P「今日は0時30分からTHE iDOLM@SCLETERか・・・」 (64)

伊織「まったく、はやく扉ぐらい一人で開けられるようになりなさいよ!使えないわね」

P「すまん・・・というかそれならもうちょっと軽い扉にしてくれないか?」

伊織「そんなことしたら私たちの力じゃ壊しちゃうでしょ、却下よ却下」ゴゴゴゴゴゴ

ここ最近のいつものように事務所の重厚な扉を開けてもらうと。

P「うっ・・・!?」



中の雰囲気は最悪だった。

たとえるなら暗雲たちこめ、キノコが生え、貧乏神がブレイクダンスを踊っているような。

原因は音無さんの大きな背中から発せられる負の波動である。

P「あの・・・その雰囲気ひょっとして・・・」

小鳥「ええ・・・またオーディション全滅です!」

皆「あぁ・・・」

一緒にいた伊織、やよい、亜美真美も一斉に暗い顔になる。

伊織「納得いかないわね、なんでこの伊織ちゃんが落とされなきゃいけないのよ!」

P「ま、まあまあ・・・運とかニーズとかそういうのがあるんだよきっと・・・」

伊織「それか、あんたのひょろい姿のせいで落とされたんじゃないの?ふん!」

P「ひょろくて悪かったな・・・」

俺だって中高サッカー部でそれなりに運動はしていたんだが。

あと、審査員だって俺と同じような体格だったし・・・あっちまで筋肉じゃなくてよかった。

亜美「兄ちゃん、亜美たちもっとテレビに出たいよ!」

やよい「今月もお仕事が無かったら、また1対5のタッグ戦になっちゃいますー!」

P「そ、そうだよな・・・」

斜め上から切実な願いを畳み掛けてくる少女たち。顔はキュートなのに体格のせいでまるで脅されているようだ。

P「しかし、なんでこんなに落とされるんだ?」

自慢じゃないがうちのアイドルたちはみな顔は一級品だ。

体格も恵まれている。恵まれすぎている。いやこれは本当に恵みと言えるのか?

むしろ何かの罰なのではないか?前世に弱気な同僚に忘年会で筋肉襦袢を着せた恨みを背負ってしまったとか・・・

いやいやそんなことは考えてはいけない。本人たちに責任がないとすると・・・

P(まさか本当に俺のせいか・・・?)

小鳥「プロデューサーさん、そのことなんですけど実は心当たりが・・・」

P「宣材写真?」

小鳥「ええ、サイトにも載せている写真なんですが、それがちょっと、その・・・」

P「何か問題でもあったんですか?」

世紀末覇者よろしく上半身の服がはじけ飛んで、公共にさらせない写真にでもなったのだろうか。

・・・いやだ、そんな光景は想像したくもない。

小鳥「・・・とりあえず、見て頂ければわかると思います・・・」

P「こっ・・・これが宣材・・・?」

音無さんから渡された写真を一目見て何が問題かが判明した。

むしろなぜ誰も気づかなかったのだろうか。

P「この写真・・・顔が写ってないじゃないですか!」

完全に首から上が見切れていた。

ナイスなボディしか写っていなかった。

P「そりゃそうだ・・・顔も映ってないのにどうして宣材になるんだよ・・・どうしてみんなこんな感じなんだ?」

伊織「なによ、社長が『君たちのナイスマッスルなら一目でティンと来るさ!』って言ったからじゃない」

やよい「この写真社長にすごくほめてもらいましたー!」

P(そろいもそろって筋肉バカ・・・)

まさかこの違和感に気付いたのは音無さん一人だというのか。

P(そりゃオーディションも通らないわけだよ)

