咲「野球って楽しいよね。安価でいっしょに楽しもうよ!!」(370)


俺の名前は須賀京太郎。
小学校中学校と野球をしてきたけど、なかなか結果が出なかった。
どこからも声が掛からず、仕方なくここ清澄高校に入学した――――

京太郎「日替わりのレディースランチはやっぱり美味いな」

同中の宮永咲にお願いしてレディースランチを注文してもらい、PSPでプロスピに興じながら優雅なランチをしていると――

咲「京ちゃん、野球やるんだ……」

京太郎「あれ? 咲も野球やるのか」

咲「うん……でも、親族での野球大会で散々な目にあったから……」

咲(だからもう野球はやらないんだ……)

咲(そうだ、高校では漫画研究会に入ろう)

咲(それで友達を作って、楽しいオタクライフを過ごすんだ!)

京太郎「ようし、じゃあ一緒に野球やろうぜ!」

京太郎「ちょうど部員も足りてなかったし!」

咲「え、ええ~~~~~!?」

京太郎「一緒に全国目指して頑張ろうな!!」

咲(漫画研究会に入りたかったでやんす……)


【6月14日(木)】

[部室]

京太郎「メンバーを連れてきたぞー!」

和「お客様……?」

咲「さっきの――」

京太郎「え、、おまえ和のコト知ってんの?」

和「先ほど橋のところで本を読んでいた方ですね……」

咲「ぅひっ、見られてたんですか……?」

咲(ま、マリみては、一般人の人に見られてもセーフだよね……?)


京太郎「和は去年の中学大会のベストナインなんだぜ」

優希「すごいじょ!」 ドーン

咲「いたた……」

優希「のどちゃんはホントにすごいんだじょ!」

優希「ベストナインってことは最強の中学生捕手だったわけで!」

マホ「左利きなのに、それを感じさせないほどのデータ野球の申し子って言われてるんですよー」

優希「しかも御両親は検事さんと弁護士さん」

優希「男子にもモテモテだじぇ」

京太郎「誰かさんとは大違いだな!」

咲「む」


京太郎「そういえば、部長は?」

京太郎「咲に挨拶させようと思ったんだけど……」

まこ「デートしてから来るそうじゃ」

咲「あ、えっと……」

まこ「わしは野球部副部長染谷まこじゃ」

まこ「ポジションはセンターを守っちょる」

咲(先輩かぁ……)

咲(野球部の先輩って怖いイメージがあったけど、この人はそんなに怖くないかな……)

まこ「んでこっちが……」

優希「片岡優希! のどちゃんと同じ1年生の期待の星だじぇー!」

優希「のどちゃんと同じ中学校で、エースを務めてたんだじぇ!」

優希「のどちゃんとは夫婦の仲ってやつだな!」

優希「つまり私こそ清澄の最強投手というわけだじぇー!」

ムロ「毎回5回に捕まって炎上してましたけどね……」


咲「ええっと……」

ムロ「ああ、私は室橋裕子といいます。ムロと呼んで下さい」

ムロ「それで、こっちが夢乃マホ」

マホ「よ、よろしくおねがいしみゃす!」

京太郎「あ、噛んだ」

ムロ「私がショートで、マホはセカンドを守ってるんですよ」

咲「そうなんですか……」

ムロ「ああ、敬語はいいですよ、私達後輩ですし」

咲「えっ?」

優希「野球部は人数が足りないから、同じく人数の足りない我が母校から人を借りてるんだじぇー」

咲「ええええーーー!?」 ドーン


優希「まあ、ムロマホコンビを入れても9人いないんだけどな!」

咲「そ、それはかなりの大問題なんじゃあ……」 タラリ

優希「まぁ、いざとなったらこっそり参加させても多分バレないじぇー」

ムロ「まぁ、練習試合くらいなら……」

優希「ダイジョブダイジョブ、公式大会も今は色々ザルだからなんとかなるじぇ」

優希「男女混合大会になったばかりで、色々てんやわんやだしなー」

咲(大会、出る気なんだ……)

優希「そういえば、えーっと……」

咲「あ、咲です。宮永咲」

優希「咲ちゃんはどこ守ってるんだー?」

咲「えっと、一応>>9を……」

セカンド

マホはコンバートか


咲「セカンドです」

マホ「が、がーん! かぶってます! マホ、レギュラー剥奪のピンチです!」

ムロ「いや、そもそも本来なら私達は高校野球はまだ参加出来ないんだってば」

優希「しかしまー、即答出来るってことは、一応そのポジションで定着してたってことかー」

京太郎「咲とマホちゃんのセカンド争いかぁ……どうなることやら……」

ムロ「何にせよ、これで8人。一歩大会に近付きましたね」

咲(まだ入るなんて言ってないんだけど……)

咲(でも、この調子じゃ、試合することなんて多分ないよね……)

咲(フリーバッティングの時の守備くらいなら、お手伝いした方がいいかな……)

咲(バッティングは嫌いだけど、守備自体は好きでも嫌いでもないし……)

咲(何より京ちゃんに嫌われたら、ご飯を食べる場所がいつもの河原かおトイレしかなくなっちゃうよ……)

咲(その河原も、野球部辞めたら原村さんから隠れるために使えなくなるかもしれないし……)

咲(あんまり無碍には辞められないよね……)


京太郎「でも、戦力になるとは思えないけどなー。咲は何やらせてもダメだからなァ」

京太郎「でもいないよりはマシか」

ムロ「まぁ、下手くそなのは私達も同じですしね」

優希「ま、守備なんてその内上手くなるじぇー」

優希「それに私が後ろにボールを飛ばさなきゃいいだけだしなっ」 ドヤッ

和(今までの投球内容でどこからその自信が湧いてくるんでしょうか……)

優希「そんなわけで大事なのはバッティング!」

優希「今から咲ちゃんのバッティングを見させてもらうじぇー!」

咲「えっ」


[グラウンド]

優希「勝負は3打席でいいなー?」

京太郎「見てるだけってのも暇だし、俺らも守備つくかー」

優希「咲ちゃんは素人っぽいし、多分そんなに打球も飛ばないだろーから……」

まこ「外野はなしでええかのう」

ムロ「一塁と三塁に染谷先輩と須賀先輩に入っていただいて……」

優希「投手は勿論この私だじぇー!」

咲(うぅっ……なんでこんなコトに……)



打 宮永(清澄高校)   VS   投 片岡(清澄高校)


和(優希は常にパワーピッチしかしませんからね……)

和(インコースを指定して体に当てでもしたら困りますし……)

和(打たれても宮永さんの打力を見るためと割りきって、ど真ん中を要求しましょう)

優希「喰らえ、必殺タコスボール!!」

咲(わあ、これ、ナックルだよね……?)

咲(すごいなあ、ナックルなんて投げられるんだ)

バシーン!

和「ストライクですね」


咲「はい」

和(いきなりナックルだなんて……)

和(とりあえずストレートに対応できるか知りたいですし、今度こそストレートを……)

優希(むー……しょうがないじぇー。ここはのどちゃんを立てて……)

優希「せいや!」

咲(おっそ。しかもど真ん中……打ちごろだけど……)

バシーン!

和「……ストライク、です」

京太郎「おいおい、振らなきゃ当たらないぞ」


優希「せいや!」

咲(京ちゃん、油断してる……)

咲(ファーストはキャッチングが求められるから、初心者じゃないナントカ先輩をファーストに置いたみたいだけど……)

咲(普段ライトを守っている京ちゃんにとって、サードはよく分からないはず)

咲(普段とはバッターボックスを見る角度も違ってるし……)

咲(それに、グラウンドも整備されてない……)

咲(ストレートの回転具合から見て……)

咲(そいっ……股間!)

カン

京太郎「お、当てたか……ひぎっ!?」 ドガッ

優希「うわっ金的」

マホ「い、痛そうですね……」

京太郎「イレギュラーバウンドぉぉ~~~……」

咲「えと……完全に打ち取られたあたりでしたけど……」

和「……記録は、エラーですね」


バシーン!

和「ストライクです」

咲(京ちゃんはまだ股間が痛くて動きが悪い……)

咲(サードに打ったら内野安打になりかねないかな……)

咲(マホちゃんはさっきから誰かの真似なのか、変なシフトを敷いてる……)

咲(何か変な感じがするし、手を出すのは怖いかな……?)

咲(室橋さんは、高校生に比べたら見劣りするけど、中学生にしちゃしっかりと動けていた……)

咲(さっきも反応自体はよかったし……)

咲(……室橋さんとメガネの先輩だったら、室橋さんの方を贔屓したくなるかなあ)

咲(それに、メガネで顔を覆っている分、メガネ先輩の方がダメージは少ないよね……?)

咲(あの人の方が反応がいい分打球は強めになっちゃうけど……)


咲「えいっ」

カン

まこ「は?」

ドグシャアッ!

京太郎「が、顔面強襲……?」 ゾゾゾーッ

マホ「そ、そそそ染谷先輩大丈夫ですか!?」

まこ「な、なんとか……」

ムロ「は、鼻血出てますよ! ティッシュ取ってきます」 タッタッタッタッタ……

和(またエラー、ですか……)


まこ「よし……ティッシュも詰めたし、再開といこうかのう」

咲「え、まだやるんですか」

まこ「当たり前じゃ。この丁度でへたっとったら広島じゃ生きていけんわ」

咲「でも、メガネ割れましたし……」

まこ「心配いらんよ。予備のメガネを持ってくるよう部長にメールしたき」

まこ「それに、迫る打球は目を細めれば見えるしのう」

咲「でも、危ないんじゃ……」

優希「ところがどっこい、染谷先輩はメガネを外すと守備が上手くなるんだじぇー」

まこ「視界がぼやけるおかげで、打者の動きが過去に見た近いデータとダブるんじゃ」

まこ「そいでそのデータにおける打球方向に予め移動することで鉄壁の守備を誇っとるんよ」

京太郎「つーわけで、次こそ頑張れよ、咲」

咲「う、うん……」

京太郎「もう当てるのは勘弁してくれよ?」

咲「わ、わかってるよ!」

優希「ま、このタコストレートの威力に負けて守備位置に打たされるのはしょうがないことではあるじぇ!」


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 

和「……またファールですね」

優希「むぅ、咲ちゃん意外に粘るじょ……」

咲(困ったなぁ。メガネ先輩が予想以上に鼻血を吹いたせいで、皆気合を入れ直しちゃったよ……)

咲(強襲の打球を意識してるし、エラーさせるのは難しいかなぁ……)

優希「今度こそ、うりゃあ!」

カン

まこ「見事に後ろに飛んでったのう」

ムロ「ファール、多いですね」

優希「ならば……くらえ、タコスボール3号!」

バシーン!

