ほむら「世界の、最後の7日間」(329)

書きつつ投下します

パチッ

ほむら「………」

ほむら「また……救えなかった……」

ほむら(あと何回繰り返せば、私の望む未来に…まどかが笑える世界は………)

ほむら(いえ、弱気になってはだめ。もう時間は繰り返さない。

    一ヶ月後、全てを終わらせて見せる!)

ほむら「そのためにも、まずはインキュベーターを……」

ほむら「………そういえば」

    体感時間では、ほんの一時間前のこと。

    まどかは、一体何を願ったのだったか……

   一週間後

ほむら「待ちなさいっ、インキュベーター」タァンタァン!

QB「こんなことをして何になる、暁美ほむら。僕を殺しても無駄だって、いい加減分かっているだろう」

ほむら「無駄だろうと何だろうと構わないわ」

ほむら(……これが私の選んだ道なのだから)

QB「わかってるのかい?魔法少女を増やすことは、君たちのためでもあるんだ」

ほむら「詭弁は聞き飽きたわ、インキュベーター。私には宇宙よりも大切な友達がいる、それだけよ」タァン!

QB「」

ほむら「………まどかを守るためなら……」

ほむら(どんなことだって乗り越えられる)

QB「それが君の願い、と言うわけだ」ヴン

ほむら「!!」

QB「君は鹿目まどかを守るために契約した、そうだろう?暁美ほむら」

ほむら「……答える必要はないわ」

QB「否定しないんだね」

ほむら「……」

QB「成程ね、大体読めてきたよ。さっきから感じていた違和感にも、説明がつきそうだ」

ほむら「……フン」

QB「君は事を知りすぎている。まだ僕にも完全に把握できたわけじゃないけどね」

ほむら「……別にあなたに能力を把握されようが、大したことじゃないわ。私はまどかの契約を防ぐ、それだけよ」

QB「…………。

   そのことについては、……心配ないさ」

ほむら「あなたがまどかを狙っていることは知ってるの。今さっき、あながまどかに近付こうとしていた事もね」

QB「…………そういう意味じゃないさ」

ほむら(………?)

ほむら「お前にしては歯切れが悪いわね。何を隠しているの?」

QB(…………)

ほむら「はっきりしない奴は嫌いだわ」カチャ

QB「……やれやれ、隠しても仕方の無いことかな。君には少し酷かもしれないけれど」

ほむら「………何がよ」

QB「言葉にしてしまえば、単純なことさ」




QB「今日から丁度一週間後、この地球は滅亡する」


ほむら「………え?……………何を……言ってるの……?」

QB「言葉通りさ。滅亡、というよりは破壊の方が近いかもしれないけど」

ほむら(そんな………嘘…………!!)

QB「僕が嘘をつかないのは知っているだろう」

ほむら(………そんな、こと…………)

翌日 朝

パチッ

ほむら「…………」

ほむら「………約、あと六日」

ほむら(………それを過ぎたら、この世界は終わる)

ほむら(滅亡を防ぐ手段が無い訳じゃない)

ほむら(昨日のインキュベーターの話によれば、地球の滅亡は巨大な隕石によるもの)

ほむら(つまり………)

ほむら「………そんなの、駄目に決まってるじゃない………」

ほむら(私が一晩かけて考えた案は、この世で最低のものだった)

ほむら「隕石を消すよう、地球を救うように………」

ほむら「守るはずの親友に、願ってもらう、なんて………」

ほむら(………最低だわ)

ほむら(でも…………逆に考えれば、まだ六日猶予がある、という事)

ほむら「その間に何としても、別の方法を探さなくちゃ……」

ほむら(とりあえず今日は学校に行くべきかしら)

ほむら(恐らく昨日、二人は巴マミに遭遇しているはず)

ほむら(まどかが魔法少女に憧れをもってしまう前に、道を断つこと)

ほむら(とりあえず打開策が思いつくまで現状維持ね)

ほむら(………焦るな、私)

二日後、夕方
ほむら(………マズいわ。あれから何の進展もなしに、もう残り3日)

ほむら(しかも今日は巴マミが負け、美樹さやかが魔法少女になるきっかけを作ってしまう日)

ほむら(美樹さやかレベルの素質で地球が救えるわけは無いけど、何があるかは分からないわ)

ほむら(彼女も契約させずにおきたいし……巴マミも救っておくに越したことは無いでしょう……)

ほむら(……!!)

ほむら(………今……私は何を………考えてたの……?)

ほむら(『越したことは無い』……?人の命を救うことに対して……!)

ほむら(それだけじゃない……美樹さやかのことだって、まるで保険みたいに……)

ほむら(何てことを……)

ほむら(…………いけない、これじゃまどかを救うどころではないわ)

ほむら(私の心のほうが……駄目になってしまう)

ほむら「しっかりしなさい、私」

ほむら「いつも通り、何も変わらないわ。今日は巴マミを救う。それで良いの」

ほむら「細かいことは、ちゃんと助け終えてから考えましょう」



ほむら「………失敗した」

ほむら「あのタイミングでリボンの攻撃が来ることなんて分かってたはずよ」

ほむら「なのに………どうして」

ほむら(ひょっとして………私は期待していたの?)

ほむら(巴マミが死に……その結果、罪悪感から少しでもまどかが魔法少女になるよう、気持ちが傾いてくれれば)

ほむら(………まどかを説得しやすくなる)

ほむら(この世界を救うために、契約して、って)

ほむら「………ふふ」

ほむら(これじゃ、まるでインキュベーターと同じじゃないの……)

ほむら「…………最低ね」

ほむら(とてもまずい状況だわ)

ほむら(もう残り三日を切ってしまう)

ほむら(………やはり、まどかに……いえ、駄目よ)

ほむら(そんなことをしても、インキュベーターの思う壺……?)

