さやか「さやかちゃんのぬいぐるみ奮闘記!」一護「そんな愉快な話じゃねぇだろ」 (231)

まどマギ×鰤のクロスオーバーです

キャラ崩壊、捏造設定等注意

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1385993646

ほむら「…これは…どういうこと?」

まどか「ほむらちゃん!さやかちゃんが!」

ほむら「まさか…ソウルジェムを…」

QB「その様子からすると、君は知っていたみたいだね、暁美ほむら」

杏子「どういうことだよ…何か知ってるなら説明してくれ!」

ほむら「……話は後よ。それより、美樹さやかのソウルジェムはどこに行ったの…?」

まどか「あ、あっち…トラックの上に乗っちゃって…」

ほむら「……ダメね。もう感知できないほど遠くに行ってしまっている…」

ほむら「仕方ないわ…ソウルジェムを探し出す前に、まずはこの死体をどうにかしましょう」

まどか「し…死体って…」

ほむら「ソウルジェムもなく放置しておくと、その内腐って使い物にならなくなってしまうわ。そうならないように…」

杏子「何なんだよ、これ…何が…何がどうなってるっていうんだ!?」

QB「…やれやれ」

一護「今夜は大量だな…これでもう五匹目かよ」

チャド「だが、これで一通り終わったようだ」

一護「そうだな…とりあえず、このぶっ壊れちまったトラックを井上に直してもらうか」

コロコロ…

一護「…?なんだこれ?」

チャド「トラックの積み荷じゃないか?」

一護「トラックの積み荷って…こんなもん包装もせずに入ってるわけねぇだろ…」

井上「黒崎君!茶度くん、大丈夫だった?」

一護「おお、丁度いいや。このトラック、直しといてくれ。運転手は無事みたいだ」

石田「にしても…派手にやったな、黒崎…」

一護「派手に暴れたのは虚のほうだっての…ってか、お前も来たのかよ」

石田「当然だ…って、それは何だ?随分と似合わないものを持ってるじゃないか」

一護「知らねぇ…なんか転がってたのを拾ったんだよ」

石田「……それ、トラックの積み荷じゃないだろうな」

一護「いや、違ぇって…多分」

石田「全く、君ってやつは…」

石田「……でもまぁ、今回に限っては、君の判断は間違ってないね」

一護「…は?」

石田「なんだ…気付いてなかったのか?それ、随分と奇妙な気配を漂わせてるだろ」

一護「奇妙な気配…?霊圧とかは全然感じねぇけど?」

石田「そうだね…僕達が知ってる霊圧とは少し違う…虚のものでも、死神のそれでも、ましてや、滅却師のものでもない」

石田「それでも、確かに感じるよ。霊圧とは、根本的に違う力なのかもしれないけどね」

一護「…ってことは、石田も全然分からねぇってことじゃねぇか」

石田「…何にしても、一般人が手にするべきものじゃないというのは事実だ。誰かの手に渡る前に、君が確保したのは賢明だったってことだよ」

石田「まぁ…偶然みたいだけどね」

一護「へぇ…」

井上「終わったよ、黒崎君!」

一護「お、サンキュー…んじゃ、今日はここで解散するか」

チャド「……む」

井上「それじゃ、また明日ね!」

一護「ああ、またな!」

一護「……で、なんでついて来てんだ、石田?お前の家、こっちじゃねぇだろ」

石田「それは君も同じだろう、黒崎。君の家へと分岐する交差点は、とっくに通り過ぎている」

一護「俺は…ちょっと用事があんだよ」

石田「奇遇だね。僕にも用事があるんだ」

一護「用事って…どこにだよ?」

石田「おそらく君と同じさ…浦原商店だよ」

一護「…つまり、お前もこいつが気になるってわけか」

石田「ご明察」

一護「魂…?」

浦原「ええ…まぁ、ソウルキャンディみたいなもんッスよ」

石田「この宝石の中に、魂がある、と…」

浦原「というか、宝石そのものが魂みたいッスね。どういう技術で出来たものかは分かりませんけど」

一護「つーことは、魂が剥き出しで道路に転がってたってわけかよ…危ねぇな…」

浦原「それなりに頑丈には出来てるみたいッスよ…まぁ、流石に斬魄刀で斬りつければ真っ二つでしょうけど」

一護「本当に危なかったな…」

石田「にしても、随分と厄介なものを拾ったな、黒崎。どうするんだ?」

一護「どうするも何も…話くらいは出来ねぇと何にも分かんねぇだろ」

浦原「そうですねぇ…こちらも、分かったのはその石が魂だったってことだけですし」

一護「つーわけでだ、石田、ゲーセン行くぞ、ゲーセン」

石田「……ゲーセン?」

一護「話をするには体が必要だろ。流石にこの時間じゃコンビニくらいしか店はあいてねぇだろうし」

石田「ああ…そういうことか。仕方ないな」

一護「んじゃ、世話になったな、浦原さん。何か分かったら連絡するわ」

浦原「了解ッス~」

バタン

浦原「しっかし、黒崎さんもせっかちですねぇ…」

浦原「言ってくれれば、義骸くらいは作ったんスけど…」


コン「よう!遅かったじゃねぇか、一護…って、そのメガネも一緒か?」

一護「おお…まだ起きてたのかよ、コン」

石田「やぁ、お邪魔するよ」

石田(ふむ…後頭部の十字架には、まだ気付いてないみたいだね)