独り心の中でため息をついていると、いきなり窓がガタガタッとゆれた。

P「風か?・・・いや、なんか声が聞こえるな」

窓を開けると理由がわかった。1階から律子が大声で俺たちを呼んでいたのだ。

ちなみにここは9階である。

律子「窓大きく開けといてー!」

小鳥「あ、荷物ですね。プロデューサーさん、ちょっと窓から離れたほうがいいですよ」

P「は、はぁ?」

かくして音無さんが律子に向かってサインを出して数秒後、窓から大きな段ボール箱が飛んではいってきた。

亜美「うーむ、やっぱりりっちゃんのコントロールは天下一品ですなー」

つまり1階から投げ込んだらしい。筋肉バカだ。

律子「よいしょっと・・・あ、ちゃんと届きましたね、よかった」

そのまま窓から入ってくる律子。繰り返すがここは9階だ。

ちなみに命綱は無いが、外壁にはボルタリング用の足場が取り付けてあるため彼女たちには安全だ。

P「なんですかこれ?」

律子「ふっふーん、なんとなんと、お待ちかねのおそろいの衣装です!」

皆「おおー!」

P「へぇ・・・意外と普通なんだな・・・」

最悪ランボー的なものさえ覚悟したのだが。

P「い、いやそんなことより律子、相談があるんだが」

律子「なんですか?効率のいい下腿三頭筋の鍛え方ですか?」

P「そんな脳筋な質問じゃなくて宣材のことで・・・」


こうして、俺の広報初仕事は広報資料の見直しから始まるのだった。

 

この番組は

P「今日は0時00分からTHE iDOLM@SCLETERか・・・」

の続きとなっていますが

とりあえず筋肉だということだけわかっておけばなんとかなるかもしれません


 

~CM~

THE IDOLM@STER 765PRO ALLSTARS+ GRE@TEST BEST!

第1弾 THE IDOLM@STER HISTORY

好評発売中!

~CM~

 

”トレーニング”をはじめた少女たち

                    第
                    二
                    話

 

~オーディション控室~

千早「宣材撮りなおすみたいね・・・」

貴音「はて、前のではいけなかったのでしょうか・・・?」

千早「ええ・・・あら、春香大丈夫?なんだか胸鎖乳突筋が痙攣しているようだけど・・・」

春香「き、緊張しちゃって・・・心臓飛び出しそう・・・」

貴音「なんと、春香の心臓が大胸筋を突き破りそうだとは一大事です!早くこの大胸筋矯正サポーターを!」

春香「そ、そっちじゃなくて口からでそれも比喩ですけど・・・あの、ちょっとお手洗い行ってきます!」ガチャ


ドンッ


?「うわぁっ!」

春香「あっ・・・と」ガシッ

春香「ご、ごめんなさい、大丈夫ですか?」

?「あ、いや、俺もよそ見しててすいませんでした・・・」

春香「いや、私が勢いよく飛び出さなきゃこんな吹っ飛ばしそうには・・・」

?「いやそんなことは・・・」

?「とーまくーん、早くー」

?「どうしたんだい冬馬?」

?「あ、すいません人を待たしてるんで・・・」

春香「はい、あの、このお詫びはまたいつか・・・って行っちゃった・・・」

千早「春香?どうかしたの?」ガチャバキッ

春香「う、ううんなんでもない!」

翔太「さっきの人知り合い?」

冬馬「いや、ちょっとぶつかっただけだ」

北斗「筋力系アイドルだよね、あの体つきからいって。でも見たことないな、新人かな?」

冬馬「転びそうになったのを助けてもらったんだけどさ、凄い力強かったんだよ・・・すげえなあ・・・」

北斗「冬馬、あれ目指してるのか?お前には、というか俺たちにあの路線は無理だろ」

翔太「うんうん、あの肉体は持って生まれたものしか与えられないからねー」

冬馬「た、たとえそうだとしても近づくために努力すんのは勝手だろ!」

北斗「熱いねぇ冬馬は・・・ま、それがいいところなんだけど」

翔太「僕たちには僕たちのコースがあるよ冬馬くん」

            ノヘ,_
    ,へ_ _, ,-==し/:. 入
  ノ"ミメ/".::::::::::::::::. ゙ヮ-‐ミ

  // ̄ソ .::::::::::: lヾlヽ::ヽ:::::zU
  |.:./:7(.:::::|:::|ヽ」lLH:_::::i::::: ゙l   いぇい!
 ノ:::|:::l{::.|」ム‐ ゛ ,,-、|::|:|:::: ノ   道端に生えてる草は食べられる草です!

