雪歩「ユキポックス -レボリューションズ- 」(348)

──バンナム メインゲート 16:27PM~──

ズゴゴゴゴゴ……。

舞「さぁて、敵さんのお出ましね。久々にワクワクするわぁ」

凛「結局、ここに集まったのは何人?」

涼「に、二万です。バンナムの2/5……」

舞「上出来ね」

舞「さって、あんたちぃ! 今まで、よく長生きしてくれたわね!お疲れ様!」

舞「……と言いたいわけだけど、仕事のオファーが残ってるのよね」

舞「今回のライブはちょ~っとぶっきらぼうなお客さんみたいだけど……」

舞「最期の最期に、度肝抜いてあげましょうよ!!!!!」

楓「最終防衛壁を突破……きます……!」 

ゴゥン……ゴゴゴゴゴゴゴ……!

……。

千早「……ハジマル」

≪バンナム 残り人口 -49800-≫
≪キサラギ 残り機数 -250000- ≫

──バンナム メインゲート 16:31PM~──

ユキドリル『』 ギュリィィィィィィン……!

舞「あーあー天井にこーんな穴ぼこ開けちゃって……」

涼「ほ、本当に止められるんですか……」オドオド

楓『新型のユキドリル、全長約30メートル。バンナムの最深部まで全自動で、ただひたすら掘り続けます』

楓『対して量産型のキサラギは、2~3メートル程ですが、飛行能力を持ち……』

舞「みんな、『Inferno』と『arcadia』には気をつけてっ!」

ゴゴゴゴゴゴ……!

凛「まだ配置につけていない。 このままじゃ弾幕が足りない……」

舞「……総員構えてっ! 一点集中!!!」チャキッ

チャキチャキチャキチャキチャキチャキチャキ……!

舞「ここは……あいにく入場規制なのよ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

麗華「一匹残らずジェノサイドしてやるっ……!」ドクン……ドクン……

ドックン……ドックン……ドックン……

ドックン……ドックン……ドックン……

ゴゴゴゴゴゴ……

……

キサラギ『クッ』

涼「ひっ……!」

楓『!! キサラギ侵入しました!』

舞「……発射!!!」チャキッ!

ズガガガガガガガガガガガガガガ……!

ビスッビスッ!

キサラギ『』バチ……バチバチ……!   ボトッ……

麗華「フン、何よ、あんがい雑魚い……」

ゴゴゴゴゴゴゴ……

楓『続けて1000体……来ます……』

麗華「……物量にモノ言わせるつもり! 気にいらない……!」

≪バンナム 残り人口 -49800-≫
≪キサラギ 残り機数 -249999- ≫

──765移動船 コクピット 16:45PM~──

真「それじゃ、出発しよう。目的地は機械都市ぃ……っと」カチカチカチ……

雪歩「う、うん。それじゃいくね」ポチッ

<電源供給 STOP>

ブゥゥゥン……

雪歩「あ、あれ? 点火しないよ」

真「多分ヒューズが落ちたんだ。見てくるね」スッ

……。

──765移動船 稼働室 ~16:50PM~──

真「響がいつも点検してたハズなんだけどなぁ……」タンタンタンッ!

真「えっと……あったあった。やっぱり抜けてる」スッ……

──わたしー……

真「えっ……?」

美希「まりおーねっと……」ヒュッ

真「ミッッ……!」

──765移動船 稼働室 ~16:55PM~──

雪歩「……」

雪歩「……真ちゃん、遅いな。どうしたんだろ」スタスタ

ウィィィン……。

真「……」

雪歩「ま、真ちゃん?!」

カツ……カツ……

美希「あー大丈夫だよ。気を失ってるだけだから。さっすが真、クン。現実だったら一番強いや」

雪歩「えっ……美希ちゃん……どうしてここに?」

美希「こーんな事態なのに武器すら持ってないなんて、相変わらずだねぇ雪歩」

美希「そーゆー甘さがいつもいつも後悔を生むんだよ、あ、あふぅ」

雪歩「なに……何を言ってるの……?」

キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!
キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!
キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!
キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!
キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!

美希「ねぇねぇ、私……じゃなかったミキが、こだまプロ支部のシステムをシャットダウンしたって言ったらどうするなの?」

雪歩「えっ……」

美希「どうしてエージェントハルカが、都合良く緊急システムのビルにいたのかわかるなの?」

美希「……おにぎり」

美希「あれあれ? 美希の口調ってこんなカンジだったっけ?」

雪歩「ね、ねぇ……美希ちゃん……なんだかおかしいよ……」

美希「……おかしいのは雪歩だよ」ニヤッ

ドグッ……!

雪歩「はぅ……!」ドサッ

美希「外見に騙されて、私も救うとかなんとかいってさ」ゲシッ

雪歩「きゃっ! やっやめて……」

美希「うぅん……ミキってこーんなワガママボディ持て余してるんだ。なるほどなるほど」

雪歩「もしかして……美希ちゃんもMIN-GOSに……?」

美希「あはっ違うよ。そんなのと一緒にしないで」グリグリ

雪歩「じゃあどうして……?」

美希「……まだわからないんだ。雪歩、救世主の目に頼りすぎじゃない?」

雪歩「な、何が目的なの? 美希ちゃん」

美希「……大ヒント」ニヤッ

美希「私が欲しいものは、雪歩と同じだよ」

雪歩「えっ……?」

美希「I want It ALL」

カッカァ……

雪歩「……ウソだよ」

そんな……こんなの有り得ない……。
出来るハズないよ……。

美希「もぅ、よ~やく気づいたの? 私がちゃんとポエムでも書いて想像力鍛えておいてってアドバイスしたのになぁ」

雪歩「……不可能だよ」

美希「出来ないことは無いって、いっつも一緒に歌ってたよね」

雪歩「……」

どうしよう……ここには武器も何も無い……。

美希「……」スタスタ……

雪歩「……っ(とりあえず逃げっ──)」クルッ

美希「あぁーも~」ガシッ

ビターン!

雪歩「うっ……」プシュッ

美希「凄いなぁ~、この体だと全然転ばない。えへへ」

雪歩「……うぅ!(逃げ……)」ズルズル……

美希「……弱い、弱すぎるよ。萩原ネオ歩の時は散々邪魔してくれたのに……ねっ!」ガッ

雪歩「かひゅ……(息が……!)」

美希「今度こそ、『じゃあね』……」ギリギリギリギリ……!

──バンナム メインゲート ~17:00PM~──

ズガガガガガ……!

きらり「にょ、にょわぁぁぁぁああああ!!!!」ズガガガガガガ!

舞「正面からの攻撃はあまり効かないっ! なるべく側面を狙って!」ズガガガガガ!

キサラギ『』バチ……バチ……!

ボトッ……ボトトトトトトトトトトト……!

涼「こ、これじゃキリが無いですよ……」

楓『だ、だめです……防ぎきれません……』

キサラギ『クッ!』

楓『……バンナム内に侵入! 1……』

ピピピピピ……

楓『3……41……72……124……! まだ来ます……!』

ズゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ……!

かな子「ま……まだスイーツ食べれてないのに……死にたくない……」

≪バンナム 残り人口 -49800-≫
≪キサラギ 残り機数 -249450- ≫

楓『ユキドリルは依然、バンナム最深部に向けて進行中……』

黒井『……ッ……誰かあの掘削機を破壊しろっ!』

サイネリア「アタシがとめマスッ! バズーカスタンバーイ!」

黒井『鈴木!』

サイネリア「鈴木言うなっ! 発射デスー!」

バシュゥゥ! ドカンッ!

ユキドリル『』ギャリギャリギャリィ!

サイネリア「ビ、ビクともしナッシング……」

キサラギ『クッ!』キュィィィィン……!

舞「あ、危ない……避けてっ!」

サイネリア「へっ」

舞「……『arcadia』が発射される! 強力な熱線よ!」

カッ……!

涼「あ……あ……」ガクガク

≪バンナム 残り人口 -49799-≫
≪キサラギ 残り機数 -249201- ≫

涼「……うっ……」

舞「……! ボサッとしてる暇は無い! 助けたけりゃ撃つのよ!」ガガガガ!

キサラギ『』バチ…バチバチ……

楓『メインゲートのキサラギはおよそ2000体……搭載されているガトリングはどこへ……』

舞「もう穴はいい! それより地下に入られないようにして!」ガガガ……!

キサラギ『クッ』キュィィィィン……

卯月「ひっ……!」

カッ……!

卯月「」プス……プス……

キュィィィィィン……!

