れいか「なおが借金のカタに学校を辞めて働こうとしている」(339)

れいか「それは事実なのですかやよいさん」

やよい「どこまで本当かはわからないけど、昨日なおちゃんの家の前通ったら・・・」

やよい「怖いおじさんが二人いてなおちゃんと話してたから、こっそり盗み聞きしたの」

やよい「両親はもう逃げた、あとにはこれだけ借金が残ってるって」

やよい「この家に居たければおまえが働けって声が聞こえて、なおちゃん悩んでた」

やよい「私たち昼間は授業だから働くとしたら学校を辞めるしかないよね」

れいか「そんな・・・なおが学校を辞めるなんて・・・」

れいか「やよいさんはその時なにも手助けをしなかったのですか?」

やよい「だって今時パンチパーマで顔に傷があって白スーツって・・・変身しても勝てないよ」

れいか「・・・そうですか、私に教えてくれてありがとう」

れいか「デリケートな話題ですから、他の人にはまだ内緒にしておいてください。私がなおと話します」

れいか「(ガラッ お邪魔します。なおはいますか?」

なお「えっ、れいか・・・ど、どうしたのこんな時間に?」

けいた「れいかお姉ちゃんだー!」

はる「わーい、れいかお姉ちゃん綺麗だから好きー!」

れいか「ありがとう。でも今日はなおと大切な話があるの。二人きりにしてもらえる?」

はる「はーい」

なお「えっ? 大切な話?」

れいか「なお・・・縁側でもいいから二人で話しましょう。いい?」

なお「いいけど・・・私もれいかに話したいことがあったし」

なお「お茶淹れてきたよ・・・うわっ」

れいか「きゃっ」

なお「ご、ごめん、何もないところでひっくり返すなんて・・・れいかの服にかかっちゃった」

れいか「いいのよ、気にしないで。それより話をしましょう」

れいか(なおの動揺はかなりのもの・・・これはもしかして本当に・・・?)

なお「替えのお茶持ってきたよ。それじゃれいかの話からどうぞ」

れいか「はい・・・あの、なんと申しますか・・・ええと」

なお「何か話しにくいこと?私たち幼なじみなんだから遠慮せずに話してよ」

なお「私はいつでもストレートが好き。勇気凛々直球勝負、だよ」

れいか「は、はい。では聞きますが・・・なおが学校を辞めるという噂を聞いて」

なお「聞いちゃったんだ・・・はあ、困ったなどうしよう。ああ、何から説明すればいいのか・・・」

れいか「あの、直球勝負じゃなかったんですか」

なお「うちの両親、夜逃げしちゃったんだ・・・一昨日から帰って来なくて」

なお「そしたら怖い人たちが来て・・・300万の借金があるって」

れいか「300万!」

なお「今は私にしか話さないけど、おまえが話を聞かないなら弟たちと直接話すって」

れいか「それは警察に話すべきです。借金だって正式に弁護士さんに頼めば・・・」

なお「でもうちは頼れる親戚もいないし・・・それにもし弟や妹に万が一のことがあったらと思って・・・話だけは聞くことにしたんだ」

なお「そしたら私が働けば、弟たちには何もしないって・・・この家にも居ていいって」

れいか「働くと言っても学校はどうするのですか?それに時間だって・・・」

なお「学校は義務教育だから通うよ。夜の時間に働けばいいって」

なお「働き先も紹介してくれるって言ってた。それなら、仕方ないかなって思ってるんだ」

れいか「そんな話が・・・夜の時間・・・そんな時間に中学生を雇ってくれるところなんて・・・」

れいか「それにたとえ工場だとしても、一日でどのくらいになるのですか?それだけで弟妹を養えるのですか?」

なお「そんなのわからないよ。でもお金の問題なんだから、やるしかないでしょ?」

れいか「その話はおかしいです。なお、私と警察に行きましょう」

なお「待って。やめてよ。だってそんなことして、弟たちが誘拐でもされたらどうするの?」

れいか「なお、落ち着いて。そんな人たちの言葉に騙されてはいけません」

なお「でも話の筋は通ってるし、どんな場所で、どんな条件かだけでも聞いてみたいよ」

なお「弟妹たちが今と同じ生活ができるなら、私は少しくらいの苦労だって気にしないよ」

れいか「なお!目を覚ましなさい!」

なお「やめてよ!私だって怖いんだよ?それなのに決心を鈍らせるようなこと言わないで!」

なお「私個人の事情じゃなくて家のことだから・・・今回だけは、れいかも黙ってて」

れいか「なお・・・」

れいか(初めてなおに追い返されてしまいました・・・)

れいか(だけどどう考えてもこの話はおかしい・・・中学生を働かせるだなんて)

れいか「ただいま戻りました・・・ごめんなさい、今日は夕飯はいりません・・・気分が悪くて」

-れいかの部屋-

れいか(なおが働く・・・そうなると今までみたいにはいられなくなる・・・プリキュアも続けられなくなる)

れいか(今までずっと側に居たのに・・・なおの側に居られると思ったのに)

れいか(なお・・・あなたはわかっていないんです・・・私にとってあなたがどれほど大切か)

れいか(ただの幼なじみではないんです・・・私にとってあなたは・・・初恋の人・・・そして今でも恋愛としての想い人)

れいか(女同士でおかしいとはわかっているけど・・・それでも私はあなたのことが好きです)

れいか(だから絶対に離れたくない・・・一緒にプリキュアになって・・・これからも二人で歩んで・・・)

れいか(やっぱりこのままじゃいけない・・・明日になったらなおともう一度話そう)

れいか(そして解決策を二人で探そう・・・私は絶対にあなたを守ります)

なお「こ、こんなの聞いてない……」

男「おら、キビキビ動きな! 優しく握ってやるんだぜ……おっと、でちまいそうだ」

なお「くっ……こんなのどうすればいいかなんて」

男「おうおう、文句言ってるヒマがあるなら手を動かしな。まだまだあるんだからな」


なお「いちご大福を作る仕事がこんなに大変だなんて……」

キーンコーンカーンコーン

れいか(なお・・・今日は昼食も避けられて、一言も話せてない・・・なおの顔色もずっと青いまま・・・)

なお「みんなじゃあね・・・今日は先に帰るよ」

あかね「おー。ほなまた明日やでー」

みゆき「あれ?なおちゃん今日は部活じゃなかった?休むのかなあ」

れいか「(ガタッ 皆さん、今日は私も先に帰ります!申し訳ありませんが、生徒会には早退したとお伝えください!」

あかね「え、ええけど・・・どないしたんや、れいかまで」

茶々入れといてなんだが面白いぜしぇ

れいか「ハアハア なお!待ってください!」

なお「れいか・・・そんなに息を切らせて、なに?」

れいか「なおと話がしたくて・・・」

なお「ああ・・・昨日はごめん。酷いこと言っちゃったね、それは謝るよ」

なお「でもごめん・・・やっぱりれいかとは話したくない。その時が来たらちゃんと言うから」

れいか「『その時』ではありません!『今』話してください!」

なお「え・・・」

れいか「なおはいま一人で考えているのでしょう?それでは答えも一つです」

れいか「私が話を聞くだけでも答えが二つに増えます。可能性は多い方が良いのではありませんか?」

れいか「私はなおの味方でいたいんです。どうか、全て話してください」

なお「う、うぅ・・・」

なお「う、うわああああっ!れいか・・・れいかぁっ!」

れいか「ど、どうしたのですか!?」

なお「ふぅ・・・」

れいか「なお・・・お水を買って来ました。お茶もありますが・・・」

なお「ああ、ありがとう。水の方を貰うよ」

れいか「それで、さっきのなおは・・・昨日よりも、事態が悪くなったように思えましたが」

なお「うん・・・」

なお「実はれいかが帰ったあの後・・・怖い人のところへ電話したんだ」

なお「私はそれが正しいと思って意固地になってたし、決心が揺らがない内にと思って」

なお「そこで仕事の内容を聞いたんだ。そしたら事務所まで連れていかれて・・・」

れいか(事務所・・・!)