ほむら「……そういえば」

ほむら(最初に奴と話した時、インキュベーターの様子は僅かにおかしかったように思う)

ほむら(もし、『地球滅亡』自体が、インキュベーターによるデマだったら)

ほむら(今までインキュベーターは嘘をつかない、なんて勝手に信じていたけれど)

ほむら(……そうしたら、あいつにとってどんな得がある?)

ほむら「……決まってる」

ほむら(…………まどかの契約だ)

ほむら(その日が近付くにつれ、私は焦り、形振り構わなくなっていく)

ほむら(そして『私が』無理矢理まどかに契約するよう迫る)

ほむら(インキュベーターは莫大なエネルギーを手にし、そして『私が』まどかに契約させた事になる)

ほむら(私は自分がしでかしたことに気付き、絶望してしまうかもしれない)

ほむら(……最悪のシナリオね……)

ほむら「それに、もう一つ」

ほむら(本当に地球が滅亡するのだとすれば、私にではなく、まどかに直接言えば良いことよ)

ほむら(心優しいあの子の事よ、きっと何も疑わずに契約してしまうでしょう)

ほむら(でもそうせず、わざわざ私経由で事を進めているのが何よりの証拠)

ほむら(……でも、まどかの契約は?)

ほむら(何といって契約させるつもりなのかしら……いえ)

ほむら(結局どう願っても、歪んだ形で叶えられるのでしょう)

ほむら("地球を滅亡させないでほしい"と願えば、半永久的な平和が訪れる)

ほむら("隕石を消して"と願ったら、恐らくそこらの本来地球と何の関わりもない隕石を消して見せるだけ)

ほむら(それでも私たちに知る術なんて無い)

ほむら(「世界を救えた」なんて喜び、魔法少女業に精を出す)

ほむら「…………反吐が出るわ」

ほむら「インキュベーター、いるんでしょ。出てきなさい」

QB「……何だい」

ほむら「あなたの企みは分かってるの、そろそろ白状したらどうかしら?」

QB「いきなり何の事だい、訳が分からないね」

ほむら「地球滅亡なんて、あなたの下らない嘘なのでしょう」

QB「……現実逃避して、ついにそんなことを考えるようになったのかい」

QB「以前の君なら、もっと純粋に考えていただろう。どうしたらこの状況を打破できるか、とね」

ほむら「口が達者ね、そうやってまどかの契約に漕ぎつけるつもりかしら?」

QB「………」

ほむら「…何とか言いなさいよ」

QB「その質問に答える前に、聞いておきたいことがあるんだ」

ほむら「何よ」

QB「まだ仮説の域を出ていなくてね、僕としても半信半疑なんだけど」

QB「君の能力と、願いに関する話さ」

QB「暁美ほむら、君は何度も一定期間を繰り返しやり直している、間違いないかい?」

ほむら「答えてどうなるのかしら」

QB「君にメリットは無いね」

ほむら「なら答えないわ」

QB「きっとそういうだろうと思ったよ。君は強情だからね」

ほむら「要件はそれだけ?ならもう良いわ、消えて」

QB「待ってくれ。僕もそう簡単に引き下がるわけにはいかないんだ」

ほむら「あなたの事情なんて、私の知ったことじゃないわ」

QB「………それが鹿目まどかと、今回の地球滅亡に関することだとしてもかい?」

ほむら「だからそれは嘘なんでしょう、いつまでもくどくどと……」

QB「嘘じゃないさ。僕は一度だって偽の情報を流した事は無い」

ほむら「………フン」

ほむら(もし、こいつの言ってることが正しければ………私の推理が、見当外れのものだとしたら………?)

ほむら(………本当に、地球が滅びるとでもいうの……)

ほむら「……分かったわよ、話すわ」

ほむら「……そうよ、お前の想像通り、私は何度もこの一カ月をやり直している」

ほむら「お前からまどかを………守るために」

QB「……やはりそうかい」

ほむら「だからどうだっていうのかしら?」

QB「君の話で、僕の仮説の裏付けが取れた。ほむら、地球が滅亡してしまうのはね」



QB「全て、君のせいなんだ」


ほむら「だから何度も言っているでしょう、あなたの嘘は見破っているって」

ほむら「今更引き延ばす必要は無いわ」

QB「違うよ、ほむら。僕は嘘なんて一つもついてない」

ほむら「嘘よ」

QB「嘘じゃないさ」

ほむら「……………なら、証拠を見せなさい。私の信頼に値する物を」

QB「証拠はないけど、説明は出来るんだ」

QB「聞きたいかい?」

ほむら(こいつの話が全て真実だったのか、そうでないのか)

ほむら「………」

ほむら(判断は、こいつの話を聞いてからでもできる……)

ほむら「……良いわ……話しなさい」

QB「……まず最初に引っ掛かったのは、君が鹿目まどかに固執している点だった」

QB「理由は後で言うけど、僕の目にはとても奇妙に映った」

QB「そしてもう一つ、君が異常に物を知っている、その上僕と契約していない魔法少女だという事」

QB「これだけで、君が恐らくは別の、もっと未来の時間軸からやってきたことは想像がついた」

ほむら「…………」

QB「君と初めて対峙した時、僕は違和感を持った」

QB「さっきも言ったが、何故君がこんなにも鹿目まどかに執着するのか、ということにね」

ほむら「……そんなの、大切な友達だからに決まっているじゃない」

ほむら(もし本当に地球が滅亡の危機なのだとしたら……やはりまどかに………契約を……)

ほむら(……何を考えているの、暁美ほむら!それじゃこいつの思う壺よ)

ほむら(いえ、でも……それ以外に選択肢が……)

ほむら(くっ……私は……)