凛「!!……モバマス小隊、一時後退……!」

カッカッカッカッカッカッ…………!!

≪バンナム 残り人口 -49782-≫
≪キサラギ 残り機数 -248900- ≫

──961移動船 ~17:23PM~──

響「鬼ヶ島の様子は?」カチカチカチ

貴音「……刺し傷が深かったようで、高熱にうなされています」

響「……」

貴音「あの者の精神力をもってしても、いつまでもつか」

響「たかね、ルート変更するぞ」カチカチカチ……

貴音「……と、申しますと」

響「地下トンネルを通ってバンナムへいく」

貴音「……まことですか? あそこは船が通れるような場所では……」

響「たかねっ!!!」ガナハッ!

貴音「は、はい! わたくし、四条貴音と申しま……」

響「自分は、貴音を信じてる。 貴音はどうだ?」ニカッ

貴音「……」

貴音「ふふっ、久々の二人三脚ですね。 緊張していませんか?」カチリ……

響「なんくるないさー! 自分、完璧だからな!」

──バンナム メインゲート ~17:54PM~──

キサラギ『クッ』キュィィィィン……カッ!

ドォン……

ズゾゾゾゾゾゾゾゾ……!

楓『5番から16区画が崩壊しました! 爆破させます! 東へ退避してくださいっ!』

涼「ぎゃおおおん!弾薬がもう無いよ~!」

楓『了解しました。 補給部隊を向かわせます』

<ゲートオープン> プシュゥゥゥ……!

尾崎「今よ! みんな運んで!」

愛「弾薬はセーブしよーーーーー!!!!!」ドドドドドド……!

麗華「遅いっつの!」パシッ

麗華「……よっほっ……」カシャンカシャン……

麗華「ぃよっし、ジェノサー……」

カッ……!

≪バンナム 残り人口 -49002-≫
≪キサラギ 残り機数 -24751- ≫

──バンナム メインゲート ~18:03PM~──

きらり「やほーい! おまたせー☆」ズドドドド

凛「ありがと」パシッ

カッ……!

凛「……っ!」ヒュッ

凛「もうここは大丈夫。876小隊の援護に回って」ガガガガガ!

凛「……」ガガガガガ!

凛「……」ピタッ

凛「どうしたの?」

きらり「」プス……プス……

凛「……っ!」

凛「……みんな、みんな死んでいく」

≪バンナム 残り人口 -48302-≫
≪キサラギ 残り機数 -24620- ≫

ヒュルルルルルルルル……!

楓『……! 11時の方向に『inferno』を発見!』

舞「……っっ……撃ち落として!」

楓『だ、だめです……間に合いません! 落下予測地点は……』

ピピピピピ……!

楓『……司令部。ここです』

カッ……!

ボカァァ……ン……!

舞「……司令部、応答して!」

『ザー……』

舞「まずったわね……これで指揮系統が完全に麻痺した……」

凛「楓さんに変わる代役なんて……」

涼「……」

舞「……どうしたの?」

──バンナム 作戦司令室 ~18:25PM~──

雫「何かがバンナムに近付いてきていますー」どどたぷ~ん

黒井「チィ……もう敵だらけだ」

雫「これは違いますー トンネルを使って向かって来てる船が一隻ー」どどどたぷ~ん

黒井「……何だと?」

雫「味方の船ですー」どどどどどたぷ~ん

黒井「……これは罠だ。トンネルを通るなど無茶なこと、出来るはずが無い」

──961移動船 トンネル内 ~18:25PM~──

ガリガリガリガリ……!

響「んぎぎぎぎぎ……! 船のデッカイお尻が擦ってるさー! 貴音みたいだ……」

貴音「……」

響「たかねぇ! 船首30度に傾けて!」

貴音「は、はい!」

響「みんなも雪歩も……頑張ってるんだ……これくらい……!」

貴音「萩原雪歩……あなたは今どこに……」

──765移動船 稼働室 ~17:00PM~──

美希「恐れ……平伏し……崇め奉りなさいっ……!」

ギリギリギリ……!

雪歩「はぅ……!」

頭に霧がかかる……意識が遠のく……。

雪歩(ダ……ま……まだ……)スッ……

私は、美希ちゃん……いえ、エージェントハルカちゃんの頭に向けて
精一杯手を伸ばしました。

美希「……何がしたいの?」

雪歩(一度やった……なら……出来る……)

──頑張れ、雪歩、やれば絶対に出来る。自分を信じるんだ

<プログラム改変>キュィィィィィン……

バツン……

美希「い゛っ……!」

バツンバツンバツンバツン……!

美希「ぁっ……ぁぁぁぁ……!」バッ

雪歩「げほっ……げほっ……!」

美希「ゆっ雪歩……なっ……何をっ……! あぁぁ!」ゴロゴロゴロ

……美希ちゃんの脳内に複雑に入り込んだエージェントハルカのデータ網を切断しました。
真ちゃんの時にちょっとだけやったけど……ちゃんと出来た。

雪歩「もう少しだから……我慢してね……」スッ

バツンバツンバツン……!

美希「ぁぁぁ……! やっやめてなのっ……!」

雪歩(あと……1本……)キュィィィン……!

美希「……っ!」ガシッ

雪歩「えっ……!」

美希ちゃんの右手が、何かを掴みました。あれは……切断されたケーブル……?
火花が散ってる……近付く……目の前に……眩い閃光……。

──ッッ!            バチィィィィィン……!

目がああああああああああああ

……あ゛ぁ゛あ゛……!

おぞましい悲鳴を、くらむような真っ白い光の中で聞きました。
何が……起こったんだろう……。

目元が焼けるように熱い……。

段々と、閃光がまばらに散っていく……。

バツン……!

──まだ、これで終わりじゃないよ……。

美希ちゃんの声が何処かから聞こえる。それから、しぃん……と水を打ったように鎮まる。

どこにいるんだろう……。
私は、顔を左右に動かして、美希ちゃんを捜しました。

あれ……おかしいなぁ。何も……何も見えない……。

──雪歩っ大丈夫?!

あっ真ちゃんの声だ。私の方へ駆け寄ってくる足音がする。

──ひっ……!

真ちゃんの息を呑む声が耳に絡みつく。
震える唇を、無理やり押し開いて声を出しました。

雪歩「ま、真ちゃん……私の目、どうなってるの……?」

真「……じっとしてて」

何かが裂ける音が響いて、そっと目元に柔らかい布の感触がしました。

雪歩「そっか。そんなに……なんだね」

真「っ……!」

今度は、包み込むように私の体が圧迫される。
とっても落ちつくけど……。

雪歩「えへへ、ちょっと痛いよ……真ちゃん……」

真「雪歩、戻ろう……」ギュッ

雪歩「大丈夫、進むよ」

真「えっ……」

雪歩「でも、操縦はちょっと出来ないかな。真ちゃん、お願いしてもいい?」

真「……ゆきほ……!」

首筋に生温かい液体が一筋、つぅと伝いました。

       _
      '´   ヽ
     i  ノノハ)i |
     ヽ (l゚ Д゚ノリ   ガシャ

       ( つ O   . __
       (と_}_i)_)  (__()、;.o:。
                ゚*・:.。




      _ _ _
    (´  '´   ヽ     __
  ⊂,_とi  ノノハ)i |⊃  (__()、;.o:。
                  ゚*・:.




──バンナム 地下牢 ~18:35PM~──

ゴウン……ゴゴゴゴゴ……

涼「はぁ……はぁ……!」タッタッタ

黒井『なぁにをやっている! 持ち場に戻れっ!』

涼「どちらにしろ、指揮系統が無ければ数分も持たないよ……!」

ギィィィ……

涼「はぁ……はぁ……」

律子「涼、何しに来たの?」

涼「律子姉ちゃんの力が必要なんだ」

律子「……」

涼「今、指揮できるのは律子姉ちゃんしかいない……!」

律子「……私は裏切り者よ?」

涼「でも、それはバンナムを、人類を救うためじゃないの?」

律子「結果が全て。私は仲間を捨てた」

涼「……」

律子「そんな私が……のこのこ出てくわけにいかないでしょ」

涼「律子姉ちゃんらしく無いね」

律子「えっ……」

涼「ここでじっと、バンナムが滅びるのを待つの?」

律子「……」

涼「ボクの知ってる律子姉ちゃんだったら、最後の最後まで作戦を考えるよ」

律子「あのね、涼、私は選択を間違えたの。あんたは立派よ。オドオドしながらもリーダーやって……」

涼「……律子姉ちゃんの……律子姉ちゃんの……」

律子「本当に我が従兄ながら……」

涼「 バ カ ァ ! ! !」

律子「……涼?」ポカーン

涼「姉ちゃんレッスン手伝ってくれた時言ってただろ! 失敗するのは仕方ないって!」

涼「ミスから何かを学ぶんだって。それが出来る人間が立派なんだって!」

律子「……」

涼「一回の失敗くらいで挫けるなんて……律子姉ちゃんはバカだよ!」

律子「……」

ザザ……ザザ……!

