側近「突撃!」魔王「隣の晩御飯!」 (17)



側近「さあ始まりましたね魔王様!」

魔王「いやぁ昨日は楽しみで楽しみで、夜も眠れず今日昼寝してしまったぞ」

側近「寝てるじゃないですか!」

魔王「とまあお約束をした所で、今回の企画の説明を頼む!」

側近「はい!と言ってもそのままですね、ズバリお隣さんのお家に突然お邪魔して、晩御飯をご馳走してもらおうと言う企画です」

魔王「勿論隣には何も言っていない!ありのままの晩御飯を見せていただく!」

側近「さてそんな訳で、早速お隣さんに行きましょう」

魔王「うむ、魔王城はデカくて広いが、実は隣と言えるのは一軒しかない!」

側近「なので今からそこに行きます!」

魔王「さあ!突撃!」

勇者「うるさい!来るなら早く来い!」

魔・側「「はい!ごめんなさい!」」

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勇者「で?今日は何だ?」

魔王「晩御飯をいただきに来た!」

勇者「だろうな」

側近「あれ?驚かないんですか?」

勇者「あれだけ騒いでたら、嫌でも聞こえるっての」

魔王「しまった、テンションを上げすぎたか」

側近「まさか企画倒れですか!?」

勇者「なあお前ら」

魔王「ん?」

側近「何ですか?」

勇者「昨日の夜何してた?」

魔・側「「勇者(さん)の家で晩御飯食べて、遊んで帰った(帰りました)」」

勇者「一昨日は?」

魔・側「「勇者(さん)の家で晩御飯食べて、泊まっていった(いきました)」」

勇者「いつもと同じじゃないか!」

魔・側「「言われてみれば!」」



魔王「くそっ、私とした事が!何たるケアレスミス!」

勇者「いやそれ以前の問題だろこれ」

側近「魔王城のみんなノリノリで考えていたのに」

勇者「前から思ってたけど、魔王城大丈夫か?」

魔王「大丈夫だ、夜一人でトイレに行けるからな」

勇者「子供じゃないんだから」

側近「私も大丈夫です!ちゃんと寝る前に歯磨きしてます!」

勇者「それはもっと違うよな!?」

魔王「とにかくだ勇者」

側近「いきなりではありますが」

魔・側「「晩御飯をご馳走してくれ(下さい)!」」

勇者「この流れで!?」



魔・側「「めーし!めーし!」」カチンカチン

勇者「あーもううるさい」

魔・側「「カレー、オムレツ、ビーフストロガノフ」」カチンカチン

勇者「図々しいな要求が!」

魔王「とりあえず肉焼いてくれ」

側近「あとサラダもお願いします」

勇者「やかましい!追い出すぞ!」

魔王「だが断る!」

側近「晩御飯を食べるまで!」

勇者「よし分かった」ガシッ

魔王「あっ嘘々!ごめんなさい!謝るから!引き摺らないで!」ズルズル

側近「痛い痛い!かかとが!背中が!お尻が!」ズルズル



魔・側「「すみませんでした」」

勇者「まったく……もうすぐできるから待ってろ」

魔王「なんと!私達の分もか?」

勇者「あああるぞ」

側近「ありがたいですが、何ででしょう?」

勇者「いやお前ら毎日来るじゃん、今年入ってから欠かさず来てるじゃん、どうせ今日も来ると思ってな」

魔王「勇者……天国の勇者のお父さんお母さん、勇者は優しくて立派な人に育ちましたよ」

側近「安心して見守っていて下さい」

勇者「お前ら……」

魔王「約束だからな、勇者が寂しがらないようにって」

側近「寂しい思いなんてさせませんよ!」

勇者「……ありがとな……でもな?」

魔王「何だ?天国のお父さん達を思い出したか?」

側近「はっ、まさかそれで寂しく?」

勇者「いや生きてるからな?父さんも母さんもピンピンしてるから、天国じゃなくて天使の国に仕事で行ってるだけだから」

魔王「天使の国、略して天国!」

側近「つまり間違ってはいません!」

勇者「やかましいわ!」



魔王「まあ細かい事はいいだろう」

側近「そうですよ!そんな事よりも今は」

魔・側「「めーし!めーし!」」カチンカチン

勇者「まったく……今用意してやるよ」スタスタ

魔王「分かった!なら私が食器を並べてやる!」バッ

側近「テーブルの布巾掛けは任せて下さい!」フキフキ

勇者「はいはい、今日はホワイトシチューとオムライスだぞ」

魔王「微妙に違った!」

側近「でも微妙に近い!」

勇者「いやあれ本気だったのか?」

魔・側「「勇者(さん)の得意料理はカレー、オムレツ、ビーフストロガノフ!」」

勇者「嘘つくな!ビーフストロガノフなんて作った事ねえよ!」

魔王「そんな!あの時の事を忘れたのか?勇者がじっくり煮込んだビーフストロガノフをだして」

側近「優しく不敵な微笑みと共におあがりよ……と」

勇者「まったく覚えがないぞ?」