なお「そしたらそこに怖い人が大勢いて、その中に一人だけおっとりした黒い服の人がいて・・・」

なお「私が怖くて何も話せないでいたら・・・その黒い人が風俗店の店長だって説明されて」

れいか「!!」

>>14
支援ありがとう
苺大福噴いたwwwww

なお「裏の・・・私みたいな親の居ない、中学生や小学生専門の風俗店だって」

なお「キ、キスとか・・・そんなのだけじゃなくて、身体の・・・エッチなこともいっぱいするって」

なお「でも私、お前が断ったら妹や、弟にまで話をするって言われて・・・」

なお「使い物にならない時は、誘拐して内蔵を売るって言われて・・・うぅ」

れいか「ま、まさか・・・」

なお「契約書に・・・サインしちゃったんだ」

れいか「あ・・・ああ・・・」

なお「その日から研修だって言われたけど、それだけは抵抗して・・・」

なお「押さえつけられそうになったけど、怖い人たちの方にトラブルがあったみたいで、私どころじゃなくなって・・・」

なお「それで昨日はなんとか逃げて帰ってきたんだけど、後から電話が来て、今日は必ず来いって・・・」

なお「私、今から行かなくちゃいけないんだ・・・大人の人に、怖い人たちに囲まれて・・・」

なお「エッチなことしなくちゃいけないんだ・・・ううっ、うわあああっ・・・!」

れいか「なお・・・!」

れいか「(ガバッ 嫌です・・・!私はなおにそんなことをさせるわけにはいきません・・・!」

なお「れいか・・・ううっ、でも私・・・もう・・・もうサインしちゃったんだよ・・・」

れいか「諦めてはいけません、なにか、方法はあるはずです」

なお「方法なんて・・・お金がないのに・・・お金がなければなにもできないよ・・・」

なお「けいた、ゆうた、こうた・・・はる、ひな・・・みんなに迷惑掛けたくない・・・怖い思いをさせたくない」

なお「れいか、今までありがとう・・・私、そんな仕事してまで学校に通えないし・・・れいかとも話せない・・・」

れいか「諦めてはいけないと言ったはずです!まだ方法はあります!」

なお「ないよ・・・契約書にサインして、弟たちまで人質にとられてるようなものなのに・・・」

れいか「私が300万円払います!」

なお「えっ・・・」

れいか「契約書にサインしたと言っても、向こうはお金さえ払えれば文句は言ってこないはずです」

れいか「なにもなおにどうしても風俗業をさせたいわけではないでしょう?それなら・・・私が払います」

なお「そっ、そんなことできるわけないよ!なに馬鹿なこと言ってるの!」

れいか「馬鹿なことを言ってるのはなおも同じでしょう?だから昨日、私の話を聞いて欲しいとあれだけ言ったのに・・・」

なお「う、うぅ・・・」

れいか「もちろん私個人が300万という大金を用意できるはずがありません。だから両親を説得します」

れいか「それでなおが無事に済むのなら、借金の分のお金は用意します。後は普通の仕事を見つけましょう」

なお「そんな・・・れいかや、れいかの両親にまで迷惑掛けるなんて・・・できないよ」

れいか「できるできないではありません、なおは自分の身体がどうなってもいいのですか?」

なお「嫌だよ・・・エッチなことなんて、嫌に決まってるよ・・・私だって、したくないよ」

なお「でも300万円なんて大金、ただの同級生に用意してもらうわけにはいかないよ!」

れいか「お黙りなさい!」

なお「あっ・・・」

れいか「なおの身体が、一生のことがかかっているのです。立場などと言っている場合ではありません」

れいか「ここは私に黙って任せてください。必ず両親を説得してお金は用意してみせます」

なお「でも300万・・・そんなお金・・・見たこともないよ・・・」

れいか「私の父なら今日中にキャッシュで用意できます。その程度の用意はあります」

なお「れいか・・・でも、お金なんてものでれいかと・・・」

れいか「はい?」

なお「お金の貸し借りを作ったら・・・れいかと真っ当な友達でいられなくなっちゃうよ・・・」

れいか「え・・・それはどういう意味ですか」

なお「だってそんな大金、しかも一方的に世話になったんじゃ、私は何も返すことができないよ」

れいか「ゆっくりでいいのです。社会人になって、それから返す形で構いません」

なお「そうじゃなくて・・・私がれいかに対して遠慮とか・・・」

れいか「私たちは友人ではありませんか。決して遠慮などしないでください」

なお「だけど・・・」

れいか「なおは自分を守りたくはないのですか?今は何よりも優先すべきことがあるはずです」

れいか「それとも、なおは自分の身体を売って働きたいのですか?」

なお「そ、そんなわけないよ!嫌に決まってるよ!」

なお「そうじゃなくて、ただ私は・・・れいかとずっと友達でいたいから・・・」

れいか「私はいつまでもあなたの友人です。ただ無償で、何も求めずにあなたを守りたいのです」

れいか「だから一度だけ、私に最大限甘えてください」

なお「・・・」

なお「わかったよ・・・れいかのお世話になる」

なお「ありがとう・・・本当にありがとう。私はれいかと幼なじみで本当に良かった」

れいか「なお・・・」

れいか(良かった・・・本当に良かった)

れいか(これでなおは救われる・・・私はなおの役に立てた・・・これからも、なおの側にいられる・・・)

れいか「父の説得には成功しました。私たちが話さなくても、父から連絡を入れてもらえるそうです」

なお「ありがとう・・・本当に感謝するよ」

なお「あの、それでえっと・・・どうやって返せばいいのかな」

れいか「お金ですか?それはなおの都合がついた時で構いません」

なお「そ、そんなことできないよ!こういうのはきちんと紙とかに書かないと筋が通らないよ」

れいか「気にしなくていいと言ったではありませんか。私はなおを疑ったりはしません」

なお「だけど・・・」

れいか「私となおの間に遠慮はいりません。これからも良い友人でいてください」

なお「・・・」

なお「わかったよ」

キーンコーンカーンコーン

なお「おはよう」

みゆき「なおちゃん、おはよー!」

あかね「おはようさん」

れいか「おはようございます」

なお「あ・・・おはよう」

れいか(ふふっ、なおがいつも通り学校に居てくれる・・・)

れいか(なおの顔色も戻ったみたいだし・・・本当に良かった)

キーンコーンカーンコーン

なお「・・・それで怖い人たちからは連絡があったよ。もう私たちに用はないって」

なお「本当に、れいかの言ってた通りだった。お金さえ払えば、私たちに構わないでくれるんだね」

れいか「ええ、金輪際なおとその方々が関わることはないでしょう」

なお「うん、良かった・・・それでさ、だけど両親がいないことに変わりはないんだ」

なお「弟妹たちの養育費もあるし、私はやっぱり放課後は働くことにするよ」

れいか「そうですか、それは仕方ありませんね」

なお「だからサッカー部もやめて、プリキュアも辞めようと思って」

れいか「ええっ!」

なお「わっ。な、なに、どうしたの」

れいか「だってなおがサッカー部を辞めるなんて・・・あんなに大好きで、活躍もしていたのに」

なお「でも、だって、そんなことしてる場合じゃないよ。働かなくちゃいけないんだよ?」

れいか「それは・・・でもプリキュアまで・・・」

なお「それこそやってる場合じゃないよ。キャンディには悪いけど、自分の生活を守らなくちゃ」

なお「だからさっき退部届も出してきた・・・みゆきには明日話すよ」

なお「それで卒業したらきちんとしたところで働いて、れいかにお金も返したいんだ」

れいか「えっ、なおと同じ高校へ行けない・・・?」

なお「行けるわけないよ。生活費だってままならないのに進学なんて」

れいか「それは・・・スポーツ特待生などありますし、考えてみては・・・」

なお「そんなことになったら弟たちはどうするの。私だけじゃないんだし前を向いて頑張るよ」

れいか「そ、それならお金はまだ返さなくても構いません」

なお「それは・・・でも、少しも返さずにいるって言うのは・・・」

れいか「構いません。そうだ、なおが特待生として進学する気持ちがあるのなら、生活費は用意します」

なお「えっ」

れいか「事情が事情なのです。弟さんや妹さんの学費、養育費・・・私の家で用意できないか相談してみます」

なお「れいか・・・ちょっと・・・」

れいか「なおが前を見て歩いているのなら、応援したいのです。私の両親も納得してくれるはずです」

なお「ちょっと・・・待って!」

れいか「えっ?」

なお「れいか、それはおかしいよ。筋が通ってない。確かに借金のことは進退窮まったから助けてもらったけど・・・」

なお「自分でできることをやらないで、それなのにれいかの家のお世話になるなんてできないよ」

れいか「ですが、なお一人が働いて、進学もしないというのは・・・」

なお「自分で言った通り、私は弟妹のためならそのくらいやるよ。だって私の家のことだから」

なお「両親を恨んだり、自分の未来に対して拗ねたりもしたくない。できることを精一杯やって、前を向いて歩きたい」

なお「ただれいかの好意に甘えて、弟や妹たちと学校へ通わせてもらうなんてしたくない」

れいか「なお、落ち着いて。なおの将来がかかっているんです」

なお「落ち着いてるよ。借金の時とは違う。今の私は間違ってないと思ってる」

れいか「なお、前回も私の話を聞かずに大変なことになったでしょう。まずは話を聞いて」

なお「だから今回はれいかの話を理解してるってば。ただ私は――」

れいか「なお、聞いてください!」

なお「あっ・・・」

なお「は、はい」

れいか「なおが進学する気がないというのならわかりますが、高校へ行ってやりたいことはあったのでしょう?」

れいか「弟や妹の皆さんだって進学もしたいはずです。なおの稼ぎだけで高校へ通うのは無理でしょう?」

れいか「それならば私の言う通りにした方が良いのではありませんか?」

なお「・・・」

なお「わかっ、た・・・」

れいか「わかっていただけましたか」

なお「いや、えっと・・・れいかの話が理解できたってだけで」

なお「決めるのにはもう少し時間が欲しい。まだちょっと考えたい」

れいか「そうですか。考えるのは良い事だと思います」

れいか「今回は今すぐでなければなおが困るという話ではありませんから。ゆっくりと考えてみてください」

れいか「だからプリキュアを辞めることはみゆきさんに言わないでくださいね」

なお「う、うん・・・」

れいか「それとできればサッカー部にも戻ってください。お願いします」

なお「・・・考えてみる」

れいか「サッカー部のことは早い方がチームワークの取り返しがききます。今すぐ行くべきでは?」

なお「・・・わかったよ」

れいか(良かった・・・これでもうすぐ元通りの生活)

れいか(なんだか、なおが落ち込んでいたけど・・・きっとわかってくれるはず)

れいか(お金を借りたり、誰かの世話になることは大変だと思うけど・・・)

れいか(なおと私ならきっと大丈夫。なおはまっすぐな子だから)

れいか(なお・・・あなたはどうか今のままでいてね)

キーンコーンカーンコーン

あかね「メシやー」

なお「ごはんだー」

れいか「ふふ、今日もあかねさんのお昼ごはんはお好み焼きなのですね」

あかね「うちは毎日でも構わへんのやで。なおは・・・唐揚げやん。ウマそうやん」

なお「ん?うん、弟たちが好きだからね」

あかね「なんやホンマ美味しそうやわ。ええ肉使ってるのと違う?」

なお「そ、そんなことないよ!全然、全然安いお肉だよ?」

れいか「・・・?」

れいか(もしかして・・・そんなところまで私にお金を借りていることを遠慮して?)

