あずさ「プロデューサーさん?」(152)

P「......zzz」

ある日のこと
事務所のソファで彼が眠っていた

あずさ「あらあら」

余程疲れていたのだろう
眼鏡もかけたまま、静かな寝息を立てている

あずさ「いつもお疲れ様です。あまり無茶し過ぎないで下さいね?」

そう小さく囁き、彼の寝ているソファに腰掛ける

眼鏡を外してあげる
顔が近くて少しドキッとした


あずさ「その姿勢だと、首を痛めちゃいますよ?」

だから、これはあなたを気遣っての事ですからね


そう自分に言い聞かせ、彼の頭を自分の太もものあたりにそっと乗せる

あずさ「ふふっ、膝枕ですよ?寝心地はどうですか?」


気恥ずかしさを感じながら、彼の頭を撫でる

夕焼けが眩しい時刻
決して広くない事務所の中
わたしと彼のふたりきり
聞こえるのは彼の寝息と時計の針の音


優しい時間がゆっくりと流れていく


コンコンとドアをノックする音がする
アイドルの誰かが帰ってきたのかな


貴音「お疲れ様です」

そう言って彼女はぺこりと軽くお辞儀した


わたしは唇に人差し指を当ててみせる
その仕草を見てピンと来たのか、彼女は静かにこちらに歩いて来る


貴音「ひざまくら...ですか...」

少しだけ恨めしそうな目で見られちゃいました。
ごめんなさいね? 独り占めしちゃって

貴音「良く、寝て居られますね」

あずさ「ええ、本当に...」

もう一度彼の頭を撫でて微笑みかける


そこで不意に視線を感じた

あずさ「どうしたの?」

顔を上げ、こちらを見つめている彼女に問いかける


貴音「貴女には、敵いませんね」

ため息混じりに、そう言われた

あずさ「あら、そんな事無いわよ?」

そう、敵いっこないのはわたしの方


貴音「気付いて居られないのですか?」

あずさ「...?」

なんの事だろうか?


貴音「ぷろでゅぅさぁの頭を撫でていた時の貴女は」

貴音「まこと、美しかったです」

そう言われると照れてしまう
わたし、どんな顔してたのかな?

貴音「あの微笑みを向けられたら、どんな殿方でも恋に落ちてしまうと思いますよ」

あずさ「そう、なのかしら?」


貴音「では、私はこれで...」

貴音「幸せになるのですよ」


そう言い残して、彼女は静かに去って行った
パタンとドアが閉まる音がする

さっきまで心地良かった沈黙が痛い
変に意識しちゃってる


彼がもぞもぞと動くのを感じる
そろそろ起きるのかな?

P「う...ん...?」

何かを探すような手つきで、彼が私の太ももを撫で回す
声がでそうになるが、堪える


あずさ「ふふっ、くすぐったいです。プロデューサーさん?」

P「なっ...」

今自分が置かれている状況を理解したのか、彼が飛び起きる

彼に眼鏡をかけさせてあげて、微笑みかける

あずさ「おはようございます」


P「ええと、その、おはようございます?」

P「...あ!!すいません!夢であずささんが...いやあずささんに膝枕、いやセクハラで」

支離滅裂、ですね
少し落ち着いてもらいましょうか

彼の頭を撫で、少し乱れた髪を整えてあげる

あずさ「落ち着きましたか?」

P「ええ、色々とすいません」

P「それと、膝枕ありがとうございました。とても気持ち良かったです」


気に入ってくれたみたい

あずさ「わたしで良ければ、いつでどうぞ?」

P「ええ、疲れた時は甘えさせて頂きます」


彼は机に座り、残っている仕事を片付け始めた

私もそろそろ帰ろうかな
そう思い立ち上がって伸びをする


P「そうだ、あずささん」

不意に呼び止められる

P「晩飯、まだですよね?膝枕のお礼です。ご馳走しますよ」

嬉しいお誘い、だけど...


あずさ「ふふっ、わたしが好きでやった事ですから」

あずさ「気を使わなくてもいいですよ?」

やんわりと断っておこう
きっと、それが一番いいから


P「う...では正直に言います」

P「今日はまだ、あなたと一緒にいたいんです」


彼はこんなに押しの強い人だったかな
わたしはこんなに押しに弱い人だったかな

>>9
???「今、ボクのこと美しいって言いました!?」ガタッ

P「駄目ですか?」


あずさ「そう言われちゃうと、断れませんね」

P「それじゃあ..」

あずさ「ええ、ご一緒してもいいかしら?」

P「はい!すぐに終わらせるので少し待ってて下さい!」


彼はすごい勢いで仕事を片付け終えた
わたしをご飯に誘えたのがそんなに嬉しかったのかな?

