P「大人を舐めるなッ!」 (1000)

【ある日、事務所】

亜美「兄ちゃ―ん、遊んで―!」

P「駄目」

真美「えー?いいじゃん、暇でしょ?」

P「仕事中なんだが」

亜美「でも亜美達は暇なんだよー」

P「知らん」

真美「真美が暇なのは兄ちゃんの所為じゃない?」

P「……知らんな」

真美「あー!目ぇ逸らした!」

亜美「図星ですな?」

P「ええい!真美が暇なのは休めるようにスケジュールを組んでやったからだろうが!」

P「そして亜美が暇なのは律子に言え!俺は知らん!」

亜美「亜美は今日オフだよ?」

P「だったら余計に俺の所為じゃないよな?」

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真美「遊び相手が居ないんだよー。お願い」

P「その辺で遊んでくればいいだろう?何ならゲームでもしていればいい」

亜美「飽きたもん」

P「お前の都合じゃないか」

真美「でも飽きちゃったら楽しくないじゃん?」

P「そんな事を言われても困る。大体、俺に何をして欲しいんだ」

亜美「幼稚園児が腕に掴まって持ち上げて貰うヤツあるでしょ?アレして?」

P「真美もか?」

真美「仕方ないなぁ……させてあげるよ」

P「イラつくんだが」

亜美「あれあれ?もしかして力なくてできないとか?」

真美「デスクワークで鈍っちゃったんだね……可哀想に」

P「ふん……誰が貧弱だって?」

亜美・真美「兄ちゃん」

P「そこまで言うならやってやろうじゃないか……来いッ!」

亜美・真美「やったー!」

ズシッ……!

P「軽いなぁー!わたあめでも乗せてるようだな、ハハハハハ!」

律子「…………」

亜美「……ありがと兄ちゃん、亜美はレッスン行ってくるね!」

真美「あ、真美も行くよー!」

ダダッ!

P「あ、おい!まったく、何がしたかったんだ……?」

律子「プロデューサーこそ、何を遊んでいるんですか?」

P「……居たの?」

律子「居ました」

P「俺が悪い?」

律子「責められるべきは年長者だと思うのですが、どうでしょう?」

P「……すみませんでした」

律子「よろしい」

【ある休日1、ボウリング場】

真「プロデューサー、約束は憶えてますね?」

P「無論だ。真が勝ったら好きな仕事を回してやろう」

真「絶対ですよ!」

P「しつこい奴だな……心配せずとも破ったりしない」

真「それじゃあ始めますか。先攻と後攻、どっちがいいですか?」

P「どっちでも変わらないと思うんだが」

真「後攻だと、ボクの点数を見て怖気づくかもしれませんよ?」

P「なら先攻でやらせて貰おうか」

真「いいですよ。いざ――勝負!」

P「応ッ!」

P「はぁ……久し振りだとキツイな」←180

真「言ってた割には弱いですね、プロデューサー」←230

P「いやー寝不足だからなー。うん、仕方ないなー」

真「みっともないですよ」

P「うぐ……」

真「これで可愛い仕事をくれるんですよね?」

P「……不本意だが、約束だからな」

真「へへっ、やーりぃ!」

P(手加減したのは黙っておこう……)

【ある休日2、カラオケボックス】

P「なあ、千早。本当にやるのか?」

千早「勿論です。私が勝ったら、歌の仕事を入れて貰います」

P「割と入れてるじゃないか」

千早「最近はファッション誌が多くなっている気がするんですが」

P(少しずつ増やしてたのに気づいてたのか……)

P「まあいいだろう。ただし、お前が勝てればだがな」

千早「随分と余裕ですね?」

P「事実、余裕だからな」

千早「くっ……!その余裕、崩して見せます!」

P「いいぞ、来いッ!」

P「ふぅ……これが最高か……」←88

千早「私の勝ち……ですね」←96

P「いやー、流石は千早。俺には勝てな――」

千早「なんて、言うと思いましたか?」

P「うん?」

千早「プロデューサー、手を抜きましたね?」

P「いや、そんな事は――」

千早「真剣勝負の場で、まさかこんな屈辱を味わうとは思いませんでした」

千早「まさか仕事でも手を抜いている訳じゃありませんよね?」

P「……そこまで言われたら、温厚な俺とて黙ってられんぞ?」

千早「いいですよ。本気を出しても」

P「ふん……吠え面かくなよッ――!」

千早「望むところ――!」

P「こんなもんか」←99

千早「くっ……まさかここまでなんて……」←98

P「ま、そういう訳だ。残念だったな」

千早「――です」

P「さあ、千早。帰るぞ」

千早「まだです!」

P「何がだ?もう勝敗は決したぞ」

千早「今日は幸いにもオフです」

P「だから?」

千早「100点が出るまで帰りません!」

P「……嘘だろ?」

千早「この目が嘘を吐いてるように見えますか?」

P「……見えないな」

千早「あ、すみません。8時間延長で」

P「分かった!分かったから!千早の勝ちでいいから!」

千早「譲られても嬉しくありません」

P「いやほら、アレだよアレ。カラオケって機械的な上手さを評価するものだから、な?」

千早「納得できません」

P「歌の仕事も入れるから落ち着け!」

千早「分かりました」

P「千早は現金だなぁ!」

千早「でも、延長した分は勿体ないので付き合ってくださいね?」

P「はい……」

P(もう二度と張り合わないでおこう……)

【別の日、事務所】

律子「プロデューサー、お暇ですか?」

P「何だ?」

律子「あずささんを迎えに行って欲しいんですよ」

P「お前の管轄じゃないか」

律子「お願いします。忙しいんですよ」

P「嫌だ。律子には説教もされたしな」

律子「まだ根に持ってたんですか……子供じゃあるまいし」

P「誰が子供だ!いいだろう、俺が行く!」

ガチャ、バタン!

律子「……扱いやすすぎて逆に心配だわ」

P「勢いでああ言ったものの、あずささんはどこに……」

P「あ、見つけた」

あずさ「あら?プロデューサーさんじゃないですか」

P「あずささん、探し――」

あずさ「探しましたよ~。もう、駄目じゃないですか迷子になっちゃ」

P「……はい?」

あずさ「はぐれないように手を繋ぎましょう。ね?」

P「……ワカリマシタ」

P(堪えろ……凄くイラつくが、ここでキレたら負けだ……)

P「じゃあ、帰りましょうか」

あずさ「はい~」

P「いやいやいや!そっちじゃないですってば!」

あずさ「あら?もう、間違えたら駄目ですよ?」

P「そうですねごめんなさい!」

【また別の日、事務所】

亜美「冷蔵庫にプリン発見!」

真美「殲滅する!」

P「殲滅するな!お前らの為だけに買ってるんじゃないんだぞ!」

亜美「えー?でも足りないし」

真美「最近、はるるんもクッキー作ってくれないし」

亜美「つまり、糖分に飢えてるんだよ!」

P「身勝手な……」

真美「そうだ!兄ちゃんがお菓子作ってくれたら、それでもいいよ?」

P「何で上から目線なんだ、イラつく奴め」

亜美「ははぁん……もしかしてできないの?」

P「悪いがその手はもう食わんぞ」

真美「んー……でも、律っちゃんに怒られる訳じゃないから大丈夫じゃない?」

亜美「そだねー。遊ぶんじゃなくて、作ってくるだけなんだし」

真美「それとも、やっぱり自信ないの?」

P「律子に文句を言われないなら……まあいいか」

亜美「やったー!」

P「ただし、俺の作ってきたクッキーが美味かったら……お前らのお菓子は一週間無しな」

真美「横暴だよ!」

P「何とでも言え!精々今のうちにプリンを味わっておくがいい。ハハハハハ!」

亜美「どうするの真美?あんな約束しちゃって」

真美「まあ、どうにかなるっしょ。兄ちゃんだし」

亜美「それもそうだね」

【翌日、事務所】

P「昨日は柄にもなく徹夜してしまった……」

P「しかし!このクッキーの出来栄えを見れば、生意気な二人も黙るだろう!」

P「という訳で、おはようございまーす!」

亜美「おー、兄ちゃん。おはよう!」

P「来ていたのか、早いな」

真美「今日は亜美が早かったから、一緒に来たんだ。偉い?」

P「偉いな。そうそう、例のお菓子なんだが――」

ガサゴソ……

春香「おはようございます」

真美「はるるんおはよー!」

春香「クッキー作ってきたよー」

亜美「え、ホントに?」

P「うおおぉぉぉ!?」

グシャァ!

春香「いきなりどうしました!?」

P「いや、何でもないぞ?うん」

春香「さっきバッグに何か突っ込んだような……?」

P「書類だよ書類」

春香「そうですか。あ、プロデューサーさんも食べます?」

P「あ、ああ……頂こうかな」

春香「二人も好きに食べていいからね」

亜美「ありがとはるるん!」

真美「この為に生きてるよー!」

P「美味いな……うん、美味い……」

春香「ちょっ!?何で泣くんですか!?」

P「何でもない……ちょっと外回り行ってくる……」

春香「はぁ……行ってらっしゃい」

P「……あむ」

P「むぐ……」

P「…………」

律子「……階段に座って何やってるんですか?」

P「クッキー食べてるんだよ……見れば分かるだろ……」

律子「粉々ですね」

P「……色々あったんだよ」

律子「一つ貰ってもいいですか?」

P「ああ……」

律子「あむ……」

律子「……美味しいですね」

P「……慰めはやめてくれ」

律子「春香のより少し落ちますけど」

P「ぐふっ……!」

【ある休日3、ケーキ屋】

美希「プロデューサー、何か買って?」

P「えぇー……」

美希「ミキ頑張ってるでしょ?そのご褒美って事で」

P「自分から『頑張ってる』って言うのはどうなんだ」

美希「事実でしょ?」

P「まあ……そうかもな。一個だけならいいぞ」

美希「やったの!」

P(しかし、美希にだけ買っていくというのもアレだな……)

美希「決めた!これにしよーっと!」

P「シュークリームか。ふむ……」

美希「どうしたの?」

P「いや、お前だけに買うのは不公平かと思ってな」

美希「確かに、貴音も欲しがりそうなの」

P「じゃあ貴音の分も追加で」

美希「そしたら響も欲しくなると思うの」

P「響の分と」

美希「響が食べてたら、真クンも食べたい筈なの」

P「真の分……じゃあ雪歩もか」

美希「うん。あと、でこちゃんも無かったら文句言いそうなの」

P「そうだな。伊織に……それと、あずささんもだな」

美希「それから、春香にも買ってあげたいな。お菓子のお礼で」

P「春香ね……なら千早にも買わないと……」

美希「やよいにも買っていかないと、千早さんとかでこちゃんは遠慮しちゃうかも」

P「道理だな。やよいの分……と」

美希「それと、律子……さんと小鳥にも日頃のお礼で買っていくの。それと社長も」

P「分かった……三つ追加と」

美希「亜美と真美の分は?」

P「あいつらは我儘だから買ってやらん」

美希「そうなの?」

P「ああ。仕事の邪魔ばかりするわ、人を馬鹿にするわ……どうしてそんな奴に買ってやらねばならんのだ」

美希「でも、自分達の分だけ無かったら悲しいよ?」

P「それは……」

美希「やよいとか、『私はいいから、半分こして食べなよ』って言うかもしれないよ?」

P「ぐっ……」

美希「ミキも皆で食べたいって思うな……駄目?」

P「……シュークリーム、16個ください」

店員「ありがとうございましたー」

【更に別の日、事務所】

P「ただいま戻りました……って、誰も居ないのか?不用心だな」

ワニ子「…………」

P「うぉ!?ワニ子を留守番にしてるのか……大丈夫なのか、これ」

ワニ子「…………」

P「しかし、こんな近くでワニを見る事なんて初めてかもしれんな……よし」

P「ほーれ、餌だぞー」

ワニ子「……ガブッ!」

P「痛ッ!こいつ噛んでくるのか――いや待て!回るな!」

ギュルルルルル!

P「うおぉぉぉ!?右回転ッ!」

ガチャッ

響「ただいま――って何してるの!?」

P「おお響!ワニ子にストップかけてくれ!」

響「ワニ子、やめ!」

ワニ子「…………」

P「ふぅ……死ぬかと思った」

響「で、プロデューサーは何してたの?」

P「……ワニ子がじゃれついてきたんだよ」

響「ホントに?」

P「無論だ」

響「変な事をしない限り、ワニ子には噛まないように言ってあるんだけど?」

P「俺が手を出したとでも?」

響「違うの?」

P「そんな事する訳ないだろ。子供じゃあるまいし」

響「そっか……ならいいけど」

P「という訳で、病院行ってくる」

バタン!

響(余計な事、したんだろうなぁ……)

【ある休日4、ボウリング場】

真「今日こそは負けませんよ!」

P「今日こそはって……前回はお前の勝ちだったじゃないか」

真「千早が言ってましたよ。手加減してたそうですね?」

P「千早の時はそうだが、真の時は全力だったぞ」

真「そうでしょうか?」

P「ああ。運動不足の社会人らしい点数だったと思うんだが」

真「それはないですよ。割と通ってる人の点数だった気がします」

P(……無駄なところで勘がいい奴め)

P「仮にそうだとして、どうするんだ?」

真「本気でお願いします」

P「本気でと言われても」

真「真剣にやってくれないと……泣きますよ?」

P「泣くなよ!」

真「嫌なら本気でお願いします」

P「……分かった。文句は言うなよ?」

真「勿論です!」

P「では、いざ尋常に――」

真「勝負!」

P「終わりだな」←300

真「うぅ……あと一歩、届かなかった……」←270

P「さて、真にはタキシードやら何やら着る仕事が大量に入ってるからな」

P「これからはそれの消化に努めて貰う。いいな?」

真「ひぐっ……は、はい……頑張りまっ……す」

真「ま、負け――負けたんですから……文句は……すんっ……ありません……」

P(逃げ道なかった……何これ……)

P「……まあ、アレだ。月一で可愛い系のも入れてやるから……泣き止め」

真「ぐすっ……やーりぃ……」

P(やりづらい……)

【後日、事務所】

P「ただいま戻りました」

貴音「おや、プロデューサー。おかえりなさいませ」

P「貴音……またラーメン食ってるのかよ……」

貴音「本日は豚骨醤油です」

P「誰も味なんて訊いてないんだが」

貴音「……分けませんよ?」

P「欲しいとも言ってないよな!?」

P「というか、ラーメン食べすぎだな。週に3つにしておけ」

貴音「嫌です」

P「またきっぱり断ったな……」

貴音「月に30でどうでしょう?」

P「駄目だ。週に4つ」

貴音「6つです」

P「お前……健康の事とかどうでもいいのか?」

貴音「割と」

P「どうやら譲る気はないと見える」

貴音「当たり前です。何を今更」

P「塩分過多だと言ってもか?」

貴音「プロデューサーは心配性ですね。むしろ、これで釣り合いが取れているのですよ?」

P「まさか、いつも運動して汗を流しているから……とか言わないよな?」

貴音「そのまさかです。そして、この髪こそ塩分が外に出た証!」

P「そうなの!?」

貴音「嘘です」

P「……いや、分かってたよ?そんな子供騙しに引っかかる俺じゃない」

貴音「流石はプロデューサーです」

P「まあ、褒めたところで追求はやめないが」

貴音「ちぃ……!」

P「舌打ちしたな?」

貴音「いえ。ちぃきんらぁめんが食べたいと思いまして」

P「もっとマシな誤魔化し方あっただろ……」

貴音「もしもの話ですが」

P「何だ?」

貴音「週に5つにする代わり、プロデューサーが昼食を作ってくださるというのなら交渉の余地があります」

P「ふむ。悪くない……か?」

貴音「プロデューサーの食事が美味しかった場合、週に4つ、3つと減らしていく事も可能かと」

P「成程……いや、しかし――」

貴音「それとも、プロデューサーは料理が苦手なのですか?」

P「ふん……俺に苦手なものがある筈もない。いいだろう、その条件を飲んでやる」

貴音「では、わたくしも従うとしましょう」

P「いつかラーメンなど見る気すら失せさせてやる。覚悟していろ!ハハハハハ!」

貴音(御しやすいお方……)

【また後日、事務所】

P「あれ?ボールペンどこにやったっけ?」

P「ここだっけ?いや違う……ここか?違うな……」

P「新しいの使うか。確かこの辺に――あった」

やよい「どうしました、プロデューサー?」

P「おお、やよいか。いや、ボールペンが無くなったから新しいのを使おうと思ってな」

やよい「インクが切れちゃったんですか?」

P「違うぞ」

やよい「じゃあ無くしたんですか?」

P「ああ」

やよい「新しいの開けるんですか?」

P「そのつもりだが」

やよい「駄目です」

P「ど、どうして駄目なんだ?」

やよい「無くしただけならまだどこかにある筈です!なのに新しいのを使うなんて……」

P「とはいえ、見つからないし……どうせ俺の金だからいい――」

やよい「駄目です!」

P「いやでも……大人なんだし、多少の出費は痛くないというか……」

やよい「大人な事と、物を大切にしない事は一緒なんですか?」

P「違います……」

やよい「じゃあ、新しく開けちゃ駄目ですよね?」

P「はい……」

やよい「それと、掃除してる時に見つけた落し物はそこの引き出しに入ってますから」

P「引き出し……これか?」

ガラッ

P「うおっ……こんなにあるのか」

やよい「もし見つからなかったら、そこから使ってくださいね?」

やよい「落し物は後で拾っておきますから」

P「うん……何かごめん……」

やよい「いいんですよ」

【違う日、事務所】

P「雪歩ー、お茶を淹れて――って、居ないのか……」

P「仕方ない、自分で淹れるか」

コポポポ……

P「たまには自分好みに淹れるのも乙なもんだよな……」

雪歩「あの……」

P「雪歩!?いつからそこに!?」

雪歩「『自分好み』辺りからです……」

P「いや、違うんだ……落ち着いて聞いてくれ。頼む」

雪歩「やっぱり私なんてダメダメだったんですね……」

P「いやアレだよ?乙なものってだけで、甲は雪歩のお茶というか――」

P「俺のお茶なんてドブ水みたいなものというか……」

雪歩「ドブ水と甲乙付けがたい私のお茶って……」

P「ドブ水は言い過ぎたな、うん!アレだ、玉露だな!それぐらいの自信はあるぞ!」

雪歩「私、そこまでの自信はないです……」

P(どうしろと……)

P「でもほら、皆は雪歩のお茶が好きだろ?だから大丈夫だって」

雪歩「……本当ですか?」

P「ああ。もしも俺が淹れてみろ。即刻捨てるに決まってる」

雪歩「いや、それはないと思いますけど!?」

P「亜美と真美なんて『コップに触りたくない』とか言うんだ。絶対そうだ」

P「そういえばいつもそうだな……人を馬鹿にしおって……いつか痛い目を――」

雪歩「ふふっ……」

P「ん?どうした雪歩?」

雪歩「いえ、何だか子供みたいだなぁ……と思って」

P「誰が?」

雪歩「プロデューサーが」

P「俺が子供だと!?いい加減にしろ!」

雪歩「ひっ!ご、ごめんなさっ……!」

P「ああ!いや、違う!怒ってないから!」

雪歩「やっぱり私はダメダメなんですっ……人を不快にさせてばっかりで……!」

ガチャッ!

小鳥『ただいま戻りましたー』

P(何でこのタイミングで帰ってくるんですか!)

小鳥『誰も居ないんですかー?』

雪歩「うぅ……ぐすっ……」

P(何とか雪歩を泣き止ませないと……)

雪歩「えぅ……すんっ……」

小鳥『もしかして給湯室かしら?』

P(来る……来てしまう……あらぬ誤解をさせてしまう……!)

P(考えろ……こんな時、大人ならどうする?)

P(そうだ!これが――最適解ッ!)

P「雪歩……これで泣き止んでくれないか?」『10000円』

雪歩「……え?」

小鳥「――プロデューサーさん、何をしてるんですか?」

P「え?」

小鳥「雪歩ちゃんを買おうとしてるなんて……見損ないましたよ。二度と近付かないでください」

スタスタ

P「いやっ!違うんです!聞いてください音無さああぁぁぁん!」

【翌日、事務所】

P「……おはようございます」

小鳥「話しかけないで貰えますか?」

P「うぐっ……」

小鳥「……なんて、冗談ですよ。話は雪歩ちゃんから聞きました」

P「そ、そうですか……よかった……」

小鳥「でも、お金でどうにかしようとしたのは頂けませんね」

P「反省しております……」

小鳥「口だけですか?」

P「え?」

小鳥「それなりの誠意ってものがあるんじゃないですか?大人には」

P「えっと、その――」

小鳥「大人、なんですよね?」

P「それは……どうすればいいんですか?」

小鳥「プロデューサーさんが一番よく分かってるんじゃないですか?」

P「つまり……物で示せと?」

小鳥「はい♪」

P「ぐ……これが大人なのか……!」

小鳥「そうです。それが汚い大人です」

P「いくらですか?」

小鳥「プロデューサーさんの気持ちでいいですよ?」

P「じゃあ、一万円で……」

小鳥「はい、確かに受け取りました」

P「……もういいですか?」

小鳥「あ、最後に一つだけ」

P「何ですか?」

小鳥「これから3回分の飲み会代は私が奢りますね」

P「――はっ?」

小鳥「ですから、3回は奢るんですって。分かりましたか?」

P「しかし、それだと一万じゃとても……」

小鳥「ストレスが溜まってるなら、私が聞いてあげますから」

小鳥「今度からは、もっと冷静に行動してくださいね?」

P「音無さん……」

P「やっぱり五万ぐらい払います!」

小鳥「今の流れでどうしてそうなるんですか!?」

P「いえ、大人として多く払うべきかなぁと」

小鳥(あ、全然分かってくれてないわね、この人……)

【またある日、事務所】

伊織「はぁ……アンタって本当に子供よね」

P「いきなり失礼な奴だな」

伊織「だって、事の顛末を聞けば聞くほどそうなんだもの」

P「あれは不幸な事故だったんだよ」

伊織「そう。ところで喉が渇いたんだけど、オレンジジュースある?」

P「また人を使うつもりか……少しは自分で動け」

伊織「『立ってる者は親でも使え』と言うでしょう?」

P「急いでいる訳でもないのに?」

伊織「急いでいるのよ」

P「椅子に深く腰を掛けていらっしゃるようですが?」

伊織「いいからちゃっちゃと動く!」

P「ふん……まあいい。大人は子供に腹を立てたりしない。待っていろ」

P「お待たせ」

伊織「……何それ?」

P「みかんだが?」

伊織「それは?」

P「みかんを絞るアレだが?」

伊織「ジュースは?」

P「今から作る」

伊織「缶で用意しておきなさいよ!」

P「やかましい!偽装表示が明らかになった今、既成品など信用ならんのだ!」

伊織「だからってみかんを絞るアレで作らなくてもいいじゃない……」

P「こだわりがあるんだ。大人だからな」

伊織「あっそう……」

P「まずは二つに――切るッ!」

ザクッ!

P「そして絞る!」

ギュウウゥゥゥ!

P「これをコップに落として……」

ポタポタ……

P「もう一方も――絞るッ!」

ギュウウゥゥゥ!

P「これを繰り返しながら――」

伊織「……ジューサー買ってくるわ」

P「おい待て!誰の為に絞っていると――」

伊織「じゃあね」

バタン

P「…………」

P「……んく」

P「オレンジジュース、美味しいなぁ……」

【更にある日、事務所】

小鳥「うぅ……頭が……」

亜美「どしたのピヨちゃん?」

小鳥「昨日お酒飲みすぎて……二日酔いが……」

律子「いい大人が何をしてるんですか……」

小鳥「面目ないです……」

真美「兄ちゃん兄ちゃん」

P「ん?どうした?」

真美「ピヨちゃん、二日酔いなんだって」

P「大変だな」

真美「兄ちゃんもなるの?」

P「俺は自分の程度を弁えているので、あんな醜態は晒しません」

真美「ふうん……それは、大人だから?」

P「そう、大人だから」

小鳥「あ、プロデューサーさん。今度、飲みに行きましょうねー……ああ、頭が……」

P「いいですよ」

律子「懲りない人ですね……」

亜美「そうだ!兄ちゃんが二日酔いになるかどうか……賭けない?」

律子「お金は賭けちゃ駄目よ?」

亜美「分かってるって。それじゃあ、なると思う人―!」

スッ……

律子「……賭けにならないわね」

真美「もうちょい兄ちゃんを信用してあげなよ」

亜美「真美には言われたくないかなー」

日付変わりそうなのでトリップだけ付けておきます
どこまで続くかは分かりませんが

【ある休日5、居酒屋】

小鳥「あ、こっちですよ!プロデューサーさん!」

P「すいません、少し遅れました」

小鳥「いえいえ。さあ、飲んでください」

トクトク……

P「おっと……それでは――乾杯!」

小鳥「乾杯!」

P「――それでですね。亜美と真美にはもう手を焼いてるんですよ」

小鳥「遊びたい盛りですからね……仕方ありませんよ」

小鳥「あ、プロデューサーさんのコップ、空ですね。お注ぎします」

P「ああいえ、こっちにもまだありますので」

小鳥「あれ?そうでしたっけ……?」

P「ええ。それよりも、小鳥さんこそコップが空ですよ。どうぞ」

小鳥「すみません」

トクトク……

P(酔いが回ってるみたいで助かった……)

P「んくっ……ぷはぁ!」

小鳥「いい飲みっぷりですね」

P(水ですけどね)

小鳥「じゃあ私も――ごくっ……ごくっ……はふぅ」

P「何か追加で頼みますか?」

小鳥「好きなように頼んでください。私はちょっと失礼しますね」

P「分かりました」

小鳥「すいません。席を外してしまって」

P「構いませんよ」

小鳥「ところでプロデューサーさん。テーブルの下にお冷……隠してますね?」

P「……いいえ?」

小鳥「酒の席でそんな事は許しませんよ。さぁ!飲みましょう!」

P「いやその……ちょっ!零れますって!」

小鳥「今日は飲みますよー!」

P(何故こうなった……最初から素直に飲んでおくべきだったか?)

P「――あぁ……視界が揺らぐ」

小鳥「すぅ……すぅ……」

P「小鳥さん、帰りますよ」

小鳥「はーい、音無小鳥。帰りまーす……」

P「仕方ない、背負うか……よっと」

P「すいません、お勘定お願いします」

店員「はーい!」

小鳥「お勘定っ!?払う払う!払います!」

P「うおぉ!?びっくりした……」

小鳥「これで」

店員「ありがとうございましたー」

小鳥「やりきった……!もう無理」

ガクッ!

P「ふむ……微妙に割に合ってないような……いや、これが大人か……」

【翌日、事務所】

小鳥「あぁ……痛い」

P「太鼓が鳴ってる……」

雪歩「あの、熱いお茶どうぞ……」

P「ありがとう……」

伊織「はい、頭痛薬」

P「おお……」

小鳥「伊織ちゃん、私にも……」

伊織「あるわよ」

律子「そういう訳で、大人二人が機能しないのであずささんお願いしますね」

あずさ「分かりました~。行きましょうか。亜美ちゃん、真美ちゃん」

亜美「はいはーい!」

真美「行ってきまーす!」

P「うるさい……叫ぶなぁ……!」

小鳥「プロデューサーさんこそうるさいですよ……!」

P・小鳥「ぐおぉ……頭が……」

響「いつもの元気が見る影もないな」

貴音「お酒とはかくも恐ろしい物なのですね……」

美希「まあ、今日は静かにしてあげよっか」

【更に翌日、事務所】

P「やっと復調してくれたか」

あずさ「あら、もう大丈夫なんですか?」

P「ええまあ。所詮は二日酔いですからね」

あずさ「よかったです」

P「それにしても……」

あずさ「どうしました?」

P「……高いですね」

あずさ「何が?」

P「ヒールが。これだと俺の身長に迫る勢いですね」

あずさ「そうですね~。でも、女性は皆これぐらい履きますよ?」

P「ふむ……シークレットシューズでブーストするべきか?」

あずさ「いえ、それはやめた方がよろしいかと……」

P「どうしてです?大人なら、背も高い方がいいでしょう?」

あずさ「その……ですね。非常に言いづらいんですが……」

P「どうぞ?」

あずさ「男性がそういった物を履くと、世間の目が厳しいかなー……なんて」

P「うぐ……確かに」

あずさ「まあ、プロデューサーさんは割と身長ありますから、気にしなくてもいいと思いますよ」

P「そういう訳にはいきません。隣に並んだ時、バランスが悪いじゃないですか」

あずさ「はぁ……」

P「仕方あるまい。牛乳飲むか……」

あずさ(子供っぽい……)

【違う日、事務所】

貴音「プロデューサー。昼食はどこでしょう?」

P「はい弁当。残さず食べろよ?」

貴音「無論です」

春香「へぇ……プロデューサーさんって、四条さんとお付き合いでもしてるんですか?」

P「馬鹿を言うな。こんなエンゲル係数上昇女と付き合える訳ないだろう」

春香「酷い言いようですね……」

P「事実だからな」

貴音「しかし、えんげる係数上昇女とは長い名前ですね」

P「ふむ……略すか?」

春香「略す意味あります?」

P「ズバリ、暇潰しだ」

春香「仕事しましょうよ……」

P「生憎、今は休憩時間だからな。何も問題ない」

P「さて、どう略すかだが……春香ならどうする?」

春香「私ですか?うーん……あ、そうだ」

P「何だ?」

春香「あげまん、さげまんって聞いた事あります?」

貴音「食べ物ですか?」

P「お前は食い物から離れろ」

貴音「無理です」

P「……貴音は放っておくとして、アレだろ?男の運気を上げたり下げたりってヤツ。元は違ったらしいが」

春香「はい。貴音さんも女性ですし、○○まんって感じでどうでしょう?」

P「ふむ……ゲルマン?」

貴音「面妖な……」

ミスがありましたので、>>71を修正します

【違う日、事務所】

貴音「プロデューサー。昼食はどこでしょう?」

P「はい弁当。残さず食べろよ?」

貴音「無論です」

春香「へぇ……プロデューサーさんって、貴音さんとお付き合いでもしてるんですか?」

P「馬鹿を言うな。こんなエンゲル係数上昇女と付き合える訳ないだろう」

春香「酷い言いようですね……」

P「事実だからな」

貴音「しかし、えんげる係数上昇女とは長い名前ですね」

P「ふむ……略すか?」

春香「略す意味あります?」

P「ズバリ、暇潰しだ」

春香「仕事しましょうよ……」

P「生憎、今は休憩時間だからな。何も問題ない」

【翌日、事務所】

亜美「兄ちゃん聞いたよ!」

P「何だ騒々しい」

真美「お姫ちんにご飯作ってあげたんだって!?」

P「約束だからな」

亜美「亜美達もお腹減ったな~」

真美「何か食べたいな~」

P「お前らには野菜のヘタすら食わせる義理はない」

亜美「でも、やよいっちはテーブルで食べてたよ?」

P「お腹が空いたらしいからな」

真美「千早お姉ちゃんも食べてたね」

P「カロリーメイトじゃ健康に悪いからな」

亜美「ひびきんは?」

P「サーターアンダギー作ってきてくれたから、そのお礼」

真美「ミキミキは?」

P「おにぎりって簡単なんだよ」

亜美「律っちゃんは?」

P「外食する時間がなさそうだったから」

真美「あずさお姉ちゃんは?」

P「グラビア撮影あるから、カロリー抑えないと」

亜美「ピヨちゃん」

P「後2回は奢って貰う事になってるから」

真美「はるるん」

P「いい子だから」

真美「何それ!?」

P「言葉の通りだが」

亜美「ゆきぴょんは?」

P「お茶と交換で」

真美「まこちんは?」

P「これからレッスンだし、スタミナつけて貰おうと思って」

亜美「い、いおりんは流石に……」

P「あのジューサー、意外と役に立つんだよな」

真美「まさか……真美達だけ何もしてない!?」

P「邪魔はしてるぞ?」

亜美「そういう辛辣な意見は要らないYO!」

真美「兄ちゃん……お腹減ったよ……」

P「……冷蔵庫に入ってるから食べなさい」

亜美・真美「やったー!」

【ある休日6、事務所】

P「休日出勤とは……いつもの事だな」

律子「涙出てくるのでやめて貰えません?」

小鳥「こうして貴重な一日が事務仕事に消えていくのね……」

P「音無さんが言うと重みが違いますね」

小鳥「……どーせ私は重い女ですよー」

律子「拗ねちゃったじゃないですか。子供みたいな事しないでください」

P「……子供じゃない」

律子(こっちも拗ねた……面倒だなぁ)

P「なあ、そろそろ休憩にしないか?」

律子「これ終わらせてからにします」

小鳥「私、お茶菓子用意しますね」

P「お願いします」

P「……ところで律子」

律子「どうしました?」

P「何がいい?」

律子「何って?」

P「いやほら……な?」

律子(ジューサーとみかん持ってる……)

律子「……オレンジジュースでいいです」

P「よしっ!音無さんもオレンジジュースでいいですかー?」

小鳥『いいですよー』

P「さて、絞ってくるとするか!」

律子(子供……)

初日のペースは維持できないっぽいです

それと、みかんとオレンジについてですが、プロデューサーの行動は基本的に
興味のある事>物事の正しさ、という考えの下に成り立っています

つまりアホです

【平日、事務所】

美希「おはようございますなの……」

雪歩「おはようございます……」

春香「おは……ござ……」

P「どうした?声が擦れてるみたいだが」

春香「実……ちは……カラ……」

P「ああ、ご愁傷様……」

美希「千早さん、絶対おかしいの……」

雪歩「『一人4時間は歌うとして……四人だから16時間ね』とか言い出したよ……」

P「そんなに!?」

春香「でも……どう……12で……」

P「はぁ……どうにか12時間で納得させたと」

美希「よく分かるね」

P「かつての経験が生きてるんだよ……嬉しくないがな」

千早「おはようございます!」

P「うわぁ……凄く満ち足りてるな……」

千早「プロデューサー、おはようございます。今度どうですか?」

P「断る」

千早「そう言わずに」

P「結構だ」

千早「照れなくていいですって」

P「何でグイグイ来るかなぁ!」

【とある日、事務所】

P「なあ、やよい」

やよい「何ですかー?」

P「やよいってもやし好きだよな?」

やよい「はい!安いし美味しいし、栄養もあるんですよ!」

P「主婦の味方という訳だ」

やよい「私、まだ結婚してませんけどね」

P「ふむ……」

やよい「どうかしたんですか?」

P「どうかしたというか……今、料理番組やってるだろ?」

やよい「はい」

P「で、アシスタントが居たら便利だと思うんだよ」

やよい「お手伝いさんですか?確かに、一人だけだと大変な時もあるかもです」

P「うむ。なので、マスコットを用意しようかと」

やよい「マスコット……」

P「ゆるキャラとか流行ってるからな」

P「そこで俺は考えた。モヤッシーとかどうだろう?」

やよい「……プロデューサー」

P「うん?」

やよい「それはないです」

P「そ、そうか――」

やよい「それはないです」

P「二回も否定する程なの!?」

【ある休日7、アリーナ】

P「『卓球勝負がしたい』なんて、どういう風の吹き回しだ?」

響「プロデューサー、真とか千早とばっかり勝負してるでしょ?」

P「まあ、してるな」

響「で、勝ったら何でも聞いてくれるんだよね?」

P「仕事に融通を利かせるぐらいだ。何だその都合のいい解釈は」

響「気にしない気にしない」

P「いや、普通に気にするところだからね?」

響「大人でしょ?」

P「ふん……今回は大目に見てやる」

響(チョロすぎるぞ……)

P「さておき。勝負は勝負、手加減は――」

P(あれ?手加減した方がいいんだろうか?)

響「本気でいいぞ!なんたって自分、完璧だからな!」

P「そうか。なら……全力で行かせて貰う!」

響「返り討ちにしてやるさー!」

P「文句言うなよ!」

響「ああ!」

P「泣くなよ!」

響「勿論!」

P「拗ねるなよ!」

響「どれだけ確認するの!?」

P「――まあ、終わった訳だが」←余裕

響「うぅ……強すぎるぞ……」←ラブゲームされた

P「だって……なぁ?」

響「前の方に落として左右に振るなんて……大人げないぞ!」

P「それも戦法だし、俺は大人げなくない」

P「大体、前に落とさなくても勝ってたしな」

響「……どうするつもりだったの?」

P「延々ロビングしようかと」

響「やっぱり大人げないぞ!」

P「やかましい!勝つ事が全てなのだ!」

響「……もういい」

P「え?」

響「もうプロデューサーなんか知らないもんっ!うわああぁぁぁん!」

P「待て!お願いを聞いてやろう!な?」

P「だから泣くのはやめろ!世間の目が痛い!」

響「すんっ……ホント?」

P「ああ本当だ。俺に二言はない。大人だからな」

響「ぐすっ……じゃあ、ワニ子とデスロールごっこしてあげて?」

P「それは嫌」

響「ちょっ!?さっき二言はないって言ったじゃん!」

P「ええい、うるさい!二言はなくても虚言はある!大人だからな!」

響「汚いぞ!」

P「そうだ。この汚さこそが大人だ。よく覚えておけ!」

響(凄く子供っぽい……)

【翌日、事務所】

響「プロデューサー!」

P「何だ騒々しい」

響「ワニ子を元に戻して」

P「ふむ――」

ワニ子「…………」

P「至って普通に見えるが?」

響「これを見てもそう言える?」

響「おーいワニ子。餌だぞー」

コトッ……

ワニ子「…………」

P「何もしないな」

響「ちょっと待って。もうすぐ――来た!」

ノシノシ……

ワニ子「……ガブッ!」

ギュルルルル!

P「……素晴らしいデスロールだな」

響「冷静に言ってないで何とかしてよ!」

P「別に困る事なんてない思うが」

響「家でもこうなるの!お陰でいぬ美の餌とか飛び散り放題なんだぞ!」

P「野生の本能だ。仕方あるまい」

響「誰が呼び覚ましたと思ってるの!?」

P「肉だろ?」

響「プロデューサーがちょっかい出したからだぞ!」

P「……秘書がやった事です」

響「秘書って言うのはその右腕の事か?」

P「さぁ、知らんな」

響「もう!こっちは真剣なんだぞ!」

P「俺だって真剣だ!デスロールごっこなんてして堪るか!」

響「じゃあどうするの!?」

P「面倒だな……とりあえず、猿ぐつわでもかましとくか」

カポッ

ワニ子「…………」

響「……ワニ子が泣いてるように見えるぞ」

P「奇遇だな。俺にもそう見える」

P「ま、後はお前が頑張って調教しろ。俺は知らん」

響「丸投げ!?」

すいません、勢いで書き過ぎたので補足エピソードです

デスロールについてですが、プロデューサーは普通に耐えているのでその上での要求……という話のつもりでした
言葉足らずになってしまい、申し訳ありませんでした

【いつかの平日、事務所】

亜美「ねぇねぇ兄ちゃん」

P「何だ?」

真美「いつお菓子作ってくるの?」

P「……あ」

亜美「ははーん。これは忘れてたね?」

真美「自信満々だった癖に、やっぱりできなかったんでしょ?」

P「いやっ……あれは春香が――」

春香「私が……何かしちゃいましたか……?」

P「春香!?いや違う!これはだな――」

亜美「はるるんのお菓子が美味しすぎて自信がないんだって」

真美「まあ当然だよね。だってはるるんのお菓子だもん」

P「ぐ……いや、そんな事はない!」

春香「あの……美味しくなかったですか?」

P「ああいや美味しいぞ?でもそういう話じゃなくてだな……」

亜美「何を言っても現物が無いと説得力ゼロですなー」

真美「『作る』って言ってからどれぐらい経つんだろうね?」

P「この……言わせておけば調子に乗りやがって……」

P「いいだろう!今から作ってくる!覚悟しろ!」

バタン!

春香「……出て行っちゃったけど?」

亜美「どうせすぐに戻ってくるっしょ」

真美「だよね。まあ、律っちゃんも居ないし――」

律子「誰が居ないって?」

真美「……居たの?」

律子「居ました」

亜美「怒られたり……する?」

律子「よく分かってるじゃない」

春香「あのー……私は?」

律子「春香はまあ……被害者?」

亜美「いや加害者だYO!」

春香「何で!?」

真美「兄ちゃんのプライドを傷付けたんだよ……残酷だね?」

春香「残酷なのは二人の方だと思う」

【同日・数時間後、事務所】

美希「あれ?プロデューサー居ないの?」

律子「……帰ったわ」

美希「え?」

律子「だから帰ったのよ」

美希「何の為に?」

律子「お菓子作りの為に」

美希「仕事は?」

律子「片付いてたわ」

美希「だったら問題ないね」

律子「大ありよ!」

律子「まったく……なまじ仕事ができるだけ性質が悪いわ……」

雪歩「でも、いつも迷惑かけてるような気がしますし……はい、お茶です」

律子「ありがとう。まあ、亜美と真美の世話は任せっぱなしね……」

美希「その代わり、同じぐらい迷惑かけられてる気がするの。ミキはそうでもないけどね」

律子「飛び出されるのは流石に困るわ……」

雪歩「うーん……よくよく考えたら、あずささんみたいなものかも」

律子「どういう事?」

雪歩「あずささんが突発的な迷子って感じだとすると――」

ガチャッ

雪歩「プロデューサーは、その……自発的迷子、みたいな?」

美希「それ、アホって事なの」

P「俺ってアホだったのか……」

美希「タイミング悪すぎるの!」

【とある日、事務所】

真「伊織っていつもぬいぐるみ持ってるよね」

伊織「シャルル・ドナテルロ18世よ。憶えておきなさい」

真「名前まであるの?子供っぽいなぁ……」

伊織「目の前に居る奴の方がよっぽど子供よ」

P「俺の事か?失礼な奴だな」

伊織「事実じゃない」

P「ふん、言っていろ」

真「プロデューサーは確かに子供っぽいけど……ぬいぐ――」

伊織「は?」

真「……シャルル的な子供っぽさじゃないよね?」

P「何だそれは。俺の抱き枕でも欲しいのか?」

真「要らないです」

P「即答かよ……」

伊織「ところで、さっきのは『ぬいぐるみを持ってるような子供っぽさじゃない』って事かしら?」

真「そうそう。ていうか、伊織も『ぬいぐるみ』って言ってるじゃないか」

伊織「私はいいのよ」

真(子供だなぁ……)

伊織「それより、アレを見てもそんな事が言えるのかしら?」

真「アレ?」

伊織「そう、アレ」

真「何アレ……」

P「よくぞ訊いてくれた!」

真「はぁ……で、何なんですか?」

P「伊織が持ってるぬいぐ――」

伊織「は?」

P「ではなく、シャルルを凌ぐ大型ぬいぐるみ!その名も、シャルル・ドナテルロ19世!」

真「丸パクリ!?」

伊織「いえ、この際ネーミングセンスはどうでもいいわ」

伊織「問題なのは、この馬鹿が家でこれを縫ってきて、しかも街中で背負ってた事なのよ」

真「ええぇぇぇ……」

P「お前が『パートナーが居ないなんて寂しいわね。私にはうさちゃんが居るけど』とか言うからだろうが」

伊織「だからって街中で見せつけなくてもいいじゃない!」

P「うるさい奴だな。シャルル比20倍の前にひれ伏せ!」

伊織「嫌よ。まあ、30倍のヤツを作ってくれるなら考えないでもないわ」

P「言ったな?後悔しても知らんぞ?」

伊織「望むところよ」

真(伊織にあげたら、プロデューサーがひれ伏す事になると思うんだけど……)

P「あ、真も要るか?」

真「別に」

P「だから何で即答なの!?」

【またとある日、事務所】

P「音無さん」

小鳥「どうしました?」

P「これ、見た事あります?」

小鳥「いえ、知らないですね」

P「なんと、ボタン一つで炭酸ジュースを作れるらしいんですよ」

P「まあ、専用のカートリッジは必要なんですけどね」

小鳥「面白そうですね。あ、もしかして」

P「ええ。せっかく買ったので、使いたくなりまして」

小鳥「じゃあ、一つお願いします」

P「はい、待っててくださいね!」

P「お待たせしました」

コトッ……

小鳥「ありがとうござ――あの」

P「どうしました?」

小鳥「何でコーヒーなんですか?」

P「大人ですから」

小鳥「関係ないですよね!?」

P「何がです?あ、寒いと思ったのでホットですよ」

小鳥「気を回すところが違います!」

P「すいません。ミルクを忘れてました」

小鳥「そーではなくて!」

P「はぁ……じゃあ何なんですか?」

小鳥「もういいです。まずプロデューサーさんが飲んでください」

P「別にいいですけど――マズッ!」

小鳥「分かりましたか?」

P「まさか大人の飲み物がここまで不味いとは……何故だ……」

小鳥「炭酸入れたからですよ!むしろ何で入れたんですか!?」

P「大人なら未知への探求を怠るべきではないと思いまして……」

小鳥「大人なら先人の知恵に学んでください!」

P「うぐっ……」

小鳥「とにかく、これはもう飲み物じゃないです」

P「分かりました……じゃあ捨て――」

ガチャッ

やよい『ただいまですー!』

小鳥「……捨てるんですか?」

P「飲みます……あ、音無さんの分はこっちです」

小鳥「分かりました……せーの!」

ごくっ……!

P・小鳥「おえぇぇぇ……」

【いつもの平日、事務所】

P(さて、今日はドーナツを作ってきた訳だが……)

春香「皆ー!今日はお砂糖たっぷりドーナツだよー!」

P「何でこうも被るんだ……」

春香「プロデューサーさんもお一つどうぞ」

P「……ありがとう」

春香「あの……甘いの苦手でしたか?」

P「いや、嬉しいのは嬉しいんだ。すまないな」

春香「ならいいんですけど……」

P「じゃあ頂くな。あむ……」

P(凄く甘い……が、美味しいのも確かだ)

P(律子に『少し落ちる』と言われたのは何が原因なんだ……)

P「少し外に出てくる」

春香「あ、はい。行ってらっしゃい」

P「ふむ……」

美希「屋上で何やってるの?」

P「何だ美希、居たのか」

美希「むっ……失礼しちゃうの」

P「まあ、そんな事はどうでもいい」

美希「全然よくないって思うな」

P「うるさい奴だな。前にシュークリームを買ってやっただろうが」

美希「だから?」

P「とりあえず、感謝の気持ちがあるならこれを食え」

美希「恩着せがましい上に意味不明なの……もしかして毒入り?」

P「今度のおにぎり、ネギトロにするぞ?いや、ネギテロと言うべきか」

美希「滑ってるの」

P「はいネギトロ決定」

美希「ちょっ!?それは横暴だって思うな!」

P「なら大人しく食べろ」

美希「分かったの……じゃあ一つ貰うね。はむっ……」

P「どうだ?」

美希「んー……0.8春香って感じ?」

P「何だその単位!?」

美希「春香の0.8倍美味しいの」

P「いや分かった……分かったから追い打ちはやめてくれ……」

P「さておき、何で春香の方が美味しいんだろう?」

美希「多分だけど、春香は皆の事を考えて作ってるからじゃない?」

P「そんな根性論みたいなのは認めん」

美希「いやいやいや。そうじゃなくてね?」

P「そうじゃないとは?」

美希「皆の好みに合わせて作ってるって事なの」

P「ふむ……一理あるな」

P「確かに俺も味見はするが、それは俺の舌に合った物になるからな」

美希「でしょ?そもそも、男の人と女の子で好みは違うと思うの」

P「つまり……春香の舌の方が、お前達の舌に近いという事か?」

美希「そんな感じ」

P「成程な。参考になった。ありがとう」

美希「どういたしまして。あ、ドーナツは置いてってね」

P「……0.8春香だぞ?」

美希「でも、1プロデューサーなの」

P「何だそれは……まあいい。好きにしろ」

美希「ありがと」

P「ふん……子供の考えは分からんな」

時間が取れないのでペースが落ちます、申し訳ありません
一度に三編ぐらい投下できるかどうか……といったところです

【ある休日8、事務所】

真美「へいへい兄ちゃん」

P「ん?」

真美「ちょっとゲームしない?」

P「何で?」

亜美「敵討ち……ってヤツかな」

P「誰の?」

真美「兄ちゃんに負けた人の」

P「ふむ……座りっぱなしって言うのもアレだし、相手してやってもいいぞ」

P「で、どんな勝負にするんだ?」

亜美「よくぞ訊いてくれました!勝負内容は――これです!」

P「ツイスターゲームか……」

真美「僭越ながら、お相手は真美が務めさせて頂きます」

P「いいぞ。かかってこい」

真美「あれ?随分と余裕だね」

P「余裕だからな、仕方ない」

亜美「現役アイドルの柔らかさを見くびってるね?」

P「お前らこそ、俺の柔軟さを見くびってるな」

真美「……もしかして、超強かったり?」

亜美「まさかぁ。ロクに動いてない人が勝てる訳ないじゃん」

P「いいからさっさと始めろ。勝負を挑んだ事を後悔させてやる」

真美「そうだね……それじゃあ、勝負――!」

P「ぐ……!」

亜美「ほらほら、次は兄ちゃんの番だよ?」

P「ええい!気が散るから静かにしろ!」

真美「はぁ……もう無理でしょ?諦めたら?」

P「無理じゃない」

真美「意地っ張りだなぁ……」

P「真美、足をどけろ」

真美「それもうツイスタゲームじゃないよ!?」

P「……分かっている」

亜美「じゃあ、兄ちゃんの負けって事で――」

P「待て!」

亜美「何?」

P「まだ終わった訳じゃ――ないッ!」

ゴリュッ!

P「よし、できた」

真美「え?何!?何の音!?」

亜美「あ……あぁ……」

真美「ねぇ亜美!どうしたの!?」

亜美「兄ちゃんの腕が変な方に……いやああぁぁぁ!」

ダッ!

真美「ま、待ってよ!置いてかないで!」

ダッ!