あかね「そういえば、なおは水筒どないしたん。飲み物なしで食べるんか?」

なお「あっ。しまったあ・・・水筒、忘れちゃったよ」

あかね「ジドハン行ってきた方がええんちゃう」

なお「あ、いや・・・無駄遣いもできないしさ。水道水でいいよ」

れいか「なお、お茶くらいは買った方が良いですよ」

なお「そ、そうかな・・・でも実は、財布の中に小銭もなくてさ」

あかね「ほんならうちが貸したろか?」

れいか「いえ、私が貸します。はい、なお。使って?」

なお「うん・・・ありがとう。お茶、買ってくるよ」

れいか(なお・・・表情が暗い。やはり私との金銭のやり取りを気にして・・・)

あかね「ホンマなおの唐揚げうまいわー。絶品やで」

なお「あーもう、勝手に食べないでよ。ったくあかねは、三つしかない内の一つを」

みゆき「あはは、なおちゃんとあかねちゃん面白ーい」

れいか「なお、食事が終わったら二人で話がしたいのですけど、いいですか?」

なお「えっ・・・う、うん」

やよい「どうしたの?私たちは聞かない方がいい話?」

れいか「そうですね、なおと二人で話がしたいんです」

なお「・・・」

れいか「なお、もしかして私に遠慮をしていませんか?」

なお「そんなことないよ」

れいか「ですが、明らかにおかしいと思います。私は長年なおと一緒にいたからわかります」

れいか「金銭のことで思う部分はあるかと思いますが、どうか今まで通り接してください」

なお「う、うん、わかってるよ。わかってはいるんだけどさ」

なお「やっぱ考えちゃうよね。その、れいかが嫌いとかそういうのは全然ないよ。でもまだ昨日のことだし」

れいか「では時間が経てば、なおは友人として接してくれるのですね」

なお「うん、大丈夫だと思う」

れいか「私は本当に、なおと昔からのままの関係でいたいだけなんです。他に思うことなどありません」

なお「わかってるよ。れいかは本当によくしてくれてる。ただ、私の気持ちの問題だから」

なお「しばらくすれば私も慣れると思うから。ごめんね」

れいか「なお・・・」

キーンコーンカーンコーン

れいか(今日は生徒会でもミスしてばかり・・・)

れいか(なおのことが気になって、全く身が入らなくて・・・)

れいか(なおに・・・遠慮なんてして欲しくない。それどころか、私はなおと・・・なおのものにしてもらいたい)

れいか(なおと気持ちが通じ合えたら・・・それほど素敵なことはないはずなのに)

れいか(ああいけない、またしても考えがループし始めてる)

れいか(なおにしっかりしろと言っておいて、私がこのままじゃいけない)

れいか(なおはいつも通り接してくれると言ってくれてるし、もっと二人の時間を増やそう)

れいか(沢山の話をすれば、きっと元通りの関係になれるはず)

れいか(なおはサッカー部へ戻ってるはずだし、校門のところで待って一緒に帰ろう)

カァカァ

れいか(なお・・・随分と遅くまで。もう人もまばらになってきたのに)

れいか(サッカー部が校庭から姿を消したのは大分前・・・まだ更衣室に?)

れいか(ちょっと様子を見に行ってみよう・・・)

-校舎裏-

あかね「そないなことがあったんか・・・」

なお「うん・・・自分でもどうしていいかわからなくて」

れいか(ん?あれは・・・あかねさんと・・・なお?)

れいか(二人で何の話を・・・なんだか真剣な顔をしているけど・・・)

なお「れいかは本当にいい子だよ。私のために、私を救おうと懸命になってくれてる」

なお「だけどお金のことが絡んじゃうと・・・れいかの一言が怖いんだ」

なお「もしれいかに嫌われたら・・・れいかから縁を切られたら、私はどうしようもなくなるんだって」

れいか「!!」

れいか(なお・・・あかねさんとどこまで話して・・・?というよりも私以外の人にまで・・・)

あかね「お金のことはあかんなあ。普通に接しろって言われても、そられいかも無茶言うわ」

なお「ううん、れいかは純粋なんだよ?私が普通にしていれば、あの子はきっと喜んでくれるんだ」

なお「だけど、れいかは普段が物静かだから、少しでも語気が強くなると途端に怖くて・・・」

なお「前は普通に言えたことでも、今は言い返して嫌われるって考えが頭をよぎると、もう何も話せないんだ」

なお「だけどれいかは私が遠慮してることを気付いてて・・・どうしても普通に接して欲しいみたいで」

なお「でも私は怖くて・・・そうなると普通にできなくて、それがわかると萎縮して・・・どうしていいかわかんないよ」

なお「一度は身体を売るなんて覚悟もしたけど、もう嫌だよ・・・二度もそんな覚悟できないよ。私だって普通でいたいよ」

なお「今日一日で、れいかと今までどう接してたかも思い出せなくなっちゃったよ・・・」

れいか(なお・・・そんな、そこまで苦しんでいたなんて)

れいか(でも大丈夫。いま言ったことをそのまま私に打ち明けてくれれば仲直りできる・・・あなたを理解ってあげられる)

れいか「なお――」

あかね「なおっ!(ギュウッ」

れいか(あっ・・・?)

あかね「なお・・・そないに苦しんどったなんて辛かったやろ。気付いてあげられなくてごめんなあ」

あかね「うちかてなおが身体売るなんて嫌や。なおがそんなことするの耐えられへん。だから助けてくれたれいかには感謝するわ」

あかね「でも助けてる人間には助けられてる相手の気持ちはわからへんのやろ。特にお金のことならなおさらや」

なお「ううっ・・・」

あかね「お金さえあればなんでも言える、なんでもできる。だからある人間にない人間の苦しみを理解してくれってのは無理や」

あかね「感謝はしてる。でも感謝が大きすぎて苦しい。そんななおの気持ち、話してくれて嬉しいわ」

なお「わかってるんだよ・・・私が普通にすればいいだけって。でも、それができないよ・・・だって私は・・・私には何もできなくて・・・」

あかね「ええんや。なおはそこにおるだけでええから。それだけでみんな嬉しいんや。みんななおが好きなんや」

あかね「うちかてなおのこと大好きや。だからこうして話してくれて嬉しい。声掛けて良かった思うわ」

あかね「ホンマ、めっちゃ好きやねん。かわいい。なおのことが好きや大好きや」

れいか(・・・)

なお「う・・・あ、あは・・・ありがとう。こんな、弱ってる時に好きなんて言われたら、嬉しいよ」

あかね「ほんまかいな。意外と冷静やで」

なお「違うよ、今までずっと悩んでて・・・しんどかったけど、あかねに好きだって言われたら気持ちが安らいだよ」

なお「ありがとう。あかねに話して良かった。話を聞いてもらって良かった」

あかね「ただ普通に好きなだけ違うで。うちな、なおに惚れとってん。なおのこと好きやねん」

なお「は?」

あかね「本気やで。いま抱きしめとる間も、ごっつ胸高鳴っとる。ああ、聞かんでええ。それよりこっち向いてや」

なお「え、ええ?あかねなに言って・・・いやその本気?でも私あの、女の子で・・・女の子同士で・・・」

あかね「ええから。ほら上向きや。顔上げるだけでええねん」

なお「や、やだよ、なんか恥ずかしいし」

あかね「ええから向いてや。ほら恥ずかしがらんと。ってか自分で女の子同士言うておかしいやろ」

なお「う、うん、まあそういうことになるか・・・じゃあ・・・これでいい?」

れいか(や、やめて・・・なお、上を向かないで。なにを・・・あかねさん、なにを・・・?なにをする気――)

あかね「いただきや」

なお「んっ」

れいか「――!!!!」

れいか(ああっ・・・ああっ、ああ・・・)

れいか(なおが・・・あかねさんと、キス・・・?キスしてる・・・私の目の前で・・・なおが・・・)

あかね「ん・・・」

あかね「ん・・・くちゅ、んちゅ・・・んちゅっ」

なお「んっ!? んっ・・・んむ・・・んっ、ぷはっ・・・!あ、あかねっ!?」

あかね「あはは、ごめんやで。舌入れてしもた。いや、こんなんするもんなんかなー思て。へへ」

なお「ば、馬鹿っ!しないよ普通!今のファーストキスだよ!?それなのに舌って・・・ありえないって!」

あかね「あ、ファーストキスって認めよった。恋愛のキスやって認めた証拠や。女同士ならそんなこと言わへんもんな」

なお「あーもー、うるさいっ!うるさいうるさい!もう!馬鹿じゃないの!いやカバだ!あかねのカバ!」

あかね「カバさんやでー。あはは、よかったわ。いつものなおや。うちの大好きななおの声や」

なお「あっ・・・」

あかね「ごっつ嬉しいわー。今日一日ヘコんどったなおが、ようやく普段の顔に戻ってくれた」

なお「あ、ああ・・・本当だ。なんだか楽しくて・・・はは」

なお「え、じゃあキスしたのは私を元気づけるため・・・?」

あかね「ああ、それはちゃう。そんな良い子ちゃうで。ほんまになおのこと好きや」

あかね「でもうち相手にいつも通りのなおを見せてくれて嬉しかったんもほんまや。うちがなおのこと助けてあげられた思て」

なお「助けて・・・うん、そうだね・・・あかねに、とっても助けられた。あかねのお陰で、立ち直れたよ」

れいか(・・・!)

