占い婆「お主が勇者との結果が出た」(57)

勇者「はぁ………」

占い婆「勇者よ、お前は旅に出なければならぬ」

勇者「え、なんで?」

占い婆「…魔王を倒すためじゃ」

勇者「倒さなくても良くない?」

占い婆「話を聞いておったか!?」

勇者「聞いてた聞いてた。魔王がうまれたから勇者になって、旅立てってことね」

占い婆「ざっくりしすぎじゃ…」

勇者「でもオレは旅立ちたくない」

占い婆「なぜじゃ!?勇者が不満か?」

勇者「とりあえず今はこたつから出たくない」ヌクヌク

占い婆「気持ちはわかるがの」ヌクヌク

勇者「ミカン食べる?」

占い婆「いただこうかのう」

勇者「皮は残しといてね。干して風呂に浮かべる」

占い婆「洗濯ネットに入れて浮かべると掃除が楽じゃぞ」

勇者「知恵袋」

占い婆「婆だからの」

勇者「ところでさ、 魔王の目的はなんなの」

占い婆「そりゃやっぱり世界征服じゃろ」

勇者「そっかー」

占い婆「お主あまり興味なさげじゃのう。あ、白い筋に栄養があるというに」

勇者「興味ないことはないよ。筋は歯に挟まるのがいやだ」

占い婆「まあよい、明日までに支度しておくようにの」

勇者「帰るの?」

占い婆「やくそうの調合があるのじゃ。また明日くるからの」

勇者「ばいばーい」

コンコン
占い婆「いるかの」

勇者「どぞー」

占い婆「準備はできたかの」

勇者「してない」

占い婆「なぜじゃ!?」

勇者「行きたくない。あと旅の準備ってなにしたらいいの」

占い婆「必要なものを鞄につめりゃいいだけじゃろ」

勇者「必要なものって?どこにいくかもわからないのに」

占い婆「とりあえず隣の町に出向くのじゃ」

勇者「隣町にはさっき行ったよ」

占い婆「おお!」

勇者「生姜きらしてて買ってきた」

占い婆「おお…」

勇者「生姜焼き食べる?」

占い婆「いただこうかの」

勇者「んじゃお茶飲んで待ってて。煎茶とほうじ茶どっちが好き?」

占い婆「玉露は?」

勇者「ないよ。高いもん」

占い婆「ではほうじ茶かの」

勇者「かしこまりー」

勇者「お待たせ。大根糠漬けとかきたま汁もあるよ」

占い婆「生姜焼きはバラ肉なんじゃの」

勇者「つねに冷凍庫にはいってるからね」

占い婆「なるほどの。いただきます」

勇者「アクセントにラー油を絡めた白髪ネギ乗せたんだけどどう?」

占い婆「うまいの」モグモグ

勇者「よかった。食後はコーヒーゼリーとアフォガードどっちがいい?」

占い婆「甘いものよりまた茶が飲みたいのう」

ーーー
勇者「お茶あちっ!…魔王はさー、世界征服してどうすんだろ」フーフー

占い婆「?」ズズッ

勇者「統治って大変じゃない?それを世界規模でやるんだよ。オレなら絶対に嫌だね」

占い婆「…わしもじゃ」

勇者「人間は一国統治でいっぱいいっぱいなのに」

占い婆「そういえば明日は王に呼び出されておった」

勇者「寒いのにお疲れ様です」

占い婆「ま、魔王か勇者のことじゃろうて」

勇者「あー…」

占い婆「では帰るが明日こそは準備しておくのじゃぞ」

勇者「ばいばーい」

コンコン
占い婆「いるかの」

勇者「どぞー、て誰その子」

