いろは「…あれ?もしかして比企谷せんぱいですか?」 (78)

八幡「あ?…えーと、一色、だったか?」

いろは「わー!本当にせんぱいだー懐かしい!」

八幡「一色…いろは?」

いろは「そうですよー。一色いろはです。せんぱいが高校卒業して以来ですから、3年ぶりくらいですね、久しぶりです」

八幡「お、おう…」

八幡(高校卒業後地方の大学に進学した俺が、高校時代の知り合いと会うのは本当に久しぶりだった)

八幡(つーか悠々自適なボッチライフを楽しむためにあえて遠いところにしたのに、まさか知り合いに会うなんてな)

いろは「ところで、もしかしてせんぱいが今日から新しく入る新人さんですか?シフト表に新しく比企谷って名前あったからまさかって思ったんですよー」

八幡「その新人は確かに俺だが…。つーかお前、よく俺のこと覚えてたな」

いろは「えー普通忘れませんよー?」

八幡「いや3年間も会ってなかったら結構忘れてるもんだけどな…。ていうかお前がこんなこじんまりとした本屋で働いてることが意外だ。オサレ()な居酒屋とかで働いてるタイプだったろ」

いろは「あー…。バイト先で言い寄られるのって結構めんどくさかったんだよね…ふったら波風立ちまくりで」ボソッ

八幡「なんか言ったか?」

いろは「いえいえ、なんでもー。まあ、ここって結構楽なバイトですし。個人経営だからシフトも融通利くんで」

八幡「いいことを聞いた、なんなら今すぐにでもシフト変更して帰りたいまである」

いろは「初日からそれって…」

八幡「俺のバックれたバイトは108まであるぞ」

いろは「何をそんな死んだ目で自慢げに言ってるんですか…あ、店長おはようございまーす」

八幡「おはようございます」

店長「おはよう。比企谷くん、今日からよろしくね」

八幡「っす」

店長「仕事は一色さんに教えてもらえばいいから。じゃあ、僕は裏で発注しとくね」

いろは「え、私が教えるんですか?」

店長「うん、よろしく」

いろは「えー…りょーかいです」

八幡「悪いが、よろしく頼む」

いろは「いいですけどー…。一応これからはここでは私が先輩ですよ?」

八幡「…すみません、よろしくお願いします一色さん」

いろは「あはっ、冗談ですよ~」

八幡「こいつ…」

いろは「せんぱいが後輩だーなんかおもしろ」

八幡「はあ…」

八幡(…今回は久しぶりに初日でバックてしまいそうだ)

―――初日のバイト終了

いろは「お疲れ様でした~」

八幡「お疲れ様です」

店長「はーいお疲れー二人とも気をつけて帰ってねー」

いろは「はーい」

八幡「っす」

いろは「せんぱいお疲れ様でーす」テクテク

八幡「おう、お疲れ。今日は色々と教えてくれてありがとな」テクテク

いろは「うわなんかせんぱいから凄い素直に感謝された気持ちわる。せんぱいそんなキャラでしたっけ~?」テクテク

八幡「相変わらずお前の素はえぐるようにくるな。俺だってもう21だ、仕事教えてくれる相手には素直に感謝ぐらいするさ」テクテク

いろは「あーそっかー私の一つ上ですもんね~21かー。あは、おっじさ~ん」テクテク

八幡「うっせ」カチッ、シュボ、スパー

いろは「え、せんぱい煙草吸うんですか?」テクテク

八幡「なんだその顔、いいだろ別に」テクテク

いろは「いえいいんですけど…そんなキャラじゃないくせになんか似合ってるのがムカつきますね」テクテク

八幡「そらどーも」フー

いろは「ふーん…別に褒めてはないですけど~」テクテク

八幡「………さよか」フー

八幡(帰省する度に平塚先生に居酒屋に連れて行かれて酒飲まされたり煙草吸わされたりしてたらいつの間にか自分で買うようになってたんだよな…)

いろは「………」テクテク

八幡「………」テクテク

いろは「……てかせんぱいなんでさっきから付いてきてるんですかストーカーですか?」テクテク

八幡「……言われると思ってたけどさ」フー

いろは「通報していいですか?」テクテク

八幡「待て待てただ帰る方向が偶然同じなだけだ、マジで。本当に偶然」テクテク

八幡(大事なことだから二回言った結果怪しさが増した気がするが)

