みゆき「わたし、星空みゆき!35歳!最近肩こりがひどい!!」(185)

みゆき「あんまりひどくてパートの仕事もできないからやめてきちゃった!」

みゆき「今日から無職でウルトラハッピー!!」ハッピー

みゆき「あー!これから何をしよっかなー!!」

みゆき「……これから何ができるんだろ……?」

みゆき「もう35だよ……?」

みゆき「……貯金もないし……」

みゆき「結婚してないのなんてメンバー(笑)の中で私と、
    同人ゴロってヤクザな商売で荒稼ぎしてるらしいやよいちゃんと、
    若い頃に尼寺に入って頭を丸めたれいかちゃんだけだよ……」

みゆき「……うん!」

みゆき「意外と結婚してない子が多くてウルトラハッピー!!」ハッピー

みゆき「あー、暇すぎてビールの空き缶を使ってボーリングしてたら」

みゆき「倒れた缶から茶色い液体と見たこともない虫が出てきてウルトラハッピー!」ハッピー

みゆき「新種かなー!?新たな学名ついちゃうのかなー?」ワクワク

みゆき「わたしが名付け親になるのかなー!?」ワクワク

みゆき「みゆき虫!みゆき虫にけってーい!!」イエーイ!

みゆき「……クソ虫」

みゆき「クソ虫じゃねーか!!クソ虫じゃねーか!!」

みゆき「あははははは!!」

みゆき「……」ハァ

みゆき「……かたづけよ」

みゆき「あー、自由ってとっても素晴らしいなー」

みゆき「T.板垣も自由は死なないってドヤ顔で言ってたもんねー」

みゆき「まあ実際は言ってなかったらしいけど……」

みゆき「んー、豆知識、豆知識」

みゆき「……」

みゆき「……とりあえずTUTAYAにビデオ返しにいこ」

みゆき「あ、一本見るの忘れてる……」

みゆき「……『宇宙兄弟』」

みゆき「旧作五本セットだと安いからって、なんでこんなの借りたんだろ……」

みゆき「もういいや、かえそ」

みゆき「外、雨降ってたよ……」

みゆき「この前傘盗まれちゃったから、家に一本もないし……」

みゆき「……もういいや、延滞料金とTUTAYAまで行くカロリー消費量考えたら、
    行かない方がお得ってミユキコンピューターで計算できたし」

みゆき「今日は一日家でごろごろウルトラハッピー!!」ハッピー

みゆき「……あとどれだけこの生活が続くのか……」

  ピンポーン

みゆき「」ビクッ

みゆき「はーい、今行き……」

みゆき「……」

みゆき「居留守、使お……」

みゆき「同窓会のお知らせのハガキが来てたけど」

みゆき「限界まで握りつぶして灰皿にダンクシュートしちゃった!」ハッピー

みゆき「行けるわけないじゃん!はっぷっぷー」

みゆき「こんな年まで、結婚もしてなくて、無職で」

みゆき「でも、そうやって行動しないから出会いもないし……」

みゆき「出会いがあったところでこんな私を好きになってくれるとは思えないし……」

みゆき「……」

みゆき「……は、ハッピー!!」ハッピー

みゆき「……」

みゆき「みんなどーしてるかなー?」

みゆき「あかねちゃんとは最近も連絡取ってるけど」

みゆき「……といっても前に連絡取ったの1年前か……」

みゆき「最後にあかねちゃんと会ったとき、どんなこと話したっけ?」

みゆき「たしか、あかねちゃんが『イヤー子育てってホンマ大変やわ』って言ったから」

みゆき「『あかねちゃんって、もうずっとこっちに住んでるのにいつまで経っても関西弁が抜けないよね?
    もうそのキャラやめたら?ダサいし!お好み焼きくさいよ!風呂入れ!』って言っちゃったんだよねー」アハハ

