京子「綾乃!助けて!包丁持った結衣が追って来るの!」(141)

~2-5~

結衣「京子の馬鹿!」

京子「結衣のオタンコナス!」


イーーーーーッ


結衣「ふんっ……私は娯楽部に行くから、京子はついて来ないでよ」

京子「だ、だれがいくかっ!私は生徒会室に行くからっ!」

結衣「……」チラッ

京子「……」チラッ


イーーーーーッ


結衣「……」プイッ

京子「……」プイッ

綾乃「と、歳納京子?どうしたの?」オロオロ

京子「なんでもいいじゃん、ほら、綾乃、生徒会室へ行こうよ」

綾乃「な、なんでもないって……喧嘩してたじゃない、いま」

京子「してません」

綾乃「し、してたでしょ?」

京子「してません」

綾乃「し、してたわよっ!」

京子「も、もういいじゃん!結衣の事は!それよりもっと楽しいこと話そうよ!」

綾乃「だ、たのしいこと?」

京子「ほら、今度の修学旅行の話とかさ!」

綾乃「た、確かに修学旅行は楽しみね」

京子「でしょ~?私もずーっと楽しみにしてたんだ」

京子「綾乃は、班とかまだ決まってないよね?」

綾乃「え、ええ、私と千歳はまだだけど……」

京子「じゃあ、私の班に参加してね?」

綾乃「えっ……」

京子「駄目?」

綾乃「そ、そんなに言うなら、し、仕方ないわね……参加してあげるわよっ///」プイッ

京子「やりいっ♪」

京子「私、もうガイドブック買ったんだ~」

綾乃「気が早いわよっ」

京子「京都や大阪は、楽しい所がいーっぱいあるんだよ?」

京子「そういう所を、親しい子らと観光して回れたら、きっとすっごい思い出になると思う!」

綾乃(歳納京子、本当に楽しみにしてるのね……)

綾乃(さっきまで怒ってたのが嘘みたいだわ)クスッ

京子「……なのに」

綾乃「え?」

京子「結衣ときたら……クラスの他の友達とっ……」グギギ

綾乃「と、歳納京子?」

京子「他の友達と、もう班組んじゃったって!」

綾乃「え、船見さんが?」

京子「そう!酷いよね!酷いと思わない!?」クワッ

綾乃「ちょ、歳納京子、落ち着いて……」

京子「だ、だって、だって結衣と……」

綾乃「歳納京子?」

京子「結衣と、一緒に回れると、思ってたのに……」

京子「が、ガイドブックだって一緒に見れるよう、二冊買ったのにっ……」ウルッ

綾乃「あわわ、ちょ、泣かないで?ね?」

京子「な、ないてなんかないもんっ!」ゴシゴシ

綾乃「じゃあ、もしかして、さっき喧嘩してたのは……」

京子「……私の班に参加してってお願いしてたの」

京子「そしたら、結衣、子供じゃないんだから我儘言うなって……」

綾乃「そうだったの……」

京子「……」プクー

綾乃(歳納京子がこんなに取り乱すなんて)

綾乃(余程船見さんと一緒の班になるのを楽しみにしてたのね……)

綾乃(何とか、班の調整をしてあげられるといいんだけど……)

~娯楽部~


結衣「……今日はあかりもちなつちゃんも部活お休みだっけ」

結衣「仕方ない、お茶は自分でいれるか……」テコテコ


ジャー

カチャカチャ


結衣「京子ー、抹茶でいいよね?」


シーーーーン


結衣「……あ」

結衣(そうだよ、京子は怒って生徒会室に……)



コトン


結衣「……」ゴクゴク

結衣「ふー……」

結衣「……」

結衣「……」

結衣「……」

結衣「……もぉー」ゴロン

結衣「あんなに怒んなくてもいいだろ……」ゴロン

結衣「……」

結衣「私だって、付き合いってものがあるしさ……」ゴロン

結衣「……」

結衣「そもそも、どうしてもっと早く誘ってくれないのさ……」ゴロン

結衣「……」

結衣「……ずっと待ってたのに、誘ってくれる気が無いんじゃないかって、思っちゃうだろ」ゴロン

結衣「……」

結衣「だから、仕方なく、友達の誘い受けたのに……」ゴロン

結衣「……」

結衣「もぉ……」ギュ

結衣(京子の座布団抱っこしてると落ち着くな……)ギュー

結衣(さっきは、ついつい我儘言うなって突っぱねちゃったけど……)

