ベルトルト「ある雪の日の君」(68)

進撃の巨人のSS ベルアニです

少し長いですが完成してるのでサクサク貼っていきます。

進撃の巨人とよく似た世界ですが何処か違うのでご容赦ください。

それと、コメントくださると喜びます。

では

夜 男子風呂場の入口付近

ライナー「どうした、ベルトルト?そんなところにいたら、せっかく温まったのに冷えちまうぞ」

ベルトルト「うん、なんでもないよ。悪いけど先に行っててくれるかな?ちょっと用事があって・・・」

ライナー「そうか?じゃああまり遅くならないようにな。就寝点呼でいなかったら室長の俺が怒られるんだからな」

エレン「おお、ライナー風呂上がりか?丁度よかった。昨日のチェスの続きしようぜ」グイグイ

ライナー「ははっ、いいぞ、またこてんぱんにしてやる」

エレン「今日こそ勝ってやる。アルミンに特訓してもらったからな…」

アルミン「うん、エレンはある程度強くなったからね」

エレン「ある程度って、何だよ。ライナーに勝って、そのうちアルミンにも勝つからな!!」

アルミン「はは、じゃあその時を楽しみに待ってるよ。そうだ、エレンがライナーの相手している間ベルトルトに僕の相手してもらおうかな?ベルトルトも強そうだし・・・」

ベルトルト「・・・いや、僕は全くできないよ。代わりと言ってはなんだけどマルコが強いって言ってたかな?ジャンがボロ負けしたって」

アルミン「そうなの?・・・じゃあ、マルコを誘ってみるかな。ありがとうベルトルト」スタスタ

エレン「じゃあ、ライナー行こうぜ」スタスタ

ライナー「じゃあ、先に戻るからな、くれぐれも遅れないようにな」スタスタ

ベルトルト「分かってるよ、点呼までには戻る」

ベルトルト「・・・・・・」

ベルトルト「(やっと行ったか・・・訓練兵団に入団して約一年、僕達三人は上手く壁内に溶け込む事ができた。)」

ベルトルト「(だけど・・・何かと頼られるライナーはみんなの兄貴分になってしまった。あれだけ壁内の人間とは必要以上の関係を持たないようにと話し合ったのに・・・)」

ベルトルト「(彼といると、さっきみたいに僕まで余計な関係を持つようになってしまう・・・)」

ベルトルト「(もし・・・彼が戦士としての役割を忘れるような事があったら・・・・・・いや、さすがにそれは無いな・・・)」


ベルトルト「うん、考えすぎだな・・・」

ベルトルト「(でも・・・そうなればアニと僕の二人きり?・・・)」

アニ「もう、あんたと私の二人だけでやるしかないね・・・あんたは私を見捨てないでよ」ウワメヅカイ

ベルトルト「・・・///」カアァ

ベルトルト「なっ、何を考えてるんだ、僕はっ」ブンブン

ベルトルト「(大体、ライナーがいなくなる前提ってなんなんだよ・・・アニだって好きだなんて言ってないし・・・)」ブンブン

ヒュオォ

ベルトルト「寒っ・・・(もう冬だしなぁ、そ、そうだ図書室に寄って少し落ち着いてから戻ろう・・・)」テクテク

同時刻 女子寮に向かう通路

アニ「(今日は退屈な座学ばっかりでつまらなかった・・・)」スタスタ

アニ「(・・・!・・・あれはベルトルト?・・・何やってんだい、あんなところで・・・)」

ベルトルト「-------------------」カアァ ブンブン ブンブン

アニ「(・・・放っておこう・・・)」スタスタ

アニ「・・・またっく、風邪引くよ・・・馬鹿・・・」ボソ スタスタ

あぁ、いつかは彼の様になってしまうのだろうか?

使命なんか忘れて心から打ち解けられるような

そんな世界を望んでる

でも、そんなものは存在しないんだ

僕らはもう戻れない

僕ら?そういえば彼女はどうなんだろう?

彼女はいつも一人だから

ここに来てから彼女が笑うところ見てない

そうだ、僕らは笑う事を許されてないんだ・・・

翌朝 食堂

アルミン「・・・・・・」パクパク

エレン「・・・なぁ、アルミン?」ビクビク

アルミン「・・・・・」プイッ ゴクゴク

ベルトルト「(なんだこれ・・・?)」

ベルトルト「(これ、僕が聞かなきゃいけないよなー、というかなんでライナーの頭は濡れてんだよ・・・)」

ライナー「・・・・・・」グッショリ

ベルトルト『なんかあったの?エレン?』コソコソ

エレン『実は、朝コニーが部屋に来て今朝の大雪で訓練が無くなったって騒いだんだよ』コソコソ

ベルトルト『それが、どうしてアルミンがキレてんだよ?それにライナーは濡れてるし』チラ

ライナー「・・・・・」ポタポタ

エレン『あぁ、それはコニーと俺で雪をぶっ掛けたからだ・・・』

エレン『いや、コニーが本当に訓練が無いのか聞きたいって言って、ライナーを起こそうとしたんだけど、中々起きないからさ』テヘペロ

ベルトルト『いや、寝てたライナーが訓練のこと知るはずないだろ。コニーも君も・・・』

エレン『それは・・・まぁノリで?』

ベルトルト「(これ、絶対わかってなかったよ・・・エレンも案外バカだからなぁ)」

ベルトルト「(とりあえず・・・)ライナー、君はストーブの所行ってきなよ」

ライナー「・・・・・・」ブルブル ガタッ スタスタ

ベルトルト『で、アルミンはなんでキレてんの?』

エレン『いや、コニーと二人で雪の塊をライナーに落としたら飛び起きて、雪の塊がアルミンに・・・』

ベルトルト『はぁ・・・それで?』

エレン『おう、アルミンがすぐに起きたのはいいんだけどよ、アルミンが大事にしてた本まで濡れちゃって、読めなくなっちゃった』テヘペロ

ベルトルト『いや、そのキャラいいから・・・でも、なんでたかが本一冊の為にそこまで?』

エレン『それがよぉ、何か死んだおじいさんが残してくれえた本みたいで・・・』

ベルトルト『駄目じゃないか、そんなの・・・謝るしかないよ』

エレン『だよな・・・うん、そうする』

エレン「あっ、あの、あr

アルミン「悪いけど・・・今は話したくない」ギロッ ガタッ スタスタ

エレン「」

ベルトルト「(怖っ、アルミンが怒るの初めて見た・・・)」

ベルトルト「(ていうか、このエレンどうすればいいんだよ・・・)」チラッ

エレン「・・・・・・」グス ナミダメ

ミカサ「おはようエレ・・・ン!?」

ミカサ「どうしたのエレン?泣いているの?」

エレン「っ泣いてなんかないっ」ゴシゴシ

ベルトルト「(またまた、そんなにわかりやすく誤魔化さなくても・・・)」チラ

ミカサ「そう・・・エレンをいじめる奴は私が削ぐからっ」ギロッ

ベルトルト「(はは、ミカサ怒ってるよ・・・って僕!?」

ミカサ「そう、ここには貴方とエレンしかいない・・・ねぇ、ベルトルト・・・・・・喋れなくなる前に、何か言うことは・・・?」ジャキン

ベルトルト「っっ待ってっ、ミカサっ、お願いだからナイフをしまって!!」

ミカサ「私が尊重する命には限りがある・・・そして・・・その相手は決まっている。今は心の余裕がない、ので、覚悟して」ジャキ

ベルトルト「まままま待って、心の余裕はないかもしれないけど時間はあるから!!」

ミカサ「・・・問答無用・・・」

ベルトルト「うわぁああ、誰かっ、守ってくれ!!」

ガシィ!!

ミカサ「チッ・・・ライナー・・・貴方も邪魔をするの?」

ライナー「まぁ、落ち着け。エレンが泣いてるのはこいつのせいじゃない、エレンに聞いてみろ」

ミカサ「・・・・・・わかった」

---------------------------------------------------------------------------説明中---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
ミカサ「分かった。今回はエレンが悪い。ベルトルト・・・悪かった」

ベルトルト「えっ、いや大丈夫だよ(正直、故郷が見えた・・・)」

ベルトルト「というか、ライナーはいつ戻って来たの?」

ライナー「今さっきだ、いい加減乾いたからな」

エレン「えと・・・その、ごめん」

ライナー「いいって事よ、俺はミカサとアニに理不尽な事で鍛えられてるからな」ドヤァ

ミカサ「・・・・・・」テレテレ

ベルトルト「(いや、そこ誇るとこじゃないし、ミカサに至ってはなんで照れてるんだよ)」

ベルトルト「(まぁいいや、これ以上関わらないでおこう・・・)」パクパク

ライナー「で、エレンはどうするつもりなんだ?アルミンをあんなに怒らせて」

エレン「・・・正直どうすれば良いかわからない。アルミンが、あそこまで怒ったのは初めてだし・・・」

ミカサ「うん、私も初めて見た。でも、エレンとコニーが悪いんだから謝るしかないんじゃない?」

ライナー「いや、それだけじゃダメだろう。さっきそれをやろうとしたら【話したくない】って言ってたし・・・」

ベルトルト「(また君は・・・なんでもかんでも口を突っ込む・・・)」モグモグ

ライナー「・・・!・・じゃあ、その本を買い戻すってのはどうだ?街に出ればそれなりに・・・」

エレン「いや、その本なんだけど外の世界について書かれた本で・・・普通には手に入らない・・・」

ベルトルト「(まったく・・・よりにもよってそんなものを・・・)」ゴクゴク

ライナー「そうか・・・うん!?、そういえばベルトルト、お前本好きだったよな!?」ガタッ

ベルトルト「(また、僕を巻き込む・・・)いや、好きだけど・・・詳しくないよ全然」

ライナー「でもお前、この前珍しい本を地下街で手に入れたって言ってなかったか?」クビカシゲ

ベルトルト「(うわー、嫌なこと思い出したなぁ~。というか、君に首傾げられても困るんだけど・・・)」

エレン「何っ、本当かそれ、頼むよベルトルト!!助けてくれ」アタマサゲッ

ミカサ「私からもお願いしよう」アタマサゲッ

ライナー「ダメか?」ウワメヅカイ

ベルトルト「(てか、なんでさっきからライナーは仕草が乙女なんだよっ!!)」

ベルトルト「(これ、もう断れない雰囲気だし・・・注目も集めてるよ・・・)」

オイッ ドウシタンダ アノ テーブル パァン アマッテマスカネー ガヤガヤ ガヤガヤ

ベルトルト「・・・はぁ、わかったよ、できる限りのことはしてみるからね・・・」

エレン「本当に?ありがとうベルトルト」パアァ

ライナー「よかったな、エレン。室長として部屋の空気が悪いのは困るからな」

ベルトルト「(まったく・・・君は壁内に馴染み過ぎてるよ・・・)」

ベルトルト「(はぁ・・・地下街って言ってもなー禁忌になってるものは中々無いしなー)」

ギイィ

キース「・・・」ギロッ

一同「!!」ビクッ

キース「本日は立体機動の訓練が予定されていたが、大雪のため中止とする」

ザワザワ ホラ オレノイッタトオリダッタダロ ウルセー テメーハ アサカラ サワイデタダケジャネエカ ザワザワ

キース「・・・まだ話は終わっとらん!!」

一同「・・・」シーン

キース「訓練は行われないが、その代わりとして施設の雪かき等をやってもらう。各班、班長は後で私のところに来るように」ギィ バタン

ザワザワ ナンデ レンラクダケニ アンナニ ハクリョク アルンダヨ ザワザワ

ベルトルト「(・・・これで今日の訓練はなしか、まぁ雪かきの間に本の入手法でも考えるか・・・)」モグモグ

ほぼ同時刻 食堂

ミーナ「ねぇねぇアニ?、南のトロスト区でこんなに雪が降るのって珍しいよねー」ウキウキ ワクワク

アニ「・・・そうだね」テクテク

ミーナ「(あれー、アニって雪苦手なのかなぁ?)ねぇ、なんか嫌な思い出でもあるのかなー?お姉さんに教えてごらーん」ダキッ

アニ「はぁ・・・あんたはいつから私のお姉さんになったんだよ」ウデハズシ

ミーナ「あぁ、寒いのにー」ウズウズ

アニ「またしがみついたら蹴っ飛ばすからね」

ミーナ「くぅっ、いきなり距離を詰めすぎたかぁ」

アニ「馬鹿なこと言ってないで、さっさと座るよ」ガタッ

ミーナ「うぅ、アニが冷たい・・・」ガタッ

ミーナ「で、なんでアニは雪が嫌いなの?」

アニ「・・・知らない」プイッ

ミーナ「(あぁ、これは何か隠してるなぁ~。でも、追求したら今度こそ蹴られそうだし、今回はやめとこ・・・)」

ミーナ「(今日も味の薄いスープと固いパンかぁ・・・あれ?アニ全然食べてない・・・どうしたんだろ?)」

アニ「・・・・・・」ジーッ

ミーナ「(何処か見てるの?・・・あれはベルトルト!?これは恋の予感っ)」キラキラ

アニ「どうしたのミーナ?一人でキラキラして、早く食べないと冷めちゃうよ?」

ミーナ「・・・っうん、食べてるからね(あれー、もう戻ってる!?これは長期的に観察する必要がありですな)」グヘヘヘ

アニ「(ミーナの様子がおかしい・・・一人で人の悪そうな笑みを浮かべてる・・・)」モグモグ

アニ「(それにしても、アイツもかわいそうだな・・・)」チラッ

ミーナ「(また見たっ)」ウキウキ

アニ「(なんか面倒事に巻き込まれてるんだろう。ミカサまでいるし・・・)」

エレン・ミカサ「------------」アタマサゲッ
ライナー「------------」ウワメヅカイ
ベルトルト「----------------------」

