アグリアス「久しぶりだな……」 (100)



ライトニング「変わらないな、お前も」


アグリアス「貴公もな。 ……とりあえず、立ち話もなんだ。 店に入らないか?」


ライトニング「……? まだ来ていないのがいる気がするんだが」


アグリアス「彼女は少し遅れて来るそうだ。 先ほど連絡があった」


ライトニング「……あぁ、そういうことなら……」




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「ッシャセー。 何名様でしょうか!」


アグリアス「3人だ。 後でもう1人来る」


「あいよーッ! お客様3名様ご来店でーす! 御連れ様は後ほどご来店でーすッッ!」




「「っしゃっせー!!!!!」」




「それでは、こちらへどうぞッッ」


アグリアス「それでは、行こうか」


ライトニング「……」コクッ



アグリアス「ふぅ。 やっと人心地着いたな……」


ライトニング「いつ来ても五月蝿い所だな……。 こんなざわついている空気は好かない」


アグリアス「そうか? 私はもう慣れたものだが」


アグリアス「それに、『クリスタルで繋がっている世界全て』から客が訪れる酒場なのだから、しょうがないと言えばそうだろう?」


ライトニング「……まぁ、そうなんだが」




アグリアス「……とりあえず、飲み物を頼むとするか」


ライトニング「私は生1つだ」


アグリアス「貴公がそうなら、私もそうするか」


ライトニング「酒を飲める様になったのか? 以前飲んだときはすぐに――」


アグリアス「あーっ、ごほん。 あれからどれほど期間が経ったと思っている? 私だって成長はする」


ライトニング「……ほう」




「お待たせいたしやしたー! 生2つですね!」


アグリアス「……それじゃ、先に乾杯するか」


ライトニング「……いいのか?」


アグリアス「飲み物が温くなってしまったらもったいないだろう?」


ライトニング「……それじゃあ」


アグリアス「ああ」



「「「「「乾杯」」」」」



ライトニング「」ゴクゴク


アグリアス「」チビチビ


ライトニング「ぷはっ。 ……うまいな、ここの酒は」


アグリアス「あ、あぁ……」


ライトニング「……無理はしないでいいんだぞ。 カルーアミルクでも私は構わない」


アグリアス「む、無理などしていない! 私はじっくりと時間をかけて晩酌するタイプなんだ!」アセアセ


ライトニング「……はぁ。 勝手にしてくれ」




アグリアス「……こほんっ。 それはそうと」


ライトニング「ん」


アグリアス「貴公の新シリーズが始まったというのは聞いたが、順調か?」


ライトニング「順調も何も……。 私は前と変わらずやるだけだ」


アグリアス「そうか……。 3つの世界を駆け抜けるのも楽じゃないだろう?」


ライトニング「……楽、ではないな。 たしかに」


ライトニング「ただ、これといって苦でもないから、いいんだ」


アグリアス「……ほう?」





ライトニング「……何か言いたげだな」


アグリアス「……いや……」


アグリアス「『何で成長しちゃったんだホープゥゥゥウウ!!!』」


ライトニング「」ガタンッ


周囲「!?」ビクッ


アグリアス「……こほんっ。 皆が見ているぞ。 いきなりどうした」


ライトニング「……」イラッ




ライトニング「……お前。 今のは」


アグリアス「いや、貴公の顔を見ていると、なぜか思い浮かんだのだ。 今の台詞が」


ライトニング「……」


アグリアス「偶然だ、偶然」


アグリアス「そういえば偶然ついでだが、最新作ではホープとやらは子どもに戻ったそうじゃないか」


ライトニング「……ぐっ」


アグリアス「私は大人になった彼もまた格好良いと思っていたのだが……」


ライトニング「……」


アグリアス「貴公はどう思う?」





ライトニング「『ラムザぁっ!!! どうして終盤以降になると、私と戦ってくれないんだ「!!!!!!!』」


