マミ「なぎさちゃんがかわいすぎて生きるのが楽しい」 (78)

※叛逆ネタバレ注意


――巴家

ピンポーン

マミ「はーい(うふふ、来た来た♪)」

ガチャ

なぎさ「マミお姉ちゃんこんにちはなのです」

マミ「なぎさちゃんいらっしゃい」

マミ「さあ上がって。いつものお店で買ったチーズケーキがあるわよ」

なぎさ「わーい!」

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なぎさ「お姉ちゃんはケーキを選ぶのも作るのも一流なのです」モグモグ

マミ「ありがとう。そういえばなぎさちゃん、今日もお父さんの帰りは遅いの?」

なぎさ「はいなのです。だから今日も夕ご飯はマミお姉ちゃんのお世話になるのです」

なぎさ「――そんなわけでパパが材料を買ってきてくれたのです」ゴソゴソ

なぎさ「じゃーん! 今夜はラザニアなのです♪」

マミ「って生地から作るつもりなの? なら早く準備しなくちゃ。なぎさちゃん、お手伝いしてくれる?」

なぎさ「もちろんなのです! 腕によりをかけておいしいラザニアを作るのです!」

※注 お菓子の魔女の初期設定
(病気の母親にチーズケーキを食べさせるために魔法少女になった)を採用しています

――数十分後

マミ「では寝かせた生地を冷蔵庫から出しましょう」

なぎさ「はいなのです!」ガチャ

マミ「生地をこねるのお願いしていいかしら」

なぎさ「おまかせなのです!」こねこね

マミ「こね終わったら打ち粉をふって麺棒で薄く伸ばしていくのよ」

なぎさ「はーい♪」

マミ(その間に私は二種類のソースを煮詰めて…)

なぎさ「ひっくちゅ!」もわっ

マミ「!?」もくもく

マミ(くっ…目にゴミが…)

なぎさ「あわわ…ごめんなさい」

マミ「こ、このくらい平気よ(打ち粉を飛ばしちゃったのね)」

なぎさ「あっホワイトソースが焦げちゃう」

マミ「!……そうはさせないわっ」ササッ

マミ「トッカ・スピラーレ!」ギュルルルル  ※しゃもじです

マミ「フフ…私の料理にかける情熱の前では、どんなダマも焦げも敵ではないわ」キリッ

なぎさ「かっこいいのです…」パァァ

なぎさ(なぎさもいつかお姉ちゃんみたいにお料理上手になれたらいいな)

マミ「――さて。あとは焼けるのを待つだけね」

なぎさ「くんくん…チーズの焼けるいい匂いがするのです…」ホワワ

マミ「そうね。じゃあ焼けるまでに野菜を切り分けてサラダを作っておきましょうか」

なぎさ「はいなのです!」

マミ「うふふ。なぎさちゃんは好き嫌いなくなんでも食べてえらいわね」

なぎさ「えへへ///」

なぎさ「…」

なぎさ「だって病気で好きなものを食べたくても食べられない人もいるから…」

マミ「あっ…」

なぎさ「…」シュン

マミ「大丈夫よ。今日のなぎさちゃんはいっぱい頑張ってくれたもの」

マミ「なぎさちゃんがお手伝いしてくれたおかげでとっても助かったわ」

マミ「お野菜もたくさん食べるし、毎日お勉強も頑張ってるし」

マミ「きっと天国のお母さんも、なぎさちゃんのことを褒めてくれているわ」

なぎさ「本当…?」

マミ「そうよ。だけどお母さんはその気持ちを直接なぎさちゃんに伝えられないの」

なぎさ「うん…天国にいるから…」

マミ「だから代わりといってはなんだけど、私がなぎさちゃんのこといっぱい褒めてあげる」ぎゅっ

なぎさ「あっ」

マミ「私だってなぎさちゃんのことが大切なのよ。あなたが悲しい顔をしていると、私も悲しくなるの」

マミ「あなたの辛さが、痛いほどわかるから…」

なぎさ「……ありがとうなのです。なぎさは泣かないのです」

なぎさ「それから、なぎさもお姉ちゃんに言いたいことがあるのです」

なぎさ「お姉ちゃんはとっても強くてかっこよくて、いつもなぎさに優しくしてくれるのです」

なぎさ「お姉ちゃんのパパとママも、そんなお姉ちゃんのことをいっぱい褒めてあげたいはずなのです」

なぎさ「だから……代わりになぎさが褒めてあげるのです」なでなで

マミ「もう、おませさんね」ウルッ

なぎさ「くんくん…もうすぐラザニアが焼き上がるのですよ」

マミ「そうだったわ。早くサラダの用意をしなくちゃね」

なぎさ「はーい♪」

――――

なぎさ「ごちそうさまなのです」

マミ「なぎさちゃん口の周りがミートソースだらけよ」

なぎさ「ありゃ、まだ残ってたのですか」ペロペロリーン

なぎさ「これでほんとのごちそうさまなのです」

マミ「もう、お行儀が悪いわよ」

なぎさ「食べ物を粗末にするなと日頃から言われているのです」

マミ(佐倉さんね…)

なぎさ「ありゃりゃ、もう帰らなきゃいけない時間なのです」

マミ「あら、そう。じゃあ送っていくわ」

なぎさ「わーいお姉ちゃんとお散歩なのです」

マミ「なぎさちゃん手をつなぎましょうか」

なぎさ「ふふふ。仕方ないからつないでやるのです」

マミ「あらあら、つながれてしまったわ」

なぎさ「えへへ」

マミ(うふふ。ちっちゃくてあったかい手ね)