石田「さて…それじゃあ、僕の腕の見せ所だ」

コン「……おい、何だその不穏な道具!てめぇ!まさかまたこの俺様のパーフェクトボディを改造しようってんじゃ…!」

石田「安心したまえ…今回は改造ではなく…製造だ!」

シュバババババ

一護「…相変わらず、裁縫の腕はすげぇな、お前…」

シュバババババババ

石田「完成だ…見たまえ、この完璧な仕上がりを!」

一護「……白いな、やっぱ」

コン「フリフリだな…やたらと…」

一護「中身が男だったらどうすんだ、これ…?」

石田「大丈夫…僕の仕事は完璧だ。ちゃんと男でも似合うようなデザインになっている!イメージは西洋の貴族だからね」

一護「……まぁいいか。助かったぜ、石田」

一護「んじゃ、早速試すとするか」

コン「…?一護、何だそれ?」

一護「魂らしい」

コン「……は?」

一護「まぁ、見てりゃ分かるさ、多分な」

キュポン

ぬいぐるみ「……んぅ…」

一護「お…」

石田「どうやら、成功みたいだね」

さやか「あれ…私……確か、まどかに…」

一護「よう、起きてるか?」

さやか「っ!?巨人!?」

一護「……は?」

さやか「まさか…魔女の結界の中に…」

一護「魔女……?」

石田「…まぁ、確かに、彼女からすると僕達は巨人に見えてしまうだろうけど…」

一護「とりあえず、鏡見ろ、鏡」

さやか「はぁ?鏡って…」

一護「ほれ」

さやか「……ん?あれ?」

さやか「………」

さやか「……へ?もしかして、この白いの…」

一護「そう、お前だよ、お前」

石田「理解したかい?僕達が巨人というわけじゃない。君が小さくなったんだよ」

一護「まぁ、元がどんな大きさだったのか、なんてさっぱり分かんねぇけどな」

さやか「え……えぇぇぇえええぇぇえ!?」

一護「さてと、それじゃ、色々聞きたいことが…」

さやか「や……やっぱり…」

一護「…あん?」

さやか「やっぱり、魔女の結界なんでしょ!ここ!」

一護「いや、だから魔女って言われても…」

さやか「あれでしょ!敵を人形に変えるとかなんとか、そんな魔女なんでしょ!」

さやか「よく見たら変な着物着てるし、背中に物騒なもの背負ってるし…」

石田「全くだ…なんて物騒なものを背負っているんだ、君は」

一護「おい石田…てめぇどっちの…」

さやか「それに…ほら、アイツだって…」

コン「え……俺?」

さやか「ほら!普通に喋って動いてる!」

一護「おいおい…」

さやか「なんて…なんて卑劣な魔女なの!許さない!」パァ

一護「……服装が、変わった…?」

石田「へぇ、中々いいデザインだね。今度参考にさせて貰おうかな」

一護「お前…あんなのが趣味なのか?」

さやか「おぉぉおおおお!」

一護「って、え…ちょっ、なんでその剣は普通のサイズなんだよ!」

さやか「喰らえぇぇえええ!」

こんな感じで続きます

今更だけど、もしかしたら途中から地の文とか入ってくるかも…

コン修理済み、一護、雨竜が力戻ってるとなると完現術編後?滅却師編前って感じか

さやか「はぁ……はぁ…」

一護「ほら、もう分かっただろ。当たんねぇって、そんなもん」

さやか「まだ…まだぁ!」

一護「だから、無駄なんだって…大体、体と武器の大きさが違いすぎて、まともに振れてねぇじゃねぇか」

さやか「こん…のぉ!」

一護「ああもう!面倒くせぇな…」

ザッ

さやか「……え?」

キュポン

石田「思った通りだね。中身が魂なら、代行証で取り出すことも出来るみたいだ」

一護「気付いてたんならさっさと言えよ」

石田「君ならその内気づくだろうと信じていたからね。わざわざ言う必要もないだろう?」

一護「本当は気付いてなかったんだろ、てめぇ…」

石田「それより…どうするんだい、黒崎。これじゃあまともに話なんて出来そうにない」

一護「…こういうときは…」

石田「こういうときは…?」

一護「浦原さんだ」

さやか「ぅ…あ?」

浦原「おお、起きたみたいッスね」

一護「よぉ」

さやか「アンタ…さっきの!」

ガキン

浦原「ああ、無駄ですよ。アナタの回りに結界を張らせてもらいましたから。今のアナタの力では破れません」

さやか「この…っ」ガキン

さやか「っ…!」

浦原「それで、話し合う気にはなりましたか?」

さやか「魔女や使い魔と話すことなんてない!」

浦原「そうですか…それじゃあ、こっちから一方的に話すとしましょう」

浦原「まずは…そう、アナタの今の状況について」

見滝原

杏子「…は?なんだよ、それ…!」

ほむら「なんだ、と言われてもね。事実としかいいようがないわ」

ほむら「ソウルジェムとは、人間の肉体とは切り離された魂そのもの…私達の肉体は、空っぽの人形みたいなものよ」

杏子「んな…そんな馬鹿なことがあるかよ!だって、私は普通にこの体で飯食ったりしてたんだぞ!」

QB「それはそうだよ。今では第二次成長期の少女達は学校とかいう施設で定期的に検査を受けるんだろう?」

QB「その時に怪しまれることがないように、元の体には人間としての機能はそのまま残してあるんだ。昔は適当に成長させる程度でよかったんだけどね」

まどか「そ、それじゃあ…私…」

QB「そうだよ。君はさやかの本体を投げ捨てちゃったんだ。全く、酷い話さ」

杏子「てめぇ…どの口でそんな!」

ほむら「無駄よ。そいつに何を言ったところで、苛立ちを募らせる結果にしかならないわ」

ほむら「とにかく、今は美樹さやかの体を保存して、ソウルジェムを探索するのが最優先」

ほむら「そして…」ジロ

まどか「…っ!?」

ほむら「分かったでしょう?魔法少女というのがどういうものか」

ほむら「美樹さやかのことはこちらで何とかするわ。だから、あなたはこれ以上こっちの世界に関わらないで」

まどか「で、でも…!私のせいで…」

ほむら「今回の件はあなたの失敗ではないわ。迂闊に契約なんてしてしまった、美樹さやかの失敗」

ほむら「その失敗は、自身だけでなく、あなたにまで苦しみを与えている」

ほむら「鹿目まどか…あなたも、彼女と同じように誰かを苦しめたいの?」

まどか「そんな…そんな言い方!」

ほむら「私は事実を言っているだけよ。それをそういう風に受け止めるということは…」

ほむら「あなたも、分かっているんでしょう?魔法少女になるべきか、そうでないのか…そのどちらが正しい選択か」

まどか「そんな…こと…」

ほむら「…それじゃ、私は美樹さやかのソウルジェムを探して来るわ。体の維持はあなたに任せるから」

杏子「…!?ちょっと待て!なんで私が…」

ほむら「よろしくね、佐倉杏子」

カチッ

杏子「あ、あの野郎…」

杏子「いや、まぁいい。こっちはこっちで話もあるしな…おい、QB!」

杏子「………」

まどか「えっと…」

杏子「……あいつ、QBまで連れていきやがったのか…」

空座町

さやか「え…なにそれ?何の冗談?」

浦原「…どうやら、自覚は無かったみたいッスね」

さやか「嘘…嘘だ!そんな、そんなこと、あるわけが…」

浦原「しかし、実際にその人形はあなたの意思通りに動いている。内部にあるあなたの魂…その青い石を通して」

さやか「信じない…信じられるわけないでしょ!大体、これが魔女の能力ってことだって…!」

さやか「そうよ…そもそも、ここが魔女の結界じゃないって証明されたわけでも…」

一護「なぁ…さっきから言ってるけど、魔女って一体何なんだよ」

さやか「くっ…すっとぼけて私を油断させようってわけね」

一護「…いくらなんでも疑心暗鬼が過ぎるだろ、こいつ」

石田「誰だっていきなりこんなこと言われたら疑うさ」

浦原「しかし…このままじゃ話も進みませんよ」

一護「…しょうがねぇ…浦原さん、その結界解いてくれ」

浦原「…?まぁ、いいッスけど…」

さやか「なんのつもりよ、あんた…って」ムギュッ

一護「とりあえず、今日のところは帰るわ」

さやか「何すんだこらー!離しなさい!離しなさいって!」

一護「どうせコイツじゃ俺達をどうこうは出来ねぇんだし、何を言っても信じねぇんじゃ、どうしようもねぇだろ」

浦原「それはそうですけど…持って帰るんですか?」

一護「一応な。ずっとここに閉じ込めておくよりかは幾分かマシだろ」

浦原「まぁ、閉じ込めておいても信用されることはないでしょうしねぇ」

一護「それじゃ、夜遅くに悪かったな、浦原さん。お休み」

浦原「はい、おやすみなさい」

石田「それで、本当に家に置くつもりかい?」

一護「ああ…一応言っとくけど、他人の前では人形のフリしとけよ」

さやか「誰がアンタの言うことなんて…」

一護「あのなぁ…一応、俺はお前の命の恩人なんだぞ?あのまま道路に転がってたらどうなってたことか」

さやか「ふん!」

一護「こいつ……」

石田「…とにかく、今はこの子が心を開いてくれるのを待つしかないわけだ」

一護「そうなるな…けど、道のりは遠そうだ…」

一護「はぁ……」

翌朝

ガラッ

遊子「お兄ちゃん、そろそろ時間だよ」

一護「ああ、今行く。着替えるからちょっと待っててくれ」

遊子「はーい」

バタン

さやか「…アンタ、妹とかいたんだ」

一護「まぁな」

コン「気をつけろよ…あっちの妹に目を付けられたら、大変な目にあうからな…」

さやか「はぁ?」

一護「ま、とりあえず行ってくるわ。学校終わるまで、大人しくしとけよ」

さやか「……」

一護「い、い、な!」

さやか「…はいはい、分かりましたよ」

さやか「どうせこんな状態じゃ、逃げるのなんて無理そうだしね」

一護「いや、昨日みたいに変身すりゃ、それなりには動けんだろ」

さやか「これじゃソウルジェムがどのくらい濁ってるかさっぱりだし、迂闊に魔法なんて使えないわよ」

一護「魔法ねぇ…ま、いいや。んじゃ、行ってくる」

バタン

数時間後

さやか「……暇」

コン「そりゃあな…ま、気長に待とうぜ」

さやか「…さっきから漫画読んだりゲームしたりしてるけどさ、怒られないの?」

コン「一回何かのデータ消した時は怒られたなぁ…でも、あんま気にしないぜ、一護の奴は」

さやか「ふーん……って、え!?」ドクン

コン「…?どした?」

さやか「今のって…魔女の反応?」

コン「は?」

ドクン

さやか「っ!?やっぱりだ…でも、なんで…」

さやか(あいつらに全く反応しなかったのは、てっきり感知機能を弄られたからだと思ってたのに…)

さやか(もしかして、感知されない魔女だったとか…?いや、でも魔女の結界の中に別の魔女が結界を作るなんて…そんなこと…)

さやか(それじゃあ、まさか本当に……)