P「...よし!お待たせしました!」


もう終わったんですか?
すごい早かったですね...

あずさ「お疲れ様です」

P「あずささんのお陰で疲れなんか吹っ飛びましたよ」


わたし、ほとんど何もしてないけどなぁ
でもそう言われると、素直に嬉しい

頼むからEDテーマが「隣に・・・」になるような展開はやめておくれよ

P「よし、行きましょう」

あずさ「エスコート、お願いしますね?」

P「任せて下さい!」


わたしの家の近くに、なかなか美味しいレストランがあるみたい
知らなかったな


助手席に座っているわたしは、さっきから気になっていた事を聞いてみる

あずさ「プロデューサーさん」

P「はい、何ですか?」

あずさ「どんな夢を見てたんですか?わたしが出て来たみたいですけど...」

P「う...その、ですね」


何か気恥ずかしそう
ますます気になっちゃいますね


あずさ「笑いませんし、怒りませんよ?」

P「俺が仕事から帰ると」

P「は、裸エプロンのあずささんが出迎えてくれて」

あずさ『お帰りなさいアナタ。ご飯にする?お風呂?それとも...わたし?///』

P「...という夢を」


運転中でなければ
わたしでなければ
思い切り平手を食らってますよ?

あずさ「もうっ、何て夢を見てるんですか」

P「はい...すいません...」


笑わないし怒らない
そう言ったからにはこれ以上彼を責めちゃいけない

だってこれは夢の話だから


あずさ「もし、ですよ?」

あずさ「わたしがそういう格好をしたら、嬉しいですか?」

P「はい?」

普段は絶対こんな事は聞かない
でも、これは仮定の話だから

P「嬉しすぎて、理性を保てるかわかりません」

あずさ「ふふっ、見れる日が来るといいですね?」


そうこうしている内に、目的地に着いたみたい

でも、あれ?
明かり、ついてませんね

P「定休日...だと?」

あずさ「あらあら」

P「すいません。期待させておいて...」


彼ががっくりと肩を落とす
あなたのせいじゃありませんよ?

あ...
ここ、わたしの家の近く...でしたよね?


あずさ「プロデューサーさん」

P「はい、何でしょうか」

あずさ「あの、わたしの家に来ませんか?」

P「え?」

あずさ「ちょうど近くですし」

あずさ「嫌、でしたか?」

わたしも、まだあなたと一緒に居たいんですよ?


P「あずささんさえ良ければ、是非」

あずさ「決まりですね。では、行きましょう」


車はわたしの家へと走る


あずさ「少し片付けたいから、ちょっと待ってて下さいね?」

P「はい。ではここで待ってます」


彼を玄関先で待たせる
ごめんなさいね?いつも片付けてるから綺麗なのだけど


部屋に入り深呼吸
覚悟を決める

夢の中のあずささん
あなたのせいで、わたしは一世一代の覚悟をする羽目になりました



やるしかない...よね?

