皐月「転校生!私があいつで」流子「あいつが私で」(89)

――本能字ヶ原――



ゴロゴロゴロ……ザワザワザワ……



蟇郡「……我々は今、歴史的瞬間に立ち会っている」

犬牟田「それは、喜ぶべきことなのか憂うべきことなのか」

猿投山「いずれにせよ、二人から尋常ならざる気迫を感じるな」

蛇崩「雲行きも怪しくなってきたわね。……まるで、二人の今後を暗示してるみたい」

マコ「流子ちゃーん! 頑張り過ぎない程度に頑張ってー!!」


流子「……へへっ、なんやかんやあって遂にてめぇをあのクソ高っけぇ場所からここまで引きずり降ろせたぜ」

皐月「……思っていたより早かったな」

流子「褒めてくれてもいいんだぜ?」

皐月「私に勝てたらな。……行くぞ、纏」

流子「来いよ……鬼龍院皐月!!」

皐月「『人衣圧倒』!」

皐月「神衣……純潔!!」



流子「『人衣一体』!」

流子「神衣……鮮血!!」





ゴロピカドーーーーン!!!!

犬牟田「大変だ! 二人が変身した瞬間まるで狙いすましたかのような落雷が!!」

流子「」ビリビリ

皐月「」ビリビリ

マコ「あぁっ! 二人の骨格のシルエットが!!」

流子「」プシュー

皐月「」シュワー

蛇崩「うっわ~、二人ともコントみたいな爆発頭になっちゃってるわ。大丈夫かしら?」

猿投山「まぁ……大丈夫じゃねぇか? あの二人だし」

蟇郡「……とりあえず、医務室まで二人を運ぶか」

――本能字学園・医務室――



流子「…………」パチリ

マコ「良かった~! 流子ちゃんが生き返ったよ~!!」ギュムー

流子「んぐっ!? …………ぷはっ、何をする満艦飾!?」

マコ「へ? どーしちゃったの流子ちゃん?」

流子「どうしたもこうしたも、この鬼龍院皐月にいきなり抱きつくとは無礼にも……ん? 何だこの違和感は」

蛇崩「皐月様! どうなさっちゃったの、なんか変よ?」

マコ「隣のベッドの皐月様も目を覚ましたみたいだけど……あれ?」

皐月「……なんで? 私がマコに抱きつかれてて……あれれ??」

流子「……え? 隣のベッドで私が驚いていて……ん??」

皐月「どういうことだ? 私があいつで……」

流子「……あいつが私で???」

マコ蛇「…………は???」

薔薇蔵「という訳で、校医ではこの不測の事態に対応できない為この満艦飾薔薇蔵が呼ばれて飛び出て以下略」

猿投山「誰だこいつ呼んだの」

マコ「あ、ハーイ私でーす! 私のお父さんなんです」

蛇崩「えー、劣等生のお父さん~? ちょっとぉ、大丈夫なんでしょうねぇ?」

マコ「うちの父ちゃんはこの手のマンガ的アクシデントの権威として、闇医者界では一目も二目も置かれてるんです! どうぞご安心を!!」

犬牟田「権威ねぇ……実際のところは?」

薔薇蔵「誰もこんなアホな症状診たがらないんでワシ一人にお鉢が回ってるのデス」

蟇郡「オイ満艦飾、お前の父親からは不安しか感じられんのだが?」

マコ「そうですかね?」

薔薇蔵「それじゃ二人とも、触診するからオパイを出して貰おうか」ワキワキ

流子「どう見てもあの手つきは触診以外が目的だぞ!?」

皐月「そういうお約束は要らねんだよ!!」

薔薇蔵「……まぁ、変身に費やされたエネルギーと落雷のエネルギーとがエエ感じに融合し合ったショックで二人の精神が入れ替わってしまったんだろうな」ボッコボコ

犬牟田「うわぁなんてフンワリとした説明だ」

猿投山「そしてなんてベッタベタな展開だ」

皐月「……ハッ! 今この身体をぶちのめせば私は鬼龍院皐月に勝ったことになる!? やぁ!!」ワンパン!