コン「お、おい…」

さやか「…いや、考え込んでる場合じゃない…!」

さやか「今はとにかく、魔女を倒さないと…!」

コン「ちょっ…てめぇ、その格好は!?」

ガシャン

コン「おい!」

さやか「悪いけど、ちょっと出てくるよ」



ビビビビビビビビビビビ…

一護「っ!?」

先生「…誰だ、携帯の電源切ってなかったのは」

一護「っすんません、ちょっとトイレっス!」

先生「は……?おい、黒崎!?」

石田「…すみません、僕も」

先生「い、石田?」

井上「ねぇ…今の、何だったのかな?」ヒソヒソ

チャド「少なくとも、代行証では無かった」ヒソヒソ

井上「じゃあ、本当に携帯が鳴っただけ?」ヒソヒソ

チャド「それだと、石田がついて行った理由が分からない」ヒソヒソ

井上「そうだよね…」ヒソヒソ

井上「ねぇ、ちょっと追ってみない?」ヒソヒソ

チャド「……いや、もう無理だ」ヒソヒソ

井上「…?なんで?」ヒソヒソ

チャド「分からないか?二人とももう出ていった…俺達二人じゃ、あの二人の足には追いつけない」ヒソヒソ

井上「あ…本当だ」ヒソヒソ

結界内部

さやか「はぁ、はぁ…ったく、こんなんじゃ使い魔一匹倒すのも…」

さやか「っと…ぅわあ!?」

バシュッ

さやか(あれ…まずい…これ、死んだんじゃ…)

グサッ

石田「…全く、無粋なことをしてくれる」

さやか「……え?」

石田「僕の作品に傷をつけようなんて…」

さやか「あ、あんた……」

一護「おお、無事だったか。ギリギリセーフだな」

石田「全く、君が逃亡しても対応出来るよう、発信機を取り付けておいて正解だったよ」

さやか「は…発信機!?」

一護「ああ。ついでに、家から出たら携帯が鳴るように仕込んであったらしい」

さやか「ひ、人のプライバシーを何だと思ってんのよ!?」

一護「まぁまぁ、いいじゃねぇか。結果的にそいつのおかげで助かったんだしよ」

石田「大体、そんな様でどうにかできると思ったのかい?見たことろ、いかにも雑魚って感じの敵にやられかけてたじゃないか」

さやか「うっ……」

一護「で、こいつが昨日から言ってた魔女の結界ってやつでいいのか?」

さやか「…うん。絶望を振り撒く魔女…その結界」

一護「っつーことは、倒していいんだな、こいつら」

さやか「……うん」

一護「んじゃ、さっさと終わらせるか。あんなにあっさり倒せるような敵なら、どんだけ数がいようと大したことねぇだろ」

さやか「待って…コイツ等は魔女じゃなくて使い魔だから、いくら倒しても意味はないよ」

一護「別に本体がいるってことか?」

さやか「使い魔単体で出て来てるならともかく、ここはあくまで魔女の結界だからね…魔女そのものを倒す必要があるわけ」

一護「へぇ…で、その魔女ってのは何処にいるんだよ?」

さやか「結界の一番奥…だと思う」

一護「…なんかお前、随分と丸くなったな」

さやか「……そう、かもね…」

さやか「…あのさ…悪かったよ、昨日は。ちょっと勘違いしてたみたいで…」

一護「いいさ。話は帰ってから聞かせてくれ」

一護「とりあえず、今はその魔女ってのを倒す…それが最優先だ」

石田「それじゃ、そっちは君に任せるよ。僕はこっちの雑魚を殲滅しておこう」

石田「多対一なら、君より僕のほうが適任だろう?」

一護「月牙でまとめて叩き切ってもいいんだけどな」

石田「…黒崎、一応言っておくが、ここではなるべく大技は使うなよ」

石田「月牙はともかく、卍解なんてもってのほかだ」

一護「は?なんでだよ?」

石田「ここがどういう原理で出来ているかなんて分からないが、キャパシティを越える力を内部から受けると崩壊してしまうのは自明の理」

石田「そうなると、おさまり切れなかった力が周囲に被害をもたらすかもしれないだろう?」

石田「ここの強度がどのくらいかも分からない以上、無暗に威力の高い攻撃を仕掛けるのは危険だ」

石田「卍解は、始解じゃどうしても勝てないって時場合以外は使わないように」

一護「りょーかい。んじゃ、適当に手を抜いて倒すわ」

石田「僕は手を抜けと言ってるわけじゃない。むしろ、ハンデを負って戦うことになるんだ。油断は一切許されないからな」

一護「分かった分かった。とりあえず、道案内にコイツは連れてくぜ」

さやか「のわっ…!?」ムギュ

一護「んじゃ、行ってくるわ」

ザッ

石田「あっ…おい!」

石田「はぁ…全く…任せたぞ、黒崎」

ここまでで

時間軸は>>20のつもりだったんですけど、コンの合流が滅却師編だってことすっかり忘れてました

申し訳ありませんが、映画みたいな本編中にはない時間軸ってことで…

どんなぬいぐるみに入ってるのか気になる
コンと同じ?