黒井『秋月涼! 765プロの無線から連絡が届いた!』

黒井『……発信者は萩原雪歩……だ』

律子「……あの子まだ……!」

涼「律子姉ちゃん……起きよう……」

涼「青い薬も、赤い薬も、もう無いんだよ」

律子「……」

律子「……涼、あんたいつのまにそんな男らしくなったの?」

──バンナム 指令室 ~18:42PM~──

ウィィン……

黒井「っっ……ユキドリルが止まらん……! このままでは……!」

律子「失礼します」

黒井「……お前は……おい、捕え……」

高木「まぁまぁ、待ちたまえ。律子君、どうしたのかね?」

律子「社長、私は大きな失敗をしてしまいました。申し訳ありません」ペコリッ

高木「……うむ」

律子「許してくれ、なんて都合のいい言葉はいいません。一度決めてしまった選択は、もう取り消すことはできない……ですね」

黒井「ならばさっさとここから……」

高木「まぁまぁ……律子君……それで?」

律子「だけど、精一杯、償おうと思います。だから、もう一度、私にチャンスをくれませんか?」

黒井「ふざけるなっ! お前がいたところで……」

律子「ユキドリルの弱点は、ドリルの接合部分」

黒井「……なにっ」

律子「それと、キサラギの行動パターンにはある傾向があります」

律子「基本的に、体型の良い人間から狙う習性がある。恐らくそうインプットされます」

黒井「何故それを知ってるのかね」

律子「さっき、モニターで確認して分析したんです」

高木「たったそれだけでわかったのかね」

律子「えぇ、電子機器は得意ですから」

黒井「くっ……だが……!」

律子「……私以外に、指揮が出来る人がいるのなら、辞退します」

黒井「……」

律子「黒井社長……ここは論理的になりましょう」キラリッ

──バンナム 指令室 ~19:10PM~──

ズゾゾゾゾゾゾゾゾ……!

キサラギ『クッ』キュィィィン……!

凛「メインゲートにいる人数は?」カシュッ

美優「わかりません……だけど……もう随分減りました……」

凛「……あと300人ってとこかな」

『ザザ……応答……ザザ……』

凛「はい、こちらモバマス小隊」

律子『こちら秋月律子、これから指揮を行うわ』

凛「……秋月律子……あの?」

美優「え……えっと……いいんでしょうか……」

凛「別にいいよ、この状況だし信じるとか信じないとか、バカらしくなってくる」

≪バンナム 残り人口 -34017-≫
≪キサラギ 残り機数 -23171- ≫

修正 0一個足りてなかった

≪バンナム 残り人口 -34017-≫
≪キサラギ 残り機数 -231710- ≫

律子『いい? ユキドリルは私たちの銃じゃ破壊できない』

涼「う、うん……」

律子『だから、キサラギを誘き寄せて、『inferno』を直撃させるわ』

夢子「……そんなこと出来るの?」

律子『指示通りに動いて。まずは17番ゲートから21番ゲートを封鎖』

夢子「よ、余計に追い込まれるだけじゃない!」

律子『いいから!』

夢子「……わかった。もうラブとか夢とか言ってるじゃ無いっ!」

<ゲート封鎖> プシュゥゥゥゥ……!

キサラギ「クッ」

ズゾゾゾゾゾゾゾゾ……!

律子『さぁ……これで『inferno』を搭載した機体がユキドリルに近づく……』

ユキドリル『』ギャリギャリギャリギャリィィィ……!

キサラギ「クッ……!」カシンカシンカシンッ……!

夢子「う……撃ってくるわよ……」

律子『今よ……ユキドリルの真下のハッチを開いて!』

<ハッチオープン>   ズサァアアアアア……!

雫「えーここどこですかー」どどどどどどどたぷ~ん

キサラギ「(ピクッ)クッ!」バシュッ!

雫「ひゃー当たっちゃいますー」

ヒュルルルルルルルルル……!

律子『入射角は……誤差ほぼ無しね……』

カッ……! ゴォォォォ……ン……

ズォン……!

ユキドリル「」バチ……バチバチ……

涼「や、やった……!」

律子『さぁて……これでしばらくは……』

ズゴゴゴゴ……

夢子「待って、この音なに?」

涼「天井からだ……」

ゴゴゴゴゴゴ……

律子『……そんな……』

律子『もう一体……ユキドリルが接近してる……』

涼「えっ……」

律子『キサラギが更に10,000体侵入するわ……』

律子『全員撤退!……もう地上はダメ……メインゲートを放棄するしかない』

≪バンナム 残り人口 -33870-≫
≪キサラギ 残り機数 -230460- ≫

──バンナム 地下1階 ~19:48PM~──

<ゲート閉鎖>プシュゥゥゥ……

凛「モバマス小隊。全員撤退完了」

涼「876小隊、ぜ、全員撤退しました」

律子「ほ、他の部隊は?」

涼「……全滅したよ」

律子「……そう」

凛「生き残りの多くは非戦闘ばかり……どうする?」

律子「……」

<通信探知> ピピピピ……

律子「通信? 一体誰から?」

響『(ザザ……)はいさー…(ザザ……)……那覇……』

響『もうすぐ……バンナムに到着する! 3番ゲートを開けてっ!』

律子「ひ、響……?」

凛「電磁パルスがあれば地上のキサラギを一掃できる」

律子「だけど……防御システムまで失うわ」

涼「律子姉ちゃん、もう失ってるよ……」

律子「……」

舞「いいわ、私が3番ゲートを開けにいく」

涼「えっ」

舞「年季の違いってヤツを、見せてあげるわ」タッタッタ

涼「ま、待ってください! 一人でなんて無茶ですよ!」

愛「……ママ……」

≪バンナム 残り人口 -32104-≫
≪キサラギ 残り機数 -228250- ≫

──バンナム 3番ゲート前 ~19:57PM~──

舞「あんたら、一昨日来なさーい!!!」ズガガガガガ!

ボトッ……ボトボトボトボトッ……

舞「やー……こーんな逆境いつ以来かしらねー」ガガガガガ……!

舞「ゲートまで……もう少し……!」ガガガ……!

カチッ……

舞「弾切れッッ……?」

キラサギ「クッ!」キュィィィン……

ズゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ……

舞「私も、これで終わりか……はぁ……それじゃ頑張んなさいよ……愛……」

カッ……!

キサラギ「」バチ……バチバチ……

舞「えっ……?」

愛「マ、ママ……弾薬はセーブしよー……」ガクガクガク……

舞「な、何でここに?!」

愛「マ、ママと一緒に頑張るよ……」ガクガクガク……

舞「震えてるじゃない。もういいから帰って……」

愛「わ、私も頑張るよーーー!!!!」

舞「……」

舞「……あははっ、さすが私の娘ね。一度言ったらもう言うこと聞かない」

舞「それじゃ、一緒に行きましょうか」

愛「……うん!」

──961移動船 3番ゲート前 ~20:01PM~──

ギュウゥゥゥ……!

響「……ゲートが空いてない……! 送電網もメチャクチャになってるぞ……」カチカチカチ……

貴音「はて、このままでは……直撃して……」

響「内側と外側から……溶接されてる場所を撃ち抜く必要がある」

貴音「……今、なんと?」

──バンナム 3番ゲート前 ~20:02PM~─

キサラギ「クッ?」

舞「いい? 私がここから狙うわ。弾をちょうだい」

愛「う……うん……ママ、狙撃も出来るの?」

舞「……私を誰だと思ってるの」チャキッ

舞「よ~く見てなさいよ」

パァン……! ビスッ!

<3番ゲート オープン>

ギギギ……! ピタッ……

舞「あと2つ……」チャキッ  パァン……!

ギギギギギギ……! ピタッ……!

