春雪「黒雪姫先輩を無視し続けろってことか……?」(425)


 in 有田家

ハルユキ「……おっ? メールだ……」

ハルユキ「って、スパムメールかよ……」

ハルユキ(ちょっと期待しちゃったじゃないか……)

ハルユキ「このゴミ箱に入れる作業ってなかなか簡単だけど面倒くさいんだよな……」

凹 某月/某日 meidmeusne@meusneu///
恋の技術!? 狙った相手を自分の★ものに!! メール登録をしよう!!

ハルユキ「……」

ハルユキ(断じて、気になったんじゃないぞ)

ハルユキ「捨てる前に中身を見てもいいだろうって思っただけだからな……」

ハルユキ(どうせ削除するんだし……)

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ハルユキ(え~っと……)

ハルユキ「気になる相手を焦らしちゃおう、恋の駆け引き特集……


ハルユキ「好きな人には優しくしたり、気を使ってしまうもの」

ハルユキ「……でも、それでは相手はいつか飽きてしまいます」

ハルユキ「日頃、仲良くお喋りしている人ならばこそ、たまには冷たい態度をとってみて……」

ハルユキ(っていわれてもどうすればいいんだよ……)

ハルユキ(……おっ?)

ハルユキ「そんなことを言われても、何をすればいいか分からない」

ハルユキ「そんな君に恋愛の達人から秘伝のマル秘テクニックを伝授しよう!!」

ハルユキ(秘伝とマル秘ってなんか被ってないか、っていや! それより続きだ……)

ハルユキ「それはズバリ、相手のことを無視してみよう、それなら勇気がない君でも出来るよね」

ハルユキ(無視するほうが勇気がいるものなんじゃないのか……?)

ハルユキ「いや、でも恋愛の達人を名乗るような人がいうことなら……」

ハルユキ(……怖いけど)

ハルユキ「黒雪姫先輩を無視し続けろってことか……?」


 翌日 in 梅郷中

ハルユキ(無視するだけで本当に……)

ハルユキ「もう校門か……」

ハルユキ(考え事してたらすぐ着いてしまった……)

ハルユキ「どうしよう……ってか、どうすればいいんだろう……」

 ――トンットンッ

ハルユキ(わっ!)

黒雪姫「おはよう、ハルユキ君。一人とは珍しいね?」

ハルユキ(肩、かたトントンって……もうこの制服は洗えないな……ってちがう!!)

黒雪姫「チユリ君は今日はいないのか……」

ハルユキ(えっと、えっと……)

黒雪姫「……ん?」

ハルユキ(えっとえっとえっとえっとえっとえっと……)

黒雪姫「どうしたんだね、具合でも悪いのか?」 ジー

ハルユキ(無視、無視、無視って虫? じゃなくて無視だ、無視無視)

黒雪姫「なんだか顔も真っ赤だし、心配だな……」

ハルユキ(も、もう駄目だぁ~!!) タタタタタッ―――!!!!

黒雪姫「あっ! ハルユキ君!?」

ハルユキ(ごめんなさい先輩、ごめんなさい先輩、ごめんなさい先輩……!!) タタタタタッ――


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 in 教室

ハルユキ「はぁ~」

タクム「どうしたんだいタク?」

ハルユキ「わわっ!」

タクム「……?」

ハルユキ「タク……居たのか」

タクム「ははっ、そんなに驚かなくたっていいじゃないか、僕は部活で朝練だったからね」


ハルユキ「そっ、そっか……」

タクム「それよりタク、教室に入ってきたときから何か変だけど……」

ハルユキ(……!)

タクム「何かあった?」

ハルユキ「えっ……、えぇっ!?」

ハルユキ「な、なに言ってるんだよタクっ! いつも通り、健康体の有田春雪だぞっ!?」

タクム「そう……? なんだか、今だって様子が変だけど……」

ハルユキ「いやいやいやいや、いつものようにデブでチビで汗っかきで食いしん坊で根暗でダメダメな健康体の有田春雪だぞっ!?」

タクム「そ、そう……か。 元気なのは本当みたいだね……」

ハルユキ「だろっ!?」


タクム「う、うん」

ハルユキ「そ、それよりっ。ホームルームはじまるぞ、席ついとかないと」

タクム「ん……? ああ、そうだね」

タクム「また後で、タク」 ッツカ ッツカ


ハルユキ(疲れた……)

ハルユキ(まだ何もしてないのに……)

ハルユキ(汗でシャツが張り付いて気持ち悪いな……)

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ハルユキ(も、もう昼休みか……)

ハルユキ(これからどうしよう……)

          ――ガランッ!! バタンッ!!

?「……」 左ヲキョロキョロ

ハルユキ(……? 誰だろう)

?「……」 右ヲキョロキョロ

ハルユキ(って、あれは――)

ハルユキ「――先輩っ!?」


黒雪姫「……おっ、居たいた」 ボソッ

ハル(こ、声出してしまった……) チラッ

黒雪姫「……」

ハル「……ッ!!」 サッ

ハル(め、目が合ったぞ……き、気づいてるよな……)

黒雪姫「……」 ジー

ハル(どどどどどうすれば……) チラッ

黒雪姫「……」 ジー

ハル(と、とりあえず寝たふりしかないっ!!) サッ


ハル(だ、大丈夫、僕は寝てるんだ。寝てる、寝てる……) グググッ

ハル(でも、ちょっと気になるかも……) チラッ

黒雪姫「……」 ジーッ

ハル(っ!!) サッ

ハル(寝るしかない、寝よう。そうだ眠ってやり過ごそう……)

ハル(……)

ハル(………)

ハル(…………) 肩ヲトントン

ハル「っ!?」 ビクッ!

クラスメイトA「お、おい、ハルユキ。先輩から呼んで来いって……」

ハル(そ、そんな……) チラッ

黒雪姫「……」 ニコッ


ハル(ど、どうすれば……)

ハル(そ、そうだ。無視だ、無視……もう無視するしかない)

ハル「え、えっと……」

メイトA「……?」

ハル「ぼ、僕は寝てるってことに……」

メイトA「いやお前起きてるだろ」

ハル「ち、ちがっ! 僕は、今寝てるので……」

メイトA「お前の寝言すげーな」

ハル「え、えと、えとえっと……」

メイトA「わぁったよ、本当にお前が今寝てるって言ってくるからな」 タッタッタッ

ハル「は、はい……」

ハル(……これは不味いんじゃないだろうか) チラッ

黒雪姫「……」

メイトA「……」

ハル(もう何も怖くない……)


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-------
-----------

ハル(……!)