数時間後、一護の部屋

一護「しっかし…魔法少女とか魔女とか、なんつーか、ファンタジーな話だな」

さやか「こっちからしたら、死神とか滅却師とか、そっちのほうが信じられませんよ」

一護「ま、そりゃそうだ」

一護「それで、どうすんだ?元の体に戻んのなら、見滝原ってとこまで送ってくか?」

一護「金もかからねぇし、そこらの電車よりは確実に速く着くけど…」

さやか「いやぁ…それが、どうしようかと…」

一護「…?なんだ、戻りたくねぇのかよ?」

さやか「いや、そういうわけじゃ…ただ、戻ってどうなるのかな、って…」

一護「は?」

さやか「私、ほら…こんなんだし…もう人間じゃないし」

さやか「そんな状態で友達とか家族に会っても…なんか、辛いだけっていうか…」

一護「……」

さやか「未練だって…沢山ありはしますけど…多分私、あっちじゃ死んだことになってるだろうし」

さやか「だったら…いっそ、もうこのままでもいいかな、って…」

一護「……そうか」

さやか「…うん」

一護「…ま、それならそれでいいんじゃねーの」

さやか「…へ?いいの?」

一護「俺は気にしねぇけど?」

さやか「でもほら、私…魔法少女だし。魔女と…」

一護「力があるからって、絶対戦わなきゃいけないってわけでもねぇだろ。戦いたくないってのは、別に悪い考え方ってわけでもねぇし」

一護「まぁ、家で退屈してるコンにいい話相手が出来たってだけの話だ」

さやか「……はは」

一護「ただな…ほい」

ゴトン

さやか「…?なにこれ?」

一護「携帯だよ、携帯電話。見て分かんねぇ?」

さやか「いや、そりゃあ分かりますけど…なんで携帯?」

一護「携帯貸してやるから、最低限、そのソウルジェムを投げ捨てたって奴には連絡しとけってことだよ」

一護「今頃そいつ、死ぬほど後悔してるだろうしな」

さやか「まどかに……」

代行証「~♪~♪」

一護「…悪ぃ、虚みてぇだ。っと」

さやか「…やっぱり、ちょっと変な感じですね…脱皮してるみたいで」

一護「こっちはもう慣れちまったけどな…あ、そうだ」

さやか「……?」

一護「これからも住むつもりなら、その中途半端な敬語はやめてくれよ。そういうの…なんか、慣れてねぇから変な感じする」

さやか「え?あ…うん」

一護「あと、連絡も…俺の前でやりにくいなら、この間にやっとけよ」

さやか「りょ、りょーかい!」

一護「んじゃ、行ってくるわ」




さやか「…まどかに連絡、か…」

見滝原

携帯「~♪~♪」

杏子「おい、なんか鳴ってんぞ」

まどか「あ、本当だ…」

杏子「っつーか、いいのかよ、学校サボっちまって」

杏子「こんなもん見てたって、何が変わるわけでもねぇんだし、家族やら友達やらに心配かけんのは良くないんじゃねーの?」

まどか「ふふ…やっぱり、杏子ちゃんも優しいね」

杏子「はぁ?どうしてそうなるんだよ」

まどか「だって…何だかんだで、さやかちゃんの体守ってくれてるし…」

まどか「私のことだって、心配してくれてる」

杏子「そりゃアンタの勘違いだって」

杏子「こっちは鬱陶しいからアンタに消えてほしかっただけだし…こいつのことだって、決着がつかないままじゃ面白くないってだけだっての」

まどか「さやかちゃんも、杏子ちゃんも、ほむらちゃんも…皆優しいのに…」

杏子「ちょっとー、アンタ私の話聞いてた?」

まどか「なんで…こんなになっちゃったんだろうね…」

杏子「なんでって…そりゃあ、私達が魔法少女だからだろ」

まどか「…魔法少女だから?」

杏子「そういう風に出来てんだよ。それより、でなくていいのかい?」

まどか「ああ、さっきのはメールだから…多分ママから、いつまでほっつき歩いてんの、って感じで……え?」

杏子「…?どうした?家からじゃなかったのか?」

まどか「知らないアドレスから…でも」

杏子「ん?」

まどか「ほら、これ…題名」

杏子「…『やっほー!さやかちゃんですよー』って!?」

まどか「…これ、本当にさやかちゃんから、なのかな…?」

杏子「分かんねぇ…」

まどか「題名は…なんかそれっぽいけど…」

杏子「内容は?」

まどか「『いやぁごめんごめん、驚かせちゃった?私も驚いてたけど、こっちはこっちでうまくやってるから、心配かけて悪かったね』」

杏子「いくらなんでも軽すぎだろ…」

まどか「『あと、もしかしたらもうそっちに戻らないかもしれないけど、私は元気にやってるから、気にしないでね』って……え?」

杏子「っ…あいつ!?」

杏子「おい、これ、どっからメール来たのか分かんねぇのか?」

まどか「場所までは分からないよ…一応メール返信してみる?」

杏子「ああ、今何処にいるか尋ねろ」

まどか「あ、うん…!」

空座町

一護「…呆気ねぇ」

石田「まぁ、ただの虚じゃね…」

石田「で、彼女はどうなったんだい?」

一護「お前、それ聞くためだけに、わざわざ俺ん家の近くに出てきた虚追ってきたろ」

石田「まぁね。それで、どうだったんだい?」

一護「話は一通り終わったよ。あの魔女とか、魔法少女とか、とりあえず基本的なことは分かった…けど」

石田「けど…?」

一護「大分滅入ってたみてぇだ」

石田「それは…仕方ないさ。誰だって、自分がいつの間にか人間じゃなくなってた、なんて聞いたら…」

一護「でもなぁ…正直、どうしようもねぇんだよな。どんな声掛けてやりゃあいいのかなんて、さっぱり分かんねぇ」

井上「あ、黒崎くん、石田くん!」

チャド「…む」

一護「よぉ、こっちはもう終わったぜ」

石田「…僕はもう戻るよ。それから、黒崎」ボソッ

一護「ん?」

石田「帰ったら、真っ先に携帯を確認してくれ」

さやか「『どういうこと!?さやかちゃん、今何処いるの?』、か…ま、そりゃそうだよね」

さやか「全く…まどかのやつ、本当に返信が来るかも、なんて期待してんじゃないでしょーね…相変わらずだなぁ、本当…」

携帯「~♪~♪」

さやか「はは、またまどかからかな…でも、もう返信なんてしないし…見たってしょうがないよね…」

さやか「本格的に、お別れ、か……」

さやか「……恭介に連絡とか…最後に、ちょっとだけ…」

さやか「い、いやいや!ダメダメ…全く、何考えてんだか…」

さやか「……でも…」

一護「よ、ただいま」

さやか「わっ!?ちょっ…音もなく戻って来ないでよ、心臓に悪いでしょうが!」

一護「ああ、悪ぃ…んで、連絡は出来たのか?」

さやか「うん。ほい、携帯…っと」

一護「サンキュー」

さやか「こっちこそ…ありがとね」

一護「気にすんなって…」

さやか「あ、ちょっと待った!」

一護「ん?」

さやか「いやほら、私達のやりとりの部分だけ削除しとくからさ」

一護「は?…ああ、メールでやりとりしてたのかよ。そりゃ悪かった…ほい」

さやか「っとと…えっと、私が送ったのがこれで…」

さやか「んで、まどかから返って来た新着二件を…削除っと」

一護「終わったか?」

さやか「うん、終わったよ」

一護「んじゃ、ちょっと渡してくれ」

さやか「オッケー…ほいっと」

一護「サンキュー……って、何もねぇじゃねぇか。石田のやつ、意味深なこと言いやがって…」

一護(連絡し直すか…いやでも、この時間だしなぁ…)

一護(さっき出てきてたし、まだ寝ちゃあいねぇだろうけど…)

一護(ま、緊急ってわけでも無さそうだったし、明日でも…)

さやか「……はぁ」

一護「ん?どした?」

さやか「いや…なんでもない」

一護「そっか…んで、どうだったよ」

さやか「…まぁ、報告は出来た、かな…一応」

一護「…そっか。よかったじゃねぇか」

さやか「うん…そう、だね」

一護「んじゃ、俺はそろそろ寝るわ。お休み」

さやか「うん、お休み…」


 

