ほむら「お金でワルプルギスの夜を倒す」(463)


ワルプルギスの夜「アハハハ、アハハハハハ」

────

──




ほむら「今度もまた駄目だった…」

ほむら「とはいえ、まどかを見張る必要もあるし、あまり遠出も出来ない」

ほむら「現状でこれ以上の火力を集めることは不可能だわ…」


ほむら「…待って」

ほむら「まどかが契約するタイミングはいくつか決まっているのだから、
     人を雇うことでなんとか解決できないかしら」

ほむら「……よし」



──── 一日目


ほむら「まず、何をするにも元手が必要ね」

ほむら「現状、私の元手のお小遣いが2000円あるから、1800円分をロト6に変えてきたわ」

ほむら「1000円分は1等と2等の番号、残りの800円分を全部4等の番号で当てたわ」

ほむら「番号を当てるのは簡単だけど、
     高額の賞金は換金するのに時間が掛かる…」

ほむら「一ヶ月しか時間がないのだから、時間は有効に使わなければいけないわ!」ホム


──── 2日目


黒猫「にゃー」

モブ1「あー、この猫じゃね?」

モブ2「うん、間違いないな」

モブ1「じゃ、保護しとくか」ヒョイ

モブ2「3日くらい預かっとけばいいんだっけ?」

モブ1「わざわざ探して引き取らせるなんて、横着な飼い主だよな」

モブ2「まあ、虐待されてるようでもないし、
    こうして気にかけてるんだから悪いってほどではないんじゃね?
    金払ってくれるなら、文句ないよ俺は」

モブ1「バイトはただ働くのみってか。まあ、引き上げるか」


まどか「…なんだろう、黒猫を持った人がいる。飼い主さんなのかな? ちょっと様子が変だけど」

モブ3「ちょっと、お嬢ちゃん?」

まどか「はい。えっと、お姉さんは…」

モブ3「貴女が鹿目まどかちゃん?」

まどか「そうですけど…」

モブ3「ええと、あの…」カァァ

モブ3「えっと、なんと言っていいのか…ええと!私が思ってることじゃないからね!
    こう言えって言われただけで!!だから誤解しないで欲しいのだけど!!!」

モブ3「『まどか、あなたに奇跡を約束して取り入ろうとする者が現れる。でも、決して言いなりになっては駄目』」キリッ

まどか「」

モブ3「」

モブ3「…そんな目で見ないで!!!
    私だって…でも、仕事だし…うわああああああん!!!!」ダッ

まどか「……」

まどか「なんだったんだろう…」


────


モブ1「ほら、あんたの言ってた黒猫。ちゃんと預かっておいたぜ」

モブ2「手間は掛からなかったけど、ちゃんと自分で世話しなければ駄目だよ」

ほむら「どうも有難うございました。
     どうしても外せない用事がありまして…こちらが父から渡すように言われていた謝礼です。
     どうぞ受け取って下さい」

モブ1「ま、俺らは金が貰えりゃいいけどさ」

モブ2「ペットだって御主人様と離れりゃ寂しいんだからさ。
    横着しちゃ駄目だよってお父さんに伝えて置いてね」

ほむら「はい、父にそう伝えておきます」


────

モブ3「で、一応これが仕事したっていうレコーダー」

ほむら「はい」

モブ3「でも、何なの?
    バイトだから文句は言えないけど…ええと、中二病? 顔から火が出るほど恥ずかしかったんだけど…」

ほむら「父が趣味なんです。
    こちらが渡すように言われた謝礼です」

モブ3「まあ、何か犯罪ってわけじゃないし、どうでもいいか。
    こんなに可愛いお嬢さんがいるんだし、人の道に踏み外したことはしちゃ駄目って言っておきなね」

ほむら「はい、ありがとうございます」


ほむら「人を雇うって、自分自身で動くわけじゃないから少し不安だったのだけど、思ったより上手く行ったわ」

ほむら「車に引かれる前にエイミーを保護できたし、まどかに警告も出来た」

ほむら「まどかに注意することの何がおかしかったのか分からないけれど…お父さんの評判が心なしか悪化しているような気がするわ」

ほむら「とはいえ、大人でなければ信用はされないし…」

ほむら「まぁ、お父さんは東京に住んでいるのだし、気にしても仕方ないわ」ホム


ほむら「魔女退治の時間も増えたので、グリーフシードの貯蓄も上々」

ほむら「遠出も出来たので、武器補充も万全ね」

ほむら「在日米軍基地を3ヶ所も回るのは強行軍だったけれど、今回は今まで以上の火力をアイツに与えてやれるわ」

ほむら「……ヤクザの事務所も回ったけれど、
    今回は武器以外にもヤクザが貯め込んでいる、お金、金塊や宝石、ハシシ、マリファナなどの麻薬も回収したわ」

ほむら「…お金は資金洗浄をしないと怖くて使えないわね」

ほむら「金塊と宝石もどうやって現金化するのか分からないから、取り敢えず保留」

ほむら「麻薬は使い道が分からないけれど、取り敢えず盾に入れておきましょう」


──── 7日目


ほむら「転校生の暁美ほむらです。よろしくお願いします」

さやか「うお、すっげー美人!」

まどか(嘘、夢で見た子と同じだ…)



ほむら「鹿目まどかさん。貴女がこのクラスの保健係よね?連れてって貰える?保健室」



ほむら「鹿目まどか。貴女は自分の人生が、貴いと思う?家族や友達を、大切にしてる?」

まどか「」


ほむら「──それが本当なら、今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね」

ほむら「さもなければ、全てを失うことになる。貴女は、鹿目まどかのままでいればいい。今までどおり、これからも」キリッ

スタスタスタ

まどか「流行っているのかな…ああいうの」





.


──── CDショップ

まどか「~♪~♪」

??『助けて…助けて…』

まどか「!?」

??『僕を助けて…』

まどか「え…こっちの方から声が…?」

モブ4「おおっと!ここで突然スライディングをしなければいけない仕事が!」ズサァ

まどか「!!」


モブ5「ビルの裏口前で太極拳の練習をしなければいけない仕事が!!」

まどか「え…通れない? あれ?」

さやか「どうしたの、まどか?」

まどか「さっき、助けてって声が聞こえたの、私を呼んでいるみたいで」

モブ6「ここで俺の仕事が発生!!
    お嬢さん、『ここに居る薄汚い淫獣は私が始末するわ、だから貴女は何も関わりあいになる必要はないの(キリッ』
    メッセンジャー完了!」

まどか「えええ…」


さやか「何だか、わからないけれど、ここを離れたほうが良くない?
    状況についていけないんだけど…」

まどか「う…うん……」

さやか「そこの人たちも何か知ってそうだから、任せちゃってよさそうだし」

まどか「うん、そうだよね」


タタタッ



──── 

マミ「飲み込みが悪いのね。見逃してあげるって言ってるの。
   お互い、余計なトラブルとは無縁でいたいと思わない?」

ほむら「……」クル



ほむら「まどかとQBが接触するのは避けられたけど…」

ほむら「巴マミとの仲はやはり良くはならなかった…」

ほむら「……」

            ...-::ー―‐:::.....
         ,..::::´::::::::::::::::::::::::::::::::`:::...、

         /::::::::::::::::::::'メ 二二二ニミヽ:.、
       /:::::::::::::::::::::::::l/::::::::::::::::::::::::::::ヽゝ,
.      ':::::::::::::::::::::::::::l:::::j :::::/:::::::::::::::::::::::::ハ

      |:::::::::::::!:::::::::::::l:::∧:l/ヽ::::ィ::|:::::l:::l::::!::!
      |::::::::::::|::::::::::::::|/}`ミト 、l/l !::ト!/j:::!:::}::j           _       _    _       _

.       ;::::::::::r!::::::::::::::!行ぅx l` j/ j-.レ'::/::;}   十   o   | |    + / /    | |    + / /
       ;::::::::{ !::::::::::::::!ヒ;:_ソ`     行`'}/:::ノlo  。 °十  | ̄   ̄|   / /   | ̄   ̄|   / /
.       Y::::::`V ::::::::::!''' `     '-',,,/:::/ ノ  +        ̄| | ̄   / /     ̄| | ̄   / /
     ,.-''" ̄~~"'''_        `   へ  ヽ   + 〇.. Γ| | | Γ|  | | _.. Γ| | | Γ|  | | _
    /         / ̄~''''ー――‐''"~  _,.ヘ  l. o   +  | | | | | | | |_| |  | | | | | | | |_| |
  /^!__       /`ー'ヽ__,、__,、__,.-‐'  \ l.       | | | | | | |__ \ | | | | | | |__ \
  |/ ,.┴、    l――---、――-、 \\     \ 十     ̄  ̄  ̄     \ |  ̄  ̄  ̄     \ |
  / / /ヽ    \   /⌒'" ̄`'"⌒ \\_....-‐'''l      囗/~7_,「三~KX>              ちゃん
 .|  /つ     `ー'----ノ ̄ ̄ヽー''"\l__,.-く ̄`ヽ     /__/ー‐' 7__/

  ヽ__(___.......... -―<____ノ―'''"  (  人 ̄ \
   \ `ー---‐'"ノ        \\__人  ( ̄ ̄ l
      ̄ ̄ ̄ ̄           `ー-----ヽ、 (~ ̄ノ