アグリアス「ぶっ!?!?!?」


ライトニング「『私は貴公の為に戦いたいのにぃ……』」


アグリアス「//////」カァァァ


アグリアス「き、貴様ぁっ!! 何を!!!」


ライトニング「……と、どこかの悪酔いした阿呆がほざいていたな」


アグリアス「……ゆ、許さん!」


ライトニング「どちらが最初に仕掛けて来たんだ」


アグリアス「うるさい!!! 聖光爆――」


「お客様の御通りでーす!!!! 御後来店のお客様でーすッ!!」


「「いらっしゃっせーーーーー」」


アグリアス・ライトニング「!?」



「す、すいませんっ。 遅れてしまいました……」


ライトニング「……」


アグリアス「大丈夫だ。 貴公が忙しいことは知っているしな。 ……それで、」















アグリアス「飲み物は何を頼めばいい? ……アニエス」




アニエス「は、はいっ。 えーっと……。 とりあえず、アップルジュースで……」


ライトニング「生1つだな?」


アニエス「え!?」


ライトニング「こういう所での相場は決まっているんだ。 生1つだ」


アニエス「きょ、拒否しますっっ!!」


アニエス「わ、私未成年ですし!」


ライトニング「関係ないだろう、ここでは法律なんぞないのだし」


アニエス「各々の世界の法律や条例は遵守すべきですっ!」


ライトニング「……ちっ」


アニエス「(舌打ち!?)」



アグリアス「まぁまぁ……。 あ、アップルジュース1つで」


「オーダー頂きやしたぁぁ!!! アップルひとぉぉぉつ!!!」


「「うぉぉぉっす!」」


アニエス「……やはり、何かと騒々しいですね、ここ」


アグリアス「モンスターも人間も入り乱れてるしな。 何かとカオスであることは確かだ」


アグリアス「とりあえず、貴公も座ったらどうだ? 落ち着かないだろう?」


アニエス「は、はいっ。 それじゃあ、失礼して……」


ライトニング「……別に良いだろう、少しくらい飲んだって」


アニエス「まだ言ってるんですか!?」


「お待たせしやしたーッ!!」


アニエス「ありがとうございます」


アグリアス「えー。 全員揃ったことだし、改めて乾杯するとしようか」


アニエス「あっ、は、はい。 そうしましょう」


ライトニング「……」


アグリアス「それでは、かん――」


ライトニング「待った」


アグリアス「?」


ライトニング「乾杯コールは私がやろう」


アグリアス「!?」


ライトニング「……いいだろう?」


アグリアス「あ、あぁ。 まぁ、誰でも別にいいのだが」









アグリアス「……それでは、頼む」


アニエス「お、お願いします」


ライトニング「……」コクッ


ライトニング「……」スッ


ライトニング「……」


ライトニング「……」チンッ


ライトニング「……」ゴクゴクッ


アグリアス「!?」


アニエス「!?」



アグリアス「ま、まてまて! コールはないのか!?」


ライトニング「……」


アグリアス「……まさか……。 貴公、『やってみたかったから申し出てみたものの、実際注目が集まると恥ずかしくなってしまった』」


アグリアス「……などという子どもの様な理由で言わなかったのではあるまいな」


ライトニング「……」フルフル


アグリアス「耳まで赤くしていたら完全に図星だろう!!」


アニエス「あ、あはは……」コクコクッ




アニエス「……ぷはっ。 おいしいです」


アグリアス「……まったく。 すまないな、アニエス。 久々の集まりなのに、このような体たらくとなってしまって」


アニエス「いえいえ。 私は御2人と集まれれば、それでいいので」


アグリアス「なんという誠実な人間なのだ……」ジーン


ライトニング「……生、飲むか?」


アニエス「お心遣いありがたいですが、拒否します」ニコッ


ライトニング「……」




アグリアス「クァール軟骨の唐翌揚げと、サハギンの炙り焼き、……あと、西欧風ファイアプリン蒸しで」