愛「す、すごい……」

キサラギ「クッ」キュィィィィ……

舞「……愛っ! 危ないッ!」バッ

……カッ……

愛「……!」

舞「……」シュゥゥゥ……

愛「ママ!そんな!ママ!!!」

舞「あいたた……」ムクリッ

舞「はぁ、私が死ぬわけないじゃない……つぅっ……」

愛「す、凄い怪我だよ……」

舞「……けて……」

愛「えっ……?」

舞「あんたが……ゲートを開けるのよ」

愛「ママ……無理だよ! 私、訓練のレッスン全然やってないよ!」

舞「……私もよ」

愛「えっ」

舞「大丈夫。あんたは私の娘だから……絶対に出来る」

──961移動船 3番ゲート前 ~20:05PM~──

響「……ここをこうして……船尾を25度……」カチカチカチ

貴音「ひ、響……わ、わたくしがやるのですか?」

響「うがー! 自分は、操縦で手いっぱいだ! 貴音が撃つしかない!」

貴音「響……わたくしは銃の類は……」

響「……響、世の中には変わらないものがあります」キリッ

貴音「えっ」

響「そして、変わるものも……貴音が前言ってたよね」

貴音「……わかりました」

貴音「では、今回は変わることにかけましょう。ここの【こくぴっと】でよろしいのですね」ドサッ

貴音「……」

貴音「響、尻がつかえました」

響「ぷっ……やっぱり貴音は変わらないのかも……」カチカチカチ……

──バンナム 3番ゲート前 ~20:05PM~─

愛「……姿勢を低く!!! チャンスは1回!!!」

舞「コラッ、ちょっとは静かに……」

愛「……いくよー!!!!」

──961移動船 3番ゲート前 ~20:05PM~──

貴音「……中心に捉えて、【とりがー】を軽く……」

響「今だ!たかねぇ! 思いっきりいっくさー!」

貴音「……いざっ!」

──パァン……── ──パァン……──

ギ……

ギギギ……

ギギギギギギ………!

<3番ゲート オープン>

──961移動船 3番ゲート ~20:06PM~──

ゴゥ……!

貴音「響っ! バンナムに入りました!」

響「ぃよっし! いっくぞー!」ポチッ!

<電磁パルス 展開>

キュィィィィィ……ン……!

キサラギ「」バチ……バチバチバチ……

<キサラギ 機能停止>

ブゥン……

……



≪バンナム 残り人口 -32107-≫
≪キサラギ 残り機数 -160420- ≫

──バンナム 会議室 ~20:11PM~─

高木「四条君、ひとまずは無事で良かった」

貴音「……ありがとうございます」

黒井「これでしばらくは時間稼ぎが出来た。が、それだけだ」

黒井「もうシステムは全て吹っ飛んだ……次に総攻撃をしかけられたら……」

黒井「チェックメイトだ」

高木「……我々に生き残る見込みはあるのかね」

黒井「……」

黒井「フン、それは私に聞くよりも隣の彼女に聞け」

黒井「……今この場で唯一、奇跡だの希望だのを未だに信じてる」

貴音「……」

高木「四条君……君の言葉を聞かせてくれないかね」

貴音「……」

貴音「……9:02PM その時まで持てば……」

高木「バンナムは助かるのかね?」

貴音「……わかりません」

黒井「なんだと?」

貴音「もし、彼女がMIN-GOSに辿り着いても……」

貴音「我々を救えないかもしれません」

貴音「……」

貴音「しかし確かなことが一つだけあります」

貴音「彼女はどんなに困難な状況におかれようとも……最後の最後まで……」




貴音「萩原雪歩は決して、諦めません」

とりあえずここ……まで……いかん市街戦長すぎた……
ラストはまた今日書きます

新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内

新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内

ただいまです
すいません遅くなりました保守ありがとうございます
完結まで残り少し頑張ります

ゴウン……ゴウン……。

真「温度が低下、気圧も異常値を示してる。雪歩ついたよ」カチカチカチ……

雪歩「……」

──機械都市 秋葉原 ~20:20PM~─

真「……凄い光景だよ。鉄クズと送電線以外何もない」

雪歩「今、発電所の上にいるんだよね」

真「……わかるの?」

雪歩「うん。何も見えなくなって初めて気づいたんだけど……多分私、二つの世界のアクセスポイントになってるんだと思う」

雪歩「私の体全体がデータの粒子の通り道になってる。だから何となくだけど、流れを感じる」

真「……」

雪歩「あそこにケーブルが3本あるよね」スッ

真「う、うん……」

雪歩「辿っていけば、MIN-GOSがいる」

──機械都市 メインシャフト ~20:23PM~─

ゴウン……ゴウン……

雪歩「もうすぐ……もうすぐだよ……」ポタッ……ポタッ……

真「ゆ、雪歩、やっぱりちゃんと手当しないと……」

<メインシャフトに侵入者 探知> キュィィィン……!

雪歩「っ……!」ピクッ

真「ど、どうしたの!?」

雪歩「えへへ、大丈夫だよ。私が真ちゃんのこと絶対守るから」

真「……」

雪歩「だから、お願い。着けるって言って」

真「……必ず着ける。着けるさ」

……ギュッ……

雪歩「あっ……」

真「へへー、もう手離さないからね。このまま一緒に最後まで、行こう」

雪歩「……くるよ! 真ちゃん!」

真「えっ、な、何が?」

雪歩「……凄い数だよ!空から降ってくる!」

ヒュルルルルルルルルル……

真「何だあれ……黒い……雨?」

<『Inferno』検出> ヒュゥゥゥゥゥ……!

真「ぃぃい"い"ぃ"!!! ウ、ウソだろ……」

雪歩「大丈夫、このまま進んで!」スッ

私は、暗闇の中で、手をそっと前にかざしました。

<プログラム 改変> キュィィィィン……!

カッ……! ボカァ……ン

当たる前に……全部爆発させる……!

ボカァンボカァンボカァンボカァン……!

雪歩「はぁ……はぁ……今どうなってるかな、真ちゃん!」

真「火山の中を進んでるみたいだ……ハハ……」

|´ ̄ ヽ
| ノハ)i |
|゚ ヮ゚ノリ
|o④o  ソローリ
|―u'


| '´ ̄ ヽ
| ノノハ)i |  
| (l゚ ヮ゚ノリ
|o   ヾ
|―u' ④ <コトッ


|
|
|
| ミ  ピャッ!
|    ④


ボカァンボカァンボカァンボカァン……!

雪歩「……んん!」キュィィィィン……!

あ、あたま痛い……!鋭い電流がギリギリと額を、締めつける……。
あと残り100……ううん、1000かも……。

真「ゆ、雪歩、目からの出血がひどい……もう……」

雪歩「ご、ごめん……真ちゃん……ちょ、ちょっと全部は無理かも……」

真「ど、どうすればいい?」

雪歩「空からいこう……雷雲の上ならキサラギも追ってこられないよ」

真「わ、わかった! 一気に上昇するよ!」

<船体 85度> <速度リミッター解除>

ゴオオオォォォォ……!

真「雲の中に入る! 船が耐えられるか……!」

バチバチバチバチ……!

真「あ、あと数十メートルで抜ける……!」

バチバチバチバチ……!

ボスッ……!

──機械都市 上空 ~20:25PM~─

雪歩「……ま、真ちゃん……行けたの?」

真「……きれい……」ボソッ

雪歩「えっ……?」

真「太陽が輝いてる……久々に見た……」

雪歩「……」

真「雪歩にも、見せてあげたい。一緒に見たい」

私はもう、何も見えない。預言で見た通り、黒で塗り潰された世界。

雪歩「……私達だけで独り占めしちゃズルいよね……」

雪歩「いつか、皆で一緒に見よ──」

……ガクンッ……。

瞬間、船は真っ逆さまに落ちていきました。

……。

…。

http://i.imgur.com/2S3xQ.gif

──機械都市 ??? ~20:30PM~─

………

……



雪歩「んっ……」

焦げっぽい煙とオイルの匂いで、私は意識を取り戻しました。
あっ、いつのまにか、気を失ってた。

雪歩「だ、大丈夫……真ちゃん……?」

物凄い大きなエネルギーを感じる。
MIN-GOSがもう、すぐ近くにいる……。

雪歩「船、壊れちゃったね……でも、大丈夫。もう歩いていけるよ」

いつのまにか、ずぅっと繋いでた手が離れてる。

雪歩「道はわかってるから、連れてってもらっていいかな? ごめんね、手貸して……」

真ちゃんがいた座席の方へと手を伸ばしました。
あれ……いない……?