さやか「……はぁ」


浦原商店

浦原「おやおや、来ませんねぇ、黒崎さん。色々聞きたいこともあったんスけど…」

浦原「もしかして、もうお休みだったり…?」

石田「全く…あいつがいなきゃ話が進まないってのに…」

浦原「ま、仕方ありません。グリーフシードとやらの解析もしたかったんスけどねぇ…」

石田「グリーフシード…?さっき美樹さんが言っていたアレですか?斬魄刀で斬っても出て来るものなんですね…」

浦原「いえいえ、黒崎さん、斬魄刀で斬っていいものか悩んだ挙げ句、動けなくして美樹さんの魔法で留めを刺したらしいんスよ」

石田「ああ、なるほど…」

石田「けど、それを持ってる当人がいないんじゃあ…」

浦原「それもそうッスね。それじゃ、今夜は解散にしますか」

石田「分かりました…黒崎には、明日、僕の方から言っておきますから」

浦原「ありがとうございます。それでは、おやすみなさい、石田さん」

コン「よ、どうせ起きてんだろ」

さやか「ああ、アンタいたんだ…ずっと黙ってたから、すっかり忘れてたよ」

コン「るせぇ…俺様は空気の読めるマスコットなんだよ」

さやか「…ねぇ、アンタはどう思う?」

コン「…何が?」

さやか「私が、戻りたくないっての…意気地無しとか、思わないの?」

コン「いや、そりゃあ意気地無しだろ」

さやか「…やっぱし?」

コン「ま、でもいいんじゃねーの」

さやか「…?」

コン「意気地無しでも、臆病者でも…情けなくても、幸せになれなくても…」

コン「命とがあって、自分にとって大事な何かを見つけて、そんでそいつを守り通せりゃ人生勝ちみてぇなもんよ」

コン「んで…おめぇはどうなんだよ、そこんところ」

さやか「私は……魔法少女で、恭介の幼馴染で…」

さやか「マミさんの代わりに見滝原を守りたくって…」

さやか「それで…恭介のことが、好き、で…」

さやか「あれ…?変だな…あれ?」

さやか「私って…どっちだったっけ?」

コン「…ま、ゆっくり考えてりゃいいさ。一護の野郎も、いきなり追い出したりはしねぇからよ」

さやか「………」

さやか「…ねぇ、ずっと気になってたんだけどさ」

コン「…あん?」

さやか「アンタは、何でぬいぐるみになってるわけ?魔法少女だった…ってわけじゃないよね?」

コン「なんだよ、んなことも分かんねぇのか?こんなの、ちょっと考えればすぐ分かることだぜ」

さやか「…さっぱり。お手上げだよ」

コン「んじゃ、特別に教えてやるよ」

コン「それはな…このコン様が、マスコットだからだよ」

今日はここまでで

元々鰤側は現世組しか出ない予定だったけど、井上とチャドまで出番なくなるかも…

というか、井上の能力やたら使い難い

>>65

ぬいぐるみのデザインは考えてなかった…とりあえず、石田が好きそうな白と十字架で西洋貴族っぽいってだけ…

好きな動物か何かで脳内補完してもらえるとありがたいです…

翌朝

さやか「おはよう…一護」

一護「…お前、大丈夫か?結構ひでぇ顔してんぞ」

さやか「いやぁ…色々考えてたら、どうも眠れなくて…」

一護「……まぁ、考えるってのは大事だけど、根詰めすぎて、ぶっ倒れない程度にしとけよ

一護「んじゃ、俺は学校行ってくる」

さやか「うん。いってらっしゃい」

バタン

さやか「……はぁ」

コン「……」

学校

一護「浦原商店で集合…?」

石田「昨日、浦原さんからメールが来てただろう?」

一護「ああ、それで携帯確認しろっつってたのか」

一護「けど、メールなんて来てなかったぞ?」

石田「そんな訳ないだろう…全く、君ってやつは」

一護「いや、来てねぇもんは来てねぇって…」

石田「……まぁいい。とにかく、今日は来てくれよ。なんでも、グリーフシードについて調べたいらしい」

一護「グリーフシードって…ああ、こいつか」

石田「黒崎…君はそんなものを持ち歩いているのか」

一護「だって、これから魔女が生まれるんだろ?」

一護「近くに持っとかないと危なくねぇか?」

石田「まぁ…確かに、いつでも対処出来るように持ち歩くというのは悪くない」

石田「ただし…こんな人がたくさんいる場所まで来なければ、の話だ」

石田「ここで孵化したらどうするつもりなんだ、君は」

一護「どうするって…予兆でも来たらすぐ持ち出すさ。あ、そん時は俺の身体よろしくな」

石田「全く…君ってやつは本当に…」

井上「おはよー、黒崎君、石田君」

一護「おう、井上か」

石田「……全く」

さやか「……はぁ」

コン「おめぇ朝からずーっとそれだな…」

コン「空を見上げては溜息ついてよ…」

さやか「あはは…なんか、恋する乙女っぽくない?」

コン「お、なんだ?恋バナか?」

コン「だったら、この百戦錬磨のコン様に相談してみろよ。パパッと解決してやるぜ」

さやか「百戦錬磨って…アンタ、ぬいぐるみなのに恋とかするわけ?」

コン「おうよ。世界中の巨乳で綺麗なおねぇさんは例外なく俺様の射程圏内!」

さやか「いやいや、それって恋とは違うでしょ…アンタのそれは完全に醜い欲望だって」

コン「何言ってんだよ。恋なんてのは醜い欲望の一歩手前に決まってんだろ。完全に綺麗な恋心なんてこの世にもあの世にもねぇっての」

さやか「あんたねぇ…」

カチッ

ほむら「随分と…滑稽な姿になっているわね、美樹さやか」

コン「…あ?ってうぉお!」

さやか「っ…転校生?なんで…」

ほむら「なんでって…決まっているでしょう?貴女を迎えに来たのよ」

さやか「私を…?そりゃ、ありが…とう?」

ほむら「……貴女、随分と丸くなったわね」

ほむら「もっと敵意剥き出しで皮肉でも言うものだと思っていたわ」

コン「なんだ…?知り合いか?」

さやか「うん。見滝原にいた魔法少女…」

コン「魔法少女…?っつーことは、さやかみてぇに変身すんのか?」

さやか「いや…こいつ、もう変身してるんだけど」

コン「え?これで変身してんのか…?」

コン「……」ジーッ

コン「…何か、地味だな。よく見りゃ確かに変な格好だけど…」

ほむら「……それで、コイツは一体なんなの?QB、貴方の親戚か何か?」

QB「いやいや、こんな不細工な個体を見たことはないね」

コン「なっ…おい、この野郎!俺様のパーフェクトボディが不細工だと…言ってくれるじゃねぇか」

コン「自分はやたらめったら長い耳毛してやがるくせに!」

QB「いや、これは耳毛じゃないんだけど…というか、それで悪口のつもりなのかい、君は?」

さやか「QB…アンタも来てたの」ギロッ

QB「さやか…そんな怖い顔で睨まないでくれよ。僕が何か気分を損ねることでもしたのかい?」

さやか「こいつっ…!」

ほむら「やめておきなさい…こんなのに構っていても、時間の無駄よ。本当に何とも思っていないんだから」

QB「君も中々酷いことを言ってくれるね」

ほむら「それより、早く行きましょうか。貴女だって、これ以上そんなセンスの悪いぬいぐるみでいたくはないでしょう?」

さやか「…帰る?」

ほむら「ええ」

さやか「……転校生、私は」

さやか「私は…帰りたくない…よ」

ほむら「何ですって…?」

黒崎医院前

一護「んで、お前、なんで家までついてきてんだよ」

たつき「それがさ、ちょっと道場でやっちゃって…」

たつき「ほら、一護のとこなら患者あんまりいなし、すぐ終わるっしょ」

一護「何気に酷ぇこと言ってんな…」

一護「つーか、道場で怪我したって…お前昨日からそのままにしてたのかよ」

たつき「いや、昨日はどうもなかったんだけど、今日の昼くらいから痛くて痛くて…」

一護「ったく…仕方ねぇな」

ガチャ

一心「おう、お帰り一護」

一護「親父、患者だ患者」

たつき「お邪魔します」

さやか「……」

コン「なぁ、本当によかったのかよ?」

さやか「いいよ…前も言ってたでしょ。こんな身体で帰っても、虚しいだけだって」

コン「けどよ、なんか凄いのが来てんだろ、その…見滝原って町に」

さやか「私なんかじゃ、足手まといにしかなんないって…」

さやか「あいつも言ってたでしょ?『貴女がいてもいなくても、大して戦力は変わらないでしょうし、残りたいならここにいればいいわ』って」

コン「…けどよ…」

さやか「……あれ、一護?」

コン「え…?ああ、帰ってきたみてぇだな」

さやか「…?もう一人は誰?彼女とか」

コン「んにゃ、ありゃあ有沢竜貴だな」

コン「確か、一護の幼なじみとかなんとか…」

さやか「幼なじみ…」

コン「ああ」

さやか「そう…幼なじみ、か…」

コン「……?」

ガチャ

一護「ただいま」

コン「おう、今日は早かったじゃねぇか」

一護「まぁな。けど、すぐまた浦原商店に行くことになってる」

さやか「お帰り」

一護「おう」

さやか「…さっきの人はどうしたの?」

一護「さっきの…?」

さやか「ほら、一緒に帰って来てたでしょ、幼なじみの…有沢さん、だっけ?」

一護「なんだよ、見てたのか…ってか、なんでたつきのこと知ってんだ?」

コン「ああ、そりゃ俺が教えたんだよ」

一護「なるほどな…あいつなら下で親父が診てるよ。昨日道場でどっか痛めたんだと」

さやか「へぇ…そうなんだ」

一護「んじゃ、俺はもう浦原さんとこに…」

さやか「ねぇ」

一護「……ん?」

さやか「もし…もしもだよ、さっきの幼なじみがアンタに告白とかしたら、どうする?」

一護「はぁ?たつきが、俺に?」

さやか「うん」

一護「いや、ありえねぇだと…あいつは俺のこと、ちょっとやんちゃな弟分ぐらいにしか思ってねぇって」

さやか「だから…もしもの話だって!」

一護「…もしも、ねぇ…」

一護「……ま、オッケーするんじゃねぇかな」

さやか「…なんで?」

一護「なんでって…別に俺、たつきのこと嫌いじゃねぇし」

一護「幼なじみなだけあって、互いのことはよく知ってるしな…付き合いやすいっちゃ、付き合いやすいだろ」

さやか「そっか…はは」

一護「…?」

さやか「はは、はははは」

さやか「あーあ…ホント…」

さやか「私って、馬鹿だなぁ…」

さやか「馬鹿だったんだな…」



QB「それで…よかったのかい、さやかのことは」

ほむら「仕方ないでしょう。私にどうこう出来る問題でもないわ」

ほむら「それに、今の美樹さやかでは、ワルプルギスの夜との戦いでは役に立たないでしょうしね」

ほむら「まどかには私から伝えるし、必要があれば、ワルプルギスを退けた後でもう一度迎えに来ればいい」

QB「なるほどね」

QB「にしても、流石は時間遡航者だ。ワルプルギスの出現場所まで分かっているんだね」

ほむら「…貴方、いつから気付いていたの?」

QB「最初からおかしいとは思っていたさ。でも、確信したのは今だね」

ほむら「……なんにしろ、美樹さやかの話はこれで」

石田「へぇ、美樹さやかの話、か…」

ほむら「っ!?」

石田「確かに、猫なのか何なのかよく分からない奇妙な生物も一緒にいる…ということは、君が魔法少女の関係者ということは間違いなさそうだ」

ほむら「貴方…なんなの?どうして私達のことを…」

石田「失礼。僕の名前は石田雨竜…それで、君はどうやら、さやかさんのことを知ってみたいだね」

ほむら「だったら…どうだというの?」

石田「よければ、ちょっと時間を貰えないかな?」

今日はここまでで

思いついたときは、りりんとかも交えてぬいぐるみ勢でほのぼのとした話にでもしようと思ってたのに…

なんでこんなことになってんだろ

数分後 浦原商店

石田「浦原さん、黒崎は…まだ、ですか」

浦原「ええ。そうみたいッスね」

石田「あいつ…有沢さんを連れてくだけだとか言っていたのに…」

浦原「まぁまぁ、黒崎さんにも色々あるんでしょ、きっと」

浦原「それより、後ろの方は?」

石田「ああ、ここに来る途中で会ったんです。美樹さんのことを知ってるみたいでしたし、例の生物も一緒だったんで」

QB「やぁ、僕の名前はQB」

ほむら「暁美ほむらよ…聞きたいことがあるならなるべく早くしてくれると助かるわ」

浦原「なるほど、暁美さんですか…しかし、随分とお若いッスね。黒崎さんの妹さんくらいに見えますよ」

QB「魔法少女は、基本的に第二次成長期の女子にしかなれないからね」

石田「へぇ…となると、やっぱり美樹さんもそれくらいの年齢になるのか…」

浦原「……?」

ほむら「そうね。一応、彼女は私の同級生だから…美樹さやかからは聞いてないの?」

石田「いや、彼女から聞いたのは、魔法少女とか魔女についての基本的な説明…それから、ここに来ることになった簡単な経緯だけだよ。一緒に暮らしてる黒崎なら、もう少し詳しく聞いているかもしれないけどね」

