アンク「オエージ!……女!?」 (105)

アンク(この女……雰囲気が映司にそっくりじゃねえか。
    なんでそんな女が朝っぱらから俺の部屋にいるんだ)
??「どうしたのアンク、そんなに驚いちゃって」
アンク「おい女、映司はどこだ」
??「ここにいるけど」
アンク「あ?どこにだ」
??「だからここにいるって!もしかしてグリードも寝ぼけるの?」
アンク(なに言ってんだこいつ……)
映司「だから、私が火野映司!」
アンク「……ああ?」

ってな感じのSSです。
遅筆&初心者ゆえのミスも出てくるでしょうが、温かい目で見ていただけたら嬉しいです。
ちなみにアッー!じゃないんだからね!
グリードには性別ないらしいからね!

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1385255930

――クスクシエにて

比奈「えっ、朝からアンクがおかしい……?」
映司「そうなの。アンクったら『オエージ!どこに隠れてやがる!』
   って散々騒いだかと思ったら今度はなにか考え込んじゃって」
比奈「映司ちゃんならここにいるのに?」
映司「それが、アンクが言うには『映司は男だ!』らしくて。
   寝てる間に頭でも打ったのかなあ」
比奈「お兄ちゃん、大丈夫かな……」
映司「アンクの回復力なら大丈夫だと思うんだけどね」
比奈「うん、そうだよね……」

アンク(チッ……好き勝手言ってくれるじゃねえか
    だが、どうやら本格的にあの女が映司ってことになってるらしいな。
    まさかこれもヤミーの仕業か?だとしたらなんの能力だ?何故俺には影響がない?)
アンク(とにかく、様子をうかがうしかねえか……)

映司「アーンク!」
アンク「!?」
映司「アンク、どうかしたの?固まっちゃって」
アンク(仮にこいつがヤミーの攻撃の影響でこうなっちまった映司だとする。
    というか状況的にはその可能性が一番高い)
映司「聞こえてる?」
アンク(ならオーズに変身できるのはこいつだ。面倒だが話を合わせて行動すべきか?
    今の俺じゃヤミーを相手にするのは不利だからな……)
アンク「耳元でうるせえよ」
映司「なんだ、聞こえるならそう言ってよ。
   それでアンク、その……頭は大丈夫?」
アンク「ああ?」イラッ
アンク(いきなりなに言ってんだこの女は。ん?女ってことは……)
アンク「お前戦えんのか!?」
アンク(オーズの力で強化されるとは言っても、普通の女はたいして強く……
    いや、強いのか?……いや待て比奈も知世子も里中も普通じゃないんだ、そうだ)
映司「えっ」
映司(アンク、本当に大丈夫かな……?)

映司「改行一行ごとって」

比奈「こんな感じですか?」

アンク「遅筆なのは>>1の手がかじかんでるからだ、気にするな」

>>6
そんな感じ
横書きだし行間詰まるしそっちのほうがありがたい

>>7指摘ありがとうございました!


映司「あの、アンク?」

アンク「なんだ」

アンク(どうする、戦えないって言われたらどうする、俺!?)

映司「戦えなきゃ私たち一緒にいる理由がないんじゃないかなあ」

アンク「」

アンク(そういえばそうだった)

映司「本当に、熱でもあるの?その体は刑事さんの体なんだから、大事にしてね」

アンク「はっ、これは俺の体だ」

映司「違うって。それは刑事さんの……比奈ちゃんのお兄さんの体。さ、一応熱測ろう?」

アンク「知るか!グリードが風邪ひくわけねえだろうが!」

映司「それはそうかもしれないけど、刑事さんにもしものことがあったらいけないんだから」

アンク「チッ……」

比奈「映司ちゃん、どうだった?」

映司「えっと、……37.5℃!?」

アンク「うるせえ」

アンク(なんだこの不快な感覚は……人間ってのはこういう感覚も味わうのか)

比奈「それって熱、あるよね。どうしよう、お兄ちゃんが!」

映司「落ち着いて比奈ちゃん!とりあえずアンクは上に寝かせてくるから、お店のことお願い!」

比奈「う、うん。知世子さんには私から言っておくね」

映司「ありがとう、比奈ちゃん!じゃあアンク、上行くよ、ほら」

アンク「一々引っ張んな、一人で歩ける。おい、聞いてんのか映司!」

アンク(ん?……今、この女のことを映司って呼んだのか、俺は)

映司「いいから、ね。悪化したら刑事さんに悪いし……」

アンク(また、刑事のことか……チッ、俺はなにを考えてるんだ。

    こいつが人間を気にするのはいつものことだろうが)

映司「上に行ったら、私のベッドで寝ていいから。

   アンクの寝床だと寒そうだし……」

アンク「……ああ」

――屋根裏部屋

アンク「おい、女、アイス持って来い」

映司「早速それ!?あのね、アンク……はあ、なに言っても聞かないか。

   それじゃあアイス持ってくるけど、あれだけおかしなこと言ってたんだし、

   まだまだ熱は上がると思うから覚悟しててね」

アンク「……行ったか」

アンク(にしても面倒なことになったな。この俺が風邪だと?

    しかも今朝からの騒動まで風邪のせいにしやがった)

アンク(確かに体温は上昇してるらしいな。汗が止まらねえ……

    加えて頭も痛みやがるが、この程度のことで映司の性別を間違えるわけねえだろ)

アンク(しかしこの状態でヤミーが出たらどうする。あの女曰く戦えるらしいが、

    あれが性別を変えられた映司ならそう思い込んでるって可能性もある)

アンク「チッ……さっさと治すしかねえな」

映司「ただいまー。アンク、ほら、アイス」

アンク「寄越せ!」

映司「……あなた、本当にいろいろと残念だよね。

   ちょっとはしおらしくなるかと思ったけど、全然元気そうだし」

アンク「いいから寄越せっつってんだろ、女」

映司「もう、さっきは映司って呼んだくせに」

アンク「……ふん」

映司「それとこれ、知世子さんから貰ってきた風邪薬ね。

   アイス食べたらこれ飲んで、あとはじっと寝てて。

   またしばらくしたら様子を見に来るから」

アンク「薬なんているか。俺はグリードなんでな」

映司「アンクはグリードでも刑事さんは人間だよ。

   ほら、食べ終わったら棒、貸して。捨てといてあげるから」

アンク「ほらよ」

映司「それじゃあもう一回、熱を測るからね」

アンク「もういいだろ、ほっとけ」

映司「私は比奈ちゃんからお兄さんのこと任されてるの。

   いいからはい、腕上げて」

アンク「……」

映司「よくできました。よしよーし」

アンク「頭なでんじゃねえ」

映司「38.2℃……やっぱり上がってる。大丈夫?苦しくない?」

アンク「……うるせえ。俺はもう寝る。ほっとけ」

映司「そう言うなら、そうするけど……これでも私、アンクのことだって心配してるよ?」

アンク「ほっとけって言ってるだろ」

映司「じゃあ、ゆっくり休んでね」

――クスクシエ

知世子「映司ちゃん、アンクちゃんの様子はどう?