いろは「えー…ほんとですかあ?」テクテク

―――帰り着いた結果

いろは「えっと…まじですか?」

八幡「マジらしいな…」

八幡(まさか同じアパートとは…なんだこの青年コミックっぽい安易なラブコメ展開は)

いろは「…何号室ですか?」

八幡「…201。一色は?」

いろは「202です。うわー…よく今まで気づきませんでしたね」

八幡「お互いな」

八幡(こんな近くに知り合いが住んでたとは…世間は狭いといってもこれはさすがにできすぎだろう)

八幡「てか202って…一昨日なんか痴話喧嘩っぽいのしてなかったか?」

いろは「あー…あれは別にそういうのじゃないですよ?」

八幡「そうなのか?」

八幡(なんかでも怒鳴り声(女)と泣き声(男)とか聞こえてきたような…)

いろは「なーんか勘違いされて~、一方的に言い寄ってきたんでちょっときつめに言っちゃったらあっちが泣いたっていうかーあはっ」

八幡「あはっじゃねえ…」

八幡(ゆるふわびっちキャラは健在か…)

八幡「あのな…あんま思わせぶりなことして男騙すなよ。お前外面だけはいいんだから」

いろは「なんですかそれ口説いてるんですかごめんなさい狙いすぎだし気持ち悪くて無理です」

八幡「…いつだったか同じようなこと言われたな」

いろは「そうでしたっけ?覚えてないです。それじゃーせんぱい、お疲れ様でーす」バタン

八幡「おう」

八幡(なんか今日は疲れたな…早よ寝るか)カチッ、シュボ、スパー

―――いろはの自室

いろは(せんぱい、変わったようで変わってたなかったな…)

いろは(あ、でも煙草くわえてる姿はちょっとかっこよかったかも。なんか渋くなったよね。でもちょっとおっさんくさいけど)クスクス

いろは「…今なら、あの頃言えなかったこと、いえるかな…」

いろは(あ、そうだもしかして煙草吸う人なら…)ガラガラ

いろは「せーんぱい♪やっぱりベランダで吸ってるんですね」

八幡「ゲッ」

いろは「うわ、失礼な反応ですねー」

八幡「……」スパー

いろは「無視ですかー」

八幡「……なんだよ、さっき別れたばっかだろうが」スパー

いろは「んー暇だったんでお喋りでもしません?」

八幡「悪い今からちょっとあれだから」

八幡(寝たいから)

いろは「なんですかあれってー」

八幡「あれはあれだよ、じゃあな」ガラガラ

いろは「つれないなあ」

もう書き溜め切れた
今からまた書き溜めます
ヒッキ―といろはすしか出てこないです、すみません

終わりまで書き溜めたので再開します

―――しばらく経ったある日、比企谷宅

八幡「今期あんま好きなアニメねーなあ…。ベランダで煙草でも吸うか」

八幡(俺の部屋の冷蔵庫にはMAXコーヒーがダース単位で保存してある。MAXコーヒーと煙草、これ最強)ガラガラ

八幡(MAXコーヒーで喉を潤して)ップシュ、ゴクゴク

八幡(煙草の苦みがいい具合にコーヒーの甘さと調和する)カチッ、シュボ、スパー

ガラガラ

八幡「ん?」

いろは「あー先輩コーヒー片手に煙草とかおっさんくさーい」

八幡「またお前か…」

いろは「その反応も毎度ですねえ」

八幡(最近になって、俺がこうしてベランダにでると何故か毎度こいつもでてくる)

八幡「……」スパー

いろは「……」チラッ

八幡「…何だよ?」

いろは「なーんでもないですよー」

八幡(そして俺のことをチラチラ盗み見ては物言いたげな顔をするのだ)

八幡「……言っとくけど煙草ならやめねえぞ。この件に関しては小町ポイントに既に甚大な被害を出したからな。もう誰にどう言われようと気にせん」

いろは「いや、別に何も言ってないですけど…」

八幡「…っそ」スパー

いろは「煙草吸ってる先輩の姿、結構好きですし」ボソッ

八幡「あ?」

いろは「なーんでもなーいでーす」

八幡「あっそ。ま、言いたいことあるなら言えよ」

八幡(聞くだけだけどな)

