エレン「ワンピース?」 (35)

――1年前

〝両鉄拳のフルボディ〟「ジョン・ジャイアント中将、メイナード中将! 間もなく目的の島に到着いたします!」

ジャイアント(巨人族)「ようやくか……。〝凪の帯〟にある島に行くのは面倒だな」

〝追撃のメイナード〟「巨人化実験の失敗で世界政府があの島を撤退してから100年は経っているんだろ?」

メイナード「そんなところに行って成果が得られるとは思えんがね」

ジャイアント「100年交流が無かったとはいえ、あの島も一応は世界政府加盟国なのだ。世界徴兵の対象となる」

ジャイアント「もっとも、徴兵よりもむしろ、実験失敗の結果、今あの国がどのような状況になっているのか確かめたいというのが政府の目的だろうがな」

メイナード「ふん……。まあほとんど情報のねえ国だ。イッショウさん並の猛者がいないとも限らんか」

〝寝返りのジャンゴ〟「……着岸します! これより、シンゲキ島カベタケーナ王国への上陸作業に移ります!」

――海岸近くの廃村

ジャイアント「どうにも寂れているな……」

〝黒檻のヒナ〟「調査が終わったわ」

メイナード「で、どうだった? ヒナ少将」

ヒナ「ダメね。人っ子一人見つけられません。――ヒナ失望」

メイナード「だろうな。どう見ても廃墟だこりゃァ」

ジャイアント「この荒れ様からすると、無人となって数十年は経っているな」

メイナード「巨人化実験失敗と無関係とも思えねェ。こいつは徴兵どころか生きている人間に会えるかどうかも怪しくなってきやがった」

ジャイアント「ともかく進んでみるしかあるまい。偶々ここが廃村となっていただけで、内陸部には人がいる可能性はある」

ジャンゴ「ご報告します! ヒナ嬢!」

ヒナ「何事です?」

フルボディ「あちらから多数の人間が全速力で駆けてきています!」

ジャイアント「なに……? ほォ、たしかに」

ジャイアント「巨人族に……3メートル程度の人間もいるな」

メイナード「なんだ、生存者がいたか」

フルボディ「し、しかしながら、少々不可思議なことが!」

メイナード「あァ?」

ジャンゴ「駆けてくる者達が全員揃って全裸なのです!」

メイナード「全裸ァ?」

ジャイアント「……確かに。全裸だな」

ジャンゴ「はっ! しかしながら! 満面の笑みの者も多く、我々を歓迎してはいるようです!」

メイナード「……どう思うよ、ジョンさん」

ジャイアント「おそらくは、全裸がこの国の文化なのだろう」

メイナード「そこまで非文明的な国が、世界政府加盟国にあんのか?」

ジャイアント「100年外界と交流が無かったのだ。退化したのではないか」

メイナード「まァ何にしろ、巨人ってのは実験の成功例だろう。政府にとっちゃ朗報だな」

メイナード「さて、せっかく出迎えてくれているんだ。応えてやるかね」

メイナード「とりあえず俺が接触してみる。ジョンさんとヒナは上陸作業を終えといてくれ」

ジャイアント「あァ、任せる」

ヒナ「了解ですわ」

巨人「」ドドドドドドドッ!

メイナード「カベタケーナ王国の諸君! 出迎えご苦労!」

メイナード「我々は世界政府海軍本部の者である!!」

巨人「」ドドドドドドッ

メイナード「我々は、カベタケーナ王国との交流の再開!」

メイナード「そして、諸君らの中から海軍の新戦力に相応しい人材を選出することを目的としてやってきた!」

巨人「」ドドドドドドドッ

巨人「」ピタッ

メイナード「お前が代表か? なら、国王のところまで案内してもらおう」

巨人「」ガシッ

メイナード「うおっ……」

ジャンゴ「き、貴様! いきなり何しやがる!? メイナード中将を放せ!」

メイナード「いや、いい。銃を降ろせ」

フルボディ「はっ、しかし!」

メイナード「王宮まで運ぼうとしてくれてんだろ」

メイナード「おい。こっちも鍛えてるんでね。運んでもらわずとも自分で歩け」

巨人「」パクッ

巨人「」ゴックン

ジャンゴ「め、メイナード中将おおおおおおおおおお!!」

フルボディ「め、メイナード中将が……食われたあ!!」

ジャンゴ「う、撃てええええええ! メイナード中将を助けるんだ!」

ドンドンッ 

巨人「」シュウウウウウ

フルボディ「だ、ダメだ! 巨人族相手が相手ではほとんど効果がねえ!」

ジャンゴ「や、ヤベェぞ、これは……!」

ギャアアアアアア!!

