紅莉栖「ツンツンしすぎて岡部に愛想尽かされた……」(202)

紅莉栖「原因はいつもの些細な喧嘩だった……」

紅莉栖「最初はいつもみたいに仲直りできるって思ってた……」

紅莉栖「なんだかんだで最後は岡部の方から謝ってきて、私がそれをツンツンしながら許して……今回もそうだと思ってた」

紅莉栖「でも、違った……」

紅莉栖「メールもこないし、電話もない……もうこれで半年経った……」

紅莉栖「おかべぇ……」グス

まゆりと幸せな家庭を築きました

よかったよかった(´・ω・`)

紅莉栖「1ヶ月経って初めておかしいと感じた……」

紅莉栖「いつもなら長くても二週間くらい経てば岡部の方から謝ってきた……」

紅莉栖「最初は大学が忙しいのかなって思って、たいして気にしなかった……」

紅莉栖「2ヶ月経ってようやく異変に気付いた……私の方から何度もメールや電話をしても岡部に繋がらない……」

紅莉栖「3ヶ月目で着信拒否された……」

岡部「ダル、
念願のスマホを手に入れたぞ!」

ダル「メアドも番号も
変えちゃあかんっしょ」

紅莉栖「うぅ……」グス

紅莉栖「その時はショックでまともに食事も取れなかった……」

紅莉栖「直ぐにまゆりやフェイリスさんに相談をした……そしたら」

まゆり『オカリンは紅莉栖ちゃんが忙しいだろうと思ってメールを控えてたんだって~大丈夫だよ、紅莉栖ちゃんが寂しがってたよってオカリンに伝えておくから☆』

フェイリス『ニャニャ、凶真め。クーニャンを悲しませるなんてダメだニャン。フェイリスからちゃんと凶真に言っておくニャン♪』

紅莉栖「そう返事がきた……ふいに涙が溢れそうになった」

紅莉栖「……でも、それから1ヶ月経っても岡部から連絡はなかった」

ダル「オカリンが死んで、もう3ヶ月か……」

まゆり「……」

ダル「まゆ氏、フェイリスたんも心配してたお。制服取ってあるから何時でも帰っておいでって」

まゆり「……」

ダル「今のまゆ氏を見たら……多分オカリンも哀しむお……」

まゆり「オカリン……」

紅莉栖「不安になった私はまゆりやフェイリスさん、漆原さんや、桐生さんにまで連絡をした」

紅莉栖「……でも、みんなから返事が来なかった」

紅莉栖「……」グス

紅莉栖「……おかべ」

紅莉栖「ごめん、おかべ……」

紅莉栖「うぅ……おかべに会いたいよ……」グス

紅莉栖「……会いたい、だから会いに行く」

紅莉栖「研究も区切りが着いた。長期休暇も取ったし準備はできてる……」

紅莉栖「早く、会いたい……」

紅莉栖「岡部……」

紅莉栖「待っててね、岡部……」

紅莉栖「ちゃんと、謝るから、だから前みたいにいちゃいちゃしよ、ね?岡部……」

紅莉栖「おかべ……」

ラボ

まゆり「オカリン、オカリン♪」

ムギュ

岡部「どうした?まゆり」ナデナデ

まゆり「えへへ、何でもないのです♪」

岡部「そうか、だが余りくっ付くでない。流石にこのソファーで5人はきつい」

フェイリス「フェイリスは凶真の膝の上だから問題ないニャン♪」

ルカ子「ぼ、僕は、おか、凶真さんの隣なら、多少窮屈でも、大丈夫です……」モジモジ

萌郁「問題、ない……」

ダル「オカリンマジ爆発しろ」

由季「なら私たちもくっ付けば問題ないじゃない♪」

ダル「ぐへへ、そうだね、由季たん♪」

ダル「そういやさ~オカリン」

岡部「なんだ?」

ダル「牧瀬氏とは最近どうなん?」

岡部「あ、ああ。向こうで相変わらず研究を頑張っているらしい。向こうは忙しくて中々連絡はできないがな」

ダル「ふ~ん。でもオカリンも律儀だお」

岡部「な、なにがだ?」

ダル「だって牧瀬氏と別れても、連絡取ってるんだろ?」

岡部「え?あっ、」

まゆり「……」
ルカ子「……」
フェイリス「……」
萌郁「……」

岡部「そ、そうだな。あいつがラボメンという事実は変わらないからな!フゥーハハハ!」

ダル「さすがオカリン!そこに痺れるあこがれるぅ!」

まゆり「~♪」

岡部(右を見ればまゆりが期限よく鼻歌を歌いながら俺にもたれかかってる)

ルカ子「岡部さん……」

岡部(左を見ればルカ子が顔を赤くしながら俺の手を握っている)