ギイィ
キース「----------------!!」
ザワザワ ザワザワ

アニ「(・・・はぁ、あとで話聞いてやるかね・・・アイツ一人で抱え込むし・・・)」モグモグ

ミーナ「(ずっと見てた・・・これは間違いないっ)」キラキラ

雪下ろし 建物の屋根付近

ベルトルト「(はぁ・・・いくら背が高い奴は高い所って言ってもなぁ・・・)」テクテク

オーイ ベルトルト コッチダヨー

ベルトルト「(届くわけないじゃないか、実際、屋根に上がるんだから小柄な方が良いだろ・・・)」テクテク

キコエテナイノカナー アイツ ムダニデッカイカラネ チョットケトバシテクル

ベルトルト「(ライナーもなぁ・・・いくら自分がクリスタと同じ場所が良いからって他のこと、全く考えられなくなるしな・・・)」スタスタ

オイ ソコノ デッカイノ ムシスンナ

ベルトルト「(あれじゃあ、盛った猫と同じだよ・・・猫?・・・違うな。うん。あれはゴリラだ、盛ったゴリラ)」ニヤニヤ

アニ「・・・無視すんな」ゲシッ

ベルトルト「痛っ!!、あれ?アニいつからそこに?」

アニ「・・・さっきから居たよ」ジト

ベルトルト「ごめん、(ちょっと考え事してて)視界に入らなかった・・・」

アニ「・・・もう一発食らいたいらしいね」ゲシッ

ベルトルト「痛たぁ!!な、なんで二回も・・・」

アニ「ふん、自業自得だね・・・人待たせてるんだからさっさと行くよ・・・(心配なんかしなけりゃ良かった・・・)」スタスタ

ベルトルト「う、うん(なんか怒らせるようなことしたかな?)」テクテク

マルコ「・・・うわー、アレ痛そうだなぁベルトルト」

ミーナ「分かってないね、あれはアニなりの愛情表現なんだよ・・・」

マルコ「えっそうなの?というか、あの二人ってそういう関係?」

ミーナ「へへーん、他人の目は誤魔化せても、お姉ちゃんの目は誤魔化せないのだぁ」ドヤァ

アニ「・・・何の話してるんだい?」

ミーナ「!!・・・なっ、なんでもないよねー、ねぇマルコ?」エヘヘ

アニ「・・・・・・」チラッ

マルコ「!?・・・うっ、うんなんでもない話かなー」アハハ

アニ「そう・・・じゃあそこのデッカイの連れてきたからさっさとやるよ」

ベルトルト「(うぅ、蹴られたとこ痛い・・・)」サスサス

マルコ「大丈夫?ベルトルト」

ベルトルト「うん、何とか・・・」

ベルトルト「まぁ、アニなりの愛情表現だと思っておくよ・・・」

マルコ・ミーナ「(おおっ、これはっ!?)」

アニ「・・・はぁ?何言ってるんだい?アンタは」

ベルトルト「うん?だから、アニなりの愛jy

アニ「っ、二回も言わなくていいからっ//」カアァ

マルコ・ミーナ「ベ、ベルトルト?そっそれはどういう・・・?」

ベルトルト「ははっ、冗談だよ。二回も蹴られちゃったからね」

アニ「あっ、アンタみたいな奴が言っても全然面白くないんだよっ」カオマッカ

ミーナ「(いや・・・私的には真っ赤になってるアニがかなり面白いですけど・・・)」

マルコ「と、と言うかベルトルトもそんな冗談言うんだね(初めて聞いたような・・・)」

ベルトルト「えと・・・まぁ、アニとは同郷だしね(ライナーだって楽しんでるんだし僕だってこれくらい・・・)」

ミーナ「えっ、そうなの?初めて聞いた。アニったら全然話してくれないから~」

ベルトルト「あれっ、そうなの?アニは恥ずかしがり屋だからなぁ」チラッ

アニ「うっうるさい。アンタなんか心配して損したっ!!」

マルコ「・・・えっ?」

ミーナ「・・・えっ?」

ベルトルト「・・・・・・えっ?」

アニ「はっ!?、なんでもないっ」

アニ「さっ先に行ってるからね・・・」フイッ

ベルトルト「えっ、あの・・・さっきのは?」

アニ「~~~~っ///!、アンタはそこの二人と仲良くやってろっ」ドゴッ スタスタ

ベルトルト「いだぁ!!、さっきのより痛い・・・」オシリオサエ

マルコ「・・・・・・・・・」チラ

ミーナ「・・・・・・・・・」チラ

マルコ・ミーナ「(うわぁ、痴話喧嘩だこれ・・・)」ガーン

ミーナ『ねっ、言ったとおりでしょ』ヒソヒソ

マルコ『うん、そうだったね・・・』ヒソヒソ

ベルトルト「(からかい過ぎた・・・痛い)」サスサス

マルコ「えと、大丈夫?ベルトルト」

ベルトルト「うぅ、今回はダメかも・・・」

マルコ「あぁ、そう・・・でもさっきは驚いたなぁ、二人が付き合ってたなんて」

ベルトルト「えっ、誰と誰が?」

マルコ「えっ、それはもちろん・・・・アニとベルトルト?」

ベルトルト「うん!?だからそれは冗談だって」

マルコ『・・・これはどういう事でしょう?』コソコソ

ミーナ『さぁ・・・さっきのは無自覚でやってるとか?』コソコソ

マルコ『そんなぁ、あれを見せつけられた僕たちはどうすればいいのさ・・・』

ミーナ『そんなの決まってるでしょ、二人が自覚するように協力するのよ』

マルコ『えっ、そんなの悪いよ。見守るだけにしようよ』

ミーナ『もうっ、男のくせに度胸が無い・・・』

マルコ『いや、これは度胸とは違うし、そもそも・・・』ゴニョゴニョ

ミーナ「・・・・・・エロ本買う度胸はあるのに・・・」ボソ

マルコ「!!」

ベルトルト「?」

マルコ『ななな何言ってるんだ、僕がそんなもの買うはずないだろっ』ビクビク

ミーナ「・・・先週・・・時計台裏の本屋・・・」ボソボソ

マルコ「うわぁ、それ以上いいからっ」

ベルトルト「!?どうしたの?急に大声出して」

マルコ「はっ!?い、いや何でもないよ・・・」アセダラダラ

ベルトルト「そう?すごい汗だけど・・・」

マルコ「う、うん。日が出てきてちょっと暑くなってきたかな~」アハハ

マルコ「そ、そうだ。倉庫にある梯子持って先に行っててくれるかな?僕たちはちょっと話があるから・・・」

ベルトルト「?わかった、先に行ってるね・・・」スタスタ

ミーナ「・・・で、協力してくれるよね」ニコ

マルコ「うぅ、出来心なんだぁ・・・」

ミーナ「うん、そうだね。十分挙動不審だったし。でも、協力しないなら買った本の題名女子寮でぶちまけるからね」ニコニコ

マルコ「!!ダメだっ、僕が社会的に死ぬ」

ミーナ「ふふ、そうだね。あんな卑猥な本・・・で、協力してくれるんでしょう?」

マルコ「うん・・わかった・・・何をすればいいの?」

ミーナ「そうだねぇ・・・じゃあ、ベルトルトにアニをデートに誘うように仕向けて、しかも私達も一緒に行けるようにして」

マルコ「うぅ、いきなり難題だ・・・」

ミーナ「できなかったらわかるよね?」

マルコ「や、やるからっ、絶対なんとかするから!!」

ミーナ「よし、じゃあこの後お願いね」スタスタ

マルコ「僕に拒否権は無いんだね・・・」スタスタ

倉庫

ベルトルト「さて・・・梯子は・・・」キョロキョロ

ベルトルト「(ん、あれは・・・)」

アニ「・・・・・・・」ピョンピョン ムー

ベルトルト「(あぁ、高いとこにあるロープが取れないんだね・・・)」ホンワカ

ベルトルト「・・・あの、アニ?」

アニ「!!・・・あんたかい・・・見てたの?」

ベルトルト「えっ、うん、まぁ一応というか・・・」

アニ「じゃああれ取ってよ、無駄にでっかいだけなんだから・・・」

ベルトルト「(わー、まだ怒ってた)うん、わかったよ」ヒョイ

ベルトルト「はい、これ」

アニ「・・・どうも」

ベルトルト「あ、それと梯子どこにあるか知らない?マルコに頼まれたんだけど・・・」

アニ「・・・そこに全部用意してある・・・」ユビサシ

ベルトルト「あぁ、本当だ。アニは用意がいいね、それに昔から気遣いもできるし・・・」ペラペラ

アニ「・・・・・・はぁ?ひょっとしてご機嫌取ろうとしてる?だったら、もっとましな方法考えてよね」

ベルトルト「(ばれてたー)えっ?う、うん。なんか考えておく・・・」

アニ「ふん、じゃあさっさと行くよ、アンタはそっちの重たいの持ってて」ガシャ

アニ「・・・・・・・・・」

アニ「(本当はそこまで怒ってないけどね・・・)」

アニ「(たまには、あいつも使命以外の事考えたって良いんじゃないかなってね・・・)」

アニ「(まぁ、何をしてくれるか知らないけど、楽しみにしとくからね)」クス スタスタ

ベルトルト「うん、わかったよ(はぁ、本当に怒らせたなぁ)」ガシャン

ベルトルト「(・・・でも何をしたら喜んでくれるかなぁ)」チラッ

アニ「-----------------」クス

ベルトルト「(あっ、今笑った。うん、アニは笑った顔が一番かわいいなぁ)」ニヤニヤ

ベルトルト「(でも、ここに来てから笑わなくなったな・・・)」

ベルトルト「!!、そうだ良い事思いついたぞ・・・ふふふ)」スタスタ

屋根の上 作業中

ベルトルト「・・・・ふっ」ドサドサ

アニ「・・・・ふん」ドサドサ

マルコ「・・・よいしょっと」ドサドサ

ミーナ「・・・えいっ」ドサ

ミーナ「・・・・・・」シュン

マルコ「・・・よし、そろそろ休憩にしようか。あらかた片付いたし」

ベルトルト「うん、そうだね一休み入れようか」

マルコ「おーい、ミーナ、アニちょっと来て休憩にしよう」

ミーナ「えっ、休憩?じゃあ、あたし何か飲み物持ってくるよ。ほら、アニも行こう」グイグイ

ミーナ「(じゃあマルコ、さっきの事頼んだわね)」ウィンク

マルコ「・・・はぁ(わかったよ)」フリフリ

アニ「・・・ちょっと、梯子と反対方向なんだけど・・・」

ミーナ「うん!!そこから飛び降りるの」

アニ「・・・・・・ヤダ」

ミーナ「?大丈夫だよ。ほらさっき落とした雪が積もってるし」アハハ

アニ「・・・・・・やだ、そっちから行くなら一人で行ってよね」スタスタ

ミーナ「ええっ、待ってよ、私もそっちから行くから」タッタッタ

マルコ「・・・ふぅ、やっと行ったか・・・」

ベルトルト「なんか疲れてるねマルコ?」

マルコ「うん・・・ちょっと色々あって(主には君たちのことだよっ)・・・」

ベルトルト「そっか、僕も最近疲れてね・・・よっと」ゴロン

マルコ「えっ、何してるのベルトルト?危ないよ」

ベルトルト「うん?大丈夫だよ、そこまで傾斜きつくないし、縁には雪を残してあるから万が一転がっても止まるし・・・」

ベルトルト「それに、日が出てきたから丁度よく乾いて温かくなってるよ」

マルコ「そっか、じゃあ僕も・・・」ゴロン

マルコ「あっ、ほんとだあったかいね・・・」ポカポカ

ベルトルト「でしょ、これよくやるんだ」ポカポカ

マルコ「えっ何処でやってるの?」

ベルトルト「ほら、図書室二階の書庫に窓があるでしょ、あそこから出ると日当たりが良いんだ」

マルコ「あぁ、あそこね・・・滅多に人が寄り付かないから」

ベルトルト「うん、しかも本の読み放題のオプション付き」

マルコ「あは、それ良いね。僕も時々行って良いかな?」

ベルトルト「もちろん、僕だけの場所じゃないしね」

ベルトルト「(本?そういえば何か忘れてるような・・・)」

マルコ「そういえばさっき疲れてるって言ってたけど、なんかあるのかな?良い場所教えてもらったし、僕で良かったら相談に乗るよ?」

ベルトルト「!!」

ベルトルト「(そうだ、アルミンの本の事だ。マルコなら本に詳しそうだし一緒に探すの手伝ってもらおう)」

ベルトルト「うん!!実はね・・・」
---------------------------------------------------------------説明中-------------------------------------------------------------------------------------
ベルトルト「・・・ってゆうことがあってね、マルコには街に出て本を探すのを手伝ってほしいんだ」

マルコ「うん、わかったよ。でもその前に言っておくことがある。ごめんベルトルト」

ベルトルト「??僕はマルコに謝られるようなことされてないよ」

マルコ「いや、朝コニーに訓練が無いかもって言ったのは僕なんだ。それで、騒ぎ出したコニーを止められなかった・・・」

ベルトルト「いや、それに責任はないよ。話し合いでコニーを止めるなんて無理だしね」

マルコ「そう言ってくれると助かるよ。コニーには悪いけどね、止めるなら物理的に止めた方が少ない労力で済むもんね」

マルコ「それにしても、あのアルミンとエレンが喧嘩というか口もきいてないなんてね・・・ちょっと想像できないよ」

ベルトルト「うん。僕も怒ったアルミンがあそこまで怖いとは驚きだったよ・・・まぁ、それだけ大事な本だったんだろうけど・・・」

マルコ「たぶんそうなんだろうね・・・でもそんなに貴重な本だと二人で探しても見つからないかも・・・」

マルコ「(はっ!?ここでミーナとアニも一緒に探した方が良いって言えば、皆で街に出ることが出来る。言ってしまえばこれはデートだぞ・・・)」フフフ

マルコ「ねぇ、ベルトルト。やっぱり、珍しい本だからさ、二人で探すのは無理があると思うんだよ、だから、他に人を呼ぶとかどう?たとえばミーn

ベルトルト「!!それだったらアニとミーナにしよう。うんそれがいい」

マルコ「えっ、うん、その二人だったらこの後声を掛ければ良いしね・・・(あれーどうしたんだろ急に・・・まぁ、これでいいか・・・何にせよ四人で街に出る訳だし・・・)」