皐月「がはっ! 超痛ぇ!? そういや中身は私だった!!」

流子「貴様、私の身体に何してくれている!?」

蛇崩「ちょっと転校生! 皐月様の身体でアホなことしないでよね!?」

皐月「知るか! アヘ顔も鼻ホジ顔も公衆の面前で晒したらぁ!!」

蟇郡「頼むからやめてくれ! 皐月様のイメージがガラガラと音を立てて崩れ落ちる!!」

犬牟田「アホはさて置き……元に戻るにはどうしたら?」

薔薇蔵「同じ状況下で再び落雷を浴びるのが一番手っ取り早いんじゃないかなーと」

流子「またあの雷に打たれなければならんのか……私達はともかくとして、常人なら死ぬぞ?」

マコ「今の時点でピンピンしてる皐月様と流子ちゃんも凄いよねぇ」

猿投山「で、向こう一週間の天気は?」

犬牟田「えーと……『穏やかな晴天に恵まれ、雷雨とは無縁の日々が続くことでしょう』だと」

蛇崩「えーっ、じゃあお天気が崩れない限り二人ともこのままなのぉ?」

蟇郡「それは非常に困る! よし猿投山、雨乞いをするぞ!!」

猿投山「よしきた!!」

皐月「人のこと馬鹿とかアホとか言うけどな、お前らも相当だと思うぞ」

流子「ところで……ここで一つ、更なる問題が生じている」

皐月「奇遇だな……私もだ」

蟇郡「問題とは?」

皐流「実は……さっきから、この神衣を脱ぎたくて仕方がない」

犬牟田「ハァ? でも皐月様、この『純潔』は皐月様の為だけに作られた神衣の筈では……!?」

皐月「確かに、皐月の為に作られただけあって、サイズは本当にしっくりきてるんだよ。……でも」

流子「精神が入れ替わっている所為か……どうにも他人の服を無理に着ている感覚が拭えなくてな」

皐月「サイズに多少の問題はあるだろうが……私達は、自分が着ていて気持ちが落ち着く方に袖を通したいんだ」

マコ蛇「そーいうもんなの?」

皐流「そういうものだ」

流子「という訳で……さあ、淑女の着替えの時間だ。男達はこの場から去れ!」

流子「…………さて」

皐月「お互いの神衣を交換してはみたけれど」

蛇崩「うーん……なんだろ、すっごい違和感」

マコ「うわぁなんだかいつも以上にコスプレ感満載だねぇ!」

皐月「全体的に私よりでかいからかな……なんか、鮮血が窮屈」

流子「やはり纏の方が私より小柄なせいか……いつもより、純潔にゆとりがあるような気が」

流子「……何だ纏、そんな、ウエストの辺りをモゾモゾさせて」

皐月「スカートのウエスト……ちょっと、きつい」

流子「なっ……! 何だと纏、貴様まさかこの私より自分のウエストが細いとでも言いたいのか!?」

皐月「えぇ~? 別に、そんなこと言ってないつもりだけど~?」ニヨニヨ

流子「いいや言っている! 口には出さずともその目が雄弁に物語っている!!」

蛇崩「さっ、皐月様落ち着いて! 皐月様の方が断然素晴らしいプロポーションですってば!!」

流子「腹立ちまぎれに縛斬の一太刀もくれてやりたいがあれは私の身体……! えぇいこのジレンマどうしてくれよう!!」

流子「……まぁ、今は不測の事態ということで……此度の勝負、ひとまず休戦とするか」

皐月「今のままではてめぇ自身の身体を攻撃することになっちまうしな。……私の身体に、妙なことすんじゃねぇぞ?」

流子「その台詞、貴様にだけは言われたくないな」

流子「……あと、ウエストを2cm絞っておけ」

皐月「あ、気にしてたのか」

流子「黙れ」

皐月「善処する」

流子「なら良し」

――無星生徒用ケーブルカー内――


皐月「……鮮血?」

鮮血「どうした、流子?」

皐月「よかった……皐月の身体でもお前と話が出来る」

鮮血「身体は皐月だが精神はお前だからな……しかし、いつまで保つことか」

皐月「? どうした?」

鮮血「いや……何でもない。杞憂に終わるといいのだが」

マコ「ところで、皐月様の姿の流子ちゃんはなんて呼べばいいのかな? 皐流ちゃん? 流皐ちゃん?」

皐月「いや……流子でいいよ。つかその呼び方はお願いだからやめて」

マコ「それにしても、今日は散々な目にあったねぇ! こーいう日は早く帰ってご飯いっぱい食べてとっとと寝るに限るよ!!」

皐月「ははっ……そりゃいつもと変わんねぇや」

皐月「……そういや、この姿で帰って、皆びっくりしないかな?」

マコ「先に帰った父ちゃんが話してるだろうし、いつもと変わんないんじゃないかな?」

皐月「それもどうかと思うが」

――満艦飾家――


マコ「ただいまー! ご飯なーにー?」

皐月「た……ただいま……」

好代「おかえり二人とも。コロッケ熱いうちに食べちゃおうねぇ」

マコ「わぁい! コロッケコロッケ!!」モリモリ

又郎「うひょーぅ! いっただきま~す!!」ガツガツ

薔薇蔵「今日も母ちゃんのコロッケは最高だぜ!」モシャモシャ

ガッツ「ガーッツ!!」ガフガフ

皐月「本当にいつも通りだった」

皐月「あのー……、驚かないんですか? 私、こんな姿なっちゃってんすけど」

好代「だって、姿は皐月様だけど中身は流子ちゃんなんでしょ? ならいいじゃない」

薔薇蔵「うちに初めて来た時はもっとどえらい状態だったじゃねぇか! 今更驚きゃしねぇよ」

又郎「ま、そーいうこったから、アネゴはなーんも気兼ねせず今まで通り過ごしてりゃいいってことよ」

皐月「皆…………」

好代「それにしても、雷に打たれたり入れ替わったりと大変だったねぇ。お風呂沸いてるから、ご飯食べたら入っちゃいなさいな」

皐月「あ、ハイ。……ありがとうございます」

――満艦飾家・風呂場――



皐月「……ふふっ」

鮮血「どうした? 流子、急に笑い出したりして」

皐月「……いやぁ、いっそ拍子抜けする程いつも通りだったな、って」

鮮血「満艦飾一家はお前の外見のみではなく、本質を見てくれているということなんだろう」

皐月「そっか……だとしたら、ちょっと嬉しいな」

皐月「…………でも」ギヌロ!

薔薇蔵「」ビクン!

又郎「」ビクン!

ガッツ「」ビクン!

皐月「そこはいつも通りじゃなくていいんだぜコルァーーーーー!!!」バキッ!!