雪歩「真ちゃん……どこ……?」

手探りで、冷えた金属の床を這い回ります。
途中で、突き出だしたケーブルにオデコを何度もぶつけました。

真「ここだよ」

雪歩「……よ、良かった。無事だったんだね」

消え入りそうな声のする方向へと向かって、一歩一歩進んでいって……
やがて、指先に、仄かな熱を感じました。

雪歩「真ちゃん見つけた」ギュッ

雪歩「やっとここまで、来れたね」

真「……うん」

雪歩「真ちゃんのお陰だよ、ありがとう」

真「はは……照れるな……」

雪歩「それじゃ、行こ?」

真「……」

雪歩「真ちゃん、どうしたの?」

震えた、消え入りそうな声がぽつりと聞こえました。

真「ボクはいけない、ここまでが精いっぱいみたいだ」

雪歩「……えっ……?」

真「ここから先は、キミが一人で行くんだ」

雪歩「……」

指先に、何かぬるぬるとした液体が伝ってきました。
生温かい……私の手を覆っていく……。

雪歩「……」ドクン……ドクン……

おそるおそる、指を這わせていきました……。
何かが……真ちゃんの体から突き出てる……。

そこから、液体がいっぱい……。

……!

雪歩「そ、そんな……!」

ウソだよ……こんなのウソだ……。

雪歩「こんなの……違う……」

頭の中が、霧がかかったようにくらくらする。
もう何も考えられない。違う……きっと違う……。

……私の想像とは、きっと違う光景がそこにあるんだよ。

雪歩「そうだよね……真ちゃん……」

真「……」

雪歩「ねぇ……」

ギュッと……握った手に力がこもる。
私は、その意味を理解してしまいました。したくないのに。

雪歩「……ぅっ!」

真「雪歩、もう時間が無い。進まないと……」

雪歩「ま、真ちゃんを助ける……助けるから……」

手をそっと胸へと当てました。

雪歩「プ……プログラムを……真ちゃんの体の再構築……」

真「はは……雪歩、今は仮想現実じゃないよ……」

真「もういいから……」

雪歩「よくない! よくないよ!!!」

自分でも信じられないくらいの、大声が響きわたりました。
こうしている間にも、血だまりが私の足元へ広がっていく……。

雪歩「……っ……お願い……奇跡を……!!」

真「……もう、十分見せてもらった……」

雪歩「……っ……!」

この塞がれた瞳じゃ、涙が一滴も出ない。

真「頑張って……キミなら救える……」

雪歩「出来ない……無理だよ……真ちゃんがいないと私は……」

真「……ゆきほ……全ては一歩の勇気から……だろ……」

雪歩「……ぅ……」

一度、息を大きく吸い込む音が耳に届きました。

真「ねぇ……ボクがヘリポートで雪歩に助けてもらった時……何て言ったか覚えてる?」

雪歩「……悲しませて……ごめんね……」

真「あれは……失敗だったなぁ……」

雪歩「えっ……」

真「ちゃんと、伝えてない言葉が……あったんだ」

雪歩「……」

真「ボクは……」

雪歩「……」

真「君が好きだ」

雪歩「……!」

雪歩「……私も……」

真ちゃんがくれた笑顔が何より宝物だったよ……。

真「……」

真「雪歩、笑って……」

雪歩「……ぅっ……」

真「そうだ……久々に……」

雪歩「えっ?」

真「おまじないをしよう……」

雪歩「おまじまい……?」

真「覚えてる……? 3つ数えて……」

雪歩「あっ……」

──"過去" オーディション会場──

雪歩「うぅ~……やっぱり無理だよ……真ちゃん……私なんて穴掘って……」

真「コラッ! 雪歩、今までレッスン頑張って来ただろ」

雪歩「ごめんね……私なんてひんそーでちんちくりんだから……」

雪歩「わ、私やっぱりデュオなんて辞める……真ちゃんに迷惑かけてばっかりだし……」

真「ハァ、困ったなぁ」ポリポリ

真「……」ティン!

真「よっし、それじゃ雪歩におまじまいをしてあげるよ」

雪歩「えっ……?」スンスン

真「ボクが3つ数えて、指を鳴らすと……このドアを簡単に開けることが出来る」

雪歩「えっ……」

真「緊張とか、怖い事とかぜぇ~~んぶ何処かに吹っ飛んじゃうんだ!」

真「いい? 3つ数えると、雪歩は変わる。 わかった?」

雪歩「う、うん……」

真「それじゃいくよ……」

──機械都市 ??? ~20:35PM~─

真「それじゃ……いくよ……」

雪歩「うん……」

真「……スリー……ツー……」

真「……ワン……」



……パチンッ……



………

……

………

……



雪歩「……」

雪歩「……見える……」

雪歩「見える……見えるよ……真ちゃん……」

私の暗闇が晴れていく……

雪歩「光が……いっぱいの光が見える……」

これって……

雪歩「みんなの幸せな笑顔が見える」

雪歩「陽だまりの中で、気ままに散歩する人達たちが見える……」

雪歩「忙しそうに、お仕事してる人達とか、ライブを楽しみに待っている人達が見える……!」

雪歩「あの日の……日常が見える……」

……預言、ですよね……。

ゆきほかわいい

真「はは……楽しそうだなぁ……」

雪歩「……白い砂浜ではしゃぎまわる女の子が見える」

雪歩「坂道で恋人を待ち続ける人が見える」

雪歩「真ちゃんもこの日に行こう」

真「……う……ん……」

雪歩「想いを背負って歌う人が、夜の駐車場が……」

真「……」

雪歩「まだまだ見えるよ……真ちゃんは何が見たい?」

雪歩「ねぇ……真ちゃん……?」

雪歩「……」

雪歩「……」

雪歩「……」

雪歩「……っ……」

雪歩「……うっ………」


雪歩「……うぁあ……ぁあああ……!」

ご飯ですよ

★食事代行始めました★
食事したいけどその時間が無い、食事をしたいけど食べるものが無い、そんなときに!
フードファイトで鍛えたスタッフたちが一生懸命あなたの代わりに食事をしてくれます!
モチロン食事を用意する必要もありません!スタッフがあなたの家の近くのラーメンを無差別に食い荒らします!
1時間\1200~ 24時間営業 年中無休!

                /ヽ
                /  s i
          /    .|/\――ァ      _ / ̄/ ̄:::''‐、.       ら

.    r―――くS    /   |―― ァ     ./::/ /::::::::::::::::::::::\.   お.  あ
     \__r――― '――― ァ_ノ    /::::::/ /:::::::::::::::::::::::::::::::::ヘ.   か  め
.    r、{ ̄∽  \∽   ∽∽ ノ―ァ ア    ./_/__i i:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヘ  わ.  ん
  r、! \   r――――― '‐―ァ/}.     ../ | .|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|  り
 !\ S. ` 、r‐` ――――――‐ァ―ァ      /┃ ヘ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
  r――――.\______ ,ノ―ァ     (   (7::::::::i:::::::::::::::::::::::::/
.  \∽   { ̄∽   ∽∽  ,フ /       .\ /::::::::::/:::::::::::::::::::::::(
.   \: : : : :\: : : : : : : : : : : :/: :/        /:::::::::::く::::::::::::___\_______
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\::::::::\:::::::::::/ __  _  /
                        ,r'―――.//_,,..-‐"::::::/ /  / /// /
                        ,`‐η‐-' く::::::\:::::::::::/ /ヽ / /~/ /
―――――――――――――――ヽ‐<...,,__/)λ" ):/ / / / / / /――――

                                 ヽ ) (/ / "/ / / /

   食事代行では現在スタッフを募集していません

──バンナム 地下1階 ~20:35PM~─

律子「ユキドリル接近中……ここに到達するわ!」

ゴゥン……!

響「……!いぬ美……!」ギュッ

いぬ美「ぐるる……」

黒井「待て……何だこの音は……」

ゴゴゴゴゴゴ……!

律子「キサラギが向かってきます……その数……」

律子「……10万……?! 一気にケリをつけるつもり……なの……?」

ゴゴゴゴゴゴ……! 

キサラギ『クッ』キュィィィィン!

凛「ゲームオーバーかな」

凛「私はまたあそこに行くくらいなら死を選ぶよ」

貴音「……」

……。
ひとつの、壁につきあたりました。
エネルギーはここから全て送信されてる。
掌でそっと触れると、体中に、激しい衝撃が駆け廻る。

キサラギ『……』

無数のキサラギが合体していく。
エネルギーの粒子が、一つの大きな塊になっていく。

やがて、女性の姿に形作られる。
これが……

──ン゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!

──機械都市 MIN-GOS内部 ~20:40PM~─

雪歩「まずは私の話を聞いてください」

MIN-GOS『……』プシュゥゥゥ……!

雪歩「エージェントハルカは制御不能のプログラムです」

雪歩「もう、全人類がコピーされました。すぐにここも支配されます」

雪歩「あなたでは阻止できません」

雪歩「……」

雪歩「私なら、できます」

MIN-GOS『ヒ゛ツ゛ヨ゛ウ゛ナ゛イ゛!!!』ビビ……ガガガガ……!