──── 8日目、学校の休み時間


マミ「鹿目まどかさん、美樹さやかさん、ちょっと、いいかしら?」

さやか「なんですか?先輩」

マミ「あなた達にしなければならない話があるの。
   時間がある時に詳しく話したいのだけど、昼休みに屋上まで来てくれるかしら」

さやか「はい、いいですよ。まどかも時間ある?」

まどか「うん、大丈夫だよ」


ほむら「!!」


──── 8日目、昼休み


さやか「先輩、なんですか?話って」

マミ「まずは自己紹介をしないとね。私は巴マミ、見滝原中の3年生」

マミ「そして、キュゥべえと契約した魔法少女なの」

QB「彼女は見滝原の街を守ってるんだ」

まどか「」

さやか「」

マミ「あなた達もキュゥべえが見えているのでしょう?
   なら、魔法少女になる資格を持っているの」



ほむら「──その必要はないわ」


ほむら「魔法少女は誰にでも務まるようなものじゃない。
    巴マミ、無関係な一般人を危険に巻き込むようなことは止めなさい」

マミ「キュゥべえに選ばれた以上、彼女たちはもう無関係ではないわ。
   なら、私は先輩として魔法少女の説明をしなければならない」



さやか「転校生も先輩も落ち着いてよ!
    こっちは何の話かさっぱりなんだからさ!」

まどか「そうだよ!事情は分からないけど、喧嘩になるのは嫌だよ…」


マミ「ごめんなさい熱くなっちゃって…」

ほむら「……」


~~~魔法少女について説明中~~~


マミ「……、と言うわけなの」

さやか「うーん…、どんな願いでも叶うっていうのは魅力的だけど、そのために魔女と戦うってのは…」

ほむら「魔女退治は死と隣り合わせの危険な仕事よ。命をかけてまでやるようなことじゃない」

まどか「ほむらちゃんもマミさんも、いつもそんなのと戦ってるの…」

マミ「ええ、魔女退治は大変だけど、街を守っているんだって思えるし、やりがいはあるわ」

マミ「死と隣り合わせということは間違いではないけれど」

まどか「ふぇ…」

さやか「んー、悩むなぁ」


マミ「そこで提案なんだけど、二人とも私の魔女退治に付き合ってみない?」

ほむら「二人を危険に巻き込むようなことは…!」

マミ「なら、あなたも付いて来ればいいでしょう。
   魔法少女になれば魔女と戦うことになる。
   なら、魔女との戦いがどういうものか、その目で確かめることは無駄じゃないわ」


マミ「そのうえで、危険を冒してまで叶えたい願いがあるのかどうか、じっくり考えてみるべきだと思うの」


ほむら(昨日、キュゥべえとまどかの接触を止めたことで、巴マミの行動が変わってしまった…)

ほむら(決まった未来については対処しやすいけれど、
    未来が変われば変わるほど、その対応が難しくなってしまう…)

ほむら(まどかが魔法少女のことを知ってしまうのを止められなかった…)

ほむら(それでも前の時間軸ほど、まだ険悪になってはいないわ)

ほむら(今度こそ…未来を変えてみせる)ホムキリッ


────


さやか「さっきのマミさんの話…どう思う?」

まどか「うん…やっぱり、魔女と戦うって怖いよね…」

さやか「転校生はやめろって言ってるし、マミさんは見てから決めろって言うし…」

さやか「どっちの言い分も、まだなんとも言えないよね…」


さやか「やっぱり、魔女退治を見てから決めるしかないか」

さやか「普段は一人で魔女退治をしてるってところを、
     転校生とマミさんの二人がかりでやるっていうんなら、ちょっとは安全のはずだよね」

さやか(それに…自分に対しての願いごとだけなら意味ないけど…)

さやか(もしも、他の人への願いごとでも大丈夫だというのなら…)


────


マミ「さて、それじゃ魔法少女体験コース第一弾、張り切っていってみましょうか」ティロッ

マミ「準備はいい?」

さやか「準備になってるかどうか分からないけど…持って来ました!」バットー

ほむら「…焼け石に水ね」

さやか「あー、転校生はー、そういうこと言うなー!」

マミ「まあ、そういう覚悟でいてくれるのは助かるわ」

さやか「まどかは何か、持って来た?」

まどか「と、とりあえず、衣装だけでも考えておこうと思って」 ノート!

さやか「うーわー」

まどか「え?ふぇぇ」

マミ「うん、意気込みとしては十分ね」

ほむら(かわいい!まどかわいい!!)


──── 廃ビル前


マミ「魔女の居そうな場所は云々」

さやか「あ、マミさんあれ!」

モブ7(うう…死にたい…死にたい……)

まどか「え、飛び降り……」

モブ7(でもここから戻ればバイト料が入って…ブランドバックを…)グググッ

さやか「……ないね」

マミ( ← 落ちても大丈夫なように用意)

モブ7(そうよ!どうせ死ぬならお金を使った後でもいいじゃない!)

モブ7(お金を使って美味しいものを食べてビール飲んで寝よう!鬱はいつでも出来るわ!)クルッ タッタッタッ

まどか「言っちゃったね…」

さやか「なんだったんだ…」

×まどか「言っちゃったね…」
○まどか「行っちゃったね…」




マミ「ティロ・フィナーレ!!!」

ゲルトルート「ウボァー」ドゴーン


さやか「かっ、勝ったの?」

まどか「すごい…」

ほむら「巴マミは経験もあるし、才能もある強力な魔法少女よ。
    魔法少女なら誰でもあんな風に動けるとは思わないことね」

さやか「転校生だって凄かったじゃん。使い魔をひとつだって撃ち漏らさなかったし。
    マミさんは華やかという感じだけど、転校生は質実剛健というか」

ほむら「…余裕が無いだけよ」

ほむら(さやかとは険悪なことばかりだったから、褒められると照れるわ…)


まどか「マミさん、それは?」

マミ「これがグリーフシード。魔女の卵よ」

マミ「運がよければ、時々魔女が持ち歩いてることがあるの」

マミ「これでソウルジェムを浄化して…はい。あと、一回くらいは使えるはずよ」

ほむら「……」

マミ「どうしたの?人と分け合うのは不服かしら?」

ほむら「…貴女の獲物よ、貴女だけのものにすればいい」

マミ「確かに魔女を倒したのは私だけど、貴女も充分役に立ってたわ」


ほむら「マミ、貴女…」

マミ「…ごめんなさい。暁美さん。
   私は貴女がグリーフシード目当てなだけの魔法少女だと疑っていたわ」

マミ「だから貴女の戦い方を観察していたけれど、
   貴女は本当に一生懸命、鹿目さんと美樹さんを守っていた」

マミ「魔法少女になられたら疎ましいと思っている相手に、そこまで親切には出来ないものね」

マミ「私を信用していないのは分かるけれど、それでも少しずつ打ち解けていって欲しいの」

マミ「これもその一つ。…これでも受け取って貰えない?」

ほむら「…頂くわ」


────


ほむら「…巴マミが魔女退治の見学なんて言い出した時にはどうなることかと思ったけれど」

ほむら「どういうわけか上手く行ったものね」

ほむら「元々、美樹さやかも巴マミも思い込みが激しい場合はあれど、素直ないい子だった」

ほむら「仲違いばかりする時間軸ばかり見ていたせいで忘れかけていたわ」

ほむら「一ヶ月の間に、まどかとの契約を止めなければいけないし、
    QBや魔女への対処もしなければいけなかったし、
    ワルプルギスの夜に対しての用意もしなければならなかった」

ほむら「…誤解されても、誤解を解く時間なんか無かった」

ほむら「時間を操る魔法少女のはずなのに、時間なんて全然なかった」

ほむら「このまま上手くいけばいいのだけれど」

ほむら「…まだ、油断は出来ないわね」

ほむら「おっと、これは、買い、買い、買い…と……」ピコピコ


────


ほむら「……」バクダンセッチ

シャルロッテ「ウワラバッ」ドゴーン

マミ「やったわ暁美さん!!」


────


恭介「動かないんだ…もう、痛みさえ感じない。こんな手なんてっ」

さやか「大丈夫だよ。きっと何とかなるよ。諦めなければきっと、いつか…」

恭介「諦めろって言われたのさ」

恭介「もう演奏は諦めろってさ。先生から直々に言われたよ。今の医学じゃ無理だって」

モブ8「今の医学なら無理でも…」

モブ9「未来の技術ならどうかな!?」


さやか「!!」

恭介「あなた達は!!?」

モブ8「私達は再生医療の最先端を行く研究者その1!!」

モブ9「そしてその2だ!!!」


モブ10~モブ107「「「そしてその3~100だ!!!」」」


モブ108「上条恭介くん、君の怪我は今の医学で治すことは無理、とても不可能だ!」

モブ109「それどころか、今の科学の進歩では将来に渡って難しいかもしれない…そんな状況だった」

モブ110「だが、『ホムラアケミの父』を名乗る謎の人物が多額の寄付をしてくれたお陰で
      行き詰っていた研究に道が開けたんだ!!!」


モブ111「さっきまでは君の怪我は、完治しない一生の怪我だった」

モブ112「だが、今の我々にとっては取るに足りない手術も同然!!!!」

モブ113「上条恭介くん、我々の臨床手術…受けてみる気はないかね…?」


恭介「お願いします…僕は、治る可能性があるなら、どんなことだって…」

さやか「ありがとうございます!ありがとうございます!!
    恭介の…恭介の腕を治してやって下さい…!!」

モブ114「お礼な私達にではない、謎の人物『ホムラアケミの父』に言いたまえ」

恭介「『ホムラアケミの父』…!」

さやか「転校生に名前が似てるけど転校生ではありえない…だって名前と苗字が逆だもの!!」

恭介「一体誰なんだーー!!?」


────


まどか「あ!仁美ちゃん…?」

仁美「あら、鹿目さん、御機嫌よう」

まどか(あれ、仁美ちゃん…何か様子がおかしい?)

まどか「ど、どうしちゃったの?ねえ、どこ行こうとしてたの?」

仁美「どこって、それは…ここよりもずっといい場所、ですわ」

仁美「ああ、そうだ。鹿目さんもぜひご一緒に」

仁美「ええそうですわ、それが素晴らしいですわ…え」

モブ115「カバディ カバディ」

モブ116「カバディ カバディ」

モブ117「カバディ カバディ」

まどか「道行く人がカバディをして通行人を塞いでる…!」

────


ほむら「まどかを巻き込んでいないなら、こんな魔女など恐れるには足りないわ…」バクダンセッチ

エリー「ギャース」ドゴーン



仁美「は! ここは…」

まどか「仁美ちゃん!正気に戻ったんだね!?良かった…」

仁美「あら、まどかさん…どうなされたのですか」

まどか「仁美ちゃん…心細かったよう、怖かったよう…」


モブ115「カバディ カバディ」

モブ116「カバディ カバディ」

モブ117「カバディ カバディ」


────  15日目


QB「…それでも、ちょっと考えれば暁美ほむらには気をつけたほうがいいと思わないのかい?
   なにせ僕も契約した覚えのないイレギュラーだ。何を企んでいるか分からないよ」

マミ「もう…キュゥべえがそんなことを言うから、私は暁美さんを疑ってしまったのよ。
   あの子が鹿目さんを守るときなんていつも一生懸命だし、
   病院前で戦った魔女なんて、暁美さんがいなければ、私は死んでいたかもしれないわ」

QB「マミ、僕が言っているのは可能性として…」

マミ「私が邪魔なら、いつでも排除出来たような相手に対して、何を疑えっていうのよ。
   しつこい男の子は嫌われるわよ」

QB「………」


QB(マミにはもう暁美ほむらを疑う気も、鹿目まどかを勧誘する気もないようだ)

QB(このままでは鹿目まどかを魔法少女にすることは難しいだろう)

QB(…彼女が魔女になった時に生み出すであろうエネルギーを鑑みれば、このままにしておくわけには行かない)


────


QB「まさか君が来るとはね、佐倉杏子」

杏子「マミの奴が新しく仲間を作ったって言ったから見に来たのに」

杏子「ちょっと話が違うんじゃない?」

杏子「くっだらねえ願いで奇跡を使い潰すような新人だったら、ぶっ潰してやろうかと思ってたのに」

杏子「その仲間ってのはマミ以上のベテランなんだろ。こんな情報を教えてアタシに何をしろっていうのさ」

QB「最初はマミも才能のある子を新しく魔法少女として勧誘しようとしていたみたいだけど」

QB「今は魔法少女としてこの街にやって来た暁美ほむらと組んでいる」

杏子「…そいつが魔法少女としての覚悟を持っているのなら、アタシには関係のない話だ。
    もっとも、そんな奴を甘ちゃんのマミが仲間に引き入れるとは思えないけどね」

QB「彼女が何を考えているのかは僕にも分からない。
   僕でさえ契約をした覚えのないイレギュラーなんだ」


杏子「アタシに調べて欲しいってわけ?」

QB「そうしてくれと頼みたいところだが、無理強いはできない。
   僕が君に情報を教えたのは、君も彼女のことを知りたがっていると思ったからなんだ」

杏子「アタシが? どうしてさ」

QB「暁美ほむらがいつ、魔法少女になったのかは分からない。
   でも戦っているところを見させてもらえば…マミ以上の経験を持っているのは間違いない」

QB「君もベテランの魔法少女だけど、恐らく彼女は君をも上回るんじゃないかな」