    欲しいものとかないのかしら」

映司「聞いたらアイスしか言わないと思いますよ。

   相変わらずの憎まれ口ですし、すぐに元気になると思います」

比奈「よかった……熱はどうだった?」

映司「それが38℃を超えちゃってて。アンクのことだからすぐに治るとは思うけどね」

比奈「アンク、苦しくないかな……」

知世子「気になるなら看病してあげていいのよ。

    お店のことなら大丈夫、後藤君が手伝ってくれるから」

5103(犬の着ぐるみ)「火野、なにやら困っているらしいな」

映司(犬……?今日はなんのフェアだっけ)

5103(犬)「店のことなら俺に任せてアンクの面倒を見ればいい」

映司「あ、はい……」

映司(犬……)

比奈「映司ちゃん、ちなみに今日は世界の動物フェアだよ。

   私も……これをつけるんだけど」

映司「わあ、ロップイヤーのカチューシャだね、かわいい~」

比奈「あ、ありがとう」


どうしてロップイヤーなのって?趣味だよ!

知世子「ちなみに映司ちゃんにはこれよ!」

映司「これは……ペンギン?」

比奈「かわいいけど、これで看病は難しくないですか……?」

比奈(変身する時、ベルトが通るか怪しいし……)

知世子「そうね、これはまたの機会にしましょうか」

映司「ペンギンにまたの機会があるんですか!?」

5103(犬)「南極フェア、とか?」

知世子「後藤君、そのアイディア、もらったわ!」

映司「それじゃあ比奈ちゃん、私はそろそろ上に行くけど……

   様子が気になったら、いつでも来ていいんだよ。比奈ちゃんのお兄さんの体なんだから」

比奈「うん。お兄ちゃんと……アンクをよろしくね、映司ちゃん」

――屋根裏部屋

アンク(どうする……なにかないのか、映司を元に戻す方法が)

アンク「そもそもあれが映司本人とは限らない、か……」

映司「アンクー、入るよー?」

アンク「ああ」

映司「あれ、寝てなかったんだ。もしかして眠れないの?

   だったら丁度よかったかな。はい、氷枕。これを頭の下に置くと気持ちいいよ」

アンク「……ひんやりするな」

映司「気持ちいいでしょ?」

アンク「悪くはない」

映司「素直じゃないなあ。あ、それでね、アンク」

アンク「ああ?」

映司「もしかして、アンクがおかしいのってヤミーの仕業?」

アンク「!」

アンク(こいつ……そうだ、映司はただの馬鹿じゃない、使える馬鹿だったな)

アンク「……かもな」

映司「熱を出したのもそのせい?」

アンク「そっちは偶然だろ」

映司「なーんだ、そうだよね。毎日あんな場所で布団もかけずに寝てたら風邪もひくよね」

アンク「そう思うんならお前の布団を寄越せ」

映司「現在進行形で貸してるんだけど……そもそも知世子さんのだし。

   って、ちがうちがう。話がそれてるよ。今はヤミーの話」

アンク「ああ。もう気付いてるだろうが、俺の知ってるお前は男だ」

映司「そうみたいだね。私の知ってるアンクはあなたと同じだけど」

アンク「そもそもおかしいだろ……『火野映司』は女の名前じゃねえ」

映司「まあまあ、そこは名前を付ける人の自由でしょ?

   それでアンク、今のところ私の性別以外に私たちの記憶に食い違いはないよね」

アンク「恐らくな。一から話し始めたんじゃ日が暮れる。

    俺にとって重要なのはお前がオーズがどうかだが……」

映司「それは間違いないよ。だから私とあなたは協力しているんだし」

アンク「なら問題はない、か……」

アンク(むしろ女だとこっちが腕力では優位だからな……

    男の時より手綱を取りやすいか?)

映司「けど、私……それに、比奈ちゃんとか、アンク以外の皆は、

   私が女だと思ってる。現に私、女だし」

アンク「なにが言いたい?」

映司「アンクがヤミーになにかされたって可能性はない?」

アンク「……グリードの俺が、たかがヤミーの攻撃をくらうってのか?」

映司「だって、アンクから見て私ひとりの性別が変わってるんでしょ。

   それを周囲の人全員がおかしく思わなくて……そんなことってありえるの?」

アンク「ヤミーの能力によってはありえなくないだろ」

映司「そうだけど!でも、私は女なんだってば……

   さすがに何度も『お前は男だ!』って言われると、えっと……」

アンク「なにもにょもにょ言ってんだ。はっきり言え」

映司「その、傷つくし」

アンク「はあ?」

映司「それに、ただ性別を変えるだけならまだしも、今までの記憶全部変えて、

   周りの人の記憶まで書き換えるなんて、さすがにないでしょ」

アンク「現にそうなってるだろうが」

映司「だーかーらー!それはアンクの主観だって!」

アンク「うるせえ!頭に響くんだよ、静かにしてろ!」

映司「あ……ごめん。アンク、風邪ひいてるんだよね」

アンク「チッ……」

アンク(しかし、こいつの言うことにも一理あるか……?

    俺だけが事実を錯覚している……待て、そんな能力に結びつく欲望があるのか?)

アンク(ある特定の人物の性別を錯覚する、それにつながる欲望とはなんだ?

    それに、何故一向にヤミーの気配を感じないのかも気になるな……)

アンク(俺がおかしいか、こいつがおかしいか、それだけでもはっきりさせられれば……!)