 ヽ::::::人::l. f´`  _  |:|リ:ζ    畑に生えている草は美味しく食べられる草です!
 ,ゝ:冫 |:ハ、 <´ノ /ソ:::丿
 ヽ(_  lt|゙'ゝ┬ イ (τ"      ホント 貧乏は地獄です! うっう~~はいたーっち!!!

       r⌒ヘ__>ト、
      |:  ヾ   ゞ\ノヽ:    __  .      ri                   ri
      彳 ゝMarl| r‐ヽ_|_⊂////;`ゞ--―─-r| |                   / |
       ゞ  \  | [,|゙゙''―ll_l,,l,|,iノ二二二二│`""""""""""""|二;;二二;;二二二i≡二三三l
        /\   ゞ| |  _|_  _High To

事務所に戻ってくると、なにやらあちらこちらでやいのやいのとやっていた。

こういうところは普通の女の子らしくて微笑ましい。


真「あ、今回の衣装は可愛い系なんですね、たまにはいいなあこういうのも!」

美希「うーん、美希は真くんはもうちょっと女の子を前面に出してもいいと思うけどな」

真「そうかなぁ?」

~応接室~

亜美「んっふっふー、どんなポージングにしようかなー?」

真美「今回も、ポーズバシバシっと決めたいよね!」

亜美「あ、この写真集のこれ!腕が凄い盛り上がってていいねー!」

真美「こっちは背中の筋肉が強調されてる、真美はこっち!」

やよい「うー、じゃあ私は・・・」

伊織「あーもう、こんな使い古されたようなポージングじゃ駄目よ駄目!」

伊織「いい、アイドルの頂点に立つためには・・・」

亜美真美やよい「立つためには・・・?」

伊織「個性よ!個性が大事なの!」

亜美「なるほどー!・・・で、個性ってなに?」

真美「とにかく目立てばいいんじゃないの?」

やよい「うー、私外では背が大きい方だけど、事務所では小さいから目立てないですー・・・」

伊織「違うわ、個性とは背の高さじゃないの、つまり・・・」

やよい「つまり・・・?」

伊織「えーと、その・・・み、みた人が驚くことよ!」

亜美「驚かせればいいんだね!」

真美「久々に真美たちの上腕二頭筋が唸りますなー!んっふっふー!」

~撮影スタジオ~

伊織「とはいったものの個性とは・・・うーん・・・」

やよい「うわー、すごい衣装がいっぱいですー!仮装パーティみたい!」

亜美「確かに服装は個性の基本ですなー」

真美「服装が流行になることもあるしねー」

伊織「一応揃えては見たけど、でもなーんかこういうのじゃないような気が・・・」


律子「じゃあ次はあずささん撮ってもらってくださいね」

あずさ「はい、カメラマンさん、よろしくおねがいします~」


やよい「・・・ん?わー、あずささん綺麗!」

真美「どれどれ・・・わぁ本当!なんかキラキラしてる!」

亜美「あずさお姉ちゃんパイオツ見えちゃいそうだYO!」

伊織「ふむ・・・わかったわ、これよ!私たちに足りなかったのは!」

伊織「作戦変更よ!私たちに足りなかったのは・・・」

亜美真美やよい「足りなかったのは・・・?」

伊織「テカリよ!あと露出が足りなかったのよ!」

亜美「おおー・・・誰よりもデコがテカってるいおりんがいうと説得力が・・・」

真美「略してdktkいおりん・・・」

伊織「ちっがう!そうじゃなくて、オーラというか体全体からあふれんばかりの眩さよ!とにかくあずさに負けないように私たちも頑張るわよ!」

やよい「でも、あんなふうにぴかーってするのは難しいかなーって・・・」

伊織「ならば代用するだけよ!これでね!」ババーン