みゆき「いつもだったらここで、北斗神拳のようなパンチを繰り出してくるはずだけど……」

みゆき「……優しい顔して『そやな、みゆきの言う通りやな』って……」

みゆき「……中学校の時、先生がクラスのみんなを怒ったとき言ってたよ……」

みゆき「『俺が怒るのはお前たちに期待しているからだ』って……」

みゆき「じゃあ、怒られなくなった人はどう思われてるの……?わからないよ……先生……」

みゆき「……」グス

みゆき「そだ!ひさしぶりにやよいちゃんに連絡してみよう」ピポパ プルルルルルル ガチャ

やよい『はい、もしもし』

みゆき「あっ、やよいちゃん?」

やよい『はい、そうですが……あの……?』

みゆき「わたし!みゆきだよ!!」

やよい『みゆき……ああ!み、みゆきちゃんね!うん!』

みゆき「……もしかして、わたしの番号登録してなかった?」

やよい『そ、そんなわけないじゃない!登録してるよ!それにこの前携帯なくして』

みゆき「……どっちでもいいよ、もう」

やよい『うん……ごめん』

みゆき「……」

やよい『……久しぶり』

みゆき「……うん」

やよい『この前テレビでね、七色ヶ丘町の特集やってたよ、見た?』

みゆき「へー、そうなんだ。知らなかったー」

やよい『中学校もちらっと写っててね、懐かしかったなぁ』

みゆき「うん……うん」

やよい『あとね!最近座りっぱなしだからか腰痛がすごくってー』

みゆき「あ、わたしも!わたしの場合は肩こりだけどね」アハハ

やよい『ふふふ、病院ってどうしてる?いいところあれば行きたいんだけどねー』

みゆき「……聞かないんだね」

やよい『……うん。聞いてほしくないでしょ?』

みゆき「……」

やよい『……わたしもだから。ふふ』

みゆき「あはは……」

やよい『そういえばね、この前なおちゃんと電話してたらね』

みゆき「……なおちゃんとは連絡取ってるんだ……?」

やよい『……う、うん』

みゆき「へー、わたしの電話番号も知らなかったのに?」

やよい『……』

みゆき「……あかねちゃんとも連絡取ってるの?」

やよい『……うん』

みゆき「最後にあかねちゃんと連絡取ったのって、いつ?」

やよい『一週間前……』

みゆき「え……」

やよい『あ!いやいや、三ヶ月ぐらい前かなぁー?』

みゆき「別にいつだっていいよ……」

やよい『……ゴメン』

みゆき「さすがにれいかちゃんとは連絡取ってないでしょ?」

やよい『う、うん!れいかちゃんとはしばらく会ってないよ!』

みゆき「だよね、だよねー!尼寺にいるもんね!下界になかなか降りてこないもんね!」

やよい『うん!もう三年ぐらい会ってないかも……』

みゆき「え……」

やよい『え……?あっ……!』

みゆき「わたしがれいかちゃんと最後に会ったのって大学生の頃だから……」

やよい『……ゴメン』

みゆき「わたし抜きで会ってたんだね……」

やよい『ゴメン……』

みゆき「ゴメンとか何で謝るの意味わかんない」

やよい『ゴメン……』

みゆき「みんなで会ったの……?」

やよい『え?』

みゆき「だから三年前れいかちゃんと会ったときわたし以外のみんなで集まったの?って聞いてるの」

やよい『……ゴメンね』

みゆき「楽しかった?楽しかったよね?わたし以外のみんなで楽しんだんだよね?どこ行ったの?」

やよい『居酒屋行って……カラオケ……』

みゆき「へー、居酒屋にカラオケかぁ」

やよい『……うん』

みゆき「大学生の頃わたしが、久しぶりに会うみんなを焼き肉に連れて行ったらなおちゃんが
    『尼僧のれいかがいるのに焼き肉なんて食えるわけないだろ!』って言いながら
    わたしをしこたま殴ったの覚えてる?」