P「……………」

P「……勝った」

P「なのに何だ、この敗北感は……」

【いつもの平日2、事務所】

P(相手の好みに合わせて作る……春香はそうやってるんだよな……)

P「ふむ……春香か……」

春香「はい?呼びましたか?」

P「おお、いいところに来たな」

春香「何かあるんですか?」

P「いや、何かというか……少し頼みたい事があって」

春香「頼み事ですか?いいですよ」

P「うん。実はな、舌が欲しいんだ」

春香「……はっ?」

P「だからだな。舌――つまりはベロを貸して欲しい」

春香「誰の?」

P「春香の」

春香「嫌ですよ!何を考えてるんですか!?」

伊織「何があったの!?」

真「春香の悲鳴が聞こえたけど……」

あずさ「何だか騒がしいですね~」

春香「伊織いいぃぃぃ!」

伊織「わわっ!?どうしたの、春香?」

春香「プロデューサーさんが、私の舌が欲しいって……」

P「待て!その説明だと誤解を――」

伊織「なんて事してるのよアンタは!真、拘束して!」

真「分かった!」

ガシッ!

P「はーなーせー!」

あずさ「えーと……警察、呼ぶ?」

P「それは洒落になりませんよ!?」

伊織「アンタが言うな!」

P「まったく……真もいい加減に手を離せ」

真「嫌です!」

グイッ!

P「あ、そんなに引っ張ったら――」

ゴリュッ!

P「関節が外れるじゃないか」

真「ひいいぃぃぃ!ごめんなさい!」

伊織「あわわわわ……あずさ、救急車を!」

あずさ「確か……110、と」

P「だからそれ警察ですって!」

あずさ「あら?」

P「まあ、入るから心配するな」

ガコッ!

P「それで、勘違いの件だが――」

春香「近寄らないでください!」

P「話を聞けー!」

【数分後、事務所】

P「――とまあ、そういう訳なんだ」

春香「ややこしいですよ!」

P「すまない。言葉が足りなかったのは謝ろう」

伊織「で、アンタは春香に勝てないからあんなアホな真似をしたと」

P「そうなるな」

真「負けず嫌いだなぁ……」

P「お前にだけは言われたくない」

あずさ「でも、そんなに美味しくないんですか?」

P「分かりません。美希曰く、0.8春香らしいですが」

春香「何で私が単位になってるんですか……」

P「いいじゃないか。春香が基準なんだし」

伊織「それで、例のクッキーは無いの?」

P「一応ここに」

ガサッ……

伊織「ふうん……一つ貰うわね」

真「あ、ボクも」

あずさ「私も頂きます~」

春香「せっかくだから私も……あむっ」

P「評価は?」

伊織・真「……0.8春香?」
あずさ「……0.8春香ちゃん?」

P「うぐっ……!」

春香「わ、私は美味しいと思いますよ!」

P「……死んでくる」

春香「何で!?」

伊織「いや、それだけは言っちゃ駄目でしょ……」

タイトルの語彙が尽きたので
【いつもの平日】と【ある休日】に番号を打ちつつ書いていきます

【いつもの平日3、事務所】

響「ねぇねぇ、プロデューサー」

P「響か?すまないが後にしてくれ」

響「いや、すぐに終わるから」

P「……どうした?」

響「ジャンケンしよう」

P「何故?」

響「それなら勝てそうだから」

P「子供かお前は……」

響「むっ……プロデューサーには言われたくないぞ!」

P「それで、ジャンケンなら勝てると言ったか?」

響「そう!全てにおいて平等!運だけが勝敗を左右する!」

響「そして……運だけが関係してるなら、自分が負ける訳ないさ―!」

P「いや、普通に五分五分だと思うが」

響「そんな訳ないの!自分が勝つの!」

P「その自信はどこから来るんだ……」

響「なんたって自分、完璧だからな!」

P「以前、その決め台詞の後に敗北しただろ」

響「前は前、今は今だし!」

P「まあいい。とっとと終わらせるか。書類整理も残ってるし」

P「何回勝負にするんだ?後から『3回勝負だもん』とか言われても困るぞ」

響「それ自分の真似なの……?気持ち悪っ……!」

P「いいから回数を指定しろ!」

響「じゃあ、10本先取って事で」

P「分かった」

響「それじゃあ、行くぞ――!」

P「ふん……己の愚かさを噛み締めろッ――!」

P「――まあ、分かりきっていた事だがな」←10点

響「こんなの絶対おかしいぞ……」←0点

P「そうか?」

響「どう考えても10連勝はおかしいでしょ!?」

P「運がよかったんだ」

響「……イカサマしたよね?」

P「ジャンケンでイカサマとか、なかなか難しい事を言ってくれるな」

響「じゃないと納得できないぞ」

P「ふむ……響はどんなイカサマを疑ってるんだ?」

響「それは……後出し、とか?」

P「してるように見えたか?」

響「見えないけど……」

P「なら、それは違うな」

響「まさか、凄い動体視力で自分の手を見切ったとか……いや、あり得ないよね」

P「正解」

響「正解なの!?」

P「ま、ジャンケンなんて完全に同時には出せないんだから仕方ない。諦めろ」

P「さて、そろそろ仕事の時間だ。行ってこい」

響「うぐ……自分が負けても、第二第三の自分が――」

P「ごちゃごちゃうるさいぞ」

響「うぅ……覚えてろー!」

【一時間後、事務所】

P「……で、お前は何をしてるんだ?」

貴音「第二の響です」

P「貴音だろう」

貴音「響です」

P「ポニーテールにしてればいいとでも思ってるのか?」

貴音「なんくるございません」

P「いや、あるだろ……」

貴音「冗談はさておき、響の仇討ちに参りました」

P「ジャンケン勝負か?」

貴音「ええ」

P「勝てもしないのに?」

貴音「試してみなければ分かりませんよ?」

P「ふん、いいだろう……大人の名にかけて、いざッ――!」

貴音「友の無念を晴らします……お覚悟ッ――!」

P「おかしい……こんな事はあり得ない……」←0点

貴音「手応えありませんね」←10点

P「いや、もう一度やれば……!」

貴音「やりますか?」

P「無論だ!ジャンケン――ほい!」←グー

貴音「はい」←パー

P「何故だ!?」

貴音「何故でしょう?」

P「分からん……確かに見切っているのに……」

P「それに貴音は目が悪かった筈……なのにどうして……」

貴音「わたくしは直感で出しているので、見切りは無意味ですよ」

P「直感とかありなの!?」

貴音「特技ですので」

P「それにしたって、手の動きは誤魔化せない筈で――」

貴音「プロデューサー曰く、多少の後出しはやむを得ないらしいですね?」

P「うぐっ……それはそうかもしれないが……」

P「やはり納得できん……もう一本!」

貴音「気が済むまでどうぞ」

P「ジャンケン――」

律子「…………」

P「……見てた?」

律子「見てました」

P「許してくれないか?」

律子「アイドルとジャンケンして、それで給料が貰えると思うなら構いませんが」

P「すみません……」

律子「よろしい」

【いつもの平日4、レッスン場】

P「はい、そこでターン!」

響「よっ!」

真「はっ!」

P「よし、休憩するか」

響「ふぅ……結構疲れるね」

真「ボクはまだまだいけるけど?」

響「やっぱり自分もまだいけるな、うん」

P「ふん……子供だな」

響・真「プロデューサーには言われたくない」

P「あーはいはい。そうですねー」

響「子供じゃん……」

真「そういえば、プロデューサーって踊れるんですか?」

響「それは自分も興味あるぞ!」

P「踊れないか踊れるかで言えば……踊れるな」

響「ホント?見せて見せて!」

P「面倒だ」

真「ボク達のスキルアップの為だと思って!」

P「お前達のレベル、元から高いじゃないか」

響「じゃあ暇潰しでいいから」

P「おい。本音が出てるぞ」

真「あ、もしかして……そんなに上手くなかったり?」

P「いいだろう踊ってやる」

真(もう踊ってるようなものだね、これ……)

P「――よし、終わった」

響「おおっ!凄いなプロデューサー!」

真「テレビでも通用しますよ!」

P「それはないな」

響「えー?そうかなぁ?」

P「いいか?よく考えてみろ」

ガチャッ……

P「俺みたいないい歳した大人が踊っても、夢や希望なんて与えられないんだ」

P「むしろ、社会の歯車に組み込まれた徒労感を撒き散らすだけだ」

P「だからこそ、お前達のような若さが輝く――」

あずさ「……差し入れです~」

P「のは、ちょっと違うかな―……なんて」

あずさ「プロデューサーさんにもありますので、どうぞこちらに」

P「いえその、俺は別に――」

あずさ「どうぞ?」

P「はい、行きます……」

響「プロデューサーって、もっと周りを見るべきだよね……」

真「うん……そうだね……」

P「一応信じてみるとして、一体誰に試したんだ?」

春香「いえ、誰にも」

P「だったら覚えたかどうか分からないじゃないか」

春香「だからプロデューサーさんで試すんじゃないですか」

P「えーひどい」

春香「大丈夫ですって! 失敗したって死ぬわけじゃないんですし」

P「う~ん」

小鳥「コホン……まぁまぁプロデューサーさん、付き合ってあげても……」

P「自分が実験台ではないから、そんなことが言えるんですよ小鳥さん」

小鳥「それは認めますけど……」

春香「なんなら小鳥さんでもいいですよ」

小鳥「嫌です!」

春香「即答ですね」

小鳥「えへへ」

P「…………」

>>173
誤爆

申し訳ない

>>173
誤爆

申し訳ない

>>175
大人は誤爆程度では動じません。お気になさらず

【いつもの平日5、事務所】

千早「プロデューサー。少し相談が」

P「どうした?」

千早「その……昼食を忘れてしまいまして」

P「作って欲しいのか?」

千早「はい」

P「分かった。任せておけ」

千早「すみません」

P「気にするな。体調管理も俺の仕事だ」

千早「カロリーメイトを作らせてしまって」

P「いや、普通の食事にするからな!?」

P「できたぞ」

千早「……頂きます」

P「…………」

千早「はむ……むぐ――」

P「はい、水」

千早「んく……ありがとうございます」

P「…………」

千早「……あの」

P「どうした?」

千早「多分、食べきれないかと……」

P「残してもいいぞ。俺が食べるから」

千早「……そういう趣味が?」

P「違う!大人としての責任だ!」

【いつもの平日6、事務所】

亜美「今日のおやつは何でしょね?」

真美「今日のおやつは何でしょな?」

亜美「さてさて、冷蔵庫に着いた訳ですが」

真美「最近はお菓子が充実してるからねー。毎日楽しみだよ」

亜美「ではご対面――って何これ!?」

真美「どうしたの?」

亜美「いやほら……何か大量の白いものが……」

真美「これは……ゆで卵、かな?」

亜美「何でゆで卵がこんなに……プリンとか無い?」

真美「無いね。どこ見ても真っ白だね」

亜美「えぇ~……ゆで卵がおやつって、喉パッサパサになるじゃん」

真美「あ、ここに何か書いてあるよ?」

亜美「読んでみて」

真美「えっと……『お前達もこの固ゆで卵を食べて、早く大人になるといい。プロデューサーより』だって」

亜美「いやいやいや……ハードボイルドを根本から間違えてるよ……」

真美「こういうところが子供なんだよね……」

亜美「一応、無駄に調味料があるのも兄ちゃんらしいけど……」

真美「何と言うか、気遣いがずれてるんだよね……」

最初と違って話の内容がマイルドになりつつある気がします。ごめんなさい

また言葉足らずでした……

固ゆで卵を食べる→ハードボイルドになる→大人っぽい

という考えの下、プロデューサーは行動したというお話です

【いつもの平日7、事務所】

響「思うんだけどさ」

真美「んー?」

響「プロデューサーってさ」

真美「うん」

響「子供っぽいんじゃなくて、真美達に合わせてくれてるんじゃないか?」

真美「それは気の所為じゃない?」

響「でも、いい大人があんなにはしゃぐか?」

真美「言われてみれば……」

響「ね?真美はもっとプロデューサーに感謝した方がいいぞ」

真美「ひびきんは感謝してるの?」

響「……してるぞ?」

真美「今の間は!?」

ガチャッ

P『ただいま戻りましたー』

響「お、噂をすれば」

真美「兄ちゃんおかえり」

P「ただいま。そうだ、二人にこれをやろう!」

響「何これ?」

P「さっき通りがかった店で売ってた期間限定のチョコレートだ」

真美「えーと……もずく味!?」

P「うむ!全員に買ってきたから遠慮しなくていいぞ!」

真美「無駄!それ完全に無駄だからね!?」

P「分からん奴だな……無駄な事をするのが大人なんだよ」

響「……やっぱりプロデューサーって子供だな」

P「何でそうなる!?」

【いつもの平日8、事務所】

P「休憩がてら雪見大福でも……何だ?」

亜美「いや、美味しそうだなーと思って」

P「……一つだけだぞ」

亜美「やったー!」

P「ふん……大人は一つ奪われたぐらいでは狼狽えんのだ」

P「さて、俺も――おい、何だその目は」

真美「亜美だけズルイなーと思って」

P「……分かった。勝手に食え」

真美「兄ちゃんありがと―!」

P「……まあ、俺も大人だ。こうなる事は想定していたとも」

P「だからこそ、こうして二つ買ってきた訳で――」

やよい「あ……何でもないですよ?」

P「……仕方ない。やよいにもやろう」

やよい「いいんですか……?ありがとうございますっ!」

P「早くも最後の一つ、これは誰にも――」

貴音「わたくしには……無いのですか?」

P「食べればいいだろ!?何だよもう!」

貴音「ありがとうございます」

【いつもの平日9、事務所】

美希「プロデューサーっていつも『大人だー』って言ってるよね」

P「いきなりだな。どうした?」

美希「ちょっとね。恋愛とかした事あるのかなーと思って」

P「恋愛か……俺には必要ない事だな」

美希「えー?何かそれって寂しくない?」

P「恋愛で金は溜まらんし、腹も膨れないんだぞ」

美希「でも、きっと胸は一杯になるの」

P「恋愛した事もない奴がよく言う……」

美希「それはプロデューサーも同じなの」

P「ふむ……例えば俺が誰かに恋をしたとして」

美希「うんうん」

P「それが実ると思うか?」

美希「思わないの」

P「そこはお世辞でも『思う』と言っておけ。それが大人だ」

美希「じゃあ思うの」

P「『じゃあ』って何だ!?」

美希「プロデューサー、めんどくさいの……あふぅ」

P「まったく、自由な奴め……」

美希「だってミキ、子供だもん」

P「……そうだったな」

迷惑のかけ合いでバランスを取ってるつもりですが
やはり行き過ぎる事があるみたいです。申し訳ありません

一応、もずくチョコの代償が雪見大福という感じです

【ある休日9、事務所】

P「ただいま戻りました……って、誰も居ないのか?」

P(いや、休日に事務所に来る方が珍しいか……)

P(それにしても外回りは疲れる……甘い物が欲しくなるな)

P「まあ、その前に書類を片付けないと――うん?」

P「これは……雪見大福だな」

スッ……

P(心なしか生温い気がする……置きっぱなしで溶けたのか)

P(しかし、俺の机に二つも出しておくなんて……一体何がしたいんだ?)

P(こういうのは食べる直前に出すものだろうに……仕方ない、入れておくか)

ガチャッ……

P「えっと、どこに置けば――あれ?」

P(こっちにも二つ入ってる……何だ?雪見大福ブームなのか?)

P(というか、手前にある方は無傷なのに……)

P(奥の方にある雪見大福……どうして一つ食われて――)

P「……待てよ?」

P(ここにある雪見大福……あいつらがこの前のお詫びに買ってきたという可能性も――)

P(いや、ないか。流石に忘れてるだろう)

P(となれば、大人が取るべき行動は――)

亜美「ただいまー!」

真美「あれ?兄ちゃんは?」

貴音「ソファで眠っておられるようです。静かにしましょう」

やよい「お疲れ様です、プロデューサー」

ファサッ……

貴音「……さて、確認しましょうか」

やよい「食べてくれてるといいんですけど……」

亜美「一応、兄ちゃんの机の上の分は無くなってるみたいだよ?」

やよい「何で机の上に置いたの!?」

真美「やよいっち。しーっ……!」

やよい「はわっ……やっちゃいました……」

貴音「過ぎた事は仕方ありません。早く移動しましょう」

やよい「分かりました」

真美「で、冷蔵庫だよね?」

貴音「はい。無くなっていればよいのですが……」

やよい「……あの」

貴音「どうしました?」

やよい「プロデューサーって、一度に四つも食べるんでしょうか?」

真美「それは……考えてなかったね」

亜美「まあいいじゃん。亜美達の分は食べてるかもしれないし」

真美「そだね。最悪、二つ残っててもオッケーだよ」

やよい「あ、そっか。そうだよね」

亜美「よし……開けるよ?」

貴音「お願いします」

亜美「それっ」

ガチャッ……

やよい「どう、亜美?」

亜美「…………」

貴音「亜美?どうしたのですか?」

亜美「えっと、その……」

やよい「亜美?どうだったの?」

亜美「……16個に増えてる」

真美「何で!?」

すみません。またミスしました
>>213を修正します

真美「で、冷蔵庫だよね?」

貴音「はい。無くなっていればよいのですが……」

やよい「……あの」

貴音「どうしました?」

やよい「プロデューサーって、一度に四つも食べるんでしょうか?」

真美「それは……考えてなかったね」

亜美「まあいいじゃん。亜美達の分は食べてるかもしれないし」

真美「そだね。最悪、二つ残っててもオッケーだよ」

やよい「あ、そっか。そうだよね」

亜美「よし……開けるよ?」

貴音「お願いします」

亜美「それっ」

ガチャッ……

真美「どう、亜美?」

亜美「…………」

貴音「亜美?どうしたのですか?」

亜美「えっと、その……」

やよい「亜美?どうだったの?」

亜美「……16個に増えてる」

真美「何で!?」

【いつもの日常10、事務所】

P「ふと思ったんだが」

伊織「何?」

P「春香のお菓子が美味いなら、それをベースにすればいいんじゃないだろうか」

伊織「まあ、発想としては悪くないわね」

P「ふむ……春香ー?」

春香「はーい?」

P「すまないが、ドーナツを一つくれ」

春香「いいですよ。はい、どうぞ」

P「ありがとう」

伊織「で?それをどうするの?」

P「ここに俺が作ってきた生クリームがあるだろう?」

伊織「あるわね」

P「それをドーナツにかけて――完成だ!」

伊織「何を堂々とパクってんのよ!」

P「まあ待て。これを食べてみろ」

伊織「嫌よ」

P「味は保証するぞ?」

伊織「それは春香のお陰でしょ!?」

P「いいから食べろ。単純計算で1.8春香はある筈だ」

伊織「はぁ……分かったわよ。はむ……」

P「どうだ?」

伊織「0.2春香ね」

P「何故!?」

伊織「クドいから」

P「春香め……謀ったな……!」

伊織「アンタの生クリームの所為よ!」

【いつもの平日11、事務所】

P「ふむ……やよいの業績が伸びてるな」

P「やよいー?」

やよい「はい?」

P「最近、頑張ってるみたいだな。偉いぞ」

やよい「本当ですか!?うっうー!嬉しいです―!」

P「また仕事も増えるだろう。よかったな」

やよい「はいっ!あ、プロデューサー。ハイタッチしてもいいですか?」

P「ハイタッチか……子供っぽいな」

やよい「あう……駄目ですか?」

P「いや、俺に考えがある。響―?」

響「どうしたの?」

P「ちょっと頼みたい事があってな。こっちに来てくれ」

響「はぁ……分かったぞ」

P「という訳で、これからハイタッチを行う」

響「すれば?」

P「いやいや、俺がやりたいのは大人のハイタッチなんだ」

響「意味分かんないぞ……」

P「とりあえず、響はやよいの前に立ってくれ」

響「ここ?」

P「そう、そこ。やよいは響の後ろだ」

やよい「分かりました」

P「では手順を説明する」

P「まず、響が俺に向かって思い切りジャンプする。やよいは響に続いてくれ」

P「そして頂点でハイタッチだ。分かったか?」

響「……危なくない?」

P「ああ、響は着地したら素早く退避してくれ。やよいが跳んでくるからな」

響「わ、分かったぞ」

P「やよいも準備はいいか?」

やよい「はいっ!頑張ります!」

P「よし。それでは――始めッ!」

響「行くぞプロデューサー!」

P「来いッ!」

響「うりゃああぁぁぁ!」

ダンッ!

響「はい――」

P「たーっち――と見せ掛けて響をスル―!」

響「何で避けるの!?」

ズザッ!

やよい「えいっ!」

ダンッ!

P「やよいが来るぞ!響、退避だ!」

響「もう何なの!」

P「行くぞやよい!はい――」

やよい「たーっち!」

パシン!

P・やよい「イェイ!」

P「決まった……」

響「ねぇ何これ!?何なのこれ!?」

P「二人時間差ハイタッチだ。大人っぽいだろ?」

響「自分の虚しさが半端じゃないんだけど……」

P「じゃあ響もハイタッチしとくか。はい、たーっち!」

響「イェイ――って、普通のハイタッチしたら駄目じゃん!」

P「しまった!?」

【ある休日10、デパート】

P「珍しいですね。買い物に付き合って欲しいなんて」

あずさ「家具の事はよく分からないので……すみません……」

P「どうして謝るんですか?」

あずさ「いえ、せっかくのお休みなのに……」

P「いいんですよ。特に趣味もありませんし」

あずさ「そう言って頂けると助かります」

P「ただ、迷子にはならないように――」

あずさ「あら、向こうによさそうなのが……」

ふらふら~

P「気をつけて……って、遅かったか」

P(さて、あずささんが迷子になった訳だが……)

P(以前の事を鑑みるに、迷子の呼び出しをしてくるだろうな。間違いなく)

P(俺が迷子になった訳ではないというのに、失礼な話だ)

P(ここは先手を打って俺が呼び出すとしよう)

P「すみません、迷子の呼び出しをお願いしたいんですが」

店員A「はい。お名前は分かりますか?」

P「ええ。三浦――」

P(いや待て。アイドルの名前を呼び出していいのか?)

P(いくら変装しているとは言え、騒ぎになるのは必至……)

P(という事は、つまり――)

ぴんぽんぱんぽーん……

店員A『迷子のお知らせをします』

店員A『紺色のスーツに黒縁メガネ、水色と紺のストライプのネクタイを締めたお客様がお待ちです』

店員A『お連れ様はサービスカウンターまで――』

あずさ「あら?プロデューサーさんが迷子だわ……」

あずさ「すみません。サービスカウンターってどこでしょうか?」

店員B「ご案内します」

あずさ「あ、はい。お願いします~」

【ある休日10.1、事務所】

P「なあ律子」

律子「何ですか?」

P「あずささんの迷子癖の話だけど」

律子「はい」

P「大人として、自分で目的地にたどり着けないのは問題だと思わないか?」

律子「まあ……確かにそうですね」

P「そういう訳で、俺が矯正する事にした」

律子「迷子癖を?」

P「うむ」

律子「どうやって?」

P「それは――」

あずさ「ただいま……って、あら?」

あずさ「郵便受けがいつの間にか一杯に……何が入って――」

ドサドサドサ!

あずさ「あらあら……こんなになるまで忘れてたなんて……」

あずさ「えーと、中身は……地図?」

あずさ「あ、名前が書いてあるわね。これは……ブーブーエスTV?」

あずさ「やけに詳しく書き込んであるけど……何かの手違いかしら?」

あずさ「他には……え?」

あずさ「この地図……『事務所周辺』って書いてある……」

あずさ「それにこっちは……『三浦宅周辺』!?」

あずさ「どうして私の家が……?まさか――」

あずさ「は、早く律子さんに連絡しないと……!」

P「それは――」

プルルルル……

律子「あ、電話みたいです」

P「出てくれて構わないぞ」

律子「すみません――はい、もしもし?」

律子「あずささん?ちょっ……落ち着いてください!」

律子「はい……はい……え?ストーカー?」

律子「状況は?……分かりました。こちらで対応してみます」

律子「また後で連絡します。それでは」

ピッ

P「どうしたんだ?」

律子「それが……ストーカーが居るらしいんです」

P「物騒だな……被害は?」

律子「身近な場所の地図が大量に届いてるみたいです」

P「あ、それ俺だ」

律子「はぁ!?何をやってるんですかあなたは!」

P「まずは地理を把握して貰うところから始めようかと」

律子「事前報告ぐらいしてください!それこそ大人なら当然でしょう!?」

P「いや、違うんだ。俺は縁の下の力持ち的な感じで――」

律子「縁の下からストーカーとか洒落になりませんよ!」

P「ごめんなさい……」

ナンバリングの『10.1』は書き溜めの間に急遽挟んだものです
これはちょっとやりすぎなんじゃ……と感じた場合は、こんな風に補足エピソードを書こうかと思います

それと、時間が取れず投下ができない状況になってしまいました
『一度に三編投下が云々』という言葉は忘れてください。申し訳ありません

【ある休日10.2、事務所】

律子「明日から一週間、あずささんは活動休止だから」

亜美「お休みって事?いいなぁ……」

伊織「いえ、そうも言えないみたいよ」

亜美「どうして?」

伊織「アレを見てみなさいよ」

亜美「アレって――」

あずさ「はあぁぁぁ……」

亜美「……めっちゃ落ち込んでるね」

伊織「さて、どういう事か説明して貰えるかしら?」

律子「それが……プロデューサーの計画なのよ。あずささんの迷子癖を直すんですって」

亜美「どうやって?」

律子「古今東西、方向に関するありとあらゆる全ての知識を叩き込むとか何とか……」

律子「その為に合宿場まで用意したらしいわ。今日の夜に発つみたいよ」

伊織「合宿……あずさはそんなに嫌なのかしら?」

亜美「意外と悪くないと思うけどなー」

伊織「あら、奇遇ね。私もそう思うわ」

律子「どうして?」

亜美「合宿中は兄ちゃんが料理してくれるんでしょ?」

律子「そうみたいね」

伊織「それに、アイツの事だからそこまで厳しい訳じゃないんでしょう?」

律子「えっと……料理についてはともかく、スケジュールは相当厳しいみたいよ」

伊織「どんな感じなの?」

律子「確かあずささんが日程表を貰ってた筈だから――」

あずさ「どうぞ……」

律子「ありがとうございます。はいこれ」

伊織「なになに――」

――――――――――――――――――――――――――――――
6:00……起床

~7:00……朝食、その他

~12:00……座学(実践)

~13:00……昼食

~18:00……座学(実践)

~20:00……夕食、入浴など

~23:00……座学(実践)

~24:00……就寝準備

24:00~……就寝


※前半の3日間は座学、後半は知識の実践を行う
――――――――――――――――――――――――――――――

伊織「うわぁ……」

律子「ね?厳しいでしょう?」

亜美「でもでも、兄ちゃんって何だかんだ優しいし……大丈夫じゃないかな?」

伊織「そうね。お願いすれば無茶はさせないような気が――」

律子「お願いならしたわよ」

伊織「え?」

律子「だから、『お手柔らかにお願いします』って言ったのよ。でも……」

亜美「でも?」

律子「『大人相手に手加減する必要などない』って……」

亜美「怖いよ!」

【静かな日常、事務所】

響「貴音、お昼にしようよ」

貴音「そうですね。少し待って――おや?」

響「どうしたの?」

貴音「お弁当がありません……」

響「そりゃ、プロデューサー居ないからな」

貴音「困りましたね……はっ!?」

貴音(プロデューサーの居ない今こそ、らぁめんを食べる絶好の機会……)

貴音(これを逃しては、またいつ食べられるかも分かりません……)

響「貴音?」

貴音「お弁当がないのなら仕方ありません。らぁめん屋に行きましょう」

響「別にラーメン屋じゃなくてもいいような――」

貴音「いいえ。らぁめんでなければ駄目なのです」

響「そ、そう?まあ、たまにはいっか」

貴音「それでは参りましょうか」

貴音「――ふむ」

響「ねぇ貴音。それ何杯目なの?」

貴音「これで五杯目です」

響「食べすぎじゃない?」

貴音「それが……どうにもおかしいのです」

響「何が?」

貴音「いくら食べても物足りないと言いますか……」

貴音「確かに食べたい物を選んでいるのに、口をつけた途端『これは違う』と思ってしまうのです」

貴音「今までこんな事はありませんでしたのに……わたくしはどうしてしまったのでしょうか?」

響「……それ、胃袋掴まれてるぞ」

貴音「なんと!?」

【静かな日常2、事務所】

春香「美希、クッキー食べる?」

美希「うん」

春香「はい、どうぞ」

美希「ありがとなの。はむっ……」

春香「どう?」

美希「相変わらず美味しいの」

春香「そっか。よかった」

美希「でも、ちょっと物足りないような……何だろ?」

春香「プロデューサーさんが居ないからじゃない?」

美希「そうかも。最近、プロデューサーからよく貰ってたし……」

春香「癖になってる?」

美希「かもね。あ、春香のクッキーに飽きたって訳じゃないよ?」

春香「うん。分かってる」

美希「でもね……えっと、どう言えばいいのかな……」

美希「こう、たまにジャンクフードが食べたくなる的な――」

春香「それは失礼だからね!?」

美希「どうして?ミキ、プロデューサーのお菓子は好きだよ?」

春香「……美希って女の敵になりそうだよね」

美希「何でそうなるの!?」

【合宿場にて】

あずさ「あの……プロデューサーさん」

P「何ですか?」

あずさ「方角を知る為に星座の位置を覚えるのは分かります」

P「はい」

あずさ「腕時計と太陽で方角を知るのも理解できます」

P「ええ」

あずさ「でも、地図の書き方が必要とは思えないんですけど……」

P「必要ですよ?」

あずさ「いや、読み方だけで十分ですよね!?」

P「ふむ……あずささん。一つ話をしましょうか」

あずさ「話ですか?」

P「ええ。あるところに、お腹を空かせた子供が居ました」

P「通りすがった男は木の実を与えました」

P「子供は助かり、男は何も言わずに立ち去りました」

P「終わりです」

あずさ「いい人ですね」

P「そうでしょうか?」

あずさ「え?いい人じゃないですか?」

P「では、子供がまたお腹を空かせたら、誰が助けてくれるんですか?」

あずさ「それは……」

P「俺が言いたいのはそういう事です」

P「人を助ける時には、物事の原因を解決してやるべきなんです」

P「この話の場合だと、男は木の実の採り方を教えてあげるべきだったんですよ」

あずさ「そういう事だったんですね――あら?」

あずさ「……あの、本当にそうなんでしょうか?」

P「え?」

あずさ「木の実の採り方を教えるのと、地図の書き方を教えるのは完全に別な気が――」

P「じゃあそれでいいです」

あずさ「雑ですね!?」

P「まあ、アレです」

あずさ「……何ですか?」

P「覚えていればきっと何かの役に立つ……」

P「主婦がスーパーのビニール袋をいつまでも保管しているのと同じようなものですよ」

あずさ「それは……凄く大人ですね……」

P「でしょう?」


【静かな日常3、事務所】

千早「プロデューサー……は、居ないんだったわね」

亜美「うん」

真美「何か用事でもあるの?」

千早「ええ。今度またカラオケに行こうと思っていたのだけど……居ないのなら仕方ないわね」

亜美「カラオケって、前にはるるん達と行った所?」

千早「そうよ。知ってるの?」

真美「真美達もたまに行くからね」

亜美「そういえば、最近あんまり行ってないなー……」

千早「それなら私と行かない?」

真美「あ、いいね!賛成!」

千早「決まりね。とりあえず一人6時間は歌うとして……18時間ね」

亜美「いやいやいや!そんなに歌わないよ!?」

千早「遠慮しなくてもいいわ。私が払うから」

真美「いや、そういう意味じゃなくてね!?」

千早「あ、これから仕事だったわ。それじゃ、今度のオフに現地集合ね」

バタン

真美「……ねぇ、亜美」

亜美「何?」

真美「……もしかしたら、兄ちゃんって凄く大人だったんじゃないかな?」

亜美「亜美もそう思う……」

【静かな日常4、事務所】

真「うーん、モヤモヤするなぁ……」

やよい「何か悩み事ですか?」

真「そういう訳じゃないけど……こう、張り合いがないと言うか……」

やよい「張り合い?」

真「うん。ボクってよくプロデューサーと勝負してたでしょ?」

やよい「はい」

真「でも最近はしてないから――ああ、表現しづらいな……」

やよい「えっと……つまり、真さんは勝負がしたいんですか?」

真「そう……なのかな?」

やよい「よかったら、私とオセロしませんか?」

真「オセロか……うん。たまにはいいかも」

やよい「それじゃあ、用意してきますから待っててくださいね」

真「ありがと」

真「――そういえば、やよいってオセロ強いの?」

パチン……パタ

やよい「いえ。ただ、こうやってひっくり返るのが面白いな―って」

パチン……パタパタ

真「そうなんだ――端っこ貰いッ!」

パチン……パタパタパタパタ

やよい「あっ……取られちゃいました……」

パチン……パタ……

真「えっと……」

パチン……パタパタ

やよい「うぅ……どうしよう……」

真「あー……そこの角いけるんじゃないかな?」

やよい「あっ!本当ですっ!」

パチンっ!パタパタパタパタ

真(何だろう……手加減する側の気持ちが分かった気がする……)

>>254の訂正をさせて頂きます

あずさ「そういう事だったんですね――あら?」

あずさ「……あの、本当にそうなんでしょうか?」

P「え?」

あずさ「木の実の採り方を教えるのと、地図の書き方を教えるのは完全に別な気が――」

P「じゃあそれでいいです」

あずさ「雑ですね!?」

P「まあ、アレです」

あずさ「……何ですか?」

P「主婦がスーパーのビニール袋をいつまでも保管しているのと同じようなものですよ」

P「子供には無意味に思えるかもしれませんが、大人にとっては意味のある事なんです」

あずさ「まあ、何となく言いたい事は分かりますけど……一ついいですか?」

P「はい?」

あずさ「……本当は間違えただけですよね?」

P「あずささん、手が止まってますよ」

あずさ「話を逸らすんですか!?」

P「それが大人というものです」

毎度毎度訂正してしまって申し訳ないです
タイトルから外れないようにお話を考えるのって難しいですね

……既に外れてるのもいくつかありますけど

【合宿場にて2】

P「さて、今日から実践です」

あずさ「もうお昼過ぎですけど……何をするんですか?」

P「ふむ……あずささん、オリエンテーリングは分かりますか?」

あずさ「えっと、ポイントを回りながら目的地に向かうアレですよね?」

P「それです。ただ、少しルールは変わりますけど」

あずさ「どうなるんですか?」

P「本来ならば地図とコンパスを渡すところですが……」

P「今回は白紙と筆記具、それに腕時計を持ってポイントを回って貰います」

あずさ「あの、もしかして……」

P「はい。方角は腕時計と太陽で判断してください。それと、紙にはマッピングをお願いします」

あずさ「……難しすぎません?」

P「いえ、俺が教えたんです。今のあずささんに不可能はありません」

あずさ「プロデューサーさん基準で考えられても困ります」

P「それを打破してこそ大人ですよ」

あずさ「大人って都合のいい言葉ですね……」

P「説明に戻りますよ?」

あずさ「はい……」

P「各ポイントには紙があります。取り忘れないでくださいね」

あずさ「……次のポイントの方角が書いてあるから、ですか?」

P「その通りです。『サイモン曰く』ってゲームみたいな感じですね」

あずさ「分かりました。それでは――」

P「待ってください」

あずさ「まだあるんですか?」

P「はい。方角の話なんですけど……」

あずさ「まさか……帰りは星座で判断する、とか言いませんよね?」

P「そうですよ?」

あずさ「もっと早く出ましょうよ!」

P「駄目です。何の為に星座の勉強をしたと思ってるんですか」

あずさ「それはそうかもしれませんけど……あの、懐中電灯は?」

P「安心してください。折り返し地点に置いてあります」

あずさ「あのっ!ひょっとして3時間ぐらい歩くんじゃ――」

P「往復で6時間ぐらいです。それでは……始めッ!」

あずさ「ああもうっ!行ってきます――!」

あずさ「――えっと、ここが折り返し地点なのかしら?」

あずさ「懐中電灯と……次の方角の紙ね……」

カチ……

あずさ「時計が止まった……もう星が見える時間なのね……」

あずさ「ここまでは順調だし、残りもこの調子でいけば大丈夫でしょう」

あずさ「意外と綺麗にマッピングできてる自分にびっくりだわ……」

あずさ「それもこれもプロデューサーさんのお陰なのかしらね」

あずさ「さて。残り半分、頑張りましょうか」

あずさ(ただ、頑張るのはいいのだけど……)

ガサガサッ……

あずさ(プロデューサーさんに見られてるのは、どうにかならないのかしら……)

あずさ「はぁ……ただいま戻りました……」

P「お帰りなさい。紙を見せて貰えますか?」

あずさ「どうぞ」

P「ふむ……綺麗にマッピングできてますね。合格です」

あずさ「ありがとうございます」

P「慣れない事で疲れたでしょう。大丈夫ですか?」

あずさ「それはプロデューサーさんが一番よく知ってると思いますけど」

P「……何の話でしょう?」

あずさ「私に付いてきてましたよね?」

P「……いつ気づいたんですか?」

あずさ「最初からです」

P「そんなに早く!?」

あずさ「あんなに露骨に見られたら誰でも気づきますよ……」

P「成程……もう少し気配に気をつけるべきだったか」

あずさ「……あの、私ってそんなに信用ないんですか?」

P「いえ、そういう訳ではなくてですね……」

あずさ「じゃあ、どういう訳ですか?」

P「その……『はじめてのおつかい』を見守るような気分で――」

あずさ「そこまで子供じゃありませんよ!?」

P「俺から見ればまだまだ子供です。心配もしますよ」

あずさ「……ずるいです。文句も言わせてくれないなんて」

P「大人なんてそんなものですよ」

【静かな日常5】

小鳥「おかしいですね……」

律子「ええ……」

小鳥「仕事が全く終わらないんですが……」

律子「プロデューサーの分もありますからね。問題はその量ですけど」

小鳥「これ、明らかに三人分ぐらいありますよね?」

律子「いつもこの量を捌いてると考えると……はぁ」

小鳥「どうしました?」

律子「ちょっと思うところがありまして」

小鳥「思うところ……ですか?」

律子「はい。私、来年で二十歳じゃないですか」

小鳥「ええ」

律子「それで、プロデューサー基準で仕事を任されるのではないかと……」

小鳥「『大人だから』ですか?」

律子「はい」

小鳥「でも、プロデューサーさんなら大丈夫じゃないですか?その辺りの事は考えてくれますよ」

律子「それは何となく分かります。けど……」

小鳥「何ですか?」

律子「それに甘えるばかりでは駄目だと思うんです。私、いつもあの人を怒ったりしてるじゃないですか」

律子「だから、偉そうにするだけの人間にはなりたくないんです」

小鳥「律子さん……」

律子「……なんて、変な事を言いましたね。忘れてください」

小鳥「いえ、その気持ちはよく分かりますよ。だって――」

小鳥「私も来年が怖いですから……」

律子「それは違います」

【静かな日常6、事務所】

伊織「アイツが居ないと静かね……」

雪歩「プロデューサーの話?」

伊織「ええ」

雪歩「そういえば、真ちゃんも『何だかモヤモヤする』って言ってたよ」

伊織「真ねぇ……本気の勝負に勝てた事とかあるのかしら?」

雪歩「さぁ?」

伊織「あったとしても、どうせ手加減されてるんでしょうね」

雪歩「まあ、聞く限りだと手加減なしじゃ勝てそうにないし……」

伊織「……確かに」

伊織「とはいえ、まともにやったら勝てないなんて情けないわね」

雪歩「伊織ちゃんは勝てるの?」

伊織「えっ?私?」

雪歩「うん」

伊織「私は……その……」

雪歩「何?」

伊織「多分、総資産額なら勝てると――」

雪歩「……それでいいの?」

伊織「待って!やっぱり今のなし!」

雪歩「伊織ちゃんって、プロデューサーに少し似てるかも……」

伊織「どこが!?」

【戻ってきた日常】

亜美「おかえり兄ちゃん!お土産は?」

P「久し振りに会ったのにお前という奴は……」

真美「まぁまぁ。子供なんてそんなものだって」

P「自分で言うな」

亜美「それで、お土産はあるの?」

P「ある――が、お前達にはやらん」

亜美「何でさ!?意地悪しないでよー!」

P「意地悪などしていない。ただ……」

真美「ただ?」

P「欲しいと言われるとあげたくなくなるだけだ」

真美「それ、勉強しろって言われてやる気なくす子供と同じなんじゃ……」

P「断じて違う」

亜美「じゃあくれるよね?大人だもんね?」

P「ふん……いいだろう。持っていけ」

亜美「わーい!ありがと兄ちゃん!」

P「ちゃんと皆で分けるんだぞ?」

真美「はいはーい!」

小鳥「亜美ちゃん達、楽しそうですね」

律子「そうですね」

あずさ「プロデューサーさんが居ない間はどうだったんですか?」

律子「大人しかったですよ。少なくとも今よりは、ですけど」

あずさ「そうなんですか……それにしても、プロデューサーさんは懐かれてますね」

小鳥「ええ。帰ってくるなりこれですからね」

あずさ「私が言うのも何ですけど、小鳥さん達は相手してあげなかったんですか?」

小鳥「え?私達ですか?」

あずさ「はい。いきなり居なくなって、少し寂しかったんじゃないかと思うんです」

小鳥「それは、その――」

P『言い忘れてたが、俺の分も残して――』

亜美『あ、ごめん。食べちゃった』

P『亜美ぃぃぃ!?お前はもう少し気遣いというものを――』

亜美『嘘だよ。はい、兄ちゃんの分』

P『亜美は気遣いのできるいい子だな、うん』

亜美『手のひら返すの早すぎるよ……』

P『それが大人だ』

律子「正直、あの人の代わりはできそうもないです」

あずさ「……かもしれませんね」

たまにこうして脱線するお話を書く事もあります。ご了承ください
この話はここで終わりまして、続きは元の路線へ戻ります

【いつもの平日12、事務所・給湯室】

雪歩「――いやああぁぁぁ!」

P「どうした!?」

雪歩「ごっ――ゴキブリが……!」

カサカサ

P「うわああぁぁぁ!?来るなああぁぁぁ!」

ガシッ!

雪歩「ひぃぃぃん!私を盾にしないでくださいぃ!」

P「いやだって!ゴキブリって!」

カサカサ

P「おい……壁に登ったぞ……」

雪歩「絶対こっちに飛んできます……!確定事項ですぅ……!」

P「もう助からないのか……南無三――!」

貴音「――いいえ。大丈夫ですよ」

シュウゥゥゥ!

雪歩「四条さん……ありが――」

ガクッ!

P「気を失ったか……修行が足りんな」

貴音「プロデューサーも人の事は言えないかと」

P「……確かに。とりあえず、ありがとう貴音」

貴音「どういたしまして。それにしても意外ですね」

P「何がだ?」

貴音「『大人だから』と仰るのですから、これぐらい動じないものと思っておりました」

P「むしろ大人だから駄目なんだよ……子供の頃は平気だったんだ……」

貴音「ほう……では、今度からはゴキブリで交渉を――」

P「やめてくれ貴音。その交渉術は俺に効く」

貴音「…………」

P「やめてくれ」

【いつもの平日13、事務所】

律子「ねぇ雪歩」

雪歩「はい?」

律子「よくよく考えたら、あなたってプロデューサーは怖がらないわよね」

雪歩「言われてみれば……どうしてでしょう?」

律子「いや、私に訊かれても困るけど」

雪歩「うーん……分かりませんね……」

律子「あ、一つ思い当たる事が」

雪歩「何ですか?」

律子「あれを見て」

雪歩「えっと……プロデューサーですか?」

律子「そう」

P『――亜美!また俺のおやつ食べただろ!』

亜美『兄ちゃんだって昨日の亜美のおやつ食べたじゃん!』

P『それは一昨日の分を取り返しただけだ!』

亜美『それも三日前の分を貰っただけだもん!』

P『なら俺だって四日前の分を――』

律子「……ね?」

雪歩「あぁ……確かに男の人とは思ってないかもです……」

【いつもの平日14、事務所】

真美「ねぇ兄ちゃん」

P「んー?」

真美「地球最後の日って信じる?」

P「俺か?俺は……信じるかもしれんな」

真美「へぇ、そうなんだ」

P「真美はどうなんだ?」

真美「んー……真美は信じないかな」

P「夢のない奴め」

真美「地球が終わったら夢も希望もないよ……」

P「ふむ……一理あるな」

P「ところで、どうして真美は信じないんだ?」

真美「そりゃ、今まで散々言われてたのに一回も滅亡してないからだよ?」

P「滅亡したら憶えていられる訳ないだろ」

真美「あ、確かにそうかも」

P「やっぱり真美は子供だな」

真美「それでも信じてる兄ちゃんの方が子供っしょ」

P「そんな事はない」

真美「じゃあ、兄ちゃんは何で信じてるの?」

P「ワクワクするから」

真美(それって結局は子供なんじゃ……)

【いつもの平日15、事務所】

P「ふむ……そろそろライブでもするか……」

美希「ホントに!?」

P「ああ。この前から随分と間が空いたからな」

美希「もっとキラキラできる?」

P「勿論だ。その為に俺が居るんだからな」

美希「やったぁ!今から楽しみなの!」

美希「ううん、もう今ここでキラキラしたいぐらいなの!」

P「そうか。だったらいい案があるぞ」

美希「え?なになに?」

P「まずはこれに着がえて――」

美希「……ねぇ、プロデューサー」

P「うん?」

美希「……このマニキュアは?」

P「ラメ入り」

美希「アイシャドウは?」

P「ラメ入り」

美希「ファンデは?」

P「ラメ入り」

美希「衣装は?」

P「シルバー塗れだな」

美希「これじゃキラキラ(物理)なの!」

P「……輝いてるぞ?」

美希「嬉しくないの!」

【ある休日11、ラーメン二十郎】

貴音「プロデューサーはどうなさいますか?」

P「貴音に任せる」

貴音「本当によろしいのですか?」

P「何が?」

貴音「プロデューサーには食べきれないかと思いますが」

P「どれだけの量なのかは知らんが、俺にできない事はない」

貴音「そう意地にならずともよろしいですのに……」

P「うるさい。食べると言ったら食べるのだ」

貴音「ふむ……もしも食べきれなかった場合はどういたしましょう?」

P「好きなだけ罵倒なり何なりするといい」

貴音「分かりました。では、メンカタカラメヤサイダブルニンニクアブラマシマシで」

店員「はい、どうぞ」

ゴトッ……

P「さてと、頂きます」

貴音「……わたくしが少し減らしましょうか?」

P「それはお前が食べたいだけだろ……」

P「――ふぅ、流石に多かったな」

貴音「まさか食べきるとは思いませんでした」

P「言っただろう?俺に不可能はない」

貴音「わたくしとした事が……プロデューサーを侮っていたようですね」

P「しれっと『侮っていた』とか言うな。失礼な奴め」

貴音「それは……申し訳ありません」

貴音「しかし、勝利の台詞が無駄になってしまいました。残念です」

P「勝利の台詞?何だそれは」

貴音「プロデューサーがらぁめんを残した時、言おうと思っていた言葉です」

P「ふむ……どんな感じなんだ?」

貴音「底を見失う――ぎるてぃ……!」

P「パクリかよ!」

【いつもの平日16、事務所】

P「クリスマスも近付いてきたな」

亜美「そうだね」

P「という訳で、これをやろう」

真美「……靴下?」

P「サンタさんが来るだろう?」

亜美「サンタさんって……」

P「どうした?テンション低いぞ?」

真美「だって、もうサンタがどうのって歳でもないし……」

P「え?お前ら信じてないの?」

真美「逆に訊くけど、兄ちゃんは信じてるの!?」

P「勿論だ。その方が夢があるし……」

亜美「あるし?」

P「何より、子供の夢を壊さないのが大人だからだ」

真美「ふうん……で、その大きな靴下は誰の?」

P「俺のだ」

亜美「思いっきり子供じゃん!」

P「うるさいな。もしかして、靴下の大きさに不満でもあるのか?」

真美「別にないけど」

P「あんまり文句ばかり言ってると返して貰うからな」

亜美「じゃあ返すよ。はい」

P「いや、返すなよ!悲しくなるだろ!」

真美(面倒臭いなぁ……)

P「まったく……お前らはサンタさんから参考書でも貰っていろ」

亜美「何その地味な嫌がらせ……」

P「そうだ。やよいにも渡さないとな……やよいー?」

やよい「はい?」

P「ほら、やよいの分の靴下」

やよい「え?どうして靴下を?」

P「だって、サンタさんからプレゼント貰うだろ?」

やよい「……あの」

P「うん?」

やよい「……私、あげる方なんです」

P「何というか……ごめん……」

休日だから多めに投下できるかと思えばそうでもなかったです
もうタイトルの事は忘れて貰った方がいいくらい乖離していきますね……申し訳ありません

【いつもの平日16.1、事務所】

亜美「兄ちゃん」

P「何だ?」

亜美「亜美、サンタさんを信じる事にしたよ」

P「ほう、それはよかった」

亜美「それでね?クリスマスプレゼントのお願いをしようと思うんだ」

P「ふむ……いいんじゃないか?」

真美「真美も一緒にしていいの?」

P「どうして俺に訊くんだ?お願いするだけなんだろう?」

真美「そうだけど……」

P「子供が余計な気を回すんじゃない。お前達のお願いぐらい、サンタさんは叶えてくれるぞ」

P「……五千円以内なら」

亜美「何その数字!?」

P「サンタさんも人だからな。できる事には限度があるんだ」

真美「そ、そうなんだ……大変なんだね……」

亜美「でも、何だか『夢を配る』って感じじゃないね……」

真美「駄目だよ亜美。真美達はお願いする方なんだから」

亜美「あ、そうだね。ごめんね兄ちゃん」

P「どうして謝るんだ?ちゃんと配るから安心しろ」

P「あ、これはサンタさんの話だぞ?俺はサンタじゃないからな」

真美「……大丈夫なの?」

P「だから、お前達が気に病む必要はないと言っているだろう。ちゃんと配るとも」

P「……五千円の夢と、現実の懐事情をな」

真美「生々しいよ!」

>>319を修正します

亜美「でも、何だか『夢を配る』って感じじゃないね……」

真美「駄目だよ亜美。真美達はお願いする方なんだから」

亜美「あ、そうだね……ごめんね兄ちゃん」

P「何で謝るんだ?」

亜美「だって……」

P「心配しなくても、お願いぐらい叶えてやれる。安心しろ」

P「あ、これはサンタさんの話だぞ?俺の話じゃないからな」

真美「……大丈夫なの?」

P「だから、お前達が気に病む必要はないと言っているだろう。ちゃんと配るとも」

P「……五千円の夢と、大人の懐事情をな」

真美「生々しいよ!」

【雪歩の誕生日1、事務所】

伊織「ただいま――って、何これ?」

貴音「あ、伊織……おかえりなさい……」

伊織「元気ないわね。どうしたの?」

貴音「それが……プロデューサーの言いつけで……」

伊織「ん?」

貴音「『紙を細く切って輪っかにしたのを繋げたアレ』を作っていて……指が攣りました」

伊織「ああ、このやたらと飾り付けてあるのはアンタの成果なのね」

貴音「はい」

伊織「頑張ったわね。ところで、プロデューサーはどこに居るの?」

貴音「そろそろ戻ってくる筈なのですが……あ、来ましたよ」

P「おお、伊織!おかえり!」

伊織「え?た、ただいま……」

P「実はクラッカーを忘れていてな!さっき買ってきたんだ。はい、伊織の分」

伊織「ありがと――って、何で二個も渡すのよ!」

P「クラッカーは一人一つだと誰が決めた?いいから持っておけ」

P「貴音もご苦労さま。そっちはもういいから、これ持って準備してくれ。はい」

貴音「あの、プロデューサー……!わたくし、今は指が……!」

P「雪歩が入ってきた時に鳴らすからな。くれぐれも落としたりしないように!」

貴音「ですから今は――」

P「そろそろチキンも揚げとくか……それじゃ、後は任せたぞ!」

スタスタ……

貴音「行ってしまわれました……」

伊織「アンタも大変ね……」

貴音「ああ、指がぷるぷるします……」

伊織「諦めなさい。こうなったら止まらないわよ」

貴音「そうですね……そうするとします」

伊織「それにしても、祝う側が主役よりも楽しみにしてるっていうのはどうなのかしらね」

貴音「いい事ではありませんか?それだけ祝いたい気持ちが強いという事ですから」

伊織「……ま、そうかもね」

貴音「さあ、伊織もくらっかぁを持つのです」

伊織「はいはい……ていうか、これどうやって紐を引っ張ればいいの?」

貴音「……どうしましょう?」

伊織「はぁ……多ければいいなんて子供の発想じゃない……」

貴音「あの方らしいではありませんか」

伊織「そう言われると否定する気も起きないわね」

【雪歩の誕生日2、事務所】

ガチャッ

雪歩「ただいま戻り――」

一同「ハッピーバースデイ!」

パンッ!パパンッ!

