ネウロ「どうも、助手のネウロです」まる子「ええ!?」 (28)

―30分前―

ヤコ「え、謎の気配がする?」

ネウロ「この先の家から微弱ながら謎の気配が感じられる」

ヤコ「勘弁してよ~、つい最近HALの事件解決したばっかりじゃん」

ネウロ「我が輩の空腹を満たすことが最優先だ」

ネウロ「謎は待ってくれんぞ、ヤコよ」

ヤコ「あーはいはい」

ガラッ

まる子「いってきまーす!」

ヤコ「あ…」

まる子「あれ?お客さんあたしの家に何か用?」

ヤコ「えーっと…」

グシャッ

ヤコ「ぎゃっ!!」

ネウロはヤコを押しのけまる子の前に立ち塞がる

ネウロ「すいません、先生が図々しく」

ネウロ「先生は他人の家の門柱を眺める趣味をお持ちで…」

ヤコ「そんな趣味持っとらんわ!!」

すみれ「まる子、あんたたまちゃんとの約束大丈夫なの?」

まる子「あ…そうだ!すっかり忘れちゃってたよ!」

タッタッタ

すみれ「あの、何かご用でしょうか?」

ネウロ「いえ…今日は失礼します」

ヤコ(え、案外簡単に引き下がった…)

ネウロ「一応、名刺だけでも」

スッ

すみれ「かつらぎ・・やこ魔界探偵事務所?」

ネウロ「ええ、超有名女子高生探偵の桂木先生ですよ!」

すみれ「あ…!最近難事件を全て解決していってるっていうあの桂木弥子!?」

ヤコ「は…はぁ…そうです」

すみれ「そんな有名探偵さんがあたし達の家に来るなんて…嫌だわ化粧してないのに」

キートン「何を期待しているんだこの人は」

すみれ「どうも、すみれです」

ネウロ「助手のネウロです」

すみれ「さっきのは娘のまる子ですので」

ヤコ「まる子ちゃん、友達との遊びの約束があったんですね」

すみれ「ええ…勉強もせず全く」

友蔵「た、大変じゃ!トイレの水が溢れてしまったんじゃ!!」

すみれ「おじいちゃん、また詰まらせたのね…すぐ行きますわ」

友蔵「うう…」

ヤコ「あの、初めまして桂木弥子です」

友蔵「おお…これはこれは。ワシは友蔵と申します。」

ネウロ(フフフ)

すみれ「すいません、せっかくですからお茶でも」

ヤコ「あ…いえ」

ドスッ

ヤコ「うぐぐ・・」

ネウロにこっそりと腹部を殴られるヤコ

ネウロ「そうですね…せっかくですからお邪魔させて頂きましょうか先生」

ズリズリッ

ヤコの頭を掴み引きずりながら家の中にへと入って行く

友蔵「ややっ!ネウロさんや土足とは外国式ですな!」

ネウロ「ええ、すいません」

コトッ

すみれ「お茶です」

ヤコ「わざわざありがとうございます」

ペコッと頭を下げる

ネウロ「先生、もっと深く地べたを這いずり回るように下げないと」

グリグリッ

ヤコ(うぐっ…こいつのドSっぷりは相変わらず…)

すみれ「それじゃ、私はトイレの掃除に行ってきますので」

ヤコ「はい」

スタスタ

友蔵「まぁ、これでも食べてくださいな」

友蔵が棚の上から取り出したのはせんべいの入った缶だ

ヤコ「わぁ~っ!おせんべい!」

友蔵「ハハハ、今どきせんべいで喜んでくれるのは桂木さんだけじゃ」

ヤコ「いっただきっまーす!(バリバリッ」

こたけ「じいさんや」

友蔵「おお、ばあさん。一体どうしたんじゃ。」

ヤコ「おいしい~このおせんべい!渋いお茶とのコンビは最高!」

こたけ「おや、お客さんかい」

ネウロ「初めまして、助手のネウロです」

こたけ「こたけです」

こたけ「それよりじいさん、もうすぐで老人会の時間が始まってしまうよ」

友蔵「パスパス!ワシは行かんからばあさんだけで行ってきておくれ!」

こたけ「やれやれ…困ったじいさんじゃ」

スタスタ

ヤコ「あの、良いんですか?」

友蔵「ばあさんに行かせておけば大丈夫じゃ、それよりお2人の話をぜひお聞きしたいですのじゃ」

―その夜―

ひろし「なに?探偵だぁ?」

すみれ「そうなのよ、あの今有名な」

まる子「まる子が昼前に会った2人組のことだね!」

さきこ「へぇー、有名な探偵さんが家に来てたんだ」

友蔵「2人共すぐに事務所に戻ってしまったのう」

こたけ「(ズズズッ」

ひろし「けっ、くだらねぇ!探偵様がこの家に何の用があるってんだ!」

まる子「そうだよ!あたしゃ何も事件を起こしたつもりはないからね!」

さきこ「バカねあんた…」

ひろし「ヘッw誰か死にゃあ解決でもしてくれんじゃねーかw」

すみれ「あなた…!やめてください!」

ひろし「うるせーな、さっさと俺の茶碗にご飯つげってんだ」

すみれ「…」

友蔵「母さんや!大変じゃ!!」

すみれは食器洗いの手を止め振り返った

すみれ「おじいちゃん、どうしたんですか」

友蔵「トイレの壁際に尿をかけてしまったんじゃ」

すみれ「…はい、分かりました」

友蔵「すまん!」

すみれ「…」


ネウロ「明日には謎が茹で上がるだろう」

ヤコ「嘘、あの家で事件が起きるってこと?」

ネウロ「そうだ」

ヤコ(ネウロが謎の気配を感じてしまえば…事件から逃れられることはない)