あずさ「お待たせしました。いいですよ?」


彼を呼ぶ
もう引き返せない

P「はい、お邪魔しま...?!」


裸エプロン、ですよ

あずさ「お帰りなさい。アナタ」

丈が短いから、見えちゃいそう

下の部分を引っ張る
今度は胸元が出過ぎるため手で覆うように隠す

あずさ「ヘン、ですか?やっぱり...」


彼はこちらを凝視して固まっている
羞恥心で死ねる。今なら



突然、彼に抱きしめられた
何か声をあげる暇もなく唇を塞がれる

あずさ「んっ...ぷ、プロデューサー...さん...」

P「...!!あずささん...」


冷静になったのか、彼が少し離れる
きっと謝ろうしている


そうなる前に、彼にキスをする

謝ることはありませんよ?
もう少し優しくして欲しかったけど


ファーストキスは少し乱暴だったから

せめて二回目は優しく、そして深くキスをする

舌を絡ませる
互いの唾液が混ざり合う


一分、いや十分たったろうか
どちらともなく唇を離す
混ざり合った唾液が糸をひく


P「あずささん...」


あずさ「好き、です」

あずさ「ずっと、ずっとあなたのことが、好きだったんです」

あずさ「ごめん、なさい」


ぽたぽた、と
床に水滴が落ちる


いつの間に泣いてたのかな?
いろんな想いがぐちゃぐちゃになって、わかんないや



不意に、頬に手が触れる
顔を上げると、彼がわたしに微笑みかけていた

P「せっかくの美人が台無しですよ?」


そう言って、涙を拭ってくれる
お陰で、少し落ち着きました


P「泣かせてしまった俺が言うのも何ですが」

P「やっぱりあずささんには、笑っていて欲しいんです」


P「好きです。あずささん」


一体この人は、何度わたしを泣かせる気だろうか

再び泣き始めたわたしを見て、彼が狼狽する

心配、いりませんよ?
だつて、これは嬉しくて泣いているんですから


そっと彼にしなだれかかる
包み込むように受け止めてくれる


彼の手を取り、寝室へ行く

ベッドの淵に腰掛ける
ふたり寄り添うようにして


肩に手がかかる
そっと唇が触れ、静かにベッドに押し倒される




あずさ「優しく、して下さいね?」



彼に全てを捧げよう
心も、体も


小鳥の囀りで目を覚ます


ベッドの中、一糸纏わぬ姿で抱き合っている
彼のぬくもりを直に感じ、言いようのない幸福感を感じる


昨日の彼、すごく逞しかったな


下腹部に鈍い痛みがあるのに気付く
あれだけ酷使したのだ。無理もない

P「う...ん?」

あずさ「ふふっ、おはようございます」

彼を起こしちゃったかな?
裸で抱き合っている事に少し驚いてるみたい

あずさ「そんなに見られると、恥ずかしいですよ?」


あれ程の痴態を晒された後でも、凝視されてはいささか気恥ずかしい

P「あっ、その...すいません」

彼が目を逸らす
でも、何か硬いものが当たってますよ


絶倫、なのかな?
昨日あれだけしたのに

P「う...これはですね」

彼も何か気まずそう...

とにかく、彼の『それ』を鎮めなきゃ、いけないよね?


いきり立つ『それ』を口に咥える
はじめは直視するのも躊躇われたのに


P「はぅ...あ、あずささん...!!」


一晩で、わたしも淫乱になっちゃったのかな?
あなたの、せいですからね?

どくどくと脈打ち、どろりとしたものが口の中に広がる


やっぱり、にがいですね
何度やっても、慣れません
我慢して全て飲み込む


でも、彼は満足してくれたみたい


P「すいません...朝っぱらから」

あずさ「いえ、わたしがしてあげたかっただけですから」

P「あずささん...」


彼にキスをされる



唇が軽く触れる、啄むようなキスを何度もする

見つめ合い、なんだか可笑しくなってしまい笑い出す


あずさ「ふふっ」

あずさ「...そろそろ、お仕事の時間ですね」

P「ええ、サボる訳にはいきませんから」

まだこうしていたいけど
これ以上文句を言っちゃ駄目、ですよね

それに

P「それに、俺たちはもう恋人同士です」

P「ずっと、ずっと一緒ですよ」


気持ちを読まれちゃった
ほんと、敵わないな

P「一応、着替えてから事務所に行きたいので、一度俺の家に寄ります」

あずさ「はい、そうしましょう」


昨日と同じ服装だと、怪しまれますから
事務所の娘たち、勘が鋭いものね


彼と手を繋いで家を出る
繋いだ手から伝わる彼の温もりが心地いい

一度彼の家に寄り、着替えを済ませた後事務所へと急ぐ


P「おはようございます!」

あずさ「おはようございます」


入ってから気付く
同時に入るのは良くなかったんじゃ...

貴音「お早う御座います...ふむ」

千早「おはようございます...ってあれ?」

美希「ハニー!?」


あらあら
やっぱり、ですか

彼は嘘がヘタだから
わたしがフォローしないと、ね?


あずさ「ふふっ、実は道に迷っちゃって」

あずさ「困っていた所にプロデューサーさんが通りかかってくれたの」



千早「そうだったんですか...ていうか職場にくらい迷わずに着いてくださいよ...」

美希「じゃぁ、ミキも迷子になるの!」

千早「駄目に決まってるでしょう...」

美希「ぶー。千早さんは厳しいの...」


誤魔化せた...かな?


貴音「あずさ殿...」

あずさ「はい?」

貴音「こんぐらっちゅれぇしょん。です」


あらら
彼女には、ばれちゃってるか

貴音「ゆめゆめ忘れぬ事です」

貴音「あのお方と添い遂げたいと思っているあいどる達はみな」

貴音「手強い、ですよ?」

あずさ「ふふっ、そうね。本当に...」

うかうか、してられないよね
あんなに魅力的なアイドル達に囲まれているんですもの


でも、わたしも負けませんよ?
彼の隣だけは、誰にも譲れないから


はい、そんなこんなで終了です
ss書くのは三度目めしたが、どうにか完結できて良かったです

こんな稚拙な文章にお付き合い頂いたみなさん、愛してます

エロ描写は無理でした。童貞嘗めんなチクショー

バッドエンドは認めない!あずささんは幸せじゃないと!

うひゃあ思ったより見てくれてた!


あずさ「好きです...なんて言えたらねぇ....」

貴音「ものまね」千早「おー」


万が一まとめサイト等でまとめられてたら見てみて下さい

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