「あざっす!! オーダーはいりやーす!!」


「「うぉおーっす!!!」」


アニエス「本日は遅れちゃって本当にすいませんでした……」ペコリ


アグリアス「事前に連絡をもらっていたし、問題ない」


ライトニング「……」コクッ


アニエス「ありがとうございます」


アグリアス「たしかサブタイトルは、『For the srquel』だったか。 どういった旅なのだ?」


アニエス「今回は新たな冒険というよりも、前回の旅をより重厚感のあるものにした形です」


アニエス「なので、ライトニングさん並の忙しさはないのですが……」


アニエス「何分初日だったので、色々と後処理に時間がかかってしまいまして」


アグリアス「なるほどな……」





アグリアス「実はな、アニエス」


アニエス「はい、なんでしょうか」


アグリアス「今日は貴公の新作発売のお祝いも兼ねて、企画した飲み会なんだ」


アニエス「えっ!?」


ライトニング「!?」


アニエス「そ、そんなお祝いだなんて」アセアセ


アグリアス「これ、つまらないものだが……」スッ


アニエス「そ、そんな! 受け取れませんよっ!」


アグリアス「そうか? ……それでは、捨ててしまうしか無いのか……」


アニエス「捨ててしまうのですか!?」


アグリアス「受け取ってもらえないのであれば、しょうがあるまい」


ライトニング「……」



アニエス「そ、それでは、えっと……。 ありがたく、受け取らせて頂きますね」


アグリアス「うむ。 それでいい」


アニエス「ありがとうございます」ニコッ


ライトニング「……」ソワソワ


アニエス「開けてみてもいいですか?」


アグリアス「あぁ、もちろん」


アニエス「……」ガサガサ


アニエス「……あ! これは……!」


アニエス「シャンタージュ……ですか!?」


アグリアス「その通りだ」








「お待たせしやしたー! ごゆっくりどうぞーッ!!」



アニエス「い、いいのですか!? こんな高価なものを……」アセアセ


アグリアス「無論だ。 普段から世話になっているしな、貴公には」


アニエス「そ、そんな世話だなんて……。 本当にありがとうございます!」


アグリアス「喜んでもらえて何よりだ」ニコッ


ライトニング「……」ソワソワ


アグリアス「……それでは、つまみも食べるとしようか。 冷めてしまっては、せっかくの料理がもったいない」


アニエス「ふふっ、そうですね」


ライトニング「……?」




アグリアス「それでは、いただきます……」パクッ


アニエス「……ん~っ! これ、とても美味しいですね!」


アグリアス「確かに……! 養殖のサハギンではなく、自然のサハギンを使っているだけはある! 身の引き締まり方が違うな」


アニエス「このファイアプリンは辛さの中にほのかな甘みもあって、美味しいです!」


アグリアス「有名なだけあるな!」


アニエス「はいっ!」


ライトニング「……おい」


アグリアス「……ん? ライトニング、貴公は食べないのか?」


ライトニング「……」




ライトニング「……私も、最近最後の冒険が始まったんだが」


アグリアス「……? 何を突然。 先ほどその話はしたじゃないか」


ライトニング「……」


アグリアス「?」


ライトニング「……」





ライトニング「……お――」


「お待たせしやしたー!! ご予約頂いていたオルトロス鍋でーすッ!!」



ライトニング「!」


アグリアス「おっ!」


アニエス「これがここの名物と言われる、あの……!」


ライトニング「……!」ピクッ


アグリアス「そうだ! 私はこれを食べたくて、ここを予約したのだ」


アニエス「それでは、早速開けてみますね」パカッ


ライトニング「……」ワクワク


アグリアス「……~っ」


アニエス「香ばしい香りですね……!」


ライトニング「……美味そうだ」