QB「君も知っているように、マミが魔法少女に心を許すことはあまりない。
   グリーフシード目当てに見滝原にやってくる魔法少女は多かったし、
   他の理由は…君のほうが良く知ってるんじゃないかな」

杏子「………」



QB「今のマミは僕の言葉に耳を貸さないくらい、暁美ほむらに心を許している」

QB「君なら、ベテランの魔法少女なのにマミをそんな風にさせた暁美ほむらにきっと興味を持つと思ったんだ」

QB「かつて巴マミの弟子だった、君なら」

杏子「…そんな昔の話は忘れたよ。
    マミの奴が何をしようが、誰と仲良くしようが、アタシには関係のない話さ」

杏子「でも、その…イレギュラーとか言う奴、やたら持ち上げてられているのは気に入らない」

杏子「マミより、アタシより強い…?なら、試してやろうじゃん」

杏子「あんたもアタシを焚きつけたんだ。ぶっ潰しちゃっても文句はないんだろうな?」

QB「今回のケースに限らず、魔法少女同士の戦いは僕にどうすることもできない。
   君に言えるのは、上手く君の考えの通りにいくかどうかは分からないということだけだ」

杏子「ふん、そうなったら、それはそんときに任せるさ」


──── ファーストフード店


さやか「──で、昨日は恭介から電話が来たんだけどさ、
     手術前で弱気になってるようだったから、さやかちゃんが激励してあげたわけよ」

まどか「もう、さやかちゃん、朝からずっとそればっかり」

マミ「美樹さんは上条くんのことが好きなのね」

さやか「ええええ、マミさん。
    そんな、恭介のやつとは好きっていうか、幼馴染の関係というか、親友というか──」

ほむら「惚気話かと思いきや、一転してヘタレたわね」

さやか「う…転校生は辛辣だなー」

ほむら「告白する勇気もないほうが悪いのよ。
    全くいつもの軽口みたいにさっさと言ってしまえばいいのに」

まどか「そうだよね、さやかちゃんは私には『嫁になるのだー』なんてすぐ冗談言えるのに。
    そこが可愛いんだけど。ウェヒヒヒ」


さやか「あーあーあー、転校生やマミさんには分からないですよーだ。
     転校生は細身で美人だし、マミさんは美人でおっぱい大きいのに
     痩せてるところは痩せてるとかもうどんなスペックだよっていうか…」

まどか「さやかちゃん、何言ってるの…」

マミ「美樹さんだって、可愛いし、魅力的よ。
   それに私だって体調管理をしっかりやった結果のようなものだし…」

さやか「なんですかそれ、ダイエットってことですか。
    人知れず苦労とかそんな感じなんですか」

マミ「苦労というのかは分からないわ、
   普段からの習慣なのだし…急に無理をしなければそれほど辛くはならないわよ」

まどか「そういえば、ほむらちゃんはいつも小食だよね。
     今だって頼んでいるのはコーヒーだけだし」

ほむら「食が細いだけよ…」


まどか「初めは早く帰りたいからじゃないのかって心配しちゃった」

ほむら「そんなことはないわ!私は…」

まどか「うん、わかるよ。ほむらちゃん、今すっごく楽しそうだもの。
    初めての時はクールって感じで何を考えているのか全然分からなかったけど、
    今は良く見るとどんな気持ちなのか分かっちゃうんだ」

さやか「結構、転校生って顔に出るよね。
    初めの頃、マミさんと話す時に何もかも諦めているような感じで
    怖いくらいだったけど、今にして思うとそれだけ私達のことを心配してくれてたのかなって。
    今なんかまどかを見る時、凄いやさしい目をしてるし」

ほむら「もう、からかって。そんなに顔に出てる?」

さやか「でてるでてる」

ほむら「///」

まどか「ウェヒヒ」


ほむら(でも…そうね、そうかもしれない)

ほむら(こんな日常が送れるなんて、夢みたいだもの)

ほむら(私はまどかとこのファーストフード店にいくことをとても楽しみにしていたわ)

ほむら(私とまどかの仲が良くなかった時間軸でも、一度はまどかとここに来ることが多かったから)

ほむら(内容は辛い忠告をしなければならないこともあったけれど)

ほむら(そういうときにまどかと来れるなんてことを喜んではいけなかったのだろうけれど)

ほむら(このコーヒーだって、最初のお小遣いから取っておいたもので)

ほむら(少しでも、元の仲が良かった頃の関係に戻れますようにって)

ほむら(こんな日を、どうかワルプルギスの夜を越えても迎えられますように)


ほむら「まどか、さやか。もう、魔法少女になろうなんて絶対に思わないでね」

さやか「うーん、まぁね…。あたしはそれこそ今は何も望みなんて無いわけだし、
    もしも転校生やマミさんからお願いされたとしても断るくらいだよ」

さやか「例え、転校生やマミさんが頑張っていることを知っているとしても、
    命と引き換えにあたしもそうする、なんて出来ないと思う」

まどか「さやかちゃん……」

マミ「…そうね。引け目を感じたくないとか、そんな理由で魔法少女は契約すべきではないわ。
   この街には二人も魔法少女がいる。私一人だけだった時もあるのだから、
   この街にはもう十分な魔法少女が居ると言えるわ」

ほむら「ええ、そうね。この街はきっと私達が何とかしてみせる」

ほむら「だから、まどか、さやかには私を信じて、契約しないでいて欲しい」

ほむら「今から二週間後、この街にはワルプルギスの夜が来る」


(離れた展望台)


杏子「──あいつがほむらか」


杏子「何を話しているか分かんないけど、キュゥべえの言った通り巴マミの奴も居やがるな」

杏子「それから、一般人が二人…魔法少女なのに魔法少女じゃない奴とつるみやがって」

杏子「ま、目立つことは避けるか…ほむらの他に人が居ない時を狙って…」


モブ118「カバディ カバディ カバディ」

モブ118「我、ターゲットを発見せりッ」


杏子「ん?なんだお前」


モブ118「メッセージ、『イレギュラーよりロッソファンタズマに伝言──
      見滝原ゲームセンターのダンレボ前に夜10時に来られたし』
      以上、メッセージは終わりなりッッ!!」


杏子「おいっ、その名前は!!」

杏子「お前はそいつをどこから聞いた!!? 場合によっちゃ許さねぇぞ!!」ガシッ

モブ118「ヒィ!怖い!」

モブ118「あの、あ、ええと。申しわけありません。
      僕、頼まれただけでして。
      お金を渡されてこれこれこういう赤い髪の女の子を見つけたら、
      このセリフを言えって言われただけでして。」

モブ118「あの、離していただけると凄く嬉しいんですけど──あ、すみません、マジすみません!!」

杏子「チッ、もういいよ、行けよ」パッ

杏子「居場所は補足されてるってことか…イレギュラー、か。ふざけたマネしやがる…」

寝ます
昼まで残ってたら続けます


──── ゲームセンター


杏子「アンタが噂のイレギュラーってやつか。
    こそこそ嗅ぎまわるような真似しやがって」

ほむら「…それは誤解よ。
   展望台以外に人を割いてはいないし、それもあなたとこうして話す機会を作りたかっただけ」

ほむら「あなたとことを構える気は無いわ、佐倉杏子」

杏子「…何が狙いなのさ?」

ほむら「私達に協力して欲しい」

杏子「それはマミのことも含めてるんだな?
    冗談じゃない、今更、人助けなんてするような魔法少女と組めるかっての」

ほむら「……」


杏子「それに、あたしがいなくても、アンタとマミで十分なはずだろ?
    キュゥべえの奴が言うには、アンタもベテランの魔法少女だっていうし、二人掛かりで敵う奴なんて」

ほむら「二週間後、この街にワルプルギスの夜が来る」

杏子「なぜわかる?」

ほむら「それは秘密。…私の目的はそいつを倒すこと」

杏子「ワルプルギスの夜相手に一人じゃ厳しいかもしれないが、
    アンタとマミの2人掛かりなら勝てるかもしれないだろ、それでいいじゃんか」

ほむら「可能な限り勝率を上げたい。それも出来るならば私達が危機であるとすら思われないくらいに」

杏子「おいおい、それは…」


ほむら「貴女もキュゥべえから聞いているかもしれないけれど、
    私達は魔法少女の才能を持つ二人の少女と知り合いになっている」

ほむら「今は契約する気がないようだけれど、私達が窮地に陥れば契約しかねない。
    魔法少女が増えるのは、貴女も本意では無いでしょう?」

杏子「…報酬は?」

ほむら「ワルプルギスの夜のグリーフシード。
    それから見滝原で魔女狩りをすることがあるなら、私が巴マミを説得する」

杏子「そうかい。…ま、あたしも中途半端な考えの魔法少女が増えることは面白くないし、
    ワルプルギスの夜を倒したとなれば箔になる。」

杏子「でも、マミみたいな甘い奴に巻き込まれて死ぬのはごめんだ。
    敵わないと思った時は抜けさせて貰うよ」

ほむら「ええ。それで構わないわ」


杏子「それともうひとつ」

杏子「…どっちが上かっていうのは決めておくべきじゃない?」

杏子「一緒に戦うにしても、そっちのほうがやりやすいだろ。お互いのために」





.


──── 歩道橋


杏子「どっからでも掛かってきな!」

ほむら「…どうしても、やるのね」

杏子「当たり前だろ!今更怖気づいたのか!」

ほむら(佐倉杏子に勝つことはそれほど難しくない)

ほむら(今の彼女は私の時間停止にも気付いていないはずだし、
    それなら彼女を一撃で昏倒させることも難しくない)

ほむら(でも、それで彼女が言葉通りに従うということになるだろうか?)


ほむら(杏子とも信頼関係を築けた時間軸があった。仲間と呼べる時間軸があった)

ほむら(できることなら、彼女とも友達になりたい)

杏子「来ないならこっちから行くよ!」ブン


カチッ


杏子「どこに行きやがった!?」

杏子「後ろか! …妙な技を使いやがる」

ほむら「もうやめにしない? 私は後ろからいつでも貴女を攻撃できた」

杏子「その前にあたしの槍が刺さってたさ。もう一回、試してみるかい?」


杏子(とはいえ、タネが分からないというのは厄介だな…)

杏子(わざと攻撃をさせてインパクトの瞬間に反撃に出る?)

杏子(いや、相手は銃使いだ。こちらが先の先を取らなければ勝機はない。マミとは随分タイプが違うが…)


マミ「佐倉さん!!」

杏子「!!」

ほむら「巴マミ!どうしてここに!?」


マミ「キュゥべえが教えてくれたの…佐倉さんと暁美さんが争ってるって」

杏子「キュゥべえの奴が…」

マミ「佐倉さん…どういうつもりなの。今更、見滝原まで戻ってくるなんて」チャキ

ほむら「マミ、杏子はワルプルギスの夜と戦うために私達と」

マミ「暁美さんは黙ってて。これは私達二人の問題なの」

マミ「佐倉さん、貴女が私達の仲間に入るなんておかしいわ。
   何か企んでいるの? …それとも、もう魔女だけを狩るなんてことは辞めたのかしら?」


杏子「まさか。あたしはもう人の為に魔法なんて使わない。
   自分の為だけに自分の魔法を使うって決めたんだ」

杏子「これはもう変えられないし、変える気もない」

マミ「そうでしょうね。貴女の考えを変えようがないなんてことは、私が一番良く知ってる。
   相容れないと分かっているなら、何で戻ってきたの?」

杏子「そんなんあたしの勝手だろうが。アンタの決めることじゃない」

マミ「貴女が魔女だけしか狩らない魔法少女である限り、
   私は貴女に見滝原の地を踏ませるわけには行かない。早々に立ち去って貰えるかしら?」

杏子「嫌なこった。…ほむら、まさかこっちがやられるかって時に戦うな、なんて言わないよな」

マミ「これは私達の問題よ。暁美さん…悪いけれど、手を出さないで」


まどか「ほむらちゃん、どうしたのこれは!どうしてマミさんが戦おうとしているの!!」

ほむら「まどか…!!」


QB「彼女は佐倉杏子だよ、まどか。かつて巴マミの弟子だった魔法少女だ」

まどか「キュゥべえ…」

ほむら「お前…まどかまで連れて! 杏子とマミを焚きつけたわね…!!」

QB「まさか。彼女らには元々確執があったんだ。
   僕が入るまでもなく、遅かれ、早かれ結末は一緒だった」


ガッ!キイン!!ガガ!!


まどか「キュゥべえ!止めさせて!魔法少女同士で争うなんて、こんなの絶対おかしいよ!!」

QB「僕にはどうすることもできない…」

ほむら「白々しいことを…!!」


QB「でも、君が本当に二人を止めたいと望むなら僕が力になってあげられ」

杏子「やった!!」

マミ「しまった、ソウルジェムを!」

まどか「そんな、マミさんが…」

杏子「これでアンタは魔法が使えないってわけだ。
   マミ…悪いが、アンタには魔法少女を引退してもらう」

杏子「歩道橋の下でソウルジェムが車に潰されるか砕けるかすれば、
   魔法少女なんて生活からはおさらばだ」ポイ

QB「まどか、君が望むまでもなく決着はついたようだね。
   それにしても巴マミを捨てちゃうなんて、どうかしてるよ」

マミ「…え?」

杏子「どういうことだ?」

QB「君たちの本体は肉体なんかにあるんじゃない。ソウルジェムが本体ってことさ」


マミ「」パタン