萌郁「……」カシャ、カシャ

岡部(後ろを振り向けば指圧師がさっきから俺の写真を取りまくってる)

フェイリス「凶真の膝の座り心地は最高だニャン」

岡部(前を見ればフェイリスが俺の膝の上でニャンニャン言ってる)

岡部「……」

岡部(俺はどうしてこんな所にいるんだろう……)

岡部(そもそもの原因はいつもの紅莉栖との些細な喧嘩だった)

岡部(何だかんだ言って、最後は俺が頭を下げて仲直りをするのだが……今回はタイミングが悪かった)

岡部(岡部の方は大学の課題があり、紅莉栖の方は実験で忙しくなる。お互いに気が立つような期間に仲直りなど無理だと判断した俺は一度時間を置いた)

岡部(……ちょうど1ヶ月経った時、まゆりやフェイリスに紅莉栖からメールがあったそうだ)

岡部(俺と、別れる……と)

あっ、ミスった。1ヶ月じゃねーな3ヶ月だ

岡部(まゆりとフェイリスからその話を聞いた時、頭の中が真っ白になった)

岡部(別れる……別れるそうだ。誰が?俺と紅莉栖が……)

岡部(あばばばば)

岡部(……本人に直接確かめようと思い、アメリカまで行こうとしたが、残念ながら貯金がなかった)

岡部(何度か紅莉栖にメールや電話をしようとしたが、フェイリスたちに止められた。俺が傷付くだけだと)

岡部(紅莉栖を着信拒否にするように勧めたのもフェイリスたちだ)

岡部(別れの言葉なら電話やメールよりも直接言われた方が区切りが付くと……)

岡部(だから俺は紅莉栖から直接別れの話を聞くのを待った。だが……)

岡部(結局あいつは日本にも来なかった……)

岡部(……落ち込んでいる俺を支えてくれたのはまゆりたちだった)

岡部(例え、恋人同士でなくなってもいつかは紅莉栖と仲直りできる、まゆりは俺にそう言った)

岡部(フェイリスやルカ子、あの無口な萌郁も俺を励ましてくれた……)

岡部(彼女たちに励まされ、俺はこの世界線に辿り着いた時の決意を思い出した)

岡部(紅莉栖とまゆりが生きている世界。それ以外は何も望んでいなかった筈だ)

岡部(紅莉栖がこの世界のどこかで生きて、何かを考え、何かを思っている。俺はそれだけで十分だったんだ)

岡部(……紅莉栖とは男女の関係に成れなかったのは残念だが、それでも構わない)

岡部(お前が生きているのなら、俺はそれだけで……)

ガチャ

紅莉栖「………」

岡部「………えっ?」

紅莉栖「……やっと会えた」

まゆり「……」
ルカ子「……」
フェイリス「……」
萌郁「……」

岡部(なるほど、直接乗り込んで別れの言葉を言いに来たか。まるでα世界線の最後みたいだ)

岡部「……久しぶりだな、牧瀬紅莉栖」

紅莉栖「……!?」

岡部(助手とでも呼んで少しでも茶化してやろうかと思ったが……最後くらいは名前で呼んでやろう)

紅莉栖「ひ、久しぶりね……岡部」

岡部「ああ、半年ぶりだな」

紅莉栖(助手でもセレセブでもクリスティーナでもなくフルネームで呼ぶなんて……)グス

紅莉栖(し、しかも岡部の周りにはまゆりたちもいるし!)

まゆり「……」
ルカ子「……」
フェイリス「……」
萌郁「……」

紅莉栖(も、もしかして既にこの中の誰かと付き合ってるとか……)

紅莉栖「……」

紅莉栖「おかべぇ」ジワッ

岡部(くっ、なんて眼力だ!そんなに俺が憎いのか!)

岡部(……少し、いやかなりへこむな)

紅莉栖「岡部……」

岡部(しかも目に若干涙が溜まっているではないか!)

岡部(……やはり俺は紅莉栖と居るべきではないのか)

岡部「……要件は分かってる」

紅莉栖「……!」

岡部(覚悟は、出来ている)

紅莉栖(私が謝りに来たって分かってるって事?)