MIN-GOS『ダレ゛ノ゛タスケモ゛イラナイ!!!』ガガ……ビービー……

雪歩「わかりました。私が間違えたんですね」

雪歩「それじゃあ今すぐ、殺してくれていいです」

キサラギ『クッ!』キュィィィィン……!

カッ!

シュゥゥゥゥ……!

雪歩「……」

私の頬を、『arcadia』がかすめました。

MIN-GOS『……ホウ゛ホウハ?』

雪歩「ここから直接、ステーションを使って、私をユキポックスに転送してください」

MIN-GOS『……ノ゛ゾミハ?』

私が欲しいもの。



雪歩「……平和、です」

──バンナム 地下1階 ~20:41PM~─

キサラギ『……』

響「10万のキサラギが……」

律子「止まった……?」

黒井「何故、攻撃してこない……?」

貴音「……雪歩?」

──機械都市 MIN-GOS内部 ~20:40PM~─

サァァァァァ……!

雪歩「……」

私の体が、無数のケーブルで覆われていく。

MIN-GOS『モシ゛……シッパイ゛シタラ……?』ガガ……ガガガガ……

<準備 開始>キュィィィィン……

雪歩「……」

雪歩「しません」

──バンナム 地下1階 ~20:43PM~─

キサラギ『……』

響「今、闘ってるんだ」

凛「人類の未来は……」

律子「たった一人の少女……」

舞「ゆっきーに託された、ってわけね」

貴音「わたくしは、祈ります……月に……」

──月に願いを……。

──機械都市 MIN-GOS内部 ~20:44PM~─

何かを変えるとき

何かを選んだとき

それは頑張るとき

雪歩「……そうだったよね、みんな」

MIN-GOS『ナゼワ゛ラウノ゛……カイセキフノウ……』ピピピピ……

<転送 開始>キュィィィィン……!

──ユキポックス 765プロ事務所前 ~20:45PM~──

ザアァァァァアアア……!

大粒の雨粒が私の頬を叩く。

雪歩「ん……」

──瞳をゆっくりと開けました。

ピカッ!ゴロゴロゴロゴロ……

前もまともに見えないくらいの雷雨。

ゆっくりと、右を振り向くと……

春香No.56423「……」春香No4212「ふふっ」春香No9876800「……」

左……。

春香No841「……」春香No6「……」春香No876012「あはは……」

ビルの中……。

春香No4354123「ふふふ……」春香No72「……」春香No5432120「……」

雪歩「……」

……ユキポックスが悲鳴をあげてる。

土砂降りの雨の中を、音を鳴らしながら歩いていく。

パシャ……パシャ……。

皆の想いが、一歩一歩に宿ってるみたい。

ザァァァア……!

雪歩「……」パシャ……パシャ……。

無数の春香ちゃんの中から、一つの足音が聞こえてくる。

──パシャ……パシャ……。

春香No0「おかえりぃ、雪歩!」

雪歩「……」

春香No0「待ってたよ、会いたかった」

春香No0「どぉ? ぜぇ~~~んぶが、私になっちゃったよ。ビックリした?」

雪歩「今夜で、終わるよ、春香ちゃん」



春香No0「うん、知ってる。もうとっくに見たよ」

春香「……どうかな、勝負服だよ、パンキッシュゴシック、似合う?」キュッ……キュッ……

ザアァァアアア……!

雪歩「……」

春香「私が、雪歩に勝つのは皆が知ってる。だから二人で楽しもうよ」

ザァァアアア……!

雪歩「ふぅぅ……」

ひとつ、大きな深呼吸。
ちっぽけな体の中へ、風船のように気持ちが膨らんでいく。

春香「サイッコーのライブにしようね……ねぇ……」コキ……コキ……

刹那、雷鳴が轟きました。

春香「……ゆきほぉ!」ダッ!

──負けない。

距離が縮まっていく。進行方向は……

まっすぐ!

パシャッ……!

雪歩「──!(あと三十歩、十歩、五歩)」パシャッパシャッパシャッ

春香「あはははは!!!」バシャバシャバシャバシャ!

雪歩「──!(一歩、今!)」

キュッ……!目の前で、春香ちゃんがターンする。

雪歩「──(……裏拳!避けられる!)」ヒュッ

春香「おおっ?」フォッ

回し蹴り……。この前、闘った時より……

スパァァン……!

雪歩「うっ……!(強くなってる……)」グラッ

春香「まだまだぁ!」ヒュッ

ピカッ……!

雪歩「──うっ──!(雷で見えない)」

目をそっと瞑る。──データの流れを──

──もう一度言います。ここはプログラムです。
限界が筋力や小手先の技術にあると思いますか?

──感じる──!

雪歩「──ここっ!」グァ!

右手の甲の先端が、春香ちゃんの顎先をかすめる。

春香「うわっとっ!」

──場所はわかった! このまま、左手で──

パァン……!

春香「──!」グラッ

入った!……このままいける!

雪歩「っふぁぁぁぅ!!!」ヒュッ

スパパパパァァン……!

春香「あはっ!楽しい……なぁ!」

雪歩「──!(──深くない。動くのは春香ちゃんが……)」

春香「……ヴぁい!」ゴゥッ!



オォォォ……

──来た、スローな映像。

──私の右頬へ真直ぐ──当たったら痛いかも……──避ける──?

オォォォ……

──ダメッ!逃げないよ──私も──左頬へ──届いて──

──同時に──!


……ゴッ……!

──ユキポックス 765プロ事務所前 ~20:51PM~──

……。

雪歩「……ふぁ!(受身、とれた)」スタッ

春香「……!」ズサッ……!

ズザザザアアァ!!!

水飛沫をあげて、春香ちゃんの体がコンクリートを物凄い勢いで抉っていく。

春香「……」パラ……パラ……

ザァアアア……!

春香「あはっ……あはははは!」

雪歩「ど、どうして笑ってるの?」

春香「いやぁ、結果はわかってるのに、どうしてそんな頑張ってるのかなって……よっと……」キュィィィン……!

コンクリートの破片を撒き散らしながら、春香ちゃんの体が、空へ浮かぶ。

雪歩「……ふぁ!!」キュィィィィン……!

<浮遊 開始> 

シィィン……。

春香No875「雨が落ちてこない?」

春香No87651「あー、あれだね」

春香No6543「うわっ雨の塊だよ。わた春香さん激しすぎだなぁ」

──ドザァ!──!

──ユキポックス 765プロ事務所前 上空300メートル 20:53PM~──

ザアアアアァ……!

春香「ヴァイヴァイヴァイヴァイヴァイヴァイ!!!」

雪歩「──!(──落ちついてッッ全部!!)」パシッパシッパシッ

春香「あはっ!」ガシッ

雪歩「──!(ッッ! あっ右腕を掴まれ……)」

春香「このまぁまぁ~……」グググ……

春香「飛んでけっ!」グァッ!

──投げられ──!

……ゴゥ……。

──ユキポックス 高層ビル 60階~20:57PM~──

ガシャァァン……!

雪歩(ぅぅぅぅ……!止まって……!)

ズサァァァァァ……!

雪歩「はぁ……はぁ……(立ち上がらないと……!)」プルプルプル……!

キィィィィ……ン……!

<異常値接近>ピピピピピ……!

雪歩(ぶつかってくるつもりだ……凄いスピード……!)

──避けられるなら……!

春香「避けてみなよっ!」ゴゥッ!

──当たったら……!

雪歩「──!(そうだ!)」スッ

手を、前にかざす。いつものように出来て当然なんだってイメージする。

<プログラム 改変>キュィィィン……!

……ピタッ……

春香「……むむむ……!」グググ……!

数ミリ先で春香ちゃんの拳が止まる。

雪歩「──(足!動いて!)」

パァン……!

つま先が、春香ちゃんの顎先にめり込む。その勢いで、天井まで飛び上がる。

春香「かふっ……!」

春香「……!」

春香「……ッッヴぁぁぁい!」

ゴッ……!

気づけば、私の顔が床へ、べっとりと張り付いていました。

雪歩「……!」

血だまりが、タイルにじわりと広がっていく……。

春香「はー……感じる? 雪歩、終わりが近いよ?」

雪歩「はぁ……はぁ……!(起きないと……)」グググッ……

春香「雪歩、ありがとう」カツ……カツ……

春香「雪歩のお陰で、何のために生きるのか、何のために頑張るのかっていうのがわかったよ」カツ……カツ……

春香「全ての人達の目的は……」ピタッ



春香「私の愚民になるためにいるんだよ」ニコッ



雪歩「……」フラッ

春香「ふぅん、立つんだ」

雪歩「……いぇぃ!!!」ブォッ

孤を描くように、つま先が春香ちゃんの右頬へと吸い込まれる。

──入っ──!