ベルトルト「(ふふふ、これで手間も省けたし・・・一石二鳥だ・・・)」ニコニコ

マルコ「それにしてもさ・・・屋根の上って快適だね」ポカポカ

ベルトルト「うん、一回やるとなかなかやめられない・・・」ポカポカ

マルコ「・・・・・・・・・・・・・」ダラー

ベルトルト「・・・・・・・・・・・・・」ダラー

マルコ「・・・・・ねぇ、遅くない?」ムク

ベルトルト「何がー?」ゲデーン

マルコ「だから、アニとミーナだよ。飲み物取りに行ったにしては・・・探しに行く?」

ベルトルト「大丈夫だよー、マルコだってさっきの蹴り見たでしょ。大抵のことならあの足でやっつけるんだから・・・」ゴロゴロ

マルコ「・・・ここから動きたくないだけじゃない?」

ベルトルト「・・・まぁ、それもある。日が当たってほんとに温かくなってきたし・・・」ポカー

ベルトルト「マルコも、起き上がったは良いけど動く気配無いよね?・・・」

マルコ「うっ、まぁね・・・」ポカポカ

マルコ「でも、まぁアニがいれば大丈夫かな。すっごい強いし」

ベルトルト「うん。そういえば、さっき蹴られた時僕の体浮いてなかった?」

マルコ「た、確かに三回目のはちょっと浮いてたかも・・・」

ベルトルト「あれが僕じゃなくてライナーだったらエレンにやってた技で三回転ぐらいされてたと思うよ」

マルコ「あれ?じゃあ手加減されてたんだ?」

ベルトルト「と言うより、できなかったんじゃない?僕あの技何度か見てるし、これだけ背丈の差があればね・・・手が届かないよ」ニヤニヤ

マルコ「ははは、手が届かなくて必死に技掛けようとするアニの姿見てみたいかも」

ベルトルト「ははっ、アニはチビだからね。そういえばさっきも・・・」

アニ「・・・・・・・・・・・・・・・おい、誰がチビだって?」

ベルトルト「」アセダラダラ

マルコ「」アセダラダラ

ベルトルト「い、いやーそんなこと言ったかな僕。ねぇマルコ?」ダラダラ

マルコ「(うっ、今日二回目の展開だ・・・というか汗でばれるよベルトルト・・・)」

マルコ「あ、あぁ言ってない気も・・・する」アセアセ

アニ「・・・ふーん、そう。汗が凄いようだけど冷やしてやろうか?」

ベルトルト「えっ!?」

アニ「シッ」ドガッ

ゴロゴロゴロ ドサドサ ドシーン!!

マルコ「(あぁ、アニに蹴られたベルトルトが縁に残した雪ごと転げ落ちていった・・・)」ダラダラ

アニ「・・・あんたも汗かいてるようだね・・・」

マルコ「えっ!!ぼ、僕は遠ry

アニ「シッ」ドコッ

マルコ「うわああああぁああ」ゴロゴロゴロ

ベルトルト「(ふぅ、今日はアニを怒らせてばっかだ・・・うん?上から何かが・・・)」

マルコ「ああああぁぁあ」ゴロゴロゴロン

ベルトルト「えっ!!ちょっと・・・」

ドシーン!! ドサドサ

ミーナ「なんか大きな音がしたけど大丈夫?」

アニ「・・・別に何でもないと思うよ」

ミーナ「あれ?二人はどこに行ったの?居ないみたいだけど」

アニ「・・・あの二人なら仲好く雪遊びやってるよ。そのうち戻ってくるさ・・・」

ミーナ「そうなの?あの二人もそういう事するんだね。じゃあ私たちは温かいお茶飲んでよ」ガチャガチャ

ミーナ「はい、どうぞ」

ミーナ「あとこれ、アニが取ってきたクッキーね」

アニ「・・・どうも」

マルコ「うぅ、僕までヒドイ目にあった・・・」ヨジヨジ

ベルトルト「今日は暴力に襲われすぎだ・・・理由はあるけど」ヨジヨジ

ミーナ「あっ二人とも!!せっかく休憩してるんだから遊んでちゃ意味ないでしょ」

アニ「まったくその通りだよ。これからは無駄口を叩かないことだね」

ベルトルト・マルコ「・・・・・・はい」シュン

ミーナ「ほら、温かいお茶とクッキーだよ」スッ

マルコ「うん、ありがとう。・・・あれ、このクッキーはどうしたの?」

ミーナ「うん!!それはねアニがお茶だけじゃ寂しいって部屋から持ってきてくれたんだよー」

マルコ「えっそうだったの?だから遅かったのか・・・ありがとねアニ」ニコニコ

アニ「・・・どういたしまして」

ベルトルト「(あっ、まんざらでもない顔だ・・・関心ないように見えてこうやって気遣いができるんだよなぁ)」

アニ「ほら、アンタにもやるよ」ヒョイ

ベルトルト「えっ、僕も貰って良いの?」

アニ「なんだい、要らないのなら別に・・・」

ベルトルト「!!要ります!いえ、是非下さい」ニギッ

アニ「っ!?、分かったやるからさっさと手を放しな」

ベルトルト「えっ、あぁごめん。クッキーありがとね」ニコ

アニ「・・・・・・・・うん」

マルコ「(あっ、僕の時と反応が違う・・・心なしか素直な気が・・・)」

マルコ「(ほんのり顔が赤いし、原因としてはベルトルトの笑顔かとっさに掴まれた手か・・・)」

ミーナ「(・・・もしくは、その両方だね)」

ミーナ「(しかし、あんな反応されてたら普通気づくでしょ)」チラ

ベルトルト「・・・・・・」ポリポリ

アニ「・・・・・・」ウツムキ モグモグ

ミーナ「(あっ!!、二人の背丈に差があり過ぎてアニが俯くと顔が見えないんだ・・・)」ホンワカ

ミーナ「(これは私がどうにかするしかないんだね!!やっぱり)」

ミーナ『(ということで)ねぇ、マルコ?』ヒソヒソ

マルコ『あぁ、さっきの話でしょ。大丈夫、その気になってるみたいだから見ててよ』ヒソヒソ

ミーナ『そうなの!!じゃあ、しっかりと観察させてもらおうかな』グヘヘ

マルコ「(はぁ、ゲスイ顔してるよ・・・まぁ、僕もなんだか楽しくなってきたから人の事言えないけど・・・)」ニヤニヤ

ベルトルト「あっそうだ。アニ」

アニ「えっ!?、あっ、なんだい?」

マルコ・ミーナ「(おぉ、焦ってたのに何とか戻った)」

ベルトルト「今度の休日、一緒に街に出てほしいんだけど・・・良いかな?」

アニ「へっ?・・・・・・・・///」カアァ

アニ「えっと、うん良いよ。うん。たっ偶には気晴らしも必要だからねっ」

マルコ「(せっかく落ち着いたのにね・・・一回落ち着いた分余計に反応してるよ)」

ミーナ「(しっかし焦ってるなぁー。普段のアニなら絶対こんな反応しないと思うんだけど、やっぱりそれまでの積み重ねがあったからなのかなぁ)」

ベルトルト「そう、良かった」

アニ「で、でも珍しいね。その・・・あんたが街に出ようなんて」

ベルトルト「あぁ、ちょっと人手が必要でね・・・」

アニ「えっ、何の話だい?」

ベルトルト「あ、まだ話してなかったね・・・」

----------------------------------------説明中--------------------------------------------
ベルトルト「・・・という事なんだ。」

アニ「ふーん。そういう話かい。じゃあ、マルコも一緒だね」

マルコ「えっ、あぁ、うんそうだね。なんかごめんね?」

アニ「はぁ?何謝ってるんだい、人数が多い方が良いに決まってるだろ」

マルコ「うん。まぁそうだけどね・・・」

ミーナ「(あぁ、もう!!アニの顔が元に戻っちゃたじゃない。)」

ベルトルト「で、ミーナも来てくれるとありがたいんだけど・・・良いかな?」

ミーナ「はぁ、いいよ別にっ」ゴゴゴゴコ

ベルトルト「ありがとう(なんか怒ってるなぁ・・・嫌だったのかな)」

マルコ「(はぁ、ベルトルトは分かってなさそうだし、ミーナの愚痴は僕が聞くことになるんだろうな・・・)」

マルコ「(まぁ、それは良いとして・・・)そろそろ、作業に戻ろうか。教官に見つかる前に」

アニ・ベルトルト・ミーナ「了解」

作業終了後 廊下

マルコ「失礼しました!!」ギィ バタン

マルコ「(さて、教官にも報告は済んだし・・・僕も部屋に戻ろうかな)」

マルコ「(しかし、今日はいろんな事があったなぁ。まさかベルトルトとアニがあんな風だったなんて。普段二人ともあまり人と話さないから、誰にも気づかれなかったんだろうな・・・ミーナには、ばれたみたいだけど・・・)」スタスタ

マルコ「(・・・ばれた・・・・うん。僕の事は置いておこう。今度のダブルデートで忘れてくれるはず・・・・・・デートかぁ。何気に僕初めてだ)」

マルコ「(こうなった経緯はともかくジャンにばれると面倒だから適当に誤魔化しておこう。ミカサとジャンを一緒に誘う手もあるけど・・・)」

マルコ「(やめとこ。他の人連れてったらミーナになんか言われるだろうし、アニも機嫌が悪くなる・・・アニの様子はおかしかったけどベルトルトは平然としてたなぁ。僕とミーナの見立てだとベルトルトも相当意識してると思ってたけど・・・!!・・・あれはベルトルト)」ピタッ

ベルトルト「・・・・・・・・」

マルコ「(どうしたんだ?壁の前から動かないけど・・・)」

ベルトルト「(やったやったぞ、上手くアニを誘うことが出来た・・・)」グッ

ベルトルト「(一緒に街に行けるなんて夢みたいだぞ)」

アニ「せっかく一緒に来てるんだから手ぐらい繋いだらどうなの」ギュウ

ベルトルト「(さっき握ったアニの手柔らかかったなぁ・・・)」カアァ ブンブン ガンガン

マルコ「(真っ赤になって、頭を振って、壁に打ち付けるなんて・・・全然冷静じゃなかったんだね、声は掛けないでおくよ・・・)」スタスタ

夜 食堂

ライナー「・・・・はぁ」ボー

ベルトルト「(また、これか・・・なんで僕が聞かなくちゃいけないのかな・・・)」モグモグ

ベルトルト「・・・ねぇライナーどうしたの?さっきから食べてないけど」

ライナー「・・・あぁ、ベルトルトか。今日俺はな女神に会った」

ベルトルト「それ、クリスタの事だよね。何回も同じ話だね」

ベルトルト「同じ話だとっ!!お前は何もわかってない!!いいか今日は俺に話しかけてくれたんだぞ」ガタッ

ベルトルト「(はぁ、興奮した余り立ち上がっちゃったよ・・・面倒だから適当に相槌打つだけにしとこ)」

ベルトルト「ほら、落ち着きなよ。で何を話したのかな?」

ライナー「おぉ聞いてくれるのか。実はな・・・」

---------30分後

ライナー「・・・それでだな、俺は思ったんだ・・・」ペラペラ

ベルトルト「(僕が馬鹿だった・・・このゴリラ話し出すと止まらない)」イライラ

ライナー「やっぱり女神はだな・・・聞いてるのか?」

ベルトルト「えっ、もちろん聞いてるよ(何かタイミングがないと止まらないな・・・!・・・あれは)」

ベルトルト「おーい、エレンちょっと聞きたい事があるから来て~」フリフリ

エレン「よぉ、ついでにここで飯食っていいか?教官に呼び出されてたら遅くなって・・・」

ベルトルト「うん。もちろん良いよ。教官に呼び出されてたってなんかあったの?」

エレン「あぁ、アルミンの事で注意された」

ベルトルト「へぇー、キース教官が気づいたのか。意外だな」

エレン「いや、座学教えてるメガネの教官の方だ。アルレルト訓練生の調子が良くなかったって」

ベルトルト「なるほど。作業が早めに終わったから最後の一コマで座学をやった時、変だったもんね。簡単な問題間違えたり、教官の話聞いてなかったり」

エレン「だよな。俺のせいで・・・訓練にも影響が出てる」

ベルトルト「まぁそんなに気にしなくても・・・で、問題のアルミンはどうしてるのかな?」

エレン「アルミンか?今はマルコとジャンと食べてる」

ベルトルト「!!マルコか・・・心配しなくて大丈夫だよ。うん。で、聞きたい事があるって言ったけど、アルミンの本の事なんだ」

エレン「そうか!朝の時は何も言ってなかったもんな。題名は≪世界風土記≫っていう分厚い本で、巨大な火を噴く山の話と氷の大地の話とかが書いてあるんだ」

ベルトルト「そっか。今度街に出ることになったからその時に探してみるよ」

エレン「なぁ、俺も探すの手伝おうか?人数は多い方が良いし・・・」

ベルトルト「うーんといいや。こっちで必要な人数は集めてるし、それよりも本を渡すだけじゃちょっとあれだから、エレンの方でもアルミンに喜んでもらえるような事考えておいてよ」