魔法使い「魔法使いです!」

勇者「へえ、婆の弟子?」

占い婆「いんや、王から預かっての。勇者パーティーのメンバーとのことじゃ」

勇者「へー」

魔法使い「よろしくお願いします!勇者様!」

勇者「あ、勇者ってオレか」

占い婆「何を今さら。旅の準備は終わったかの」

勇者「してない」

占い婆「やはりの…」

勇者「行きたくないし冷蔵庫パンパンなんだよね。旅なんかしたら腐っちゃう。まああがって」

魔法使い「お邪魔します!」

勇者「3人分か…待ってて」

魔法使い「ここが勇者様の家…綺麗ですね」

占い婆「男の独り暮らしにしてはの」

勇者「ハヤシライスなら出来そうだ!食べる?」

占い婆「いただこうかの」

勇者「かしこまりー」

魔法使い「わ、私も手伝います!」

勇者「じゃあ婆にお茶入れて相手したげて」

魔法使い「わかりました!」

占い婆「体よく台所からブロックされたのう」

勇者「お待たせ。コールスローと残り野菜のコンソメスープもあよ」

占い婆「いただきます」

魔法使い「美味しそう!いただきます!」

勇者「肉は脂の多目な切り落としをつかったから玉ねぎを多めにしたんだ。どう?」

魔法使い「美味しいです!」モグモグ

占い婆「コールスローもしんなりしてるのにシャキッと感があっていいの」モグシャキ

勇者「よかった。時間差でキャベツ入れてるんだ。食後に甘いものは?」

魔法使い「お願いします!」

占い婆「わしはお茶がええのう」

ーーー
勇者「魔王ってさー、最近うまれたんだよね」フーフー

魔法使い「そう聞いています」パクパク

勇者「ならまだ子供なんじゃないの?子供相手に大人が数人で殺しにかかるの嫌なんだけど」

占い婆「大人になってからじゃ倒せないのじゃろ」ズズッ

勇者「セコいな。コーヒーゼリーおかわりあるよ」

魔法使い「いただきます!そう言われると気が引けますね…」

占い婆「ま、仕方がないじゃろうて。そろそろ帰るが明日こそは必ず準備しておくのじゃぞ!」

勇者「ばいばーい」

魔法使い「気を付けて帰ってくださいね!」

勇者「………え?」

一度中断

コンコン
占い婆「いるかの」

勇者「どぞーあがって…」

魔法使い「婆様…」

占い婆「ふたりともやつれておるな」

勇者「この子、置いていくなら言ってよ…こたつで寝たから腰がいたい…」

魔法使い「そう言って荷造りしてくれないんです!」

占い婆「支度またしとらんのか…」

勇者「行きたくない。腰いたい」

魔法使い「勇者様やくそうすら持ってないんです!」

占い婆「なんじゃと!?」

勇者「今日は簡単なものでいいよね………」ヨロヨロ

占い婆「よいぞ」

魔法使い「私が作りますよ?」

勇者「お茶、お願いね」

魔法使い「はいっ!」

占い婆「して、勇者はどうじゃ?」

魔法使い「いい人です。ベッドを譲ってくれましたし。ただ、頑として台所には入れたくないみたいですけど。朝食も皿洗いも拒否されました」

占い婆「自分の城なんじゃろ」

勇者「お待たせ。つくねハンバーグの卵黄のせと金平レンコン、白菜のお味噌汁だよ」

魔法使い「簡単なもの……?」

勇者「冷凍しておいたやつと常備菜だから」