ヤコ「でも、あの家族が事件を起こすなんて思えないんだけど」

ネウロ「ククッ…貴様は本当にそう見えたのか?」

ヤコ「え?」


バチンッ

ひろし「ヒック…まる子ォ!てめぇ調子乗ってんじゃねーぞ」

まる子「な、なにすんのさ!!」

ひろし「クソみてぇなツラしやがってよぉ!ヒック」

まる子「クソみたいって…あたしゃ好きでこの顔になった訳じゃないよ!」

ひろし「ルセー!!何親に口応えしてんだ!!」

バチンッ

まる子「んぎゃっ!!」

さきこ「…!お、お父さんやめて!」

グッ

ひろし「ウルセーヒッコンデロ!!」

さきこ「きゃっ…」

まる子「うぅ…お姉ちゃぁん……」

ひろし「まる子ォ、お父さんに向かって生意気なんだよぉお前は!」

ドタドタ

すみれ「お父さん!いい加減にしてください!!」

ひろし「…チッ、うるせーのが来やがった…」

ひろしはビール瓶を持ちまる子の部屋を出て行った

まる子「おがあざんっ!!」

すみれ「よしよし…痛かっただろうね…ごめんねごめんねぇ」

さきこ「お父さん最近おかしいわよ!」

すみれ「…そうねぇ…」

さきこ「そうねぇじゃなくて!何とかしてよあんな奴!!」

まる子の家庭環境はボロボロであった

お父さんは3ヶ月前に仕事をクビになり

それ以来、ギャンブル、酒、暴力等と言った行為をするようになった

お母さんはまる子やお姉ちゃんのことを思って離婚話を父にすることはない

……



まる子「…」

ヤコ「その話をわざわざ事務所にしに来てくれたんだね」

まる子「まる子…ホントはお父さんのことが怖いけど…」

まる子「また、いつものような優しいにお父さんに戻ってくれるって…」

まる子「ぐすっ……うわあああああああん!」

ヤコ「ま、まるちゃん泣かないで!」

ヤコ「ほら!私のお菓子あげるから」

スッ

ヤコの差し出したお菓子を受け取り涙を袖で拭うまる子

まる子「離婚なんて嫌だよぉ…」

ヤコ「大丈夫、お姉ちゃんがきっと元の状態に戻してあげるから」

まる子「……探偵さん」

ヤコ「はは、探偵さんじゃなくてヤコお姉ちゃんでいいよ?」

まる子「ヤコお姉ちゃん……ホント…?」

ヤコ「うん、今は辛いだろうけど任せておいて」

まる子「じゃあ、まる子信じる」

ヤコ「ありがとう…まるちゃん。」

ヤコ「という訳で、私はもう1度家に行ってくるね」

ネウロ「下らん。他人の家庭崩壊を元に戻している場合か。」

ヤコ「でも、どのみちあの家族のことももうちょっとよく知らなきゃ」

ネウロ「……」

ヤコ「どうしたの?」

ネウロ「謎の気配が強まった」

ヤコ「えっ」


グシャァッ グシャァッ グシャァッ

こたけ「……はぁはぁ……やめておくれ……!!」

犯人は笑みを浮かべそのまま鉄パイプで殴り続ける

こたけ「…!!!!!」

グシャッ グシャッ グシャッ

ネウロが謎を感じ取った時点で

事件から逃れることは……

さき子「おばあちゃん…ひっく……」

ヤコ「…」

まる子「オバアチャン…オバアチャン……」

ネウロと2人であの家に向かった時には既に事件は発生していた

私は泣きじゃくるまるちゃんをただひたすら慰めることしかできない

あんな約束をしたばっかりなのに…自分の無力さに腹が立つ

ひろし「ヘヘッ、ばあさんが先に逝っちまうとはなぁ」

さきこ「お父さん!!」

ひろし「なんだよw別に老いぼれ1人逝こうがかまわねーじゃねぇかw」

ひろし「なぁ、じいさん?」

友蔵「ひろし!!大変じゃ!トイレを詰まらせてしまったんじゃ!!」

ひろし「またかよじいさん!最近多すぎんだよ!」

ヤコ「あの…大切な身内が亡くなったのに…よくそんな態度が取れますね」

ネウロ(む)

ひろし「あぁ?テメェ等かぁ?噂の探偵ってのはよぉ!」

ヤコ「おかしいと思いますよ…そんな平然としていられるなんて」

ひろし「俺だってちゃんと心の中じゃ悲しんでんだよ」

ヤコ(……この人の言ってることは嘘にしか聞こえない…)

ひろし「じいさんからも何か言ってやってくれよw」

友蔵「あ、ああ…ワシは別に」

ひろし「なんだよシケたじいさんだな!」

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