岡部「どうした?……早くしてくれ」

紅莉栖(待ってくれるって事はゆ、許して貰えるの、かな……)

紅莉栖「………」ゴクリ

紅莉栖「お、岡部!……さん」

岡部「!?」

紅莉栖(あ、謝るなら誠意を込めて敬語の方がいいわよね)

岡部(お、岡部さん、か……)

岡部(つまり俺とは既に他人だと言いたいのか……な、なるほど。さすが紅莉栖。こちらが痛い言葉を的確に吐いてくる)

岡部「どうした?天才少女が俺なんぞに敬語を使いおって……らしくないな、牧瀬」

紅莉栖「……っ」

岡部(そちらの意図は理解した。ならばこちらも呼び方を合わせようではないか)

まゆり「……ねえねえフェリスちゃん」ヒソヒソ

フェイリス「ニャに、マユシィ」ヒソヒソ

まゆり「なんだか二人とも今にも泣きそうな顔してるけど大丈夫かな」ヒソヒソ

ルカ子「牧瀬さんも岡部さんも無理してますね……」ヒソヒソ

フェイリス「心配ないニャン。あのツンデレカップルをいい加減素直にさせる為にフェイリスたちが半年を掛けたプロジェクト。必ず成功するに決まってるニャン!」ヒソヒソ

萌郁「でも、もし……仲直り、できなかったら……?」ヒソヒソ

フェイリス「……」

フェイリス「その時はフェイリスが責任を持って凶真を貰うニャン♪」

まゆり「ダメだよ~」
ルカ子「ダメです」
萌郁「……却下」

フェイリス「……冗談だニャン」

紅莉栖(ま、牧瀬……?)

紅莉栖(いま、牧瀬って言われた……?)

紅莉栖「……」ジワッ

紅莉栖(や、やっぱり怒ってる……おかべ怒ってる)

紅莉栖(今まで名字で呼ばれた事なんて一度もなかったのに……!)

紅莉栖「おかべ……」ポロポロ

岡部「なっ!?」

岡部(く、紅莉栖が泣いてる!?)

岡部(そ、そんなに嫌われているのか?俺は!?)

岡部(い、今すぐにでも抱き締めてやりたいが俺が抱き締めたら紅莉栖はもっと……)

岡部「ええいっ、関係あるか!」

ぎゅ

紅莉栖「……!」

岡部「わ、我が右腕と左腕に取り憑いた悪霊が勝手にやったのだ!俺の意志では断じてない!……だから、嫌なら振り解いてくれ」

紅莉栖「……おかべ」

岡部「……すまなかった」

紅莉栖「えっ?」

岡部「お前がこんなにも傷付いているとは、知らなかった」

岡部「もう二度と会わないし、二度と話もしない、二度と見ない……だから泣き止んでくれ、紅莉栖」

紅莉栖「うぅ……」ポロポロ

岡部「くぅっ!なら今後一切お前には関わらない!お前に関わる全ての者に対してもだ!だから泣き止んで」

紅莉栖「そんなああっ……いやああ」ポロポロ

岡部「な、ならこれ以上どうすればいいと言うのだ!?」

ダル「うわっ~さすがオカリン。さらに悪化させてるお……」

由季「牧瀬さん、涙腺崩壊してるね」

岡部「で、では紅莉栖よ!」

紅莉栖「っ」ビクッ

岡部「お前が俺に望む事を何でもしてやろう!」

まゆり「えっ?」

ルカ子「いま……」

フェイリス「何でもするって言ったかニャ?」

萌郁「なんでも……」

ダル「ぐふふ、今何でもするって言ったよね」

由季「……ダルくん、気持ち悪い」

ダル「……サーセン」

紅莉栖「な、何でも……?」グス

岡部「ああ、何でもだ。男に二言はない。どんな無理難題でも叶えてみせよう。この鳳凰院の名に掛けてな!」

紅莉栖「ならっ!」

ちゅっ

岡部「んむっ!?」

紅莉栖「んっ、あむ、んっ……」


まゆり「わあ~」
ルカ子「あ、あわわ」
フェイリス「大胆だニャン」
萌郁「スクープ」カシャ、カシャ
ダル「Oh……」
由季「ヒューやるね~」

岡部「ぷはっ、く、紅莉栖?」

紅莉栖「………さい」

岡部「なに?」

紅莉栖「ごめんなさいごめんなさい岡部ごめんなさい岡部、見捨てないで、もうパパの時みたいなのはイヤなの、岡部、見捨てないで、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