アグリアス「見てるだけで垂涎しそうになる……。 予想以上だ」



アニエス「皆さんの分、よそいますね!」


アグリアス「何を言う! 貴公の祝いの席なのだから、貴公は働かなくて良いのだ!」


ライト二ング「……私がやろうか」


アグリアス「いいや、ここは私がやろう。 発起人は私だし、来てくれた貴公らは客も同然だ」


アニエス「客だなんて……。 お友達じゃありませんか」


アグリアス「ありがとう、アニエス」


ライトニング「……そうだ、私たちは友達じゃないか」ボソボソ


アグリアス「? 何か言ったか?」


ライトニング「……」






アグリアス「……よし、全員分揃ったな」


アニエス「ありがとうございます」


ライトニング「……感謝する」


アグリアス「おかわりは各自で頼むぞ」


アニエス「もちろんです!」


アグリアス「それでは、食べようか!」


ライトニング「……」ワクワク



ライトニング「……うまい……!!」


アニエス「ほっぺたが落ちそうでふ……」


アグリアス「味もまた、予想以上だ……!」


アニエス「……これは、きっとティズも気に入るでしょう」


ライトニング「!」


アグリアス「アニエス? そのティズというのは、貴公の……」


アニエス「あっ、えっ、えっと、……はい」カァァ


アグリアス「そ、そのように照れられたら私も照れるからやめてくれ」アセアセ


アニエス「あっ、ご、ごめんなさい!」



アグリアス「しかし、そうだな。 これならきっと誰でも気に入るだろう」


アグリアス「ラムザだって、きっと」


ライト二ング「……ホープも」


アグリアス「……」


ライト二ング「……」


アグリアス「……なぁ、アニエス?」


アニエス「あむっ……。 ふぁ、ふぁいっ?」ハフハフ



アグリアス「……てぃ、ティズ殿とは、その……」


アニエス「……?」モグモグ


アグリアス「どの程度の頻度で、い、い、い」


アグリアス「……いたしているのだ?」


アニエス「っ!! げほっ、ごほっ、っごほ」


ライトニング「……!」


アニエス「な、な、何を急に……!?」










アグリアス「い、いや、その……。 円満に言っている様なので……参考に……」


アニエス「何の参考ですか!?」


アグリアス「ふ、夫婦生活?」


アニエス「『?』じゃないです! さすがにそれは拒否しますっ!!」


ライトニング「……私も聞いてみたい」


アニエス「!???!」



ライトニング「考えても見ろ……」


アニエス「……!」


ライトニング「……この中で、男と上手くいってるのは、お前だけだ。 アニエス」


アグリアス「……」コクコクッ


ライトニング「成功者から秘訣を学ぶのは世の常。 ……そうだろう?」


アニエス「……なるほど」


アニエス「…………って、納得するわけありません!!!」


ライトニング「チッ」


アニエス「(また舌打ち!?)」




アグリアス「……我々にすら頑なに秘密にするということは」


アグリアス「貴公、相当場数を……」


ライトニング「そうなのか……?」


アニエス「そ、そんなことありませんっ!!! 私たちはまだ――」


アニエス「」ハッ


アグリアス「……ほう」


ライトニング「……ふむ」



アグリアス「貴公でもまだ、……未経験なのか……」


ライトニング「意外だな」


アニエス「意外って何ですか!! だ、だってまだ結婚すらしていないのに、そんな破廉恥なこと……」カァァ


アグリアス「え?」


ライトニング「え?」


アニエス「……え?」



アグリアス「私は、その、デートというのか。 異性と2人きりで遊びに行くことを言ったつもりだったのだが……」


ライトニング「私もそうだと思っていた」


アニエス「……え? え?」


アグリアス「破廉恥、ということは……? その……」


ライト二ング「……。 進んでるな。 アニエスは」


アニエス「……」


アニエス「」ボンッ


アグリアス「危ないっ!」ガシッ

