春香「プロデューサーさん、元気爆発ですよ! 元気爆発!!」 (59)

~青空小学校4年1組~


霧隠虎太郎「765プロのアイドルぅ? なんだそりゃ」

風祭鷹介「虎太郎君、知らないの? 今、テレビですっごい話題になってるんだよ!」

虎太郎「アイドルってあれだろ? 姉ちゃんがテレビでいつも見てるあの、男が3人で歌ったり踊ったりしてる……」

流崎力哉「そりゃジュピターだろ。それもアイドルだけど、女の子のアイドルってのもいるんだよ!」

虎太郎「へー」

鷹介「力哉君は、アイドルに興味があるみたいだね」

力哉「ま、まあな。特に765プロのアイドルといえば、今はテレビをつけたら誰か出てるもんな」

鷹介「そうそう! 実は僕さあ、萩原雪歩さんのファンなんだ」

力哉「へえ。まあ、なんとなくわかるな。清純そうで、ちょっとあこがれの百合香ちゃんに雰囲気が似てるからだろ」チョンチョン

鷹介「そ、それは、まあ、なんていうか……そういう力哉君は、誰が推しドルなのさ?」

力哉「俺か? 俺は、まあ……水瀬伊織さん、かな……」

鷹介「ああー! ちょっと気が強そうで、その一方で正義感が強いしっかり者だもんね! 桂さんみたいに」ニヤニヤ

力哉「そ、そうだな。それで虎太郎、おまえは誰が推しドルなんだ?」

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虎太郎「はあー? いや、俺アイドルとかしらねーし」

鷹介「僕の予想だと……僕は百合香ちゃんみたいな、おしとやかな雪歩さんのファン。力哉君は桂さんみたいな、しっかり者の伊織さんのファン」

力哉「なるほど。じゃあ、虎太郎が好きそうな765プロのアイドルは……」

結城千夏「みんなー、ビッグニュースよ! ビッグニュース!!」

虎太郎「なんだよ、うっせーな。どーせまた、謎の未確認生物が元気堂でお菓子を万引きしたとか、UFOが墓荒らしをしたとかそんなガセネタだろ」

千夏「なによ! あんたには教えてやらないんだから」

鷹介「まあまあ。それで千夏ちゃん、ビッグニュースって?」

千夏「あのね、765プロのアイドルが青空町にやって来るんだって!」

鷹介「ええー! あ、あのトップアイドルが青空町へ!?」

千夏「商店街でミニライブをするんだって!」

力哉「すごいや! あこがれのアイドルが、間近に見られるなんて」

千夏「私、独占インタビューをお願いしちゃうんだから!!」

虎太郎「学校新聞のインタビューなんかに、テレビにでるような人がこたえてくれるわけねーじゃん」

千夏「そんなの、わかんないじゃない! こう見えても私、今まで数々のスクープをものにしてきたんだから」

虎太郎「むりやり突撃取材しただけじゃねーか」

千夏「なによ!」

虎太郎「なんだよ!」

鷹介「まあまあ千夏ちゃん。それで、誰が来てくれるの?」

千夏「うーん。それはまだわらないんだけど、3人ぐらいアイドルが来てくれるって聞いたわよ」

小牧百合香「私、萩原雪歩さんが来てくれると嬉しいなあ」

鷹介「ゆ、百合香ちゃん。雪歩さんが好きなの?」

百合香「ええ。大人しい人なのに、ステージにあがると堂々としていて……私、バイオリンの発表会とかでよく緊張しちゃうから、ああなれたらなあ……って」

鷹介「そうだよね。雪歩さんは最高だよね!」

武田桂「あら、私は水瀬伊織さんがいいと思うわよ」

力哉「桂さんは、伊織さんファンなんだ」

桂「ええ。あの、凛とした雰囲気。憧れるわ」

力哉「そうだよね! うんうん」

千夏「次の日曜が、楽しみね。ほんと、誰が来てくれるのかしら……」

虎太郎「ふあぁーーーあぁ」

~765プロ事務所~


P「というわけで、青空町商店街のミニライブには、雪歩と伊織とそれから……春香に行ってもらう」

雪歩「が、がんばりますぅ」

伊織「なんだかスケールの小さいハコだけど、やるからには全力でやるわよ」

春香「当日は、私たちだけで行くんでしたよね?」

P「ああ、スケジュールの都合で俺も律子も同道できないが、あずささんもいないし迷子とかは大丈夫だよな?」

春香「はいっ! 大丈夫ですよ。ねー!」

雪歩「私は大丈夫だけど……」

伊織「春香が、一番心配よね。方向音痴じゃないけど、春香って好奇心が服を着てるようなところがあるから……」

P「律子も同じ事、言ってたな。ちょっとドジな所もあるから心配だが……頼むぞ、春香」

春香「もう、大丈夫ですよ。こう見えても私、意外としっかりしてますから!」

~日曜日 青空町某所~


春香「……迷った」

春香「ブタさんみたいなちょっと変わったネコがいたから、追いかけてみたら……」

春香「困ったなあ。ええと……ねえ、そこのあなた! ちょっと聞きたいんだけど」

千夏「はい? あれ……この人どこかで……」

ヤミノリウスⅢ世「今日は何を魔界獣にして、人間界を混乱させてやろうか……んんー? あれは?」

春香「私、商店街に行きたいんだけど、どう行けばいいのかな?」

千夏「えと、商店街ならあっちですけど……あのー。お姉さん、どこかで見たような気が……」

春香「あ! えへへ、やっぱりこの私のトップアイドルのオーラは、隠しきれないみたいだねー」

千夏「うーん……」マジマジ

春香「えへへー」

千夏「ごめんなさい。やっぱり気のせいでした」

春香「がくー……。そ、そうだ! これなら……どう」

千夏「お姉さんなにを……リボンを結んで……ああっ! あなたは、765プロの天海春香さんっ!!」

春香「う、うん。そうなんだよ」

春香(やつぱりリボンがないと、わかってもらえないのかな?)