なぎさ「お姉ちゃん、一緒にケーキの歌を歌うのです」

マミ「いいわよ」

マミ・なぎさ「ケーキ♪ ケーキ♪ まあるいケーキはだあれ?♪」

なぎさ「お姉ちゃん、今日もおいしいごちそうありがとうなのです!」

マミ「わたしこそありがとう。今日も楽しかったわ」

なぎさ「帰り道に気を付けるのですよ」

マミ「大丈夫よ。悪いやつが来たらとっちめてやるわ」

なぎさ「お菓子につられて知らない人に着いていかないのですよ」

マミ「はいはい(それはあなたでしょ)」

なぎさ「また明日なのです」

マミ「またねー」

マミ(はぁ…そしてまた誰もいない我が家へ帰ってきてしまったわ)

ガチャ
杏子「よぉマミ」

マミ「あら佐倉さんちょうどよかったわ。あなたに話があったのよ」

杏子「なんだよ。ケーキと紅茶があるなら聞いてやってもいいぞ」

マミ「うふふ。すぐ用意するからリビングで待っててちょうだいね~」

杏子(げっ、なんか様子がおかしい)

マミ「あらどうしたの佐倉さん。お腹がすいた? それとも喉がかわいたのかしら?」

杏子「な、なんでもねえよ…」

杏子(やべえどうしちまったんだマミ…まあ原因は大方予想がつくけど…)

杏子「なんかいい匂いがするな」

マミ「うふふ。さっきなぎさちゃんと一緒にラザニアを作ったのよ」

杏子「マジで? じゃあ残りとかないの?」

マミ「残念ながら二人で全部食べちゃったわ」

杏子「うわーついてねえなぁ」

マミ「多めに作ったつもりだったんだけど、なぎさちゃんったらもりもり食べちゃって」

マミ「とってもおいしそうに食べるものだから私もつい甘やかしちゃうのよ」

杏子「へー」

マミ「はーいケーキと紅茶よ。たーんと召し上がれ」

杏子「お、おう…」モグモグ

杏子「で、話って何さ」

マミ「うふふ、おいしい?」ニコニコ

杏子「あ、ああ…いつもいつも最高だよ(やりにくいな)」

マミ「よかった。今日はいつもより大人しく食べるものだから心配しちゃったのよ」

杏子(それはてめえのテンションのせいだっつーの)