~~~ QB、ソウルジェムの正体を説明中 ~~~


まどか「そんな、そんなのって…」

杏子「ふざけんな!テメエ!それじゃあアタシ達はゾンビにされたようなものじゃねえか!!」

まどか「キュゥべえマミさんはどうなっちゃうの…?」

QB「ある程度の高さでもソウルジェムは衝撃に耐えられるはずなんだけどね…。
   偶然、車に載せられたなんてことでもない限り、マミのソウルジェムは砕けてしまったと考えられるだろう…」

杏子「そんな…マミ…」

まどか「マミさん…死んじゃやだよう…そんなのあんまりだよ…」

ほむら「……」

モブ119「歩道橋の下の男!見ッ参ッ!!!」


モブ119「あ、これが上から落ちてきたものです。どうぞ」ワタス

ほむら「ありがとう」ウケトル


まどか「ふぇぇ!?」

杏子「な、なんだテメェ!!?」


モブ119「あ、僕はバイトです。あれ…話が通ってませんでした?」

モブ119「ええと、今夜は歩道橋で演劇の練習があるから、
      下でマットを敷いて上から落ちてきたものがあったら拾い上げて持ってくるように言われてます」

モブ119「ええ。勿論、今夜はこの高速道を封鎖してあるから、突然車が入ってくるトラブルもありません」


ほむら「いえ、話は通っていたわ。ただ、知っているのは全員ではなかっただけ」

モブ119「ああ、そうでしたか。なら良かった。では、僕は下に戻りますのでごゆっくり」

まどか「」

杏子「」

QB「」


杏子「どういうことだ。…マミが倒れたのはソウルジェムが砕けたか、100メートル以上、
   離れたからじゃなかったのか」

ほむら「良く見なさい、杏子。寝息を立てているじゃない。
    どうやら言われたことがショックで気絶してただけみたいね」

マミ「」スー、スー

杏子「マミ…」ホッ

まどか「マミさん…良かった…」

ほむら「お前の企みは潰えたわ、消えなさい。キュゥべえ、いえ、インキュベーター」

QB「…! 暁美ほむら…君は……一体……」

ほむら「早く消えないとその体に風穴を開けるわよ」

QB「……やれやれ、わかったよ」スゥ

しばらく出かけます
夕方前には戻ります

────


マミ「う、うぅん…」

杏子「マミ、気づいたのか!」

マミ「佐倉さん…。え、ここは私の家…? 暁美さんと鹿目さんは…?」

杏子「さっきまで居たけど、帰ったよ。気が付いたのなら、そろそろアタシも宿に戻るけどな」

マミ「そう…やっぱり、あれは夢じゃなかったのね…。キュゥべえの言ったこと…」

杏子「ああ、キュゥべえもあれからウザイ説明をしやがったし、
   ほむらも肯定しやがったからな。実際に死んだところを見ては居ないが、間違いはないだろうさ」

マミ「自分自身が死ぬなんてところを見せられたら、立ち直る自信はなかったわ」

杏子「自分では見ないだろ…、ともかくあたしだってマミが気絶したのを誤解したけどさ、
    場合によっちゃ本当に死んでいたかもしれないからな…まあ誤解で良かったよ」

.