千夏「私、春香さんの大ファンなんです」

春香「そ、そう?」

ヤミノリウス「んんー? あの女、確かにリボンをつけた途端に、なんだかキラキラして見えだしたような気が……」

千夏「やっぱり春香さんは、リボンがあるとオーラを感じますよ! うわー私、感激!」

春香「……そうだよね。リボンは私の、代名詞みたいなものだもんね。ありがとう」キラキラ

ヤミノリウス「おおおー! 間違いない、リボンをつけただけなのにあの女のあの笑顔から、大魔界の大魔導師であるこのヤミノリウスが目が離せないぃ~」

千夏「あの、インタビューしてもいいですか?」

春香「え? あ、うん。でも、ミニコンサートが終わってからね。今、急いでるんだ」

ヤミノリウス「オーラ? そうか、あのリボンの力か……あんなリボンなどという飾りに、そんな力があったとは。よおし、今日はあれだ……サライア!」

千夏「あ、そうでしたよね。商店街はこっちで……あっ、春香さんリボンが!」

春香「え? あれ、リボンが勝手に飛んでいっちゃう!」

ヤミノリウス「ゾイワコノイワコ、マカイヤゾイワコ。悪の心を呼び覚まし、魔界の姿を作り出せ。ハズラムサライヤー!」

春香のリボンが、ヤミノリウスの作り出した魔方陣をくぐり抜ける。
と、リボンはヤミノリウスの魔力で、魔界獣へとその姿を変えた。

リボン魔界獣「サファイアー!」

春香「わ、私のリボンがなんだか変な生き物に!?」

千夏「あー! ヤミノリウス!」

ヤミノリウス「よーしリボン魔界獣よ、おまえの力を見せてみろ」

リボン魔界獣「ハズラムサライア、サファイア!」

リボン魔界獣の目から光線が放たれ、学校前の駄菓子屋『げんき堂』に当たる。
次の瞬間、元気堂は巨大なリボンへと姿を変えてしまう。

春香「ええっ!? お、お店がリボンになっちゃった!?」

千夏「春香さん。あれは魔界獣です」

春香「魔怪獣?」

ヤミノリウス「いかにも。大魔界の偉大なる大魔導師であるこの私が、魔力によって生み出した魔怪獣なのだ」

千夏「やっぱりヤミノリウス。今度は何をたくらんでいるの!?」

ヤミノリウス「ハッハッハ! このリボン魔怪獣で、人間界を混乱に陥れてやるのだ。いけ!」

リボン魔怪獣「チャオっす」

ビビー!
光線によって、土管、電柱、家、店など、あらゆる物がリボンにされてしまう。
見渡す限りの、リボン、リボン、リボンだ。

虎太郎「今日もばっななー♪ ばっななー♪ へへへ、元気堂でバナナ大福をしこたま買ってやるぜ……あれ?」

虎太郎「元気堂がないぞ? そんでもって、なんだこのリボンは?」

リボン魔怪獣「サファイア?」

虎太郎「うお! 魔怪獣! そうか、元気堂がリボンになってのはおまえのしわざだな」

リボン魔怪獣「ハズラムサライア サファイア!」

千夏「よけて虎太郎!」

虎太郎「え? あ、千夏」

千夏「その光に当たると、リボンになっちゃうのよ!」

虎太郎「なんだって!? うおわっ」

体勢を崩し、抗戦を避けたものの元気堂だった巨大リボンに頭から突っ込んでしまう虎太郎。

虎太郎「いってえ……ん? このリボン、バナナ大福の味がするぞ!」