優希「咲ちゃん手が出なーい!」

優希「見逃し三振バッターアーウト!」


和「いえ、これは……」

和「ボール1個分外れています」

優希「え……」

和「ボール……」

咲「フォアボール、だよね」 ニッコリ

優希「ちぇー。不完全燃焼だじぇー」

京太郎「しっかし咲の打撃はパッとしませんなー」

優希「バットに当てることはできるみたいだけどねい」

和「…………」

咲「うん、全然打てなかったよー」

咲「最後のも打てそうになくて見送ったらたまたまボールになっただけだし……」

咲「優希ちゃんって凄いね」 ニッコリ

優希「ふっふっふ、私の凄さが分かったかー!」


ポツ……ポツ……

ムロ「ん?」

ザーーーーーーーーーーーーーーー

和「……夕立きましたね」

まこ「のんきこいとらんと、ボール片付けてさっさと部室に避難じゃ!」

優希「やっぱり練習場はドームである必要があるじぇ……」

まこ「どこのブルジョワじゃ」

ムロ「でも、去年の代表校龍門渕高校は屋根付きって聞きましたよ」

優希「むう、うちも導入してもらうじぇ!」

まこ「アホなこと言うとらんと、さっさと拾う!」


[部室]

ムロ「いやー、災難でしたね」

優希「のどちゃんスッケスケでセクシーだじょ」

京太郎「何だとお!?」

優希「馬鹿犬には見せてやらないじぇー!」

和「最低です……」

ガチャッ

久「いやー参った。いきなり降りだしてくるなんて。傘持ってきてないわー」

咲「えっ、生徒会長!?」

久「んー?」

久「この学校では生徒会長じゃなく学生議会長ね」

和「野球部のキャプテンなんですよ」


咲「何で野球部に……」

久「野球が好きだからに決まってるっしょ」

久「あなたが新入部員ね」

咲「ども……」

久「どう? とりあえず仮入部みたいな感じで体験してもらったと思うけど……」

久「人数足りないけど、正式に入部してくれる気になった?」

咲「え、えと……」

咲「す、少し考えさせて下さい……」

咲「あ、も、もう雨ですし、練習出来ないでしょうから、これで失礼しますね!」

ドヒューン!

京太郎「あ、おい咲、傘持ってなかっただろ、送って……って、もういねぇ」

優希「行っちゃったじぇー」

まこ「シャワー浴びていけばよかったのにのう」

和「嵐のような人でしたね……」


優希「しっかしのどちゃんのキャッチングは相変わらずすごいじぇー」

京太郎「へっぴり腰で危なっかしいスイングいっぱいされてたのに、優希のナックル全部キャッチするんだもんなぁ」

マホ「そのうえしっかりボールを見て球審まで務めるなんてさすがです!」

久「そういえば、あの娘のバッティングどうだったの?」

久「まこがメガネを壊されたってのはメールで聞いたけど」

まこ「快心の当たりってわけじゃなかったのに、どうも避けられなくてのう」

まこ「変なミートしとったから、おかしな回転かかっとったんじゃろう」

まこ「まさか打球が変化するとは……」

まこ「まぁ、メガネ代を盾にあの小娘を部員に出来ると思えば結果オーライじゃ」

ムロ「アクドイですね……」

優希「ピンチをチャンスに、染谷先輩はさすがだじぇー」

優希「情けない声を上げて蹲るだけの犬とは違うな!」

京太郎「う、うるせー!」


京太郎「アソコへのダメージってのは、お前の想像よりもやばいもんなんだよ!」

久「ダメージ……?」

京太郎「あ、いや、その……」

優希「咲ちゃんの打球がイレギュラーバウンドして、犬の股間にダイレクトヒットしたんだじぇー」

久「…………それはまた運が無い」

久「それで、エラーでウヤムヤになった分は仕切りなおしたの?」

和「それが、時間がなくて……」

京太郎「結局タコス娘の自滅フォアボールで終わっちまったんだよな」

優希「うるへー!」

優希「仕方ないじぇー、あんだけファールで粘られたらコントロールも乱れるじょ!」


久「……3打席勝負で、安打0、ね」

京太郎「まぁ、初心者ですしねぇ」

久「でも塁には必ず出てる」

まこ「……言われてみれば、おかしなことやっとる」

室橋「でも出塁率って、エラーで出ても下がりますよね」

優希「じゃあやっぱりそんなに大したことないじぇー」

久「それがホントに偶然なら、ね」

和「……意図してそれをやってのけたと言うんですか」

ムロ「確かにこのチームは守備が美味いとは言いがたいですけど……」

マホ「安打を打たずに出塁をするなんて……」

久「不可能ってかい……?」

久「でも」

久「圧倒的な力量差だったら?」

和「…………!!」


久「もしも神がかり的バットコントロールを持ってして」

久「打球に回転を与えながら返すことでエラーを誘発しているとしたら……」

久「優希のコントロールの悪さを読んで、敢えてファールになる当たりを続けて四球を誘発したのだとしたら……」

ダッ!

タッタッタッタッタ

優希「のどちゃん!」

久「プッ」 ククク

京太郎「何笑ってるんスか気持ち悪い」

優希「キサマ会長になんてことを」

久「いや。あの子がうちの部に正式に入ってくれないかな――と思ってさ」

久「全国狙えるかもよ?」

京太郎「え」

優希「え」

京太郎(中学生を入れても8人しかいないのに……)


[通学路]

和「宮永さんっ!」

和「0安打3出塁」

和「ワザとですか……?」

咲「……私が打つといつもあんな風になっちゃうんです」

和「な……」

和「なんでそんな打ち方……してるんですか……」

咲「……正月休みの身内野球大会で……」

咲「凡退したら仲間にタバコの火を押し付けられるから出塁することを覚えて――」

咲「安打を打ったら敵チームから後でシメられちゃうから打たないことを覚えました」

和「もう1回……もう1試合打ってくれませんか!」

咲「ごめんなさい」

咲「私は野球、それほど好きじゃないんです」

身内ひでえな


【6月15日(金)】

[図書館]

夕映「その本なら貸し出し中です」

咲「そうですか……」

久「何が貸し出し中だって?」

久「やァ」

咲「会長!」

久「どれ」

まこ「のぞくなよ……」

久「あーこの本か……」

夕映「なかなか人気で、この図書館でも向こう半年は予約で埋まってるです」

久「これなら私持ってるわよ。貸そっか?」

咲「いいんですかっ?」

久「そのかわり」 ニマー

久「宮永さんに一つお願いがあるの」


【6月16日(土)】

[公園]

咲「今日だけでいいんですね?」

久「うむ」

久「練習試合を申し込まれて受けたはいいけど、人数足りなくて困ってたのよね~」

咲(何で受けたんだろう……)

久「待ち人きたるー」

和「…………!」

咲「…………」 ハニカミ

乃枝「この度は、練習試合の申し入れを受けていただいてありがとうございます」

久「いえいえこっちこそ」

久「まさか人数足りてないのにオーケーしてくれるとは思わなかったわ」

乃枝「こちらとしても、新造な学校非公認チームですからね」

乃枝「相手は選んでられませんよ」


咲「この人達が今日の相手……」

久「そう。東邦星華高等女学院野球部――通称・櫻花會の方々よ」

記子「非公認ですけどねー」

ムロ「何でも、男子に負けない野球をするがモットーだそうですよ」

マホ「でも男性中心のチームには断られ続けたみたいで……」

京太郎「何だかんだで男女の身体能力さは大きいからなぁ」

晶子「私達は、殿方にだって負けません!」

久「……とまぁ、こうまで本気になってくれてるわけで」

久「こっちは外野2人シフトになるけど、手を抜く気はないから」

久「それに宮永さんは1番バッターにしてあるから、期待してるわよ!」

咲「え、えええ~~~~~~~~~?」 ガーン



清澄高校野球部   VS   櫻花會

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!


プレイボール!

優希「フハハ! タコストレートできりきりまいまいだじぇ!!」

片岡投手、好調な立ち上がりを見せ、わずか12球で三者三振に仕留める。



打 宮永(清澄高校)   VS   投 小笠原(櫻花會)
          ノーアウトランナーなし

               1回裏
            清澄0-0櫻花
  


咲(うう、打順が来ちゃった……)

咲(相手のピッチャーはさっきなんか怒ってた人だし……)

咲(短気そうだから、ヒット打ったら怒られちゃうよね……)

咲(ここはカットばっかりして……勝手に四球を出してくれるのを待とう)

小梅(うわー……ただでさえ制球よくないのに、カットで疲れさせられるよぉ~~~……)



○打 宮永(清澄高校)   VS   投 小笠原(櫻花會)●
                  四球


乃枝「……いやー何というか……」

乃枝「まさかここまで弱いとは……」


櫻花會先発小笠原、立ち上がりを捕まり炎上。
先頭打者宮永に四球を与え、続く染谷・原村両選手にも安打を浴び早々に失点。
更に4番・竹井にレフトオーバーのスリーベースを打たれると、調子を崩したか5番・片岡に四球。
更に続く6番・須賀の肩口へ当ててしまい、満塁のピンチを招く。
7番・夢乃が貧打を発揮し捕手・鈴川のナイスフィールディングも手伝いホームゲッツー。
しかし続く8番・室橋相手に再び四球を与え、ツーアウトながら早々に打者一巡の憂き目にあった。



打 宮永(清澄高校)   VS   投 小笠原(櫻花會)

          ツーアウトランナー満塁
               1回裏
             清澄3-0櫻花



バシーン!

記子「またボール……」

咲(フォアボールで押し出しでいいか……)

咲(もいっこ、ボール……っと)


晶子「もう! なんなんですの!!」

咲(あ、でも、これ以上四球させるとあの人爆発しちゃうかも……)

咲(怒られるのは嫌だしなあ……)

咲(エラーを誘発する方向にしようかな……)

咲(フォアボールさせるよりは面倒なんだけど……)

咲(まぁでも、安打0を維持しながら出塁するためだもん、しょうがないよね)

咲(と、考えてたら投げられちゃった)

咲(まだ準備は不十分だから、ここはカットして……勝負は次かな)

カン

まこ「ファール、か……」

京太郎「3ボールからの糞ボールにそれってどうなん!?」

京太郎「素人にもほどがあるよっ」

和「……」


咲(でもそしたら他の人があのピッチャーさんに怒られそうだし……)

咲(あんまり、人が争ってるのは見たくないなぁ……)

咲(私のせいで、ってなると、尚更気分が悪いし……)

咲(そうだ。犠牲フライを打ち上げよう)

咲(それならチームの皆も文句はないだろうし、向こうもアウトカウントが増えるから怒らないよね)

咲(それに、部長さんのあの感じ――私の異質さに、気付いちゃってるかもしれないし)

咲(1塁を踏まずに戻れる犠牲フライが一番だよね)

咲(私の能力『打率0を維持しながらもチームに貢献』の全貌まではわかってないだろうし……)

咲(1塁を踏むっていう分かりやすいパフォーマンスがなくなったら、変な期待はなくなるよね……?)

咲(万が一にも落とされないように、ボールには回転をかけないように……)

咲(ライトの人は何かメモを取ってて試合に集中してないし)

咲(足が速かったセンターの娘は前進守備で最悪本塁アウトになるから……)

咲(深めに守ってるレフトの丁度真上に落ちるように……と)

咲(風に流されたり日光が邪魔にならないような角度と高さで……)

カン

>>1(あ、しまった、打順調節の際にマホちゃんゲッツーとられてるじゃん)

>>1(犠牲フライはなりたたないから、まこは本塁アウトということで……)


ちょwwwwwwwwwwwwww
大将野球娘キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
これは期待wwwwwwwwwwww


京太郎「あちゃー、レフトフライか……」 ユーターンッ

ムロ「……犠牲フライには余裕ですね」

鏡子「え? ええ?」 ヘディング

小梅「あ……」

京太郎「お、落としたァ!?」

咲(えええええええええ!?)

咲(何で!? どうして!? 無回転打球の捕球くらい幼稚園の頃叩き込まれるのが普通でしょ!?)