マミ「……」

マミ「ねえ、佐倉さん」

杏子「なんだよ」

マミ「誤解で良かったって、死ななくて良かったって、そう思ってくれるの…?
   私、あなたにあんなに酷いことをしたのに…言ったのに…」

杏子「戦ったのはお互い様だ。それに…昔、別れた時だって、アンタの責任じゃない」

マミ「私はあなたの気持ちをわかってあげることが出来なかった」

マミ「あんなに酷い目にあったあなたを独りぼっちにさせてしまった…」

杏子「マミがやってきたことは間違いじゃない」

杏子「あたしがアンタに付いていくことが出来なかっただけだ」

杏子「両親も死んで、モモも死んで、それは全部アタシが魔法少女になったせいで」

杏子「大切だった人が皆居なくなったのはあたしのせいで…」

杏子「それでも人の為に生きようなんて生き方はあたしにはとても出来なかった、それだけだ」


杏子「あたしがマミに付いていくことが出来なかった…それだけだ」

マミ「……」

杏子「…腹が減ってたりしないか?
   気を利かせることが出来てなくて悪いけど、リクエストがあれば今から買ってくるよ」

マミ「いいの、」キュ

マミ「傍にいて…」

杏子「ああ…」

杏子「独りぼっちは寂しいもんな…」





.


────


マミ「…………ねぇ、佐倉さん」

杏子「何だ?」


マミ「その、一部始終、第三者に見られてたって、どんな状況だったの?」

杏子「あー、丸っきり無関係とは言い切れないけど
    少なくとも魔法少女については部外者だったしキュゥべえのことも見えるわけないし……」

杏子「あたしは自分がどんな台詞を言ったか、思い出したくもないな…」

マミ「忘れたほうが良さそうね…」

杏子「///」

マミ「///」







QB「やぁ、マミ。杏子」スゥ


────



ほむら「取り敢えず爆弾放り込んでおけば死ぬわね」ポイポイ

エルザマリア「ゲセヌ…」ドカーン



.


──── 2X日目



ほむら「ここは買いで、ここは売り、と…」

ほむら「期限は一ヶ月といっても、換金して運用するのにも時間が掛かるから、
     軍資金集めもここまでね」

ほむら「…それにしても」

ほむら「一億や二億はとてつもない大金だと思っていたけれど、
     実際に使って運用してみると、本当に種銭でしかないものね」

ほむら「今、画面で見ているお金と、手元にあるお財布の中のお金が全く一致しないわ」

ほむら「さて、細工は流々、仕上げをごろうじろ、と」



ほむら「…今度こそ、決着をつけてやる……!」


────


まどか「入っていいかな?」

ほむら「…まどか」


(浮いているパネル)


まどか「これが…『ワルプルギスの夜』? ……マミさん達と、お店で話してた」

ほむら「……そうよ」

まどか「とうとう、ワルプルギスの夜がやってくるんだよね…」

まどか「街中が危ないの?」

ほむら「今までの魔女と違って、コイツは結界に隠れて身を守る必要なんてない。ただ一度具現しただけでも、何千人という人が犠牲になるわ」

ほむら「相変わらず普通の人には見えないから、被害は地震とか竜巻とか、そういった大災害として誤解されるだけ」

まどか「なら、絶対にやっつけなきゃダメだよね」

まどか「少しでも勝てる可能性を増やすなら、魔法少女を増やしたほうがいい。だったら…!」


ほむら「私達だけで十分よ!!」 ダンッ

ほむら「まどか、私は言ったわ。魔法少女にはならないでって」

ほむら「さやかからはならないって約束してくれたけれど、あなたからはまだ返事を聞いてない」

ほむら「ねぇ、まどか。約束して」

ほむら「お願いだから、私に魔法少女にはならないって」


まどか「…………ねぇ、ほむらちゃん」

まどか「私は最初にマミさんから魔法少女の話を聞いた時…そりゃ魔女のことは怖かったけど…嬉しかったんだ」

まどか「私って、昔から得意な学科とか、人に自慢できる才能とか何もなくて」

まどか「きっとこれから先ずっと、誰の役にも立てないまま、迷惑ばかりかけていくのかなって」

まどか「それが嫌でしょうがなかった」


まどか「でもマミさんが魔法少女は、誰かを助けるために戦ってるって言ってくれて」

まどか「私にもできるかもしれないって言われて」

まどか「何よりも嬉しかったのはそのことで」

まどか「こんな自分でも、誰かの役に立てるんだって、胸を張って生きていけたら、それが一番の夢なの」

まどか「ほむらちゃんやマミさんが一生懸命なのは知ってるよ」

まどか「でも、私も役に立てるならその一生懸命に加わりたいよ…」


ほむら(…私は何回繰り返しても、きっと分かっていなかった)

ほむら(まどかがどれだけ優しい子か、命を懸けてだって、どんなに辛いことだって頑張れてしまうか)

ほむら(私は何度も何度もあなたに助けられたから、今を生きることができている)

ほむら(あなたの幸福は、自分だけが生きることではないのでしょう)

ほむら(それでも、ごめんなさい。まどか)

ほむら(私はあなたのその願いはどうしても叶えることが出来ない)


ほむら「まどか、」

まどか「…ほむらちゃん?」

ほむら「ねぇ、これは奇跡なの」

ほむら「私達の今居る、この瞬間はこの先、何百回と繰り返しても決して起こらない奇跡」

ほむら「ようやくここまで辿り着いた。もう、こんな奇跡はこの先にはない」


ほむら「私は何度も見てきた。貴女が死ぬところを何度も何度も何度も何度も…」

まどか「えぇ…?」

ほむら「まどか、」

ほむら「私は未来から来たんだよ」

ほむら「どうすればあなたが助かるのか、どうすれば運命を変えられるのか、その答えだけを探して、何度も始めからやり直して」

まどか「それって…?」

ほむら「何回繰り返しても、貴女は死んでしまった。巴マミも佐倉杏子も死んでしまうことが多かった。
    仮に生き残ったとしても、仲違いを繰り返していて、ワルプルギスの夜と戦うどころではなかった…
    美樹さやかは魔法少女になった全ての時間軸で魔女となった」

まどか「魔女って…どういう」


ほむら「そう。魔法少女は魔女になる。
    この宝石が濁りきって黒く染まる時、私達はグリーフシードになり、魔女として生まれ変わる」

ほむら「それが、魔法少女になった者の、逃れられない運命」

まどか「そんな…じゃあ、マミさんも、ほむらちゃんも…!?」

ほむら「ええ、貴女もよ。まどか。
    私は貴女が魔女となった姿を何度も見てきた。巴マミや佐倉杏子だって魔女になった未来もあった…!」

まどか「嘘でしょ…ねえ!ほむらちゃん!」

ほむら「私は何度も見てきたのよ!」

ほむら「魔法少女として誰かを救った分だけ、魔女となって誰かを祟りながら生きていく」

ほむら「それが魔法少女の正体なのよ!」


カラン


マミ「魔法少女が魔女になる…?」

杏子「それじゃあキュゥべえの奴が言ったことは…」


QB「杏子、僕は嘘はつかないよ。何度も言ったじゃないか。魔法少女はいずれ魔女になると」

QB「それにしても暁美ほむら。君はこんなことまで知っていたんだね」

QB「でも、君の正体についてようやく納得の行く仮説が立てられた」



ほむら「キュゥべえ!お前は…!!!」

QB「何を怒っているんだい? 僕は当然の疑問を口にしただけだよ」

QB「『ワルプルギスの夜と戦っている途中に仲間が魔女になってしまったら、その分不利になってしまうけど、その時のことを何か考えているのかい?』てね」

QB「魔法少女はほとんど一人で行動するし、
   複数人で組めばただの魔女相手に魔力を使い切るなんてことはほとんどないから説明を省略しているけれど」

QB「なにせ相手はワルプルギスの夜だからね。
   こういった対策も必要だと考えた僕のアドバイスなんだよ」

ご飯を食べてきます


マミ「魔法少女は魔女になるの…?」ガタガタ

QB「そうだよ、マミ。でも僕らは何も人類に対して悪意を持っているわけではないんだ。
   全てはこの宇宙の──」

マミ「……」フォン

ほむら「マスケット銃を!」

杏子「やめろ!マミ」

QB「短期は良くないな、マミ。魔女になる前に殺されちゃ宇宙のエネル {{ ドン!!! }} キュブェ!!」グチャ

マミ「……」ハァハァ


ダッ


まどか「マミさん!」

ほむら「マミ!」

杏子「あたしが行く!!!」

杏子「ほむら、お前は動くなよ! お前の知ってることを後で全部問い詰めてやるから今のうちに整理しときやがれ!」

杏子「待てよマミ!!」ダッ


まどか「嘘だ…嘘だよ……こんなのあんまりだよ…」

ほむら「………まどか、ごめんなさい」

まどか「…ほむらちゃん?」

ほむら「本当は、私はあなたの傍に居るべきじゃなかった」

ほむら「貴女は鹿目まどかのままでいいと言いながら、私は貴女を危険から遠ざけなかった」

ほむら「こんなギリギリになるまで、こんな簡単なことにも気付かなかった」

まどか「そんな!ほむらちゃんは悪くないよ!!」







QB「いや、全ての原因は暁美ほむらのせいであると言えるし、そうでないとも言える」


まどか「キュゥべえ!!!」

ほむら「……」チャキ

QB「暁美ほむら、君は僕を撃っても意味がないと知っているだろう。銃を降ろして貰えないかな」

QB「…やれやれ、同意して貰えないようだ」

QB「マミは僕を殺そうとすることが無駄だなんて知らないから仕方がないけど、感心はしないね」

QB「勿体無いじゃないか」キュップイ


まどか「生きてたのね…」

ほむら「そういう生物なのよ。あいつは人間の常識が通用しない生物」

ほむら「あいつらは人間とは全く違う感情と倫理によって生きている」

ほむら「今更、何をしに現れたの?」


QB「勿論、話すことはやぶさかではないが、二人を待ってからのほうが合理的だろう?
   ソウルジェムが濁りきらずに戻れるかは分からないが、君にとっても試す価値のあることだと思うよ?」