ほむら「そう…それで、貴方達は美樹さやかについて聞きたいってことでいいのかしら?」

浦原「出来れば、魔法少女や魔女についても、もっと詳しく知りたいところですけどね」

ほむら「それに関して私が言えることはほとんどないわ。ソウルジェムの秘密については、もう知っているんでしょう?」

浦原「ええ。あの宝石自体が魂だということッスよね?」

ほむら「…そうね」

浦原「一応確認しますけど、他に違うギミックがあったりはしませんよね?」

ほむら「……私の口で貴方達に伝えられるのは、ここまでよ」

浦原「なるほど…なにやら他にもありそうな言い方ッスね」

浦原「分かりました。そっちはこちらで勝手に調べさせてもらいますので」

ほむら「調べて分かるようなことだとは思えないけれど」

石田「なら…次は美樹さんについて教えてくれないかな」

ほむら「…そんなことを聞いてどうしたいの?」

石田「いや…一緒に生活している僕の知り合いが、随分滅入ってるようだと言っていたからね」

ほむら「…つまり、貴方達もお人よしってことね…」

ほむら「話すのはいいけれど、かなりプライベートな話もはいってくるわよ。彼女を元気づけたいのなら、参考にする程度でにしておいて。面と向かって口に出すのは止めておいた方がいいと思うわ」

石田「…分かったよ」

ほむら「それじゃあ、まずは上条恭介という、彼女の幼なじみについて話しましょう」

一護の部屋

一護「おい、コン…あいつどうしたんだ?」

コン「……」

一護「コン…?」

コン「なぁ、一護…ちょっといいか?」

一護「…何だよ?」

コン「話があんだよ…とにかく、まずは場所を変えるぞ」

一護「なら、浦原さんのとこでどうだ?流石に廊下でぬいぐるみと喋ってんのはまずいだろうし…」

一護「俺も丁度用事あるしな」

コン「分かった…んじゃ、連れてってくれ」

一護「ああ」ムギュッ

コン「おいこらっ!もっと優しく掴めねぇのか!」

一護「あ?」

コン「ったく、どうせなら、乱菊さんとか井上さんに運んでほしかったぜ」

QB「よかったのかい、ソウルジェムの最後の秘密を言わなくて」

ほむら「…何を言っているの?」

QB「いやなに、君なら知っているんじゃないかと思ってね。穢れをためきったソウルジェムがどうなるか」

ほむら「…私は、彼らのことを信用したわけではないわ」

ほむら「美樹さやかがそのことを知ったら、最悪、自暴自棄になることだって考えられる」

ほむら「そして、彼らがそのことを絶対にもらさないという保証はどこにもない」

ほむら「そんなことより…インキュベーター…あれは一体どういうこと?」

QB「あれって?」

ほむら「…さっきの男よ。美樹さやかの魂がソウルジェムだと見抜いている時点で、彼等がただの一般人ではないというのは明らかだったわ」

ほむら「けれど、あの眼鏡の男には貴方が見えていても、もう一人…帽子の男には貴方は見えていなかった」

ほむら「一体どうして?」

QB「…帽子の男が眼鏡の男に付き合ってるだけかもしれないとは思わないのかい?」

ほむら「専門的なことを聞いてきたのは帽子の男のほうだったわ。なら、あちらのほうがそういう方面に通じていると考えるのは当然のことでしょう?」

QB「なるほどね…」

ほむら「それで、貴方には理由が分かっているの?」

QB「…暁美ほむら、君は魔女が見えないという現象と僕達インキュベーターが見えないという現象が同じものだと思っているかい?」

ほむら「違うというの…?」

QB「違うよ。単純に、魔女は呪いだから一般人には見えないんだ。だから、ある程度そういう方面と関わりがあれば、見ることが出来る人間もいる」

QB「だけど、僕達インキュベーターは呪いそのものじゃない。僕達が一般人に見えないのはね、選別のためなんだ」

ほむら「選別…?」

QB「そう。僕達の姿が見える人には魔法少女の素質があり、素質がなければ僕達は見えない」

QB「どんなに強い因果を持っていても、魔法少女の素質がないという子はいるからね」

ほむら「なら…さっきの男には魔法少女の素質があるということなの?」

QB「違うよ。何度も言っているだろう?素質があるのは、第二次成長期の女の子だけだ。けれど、魔法少女の他にも、僕達の姿を見ることが出来る存在がいるだろう?時間遡航者の君なら、知っているんじゃないかな?」

ほむら「……いえ、心当たりはないわ」

QB「そうなのかい?それじゃ、教えてあげよう」

QB「僕達の姿を見ることが出来るのはね、魔法少女と魔法少女の素質を持つ少女…そして…」

QB「その個体とは別個体のインキュベーターだけさ」

ほむら「…ちょっと待ちなさい、それじゃあ、あの男がインキュベーターということなの?」

QB「いいや、インキュベーターではないよ。けれど、インキュベーターと非常に似通った力を持っているのさ」

QB「だから、彼には僕のことが見える…僕達の力とは性質が全く違うけどね」

ほむら「力の性質が全く違う…?貴方、直前に非常に似通った力だと言っていなかったかしら?」

QB「そうだね。でも、その発言はそこまで矛盾しているわけでもないだろう?」

QB「魔法少女だって、力の根本は同じでも、個々の能力は全く違うじゃないか。それと同じさ」

QB「もっとも、関係性でいえば魔女と使い魔…あるいは、僕達と君達魔法少女と言ったほうが正しいかもしれないけどね」

QB「まぁ、インキュベーターと魔法少女では離れすぎているし、魔女と使い魔では近すぎるんだよ。どうにも、しっくりくる類似例が思いつかないな」

ほむら「…それで、貴方にはあの男の正体が分かっているのね?」

QB「勿論さ。何しろ、彼等は僕達の力で生み出されたんだから」

ほむら「貴方達の力で…生み出された?」

QB「そうだよ。彼等は、僕たちが生み出した魂を分解する人間」

QB「確か…滅却師と、名乗っているんじゃなかったかな?」

浦原商店

一護「悪ぃ、遅くなっちまって」

石田「全くだ…お陰で、彼女から聞いたことを君に説明しないといけなくなった」

一護「彼女…?」

石田「暁美ほむらという魔法少女さ。美樹さんの知り合いみたいでね」

コン「……なあ、そいつって、黒い髪の絶壁娘じゃなかったか?」

石田「…そうだね。君が知っているということは、やはり彼女は美樹さんを連れ戻しに来ていたということかい?」

コン「ああ。そのことで、ちょっと話があってさ」

一護「…あいつがまだいるってことは、断ったんだよな?」

コン「そうそう。けど、そんだけじゃねぇんだよ」

一護「それだけじゃない…?」

石田「どうやら、色々あるみたいだね。こちらにも暁美さんから仕入れた情報があるし、ひとまず情報交換としようか」

一護「…なんか、俺だけ役立たずみてぇだな、この状況だと…」

浦原「いえいえ、黒崎さんには、グリーフシードを提供していただかないと」

一護「あ、ああ…そういやそうだったな。ほい」

浦原「…確かに、お預かりしました」

浦原「では、こちらはグリーフシードの解析を始めますので、美樹さんのことは、黒崎さんたちにお任せします…」

浦原「あ、勿論、居間は使ってもらって結構ですよ。お茶も煎れさせますので」

一護「ああ、サンキューな、浦原さん」



QB「さて、どうする、暁美ほむら?滅却師の戦闘能力はかなりのものだ。彼がいれば、ワルプルギスを撃退出来る可能性は飛躍的に上昇すると思うよ」

ほむら「いいえ…今から説明しても、確実に来てくれるという保証はないわ。そもそも、信じてもらえるかどうかさえ微妙なところよ」

ほむら「ワルプルギスの出現はもうすぐそこまで迫っている。説得に時間を使って間に合わなくなっては、元も子もないわ」

ほむら(それに…他のインキュベーターにまどかが勧誘されている可能性もある)

