魔王「四天王を増やして、百天王にしよう」側近「ええっ!?」 (221)

~ 魔王城 ~

魔王「いよいよ人間界侵攻の時が来たな」

側近「はっ……」

側近「あの緑豊かな大地を我らの手中に収めるのは、全魔族の悲願でありました」

魔王「うむ……この戦争、敗北は決して許されん」

魔王「ところで、魔王軍幹部“四天王”はどうしておる?」

側近「もちろん、準備は万全です」

側近「魔王様のご命令を今か今かと待ちわびている、といったところでございましょう」

魔王「ふむ」

魔王「四天王……ワシ自ら選りすぐった、魔族の中でも強大な力を持つ四人……」

側近「はっ、あの四人はいずれも魔王様によって」

側近「彼らを象徴する“二文字”と」

側近「自ら下級魔族に命令を与えられる“王”の称号が与えられております」

側近「鉄をも溶かす灼熱の炎を自在に操る、炎獄王!」

側近「あらゆるものを切り裂く疾風の申し子、絶風王!」

側近「水を駆使した技や魔法のエキスパート、滅水王!」

側近「強大な力をもって大地を揺るがす、轟地王!」

側近「いずれもが、人間の兵1万にも匹敵する戦力の持ち主です」

魔王「うむ……」

側近「?」

側近「……どうなされましたか?」

側近「まるで、四天王の戦力が物足りないとでもいうような反応でしたが……」

魔王「そのとおりだ」

側近「!」

魔王「人間の兵1万に匹敵する幹部が四人、すなわち人間の兵4万人分の戦力」

魔王「これではいささか物足りぬ」

魔王「それに、人間側にも一騎当千の強者がいないとも限らぬしな」

側近(たしかに……おっしゃるとおりだ!)

側近(これほどの戦力を持ってなお、一厘の油断もされないとは、さすが魔王様!)

魔王「──というわけで」

魔王「四天王を増やして、百天王にしよう」

側近「ええっ!?」

側近「ちょっ、ちょっと待って下さい!?」

側近「四天王を、百天王にするってのはどういう意味ですか!?」

魔王「決まっているだろう。四天王を百人に増やすのだ。つまり、百天王だ」

側近「えぇっ!? でも、えぇ!?」

魔王「単純な計算だ」

魔王「四天王を百天王にすれば、我が魔王軍の戦力は25倍になるだろう?」

側近「いやいやいや、ちょっと待って下さい!?」

側近「例えば、ある町の町長が一人だったところを10人に増やしたとして──」

側近「町が10倍豊かになるか、といったらなりませんよね?」

魔王「いや、なる」キリッ

側近(ええええええええええ~っ!?)

側近(ま、まずいぞ……! これは絶対に止めなければ!)

側近(幹部が100人もいたら、指揮系統がメチャクチャになるだけだ!)

側近(しかし、船頭多くして船山に上る、などと説明しても通用しないだろうな)

側近(なにしろ、魔王様に仕えて数百年、一つだけ分かっていることがある)

魔王「となれば、さっそく魔界中の魔族を城に集めるのだ!」

側近(こういう風にやる気を出している時の魔王様は──)

魔王「なにしろ、あと96人も幹部を増やさねばならぬのだからな!」

側近(絶対に自分の意見を曲げないからだ!)

魔王「そして、集まった魔族の中からワシ自ら選別を行い──」

魔王「その者を象徴する“二文字”と“王”の称号を与え、百天王とする!」

魔王「よいな、側近?」

側近「……分かりました、お任せを!」

側近(こうなったら、やるしかない!)