占い婆「節約じゃの。いただきます」

魔法使い「いただきます!」

勇者「冷凍庫の掃除になってたすかるよ」

魔法使い「ん?お味噌汁、変わった風味がしませんか」

勇者「あ、わかる?ニンニク下ろしたのがちょっと入ってるんだ。寒いし生卵食べるからね」

占い婆「考えておるな」

勇者「食後はお茶でいい?」

魔法使い「もちろんです!」

勇者「かしこまりー」

ーーー
占い婆「魔王のことじゃがな」ズズッ

魔法使い「なにか悪事を!?」ズズッ

占い婆「いや、まだそれはない。ただ、見た目は成人しているようじゃ」

勇者「うまれたてなのに?」フーフー

占い婆「最初の半月で成人の肉体に育つらしい。歴史図書館で調べてきたわい」

魔法使い「ありがとうございます!勇者様、少し気が楽になりましたね!」

勇者「まぁね」

占い婆「では帰るかの。明日こそは必ず絶対に準備おくのじゃぞ!」

勇者・魔法使い「「ばいばーい」」

魔法使い「…今日は私がこたつで寝ますから!」

コンコン
占い婆「いるかの」

勇者「…どぞーあがって」

占い婆「なんじゃこれは」

勇者「……旅立ちの掃除しようと魔法使いが提案して、漫画の整頓時にこんなことに」

魔法使い「………」ヨミヨミ

占い婆「そんな気はしてたんじゃ…」

魔法使い「………」ヨミヨミ

占い「ちらかしっぱなしで………む。これはキャンディキャンディ!今や絶版の名作じゃの」

勇者「今日は煮魚なんで時間かかるからよかったら読んでて。ただ、キャンディキャンディはきれいに扱ってね」

占い婆「よいのか?テリー殿にまた会えるとは心踊るわい」

勇者「お待たせ。鯖味噌煮と小松菜ゴマよごし、けんちん汁だよ」

魔法使い「はあ……流川様……いただきます!」

占い婆「はあ……テリー殿……いただきます」

勇者「オレのおすすめはY氏の隣人だなー」

魔法使い「あとで読みます!あれ、婆様いつの間に?」

占い婆「さっきからいたわい。このほうれん草美味しいのう」

勇者「ちぢみほうれん草だからね。食後にアイスあるよ。婆はお茶だね」

魔法使い「やった!お願いします!」

勇者「かしこまりー」

ーーー
勇者「魔王は普段は何してるんだろう」フーフー

魔法使い「レベルあげですかね?」パクパク

占い婆「対勇者訓練かの」ズズッ

勇者「やだなー」

魔法使い「私も頑張って強くなります!」

勇者「今レベルいくつ?」

魔法使い「1です!メラが放てます!」

占い婆「……先は長いの。明日こそは必ず絶対に確実に準備しておくのじゃぞ!あとぼく地球返しにくるからの」

勇者・魔法使い「「ばいばーい」」

勇者「一晩で読むのかな………」

コンコン
占い婆「いるかの」

シーン…
占い婆「………」

バンバン!
占い婆「いるかのぉ!?」

シーン…
占い婆「………おらんの」

勇者「婆!待ってて!今開ける」

ビックウ
占い婆「背後に立つでない!」

魔法使い「ごめんなさい!今帰ってきたとこなんです!」

勇者「どぞー」

占い婆「既に旅立ったかと思ったぞ。ホレぼく地球じゃ。ありがとうな」

勇者「ちょっとフィールドでレベル上げしてました」

占い婆「やっとやる気になったのか!」

