P「俺に勝てたら結婚してやる」 (246)

春香「えっ」

美希「えっ」

雪歩「えっ」

小鳥「えっ」

P「ルールは簡単だ。俺との勝負に勝てたら、俺と結婚出来る。負けたら1週間の間だけ、俺の言う事聞いてもらう」

P「何で勝負するかは、その都度こちらが決める」

P「さて……やるか?」

全員「「「やります!!!!」」」


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律子『あの突然の宣言から3ヶ月後……』

真「勝負ですプロデューサー!今度こそ勝ちます!そしてボクと結婚してもらいます!」

P「お、またか。お前も懲りないなぁ」

律子『3ヶ月の間、挑戦したアイドルの悉くを撃破。未だにプロデューサーに挑み続けるのは、真ただ1人だけとなったのでした』

真「今日は前回のようには行きませんよ!どんな勝負でもドンと来い!」

P「ん?……じゃあ、今回は神経衰弱だ」

P「神経衰弱は知ってるな?伏せたトランプを交互に2枚ずつめくり、数字が同じならペア完成。より多くペアを作った者の勝ちだ」

P「トランプは52枚、ペアは26組出来る。今回はタイマン対決だから、先に過半数の14組を作った方が勝ちだ。OK?」

真「ガッテンです!今度こそ絶対に勝って、プロデューサーと、け、けっ、結婚しますからね!」

P「じゃあ今回俺が勝ったら……うーん……1週間の間、仕事でもプライベートでもこれを着ててもらおうか」

真「プ、プロデューサー……その服って……」

P「ん?これはゴスロリってヤツだけど、真ってこんなフリフリの服着てキャッピピピピーって街中を練り歩きたいとか言ってなかったっけ?」

真「いやいやいや!フリフリにも程があるでしょ!?いくらボクでも、そんなフランス人形みたいな服着て外なんか歩けませんよ!」

P「じゃあやめる?結婚も諦める?」

真「…………やるます!」

小鳥「さぁ始まりました。プロデューサーとの結婚を賭けた、菊地真の18回目の挑戦です!実況は私、音無小鳥!解説は竜宮小町のプロデューサー、秋月律子でお送りします!」

律子「今日はよろしくお願いします」

小鳥「さて律子さん、負けも負けたり17連敗中の真選手ですが、今回は何か秘策でもあるのでしょうか?」

律子「特に無いでしょうね。前回の罰ゲームの『3日間移動は全てウサギ跳び』が終わったので、間髪入れずすぐに挑戦しただけでしょう」

小鳥「なるほどー、ではいつもの万歳突撃だと?」

律子「おそらく」

真「じゃあプロデューサー、先攻は譲ってあげますよ」

P「お、マジで?ありがと」

真「ボクって優しいですからねぇ、へへっ♪」

律子「とか何とか言ってますが、神経衰弱では後攻の方が有利なんですけどね」

小鳥「さすが真選手、もう何が何でも勝ちたいんや!という欲を隠そうともしてませんねぇ」

P「なら先攻は俺からで良いんだな?」

真「はい、どうぞ!」

P「本当に。良いんだな?」

真「ど、どうぞ?」ドキッ

P「まずは手前から……6。そして……はい、6。これで1ペア完成」

真「えー!?いきなりぃ!?」

P「次は、9。そして、9。5と、5。Kと、K。8と、8。次は……」

真「……えっ?えっ!?」

小鳥「あ、あれ?」

律子「これはもしかして……」

P「はい、これで14組目のペア完成。俺の勝ちだな」

真「そ、そんなぁ!?」ガビーン!