岡部「く、紅莉栖!?何を言って……」

紅莉栖「おかべ、お願い……ずっと私の側にいて」

岡部「は、はあ!?」

紅莉栖「……や、やっぱり駄目、だよね、ごめんなさい、岡部、我が儘で、可愛くなくて、ごめんなさい」

岡部「な、何を言っておるのだ。別れると言い出したのはお前の方だろうが!」

紅莉栖「……」

紅莉栖「………へっ?」

紅莉栖「はあああ!?何よそれ!?」

岡部「なに?違うのか?」

紅莉栖「わ、私から岡部に別れようなんて言う訳ないじゃない!有り得ない!絶対に有り得ない!それに岡部の方が私に愛想を尽かして」

岡部「……紅莉栖、もう一度言ってみろ」

紅莉栖「なっ、だから、岡部が私に愛想を尽かして」

岡部「ふざけるな!」

紅莉栖「っ」ビクッ

岡部「俺がお前に愛想を尽かしただと?馬鹿を言え!」

岡部「そんな下らない事でいちいち愛想を尽かしていては俺はこの世界線に辿り着いてはいない!」

紅莉栖「で、でも……」

岡部「二度は言わん!俺がお前に愛想を尽くすなどあり得ん!断じてな!」

紅莉栖「お、岡部……」ポッ

岡部「だいたい俺がまゆり達から聞いたのはお前が俺と別れると言って……」

紅莉栖「わ、私はまゆり達に岡部から連絡が来ないから相談しただけよ!」

岡部「……」

紅莉栖「………」

岡部・紅莉栖「あれ?」

岡部「……」ジー

紅莉栖「……」ジー

まゆり「あはは……」

ルカ子「あの、えっと……」オロオロ

岡部「……俺だ。機関から攻撃があった」

紅莉栖「私よ、ええ。こちらも被害を受けているわ」

岡部「機関め、どうやら俺たちの情報を攪乱させ、陥れようとしたようだ」

紅莉栖「みたいね。危うく壊滅的被害を受ける所だったわ」

岡部「だが……」

紅莉栖「ふふっ、私たちも甘く見られたものね。この程度の脅威」

岡部「この程度、この鳳凰院凶真と」

紅莉栖「鳳凰院紅莉栖の前では無意味よ」

岡部「現在、機関の手先と思われる一派を視認」

紅莉栖「こちらからも確認した」

フェイリス「ニャニャ……」

萌郁「……逃げ、なきゃ」

岡部「どうやら機関の手は我がラボにまで及んでいるようだ、嘆かわしいな」

紅莉栖「でも裏切り者には制裁を与えないとね」

岡部「無論だ。ではお互い健闘を祈る。エル・プサイ……」

紅莉栖「……コングルゥ」

岡部「……さて、お前たち」

紅莉栖「何か言い訳はある?30文字以内で論破してあげる」

フェイリス「きょ、凶真とクーニャンが何時まで経ってもツンツンしてるからいけないのニャン!だからフェイリスたちが二人の仲を加速させようと」

紅莉栖「残念。私たち元々人前でイチャつかないだけで十分ラブラブなの」

岡部「ラボでキスした回数は既に三桁にいく」

ダル「ふ、ふざっけんなし!ラボはラブホじゃねーぞ!」

紅莉栖「あっ?」

岡部「ダルぅ、お前も裏切り者だと言う事を忘れてないか?」

ダル「あ、いや、僕はフェイリスたんに頼まれたから断れなかっただけでありまして……」

由季「ダルくん、どんまい」

紅莉栖「阿万音さん、あなたも同罪よ」

由季「えっ」

紅莉栖「ふふっ、開頭するサンプルが6個もあるなんて……研究のしがいがあるわ」

ダル「ひぃ」

岡部「まて紅莉栖。サンプルは4個だ」

紅莉栖「……どういう事?」

岡部「まゆりとルカ子は除いてやれ」

まゆり「オカリン……」

ルカ子「岡部さん……」

紅莉栖「……理由は?」

岡部「なに、弟子と人質の不始末は俺がすべき事だからな」

まゆり・ルカ子「「ふぇ?」」

紅莉栖「なるほど」

紅莉栖「さあ、覚悟は出来ているでしょうね」

フェイリス「ま、待つニャン!フェイリスはクーニャンと凶真の為を思って」

紅莉栖「その割には岡部の膝の上に座って楽しんでたわよね」

フェイリス「うニャ、それは……」

ダル「オワタ……」

由季「オワタね…」

萌郁「……詰み」

岡部「安心しろ。まゆり、ルカ子痛くないからな?ちょっと躾るだけだ」

まゆり「お、オカリン、笑顔が怖いのです」

ルカ子「きょ、凶真さん……」

岡部「鳳凰院凶真」
紅莉栖「鳳凰院紅莉栖」

岡部・紅莉栖「「目標を駆逐する!」」

岡部「なあ、紅莉栖」

紅莉栖「なに?岡部」

岡部「これからは二人きりの時以外でもイチャイチャした方がいいと思わないか?」

紅莉栖「奇遇ね。私も今同じ事を考えてたわ」

岡部「やり方をどうあれ、あいつらは俺たちの関係を一応は心配して今回の事が起きたのだ」

紅莉栖「そうね、だからまゆり達を安心させるよう、普段から心掛けないと、ね、倫太郎……」

岡部「そうだな紅莉栖。奴らに見せ付けてやろうではないか。俺たちの仲を」

岡部・紅莉栖「「フゥーハハハ!」」

おわり

書き溜ないから遅くてごめんね

読んでくれた人、ありがとニャンニャン

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