エレン「!!何から何まで悪いな。俺の方でもなんか考えとく・・・ありがとな」

ベルトルト「いや、僕も手伝うって言ったんだから、そんなことは言わなくてもいいよ」

ベルトルト「(本当はね、これ以上街に行く人数を増やしたくないんだ・・・今より多くなると僕の考えてる事も難しくなるし・・・)」モグモグ

ライナー「あの神々しさと言ったらな・・・おい、さっきから聞いてないだろお前」

ベルトルト「(君はまだ語ってたのか!!)」ガーン

僕たちが許されることは無い

なのに君の笑顔が見たいなんて

僕らが笑おうなんて

勝手過ぎるよね

人の大切なものたくさん奪っておいて

それでも君を見るたびに思うんだ

本当の君はそんなんじゃないって

ねぇ

君はどう思ってるの

僕がしようとしてる事は迷惑なのかな

ねぇ

アニ

すみません。用事ができてちょっと中止します。今日中には貼り終えるつもりですので・・・

はい。では投下したいと思います。

休暇日 トロスト区 広場

マルコ「ふぅ、なかなか来ないね二人とも」

ベルトルト「・・・・・・・」

マルコ「ベルトルト?」

ベルトルト「ん?あぁ、ごめんごめん。考え事しててね」

ベルトルト「二人が来ないって話だったよね。・・・」

ベルトルト「(しかし、なんで同じ所から来るのに待ち合わせなんだろうね。それもこんなに人が多い場所で)」

ガヤガヤ モーマッテタノニー ワリィワリィ マタセチマッタカ イイヨ ソレヨリ ハヤクイコ ガヤガヤ

ベルトルト「(みんな楽しそうに笑ってるな・・・僕はこんなところにいていいのか)」

マルコ「(うーん。なんか元気ないなぁ、昨日あの様子だったから嫌だっていう訳じゃないんだろうけど・・・)」

ベルトルト「(僕が誘ったんだよな・・・)」

ベルトルト「・・・ねぇ、こんなことに誘って迷惑じゃなかった?」

マルコ「うん?全然迷惑じゃないよ。アニもいってたけどさたまには気晴らしも必要だと僕も思うよ」

ベルトルト「そっか(気晴らしか・・・とりあえず僕が誘ったんだからみんなに悪い気させちゃ悪いな。今日だけは何とかして、明日からはいつもみたいに過ごそう。それが今までの、そしてこれからの罪に対する償いになるのかな・・・・・・)」

マルコ「あっ、来たみたいだよ。おーい!!こっちこっち」フリフリ

ミーナ「ごめんね。待ったでしょ、アニが選んだ服着てくれなくってさ~」アハハ

アニ「何言ってんだい。地下街に行くかもっていうのにアンタがスカート無理やり勧めるからだろ」

マルコ「はは、確かにスカートはちょっと危ないかもね。でも二人の私服見るの初めてだから、何かこう新鮮だよ」

ミーナ「うふふ、ありがと。ベルトルトもせっかくアニの私服見たんだから、なにか言ったらどうなの?」

ベルトルト「えっと、うん。良く似合ってるよアニ」

アニ「・・・そりゃどうも」

ベルトルト「あっ、今日はいつもみたいにパーカーじゃないんだね。珍しいな」

ミーナ「うん!!実はそれね・・・」

アニ「余計な事言わなくていいからっ。ほらさっさと行くよ、中々見つかりそうにない本なんだろ」

マルコ「あぁ、そうだね。とりあえずは街中の本屋に行って探してみよう。できる限りは地下街に行きたくないからね・・・」

ミーナ「ふふ、マルコは本屋に詳しいもんね」ニヤニヤ

マルコ「!!あぁ、そうだね(まったく、いつまで引きずるつもりなのか・・・)。じゃあ行こうか」スタスタ
--------二時間後
ミーナ「はぁ、見つからなかったね・・・」

マルコ「うん。知ってる本屋も知らなかった本屋も全部回ったけど駄目だったね」

ベルトルト「世界風土記どころか外の世界について書かれたもの自体が無かったからね・・・」

アニ「ふん。憲兵団も案外仕事してるってことだね」

ベルトルト「それにしてもこうなると、あと探すとこと言えば・・・」

マルコ「あぁ、地下街しかないね。あんまり行きたくはなかったけど・・・」

ミーナ「ねぇねぇ、私行ったことないんだけどどんな所なの?」

ベルトルト「あぁ、昔建設途中で中止になってしまった地下通路にいろんな人が集まって違法な売り買いをしてる所だよ」

マルコ「近年の食糧問題で中々食べられなくなった肉とかを高い値段で売ってたりするから悪い人だけじゃなくて、そうだな憲兵団の人とかも隠れていってたりするし・・・」

ミーナ「ええっ!!憲兵団まで」

アニ「別に驚くことないだろ・・・何処にもそんな奴はいるさ」

マルコ「うん。実際それで生活が成り立ってる農家とかもいるから見て見ぬふりしたりするんだ」

ベルトルト「でもやっぱりそんな所だから治安が悪いんだよ・・・だから」

アニ「別にいいさ、心配しなくても。私がミーナと一緒に行動するから。少なくともそこのそばかす野郎よりは強い自信があるし・・・」

マルコ「!!そ、そばかす野郎・・・ま、まぁ実際対人格闘はアニの方が僕より上だけど・・・」

ベルトルト「うん。本当のところみんなで一緒に行動したいんだけど、地下街じゃ店じゃなくて露天市みたいになってるから手分けして探さないと時間が無くなっちゃうからね・・・」

アニ「じゃあ、決まりだね。三組に分かれて一時間後にこの入口に集合で・・・」

ベルトルト「あっ、危なくなったら僕かマルコを呼んでよ。できるだけすぐに行くから」

アニ「ふっ、あんたも心配性だね、分かったよ。もしそうなったらミーナを行かせるから。あんたも危なくなったら私を呼ぶんだよ」スタスタ

ベルトルト「えっ、まぁそうなった時は呼ばせてもらうよ・・・」ハハハ

-------------40分ぐらい後
ベルトルト「(しっかし見つかんないなぁ~やっぱり同じ本を見つけるのは無理だぞ・・・)」

ベルトルト「(ん、これは・・・違うな≪世界宗教≫か、あんまり外の世界について書かれてないな。人の罪について書いてあるのか。告白するだけで許されるなんてお気楽な話だ・・・)」

マルコ「あっ、ベルトルト。そっちはどう?本は見つかった?」

ベルトルト「マルコか。駄目だねやっぱり見つからないよ」

マルコ「そっか、やっぱり難しいんだね。・・・僕に提案があるんだけどいいかな?」

ベルトルト「提案?どんな話?」

マルコ「うん、実は昨日アルミンと一緒に夕食を取ってたんだけどその時にジャンが聞いたんだ『もう怒ってないんじゃないか』って。そしたらさ、アルミンも少し驚いたような顔をしてから答えてくれたよ『仲直りのタイミングがわからなくなっちゃった』って。だからさ、僕たちはそのタイミングさえ作り出せればいいと思うんだよ。」

ベルトルト「!!ということは、同じ本じゃなくてもいいって事か」

マルコ「そう。それで、代わりとなる本買って来たんだけどこれでいいかな?」スッ

ベルトルト「これは・・・≪サテラン漂流≫?どうゆう話?」

マルコ「えっとね、外の世界を探検する人の話なんだけど、サテラン川ってゆう大きな川を犬と一緒にをボートで下りながら、火を噴く山や氷の大地についてしっかり描写してあるんだ」

ベルトルト「なるほど。小説か・・・いいんじゃないかな。違った視点から外の世界を見る感じだし」

マルコ「よかった、じゃあ本探しはこれで終わりにして他の二人を探そうか?」スタスタ

ベルトルト「そうだね。いくらアニが強いって言ってもいつまでも女の子二人を地下街にいさせる訳にはいかないし・・・」スタスタ

ベルトルト「それにしても、ジャンがアルミンの事気にかけてたなんて意外だったな。自分とミカサの事しか頭にないのかと思ってたよ」

マルコ「あぁ、確かにそう見えるよね。でも本当の所はみんなの事良く見てるよ、本人にそのこと言うと人の弱みを探してるだけだって言うけど・・・」ペラペラ

ベルトルト「(よく話すな、よっぽどジャンの事友人として気に入ってるんだな。)」

マルコ「・・・だから、ベルトルトも仲良くなれると思うんだ」

ベルトルト「えっ僕?」

マルコ「うん。ベルトルトってジャンというか人とあまり話さないよね。僕だってこんなに話したの初めてだし、話してみればみんないい人だよ」

ベルトルト「そっか、考えとく(やっぱり人と関わらないようにしてるのは分かるか・・・でも・・・)」

マルコ「あっ、アニとミーナだ・・・?あれ囲まれてる!?」

見知らぬ男1「ぐっ・・・」ドシン

アニ「はぁ、これでわかっただろ。あんた達じゃ私達をどうにかしようなんてできないって」

見知らぬ男1「この女ぁ、言わせておけば・・・」

見知らぬ男2「まぁ落ち着けよ、お嬢さん見た目も可愛いのに強いのは驚きだねぇ。でもこれ相手じゃそうもいかないだろう?」ガラン

アニ「チッ、鉄パイプかい。腐ってるねアンタ等・・・」

見知らぬ男2「ハッ、なんとでも言いな。俺はボコボコの女も好みだぜぇ。ほらっ」ブンッ

ガシィ!!

見知らぬ男2「あぁん、なんだぁ?こっちはお楽しみなんだ・・うわぁ」

ガシィ バキ ドカ バシバシ ドゴッ マ、マテ モウ・・・ バキィ!!