結衣(京子の班に入りたいよ……)

結衣(けど、友達の班にもう入るって言っちゃってるし……」

結衣「どうしたらいいんだろ……」

結衣「どうしよっか……」ゴロン

結衣「……」

結衣「……」

結衣(やっぱり、京子の班に入るのは、諦めよう)

結衣(けど、このまま京子と喧嘩したままは嫌だから、ちゃんと謝ろう……)

結衣(私の言い方が悪かったって言うのもあるんだし……)

結衣「けど、本気で怒った時の京子は頑固だからなあ……」

結衣「ある程度インパクトのある謝り方しないと、許してくれないかも」

結衣「……」

結衣「よし、この作戦で行こう」

~翌日~

~2-5教室~


結衣「綾乃、おはよ」

綾乃「あら、船見さん、おはよう」

京子「……」

結衣「……京子」

京子「……」ビクッ

結衣「おはよう」ニコ

京子「……」

京子(あれ、結衣、怒ってないの……?)

京子(そ、それとも……吹き出る怒りを抑えて笑ってるとか……?)チラッ

結衣「……」ニコリ

京子(……ゆ、結衣って、本気で怒ると怖いんだよね……)

京子(ど、どうしよう、今のうちに謝っちゃおうかな……)

京子(い、いや、駄目だ、ここで謝ったら結衣の意見を認めることになっちゃう……)

京子(私は絶対結衣と同じ班になりたいし……それを認めてくれるまでは喧嘩中!)

京子「……」プイッ

綾乃「と、歳納京子?船見さんがおはようって」

結衣「ううん、いいんだよ、綾乃」

結衣「じゃ、私は自分の席に行くね」

綾乃「あ、船見さん……」

京子「……」ドキドキ

~放課後~


京子(はぁ……結局、今日は一日、結衣を無視しちゃった……)

京子(結衣、絶対凄く怒ったよね……)

結衣「……きょおこ」

京子「……!」ビクッ

結衣「ちょっと、はなしが……」

京子「あ、あ、あ、綾乃っ!早く生徒会室に行こう!早く!」

綾乃「え、え、と、歳納京子!?」

京子「い、いいから、いこっ!」グイッ

綾乃「ちょ、ひっぱらないでっ!」


ドタバタドタバタ


結衣「……」ポツン

結衣(はぁ……京子、やっぱり怒ってるなあ……)ガックリ

結衣(今日はずっと無視されちゃったし……)

結衣「……」ガサガサ

結衣(……取りあえず、作戦を進めておこう)

結衣(それが終わってから、京子を娯楽部に呼ぼう……)

結衣(そうすれば、きっと許してくれるよね……)


トボトボ


京子「……」グイグイ

綾乃「ちょ、そんなに引っ張ったら、痛いわっ……」

京子「あ、ご、ごめん、綾乃……」

綾乃「も、もう、歳納京子ったら……」

京子「ごめん……」ションポリ

綾乃(……こんなに落ち込むなんて)

綾乃(よっぽど、船見さんと喧嘩した事が応えてるのね)

綾乃(はぁ……)

綾乃「歳納京子?」

京子「ん?なに?」

綾乃「ずっと、船見さんと喧嘩してるつもり?」

京子「……だって、結衣が」

綾乃「確かに、同じ班になれなくて悲しいのは判るけど……」

京子「うん、だから、結衣が同じ班になってくれるまで、続けるもん……」

綾乃(もう、本当に子供みたいね……可愛いけど)