ハル(ほ、本当に寝てた……十分くらいか……?)

ハル(そ、そういえば……) チラッ

ハル「いない、のか……」

ハル(ど、どうしよう)

ハル(とりあえず、これから……)

  スゥ――

ハル(な、なんだ?)

  ピトッ――

ハル「っ!?」

?「だ~れだ……?」

ハル(えっ、ちょっななななななななんだなんだなんだ!?)

ハル(先輩の声だったよなってことはこの手は先輩のかっ、そうだよなそうなんだよな!?)


ハル「せ……せ……」

?「ん~?」

ハル(あっ! ま、待て……)

ハル(こ、この声は、間違いなく黒雪姫先輩のものだけど……)

ハル(今日は、先輩を無視するって……)

ハル(でも、どうすれば――)

?「……もしかして」

ハル「……?」

?「分からないのか……?」

ハル「……」


?「そうか……。まあ……」

?「仕方ないよな。うん……」

ハル「え、えっと……」 ボソッ

黒雪姫「私だよ、ハルユキ君。いきなり驚かせてすまなかった……」

ハル「……」

黒雪姫「ハルユキ君……?」

ハル(無視、無視するんだ……。秘伝のマル秘テクニックなんだろ……)

黒雪姫「なぁ、もしかして、本当に具合が悪いんじゃないのか……?」

ハル「……」

黒雪姫「今日、朝からずっと様子が変だぞ、顔色も悪いし……」


ハル「……」

黒雪姫「本当は一緒に昼食を取ろうと思っていたのだがな、もう時間もあまりないようだ……」

ハル(先輩、もしかしてずっと待ってた、のか……?)

黒雪姫「でも、具合が悪いのなら尚のこと何か食べたほうがいいんじゃないか? 薬も飲めないし……」

ハル「……」

黒雪姫「とりあえず保健室に行かないか? なんなら帰りに一緒に病院に行こう……」

ハル「……」

黒雪姫「ハルユキ君……? 私は心配なんだ、引っ張ってでも連れて行くぞ」 グイッ

ハル「……」


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-----------


黒雪姫「廊下も流石に人が多いな、具合が優れないときに回りに人が多いのは気持ち悪いだろう……」

ハル「……」

黒雪姫「あっちのほうは人通りも少ないだろうし、少し遠くなるが向こうを経由して行こう」

ハル「……」

黒雪姫「……」 グイッ

   ――タッタッタッ
    ―――タッタッタッ

黒雪姫「本当は、今日は養護の堀田先生は出張中でな。許可を得ぬ限りは施錠されているのだが」

黒雪姫「特別に先ほど保険委員の代行証を発行し、そのまま開錠の許可を得たと言う訳だ」

ハル「……」

黒雪姫「君のためにまた職権を乱用してしまったぞ」 チラッ

ハル「……」

黒雪姫「………」

AWとか俺得


   ――タッタッタッ

ハル「……」

黒雪姫「……」

ハル「……」

黒雪姫「なあ、ハルユキ君……」

ハル「……」

   ――タッタッタッ
    ―――タッタッタッ

黒雪姫「ハルユキ君……?」

ハル「……」

黒雪姫「ハルユキ君」

ハル「……」

黒雪姫「………」


   ――タッタッタッ

    タッタッタッ―――ストンッ―――

ハル(保健室か……。そういえば前にバスケの試合で倒れたとき以来だな……)

黒雪姫「ちょっと待ってくれ。許可は取ってあるから、すぐに開錠できると思うのだが……」

ハル(それより……先輩、綺麗だな……) ジー

黒雪姫「……よし、中に入ろうハルユキ君」

ハル「……」 ウットリー

黒雪姫「ハルユキ君?」

ハル「……っ!」

ハル(み……見とれてた……)

黒雪姫「ふふっ、もしかして私を見ててくれたのかな……?」

ハル「……っ!!」

黒雪姫「ん~?」

ハル「…………」

ハル(落ち着け、落ち着け……無視だ無視……)



ハル「……」 チラッ

黒雪姫「……?」 ニコッ

ハル「………」

黒雪姫「……」

黒雪姫「………」

黒雪姫「…………」

黒雪姫「……あのな、ハルユキ君」

ハル「………」

黒雪姫「ここで何も言われないと、私はちょっと恥ずかしいぞ……」 プイッ

ハル「………」

黒雪姫「……むぅ。もういいよ、とりあえず中に入ろうか」

ハル「………」

ちょっと回覧板まわしてくるわ

戻りました


  ――ガラガラガラガラ

          ガタンッ――

黒雪姫「……ふむ」 チラッ

ハル「……」 プイッ

黒雪姫「なぜ目を合わせてくれんのだ……」 ボソッ

ハル(……秘伝のテクニックなんだ。大丈夫のはず、だよな……)

黒雪姫「とりあえず、そっちに座ってもらえるかな」

ハル「………」

黒雪姫「と、とりあえず熱があるか計ってみよう」


----
-------
-----------


黒雪姫「熱はない……か」


黒雪姫「……なぁ、ハルユキ君」

ハル「……」

黒雪姫「もしかして、具合が悪いというわけではないのか?」

ハル「………」

黒雪姫「べ、別にハルユキ君を責めているのではないぞ。

     私がハルユキ君を心配する余りはやまった行動をしてしまっただけ……だからな」

ハル「………」

黒雪姫「それに、健康だから責めるというのも変な話ではないか」 ハハッ

ハル「………」

黒雪姫「………」


ハル(なんだか……)

黒雪姫「ハルユキ君」

ハル「……」

黒雪姫「ハルユキ……君?」

ハル「……」

ハル(き、気まずいぞ……。どうしてこうなったんだ……)

黒雪姫「ハルユキ君……」

ハル「……」

黒雪姫「なぁ」

ハル「………」

黒雪姫「もしかして、怒っているのか?」

ハル「………」

黒雪姫「なぜ何も言ってくれないのだ、やはり怒っているのか……?」

ハル「………」

バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バン       バンバンバン゙ン バンバン
バン(∩`・ω・)  バンバンバンバン゙ン
 _/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
    \/___/ ̄
  バン    はよ
バン(∩`・д・) バン  はよ
  / ミつ/ ̄ ̄ ̄/   
 ̄ ̄\/___/
    ドゴォォォォン!!
        ; '     ;
     \,,(' ⌒`;;)
   !!,' (;; (´・:;⌒)/
  ∧_∧(;. (´⌒` ,;) ) ’
Σ(* ・ω・)((´:,(’ ,; ;'),`
 ⊂ヽ ⊂ ) / ̄ ̄ ̄/
   ̄ ̄ ̄\/___/ ̄ ̄ ̄