ベルトルト「・・・ふぅ、大丈夫かい?」

ミーナ「ベ、ベルトルト!!良かったぁ。最初はあたしが絡まれたんだけど・・・」

マルコ「あっ待ってよ。・・・まったく、すぐに行っちゃうから僕の出番がないでしょ」タッタタ

ミーナ「あっ!今頃来て、役に立たないんだから。どうせまた変な本でも探して遅くなったんでしょ?」ニヤニヤ

マルコ「なっ、君はこんな時まで!!ベルトルトがいきなり走り出すから反応できなかっただけだよ・・・」

ベルトルト「とにかく・・・あんた」ギロッ

見知らぬ男1「ひっ」ガタガタ

ベルトルト「そこの伸びてる奴連れて行ってくれないかな?・・・邪魔なんだけど」

見知らぬ男!「ははいっ。すぐに」グッ ズルズル

ミーナ「あれ?なんかベルトルトいつもと違くない?」

ベルトルト「えっそうかな?確かにちょっと焦ってたけど・・・」

アニ「・・・やりすぎだよあんた。特に最後に殴ったのはあんたらしくないね」

ベルトルト「うっ、確かにそう思うけど、相手は女の子相手に武器使う奴だし・・・」

アニ「こんな時まで女の子扱いかい。大体武器を持った暴漢の相手なんか訓練と同じだろ、私の腕を信用してないのかい?」

ベルトルト「えっと、そういう訳じゃないんだけど・・・」

ミーナ「はい!そこでストップ。もう、みんな無事なんだからいいでしょ」

マルコ「そうそう、その辺にしといた方が良いって。ほら、探してた本も見つかったんだから」

ミーナ「えっ見つかったの?」

マルコ「そう。探してた本じゃないけどね、これ」スッ

ミーナ「えぇ、こんな本で大丈夫なの?話に聞いてた辞書みたいな本じゃないし、この前エレンとアルミンの様子を見たけど普通じゃなかったよ」

マルコ「大丈夫だよ。アルミンが欲しがってるのはタイミングだからさ」

ミーナ「??」

ベルトルト「まぁ、そういう事だから外に出ようか?」

マルコ・ミーナ「了解!」

アニ「・・・・・・」ジィー

ベルトルト「?どうしたの、どこか怪我でもした?」スタスタ

アニ「えっ、あの何でもないよ」カチャ

ベルトルト「ん?これは指輪か・・・これが欲しいわけ?」

アニ「い、いや。別にそういう訳じゃないけど・・・」

ベルトルト「けど?」

アニ「ちょっとは綺麗だなぁって思って・・・」

ベルトルト「ははは、アニもそうゆうのに興味あったんだね」クスクス

アニ「~~~っ、良いだろっ。これでも私は女なんだよ」カァ

ベルトルト「たしかにね、アニは可愛い女の子だよ」ニコニコ

アニ「・・・あんたは何にも覚えてないくせにそういう事ばっかり言って」

ベルトルト「えっ?なんだって?」

アニ「いいよ。ほらっ、さっさと行くよ」スタスタ

ベルトルト「(あぁ、行っちゃったな・・・さて・・・)」

夕方 トロスト区 市内

マルコ「ふぅー、案外広かったね地下街って」

ミーナ「うん。私達なんか・・・ってあれ?ベルトルトは?」

アニ「知らないよ・・・あいつはここに詳しいみたいだからどこか変な店にでも寄ってるんじゃないの?」

ミーナ「えぇ!ベルトルトもなの?マルコ良かったね仲間がいて」ニヤ

マルコ「また君はっ、いい加減忘れようよ・・・」

ミーナ「え?何の話かな~」エヘヘ

マルコ「はぁ、もういいよ・・・でもベルトルトは・・・」

ベルトルト「ごめんごめん。遅れたよ。ちょっと迷っててね」

マルコ「そっか。それでこの後なんだけど・・・」

ベルトルト「うん。そのことなんだけどみんなでご飯食べに行かない?予約入れてるんだけど・・・」

マルコ「ご飯?確かに昼前に軽く食べただけだから空いてるけど、わざわざ予約なんて取ってあるなんて」

ベルトルト「あぁ、今日はどうしてもその店に行きたくてね」チラッ

アニ「?」

マルコ「(あぁ、アニがらみなのか・・・)いいよ。ミーナもアニもいいよね?」

ミーナ「私は全然いいよ?」

アニ「はぁ、じゃあ仕方ないね。私も付き合ってあげるよ」

ベルトルト「良かった。今日は僕の奢りだからね。じゃあ行こうか」ニコ スタスタ

ミーナ「本当?やったぁ。マルコもこういうところ見習わないとだめだよ」スタスタ

マルコ「はいはい、分かりましたよ」スタスタ

アニ「・・・・・・」

ベルトルト「?アニどうかしたの?」ピタ

アニ「別に・・・ほらさっさと連れてきなよ」スタスタ

ベルトルト「う、うん」スタスタ

トロスト区 レストラン街

ベルトルト「着いたよ。ほらこのお店」

ミーナ「へぇー、良さげなお店だね何がおいしいの?」

ベルトルト「まぁ、入ればわかるよ」

カラカラン ヨウコソイラッシャイマセ ヨヤクヲイレテタフーバーデスガ フーバーサマデスネ コチラニテーブルヲトッテアリマスノデ・・・

ベルトルト「ふぅ、やっぱりこういう所は慣れないから緊張するね。ここが席みたいだ」ガタッ

マルコ「そう?さっきの様子だと随分慣れてるように見えたけど・・・」ガタッ

ミーナ「ねぇねぇ、いい加減何のお店か教えてよ。あのおっきな窯はなーに?」

ベルトルト「あぁ、このお店はピザが売りなんだ。あの窯はピザを焼くためのものだよ」

ミーナ「ピザ?」

ベルトルト「そう。薄く延ばした生地の上に野菜や肉、ソースをのせて。最後にチーズなんかものせてからあの窯で焼く食べ物なんだ」

ミーナ「へぇおいしそう・・・ってあれ?アニは?」キョロキョロ

ベルトルト「ん?さっきまで後ろにいたのに・・・あっ、あそこだ」

マルコ「・・・何してるんだろ?」

ベルトルト「ちょっと待っててね、呼んでくるから」ガタッ スタスタ

アニ「・・・・」ジィー

ベルトルト「アニ、ねぇアニってば」ポンポン

アニ「えっ、なんだ、あんたかい・・・」

ベルトルト「なんだはないでしょ。みんなもう席についてるよ」

アニ「あぁ、ごめんごめん。ちょっとね・・・」

ベルトルト「ふーん。気に入ってくれたかなこのお店?一応、この前のお詫びなんだけど」ニヤニヤ

アニ「!・・・ま、まぁね。あんたにしちゃ上出来じゃないの」

ベルトルト「ふふ、それはどうも。じゃあ、席に戻ろうか」ニヤニヤ

アニ「・・・あんたさ、何考えてるのか大体わかってるけど。そのニヤニヤするのはやめてくれないかい」

ベルトルト「え、あっ、はい」キリッ ドヤァ

アニ「(この顔はこれでムカつく・・・)あとさ、あの二人に余計なこと言わないでね」スタスタ

ベルトルト「えっ、まぁ(どうせ早晩ばれるし、僕の方から言っちゃえばいいか・・・)」スタスタ

あれ?名前が消えた・・・一応上のスレは本人です。

ベルトルト「はい、連れてきたよ」

マルコ「お疲れ様。はいこれ、席はずしてる間にメニュー表持ってきてくれたよ」スッ

ベルトルト「ん、ありがと。でもアニに渡してあげて」

マルコ「?わかった。はいどうぞ」スッ

アニ「・・・・・・」ヨミヨミ

ベルトルト「(さっそく読んでるなぁ)」

ミーナ「あっ、そういえばさっきは一人で何やってたわけ?」

アニ「・・・別に何でもないさ」ヨミヨミ

ベルトルト「あぁ、それはねピザが焼けるのに見とれてたんだよ」

マルコ・ミーナ「??」

アニ「!!ちょっと、何も言わないって・・・」

ベルトルト「どうせすぐばれたって。実はねアニはピザが大好物でね、目の前にすると少々おかしくなってね」ニヤ

マルコ「そ、そんな、失礼だけどサシャみたいに言わなくても・・・」

ベルトルト「いやいや、サシャ並だと僕は思うよ。だってほら、さっき渡したメニュー表。一言一句逃さないように読んでたし、今も手放さないでしょ」

アニ「!!いやっ、これは」パッ

マルコ「・・・ほんとだね」クスクス

ベルトルト「もう今更手放しても遅いんだから、読んでなよ」

アニ「くっ・・・」スッ

マルコ・ミーナ「(ええっ、そこで手出しちゃうの?)」

ベルトルト「うんうん。僕らが小さいころにさ、アニのお父さんが時々作ってくれたんだ。庭にお手製のちっさな窯まで作ってね」

ミーナ「いいお父さんだね」

ベルトルト「まぁ、そうなんだけど。少し過剰だったかな、僕とライナーなんか初めてお父さんに会ったときにすっごい剣幕で『俺の娘に手ぇ出すなよ』って言われたし・・・」

マルコ「へぇ、意外と箱入り娘なんだね」チラ

アニ「・・・・・・」ヨミヨミ

ベルトルト「まぁ、そんな事もあってアニのピザ好きはどんどん進行してったんだ」

ベルトルト「たとえば、あの頃アニは本なんてめったに読まなかったのに何処から探してきたのかピザについての本を持ち出してきて、四六時中読みだしてね・・」

ミーナ「えぇー、本なんか全然読まないのに・・・寮でだって教本以外の本持ってるの見たことないよ」チラ

アニ「・・・・・・」ヨミヨミ

ベルトルト「僕だって驚いたよ。訳のわからない言葉話したと思ったら全部料理の名前なんだもの。でも一番驚いたのは初めてお父さんから一本取ったのはピザが絡んだ時なんだ・・・」

子供時代 故郷
アニ父「こら!!なんで練習をサボるんだ!!」

アニ「うぅ、だってぇライナーが遊ぼうって言うから・・・」

アニ父「!!男かっ・・・なんということだ・・・そんな事言ってるんだったらしばらくピザは無しだ!!」

アニ「ダメっ!!それだけはダメ」

アニ父「駄目なもんか、お前が練習サボるからいけないんだろう(それに男友達なんぞ作りおって・・・)」

アニ「もうこれからサボったりしない、お願い」ウルウル ウワメヅカイ

アニ父「(くっ・・・だがここで負けてはいかん)いいかアニ、練習を頑張ればまた作ってあげるからしばらく我慢しなさい」

アニ「・・うっ、頑張るって、ヒック、どれくらい?」グスグス

アニ父「(ここは少し脅かしとくか)そうだなぁ・・・お父さんに勝てるぐらいだな」ニヤニヤ

アニ「・・・・・・・・・もん」ボソ

アニ「・・・・・・・てるもん」ボソ

アニ父「何か言ったか?」

アニ「私お父さんに勝てるもんっ」キリッ

アニ父「ほう。それなら勝負してみるか?(もともと練習するつもりだったし・・・)」

アニ「うん。ぜーたい勝つからねっ」スタスタ

アニ父「そうか、じゃあかかってきなさい」スッ

アニ「・・・・・・」スッ

アニ父「(さて・・・どうくるか)」

アニ「・・・」ダッ

アニ父「(間合いを詰めて来たか!)」

自分の顔を狙って拳が迫ってきた。それを体の動きだけで避けると今度は右足が蹴り上げてくるように迫ってくる。今度は両手を使い衝撃を上手く流しながら受け止める。・・・予期していたのにも関わらず蹴りの衝撃が骨に響いてしまった。これを食らうのはさすがに不味い。そう判断したとき、愛娘の体が沈み込み、こちらの足を払うような回し蹴りが向かってきた。それをジャンプして避けると互いに距離を取る。強くなった、そんな感想が浮かびあがった。初めから才能があったとは言えさっきの蹴り上げなどそこらの大人と比べても大差ない。

アニ父「今度はこっちから仕掛けるっ」ダッ

大きく踏み出しながら繰り出した拳は娘の左手によって流されるだけでなく手首をつかまれ絡め取られそうになる。引っ張られ体勢が崩れかけたところに、右肘が顔めがけて飛び込んでくる。こちらも左腕でなんとか防ぐと、ガラ空きの胴体に膝蹴りが決まった。

アニ父「ぐっ・・・」

片膝をついてなんとか前を向くと、少し距離を取った娘が走ってくるのが見えた。

アニ父「ま、待て」

アニ「ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ」

アニ父「!?」

飛び蹴りか、そう判断し立ち上がって避けようとするが体に力が入らない。ならばと顔の正面で両腕を固める。これならば、ダメージは残るが致命的ではない。そう思ったとき、自分の立てていた足のももあたりに何か感触があった。疑問に思い腕の間から見ると。娘が自分の足を踏み台に飛び上がりながら回転するのが見えた。その瞬間、右後頭部に何か硬いもの、おそらく踵だろう、がめり込むの感じるのを最後に意識が途絶えた・・・

----------------------------------
ベルトルト「・・・ていう話なんだけど」

ミーナ「何それ怖っ」

マルコ「・・・・・・アニの強さの秘訣はピザにあったのか・・・」

ベルトルト「そうだね・・・」

ベルトルト「・・・・・・ぷっ」

マルコ「あはははははは、な、なんだよそれぇ」ゲラゲラ

ミーナ「ふっ、ははははは、そ、その話誰に聞いたの?アニ?」ゲラゲラ

ベルトルト「い、いやアニはその時のことまったく覚えてないって言って。お父さんの方から聞いたよ」

マルコ「おっ、お父さん大丈夫だったの?」

ベルトルト「まぁね、元々強い人だったから少し寝たら大丈夫だったよ」

ミーナ「で、でも最初の一本が食べ物食べられなくなるからなんて」

マルコ「あ、そういえばコニーに聞いた話なんだけどサシャもね冬の備蓄を食べるためにお父さん殴ったことあるんだって」

ベルトルト「くっ、はっはははは。ぼ、僕の言った通りだったでしょ。サシャとほとんど変わらないって」ゲラゲラ

ミーナ「何その話ー」ゲラゲラ

マルコ「人は見かけに寄らないって本当だったね」ゲラゲラ

アニ「・・・・・・」イライラ

アニ「・・・ねぇ、いつまで話してるのさ」

ベルトルト「あぁ、ごめんごめん。読み終わったんだね」

アニ「そう。だから注文したいから早く呼びな」

ベルトルト「はいはい、わかったよ。あっ、すいません注文お願いします」

店員「はい、お待たせしました」

アニ「あの、ピザは la pizza Malgherita. Maccheroniall'Ortorana,それにcalzoneで。パスタも一品だけaglio, olio e vongoleでお願いします。デザートはおすすめので」