久「今度はエラー、か……」

まこ「無安打出塁記録、順調に更新中じゃのう」

鏡子「ぼ、ぼーる! ボールどこぉ」 アセアセ

まこ「……しかも相手の守備のおかげで本塁まで帰ってこれとるし」

久「さすがにこれは狙ってやったわけじゃないと思うけどね……」



○打 宮永(清澄高校)   VS   投 小笠原(櫻花會)●

              レフト桜見のエラー
               清澄8-0櫻花

もしかして打球音と槓をかけてるのか…?
いや…まさかな


晶子「ああ、もう! なんなんですの!」 ピュッ

まこ「うおお!?」

ガッ

京太郎「顔面!?」

久「いや、バットに当たったわ」


走者を一掃されるも心機一転とは行かず、ボールは2番・染谷の顔面へと向かう。
間一髪で染谷はこれを回避するも、運悪くボールはバットに直撃。
櫻花會の捕手・小梅がこれを掴み、長い攻撃が終わった。


優希「ふっはっは! このまま逃げ切ってやるじぇー!」


2回の表、攻撃が長すぎて集中力が切れたのか、ここに来て清澄のエース・片岡がど真ん中への失投。
櫻花會の4番・月映(巴)の一振りで櫻花會が一点を返す。
しかし片岡、なんとかここで立ち上がり、5番・月映(静)をわずか2球でショートゴロに抑える。
その後6番・鈴川を四球で歩かせてしまうも、7番・小笠原をゲッツーに仕留めた。


咲「凄い……」

久「ま、和はウチの期待の星だからねぇ」


その裏、先頭打者原村がライト方向にホームランを放つと、流れは再び清澄に。
4番・竹井がセンター前に安打を放つと、5番片岡がライト前ツーベースで1点を追加。
6番須賀の打球はサード前内野安打となって、ランナー1・2塁のチャンス。
2点返せばコールド勝ちの清澄は、7番夢乃にバントをさせる。
夢乃のバントは拙かったが、櫻花會のバント対策が不十分だったこともあり、
打者はアウトになるもののワンナウト2・3塁の一打サヨナラのチャンス。
ゲッツーを狙ってか、8番室橋を敬遠し、今日安打のない1番・宮永との勝負に出た。


咲(どうしよう、ここで下手にエラーさせたらサヨナラになっちゃうよ……)

咲(決勝点をあげるなんて、怖くて出来ないし……)

咲(相手のピッチャーさんがさらにカッカしそうだけど、ここは四球を選んだ方がいいよね……)

久「なんて考えているんじゃないでしょうねぇ」

咲「へ?」

久「てなわけで、ターイム!」

久「宮永さん、野球は勝利を目指すものよ」

久「次は、打ってみなさい」


久「勝つための打球を打ってみなさい」

咲「わ……わかりました」

マホ「な――わかりましたって……」

まこ「確実に打てるっちゅーんか!!」

咲「勝つって……コールドってことですよね」

咲「でも――」

咲「さすがに前進守備してますし、ただのエラーで二人返すのは難しいですよ」

和(……どんな打者がどんな棒球を相手にしても、打率10割なんてことはない……)

和(それなのに、確実に打って、狙った通りの展開にさせるなんてことが……)

久「まぁ確かに、須賀君の足は速くはない……」

久「女子に比べたら速くても、走塁技術に無駄が多いし、“曲がる”時のロスは大きい……」

久「内野のエラーじゃ厳しいかもね」

咲「それじゃあやっぱり、確実に一人返した方が……」

久「そうね……じゃあ、こんなのはどうかしら」

久「えーっと、尾張さーん」


久「……って、ことでいいかしら」

記子「まぁ、別に構いませんけど……」

久「それじゃ、よろしく」

まこ「やれやれ、人使いが荒いのう」 タッタッタッタッタ

和「……」 タッタッタッタッタ

マホ「マホも行きます!」 タッタッタッタッタ

咲「あの、これは……?」

久「ん? ああ、選手交代」

久「外野を清澄の面々で固めてみたわ」

咲「へ?」


久「咲シフト、とでも呼ぼうかしら」

久「外野を、和とまことマホちゃんの三人だと思いなさい」

咲「でもあそこって、フェンスとして設定した白線の向こうじゃ……」

久「気にしない気にしない」

久「元から今回グラウンドにした面積は狭いんだし」

久「プロの球場だとあそこまで外野だったりするよの」

咲「そうなんですか……」

久「だから、そうね――ライトを守ってる和に対して打ち上げて、犠牲フライにしてみせなさい」

咲「なるほど……あそこに犠牲フライを打てたら勝てるんですね」

咲(確かに、あの距離なら返球は際どそうだし、仮に勝ってもクロスプレーで勝利を収めた京ちゃんの方が目立つかな?)

咲(京ちゃんも目立たせてあげたいし……頑張ってあそこまで打たなきゃ)

咲「大変そうだ……」


打 宮永(清澄高校)   VS   投 小笠原(櫻花會)

          ワンナウトランナー満塁
                2回裏
             清澄9-1櫻花


晶子「くっ……何を投げてもファールに……!」

咲「…………」

カン

咲「……今日はこれ、フルスイングでもいいんですよね」

小梅「え……?」

晶子「今度こそ、三振――!!」 ビュュッ

小梅(あ、いいコース……!)

咲「ツモ」

グワラガキーーーーーン

咲「私……柵越えしたの初めてだ……」 プルプル

咲「いつもは打ててもギリギリファールにしてたよ……」

久「…………」 ポカーン


優希「……って、咲ちゃん何戻って来てるんだじぇー」

久「そうよ、早く塁を回ってらっしゃい」

咲「え……」

咲「だって今回も犠牲フライじゃないですか」

京太郎「!?」

優希「はぃ? 何言ってますか咲ちゃんは……」

咲「ライトの原村さんに捕球されたから犠牲フライですよ」

咲「京ちゃんが帰ってきたから、勝てはしたみたいだけど……」


久「いやいや宮永さん」

久「私ゃ勝手にフェンス向こうに守備みたいに選手を配置させて下さいって尾張さんにお願いしただけで」

久「ホントに皆が守備してたわけじゃないのよ」

久「実際櫻花會の人達の外野はそのままだったわけだし」

咲「え」

咲「じゃあ」

優希「実際の成績はこんなだじょ」



○打 宮永(清澄高校)   VS   投 小笠原(櫻花會)●

         ライトスタンドに満塁ホームラン
            清澄13×-1櫻花



咲「じゃあ……」

久「あなたのグランドスラムよ」


京太郎「咲にも取り柄があったんだな」

まこ「しかもまーた毎回1塁踏んだりしょぉったなんて……」 ←戻ってきた

優希「すごいよ咲ちゃん」

久「そう。よくやったぞ」

咲「打ったー?」 ←ダイアモンドを回ってきた

咲(私が……ヒットを打った――――!!)

和「…………」

優希「のどちゃん?」

和「…………」 ダッ

タッタッタッタッタ

優希「またですかっ」

優希「……泣いてた?」

まこ「まさか」


久「そうそう宮永さん」

久「約束の本は部室にあるから」

久「暇な時の読書本棚があってね」

久「野球部に入れば読み放題!」

ムロ(そんな部室だから弱いんじゃないかなーこのガッコ……言わないけど)

咲「…………」

久「和が気になる?」

久「行ってらっしゃい」

久「本は泣いて逃げたりしないから」

咲「……!」 ダッ

タッタッタッタッタ

久「……さて、私達は櫻花會の皆さんにお礼の挨拶するわよー」

久「その後はみっちりミーティング!」

イチローの子孫かなにか?とでも言いたくなるやばさ


[通学路]

咲「原村さん!」

和「…………」

咲「私にとって、野球は体育会系ノリでいじめられるイヤな儀式にすぎませんでした」

咲「でも今日原村さんと打てて嬉しかった」

和「……なんだって勝てば嬉しいものですよ」

咲「ちがうよ」

咲「原村さんと一緒にホームランを打ったから!」

咲「家族の人がホームランを打った感じと違ってたし……」

咲「勿論、敵の人が打った時とも違って……」

咲「楽しかった!」

>>85
イチローとホモリンの愛の結晶か


和「…………」

和「私は……悔しいです」

咲「……?」

和「私は、野球が好きです」

和「だから貴女にかなわないのではと一瞬でも思ってしまったことがとても悔しい」

和「野球を好きでもないあなたに……」

咲「…………!」

和「それに……」

和「手強い相手はたくさんいますよ……」

和「全国に」

咲「…………」


[自宅]

和『野球を好きでもないあなたに……』

咲「…………」

咲父「……珍しーじゃねーか、バットなんか出して」

咲「お父さん……おかえり」

咲父「売っちまうか、それ」

咲父「家族で白球打つことももーないだろ」

咲「…………」

咲「いや、まだ取っとこうよ。ねっ」

咲「おかーさん達戻ってくることもきっとあるよ」

咲父「フン……どーだか」

咲「…………」 ショボン


バサッ

咲「!」

咲「これ……光れ甲子園の星……?」

咲父「57ページ」

咲「…………」



[雑誌]

スキルの高さで男子を超えるスーパー女子!
全国高校野球選手権大会を男女混合にするに至らせた伝説の虎姫・宮永照選手を直撃!
何を思って女子野球部で甲子園に乗り込んで、如何にしてその頂点に君臨できたか――
本誌独占完全インタビュー!!



[自宅]

咲「お姉ちゃん――――」 ギュッ


【6月17日(日)】

[自宅]

咲「……はぁ」

咲(本を読んでも集中できない……)

咲「…………」 チラッ

咲(…………バットなんて、見たくもなかったはずなのに……)

咲(どうしてだろう、じっとしてられないよ……)

咲「…………」

咲「……気分転換にぶらぶらしてこようかな……」

咲「バットは…………」

咲「一応、持って行こうかな」

咲「素振りでもしてたら、気分が紛れるよね」

咲「嫌な気分になるかもしれないけど、それならそれで野球と縁を切ればいいし」


[街中]

ドン!