マミ「そうそう。佐倉さん、おいしく味わってくれるのは嬉しいんだけど、もっとお行儀よく食べなきゃ」

マミ「なぎさちゃんが真似して変な食べ方をするようになったらどうするの」

杏子「…もしかして話ってそれか?」

マミ「そうよ。なぎさちゃんにとってはあなたもお姉さんなんだから、もっとお姉さんらしく――」

杏子「なあマミ。ちょっと一言だけいいか?」

マミ「あら、何かしら?」

杏子「あのな、お姉さん経験者のあたしから言わせてもらうと…」

マミ「ええ」

杏子「今のあんたの様子は姉ちゃんっていうよりも…母ちゃんだ」

マミ「」

マミ「…ええそうね。私はお母さんのいないなぎさちゃんの心の支えになれればいいと思って――」

杏子「いやそうじゃなくて、あたしといる今の状態のマミが母ちゃんみたいだって言ってるんだよ」

マミ「」

杏子「おーい……わりぃ大丈夫か?」

マミ「だ、大丈夫よ…とはいえ由々しき事態ね」

マミ「よくあることよね。女の子数人で構成されたのチームの最年長メンバーがババくさくなってしまう現象」

杏子「お前何言ってんだよ」

マミ「なぎさちゃんが加入した頃から予感はあったわ」

マミ「その現象は特に、最年長メンバーと最年少メンバーの年齢差が大きくなればなるほど発生するもの」

杏子「おーい」

マミ「加えて私にはこの中学三年生の少女とは思えない母性に溢れたナイスバディがある…」

杏子「自分で言うなよ」

マミ「実際中の人も最年長だし」

杏子「それは言わなくてもいいだろ」

マミ「だからみんなのお母さん扱いされても仕方がない…私は受け入れるわ」

杏子「え? 受け入れるのかよ?」

杏子「おいおい。そんなこと一個下のあたしらへの態度に気をつければどうにかなる話だろ」

杏子「今までどおりの接し方に戻してくれればそれでいいんだってば」

マミ「無理よ…私はもうこの湧き上がる母性を抑えきれない…」スッ

杏子「!?」

マミ「…杏子ちゃん…あなたは辛いときも必死に生きてきたわね。私はその姿を間近で見てきたわ」

マミ「今まで本当によく頑張ったわね…でも大丈夫。もう強がったり意地を張ったりする必要はないのよ」

BGM『さぁ~眠りなさい~疲れ切った~体を~♪』

杏子「うぇなにするんd」バフッ

マミ「こぉ~ら、女の子なんだからちゃんとおまたを閉じておっちんしなきゃダメでしょ」

杏子「やめろー放せ―っ!」

マミ「まあ、杏子ちゃんったら照れ屋さんなんだから。かわいい♪」なでなで

杏子「ぎゃーっ助けてくれーさやかーっ!」

――百江家

なぎパパ「ただいまー」

なぎさ「おかえりなさーい!」

なぎパパ「なぎさー今日もいい子にしてたか?」

なぎさ「もっちろん。今日はマミお姉ちゃんにも褒められたのですよ」エッヘン

なぎパパ「そっかー。楽しかったか?」

なぎさ「うん! 一緒に夕ご飯を作ったりしてとっても楽しかったのです!」

なぎパパ「そっか。それはほんとに何よりだよ…」

なぎさ「パパ、浮かない顔をしているのです。どうかしたのですか?」

なぎパパ「……なぎさ、本当にごめん。パパ明日また出張に行かなきゃならないんだ」

なぎさ「えーっ、土曜日だから一緒にお出かけできると思ったのにー」ぷくー

なぎパパ「本当にごめんな。また寂しい思いをさせてしまって…」

なぎさ「大丈夫。そういうことなら明日はマミお姉ちゃんのお家にお泊りするのです」

なぎパパ「そうか…」

なぎさ「そうと決まれば早速準備するのです。お姉ちゃんにも連絡しておかないと」

なぎパパ「……」

なぎパパ「なあなぎさ、パパちょっと考えていることがあるんだ」

なぎさ「なんなのですか突然」

なぎパパ「新しいママのことだ」

なぎさ「えっ…」

なぎパパ「パパはなぎさにいつも寂しい思いをさせてばかりで、なんとかしなきゃと考えてたんだ」

なぎパパ「それでこの間、お見合いの話をいただいた」

なぎパパ「取引先の人の上司のお友達で、何度か会わせてもらったんだが――」

なぎパパ「とてもかわいらしくて、優しい人だ。結婚後は仕事を辞めて家庭に入ってくれると聞いている」

なぎパパ「もちろんパパ自身もなぎさと一緒にいられる時間を増やしたい」

なぎパパ「だから東京に引っ越すことも考えてるんだ」

なぎパパ「東京の本社に正式に転勤すれば、出張で家を空けることもなくなるからね」

なぎさ「…どうしてそんな大事なこと今まで黙っていたのですか?」

なぎパパ「話すのが遅くなってしまって本当にすまない。忙しくてなかなか話すタイミングがなくて…」

なぎさ「引っ越したら、もうマミお姉ちゃんとは会えなくなっちゃうのですね」

なぎパパ「ああ、そうだな…。それにあまりマミちゃんに迷惑をかけてばかりもいられない」

なぎさ「なぎさは迷惑なんてかけてないのですよ。お姉ちゃんだっていつも喜んでくれるのです」

なぎパパ「そうはいってもあの子はまだ中学生だ。それに来年には受験を控えている」

なぎパパ「二人が仲良しなのは知ってる。でもこういうことは本来あの子に頼るべきじゃないんだよ」

なぎさ「……パパのわからず屋! マミお姉ちゃんのことなんかろくに知らないくせに!」

なぎさ「なんで大人はいつも大事なことを勝手にどんどん決めちゃうのですか…」

なぎさ「ママの病気が治らないことだって、パパはなぎさにずっと黙ってたのです…」

なぎパパ「なぎさ……」

なぎさ「もうパパなんか…大っ嫌いなのです!!!」ダッ

なぎパパ「なぎさっ…!」

バタン!

なぎパパ「……」

シュボッ チーン…
なぎパパ「……」

なぎパパ「なあ、かおる(仮)…なぎさはお前が遺してくれた、最高の宝物だ」

なぎパパ「なのに俺は何をやってるんだろうな…」

なぎパパ「あの子の幸せを願っているつもりなのに、裏目に出てばかりで…」

なぎパパ「最近、悪い夢を見たんだ。なぎさが、お前が入院していた病院の駐輪場でボロボロになって倒れて…」

なぎパパ「恐ろしい化け物に姿を変えてしまう夢を…」

なぎパパ「お前に続いてなぎさまで俺の前からいなくなっちまうんじゃないかって…怖くてたまらなくなって…」

なぎパパ「かおる…俺はどうすればいいんだろう……こんなんじゃもう、父親失格だよ…」

なぎパパ(悪いことはどうしてこうも連鎖するんだ…まさかこんなタイミングで)

なぎパパ(本社で同じプロジェクトに参加していた派遣社員が自殺してしまうなんて…)

なぎさ「……」チラッ

なぎさ(パパ…泣いてたのです…)

なぎさ(ママだってきっと、泣いてるパパを慰めてあげたいはずなのです)


――マミ『だけどお母さんはその気持ちを直接なぎさちゃんに伝えられないの』


なぎさ(なぎさがパパを元気づけてあげなきゃいけないことくらい、わかっているのです)

なぎさ(でもなぎさがいなくなったら、マミお姉ちゃんはどうなってしまうのですか)

なぎさ(マミお姉ちゃんが悲しいとき、嬉しいとき、楽しいとき……)

なぎさ(誰が一緒に泣いたり笑ったりしてくれるのですか…?)

――翌日、美樹家

杏子「――っつーわけで酷い目に遭ったよ」

さやか「ごめんwwwwwww腹筋がwwwww」

杏子「笑い事じゃねーよ! あの後なぎさが電話してこなかったら、マジでヤバかったんだからな!」

さやか「で、マミさん今日は一日中なぎさとデートなわけ?」

杏子「ああそうらしい。にしてもマミのあの入れ込みようったらないね。もう見てらんないよ」

さやか「なぁに? なぎさにマミさん取られちゃってヤキモチ妬いてるの?」ニヤニヤ

杏子「ばっ…そんなわけねーだろ!」

さやか「んもう、杏子ちゃんったら照れ屋さんでちゅねーよちよち」なでなで

杏子「あ゛ーなんでこうなるんだよーっ!」

さやか(しかしこうやってみんなが平穏に暮らせるのも――)

さやか(あの悪魔ほむらとQBが魔獣エネルギーを狩りまくってるおかげなんだから、不思議な話よね)