春香「どれどれ? うん、形はリボンに変わっても中身というか本質は変わってないみたいだね」

虎太郎「? お姉さん、だれ?」

春香「うーん、やっぱりリボンが無いとわかってもらえないかー」ガクー

千夏「春香さん、虎太郎はそもそもアイドルとか知らないから仕方ないんですよ。それより虎太郎、ガンバーチームを探してきて」

虎太郎「わかった! 千夏と……春香さんだっけ? は、逃げろよ」

千夏「わかった。じゃあ……春香さん、商店街へ」

春香「だ、だけどリボンが……」

千夏「そっか。でもきっと大丈夫」

春香「え?」

千夏「青空町にはひみつのヒーロー、ガンバーチームがいてくれるんですから!」

春香「?」

伊織「もう! 案の定、春香ったら迷ってるんじゃない」

雪歩「も、もうすぐ本番ですぅ」

伊織「町の人たちからも、すごい声が……あら?」

「うわーっ! 魔怪獣だあ!」「逃げろ!!」「助けてー! ガンバーチームー!!!」

伊織「なんの騒ぎかし……ええっ!?」

雪歩「どうしたの? 伊織ちゃ……えっ!!」

リボン魔怪獣「サファイア!」

伊織「なんなの? あのヌイグルミは」

雪歩「宙に浮いて、動いてる……」

鷹介「力哉君、魔怪獣だよ!」

力哉「くうぅ! せっかくのライブなのに……しかたない! 行くぞ、鷹介!!」

鷹介と力哉は、物陰に移動するとガンバーブレスに指をあてた。

鷹介・力哉「フラッシーング!」

レッドガンバー(力哉)「どこ行った? 魔怪獣め」

ブルーガンバー(鷹介)「あそこだよレッドガンバー……ああっ!」

伊織「なかなか凝った演出よね。春香に合わせてこんなデザインなのかしら?」ツンツン

雪歩「これ、どういう仕組みで浮いてるのかな?」チョンチョン

リボン魔怪獣「……サファイア」キイイイィィィンンン

雪歩「? なんだか、ぷちどるのいおちゃんみたいに光りだしたよ?」

伊織「光線でも出すのかしら?」

春香「伊織ー! 雪歩ー! その魔怪獣からはなれてー!」

伊織「あ、ようやく来たわね」

雪歩「まかいじゅう……ってなに?」

千夏「伊織さーん! 雪歩さーん! その魔怪獣が出す光線に当たると、みんなリボンにされちゃうんですー!」

ブルーガンバー「ええっ!!」

レッドガンバー「なんだって!?」

リボン魔怪獣「サファイア!」カッ

雪歩「え?」

伊織「きゃあっ!」

ブルーガンバー「危ない」

レッドガンバー「うわあっ!」

春香「大丈夫!? 伊織、雪歩」

伊織「え、ええ」

雪歩「この人たちが、かばってくれて……ええっ!?」

ブルーガンバー「うわあああぁぁぁ!!!」

レッドガンバー「うわーーーっっっ!!!」

ボンッ
アイドルを庇い、リボンになってしまったブルーガンバーとレッドガンバー。

千夏「れ、レッドガンバーとブルーガンバーがリボンにされちゃった!」

伊織「そんな、これ演出とかドッキリじゃないの?」

雪歩「私たちをかばって……ご、ごめんなさい!」

ドドドドドドトドドドドドドドドド

イエローガンバー(虎太郎)「みんな、無事か!?」

