アカギ「ククク……ポケモンでハワイだ…」(210)

風に舞う一枚のチラシ……

神の見えざる力で引き寄せられるかの様に……

とある少年の元へ……!

少年「……」ピラ

チラシ『ポケモンワールドチャンピオンシップス 開催地:ハワイ』

開催地…ハワイ……!

地上に残された唯一の理想郷…ハワイ……!

少年「ククク……」

後にポケモン界を震撼せしめる少年……赤木しげる…

……これがその始まり

アカギ「ククク……ポケモンでハワイだ……」

アカギ…早速近所のソフマップへ……

そして見つける……

棚に陳列された廃人への片道切符……ポケットモンスターBW2

だが……!

アカギ「……」テクテク

アカギ意外にもこれをスルー……!

店員「アリャットーシター」

まさに狂気……!

店を出たアカギが手にしたのは……ポケットモンスター『赤』……!

赤木の……『赤』……!

アカギ「ポケットモンスター赤木」ニヤ

アカギ、無法の一人ボケ……!

---ジャパンカップ当日

ハワイへ行くための第一関門…ジャパンカップ…

上位2名のみが日本代表としてハワイへの切符を手にする狭き門…!

欲望渦巻く幕張メッセに、アカギが降り立った…!

アカギ「……」

このときアカギはポケモンを数分プレイし、

オーキドから「ポケモンを持たずに草むらに入るな」という簡単な説明を受けただけで

ポケモンバトルなど一切知らない、ド素人以前の状態だったという……

黒服(スタッフ)「大会にエントリーされる方ですか?」

アカギ「ああ…」

黒服「では、こちらに必要事項を記入して下さい」

アカギ「はいはい…」カキカキ

このときアカギ意外に素直

男A「ボーマンダ!流星群だ!」

男B「ハッサムに交代!」

アカギ「……」ジー

他の参加者の試合を見物するアカギ……

そして……

アカギ「!?」

アカギ、その類稀なる感性で微かな違和感に気付く……!

①なんか過去に自分がプレイしたポケモンより画面が綺麗(白黒じゃない)

②なんかゲームボーイの形が違う(画面二つ)

この二つの符号が意味するものはひとつ……!

???「ちょっとトイレに行ってこようかな……」スッ

荷物をその場に残し席を立つ男……

無用心…!

アカギ「……」スッ

アカギ、ソフトごとDSを奪取……!

これじゃ泥棒……!

アカギ「……」スッ

なんとアカギ自分のGBを荷物へ投入……!

無法の免罪符……!

格差の等価交換……!

アカギ「……」ダッ

一目散にその場を離れるアカギ……人混みの中へ消える……

他の参加者のバトルを見て大まかなルールを理解した孤高の天才アカギ

使用するポケモンを選ぶため、入手したROMを起動……!

『つづきから カイジ プレイ時間999:59』

『4V2Uラティオス』

『5V1Uメタグロス』

『めざ草ニョロトノ』

アカギ「ククク…なるほど……凡夫だ…」ピコピコ

『ラティアス達をまとめて逃しますか?』

アカギ「人をはめることばかり考えてきた人間のボックス…痩せたポケモン…」ピコピコ

『ばいばい ラティオス達』

悪魔…!!

ついに廻って来たアカギの番…

黒服「それではアカギさん、スタンバイお願いします」

アカギ「ああ……」

結局アカギが選んだポケモンは

『スピアー』
『クイタラン』
『ゴローニャ』
『リーフィア』
『バイバニラ』
『カモネギ』

ゴミ……!!

黒服「ここにDSをセットして下さい」

アカギの初バトル……

アカギの前には最初の供物…生贄…

黒沢「よろしくお願いします」

アカギ「よろしく……」

黒服「それでは、バトル開始!」

ついに始まる…最強伝説アカギ……!!



アナウンス『ピンポンパンポーン』

アナウンス『伊藤カイジ君のDSを見つけた方は至急係の者へお知らせ下さい』

今回のジャパンカップ…

蓋を開けてみればアカギ怒涛の16連勝……!

参加者100万人を押し退け、決勝進出……!

この時点でハワイ確定……!

アカギ「……」ニヤ

アカギうれしそう…!

しかしここで不可解な疑問……

何故あのゴミポケ共でアカギはここまで勝ち残れたのか……?

黒服(実況)「いやーアカギ君のバイバニラはすごいですねー」

黒服(解説)「はい。なんせ先制の爪の発動率と絶対零度の命中率がここまで10割ですからねー」

狂気の沙汰……!!

ついに決勝戦…これに勝てば日本最強…!