ア二エス「はっ。 ……気を失ってました」



アニエス「もうっ!!!! い、いたすとか、そんな言い方をするのが悪いんです!!」


アグリアス「申し訳ない……。 言葉にするのが恥ずかしかったもので……」


ライトニング「そもそも私たちが唐突にそんなことを聞くわけないだろう」


アニエス「そ、それもそうですがぁ……///」カァァ


アグリアス「あっ、カルーアミルクを1つ」


「「はぁーい!! オーダー入りやすッ!! カルーア!!!」


「「はーい!!!!!!」」


ライトニング「……ん? カルーア?」


アグリアス「……ちょ、ちょっと休憩だ、酒は」


ライトニング「……ふーん」






アグリアス「それはそうと、どうなのだ、実際」


アニエス「えっ」


アグリアス「『えっ』ではない。 そ、その、デートは、しているのか?」


アニエス「……ま、まぁ。 人並みには……」


ライトニング「曖昧な言い方だな」


アグリアス「具体的に頼む」


アニエス「ぐ、具体的にと言われましても! 旅の最中に、ちょっとだけ2人きりになる程度、ですし……」


アグリアス「ほう……。 2人きりになって、その後は何をしているのだ?」




アニエス「そ、そこまで聞きますかっ!?」


アグリアス「す、すまん。 不躾なのはわかっているんだが……」


ライトニング「……こいつはこの中で1番男と上手くいっていないから不安がデカいんだよ」


アグリアス「むっ!」


ライト二ング「何だ」


アグリアス「それは貴公もではないのか?」


ライトニング「お前よりは上手くいっている」


アグリアス「ほー……?」




ライトニング「不服そうだな」


アグリアス「当たり前だ!! わ、私だって、ラムザにきっと悪く思われているわけじゃ……」


ライト二ング「マイナスではないことを誇ってどうする?」


アグリアス「ぐっ……」


アニエス「ふ、2人とも、落ち着いて……仲良く話しましょうよ、ね?」アセアセえ


ライトニング「終盤は雷神とかいう人間のせいで出番を取られてしまうんだろう」


アグリアス「ど、どうしてそれを……」


アニエス「(き、聞いてない……)」ズーン



ライトニング「だから、お前は酒癖が悪いと言っている。 内情を赤裸裸に吐露していたことくらい覚えておけ」


アグリアス「そ、そこまで貴公に言っていたのか……」


ライトニング「アニエスが帰った後も1人で泣きながら愚痴っていたからな……。 付き合ってやったんだ」


アグリアス「ぐっ……」


アニエス「(いつのことでしょう……)」






ライトニング「私もホ――……男と本格的に付き合えているわけではないが」


ライトニング「少なくとも、パーティにすら入れられない、むしろ終盤はストーリーにすら関われないお前よりはマシだろうな」


アグリアス「……」


アニエス「ら、ライトニングさん!! そこまで言わなくても……!」


ライトニング「……ふんっ」


アニエス「……もうっ。 アグリアスさん、その、大丈夫ですよ! ラムザさんは、そんな――」


アグリアス「……いいんだ……」


アニエス「……?!」


アグリアス「……私は……私は所詮……」ポロポロ


アニエス「(な、泣いてますーーーっ!!!)」




アグリアス「好いている男の、ひっ、役にもっ、立て、ず……」ポロポロ


アグリアス「相手っにぃ、される程のぉ、……魅力すら持っておらず……」ポロポロ


アグリアス「勝手にこの身を預けるなどと、押し付けがましいことを言って、着いて行ってる、ストーカー女なんだぁ……」ポロポロ


ライトニング「い、いや、私は別にそこまで言っt――」


アグリアス「それが現実なんだぁっ!!」ポロポロ


ライトニング「……」


アグリアス「おい!! 生3つぅ!!」


ライトニング「!?」


アニエス「そ、そんなに飲まれてどうするんですか!?」


アグリアス「これが飲まずにいられるかぁ!!」グスグス




