恒一「お邪魔します」勅使河原「おう」(271)

勅使河原「今日もあっちーな」ピコピコ

恒一「だからってパンツだけってお前…」

勅使河原「いーじゃねぇか。気にすんなって」ピコピコ

恒一「いや気にしろよ」

勅使河原「はいはい。ほれ、ボス戦手伝えよ」

恒一「僕ゲームとかあんまりしないんだけど」

勅使河原「他の奴らが来るまででいーって」

恒一「ったく」

勅使河原「もう夏休みも終わりだなー」ピコピコ

恒一「だね」ピコピコ

勅使河原「そういや課題やってねーよ。サカキは?」ピコピコ

恒一「始まって直ぐに終わらせたよ」ピコピコ

勅使河原「マジ!? すげーなお前」ピコピコ

恒一「普通そうするだろ…」ピコピコ

勅使河原「後で見せてくれよ」ピコピコ

恒一「えー」ピコピコ

勅使河原「いいじゃねーか。減るもんじゃねーし」ピコピコ

恒一「あ。死んだ」

勅使河原「現象されたか」

恒一「それ赤沢さんに言ったらブン殴られるぞお前…」

望月「おはよー…」ハァハァ

勅使河原「おう」

恒一「おはよ。…なんで頭にリボン付いてんの?」

望月「そこで勅使河原君のお姉さんに…」

恒一「あぁ…」

勅使河原「災難だったな」

望月「ホントだよ」ハー

望月「て言うか勅使河原君…服ぐらい着なよ」

勅使河原「いや、暑いからよー」

恒一「そのリボンあげたら?」

勅使河原「いらねーよ」

望月「これ返して来た方がいいかなぁ」

勅使河原「止めとけ。リボンじゃ済まんぞ」

望月「何やってたの?」ポイッ

勅使河原「ゲーム」

恒一「僕下手だからさ。望月代わってよ」

望月「えぇ…。僕もあんまりやった事ないんだけど」

勅使河原「お前ら変わってんなー。普段何やってんだよ」

恒一「別に普通だけど」

望月「僕も」

勅使河原「望月はともかくサカキは東京人なんだからゲームぐらいやれよ」

恒一「どういう理屈だよ…」

望月「榊原君は東京でどんな事してたの?」

勅使河原「あ。それ俺も聞きてーと思ってたんだよ」

恒一「どんなって…学校行ってた」

勅使河原「いやいや、他にもあるだろーがよ。こう、ピンク色なあれこれが」ウシシ

恒一「ないよ」

望月「向こうに恋人とか居ないの?」

恒一「居ない。学校もエレベーター式の男子校だったし」

望月「へぇ。意外だな」

恒一「意外って…」

勅使河原「まぁ居たらあんな事しねぇか」

望月「だよね」

恒一「…」

望月「榊原君一途そうだし」

勅使河原「いやー。実は…って事も」

恒一「おい…」

勅使河原「お、怒んなよ」

望月「そう言えば見崎さんとはどうなの?」キョウミシンシン

恒一「…」

勅使河原(あー地雷踏みやがった)

恒一「…」ズーン

望月「さ、榊原君?」

勅使河原「望月。その事には触れてやるな」

望月「え? ま、まさか…」

恒一「…見崎、家族旅行長引くからしばらく会えないって」ズーン

望月(うわ下らねぇ)

恒一「昨日電話した時も一時間ぐらいしか喋れなかったし…。一昨日は二時間も…」

勅使河原「十分だろ…」

恒一「ホントなら今頃は見崎の家で紅茶でも飲んでる筈なのに…。何で僕はこんな薄汚い部屋でゲームなんて…」

勅使河原「おい」

恒一「と言うか勅使河原はどうなんだよ」

勅使河原「言うな…」

望月「僕はねー」

恒一「望月はいいや」

勅使河原「どうせ高め打ちだろ」

望月「それ止めてよ」

恒一「勅使河原は赤沢さんだろ。早く告白でもすればいいのに」

勅使河原「簡単に言うなよ…。こっちにも心の準備ってもんがだなー」

恒一「ヘタレ」

望月「情けない態度恥ずかしくないの?」

勅使河原「うっせーぞストーカーと高め打ち」

恒一「ストーカーじゃないよ。ただ後を歩いてただけ」

勅使河原「通報されるぞお前…」

望月「別に僕も年上の女性が好みなだけなんだけど」

恒一「怜子さんもう三十路だぞ」

望月「だがそれがいい」

勅使河原「あーでも知香さんはいいよなー。美人で優しいウエイトレス」

望月「お姉さん結婚してるよ」

勅使河原「だから三神先生に走ったと」

恒一「近親は流石に不味いもんね」

望月「ち、違うってば!」

勅使河原「お姉さん…もう僕…!」

恒一「え? 僕もやるの? ごほん――だ、駄目よ優矢クン。私達は姉弟なのよ!?」

望月「榊原君まで乗らないでよ!」

勅使河原「お姉さんが悪いんだからね! 僕の気持ちを知ってる癖にあんな男と…」グイッ

恒一「そ、そんな…。優矢クン落ち着いて? ね?」

望月(落ち着いて死ねばいいのに)

