少女「あ、こんなところにキノコが生えてる!」(199)

少女「あ、こんなところにキノコが生えてる!」

少女「でも、なんで壁からキノコが生えてるんだろう……?」

少女「不思議だなぁ……」

少女「しかも、ちょっとしなびちゃってるし」

壁の向こう──

男(しまったぁ~!)

男(壁に小さな穴があったから、つい出来心でアレを入れてみたら)

男(抜けなくなってしまった……!)グイグイ

男(くそぉ~どうしよう……!)

男(しかも、壁の向こう側にだれか来たみたいだし……最悪だ!)

男(早く引き抜く作業に集中したいから、どこか行ってくれ!)

少女「…………」ゴクッ

少女「ちょっとさわってみようかな」

少女「そぉ~っと……」チョンッ

キノコ「!」ピクッ

少女「わっ!?」

少女(ビックリした……!)ドキドキ

少女(帰ろっ!)スタタッ

壁の向こう──

男(まさか、さわってくるとは……!)ドキドキ

男(でもまぁ……どこか行ったみたいだな)

男(さて引っこ抜く作業に入るとするか)

男(かなりジャストフィットしてしまっているが──)

男(幸いにも旅の途中だったから、水と食糧は大量にある)

男(ま、じわじわ力を入れていけばそのうち抜けるだろう)グイグイ

男(焦らない、焦らない)グイグイ

翌日、男はまだ壁にくっついていた。

男(くそっ、結局一晩中やっても抜けなかった……)

男(まぁいいや、ここら辺は人通りも少ないし)

男(昨日、さわってきたヤツも二度と通らないだろう)

男(今日こそ引っこ抜いてみせる!)

男(ん……)ムズッ

男(とりあえず、小便しよう……)

少女「あ、まだキノコ生えてた!」

キノコ「…………」ジョロロ…

少女「きゃっ!?」

少女「キノコから水……? いやお湯が出てる……!」

少女「すっごぉ~い」

少女「なんなんだろう、コレ? 新種のキノコなのかなぁ?」

少女「だとしたら、大発見かも!」

壁の向こう──

男「!?」

男(おいおい、まただれか来たのかよ!)

男(くそぉ~早くどこか行ってくれよ!)

男(おちおち小便もできやしねぇ!)

男(とりあえず小便中断だ! 膀胱炎になりませんように……)

キノコ「…………」ピタッ

少女「あ、お湯が止まった!」

少女「これは面白い!」

少女「よぉ~し、持って帰ろう」ギュッ

キノコ「…………!」ピクッ

少女「あ、けっこう柔らかいんだ」ムニュッ

少女「よいしょ!」グググ…

キノコ「いてぇっ!」

少女「うわっ!?」

壁の向こう──

男(やべぇ、思わず声出しちまった……!)

男(にしても、なんてことしやがる! まったくもう……)

男(本当にちぎれるかと思ったぜ!)

男(今の手の大きさと声からして、女の子か……?)

男(クソッ、親はなにやってやがんだ!)

男(とはいっても、親が来たら俺はアウトだけどな!)

少女「ビックリした……」ドキドキ

少女「キノコさんってしゃべれるんだ!」

少女「ごめんね、もう持って帰るなんてしないからね」

少女「ごめんなさいのキッス」チュッ

キノコ「!」ピクン

少女「じゃあまたね~!」

壁の向こう──

男(行ったか……?)

男(まさかキスするなんて、あの子が真実を知る日が来ない日を祈るぞ)

男(しっかしあの様子じゃ、また来るなきっと……)

男(なんとかして引っこ抜かないと……!)

男(うぐぐ……がっつりフィットしてて抜けねぇ……!)グググ…

男(痛い!)

男(ダメだ、無理!)

男の努力も空しく、また一日が経過した。

男(あ~あ、自分探しの旅のハズが、ふとした好奇心が災いして)

男(まさかこんなことになるなんてな……)

男(こんなんじゃ、俺のやりたいことなんて一生見つからないよ……)

男(とりあえず、今俺が一番やりたいことはコレを壁から引っこ抜くことか)

男(はぁ……)

少女「あ、まだ生えてた!」

少女「こんにちは、キノコさん!」

キノコ「…………」

少女「こんにちは~!」

キノコ「…………」

少女「あれれ? 今日は声を出してくれないのかな……?」

壁の向こう──

男(今日は意地でも声を出さん!)