千夏「イエローガンバー……レッドガンバーとブルーガンバーが」

春香「リボンにされちゃったんだよ」

イエローガンバー「えええぇぇぇっっっ!!!」

両手に、リボンとなったレッドガンバーとブルーガンバーを持つイエローガンバー。

イエローガンバー「ど、どーすんだよ! おまえらがこんなんじゃ、キングエレファンもマッハイーグルも呼び出せないじゃんか!」

ブルーリボン「そんなこと言ったって」

レッドリボン「しょうがないだろ」

イエローガンバー「いいっ!? しゃ、しゃべれんの?」

ブルーリボン「あ、ほんとだ」

レッドリボン「口もないのに、どっから声かでてるんだろうな」

春香「……と、こういう事らしいんだよ」

伊織「大魔界の魔導師が、人間界を混乱させている……ねえ」

雪歩「よくわからないけど、わかったよ」

イエローガンバー「とにかくここは俺がなんとか……千夏! あぶない」

千夏「え?」カシャッカシャッカシャッ

イエローガンバー「こんな時に写真なんて……間に合え!」

リボンの怪獣「サファイア!」カッ

イエローガンバー「うわあっ!」

ボンッ
イエローガンバーも、リボンとなってしまう。

千夏「ご、ごめんなさいイエローガンバー」

レッドリボン「お、お前だけがたよりなのになんでリボンにされちゃうんだよ!」

イエローリボン「なんだよ! お前もさっきはしょうがないって言ってただろ!」

ブルーリボン「2人ともケンカはやめなよ。でも、どうしたら……」

春香「ねえ」

イエローリボン「え? 春香さん?」

春香「さっきの駄菓子屋さん、リボンになっても中は甘かったりしてたよね」

千夏「そう言えばそうでしたね」

春香「じゃあもしかして……ごめんね、ちょっと我慢して」

伊織「春香? そのリボンを頭に……」

雪歩「?」

キュッ
ジャジャジャーン♪
リボンを結ぶとフラッシングが起こり、春香がガンバースーツを身にまとう。

イエローリボン「な、なんだあ!?」

春香「やっぱり。もしかしてあなたの力、リボンをつけたら使えるんじゃないかと思ったんだ」

イエローリボン「そ、そういうことか。けど、なんか誰かの頭にのっかってイエローガンバーの姿を見下ろすのってみょーな感じだな」

春香「あの魔怪獣、元々は私のリボンなんだ。だから責任をとって、私があなたの力で代わりに戦うよ」

イエローリボン「え? でもなあ……」

春香「大丈夫。こう見えてもレッスンで鍛えているから」

雪歩「……伊織ちゃん」

伊織「ええ。わかっているわ」

ヒョイッ

ブルーリボン「え? なになに?」

レッドリボン「い、伊織さん?」

キュッ
キュッ

雪歩「す、すごいですぅ。ほんとに変身しちゃいました」

伊織「私たちを庇ってくれたお礼とお詫びに、あなたたちに代わって戦うわ」

ブルーリボン「い、いいのかなあ?」

レッドリボン「女の子の、しかもアイドルの人に魔界獣と戦ってもらうなんて」

リボン魔怪獣「サファイアー!」

雪歩「い、伊織ちゃん! またあの光線がくるよ!」

伊織「え? きゃっ!」

春香「大丈夫!? いお……え? えええぇぇぇーーーっっっ!!!」

ビュン!