QB「………そこがおかしいんだよ」

ほむら「!」

QB「"友達だから"なんて関係ないのさ

   僕が言ってるのは、そういう意味じゃない」

ほむら「……どういう意味よ」

QB「……僕が疑問だったのはね、なぜ君が

   『魔法少女の素質が全くない少女を、僕から守ろうとしているのか』

   という事だったんだ」

ほむら「何ですって……?」

QB「何もおかしいことは言ってないさ」

ほむら(そんなはずは無い……まどかはいつも、魔法少女としての資質を備えていた)

ほむら(それが無くなるなんて事………。やはりこいつは、嘘をついている)チャキ

QB「早まるのはやめてくれ、ほむら。僕の話はまだ終わっていない」

ほむら「…………」

QB「……良いかい、続けるよ」

QB「そこで僕は仮説を立てた。もしかしたらこの少女は、前ほむらのいた世界では素質があったのかもしれない、とね」

QB「そうすると、全てが一つにつながるんだ。君のことも、まどかのことも、そして隕石のことも」

ほむら「……確かにまどかは今まで大きな力を持っていたわ。でもそれは隕石とは……」

QB「関係あるんだよ、ほむら」

QB「……一つ質問するが、ひょっとしてまどかは、君が時を巻き戻すたび、強力な魔法少女になっていったんじゃないのかい?」

ほむら「!!」

QB「……どうやら心当たりがあるようだね。なら話は早い」

QB「良いかい、まどかは君の時間遡行の基点となっていた。君が時を返すたび、まどかに因果が溜まっていった」

QB「そしてまどかの素質も比例していった」

ほむら「私のしてきた事が、まどかを……?」

QB「ここからさ、ほむら。そうやって溜まりに溜まった因果は、到底一人の少女が持てる限界を超えていた」

ほむら(………………そんな……)

QB「そして今回、君が新たにまどかに巻きつけた因果の糸で、まどかのギリギリだったキャパシティもついにパンクし、そして」

QB「想像を絶する歪みが、まどか目掛けて一直線に向かって来ている訳だ」

QB「地球を滅ぼす、魔力の隕石としてね」

ほむら「………そんな………私、が………」

QB「お手柄とは言えないね、ほむら。おかげで僕も大慌てさ。ギリギリまでエネルギーの収集を必死こいてやらなくちゃいけないからね」

ほむら「………嘘………嘘よ…………ッ!」

QB「それじゃ、伝えることは全て伝えた」

QB「あと三日――も無いかもしれないけど、精々楽しむといいさ、それじゃあね!」

五日目

ほむら(………)

ほむら(もう、私に出来ることは無い)

ほむら(頼みの綱だった、まどかは素質を持っていない)

ほむら(さやかは………例え出来たとしても、地球を救えるような素質は持っていない)

ほむら「私のしてきた事は…………」

ほむら(………………無駄だったの………?)

ほむら(…………)

ほむら(……いえ、まだよ)

ほむら(少しでも情報が欲しいわ。もう夕方、生徒が残っているかは分からないけど)

ほむら「学校に行ってみましょう」

学校

ほむら(………教室に誰かいる……?)

ほむら(こんな時間まで残っているなんて、一体誰かしら)

ガラッ

まどか「………!!」

まどか「ほむらちゃん!?」ゴシゴシ

ほむら(まどか………)

ほむら「こんな時間まで学校に残って、一体何をしているの」

ほむら(まどかの目元が赤い……泣いていたのかしら)

まどか「う、ううん、えっとね、何かしてた、って訳じゃないんだけど」

ほむら「……何もしてなかったのかしら」

まどか「そ、そういう訳でも、無いんだけど……」

ほむら「でももう下校時間はとっくに過ぎているわ」

ほむら「それに、美樹さやかは?あなたはいつも彼女と一緒に帰宅しているのではなかったかしら?」

まどか「うん………そのことなんだけど」

ほむら「……?どうかしたの?」

まどか「……あのね、さやかちゃんには口止めされてたんだけど……」

ほむら(………まさか……)

ふむ

まどか「さやかちゃん、魔法少女になったの」

ほむら「!!」

まどか「好きな人の演奏が聴きたい、って言って……」

ほむら(……これで……望みは完全に潰えた)

ほむら「……そう、それじゃ今頃は魔女探しの真っ最中かしら?」

なんか違うなこのほむらは

まどか「うん、そうだと思う。私も連れて行って、ってお願いしたんだけどね」

まどか「……断られちゃった、えへへ」

ほむら(断る……?今までの彼女なら、進んでまどかを連れた行きたがっていたのに……)

ほむら(……いえ、でも……考えてみれば当然ね)

ほむら(今までのまどかには、魔法少女の素質があった)

ほむら(でもこのまどかにはそれがない)

ほむら(いざという時に自分の身を守れない以上、まどかを連れてはいけない……賢明ね)

まどか「……ほむらちゃん?」

ほむら「………いえ、何でもないわ」

まどか「ねぇ、ほむらちゃん。……ほむらちゃんはどうして魔法少女になったの?」

ほむら「!」

まどか「あっ!ご、ごめんね、そんな簡単に聞いちゃいけないよね、こんな話」アセアセ

ほむら「……いえ、別に構わないわ」

ほむら「ただ、それを話すなら、もう少し落ち着いた場所に行きたい、というのが本音だけど」

まどか「そ、そうだよね……。あ、じゃあそれならさ、ほむらちゃんっ」

ほむら「なに?」

まどか「えっと……私の家に来ない?」

鹿目家

ほむら(……私は、まどかに話すべきなのだろうか)

ほむら(私の魔法少女としての過去を)

ほむら(そして……そのせいで、世界が滅びてしまう事を)

まどか「お茶とお菓子、こんなものしか無いけど……」

ほむら「いえ、嬉しいわ、まどか」

ほむら(話さずにいれば、このまま何事も無く終われる)

ほむら(……でもそれは私が責任を負う事から逃げているだけ)

ほむら(でも全て話したら?)