雪歩「ひゃっ!?」

P「雪歩。誕生日おめでとう!」

春香「おめでとう雪歩!」

亜美「おめっとー!ゆきぴょん!」

真美「これで一歩、大人に近付きましたなー!」

雪歩「ありがとう……とっても嬉しいよ!」

真「さぁ、雪歩。こっちに来て」

雪歩「う、うん」

あずさ「さて、主役も到着した事だし……プロデューサーさん?」

P「はい?」

あずさ「ほら、ケーキを持ってこないと……」

P「俺は用意してませんよ?」

一同「え?」

P「いや、春香が用意してくるかなーと思って……」

春香「いやいやいや!私もしてませんよ!?」

千早「春香もしてないの……?」

伊織「その言い方……千早もなのね?」

千早「え、ええ……」

真「そんな……ボクも誰かが用意してくるとばっかり……」

律子「伊織は?」

伊織「残念ながら私もよ……しくじったわ」

律子「なんて事……いえ、私も同罪ね……」

貴音「律子嬢……」

小鳥「まさか、貴音ちゃんも……?」

貴音「はい……買うべきか買わざるべきか迷ったのですが、結局……」

やよい「うぅ……こんな事になるなら買ってくるべきでした……」

P「亜美、真美。お前達はどうなんだ?」

亜美「えっと……」

真美「買おうと思ったんだけど、兄ちゃんがたくさん作ってくるかなって……」

あずさ「すみません……私もプロデューサーさんが作るのかと……」

響「じ、自分も買おうと思ったんだぞ!でも……」

小鳥「でも?」

響「皆が買ってきたら、絶対に余ると思って……ごめん……」

P「成程……そういう事か……」

美希「完全に任せっぱなしだったの……ごめんね、雪歩……」

雪歩「あ、あのっ!別にケーキが無くても私は――」

P「仕方ないな……ここは俺が――」

一同「……となると思って!ケーキは買ってあります!」

がさがさがさっ!

P「用意したケーキを……」

一同「…………」

P「……用意してたのか?」

春香「はい……」

千早「皆が遠慮して買ってこないと思って……」

真「もしかしたら、ケーキが1個も無い状況になるかと……」

貴音「そこで自分だけが用意していれば、格好いいかと思いまして……」

やよい「二つも買ってきちゃいました……」

響「自分も二つ作ってきたんだけど……」

伊織「アンタ達……馬鹿な事を考えてんじゃないわよ……」

亜美「とか言って、いおりんもちゃっかり買ってきてるじゃん……」

真美「しかも3個ね……」

伊織「わ、私なんて可愛いもんでしょ!?プロデューサーを見てみなさいよ!」

美希「……ねぇ、プロデューサー。いくつ作ってきたの?」

P「その……5個ぐらい作っちゃったんだけど……」

小鳥「見事に裏目ですね……」

律子「私達も人の事は言えませんけどね……」

雪歩(萩原雪歩です。犬と男の人が苦手です)

雪歩(今日で18歳になりました。皆にお祝いして貰って凄く嬉しいです。けど――)

雪歩(ケーキも苦手になりそうです……)

【雪歩の誕生日3、事務所】

P「さて……気を取り直していこう」

小鳥「そうですね。雪歩ちゃんの誕生日ですし、暗くなっちゃ駄目ですよね!」

P「はい。ケーキは好きに持って帰って貰うとしましょう。それで解決という事で」

律子「まあ、それが一番現実的ですね」

P「そういう訳で……雪歩」

雪歩「はい?」

P「改めて、誕生日おめでとう」

雪歩「あ、ありがとうございますっ!」

P「いや、礼を言うのはまだ早いぞ……はい、プレゼントだ」

雪歩「あの、開けてみても……?」

P「ああ」

雪歩「じゃあ……」

かさっ……

雪歩「これは……万年筆ですか?」

P「うむ。正直、アクセサリーにするか迷ったんだけど……」

美希『雪歩ー!早くこっち来てー!』

あずさ『雪歩ちゃん。私達からもあるわよ~』

P「被ると悪いから、実用的な物をと思ってな……どうだ?」

雪歩「嬉しいですっ!ありがとうございますっ!」

P「そうか、よかった。俺は向こうに居るから、何かあったら呼んでくれ」

雪歩「はい。その……ありがとうございました」

P「ああ。それじゃ、ゆっくり楽しんでくれ」

律子「雪歩」

雪歩「あ、律子さん」

律子「ふふ……今日はお礼ばかり言ってるわね」

雪歩「そ、そうですか?」

律子「ま、あなたらしいと言えばあなたらしいわ。これ、私からね。開けてみて」

雪歩「えっと……手帳、ですか?」

律子「私も何を贈るべきか分からなくてね……手帳にしたの」

律子「でも、丁度よかったかもしれないわね。プロデューサーが万年筆だし」

雪歩「はい。ありがとうございます」

小鳥「これで雪歩ちゃんの執筆活動も捗りますね?」

律子「そうですね。いつか見せて貰えるかしら?」

雪歩「そっ、それはちょっと……恥ずかしいです……」

律子「冗談よ。見たいっていうのは本当だけど……じゃ、私は向こうに行ってるわね」

雪歩「分かりました」

小鳥「誕生日おめでとう、雪歩ちゃん」

雪歩「ありがとうございます……って、これ何度目でしょうね?」

小鳥「主役だからね。まだ何回か残ってると思うわよ?」

雪歩「えへへ……」

小鳥「さてと……はい、雪歩ちゃん。プレゼントをどうぞ」

雪歩「わぁ……香水ですか?」

小鳥「ええ。趣味に合えばいいんだけど……」

雪歩「小鳥さんが選んでくれた物なら大丈夫ですよ。大事に使わせて貰いますね」

小鳥「そう言ってくれると助かるわ。それにしても……」

雪歩「はい?」

小鳥「いえ、プロデューサーさんのプレゼント……まともでよかった、と思って」

雪歩「え?どういう事ですか?」

小鳥「その……以前の事を鑑みると、現金を包んでくる可能性が……」

雪歩「それは流石に……ないんじゃないですか?」

小鳥「頭では分かってるんだけど、印象が強烈だったから……ちょっとね」

雪歩「まあ、言いたい事は分かりますけど……」

小鳥「けど?」

雪歩「プロデューサーは、いつも私達の事を考えてくれてますから」

雪歩「だから、そんな心配はしてなかったです」

小鳥「……そうね。大人だものね」

雪歩「はい」

【後片付けにて】

P「大量に作りすぎたか……外すのが面倒だな」

律子「……プロデューサー」

P「どうした?」

律子「あの子達から聞きましたよ。プレゼントをあげるそうですね」

P「ああ。それが?」

律子「……大丈夫なんですか?」

P「はぁ……律子もか」

律子「私も?」

P「亜美と真美も金の心配をしてきてな。まさか律子にもされるとは思わなかったが」

律子「そりゃ、心配もしますよ」

P「何故?」

律子「プロデューサー、いつも何かにつけてお金を使ってるでしょう?」

律子「かなり貰っている方とはいえ、流石に使いすぎなのでは――」

P「余計なお世話だ。子供に心配されるほど落ちた憶えはない」

律子「でも……」

P「確かに『給料だけ』で生活してるならその心配も理解できるが……」

P「資産運用もしてるからな。給料の何倍も金はあるぞ」

律子「そうなんですか?いえ、そうだとしても――」

P「律子。一ついい事を教えてやろう」

律子「いい事……ですか?」

P「うむ。俺にとって、金というのはそんなに大切なものではないんだ」

P「金とは手段であって、目的ではない……まあ、目的だという人も居るだろうがな」

律子「それは……貯金が趣味とか、そういう人の話でしょうか?」

P「そうだ。別に貯金を否定する訳ではないし、それは素晴らしい事だと理解もしているが……」

P「俺は、金があって楽しくない生活よりも、金が無くても楽しい生活がしたいんだ」

P「だから、俺にとって金は使うべきものであり、貯めるべきものではないんだよ」

律子「……刹那的な生き方ですね」

P「そうかもな。だが、楽しくないまま生きるよりいいと思わないか?」

律子「私はそんな風には考えられませんね……」

P「難しく考える必要はない。要は、使いたい時に使おうって話だ」

P「当然だが、身を滅ぼすほどの散財は控えるぞ?そこを弁えてこその大人だからな」

律子「それでも、やっぱり心配ですよ。あるいは、悪いと言い換えてもいいです」

P「悪い?」

律子「いつもあなたにして貰うばかりで、お返しとかしてないじゃないですか」

P「別にしなくても構わないが」

律子「私が構うんですよ!」

P「それはアレか?旅行のお土産を貰いっぱなしでは気が引けるとか、そんな感じのヤツか?」

律子「どうしてそんな微妙な例えにしたんですか?」

P「分かりやすいだろう?」

律子「そうですけど……とにかく、そんな感じです」

P「ふむ……お前達にしてる分は、迷惑をかけた分で相殺されているとばかり思っていたんだがな……」

律子「あ、迷惑かけてる自覚はあるんですね……」

P「まあ、割とな」

P「しかし、そうだな……お前が納得できないというのなら、他の表現にしようか」

律子「何ですか?」

P「貯金が趣味だと言う人が居るように、これは俺の趣味なんだ」

P「趣味でお前達に金を使うし、それが楽しい訳だ。分かるか?」

律子「何となく……分かるような、分からないような……」

P「ふむ……つまり、お前達と遊ぶ為に金を使っているという事だ」

P「もっと言えば、『遊ぶ』というサービスに金を払っているとか、そういう解釈でもいいかもしれんな」

律子「……あの」

P「何だ?」

律子「それってキャバクラなんじゃ……」

P「……奇遇だな。俺もそう思った」

律子「大人は大人でも、駄目な大人じゃないですか」

P「言い方が悪かったな。『保護者が子供に金を使うようなもの』と言うべきだった」

律子「あなたが保護者というのは物凄い違和感ですが……まあ、落とし所としては妥当ですね」

P「まあ、そういう訳だから心配するな」

律子「……上手く丸めこまれたような気がします」

P「さあ、手が止まってるぞ」

律子「大人って卑怯ですよね」

P「お前もいずれこうなる」

律子「返事に困ります……」

雪歩の誕生日を盛り込んではみましたが……ちょっと微妙かもしれません
やはり、誕生日だとまともになってしまいますね。ふざける訳にもいきませんし

日は跨いでしまいましたが、改めまして
雪歩、誕生日おめでとう

【クリスマス1、事務所】

P「はぁ……」

P(着込んでいるとはいえ、流石に外で待機するのは寒いな……)

P(まあ、サンタは外から来るものだし……それも仕方ないか)

P「そろそろかな……」

P「衣装は……大丈夫だな。袋も持った」

P「では、いざ……」

ガチャッ

P「メリークリスマ――」

【クリスマス1、事務所】

P「はぁ……」

P(着込んでいるとはいえ、流石に外で待機するのは寒いな……)

P(まあ、サンタは外から来るものだし……それも仕方ないか)

P「そろそろかな……」

P「衣装は……大丈夫だな。袋も持った」

P「では、いざ……」

ガチャッ

P「メリークリスマ――」

一同「メリークリスマス!」

P「……え?」

響「メリークリスマスだぞ!プロデューサー!」

春香「プロデューサーさんっ!クリスマスですよっ!クリスマスっっ!」

亜美「あれ?驚いて声も出ないとか?」

真美「それとも、見惚れちゃって声も出ないのかなー?」

P「いや、何というか……」

美希「どうかな、プロデューサー?似合ってる?」

P「まあ、似合ってると言えば似合っているが……」

千早「何か?」

P「サンタって上空を移動するんだぞ?そんなに足を出して大丈夫なのか?」

小鳥「そこ!?私までこんな格好したのに、突っ込むところがそこなんですか!?」

P「あ、音無さんも似合ってますよ?」

小鳥「取って付けたようなフォローが辛い!」

連投してしまって申し訳ないです

【クリスマス2、事務所】

P「しかし、揃いも揃ってどうしたんだ?」

貴音「律子嬢の提案ですよ」

P「律子の?」

貴音「はい。日頃のお返しがしたいとの事です」

P「それは必要ないと言った筈だが……」

律子「私がしたいからするんです。大人なら、お返しぐらい受け取ってください」

P「そう言われたら受け取らない訳にはいかないじゃないか……卑怯な奴め」

律子「いずれそうなると言ったのはあなたですよ?」

P「……まあな」

伊織「ほらほら。そんなところで喋ってないで、さっさとプレゼント交換するわよ」

P「そうだな。伊織は何にしたんだ?」

伊織「私?私は特注のうさちゃんにしたわ。皆でお揃いって素晴らしいわよね?」

P「……伊織教でも発足するつもりなのか?」

伊織「しましょうか?」

P「しなくていい。ところで、どうして希望を聞かせてくれなかったんだ?」

伊織「希望?」

P「プレゼントの話だ。お願いが分からないと、サンタも何を渡していいか分からんぞ」

伊織「ああ、そういう事ね……アンタは何にしたの?」

P「希望を聞いてない人にはお菓子の詰め合わせだ。無難で申し訳ないが」

伊織「いいのよ別に。こういうのは気持ちなんだから」

P「そういうものか?」

伊織「そういうものよ」

律子『プロデューサー!こっちにも来てくださいよー!』

伊織「ほら、律子が呼んでるわよ」

P「ああ。行ってくる」

【クリスマス3、事務所】

P「待たせたか?」

律子「いいえ。それより……はい、プレゼントです」

P「じゃあ俺からも……はい」

律子「ありがとうございます」

P「こちらこそ。しかし、もう少し欲張らなくてよかったのか?何もメガネ拭きにする事はないだろう」

律子「お返しするのに欲張ってどうするんですか」

P「それはそうだが……ネクタイとメガネ拭きでは明らかに釣り合ってないというか、気が引けるな」

律子「私もそんな気持ちだったんですよ」

P「お前、何だか意地悪じゃないか?」

律子「気のせいです」

P「……これはロクな大人にならんな」

律子「あなたにだけは言われたくないですよ!」

P「ふむ……一理ある」

律子「自分で納得するんですか……」

P「そういえば、音無さんの希望も聞いてなかったんだよな」

律子「大人の自分がプレゼントの要求をするなんて……とか、思ったんじゃないですか?」

P「気にしなくてもいいのに」

律子「そういうところを気にするのが大人というものでは?」

P「まあ、そうだな」

律子「さてと……他の子達も待ってますから、行ってあげてください」

P「律子はどうするんだ?」

律子「私は料理でも食べてますよ」

P「そうか……しかし、肝心の料理はほぼ食べ尽くされているみたいだが?」

貴音「ごちそうさまでした」

律子「貴音……あなたって子は……」

P「仕方ない、後で追加しておくか」

【クリスマス4、事務所】

P「そうだ。丁度いいから貴音にも渡しておこう」

P「はい、クリスマスプレゼント」

貴音「ありがとうございます」

美希「貴音は何を貰ったの?」

貴音「らぁめんせっとです」

響「風情の欠片もないな……」

P「本当にな。ラーメンセットをクリスマス仕様でラッピングして貰った俺の気持ちにもなれ」

美希「正直、考えたくないの」

響「虚しさで死んじゃいそうだぞ……」

貴音「そうそう。お返しをしなければなりませんね」

貴音「どうぞ、プロデューサー」

P「ありがとう。中身は……訊くまでもないよな」

貴音「わたくしが貰って一番嬉しいと思うものにいたしました」

P「予想通りすぎていっそ清々しいぞ……」

P「まあいい。美希はおにぎりとイチゴババロア……こんなのでよかったのか?」

美希「うん。ミキからは……はい、ネクタイピンなの」

P「ありがとう。バリエーション少なかったんだよな」

P「響はペットの餌だったか。他に欲しい物はないのか?」

響「餌代が浮くだけ嬉しいぞ。自分からはマフラーね」

P「これは……手編みか」

響「うん。プロデューサーなら、もっといいのが編めるかもしれないけど……」

P「いや、嬉しいぞ。こういうのは気持ちだからな」

美希「おお……プロデューサーが大人みたいなの……」

P「と、伊織が言っていた」

美希「台無しなの」

【クリスマス5、事務所】

P「あずささん。はい、クリスマスプレゼントです」

あずさ「ありがとうございます。それじゃ、私からも……どうぞ」

P「ありがとうございます。ふむ……ハンカチですか」

あずさ「あまりいいのが思い浮かばなくて……すみません」

P「いえ、いいんですよ」

亜美「あずさお姉ちゃんは何を貰ったの?」

あずさ「タロットカードよ」

真美「タロットってアレ?占いの?」

あずさ「ええ。機会があれば占いましょうか?」

亜美「うんっ!楽しみにしてるね!」

P「亜美と真美はゲームソフトだったよな。はい」

亜美「ありがと兄ちゃん!」

真美「真美達からはこれ!」

P「……シュークリーム?」

亜美「そう!はるるんに手伝って貰ったんだー!」

真美「ささ、食べて食べて!」

P「じゃあ、頂きます……はむ」

亜美「どう?」

P「……意外と美味いな。もっと壊滅的な味を想像していたんだが」

真美「それは失礼ってものだよ兄ちゃん」

P「む……すまない。もう一つ貰っても?」

真美「いいよー」

P「では……はむ――んむ!?」

真美「どしたの?」

P「いや、無駄に辛いんだが……これは――」

亜美「あ、それタバスコ入れた奴だ」

真美「取り除いたんじゃなかったの!?」

亜美「あー……多分、一個だけ残ってたんだね。ドンマイ兄ちゃん」

P「見直して損した気分だぞ……まあ、イタズラをやめようとした気概だけは認めてやる」

真美「うん……ごめんね……」

P「もういい。子供に謝られると胸がゾワゾワする」

亜美「よっ!太っ腹!」

P「亜美は後でお仕置きな」

亜美「えぇ!?そりゃないよー!」

【クリスマス6、事務所】

千早「プロデューサー」

P「千早か。楽しんでるか?」

千早「ええ……あの、これを」

P「ありがとう。俺からも……はい」

千早「ありがとうございます。これは?」

P「千早も指定がなかったからな。ゼリーにしておいた。スナック菓子はあまり食べないだろう?」

千早「気を遣せてしまってすみません」

P「プレゼントとはそういうものだ。ところで、千早のはCDみたいだが……」

千早「あ、はい。よく分からなかったので、私の好きなクラシックのCDにしたんですが……駄目でしたか?」

P「そんな事はない。楽しみだぞ」

千早「よかった……」

P「そうだ。春香はどうした?」

春香「ここですよ!ここ!」

P「テンション高いな」

春香「低くてどうするんですか。折角のパーティなのに」

P「確かに。それじゃ、プレゼントを交換するか」

春香「そうですね。はい、私からはこれです」

P「俺からはこれだ」

春香「わぁ……綺麗なリボン。ありがとうございます!」

P「それはよかった。春香は……財布か?」

春香「はいっ!あの……気に入りませんでした?」

P「いや、嬉しいぞ。しかし……高かったんじゃないか?」

春香「値段の事を言うのは野暮ってものですよ。プロデューサーさん」

P「それはそうかもしれないが……」

春香「こういう時じゃないとお返しなんてできませんからね。貰ってやってください」

P「そうか……ありがとう、春香」

春香「どういたしまして」

【クリスマス7、事務所】

真「プロデューサー、プレゼントどうぞ」

P「ありがとう。真はテディベアだったか。はい、これ」

真「ありがとうございます!あぁ、やっぱり可愛いなぁ!」

P「はしゃぎすぎて壊すなよ」

真「壊しませんよ!むしろ、どうやったら壊れるんですか!?」

P「抱き締めたりとか?こう、ベアハッグって感じで」

真「ダジャレなら千早に言ってください」

P「冷たい奴め……」

真「冬ですからね」

雪歩「あの、プロデューサー。私からもどうぞ」

P「ありがとう、雪歩。俺からはこれだ」

雪歩「ありがとうございます。でも、何だか申し訳ないです……」

P「何が?」

雪歩「昨日と今日で、二回もプレゼント貰っちゃって……」

P「誕生日がイブなんだから仕方ないだろう?こういうのは笑顔で受け取っておくものだ」

雪歩「そうなんですか?」

P「そうだ」

雪歩「じゃあ、そうします。ありがとうございます、プロデューサー」

P「お礼も言いすぎだ。雪歩らしいがな」

雪歩「ふふっ……」

P「うん?何かおかしかったか?」

雪歩「いえ、昨日も律子さんからそう言われたので。つい……」

P「律子と一緒なのか、俺は……」

真「嫌なんですか?」

P「最近の律子は意地悪だからな」

真「プロデューサーも人の事は言えませんよ」

P「そんな事はない。雪歩もそう思うだろ?」

雪歩「あはは……ノーコメントです」

P「雪歩まで……仕方あるまい。少し態度を改めるか」

雪歩「あ、私は今のプロデューサーが好きですよ?」

P「……結局、俺はどうすればいいんだ?」

真「うーん……変われると思うなら変わればいいんじゃないですか?」

P「ふむ……無理だな。大人はそう簡単には変われん」

真「ですよね」

>>350の誤字を訂正します

千早「気を遣せてしまってすみません」

千早「気を遣わせてしまってすみません」

【クリスマス8、事務所】

P「やよい。ここに居たのか」

やよい「あ、プロデューサー!待ってください、今プレゼントを……はい!」

P「ありがとう。勝手で悪いが、やよいのは郵送しておいたぞ」

やよい「そうなんですか?ありがとうございますっ!」

やよい「あ、送料は……」

P「それも含めてプレゼントだ。気にするな」

やよい「すみません……」

P「構わん。流石に食器を持ち帰るのは大変だろうしな」

P「やよいからは……目薬か」

やよい「プロデューサー、いつもパソコンと向き合ってますから……どうですか?」

P「助かる。大事に使わせて貰うとするよ」

やよい「はい。私も嬉しいです」

P「ところで、音無さんを見なかったか?」

やよい「小鳥さんですか?それならあそこに……」

小鳥「あぁ……どうして私はこんな格好をしてるんでしょうか……」

P「何してるんですか?」

小鳥「プロデューサーさん!?いつからそこに!?」

P「ついさっきです。どうかしました?」

小鳥「いえ、何でもないです」

P「……似合ってますよ?」

小鳥「同情するなら出会いをください」

P「すみません。いくらサンタでもそれは……」

小鳥「冗談ですよ」

P「冗談に聞こえませんよ……それはさておき、音無さんもどうぞ」

小鳥「ありがとうございます。私からも……はい」

P「ありがとうございます――って、日本酒ですか?」

小鳥「だって、何を渡せばいいか分からなかったんですもん……ハンカチだと被っちゃいますし」

P「それは分かりますけど、日本酒って……」

小鳥「ブローチとかの方がよかったですか?」

P「まあ、それなら日本酒の方がいいですね」

小鳥「そういう堅苦しいのは嫌いだと思ってましたよ」

P「何故です?」

小鳥「楽しくないでしょう?」

P「確かに」

できれば25日に全て投下したかったのですが、日を跨いでしまいました
まあ、こういう特別な日は26時まであるという解釈でどうにかお願いします

それにしても、二日連続で普通な感じのエピソードになってしまいました
クオリティが下がっていなければよいのですけど

>>356の訂正をします

小鳥「そういう堅苦しいのは嫌いだと思ってましたよ」

小鳥「やっぱり。堅苦しいのは嫌いだと思ってましたよ」

【年末の騒動1、事務所】

P「もう年賀状を書かないといけない時期か」

貴音「そうですね。これからも変わらぬお付き合いをお願いする為には欠かせないものです」

P「うむ。では早速、取りかかるとしよう」

春香「あれ?パソコンでやらないんですか?」

P「手書きの方がいいだろう」

春香「どうして?」

P「その方が楽しいからだ。それに、何だか真心が込められている気がするじゃないか」

春香「気がするだけですか……」

P「本音を言えば、『マメな人間だな』と思って貰おうという魂胆もある」

春香「それは聞きたくなかったです」

P「大人は常に打算で生きているのだ」

春香「そんな大人は嫌だなぁ……」

貴音「しかし、打算の話はともかくとして……プロデューサーの仰る事も分かります」

P「何がだ?」

貴音「やはり手間暇掛けられた品というのは、どこか違う趣があるものです」

貴音「そういう品を頂いた時は、相手の本心に関わらず嬉しいものですよ」

P「幸せな奴め」

貴音「勝手に相手の魂胆を考えて勝手に落ち込むよりは有意義な人生かと」

P「ふむ……一理あるな」

春香「私もそんな風に考えられたらいいのにな……」

P「……さっきの発言の後に聞くと、物凄く皮肉が効いた言葉に思えるな」

春香「えぇっ!?何でですか!?」

P「要するにアレだろう?貴音のように幸せ頭で生きていきたいという事だろう?」

P「皮肉が効きすぎて……正直、怖いぞ?」

貴音「春香……貴女はわたくしをそういう目で……」

春香「ち、違いますよ!プロデューサーさんも変な事を言わないでください!」

P「冗談だ」

貴音「冗談です」

春香「この人達は……」

貴音「ところで、わたくし達も頂けるのでしょうか?」

P「え?」

貴音「年賀状の話です。書いて頂けるのですか?」

P「うーん……いや、書いてもいいんだが……」

春香「何か困った事でも?」

P「だって、貴音の住所なんて知らないもの」

貴音「……そうでしたね」

春香「そんなの、本人が居るんだから訊けばいいじゃないですか」

P「だそうだ。貴音、住所は?」

貴音「トップシークレットです」

P「……お前は貰う気がないのか?」

貴音「あります。ですが、人には誰でも秘密の1つや100個は――」

P「それは聞き飽きたぞ」

貴音「最後まで言わせてください……」

P「付き合ってられん……が、仕方ない。事務所で交換という形を取るか」

春香「いいですね、それ。私もお願いしていいですか?」

P「ああ、構わんぞ。さて……最初は貴音からでいいか」

サラサラ

春香「そういえば手書きでしたね。絵とか得意なんですか?」

P「無論だ。でなければ、わざわざ手書きなどしない」

春香「見せて貰っても?」

P「いや……それは後のお楽しみだ」

貴音「そう仰らず、少しだけ見せて頂けませんか?」

ずいっ

P「駄目だ」

サッ←貴音から遠ざけた

春香(あ、こっちに来た)

貴音「いけずです……」

P「いいから楽しみにしていろ。きっと気に入る筈だ」

貴音「そうですね……分かりました」

春香(どんなの描いたんだろう?来年は午だったよね?)

チラッ……

春香「…………」

春香(馬刺しだった……)

【年末の騒動2、事務所】

小鳥「あぁ、忙しい……」

律子「仕方ないですよ。年末はどこもこんなものです」

P「まったくだ。『貧乏暇なし』って言葉は嘘だな」

小鳥「お金が稼げるようになっても忙しいのは変わりませんからね」

律子「なら、いっそ油田でも掘り当てればいいんじゃないですか?」

P「それはそれで管理が面倒臭そうだ。それに、そんな手段で稼いでも面白くない」

小鳥「プロデューサーさんの基準は変わってますね」

P「そうですか?至って普通だと思いますけど」

律子「まあ、私も楽しくてこの仕事をしてますからね。分からなくはないです」

小鳥「……あの、ちょっと待ってください」

P「はい?」

小鳥「今の流れだと、まるで私が面白くないのに仕事してるみたいじゃないですか」

P「そうなんですか?」

小鳥「違いますよ!」

P「ならいいじゃないですか」

小鳥「律子さぁん……プロデューサーさんが苛めるぅ……」

律子「馬鹿な事やってないで仕事してください」

小鳥「うぅ……冷たい……」

P「ともかく、暇はなくとも懐が寂しい人は居ない訳だ」

律子「そう考えると幸せですね。お金が全てではないですけど」

小鳥「まあ、寂しいのは懐じゃなくて隣ですからね」

P・律子「…………」

小鳥「ちょっ!?黙らないでくださいよ!」

【年末の騒動3、事務所】

亜美「ねぇ、兄ちゃん」

P「ん?」

亜美「そろそろお正月でしょ?おせちとか作らなくていいの?」

P「おせちなぁ……子供が好きな味じゃないぞ?」

真美「じゃあ子供が好きな味にして?」

P「ふむ……そうするか。昆布巻きとか作っても、食べるのは音無さんぐらいだろうし……」

P「まあ、洋食中心にすればいいだろう」

亜美「やったー!兄ちゃん大好き!」

P「そうか。俺も好きだぞ」

真美「え?マジで?」

P「うん?何かおかしいか?」

真美「いや、おかしいって言うか……意外?」

P「何が」

真美「兄ちゃんから『好き』って言葉が出る事が」

P「お前は俺を冷血漢か何かと勘違いしてないか?」

真美「……してないよ?」

P「今の間は!?」

真美「まあ、さっきのは冗談だけど……」

P「だけど?」

真美「実際、ちょっと嫌われたりしてるんじゃないかな―と思ってたり」

P「どんな心配だ」

亜美「んー、だってアレでしょ?かなり迷惑かけてるでしょ?」

P「……それを自覚してなお迷惑をかけるあたり、お前達は勇者だな」

亜美「えへへ……それほどでもないよ」

P「褒めてないからな?」

真美「でもね。真面目な話、兄ちゃんって怒らない――」

亜美「怒らないっけ?」

真美「……怒るね」

P「何が言いたいんだ?」

真美「だからね。兄ちゃんは真美達の相手、嫌々してるんじゃないかなと思って……」

亜美「たまにだけど、不安になったりもするんだよ?」

P「はぁ……何かと思えばそんな事か」

亜美「むっ……これでも真剣に悩んだりするんだからね!」

真美「そーだよ!珍しく反省してるっていうのに酷いよ!」

P「とても反省してる態度には見えんが……まあ、一つだけいい事を教えてやろう」

真美「いい事?」

P「うむ。子供が大人と接する時、心配するべきは『怒られる事』であって、決して『嫌われる事』ではない」

亜美「そうなの?」

P「ああ。大人は相手を簡単に嫌ったりはしないからな」

真美「どうして?」

P「疲れるからだ。『嫌う』という行為は思ったよりも面倒臭い」

P「デメリットが多いと言ってもいいな。人を嫌いになるとロクな事がない」

亜美「例えば?」

P「相手の能力や素質を見失うし、些細な事で苛立つようになる。何より、もう一度好きになるのは大変だ」

P「だから大人は嫌わない。お前達は安心して迷惑をかけていいんだ」

真美「そうなんだ……じゃあ、好きじゃなくなったらどうなるの?」

P「無関心になる」

亜美「そっちの方が怖いよ!」

P「というか、そんな事を言い出したら俺の方が不安だぞ?」

真美「何が?」

P「嫌われるかもしれない事がだ。子供は嫌う事にも全力だからな」

P「今こうしてお前達に変な話をしているのだって、ともすれば『ウザい』と思われかねん」

亜美「兄ちゃん……」

P「まったく……お陰で俺のガラスのハートは常に粉々だ。どうしてくれる」

真美「常に!?もうどうしようもなくない!?」

P「熱して形を整えれば大丈夫だ」

亜美「あ、意外と簡単に戻るんだね……」

P「大人はそうでなければやっていけないからな」

真美(何だか物凄い悲しさを感じる……)

【年末の騒動4、事務所・給湯室】

P「洋食中心と決まったはいいが、何から作るべきか……」

響「プロデューサー?何してるんだ?」

P「おせちの準備だ」

響「……おせちってエビフライとかあったっけ?」

P「亜美達の希望だ。お前だって、チョロギとか出されても困るだろう?」

響「チョロギ?」

P「芋虫みたいな形をした塊茎だ。知らないか?」

響「知らないけど、今ので一気に食欲が失せたぞ……」

P「まあ、子供の好きな味ではないかもな」

響「そういう話じゃないと思う」

P「それはさておき、もしリクエストがあるなら聞いてやるぞ」

響「本当?」

P「本当だ。大人は嘘を吐かない」

響「今度は『虚言はないが二言はある』とか言わないよね?」

P「誰だ?そんな屁理屈を捏ねる奴は」

響「目の前に居るぞ」

P「ふむ……響の事か?」

響「違うからね!?」

P「話が進まんな。リクエストはないと考えていいのか?」

響「わー!待って待って!すぐ言うから!」

P「何だ?」

響「えっとね。自分、蟹が食べたいぞ」

P「蟹か……そういえば忘れていたな」

響「駄目?」

P「駄目ではないが、食材が無い事には何ともならんな……」

P「仕方ない。獲りに行くぞ」

響「え?」

P「ほら、さっさと準備しろ。蟹が食べたいんだろう?」

響「今から!?今から行く気なの!?」

P「こちらから行かなくてどうする。まさか蟹の方から来てくれる訳ないだろう」

響「いや、頼んだら来てくれると思うけど」

P「何っ!?お前、ついに蟹と話せるようになった――」

響「クール宅急便で」

P「……蟹も進化したな」

響「進化したのは人間だぞ」

【年末の騒動5、事務所】

P「年末と言えば、大掃除は欠かせない行事だ」

美希「うん」

P「そういう訳で、お前も手伝え」

美希「えー……めんどくさいの」

P「面倒臭いではない。やよいの姿を見ろ」

美希「やよいの?」

チラッ

やよい『ふんふふ~ん♪』

美希「頑張ってるね」

P「そう、懸命に掃除に励んでいる。だというのに、年上の――つまり、大人のお前がそんな態度でいいと思うか?」

美希「駄目なの?」

P「駄目か否かの問題ではない。意識の問題だ」

美希「意識?」

P「うむ。子供が頑張っているのに大人が怠けている現状を見て、情けなく思わないのか?」

美希「よく分かんないの」

P「だから、こう……無力感のようなものを覚えないのか?」

美希「うーん……少なくともミキは大丈夫だって思うな。プロデューサーは別だけど」

P「……どういう事だ?」

美希「んー……ちょっと待ってね。紙に書くから」

P「まあ、待てと言うのなら待つが……」

美希「――よし、できたの。これを見て」

P「これは?」

美希「無力指数計算式なの」

P「意味が分からん」

美希「だから、『子供が頑張ってるのを尻目に大人が怠けた場合』に想定される無力感を数値化したものなの」

P「余計に分からなくなったぞ」

美希「まあ、紙を見て貰った方が早いかな」

P「どれどれ……」

――――――――――――――――――――――――――――――

無力指数とは、大人が子供に対して感じる情けなさを数値化したものである。
値の求め方は以下の通り。

(自分の年齢)-(相手の年齢)
―――――――――――――――×(自分の年収)=無力指数
    (自分の年齢)


※この式は、相手が自分よりも年下である場合にのみ有効である

――――――――――――――――――――――――――――――

P「……何だこの世俗に塗れた計算式は」

美希「どこかおかしい?」

P「穴だらけすぎて突っ込む気力も失せる程度にはおかしいな」

美希「そう?一応、年齢が上がるにつれて無力感が大きくなるようにしてるつもりだけど」

P「確かに、年齢差が大きいほど年収が削られない式になっているな……適当だが」

美希「頑張って作ったのに適当って言われると悲しいの」

P「適当に頑張って作ったんだろうが」

美希「まあね。とにかく、これでプロデューサーの方が情けないって証明できると思うの」

P「ほう……興味深いな。やってみろ」

美希「年収とか知らないから正確じゃないかもしれないけど……こんな感じかな」

――――――――――――――――――――――――――――――

プロデューサーの年齢を24と仮定して、平均年収はおよそ250万程度。
「多く貰っている方」という証言も加味して、その1.5倍の375万を年収とすると
やよいに対するプロデューサーの無力感は

24-14
―――×375=156.25
 24


また、アイドルの平均年収を800万程度とすると
やよいに対するミキの無力感は

15-14
―――×800=53.3333……≒53.33
 15


よって、プロデューサーの方がミキよりも情けない事が証明された。

――――――――――――――――――――――――――――――

美希「ね?」

P「いやいやいや、おかしいだろ」

美希「何が?」

P「どう考えたってお前2000万ぐらい稼いでるだろ。慎ましやかに申告するんじゃない」

美希「それを言ったらプロデューサーだってもっと貰ってるでしょ?お互い様なの」

P「しがないサラリーマンを過大評価するな。大人は思っているよりずっと薄給なんだ」

美希「だったらミキなんてまだ子供なの。そんなに稼げる訳ないって思うな」

P「ふん……そこまで言うならお前の給与明細を――」

やよい「あのー……」

P「やよいか。すまないが、今は忙しいから後で――」

やよい「遊んでないで掃除してくれたら嬉しいんですけど……」

P・美希「ごめんなさい……」

【年末の騒動6、事務所】

P「こんな遅くになってから言うのもアレなんですけど」

あずさ「はい?」

P「あずささんは帰省しなくていいんですか?」

あずさ「えぇ。年明けからもすぐ忙しくなりますし、慌ただしいですから」

P「そうですか……音無さんは?」

小鳥「私に『帰れ』と言うんですか?実家に?それがどれほど残酷か分かっていながら?」

P「何か困った事でも?」

小鳥「帰る度にお見合いを勧められる身にもなってくださいよ!」

P「それは大変ですね。俺には分かりませんけど」

小鳥「でしょうね。プロデューサーさんはまだ若いから――」

P「いえ、親に『お見合い結婚なんてお前には無理だ』と言われてるので」

小鳥「…………」

あずさ(空気が重い……)

あずさ「……あのっ!」

P「どうしました?」

あずさ「と、年越しそばとか食べませんか?」

小鳥「……そうですね。一年の災厄を断ち切るとか言いますし」

小鳥「きっと今年は厄年だったのよ……来年こそは必ず……!」

あずさ「小鳥さんならいい人が見つかりますよ。ね、プロデューサーさん」

P「ええ。音無さんは素敵な人ですから」

小鳥「はい……ありがとうございます……」

あずさ「……ちょっと思ったんですけど、プロデューサーさんはどうなんですか?」

P「何がです?」

あずさ「小鳥さんとお付き合いする事ですよ。二人とも、そんなに歳は離れてないですし」

小鳥「……興味ありますね。参考までに聞かせてください」

P「うーん……あり得ませんね」

小鳥「ごふっ……!」

あずさ「小鳥さん!?大丈夫ですか!?」

小鳥「だ、大丈夫です……ここまでバッサリくるとは思ってませんでしたけど……」

あずさ「プロデューサーさん!けしかけた私が言うのも何ですけど、今のは酷すぎますっ!」

あずさ「せめて、もっと言葉を選んで――」

P「ああ、そういう意味ではないんですよ」

小鳥「じゃあ、どういう意味なんですか……?」

P「俺、親から『恋愛結婚はもっと無理だろうけどな』って言われてるので」

小鳥「…………」

あずさ(また空気が……)

【年始の騒動1、神社】

P「あれ?」

雪歩「あ、プロデューサー。あけましておめでとうございます」

P「あけましておめでとう、雪歩。ご家族と来ているのか?」

雪歩「いえ、そっちはもう終わったので……これは二回目です」

P「成程……友達と来るって選択肢もあるものな」

雪歩「ええ。プロデューサーはお願いしてきたんですか?」

P「いや、今から行こうと思ってたところだ」

雪歩「私も行っていいですか?」

P「雪歩も?別に構わないが……多分、二度目のご利益はないと思うぞ?」

雪歩「分かってます。私は付き添いみたいなものだと思ってください」

P「付き添い?」

雪歩「はい。一人だと、列に並んでる間は暇ですから」

P「ああ、話し相手になってくれるのか。気を遣わせてすまないな」

雪歩「いいですよこれぐらい。それじゃ、行きましょうか」

P「しかし、晴れ着か。似合っているな」

雪歩「あはは……ありがとうございます。プロデューサーは着ないんですか?」

P「あるにはあるんだが、社会人になるとスーツの方が便利だからな。着る機会がないんだ」

雪歩「そういうものですか」

P「そういうものだ」

雪歩「色々と大変なんですね……ところで、ちょっと気になってたんですけど」

P「ん?」

雪歩「そのケースって何が入ってるんですか?」

P「これか?これは――いや、後で話そうか。順番も回ってきたしな」

雪歩「はぁ……分かりました」

雪歩「それで、何をお願いするんですか?」

P「雪歩は何にしたんだ?」

雪歩「私ですか?私は……内緒です」

P「なら俺も内緒だ。ただ、願い事は二つあるんだけどな」

雪歩「欲張りですね」

P「まあ、自分の分と他人の分。それぐらい願っても罰は当たらんだろう」

P「とはいえ、曲がりなりにも二つお願いするんだ。お賽銭は奮発するつもりでいるぞ」

雪歩「奮発って……一万円ですか?」

P「もっとだ」

雪歩「もっと?私の知る限りだと、一万円が最高だった筈ですけど……」

P「円万から『円満に通ず』って意味だったか。確かにそれでもいいんだが……」

P「折角だからオリジナルで『これ以上ないご縁』にしようと思う」

雪歩「『これ以上ないご縁』……?」

P「うむ。少し無理矢理になるが『5・0・1・10・7・1・5』円」

P「つまり……五千十一万七百十五円だ」

雪歩「えぇっ!?いくらなんでもやりすぎですよ!?」

P「このジュラルミンケースもその為に持ってきたんだ。では――」

雪歩「ま、待ってください!」

P「どうした?」

雪歩「あの、実は律子さんから言伝を預かってるんです」

P「律子から?」

雪歩「はい。もし初詣でプロデューサーに会ったら釘を刺すようにって……」

P「『釘を刺す』とは穏やかじゃないな。内容は?」

雪歩「えっと……『ご利益はお金で買えませんよ』らしいです」

P「これを見越していたのか……お節介な奴だ」

雪歩「それだけプロデューサーが心配だったんですよ」

P「分かっている……しかし、雪歩にだけ教えていたのか?俺に会えなかったらどうするつもりで――」

雪歩「あ、メールは全員に送信されてましたよ」

P「……俺には来なかったが?」

雪歩「それは、その……私もプロデューサーに送ればいいのにって言ったんですけど……」

P「けど?」

雪歩「律子さんが『直接言わないと聞かないから』って」

P「そこまで信用ないのか……」

【年始の騒動2、事務所】

P「年始からこんなに集まるとはな」

伊織「何かおかしいの?」

P「いや、家族で過ごすものとばかり思っていたからな。挨拶回りだってあるだろうし」

伊織「確かに面倒臭い挨拶回りとか、出るのも億劫なパーティとか色々あったけど……」

伊織「『芸能関係者にも挨拶しておきたいから』って言って抜けてきたのよ」

P「物は言いようだな」

伊織「そうでもしないとやってられないもの」

P「だろうな」

伊織「それに、アンタの料理の方が美味しいしね。むざむざ逃すなんて勿体ないわ」

P「そうか。まあ、好きなだけ食べるといい」

伊織「ええ。それじゃ、頂きます」

伊織「く……このっ……!」

P「……俺がやろうか?慣れないと難しいだろう」

伊織「大丈夫よ……こんなの、天下の伊織ちゃんにかかれば――熱っ!」

P「だから言ったのに……ほら、貸してみろ」

伊織「うぅ……アンタの世話になるなんて一生の不覚だわ……」

P「そう言うな。人には得手不得手がある」

バキッ!

P「それに、お前は子供なんだから素直に甘えていろ……はい、できたぞ」

伊織「ありがと……にしても、こんなに面倒だとは思わなかったわ」

P「まあ、水瀬家ではあまり見ないかもな――殻の付いた蟹の入ってる鍋なんて」

伊織「当然よ。全部剥いた状態で出てくるんだから」

P「その所為で蟹が剥けないお嬢様が誕生した訳か」

伊織「そうよ!悪い!?」

P「悪くはない。ただ、環境に恵まれすぎる考えものだなと思って」

伊織「……これから剥けるようになるわよ」

P「そうするといい。向上心のある人間はどこまでも高みを目指せるものだ」

P「いずれ伊織も俺と同じぐらいの事はできるようになる。安心しろ」

伊織「それは逆に不安なんだけど……」

伊織「く……このっ……!」

P「……俺がやろうか?慣れないと難しいだろう」

伊織「大丈夫よ……こんなの、天下の伊織ちゃんにかかれば――熱っ!」

P「だから言ったのに……ほら、貸してみろ」

伊織「うぅ……アンタの世話になるなんて一生の不覚だわ……」

P「そう言うな。人には得手不得手がある」

バキッ!