          /\
     . ∵ ./  ./|
     _, ,_゚ ∴\//
   (ノ゚Д゚)ノ   |/
  /  /

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ポチポチポチポチポチポチポチポチポチポチ
ポチ     ポチポチポチポチポチポチ
ポチ(∩`・ω・) ポチポチポチポチポチ
 _/_ミつ/ ̄/_
      /_/


黒雪姫「具合が悪い訳でもないのに、なぜ黙っているのだ……」

ハル「……」

黒雪姫「君の言葉が聞きたいよ……」

ハル(……!!) プルプル

ハル「………っ!!」

黒雪姫「昨日はあんなにお話ししてくれたではないか……」

ハル「……」

黒雪姫「君がどうかは知らないけれど、私はとても楽しかったよ……」

ハル「………」

黒雪姫「やっぱり、怒っているのか?」

ハル「…………」

黒雪姫「何か、君の気に触ることを犯してしまったのだとすれば、謝る……から……」


ハル(違うんだ……って、先輩に言いたいけど。言えない。 これも秘伝のマル秘テクニックなんだ……)

ハル(昨日、先輩と観に行った映画でだっていってたじゃないか、人生とは非情なんだ……!)

ハル(今は確かに苦しいけど、その先にある結果のためには、仕方ないんだ……)

ハル「………」

黒雪姫「分からないんだ……ハルユキ君」

ハル「………?」

黒雪姫「いったい、自分が何をした結果こうなっているのか……」

ハル「……」

黒雪姫「君はクラスメイトとは普通に話していたではないか。私に何か思うところがあるのだろう」

ハル「………」

黒雪姫「君はとっても優しい人だから。それにかまけて私は君に失礼なことを言ってしまったのかもしれない」

ハル「………」

黒雪姫「だからか、私の君に対した言動の、どれが君の癇に障ったのか分からないのだ……」

ハル「…………」


黒雪姫「謝るから……教えて欲しいんだ。何で君が怒っているのか知りたい」

ハル「……」

黒雪姫「……何で」

ハル「………?」

黒雪姫「何で、何も答えてはくれないの、だ……?」

ハル「………」

黒雪姫「謝罪の言葉など、遅いということなのか?」

ハル「………」


黒雪姫「もう昨日までのような関係には戻れない、の、か……?」

ハル「………」

黒雪姫「……ごめん」

ハル「………」

黒雪姫「ごめん、ハルユキ君、許してほしい……」

ハル「………」

黒雪姫「白々しいと思うだろう、私はまだ何故君がこうも怒りを露にしているのかまだ分かっていないのだ、から……」

ハル「………」

黒雪姫「だから、私が今謝ったところで君の心は動かないのかもしれない」

黒雪姫「でも、私に非があることは既に分かっているのだ……。許してほしい……」

ハル「………」

黒雪姫「昨日までのように、私は君と他愛無い話がもっともっとしたいよ……」

ハル「………」


ハル(どどどどどどどうしよう、も、もう無視なんてやめた方がいいんじゃ……)

ハル(こ……このままじゃまずいことになるんじゃ、というよりなり掛けてるよなっ!?)

ハル(ととととととりあえず事情を説明して……!)

ハル「せ、せんぱ――」

 ――き~んこ~んか~んこ~ん

      き~んこ~んか~んこ~ん――

ハル「………ぁぅ」

黒雪姫「………」

ハル(せっかくはなそうと思ったのに……かき消されたぞ……)

ハル(そういえば……昼休みだったな……)

黒雪姫「ハルユキ君……」 …チラッ

ハル「………」

黒雪姫「………」


黒雪姫「き、教室に戻ろうか……」

ハル「……」

黒雪姫「ハルユキ君、放課後のことだが……」

ハル「……」

黒雪姫「……今日は、生徒会の仕事も無くてな……それで、その……」

ハル「………」

黒雪姫「その……えっと……」

ハル「………」

黒雪姫「……ごめん、やっぱり、何もない……忘れてくれ……」

ハル「………」

黒雪姫「……そういえば、やっぱり今日も、忙しいんだった。私は一人で帰るよ……」

ハル「………」

黒雪姫「ハルユキ君にこれ以上嫌われたくないからな」 ニコッ

ハル「…………」


----
-------
-----------


教師「~で、あるからして――」

ハル(はぁ……)

ハル「今さら言い出しにくいよなぁ……」

教師「……が成りたち……~を代入して……――」


ハル(ん……? メールだ。誰からだろう?)

ハル(チユ……?)


 from チユ
 Sub  無題
-------------------------
ちょっと今日の放課後
校門のところで待ってて。


.


ハル「……」


 To  チユ
 Sub  Re:
-------------------------
お前部活とかあるんじゃ
ないのか?


 from チユ
 Sub  Re2:
-------------------------
今日は部活休みだよ。
絶対に待ってなさいよ!
先に帰ってたら怒るからね!


 To  チユ
 Sub  Re3:
-------------------------
分かったよ。
放課後に校門な。


.


------
-----------
----------------


ハル「チユ……遅いな……」

ハル(まだかな……) チラッ

?「……!」 サッ

ハル(ん? さっき……)

  チユ「お~いっ!」

ハル「あっ、チユ……お~いっ」

.


チユ「待っててくれたんだ、てっきりハルのことだからもう忘れちゃったかと思った」

ハル「わ、忘れるわけないだろ……! 忘れたらチユ怒るじゃないかっ!」

チユ「そ~よ、怒るわよ。ハルって昔からそういうところあるじゃないっ。

    昔かくれんぼしてた時とか、私がまだ隠れてるのに見つけきれなくて拗ねて帰っちゃうし……!」

ハル「わわっ! そんな昔のことを今言うなよ……」

チユ「私、絶対に忘れないんだから……! あの時、夜までずっと隠れてたんだからねっ!」

ハル「はわわ……」


――――――――――――――――
    ――――――――――――――――――


黒雪姫(ハルユキ君……チユリ君とは普通に話すのだな……) チラッ

黒雪姫(やっぱり、私が何かハルユキ君の気に触ることをいってしまったのだろうか……)

黒雪姫(尾行なんてしても惨めな気持ちになるだけだな……)

黒雪姫「もう帰ろう……」

黒雪姫「ぅぅ……ハルユキ君の……バカ……うぅ……」


------
-----------
----------------

  キィィィィィィ―――

ハル「はぁ、疲れた……」

    ……ガチャン―――

ハル(女子の買い物ってどうしてあんなに長いんだろう……)

ハル(っていっても、パドさんなんかは一瞬で終わりそうな感じするけどな……)

ハル「風呂入るか……朝から汗かいて気持ち悪いんだよな……」


.