伊織「な、なに?」

雪歩「は、春香ちゃんが今、ものすごいスピードで通り過ぎちゃったけど……」

春香「な、なになになに!? なんでこんな速さで私、走っちゃってるの!?」

イエローリボン「は、春香さん! イエローガンバーの能力は『超スピード』なんだよ」

春香「え? そ、そうか、それでこの速さなんだ」

イエローリボン「ともかくさっきの場所まで方向転換しなきゃ」

春香「オッケー……ってきゃあ!」ドンガラガッシャーン

イエローリボン「……大丈夫かな、春香さん」

伊織「なるほど。つまりあなたたちには、それぞれ特殊能力があるわけね」

レッドリボン「そうです。俺の能力は『怪力』です」

伊織「へえ。じゃあ……」ムンズ

リボン魔怪獣「サァイア?」

伊織「こうやって放り投げたら……」ブンッ

リボン魔怪獣「さ、サファイアアアァァァーーーッッッ!!!」

ビューン……キラッ☆

伊織「……ほ、ほんとにすごいわね」

雪歩「空に飛んでいって、見えなくなっちゃっ……あれ? み、見える!?」

ブルーリボン「それがボクの能力『超感覚』だよ。視力と聴力がものすごくよくなるんだ」

雪歩「ほんとだ。すごくよく見えるよ。あ、落ちてきた」

ヤミノリウス「んん~? 魔怪獣め、どーこへ行きおった? ん?」

ヒュウウウゥゥゥンンン↓

リボン魔怪獣「ショ、ショーサ、シャアーッ!」

ヤミノリウス「ま、魔怪獣!? な、なんで上から」

リボン魔怪獣「ゲンソクデキマセーーーン!!!」

ヤミノリウス「うわあああぁぁぁーーーっっっ!!!」

ズガアアアァァァーーーンンン★★★

伊織「どう? 雪歩」

雪歩「途中で何かにぶつかって、ボロボロになっちゃったみたいだよ」

伊織「ふう。案外、楽勝だったわね。にひひっ!」

レッドリボン「まだだよ、伊織さん」

伊織「え?」

ブルーリボン「魔怪獣は、ヤミノリウスの闇の力でパワーアップしちゃうんだ!」

雪歩「えええ!?」

ヤミノリウス「お……おおお、おのれおのれガンバーチームめ。リボン魔怪獣!」

リボン魔怪獣「サファイア!」ビシッ

ヤミノリウス「魔怪獣よ、今こそ闇の力を解き放てーーー!!!」

春香「な、なにあのランプ!?」

伊織「空中に浮いてるランプに、魔怪獣が入って……」

雪歩「あっ、出てきた……ええっ!? 大っきくなって、姿も怖そうに!!」

「ヒメチャーン!」

『魔怪獣ムスビーメ』

ヤミノリウス「超魔怪獣ムスビーメよ、ガンバーチームをリボンにしてしまえ!」

伊織「ちょ、ちょっと! あんな大きいのとどうやって戦うのよ!?」

レッドリボン「伊織さん、ポケットにあるカードを腕のブレスに差し込んでください!」

伊織「え? あ、これ?」

イエローリボン「春香さん!」

ブルーリボン「雪歩さんも!」

春香「わ、わかった」

雪歩「これ……だよね?」

春香・伊織・雪歩「「スクラーンブル!」」

春香「ば、バイクが走ってきて……きゃ、あ! 乗っちゃった」

イエローリボン「そんでもってこのまま」

春香「ま、まだなにかあるの? あっ! 公園の遊具の下からトラの形をしたロボットが……もしかして」

ブロロロロロロン ガシャン

春香「バイクごと乗り込んじゃった!」

伊織「わ、私はこのバギーに乗れってこと?」

レッドリボン「はい、そしてあのキングエレファンに乗り込みます」