P「それに、お前は子供なんだから素直に甘えていいんだ……はい、できたぞ」

伊織「ありがと……にしても、こんなに面倒だとは思わなかったわ」

P「まあ、水瀬家ではあまり見ないかもな――殻の付いた蟹の入ってる鍋なんて」

伊織「当然よ。全部剥いた状態で出てくるんだから」

P「その所為で蟹が剥けないお嬢様が誕生した訳か」

伊織「そうよ!悪い!?」

P「悪くはない。ただ、環境に恵まれすぎるのも考えものだなと思って」

伊織「……これから剥けるようになるわよ」

P「そうするといい。向上心のある人間はどこまでも高みを目指せるものだ」

P「いずれ伊織も俺と同じぐらいの事はできるようになる。安心しろ」

伊織「それは逆に不安なんだけど……」

>>393>>392の修正です

【年始の騒動3、事務所】

P「千早」

千早「はい?」

P「春香から年賀状の話は聞いてるか?」

千早「ええ。聞いてます」

P「よかった。えっと、千早のは……これだったか。はい」

千早「私からもどうぞ。拙いですが」

P「気にしなくていい。千早が書いたという事実が大切なんだ」

千早「そう言って貰えると助かります」

P「他の人にも渡したいんだが……まだ全員は来てないみたいだな」

P「すまないが、少し席を外させて貰う。感想は後で聞かせてくれ」

千早「あ、はい。分かりました」

P「では、行ってくる」

バタン

千早「感想か……裏面も見てみましょう」

くるっ

千早「ヘッドホンをかけた馬がスクラッチしてる……」

千早(どんな感想を期待してるんだろう……私には全く分からないわ……)

千早(せめて、もう少しまともな絵ならよかったのに……他の人の年賀状はどうなってるのかしら)

千早「人の物を見るのは気が引けるけど……参考までに」

ペラ……

千早「…………」

千早(……四条さん、頑張ってください)

【年始の騒動4、事務所】

P「なあ、真」

真「何ですか?」

P「お前って舟盛り作れたよな?」

真「ええ、まあ……それがどうしたんですか?」

P「これから刺身を切るんだけど、手伝って貰えないか?」

真「いいですよ!任せてください!」

P「ありがとう。それじゃ、そこのマグロをよろしく頼む」

真「分かりました。プロデューサーは何を捌くんですか?」

P「フグだ」

真「はっ?」

P「だから、フグだ」

真「いやいやいや!それ普通の人が捌いていい物じゃないですよね!?」

P「免許なら持ってるぞ?」

真「えぇー……本当ですか?」

P「本当だ。嘘だと思うなら――」

スッ……

P「ほら、食べてみろ」

真「嫌ですよ!死んだらどうするんですか!」

P「死なないから大丈夫だ」

真「どうせプロデューサー基準で『大丈夫』なんでしょう!?騙されませんからね!」

P「いや、騙すつもりなんて一切ないんだが……」

P「というか、俺基準でってどういう意味だ」

真「『俺はフグ毒で死んだりしない。大人だからな』とか言いそうじゃないですか」

P「大人だってフグ毒に中れば死ぬ。人間だからな」

真「……人間だったんですね」

P「当たり前だろ!」

【年始の騒動5、事務所】

亜美「兄ちゃん、おせちは?」

P「用意してるぞ。食べるか?」

亜美「もちろん!真美も食べるよね?」

真美「うん!あ、お皿持ってくるね!」

P「頼む」

真美「そうだ、やよいっちはどうする?」

やよい「うーん……私も少し貰おうかな。いいですか、プロデューサー?」

P「構わないぞ。多めに作ってあるからな」

やよい「ありがとうございますっ!」

亜美「そうと決まれば早く準備だー!」

真美「おー!」

P「まったく……騒がしいな」

春香「とか言って、実は楽しかったりするんですよね?」

P「よく分かってるじゃないか」

春香「笑ってますから」

P「……まあ、そうだな」

亜美「ねぇねぇ兄ちゃん、もう食べていい?」

P「ああ、いいぞ」

亜美「それじゃ、頂きます!」

真美「真美も頂きまーす!はむっ……」

春香「私も頂きますね」

P「どうぞ。やよいも食べてみてくれ」

やよい「あ、はい。頂きます……あむ」

P「どうだ?」

やよい「美味しい……冷めてるのに美味しいなんて凄いですね」

P「よかった。やよいが言うなら間違いないな」

やよい「そんな、私なんて大した事ないですよ」

P「そうか?自慢していいレベルだと思うぞ?」

やよい「プロデューサーには負けます。これ、あの子達にも食べさせてあげたかったなぁ……」

亜美「じゃあ持って帰ったら?」

P「ふむ……そうするか?」

やよい「それは嬉しいですけど……でも……」

春香「どうしたの?」

やよい「えっと、その……私の料理に飽きちゃうんじゃないかなって……」

春香「弟さん達が?」

やよい「はい……プロデューサーの料理は美味しいですから」

P「それはないと思うがな」

やよい「どうしてですか?」

P「誰しも『安心できる味』というのがあってな。そういう意味では、俺がやよいに勝てる訳ないんだよ」

真美「はるるんのお菓子の方が兄ちゃんのお菓子より美味しい、みたいな?」

P「そんな感じだ。だから、心配せずに持って帰るといい」

やよい「……ありがとうございます。すみません、気を遣わせちゃって」

P「気にするな。しかし、お菓子の件を思い出したら腹が立ってきた……春香、許すまじ」

春香「えぇっ!?とばっちりじゃないですか!」

真美「はるるん」

春香「何?」

真美「ドンマイ」

春香「いや、真美の所為だよね!?」

【年始の騒動6、事務所】

P「忘れてた。お年玉をあげないと」

律子「待ってください」

P「どうした?」

律子「中身を確認させて貰ってもいいですか?」

P「別に構わないが……何か心配でもあるのか?」

律子「あまり現金をあげるのもよくないので」

P「ちゃんと現金以外にしてるぞ?」

律子「それでも高価な物が入ってたら意味がないでしょう?」

P「まあ、確かにそうだな」

律子「さて……最初は真のですか……」

ガサゴソ……スッ

律子「……これは?」

P「海苔だ」

律子「何で!?」

P「『現金ではない薄い物』を考えた時、それが真っ先に浮かんでな」

P「イメージカラ―にも合ってるし、ベストな選択だと思って」

律子「全然ベストじゃないですよ!」

P「そうか?」

律子「そうです!」

P「分かった。真の分は後で別の物に変えておこう」

律子「そうしてあげてください。多分、物凄く悲しくなると思うので」

P「他のヤツは見なくていいのか?」

律子「見ますよ。海苔が出てきたのに見ない訳ないじゃないですか」

P「ふむ……では、次は雪歩のだな」

律子「まともなのが入ってますように……」

ガサゴソ……スッ

律子「あの……これは?」

P「はんぺんだ」

律子「もうちょっと他に無かったんですか!?」

P「ホワイトチョコ――ああ、板チョコな――と迷ったんだが、こっちにしたんだ」

律子「……それならホワイトチョコの方がマシだと思うんですけど」

P「何を言ってるんだ。冬はおでんだろ?」

律子「食べ物から離れましょうよ!」

【年始の騒動7、事務所】

律子「あの、プロデューサー」

P「ん?」

律子「この際、お年玉はあげなくてもいいんじゃないですか?」

P「んー……でも、子供ってそういうの楽しみにしてるだろ?」

律子「それは分かりますけど……こうも食べ物ばっかりだと流石に……」

P「あ、食べ物じゃないのもあるぞ」

律子「そうなんですか?」

P「うむ。例えば、貴音のヤツは意外性を重視してみた」

律子「食べ物の時点で相当意外ですけど……何が入ってるんですか?」

P「貴音と言えばラーメン。ラーメンと言えばチャーシュー……と思うところだが」

律子「だが?」

P「あえてチャーシューは外してなるとへ。そして、そこからかまぼこへ――」

律子「結局食べ物じゃないですか」

P「と見せかけて、かまぼこの下に敷いてある板にしてみた」

律子「そんなの貰ってどうしろって言うんですか!」

P「……かまぼこを載せたりとか?」

律子「しませんよ!」

P「困ったな……これが駄目となると、後は図書券ぐらいしかないぞ……」

律子「最初からそれにしましょうよ!いいですよ図書券!」

P「でも面白くないし……」

律子「お年玉に面白さなんて誰も求めてませんよ」

P「そうなのか?」

律子「当たり前じゃないですか」

P「成程……しかし、それを差し引いても図書券は気が進まんのだ」

律子「どうして?」

P「だって、大人としては参考書とか買って欲しいのに、実際に買うのは漫画とかだろ?」

P「だから、こう……それが悲しいというか、虚しいというか……」

律子「仕方ないですよ。相手は子供ですから」

P「……そういうものか」

律子「そういうものです」

P「ふむ……分かった。では、図書券に変更という事で……」

P「はい、お年玉」

律子「え?私にもくれるんですか?」

P「当然だ。それとも要らないのか?」

律子「それは、その……プロデューサーの負担にはなりたくないですし……」

P「図書券なんて負担でも何でもないんだが……まあ、律子が欲しくないと言うならやめておこう」

ひょいっ

律子「あ……」

P「ちなみに、俺は全員にお年玉をあげるつもりだ。無論、音無さんにもな」

P「その中で自分だけ貰えないというのがどれだけ悲しいか……大人でもかなり心にくるぞ?」

P「それを踏まえた上で訊くが……本当に要らないのか?」

律子「……欲しいです」

P「じゃあ、はい。素直なのはいい事だな」

律子「どの口が言いますか。一番素直から遠い癖に」

P「いや、少なくとも伊織よりは――」

律子「年下と比べてる時点で話になりませんよ」

P「……意趣返しか?」

律子「さぁ?でも、お年玉は嬉しいですよ。ありがとうございます」

P「はぁ……お礼を言われたらどうしようもないじゃないか」

律子「それが狙いだと言ったら?」

P「……やっぱり、お前はロクな大人にならんな」

律子「ふふ、お互い様ですよ」

遅くなりましたが、あけましておめでとうございます
よろしければ、もうしばらくお付き合いくださいませ

ただ、これからまた忙しくなりそうなので、更新は少なくなってしまいます
最初と比べてキャラがぶれてるのも併せて、本当に申し訳ないです

【いつもの平日16.2、事務所】

P「あ」

伊織「どうしたの?」

P「明日って『生っすか!?サンデー』の収録だよな?」

伊織「そんなの、プロデューサーのアンタが一番よく知ってるでしょ」

P「そうだけど……ああ、どうしよう……」

伊織「何か困った事でもあるの?」

P「困ったというか、これから困るというか……」

伊織「じれったいわね。いいから話してみなさいよ」

P「……司会が」

伊織「え?」

P「司会が問題なんだ……」

伊織「司会って、春香と千早と美希?」

P「うむ」

伊織「うーん……特に問題はないと思うけど?」

P「いや、あの三人の能力に疑問がある訳じゃない。番組はつつがなく進行するだろう」

伊織「じゃあ何が問題なの?」

P「あの三人がこの時期に司会をするという事が問題なんだ」

伊織「この時期……?何が言いたいのよ」

P「受験シーズンだよ。そんな時期に、あいつらが司会の番組を流してみろ」

伊織「どうなるの?」

P「苦情殺到だろうが!」

伊織「……ごめんなさい、話についていけないわ」

P「だから!春香は転ぶし、千早はスベるし、美希は寝落ちするだろ!?」

伊織「転ぶのとスベるのはともかく、流石に寝たりはしないんじゃない?」

P「1ミリでも可能性があったら駄目なんだよ!生放送なんだぞ!?」

P「まさに鉄壁の布陣じゃないか……俺にどうしろって言うんだ!?」

伊織「クレーム処理しなさい」

P「はい……」

【いつもの平日16.3、事務所】

P「春香、転ばないかな……美希も寝落ちしないといいな……」

P「千早も心配だし……はぁ、気が重い……」

あずさ「プロデューサーさんもそういうの気にするんですね」

P「え?」

あずさ「げんかつぎでしょう?私も受験したから分かります」

P「いえ、世間を気にしてるだけです。俺自身は気にしてないですよ」

あずさ「そうなんですか?」

P「ええ。父親がいつも『そんな事を気にする暇があったら勉強すればいい』と言っていたので」

あずさ「確かにそうですね。私はそこまで割り切れませんでしたけど……」

P「人それぞれですから、そういう人が居てもいいと思いますよ」

あずさ「あはは……ありがとうございます」

P「まあ、本当は……」

あずさ「はい?」

P「父親が鬱陶しくて、げんかつぎどころじゃなかったと言う方が正しいですけどね」

あずさ「鬱陶しい……ですか?」

P「はい。試験当日、会場まで付いてきまして……」

あずさ「いいお父さんじゃないですか」

P「と思うでしょう?違うんですよ」

あずさ「違うとは?」

P「だって、『首席で合格したいなら俺を超えてみせろ』とか言っていましたから」

あずさ「それはまた……ユニークな方ですね」

P「良く言えばそうですね。とにかく、父親の事が気になって、周りは全く見えてなかったんですよ」

P「あ、思い出したら腹が立ってきた……律義に『満点-1点』で通過したのもムカつくな……」

あずさ「あの……もしかしたら、発破を掛けようとしてくれたのかも――」

P「それはないですね」

あずさ「どうしてです?」

P「後日『どうしてあんな事をしたのか』って訊いてみたんですよ。そしたら……」

あずさ「そしたら?」

P「『漫画でよくある展開をやってみたかっただけだ』って」

あずさ「……プロデューサーさんは父親似なんですか?」

P「断じて違います」

あずさ「あら、違いましたか」

P「俺は母親似です。男児は母に似ると言いますしね」

あずさ(プロデューサーさんの家族って……)

【貴音の誕生日1、事務所】

P「貴音って、何をあげたら喜ぶんだろう?」

美希「んー……ラーメンとか?」

P「響は?」

響「……ラーメンじゃない?」

P「誕生日プレゼントがラーメンって……程度が知れるな」

美希「じゃあプロデューサーはアイデアあるの?」

P「一つだけあるぞ」

響「何?」

P「貴音って月が好きだろ?」

響「うん」

P「だから、あのCMを再現しようかと」

美希「……もしかして『月面でカップヌードル食べる』とか言わないよね?」

P「その通りだが」

美希「どうやって食べるの?」

P「無論、マスクを取って――」

響「……死ぬよね?」

P「……死ぬな」

美希「プロデューサーは貴音が嫌い……と」

P「違う!悪意のある解釈をするな!」

美希「まあ、真面目な話をすると」

P「ほう。美希の口から『真面目』なんて単語が出るとは驚きだな」

美希「相談に乗らなくてもいいの?」

P「ごめんなさい……」

美希「最初から素直にしてればいいのに……まったく」

P「それで、話とは?」

美希「普通にラーメンを作ればいいの。プロデューサーの料理ならかなり嬉しいって思うな」

P「却下だ」

響「何で?自分も結構いいと思うぞ?」

P「分かってないな。プレゼントとは、贈る側の品格が問われるもの……」

P「扱いに困る品を贈ってはならないし、ましてや食品で済ますなどもってのほかだ」

美希「扱いに困るって……例えば?」

P「いつ着ければいいのか分からないセンスゼロの装飾品とか、捨てる時に申し訳なさを感じさせる手作りの品とかだ」

響「……ごめんね」

P「いやっ!響のマフラーは違うから!ちゃんと嬉しいから!」

美希「墓穴掘りすぎなの……」

P「ところで、お前達はもう決めたのか?」

美希「ミキはネックレスだよ」

P「響は?」

響「自分はバッグにしようと思ってるぞ」

P「成程。女性にとって、バッグはいくつあっても困らないと」

響「そういう事」

P「ならば俺も――」

美希「ミキ、パクリはよくないって思うな」

P「ぐ……では、イヤリングはどうだ」

響「あずささんが贈るって言ってたぞ」

P「化粧品とか」

美希「それは小鳥が渡すの」

P「ま、マイ箸とか!」

響「それもやよいが先だぞ」

P「服は!?」

美希「サイズピッタリの服を買ってこられたら、それはそれで気持ち悪いの」

P「確かに……では、一体どうすれば……」

響「もうマイ丼とかでよくない?ほら、マイ箸も貰う訳だし」

P「……お前はマイ丼を持った奴と一緒に外を歩けるのか?」

響「やっぱなしで!なしでお願い!」

美希「必死すぎなの」

【貴音の誕生日2、事務所】

P「うーむ……相談した筈なのにプレゼントが決まっていないとは……」

雪歩「四条さんのですか?」

P「ああ。流石にラーメンを贈るのは駄目だと結論が出たところだ」

雪歩「そうですね……もう少し捻った方がいいかもしれません」

P「かもな。『貴音=ラーメン』みたいな短絡思考はよくないし」

雪歩「はい。ラーメンに拘る必要はありませんからね」

P「ふむ……では、こういうのはどうだ?」

雪歩「何ですか?」

P「豚骨スープで玉露を淹れる」

雪歩「うっ……気分が……」

P「名前は『玉骨』にするつもりだ」

雪歩「新しいお茶みたいに言わないでください!」

P「駄目か……捻りが効いてると思ったんだがな」

雪歩「捻るどころか捻じ切れてますよ……」

P「話を戻そう。雪歩なら何が欲しい?」

雪歩「私ですか?私は……何でもいいです」

P「一番困る答えだな」

雪歩「でも、プレゼントってそういうものじゃないですか」

雪歩「お祝いする気持ちをラッピングして、相手に贈るんです。中身なんて、そんなに重要じゃないんですよ?」

P「……詩人だな」

雪歩「もうっ!茶化さないでください!これでも恥ずかしいんですから……」

P「す、すまない……相談を持ちかけたのに失礼だったな……」

雪歩「いえ、もう気にしてませんよ」

P「そう言って貰えると助かる」

P「しかし、気持ちをラッピングする……か。確かにその通りかもな」

P「とはいえ、中身を軽視していいという訳ではないだろうし……難しいところだ」

雪歩「じゃあ、私の時みたいに実用品を贈ったらどうですか?」

P「実用品?例えば?」

雪歩「それはプロデューサーが考えるところです。何から何まで頼っちゃ駄目ですよ?」

P「……厳しいな」

雪歩「私が選んだら、それは私からのプレゼントになっちゃいますから」

P「そうか……分かった」

雪歩「すみません。偉そうな事を言っちゃって」

P「いや、助かったよ。こういうのは苦手だし」

雪歩「いつも通りじゃ駄目なんですか?」

P「その場のノリでプレゼントを選べる訳ないだろ。曲がりなりにも大人なんだから」

雪歩「なるほど……だから、あんなに嬉しかったんですね……」

P「何が?」

雪歩「私がプレゼントを貰った時の話です。プロデューサーは真剣に選んでくれたんですよね?」

P「い、今それは関係ないだろ!?」

雪歩「ふふ、さっきのお返しです」

P「やめてくれよ……『心を籠めた』なんて恥ずかしいんだから」

雪歩「いいじゃないですか。相手に知られて困る事なんてないですよ」

P「相手に知られないよう配慮するのが大人ってものだ。気を遣わせるからな」

雪歩「……気を遣う代わりに喜ぶと言ったら?」

P「それは――ああもう、雪歩まで意地悪になっていくな……」

雪歩「一つ大人になったから、でしょうか?」

P「……ノーコメントだ」

【貴音の誕生日3、事務所】

P「実用品か……何にしよう」

P(そういえば、貴音は天体観測が趣味だったな……)

P(ふむ……天体望遠鏡はどうだろう?幸い、持っているという話も聞かないし)

P「そうと決まれば、後は買いに――待てよ?」

P(勢いで買って粗悪品を掴まれても困るな……ここは鑑定眼のある人間に指示を仰ごう)

プルルルル……

P「あ、もしもし伊織?少し訊きたい事があるんだけど」

伊織『構わないけど、今は忙しいから手短にお願いね』

P「分かった。では単刀直入に訊くが……」

伊織『何?』

P「いい天体望遠鏡を買いたいんだが、どうすればいい?」

伊織『迷ったら一番高いのを買いなさい。以上』

P「いや、そうじゃなくてだな。どういう基準で――」

ブツッ!ツー……ツー……

P「切れた……」

P「まったく……これだからブルジョワは……」

P「まあいい。最悪、店員に訊けばいい話だからな」

???「何をですか?」

P「何をって、貴音にプレゼントする天体望遠鏡の選び方を――」

貴音「それは……ありがとうございます」

P「貴音!?いつからここに!?」

貴音「つい先程ですが……申し訳ありません。今すぐ忘れましょうか?」

P「やめて!そういう気遣いが一番傷付くから!」

貴音「……では、わたくしはどうすればいいのでしょうか?」

P「どうって……その、だな」

貴音「何でしょう?」

P「……一緒に買いに行くか?」

貴音「はいっ!」

貴音、誕生日おめでとう

貴音の誕生日を祝えたのでもう悔いはないです

1「もう一回遊べる」ドン!!

もう>>454さんが書いた方が面白いんじゃないですかね

すみません、やる気がなくなった訳ではないんです
ただ、まだ用事が終わってなかったりします。なのでまた数日は投下できないかと

意外と見てくださってる方が多いようで励みになります。ありがとうございます

【いつもの平日16.4、事務所】

P「そういえば、映画が公開されたらしいな」

真「何の映画ですか?」

P「奇遇にもアイドルをテーマにしたものらしいぞ」

やよい「わぁ!凄いですね!」

P「うむ。俺達もいつか映画を撮ってみたいものだ」

真「やっぱりアクション系ですか?」

P「そうだな。こう、20メートルの高さから颯爽と登場したり――」

真「できる訳ないでしょ!?」

P「スタントマンなら任せろ」

真「できるんだ……」

やよい「プロデューサーも出るんですか?」

P「出れたらいいなって話だよ」

やよい「そうですか……できれば皆でやりたいですね!」

P「そう言ってくれると嬉しいな」

真「自由すぎる……」

真「それにしても、プロデューサーって本当に何でもできるんですね」

P「まあな――あ、そうだ」

やよい「どうしましたか?」

P「やよいはどんな映画がいい?」

やよい「え?今から作るんですか!?」

P「そうじゃなくて、単なる雑談だよ」

やよい「なるほど。うーん、そうですね……」

真「料理系とか?」

P「どんな映画だよ」

真「ほら、料理界の頂点を目指す的な?」

やよい「あ、それは面白そうかも!」

P「ふむ……具体的にはどんな感じなんだ?」

やよい「えっと、その……プロデューサーの力が必要かもしれませんけど……」

P「いいぞ。言ってみろ」

やよい「私、料理アニメとかでよくある、切った野菜がくるくるーってなりながら盛り付けられるアレとかしてみたいです!」

真「……できるんですか?」

P「できるかぁ!」

やよい「そんなぁ……」

P「ああっ!何故か心が痛む!」

真「プロデューサーにもできない事はある……と」

P「物理的にできる事とできない事の区別ぐらいつけよう?ね!?」

やよい「あの……私は気にしてませんから!」

P「フォローはやめて!」

【いつもの平日16.5、事務所】

美希「ねぇ、あずさ」

あずさ「なぁに?」

美希「プロデューサーが言ってたんだけど、映画を撮るならどんなのがいいと思う?」

あずさ「あら、映画のお話が来てるの?」

美希「ううん。そうなったらいいなって話」

あずさ「難しいわね……美希ちゃんは何がいいの?」

美希「ミキはラブロマンスとかやってみたいの!」

あずさ「いいわね~。私も運命の人と……きゃっ♪」

美希「あずさも主役を狙ってるなんて……強力なライバル出現なの!」

あずさ「わ、私は別に主役じゃなくても――」

美希「脇役の恋愛をクローズアップする作品なんてあんまり無い思うよ?」

あずさ「それは、その……」

美希「つまり!あずさはミキのライバルなの!」

あずさ「えっと……」

ガチャッ

P「ただいま戻りました」

あずさ「あ、プロデューサーさん。おかえりなさい」

美希「おかえり!ねぇ、プロデューサーはどっちだと思う?」

P「どっち……とは?」

美希「あずさとミキ、どっちがいいの?」

P「……どうして修羅場みたいになってるんですか?」

あずさ「それが――」

P「――つまり『恋愛映画の主役に相応しいのはどちらか』という話ですか」

美希「その通りなの!プロデューサーはミキを選んでくれるよね?」

P「ふむ……」

あずさ「あの、私は気にしませんから――」

美希「もー!ライバルが勝ちを譲ってどうするの!?」

P「ライバルなんですか?」

あずさ「いつの間にかそういう事になってるみたいです……」

美希「いつの間にかじゃないの!いつか絶対にそうなるの!」

P「まあ、一理あるかもしれないな」

あずさ「プロデューサーさんまで……」

P「本当に仕事が来た時まで美希に譲る訳にもいかないでしょう?予行演習みたいなものですよ」

美希「そういう事!で、どっちを選ぶの?」

P「そうだな……」

P(あれ?どっちを選んでも悲恋ものになる予感しかしない……)

あずさ「プロデューサーさん?」

P「その、だな……」

美希「ん?」

P「……失恋しない方で頼む」

美希「どういう意味なの!?」
あずさ「どういう意味ですか!?」

映画公開は厳密には昨日らしいですが、エピソード書いてる間に日を跨いでしまいました
できれば見に行きたいですね

【いつもの平日17、事務所】

響「ねぇ伊織」

伊織「何?」

響「ちょっと相談があるんだけど」

伊織「あら、珍しいわね」

響「自分だって悩む事ぐらいあるぞ!」

伊織「はいはい。で、相談って?」

響「その……プロデューサーの事でちょっと……」

伊織「アイツがどうかしたの?」

響「最初はプロデューサーが悪かったかもしれないけど、デスロールはやり過ぎかなって……」

伊織「ああ、そういえばそんな事もあったわね」

響「それで、何かお詫びがしたいんだけど……どうすればいいかな?」

伊織「……難しい質問ね」

伊織「そもそもアンタって……」

響「ん?」

伊織「何かアイツに勝てる要素あるの?」

響「あるぞ!自分、完璧だからな!」

伊織「例えば?」

響「ほら、サーターアンダギー作ったりとか!」

伊織「アイツお菓子作りできるわよ?」

響「料理とか得意だし!」

伊織「アイツも得意ね。しかもかなり」

響「だったら裁縫はどうだ!?自信あるぞ!」

伊織「シャルル・ドナテルロ19世を見るとそれもね……他には?」

響「他に!?えっと、その……あの――」

響「か、可愛さ……とか?」

伊織「……それ負けてたらアイドル辞めた方がいいわよ」

響「だよね……」

【いつもの平日18、事務所】

亜美「ただいま兄ちゃん!お菓子ある?」

P「帰ってくるなりすぐそれか……」

亜美「だってお腹減ったもん」

P「仕方ないな……冷蔵庫にゼリーがあるぞ」

亜美「ありがとー!」

真美「真美も食べていい?」

P「いいぞ」

真美「やったー!」

亜美「えーっと……」

真美「あった?」

亜美「……これかな?」

P「分かるか?」

真美「あ、兄ちゃん。これ?」

P「そう。それだ」

亜美「よし、頂きます!」

真美「スプーンは……」

P「あるぞ」

真美「ありがと」

亜美「はむ……」

真美「あむ……」

P「美味いか?」

亜美「うん!これ、すっごく美味しいね!」

真美「どこで買ってきたの?」

P「俺が作った」

真美「へぇ~、兄ちゃんやっぱり凄い……ね?」

亜美「どうしたの真美?喉にでも詰まった?」

真美「違うよっ!こ、これを兄ちゃんが作ったって事は――」

P「うん。お前らのおやつ、一週間無しな?」

亜美「うあうあー!完全に忘れてたよー!」

【三日後、ケーキ屋】

P「お、新作のケーキだ」

律子「駄目ですよ」

P「まだ何も言ってないんだが」

律子「どうせ『買って帰ろう!』とか言うんでしょう?」

P「……お前はエスパーなのか?」

律子「日頃の行いです」

P「日頃から修行してるのか!?」

律子「あなたの態度の事ですよ!」

P「ああ、そういう意味か」

律子「本当に子供っぽいんですから……」

P「俺は大人だ」

律子「そうですね」

P「雑な対応だな!?」

P「冗談はさておき……なあ、律子」

律子「何ですか?」

P「お前は気にならないのか?」

律子「ケーキの話ですか?」

P「そうだ」

律子「そりゃ、甘い物は好きですけど……」

P「だったら買えばいいじゃないか」

P「俺も欲しい。律子も欲しい。ほら、我慢する必要があるか?」

律子「まあ……たまにはいいかもしれませんね」

P「決まりだな。すみません、このケーキを16個頂けますか?」

店員「16個ですね。少々お待ちください」

律子「あれ?16個でいいんですか?」

P「何が?」

律子「いえ、結局買ってあげるんだなーと思いまして」

P「……あ」

律子「ふふ、私も半分出しますね」

P「いや、違うんだ。いつも16個買うからつい癖で――」

律子「はいはい。分かってますよ」

P「流すなー!」

整合性取れてませんでした……
>>19の台詞を

P「ただし、俺の作ってきたクッキーが美味かったら……お前らのお菓子は一週間無しな」

P「ただし、俺の作ってきたお菓子が美味かったら……お前らのおやつは一週間無しな」

に訂正しておきます。もっとよく確認しておけばよかったですね。すみません

【ある休日12、カラオケボックス】

千早「ふぅ……次は誰かしら?」

春香「プロデューサーさんじゃない?」

P「はむ――え、俺?」

千早「そうですけど……あの、プロデューサー?」

P「うん?」

千早「何を食べてるんですか?」

P「クランチチョコだが」

千早「春香……どうして止めなかったの……」

春香「わ、私は止めたよ?でも、どうしても買うって……」

P「だって美味いじゃないか、クランチチョコ」

春香「それは分かりますけど……」

千早「……歌えるんですか?」

P「心配するな。俺に不可能はない」

千早「じゃあどうぞ」

P「蒼い鳥か。いくぞ――!」

P「あなたを愛して――ごほっ……げほっ……たぁぁぁ――ごほっ……」

P「でも前だけを見つめてく――けほっ……!」

千早「だから言ったのに……」

P「何故だ……飲み込んだ筈のクランチが喉に襲いかかってくる……」

春香「お水どうぞ」

P「ありがとう……」

千早「あ、終わりましたよ」

P「点数は……90か」

春香「凄いですよプロデューサーさん!」←94

P「春香以下とは……屈辱だ」

春香「私に厳しくないですか!?」

P「大人として……春香には負けられないんだ!」

千早「あ、すみません。8時間延長で」

春香「千早ちゃん!?」

千早「長丁場になるかと思って」

P「ごめん春香……」

春香「ああっ!プロデューサーさんが弱気に!」

千早「どうしたのかしら?」

春香「それを千早ちゃんが言う!?」

【いつもの平日19、事務所】

真「プロデューサーって」

雪歩「え?」

真「タバコ吸わないよね」

雪歩「そうだけど……いきなりどうしたの?」

真「いや、何で吸わないのかなーと思って」

雪歩「私達に気を遣ってくれてるんじゃ……」

真「確かにそれはあるかもしれないけど……あのプロデューサーだよ?」

雪歩「『あの』って?」

真「『大人だ―』って言ってるって事。だから、大人っぽくタバコ吸うのかと思ってたんだ」

雪歩「プロデューサーはそんな単純な理由で吸わないと思うけど……」

真「そうかな……?いや、案外そうかも」

雪歩「あ、納得はするんだね」

真「まあね。色々と気を遣ってくれてるのは分かってるつもりだよ」

雪歩「そうなんだ。でも、タバコかぁ……もし吸ってたら、どんな感じなんだろう?」

真「絶対オイルライターだよ。雪歩も分かるでしょ?」

雪歩「あぁ……それはあるかも」

真「で、タバコの箱を『トントン』って叩いて出すね。うん」

雪歩「煙でリング作ったりするかな?」

真「多分やるよ。しかもドヤ顔で」

雪歩「も、もしかして……ポイ捨てとかしちゃうのかな……」

真「いや、携帯灰皿は間違いなく持ってるね」

雪歩「よかったぁ……」

ガチャッ……

真「それで『ポイ捨てはしない。大人だからな』とか言うんだよ」

雪歩「あははっ、それ分かるかも――」

P「随分と人の話で盛り上がっているみたいだな?」

雪歩「プ、プロデューサー!?いつからそこに!?」

P「今さっきだが」

真「……聞いてました?」

P「少しだけな」

雪歩「その……ごめんなさい!」

P「別に怒ってないぞ?これぐらいは許容するつもりだ」

真「それは大人だから……ですか?」

P「そうだ。まあ、一つだけ文句があるとすれば……」

真「すれば?」

P「そもそも『俺がタバコを吸っていたら』という仮定自体がナンセンスだ」

真「どうしてですか?」

P「真の大人は、周囲に迷惑をかけないからな」

真・雪歩「…………」

P「……何故そこで黙る」

真「いえ、その……プロデューサーは大人だなぁと思いまして」

P「心が籠もってないぞ!?」

>>495
響が伊織に相談ていうから、自分がリクエストした蟹を何故Pと伊織がふたりで食べたんだの件についてかと思った

【いつもの平日19.1、事務所】

真美「ねぇ、兄ちゃん」

P「何だ?」

真美「豆まきしないの?」

P「……どうしようか」

真美「何か悩み事?」

P「いや、俺はしてもいいんだけどな」

真美「うん?」

P「食べ物を投げる事と、掃除の事を考えたやよいが――」

やよい「――――」

コオォォォ……

P「般若みたいな顔してるのが気にかかってな……」

真美「ああ……そういう事ね……」

真美「兄ちゃん、何とか説得できない?」

P「うーむ……まあ、一応やってみるか。やよいー?」

やよい「何ですか?」

P「やっぱり豆まきには抵抗があるか?」

やよい「はい……食べ物を投げるっていうのは、悪い事だと思いますから……」

P「成程。だがな、やよい。世界には『トマト祭り』というものがあってな」

やよい「トマト祭りですか?」

P「うむ。それはもうトマト投げまくりだぞ?」

やよい「え……トマトって、1個100円ぐらいするのに――」

P「量は……確か120トンぐらいだったか?とにかく、豆まきなんて比較にならないレベルの――」

やよい「120トン!?えっと、1トンが1000キロだから……1000キロが――はぅ」

ドサッ……

真美「うわっ!?やよいっちが倒れた!」

P「真美……やよいになんて事を……!」

真美「いや、兄ちゃんの所為だからね!?」

【いつもの平日19.2、事務所】

伊織「鬼はー外!」

雪歩「福はー内!」

P「……なあ、鬼って俺がやらないと駄目なの?」

伊織「逆に訊くけど、アンタじゃなかったら誰がやるの?」

P「伊織とか?」

伊織「いたいけな少女に豆をぶつけたいなんて、いい性格してるわね」

P「何だその引っかかる言い方は……」

P「はぁ、俺も豆投げれると思ったのにな……大人って損な役回りしかできないのか……」

雪歩「あの、よかったら私が代わりましょうか?」

P「いいのか!?」

雪歩「はい。プロデューサーも少しは投げておいた方がいいと思いますから」

P「そうか、すまないな」

雪歩「いえ、いいんです。それじゃ、向こうに行きますね」

たたっ

P「さて、俺も投げるか!」

伊織「……本気?」

P「何がだ?」

伊織「いえ、雪歩に豆を投げれるのかなと思って」

P「その為に交代して貰ったんだぞ?投げなくてどうするんだ」

伊織「そうだけど……やっぱりアンタに鬼をやって貰うのが一番いいんじゃないかしら」

P「……伊織は俺が嫌いなのか?」

伊織「違うわよ。まあ、投げてみれば分かるわ」

P「うん?何が言いたい――」

雪歩「準備できましたよ、プロデューサー」

P「お、できたのか。それでは早速……せいっ!」

ぱらぱら……

雪歩「ひぅっ……!」

伊織「えいっ!」

ぱらぱら……

雪歩「ひゃっ……!?」

P・伊織「…………」

雪歩「あ、あのっ!遠慮しないで投げてくださいね!」

伊織「……分かった?」

P「うん……やりづらいな、これは……」

P「待てよ?伊織が鬼なら――」

伊織「やりましょうか?」

P「いや、やめておこう……雪歩、交代するぞ」

雪歩「いいんですか?」

P「ああ。子供に豆をぶつけるのは精神的によくないと分かったからな」

雪歩「すみません……」

伊織「……悪いわね。気を遣わせちゃって」

P「気にするな。それに……」

伊織「それに?」

P「伊織がやるとデコが痛いだろう?」

伊織「アンタって本当に失礼よね!?」

P「俺だって言いたくはない……だが、心を鬼にして――」

伊織「上手くないわよ!」

雪歩「あ、今の貰っていいですか?」

伊織「貰うなぁ!」

【いつもの平日19.3、事務所】

響「福豆って、歳の数だけ食べればいいんだっけ?」

P「うむ。響は……16個だな。ほら」

響「ありがと」

春香「あ、私は17個でお願いします」

P「はい」

春香「ありがとうございます。プロデューサーさんは食べないんですか?」

P「んー……今は食べる気が起きないから、後にしようかと思ってな」

春香「そうですか」

響「あむ……ねぇ、春香」

春香「どうしたの?」

響「これ、すぐ飽きるぞ……何かいい食べ方ない?」

春香「いい食べ方?うーん、思いつかないなぁ」

P「何かと一緒に食べればいいんじゃないか?」

響「例えば?」

P「砕いてアイスクリームに混ぜるとか、シリアルに混ぜるとか、色々あると思うぞ」

春香「それいいですね。で、アイスクリームってあるんですか?」

P「無い」

響「シリアルは?」

P「無いな。でも牛乳はあるぞ」

春香「牛乳だけじゃどうしようもなくないですか?」

P「一応、すり潰してからきなこ牛乳にするという選択肢があるな」

響「面倒だぞ……」

P「なら諦めろ。努力なくして得られる結果などない」

春香「何だか、プロデューサーさんが言うと説得力があるような……気がする」

響「気がするな」

P「するだけかよ!」

【いつもの平日19.4、事務所】

美希「ねぇ、プロデューサー」

P「何だ?」

美希「福豆以外の食べ物って無いの?ミキ、もう飽きちゃったの」

P「ふむ……恵方巻きでも食べるか?」

美希「うんっ!あ、千早さんも食べる?」

千早「えっと、私は……」

P「折角だから食べていったらどうだ?」

美希「千早さん、一緒に食べよう?」

千早「……じゃあ、少しだけなら」

美希「やったの!」

P「さてと……今年の恵方は東北東らしいな」

美希「分かんないの」

P「こっちだ」

千早「これ、目を瞑って食べるんでしたか?」

P「それは人それぞれだから深く考えなくていいぞ。そもそも、太巻きじゃない場合すらあるみたいだからな」

美希「適当だね」

P「まあ、『行事をやった』って事実が大事なんだろうな」

千早「では――」

P「あ、食べる時には願い事を思い浮かべるんだぞ」

千早「そうなんですか?」

P「うむ。さて、俺達も食べるか」

美希「頂きますなの!」

千早「ごちそうさまでした」

P「なかなかの味だったな。俺が作ったから当たり前だが」

美希「自画自賛なの」

P「不味かったか?」

美希「美味しかったけど」

P「ならいいじゃないか」

千早「あの」

P「ん?」

千早「プロデューサーは何をお願いしたんですか?」

P「俺か?何だと思う?」

美希「んー……面白い事が起こりますように、とか?」

P「外れだ」

千早「……無病息災ですか?」

P「それも外れだ」

美希「むむ……じゃあ何なの?」

P「そうだな……教えてもいいが、その前に二人の願い事を聞かせて貰おうか」

千早「私は、自分の歌が世界に認められる事……でしょうか」

美希「ミキはもちろん、キラキラする事なの!」

P「ふむ……予想通りだな」

千早「それで、プロデューサーの願い事は何なんですか?」

P「……お前達の夢が叶いますように、だ」

千早「私達の夢が叶うように……?どうして……」

P「俺は今まで、自分のやりたい事は自分で叶えられたけど……」

P「プロデューサーになってからは、アイドルと二人三脚だからな。俺だけの力じゃ駄目なんだよ」

美希「それだったら『トップアイドルになれますように』の方がいいんじゃないの?」

P「いや、それはよくない」

千早「何故です?」

P「人の夢は一つだけじゃないからだ。例えば、千早が『アイドルを辞めたい』と思う事もあるだろう」

P「そうなった時に、俺の意思が邪魔になるような事はあって欲しくないと思ってな」

P「……まあ、『ただの願い事なのに』と言われればそれまでだが」

千早「いいえ、嬉しいです」

美希「ミキも。ところで、ちょっと思ったんだけど……」

P「ん?」

美希「プロデューサーって、人に強制するの好きじゃないよね」

P「そりゃ、俺が一番されたくない事だからな」

美希「なるほど。納得なの」

千早「これからもよろしくお願いしますね、プロデューサー」

P「こちらこそ」

美希「ミキもよろしくね!」

P「宣伝みたいになってるぞ」

美希「……あれ?」

【いつもの平日19.5、事務所】

小鳥「プロデューサーさん、福豆は食べました?」

P「まだです。音無さんは――食べてるところですか」

小鳥「ええ。それにしても……これ、飽きてきますね」

P「でしょうね」

あずさ「プロデューサーさんは食べないんですか?」

P「どうせなら就業時間まで粘ろうかと」

あずさ「どうしてです?」

P「散々『飽きる』って感想を聞いてますからね。これはもう、ビールと一緒に食べるしかないと思いまして」

小鳥「ビール!その手がありましたか……!」

あずさ「あら……私もそうすればよかったかもしれませんね……」

小鳥「まだ間に合いますよ。ほら、私の福豆を残しておきますから」

あずさ「え?いえ、流石に――」

小鳥「プロデューサーさん、今日は付き合って貰いますからね!」

P「ええ、いいですよ」

小鳥「よしっ!それじゃ、残りの仕事も早く片付けちゃいますよ~!」

あずさ(小鳥さんって、こういうところが災いしてるんじゃ――)

P「しかし、わざわざ豆を残すなんて面白いですね。あずささんもそう思うでしょう?」

あずさ「そ、そうですね……」

あずさ(やっぱり……)

またしても日を跨ぎました。すみません

映画は面白かったです
まともなSSが書きたくなりましたね

PS:ネタが枯れてきました

【ある休日12.1、事務所】

亜美「ねぇ、律っちゃん」

律子「どうしたの?」

亜美「あのね、少し気になった事があって……これなんだけど」

律子「あぁ……『動物はあなたのごはんじゃない』ってヤツね。こんなの気にする事ないわ」

亜美「そうなのかな……」

律子「いちいち真に受けてたら何も食べられなくなるわよ?」

亜美「でも……」

律子(うーん……私が言っても駄目、か)

律子(こういう時は自分の経験不足が恨めしいわね――ん?)

貴音『プロデューサー。昼食を――』

P『すまない。今日は作ってない――』

真『じゃあ、どこか食べに――』

律子「……これだ」

亜美「律っちゃん?」

律子「ごめん、ちょっと待ってて。すぐ戻るから」

亜美「え?うん、分かった」

P「食べに行くのはいいが、どこにするんだ?」

貴音「らぁめんなどいかがでしょう?」

真「貴音は本当に飽きないね」

貴音「ええ。ですが、最近は回数も減っているのですよ?」

P「弁当の成果だな。今日は忘れたが」

貴音「密かな楽しみでしたのに……プロデューサーはいけずです」

P「だからこそ、今日はもう一つの楽しみを……という訳か」

貴音「はい」

真「でも、元々はラーメンを食べないようにする為なんだよね?なら、今食べるのは駄目なんじゃ……」

貴音「それは――」

律子「すみません、プロデューサー」

P「律子?どうした?」

律子「外食するんでしたら、私と亜美も連れて行って貰えませんか?」

P「別に構わないぞ」

律子「ありがとうございます!それじゃ、亜美を呼んできますね」

タタッ

P「ふむ……亜美も来るなら、ファミレスの方がいいか」

P「貴音」

貴音「……仕方ありませんね。今日は引くとしましょう」

P「すまないな。この埋め合わせは必ずさせて貰う」

貴音「ええ、約束ですよ」

P「無論だ」

真「決まりですね。さて、出る準備をしないと!」

P「――さあ、着いたぞ」

貴音「ふぁみれすも久しぶりですね」

亜美(律っちゃん、何で兄ちゃんと一緒に来たの?)

律子(私よりもプロデューサーの方が適役かと思ってね)

亜美(それって――)

真「律子、亜美。何してるのさ?早く来なよ!」

律子「あ、ごめんなさい。亜美、行きましょう」

亜美「う、うん……」

P「――注文はこれで全部か?」

貴音「はい。揃っております」

真「プロデューサー、早くしないと冷めちゃいますよ」

P「そうだな。では――」

律子「あ、ちょっと待ってください」

P「どうした?」

律子「プロデューサーに少し訊きたい事が……ほら、亜美」

亜美「亜美が訊くの!?」

律子「私が訊いてどうするのよ」

亜美「うぅ……確かにそうだけど……」

P「亜美が俺に話とは珍しいな。何だ?」

亜美「えっと……その、ね?」

P「うん」

亜美「……兄ちゃんは『動物はあなたのごはんじゃない』って、聞いた事ある?」

P「あるぞ」

亜美「そうなんだ……ねぇ、これって正しいのかな」

P「何を言ってるんだ?食べられるものは全部ごはんに決まってるだろう」

貴音「その通りです。しかし、わたくし達の生活は他の犠牲の上に成り立つもの……」

貴音「だからこそ、全ての命に感謝して――」

真「今日も残さず――」

P・貴音・真「頂きます!」

亜美「……あれ?亜美の話は?」

律子「終わったわね」

亜美「勢いで誤魔化された気がする……」

律子「案外、それが正解だったりするのかもね。答えなんて出ないでしょうし」

亜美「そだね……よーし!いっちょ食べますか!」

P「自分が食べられる分だけ頼むようにな」

亜美「はーい!」

律子(たまには強引さも大事……と。ああいうのは私にない部分よね)

律子(……見習っていいのかは分からないけど)

P(どこかから失礼な気配がする……)

【いつもの平日19.6、事務所】

P「ここ数日で一気に寒くなったな」

美希「だね。外に出るのも億劫って感じ」

貴音「暖かな日が続いていた分、この気温差は厳しいものがありますね」

P「風が強かったりすると最悪だな」

美希「まったくなの。はぁ……早く春にならないかなぁ……」

美希「もう寒くてお昼寝どころじゃないの」

P「お前はもう少し暖かい格好をしてから言え。足とかほとんど露出してるじゃないか」

美希「ファッションは我慢との勝負なの。妥協したら負けだって思うな」

P「勝ち負けとかあるのか……」

美希「あるよ?それとも、ビジュアルを妥協したアイドルが見たいの?」

P「それは……あまり見たくないが」

美希「でしょ?だから、これは仕方ないの」

貴音「しかし、美希の服装はわたくしから見ても寒そうです。風邪を引かないよう気をつけるのですよ?」

美希「分かってるって。というか、貴音もスカートだから寒いと思うけど」

貴音「わたくしなら大丈夫です」

P「ふむ……タイツでも履いてるのか?」

貴音「違いますよ。わたくしは月からのおぉらを身に纏っておりますので、寒さなど感じないのです」

P「何っ!?それは本当か!?」

貴音「えっ?あ、いえ……その……」

P「成程、オーラか……貴音は何か不思議な力を持っていると思っていたが、まさかオーラだったとはな……」

P「これは史上初のオーラ系アイドルとして売り出し――」

貴音「あのっ!」

P「どうした?」

貴音「……冗句なのです」

P「え?」

貴音「ですから、その……おぉら云々というのは嘘なのです」

P「そうか……嘘なのか……」

P「はぁ……」

P「…………」

P「……仕事してくる」

とぼとぼ……

美希「ショック受けすぎなの」

【いつもの平日19.7、事務所】

小鳥「うぅ……寒い……」

律子「暖房ならついてますよ」

小鳥「それでも足先が冷えて仕方がないんですよ」

律子「冷え症なんですか?」

小鳥「うーん……多分?」

律子「適当ですね……」

P「そうだ。こたつを出そう」

小鳥「それ賛成です!今すぐ買いに行きましょう!」

律子「駄目ですよ。『お菓子買ってくる!』みたいな感覚で家具を買わないでください」

小鳥「えぇ~……いいじゃないですかぁ……」

P「まったくだ。律子だって、こたつに入れたら嬉しいだろ?」

律子「それはそうですけど……まさか、こたつにデスクトップパソコンを置く訳にもいかないでしょう?」

P「よし。じゃあノーパソも買うか」

律子「だからホイホイ買おうとするなぁ!」

P「音無さん、律子が堅いです」

小鳥「うーむ、ここはこたつを買って態度を軟化させましょう」

P「では行ってき――」

律子「あーもう!待てと言うに!」

P「律子よ……何がお前をそこまで頑なにさせるんだ?」

律子「あなたも懲りない人ですね……」

律子「いいですか?仮に、こたつを買ったとしますよ?」

P「うむ」

律子「でも、私達は社会人です。そんなだらけた姿勢で仕事に取り組むなんてできませんよね?」

P「確かに……」

律子「そういう訳で、こたつを買うのは諦めましょう?ね?」

P「分かった」

小鳥「あれ!?普通に説得されてますけど!?」

>>531の訂正をします

P「どうせなら就業時間まで粘ろうかと」

P「どうせなら終業時間まで粘ろうかと」

酒が飲めない時間まで粘ってどうする……アホですか私は

>>519についてですが
アイドル達を均等に出そうしているので、継続したお話に同じキャラを出さない場合があります
まあ、鍋を二人で食べきる事はない……という事でどうかお願います。ややこしくてすみません

【バレンタインデー1、事務所】

やよい「うーん、どうしよう……」

春香「どうしたの、やよい?何か悩み事?」

やよい「はい。実は、チョコを作りたいんですけど……」

春香「うんうん」

やよい「私、こういうのした事なくて……どうしたらいいか分からないんです」

春香「なるほど……じゃあ、私と一緒にする?」

やよい「いいんですか!?」

春香「うん、いいよ。私も一人じゃない方が楽しいし」

やよい「やったぁ!ありがとうございますっ!」

春香「そういえば、プロデューサーさんには頼んでみたの?」

やよい「それも考えたんですけど、プロデューサーは忙しそうでしたから……」

春香「そうなんだ。まあ、プロデューサーさんも何か作ってるって事なのかな?」

やよい「でもでも『手伝えないから代わりに』って、これを貰いました!」

春香「これは?」

やよい「カカオ豆……?らしいです!よく分かりませんけど、これからチョコレートが出来るんですよね?」

春香「何を渡してるのあの人は!?」

やよい「もしかして違うんですか?」

春香「いや、違わないけど……カカオ豆から作るのは無理じゃないかな……」

やよい「春香さんなら大丈夫だって言ってましたよ?」

春香「何を根拠に!?」

やよい「えっと『俺に勝ってるんだから、きっとできる』って」

春香「基準が辛い……」

【バレンタインデー2、ショッピングモール】

律子「今日はバレンタインね」

千早「そうね」

律子「チョコレートは用意しているの?」

千早「律子。私がそういう事に興味がない事は――」

律子「知ってる。でも、これぐらいは受け取ってくれてもいいんじゃない?」

千早「これは……」

律子「チョコレートよ。もしかして嫌いだった?」

千早「いえ、そうじゃなくて」

律子「何か気になる事でも?」

千早「その、非常に言いにくいのだけど……」

律子「ん?」

千早「ごめんなさい。私にそういう趣味は――」

律子「いやいやいや!私だってないわよ!」

千早「じゃあ、これは一体……?」

律子「友チョコ。まあ、これからもよろしくって事ね」

千早「はぁ……そんなものもあるのね」

律子「世の中、イベントにかこつけて何かしたいって人は多いから」

千早「そういうものなの?」

律子「そういうものよ」

千早「まあ、友チョコというものがあるのは分かったけれど……」

律子「どうしたの?」

千早「律子って『イベントにかこつけて何かしたい人』だったかな、と思って」

律子「……さぁ?私には分からないわ」

千早「プロデューサーの影響かしら?」

律子「あぁ……あるかもしれないわね」

千早「いい影響だと思う?」

律子「それも分からないわね。ただ……」

千早「ただ?」

律子「仕事じゃなく、あくまで『自分が楽しむイベント』としてバレンタインデーに向き合えたし……」

律子「そのお陰で千早にチョコを渡せたんだから、そういう意味ではいい影響……なのかも」

千早「ふふっ……」

律子「ちょっ!?どうして笑うのよ!」

千早「ごめんなさい。プロデューサーに似てたから、つい……」

律子「まったく……変な事を言ってると、私まであの人みたいになるわよ?」

千早「……それは恐ろしいわね」

律子「でしょう?」

千早「まあ、それはさておき……律子、ありがとう」

律子「へ?何の話?」

千早「チョコレートの話よ。嬉しかったわ」

律子「そう?よかった」

千早「ただ、今は返せる物がないから……その……」

律子「うん?」

千早「少し、買い物に付き合って貰えないかしら?」

律子「いいわよ。でも、どういう風の吹き回し?」

千早「どういうって……律子の所為よ」

律子「何で?」

千早「チョコを貰った時、凄く嬉しくなったから……」

千早「だから、こういうのもたまにはいいかなって……そう思っただけよ」

律子「素直じゃないわね」

千早「そうかしら?律子に言われたくはないけど」

律子「私がこうなったのはプロデューサーの所為よ」

千早「……じゃあ、全部プロデューサーが悪いという事で」

律子「ふふ、そうしましょうか」

【バレンタインデー3、響宅】

貴音「響、そちらはどうですか?」

響「んー……まあ、いい感じかな。貴音は?」

貴音「わたくしも順調ですよ。しかし、料理というのはなかなか疲れますね」

響「料理って……ただ溶かして固めてるだけでしょ。何が疲れるんだ?」

貴音「目の前の食料を我慢する事が、です」

響「ああ、そういう事ね」

貴音「このままでは、つい全滅させてしまいそうです……」

響「少し休憩したら?冷蔵庫に飲み物あるし」

貴音「そうですね……そうさせて頂きます」

響「あ、コップはそこだからね」

貴音「分かりました。では、お先に」

響「はいはーい」

貴音「ふぅ……しかし……」

響「ふんふふ~ん♪」

貴音(響のお菓子ですか。気になりますね……)