  ヌギヌギ

  キィィィィィ

  ガチャン

ハル(おっと……タイルが滑るな……)

  バシャーン――!!

ハル「……ふぅ」

ハル(今日は一日、先輩を無視してみたけど……)

ハル「あれで本当に効果があったのかなぁ……」

ハル(何日も続けたほうがいいって書いてあったけど……)

ハル「どうしようかな……」

.


ハル(……ん?)

ハル(メール受信してたのか……)

ハル(三時間前、タクからだ……)

ハル「なんだろう?」


 from タク
 Sub  無題
------------------------
明日、朝練無いから一緒に登
校しない?


ハル(タクと登校か、久しぶりだな……)


 To  タク
 Sub  Re:
-------------------------
タクと一緒に登校するなんて
久しぶりだな!
明日の朝、下で待ってる。


.

書くの遅くて申し訳ない
見切り発車ではじめたものだから終着点も決めていないんだ



 from タク
 Sub  Re2:
-------------------------
了解。それじゃあまた明日。
おやすみ。


ハル(タク……、返信はやいな。待っててくれたのかな?)

ハル(僕も風呂をあがって早く寝よう……)


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----------------


  ~翌朝~


ハル「わわっ! 寝坊したぁ!?」

ハル「タクを待たせちゃ悪いぞ……!! 行ってきま~す!」


    ……ガチャン―――

.



------
-----------
----------------


タク「てっきり、ハルはもう登校してるんじゃないかと思って僕ももう行こうかと思ってたよ」

ハル「ごめん……これじゃ走らないと間に合わないよな……」

タク「僕は別に大丈夫だけど、ハルは大丈夫? 荷物持とうか?」

ハル「あぁ、いや。いいよ、すまないな、タク」

タク「それじゃあ行こう!」

   タッタッタッタッタッ―――!!
    タッタッタッタッタッ―――!!


ハル「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

タク「……ふぅ」

タク「何とか間に合いそうだね。もう歩いてもいいと思うよ」

ハル「あ、ああ……って、あれは……先輩?」

タク「えっ……?」


黒雪姫「……」 キョロキョロ

タク「……ん。 待ち合わせかな……?」

黒雪姫「……」 キョロキョロ

ハル「……」

黒雪姫「……!!」 パッ

タク「ハル……待ち合わせしてたの?」

ハル「い、いや……。そんなはずは、ないはずだけど……」

タク「こっち見てるよ?」

ハル「う、うん……」

タク「どうしたの? いつもなら喜んで走って行くのに」

ハル「と、とにかく学校に行こうぜ」

   タッタッタッタッ

黒雪姫「やぁ、おはようハルユキ君」 ニコッ

タク「おはようございます。マスター」

黒雪姫「ああ、タクム君もおはよう」


ハル「……」 チラッ

黒雪姫「……」 チラッ

ハル「……」 サッ

黒雪姫「うぅ……」

タク「……?」

黒雪姫「今日は遅いんだね。寝坊かな?」

タク「ええ、まあ……」

黒雪姫「ほう、タクム君がか。珍しいのだな」

タク「いえ、寝坊したのはハルですよ」

黒雪姫「そ、そうか……」

.


ハル「こら、タク。変なこと言うなよな」

黒雪姫「……」

タク「ははっ、ごめんよハル。でもハルのせいで走ることになったんだからね」

ハル「それは、そうだけどさ……」

タク「それより、どうしてマスターがこんな時間に?」

黒雪姫「えっ? あ、ああ。そ、それはだな……」 チラッ

ハル「……」 プイッ

黒雪姫「……ぅぅ」

タク「……マスター?」

黒雪姫「あ、ああ……ごめんよ。それより、何の話だったかな……」

タク「……」

黒雪姫「……」

ハル「……」

.


黒雪姫「……」 プルプル

タク「……」 チラッ

ハル(メールだ……)


 from タク
 Sub  無題
------------------------
マスターと喧嘩したの?


ハル「……タク?」

黒雪姫「……?」 チラッ

タク「ん? どうしたのハル?」

ハル「あ、いや。別に……」 サッサッ――


 To  タク
 Sub  Re:
-------------------------
喧嘩はしてない。
いろいろあったんだ。

.


黒雪姫「……」 チラッ

タク「……」 サッサッサッ――


 from タク
 Sub  Re2:
-------------------------
そっか。
僕が口出しすることじゃないけ
ど、仲良く、ね。


ハル「……」 サッサッ――

黒雪姫「……」 チラッ


 To  タク
 Sub  Re3:
-------------------------
わかってる。ありがとう。


タク「……」 チラッ ニコッ

ハル「……」 チラッ ニコッ

黒雪姫「……ぅぅぅ」


ハル「……」

黒雪姫「……」 チラッ

ハル「……」

黒雪姫「………」 チラッ

ハル「………」

タク「……はぁ」 タメイキ

黒雪姫「……」 グッ

黒雪姫「あ、あのだなっ、ハルユ――

タク「――なんとか間に合ったね、ハル」

ハル「あ、ああ。もう遅刻したかと思ったよ……」

黒雪姫「ぁぅ……もう学校に着いたのか……」

タク「それじゃあ先輩、僕たちはあっちなので」

黒雪姫「あ、ああ……」

.


タク「また後で」

黒雪姫「あ、ああ。タクム君……また後で」

タク「ハルはいいの……?」

ハル「……」

黒雪姫「えっと、ハルユキ君もっ! また、あ、後で……」

ハル「………」 プイッ

黒雪姫「……ぅ」

ハル「………」

タク「そ、それじゃあ……」

   タッタッタッ―――
     タッタッタッ―――

黒雪姫「あっ……ま、待って――!」

          タッタッタッ―――
               タッタッタッ―――

黒雪姫「………」

.


黒雪姫「私も……教室に行こう……」 トボトボ……


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タク「ねぇ、ハル」

ハル「ん?」

タク「マスターとっても悲しそうだったよ……?」

ハル「……!!」

タク「いいの?」

ハル「……いいんだ。今は、仕方ないんだ……」

タク「……そう。ハルがそう言うのなら、僕は口出ししないから」

ハル「タク、悪いな……」

タク「いや、でも何かあったのならすぐに相談してほしい。絶対だからね」

ハル「ああ……分かってるよ」

.