小鳥「な、なんとまさかのパーフェクトゲーム!プロデューサー、真選手に1枚もめくらせずに終わらせてしまいましたぁ!!」

律子「ふむ……」

P「んじゃ、約束通り1週間ゴスロリね」

真「んぎぎぎぎぃぃぃ……」ギリギリギリギリ

律子「ちょっと待ってくださいプロデューサー、異義ありです」

P「うん?何が?」

律子「そのトランプ、ちょっと調べさせてください」

真「え?ど、どうしたの律子?」

律子「……やっぱり。プロデューサー、イカサマしましたね?」

真「えっ?」

小鳥「い、イカサマ!?」

P「……」

律子「見て、真。このトランプの裏面の柄、一パッと見ただけでは解らないけど、この隅っこの柄のパターンで数字やマークが識別出来るんだわ」

真「……本当だ!プロデューサー!こんなのズルいですよ!!」

P「……何の事?」

律子「往生際が悪いんじゃないですか?」

真「これプロデューサーの反則負けですよね!?ボクの勝ちですよね!?ボクと結婚してくれますよね!?」

P「落ち着け。っつーか、俺がイカサマしたとか、何を根拠に言ってんの?」

律子「このイカサマトランプと、プロデューサーの一方的な勝利が根拠です」

P「いや、だからさ、俺がそのイカサマトランプの柄を頼りにして勝ったって証明出来んの?」

P「そのトランプにそんな仕掛けがしてあるなんて、今初めて知ったしなぁ。いやぁビックリビックリ」テヘペロ

律子「そんな屁理屈が……」

P「まずその前に、俺がそのトランプでイカサマしたって証明するのが先じゃね?」ホジホジ

律子「ぐっ……」

真「……もう良いよ律子。ボクの負けだよ」

真「でもプロデューサー、次は絶対負けませんよ!?」

P「はいはい、とりあえずそのゴスロリ着て今から営業行くぞ」

真「い、今からですかぁ!?」

小鳥「……また勝てませんでしたねぇ」

律子「あのプロデューサー、本当に根性へし折れてるわね!あぁもう!」

小鳥「でもそんなプロデューサーに、事務所のみんなが惚れちゃってるんですよねぇ」

律子「それが謎なんですよ。あんな男のどこが良いんだか……」

小鳥「あれ?律子さんもプロデューサーに勝負挑んでましたよね?」

律子「ぐっ!?」

小鳥「それであっさり負けて、1週間メガネ3個同時に掛けとけって言われて、営業先で大恥かいて……」

律子「わーっ!!もう思い出させないでくださーい!!」

小鳥「事務所の誰もプロデューサーに勝てなくて、罰ゲームを課せられて、みんな心折れちゃったんですよねぇ……」

春香 1週間リボン無し

美希 1週間おにぎり抜き

貴音 1週間ラーメン抜き

やよい 1週間もやし抜き

千早 1週間PAD特盛

雪歩 1週間犬絡みの仕事のみ

響 1週間ペット没収

亜美真美 1週間有名進学塾巡り

伊織 凸をワックス掛け



小鳥「私も同人誌燃やされちゃいましたし、唯一勝負してないあずささんはまだコンゴから帰って来ないですし……」

律子「正直、18連敗もしてて未だに心が折れない真が信じられませんよ」

小鳥「よっぽどプロデューサーさんと結婚したいんですねぇ。若いって素晴らしいわぁ」

律子「でもあのズル賢いプロデューサーに、脳筋の真が勝てるのかしら?」

小鳥「……ダメかも」

1週間後。

真「プロデューサー!勝負です!」

P「おう真、ゴスロリ可愛かったぞ」

真「えっ、いや、あの、えへへへ……」テレテレ

真「じゃなくて!今度こそ勝ちます!そして結婚します!」

P「じゃあ今回も神経衰弱で」

真「待った!またイカサマトランプ使うつもりじゃないでしょうね!?」

P「いや、イカサマとかしてないし……」

律子「大丈夫よ真。今回は私が持って来たトランプを使うと良いわ。まだ封も開けてない新品よ」

真「ありがとう律子!勿論認めてくれますよね?プロデューサー!?」

P「良いよー」ホジホジ

真『あれ?全然動揺してない……?』

小鳥「さぁ始まりました。プロデューサーとの結婚を賭けた真剣勝負!(1週間振り19回目)実況は音無小鳥。解説は秋月律子と水瀬伊織でお送りします!」

律子「よろしくお願いします」

伊織「よろしく」

小鳥「さて伊織さん、今回は……うおっまぶしっ!?」

律子「伊織、ちょっと輝き過ぎじゃない?ちょっとグラサン掛けるから待ってて」

伊織「うっさいわね!まだワックスが完全に落ちてないんだから仕方ないじゃない!」

小鳥「今回プロデューサーはイカサマトランプを封じられての神経衰弱ですが、お二人はどう思われますか?」

律子「お互いイカサマ無しのヒラッコなら、後は記憶力と運の勝負ですからね。真は記憶力はからっきしですので、最初から運に頼るしかないでしょう」

伊織「でもねぇ、これ大丈夫かしら?」

律子「何が?」

伊織「前回の顛末を聞く限り、イカサマトランプが使えなくなる可能性が高いのに、それでも神経衰弱を選ぶって事は、余程勝つ自信があるって事じゃないの?」

小鳥「確かに……」

P「さて、先攻後攻どっちが良い?」

真「今回はボクが先攻で!」

小鳥「おっと、神経衰弱では不利な先攻を自ら選択しました真選手。これは何か必勝策でもあるのでしょうか?」

伊織「無いでしょ。だって真よ?」

律子「あえてフォローするなら、前回のように1度もトランプに触れずに敗北したくなかったからですかねぇ?」

真「行きます!どりゃあ!!4!!」ビターン!

真「次は……これだぁ!!7!!惜しい!!」ビターン!

律子「惜しくも何ともないでしょ」

伊織「もっと静かにめくりなさいよ。メンコじゃないんだから、トランプ叩きつけなくても良いわよ」

P「俺の番か。じゃあ手前のヤツから……2か。それなら……4」

真「ププッwwプロデューサー、それボクが最初にめくったヤツじゃないですかーww」

律子「……?」

伊織「……?」

真「次ぃ!AとQ!惜しい!」

伊織「だから何が惜しいのよ……」

P「うーん……9、と……4」

真「だーかーらーwwそれはボクが最初にめくったヤツですよ?wwプロデューサー、本当は神経衰弱からっきしなんじゃないですかー?ww」

真「10!と……6!揃わないなぁ……」

P「……8。と、8。はい1ペア」

P「次はJか。じゃあ、はい4」

伊織「これって……」

律子「みたいね」

小鳥「え?どーゆー事ですか?」

真「あ、7!えっと、さっきの7は……ここ!あれ?Aだ……」

P「はい、Aはここ。そのAもらってこれで2組目。そして7と、7」

P「3……はい、4」

伊織「これはアレね、プロデューサーは見せる情報を最低限にして、真にそれ以上の情報を与えないようにしてるのよ」

小鳥「と言うと?」

律子「まず真はとりあえずどんどん新しい情報を得ようと、片っ端からトランプをめくってますよね?でもプロデューサーは、1枚新しいトランプをめくって、その次は真が直前にめくったヤツをわざとめくってるんです」

伊織「そうすると真がめくったトランプ2枚に対して、アイツがめくるのは実質1枚ってワケなのよ」

律子「自らは多くを見せず、相手にトランプを覚えさせない。本当にズル賢いわねあの男は……」

P「どアホゥ!狡猾と言わんか!より格調高く!」

真「むぅー……あ、4だ!4の位置は覚えてるぞ!散々めくってたから……ここだぁ!」ビターン!

真「あ、あれ!?Qぅ!?何で!?」

P「惜しいな真。4はここだよ。ついでにQとQも貰ってくぞー」ペラッ

律子「……さっき4をめくった時、こっそり隣りのトランプと入れ替えたわね」

小鳥「こ、ここまでやるんですか!?」

伊織「本当、大したペテン師だわよ……」

結果。P14組。真1組。チーン


真「グギギギギ……」ギリギリギリギリ

P「じゃあ負けた真さんは、これから1週間ハゲヅラを被るという事で。OK?」

真「……はい」

P「よし、それじゃ早速営業行くぞぃ」

真「……はい」

伊織「……何で真はあの腐れ外道の事を諦められないワケ?」

律子「さぁ?」

小鳥「あら?伊織ちゃんも律子さんも、プロデューサーの事はもう好きでも何でもないんですか?」

伊織「……ふーんだ!」プイッ

律子「……ノーコメントで」

勝負して勝ったら結婚してやる!って言われて、みんな色めき立った。

我先にとプロデューサーに挑んで、そしてみんな負けた。

たった1回負けて打ちのめされた者、2回3回挑んで諦めた者。

そんな子達を尻目に、ボクは何度も何度も挑んだ。そして挑んだ数だけ負けた。

その度に、きっつい罰ゲームという名の辱しめを受けた。

諦められれば良いのに、不思議と諦めるという選択肢は出て来なかった。

負けて諦めた子達に、あの人は言った。

勝てなかったみんなにもまだチャンスはある。

トップアイドルになった先着1名様にも、結婚出来る権利がある。

っつーか、是非結婚してくださいと俺が土下座して頼む事になるかもな、と。

その日から、みんなトップアイドルになる為にレッスンに打ち込んだ。亜美と真美も、美希ですら必死にトップアイドルを目指して日々努力してる。

トップアイドルの座と、プロデューサーのお嫁さんの座と、両方手に入れようと頑張ってる。

でもボクは、ずっとプロデューサーに勝負を挑み続ける。

だって、ボクなんかがトップアイドルになれるワケが無いから。

千早みたいな歌唱力も無い。

美希みたいな才能も無い。

あずささんや貴音みたいなプロポーションとも無縁だ。

亜美と真美、やよい、伊織達のような伸び代も無いと思う。

響みたいに能天気にもなれない。

雪歩みたいな保護欲を掻き立てられる弱々しさが欲しかった。

個性が無いなんて言ってる春香にも、ボクが勝ってる要素を見つけられない。

だからボクはトップアイドルになんかなれない。なれるハズがないんだ。

トップアイドルの座はみんなで争えば良い。

誰がトップアイドルになっても、相応しいと思う。

でも、プロデューサーのお嫁さんの座だけは……

誰にも譲らない!