雪歩「こ、これに乗るんですか?」

ブルーリボン「大丈夫です。ボクを信じてください雪歩さん」

春香「私、ロボットの操縦なんてできないよ?」

イエローリボン「だいじょうぶだって! オレたちでも簡単に操縦できるんだから」

伊織「ふうん、確かになんとなくで動かせそうね」

雪歩「ちょ、ちょっと怖いけどやってみますぅ」

春香「よおし! いくよ、インベル!」

伊織「なによ? インベルって? 雪歩、知ってる?」

雪歩「……」ZZZzzz

伊織「ちょっと、なんで寝てるのよ!?」

レッドリボン「オレたちもサポートしますから、なんとかあの魔怪獣を倒しましょう」

伊織「そうね。春香と雪歩はちょっと頼りないけど、なんとかしなきゃ」

レッドリボン「責任感が強いと、色々苦労しますね」

伊織「まったくよね。ふふっ、あんたもいつもそういう役回りなんでしょ?」

レットリボン「時々、損してるなあと思います」

伊織「わかるわ。でも……嫌じゃないのよね」

レッドリボン「そうですね。はい! それもわかります!」

ブルーリボン「とりあえず操縦になれるまでは、一緒に行動した方がいいよ!」

レッドリボン「そうだな。合体しましょう、伊織さん!」

伊織「合体? この象や虎や鳥、合体できるの?」

春香「おもしろそう! ねえねえ、どうやるの?」

イエローリボン「そこのボタンを押すと、カードとコマンダーが出てくるから、カードをコマンダーに差し込むんだよ」

春香「こう……ね」ポチッ

パパラパパパッパラパパパパッパラー☆

春香「いくよ! カンバルガー、ミラクル合体!! いっけぇー!!!」

ガツシャアーン

雪歩「ほ、本当に合体しちゃった」

伊織「す、すごいわね。あ、雪歩! 春香!」

春香「なるほど、合体するとみんな一カ所に集まるんだね」

ブルーリボン「メインの操縦は春香さんです。雪歩さんと伊織さんは、サポートしながら操縦を覚えてください」

春香「よーし。頼むね、伊織! 雪歩!」

雪歩「わかりましたあ。あ、春香ちゃん、あの魔界獣が来るよ!」

春香「え? どこ?」

伊織「右よ、右。ほら!」

春香「了解! ここは、日頃のレッスンを活かしたこの身のこなしで……」

ドンガラガッシャーン☆

伊織「ちょっと、春香! なんでそんな所までいつも通りなのよ!!」

レッドリボン「だ、大丈夫かな?」

ブルーリボン「ちょっと不安になってきたけど」

雪歩「大丈夫だよ」

ブルーリボン「えっ?」

雪歩「春香ちゃんはね、ちょっとドジな所はあるけどやる時はやる、頼もしい娘なんだから」

レッドリボン「そ、そうなの?」

伊織「まあね。ほら春香、しっかりして私たちを嘘つきにしないでよ」

春香「痛たたたた。わ、わかってるよ。いくよ」

イエローリボン「春香さん、そこでレバー握って」

春香「こうだね! えい」

ボカッ

ムスビーメ「シュルシュル……」

ヤミノリウス「むむっ、危ないぞムスビーメよ。ここは距離をとって、戦うのだ」

ムスビーメ「ヒメチャーン!」

春香「ようやく感覚がつかめてきたのに、離れて……あっ!」

雪歩「春香ちゃん! あのビームがきたよ」

伊織「避けないと、このロボットまでリボンにされちゃうわよ」

春香「わかってるよ。え、えい」

ムスビーメ「ヒメ、ヒメ、ヒメチャーン!」

ビー! ビー! ビーム!