勅使河原「お姉さん…お姉さん!」グイッ

恒一「あぁ! 駄目よ優矢クン! そんな…」

風見「ごめん。遅れた」ガラッ

恒一「そん、な…」

勅使河原「…」

風見「…お邪魔したね」

勅使河原「ま、待てゆかニー!」

恒一「誤解だよゆかニー君!」

望月「ゆかニー君赤沢さんと見崎さんに連絡よろしく!」

風見「それ止めろ!」

恒一「…」カチッ

風見『ゆかりいいいいいいいい!!』

恒一「…」カチッ

風見『ゆかりいいいいいいいい!!』

風見「///」プルプル

勅使河原「よく撮れてんなー」ニヤニヤ

望月「ライブな音声だね」ニヤニヤ

風見「榊原君…あの時はホントごめん…。だからそれ消してください」

恒一「いや気にしてないよ。あんな時に正気でいるなんて無理だからね」アハハ

勅使河原「ゆかりいいいいいい!!」

望月「ゆかりいいいいいい!!」

風見「おい勅使河原は止めろ腹立つ」

風見「(後で消しとこう…)で? 何で勅使河原は半裸なんだ?」

望月「榊原君に襲いかかってたんだよ」

風見「お前…いくら赤沢さんと上手くいってないからって…」アワレミ

勅使河原「ちげーよ!」

恒一「勅使河原が無理矢理…。僕には見崎がいるのに…」

勅使河原「お前いい加減にしろよ…」

風見「まぁ細かい事は良いから服着ろよ。暑苦しい」

恒一「さっきから汚いモノが見え隠れして不快なんだけど」

望月「はよ」

勅使河原「あーはいはい分かったよ。ったく…」シブシブ

風見(うわぁ…何だあの服…)

恒一(その無駄に付けたアクセサリーはギャグか?)

望月(むしろ一周回って前衛的だね)

勅使河原「ん? なんだよ」

風見「…よし。服買いに行こう」

恒一・望月「異議無し」

勅使河原「唐突だなオイ!?」

恒一「いいから行くぞ。僕も画集買いたいと思ってたし」

望月「あ。離れて歩いてね」

勅使河原「お、おい!」ズルズル

イオン

勅使河原「ここ初めて来たな」キョロキョロ

望月「最近出来たばっかりだしね。僕も初めてだよ」

風見「ここなら何でも売ってるからね」

勅使河原「ひれー」

恒一(狭っ! …とか言ったら雰囲気壊れそうだし止めとこ)

服屋

勅使河原「おっ。これいいな」

恒一「派手過ぎだって。こっちとか合うんじゃない? 下はコレとか」

風見「これも勅使河原の体型にはピッタリだと思うんだけど」

勅使河原「なんか地味じゃねー? この鎖付いてる黒が俺は気に入った!」

恒一(こいつ…)

風見(遺伝子レベルでダサいな…)

勅使河原「そういや望月は?」キョロキョロ

恒一「さっきまでその辺に…」

風見「あ。あそこ」

望月「…」ジー

恒一「…あれ、女性用の水着だよね?」

風見「勅使河原…君の姉のせいだろアレ。目覚めたんじゃないのか」

勅使河原「し、知らねーよ!」

望月(これ三神先生に似合いそうだなー…ぐへへ)