二人+一匹「ごめんなさい~~~~~~~~~」キラーン……

皐月「ったく、油断も隙もあったもんじゃねぇな……」

鮮血「それにしても、入れ替わったのが同性である鬼龍院皐月で良かったと思うべきなのか」

皐月「まぁな……とりあえず、異性間の生理現象の差に戸惑わずに済むのは助かる」

皐月「股間にあんな邪魔っ気なブツが生えた日にゃ一生引きこもって泣いてやる」

鮮血「見たことも無いくせに」

皐月「それは言わない約束よ……っと、」ヌギヌギ

皐月(……おっ? …………おぉ~……っ?)

皐月(なっ…………何じゃあこりゃあ~~……??)ボイーン

皐月(な、なんか、改めて見ると皐月って……すっごい)モミン

皐月(うわわわ何このボリューム! なんつーかこう、たわわ?)ムチン

皐月(私もそれなりにあるっちゃある方だけど……触り心地が、全然)モッチモッチ

皐月(つーか皐月、どこ触ってもスベスベだなー……頂点に立つ者はお手入れからして違うってか)ナデリナデリ

鮮血「……流子、さっきから己の乳や尻を揉んだり肌を撫で回したり、一体何を」

皐月「さーて風呂風呂ぉ! アハハいい湯だなっとぉ!!」

皐月「ふぃ~、いい湯だった……っと、ん? 何やら玄関の方から謎の光が」

好代「まぁまぁ皐月様、こんなあばら屋までわざわざお越し下さるなんて!」

マコ「うわぁ蟇郡先輩まで! どうぞ上がってって下さいよぉ! 出がらしの怪しいお茶位しか出せませんけど」

蟇郡「いや……お構いなく」

流子「すぐ帰る故気遣いは無用。……纏、風呂上がりか」

皐月「……家まで乗り込んでくるなんて、一体どういう風の吹き回しだ?」

皐月「つーか私の身体でも謎の後光が差すという事実にびっくりだよ」

流子「すぐに噛み付こうとするのは貴様の悪い癖だな。今日はこれを届けに来ただけだ」

皐月「替えの下着と……スキンケアグッズ一式?」

流子「手持ちの下着ではサイズが合わないだろう? スキンケアも、私と貴様とでは肌質が違うしな……っと」

皐月「…………」ムニムニムニムニ

流子「……おい纏、何を人の頬をムニムニしている?」

皐月「お前……なんか肌がツヤツヤモチモチなんだけど。私の身体に何かしやがったな?」

流子「ちょっと全身エステに行ってきた」

皐月「うっわ何だよそれ」

流子「どうせ仮の身体なら、どこぞの馬鹿と違って大切に扱ってやろうと思って」

皐月「……あーハイハイ、その節は悪うございましたね」

流子「私は優しいからな、ピッカピカの極上ボディにして返してやる」

皐月「言うねぇ……ま、正直下着や肌の手入れは困ってたとこだし、素直に受け取っとくよ。ありがとな」ニッコリ!

流子「!? そ、そういえば纏……エステの際に知ったが、貴様は……意外とピンクなんだな」

皐月「ハァ? ってオイ、それは上のことか下のことかー!?」

流子「ノーコメント。では纏、貴様も私の玉の肌にしっかり磨きをかけておけ……帰るぞ、蟇郡」

皐月「くっそー、素直に喜んで損した!!」





流子「……私は、ああいう笑い方も出来るのだな」

蟇郡「まぁ……中身はあの纏ですが。……ん?」

蟇郡「まと……皐月様、どうかなさいましたか? お顔が赤くなって」

流子「…………何でもない」

書き溜め分終了 書いててなんかすっげえややこしい
あと今更ながらキャラ崩壊注意ですよ

――本能町・スラム街――


マコ「纏流子……もとい、鬼龍院皐月の朝は早い」

皐月「ふあぁ~……超ねみぃ……でも身体が勝手に目覚めちまった」

マコ「まだ日も登らぬ午前4時。既に彼女は床を後にしている」

マコ「軽いストレッチ運動ののち、スラム街周辺を1時間程ジョギング」

マコ「プルオーバー、ダンベルプレス、アームカール、リバースプッシュアップ、プッシュアップ、ワイドスクワットetcetc……これらのトレーニングメニューを、彼女はひたすら淡々とこなす」

皐月「まぁあいつが好きではじめたメニューですから」

皐月「やっぱ冬のメニューはキツイね、愚痴ってもしかたないんだけどさ(笑)」

皐月「つか身体が勝手に動く……な、長年の習慣ってすげぇな」

マコ「今日も彼女は、日が昇るよりも早くトレーニングを始めた。明日も、明後日もその姿は変わらないだろう」

皐月「なぁマコ……そのナレーションは何だ?」

マコ「ちょっとやってみたかっただけ」

――2年甲組――


ざわ……ざわ……

    ざわ……ざわ……




皐月「周囲から投げかけられる熱視線が痛いぜ」

マコ「そりゃあ、皐月様が流子ちゃんの服を着て2年甲組に居りゃねぇ」

美木杉「おー、皆席に着けー。出席取るぞー」ヒョッコリ

美木杉「○山○子ー」「ハーイ」

美木杉「えー、纏……鬼龍院? さつ?」

皐月「あー、纏っす」

美木杉「纏くん……ちょっと見ない間に、随分変わったねぇ」

皐月「……成長期っすから」

美木杉「そんな、声まで変わって」

皐月「……変声期っすから」

美木杉「そ、そうか……えー、満艦飾マコー」「ハーイ」

違ったらすまん
>>1って前に、のっとってキルラキルのSS書いてた人?