アグリアス「……うぅ……ラムザぁ……」グビグビッ


アニエス「……」


ライトニング「……」


アニエス「(……ど、どうするんですか、この状態!)」


アニエス「(かれこれ1時間、この状態ですよ!)」


ライトニング「(…………言い過ぎた……のか?)」


アニエス「(どう考えてもそうですっ!!!)」


ライトニング「(……すまない)」


アニエス「(……私でなく、アグリアスさんに謝るべきです!)」


ライト二ング「(……ぐっ)」




アグリアス「うぅ……」グスグス


ライトニング「アグリアス」


アグリアス「」ビクッ


アグリアス「……」


アグリアス「……な、なんだ。 まだ言い足りないのか。 この際だから何でも聞いてやるぞ。 聞いてやるとも」ウルッ


アニエス「(明らかに恐れてます……)」




ライトニング「なんと言うか……。 その……。 ……非礼を詫びたい」


アグリアス「……非礼なんかではない。 事実だ」


ライトニング「きっと、ラムザはお前のことを信頼してるよ」


アグリアス「……そんなわけない」


ライトニング「そうでないなら、いつまでもお前をギルドに入れておかないさ」


アグリアス「……」


ライトニング「もう少しマシな考え方をしろ。 お前は暗過ぎるんだ」


アニエス「(貴方がそれを言いますか?)」


アグリアス「……信頼か。 ……たしかに、嬉しい」



アグリアス「……でも、私が本当に欲しいのは信頼じゃない。 私が欲しいのは、明確な『好意』なんだ。 貴公もわかってるだろう」


アニエス「(あ……。 サラッと凄いこと言ってます、アグリアスさん)」



アグリアス「……無い物ねだりのワガママなのはわかってる。 ……だが、好きになってしまったものはしょうがない」


ライトニング「……」


アグリアス「私は、きっとこの気持ちを伝えることすらできないまま、終わるだろう」


アグリアス「だから、貴公は頑張れ。 私より可能性があるんだから」


ライトニング「私だってお前とさほど変わらない」


アグリアス「『大勢の中の1人』の私と、『何人かの1人』の貴公とでは、天と地程の差がつくわ!!」バンッ


アニエス「お、落ち着いて……」オロオロ




アグリアス「とにかく! 貴公はすぐにでも告白しろ! 今すぐだ!」


ライトニング「なぜそうなる!?」


アグリアス「善は急げだ! 今から行くぞ!」


ライトニング「無理難題を押し付けるな!」


アグリアス「ええい! うるさいうるさい!! 抵抗するなら力づくでも!!!」


アグリアス「大気満たす力震え、我が腕をして閃光とならん! 無双稲妻突――」


アニエス「『スリプル』」


アグリアス「」ガゴンッ





アグリアス「……」グー


ライトニング「額にたんこぶができてるぞ……」


アニエス「こんな所で聖剣技使おうとするからです」


アニエス「こんなに美味しい店なのに、出禁になってしまいます」ムスッ


ライトニング「(友の恋より飯、か……)」




アニエス「ともあれ、いつになってもラムザさんとは進展なしみたいですね……」


ライトニング「この堅物をここまで誑かす男だからな。 一筋縄ではいかないだろう」


アニエス「……でも、実ってほしいです」


ライトニング「……」


アニエス「長い間、ずーっと好きなのに……」


アニエス「私だったら、そんなの嫌です……」


ライトニング「私だって御免だ」


アグリアス「……ありがとう」


アニエス・ライトニング「!?」



アニエス「あ、アグリアスさん!? スリプル、効いていたんじゃ……?!」


アグリアス「額の痛みがひどくてすぐ起きた」


ライト二ング「(紫色になってる……)」


アグリアス「……しかし、おかげで目が覚めた」


アグリアス「うじうじ悩んでいても、ダメだな。 私は行動に移すことにする!!」


ライトニング「!」


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