綾乃「じゃあ、もし船見さんが同じ班になってくれなくて、そのまま修学旅行に行くことになったら……」

綾乃「もうずっと船見さんを許さないって事かしら?」

京子「え……」

綾乃「だって、同じ班になってくれるまで続けるんでしょ?」

京子「ず、ずっと……ずっと、結衣と喧嘩する……」

綾乃「ええ、ずっと、3年になっても、高校生になっても、それ以降も」

京子「……」

京子「そ、そんなの、やだ……」

京子「そんなのやだよ、結衣と、結衣と喧嘩し続けるの、やだ……」ウルッ

綾乃「だったら………」スッ

京子「あ、あやの……?」

綾乃「だったら、意地はってないで、早く仲直りなさい?」ナデナデ

京子「あ……」

綾乃「修学旅行以外にも、いっぱい想い出を作る方法はあるんだから」

綾乃「ね?」

京子「……うん!」

京子「私、結衣に会って来る!ありがとね!綾乃!」タッタッタッ


綾乃「……頑張ってね、歳納京子」

綾乃「……」

綾乃「……」

綾乃「///」カーッ

綾乃(わ、わたし、わたし歳納京子の頭撫でちゃったっ///)

綾乃(か、髪の感触が指にっ///)

千歳「ええわぁ……」ポタポタ

綾乃「ち、千歳いたの!?」

千歳「ずっとおったでぇ」

~娯楽部~

結衣「さて、張り紙の文字はこんなもんでいいかな……」


『京子、一緒の班になれなくてごめんね』


結衣「あとはこれを板に張って……」

結衣「ノリが無かったから接着剤でいいよね……」ペタペタ

結衣「よし、出来た」

結衣「ケーキも準備したし……これで、仲直りのミニパーティーの準備は完成、と」

結衣(京子、これで許してくれるかな……)

結衣(私は、京子が傍に居るとどうしてもツッコミ入れちゃうから……気持ちを伝えるにはこれくらいしないとね……)

結衣「あ、忘れてた……あまった張り紙とか鋏とか片付けないと、ね」ゴソゴソ


グニャッ


結衣「うわっ、何かヌルッとしたもの掴んじゃった」

結衣「あ、あれ、これ接着剤か……」

結衣「しまった、掌にべったりついた……タオルで拭かないと」

結衣「い、いやいや、タオルで拭いたら手にタオルがひっついちゃうか」

結衣「ど、どうしよう……」ゴトンッ

結衣「うわっ!」


パシッ


結衣「はぁ……やばかった、ケーキ切る用に用意した包丁が足に落ちるところだった……」

結衣「……ん?」

結衣「あれ」

京子「勢いに任せて娯楽部の前まで来ちゃったけど……ど、どうやって謝ろう」

京子「結衣、凄く怒ってたみたいだし、許してくれるかな……」

京子「ああああ、もう、やっぱり綾乃について来て貰ったらよかった……」


ガタンッ


京子「ふえ?」

京子「あ、ゆ、結衣っ!」

結衣「……あ、きょおこ」

京子「ゆ、結衣!わたし!わたし結衣に言わなくちゃいけ……」

京子「ない……」

京子「……こと」

京子「が」

結衣「きょうこ……あのね、私もね」

結衣「きょうこと一緒にやりたい事が」

京子「ちょっと、待って……」





京子「結衣、どうして包丁持ってるの?」



結衣「あ、これ?これは京子と仲直りする為に必要だったものなんだけど」

結衣「こまったね、こんな所、京子に見られるなんて……」

京子「……え」

結衣「もう、困ったなあ」ブンブンッ

京子「うわ……」

結衣「京子?どうしたらいいかな?コレどうしたらいいかな?」ブンブンッ

京子「ご、ごめん、結衣っ……私が悪かったのっ」

京子「わ、我儘言ってごめん、こ、子供みたいなこと言って……」

結衣「きょ、京子……」

結衣(きょ、京子が謝ってくれた……京子が、私を許してくれたっ……)ジーンッ

結衣(す、凄く、嬉しいっ……!京子を抱きしめたいっ!)

結衣「きょ、きょうこ、わたし、わたしっ!」タッ

京子「ひいっ!」ズサッ

結衣「え、きょ、京子?どうして逃げるの?」

京子「ご、ごめんなさい、結衣、ごめんなさいっ……」ウルッ

結衣(ああ、まだ私が怒ってると思ってるのか……もう、しょうがないなあ、京子は)

結衣「……京子、もういいんだよ、謝らなくても、いいの」

結衣「もう、あやまらなくても、いいの」

京子「ゆ、結衣……」

結衣「ふ、ふふふ……わたし、凄く嬉しい、だって、京子とまた一緒に居られるんだもん……」

京子(どどどどどど、どういう意味?)