黒服「準備はいいですか?」

カイジ「ああ…始めてくれ…」

アカギ「いつでもどうぞ…」

黒服「決勝戦!赤木しげるvs伊藤開司!ファイッ!」

テレレレレレレレ…

アカギ画面『えんどう が しょうぶ を しかけてきた !』

カイジ画面『カイジ が しょうぶ を しかけてきた !』

カイジ「!?」

カイジ「お、お前~~~…!」ガシ

アカギ「ククク…どうしました…『えんどう』さん…」

カイジ「これ…これは俺の……!」

黒服「何をやっているんだ!離れろ!」ガシ

カイジ「こいつ…盗んだんだ…!俺のROMを…今日のために地下でコツコツ育てた俺のポケモン達を…!」

ざわ… ざわ…

試合一時中断…!

ざわ… ざわ…

アカギのROMを調べるカイジと黒服……

カイジ「いない…!俺のメタグロス…バンギラス…!マルチスケイルカイリューも…!」

カイジ「半分以上逃がされてやがる……!」

アカギ「ククク…元々これは俺のROM…最初からそんな奴らはいなかったのさ……」

白を切る悪魔……!

黒服「アカギ選手のROMが自分のROMだと証明できなければ」

黒服「相手の戦術を盗み見る行為と見なし、カイジ、お前を失格にするぞ!」

カイジ「ふ…ふざけるなよ…!戦争だろうが…」

カイジ「疑ってるうちはまだしもそれを口にしたら…戦争だろうがっ…!」

アカギ「あらら…」

カイジ「そ…そうだ…育て屋だ…!」

カイジ「俺は育て屋に6vメタモンとロトムを預けている…!」

アカギ「?」

黒服「ふむ、それが確認出来れば、これがお前のROMだと認めて」

黒服「アカギを失格にする!」

アカギ「!」

このときアカギに電流走る…!

アカギ「…」バッ!

カイジ「あ」

刹那…ROMを奪い取るアカギ…そして……!

パ キ ッ

カイジ「あ…ああ~~~~~…!」

アカギ…ROMを割る…!!

違法ダウンロードのことではない…!

物理的にROMを割る暴挙……!!

物理割れ厨……!!

これでは検証のしようがない……!

アカギ掴む…失格を躱す無法の理…!

黒服「カイジ選手!不戦勝!」

勝負有り……!

優勝カイジ

準優勝アカギ

二人揃ってハワイへ……!

黒服「Congratulation…!」

黒服「Congratulation…!」

黒服「おめでとう…!」

黒服「おめでとう…!」

すべてのポケモントレーナーに……おめでとう……!

第一部 ジャパンカップ編 完

栄光と破滅の交差点…ポケモンワールドチャンピオンシップス…!

ここはその開催地…常夏の楽園ハワイ……!!

今、その大地に二匹の魔物が降り立った……

カイジ「ついたぞ…ハワイだ…!」

アカギ「……」ウキウキ

幕張での死闘後、二人は何故か意気投合……

優勝賞品のBW2を二人で分け合い、今日までポケモンを語らい…共に励む仲…

カイジ「まずは…ホテルへ向かおう…!」

アカギ「……」ウン

---全世界から群がった廃人共の負のオーラ漂うホテル

カイジ「俺達の試合は明日だ…それまで自由行動にしよう…!」

アカギ「……」ヤッタ

アカギと別れたカイジ……部屋に篭り最後の調整……

戦術の推敲……勝利への飽くなき執念……!


一方アカギ……猛ダッシュでビーチへ……

無表情でハシャギ狂う……自己の開放……!

そして翌日…血で血を洗い…魂を擦り減らす…狂気の宴……

ポケモンワールドチャンピオンシップス…当日……!

がっ…!

カイジ「あいつ…どこにもいねぇ…!」

カイジ「俺のROMを持って…どこかへ消えやがったっ…!」

アカギ消失……!

カイジのROMもろとも消失……!!

たまらなく焦るカイジ……!

覚めない悪夢……疑心に満ちる心……

カイジ「…はっ!ひょっとして…もう会場に向かったんじゃ…!」

カイジ藁をも掴む思いで会場へ……

---全世界から群がった廃人共の死臭漂う会場

カイジ「はぁ…はぁ…」

会場の隅々まで探索するすカイジ……だがっ……!

カイジ「うっ……ううっ……」ボロボロ

遂にアカギ現れず…!

それもそのはず……何故ならアカギは……!

アカギ「ククク…」ビュイーン

ここ……!!

飛行機の中……!!

日本へ帰る飛行機の中……!!

家族との絆を一つにし、ポケモンを育ててきたちびっ子…

勉強、仕事を返上し、卵を産み続けた大きいお友達…

そんな彼らが、夢焦がれたポケモンワールドチャンピオンシップス…

ポケモンファン夢の舞台……それを……

あろうことか放棄……!!

常軌を逸したドタキャン……!!

アカギ「クク…どうするんだ…この木刀…」ブンブン

アカギ機内でお土産の木刀を振り回す……!