ジャンゴ「何事だァ!?」

海兵A「べ、別の巨人族が仲間を次々に食っています!」

フルボディ「なんだとォ!?」

海兵A「さ、さらに! 後続の巨人族が多数接近中! 3メートル程度の人間達もです! しかも全裸で!」

巨人「」グアッ

ガシッ

フルボディ「ぎゃあああ! は、放せ! 放せええええ!」

ジャンゴ「ぶ、ブラザァアアアアア!!」

海兵A「ふ、フルボディさんが、メイナード中将を食った巨人に!!」

フルボディ「助けてくれえええええええええええ!!」

巨人「」ビクンッ

フルボディ「いやあああああ……あれ?」スルッ ドサッ

メイナード「お、お、お、おぉぉぉ……」ビリビリビリッ

巨人「」ビクンッビクンッ

メイナード「おらあああああ!!」ベリィッ

フルボディ「め、メイナード中将おおおおおおおお!」

ジャンゴ「や、やった! 腹を突き破ってメイナードさんが出てきたぞ!」

海兵A「グロい!」

メイナード「ふうううう」ドンッ!!

巨人「」バターンッ

ジャンゴ「ご無事ですか!?」

メイナード「ああ、死ぬほど臭ェがな……」

メイナード「なんなんだ、こいつらは。いきなり人を食いやがって」

ギャアアアアア

フルボディ「……! そ、そうだ、あっちにも巨人が!」

メイナード「チッ、どいてろお前ら」

メイナード「月歩!」トンッ

巨人「」ンアー

メイナード「うらあっ!!」ドンッ!

巨人「」ドスーンッ

フルボディ「おお! 巨人を吹き飛ばしたぞ!」

ジャンゴ「さすがは海軍本部中将だ!」

海兵A「あァッ!?」

フルボディ「どうした!?」

海兵A「う、後ろから大量の巨人族が!」

ジャンゴ「!! そ、そうだった!! まだいたんだ!」

フルボディ「め、メイナードさん、一体どうすれば!!」

メイナード「くそっ……数が多すぎるな」

海兵A「う、うわあああああ!」

ジャンゴ「こ、今度は何だ!?」

海兵A「きょ、巨人が……メイナード中将が倒した巨人達が……立ち上がりました!」

メイナード「なにィ!?」

巨人「」ヨロッ

巨人「」ズシンズシン

メイナード「おいおい、嘘だろ。一匹は腹までかっさばいたんだぞ」

ジャンゴ「……お、終わりだ。もうダメだ……」

メイナード「クソったれ。なら何度でも」バッ

メイナード「倒してやるだけだ!!」ドンッ

巨人「」ドサッ

海兵A「こ、後続の巨人達が到達しました!!」

巨人「」グアッ

メイナード「チッ」バキッ

巨人「」ドスーンッ

フルボディ「め、メイナード中将! 後ろです!」

メイナード「なに!?」

巨人「」グオッ

バキャッ

メイナード「ぐあっ!」

フルボディ「め、メイナード中将おおおおお!」

ジャンゴ「メイナード中将に巨人の拳が直撃いいいいいいい!!」

メイナード「クソが……!」バッ

ギャアアアアアアア タスケテクレエエエ

メイナード「!」

海兵A「み、味方が次々に巨人に食われていきます!」

ジャンゴ「え、援護だ! 援護するんだ!」

フルボディ「だ、だが、あんな数の巨人が相手じゃ……」

メイナード(マズいな……一体一体は大したことないが数が多すぎる。戦ってる間に部下が皆殺しに)

巨人「」バッ

メイナード「……! しつけェッ!!」ドンッ

フルボディ「……い、いかん、メイナード中将が押されている!」

フルボディ「これは、メイナード中将の特性が原因と考えられるぞ!!」

ジャンゴ「ど、どういうことだ兄弟!?」

フルボディ「メイナード中将は〝追撃〟の二つ名の通り! 撤退している敵に追い打ちを仕掛けることにかけては右に出る者がいない!」

フルボディ「だが! 反面! 向かってくる敵に対してはめっぽう弱いッ!」

フルボディ「この状況、メイナード中将にとってはあまりに不利だ!」

ジャンゴ「く、くそ! 一体どうすれば良いんだ!?」

海兵A「あ、あああ!!」

巨人「」ドドドドッ

海兵A「きょ、巨人が一体こちらにいいいいいい!」

ジャンゴ「なんだとォ!?」

フルボディ「い、いやだ……死にたくねえ! 死にたくねえよォッ!」


ドンッ!!