ほむら(私が非難されるだけなら良い。でも、心優しいこの子は、全てを自分のせいだと思い込んでしまうはず)

ほむら(そうなったら私は………)

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら(!)

ほむら「っあ、ごめんなさいまどか、つい考え事をしていて……」

まどか「そ、そっか」

ほむら「私の魔法少女になったきっかけ、……よね」

まどか「うん……でも………ほむらちゃん、大丈夫?無理して話してくれなくても……」

ほむら「別に無理なんてしてないわ。ただどこから話せばいいのか迷っていて」

まどか「でもほむらちゃん、さっきからずっと悲しそうな顔してるから…」

ほむら「……ごめんなさい、不快な思いをさせたかしら」

まどか「ううん、そんなこと無いよ。でも……やっぱり、また今度にしたほうが良いんじゃないかな、って」

ほむら(!!)

ほむら(………今度なんて、あるか分からない)

ほむら(あと二日と少ししたら、この世界は壊れてしまうのだから)

ほむら「いえ、大丈夫よ。ただ……」

まどか「?」

ほむら「私の話は、あなたにとってとても嫌なものになると思うから……」

ほむら「それを、覚悟しておいて欲しいの」

まどか「……うん。分かったよ、ほむらちゃん」

ほむら(私は……)



まどか「ぐすっ、えぐっ……ほむらちゃん……んっ」グスグス

ほむら「……ごめんなさい、まどか。ありのままを話せばあなたがどんな気持ちになるかなんて、分かってたのに」

まどか「そんな、ひくっ、ことっ……」

ほむら(結局……世界が終ってしまう事は話せなかった。話したのは、魔法少女としての私の過去だけ)

ほむら(私は逃げた。全てを伝えたら、まどかをさらに傷付けるのが分かったから)

ほむら(そして、私も……そんなまどかを見て、傷つくのが怖かったから)

ほむら(………最低ね、私)

ほむら「……落ち着いたかしら?」ナデナデ

まどか「……うん。……ごめんねほむらちゃん。服、グショグショにしちゃったね」

ほむら「別に気にしないわ。泣いてるあなたの相手は何度も経験してるから」

まどか「そっか。……そうだよね、ほむらちゃん。……ごめんね」

ほむら「別に、私が私自身のためにやっていることよ。あなたが気に病むことは無いわ」

まどか「ううん、でも、ほむらちゃんが私のために頑張ってくれてたって知って、何も思わないなんて出来ないよ」

ほむら「……信じてくれるのね、こんな荒唐無稽な話を」

まどか「……うん、信じるよ。ほむらちゃんだからね」

ほむら「? 私だから……?」

まどか「うん。私ね、初めてほむらちゃんに会った時、全然初対面だって気がしなくって。

    こんなこと言うと笑われちゃうかもしれないんだけど、ほむらちゃんと夢の中で会った気がしてたの」

ほむら「夢って、どんな?」

まどか「ほむらちゃんが、おっきなお化けと戦ってる夢……かな。はっきりと覚えてるわけじゃないんだけど……」

ほむら「……そう」

ほむら(その夢の結末は………。いえ、聞かないでおきましょう)

まどか「あ、でも、ほむらちゃんが昔は何も出来ない子だった、っていうのはちょっと信じられないかな、えへへ」

ほむら「あら、本当よ。今の私は、魔力で無理矢理体を矯正しているの。本来なら、ほとんど運動もできないわ」

まどか「ほんと?全然信じられないよ」

ほむら「本当よ。心臓に病気を持っていたから」

まどか「そうだったんだ。ほむらちゃんって何でもこなすイメージがあるから、ちょっと意外かも」

ほむら「そうかしら」

まどか「他にも知りたいな、ほむらちゃんの事」

ほむら「ああ、そういえば、スケッチブックにいろいろ描き込んでる事があったわね。

    あれは何を描いていたのかしら……」

まどか「あ、あう、何で知ってるのっ」

ほむら「確か、ウサギさんとクマさんが一緒に暮らしてる話だったような……」

ほむら(本当は全部知ってるのだけれど)

まどか「ちょ、ちょっとほむらちゃん!私じゃなくてほむらちゃんの話だよっ!」

ほむら「ふふ、ごめんなさい」

まどか「も~っ」

ほむら(まどかには、笑っていてほしいと思う)

ほむら(……明日、残りの全ての事を伝える。だから、せめてそれまでは……)

六日目

パチッ

ほむら(明日……朝を迎えられるかは分からない)

ほむら(私に出来ることなんて、決まっている)

ほむら(だから、それをやりぬくだけ)

ほむら(そして今日、まどかに伝える)

ほむら(明日、世界が終わることを)

ほむら(今日は学校は……いいわ)

ほむら(まどかと、どこかで二人きりで話がしたい)

ほむら(最期の話になるかもしれないけれど)

ほむら(それでも、全てを話しておきたい)

ほむら『まどかへ

    大事な話があるの。見滝原タワーの展望台で待ってます。

    来てくれると嬉しいわ』

まどか「はぁっ、はぁっ……ほむらちゃんっ?」

ほむら「……まどか」

まどか「……ほむらちゃん、どうしたの?大事な話って」

ほむら「…………」

まどか「……?」

ほむら「……あのね、まどか」

まどか「何かな、ほむらちゃん」

ほむら「私はあなたに謝らなくちゃいけないの」

まどか「ひょっとして、昨日の話の続き?」

ほむら「そうとも言えるし、違うとも言えるわ」

まどか「で、でも、ほむらちゃんが私に謝るなんて……むしろ私がのせいで――」

ほむら「違うの、まどか」

ほむら「私は昨日あなたに伝えていなかったことが一つあるの」

ほむら「それを言うために、そして……あなたに謝るために、私はあなたと話したかった」

まどか「……ほむら、ちゃん?」

ほむら「謝って謝りきれるものではない事は分かってるわ。…でも言わせて」

ほむら「……ごめんなさい」

まどか「あ、あの、ほむらちゃん?」



ほむら「明日でこの世界は……終わってしまうかもしれないの」

まどか「え………っ」

ほむら「全て、私の責任よ」

まどか「ちょ、ちょっと待ってよほむらちゃん!」

ほむら「…何かしら?」

まどか「そ、そんな急に言われても分からないよ!世界が終っちゃうとか、そんな事……!」

ほむら「そうよね、その通りだわ」

ほむら(何から話せばいいか……そんなの…)