雪歩「ど、どんどんビームが来るよ」

伊織「ど、どうすればいいのよ。こっちはまだ慣れてないのに」

ブルーリボン「そうだ! 雪歩さん、胸のガンバーマークに『ゲキリュウガー、スクランブル』と言って触れてください」

雪歩「え?」

ブルーリボン「お願いします。急いで」

雪歩「よくわからないけど、わかりました。げ、ゲキリュウガー……す、スクラーンブル!」

ムニョッ

ブルーリボン「い、今、間近に雪歩さんの胸がむにょっ、て////」

キイィーーーン

雪歩「あ、あれ? 何か飛んできたよ?」

ブルーリボン「『転送』って言ってまた胸のマークに触れると、あのロボット『ゲキリュウガー』に移動できます」

雪歩「……え? それって、私が操縦するってこと?」

ブルーリボン「お願いします。このままだとガンバルガーが、リボン魔界獣に狙い撃たれちゃうけど、的が増えたら相手も迷うはずです」

雪歩「……わかった。私も迷わないで、がんばってみますぅ! 転送」

ポヨンッ

ブルーリボン「////」

一旦ここで、止まります。

参考映像
http://www.youtube.com/watch?v=8xc8AMKYe7k
馬鹿馬鹿しい楽しさとかっこよさ、それがガンバルガーです。

レッドリボン「ぼ、僕たちもいきましょう! リボルガーを呼び出すんです!」

伊織「え? まだ他にもロボットがあるの?」

レッドリボン「急いでください、伊織さん!!」

伊織「わ、わかったわ。同じようにすればいいのよね? リボルガー、スクラーンブル!」

むに

レッドリボン「////」

キーン

伊織「翼のあるライオン……あれがリボルガーね。じゃあ……転送!」

むにぃ

雪歩「えっと、こうだよね。ミラクルチェーンジ」

ブルーリボン「ゲキリュウガー、人型タイプに変形です」

レッドリボン「伊織さん、こっちも」

伊織「わかってるわ。ミラクルチェーンジ」

春香「おおっ、人型ロボットが三体も! えへへんっ! これなら的もしぼりきれないでしょ?」

ムスビーメ「ヒメ? ヒメヒメ?」

ヤミノリウス「かまうな、ムスビーメよ。ともかくガンバルガーを狙え」

雪歩「あ、あんなこと言ってるよぉ」

ブルーリボン「こんな時は、ウルトラガンバー忍法です」

雪歩「え?」

ブルーリボン「事前に組んだプログラムで、3体のロボットで忍法が使えるんです」

伊織「事前に組んだプログラムって、今からじゃ……」

ブルーリボン「大丈夫です。765プロのみなさんがライブをするって聞いて、みなさんの曲でプログラムを組みました」

春香「やったね!」

イエローリボン「よーす……ブルーさっすが。春香さん、いつものライブのつもりで動かせば大丈夫ですから。この忍法カードを入れてください」

春香「よーっし! ウルトラガンバー忍法『Do-Dai』!!」

ヤミノリウス「んん~? ガンバルガーとリボルガー、それにゲキリュウガーが踊り出したぞ?」

春香「本日はみんなに♪ 私のとっておきの必殺技を♪」

伊織・雪歩「食らわせてあげちゃうよ♪」

ムスビーメ「ひ、ヒメ?」

レッドリボン「やった! 踊りながら魔界獣をとりかこんだぞ」

ブルーリボン「さすが765プロのアイドル! 身のこなしがバッチリだよ!」

春香「突然囲まれちゃった♪」

伊織・雪歩「どーしよ♪」

ヤミノリウス「な、いったい、どうしろと?」

春香「戸惑っていたら♪」

伊織・雪歩「後ろから♪」

ガン★

ヤミノリウス「いきなり!?」

春香「突然なシチュエーション♪」

ヤミノリウス「ど、どーしよう!?」

伊織・雪歩「ドシロウト♪」

ゴン★

ヤミノリウス「あれはまるで三つ子のコンビネーションではないか」

春香「こんなチャンス♪ 逃がさないも~んっ♪」

伊織「武器の威力♪」

雪歩「全部かき集めて♪」

春香・伊織・雪歩「「何とかするべし♪♪♪」」

ヤモノリウス「むむっ? ガンバーソードを取り出しポパピプペ?」

春香「命中してくれ、ま・す・か♪」

バシーッ★

ムスビーメ「テンチョー!!!」

伊織・雪歩「「とにかく大成功♪ とにかく大成功♪」」

春香「攻ゲキ お・わ・りっ♪」

春香・伊織・雪歩「「いぇい♪♪♪」」

ムスビーメ「ヒラヒラ……」ヨレヨレ

イエローリボン「す、すげえ……」

レッドリボン「ガンバルガーやゲキリュウガー、リボルガーでこんなに歌って踊りながら攻撃なんて……」

ブルーリボン「プログラムした僕でも、びっくりだよ」

伊織「にひひっ。このスーパーアイドル伊織ちゃんを、なめてもらったら困るわよ」

雪歩「日頃のレッスンの成果ですぅ」

春香「さ! あの魔界獣が弱っている今がチャンスだよ」

イエローリボン「おう! 春香さん、グレートンガンバルガーに合体だ!」

春香「オッケー! いっくよお!! グレートガンバルガー、超ミラクル合体!!!」

パララパーパラッパッパー☆

春香「元気、爆発ですよ! 爆発!!」

伊織「え? ちよっ……ええっ!?」

雪歩「ゲキリュウガーさんの頭が飛んでって……きやあっ!!」

合体、グレートガンバルガー!