水野「お。何やってんだよお前ら」

恒一「水野君。久しぶり」

勅使河原「よう」

風見「やぁ」

水野「向こうにいるのは望月か? 何やってんだアイツ」

勅使河原「触れてやるな…」

水野「それにしても…」

恒一「ん?」

水野「夏休みに男ばっかでひでぇな…」

勅使河原「うっせーぞ!」

風見「君こそ一人で服屋なんて寂しい奴じゃないか」

水野「こいつらは兎も角、榊原は見崎と一緒じゃねーのか。珍しい」

恒一「いいだろ別に」

水野「この前一緒にプール行ってただろ。江藤が見たっつってたぞ」

勅使河原「ほぅ」ガシッ

風見「詳しく聞きたいね」ガシッ

望月「僕も」ガシッ

恒一「(いつの間に背後に…)い、いやー…み、水野君こそ江藤さんからどうやって聞いたの?」

勅使河原「そうだよこの爽やか野郎」

風見「クラスメイトも毒牙にかけてるのか?」

望月「え? まさかそういう事なの?」

水野「ち、ちげーよ! 部活の時会ったから話してただけだって!」

恒一「江藤さん水泳部だっけ?」

勅使河原「いいよな水着」

望月「勅使河原君女の子なら誰でもいいの?」

水野「そういや赤沢もいたな。あと委員長も」

風見「ゆかり…桜木さんが!?」

水野「お、おう」

風見「クソっ! 僕も行けば良かった…!」グヌヌ

水野「赤沢の奴スゲー怖い表情で『チッ…』って。榊原後でこえーぞ」

恒一「勅使河原よろしく」

勅使河原「俺かよ!?」

<センパーイ

水野「お。わりーな。呼ばれてるみたいだから行くわ」

恒一「あれ? もしかして彼女?」

水野「おう。お前らもさっさと作れよ。楽しいぞ?」

勅使河原「しね(おう)」

風見「しね(またね)」

望月「しね(しね)」

恒一「しね(うん)」

水野「じゃ、じゃーな」

勅使河原「んでー? 服も買ったしどうする?」ガサガサ

恒一「僕は本とか見たいんだけど」

望月「でもどこにあるの? 本屋さん」

風見「まあ適当に歩いてれば見つかるんじゃないかな」

勅使河原「んじゃテキトーに…ってオイあれ」

和久井「…あ。おーい」

恒一「こんにちわ」

和久井「こんにちわ。皆元気だった?」

風見「和久井こそ」

勅使河原「どーしたんだよ。ベンチに一人で」

望月「もしかして発作?」

和久井「違うって。待ち合わせ中だよ」

勅使河原「ほー。誰だよ?」

和久井「藤巻さん」

勅使河原「あ?」

風見「あ?」

望月「あ?」

恒一「あぁ。デート?」

和久井「そんな色っぽいのじゃないよ。何か夏休み僕の心配しすぎて風邪引いたらしくて。申し訳ないから何か奢るって話になってさ」

望月「なにそれこわい」

恒一「相変わらず仲良いね」

和久井「榊原君こそ。こないだ見崎さんと――」

勅使河原「あー! 聴きたくねー!」

風見「もう嫉妬にも疲れたんだよ!」

和久井「どうしたのあの二人」

恒一「夏だからじゃない?」

望月「榊原君こっち側でしょ」

勅使河原「もう行くぞ! この後藤巻来るんだろ!? 嫉妬で死ぬ!」

風見「そうだね。じゃあな和久井。末永く爆発しろ」

和久井「あはは…またねー」

勅使河原「あー何だよ三年三組! 夏だからって浮かれ過ぎだろ!」

風見「全くだ。新学期が始まったら新しい決め事を作る必要があるね」クイッ

望月「クラスメイトとは付き合ってはいけない。だが教師とはその限りではない。とか」

恒一「あ。新学期でも僕と見崎はいないものでヨロシク」

勅使河原「お前だけな」

望月「東京戻れば?」

風見「それはいい案だ」

ペットショップ

勅使河原「
お! 犬いるぞ犬!」ピュー

風見「子供かアイツは」

望月「でも可愛いね。ちょっと見て行こうよ」

恒一(あ。あの黒猫見崎と同じ眼の色だ)

勅使河原「おー! あの変な犬、何て犬だ風見!」

風見「あれはテシガワラだね」

勅使河原「マジで!?」

望月「信じるなよ…」

恒一(可愛いな…。見崎…今度ネコミミとか付けてもらおう)ウヘヘ

勅使河原「お。向こうは触れ合いコーナーだってよ」

望月「行ってみる?」

風見「勅使河原も動物となら仲良くなれそうだしね」

勅使河原「おう! 動物ならまかせろー!」

風見「こいつ…」

望月「単純だから…」

恒一(尻尾もいいな…)

勅使河原「ん? ありゃあ…」

猿田「ぞ、ぞなー!?」

犬達「わんわん!」

王子「やあ。珍しいとこで会うね」

望月「王子君」

風見「じゃあアソコで犬に囲まれてるのは…」

王子「猿田だよ。随分と懐かれてるみたいだね」

猿田「ぞなー!? 違うぞな助けるぞなー!」

恒一(犬耳もいいよね)

王子「もう夏休みも終わりだね」

勅使河原「だなー。何してた?」

王子「部活と…後は受験勉強かな」

勅使河原「真面目だなー」

風見「受験なのに勉強してないのは勅使河原ぐらいだよ」

勅使河原「望月は?」

望月「してるよ」

勅使河原「…か、風見ぃ」

風見「寄るな馬鹿」

恒一(見崎を一日中ナデナデしたい)

王子「今からなら挽回出来るよ。勅使河原も頑張ってみれば?」

勅使河原「そうするか…」

風見「僕はギリギリまで手伝わないぞ」

望月「ゆかりと同じ高校行けそう?」

風見「ゆかり言うな」

恒一(見崎に会いたい…)

勅使河原「よっし! 参考書買いに行くぞ参考書!」

風見「元から本屋に行く予定だしね」

王子「本屋ならこの横だよ」

望月「ありがと。おーい榊原君! 行くよー!」

恒一「…うん」ズーン

望月(何で暗くなってんだ?)

恒一(見崎ぃ…)