やよい『……はい』

みゆき「ふぅん、なのに居酒屋にカラオケ、ねぇ……」

やよい『……』

みゆき「……何歌ったの?」

やよい『……え?』

みゆき「カラオケは何歌ったの、って聞いてるんだよー?」

やよい『み、みんなそれぞれ今風の曲だったよ。わたしそういうの疎くてよくわかんないけど……』

みゆき「じゃあやよいちゃんは何歌ったの?」

やよい『い、言ってもわかんないと思うなぁ……』

みゆき「言ってみなくちゃわかんないじゃん!言う前からあきらめてどうするの!?」

やよい『……イカ娘、とか』

みゆき「……古っ」

やよい『……』

みゆき「ま、別に何歌ったっていいんだけどねー」

やよい『……』

みゆき「……それで?なおちゃんと電話したんだっけ?」

やよい『あ、うん』

みゆき「何かあったの?」

やよい『あのね、なおちゃんね、ずっと子供がいなかったじゃない?』

みゆき「あー、そうだね。あかねちゃんから聞いたよー、姑さんとの折り合いも悪いらしいね」

やよい『それでね?……始めたらしいよ』

みゆき「何を?」

やよい『……不妊治療』ボソッ

みゆき「ぐふっ!……ふぶふっ……」ブルブル

やよい『みゆきちゃん?』

みゆき「……あー、いやいや、大変だねえ、ホン、ト」プルプル

やよい『なおちゃん、子どもの頃から家族はいっぱいほしいって言ってたのにね』

みゆき「サッカーチームが作れるぐらいがいい、って言ってたね」プルプル

やよい『うん、うまくいくと良いね……』

みゆき(このままじゃフットサルもできない……)ブルブル

やよい『みゆきちゃん……?』

みゆき(それどころか夫婦二人でPK戦だけ……)ブルブル

やよい『ねえ、みゆきちゃん?』

みゆき(老いた二人はどちらが先にピッチという名の人生を降りるのか……)ブルブル

やよい『みゆきちゃん!』

みゆき「こればっかりは授かり物だからねぇ」キリッ

やよい『あ、うん……そうだね』

やよい『……』

みゆき「……」

やよい『……』

みゆき「……」

やよい『……』

みゆき「……」

やよい『……』

みゆき「……」

やよい『……わたしたち、何でこうなっちゃったんだろうね……』

みゆき「……やめて」

やよい『……』

みゆき「……」

やよい『……』

みゆき「……」

やよい『……』

みゆき「……」

やよい『……』

みゆき「……」

やよい『ねえ……なんで今更わたしに電話なんてしてきたの?』

みゆき「……やめてよ」

やよい『わたしね……今でもコミケでコスプレしながら同人誌売ってるんだ……』

みゆき「言わなくていいよ……」

やよい『周りのコスプレしてる子たち、みーんな若いのにね。ふふ』

みゆき「聞きたくないよ……今の話なんて……」

やよい『わたし知ってるよ?笑われてるって。こんなおばさんが同人誌売るために
    必死になってコスプレしてるんだもん。そりゃ笑っちゃうよね』

みゆき「ダメだよ……」

やよい『今の子たちも近い将来、今やってることを黒歴史とか言っちゃうんだろうね。
    わたしはその黒歴史が現在進行形で続いてるのにね』

みゆき「やめて、って……」

やよい『わたしの人生ずーーーーーーーーーーーーーっと、ずっと真っ黒、黒歴史。ふふふ」

みゆき「……やめてってば!!!」

やよい『だって!!わたし!!何もないんだよ!!?もう35だよ!?イヤだよ、もう……!』

みゆき「何もなくない!!」

みゆき「やよいちゃんは何もなくないよ!!あったじゃん!黒歴史でも、歴史はあったんでしょ!!?」

やよい『でも!』

みゆき「お金もあるし!出会いだって!楽しいことだってたくさんあったんでしょ!?」

やよい『……』

みゆき「わたしはね、何もないの。ほんとに何にもなかったの……」

やよい『みゆきちゃん……』

