まどか「まど神様の総回診始まるよ~」(206)

まどか「今日はどこにいこっかな、ルーレットスタート!」

まどか「パージェッロ、パージェッロ!」

まどか「えいっ」ドスッ

まどか「おっ、見滝原だ。一週間ぶりの地元か」

「ちょっと待った!」

まどか「えっ。ちょ、ちょっとさやかちゃん。この部屋入っちゃダメって言ったでしょ」

さやか「私も見滝原行きたい!連れってって」

まどか「えー……別にいいけど。さやかちゃん外出券買ったの?」

さやか「あんな券高すぎて買えないよ!!」

まどか「じゃあ無理だよぉ。働いて貯めないと」

さやか「ふざけんな!!何年かかると思ってんだよ!!」

まどか「えぇ……お給料もらってるでしょ?それから工面してよ」

さやか「私の給料5万まどかドルだよ?」

まどか「うん。さやかちゃんの働きなら妥当だよ。だってヒラでしょ」

さやか「50万まどかドルなんて無理!あと何年かかるかわからない!」

まどか「贅沢言わないで。大体死んでるから年だって取らないし」

さやか「生まれ変わるのだっていくらするんだよ!?」

まどか「1000万まどかドルね。でもこれ基本セットだから場合によっては色々と追加料金かかるよ」

さやか「ふざけんなペテン師!私たちはどれだけ働いても兆しすら見えない!」

まどか「それはさやかちゃんが無駄遣いするからでしょ」

さやか「うるさい詐欺師!早く生き返らせろよ!!」

まどか「ちょ、ちょっと!声大きい!みんなに聞こえるから!」

さやか「みんな言ってるよ苦しい苦しいって。このままじゃスト起こすよ!」

まどか「えぇ……そんなことしたら行先は地獄しかないけど。それでもいい?」

さやか「……鬼」

まどか「わかったわかりました。私も鬼じゃないから今回特別に美滝原連れて行ってあげる」

さやか「マジで!?やっほー!!まど神様話がわかるー!」

まどか「さやかちゃん今いくら持っての?」

さやか「は?金取るの?」

まどか「当たり前でしょ、さやかちゃんだけタダで連れて行ったら私も私もってなるじゃん」

さやか「くそっ……私の全財産は25万だよ」

まどか「本当は?」

さやか「え、いや25万だってば」

まどか「本当は?」

さやか「……30」

まどか「結構持ってるじゃん。あと20万くらい貯めなよ」

さやか「だって息抜きも必要じゃん……家と職場の行き来だけじゃ飽きるっていうか」

まどか「私は24時間不眠不休なんですけど」

さやか「神様と一緒にすんなよ!私は平社員なんだよ!?」

まどか「まぁその話は置いといて。20で手打ってあげる」

さやか「……10」

まどか「えー無理無理。じゃあ私行ってくるね」

さやか「わかった!13!!」

まどか「15」

さやか「……くっそーー!!わかったよ15で!!」

まどか「毎度~じゃあ先払いね」

……


まどか「言っとくけど回診についてくるだけだからね。

    さやかちゃんの要望には応えられないから」

さやか「全然いいよ!あー久しぶりの見滝原!」

まどか「えーっと今いる魔法少女はほむらちゃん、杏子ちゃん、マミさんっと」

さやか「おーあの3人まだ現役か。まぁこっち来ないに越したことはないけど」

まどか「入れ替わりはあったみたいだけど結局3人で落ち着いたみたいだね」

さやか「杏子も?見滝原に定住してんの?」

まどか「うーん、資料によるとマミさんと一緒に住んでるみたい」

さやか「ふーん……あいつ意外と協調性あるんだ。私が生きてる時にそれ発揮しろよ!」

まどか「あ、そっか。さやかちゃんって杏子ちゃんの最後知らないんだっけ」

さやか「え、どういうこと?」

まどか「いやいや、いいのいいの。気にしないで」

さやか「気になるわ!」

まどか「いや本当に忘れて。なんでもないから」

さやか「そう?いや、久しぶりだな~話したりできないの?」

まどか「できるにはできるけど。追加料金かかるよ?」

さやか「……じゃあいい」

まどか「じゃあ行くよ?しっかり捕まっててね」

………

……



――ほむら家

まどか「着いたよ~」

ほむら「……」カリカリ

さやか「おっ、勉強してる。偉い奴だ」

ほむら「……まどか」

さやか「えっ?」

ほむら「まどかぁ……」

さやか「おおお、すごい。やっぱ来たらわかるんだね」