王子「また学校で」

猿田「ぞ、な…」ピクピク

本屋

勅使河原「そーいや漫画の新刊出てたな…」

風見「参考書買いに来たんじゃないのか」

勅使河原「つ、ついでだってついで」

望月「榊原君何買うの?」

恒一「ベクシンスキー。見崎がお薦めだって言ってたから。あるかな…」

勅使河原「絵だけ見ておもしれーの?」

恒一「面白いとかじゃないよ」

風見「榊原君。勅使河原に絵画は一世紀早い」

勅使河原「馬鹿にすんなって! アレだろ? ゴッホとかダリとかシューベルトとか」

望月「シューベルトは作曲家だよ」

風見「それ一人でもフルネームで言えるのか?」

勅使河原「ぐぬぬ…」

恒一「あ。あったあった」ヒョイ

勅使河原「何か暗い絵だなー…高つ!?」

恒一「こんなもんだって。――あれ? あそこに居るのって辻井君じゃない?」

辻井「…」コソコソ

望月「なんだろ、やけに周りを気にしてるみたいだけど…」

勅使河原「エロ本でも買いに来たんじゃねーの?」

風見「君と一緒にしてやるなよ。でも気になるな…」

辻井「…よし」スタスタ

望月「あ…行っちゃったね」

恒一「いいんじゃない? ほっといてあげなよ」

勅使河原「サカキ冷めてんなー。もし辻井が万引き犯と間違われたりしたらどうすんだよ」

望月「追うの?」

勅使河原「当然! 行くぞお前ら、ミッションスタートだ!」コソコソ

望月「何か楽しくなってきたね」コソコソ

風見「まったく」コソコソ

恒一「会計行きたいんだけどなぁ…」コソコソ

辻井「…」スタスタ

勅使河原「こちらテッシー。対象は少女漫画コーナーを通過中。オーバー」

望月「こちらモッチー。対象視認しました。追跡を続行します。オーバー」

恒一「こちらサカキー。対象横目で陳列品をチラチラと見ています。いつ行動に出ても対処出来る様にお願いします。オーバー」

風見「っ! こちらカザミー! 対象停止! オーバー!」

辻井「…」ペラペラ

勅使河原「何読んでんだアイツ…」

望月「少女漫画とか好きなのかな?」

風見「…いや、上のポップを見ろ。あれは少女漫画だが――」

恒一「ボーイズ、ラヴ…だと?」

辻井「ん?」チラッ

勅使河原・望月・恒一・風見「あ」

辻井「やぁ。お前ら何やってんだよ」

勅使河原・望月・恒一・風見「ち、近付くな!」

辻井「何言って…あ」

勅使河原「まさかお前もそうだったなんてな…。川堀と席が近いから毒されたか」ジリジリ

辻井「ち、違う! 誤解だ!」

恒一「僕には見崎が、風見には桜木さんが居る…。望月と勅使河原を生贄にするしかない」

風見「だね」

勅使河原・望月「おい!」

辻井「違うって言ってるだろ! こ、これはお使いなんだよ!」

勅使河原「川堀にそれ読んで勉強してこいって言われたのか?」

辻井「川堀から離れろ! 柿沼さんだよ!」

望月「柿沼さん?」

辻井「資料が欲しいから買って来いって言われて…」

勅使河原「パシリかよ情けねーな」

辻井「僕だってやりたくないんだよ…。でも買ってこないと僕×中尾×川堀本書くぞって言われて…」

恒一「…何かゴメン」

辻井「もういいよ。早く終わらせて帰りたい」

風見「元気でな…」

辻井「それっぽい事言うな。じゃあね…」

勅使河原「あれは嫉妬できないな…」

恒一「で。もう用事も終わったけどどうする?」

風見「まだ見てない所もあるし、適当に回って帰ろうか」

望月「勅使河原君参考書は?」

勅使河原「あ、忘れてた」

恒一「おいおい」

勅使河原「!」

風見「どうした。いきなり止まって」

勅使河原「…野郎共、あそこ行くぞ」スッ

望月「あそこって…大人の玩具屋さん!?」

恒一「ここイオンだよね?」

風見「僕らが入れる訳ないだろ」

勅使河原「いーから行くだけ行ってみようぜ! お前らだって興味あるだろ?」

恒一「…そりゃ」

望月「…あるけど」

風見「…君が責任取るなら行く」

勅使河原「よし! 決まりだな!」

勅使河原「…」ドキドキ

恒一「…」ドキドキ

望月「…」ドキドキ

風見「…」ドキドキ

恒一「…おい勅使河原。行くんじゃないのか」

勅使河原「さ、サカキ先に行けよ」

恒一「お前が言い出したんだろ」

中尾「うわあああああ!!」バッ

恒一「!」ビクッ

勅使河原「中尾!?」

望月「な、何やってるの?」

中尾「お、お前ら…! 逃げろ! 奴が…」

風見「どうしたんだ?」

中尾「早くしろ! 奴が…川堀の野郎が…」

恒一「川堀? どういう事――」

川堀「…」コーホー

中尾「ぎゃあああああああああああ!!!」

勅使河原(店内からゆっくりと出て来た男…一目で分かった。こいつが中尾が言う川堀だと)

望月(それは蝶を模したマスクを装着し、口には両端をベルトで固定した穴だらけの玉を銜えていた。そして何故か上半身には何も纏っておらず、乳首と思わしき部分には絆創膏が貼られている)

恒一(その両手に持つ男性器を象った黒光りする凶悪な形状の玩具。その片方は中尾のケツに深々と突き刺さり、もう片方は獲物を定める様に僕らへ向けられていた)

風見(ただ恐怖。獣の様な呻き声が漏れる音が僕らの世界を支配していた。――だが僕らは三組の生徒。この程度で怯みはしても、動けなくなるほど軟弱な精神はしていない)