魔法使い「違うんです………」

勇者「オレはレベル67だから困ってないんだけど魔法使いがなー。買い物で即死は困るよ」

占い婆「待て」

勇者「ん」

占い婆「レベル67…?」

魔法使い「勇者様、半端なく強いです……回復魔法もすべて取得してますし、私、わたし…足手まといですー!!」ウワーン

勇者「なっ泣かないでよ!婆あと頼む!オレ飯作ってくる!」

占い婆「女が泣いて逃げるとは…!軟弱ものめ!」

魔法使い「でも魔法はパルプンテまで使えました…」

勇者「お待たせ。…泣き止んだ?」

魔法使い「……はい」

勇者「今日は魔法使いのレベル上がったからお祝いにワンホネとティバンシャの煮物にしたよ。あと海苔のお吸い物と蕪の糠漬け」

占い婆「いただきます」

魔法使い「いただきます」

占い婆「レベル67にはいつなったのじゃ?」

勇者「半年くらい前かなぁ……」

魔法使い「私、やっとレベル4です…」

勇者「オレの場合、金稼ぎの結果だから気にしないで」

占い婆「勇者は親が早くに亡くなったからの」

勇者「まあね。肉はどう?柔らかくなってる?」

魔法使い「はい。ホロホロです」

勇者「よかった。やっぱり圧力鍋はいい買い物だったなー」

占い婆「酒のつまみにもよさそうじゃな」

勇者「じゃあ今日はお酒も出すよ。おかず残しておいて」

占い婆「うれしいのう。キツいやつを頼む」

勇者「かしこまりー」

ーーー
魔法使い「魔王はこの街に攻め入りませんかね…」ヘベレケ

占い婆「さあのう………今のところ魔王城に近い町も変わり無いようじゃ」ヘベレケ

勇者「実はさー、この辺りの魔物も知能の高い強いのは人間見ると逃げるんだよね………」ヘベレケ

魔法使い「スライムばっかでしたもんねえ……」

占い婆「不思議じゃのう……」

魔法使い「……zzz」

勇者「……zzz」

占い婆「……zzz」

今日はここまで。

コメントありがとう!

コンコン
「たのもー」

コンコン
「ゆーしゃー」

占い婆「うう…二日酔いというに。こんな朝っぱらから何奴じゃ」

「おっはよん!お前が勇者?なんだ、厳つい男のイメージだったぜー!よろしくなーババア勇者!」

占い婆「ババアではなく婆じゃ!」

勇者「婆だれー?」

魔法使い「お客様ですか?」

「ありゃ!ババア、かわいこちゃん、男…どれが勇者?」

勇者「オレですけど」

魔王「だっよねー!オレっち魔王っよろー」

魔法使い「え?」

占い婆「うん?」

勇者「……まあ、朝も早くて近所迷惑なんでよかったらあがって」

魔王「動じないね!動じないねぇ!おっじゃまっしまーす」

魔法使い「勇者様!そいつから離れてください!」

占い婆「あやつ確かに人間ではないが、魔王との確信が持てぬ…」

占い婆「なんにしても不信な魔物ですよ!」

魔王「めちゃ警戒されてるー!さすがオレっち!」ゲラゲラ

勇者「………本物だよ」

占い婆「なぜ言い切れるのじゃ」

勇者「わかるんだよ。なんとなく」

魔法使い「先にいきますっメラ!」テロリロリリ

▽魔法使いの攻撃!
▽魔王のバリアに弾かれた!

魔法使い「なっ…!」

▽勇者の家の壁に8のダメージ!