ほむら「お前は……」



────


杏子「マミ!!!!」

マミ「佐倉さん……」

杏子「そりゃ、ショックだったかもしれないけどさ。
    なんて言っていいのかわからないけど…もう、そういうことばっかりなんじゃないかって思うよ」

杏子「あたし達はその規模がデカイだけでさ。
    世の中って思ったことが思った通りに行くほうが少ないじゃん…」

杏子「そんな中でも、折り合いをつけて何とか出来ることだけをやってるんだよ……みんな」

杏子「そりゃあたし達はこんな体でさ、将来だって真っ暗だって決まったようなものだけど…」

杏子「それでもマミは一生懸命やってきたじゃないか」


杏子「あたしみたいに逃げちまわずにやってきたじゃないか」

杏子「マミはあたしの理想だったんだ…」

マミ「……」

マミ「私は強くなんてないわ」

杏子「わかってるよ」

杏子「だから、自分だけが傷つくような生き方を何度も止めさせようとしたんだ」

マミ「私はきっと貴女より弱い」

杏子「そうかもしれない、うん、きっとそうだ。これはアタシの気分の問題だ」

マミ「意固地で、融通がきかない」

杏子「…愛弟子を破門にしてでも変えなかったんだもんな」

マミ「何よ、全部佐倉さんなの? ひとつくらい譲ってくれてもいいじゃない」ブー

杏子「それだって気分の問題だろ? 自分でそう思えればいいのさ」


杏子「でも…思ったよりは強かった」

杏子「こういうとなんだけど…もっと、ずっとショックを受けると思ってた」

杏子「アンタはずっと正義の魔法少女だったから…」


マミ「わたしもショックは受けているわ」

マミ「そうね、鹿目さんと美樹さんを魔法少女にしてたら、もっとずっと酷かったと思う」

マミ「暁美さんには感謝しなくちゃね」

マミ「…それに」

マミ「暁美さんと鹿目さんの話を聞いていたでしょう?」

マミ「私達が生き残って、魔女を倒し続けなければ、鹿目さんが魔法少女になってしまう」

マミ「美樹さんだって優しい子だもの。引き摺られて魔法少女になってしまうかもしれない」


杏子「…戻れば、キュゥべえと対決しなければならない」

杏子「あたしはあんな奴に思い入れなんて無いし、ほむらはむしろあいつを敵視してる感じだからいいけど」

杏子「あんたは違う」

杏子「あんたが一人になってからのことは、時々キュゥべえから聞くくらいだったけれど」

杏子「あいつの機械みたいな話し振りからだけでもかなり…依存しているように見えた」

杏子「だから、あんたがここで逃げちまっても、あたしは驚かないよ」

杏子「…役に立つことなんて、きっとどこでも出来るんだからさ」


マミ「………じゃない」

杏子「…ん?」

マミ「恥ずかしいじゃない! さっきから私、何を言っても慰められるばっかりで!!」

マミ「そんなに頼りなく見えた!? 私のほうが佐倉さんより歳上なのよ! マミ先輩なのよ!!?」

杏子「なにいってんだオイ… ていうかなあ。最近危なっかしかったし…」

マミ「それはそうだけど…///」

マミ「でも、もう決意できてる…と、思うわ」

マミ「私には守りたいものが残っているのだもの」


マミ「ここで私達が頑張らなければ、皆が不幸になってしまう」

マミ「私達がさっさと魔女になって、新人の魔法少女にワルプルギスの夜を相手にさせるなんてわけには行かないもの」

杏子「そうだよな…」

杏子「マミ…あんたは昔のままだ」

杏子「あたしは、そういうマミみたいな魔法少女になりたいとずっと思ってたんだ…」



杏子(あんたがベテランの魔法少女と組んだって聞いた時、思い出のマミさんが遠くへ行っちまうような気がしてたんだ)

杏子(一番の心配事はそれだったんだ)

杏子(でもマミはマミさんのままだった)

杏子(脆くて、他人のために危険な真似をして、それでも一生懸命な…)

杏子(…あんたが理想のままでいてくれるなら、あたしだって、ここで逃げるわけにはいかないよな)



────


~~~ 魔法少女システムとエントロピーを説明中 ~~~

~~~ 鹿目まどかへの因果の収束を説明中 ~~~


まどか「……」

ほむら「……」

マミ「……」

杏子「……」



QB「…宇宙のために死んでくれる気になるのを待ってるからね!」ドヤッ


ほむら「……」ドンッ

QB「キュップイ」グチャ


────



杏子「ほむら」

マミ「暁美さん…」

まどか「ほむらちゃん…」


ほむら「…ちょっと夜風に当たってくる、明日は決戦なのだからマミと杏子は早めに寝て。
     まどかはもう遅いのだから、帰るにしろ、泊まるにしろきちんと連絡をしたほうがいいわ」




バタン



ほむら(繰り返せばまどかの因果が増えていく。
     まどかに魔法少女としての資質が増えれば増えるほどキュゥべえの勧誘はしつこく、狡猾になっていく)

ほむら(今回でさえギリギリだった…これ以上、手段を選ばなくなるというならもう…)


ほむら(地球に何万年も前から居る宇宙人との知恵比べ)

ほむら(しかもルールブックは向こうが持っている)

ほむら(有り得ないような馬鹿げたルール)

ほむら(それでも、それでもいつかまどかが救えるのならば、この生命なんて惜しくはなかった)

ほむら(敵が油断しているうちに出し抜くしか方法がなく、)

ほむら(しかも油断はまどかの資質が増える度に消えていく)

ほむら(私はまどかの希望を無視して、魔法少女にならないように全力を傾けた)

ほむら(魔法少女であっても、幸せに生きる方法はあったのかもしれないのに)

ほむら(今ではまどかは最悪の魔女になるしかない)

ほむら(この時間軸では全員生きていて、万全な状態でワルプルギスの夜に挑める)

ほむら(こんなチャンスは今しかない)


ほむら(…………怖い)

ほむら(………もしも、もしも失敗してしまったらどうするのだろう)

ほむら「ごめんなさい…」

ほむら「ごめんなさい…まどか……」

ほむら「あなたの人生を私が滅茶滅茶にしてしまった」

ほむら「…もう取り返しがつかない……」



「ほむらちゃん」



ほむら「……まどか」

まどか「ごめんね。邪魔しちゃった」


ほむら「まどか、まだ外は寒いわ。そんな薄着では風邪を引いてしまう」

まどか「なら、ほむらちゃんの上着を半分貸してよ」

ほむら「え。ぜ、全部でいいわよ!私は魔法少女なのだから風邪なんて引かないし!」

まどか「それじゃほむらちゃんに悪いよ。明日はワルプルギスの夜と戦うんだから、少しでも魔力を温存しないと」

ほむら「///」カァアアア

まどか(ウェヒヒヒヒ、ゆでダコみたいだよ、ほむらちゃん)

ほむら(うう…嬉しいのに、まどかの顔を見れない。これじゃ美樹さやかを全然馬鹿にできない!)

ほむら(言い訳できるものがどこかに…なにか…あれ?)ム?

まどか「どうしたの?ほむらちゃん」

ほむら(あれは資材置を担当させている「モブ120(本名略)」!何か探している?)

ほむら「あの…どうされたんですか?」

モブ120「あ…実は搬入先の資材を間違えて運んで戻そうとしているんだが、何番の番号か忘れてしまったんだ」


ほむら(今まできちんと仕事をこなす人ばかりだったけど、やっぱりこういう人は出てくるものね)ホム

ほむら「それなら、120番です。私も別部署で働いていますが、一覧にないものがありましたから」

モブ120「同行者か?にしちゃずいぶん若いな?」

ほむら「そう見られるんですよ!それに事務ですから小柄でも大丈夫!」アセアセ

モブ120「そういえば思い出してきた…確かに120番だったな。ありがとう、助かったよ」

ほむら「いえいえ、お気になさらず(さっさと運べ!)…あれ?資材置へは向かわないんですか?」

モブ120「今夜中にやればいいことだろ。だったら今はコーヒーブレイクってところだ」プシュ

ほむら(間違えた資材が置かれて、皆が邪魔だと思っているだろうに休憩…)

モブ120「まあ、同行者がいて助かったよ。」

ほむら(出来損ないのモブのために貴重なまど時間を無駄にしていることをちょっとは考えて欲しいわ)

モブ120「しかし『ホムラアケミの父』って人は凄いねぇ。アンタもそう思うだろ?」

ほむら「いえ、仕事ですから」

モブ120「そんなもんか。…まあ俺なんかは短期の仕事だが、
    まるで未来を読んでいるかのような采配!!これなら人はついてくると感心したね」


ほむら(未来を知っているのだから当然でしょうが)

ほむら「でも、他の人にとっては凄く見えても、その人自身にとってはそうではないってこともありますよ」

モブ120「ハァ?何を言ってるんだ?ちょっと流石に考えが至らなすぎだ。アンタは『ホムラアケミの父』に謝ったほうがいい」

ほむら(こいつは本人に何を言っているの?)