こうして、側近の“百天王”候補集めが始まった。



側近「ふう、ふう、大変だ!」タッタッタ…

側近「魔界のあちこちに『魔王軍幹部急募!』のポスターを貼らないと!」ペタッ…



側近「みなさぁ~ん! ぜひ魔王城に来て下さぁ~い!」

側近「魔王様と面接した方には合格不合格にかかわらず、粗品を差し上げまぁ~す!」



側近「今、魔王軍には幹部が不足しています!」

側近「皆さまのご協力を、お願いいたします!」

オーク「え~、魔王城に行け? めんどくせえなぁ」

側近「頼む、面接を受けるだけでいいから!」



側近「どう? 魔王軍幹部やってみない?」

サキュバス「あらぁ~ん、スカウトなんて、アタシ困っちゃう!」



側近「城に来るだけでいいから!」

触手「う~ん、ここから動くだけでも大変なのですが……」ウネウネ…



側近「ぜひ、面接を受けに来てくれ! なかなか魔族が集まらんのだ!」

ゴブリン「行けたら行くッスよ」



スライム「ボクなんか受かりっこないし、行く意味あるんですか?」

側近「たしかに受からないだろうが、記念に受けてみなって! 粗品も出るよ!」

側近(なにしろ、なるべく多くの魔族を城に呼べというご命令だからな……)

側近の努力もあり、次々に城にやってくる魔族を、魔王は全て面接した。



魔王「魔王軍幹部を志望された動機を教えて下さい」



魔王「一分間で自己PRをお願いします」



魔王「最近読んで感銘を受けた本などがあれば教えて下さい」



魔王「もしも、自分の望まない命令を受けた場合、あなたはどうされますか?」



魔王「本日はありがとうございました。合否については追ってご連絡いたします」

~ 魔王城 ~

魔王「……よし」

魔王「ついに魔王軍“百天王”の選別が終了した!」

側近「百人を選び終わったんですか!?」

側近「長かったですねえ……本当にお疲れ様でした! おめでとうございます!」

魔王「側近よ、さっそく百天王のお披露目式だ!」

魔王「大勢の魔王軍の前で、百人を順々に紹介していくぞ!」

側近「かしこまりました!」

側近(私でさえだれが選ばれたかは知らないんだよな……ちょっとワクワクする)

~ 魔王城大広間 ~

ザワザワ……

側近「静かにしろ!」

ピタッ……

側近「ただいまより、魔王軍“百天王”のお披露目式を開始する!」

側近「いずれも皆の上役となる面々だ」

側近「しっかりと目に焼き付けておくように!」

側近「では、一人目から開始!」

── 炎獄王!

炎獄王「フハハハハ、オレ様に刃向かう奴は焼き尽くしてやるぜェ!」

── 絶風王!

絶風王「フッ……全て切り裂いてみせるさ。このボクの風、でね」

── 滅水王!

滅水王「わたくしの清らかな水で、汚らわしい人間たちを浄化してみせますわ」

── 轟地王!

轟地王「人間を根こそぎ地の底に沈めてやる……」

── 雷獣王!

雷獣王「ウオオオオッ! 100億ボルトで人間を蹂躙じゃい!」

ワァァァァァ……!



側近「旧四天王と、元々四天王に近い実力だった雷の魔族を加えたメンバーですな」

側近「さすがに五人とも、幹部としての威光を存分に放っております」

魔王「うむ、みごとなものだ!」

── 呪氷王!

呪氷王「わらわの氷魔法に敵はないのじゃ……」

── 鉄鬼王!

鉄鬼王「ぬんっ!」ガキンッ

── 樹木王!

樹木王「自然を汚す人間どもを、動けぬ木々に代わって成敗してくれる!」

── 聖光王!

聖光王「我が光は、魔族を照らすためにあるのです」

── 闇牢王!

闇牢王「ククク……人間ドモ……闇ニ封ジテヤル……」

ワァァァァァ……!



側近「氷、鉄、木、光、闇と……それぞれの属性の第一人者ですか」

側近「先ほどの五人に負けず劣らぬの迫力を発しております」

魔王「フフフ、大いに活躍が期待できるな!」

── 剣刃王!

剣刃王「吾輩の魔剣に斬れぬものなし……!」

── 暴槍王!

暴槍王「俺の槍で、人間どもを串刺しにしまくってやる!」

── 斧岩王!

斧岩王「わしの斧は、岩をも砕く!」

── 冥弓王!