魔法使い「」

勇者「」

占い婆「」

魔王「壁が!も え た!」ゲラゲラ

勇者「…室内で魔法は止めてね」

魔法使い「はい…」

占い婆「本棚と台所じゃなかったのが救いじゃの」

魔王「おっ!寄生獣あんじゃーん!読んでいい?城に三巻までしかなくて気になってたんよ!」

勇者「ちょっと待ってて。一旦、整理しよう」

魔王「そーだ、これ手土産ー。喜久福とどら茶んの詰め合わせと玉露なー!」

勇者「あ、わざわざどうも」

占い婆「お茶にせんか。玉露が飲みたいの」

魔法使い「毒かもしれません!!」

勇者「大丈夫だよ。そんなセコいことしなくても魔王は強いし、オレはキアリク使えるからね」

魔王「まなー!勇者もなかなか強いなー」

ーーー
勇者「ふー」ズズッ

占い婆「うまいの」ズズッ

魔法使い「これ美味しいです!」パクパク

魔王「だろだろー?雪見だいふくとかギュウヒ好きなやつはハマんだよね!」

勇者「魔王はなにしに来たの?」

魔王「勇者見たら憎しみがわくかなーって」

勇者「憎しみ?」

魔王「オレっち魔王じゃん?でも別に世界征服したくないしー今のままがいいんよねーただ使命だからさぁ」

占い婆「斬新じゃの」

魔王「つーか理由がないんよ。親が人間に殺されたとかありゃいいんだけど、バリバリ健在だしさー」

勇者「わかる。オレも魔王倒す理由がないんだよね」

魔王「なー?だから勇者でも見たら突如覚醒すんのかなーって」

勇者「覚醒した?」

魔王「してたら茶してないっしょ」ゲラゲラ

魔法使い「つかぬこと聞いていいですか?」

魔王「なになになになに?可愛いねキミ」

魔法使い「親はそれでいいって言ってましたか?魔王の親なら大魔王ですよね?」

魔王「いや、オレっちの親はダンスニードルのみちひこだけど?」

勇者「ダンスニードル?魔王は若いチャラいお兄ちゃんって感じの見た目だけど」

魔王「あー、魔王はね。魔王の木になるから。んで採取した者の考えや性格が反映されんの。オレっちの場合は酔っぱらったダンスニードルベース」

占い婆「納得じゃの」

魔王「よくオヤジに似てるっていわれるぜーい」

魔法使い「はあ」

勇者「オレも質問していい?」

魔王「いーよいーよ」

勇者「ここ数ヵ月モンスターの様子が静かなのは魔王のおかげ?」

魔法使い「そうなんですか?」

勇者「以前より米や麦が安定して安いんだよね。運ぶのに危険が少なくなったからみたいなんだ」

占い婆「そういえばそうじゃの」

魔王「あー。そうかも。知能の高いモンスターは人間との争いで数が減んのいやがるんよ。ドラゴン系なんか数が少ないのに繁殖難しいから特にさー」

占い婆「ほう」

魔王「だったら人里に寄んなきゃよくね?って前に言ったわ。ただ、スライムなんかは分裂して無限に増えっから聞きやしないけどな」

魔法使い「意外です」

魔王「あいつらちまちま動くから常に腹ペコで荷物ねらってっしなー…ってか、こんな時間だ!まったりしすぎた!」

勇者「帰るの?お昼だそうかと思ってたのに」

魔王「いや、野暮用よん。ー勇者にあって決心したわ」

勇者「?」

占い「わしも家事があるから、おいとまするかの。泊まって悪かったの」

勇者・魔法使い「「ばいばーい」」

魔法使い「…なんだったんでしょう」

コンコン
占い婆「いるかの」

魔法使い「どうぞ」

占い婆「はて、勇者は」

魔法使い「出掛けています。ちょっと遅くなるそうです」

占い婆「珍しいの」

魔法使い「………婆様、私はここにいていいのでしょうか」

占い婆「…そのことでの。話があってきたのじゃ」

魔法使い「話?」

占い婆「勇者が帰ってきてから話すの」

魔法使い「……お茶、飲みます?」

占い婆「いただこうかの」

勇者「ただいまー」

魔法使い「おかえりなさい!勇者様!」

占い婆「邪魔しとるよ」

勇者「やっぱ婆も来てたね。よかった。遅くなったから牛丼買ってきた。婆の分もあるよ」

魔法使い「私はじめて食べます!」

勇者「そうなの?」

魔法使い「一人じゃ買いにくいんですよ」