あかね「れいかにな、普段通りにするの、ごっつしんどいと思うんや。でもそん時に、もう一人支えになれる相手がおればええんかな思う」

あかね「うちはなおのこと好きや。せやからうちがなおの側に居られたら嬉しい」

あかね「れいかは助けてくれた。それはなおも信頼に応えてお金返さなあかん」

あかね「でもれいかはそれ以上のこと求めてへんのや。それやったら甘えてしまい。そんでうちにも甘えてや」

あかね「うちが求めるのはわかりやすいやろ。なおの気持ちや。なおが今日みたいにうちに甘えてくれたら嬉しい」

あかね「そのお返しにうちが支えになったるわ。これならギブアンドテイク、遠慮はいらへんやろ」

あかね「うちと付き合ってや」

れいか(嫌・・・)

れいか(そんな・・・なおが、私以外の人と・・・それも男性ならまだしも、私と同じ女性と・・・)

れいか(しかもお互いの友人であるあかねさんとなんて・・・嫌です・・・なお、お願い・・・断って・・・)

なお「・・・」

なお「あ、はは・・・なんだか照れちゃうな。恥ずかしいよ。正直、心臓ドキドキしてる」

なお「あかねの気持ちありがとう。すごく嬉しい。いま付き合っちゃおうかなって思った」

れいか(・・・っ!)

なお「――でもごめん、ちょっとだけ待って。あかねと付き合いたいけど、いま自分がどういう状態なのかよくわかんない」

あかね「なんやー。付き合いたいなら付き合ってや。直球勝負やで」

なお「馬鹿。そもそも女同士ってのが変化球でしょ。そんな、あかねから告白なんて考えなかったし」

なお「でも気持ちがすごく楽になったから、このままあかねと居れば頑張れるってわかる。あかねに甘えたい。側にいて欲しい」

なお「ただ、悩んでまた明日、やっぱり無理だってのも嫌だから・・・一日でいいから。ちゃんと考えさせて」

あかね「うーん、本音を言えば勢いでのりきらんと断られてまうって思ってたけど・・・」

あかね「なおがそこまで考えて言うてくれるなら待つわ。うちはなおのそういう真面目なとこが好きなんやし」

なお「ありがとう・・・そうだね、真面目過ぎるのは私の欠点かも。もっと気楽に考えられたらいいのにね」

あかね「せやからいい加減なうちがバランス取ったるわ。ちょうどええやん」

なお「あはは、本当だ。私とあかねはいいコンビだ」

あかね「カップル言うてや。明日楽しみにしとるで。ほな一緒に帰ろか――」

あかね「――あ、タンマ。帰る前に、もう一度だけキスしてええ?」

なお「ええ?恥ずかしいって言ったのに」

あかね「頼むわ。我慢できひん。ほんま好きやねん。まだドキドキ止まらへん」

なお「・・・ぅ」

なお「ん、うん・・・じゃあ、もう一度だけ、いいよ」

あかね「おおきにー!ありがとさんやー!ホンマなおのこと大好きやー!」

なお「お、大きな声出さないでって!誰か来たらキスできないよ!てかそしたらしない!」

あかね「ああそら困るわ、堪忍してや。ほな目ぇ閉じて――んっ・・・」

れいか「ただいま・・・戻りました」

れいかの母「れいか、ごはんは?昨日も食べなかったでしょ?」

れいか「今日も・・・いりません。ごめんなさい・・・明日は、きちんと食べますから・・・」

パタン

れいか(ああ・・・)

れいか(私は・・・何を勘違いして、何を間違えてしまったんでしょう・・・)

れいか(なおが・・・私が助けたはずのなおが、あかねさんと付きあうなんて・・・)

れいか(こんな結果・・・こんな未来は望んでいない・・・私が求めていた未来はもっと・・・)

れいか(私となおの・・・二人の笑顔が満ちていたはずなのに・・・)

れいか(うっ・・・)

れいか(ううっ、ひっく・・・ぐすっ・・・ううっ・・・)

れいか(ううっ、うわあっ・・・うわああああん・・・)

――その日、私は中学生になってから初めて、感情を剥きだしにして嗚咽を繰り返しました――

すみません3時に終わらせる予定がここまで引っ張ってしまいました
もう少し書く速度あるかなと思ったらまだ構想の2/3程度・・・
とりあえず明日またスレ立てさせて続きをやらせてください
万が一このスレが残ってたらここで続きをやります
支援の数々マジ感謝です
途中で力尽きてすんませんした
おやすみなさいだわさ

oh・・・そんな前例がしかも二日前に
とりあえず必ずやりますとしか言えませんが
自分では一ヶ月ほどぼんやりながらも練って考えた話なので
ちゃんと完結させたいです
信じられないのももっともなので明日起きたら出かける前までスレが残っていれば書き込みます
あとできるだけ定期連絡します
どうか最後までよろしくお願いしますだわさ

おはようだわさ
保守ありがとうだわさ
帰りが遅くなる場合もあるので1時までは待っていて欲しいだわさ

追いついた
俺の求めていた三角関係がここにあった

保守

保守
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                .............................................`丶、
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目間修正


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               { | |::::::::::{       ,{   丿

新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内

新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内

保守やでっ!

保守ついでに確認

はっ

ほしゅ

>>86の続きから

れいか(久しぶりに・・・寝坊なんて・・・)

れいか(普段より10分も遅く・・・でも、きっと仕方ない事だから・・・今も)

れいか(自分の足がなぜ学校へ向かっているのかもわからない・・・なおのことばかり考えてしまって)

れいか(ああ・・・今更になって気付くだなんて・・・私は、きっと自分が考えている以上になおのことが好き・・・)

れいか(・・・ううん。きっと、今まではどこかで諦めていた。なおと私は同じ性別だからって)

れいか(それなのに、なおを私が助けたことで・・・なおが私に寄りかかってくれるんじゃないかって)

れいか(なおがあかねさんに心を動かされたことで・・・私にも可能性があったんだって)

れいか(その事を知ってしまったから・・・いま私は取り返しのつかない時間に呆然としている)

れいか(嫌・・・今のままの感情でなおに会う事なんてできない・・・)

れいか(だけど今日の放課後になれば、なおは・・・あかねさんの気持ちに応えて・・・)

れいか(自分が・・・どうしていいのか・・・どうなってしまうのかもわからない・・・)

れいか(普段の私は、もっと理性を保てていたはずなのに・・・これが本当の恋というもの・・・)

れいか(なお、助けて・・・私を救えるのはあなたしかいないのに・・・)

れいか(なお・・・)

れいか(ああ・・・どうかこの教室へ入る時に・・・)

れいか(一番最初に声を掛けてくれるのがなおではありませんように・・・)

れいか(きっと今、なおから声を掛けられて・・・目が合ってしまったら・・・)

れいか(涙を抑えられる自信がない・・・!)

カラッ…

れいか「おはよう・・・ございます」

あかね「おー、れいかー!おはようやでー!」

れいか「・・・っ!」

やよい「おはよう」

みゆき「おっはよー!」

れいか「おはよう・・・ございます」

れいか(どうしよう・・・胸が痛い・・・とっさに声が出なかった・・・)

れいか(あかねさんの顔が、見られない・・・落ち着いて、自分の席まで・・・)

あかね「れいかー」

れいか「・・・っ」

あかね「あんな、ちょっと話したいことがあるんやけど」

れいか「な、なんでしょう」

あかね「いやこんなとこで話すのもなんやし、ちょっとまとまった時間欲しいねん」

あかね「そんな今日の放課後でも・・・れいか?」

れいか「な、なんですか?」

あかね「うちの話聞いとるか?どこ見てんねん」

れいか「じゅ、授業の準備があるので。支度をしながら聞きます」

あかね「てかどないしたん?手ぇ震えとるで」

れいか「・・・っ」

れいか(落ち着いて・・・あかねさんに当たるなんて・・・そんなことできないから・・・)

れいか「ほ、放課後は予定があるので。また明日にでも」

あかね「あかんか?けっこう大切な話なんやけど」

れいか(放課後はなおとの約束があるはずでしょう・・・それなのに、どうして私と・・・)

れいか(まさかなおの告白を聞いてから、私にそのことを打ち明けに・・・そんな・・・)

れいか「わ、私・・・」

あかね「ん?」

れいか「お手洗いへ行きたいので、失礼しますっ・・・!」

あかね「れいか?」

れいか(落ち着いて・・・このままじゃ・・・このままだと私は・・・)

れいか(あかねさんに、手を上げてしまう・・・!)