真美「・・・なまたまご・・・?」

~控室~

伊織「まずは生卵をといて!」

やよい「まかせて伊織ちゃん!」シャカシャカシャカシャカ

伊織「次は服ね、露出と言えば水着!亜美、適当に衣装棚から引っ張ってきて!」

亜美「イエッサ!」

伊織「真美は刷毛を探してきて!」

真美「ラジャー!」

伊織「装着完了!」

亜美「露出度90%!」

真美「チョーセクチー!」

やよい「うう・・・ちょっとこれ小さすぎて恥ずかしいかも・・・」

伊織「なにいってんのよ、ビキニより大きいし、こうでもしないと色気は出ないわ!」

亜美「おお・・・いおりんまた広背筋がビルドアップしてる・・・」

真美「やよいっちの僧帽筋も将来性あるね・・・」

伊織「そして最後に卵をぬる・・・」

やよい「い、いくよ伊織ちゃん・・・」

伊織「きなさいやよひゃん!ちょ、ちょっとくすぐったキャハハハハ!やめっちょっすとっぷ!」

亜美「いやいや我慢ですぞいおりん」ガシッ

真美「ほら両腕押さえててあげるからあばれなーい」ガシッ

伊織「あ、あんたたち、あとでおぼえてなさくぎゅっ!にゃああああああ!!!」



響「・・・?なんか控室から変な声が聞こえるぞ・・・」

貴音「なにやら卵の匂いがいたしますね・・・?」

~撮影スタジオ~

P「ふむ・・・とりあえずボディビルダーっぽいポーズをやめさせてみたらなかなか絵に・・・いやマヒしてるだけか」

伊織「遅くなりましたー!」

P「ああ、やっときたかいおりぃ!?」


そこには。

いやにテカった水着の彫像が4体立っていました。

卵臭ぇ。

伊織「あらん、刺激が強すぎたかしら?」ムキッ

亜美「うんうん、兄ちゃんたちの気持ちもわかるよ」ムキョッ

P「お前たち・・・何考えてるんだ・・・?」

伊織亜美真美やよい「はえ?」

P「そんなんじゃ撮影できないだろ、はやくシャワー浴びて着替えてこい!」

伊織「な・・・なによ偉そうに!」ズシンズシン

伊織「この格好になにか問題あるわけぇっ!?」ツルッ

伊織は自分の足元に滴った卵に滑り、その勢いで振り上げた拳がそのまま俺のほうへ・・・

P(あ、死んだかなこれ)

田舎の親父お袋、仕事はもうちょっと選ぶべきでしたね、今は反省しています・・・

P(・・・・・・?)

いつまでたっても予想していたインパクトが来ないので、恐るおそる目を開けてみた。

するとそこには、

千早「大丈夫ですか、プロデューサー」

千早の背中があった。

P「お、おう・・・すまん千早・・・」

千早「水瀬さん、その恰好ではスタジオが汚れてしまうわ」

伊織「え、ええ・・・」

千早「あと、男性向け雑誌じゃないのだから水着じゃなくてもいいし、何よりまだ肌寒いからちゃんと服を着たほうがいいわ」

やよい「そ、そうですね・・・」

律子「ほらほら、シャワーに連れてってあげるから、いくわよ」

そうしてぞろぞろと出ていく5体の巨人たち。

P「さっきはありがとうな千早・・・というか、大丈夫だったか、思いっきり胸に拳が当たってたと思うが」

千早「問題ありません・・・プロデューサーは私のあだ名を聞いたことがありますか?」

P「えーっと・・・なんだったっけ・・・ああ、『絶壁』?」

千早「くっ・・・『鉄壁』です!」グワッ!

P「お、おうすまん千早、上から勢い付けて迫ってこないでくれ怖い」

千早「とにかく、あの程度の攻撃なら私にとってはいつものことですから、問題ありませんので、心配しないでください」

P「うん、まあでも一応ありがとうな」

重ねて礼を言うと、千早は何も言わず、無表情のまま控室へと戻っていった。

P(照れ屋なのかな・・・?まあ、まだ話しやすいだけマシか)

