岡部「961プロ…?」(385)

岡部「…で、俺にプロデューサーをやれと?」

黒井「ウィ。その通りだ岡部とやら…貴様には何か光るものを感じたのでな」

岡部「俺が街中でスカウトされてホイホイついていく男だと思うのか?」

黒井「貴様、今の芸能界を何と見る?」

岡部「……闇の陰謀が渦巻く、混沌の極み」

黒井「…その通りだ岡部よ、そしてその混沌をお前の手で収束させたいとは思わんか?」

岡部「……なに?」

黒井「貴様の言った通り、今の芸能界はどこぞの者とも知れぬ奴らがはびこっている」

黒井「…その芸能界で、自らの力を示してみたいとは思わんか?」

岡部「……!!」

ゴロゴロゴロ ピッシャーン(雷の音)

黒井「貴様は秋葉原なぞに留まる器ではない…世を統べる才能を感じる」

黒井「ならばその力をわが961プロで…」

岡部「…いい、それ以上言うなMr.ブラックよ」

黒井「ほう」

岡部「…芸能界は混沌の極み、その道のプロフェッショナァルの貴方が言うのなら間違いないのだろう」

岡部「……だがMr.ブラック、俺が求めるものは統治された未来ではない」

岡部「なんだか分かるか?」

黒井「…言ってみろ」

岡部「更なる混沌だよ、Mr.ブラック」

黒井「……!!」

ゴロゴロゴロ ピッシャーン(雷の音)

岡部「俺の力があれば、芸能界ごときひっくり返すのは容易い」

岡部「…よかろう、この狂気のマァッドサイエンティスト!鳳凰院凶真がっ!!」

岡部「芸能界に更なる混沌を導いてやるっ!!!」ブワサッ

黒井「…くく、やはり私の思った通りだよ、岡部…いや、鳳凰院凶真」

岡部「フフ……」

黒井「フハハ……」

岡部・黒井「フゥーハハハハハハ!!!!!」

黒井「ゲホッ!ゲホゲホッ!」

岡部「Mr.ブラック、無理はいけない」

黒井「ふむ…すまんな」

岡部「知的のど飴だ」

黒井「うまいな」ペロペロ

冬馬「大丈夫かオッサン!」ガチャ バターン

黒井「おお冬馬か…問題ない、少し咳こんだだけだ」

冬馬「頼むぜ、俺のデビュー前に倒れられたら俺が困るんだからよ」

黒井「その件だが…お前のプロデュースはこの男がする」

冬馬「…誰だよ、この頼りないオッサンは」

岡部「おっさ…!……ゴホン!いいか、よく聞けぇ!」

冬馬「!?」

岡部「俺の名前は、フェニックスの鳳凰に院!それと凶悪なる真実で!」

岡部「ふぉおうおういんgきよおうまだ!よぉく覚えておけ青二才!」

冬馬「ぅぐっ…!」

冬馬(なんて言ったか聞き取れなかったけど…)

冬馬(…なんかカッケーじゃねえかっ!!)

黒井「そういうことだ、明日からこの岡部倫太郎がお前のプロデューサーだ」

冬馬「だ、だけどよ…こいつ素人なんだろ?大丈夫なのかよ」

岡部「案ずることはぬわぁい!なぜなら俺は世界を混沌に導く男!」

岡部「ならば芸能界を更なる混沌に導くことなど造作もあるまい!違うか!?」

冬馬「…そうだな!その通りだ岡部のオッサン!」

岡部「岡部ではない!鳳凰院凶真だっ!」

冬馬「分かったぜ凶真!」

岡部「ふむ、いい返事だ…よかろう、俺と貴様が組めば…」

冬馬「楽勝、だぜ!」

岡部「む…い、意外と熱い男なのだな…」

冬馬「さぁ!さっそく俺をプロデュースしてくれよ凶真!さぁ!」

岡部「う、うむ…」

岡部(いかん、けっこうこいつ苦手なタイプかも)

黒井「クク…けっこうだ2人とも」

冬馬「ああ!今すぐにでもレッスンに行きたい気分だぜ!」

岡部「だが焦るな冬馬よ、まずは作戦を練らねばならん」

冬馬「作戦?」

岡部「ああ…何事にもやはり入念な準備は必要なものなのだ」

黒井「その大局を見る力…やはり私の見込んだ通りのようだ」

岡部「明日の朝10時、またここに来る…そのときに完璧な作戦を披露しよう」

冬馬「分かったぜ凶真!明日から俺たちのビクトリーロードが始まるんだな!」

岡部「それでは…エル・プサイ・コングルゥ」

黒井「アデュー」

岡部「……うむ」

-その後、未来ガジェット研究所-

ダル「で、僕達に助けを求めに来たってわけ?」

岡部「うむ」

ダル「甘い!甘いぜオカリン!勝手に面倒なことを引き受けといて他人様に迷惑をかけるなんて」

岡部「フェイリスのセーラー服コスプレ写真」

ダル「僕に出来ることならなんでもするお、オカリン」

岡部「頼りにしているぞ、マイフェイバリットライトアームよ」

紅莉栖「ハァ…男ってみんなこうなのかしら、あほらし」

岡部「んん?なぁにか言ったか、助手よ」

紅莉栖「だから助手じゃないって言っとろーが!」

まゆり「……」チクチク

紅莉栖「ていうか、アンタ芸能のことに関してはズブの素人でしょうが…何か算段はあるの?」

岡部「ぬわぁいっ!」ブワサッ

紅莉栖「なんでそんな自信満々なのよ…」

岡部「ククク…なぜなら俺は!世界を混沌に導く狂気のマッド(ry」

紅莉栖「分かった分かった…なら作戦を立てるうえでも、まずはメンバーを教えなさいよ」

岡部「んん?実は仲間に加わりたかったのではないか、助手よ」

紅莉栖「んなっ…!そ、そんなわけあるかバカ岡部!」

ダル「リア充爆発しろ」

岡部「…む?まゆりはまた縫い物か?」

まゆり「んー…今度コスプレイベントがあるのです、るかくんに着てもらおうと思って…」チクチク

岡部「ふむ、そうか…ならばこちらの作戦への参加は無理強いすまい」

ダル「で、結局アイドルの子たちはどんな感じなのよ?」

岡部「うむ、これがプロフィールだ」

紅莉栖「ふむん…天ケ瀬冬馬、か」

ダル「なんだ男かよ、そっ閉じ余裕ですた」

岡部「一度決めたことを無かったことにするのは俺の主義に反するのでな、なんとしても成功させる」

紅莉栖「…やっぱり、アイドルって言ったらグループで活動するのが普通なんじゃないの?」

ダル「うーん、今大人気の魔王エンジェルとかも3人組だもんなあ、そっちの方が良いと思われ」

岡部「ふむ、なるほど…助手よ、貴様もたまには良いことを言うではないか」

紅莉栖「べ、別に思ったことをそのまま…って、“たまには”とはなんだ“たまには”とは!」

岡部「よし!明日は早速メンバー探しに行くぞ!」

紅莉栖「人の話を聞けぇ!」

-翌日、961プロ玄関前-

冬馬「…これが凶真の言う、ラボメンってやつらか?」

岡部「ああそうだ!どいつも有能にして忠実なわがしもべであり…」

ダル「オカリンオカリン、前置きはいいから」

岡部「む…ゴホン!それでは今日は、アイドル候補となるメンバーを探しに行く!」

冬馬「ま、待てよ凶真!別に俺一人でも…」

岡部「いいか、まずはこれを見るのだ冬馬よ」ピラッ

冬馬「…?」

岡部「これが今後のプランだ」

冬馬「す、すげぇ!俺の分析に始まり、それを補うために必要な要素!そしてトレーニング法までもが考えられていやがる!」

紅莉栖(昨日夜遅くまで2人でなにを作っていたかと思えば…)

ダル(正直フェイリスたんの写真1枚じゃ足りないってばよ)

岡部「このことから俺が何を言いたいのか…お前には分かるか、冬馬」

冬馬「…わからねえ、わからねえよ凶真…!」

岡部「仲間の大切さ、だ」

冬馬「!!」

岡部「これは俺一人で作ったものではない…そこにいるスーパーハカー、ダルの尽力無しには完成しなかった」

ダル「スーパーハッカーな」

岡部「そして医学的見地に基づく効果的なトレーニング…それは助手が考えたものだ」

紅莉栖「ま、一般的な見解をデータ化しただけどね?あと助手ってゆーな」

岡部「人は一人ではなにも出来ない…貴様とて然りだ、冬馬」

冬馬「……」

岡部(…む?)

冬馬「…くだらねえ、なにが仲間だ」

冬馬「俺は地方から上京してきて一人でビッグになってやるって決めたんだ!他のメンバーなんていても邪魔なだけだ!」

ダル「厨二病、乙!」

紅莉栖「ちょ、橋田…!今そんなこと言う場面じゃ…!」

岡部「冬馬」

冬馬「……なんだよ」

岡部「お前のプロデューサーは俺だ、少なくともアイドル業に関しては俺に従ってもらう」

冬馬「うぐっ…!」

紅莉栖「…岡部……」

冬馬「…分かったよ!ただし、俺を納得させられるようなメンバーを連れてこいよな!」

岡部「ああ、約束しよう」

紅莉栖「…橋田、こうなること分かってたの?」

ダル「んー、なんかあの冬馬くんと前のオカリンが、どこか似てるんだよね」

ダル「冬馬くんみたいなこと言ってる人を見たら、間違いなく説教するなーって思っただけだお」

紅莉栖「……そっか」

紅莉栖(…私は岡部と出会ってからまだ1週間くらいしか経ってない、あいつのこともほとんど知らない)

紅莉栖(……前の世界線がどうとか言われても、私にはなにも…)

「おい助手!早く来ないと置いていくぞ!」

紅莉栖「…へ!?あ、い、今行く!」

紅莉栖(でも、確実に私はこの世界線にいるし、あいつも目の前にいる)

紅莉栖(…とりあえず今は、日本での生活をエンジョイしようかしらね)

紅莉栖「待ちなさいよ岡部ー!」タッタッタ


chapter 1 『自尊感情のビッグディッパー』

-街中-

岡部「というわけで街中に着いたぞ!」

ダル「で、まずはどんな人を探すの?」

冬馬「このプランによると…頼れる兄貴分みたいな存在か」

紅莉栖「そんな人が簡単に見つかるわけ…って、あれ漆原さんじゃない?」

岡部「む、確かにあれはルカ子だが…こんな街中で金髪の男と一体何を」

ダル「…どう見てもナンパだと思われ」


北斗「ねえキミかわいいね、俺とお茶でもどう?」

るか「え…あ、あの…ボク、その…」

北斗「自分のことボクって言うんだ!俺の好みド真ん中だよ!」

るか「こ、困りますぅ…」

北斗(んー、ヒマだからナンパでもって思ったけど…)

北斗(最近は成績悪いしなぁ…この子も反応良くないし)

岡部「おいルカ子よ、こんなところで何をしている」

北斗「!」

るか「あ、おか…じゃなくて、凶真さん!え、エル・プサイ…」

岡部「ええい!それは別れの挨拶だと言っとろーが!」

北斗「えーっと…お嬢さんの知り合いかな?」

紅莉栖(一応確認しておくけど、お嬢さんではないのよね?)

ダル(いや、これは金髪兄ちゃんが悪いわけではないお)

冬馬(助手さんといいこのルカ子さんといい…凶真の知り合いにはイケてる女が多いなぁ…)

岡部「うむそうだ、俺はこいつの師匠でもある」

北斗「あははっ…ずいぶん面白いんだね」

岡部「して青年よ、こんな時間にナンパとは精が出るな」

北斗「サンキュー、まあ夜の仕事だしね…早起きしてもやることが無いのさ」

岡部「夜というと…ホストかなにかか?」

北斗「ご明答、そんな感じさ」

岡部「灰色の脳細胞を持つ俺からすればこんな簡単な問題はクイズにもならん」

北斗「はは、見たところ科学者、いや理科の先生かな?白衣なんて着てるし」

ダル(オカリンと普通に会話している…金髪ホスト、恐ろしい子!)