みゆき「何にもなくってねぇ?夜寝るとき目を閉じると、ぽっかり空いた空洞に呑まれそうになるの」

やよい『……』

みゆき「やよいちゃんはわたしとは違う!!そんなんで絶望面して、どうせわたしのことも下に見てるんだ!バカにして!死んじゃえ!」

やよい『なんで電話なんてしてきたのぉ……もう過去なんて見たくなかったよぉ』グスグス

みゆき「死ねぇ!死ねぇーーーーーーーーーーーー!!」

やよい『みゆきちゃ』ガチャ ツーツー

みゆき「フーッ、フーッ……」ツーツー

みゆき「……」

みゆき「……死ぬのはわたしだ……」

みゆき「あーあ」

みゆき「なーんでこんなことになっちゃったんだろうなぁ」

みゆき「……会社をやめたから?それとも就職活動を真面目にしなかったから?」

みゆき「二浪したからかなぁ?みんなと違う高校に行ったのが間違いかも……」

みゆき「……」

みゆき「プリキュアを、やめたから……?」

みゆき「……だって、しょうがないじゃん」

みゆき「急に敵がガチな戦法とってくるんだもん」

みゆき「一般人をいっぱい操って寝込みを襲うとか、はは、ムリムリ、勝てないよ」

みゆき「このせいでれいかちゃんは尼寺に走っちゃったし」

みゆき「みんな同じように傷ついてるのに……一人だけ逃げ出して……」

みゆき「プリキュアは五人そろわないと強くないんだよ?」

みゆき「もう敵にも勝てないしさ、みんなもどんどんプリキュアやめてっちゃうから」

みゆき「わたしもスマイルパクトをたたき壊してプリキュアやめちゃったよ!」

みゆき「そんなれいかちゃんも第二の瀬戸内寂聴として日経エンタに載ってるし」

みゆき「笑顔でインタビュー。『つらい過去があったから、今のわたしがいる』」

みゆき「うーん!友達が有名人になってウルトラハッピー!!」ハッピー

みゆき「んなわけあるかっ!!笑ってるんじゃねえよ!!ふざけるな!!何がつらい過去だ!何が『道』だ!!裏切り者!!」

みゆき「わたしは!わたしはなぁ!!……うっ」

みゆき「……ぅぼおろろろろぉろろろぇ、えっ、ぺっ、ぺっ」ビチャビチャ

みゆき「……くさい」

みゆき「わたしのおなかの中、こんなにくさいのが詰まってたんだ……」

みゆき「ははは」

みゆき「おもしろーい」

みゆき「あ!キャンディ!?キャンディだぁ!今までどこにいたの!?探したよ!二十年ずっと探してたんだよ!?」

みゆき「え?『キャンディは、ずっとみゆきのそばにいたクル』?」

みゆき「ははは、何言ってるのキャンディ?」

みゆき「キャンディも薄汚れちゃったねー?洗ったら綺麗になるのかな?」

みゆき「ねえ、キャンディ聞いてよ、わたしこんなんなっちゃったよ?」

みゆき「あの頃から、歪んで、ねじれて、ひん曲がって、わたしも薄汚れちゃった、洗っても綺麗にならないけどね」

みゆき「ねえ、キャンディ?わたしね、お母さんみたいになれると思ってたの」

みゆき「普通に生きてたら将来、お母さんみたいな、優しいお母さんになれるって、思ってたの」

みゆき「だってわたし、お母さんの子どもだもん」

みゆき「でも、ダメだったぁー……」

みゆき「ねえ、キャンディ。結局ピーターパンはわたしを迎えに来てくれなかったよ?」

みゆき「ウェンディにはなれなかったね」アハハ

みゆき「もうスマイルパクトもないからプリキュアになれないし」

みゆき「……ピエーロの復活も阻止できなかったんだっけ?」

みゆき「世界が、バッドエンドに染まって……」

みゆき「どうしたの?キャンディ?……え?『テレビを見るクル』?」


TV『先日、食中毒騒動で問題になった『お好み焼き屋あかね』が無期限活動停止処分を受け』


みゆき「あ……、あかねちゃんのお店だ……」

みゆき「あは、あはは」

みゆき「あはははは!人殺し食堂を経営してるあかねちゃん!!」