ガラッ

れいか「えっ」

なお「あ、みんなおはよう・・・れいか?」

れいか「!!」

れいか「どっ・・・」

れいか「どいて!」

なお「えっ・・・」

れいか「・・・っ!」

れいか(なおを・・・大好きな人を押しのけて・・・)

れいか(大好きな人の顔すら見ることができずに・・・)

れいか(私は・・・一人で、どこへ行くつもりなんでしょう・・・)

-一階トイレ-

れいか「はあっ、はあ・・・」

れいか(誰もいない・・・ここは・・・いま誰もいない・・・)

れいか「ううっ、うっ・・・」

れいか「うああっ、うっ、ううっ・・・うっ」

れいか「うあああっ・・・うっ、うわあっ・・・」

れいか(情けない・・・自分が、こんなに女々しく、弱い心の持ち主だったなんて・・・)

れいか(なお・・・ごめんなさい・・・泣き止んだら、きっと落ち着くことができますから・・・)

きてたあああああああああああああああああああああ

 *     +    巛 ヽ
            〒 !   +    。     +    。     *     。
      +    。  |  |
   *     +   / /   イヤッッホォォォオオォオウ!
       ∧_∧ / /
      (´∀` / / +    。     +    。   *     。
      ,-     f

      / ュヘ    | *     +    。     +   。 +
     〈_} )   |                                
        /    ! +    。     +    +     *
       ./  ,ヘ  |
 ガタン ||| j  / |  | |||
――――――――――――

れいか(はあ・・・)

れいか(朝のHRを休んでしまいました・・・体調が悪かったことにして・・・一時間目は出席しないと・・・)

あかね「・・・で」

れいか(ん?)

なお「れいかの様子がおかしかったって・・・どうしてだろう」

れいか(なお・・・そして、あかねさん・・・!)

なお「もしかして、私のことでまた迷惑が掛かってるんじゃないよね・・・そんなことになったら、私・・・」

あかね「うーん、なおからも声掛けてみてもらってええか?」

あかね「うちもなおと放課後に話す前に、れいかになおのこと聞いときかったんよ」

あかね「直接の事情はうちが知らんことになっとるから聞けへんし、なおのことどんだけ大切にしとるか聞きたかってん」

れいか(あ・・・)

れいか(あかねさんは、私になおとの関係を打ち明けるつもりではなかったんですね・・・よかった・・・)

あかね「でもなんか様子がおかしかったわー。HRもおらへんかったし」

なお「やっぱり変だよ・・・私、れいかが戻ってきたら聞いてみる」

なお「れいかに何か心配事があるなら、私が聞いてあげたいし・・・」

なお「私ばっかり助けてもらってるんだから・・・こんな時こそ声を掛けてあげないと」

れいか(なお・・・なおはいつもそうやって私のことを・・・)

れいか(でも今は・・・優しくしないください・・・胸が・・・痛いです)

なお「じゃ、教室戻ろっか。もうれいかが戻ってきてるかもしれないし」

あかね「せやな。恩返しするええ機会やで。しっかりやりや」

あかね「・・・でもうちとの話も忘れたらあかんでー。これでも緊張して、昨日は眠れへんかったんやから」

なお「うっ・・・そ、それは・・・ね、寝られなかったって言ってる癖に、あかねの顔色は全然いいよ?」

あかね「あかん、バレてもた。へへ、それじゃうちも放課後に待っとるからな」

れいか(・・・)

れいか(放課後に・・・)

なお「(ガラッ ん・・・あ。れいか、戻ってきてたんだ。佐々木先生心配してたよ?」

れいか「あ、はい・・・ごめんなさい。ちょっと朝から具合が悪くて」

あかね「なおー、うちは席戻っとるで」

なお「あ、うん」

れいか「・・・」

なお「あ、それでさ、れいか。あの、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

れいか「なんですか?」

なお「えっと、なんていうか・・・その、今日のお昼は二人で食べない?話したいことがあって」

れいか「・・・」

れいか「放課後・・・」

なお「ん?」

れいか「放課後なら、構いません。帰りのHRが終わったら、すぐに二人で帰りましょう」

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                く     /△{        /⌒ヽ
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               { | |::::::::::{       ,{   丿

なお「放課後・・・」

れいか「いけませんか?話したいことがあるんでしょう?」

なお「あ、それはえっと・・・えと、なんていうか、部活は休みなんだけど先約が・・・はは」

れいか(なお・・・あかねさんの席の方を窺ってる・・・)

れいか(私と話してるのに・・・他の人のことを見ないで・・・あかねさんの都合を気にしないで・・・)

なお「あ、大丈夫・・・なのかな。それなら・・・」

れいか「なおは・・・」

なお「ん?」

れいか「なおは、私から話があると言われたら、何よりもこちらに都合を合わせるべきでしょう?」

れいか「そうしないと、色々と困ることがあるのではありませんか?」

なお「あ・・・」

れいか(・・・)

れいか(私・・・いま何を・・・)

なお「そ、そっか。そうだったね。ごめん、気が付かなくて」

なお「ちょっと昨日から頭浮かれてたかも。あはは、駄目だね私」

れいか(なお・・・)

れいか(謝らないで・・・あなたは何も悪くないのに・・・そんなに辛そうな笑顔を浮かべないで)

なお「じゃあ放課後に。帰りのHRが終わったら、私、席で待ってるから」

れいか「はい・・・」

れいか(私・・・)

れいか(私、なんてことを・・・)

れいか(なおのことを・・・自分が被せた恩にものを言わせて、予定のあったなおの時間を奪ってしまった・・・)

れいか(だけど・・・あかねさんの元へなおを行かせる勇気がない・・・)

れいか(ごめんなさい、なお・・・ごめんなさい、あかねさん・・・)

れいか(私は・・・なおのことを誰にも奪われたくない・・・)

キーンコーンカーンコーン

なお「れいか」

れいか「・・・」

なお「待ってたのに、いつになったら声掛けてくれるの?もう教室に誰も居なくなっちゃったよ」

れいか「ごめんなさい・・・少し、考えをまとめておきたくて・・・」

なお「ううん、全然いいよ。さ、一緒に帰ろう」

れいか「はい・・・」

-河原-

なお「・・・」

れいか「・・・」

れいか(さっきから・・・会話が全くない・・・)

れいか(なおと二人で・・・せっかく、大好きななおと二人きりで・・・帰ってるのに)

れいか(言葉が出ない・・・自分のしたことの罪の重さと、なおがそのことを軽蔑してるのかと思うと・・・声が出せない)

れいか(私は・・・これからどうしたいんでしょう)

れいか(今日こうして連れだしても、なおは明日になればあかねさんと話をする・・・)

れいか(では明日もなおのことを連れていく?では明後日は?明明後日は?)

れいか(毎日、毎日なおのことを恩の鎖で縛って・・・その時間を使わせて・・・)

れいか(そして自分はなおに告白することもできず、ただ苦悩してるだけ・・・)

れいか(でも、やっぱりできない・・・いま私が告白しても、なおは・・・)

れいか(私に嫌われるのを恐れて・・・私の告白を受け入れることになる・・・望まないままに)

れいか(そんな奴隷のようななおを恋人にして・・・それは私の得たかったものじゃない・・・)

れいか(だけど・・・なおをあかねさんに渡すことはやっぱりできない・・・したくない)

れいか(私は・・・何も話すことができない・・・今も・・・そして、きっとこれからも・・・)