――ショッピングモール

なぎさ「それじゃあ張り切ってお買いものするのです!」

マミ「うふふ。予算は足りるの?」

なぎさ「もっちろん。こんなこともあろうかとお小遣いを貯めておいたのです」

マミ「ではなぎさちゃん、何を買いたいですか?」

なぎさ「えーっと、マミお姉ちゃんとおそろいのエプロンが欲しいのです!」

マミ「まあ素敵」

なぎさ「それでね、今夜は同じエプロンで一緒にお料理するのですよ」

マミ「とっても楽しみだわ。では早速売り場まで案内するわね」

なぎさ「えへへ。素敵なエプロンが買えたのです」

マミ(まさかチーズ柄のエプロンがこう都合よく売ってるとは思わなかったわ)

マミ(それも親子用の…ウフフ)

マミ「あら?」

なぎさ「……ランジェリーショップですか?」

マミ「ええ。素敵な下着があったものだから。でもなぎさちゃんにはまだ早いわね」

なぎさ「むーっ、なぎさも立派なれでぃーなのですよ」

なぎさ「だからお姉ちゃんとおそろいのパンツが欲しいのです」

マミ「ふふっ、いいわよ。せっかくだから今後のために下着選びのコツを教えておくわね」

なぎさ「ありがとうなのです。これでなぎさはしゅくじょへの道をまた一歩突き進んでしまったのです」

マミ(あらあら、おませな表情もチャーミングね)

なぎさ「おそろいのお洋服がいっぱい買えたのです♪」

グー…

なぎさ「あぁ…お腹がすいたのです」

マミ「そろそろお昼ご飯の時間ね。どこで食べましょうか」

なぎさ「あーっならあそこのカフェがいいのです!」

なぎさ「パスタランチにケーキバイキングがついて、たったの1200円なのですよ」

マミ「たったの1200円って、なぎさちゃんの小さな体で元は取れるのかしら?」

なぎさ「ほほう。ついになぎさの本気を見せるときが来たわけですね」

なぎさ「くちくしてやるのです…この店から…チーズケーキを…一切れ残らず!」ゴゴゴゴ…

ウェイトレス「いらっしゃいませー! 2名様ですね」

マミ「パスタランチにケーキバイキングのついたコースを2つ」

ウェイトレス「レディースコースとキッズコース1つずつでよろしいですか?」

なぎさ「キッズコースのランチは何なのですか?」

ウェイトレス「お子様パスタランチになっております」メニューを示す

なぎさ(手ぬるい…ちょっとしたナポリタンに、チーズの入ってないミニハンバーグなんて…)

なぎさ「いいえ。レディースコース2つでおねがいしますです」

ウェイトレス「あれっお嬢ちゃん、本当にいいの?」

なぎさ「問題ないのです。なぎさは立派なれでぃーなのですから」ファサァ

マミ(やだ…かわいい…)

ウェイトレス「ではレディースコース2つ、パスタはカルボナーラで…少々お待ちくださーい」

――十分後

ウェイトレス「厨房! 第一種戦闘配置!! 繰り返す! 第一種戦闘配置!!」

パティシエA「何が起きた」

パティシエB「見てわからないのか!?」

パティシエA「あっ…あれは…」

パティシエA(薄桃色の髪…あの形相…そしてチーズケーキへの執着…)

パティシエA「まさか、あのときの…」

~~~~~

五年前

――その日、厨房は思い出した

なぎママ「ここのケーキはいつ食べても最高よね♪」モグモグ

なぎパパ「おいおいあんまり食べすぎるなよ…」

なぎママ「ほら、なぎさにも分けてあげましょうね。あーん…」

なぎさ「ちーじゅ! おいちーでしゅ!」

パティシエB「江蓮、落ち着け!」

パティシエA「放せ! あそこにはまだ、母さんが食べる予定のチーズケーキが…」

パティシエA「一人前になった俺が作るケーキを今日初めて食べにくるんだ。あんなに喜んでたのに…」

なぎママ「よし、まだいける。ちょっとおかわりしてくるわ…あ、最後の一個だラッキー」

パティシエA「やめろおおおおおおおおおおおおお!!!」

――そうだ。バイキングは、残酷なんだ…

~~~~~

パティシエA「よぉ…五年ぶりだな…」

マミ(ああ…なんておいしいの…何個でもいけちゃう…)

マミ(でもダメよ巴マミ…これ以上食べたら取り返しのつかないことに…)

なぎさ「マミお姉ちゃんもう食べないのですか?」モグモグ

マミ「私はもういいの…それになぎさちゃんもそのくらいに――」

なぎさ「このチーズケーキ最高においしいのですよ。一口あげるのです。あーん…」

マミ(!! …なぎさちゃんがあーんしてくれてるというのに、拒む理由なんてないじゃない!)

マミ「あ、あーん…」モグモグ

なぎさ「おいしいですか?」

マミ「うん…とっても…///」

なぎさ「えへへ。それはよかったのです」バクバク

なぎさ「お姉ちゃんがおいしそうに食べてる顔を見ると、なぎさも嬉しくなるのですよ」ムシャムシャ

マミ(やだ、なぎさちゃんったら私と同じこと考えてたのね)