みゆき「女としての機能が停止しちゃったなおちゃん!」

みゆき「ババアコスプレイヤー兼メンヘラビッチなやよいちゃん!!」

みゆき「尼僧タレント裏切りハゲ野郎のれいかちゃん!!」

みゆき「そして無職カネなし処女膜あり(再生)のゲロまみれみゆきちゃん!!!」

みゆき「五人揃ってダメキュア!ゴミキュア!腐れキュア!!揃うことも、もう一生ないけどね!!」

みゆき「あはは!!五つの光が導く未来のはずだったのに!キラキラ輝くはずだったのに!」

みゆき「こんなんなっちゃったね!!ね!キャンディ!?」

みゆき「キャンディ……?」

みゆき「……ただの汚ねーぬいぐるみじゃねーか!!」ボスッ

みゆき「……もう、もうヤダよぉー……」グスグス

みゆき「もう疲れたよ……」グスグス

みゆき「どうしたらいいの……?」

みゆき「ねえー、みんなぁー?」

みゆき「わたし、どうしたらいいんだろぉー?」

みゆき「つらいよ、つらいよ……」

みゆき「もう、ヤダよぉ……」






    「ウルッフッフッフ……」


みゆき「その声、は……」

みゆき「オオカミ、さん?」

ウルフルン「ウルッフッフ……久しぶりだなぁ、プリキュア」

みゆき「な、んで……?」

ウルフルン「ジョーカーに言われて来てみりゃあ、たしかにすげえバッドエナジーを発してやがる」

みゆき「何しに来たの……?わたし、もうプリキュアじゃないんだよ……?」

ウルフルン「だからさ。プリキュアじゃなくなった、絶望の塊みたいなお前に用があったのさ」

みゆき「え……?」

ウルフルン「お前をバッドエンド王国の住人として迎えに来たのさ」

みゆき「は……?」

ウルフルン「しかも、俺たちと同じ、幹部待遇だぜ、ウルッフッフッフ……」

みゆき「あはは……プリキュアからバッドエンドの王国の住人かぁ。落ちちゃったもんだなぁ、わたし……」

ウルフルン「見てみろよ、外はもうピエーロ様の復活で、どこもかしこもバッドなエナジーで満ちてやがる」

みゆき「ピーターパンじゃなくってオオカミさんが迎えに来ちゃったよ、絵本の内容とはちがってるね……」

ウルフルン「その中でもお前はとびきり優秀なバッドエナジーを持っていたのさ。それをジョーカーの野郎が目をつけた、ってわけさ」

みゆき「……」

ウルフルン「なぁに、心配するな。簡単な仕事さ。人間どもを不幸のどん底に沈めるだけなんだから」

みゆき「……」

ウルフルン「今のお前なら、ラクショーだろ?」

みゆき「……けるな」

ウルフルン「俺たちで、世界を!最悪の結末に染めてやるのさ!!!」

みゆき「ふざけるなぁ!!!!」

みゆき「ふざけるな!ふざけるな!ふざけるなぁっ!!!」

ウルフルン「……」

みゆき「お前が!お前たちが、わたしたちをこんなにしたんだ!」

みゆき「あの夜!ジョーカーって奴が操った一般人にわたしたちが犯され、ぐちゃぐちゃにされた夜!」

みゆき「あの夜が原因でれいかちゃんの心が壊された!!!」

みゆき「れいかちゃんがプリキュアを抜けて、なおちゃんは敵の攻撃を受けきれず右足がダメになった!サッカー部も辞めたよ!」

みゆき「あかねちゃんも!やよいちゃんだって!傷ついた!だからみんなプリキュアをやめた!」

みゆき「しょうがないって思ったよ!誰だって、痛いのはヤダもん!でも、わたしは最後まで戦って、戦って、戦い続けて!」

みゆき「世界のために!キャンディのために!やめていったみんなのために!」

みゆき「でも……ダメだった!」

みゆき「限界だった!もう無理だったよ!」

みゆき「一つの戦闘ごとに体はボロボロになるし、プレッシャーでつぶされそうになった!」

ウルフルン「……」

みゆき「知ってる?わたしの右目は今も見えてないし、小指も動かないんだよ?」

みゆき「だからあきらめた!全部やめたよ!スマイルパクトを壊して、全部捨てたんだ!」