店員「!分かりました・・・Va Bene!!」ニコッ

アニ「!!・・・・・・Grazie」ニコニコ

ミーナ「ねぇねぇマルコ?アニが何話してるのかわからないんだけど・・・」

マルコ「多分料理の名前なんじゃないかな僕もわかんないけど・・・でしょベルトルト?」

ベルトルト「うん。僕も知らないけどそうだと思う・・・(それにしても)」チラ

アニ「・・・・」ニコニコ

ベルトルト「(普段無表情でいるのが嘘みたいだな・・・これが見たかったから連れてきたんだけどね)」ニコニコ

マルコ「・・・・・・!!」

マルコ『ベルトルト、すごく楽しそうな顔してるね』ボソ

ベルトルト『えっ、顔に出てた?』ボソボソ

マルコ『うん・・・それにあんまり見てると変に思われるよ』ニヤニヤ

ベルトルト『!!・・・・・・・わかった・・・気を付けるよ』カアァ

ミーナ「二人共何話してるの?」

マルコ「大した話じゃないよ」

ミーナ「あっ、そういえばなんでさっきベルトルトが店員さん呼んでたの?注文するのはアニだったのに」

ベルトルト「あぁ、それはね。なんだか店員さんを呼ぶのが恥ずかしいみたいなんだ、だから僕が」

ミーナ「えぇーあれだけ堂々と注文してたのに・・・・・・・・それにしても代わりに呼んであげるなんて、まるで・・・ねぇマルコ」

マルコ「え、僕が言うの?仕方ないな。・・・まるで彼氏みたいだね」ニコッ

アニ・ベルトルト「違う!!」

アニ・ベルトルト「あっ」カアァ

マルコ「息ピッタリだね」ニコニコ

ミーナ「二人共、顔赤くして言われても全然説得力ないよ~」ケラケラ

ベルトルト「違うよ・・・僕達はそういうわけじゃない」カオマッカ

アニ「そうだよ・・・あんたほんとにうるさいんだから」カオマッカ

ミーナ「えへへ、ごめんなさい」

ミーナ「(それにしてもこの二人見てるとなんかこう・・・温かくなるなぁ)」

ミーナ『ねぇマルコ』ヒソヒソ

マルコ『何?』ヒソヒソ

ミーナ『もう私たちが何かするのやめよっか?何か見てるだけの方がいい気がしてきた』

マルコ『!!うんそうしようよ。僕が最初に言ったように観察するだけでいいんだって』

ミーナ『だから、私がマルコの秘密を忘れる件も白紙ね』ニコ

マルコ『えぇ、それとこれは話が違うでしょ。今日ここにいる時点で契約成立だよっ』

ミーナ『うふふ、冗談だよ。でも、観察報告はしてよね』ニコニコ

マルコ『君が言うと冗談に聞こえないんだよ・・・でも、まぁ僕も乗りかかった船だし最後まで見届けるよ』ニコニコ

ベルトルト「(人を指摘する前に自分たちを見たほうがいいよ。この前から二人してコソコソと・・・)」ジィー

店員「お待たせしました。こちらピッツァマルゲリータとオルトラーナです。・・・Mangiare!!」ニコ

ミーナ「・・・ねぇねぇアニ、さっきの人なんて言ったの?」

アニ「えっ、あぁ、おいしく食べてねぐらいの意味だよ」

マルコ「これがピザか、すごく美味しそうだね。でもどうやってみんなで食べるの?」

ベルトルト「これで切るんだよ。はい、アニ」スッ

アニ「うん」キリキリ

ミーナ「こうやって切るんだぁ」

ベルトルト「えっと、本当はこんなふうに切らなくてもいいんだけどこれが一番等分に切れるからって、アニの仕事なんだ」ハハハ

アニ「ほら、切れたから食べなよ」

ベルトルト「あぁ、今回もきれいに等分されてるね。いただきます」スッ

マルコ「じゃあ僕もいただきます」スッ

ミーナ「ふーん、私はこっちを食べようかな。いただきます」スッ

マルコ「!!これは・・・こんなに薄い生地なのにもちもちで端の方は程よく焦げて香ばしい、それに角切りのトマトに微妙に火が入っていて・・・絶品だ」

ミーナ「こっちのはいろんな野菜が乗っててとても美味しい」

ベルトルト「(たしかにピザが売りの店だけあって美味しいな)」モグモグ

アニ「・・・・」ムシャムシャ ニコニコ

ベルトルト「(すっごい笑顔で食べてる・・・そして自分が切ったからか何処か得意げだ)」

ミーナ「ピザって美味しんだね」

マルコ「うん。アニが好きなのも納得できるよ」

アニ「・・・でしょ」フフン

店員「はい。こちらカルツォーネとパスタのボンゴレです」コト

ミーナ「わぁ、なにこれ。生地が膨らんでるよ」

アニ「それはカルツォーネっていうピザでピザ生地の中に具が包み焼きになってるんだよ。確か今日の中身は森のきのことチーズだったはず・・・ほら」ペラペラ キリキリ

ベルトルト「(アニも口がよく回るなぁ。それにもう切る道具持っていたんだね)」

マルコ「うわぁ、膨らんでるところを切ったら湯気と一緒にきのことチーズの芳醇な香りがっ!!」

アニ「まったく、あんたはどこの評論家だよ」

マルコ「えっ」

ミーナ「あはは、マルコってたまに言うことがおかしいよね」

マルコ「えっ、えっ」

ベルトルト「たしかにね、言うことが大人び過ぎてておじさんみたいだよ」クスクス

マルコ「そんなぁ、ショックだ」ガーン

ベルトルト「まぁまぁ、そう落ち込まずにこのパスタでもたべて」スッ

マルコ「う、うん。・・・これはアサリの出汁と塩が効いて・・・」クルクル モグモグ

ミーナ「えっ?」ニヤニヤ

マルコ「!・・・もう何も言わない・・・」

アニ「ふふふ」

約20分後

ベルトルト「(ふぅ、大体食べ終わったみたいだな、パスタの皿は空だし、マルゲリータは僕の皿に取ってあるやつが最後で他の二つも大皿に一欠片ずつ残ってるだけか・・・久しぶりに楽しい食事だったなぁ)」

ミーナ「ねぇマルコ、どれが一番美味しかった?」

マルコ「うーん、どれも美味しかったけど一番はこの包み焼きのやつかな」スッ モグモグ

アニ「!・・・」ジィー チラッ

ミーナ「へぇ、私はやっぱり最初に食べたいろんな野菜のこれかなぁ」ヒョイ パク

アニ「!!・・・・・」シュン

ベルトルト『・・・ねぇアニ、僕のこれ食べる?』ボソ

アニ『!!いいのかい?・・・でもあんたが食べる分が・・・』ボソボソ

ベルトルト『でもさっきから食べたかったんでしょ?』

アニ『じゃ、じゃあ二人で半分っこしよ』ニコニコ キリキリ

ベルトルト『う、うん!!(ぐはぁ、なんだよその笑顔・・・あぁ、今日ここに連れてきて良かったぁ、僕・・・今死んでも幸せかも)』ニヤニヤ ニコニコ ニヤニヤ

ミーナ「(わぁ、すごい顔が緩んでる。よっぽど嬉しかったのね・・・)」

マルコ「(鏡を持ってきて自分の顔を見せてあげたいぐらいだよ)」

店員「そろそろこちらのお皿お下げしてもよろしいでしょうか?」

ベルトルト「あぁ、えぇどうぞ」

店員「それとデザートの方はこの後すぐにお持ちしてもよろしいでしょうか?」

ベルトルト「はい、それでお願いします」

店員「分かりました。・・・Va Bene!!」ニコ スタスタ

ベルトルト「へぇ、このお店料理だけじゃなくて接客もいいんだね」ニコニコ

アニ「!!へ、へぇ・・・あんたああいういう人が好みなんだ、黒髪で背が高くて・・・」

ベルトルト「?・・・うん?全然そういうわけじゃないんだけど(どうしたんだ急に?)」キョトン

アニ「・・・あっそ」ツーン

ミーナ「(あぁ、もうっ!なんでそう余計なこと言うのっ)」ワナワナ

マルコ「(君はいろんな事に気が回りそうなのになんで気づかないのかな・・・どっかのイェーガーとは違うんだからっ、今度からエレントルトって呼ぼうかな)」ワナワナ

店員「失礼します。こちら季節のフルーツタルト、苺のクリームムース、チーズスフレ、一番人気のチーズケーキです。それと泡立ちコーヒーも一緒にどうぞ」スッ コト

ベルトルト「あぁ、どうも」

店員「本日の注文はこれで全部となりますがよろしかったでしょうか?」

ベルトルト「えっ、あの・・・」チラッ

アニ「・・・・・・」ツーン

ベルトルト「えと・・・多分大丈夫だと思います」

店員「?では最後までお寛ぎ下さい」ニコ スタスタ

アニ「・・・・・・」イライラ

ベルトルト「??」

ミーナ「わ、わぁどれも綺麗なケーキだね。どれ食べる?」アセアセ

マルコ「あっ、僕甘いもの苦手だからあんまり甘くないやつで・・・」

ミーナ「へぇーじゃあこれじゃない?チーズスフレ、甘さ控えめ」コト

マルコ「うん。ありがとう」

ミーナ「ベルトルトは?やっぱり甘いもの苦手?」

ベルトルト「いや、僕は大丈夫だよ。だから余り物でいいかな」

ミーナ「そっか、じゃああたしが選ぼっかなー。季節のフルーツタルトが一番豪華そう・・・でも時期的に苺にするか、うぅ一番人気も捨てがたいし・・・」ブツブツ

アニ「・・・・・・もう遅い、わたし苺にするね」スッ

ミーナ「あぁっ、じゃあどっちに・・・・・・よし、フルーツタルトにしよっ」スッ

ベルトルト「じゃあ僕はチーズケーキだね」スッ

ミーナ「よーし、食べよ」

ミーナ「うん、それぞれ違ったフルーツですごい得した気分!!これ選んで正解」

マルコ「よし、これなら僕も食べられるかな」

アニ「・・・おいしい」

ベルトルト「・・・一番人気なだけあるやこれ」

ミーナ「ねぇ、マルコのそれって褒め言葉なの?」

マルコ「まぁ一応・・・」

ベルトルト「(ん!あれは・・・)」

ベルトルト「あ、アニ?」

アニ「・・・なんだい?」

ベルトルト「クリーム付いてるよ」

アニ「ん、ここかい?」ゴシゴシ

ベルトルト「あぁ違う違う、こっち」スッ

アニ「へっ?・・・」

ベルトルト「ここだよここ。・・・はら取れた」ピト

アニ「~~~っつ・・・あ、ありがとっ」カアァ

ミーナ「(あぁ、ここでさっきの分の埋め合わせするのね)」

マルコ「(それでこそベルトルトだよ・・・いや無意識であぁいうことやっちゃうからエレントルトなのか?うーむ、どっちだかわかんない)」

マルコ「(・・・なんか思考回路がコニーみたいだな、止めよう)」

ミーナ「あっそういえばベルトルトは、なんでアニが雪嫌いなのか知ってる?」

アニ「なんでそんなこと聞くのさ」

ミーナ「だって、アニに聞いても教えてくれないし。で、どうなの?」

ベルトルト「あぁ、勿論知ってるよ。僕が半分原因みたいなものだからね・・・」

アニ「ちょっと、またあんたは余計なことを」

ベルトルト「まぁまぁ、これはさっきの話よりも、もっと子供の頃の話なんだけどね・・・」

故郷 子供時代

アニ「わぁ、真っ白だねベル君?」

ベルトルト「うん!!大人の人が言ってたんだけどねこーんなに降るのなんて何年かに一度なんだって」

アニ「ふーん・・・えいっ」

ベルトルト「わっ、ぷっ・・・何するんだよいきなり」ペッペ

アニ「ふふ、雪かけただけだよーだ」アッカンベー

ベルトルト「やったなーこの」ヒョイッ ヒョイッ

アニ「当ててごらーん」タッタタ

ライナー「おーい、ソリ持って来たぞぉ・・・えっ?」

ベルトルト「あっ、危ないっ。避けて」

バシィ バシィ

アニ「あっははは、ライナーの顔に命中」ケラケラ

ベルトルト「ご、ごめん。わざとじゃないんだ・・・」アセアセ

ライナー「・・・別にいいさ。慣れてるから・・・」

ライナー「それよりほら、これ見ろよ。ソリ持ってきたぞ」

アニ「なにこれー、何に使うのー?」

ライナー「おう、この上にのって雪の上を滑るんだ。ほらあそこの丘から」

アニ「へぇー楽しそう。私もあそぶー」

ライナー「おう!!じゃああの丘まで競争だっ」ダッ

アニ「うん!!」ダッ

ベルトルト「あっ、待ってよー」タッタタ
--------------------
一時間後ぐらい 

アニ「きゃぁああ、たのしー」ズルズルズル ズザァ

アニ「もう一回やるー」スタスタ

ライナー「アニもすっかり慣れたみたいだな」

ベルトルト「そうだね、すごく楽しそうだ」

ライナー「・・・なぁ、そろそろあれをやらないか?」

ベルトルト「えっ?アニもいるのにあれやるの?」

ライナー『・・・アニにいいところ見せられるぞ』ボソ

ベルトルト「!!・・・やる、絶対やる」

ライナー「だろぉ、おーいアニ。ちょっときてくれー」

アニ「何?今楽しいんだけど・・・」スタスタ

ライナー「おう、お前に俺たちのとっておきを見せてやる」スタスタ

アニ「?そっちは崖だよ、あぶないよっ」

ライナー「まぁ見てろって」スッ ズザアア バンッ

アニ「わぁ、飛んだ!!」

ベルトルト「うん!雪が積もってるから崖もなんとか滑れるし、その後ちょっと盛り上がってるから上手く体重移動すれば飛び上がれるんだ。その向こうは新雪だから落ちても大丈夫だよ」

ライナー「どうだ、凄かっただろ」ドヤア

アニ「うん、すごいねー」

ライナー「ふふん。次はお前の番だろ、ベルトルト」

ベルトルト「うん!」スタスタ

アニ「!?えっ?ベル君もできるの?」

ライナー「おう、というかあいつが初めにやったんだ。俺よりも上手くやるからよく見てな」

アニ「う、うん」ドキドキ

ベルトルト「じゃあいくよー」

ライナー「がんばれよー」

ズザアアア バンッ!!

アニ「わあぁ!!さっきよりずっとたかーい」

ベルトルト「どうだった?」

アニ「うん!!こーんなに高かったよー。びっくりしたー、ベル君凄いんだね」ピョンピョン

ベルトルト「えへへ」テレテレ

ライナー「(良かったなベルトルト)それで、アニもやってみるか?」

ベルトルト「!!待ってよライナーアニにはまだ無理だって。危ないよ」

アニ「・・・チビのわたしには無理だって言いたいわけ?」

ベルトルト「そんなこと言ってないよ!!本当に危険なんだ」

アニ「・・・ベルに出来るなら私にもできるもん。貸して」スッ スタスタ

ベルトルト「ちょっと、どうしてくれるんだよライナー」

ライナー「別にいいじゃないか。アニだけ仲間はずれは可哀想だろ」

アニ「じゃ、じゃあいくねー」ドキドキ

ライナー「おう、がんばれー」
ズッ ザアアアアアアア

ベルトルト「あっ、ダメだっそっちの方向は」ガタッ

バンッ!!! バリン! バシャバシャ

ベルトルト「あぁ、凍った池に落ちちゃったじゃないかっ!!行くぞライナー!!」ダッ

ライナー「お、おう」ダッ

ベルトルト「アニ、アニ、大丈夫か?」ガシィ

アニ「うぅ、さむぃ・・・」ギュッ

ベルトルト「ライナー!君の上着を貸してくれ、アニを暖めるっ。僕がこのまま村まで連れて帰るから、君は先に行って大人たちに知らせておいて!!」

ライナー「わ、分かった!!」ダッ

ベルトルト「アニ、すぐに暖かくなるからね」ギュウ

アニ「ぅ、うん・・・・」ブルブル

-------------
ベルトルト「ていう感じでアニが酷い熱を出してしまってね。それ以来トラウマになっちゃったみたいなんだ」

マルコ「へぇ、アニでもそういう失敗するんだね」

アニ「ふん。おかげでこっちは五日間ベットから出れず、まともにご飯も食べられなかったんだから」

ミーナ「それで大丈夫だったの?」

ベルトルト「う、うん。一応その後解熱作用のある薬草を誰かが持ってきたみたいでそれで治ったらしいんだけど・・・その頃に僕の方が熱出しちゃってあまりよく覚えてないんだ。僕のは普通の風邪だったからすぐに治ったけど」

マルコ「・・・そういえばアニのお父さんはどうしたの?」

ベルトルト「あぁ、僕とライナーが村について説明をした後に思いっきり殴られたよ・・・あれは僕が今までで食らった中でも一番痛かったよ」

アニ「ふん。当たり前だよ。私だって熱が下がった後に『危ない遊びをするなっ』って殴られたんだから」

マルコ「あはは、優しいお父さんじゃないか、ちゃんと叱ってくれるなんて」

アニ「・・・なんかマルコってお母さんみたいな言い方・・・」

ミーナ「わかる、マルコって将来結婚してもお父さんじゃなくて、口うるさいお母さんのポジションになりそう」アハハ

マルコ「さ、さっきはおじさんとか言っておいてっ・・・」プルプル

ベルトルト「きっとさ、息子にジャンみたいな子供がいるんだろうね」クスクス

ミーナ「ずっとマルコの言うことに反抗し続けるんだよね」ニヤニヤ

ベルトルト「でもたまに素直になってくれてマルコ母さんは泣いちゃうんだ」

ミーナ「号泣だね」

マルコ「い、いい加減にっ」

ベルトルト「だってさ、今日も自慢の息子を話す口調でジャンのことを話してたじゃないか」

マルコ「そ、それは友人として・・・」

アニ「・・・マルコ」ポン

マルコ「あ、アニ!君ならわかって・・」

アニ「・・・今度お宅の息子さん紹介してくださいね?」

マルコ「」

ミーナ「ぶっ、はっはははは。な、何言ってるのよアニ。マルコお母さんから奪うつもりなの?」ゲラゲラ

ベルトルト「あはははは、ダメだよきっと嫌な姑になって嫁いびりされちゃうよ」クスクス

マルコ「・・・もう、なんでもいいや」シクシク

ベルトルト「ごめん、ごめん笑い過ぎたって。悪かったよ」フフフ

マルコ「はぁー良いよ。僕も今日の食事は楽しかったし、でもそろそろ戻らないとまずいかな?いくら明日も休暇日で今日の門限が遅くまで大丈夫なようになっているって言ってもさ」