マミ「ありがとう。じゃあお返しに…はい、あーん」

なぎさ「あーん…うん、いちごタルトもとってもおいしいのです」モグモグ

マミ「うふふ。よかった」

杏子「あ、マミとなぎさじゃん」

なぎさ「あー杏子ちゃんとさやかだー」

さやか「わお、偶然ですねー」

マミ「あらあなた達もケーキバイキングに?」

さやか「はい。杏子のやつがここのケーキは最高だっていうからどんなもんかと思って」

なぎさ「杏子ちゃんチーズケーキはなぎさに譲るのですよ」モグモグ

杏子「ちっ、わかってるよ。まああたしの狙いはそれじゃないしな」

さやか「よーしっ、さやかちゃんも張り切って食べまくっちゃいますからねー」

マミ「みんな後で後悔しないように気をつけるのよ」

さやか「やだなー後悔なんてあるわけないじゃないっすかー」

……

ウェイトレス「チーズケーキ、レアチーズケーキ、いちごタルト、ガトーショコラ、モンブラン――」

ウェイトレス「以上五種はバイキングメニューとしての使命を全うし、壮絶な完売を遂げました!!」

パティシエA「」バタッ

パティシエB「江蓮ーーっ!!」

――ショッピング帰りのバス

マミ「さて、夕飯の材料も買ったし、家に荷物を置いたら次はなぎさちゃんが行きたがってた水族館に…」

なぎさ「むにゅ…」ウトウト

マミ(あらあら、水族館はまた今度にした方がよさそうね)トントン

なぎさ「むにょにょ…チーズがいっぱいなのです…」

マミ「あんなに食べたのに夢の中でもチーズだなんて…しょうがないわね」なでなで

なぎさ「むにゃ…ママも一緒に食べるのです…」

マミ「……」

マミ(そうよね。なぎさちゃんが本当に必要としているのは、ママの存在よ…)

~~~~~

――この日の早朝

マミ「百江さん、お忙しい中わざわざこんな贈り物まで…」

なぎパパ「いえいえ。いつも娘がお世話になっているからね。ちょっとした気持ちだよ」

マミ「あら…ひょっとしてこれ、カモミールティーですか?」

なぎパパ「君の話は娘からいつも聞いているからね。あの子は本当に君のことが大好きみたいで…」

マミ「うふふ。ありがとうございます」

なぎパパ「とはいえいつまでも君に迷惑をかけてばかりもいられないよね」

マミ「いいえ。迷惑だなんてそんな…」

なぎパパ「実は、今度――」

~~~~~

マミ(なぎさちゃんには、家族と過ごす時間を大切にしてほしい…)

マミ(その当たり前の時間がどれだけかけがえのないものか、痛いほどわかるから…)

マミ「なぎさちゃん…東京に行っても、元気でね…」

――巴家

なぎさ「むにゃ……はっ、なぎさったら寝ちゃってたのですか?」

マミ「あらおはようなぎさちゃん。ぐっすりお昼寝したわね」

なぎさ「ふわあ…今何時なのですか?」

マミ「もうすぐ四時よ。ちょうど今ポトフの下ごしらえを始めたところ」

なぎさ「おやつは食べないのですか?」

マミ「今日はパスよ。これ以上食べたら太っちゃうわ」

なぎさ「なぎさは平気なのですよ」

マミ「私が平気ではないわ。それより早くしないとポトフ作っちゃうわよ」

なぎさ「わわっなぎさも手伝うのです」

それから二人はおそろいのエプロンで夕食作りを楽しみ、

夕食を食べた後は勉強もして、

やがて一緒にお風呂に……


マミ「夢~を~かな~えて~♪」ゴシゴシ

なぎさ「ひとり~でさ~がして~た星の~♪」ゴシゴシ

なぎさ「…はぁ、なぎさも早くマミお姉ちゃんみたいに大きくなりたいのです」

マミ「寝る子は育つって言うでしょ。焦らなくても大丈夫よ。それに――」つん

なぎさ「きゃっ///」

マミ「さすがに今日ちょっと大きくなったんじゃないかしら? 横に」ぷにぷに

なぎさ「そ、それは言わないお約束なのです!」

マミ「あら、たくさん食べても平気って言ったのは誰かしら?」すべすべ

マミ「いい? 淑女というのは日頃から心と体を外側からも内側からも磨くものなのよ」ネチネチ

なぎさ「恐れ入りましたのです」

マミ「わかればよろしい」

なぎさ「でもお姉ちゃんだってよくお菓子を食べたり紅茶を飲んだりするのです。矛盾してるのです」

マミ「そ、それは淑女の嗜みであって……もう、そろそろ上がるわよ。のぼせちゃうわ」

なぎさ「むむっ…はぐらかされたのです」


マミ「――さあなぎさちゃん、体を拭いた後はベビーパウダーをふりましょうね」

なぎさ「いいのですけどあまり子供扱いしないでほしいのです」

マミ「あら、これも淑女になるために必要なことなのよ」パフパフ

なぎさ「はわ…気持ちいいのです」ホワワ

マミ「うふふ。そうでしょ」パフパフ

マミ(私にも今のなぎさちゃんのような体つきの頃があったのよね…随分昔のことのように思えるわ)

マミ「さてパウダーもふりおわったし、いよいよおそろいの下着の出番ね」

なぎさ「待ってましたなのです♪」

マミ「パジャマを着たら向こうの部屋で髪を乾かしましょうね」

なぎさ「はいなのです」ハキハキ

なぎさ「じゃーん! 見てくださいなのです」

マミ「あら、なかなか似合ってるじゃない」

なぎさ「えっへん。なぎさはまた一歩しゅくじょに近づいてしまったのです」ドヤッ

マミ「淑女はパンツ一枚でガイナ立ちしたりしないわよ」

なぎさ「むーせっかくいい気分だったのにー」

――寝る時間

マミ「――そして人魚姫は泡になって消えてしまいました…おしまい」パタン

なぎさ「いつも思うのですけど悲しいお話なのです…」

マミ「そうね。でもこの切なさがあるからこそ、長く親しまれてきたんじゃないかしら」

なぎさ「王子と出会っていなければ、人魚姫は幸せに生きていられたかもしれないのです」

マミ「そうね…でも恋する女の子の気持ちは尊重してあげたいわ」

マミ「王子と出会い、恋をして、彼のために身を滅ぼせるほど愛したんだもの」

マミ「それを悲劇の一言で片づけてしまうのもかわいそうだと思うわ」

なぎさ「むむ…なぎさにはまだ難しい話なのです」

マミ「うふふ。そのうちわかるわよきっと」

なぎさ「ふわあ…ではお姉ちゃん、おやすみなさいなのです」

マミ「はい。おやすみ」なでなで

なぎさ「…」スヤスヤ

マミ(なぎさちゃん、今日も楽しんでくれたかしら)