タク「そういえば、今日の一時間目は理科で野外研究だったよね?」

ハル「え、ああ。そうだったと思うけど、タクが時間割を聞いてくるなんて柄じゃないな……」

タク「ふふっ、いや。知っていたんだけどさ、確認だよ」

ハル「……?」

タク「今日は三年生は一時間目は体育だったと思うから

   マスターが運動している姿を見れるんじゃないかって。ね。」

ハル「……おおっ! 流石タクはハカセだなっ!」

タク「ちょ、それは止めてって……」

ハル「みなぎってきた……!」

タク「それはよかったよ。それにマスターと本気で喧嘩した訳じゃないみたいだしね……」

ハル「……?」

タク「ハル、ホームルーム始まっちゃうよ」

ハル「わっ! 本当だ……! 急げ急げ」

タク「……」

.


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理科教師「え~、アプリから中学理科大辞典を出せば事足りることではあるのですが~。

       やはり大切なのは自分で実物を観察することであり~~」

ハル(理科の野外研究なんて無駄な事だとしか思ってなかったけど……)

ハル(今は猛烈に研究がしたいです……先生)

タク(ハルの目が血走ってる……)


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ハル(ハードル走をやってるのか……)          キャ~
                               ワァ~
ハル(先輩はどこにいるのかな……)          キャ~

ハル(おっ、居た居た)

ハル(一人だけジャージ着てるから目立ってるな……)

.


ハル「……」 ジー

ハル(おっ、次は先輩の番かな)

ハル(……先輩、速いなぁ……圧倒的じゃないか……)

                黒雪姫「……!!」

ハル「わっ……!」

ハル(目が合ったぞ、今……!)

                黒雪姫「ひゃっ……!?」
                               ガタン――!!

ハル(先輩、いま顔から転んだな……痛そう……)

                黒雪姫「……ぅぅ」

.


ハル(大丈夫なのかな……) ジー

                黒雪姫「……!!」

ハル(あっ、でもやっぱり速いな……。もう三番の子を越してる……)

ハル「……」 ジー

ハル「………」

ハル「…………」

ハル(転倒したあそこから二番なんて……僕なんて普通にやってもビリ確定なのに……)

ハル「先輩、走ってるところも綺麗だな~」 ジー

                黒雪姫「……」 チラッ

ハル「……!!」 プイッ

                黒雪姫「……」 ジー

ハル(こっち見てるよな、どどど、どうしよう……)

ハル「と、とりあえず……研究だったな、うん。研究しよう……」

                黒雪姫「……」

.


ハル「……」

ハル「………」

ハル「…………」

ハル(う~ん、この実験レポート、どう書けばいいんだろう……)

ハル(……タクに聞いてみるか、別にカンニングする訳じゃないぞ。あくまで参考だぞ)

ハル(っていっても、タクがどこまで行ってるかなんて分からないしなぁ……)

ハル(タクを探しに行くよりも、自分で解いたほうが早い気がするけど、自分で解くにも時間が掛かりそうな……)

ハル「なんだかなぁ……」 ハァ…

?「ハル、調子はどうだい?」

ハル「……!? タクかっ!? 丁度いいところにきてくくくくくくく――――

ハル「――黒雪姫先輩っ!?」

黒雪姫「やぁ、ハルユキ君」

ハル(ど、どうしてここにいるんだっ!? ……いや、それよりもっ)

黒雪姫「ハルユキ君……」

ハル(むむむむ無視、無視だ無視……! 返事をするなっ。返事をすると死ぬぞ……!!)


黒雪姫「や、やぁ……。転んだときに足を挫いたといってな……残りの時間は、見学することにしたのだ……」

ハル(無視、無視するんだ……人生とは非情なんだ……!!)

黒雪姫「こ、転んだのは君も見ていただろうっ! 別に仮病ではないぞ、うん。断じて違うぞ」

ハル「……」

黒雪姫「というよりも、転んだのは君のせいなのだからなっ!?」

黒雪姫「此処にはいないのだと油断していたらところに

     君といきなり目が合うから、胸が躍った上に脚まで躍ってしまった訳だ!! まったく君にも……」

ハル「………」 ジー

黒雪姫「…………」

.


黒雪姫「なぁ、ハルユキ君……」

ハル「………」

黒雪姫「……返事をしてくれないか。ハルユキ君……」

ハル「………」

黒雪姫「さっき、タクム君の名前を呼んだ時は、声が弾んでいたではないか」

ハル「………」

黒雪姫「………」

ハル「………」

黒雪姫「ハルユキ君」

ハル「………」

黒雪姫「ハルユキ君……!」

ハル「………」

黒雪姫「ハルユキ君!!」

ハル「………!!」

黒雪姫「あ、ああ……。ごめん、ごめんハルユキ君。大声を出してしまったね。ビックリしただろう。ごめんね……ごめん……」


ハル「………」

黒雪姫「本当は、君と一緒に過ごせたらいいな……って思ったんだ。決して大声を出したかったわけんだ。本当だ……」

ハル「………」

黒雪姫「で、でも。ここにいると君の作業にも支障を来たすだろうから、わ、私はあっちに行くことにするよ……」

ハル「………」

黒雪姫「き、君に私は嫌われてしまったのかもしれないけれど、わ、わたしは君のことが今も大好きだよ……」

ハル「………」

黒雪姫「だ、だから……っ! お、お昼になったら……また、また来るから。一緒に、ご飯を食べよう……」

ハル「………」 ツーン

黒雪姫「………うぅ」

ハル「………!!」

黒雪姫「そ、それじゃあ……また、後で……ぅぅ」 ポタッ

    タタタタタッ―――

ハル(さっき……先輩、泣いてたのか……?)

ハル「いや、でも。あの黒雪姫先輩に限って……。まさかな……」


ハル「……」

ハル「………」

ハル「…………ふぅ」

ハル(よし、レポートもなかなかの上出来だぞ)

ハル(もうすぐ授業も終わりそうだし、先に教室まで戻るか……)


------
-----------
----------------

.


ハル(結構、終わってる人もいるみたいだな……)

ハル(終わった人が先に戻ってきてるなら、タクもいるはずだよな……) キョロキョロ

ハル(……おっ! いたいた)

  タタタッ

ハル「タク、やっぱりはやいんだな!」

タク「えっ、あ、ああ、ハルか……。いきなりだったからビックリしちゃったよ……」

ハル「ははっ、ごめんごめん」

タク「レポートはどうだった?」

ハル「最初はわけがわからないと思ってたけど、なんとか書けたよ」

ハル「なんかやってみるものだよな」

タク「はは、ハルはそうやって何でも簡単にこなしちゃうからなぁ……」

ハル「か、簡単なんかじゃないさ……!」

タク「どうだか……って、チーちゃんも来たよ、って。……?」

ハル「あ、本当だ……って。……なあタク、チユの様子、なんか変じゃないか……?」

タク「うん……僕も今そう思ってたんだ」


チユ「……」 キョロキョロ

タク「……誰かを探してるのかな?」

チユ「……!!」 ジッー

  タタタタタッ――!!