川堀「…」コーホー

勅使河原「に、逃げろおおおおおお!!」ダッシュ

望月「うわあああああああ!!」ダッシュ

恒一「っ!」ダッシュ

風見「ゆかりいいいいいいいいいいい!!」ダッシュ

川堀「チッ…」ガシッ

中尾「」ズルズル

恒一「お、追って来ない…ね」ハァハァ

勅使河原「あれ、川堀だよな?」ハァハァ

風見「どうでもいいよ…。助かったんだから…」フゥ

望月「中尾君を置いて来たのは正解だったね」

勅使河原「あー…走ったら腹減った」

風見「丁度フードコートだ。時間も時間だし腹ごなしといこうか」

恒一・勅使河原・望月「賛成」

勅使河原「お。サカキの旨そうだな。貰いっ!」パクッ

恒一「自分で買って来いよ馬鹿」

風見「食事ぐらい大人しくしてろ馬鹿」

望月「馬鹿」

勅使河原「いい加減傷付くぞ!?」

望月「自業自得でしょ――って!?」ギョッ

勅使河原「ん…!?」

風見「どうかした――!?」

恒一「何だよ…」チラッ

高林「」

恒一「高林じゃない。おーい」フリフリ

勅使河原「ちょ!? 止めろ馬鹿!」グイッ

風見「死ぬ気か君は!」

望月「隣見て隣!」

恒一「隣?」


沼田祖母「一杯食べるんだよ郁夫」ニコニコ

高林「うん。でもおばあちゃんも食べなきゃフェアじゃないよ」

ごめんミスです腹ごなしにタバコ吸って来る

恒一「…バーサーカーか」

勅使河原「バーサーカーだ」

望月「バーサーカー沼田だよ」

風見「とにかく触らぬ神に祟り無しだ。ほっとこう」

恒一「…だね」

前島「そうだよ(便乗)」

望月「どっからわいたの前島君」

前島「偶然お前らを見つけてな」

勅使河原「そういやお前も襲われたんだったか」

前島「あぁ。以来危機には敏感でさ、お前らも早く逃げた方がいいぞ」

恒一「さっき変態から逃げて来たばっかりなんだけど」

風見「…おい。バーサーカーの様子がおかしいぞ」


沼田祖母「だ、大丈夫かい郁夫!?」オロオロ

高林「このラーメンの温度はフェアじゃない…。舌を火傷してしまった」

沼田祖母「うがあああああああああ!! どうしてくれんだラーメン屋あああああ!! ウチの郁夫が痛いって泣いてんじゃねぇかよおおおおおおおお!!!」ガッシャーン

前島「逃げろお前ら! 巻き込まれるぞ!」ダッ

勅使河原「お、俺まだ全部食って…」

望月「馬鹿か! 行くよ!」グイッ

風見「ご馳走様でしたー」ダッシュ

恒一「もうやだこの店」

風見「…もう帰るか」

望月「そうしようか」

勅使河原「えー。どっか行こうぜー」

恒一「どこかってどこだよ」

勅使河原「んー…そーだなぁ…」ウーン

久保寺「おや、皆さん。お久しぶりですね」

恒一「あ、久保寺先生。こんにちは」ペコッ

久保寺「はは、もう先生はよしてください。今の私は教師を退いた身です」

恒一「そうでしたね。今は――」

勅使河原「DJ・KuboDeraだよな!」

久保寺「その通り」チェケラ

風見「あの時は突然『私は音楽の道に進みます』なんて言い初めて皆ビックリしてましたよ」

望月「でも僕ら応援してますから。頑張ってくださいね」

久保寺「えぇ。包丁と血糊を使った新たなラップ…クボデラップで私は頂点に立ちます」チェケダウ

勅使河原「あれスゲーよな。どうやってんだ?」

久保寺「ふふ。それは企業秘密ですよ。…包丁の調達があるので失礼します。あなたたちも気を付けて」ヨー

恒一「はい」

勅使河原「つー事でカラオケ行くぞ!」

風見「DJに会ったからか? 単純な奴だな」

勅使河原「いーじゃねーか。お前も声出しとけって」

恒一「カラオケかー。僕あんまり行った事ないんだよね」

望月「僕も…」

勅使河原「お前らなぁ…中学生ならもっと遊べよ」

恒一「勅使河原は遊び過ぎなんだよ」

風見「そうだぞ」

勅使河原「優等生ぶりやがってよー。んじゃこうしようぜ。カラオケの点数でお前らが勝ったら勉強でもなんでもしてやろうじゃねーの」

恒一「勅使河原が勝ったら?」

勅使河原「風見は俺に夏休みの課題を見せる。サカキは女の子紹介しろ。望月はイノヤの一日食べ放題券を知香さんに貰って来い」

風見「メチャクチャ言ってるなコイツ」

恒一「僕見崎以外の女の子とはそんなに仲良くないんだけど…」

望月「僕もやるの?」

勅使河原「なーんだよ。まさか俺に負けるのが怖いのかぁ?」ニシシ

風見・恒一・望月「」イラッ

勅使河原「まぁそれなら仕方ないよなー。しゃーねーから勘弁してやるか」ププッ

風見「いいよ。やろう」

望月「勅使河原君が負けたら赤沢さんに告白ね。教室で」

恒一「あと土下座も追加で」

勅使河原「はっ! 上等だぜ!」

カラオケボックス

恒一「え? リモコンじゃないの?」

風見「本で探す必要が無いだけで…こっちの機械で曲を探して…ほら、これで」ピッ

恒一「おー」

勅使河原(サカキはマジで素人みてぇだな。クク…この勝負頂きだぜ!)

恒一「じゃあ誰から行く?」

勅使河原「まぁお前らは座ってろよ。俺がお手本を見せてやる」ピッ

『ultra soul』

勅使河原「ゆぅめぇじゃない、あれもこれもぉ!」

恒一(定番だね)

風見(コイツいつもコレ歌うんだよな…。正直飽きた)

望月(何歌おうかなー)ピッピッ

勅使河原「そしてぇ羽ぁばたくウルトラソウッ」

恒一・風見・望月「ハァイ!!」

勅使河原「どうよ? 俺の美声は」

恒一「いや…普通に上手かった」

望月「ちょっとビックリだね」

勅使河原「だろ?」ドヤァ

恒一「で? 点数は?」

勅使河原「じゃーん。85点! 凄くね?」

風見(テストでもそれくらい取れればいいのにな)

望月「うーん…勝てるかなぁ…」ピッ

勅使河原「おっ。次は望月か」

恒一「何歌うの?」

望月「僕あんまり音楽聞かないから…お姉さんが聞いてた奴をね」

『世界に一つだけの花』

望月「せーかいにひーとつだけのはーな」

恒一(両手でマイク持って歌う望月カワイイな…)