占い婆「玉子も欲しいの」

勇者「かしこまりー」

勇者「玉子と紅しょうがは必須だよね。味噌汁はお麩のを作ったよ」

占い婆「いただきます」

魔法使い「いただきます!」

占い婆「む。頭の大盛つゆぬきか」モグモグ

勇者「玉子かけるならつゆぬきがベスト」

魔法使い「頭の大盛って?」モグモグ

勇者「ご飯は並、肉盛りは大盛なんだよ」

魔法使い「?」

勇者「250グラムのご飯と110グラムの肉ってこと。食後は喜久福が残ってたけどいる?」

占い婆「わしもいただこうか」

勇者「婆も?めずらしいね。お茶も出すよ」

ーーー
占い婆「魔王がの、王たちに平和協定を申し込んだ」モグ

魔法使い「!」

占い婆「疑う王も多いがドラゴン系が始めに魔界に移住をするそうじゃ。それがすめば一気に話が進むであろう」

勇者「昨日の話を聞くとそれがいいだろうね」ズズ

占い婆「ただ、スライムなどの残党は残るそうじゃがの」

勇者「それは多分なんとかなるよ」

魔法使い「何でですか?」

勇者「これ」

魔法使い「魔物のえさ?」

勇者「魔王の話を聞いて今日試してきた。スライムやキメラくらいならこれで手懐けられる」

占い婆「なんと!」

勇者「ある程度の知恵があって常に腹ペコって聞いて思い付いたんだ。定期的に大量に与えればさらに効果はあがると思う」

魔法使い「魔物をなつかせるなんて考えたことなかったです!」

勇者「いつかスライムがペットになるかもね」

占い婆「これで問題はだいたい解決じゃの。勇者よ。お主は旅に出なくても良さそうじゃ」

勇者「やった!」

魔法使い「……良かったですね!私も心置きなく婆様の弟子になれます!だからこれからは婆様の家にすみますね!」

勇者「え?」

魔法使い「勇者様!今までお世話になりました!じゃあ婆様いきましょう!いきましょう!」グイグイ

占い婆「お、お、おすでないっ」

魔法使い「新しいおうちへいきましょー!!」

占い婆「で、ではな」

勇者「………また、一人ぼっち」

とりあえずここまで。あと少し

ーーー3日後

コンコ
勇者「!魔法使い!?」

魔王「うわっ!なんだよーオレっちだけど!?」

勇者「あ…魔王か…」

魔王「傷付くわーあからさまで傷付くわー」

勇者「どぞー…」

魔王「おっじゃまー」

魔王「あーおこたあったけー」ヌクヌク

勇者「ミカンいる?」

魔王「いるいるー!なー平和協定のお話聞いたー?」

勇者「聞いたよ。思いきったことしたね」

魔王「まーな!んでさ、協定の人間側の代表と移住完了の証人を勇者にお願いしたくてきたんだよん」

勇者「王様に頼みなよ。魔界までいくの嫌だし」

魔王「人間の王は数が多くて揉めそうじゃん?勇者なら一人だからさー」

勇者「あー…でもオレって本当に勇者でいいの?魔王討伐以前に旅すら出てないんだけど」

魔王「勇者だろーな。会ったらびびっと来たわ!」

勇者「そうなんだよね…困ったことに魔王と会ったら自覚しちゃったんだよなあ」

魔王「オレっちもだわー不思議なもんだよねい。ま、一ヶ月位先だから考えといてー」

勇者「わかった。そうだ、夕飯食べてかない?」

魔王「いいん?ラッキー!」

勇者「うん。一人だとなんか寂しくて」

魔王「あん?ババアとかわいこちゃんは?家族じゃねーの?」

勇者「……ちがうよ。漫画でもよんで待ってて」

魔王「りょーかいっ!オレっち苦手な食いもんねえからな」

勇者「かしこまりー」

勇者「キノコの炊き込みご飯と、秋刀魚の塩焼き。山芋千六本と大根の葉っぱのお味噌汁もあるよ」

魔王「やり!炊き込みご飯すきだ!いただきます!」

勇者「どう?」

魔王「うまい!山芋っておろす意外でもうまいんだな」シャキシャキ

勇者「よかった。今日は鰹節と梅肉のせたけど、わさび醤油でも美味しいよ」

魔王「あー、そっちもいいな。刻みのりまぶしたり?」

勇者「その発想いただきー」

ーーー
魔王「魔法使いってあのかわいこちゃんだよなー?」ズズッ

勇者「そうだよ」 ズズッ

魔王「一緒に暮らしてるんだと思ってたぜい」