譲ってたまるもんか!

ねぇ、みんなは知ってる?

プロデューサーは負けたボクに毎回しんどい罰ゲームをさせるけど……

ボクが泣いたりヘコんだりしないように、いつもなんやかんやフォローしてくれるんだ。

あの人を好きな理由を数え出すとキリが無いし、嫌いになる理由は1つも見つからないんだよ。

ちょっと小休止。
ひたむきな真と、小賢しいPをもっともっと書きたいとです。

真「無事プロデューサー!勝負です!」

P「またぁ?自分で提案しといて何だけど、そろそろ諦めたら?」

真「イヤです!ボクは絶対に諦めませんからね!」

P「さよか。まぁその根性は凄いと誉めてやるよ。でもお前が何度かかって来ても、オイラ負けないよ?」ユラユラ

真「望む所です!絶対にプロデューサーのお嫁さんになってみせます!」

P「じゃあ今回負けたら……うーん、あ、1週間Tバックな」

真「えっ」

P「1週間の間、パンツはTバックのみで」

真「……やるます!どうせボクが勝つんだから、罰ゲームの事なんて考えるだけ無駄ですならね!」

P「そう言って既に19連敗中なワケだが」

真「さぁ、今回の勝負は何ですか?じゃんけんですか?じゃんけんですよね!?」

P「イヤだよ。お前じゃんけんで相手が何出すか見えてるじゃん」

P「今回は……しりとりだ」

P「しりとりのルールはまぁ色々あるよな。固有名詞のみオッケーとか、地名や人名はダメとか」

P「でもまぁ今回は固有名詞じゃなくてもオッケーっつー事で」

P「後は『ん』が最後についたら負け、言い直しは不可。制限時間は各10秒、タイムアウトも即負けだ。良いな?」

真「ガッテンです!」

P「言ったワードが有効か無効かを判定する審査員は、こちらの皆様だ」

春香「公正に判定しまーす!」

美希「公正に判定するの!」

雪歩「こ、公正に判定しますぅ!」

律子『あ、これアカンやつや……』

小鳥「さて、今回はどちらが勝ちますかね?」

律子「……少なくとも真がかなり不利ですね。あらゆる面で」

あずさ「でも、真ちゃんならそんな不利な状況も全部吹っ飛ばしてくれるんじゃないかしら?」

律子「どうでしょうね……てか、あずささんいつ帰ってたんですか?」

あずさ「昨日の深夜の船便で帰って来ましたぁ。これ、お土産の槍と弓矢です。私の手作りなんですよ?」

律子「はぁ、どうも……」イラネー

小鳥「あずささん、実はかくかくしかじかなんですけど、あずささんも是非参戦しちゃったらどうですか?」

あずさ「うーん……遠慮しておきます。私なんかがプよるとロデューサーさんに勝てるとは思えませんし。それに、私は運命の人に自分から告白するより、告白されたいですから♪」

P「それじゃあまず俺から。『しりとり』」

真「『りす』!」

P「『スリ』」

真「『りんご』!」

P「『ゴキブリ』」

真「『陸』!」

P「『栗』」

真『リスク』!」

P「『薬』」

小鳥「あっ……(察し)」

あずさ「あらあらー?」

律子「本当にあの人は……」

真「あ、あれ?えっと、『リンス』!」

P「『推理』」

真「えぇっ!?うーん……『理解』!」

P「『居残り』」

真「ぐっ!?……あ、『利子』!」

P「『尻』」

真「嘘っ!?こ、これって……」

春香「10……9……」

美希「8……7……」

雪歩「6……5……」

真「うああぁ!あ、あの、『竜宮小町』!」

P「『チリ』」

真「り、り、『陸上競技』!」

P「『義理』」

真「うぅ、えっと、あの、『リップスティック』!」

P「『曇り』」

真「えぇっ!?あぅ、あ!『竜宮城』!」

P「『売れ残り』」

小鳥「これはひどい……」

律子「あの人って、子供の頃ちゃんと友達いたのか心配になるわ……」

春香「10……9……」

美希「8……7……」

雪歩「6……5……」

真「『理科』!」

P「『肩こり』」

真「り、り、り、『リッチ』!」

P「『地理』」

真「だ、ダメですよ!アウトですアウト!だってさっき地理って言いましたもん!」

P「さっきのは南米のチリだ。今言ったのは教科の地理、全然別だよ」

春香「有効」

美希「有効」

雪歩「有効」

真「そ、そんなぁ!?」

春香「10……9……」

真「あぁもう!『リスト』!」

P「『鳥』」

真「はやっ…………『旅行』!」

P「『瓜』」

真「り、り、『略奪』!」

P「『釣り』」

あずさ「プロデューサーさん早いわねぇ、ほとんどノータイムで答えてますよ?」

律子「多分、もう何回も何回もこの手で勝って来たから、シミュレーションは完璧なんでしょうね……」

小鳥「なんて狡猾!悪辣!何でこんな人がモテモテなんでしょうか!?」

律子「まったくですよね……」

その時、真に電流が走る……!

