さん。その人の家まで案内してください。今すぐにです」

現在

女「はぁ、はぁ……ついに、ついに私と兄くんが結ばれる奇跡の瞬間だよ……」

兄「……」

女「わかるよ。兄くん、本当は嬉しいんだよね。でも素直になれないだけなんだよね」

兄「お前おかしいよ」

女「あはぁ。これから私をおかしくするのは、兄くんのここだよ」 サスッ

兄「……っ」

女「もう準備デキちゃってるもんね! ほら、入れちゃうよぉ」 ヌチュッ

女「それじゃあカウントダウンするね」

女「ごぉ♡」

女「よん♡」

女「さん♡」

女「にぃ♡」

女「いちぃ♡」 クチュッ

妹「兄さんッ!!」 バンッ

幼「兄ッ!!」

兄「妹! 幼!」

女「……はい?」

妹「今すぐ兄さんからその汚い身体をどけなさい淫売」

幼「私の愛する兄に何してくれちゃってんのこれ?」

女「はい? はい? はいぃぃ?」

女「あなた達はぁ、空気が読めないのぉ?」 スタッ

女「これから私と兄くんが結ばれる神聖な空間に割り込んでくるってありえないよねぇ?」

女「あーわかった! 私と兄くんの門出を祝福に来たんだよね?」

女「うん、もう十分だから今すぐ死んで?」

妹「あなた頭大丈夫ですか?」

幼「あんたには言われたくないでしょ」

妹「私はいつも兄さんの事を考えているだけですよ」

女「いいから死ねよ」 ゴスッ

妹「……っ!」 グラッ

女「兄くんを好きになってからね、私ちょっと鍛えてるんだよね」

女「だって、そうじゃないと兄くんを守れないでしょ?」

女「それにこういう時に役に立つしね」

妹「とても痛いので幼さん、代わりに戦ってください」

幼「おい」

女「二人とも素手で殺してあげるから安心していいよ」 ニコッ

幼(このイカレ具合はまともに相手しちゃダメだと思うの)

妹「兄さんを守るために戦ってください。さあ」

幼「兄の子供を産む(予定の)私の身体に傷が付いたらどうすんの?」

妹「やっぱり戦わない理由がないじゃないですか」

幼「おい」

女「兄くんが私とのエッチを待ってるんだから早くしてくれる?」

幼「うんやっぱりこいつぶっ殺そう」

妹「そうですね、今すぐ殺しましょう」

女「やっとヤル気になったの? どうせ無駄だけどね」

幼(せめてナイフさえあれば殺せるんだけど、今日は持ってきてないし)