咲「きゃ!」

咲「いたた……」

透華「あら、大丈夫ですの?」

咲「あ、はい……」

透華「そう。こちらも不注意でしたからあまり口を酸っぱくしたくはありませんけど――」

透華「もうちょっと周囲に注意をはらった方がよろしくてよ」

はじめ「もう、透華……」

はじめ「ごめんね、怪我はない?」

咲「うっわー、恥ずかしい格好!」 ゴーン


透華「なっ!」

咲「あ……つい本音が……」

透華「人のメイドに何てことを!」

咲「す、すみません……ちょっとあまりにインパクトがあったもので……」

透華「この龍門渕透華! ぶつかられても笑って許す器の大きさはあれど、友を侮辱され黙っているほどウツケではありませんわ!」

咲「龍門渕……?」

咲(その名前、どこかで……)

透華「ふふん、私の正体にようやくお気付きで?」

透華「去年甲子園に長野旋風をもたらした龍門渕高校の大エース!」

透華「未来のメジャーリーガー・龍門渕透華とは私のことですわ!」 ババーン

咲「うっわー、恥ずかしいポーズ!」


透華「本来なら将来数百億は稼ぐであろうこの体にぶつかるだけでも死刑レベルだというのに……」

透華「私が三ヶ月かけて考えた決めポーズが恥ずかしいですって……!?」

透華「今すぐ豚の餌にしてさしあげてもよろしくってよ!?」

咲「あ、あはは……」

はじめ「大会前に事件は不味いって!」

透華「そのくらいいくらでも揉み消せますわ」

透華「ですが……見たところ、その制服は清澄高校!」

透華「特別に無傷で帰して差し上げますわ」

透華「ですから、原村和に『貴女のライバル・龍門渕透華が決勝戦で待っている』と伝えて下さいまし」

透華「貴女がたの学園の英雄を目の前でボッコボコにし、絶望させて差し上げますわ!」 オーッホッホ


咲「は、原村さんは貴女になんて負けませんっ……!」

透華「あら……原村和のお知り合いで?」

咲「原村さんは友達です!」

咲「それに……チームメイトです!」

透華「!!」

透華「なるほど……清澄の野球部員……」

透華「いいでしょう、勝負して差し上げますわ!」

咲「勝負……?」

透華「貴女は、忌々しいことに私が原村和にかなわないと思っているのでしょう?」

透華「ですから、私のスゴさを体験して、その認識を改めるといいですわっ!」

透華「水掛け論を続けるよりは、遥かに優れた解決法でしょう?」


はじめ「ちょっと透華……あんまり派手なことは……」

透華「ノープロブレム。勝てば問題ありませんわ」

はじめ「そういうことじゃなくて……」

咲「……分かりました」

咲「原村さんをバカにされて、黙ってはいられません」

咲「私が勝ったら、訂正してもらいます」

透華「いいでしょう、では、河原に行きますわよ」

咲「河原?」

透華「私としては人の目がある方が燃えるんですけど、街中で野球をしたら怒られますからね」

透華「バットが人に当たりでもして出場停止になってもたまりませんし」

透華「……先にリムジンで移動しますから、逃げるなら今のうちですわよ」 バタン

ブロロロロロロロロ

咲「う~~~~……なんなのあの人!」 プンスカ

咲「野球の勝負なら絶対に負けないもん!!」


トシ「おや……あれは龍門渕高校の龍門渕透華……」 コソコソ

トシ「一緒に居るのは国広はじめ……」

トシ「もう一人は……ええと、誰だろうねぇ」

トシ「でも……何にせよ、凄いことになりそうな予感がするよ」

トシ「会社が潰れて数年……拾って貰った恩が球団にはある……」

トシ「スカウトとして、仕事をしておこうかね」 ササッ


[河原]

 ・ ・ ・ ・ ・ ・

透華「逃げずにちゃんと来たことは褒めてさしあげますわ」

咲「今にその減らず口、叩けなくしてあげますよ……」

透華「バットを持ち歩いている所をみるに、貴女は野手なのでしょう?」

透華「私は野手としても一流ですけど、投手としても超一流!」

透華「というわけで、勝負内容は私が投げて貴女が打つ、というものにしますわ!」

透華「さすがにボールは一球しか持ち歩いていませんし、一球勝負でいいですわよね?」

透華「常に全力勝負というのが格好いいものですし」

透華「わかりやすく、この一球をヒットにできたら貴女の勝ち、としましょう」

咲「……分かりました、それでいいです」

はじめ「はぁ……それじゃ、キャッチャーはボクがやるよ」

透華「行きますわよッ!」 ビュツ

ギュオオオオオオオオオ!!


咲(狙い通り、ストレート!)

カン

透華「……センターフライ、ですわね」

透華「なかなか楽しめましたわ」

透華「それじゃあ、原村和によろしくお伝え下さいませ」 ザッザッザッ

はじめ「それじゃ……」 ←小走りでボール拾い

はじめ「待ってよ、透華ー」 タッタッタッタッタ

咲「………………」

咲(……確かに私は力を抜いた……)

咲(一個しかないっていうボールを民家に突っ込ませるわけにもいかなかったし……)

咲(向こうの団体さんのところにまで飛ばすのは気が引けたから……)

咲(それでもギリギリホームランになるはずだったのに……)

白糸台のスコア(生け贄千里山)
甲子園なのでコールドなし

  1 2 3 4 5 6  7  8  9  10   
白 0 1 2 4 8 16 32 64 128 256  511

千 1 0 0 0 0 0  0  0  0  0   0

>>106
なんで延長してんだ


咲「あんなに重い球、初めて打った……」

咲(親戚の人達の投げてたボールとは違う……)

咲(優希ちゃんのボールとも、ピッチングマシーンのボールとも違う……)

咲(……お姉ちゃんの球も、あんなに重いのかな……)

咲「原村さんの言ってた通り、まだまだ強い人っているんだ……」

咲「……今までの野球とは、全然違う……」

咲「手を抜かなくても、負けるかもしれない相手……」

咲「なんでだろう……すごく、ワクワクするよ……!」


▼やる気が上がった。 ピローン
▼筋力ポイントが上がった。 ピローン
▼技術ポイントが上がった。 ピローン


トシ「うーん、やっぱり結果はこうなったねぇ……」

トシ「でも、あの娘も、あのストレートを打った……」

トシ「変化球が魅力の投手とはいえ、ストレートも一線級なんだけどねぇ……」

トシ「……トレーニング次第では、化けるかもね」


▼スカウトの評価が上がった。 ピローン

咲のステータス走力とか以外はAじゃないですかね・・・・


【6月18日(月)】

[部室]

咲「失礼します」

和「宮永さん!」

咲「野球部(ここ)に入れてもらえませんか」

久「おお!」

和「!」

咲「私……」

咲「原村さんともっとたくさん打ちたいんです、ヒットを」

咲「もっと野球で勝ちたいんです……!!」


【宮永咲――――入部】

>>118
咲さんは怠慢プレイに全力を注いでるからそうでもない
まあ一応パワプロ風育成スレのつもりで立てたスレだし、成長の余地ということで……
咲さんは反映されない超能力で戦う選手なので


一応パワプロ風ステータス清澄現状編
特殊能力はパワポケベース

※女子基準なため、男子キャラは高くなり易い
S=魔物級。 A=すごすぎ。上位プロ並。 B=超すごい。下位プロレベル。
C=すごい。超高校生級。 D=ちょい凄い。高校生上位レベル。 
E=高校生平均レベル。 F=下位高校生レベル。
G=中学レベル。よくレギュラーとして試合してるねってレベル。
糞=あまりにも糞。試合に出られてるのが奇跡すぎるほどのゴミ。 

二 宮永 弾道1 SCDECD 帳尻合わせ 威圧感 固め打ち 粘り打ち アベレージヒッター パワーヒッター サヨナラ男 連打○ ムード△ 慎重打法
捕 原村 弾道4 BECDCB 人気者 安定感 帳尻合わせ 威圧感 固め打ち アベレージヒッターキャッチャー◎ ブロック
投 片岡 弾道1 CDBEFF ムラッ気 連打○ 初級○ ムードメーカー ヘッドスライディング エラー
三 竹井 弾道2 DBEDEE ムラッ気 悪球打ち 逆境○ チャンス△
中 染谷 弾道2 EEDECC ゲッツー崩し
右 須賀 弾道2 GDDEFF 体当たり 走塁△ 代打○
二 夢乃 弾道1 糞糞糞GGG 意外性
遊 室橋 弾道1 GGFGFF ベアハンドキャッチ

投 片岡 108km コントロールE スタミナF タコスボール(ナックルベースオリ変)3 カーブ1
ムラッ気 一発病 短気 四球 乱調


【6月26日(火)】

[通学路]

和美「原村さん!」

和「!」

和美「ウィークリー野球TODAYの朝倉です」

和美「取材、いいかしら」

和「……お久しぶりです」

和美「いやー、去年の原村さんの記事、評判良くってね~」

さよ「大人気ですよー」 ←カメラ構えながら

和美「全国中学野球選手権大会ベストナイン」

和美「そのうえ巨乳美少女」


和美「それにしても……」

和美「今回の予選は荒れるかもしれないわね」

さよ「えっ」

和美「さっき彼女は言いよどんだ」

和美「あの天才・原村和が意識する選手がいる――――」

和美「しかもそれを認めたくないんだわ」

さよ「…………」 ゴクリ

和美「一体……どんな選手なのかしら――」

和美「…………」

和美「……一日中へばりついてたら尻尾つかめないかしら」

さよ「……他にもお仕事はあるんですからね」


[咲の夢の中]

幼い咲「だんがんらいなーがんめんきょうしゅう?」

昔の照「野球における不運の一種だよ」

昔の照「鼻血とかで血の花が咲いちゃうんだ」

幼い咲「咲く?」

幼い咲「おんなじだ! 私の名前と!!」

昔の照「えっ」

幼い咲「おんなじだね!」 ヒトミキラキラ

昔の照「……そ、そうだね、咲」 メヲソラシー

昔の照「まぁだが、その血の花を意図して咲かせられるような偉大な打者も昔はいたし……」

昔の照「鼻血を出しても腕が折れてもその身を血反吐にまみらせようと夢のためにマウンドに立ち続ける学生もいる……」

昔の照「森林限界を超えた高い山の上――そこに花が咲くこともあるのと同じか……」

昔の照「なぁ、咲」

昔の照「お前もその花のように、強く――――――」


[河原]

咲「ん……」

咲「ふぁ……」

咲(夢――)

咲「お姉ちゃん――」 ←雑誌を手に取る

咲「相変わらず勝ってるんだ……」

京太郎「咲――――」

咲「京ちゃん」

京太郎「部活入って1週間だけど――もう慣れた?」

咲「うーん」

咲「楽しいよ、家族以外の人の球を打てるし」

咲「安打も楽しい」

咲「でも……」


咲「原村さんて私のこと嫌いなのかな……」

咲「野球部に入ってからほとんど話してないよ」

京太郎「和かー」

京太郎「元ベストナインとしては複雑なんだろ」

京太郎「1年の頃からずっとベストナインで、同学年では最強とまで謳われてたし」

京太郎「雑誌とかにもバンバン載って天才とか書かれてるヤツがさ」

京太郎「ポッとでのお前にエラー誘発打法やらどんなボールもカットする技能」

京太郎「果ては難なくスタンドインする力なんてのを見せつけられちまって」

京太郎「正直くやしいんじゃねーのかな」

京太郎「特に打撃の面では巧みなバットコントロールによるアベレージヒッターってのが売りだったわけだし」

京太郎「そんな自分のバットコントロールを上回る器用な奴が出てきたと思ったら」

京太郎「身内野球大会で活躍したら怒られるからとか、そんなくだらねー理由で身に付けたテクだったらなおさら……」

咲「くだらなくないよっ!」

京太郎「でももう安打の楽しさも知ったんだし、そんなやらしい打ち方しなくていいんじゃねーの?」

咲「う……うん。それは……そうなんだけど……」


優希「そこの二人止まれ!」

京太郎「!?」

優希「私も一緒に行こう!」 スタッ

京太郎「何故そんな所でタコスを食っている?」

咲(優希ちゃんも友達いなくて人目のない所でしかご飯食べられないのかな……)

優希「タコスが切れると私はヒトの姿をたもてないのだ」

京太郎「何になる気だ」

優希「私自身がタコスになる!」

京太郎「…………」

咲「そういえば、今日は室橋さん達は――」

優希「今日は来られないじぇー。中学生は中学生で大変ってことだな」

咲(練習になるのかな……)


[部室]

優希「いょーう、のどちゃんだけか?」

和「まこさんと部長は遅れるそうです」

咲「な、何してたの原村さん」

和「……これは……」

和「ポンコツですけど、うちの部活が全盛期の頃買ったというピッチングマシーンです」

和「どんなに遅い球速でど真ん中に放らせても……」

和「望むような回転をかけたり、針の穴を通すように正確な位置に打ち返すことはなかなか出来ません……」

咲「………………」 タラーリ

和「………………」 ┣〝┣〝┣〝┣〝

京太郎「あ、あー!」

京太郎「先輩達もいないし、とりあえずバッティングやろうぜー!」 アセアセ

京太郎「普段基礎練ばっかでバット振る機会ないし!」

京太郎「俺バッティングだーいすき!」


[グラウンド]

 ・ ・ ・ ・ ・ ・

優希「ぐあーっまた打たれた!」

優希「うう……後のことは頼みます……」

優希「京太郎には一日4回エサをあげてください」

京太郎「俺はペットかよ……」

優希「私はもうダメだ」

京太郎「しっかし咲と和はバッティングがうめーなぁ」

優希「三振取れないからつまんないじょー」

優希「しかも私しかピッチャーいないから、私だけ機械しか打てないし」 ブー

和「次は頑張りましょう」

咲「…………」


 ・ ・ ・ ・ ・ ・

優希「やったー! 咲ちゃん打ちとったじょー!」

咲「…………」

和「…………!」

和(今の跳ね方……)

和(果たして守備についている人がいたら、あれを捕れたのでしょうか……)

優希「よっしゃー調子出てきたじぇー!」

京太郎「来い、タコス娘! フェンスの向こうに飛ばしてやる!」


和(なぜ気付かないのこの人達……)

和(宮永さんはわざとゴロを打った……!!)