マミ(幸せそうな寝顔…心が洗われるようだわ)

マミ「……」

マミ(ごめんねなぎさちゃん。わがままだってわかってる。でも私は…)ぎゅっ

マミ(やっぱりあなたと離れたくない…)

マミ「嫌だよ…またひとりぼっちなんて…私…もう嫌だよぉ…」ポロポロ

マミ「なぎさちゃん…行かないで…」

マミ「……zz」

……

――翌朝

マミ「…! あらあら大変」タタッ


なぎさ「むにゃ…あれ? なんだか体が濡れて――はっ!」ぐっしょり

マミ「あら、なぎさちゃんおはよう」ニコッ

なぎさ「うう……お姉ちゃん、ごめんなさい…」ポロポロ

マミ「大丈夫よ。なぎさちゃんは悪くないわ。気にしないで、ね?」

なぎさ「でも…お姉ちゃんのお布団汚しちゃったのです…」

なぎさ「一緒に買ったおそろいのパンツも……うぅ…うわああああああん」

マミ「大丈夫。大丈夫だから。よしよし」トントン

なぎさ「ひぐっ…なんで…おねしょなんて治ったと思ってたのに…うああああああん」

マミ(こんなに泣いちゃうなんて…よっぽどショックだったのね…)トントン

マミ「はい、涙を拭いて。少しシャワーも浴びた方がいいわ」

なぎさ「ひぐっ…はいなのです…」トボトボ


ジャーッ
マミ「なぎさちゃん、着替えここに置いておくわね」

なぎさ「はいなのです…」ジャーッ

マミ「じゃあ朝ご飯作ってるから、お風呂上がったら一緒に食べましょうね」

マミ(よしっ、機嫌を直してもらうためにもおいしい朝ご飯を作らなくっちゃ)

なぎさ「……」ジャーッ

マミ「なぎさちゃーん、朝ご飯できたわよー」

…… ジャーッ

マミ「…なぎさちゃん?」ガラッ

マミ「!! いない…着替えもない…まさか!」タタタ

マミ(やっぱり…靴がない)

ガチャッ ダッ

マミ「なぎさちゃーん! どこにいるの!? なぎさちゃーん!!」

マミ(どうしよう……みんなにも知らせなきゃ)

マミ「そうだわ、ソウルジェムで居場所がわかるかも――」

タッタッタッタッ…

なぎさ(…パパの言うとおりだったのです)

なぎさ(なぎさはマミお姉ちゃんの役に立ちたいのに…お姉ちゃんにはなぎさが必要だと思ってたのに)

なぎさ(結局迷惑をかけてばかりで…)

なぎさ(もうお姉ちゃんに迷惑をかけたくない…だから――)

なぎさ「お別れしなきゃなのです…」

グゥー…

なぎさ「うう…お腹が空いたのです…」

――マミ『朝ご飯作ってるから、一緒に食べましょうね』

なぎさ「マミお姉ちゃん……」ポロポロ

さやか「ダメだ。なぎさのやつ、魔法で波動を消してるみたいだ」

杏子「おいマミ、家や学校以外であいつの行きそうな場所知らないのか?」

マミ「さあ…お友達の家にいるのなら、その子の親からお父さんに連絡が行きそうなものだけど…」

杏子「で、なぎさの親父は?」

マミ「朝一番の特急で見滝原に向かっている最中だそうよ」

マミ「なんでも元々昨日中に仕事を片づけて朝一で帰宅する予定だったとかで――」

マミ「…そうだわ、駅よ。なぎさちゃん、お父さんを追って東京に向かうつもりなのかもしれない」

杏子「おいおい、電車に乗られたらヤバイぞ」

さやか「すぐに行こう。なぎさが戻ってきたときのために、マミさん家はまどかに見てもらってるから」

マミ「わかったわ」

タタタタッ…

――見滝原駅前

なぎさ(……新しいママ、仲良くなれるかな…)

なぎさ(パパが優しい人だっていうんだから、きっとほんとにいい人なんだろうな)

なぎさ(チーズケーキ、作ってくれるかな…)

???「なぎさーっ!」

なぎさ「あっ、パパ…」

なぎパパ「良かった…マミちゃん心配してたぞ。ダメじゃないか勝手にいなくなったりしちゃ」

なぎさ「ごめんなさい…でも、パパどうしてこんな早く戻ってきたの?」

なぎパパ「そりゃ、今日一日お前と一緒に過ごすためd」バタッ

なぎさ「パパ!! どうしたの!?」

ゴゴゴゴゴ…

なぎさ(この気配はまさか)

魔獣「グォアアアアアーーーッ!!!」

なぎさ「やっぱり魔獣…」

一般人A「うわっなんだこr」バタッ

一般人B「やめt」バタッ


魔獣「デッッデーデレデッッデーデレデッッデーデレ♪」

魔獣達「「「「シャチクマーーン♪」」」」ゾロゾロゾロ…

なぎさ「こんなにいっぱい…でも負けないのです」

なぎさ「パパはなぎさが絶対助けるのです!」

カッ

なぎさ「マミお姉ちゃんとの特訓の成果、見せてやるのですよ」

なぎさ「ティロ・スキューマ!」 ドドドドドッ

魔獣達「ウボァー」「ヒデブッ」「ナニヲスルダァー」「ヤバイヨヤバイヨ」

魔獣達「「「「「「シャチクマーーン♪」」」」」」ゾロゾロゾロ…

なぎさ「くっ…きりがないのです」

なぎさ「ティロ・フォンターナ!」ドォン!