春香「あ、また戻ってきた! やっほー、伊織に雪歩」

伊織「春香……なにかするんなら、ちゃんと知らせてからにしなさいよ!」

雪歩「び、びっくりしたよお……あ、魔界獣がまた動き出すよ」

イエローリボン「春香さん、今のうちに必殺技を!」

伊織「待ちなさい! 春香」

春香「え?」

伊織「今日はアンタばっかり、目立ってるじゃないの。最後のトリは私に任せなさいよ!」

春香「えー。ここまで私がメインで操縦したんだよ? がんばって慣れたんだから、最後まで私が……」

伊織「いいから代わりなさいよ」

春香「いえいえ、ここは私が」

雪歩「えっと、こう?」

ブルーリボン「そうです」

春香「あ!」

伊織「え?」

雪歩「いくよぉ! ファイナルガンバーソード!」

春香「え?」

伊織「ちょっと!」

ムスビーメ「ヒメエエエェェェ!!!」

雪歩「グレートファイナルアターック!!!」

ムスビーメ「ローゼエエエェェェンンン!!!」

ドカーン☆
グレートファイナルアタックで、爆発する魔界獣。

伊織「ちょっと雪歩! トリはこの……」

雪歩「はい。操縦代わるね、伊織ちゃん」

伊織「え?」

レッドリボン「まだ一番最後に、勝ち名乗りがあるんですよ!」

伊織「そっか。じゃあ……いくわよ、元気爆発! ガンバルガー!!!」

ヤミノリウス「くうぅ~おのれぇ!」

闇の玉となり、飛去るヤミノリウス。

イエローリボン「やったぜ! いや~すげーな、アイドルって」

ブルーリボン「良かった。こた……イエローもアイドルの良さがわかったんだね」

レッドリボン「あ、またいつもの光が出てリボンにされてたものが元に……ああっ!」

伊織「どうしたの?」

レッドリボン「このままだと、元に戻って俺たちの招待がバレちゃう!」

春香「? 秘密なの? あ、でも私たち誰にも喋ったりしないよ」

ブルーリボン「い、いいえ! 僕たちには大魔界の呪いがかけられていて、招待がバレると……犬になっちゃうんです」

雪歩「い、犬!?」ビクッ

レッドリボン「あ、あ……だんだん体が元に……い、伊織さんこれで失礼します!」

伊織「え、ええ」

ブルーリボン「僕も! 雪歩さん、今日はありがとうございました!」

雪歩「うん。私も助けてもらって、嬉しかったよ」

イエローリボン「じゃあ俺も! またな、春香さん」

春香「うん! また会おうね」

ダッシュで駆け去るガンバーチーム。

春香「なんだか……嘘みたいだね」

伊織「え?」

春香「私たちが、ロボット操縦して街を守ったなんて」

伊織「そうね。でも彼らは……ずっとそれをやってるのね」

雪歩「偉いよねえ」

春香「さ、じゃあ騒ぎも終わったし改めてライブの用意だよ」

伊織「遅刻してきてリーダーぶるのもアレだけど、わかったわ」

雪歩「がんばろうね!」

春香・伊織・雪歩「「みんなー! 今日は本当にありがとー!!!」」

鷹助・百合香「「雪歩さーん」」

力哉・桂「「伊織さーん」」

千夏「春香さー……あれ? 虎太郎? ふーん、あんたアイドルには興味ないんじゃなかったっけ?」

虎太郎「うるせー。きょ、今日から俺はなあ、その……春香さんのファンになったんだよ」

千夏「ええーっ!?」

虎太郎「わ、悪いかよ……」

千夏「私も大ファンなんだ! 元気で、明るくて、ちょっとドジなところもあるけどそれも親近感があるじゃない!?」

虎太郎「お、おお……そ、そうだな。一生懸命で……すげーよな!」

千夏「うん!」

春香「じゃあみんな、次の曲にいくよー!」

伊織「今日は楽しんでいきなさいよ」

雪歩「Do-daiですぅ!」

一同「「待ってました!!!」」


~翌日~


千早「ロボット……?」

春香「まあ信じられないかもしれないけどね、私たちが街の平和を守っちゃったんだよ!」

千早「へえ……そうなの」

やよい「私も行きたかったですー!」

伊織「まあこの伊織ちゃんにかかれば、ヒーロー……じゃなくてヒロインもお手の物よ」

真「そんなことがあったんだ」

雪歩「ちよっとドキドキしたけど、最後の必殺技を出すときとかちょっと気持ちよかったかも」

真「いいなあ、ボクもやりたいなあ」

P「しかし……本当か? なんだか信じられないが」

春香「本当ですって!」

伊織「なんならまた、あの街でライブしてもいいのよ?」

雪歩「あ、それならまた行きたいな」

P「まあ、考えておくよ」

真「じゃあその時はボクが!」

やよい「私も行きたいですー!」

千早「そうね。私も行くわ」

P「よしよし」



ヤミノリウス「おのれおのれガンバーチームに765プロ、次は魔界獣『マナイータ』でやっつけてやるぞ。ハズラムサライアー!」


おわり

以上で終わりです。
ぜひやりたかった、元気爆発ガンバルガーとのクロス。ようやく書けました。
歌って踊って戦う巨大ロボットが似合うのはガンバーと思ったのと、大好きな作品だったので楽しかったです。
読んでいただいた方、ありがとうございました。

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