ほむら(美樹さやかの現状を考えれば、気に病んだ彼女が契約を受け入れることも…)

ほむら「私は見滝原に戻って、ワルプルギスとの戦いに備えるわ。それじゃあね、インキュベーター」

カチッ

QB「…やれやれ、やっぱり僕を置いていったね。最初からそのつもりだったのかい?暁美ほむら」

とりあえずここまでで

ここから捏造設定がかなりの数出てくると思います

あと、>>105で石田が「さやかさん」と呼んでいますが、ここは「美樹さん」でした。すみません

見滝原

魔女「ヴァァァアアァアアアアアッァアアア」

杏子「……」

まどか「杏子ちゃん、大丈夫…だった?」

杏子「……ああ」

まどか「杏子ちゃん…?どうかしたの?」

杏子「…5匹だ」

まどか「5匹…?」

杏子「今日の朝から、私が倒した魔女の数だよ」

まどか「え…っと…それって、やっぱり多いん…だよね?」

杏子「多いなんてもんじゃねぇ…魔女なんて、週に一、二匹会えるかどうかだぞ」

杏子「しかも、多いだけじゃない…一匹一匹が馬鹿みたい弱いんだよ」

まどか「弱い…?」

杏子「ああ。普通、三匹も出会えば厄介なのが一匹くらいはいるもんなんだ」

杏子「使い魔ならともかく、5匹連続で雑魚な魔女なんて滅多にあるもんじゃねぇ…というか、初めてだよ」

まどか「え、えっと…魔女が弱いって、そんな悪いことじゃないんじゃ…」

杏子「そりゃあそうだよ。楽にグリーフシードも手に入るしさ」

杏子「でも、不気味だろ?」

杏子「それに、明らかに普通じゃねぇ…ワルプルギスの夜の影響か…?」

まどか「ワルプルギス……?」

杏子「いや…何でもないよ」

杏子「それで…美樹さやかからの返信はまだなのかい?」

まどか「…うん」

杏子「そっか…やっぱ、戻って来るつもりはないんだろうな」

まどか「……」

杏子「これ以上の成果は、あいつ待ちだな」

空座町

さやか「あと、二週間足らず、か…」

ガチャ

一護「よう、ただいま」

さやか「ああ、お帰り…って、あのぬいぐるみは?」

一護「浦腹さんに捕まってる」

さやか「へぇ…」

さやか「……ねぇ」

一護「あ?」

さやか「コンから聞いた?」

一護「ああ、貧乳魔法少女が迎えにきたって話だろ?」

さやか「……」

一護「んで、それがどうしたんだよ?」

さやか「いや、怒らないの?」

一護「何を?」

さやか「私…見捨てようとしてるんだよ?」

さやか「生まれ育った町も、そこにいる友達も…」

一護「怒ってほしいのかよ?それとも、さっさと行ってやれって発破かけてほしいのか?」

さやか「……」

一護「…そんなこと思ってんなら、行くべきだとは思ってんだろ?んじゃ、どうして行きたくねぇんだよ?」

さやか「それは……」

さやか「……」

さやか「私が、最初に自分の体のこと知った時、なんて思ったと思う?」

一護「さぁ?」

さやか「…私、こんなんじゃ恭介に抱きしめてなんて言えないよって…」

さやか「キスしてなんて言えるわけないって…そう思っちゃったんだ」

一護「……」

さやか「最低でしょ?口では恭介のバイオリンを聞きたいから、マミさんの変わりに皆を守りたいから、とか…そんなこと言ってたくせに…」

さやか「結局、私の本心なんてそんなもんなんだな…って」

一護「…」

さやか「使い魔も満足に仕留められない程度の力しかない上に、こんな心が弱い私なんて…」

さやか「足手まといにしか、ならないでしょ…」

一護「それで、行きたくないってことか?」

さやか「ま、半分くらいはね」

さやか「残りは、合わせる顔がないっていうのと、怖いってのが半々くらいかな…」

一護「…そっか」

一護「……」

浦原商店

コン「……なぁ、どうしたんだよ?」

浦原「…いえ、やっぱり、何処にも異常はありませんね」

コン「はぁ?異常?」

浦原「ええ…もう一度確認しますよ。確かに、コンさんにはQBさんが見えたんスね?」

コン「ああ。しっかり見えたよ。あの野郎、この俺様のパーフェクトボディを不細工って…!」

浦原(…石田さんには見えて、私には見えない…そして、コンさんには見えている…)

浦原(これが、コンさんだけに見えていたら話は早かったんスけどね…どうして石田さんまで…)

浦原「……」

石田「…?どうかしましたか?」

浦原「いえ…なんでもありません」

浦原「それでは、とりあえずここで解散ということで…ま、黒崎さんは先に帰っちゃいましたけどね」

コン「おう、んじゃ…」

浦原「ああ、コンさんは残って下さい。QBさんが来るかどうか見張ってて欲しいんスよ」

コン「はぁ?なんで俺様が…」

浦原「まぁまぁ、こっちにも色々事情があるんスよ。今度、お礼くらいはしますから」

コン「…しゃあねぇなぁ」

石田「……それじゃあ、僕はこれで」

浦原「はい。お疲れ様でした」

ガラッ

~♪

石田(着信?…黒崎か)

石田「……」

ガチャ

一護『おう、石田か』

石田『黒崎、一体何の…と聞く必要はないか…』

石田『美樹さんのことだろう?』

一護『ああ、ちょっとアイツのことで相談に乗ってほしいんだよ』

一護『実はな…』

石田『それは…難しい問題だね』

石田『弱いからってだけなら、2週間もあればどうにかなりそうだけど…心のほうが不安だとなると…』

一護『正直、俺達だって20年も生きてないようなガキだしなぁ…こんなデカいことの決定促すような説教なんてしても、説得力ねぇだろうし…』


一護『だからって、ほうっておくわけにもなぁ…これ、魔女退治が成功しても失敗しても、後々かなり後悔することになるだろ…』

石田『…いや、黒崎。今回は放置しておいたほうがいいかもしれない』

一護『はぁ?なんでだよ?』

石田『理由はちゃんとあるさ。それに、放置しておくといっても、何もしなくていいってわけじゃない。とにかく、ちょっと聞いてくれないか?』

一護『あ、ああ…』

石田『よし、それじゃあ黒崎、君はまず…』

見滝原

QB「さて…これで、大分時期を早めることは出来たんじゃないかな?」

QB(暁美ほむら…君が見滝原を出たのは失敗だったね)

QB(それとも…君は今までの時間軸で、一度もワルプルギスの本質を見破ったことはなかったのかな?)

QB(いずれにしても、これで君の計画には大幅な狂いが生じるだろう…)

QB(それに、あの異様な町の住人…彼等の邪魔が入る確率も、限りなく低く抑えられた)

QB(美樹さやかは不在、佐倉杏子は度重なる魔女との戦闘、暁美ほむらは長距離の移動で疲労がたまっている…巴マミに至っては死亡済みだ)

QB(この状況でこの町を守るには…鹿目まどか、もう君が契約するしかない)

QB「…おや?」

少女「……?」

QB「君には、僕が見えるのかい?」

少女「っ!?」

QB(なるほど…やっぱり、ちょっと調整するだけでかなりの人数が僕たちを認識できるようになるみたいだね)

QB(この程度の素質なら、本来、魔法少女にすらなれないだろうけど…それでも、出来損ないくらいにはなるだろう)