巨人「」ドシャァ

ジャイアント「何を騒いでいるのかと思えば、これは一体どういう状況だ」ドンッ

ジャンゴ「お……おお! ジョン・ジャイアント中将!!」

巨人「」ググッ

フルボディ「な!? ジャイアント中将に殴られてまだ立ち上がるだと!?」

巨人「」グワアッ

巨人「」ガブッ

ジャンゴ「あ、あああ!! 中将の腕に噛みつきやがったッ!!」

ジャイアント「……」

巨人「」ガジガジガジッ

巨人「」ボキンッ

ジャイアント「……どうした? 歯が折れたぞ。それで噛んでいるつもりか?」

巨人「」アムアムアムアム

ジャイアント「貴様が実験体の生き残りだとすると、たかだか100年しか巨人をやっとらん若造ということになるな」グッ

ジャイアント「覇気も知らんただの巨人じゃァ……」グググッ

ジャイアント「海軍中将に傷一つつけられんわァッ!!」バキィッ!

巨人「」ドスゥゥンッ

フルボディ「きょ、巨人の頭を一撃で吹き飛ばした!?」

ジャンゴ「なんて強さだ!」

海兵A「グロい……ああ!?」

海兵A「も、もう一体こちらに接近中!」

巨人「」ドドドドドド

ガキィィィィンッ

巨人「」グラッ ドサァッ

ジャンゴ「きょ、巨人の足が拘束され転倒した! あ、あれは……っ」

ヒナ「わたくしの身体を通るものは全て緊縛される」ドンッ

フルボディ「で、出たぁっ! ヒナ嬢のオリオリの実の能力!!」

ジャンゴ「助かった! この2人が来てくれたならもう安心だぜ!!」

メイナード「ふー……悪いなジョンさん、ヒナ」

ジャイアント「この程度の連中に情けないぞ、〝追撃〟」

メイナード「連中、異常にタフなんだよ。殴ってもまた立ち上がってきやがる」

ヒナ「いかにタフとはいえ、あのように頭が失われれば死ぬでしょう」

ヒナ「わたくしが足を止めるので、お二人でとどめを……」

巨人「」ノソッ

『!?』

ヒナ「……え?」

メイナード「おいおい……」

ジャンゴ「じゃ、ジャイアント中将に頭を吹き飛ばされたのに……」

フルボディ「立ち上がりやがった、だと……!?」

巨人「」シュゥゥゥウ

ジャイアント「頭が生えてきておる……」

メイナード「何の冗談だこりゃァ……細切れにすれば死んでくれるのか?」

ギャァァァッ ヒィィィィ

ヒナ「……っ、こうしている間にも部下が次々に襲われていますわ」

ヒナ「一体一体を細切れにしている余裕は……」

「うなじを狙え!!」

ヒナ「……!?」

メイナード「……ようやく下船してきやがったか」

ジャイアント「CP0……」

CP0「連中の弱点はうなじだ。そこを破壊すれば例外なく死ぬ……はずだ」

メイナード「……ヒナ! 連中を転倒させろ!」

ヒナ「了解!」

ヒナ「袷〝羽檻〟!」バッッ

ガキンッ ガキンッ ガキンッ

巨人「」ドサッ

巨人「」バタッ

巨人「」ズシンッ

巨人「」ジタバタジタバタ

メイナード「よし、うなじだったな」

メイナード「ふんっ!」バキッ

巨人「」グシャ

巨人「」シュゥゥゥ

ジャンゴ「ひいっ」

フルボディ「か、身体が溶けていやがる……」

海兵A「グロい……」

メイナード「どうやら情報は正しいみたいだな」

ジャイアント「そうと知れれば最早殺すのは容易い」

――――――
――――
――

メイナード「ふぅ……これで全滅させたか」

ヒナ「捕らえて尋問しなくて良かったのですか?」

ジャイアント「話の通じるような奴らではなかった」

ジャイアント「それに、奴らに訊くよりもこちらの方が話が早そうだ」

CP0「……」

メイナード「貴様等の秘密主義は知ってるが、そのせいでこっちは余計な犠牲を出している」

メイナード「まだ情報を隠すつもりじゃねえだろうなァ?」

CP0「……良いだろう」

CP0「まさか私もここまで実験体共が強力だとは予想していなかったものでな」

CP0「このカベタケーナ王国は元は天竜人の祖先……創造主が治めていた国だ」

メイナード「そうらしいな。だからCP0なんかが付いてきてんだろ」

CP0「それだけではなく、この国での巨人化実験を推し進めたのも、かの天竜人の一族だったのだ」

ジャイアント「……そういうことか」

メイナード「ってことはだ、持ってんだろ? ここの巨人達についての情報を」

CP0「ああ。もちろん不完全な記録だが。何しろ政府は実験を途中で中断し、撤退したのだからな」

CP0「だが、残っている限りの情報を伝えよう」

CP0「100年前、実験の指揮をとっていたのは、当代最高の科学者だった男だ。今のベガパンクに匹敵する程の彼が考案した巨人化の技術は、ただ人間の身体を巨大化させるものではない」