映司「あのー……アンク?」

アンク「なんだ」

映司「さっきはちょっと熱くなって、言いすぎたから、ごめんね」

アンク「謝るんならアイスを寄越せ」

映司「ふふっ、なにそれ。アンクらしいけど……そんなに食欲があるなら風邪もすぐ治るね」

アンク「ふん」

映司「それじゃあ私、アイスを取ってくるから」

アンク「三本持って来い」

映司「だめ、一本ね」

アンク「チッ……」

アンク(なにか、あるはずだ。考えろ、この状況を打破する方法を……)

アンク「そういえば……そうだ!あるじゃねえか!」

アンク(くっ……叫んだら頭が……

    まあいい、方法は見つかった。あとは映司を待つだけだ)

ここまで書いてちょっと気になるのは、ここに来てくれた方が求めているものなんですが。

やっぱりタイトル的にアンクが映司(女の子)とうまくいってほしいのかなーとか思ってます。

ていうか自分がそういうの書いてみたいんだけどね。

そういう方向でオッケーでしょうか。

読んでるやつの意見なんかどうでもいいから書きたいように書け

>>21了解しましたー


――その頃の映司

比奈「映司ちゃん、アンクはもういいの?」

映司「それが、アイス寄越せーってうるさくて。

   風邪ひいてるんだしたまには欲しいって言ってる時にあげようと思って」

5103(犬)「火野、アンクはグリードだ。あまり甘やかすとまずいんじゃないのか」

映司「そんなことありませんよ。普段から厳しくしてますから!」

比奈「……そう、かな?」

比奈(そう言ってこの前も一日五本以上食べさせてたよね……?)

映司「なに、比奈ちゃんまでそんな目で見てー。

   大丈夫だって、アンクのことは私に任せて!」

5103(犬)「そうだな……火野、俺はお前を信用する」

映司「ありがとうございます、後藤さん!」

比奈「映司ちゃん、お兄ちゃんのことお願いね」

映司「大丈夫、任せて。

   それじゃあ、アンクに怒られる前に行くね。

   お店のことはお願い」

比奈「うん、映司ちゃんの分も頑張るね」

5103(犬)「任せておけ」

――屋根裏部屋

映司「アンク、入るよ?」

アンク「オエージ!変身だ!」

映司「わっ、コアメダル?タトバコンボの?

   どうして突然変身なんて……ヤミーの気配があるわけでもないし」

アンク「ふん、忘れたのか?前にお前がヤミーの能力でおかしくなった時も、

    変身すれば正気に戻っただろ」

映司「あっ、あの時ね……あはは、恥ずかしいなあ」


あの時=恋愛コンボの時です
あの人なんて名前だっけ?ゆみさん?

映司「それじゃあ、……ってだめだよアンク!

   ここで変身して知世子さんに見られたらまずいし……」

アンク「気にすんな!」

映司「いや、気にするから。

   たしかにいい考えだけど、せめて知世子さんが家に帰るまで待とう?」

アンク「チッ……」

映司「今は風邪を治すことに集中して、夜に変身すればいいんじゃないかな。

   ほら、アイスも持ってきたし、機嫌直してよ」

アンク「アイスは貰っておいてやる」

映司「アイス食べたらちゃんと眠ってね?」

アンク「うるせえ」

映司「……で、なんだかんだで寝てくれたんだ?

   いつもこうして静かならかわいげもあるのに」

映司(起こしちゃ悪いし、私も下の仕事を手伝おうかな)

映司「おやすみ、アンク」

オエージ?

――クスクシエ、夜

知世子「皆、お疲れ様!今日も皆のおかげで大盛況だったわ~」

5103(犬)「お疲れ様です」

映司「着ぐるみで動くのってけっこうハードでしたね」

5103(犬)「そうだな。いい訓練になった」

映司(どうしてまだ着替えてないのか、聞かないほうがいいのかな……?)

比奈「映司ちゃん、お疲れ様。アンクの様子はどうだった?」

映司「うん、何度か見に行ったけど、よく眠ってたよ」

比奈「熱は下がったかな」

映司「それなら心配ないよ。すっかり平熱に戻ってたから。

   まだちょっと体がだるいみたいだけど、明日には元気になってると思う」

比奈「よかった……」

知世子「明日にはすっかりいつものアンクちゃんが見れるのね。

    ちょっと顔を見て行こうかと思ってたけど、疲れてるなら無理させないほうがいいわね」

映司「今日はすいませんでした。あんまり力になれなくて」

知世子「なに言ってるの、充分助かったわ!

    それに、そう思ってくれてる分も明日頑張ってくれればいいのよ」

映司「はい!」

知世子「それじゃあ、お先に失礼するわね~」

比奈「お疲れ様でした!」

5103(犬)「俺もそろそろ帰るが……火野、風邪をうつされないよう気を付けることだ」

映司「はい。お疲れ様でした」

映司(その格好のまま帰るんだ……)

比奈「今日はありがとうございました。

   それじゃあ、映司ちゃん。私もそろそろ帰るね」

映司「外、暗いけど大丈夫?」

比奈「うん、大丈夫だよ。じゃあ、また明日」

映司「また明日ね~」

>>28アンクの「おい映司!」が「オエージ!」に聞こえるっていうあれ。
わかりにくくてすいません。

――屋根裏部屋

映司「お待たせ。それじゃあ早速変身しようか」

アンク「ああ、これ使え」

映司「了解。……変身!」

タカ!トラ!バッタ! タ・ト・バ!タトバ!タ・ト・バ!

アンク「よし、戻ったか」

オーズ「……えーっと、これではっきりしたんだよね?」

アンク「ああ、お前は男だ」

オーズ「じゃなくて」

変身解除

映司「私、やっぱり女なんだけど……」

アンク「」

アンク(つまり……俺がヤミーごときの能力に操られてるってのか!?)

映司「あの、アンク?熱は下がったんだよね?

   私、シャワー浴びたら寝るから自分の寝床に戻ってね」

アンク(どういうことだ、俺はグリードだぞ?この体との融合が進んでるってわけでもない……

    クソッ、どうなってやがる!)

アンク(仮に映司が本当に女だったとして、どうやってこの部屋を借りた?

    まさか恋人同士とでも説明したんじゃねえだろうな!?)

アンク「チッ……わけがわからねえな」

映司「たっだいまー。ふう、さっぱりした」

アンク「パンツだと!?」

映司「ん、どうかしたの?