みゆき「あれから、わたしも、みんなも、プリキュアのことは知らないふりした」

みゆき「忘れたふりしたよ、だって!!」

みゆき「こわかった!わたしたちがやめたせいで世界がバッドエンドになっちゃうのが!!」

みゆき「ねえ、オオカミさん、世界はどうなったの?どうなっちゃうの?」

みゆき「プリキュアがいないと、世界は終わっちゃうの……?」

ウルフルン「知ってどうする?ここにはもうプリキュアはいないんだぜぇ?いるのは『元』プリキュアだけさ」

みゆき「それでも……!わたしは!」

ウルフルン「……」

みゆき「後悔した!後悔してたよ!?ずっと!あのとき、あきらめちゃったことを!」

みゆき「戦い続けることから逃げちゃったことを!!」

みゆき「やめたみんなをしょうがないって思いながら、恨んでしまったことを!」

みゆき「呪いでいっぱいになったわたしを、わたし自身を嫌いになったことを!!」

みゆき「全部、後悔してた!でもっ!!だからっ……!」

みゆき「……」

みゆき「……今、気づいた……」

みゆき「世界も、みんなのことも、嫌いになっても、……やっぱり嫌いになれない!嫌いになんてなれないよ!!」

みゆき「わたし……!」

みゆき「わたし、プリキュアになれて良かった!」

みゆき「プリキュアになったからみんなと仲良くなれた!」

みゆき「あんなことがあったのに、無理してわたしと今までどおりの関係を続けてくれた、優しいみんな!」

みゆき「ゴメンね!ありがとう!わたし、幸せだった!」

みゆき「つらかったし、苦しかったけど!けど!」

みゆき「みんながいるだけで幸せだった!」

みゆき「スマイルパクトも、もうないけど!『元』プリキュアの35歳だけど!」

みゆき「みんなのために、もう一度!」

みゆき「……戦う!!」


   ピシッ


ウルフルン「ウルッフッフッフ……」

ウルフルン「まったく……変わらねぇなぁ、お前は」

ウルフルン「ウルッフッフッフ!!」

ウルフルン「……受け取れぇ!!プリキュア!」ポイッ

みゆき「……!」パシッ

みゆき「……これは……スマイルパクト!?壊したはずじゃ……!?」

ウルフルン「スマイルパクトが地面に叩きつけただけで壊れるわけねぇだろう?落ちてたから拾っておいたのさ。ま、渡す気はなかったんだけどな」

みゆき「……でも、わたし、35歳だよ……?」

ウルフルン「それは……心の持ちようだろ、うん」

みゆき「オオカミさん、どうして……?」

ウルフルン「ピエーロ様の復活は完全じゃなかったんだ。中途半端に復活したせいでピエーロ様の力をジョーカーの野郎がいいように利用してやがるのさ」

みゆき「オオカミさん……?」

ウルフルン「俺はジョーカーの野郎が気に入らねぇだけさ」

ウルフルン「このままじゃ世界は完全にバッドエンドで染まる」

 ピシッ

ウルフルン「ジョーカーはピエーロ様を復活させず、自分で世界を支配しようとしている」

ウルフルン「それはピエーロ様の意思じゃねぇ……!!」

ウルフルン「プリキュア!おまえはどうする!?って……」

ウルフルン「もう、決まってるよなぁ、ウルッフッフ!」

みゆき「オオカミさん!わたし、みゆきだよ!星空みゆき!35歳!結婚してないから名字は変わってないよ!?」

ウルフルン「ふん!バッドエンドの王国に年なんざ関係ねぇ」

みゆき「うん、オオカミさん、見た目変わってないもんね」

ウルフルン「さぁ!みゆき!ずいぶんとブランクがあるようだが、プリキュアになる方法、忘れちゃいねぇだろうなぁ!?」

みゆき「忘れない!忘れるもんか!!」

  ピシッ




みゆき「力一杯、叫ぶんだっ!!」

みゆき「プリキュア!!!」

  ピシッ

みゆき「スマイルチャージ!!」


   ピシシッ!



   パリーーーーーーン!!!