ハル「こっちにきてるぞ、タク……」

タク「う、うん……」

  タタタタタタタタッ!!

ハル「な、なぁ……あれって、怒ってるんじゃ―――

チユ「……!!」 ドスンッ

ハル「……」

タク「……」

チユ「ねぇ、どっちがやったの?」

ハル「えっ、な、何のこ――

チユ「――先輩ッ!! 泣いてたんだよっ!?」

.


ハル「……!! やっぱり……」

チユ「やっぱりって何!?」

ハル「え、ええ……ええっと、その……」

ハル「チ……チユには関係ないだろ……!」

チユ「関係なくないっ! ハルがやったんなら酷いよ……!?」

ハル「そ、そんなこと、そんなこと……」

チユ「先輩、顔はくしゃくしゃだったし目は腫れてるみたいに真っ赤だった!!」

ハル「………」

チユ「理由を聞いても転んだからって言うだけなんだよ!?」

ハル「えっと、えっと、えっと、えっと、えっと……」


.


タク「ちょっと、チーちゃん……落ちつい――

チユ「――タッくんも知ってたの!?」

タク「うっ……」

チユ「知ってたんだよね!? だって今の話を聞いて落ちついてるんだよね?」

タク「……うん」

チユ「二人とも酷いよ……。私、ハルもタッくんも二人とも好きだけど……」

チユ「今の二人は嫌いだから……!!」


------
-----------
----------------


タク「ハル、一時間目に先輩に何をしたんだい?」

ハル「えっと……」

タク「僕は怒ってないよ、だから話してよ。ハル。怒るかもしれないけれど、それは話を聞いてから考えるよ」

.


ハル「……」

タク「大丈夫だから、それよりもはやくしないと休み時間終わっちゃうよ。5分しかないんだし……」

ハル「えっと……――――




ハル「―――ってことがあってだな……」

タク「それが原因だって、ハルは思うの?」

ハル「そ、そうだ。絶対に多分そうだ……」

タク「それは絶対に?」

ハル「あ、ああ……」

タク「……そもそも、どうしてハルはマスターの事を無視してるんだい?」

ハル「え、えっと。それは――


 ――き~んこ~んか~んこ~ん

      き~んこ~んか~んこ~ん――

.


タク「……この話はまた後で、だね」

ハル「あ、ああ。そうだな……」

タク「それじゃあ、席に戻るから……」

ハル「ま、また後でな」

タク「うん」


------
-----------
----------------


古典教師「ここを品詞分解すると~~」

ハル(今更、どんな風にして話せばいいんだろう……)

ハル(無視した後の対処法なんて秘伝のマル秘テクニックにも書いてなかったし……)

古典教師「已然形の~~こっちは連体形の~~」

ハル(普通に、今までどおり普通に話せばいいのか……?)

ハル(でも、普通ってどんな風にしていたっけ……)

.


ハル「分からないな……」

古典教師「おっ? どうした有田、質問とかあるのか~?」

ハル「……っ! あ、ち、違いますっ! 違いますから……っ!」

古典教師「そうか~、分からない所があったら何でも聞けよっ」

ハル「は……はい」

ハル(目立つじゃないか……)

クラスメイト「クスクスッ」

クラスメイト「ガヤガヤッ」

ハル「……」 チラッ

タク「……?」 パッ  ニコッ

ハル(タク……)

ハル(タクに相談するか……?)

ハル(でも、普通が分からないって言ったって。仕方ないよな……)

ハル(チユは目だって合わせてくれないし、はやく何とかしなくちゃいけないのに……)

.


ハル「……はぁ」

ハル(……ん?)

ハル(タクからメールだ……) ピッピッ

ハル(開く、っと……)



 from タク
 Sub  ごめん
------------------------
さっき、部員からメールがきて
休み時間は部活のほうに顔を
出さなきゃいけなくなった。
本当にごめん。早く終わって
くれればいいんだけど…。


 To  タク
 Sub  Re:ごめん
-------------------------
分かった。気にするな。
何とかやってみるからさ。


.



 from タク
 Sub  Re3:ごめん
------------------------
力になりたいんだけどね。もし
何か非常事態にでもなったら
すぐに連絡して。部活抜け出
してでも来るから。


 To  タク
 Sub Re4:ごめん
-------------------------
気を使わせてごめん。
もしもの時はそうさせてもらうよ
。出来るだけそうならないように
したいんだけどな(笑)


 from タク
 Sub  Re5:ごめん
------------------------
うん、そうだね(笑)
とりあえず、時間が取れた時に
改めて連絡するから、さっきの
休み時間の話の続きを聞かせて
ほしい。



 To  タク
 Sub Re6:ごめん
-------------------------
分かった。
迷惑かけてごめんな。
先生にバレたらヤバイから、ま
た後で。


 from タク
 Sub  Re7:ごめん
------------------------
了解。
また後で。


.



ハル(あっ……!!)

ハル(そういえば先輩……)

『だ、だから……っ! お、お昼になったら……また、また来るから。一緒に、ご飯を食べよう……』

ハル(――って言ってたよな……)

ハル(タクが一緒に居てくれなくなったのは……まずいんじゃないか……?)

ハル(でも、今からタクにメールを出すか? それも出来ないよな……)

.



------
-----------
----------------


ハル(昼休みなんて無かったものとして時が流れてくれよ、と、祈祷していたけど……)

ハル(無意味だったか)

ハル(今更、どんな顔をして先輩と会えばいいか分からないぞ……)

ハル(チユがあんなに怒るなんて……僕がやっていたことがそんなに酷いことだったなんて……)

ハル(先輩が、今からこの教室まで来るのだと考えると……足が震えてきた……)

ハル(……) キョロキョロ

ハル(先輩もチユもタクも居ない。今のうちに、逃げよう……)

.


ハル(だ、大丈夫だよな……)

ハル(ぼ、僕は先輩にああ言われた時、はい、って言った訳じゃないんだ……)

ハル(で、でも。逃げることは、恥ずかしい事なんじゃないのか……?)