勅使河原(リズムに乗って体を揺らす望月カワイイな)

風見(ゆかりほどじゃないね)

望月「もっともっととーくべーつなオンリーワーン」

望月「ふぅ…」

恒一(若干汗が滲む額が…ふぅ…)

勅使河原(荒い吐息が…ふぅ…)

風見(ゆかり…ふぅ…)

望月「な、何か言ってよ!」

勅使河原「あー…上手かったぞ、うん」

望月「適当だなぁ…」

風見「点数は?」

恒一「87点」

望月「あ。勝っちゃった」

勅使河原「なん…だと…?」

恒一「あれだけ大口叩いておいてコレだよ」

風見「あれ? なんだっけ? 負けたら?」

勅使河原「ぐっ…つ、次だ次! まだ後二人居るだろうが!」

恒一「往生際の悪い奴だな…」ピッ

『Supernova』

恒一「見崎が好きなんだよねコレ」

恒一「no matter how hard I can try!」

風見(あー確かに好きそう。てか榊原君うめーな)

望月(榊原君…)キュン

勅使河原(ぐぬぬ…このままじゃ負けちまう! 何か手は…そうだ!)ニヤリ

恒一「but only in my dreams!」

勅使河原「あ。鳴ちゃんだ」ボソッ

恒一「no――見崎!?」バッ

シーン

恒一「あ? あれ?」

風見「…勅使河原」

勅使河原「ぴゅーぴゅー」シランプリ

望月「こいつ…」

風見「65点」

恒一「勅使河原ああああああああああ!!」ガンガン

勅使河原「わ、悪かった! ごめんって!」

望月「さ、榊原君! マイク壊れちゃうから!」

風見「全く。榊原君も簡単に騙され過ぎなんだよ。君達に足りないもの――それは愛だ」ピッ

『君が好きだと叫びたい』

風見「離さなーい、揺るがなーい、クレジフォユー!」

恒一(あ、展開読めたかも)

風見「ゆかりが好きだぁぁぁぁぁぁぁと! 叫びぃぃぃぃぃたい! 明日を変ーえーてみよう!」

勅使河原「ジュース取って来よ」

恒一「僕も」

望月「ま、待ってよ」

風見「ゆかりが好きだぁぁぁぁぁぁぁと! 叫びぃぃぃぃぃぃたい! 勇気で踏みだそーおー!」

恒一「…いつもああなの?」

勅使河原「あと三回は同じ様な曲があるぞ」

望月「うざっ――ん? ねぇ、隣で歌ってるのって…」


米村「あれれ小さなっむっねが震えてる! 抱き締められたら壊れぇちゃうよぉ!」


恒一「…」

勅使河原「…」

望月「…」

風見「どこ行ってたんだよ。人が歌ってる時に皆で出て行くなんて酷いぞ!」

恒一「ごめん…」

勅使河原「…」

望月「…」

風見「? どうした、変な顔をして」

勅使河原「いや…何でもない」ウップッ

望月(まさか米村君に女装癖があったなんて…)

風見「まぁいい。今からはサドンデスだ。歌える曲が無くなった奴が負け。どうだい?」

勅使河原「風見は何点だったんだよ」

風見「…それじゃあ僕から行くぞ」ピッ

勅使河原「おい!」

『カルマ』

風見「ゆかりが階段から落っこちたー」

望月(歌おう…歌って忘れよう…)

恒一(ブルースドライブモンスター歌おうかな)