男(声を出さなければ、きっと飽きて二度と来なくなるだろう)

男(どんなに痛くても絶対に我慢してみせる!)

男(たとえ引っぱられたって、しょせんは子供の腕力!)

男(ちぎれることはない、ハズ!)

男(さぁ、引っぱってみろや! 勝負!)

少女「あれ~? キノコさん、ご機嫌ナナメなのかなぁ?」

少女「じゃあ今日は優しくナデナデしてあげるね」

少女「うふっ」ナデナデ

キノコ「!」ピクン

少女「え?」

キノコ「!」ムクムク…

壁の向こう──

男(ま、まずい!)

男(まさかさすってくるとは!)

男(こればっかりは我慢とかしてもどうしようもない! 本能レベルの問題だ!)

男(考えろ……考えろ……)

男(全裸のババアが100人、俺に迫って来てると想像しろ!)

男(オ、オエ~~~~~ッ!)

キノコ「…………」シナ…

少女「あれ、しぼんじゃった!?」

少女「ナデナデが足りなかったのかな?」

少女「よぉ~し、もっと一生懸命やるからね」

少女「えぇ~い」ナデナデ

キノコ「!」ピクーン

少女「やった! また元気になった!」

少女「もっともっとおっきくなぁ~れ」ナデナデ

キノコ「…………」ムクムク…

少女「もっともっともっと……」ナデナデ

キノコ「…………」ムクムク…

少女「私がおっきくしてあげるからね」ナデナデ

キノコ「!」ピキーン

壁の向こう──

男(ダメだ、あっという間にフルサイズになっちまった!)

男(しょせん想像は想像……)

男(実際にさわられてたら、どんなにエグイ想像をしても無駄だ!)

男(だが、逆にいえばこれ以上は大きくならん!)

男(もう大きくならないんだ、ってガッカリするにちがいない)

男(そうなれば、きっとこの子も興味がなくなるハズ……)

キノコ「…………」

少女「あれ、もうおっきくならないや」ナデナデ

少女「ま、いっか」

少女「きっとものすごく喜んでるってことだよね」

少女「しばらくこうしててあげるからね」ナデナデ

少女「ゆっくりゆっくりナデナデしてあげるね」ナデナデ

キノコ「!」ピキピキ…

少女「キノコさぁ~ん、気持ちいい?」ナデナデ

キノコ「…………」ジワッ…

少女「うわっ!?」

少女「なに!? なんなの!?」

少女「なんかいきなり、頭から透明なのが出てきた……」

少女「なんだろ、これ……」

少女「樹液かなにかかな……?」

少女(もしかしたら、すっごく美味しいのかも……)

少女「ちょっとなめてみよう」ペロッ

キノコ「!」ビクン

少女「…………」ゴクッ

少女「う~ん、あんまり美味しくないや……」

少女「ちょっと残念……」

少女「でも、きっとキノコさんなりのプレゼントだったんだよね」

少女「頑張ったね、キノコさん!」

少女「今度来た時は、もっともっとナデナデしてあげるからね!」

少女「またね!」

壁の向こう──

男(ハァ……ハァ……ハァ……)

男(なんとか抑えられた……!)

男(危うく声が出るところだった……!)

男(あの子、どんどん行動がエスカレートしてるな)

男(今日という今日こそ抜かねば!)グググ…

男(うおおおお~っ!)グググ…

この日、男は壁を壊してでも抜くくらいの意気込みで臨んだが、結局抜けなかった。

翌日──

少女「あ、キノコさんあった!」

少女「今日は時間がいっぱいあるから」

少女「いっぱいいっぱいナデナデしてあげるね!」

キノコ「!」ピクッ

少女「あ、まださわってないのに、ちょっと反応した!」

少女「きっと私のこと、覚えてくれたんだね」

少女「えらいえらい」ナデナデ

少女「キノコさん……楽しい?」ナデナデ

キノコ「…………」ムクムク…

少女「私はキノコさんと一緒にいると楽しいよ」ナデナデ

キノコ「…………」ムクムク…

少女「ありがとう、キノコさん!」ナデナデ

キノコ「どういたしまして」ムクムク…

少女「!」

壁の向こう──

男(しまった!)