紅莉栖(いや、私からしたら普段アンタたちと会話してるメイド喫茶の人の方がすごいと思う)

るか(一体何が起こっているんだろう…)

岡部「ところで、やることが無い…と言ったな」

北斗「ああ…それがなにか?」

岡部「…アイドル、やってみる気はないか?」

北斗「アイドル?なんでまた」

岡部「実はこういうわけでな…」

……

北斗「なるほど…それでメンバーを集めている、と」

岡部「ああ、見たところ貴様はホストをやるだけのルックスをしている」

岡部「あとは貴様のやる気次第だ」

北斗「……やる気、ねえ」

冬馬「凶真、ちょっといいか」

岡部「む、どうした冬馬」

冬馬「俺は反対だぜ、こんなチャラチャラしてるやつ」

北斗「…へぇ、初対面の割にけっこうハッキリ言うね」

冬馬「アイドルってのは甘い世界じゃねえ…中途半端な気持ちで来られても困るだけだ」

北斗「ならキミはどれくらい本気でやってるのか、ここで証明できるかい?」

冬馬「ああ、当然だ!見てろ!」バッ

岡部「お、おい冬馬!突然踊りだすな!」

ヤダーナンカオドッテルー アキハバラッテコワーイ デモカッコイー

紅莉栖(は、恥ずかしい…!知り合いと思われたくない…!)

ダル(でもとりあえずここにいる牧瀬氏マジツンデレ!)

冬馬「はぁ、はぁ…どうだ!」

北斗「…驚いた」

冬馬「…へっ!俺のダンスに言葉も出ないってか!」

北斗「周り見てごらんよ」

冬馬「へ?」

女1「きゃーこっち向いたー!写メ撮っちゃうー!」

女2「汗だくー!汗だくたまんなーい!」

冬馬「お、おい女ども!見せものじゃねえんだ、失せろ!」

キャーキャー ガッタイシターイ ムゲンパンチッテイッテー

北斗(何かに一生懸命打ち込む、か)

北斗(…今までの俺の人生に、そんなのあったかな?)

岡部「どうだ、金髪ホストよ」

北斗「ま、彼のダンスは認めざるを得ないね」

岡部「…これで貴様がアイドルにならないと言うのなら、俺は無理には誘わない」

北斗「……アイドルになれば」

北斗「アイドルになれば、もっと女の子にモテますかね?」

岡部「ああ、今のホストクラブがどれくらいの規模か知らんが…恐らくその比ではないだろうな」

冬馬「お、おい凶真!俺はそんなつもりでアイドルやってるわけじゃ…!」

岡部「知っている、だがきっかけなど些細なもので構わない」

岡部「大事なのはそいつが物事に対してどれだけ真剣に取り組んでいるかだ、違うか?」

冬馬「ち、ちがわねえ…っ!」

ダル(冬馬くんチョロすぎワロタ)

北斗「…ならやってやりますよ、アイドル」

北斗「なにより、こんなボウヤにバカにされたままじゃ俺のプライドが許さないんでね」

冬馬「んなっ…!誰がボウヤだ!」

岡部「ええい、うるさい!とにかくこれで2人目を獲得したのだ!」

岡部「さっさと3人目を探しに行くぞ!」

るか「あ、あの凶真さん!ありがとうございました!」

岡部「む?ああ気にするな、ラボメンの安全を守るのも俺のつとめだからな」

北斗「ごめんね迷惑かけちゃって…お詫びに今度お茶でもどうかな?」

るか「え!?あ、その…」

北斗「あはは、冗談だよ!でも、そんなところもかわいいなあ」

岡部(だが男だ)

岡部「それでは引き続きメンバー探索を行う!散!」

ダル「ま、結局固まって行動するんだけどね」

紅莉栖「漆原さんはどうするの?」

るか「あ、ボクはまゆりちゃんと約束してるので…一回ラボの方へ行こうかと」

紅莉栖「そ、気を付けてね」

北斗「はは、まったく騒がしいな…ところで冬馬くん」

冬馬「あ?んだよ」

北斗「さっきの女の子の扱いを見るに…キミ、童貞だね?」

冬馬「」ギクッ

岡部「」ギクッ

ダル「」ギクッ

紅莉栖「童貞乙」

chapter 1 『自尊感情のビッグディッパー』 END

岡部「さて、次はここだ」

ダル「オカリン、なんで雷ネットABの会場なんて来たのさ」

岡部「いいか、雷ネットABは先を読み先を読み、頭脳を駆使する競技だ」

岡部「俺が次にアイドルユニットに必要だと考えるのは、先のことを見通す洞察力!」

岡部「すなわち雷ネットABでの上位成績者は、わが崇高なる計画に必要ということになるのだ!」

紅莉栖「こんなカードゲームに没頭している輩に、ダンスを踊れるとは思えないけどね」

ダル「ちょっと牧瀬氏、いくら牧瀬氏でも今の発言は見逃せないお」

冬馬「そうだぜ助手さん!雷ネットは実は子供向けというよりも、俺たちみたいな大人に向けた作品で、そこから派生したABも戦略と戦術が交差する熱い…」

ダル「え?」

岡部「え?」

冬馬「い、いや…なんでもねえ…」

紅莉栖(…なんだこの既視感……はっ!これがリーディングシュタイナー…!)

北斗「それにしても、なんで俺まで一緒なんですかね」

岡部「どうせ夜までヒマなのだろう、わがユニットの一員ならば当然の義務だ」

北斗「やれやれ、強引なお方だ」

ダル「うほっ!これは友情を超えた何かが舞い降りる予感…」

紅莉栖「んなわけあるか、このHENTAI」

冬馬(ば、バレてねえよな…?俺がキラリちゃんのフィギュアを持ってることもバレてねえよな…?)

フェイリス「凶真ー!」ダキッ

岡部「ぬおっ!?は、離れんかフェイリス!」

ダル「おほっ!フェイリスたんだお!こんなところで会えるなんて、なんという僥倖!」

フェイリス「ニャニャ!よく見ればダルニャンもクーニャンも…そっちのかっこいいお兄さんたちはどちらさまかニャ?」

北斗「はは、うれしいなあ!俺は伊集院北斗、今度俺の店に遊びに来てね☆」

フェイリス「ニャら、ホクニャンもフェイリスのお店に遊びに来るニャ!」

岡部「おい北斗、店はもうやめると約束したではないか」

北斗「そういえばそうだった、残念」

フェイリス「こっちのお兄さんはなんていう名前なのかニャ?」

冬馬「ああ!?俺は今それどころじゃ…」

冬馬「フェ、フェイリスさんだぁー!!」ズザー

岡部「え?」

ダル「え?」

北斗「え?」

紅莉栖「え?」

冬馬「メイクイーンニャンニャンのNo.1メイドにして雷ネットABの影の最高実力者…」

冬馬「フェイリス・ニャンニャンさんですよね!?俺ファンなんです!!」

フェイリス「ニャニャ~♪フェイリスもけっこう有名になったもんだニャ~」

冬馬「本物だ!すっげぇ!やっぱ東京はすご……」

冬馬「い…」

他のメンバー「……」

冬馬「……」

冬馬「…どうだった?俺の演技は」

岡部「ウェイウェイウェイウェイ」

ダル「これにはさすがのオカリンもツッコまざるを得ない」


chapter 2 『思春期のアパシー』

ダル「なるほど、もともと雷ネットのマンガとアニメが好きで」

紅莉栖「そこから雷ネットABに興味を持ち始めて」

岡部「その道の第一人者であるフェイリスにたどりついた…と」

冬馬「そ、そうだ!決してメイドとかに興味があったわけじゃねぇからな!」

北斗「その割にはフェイリスちゃんのこと、そういう目で見てた気がするけどなぁ」

冬馬「んなっ…!テメェ勝手なことを…!」

フェイリス「そんニャこと言わないでほしいニャ~冬馬~」ギュッ

冬馬「あ…///」

岡部(これは違うところから入ったものの、今はメイドの方に興味津々のパターンだな)

ダル(典型的なアニオタのパターンだお)

紅莉栖(冬馬と凶真って響きが似てるわね…)

岡部「ところでフェイリスよ、こんなところで何をしているのだ?」

フェイリス「ニャニャ!今日はお仕事が休みだから、雷ネットの大会を見に来たニャ!」

ダル「まゆ氏も休みだったしなあ」

フェイリス「次の聖戦(ラグナロック)を戦い抜くためにフェイリスは次代の才能を…」

岡部「待て待て!今はそういう話はいらんのだ!」

フェイリス「ノリが悪いニャ~凶真♪」ダキッ

岡部「ええい!離れんかぁ!」

紅莉栖「……む」

北斗(…おや?)

冬馬(あーやっぱフェイリスさん可愛いなあ…やべえなあ…)

フェイリス「凶真達こそ、なんでこんなところにいるニャ?」

岡部「ああ、実はな…」


フェイリス「ニャるほど…死神ハーデスに立ち向かうために3人の勇者を集めてる最中だったニャんて…」

岡部「もう面倒くさいからそれで構わん…それで誰か見込みのある人材はいないかと思ってな」

フェイリス「う~ん、フェイリスは観客席から試合を見てたんニャけど」

フェイリス「目の付けどころがすごい少年が横にいたニャ」

岡部「…ほう?」

フェイリス「『そこでウィルスカード出しちゃバレバレだよ』とか、『次の一手はフェイクでしょ』とか」

フェイリス「あれはきっと第三の目を持つ一族の生き残りニャ、そうに違いないニャ」

岡部「それはその……独り言だったのか?」

フェイリス「そうニャ?見た感じ一人で来てるみたいだったし」

岡部「そうか……うむ…」

冬馬(なあなあ、なんで凶真はちょっと恥ずかしそうな顔してるんだ?)

紅莉栖(同族嫌悪ってやつよ)

冬馬(?)

北斗「でもその少年がどこにいるのか分からなかったら何の意味も…」

ナンダオメーコラァ! ナマイッテンジャネエゾコラァ! ガイア!ガイアァ!