まどか「ううん。違うよ、ほむらちゃん家にいるといっつも私のこと呼んでるの」

さやか「え……すごいな。こいつまだまどかのこと好きなのか」

まどか「気にしなくていいよ。あっ!君に届け16巻ある!」

さやか「………」

ほむら「まどかぁ……会いたいよぉ」

まどか「……」ペラッ

さやか「ねぇ、回診って何するの?相談乗ってあげたりすんの?」

まどか「ううん。見てるだけ」

さやか「え!? 見てるだけ?」

まどか「うん。だって干渉するのもあれでしょ」

さやか「それはそうだけど……こんなに会いたがってるよ?」

まどか「一週間前も一か月前も半年前もずーっとおんなじこと言ってるんだもん」

さやか「慣れって怖い……」


ほむら「まどかぁ……」クチュクチュ

さやか「ちょちょっと!やばいやばい、なんか始めてる!」

まどか「うん……そりゃ年頃の女の子だし」ペラッ

ほむら「ダメッ、そこはダメなのぉ……」

さやか「ねぇ、一旦出た方がいいんじゃない?」

まどか「えぇ……いいよぉ、誰に言うわけでもないし。逆に私に見られて光栄でしょ」

さやか「マンガ見てるだけじゃん」

まどか「最初はなんか嬉しかったけどさ。これも毎回同じで飽きちゃった」

さやか「怠け者……」

ほむら「うぅぅぅぅ……あぅぅ……まどかぁ……」

まどか「……」ペラッ

ほむら「まどかぁぁぁ!!イク!イクゥゥゥ!!」

さやか「…なんか恥ずかしくなってきた」

まどか「オナニーくらいさやかちゃんだってしてたでしょ」ペラッ

さやか「してたけど!人に見られてしたことはないよ!」

まどか「大丈夫。私は神様だしさやかちゃんも人じゃないよ」

さやか「そういうもんか?」

まどか「そういうもんだよ」

ほむら「ッ……!」

ほむら「ふぅ」

さやか「あっ、終わったみたい」

まどか「うん。あっ、冷蔵庫にリンゴジュースあるから取ってきてくんない?」

さやか「えっ、勝手に飲んでいいの?」

まどか「いいよ。2,3杯飲んでもバレないし」

さやか「じゃあ私も飲んじゃお……」

……


まどか「よっし、次行こうか」

さやか「本当にマンガ読んでただけだね」

まどか「こんなもんだよ。正直流れ作業だもん」

さやか「そうなのかよ……」

まどか『ほむらちゃんほむらちゃん』

さやか「おっ?」

ほむら「? なにかしら耳鳴りが……」

さやか「お、おう。最後に神様っぽいことするのか?」

まどか『次はワンピースが読みたいな』

さやか「おい」

ほむら「……」ゴソゴソ

さやか「あ、あれ?伝わったのか?」

ほむら「こっち、いやこっちの方が可愛いかしら」

さやか「服のワンピース選んでる……って全然伝わってないじゃん」

まどか「いいのいいの。次行くよ」

……


さやか「次はマミさんちかぁ」

まどか「よし、行くから捕まって」

さやか「はーい、お願いしまーす」

まどか(さやかちゃんちょっと重い……)バサバサ

さやか「うわー見滝原って上から見ると綺麗だな~」

まどか「どこの町も大して変わらないよ」

さやか「あっ、私の家……」

まどか「……寄らないよ?」

さやか「わかってるよ」

さやか「あっ、今度は恭介の家……」

まどか「いや、寄らないからね」

さやか「わかってるって……ママとパパ元気かなぁ」

まどか「……」←聞こえない振り

――マミ家

さやか「マミさんちも久しぶりだな。なんか物増えてる」

まどか「二人暮らしだからね。事情は変わってくるよ」

ガチャッ

さやか「あっ、帰ってきた」

マミ「ただいまー」

杏子「ただいま」

さやか「マミさん、杏子……懐かしすぎる……なんか涙出てきた」

まどか「マミさんちマンガないんだよな~、おっ、ポップティーン発見!」

さやか「おい感動中だぞ」

まどか「あっ、コーヒー牛乳ある!さやかちゃんも飲む?」

さやか「……飲む」

杏子「食材冷蔵庫に入れてくるな」

マミ「うん。あっ、その前に」

チュッ

さやか「!!」ブフォ

杏子「もーう、後にしろよ」

マミ「えーいいじゃない。さっきまでずっと我慢してたんだもん」

さやか「ちょっと神様!どういうこと!?」

まどか「いや見ての通り。付き合ってるみたいだよ」

さやか「えぇ……マジかマジか……」

まどか「もうずっと前だしね~、二人で慰めあってたらいつの間にかパターンでしょ」