れいか「・・・」

なお「・・・」

なお「あのさ、れいか」

れいか「えっ!?」

なお「あはは、声掛けただけでそんなに驚かないでよ。隣で歩いてるのに」

れいか「あっ・・・ごめんなさい、ちょっとぼうっとしてて」

なお「珍しいね。れいかはいつも、私が一方的に喋ってても、黙って話を聞いてくれたよね?」

れいか「え・・・そう、だったでしょうか」

なお「うん。聞いてないのかなーって思ってても、れいかはちゃんと話を聞いてくれてた。しかも全部覚えてくれてた」

なお「最初は私の話がつまんなくて、適当に返事してるだけなのかなーって思ってた」

れいか「そんなこと・・・」

なお「うん、そんなことなかった。それどころか、れいかは一つ一つの言葉も覚えててくれてた」

なお「れいかは覚えてるかな。そこの橋の下で、れいかが一人で歩いてたら男子に絡まれたこと」

れいか「あ・・・覚えています」

なお「馬鹿な男子がさ、れいかのことが好きでちょっかいかけに来て。自分と付きあうまで帰さないって」

なお「れいかが三人の男子たちに捕まって・・・その時のれいかからすれば『怖い人』たちに囲まれてた」

れいか「・・・」

なお「その時。たまたま帰り道だった私が通りかかって・・・男子たちを追っ払って」

なお「ま、ちょっとぶったり蹴ったりはあったけど、私も必死だったからさ。れいかを守んなきゃって」

れいか「はい・・・覚えてます。なおが助けてくれたこと。嬉しかったこと」

なお「うん。私も嬉しかった」

れいか「え?なおが・・・どうして?」

なお「れいかがさ、私のこと信じて待っててくれたから」

なお「私がさ、れいかを助けた時に言ってくれたんだよ。私のこと待ってたって」

なお「私がれいかに『困ったことがあれば助けるからいつでも呼んでって』」

なお「私が教室か・・・もしかしたら帰り道か、全然別の場所だったかも。きっと何気なく言ったんだよ。でもそんな一言をれいかは覚えてた」

なお「だから男子に囲まれても、きっと私が助けにきてくれるって。その時間に私が通り掛かるかもわからないのに、信じてくれてた」

なお「すごく嬉しかった。れいかは私の言葉を聞いてくれて、信じて覚えてくれてる子なんだって」

れいか「なお・・・」

なお「その時、れいかが私に言ってくれたもう一つのことは覚えてる?」

れいか「え・・・いえ、その時は助けてくれたなおに感謝がいっぱいで・・・自分が何を言ったかまでは」

なお「私は覚えてるよ。れいかが『次は私の番です』って」

なお「『次は私が緑川さんのことを助けます』って」

なお「れいかが、言ってくれた。そして本当に、私が『怖い人』たちに囲まれた時に助けてくれた」

れいか「・・・」

なお「ありがとう。そんなことも忘れてた。自分の家族を守るのにいっぱいいっぱいで、れいかが誰よりも信じられる人だって思い出せなかった」

なお「どうしてこんな大切なことを今の今まで忘れてたんだろう。この場所で、れいかの横顔を見たら、やっと思い出せたよ」

れいか「・・・」

なお「れいか。もしかしてさ、いま私のことで迷惑かけてるんじゃないかな」

なお「今日、様子がおかしかったってあかねも言ってたよ。私から見てもそう。きっと、何かあったんだってわかる」

なお「れいかも私に言ったよね?長い付き合いなんだから、変わったことがあればすぐにわかるって」

なお「もしそれが私に関することだったら・・・遠慮なく話して。れいかの言葉なら、受け入れるつもりだから」

れいか「・・・っ」

れいか「いや・・・」

なお「え?」

れいか「やめて・・・ください」

れいか「いま・・・そんなことを言わないで・・・ください。どうして、こんな私に・・・なおは・・・」

なお「れいか?私、なにか悪いこと言ったのかな。れいかのこと・・・傷付けたりしたのかな」

れいか「違います!」

なお「れいか!?」

れいか「ひぐっ、ぐすっ・・・うぐっ・・・」

れいか(どうして・・・どうして本当に・・・こんなタイミングで・・・)

れいか(もし・・・もし、今の話を昨日の内にしてくれていれば・・・私が、ずるい真似をする前に聞いていれば・・・)

れいか(黙ってなおとあかねさんのことを祝福して・・・潔く身を引くことができたのに)

れいか(今の私は・・・なおの気持ちを聞いて、ますます独り占めしたいとしか思えないんですっ・・・!)

れいか「ひっく・・・ぐすっ、ううっ、ひぐっ・・・ひっく・・・」

なお「れいか・・・」

れいか(言えない・・・言ったら、私は最低な言葉を口にしてしまう・・・)

れいか(怖い・・・その言葉だけは口にしたくない・・・なおの・・・弱みにつけ込んで・・・)

れいか(あかねさんの告白を断って・・・私を受け入れてくれなければ・・・なおの家族を・・・)

れいか(言いたくない・・・!だけど、こんなにも私に対してまっすぐななおのことを、好きで好きで胸が張り裂けそうなくらい辛い・・・!)

なお「れいか・・・落ち着くまで、いつまででも待つよ。話せるようになるまで、ここにいるから」

れいか「なお・・・ここから居なくなって」

なお「えっ」

れいか「このままだと・・・私はなおのことを傷付ける」

れいか「私はそれをしたくない・・・どうしても言いたくない。だからここから居なくなって・・・お願い」

なお「そんなことできないよ。れいかが泣いてるのに、置いて帰るなんてできない!」

れいか「でも・・・私はもう、自分の気持ちが思い出せない・・・」

なお「えっ」

れいか「なおに対して純粋だったあの時の気持ちを・・・思い出せない」

れいか「だから私は・・・もう、なおの友人ですらいられないかもしれないんです・・・」

なお「れいか・・・そんなの、嫌だよ・・・どうして?ちゃんと理由を聞きたいよ」

れいか「言えない・・・」

れいか(なおが好きだってことだけは・・・話すわけにはいかない・・・それを言って断れたら・・・)

れいか(もう自分を抑えることができない・・・)

なお「れいか・・・」

???「 そ こ ま で オ ニ 」

なお「えっ・・・」

れいか「あなたは・・・!」

アカオーニ「変身する前のプリキュアを二人見つけたオニ・・・これは絶好のチャンスオニ!」

アカオーニ「しかもなんだか暗い顔してるオニ・・・これは愉快だオニ!けちょんけちょんにして、お前らからバッドエナジーを吸い取ってやるオニ!」

なお「くっ、こんな大切な話をしている時に・・・!今は邪魔だ!頼むから帰ってよ!」

アカオーニ「そうはいかんオニ。こんな機会を逃す手はないオニ・・・いでよ、アカンベェー!」

れいか「水鉄砲がアカンベェに・・・!」

なお「仕方ない、れいか!色々悩んでるのはわかるけど、今だけは二人で戦おう!いくよ!」

れいか「・・・」

なお「れいか!」

れいか「は、はい!」

なお・れいか「プリキュア!スマイルチャージ!」

れいか「スマイルチャー・・・ジ?」

マーチ「れいか!?」

アカオーニ「ん?なんだオニ?変身できないオニ?」

れいか(どうして・・・?ちゃんとスマイルパクトも持っているのに・・・)

アカオーニ「これは楽でいいオニ。アカンベェ!あっちの変身してない女から狙うオニ!」

アカンベェ「アカンベェー!」

れいか「あっ・・・」

マーチ「れいかぁーっ!素のままのれいかに、指一本でも触れさせるわけにはいかない・・・っ!」

マーチ「うあああっ!くっ、ああっ・・・!」

れいか「マーチ!」

れいか(どうして・・・どうして私は変身できないの・・・?)

れいか(落ち着いて・・・考えて・・・私は、きちんと手順を踏んで・・・それなのに変身できなかった)

れいか(問題があるのはスマイルパクトではなく・・・私自身なのでは・・・)

アカオーニ「アカンベェー!次は水鉄砲をぶちかますオニ!」

アカンベェ「アカンベェー!」

マーチ「ぐふっ!うぐっ・・・げほっ!」

れいか「マーチ・・・!」

れいか(私が変身できない理由・・・それは変身できた理由を逆に考えればわかること・・・)

れいか(プリキュアの力は絆の力・・・それは、相手を思いやる力)

れいか(ああわかった・・・今の私では変身できないのも当然・・・だって、なおを独り占めすることしか考えてないのだから)

マーチ「んぐっ!ぐふっ・・・いったい・・・あぐうっ!」

アカオーニ「ぶはははは、いい的だオニ!このままボコボコにしてやるオニー!泣いて謝るまで撃ち続けてやるオニ!」

れいか「マーチ・・・なお・・・なおを守ってあげられない・・・」

れいか(このままじゃいけないのはわかってるのに・・・)

れいか(じゃあ私は・・・私は変身できた時は・・・なおのことをどう思っていたの?)

れいか(そう・・・もっと純粋に・・・ただ、なおの幸せのことを考えていた。なおのためなら何も求めないって)

れいか(あの子が幸せになれるのなら、私は何も得なくてもいい。無償の愛を捧げたいって思ってた)

れいか(そうだ・・・なおのお金のことでなおを説得する時に・・・私は口にしたんだった)

れいか(何も求めない、ただあなたの力になれればいい。そう、彼女に言ったはずなのに)

れいか(今ではなおを手に入れたい、気兼ねなく接して欲しい、そして愛して欲しい・・・なおに求めてばかりいる)

れいか(私がなおを想っていた気持ちは、もっと原始的でプリミティブだったはずなのに)

れいか(なおのことをあかねさんに奪われてしまうのは・・・やっぱり悔しい)

れいか(だけど約束したから・・・なおとの約束だけは破ってはいけない。私はなにも求めない)

れいか(純粋な気持ちでなおのことを好きでいたい。思い出した。私はなおが好き。彼女の思うままにさせてあげたい)