岡部「…あっちの方が騒がしいな」

フェイリス「ニャ!あの囲まれてる少年…さっきの第三の目を持つ少年ニャ!」

岡部「…行くぞ、場合によっては加勢せねばならん」

岡部(……なんだか嫌な予感がする)

翔太「だからー、さっきの試合でマズかったところをアドバイスしに来ただけじゃん」

男1「あぁ!?オメェ4℃さんに生意気な口叩いてんじゃねぇぞ!」

男2「4℃さんは普段の30%で戦ってたんだよ!そんなことも分かんねェのかぁ!?」

4℃「お前ら、もう下がれ」

男1「で、でも4℃さん…!」

4℃「いいから下がれ…俺の絶対零度で二度と地に足つけられなくしてやろうか?」

男1「す、すんません!」

男2「ヒュウ…!さすがだぜ4℃さん…!」

翔太「もう茶番はいいかなー?僕、次の予定が入ってるんだけど」

4℃「クク…俺たちにケンカ売っといて、ただで帰れると思うなよ?」

4℃「そんな考えはカフェオレよりも甘い…言うなれば黒糖そのもの…」

4℃「そんなやつには俺の絶対断罪(アブソリュート・ジャッジメント)を…」

4℃「食らわせてやるよっ!!」ビュッ

翔太「!!」


岡部「おいお前ら!相手は年端もいかぬ少年…!」

岡部「…!」

紅莉栖「す、すごい…!相手の攻撃を全部かわしてる…!」

ダル「見える…見えるぞ!状態ですねわかります」

冬馬「バク転まで…すげえ運動能力だ…」


翔太「ほらほら、もう終わり?」

4℃「くそっ…舐めやがって…!」

4℃「お前ら!取り囲め!」

男1「ええっ!?さっきは手を出すなって言ったのに!」

男2「こまけぇこたぁいいんだよ!」

ザザザッ

翔太「…あはは、さすがにこれはやばいかも…」

4℃「…ふっ、これが俺の必殺技…」

4℃「エターナルフォースブリザ

北斗「ずいぶんとでかい顔してるじゃないか、功一」

4℃「…俺の必殺技詠唱を邪魔するとは、ずいぶんと不届きな輩もいたもんだ…って」

4℃「ほ、北斗さん!?」

北斗「この場は俺が取り持つ、お前はさっさと帰れ」

4℃「で、でも…」

北斗「帰れ」

4℃「お、お前ら!帰るぞ!ガイアが俺にそう囁いてんだ!」

男1「嘘…私の上司クソすぎ…?」

男2「それでもついていきますよ4℃さーん!待ってー!」

タッタッタ…

北斗「チャオ☆」

翔太「…別に助けてくれなくても良かったのに」

北斗「その割には足が震えてたぜ、少年」

翔太「うるさいなあ」

岡部「お、おい北斗!お前一体…!」

北斗「気にしないでくれよ岡部さん、人ってのはどんなところでつながってるのか分からないってだけさ」

岡部(こんなこと、今までの世界線では有り得なかったが…これもシュタインズ・ゲートの選択か…)

ダル「オカリン、そんなことよりこの子誘わなくていいん?」

岡部「おっとそうだった…して少年よ、貴様名前をなんという」

翔太「御手洗翔太だけど…オジサンたちはなんなの?」

岡部「オジ…ッ!いいかよく聞けぇ!俺は狂気のむわっど(ry」

紅莉栖「こいつは岡部倫太郎、私は牧瀬紅莉栖、それでこっちが橋田至」

フェイリス「フェイリスはフェイリスニャン!」

岡部「うぐっ…!それでこっちは天ケ瀬冬馬に伊集院北斗だっ!」

翔太(なんだこの濃いメンツ)

翔太「……ふーん、それで僕をアイドルにスカウトしに来たわけ」

岡部「ああそうだ、だが無理強いはせん」

翔太「でもめんどくさそうだしなあ」

冬馬「…そんなこと言って、怖いだけだろ」

翔太「…ん?今なんか言った?」

冬馬「逃げてるだけだって言ったんだよ、クソガキ!」

翔太「お兄さん、いくら僕が年下でも言いすぎじゃない?」

ダル「殴り合いから始まる友情もある…いいぞもっとやれ」

紅莉栖「い、いいの岡部!?このままじゃホントにケンカしちゃうわよ!?」

岡部「……お前らこっちを見ろぉぉぉ!!」

岡部「鳳凰院凶真!バク転やります!」

全員「!?」

岡部「……」スゥハァ

岡部「ぬぅんっ!!」バッ

岡部「いって」ドシン

岡部「……」スッ パンパン

岡部「どぅおうだっ!!」ブワサッ!!

冬馬「……はあ?」

翔太「え?」

紅莉栖「…まったく出来てないじゃないのよ!」

ダル「さすがにこれは僕でも擁護できないレベル」

冬馬「一体なにがしてぇんだよ凶真!バカにしてんだったらお前も…」

岡部「気付いたか冬馬!そして翔太!」

翔太「!?」

岡部「俺はバク転ができない、翔太はできる…」

岡部「ならば翔太はアイドルをやるべきであろう!違うか!」

冬馬「!!」

フェイリス(その理屈はちょっとフェイリスにも分からないニャン)

岡部「バク転ができるほどの身体能力、そして雷ネットABでフェイリスを唸らせるほどの思考と洞察力…」

岡部「日々に退屈しているならアイドルになれ!俺についてこい!」

岡部「違う世界をお前に見せてやる!!!」

翔太「!!」

紅莉栖(なんかよく分からないけど説得力は無駄にあったわね…)

翔太「…岡部さん、それ本気?」

岡部「ああ本気だ、俺は嘘はつかん」

翔太「……じゃあ、やってみるよアイドル」

岡部「な、なにっ!?本当か翔太!」

翔太「ただし!」

翔太「退屈させたら、承知しないからねっ!」

ダル「わがまま年下ショタ…ありだな」

紅莉栖「無いわよHENTAI」

岡部「よぉーし!これで3人揃った!!」

岡部「明日からこの鳳凰院凶真の本格的なプロデュースが始まるのだ!フゥーハハハハハ!!」

-夜、未来ガジェット研究所-

岡部(…さて、今日は他のラボメンや冬馬たちもすでに帰った)

岡部(明日からはプロデュースをしていくわけだが…)

ダカライマーイチビョウゴトニー

岡部(……む?メール…冬馬からか)


from:冬馬
sub:今日はありがとな

今日はメンバー集めしてくれてありがとう。感謝してるぜ。
明日からはいよいよ俺のアイドル活動が始まると思うと、夜も眠れねえぜ!
…でも、他のメンバーについては俺はまだ認めてねえ。
凶真の判断ならそれに従うけどよ…うまくいくとは思えねえんだ。今のところ。
……愚痴みたいになってすまねえな。それじゃまた明日。


岡部「……」

>>79
1.「アイドル活動」について返信する 2.「他のメンバー」について返信する 3.返信しない

2


sub:案ずることは無い

まだ初日だ、他の2人のことを完全に受け入れろという方が無理な話だ。
俺ですらダルと気まずくなくなるまで3日はかかった…。
しかしひとつだけ覚えておけ。
貴様が相手を嫌ううちは、相手も貴様のことを嫌っている…とな。
俺の祖母が言っていた言葉だ。
今日はしっかり休め。エル・プサイ・コングルゥ。


岡部(…さて、明日は朝9時にラボ集合となっている…俺はこのまま泊まるとしよう)

岡部(メンバーは集まった、次は戦略か…)

岡部(……こんなときタイムリープが使えたら、楽なのだろうが)

岡部(俺は今を生きる、それが俺の選択だ)

岡部(…さて、寝るか)

chapter 2 『思春期のアパシー』 END

-翌日、未来ガジェット研究所-

岡部「うむ、おはよう諸君」

冬馬「おう!朝から絶好調だぜ!」

北斗「若いなあ…俺はさっきまで仕事だったから眠くて仕方ないよ…」

翔太「さすがにいきなり仕事辞めるってのはできないよねー」

岡部「む、そうか…だがそんなことはどうでも良い」

岡部「今日はこの紙に書いてあることをしてもらう」ピラッ

冬馬「こ、これは…」

岡部「そう……」


岡部「【人間性をも凌駕する限界突破(レッスン)】だ…っ!」


chapter 3 『急転直下のブレイクダウン』

岡部「違う違ぁう!冬馬はそこのステップが甘いとさっきから言っておろうが!」

冬馬「はぁ…はぁ…!そ、そんなに言うなら、凶真が手本見せてみろよ!」

岡部「違うな、間違っているぞ冬馬よ」

冬馬「なんだと…!」

岡部「ならば貴様は宮崎ハヤオしかアニメ映画の批判をしてはいけないと思うのか?」

冬馬「!」

岡部「野球の批判をするのはイティロー、ファッションの批判をするのはトップモデルしか許されないのならば…」

岡部「批評家や解説者という職業がなぜ成り立っているのだ、冬馬よ!」

冬馬「た、確かにその通りだ…!」

翔太(冬馬くんチョロすぎでしょ)

岡部「すなわち必ずしもその道で結果を残した者でなくとも、精通していれば批評することは可能だということだ」

岡部「俺は貴様らのプロデューサー…ならばレッスンにおいて口出しするのも当然であろう?」

冬馬「…すまねえ凶真!俺、どうかしてたみたいだ!」

北斗(と言っても、普通はダンスコーチが指導するもんだと思うけど)

北斗(…ま、俺はこのレッスンですら足がガクガクなんだけどね…)

岡部「よーし、それではレッスンの続きを…」

バタバタバタバタ…

冬馬「ん?下から誰か来たみたいだぞ」

岡部(あ、やべっ)

ガチャ バターン!!

天王寺「岡部ェ!てめぇまた怪しい実験でもしてんのかコラァ!!」

岡部「Mr.ブラウン、これにはわけがあってですね…」

天王寺「わけだぁ?そんなもん知るか、また家賃上げるぞ!?」

岡部「それは困る」

天王寺「…ん?なんだそっちの男たちは…新しいラボメンってやつか?」

岡部「ああ、この者たちはですね…」


天王寺「…おめぇがアイドルのプロデューサー?変わった社長さんもいたもんだな」

岡部「俺の秘められた力を、彼が見抜いただけのことですよ」

天王寺「ま、なんでもいいけどよ…次うるさくしたら出てってもらうからな?覚悟しとけよ」

岡部「…肝に銘じておきます」

岡部「…ふぅ、帰ったか」

3人「……」

岡部「……なんだ、その目は」

冬馬「…いや、なんでもねぇ」

翔太「オカリンかっこわるーい」

岡部「んなっ…!オカリンではない!鳳凰院凶真だっ!」

翔太「いーじゃん、ダルさんも言ってたし!」

北斗「それにしても…ここじゃダンスレッスンは出来ないな」

岡部「うむ…うるさくしてはいけないからボーカルレッスンも出来ないし…」

岡部「……」

岡部「…ビジュアルレッスンしかないか」

萌郁「……それで、なんで私」

岡部「お前しかおらんのだ閃光の指圧師よ、アイドルには女子目線の意見も大事なのだ!」

萌郁「…女子目線?」

岡部「うむ!どうしても俺だけでは偏った意見になってしまう…まあ、それでも売れることには違わんのだが…」

岡部「より確実に人気を得るために、女子の意見が必要なのだ閃光の指圧師よ!」

萌郁「……」カチカチカチカチ ピロリン

岡部「む?貴様またメールで会話を…」パカッ

『今度新しいケータイ買うのに付き合ってくれたら引き受けてあげる(*^_^*)』

岡部「…」

岡部「……考えておこう」

萌郁「……♪」

岡部「Mr.ブラウンが配達に行っている間だけだからな…時間は限られている」

岡部「自分なりにアピールをし、指圧師の意見を参考にするのだ!!」

冬馬「よし!まずは俺からだな!」


冬馬「…俺のパフォーマンスに酔いしれろ!愚民共!」バッ

冬馬「ついて来れなくなっても…知らないぜ?」フワサァ…


冬馬「どうだっ!」

岡部(うわぁ)

翔太(うわぁ)

北斗(うわぁ)

萌郁「……」カチカチカチ

萌郁「……」スッ

冬馬「ん?なになに…」


『ちょっと怖いカモ…(;一_一)

 男の子は分からないけど、女の子は今のじゃ全然キュン☆としないぞ?』


冬馬「んぐっ…!べ、別に俺は女に受けたくてアイドルやるわけじゃ…!」

岡部「そういうわけにいかんのは分かっているだろう、冬馬よ」

冬馬「…くそっ!」

北斗「それじゃ次は俺かな…行きますよ、指圧師さん」ニコッ

萌郁「……」ギュッ

岡部「おい、無言で袖口をつかむな」

北斗「チャオ☆北斗です!」

北斗「今日は俺と一緒に楽しんでくれよ、子猫ちゃんたち?」


岡部「ふむ…」

冬馬(俺とあんまり変わんねえじゃねえか…)

萌郁「……」カチカチ スッ


『キャラにも合っててイイカンジだとは思うけど…

 おとなしい女の子はちょっと引いちゃうかも?(>_<)』


北斗「なるほどねぇ…店では比較的明るい女の子ばっかり相手にしてたからなぁ」

翔太「次は僕だね!」

翔太「えへへっお姉さん!今日は楽しんでいってね!」

翔太「僕のダンス、見ていってくれると嬉しいな?」


岡部「ほう…」

萌郁「……」カチカチ スッ


『うん!3人の中で一番アイドルっぽいと思う!(^O^)

 あとは笑顔がもっと自然だったらカンペキかな?』


翔太「うーん、やっぱり作り笑顔ってバレちゃうよねー」

北斗「なんなら俺の店で働くかい?」

翔太「年齢的にもお断りしまーす」

冬馬「……」

岡部「ふむ、これならビジュアルに関しては俺が口出しせずとも…」

冬馬「…ちっ、なんだよ」

岡部「…む?どうした冬馬よ」

冬馬「アイドルだからって女に媚びて…みっともねえと思わねえのか」

北斗「……冬馬くん、自分が低評価だったからって拗ねてるのかい?」

冬馬「…っ!北斗、てめえ!!」

岡部「冬馬、うるさくするなら出ていけ。さっき注意されたばかりであろうが」

冬馬「…!…くそっ!」

ズカズカズカ ガチャバタン!!