さやか「杏子ぉ……ってかよく見たらちょっとふっくらしてるし」

まどか「過食症治ったみたいだね」

さやか「で、マミさんはちょっと痩せてる……」

まどか「服共用したいから痩せたんだって」

さやか「なんだよぉ……もう完全にカップルじゃんかよぉ……」

まどか「しょうがないでしょ」

マミ「ねぇ、いいでしょ?」

杏子「シャワー浴びてからな」

マミ「え~いいわよ。すぐしたいもん」

さやか「うおおおい、早速おっぱじめるぞこいつら」

まどか「健康的でいいじゃない」

さやか「……帰ろ、見たくない」

まどか「いや、回診しないと」

さやか「セックスするとこ見たいだけだろ出歯亀!!」

まどか「いや、これやらないと本当にダメなんだって」

さやか「うぅぅぅ、クソォ……あっ!そうだ、追加料金払えば話できるんだよね!」

まどか「うん。一単語2万まどかドルね」

さやか「たけーよ!!」

まどか「どうするの?こっちはもう始めてるけど」

「そこダメ……」

「ダメじゃないだろ?」

さやか「くっそー手持ちは15万。ってことは7単語か……」

さやか「マミさんと杏子の関係をこじらせるにはどうしたら……」

さやか「ブツブツ……」

さやか「決まった!まどか!早く交信して!」

まどか「オッケーイ、ちょっと待ってね」

杏子「すごい濡れてる……」

『杏子……』

マミ「来て……」

杏子「うん……」

『杏子?』

マミ「あっ……うぅぅぅ…」

杏子「相変わらずいやらしい胸してるよな……」

『杏子!!!』

杏子「さ、さやか!?」

マミ「え?」

さやか「おせーよ!!2単語無駄に使っちゃったわ!」

杏子「さやか!? いるのか!? さやか!!」

マミ「どうしたの?」

杏子「い、いまさやかの声が……」

『私のこと ずっと 忘れないで』

杏子「なに言ってんだ、忘れるもんか!」

さやか「ケッ、セックスしてたくせになに言ってやがる。まぁいいか」

さやか「戻ってくるから」

さやか「あ、あれ?」

杏子「さやか……さやかぁ…」

さやか「お、おい。交信切れてるよ。まだ1単語分残ってるだろ?」

まどか「さやかちゃん。単語で区分したら7はもう過ぎてるよ」

さやか「国語の先生かよ!空気読めよ!!」

まどか「決まりなの。ってかちょっとサービスしてるからね?」

さやか「嘘だろぉぉ、でもこれでマミさんは杏子に不信感を抱くはず……」

杏子「さやか……」

マミ「佐倉さん。もう美樹さんはこの世にいないの。落ち着きなさい」

さやか「いるよ!いーるーよ!!さやかちゃんここにいるよ!!」

杏子「で、でも、でもでも、さっき確かに声が」

マミ「大丈夫。美樹さんはあなたの心の中にいつまでも存在してるわ」

さやか「さやかちゃんはここにいるぞぉぉ!!心の中じゃない!!ここにいるぞ!!杏子ーー!!!」

まどか「うるさいよ」

杏子「うん……そうだよな。あたし、どうかしてた」

マミ「でもね、忘れてあげることも優しさなの。あなたこのままじゃいつまでたっても前に進めない」

さやか「マミさあああああん!!!杏子ダメだ!そいつの言うことに耳を傾けるなあああ!!!」

杏子「そうだよな……ごめん」

さやか「うがあああああ!!!ちくしょおおお!!!」

まどか「さやかちゃんホントに怒るよ」

………

……



まどか「お疲れ様」

さやか「……うん」

まどか「さぁ、働こうか。なんたってさやかちゃんは今一文無しなんだから」

さやか「あの、さ。まどかはどう思った?マミさんとかほむらとか杏子とかがあんな感じになってて」

まどか「何とも思いませんでした」

さやか「えぇ!?なんかないのかよ……みんな変わったなぁとかさ……」

まどか「いや、正直もう人数多すぎて特に問題ない人のことまで手回らないんだよね。だから基本放置なの」

さやか「そっか、そりゃ大変だ。私はさ、なんかショックだったよ」

    中学の同級生が高校できちんとやってるのにいつまでも留年してる感じ」

まどか「うーん。その例えはなんとなくわかるかも」

さやか「あっ、でもまどかは先生の立場になっちゃったね」

まどか「先生っていうか文部科学省の一番偉い人かな。その例えで言うと」

さやか「そっか……システムの根っこから変えたんだっけ、まどか大臣は」