真「り、『料理』!」

P「お」

小鳥「おぉっと!?ここで真選手まさかの『り』返しぃっ!」

あずさ「真ちゃん凄いわぁ!」パチパチ

真「へへーん、どんなモンですか!」

P「『倫理』」

真「えっ」

P「『倫理』だよ、りーんーりー」

真「」

律子「あの小賢しいプロデューサーが、そんな対策を怠ってるワケ無いじゃないの」

小鳥「で、ですよねー……」

春香「そこまで。タイムアウトにより、勝者、プロデューサー!」

P「あざっす!」

真「orz」

P「はい、じゃあ1週間分のTバックね。別に着けてるかどうかを俺に見せなくて良いから、ちゃんと約束通りに着けて生活してくれよ?」

真「ううぅ……わ、解ってますよ!」

小鳥「はい、と言うワケで、これで真選手の20連敗となりましたが、律子さんいかがですか?」

律子「そうですね。早く真以下、事務所の全員の目が覚めるのを待つばかりです」

あずさ「でも、それも難しいかも知れないわぁ……」

春香「プロデューサーさん、余裕たっぷりで素敵です!」

美希「ハニー……まさしくミキの理想の大人像って感じなの♪」

雪歩「動じないプロデューサーも、掌の上で転がされまくりの真ちゃんも、どっちも最高ですぅ!」

小鳥「oh……」

律子「oh……」

真「うぅ……歩きにくいよぅ……」ヒョコヒョコ

P「どうした真?ケツに何か挟まってるみたいな歩き方してんぞ?」

真「ちょ!アイドルに向かってケツとか言わないでくださいよ!!」

P「あぁ、すまんすまん。で、何でそんなぎこちない歩き方してんの?」

真「だって!あの、その、パ、パンツが食い込んでるから……」ボソボソ

P「え?何だって?」

真「だ、だから!パンツがお尻に食い込んで歩きにくいんです!!」

P「……真、往来のど真ん中で大声で叫ばないようにしなさい」

アレキクチマコトジャネ?ヒソヒソ

パンツッテイッテタヨ?ヒソヒソ

真「え!?あ、あうぅ……」

P「っつーか、普段からそんな食い込むようなパンツ穿いてんの?」

真「プ、プロデューサーがTバック穿けって言ったから穿いてるんでしょ!?だから今穿いてるし、そのせいでTバックがお尻に食い込んでるんです!知ってるくせにぃっ!!」

エ?マコリンTバックハイテルノ?ヒソヒソ

ウッソー?マジイケメンナンデスケドー?ヒソヒソ

P「……真?」

真「ご、こめんなさい……」

P「でもアレだな、Tバック穿いてるからかも知れんが、今日の真のヒップラインはいつもより綺麗だよなぁ」ジロジロ

真「んなっ……何言ってんですかぁ!?」

P「いやいや、いつも見てるけど今日の真のヒップラインは何だか目が離せなくてなぁ」ジロジロ

真「何でそんなにガッツリ見てるんですか!?やめてくださいよ!!」

P「うーん……やっぱり真はドンドン女らしくなってるな」

真「えっ!?」

P「っつーか、セクシーになってるんだな」

真「え、え……えぇっ!?」ドギマギ

P「考えてみりゃ真はまだ高校生だからな。今はまだ幼く見られてるかも知れんが、二十歳になったらもしかしたらあずささんよりセクシーになってる可能性もあるぞ」

真「あ、え、あの、あ、ありがとう、ございます……」テレテレ

P「真はそんなセクシーな下着を着けたり、ゴスロリ着たりするのはイヤか?」

真「え?あ、いえ、イヤって言うか、恥ずかしいって言うか……」

真「いつもいつも男っぽいって言われてて、仕事もそんなイメージのばっかりだし、ファンもほとんど女の子だし……」

真「だからそんな日常に対する反発、ってワケじゃないんですけど、女の子っぽい服や生活に憧れてたり、白馬の王子様にもそれなりの憧れもありますし……」

真「何言ってるのか解んないや……罰ゲームとか、こんな機会でも無いと、Tバックなんて穿けないから……それについてはプロデューサーに感謝しても良いですよ、何てね♪」

真「……どうせボクなんてトップアイドルにはなれないですしね」

P「……お前今何つった?」

真「え?」

P「トップアイドルになれない?誰が?お前がか?」

P「誰がそんな事を決めたんだ?」

真「いや、あの……」

P「……」

真「……ごめんなさい。ボクが、その、勝手に、トップアイドルになんかなれないって、諦めてました……」

P「俺はな、俺が担当してるアイドル全員、もちろん竜宮小町もだが、トップアイドルになれる可能性は十分あると思ってる。決して夢物語なんかじゃなくな」

P「俺は、事務所のみんなが俺に好意を持っている事を知ってる。これは自惚れなんかじゃないと思ってる」

P「美希や春香みたいな解りやすいアプローチな子もいれば、伊織みたいなツンデレも、雪歩みたいな引っ込み思案な子も、亜美や真美ややよいみたいなまるっきりお子ちゃまも、あずささんや律子や小鳥さんみたいな大人の女性も、みんな俺に好意を抱いてくれてる」

P「言うなれば俺は彼女達からの好意をエサにして、トップアイドルを目指すよう仕向けてる」

P「でもそれは彼女達の持っている才能や魅力が、トップアイドル足り得るものだと信じているからだ」

P「もしかしたらそんなエサなんか必要なく、彼女達はトップまで登り詰めるかもなぁ」

P「でもそんな彼女達の中で、エサに食いつき過ぎてトップアイドルなんか眼中に無いって子がいた。それがお前だ」

真「……」

P「みんながレッスンや営業を頑張っているのに、機会があれば俺と勝負したがってるんだからな」

P「お前も薄々気づいてるんだろ?俺がお前を
絶対に勝たせないように仕組んでるって」

真「えっ」

P「えっ」

真「……」

P「……マジでか?」

P「……まぁ良いや!」

真「えっ!?」

P「真、これからはちゃんとトップアイドルを目指すって約束してくれよ」

P「俺との勝負を逃げ道にしないでくれ」

真「に、逃げ道だなんて、思ってません……」

P「どうかな?どうせお前の事だから、トップアイドルの座は譲っても、プロデューサーのお嫁さんの座は譲らないぞ!とか考えてんだろ?」

真「ぅえっ!?な、何で!?」

P「解らいでか。俺はお前のプロデューサーだぞ?」

P「もう勝ち目の無い勝負は挑むな。お前ならトップアイドルになるのなんてあっと言う間だ」

P「トップアイドルになって、まだ俺の事を好きでいてくれるのなら、改めて俺の方から告白する」

P「給料3ヶ月分の指輪を用意して、土下座して泣きながらプロポーズさせてもらうわ」

真「そ、そこまでするんですか!?」

P「馬鹿野郎!世の中には土下座してもアイドルと結婚出来ない奴は星の数ほどいるんだぞ!そいつ等に比べて俺は12人のアイドルと1人のプロデューサーと1人の事務員に結婚しても良いと思われるくらい好かれてるんだぞ!?」