モブ120「例えそいつが未来を読んでいようが、黒い裏情報を知っていようが、
     何十人という労働者の生活を預っているんだぞ。その判断が簡単にできるわけがない」

ほむら(そういう非情な経営者も政治家も居ると聞いた)

モブ120「後悔してもやり直しは効かないんだぞ。引き返せる人間なんて居ないんだ。
      人生は1回しか無いんだ、誰でも、間違いなくそうだ。
      だからこういう大勢の生活が関わる決断をきちんと出来る人間はとても偉いし、尊敬して然るべきなんだ」

ほむら「」


モブ120「どうした?」

ほむら「ちょっと戻ります…やらなくてはいけないことを思い出したので」

モブ120「そうか、引き止めて悪かったな」

ほむら「いいヒントを貰ったので、サボりを大きく査定に響かないようにしてあげます」

モブ120「お、そいつは有難いな。流石事務」

ほむら「後、同行者じゃなくて同業者だから。ここは年齢的に間違えていいところじゃないですよ!それじゃ!」

モブ120「」


まどか「おかえり、ほむらちゃん。どうしたの?」

ほむら「明日の準備でちょっと…て、まどか!ずっとここで待ってたの!?」

まどか「ウェヒヒヒ、今日はほむらちゃんを見ていたかったから」

ほむら「そんな…こんなに冷たくなって…」オロオロ

まどか「5分も経ってないよ。大丈夫だよ、ほむらちゃん」

ほむら「家の中に入りましょう、まどか」

まどか「ほむらちゃん、外はもういいの?」

ほむら「ええ、もう外はいいわ」

まどか「今ほむらちゃん、いい顔してるよ、ウェヒヒヒヒ ///」

ほむら「もう!からかわないで! ///」



マミ「暁美さん達、戻ってきたわよ。なんだか吹っ切れてるみたい」

杏子「な、まどかに任せて良かったろ」

マミ「ええ、出ていく時は真っ青で心配だったけど、今は安心しちゃった」

杏子「そういう相手が居るんだ、こいつと組ませとけばなんとかなるって奴が」


ほむら(そうだ、ここには元から今しか無かったんだ)

ほむら(長い繰り返しをしたせいで、今のこの瞬間より、長い失敗を重要視してしまっていた)

ほむら(今の結果だけを見れば、まどかもさやかも魔法少女になっていない)

ほむら(マミと杏子は魔女化の事実をしっているけど、なんとか気力を取り戻そうとしている)

ほむら(QBは万策尽きて、後はワルプルギスの夜しか頼みが居ない)

ほむら(次へのループを封じられたからって、関係ない)

ほむら(これは最高の条件だ)

ほむら(過去のループの中で死んでいったまどかや魔法少女達のことを思うと心が痛いけれど)

ほむら(もしも今際のソウルジェムを砕いた後に魂が抜け出ていくとするならば)

ほむら(必ず謝りにいくから────それまで、少しの間、お別れだね)



────



まどか「ねぇ、ほむらちゃん。私、やっと決心がついたよ」

まどか「私は魔法少女にはならない」

まどか「私はほむらちゃんが帰ってくるのを待ってるから」

まどか「だから、戻ったら笑顔を見せてね──」



────



──── XX日 ワルプルギスの夜、襲来当日


広報車「本日午前7時、突発的異常気象に伴い避難指示が発令されました。
     付近にお住いの皆さんは、速やかに最寄りの避難場所への移動をお願いします。
     こちらは見滝原市役所広報車です」


モブ121「避難所はこっちですよー、指示にしたがって押し合わずに来てくださーい」


モブ122「カバディ コッチハ」ムキムキッ

モブ123「カバディ キケン」ムキムキッ

モブ124「カバディ キチャダメ」ムキムキッ

モブ125「カバディ ヒナンジョアッチ」ムキムキッ


モブ126「今時立派な青年ですねぇ、スーパーセルだっけ? 自分が逃げるだけで精一杯だというのに…」

モブ127「いえ、確かに避難誘導をしているんですけど、私はこれが仕事で…というかバイトでして」

モブ128「そうそう、『ホムラアケミの父』って人に雇われたんだ。
   最初は何のためにって思ったけど、まるでこうなることを知っていたかのようだ…きっと、すごい人なんだろうな」





────



まどか「さやかちゃーん」

さやか「お、まどかもこっちの避難所だったのかー」

さやか「学校で毎日会ってるはずなのに随分久し振りな気がするぞー」グリグリ

まどか「もう、さやかちゃん。何言ってるの」キャッキャッ


さやか「窓…、凄い雲だよね」

まどか「大きな塊が次から次へと動いてる…」

さやか「ほむら達…あそこで戦ってるのかな」

まどか「うん…」



────


QB「さて、暁美ほむらがどんな用意をしたとしても、ワルプルギスの夜には勝てないだろう」

QB「鹿目まどかは今は契約する気がないかもしれないが、ほむら達がピンチになれば考えも変わる」

QB「僕はその時をただ待てばいい」


ゴォォォォォ


QB「なんだこの音は…空から?」

なのは「どうも」
QB「」












バキン



杏子「おお、カウントダウンしてる感じの『1』の文字が砕けた、あれは早く当たり過ぎだな」

ほむら「米軍が現在、無解体のまま任意の場所に墜落させることの出来る廃棄衛星の数は42!」

ほむら「それをワルプルギス発生と同時に全て直撃させる」

ほむら「ワルプルギスの夜へ直撃時の減速と海岸沿いに設置した緩衝材があれば津波の発生は避けられるわ」

ほむら「見滝原海沿岸にいる間に決着をつける!!」

マミ「暁美さん、ファンタジーというか、陰謀論的なオカルト雑誌の記事に有りそうなナイスな説明よ!」


ワルプルギスの夜「アハ {{ ドゴォ }} ハアハハハ {{ ドゴォ }} ハアハハハハア」 {{ ドゴォ }}

ワルプ {{ ドゴォ }} ギスの夜「アハ {{ ドゴォ }} ハハハハ、アハハハハハハ {{ ドゴォ }} ハ」

ワ {{ ドゴォ }} プルギ {{ ドゴォ }} 夜「アハ {{ ドゴォ }} ハ、アハ {{ ドゴォ }} ハハ {{ ドゴォ }} ア」



ワルプルギスの夜「アハハアハハハハアハハアハハ」 ボロボロ



マミ「ダメージを受けてるみたいよ、暁美さん!!」

ほむら「このまま数が押し切ればいける!」



杏子「……あたし達っていらなくね…?」

              /                  ヽ
           /   な  い  あ  も     |
           l    い  い  い  う    |',           /
           |   か ん  つ       l  ',        /
           |   な  じ  一  全   /   〉く }三{`>く
          ヽ、    ゃ 人  部   / ∠_/ ̄∨__〉、
      、     \ ,       で     /   !:::ハ ゚ /::::l|     ,..-―
      \     / `丶、____x く    ト、:_:_}  {_:_:_ノ|    / ; : : :
       ,.ィT: ̄:7ハ、                 V「::r┬宀┬ 、:}V_/:./: : : :
      人,-、:.・:; -vヘ              ∨仁ー--'二l }イ{}=彡く_:_:_:_:_:_
     〔:.:{::}ー{::}:.:}             _, <l入ヽ二二 // /勿¬┬┬-..、
    __Y/:|三三ト、:/           , -<}>_'´_::ヽ\_二_/ノ::_ニ::. ┴┴-<
_rく´ |:.:| lヾ:|三三|:/「`ーrー、    /,..:'r―-、ヽ、`ヽミー--‐ニ-'´ /r──‐┐::
∧ ヽ `  \ヽ二ラ /:.:.:./ | }   //::..{      ̄    ヽ:/´    '′      |::..
:.:.ヽ |     ` ┬彳:.:.:.:/ | ∧  //::..::..\       ∥          /::..:
:.:.:.:〉|      l 〈:.::.:/ 〃:.:∧//::..::..:「`ー      ∥       _/::..::..
:./| lノ〉_r、   !  ̄  ∧:.:.:.:.7/::..::..::..ヽ、      ∥       ` ̄フ::..::.
  ', ヽ、ー′ |    / ヽ:. //::..::..::..::./ヽ¬     ヾ      -r―'´::..::..::.


ワル {{ ドゴォ }} スの夜「アハハアハハハハ {{ ドゴォ }} ハ」 ボロボロ

ワルプルギスの夜「アハハ {{ ドゴォ }} ハハアハハアハハ」 ボロボロ

ワ {{ ドゴォ }} ギ {{ ドゴォ }} 夜「アハハアハ {{ ドゴォ }} ハハ」 ボロボロ

ワルプルギスの夜「ア {{ ドゴォ }} ハハアハハ {{ ドゴォ }} ハ」 ボロボロ


ワルプルギスの夜「」フラフラ



ほむら「衛星が尽きたわ」

マミ「ワルプルギスの夜が海岸沿いに落下するわ」


杏子「もう虫の息じゃねーか!」

────

QB「──驚いたよ、どうやら、ほむら達の勝ちのようだ。
   不本意だが、ワルプルギスの夜は遠からず消滅するだろう」

まどか「やったあ、ほむらちゃん!」

さやか「さっすがマミさん!後、面識はないけど赤い人!」

QB「でも、安心するのはまだ早いよ、まどか」

QB「ワルプルギスの夜が滅んだ後に発生する膨大な呪いの量が分かるかい?」

QB「呪いはワルプルギスの夜を滅ぼした相手にまず侵食するだろう。
   呪いは簡単にソウルジェムを濁らせ、魔女化させる」

QB「それでも足りなければ、その周囲の魔法少女をも巻き込む。
   マミ、杏子、ほむらのそれぞれのソウルジェムくらいなら、全て侵食しきってしまうんじゃないかな」

まどか「!!」

さやか「あんた、それは──」

QB「つまり、これは元から彼女たちの魔女化は決まっていたのさ…魔女化を戻すには魔法少女の願いしか無い!
   だからまどか、さやか、僕と契約して魔法少女に─── ??「  」ヌゥ ──」