ほむら「………昨日、話したわよね。私が魔法少女になった理由」

まどか「……うん。私のために、何回も時間を巻き戻してた、って……」

ほむら「そう。でもそれは、世界に負担を掛けることでもあったの」

まどか「ど、どういう事……?」

ほむら「私が時を巻き戻すごとに、世界には歪みが生じていったの」

ほむら(せめて、あなたのせいにはしない様に……)

ほむら「そしてそれは、『私』を軸に世界全体を巻き込んで、やがて……壊れる」

まどか「そ、そんな……」

ほむら「謝って済む事じゃないわ。私は……」

まどか「……うそ…………、ほむらちゃん……?」

ほむら「……ごめんなさい」

まどか「……本当、なの?もう、どうにもならないの?」

ほむら「………えぇ」

まどか「……私たち……死んじゃうの……?」

ほむら「…………」

まどか「そんなの………嫌だよぉ……グスッ」

ほむら「……ごめんなさい」

まどか「わたし、まだ生きたい……ヒクッ、皆とおしゃべりしたいよぉ……遊びたいよ……!」グスッ

ほむら「ごめんなさい、まどか……ごめんなさい……!」

まどか「うわぁぁぁぁぁん………」ポロポロ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

まどか「……ごめんね、ほむらちゃん」

ほむら「……何かしら」

まどか「本当に辛いのは、私じゃなくてほむらちゃんなのに。ずっと頑張ってきたのに、こんな事になるなんて」

ほむら「…………」

まどか「それなのに、私、自分のことばっかり………嫌な子だよね」

ほむら「そんなこと無いわ。明日世界が終わる、なんていきなり言われたら誰だってそうなるわ、当り前よ」

まどか「……ごめんね、ほむらちゃん」

ほむら「あなたが謝る必要はないわ。悪いのは、全て私」

ほむら「………それよりもまどか、あなたはここにいても良いの?」

まどか「……?どういう事?」

ほむら「あなたには、家族も、大切な友人だっているでしょう。それなのに……」

まどか「……うん。いいの」

ほむら「どうして?もう二度と会えなくなるかもしれないのよ」

まどか「………うん」

ほむら「…………どうして」

まどか「わたし、ほむらちゃんと一緒にいたいから」

ほむら「!」

まどか「ほむらちゃんの隣にいたい。……ずっとずっと、最後まで」

ほむら「で、でも………」

まどか「ほむらちゃん、お願い。どうか一緒に、いさせて……!」

ほむら「……あなたはそれでいいの?最期を、私となんて」

まどか「うん。ほむらちゃんだから、お願いしたいの」

ほむら「……そう、分かったわ。あなたの好きにするといい」

まどか「……うん。ありがとう、ほむらちゃん」

ほむら「あなたは優しすぎるのよ、まどか」

まどか「ううん、違うよ。本当に優しいのは、ほむらちゃんの方だよ」

ほむら「いいえ、あなたよ」

まどか「ほむらちゃんだよ」

ほむら「あなたよ」

まどか「ほむらちゃんだよ!」

ほむら「………ふふ」

まどか「………えへへっ」

ほむら「……まどか。何かしたい事はあるかしら?」

まどか「……?」

ほむら「遊園地に行きたい、とか、おいしいものを沢山食べたい、とか。何なら海外に行きたいとかでも良いわ」

まどか「ふふ、言ったらほむらちゃんが叶えてくれるの?」

ほむら「えぇ、何でもね。魔法少女だもの」

まどか「えへへ。昨日までは、多分いっぱいあったんだけどね。いざってなると、何にも思い浮かばないや」

ほむら「そう……。何かないかしら。あなたのために何かしたいの」

まどか「う~ん……。何だろう……。あ、そうだ」

ほむら「何?」

まどか「私、ほむらちゃんともっとい~っぱい、おしゃべりしたいな。今までより、もっともっと!」

ほむら「え……そ、そんなことで良いの?」

まどか「うん。良いの」

ほむら「で、でも……」

まどか「良いったらいいの!わたし、ほむらちゃんが見てきた事、もっと色々教えて欲しいな。別の世界の私とか、もちろんほむらちゃん自身の事も!」

ほむら「……分かったわ、まどか。私も、あなたとおしゃべりしたい。もっともっと」

まどか「うん!じゃあ決まりだね!」

ほむら「そうね。でも一旦場所を変えましょうか。ここじゃ人が来るわ」

まどか「そうだね。……あ、私良い場所知ってるよ!」

廃墟ビル 上階

まどか「……良いでしょ、ここ。」

ほむら「そうね……。見滝原が一望できるわ」

まどか「窓ガラスが一枚も無いから、ちょっと肌寒いけどね」

ほむら「でも、風が気持ちいいわ」

まどか「うん。でもそのまま座ると、ちょっとお尻痛いね」

ほむら「何かないかしら……。あ、丁度良さげなクッションがあるわ。ちょっと煤けているけど……」

まどか「ホントだ。このくらいの汚れなら、座っちゃっても大丈夫そうだね」

ほむら「えぇ。どこに座る?」

まどか「ここら辺かな」

ほむら「あんまり窓際に行くと、落ちそうで怖いわ」