……

………

ハッピー「……う、……うぅん……」

サニー「ハッピー!自分、大丈夫か!?」

ハッピー「……え?あれ?……みんな、若い……?」

ピース「よかったぁ……目を覚ましたよぉ」

ハッピー「あれ……?どうして?ここは!?なんでみんなプリキュアの格好を!?」

マーチ「まだ混乱してるみたいだね」

サニー「しっかりせえハッピー!敵の攻撃や!」

ハッピー「え?え?」

ビューティ「そうです。敵のあかんべえによる精神攻撃です」

ハッピー「あれ!?ビューティに髪の毛が生えてる!!」

サニー「あかーん!!いったい何の夢見とったんや!!」

あかんべえ「あかーんべぇー!!」

ハッピー「枕の形をした……あかんべえ?」

ビューティ「そうです。わたしたちはあのあかんべえに捕まって、夢を見せられていたのです」

ハッピー「夢?」

ビューティ「……『悪夢』です」

サニー「せや!眠らされとったんやけど、みんな自力で目覚めたんや!」

ピース「うぅ、怖かったよぉ」

マーチ「ハッピーが最後に起きたんだよ」

ハッピー「そっかぁ……あれが、夢……」

サニー「ちなみにうちの夢はお好み焼きに押しつぶされる夢やったで、ほんまおっそろしかったわぁ」

ピース「わたしは、大好きなヒーローがワルモノに負けちゃう夢……」

マーチ「虫が……」ブルブル

ビューティ「わたしはおじいさまに叱られる夢でした」シミジミ

ハッピー「は、はは……」

サニー「ハッピーは?どんな夢見たんや?」

ハッピー「え?ええ!?わたしは……」

マーチ「サニーやめろ!夢は夢だ!それでいいじゃないか!ハッピーもちゃんと目覚めたんだし!」

サニー「そないゆーても気になるやろー?てかマーチは自分の夢思い出したくないだけちゃうかー?」

マーチ「サ、サニー!!」

サニー「わーかった、わかったて、もー」

キャンディ「みんなー!今がチャンスクルー!」

ハッピー「キャンディ!!?」

キャンディ「あかんべえはみんなが夢から覚めたことで動揺してるクル!今がチャンスクルー!!」

サニー「わかったで!!ほないこか!!いつものやつ!」

ピース「うん!」

マーチ「ああ!」

ハッピー「……」

ビューティ「……ハッピー?」

ハッピー「あ、うん!……行こう!」

ハッピー「……」

キャンディ「みんなの力を合わせるクルー!!」ピカー


プリキュア「「「プリキュア!!レインボーヒーリング!!!」」」ドカーン


あかんべえ「あかーん、べぇ……」シュァアアア

サニー「やったで!!」

ピース「うん!!」

ウルフルン「ちっ!やられちまったか!!くそ!プリキュアどもめ!覚えてやがれ!!」

キャンディ「あっ!ウルフルンが逃げるクル!!」

ハッピー「オオカミさん!!?」

ウルフルン「……」

ハッピー「……オオカミ、さん」

ウルフルン「……待ってるぜ、みゆき」シュン

ハッピー「……!」

サニー「あーあ、逃げられてもーたかー」

マーチ「でも、さっきウルフルンの奴、『みゆき』って……?」

ハッピー「……」

ビューティ「……ハッピー、どうかしましたか?」

ハッピー「……ゴメン、みんな」

ピース「……?」

ハッピー「……わたし、……行かなきゃ!」

マーチ「……」

ビューティ「……」

ピース「……」

サニー「……そか、しゃーないな」

マーチ「みゆきが行くって言うのなら、止めないよ」

みゆき「なおちゃん……」

ビューティ「寂しい、ですけどね」

みゆき「ゴメンね、れいかちゃん……」

ピース「……謝っちゃダメだよみゆきちゃん。自分で決めたんでしょ?」

みゆき「うん……ありがとう、やよいちゃん」

サニー「ほら!胸張りぃ!しゃんとせな!」バシッ

みゆき「えへへ……痛いよ、あかねちゃん……」

キャンディ「……みゆきぃ……」

みゆき「キャンディ……」

みゆき「……わたしは、もう大丈夫だよ、キャンディ」

キャンディ「みゆきぃ……!」ウルウル

みゆき「ずっと、わたしを見守ってくれてたんだよね……?」

キャンディ「……みゆきぃ、無理して行かなくてもいいクル……」

みゆき「うん……心配かけちゃったね」

キャンディ「みゆき、ずっと苦しそうだったから……」

みゆき「うん……」

キャンディ「ここならみゆきも、ずっとハッピーでいられるクル……笑顔でいられるクル……」

みゆき「うん、でもね、キャンディ、わたし行かなきゃ」

キャンディ「……何でクル?あっちはつらいことばっかりクル。泣いてるみゆきなんて見たくないクル!」

みゆき「うん……それでもね、」

キャンディ「……」

みゆき「これがわたしの、人生だから」

みゆき「いろいろ失敗しちゃったし、イヤなことばっかりだったけど」

みゆき「なんでだろうねー?」

みゆき「きっと、……なくしたくないんだよね」

みゆき「あんな人生でも、みんなと出会えた、ってこと」

みゆき「あんな人生でも、みんなと一緒に闘えて」

みゆき「あんな人生でも、みんなと仲良くなれたんだよ……?」

みゆき「それは、それだけは本当で、本物だから……!」

みゆき「だから……!なくしたくない!!」

キャンディ「みゆきぃ!!」

みゆき「わたし行くよキャンディ!わたしは!もう一度!」





みゆき「……わたしの人生を守るんだ」




みゆき「バイバイ、キャンディ」

キャンディ「みゆき……バイバイクル」


…………

………

……

…  


みゆき「キラキラ輝く!!未来の光っ!!キュアハッピー!!」


  パァァ!!