冥弓王「ウフフ、アタシの矢は百発百中よん。みんな射抜いてあ、げ、る」

── 盾壁王!

盾壁王「知らぬなら教えておこう。盾とは攻防一体の武器なのだよ」

ワァァァァァ……!



側近「なるほど、剣、槍、斧、弓、盾の達人も幹部にしたのですか」

側近「たしかに魔法だけでは戦力に不安が残りますからね」

魔王「そのとおり……よく分かっておるではないか」

── 混乱王!

混乱王「ウヒヒヒ、ウヒヒヒ、混乱っていいよねぇ~、仲間同士で争え~」

── 麻痺王!

麻痺王「麻痺をあなどったら……死にますよ?」

── 石化王!

石化王「人間を石化して……俺の石像コレクションにしてやるよ」

── 睡眠王!

睡眠王「人間に安らかな眠りを与えた後、永遠の眠りを与えてやろう」

── 猛毒王!

猛毒王「ポイズゥゥゥゥゥンッ!」

ワァァァァァ……!



側近「ほう、状態異常魔法の使い手たちですか」

側近「混乱、麻痺、石化、眠り、毒……いずれも厄介です」

魔王「対策を怠れば、絶対に勝てぬ五人だ!」

── 日光王!

日光王「グハハッ、太陽の光で、味方をパワーアップゥ!」

── 新月王!

新月王「ムフフ、月の光で、敵をパワーダウン……」

── 流星王!

流星王「メテオ系魔法において、ボクの右に出る魔族はいないよ」

── 黒穴王!

黒穴王「ワイのブラックホール術はなんでも吸い込むんや!」

── 円輪王!

円輪王「惑星の輪を模したこのチャクラムは、変幻自在の軌道を生む」

ワァァァァァ……!



側近「星をモチーフとした魔法や術を使う面々ですか」

側近「物理攻撃に魔法攻撃に補助、とユニークな使い手がそろっていますね」

魔王「うむ、派手さと堅実さを兼ね備えた連中だ」

── 白虎王!

白虎王「人間を好きなだけ食っていいなんて、サイコーだぜェ!」

── 巨象王!

巨象王「パオォォォォォ~~~~~~~~~~ンッ!!!」

── 豹牙王!

豹牙王「狩りは静かに素早く……だ」

── 獅子王!

獅子王「ガルルル……百獣の王たる実力、お見せしよう」

── 凶竜王!

凶竜王「ダイナソーとドラゴンの力を併せ持つのが、このワシじゃ!」

ワァァァァァ……!



側近「おお……これは猛獣系のモンスターたちですな!」

側近「五人とも、恐るべき殺気を放っています」

魔王「ヤツらにとっては、人間は倒すべき敵ではなく餌にすぎん……」

── 白骨王!

白骨王「何度砕かれても、オレはよみがえるのさァ~! 骨だからなァ!」

── 死骸王!

死骸王「私は死体を操るのが得意だ。といっても、私自身も死体だがな」

── 吸血王!

吸血王「人間の血はとても美味しゅうございますわ」

── 幽現王

幽現王「幽体であるワシに、あらゆる武器は通用しないのだ!」

── 怨念王!

怨念王「恨めば、恨むほど……力が湧いてくるゥ! うぉぉぉぉぉぉん……」

ワァァァァァ……!



側近「アンデッド系のモンスターたちですか」

側近「こういってはなんですが……やはり不気味な者ばかりですな」

魔王「闇夜での戦いでこやつらに勝てる者は、そうはおるまいよ」

── 東昇王!

東昇王「昇る日のように、敵を打ちあげて空中で絶命させてくれる!」

── 西沈王!

西沈王「沈む日のように、敵を叩きつけて地面に沈めてくれる!」

── 熱南王!

熱南王「強烈な気温と湿度で、蒸し焼きにしてやるゥ!」

── 寒北王!

寒北王「フォフォフォ、オーロラ魔法の威力、思い知らせてくれようぞ」

── 中央王!

中央王「あたち、快速で動いて敵をひき殺しちゃうの」

ワァァァァァ……!