和「…………」

和「今日は帰ります」 タッタッタッタッタ

優希「え」

京太郎「勝ち逃げか!」

咲「あ、私も一緒に――――」 タッタッタッタッタ

優希「…………」

京太郎「……」

優希「……夫婦水入らずね、アナタ」

京太郎「ないない」


久「あら、二人だけ?」

優希「ぶちょーぅ」

久「……なにしてんの?」

優希「二人じゃバッティング練習出来ないから、二人でポジティブシンキングだじぇ」

久(それは練習なのかしら……)

久「あの二人は?」

優希「のどちゃんが怒って出てっちゃって」

京太郎「え……あれ怒ってたのか」

久「ふーん……まあ、大体の事情は察したけれど……」

久「まぁ、そろそろいい加減焦らなくちゃいけない時期だし、既に野球選手として完成しつつある二人に頼みがあったんだけどねぇ……」

京太郎「頼み?」


久「うん。今二人も不便を感じてるだろうけど、やっぱり野球部の人数は足りてないわ」

久「今のままじゃ試合も出来ないし、大会までに最低でも一人」

久「中学生を潜り込ませることに不安がないわけでもないから、出来ることなら三人以上!」

久「部員を確保する必要性があるわ」

久「足りない場合、人数合わせでエトペンを出すことになっちゃうしね」

京太郎「ぬ、ぬいぐるみって……」

久「ぬいぐるみを試合に出しちゃいけないなんてルールはないわ」

京太郎「打席とかどうするんですか……」

久「ストライクゾーンが超狭いし、四球じゃない?」

京太郎「さすがに怒られるんじゃ……」

久「その時は見逃し三振でいいわよ」

京太郎「しゅ、守備は……?」

久「外野にでも放置して、置物にしたらいいわ」

久「まこあたりがカバーしてくれるでしょ」

京太郎(染谷先輩死んでまう……)


京太郎「まぁでも……確かに部員は欲しいですよね……」

久「須賀君や優希はまだまだ練習してほしいことがあるから、出来ることなら部員探しはあの二人に頼みたかったんだけど……」

優希「ていうか部員ってどうやって探すんだー?」

久「まぁ適当な場所をぶらついてスカウトすればいいんじゃないかしら」

優希「いい加減だなー」

久「出来ることなら他の部活から引き抜いたりしたいところね」

京太郎「確かに、そっちの方が強い人は集まりそうですね」

優希「サクセスの基本だじょ」

久「勧誘先には場所をうろつき場所を指定してもいいし、部活を指定してもいいわよ」

久「何なら、個人名をピンポイントで出したっていいわ」

優希「そのへんは、歴代サクセス全部ごった煮、くらいの気軽な感じでいけばいいなー」

京太郎(サクセス……?)


久「一応、他校の選手を引き抜きも出来るけど……」

京太郎「大会規則的に問題あるんじゃないですか?」

久「ああ、そのことなら――――」

友子「よ! 元気?」 シュタッ

京太郎「わあっ!?」

久「森監督のマインドコントロールでどうとでもなるわ」

京太郎「そ、それは人道的にいいんですか……?」

久「まぁ、あんまり乱発すると不自然な痕跡が残るからオススメはしないけどねー」

久「まぁでも、監督に洗脳スキルを持った人を選ぶためだけにわざわざクロスオーバー乱発にしたんだし」

久「一回くらいは使ってもいいんじゃないかな」

京太郎「く、くろすおーばー?」


優希「まぁ、いざとなったら別高校のキャラでも清澄の生徒ってことにしたらいいじぇー」

久「そうそう、原作の設定とちょっとくらい変えたって問題なしよ」

久「他作品のキャラもバンバン出せるし、クロスオーバーって便利な言葉よね」

優希「パラレルワールド万々歳だじぇ」

京太郎(さ、さっきから二人は何を言っているんだ……)

久「そんなわけだから他作品のキャラとかをスカウトしてもいいんだけど……」

久「>>1が知らないキャラの場合、ググった知識を元にしたダレテメェ状態になるから注意してね」

優希「キャラ崩壊に寛大じゃなかったらユーターンがオススメだじぇ」


久「それで、勧誘とかのイベントなんだけど――」

久「まぁ、あの二人は今頃原作通りの展開をしてるだろうし、レス数節約のため放置するとして――」

京太郎(げ、原作? 何のことだ?)

久「今の内にビラでも配ってもらおうかなぁ、ってのでもいいんだけど……」

久「どうせなら、少ない住人の人の意見で決めましょう」

京太郎「は? じゅうにん……?」

久「そもそも、最初のレスで分かる通り、須賀君主人公ってパターンも考えてはいたのよね」

久「宮永さんを矢部君ポジションにするって案もあったし」

京太郎「矢部……?」

久「それに、宮永さんにはまこの店でバイトしてもらいたいし……」

久「イベント予定がいっぱいではあるのよねぇ」


久「だから、原作であるイベントは全部裏で宮永さん達にやらせておいて自由に動ける須賀君が部員集めとかするって選択肢があるわ」

久「これを、仮にバカ犬ルートと名づけましょう」

京太郎「ば、バカ犬って……」

久「逆に宮永さんを主役に据えて行動するのも全然ありだと思うわ」

久「原作イベントを全部こなして合間に勧誘とかをする縛りプレイも楽しそうだし」

久「まぁ、原作イベントガン無視するってルートを行くのもありだけど」

久「こちらはリンシャンキチガイルートと名づけましょうか」

京太郎(リンシャンってなんだろう……)

久「いっそ豪勢に、両方同時進行なんてのもありね」

久「片方が部員探ししてる間に片方が練習したり……」

久「この場合、両ルートがいっつも部員探しやうろつきやデートすると、アホみたいにレス数食うのが難点だけど」

久「スレが埋まったりエタったりする可能性が一番高いルートでしょうね」

久「この同時攻略ルートをレディースランチルートと名づけましょうか」

京太郎「部長のネーミングセンスおかしくないっすか……」

久「それじゃ、どのルートがいいか、>>174-180の間で多数決でも取りましょう」

パワプロの主人公たる戸井君とか
超野球に耐久できそうなミスフルの天国とか


久「なるほど、バカ犬ルートね。分かったわ」

久「それじゃあ和達には原作通り動いてもらうけど……」

久「レス数も勿体無いし、用意した小ネタと一緒にポイーしちゃうから各自脳内補完よろしくね」

京太郎「あの……さっきから一体何なんですかこれ!」

久「ん? ああ、これ?」

久「そうね、強いていうなら恒例イベントかなぁ」

京太郎「野球部にこんなわけのわからない伝統イベントなんてあるんですか?」

久「というより、原作の伝統ね」

京太郎「さっきから言ってる原作って何なんですか」

優希「さっき言った“原作”は『咲-saki-』じゃない方だじぇー」

久「パワプロじゃなくてパワポケなのがミソね」

優希「>>1が情弱でPS2以降持ってないからしょうがないんだじぇー許してやってくれー」

京太郎「ぱ、パワポケって……?」

久「まぁ、その編は適当にググるなり何なりして頂戴」

優希「別に知らんくても問題なんてないしなー」

久「部員集めのついでに他校の女の子を攻略してもいいし、主人公になった須賀くんを鍛えてもいいわ」

久「ポジションはライパチだけど、まあ、気が向いたらコンバートもさせてあげるし」

久「それじゃ、いつもの行くわよー」

京太郎「い、いつものって?」

優希「すりー! つー! わーん!」

京太郎「何か嫌な予感ッ!」

ドガーーーーーーーーーーーーン!!!!

京太郎「うわーーーーーーっ!」

京太郎「爆発したーーーーーーーーーーーーー!?」 ガバッ

京太郎「あれ……?」

優希「このバカ犬!」 ドガッ

優希「ポジティブシンキングだって立派な練習、真面目にやる!」

京太郎「ゆ、夢か……」
京太郎「何でまたあんなわけのわからん夢を……」 ゲッソリ


久「あら、二人だけ?」

優希「ぶちょーぅ」

久「……なにしてんの?」

優希「二人じゃバッティング練習出来ないから、二人でポジティブシンキングだじぇ」

久(それは練習なのかしら……)

久「あの二人は?」

優希「のどちゃんが怒って出てっちゃって」

京太郎「え……あれ怒ってたのか」

久「ふーん……まあ、大体の事情は察したけれど……」

久「まぁ、そろそろいい加減焦らなくちゃいけない時期だし、既に完成しつつある二人に頼みがあったんだけどねぇ……」

京太郎「頼み?」

京太郎(あれなんかデジャヴ……)

久「うん。今二人も不便を感じてるだろうけど、やっぱり野球部の人数は足りてないわ」

久「今のままじゃ試合も出来ないし、大会までに最低でも一人。中学生を潜り込ませることに不安がないわけでもないから、出来ることなら三人以上!」

久「部員を確保する必要性があるわ」


(中略)