魔獣達「「「ゲボボゲゴ・・・」」」ブクブクブクー

魔獣達「「「「「「「シャチクマーーン♪」」」」」」」ズラリ

なぎさ「ふええなんで!?」

魔獣達「「「パワハラビィーム」」」ビビビビビ

魔獣達「「「ハケンギリスラーッシュ」」」ビュンッ

なぎさ「わあっ」

ドゴーンッ!!!

なぎさ「あれ? 編み込み結界…」

杏子「――ったく世話の焼けるガキだぜ」

マミ「なぎさちゃん、大丈夫!?」

なぎさ「マミお姉ちゃん…杏子ちゃん…さやか…」

さやか「だからあんたは何であたしだけ呼び捨てにするかねッ」ダッ

ズバッ カキン ザシュッ ドスッ ダダダダダン ズドーン

魔獣達「「「「「「「「シャチクマーーン♪」」」」」」」」ズラリ

杏子「!! どういうことだオイ…」

さやか「倒しても倒しても別の個体が増えていく…ほんとにきりがないじゃん」

マミ「この魔獣はいったい…」

???「それは私の口から説明させてもらうわ」

さやか「お前は…悪魔ほむら!!」ジャキン

ほむら「剣を下ろしなさい。あなたと戦うつもりはないわ」ファサァ

ほむら「――さて、単刀直入に言うわ。あの魔獣の集団は、東京中の社畜の怨念を吸って生まれたものよ」

杏子「マジかよ…でもなんで東京の魔獣が見滝原に」

ほむら「きっとあそこで倒れているあの子のお父さんが原因ね」

ほむら「おそらく彼の知り合いに、仕事を苦に自殺したか過労で死んだ人がいて、」

ほむら「その怨念が彼に取り憑いて、同調する魔獣達と一緒に見滝原に着いてきてしまったんだわ」

マミ「そんな…」

さやか「…やつらを倒す方法は?」

ほむら「そうね。どうやら彼らは滅される間際に新たな仲間を呼び寄せているみたいだから…」

ほむら「その隙を与えないほど瞬時に、全個体を一斉に粉砕できれば倒せるはずよ」

ほむら「でもそれほど大量のエネルギーをこの駅前で放ったら、街や倒れた人達は無事では済まないでしょうね」

なぎさ「パパ…」

杏子「…テメェ、悪魔だかなんだか知らねえけど、事情通ですって自慢したいのか!?」

ほむら「フフッ…」パンッ

ぐにゃぐにゃ…

マミ「何? 周りの景色がが歪んで――」

さやか(これは…お菓子の魔女の結界…いや違う。誰かの夢の中…まさかナイトメア空間!?)

さやか「あれは…」

なぎパパ「うう…」

さやか(なぎさのお父さんの上に、ナイトメアのぬいぐるみ…)

ほむら「どう? これならいくらでも暴れることができるでしょう」

ほむら「あとはあなた達の好きにすればいいわ」

さやか「ほむら…あんた…」

ほむら「礼には及ばないわ。私はその気になればいつでもこうして空間を捻じ曲げることができる…」

ほむら「その力をあなたに知らしめたまでよ。美樹さやか――」

なぎさ「貞子さん…」

ほむら「ほむらよ」

なぎさ「ありがとう!」

ほむら「……」ファサァ

魔獣達「「「「「「「「シャチクマーーン♪」」」」」」」」わらわら

杏子「まずい、魔獣どもが散り散りになってきてるぞ」

さやか「とにかくまずはあたしと杏子でやつらを一か所に縛り付けて、なぎさのお父さんを避難させるわ」

杏子「その後はマミ、なぎさ…頼んだぜ!」

なぎさ「うん!」

ダッ

さやか・杏子「「どりゃああああああ!!」」

ガガガッッ

マミ「さあなぎさちゃん、私達も行くわよ!」

なぎさ「ねえマミお姉ちゃん…怒ってないの?」

マミ「おねしょしちゃったことは仕方ないわ。でも勝手にいなくなったことには激おこティロティロ丸よ」

なぎさ「ごめんなさい…わっ」ぎゅっ

マミ「ほんとに…本当に心配したのよ――」

マミ「なぎさちゃんと、もう二度と会えないんじゃないかって…すっごく怖かったんだから」

なぎさ「だってなぎさ…お姉ちゃんに迷惑かけちゃったから…」

マミ「迷惑なんかじゃない。私はあなたと一緒にいられて、あなたの笑顔が見られて…」

マミ「とっても幸せなのよ」

なぎさ「お姉ちゃん…」

さやか「マミさん、なぎさ! 準備完了よ!」

杏子「あと二十秒も持たないぞ! 早いとこ吹っ飛ばしてくれ!」

マミ「さあなぎさちゃん、掴まって」

なぎさ「うん!」

ギュルルルル

ゴゴゴゴゴ…

ほむら(マミのリボンをまとったなぎさのラッパが変形していく…中心に出てきたのはまさか)

ほむら「お菓子の魔女の第二形態…馬鹿な。円環の力は封じているはずなのに」

さやか「そこはあれでしょ。あの子のお父さんを思う気持ちが、条理を覆したんだよ」

ほむら「……そういうことにしておいてあげるわ」

ほむら(それにしてもすごい形になったわね。例えるなら空飛ぶお菓子の戦艦だわ)

マミ「なぎさちゃん。私のいつもの決め台詞、覚えてるわよね」

なぎさ「もちろんなのです。せーのっ――」


マミ・なぎさ「「ティロ・フィナーレッ!!!」」


ズガーン!!!