――昼休み・中庭――


マコ「おっ昼♪ おっ昼♪ おっ弁っ当♪」

皐月「やっとメシが食える……」

マコ「皆皐月様の身体だろうと容赦なく攻撃してきたねぇ」

皐月「そこが納得いかねぇんだよ!」

皐月「普通さ、皐月と私が入れ替わったんなら皆遠慮して攻撃しないんじゃねぇの? いつもと変わんねぇっつーかいつも以上に狙われてんですけど!?」

流子「それは私が命じたことだ」

マコ「皐月様!」

皐月「うーん、後光と共に現れる自分を見ることになろうとは。……で、どういうことだ?」

流子「昨日のうちに、全生徒の家庭に連絡網を回しておいた」

マコ「えーっ、うち回ってないよ? やだ、この学園にいじめが存在!?」

皐月「……ったく、あんたも澱みねぇな」

流子「多少姿が変われども纏は纏。それに、この私の身体で負ける訳がないだろう?」

皐月「まぁな……変身しなくても強いこと強いこと。昼食前のいい運動になったぜ?」

モブ生徒たち「」シカバネルイルイ

流子「……そうこないとな」

流子「……ところで纏」

皐月「?」

流子「貴様、後ろ髪がボッサボサではないか! 私の身体でそんなだらしない格好をするな!」

皐月「ヒイィ! 自分の顔なのになんか怖い!」

マコ「えーっ、流子ちゃんはいつもこんな感じだよ?」

皐月「それはそれでちょっと悲しい」

流子「全く……ちょっと大人しくしていろ、ブラッシングするから」

皐月「あ……えーと、ハイ」

流子「昨日渡したスキンケアグッズの中に椿油があっただろう。洗髪後、半乾きの髪に数滴なじませると良い」

皐月「お前……意外と女子力高かったりする?」

流子「当たり前だ。私の女子力は物理面のみならず全方位天元突破だ」

流子「あと……揚げ物ばかりではなく、きちんと野菜も食べろ」

皐月「お前はオカンか」

流子「ウエスト-2cm。忘れるな。戻った時に増えていたら、ぶちのめすどころじゃ済まさん」

皐月「毎日あのトレーニングメニューこなしてこの身体なら、もう絞りようが無いんじゃね?」

マコ「流子ちゃんに丁寧なブラッシングをして貰う皐月様……うーん、面白いものを見させて貰ったよ」

皐月「第三者の目で想像したらすっげえ微妙な絵ヅラで切なくなった」

皐月「……あ、そうだ。マコ、悪いけど今日は先帰っててくんねぇか?」

マコ「ん? 何か秘密のご用事?」

皐月「言葉はアレだが……ちょっとした居残り授業ってやつかな」

今日はここまで 支援等ありがとうございます

>>33
そうです なんかあっちもこっちもやりたい放題ですみません

――本能字学園・生徒会室――



蛇崩「なかなか面白いものを見させて貰っちゃった」

流子「……覗きとは悪趣味だな、蛇崩」

蛇崩「違いますー。皐月様を探してたら偶然目に入っちゃったんですー」

流子「そこで名乗り出なければ十分に覗きが成立する訳だが」

蛇崩「あはは、それもそうだった」

蛇崩「……なんかね、ちょっと妬けちゃって」

流子「……何がだ?」

蛇崩「だーって、皐月様楽しそうなんだもん。何かっちゃ構ったりお世話焼いたり……なんか、出来の悪い妹を構うお姉さんみたい」

流子「奴はどうも私の身体を粗暴に扱うきらいがあるからな……ま、セルフメンテナンスみたいなものだ」

流子「だから……妬くな、蛇崩。元に戻ったら、泣きたくなる程に構ってやる」

蛇崩「その台詞……元に戻ったら、改めて聞かせて欲しいな」

流子「やはり纏の身体では少々格好がつかないか」

蛇崩「ちょっとね」

――放課後・美木杉の部屋――



美木杉「これから呼ぼうかと思ってた矢先に自ら来るとは、以心伝心というやつだろうか」

皐月「うっせ! ……今朝のアレは何だよ? どうせ一連の流れは遠くから見てた口だろうに、白々しいったら」

美木杉「確かに見てはいたけど、一応校内じゃ教師生徒の間柄だしねぇ。あの対応は妥当だと思うけど?」

美木杉「…………でも」ファッサー

皐月「!!」

美木杉「この部屋でなら話は別……君が一線を越えたくなったなら、僕ぁいつでも両手と股間を広げて待ってるけどね」ヌギー

皐月「…………」ヒュンヒュンヒュンヒュン

美木杉「……皐月お嬢さんの姿でも、相変わらず素晴らしい鋏捌きだねぇ流子くん」