P「それくらいしないと申し訳ねぇだろうがぁ!!」

真「プ、プロデューサー!往来のど真ん中で絶叫しないでください!!」

真「……解りました。ボク、間違ってました」

真「トップアイドル、目指してみます」

P「おう」

真「でも、プロデューサーとの勝負は続けますよ?」

P「え?何で?」

真「良いじゃないですか、罰ゲームだって全然苦にならないですし」

P「お前、まさか……ドMか?」

真「違います!」

1週間後

真「おはようございます、プロデューサー」

P「おう、おはよう」

真「あ、あのですね。お借りしてたTバックなんですけど……もう少しお借りしてても良いですか?」

P「……穿いてる?」ジロジロ

真「……はい」テレテレ

P「構わんよ。っつーか、貸すんじゃなくてあげるよ。返されても処理に困る」

P「良い女に成長する為に、これからはヒップラインにも気をつけるんだぞ?」

真「は、はい!」

響「はいさーい!プロデューサーうきてぃー!真にもうきてぃー!」

響「だぁんかいしてもくぬめーやでーじやたん!わーやーでとぅるばってたら、しらねーらんインが居てて、しにしかんださー!」

P「あ、ご、ごめんな響!出来れば地球の言葉で喋ってくれるとありがたいんだけど」

響「興奮しててうっかり訛りが出てたさー」

響「それよかプロデューサー!こないだもらったアレ、ちゃんと穿いてるぞ!」

P「へぇ、どれどれ……うん、ヒップラインが凄く綺麗になってるじゃないか」

真「えっ」

響「ほ、本当か?」

P「おう。響はスタイル抜群だから、益々魅力的になったぞ」

響「え、えへへへ!もー自分そんな褒められたら照れるぞー!でも時々お尻に食い込んで大変さー」

真「えっ」

P「良い女になる為だ、それくらい我慢しろ」

響「そうだな!もっともっとセクシーになれば、トップアイドルにもなれるかな?」

P「あぁ、響ならすぐだ」

響「じゃあ、仕事行って来るさー!」タタタタ

P「おう、頑張れよー」

真「……プロデューサー?」

P「ん?どした?」

真「……他の子にもTバックを穿かせてるんですか?」

P「とりあえず響と貴音くらいかな。小鳥さんと律子にも後で打診してみるけど」

真「……何でですか?」

P「だって、1人でも多く綺麗なヒップラインを増やしたかったから」

真「……ボクだけじゃなかったのかよ」ブツブツ

P「ん?何か言ったか?」

真「何でもないですー!別に悔しいとか思ってないですー!」

P「お、おう」

貴音「貴方様、真、おはようございます」

P「おう、貴音か。おはよう」

真「あ、おはようございます」

貴音「貴方様、先日頂いた下着なのですが……」

真「!?」

P「お、穿いてるのか?」

貴音「はい、慣れるまで多少違和感がありましたが、今は丁度良い具合です」

P「そうか。ん?でもヒップラインがあまり変わってないような……?」

貴音「普段身につけている褌とそれ程違いは無いからではないでしょうか?」

P「えっ」

貴音「はい?」

P「え?四条さん、普段フンドシ絞めてらっしゃるの?」

貴音「左様です。我が家には下着類は褌とサラシしかありませぬ故」

P「……」

貴音「あの、貴方様?私、何か粗相を致しましたでしょうか?」

P「貴音」

貴音「はい?」

P「明日からフンドシに戻せ」

貴音「えぇっ?で、ですが折角貴方様に頂いた物ですから、大事に使いたいのですが……」

P「違う。貴音の美しさを際立たせるには、和のテイストだ。気取ってTバックを穿くよりも、お前は今の持ち味を活かすべきだ!」

貴音「そ、そうなのでしょうか?」

P「貴音。今度フンドシのグラビアを撮影してみないか?お前の尻とフンドシが合わされば、社会現象間違い無しだぞ!」

貴音「そ、それは、いくら貴方様の頼みと言えど……」

P「二十郎ラーメンを1日貸し切ってやるぞ?」

貴音「やります」グッ

貴音「ではこれから仕事に出掛けます故、また後程」

P「あぁ、頑張れよー!」

真「……」

P「ん?どしたの?」

真「何でもありません……」

真『ちぇーっ!何だよ何だよ!プロデューサーってば、誰にでも優しいんだもんなー!ここ最近はボクと勝負ばっかりしてたから忘れてたけどさー!』

真『ボクの事しか考えないでよーっ!って言えたらなぁ……まぁ言えるワケ無いし、言ったところで聞いてもらえないだろうし……』

真『……ボク、どうしてあの人の事好きになったのかな?他のみんなと先を争って結婚したいって思うくらい……』

P「どうしたんだ?グダグタ悩むなんて、真には似合わんぞ?」

真「ボクだって人並みに悩んだりするんです!」

真「そんな事より!今日も勝負です!」

P「またぁ?お前これからトップアイドル目指すんじゃないのか?」

真「トップアイドルも目指してますよ。でも、それと並行して勝負は挑み続けます!」

真「今じゃあもうプロデューサーとのタイマン勝負はボクだけの特権みたいなものですし、だったらその特権をいつ使うかはボクの自由ですからね!」

P「へいへい、じゃあ今回負けたら3日間3食ラーメンな」

真「えぇっ!?それはいくら何でもひど過ぎませんか!?」

P「勝てば良かろうなのだ」

真「うぅー……解りました!受けて立ちますよ!」

P「じゃあ今回は、とんち腕相撲だ」

真「へ?とんち腕相撲?」

P「お前、腕相撲には自信あるんだよな?」

真「え?あ、はい。とりあえず、この事務所ではボクが1番強いと思いますけど……」

P「たまにはお前の土俵で勝負せにゃ、律子や
伊織にやれずる賢いとかやれ悪代官だとか罵られまくりだからな」

真「あ、あの!こ、これに勝ったら……け、結婚……」

P「するよ。プロデューサーに二言は無い」

真「……っっっしゃあああぁぁぁぁぁ!!」

小鳥「さぁ、と言うワケで始まりました!第21回、プロデューサーとの結婚の権利を賭けた菊地真選手の挑戦!実況は音無小鳥、解説には765が誇る驚異のデンジャラスツインズ、双海姉妹にお越し頂きました!」

亜美「よろだよ→」

真美「よろよろ→」

小鳥「さて、今回の種目は『とんち腕相撲』との事ですが、気になるプロデューサーの腕相撲の実力はどの程度なのでしょうか?」

亜美「う→ん……あんまし強くなかったよ?」

真美「亜美と真美の2人がかりでやっと互角ってくらいだったよ」

亜美「そんな腕力で大丈夫か?」キリッ

真美「大丈夫じゃない!」ドヤァ

小鳥「なるほど……では腕相撲ではなく、とんちが今回の勝敗を決する鍵になりそうですね!」

亜美「てか、とんちって何するの?」

真美「知らないよ→」

P「さて、とりあえず痛くないように、手の甲が当たる箇所にハンドタオルを敷いておいて、と」

P「ルールの説明をする。腕相撲をして、相手の手の甲をこのハンドタオルに触れさせた方の勝利だ」

P「その他については特にルールは無い」

真「っしゃあ!いつでも来いです!」

小鳥「おっと、真選手気合い十分!ライブ前より集中しています!」

亜美「久々に自分の得意分野での勝負ですからなぁ。上腕二頭筋もすこぶる燃えているでしょう!」

真美「765プロのメスゴリラと呼ばれているまこち→の破壊力をここで活かす時が来ましたぞ!」

真「呼ばれてなぁい!!」ウガー!