アカオーニ「よーし、そのくらいでいいオニ。どうオニ?そろそろ降参オニ?」

マーチ「・・・」

アカオーニ「ぶはっはっは!もう喋ることもできんオニ!よーし、それじゃ止めにどでかいのをかまして、川の中へ落としてやるオニ!」

れいか「お待ちなさい」

アカオーニ「オニ?」

アカオーニ「なんだお前オニか。変身もできないやつは、尻尾を巻いて帰るオニ」

れいか「いいえ、私はたったいま心の霧が晴れました。今なら純粋な気持ちで彼女を守ることができます」

れいか「何も求めずに・・・自分の大切な人のために戦うことができます!」

アカオーニ「オニッ!?」

れいか「プリキュア!スマイルチャージ!」

ビューティ「しんしんと降り積もる清き心・・・キュアビューティ!」

マーチ「ビューティ・・・」

アカオーニ「そ、それがどうしたオニ!一人くたばって、一対一であることに変わりはないオニ!」

ビューティ「いいえ、今のマーチとの戦いを見て、既に攻略法は編み出しました」

ビューティ「水鉄砲ならば、凍らせてしまえば弾は撃てない・・・プリキュア!ビューティプリザード!」

アカオーニ「ああーっ!発射口を凍らせたオニー!?ずるいオニー!」

ビューティ「さあマーチ!止めの一撃を・・・マーチ?」

マーチ「うう・・・ご、ごめん・・・攻撃を受けすぎて、もう動けない・・・」

アカオーニ「ぶはっ・・・ぶはははは!どうなるかと思ったオニが、やはり最後に悪者は勝つオニ!この氷が溶けたら、攻撃再開オニ!」

サニー「プリキュア・・・」

アカオーニ「オニ?」

サニー「サニーシュートオオオォ!」

マーチ「サニー!?」

ビューティ「あっ・・・」

アカオーニ「ああーっ、もう一人いたオニ!?アカンベェがやられたオニーッ!」

アカオーニ「うっおーっ!くっあーっ!ざけんなオニー!つまんないオニ!もう帰るオニ!」

サニー「待たせてしもたな。キャンディがアカンベェの気配察知してな。駆けつけたで」

マーチ「ありがとう助かったよ・・・ね、ビューティ・・・ビューティ?」

ビューティ「は、はい・・・助かりました。ありがとうございます、サニー・・・」

サニー「・・・」

なお「はあ・・・一時はどうなるかと思ったけど、なんとか追い返せて良かった」

あかね「そやな」

なお「あれ?そういえばみゆきとやよいは?一緒に来なかったんだ?」

あかね「なおとれいかが二人なの知っとったからな。うち一人で助けに来たんや」

なお「へ?なんで?助けに来るならみんなで来てよ」

あかね「放課後になってけっこう時間経っとるやろ。二人の話も終わったんかな思て」

れいか「・・・」

なお「あ、そういえば話の途中だったっけ・・・れいか?」

れいか「はい・・・」

れいか(私は・・・なおに対して純粋な気持ちになって、求めなかった頃の気持ちを思い出したのに・・・)

れいか(まだあかねさんがなおの側にいると・・・なおのことを助けに来たのかと思うと、胸が痛くなってしまう・・・)

れいか(このままではいけない・・・あかねさんとなおが二人でいても、笑顔でいられるようにしなくては)