CP0「当時のドルドルの実の能力者の力を転用した技術で、『蝋のような物質を人間体に模し、それにより本体を覆う』というものだった」

メイナード「……悪魔の実の能力の転用だと!?」

ジャイアント「パシフィスタに黄猿さんのレーザーを搭載したようにか? 100年前にもそんな技術があったとは……」

CP0「……ベガパンクによってなされた血統因子の究明は出来ていなかった為、その技術は不完全だったがな」

CP0「その巨人には自動修復機能も搭載され、うなじ部分にある本体が絶命するか、巨人体から切り離されるまで、体を維持し続けるそうだ」

メイナード「頭を吹っ飛ばしても再生していたのはそのせいか……」

ヒナ「ちょっと待ってください。先ほど倒した巨人達のうなじには、本体らしき者など見あたりませんでしたわ」

ヒナ「しかも、あのように理性を失っていたのでは、何の役にも立たないのでは?」

CP0「……そう。本体はうなじ部分に置かれ、巨人体は本体の意志が反映される……はずだった」

CP0「いや、初期の犯罪者数名を使った実験では実際その通りの結果になったらしい。本体はうなじに残り、意志を保持し、更にはこちらからもコントロール可能だった」

メイナード「コントロール? 一体どうやって言うことを聞かせるってんだ」

CP0「それは不明だ」

ジャイアント「なに?」

CP0「言ったはずだ、不完全だと。実験を統括した科学者は騒動の際に死に、また計画の全貌を記した書物も行方不明だ」

CP0「ゆえにその内容は残っていないが、実験体を従わせる為の仕掛けを用意していたそうだ……結局失敗に終わったわけだが」

ヒナ「初期は成功していたということは、失敗はその後の?」

CP0「ああ、当時のカベタケーナ国王の依頼により、王政府に反抗的だった複数の少数民族自治区にて、そこの住民全員を実験体にすることとなった」

メイナード「おいおい……」

ジャイアント「それほど大量の人間を……いや、そもそも巨人化の方法とやらをまだ聞いていないぞ」

CP0「薬物だ。それを注入するだけで、巨人化の能力を任意に発動することが可能になるというものだった」

CP0「当時のガスガスの実の能力者……つまり、シーザー・クラウンの先祖が研究班に加わっていてな。そいつの能力で薬をガス状に変え、少数民族自治区にバラまいた」

メイナード「それが全ての誤りだったってわけか」

CP0「そうだ。自治区の住民が巨人になったまでは良かったが、連中はこちらの制御を受け付けず、理性も失い、無差別に人間を食い殺すようになってしまった」

CP0「しかも、うなじにあるはずの本体がどこにも存在しない……どうやら肉体が融解し、巨人体と融合してしまったものと思われる」

すまん風呂入ってくる。需要無いだろうが落ちたらまた立て直すわ

保守さんくす

ヒナ「けれど、さっきの連中もうなじはたしかに弱点だったわ」

CP0「本体は存在しないが、うなじ部分を破壊すれば死ぬのは変わらない」

メイナード「なあ、再生ってのは巨人体だけの話か?」

CP0「いいや、本体も自動修復される」

ヒナ「な!?」

メイナード「マジかよ……人間の肉体を再現だと?」

メイナード「いや、ちょっと待て。ドルドルと言やァ、千両道化の腹心だろ? それほどの能力だとは聞いたことねェぞ」

CP0「鍛え方が全く違う。当時のドルドルの能力者は我らサイファーポール・イージスゼロのメンバーだった」

CP0「もっとも、彼ですら自力で人間1人の複製は無理だったようだがな。実験体の体に最初からある設計図があってこそのようだ」

CP0「だが結局、巨人化薬の詳細も残されぬまま実験責任者が死亡し、計画は打ち切られた」

CP0「その日には実験を推進していた天竜人の一族が観覧にいらしていてな」

CP0「当時のCP0も海軍も彼らを守るので精一杯だったようだ」