まどか「あはは、ほむらちゃん高いとこ苦手だったっけ?」

ほむら「あなたが、よ。まどか」

まどか「ほむらちゃんひどい!そこまで私ドジじゃないよ!」

ほむら「ふふっ、そうかしらね」

まどか「……でももうちょっとこっち寄せよっか……」

ほむら「あら、怖いの?」

まどか「べっ、別にそういう訳じゃ……!」

ほむら「ふふ、分かってるわよ、まどか。ここなら大丈夫でしょ」

まどか「む~~~」

ほむら「気持ちいい風ね」

まどか「……ほむらちゃんは、ちょっと意地悪さんだね」

ほむら「そうかしら?」

まどか「まぁいいや、座ろ、ほむらちゃん」

ほむら「えぇ。何だか朝からこんなところにいると、ちょっといけない気持ちになるわね」

さるよけ

まどか「……聞かせて欲しいな、昔の話。もっともっと、いっぱい」

ほむら「良いわ。と言っても、何から話せばいいのか分からないの」

まどか「私はやっぱり、ほむらちゃんの魔法少女になり立ての頃の話が聞きたいな」

ほむら「良いけど……。……少し恥ずかしいわね……」

まどか「そう?じゃあなおさら聞きたくなっちゃうねっ」

ほむら「……分かったわ、話すわよ。あまり面白くないと思うけど」

まどか「何かドキドキするね」

ほむら「……あの頃、私はあなたと巴マミに世話をかけっぱなしで――――」

夕方

まどか「……ねぇ、ほむらちゃん」

ほむら「なに、まどか」

まどか「……明日になったら、この世界はなくなっちゃうんだよね」

ほむら「…………えぇ」

まどか「……そっか」

ほむら「まどか…………」

まどか「………何か、不思議な感じ。ついこの間までは、死ぬことが怖くて怖くてたまらなかったのに……」

ほむら「…………」

まどか「ほむらちゃんが隣にいるからかな、えへへ」

ほむら「……そうね、私も同じ気持ちだわ。本当は私なんかがこんなこと考えちゃいけないのでしょうけど……」

ほむら「まどか。あなたが隣にいるだけで、私は幸せよ」

まどか「うん。私もだよ、ほむらちゃん」

ほむら「……ありがとう、まどか」

まどか「こんな私のために、戦ってくれて、守ってくれて。ありがとう」

ほむら「……面と向かって言われると恥ずかしいわ」

まどか「うん。分かっててやってるもん」

ほむら「……もう」

まどか「えへへ、でも感謝してるのは本当だよ。わたし、ほむらちゃんと出会えて本当によかった、って思えるから」

ほむら「ありがとう、まどか。私もよ」

まどか「うんっ。………ほら見て、ほむらちゃん。すっごく夕焼け綺麗……」

ほむら「本当ね……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

まどか「一杯おしゃべりしたから、ちょっと喉乾いちゃったね」

ほむら「さっきコンビニで買ったお茶ならあるわよ。私が口付けちゃったけど……」

まどか「あ、じゃ一口貰っても良いかな?」

ほむら「良いわよ。はい」

まどか「ありがとう、ほむらちゃん」コクッ

ほむら「………」

まどか「美味しいね」

ほむら「飲みたいのなら、全部あげるわ。私は当分喉乾きそうにないし」

まどか「そ、それはちょっと悪いかなって」

ほむら「良いのよ。喉、乾いているのでしょう」

まどか「う、うん。じゃあ遠慮なくもらうね。ありがとう」コクコク

ほむら「………綺麗な星空ね」

まどか「……そうだね。吸い込まれちゃいそうだよ」

ほむら「……まどか、本当は少し眠いんじゃないのかしら」

まどか「!う、ううん、そんなこと無いよっ」

ほむら「寝てしまっても良いのよ。もう夜中だもの」

まどか「で、でも……!」

ほむら「大丈夫。まだ丸一日残っているもの。寝不足で最後の日を過ごすというのは……」

まどか「……うん……でも……」

ほむら「ちゃんと朝が来たら起こすわ。安心して」

まどか「でも、ほむらちゃんは………?」

ほむら「私は魔法少女だもの。一晩くらい寝なくても、問題は無いわ」

まどか「う………うん……ありが、と……」

ほむら「良いのよ、まどか」

まどか「………ほむら、ちゃ………」クークー

ほむら「…………寝た様ね」

ほむら(………まどかに渡したお茶は、睡眠薬入り)

ほむら「ごめんなさい、まどか。でも………」

ほむら(あなたに、私の無様な姿を見て欲しくなかったの……)

ほむら(まどかには見えていない。魔法少女の素質が無いのだから当り前だけど)

ほむら(魔力の隕石は、すぐそこまで迫ってきている。目視できる程に)

ほむら(…………私が止める。命を賭けても、世界の崩壊なんてさせない。)

ほむら「……行ってきます、まどか」

ほむら(……可能性が無い訳じゃない。私だって魔法少女の端くれよ)

ほむら(隕石の目前で、……隕石もろとも、自爆する)

ほむら「恐らく不可能でしょうね……でも」

ほむら(私の願い………"まどかを守りたい")

ほむら(これが本当に叶えられるというのなら、勝率は有るでしょう)

ほむら「……1割ほど、でしょうけどね」

さるったか?