貴音「あの、響」

響「ん~?」

貴音「その、少し味見をしてもよろしいでしょうか?」

響「いいよ~」

貴音「真ですか!?」

響「うん。食べすぎないでね」

貴音「はい、心得ております」

響「ならいいけど。もし食べすぎたら……」

貴音「食べすぎたら……?」

響「貴音の分が減るから」

貴音「なっ!?そんな事が……!?」

響「え?驚くところ?」

貴音「……響、いつの間にか強かになりましたね」

響「そりゃ、身内にあんなのが居るからね」

貴音「なんと……!プロデューサー、許すまじ……!」

響「八つ当たりは駄目だぞ」

貴音「では、この憤りをどこに向けろと?」

響「自分の胃じゃない?」

貴音「そんな事をしては、わたくしはシクシクと泣いてしまいます……胃だけに」

響「上手い事言ったつもり!?」

【バレンタインデー4、双海宅】

亜美「うーん……やっぱりタバスコ入れようかな?」

真美「駄目だよ亜美。一応、これもプレゼントなんだし」

亜美「でもさ。兄ちゃん的に考えれば、楽しいは正義だよね?」

真美「まあね」

亜美「じゃあ、ロシアン的な要素も入れた方がよくない?」

真美「それって真美達が楽しいだけなんじゃ……」

亜美「兄ちゃんもそんな感じだと思うよ?」

真美「でもアレだよ?兄ちゃんは……ほら、相手の事も考えてるし……」

真美「多分、タバスコは入れないんじゃないかな?」

亜美「そっかぁ……じゃあ、他に入れる物ある?」

真美「入れないって選択肢はないんだね……」

亜美「当然っしょ!これだけは兄ちゃんも同じ答えだって!」

真美「うぅ……反論できない……」

亜美「そういえば」

真美「どしたの?」

亜美「今、中に何を入れるかって話してるけどさ」

真美「うん」

亜美「……カプセルチョコ、閉じちゃったよね?」

真美「あ」

亜美「どうしよっか、これ」

真美「とりあえず、中身はカスタードクリームにするとして」

亜美「するとして?」

真美「……どうやって入れようか?」

亜美「えっと……穴を開けて、ストローで入れるとか?」

真美「無理じゃない?」

亜美「クリームを口に含んで、それをストローから吐き出せば――」

真美「ねえ、亜美」

亜美「ん?」

真美「その作り方で出来たチョコ……欲しい?」

亜美「……要らないかな」

真美「だよね」

亜美「はぁ……相手の立場で考えるのって大事だね」

亜美「兄ちゃんも案外そうしてるのかな?」

真美「……さぁ?」

亜美「いや、そこは頷いてあげなよ」

真美「流石に兄ちゃんの考えは読めないかな―って」

亜美「確かに……」

【バレンタインデー5、事務所】

P「美希、ちょっといいか?」

美希「どうしたの?」

P「はい、チョコレート」

美希「え?何で?」

P「バレンタインデーだから?」

美希「それっておかしくない?」

P「何が?」

美希「だって、普通は女の子が渡す日なの。プロデューサーは男の人でしょ?」

P「確かにそうだが、俺の場合は習慣みたいなものだ。気にしないでくれ」

美希「習慣?」

P「うむ。子供の頃、親から『恩は売れる時に売るものだ』と教えられたからな。それ以来、こうして配ってるんだよ」

P「菓子を作るのは楽しいし、人間関係もよくなる。まさに一石二鳥だな」

美希「なんて可愛げのない子供なの……」

P「素直に喜ばないお前の方こそ、可愛げがないんじゃないか?」

美希「さっきの話の後で素直に喜ぶ子が居たら、それはそれで怖いと思うけど」

P「……言われてみればそうだな」

あずさ「何の話をしてるんですか?」

美希「あ、聞いてよあずさ。プロデューサーって、下心でチョコ配ってるんだよ?」

P「おい、誤解を招く表現はやめろ」

あずさ「あら、そうなんですか?」

P「違います!俺はただ、純粋な好意でですね……」

美希「恩は売れる時に売るものだ、とか言ってなかった?」

P「……それはアレだ。昔の話だ」

美希「嘘っぽいの」

P「なんて可愛げのない……」

美希「プロデューサーには言われたくないって思うな」

あずさ「まあまあ、二人とも落ち着いて。ね?」

P「そうですね……分かりました」

美希「あずさが言うなら……」

あずさ「――それで、プロデューサーさんが言うには『下心はない』と」

P「無論です。というか、下心って具体的に何なんだ……」

美希「え?うーん……皆と仲良くなりたい、とか?」

P「俺には仲良くなる事すら許されないのか!?」

あずさ「いや、そんな事はないと思いますけど……」

あずさ「とにかく、私は疑ってませんよ。プロデューサーさんは信用できる人ですし」

P「あずささん……」

あずさ「美希ちゃんもそう思うでしょう?」

美希「まあね。さっきは色々言ったけど、プロデューサーって嘘吐くの下手だし……」

美希「これだって、ミキの為にくれたんだよね?」

P「それは……」

P(待てよ……?ここで肯定するのは何だか癪だな……)

P「ふん、何を馬鹿な事を。当然、恩を売る為に決まって――」

美希「そう、なんだ……残念なの、あはは……」

P「というのは冗談で、本当は配りたいから作ったんだ」

美希「そうなの?あはっ☆ありがとうなの!」

P「う、うむ……どういたしまして」

あずさ(この人の将来が心配だわ……)

【バレンタインデー6、事務所】

真「バレンタインデーですね、プロデューサー」

P「そうだな」

真「いい機会ですから、一つ勝負でもしませんか?」

P「勝負か……受けて立とう。内容は?」

真「街を歩いて、どっちが多くチョコを貰えるか……とかどうですか?」

P「卑怯だぞ!」

真「何がです?」

P「自ら勝負を挑むんだ。相手のフィールドで戦うべきだろう?」

真「プロデューサーのフィールドで戦ったら勝ち目ゼロじゃないですか」

P「だからってアイドルのフィールドで戦ったら俺の勝ち目がゼロだろうが!」

P「はぁ……まさか真がこんな奴だったとはな。俺はいつも相手の得意分野で勝負しているというのに」

真「とか言いますけど、プロデューサーってボクらの得意分野でも強いじゃないですか」

P「別に不得意だとは言ってないからな」

真「ズルいですよ!」

P「どこがだ!持っている技能を発揮しているだけだろう!」

真「……このままじゃ話がまとまりませんね」

P「確かにな……何か代案はあるのか?」

真「そうですね……ここにチョコがあります。プロデューサーも持ってますよね?」

P「無論だ」

真「では交換して……はい、どうぞ」

P「ありがとう。俺からも……はい」

真「ありがとうございます」

P「それで、どうするんだ?」

真「その前に一つ訊いておきたいんですけど、チョコの味見はしましたか?」

P「したぞ」

真「じゃあ大丈夫ですね。さて、勝負方法ですが……」

P「うむ」

真「交換したチョコを食べて、自分と相手のどちらが美味しいか決める……というのはどうですか?」

P「いいだろう。まあ、俺が勝つに決まっているがな」

真「分かりませんよ。ボクだって自信作ですから」

P「いい気迫だな……では――」

真「勝負――!」

真(プロデューサーのチョコレート……一見すれば、何の変哲もない普通のトリュフチョコだけど……)

真「はむっ……」

真(この深みとまろやかさ……!およそ市販の物を使っているとは思えない……!)

真(いや、プロデューサーの事だ……きっとカカオ豆から作るとか、恐ろしく手間を掛けているんだろうな……)

真(これは……悔しいけど完敗、かな)

P(真のチョコレート……一目見るだけで、凄く精巧なチョコ細工だと分かる……)

P(味は……)

P「あむ……」

P(悪くない……市販品をいくつか混ぜたのか……?)

P(ふむ……カカオ豆から作った事で、時間が足りず形を妥協した俺……)

P(対して、味にも形にも気を遣った真……)

P(……悔しいが、俺の負けだな)

真「結論は出ましたか?」

P「ああ」

真「じゃあ……せーの、で言いますよ?」

P「分かった」

真「……せーのっ!」

P「真だ」
真「プロデューサーです」

P・真「……え?」

P「こうなるとは思わなかったな……」

真「ボクも意外です」

P「……結論を変える気は?」

真「ある訳ないでしょう?プロデューサーも一緒ですよね?」

P「無論だ。一度決めた評価を覆すなど、相手に失礼だからな」

真「はぁ……どうしますか?」

P「どうしようもないな。ただ……お前に認められた事だけは、素直に嬉しいと言っておこう」

真「ボクもプロデューサーからの評価はありがたく頂きます。でも、今度は勝ちますからね」

P「いつでもかかってこい。全力で相手してやる」

真「はいっ!」

P「でも、知名度勝負だけは許してくれよ?」

真「もう……締まりませんね」

P「真面目に終わるのって苦手なんだよな……」

真「ですよね。分かってます」

【バレンタインデー7、事務所】

P「伊織」

伊織「何?」

P「チョコレートをやろう」

伊織「へ?あ、ありがと――って何でよ!」

P「それは美希とやったぞ。配りたいから配ってるんだよ」

伊織「ふぅん……まあ、アンタらしいわね」

P「雪歩も受け取ってくれ」

雪歩「ありがとうございます。私のもよければ……はい」

P「ありがとう」

雪歩「伊織ちゃんもどうぞ」

伊織「ありがと。私もお返ししないとね……はい」

雪歩「ありがとう」

P「俺には無いのか?」

伊織「……あげないでもないわ。ほら」

P「ありがとう」

伊織「ただ、勘違いしないで欲しいんだけど」

P「うん?」

伊織「それは単なるお返しであって、深い意味はないから。全くないから」

P「分かっている。食べてもいいか?」

伊織「好きになさい」

P「雪歩は?」

雪歩「どうぞ。お口に合えばいいんですけど……」

P「そこは心配していない。では頂きます――はむ」

伊織「……どう?」

P「美味いな。形も整っているし、手間を掛けた事が窺える出来だ」

雪歩「美味しいね。これ、伊織ちゃんが一人で作ったの?」

伊織「ええ、そうよ」

P「雪歩のも……これは相当いい抹茶を使っているな?お茶の味がよく際立っている」

伊織「確かに美味しいわね。口当たりもいいわ」

雪歩「分かりますか!?抹茶チョコを作る時は、いつもこれを使ってるんですよ!」

雪歩「これは雑味も少なくてですね、それはもう重宝してるんですぅ!」

P「そ、そうか……こだわりがあるんだな……」

雪歩「はいっ!」

伊織「アンタのも食べるわよ?」

P「ああ、どうぞ」

雪歩「私も頂きます」

伊織・雪歩「あむ……」

伊織「……美味しいわね。それもかなり」

雪歩「うん、美味しい……どうやって作ったんですか?」

P「カカオ豆からじっくりと時間を掛けて作った。形にこだわる時間がなくなったのは痛かったが」

伊織「伊織ちゃんの舌を唸らせるなんて……やるじゃない」

P「当然だ。だが、勘違いするなよ」

伊織「何がよ?」

P「これはあくまで俺が求めるレベルを満たすよう作ったから出来たのであって、お前に認めて貰おうとかそんなんじゃないからな」

伊織「そう。なら私だって言っておくけど、アンタに渡したのは全体の一部よ。アンタの分だから特に手間を掛けた訳じゃないわ」

雪歩「あの……別に意地を張らなくてもいいんじゃ……」

伊織「じゃあ雪歩はどうなのよ?」

雪歩「私?私は……皆が美味しく食べてくれたらいいなって思って作ったよ?」

P「ぐっ……」

伊織「うっ……」

雪歩「二人とも喜んでくれたみたいだし、嬉しいけど……二人は違うの?」

P・伊織「それは……そうだけど」

雪歩「じゃあ、二人とも頑張ったんだって事でいいよね」

P「あ、ああ……」

伊織「そうね……」

P・伊織(何か負けた気がする……)

【バレンタインデー8、居酒屋】

小鳥「はぁ……」

P「やけに辛気臭いですね。酒の席ですよ?」

小鳥「とか言われましても……ねぇ?」

P「何が『ねぇ?』なんですか?」

小鳥「だって、バレンタインですよ?私には縁もゆかりもないじゃないですか」

P「千早とかから貰ったでしょう?ちゃんと縁はあると思いますが」

小鳥「そうじゃなくて、特定の……ほら、いい人みたいな?」

P「居るんですか?」

小鳥「居ませんよ!察してください!」

P「そうは言いますけど……音無さんなら、その辺の男にチョコを投げつけても受け取って貰えるのでは?」

小鳥「どこに投げつける必要があるんですか」

P「勢いが大事って話です」

小鳥「砕け散れとでも言いたいんですか、あなたは……」

P「それはいいとして、遅くなりましたけど……はい、どうぞ」

小鳥「ありがとうございます。でも、普通は逆ですよね」

P「いいじゃないですか、楽しければ。皆も喜んで受け取ってくれましたよ」

小鳥「……まあ、そうですね」

小鳥「ところで、プロデューサーさん」

P「はい?」

小鳥「お返しとか……要ります?」

P「貰えるなら嬉しいですよ」

小鳥「色んな意味でギリギリな義理チョコですよ?」

P「賞味期限ギリギリみたいな言い方はやめてくださいよ。不安になるじゃないですか」

小鳥「誰が賞味期限ギリギリですか!」

P「……音無さん、酔ってますね?」

小鳥「酔ってません!で、欲しいんですか?欲しくないんですか!?」

P「貰えるのなら、是非」

小鳥「そうじゃなくて!」

P「何ですか?」

小鳥「欲しいって、言ってくださいよぉ……」

P(相当酔ってるのか……仕方ない)

P「……音無さんのチョコが欲しいです」

小鳥「本当ですか!?じゃあ、はいっ!」

P「ありがとうございます」

小鳥「よしっ……!これ、一回やってみたかった――すぅ」

P(……酒の席だし、聞かなかった事にしておくか)

バレンタインデーってこんな感じなんでしょうかね
このSSはどこに向かっているのやら……

社長との絡みが見たい、というご意見を頂きましたが
私自身、社長が何をしてるのかよく分かってないので難しいです。申し訳ありません

【ひなまつり1、事務所】

P「ただいま戻りました。そして……」

P「よっしゃあぁぁぁ!ひなまつりだぁぁぁ!」

春香「プロデューサーさん」

P「出遅れた感は否めないが、お雛様を買わなければ!それと、ひなあられも忘れずに!」

春香「プロデューサーさん」

P「もう甘酒も買っちゃう!これは盛大なパーティになるぞ!」

春香「プロデューサーさん」

P「どうした春香?ひなまつりが楽しみじゃないのか?」

春香「それは楽しみですけど、プロデューサーさんは違いますよね?」

P「何の話だ?俺はちゃんと楽しみにして――」

春香「千早ちゃんの誕生日を祝えなかったから」

P「…………」

春香「だから、気を紛らわす為に無理矢理テンションを上げてるように見えるんですけど……違いますか?」

P「いえ、合ってます……」

春香「気落ちするのは分かりますけど、仕方がないじゃないですか。急な出張だったんですから」

P「確かにそうだが、雪歩や貴音の誕生日を祝っておきながらこの体たらく……」

P「もはや千早に合わせる顔がない……大人として立つ瀬もない……」

P「きっと千早も怒っていて、取りつく島もないんだ……ああ、終わった……」

春香「深刻に考えすぎですって。千早ちゃんは気にしてないと思いますよ?」

P「なっ……!?まさか、千早は俺の事なんてどうでもいいのか……!?」

P「だから誕生日祝いが無くても気にしないと……そういう事なのか!?春香ぁ!」

ガクガク

春香「ちがっ……違いますよ!肩を揺するのはやめてください!」

P「す、すまん……つい気が動転して……」

春香「はぁ……そんなに心配なら、本人に直接訊けばいいじゃないですか」

P「何を?」

春香「プロデューサーさんの事をどう思っているのか、ですけど」

P「それで『まあ、どうでも、いいですけれど』とか言われたらどう責任を取ってくれるんだ!?」

春香「あれ?年下の人間に責任を求めるんですか?」

P「うぐっ……」

春香「まあ、それは置いといて……プロデューサーさんは大袈裟なんですよ」

P「何がだ?」

春香「だって、千早ちゃんは誕生日をそんなに重要視してないというか……」

春香「私が『誕生日おめでとう!』って言ったら『え?誰の?』って返してきたんですよ?」

春香「だから、少し遅れたぐらいで怒るなんてあり得ませんよ」

P「それは……そうかもしれないが……」

春香「プロデューサーさんだって『自分の誕生日を祝って貰えないから怒る』なんて事はしないでしょう?」

春香「私達も子供じゃないんですから、もうちょっと信用してくれてもいいんじゃないですか?」

P「春香……」

春香「もし信用してくれないなら……千早ちゃんも私も傷付いちゃいますよ」

春香「ああ、私達ってそんなに信用ないんだなって。プロデューサーさんよりはあるのになって」

P「お前は慰めたいのか貶したいのかどっちなんだ!?」

春香「あれ?ウィットに富んだジョークのつもりだったんですけど……駄目でした?」

P「それで喜ぶのは千早ぐらいだ」

春香「えぇっ!?酷いですよ!」

P「お前もかなり酷いぞ!?」

春香「……話が逸れましたね」

P「誰の所為だ」

春香「とにかく、そういう訳ですから安心してください」

春香「祝って貰って喜びはしても、それがないからって怒ったり拗ねたりしませんよ」

P「そう……なのか?」

春香「はい。祝ってくれる気持ちだけで十分嬉しいんですから。少なくとも、私はそうです」

P「……すまないな。気を遣わせてしまって」

春香「いいんです、これぐらい。でも……」

P「うん?」

春香「どうせなら『ありがとう』って言って貰える方が嬉しいです」

P「そう、だな……ありがとう、春香」

春香「えへへ、どういたしましてっ♪」

【ひなまつり2、事務所前】

美希「あ、千早さん」

千早「何?」

美希「プロデューサー、帰ってきたみたいだよ」

千早「そう。じゃあ、挨拶に――」

美希「ちょっと待って」

千早「どうしたの?」

美希「あのね。多分だけど、プロデューサーは落ち込んでると思うの」

千早「落ち込んでる?何かミスをしたの?」

美希「うん。かなり致命的なミスなの」

千早「あのプロデューサーが……?正直、考えられないわ」

美希「まあ、不可抗力なんだけどね」

千早「よく分からないけど……それを私に言ってどうするの?」

千早「プロデューサーだって、自分のミスを人に知られるのは嫌でしょう」

美希「いや、千早さんには伝えておいた方がいいかなって」

千早「私に……?どうして――はっ!?」

千早「まさかとは思うけれど、ミスを言いふらして楽しんでる――」

美希「違うよ!?そういう趣味がある訳じゃないよ!?」

千早「なら、どうしてこんな……」

美希「今のプロデューサーはかなりデリケートな状態だから、アドバイスしとこうと思って」

千早「アドバイス、ね……そもそも、私に関係ある事なの?」

美希「うん」

千早「何かしら?」

美希「千早さんの誕生日を祝えなかった事」

千早「……そんな事で落ち込んでるの?」

美希「うーん、祝って貰う側からしたらそうかもしれないけど……」

美希「もし、千早さんが誰か――例えば春香とか――を祝う立場だったとして、誕生日をすっぽかしたらどう思う?」

千早「それは……失敗したと思うでしょうね」

美希「でしょ?まあ、そういう訳だから、正直めんどくさいけど許してあげて欲しいの」

千早「なるほど……分かったわ」

千早「ところで」

美希「ん?」

千早「事情は分かったけれど……私はどうすればいいのかしら?」

美希「えっと、プロデューサーの前で『気にしてない』とか言わないようにすればいいと思うよ」

千早「え?それを言っては駄目なの?」

美希「うん。これを言うと『別にあなたからのお祝いがなくても気にしません』みたいになっちゃうから」

千早「そうだったの……じゃあ、『祝って貰いたいです』と言えばいいのかしら?」

美希「それ、正解だと思う?」

千早「……いえ、きっと負担を増やすだけになるわね」

美希「その通りなの」

千早「あれ?ちょっと待って?これ……」

美希「うん、詰んでるの」

千早「えぇっ!?」

美希「だから……頑張ってね!」

千早「それだけ!?アドバイスってそれだけなの!?」

美希「まあ、さっきのは冗談として……」

千早「あなた、いつからそんな意地悪になったの?」

美希「さぁ……?分かんないの。原因は分かるけど」

千早「確かに……原因は分かりやすいわね」

美希「まあね。で、話を戻すけど」

千早「ええ」

美希「こういう場合、代わりになる目標を設けて、相手の達成感を満たす事が大切なの」

千早「なるほど……それで相手の罪悪感を払拭すると。美希は物知りね」

美希「――って、プロデューサーが言ってたよ?」

千早「……何故か汚れた手段に思えてきたわ」

美希「言っておいて何だけど、ミキもそう思う……」

千早「はぁ……仕方ないわね」

美希「千早さん?」

千早「自分の言葉で接してみるわ。それが一番自然だと思うし……」

千早「何より、打算的な言葉を貰っても嬉しくないもの」

美希「そっか……そうだね」

千早「色々とありがとう、美希」

美希「どういたしましてなの!あはっ☆」

【ひなまつり3、事務所】

千早「ただいま戻りました」

P「あ、千早……おかえり」

千早「はい。プロデューサーもおかえりなさい」

P「ああ、ただいま……えっと、その……」

千早「何ですか?」

P「……誕生日を祝えなくてすまなかった!」

千早「いえ、大丈夫ですよ。仕事だったんですから、私は気にしてません」

P「そうか……」

千早「はい」

P「……なあ、千早」

千早「はい?」

P「できれば、その……何か埋め合わせをさせて貰えないか?」

千早「埋め合わせ、ですか?」

P「勿論、嫌なら断ってくれて構わない。俺の自己満足みたいなものだからな」

千早「では……一つだけ」

P「聞かせてくれ」

千早「私と買い物に行きませんか?」

P「え……?」

千早「ですから、買い物です。ひなまつりの準備もしてないようですし」

P「いや、それは分かるんだが……いいのか?そんな簡単な事で」

千早「駄目ですか?」

P「そんな事はない。しかし、これではお詫びになるかどうか……」

P「もっとこう……絶版になったCDとか、高めのオーディオとかでもいいんだぞ?」

千早「いえ、いいんです。今は特に欲しい物もありませんし……」

千早「だから、プロデューサーの時間を貰おうと思います。あなたと居ると、いつも楽しいですから」

P「……千早、少し変わったな」

千早「ええ。自分でもそう思います」

P「本当にいいのか?俺と買い物に行くだけで」

千早「はい。最高の贅沢だと思いますよ」

P「そうか……ありがとう」

千早「どういたしまして。さあ、早く行きましょう」

P「ああ!」

【ひなまつり4、事務所】

律子「小鳥さん、プロデューサーを見ませんでしたか?」

小鳥「プロデューサーさんですか?さっき千早ちゃんと出て行きましたよ」

律子「千早と?仕事は入ってなかった筈だけど……」

小鳥「あ、買い物です。ひなまつりの」

律子「買い物!?出張中に溜まった書類があるのに!?」

小鳥「まあ、今日ぐらいは許してあげましょうよ。千早ちゃんの誕生日祝いも兼ねてるようですし」

律子「何をどうしたら買い物が誕生日祝いになるんですか」

小鳥「そこはほら、人の考え方次第ですよ」

律子「はぁ……これ、あの人が目を通さないと駄目なやつばっかりなのに……」

小鳥「プロデューサーさんならすぐ終わりますよ」

律子「……確かに」

小鳥「あれ?案外あっさりしてますね?」

律子「そうですね……ここで愚痴っても仕方ないっていうのと……」

律子「誕生日を祝い損ねたんだから、邪魔するのは野暮かなっていうのが混ざって……こう、アレな感じです」

小鳥「アレですか」

律子「はい、アレです」

小鳥「それにしても、律子さんは丸くなりましたね」

律子「ここで『あなたもですよ』と返したら――」

小鳥「戦争しますか?」

律子「ってなりますよね」

小鳥「あんまり聞きたい言葉じゃないですから」

律子「私に言うのはいいんですか?」

小鳥「律子さんはまだ若いじゃないですか。私は来たる甘酒の恐怖に怯えてるんですよ?」

律子「自制しましょうよ」

小鳥「自制か……あいつは死んだよ……」

律子「今日は体重計が生き生きしますね」

小鳥「あー酷い!律子さんだって、いつかこの恐怖を味わうんですからね!」

律子「でも今は?」

小鳥「甘酒を味わいます♪」

律子「まったく……どうなっても知りませんからね」

訂正します

律子「誕生日を祝い損ねたんだから、邪魔するのは野暮かなっていうのが混ざって……こう、アレな感じです」

律子「お祝いの邪魔をするのは野暮かなっていうのが混ざって……こう、アレな感じです」

【ひなまつり5、スーパー】

千早「プロデューサー、これはどうですか?」

P「チョコあられ……?千早がこんなのを選ぶとは珍しいな」

千早「いえ、亜美達にと思いまして」

P「そういう事か。確かに、普通のひなあられだと不評かもしれん」

千早「じゃあ、これは多めに買って……他はどうします?」

千早「一応、五色あられも買っておいた方がいいと思うんですが……」

P「ふむ……チョコだけだと色合いも悪いし、そうするか」

千早「これは少しでいいですか?あ、でも四条さんが居ますね……どうしましょう」

千早「多く買ったら余りそうだし……かと言って少なすぎるのも……うーん……」

P「楽しそうだな」

千早「え?ええ、楽しいですよ」

P「以前では考えられないな、こんなに楽しそうな千早は」

千早「……おかしい、ですか?私がこういう事に積極的だと」

P「いや、今の千早の方が好きだぞ。楽しむのはいい事だからな」

千早「そうですか?ありがとうございます」

千早「そういえば……」

P「うん?」

千早「さっき、今の私が好きだと言ってくれましたよね?」

P「言ったな」

千早「では、昔の私は嫌いだったんでしょうか?」

P「いや、そんな事はないぞ!?」

千早「本当に?」

P「無論だ」

千早「でも『今の方が好き』という事は、つまりそういう事なのでは?」

P「違うぞ。俺が言いたいのは、アレだ……」

千早「アレとは?」

P「……今の方が、前よりもっと魅力的だという事だ」

千早「えっ?あ、ありがとうござい――」

P「だが!」

千早「はい?」

P「意地の悪い千早は嫌いだ」

千早「ふむ……プロデューサーにそう言われるとは、私も成長しましたね」

P「子供の特権を無駄な事に使うなよ……」

千早「すみません。無駄は嫌いじゃなくなったので」

P「まったく……魅力的にはなったが、可愛げはなくなったな」

千早「それは律子の所為ですね」

P「責任転嫁も覚えてしまったのか……俺は悲しいぞ」

千早「でも、律子が意地悪になったのはプロデューサーの所為ですよ?」

P「結局そこに落ち着くの!?」

【ひなまつり6、事務所】

P「ただいま戻りました」

真美「おかえり、千早お姉ちゃん!あと兄ちゃんも」

P「おい、ついでみたいな言い方をするな」

亜美「ねぇねぇお菓子は?甘酒は?」

千早「あるわよ。準備するから手伝ってくれる?」

亜美・真美「はーい!」

たたたっ

P「……ふむ」

伊織「どうしたの?」

P「ん?」

伊織「考え事かしら?」

P「まあな。大した事じゃないが、千早を見て思ったんだ」

伊織「何を?」

P「亜美と真美って、千早の言う事は割と素直に聞くんだなーと」

伊織「言われてみればそうね……どうしてかしら?」

P「うーむ……あ、そうか」

伊織「分かったの?」

P「多分、怒らせたら無視するタイプだからじゃないか?」

伊織「ああ、なるほど……確かにそうかも」

P「お前や律子は何だかんだ構うだろうが、千早はキレたら関わってきそうにないからな……その差だろう」

伊織「つまり、アンタが千早に対して甘いのもそういう訳なのね」

P「構って欲しくて俺に突っかかってくるお前も大概だがな」

伊織「何ですって!?」

P「やる気か!?手加減しないぞ!」

伊織「望むところよ!」

真美(どっちも子供だよね、これ……)

【ひなまつり7、事務所】

やよい「あ、プロデューサー!帰ってたんですね」

P「ああ。ただいま、やよい」

やよい「はいっ、お帰りなさい!」

真「そんな所に立ってないで、こっちに座ったらどうですか?」

P「そうさせて貰おう。ところで、ひなあられは食べたか?」

真「いえ、ボクもさっき帰ってきたばかりなので……頂いていいですか?」

P「どうぞ」

真「じゃあ遠慮なく……はむ」

P「俺も食べようかな。やよいも食べるといい」

やよい「あ、はいっ。頂きますっ!」

真「――美味しいですね、このチョコあられって」

やよい「チョコあられ……?そんなのがあるんですか?」

P「あるぞ。まあ、あられをチョコでコーティングしただけだがな」

真「だからシンプルで美味しいんですよ。ほら、やよい。あーん」

やよい「あ、あーん……はむっ」

真「どう?美味しい?」

やよい「はい、美味しいです!」

P「美味そうに食べるな、やよいは。見ていると食欲が刺激されるぞ」

真「プロデューサーも食べます?はい、あーん」

P「……おい、ナチュラルに子供扱いするな」

真「あ、すみません。つい」

P「ついじゃない!まったく……」

やよい「プロデューサー、食べないんですか?」

P「いや、食べるぞ。ただ、真が――」

やよい「はい、あーん」

P「だからやめろぉ!」

【いつもの平日20、事務所】

P「うーむ……」

亜美「どしたの兄ちゃん?」

P「亜美か。いやなに、少し考え事をな」

亜美「考え事?教えて教えて!」

P「……聞いても面白くないと思うぞ?」

亜美「それは聞いてから決めるYO!」

P「まあ、話してもいいか……実は、牛乳の事なんだが」

亜美「え?牛乳?」

P「どの銘柄がいいんだろうか?」

亜美「味の話?」

P「いや、どれが身長を伸ばすのに効果的なのかという話だ」

亜美「えーっと……もう伸びないとかそういうツッコミは?」

P「なしだ」

亜美「うーん……亜美には分かんないや。千早お姉ちゃんに訊いたら?」

P「千早に?どうして?」

亜美「まだまだ成長期だからね。きっと詳しいと思うよ?」

P「ふむ……成程な。ありがとう」

亜美「いえいえ~♪」

P「千早」

千早「はい?」

P「いい牛乳について教えてくれ」

千早「……どうして私に訊くんですか?」

P「成長期だし、そういうものにも気を遣っていると思ってな」

千早「……セクハラですか?」

P「え?何が?」

千早「いえ、分かっていないなら別にいいんです」

P「それで、教えてくれないのか?」

千早「そういうのは実績のある人に訊くべきですよ。私に訊いても無駄かと」

P「そうなのか?では、その実績のある人を教えてくれ」

千早「……あずささんです」

P「貴音じゃなくて?」

千早「はい。一番大きいですから」

P「そうだったのか……後で修正しとかないとな。ありがとう、千早」

千早「どういたしまして」

P「あずささん」

あずさ「はい~?」

P「どの牛乳を飲めばいいんですか?」

あずさ「え?」

P「ですから、どの牛乳が一番効果がありますか?」

あずさ「……どうしてそれを私に訊くんですか?」

P「大きいという実績がありますから」

あずさ「プロデューサーさん」

P「はい?」

あずさ「それ、セクハラですよ?」

P「え?でも、一番大きいって――」

あずさ「だから!それがセクハラなんですっ!」

P「……ああ!胸の話か!」

あずさ「何の話だと思ってたんですか!?」

【いつもの平日21、事務所前】

真「うわっ……凄いファンの子が……」

真「どうしよう……これじゃ入れないよ……」

???「まーことー」

真「え?もうバレた!?」

???「まーことー」

ズリズリ……

真「どこから――って、何あれ!?」

シャルル?「まーことー」

真「何でこっちに来るの!?」

シャルル?「やっと気づいたか。おはよう」

真「誰ですか!?」

P「俺だ」

真「あ、プロデューサーですか。驚かさないでくださいよ」

P「それはすまない。しかし、凄い数のファンだったな。いつの間にか消えたが」

真「多分そのぬいぐるみの所為ですよ」

P「いや、普通なら『可愛い~』って寄ってくるだろ」

真「可愛ければの話ですね」

P「可愛くないみたいな言い方はやめろ」

P「――にしても、事務所まで運ぶのは骨が折れるな」

真「だったら車に乗せてくればいいじゃないですか」

P「そう言うな。ほら、シャルル・ドナテルロ20世だぞ」

シャルル・ドナテルロ20世「コンニチハ」

真「腹話術もできるんですか?」

P「大人だからな」

真「大人は関係ないと思いますけど……」

テレビ『次のニュースです』

テレビ『今日の午前7時ごろ、巨大なうさぎのぬいぐるみを背負った変質者が――』

シャルル・ドナテルロ20世「……チガウヨ?」

真「責任転嫁!?」

P「大人だからな」

真「大人って汚い……」

【一時間後、事務所】

伊織「おはよう」

P「おはよう伊織。待ってたぞ」

伊織「え?何の話?」

真「シャルル・ドナテルロ20世の話だよ……」

伊織「ああ、アレ作ってきたのね」

P「危うく変質者になりかけたがな」

伊織「何をやったらそうなるの!?」

真「事務所まで背負ってきたんだよ……」

伊織「アンタはまた……馬鹿じゃないの?」

P「会心の出来だったんだ。お披露目したいじゃないか」

伊織「まったく……それでよく『大人だ』とか言えるわよね」

P「子供心を失わない。それが大人だ」

真「結局どっちなんですかそれ!?」

伊織「まあいいわ。私にくれるんでしょ?」

P「勿論だ。受け取れ」

伊織「ありがと」

P「さてと……さあ、伊織!シャルル比20倍の前にひれ伏すがいい!」

伊織「嫌よ」

P「なっ……!?約束が違うぞ!」

伊織「ふんっ!アンタこそ、シャルル比30倍の前にひれ伏すといいわ!」

P「しまった!向こうの方が大きい!」

真「渡す前に気づきましょうよ!」

【いつもの平日22、事務所】

伊織「そういえば」

響「うん?」

伊織「アイツに何をするか決まったの?」

響「あー……どうしよう?」

伊織「いや、私に訊かれても困るんだけど」

響「いいアイデアとかない?」

伊織「アイデアねぇ……アレとかどうかしら?」

響「なになに?」

伊織「ほら、肩叩き券的な?」

響「おお!それはナイスアイデアだぞ!」

伊織「で、券の内容だけど」

響「えっと……プロデューサーにできない事がいいよね?」

伊織「そうね。まあ、別に肩叩きでも悪くないと思うわよ?自分じゃ上手くできないし」

響「いや、プロデューサーならやりかねないぞ」

伊織「それを言ったら何も決められないじゃない」

響「うーん……じゃあ、これとかどう?」

伊織「どれどれ……『何でも一つだけお願い券』?」

響「うん!これなら自分が悩まなくてもオッケーでしょ?」

伊織「そうね。確かにアンタは悩まなくてもいいけど――」

響「けど?」

伊織「プロデューサーがアンタにしか頼めない事って……あるのかしらね?」

響「……あるの?」

伊織「知らないわよ……」

ガチャッ

P「ただいま戻りました」

伊織「あ、いいところに帰ってきたわね」

P「どうした?」

伊織「響が渡したい物があるんですって。ほら、響」

響「ちょっ……まだ決まった訳じゃないのに……」

伊織「いいからさっさと渡しなさい。じゃないと何も始まらないわよ」

響「そっか、そうだな……あの、プロデューサー!」

P「何だ?」

響「えっと……これあげる!」

P「……何でも一つだけお願い券?」

響「うん。もしかしたら要らないかもしれないけど、その……好きな時に使って欲しいなー、なんて……」

P「ふむ……気持ちは嬉しいぞ。ありがとう」

響「あの、本当に何でもいいからね!自分完璧だから!」

P「分かった分かった。じゃあ、俺は仕事に戻るぞ」

スタスタ……

伊織(アイツ、いつになく大人の対応だったけど――)

響「これでお詫びになったかな?ねぇ伊織、どう思う?」

伊織「……え?ああ、大丈夫じゃないかしら」

響「そっか……よかったぁ……」

伊織(あれ、事実上の要らない宣言よね……)

【いつもの平日23、事務所】

美希「あれ?今日は何も持ってきてないの?」

P「お菓子の話か?」

美希「うん。ミキ、ちょっと楽しみだったのに」

P「約束は果たしたからな。もうお菓子は作らなくても――」

美希「本当にそう思ってる?」

P「……どういう事だ?」

美希「プロデューサー、春香に負けっぱなしなの」

P「それは……!」

美希「悔しくないの?ミキなら、負けたままなのは嫌だって思うな」

P「しかし……」

美希「プロデューサーはもっと頑張るべきなの。春香に勝つ為に」

P「だが、春香のお菓子は本当に――」

美希「うん、春香のお菓子は美味しいよ。でも……」

美希「ゼリーを褒められて……それで自分を誤魔化すの?それで満足できるの?」

美希「プロデューサーは、クッキーとかドーナツを『美味しい』って言って欲しいんじゃなかったの?」

P「美希……」

P「……そうだな。お前の言う通りだ」

P「俺も、このままでは終われないと思っていた……」

美希「でしょ?だから……味見は任せて!」

P「本音が出てるぞ」

美希「だって美味しいんだもん」

P「え?」

美希「あ……」

P「そうか、お前は認めてくれるのか……ありがとう、美希」

美希「う、ううん……どういたしましてなの……」

美希(おかしいな……素直にお礼を言われると、なんか恥ずかしいかも……)

美希(……とりあえず誤魔化しとこ)

美希「まあ、0.8春香だけどね」

P「一言余計だ!」

美希「照れ隠しなの」

P「そうなのか?」

美希「嘘だよ?」

P「お前はもう!本当にもう!」

美希「あはっ☆それじゃ、期待してるの!」

P「まったく……それが人にものを頼む態度か」

美希「あれ?『お願いします』って言った方がいい?」

P「あ、鳥肌が……」

美希「酷いの!」

【ある休日13、居酒屋】

小鳥「プロデューサーさん、焼き鳥どうぞ」

P「ありがとうございます」

小鳥「ふふ……」

P「どうしました?」

小鳥「いえ、ちょっと面白くて……すみません」

P「俺の顔に何か?」

小鳥「そういう訳じゃないんですが……その、ですね」

P「はい」

小鳥「プロデューサーさんも、お酒を片手に焼き鳥を食べるんだなーと思いまして」

P「おかしいですか?」

小鳥「そうじゃないんです。ただ、『プロデューサーさんも大人なんだな』と実感すると言いますか……」

P「む……俺はいつでも大人のつもりですが」

小鳥「……そうですね?」

P「何故に疑問形!?」

小鳥「いえその……何故か肯定するのが躊躇われたので……」

小鳥「でも、私はいいと思いますよ。子供っぽくても」

P「よくないです――ごくっ……はぁ……」

小鳥「そうですか?子供心を持ってる人の方が、いい大人になれる気がしますけど……」

P「なれませんよ~……大人は大人らしく――あれ?」

P「なんかそんな事を以前に言ったような……どうだったかな……」

小鳥「あの、プロデューサーさん?」

P「大人らしくなるには子供らしさが必要で、でも大人は子供じゃなくて……うん?」

小鳥「……もしかして、相当酔ってます?」

P「酔ってないです……でも、子供って何なんだ……大人って――ああもう!」

P「音無さん!どうしたら子供でどうしたら大人なんですか!?」

ガクガク

小鳥「きゃっ!?お、落ち着いてくださっ……!あの、揺すらないで――うぷっ!」

P「大人って何なんですか!?答えて――」

小鳥「もう駄目……おろろろろろ……!」

P「――すみません」

小鳥「いえ、いいんですよ……お酒の席の事ですし……」

小鳥「それに、その……片付けて貰いましたから……」

P「あれは俺が悪いので気にしないでください」

小鳥「……じゃあ、お互いさまという事で」

P「そうしましょうか。ところで、音無さん」

小鳥「はい?」

P「大人って、何なんでしょうね?」

小鳥「うーん……少なくとも、ですけど」

P「はい」

小鳥「『子供』って言われても、ムキにならない人だと思いますよ?」

P「うぐっ……!」

【ホワイトデー1、デパート】

伊織「私は何をしてるのかしら……」

あずさ「え?」

伊織「こんな所でマシュマロを選んでるなんて……もう意味不明じゃない……」

あずさ「あら、駄目よ伊織ちゃん」

伊織「分かってるわよ。ただ、アイツが――」

あずさ「『こんな所』なんて言ったらお店に失礼でしょう?めっ!」

伊織「いや、そうじゃなくてね!?」

あずさ「じゃあ、どういう意味なの?」

伊織「アイツがバレンタインデーにチョコを渡してこなければ、こんな事をする必要もなかったって意味よ」

あずさ「でも、私を買い物に誘ったのは伊織ちゃんでしょう?」

伊織「それは……その……」

あずさ「うん」

伊織「お返しをしないなんて、何だか負けた気分になるじゃない……」

あずさ「…………」

伊織「……ねぇ、反応してくれないと困るんだけど」

あずさ「あ、ごめんなさい」

伊織「まったく……何をボーっとしてるのよ」

あずさ「いえ、伊織ちゃんとプロデューサーさんは本当に似てるなぁと思って」

伊織「どこが!?」

あずさ「こういう律義なところ……とか?」

伊織「ぐっ……褒め言葉だけに否定しづらい……」

【ホワイトデー2、事務所】

P「やよい」

やよい「プロデューサー?どうしました?」

P「いや、ホワイトデーだからお返しをと思ってな。はい、どうぞ」

やよい「……あのっ!」

P「うん?マシュマロは嫌いだったか?」

やよい「そうじゃなくて……私、何も用意できてないんです。だから――」

P「別に遠慮しなくていいぞ。バレンタインの分はもう返して貰ってるから」

やよい「え……?」

P「これは日頃の感謝の気持ちだ。気にせず受け取ってくれ」

やよい「でも、そんなのプロデューサーに悪いです……」

P「ふむ……では、こうしよう」

やよい「何ですか?」

P「やよいには肩叩きをして貰う……という事でどうだ?」

やよい「あ、それなら――」

やよい「――痛くないですか?」

P「ああ、大丈夫だ」

やよい「えへへ、よかったです」

ガチャッ

亜美「ただいま――って、何でやよいっちが兄ちゃんの肩叩いてるの?」

亜美「はっ……!これはもしや――事案!?」

P「何が!?」

亜美「20代の男性が中学生に肩叩きを強要……完全に犯罪だYO!」

やよい「違うよ亜美。これはお礼なの」

亜美「へ?お礼?」

やよい「うん。ホワイトデーのプレゼントを貰ったから」

亜美「あー、そういえば今日だっけ?」

P「そうだぞ。まったく、騒がしい奴め」

亜美「……ところで兄ちゃん」

P「ん?」

亜美「亜美にはくれないの?」

P「あげないけど?」

亜美「えー!?何でさ!」

P「そんなの、中学生にお菓子をあげる事案が発生するからに決まってるだろ」

亜美「もー!意地悪しないでよー!」

P「まあ、反省するならあげてもいいぞ」

亜美「するする!あ、通報はしないから安心してね?」

P「当たり前だ!」

【ホワイトデー3、楽屋】

真「はぁ……」

P「どうした?」

真「ちょっと気乗りしないなぁ……と」

P「この仕事に不満でもあるのか?」

真「当たり前です。何が悲しくてホワイトデーにお菓子を配らなきゃならないんですか」

P「仕方ないだろ。そういう売り方なんだから」

真「そうですけど……ボクだって女の子みたいに扱われたい事もあるんですよ」

P「ふむ……その気持ち、少しは分かるぞ」

真「え!?女装癖でもあるんですか!?」

P「何故そうなる!」

真「いや、今の流れだとそうかなーって」

P「違う。周りから大人扱いされない事に不満があるという意味だ」

真「大人扱いされないのは自分の言動が原因なんじゃ……」

P「その理屈でいくと、女の子扱いされないのは真が悪いという事になるぞ」

真「うぐっ……そうでした……」

P「……そろそろ時間だな」

真「そうですね……」

P「大丈夫か?」

真「ええ。仕事ですから、ちゃんとやりますよ」

P「うむ。不満はあるだろうが、気持ちを切り替えねばな」

真「はぁ……よし、行ってきます!」

P「あ、ちょっと待った」

ガシッ

真「おわっ!?いきなり何するんですか!?」

P「はい。ささやかだが、ホワイトデーのプレゼントだ」

真「えっ?ボクにですか?」

P「他に誰か居るのか?」

真「居ませんけど……」

P「とりあえず、今はこれで我慢しろ。ほら、行ってこい」

真「……ありがとうございますっ!」

【ホワイトデー4、事務所】

響「そういえば」

貴音「何ですか?」

響「いや、ホワイトデーって三倍返しだったような気がして……どうだったかな」

貴音「ほほう、三倍ですか。それは楽しみです」

響「……楽しみにするのはいいけど、そういうの自分から言っちゃ駄目だぞ?」

貴音「そうですね……危うく、はしたない真似をするところでした」

ガチャッ

P「ただいま戻りました」

響「あ、おかえりプロデューサー!」

貴音「おかえりなさいませ」

P「二人だけか?」

貴音「ええ。丁度、ほわいとでぇの話をしておりました」

響「だから催促したら駄目だって!」

貴音「あ……これは失礼しました」

P「いや、別にあげるつもりだったからいいけど……ほら、マシュマロ」

貴音「ありがとうございます」

響「ありがと」

P「ところで、ホワイトデーの話って何だったんだ?貰えるかどうかの話か?」

響「いや、ホワイトデーって三倍返しのイメージあるよね……みたいな?」

P「ああ、そういう」

貴音「ご存知なのですか?」

P「まあな。ただ、それをすると相手にも気を遣わせるからな……」

響「だよね」

貴音「しかし、三倍……これが三倍なら――じゅるっ」

P「本当、お前は欲望に忠実だよな……」

貴音「申し訳ありません。ですが、話を聞くとどうしても……」

P「ふむ……それならいい方法があるぞ」

貴音「真ですか!?して、それはどのようなものなのです?」

P「実はな――」

ピッ……ヴゥゥゥン……

貴音「お、おお……!これは……!」

響「貴音。それはやめといた方が――」

貴音「何を言うのです!こんな素晴らしい事をやめる道理はありません!」

響「はぁ……自分は知らないからね」

チン!

貴音「できました!いざ、三倍!」

デロォ……

貴音「…………」

貴音「響!響ぃ!」

響「だから言ったのに……」

貴音「ましゅまろが!ましゅまろがぁ!」

響「まったく……貴音は質量保存とか考えた方がいいぞ」

貴音「ましゅまろ……」

P「……ごめん貴音。ほら、追加でマシュマロあげるから」

貴音「よいのですか……?」

P「うん……なんか心が痛む……」

響「本当、プロデューサーって子供だよね」

P「すみません……」

ホワイトデーのエピソードをもうちょっと書ければよかったのですが
どうもバレンタインデーと内容的に似通ってしまうので少なくなってしまいました

あと、アイマスのプロデューサーなのにセクハラしないような性格になってますね
自分からネタの範囲を狭めてしまったとは……

【いつもの平日24、事務所】

P「ふむ……どうしたもの……」

春香「何がです?」

P「いや、響からこんな券を貰ってな」

春香「『何でも一つだけお願い券』……ですか」

P「使い道に困ってるんだ」

春香「好きな事を頼めばいいんじゃないですか?」

P「もっともな意見だが、響にやって貰いたい事なんて特にないんだよな……」

春香「そうですか?あの響ちゃんですよ?」

P「……言いたい事がいまいち分からないんだが」

春香「ほら、響ちゃんって割と非の打ちどころがないじゃないですか」

P「そうか?」

春香「そうですよ。容姿がいいのはもちろん、運動だって得意ですし……」

春香「一人暮らしだから家事も一通りこなせますし、完璧を自称するのも納得できます」

春香「欠点なんて……ちょっと抜けてるところがあるぐらいですよ?」

P「いや、それは致命的だろ……」

春香「とにかく、可能性は無限大です。頼み事は決まりましたか?」

P「いや、何も」

春香「全く思いつきませんか?」

P「ああ、これっぽっちも出てこない」

P「というより、響に俺以上の事ができるとは思えん」

春香「あ、基準はそこなんですね」

P「当たり前だ。自分でできるなら人を頼る必要はない」

春香「うーん……じゃあ、一緒にお菓子作りでもしたらどうですか?」

P「悪くはないが……いいのか?敵に塩を送るような真似をして」

春香「あの、別に敵になったつもりはないんですが……」

P「お前にそのつもりがなくても、俺が敵と見なせば敵だ」

春香(なんて子供っぽい……)

P「まあいい。そうと決まれば早速――」

春香「待ってください」

P「うん?」

春香「……どういう風に頼むんですか?」

P「どういうも何も、素直に『お前が必要だ』と――」

ガシッ!