男(つい返事をしてしまった!)

男(くっそぉ~! せっかく声を出さずに頑張ってきたのに!)

男(なんというケアレスミス!)

男(俺の親父はしつけに厳しく、礼をいわれたら必ず返せっていわれてたからなぁ)

男(──のわりに、息子の俺はこんなアホなことになってるワケだけど)

男(これはもう……会話ができるキノコになるしかないのか……?)

少女「キノコさん!」ナデナデ

キノコ「!」ビクーン

少女「えへへ、まだまだやめないよ」ナデナデ

キノコ「!」ビクビクーン

少女「私、キノコさんのこと……大好き!」ナデナデ

キノコ「!」ビキビキ…

壁の向こう──

男(まずいっ!)

男(太ももの辺りが熱くなってきた……!)

男(いかん、いかんぞ、これ以上さすられたら……!)

男(だが同時に、止めないでと思ってしまっている自分もいる……!)

男(ちくしょう! もうどうにでもなりやがれ!)

男(うおおおおっ!)

少女「大好きだから……!」

少女「本当に大好きだから、もっとナデナデしちゃうよ!」ナデナデ

少女「もっともっともっと」ナデナデ

キノコ「……っ!」ビクン

キノコ「!」ビュルッ

少女「え!?」

キノコ「あ、あぁ……あぁっ!」

少女「うわぁっ! キノコさん!? どうしたの、大丈夫!?」

キノコ「!」ビュルルルッ

キノコ「……っ! ……っ! ……っ!」ビュッビュッビュッ

少女「きゃああっ!? なにこれ!?」

キノコ「…………」ピュルッピュルッ

キノコ「…………」ビクンビクン…

少女「うわっ、いっぱい顔にかかった……」

少女「なんだろ、この白いの……」ネバー

少女(牛乳ともちがうし、ボンドともちがう……なんだろ?)

少女「これもキノコさんのプレゼントなのかな?」ペロッ

少女「…………」ゴクン

少女(不思議な味……)

少女(私の中で、すっごいたくさんの人が泳いでるような感覚……)

少女「あ!」

キノコ「…………」シナッ…

少女「キノコさんがしなびちゃってる!」

少女「キノコさん、大丈夫!?」

キノコ「平気さ」

少女「よかった……!」

キノコ「今日はありがとう、おかげでスッキリしたよ!」

少女「へ?」

キノコ「あと、ここで君と会ってることは他のみんなには内緒だよ!」

少女「うん、もちろん!」

壁の向こう──

男(あ~あ、ついにまともに会話しちまった)

男(しかも、まさか出してしまうとは……)

男(とりあえず口止めしといたから、この子以外の人が来ることはないだろうが……)

男(俺はなにやってんだ……トホホ)

男(とにかく今日こそ引っこ抜く! ぬおおおおっ!)グググ…

もちろん、今日も抜けなかった。

次の日も少女はやってきた。

少女「ねぇ、キノコさん」

少女「昨日は私にいっぱい話しかけてくれたから」

少女「今日は私の話を聞いてくれる?」

キノコ「……いいだろう、話してみな」

少女「ホント!?」

少女「私ね、いっつも学校で一人ぼっちなんだ」

キノコ「!」

少女「なんていうか、みんな私に対してよそよそしいんだ」

少女「お父さんやお母さんに話したくても」

少女「いつも仕事でいないし……」ウルッ

少女「私、どうしたらいいんだろ?」

キノコ「…………」

キノコ「ぶつかっていけ!」

少女「!」ビクッ

キノコ「安心しろ、俺がついてる!」

キノコ「もしぶつかってくじけちまったら……俺がなぐさめてやるくらいはできる!」

キノコ「俺はおまえの味方だ!」

キノコ「ぶつかれっ!」

少女「……うん!」

壁の向こう──

男(ったく、我ながらメチャクチャなアドバイスだぜ)

男(だが、この子がいじめられるような性格には思えない)

男(きっと、なんつうか心のすれ違いみたいなもんが原因のハズだ)

男(俺のアドバイスも、あながち的外れじゃない! ……多分)

男(子供の時は、ぶつかっていくくらいの気持ちがあった方がいいんだ! 多分!)