ベルトルト「そうだね。じゃあみんな、そろそろ出ようか?」ガタッ

アニ・ミーナ「わかった」ガタッ

ミーナ「ねぇベルトルト?今日奢りだって言ってたけど私払おうか?結構高いでしょここ」

マルコ「うん。僕も途中から思ってたんだ、払うよ」

ベルトルト「!!い、いやいいって。今日は僕も楽しかったし、僕が払わないと意味がないからね。ほら財布しまって二人共」

ミーナ「・・・うん。そこまで言うならわかったけど」

マルコ「・・・あぁ、何か事情があるようだしね」

ベルトルト「じゃ、払ってくるから外に出て待ってて」タタッ

マルコ「僕らは外に行ってようか」ガチャ

ミーナ「うわー寒い。最近急に寒くなってきたね」

アニ「日が短くなったんだから仕方ないよ」

ミーナ「あれっ?なんか街の様子がいつもと違うね・・・いろんなところに飾り付けがあるしなんでだろ?」

マルコ「あぁ、あれは三週間後にある生誕祭に向けた準備なんだ。広場にはもうツリーも準備されてるみたいだよ」

ミーナ「そっか、生誕祭が近かったんだね。全然忘れてた」

アニ「・・・まぁ、訓練兵団とは関係ない話だし」

マルコ「・・・キース教官がツリーの飾り付けをしてる所想像してみなよ」

ミーナ「うわーやだぁ」

アニ「・・・あんたも中々エグい事考えるね」

ベルトルト「ふぅ・・・あっ、そこにいたのか。何の話してたの?」タタッ

アニ「・・・キース教官のミニスカサンタ姿」ボソッ

ベルトルト「ぶっ・・・変出者として憲兵団に捕まりそうだね」

マルコ「さっ、じゃあベルトルトも来たことだし行こうか」スタスタ

ミーナ「それにしても今日の料理美味しかったね」ニコニコ

アニ「・・・たしかに」

マルコ「それに、アニの意外な一面も見れたしねー」ニヤニヤ

アニ「・・・蹴っ飛ばされたいの?」

ベルトルト「まぁまぁ、マルコだって今日は色々言われたんだからあいこだよ」

アニ「私のはあんたが原因だしマルコのだって火に油注いだのもあんたでしょ」

マルコ「そうだよっ」

ベルトルト「待ってくれ!アニの方はわかるけどマルコの事言い出したのはアニだろ!!」

ミーナ「あはは、なんだか今日一日でみんな仲良くなったね。またいつか四人で食事に行けたらいいなぁ」ニコニコ

ベルトルト「そうだね、でも次は割り勘ね。毎回これじゃ僕が死んじゃう」

アニ「まったく情けないね。男のくせに」

マルコ「あっ、じゃあさ訓練兵団を卒団した後でもみんなで集まる約束しようよ。いつかこの世界から巨人がいなくなっても僕らは仲良くしようよ」

アニ・ベルトルト「!!」

アニ「・・・そうだね」

ミーナ「あっ、ここにいるの私以外みんな成績優秀者じゃない!!憲兵団に入っても私のこと忘れないでよ~」グス

マルコ「ええっ、ちょっと・・・まだ一年しか訓練兵やってないんだから、まだ誰がどうなるのかわからないよ」

ミーナ「!!・・・うん、そうだね」

マルコ「ん?ベルトルトどうしたの?」

ベルトルト「!い、いや何でもないよ。・・・・・・・ちょっと寄り道思い出したから先に三人で帰ってて」ダッ

マルコ「う、うん。どうしたのかな?」

アニ「・・・・・・はぁ、私も用事ができたから先帰っててね」スタスタ

マルコ「??どうしたんだろ二人共・・・」

ミーナ「いいのいいの、マルコは気にしなくて。ほらこっち行こ」グイッ

マルコ「ええっ、う、うん」スタスタ

トロスト区 街陰
ベルトルト「はぁはぁ(だいぶ走ってきちゃったな・・・)」

ベルトルト「(わかっていたんだ、僕らと彼らはいずれ敵同士になるなんてことは・・・それなのになんでっ)」

ベルトルト「(なんで僕はあんな約束しようとしてたんだろ・・・本当、何やってんだろ)」

ベルトルト「(おまけにあの場に居たくなくなって飛び出してきちゃうし・・・)」

ベルトルト「・・・馬鹿だなぁ僕・・・・」

アニ「あぁ、そうだね。馬鹿だよあんたは」

ベルトルト「!!あ、アニ・・・なんでここに?」

アニ「なんでって・・・あんたを追いかけてきたからに決まってるじゃないか」

ベルトルト「そういうことじゃなくてっ!!・・・二人していなくなったら変に思われるでしょ!!」

アニ「・・・大きな声出さないで」

ベルトルト「ご、ごめん」

アニ「はぁ・・・大丈夫だよミーナに言ってからここに来たから不思議には思われてないよ」
-------------------
トロスト区 市場

マルコ「アニがベルトルトに伝えたいことがあるって?」

ミーナ「そう。だからさっき追いかけて行ったのー」

ミーナ「だから心配しなくて大丈夫だよ」

マルコ「ふーん」

ミーナ「あっ、この髪かざり可愛いねー」
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ベルトルト「そっか。でもそんなこと言ってきて大丈夫だったの?もし勘違いされたままに・・・」

アニ「私のことはいいからあんたのことだよ」

ベルトルト「う、うん・・・」

アニ「どうしたんだい?急にあんな行動を取るなんて、あんたらしくない・・・」

ベルトルト「ごめん、ほんとにごめん。でももう大丈夫だかr

アニ「いい!!本当のこと言いな。ただでさえ一人で抱え込むんだから、こんな時ぐらい仲間を頼ったらどうだい?」

ベルトルト「!・・・うん、わかった・・・でも僕自身もよくわかってないんだ、だから・・・」

アニ「さっさと言いな。それでもいいから早くしな」

ベルトルト「・・・じゃあ、まず最初に言っておきたいんだけど戦士としての覚悟がなくなったわけじゃない。それは安心して欲しい、必要に迫られれば今すぐにも壁を壊す事ができる」

アニ「良かった。それが聞けてとりあえず安心したよ。あんたは特に強い覚悟を持ってたから・・・」

ベルトルト「僕はそんなんじゃないよ・・・今は揺らぐ事はないんだけど問題なのはこれからのことなんだ。これから・・・例えばさっきみたいな出来事が積み重なって、なんというか・・・うん、戦士としての覚悟が無くなってしまうような気がしたんだ。だから、さっきは思わず逃げ出しちゃった・・・のかな?」

アニ「思ってたよりわかってるみたいじゃないか。で、これからはどうするんだい?」

ベルトルト「うん、やっぱり人との関わりをなるべく少なくすることを心がけようかな・・・そうすれば覚悟が鈍ること自体が少なくなるし・・・」

アニ「甘いね、第一あんたいままでやってきたのと変わらないんじゃないの?あいつらはそんなあんたに関係なく今日みたいな事になってるんでしょ」

ベルトルト「うっ、でもそれぐらいしか方法がないっていうか・・・!そうだ、そういうアニはどうなの?」

アニ「私かい?私は・・・多分、どんなことがあっても故郷に帰るっていう意思が無くなることはないと思う・・・約束したから・・・」

ベルトルト「はは、アニは意思が強いんだね・・・僕は多分弱い人間なんだ、だから初めっから壁を作っとかないとダメになっちゃうと思う」

アニ「・・・違うよ・・・私だって約束が無かったら・・!そうだ、あんた私と約束しようよ」

ベルトルト「約束?」

アニ「そう、私が言われたのとおんなじ事、言ってあげる。一回しか言わないからよく聞きな」

ベルトルト「う、うん」

アニ「この世のすべてを敵にまわしたっていい、この世のすべてからあんたが恨まれることになっても・・・わたしだけはあんたの味方だ・・・だから約束するんだよ、一緒に帰るって・・・」

ベルトルト「・・・・・・」ジワァ

アニ「えっ、ちょっと・・・なんで急に泣き出すのさ?」アセアセ

ベルトルト「ぐっ・・・ごめん、なんかわかんないけど、止まらなくて・・・」ボロボロ

アニ「・・・取り合えずこれ、ハンカチ」スッ

ベルトルト「あ、ありがとう・・・」グス

アニ「(はぁ・・・まったくこいつは・・・)」
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5分後
アニ「なぁ、落ち着いたかい?」

ベルトルト「う、うん・・・なんとか」

アニ「急に泣き出すなんて、どっかおかしいんじゃないのあんた」

ベルトルト「いや、急に安心したっていうか・・・うん、でもいくらか楽になった気がするよ」

アニ「そう・・・なら良かったけど」

ベルトルト「うん。これからのことはまだ分かんないし、それで心配するのはもう無しにしようと思うんだ」

アニ「どうせあんたのことだから100%考えないてのは無理だろうけどね」

ベルトルト「まぁね。でもいざという時に寄りかかれる約束があると随分助かるよ」

アニ「そう・・・じゃあそろそろ戻るよ。こんな所に長居しても仕方ないからね・・・」スタスタ

ベルトルト「うん」スタスタ

ベルトルト「あれっ?また雪が降ってきたね」

アニ「本当だ・・・また積もるかな?」

ベルトルト「うーん、どうだろ。ちょっと積もるぐらいでこの前みたいに、訓練中止にはならないんじゃないかな?」

アニ「そっか・・・なら良かった」

ベルトルト「はは、アニは座学好きじゃないもんね?」

アニ「いいでしょ、体動かしてる時はそれだけに集中できるんだから」

ベルトルト「まぁ、そうだね・・・」

アニ「あっ、そういえばもう一つ言っときたいんだけど。あんたは自分を出してる時の方が自然だよ。さっきマルコと冗談言い合ってる時の様子見て思ったけど」

ベルトルト「へぇー、そうだったんだ」

ベルトルト「あっ広場に出たね、わぁ大きな木が立ってるよ」

アニ「あぁ、生誕祭で使うツリーだね・・・無駄にでかいね、誰かみたい・・・」ボソ

ベルトルト「・・・すごいね、生誕祭まで三週間もあるのにこんなに人が集まって準備してる・・・」

ベルトルト「(ざっと見て30人ぐらいの人がツリーや広場の飾り付けをしてる。ある人は脚立を使って高いところの飾りつけを、また地面にペンキを使ってなんだか絵を書いてる人もいる。そんな風に作業するもんだから篝火が焚かれ周囲よりもずっと明るくなっている)」

アニ「あぁ、みんな熱心なもんだよまったく・・・」

ベルトルト「うん(でも、すごく楽しそうで真剣で、雪が降って寒いはずの広場から何かむしろ熱気のようなものを感じるんだ・・・)」
カランカランカラン!!

突然響いた鈴の音に驚いて、二人して振り返ると、おそらく腕いっぱいに抱えていたんだろう、飾り付け用のベルが道に広がっていた。それに気づいた周囲の人々が口々に運んでいた少年に軽口を飛ばしながら集まってくる。先ほど、脚立の上にいたおじさんが少年の頭を小突くと一斉に笑いが広がった。何故だか怒られてる少年も笑っていた。

ベルトルト「・・・なんだかいいよね、わずか一日の生誕祭のためにみんな一生懸命になれて・・・・・・もしかしたら生誕祭その日よりも今この瞬間の景色の方がずっと綺麗なのかもしれない・・・」