その願いには後半部分があってだな

ほむら(それにしても……綺麗ね)

    夜空を覆うような巨大な天体。

ほむら「ごめんなさい、まどか」

    私は嘘をついた。

    あなたが目覚めても、私はもうそこにいない。

ほむら「そして………さようなら」

    最期をまどかと過ごせた。

    思い残すことは、もう、……ない。

  上空 夜空

ほむら(ここまでくれば、誰も巻き込まないで済む)

ほむら(………始めましょう)

    パァァァアア

ほむら「………ッ」

ほむら(……今更……。生きることなんて、もうとっくに諦めたはずでしょう)

    キイィィィィン

ほむら「…………」ポロポロ

ほむら(死にたく、ない)

ほむら「死にたくないよぉ……まどかぁ………!!」ジワァ

    カッ

ほむら「やああぁぁぁぁ……!!」


    パリン

   ???? ???

ほむら「ま、待って………まどか……」

まどか「ほむらちゃん………ごめんね」

ほむら「私は、まだ……戦える……だから」

まどか「ううん、いいの。私、もう決めたから」

ほむら「待ってよ……それじゃあ私は何のために……!」

まどか「ほむらちゃん、こんなにボロボロになるまで戦ってくれてたんだね。でも、もう良いんだよ」

ほむら「まど、か……」

まどか「キュウべぇ。わたし、願い事……決まったよ」

ほむら「待っ……て……」クラッ ドサッ

QB「鹿目まどか。君はその魂と運命を代償に、何を願うんだい?」

まどか「わたしは……ほむらちゃんを助けたい」

まどか「ほむらちゃんが辛い時、苦しい時、泣いちゃった時……」

まどか「私がほむらちゃんを助けられる、そんな存在になりたいの」

QB「分かったよ、まどか。……しかし、その願いが意味するものは大きいよ」

まどか「……………うん」

QB「もし暁美ほむらが能力でまた過去へ戻るとしたら、君の願いは歪んだ形で叶えられる」

まどか「……………」

QB「"過去の君"と"願いによって暁美ほむらの隣にいる君"が存在することになる――が」

QB「世界に同じ人間が二人も存在する事は許されない。……結果として今の君は、今と全く別の存在へと成り下がる事になるだろう」

QB「人間でも概念でもない、ただ暁美ほむらを守るためにのみ存在する、ただのシステムへとね」

まどか「……それでも良いの。わたしは、今までのほむらちゃんの頑張りを無駄にしたくない」

まどか「ずっとほむらちゃんに守られてきたわたしが、やっとほむらちゃんを守れるんだもん」

まどか「後悔なんて、するわけ無いよ」

   パチッ

まどか「…………う~ん…」

ほむら「あら、おはよう、まどか」

まどか「あれ?ほむらちゃん、どうしてうちに……?」

ほむら「忘れてしまったの、まどか。周りをよく見てごらんなさい」

まどか「!!あ、あれ、ここ……あの廃ビル……?」

ほむら「昨日、私とあなたで探検に来て、そのまま眠ってしまったのよ」

まどか「う、うんと、あれ?そうだったっけ……。何かモヤモヤするよぉ」

ほむら(ごめんなさい、まどか。少しだけあなたの記憶を変えさせて貰ったわ)

ほむら「さぁ、一度家に帰りましょう。ご家族の方が心配しているわ」

まどか「ほ、ホントだ、メールと着信がいっぱい……!謝らなきゃっ」

ほむら「急いだ方がいいんじゃないのかしら?」

まどか「う、うん、そうだねっほむらちゃん!私、一旦お家に帰るね!」

ほむら「それが良いわ。また後で、制服に着替えてから会いましょう」

まどか「うん!それじゃ、またあとでねっ、ほむらちゃん!」タタタッ

ほむら「えぇ、気を付けて」

ほむら(また、あなたに救われたわ……まどか)

ほむら(あなたが隣にいるのを感じた……もう)

ほむら(私は一人ぼっちじゃない。絶望なんて、するはずもない)

   私の隣には、いつもあなたが居るのだから。

http://i.imgur.com/zNfBY.jpg

まどかの願いの内容とQBの説明からしてこれと似たようなことだろ
「断る」「死ぬ」 を 「ほむらが苦境に立たされる」「助かる」に置き換えればいい

さる食らいました
もし昼過ぎまで残ってれば最後まで書きます。大した量じゃないですが
需要無ければ落としてくださって結構です。
規制強すぎワロエナイ

がんばれ

しかし「概念」て言葉が一人歩きしすぎだな

本来ならば、
「支えを失ったりんごは地面に向かって落ちる」
「真空中での光の速度は常に一定である」
などの「法則」や「理」と呼ばれるものと同じなのにね

なにやら全く異質のものとして扱う風潮


まどかマギカ本編でのQBの台詞の「概念」という言葉のことね

書きため投下していきます
規制の関係でカットしたものを落とすので、時系列が少しバラけています

>>206>>208の間です

―――――――――――――――

   パチッ

ほむら「………?」

ほむら「私……生きてる………?」

ほむら(あれはすべて夢……?いえ、そんなハズ……)

ほむら「ソウルジェムもわずかに濁ってる……夢じゃ、ないよね……」

ほむら(自爆の直前、私は確かに自分が絶望するのを感じた……)

ほむら「何があったの……?」

QB「やあ、暁美ほむら」

ほむら「っ!インキュベーター!何があったのか説明しなさい!」

QB「おや、君も事態を把握していないのかい?僕も説明を求めてきたんだけど」

ほむら「……どういう……事……?」

QB「さぁね。僕にも訳が分からないんだ」

ほむら「……あなたには、どう見えていたの……?」

QB「どうもこうも無いさ。突然隕石が桃色の光に包まれたかと思えば、何の前触れもなく消えてしまったんだからさ」

ほむら(……桃色の光……まさか)

QB「……お互いに大した情報は持ってなさそうだね。それじゃ、僕はこれで失礼するよ」

ほむら「えぇ。もう二度と姿を現さないで頂戴」

QB「酷い言われようだね。まぁいいさ」タタッ

ほむら(私は、また救われた……あなたなのね………)

