俺「レジ誤差99万?」 (59)

俺「そんな馬鹿な…」

俺「でも何度数えなおしても99万のままだ」

俺「思い当たる節もないし」

俺「おい、後輩!」

後輩「はい、なんですか、先輩」

俺「レジ誤差99万なんだけど、心当たりはないか?」

後輩「… あ!? もしかしたら…」

俺「な、なにかあるのか?」

後輩「レジに表示された額を間違えないよう丁寧にお釣りとして渡しています」

俺「ふむふむ」

後輩「ですから、さっき99万9590円のお釣りを渡せと表示されたので…」

俺「…」

俺「お前はそれで渡したのか?」

後輩「はい、裏にある金庫のお金と一緒に」

俺(やばい・・・ ここはバイトリーダー()の責任を果たさなければ)

俺(しかし100万何て大金… フリーターにはないぞ)

俺(どうすれば…)

俺(はっ そうだ!)

俺「強盗だ」

後輩「ふぇ?」

俺「強盗をするんだ! 俺と、お前の二人で!」

後輩「強盗って先輩… 犯罪じゃないですか!?」

俺「仕方ないだろ… そもそもお前のミスじゃないか」

後輩「そ、そうですけど…」

俺「幸い、ここは駅前の、しかも繁華街にあるコンビニだ」

俺「周囲200メートル圏内にコンビニはいくつもある」

後輩「でもばれたら捕まっちゃいますよ!」

俺「たしかにそうだな」

俺「だが…」

俺「ここはコンビニエンスストアだ!だから何でも揃ってる」

後輩「まさか… 先輩」

俺「ここにある商品を使えるだけ使って、正体を隠すんだ」

後輩「使える物…」

俺「まずはこのニット帽は使えそうだな」

俺「それから何より一番大事な…」

後輩「武器… ですね?」

俺「あぁそうだ 何か… 何か武器は」

後輩「あっ 在庫をしまってあるケースの箱はどうですか?」

後輩「あれの角で殴れば…」

俺「無理に決まってんだろ…」

俺(武器になりそうなものは商品として置いてるわけないか)

俺(強盗の手助けになるからな)

俺「後輩! 裏の店長の引き出しからカッターナイフ持って来い!」

後輩「は、はいっ」

俺「今は夜勤だ… だから、人手が少ない」

俺「狙うのは、休憩時間に入って店員が一人でレジ誤差確認してる時だ」

俺「あとは逃走経路…」

俺「どうやってばれない様にするかだな」

後輩「配送業者を装えばいいんじゃないですか?」

俺「そ、それだ! さえてるじゃないか後輩」

後輩「え、えへえへ それほどでも」

俺「配送業者か… 服装でばれてしまわないか…」

後輩「じゃあ…」

後輩「次に来店した土方あたりをカッターで脅して、服を奪い取りましょう」

俺「うむ。それが妥当だな」

とぅるるるとぅるとぅとぅるるる♪

俺「… 来たか しかも一人か」 

俺「いらっしゃいませー」

土方「マルメン(ボソ)」

後輩「おい!声がちいせーんだよ!クズが!」

後輩「罰として服脱げ! ついでに金もおいてけ」

土方「ひいいいいいい! どうか命だけは…」

俺「よし、とりあえず土方はトイレで眠ってもらった」

俺「土方にはトイレで酒を泡吹くまで飲ましたから、起きても記憶が錯乱するから問題ない」

俺「ひとまず服を調達できたな」

後輩「ついでにレジ誤差も90万に減りました」

俺「そ、そんなに!?」

俺(それならこの方法でやった方が…)

俺(いや、それではダメだ。危険すぎる)

俺「よし、準備はいいか」

後輩「はい…」

後輩「配送用のケースにしっかり隠れてるか、確認してください!」

俺「うむ。服等もはみ出てないようだな」

俺「出発だ」ガラガラ

とぅるるるとぅるとぅとぅるるる♪

俺「おはようございまーす!」

店員「あっ お疲れ様です」

俺「冷凍もの多いので、そのまま裏に運んじゃいますねー」

店員「あっ お願いします」

俺(よし…)

俺(裏までついた…)

俺(だが裏にもカメラは設置されている)

俺「こんなこともあろうかと!」

俺「ペイントボール!!」

俺「死角からの投擲!!」

俺「はっ!」

俺「よし、ヒットしたぞ!」

俺(後輩に合図を…)コンコン

後輩「おい! 殺されたくなかったら金庫を開けろ!」

後輩「おっと! 非常用のベルを押すんじゃないぞ!」

後輩「カメラは今機能してない」

後輩「さぁ 分ったらさっさと開けるんだ!」

俺(どうやら上手くいったようだな…)

俺(よし そろそろずらかるとしようか)

後輩(よし、またブロックに隠れ終わった)

後輩(先輩に合図を)コンコン

俺「!?」

俺「お疲れ様でしたー」ガラガラ

俺「ふー 何とか無事帰ってこれたな」

俺「後輩 それで収穫は?」

後輩「そ、それが…」

後輩「あのお店の店長はなかなか優秀だったみたいで…」

後輩「金庫にあまり大金をいれなかったみたいです」

俺「なんだと!?」

俺「じゃあ、いくらなんだ?後」

後輩「えーと… 50万ですね」

俺「50万…」

俺「ダメだ… そんな大金払えない!」

後輩「うわぁwwww 30にもなってだっさwwwww」

俺「お前殺すぞ!!」

後輩「殺す…」

後輩「ころす…」

後輩「こ、ろ、す?」

俺「おい、後輩? どうしたんだよ?急に」

俺「あ、あははは… 冗談だよ…」

後輩「先輩…」

俺「…」ゴクリ

後輩「労災ってしってますか?」

俺「労災? いや、でもあれはバイトには適用されないんじゃ」

後輩「そんなことありません。しっかりと申請すればもらえます」

俺「そうなのか… で、労災が今何の関係があるんだ?」

後輩「これは例えばの話です…」

後輩「もし、先輩が勤務中に段ボールを開けようとして」

後輩「間違えて指を切り落としてしまったら?」

俺「!?」

後輩「もしうっかり200度のフライヤーに頭から突っ込んでしまったら?」

後輩「そうしたら、いったいいくらの労災が出ると思いますか?」

俺「」

後輩「50万以上もらえると思いませんか?」

俺「そ、そうだとしても今日もらえないじゃ意味ないだろ!?」

後輩「仕方ありませんね…」

後輩「そこは私の貯金で何とかしますよ」

俺「お、お前…」

俺「そんな大金あったなら自分で何とかしろよ!」

後輩「先輩の指導が悪いせいでミスったんですから」

後輩「私がそれを負担するのはおかしいです」

後輩「さぁ 先輩。どの指が一番いらないですか?」

俺「く… 左足の小指だ…」

後輩「はい じゃあカッターお渡しいますね」

俺「ごめん、もう飽きたわ」

後輩「そうですか。じゃあこのスレも終わりですね」

おわり

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