いろは「はーい。…そのうち、言いますよ」

八幡「そか」

いろは「はい」

―――バイトを始めてしばらく経ったある日

八幡「おはようございます」

店長「あ、おはよう比企谷くん。今日もよろしくね」

八幡「うっす」

店長「じゃ、僕は裏で発注しとくから…」

いろは「…店長って発注とか言って裏でずっと漫画読んでるんですよー」ヒョコッ

八幡「いきなり背後に忍び寄って耳元で囁きかけるな、野原さんちのしんのすけくんかお前は」

いろは「何言ってるんですかあ。可愛い可愛い後輩の一色いろはちゃんですよー。あ、ここでは私先輩でしたね」

八幡「…はあ。今日もよろしくな」

いろは「いぇっさー」

―――バイト終了

いろは「お疲れ様でーす」

店長「お疲れー」

八幡「お疲れ様です」

いろは「じゃーせんぱい、行きますかー」テクテク

八幡「は?そっち帰り道じゃねえだろ」カチッ、シュボ、スパー

いろは「まーた煙草…。そりゃそうですよ、だって今から飲み会ですもん」テクテク

八幡「そうか。いってら」テクテク

いろは「せんぱいと!」ピタ

八幡「は?」ピタ

いろは「本日二度目のは?いただきましたー」テクテク

八幡「………」スパー

いろは「せっかく同じバイト先になったんだし、仲良くしましょうよー。あ、せんぱいのコミュ能力を考慮して私と二人だけの飲み会なので安心してください」

八幡「………」スパー

いろは「お金なら、安い居酒屋だから大丈夫ですよー多分。二人で飲み放題にしても3000円かかりません。私出しますよ。せんぱい、お酒だめな人ですか?」

八幡「金は俺が出してもいいし、酒は嫌いじゃないが…」

八幡(飲みニケーションとかいう風習は嫌いだが)

八幡「やっぱり、俺が行く理由がないな」

いろは「こーんな可愛い女の子と飲み会ですよ?」

八幡「自分でいうかお前」

いろは「まあまあ。行きましょうよー」テクテク

八幡「…しょうがねえな」スパー

いろは「…!?」

八幡「なんでお前がびっくりしたような顔してんだよ。ほら、行くぞ」テクテク

いろは「あ、はい。せんぱい待って~」テトテト

―――とある居酒屋にて

いろは「おつかれさまでーす!かんぱい!」

八幡「…お疲れ。乾杯」

いろは「せんぱいテンションひくーい」ゴクゴク

八幡「俺にテンションを求めんな」グビグビ

いろは「そーでしたねー。せんぱいそーゆー人ですもんねー」

八幡「…うっせ」グビグビ

八幡(一色はスクリュードライバーか。いかにもだな)グビグビ

いろは「せんぱいってーそういえばどこ大ですか~?」ゴクゴク

八幡「K大だよ。あそこの3年だ」グビグビ

いろは「K大かー。いっしょです。学部どこですかー?」ゴクゴク

八幡「法文だよ」グビグビ

いろは「へーそうなんですかー法文」ゴクゴク

八幡「ああ」グビグビ

いろは「へー…」ゴクゴク

八幡「………」グビグビ、ップハア

いろは「………」ゴクゴク、ップハア

八幡「次、何頼む」

いろは「あー私カルーアミルクでお願いします」

八幡「はいよ。すみませーん、生中とカルーアミルクください」

ハーイ!