少女「ありがとう!」

少女「お礼にナデナデしてあげるね」ナデナデ

キノコ「!」ムクムク…

少女「アハハ、おっきくなった」ナデナデ

キノコ「ん、んっ……!」ビュルルッ

キノコ「んああっ……」ビュルルルッ

少女「ふふっ、昨日よりいっぱい出たね。すごいすごい」

キノコ「…………」シナッ…

少女「キノコさん……」

キノコ「ん?」

少女「私、やってみる!」

少女「やってみるから……明日も話聞いてね!」

キノコ「おう!」

少女「じゃあね!」

キノコ「じゃあな!」

壁の向こう──

男(大丈夫かな、あの子……)

男(とりあえず、今日は引き抜くワケにはいかないな)

男(俺、というかキノコはあの子の大事な相談相手だからな)

男(最後まで見届ける義務がある)

この日、男は初めて引き抜く作業をせずに、眠りについた。

そして次の日──

少女「キノコさん!」

キノコ「おう、どうだった?」

少女「キノコさんのいったとおりだったよ!」

少女「今まで、みんな私のことを気難しい性格だと思ってたみたいで」

少女「避けられてたみたい!」

少女「でも、みんなとちゃんと話したら、打ち解けることができたよ!」

少女「ありがとう、キノコさん!」

キノコ「ふっ……どういたしまして」

壁の向こう──

男(よかったじゃないか……)

男(まさか当てずっぽうアドバイスが、うまくいくなんてな)

男(もっともこの子は嫌われるような人間じゃないってのは)

男(壁を隔てて、この子の顔を見たこともない俺からでも分かるくらいだった)

男(だったら直接ちゃんと話せば、打ち解けられるに決まってるんだ)

男(俺のおかげじゃない)

男(紛れもなく、この子自身の力だ……)

少女「……でね、キノコさん」

少女「私、みんなとも遊びたいんだけど」

少女「みんなと遊んだらここに来れなくなるし」

少女「だから私、今日は遊びに誘われてけど、断ってここに来ちゃった」

少女「だって私、キノコさんのことが──」

キノコ「バカヤロウッ!」

少女「!」ビクッ

キノコ「俺はキノコだ。菌類なんだ。おまえらとは住む世界がちがう」

キノコ「今まで俺がおまえに付き合ってやったのは、おまえが一人ぼっちだったからだ!」

キノコ「みんなに受け入れられたんなら、俺なんか忘れて、みんなと遊べ!」

キノコ「そうしないと、おまえのこと嫌いになるぞ!」

少女「キノコさん……」グスッ

キノコ「……行きな」

キノコ「おまえはもう、ここに来るべきじゃない」

少女「キノコさん……今までありがとう」グシュッ

キノコ「こっちこそな。君と話せて、気持ちよかったぜ」

少女「……うん」グスッ

キノコ「泣くな。友だちに、泣き顔を見せる気か?」

少女「あっ……」ゴシゴシ

少女「じゃあ最後にもう一回、ナデナデしてあげるね」クスッ

少女「キノコさん……大好きだよ」ナデナデ

少女「キノコさんが人間だったらよかったのにな……」ナデナデ

少女「本当にありがとう」ナデナデ

キノコ「…………!」ムクムク…

キノコ「あっ、あぁっ……んっ! ……っ!」ビュルルルッ

キノコ「んぅ……っ! いぁんっ──!」ビュクンビュクン

少女「わぁ、今までで一番出たんじゃない?」

少女「もったいないから全部舐めてあげるね」チュパチュパ

少女「んっ……んっ……」チュパチュパ

少女「──うん、これでオッケー」

キノコ「やめとけよ、不味いだろこんなモン」

少女「うん、まぁ美味しくはないかな」

少女「でも……こうしてるとキノコさんがもし人間になったら、っていう姿が見えるの」

少女「ちょっと細くて、真面目だけど、たまにとんでもないことやるって感じの」

キノコ「!」

少女「……なぁんてね、適当適当」

少女「さよなら、キノコさん!」ダッ

キノコ「おう、さよなら!」

壁の向こう──

男(ちょっとビックリしたな)

男(まさか、俺の特徴を言い当てるだなんて……エスパーか?)