アニ「ベル?・・・」

ベルトルト「・・・でも僕らはこんな景色をいくつも潰さなければならない・・・いや、もういくつも潰してきた・・・」

アニ「ベル!!」

ベルトルト「!!あぁ、ごめん。さっきの今で覚悟が鈍ったわけじゃない、ただそう思っただけなんだ」

アニ「はぁ・・・ちょっと手貸しな」

ベルトルト「?」スッ

ギュウ

アニ「大丈夫だよ、あんたがおかしくなったら私が蹴飛ばしてでも戻してあげる。だからちょっとは肩の力抜きな。いちいち、何でもかんでも使命と結び付けなくていいんだよ」

ベルトルト「!!うん。・・・・・・もし、僕がおかしくなったら蹴ってくれ」

アニ「あぁ、とびきり痛いのを覚悟しとくんだよ」

ベルトルト「えぇー、あんまり痛いのはちょっと・・・僕、痛くなくても戻れるようにするから」

アニ「何言ってるんだい、痛くないと意味ないだろ・・・・・ぷっ」

ベルトルト「あははは、たしかにね、何言ってるんだろ僕、ははは」

アニ「ふふふ、だいたいね・・・蹴られないようにするのが先でしょ」

ベルトルト「あっ、ほんとだ。うん、努力するよ」

アニ「まぁ、がんばりな」

???「すみませーん。そこのカップルさん。キャンペーンに協力していただけませんか?」

アニ・ベルトルト「!!」ギョッ

ベルトルト「あの、もしかして僕達の事ですか?」カアァ

係りの人「えぇ、だって・・・その、手繋いでますよね?」

アニ「はっ!!」パッ

ベルトルト「(あぁ、離しちゃうんだ・・・)で、何のキャンペーンなんですか?」

係りの人「はい、実は街を行くカップルにツリーの飾り付けをやってもらってるんです。やっていただけます?ちなみに飾り付けをするときに願い事をすると叶うとか・・・」

アニ「はぁ・・・し、しかしくだらないね。だ、第一、カップルじゃないし・・・」カアア

ベルトルト「分かりましたいいですよ」

アニ『!!ちょっと、どういうつもり?』ヒソヒソ

ベルトルト『いや、丁度願い事あるし、いいかなと思って』ヒソヒソ

アニ『だって、私たち違うだろ・・・その・・・カップルとか』

ベルトルト『ははっ、くだらないって言いつつそういう所は気にするんだね』ニヤニヤ

係りの人「はい、ではこれを気に入ったところに付けて下さい」スッ

ベルトルト「どうも・・・はい、アニの分。・・・まぁ細かいことは気にしなくて良いよ、どうせちゃんとしたことじゃないんだから」

アニ「はぁ、意外と適当だよね・・・そういうところ」

ベルトルト「えーと、よし、ここに付けよう。」ガサガサ

アニ「(ここにしよっ)」ガサガサ

ベルトルト「・・・そういえばさ昔こうやって飾り付けやるときアニは必ずてっぺんの星をつけたがってたよね」

アニ「・・・よく覚えてるね」

ベルトルト「うん、しかも一回ライナーが勝手に付けて泣いちゃったでしょ」

アニ「・・・覚えてないね。大体今なんでそんな話をするの」

ベルトルト「あぁ、いや・・・この木だとさすがにてっぺんは無理だろうなぁ~って」

アニ「・・・・・・もん」ボソッ

ベルトルト「えっ?」

アニ「巨人になれば届くもん」キリッ

ベルトルト「わーダメダメ!!何考えてるんだ!」ガタッ

アニ「!?冗談に決まってるでしょ。何焦ってるの?」

ベルトルト「冗談に聞こえないんだってば!口調がお父さんから一本取った時と同じだよ」

アニ「そうなの?覚えてないからわからないね。それより、付けるの終わったんなら早く帰ろうよ」

ベルトルト「そうだね、じゃあ帰ろっか」

アニ「・・・・・」スタスタ

ベルトルト「・・・・・」テクテク

ベルトルト「ねぇアニ?」

アニ「何?」

ベルトルト「あのさ・・・また・・手繋いで貰ってもいいかな?」カアァ

アニ「はぁ!?な、何言ってるんだい、あ、あんたは」カァア

ベルトルト「い、いやさ・・・さっき自分をもっと出した方が良いって言われたから・・・その、やってみたんだけど・・・駄目かな?」

アニ「!!~~~っ、くっ・・・良いよ、ほら」スッ

ベルトルト「!ありがと」ギュウ

夜 訓練所出口

ベルトルト「着いたね」

アニ「・・・うん」

ベルトルト「(はぁ・・・勇気を出して手を繋いだはいいけど、殆ど何も喋れなかった)そういえばさ雪、止んだね」

アニ「あぁ、これで明後日からは訓練できるよ」

ベルトルト「じゃあ、もう遅いから・・・そろそろ」

アニ「・・・・・・そうだね」パッ

ベルトルト「(これで、終わりかぁ・・・)」

アニ「あ、あのっ・・・今日は楽しかったよ・・・だから・・・誘ってくれてありがと」

ベルトルト「!い、いや。僕も楽しかったし・・・それに元々僕の用事に付き合って貰っただけだから・・・・・・あっ、ちょっと待って」ゴソゴソ

アニ「?」

ベルトルト「あっ、あった。・・・はい、これ」スッ

アニ「こ、これって」

ベルトルト「うん。昼間見てた指輪。気に入ったみたいだったから買っておいたんだ、これであってた?」

アニ「うん・・・」

ベルトルト「良かった。じゃあ手出して・・・」カチャ

ベルトルト「うん!良く似合ってるよ。アニは趣味が良いんだね」

アニ「ま、またあんたは・・・何も考えずにこんなもん渡してっ」カアァ プルプル

ベルトルト「?だけど、それは僕の為でもあるんだ」

アニ「えっ?」

ベルトルト「うん。君がそれを持っていると僕は約束を思い出せると思う。だから、いつの日かその指輪を持って一緒に帰ろうね」ニコ

アニ「・・・・ぅん」マッカカー

ベルトルト「じゃあ、僕そろそろ戻るから。おやすみ、アニ」タッタタ

アニ「・・・おやすみ・・・・・・・馬鹿」ボソ スタスタ

その後ベルトルトは疲れ果てて風呂に入った後、すぐに寝てしまった。一方アニの方はというと・・・
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就寝直前 アニ・クリスタ・サシャ・ユミルの部屋

ユミル「あー、やっぱりクリスタは可愛いなぁー」ダキシメ

クリスタ「もうっ、やめてよ~。それから夜中にベットに入ってくるのはやめてよね」ジタバタ

ユミル「いいではないか、いいではないか」ギュウゥ

サシャ「うぅ、お腹空きました。何か持っていませんかね」

ユミル「あぁ?持っててもテメェにやる訳ないだろ」

サシャ「ええっ、ひどいですー。クリスタは何か持ってませんか?」

クリスタ「私も持ってないよー、もう寝る時間だから我慢しようね」

ユミル「おいっ芋女。私のクリスタから食べ物奪うな。引きこもりのアニの所でも行ってろ!!」

クリスタ「帰ってきたと思ったら、すぐにお風呂に行って。それからずっとベットにカーテン閉めているもんね。何かあったのかな?」

サシャ「!!、何か買ってきて食べてるのかもしれません!!ブラウス訓練兵、索敵してまいりますっ」バッ

アニ「(はぁー気軽に指輪なんか渡すかね、普通。・・・それにあんな事は言うし・・・)」カアァ

サシャ「アニ!!何か食べ物ありませんか?」ピシャッ

アニ「!?」バッ

サシャ「!!・・・今何か隠しましたね。独り占めはよくありません!!私にも渡すのです」バッ トビカカリ

アニ「ちょっ、違うって・・・」ジタッンバッタン

ユミル「おぉ、いいぞ。やれやれー」ダハハ

クリスタ「ちょっと、笑ってないで止めてよ。この時間騒いでると教官がくるよ」

ユミル「チッ、それはまずいな・・・よし、おい芋女、今日は教官たちが焼肉パーティーをやってるらしい。おこぼれ貰ってこい」

サシャ「!!なんですと!許せません。私に隠れてそんなことっ」バッ バタン ダダダダ

クリスタ「あぁ、扉蹴破って行っちゃったじゃない。どうするのよ」

ユミル「だはは、まぁいいじゃねぇか。これでうるせぇ奴もいなくなったし、さっさと寝るぞ」フゥ ランプケシ

アニ「(はぁ・・・さっきは危なかった、こんなもの見せたら何言われるかわかったもんじゃない・・・疲れたしもう寝よ)」

アニの夢 熱出した時

アニ「うぅ、あつい・・・」ハァハァ

ガチャ スタスタ

アニ「(!誰か入ってきた)」

ベルトルト「・・・アニちゃん、大丈夫?」

アニ「ベル君?・・・その顔は?」

ベルトルト「う、うん・・・ちょっと怒られた」

アニ「そ、そんな。ベル君は悪くないのにっ」ゴホゴホ

ベルトルト「!僕の事はいいからっ・・・アニちゃんは?」

アニ「・・・あつい・・・なんだか体がフワフワしてるぅ・・・このまましんじゃうのかな」グスン

ベルトルト「!!ダメ、絶対駄目だからね。あ、アニちゃんは僕のお嫁さんになるんだからっ!!・・・そうだ、おばあちゃんが言ってた薬草僕が取ってくるからっ。だからそれまでがんばってて」ダッ

アニ「・・・・・・ベル君」

その後、ベルトルトは雪山なのにも関わらず薬草を見つけて来てくれたらしい。ただ、勝手に山に入ったことで何人かの大人にまた怒られたらしい。その薬草は私のために使われ、熱は上手く下がった。だけど、今度はベルトルトが熱を出してしまい二人が会えたのは最後にあってから一週間以上経った時だった。

ベルトルト「あっ、もう大丈夫なんだね」ニコニコ

アニ「ベル君!!・・・」カアァ

ベルトルト「?」

アニ「そっそっちはもう大丈夫?」

ベルトルト「うん。薬が効いたみたい・・・」

アニ「そ、そう・・・良かった。・・・あ、あのね、この前の話なんだけど・・・い、いいよっ。わたし・・・」マッカカー

ベルトルト「?何の話?」

アニ「だっ、だからこの前、私の部屋に来たとき・・・」プルプル

ベルトルト「?僕が部屋に行った?・・・いつのこと?」

アニ「えっ・・・もしかしてこの前言った事全然おぼえてないの?」

ベルトルト「??そもそもいつの話かわかんないよ」キョトン

アニ「ええーーーーーーーーー」

真夜中 アニのベット

アニ「!!」ガバッ

アニ「はぁ、はぁ・・・くそ・・・」

あの時の夢を見ていた。あいつのこと意識するようになったきっかけの出来事だ・・・

あの後聞き出してみると、私と話したことはおろか自分が薬草を取りに行ったことすら知らないらしい

その場は何とかして、あとで大人にどういう事か聞きに行った。どうやら、熱を出して記憶が無くなってしまうのは子供にはよくあるらしい・・・

記憶を無くされて困った私はしきりに大人たちになんとか戻す方法はないのかと聞いた。やけに必死な私を疑問に思ったのか大人たちは理由を聞いてきた

あの時答えてしまったのは一生の不覚だ。どうせ言っても方法は無かったのだから。でも幼い私にはその事がわからなかった

理由を言った後、大人たちは少しの間顔を見合わせ、すぐに大笑いした。そして、効果があるのかどうだか分からない方法を教えてくれたが全部駄目だった

私は全部試したのに!!しかもあの大人たちはこの話をいろんな所でして、最終的に村のほとんどの大人が知る話となった

ただしお父さんには知られないように気を配ったらしい。あいつの命が危ないからと言っていた

まぁ結局、ほとんどの大人が知っている状況には変わらず、あいつと一緒にいるといつもニヤニヤとされた、まったく・・・

アニ「(まったく馬鹿な話だよ・・・あれから私ばっかりが意識してる)」

アニ「(あいつも何も覚えてないのにこういうものは渡すし・・・)」カチャ

アニ「(今日のツリーにした願い事は二つあった。一つは故郷に帰ること、でも、もう一つはあいつがこの話を思い出すようにって・・・)」

アニ「(もういいや、寝よ)」ゴロン

アニ「・・・・ベル」ボソッ

そう呟いた後、今度こそ朝まで眠った

翌朝 食堂

ベルトルト「うーん(昨日はよく寝たなぁ~寝相もベットから上半身が出るぐらいで済んだし・・・)」ノビー スタスタ

ベルトルト「(さて、どこに座ろうかな・・・!あれはマルコが一人で座ってる。昨日の事もあるしあそこにするか・・・)」キョロキョロ

ベルトルト「やぁ、マr!?(何処かみてる?・・・!・・・ミーナか、見慣れない髪かざりしてるし、多分そうなんだろうなぁ)」

マルコ「あっ、ベルトルト!おはよう」

ベルトルト「おはよう。ここに座ってもいい?」

マルコ「うん。どうぞ」

ベルトルト「ありがと。昨日は悪かったね」ガタッ

マルコ「あぁ、大丈夫だったの?ミーナは変なこと言ってたけど・・・」

ベルトルト「大丈夫だったけど、ミーナの思ってた展開じゃなかったと思うよ」

マルコ「ははは、そっか」

ベルトルト「そういえば、ジャンは一緒じゃないの?」

マルコ「あぁ、ジャンはエレンたちと食べてるよ。仲直りに協力したみたいなんだ」

ベルトルト「!!じゃあ上手くいったんだ、良かった・・・それにしても、あのジャン・・・」

マルコ「あぁ、さっきからミカサに話しかけようとして、ことごとく失敗してるね。もっといろんな方法でアプローチすれば少しは注意を引けると思うんだけど・・・」ブツブツ

ベルトルト「(!!昨日僕がからかわれたし、今日は僕がからかってみるか)」

ベルトルト「例えば・・・髪かざりを買ってあげるとか?」ボソ

マルコ「えっ!?」

ベルトルト「よかったね、ミーナ気に入ったみたいだよ。でも・・・あんまり見てると変に思われちゃうよ」ニヤニヤ

マルコ「~~~っつ、わかった・・・」カアァ

ベルトルト「そうそう・・・・」ニヤニヤ

マルコ「・・・もしかして昨日の仕返し?」

ベルトルト「気付いたんだ。うん、そういうこと」

マルコ「はぁ、言われる側の気持ちがよくわかったよ」ガクッ

ベルトルト「それはそれは」

そう言って僕もアニの方を見てみる、その瞬間、偶然にもアニもこっちを見てきた。俄かに見つめ合う

焦った僕はとりあえず笑ってみせる、アニはそれを見て一瞬視線を外した後笑いかけてきた。可愛い可愛い

僕はその顔を見て安心することができるからアニの事が好きなんだと思う

うん

あの雪と光のなかで生誕祭の準備をする人々のように、今を、この瞬間を生きよう

大丈夫、もし危なくなったら、僕には君との約束があるんだから

これでこの話は終わりです。

なんというか、ベルトルトは揺らぐことがない人という話がたくさんあったのでこの話では揺らぎそうになるベルトルトを書いてみました。いかがだったでしょうか?

果たして読んでくれた人はいたのでしょうか?・・・すみません、初投稿で気にしすぎてます。

読んでくれた人がいることを祈って、お礼を言って終わりにしたいと思います。

こんな話を読んでくださり本当にありがとうございました!!

ほっこりした!乙!

ピザ好きなアニ可愛い乙

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