皐月「……そっか。あんたに相談すれば、解決の糸口が何かしら見えてくるかと思ったんだがな」

美木杉「ご期待に添えず申し訳ないが、僕もこんな非常事態は初めてなもんで、対処のしようがない。……ちょっと、隣に失礼するよ」

美木杉「……その神衣、随分とサイズが合っていないようだけど」

皐月「バカヤロー! よるなさわるなはじけて飛ぶさ!!」

美木杉「物凄い勢いで飛び退かれた」

皐月「お前っ、本当節操が無ぇな! 私だけならまだしも、皐月の身体にまで手ぇ出そうなんてな!!」

美木杉「おやおや、妬いているのかい?」

皐月「ちげぇよ! とにかく、皐月の身体には指1本触れんなよ!?」

美木杉「赤面する皐月お嬢さんというのも新鮮だねぇ……話を戻そうか。お嬢さんの身体では鮮血が随分と窮屈そうだけど、大丈夫なのかい?」

皐月「……承知の上で敢えて着ている。皐月も同様だ」

美木杉「身体の相性抜群のセフレよりも、身体の相性イマイチな本命を選んだということか」

皐月「もっとマシな例えは思い付かないのか?」

美木杉「でも冗談抜きで身体の相性は大切だと思うよ? 今はまだ無事に過ごせているようだけど……着こなせぬ神衣は、やがて綻びが生じる」

皐月「…………」

美木杉「これはあくまで提言だけどね、変身は出来る限り控えた方が良いだろう。君の心と、皐月お嬢さんの身体の為にも」

皐月「……心の片隅に留めておくよ。邪魔したな」

美木杉「まぁ、何かあったらいつでもおいでよ。……ところで流子くん」

皐月「?」

美木杉「元に戻ったら、僕との身体の相性も試しておくかい?」

皐月「淫行罪でしょっ引かれろこの破廉恥教師!!」

美木杉「全く、とことん冗談が通じないねぇ」

――無星生徒用ケーブルカー内――



鮮血「……流子」

皐月「どうした鮮血?」

鮮血「美木杉の言っていたこと……強ち間違ってはいないと思うぞ」

皐月「セフレと本命?」

鮮血「相性のことだ。皐月の身体のお前は、私を着こなしているとは言えない。ただ着ているだけで異様に体力を消耗している筈……違うか?」

皐月「……やっぱりお見通しだったか」

鮮血「神衣は並の人間では袖を通すことすら適わない。お前たちだからこそ、合わない神衣でもどうにか過ごせてはいるが……遅かれ早かれ綻びは生じるだろう」

皐月「……綻び?」

鮮血「変身できなくなるか……私との意思の疎通ができなくなるか」

皐月「それは……困るな。つーか嫌だ、物凄く嫌だ。鮮血と話せなくなるなんて、考えただけで」

鮮血「……怖がらせるようなことを言って悪かった。とりあえず、余計な体力の消耗を防ぐ為にも変身は余程のことが無い限り控えよう」

皐月「お前を着ないという選択肢は無いんだ?」

鮮血「これは私の我儘だが……私だって、お前と離れるのは嫌なんだ」

皐月「身体の相性イマイチな本命、だもんな」

――満艦飾家――



皐月「ただいまー……ん? 何だこの段ボール箱」

好代「お帰りなさい流子ちゃん。あのね、えーと……揃さんだっけ? 鬼龍院家の執事さんって方がさっきいらしてね」

又郎「皆でどうぞって、大量の野菜置いてったんだぜ! 最高級有機野菜、オーガニックベジタボゥ!!」

マコ「凄いよ流子ちゃん、ナスもキュウリもごりっぱだよ! 有機野菜♪ オーガニック♪ オーガズムとの違いはなっんだっろう♪」

皐月「……あいつやっぱオカンだわ」

今日はここまで 乙や支援本当にありがとう
前作より面白いと思ってもらえるか分かんないけど、頑張ってみるだよ

――満艦飾家・風呂場――



皐月「さーて、二人と一匹は予めシメといたし、風呂風呂っ」ヌギヌギ

皐月「…………ふぅ」

鮮血「……脱いで多少は楽になったか?」

皐月「まぁな。……今迄、お前を脱いでスッキリするなんてこと無かったのに、変だな」

鮮血「それは私とて同じことだ。着られている方も、なかなか楽ではないぞ?」

皐月「お互い辛いところだな」

皐月(しっかしまぁ……皐月のやつ、ごっついエロ下着持って来やがったな)

皐月(……ラ・ペルラ? オーバドゥ? なんか分かんねぇけど、高級ブランドっぺぇなオイ)

皐月(つーか10代の下着じゃねぇよコレ! こちとらピーチジョンですらかーなーり迷って結局諦めるってのに)

皐月(10代の下着は実用性重視! yes!ユニクロ! しまむら神!!)