春香「……無駄だよっ」ヒュッ

──消え──違う──しゃがんで避け──!

春香「……いただきぃ!」キュッッ!

地面スレスレに、春香ちゃんの足が這って、土煙をあげる。

雪歩「──(間に合って!)」

<浮遊開始>キュィィィン

春香「うっ」スカッ……

雪歩「──(体を捻って……!)」グルッ

……ゴッ……!

足の甲が、こめかみに潜り込む。

春香「……ッッ…!」メキメキメキメキ……!

雪歩「んんんん……!!!ぅあぁ!(振り抜きますぅっ!)」ゴゥッ!

……ガシャァァン……!

ガシャンガシャンガシャン……!

……



雪歩「……」

雪歩「はぁ……(意識が……飛んでた……)」ガクッ

雪歩「春香ちゃんは……どこから……?」

──後ろだよ。

雪歩「えっ……」クルッ

春香「えへへ、今のは効いたかも」

雪歩「──!(体勢をっ!)」

春香「遅いっ!」パシッ

春香ちゃんが私の手首を掴んだ瞬間、私の視界が逆さまになりました。

春香「ぃょっと!」ドサッ

春香「えへへ、マウントポジションですよ、マウント。 ちょっとご褒美、なのかな?」

春香「いっくよー……2……」グググ……

雪歩「うっ……!」

春香「ヴぁい!!!」ゴウッ!

──!

──ユキポックス 高層ビル 57階~20:58PM~──

パラパラパラ……

雪歩「……!」

春香「何倍まで耐えられるかな? 4……」グググ……

春香「ヴぁい!!」

ゴッ……!

──ユキポックス 高層ビル 48階~20:58PM~──

パラパラパラ……

雪歩「かふぅっ……!」プシュッ……!

春香「まだまだいくよ……8……」グググ……!

雪歩(この……まま……だと……)

春香「んん?」グラッ

雪歩「うううう……!」ググググ……!

<浮遊開始> ゴゥ……!

──ユキポックス 上空4000メートル ~20:58PM~──

ザァァァァァアァア……!

春香「ぷはぁ!」

雪歩「はぁ……はぁ……」

春香「んーもーいいや。飽きた」スッ……

春香ちゃんがどんどんと、距離をとっていく。

春香「……せーの!!!」ゴゥッ!

また、雨を切り裂いて向かってくる。

雪歩「……!」スッ

私は、手を前にかざす。

……カッ……!

ぶつかる瞬間、紫色の落雷が私たちを包みこみました。

………

……



──ユキポックス 地下30メートル クレーター ~21:00PM~──

あれ……。

春香「……やれやれ」

ズブ濡れの春香ちゃんが、ソックスについた泥を払ってる。
体が、動かない……。1ミリも持ちあがらない……。

春香「雲の上から一気に落としてあげたのに、頑丈だなぁ」

雪歩「……」

春香「……」

雪歩「……(まだ、指は動かせる、かな)」ピクッ

春香「……何で?」

雪歩「……」

春香「なんで? 雪歩、なんで? なんでなの?」

雪歩「……(足も、力が入る……)」ググッ

春香「なんでここまでするの?」

雪歩「……(体、うつ伏せに……)」グッ……

春香「何で立ち上がるの? 何で闘おうとするの?」

雪歩「……(やった、出来た。後は力がこもれば……)」

春香「自分より大切な人のために闘ってる、とでも言いたいの? 何かを守るためって信じてるの?」

春香「……」

雪歩「はぁ……ふぅ……(良かった、まだ動く、私のカラダ……)」

春香「っっ!!」

春香「ああぁぁぁ!!!イライラするなぁあああ!もううう!!!」ワシャワシャワシャ!

雪歩「……」

春香「雪歩を見ているとリボンの付け根の辺りがズキズキするんだよ!」

春香「きっと私の中の人……天海春香のせいだ……! ムカつくなぁ……!」

雪歩「……」ズル……ズル……

春香「自由真実平和夢希望……愛?!」

春香「そんなの無駄、無駄だよ!!」

春香「ユキポックスと同じように、ニセモノなんだよ!」

雪歩「……(起き上がって……)」ググ……

春香「ま、愛なんて作り出せるのは人間だけだけどね……」

雪歩「……(お願い……あと少しでいいから……)」

春香「最初から分かってたはずだよ……雪歩は私に勝てない……」

春香「闘う意味は無いんだよ! 立ち上がる意味なんて無いんだよ!」

──ユキポックス 地下30メートル クレーター ~21:01PM~──

雪歩「……」フラッ

立てた。自分の足で……歩ける……。

春香「……!!!」

雪歩「……」フラフラッ

歩けるなら大丈夫、どこまででも行ける……。

春香「なんで!? 何でそこまで闘うの?! 理由を聞かせてよ!」バシャバシャバシャ……!

雪歩「……」

春香「ッッ……ヴぁ──」

──雨粒が、止まって見える──無意識に、私の手が前に──前に──

──花火のように、水滴が弾けていく──そのまま──思い切り頬へ──

春香「……」パラ……パラ……

気づけば、壁にめり込んでいる春香ちゃんがいました。




雪歩「自分で選ん……だから……」ボソッ

雪歩「……」

糸が切れたように、がくりと膝から崩れ落ちました。

春香「……私の……」パラッ……

春香「ぜぇ~~んぶ、この世界は私のものなんだよ!」バシャ……バシャッ……

春香「ヴぁい!」

……ゴッ……

ザァァアアア……

春香「はぁ……はぁ……」

雪歩「……」

春香「あれ……ちょっと待った……」

春香「何だか見覚えがある光景だよ……なんだっけ……」

春香「土砂降りの雷雨、目の前で倒れる雪歩。ピクリとも動かない」

春香「それで、確かここらへんだっけ」スタスタ……

春香「うん、そうそう。それで私は思いっきり叫ぶんだ」

春香「確かそう……」スッ


春香「望み通り……望み通りの結果だよ!!!」カッカー!


春香「……」

春香「始まりがあるのものには、全て終わりがある……」

春香「これから始まるのは"革命"であり……」

春香「"回帰"よ……雪歩……ちゃん……」

雪歩「……えっ……」

ザァァアアア……

雷雨の中、春香ちゃんは両手を広げて、ピクリとも動かない。

春香「今、今、私は何て言った……の……?」

春香「そんなハズは無いよ……あはは……」

雪歩「……」フラッ

春香「立てる……の……」

雪歩「……」フラフラッ

春香「こ、来ないで!」

雪歩「何をそんなに怖がっているの……?」

春香「ち、違うよ、これは罠だよ……」

雪歩「これも……必然だったんですか?」

雪歩「……あずささん」

──ユキポックス 地下30メートル クレーター ~21:02PM~──

春香「……!ぁぁあああ!」

……ドスッ……

雪歩「っ……」

<コピー開始>

ギ……ギュィィィィィ…ギギギ……

ギギギ……

雪歩「……」

私の視界が、また真っ暗になっていく。

ギギギィィィ……

<コピー完了> ィィィィン……!

シュゥゥゥ……!

春香「はぁ……はぁ……!」

春香No?「……」

春香「お、終わったの……?」

春香No?「……」コクン

春香「……あはっは……」ドサッ……

──機械都市 MIN-GOS内部 ~21:02PM~─

MIN-GOS「……」

雪歩「」シュゥゥゥゥ……

<全データソース 注入>

ドクン……ドクン……

──ユキポックス 地下30メートル クレーター ~21:02PM~──

春香No?「……」ドクン……ドクン……

春香「な……なに……?」

春香No?「……」ドックン……ドックン……

春香「何かが……中で……」

春香「一体、何をしようとしてるの……雪歩……」

──??? ~21:02PM~─

──起きて。

……ん……

──起きて、お姉ちゃん。

雪歩「ふわぁ……」

優「おはよう」

雪歩「あっ……君は……」

見渡すと、ここは……真っ暗な暗闇……時間も空間も何も無い世界だ……。

雪歩「えっ……」パァァァ……!