   ああ、そういえばアンクの知ってる私は男なんだっけ。

   もしかしてその私はこの格好では寝てないの?」

アンク「確かにその格好……だが……」

映司「あのね、そんなに凝視されると困るんだけど……

   私も一応、女だし……」

アンク「だったらパンツ一丁で戻ってくるな」

映司「なによ、パンツは大事なんだからね。

   人はいつ死ぬか分からないんだから、パンツだけは一張羅をはいておけ。

   いい言葉だよね!」

女でパンイチつまり・・・

映司「それに、上にはシャツだって着てるでしょ?」

アンク(ここにきて俺の知る映司との違いが浮き彫りになったな……

    パンツはパンツで、柄も派手だがトランクスじゃない)

アンク(そのうえ、シャツ一枚だと胸が目立つが、なんだあれは?

    メロンでも詰めてんのか?)

映司「とにかく私は寝るから、そこどいて。

   それともアンクも布団がいいの?」

アンク「違う。……おい、お前」

映司「映司だって証明したでしょ?」

アンク「……映司」

映司「なに?」

アンク「そんなにでかくて邪魔にならないのか?」

映司「はいセクハラー。馬鹿なこと言ってないで、さっさと寝よう?」

アンク「……ああ」

アンク(本当に、女なのか……)

>>35残念シャツも着てるんだな
個人的に女の子映司は巨乳ってのは譲れない
平成ライダーだと他にはケンジャキとか身長高いしモデル体型じゃないかと思う
一番小さそうなのは大首りょうわなにをするやめ(ry

チンコ=おっぱいとは限らないだろ?
そういうことさ

――翌朝

アンク(朝起きたら映司が男に戻ってる、なんてことは……)

映司「アンク、おはよう。朝ごはんの用意はできてるから」

アンク「アイスだ」

映司「朝ごはんはアイスじゃないし、アイスは朝ごはんにならないよ。

   せっかく作ったんだから食べて」

アンク「チッ……不味かったら食わねえぞ」

映司「はいはい、いいから早く食べちゃって。

   知世子さんが出勤するまでに片付けておきたいから」

アンク(和食か。白米、味噌汁、焼き魚、おひたし……)

映司「アンク、たくあんいる?」

アンク「寄越せ」

映司「はい、どうぞ」

アンク(米の炊き具合は及第点だな。次に味噌汁……

    少々味噌が薄いのをあさりの出汁が補ってるのか)

>>40一文抜けた

映司「アンク、おはよう~」とアンク「アイスだ」の間に

アンク(……ないか)

を追加して読んでください。

アンク(魚は中まで火が通ってるな。……まさか骨も抜いてあるのか?

    映司はそこまで気が利くやつだったか……?)

映司「んー、和食の朝っていうのもいいね」

アンク(おひたしはほうれん草の緑、鰹節の茶色、しらすの白が目を楽しませる。

    味に関してもまあ及第点。……まあまあだな、映司)

アンク「悪くない」

映司「ん?」

アンク「……この料理が、悪くないって言ってんだ」

映司「本当に?アンクに褒められるなんて、なんだかうれしい」

アンク「事実を言ったまでだ。あんまり調子に乗るんじゃねえぞ」

映司「うん、分かってる」

ちなみに映司は起き抜けの格好でエプロンをつけて料理していた。

つまり……画面の前のあなたなら分かりますね?

映司「それじゃあ着替えて、今日も一日頑張りますか!」

アンク「勝手にやってろ。俺は俺で情報を集める」

映司「うん、風邪もすっかり治ったみたいだし、ヤミーに関しては任せるね。

   それで、アンク?」

アンク「なんだ」

映司「女の子が着替えようとしてるのに、出て行かないの?」

アンク「ああ?俺はグリードだぞ?」

映司「ああ、うん……だよね」

映司(そこは前と変わらないんだね)

知世子「映司ちゃん、アンクちゃん、おはよー!」

映司「あ、おはようございまーす!

   アンクもすっかり元気になりましたよー」

知世子「本当に?それじゃあ今日はアンクちゃんの顔が見れるのね!」

映司「はい!……だって、アンク。さ、下に行こう?」

アンク「チッ……」

映司「ほら、早く」

アンク「おい、引っ張るな」

アンク(……いつもより、小さい手だな。それにやわらかい。

    比奈の手に近くなったか?)

アンク(性別ひとつでけっこう変わるもんだな……)

知世子「今日は比奈ちゃんが学校だから、夕方までは二人で頑張るわよ!」

映司「はい。昨日の分も働かせてもらいますね!」

知世子「頼もしいわね~映司ちゃん。それじゃあ早速、お掃除から始めましょうか」

映司「はい!」

アンク(今使えるコアメダルは、と……)

映司「アンクー、タブレットいじってるだけなら上の部屋に行ってもらっていい?」

アンク「ああ?なんでだ」

映司「掃除が終わったら降りてきていいから、ね?それとも手伝ってくれるの?」

アンク「……さっさと終わらせろ」

映司「うん、それじゃあまたあとでね」

知世子「映司ちゃんったら、だめじゃない」

映司「えっ?」

知世子「アンクちゃんは悪い大人に傷つけられてあんな不愛想になっちゃったのよね?」

映司「はい」

映司(そういえばそういう設定だったっけ)

知世子「そんなアンクちゃんと頑張って心を通わせた映司ちゃんのことは、

    兄弟みたいに思ってるのよね?」

映司「はい、そうです」

映司(たしかそんな説明をしたような……)

知世子「だからこそ、年頃の異性でも間違いは起こらないって言って、

    同じ部屋に住んでるのよね?」

映司「そうでしたね、そういえば」

知世子「えっ?」

映司「あっ……そうなんです!だからもう、アンクには私がいないと!はい!」

知世子「そうよね!」

知世子「そんなアンクちゃんを邪険に扱うと、可哀想じゃないかしら」

映司「あ、そう……ですね……」

映司(その設定だとたしかに可哀想だけど、アンクだし……)

知世子「アンクちゃんは無理して悪ぶってるだけで、本心では映司ちゃんに優しく受け止めてほしいはずよ。

    今からでも遅くないわ、さ、仲直りしてらっしゃい!」

映司「あの、それだと掃除ができないんですけど……掃除の後じゃだめですか?」

知世子「アンクちゃんは今、映司ちゃんを求めてるのよ!」

映司「……はーい」

映司(ちょっと設定を盛りすぎたかな……)

――屋根裏部屋

アンク「やっぱり真木側に多くのメダルが集まってるか……

    これを効率よく回収しようにも、紫のメダルのグリードは厄介だからな」

アンク「あれを倒すには恐竜コンボが有効だが、そうすると映司が……いや、

    こっちの映司も紫のメダルを持ってるとは限らないのか?」

アンク「まだまだ確認すべきことは多いな」

映司「アンク、入るよ」

アンク「もう掃除が終わったのか?」

映司「そうじゃなくて……さっきはちょっと邪険にしすぎたかな。ごめん」

アンク「……別に」

アンク(いつものことすぎて気にも留めてなかったんだが)

映司「私、なんだかんだでアンクにはちょっと冷たいかなって、

   知世子さんに言われて気付いて」

映司(グリードだからって、感情がないわけじゃないんだよね

   そう考えると、たしかにひどかったかもしれない)

映司「どうしたら許してくれる?」

アンク(アイス……と言いたいところだが、あの映司がここまで殊勝な態度なのは珍しいな。

    この機にこっちに有利な契約でもしておくか?)