京子(ま、まさか、まさか、その包丁で……)

結衣「京子っ!」タッ

京子「うわっ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」タッ

結衣「京子、逃げないで、ね?二人で、パーティーをしようよ……ふふふふ……」ブンブンッ

京子「や、やだやだやだっ!やだーっ!」

~生徒会室~


綾乃「はぁ……今頃歳納京子は船見さんと仲直りしてる頃だろうなあ……」

千歳「綾乃ちゃん、この機会に歳納さんと親しくなったら良かったのに」

綾乃「そ、そんな人の不幸を利用するようなこと、出来る訳ないじゃないっ///」

千歳「うん、そういう綾乃ちゃんが、うちも好きや」ニコ

綾乃「もう、千歳ったら」クスッ


ドタバタドタバタ


バターンッ


京子「綾乃!助けて!包丁持った結衣が追って来るの!」

綾乃「は、はあ?歳納京子、いきなり来て何言ってるの?」

綾乃「というか、船見さんと仲直りしに行ったんじゃなかったの?」

京子「わ、わたしは仲直りしたいけどっ……!」


ドタバタドタバタ


京子「わわわわっ、き、きたっ!」

京子「あ、綾乃、私はいないって言っておいてっ!」ゴソゴソ

綾乃「ちょ、私の机の下にもぐらないでっ///」


バターンッ


結衣「京子、どこーーーー?」ハァハァ

綾乃「え……」

綾乃(ふ、船見さん、あんなに息を乱して、そ、そ、それに、包丁を握って……)

結衣「はぁ……はぁ……、ねえ、あやの」

綾乃「な、な、なに、船見さん」ビクッ

結衣「きょおこ見なかった?」

綾乃「み、み、み、見てないわっ!」ドキドキ

結衣「……そう」

綾乃「あ、あの、船見さん?」

結衣「あ、そうだ、綾乃」ブンッ

綾乃「ひゃっ!?」




結衣「私と、京子が喧嘩してた件……あれ、もう、解決するから、ふふふふ……」



綾乃(ど、ど、ど、どういう意味だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!)

綾乃(包丁片手に歳納京子を追い回して解決するってどんな解決方法なのよっ!)

結衣「ああ、楽しみだ、京子に会うのが楽しみだ……」

結衣「けど、どうして京子逃げちゃったんだろ、私、何も悪い事してないのに、どうしてかな……」

綾乃「……」ドキドキ

京子「……」ドキドキ

結衣「綾乃」

綾乃「は、はいっ!」

結衣「京子を見かけたら……わたしに」

結衣「おしえてね」ニコ



タッタッタッ


綾乃「と、歳納京子、船見さん、行っちゃったわよ……」

京子「う、ううう、怖い、怖いよ結衣……どうして、どうしてあんな風になっちゃったの……」ウルッ

綾乃「歳納京子……」

京子「私が、私が悪かったのかな……結衣を無視したから……」グスン

綾乃「そ、それは……」

千歳「と、取りあえず、歳納さんには逃げてもろたほうがいいんと違うやろか……」

綾乃「千歳、居たの」

千歳「ずっとおったでぇ」

千歳「船見さんは正面玄関の方へ行ったみたいやし、このまま娯楽部を通って駄菓子屋さんの所へ抜けたら逃げられると思うし……」

綾乃「そ、そうね、一晩たてば船見さんも落ち着くかもしれないから……歳納京子にはそれまで逃げてて貰いましょう!」

京子「ゆ、ゆいぃ……」シクシク

~娯楽部前~


『私達は、正面玄関の方へ向って船見さんに話しかけて足止めしておくから!』

『任せといてな~』


京子「って綾乃達言ってたけど……大丈夫かな……」トボトボ

京子「はぁ……何かの間違えであってほしいな……」トボトボ

京子「……そうだ、娯楽部に書置きしておこう」

京子「そ、それを見れば、結衣だって落ち着いてくれるかも……」

【結衣、我儘言ってごめんね、わたし、結衣と仲直りしたいよ】


京子「これでいいかな」

京子「あとは、これを娯楽部の机にでも置いておけば……」


ガラッ


京子「あれ、部室の中まっくろだ……あ、照明切ってあるのか、スイッチスイッチと……」


結衣「きょおこ」


京子「……!」ビクッ

京子(う、うそ、後ろに……)