れいか「いえ・・・私からの話は終わりました。もう大丈夫です」

なお「え、でも・・・だって襲われる前までれいか・・・」

れいか「なんですか?」

なお「その、泣いて・・・いやだから・・・ああもう話しにくいな」

なお「ごめん、あかね。ちょっとだけれいかと二人にさせてもらってもいいかな?」

あかね「嫌や」

なお「嫌なの!?」

あかね「れいか。あんたうちに言いたいことあるやろ」

れいか「あかねさんに・・・?いえ何も・・・ありません」

>>289
とんでもない誤字(ていうか技名間違い)発見した
すみません

あかね「嘘や。朝からなんかおかしいな思てたけど、後んなってやっとわかったわ、言いたいことあるならはっきりさせよや」

れいか「ありません。あかねさんと話すことは・・・別に思いつきません」

あかね「ほー。言うたな。そんならうちは話あるから聞いてや」

なお「あれ?あかね、なんだか言い方きつくない・・・?れいかも、ちょっと・・・なんていうか」

あかね「うちな、なおから事情聞いとんのやで。れいかに借金助けてもろた言うて」

なお「わっ」

れいか「・・・」

なお「ご、ごめん・・・私一人じゃ抱えきれなくて・・・誰かに、聞いて欲しくて」

れいか「いえ別に・・・怒ってはいません。できれば、私にも話して欲しかったですけど」

なお「ご、ごめん」

あかね「そんでな、れいか。あんたなおを放課後連れてく時、なおのこと脅迫したやろ。言うこと聞け言うて」

れいか「・・・っ」

あかね「うちの席まで聞こえてへんとでも思っとったんか?理解できたんは教室でうちだけやったろうけど、放課後までれいかに腹立てとったわ」

れいか「・・・」

れいか「ごめん、なさい・・・」

なお「い、いいよ?そんな全然、私に大切な話があったんだよね?ていうかあの、借金のことでれいかに迷惑掛かってないか心配で」

れいか「そんなこと、ありません・・・」

なお「そうなんだ?良かったあ」

あかね「良くないわ。おかしいやろ。借金の件やないなら、大層な理由ないのに、なんでれいかがなおのこと無理やり連れだしとんのや」

なお「あれ?ほんとだ」

れいか「・・・」

あかね「しかもうちを見るなり目を逸らしたやろ。そこで気付いてははーんと思たわ」

れいか「やめて、ください・・・」

あかね「れいかは、うちがなおのこと好きなの知ってんのや。そんで、今日の放課後のことも知ってから邪魔したんやろ」

なお「ええええええ――っ!!?」

れいか「・・・っ!」

なお「えっ・・・見て、たの?」

れいか「・・・っ!・・・っ!」

あかね「首、横に振らんでや。わかってんのやで。見てたんやろ?うちとなおの初々しいファーストキスも。情熱的なディープキスも」

なお「ひいやあああああ――っ!!」

れいか「やめっ・・・やめてください!」

れいか「見たくて・・・見たわけじゃありません!あんな場所で・・・私に見える場所で会っていた二人が悪いんです!」

なお「えっ、えっ・・・じゃあれいかは、そのことで私とあかねのことを怒って・・・?」

なお「た、確かに学校内ですることじゃないよね・・・しかもその、普通の恋じゃないし・・・ごめんね・・・」

れいか「ううっ・・・ひっく・・・謝ることでは・・・ありません」

なお「え?でもれいかは怒ってたんだよね?帰りもずっと黙ってたし・・・」

あかね「れいかは女性同士が恋愛したって怒る権利ないもんな?」

なお「は?それってどういう・・・」

あかね「なおはホンマ鈍いなあ。つまり――」

れいか「やめてください・・・」

あかね「うちかて言いたないわ。でもうちらが二人で会う度に仏頂面されてなおを脅迫されて連れていかれたらたまらんわ」

れいか「もうしませんっ・・・!もう、求めないと誓ったんです・・・だから、許してください・・・」

あかね「あかん。れいかは絶対、いつか爆発する。そん時になってまた揉めるのはうちも嫌や」

あかね「れいかがここまで来ても言えへん根性なしなら、うちが言うたる。うちかて怒っとんのや。許さへん」

れいか「やめて・・・」

あかね「あかん。もう言うわ。れいかは――」

れいか「やめてっ!」

あかね「だったら自分で言えいうとんのや!」

れいか「私はなおのことが好きですっ!」

なお「はい?」

れいか「好きですっ・・・あかねさんに負けないくらい好きです!いいえ、私の方がなおのことをずっと、ずっと好きです!」

れいか「ライクではありません、ラブです!恋愛として好きです!大好きです!」

れいか「悩んで、悩んで、子供みたいに泣いて、それでも抑えきれなくて、いっそ大好きな本人を傷付けるくらいなおのことが好きですっ!」

れいか「だからお金のことで助けても、なおに遠慮したまま私と話して欲しくなかった!あなたのことが好きだから!」

れいか「あかねさんとも付き合って欲しくないし、キスしたのだって見ててすごく、胸を抉られるくらい辛かったです!」

れいか「だけどなおが借金を意識したままの告白では、無理やり付き合わせる形になってしまうでしょう?」

れいか「だから言えませんでしたっ・・・今日一日、あなたのことでずうっと悩んでました・・・」

れいか「好きです・・・誰にも渡したくない・・・いつまでも私の側にいて欲しい・・・」

れいか「私と、付き合ってください・・・」

なお「・・・」

なお「・・・」

なお「・・・え」

なお「ええ、え、ええええ・・・えっ、れいかが・・・れいかが、私のこと好き・・・?」

れいか「はいっ!もう引き返せないので、何度でも言います。なおのことが好きです」

なお「うわああああ――っ!!」

なお「うひゃっ、うわっ、うわわっ――っ!うひょっ、あのっ、ちょおっ、ええええーっ!?」

あかね「パンクしよった」

れいか「・・・私だって同じです。顔から血がでるほど恥ずかしいです」

あかね「火を出せや!そないにファイヤーって単語避けたくなるほどうちが嫌いかい!」

あかね「・・・まあそないなこと言うても、れいかの根性は認めたるわ。よう言うた」

あかね「なお。れいかは根性見せたで」

なお「はい?」

あかね「そしたらあんたも言うことあるんと違うかい。勇気凛々直球勝負やろ」

なお「いや、その・・・」

れいか「・・・」

なお「うん、ありがとう・・・私もれいかのこと好き、だよ」

れいか「えっ」

れいか「え、ええっ?え、でも・・・なおは・・・」

あかね「なおは最初かられいかのことが好きやねん」

あかね「キスしたんはうちが勝手にしただけや。なおがヘコんどる隙ついて」

あかね「なおがれいかのことよう見とることくらい、惚れとったうちからすれば丸わかりや。だからなおの弱っとるとこ突いたんや」

れいか「でも・・・女の子同士・・・」

なお「わかってるけど・・・今は他に好きな人がいなかったんだから、仕方ないよ」

なお「だから身体を売るなんて話になった時は辛かった・・・そんな姿、れいかに見せたくないから、もう一緒に居られないと思った」

れいか「その話は・・・もうやめてください。二度と思い出したくありません」

なお「うん・・・ごめん」

なお「でもまさか、れいかが私のこと好きだなんて思わないから・・・しかも恋愛として」

なお「なおさら、お金の貸し借りなんてしたくなかった・・・って、助けてもらわなかったら、いま私はここにいないけど」

なお「でもだから・・・好きだったよ、うん」

れいか「なお・・・」

れいか「嬉しい・・・大好きです。とてもとても心配で・・・胸が張り裂けそうな二日間でした・・・」

れいか「これからは二度とあんな心配をさせないでください・・・約束してください」

なお「ごめん・・・うん、私はれいかのことが好きだから」

あかね「・・・」

あかね「はあ~あっ!なんやそろそろキューピッドさんの真似事するんもしんどいわ」

れいか「あっ・・・」

れいか「ご、ごめんなさい、あかねさん。あの私、あかねさんに酷いこと・・・」

あかね「ちゃうわアホ。元々れいかの持ち物に泥棒猫しよう思ったのはうちや」

あかね「れいかは横から掻っ攫われたら、泣き寝入りするかと思ってたわ。うちに反撃する根性なんてない思て」

あかね「そしたらきっちり食らいついてきよった。はは、そんなら勝ち目ないわ。なおはれいかのこと好きなんやから、いつか奪い返されるわ」

あかね「ま、あとは二人でよろしゅうやってや。うちはもう二人を祝福する元気もないし帰るわ」

れいか「あかねさん・・・ありがとうございます」

なお「あかね・・・ごめん。その、私・・・」

あかね「謝らんといて。余計惨めになるやん」

あかね「ま、どのみちれいかが何もせんでも、今日の放課後フラれる運命やったんや。遅かれ早かれ――」

なお「え?いや私、れいかの告白がなかったら、あかねと付きあうつもりでいたよ?」

れいか・あかね「は?」

なお「え、だって・・・ファーストキスまで奪われたし、勇気づけられたのは事実だし・・・」

なお「れいかとの関係がぎこちなくなって、結ばれることは絶対にないと思っちゃってたから・・・あかねがそう言ってくれるならって」

あかね「・・・」

れいか「・・・」

あかね「・・・これは・・・あかんやろ」

れいか「・・・はい・・・あかんですね」

なお「へ?なにが?」

あかね・れいか「このっ・・・」

あかね「天然ジゴロがああああーっ!」
れいか「なおは気が多すぎですーっ!」

なお「ええええええええええええ」

あかね「なにが『付きあうつもりでいたよ?』やアホ!そんなこと言われたら、次の恋なんていけるかい!」

れいか「そうです!それじゃまた私と喧嘩でもした時に、いつなおを奪われるかわかったものじゃありません!」

なお「え、ええっ、でもあの、私はただ嘘は言いたくなくて・・・ただ思ってたことを言っただけで・・・」

れいか「『言っただけ』じゃありません!なおは結局、どっちが好きなんですか!」

なお「ど、どっちって・・・だかられいかが好きで・・・ただ、あかねとは付き合いかけたから、好きと言えば好きっていうか、その・・・」

あかね「このスケコマシ!下級生にモテる理由がようわかるわアホ!今ここでひん剥いたる!」

れいか「ひん剥くだけじゃありません!罰として、その上からビューティブリザードです!」

なお「死んじゃうよ!」

れいか「そういえば私はキスしてませんでした。今からさせてください!ちなみに私はファーストキスです!」

あかね「うちもキス納めになるかもしれんし、もう一回させてもらうわ」

なお「あっ、ちょっ・・・ほ、ほんとにするの!?ああっ、あっ・・・待って・・・二人同時は待ってーっ!どっちとすれば・・・」

なお「ああーっ・・・」

-後日譚-

れいか「それでは、借金の300万は姉弟六人で均等に分けるとして・・・」

れいか「将来、社会へ出てから返済してもらいます。一人につき50万。これでいいですね?」

なお「うん、ありがとう。私が返すのは当然だけど、弟や妹たちにも、大きくなってから話して聞かせるよ」

なお「筋の通らないことはしない性格に育てるつもりだし、私の家族だから絶対にわかってくれると思う。嫌な顔なんてしないはずだよ」

れいか「はい、私も信用しています。今のまっすぐなあの子たちを見ていれば、疑う気持ちは起こりません」

れいか「ではこの返済計画書にサインを・・・はい、これでいいですね。あとは弁護士さんに預けておきます」

なお「はあーっ・・・すっきりした。50万って金額も大金だけど・・・一月一万ずつ返していけば四年と二ヶ月だもんね。300万より遥かに気が楽だよ」

なお「あ、それだけじゃないか。これからは私たちも親戚を頼ったりしてバラバラになるけど・・・その育ててもらったお金は返していかなくちゃ」

れいか「なおは真面目ですね。ええ、でも、その気持ちは大切だと思います」

れいか「そしてその気持ちが弟妹たちに伝われば・・・みんな、まっすぐな道を歩めると信じています」

なお「これも、きっかけをくれたれいかと、れいかの両親のお陰だよ」

れいか「私は・・・なおの力になりたかっただけですから」

なお「うん、本当に力になってくれたよ。れいかが応援してくれてるから、勉強だって、部活だって続けられてる」

なお「あ、部活で思い出したよ。来週から県大会が始まるんだ。生徒会は応援に来てくれるよね?」

れいか「はい。もし生徒会としては参加しなくても、私個人でなおのことを応援しに行きます」

なお「今年は優勝目指してるから。最近は女子サッカーの人気が出始めたけど、それでも参加は16校しかないんだ。狙っていける」

なお「そして参加校は少ないのに、スカウトは大勢来てくれるんだって。未来のなでしこたちを探しに!みたいな」

れいか「ふふっ。なおなら、本当に推薦を勝ち取れますよ」

なお「うん!れいかの応援に報いるためにも頑張るよ」

れいか「まあ、なおが推薦生になって、寮生活になってしまうと、私の家を出なくてはいけないから、少し寂しいですけど・・・」

なお「ん?」

なお「そ、それは仕方ないよ。だって、いつまでもれいかの家にご厄介になるわけにはいかないし・・・」

れいか「私はいつまでも一緒にいたいですよ?それはもう、卒業しても、その先を卒業しても、その先もずっと・・・」

なお「あはは・・・それもう、プロポーズと同じだよ」

れいか「いいじゃないですか。現にいま、一緒に暮らしているのですから」

なお「・・・ちょっと罪悪感はあるんだけどね。ご厄介になってる家の娘さんを、その・・・」

れいか「食べちゃったことですか?」

なお「ぶふうっ!」

れいか「ふふ。私は全然後悔していませんよ。初めての相手がなおで良かったです」

なお「そ、それはどうも・・・恥ずかしいけど」

れいか「私が家にいない隙を狙って、あかねさんが遊びに来ることだけは気になりますけど」

なお「それはその・・・友達だから・・・」

れいか「もうっ」

なお「わっ」

なお「れ、れいか・・・顔が近いよ?」

れいか「近づけたんです。この顔をよく見たくて」

れいか「本当に、私に毎日の充実を与えてくれる、大好きななおの顔を・・・」

なお「れいか」

れいか「あの日、危うく失いかけたこの顔を、こうして間近で見ることができて嬉しい」

れいか「あの日、一度だけすれ違いかけた心が、より強く結びつくことができて嬉しい」

れいか「好きだと言えて良かった。いま目の前にいる人に、心からの感謝を捧げます」

なお「大げさだよ・・・照れちゃうけど」

れいか「なお。キスをしましょう」

なお「・・・うん」

れいか(結局、私はなおの気持ちを得るために彼女の不幸を利用したことになるのですね)

れいか(でも、いま幸せです。だからきっと、あなたも幸せを感じてくれていると思います)

れいか(大好きです。あなたと結ばれた今に向けて、私はいつでも笑顔で口にすることができます)

れいか(スマイルスマイルでウルトラハッピー!です!)

~Fin~

結局のところ、あかなおれいというオチでした
向こう二日間見てくれた方ありがとうございました
保守してくれた人が保守した回数だけの価値があれば良かったのですが
とにかくあざっした
また書きたいです
次は普通にどろどろしたあかなおれいを書きたいです(救いのないやつを)
最後無理やりほのぼのっぽくしてすみませんでした
みんな笑顔でウルトラハッピー!

一方、その頃…

みゆき「ピーターパンの自作抱き枕でウルトラハッピー!!」

やよい「仮面○イダーのフィギュアの多々買いでウルトラハッピー!!」



壱乙
ええ話しやったで?

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