側近「方角の名を冠された魔族たちですか」

側近(中央王だけは、ネーミングもう少しなんとかならなかったものか……ゴロ悪い)

魔王「この五人を東西南北中央に配備すれば、人間など恐れることはない」

── 拳打王!

拳打王「パンチパンチパンチパンチパァ~ンチッ!」

── 回蹴王!

回蹴王「俺っちのハイキックを受けて、立ち上がれる人間はいないぜ!」

── 関節王!

関節王「……ヘシ折る」

── 窒息王!

窒息王「人間なんてもろいものさ。首をちょっと絞めるだけで死んじゃうんだもの」

── 反則王!

反則王「ヒジを眼球に入れて、殴り抜けるッ!」

ワァァァァァ……!



側近(こいつら……格闘王とかでひとまとめにできなかったんだろうか)

側近(なんだか、雲行きが怪しくなってきたような……いや、まだ大丈夫だ!)

魔王「ヒジで目潰しを狙うとは……なんと卑劣な奴よ」

── 軟体王!

軟体王「スライムです、よろしくお願いします!」プニッ…

── 魅了王!

魅了王「アタシ、サキュバス! スカウトされちゃった~!」ウフッ

── 触手王!

触手王「人間の女を捕えたら、私のところにお持ち下さい」ウネウネ…

── 愚豚王!

愚豚王「オレはオークだ! ガハハハハッ!」ムンッ

── 亜人王!

亜人王「オイラはゴブリンッス! 百天王の一人として、頑張るッス!」テヘッ

ワァァァァァ……!



側近(私が数合わせにスカウトした連中じゃないか! ……全員合格したのかよ!)

側近(なんか、最初の方のメンバーに比べて、ずいぶん見劣りしてきたような……)

魔王「触手王には、ぜひとも期待したいものだ」

── 火炎王!

火炎王「俺は火を操り、色んなものを燃やすことができる!」

── 突風王!

突風王「ミーは風を操作する術を身につけてるアル」

── 流水王!

流水王「私は水魔法をたくさん使うことができるのよ!」

── 地面王!

地面王「地面を割る、揺らす、などが特技です」

── 落雷王!

落雷王「ボクのサンダーで、人間たちのヘソをゲットだぜ!」

ワァァァァァ……!



側近「あ、あの……魔王様、こいつら最初の五人とかぶりまくっていませんか!?」

魔王「ん? どこにもかぶっちゃダメなんて規則はなかろう?」

側近「そりゃあ、たしかにないですけど……」

── 怠惰王!

怠惰王「ニート歴500年です。これからも働くつもりはありません」

── 不潔王!

不潔王「もう千年以上風呂入ってねぇや……あ、屁が出そう」ブッ!

── 収集王!

収集王「美少女フィギュアを集めるのが趣味でブヒョ~!」

── 虐待王!

虐待王「己より弱い小動物しか相手にしないことを誓いますッ!」

── 無口王!

無口王「…………」

ワァァァァァ……!



側近「ろくなのがいないじゃないですか! なんなんですか、こいつらは!?」

魔王「こういう枠もありかな、と思ってな」

側近「いりませんよ!」

── 賄賂王!

賄賂王「ワイロのことなら、あっしに任せな!」

── 隠滅王!

隠滅王「証拠隠滅のプロフェッショナルとは、それがしのことだ」

── 秘書王!

秘書王「いつでもどこでも身代わりになります! 全て私がやったことです!」

── 虚偽王!

虚偽王「究極の弁解術というものをお見せしよう」

── 野次王!

野次王「ブーブー! 引っ込めー! ブーブー! 引っ込め―!」

ワァァァァァ……!



側近「とても戦闘ができるように見えない連中ですが……?」

魔王「こやつらは政治担当の幹部だ。きっと役に立つ」

側近「政治って……ある意味、さっきの五人よりもひどいですよ!」

── 空間王!

空間王「小生は空間を自在に操れる!」

── 時空王!

時空王「時間を止める、進める、戻す、飛ばす、なんでもオーケーさ!」

── 消滅王!