ハル(ど、どうすれば……)

ハル(でも、やっぱり僕には無理だよ……) サッ…

    タタタタッ――

ハル(いつもみたいにトイレで時間を潰そう……)


------
-----------
----------------


ハル(喉渇いたし、お腹空いたな……) グゥ~

ハル(思い出してみたら、今日は朝から急いでて五百円チャージするのも忘れてたし……)

ハル「……はぁ~」

.

ハル(さっきタクから貰ったジュースを持ってくればよかったな……)

ハル(っていっても、教室のバックの中に忘れてきたし……)

ハル(取りに行くか……?)

ハル(流石に、昼休みが始まって二十分くらい経つし、もう居ないよな……)


------
-----------
----------------


  タッタッタッ―――

ハル(結構距離あるんだよな……)

ハル「はぁ……はぁ……」

ハル(ん……?)

ハル(あの後姿は……)

ハル(先輩……?)

黒雪姫「……」

.


ハル(気づいてない、よな……)

ハル「……」

黒雪姫「……」 キョロキョロ

ハル(どうしよう、今更出て行くのか……?)

黒雪姫「………」

ハル「………」

.

七時起きで仕事なんで流石に寝るぞ……申し訳ないですが

17時過ぎくらいから残ってたら書きます
遅くてすみません

ハル「あ、あのぅ・・・」

黒雪姫「あっ・・・ハルユキくん!!!」

ハル「実は今までの態度には訳がありまして・・・」

黒雪姫「いやいいんだそんなこと!ハルくんが元通り話しかけてくれただけで・・・」グスッ

ハル「先輩すみませんでした・・・」

黒雪姫「いや良いんだよ・・・だけどこれからはこういう事は慎んで欲しい」

ハル「も、もちろんです!」

黒雪姫「さぁ一緒にお弁当を食べようではないか」アーン

ハル「えっ・・・せ、先輩・・・恥ずかしいですよ・・・」

黒雪姫「」ジーッ

ハル(先輩には悪い事しちゃったしなぁ)パクッ

黒雪姫「・・・おいしいかい?」

ハル「はっはい!!!とってもおいしいでs・・・」フラァ

黒雪姫「・・・」ニタァ

みたいな感じでヤンデレ化するもっ先さんオナシャス!!!

保守感謝です
再開します

ハル(気づいてない、よな……)

ハル「……」

黒雪姫「……」 キョロキョロ

ハル(どうしよう、今更出て行くのか……?)

黒雪姫「………」

ハル「………」

.


黒雪姫「……」 キョロキョロ

ハル(やっぱり、僕のこと待ってるんだよな……)

ハル「………」

黒雪姫「……そこの君」

ハル(っ!? 見つかったっ!! ……いや、違う……)

クラスメイトB「な、何か……?」

黒雪姫「このクラスの有田君は早退したのか?」

クラスメイトB「えっ、有田って……有田春雪ですよね」

クラスメイトA「前の時間も普通に授業受けてましたよ」

クラスメイトC「あっ、俺見たぜ! 昼休み入ってから走って出ていったけど……」

黒雪姫「そ、そうか……」

クラスメイトA「何か、慌ててた様子だったよな」

クラスメイトB「う、うん……。何かから逃げてるみたいな……」

黒雪姫「………」

.


黒雪姫「まぁ、分かってはいたのだが……」 ぅぅ

クラスメイトC「……?」

黒雪姫「ああ、すまないな……時間を取らせた」

クラスメイトB「い、いえ……別に」

黒雪姫「ありがとう、行っていいよ……」

クラスメイトA「あ、それじゃあ……」 タッタッ

クラスメイトB「失礼します……」 タッタッ

黒雪姫「慌てた様子……」 ボソッ

黒雪姫「……逃げてるみたいな………」

黒雪姫「何かから……」

黒雪姫「………」

ハル「………」 ジー

.


黒雪姫「……」 キョロキョロ

ハル(こっち向いたぞっ……!!) サッ

黒雪姫「………」 キョロキョロ

ハル「………」

黒雪姫「………」

ハル(気づかれてないよな……)

ハル「………」

黒雪姫「約束したのに……」 ぅぅ

黒雪姫「……約束、したの、に……」 ぅぅぅぅ

ハル(……) チラッ

ハル「……」

ハル「………」

ハル「…………」

ハル(もう昼休みも五分切ったぞ……) チラッ

黒雪姫「………」 キョロキョロ

そういやもっ先だけ制服違うのは何でなん?


ハル(……そういえば先輩、昼休みが始まってすぐ来たとしたら。まだご飯食べてないんだよな……)

ハル「………」

黒雪姫「………」

ハル「………」

黒雪姫「………」

ハル(そろそろ終わ――


  ――き~んこ~んか~んこ~ん

      き~んこ~んか~んこ~ん――


ハル(……昼休みも終わりか……)

黒雪姫「うぅ……ぅ……」

ハル(………)

黒雪姫「ぅぅ……ハルユキ君の……バカァ……」 トボトボ

ハル「………」

ハル(……先輩、走って転ばなければいいけど……)

>>362
学校は指定は色の指定のみが前提なんだけど、
販売してる制服の色は一種類だから自分で特注して用意しない限り生徒の制服は統一されてる
もっ先が調子に乗って特注しただけ。だったはず


ハル(僕も教室に戻るか……)

ハル(……) タッタッタッ

ハル(………) タッタッタッタッ

ハル(…………) ストンッ――

ハル(ふぅ………)

ハル(なんだか、どっと疲れた……)

ハル(授業もあとちょっとだし、頑張ろう……)


------
-----------
----------------


ハル(やっと学校終わった……)

ハル(午後から数学と日本史とか眠すぎだろ……)

ハル「……」 チラッ

チユ「……ふんっ」 プイッ

ハル(……チユ、やっぱり怒ってるよなぁ……)


ハル(タクを誘って、今日はもう帰るか)

ハル(……って、あれ? さっきまで居たのに……)

ハル(もしかして部活かな。休み時間も出てたみたいだし、忙しいのかな……)

ハル「一人で帰るか……」


------
-----------
----------------


  ゴロゴロ――
    ヒュゥゥ――

ハル「わぁ……、雨降ってきそうだな……」

ハル(今日、傘持ってきてないのに……)

ハル(走って行くか……!) ダッダッダッ――

ハル「………」 タタタタッ――

黒雪姫「ハルユキ君……!」

ハル「……わぁっ!?」
.