京太郎「まぁでも……確かに部員は欲しいですよね……」

久「須賀君や優希はまだまだ練習してほしいことがあるから、出来ることなら部員探しはあの二人に頼みたかったんだけど……」

優希「んじゃ私達がやっておくじぇー」

京太郎「おいおい、俺もかよ……」

久「と、いうわけで、これよろしくね」 ニッコリ

京太郎「こ、これ全部ビラですか……」

久「そ、頑張ってね」

久「別に他の方法でもいいから!」

京太郎「トホホ……」

優希「とりあえず今日は練習しないで勧誘だじぇー」

優希「もしくは勧誘の体をしたうろつきだな」

優希「もしくはそれすら大義名分で白昼堂々で・え・と? きゃっ」 ポッ

京太郎「んじゃ今日は>>194するか」

優希「ツッコんでもくれないのか!」

山遊びで長野まで来た穏乃を勧誘


京太郎「とりあえずビラ配りながら裏山でも行ってみようぜ」

優希「そ、そこに連れ込んで何を!?」

優希「あ、アダルティーなことをするならPINKに行かないと……」 モヂモヂ

京太郎「アホ、あっちの方に運動部の活動場所が集中してるからだ」

京太郎「まぁあんま奥に行きすぎても無駄かもしんないけど」

京太郎「運動部に興味があるけど、時期を外して入れないー、なんて人がいるかもしれないし」

優希「なるほど、お前にしてはやるじゃないか!」

優希「行くぞ、バカ犬ー!!」

京太郎「手ぶらかよっ! 少しは持て!!」




優希「とうちゃーく!」

京太郎「いやー空気がおいしーねー!」 スーハースーハー

京太郎「って、オイイイイイイイイイイイイイイイ!」 ゴーン

優希「ん?」

京太郎「山! 山ァ!」

京太郎「思わず追ってきちまったけど、ここ山頂じゃねーか!」

京太郎「人なんて……」

ガサガサ

京太郎「ん……?」

優希「ふ、ふふふ! 計算通り!」

優希「私はここに居るであろう未来の野球部員を予知していたのだよ!」

京太郎(絶対嘘だ……)

優希「ほらそこに居る人、出てくるじぇーほらーチッチッチッチッチータコスやるぞー」

京太郎「犬猫じゃないんだから……」

猿「ウキャッ」


京太郎「猿だあああああああああああああああああああ!?」 ゴーン

優希「む、失礼な。サル顔の人間かもしれないじゃないか」

京太郎「仮にそうだとしたらお前の発言も十二分に失礼だろう……」

優希「でもこの際動けるだけエトペンよりはマシだじぇー」

京太郎「いや、どうだろう……乱闘騒ぎで退場あるだけタチ悪くないか……」

優希「まーでも、のどちゃん奈良では猿飼ってたって言ってたし」

京太郎「猿って言ったよな。今お前完全にアレを猿だと認めたよな」

優希「……私はこのタコスを食べるのをやめると人ではなくなる」

京太郎「は?」

優希「そういったよな」

京太郎「まぁ……」

優希「つまりそれは、タコスを食べたら人になるということではないか……?」

京太郎「いや待て、おかしい、色々と前提がおかしい」

優希「とりあえず猿にタコス食わせてみるじぇー」

優希「立派な人間になれよー」


優希「とりあえず、猿にも入部届付きのビラを渡しておくじぇ」

京太郎(猿にビラ配った、とか言ったら怒られないだろうか……)

優希「まー、実際部員の増加はのどちゃんも望んでたしなー」

京太郎「そうなのか」

優希「中継ぎや抑えもできたら欲しいとか、代打がどうとか……」

優希「今のままじゃ戦略を練ろうにも駒が少なすぎて満足に運用できないみたいだじぇ」

京太郎「うーん、それはナントカしてやりたいな……」

優希「最近ずっとのどちゃん大変そうだったし、楽にやらせてあげたいじぇー」

京太郎「そうだなぁ……」

京太郎「咲のやつも楽しそうだし、皆で楽しめる野球部にしたいな……」

優希「うむ! 皆でのどちゃんと遊ぶためにも、部員増大計画を二人でゴリゴリ推し進めるじぇ!」

京太郎「おーー!!」

猿「………………」


【6月27日(水)】

[通学路]

京太郎「結局誰も捕まらないまま翌日になってしまった……」

京太郎「貴重な生徒の下校時刻に山の上にいたらそうなるよなぁぁぁぁぁ……」

京太郎「下山で遭難するし、何かロクでもなかったぜ……」

京太郎「まぁ、筋力はちょっとだけついた気がするけど……」

咲「じゃあお昼一緒に食べようねー」

京太郎「咲……」

咲「京ちゃん……」

京太郎「おまえ……和と仲良くなったのか……?」

咲「うんっ」

京太郎「お……オレもお昼ご一緒してよろしいですか?」

咲「なんで敬語?」


[中庭]

キング・クリムゾン「ここまでの経過は原作を読め」

優希「と、いうわけで、犬が部員集めをすることになったじぇー」

京太郎「え、オレ一人?」

優希「まー誘われたら手伝ってやらんこともないが」

優希「一応唯一のピッチャーだからなー」

優希「練習しないわけにもいかないじぇ」

和「やはり、部員がもっと必要ですね……」

京太郎「だよなぁ……誰か入ってくれないかなあ……」

???「それならば――まずひとり!」

咲「!?」

穏乃「ここにいるっ!」

咲「誰?」


穏乃「久しぶりだね、和――」

和「穏乃……?」

京太郎「和の知り合い?」

和「はい、こっちに転校してくる前の、数少ない友人でした……」

京太郎「幼馴染ってやつ?」

穏乃「ていうか、ペットだね」

咲「ぺ、ペット!?」

京太郎「も、ももももしかして二人は危ない関係とか……?」

和「いえ……危ないも何も、穏乃は私が奈良で飼っていたペット……」

和「人間っぽくて賢くて、静かだから穏乃と名付けたんです……」

穏乃「そこまで言われると照れるな……」

京太郎「人間っぽくマシンガン並に喋ってる気がするのはオレの気のせいかな」

咲「何が何だかわからないよ……」


優希「もしかしてこれは――――!」

京太郎「どうかしたのか?」

優希「いや、ひょっとしてタコスを食べさせたせいで人間になってしまったペットの猿なんじゃ……」

京太郎「お前な……」

穏乃「ん、そうだよ?」

京太郎「……はあああああああああああああ!?」 ゴーン

穏乃「こっちじゃ飼えないからって動物園に預けられたんだけど……」

穏乃「久々に山で遊びたくなって脱走したらいつの間にか長野まで来てて」

穏乃「美味しそうなものをそこのユーキさんがくれたから食べてみたら、なんかタコス王国の王様とかいうのが出てきてさ」

穏乃「何でも願いが叶うっていうから、人間にしてもらったんだ!」

穏乃「和が部員不足で困ってるって聞いたからさー」

穏乃「私も和と遊びたかったし」

穏乃「まあほら、ペットが人間になるなんてこと、パワポケではよくあることだし」 グッ

京太郎「夢でもない場面でなにいってんだお前」


和「人化とか……タコスの王様とか……そんなオカルトありえません」

和「元々人間に近く知能も高い猿でしたからね」

和「人語を理解し、ジャージを着るという週間を身に着けただけでしょう」

京太郎(それでも十分オカルトなんじゃ……)

優希「何にせよ、部員は確保できたなー」

咲「じゃあ今日は歓迎会だね!」

優希「そういえばバカ猿、お前はどこのポジションなんだ?」

穏乃「えっと、>>228!」

ショート


穏乃「ショート!」

優希「うおっ、今度はムロとだだかぶりだじぇー……」

和「本来二人には出場資格はないんですし、これがあるべき姿ですよ」

優希「てことは、ムロマホは補欠として置いておくにしても出場させないにしても控えになるし」

優希「ペンギン分の戦力が必要だなー」

和「連投を考えると、投手も欲しいところですね……」

優希「明日からまた部員集めもしなくちゃなー」

京太郎「今日は練習と穏乃との交流がいるもんな」

咲「そういえば……どうでもいいんだけど、京ちゃんが犬で穏乃ちゃんが猿だったら、あとはキジさえいれば桃太郎だね!」

和「本当に関係ないですね……しかも肝心の桃太郎がいないじゃないですか」

咲「いや、桃太郎は原村さんで決まりかなーって」 ジー

咲「あー……でもこれは、モモというよりおもちかなぁ……」

和「……?」


[放課後、街中]

晴絵「…………はぁ……」

晴絵「またダメね……あの感じじゃ、またサイレントお祈りだわ……」

晴絵「……はは、無様ね……」

晴絵「初の投打に活躍エースで4番の女性スラッガー、なんて言われて……」

晴絵「長打のいける女性選手は初だったから注目を浴びたし、無名校を甲子園まで導いたし……」

晴絵「一時は将来丸っと約束されてたのに……」

晴絵「甲子園で無様なノーヒットノーランを食らって、二桁失点をして……」

晴絵「どこに投げても打たれる、どんなに振っても当たらない――そんな恐怖から、イップスに陥って……」

晴絵「やがて五感すべてを剥奪されて……見えない感じない聴こえない地獄を長い間味わったせいで廃人になって……」

晴絵「ようやく社会復帰をしようとしても、低偏差値高校中退の職歴なしウン年のヤツはどこも雇ってくれないし……」

晴絵「地元じゃ視線が厳しかったからどんどん東に逃げてきちゃったし、ろくなことがない……」

晴絵「こんなことなら、五感の治療でお世話になった九州で農作業でもするんだった……」

晴絵「……ホントは、プロがダメなら野球コーチになりたかったのになぁ……」

晴絵「阿知賀野球クラブは潰れてたし、阿知賀高校は過疎で晩成に取り込まれてたし、めげるわ……」


晴絵「でも、いいわ……その程度で消える内定なら――最初から願い下げだ!」

灼「カッコイイ……」

晴絵「まぁ、コツコツと路上で(灼の)詩を売ったりした甲斐があったわ……」

晴絵「(灼の)バイト代と(灼の)カードで手に入れた、私の城――」

灼「二人の、城……」 ポッ

晴絵「ボーリング場の廃墟な見た目は後日改装するとして……」

晴絵「もう安定した給金を目指すのはやめるわ――」

晴絵「私もあの頃みたいに、灼のためにも夢を追うッ!」

晴絵「野球コーチとして、再起を図るわ!!」

灼「うん……!」

晴絵「それじゃ、早速ビラを配るわ」

晴絵「あの外見で野球のコーチングやってるなんて思われないでしょうし」

晴絵「知ってもらわなくちゃならないから、(灼が)印刷したこの(灼が手がけた)チラシを配るわよ!」

灼「いってくるから、はるちゃんは見守っててくれたらいいよ」

晴絵「大丈夫だって、このくらい私にだって――――」


ドン!