翔太「…なんだあれ」

岡部「……」

岡部「…すまんな、今日のレッスンはこれで終わりにしよう」

北斗「まだ午前中なのに、いいのかい?」

岡部「構わん…それに、メンバーが揃ってないのにレッスンを続けても意味が無かろう」

翔太「ま、僕はどっちでもいいけど!北斗くん、このあとご飯食べに行かない?」

北斗「いや、少し眠いんでね…今日はまっすぐ帰らせてもらうよ」

翔太「…んー、そっか分かった」

岡部「指圧師もすまなかったな、時間をとらせて」

萌郁「別に…いい…」

岡部「そうか」

萌郁「…岡部くん」

岡部「む?」

萌郁「このあと…頑張って」

岡部「……うむ」

-公園-

冬馬「くそっ!なんだよアイツら…俺のどこがおかしいって言うんだ!」

冬馬(……ちくしょう)

岡部「こんなところで何をしている、冬馬よ」

冬馬「!?」

岡部「まあこのあたりで逃げ込むと言えばこの公園しか無いからな、ある意味計算通りというわけだ」

冬馬「…なにしに来たんだよ」

岡部「隣、座るぞ?」

冬馬「……」

岡部「…悔しいか?」

冬馬「…!!」

岡部「それはそうだろう、今まで努力してきた自分を尻目に他の連中が評価されているのだからな」

冬馬「俺はそんなこと一言も…!」

岡部「昔話をしよう」

冬馬「…?」

岡部「俺の知り合いに、ある天才がいた」

岡部「そいつは生意気で、高飛車で…そのくせ才能は俺よりあるもんだから、最初はどうも気に入らなかった」

岡部「今だからこそ言えるが、あれは嫉妬から来る逆恨みだろうな…自分でも情けないと思う」

冬馬「……」

岡部「…だがな、ある日気づいたんだ」

岡部「いつの間にか、そいつのことを目で追っている自分に」

岡部「次は何を言うのか、どんなアイデアで俺を驚嘆させてくれるのか」

岡部「ワクワクしていたんだよ、そいつの言動に」

冬馬「凶真、それって…」

岡部「…俺が困っているときにはいつもあいつが傍にいてくれた」

岡部「あいつの才能に、俺が何度助けられたか分からない」

岡部「もしかしたら、今のお前には北斗と翔太がうとましく思えるかもしれない」

岡部「…だがな、それは違う」

岡部「お前も薄々気づいているはずだ、それは憎悪ではなく、嫉妬の感情だということに」

冬馬「…!!」

岡部「視点を変えろ、目の前のことをすべて受け入れろ、自分の糧にしろ」

岡部「でなければお前という人間は、ここで永遠に留まることになる」

岡部「…今日のレッスンはもう終わりにした、お前も遅くならないうちに…」

冬馬「……なあ、凶真」

岡部「む、どうした」

冬馬「ひとつ、聞きたいことがあるんだけどよ」

岡部「ダンス以外のことならなんでも答えてやろう」

冬馬「…さっきの“天才”って、助手さんのことなのか?」

岡部「…ふむ、どうだろうな」

岡部「なぜなら、それは―――」


「―――別の世界線の、話だからな」

ご飯たべてきます

-翌日、未来ガジェット研究所-

翔太「遅いねー冬馬くん」

北斗「昨日あんなことがあったから、顔を出しにくいんじゃないか?」

岡部(…さて、今日は冬馬がどう出るか)

ガチャ バタン

冬馬「すまねえ!遅くなった!」

岡部「……」

翔太「あ、来た」

北斗「へえ」

冬馬「……」

冬馬「…昨日はすまなかった!!」バッ

北斗・翔太「!?」

冬馬「確かに俺のアピールはアイドルとしては間違ってたと思う…」

冬馬「それを否定されたからって、あそこで飛び出しちゃあ俺がガキなだけだ!」

冬馬「…だからこうやって恥を忍んで頭を下げる!」

冬馬「俺にも正しいアピールを教えてくれ!頼む!」

北斗「!!」

翔太「…ぼ、僕は構わないけど」

岡部(…北斗はどうする…?)

北斗「…なあ、冬馬くん」

冬馬「……」

北斗「昨日、あんなカッコ悪いことしといてよくそんなお願いできるね?」

冬馬「……!!」

翔太「ほ、北斗くん!」

冬馬「…ああ、カッコ悪いことは百も承知だ」

冬馬「だからカッコ良いアピールを教えてくれって頼んでんだ!!違うか!?」

北斗「…!!」

冬馬「だから、頼む…俺の夢は、こんなところで終わらせるわけにはいかねえんだ…っ!」

北斗「……」

北斗「…やれやれ、そんなに頭を地面に擦りつけられちゃ、断れないだろ」

冬馬「ほ、本当か!?」

北斗「ただし、元ホストの指導は甘くないぞ?」

冬馬「ああ!なんでもかかってこいよ!」

翔太「…あはは、調子いいんだから」

岡部「…よし!それでは午前中は各自でレッスンすること!」

翔太「え?オカリンも一緒にするんじゃないの?」

岡部「俺は俺でやることがあるのでな…冬馬、ちゃんとレッスンするのだぞ?」

冬馬「ああ!当然、だぜ!」

北斗「よーし、それじゃ昨日の反省点だけど…104点ある」

冬馬「んだとぉっ!?」


岡部(…うむ、ユニットとしてのバランスは徐々に取れてきたようだ)

岡部(だが、それも冬馬の問題が解決したに過ぎん)

岡部(過去に謎多き男、北斗…つかみどころの無い少年、翔太…)

岡部(……俺の仕事は、まだまだ終わらないようだ)

ダカライマーイチビョウゴトニー

岡部(む?メール…誰からだ…?)

岡部(……黒井社長、だと…)ピッ


from:Mr.ブラック
sub:ウィ。私だ。

冬馬の調子はどうだね?
報告によると、新しいメンバーが2人加入したそうだな。
北斗と翔太と言ったか。
プロデュースに関しては貴様に任せているが…
何か困ったことがあったら連絡するといい。
なんといっても、私はセレブだからな!
それでは。アデュー!


岡部「……」

>>143
1.「新しいメンバー」について返信する 2.「セレブ」について返信する 3.返信しない

sssp://img.2ch.net/ico/kossorisan.gif
面白いじゃないか

岡部「……」カチカチ


sub:このセレブフィフティが!

困っていると言えば…ラボの資金が多少心もとない感じでしてね…。
援助えおしていただけると助かる…
というのは冗談だ。3人ともどうにか上手くやっている。
数週間後、芸能界は更なる混沌に満ちた空間になっているだろう!
フゥーハハハ!!
ちなみにこの前ののど飴はスーパーで売っているから、セレブといえど買いに行くといい。
エル・プサイ・コングルゥ。アデューとは言わん!


岡部(…これで今日の活動は終わりか)

岡部(明日からは何をするか…)

岡部(……鳳凰院Pの本領発揮と言ったところか)

岡部(クク、楽しみだ…!)

chapter 3 『急転直下のブレイクダウン』 END

-翌日夕方、未来ガジェット研究所-

岡部「…よし、今日のレッスンはこれで終わりだ!!」

冬馬「へっ!この程度、楽勝だぜ!」

翔太「もうちょっとダンスも難しくしちゃっていいんじゃないかな、ねえ北斗くん?」

北斗「ん?あ、ああ…そうだな…」

岡部「…?」

冬馬「それじゃ今日はこれで解散ってことに…」

岡部「いや、お前たちこのあと時間はあるか?」

翔太「僕は何も無いけど…親も今日はいないし」

北斗「俺も以前の仕事はもう辞めたので、ヒマと言えばヒマだよ」

岡部「そうか、それでは……」

岡部「これより貴様たち3人の歓迎会を行ぁうっ!!!!」

-スーパー-

北斗「…で、俺たちに買い出しをさせるわけなのか」

岡部「当然だ!働かざる者食うべからず、だからな!冬馬と翔太には部屋の掃除をさせてある!」

北斗「ははっ、そりゃ最もだ」

岡部「……なあ、北斗よ」

北斗「ん?」

岡部「貴様、なにか悩んでいるのではないか?」

北斗「…何を根拠に」

岡部「鳳凰院凶真の『全てを見透かす邪眼(シースルーアイズ)』があれば造作も無いことだ」

北斗「はは、参ったなぁ…」

北斗「…とりあえず、買い物を済ませようか」


chapter 4 『青春のシンパシー』

-公園-

岡部「ほら、知的飲料だ」

北斗「運動後の疲れた体には嬉しいね」

岡部「冬馬や翔太は疲れていなかったようだが?」

北斗「意地の悪いこと言うなよ…俺だけダンス未経験なんだぜ?」

岡部「…お前、昔は何をやっていたのだ?」

北斗「別に…普通に学生やって、普通に悪さして」

北斗「普通にホストやってただけさ」

岡部「…それを世間では普通と言わないのだがな」

北斗「おや、狂気のマッドサイエンティストさんなら分かってくれると思ってたけどな」

岡部「……4℃達とは昔の知り合いか?」

北斗「ま、そんな感じだよ」

北斗「……昔っから、なにか夢中になれるものなんて無かった」

北斗「幸いなことに女の子からはモテたからね、不自由はしなかったけど」

岡部(リア充爆発…いや、なんだかダルに怒られる気がする)

北斗「女の子口説いて、デートして…」

北斗「結局何も残らないんだよな、そのあともさ」

岡部「だから冬馬がうらやましかった、と」

北斗「……怖いなあ、鳳凰院さんは」

岡部「あいつはアイドルになるために東京へ来た…そりゃあやる気も他人とは違うだろうさ」

北斗「…初めて冬馬くんを見たときさ、なんだこいつって思ったけど」

北斗「すごくキラキラしてたんだ、彼」

岡部「……」

北斗「やりたいことやれるってのはすごい、だけど俺は…」

岡部「言いたいことはそれだけか?」

北斗「……」

岡部「やりたいことなど今から探せばいい、それは何も恥ずかしいことではない」

岡部「みっともないくらい足掻いて足掻いて、足掻き通せば良いではないか」

北斗「…でも俺は年齢が」

岡部「年齢ごときで悩むな、ラボメンには社会人もいれば高校生もいる」

岡部「正確にはラボメンではないが、ブラウン管工房には小学生だっている」

岡部「なんならまだ生まれてないやつだっている!」

北斗「…?」

岡部「せっかくユニットを組んでいるのだ、冬馬や翔太とももっと歩み寄るがいい」

岡部「それが仲間というものだろう」

北斗「…!」

岡部「なんなら俺に相談したって…」

北斗「…はは、岡部くんってモテるだろ?」

岡部「んな?そんなことは無い、ラボメンのやつらは俺を便利な道具としか思っておらんからな」

北斗「どうだか」

岡部「…まあいい、戻るぞ」

北斗「ああ分かったよ、凶真」

岡部「む?お前今…」

北斗「ほらほら、せっかく買ったアイスが溶けちゃうぜ!」

岡部「あ、おい!」

-未来ガジェット研究所-

冬馬「甘いぜ翔太!俺のターン!ここでウイルスカードを起動!」

翔太「そっちこそ甘いよ冬馬くん!僕は伏せておいた特殊ターミナルカードを起動!」

ダル「うほー!翔太きゅんの先読み流石だお!」

フェイリス「あそこですでに伏線を張っておいたとは…ショーニャン恐るべしニャン!」

岡部「おいお前ら」

翔太「ん?ああオカリンおかえりーん!」

まゆり「おー!翔太くんさっそく使ってくれているのです!オカリンおかえりーん♪」

岡部「……」プルプルプル

岡部「掃除と準備はどうしたのだお前らぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「うるせぇぞ岡部ェ!!!」