鮮血「……流子、お前はさっきから下着握り締めて何をブツブツと」

皐月「え!? アハハ何でもねぇよ!」

鮮血「……あと、そういう下着もある意味実用性はあるぞ」

皐月「聞いてんじゃねぇかよ!」

――昼休み・中庭――



皐月「ふぅ……やっと昼休みか……」

マコ「皐月様と入れ替わっちゃってから今日で1週間か……だいぶやつれちゃったね流子ちゃん」

皐月「ああ……流石に、堪えるな」

マコ「昨日届いたアレ……着なくて大丈夫?」

流子「そうだぞ纏。何故アレに袖を通していない?」

マコ「皐月様! ……って、皐月様の後光が弱くなってる……?」

皐月「よぉ……随分とおやつれになってんじゃねぇか。後光が弱まってお肌のアラが目立つんじゃねぇの?」

流子「この期に及んでまだ減らず口を叩くとはな」

皐月「栄養管理か知らねぇが、連日美味いもん届けてくれんのには礼を言うぜ。……でもな、昨日届いたアレは何だよ?」

皐月「私に着ろってか? ……無星制服をよ!!」

流子「入れ替わってから1週間……着こなせぬ神衣に、そろそろ音を上げる頃かと思ってな」

皐月「ご期待に添えず申し訳ないが、おかげ様で今日もピンピンしてますっつーの」

皐月「つーかお前もそろそろキッツイんじゃね? 以前着てた白い制服姿の私も見てみたいなーっと」

流子「貴様が無星制服を着たならば、万が一……いや億が一にも着てやらんこともないな」

皐月「ははっ、そりゃ無理な相談だ……っと」フラリ

マコ「流子ちゃん!?」

流子「人の厚意を無下にするから……いい加減意地を張るな!!」

皐月「あんたの身体にゃ悪ぃが、ここまで来ちまったらもう引くに引けねぇんだよ!!」

流子「全く……馬鹿だ馬鹿だと思ってはいたが、ここまで馬鹿だといっそ小気味良い」

流子「……今、元に戻る為の手段を講じている。もうじきだから……暫し待て」

皐月「……そりゃどうも」





マコ「……行っちゃった」

マコ「……皐月様も、だいぶお疲れみたいだね……って、流子ちゃん?」

マコ「ねぇ……! 起きてよ流子ちゃん……!!」

今日はここまで 
上手く話が練れれば明日か明後日には終われそう

――本能字学園・医務室――




マコ「もうっ、いきなり倒れるもんだからびっくりしたよ! 校医の先生居なかったから、勝手にベッド使わせて貰っちゃった」

皐月「あはは……心配かけさせちまったな」

マコ「やっぱり……皐月様が言うように、無星制服着た方が良かったのかな?」

皐月「あんなこと言ってたけど、皐月は私がそうすることを望んじゃいないと思う」

マコ「?」

皐月「ごめんな……せっかくマコとお揃いの格好なのに」

マコ「うーん、お揃いはやじゃないけど、やっぱり流子ちゃんには鮮血ちゃんがお似合いだよ!」

皐月「マコ……」

マコ「皐月様も色々動いてるみたいだし、もうちょっとの辛抱だよ! 流子ちゃん、頑張り過ぎない程度に頑張ろ?」

皐月「今の時点で頑張り過ぎな気がしないでもないが」

マコ「美木杉先生には早退の許可貰っといたから、今日はもう帰ってゆっくり休もうよ」

皐月「そうだな……ごめん、もうちょっと眠らせてくれ」

マコ「分かった……鞄、持ってくるね」

皐月「おう、悪ぃな」



マコ「流子ちゃーん、鞄持ってきたよ……って、あれ? 居ない……」

マコ「窓……開いてたっけ?」

――美木杉の部屋――



皐月「眠ってる女拐かすとは、あんたの趣味も大概だな」

美木杉「こっちも切羽詰ってたもんでね。満艦飾に見つからないように移動するにはこうするしかなかった」

皐月「しかも何だよこれ……下着姿じゃねぇか! てめぇ、約束しただろうが!!」

美木杉「妙なことはしていないから安心しなよ。以前紬が満艦飾にしたアレ……覚えてるかい?」

皐月「疲労回復疾病快癒……元気溌剌?」

美木杉「あれは紬の専売特許とは限らないんでね」

美木杉「焼け石に水だろうけど、鮮血も脱いだし身体はだいぶ回復したはずだ」

皐月「そうだな……だいぶ、楽になった」

美木杉「満艦飾から聞いたよ。無星制服を拒否したんだって? ……あれを着ておけば、少なくとも神衣に体力を奪われることはないだろうに」

皐月「絶対ダメだ。例え命を削っても、私は鮮血を着続ける。……私と皐月の、矜持の問題なんだよ」

皐月「例え中身は私でも……あの鬼龍院皐月が無星制服を着るなんて無様な真似、出来っこねぇよ。それを分かってて、あいつは私に無星制服を届けたんだろ」

美木杉「お嬢さんなりの発破かけ……といったところか」

皐月「あれを着ちまったら……それこそ何もかもお終いだ。私も、皐月も」

皐月「……なーんて、皐月の顔でアヘ顔やら鼻ホジ顔やら晒そうとした私が言うのもアレだけどな」

美木杉「君はそんなことしようとしたのか」

美木杉「満艦飾が心配してるだろう……そろそろ、帰って休むといい」

皐月「ひん剥かれたのは腹立たしいが、助けてくれたことには礼を言うぜ。借り……出来ちまったな」

美木杉「元に戻ってから、身体で返してくれてもいいんだよ?」