迷惑……!

そもそもアカギの目的はハワイでのバカンス……

それが達成されれば…ポケモンバトルなど用済み……!

しかし……

アカギ「ポケモン…面白い……狂気の沙汰ほど面白い……!」ピコピコ

アカギ、ポケモンを気に入る……

機内でプレイ……音量MAX……

迷惑……!

アカギ…ポケモンに熱中…

アカギ「へぇ…6vか……」ピコピコ

ポケモンはその面白さ故…幾人もの人生を喰い物にしてきた魔物……

例えばアカギがポケモンではなく……麻雀……!

仮に麻雀に興味を示していたのなら……

アカギは間違いなく、裏社会の伝説として君臨したであろう……!

ポケモンが麻雀界の逸材を奪ったのだ……!

アカギ「今度は素早さ逆vか……」ピコピコ

少女「…あ、あの!」

アカギ「?」ピコピコ

少女「き、機内でそんな大音量でゲームをしたら、他のお客さんに迷惑ですっ!」

注意されてしまったアカギ……

アカギ「あらら…」パタン

このときアカギ以外に素直……

アカギ「これ……」スッ

少女「え…?」

アカギ「やるよ……」グイグイ

なんとさっきまで遊んでいた自分のROMを差し出すアカギ……!!

少女へのサプライズプレゼント……!

常人には理解不能……!!

少女「でも…私ゲームしたことないし…」

困惑する少女……

アカギ「俺はROMをもう一つ持ってるから……」

微妙に会話が噛み合わないアカギ……

しかもそれはカイジのROM……!

少女「で…でも」

少女姉「おーい、咲!何をしている、早くこっちに来い!」

咲「あ、お姉ちゃんが呼んでる…」

アカギ「……」

咲「……」

咲「じゃあ、このゲーム貰ってくね……」

咲「ありがとう……」タッタッタッ

アカギ「ククク……」

後に咲と呼ばれたあの少女は…ポケモン界で『魔王』の称号を手にし……

アカギの前に立ちはだかる……!

アカギがそのことに気付いていたかは定かでは無い……

もし、咲がポケモンではなく麻雀を好きになっていたら……

間違いなく麻雀界の魔王となっていたであろう……

ポケモンが麻雀界の逸材を奪ったのだ……!

一方その頃……

カイジ「くそっ…くそっ…何で俺ばっかり…こんな目に……!」ボロボロ

カイジ号泣……

人目も憚らず大の大人が号泣……

たかがゲームごときで号泣……

これには現地のハワイアンも失笑……

ハワイアン「HAHAHA!」

???「む?君は我が国の代表…カイジ君ではないかね?」

カイジ「あっ…あんたは……!」

まさに僥倖……!

カイジの前に現れた人物……

それは……!

ジュンイチロー「そんなに泣きじゃくって、どうかしたのか?」

カイジ「小泉ジュンイチロー元総理……!」

ポケモンワールドチャンピオンシップス……

それはまさに各国の威信をかけて戦う場所……戦場……

当然応援に来る…各国のお偉いさん……!

カイジ「……!……!」カクカクシカジカ

事のあらましを説明するカイジ……

ジュンイチロー「話は分かった…」

ジュンイチロー「カイジ君、君にこれを託そう」スッ

カイジ「こ…これはっ……!」

カイジ驚愕……

手渡された『真っ白』なROM……

ただのポケットモンスターホワイトではない……

総理専用ROM…ポケットモンスター『純白バージョン』……

その名も『ポケットモンスタービギニングオブザコスモス』……!

カイジ「うっ…」ボロボロ

カイジ感涙……

カイジ「ありがとうございます……ありがとうございます……」ボロボロ

ジュンイチロー「もう泣くなカイジ君。君は国民の期待を一身に背負った戦士(ポケモン廃人)だろ」

カイジ「はい……!」ボロ…

ジュンイチロー「さあ行け!世界に日本男児のポケモン魂をしらしめてこい!」

カイジ「はい……!」タッタッタッ

カイジ駆ける…未来はカイジの手の中……!

数日後……

波乱に満ちたポケモンワールドチャンピオンシップスは

カイジの優勝で幕を閉じた……

小泉ジュンイチロー元総理……

彼も本来なら麻雀でライジングサンとかをしていたはずの人物……

ポケモンが麻雀界の逸材を奪ったのだ……!

これはアカギとポケモンの数奇な運命……

そしてその運命に翻弄された麻雀界の逸材(になる予定だった人)達の物語……




後に語られる狂気のポケモンバトル……

雀卓を囲んだアカギ・カイジ・咲・ジュンイチローによる狂気のポケモンバトル……

その行く末を、このときアカギ今だ知らず……!

                               おわり

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年06月03日 (金) 13:01:01   ID: NQOvuGTj

アカギSSもっと増えてほしいなぁ

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