消滅王「いかなる物質も、手をかざすだけで分子レベルで消滅できるぞい」

── 予知王!

予知王「ある程度までの未来ならば、完璧に見通し、対処することができる」

── 破星王!

破星王「アタイのエネルギーボールは、一発で星を壊しちゃうのよ!」

ワァァァァァ……!



側近「こいつら、明らかに魔王様より強くないですか!? もし反逆されたら──」

魔王「まずいな」

側近「まずいな、じゃないでしょうよ!」

── 次元王!

次元王「拙者は次元を司る魔族でござる。一次元から百次元まで操れるでござる」

── 宇宙王!

宇宙王「全宇宙で一番偉いのは、ぼくなんだよ!」

── 法則王!

法則王「オレは……この世のあらゆる“法則”を書きかえることができる……」

── 並列王!

並列王「パラレルワールドを、自由に行き来できる能力を持ってるわよ~ん」

── 誕生王!

誕生王「ビッグバンをいつでもどこでも気軽に起こせます」

ワァァァァァ……!



側近「ここまでくると、もはや何がなんだか分かりません! インフレしすぎです!」

魔王「ワシにもこいつらの能力は、難しすぎてよく分からん」

側近(魔界のどこにこんな奴らが潜んでたっていうんだ……)

── 宿屋王!

宿屋王「一晩100ゴールドで、ぐっすり休めますよ!」

── 武器王!

武器王「へい、らっしゃい! どんな武器が欲しいんだい?」

── 道具王!

道具王「色んな道具を取りそろえてますよ!」

── 教会王!

教会王「死んだ魔族の蘇生をしたい時や、セーブする時は来て下さい」

── 民家王!

民家王「ノックもせず入ってきて、タンスやツボをあさるんじゃねェ!」

ワァァァァァ……!



側近「こいつらは魔王軍に来るべきじゃないでしょうよ!?」

魔王「まあよいではないか」

側近「よくないッ!」

── 一二王!

一二王「ワン、ツー!」

── 三四王!

三四王「スリー、フォー!」

── 五六王!

五六王「ファイブ、シックス!」

── 七八王!

七八王「セブン、エイト!」

── 九十王!

九十王「ナイン、テン!」

ワァァァァァ……!



側近「魔王様、そろそろハッキリ言ってしまおうと思うんですけど──」

側近「百は多すぎたな~、五十ぐらいにしとけばよかった、とか思ったでしょ?」

魔王「バ、バカをいうな!」ギクッ

── 配管王!

配管王「イヨッフゥゥゥゥゥ! バッハァァァァァ!」ピョン

── 電鼠王!

電鼠王「ビィ~カァ~!」

── 腕銃王!

腕銃王「8人のボスと、悪い博士を射殺してやる!」ジャキッ

── 大剣王!

大剣王「興味あるね」

── 青針王!

青針王「音の三分の一ぐらいの速さで突っ走るぜ!」

ワァァァァァ……!



側近「どこかで見たことあるような、パチモンだらけじゃないですか!」

魔王「むろん、実力の方もパチモンだ。さして強くない」

側近「ダメじゃねえか!」

── 化学王!

化学王「ヒィ~ヒッヒッヒッヒ! ワタシのガスで苦しむ人間を見たいねェ!」

── 細菌王!

細菌王「生物兵器こそが、地上最強の兵器なのだ!」

── 地雷王!

地雷王「対人、対戦車、なんでもござれ! 埋めた後は知ったこっちゃねえ!」

── 焼夷王!

焼夷王「人間(ダニ)どもを、全て焼き払ってくれるわァ!」

── 核爆王!

核爆王「スイッチ一つで国消滅!」

ワァァァァァ……!



魔王「どうだ、この五名は比較的本格派だぞ?」

側近「実力的には、さっきの次元王だの宇宙王だのの方が上なんでしょうが──」

側近「どこか生々しくてイヤですね、この五人は……。絶対条約とかで禁じられますよ」

── 魔父王!