皐月「断固拒否。なんせ私には、本命がいるからな」

美木杉「身体の相性イマイチの?」

皐月「身体の相性抜群の本命だ……元に戻りさえすりゃな」

美木杉「やれやれ、振られてしまったか」

皐月「こう見えて一途なんだよ」

――無星生徒用ケーブルカー内――



皐月「鮮血……なぁ、鮮血」

鮮血「流子か……やっと話せるようになったな」

皐月「先公の針のおかげかな……今朝からお前の声が聞こえなくなった時は流石に焦ったよ」

鮮血「美木杉に……話さなくてよかったのか?」

皐月「どうせあいつも気づいてるだろうけど……あんま弱いとこ見せたくないんだよ」

鮮血「これもまた、お前なりの矜持という訳か」

鮮血「美木杉の針でいくらか持ち直したものの、私達にはもうあまり時間が残されていないだろう。変身できたとしても……恐らく、あと1回がいいところだ」

皐月「こっちはこっちで切羽詰まってんな……ん? 家の前に何やらご立派な車が」

マコ「あ、流子ちゃん! 一体何処行ってたの、心配してたんだよ!!」

好代「お帰りなさい流子ちゃん。さっきから揃さんがお待ちかねだよ」

皐月「揃……鬼龍院家の執事が?」

揃「纏様……お嬢様がお呼びです。どうぞ満艦飾様共々、本能字ヶ原へ」

今日はここまで いつも支援ありがとうございます
美木流調教とか蛇蟇SM読みたいけど自分じゃ筆力が無い 誰か書けよください

――本能字ヶ原――



皐月「……わざわざ呼び出すってことは、遂に元に戻るための手段が確立したってことか」

流子「……まぁな」

皐月「しかも四天王の皆様まで揃い踏みかい」

猿投山「当たり前だ。皐月様がようやくてめぇのしょーもねぇ身体から解放されるってのに、俺等が見届けねぇ訳ねっつの」

皐月「んだとやんのかコルァ!!」

蟇郡「よせ纏! 皐月様の顔で粗野な口をきくな」

流子「人の話を聞け! ……しかし、これは命がけの手段でもある。要は再び落雷を受ける訳だが、以前とは状況がかなり違うのでな」

犬牟田「神衣に体力を奪われた上に、着こなせていない神衣での変身か……」

蛇崩「その上落雷の衝撃ときたら、いくら皐月様と転校生でも命の保証は無いわね」

皐月「そうだな……それでも、私達はその手段に一縷の望みを賭けるより他無いんだな」

流子「そういうことだ。さあ、揃……アレを用意しろ」

皐月「……何だこの一昔前のアニメに出てきそうなスーパーコンピューターっぽいのは」

マコ「すごいよでっかいよピコピコだよ! 昔ルパンのTVスペシャルでこういうの見たよ!!」

流子「これこそが、我が鬼龍院重工がこの為だけにアリス重工を吸収合併して作り上げた人口稲妻発生機……『ウィンター・ローリング・サンダー鬼式』」

皐月「なんか心が引き裂かれそうなネーミングだな……」

流子「構造など詳しい説明は省くが、要は第1ボタンで雷雲をモワッと発生させ、第2ボタンでゴロピカドンと」

皐月「なんてフンワリとした説明だ」

流子「ちなみに監修はでん○ろう」

皐月「命がけの手段の筈が一気にパフォーマンス実験風味に」

流子「ボタンを押すのは犬牟田、お前に頼任せよう。タイミングは……猿投山、お前が図れ」

猿投山「俺ですか……えらい大役が回ってきたな」

流子「視覚を封じている今のお前なら、変身した時に発生する気と雷のエネルギーとがどのタイミングで交じり合うか、感覚で分かるだろう」

蛇崩「悔しいけど、サルくんが適任って訳ね。……失敗したら、ぶっ飛ばすどころじゃ済まないわよ」

猿投山「はは……おっかねぇな」

蟇郡「一回限りの真剣勝負だ。頼むぞ、犬牟田、猿投山」

犬牟田「……では、第1ボタン。行きます」ポチッ

鮮血「……怖いか? 流子、さっきから震えが止まらないようだが」

皐月「ははっ、武者震いってやつさ」

鮮血「案ずるな、流子……お前は、私が守りぬく。例えこの身が焼け焦げようとも」

皐月「鮮血……」

鮮血「お前は言ってくれたな……私が、身体の相性抜群の本命だと。それは私とて同じこと」

鮮血「……本命一人守れずどうする」

皐月「……嬉しいこと言ってくれるじゃないか」

皐月「無事戻れたら……ビシッとアイロンかけてやるぜ」

鮮血「それは楽しみだ。……雷雲が大きくなってきたな」

猿投山「皐月様、纏! 変身だ!!」

皐月「おう!」

流子「行くぞ、纏!!」

皐月「『人衣一体』!」

皐月「神衣……鮮血!!」



流子「『人衣圧倒』!」

流子「神衣……純潔!!」




猿投山「今だ!」

犬牟田「よし!!」ポチッ




ゴロピカドーーーーン!!!!

しまった、1箇所伏せ忘れていた
アリス→アリ○ で脳内補完よろすこです

しかも変換ミス イヤン恥ずかしい
人口→人工で

――本能字学園・医務室外廊下――



蟇郡「…………」ウロウロウロウロ

猿投山「…………」ウロウロウロウロ

犬牟田「お前ら……もう少し落ち着いて待てないのか? まるで出産待ちの父親みたいだぞ」

蟇郡「しかしこれが落ち着いて待てようか!?」

蛇崩「あーもうあんたらうるさい!」ヒョッコリ!