勅使河原「いやー歌ったなー」

恒一「殆ど勅使河原が歌ってたじゃない。僕あんまり歌えなかったよ」

望月「でも榊原君上手だったね。普段あんまり行かないって言ってたのに」

恒一「そう?」

風見「どうせ見崎さんと行ったりするんだろ? それで上手とか言われないの?」

恒一「見崎と行く時はだいたいデュエットだし…」

勅使河原「爆発しろ」

すいません1時間ぐらい席外します
あと少しで終わるから…

妹我侭過ぎワロエない…
再開します

望月「もう日も落ちて来てるねー。帰る?」

勅使河原「その前に銭湯いかねー? 汗かいちまって気持ち悪いし」

風見「家で入ればいいだろ」

勅使河原「姉ちゃん達風呂長いんだよ。女ってのはどうしてあぁ…」

恒一「怜子さんは早いけどなぁ。あ、でも見崎は――」

望月「黙ってろ」

恒一「」

勅使河原「タオルとかは借りりゃあいいし。な? たまには裸の付き合いといこーぜ」

望月「僕はいいよ」

風見「…まぁいいか」

恒一「僕も行こうかな。み――」

望月「見崎さんの話しないなら来ていいよ」ニコッ

恒一「りょ、了解…」

銭湯

勅使河原「久々に来たなー」ジャバジャバ

恒一「騒ぐなよ。他のお客も居るんだから」

勅使河原「おっ。向こうカラじゃん。いこうぜー」

望月「聞いてないね…」

風見「め、眼鏡が曇って…」

勅使河原「…」ジー

望月「な、何?」

勅使河原「…いやー、何かエロいなお前」

望月「へ? な、何言ってるの!」

恒一「ごめん僕も少し思った」

望月「もう…止めてよぉ」

風見「おっぱいが足りない」

風見「…」フー

勅使河原「…」コソコソ

風見「ん?」

勅使河原「とりゃー」バッ

風見「うわっ!? た、タオル返せ!」

勅使河原「へへー。湯船の中はタオル禁止だぜ」

恒一「何やってんだよ…」

勅使河原「いや、幼馴染みの成長具合でも拝んどくかなーと」

風見「馬鹿か君は!? 馬鹿だったな!」

勅使河原「…うん。流石に今じゃ戦力差は対して無いな。三年前は毛も――」

風見「死ね!」

望月「あの…目立ってるから」

勅使河原「次は望月だ」ワキワキ

望月「えぇ!? ぼ、僕はいいよ。榊原君にしたら?」

恒一「て言うか勅使河原隠せよ! 目の前で変なものブラつかせるな!」

勅使河原「ここは風呂だぜ? いいからお前らも見せろよ」

恒一「うわっ!? こ、こっち来るな!」ジャバジャバ

望月「ま、待って!」バシャバシャ

勅使河原「うははは」ザブザブ

風見「タオル返せって!」

サウナ

勅使河原「最初に出た奴がジュース奢りな!」

恒一「もういいでしょそういうの…」

風見「馬鹿に何言っても無駄だよ」プンスカ

勅使河原「そんな怒んなよー」

望月(あちゅいよぉ・…)クター

10分後

勅使河原「…」

望月「はぁ、はぁ…」

恒一「…」

望月「んっ、ふ、ぁ…」

風見(ゆかりゆかりゆかり…)

望月「ね、ねぇ…もう出ようよぉ…///」

勅使河原「そ、そうすっか? サカキ先出ろよ」

恒一「え? て、勅使河原が先にいいよ。辛いんだろ?」

勅使河原「はぁ!? まだ楽勝だってこんなん!」

恒一「…じゃあ僕もまだ出ない」

望月「そ、そんなぁ…。僕、もう我慢出来ないよぉ///」ハァハァ

勅使河原・恒一(望月は男望月は男望月は男望月は男望月は男)モンモン

風見(ゆかりゆかりサウナに入ったゆかりかわいいよおおおお)

更衣室

勅使河原「…あっちー」グデー

恒一「勅使河原が無駄に意地張るから…」グデー

勅使河原「サカキもだろ…。風見ぃ…ジュース買って来てくれぇ…」

風見「自分で行け」

恒一「何で風見は平気な顔してるの…」

望月(コーヒー牛乳おいしい)クピクピ

勅使河原「もうすっかり日も落ちちまったなー」テクテク

恒一「だね。この前まではまだ明るかったのに」

風見「もう夏も終わりか」

望月「…なんか寂しいね」

シーン

勅使河原「…なぁ」

恒一「…ねぇ」

風見「…あのさ」

望月「…あのね」

勅使河原「な、何だよ全員で」

恒一「皆思うとこがあったんじゃない?」

風見「奇妙な一致だね」

望月「はは、まぁいいじゃない」

勅使河原「…あのよー、花火、やらね?」

風見「風呂に入ったばかりだぞ」

恒一「風見も同じ事言おうとしてたんじゃない?」

風見「…この馬鹿と同じ考えだなんて、我ながら絶望する」

望月「最後の思い出にってね」

勅使河原「よし! んじゃ花火買ってウチ行くぞお前ら!」ダダダッ

恒一「あんまりはしゃぐと怪我するぞー」

勅使河原「うっせー! お前は冷め過ぎなんだよ鳴ちゃん以外!」

恒一「み、見崎は関係ないだろ!」

風見「否定はできないよね」

望月「君もね」

勅使河原「ロケット行くぞー!」

恒一「こ、こっち向けるな!」

望月「そんな一片に付けると…」

バン!

勅使河原「あっちぃぃぃぃ!」バタバタ

恒一「馬鹿め」

風見「馬鹿め」

望月「馬鹿め」

恒一「…」ボー

望月「榊原君、火ちょうだい」

恒一「あ、うん。はい」

望月「…どうかした?」

恒一「…別に、何でもないよ」

勅使河原「ったく。なーにぼさっとしてんだよサーカキ」ガシッ

恒一「勅使河原…」

風見「言いたい事があるならいいなよ。溜め込むと、良くない」

恒一「…うん」

勅使河原「だったら何だよ。サカキが気にする事なんてそれこそ鳴ちゃんの事ぐらいのもんじゃねーか」

恒一「僕は一応、皆の事も気にしてるつもりだよ。勅使河原は高校行けるのか、とか」

風見「確かにそれは心配だ」

勅使河原「うっせーよ」

望月「それで?」

恒一「――なんだかなぁ…。こう言うと恥ずかしいんだけどね」

恒一「来年になったら、皆離れ離れなんだよなー…って」

勅使河原「…そりゃー、お前」

風見「仕方ないさ。別れはいつか来る」クイッ

望月「…僕もね、こうやって皆と居るのは楽しいから…。そういう事考えて、寂しくなる事もあるよ」

風見「…僕だって」

恒一「な、なんかゴメン。夏も終わりだーとか考えてたらさ」アハハ

望月「…」

風見「…」

恒一「あはは…」

勅使河原「――あーもう! お前ら暗いんだよ! もっと簡単に考えりゃいーじゃねーか!」

風見「勅使河原?」

勅使河原「いつかゴールが来るなら、それまでは楽しめよ! 明後日から二学期で、秋には体育祭だぞ! 冬にはスキーだってやる! もう現象もねぇ! 俺は赤沢と付き合って、全部おもしろおかしく過ごす気だぞ! お前らはそうじゃねーんかよ!」