勇者「そうだったんだけどね」

魔王「なになに?別れたん?」

勇者「いや、付き合ってないよ」

魔王「……ただれた関係……」

勇者「違う!パーティー仲間だったの!旅してないけど!」

魔王「なるなる。んじゃパーティー解消で家に帰ったのか」

勇者「占い婆の住み込み弟子になったみたい」

魔王「へー?帰らないんだ?つかあの子ってなんでパーティー加入してたん?強いとか?」

勇者「いや、強くないよ。王様の推薦」

魔王「ふーん…で、ヤッたの?」

勇者「………ただれてるのは魔王だった」

魔王「なんだよ!ヘタレ?不能?」

勇者「違うけど」

魔王「ムラッとくんだろー?あんだけ可愛いんだし」

勇者「こないわけじゃないけどさ」

魔王「襲っちゃえば良かったじゃんかーオヤジが女を落とすなら押しの一手っつってたぞー」

勇者「…押して嫌われたら立ち直れない」

魔王「ほおぉ?へー?」

勇者「ムカツク顔だなー」

魔王「若者はいーねー」ゲラゲラ

勇者「…魔王っていくつだっけ」

魔王「生後八ヶ月」

勇者「見た目は若者、中身はオッサンのアカンボ」

魔王「うっせ!じゃあ帰るけどー、20日後にまたくんよ!協定の返事きくからなー」

勇者「わかった。期待はしないでね」

魔王「あー、あとオレっちならな?」

勇者「ん?」

魔王「かわいこちゃん迎えにいくわー。あのでかい土鍋、折角買ったのにもったいねーかんな」

勇者「めざといね」

魔王「ま、理由はなんでもよくね?じゃなー」

勇者「ばいばーい」

勇者「………」

コン…コンコン
勇者「…こんにちはー」

占い婆「はいの。おお勇者!久しぶりじゃの!」

勇者「うん」

占い婆「あがるがよい。茶を出そうかの」

勇者「これ、手作りで悪いけどお土産。安納いものスイートポテト」

占い婆「ほっほ、悪いの」

勇者「お邪魔します」

占い婆「今日は何用じゃ?」

勇者「うん…魔法使いは?」

占い婆「隣町まで使いに行ってるでの」

勇者「そっか」

「………」

占い婆「…あの子はのう」

勇者「魔法使い?」

占い婆「そうじゃ。産まれながらの孤児での」

勇者「……知らなかった」

占い婆「魔力は高くて魔法使いになったはいいが、臆病者での」

勇者「うん」

占い婆「旅に出る気はあっても一人旅や身元不明の旅人に預けるのも不安じゃろ?」

勇者「…そうだね」

占い婆「見た目はわしの若い頃に瓜二つじゃな。あの頃はあちこちの王子から求婚されて大変じゃったわい。特にサントハイムの王子は」

勇者「悪いけど魔法使いの話に戻って」

占い婆「ちっ」

勇者「今度ゆっくりきくよ」

占い婆「約束じゃぞ!えー…と、そうじゃ。施設のマザーが許可しなくての。占いのおふれが出て王に直談判しにいったそうじゃ」

勇者「勇者のおふれ早かったもんなー」

占い婆「お主より先に王に報告したからの」

勇者「そうなんだ。直談判ってなんの?」

占い婆「自薦の交渉じゃ。身元は確実、勇者も美人との旅ならやる気になるだろうと王も判断しての」

勇者「だからうちに来たのかあ」

占い婆「……家族が出来たようだったと言っておったぞ」

勇者「婆を?」

占い婆「アホ垂れ!お主じゃ!」

勇者「……あのさ、」

占い婆「わしの許可はいらんだろうに。…そろそろ帰ってくるぞい」

ーーー19日後

コンコン
魔王「きたぞー」

勇者「どぞーあがってきてー」

魔王「おじゃまっぷ」

占い婆「魔王、久しぶりじゃの」

魔王「おーババア生きてたか」ゲラゲラ

占い婆「婆じゃ!」

勇者「鍋の準備もうすぐだから座ってて」

魔王「鍋か!オレっちも食っていいの?」

勇者「もちろん。魔法使いー!あくとり取って!食器棚の上の引き出しの右側ー」

魔法使い「届きませんー!」

勇者「あっそっか!じゃあ取りに行くから野菜運んでって」

魔王「…なんだかいーかんじ?」

占い婆「じゃの」

おわり

ありがとうございましたー

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