まどか「まぁね。自分の命投げ打ったし」

さやか「ってかさー、なんで二人付き合ってんだよ……引くわー女同士とか。ありえねーし……

    ってか杏子私のこと好きだったんじゃないのかよ……」

まどか「またその話……負け惜しみにしか聞こえないって。大体それすごく矛盾してるよ」

さやか「ソウルジェムが魔女を生むままだったら絶対またギスギスしてたよね」

まどか「……それなくすために私頑張ったんだけど」

さやか「あ、ご、ごめん……」

VIPおかしくなってるね
ここで落ちるとすげーめんどくさいな

ちょっとタバコ買ってくる
これ保守の間隔とかどうなんだろ

まだ直ってないんか

かきこめねえ

まどか「……あのね、見滝原行く前にさやかちゃんに言おうとしたことなんだけど」

さやか「うん……」

まどか「杏子ちゃんね。さやかちゃんが魔女になったとき、さやかちゃんのこと生き返らせたいって私に頼んできたの」

さやか「えっ……」

まどか「結局失敗して二人とも……うん、まぁそうなっちゃってさ」

さやか「……」

まどか「だから杏子ちゃんのことあんまりそういう風に言わないであげて。

    すごくすごく考えて出した答えだと思うから」

さやか「……私ホントバカだ」

まどか「行かなきゃよかった?」

さやか「わかんない。でも、みんな変わってるんだって、痛感しちゃった。

    恭介とか仁美のとこ行ったら本当に立ち直れなかったかも

    杏子のことも、本当は知らない方がよかったかも
   
    知らない顔して現状に文句言ってた方がまだよかったかも」

まどか「いや、っていうかまず仁美ちゃんと上條君のとこなんて絶対行かないけどね、めんどくせえから」

さやか「……」

まどか「それは外出券買うか生まれ変わったら自分で行ってよ」

さやか「……うん」

まどか「本当に落ち込んでる?」

さやか「うん。かなり……」

まどか「うーん。まぁ慰めにしかならないけどさ。人は弱いから。変わっていかないといけないんだよ」

さやか「変わってないやつもいたけどね」

まどか「それもまた人間の弱さだよ」

さやか「何神様っぽいこと言ってんだよ……あーやばい、泣きそう……決めた。私絶対1000万貯める」

まどか「よーし!じゃあ今日だけ飲もう!付き合うよ!」

さやか「えぇ……おごってくれんの?」

まどか「もちろん!出世払いね」

さやか「どんだけ守銭奴なんだよ……」

その後、さやかは脇目も振らずに働き続けた。出世もした。

全ては生き返るために。

杏子と恭介、そして生前自分を支えてくれたすべての人のために

そして十年後…

さやか「貯めた……1000万まどかドル貯めたぞ!!まどか!これで生き返れるよね!」

まどか「おめでとう」

さやか「うん……頑張った甲斐があったよ……あー泣きそう。ってかもう泣いてるわー」

まどか「で、どうする?」

さやか「え、何が?」

まどか「美樹さやかとして生き返る?それとも新しい生命として生まれ変わる?」

さやか「もちろん美樹さやかとして!」

まどか「もう十年近く経ってるからさやかちゃんの戸籍とか用意するとなると追加料金かかるけど」

さやか「はっ!!この状態で戻るの!?」

まどか「うん。肉体は年相応のになっちゃうけどね。25歳の美樹さやかとして、別の人生を用意するよ」

さやか「中学時代に戻れないのかよ!」

まどか「それもできるはできるよ。でも過去を変えるって実はかなり大変なの。

    そうなると5000万かかるけどそれでもこっちは赤字なの」

さやか「……え、じゃああと4000万?」

まどか「うん……」

さやか「あとさ、ずっと気になってたんだけど、ここであったこととか
 
    今までのこととかって、生まれ変わった私は覚えてるの?」

まどか「記憶の引き継ぎはできないね。それはどの選択をしても一緒」

さやか「……」

まどか「新しく生まれ変わるとしたら無料だけど」

さやか「それじゃあ意味ないよ……」

まどか「まぁ人間になれるようにはしてあげるから大丈夫」

さやか「………」


まどか「ちょっと考える?別にお金はいつでもいいから」

さやか「……もしさ、もしだよ。私があと4000万貯めて生き返ったとしても、恭介の腕は治ったままにしてくれる?」