P「……何故掴む」

春香「やっぱり行かせません!」

P「今になって妨害するのか!?」

春香「そういう話じゃなくてですね!」

P「ならその手を放せ!」

春香「いーやーでーすー!」

P「ええい、駄々をこねるな!子供かお前は!」

春香「プロデューサーさんよりは大人ですよ!」

【いつもの平日25、事務所】

P「え?亜美が休み?」

真美「うん。お陰で竜宮も大変だって」

P「あの亜美が休みか……」

真美「……『ざまあみろ』とか思ってる?」

P「誰が思うか。大人はそんなに陰湿じゃない」

真美「ふーん……」

P「しかし休みか……いや、しかし……しかしだな……」

そわそわそわそわ……

P「あの亜美が休みだと……?いや、まさか……しかし万が一という事も……」

そわそわそわそわ……

真美「ねぇ、兄ちゃん」

P「何だ?俺は忙しいんだ」

真美「……貧乏ゆすりが?」

P「違う。仕事が忙しいんだよ」

真美「そうなの?」

P「そうだ」

真美「…………」

ピポパ

P「…………」

真美「……あのさ」

P「うん?」

真美「亜美に電話したけど……代わろうか?」

P「……そうだな。大人として体調の確認はしておくべきだな」

真美「あくまでそのスタンスなんだね……まあいいや、はい」

P「ありがとう」

亜美『もしもしー?』

P「もしもし、亜美か?」

亜美『あ、兄ちゃん?どうしたの?』

P「いや、少し確認をな。体調はどうだ?」

亜美『んー、ちょっと熱っぽいかも。でも、寝てれば治ると思うよ』

P「そうか。水分補給は忘れるなよ」

亜美『うん』

P「それと身体は冷やすな。あと、食欲がなくてもご飯は食べろ」

亜美『はーい』

P「風邪薬は飲んだか?咳はどうだ?症状は――」

亜美『もー、兄ちゃん心配しすぎだYO!』

P「しかし……」

亜美『大丈夫だって。もう子供じゃないんだし』

P「そうか……?ならいいんだが……」

亜美『ふぁ……眠くなってきちゃった。そろそろ切るよ?』

P「あ、ああ……お大事に」

ピッ……

P「もう子供じゃない、か……お前らも成長したんだな……」

真美「何でだろ……兄ちゃんから言われると全然成長できてない気がする」

P「失礼だな!?」

真美「でも、亜美を心配してくれたのは嬉しかったよ。ありがとね」

P「ふん……大人だからな。当然だ」

真美(これがなかったらいいのに……)

【ある休日14、事務所】

P「貴音」

貴音「はい?」

P「映画を見よう」

貴音「……唐突すぎて話についていけないのですが」

P「いや、DVDをレンタルしてきてな。丁度いいから貴音もと思って」

貴音「ふむ……何か魂胆がおありで?」

P「そんなものはない。俺を信じろ」

貴音「かつてこれほど胡散臭い言葉があったでしょうか……」

P「どれだけ信用ないんだよ」

貴音「いえ、信用はしております。ですが……何故か嫌な予感がするのです」

P「では言い方を変えようか。日頃の食事の礼と思って、一緒に映画を見てくれ」

貴音「……そう言われてしまっては、拒否できないではありませんか」

P「それも承知の上だ」

貴音「いけずな方ですね……」

P「さて……始めるぞ?」

貴音「はい。して、どのような物語なのですか?」

P「ん?ああ、それは――」

テレビ『ガシャーン!』

貴音「ひぅっ!?あのっ、プロデューサー!これは一体……!?」

P「屋敷の中に潜む幽霊から逃げつつ脱出を目指す……」

P「言うなれば、ホラー映画だ」

貴音「何故!?何故そのようなものをわたくしに見せるのですか!?」

ガクガク

P「おい、揺するな。画面が見えん」

貴音「お答えください!プロデューサー!」

P「決まっている。ジャンケンでお前に負けっぱなしなのが癪だからだ」

貴音「なっ!?まさか、そんな下らない理由で……!」

P「下らなくなどない!俺にとっては重要な事だ!」

カサッ……

P「……ん?」

貴音「とにかく、わたくしは帰らせて頂きます……!それでは――」

P「ま、待て!」

ガシッ!

貴音「放してくださいませ!」

P「いや無理だ……だってアイツがっ……!黒い悪魔が……!」

カサカサ……

P「貴音、アレをどうにかしてくれ!頼む!」

貴音「ご自分で対処してください!大人なのでしょう!?」

P「大人にも得手不得手ぐらいある!アレは不得手なんだよっ!」

貴音「そんな都合のいい事が――」

テレビ『オオォォォ……!』

貴音「いやああぁぁぁ!」

カサカサ……

P「テレビに上ったぞ!?どうする!?」

貴音「知りません!わたくしに訊かれても困ります!」

P「くっ、仕方あるまい……貴音ェ!テレビの近くの棚のジェット取ってジェット!」

貴音「い、今は無理ですっ!それと画面に寄せないでください!」

P「ゴキジェットはそっちにあるんだから近寄らなきゃ何もできないだろ!?」

貴音「ですから!映画が怖くてそれどころではないと言っているではありませんか!」

P「しかし、このままではこっちに飛んで――」

ブーン、ピトッ……←顔に着地

P「……後は、任せたぞ――ぐはっ!」

貴音「プロデューサー!?わたくしを一人にしないでください!プロデューサー!」

テレビ『…………』

貴音「あ、ああ……てれびが沈黙を……」

貴音「という事はつまり……くらいまっくす……!」

貴音「は、早く耳を塞がなければ……おや、手が動かな――」

P「――――」

ギュウゥゥゥ!

貴音「どうして手を握ったまま気絶するのですか!?」

テレビ『…………』

貴音「あ、や……やめっ――」

テレビ『キャアアアァァァァァァァァァアアアアアアアアア!』

貴音「面妖なあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!?」

【いつもの平日26、事務所・給湯室】

P「急須よし。茶菓子よし」

P「さて、湯呑は……あれ?」

P「これは確か、雪歩のお気に入り――」

ピシッ……

P「……何だ、今の不吉な音は」

P(いや、落ち着け。きっと家鳴りか何かだ……湯呑の音じゃない……)

P(落ち着いて現状を把握しよう。まずは湯呑の確認を――)

P「割れてる……嘘だろ?」

雪歩「あの、プロデューサー?お茶は――」

P「雪歩!?」

サッ……!

雪歩「はい、雪歩ですけど……どうかしましたか?」

P(あなたの湯呑を割りました――なんて、言える訳ないよな……)

P「いや、何でもない。用意はできたから移動しようか」

雪歩「そうですね、皆も待ってますし――あれ?」

P「……どうした?」

雪歩「ここに湯呑が置いてあったと思うんですけど、プロデューサーは知りませんか?」

P「……知らないな」

雪歩「そうですか……誰も触ってないといいんですけど」

P「……触ったら何か不味い事でも?」

雪歩「えっと……」

雪歩(ヒビが入ってたから、触ると危ないんだよね……)

P「雪歩?」

雪歩「その……多分、切れます(指とかが)」

P「キレるの!?」

雪歩「え?そんなに驚く事ですか?」

P「いや、そうだよな……キレて当然だよな……」

雪歩「はい。下手に触ると怪我しちゃいますよ?」

P(怖っ……!)

P「ご、ご忠告痛み入ります……」

雪歩「ええ。気をつけてくださいね」

雪歩(あれ?どうして敬語なんだろう……?)

【やよいの誕生日1、事務所】

響「プロデューサー」

P「ん?」

響「やよいに渡す物はもう決まってるのか?」

P「それなら抜かりない。家庭菜園セットにしたぞ」

雪歩「今回はすんなり決まったんですね」

P「ええ。ただ、一つ問題があって……」

雪歩「問題?」

P「はい。家庭菜園をするという事はつまり、その分のスペースも必要になる訳です」

P「高槻家の庭にそんな余裕があっただろうか……と思いまして」

響「何気に失礼すぎるぞ……」

雪歩「そうでもないよ?お庭より家にスペースを割きたいって人も居るから」

響「あ、そっか」

P「まったく、響ときたら……己の無知を恥じるがいい」

響「プロデューサーの言い方も問題あると思うぞ」

P「……それはさておき」

響「誤魔化すなー!」

P「話を戻すぞ」

響「庭の話だっけ?」

P「うむ。やはり、スペースが足りないのは問題だと思うのだ」

雪歩「でも、お庭の大きさをどうにかするなんて無理なんじゃ……」

響「そうだぞ。いくらプロデューサーが何でもできるからって、ものには限度が――」

P「何を言っているんだ?庭がないなら土地を贈ればいいじゃないか」

響「それ絶対おかしいからね!?」

P「そうか?足りないから補う。普通ではないか」

響「だからって土地とか渡す!?」

P「土地は手渡しできん。渡すのは権利書だ」

響「そういう問題じゃないぞ!」

P「では何なんだ?」

響「そんなの貰っても困るって事!流石に土地なんて受け取れないって!」

P「しかし、それでは家庭菜園が――」

雪歩「プロデューサー。家庭菜園より、やよいちゃんの気持ちの方が大事ですよ?」

P「む……雪歩……さんがそう言うなら……この案は破棄しよう」

雪歩「はい、そうしてください」

響「何この扱いの差は……」

P「日頃の行いの差だ。響も雪歩……さんには敬意を持って接するように」

響「はぁ……」

P「では、俺は他の案を考えてくる」

響「あ、うん。頑張ってね」

P「任せておけ」

スタスタ……

響「……ねぇ、さっきから思ってたんだけど」

雪歩「何?」

響「雪歩って、プロデューサーの弱みでも握ってるのか?」

雪歩「そんな事はないと思うけど……」

響「でも、『雪歩さん』って呼ばれてるぞ?」

雪歩「そうなんだけど……どうしてなのかは私にもさっぱり……」

響「うーん……まあいいや。雪歩が手綱を握ってくれるなら安心――」

P『そうだ。土地が駄目なら地下農場を作ればいいじゃないか!』

雪歩「……ごめんなさい」

響「いや、アレは無理だよね……うん」

【やよいの誕生日2、事務所】

律子「また馬鹿な事を言ってたみたいですね」

P「さっきの話か。聞いてたんだな」

律子「聞こえてきたんですよ。盗み聞きした訳じゃないです」

P「どっちでもいいだろう」

律子「よくないですよ。私の心証が悪化するじゃないですか」

P「問題はそこなのか……」

律子「はい、そこです」

P「はぁ……律子も擦れてしまったんだな」

律子「主にあなたの所為ですけどね」

律子「それにしても、土地を贈るとか……どう間違ったらそんな考えが出てくるんですか」

P「その話を掘り返すのか?」

律子「ちょっとは反省して貰った方がいいかと思いまして」

P「しているとも。やはり、プレゼントにしては高価すぎたな」

律子「そうですよ。大体、土地なんてやよいの手に余る――」

P「もう少し地価の安い場所にするべきだった……すまない」

律子「だからそうじゃないんですって!」

P「だが、地方の土地ならそこまで高くもない――」

律子「どうやって地方の土地の管理するんですか?」

P「それはほら、地方営業に行った時に……」

律子「……なんか左遷みたいで嫌ですね」

P「ふむ……左遷系アイドルか。新しいな」

律子「新しすぎますよ!そんな不名誉な肩書きは捨ててください!」

律子「まったく……真面目に祝う気あるんですか?」

P「あるぞ。その結果が土地だっただけだ」

律子「まあ、喜ばせようと思っている事だけは認めますけど……」

P「けど?」

律子「もっとよく考えてから行動してくださいね。あなたはいつもずれてるんですから」

P「そんなつもりはないが……」

律子「じゃあ、逆の立場を想像してみましょうか」

P「逆?」

律子「そうです。もし、やよいがプロデューサーの誕生日に土地の権利書を持ってきたとしたら?」

P「やよいが……」

――――――――――――――――――――――――――――――

やよい「プロデューサー!お誕生日おめでとうございます!」

P「ありがとう」

やよい「本当におめでたいです!私、なんだか無性に祝いたくなってきたかも!」

やよい「いきますよー!はい、土ーっ地!」

パシン!←権利書を叩き付ける

やよい「いぇい!」

――――――――――――――――――――――――――――――

P「これは……怖いな」

律子「一体どんな想像したんですか……」

【やよいの誕生日3、事務所】

やよい「ただいまです!」

P「おかえり、やよい。少しこっちに来てくれるか?」

やよい「はい?」

とことこ

P「さてと……ハッピーバースデー!やよい!」

春香「お誕生日おめでとう!」

やよい「わぁ!ありがとうございますっ!」

P「これがケーキで……こっちが紅茶な。ミルク入れるか?」

やよい「あ、お願いします」

春香「ささ、食べてみて」

やよい「はい。それじゃ、頂きます……はむっ」

春香「どう?」

やよい「美味しいです!これ、お二人が作ったんですか?」

P「いや、それは春香が作ったんだ」

やよい「プロデューサーは一緒じゃないんですか……残念です」

P「こうしないと春香のプレゼントが無くなるからな。機会があれば春香と作るかもしれないが」

やよい「そうですか……すみません、気を遣わせちゃって」

春香「気にしない気にしない!今日は誕生日なんだから!ね?」

やよい「春香さん……ありがとうございます」

春香「ほら、プロデューサーさんもプレゼントを渡さないと」

P「そうだったな。やよい、受け取ってくれ」

やよい「これは……?」

P「家庭菜園セットだ。家で野菜が作れるぞ」

やよい「本当ですか!?うっうー!嬉しいですー!」

春香「あれ?土地はどうなったんですか?」

P「その話は終わった。流石に非常識だと言われたからな」

やよい「土地って?」

春香「プロデューサーさんったら、やよいに土地の権利書を渡そうとしたんだよ。困っちゃうよね?」

やよい「確かに、そんな高価?なものは貰えないかも……」

P「そうか……そうだよな」

やよい「でも、気持ちは嬉しいです。だから、プロデューサーの誕生日には車を贈りますね!」

P「いや、貰えないから!常識で考えてくれ!な?」

春香「プロデューサーさんがそれを言いますか……」

やよい「あう……駄目ですか?」

P「いや、それこそ気持ちは嬉しいんだが……なんかやよいが『やよいさん』になりそうで嫌だな」

やよい「へ?それって、私が大人になるって事ですか?」

P「え?まあ、そうなる……かな」

やよい「えへへっ、大人ですか……ちょっぴり成長できた気分かも!」

P「ああ、誕生日だからな。やよいも一つ大人になったんだ」

春香「……お金の有無で決まるんですか?」

P「そこ!上手く纏まりそうなんだから茶化さない!」

春香(やよい……こういう大人にはならないようにね……)

誕生日ネタも続くとクオリティが落ちますね……春香さんどうしましょう

それはさておき。やよい、誕生日おめでとう

もっと早めに書ければいいんですけど、何故かギリギリに……
日付ネタの度に日を跨いでしまって申し訳ないです。ギリギリの方が筆が進むんです

【いつもの平日27、事務所】

真美「ただいまー!」

P「ただいま戻りました」

小鳥「おかえりなさい。予定より遅かったですね」

P「ちょっと用事が増えまして……すみません」

小鳥「用事とは?」

真美「兄ちゃんがお年寄りの人を毎回助けてたからね~。あ、真美も手伝ったよ?」

小鳥「そうなの。偉いわね」

真美「えへへ……でも、助けるにしても限度があるような気が……」

P「何を言う。大人として、ご年配の方を助けるのは当然だろう」

真美「そうかもしれないけど、あんな大通りじゃ困った人が多すぎて助けきれないよ」

P「……それについては反省している」

小鳥「ふふっ、プロデューサーさんらしいですね」

真美「褒めてるの?」

小鳥「い、一応は……」

P「詰まらないでくださいよ!」

真美「兄ちゃん、この後って予定ある?」

P「いや、しばらくは待機だ。休んでいいぞ」

真美「やった!兄ちゃんはどうするの?」

P「俺はデスクワークがあるから」

真美「そうなんだ。頑張ってね」

P「ああ、ありがとう」

小鳥「プロデューサーさんも大変ですね」

P「ほぼ全ての事務仕事を引き受けてる音無さんには敵いませんよ」

小鳥「これが私の仕事ですからね」

P「もしよければ手伝いましょうか?」

小鳥「え?」

P「やはりそれだけの量を捌くのは大変でしょう?少しぐらいは――」

小鳥「……いえ、結構です」

P「無理をしなくても――」

小鳥「大丈夫ですから!」

P「そうですか?」

小鳥「そうです!まったく、デリカシーがないんだから……」

P「何で!?」

真美(兄ちゃんって地雷を踏むの上手いよね……)

【いつもの平日28、事務所・給湯室】

P「玉ねぎに、人参に……ピーマンも入れるか」

春香「何をしてるんですか?」

P「ん?チャーハンを作ろうと思ってな」

春香「珍しいですね。プロデューサーさんがお弁当を忘れるなんて」

P「いや、これは亜美の分だ」

春香「亜美の?」

P「うむ」

春香「……あの」

P「何だ?」

春香「亜美の分なのに、その……タバスコとか唐辛子とかあるんですけど……」

P「え?亜美の分だから当然じゃないか」

春香「何がですか!?」

P「普段から悪戯がすぎるからな。バレンタインの件も含めて、少し灸を据えねばならん」

春香「根に持ってたんですね……」

P「俺は忘れない……そこにかけがえのない恨みがあった事を……」

春香「忘れましょうよ!」

P「……そろそろ始めるか」

春香「あの、プロデューサーさん。流石に可哀想なんじゃ……」

トントントントン

P「可哀想だと?」

春香「はい。それに、復讐は何も生みませんよ」

ジャッジャッ!

P「少なくとも、俺の心に光は生まれると思うが」

春香「屁理屈を言わないでくださいよ!」

P「事実なんだが……まあ、お前の気持ちも分かるぞ」

P「この俺が本気になるのだからな。亜美が悲惨な目に遭わないかと心配なんだろう?」

春香「そこまで分かってるなら――」

P「だが安心しろ。辛さも常識の範疇に留めるつもりだ」

春香「まるで安心できないんですけど……」

P「――さて、これで完成だ」

春香「結局、タバスコ入れたんですね……」

P「それが目的だからな。ところで、春香に頼みたい事があるんだが」

春香「何ですか?」

P「亜美が帰ってきたらこれを出してやってくれ。俺は営業に行ってくる」

春香「え?ちょっ……待ってくだ――」

P「任せたぞ」

バタン

春香「……行っちゃった」

春香「どうしよう、これ……亜美に食べさせるのは駄目だよね……」

春香「そうだ。せめて味見だけでも――はむっ」

春香「…………」

春香「……あ、ピリ辛で美味しい」

【いつもの平日29、事務所】

P「ただいま戻りました」

千早「おかえりなさい、プロデューサー……それは?」

P「ん?リンゴの事か?」

千早「ええ。どうして買ってきたんですか?」

P「何となく店頭で見かけたからな。つい買ってしまった」

P「俺は今から食べるが、千早もどうだ?」

千早「私は――」

千早(……いえ、たまにはいいかもしれないわね)

千早「その……少しだけなら……」

P「分かった。それじゃ、ちょっと待っててくれ」

P「――できたぞ」

千早「ありがとうございます。えっと……」

P「フォークはここだ」

千早「あ、すみません……それじゃ、頂きます」

P「どうぞ。さて、俺も――あむ……」

千早「はむ……むぐ……」

P「ふむ……なかなか美味いな。千早はどう思う?」

千早「…………」

P「千早?」

千早「美味しい……」

P「……そうか。それはよかった」

千早「あの、もう一つ貰ってもいいですか?」

P「好きなだけ食べていいぞ。それと、すまないが留守番を頼む」

千早「留守番ですか?」

P「ああ、ちょっと用事ができた。すぐに戻る」

千早「分かりました。行ってらっしゃい」

律子「――で?これは何ですか?」

P「リンゴだが?」

律子「見れば分かりますよ!」

P「なら問題ないな」

律子「そうじゃなくて、どうして箱で買ってきたのかと訊いてるんです!」

P「千早が『美味しい』って言ったからな」

律子「……それで?」

P「あいつが食べ物に興味を示すなんて珍しいし、いい機会だと思って」

律子「どこがいい機会ですか!千早を見てください!」

千早「飽きたわ……」

律子「ほら!食べ飽きてるじゃないですか!」

P「飽きっぽい奴だな」

律子「あなたの所為です!」

律子「というか、こんなに必要ないでしょう?大人なら分かってくださいよ!」

P「ふん……分かってないのはお前だ、律子」

律子「……何がです?」

P「知らないのなら教えてやろう。これが――」

P「大人買いだ」

律子「ドヤ顔やめて貰えません!?」

【いつもの平日30、事務所】

伊織「ただいま。喉が渇いたわ」

P「おかえり。乾いたから何だ?」

伊織「オレンジジュースが欲しいって言ってるの。それぐらい察しなさいよ」

P「それが人にものを頼む態度か?」

伊織「うっ……でも、帰ってきたら飲み物ぐらい出してくれたって――」

P「それではオレンジジュースが飲みたい事など分からんではないか。思っている事を口に出すのは大事だぞ?」

伊織「うぅ、分かったわよ……」

P「それでいい。で、何が欲しいんだ?」

伊織「その……オレンジジュースが欲しいの。ある?」

P「すまないが、今はファンタオレンジしかない」

伊織「じゃあ何で説教したのよ!」

P「俺が説教したのと、オレンジジュースが無い事は別問題だ」

伊織「そうかもしれないけど……しかも、何でよりによって炭酸なの?」

P「『何で炭酸なの?』と言われても『ファンタだから』としか答えようが――」

伊織「そうじゃなくて!」

P「うるさい奴だな……喉が渇くぞ?」

伊織「なら飲み物を持ってきなさいよ!」

P「はいはい。少し待ってろ」

伊織「まったく……」

P「――お待たせ」

伊織「あれ?オレンジジュースあったの?」

P「無いぞ?」

伊織「でもこれ、オレンジジュースでしょ?」

P「いや、ファンタオレンジだ」

伊織「……アンタ、私が炭酸苦手なの知ってるわよね?」

P「無論だ」

伊織「……私が嫌いなの?」

P「そんな訳あるか」

伊織「でも、これファンタ……」

P「まあ待て。ちゃんと伊織の為を思って――」

伊織「思って?」

P「炭酸は抜いてある」

伊織「なんて喜びにくい気遣いなのかしら……」

【ある休日15、事務所】

P「あれ?何のゲームをやってるんだ?」

亜美「ポケモンだよー」

P「クリアしたのか?」

真美「もう対戦用に育成してるよ」

P「本格的だな……」

亜美「うん。兄ちゃん分かるの?」

P「まあな。一通りできるが……今は素早さ調整してるのか」

真美「そうだよ。100族抜き抜き調整!」

P「予想以上にハマってるな」

真美「面白いからねー」

亜美「そんな事より喉が渇いてきたよー。何かジュースある?」

P「ふむ……待っていろ。注いできてやる」

P「それと、二人とも少し休憩するといい。目が疲れるぞ」

亜美・真美「はーい!」

P「――待たせたな。ほら、オレンジジュース」

真美「ありがとー」

亜美「それじゃ頂きます。んく……む?」

真美「どうしたの亜美?」

亜美「真美も飲んでみて」

真美「え?」

亜美「いいから」

真美「う、うん……んく――あ」

P「どうした?」

真美「えっと、その……持ってきて貰って文句を言うのもアレなんだけど」

P「何だ?」

真美「これ、炭酸抜けてるよね?」

P「あー……それはな」

亜美「それは?」

P「……炭酸族抜き抜き調整、とか?」

真美「それ抜いちゃ駄目だよね!?ていうか、何でポケモンに絡めたの!?」

P「ジョークも嗜む。それが大人だ」

亜美「嗜むなら炭酸がいい……」

P「うん……何かごめんな……」

真美「そういえば、炭酸で思い出したけど」

亜美「ん?」

真美「兄ちゃんってさ、炭酸ジュース作るアレ持ってたよね?」

P「あー、そんなのもあったな」

真美「それでどうにかならない?」

P「ふむ……やってみるか」

亜美「よーし!兄ちゃんゴーゴー!」

P「任せろ」

タタッ

P「――待たせたな」

亜美「どうだった?」

P「駄目だった」

亜美「何でさ!?」

P「カードリッジの補充を忘れていた。炭酸は諦めろ」

亜美「んもう!まったく――」

真美「ホント、兄ちゃんときたら――」

亜美「真美のばかぁ!」

真美「えぇ!?真美なの!?真美が悪いの!?」

P「当然だ。ぬか喜びさせた罪は重いぞ」

P「忘れたままでいれば、気の抜けた炭酸飲料を飲むだけで済んだのに……はぁ……」

真美「うん……何かごめんね……」

【いつもの平日31、海】

P「なあ、真」

真「……何ですか?」

P「俺が高校生だった時の話だ。あの頃は教師が許せなくてな」

真「どうしてです?」

P「高校には球技大会があるだろ?」

真「ええ」

P「俺はそれが嫌いだった。何故なら、冬の球技大会は物凄く寒いからだ」

P「寒風吹き荒ぶ中、どうして体操着なんて薄い服装で外に出なければならないのだと思っていた」

P「それでも、他の生徒も同じ境遇なのだと自分に言い聞かせ、グラウンドに出た」

P「しかし……そこで見たのはあまりにも理不尽な光景だった」

P「体操着しか着れない生徒を尻目に、彼らはコートを着込んでいたんだ」

P「分かるか?自分は凍えているのに、身近な人間はその辛さを知らないという憤りが」

真「まあ、ちょっとずるいですよね」

P「そういう訳があって、俺は教師が許せなかった。でも……」

真「でも?」

P「どうしてだろうな……今なら許せる気がするんだ……」

真「……そりゃそうですよね!そんなに厚着してますもんね!」←ビキニ

P「うん?何を怒ってるんだ?」←コート

真「何をって……こんな時期に水着撮影する事をですよ!」

P「『女の子らしい仕事がしたい』と言ったのはお前だろう」

P「水着も真に似合う可愛いものを用意した。まだ何か不満があるのか?」

真「まあ、可愛いのは嬉しいですけど……この時期に撮影する意味が分かりませんよ……」

P「もう春じゃないか……暦の上では」

真「外で水着になるには早すぎますよ!」

P「落ち着け。他にも理由はある」

真「どんな?」

P「そうだな……一つは、需要があるからだな」

真「需要ですか?」

P「うむ。たとえ冬だろうが夏だろうが、男性がエロスを求めるのは変わらない」

真「嫌ですね、それ……」

P「そういうものだ。諦めろ」

真「はぁい……それだけですか?」

P「あとは事務所の都合だな。酷い内容でもないのに仕事を断る理由はない」

真「ボクの意思は?」

P「尊重はするが、それだけだ」

真「むぅ……納得いかない……」

P「では、納得のいく説明を一言でしてやろう」

真「何ですか?」

P「大人の事情だ」

真「納得できませんよ!」

P「じゃあどうしたら納得するんだ。カメラマンも待ってるんだぞ?」

真「そうですね……とりあえず、脱いでください」

P「……は?」

真「プロデューサーも水着になってください。そしたら頑張れる気がします」

P「嫌だ。この寒い中、俺が水着になる意味が分からん」

真「被写体と同じ気持ちになる事が大切なんですよ?」

P「ならカメラマンを脱がせばいいだろうが!」

真「ボクに一番近いのはプロデューサーじゃないですか!」

P「近いから何だと言うんだ!」

真「そういう人が厚着してるのが許せないって、プロデューサーも言ってたじゃないですか!」

P「断固拒否する!そう易々とこの立場を手放してなるものか!」

真「汚いですよ!」

P「大人なんてそんなものだ!」

カメラマン「あの……そろそろ撮影を再開したいんですけど……」

P「あ、すみません。すぐ用意します」

P「……ほら、催促されてるぞ」

真「ボクだけこんな目に遭うなんて不公平です……」

P「そういう仕事だろうが……ああもう、分かった」

P「その条件を飲んでやる。ただし……」

真「ただし?」

P「一度でもミスをしてみろ。罰としてテディベアを贈呈するからな」

真「ご褒美じゃないですか」

P「ただし、そのテディベアは生肉を縫い合わせて作った――」

真「絶対NG出しませんから!行ってきます!」

P「その意気だ」

カメラマン(765さんは見てて飽きないなぁ……)

>>706を修正します

P「ただし、そのテディベアは生肉を縫い合わせて作った――」

P「ちなみに、そのテディベアは生肉を縫い合わせて作った――」

【エイプリルフール1、事務所】

小鳥「おはようございます……」

P「おはようございます、音無さん」

律子「小鳥さん、何だか元気がないですね」

小鳥「ええ……」

P「どうしたんですか?」

小鳥「その……少しお話があるんです」

P「話?」

小鳥「はい。あの、驚かないでくださいね?」

P「分かりました。律子もいいか?」

律子「大丈夫です」

小鳥「こんな事、いきなりで本当に申し訳ないんですけど……」

小鳥「――私、結婚する事になりました」

P「――は?」

律子(また重い嘘を……)

小鳥「実は、この前に出会った人に一目惚れしてしまって……」

P「……つまり、運命の人だと?」

小鳥「そう……なりますね」

律子「プロデューサー、分かってるとは思いますが――」

P「そうか……結婚するんですね。おめでとうございます!」

小鳥「えっ」

P「音無さんとはもう少し一緒に仕事をしていたかったのですが、そういう事情なら仕方ありません」

P「事務仕事は全て俺が引き継ぎます。安心してください」

小鳥「あの――」

P「律子、式場の手配を――いや、それは音無さんが決めるべきか?」

P「とにかく、音無さんが居なくても何とかしますから!あとの事は任せて幸せに――」

小鳥「やめてええぇぇぇ!」

律子(なんて酷な……)

【エイプリルフール2、事務所】

P「――という事があってだな」

真美「そこは嘘でもいいから引き止めてあげなよ……」

P「そうだな……俺もあんな風に送り出されたら悲しくなるかもしれん」

真美「はぁ、ピヨちゃん可哀想……」

P「そうは言うが、咄嗟の事だし仕方ないと――」

響「プロデューサー、少し話があるんだけど……いいかな?」

真美(うわぁ……めっちゃ嘘言いたそう……)

P「何だ?」

響「あのね、実は――」

P「そういえば、今日はエイプリルフールらしいな」

響「え?ああ……うん。そうだね」

P「そこで一つ訊きたいのだが、響はエイプリルフールの由来を知っているか?」

響「由来?」

真美「そんなのあるの?」

P「うむ。エイプリルフールというのは、古代の王様が考えた習慣なんだ」

響「うんうん」

P「実は、『嘘を吐いてもいい』と言われた臣下の信用を計る事が目的で……」

P「嘘を吐いてしまった臣下を『後々裏切りそうな奴だから先に消してしまおう』という――」

響「え?えっ?」

P「つまりだな。心の汚れた人間をあぶり出し、切り捨てる為の習慣なんだよ」

響「あ、の……えっと……」

P「で?響の話は何なんだ?」

響「その、あの……やっぱり何でもないぞ!」

ダッ!

P「ふむ……効果覿面だな」

真美「……兄ちゃんって意地悪だよね」

P「あそこまでワクワクされると、つい……」

真美「まあ、分からないでもないけど……ところで兄ちゃん」

P「何だ?」

真美「さっき、ひびきんを騙したよね?」

P「うむ」

真美「これってつまり、兄ちゃんも心の汚れた人間って事になるんじゃ……」

P「まさか。さっきの話が本当なら、そんな事にはならない筈で――」

真美「さっきの話が本当なら、ひびきんに『お前は信用ならない』って言い捨てた事になるけど?」

P「……嘘だったら?」

真美「自分で心が汚れてるって言った事になるね」

P「いやいや、そんな……あはははは」

P「――ちょっと訂正してくる」

ダッ!

P『あ、響。さっきの話なんだけどな』

P『少し間違えてたみたいだ。本当は、そういう日に嘘を吐けるユーモラスな人間を取り立てようという――』

響『ホントか!?じゃあ自分は大丈夫だったんだな!』

P『そうだぞ!響は完璧だ!』

響『だよねだよね!よかったぁ……』

真美「…………」

真美「さり気なく自分もユーモラスな人間にしてる……」

【エイプリルフール3、事務所】

亜美「ねぇねぇお姫ちん」

貴音「何ですか?」

亜美「4月から消費税が上がるらしいよ」

貴音「そのようですね」

亜美「5%から8%になるって、結構大きいよね」

貴音「ええ」

亜美「そこでふと思ったんだけど」

貴音「はい」

亜美「兄ちゃんのお弁当も小さくなるんじゃない?値上がりした分だけ」

貴音「はい――はい!?」

亜美「いやほら、お菓子とかでもお値段据え置きだと中身が少なくなるじゃん?」

亜美「じゃあ、お姫ちんのお弁当も小さくなって当然――」

貴音「…………」

亜美「お姫ちん?」

貴音「はっ!?すみません、聞き逃してしまいました」

亜美「だからね?お姫ちんのお弁当も小さく――」

貴音「はい?」

亜美「だからぁ!お弁当が小さくなる――」

貴音「ふふ、亜美は何を言っているのでしょうか。ふふふ……」

亜美「お姫ちん?大丈夫?」

貴音「何がでしょう?わたくしは常に大丈夫ですとも」

貴音「ふふ、うふふ……うふふふふふ……」

貴音「――死にます」

亜美「いや嘘だから!多分そんな事ないから!」

貴音「と見せ掛けて、嘘だという事が嘘なのでしょう!?騙されませんよ!」

亜美「そこは騙されてよ!」

P「――おい、騒がしいぞ」

亜美「あ、兄ちゃん!助けて!」

P「どうした?」

亜美「実は、お姫ちんにお弁当が小さくなるって言ったら信じ込んじゃって……」

P「またお前は余計な事を……貴音」

貴音「はい?」

P「心配しなくても、弁当は小さくならないぞ」

貴音「ふふ、プロデューサーまでわたくしを騙そうとするのですね……その手には乗りませんよ!」

貴音「このまま、小さなお弁当の悲しみに直面するぐらいなら……」

P「何だ?」

カチッ←12時

亜美「お姫ちん!待っ――」

貴音「――いっそ、お弁当など要りません!」

P「ふむ、分かった。では今後はそうしよう」

貴音「えっ」

P「俺は仕事があるからもう行くぞ。騒ぐのも程ほどにしておくように」

スタスタ

貴音「あの……いや、冗談なのですが……」

貴音「あれ?えいぷりるふぅるというのは、嘘を吐いてもいいものでは……」

亜美「お姫ちん、あのね」

貴音「……何ですか?」

亜美「エイプリルフールの嘘って……午前中までなんだ」

貴音「…………」

貴音「……死にます」

亜美「もう洒落になってないよ!?」

>>703の訂正をします

P「カードリッジの補充を忘れていた。炭酸は諦めろ」

P「カートリッジの補充を忘れていた。炭酸は諦めろ」

【春香の誕生日1、事務所】

P「なあ真」

真「はい?」

P「春香が欲しい物って分かるか?」

真「何でボクに訊くんですか。本人に訊いてくださいよ」

P「このタイミングで訊いて、春香が遠慮しないとでも?」

真「まあ、するでしょうね」

P「だろう?そこで真の出番という訳だ」

真「どういう訳ですか。ボクが知ってるとも限らないでしょう?」

P「いや、真なら知っている筈だ」

真「何を根拠に――」

P「だってお前、こういう事に関してはそこらへんの男より気が利くもの」

真「それは――喜ぶべきなのか悲しむべきなのか……」

P「一応、褒めているつもりだが?」

真「はぁ……ありがとうございます」

真「そういえば、さっきボクの事を『そこらへんの男より気が利く』って言ってましたけど」

P「うむ」

真「これ、プロデューサーは気が利かないって事になるんじゃ……」

P「…………」

真「……いいんですか?」

P「まあ……今回ばかりは仕方あるまい。リサーチが足りなかったのは事実だ」

P「それに、優先されるべきはプレゼントの良し悪しであって、俺の体裁ではないからな」

真「へぇ……プロデューサーって、そういう考え方もできたんですね」

P「お前は俺を何だと思ってるんだ……」

真「さあ?何でしょうね」

P「成程。とても口に出せないような人物だと思っているのだな?」

真「流石はプロデューサーです」

P「そこは否定するところだろ!?」

真「それはそうと、春香の欲しい物でしたよね?」

P「ああ。やはり知っているのか」

真「はい」

P「教えてくれ」

真「何でもいいらしいです」

P「……はい?」

真「ですから、『貰えるだけで嬉しい』って言ってました」

P「それだけ!?ここまで引っ張っておいてそれだけなの!?」

真「それだけです。頑張ってくださいね」

P「真め……なんて意地の悪い……」

真「プロデューサーには言われたくないですよ!」

【春香の誕生日2、事務所】

春香「ただいま戻りました!」

P「春香、おかえり。それと……誕生日おめでとう」

春香「わぁ、ありがとうございます!覚えててくれたんですね」

P「無論だ。お前だけを祝わない訳にもいかないからな」

春香「あ、そうですか……」

P「うん?どうした?」

春香「だって、その言い方だと、まるで私の誕生日を祝うのが義務みたいじゃないですか」

春香「だから……ちょっと悲しいなぁって……」

P「いや違うぞ!?これは俺が祝いたいからやっているのであって、決して義務感からくるものでは――」

春香「――なーんて。冗談ですよ」

P「おい、春香……心臓に悪いぞ」

春香「ごめんなさい。そんな事ある訳ないですよね」

P「ふふ……あるかもしれんぞ?」

春香「まさか。今までのプロデューサーさんを見てれば分かりますよ」

春香「色々と考えてくれてるんですよね、私達の為に」

P「春香……ありが――」

春香「例えば、土地とか」

P「それは忘れろ!」

春香「えへへ、ごめんなさい」

P「冗談はさておき……改めて、誕生日おめでとう。春香」

春香「ありがとうございます」

P「それで、だな……プレゼントの話なんだが……」

春香「はい?」

P「春香に決めて貰いたいんだ」

春香「え?私に?」

P「うむ。何を贈ればいいのか、判断が付かなかったんだ……申し訳ない」

春香「いやいや!謝らないでくださいよ!」

P「しかし……」

春香「私はケーキを用意して貰えただけで嬉しいですから。ね?」

P「……そうなのか?」

春香「はい!誕生日に誰かがケーキを作ってくれるって、素敵な事だと思います」

春香「私はそれだけで十分です」

P「そうか……」

春香「でも」

P「ん?」

春香「もし……もし少しだけ我儘を言っていいなら、一つだけお願いしたい事があるんです」

P「何だ?」

春香「この前、やよいが言ってましたよね?プロデューサーさんと一緒に作らなかったのかって」

春香「私、あれを叶えてあげたいんです。だから……」

P「……お前は、こんな時まで他人に優しいんだな」

春香「違いますよ。私が楽しい事をしてるだけです」

P「そうか、分かった。その願いを受けよう」

春香「ありがとうございますっ!」

>>733の訂正をします

春香「私はそれだけで十分です」

春香「私はそれだけで十分ですよ」

春香「もし……もし少しだけ我儘を言っていいなら、一つだけお願いしたい事があるんです」

春香「もし……ちょっとだけ我儘を言っていいなら、一つお願いしたい事があるんです」

P「そうか、分かった。その願いを受けよう」

P「確かにそうかもな……よし、その願いを受けよう」

【その後、事務所】

P「うーむ……本当にあれでよかったのか……?」

あずさ「あら、何か悩み事ですか?」

P「ええ」

あずさ「よければ話し相手ぐらいにはなりますよ?」

P「そう……ですね。では、お願いします」

あずさ「はい、お願いされました」

投下は嬉しいけど酷いフェイントだよ!

P「実は、春香の誕生日プレゼントが決められなくてですね……」

あずさ「はい」

P「結局、春香にお願いを決めて貰ったんですよ」

あずさ「あら、よかったじゃないですか」

P「いえ、それがそうとも言えなくて……」

あずさ「何がです?」

P「お願いの内容は『一緒にお菓子を作る事』なんですけど……これがプレゼントでいいのかなと思いまして」

あずさ「いいんじゃないですか?」

P「……軽いですね」

あずさ「だって、春香ちゃんが決めた事ですもの。プレゼントとしては間違っていない筈ですよ」

P「ふむ……成程。では、この案で大丈夫なんですね?」

あずさ「ええ。頑張ってください」

P「ありがとうございます。お陰で気が楽になりました」

あずさ「いえいえ、お役に立てたようでなによりです」

あずさ「さてと、もう遅いので私も失礼しますね」

P「すみません、時間を取らせてしまって」

あずさ「いいんです――あ、一つ言い忘れてました」

P「はい?」

あずさ「今回のプレゼントは物じゃないですから、価値を作るのはプロデューサーさんですよ?」

あずさ「それでは、お先に失礼します~」

バタン……

P「…………」

P「悩みが一つ増えた……」

誕生日おめでとう、春香
日は跨いでしまいましたけど、別のところでは当日にお祝いしてるのでお許しを

そういえば、変な時期から始めた所為で真と雪歩の年齢がよく分からない事になりました
進学エピソードも失念してましたし、詰めが甘くて申し訳ないです

>>737
以後気を付けます。確かにこれはちょっとアレでした

【伊織の誕生日1、事務所】

P「ついにこの日が来てしまったか……」

真美「いおりんの誕生日の話?」

P「うむ」

真美「アイデアは?」

P「ないから困ってるんだよ」

真美「まあ、兄ちゃんだし仕方ないよね」

P「何だその言い草は。失礼な奴だな」

真美「だって、いおりん相手だとお金作戦は使えないし……」

P「お金作戦とか言うのはやめろ!金しか取り柄がないみたいだろう!?」

真美「他にあるの?」

P「あ……あるとも」

真美「詰まってる時点でお察しだよ兄ちゃん……」

P「……さて、冗談を言っている場合ではない訳だが」

真美「どうするの?」

P「金が使えないとなると、別のアプローチをせねばならん」

P「そのアプローチについて……何か案はないか?」

真美「それって兄ちゃんが考えるべきところなんじゃ……」

P「他者の意見を取り入れるのも大切なんだよ」

真美「んー……じゃあアレでいいんじゃない?」

P「アレとは?」

真美「ほら、なんて言うの?こう、お金で買えない価値がある――」

P「プライスレス」

真美「的な?」

P「具体的には何が買えないんだ?」

真美「……愛とか?」

P「一つ訊くが、俺の愛が欲しいと思うか?」

真美「要らないかな」

P「即答かよ!」

P「ふん……もういい。お前に相談した俺が馬鹿だった」

真美「むっ……!なにさその言い方は!」

P「不満か?」

真美「当たり前じゃん!折角アドバイスしてあげたのに!」

P「アドバイスとか言っても、まるで参考にならんではないか」

真美「参考にはなるっしょ!?」

P「どの辺が?」

真美「プレイスレスってところが」

P「それが何だと言うのだ」

真美「だからぁ!兄ちゃんに祝って貰えればそれで嬉しいって事じゃん!どーして分かんないかな!」

真美「もうなんか愛的なそれでいいでしょ!大体、何回この手の相談するつもりなの!?」

P「あの、真美……?」

真美「あ……」

P「えっと……本当なのか?」

真美「……この話はお終い!はい、やめやめ!」

P「俺は続けるぞ、この話題」

真美「何で!?」

P「いや、真美の口からそんな言葉が出るとは思わなかったものだから」

真美「何気にどころか直球で失礼だよね」

P「で、本当なのか?」

真美「やっぱり続けるんだね……まあ、祝って貰えたら嬉しいってのはホントだよ」

真美「兄ちゃんは真美達をちゃんと見てくれるし、そういう人から祝われるのは……嬉しいって思う」

P「そうか?」

真美「うん。真美達と同じレベルで遊んでくれる人なんてなかなか居ないもん」

真美「だから、これでも兄ちゃんには感謝してるんだ。嘘じゃないよ?」

P「微妙に引っかかる言い方だが……ありがとう?」

真美「……どういたしまして?」

P「しかしだな。その理屈だと、伊織も同じように思ってくれてるかどうかは分からないんじゃないか?」

P「あいつが俺に相手して貰って感謝してるとか……あり得ないだろう」

真美「あ、それは大丈夫」

P「何故?」

真美「いおりんも兄ちゃんとほぼ同レベルだから」

P「嘘だろ……俺って伊織と同レベルなのか……」

真美「よかったじゃん。現役アイドルと同レベルだよ?」

P「何がいいものか。あんな素直じゃなくて生意気で高飛車な奴なんて――」

真美「それ兄ちゃんだよね?」

P「……俺だったな」

P「あ、でも」

真美「何?」

P「伊織って、実は優しくて気が利いて相手を尊重できる奴でもあるな」

真美「うん。流石いおりんだね」

P「…………」

真美「…………」

P「…………」

真美「……言わないよ?」

P「言わないのかよ!」

【伊織の誕生日2、事務所】

伊織「どうしてかしら、妙にドキドキするわ」

千早「大丈夫?」

伊織「体調が悪い訳ではないから平気よ。でも、本当に何が原因なのかしらね」

千早「原因……あ、一つ思い当たる事が」

伊織「ん?」

千早「今日って水瀬さんの誕生日――あ、言い忘れてたわね。おめでとう」

伊織「あら、ありがとう。それで?」

千早「ええと……つまり、今日は何らかの形でプロデューサーも祝ってくれる訳であって」

伊織「……まあ、期待してないと言えば嘘になるわね」

千早「となると、そのドキドキは――恋よ」

伊織「――はい?」

千早「だから、きっと恋なのよ――端午の節句だけに」

伊織「…………」

千早「…………」

伊織「…………」

千早「……んっふ」

伊織「それがやりたかっただけなの!?ねぇ!?」

千早「あ、分からなかったかしら?つまり、鯉のぼりと恋愛の恋をかけた――」

伊織「いいから!解説しなくていいから!」

千早「そう?残念……」

伊織「あんたのセンスの方が残念よ……」

千早「まあ、冗談はさておくとして」

伊織「アンタってそんなキャラだった?」

千早「キャラ……?特に意識してはいないつもりだけど……」

伊織「なら余計に性質が悪いわよ」

千早「とにかく、プロデューサーの事は心配しなくてもいいと思うわ」

伊織「根拠は?」

千早「あの人は楽しくない事が嫌いだもの。少なくとも、楽しい一日になる筈よ」

千早「……ちょっと感性がズレているけれど」

伊織「致命的じゃないの……」

【伊織の誕生日3、事務所】

P「伊織、誕生日おめでとう」

伊織「あら、ありがとう」

P「プレゼントなんだが、イヤリングで構わなかったか?」

伊織「そこまで気を遣わなくていいわよ。『大切なのは気持ちだ』って、前に言わなかったかしら?」

P「確かに言ったが、それはあくまで受け取る側の心構えの話だからな」

P「送る側は何をしたって悩むものだ」

伊織「なるほど。それにしても……これ、結構センスいいわね」

P「俺が選んだのだから当然だな」

伊織「それを素面で言えるんだから大したものよね……」

P「ああ、それと」

伊織「何?」

P「もし何か要望があるなら聞いてやるぞ。可能な範囲での話だが」

伊織「へぇ、随分とサービスいいじゃない」

P「誕生日だからな。多少の我儘も許されるだろう」

伊織「うーん……と言われても、すぐには思いつかないわね」

P「いくらでもありそうなものだが」

伊織「お金で買えないものって少ないのよ」

P「確かにな」

伊織「……アンタに同意されると不安になるわね。改めた方がいいかしら」

P「お前達の失礼さ加減はどこから来るんだ……」

伊織「……よし、決めたわ」

P「何だ?」

伊織「アンタが必ず皆をトップアイドルにする事――っていうのはどうかしら?」

P「いいのか?そんな事で」

伊織「『そんな事』と言えるほど簡単ではないと思うけど?」

P「ふん……俺に不可能はないからな」

伊織「それも聞き飽きたわねぇ……もっと他にないの?」

P「そうだな……では、もう一つだけ」

伊織「うん」

P「こう見えて、実は負けず嫌いなんだよ」

P「だから、勝てるまで諦めるつもりはない――というのはどうだ?」

伊織「奇遇ね。私もあっさりと諦めるつもりはないわ」

P「では、改めて……これからもよろしく、伊織」

伊織「ええ。こちらこそよろしくお願いするわ、プロデューサー」

P「……らしくない事をした」

伊織「たまにはいいじゃない」

P「それもそうか。今日は端午の節句な訳だし」

伊織「何か関係あるの?」

P「鯉のぼりって、鯉が滝を登って龍になったという言い伝えが起源らしいからな」

P「これから大成しようと決意するにはいい日だったなと思って」

伊織「にひひっ♪なんたってこの伊織ちゃんの誕生日だもの!当然よね!」

P「うむ。さて、折角だから料理も食べるか」

伊織「あら、気が利くわね。で、何を作ったの?」

P「鯉こくだ」

伊織「……肝心の鯉を切り刻んでどーするのよ!」

P「ごめんなさい!」

伊織、誕生日おめでとう

更新が遅れて申し訳ないです
とりあえず、伊織の誕生日は祝えたので満足

>>751の訂正をします

真美「プレイスレスってところが」

真美「プライスレスってところが」

流石にプレイスレスは不味い。居場所が無いみたい

【亜美と真美の誕生日1、双海宅】

ピピピピピピピッ!