いろは「ていうか先輩、今日来てくれるとぶっちゃけ思いませんでした」

八幡「だろうな。俺もびっくりしてるんだ、ちょっと」

いろは「なんですかあそれ。意味分かんないですね」

八幡「…まあ、せっかく久しぶりに会ったのにろくに話もしなかったからな。一回ぐらいいいかと思ったんだよ。可愛い後輩の言うことだしな」

いろは「だ、だから狙いすぎで気持ち悪いんですって」

八幡「それはすいませんね。…つーかお前、もしかして酒弱いのか?顔赤いぞ?」

いろは「これが普通です!」

―――お互い10杯ほどグラスを空けた頃

八幡「…なあ」

いろは「なーんれすかー?」

八幡「そろそろいいだろ。お前見るからにやばいぞ、飲みすぎだ」

いろは「えーそんなことないですってー!」キャハハ

八幡「いや、明らかにお前つぶれる寸前だから。帰る準備しろ、送るから」

いろは「……」

八幡「おい?一色?」

いろは「なあんかせんぱいってえ、ちょっと変わりましたよねえ。物腰が大人っぽくなったっていうかあ」

八幡「…そうか?そうでもないだろ」

いろは「ある意味昔から大人っぽくはありましたけどお、なあんか捻くれてる部分がなくなったっていうかあ」

八幡「まあ、21にもなりゃな。ちっとは変わるさ」

いろは「へええ。……ねえ、せんぱい。私ね、ずっとせんぱいに伝えたかったことがあるんです」

八幡「……なんだよ?」

八幡(まさか告白か?なんて期待をするような俺ではない。そこら辺の心構えは高校時代から変わらずだ)

いろは「……ありがとうって、ずっと言いたかったんです」

八幡(だが、一色の口から出た言葉は完全に俺の予想外だった)

いろは「せんぱいがあの時ああしてくれなかったら、きっと私の高校1年のときの思い出って、いや~な思い出が大きくなったと思うんです」

いろは「周りの子たちにいいようにハメられて、いやいや生徒会長やらされて、仕事やらされて」

いろは「きっと、すごくつまんなかったと思います、それ」

いろは「…でも、せんぱいのおかげで、やる気になって生徒会長ちゃんと頑張れたし、高校生活もすっごく楽しかった!だから、ありがとうございます」

八幡「…あの時、生徒会長になるって、最終的にちゃんと決めたのはお前だ。だからお前が高校生活楽しめたのは、お前自身のおかげだろ」

いろは「それでもです。私が私の主観でせんぱいに感謝したいと思ってるからこれでいいんです。私の感謝、ちゃんと受け取ってください」

八幡「……そうか、どういたしまして」

いろは「それでいいんですっ。…やっと言えましたー前、再会したときから言おー言おーとは思ってたんですけど。お酒の力って便利ですねっ」

八幡(そう言って照れるように笑った一色は、いつだったか俺の話に乗ると決めた時のように可愛らしいものだった)

―――居酒屋からの帰り道

八幡「ほら、お前ふらふらしてんぞ…しっかり歩け」

いろは「まっすぐ歩いてますよ~?」フラフラー

いろは「あ、そういえばさっき、私が話があるって言った時、せんぱいもしかして告白されるかもなんて思っちゃいました~?」クスクス、フラフラー

八幡「んなわけねえだろ」

いろは「えー全然勘違いしてくれないのもそれはそれで私のプライドが~」フラフラー

八幡「だからまっすぐ歩けって。…ったく、ほら肩貸すから掴まれ」ヒョイッ

いろは「っ……はあい」

八幡「ん?おい、お前まだ顔真っ赤じゃねえか、ったく、やっぱ飲みすぎなんだよ」

いろは「……私の方が勘違いしますよこれ」ボソッ

八幡「は?なんか言ったか?」

いろは「おんぶしてって言ったんです~。足もう疲れた~」

八幡「お前学校とバイト以外全ての時間部屋に引きこもってるインドア大学生なめんな。ほら、行くぞ」

いろは「はーあーいー」



いろは(何年か越しにやっと自覚した私のこの恋心を伝えることができるのは、もうちょっと先の話)

だいぶ強引というか雑な感じですみませんがこれで終わりです
見てくれた人ありがとう
いろはす可愛いよね

おつ
大変良かったので続編の制作と過去作品名の開示を請求します

>>48
ありがとう
続編は未定だけど今週中くらいに書けたらいいな
過去作品はなしです。これでやっとss童貞捨てました

どうもショコラがフラッシュバックするな
ギガーか?

>>55
あー自分でもベランダのとこはなんか既視感持ちながら書いてたけどこれ完全にショコラやね
すっきり

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