晴絵「いてて……」

灼「ほら……だから言ったのに……」

京太郎「あ、すんません、大丈夫ですか?」

晴絵(……いけないいけない、つい荒んでた時期のくせで全身複雑骨折したとか言う所だったわ)

灼「こちらこそすみません、不注意でした」

晴絵「あら、その荷物――」

灼「野球、やってるんですか?」

京太郎「ええまあ、一応……つっても、まだ下手なんですけどね」

灼「奇遇ですね、私達は野球について様々な知識を有しているんですよ」

灼「お詫びと言ってはなんですが、少々コーチングをさせて頂けませんか」

京太郎「え?」

灼「勿論、お代なんて取りませんから」


晴絵「ちょ、ちょっと灼!」

晴絵「さすがにそこまでしたら生活が……」 ヒソヒソ

灼「はるちゃんの技術は本物……よく知ってるから、はるちゃんが本当は凄い人だって……」 ヒソヒソ

灼「まずは何より見てもらうことが大事……」 ヒソヒソ

灼「口コミで広げてもらったり、部活単位で利用してもらうためにも、まずは実感してもらわないと……」 ヒソヒソ

灼「最悪の場合、また道路工事で生活費は稼いでくるから……」 ヒソヒソ

晴絵「――――わかったわ」

晴絵「出血大サービスよ、何でも望む通りコーチングしてあげるわ!」

京太郎「いや、いいです。急いでるんで」

京太郎(怪しいし、帰ってワールドカップ見たいし)

晴絵「……灼」

灼「…………うん」

ズガン(後頭部にボーリング玉が当たった音)


[廃ボーリング場]

京太郎「うーん、ここは……」

晴絵「おはよう」

晴絵「自己紹介が遅れたわね――私は赤土晴絵」

晴絵「人呼んで、阿知賀のレジェンド!!」 ビシィッ

京太郎(うっわー、恥ずかしいポーズ……)

灼「はるちゃんは、かつて日本中から注目されていた野球選手だったんですよ」

灼「本当にすごくて、その技術論を伝授すれば特殊能力が身につくこと間違いなしです」

灼「それに、イップス時代に培った経験から、病気の治療や疲労の回復を行うこともできますし――」

灼「怪我をしない体づくりの大切さも知っているので、タフ度を上げることもできます」

晴絵「個人的には、今までの私の人生すべてを凝縮した技術による能力のパワーアップなんかがオススメだけどね」

晴絵(ちゃんと出来るか実験したいし)

京太郎(ダイジョーブ?このレジェンド……でも何か頼まないと帰してくれなさそうだな……)

京太郎「じゃあ……>>263

kskst


京太郎「んじゃあ、パワーを上げてもらってもいいですか」

京太郎「うちのチーム、女の子ばっかりだし、男の俺はそういうとこでくらい活躍しないと……」

灼「わかりました」

灼「筋力ポイントもたまってるし、丁度いいですね」

晴絵「技術伝授じゃなくて手術になるけど、痛くないから安心して」

京太郎(よくわからないけど、昨日の山登りでついた筋肉のことを言ってるのかな?)

晴絵「任せなさい、得意分野だから」 ニッコリ

京太郎「……あの、人数カッツカツで怪我が洒落にならないんで、成功率5%とか30%とかならやっぱり止めにしたいんですけど」

晴絵「大丈夫よ、レジェンドを信じなさい」

晴絵「この手術を失敗したことなんて、ただの一度もないわ」

灼(初挑戦だからね……)

京太郎(本当に大丈夫なのか……?)


晴絵「それじゃあそこに横になって」

京太郎「はーい……って、これボーリングの玉が出てくるアレじゃないですか!!」 ゴーン

晴絵「大丈夫、弘法筆を選ばず、レジェンド手術台を選ばずよ」

京太郎「いや、選んでくださいよ、細菌とかそういうの色々あるでしょうよ」

晴絵「うーん、あんまり時間かけてると夕飯の買い出し間に合わなくなるし……灼、ちゃっちゃと麻酔しちゃって」

灼「うん……」

ズガン(京太郎の顔面にボーリング玉が落とされる)

京太郎「きゅう…………」

晴絵「よーし、レジェンドコーチデビュー、いっくわよ!」


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


灼「…………」

晴絵「………………」

灼「はるちゃん……あの、その、手術の結果は……?」

晴絵「>>270

弾道が1上がった


晴絵「無事弾道が上がったよ」

晴絵「しかも筋肉に違和感がないよう、弾道向上のためのエネルギーは普段見せない使わないな部分に集中させてあげたし」

灼(……何か天をついてる……グロい……)

晴絵「……あ、ちょっとスタンダップしすぎてズボンが入らないわ……」

晴絵「……ま、まあ、手術は無事終了よ」

晴絵「常時スタンダップでも困ることはないだろうし、そのモードが普通になればズボンチョイスも出来るようになるわよ」

灼「そ、そうだよね……さすがはるちゃん、いきなり大成功……!」

晴絵「と、とりあえず、逆切れして襲われたら萎えないナニで夜通し犯されそうだから、気絶している内に路地裏にでも捨てておきましょう」

灼「……ズボンは?」

晴絵「まあ、はかせられないものは、しょうがないわ……」

晴絵「時には大局を見据え、苦渋の決断をすることも必要なのよ……」

灼(はるちゃんカッコイイ……!) キュンッ



右 須賀 弾道2 GDDEFF 体当たり 走塁△ 代打○

右 須賀 弾道3 GCDFEE 体当たり 走塁△ 代打○ (走りにくい体になったため、走力守備力など低下)

これだと肩が下がって守備が上がってないか?
ミパ走肩守エの順じゃないのか?

>>275
完全に間違えてるね
集中力が落ちてきたか
勢いで立てず、ちゃんと休日前日とかに徹夜体勢とってから立てるんだった……

正しくは 弾道3 GCEEGF で


[路地裏]

憧「おーい、生きてる?」 ペチペチ

京太郎「うーん……」

憧「あ、起きた?」

京太郎「ここは……?」

憧「路地裏だよ」

憧「こんな人のまず踏み込まないような場所で眠ってるなんて……何か事件にでも巻き込まれたの?」

京太郎「……頭が痛くて思い出せない……」

憧「……そ」

憧「ま、無理して思い出さなくてもいいんじゃない」

憧「過去を振り返っても、碌なことなんてないよ」

京太郎(俺と同じ年くらいだろうに、なんだかスレた感じだなぁ)

憧「それより、ソレをしまってくれない?」

憧「ウブじゃないけど、さすがにそれをしまってあげる気にはならなかったから」 股間指さし

京太郎「うわあああああああああああ!?」 慌ててズボンを履く。ぱんつなんてない。


京太郎「そ、そういやあんたは人が滅多に来ない路地とやらでナニを!?」 アセアセ

憧「……普通聞くかなあ」

憧「まぁ、人には色々あるってことね」

憧「誰もかれもが高校球児みたいに日の当たる世界で生きていけるわけじゃないのよ」

京太郎「……別に、日の当たる世界で行きたいのなら、生きればいいだろ?」

憧「……小学生の頃さ」

京太郎「?」

憧「男子が調子こいて階段の踊場から踊り場まで飛んだりしてたんだけど……」

憧「アンタもやってた?」

京太郎「まぁ……俺は真ん中くらいからしか飛ぶのに成功しなかったけどな」

憧「じゃあさ、その限界よりちょっと下の段でいいや」

憧「楽々下まで飛んでいける、その段にさ」

憧「……踊り場から、飛び上がれる?」

京太郎「え?」

憧「……ま、そういうことよ」


憧「昔は、必死に夢見て勉強してた事もあったのにね……」

京太郎「…………」

憧「ま、そんなわけで、健全なコーコーセーはこんなところに来ないほうがいいってことよ」

憧「こーいう場所をうろついてる高校生なんて、大抵踊り場で足をくじいて階段を戻ることすらできなくなった連中なんだから」

憧「飛び上がることはできなくても階段を登れるアンタに、嫉妬して何するかわからないでしょ」

憧「それじゃね」 ザッザッザ

京太郎「…………」

京太郎(意外と、ワケありのノラ学生っているものなのか……?)

京太郎(王道の役立つ選手が校内で捕まえられるとしたら……)

京太郎(街とかぶらついていれば、ワケありのクセのある奴が見つかるかもしれない……・)

京太郎(まぁ、勧誘成功させるの難しそうだし、同じ難易度最高度なら、どっかから引きぬいた方がいいかもしれないけど)

京太郎(一応、勧誘活動の一環として校外をうろつくことも考えておこう)



▼行動範囲がぐーんと伸びた! ピローン


【6月28日(木)】

[部室]

京太郎「さて、今日も部活頑張るかー」

久「やぁ」

優希「遅いぞバカ犬ー」

京太郎「うるへー」

優希「今日私は大好きな変化球練習で忙しいから、人集めは手伝えないぞー」

和「しずも、宮永さんに引きずられて守備の練習に行きました」

久「まこは、今日はお店の手伝いよ」

久「それで、今日はどうするの?」

久「私は今日はフリーだから、須賀くんを手伝ってもいいし……」

久「今日はどうするつもりなの?」

京太郎「>>290

猿つながりで猿野天国を勧誘


京太郎「そうですね……ウチのチームにはパワーが足りないですし……」

京太郎「男子をスカウトしてきたいかなぁ」

久「パワーかー……」

久「校内で有力なのっていったら、こんな所かしらねぇ」

京太郎「うわっ、何ですかこのデータ」

久「生徒着会長の特権で集めたデータよ」

久「まだ部活所属状況でソートしてないから実戦向きじゃないけどね」

久「そうは言っても今年の長野の県大会は7月7日の七夕の日」

久「ようするに、もうそんな時間がないわけよ」

久「咲と和は炊きつけてあるから、勝手にそれぞれ相棒と一緒に励んでくれるでしょう」

久「だから、人集めは任せたわ!」

久「お詫びといっちゃなんだけど、チームの皆をどう育てたいか、明日以降意見を聞いてあげるから」


京太郎「スポーツテストの結果とか乗ってるんですね」

久「そ。それを参考にパワーファイターをソートしてあるから」

京太郎「えーっと、赤木剛憲……お、この人瞬発力もある」

京太郎「あ、でも駄目だ、もうバスケ部に入ってる……」

京太郎「ウチはバスケ強いから、引き抜かせてくれないだろうなぁ……」

京太郎「青野柴夫……あ、こいつラグビーか」

京太郎「あ行は部活してるヤツ多いなぁ……」

久「あー、途中までは選定してたけど、か行のラストまでは誘えそうなのいないわよ」

京太郎「了解でーす」

京太郎「桜木花道……こいつもバスケか……」

京太郎「さるの・・・てんごく? 変な名前だな……」

久「サルノ・パライソって読むのよ。流行りのDQNネームってやつね」

久「何、目に止まったの?」

京太郎「そりゃあ、こんなインパクトのある名前をしてたら……」


久「まぁ確かに部活に所属してないけど……」

京太郎「あれ、何か問題あるんですか?」

久「まあ、素行がね…・・・」

京太郎「モロ金髪のチンピラ、とか……?」

久「どっちかっていうと、モロチン出すのチンチラ、とでもいうか……」

京太郎「は……?」

久「まぁいいわ……相手はアホではあるし、策によっては手中に収められるかもしれない」

久「須賀くん一人に押し付けるのは申し訳なくなる相手だし、手伝うわ」

京太郎「……それで、策ってどうするんですか?」

久「そうね、具体的には>>303

和を餌にする


久「和をエサにしましょう」

京太郎「ええええええ!?」

久「大丈夫、相手は変態、好みとしてもドストライク」

久「失敗する理由はないわ!」

京太郎「いや、そういう問題じゃなくて……」

京太郎(失敗するべきじゃないかというかなんというか……)

久「さあ、とにかく行くわよ!!」

久「一日でも早く仲間に引き入れて、守備とか練習してもらわなきゃ!!」 タッタッタッタッタ

京太郎(……あれ? 俺いらなくない?)