岡部「あっすんません」

紅莉栖「せっかく楽しんでたんだから固いこと言うなよな、岡部」

岡部「ならん!こういうことは節度が大切なのだ!」

紅莉栖「それが狂気のマッドサイエンティスト(笑)の言うことかしら?」

岡部「それとこれとは別だ!チリトリを持てぃ助手よ!」

紅莉栖「はいはい」


冬馬「……」

ダル「どしたの冬馬くん」

冬馬「…なあ、凶真と助手さんって付き合ってんのか?」

ダル「それ本人に言ってみ?多分壁殴り代行を頼まざるを得なくなるお」

冬馬「……」

しえん

岡部「…それでは第297回円卓会議を始める!!」

紅莉栖「素直に歓迎パーティって言いなさいよね」

岡部「ええいうるさい!こういうのは雰囲気が大事なのだ!」

岡部「まずはルカ子、フェイリス!今日のために料理を作ってくれて、本当に感謝している!本当にだ!」

紅莉栖「こっちみんな」

るか「こ、こんなことでよかったらいくらでも…」

フェイリス「今日はオムライス無いけど許してニャン!」

岡部「そして指圧師!Mr.ブラウンへの説得は貴様の活躍が無ければ達成できなかった!」

萌郁「……」グッ

岡部「まゆりはイベント間近で忙しいのによく参加してくれた!」

まゆり「トゥットゥル~♪こんな楽しそうなこと無視できないよ~」

岡部「そしてダルよ!今日のための連絡係はお前でなければ務まらなかった!」

ダル「おまいらのためだお!言わせんな恥ずかしい!」

岡部「さあそれでは宴の始まりだ!」

紅莉栖「おい」

岡部「皆の者グラスを持て!」

紅莉栖「おい私は」

岡部「ラボメン及び冬馬、北斗、翔太の今後の活躍を祈念して…」

紅莉栖「岡部!」

岡部「くわぁんぷわぁぁぁぁいっっ!!!」

全員「かんぱーい!!」

紅莉栖「あーもうかんぱーい!!」

72しえん

アハハ… ルカシ、イマノセリフモウイチドイッテミテ イワセンナHENTAI!!

冬馬「…なあ凶真、ちょっといいか?」

岡部「む、どうした冬馬」

冬馬「……その」

冬馬「…ありがとな、今日はすげえ楽しかった」

岡部「うむ…まあ俺たちは普段からこんなことばっかりしているからな」

冬馬「へへ、うらやましいぜ!そういうの」

岡部「…お前はアイドルになるために単身上京してきたのだったな」

冬馬「ああ…でも後悔はしてないぜ!」

冬馬「ここまで来た以上、一人ででも絶対にトップアイドルになってやるって決めたんだからよ!」

岡部「ふむ、そうか」

岡部「だが、仲間は多いにこしたことは無い」

冬馬「は?」

岡部「ふぉうおういん凶真が命じる!冬馬よ!外に行って涼んで来い!」ドンッ

冬馬「え?あ、おい!」


-ブラウン管工房前-

冬馬「なんだよ凶真のやつ…別に暑くなんて…」

冬馬「……!」

北斗「…チャオ」

冬馬「……なんだよそりゃ」

北斗「ま、隣座れよ」

冬馬「……」

北斗「…ごめんな、最近」

冬馬「あ?」

北斗「ダンスレッスンに付いていけてないの…俺だけだからさ」

冬馬「ああ、そのことか」

北斗「……でも、俺もこれから」

冬馬「気にしてねえよ、んなもん」

北斗「…え?」

冬馬「ダンス経験も無いうえに今までホスト生活だろ?そりゃ体だって動くわけねぇだろ」

北斗「だけど…」

冬馬「俺だって最初から踊れたわけじゃねえ、努力したから踊れるようになったんだ」

北斗「……」

冬馬「今はちょっとズレてるかもしれねえけど…いつかはお前よりもアピールもうまくなって、ダンスも翔太よりうまくなって」

冬馬「トップアイドルになる、それが俺の夢だ」

北斗「…!」

冬馬「だから今はどんだけカッコ悪くてもよ…手段はなんだっていい、努力しまくってやるさ」

冬馬「足掻いて足掻いて…最終的に勝てば俺が正義なんだからよ」

北斗「……ああ、そうだな、そうだよ」

冬馬「お前もこんなところで油売ってねえで上がってこいよ、今ルカ子さんのファッションショーやってるぜ?」

北斗「ああ、それもいいが…」

冬馬「?」

北斗「雷ネットABのルール、教えろよ冬馬」

冬馬「…へへっ!俺のコーチは厳しいぜ?」

しえん

-屋上-

翔太「…だから友達の家だって」

翔太「さっきも言ったでしょ!?晩ごはんいらないって!」

翔太「…学校のことは今は関係無いだろ!?」

翔太「もういい!今日は家帰らないから!」ピッ

翔太「……はぁ」

ブーッ ブーッ

翔太「!!…って、携帯のバイブか…萌郁さん?」パカッ

『もう電話終わった?』

翔太「……終わりましたよ、っと」カチカチ ピロリン

ガチャ ギィーバタン

萌郁「……」

翔太「…どしたの?夕涼み?」

萌郁「……綯ちゃんと、電話…」

翔太「綯ちゃんって…ああ、下のオジサンの子供か」

萌郁「……」コクリ

翔太「でもどうして電話?せっかくパーティしてるんだから、連絡ならメールでいいじゃん」

萌郁「…しゃべる、練習…」

翔太「へ?」

萌郁「私…人と話すの苦手、だから…」

翔太「…ああ、それで綯ちゃんが練習に付き合ってくれてるってわけ?」

萌郁「……」コクリ

翔太「ふーん…」

萌郁「…さっきの電話、お母さん…?」

翔太「……聞いてたんだ?」

萌郁「……ごめん」

翔太「僕も大きな声で話してたから仕方ないよ…うん、お母さん」

萌郁「…そう……」

翔太「まだ帰らないのか、学校はどうしたって…うるさいんだよ」

萌郁「学校、行ってないの…?」

翔太「…まあね、行っても面白くないし」

萌郁「……それは、どうして…?」

翔太「萌郁さん、けっこうガツガツ来るんだね」

萌郁「……」

翔太「…僕さ、学校ではけっこう頭いい方なんだ」

翔太「テストもそうだし、口喧嘩とかじゃ負けたことない」

翔太「そんでダンスもずっと習ってたから、運動神経もいいんだよね」

翔太「…そしたら何があったと思う?」

萌郁「……」

翔太「いじめだよいじめ、嫉妬したやつらのさ」

萌郁「そう…」

翔太「あれ、驚かないんだ」

萌郁「…私も、似たようなものだったから…」

翔太「……そっか」

翔太「…だから、同年代のやつらとの人付き合いなんてめんどくさいんだ」

翔太「期待されたことをやってみても、それで嫉妬されるんだよ?」

翔太「ここのみんなは大人だけあって、楽しいからさ…いっそここにずっと…」

萌郁「……」カチカチカチ スッ

翔太「……?」

『それは逃げてるだけ。何も変わってない』

翔太「……!!」

『結局、自分から動かないと何も変わらない。人から言われたことをやるだけじゃ意味が無い。

 私は、それを知っているから』

翔太「…萌郁さんに僕の何が…っ!」

萌郁「……」カチカチカチカチ

『私には翔太くんのことは分からない。会ってまだ数日だもの。

 でも、ダンスを踊ってるとき、今日のパーティのとき。

 翔太くんはすごく楽しそうだった』

翔太「!!」

『人間は、歩み寄ろうとしなきゃ絶対に近づけない。

 人付き合いがめんどくさい、怖いなんていうのはみんな一緒。

 でも、そこで一歩動かなきゃ何も変わらない』

萌郁「……」スッ

萌郁「…私も、その一歩を踏み出してる途中」

翔太「……」

萌郁「……学校の友達とは、すぐには仲直りできないと思う」

萌郁「でも、お母さんとは…」

萌郁「…翔太くんの気持ちひとつで、一歩近づくことはできると思う…」

翔太「……」

萌郁「……大事なことは、口に出して伝えたいもの」

翔太「!!」

萌郁「…だから…よかったら親孝行するってことも、考えてほしい……」

萌郁「出来ないって気付いたとき…」

萌郁「……それはちょっと、悲しいから」

翔太「……親、孝行…」

萌郁「…それじゃ私、やっぱり下で電話してくるから……」

翔太「ねえ萌郁さん」

萌郁「…?」

翔太「良かったら今度、遊びに誘ってもいい?」

萌郁「……」カチカチカチ スッ

『女の子は、押し倒してキスするくらいの強引さを求めているんだぞ☆(^_-)-☆』

翔太「…あはは、それはさすがに無理かなあ」

萌郁「……それじゃ」

翔太「……」

翔太「……」スッ ピ、ピピッ

翔太「…あ、お母さん?…うん、翔太だけどさ…」

岡部(…大盛り上がりのまま、歓迎パーティは終わった)

岡部(ラボメンたちは各々家に帰り…)

岡部(アイドルの3人はこのラボに泊まっていくらしい)

岡部(翔太が家に帰りにくい、と言っていたのが大きな理由だが…)

岡部(明日は何があっても帰らせようと思う、翔太もそれは納得していた)

岡部(それから、冬馬と北斗はともかく、翔太がどこかふっきれていたのが意外だった…何があったのだろうか)

岡部(…まあ、今日のところは俺も家に帰るとしよう)

ダカライマーイチビョウゴトニー

岡部(……む、メールか)

岡部(……送信者は…)

岡部(北斗か)パカッ

  ( ^)   だから♪
  (  ) ̄
(  | |  )

  _(^o^)  今♪
    ( )|
  (  | |  )

       ( ^o)  1秒ー♪
      ̄(  )
   (   //  )

             (o^ )  ごとに~♪
            (  )ヽ
             | | 

..三  \ \  V  /   (o^ ) 三 世界ー♪
 三  \ \  V  / (  )ヽ 三
三   \ \  |  /  / /   三


三  ( ^o) \  V // / /  三  線をー♪
 三/( ) \  V / (o^/   三
三   ヽヽ  \ |  /(  /  三

..三/( )  \  V  /    (o^ ) 三 越ーえてー♪
 三  ヽヽ^o) \ V   /  (  )ヽ 三
三    \  )\ | (o^/  / /   三

岡部「……」


from:北斗
sub:チャオ☆

今日はありがとう。凶真のおかげでどこかスッキリした感じがするよ。
これからは最年長であることを負い目に感じるよりも…
最年長の俺がユニットを引っ張っていけるよう頑張ろうと思う。
なかなか道は厳しそうだけど…
今の俺たちならどうにかなるんじゃないかな?
それじゃ、また。

PS、恋の相談ならいつでものるぜ?