アンク(いや、それ以前にこいつはメダルの扱いが悪いからな……)

アンク「映司、前にも言ったがメダルは俺にとっては命だ。分かるな?」

映司「えっ、分かるけど……突然どうしたの」

アンク「俺の命を大事にしろ。そうすれば許してやる」

映司「アンクの、命……?充分大事にしてるつもりだけど」

アンク「どの口が言いやがる」

映司「ひょ、ひょっほ、はにゃひて(ちょ、ちょっと、はなして)」


いつもの顎を掴むあれです

アンク「いいからメダル……特に俺のだ。大事にしろ。いいな?」

映司「ふぁい(はい)」

アンク「分かればいい」

映司「あ、顎……いてて」

アンク「それくらいで済んでよかったな?」

映司「うう、ほっぺに指のあとなんてついてないよね」

アンク「あー……ほとんどな」

映司「それじゃあ、ちょっとはついてる……?」

アンク「ああ」

映司「ひどいよアンク……もう、今度は私が怒った!

   アンクのことなんて大事にしないから」

アンク「お前……いい加減なやつだな」

映司「女の子の顔にひどいことするアンクが悪いんだよ?」

アンク「チッ……なにすれば許すんだ」

映司「え?」

アンク「メダルを雑に扱われると困るんだよ!

    さっさと答えろ!」

映司「あ、えっと……あはは、もういいよ」

アンク「は?」

映司「アンクがそんなこと言ってくれるとは思わなかったから、

   その言葉だけでうれしいよ。

   それじゃあ私、そろそろ店の手伝いに戻るね」

アンク「……なんなんだ?人間ってのは本当にわけがわからねえな」

アンク(それとも、あいつが変わってるのか?)

――クスクシエ

知世子「映司ちゃん、その様子だとアンクちゃんと仲直りできたのね」

映司「はい。仲直りっていうか……アンクのこと、前より好きになりました」

映司(メダルのためとは言え、アンクがあんなことを言うなんて思わなかった。

   本当なら人間の命を大事にして、って念を押すべきだったのかもしれないけど……)

――昼食時

映司「いらっしゃいませー!本日は学生服フェアとなっております。

   ……って、里中さんと後藤さん?」

里中「こんにちは、火野さん」

5103「火野、そのスカートは短すぎるんじゃないのか」

映司「いえ、これくらいで普通だと思います。……あの、今はまだ仕事中じゃないんですか?」

里中「今日は有給をとらせていただきましたので、ヤミーが出ようがグリードが暴れようが、

   私に出動する義務はありません」

5103「里中、お前……いや、お前に何を言おうと無駄か」

映司「はあ……えっと、後藤さんはどうしてここに?」

5103「たまには客として訪れるのもいいかと思ってな」

映司「そうなんですか。私、てっきり二人でデートかと」

5103「そっ、そんなわけ「冗談やめてください、火野さん」……」

里中「どうして私が後藤さんとデートするんですか」

映司「仲良いですよね?」

里中「いえ、まったく上司と部下以外の何でもない関係です」

映司「お似合いだと思うんですけど」

5103「そんなことは「ありえません」……さ、里中、お前」

里中「なんですか?後藤さん」

5103「……なんでもない。火野、俺は向こうの席に座らせてもらう」

映司「はい、どうぞ

   ……あの、里中さん」

里中「何でしょう」

映司「後藤さんのこと、嫌ってるわけじゃないですよね」

里中「あえて仲が悪いとも言いませんし、個人的に嫌うところはありませんが」

映司(なんで本人がいないところで言うんだろう……)


個人的に5103と里中さんすごい好き
このSSで突っ込んだことは書かないと思うけど

映司(……!!

   ヤミーの気配だ)