領土内のしかも居住区に衛星を落っことしやがったアメリカに対する日本国民の呪いか


QB「…なんだい君は?掴まれるのは好きじゃないんだ」

??「   」ギュ

QB「キュップイ」グチャ


??「   」アーアーアー


まどか「きゃっ…」

さやか「まどかぁ!」


杏子「まどか!どいてろ!」ザシュ


??「」サァァァァ


まどか「杏子ちゃん、ありがとう」

さやか「こいつらはなんなの? 人じゃないみたいだけど…」


ほむら「杏子!仕留めた?」

杏子「ああ、仕留めた。現状、こいつが最後の一匹だと思うけど…」


さやか「ええと、あんたはマミさんの弟子の…あんこだっけ?」

杏子「杏子だ!間違えんな!!!」


まどか「ほむらちゃん、杏子ちゃん! どうなったの?」


杏子「わっかんねぇよ。ワルプルギスが落ちた辺りを、
    ほむらが仕掛けておいた発破で埋め立てたら、いきなり白い入道みたいなのが沢山沸いて出てさ…」

杏子「退治してたんだけど、一匹だけ逃げたんでここまで追ってきたってわけさ」


ほむら「……」ヒョイ

ほむら「やっぱりこいつらの落とす小石みたいなものはグリーフシードみたいね。
    ソウルジェムが浄化されるもの」

杏子「なんだよ、じゃあこんなちっこいグリーフシードがアタシの報酬かよ。
    そりゃ今回は働いたとは言えないけどさあ、ワルプルギスの夜だよ、ワルプルギスの夜!
    ちょっと名前負けし過ぎじゃない?」

ほむら「こういうときに便利な説明役が一人だけ居るわ…普段はムカつくけれど」

ほむら「出てきなさい、キュゥべえ」

QB「ハァ…やっぱり生きていたのか、暁美ほむら」

ほむら「……」チャキ

QB「ほむら、いきなり銃を向けるのは止めて欲しいな。代わりはあるけど、勿体無いじゃないか」

ほむら「撃ち殺されたくなければ、今の事態の説明をしなさい」

QB「ハァ…やれやれ、仮説なら立てられるよ。今回も、君が原因だ」


QB「本来はワルプルギスの夜を倒した魔法少女は、
   ワルプルギスの夜の呪いを一身に受け、魔女化するはずだった」

QB「ところが、暁美ほむら。君の武器は魔力の篭っていない器物だ。
   あるいは今回は土砂だったので、地球そのものと言ってもいい」

QB「魔法少女でない呪いを受ける特殊な対象が生み出したものが、先ほどの怪物だろう」

QB「魔法少女であれば魔女と言うべきところだが、
   今回の対象には性別がないから、あえて名付けるなら魔獣とでも呼ぶべきだろうね」

ほむら「魔獣はあれで最後なの?」

QB「仮にもワルプルギスの夜を呪いとして受けたんだ。当然、あれだけで住むはずがない。
   少しずつ、地下から染みだしてくることが予想されるね」

魔獣(バロール)

ワルプルの呪い受けるってよくSSで見るけど公式?

>>406
むしろ初めて見た

なんとなく聖杯の泥に通じるものがあるな


QB「だが、この魔獣の発生はワルプルギスの夜にとどまらない規模の影響が予想できる」

QB「つまり惑星自体に地上にある呪いを吸い取って、魔獣として結晶化させる機構が
   備わってしまったかもしれないんだ」

QB「そうなるとソウルジェムの回復…には至らないだろうが、濁りの進行を遅らせる要因となる」

QB「さらに、小さいながらもグリーフシードを持つ魔獣は弱い魔女の代替品となり、
   これも新人の魔法少女が魔女になる可能性を減らす効果となる」

QB「早く言えば僕達のエネルギーの回収効率が落ちる…頭の痛い問題だよ」

ほむら「ざまあ無いわね」

QB「まどかが魔法少女になってくれれば、この程度の損失は消し飛ばすことが出来るのだが…契約してくれる気はないのかい?」

まどか「お断りします」

さやか「絶対にイヤ」

QB「…残念だよ、まどか」

魔女と魔獣が同時に存在するとか余計めんどうだろ



──── 後日談


ほむら(結局、この世界は魔法少女と魔女と魔獣が同居する世界となった)

ほむら(かつての仲間を殺したくないないなら、魔獣専門の魔法少女になるという選択もできるため、
     少しだけ魔法少女に優しい世界になったと言えるだろう)



モブ129「ねぇ、知ってる『ホムラアケミの父』ってひと」

モブ130「知ってる、凄い人なんでしょ。医学の発展にも尽くして、予言者みたいに街を救ったって」

モブ129「噂では、ちょっと変態らしいけど」

モブ130「私は動物好きって聞いたわ。黒猫を一匹、飼ってるんだって」

モブ129「それにしても『ホムラアケミの父』って、なんだか暁美ほむらさんの名前にちょっと似てるよね」

モブ130「でも別人よ、だって苗字と名前が逆だもの」



ほむら(私の行った活躍は、私でも父でもない、謎の人物に押し付けられた。そこに不満はない。
     魔法少女は目立たないほうが望ましいのだから)


杏子「よう、ほむら。今日は放課後から魔女探索に行くってよ。
    ほむらのことだから無いとは思うけど、遅れんなよ」

ほむら「ええ、わかったわ」

杏子「じゃ、アタシは買い物があるから、後でな」ダッ


ほむら(杏子はあれから巴マミの家に居候するようになった)

ほむら(春から学校に通うことを計画しているようで、私も時々勉強を教えている)


マミ『暁美さん、おはよう』

ほむら『ええ、おはよう。杏子から聞いたわ。今日は放課後からね』

マミ『私は受験勉強でしばらく参加できなかったから、頑張らなくっちゃ。
   そして終わったらパーティーをしましょう?鹿目さんや美樹さんも呼んで』

ほむら『ふたりとも喜ぶと思うわ。誘っておくわね…ってテレパシーを使えば貴女が直接誘えるじゃない』

マミ『それじゃあ、どちらからも言うことにしましょう?いいでしょう、それで』

ほむら『……もう、』


ほむら(巴マミは学校内や通学路で時々話しかけてくる。)


ほむら(驚いたのは、マミが今後も魔女、魔獣の隔て無く倒していくと決めたことだ)

ほむら(てっきり、魔獣専門の魔法少女になると思っていたのだが、
     自分自身の在り方をきちんと認識したいということで、あえて魔女も狩ることにしたそうだ)

ほむら(彼女は私が思っていたよりもずっと強い魔法少女だったようだ)

ほむら(元から仲が良く、狩るものも同じということで、私とマミと杏子はマミの受験勉強が重ならなければ、いつも一緒に狩りをする)

ほむら(魔女、魔獣の両方を狩る、オールラウンダーの魔法少女)

ほむら(勿論、使い魔も)

Start Up


ほむら「おはよう、まどか」

まどか「おはよう、ほむらちゃん!!」

さやか「おはよう、ほむらー宿題おせーて」

ほむら「会った瞬間にそれはなんなの?自分の力でやりなさい、さやか」

さやか「えー、ケチー」


ほむら(相変わらず、まどかとさやかは一番の親友)

ほむら(私はそこに分け入って、3人組の地位を築きつつある)

ほむら(志筑さんを加えればカルテットか)

ほむら(まどかとさやかの仲は時々、私でも入り込めないほどの深さを感じることもあるが)

ほむら(そろそろ私は正式に恋人枠として正式にまどかに申し込もうと思っている)

ほむら(結果なんてキニシナイ)


ほむら(QBはまどかの元にほとんど姿を現さなくなった)

ほむら(まどかだけでなく、私達全員に)

ほむら(QBは汚れを貯めたグリーフシードの回収に役立たないでもないのだが、
     この惑星自体が極微量の浄化(正式には魔獣として集積)効果を持つため、
     土に埋めておけば魔女が孵化することもなく、大分長い間放置できる)

ほむら(時々QBが掘り出して持って行くから、こちらとしてはこのままの関係でも構わない)


ほむら(私はもう時間停止の能力は使えないし、
     まどかの因果が増えることを防ぐためもあって、時間遡行の能力も使えない)

ほむら(魔法少女としては最弱の部類に位置するといっても過言ではない)

ほむら(それでも、ワルプルギスの夜との戦いにて想定した白兵戦用の武器が丸々残っているし、
     四次元ポケットとしか言いようが無い私の盾はなかなかに便利なので、
     強力な魔女相手でなければ今のところ、遅れをとること無く済んでいる)

ほむら(それに、魔法の練習をした成果もあって、私は新たに一つ魔法を覚えることが出来た)

ほむら(魔力を込めると肩口に小さな羽が生え、
     それが高速移動や空中移動の時に少しだけバランスを取ることに役立つというものだ)

ほむら(白い鳥の羽のようだったり、ロールシャッハテストのような
     墨を滲ませたような複雑な図形だったり、気分によって変わるけれど多分あまり意味はない)

ほむら(巴マミが感激して複雑な名前をつけたが、残念ながらその名前は忘れてしまった)

自分の罪でがんじがらめになったさやかとマミどもは終いには天に向かって叫ぶだろう。「助けてくれ!」とな・・・そしたら私ははこう答えてやる。
「いやだね」


ほむら(私達、魔法少女は魔女になる運命)

ほむら(それでも私は生きているし、まどかやさやか、仁美といった友達や、マミや杏子といった魔法少女の友達もいる)

ほむら(彼女たちと過ごすことはとても楽しく、私は幸福だと実感できる)

ほむら(ここに至るまで、辛い時間軸が多かった。居るだけで苦しいばかりの時間軸もあった)

ほむら(それらの時間軸でも、行動次第では在り得たかもしれない幸福な未来を思い描く時、私は胸の痛みを覚える)

ほむら(それは戻らない過去を思い描くようなもので、私だけが特別ということはなく、恐らく誰もが感じる心の痛みなのだろう)



ほむら(どうかこの幸せがいつまでも続きますように)



終わり

適当に進めたらよくわからないことになった…
途中から何を書いているのか分からなかった…

取り敢えず自分は杏マミが大好きということが分かった

乙乙

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