QB「そんなに怖がる必要はないよ。僕はただ、君の願いを聞きに来ただけさ」

QB「さぁ、言ってごらん?」

遅くなってすみませんでした…

とりあえず、バッハさんの新しい設定が出るまでにはそうにか完結させたいです

翌日、浦原商店

QB「……」

QB「やれやれ、まさか僕が捕まるとはね」

QB「この結界…僕がグリーフシードの回収に現れるのもお見通しだったのかな?」

浦原「…コンさん、通訳お願いします」

コン「いや、なんで俺が!?」

浦原「私には見えないし、声も聞こえないんスよ」

コン「はぁ?どういうことだよ?」

浦原「まぁ、コンさんに認識出来ることは、仮説ではありますけど説明出来ないこともありませんよ」

浦原「ようするに、QBさんは人の脳を誤魔化す能力を持ってるんス」

浦原「それで普通の人には見えないようにしている…死神がモノを見たり、聞いたりするのも、結局は人間の脳と同じようなものがあるから出来ることですしね」

浦原「ところが、コンさん。貴方にはそれがない」

浦原「ボタンの目でモノを見て、綿の詰まった頭でモノを考える…そんな不思議生物まで誤魔化せるような機能ではないんでしょう。そもそも、そんなものがいると想定さえしていなかったのかもしれません」

QB「まぁ、それで大体正解かな」

浦原「そういうわけでコンさん、正直、私には結界の中にそのQBさんがいるかどうかさえ分からないんスよ」

浦原「通訳、お願い出来ませんか?」

コン「ちっ…しゃあねぇな」


※ここから下、浦原とQBが会話しているシーンが続きますが、コンが間に入ってQBの言葉を浦原に伝えている、という設定です
同じような台詞を繰り返していわせるのも面倒なので、コンの通訳はカットしていますが、ご了承下さい


浦原「さて、それではQBさん、教えてくれませんか?」

QB「何をかな?」

浦原「石田さんのことについてですよ。どうして私には貴方が見えず、彼には見えるのか」

QB「やれやれ、またその質問かい?昨日、暁美ほむらに言ったばかりなんだけどなぁ…」


浦原「なるほど、私のような死神には貴方が見えず、滅却師である石田さんには貴方が認識できたのは、そういうわけだったんスね」

QB「そうだよ。これで満足したかい?」

浦原「いえいえ、ここまで言っておしまい、なんてわけにはいきませんよ」

浦原「貴方達が滅却師を産んだ、ということについて、話して貰えませんか?」

QB「そんなことを言ったところで、君には何か利益があるのかい?」

浦原「今回の件では関係ないかもしれませんけどね…」

浦原「滅却師については、私も色々知っておきたいですから…今後のためにも」

QB「…それを言ったら解放してくれるのかい?」

浦原「いえ、他にも聞きたいことがありますんで、それまで我慢して下さい」

QB「やれやれ…ま、仕方ないね。僕はグリーフシードさえ回収出来ればそれでいいし」

QB「それじゃあまず、彼女の話からはじめよう」

その少女は幸福な人生を送っていた

裕福な家庭に生まれ、周囲の人々から可愛がられて、何不自由ない生活を謳歌していた

彼女には、自身が幸福であるという自覚があった

自分が幸せな人間だと、忘れたことは一度も無かった

その幸せが当たり前だと思ったことなんて、一度としてありはしなかった

彼女の周囲にはいつだって不幸な人間がいたから

手足が動かなくなった者、不治の病に犯された者、目の見えない者

ありとあらゆる不幸な人間が、いつだって彼女の近くにいた

少女は幸福だった

腕は動くし、病にはおかされず、何の不自由もなくモノを見ることが出来る

そして、確かに愛されていた

少女は確かに幸福だった…けれど…

常に不幸な人間が側にいる…そんな人生は、本当に幸福といえるのだろうか?

そんなことは、少女には分からない。考えたことも無かったに違いない

彼女はただ、不幸な人々の中で、一人幸福に過ごしていた

そんなある日…彼女は、白い獣に会った

今まで見たこともない、喋る獣…彼は言った。戦い続ける人生を誓えば、一つ願いを叶えよう、と

幸福な少女は願った。周りの人間を救いたいと。世界中の、全ての不幸をなくしたい、と

イメージするのは一人の男…小さい頃から、何度も夢見た、聖書の中の救世主

獣は笑った。

君の願いは、エントロピーを凌駕した、と


生み出されたのは、一人の赤子

親もなく、自我すら皆無に等しい、幸福も不幸も分からない救世主

その赤子に触れた者は、一人の例外もなく救われた

手足は動くようになり、病は完治し、目も見えるように


意思もなく、親もなく、泣き声さえあげない赤子を、人々は神と崇め…

少女は、自分の祈りから生み出された奇跡を目の当たりにして、絶望の底に沈んだ


知っていたのだ、周りの誰よりも幸福だった少女は…

親も、意思も、声もない…そんな誰よりも不幸な赤子を、自信の祈りが生み出してしまったことを…


浦原「……」

QB「ま、しばらくしたらその赤ん坊もちゃんとした人の形におさまったんだけどね。彼女自身は知らないんじゃないかな?」

浦原「つまり、その赤ん坊が滅却師の始祖ってことッスね」

QB「そうだよ。まぁ、彼自身と僕達に直接的な繋がりはないから、彼が今、何処で何をしているのかなんて知らないけどね」

QB「あっちも僕達の存在を知っているかどうかはかなり怪しいんじゃないかな?自分の出生については、もっともらしい捏造された記憶でも埋め込まれてるだろうし」

浦原「何にしても、QBさんが滅却師の生まれた原因だった、というわけッスね」

QB「ま、そうなるね」

浦原(…ということは、巡り巡れば、石田さんや黒崎さんの大元はこれだということに…)

浦原(…なんだか、複雑な気分っスね)

見滝原

QB(そう…確かに彼女は、世界中の、全ての不幸をなくしたい、と願った)

QB(そして、その願いは魔女となった今でも生きている)

QB(彼女は、全ての不幸を許さない…不幸を振り撒く魔女も、いずれ魔女となる魔法少女も…)

QB(だから、彼女は現れる…魔女や魔法少女が密集する、この見滝原に…)

QB(さぁ、出来そこないとはいえ、あれだけの魔女や魔法少女を生み出したんだ…)

QB(魔法も使えない、ただ魔法少女という信号だけを持った魔法少女に、そんな彼女達が絶望して生み出された、大した力も持たない魔女…エネルギーなんて全く回収出来やしなかったけど…)

QB(それでも、流石に合わせて20を越える程の数を揃えたんだ。彼女もやってくるだろう)

QB(この町もろとも、不幸の元凶を滅ぼす為に…)

QB(そして、この町の魔女を吸収し、彼女は…こんなにも簡単に制御出来る、便利な魔女は、更なる力を手に入れる)

QB「さぁ、暁美ほむら…君のちっぽけな願いなんかで、救世主を生み出した彼女に打ち勝てるかな?」

一護「ラジオ?」

石田「ああ。その魔女、現れると一般人は災害だと認識するんだろう?」

石田「見滝原はそこまで離れた町でもないし、そんなところが大災害に見舞われた、なんてことになったら確実に報道される」

石田「だから、常にラジオを部屋の中で流しておくんだ」

一護「なるほど…ま、口ではなんとでも言えても、実際に襲われてるのを知ればアイツだっていてもたってもいられなくなるだろ、ってことか」

石田「そういうこと。流石に出現直前にラジオなんて聞きはじめたらあからさま過ぎるし、今のうちから聞いておいたほうがいいだろう」

一護「いや、あんなことがあった翌日から、ってのは充分怪しまれると思うけどな」

一護「つーか、これ大丈夫なのかよ?随分古そうに見えるんだけど…」

ザザッ…

ラジオ『この物語は、日本の平均的なサラリーマン…』

一護「おお、大丈夫そうだな…」

石田「当然だろう。僕が確認もしないでコイツを持ってきたと思ったのか?」

一護「ああ、悪い悪い」

ザザッ

一護「…ん?」

ザザザザ…

ラジオ『緊急速報です。つい先程、見滝原市でスーパーセルが…』

一護「……おい、これって…」

石田「…いや、待て。2週間後じゃなかったのか!?」

一護「じゃあ、コイツはたまたま…?」

石田「いや…でもこれを偶然と片付けるのは……」

一護「……」

石田「……」

一護「…とにかく、さやかんとこに行くぞ、んで、さっさと行くかどうか決めさせる」

石田「今更そんな時間があるのかい?」

一護「いいんだよ。どうせ、アイツのこたえなんて決まってるようなもんだ」

石田「…そう簡単に、うまくいけばいいんだけどね」

一護「一々嫌なフラグ立ちそうな台詞言ってんじゃねぇよ」

ここまでで

バッハさんの設定は一応本編にあんまり矛盾しないようにしたつもりです

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年02月26日 (水) 22:09:37   ID: H99mHzRX

続きを期待していたのに…速報が潰れていると更新してもらえないじゃないかっ!
期待してます

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