ハッピー「……」スゥゥ

ウルフルン「さあ行くぜ、みゆき!ジョーカーの野郎をぶっ飛ばしに!」

ハッピー「……うん!行こう!」

ウルフルン「ウルッフッフ……やっぱりお前は、笑顔が似合う」

ハッピー「……え!?ええ!?な、何言ってるの、オオカミさん!?笑顔!?え?わたし!?」アセアセ

ウルフルン「な……!て、照れてんじゃねぇよ!35のくせによぉ!何でもねぇよ!!」オタオタ

ハッピー「だ、だ、だってわたし、そういうの慣れてないし///」アセアセ

ウルフルン「な、慣れてない、って、な、何の話をしてんだよお前は!い、行くぞ!もう!」オタオタ

ハッピー「い、行くってどこへ!?わ、わたしまだ心の準備が……///」アセアセ

ウルフルン「だから何の話だよ!いいかげんしろ!あぁ、もう……」

ウルフルン「しまらねぇよなぁ……ウルッフッフッフ!!」

…………

………

……



……

………

みゆき「あのあとオオカミさんとわたしはジョーカーの企みをなんとか阻止して」

みゆき「まあ、ジョーカーには逃げられちゃったんだけど、しばらく世界は平和でいられそうです」

みゆき「あーあ……」

みゆき「……」

みゆき「……筋肉痛だ……」

みゆき「……まさか4日後にくるとは……」

みゆき「体中が痛いよ……」

みゆき「動けない……」グヌヌ

みゆき「暇だなー」ゴロゴロ

みゆき「仕事探さなきゃなー」

みゆき「……」

みゆき「面接官『あなたの特技を教えてください』」

みゆき「はい、プリキュアです」キリッ

みゆき「面接官『プリキュアとは具体的にどういったものなのでしょうか?』」

みゆき「はい、主にフリフリの服を着て、敵を徒手空拳で倒して世界を救います」キリッ

みゆき「面接官『……フリフリの服、年齢は35とありますが……』」

みゆき「はい、心の持ちようで何とかなります」キリリッ

みゆき「……」

みゆき「……ダメだよなぁー」ゴロゴロ

ピロリロリロリロ

みゆき「あ、メールだ」ポチポチ

みゆき「オオカミさん……」

みゆき「火曜、あかんべえ連れて、バッドエナジーを奪いに、こっちにくるんだぁ」

みゆき「えぇー?火曜って二日後じゃーん。筋肉痛取れてないよぉー」

みゆき「来週に、してくだ、さい、っと」ポチポチ

みゆき「送信、と」ピローン

みゆき「あー、バッドエンド王国の仕事も大変そうだねぇー」ゴロゴロ

みゆき「わたしはこっちでいいや」

みゆき「あー、やよいちゃんに電話して、謝らなきゃなぁー」

みゆき「……許してくれるかなぁ?ひどいこと言っちゃったし」

ピロリロリロリロ

みゆき「あ、返信」

みゆき「筋肉痛なら、ストレッチでもして、治せ?」ポチポチ

みゆき「もー!ストレッチもできないくらい痛いんだよー、はっぷっぷー」

みゆき「……ふふ」

みゆき「あはは!」

みゆき「うん!とにかくやよいちゃんに電話しよう!許してくれなかったら、またもう一回謝ろう!」

みゆき「それで今度はわたしからみんなに会いに行こう!」

みゆき「みんなに会って色んな話をしよう!」

みゆき「みんな、わたしがまたプリキュアになった、って知ったらどう思うかなー?」

みゆき「……きっと、笑ってくれるよね」

みゆき「……よし!」ピポパ プルルルルル

みゆき「あ、やよいちゃん?わたし、みゆき、うん、この前は」


……その後、わたしはやよいちゃんにたっぷり謝って、(むしろ心配してくれていて)
それから、みんなにも電話して、今度、みんなで集まろうって約束を取り付けた。
灰皿に入ったクシャクシャの同窓会の招待状。その出席欄に丸をして、
TUTAYAで新しく借りてきた映画を見て、少し泣いた。







     オワリ

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