里中「火野さん、どうかしましたか?」

映司「里中さん、知世子さんに『すぐ戻ります』って伝言頼めますか?」

里中「分かりました」

――街の中

男性「うわあ、やめろ、やめてくれえええ」

ヤミー「お前の真実は反転する……」

女性「あなた!」

男性「う、うう……」

映司「大丈夫ですか!」

男性「はい、特に痛いところは……」

女性「あなた、大丈夫!?」

男性「お前……どうしたんだ、その格好は!?」

女性「え?」

男性「それに顔つきも……どうなっているんだ?」

女性「あなた、なにを言ってるの?やっぱりどこか……」

男性「お前は男のはずじゃないのか!?」

女性「私はあなたの妻よ、しっかりして!」

映司「……これって、アンクと同じ?」

アンク「映司!」

映司「アンク、このヤミーで間違いないよ。あなたの記憶を改ざんしたのは」

アンク「なに?」

映司「たった今、ヤミーに襲われた男の人が奥さんを男の人だって言い始めたの。

   私はアンクの奥さんじゃないけど、身近な異性を同性と勘違いするんじゃないかな」

アンク「そんなことにつながる欲望があるっていうのか……?」

映司「どんな欲望が満たされるかは分からないけど、このままだとたくさんの人が苦しむよ。

   それは絶対に止めなきゃいけない。行こう、アンク」

アンク「ああ……俺の記憶を操ったこと、後悔させてやるとするか」

ヤミー「お前たちの真実も、反転することとなる……」

アンク「うるせえ!映司、これ使え!」

映司「分かった!変身!」

タカ!クジャク!コンドル! タ~ジャ~ドル~

アンク「どんな能力かは分からねえが、見た目からしてウヴァのヤミーだ。

    さっさと叩き潰せ!」

オーズ「よーし、行くよ!」


戦闘描写とか書けないよね、うん
てことでキングクリムゾン

無事戦闘には勝ちました


アンク「やったか」

映司「アンク、どう?私のこと思い出せる?」

アンク「うっ……頭が」

映司「アンク!?」

――異変が起きる前日の夜
  アンクは一人、人気のない道を歩いていた

アンク「……紫のメダル、暴走、厄介なヤミー……

    一つ一つ問題を潰していくしかねえな」

ヤミー「お前の真実は反転する……」

アンク「なっ、ヤミーだと!?」

少女「だめ、その人にひどいことしないで!」

アンク「あいつが親か!おいお前、お前の欲望はなんだ!」

少女「えっ……?」

ヤミー「簡単なこと。お前の目をそらすことだ」

アンク「なにわけのわからねえこと言ってやがる」

少女「お願い、その人を傷つけるのはだめ!」

ヤミー「ククッ……よかろう、傷つけはしまい」

ヤミー「ただこいつの目をそらす、それだけだ」

アンク「どういう意味だ」

ヤミー「俺の親は、どうもお前に恋をしているらしい」

アンク「恋だあ?ふざけてんのか!」

少女「ひっ、ごめんなさい、あの、私……

   いつも、あなたが屋根の上とかにいるのを見てて……

   なんだか、鳥みたいで素敵って思ってて……」

少女「けど、いつもあの女の人と一緒にいるから、だから……

   もう、諦めようって……!」

ヤミー「よく言ったものだ。心の奥底では

    『あの人を見ないで』と叫び続けていたというのに」

少女「うっ……うう……」

アンク「……それで?」

ヤミー「簡単なこと。お前とその女の真実をひっくり返す。

    積み上げた時間の崩壊だ」

アンク「はっ、やれるもんならやってみるんだな」

ヤミー「では、そうさせてもらう!」

伸びてきた右手から身をかわしながらアンクは大きく後ずさった。

今の動きから推測するに、このヤミーの右手に触れなければ問題はないだろう。

直線的な道路と、そこに散らばる街路樹やベンチ。それをどう利用して逃げ切るか思考するが、名案は浮かばない。

しばらくすればヤミーの気配に映司が気付く可能性もあるが……難しいところだ。

ヤミー「ゆっくり考えている暇があるのか?」

アンク「チッ……」

せめて本来の力の半分でも使えれば……そう思わずにはいられない。

しかしないものねだりをしても意味はない。現在の手札で如何にこの状況を切り抜けるか。

ヤミーが突き出した右手を避けながら、ベンチの背に手をついて飛び越し、少しでも距離を取ろうと駆けだした。

その背中に、悲鳴が届いた。

振り返ったアンクの目に映るのは、親である少女を抱えるヤミー。

ヤミー「この女がどうなろうと構わないらしいな」

少女は恐怖に立ち竦み、涙を流すことしかできないらしい。恐怖にひきつった喉からは助けを求める声すら上がらない。

しかしヤミーにとっては大事な親だ。放っておいても死ぬことはないだろう。

そう思うのだが、万が一の可能性がアンクの足をその場に縛り付けていた。

――人の命を大事にして!

アンク「……チッ」

グリードである自分が律儀にあの女との契約を守る必要はないはずだ。そう思うのは事実。

しかし、

アンク「アイス一年分、食えなきゃ困るんだよ」

そう思うのも事実なのだ。

こうしてアンクは、真実を反転させられることとなったのだった。

――現在、屋根裏部屋

映司「そうなんだ……アンク、約束を守ってくれたんだ」

アンク「だからさっさとアイス寄越せ」

映司「うんうん、感動だなあ。

   アンクが私の見てないところでも人を助けてくれるなんて」

アンク「聞いてんのか」

映司「それにしてもその女の子、大丈夫かな。

   どこにいるのか分からないけど、きっと自分のことを責めてるよね」

アンク「おい!」

映司「う、やっぱりいる?アイス……」

アンク「当たり前だ!」

映司「実は、アンクがあんまり食べるものだから、その……

   現在、アイス切れで」

アンク「なんだと!?」

映司「ごめん!明日じゃダメ?」

アンク「だめだ!今すぐ買って来い!」

映司「だよね……じゃあ、行ってきます」

アンク「チッ……さっさと帰って来い」

映司「分かってるって」

――夜道

映司「にしても今日も疲れたなあ……

   最近はコンボを使っても倒れなくなったけど、

   ピンチのたびに恐竜コンボになりそうなのを抑えないといけないし」

映司「結局、お店の方は後藤さんが手伝ってくれたらしいし……

   倒れたアンクに肩を貸さなきゃいけなかったし」

映司「はあ……」

少女「あの……ちょっといいですか?」

映司「えっ、はい、なんですか」

少女「私、あの……」

映司(もしかして、この子がアンクの言ってた……)

少女「あなたの、恋人に……助けてもらって」

映司「はい、その話なら聞きました。

   ……ん?恋人?」

少女「ごめんなさい!私のせいなんです、きっと……

   あなたに嫉妬したんです」

映司「落ち着いてください。アンクは恋人じゃないし……」

少女「けど!同じ家に暮らしてますよね!?」

映司(なんでそんなこと知ってるの!?)

少女「それどころか、同じ部屋で寝泊まりして……

   変に同情するのはやめてください!」

映司「いえ、私たちにはちょっと特殊な事情があってですね」

少女「私、もう諦めようって決めたんです!だから、どうかお願いします!

   現実を確認するためにも、あの人は自分の恋人だって、ちゃんと認めてください」

映司「えー……?」

映司(なんでそうなるの?)

少女「その言葉を聞けば、きっと諦められます……次の恋に踏み出せます!

   だから、お願いします!」

映司(グリードのアンクに近づこうとして危険な目に合うよりはいいのかな……?

   誰かが聞いてるってわけでもないし、いいか)

映司「えっと、はい、そうですね。

   アンクは私の恋人です。諦めてください」

少女「……ありがとう、ございます。

   それじゃあ、さようなら……」

映司「あ、はい、さようなら……?」

映司(なんだかよく分からないけど、あの子、泣いてた……)

映司「これでよかったのかな」

映司「ん?今、誰かの足音が……気のせいかな。

   って、もうこんな時間!早くアイスを買って帰らないと!」

アンク(……なんだ今の寸劇は?