男(ま、偶然だよな偶然……)

男(細くて真面目でたまにアホやるヤツなんて、世の中いくらでもいるだろうしな)

男(でも、よかったな)

男(あの子が元気になって……)

男(あの子はもうここには来ないだろう)

男(これでいい、これでよかったんだ……)

男(さて、あとはこれが引っこ抜ければいいんだが──)グイッ

スポッ!

男「!?」

男(抜けた!?)

男(今まであれだけ引っぱっても抜けなかったのに……!)

男(あぁ~自分の体の一部なのに、ずいぶん久々に見た気分だよ。何日ぶりだ?)

男(俺のチ……いや、キノコさん……)

男(さてと、自分探しの旅の途中だったけど……)

男(もういいや、帰ろう!)

男(だって俺はこの数日間で、やっとやりたいことを見つけられたからな!)

男(俺は……教師になる!)

男(教師になって、あの子のような悩める子どもを救いまくってやる!)

男(やるぞぉ~!)

           /´ ̄`ヽ            , --、
          /  人   l             /    \
        / /爻ヽ  ヽ      , ---、 | く⌒ヽ ヽ , -─‐-、    
        { /∠⌒ヽ }  }       / ,--、ヾ> ヽ } レ'  , ---、 ヽ    ____,
        レ'彡イ {Uj }ヾミイ       {  \ } }|  V /  /     `! |  t´r'⌒
    ⌒)ノ  |  ドこzン八三}     ,ィ\/⌒ヾ ̄ヾノ_ノ  ァ'-─-、 ゞL__,〃
     (ソ⌒ヽ! ト--イ ⌒__,ハ  ,ィシvく}了ミy'´7´l}_, -‐┴-、   `ヽ  ̄ ′
      レ)   ! ト--イ (  ノ `ーべ⌒ヽ>y' 〃, -┴┴ミ、_}_}_}_j ヽ⌒) j     <ナデナデシテー
      ヽ)、___,>、ト--イ ))〈     ト㍉チrく    // ̄ヽ、_) / /  _..._
  '⌒>‐ミ、 \)こZヾ--ヘ{{ l|  y' ゝ ヾミ゙)'}|≧>、 / /バ⌒ヽn V/ 〃⌒ヽ
  (⌒ヾ>ニKド、⌒Yく_/ヽj} 人_ゝ__>==1 r彡"´/ / | |   /y'}[__//    `
    ,ィ  ゙̄Vソ,イノ \__ム丁了)ノr'ン´フノ ィ彡/| | ヽヽ. // ヽVソ´
   / / r‐ヘ `Y {    [二[| ,勹77´ ̄ シ三彡'/| |\ ヽV/ミ、_} Kミ、
  { {   トZべ.」 |   [三}〒ラ77 (_)(_) r三/ / | |> \f⌒l/l | L }
 ヾl |  l三ィ∧ l __. [三}⊥.イ工===ァべ/ /,ィ| |/>l{ l>}X.| |゙)レ′

  ヾ, ヽ  {三N>} Y二ヽ」ニ/l⌒ヾ´  /  {O}___」 |/rくゝ _ソ\l |(
   >、 \ 缶jfハ >n' fy' l ⌒y} //⌒\/rヘ l/ /7㌦\j j
  /∧>、_/フイ/7-Vきy'/1 |(⌒)|}./|ト、   \j.ハ ヽ. //) l| //
  !{ニ///,イ///∠7/Zl{ |ィ^トl|\.j| ノへ.____}へ. V/´ ヽV./
  ゞ〃'Tヽ 〃´ ̄ ̄〃⌒l  VハVj  }ソ       ヽ \  //
  ケミ三彡"     /   ゝ ゞ= 'ノ二/         \ ゝ" /

やりたいことは見つかった……。
まもなく男は旅から戻ると、教師になるための猛勉強を開始した。


やがて男の努力は報われ、生徒たちに慕われる素晴らしい教師となった。


ちなみに、男は教師になるきっかけを与えてくれた出来事を忘れないため、
自身のヘアースタイルをあるものに似せていた。


生徒たちはみな、彼を髪型にちなんで「キノコ先生」と呼び親しんだという──



<おわり>

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