岡部「……」カチカチ


>>209
1.「最年長」について返信する 2.「恋の相談」について返信する 3.返信しない

2

1

sub:チャオとはなんだ?犬の名前か?

この狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真に恋など必要無い…
求めているのは更なる混沌、それだけだ。
貴様も早くダンスをマスターできるよう、頑張るのだな!
それではエル・プサイ・コングルゥ…。

岡部(……)

岡部(…む、今度は翔太か)パカッ

from:翔太
sub:まだ起きてる?

今日はパーティすっごく楽しかったよ!
今は3人で雷ネットABして、おしゃべりして…
こんなに笑ったの久しぶりかもしれない。ありがと!
それでついさっき冬馬くんから言われたんだけど…
最初、冬馬くんは僕に嫉妬してたんだって。ダンスの実力に。
だから初めて会ったときはヒドイこと言ってごめんな、だって!
素直だけど素直じゃないよね、冬馬くんは。
明日は家に帰ってお母さんとご飯食べるつもりです!
それじゃ、おやすみ!


岡部(……)カチカチ

>>216
1.「パーティ」について返信する 2.「冬馬くん」について返信する 3.返信しない

1

sub:パーティではない、円卓会議だ!

俺たちは普段からああいうことをやっているからな…。
貴様も時間が合えば参加するといい。
ちなみに、今日の料理はかなり出来が良い方だ。
助手とまゆりに作らせたら…それはそれはもう…。
今度は俺とダル、そしてお前ら3人で男子会も面白いかもしれないな。
この鳳凰院凶真の闇鍋…期待するがいい!


岡部(ユニットの結束も高まってきた、レッスンも積んできた)

岡部(次は…)

岡部(……オーディション、か)

「あ、おい!そこでリンクカードは卑怯だろ!」「卑怯も何も…俺はルール通りやっただけだぜ?」「あははっ!冬馬くん弱ーい!」

岡部(…今日のところは、ゆっくりとその翼を休めるがいい)

岡部「エル・プサイ・コングルゥ…」

chapter 4 『青春のシンパシー』 END

-後日、未来ガジェット研究所-

岡部「うむ、今日は皆よく集まってくれた」

冬馬「まあ最近はここに集まるのが日課になってるからな!楽勝、だぜ!」

北斗「楽勝ってなんだよ…」

翔太「で、今日は何すんの?レッスンだったら早く…」

岡部「ああ、そのことだが…助手よ、先ほどのホワイトボードをこちらに」

紅莉栖「もう助手についてはツッコまんからな…はい、ホワイトボードよ」

北斗「これは…」

岡部「うむ、ここには向こう数日のオーディションが記されている」

岡部「今日はこの中から、お前たちが受けるオーディションを決めてもらう」

岡部「名付けて…」

岡部「【絶対の狙撃手】作戦(オペレーション・サジタリウス)だ…!!!」

北斗「そのサジなんとかはいいとして…俺たちが選んでいいんですか?」

岡部「ああ、俺が選んでもよかったのだが…少しでもモチベーションを上げてもらおうと思ってな」

翔太「じゃあ、僕はこの『ゴールデンミュージック』がいい!」

冬馬「バッカ!そんなデカイ番組にいきなり…、って、新人枠?」

岡部「ふふ…やはり目の付けどころが違うな、〈第三の目(ザ・サードサイト)〉翔太よ」

岡部「その番組は期間限定で新人枠を設けている」

ダル「だから飛び込みのド新人でも、チャンスがあるってわけ」

岡部「ぐぬぅ…っ!そ、その通りだ…!」

北斗「へぇ…それじゃ、どうせならデカイところいきたいですよね」

岡部「だが、その道は狭く厳しい…修羅の道だぞ?」

冬馬「トーゼン!覚悟の上だぜっ!」

岡部「うむ!よく言った冬馬よ!」

岡部「ならばお前らの当面の目標は、『ゴールデンミュージック』のオーディション合格!!」

岡部「各々努力を怠らぬように!!散!」

冬馬「ところでよ、凶真」

岡部「んがっ…、せっかく恰好良く決まったと言うのに…!」

冬馬「そろそろ俺たちのユニット名を決めたらどうだ?お前ら、って呼ばれるのもアレだしよ」

岡部「ああ、それならすでに考えてある」

翔太「へー!どんなのどんなの!?」

岡部「そうだな…それではユニット名にともなって作戦名も変更するとしよう」

岡部「……芸能界という混沌の闇に、一筋の雷光を轟かす…」

岡部「貴様たちのユニット名、及び作戦名はっ!!」

岡部「【天空の雷光神】作戦(オペレーション・ジュピター)だッ!!!!」


chapter 5 『常勝無敗のジュピター』

冬馬「…よっし!出来たぁ!!」

翔太「おー、ナイスバク転」

紅莉栖「コングラッチュレーション!すごいわ冬馬くん!」

冬馬「そ、そんなことないっすよ助手さん!」

翔太「冬馬くんデレデレしすぎー」

冬馬「バッ…!そんなんじゃねえよ翔太!」

ワイワイ ガヤガヤ

岡部「……冬馬がバク転を成功させたみたいだな」

北斗「…ま、あいつは才能に加えて努力してましたからね、いつかは成功すると思ってましたよ」

ダル「どうする北斗氏、振り付け変える?」

北斗「まさか!最年長がそんなことできませんよ」

岡部「そうか、なら頑張れ」

北斗「了解、鳳凰院プロデューサー」


ダル(なあなあオカリン)

岡部(どうしたダルよ)

ダル(やっぱり北斗氏には無理があるんだって…曲のラストに3人連続バク転なんて)

岡部(だがそれくらい出来ねばあの番組には合格できん、諦めるならそこまでということだ)

ダル(そうだけどさぁ…ま、オカリンがそう言うなら僕は反対しないけど…)

岡部(…ところでダル、この振り付けは誰が考えたのだ?)

ダル(あ?僕のタイムマシンオフ会の友達だお!僕のコミュニケーション能力なめんなマジで!)

岡部(……世界は広いな)

北斗「はぁ…はぁ…」

ダル「…北斗氏、少しくらい休憩しなきゃだぜ」

北斗「……そうだね、ちょっと公園で涼んでくるよ」

ガチャ バタン カツカツカツ

翔太「北斗くん…」

冬馬「……」

紅莉栖「ほら、行ってあげなさい」

冬馬「じょ、助手さん…!で、でも、こんなときに声をかけるのは男として…!」

紅莉栖「こんなときだからこそ、追いかけて行って声をかけてあげるのが仲間よ」

冬馬「!」

紅莉栖「違う?」

冬馬「…だけどよ、どんな声かけたらいいかもわかんねえし…」

岡部「ならば俺に耳を貸せぇい!冬馬、翔太よ!」

翔太「オカリン!」

岡部「いいか?北斗は今、バク転への恐怖を感じている…ならば、バク転への希望を見出させてやるのだ」

冬馬「ど、どうやって…?」

岡部「……決めポーズ、だよ」ニヤリ

紅莉栖「…嫌な予感がする」


-公園-

北斗「……」

北斗(…ま、すぐに出来るとは思ってなかったけど…我ながら情けないなぁ…ははっ)

北斗(……やっぱりダルくんの言う通り、振り付けを変えてもらうしか…)

翔太「北斗くーん!」

北斗「翔太、それに冬馬…!なんでここに…!」

冬馬「凶真から多分ここだろうって聞いたんだ」

北斗「アイツ…妙な気遣いしやがって…」

冬馬「勘違いすんなよ?俺たちが勝手に飛び出してきただけだ」

北斗(…矛盾してるじゃないか、まったく)

翔太「北斗くん!これ見て!!せーの!」バッババッ

北斗「っ!?2人で同時にバク転して…」

北斗「……決めポーズ、だと…!?」

冬馬「楽勝、だぜっ!!!」(恋を始めるポーズ)ズバーンッ!!

しえん

冬馬「凶真考案のこの決めポーズを3人で決めれば、絶対に合格できる!!」(恋を始めるポーズ)

翔太「だからさ!諦めないで頑張ろうよ北斗くん!!」(恋を始めるポーズ)

北斗「お前ら…」(ベンチに座っている)

翔太「わかんないとこがあったら、出来るまで僕達が教えるから!」(恋を始めるポーズ)

冬馬「それが俺たちジュピターだろ!?違うかっ!?」(恋を始めるポーズ)

北斗「……」(ベンチに座っている)

北斗「…分かったよ」スッ(立った)

翔太「!!」(恋を始めるポーズ)

北斗「お前らの求める未来……」(歩いて立ち止まった)

北斗「…こういうことだろっ!?」(恋を始めるポーズ)ズバーンッ!!

冬馬「北斗!!」(恋を始めるポーズ)

しえん(恋を始めるポーズ)

北斗「迷惑かけるかもしれない、もしかしたら最後まで出来ないかもしれない…」(恋を始めるポーズ)

北斗「……それでも、いいのか?」(恋を始めるポーズ)

冬馬「違うな、出来るようにしてやるって言ってんだろうが」(恋を始めるポーズ)

翔太「それが仲間だよ、北斗くん!」(恋を始めるポーズ)

北斗「お前ら……」(恋を始めるポーズ)

冬馬「…よーっし!気合い入れっぞ!961プロー……」(恋を始めるポーズ)

3人「ファイトー!!オー!!!」(恋を始めるポーズ)


綯「ねえお父さん、あれってオカリンおじさんのお友達だよね?」

天王寺「……こりゃあ本気で立ち退きを考えなくちゃなあ…」

-数日後、オーディション会場-

岡部(あれから数日、ジュピターの3人は以前よりも精力的に取り組んでいるようだった)

岡部(なにより、互いが互いを教え合う姿勢が見られるようになった)

岡部(ボーカルは冬馬、ダンスは翔太、ビジュアルは北斗、といったように…)

岡部(ある意味ではスキの無いユニットだと言えるだろう)

岡部(……だが、今度のオーディションではそうも言ってられない)

岡部(結局、北斗は補助有りでしかバク転を決めることが出来なかった)

岡部(…このオーディション、波乱が起こるかもしれ

ダル「オカリンオカリン、早くしないとオーディション始まっちゃうのぜ」

岡部「ええい!人が真面目に決めているときに!」

961社長が空気すぎるウィ

紅莉栖「それにしても、本番と同じ会場でオーディションを行うなんて…豪勢ね」

ダル「このオーディション自体を、短い番組として編集するらしいお」

岡部「まあ俺たちも会場に入れるからラッキーなのだがな」

ダル「他のアイドルも見れるとか…役得にもほどがあるだろ常考」

岡部「プロデューサー特権、というやつだな」

紅莉栖「ほら、そろそろ始まるわよ」

岡部「よし…行くぞ、貴様らッ!!!」ブワサァッ!!

ダル「オカリン、テレビ局でさすがにそれはないわ」

岡部(……ジュピターよ)

岡部(頑張れ…!!)

しえん(恋を始めるポーズ)

冬馬「え、エントリーナンバー4番!ジュピター!961プロ所属です!」

北斗「曲は『恋をはじめよう』」

翔太「一生懸命頑張ります!よろしくお願いします!」

~♪

客A「…ねえねえ、今歌ってる子たちカッコよくない?」

客B「確かに…みんなレベル高いよね」

岡部(つかみは上々…緊張しているようだが、逆に初々しさが出ていて好印象だ)

岡部(…歌も問題無い、今のところダンスも目立ったミスは無い)

岡部(……問題はここからだ)

アーイーシータイ アイシタイ イツモミライデー

岡部(…後半に入った!!)