    映司が戻るのが遅いからって様子を見に来て、どうしてこうなった)

アンク(「恋人」か……)

アンク「……なに考えてるんだ、俺は」

アンク(俺はグリードだ。人とは……違う)

この後、本編通りに進んでいって浜辺で殴り合いになります。

ていうかぶっちゃけそんなに話は変わらないんですね、これが。

若干投げやりになりつつありますが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。

とりあえず父が拗ねてるんで夕飯作ってきます。

ただいま戻りましたー。

さっきの描写だとわかりにくかったと思うんですが、アンクは映司の嘘には気づいています。

そのうえでちょっと悩んでるんですね。

だからって行動に現れるほどじゃないんですけど。

とりあえず続き、書いていきます。

――あれから

もう一人のアンクによるアンクの吸収と、奪還。

そして決別。

……加えて、火野映司のグリード化。

さまざまなことが、予定通りに進行している。

映司がアンクへ感謝を告げることも、

アンクが映司への情を自覚することも、

なにもかもが予定通りだった。

性別など、些細な要素に過ぎない。

火野映司という人間の本質を変えることはできなかった。

ただその胸に、ちいさな火種を生んだに過ぎない。

未だくすぶったままのその火種が燃え上がらないかぎり、物語に変化など生まれるはずもない。

そう、燃え上がらないかぎりは……


映司「アンク」

アンク「どうした?」

映司「実は、もう一つ、アンクに一度も言ってないことがあって」

アンク「なんだ」

映司「今はまだ言えないから、ちょっとだけ待ってほしいの」

アンク「は?……待ってもいいが、ちょっとだけだ」

映司「うん。……ありがとうね、アンク」

比奈(私、何も言えない。

   ……ううん、何を言えばいいのか分からない)

比奈(映司ちゃんに、言うべきなのかもしれない、アンクのメダルのこと)

映司「比奈ちゃん、どうしたの」

比奈「えっ、あの……」

アンク「……」

比奈「……なんでも、ない。なんでもないよ」

比奈(けど、これはきっと二人の問題で……

   だから私は、二人を、二人の選び取る明日を、

   待って、受け入れればいいのかな、お兄ちゃん……)

比奈(私の願いは……欲望は、

   ただこうして、三人で手をつないでいることなのに)

比奈(その気持ちが、二人に届けばいいのに……)



ちょっとわかりにくいけど三人でアイス食べるシーンの補足です。
先に書いておくべきでした。

先に謝っておきます。

>>1が戦闘描写が苦手なためにこれまでにましてガッカリクオリティなのは私の責任だ。

だが私は謝らない。

あれ?謝ってない……

いや本当にごめんなさい。

――そして迎えた終末の日

最後の切り札とも呼ぶべき秘策が打ち破られ、映司は唖然とするほかなかった。

映司(こんな……こんなこと)

こうなれば、今の自分に残された選択肢は紫のメダルを用いたグリード化以外にない。

映司(自我が残るかどうか、自信は全くと言っていいほどない、けど)

これしかない。

覚悟を決めて紫のオーラをまとった映司の側を火炎が走り去った。

アンク「映司ィ!止せ!」

その目に見える覚悟がなんなのか、分からないほど鈍感ではいられなかった少女は苦笑するしかなかった。

アンク「これ使え!」

投げ渡されたメダルは三つ。これを使えばタジャドルコンボが使える。

……勝てるかもしれない、けれど。

映司「アンク……」

倒れている信吾さんと手の中のメダルを見比べて、映司は頷いた。

>>81癖で信吾さんって書いたけど呼び捨てに脳内補完してください。

映司「分かってる。あなたがやれって言うなら、あなたが本当にやりたいことなんだよね。

   だから……ごめんなさい」

映司の手から放たれたメダルは、倒れた信吾の近くに落ちる。

瞬時に周囲のセルメダルを吸収して姿を現した右腕の異形は、憤慨した声を上げた。

アンク「おい、映司!」

映司「分かってるよ、アンク。分かってる……

   そのヒビも、それを分かって渡してくれたあなたの想いも」

けどね、と呟きが零れる。

映司「私、アンクが思っているほど親切じゃないよ」

映司の身を包む紫のオーラが、少女の身を異形に変化させていく。

飛び立つ二人、いや、二つの異形の背を見送るだけではいられずに、

信吾の体を借りて再び翼を得たアンクも、空へ上っていった。

紫の怪物同士の熾烈を極める争いは、一見して決着のつきそうにないものだ。

アンク(あの馬鹿……最後の最後で使えない馬鹿になったか……!?)

空へ、空へ、高く上っていくアンクの耳に、映司と真木の声が届いた。

真木「何故、君が正気を保っていられるのです」

映司「見つけたから。私の……私自身のための欲望を!」

だから、と映司の声は続いた。

映司「だから、負けられない!まだやりたいことがあるから!」

――少女の持つ火種は、今この瞬間に、火を噴いた。

真木「私の終末が……

   私が完成してしまう……」

周囲に浮かんだメダルたちが出現した異次元への穴へ吸い込まれていくのを、

アンクは見ているしかなかった。

異形の内から引きはがされた紫のメダルも、残らず吸い込まれていく。

穴との距離があったからなのか、己の内に未だメダルが存在するのを感じて知らず息をついた。

アンク(残ったのか……俺は)

火野映司によって残された、と言うのが正しいだろうか。

考えながら滞空するアンクの目の前で、飛行能力を失ったただの少女が落下していく。

まだ、終わったわけではない。

アンク「あの最高に使える馬鹿を、回収するか……!」

映司の体を空中で捕まえて、とにもかくにも、一度怒らずにはいられないと、

微笑むその顔を睨み付け、あることに気付いたアンクは言葉を失った。

映司「アンク、来てくれたんだ……」

アンク「映司、お前……」

透けている。

いや、粒子のように大気中に溶け出している。

その粒子が向っているのは、天に開いた穴だった。

映司「私、グリードになっちゃったみたいで……」

アンク「……馬鹿が!!」

アンク「この……馬鹿!

    さっき言ってたよな、欲を見つけたって」

アンク「なのにそれを満たす前に死ぬ気か!?」

映司「大丈夫、アンクが来てくれたから」

アンク「なに言ってんだ、おい、映司!