妹(手近に使えそうな物といえば……) チラッ

女「早く掛かって来てよ。二人掛かりでいいんだよ?」

女「来ないなら、私の方か……っ」

兄(手は使えなくても足は使えるんだよ、なっ!) ドゴッ

女「……兄くん、どうしてっ!?」 グラッ

妹「せやぁっ!」 ドガシャンッ

女「私もモニター、投げ!」 ドガシャッ

女「……っ」 ドダンッ

>188
そうだわ。こんだけ多くなると忘れちゃう

俺「痛い」

幼「モニター重! こんな重いのないでしょ! あ、死んだかな」

妹「殺すのはダメですよ。兄さんが悲しみますから」

幼「へー、更生したじゃん」

兄「とりあえず手錠外してくれよ」

女「ふぁ、あああっ!?」 ガタッ

妹「あら」

女「あああっ、ああああっ!!」

幼「うるさいなぁ」

兄「……」

女「どう、してぇ!? どうしてぇ!?」

兄「……俺もさすがに、俺を一生監禁して飼い殺そうとした女の子を思い遣ったりはできねえよ」

妹「邪魔者は眠っていてください」 ゴンッ

女「あぐっ」

幼「生きてる?」

妹「大丈夫でしょう」

兄「ふぅ、やっと自由になれたな」

妹「……してませんよね?」

幼「ないわよね?」

兄「ギリギリな。つーか人の裸をじろじろ見るな、服を着させろ」

幼「むぅ」

兄「救急車だけ呼んでおいて、後は家のカメラを外して終わりにしよう」

妹「警察には行かないんですか?」

兄「これ以上どうこうするのも可哀相だし」

幼「そうかなぁ」

兄「いいから服着たら行くぞ」

妹「……さようなら、負け犬さん」

兄「他にカメラはないな?」

妹「ええ、キッチリ調べましたから」

幼「それで、そろそろハッキリさせようよ」

兄「ハッキリって?」

幼「だから、私と兄は相思相愛でラブラブなんだから妹ちゃんは諦めるべきでしょ?」

妹「そんなに死にたいんですか? 私言いましたよね、兄さんに近付いたら殺すって」

兄「もういいよ、どっちでも」

幼「はい?」

妹「どっちでも?」

兄「なんかな、俺分かったんだわ。結局悪いのって全部俺なんだよ」

幼「急にどうしたの? 頭打った?」

兄「打たれた気分ではあるな。だってさ、俺を監禁してまで独占しようとした女本人が言うんだぜ?」

幼「……?」

兄「俺にはフェロモンがあるんだってさ。人をおかしくさせるような」

幼「いやないでしょ」

妹「ありえません」

兄「でも否定し切れないだろ? 女だっておかしくなったし、お前らだってそうだろ?」

幼「それは自然の成り行きというか」

兄「それがそうなんだろ。少なくとも、三人もおかしくなってるんだ。女が言うには他にもそういう子はいたみたいだし」

妹「だからどうでもいいんですか? 私の事も幼さんの事も」

兄「どうでもいいんじゃなくてさ、俺が決めていい事じゃないんだよ」

妹「兄さん以外の誰が決めるんですか?」

兄「お前らで決めてくれよ」

幼「散々好きだって言っておいてそれって、一発ぶん殴っていいよね?」

兄「いいぞ」

幼「……やめた」

兄「そうか」

妹「私は叩きます」 バシンッ

兄「せめて予告とかしてくんない? 普通に痛くてリアクション取れないわ」

幼「どうする?」

妹「どうします?」

幼「私は諦めないよ」

妹「私も諦めませんよ」

幼「殺る?」

妹「兄さんが悲しむのに?」

幼「だね」

妹「でしょうね」

幼「妥協だよね」

妹「言われなくても分かってます」

妹「そういう事になりましたので」

兄「そういうこと?」

幼「共有財産という事で」

兄「いわゆるハーレム?」

妹「残念な事に。……それで兄さん」

兄「なんだ?」

妹「私を異性として愛せますか?」

兄「……そうしろと言われれば努力はする」

妹「愛してください」

兄「……うん」

幼「兄」

兄「ん?」

妹「言わなくてもわかりますよね?」

兄「今から?」

幼「散々焦らされたんだからこれ以上は待たないよ」

兄「勘弁してくれって。今日は体力的に限界なんだよ」

妹「幼さん」 ガシッ

幼「あいよ」 ガシッ

兄「ちょっ、勘弁してくれって! おい! おーい!」

以下濃厚なエロシーンを脳内保管してください

兄(身体を重ねたせいか、妹への愛情は異性とも家族とも付かないものに変わってゆき)

兄(幼への長年の想いも、雪が解けるように自然な形に収まったように思う)

妹「兄さんの兄さんは可愛いですね」 チュッ

幼「兄、今日の最初は私だよね?」 ヒソッ

兄「うん」

幼「やったね!」

妹「今のは私の言葉に肯いただけです!」

兄(ハーレムのようにも見えるが、実際の所、俺の方からどうこう言う事はない)

兄(俺にとって一番大事なのは、誰も争わずにいてくれる事だからだ)

女「はむ、んん」 ペロペロ

兄「女さんは何かある?」

女「わらひ、は」

妹「兄さん」

幼「兄」

兄「……ごめんね」

女「ひかた、ないれふ。わらひは、あにふんを、なめふらへでいいれふ」 ペロペロッ

兄(あの後、無事に退院した女さんは俺に泣き縋り、許してくれるように頼み込んだ)

兄(俺には女さんを責めるつもりはもうなかったけれど)

幼「そんな事言って本当はしたい癖に」

妹「でもダメですよ? あなたはそこで反省してください」

女「ふぁい」 ペロペロ

兄(二人にはそんなつもりはないらしく、女さんも現状にそれほど不満はないようだ)

幼「はぁ……んん……っ」 ズプッ

兄「んっ」

幼「ねぇ、もうそろそろ妊娠してるかなぁ」 ヒソッ

兄「どうだろうな」

妹「私の方が先にしてるかもしれませんよ」

幼「私は兄に迷惑掛けずに一人で産むけど、あんたはどうするの?」

妹「私だって」

兄「迷惑掛けろよ」

幼「……はーい。んんっ」 クチュッ

女「わらひも……ほひぃれふ……」

妹「私達が産んだ後なら考えてあげなくもないですよ」

幼「そうだね。順序って大事だよね」

兄「今は目の前の俺に集中しろよ」 ズンッ

幼「ふぁっ! あんっ、あっ、あっ!」

妹「兄さん」 チュッ

兄(人としての道は踏み外してしまった)

幼「兄ぃ」 クチュッ

兄(それでも欲しかった物、失いたくない物は守れた)

女「あにふんぅ」 ペロッ

兄(俺にできる最良の責任の取り方はこれなのだと俺は思う)

兄「……お前らは今どんな気持ちだ?」

妹「幸せだよ」

幼「幸せぇ」

女「しあわせれふっ」

兄(俺の好きな子が、俺を好きだと言う子が、幸せだと言う。そして俺も幸せだと思う)

幼「あっ、あっ、あぁ! いく、いくぅぅっ!」 ビクンビクンッ

妹「ほら、はやく代わって!」

女「んんぅ……」

兄(だから俺は、これは幸せなんだと言い続ける。誰がどう言おうとも)

終わりです
エロシーンとか書いてる余力ないです
ゲロ吐く前に寝ます

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