魔獣達「「「「「「「「ユウキューキューカーッ!」」」」」」」」

シュウウウウ…

杏子「よっしゃ!」

さやか「空間が戻っていく…」

なぎさ「パパ!」

なぎパパ「うっ…なぎさ」

なぎさ「うええええんパパー!」ぎゅっ

なぎパパ「? どうしたんだよなぎさ…イテテ…あれ? 俺は今まで何を」

マミ「大丈夫です。ちょっと疲れて嫌な夢を見ていただけですよ」

なぎパパ「マミちゃん…? なんでこんなところに」

なぎさ「えっと…なぎさが連れてきたのです」

なぎさ「パパに聞いてもらいたい大事な話があるから…」

なぎさ「パパが結婚すると言い出したのは、なぎさのためなのですよね」

なぎパパ「そ、それは…」

なぎさ「でもなぎさは、パパが本当はママのことが大大だーい好きなのを知っているのです」

なぎさ「だったら無理して結婚する必要なんてないのです」

なぎさ「新しいママがいなくたって、なぎさは平気なのですよ」

なぎさ「だってなぎさには、いつも一生懸命頑張ってくれているパパがいるから…」

なぎさ「寂しくなんてないのです!」

なぎパパ「なぎさ…」

なぎさ「パパ…この間は大っ嫌いなんて言ってごめんなさい」

なぎさ「なぎさ、本当はパパのことが大大大大だーい好きなのですっ」

なぎパパ「なぎさ…うん。パパの方こそ本当にごめんな」

なぎパパ「お前の気持ちも聞かないで、勝手に一人で話を進めてしまって――」

なぎさ「えへへ――あっ」ガシッ

なぎパパ「そーれっ…最近こうして一緒に遊んでなかったよな」

なぎパパ「ははは…いつの間にかこんなに重たくなって――」

なぎさ「むーっ! パパったられでぃーに対して失礼なのですよ!」ポカポカ

なぎパパ「いてて。わかったわかった」

杏子「……」

さやか「おっと、杏子ちゃんったらおセンチになってますね」

杏子「う、うるせーっ!」

さやか「大丈夫でちゅよー。あなたにはこのさやかちゃんがいまちゅからねー」よしよし

杏子「バカ何考えてんだ! ここ街中だぞ!///」

なぎさ「結婚しないなら、引っ越しもしないのですよね?」

なぎパパ「そうだな…でもまた出張ばかりになるぞ?」

マミ「そのときはまた私が預かりますよ」

マミ「なぎさちゃんと一緒に過ごせて、私もとっても楽しいし、助かっています」

なぎパパ「マミちゃん…そっか。君もご両親を亡くされているんだよね」

マミ「はい。だからなぎさちゃんの元気な姿に、いつも励まされているんです」

なぎさ「なぎさは知っているのです。マミお姉ちゃん、ほんとは寂しがり屋で泣き虫なのですよ」

マミ「こーらっ余計なこと言わないの」

なぎパパ「そういうことなら、引っ越しの話も無しにしようかな」

なぎパパ「この見滝原には、僕と妻となぎさの、たくさんの思い出が詰まっているからね」

なぎさ「やったねお姉ちゃん!」

マミ「ええ」ニコッ

ほむら「……」

さやか「ほら、あんたもたまには親に電話でもしてみなよ」

ほむら「そうね。この世界を蹂躙する悪魔の声を聞けるなんて、彼らも光栄でしょうから」

さやか(かーっ、やっぱあたしコイツとは合いそうにないわ)

グー…

なぎさ「う…そういえば朝から何も食べていないのです」

マミ「そうだったわね。じゃあ家に帰って朝ご飯にしましょう」

杏子「おっ、ならあたしも行っていいか?」

さやか「あんたさっきうちで散々食べたでしょうが」

杏子「なんだよ。マミん家で飯食うなんていつものことじゃんかよ」

なぎさ「だ、ダメなのです! なぎさとマミお姉ちゃんだけの朝ご飯なのですー!///」アタフタ

杏子「なんだよいつもは入れてくれるのに…さては家に見られちゃマズいものがあるな」

なぎさ(ギクッ)

マミ「えーっと…そういうわけだから佐倉さん、今日はパスしてくれないかしら」

杏子「えーそう言われるとますます気になるなあ」

なぎさ「もーう! ダメったらダメなのですー!」

ワイワイ… ガヤガヤ…



なぎパパ(見てるかいかおる――俺達の宝物は、今日も元気に笑っているよ)


おわり

おまけ


詢子「和子のお見合いはどうなったよ」ゴシゴシ

まどか「それがねー……」

~~~~~

和子「女子のみなさんは『私も娘も三度の飯よりチーズが大好きなんです』とかぬかす男とはお見合いしないように!!」

~~~~~

まどか「――というわけでまたダメだったみたい」

詢子「あっちゃー」


本当の本当に終わり

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