シャワーを浴びてすっきりした4人と、近くのベンチに腰を並べて話をすることにした。はは、隣に座ってんのに上向かないと顔が見えねえ。

P「ふむ、つまり個性を出したかったからああしたと・・・」

伊織「じゃあどうすればよかったのよ?」

真美「そうだよ兄ちゃん、あずさお姉ちゃんみたいにキラキラで凄かったじゃん!」

P「うーん、つまりさぁ・・・個性ってのはただ目立つとかキラキラするだけじゃないっていうか・・・」

真美「ていうか?」

P「・・・・・・・・・・・・よし、一緒に考えてみるか!」

伊織「わからないんじゃない・・・」

P「うるさいな、とにかく他の皆を見て、真似するんじゃなくて参考にしてみよう」

筋肉ダルマとひとくくりにしてしまうのも簡単だが、765プロの彼女たちには確かに何かがあるはず。

それが何なのかをこの際俺も考えてみよう。

P「お、美希の撮影だな。あいつは特に存在感あるから、よく見ておこうか」

美希「ねえねえカメラマンさん、美希ね、いろんなポーズ一杯決めるから、パシャパシャーってリズムで撮ってね!」

カメラマン「オッケー、じゃあいくよー」

デデンデンデデン\パシャ/

デデンデンデデン\パシャ/

カメラマン「おおー・・・凄いな・・・」

亜美「わあー、みきみきカッコいい!」

P「ああ、ポーズもいい意味で普通だよな」

だがその普通のポーズでさえ盛り上がる筋肉は抑えきれないのだからとんでもないのだが。

そうやって春香、真、貴音、雪歩と続けてみていったが・・・

P(結局個性って何なんだろう?)

”個性”が”他人と比べて突出したもの”のことであるならば、彼女らは一般大衆と比べ十分突出している。

だがこの事務所の中では肉体という点では没個性になってしまう。事務員から社長まで含めて筋肉ダルマだからだ。

おや?そう考えるとこの事務所で一番個性があるのは俺じゃないか?

だが逆に俺は一般大衆の中へ出ればあっという間に没個性だろう。メガネとスーツのサラリーマンなどテンプレである。

すなわち個性とは自分を取り巻く環境との対比であり、エントロピーの増大に比例してお腹すいたなーその個性度はさながら無限のキャンパスに世界を描くがごとく・・・

やよい「プロデューサー?」

P「はっ!?・・・あ、ごめん思考が変な方向に飛んでた」

亜美「兄ちゃん、結局個性ってなんなのさー」

P「ん、んー・・・訛りとか妹属性とか・・・かな・・・」

伊織「そんなの写真じゃわからないでしょ、馬鹿じゃないの」

P「じゃ、じゃあかぶりものとか・・・」

伊織「あんたが顔出した写真が欲しいっていうから撮りなおしてるんでしょうが!」

P「うっ、確かに・・・」

律子「どうしたのあんたたち?」ズシンズシン

パイナップルの木・・・じゃなくて律子が来た。

伊織「ちょっと律子、このプロデューサー役に立たないわよ」

律子「どうせなんか無茶でも言ったんじゃないの?プロデューサーはアイドルじゃないんだから・・・」

真美「じゃあじゃあ、元アイドルのりっちゃんなら助けてくれる?」

やよい「私たち、個性って何かずっと考えてるんですけどなかなかわからなくて・・・」

律子「個性ね・・・うーん・・・そうね、例えば」

律子「みんな、私が現役のころ何て呼ばれてたか知ってる?」

亜美「エビフライウーマン!」

律子「そうね、じゃあなんでそう呼ばれてたかは?」

伊織「髪型でしょ?後ろのおさげがくるんっってエビフライみたいな形になってたから」

律子「そうよ・・・と言いたいところだけど半分だけ正解。だって私リングに上がるときは髪ほどいてたもの」

伊織「そうだったの?」

律子「ええ、だって掴まれちゃうからね。じゃあリングの上では普通だった私がエビフライウーマンと呼ばれたのか」

やよい「あの・・・あれですよね、律子さんの必殺技『逆エビフライ固め』!」

律子「そう、それが残りの半分の正解なの」

P(あ、夕飯はカキフライにしようかな)

律子「もちろん最初は普通に逆えび固めと呼ばれてたけど、リング外のアイドル活動での髪型と組み合わせてそう呼ばれ始めたってわけ」

亜美「つまり」

真美「個性とは」

伊織「必殺技だったのね・・・」

そうだったのか。

律子「いやそうじゃなくて」

そうじゃなかったのか。

律子「己のビジュアルを利用しろってことよ」

律子「逆えび固めだと普通の技だけど、逆エビフライ固めだとちょっと『おっ、なんか違うのかな?』って気になるでしょ?」

律子「で、なんでエビフライって呼ばれてるのか気になったら写真集を買うと謎が解けるってわけよ・・・こうして人気が出来上がっていくの」

伊織「力だけではやっていけないのね・・・」

やよい「うっうー、頭脳戦ですー・・・こういうのは響さんが得意なんですけど・・・」

亜美「亜美なら真美のいい売り出し方思いつくよ!」

真美「真美だって、亜美のセールスポイントなら一杯思いつくもんね!」

P「よし、じゃあみんな、そういう方向でやっていくか!」

皆「おー!」ビリビリ





律子「こっそり『俺がまとめた』みたいな雰囲気出すのやめてくれませんか」

P「ギクッ」

そうして少し後に戻ってきた彼女たちの服装は、とてもナチュラルに似合っていた。

それは決して彼女たちの外見を無駄に装飾するものではなく、さながら洗練された大腿部の筋肉のように

いかん俺まで例えが筋肉思考になってる、染まってきてるとか嫌だ!