ほむら「ありがとう……まどか」

前まどか「えへへ、どういたしまして、なのかな、ほむらちゃん」

ほむら「………」

前まどか「……うん、分かってる。私の声は、もうほむらちゃんに届かないって」

前まどか「すぐ隣にいるのに、触れない、話せない……気付いて、もらえない……!」

前まどか「でもね、ほむらちゃん。わたし、すっごく幸せだよ……!」

前まどか「何にもできなかった私が、ほむらちゃんを救えた、護れた」

前まどか「それだけで、十分なの」

前まどか「だからね、絶望なんてしないで。わたしは、ずっと隣にいるから……!」

前まどか「だから……お礼を言うのは私のほうなの」

前まどか「本当にありがとう、ほむらちゃん……!」

ほむら「………?」

ほむら「……まど、か……?」

前まどか「……!!ほむらちゃん!?聞こえるの!?」

ほむら「……いえ……気のせい、よね」

前まどか「!」

ほむら「今一瞬、まどかに呼ばれたような気がしたのだけど……」

前まどか「……うん。そっか。そうだよね……ううん、分かってたもん」

前まどか「私の声が届かないことくらい」ポロ…ポロ

前まどか「あ、あれ?だ、駄目だな、わたし……ちゃんと覚悟してきたのに……」ポロポロ

前まどか「泣かないって、決めたのに……やっぱりわたし、弱い子だ……!」ポロポロ

前まどか「ごめんね……!もう泣かないから、だから……一度だけ……」ポロ…

ほむら「…………」

前まどか「ほむら、ちゃぁん……」グスグス

ほむら「……まどか」

前まどか「!」

ほむら「さっきから……あなたの気配を少しだけ感じるの」

前まどか「――!!」

ほむら「もしかして……そこに居るのかしらね」

前まどか「う、うん!!いるよ!!」

ほむら(今一瞬だけ……まどかの魔力が……!!)

ほむら「本当に、いるんだ……まどか…!」グスッ

前まどか「うん…いるよ……!ほむらちゃんっ……!」ポロポロ

ほむら「まどか……もうずっと、私の隣に居てくれるの……?一緒なの……?」ポロポロ

もう少し、投下間隔を広げて
代わりに1レスでの量を増やせばいいのでは?

とにかく④

前まどか「うん……うん……一緒だよ……!!」ポロポロ

ほむら「まどかぁ……」ポロポロ

   ――――あなたの声も、仕草も、体温も分からない。

   でも、あなたはここに居る。

   もう、離れないで――――

抜け落ち部分の補完終了です
次は>>214以降です
>>294文字数規制が……(汗

   学校 朝

まどか「おはよう、さっき振りだね、ほむらちゃん。えへへ」

ほむら「えぇ、さっき振りね、まどか。ふふっ」

まどか「うんっ。あのね、ほむらちゃん」

ほむら「何かしら、まどか」

まどか「わたしに素質は無いし、邪魔になっちゃうかもなんだけど……」

ほむら「?」

まどか「わたしを、ほむらちゃんの魔女退治に連れてってもらえないかなっ」

ほむら「……別に構わないけど……どうして?」

まどか「うん……わたし、何の取り柄もないけど……それでも、ほむらちゃんを少しでも助けられたら、って」

ほむら「ふふ、嬉しいわ。こっちからお願いしたいくらいよ、まどか」

まどか「本当?ありがとう、ほむらちゃん!じゃあこれから、よろしくねっ」

ほむら「えぇ。よろしく」

    まどか。あなたと一緒なら、どんなことだって乗り越えられる。

    もう、わたしは迷わない――――。

   ??? ????

前まどか「………そっか。そんな願い事をして……」

まどか神「お陰でみんなに会うのは、ずっと先になっちゃうけど……」

前まどか「……わたしは、どうすればいいのかな」

まどか神「……自分で決めるしか無いと思うよ。でも、ホントは分かってるんでしょ?」

前まどか「えへへ、わたしにはお見通しかな」

まどか神「うん。だって、あなたは私だもん」

前まどか「そっか。……そうだよね」

まどか神「もう私の声はほむらちゃんに届かないけど、あなたの声ならきっと届くから」

前まどか「そうなのかな」

まどか神「そうだよっ。だからあなたはほむらちゃんの隣で支えてあげなきゃ」

前まどか「……うん。えへへ、何だか照れちゃうね」

まどか神「約束だよ。私はしっかりと役目を果たす。だから」

前まどか「わたしはほむらちゃんをずっとそばで支え続ける」

まどか神「ふふっ」

前まどか「えへへっ」

まどか神「……もう時間みたいだね。行かなくちゃ」

前まどか「……うん。またいつか会おうね、わたし」

まどか神「うん。またね、私っ」

前まどか「うんっ……」

   パァァァァァアアアア……

私達が守ったこの世界は、とても美しくて、とても脆い。

時には、どうしようもない災厄に襲われることだってある。

それでも、あなたと一緒なら、これからも戦っていける。護っていける。

私達は、独りじゃない―――。

 

    交わした約束、忘れないよ

    目を閉じ、確かめる

ほむら(どうしようもない世界……だけど)

    押し寄せた闇、振り払って

ほむら(ここはあの子が守ろうとした場所なんだ)

    進むよ――――

ほむら(それを覚えているから、私は闘い続ける)

まどか「――頑張って」

ほむら「!!」

ほむら「うん、まどか。頑張るよ」

ほむら&まどか(あなたと、)

    一緒に――――    Fin.

完結です。
支援&保守してくださった方、本当にありがとうございました。
規制がきつくて色々とカットした部分もあったため、話が分かりにくくなってしまいましたが、補完エピでどうにか読み物として成立していれば良いな、と思います。
もっと廃ビルでイチャイチャさせる気だったんだけどね。

おつおつ

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