まどか「もちろん!ここにいる子たちはそのために頑張ってるんだから」

さやか「……払う。払うよ!何十年かかっても、一生かけてでも!!」

まどか「その言葉が聞きたかった。その心意気だけで十分だ」

さやか「えっ……そ、それってどういう……」

まどか「ブラックジャック見てからずっとこのセリフ言いたかったんだぁ」

さやか「ま、まどかぁ…」

まどか「大抵の子はみんな生まれ変わるか、追加料金払って生き返るって言うの。
   
    でもあと4000万払うって言ったのはさやかちゃんが初めてだよ」

まどか「特別に中学時代に戻してあげる。特別だよ?」

さやか「う、うぇっ……ひっぐ…あ、ありがとぉ……」

まどか「あーもう泣かない!今度はちゃんと上條くんに告白するんだよ?」

さやか「うぇぇぇ……」

まどか「それからもうキュゥベぇと契約しちゃダメだからね。さやかちゃん弱いんだからまたすぐここ来ちゃうよ」

さやか「へへ、うるせっ!」グシグシ

まどか「よーし!行って来い!!」

さやか「長い間……お世話になりました」

まどか「うん……私もこの十年間すごい楽しかった。いじわるばっか言ってごめんね」

さやか「本当だよ。1000万って言われた時は気遠くなったわ」

まどか「みんなによろしく言っといて。って私は毎週会ってるし、さやかちゃんも記憶はなくなっちゃうけど」

さやか「うん……」

まどか「……」

さやか「……」

まどか「しんみりすんのやめよ!柄じゃないっていうか」

さやか「……そうだね、私の嫁は未来永劫まどかだけだぞ!まどか愛してる!」

まどか「よし、じゃあちょっと体の力抜いてね」

さやか「うん……えっ、この後どうなるの?」

まどか「目覚めたら戻ってるから」

さやか「……まどかは?」

まどか「私とはここでお別れ」

さやか「そっか……あのさ」

まどか「うん?」

さやか「……バイバイ」

まどか「うん。バイバイ」

――

まどか「……行っちゃったか。あー、さやかちゃんに泣き顔見られないでよかった」

まどか「わかってたことだけど」グシグシ

まどか「よしっ、今日も元気に総回診~!」

……


ピピピピピ

さやか「んっ……今何時だ……」

ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン

さやか「なんだっ!?」

ガラッ

杏子「さやかー起きろー!!学校行くぞーー!!」

さやか「うるさいよ毎朝毎朝!今用意するから!」

ほむら「早くしなさい、遅刻したらあなた責任取ってくれるの?」

マミ「まぁまぁ、まだ時間あるから」

さやか「おっ、ほむらとマミさん!おっはよー」

ほむマミ「おはよう」

杏子「こらこらこらあ!!私には挨拶なしかよさやかー!!!」ピンポンピンポンピンポン

さやか「うるさいっての!おはようおはよう!!」

杏子「おはよおおおお!!」ピンポンピンポン

さやか「ピンポン鳴らすのやめい!!」

……


さやか「えっ、恭介退院できるの!?」

上條「うん、先生も奇跡だって言ってた。明日退院できるよ」

さやか「よかった……よかったぁ!」

上條「泣くほどのこと?」

さやか「そうだよ、泣くほどのことだよ!」

上條「さやかが毎日お見舞いに来てくれたからかな」

さやか「えっ、そ、そうかなぁ!さやかちゃん逆転の女神だからね!」

上條「あはは、なにそれ」

さやか「あはははは……」

上條「これでやっとバイオリン弾けるよ。でもブランクがあるから厳しいかな?」

さやか「大丈夫だよ、恭介なら」

上條「今度は僕がさやかに聞かせてあげる番だ」

さやか「えっ……」

上條「リハビリ頑張んないなとなー」

さやか「あ、あのさ。こんな時だし私恭介にちょっと話ある」

上條「なに?」

さやか「えっと……すごく言いづらいんだけど……」

上條「あっ、お見舞いのCD半額出せとか?いっぱい買ってきてもらってごめんね」

さやか「そ、そう!あれ、お小遣い全部使って買ってたんだよ。」

『頑張って』

さやか「じゃなくて!!本当に大事な話だから、ちゃんと聞いててね」


終わり

終わりでーす
ID変わる前に終わってよかった

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