真美「うぅん……うるさぁい……」

バシッ!

真美「ふぁ……ん?」

亜美「んみゅ……兄ちゃんそんなに貰えないってば……んふふ」

真美「おお、我が妹ながらなんと現金な……亜美、ほら起きて」

亜美「んぅ……?」

真美「や、おはよう」

亜美「あ、真美……おはよ」

真美「――そろそろ準備しないと間に合わないよ」

亜美「おー、ホントだ」

真美「着替えはそこね」

亜美「あーい。ふぁあ……顔洗ってくる」

真美「はいはい――そうだ、亜美」

亜美「ん?」

真美「誕生日おめでと」

亜美「ありがとー。真美もおめでとさん」

真美「うん、ありがと」

亜美「そういや真美、起きるの早かったね」

真美「お姉ちゃんですから」

亜美「ほほう、それはそれは……で?」

真美「うん?」

亜美「本音は?」

真美「兄ちゃんからプレゼントは確実だなーと思ったら目が覚めた」

亜美「我が姉ながらなんと現金な……」

真美「それ真美がやったよ」

亜美「しまった!?」

【亜美と真美の誕生日2、事務所】

亜美「兄ちゃんおはよー!今なら絶賛プレゼント受け付け中だよー!」

真美「おはおはー!誕生日を迎え一つ大人になった真美をカツモクせよっ!」

P「ん、二人ともおは――いや、おめでとうが先か?」

亜美「どっちでもいいよ~。プレゼントさえ貰えれば」

P「現金な奴め」

真美「真美達も大人になったって事だよ」

P「……言っては何だが、俺の影響を受けすぎるとロクな事にならんぞ?」

亜美「あ、自覚あったんだね……」

P「自分の事だからな」

P「まあ、それはいいとして……ほら、プレゼント」

亜美「おおっ!ありがとー兄ちゃん!」

真美「ありがとー。ねぇ、開けてもいい?」

P「どうぞ」

亜美「ではお言葉に甘えて……何が出るかな?」

真美「わ……これ新作のゲームじゃん!しかも真美達が欲しかったやつ!」

亜美「ホントだ!何で分かったの?」

P「何でって……そりゃ、簡単だったからだな」

亜美「へ?」

P「この俺の感性を持ってすれば、お前達の欲しい物を当てるなど造作もない」

P「なんと言っても大人だからな。この感性についてこれた事を誇ってもいいぞ」

亜美「あ、あはは……そうだね……」

真美「うん、真美もめちゃくちゃ嬉しいかな……」

P「だろう?さて、そろそろケーキを用意するか。少し待っててくれ」

スタスタ

亜美「……ねぇ、真美」

真美「うん」

亜美「亜美達、成長できてるのかな……?」

真美「いや、自信なくしたかも……」

亜美「だよね……」

真美「うん。一年ぐらいで大人とか、もう口が裂けても言えないよ……」

【亜美と真美の誕生日3、事務所】

P「はぁ……」

律子「どうしたんです?溜息なんて吐いて」

P「律子か。いや、少し思うところがあってな……」

律子「思うところ?」

P「うむ……まあ、亜美と真美の話なんだが……」

律子「また何かイタズラでもされましたか?」

P「ん?されてないぞ」

律子「じゃあ何です?」

P「身長とかを見てると、あいつらも成長したなーと思って」

P「それでちょっと寂しいというか、何というか……そんな感じだ」

律子「ほほう……プロデューサーでもそんな事を考えるんですね」

P「たまにはな。律子だって考えない事はないだろう?もう身長は抜かれてる訳だし」

律子「それは……そうですけど」

P「いずれは俺達の手を必要としなくなるのかと思うとな……嬉しい反面、やはり寂しく感じるものだ」

律子「まあ、分からないでもないですが……あの二人もまだまだじゃないですか?」

P「そう言っているとあっという間に置いていかれるぞ」

律子「うーん……そうなんでしょうか……」

P「あいつらは大人の世界で生きてるからな。成長だって早いだろう」

P「そして俺は用済みに……はぁ……」

律子「いつになくネガティブですね」

P「こればかりはな……気持ちだけはどうしようもない」

律子「まあ、確かにプロデューサーの言う通りかもしれませんが……」

P「ん?」

律子「言ってしまえば、二人を追い越す勢いで成長したらいいだけの話ですよ」

律子「そうすれば、置いていかれる事なんてないですからね」

P「大人には難しいな」

律子「そんな事はないと思いますよ?」

P「何故?」

律子「だって、プロデューサーも子供じゃないですか」

P「……だといいけどな」

律子「そう心配しないでください。私も一緒に頑張りますから」

P「そうか……ありがとうな、律子」

律子「ふふ、どういたしまして」

亜美、真美。誕生日おめでとう

最近サボり気味で申し訳ないです
普通のエピソードも書いていかないと誕生日スレみたいになってしまいますね……

【ある休日16、事務所】

美希「プロデューサー、お願いがあるんだけど」

P「何だ?」

美希「あのね。もし痴漢に遭った時、触られたりしたら嫌でしょ?」

P「そうだな」

美希「だから、それを防ぐトレーニングがしたいの」

P「成程」

美希「という訳で、プロデューサーはセクハラさんの役ね?」

P「誰がセクハラさんだ!大人はそんな姑息な真似などしない!」

美希「そうじゃなくて、あくまで役なの」

P「役でも嫌だ。すまないが、やりたくない事に付き合う趣味はない」

美希「そうなの?」

P「うむ。流されるばかりでは大人とは言えないからな」

P「お前もノーと言える大人になれよ?」

美希「ノー!」

P「そうじゃない!」

美希「むー……じゃあ、どうしたらセクハラしてくれるの?」

P「何だその危ない発言は……」

美希「だって、トレーニングだよ?避難訓練みたいなものなんだよ?」

P「それは……そうかもしれないが」

美希「ミキはプロデューサーを信頼してるからお願いしてるの。駄目?」

P「お前が信頼してくれる事は素直に喜ばしいと思う。だが……」

美希「だが?」

P「俺は軽率に動く訳にはいかないんだ。大人だからな」

P「それに、役だというなら律子でもいいんじゃないか?」

美希「はぁ……プロデューサーは何も分かってないの」

P「ん?」

美希「何事も真実味のある経験が大事なんだよ?この役は律子……さんじゃ無理なの」

P「言いたい事は分かるが、その表現だと俺が真実の変態みたいに思えるな」

美希「違うの?」

P「違うわ!」

美希「まあ、この際それはどうでもいいとして」

P「よくないぞ」

美希「プロデューサーにお願いしたのはそういう訳なの。ね?」

P「ふむ……どうしてもか?」

美希「どうしてもなの」

P「……分かった。少し待っていろ」

美希「うん」

P「――待たせたな。受け取れ」

美希「何これ?」

P「誓約書だ」

美希「内容は?」

P「『俺からの星井美希に対する全ての肉体的接触に関して、一切の訴訟・通報を行わない』というものだ」

美希「もうプロデューサーの名前は書いてあるんだね」

P「ああ。捺印もした。後は――」

美希「ミキだけなの!」

P「と言いたいところだが、お前のご両親にもお願いしたい」

P「それから、社長と音無さんの欄も作ってある。ちゃんと二人からも貰ってくるように」

P「まあ、できれば事務所の人間全員に署名捺印をお願いするべきだと――」

美希「めんどくさいの!」

P「大人の世界は面倒なんだよ……主に保身とかで」

美希「それは聞きたくなかったの……」

【いつもの平日32、事務所】

P「はぁ……」

千早「どうしたんですか?溜息なんて吐いて」

P「千早か……少し悩みがあってな……」

千早「私でよければ相談に乗りますよ?」

P「それはありがたいが……しかし、話していいのか……」

千早「無理にとは言いませんが、もしかしたら名案が浮かぶかもしれません」

千早「いつもお世話になってるんですから、お返しぐらいさせてください」

P「そうか……そうだな。じゃあ、少しだけいいか?」

千早「ええ、どうぞ」

P「実は、その……雪歩の湯呑を壊してしまってな」

千早「萩原さんの?それはまた……大変な事をしましたね」

P「本当にな。はぁ……どうしたものか……」

千早「修理はできないんですか?」

P「既に取りかかっている。俺に不可能はないからな」

千早「だったら――」

P「だが、問題は修理期間だ。湯呑の復元が完了するまで、どうやって雪歩の意識を逸らすべきか……」

千早「……あの、正直に謝ればいいのでは?」

P「駄目だ。『俺が壊した』という事実を知られたくはない」

千早「大丈夫ですよ。誠心誠意謝れば、萩原さんはきっと許して――」

P「……それはできない」

千早「何故です?」

P「とても大切にしていた品らしく『触ったらキレる』と言っていたんだ……」

P「そんな雪歩に謝る?どうやって?」

P「どうやっても無理だろう!?あの雪歩がキレるって相当だぞ!?」

千早「確かに……私も萩原さんが怒っているところは見た事がありませんね……」

P「ああ。だから、俺は咄嗟に『知らない』と言ってしまった」

P「もしかしたら、時間を置く事で多少なりともほとぼりが冷めるのではないかと思っての事だった……」

千早「ダメ男じゃないですか……」

P「そうは言うがな、千早。時間が解決する事もあるんだぞ?」

千早「問題の先送りを『時間が解決する』とは言いません」

P「いつになく厳しいな」

千早「当然です。謝ればいいだけの話なのに――あ」

P「……おい。何だその『あ』は」

千早「いえ……少し思い出した事がありまして」

P「それは俺に関係する事なのか?」

千早「ええ、恐らくは」

P「……何なんだ?」

千早「以前、萩原さんの独り言を聞いたんですけど」

P「どんな?」

千早「えっと、その……『触った――早く処分しないと――』という――」

P「やめろォ!」

千早「あの時は分かりませんでしたが、これは――」

P「だからやめろって言ってるだろ!?」

千早「はぁ……」

P「ヤバい……処分する気なんだ……俺を……!」

P「早急に対策を講じないと……遅きに失すれば、それ即ち死あるのみ――!」

千早「対策って……どうするつもりですか?」

P「知れた事。雪歩に立ち向かい……そして許しを乞うてみせる!」

千早「大人とは思えない情けなさですね……」

P「何事にも全力で取り組む。それが大人だ」

千早「なら全力で謝ってきてください」

【律子の誕生日1、レッスン場】

律子「さてと、揃ってるわね?」

伊織「ええ」

律子「それじゃ、早速――」

亜美「いやいやいや、律っちゃん何か忘れてない?」

律子「え?何かあったかしら……?」

あずさ「ありますよ~」

律子「えーっと……あ、そういえば亜美がまたお菓子を勝手に――」

亜美「ちがぁう!今はそういう話をしてるんじゃないYO!」

律子「そうなの?」

伊織「まあ、今日に限ればね」

あずさ「でも、亜美ちゃんがお菓子をつまみ食いしたのは――」

亜美「……あずさお姉ちゃんもした事あるよね?」

あずさ「勘違いだったわね~、うふふふふ……」

伊織(この二人は……)

伊織「……まあいいわ。話を戻すわよ」

律子「ええ」

伊織「単刀直入に言うけど……律子、誕生日おめでとう」

律子「あ……」

あずさ「その様子だと、やっぱり忘れてたみたいですね」

亜美「ま、律っちゃんは仕事人間ですからなー」

律子「仕事人間って……まあ、そうかもしれないけど」

伊織「誕生日プレゼントも用意してるわ。はい、どうぞ」

律子「ありがとう……開けてもいい?」

あずさ「もちろんです」

律子「それじゃ……」

ガサゴソ

律子「これは――ネックレス?」

あずさ「はい。律子さん、いつもスーツばかりですから」

亜美「見えないところにも気を配るのが、乙女の嗜みっしょー!」

律子「あ、亜美に言われた……」

亜美「ちょっ!?それどういう意味さー!?」

伊織「そういう意味でしょ」

亜美「いおりん酷い!」

あずさ「まあまあ。ところで……どうですか?そのネックレス」

律子「凄く嬉しいです。私の好みにも合ってますし」

亜美「実はそれ、ちゃんとみんなで買っ――むぐっ!?」

伊織「こら、お金の話をしないの」

亜美「――ぷはっ!でもでも、亜美もちゃんと貢献してるんだって言いたくなるじゃん?」

伊織「それでも黙っておくのが大人ってものよ」

亜美「むぅ……しょーがない。言わないでおいてあげ――」

律子「亜美……あなたがそこまで成長してるなんて……」

あずさ「……まあ、口を塞いだところで遅いですよね~」

律子「ぐすっ……ありがとう、みんな……」

律子「特に亜美……あなたにまでお金を出して貰う事になるなんて……もう何と言っていいか……ぐしゅっ」

亜美「あわわわわ……これどーすればいいの!?」

伊織「……知らない。少し席を外すわね」

スタスタ

亜美「ちょっ!?いおりーん!?」

伊織「はぁ……」

あずさ「……拗ねてる?」

伊織「あわぁ!?」

あずさ「ふふ、驚かせたかしら?」

伊織「そりゃ驚くわよ……で、どうしてついてきたの?」

あずさ「伊織ちゃんが拗ねてるかなー、と思って」

伊織「そんな訳――ない、とは言えないかも」

伊織「そりゃ、小さい子が成長してたら気にかけるのは分かるけど……」

あずさ「けど?」

伊織「でも、私だって――って、アンタに愚痴っても仕方ないか……」

伊織「……気を遣わせたわね。そろそろ戻りましょ」

あずさ「…………」

伊織「……あずさ?」

あずさ「伊織ちゃん」

伊織「ん?」

あずさ「それをあの場で言わなかったのは、偉いわね」

なでなで

伊織「……もう。勝手に頭撫でるんじゃないわよ、コラぁ」

あずさ「ふふ、ごめんなさい……行きましょうか」

伊織「ええ」

【律子の誕生日2、事務所】

律子「ただいま戻りました」

P「ん、おかえり律子――あれ?」

律子「どうしました?」

P「いや、目が腫れてるみたいだからな。大丈夫か?」

律子「あはは……まあ、大丈夫です」

P「それならいいが……少し待て。目薬を持ってくる」

スタスタ

律子「あ、そこまでしなくても――って、もう居ないし……」

ガチャッ

小鳥・貴音「ただいま戻りました」

律子「おかえりなさい。二人一緒とは珍しいですね」

貴音「そこで小鳥嬢と会ったものですから」

小鳥「そういう訳です……ん?」

律子「何ですか?」

小鳥「律子さん、目が赤いですね?」

貴音「言われてみれば……何かありましたか?」

律子「いえ、別に言うほどの事では――」

貴音「そういえば、留守はプロデューサーが預かっていましたね」

小鳥「プロデューサーさんが……?あ、まさか――」

コツコツ……

貴音「小鳥嬢!その先は――!」

P「待たせ――」

小鳥「プレゼントに小切手でも渡されました?」

コツッ……カラカラ……←目薬が落ちた

小鳥「あ」

P「俺の……俺の評価って……」

貴音「だから止めましたのに……」

小鳥「ご、ごめんなさい……つい」

貴音「小鳥嬢。プロデューサーが贈り物をお金で済ませるような人物でない事は、過去が証明しております」

貴音「ですから、あまり軽々しく――」

P「確かに候補には入ってたけど、ちゃんと最後には取り消したのに……」

貴音「…………」

P「律子なら資産運用も得意だろうと、先立つものを用意して――」

貴音「プロデューサー。その辺で」

P「どうした?」

貴音「ふぉろーしたわたくしの立場がなくなります。どうか……どうか――!」

P「す、すまない……」

律子「……えーっと、私はなにもされてませんから……ね?」

小鳥「そう……ですね!ここは私が悪かったという事で一つ!」

P「う、うむ!それがいいな!あ、貴音。目薬使うか?」

貴音「プロデューサーは少し反省してください」

P「ごめんなさい……」

【律子の誕生日3、事務所】

P「……さて、紆余曲折あった訳だが」

律子「はい」

P「改めて……律子、誕生日おめでとう」

律子「ありがとうございます」

P「これで晴れて二十歳だな」

律子「そうですね……」

P「浮かない顔だな。どうした?」

律子「いえ、プロデューサーと同じ土俵に立つんだなーと思いまして……」

P「ふむ……何か問題が?」

律子「同じスピードで書類は捌けないですよ?」

P「構わないが」

律子「超人的な事もできませんけど」

P「構わないぞ」

律子「もしかしたら口うるさいだけかも」

P「いいではないか」

律子「……いいんですか?」

P「駄目なのか?」

律子「いや、私に訊かれても困りますけど」

P「ちなみに俺はオールOKだ」

律子「はぁ……こういうところで差を感じさせられますね」

P「うむ。俺も感じるな」

律子「……嫌味ですか?」

P「いや、違うぞ」

律子「じゃあ何です?」

P「こういう謙虚さを持っていたり、自分を顧みたりできる律子は凄いなという事だ」

P「プロデューサーとしても、俺より先に成功しているしな」

P「言わば、律子は俺の目標でもある訳だ」

律子「買い被りすぎですよ。本当は『説教ばかりで鬱陶しい』とか思ってません?」

P「さてな……まあ、一つだけ言えるのは」

律子「はい?」

P「律子に説教されるのは、割と嬉しいって事だな」

律子「……引いていいですか?」

P「いや引くなよ!」

律子「すみません、変態発言かと……」

P「馬鹿を言うな。俺は至って健全だ」

律子「で、嬉しいってどういう意味です?」

P「……少し情けない話だけどな」

律子「はい」

P「まあ、その……律子の事は尊敬してる訳であって」

律子「ふむ」

P「そういう人から説教されると、『ああ、気にかけて貰えてるんだな』と思えるというか」

律子「はぁ……」

P「つまり、そういう事だ」

律子「……一ついいですか?」

P「何だ?」

律子「流石に子供すぎません?」

P「律子から見ればそうなのかもな」

律子「あら、うら若き乙女に何という暴言。訴えますか?」

P「やめてくれ――って、どうして冗談に持っていくんだ」

律子「いや、プロデューサーが真面目な話をするから……」

P「ふむ、要らん癖が移ったか……ご愁傷様」

律子「誰の所為だと思ってるんですか、誰の」

律っちゃん誕生日おめでとうー!
ミリマスの誕生日演出が律っちゃんの時から豪華になったのも何かのご縁かもしれない

誕生日エピソードがしっとりしすぎて変な感じですみません
きっと落差はかなり激しい

【七夕1、事務所】

雪歩「ただいま戻りました」

春香「あ、雪歩。おかえり~」

雪歩「うん、ただいま……春香ちゃん一人?」

春香「そうだよ?誰かに用事?」

雪歩「いや、そういう訳じゃないんだけど」

春香「けど?」

雪歩「小鳥さんまで居ないとは思わなかったから、ちょっとびっくりしちゃって」

春香「確かに小鳥さんはいつも私達を出迎えてくれるよね」

雪歩「うん……いつも」

春香「いつもね」

雪歩「そういえば……いつも事務所に一人なのかな?」

春香「…………」

雪歩「…………」

春香「……労らないとね」

雪歩「だね……」

雪歩「話を戻すけど、どうして小鳥さんまで居ないの?」

春香「あー、それはね」

雪歩「それは?」

春香「プロデューサーさんが買い物しすぎないようにって、一緒に出かけたからかな」

雪歩「…………」

春香「…………」

雪歩「……もっと労らないとだね」

春香「うん……そうだね……」

【七夕2、ショッピングモール】

P「すみません、買い出しに付き合わせてしまって」

小鳥「いえ、構いませんよ。たまには外に出るのもいいものですし。それに……」

P「はい?」

小鳥「ないとは思いますが、大量に笹を買わないか心配だったものですから」

P「えっ?」

小鳥「……うん?」

P「ああ、いや……考えてませんよ?」

小鳥「……考えてましたね?」

P「考えてました……」

小鳥「素直でよろしい」

小鳥「大体、そんなに買っても処分に困るじゃないですか」

P「ああ、それなら大丈夫です」

小鳥「というと?」

P「余ったらパンダにあげれば解決しますよ」

小鳥「……そのパンダはどこに居るんですか?」

P「買えばいいじゃないですか」

小鳥「何でわざわざパンダを買うんですか!」

P「あっ……もしかして、笹を買わなければ万事解決……?」

小鳥「当たり前ですよ!」

P「しまった……全員に行き渡らせる事だけ考えていたもので、つい……」

小鳥「どれだけ短冊飾るつもりですかあなたは……」

P「で、笹はどうしましょう?」

小鳥「それなら律子さんの方で用意して貰ってます。私達は食材を買いましょう」

P「分かりました……しかし、食材ですか」

小鳥「七夕って何を食べるんですかね?」

P「そうめんだと思いますが、なんか弱いですね」

小鳥「弱いですか?じゃあ……天の川そうめんとかどうです?」

P「はい?」

小鳥「織姫と彦星を引き裂くあの川のように、そうめんを流して――」

P「ただの流しそうめんじゃないですか」

小鳥「では、プロデューサーさんと私達で二つに分かれるとかどうでしょう?」

P「なんの嫌がらせですか!」

小鳥「冗談ですよ」

P「む……音無さんこそ、そんな事をしてはただでさえ少ない出会いが――」

小鳥「『少ない』じゃないですよ?ないんです」

小鳥「……ないんですよ」

P「ちょっ……!?元気出してくださいよ!俺が悪者みたいでしょう!?」

小鳥「いいんです。事実ですから……」

P(また地雷を踏んでしまったのか……)

【七夕3、事務所】

真美「あれ?律っちゃん、笹なんて持ってどうしたの?」

律子「どうしたのって……今日は七夕でしょ?」

真美「ありゃ、そだったね。ところで、それ重くないの?兄ちゃんに任せればいいのに」

律子「あの人に任せたら何本の笹を買ってくるか分からないから……」

真美「確かに……」

真美「で、兄ちゃん達は何してるの?」

律子「食材の買い出し。そろそろ帰ってくると思うわよ」

真美「そっか。なら大丈夫だね……ん?」

プルルルル……

真美「律っちゃーん。電話っぽいよー?」

律子「そこの携帯取ってくれる?」

真美「はい」

律子「ありがと……もしもし?」

P『律子か?荷物は屋上に置いといたから、確認しておいてくれ』

律子「え?何故に屋上?」

P『大きかったからな。そこしかスペースがなかったんだ』

P『あと、俺はもう一回買い出しに行くから。それじゃ、よろしく頼む』

律子「えっ……ちょっと待っ――」

ブツッ……

律子「切れた……」

真美「どうしたって?」

律子「屋上に荷物を置いてきたって」

真美「ふぅん。見に行くの?」

律子「ま、一応ね……来る?」

真美「うん、暇だし」

ガチャッ

律子「どれどれ……何を買って――」

律子「…………」

真美「律っちゃん?何かあった?」

律子「あのね?私は笹とか大量に買われても困るからそっちを担当した訳で」

真美「うん」

律子「なのに何で、竹みたいな更に扱いに困るものが増えてるのかしらね?」

真美「……兄ちゃんだから?」

律子「一理ある――いや待つのよ律子。小鳥さんも一緒だった筈……それがどうしてこんな事に……?」

真美「はしゃいじゃったのかな?」

律子「まさか。いい大人が七夕ぐらいで――」

真美「あ、そういえばピヨちゃんで思い出したけど」

律子「何を?」

真美「あれは……3月ぐらい、だったかな?」

真美「確か、ふきのとうの天ぷらを持って事務所をウロウロしてるピヨちゃんを見たような……」

律子「へぇ……それはそれは……」

真美「どしたの?」

律子「なるほどねぇ……」

律子「……もう誰も信じない」

真美「律っちゃん!?大丈夫!?」

【七夕4、事務所・屋上】

伊織「で、流しそうめんになったと」

P「うむ」

伊織「……アンタ、律子のアフターケアしておきなさいよ?」

P「俺が?」

伊織「やっぱりやめておきましょうか」

P「おい、思い直すな」

伊織「いいじゃない。そんな事よりアンタ、もうちょっと多く流しなさいよ」

P「む?割と多めに流しているつもりだが……」

伊織「下流まで届いてないわよ?」

P「まさか――」

貴音「ズルルッ……ふむ?何でしょうか?」

P「……貴音、お前は少し休憩な」

貴音「ああっ、そんなご無体な!」

P「そうめんぐらい後でいくらでも茹でてやるから……な?」

貴音「それでしたら……分かりました。少し席を外しましょう」

P「うむ。無理を言ってすまないな」

貴音「構いません。後ほど、わたくしも無理を言いますので」

P「あ、ああ……そうだな……」

貴音「それでは」

伊織「ふぅ……これで私にも流れてくるわね」

P「…………」

伊織「どうしたの?手が止まってるわよ」

P「いや、貴音が居なくてもお前が根絶したら一緒じゃないかと思って」

伊織「流しそうめんは賢くなくては生き残れない戦場なのよ……悲しいわね」

P「ふむ……確かにそうかもしれないが、俺がそうめんを持ってるって事を忘れてないか?」

伊織「なっ……!?もしかして流さないつもり!?卑怯よ!」

P「やかましい!ここで卑怯を体現してるお前に言われてたまるか!」

伊織「このっ……寄越しなさい!」

スッ

P「ふん……取れるものなら取ってみろ!」

ひょいっ

伊織「あっ、高い――って、大人げないわよ!?」

P「知るか!」

ダッ!

伊織「こら!待ちなさーい!」

ダダッ!

やよい「うぅ……流れてこないです……」

響「プロデューサーがあの調子だしなー……そういえば、予備とかあったよね?」

やよい「給湯室にあったと思いますよ?」

響「……もう自分達で勝手に作るか」

やよい「あっ!私、美味しいそうめんの食べ方知ってますよ!」

響「ホントか?自分もアレンジいっぱいあるんだよね。やよいのも教えてくれる?」

やよい「もちろんですっ!それじゃあ、行きましょー!」

スタスタ……

春香(私達、どこに団結を忘れてきたのかな……)

チュルンッ

春香「……あ、美味しい」

【あずさの誕生日1、事務所】

P「……真、一つ訊きたいんだが」

真「はい?」

P「あずささんの誕生日を祝ってもいいんだろうか?」

真「……はい?」

P「つまり、その……女性が年齢を重ねる事を祝うのは、失礼にあたるのではないかと思ってな」

真「ああ、またそれ系の悩みですか……」

P「何だその『面倒臭いのに捕まったな』みたいな目は」

真「え゛っ?」

P「……実際に面倒なんだな」

真「い、いやっ……そんな事ないです、よ?」

P「分かった。取り繕おうとするだけ傷付くからやめてくれ」

真「そうですか?じゃあ面倒なんですけど――」

P「はっきり言われると余計に傷付くわ!」

真「……あの、ボクもう帰っていいですか?」

P「待って、分かった。もう面倒臭い事しないから帰らないでくれお願い」

真「分かりましたよ……」

P「で、実際どうなんだ?」

真「うーん、まあボクはまだよく分からないんですけど」

P「うむ」

真「そういう風に考えること自体が、既に失礼なんじゃないかなーと」

P「た、確かに……」

真「誕生日なんですから、細かい事は気にしなくていいと思いますよ?」

P「そうだな……分かった。ありがとう、真」

真「いえ、別にいいですよ。慣れましたから」

P「何故そう最後に心を抉ってくるんだ……」

【あずさの誕生日2、事務所】

P「おめでとうございます、あずささん」

あずさ「あら、プロデューサーさん。ありがとうございます~」

P「これ、プレゼントです。好みに合えばいいのですが……」

あずさ「いえいえ、頂けるだけで十分嬉しいですよ。ありがとうございます♪」

P「開けないんですか?」

あずさ「楽しみは後に取っておこうかと思いまして」

P「ふむ……成程」

あずさ「こうした方が、長く誕生日を楽しめますからね」

P「そうですね。大人になると、どうにも時間が早く過ぎるように感じてしまいます」

あずさ「時間ですか……私もいつの間にか22歳になってしまいました」

P「まだまだ若いですよ」

あずさ「でも、ふと思うんです。子供の頃と同じぐらい、毎日を濃密に過ごせているのかって」

あずさ「プロデューサーさんも、気を抜いたら思ったよりも時間が過ぎていたりしませんか?」

P「俺ですか?ない……とは言えませんね」

あずさ「今は充実していますけれど、アイドルとしての限界が来たら――」

あずさ「アイドルを辞めたら、どうなるのかなって……ちょっと思っちゃいます」

P「ふむ……まあ、いつか辞める事にはなると思いますが」

あずさ「はい」

P「あずささんが考えているより、それは遠いかもしれませんよ?」

あずさ「そう……でしょうか」

P「ええ。巷には農作業やら無人島生活をしながらアイドルを続けている人達だって――」

あずさ「あのっ!」

P「はい?」

あずさ「流石にそれは……」

P「ん?ああ……心配しないでください。冗談ですよ」

あずさ(本当かしら……)

【あずさの誕生日3、事務所】

美希「ねぇねぇあずさ、プロデューサーから何を貰ったの?」

あずさ「これだけど、まだ開けてないから分からないわね~」

美希「そうなの?開けちゃえばいいのに」

千早「美希、こういうのは急かすものではないわ」

美希「あ、千早さん」

千早「人には人のペースがあるものよ。あなたなら分かるんじゃないかしら?」

美希「そーいえばそーだね……ごめんね?あずさ」

あずさ「あらあら、気にしてないから大丈夫よ」

千早「しかし、その大きさの箱だと中身はアクセサリでしょうか?」

美希「多分そうだね。あずさがリクエストしたの?」

あずさ「いいえ。私は特に」

美希「えぇー、もったいないなぁ……折角だから土地とか言えばいいのに」

あずさ「駄目よ美希ちゃん。プロデューサーさんは冗談が通じないんだから」

千早「そうですね。もう少し柔軟になって貰えたらと、私も思います」

美希(この二人に言われるって相当なの)

あずささん、誕生日おめでとうございます

いつの間にか800越えてた。更新少なくてすみません

【いつもの平日33、事務所】

P「梅雨っていつの間にか終わってるものなんだな……」

雪歩「梅雨ですか?」

P「ああ――って、雪歩……さんじゃないですか!おはようございます!」

雪歩「へっ?あ、おはようございます……あの、プロデューサー?」

P「何でしょうか?」

雪歩「その『雪歩さん』っていうのは……?」

P「これですか?これはその……け、敬意を表してですね……」

雪歩「はぁ……」

P「それがどうかしましたか?」

雪歩「いえその、違和感あるなぁと思って……普通に呼んで貰えませんか?」

P「し、しかし……」

雪歩「それと敬語も。プロデューサーの方が年上なんですから」

P「分かり――いや分かった。戻そう」

雪歩「ありがとうございます」

P(なんか……罪悪感で死にそう)

P(でも本当の事を言っても死ぬよな……)

雪歩「それで、梅雨の話をしてましたよね?」

P「あ、ああ……なんと言うか、それらしい事をする前に終わってしまったなーと」

雪歩「何かしたかったんですか?」

P「うーん……まあ、紫陽花ぐらいは食べたかったかもしれないな」

P「こう、雪歩のお茶と一緒に」

雪歩「そうですね……機会がなくて残念です」

P「ああいうのは後から食べても風情がないからな。また来年だな」

雪歩「来年かぁ。その時は私も誘ってくださいね?」

P「無論だ」

雪歩『それにしても、プロデューサーって紫陽花とか作れるんですね――』

P『ちょっと興味が湧いてな。その時に――』

貴音「ふむ……」

響「貴音?」

貴音「いえ、何やら面白そうなお話が」

響「紫陽花の話?」

貴音「ええ。わたくしも来年が楽しみに――」

響「あ、先に言っておくけどさ」

貴音「はい?」

響「紫陽花、食べたら絶交だからね」

貴音「何故!?」

響「いやほら……その辺で花を食べるような人には付き合いきれないっていうか……ね?」

貴音「……響。貴女はわたくしが紫陽花を和菓子と知らずに話しているとでも?」

響「え?違うの?」

貴音「違います!」

響「なんだ、貴音の事だからてっきり」

貴音「わたくしのいめぇじとは一体……」

【いつもの平日34、事務所】

亜美「律ちゃーん、暑いー」

律子「我慢しなさい」

亜美「ねぇねぇ、エアコンの温度下げようよー」

律子「残念ながらそれで限界なのよね」

亜美「うえぇぇぇ……溶けるぅ……」

律子「だらしないわねぇ」

亜美「だって暑いし……てゆーか、そろそろエアコン買い代えたりしないの?」

律子「しないわよ。私は大丈夫だもの」

亜美「亜美は大丈夫じゃないっしょー……」

律子「心頭滅却すれば火もまた涼し。修行が足りないわね」

亜美「――とか言って、実は足元にバケツ置いてるの知ってるかんね?」

律子「いやっ……お、置いてないわよ?」

亜美「ホント?それじゃあ、ちょいと椅子を」

ぐいっ

律子「きゃっ!?ちょっと亜美!?零れたらどうしてくれるのよ!」

亜美「零れる?何が?」

律子「えっ……と、その……鱗が?」

亜美「何で!?」

律子「いやほら、驚きでね?目からね?」

亜美「そういう驚きじゃないじゃん……流石に苦しすぎっしょ……」

律子「そうね……って、遊んでないで台本の予習でもしてきなさい!」

亜美「はいはーい。はぁ……疲れる……」

律子「それはこっちの台詞よ……」

律子「まったく……私だって暇じゃ――」

くいっ

律子「ひゃっ!?もー!こら亜美!いい加減にしないと――」

くるっ

あずさ「えーっと……」

律子「って、あずささん?」

あずさ「はい~」

律子「どうしましたか?何か用事でも?」

あずさ「いえその……特に用事はないんですけど」

律子「じゃあ何です?」

あずさ「えっと……亜美ちゃんみたいに構って欲しいなぁ、なんて」

律子「……この暑さに頭でもやられましたか?」

あずさ「やられてませんっ!」

【いつもの平日35、事務所】

P「夏と言えば風鈴も――」

雪歩「それで、縁側でお茶を啜ったり――」

千早「ただいま戻りました」

P「ん、おかえり」

雪歩「おかえりなさい、千早ちゃん」

千早「二人でお話ですか?」

P「ああ、まあな」

千早「そうですか。よかった、和解できたんですね」

P「ち、千早!?それはまだ――」

雪歩「和解……って、何の話ですか?」

P「あぁ、終わった……何もかもが……」

千早「まだ話もしてなかったんですか……」

雪歩「あの……千早ちゃん?話が見えないんだけど……」

千早「そうね。それはプロデューサーから話して貰いましょうか。どうぞ?」

P「いやまあ……そろそろかなーとは思ってたんだよ、うん」

P「でも名案が浮かばなかった訳で……」

千早「名案?何の?」

P「どうやったら折り合いがつくかなって……ね?」

雪歩「折り合い?」

P「ほら、俺も一人の大人として、折り合いをつけないと駄目な訳で」

P「だから何とか折り合いのつくところで折り合いをつけさせて貰おうとしたんだけど」

P「これは俺がプロデューサーとして活動させて欲しい事もあって、だからこそ折り合いを――」

千早「プロデューサー。机をコンコン叩くのやめて貰えますか?」

P「あっ、すみません」

雪歩「それで、結局どういう事なのかな……?」

P「えっと、その――湯呑を割って申し訳ございませんでした!」

雪歩「……え?」

P「いや、雪歩の湯呑が無くなってた事があっただろう?」

雪歩「あ、はい」

P「あれは俺が割ってしまったから、修理の為に持って帰った所為なんだ」

P「で、いつ謝罪しようか迷っていたら……」

千早「こんな時期になってしまったと」

P「その通りです……」

雪歩「そうだったんですか……じゃあ、私に敬語で話してたのも」

千早「萩原さんの機嫌を損ねると殺されると思ってたみたいね」

雪歩「何で!?」

P「それは『湯呑に触ったら処分しないと』って話を千早が……」

雪歩「そんな事は言ってないと思いますけど……それと」

P「ん?」

雪歩「あの湯呑、元から少し割れてました」

P「……はい?」

雪歩「多分、千早ちゃんは『触ったら危ないから処分しないと』ってところを聞いたんじゃないかなぁ?」

千早「……言われてみればそんな気もしてきたわね」

P「おい待て。なんてややこしい情報を伝えてくれたんだお前は」

千早「でも『湯呑に触ったら萩原さんがキレる』と言っていたのはプロデューサーじゃないですか」

P「いや、確かにそれはそうだが……」

雪歩「あの……それも『指が切れちゃう』って事だと思います……」

P「なん……だと……」

千早「勘違いも甚だしいですね」

P「うぐっ……反論できん……」

雪歩「いえ、私も主語を省略してましたから……すみません」

P「俺も湯呑を勝手に持ち帰ったりしてすまなかった。一応、修理は終わったから返しておくよ」

雪歩「ありがとうございます。こんな綺麗に……」

P「いや、隠し事をしてた訳だし、お礼を言われると恐縮なんだが……」

雪歩「そう……ですね。それだけは、ちょっぴり怒ってます」

P「嘘!?」

雪歩「本当です。私って、そんなに信用ないですか?」

P「いやそれは……」

雪歩「別に、湯呑は壊れてもいいんです。それは買い直せばいいんですから。でも……」

P「でも?」

雪歩「隠し事をしたら、信用が壊れちゃうじゃないですか。私は、そんなの嫌です」

P「そうか……信用は買い直せないもんな……」

千早(えっ、今更?)

雪歩「はい。だから、隠し事はしないって約束して欲しいんです。駄目、ですか?」

P「いや、駄目じゃない。約束だ」

雪歩「――やったぁ!絶対ですよ!」

P「ああ、勿論」

雪歩「それじゃあ、この話はお終いです。それで、お茶の話に戻りますけど――」

P「ふむ――」

千早(この人、もう萩原さんに頭が上がらないんじゃないかしら……)

【いつもの平日36、事務所】

伊織「ただいま……って、美希。アンタなんつー格好で寝てるのよ」

美希「むぇー。おかえり、でこちゃん」

伊織「でこちゃん言うな。そして、その下着が見えてるのをなんとかしなさい」

美希「えぇー……いいでしょ、暑いし」

伊織「よくないわよ。アイツが帰ってきたらどうするの?」

美希「どうもしないよ?」

伊織「しなさいよ!」

美希「でこちゃんうるさいの……室温上がっちゃう」

伊織「上がらないわよ!」

伊織「真面目な話、そんな姿を見せるのはよろしくないんじゃないかしら?」

美希「大丈夫大丈夫、ミキに興味ないから」

伊織「意外な性的嗜好とか持ってたら危ないでしょ」

美希「胸以外に何かあるの?」

伊織「それは……太ももとか?」

美希「太もものバーゲンセールやってるような小鳥が居るのに何ともないよ?」

伊織「うなじとか」

美希「律子……さんがいつもしてるの」

伊織「お腹は?」

美希「響も大概だよね」

伊織「……うちの事務所ってヤバくないかしら」

美希「気にしても仕方ないの。でこちゃんも脱ぐ?」

伊織「脱がないわよ!」

美希「そうなの?北風と太陽のお話からして、でこちゃん脱ぎ癖あると思ったんだけど」

伊織「どこ見て言ってんのよコラ」

【いつもの平日37、事務所】

真「非常に暑い、という訳で」

春香「何かするの?」

真「怪談でもしようかなと」

やよい「怪談ですか?」

春香「真って怖い話とか苦手じゃなかったっけ?」

真「まあまあ聞いてみてよ。二人とも怖がらせてあげるからさ」

やよい「お願いしますー!」

春香「やよい、それちょっと違う……」

真「夜の話なんだけどさ」

春香「そりゃ夜だろうね」

真「春香、うるさいよ」

春香「はーい」

真「人気のない道を車で帰っていた時に――」

やよい「夜は人の多い場所を選ばないと駄目ですよ?」

真「そ、そういうお話だから……こほんっ!」

真「車の窓をペタペタと叩く音がしたんだよ」

真「それで、家に帰って窓を見ると、人の手形のようなモノが……」

やよい「手洗いうがいは大事で――春香さん?」

春香「ちょっと可哀想だから静かにしよう?ね?」

やよい「分かりましたー!」

真「……あの、続けていい?」

春香「どうぞ?」

真「汚れが気になった車の主は、窓を拭いたんだけど……」

真「一つだけ落ちない汚れがあってね……?」

真「なんと、窓の内側にあったんだよ……!」

春香「はぁ……」

真「何その気の抜けたリアクションは」

春香「いやだって、それ有名すぎて怖くないような……」

真「うそぉ!?ボクめちゃくちゃ怖かったのに!?」

春香「しかも伊織が一回話してたし」

やよい「あのー、これってどこが怖いんですか?」

真「えーっとね。この落ちない汚れのところなんだけど……」

やよい「あっ!落ちない汚れには激落ち――」

春香「やよい、それ以上はやめてあげて。真の気持ちが激落ちくんになっちゃうから」

真「……ボク泣いていいかな」

【いつもの平日38、事務所】

真美「ピヨちゃんは怪談に混ざらないの?」

小鳥「うーん、参加したいところだけどお仕事が……」

真美「机から離れらんない?」

小鳥「そうなのよ……」

真美「じゃあ、真美が話してあげよーか?」

小鳥「真美ちゃんが?何か持ちネタあるの?」

真美「まあね。こう見えて、怪談をさせたら右に出る者なしと言われた女よ!」

小鳥「ふふ、じゃあお願いしようかな」

真美「お任せあれ~」

真美「ピヨちゃんが主人公なんだけどね」

小鳥「あら、そうなの?」

真美「うん。それである日、親から電話が掛かってきたんだ」

真美「曰く『年末ぐらい帰ってきなさい』と」

小鳥「まあ確かにね」

真美「そこでピヨちゃんは久し振りに実家に帰ることにしたんだけど……」

小鳥「うんうん」

真美「なんと!そこには結婚を終えた同級生の姿がずらりと――」

小鳥「いやあああぁぁぁぁぁぁ!」

真美「どう?すっごく怖いっしょ?」

小鳥「真美ちゃん、怪談ってそういうのと違う……ひぐっ……」

【いつもの平日39、事務所】

貴音「――という事がありまして」

P「それは普段の行いが悪いからではないか?」

貴音「納得いきません。わたくしが花を食べるなど……どんないめぇじですか!」

P「そんなイメージなんだろうな」

貴音「投げやりですね?」

P「いや、愚痴が言いたいなら聞いてやるが。用はそれだけなのか?」

貴音「いえ……一つ、プロデューサーに頼み事が」

P「ふむ?」

貴音「実は、響に何かしら仕返しをしたいのです」

P「案はあるのか?」

貴音「わたくしが最も怖いと思うものにしようかと」

P「断食か……何秒にする?」

貴音「……あなた様はわたくしの事がお嫌いなのですね?」

P「冗談だ。で、本当のところは怪談か?」

貴音「は、はい……」

P「単語を聞いただけで震えてどうする……」

P「で、響を怖がらせる話がしたいと」

貴音「はい。何かご存知でしょうか?」

P「うーん……まあ、知らない事もないが」

貴音「真ですか!?では、それを是非――」

P「ああ、貴音が話せるように教えてやろう」

貴音「……え?」

P「これは、ある動物好きな少女の話なんだが――」

貴音「すみません急用を思い出しまして」

ダッ!

P「まあ待て」

ガシッ!

貴音「嫌です!放してくださいまし!」

P「人が協力しようというのにお前が聞かないでどうする。ほら、続きを――」

貴音「お待ちください!他にも手はあります!」

P「どんな?」

貴音「ほ、ほら……プロデューサーが代理で話せばよいではないですか」

P「『よいではないですか』って……俺にも予定が――」

貴音「……!……!」←必死

P「……仕方ないな」

貴音「あ、ありがとうございます!」

【いつもの平日40、事務所】

亜美「あれ?兄ちゃんとお姫ちんって変わってないんだ」

雪歩「変わってないって?」

亜美「いや、エイプリルフールのゴタゴタでお弁当作らなくなって」

亜美「それでちょっとはギクシャクしてるかなとか思ってたんだけど……大丈夫っぽいね」

雪歩「あ、あはは……まあ、割とあっさり解決してたからね」

亜美「あれ?ゆきぴょん何か知ってるの?」

雪歩「知ってるというか、なんと言うか……当事者?」

亜美「そうなの?」

雪歩「うん。実は――」

――――――――――――――――――――――――――――――

P「……しまった」

雪歩「どうしたんですか?」

P「いや、弁当を二つ作ってしまってな……」

雪歩「二つですか?」

P「うむ。つい癖で――待てよ?」

P「よくよく考えてみたら今日は……うん」

雪歩「あの、プロデューサー?」

P「雪歩。よければそれを食べてやってくれ」

雪歩「へ?あ、はい」

P「それじゃ、俺は営業に行ってくる」

雪歩「……じゃなくて、私も――!」

ガチャン

雪歩「お弁当があるん……ですけど……」

雪歩「……どうしよう、これ」

――――――――――――――――――――――――――――――

亜美「ゆきぴょん、何してんのさ……」

雪歩「いや、いきなりだったからつい貰っちゃって……」

亜美「まあいいや。それで?」

雪歩「えっと……スケジュールを確認したら、その日は四条さんと一緒でね」

亜美「うん」

雪歩「だから――」

――――――――――――――――――――――――――――――
【昼、楽屋】

雪歩「四条さん、お疲れ様です」

貴音「ええ、雪歩も」

雪歩「そろそろお昼ですね」

貴音「はい。ですので、わたくしは少し席を――」

雪歩「あれ?四条さんって、お弁当を持ってきてたんじゃ……?」

貴音「それが、紆余曲折ありまして……今日は外食の予定です」

雪歩「そうなんですか……あ、そうだ。ちょっと待ってくださいね。えーと……」

ガサゴソ

貴音「雪歩?」

雪歩「ありました。はい、四条さんどうぞ」

貴音「これは?」

雪歩「実はプロデューサーが余らせちゃったらしいんですけど、私はほら……持ってますから」

貴音「……成程。しかし、よいのですか?」

雪歩「何がです?」

貴音「これは雪歩が受け取った物。わたくしが食してよいのかと……」

雪歩「いいんです。きっと、そうなるべきですし」

貴音「そうなるべき、とは?」

雪歩「あ、いえ!何でもないです!さ、食べましょう」

貴音「え?ええ……それでは、ありがたく頂きます」

――――――――――――――――――――――――――――――

亜美「あげちゃったの?」

雪歩「うん。どうせ私一人じゃ食べきれないし……それに」

亜美「それに?」

雪歩「多分、プロデューサーは四条さんに渡して欲しかったんだと思うんだ」

亜美「あー……言われてみれば。それで、お弁当はどうしたの?」

雪歩「私が預かったよ。一応、プロデューサーは私にくれた訳だし」

亜美「で、洗ってから返したと?」

雪歩「うん」

亜美「……それだけ?」

雪歩「それだけって?」

亜美「ほら、何かもっと面白い事あったりしないの?」

雪歩「うーん、面白いかどうかは分からないけど……」

亜美「うんうん」

雪歩「お弁当の包みに、見憶えのない紙が挟まっててね」

亜美「紙?」

雪歩「うん。で、不思議に思って開いてみたら、中に――」


『真、美味しゅうございました。萩原雪歩より』


雪歩「って、物凄く達筆な字で書かれてたの」

亜美「お姫ちん、そこは誤魔化さなくてもいいんじゃないの……」

亜美「というか、ゆきぴょんはそれも兄ちゃんに渡したの?」

雪歩「渡したよ?」

亜美「どうだった?」

雪歩「ちょっとにやけてた……かな?」

亜美「……めんどくさいね、二人とも」

雪歩「それで仲直りできたみたいだし、私は気にしてないよ」

亜美(面倒見いいなぁ……)

【いつもの平日41、事務所】

P「そういう訳で、響に来て貰ったんだが」

響「はぁ……」

P「準備はいいか?」

貴音「ひぃっ……!?」

ギュウッ!