小鳥「では不肖、この私がレフェリーを務めます。お互いにシェイクハンド!」

真「フーッ!フーッ!」ガシッ

P「……」

小鳥「レディー……」

亜美「……」ゴクリ

真美「……」ゴクリ

小鳥「ゴッ!!」

音無小鳥は、後にこの勝負をこう語る。

小鳥『真選手の気合いと迫力、集中力、どれを取っても勝利するのには十分なレベルでした』

小鳥『勝負は一瞬の内につくだろうと、私は予感していました』

小鳥『そしてその予感は見事に的中し、瞬きする暇も無く、決着したのでした』

小鳥『そう……プロデューサーの勝利という形で!』

小鳥『正直な話、まさか!?という感想でしたね』

小鳥『私も、亜美ちゃんも真美ちゃんも、真選手の勝利を信じて疑いませんでした。そしておそらく、当の真選手も……』

小鳥『しかし私達はもう少し考えるべきでした』

小鳥『腕相撲という、真選手の土俵での勝負の提案に……』

小鳥『もう1つの謎の要素、とんちとは何なのかを……』

小鳥『そして、プロデューサーの外道っぷりを……!』

小鳥『私達は自分の目を疑いました。目の前の光景がとても信じがたいものだったからです』

小鳥『私が勝負の開始を告げた瞬間……』

小鳥『まさか……プロデューサーが……』

小鳥『空いた左手でハンドタオルを掴んで、そのまま真選手の右手の甲に、ハンドタオルを押し当てたからです!』



真「……え?え?」

P「はい、俺の勝ち」

真「え?な、何言ってるんですか!?だって、あの……」

P「相手の手の甲にハンドタオルを触れさせた方の勝ち。っつー事で俺の勝ち」

真「そんなぁ!?だってそんなの反則でしょ!?」

P「ハンドタオルを動かしてはならないっつールールは無い」

真「いやいや!これは腕相撲でしょ!?こんなの徒競走でゴールの方から近付いて来るようなものじゃないですか!?無効ですよ無効!!」

P「普通の腕相撲なら反則だろうな。しかしこれはとんち腕相撲だ。よりとんちを働かせた方が勝つんだよ」

真「うぅっ!ううぅぅうーっっ!!」ギリギリ

小鳥「デビルや……」

亜美「サタンや……」

真美「デーモンや……」

真「う、うぅ……うぐぅ……」ジワァ

P「え?」

真「うぅ……うわあああああああああっっ!!」

P「うぇっ!?」ビクッ

真「うあぁあぁぁぁああぁっっ!!プロデューサーの馬鹿ああぁぁぁぁ!!」ビービー!

小鳥「おぉっと!?真選手ここで大号泣だぁ!」フンスフンス!

亜美「自分が勝てると思ってた勝負でこんなにコケにされちったからね→」

真美「理想と現実の落差に耐えられなくなったんだね→。ちかたないね」

真「あぁあーんあぁーん!プロデューサーがいじめるうぅーっっ!!」ビービー!

P「ちょ、ちょっと真さん?どうしちゃったの?」アタフタ

亜美「そりゃそ→だよ→!兄ちゃんひどすぎ→!」ブーブー!

真美「きちく→!ひとでなし→!」ブーブー!

小鳥「今のは流石に擁護出来ませんぉ?黒井社長より薄汚いと思います!」ブーブー!