京太郎「って、待って下さいよー!!」 タッタッタッタッタ


久「と、いうわけで、猿野くんが仲間になったわ」

京太郎「えぇーーーーーーっ!?」

京太郎「あんだけ苦労した説得シーン全カットですか!?」

久「しょうがないわよ、スレの容量に限りはあるし、VIPじゃ易々とパートスレは立てられないし……」

久「それにまともに描写したら10レス使っても本題にすら辿り着かないわ」

猿野「オラァァァァァ! この稀代のファースト猿野様に千本ノックやってみろオラァァァァァ!」

優希「ケツを出すな! こっちに向けるな!」

穏乃「ウキャッウキーーーー!!」

久「実際もう部活が猿野空間に染まってるし」

京太郎「いろんな意味でキッツイっすね……」






京太郎「そういえば猿野はファーストで使うんですか」

久「まぁ、私がサードを守ってるしね」

久「それにポジションから違うっていうことで、パライソの能力まんまにしなくてもよくなったからよかったわ」

京太郎(時々部長よくわからないこというな……)

久「まぁとりあえず、猿野君が入ったことで、今のチーム事情はこうなってるわ」

久「新規加入があった以外、今回は変わってないけど……」

久「予想より早く勧誘が終わったし、後でちょっと誰のどこを伸ばせばいいか意見を聞くけど……」

久「それによって徐々に伸びていくから、気長にね」


※女子基準なため、男子キャラは高くなり易い
S=魔物級。 A=すごすぎ。上位プロ並。 B=超すごい。下位プロレベル。
C=すごい。超高校生級。 D=ちょい凄い。高校生上位レベル。 
E=高校生平均レベル。 F=下位高校生レベル。
G=中学レベル。よくレギュラーとして試合してるねってレベル。
糞=あまりにも糞。試合に出られてるのが奇跡すぎるほどのゴミ。 


能力は左から 弾道 ミート パワー 走力 肩力 守備力 耐エラー 特殊能力

主人公チーム 『清澄高校野球部』

右 須賀   弾道3 GCDFEE 体当たり 走塁△ 代打○ (走りにくい体になったため、走力守備力など低下)
二 宮永   弾道1 SCDECD 帳尻合わせ 威圧感 固め打ち 粘り打ち アベレージヒッター パワーヒッター サヨナラっ娘 連打○ ムード△ 慎重打法
捕 原村   弾道4 BECDCB 人気者 安定感 帳尻合わせ 威圧感 固め打ち アベレージヒッターキャッチャー◎ ブロック
投 片岡   弾道1 CDBEFF ムラッ気 連打○ 初級○ ムードメーカー ヘッドスライディング エラー
三 竹井   弾道2 DBEDEE ムラッ気 悪球打ち 逆境○ チャンス△
中 染谷   弾道2 EEDECC バント○ ゲッツー崩し
遊 穏乃   弾道1 FFCDDE 粘り打ち ベアハンドキャッチ
一 猿野   弾道4 GACCFG パワーヒッター 満塁男 サヨナラ男 三振 走塁△ エラー 
左 エトペン 弾道0 糞糞糞糞糞糞

補欠?不参加? 二 夢乃 弾道1 糞糞糞GGG 意外性
補欠?不参加? 遊 室橋 弾道1 GGFGFF ベアハンドキャッチ

投 片岡 108km コントロールE スタミナF タコスボール(ナックルベースオリ変)3 カーブ1
ムラッ気 一発病 短気 四球 乱調


久「穏乃ちゃんの登場と猿野君の加入で、大分打順をいじれるようになったわ」

久「ただ、須賀君――貴方だけは未知なのよね」

久「一人浮いて成長されても困るし、普段から咲や和、優希に接している貴女の目から見た『彼女達の伸ばすべき能力』を聞かせてもらえるかしら」

久「参考にさせてもらうわ」

京太郎「そうですね……」

京太郎「やっぱり和は>>311を重点的に伸ばすべきじゃないですかね」

京太郎「んで、優希は>>313あたりを」

京太郎「咲は……>>315なんかがいいんじゃないですか?」

京太郎「穏乃は>>318をすべきでしょうし……」

京太郎「あと同じ初心者だから分かりますけど、猿野は>>320じゃないかなーと……」

京太郎「あと、僭越ながら、流れで言っちゃいますと……」

京太郎「染谷先輩は>>323した方がいいんじゃないですかね……」

京太郎「それに、部長は、その……」

京太郎「生意気かもしれないっすけど、>>325がいいと思います」

おっぱいパワー

球速

捕手破壊

人間性

乱闘


京太郎「とりあえず和はおっぱいパワーを鍛えるべきです」

久「……は?」

京太郎「……はっきり言いましょう」

京太郎「男はおっぱいが大好きです!」

久「……まぁ、健全な男子の性欲を否定したりはしないけど……」

京太郎「そして、何だかんだ言っても、スラッガーはまだ男子の方が多いです」

久「まぁ、力じゃどうしても劣りがちだからね」

京太郎「そんなスラッガー達も、やや後方に目線を移せばおっぱいがあるとなれば――」

京太郎「前方のボールになんて集中できなくなるんですよ」

京太郎「和の頭脳を持ってして見えそうで見えない谷間ID野球をすれば、敵の打者を翻弄できるというわけです」

京太郎「これはパラメータに現れない裏要素的強さになりますよ!」

久「確かに、一理あるわね……」

久「胸の分体重が重くなればパワーだって付くだろうし……」

久「いいわ。和にはおっぱい力を上げさせましょう」

間違えた染谷先輩の分は俺の今のレスの下

ファッキュー部長と同じになるやん。
これが部長のレス番なら、一個下ワカメ二個下部長


京太郎「それと、ネットで調べたんですけど、最近の野球は守備が大事って聞いたんで……」

京太郎「染谷先輩は、守備の一点読みを覚えたら強いんじゃないかと」

久「一点読み……?」

京太郎「はい。何でも、メガネを外したら近似イメージから打球を予想できるらしいんで……」

京太郎「それを伸ばすという意味で……」

京太郎「勿論これも、パラメータに反映されにくい能力ですけど」

久「まあ、確かに選択肢としてはありね」

京太郎「で、部長も守備をやってもらうとして……」

京太郎「そうしたら、二遊間を固める咲と穏乃や要の和を合わせて、守備のチームが出来上がるんじゃないかと」

久「なるほど、そうね……」

久「採用しましょう。優希がバテる可能性が高い以上、打たれても抑えられる状況があるにこしたことはないわ」

京太郎「あ、ありがとうございます!」

久「こちらこそ意見ありがとう」


久「で、やぱり同じ内野の猿野君も守備練習なのかしら」

久「鬼のようにエラーするし……ゴロがアウトに出来ないのはちょっとばかし致命的よ」

京太郎「まぁそうですけど……猿野には乱闘能力を上げてもらいます」

久「……は?」

京太郎「元から自由な行動で伸びるタイプっぽいですし……」

京太郎「何よりウチは女性ばっかで非力ですからねえ」

京太郎「ナメられて乱闘されたら間違いなく負けますし」

京太郎「抑止力は大事です」

久「そういうものかしら……?」

久(まあ、これ以上増やす意味はともかく、パワーはついでに上がりそうだからよしとしましょうか)


久「同じく素人の穏乃ちゃんはどうしたらいいと思う?」

久「野生じみた瞬発力で球には結構追いつくのに、キャッチングが未熟でポロポロ落としたりするんだけど……」

久「そのへん徹底する?」

京太郎「いや……あいつには人間性を叩き込みます」

久「……へ?」

京太郎「もっと人間らしくしてもらわないと……」

久「うん、まあ、気持ちはわからなくもないけど、猿相手にそんな無茶な……」

京太郎「人間としてレギュラーに使う以上、人間として振るまってもらえなきゃこまるじゃないですか!」

久「でも、ちょっとくらい奇行したって、人外だなんて思われないわよ」

京太郎「……あいつ、守備練習グローブの代わりにシンバルでやってますけど」

久「人間性って大事だわ」


久「で、我らがキーマン・咲はどうするつもり?」

京太郎「……選手破壊を覚えてもらいます」

久「またえらいダーティね」

京太郎「――嶺上開花」

久「え?」

京太郎「知ってます? 麻雀の言葉のようです」

京太郎「この前ポロッとこぼしてたんです。その言葉を」

京太郎「その言葉の意味のように、自分もマウンドという不毛地帯に真っ赤な花を咲かせてみたいって……」

京太郎「その不順で純粋な願いを、ちょっと叶えてやりたいなって」

久「………・・・」

京太郎「それに、今までの軌道や跳ね方ばかりに意識を割く打法をやめ、一撃必殺の速度のある打球をはなてるようになれば――」

京太郎「スイング技術は、飛躍的に向上するはず!」

久「……まぁ、咲についてあなたがそう言うのなら、そうしましょう。咲について一番分かっているのは貴方でしょうし」

京太郎「ありがとうございまっす!」


優希「くったくただじぇー」

優希「って、犬! キサマ走りこみもせず何やってるか!」

久「あー、須賀くんなら私と方針会議中よ」

和「……それでしたら、私達も呼んでくれれば……」

久「二人には余計な負担はかけたくないからね」

京太郎(あれ? 俺は?)

久「とりあえず優希は、変化球多投でバテるのを塞ぐためにも、球速をあげなさい」

優希「えええ~~~~~~~っ!?」

久「しょうがないでしょー。実際遅いんだから」

優希「わかってるけど、縁起がよくて好きだったのに…・・・」

京太郎「えんぎ? 煩悩の数がか?」

優希「違うじょ! 108は10と8に分けて、トウバ――ちょっと訛らせて東場(トンバ)って読むんだじぇ!」

京太郎「ますます意味が分からん」


久「まーまー、優希は説得しておくから、今日はもう帰りなさい」

京太郎「え、でもまだ俺……」

久「まさか、素直に和がおっぱい云々を聞くはずないでしょ」 ヒソヒソ

久「発案者に猛抗議するに決まってるし、納得させられるまでは逃げまわっておきなさい」 ヒソヒソ

京太郎「そ、そうですね……今日は早いけどもう帰ることにしますよ」 ヒソヒソ

京太郎(和達に会うと面倒だし、寄り道するにしても学外だよなあ……)


久「あ、そうそう、ここでセーブしておいた方がいいわ」

京太郎「へ?」

久「さすがにそろそろ眠気が酷いのよね」

久「人も少ないしいい頃合いじゃない?」

京太郎「え、何の話です?」

久「まあ、起きてスレがあったら保守するし、夜まであったら続きを書くわ」

久「気が向いたら保守なりてきとーな感想なり雑談なりしてて頂戴」

京太郎(何か急に話についていけなくなった……)

久「そんなわけで、恒例行事よ」

久「……夢オチとして、ちゃんと目覚める場所が残ってるといいわね」 ニッコリ

京太郎「え、何ですかその嫌な前フリは!!」

久「スリー、ツー、ワン!」

ボカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!



(スレが残ってる、なんてことがあったら)続く

このスレで収まらなかったらSS速報?

>>348
タブンネ
SSスレ自体始めてで手探りだから、収まらなかったらちょっとどーするのがポピュラーなのか調べるわ

7時くらいから再開しようかな。保守がわりに、練習試合の相手だった櫻花會のスペックでも。

大正義野球娘。 『櫻花會』

補 鈴川  弾道3 DDEFED ブロック
投 小笠原 弾道2 FGFEDF
右 川島  弾道1 糞糞糞糞糞G 三振
二 宗谷  弾道1 EFEFDD ピポットマン ベアハンドキャッチ 積極守備
三 月映巴 弾道4 DCDEFF パワーヒッター
一 月映静 弾道2 EFEFFE 
遊 石垣  弾道2 DFEEDE ベアハンドキャッチ 積極守備
左 桜見  弾道1 糞GG糞G糞 三振
中 菊坂  弾道1 EGCFEE 内野安打○

投 小笠原 96km コントロールE スタミナG ナックル2
一発病 軽い球 ピンチ× 四球 ランナー× 乱調 荒れ球 


1 中 菊坂
2 二 宗谷
3 遊 石垣
4 三 月映巴
5 一 月映静
6 補 鈴川
7 投 小笠原
8 左 桜見
9 右 川島

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