結衣「やっと、やっと、追いついた……どうして逃げるの?」

京子「ゆ、ゆい……」

結衣「けど、いっか……娯楽部に戻ってきてくれたんだし、私は嬉しいよ……」

京子「……」

結衣「さ、パーティーしようよ……」

京子「……うん」

京子「結衣……私ね、結衣の事が大好き」

結衣「……!」ビクッ

京子「子供の頃から、ずっと、ずっと、好きだった」

結衣「京子……」

京子「その想いはね、結衣と喧嘩してからも、全然変わらなかったよ……」

京子「寧ろ、その想いを強く自覚することが出来たんだ……」

結衣「……」

京子「わたしは、結衣を好き、愛してる……」

京子「だから、だからね……」




京子「結衣にだったら……何をされてもいいよ、どんなことでも、受け止めてあげる」



結衣「……」ポカン

結衣(え、わ、わたし、京子に、告白されたの?)

結衣(私のこと、好きって、愛してるって……)

結衣(どんな事も受け止めてくれるって……)

結衣「京子……わ、私も、京子を大好きだ……」

京子「……!」

結衣「愛してるの、ずっと、ずっと……一緒に居たい……」

京子「ゆい……」

結衣「だから、だから……」

結衣(誓いの、キスを……)

結衣(何をしてもいいのなら、構わないよね……京子……)スッ

京子(結衣が……包丁を持って、近づいてくる……)

京子(あはは、わたし、あんな事言ったのに、震えが止まらないや……)プルプル

京子(けど、私は、決めたから……もう逃げないって)

京子(結衣の全てを、受け止めるって……)

結衣「京子……目を閉じて……」

京子「うん……」

京子(ありがとう、結衣……私を気遣ってくれて……)

京子(血が出る瞬間とか、見たくないしね……)

結衣(あー、また、包丁が邪魔だなぁ)ブンブンッ

結衣(接着剤でがっちりくっついちゃったから、振っても取れないのは判ってるけど)ブンブンッ

結衣(どうしても振っちゃう……)ブンブンッ

結衣(もー、折角のキスなのに、こんなんじゃ、ムード出ないよ)

結衣「あ、そうだ」

京子「……なに」

結衣「京子、ちょっと待っててね」

京子「……おねがい、長引かせないで……やるなら、ひとおもいいに……」

結衣「う、うん、判った、ごめんねっ」ドタバタ


結衣(えっと、この辺に……あった、接着剤の除去剤)

結衣(私馬鹿だな、焦ってこれの存在忘れてるなんて)ペタペタ

結衣「よし、取れた」

京子「結衣、お願い、じらさないで……」

結衣「ご、ごめんっ!」

結衣「じゃ……や、やるね?」

京子「……うん」プルプル

結衣(京子、緊張してるんだろうな……こんなに震えて……)

結衣(可愛い……京子、大好き……)


チュッ


京子「……え?」パチッ

結衣「///」モジモジ

京子「ゆ、結衣?い、いま……何を……」

結衣「う、うん、誓いのキスを///」モジモジ

京子「……は?」

結衣「きょ、京子、あの、全部受け止めてくれるなら……その、もっと、しても、いいかな///」

京子「え、あ、あの、結衣、包丁は?」

結衣「え?ああ、ちゃんと剥がれたよ?」

京子「はがれた?」

結衣「もう、あんまり突っ込まないでよ……」

結衣「接着剤で手と包丁がくっついちゃってたなんて、恥ずかしくて見られたくなかったんだから……」

京子「え、え、じゃあ、包丁持って私を追いかけてたのは……」

結衣「そ、それは……京子が逃げるから……」

結衣「折角、京子が謝ってくれたから、仲直りできると思ったのに……」

京子「え、えええ……」

京子(ぜ、全部私の、勘違いだったのかっ///)