P「え!?そんなに!?」

真「ひっ、ひっ、うえぇえぇ……」

真「ひどいよ……こんなの酷すぎるよぅ……」

真「もう良いもん!結婚なんかしなくて良い!トップアイドルも目指さない!てかアイドルなんて辞めてやるから!!」

P「おいおい!それはいくら何でも思い詰め過ぎだろ!?」

真「だってプロデューサー、ボク達と結婚する気なんか無いじゃないですか!ボク達の恋愛感情を利用して、トップアイドルにさせる事にさか興味無いんでしょ!?」

P「あ、いや、そんな、事は、無い、ですよ?」

亜美「……何でそこで断言出来ないの?」

真美「兄ちゃんってそんなに卑怯な大人なワケ?」

P「ば、馬鹿な事を言うでねぇ!オラがそっまら最低な男なワケ無ぇべが!?」

小鳥「それ何弁ですか?」

P「あーもう解った!もう一度腕相撲で勝負する!」

P「今度はとんちは無し!正真正銘普通の腕相撲だ!男の底力見せてやる!」

亜美「じょしこ→せ→相手に腕力で挑むとか……」

真美「兄ちゃぁん、小者臭がハンパ無いよ→?」

P「っさい!結婚が懸かってんだからこれくらい真剣にもなるわい!」

真「ぐすっ、ひぐっ、ほ、本当に、普通の、腕相撲で、良いんですかぁ?」

P「応ともよ!プロデューサーに二言は無い!」

小鳥「男らしいのかどうなのか、ちょっと判断出来ないなぁ……」

P「でも、勝負は勝負だから、3日間3食ラーメンでよろしく」

真「うぅっ、ぐすっ、それが終わったら、早速勝負ですからね!?約束ですよ!?」

P「解ってるよ。はい、指切り」

真「え、えへへへ……」テレテレ

亜美『まこち→……』

真美『ちょろ過ぎっしょ……』

小鳥『JKを意のままに操る敏腕プロデューサーとか……アリね!!』

そして……

真「プロデューサー!勝負!勝負勝負勝負!」

P「っさいわ!出社するなりやかまし過ぎ!」

真「腕相撲で勝負してくれるんですよね!?小細工無しの真剣勝負なんですよね!?」

P「……あぁ、普通のルールの腕相撲だよ」

真「っしゃあ!さぁやりましょうすぐやりましょう今やりましょう!」

P「落ち着け!それよか3日間3食ラーメンの刑は終わったのか?」

真「終わらせましたよ!3日目はもういつリバースするかどうかの瀬戸際で……うっぷ」

P「あー解った解った。お疲れ様」

真「えへへ♪プロデューサーの為に頑張ったんですからね?」

P「その頑張りをもっとアイドル活動にだな……」

真「そんな事よりすぐ勝負しましょう!いつやるの?今でしょ!?」

P「うっぜぇ!こっちにも準備があるんだから
落ち着け!」

真「準備?」

響「はいさーい!プロデューサーうきてぃー!真もうきてぃー!」

貴音「プロデューサー、ごきげんよう。真も、ごきげんよう」

P「おう、来たか。おはようさん」

真「響?貴音も?2人ともどうしたの?今日はオフだったんじゃないの?」

P「……真」

真「え、ど、どうしたんですか?そんな真剣な表情で……」ドキドキ

P「今回の勝負にもし真が負けた時の話をしようか」

真「……ぼ、ボクが腕相撲で負けるワケありませんよ!父さんとも良い勝負するんです!プロデューサーにだって絶対に勝ちます!」

P「っつー事は、負けたら何でもするワケね?」

真「の、望むトコロです!ボクの土俵での勝負だし、ボクが勝ったら結婚してもらうんですから、それくらいのリスクは覚悟してます!」

P「ふぅん……なら問題無いか。響と貴音も、こないだの話考えてくれたか?」

響「ちょっと迷ったけどて自分、プロデューサーの頼みなら」

ミス。

響「ちょっと迷ったけど……自分、プロデューサーの頼みなら断らないぞ!」

貴音「わたくしも、あなた様が望まれるのであれば、どのような事でもいたします」

真「……何だかただならぬ空気なんですけど」

P「真。お前が負けたら、響と貴音とユニットを組んでもらう」

P「これは以前から温めていた案だ。上手く行けば竜宮小町を超えるユニットの誕生だ」

P「竜宮小町だけじゃない。ディアリースターズもジュピターも魔王エンジェルも、全て過去のものとなる。それだけの可能性を秘めたユニットだ」

P「このユニットの結成が実現すれば、トップアイドルの座はかなり現実味を帯びるだろう」

真「えぇっ!?い、良いんですか!?」

P「何がだ?」

真「だって、ボクが勝ったら即結婚で、負けてもトップアイドルになれる可能性のあるユニットに入れて、万が一トップアイドルになれたら、プロデューサーとの結婚の権利が得られるし……」

真「これってどっちに転んでもボクは損しないじゃないですか!?」

P「それはどうかな?ユニットでトップアイドルになったら、その権利は響と貴音にも与えられるっつー事を忘れんなよ?」

真「で、でも今の中途半端な状況と比べたら凄く大きな前進ですよ!やります!その条件呑みます!!」

P「よし。なら勝負だな」

真「っしゃあ!やっるぞー!」

響「……なぁ真ォ、ちょっと考えた方が良いぞー?」

真「え?何で?」

響「何でって……話が旨すぎるとか思わないのかぁ?」

貴音「わたくしも響も、此度のプロデューサーの話を引き受けるかどうか、深く悩みました。深く悩んだ末に承諾したのですよ?」

響「大体、あの、あのプロデューサーがそんな旨い話持ち掛けると思ってんのか?勝っても負けても美味しいなんて、いかにも胡散臭いと思うぞー?」

真「……言われてみれば」

真「え?でも、響も貴音も、どんな方向性のユニットにするのかってプロデューサーから聞いてるんでしょ?」

響「あー、うん……まぁ一応は聞いてるんだけど……」

貴音「流石にわたくし共の口からは説明出来ませぬ……」

真「……あ、あのぅ、プロデューサー?」

P「何かね?」

真「さ、差し支えが無ければ、どんなユニット構想なのかなぁ、とか……教えて頂ければと……」

P「……そうだな。百聞は一見に如かずだな」

P「ちょっと待ってろ」ツカツカ

P「……これがそのユニットの衣装だ」

真「へぇ、意外とちゃんとしてるなぁ。ダンス重視のユニットって感じかな?」

響「……あっ!」

貴音「これは……」

真「ん?どうしたの?この衣装がどうかした?」

真「あれ?あれ?何これ?」

真「……何これ?」

真「何だよこれえぇぇぇぇっっ!?」ガビーン!

真「プ、プロデューサー!?こ、こここここの衣装……!」

P「どうだ?中々のモンだろ?」

真「こ、これ発注ミスとかじゃないんですか!?」

P「そんなワケ無いだろ。俺が考えたデザインと寸分の違いも無い」

真「じょ、冗談じゃないですよ!こんなの着てユニットとして活動しろって言うんですか!?絶対にイヤです!!」

P「何が不満なんだ?トップアイドル間違い無しだぞ?」

真「だ、だって!この衣装……」

真「お尻のトコに穴が開いてるじゃないですかぁっ!!」

P「それが何か?」

真「こ、こんなの着たらお尻丸出しじゃないですかぁっ!」

P「それが狙いだが?」

真「な、な、な……」パクパク

P「真、響、貴音の3人で売り出す超新星ユニット、その名もズバリ『Tバックノヴァ』だ」

P「765プロが誇るアイドル達の中でも、特に俺が認めた3人の尻自慢を集めたユニットだ」

P「この衣装を着て、Tバックを身につけて活動する」

P「真の健康的でキュッと引き締まった尻、貴音の大きくて成熟した尻、そして響の小麦色の南国風な尻。この3つの美しい尻が集まれば……」

P「天下……獲れるぜ!!」

真「うるさい馬鹿ぁっ!!」

真「こ、こんなの事務所的にNGでしょ!?社長も律子も絶対認めませんよ!!」

P「認めたよ?」

真「え?」

P「認めた。っつーか説得した。社長も律子も、それこそ何時間も掛けて、別々に説得した」

P「最後には社長が『律子君がOKなら……』って折れて、律子も『社長がOKなら……』って折れた」

真「こ、ここ小鳥さんはぁ!?」

P「何か『新しい一眼レフ買って来ます!』って意気込んでた」

真「うわあああああああああっっ!!」ガビーン!