メイナード「……んで、そのまま島は放置、今に至るってか」

ジャイアント「先ほど我らが倒した奴らも、元はその少数民族ということだな」

CP0「おそらくはな」

ヒナ「……」

メイナード「で、これからどうするよ」

CP0「やるべきことは変わらんだろう。生存者――もちろん巨人を除いてということだが――の捜索が先決だ」

ジャイアント「今の話を聞いた限りではますます絶望的だがな」

ジャイアント「海軍本部ですら手を焼いた連中に、残された国民だけで抗する術があったとは思えん」

CP0「いなければいないで巨人をサンプルとして連れ帰るだけだ。いずれにしろ、捜索せんことには始まらん」

――内陸部

ジャイアント「……なんだ、あれは」

ヒナ「なにか? ジャイアント中将」

ジャイアント「前方に、巨大な壁が見える」

メイナード「壁? ってことは久々の居住区か」

メイナード「この数時間は巨人の相手だけで、建造物すらなかったからな……どうせ無人なんだろうが」

ジャイアント「いや、そうとは限らんぞ」

メイナード「あァ?」

ジャイアント「巨大な壁と言っただろう……あれは……50メートルはあるぞ」

『!?』

メイナード「50メートルの壁……?」

ジャイアント「しかも、それが果てしない範囲に広がっている。壁の内部は相当な規模だ。崩壊している様子もない」

CP0「馬鹿な! そんなものがあったなどという記録は残っていないぞ!」

ヒナ「ですが、そんなものがあるのなら、生存者がいる可能性は格段に高まりますわ。――ヒナ期待」

――シガンシナ区門前

CP0「このような壁が……」

メイナード「デケェなこりゃあ」

ヒナ「100年前には無かったものなのですか?」

CP0「こんなものがあったのならば、確実に記録に残っているはずだ」

ジャイアント「つまり、政府が島を放棄した後に建造されたということか」

メイナード「あの巨人共の猛攻を防ぎながら、この数百キロは続いてそうな壁を造ったってのか?」

CP0「馬鹿な……辺境の民共にそんな技術あるわけが……」

ヒナ「十中八九、悪魔の実の能力でしょう。それこそ実験に使われたドルドルの実の能力者ではなくて?」

CP0「いや、彼は事件当日に政府の艦で撤退しているはずだ……」

メイナード「能力だとしたら相当鍛えてあるな。この壁を造った奴がいりゃァ、テキーラウルフの橋もすぐに完成しそうだ」

ジャイアント「この壁があったのなら、生存者も多くいそうだ……と言いたいところだが」

メイナード「穴が開いていやがる……」

ジャンゴ「……報告します!!」

ヒナ「どうだったの?」

フルボディ「はっ! やはり壁の中には大規模な居住区がありました!」

ジャンゴ「しかし、中には巨人が複数確認されまして、我々だけでは奥までは……」

メイナード「やはり、巨人が侵食済みだったか……ともかく中の連中を片付けるぞ」



――シガンシナ区

メイナード「荒廃して無人だ。が……」

ヒナ「無人となって100年経っているようには見えませんわね」

CP0「せいぜい数年というところだろうな」

CP0「100年耐えてきたのに突破されたのか……チッ、来るのがもう少し早ければ……」

ジャイアント「結論を出すにはまだ早いぞ。向こう側にも壁が見える」

メイナード「ここは突出した形になっていたからな。壁内部のほんの一部に過ぎん」

CP0「だが、よく見てみろ。あちらの壁にも穴が開いているだろうが。その残りの区域にも既に巨人が入り込んでいるということだ」

ヒナ「けれど、外観からして中は相当な広さ。おまけにこのような壁を短期で製造できる力があるのならば、生き残りがいても全く不思議ではないですわ」

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