魔父王「おお、仕事を頑張っておるようだな、息子よ」

── 魔母王!

魔母王「まぁ~た、ベッドの下にエロ本隠してたでしょ、アンタ」

── 魔兄王!

魔兄王「ったく、オレはサラリーマンだっつうのに……」ブツブツ…

── 魔妹王!

魔妹王「お兄ちゃん、人間界をいっぱい蹂躙しようね!」

── 魔犬王!

魔犬王「ワン、ワン、ワン! ワォ~ン!」

ワァァァァァ……!



側近「この人たち、アンタの家族じゃん! 家族で五枠も埋めやがって!」

魔王「まあ固いことをいうでないわ! とにかくこれで、百天王が揃ったぞ!」

側近「…………」

その夜──

~ 魔王城 ~

側近「ハァ……」

魔王「どうした、側近?」

側近「いえ……先ほどお披露目式がありました“百天王”なのですが」

側近「本当にあのメンバーで人間どもに勝てるのか、あのメンバーを制御できるのか」

側近「不安になりましてね……」

魔王「100人もの幹部ができたというのに、おぬしも心配性だな」

側近(100人もいるから心配なんだよ……)

魔王「ならば……あれを見るがよい!」バッ

側近「!?」

 炎獄王 絶風王 滅水王 轟地王 雷獣王 呪氷王 鉄鬼王 樹木王 聖光王 闇牢王

 剣刃王 暴槍王 斧岩王 冥弓王 盾壁王 混乱王 麻痺王 石化王 睡眠王 猛毒王

 日光王 新月王 流星王 黒穴王 円輪王 白虎王 巨象王 豹牙王 獅子王 凶竜王

 白骨王 死骸王 吸血王 幽現王 怨念王 東昇王 西沈王 熱南王 寒北王 中央王

 拳打王 回蹴王 関節王 窒息王 反則王 軟体王 魅了王 触手王 愚豚王 亜人王

 火炎王 突風王 流水王 地面王 落雷王 怠惰王 不潔王 収集王 虐待王 無口王

 賄賂王 隠滅王 秘書王 虚偽王 野次王 空間王 時空王 消滅王 予知王 破星王

 次元王 宇宙王 法則王 並列王 誕生王 宿屋王 武器王 道具王 教会王 民家王

 一二王 三四王 五六王 七八王 九十王 配管王 雷鼠王 腕銃王 大剣王 青針王

 化学王 細菌王 地雷王 焼夷王 核爆王 魔父王 魔母王 魔兄王 魔妹王 魔犬王



側近「──こ、これは!?」

魔王「百天王全員の名前を、壁に記してみたのだ」

魔王「どうだ……こうして並べると、なかなか壮観だろう?」

側近「たしかに……チリも積もれば山となる理論で、なんだか凄い集団に見えますね!」

側近「魔王様……ずらっと並んだ百の名前を見ていたら、不安が消し飛びました!」

側近「なんだか勝てるような気がしました!」

側近「いける、いけるぞ! 我が軍の勝利、まちがいなしです!」

魔王「…………」

魔王(こやつもなかなか単純な男だな……)



………………

…………

……



しかし、時を同じくして、恐ろしい計画が生まれつつあることを彼らは知らない……。

~ 王国 ~

勇者「戦士、魔法使い、僧侶!」

勇者「ついに魔界で魔王たちが動き始めたという情報が入ってきたけど──」

勇者「ハッキリいって、魔王軍は手強い。ボクたちでも勝てるかは分からない」

戦士「たしかにな……楽観はできねえかもな」

魔法使い「うん、勇者のいうとおりだ!」

僧侶「そのとおりですわ。さすがは勇者様、慎重ですわね」

勇者「──というわけで」

勇者「ボクらは4人パーティーをやめ、1000人パーティーになろう!」

戦士&魔法使い&僧侶「えええええっ!!?」





                                   ─ 完 ─

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年03月11日 (火) 00:58:02   ID: ziu3YW0F

これだけ考えた>>1に敬礼

しかし犬wwwwwwwww

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