フタリーナラーバ コーイヲハジーメヨウヨー

翔太「やっ!」バッ

岡部(翔太は問題無い!)

冬馬「はっ!」ババッ

岡部(冬馬も今では完璧にできるようになった!!)

北斗「……!」グッ

岡部(…北斗……!!)

岡部(……頼むっ!跳べっ!!)

岡部(……っ!!)

岡部「跳べよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」

北斗「…たぁっ!」バッ!

>岡部「跳べよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」
クソワロタ
ここで持ってくるか

岡部「……いや、あの、ホントすんませんっした」

ダル「謝って済むなら警察はいらないわけだが」

紅莉栖「…そのツッコミを生で聞くとは思わなかったわ」

ダル「……牧瀬氏、『生で突っ込む』ってもう一回…」

紅莉栖「ぶっとばすぞHENTAI」

岡部「…しかし、まさか叫んだだけで会場から締め出されるとはな」

紅莉栖「当然でしょうが…はぁ、結果もどうなったか分からないし…」

岡部「まあ、結果については心配することもあるまい」

ダル「僕もそう思うお」

紅莉栖「…ま、そこは私も同感だけど」

岡部「それでは先にラボに戻るとしよう、祝勝会の準備だ」

ダル「オーキードーキー」

-未来ガジェット研究所-

ガチャ バタン!!

冬馬「凶真!!やったぜ凶真!!」

翔太「合格したよオカリン!」

岡部「知っている、見ろこのドクペの量を!!」

北斗「あはは、祝勝会ってやつかい?」

紅莉栖「帰り際に買ってきたんだからな、感謝しろよな!」

ダル「荷物ジャンケンに負けた牧瀬氏マジ涙目!!」

冬馬「じょ、助手さんにこの量を持って来させたのか!?おい凶真!」

岡部「うるさい!ジャンケンは何者にも等しく平等なのだ!」

冬馬「指の形が悪くなるから女に重いものを持たせるなって俺のばあちゃんが言ってたんだよ!!」

ダル「古風すぎワロス」

アッハハハ ホクトクンナイスバクテーン! チャオ☆

岡部「今日はご苦労だった、冬馬よ」

冬馬「北斗もバク転決めたしな…次はいよいよ本番、生放送収録だぜ!」

岡部「ああ、その意気だ」

紅莉栖「ふふ、もう岡部は必要無いんじゃないの?」

岡部「む、お前はいつもそういうことを…」

冬馬「……」

冬馬「…あ、あのよ、ちょっと話したいことが…」

ガチャ

まゆり「トゥットゥルー♪まゆしぃです!」

ダル「お!まゆ氏キタコレ!」

冬馬「……ちっ」

しえん

まゆり「ごめんね~、友達の家でコスの打ち合わせしてたら遅くなったのです」

北斗「来てくれるだけでうれしいよ、まゆりちゃん」

まゆり「あ、ほっくん!トゥットゥルー♪」

北斗「トゥットゥルー☆」

岡部「大丈夫なのか?イベントは明日なのだろう?」

まゆり「うん、そのことなんだけど…」

まゆり「明日のイベントはお休みすることにしたのです!」

紅莉栖「…え?なんで?友達が来られなくなったとか?」

まゆり「ううん、そうじゃなくてね…」ガサゴソ

まゆり「じゃーん!ジュピターくん達の新しい衣装でーす!」

冬馬「は?」

まゆり「ホントはるかくんに着てもらうつもりだったんだけど…はい、翔太くんの分!」

翔太「あ、ありがと…?」

まゆり「これはダルくん用のをちょっと改造しました!ほっくんの分!」

北斗「ど、どうも」

まゆり「そして最後はオカリン用のつもりだった…」

まゆり「はい!冬馬くんの分だよー!」

冬馬「お、おう」

岡部「ちょっと待て!イベントはどうした!それに俺用のコスとはどういう意味だまゆりぃ!!」ユサユサ

まゆり「オ~カ~リ~ン~、そ~れ~は~ね~」ガクガク

紅莉栖「まずはその揺するのをやめなさい!」

岡部「…なるほど、元々は俺、ダル、ルカ子に揃いのコスプレをしてもらおうと思っていたが」

ダル「予定変更してジュピターのみんなにプレゼントしたってわけかお…」

岡部「俺たちにはギリギリになって頼みこむつもりだったとは…ズル賢い手段を考えおって!」

まゆり「うん、ごめんね…」

紅莉栖「謝ることは無いわ、まゆり…それよりイベントは大丈夫なの?急に欠席したりして」

まゆり「うん!もともとフリーダムな感じのイベントだったから、飛び込み出席も欠席も問題無いのです!」

紅莉栖「そう、それなら良かったわ」ナデナデ

まゆり「えへへぇ」

岡部「しかし急にこんなコスを渡されてもジュピターの3人も困るであろ…」

岡部「……冬馬?」

冬馬「………俺が、俺たちがイベントに出てやるよ」

全員「!?」

岡部「と、冬馬!?お前何を言って…」

冬馬「だってそうだろ!?まゆしぃちゃんが俺たちのために大事な衣装をプレゼントしてくれたんだ!」

冬馬「だったらその恩義に報いるのがスジってもんだろうが!違うか!?」

ダル「その発想はなかった」

北斗「……やれやれ、お前がそう言うんじゃ仕方ないな」

翔太「トップアイドルになったらこんな楽しそうなこと、出来そうにないしね!」

まゆり「み、みんな…」

岡部「……ええい!ならば次のミッションを伝える!」

岡部「明日のコスプレイベント!ジュピターの3人で大盛況に終わらせろ!」

冬馬「ああ!楽勝、だぜ!」

岡部「作戦名は…【完全なる擬態】作戦(オペレーション・メタモルフォーゼ)だぁっ!!」

紅莉栖「……どうしてこうなった」

-翌日、コスプレイベント会場-

「キャー!カッコイイー!」

「こっち向いてー!」

「チャオー!ちゃちゃちゃ、チャオー!!」

岡部(イベントは大盛況で幕を閉じることとなった)

岡部(それもそのはず、トップアイドルを目指すようなイケメン3人が精巧なコスを着ているのだ)

岡部(世の婦女子の皆さんがこれに盛り上がらないわけがない)

岡部(…しかし、俺の中ではまだ全てが解決したわけではない)

岡部(イベントが終わったあと、冬馬から呼び出されたのだ)

岡部(……果たして、何を言ってくるつもりなのだろうか)

岡部(エル・プサイ・コングルゥ…)

chapter 5 『常勝無敗のジュピター』 END

-夜、ブラウン管工房前-

冬馬「……」

岡部「今日はご苦労だったな、冬馬よ」

冬馬「…凶真」

岡部「どうしたのだ?急に呼び出して」

岡部「もしやこの狂気のマッドプロデューサーに謀反か!?んん!?」

冬馬「……」

岡部「…どうやらふざけている場合ではないようだな」

岡部「……隣、いいか?」

冬馬「…おう」

岡部「……」

冬馬「……」

岡部「……」

冬馬「…プロデューサー、辞めるんだろ?」

岡部「……なんだ、お見通しか」

冬馬「嫌でも分かるぜ…レッスンは俺たち任せ、オーディションすら俺たちに選ばせる」

冬馬「……俺たちだけでもやっていけるように、仕向けてくれたんだろ?」

岡部「…当然だ、俺は狂気のマッドサイエンティストだからな、それに…」

冬馬「それに……?」

岡部「……大学生だからな」

冬馬「…アンタ、大学生だったのかよ」

岡部「……大学の夏休みは長いのだ」

しえん

岡部「用件はそれだけか?」

冬馬「いや…アンタが決めたことなら俺たちは従うだけだよ、別に文句もねぇ」

岡部「ならば一体何を…」

冬馬「…助手さんのことだ」

岡部「!!」

冬馬「この前言ってた“天才”ってのは…助手さんのことなんだろ?」

岡部「…だからそれは前の世界線の話だと」

冬馬「その世界線ってのが何か、俺には分からねえ」

冬馬「…今日はアンタの気持ちを聞かせてもらうぜ、鳳凰院…いや」

冬馬「…岡部倫太郎」

岡部「……」


chapter 6 『偶像崇拝のアイドルマスター』

しえん

岡部「…お前は助手のことが好きなのか?」

冬馬「あれだけ良い女を放っておける方がおかしいぜ」

岡部「意外だな、てっきり女には興味が無いと思っていたのだが」

冬馬「所詮は俺も男だったってことだよ」

岡部「……俺の気持ち、か」

冬馬「ああ、鳳凰院凶真じゃねぇ…岡部倫太郎としての気持ちだ」

岡部「…ならばハッキリ言ってやろう」

岡部「俺は紅莉栖を愛している」

冬馬「!!」

岡部「そのために何度も苦難を乗り越え、この世界を手に入れた」

岡部「俺は紅莉栖のためなら、命を捨てる覚悟だってある」

冬馬「…俺が、助手さんを奪うって言ったら?」

岡部「やってみるがいい、だがやらせはせんぞ」

岡部「あいつは、俺のものだからな」

冬馬「……く、くくっ!あっはははは!!」

岡部「……どうした、何がおかしい」

冬馬「俺のもの、だってよ!助手さん!」

岡部「!?」バッ


ドサッ カラカラカラ…

紅莉栖「お、おかかかおかかべべべべべ/////////」

岡部「……なんで助手がここにいるのだぁっ!!!!!」

シブいねェ、オタクまったく、シブいぜ……

-1時間前、未来ガジェット研究所-

冬馬「というわけで、凶真は助手さんのことが好きだと思うわけだよ」

ダル・北斗・翔太「おっそ」

まゆり「冬馬くんはドンカンだねぇ~」

冬馬「んがっ!?ま、マジかよ!気付いてなかったの俺だけなのか!?」

翔太「そりゃ、あれだけ息の合った夫婦漫才見せられたらねぇ…」

まゆり「いくらまゆしぃでも気付いたのですっ!」フンス

ダル「ま、気にすんなお童貞くん」ポンポン

冬馬「一緒にすんな!…あ、一緒か」

北斗「…で、あの2人をくっつけてやりたい、と」

冬馬「……ああ」

冬馬「凶真は俺たちのために長い時間を割いてくれた…」

冬馬「だから、あいつにも何か見返りがねぇと不公平だと思うんだ」

翔太「冬馬くんは変なところで律儀だね!」

ダル(ま、くっつけるのは別にいいとして…そんなこと言ったらオカリンは多分怒ると思うお)