    消えるな、おい!」

映司「アンク、まだ言ってないことがあるって言ったよね」

アンク「そんなこと……」

言ってる場合か、という言葉を飲み込んで、アンクは映司の目を見た。

映司の目に映る自分は、泉信吾の体を借りているからだろうか、目から水を溢れさせていた。

映司の目は、ただ静かにアンクを見つめている。

映司「あれ、今、言ってもいい?」

アンク「……ああ」

映司「私は」

小さく呼吸を繰り返して、映司は息を整えた。緊張しているのか、睫毛が震えている。

映司「……ふふ、だめだ、怖くて言えない。

   ねえ、アンク。手を貸して。……信吾さんのじゃない、アンクの手」

アンク「これで、いいのか」

異形へと姿を変えた右手を、ほとんど見えなくなりそうな両手で包み込んで、映司は目を閉じた。

ゆっくりと右手に顔を近づけて、ついにはその距離がなくなり、唇が赤い手に触れる。

映司「私からアンクに、贈り物」

アンク「贈り物……?」

映司「アイス、あげられそうにないから。

   これで我慢してね……」

アンク「俺は……グリードだ!欲望の塊だ!

    それが、これぐらいで満足すると思うのか!?」

映司「しない、よね……ごめん」

アンク「だからお前が満足させろ!映司!……死ぬな!」

映司「……もう、時間だよ」

アンク「おい、映司!」

映司「アンクは生きて。そしていつか……世界をめいっぱい味わって」

アンク「馬鹿か!俺が一瞬でも満たされたのは、比奈だとか、それにお前が!

    お前がいたからだ!」

アンク「お前のいない世界を味わって、満足するはずあるか!」

映司「……そっか」

映司の目には少しの驚きが見えた。そして、そこにとめどなく溢れる喜び。

映司「アンクも、同じ気持ちだったって、思っていいの……?」

アンク「なにがだ!おい、映司!」

映司の唇が何かを告げようと動いたが、光の粒となってかき消され、

ついにアンクに届かないままで終わってしまった。

結局、最後の欲望が満たされることのないまま、火野映司は物語の幕を閉じたのだった。

アンク「おい、ふざけるなよ、映司……!」

右手を握りしめた時、ふとその中に異物を感じた。

アンクが手を広げてみると、そこには真っ二つに割れた紫のメダルの片割れがあった。

アンク「映司……」

アンク(贈り物どころか、遺品じゃねえか……こんなもん)

そう思いながらも、手の中のそれを捨てることができないまま、仲間の待つ地上へとアンクは降り立った。

比奈「映司ちゃん……?」

大空から落ちているのを確かにこの目で見たはずなのに。

比奈は首をかしげながら映司に駆け寄ろうとして、立ち止まった。

比奈「透けてる……どうして」

映司「比奈ちゃん」

やわらかい声が耳に届いた。こうして、優しく呼びかけてくれる声が好きだった。

映司「今まで、ありがとう。皆にも伝えておいて」

比奈「待って、映司ちゃん、待って!!」

駆けだした比奈の手が掴んだはずの映司の手は消え去り、比奈の手にはメダルの片割れがあった。

比奈「……どうして……?」

その場に崩れ落ちそうになるのをこらえて、空を見上げる。

まだ、終わっていない。

大事な掴むべき腕が、大空から降り立とうとしているのだから。

地上に降りたアンクを囲んだ面々の表情は、決して明るいばかりではなかった。

後藤「……火野……俺がもっと早く屑ヤミーを片付けられれば……」

里中「私の出勤時間、もうちょっと早めるべきでしたね。私のミスです」

伊達「あーもう違うって!お前らの葬式みたいな面は見たくないっつの!

   火野もそう思ってると思うぜ?」

知世子「映司ちゃんは……自分のやりたいようにやったのね?」

アンク「ああ。……俺のことは無視してな」

知世子「アンクちゃん、辛いわね……失恋だものね」

アンク「なっ、馬鹿言うな。誰が……」

比奈「アンク、赤くなってない?」

アンク「はあ!?」

伊達「アンコ~お前けっこうかわいいとこあるなあ」

後藤「なにをふざけてるんですか、伊達さん!

   火野が死んだんですよ!?」

里中「というか、グリード化した挙句に意思の宿ったコアメダルが割れたんですよね」

伊達「怒るなって、後藤ちゃん。里中ちゃんの言った通り、メダルが割れたんなら……

   くっつければ生き返ったりして!」

後藤「伊達さん、さすがに怒りますよ!」

里中「もう怒ってませんか?」

伊達「さっすが里中ちゃん、鋭いツッコミだねえ」

後藤「伊達さん!!」

アンク(待て、今の伊達の言葉は一理あるんじゃないか)

比奈「アンク、これ……見て」

アンク「これは、映司の……」

比奈「アンクの持ってる欠片と合わせて、一つになるよね」

アンク「……ああ」

比奈「取り戻せるかもしれない、よね?」

アンク「……そう、だな」

比奈「……いつか、会えるかもしれないよね!?」

アンク「……当たり前だ!」

アンク(待ってろ、映司)

――いつかお前に、会いに行ってやる。

――エピローグ

鴻上会長に掛け合い急ピッチで進められた研究によって、

どうにかアンクは泉信吾から離れて生きることができるようになった。

自由な体を手に入れた途端、メダル技術に応用できる技術を探そうと、

世界へ飛び立とうとしたアンクを引き留めたのは比奈だった。

比奈「アンク、パスポート持ってないでしょ!」

アンク「飛べばいいだろうが」

比奈「そういう問題じゃないから!」

これまた鴻上会長による欲望を応援したいという申し出により、

パスポートを得て世界へ羽ばたこうとしたアンクを引き留めるものはなかった。

しかし、帰りを待つと言って手を振るものなら、確かにそこにいた。

当てもない旅は続いていく。

気の向くまま、足の向くまま。

この世界を生きるため、不可欠な少女を取り戻すために。

どこかに希望の種があると信じて。

そんなアンクの背後をついて歩く少女の姿に気付くものはない。

しかし少女もまた信じている。

いつか、再開の時が来ることを。


これにて終劇、ありがとうございました。
ご意見、ご感想のほどありましたらよろしくお願いします。

そういえば書きたかったけど書きどころがなくて、
結局自然消滅したシーンが……

もったいない精神が騒ぐので投下しときます。

時間軸は謎だけど、アンクと映司が両想いになったとして。


アンク「オエージ!目ぇ閉じろ」

映司「だめだよアンク、そんな……」

アンク「ああ?男と女のすることなんざこれしかねえだろ」

映司「そうかもしれないけど、それ、刑事さんの体だよ?

   私、初めてはちゃんとしたアンクの体がいいよ」

アンク「……ふん」


とかこういうゲロ甘なアンクと映司(女の子)が読みたいです誰かくれ。

それではそろそろお暇させていただきます。
こんな駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました!

今後似たような内容のスレで見かけたら、生ぬるい目で応援してくださると嬉しいです(笑)

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