京子(は、は、恥ずかしいっ///)


ピラッ


結衣「あれ、京子、何か落ちたよ?」

京子「あ、そ、それは……」

結衣「紙?」



【結衣、我儘言ってごめんね、わたし、結衣と仲直りしたいよ】



結衣「あ……」

京子「あ……あの、結衣……私……」

結衣「……京子、ちょっと待っててね」

京子「え?」

結衣(照明のスイッチを……)


カチッ


京子「あ、電気が……」

京子「うわあ……」


【京子、一緒の班になれなくてごめんね】


結衣「京子」

京子「ゆ、結衣、これ……」

結衣「うん、仲直りの、パーティー、したいなと思って、用意してたの」

結衣「私って、こういう事、素直に言えないから……張り紙にして……」

京子「……そっか」

結衣「けど、けど、こういう事は、ちゃんと言葉にして伝えないと、駄目だよね……」

京子「……うん、私もそう思う」

結衣「だから、京子、聞いてほしい事があるの」

京子「うん、私も結衣に聞いてほしい事があるの」




結衣「京子、一緒の班になれなくてごめんね」






京子「結衣、我儘言ってごめんね、わたし、結衣と仲直りしたいよ」



結衣「……」

京子「……」

結衣「あ、あの、じゃあ、改めて……」ンーッ

京子「え、ゆ、結衣、なに?なに口突き出してるの?」

結衣「え、正式に仲直りしたからさっきの続きを……」

京子「さ、さっきの?」

京子(あ、そ、そうだ、わたし、結衣と、結衣と、キスしちゃったんだっ///」カーッ

結衣「ね、京子、私達、仲直りして、それで、好きだって告白もしあったから……」

結衣「恋人同市、だよね?」

京子「う、うん、そ、そう、なるかな///」カーッ

結衣「私になら何をされてもいいって、言ってくれたもんね?」

京子「あうあうあう///」カーッ

結衣「だから、私の気持ちを、いっぱい、京子に伝えてあげる……」チュッ

京子「んあっ……」

結衣「京子が私の気持ちで溺れちゃうくらいに……」チュッ

京子「ちょ、ゆ、ゆいっ……」

結衣「いっぱい、いっぱい……」チュッチュッ

京子「ふぁっ……」

結衣「愛してるよ、京子」

京子「わ、わたしも、好き、結衣が大好きっ」

~翌日~

~HR~


綾乃「と言う訳で、我がクラスは人数が奇数なので、修学旅行の班分で3人構成の班が出てきます」

綾乃「諸所の理由でその班は、クラス委員長が所属してる班にするのが最適ではないかと思われます」

綾乃「クラス委員長が所属してる班は、今、既に4人揃ってる状態ですから、1人抜けて貰う事になりますので……」

京子(綾乃、がんばれっ、綾乃、頑張れっ)

結衣(ごめんね、綾乃、手間かけさせてごめんね)

綾乃「……という理由から、船見さんを歳納京子の班に入れてあげればいいと思います!」


クラス「「「はーーい」」」


京子(よし勝った!)

千歳(綾乃ちゃん、凄い逆ネジまわしたなぁ……)

京子「えへへ、綾乃、ありがとね」ニコニコ

千歳「綾乃ちゃん、ごくろうさん」ニコ

綾乃「私からも、お礼言うよ、綾乃」

綾乃「べ、別に歳納京子の為にやったわけじゃないわよ!クラスの為に必要だと思ったからやったの!」

結衣(けど、あとで前の班の子達に謝っておかないとな……)

結衣(私がふらふらしてたのが原因なんだし……)

京子「ゆーいっ!」ダキッ

結衣「うわっ、な、なに?」

京子「修学旅行……楽しみだね!」

結衣「……うん、そうだな」

結衣「いっぱい、いっぱい、想い出を作ろう」

京子「うん!」




綾乃「私からも、お礼言うよ、綾乃」



結衣「私からも、お礼言うよ、綾乃」


でしたわわん

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