王「裏切り・・・か。」(5)

光は闇とともに存在する。

すなわち、闇の世界があればそこに光を差そうとする者が現れるであろう。

逆に言えば、光のある所にこそ闇が存在するとも言える。

しかし、我々はそのような事を深く考えずに世界の中で過ごしている。

そう、世界は、絶えず動いている。

我々の知らぬところで…。

―500年前

?「…分かったか。」

?「つまり、私に時間稼ぎをしろ…そういうわけですね。」

?「そうだ。だが、その時間稼ぎも長丁場…となる。分かるか?」

?「えぇ、私達人間と違い、あなた方は我々の10倍近くは長く生きるのですから。」

?「つまり、今度出会うのが500年後ってわけだ…分かるな?」

?「ですから、私も500年は永らえてもらうよう御願いしたわけです。」

?「堕人に自らなるとはな…。」

?「これも自分自身の利益のためですから。」

?「まったく、人間の考えることは分からぬ。」

?「褒め言葉と受け取らせてもらいます。」

?「ふんっ。」

?「さて、これからこの『門』を閉じなければなりませぬ。」

?「そうだ、その間に我々は力を蓄える。そして、魔王様の復活に備えよう。で、貴様はそちらの世界でどうするのだ?」

?「私に一案あります。」

?「どんなのだ?」

?「それはこういうことです。」

・・・・・・

?「…そんなに上手くいくのか?」

?「それは保障出来ませんが、やらないよりマシでしょう。」

?「やらないよりマシか。とてもじゃないが、安心できるセリフじゃないな。」

?「自信はあるのですが。」

?「それも聞き捨てならぬセリフだ。」

?「まぁまぁ。人間はそれほど賢くありませんよ。」

?「だといいがな。」

?「人間なぞ、自分が一番賢いと思い上がってしまってるんですよ。仮に自分が馬鹿でも。」

?「他人の頭脳を利用して、自分を賢いとか滑稽だな。」

?「えぇ、私には虫酸が走る気分になります。」

?「情けない話だ。そんな連中と引き分けなのだからな。」

?「まぁまぁ、側近様はこの大戦で大活躍されたじゃないですか。」

側近「魔族は自分自身の力で地位を決めるからな。人間とは違うのだ。」

?「分かっております。ですから、私もこの自分自身の頭脳を屈指して、500年後には地位と権力を得るよう努力しましょう。」

側近「勝手にやってろ…と言いたいところだが、貴様には魔族の存亡に関わる仕事を命じたのだからな。ヘマするなよ。」

?「は、畏まりました。次にお会いするときには、側近様がさらなる活躍が出来るようお膳立てをさせていただきます。」

側近「ふんっ。…さらばだ、また500年後に会おう。」



?「さて、これから…です。」

?「光と闇は…表裏一体…。」

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