冬馬「あとは助手さんの気持ち次第なんだけど…うーん、こればっかりは分からねえからな…」

北斗「いや、紅莉栖ちゃんも凶真のこと好きだろ」

冬馬「え?」

北斗「凶真がフェイリスちゃんに抱きつかれてるの見て、ちょっと嫉妬してたし」

冬馬「……え?」

全員「うん」

冬馬「……まじかよ」

冬馬「…だから俺は彼女が出来ないんだ……ゲームの中じゃ無敵なのに…」

まゆり「よしよしだよ~冬馬くん」ナデナデ

ダル「じゃ、あとは計画だけだお!」

翔太「お!意外とダルさん乗り気?」

ダル「当たり前だお!こんな祭りのヨカーン、笹食ってる場合じゃねぇ!」

北斗「それではここは、元ホストの俺に任せてもらいましょうか」

翔太「出た!北斗くんのチャオチャオプラン!」

北斗「いいかい?まずは紅莉栖ちゃんを凶真の到着より少し遅らせてラボに来させるんだ、それで…」

まゆり「ふむふむ…」

ダル「あ、牧瀬氏?そうそう、僕だお!ひなだお!」

ダル「ああん電話切らないでほしいお…大事な連絡だお」

ダル「…そうそう、今から冬馬くんの誕生日パーティするお!」

ダル「……え?前にプロフィール見たときはひな祭りのはずだったって?こまけぇこたぁいいんだお!」

ダル「だからドクペいっぱい買ってきてほしいお!」

ダル「あ、でも今冷蔵庫の食材を処理してる最中だから……」

ダル「1時間後くらいにラボに来てくれると助かるお」

ダル「…うーい、そんじゃよろしくだおー」ピッ

翔太「ダルさんさっすが!はい、キンキンに冷えたコーラ!」

ダル「恐れ、ひれ伏し、崇め奉るお」キリッ

北斗「あとは冬馬の演技にかかってるな」

冬馬「ああ、任せとけよ」

翔太「大丈夫だよ!オカリン単純だし、僕の考えた先読み台本通りでいけるはず!」

まゆり「ファイトだよ、冬馬くん!」

冬馬「ああ、この程度のミッション、俺たちジュピターにかかれば…」

冬馬「楽勝、だぜ!!」ブワサッ

・・・・

冬馬「……ってわけだ、どうだった俺の演技は?」

岡部「俺だ…どうやら機関の妨害工作を受けているらしい…ああ、そうだ」

紅莉栖「お、お、おれのものって、その、あの/////////」

冬馬「聞けよ」

まゆり「オカリンかっこよかったよー!」

岡部「お、お前ら!もしや全部聞いていたのか!?」

ダル「俺のものだからな(キリッ、…だってお!!なんだこれ、マグマかおっ!?」

岡部「き、貴様ダル!許さんぞぉ!」

北斗「…さ、それじゃ俺たちは帰ろうか」

翔太「そうだね!お邪魔みたいだし!」

岡部「お、お、お前ら!このまま帰れるとでも思っているのか!!」

冬馬「じゃあな凶真、頑張れよ」

岡部「あ、おい冬馬!」

岡部「……行ってしまった」

紅莉栖「……」

岡部「…紅莉栖、その…」

紅莉栖「……」

岡部「……怒っているのか?」

紅莉栖「…さっきのは」

岡部「…?」

紅莉栖「さっきのは、ホントなの…?」

岡部「……ああ、本心だ」

紅莉栖「アンタと私は出会ってまだ数週間だぞ?」

岡部「俺はそうは思わん」

紅莉栖「また別の世界線の話か…」

  ( ^)   地面か…
  (  ) ̄
(  | |  )


  _(^o^)  フンッ!
    ( )|
  (  | |  )

       ( ^o)  うわっ!
      ̄(  )
   (   //  )

             (o^ )  なんだこれ!熱っ!
            (  )ヽ
             | | 

..三  \ \  V  /   (o^ ) 三 マグマだー♪
 三  \ \  V  / (  )ヽ 三
三   \ \  |  /  / /   三


三  ( ^o) \  V // / /  三  マグマだー♪
 三/( ) \  V / (o^/   三
三   ヽヽ  \ |  /(  /  三

..三/( )  \  V  /    (o^ ) 三 
 三  ヽヽ^o) \ V   /  (  )ヽ 三
三    \  )\ | (o^/  / /   三

紅莉栖「アンタがいくら別の世界線での私を信頼していても、今の私は…」

岡部「そんなことは関係無いと言っている!」

紅莉栖「!!」

岡部「今のお前がどの世界線の牧瀬紅莉栖であろうと!俺は!」

岡部「牧瀬紅莉栖!お前が好きなのだ!!」

紅莉栖「………っ!」

岡部「…それが、シュタインズ・ゲートの選択だ」

紅莉栖「…最後の一言は余計だろうが、バカ岡部ぇ……う、ううっ…」

岡部「な、なぜ泣くのだ助手よ!」

紅莉栖「分からん…分からんけど目から汗がぁ…!!あと助手ってゆーなぁ…!」

……。

ダル「…なあまゆ氏、よかったん?」

まゆり「んー?なにが?」

ダル「オカリンのこと」

まゆり「…残念じゃないって言ったら、嘘になるのです」

まゆり「…でも、たまーにだけど」

まゆり「怖い夢を見たとき、夢の中でオカリンがまゆしぃを助けに来てくれるのです」

まゆり「オカリンもこわーい顔でね?ぶわーって!まゆしぃはそれで満足なのです!」

ダル「……」

まゆり「…だから今は、それでいいかなーって」

ダル「そっか」

まゆり「うん!」

まゆり「紅莉栖ちゃんもオカリンも幸せになってくれれば、まゆしぃも満足なのです!」

ダル「…ま、NTRの極意ならエロゲマスターの僕に任せるといいお」

まゆり「ねとり?なにそれダルくん」

ダル「なんでもないお!ほら早くしないと電車乗り遅れるおー!」

まゆり「わわ!ま、待ってよダルくーん!」


翔太「はー、面白かった!」

北斗「それにしても冬馬、お前演技上手くなったな」

冬馬「俺なりに練習したんだよ…DVDとか見てな」

翔太「相変わらず真面目だなー冬馬くんは」

冬馬「真面目じゃねえ!当然のことだ!」

北斗「ははっ、ムキになるなって冬馬」

冬馬「ったく…」

翔太「……ね、二人とも良かったらさ」

北斗「ん、どうした?」

翔太「…このあと、ご飯行かない?」

冬馬「あ?今日はコスプレイベントにさっきのごたごたで疲れてんだよ」

北斗「…でも、行くつもりなんだろ?」

冬馬「……当然だろ」

翔太「…!じゃ、じゃあ僕、回転寿司食べたい!」

北斗「よーし!そんじゃ寿司食いに行くかー!」

冬馬「あ、おい!俺を置いて行くんじゃねえよ!!」

-後日、収録スタジオ-

岡部「…さ、いよいよ本番だ」

北斗「今までありがとうな、凶真」

翔太「楽しかったよオカリン!」

岡部「ふん、本番前だというのに緊張しとらんのかお前らは」

冬馬「……」

岡部「…おや?冬馬は緊張しているのか?」

北斗「……じゃあ、俺たちは先にスタンバイしておくよ」

翔太「放送始まって30分くらいしたら僕達の出番だからね、オカリン!」

岡部「ああ、楽しみにしておく」

岡部「…」

岡部「……さて、冬馬よ」

岡部「何か言いたいことがあるのではないか?」

冬馬「…俺は、昔テレビで見たアイドルに憧れて、アイドルになろうと思ったんだ」

冬馬「……東京に出てきて、信頼できる人なんてほとんどいなかった」

冬馬「地元で黒井のオッサンにスカウトされて、上京して…」

冬馬「知り合いなんて全くいない中で、信じられるのは自分だけだった…!」

岡部「……」

冬馬「…だけど、お前に会って、ラボメンのみんなと会って、ジュピターの2人と会って…」

冬馬「……仲良しごっこも、悪くねえなって思った」

岡部「…仲良しごっこのつもりは無いのだがな」

冬馬「そういう意味では、感謝してもしきれねえ」

冬馬「……今まで、ありがとうございましたっ!!」バッ

岡部「やめろ、頭を下げられてもむず痒いだけだ」

冬馬「……でも、感謝の気持ちは本当だ」

岡部「…つらくなったら、いつでもラボに戻ってくるといい」

岡部「なぜならお前たちも、ラボメンの一員なのだからな」

冬馬「きょ、凶真ぁ…!!」

岡部「ええい!男が泣くな気持ち悪い!」

冬馬「だ、だけどよ…!ぐすっ…」

岡部「まったく…そのような気構えでは、芸能界を生き抜くことなど出来んぞ?」

冬馬「へ、へへっ…ちげえねえや…」

岡部「ふむ、そうだな…」

岡部「……!!」

岡部「…冬馬よ、俺の真名(まな)を言ってみろ」

冬馬「へ?そ、それはいつも言ってる鳳凰院凶真…」

岡部「良い機会だ」

岡部「……貴様にも真名を授けてやろう」

冬馬「!!!」

岡部「この芸能界を生き抜くには、へぁんぱな覚悟ではやっていけないのはお前も分かっているだろう」

岡部「時には非情に…冷酷なまでに勝負に徹しろ…!!」

岡部「…そのために、貴様は鬼となれ、羅刹となれ……っ!!」

岡部「今日から貴様は……!!!」

岡部「“鬼ヶ島羅刹”だッッッッ!!!!!!」ブワサッ

冬馬「鬼ヶ島…羅刹……!!」ゴクリ

岡部「…それが鳳凰院Pからの最後の手向けだ……受け取るがいい」

冬馬「凶真…」

「おーい冬馬ー!そろそろスタンバイしないとまずいぞー!」

「そうだよ冬馬くーん!早く早くー!」

冬馬「あ、ああ!分かった、今行く!」

冬馬「…それじゃ凶真、行って…」

冬馬「……!」

冬馬「…へへっ、もういねえ」

冬馬「ありがとよ、凶真…いや、岡部倫太郎」

冬馬「……」

冬馬「エル・プサイ・コングルゥ…」

-秋葉原-

岡部(ふむ、我ながら良いネーミングセンスだ)

岡部(鬼ヶ島羅刹…うん、いいなやっぱり)

岡部(……む?テレビ局から戻ってきたら、もうあいつらの出番か)

岡部(街頭テレビで申し訳ないが…しばし足を止めて見ていくとするか)

コイヲハジメヨウヨー♪ ジャン!!

岡部(って終わりかい!!)

岡部(…まあ、北斗もバク転を無事決めたようだし、問題無かろう)

岡部(これからは貴様ら次第だぞ?ジュピターよ…)スタスタスタ…


『それでは期待の新人、ジュピターの3人でした…って、と、冬馬くん!?』

『すんません!!ちょっといいですか!?』

『おい!そこのお前!』

『そうだ!テレビの前でこの番組を見てるお前だ!』

『今!お前にはやりたいことはあるか!?夢はあるか!?』

『無いなら見つけろ!あるやつは努力しろ!』

『少なくとも俺たちはそうした!』

『テレビの中の人物が自分じゃないなんてのは、誰にも決められねえんだ!』

『迷うくらいなら行動しろ!前に進め!』

『それが!!』

『シュタインズ・ゲートの選択だ!!!!』


chapter 6 『偶像崇拝のアイドルマスター』 END

-街中-

紅莉栖「はぁー…講演疲れた、っと…」

紅莉栖(それにしても無茶苦茶ね、ジュピターの3人ったら)

紅莉栖(新人が生放送であんなこと言って…ま、@ちゃんねるではなんだか高評価みたいだったけど)

紅莉栖(これから彼らがどうなるのか…軽い気持ちで見守ってやるとしますか)

紅莉栖(……そ、それにしても…)

紅莉栖(わ、私と岡部って付き合ってるのよね?自分でもよく分からないわ…)

紅莉栖(……こ、このあと会ったら問い詰めてやろうかしら…えへへ)

紅莉栖(だってその…こ、恋人?なんだし…)

??「…む?あれは…」

??「キミ!ちょっといいかな?」

紅莉栖(い、いかんいかん!こんなこと考えてるからHENTAI処女とか言われちゃうのよぉ!)

??「ちょ、ちょっとそこのキミ!」

紅莉栖「ふぇ?」

??「ああ!そこのキミ!そう、キミだよ!」

紅莉栖「…え?あ、私に何か…?」

??「そのスレンダーなボディに利発そうな顔立ち…ティンときた!」

??「ウチでアイドルをやってみないかね!?」

紅莉栖「……はぁ?」


岡部「961プロ…?」 END

というわけでおわりです 読んでくださってありがとうございました
黒井社長は最初のつかみだけで出番終わってしまいましたね
彼には可哀想なことをしました

ちなみに突っ込まれませんでしたが、メールの返信内容は特に展開にも関係ありません
投下中ヒマにならないようにというのと、シュタゲっぽさを出したかったから取り入れました


それでは、エル・プサイ・コングルゥ!

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