黒雪姫「そ、そんなに驚くとは……」

ハル(い、いきなり道を歩いたら出てくるなんて……)

黒雪姫「驚かせてしまってごめんな、ハルユキ君」

ハル「……」

黒雪姫「でも、玄関から見える位置で待っていたら……、私を無視して帰ってしまうのではないかと思って……」

ハル「………」

黒雪姫「それで……その、だな……」

ハル「………」

黒雪姫「……あっ、ごめんなハルユキ君。根拠も無いのに君が無視するとか言って……」

黒雪姫「その、気を……悪くしただろうか……」

ハル「………」

黒雪姫「き、君は悪くないんだ……!! 悪いのは私なんだ……うん……うん……」

ハル「…………」

.


黒雪姫「い、今から帰るのだよな……?」

ハル「………」

黒雪姫「そ、その……一緒に、帰っても、いい、かな……」

ハル「………」

黒雪姫「ぅぅ……」

ハル「………」

黒雪姫「わ、私は、今から帰ろうと思うんだが、うん……」

ハル「…………」

黒雪姫「だから、一緒に帰らないか……?」

ハル「…………」

黒雪姫「…………」

.


ハル(このままじゃ、チユにも嫌われっぱなしだし……)

ハル(謝らなくちゃいけないのに……先輩を前にすると、なんだか怖いんだよな……)

ハル(何日も休んでて久しぶりに学校の教室に行く気分というかなんというか……)

黒雪姫「では、行こうっ……!」 グイッ!!

ハル(わわっ、手っ! 手がっ!)

ハル「……は、はいっ!!」

黒雪姫「……!! い、いま……」

黒雪姫「い、いや……、気のせいだよな。幻聴だろう……」

黒雪姫「最近は君の声を聞くことが出来ないから、ここ二日の間は常に頭の中で君と話しているのだ……」

黒雪姫「とうとう妄想と現実の分別がつかなくなってしまったのかもしれないな……」

ハル「………」

.


ハル(先輩の手、柔らかいな……)

ハル(まぁ、僕の手も柔らかいけど……柔らかいのベクトルが違うか……)

黒雪姫「………」 ギュゥ――

ハル「………」

黒雪姫「も、もし迷惑ではないのならば……」

黒雪姫「ちょっと寄り道したい、と思っている……のだが、ダメ……かな……」

ハル「………」

黒雪姫「い、行こうよ。ハルユキ君……明日から、また生徒会で私は忙しいんだ……」

黒雪姫「このまま明日になってしまうと、しばらく学校で君とも会えないかもしれないんだ……」

黒雪姫「このまま、縁が切れてしまう気がして。怖いんだ……」

ハル「………えっと――

黒雪姫「あ……っ!! ごめん、ハルユキ君。自分のことばっかり話してごめん」

黒雪姫「君の事を考えずに、勝手なことばかり言ってごめん……」

.


黒雪姫「えっと、その……」 アタフタ

ハル(もう無視するのは十分だってことくらい、分かってはいるんだけど……)

ハル(僕は三日前までどんな風に先輩と話していたんだっけ……)

黒雪姫「ど、どうすれば……いいんだ、ろうか……うん……」

ハル(謝るんだろ……ごめんって言えばいいだけだろ……) ポタッ

黒雪姫「あ……」

   ポタッ――
    ポタッ――

ハル「雨……」

黒雪姫「ぬ、濡れてしまうぞハルユキ君っ! あっちのほうまで走ろうっ!!」

ハル「は、はいっ……!」


------
-----------
----------------

.


黒雪姫「雨、酷くなってきたな……」

ハル「……」

ハル(今、そうですねって言えば……自然な感じだったんじゃないか?)

黒雪姫「傘……持ってきてないんだ。今日は」

ハル「え、えと、えと」 ゴモゴモ

黒雪姫「そういえば、さっきだけど……君が返事をしてくれた」

ハル「……」

黒雪姫「ふふっ、ありがとう」 ニコリッ

.


ハル「………」 グッ……

黒雪姫「………」

ハル「……っ!!」

黒雪姫「……?」

ハル「……」

ハル(チ、チユに嫌われっぱなしじゃダメなんだ……)

ハル(チユが怒っていた時に言っていたことが本当だとしたら、無視なんて今すぐ止めるべきなんだ……)

ハル(何度も自分の中で決めたことじゃないか……)

ハル(今更、謝る勇気が出ないって……頑張れよ、僕……)

.


ハル「………」

黒雪姫「………」

ハル「…………」

黒雪姫「…………」

ハル「………あのっ!
黒雪姫「………あのだなっ!

ハル「あ……」

黒雪姫「はぅ……」

ハル「せ、先輩から。ど、どうぞ……」

黒雪姫「は、ハルユキ君から……話してほしい……。君の声が聞けるなら……」

ハル「そ、それじゃあ……さ、先に……」

黒雪姫「う……うん」

ハル「あ、あのですね。そのぅ……」

.


黒雪姫「………」

ハル「その、ええっと……」

ハル(なんて言えばいいんだ……)

ハル「ええ、っと……えっと、ど、どうしよう……」 チラッ

黒雪姫「………」 プルッ プルッ

ハル(先輩、僕が話すのを待っててくれてるんだ……)

ハル(謝るんだ……謝る……)

ハル「先輩っ!!!!」

ハル「ごめんなさいっ――!!!!







黒雪姫「――それで、その記事に書いてあったことを私にしてみようって?」

ハル「はい……」

黒雪姫「……ふむ」


ハル「怒ってます……?」

黒雪姫「怒っているよ?」

ハル「……!!」

ハル(ヤダ、コワイ、シヌ、コロサレル、きっと、ころされる、ぼくは、しぬ)

黒雪姫「しかし、ふむ……」

ハル「は、はい……」

黒雪姫「そのマル秘テクニックという奴は……」

ハル「……?」

黒雪姫「案外よい事を言っていると思ってね」

ハル「えっ……?」

黒雪姫「だって……」

.


黒雪姫「久しぶりに君と話せて、私はすごく嬉しいんだ」

ハル「あ、あのっ……!」

黒雪姫「謝らなくてもいいよ」 ふふっ

黒雪姫「とても嬉しくて、涙が出てきたよ……」

ハル「そ、そんな……冗談ですよね。だって、あめ……」

黒雪姫「……確かめてみるか? 舐めたら涙の味がするさ」

ハル「えっ……?」

黒雪姫「こっちに来て、顔を近づけて……」

ハル「で、でも……」

黒雪姫「さあ、はやく……」

ハル「は、はい……」

黒雪姫「ハルユキ君」 ボソッ

ハル「……っ!?」

黒雪姫「―――ちょっと、この冗談はキツかったけれど、やっぱり大好きだよ―――」

                      終わり

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