魔・側「「夢の中で」」

勇者「夢かよ!つーか同じ夢!?」

魔王「いや知らん」

側近「なんとなく言いました」

勇者「即興かい!なんだよその息の合いよう!」

魔王「当たり前だ!何せ側近とは生まれた時からの付き合いだからな」

側近「お互いの考えが手に取るように分かりますよ」

勇者「ほう……そりゃすごいな」

魔・側「「人呼んで、」」

魔王「魔界の悪ガキコンビ!」側近「魔界の仲良しコンビ!」

勇者「肝心な所で合ってない!?」

魔・側「「イエーイ、掴みはオッケー」」パチン

勇者「そこまででワンセット!?」



魔王「まあお遊びはこの辺にして」

側近「早く食べましょう!」

勇者「はいはい……じゃあいただきます」

魔王「いただきまふ」モキュモキュ

側近「ひははひまふ」モキュモキュ

勇者「もう食ってるじゃねえか!つか側近はもう少し我慢しろ!?」

魔王「ほふはほ」モキュモキュ

勇者「いや魔王も口に入れたまま喋るなよ」

側近「ひはははいへふほ、ふうひゃはんほほはんは、ほいひふひふんへふほ!」モキュモキュ

勇者「いやそう言われると嬉しいけどさぁ、ちゃんと飲み込んでから喋ってな?」

魔・側「「はーい」」モキュモキュ

勇者「まったく……」モグモグ



勇・魔・側「「「ごちそうさま」」」

勇者「さて片づけるか」

魔王「手伝うぞ勇者よ!」

側近「私も手伝います!」

勇者「じゃあいつも通りに、俺が洗うから側近が拭いて、魔王がしまってくれ」

魔・側「「任せろ(て下さい)」」

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勇者「終わった終わった」

魔王「よし!じゃあ遊ぶぞ!」

側近「何します?」

勇者「そうだな……またチェスの勝ち抜き戦やるか?」

魔王「却下だ!私があまり遊べない!」

側近「魔王様弱いですからね」

勇者「勝率3割くらいかな?」

魔王「勇者と側近が強すぎるんだ……、トランプにしないか?」

側近「却下です、運が絡むのは魔王様の独壇場にしかなりません」

勇者「ババ抜きで3回に1回は、最初の手札が無くなるもんな」

魔王「ポーカーも任せろー」

側近「イカサマ無しで2回連続ロイヤルストレートフラッシュなんて、どんな強運ですか?」

勇者「強運と言うか、天運?何にしてもおかしいよな」

魔王「じゃあ何するか」

側近「困りましたね」



勇者「なんならもう帰るか?何だかんだで結構時間経ってるし」

魔王「むぅ……よし決めた、今日は泊まる!」

勇者「今日もだろ?側近はどうする?」

側近「魔王様が泊まるなら私も泊まります」

勇者「分かった、じゃあ布団とか敷くか、あぁ風呂の準備頼むな、2人で先に入っていいから」

魔王「よかろう!ピカピカに磨いてやる!」スタスタ

側近「私も研きます!」スタスタ

勇者「ああ頼……ん?何か発音違わね?」

魔王『どうだ汚れめ!魔王の力を思い知れ!』ガシガシ

側近『跡形も無く消してみせましょう!』ギャリギャリ

勇者「音!側近の方の音!つか何してんだよ!?」

魔王「終わったぞ」スタスタ

側近「跡形も無くなりましたよ」スタスタ

勇者「汚れがだよな?風呂がじゃないよな?」



勇者「そろそろいいかな?」

魔王「では先に入るぞ」

側近「そうしましょう」

勇者「ごゆっくりー」

魔王「ああそうだ」

側近「勇者さん」

勇者「ん?」

魔・側「「覗いてもいいぞ(ですよ)」」

勇者「やらないっての」

魔王「むう……つまらん」スタスタ

側近「偶にはいいじゃないですか」スタスタ

勇者「女の子がそういう事言うなっての」ハァ

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魔王「いい湯だなぁ」チャプン

側近「ですねぇ」チャプン

魔・側「「これで勇者(さん)も一緒ならもっといいのに」」

魔王「まったく……いつになったら手を出してくるのやら」

側近「こちらとしては望むところなんですけどねぇ」

魔王「勇者の両親公認なのになぁ」

側近「何がいけないんでしょうね?」

魔王「うーむ……胸か?」

側近「私達は大きくも小さくもないですからねぇ」

魔王「まったく勇者の奴め」

側近「とんだ欲張りさんですねぇ」

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勇者「ハックショイ!何だ?誰か俺の噂してるのか?……何となくいい事じゃない気がする」

今日はこの辺で。
ではまた。

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