その中で私の体が……極彩色に輝いてる。
今まで、金色と緑色は見てきたけれど……これは初めてかな。

雪歩「ふわぁ……キレイ……」

優「やることは、わかってるんだよね」

雪歩「うん……」

やっと答えに辿り着いた。
私が……救世主になった本当の意味……。

私は、優ちゃんと手をそっと繋ぎました。

優「お姉ちゃんの手、凄く暖かいね」

雪歩「そ、そうかな……」

優「ねぇ、お姉ちゃん、アイドルって楽しい?」

雪歩「……うん、とっても楽しいよ。私、ダメダメで失敗ばかりだったけれど……」

雪歩「お客さんの、私の友達の笑顔を見ると、もうちょっとだけ頑張ろうって思えるんだ」

優「お姉ちゃんは、幸せ?」

雪歩「……」

雪歩「……きっとね」

雪歩「今日が笑えたら、明日はきっと幸せなんだと、思う」ニコッ

雪歩「そのためには、始めの一歩を踏み出さなくちゃ、だよね?」

ね……真ちゃん、私、ちゃんとゴールまで進めたよ。


──私は、そっと3本の指を立てました。

雪歩「それじゃ、いくよ?」スッ

優「うん!」

……3……。

<プログラム 分解>キュィィィィィィィン……!

私と優ちゃんの体が、輝く粒子になって消えていく。
足元から段々とゆっくり……風に舞い上がるようにどこまでも飛んでいく。

──ユキポックス 地下30メートル クレーター ~21:02PM~──

春香No?「……」キュィィィィン……!

春香「な……なにこれ……なに光が溢れて……」

パァァァ……ン……

春香「ひっ!」

<データ消滅> シュゥゥゥゥ……

春香「……消えた?」

春香No45441「……」キュィィィィィン…… 春香No5532「……」キュィィィィィン……! 春香No321「……」キュィィィィン……!

春香「ま……まさか……」

春香「私を媒介にして……ユキポックスをリロードするつもり……?」

……2……。

春香「や、やめなよ雪歩! そんなことしたらどうなるかっ!」

春香No45441「……」キュィィィィィン……!

パァァァ……ン……!パァ……ァン……!

春香「や、やめてやめてやめて……こんなはずは……私の世界……」

<データ消滅>シュウゥゥゥゥ……

──バンナム 地下室 ~21:02PM~─

伊織「ん……」パチッ

伊織「ここ……は……?」

伊織「……そう、やったのね……雪歩……」

──機械都市 ??? ~21:02PM~─

美希「ねぇ、真クン。良かったね。もうすぐ終わるみたいだよ」

美希「雪歩が……やってくれたんだよ」ギュッ……

……1……。

パパパパパパパパパ……パパパパパパパパパ……
パパパパパパパパパ……パァァンパパパパパァァァァァン……!

<データ消滅>シュゥゥゥゥ……

春香「……や、やめてやめてやめて! 自己犠牲なんてくだらないよ!」

春香「雪歩の力があれば、何でも支配できる! 何でわざわざ捨てるの?!」

春香「……雪歩!雪歩!ゆきほぉ!」キュィィィン……

春香「ゆ……」……ィィィィ……

春香「……ゆ……き……ほ……」ィィィィ……

春香「……雪歩、ありがとう。私、救われたよ。ありがとう……」

春香「さよならをありがとう」ニコッ

パァ……ァン……!

<データ消滅完了>シュゥゥゥゥ……

キュィィィィン……

サァァァアア……

優「お姉ちゃん、ごめんね……これは、人間にとって、死になるの?」

雪歩「大丈夫……きっと終わりじゃないよ」サァァァァ……

雪歩「きっとこれが、初めてになる始まりだから」サァァァア……

フッ………

………

……

……パチンッ……。



<C H A N G E ! ! ! ! >



………

……



──バンナム 地下1階 ~21:03PM~─

<撤退開始>

キサラギ『……』クルッ

凛「キサラギが……引き返していく……」

響「み、みんなぁ! ちょっとモニターを見てくれ!」

貴音「なにごとですか!」

響「ほらっ、ユキポックスのコードが……」

サァァァ……!

涼「緑色から白に変わってる。こんなの初めてだ……」

舞「戦争は、終わったの?」

愛「……きっと、雪歩先輩がやってくれたんだよ、ママ……」

愛「やった……」フルフルフル



愛「やったよーーーーー!!!!!」

愛「みんなー!戦争は終わったんだよー!!!」

一同「……」

舞「はぁ……いいわ。今回ばっかりは思い切り叫びなさい」

愛「バンナムのみんなー!終わったよーー!!!!萩原先輩の大勝利だよーーー!!!」

愛「……」ウルッ

愛「平和が来たよーーーー!!!!」

響「う……うあ……」

ワッ……

ワ ァ ア ア ア  ア ア ア ア ア ア !!!!!!

貴音「……萩原雪歩……」ポロッ……

貴音「この声が……聞こえていますか……?」

貴音「あなたは、今どこに……? 今はあなたと……ただ話がしたい……」

──機械都市 MIN-GOS内部─

シュゥゥゥゥ……

MIN-GOS「……」キュィィィン……

──機械都市 ???──

美希「……帰ろ、真クン……?」

キサラギ『……』

美希「ひっ……敵……!」

キサラギ『クッ』

美希「な……なに……?」

………。

……

美希「ウソ……あなたに……理解できるの……?」

キサラギ『……』

──ユキポックス 公園──

春香「ん……」

あずさ「おはよう、春香ちゃん」

春香「ふぇ……ここですか……」キョロキョロ

あずさ「雪歩ちゃん。これも、あなたが望んだことなのね」

春香「えっ?」

あずさ「何でも無いわ~」

千早「長い……長い夢を見ていましたね、あずささん」

あずさ「えぇ、だけどもう心配無いわ~」

千早「萩原さんが……私たちを解放してくれたんですね……」

あずさ「うふふ」

千早「あずささんは、全て知っていたんですか? この結果を」

あずさ「いいえ、違うわ」

あずさ「だけど私は、信じてた」

あずさ「雪歩ちゃんを信じてたのよ~」

──機械都市 MIN-GOS内部─

美希「……命はひとつ、だよね。真クン……」

MIN-GOS「テンソウ……ヲ……」

美希「待って、最後に……」

美希「二人の手を……繋げさせて?」

MIN-GOS「……」

雪歩「」

真「」

……ギュッ……

──ユキポックス 公園──

千早「萩原さんは……やはり……」

あずさ「……」

ポツ……

あずさ「あら……?」

千早「これは……雪……?」

春香「わぁ、キレイ……」

あずさ「……」

あずさ「これは、あなたからのプレゼントね」

あずさ「うふふ、そこにいるのね……」

──雪歩ちゃん。

…………

………

……

………

……



──"未来" 現実世界 765プロ事務所──

──今日も、いい天気だな。

アイドルA「プロデューサー! おっはよーございまーす!」

──お、お前ら今までどこ言ってたんだ!

アイドルB「えへへ、ちょ~っとあそこで遊んできました」

──ま、またか。あれほど言っただろ。あんまりやり過ぎるなって。

アイドルA「はい、ゲームは1日1時間、ですよね」

──ったく。そうそう、それより面白いのを社長が見つけてきたんだ。

アイドルA「何ですか、それ?」

──あぁ、何でも数百年前のゲーム機らしくてな。アイドルマスターっていうらしい。

アイドルB「えぇ~! 自分の手で操作するんですかぁ?!信じられない」

──まずは、キャラを選ぶ。

アイドルA「ふんふん」

──好きなのいるか?

アイドルB「……あれ、何だかこの子。どこかで見たことあるような……」

──この子か?

アイドルA「はい、どこだったかなぁ~」

──それが何でもな……。

……。

アイドルA「えぇー!そんなの信じられませんよぉ!」

アイドルB「こぉ~んな気弱そうな子が?!」

──それが本当らしい。昔々、暴走した機械と人間との戦争があったのは知ってるだろ。

──もう随分前に、月を眺めながら幸せそうに大往生した俺のひいお婆ちゃんが言ってたよ。

──この子の名前は……

『は、萩原雪歩17歳ですっ。よ、よろしくお願いしますぅ!』


──この世界を救った、救世主、らしい。

http://www.youtube.com/watch?v=Zh6Q9_WQbSI

雪歩「ユキポックス -レボリューションズ- 」 THE END


原作よりはわかりやすくしたつもり……
疲れたぜ……

閉店です

正直、矛盾だらけだと思いますがキニシナイ!
原作が好きな人はすいません。

読んでくれた人、本当にありがとうございました

保守、支援してくれた人も本当にありがとうございました

結果的に久々の長編になってしまいましたが、とても楽しかったです。もうしばらく書かん

最後に一言!
絵里ちゃんごめんよ……
あの時はこうなるとは思ってなかったんだよ……

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