何はともあれ、ドタバタの一日ではあったが俺も彼女たちもまた一つ成長したのだと思う。

伊織「コンセプトは、ナイスマッスルな伊織ちゃんね!どう?」

それじゃふりだしに戻ってるじゃないか!俺の一日返せ!

~事務所~

上がってきた写真を、社長の友人であるという吉澤さん(普通の体型の人)も交えて一緒に見てみた。

律子「うん、まずまずでしょ!」

小鳥「まずまずどころか見違えるくらいイメージアップですよ!」

P「イメージっていうか物理的に写真に写る位置が上がったけどな」

律子「これなら次のオーディションはいける!」

P「そーかなーどーかなー」

やよい「プロデューサー、吉澤さんにみんなの写真ほめてもらいました!」

P「へえ、よかったじゃないか。みんなのいいところがちゃんと撮れたってことだよ」

というか今までが撮れてなかったってことだよ。マッスルしか写ってなければそりゃナイスマッスルしか言えねえっての。

やよい「あのプロデューサー、手を挙げてもらってもいいですか?」

P「え、なに、俺この流れで脅されてるの?万札までなら出すよ?」

やよい「うー、違いますよ、片手だけ上げてこうするんですー」

やよい「ほら伊織ちゃんも、いきますよー!」

やよい「うっうー!はいたーっち!」バシゴンッ!!

P「痛ぇい!」

律子「さあ、765プロの快進撃はこれからよ!ガシガシ仕事とりまくるんだから!」

亜美「りっちゃーん、それ引退試合の挨拶みたいだよ?」

律子「ちょっと、縁起でもないこと言わないで!」

P「うごおぉぉ・・・肩が外れた・・・病院・・・」

貴音「お任せくださいプロデューサー、ふんっ!」ベゴキ

P「ぐあふっ!・・・ってあれ、戻った・・・?すげえ・・・」

貴音「ふふ、関節ならお任せください・・・」

次回のTHE iDOLM@SCLETERはー?

いえーい!高槻やよいです!

あの、私たちみんなでどかーん!じゃじゃーん!めめたぁ!って頑張りますから、

次回、『すべては一本の筋線維から』を

お楽しみにー!

☆NOMAKE

~用語集1~

・アイドル(筋力系)

鍛え上げた肉体と技、目を引く美貌、美麗な歌声、切れのあるダンス
その全てを高水準でおさめたものが辿り着く境地(すなわちVi,Vo,Da,Strの複合)
筋力系トップアイドルである”iDOLM@SCLETER”の位置に辿り着いたのは日高舞一人のみ

なお筋力系アイドル以外にも普通のアイドルはいるが、昨今筋力系ブームの機運が高まっており徐々に出番が食われ始めている
また、筋力系になれるかどうかはドーピング以外では完全な生まれつきの素質によるもの
確実に生まれる血筋は存在しないが、確実に生まれない血筋は存在していることにより何らかの遺伝子が関与していると噂されている

~アイドル名鑑No.1~

水瀬伊織

パワー型
単純な打撃力では暴走あずさと同等の力を持つ
一方セーブが効かないためよく周りの物を壊してしまう
いつも抱えているウサギは伊織の成長とともに自動でウェイトが増える仕様となっており
その内部構造は水瀬財閥の機密事項に認定されている

幼少のころ、家族とともにスポーツが出来なかったことから
兄たちと運動を通じて仲良くなるために鍛えたが
そのせいであまりにも筋力が増大してしまい余計に距離が遠ざかった
鍛え上げた肉体は奇しくも音無小鳥と酷似していた

という感じで二話おしまいです
二話は話が動かないので中々難産でちた
もっともこの先もっと難産だろうけど。タイトルしか決めてないし。
いおりん大彫像
小鳥さんって出番少ないよね・・・

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