望月「…僕も、三神先生のブルマが見たい」

勅使河原「風見は!?」

風見「…走って揺れてるゆかりのおっぱいを精一杯この目に焼付けたい」

勅使河原「サカキ!」

恒一「――僕も、見崎にスキーを教えて良い雰囲気のまま山小屋で二人っきりですごしたい!」

勅使河原「だろ!? じゃあ今は楽しくやろうぜ! ほら笑え!」

風見「ぷっ…は、はは。たまには良いこと言うじゃないか」

勅使河原「な、何だよ。俺はいつも良いこと言ってるだろうが!」

望月「ふふ。そうだね」

恒一「あはは…ははは…!」

勅使河原「サカキが壊れた!?」

風見「お前のせいだろ」

勅使河原「俺かよぉ!?」

望月「ふふ」クスクス

風見「ははは」

勅使河原「んだよぉ…」

恒一(そっか。うん、そうだ。僕らは繋がってる。見崎と同じ様に)

恒一「勅使河原、あの大きい奴やろうよ」

勅使河原「ん? お前何か吹っ切れた顔してるな」

恒一「君のおかげだよ」

勅使河原「そうか? だよなー」ニヤニヤ

恒一(あ、やっぱ馬鹿だコイツ)

望月「火付けるよー」

勅使河原「おーう」

ヒュー…バァン!

風見「…意外と地味だね」

望月「そういえば明日、花火大会やるらしいよ」

勅使河原「お! 皆で行くか!」

恒一「思い出作り?」

勅使河原「そうだ! 思い出さえありゃー離れても意外と大丈夫なんだよ! 姉ちゃんが言ってた!」

風見「…最後の一言さえ無ければ良い台詞なんだけど」

恒一「勅使河原らしいじゃない」

望月「赤沢さんと喋る時ぐらいは気を付けようね?」

勅使河原「おう!」


勅使河原が笑う。僕らもつられて笑う。
来年もまたこうして皆で花火をしよう。夏休みにでも帰ってくればいいのだから、そう難しい事でもないだろう。
まぁ今は楽しもう。
僕らは笑う。
来年も、その次の夏も、僕らはこうして集まって笑うのだ。きっと。

to be continued――

勅使河原「…遅い。何やってんだあいつらは」

勅使河原「電話にも出ねーし…寝てんのか?」

勅使河原「…腹減ったし、先行っとくかぁ」グー



勅使河原「焼そばウメー」ズルズル

勅使河原「あ、おっちゃんポテト塩多めで」

勅使河原「…なーにやってんだあいつらは」

勅使河原「あーもう帰ろうかなー…」テクテク

勅使河原「…ん?」

望月「…」

勅使河原「望月じゃねーか! おーい望月!」

怜子「ん? 今呼ばれなかった?」

望月「気のせいですよ♪ ほら先生、イカ焼き美味しいですよ」

怜子「ありがとー。んー…ぷはぁー。ビール旨いわー!」

望月「まだおつまみ要ります? 僕買ってきますから」

怜子「ホント? じゃあイカ焼きあと10本とトウモロコシと…あとポテトとタコ焼きね」

望月「はーい」

怜子「よろしくねー」


勅使河原「…」

勅使河原「望月の野郎…後で風見とサカキに報告してやる…」

勅使河原「つーかあの二人は何やってるんだよ…もう30分も経ってるぞ」

勅使河原「…ん?」


桜木「うーん…でもここで綿菓子は…でもなぁ…」ウーン


勅使河原(桜木じゃねーか。風見の奴こんな時に何をやって――」


風見「ゆかり…かわいいよゆかり…」コソコソ

勅使河原「」

勅使河原「…何やってんだお前」

風見「ん? 何だ勅使河原か」

勅使河原「何だじゃねーよ。お前約束は――」

風見「馬鹿! そんな事よりゆかニーだ!」

勅使河原(駄目だこいつ…はやく何とかしないと…)

風見「ちっ…ゆかりを見失ってしまった。また探さないと…」テクテク

勅使河原「(もうアイツは放っておこう…)ん? まさかサカキも…」キョロキョロ

勅使河原「…って、流石にいねーよな」アハハ

風見「榊原君なら見崎さんと境内の方にいたぞ」

勅使河原「止めろよ馬鹿! クソッ! こうなったら邪魔してやる!」ダダダッ

境内

勅使河原「どこだ…? ――声がするな、あそこか」コソコソ


恒一「見崎…」ギュ

鳴「榊原君? どうしたのいきなり…」

恒一「一週間も離れてたんだ。これくらい許してよ」

鳴「…ごめんなさい。お父さんの休みが思ったより長くって」ギュ

恒一「今日は一緒に居れる?」

鳴「うん。霧果には言ってあるし、その…私も会いたかったの」ギュー

恒一「見崎…」スッ

鳴「あ…駄目だよ…んっ」ピクッ


勅使河原「」

勅使河原「…もうやだアイツら…何で境内でキスしてんだよ死ねよ…」

勅使河原「もう帰るか…。明日会ったら覚えとけよアイツら」

<花火打ち上げまで30分です。皆さん観覧席の方に――

勅使河原「花火かー…」

勅使河原「…」

勅使河原「…」ピポパポ

勅使河原「…あー赤沢? お前今暇? だったら花火見ねー? おう…マジ!? わ、分かった! 待ってる!」

勅使河原「――よっしゃー!!!」


この後、花火会場で出くわした彼らがどうなったのか…。それは――

happy☆end?

見てくれた人ありがとう
今回ミス多かった…。寝ます

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