真「ひ、響ィっ!こんなのイヤだろぉ!?イヤだって言ってよぉぉぉ!!」

響「ま、真ぉ!落ち着けってばぁ!」

真「こんなお尻丸出しの衣装で、Tバックまで見せないといけないんだよ!?こんなの絶対おかしいよぉ!!」

響「そ、そりゃ自分もプロデューサーから話が来た時は断ったさー……」

響「でもさ、プロデューサーが……」

P『お前の尻は完璧なんだ!その美しい尻を服の中に隠すなんて、ファンに対する裏切りだろ!?』

P『俺はトップアイドルになった響と……お前のその尻を見ていたいんだ……』

響「そんな事言われたら……OKするしかないさー……」ポッ

真「何でだよおおおおおおっっ!?」

真「た、貴音は!?貴音もイヤだよね!?」

貴音「確かに、このような破廉恥な衣装と、ユニットとしての方向性、全てが面妖です」

貴音「プロデューサーから話を伺った時は、自分の耳を疑いました」

貴音「特にわたくしが面妖に感じたのは、あのてぃーばっくとやらを衆目に晒さなければならないという事でした」

貴音「わたくしはハッキリとお断りしました。しかしプロデューサーが……」

P『解った。貴音がどうしてもTバックを穿いた尻をファンに見せたくないというのなら仕方がない』

P『だが、俺はみんなに自慢して欲しかったんだがなぁ……貴音のあの見事な、綺麗な、満月のようにまん丸なあの尻を……』

P『…………どうしてもTバックがイヤなら』

P『……フンドシも可だが?』

貴音「そこまでしてわたくしの臀部が見たいとおっしゃるのならばと思い、お引き受けしました」ポッ

真「だから何でだあああああああ!?」

P「っつーかさぁ、真もそんなにそのユニットに入りたくないって言うなら、俺との勝負に勝てば良いんだよ」

P「それでユニット結成の話は消滅。そしてお前は俺と結婚出来る、と。何が不満なんだ?」

真「そ、そうか!ボクが勝てば良いんだ!」

真「響!貴音!2人には悪いけど、ボクは全力で勝つよ!せっかく決心してくれたんだろうけど、ボクはそんなお尻丸出しユニットなんか入らないんだからね!!」

響「ふーん」

貴音「そうですか」

真「あ、あれ?意外と冷静だね?もしかして、実は2人ともそんなに乗り気じゃなかったとか?」

響「うんにゃ。だって、プロデューサーが言ってたし」

貴音「『真の事は心配するな。俺が絶対に勝つから』と」

真「……そ、そんなに自信あるの?」

真『プロデューサーってそんなに腕相撲強いのかな?いや、でも亜美と真美の2人がかりで互角ってくらいだし……』

真『ボクは亜美と真美の2人がかりでも余裕で勝てるし、普通にやればプロデューサーにも勝てるはずだよね……?』

真『もしかして、また卑怯な手を使うつもりなのかな!?』

真『でも、今回の腕相撲は普通のルールだって言ってたし、今度卑怯な手を使ったらボクだってキレるし……』

真『……大丈夫!ボクは勝てる!ボクは強い!』

真『ボクは勝つんだ!そしてプロデューサーのお嫁さんになって、バージンロードをお姫様抱っこしてもらうんだ!』

真「よし!プロデューサー!腕相撲で勝負です!!」

P「……良いだろう。正々堂々とな」

真「絶対勝つ……絶対勝つ……絶対勝ぁつ!」

響「おぉ……気迫がみなぎってるぞ……」

P「……」コキッコキッ

貴音「こちらは、とても落ち着いていますね。まるで静かな湖畔の水面のような……」

P「真、体調は万全か?」

真「……ここ最近で一番絶好調です!!」

P「そうか。勝っても負けても、後悔だけはしないようにな」

真「大丈夫です。絶対勝ちますから!」

P「真、右腕を出せ」

真「え?あ、はい」スッ

P「腕相撲は腕全体の筋肉を使う。特に肘から手首にかけての筋肉が最も重要だ」

P「ここが凝り固まっていては、勝てるものも勝てなくなるぞ」ギュッギュッ

真「プ、プロデューサー?」キョトン

P「痛くないか?」ギュッギュッ

真「あ、ちょっと痛いです、けど、い、痛気持ち良いって、感じ、です」ドキドキ

響「へぇ、勝負前に相手の腕をマッサージしてやるなんて、随分余裕だなぁ」

貴音「あの方は、とても心優しい方ですから……」

P「……」ギュッギュッ

真「……」ドキドキ

P「……」ギュッギュッ

真「あ、あの、プロデューサー?もう良いですから……」ドキドキ

P「ん?もう良いのか?筋肉はほぐれたか?」

真「は、はい!何か良いのか?感じにリラックス出来ました!もう完璧です!」

P「そうか。じゃあ、やるか?」スッ

真「は、はい!」ガシッ

響「よーし、じゃあ自分が審判やるぞ!2人とも、勝っても負けても恨みっこ無しだぞ?」

響「……レディー、ゴッ!」バッ

ミス。

×良いのか?感じ

○良い感じ

グググググッ!

真「あ、あれ?何で!?」

P「……」グイグイッ

真「そんな!?力が入らない!?」

P「……」グイグイッ

真「ま、負ける!?ボクが!?」

真「い、イヤだああぁぁぁぁっっ!!」

ドンッ!

響「そこまで!ウィナー、プロデューサー!」

P「ウィィィィィーッ!!」

真「そんな……何で……?」

P「さて、と……」

真「……」

P「やってくれるね?」

真「……はい」ガックリ

響「よーし!Tバックノヴァ始動だぞー!」

貴音「やるからには、頂点を極めましょう」

真「……」

響「まーこーとー!いつまで呆けてるんだー!?勝負は時の運だから仕方ないぞー!」

貴音「考えを変えるのです。このユニットでトップアイドルの座を掴んだ時に、改めてプロデューサーに求婚すれば良いのですから」

真「……そうか!そうだよね!?」

響「そうさー!自分と貴音と真、3人の尻が集まれば天下無敵だぞー!」

貴音「やりましょう真。わたくし達の尻を1つに合わせ、トップアイドルを目指しましょう!」

真「響……貴音……ボク、やるよ!トップアイドルになる為なら、お尻を出すくらい何でも無いよ!」

響「よーし!それでこそ真だぞ!」

貴音「今日この時が、わたくし達の船出ですね」

真「やるぞ……やってやる……みんな!目指すは!」

3人「「「トップアイドル!!!」」」

P『ふぅ……どうやら上手く行ったようだな』

P『今回は正直どうなるか、賭けだったんだが……』

P『まさかあのマッサージが、筋肉を弛緩させて力が入らなくなるようになる裏技だとは知るまいて……』

P『ありがとう探偵ナイトスクープ!とても役に立つ調査依頼だったぜ!』

P『まぁ後は、この3人が頂点に立てるようにお膳立てするだけだな』

P『もちろんこいつ等以外のアイドルにも、トップアイドルを獲れる秘策は用意してある』

P『これから忙しくなるぜ……!』

この後、765アイドルは空前絶後の『所属全アイドルのトップアイドル獲得』という偉業を達成する。が、それはまた別のお話。

今や巨大ビルにオフィスを構える765プロの社長室には、様々なアイドル達の写真の中に、3人のお尻丸出しのアイドルの写真が飾られていたという。

ミス。

×指示
○支持

そして、プロデューサーと真、残りのアイドル達がどうなったかと言うと……

真「プロデューサー!勝負です!今日こそ絶対に勝って、絶対に勝ちます!」

春香「ダメだよ真!今日はプロデューサーさんは私と勝負するんだから!」

美希「違うの!次は美希の番だから、真クンも春香も引っ込んでるの!」

雪歩「プ、プロデューサー、今日は私と……勝負してくださぁい!」

全員がトップアイドルになってしまった事で、結婚の約束はうやむやに。いっそ重婚の認められている国に移住しようかという案も出る始末。

そこで、従来通りプロデューサーとの対マン勝負に勝った者が結婚出来るとあって、アイドル達は暇さえあれば我先にと勝負を挑むのでありました。

P「トホホ、これじゃ身がもたないよ……」

P「えぇい!今日の勝負はモンゴル相撲じゃい!全員服を脱いで全身にサラダ油を濡れい!!」

おわり

乙④ 真 単純だがそれがいいwwww
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ここまで読んでくださった皆様、並びに素敵なイラストを投稿してくださった>>229様、ありがとうございました。

初のアイマスSSだったので色々拙い部分がありましたが、ご容赦くださいませ。

次回作は伊織と響を構想中です。

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