猿投山「蛇崩! 皐月様と……纏は?」

蛇崩「二人とも無事だから安心しなさいよ。さ、劣等生もいつまでもブンむくれてないで言われた通り帰るのよ」

マコ「…………」ンプー

猿投山「満艦飾が妙に不機嫌だが……一体?」

蛇崩「感動の再会もそこそこに、まだ眠いから先帰っとけって言われちゃってね……あんもう鬱陶しいったら! 私の秘蔵のお菓子分けたげるから機嫌直しなさいよ!!」

マコ「お菓子!? ハイ、マコはいつだって青春まるかじりです!!」

犬牟田「切り替え早っ。では僕らもここに長居する理由は無いわけだな」

蛇崩「久々の自分の身体だし……あの二人にも、色々思うところがあるんでしょ。あんたらも、もう帰んなさいな」

――本能字学園・医務室――



皐月「……散々な一週間だったな」

流子「……もう二度と、こんなアホな事態は御免だぜ。ま、美味いもん色々食えたし嫌なことばかりでもなかったけどな」

皐月「今回の騒動で痛感した。……私には、まだまだ修行が足りないと」

流子「同感。他人の神衣でも着こなせる位の気概が無いと、てめぇを倒すなんざ到底無理だ」

皐月「お互い、まだまだ伸び代があると考えるか」

流子「お、なんかいい響きっぽくね? ……とりあえず、神衣を交換しようぜ。早く脱ぎたくて仕方がねぇ」

流子「あー……すっげぇ開放感。今回の一件で脱ぐことの気持ちよさを思い知らされたぜ」

皐月「その表現は誤解を招くからやめておけ」

流子「つーかお前、私の身体ですごい下着着けやがって……シバリス? コレさ、マジ10代の下着じゃねぇよ。洗って返した方がいいか?」

皐月「これが私の普段使いだが。というか、返されても困る」

流子「私にはいつもの縞パンが性に合ってるよ。……ま、こっちは勝負下着として取っとくか」

皐月「見せる相手も居ないくせに」

流子「お前を倒すときの勝負下着だよ」

流子「うーん久々のこの程よいフィット感! やっぱり鮮血は私の身体で着るに限るな」

皐月「ふむ……純潔のウエストに少々ゆとりが」

流子「ウエスト-2cm。一応、約束は守ったぜ」

流子「……ただし、これは鮮血に体力を奪われてやつれたが故の成果だ。身体が癒えたらすぐに戻るだろうよ」

皐月「姑息な真似を」

流子「約束は約束だから。そっちこそ、ピッカピカの極上ボディはどうなってんだよ?」

皐月「徹底的スキンケアと永久脱毛を少々。部位はあとで確認しておけ」

流子「確認するのが楽しみなような恐ろしいような」

皐月「……そういえば、意外とピンクと言ったのは唇のことだからな」

流子「…………」

皐月「一体何処のことだと思ったのだ? 確か、上や下がどうとか言っていたが」

流子「ノーコメント」

皐月「神衣に体力を奪われた上に落雷……流石に少々疲れた」

流子「なんだよ……人には偉そうなこと言ってて、お前も結構酷かったんじゃねぇか」

皐月「私はもう少しここで休んでいくが……おい、貴様のベッドは隣だろうが。寝首でも掻くつもりか?」

流子「私がそんな手を使うタマかよ……んっ」

流子「…………」

皐月「…………」

流子「誤解の無いよう言っておくが……私には、お前と違ってそういった趣味はないからな」

皐月「貴様が何を誤解しているか分からんが、私にもそういった趣味はない」

流子「……これはアレだ、一週間世話んなったお前の身体への別れの挨拶みたいなもんだ」

皐月「随分とまぁ……情熱的な別れの挨拶だな」

流子「こんなことすんのは今日だけだ。明日からはまたいつも通り……お前を倒して、色々真相を聞かせて貰うぜ」

皐月「自分を倒すと息巻いている女と抱き合って眠るのか……決して良い趣味とは言えないが……最悪という訳でもないな」

流子「回りくどいな」

皐月「後で、満艦飾の家に滋養のつく食材を届けさせておく。しっかり食べて、英気を養って……また、私を倒しに来い」

流子「…………」

皐月「……眠ったか」

皐月「…………」

皐月「お前流の別れの挨拶……お返しだ。明日からはまた……いつも通り……」




流子「zzz……」パチリ

流子「ふあぁ……よく寝たなぁ……皐月は、もう居ないか」

鮮血「少し前に起きて帰ったぞ。あまりに熟睡していて気付かなかったか」

流子「ここ1週間あんま熟睡出来なくってな。あと……久々の鮮血の着心地に、つい」

鮮血「外はもう真っ暗だ。満艦飾一家が心配しているだろうし、早く帰ろう」

流子「お前は早くアイロンかけて貰いたいんだろ」

鮮血「それもある」

――満艦飾家――



マコ「お帰りなさい流子ちゃん、今日はごちそうだよ! 皐月様からすっごい食材がいっぱい届いたんだ!!」

好代「ウナギに山芋、烏骨鶏の卵にスッポンに宮城特産もっこりニラ!」

薔薇蔵「……そして赤マムシ」

流子「こりゃまた濃ゆい食材が一堂に会してんな……」

又郎「しっかしまぁ、雷に打たれたり入れ替わったりして不安定なところにこんな精の付くもんばっか食ったら、入れ替わりどころか今度は男んなっちまったりしてなぁ」

流子「アハハ、そんなまさか」

好代「全くもう、又郎はおかしなことばかり言うねぇ。流子ちゃん、お風呂沸いてるからご飯食べたら入っちゃいなさいな」

流子「あ、ハイ。ありがとうございます」

――満艦飾家・風呂場――



流子「久々の自分の身体での風呂か……無駄に慌てふためかずに済むのは助かるぜ」ヌギヌギ

流子「…………!?」

鮮血「? どうした、流子」

流子「どどどどどどうしよう鮮血……私もう、一生引きこもって泣くしかねぇよ」

鮮血「は? 流子、一体何を……って、おい、まさか」





流子「そのまさかだった」

おしまい もっこりニラ美味しいよ
それではまた、どこかのキルラキルスレで

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