響「貴音、近いぞ。あと暑い……」

貴音「そそそそんな事を言われましても」

カチカチカチカチ

響「耳元で歯の音が……ねぇ、これ何の罰ゲームなの?」

P「始めるぞ」

響(うわぁ、凄くめんどくさそう……)

P「ある動物好きな少女の話だ。彼女は多くの動物と一緒に暮らしていた」

響「自分みたいだな」

P「その名前を響と言う」

響「何でさ!?」

P「身近な方がいいと思って。続けるぞ」

響「ああ、うん……どうぞ?」

P「少女は――というか響は、動物たちと遊んでいる時、ふとこう思ったんだ」

P「『自分も皆と同じ目線になりたい』と」

貴音「ひぃぃぃぃ!?」

響「うるさっ!っていうかまだ何も怖くないし!」

貴音「そ、そう言われましても……」

ガタガタ

響「……何で貴音は付いてきちゃったんだ?」

P「そうしないとお前の怖がるところが見れないからだろう」

響「あっそう……」

P「続けるぞ?」

響「うん」

P「そう思ってから数日後、自宅に不思議な小包が届いたんだ」

響「小包?」

P「うむ。中に入っていたのは、大小二つの首輪だった」

P「一つは人でも付けられるような大きさのもの。もう一つは小さな動物用のもの」

P「響は興味本位でその首輪を付けてみたんだ。すると……」

貴音「あ、あぁ……!あぁ……!」

P「身体が小さくなってしまったんだ。動物たちと同じぐらいにな」

貴音「ひぅ……!」

響「まだ小さくなっただけだってば……」

貴音「も、申し訳ありません……取り乱しました」

P「貴音もいい加減に慣れろ。さて、小さくなった響は念願叶って動物たちと遊び倒した」

響「おお!それは楽しそうだぞ!」

P「だろう?ところで、遊べば自然と腹が空く訳だが」

響「うんうん」

P「小さいままでは料理ができない。そこで、あの首輪が目に付いた」

貴音「ひとりでに目に貼り付いたのですか!?」

P「落ち着け貴音。誰もそんな事は言っていない」

貴音「し、失礼しました」

響「ホント何しにきたの貴音……」

P「次行くぞ」

響「はーい」

P「『これを付ければ元に戻れるのではないか』と思ったんだな。響はそれを装着した」

P「すると、みるみる身体は元通りになったんだ。ただし……」

響「た、ただし……?」

P「……首輪の大きさは、そのままに」

響「ひっ――」

貴音「いやあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

貴音「なりませんなりません!そのような事があっては……あぁ!」

貴音「響!首は大丈夫なのですか!?」

響「えっ……だ、大丈夫だけど」

貴音「そ、それはよかった……」

P「どうだ?なかなか怖かっただろう?」

響「いや……正直、貴音の所為で驚きのポイント逃したというか……」

響「なんか、すっごいモヤモヤするぞ……」

P「まあいいんじゃないか、モヤモヤしたのが仕返しって事で」

響「適当すぎない!?」

P「貴音のケアは任せた。では、俺は仕事に戻るぞ」

スタスタ

響「ケアって……」

貴音「ひ、響の首がころりと……おむすびころりんのようにコロコロと……ひぃ……!」

響(これのアフターケアをするのか……こっちの方がよっぽど仕返しみたいだぞ……)

【真の誕生日1、事務所】

P「音無さん、少しお訊きしたい事が」

小鳥「何ですか?」

P「実用品と嗜好品、音無さんならどちらを選びます?」

小鳥「そうですねー……両方、とかいうのはナシですか?」

P「両方ですか?」

小鳥「はい。できるならそっちの方が二倍ハッピーかなー、なんて」

P「成程……分かりました、行ってきます」

小鳥「え?行くって――」

P「それでは」

バタン

小鳥「どこへ……」

ガチャッ

亜美「ただいまー。はぁ、やっぱりまだ暑いなー」

亜美「あ、ピヨちゃん。居るなら返事ぐらいしてよー」

小鳥「へ?あ、ああ……おかえり、亜美ちゃん」

亜美「どしたのボーっとして。風邪?」

小鳥「いいえ、大丈夫よ」

亜美「だったらいいけど。そういや、さっき笑顔の兄ちゃんとすれ違ったよ」

小鳥「笑顔?」

亜美「うん。悩み事がお金で解決した時の顔してた」

小鳥(しまった……)

【真の誕生日2、ファンシーショップ】

真「このぬいぐるみいいなぁ……いやでも、こっちもなかなか……」

真「お、あそこのヤツもよさそう――よっ」

真「……届かない」

スッ

???「どうぞ」

真「あ、ありがとうございます――って、プロデューサー?」

P「ん?なんだ真か。気づかなかったぞ」

真「まあ、一応は変装してますから」

P「そういえばそうだな。しかし、誕生日にファンシーショップ巡りとは……」

真「何か?」

P「いや、真らしいなと思っただけだ」

真「というか、プロデューサーこそどうしてここに?」

P「お前の誕生日プレゼントを買いに来た」

真「……それ、本人の目の前で言う事ですか?」

P「構わんだろう。相手を祝う事が大切なんだからな」

真「おおっ!なんかプロデューサーが大人っぽ――」

P「と、真美が言っていた」

真「台無しですよ!」

P「しかし……もう買いたいモノは決まっているみたいだな」

真「はい。これ、気に入っちゃいました」

P「折角だ。俺が出そう」

真「プレゼントって事ですか?」

P「うむ」

真「うーん……それじゃ、お言葉に甘えて――」

P「ふむ……」

真「あの、プロデューサー?何見てるんですか?」

P「うん?ああ、向こうにスポーツショップがあったよなーと」

真「ありますけど、どうしたんですか?」

P「後で寄ろうと思ってな。まずはここの支払いを……」

真「まず?それって、もしかして……」

P「無論、後の買い物にも付き合って貰うぞ。何せ誕生日祝いを買うんだからな」

真「いやいやいや!二つも貰うのは悪いですよ!」

P「だが……二つ貰えば二倍ハッピーだと」

真「誰が?」

P「音無さんが」

真(小鳥さああぁぁぁん!)

P「という訳だ。払わせてくれ」

真「えーっと……その、やっぱり悪いですって」

P「そうか……いや、無理強いする事ではなかったな。すまない」

真「あ、ちょっと待ってください!こうしませんか?」

P「ん?」

真「ボクの財布には、今日の買い物で使うお金が入ってるんです」

P「だろうな」

真「それが日の目を見ないのは、お金が可哀想ですよね?」

P「うむ」

真「なので、向こうではプロデューサーが選んだ物の代金をボクが出します。どうですか?」

P「いいではないか。では、早速レジへ――」

真「あ、ここはプロデューサー払いなので、ボクはもう一段グレード高いの持ってきますね」

P「真さん!?」

真「冗談ですよ」

【真の誕生日3、事務所】

真「そういえばボクって」

雪歩「ん?」

真「いつまで『ボク』なんだろう?」

雪歩「えっと……ポエムの話?」

真「違うよ!」

雪歩「そうなの?」

真「そうなの」

雪歩「じゃあ、どういう?」

真「いやさ。そろそろ一人称を変えた方がいいかなと思って」

雪歩「一人称って言うと、『ボク』を変えたいって事?」

真「うん。大人になると矯正は難しそうだし……ほら、ね?」

雪歩「ああうん……言いたい事は何となく分かるよ……」

雪歩「それで、直すとしたらやっぱり『私』なのかな?」

真「かな?とりあえず練習してみよう」

雪歩「練習?」

真「うん。丁度いい時間だし……雪歩」

雪歩「はい?」

真「ボク――いや、そろそろ私とレッスンに行こうか?」

雪歩「…………」

真「雪歩?」

雪歩「か――」

真「か?」

雪歩「カッコいい……」

真「何でさ!?」

真、誕生日おめでとう

ギリギリで間に合ってよかった……

面白いから続けてほしいがこのまま書いていって残りのレス数的に足りるの?
もし足りないなら次スレに

>>75
すげー今さらですが、これ穀潰しの間違い?

【いつもの平日42、事務所】

やよい「うーん……」

真美「どしたの、やよいっち?」

やよい「あ、真美」

真美「何か悩み事?」

やよい「うん。実は、学校で道徳の授業があったんだけど」

真美「ふむふむ」

やよい「『尊敬する人は誰?』みたいな内容で、ちょっと困ってて……」

真美「ふむん……お父さんとか書いとけばいいんじゃないの?」

やよい「え?こういうのって歴史上の偉人?とか書くんじゃないの?」

真美「いやいや、そんな事はないっしょー。自分が尊敬してるなら誰だっていい訳じゃん?」

真美「それこそ、兄ちゃんって書くのもアリだし」

やよい「え?プロデューサー?」

真美「うん。身近な大人の一人だし、候補としてはアリじゃない?」

やよい「うーん、確かにプロデューサーは凄い人だけど……」

真美「けど?」

やよい「尊敬するっていうのは、なんだか違うかなーって」

真美「……あー、そうだね」

真美「ねぇ、やよいっち」

やよい「ん?」

真美「それ、兄ちゃんの前では言わないようにね?」

やよい「へ?う、うん。分かった」

真美「ま、とりあえず教科書とかから適当に――」

やよい「なるほど、そうすればよかった――」

P「…………」

千早「…………」

P「…………」

千早「……ハンカチ、要ります?」

P「うん……」

【いつもの平日43、事務所】

貴音「プロデューサー、少しよろしいですか?」

P「どうした?」

貴音「その……非常に厚かましい事なのですが」

P「構わないぞ」

貴音「それでは……以前から二度ほど、わたくしと約束した事を憶えておいででしょうか?」

P「ふむ、約束か。憶えているぞ」

貴音「でしたら後日、わたくしにお付き合い頂きたく思います。いかがでしょう?」

P「そうだな。あれから間も空いてしまったし、いい頃合いだろう」

貴音「なんと。ありがとうございます」

P「いや、こちらこそ対応が遅れてしまってすまないな」

貴音「いえ、憶えて頂けていただけで十分です。では、失礼します」

P「ああ」

スタスタ……バタン

P「さて、どうするかな」

律子「……スキャンダルは勘弁ですよ?」

P「律子か。それは大丈夫だと思うぞ」

律子「だといいんですけど」

P「俺が信じられないのか?」

律子「割と?」

P「だろうな……」

律子「ま、何だかんだ上手くやるだろうとは思ってますよ」

P「一言目にそう言ってくれないものかな」

律子「なら素行を見直すしかないですね」

P「ちなみに、見直した結果がアレだと言ったらどうなる?」

律子「いつも通りですねとしか」

P「本当、お前もいつも通り厳しいな……」

律子「優しくして欲しいんですか?」

P「……どうだろうな?」

律子「反応に困りますよそれ」

【小鳥の誕生日1、事務所】

小鳥「ただいま戻り――あら?」

P「おかえりなさい、音無さん」

小鳥「ええ。あの、何やらいい匂いがしますけど、どうしたんですか?」

P「これですか?これは今日のお祝い用に……」

小鳥「お祝い……って、何かありましたっけ?」

P「何かって、音無さんの誕生日じゃないですか」

小鳥「ああ、私の誕生――はい!?」

P「え?何か驚く事が?」

小鳥「いえその……私、誕生日とか教えましたっけ?」

P「それはほら、社員名簿に載ってますので」

小鳥「あー、なるほど……」

小鳥「それにしても、わざわざ私の誕生日を祝って貰えるとは……」

P「嫌ですか?」

小鳥「い、いいえ全然!でも、何でかなって……少し思いまして」

P「何でとは?」

小鳥「だって、私なんてただの同僚じゃないですか」

P「同僚だからこそ、機嫌を取――ではなく……た、大切に扱うべきですよ!」

小鳥「……プロデューサーさ~ん?」

P「すみません、つい半分本音が……」

小鳥「ふぅん……もう半分は?」

P「その……音無さんの喜ぶ顔が見れたら嬉しいな、と……」

小鳥「…………」

P「あの……やっぱり怒ってますか?」

小鳥「ふふ……いえ、そんな事はないですよ?プロデューサーさんらしいなと思っただけです」

P「俺らしい?」

小鳥「はい。プロデューサーさんの半分が打算で出来てるのは分かってますし」

P「そんな不名誉なキャッチコピーが……」

小鳥「ちなみにもう半分はエゴで――」

P「音無さん!?」

小鳥「冗談です。ちょっと仕返しです」

P「そ、そうですか……よかった……」

小鳥「さてと。こんな事は余所で言っちゃ駄目ですよ?」

P「も、勿論です!音無さんにしか言いません!」

小鳥「私にも言っちゃ駄目な・ん・で・す!分かりましたか?」

P「重ね重ね申し訳ありません……」

【小鳥の誕生日2、事務所】

小鳥「という事があって――はむ」

伊織「それはまた、何ともいつも通りね――あむ」

小鳥「まあね。とはいえ、何だかんだ祝って貰える訳だし嬉しいのも本当なんだけど」

伊織「あら意外。てっきり『誕生日は敵だー』とか言うと思ってたわ」

小鳥「伊織ちゃ~ん?」

伊織「おっと……これは失言だったわね」

小鳥「今日は失言ばっかり聞いてる気がするわ……」

伊織「悪かったわよ……でもまあ、アイツだってそれなりに悩んでるとは思うけど」

小鳥「何に?」

伊織「ほら、ローソクの本数とか――」

小鳥「……伊織ちゃん?」

伊織「ご、ごめんなさい!」

伊織「真面目な話、年を重ねるのが嫌って人も居るだろうし難しいと思うのよ」

小鳥「そうね……伊織ちゃんの肌とか見てると羨ましくなるし」

伊織「……どこ見てんのよ」

小鳥「あ、ごめんね?つい……」

伊織「アンタも他人の事は言えないわよね……」

小鳥「すみません……」

伊織「ところでローソクの話に戻るんだけど」

小鳥「戻るの!?」

伊織「ケーキに立てるんだから先に話しておかないと」

小鳥「先に話す……?」

伊織「ここに二本の太いローソクがあるわよね?」

小鳥「ええ」

伊織「これはまあ、アンタが『2X歳』って言ってる『2』に相当する訳よ」

小鳥「そうね」

伊織「問題はここからなんだけど……『X』の部分をどうするかって事で非常に悩んだらしいわ」

小鳥「変なところで律義なのね……」

伊織「バカだからね」

P『うるさいぞ伊織!』

伊織「あ、聞こえてた」

小鳥「給湯室に居るのに地獄耳ね……」

伊織「さておき、アイツは『X』をローマ数字の『10』として捉えようと思ったらしい……のだけど」

小鳥「うんうん」

伊織「それは流石に不味いんじゃないだろうかと考え直したみたいで……その、これ」

スッ……

小鳥「……これは?」

伊織「『同じローソクなら太いも細いも変わらないよな?な!?』と、細いローソクを一本買ったの」

伊織「そういう訳で、バースデーソングの時は『21歳の誕生日おめでとう』になるから。合わせなさいよ?」

小鳥「何だか申し訳なくなってきたわ……」

【小鳥の誕生日3、居酒屋】

あずさ「それでは~小鳥さんの誕生日を祝しまして~♪」

三人「かんぱーい!」

小鳥「んくんく……ぷはぁ。やっぱりこれが無いと駄目ですね」

P「事務所でも食べたでしょうに、よく入りますね」

あずさ「お酒は別腹ですよね、小鳥さん♪」

小鳥「はい♪というか、あずささんが既に出来上がってるんですけど……」

P「未成年の居る場だとこうはいきませんしね。まあ、仕方ないかなと」

あずさ「小鳥さんは今年で21歳なんですよね~。じゃあ小鳥ちゃんって呼んじゃおうかしら♪」

小鳥「まだ引っ張りますか……」

P「一応、今日に限ってはあずささんの方が年上と言う事に」

小鳥「なんて不安になる年上なのかしら……」

P「というか、俺も音無さんより年上になりますね」

小鳥「プロデューサーさんが年上、ですか」

P「何か思うところでも?」

小鳥「いえその、頼りになるような、ならないよう――わぷっ!?」

あずさ「いぇ~い♪小鳥ちゃんノッてる~?」

ぎゅむぎゅむ

小鳥「あずささっ――!?あの、胸で息が……!それに、そんなに暴れたら零れ――」

あずさ「何が零れるのかしら~♪うふふ♪」

小鳥「何だかおっさん臭い!」

P「あ、すみませーん。追加でこれとこれをお願いします」

店員「承りました~」

小鳥「プロデューサーさんも止めてくださいよ!」

P「え?楽しい事に水を差すような真似はしませんよ?」

小鳥(この二人が本当に年上じゃなくてよかった……)

小鳥さん、誕生日おめでとうございます

>>905
できればこのスレ内で畳みたいと思っています
次スレを有効活用できるほど書けないと思いますので

>>907
暇潰しに名前を略して遊ぶか、という意味です。ややしかったですかね

「2」なら「2」の蝋燭と「x」の蝋燭を用意したら・・・あと響の誕生日が忘れられてるのが切ない

ミスった
「2x」歳なら「2」の蝋燭と「x」の蝋燭を用意したらと思ったがxの蝋燭はあるのか?

【いつもの平日44、事務所】

真美「ねぇ、兄ちゃん」

P「ん?」

真美「はるるんから聞いたんだけど」

P「何を?」

真美「ひびきんと一緒にお菓子作りするんだよね?」

P「そのつもりだが」

真美「……いいの?」

P「どういう意味だ?」

真美「もし仮に、はるるんに勝ったとして……兄ちゃんは納得できるの?」

P「勝ちは勝ちだ。それ以上でも以下でもない」

P「重要なのは結果だ。過程に拘って好機を逃すなど、三流のやる事だぞ」

真美「そう……なのかな?」

P「うん?」

真美「だって、その方法ではるるんに勝っても……兄ちゃんのお菓子が0.8はるるんである事に変わりはないんだよ?」

P「それは――!」

真美「大人って、そんなものだったの?」

真美「自分のスキルを磨かないで、人に助けて貰う事が大人だったの?」

P「……自分の欠点を把握し、最善の策で以って困難に臨む。それが大人だ」

真美「うん、それも大人だと思う……でも、真美が見てきた兄ちゃんはそうじゃないよ」

P「真美が見てきた俺……?」

真美「そう。どんなに難しい事があっても、諦めないで立ち向かう……」

真美「それが『兄ちゃん』っていう大人の姿だって、ずっと思ってた」

P「真美……」

真美「けど、真美の勘違いだったみたい。ごめんね、兄ちゃん。無茶なお願い――」

P「……見くびるなよ」

真美「え……?」

P「俺がいつ、一人じゃできないと言った?」

真美「さっき言ってたよ?」

P「あれは春香の計略に乗ってやっただけだ」

真美「いや、完全にやる気満々だったじゃん」

P「演技だ」

真美「あ、そう……」

P「春香め……俺の相手が面倒だからといって、こんな方法であしらうつもりだったとはな……」

P「俺に『実力で勝った』と錯覚させ、自らは敗北を演じる」

P「試合に負けて勝負に勝つなど……姑息な手を使ってくれるじゃないか」

真美(自分が面倒だっていう自覚はあるんだ……)

P「だが、覚悟しろ春香!俺は必ず、実力でお前を倒してみせる!ハハハハハ!」

真美「まあいいや。そういう訳だから、今度はクッキーかドーナツ以外のお菓子にしてね」

P「……それが目的か」

真美「うん。兄ちゃんはノリがよくて助かるよ」

P「ふん……任せておけ」

真美「ありがと♪」

P(本気だったなんて言えない……)

【お願い券を巡る騒動、事務所】

P「――という訳で、お菓子作りの話になるんだが」

春香「何にするんですか?」

P「当初はアップルパイの予定だった。とはいえ、リンゴはとっくの昔に消費したからな……」

春香「リンゴって、あの無駄に箱で買ってきた?」

P「うむ」

春香「……あれ、ちゃんと食べきれたんですか?」

P「とりあえずジャムにしてご近所に配ったな」

春香「余ったんですね」

P「まあな。まったく、誰の所為なんだか」

春香「まず間違いなくプロデューサーさんの所為ですよ!」

P「それはさておき、またリンゴを買っては律子に怒られかねん。という事で……」

春香「という事で?」

P「みかんを買ってきた。もちろん箱で」

春香「まるで反省してないじゃないですか!」

P「何を言う。今回はちゃんと用途を見据えて購入したんだぞ?」

春香「はぁ……もうそれでいいです」

春香「で、何を作るんですか?」

P「みかんのタルトにしようかと」

春香「タルトですか。いいですね」

P「本当に?」

春香「え?本当ですけど……」

P「ふむ……」

春香「どうかしましたか?」

P「いや、真美と話したところ、女性というのは非常に怖いものだと知ってな……」

P「笑顔の裏では何を考えているのか全く分からん。特に……春香とかな」

春香「あの、勝手に腹黒にしないで貰えます?」

P「妥当な評価だ」

春香「違いますよ!」

P「冗談は置いといて、響に送るメールだが……どうするべきか」

春香「普通でいいんじゃないですか?」

P「では、やはり『お前が必要だ』と――」

春香「だから駄目ですってば!」

P「注文の多い奴だ……」

春香「誤解されるような表現を選ぶプロデューサーさんが悪いんですよ」

P「仕方ないな。では、こんな感じで……」

春香「どれどれ――」

――――――――――――――――――――――――――――――

subject:お願い券について

本文:菓子作りに決定した。至急、事務所まで来られたし

――――――――――――――――――――――――――――――

春香「何で果たし状みたいになってるんですか!」

P「駄目なのか?」

春香「ダメダメですよ、こんなメール。もっと柔らかい表現に変えましょう」

P「柔らかい表現か……これは?」

春香「えっと――」

――――――――――――――――――――――――――――――

subject:お願いしたい事

本文:俺と菓子作りして貰うぞ。事務所に来てくれ

――――――――――――――――――――――――――――――

P「どうだ?」

春香「うーん、さっきよりはマシになりましたけど……」

P「もうこれでいいじゃないか。送るぞ?」

春香「あ、ちょっと貸してください!」

ぱっ

P「なっ……おい!」

春香「私が直しますから、少し待ってくださいね」

P「別に直さなくていいだろう」

春香「駄目です。せめて『菓子』を『お菓子』に――」

P「そんな事は些細な問題だろうが……ほら、返してくれ」

ぐいっ!

春香「ちょっ!?寄りかからないでくださいよ!」

P「なら早くケータイを返せ!」

春香「あと少しで修正できますから!」

P「余計なお世話だ!」

ずいっ!

春香「わわっ!?危な――」

ぐらっ……

P「なっ!?倒れ――」

ピピッ!

春香・P「あ」

P「おい……送信されたぞ」

春香「あーあ。これは響ちゃんに嫌われたかも……」

P「メール一つで相手を嫌うほど狭量な奴ではないと思うが」

春香「まあ、そうですけど……あんな高圧的な内容だと気分悪いですよ」

P「そういうものか?」

春香「そういうものです。女の子は特に気にしますから」

P「はぁ……よく分からんな」

春香「……だから彼女もできないんですよ」

P「それは関係ないよな!?」

【一方、美希の家】

美希「ねぇ、でこちゃんから聞いたんだけど」

響「んー?」

美希「響って、プロデューサーに『お願い券』あげたんだよね?」

響「あげたけど、それがどうかしたのか?」

美希「……よかったの?」

響「何が?」

美希「だって、何でもオッケーなんだよ?男の人なら、間違いなくエッチなお願いをするに決まってるの」

響「あははっ、心配しすぎだぞ。あのプロデューサーがそんな事する訳ないでしょ?」

美希「いや、信じたい気持ちはミキにもあるよ?プロデューサーって、そういうところ潔癖だし……」

響「なら大丈夫じゃないか?」

美希「そうだけど……でも、何にだって万が一って事が――」

ピロリン♪

響「あ、プロデューサーからメールだ」

美希「何て書いてるの?」

響「えっと――」

響「…………」

響「……うえぇぇぇ!?」

美希「どうしたの?」

響「こ、これっ……!」

美希「なになに――」

――――――――――――――――――――――――――――――

subject:お願いしたい事

本文:俺と子作りして貰うぞ。事務所に来てくれ

――――――――――――――――――――――――――――――

美希「うわぁ……」

響「どうしよう!?ねぇ美希!どうすればいいの!?」

美希「響、落ち着いて」

響「落ち着けるかぁ!こんなのアリなの!?ねぇアリなの!?」

美希「『何でも』とか言っちゃってるし……まあ、アリなんじゃない?」

響「ううぅぅぅ……まさか、プロデューサーがこんなに変態だったなんて……」

美希「しかもちょっとゲスなの」

響「これ、どうしよう……」

美希「んー……とりあえず、拒否のメールを送ったら?」

響「そ、そうだな!もしかしたら考え直してくれるかもしれないし!」

美希「ほら、早くしないとプロデューサーがこっちに来るかも――」

響「今そういうのなし!ホントに怖いんだからね!?」

美希「はいはい。送った?」

響「うん……大丈夫かな……」

美希「ま、きっと何とかなると思うよ」

響「そうだといいけど……」

【春香とプロデューサー】

春香「大体、プロデューサーさんはマメな割にデリカシーが――」

P「だから、何故お前にそんな事を言われなければ――」

ピロリン♪

P「ん?メールか」

春香「響ちゃんからですか?」

P「そうみたいだな。ほら」

春香「どれどれ――」

――――――――――――――――――――――――――――――

Re:お願いしたい事

本文:そんなの絶対に嫌だからね!

――――――――――――――――――――――――――――――

春香「……物凄く嫌がられてますね」

P「俺が何かしたか?」

春香「さっきのメールじゃないですか?」

P「まさか。お菓子作りなんて嫌がるほどの事ではないだろう」

春香「うーん……とにかく、もう一回送ってみましょうよ」

P「うむ。では、送信――」

【響と美希】

響「すっごくドキドキする……」

美希「……恋?」

響「そんな訳ないでしょ!?純粋な恐怖だぞ!」

美希「後先考えない響が悪いの」

響「うぐっ……そう言われたら反論できない……」

ピロリン♪

響「ひっ……!」

美希「ビビりすぎじゃない?」

響「だ、だって……」

美希「見ないの?」

響「……怖いから美希が見て」

美希「はぁ……どっちが年上なんだか……」

響「仕方ないでしょ!怖いものは怖いんだから!」

美希「まったくもう……じゃあ、読むね?」

響「うん……」

美希「えっと……『何でもいいと言ったのはお前だ。責任を果たせ』だって」

美希「あはっ☆面白いの!」

響「何が!?ねぇ何が面白いの!?」

美希「だって、やっちゃったら責任を取るのはプロデューサーなの」

美希「なのに響に『責任を果たせ』とか……面白いよね?」

響「笑い事じゃないぞ!」

美希「まあ、冗談はいいとして」

響「何で冗談を言う余裕があると思ったの?」

美希「そりゃ、ミキは当事者じゃないし……」

響「身も蓋もないな……」

美希「それで、響はどうしたいの?」

響「できれば、プロデューサーとその……しちゃうのは回避したいぞ」

美希「しちゃうって、つまりセッ――」

響「ストーップ!」

美希「何?」

響「『何?』じゃないよね!?どうして自分がぼかしたと思ってるの!?」

美希「別に恥ずかしがるような事じゃなくない?」

響「恥ずかしがろうよ!女の子でしょ!?」

美希「響しか居ないのに?」

響「自分しか居なくても!」

美希「えぇー……めんどくさいの……」

美希「というか、返信しなくていいの?」

響「そうだった……ねぇ、どうする?」

美希「え?何でミキに訊くの?」

響「だって、美希の方が詳しそうだし……」

美希「ちょっと待って?別にミキは詳しいって訳じゃ――」

響「お願い!もう美希しか頼れないんだよぉ!」

美希「そう言われても――あ、そうだ」

響「何か名案が!?」

美希「いや、名案ってほどでもないんだけど……聞く?」

響「うんうん!」

美希「あのね?やりたくないなら、ある程度のところで妥協して貰えばいいって思うの」

響「妥協?」

美希「交渉術でもあるよね?先に難しい要求を突きつけて、後から本当の要求を飲ませるってヤツ」

響「あるね」

美希「アレみたいに、完全拒否からワンランク下げた内容で妥協して貰うの。簡単でしょ?」

響「えっと、つまり……?」

美希「つまり――手か口で頑張ります、と。送信っ!」

響「美希ぃぃぃ!?それ何の解決にもなってないぞ!?」

美希「もう送っちゃったの」

響「ああぁぁぁ……自分、きっと変態だって思われてるぞ……」

【春香とプロデューサー】

P「そういえば……」

春香「はい?」

P「春香も一緒にする気なのか?」

春香「何をですか?」

P「お菓子作りを」

春香「えぇっ!?私、一緒じゃ駄目なんですか!?」

P「いや、春香がそのつもりならいいんだ」

春香「よかったぁ……『春香と一緒は嫌』って言われたのかと思いましたよ」

P「そんな事はない。むしろ、春香こそ俺と一緒でよかったのか?」

春香「もちろんです。というか、ここまで相談に付き合ってる時点で察してくださいよ」

P「……まあ、そうだな」

春香「それに、以前に約束した分もありますし」

P「つくづく欲のない奴だ」

春香「そうですか?自分では欲張りな方だと思ってますけど」

P「そうか?」

春香「はい!だって、二人より三人で作る方が楽しいじゃないですか」

P「……確かに」

ピロリン♪

春香「あ、返ってきました?」

P「みたいだな。えっと――うん?」

春香「どうしたんですか?」

P「いや、ちょっと意味が分からなくてな……」

春香「見せて貰っていいですか?」

P「ああ。これだ」

――――――――――――――――――――――――――――――

subject:無題

本文:手か口で頑張るから許して

――――――――――――――――――――――――――――――

春香「手か口で頑張る……?確かによく分からないですね」

P「それに『許して』というのが引っかかる。何を許すんだ?」

春香「うーん……お菓子を作るんだから、手は使いますよね?」

P「うむ。となると……『口』というのは味見の事か?」

春香「そうですね。後は『許して』ですけど……」

春香「これは『作るか食べるか、どっちかにして欲しい』って事じゃないですか?」

P「そう……なるのか?」

春香「……多分?」

P「しかし、『私は食べる専門だから』と言うのは分かるが……」

P「『私は作る専門だから』とか言う奴は見た事がないぞ?」

春香「ですよね……」

P「どうせ作るんだから、その流れで食べていけばいいのにな」

春香「ですね。私も一緒に食べる方が嬉しいです」

P「よし。そうと決まれば――」

【響と美希】

響「大体さ、美希はどこからそんな知識を――」

美希「その辺のティーン雑誌に書いてあるよ?」

響「嘘ぉ!?」

美希「ホントだよ?えっと、確かここに……はい」

響「や、やめっ――近付けないでぇ!」

美希「はぁ……響は耐性なさすぎだって思うな」

響「美希が耐性ありすぎなの!自分は普通だから!」

美希「むっ……!その言い方だと、ミキが異常みた――」

ピロリン♪

美希「あ、プロデューサーだ」

響「何て書いてあるんだ?」

美希「……読めば分かるの。はい」

響「えっと……」

――――――――――――――――――――――――――――――

Re:無題

本文:そう言うな。折角だから味わっていくといい

――――――――――――――――――――――――――――――

響「何を!?何を味わわせる気なの!?」

美希「多分だけど――」

響「ストーップ!それは女の子が口にしちゃ駄目だから!」

美希「響はこれから口にするけどね」

響「別に上手くないからね!?」

美希「まあ、冗談は置いといて……」

美希「これは本格的に覚悟を決めた方がいいんじゃない?」

響「い、嫌だぞ!自分、まだそんな事したくない……!」

美希「……だよね」

響「美希……?」

美希「正直、最初は何かの間違いだと思ってたけど、向こうも本気みたいだし……」

美希「この辺でハッキリ断っておかないと、取り返しがつかなくなりそうなの」

響「そりゃ、自分だってそうしたいけど……でも、どうやって――」

美希「電話すればいいの」

響「電話?」

美希「そう。ちゃんと言葉で『嫌だ』って伝えるの」

美希「じゃないと、『本気で嫌なんだ』って気持ちは伝わらないよ?」

響「……うん」

美希「今は怖いかもしれないけど、ここで勇気を出しとかないと。ね?」

響「わ、分かった……やってみる!」

美希「その意気なの!」

響「じゃあ、かけるぞ――」

【春香とプロデューサー】

P「……遅いな」

春香「そうですね……何か用事なのかな?」

P「しかし、今日はオフの筈だが……」

春香「家族のお世話とかあるでしょうし、携帯を触りっぱなしって訳にもいかないんじゃないですか?」

P「ふむ、成程な」

春香「待ってる間は暇ですから、材料の確認とか済ませておきますね」

P「分かった。俺はもう少し待ってみる」

春香「それじゃ、ちょっと外しますねー」

P「足りないものがあったら言ってくれよ」

春香「はーい」

ててて……

P「さて……」

P(響が忙しいなら、今日は見送らねばならないか……)

P(果物もそう長く保存できないし……二人で作る事になるかもしれんな)

P「まあ、春香と一緒なら問題は――」

プルルルル……

P「……と、電話か。相手は――響?」

P「はい、もしもし」

響『ひぁ!?』

P「ん?どうかしたのか?」

響『へ?あ、いやその……ちょっとびっくりしちゃって。あはは……』

P「うん……?そちらからかけてきたのに驚くとは器用な奴だな。それで、用件は?」

響『あ、と……その……』

P「何だ?」

響『ひ、一つ訊きたいんだけどさ……』

P「うむ」

響『……あれ、本気なの?』

P「あれとは?」

響『だからっ!えと、メール……なんだけど』

P「今日のメールの話か?無論、本気だ」

響『それは、本気で自分と……って事?』

P「そのつもりだが」

響『うぅ……やっぱり……』

P「どうした?何か不都合でもあるのか?」

響『不都合というか、なんと言うか……』

P「はっきりしないな。もしかして……嫌なのか?」

響『……う、うん』

P「そうか……」

響『あっ!べ、別にプロデューサーの事が嫌いって訳じゃないぞ!ただ――』

P「ただ?」

響『そういうの、自分にはまだ早いんじゃないかなって……』

P「そうなのか?響なら慣れていると思っていたんだが」

響『いやいやいや!慣れてる訳ないでしょ!?普段どういう目で自分を見てるの!?』

P「どうって……意外と家庭的な奴だと思っているが」

響『それ完全に違う意味だよね!?見損なったぞ、プロデューサー……!』

P「ま、待て。何故そうなる」

響『自分の発言を顧みるがいいさー!大体、プロデューサーが自分と……なんて犯罪だし!』

P「いや、流石にそれは言いすぎだろう。ただの共同作業ではないか」

響『だから、その共同作業が犯罪だって言ってるの!もういい、切るからね!』

P「あっ、待て!まだ話は――」

響『バイバイ!』

ブツッ……ツー、ツー……

P「……俺が何をしたって言うんだ」

【響と美希】

響「はぁ……はぁ……」

美希「終わった?」

響「うん……」

美希「そ……お疲れ様、響」

響「……ありがと」

美希「これからどうするの?」

響「分かんない……でも、今はちょっとだけ休ませて」

美希「りょーかい」

響「携帯の電源、切っといた方がいいかな……」

美希「うーん……一応入れといたら?何だったらミキが代わりに出るし」

響「ごめん、頼まれてくれる?」

美希「お任せなの!」

響「はぁ……何でこんな事になったんだろ……」

【春香とプロデューサー】

春香「プロデューサーさん、どうでした?」

P「ん……春香か。端的に言うと……嫌、だそうだ」

春香「えぇっ!?何でですか!?」

P「分からん……『自分にはまだ早い』とか言っていたが……」

春香「うーん、響ちゃんってお菓子も作れたような……気のせいだったかな?」

P「俺もそう思っていたのだが……変なところで謙虚な奴だ」

春香「他には何か言ってなかったんですか?」

P「他に?そうだな……俺と一緒にするのは犯罪、みたいな事を言われたか」

春香「……それ、遠回しに拒否されてるんじゃ」

P「い、いやまさか……あの響に限ってそんな……」

春香「でもですよ?狭い部屋で成人男性と女子高生が二人きりって考えると……」

P「それは……確かに」

春香「いつも完璧って言ってますけど、響ちゃん小さいし、二人きりは怖いって思っちゃったんじゃないですか?」

P「怖い、か……今まで積み上げてきた時間とは一体……」

春香「お、落ち込まないでくださいよ!これはあくまで予想ですから!」

P「そうなのか?」

春香「はいっ!二人きりは恥ずかしいから、つい照れ隠しで……って線もあると思いますし!」

P「……すまないな、気を遣わせて」

春香「そんな、私は別に……」

P「春香……お前、いい奴だな」

ポン

春香「あの、どうして肩に手を置くんですか?」

P「何となく、置きたくなったのだ」

春香「はぁ……なるほど?」

春香「とりあえず、もう一回響ちゃんに連絡しましょう」

P「そうは言うが、あの嫌がり方は尋常ではなかったぞ。このままだと話してくれるかも怪しい」

春香「そんなにですか?」

P「そんなになのだ」

春香「うーん……あ、じゃあ私がかけますよ」

P「ふむ。それならいける……のか?」

春香「多分?」

P「不安だな」

春香「何にせよ、やってみない事には分かりませんって」

P「そうだな……仕方あるまい。任せた」

春香「はい、任されました!」

【響と美希】

プルルルル……

美希「あ、来たの」

響「早いな……」

美希「どうする?ミキが出とく?」

響「ん、お願い」

美希「はーい」

ピッ

美希「もしもし?」

春香『もしもし――って、美希?』

美希「あれ、春香?」

春香『うん。でも、何で美希が響ちゃんの電話に?』

美希「あー……今、響と一緒に居るの。で、手が離せないから代わりに」

春香『そうなんだ』

美希「ていうか、春香こそ何でプロデューサーの電話使ってるの?」

春香『私も色々あって代わりに。じゃ、響ちゃんが忙しいなら美希に伝言お願いしようかな』

美希「伝言?分かったの」

春香『えっと……伝えて欲しい事はね』

美希「うん」

春香『なんかプロデューサーさんが言うには、響ちゃんが嫌がってるらしいから』

美希(当然なの)

春香『多分、二人きりって言うのが不安なんじゃないかなって思うんだ』

美希「うーん……?」

春香『でも安心して!私も一緒にだから、三人で頑張ろう!――って伝えてくれる?』

美希「……は?」

春香『ん?』

美希「えっえっ、ちょっと待って?春香もなの?」

春香『うん』

美希「プロデューサーと一緒に?」

春香『もちろん。準備万端だよ?』

美希「あわわわわ……あ、ひびきかえってきたのちょっとほりゅうするねなの」

春香『え?あ、うん』

~♪~♪~♪

美希「響ヤバいの緊急事態なの」

響「さっき、伝言とか言ってたよね?しかも春香からみたいだったけど」

美希「うん。『響に伝えて欲しい事がある』って」

響「内容は?」

美希「それが、その……春香も一緒、なんだって」

響「うん?」

美希「だから……響が二人きりだと嫌だろうから、春香も一緒にするって……」

響「何それ!?」

美希「ミキだって分かんないよ!ねぇ、明日から春香にどういう顔で会えばいいの!?」

美希「いつもの笑顔の裏で……ず、ずっこんわっほいしてるなんて……!」

響「ずっこんわっほい!?」

美希「だって!だって!」

響「ちょっ!?美希、落ち着いてってば!ま、まだわっほいしてるって決まった訳じゃ……!」

美希「もう駄目なの……絶対、春香の顔まともに見れないの……」

響「だから落ち着いてってば!自分の時はからかえるぐらい平気だったでしょ?」

美希「アレは事実じゃないからできただけで、春香はもう……」

響「いや、春香だってきっとそんな事には――」

響「そ、そうだ!電話!まだ保留状態だったよね?」

美希「うん……」

響「よし……ちょっと怖い、けど……確かめなきゃ」

ピッ

響「も、もしもし……?」

春香『もしもし――ってあれ?響ちゃん。用事は済んだの?』

響「えっと……いや、そんな事より!」

春香『どうしたの?あ、もしかしてやる気に――』

響「なる訳ないでしょ!?」

春香『そ、そこまで……プロデューサーさんも信用ないなぁ……』

響「今も絶賛下落中だぞ」

春香『なんと……』

響「それより、訊きたい事があるんだけど」

春香『何?』

響「春香も一緒って、どういう事なの?」

春香『ああ、それ?どういう事も何も、響ちゃんが安心できるように――』

響「安心どころか余計に嫌だぞ!何を考えてるの!?」

春香『えぇ!?私、何かしちゃった!?』

響「それはっ……!してない、けど……でも、今回に関しては不満だらけというか……」

春香『よく分からないよ……何が駄目なの?』

響「えっと……そ、そう!こんなの不潔だぞ!」

春香『不潔なんてそんな……!私、ちゃんと洗って――』

響「うぎゃあぁぁぁぁぁぁ!?何言ってるの春香!?」

春香『え?だからしっかり洗って汚れを――』

響「いいから!そういう報告しなくていいから!」

春香『確かに直接手で触ったりするけど、だからこそ衛生面には気を遣って――』

響「いやそういう問題じゃ……」

春香『むー……私の事、信用してくれないんだね。分かった……ちょっと保留にするね』

響「えっ?春香、待っ――」

~~♪~~♪~~♪

P「大丈夫か?言い争うような感じだったが……」

春香「それが……響ちゃんが『不潔だ』って……」

P「響が?何かの間違いではないのか?」

春香「確かにそう言われましたよ……爪の手入れとかも欠かしてないんだけどなぁ……」

P「少し見せてくれるか?」

春香「あ、はい」

P「ふむ……問題ないな。しかし、響がそう言ったという事は何か理由があるのだろう」

春香「どうしたら信用して貰えるんでしょうか……」

P「そうだな……では、こういうのはどうだ?」

春香「なるほど、それなら――」

ピッ

春香『もしもし?』

響「あ、春香。何してたのさ」

春香『ちょっと準備をね』

響「準備?」

春香『うん。プロデューサーさんと相談して決めたの』

響「……何を?」

春香『今からちゃんと洗ってるってところ、動画で送るね』

響「はい!?」

春香『だから、私が綺麗に手入れしてるってところを動画で証明――』

響「バカなの!?ねぇ春香はバカなの!?」 

春香『むっ!そこまで言わなくてもいいじゃん!』

響「いーや言わせて貰うね!大体、そんなの流出したら大惨事じゃないか!」

春香『なっ!?そんな見せられないものみたいな言い方しなくてもいいでしょ!?』

響「いやいやいや!?見せられないぞ!?」

春香『とにかく、これで安心できる筈だからちゃんと見て欲しいの』

響「どこにも安心できる要素なんてないと思うだけど」

響「ていうか、プロデューサーは何をやってるんだ……普通は止めるところでしょ……」

春香『プロデューサーさんなら私が洗ってるところを撮影してたけど』

響「ホント何やってるの!?」

春香『え?だって私は両手が塞がってるし、プロデューサーさんが撮るのは当然というか……』

響「ダメだ……理解が追い付かない……」

春香『という訳で、送信するから――』

響「分かった!春香がちゃんと綺麗にしてるって事は信じるから送らないで!」

春香『え?まあ、響ちゃんが信じてくれるならいいけど……』

響「はぁ……助かった……」

春香『それじゃ、納得してくれたところで一緒に頑張ろっか!』

響「いやそれは別問題でしょ」

春香『何で!?』

響「そもそもプロデューサーと、って時点で嫌なのに……」

響「ていうか、春香はプロデューサーと……その、一緒にした事あるのか?」

春香『ん?これが初めてだけど?』

響「は!?」

春香『え?そんなに驚く事かな?』

響「いや普通に驚く事だぞ……初めてなのに何でそんな普段通りなんだ……」

春香『いや、プロデューサーさんと一緒なのは初めてだけどお互い慣れてるし』

響「慣れてるの!?」

春香『うん。あ、大きな声で言うのはアレだけど、プロデューサーさんより上手い自信あるよ?』

響「大きな声じゃなくても言えないぞそれ!?」

響「あと、さっきお互い慣れてるって言ってたけど」

春香『言ったね』

響「……何でプロデューサーが慣れてる事まで知ってるんだ?」

春香『たまにやってるところ見かけるからね。響ちゃんは見た事ないの?』

響「ないよ!」

春香『そうなんだ。まあ、難しそうなら任せてくれていいから大丈夫だよ?』

響「何が大丈夫なんだ何が……」

春香『とにかく、準備しとくから』

響「いや、準備されても困るぞ」

春香『待ってるね~♪それじゃ、事務所で』

響「ちょっ、春香!?自分は行くなんて一言も――」

ブツッ!ツー……ツー……

響「切れた……」

美希「ど、どうだったの?」

響「えっと……まだ準備段階、だって」

美希「じゃあ、春香は無事……?」

響「いやそれが……春香はプロデューサーより上手いとか何とか……」

美希「何が!?」

響「そんなの美希の方がよく知ってるでしょ!?」

美希「し、知らないもん」

響「嘘吐くんじゃないぞ」

美希「うぅ……ミキの春香像が壊れていくの……」

響「――いや、もしかしたらまだ間に合うかも」

美希「……事務所に行く気なの?」

響「うん。たとえ春香がアレだったとしても、せめて事務所でそういう事するのは控えて欲しいし……」

美希「そうなの頑張ってねいってらっしゃい」

響「何言ってるの?美希も行くに決まってるでしょ」

美希「絶対ヤなの!二人がいたしてる最中にこんにちはしたくないし!」

響「アイドルがいたしてるとか言わない!ほら、さっさと準備して」

美希「別に一人でも十分だって思うな。ミキはお留守番しとくね!」

響「あのね、美希?二人なら辛さは半分、幸せは二倍って言葉があるでしょ?」

美希「そんなの平等に辛さも二倍に決まってるの!」

響「……なんくるないさー!」

美希「誤魔化すなー!」

【しばらく後】

春香「……よしっ」

P「約束は取りつけられたのか?」

春香「いえ?」

P「え?さっきやりきったような顔で通話を切ったじゃないか」

春香「ああ……返事させずに『待ってる』って言えば、人って来ちゃうものなんですよね……」

P「お前、やり方がえげつないぞ……」

春香「まあ響ちゃんの用事も終わってたみたいですし、問題ないですよ」

P「ならいいが……」

春香「とりあえずいつでも始められるようにしときませんか?」

P「そうだな。最悪、来なくても二人で――」

バーン!

響「そんなのさせる訳ないさー!」

春香「ひゃっ!?あ、響ちゃん。来てくれたんだ」

美希「はぁ……はぁ……ひ、響……早すぎなの……」

P「美希じゃないか。お前も参加するのか?」

美希「絶対お断りなの」

P「ならお前たちは何しに来たんだ……」

響「もちろん、そこの変態を止める為だぞ!」

P「変態?」

春香「誰の事?」

響・美希「プロデューサー」

P「待ってくれ。意味が分からん……何をどうしたらそうなるんだ」

響「そんなの、あんな変態メールを送りつけたからに決まってるぞ!」

P「メールとはあれか?事務所に来るよう促した、あの……」

響「それだけじゃないでしょ!皆が集まる事務所でロクでもない事しようとか思ってた癖に!」

P「だから待ってくれ。お前の言いたい事がよく分からん」

響「とにかく!事務所でそんな事をさせる訳にはいかないの!」

美希「もう春香――いや、春香センパイは手遅れだけど……」

春香「春香センパイって何!?」

響「美希は今ちょっと情緒不安定なんだ……まあ、自分も春香がお水のスペシャリストとは思わなかったけどさ」

P「お水のスペシャリスト?確かに、台所のスペシャリストと言えなくもないが」

響「誰も台所の話なんてしてないぞ!」

P「じゃあ何の話なんだ」

響「だ、だから……これっ!」

P「ん……?」

――――――――――――――――――――――――――――――

subject:お願いしたい事

本文:俺と子作りして貰うぞ。事務所に来てくれ

――――――――――――――――――――――――――――――

春香「ははぁ……なるほど……」

P「ああ、事情は把握した。春香が悪いな」

春香「ちょっ!?何さらっと責任転嫁してるんですか!」

P「変に弄ろうとするからこうなるんだ」

春香「あれはプロデューサーさんの事を思ってですね……!」

響「プロデューサーの事を思って弄るとか何してるのさ春香!?」

P「お前は少し黙れ」

響「酷くない!?」

美希「あ、春香センパイ。オムツどうぞですの」

春香「要らないよ!あと語尾おかしいからね!?」

響「おかしいぞ……あまりに対応が普通だ……」

P「まあ手っ取り早く事情を説明するとだな。これが最初に送るつもりだったメールで」

――――――――――――――――――――――――――――――

subject:お願いしたい事

本文:俺と菓子作りして貰うぞ。事務所に来てくれ

――――――――――――――――――――――――――――――

P「さっきのヤツが間違って送ったメール――つまり、全て誤解だった訳だ」

響「自分、なんて事を口走ってたんだ……」

春香「まあまあ、一件落着って事で……ね?」

美希「ホントによかったの……春香がスペシャリストじゃなくて」

春香「そこはもうちょい疑って欲しかったなぁ……」

P「さて……とりあえず、響が悪いという事で」

響「何で!?どう考えたってプロデューサーが悪いでしょ!?」

P「具体的な内容を説明しないまま話を進めるからこういう事になるんだ。反省しろ」

響「うぐ……で、でも!あんなメールが来たら狼狽えるのも仕方ないぞ!だよね、美希!」

美希「そうなの!大体、プロデューサーが送った側なんだから送信欄の見直しぐらいすればいいって思うな!」

春香「まったくですよ!」

P「あっ、春香……!お前はこっち側だろうが!」

春香「わ、私はいつでも女の子の味方ですし」

P「裏切り者め……」

P「まあ百歩譲って、会話がズレていると思った時点で確認しなかった俺がバカだったのかもしれないが」

美希「ホントにプロデューサーってバカだよね」

P「うるさいぞ美希!」

美希「自分で言ったのに!」

P「自分で言うのと他人に言われるのでは違うのだ」

P「例えば、春香が『天海さんって普通ですよね』とか言われたらイラっとくるだろ?」

春香「それは……まあ、分かりますけど」

P「美希だって、よくめんどくさいと言っているが……」

P「人から『星井さんってめんどくさそうだよね』とか言われたら嫌じゃないか?」

美希「それ意味が違うの!」

P「響も――あぁ、響はいいか」

響「何でさ!?ほら、自分にもあるでしょ?いつも言ってる台詞が!」

P「あーそうだなー。響は完璧だなー」

響「流すなぁー!」

美希(まるで大人とは思えないの……)

春香「というか、二人の私への印象が一番気になるんだけど」

美希「……あはっ☆」

春香「誤魔化されないからね!?」

春香「響ちゃんもあっさり信じちゃって……酷くない?」

響「あ、あはは……うん、ごめん」

P「そう責めてやるな。元はと言えば春香が余計な事をするから悪いんだぞ」

春香「それは……そうかもしれませんけど」

P「まあ、俺と春香が――なんて、あり得ないという判断ぐらいはするべきだったな」

春香「で、ですよね!あり得ませんよね!」

P「ごふっ……!」

響「なんて残酷な……」

美希「でも、確かに合いそうにないの。主に春香が」

響「そもそも、プロデューサーに合わせられる人なんて居るのか?」

春香「さぁ?」

P「お前ら……いい加減にしないと泣くぞ?」

春香「あ、目薬要ります?」

P「要らん!」

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