マナ「ブンビー・カンパニー?」 ブンビー「なんだお前たちは?」 (82)

マナ「初めまして! あたし、大貝第一中学、生徒会長の相田マナです!」

ブンビー「大貝第一中学? 中学生が私の会社になんの用かな?」

マナ「実はあたしたち、今度社会見学があるんですけど、予定してたところが急遽ダメになっちゃって…」

六花「ここのビルの中にある会社なんです。で、その説明を受けた帰りに、たまたま屋上に別の会社があるのを知って…」

ブンビー「なるほど、それでわざわざ交渉に来たというのかね」

真琴「はい」

ブンビー「感心感心! この私の会社を選ぶとは、君たちは素晴らしいセンスを持っている! 是非このブンビー・カンパニーで、社会的教養を身につけたまえ!」

六花「は、はあ…」

ブンビー「―――…と、言いたいところだが…」

ブンビー「見ての通り、私の会社はさっぱり利益が出てなくてね…」

六花「そういえば、従業員が一人も見当たりませんね」

ブンビー「私の他にももう一人いたんだ。けど全然仕事をしない男でね。一度叱ったら、翌日から来なくなってしまったんだよ…」

真琴「バックラーというやつね」

六花「変な言葉知ってるわね、まこぴー…」

ブンビー「とにかくそういうわけだから、違う会社を選びなさい」

マナ「でも…」

六花「マナ。社長さんの言うことに従いましょう」

マナ「…わかりました。お時間とらせてしまってすみませんでした!」

ブンビー「………」

ブンビー「なかなか見込みのありそうな子らだったな」

ブンビー「ああそうか。彼女たちによく似ているからか…―――」



~~四葉邸の庭~~

ありす「―――なるほど、そんなことがあったのですね」

真琴「人間界の社会というのも、簡単じゃないのね」

ダビィ「真琴のようにアイドルとして成功している人もいれば、必ずそれ以上に大変な目にあってる人がいるんだビィ」

シャルル「嫌な話シャル。みーんな幸せになればいいシャルね」

ラケル「ケル…」

マナ「………」

六花「どうしたの? マナ」

マナ「ねえ六花。あたしたちが、なんとかブンビー・カンパニーの力になれないかな?」

六花「何言ってるの!?」

マナ「だって! 会社が立ち行かなくなって困ってる人がすぐそばにいるんだよ? 助けてあげたくなるじゃん!」

六花「出た、幸せの王子…」

六花「あのねえマナ? そういう人なんて、あの社長さん以外にもたくさんいるのよ? その人たちを全員助ける気?」

マナ「けど、あの社長さん、なんだか放っておけないんだよ!」

真琴「たしかに、不思議と親近感というか、赤の他人じゃないような気がしたわね」

マナ「でしょ? それにあたしはエコヒイキしようってわけじゃないんだよ。目の前で困ってる人がいたら、その人が社長さんでも大統領でも、王様だって助けてあげたいの!」

六花「わかってるわよ。マナは人で判断するようなタイプじゃないものね」

マナ「六花…」

六花「けど力になるって、具体的に何をするつもり? まさか一介の中学生が、潰れそうな会社を持ち直させようなんて言わないでしょうね?」

マナ「それは……たしかに難しいかもしれないけど、あたしたちならなんとかなるよ!」

シャルル「マナはむちゃくちゃ言うシャル…」

真琴「そんなことできるの?」

マナ「できるかどうかじゃない! やってみせる! だってあたしは、いつか総理大臣になる、大貝中学生徒会長の相田マナだもん!」

亜久里「よく言いましたわ!」

六花「亜久里ちゃん!? いつの間に……」

亜久里「プリキュア五つの誓い!」

亜久里「一つ! プリキュアたる者、自分を信じ、決して後悔しない!」

亜久里「たしかにマナが言っていることは、わたくしたちにできるような簡単なことではありません」

亜久里「しかし、簡単ではないということは、諦めてもいい理由にはならないのです」

亜久里「マナが信じた道、やりたいと思うこと。それを実現するためには、どんな困難にも立ち向かう気概がなくてはなりません」

亜久里「そうでしょう!? 皆さん!!」

真琴「…そうね。トランプ王国を立て直そうとするのなら、会社くらい持ち直せなくてどうするの?」

ありす「会社経営でしたら、私も力になれると思います」

六花「…はあ。みんなしょうがないんだから。けどそれでこそマナたちね」

アイちゃん「アイ~!」

マナ「みんな…!」

マナ「よーし! そうと決まったら、さっそくブンビー・カンパニーに行ってみよう!」


http://www.youtube.com/watch?v=U39X1KjGHt4

~~ボウリング場~~

レジーナ「お腹空いた~。なんか買ってきて~」

ベール「はい、ただいま!」

イーラ「なんかすっかりレジーナの召使いが板についてきたな、ベールのヤツ…」

マーモ「召使いっていうかパシリね。お茶汲み係みたいなものかしら」

イーラ「お茶汲み係? なんだそれ?」

マーモ「なんでも、人間たちの会社では、上司の言いなりになって雑用ばかりさせられるかわいそうな人種がいるそうよ」

イーラ「へ~え。メンドクセエ、そんなことするくらいなら、働かずにずっと遊んでりゃいいのに」

マーモ「それができないのが人間なのよ」

イーラ「…いいこと思いついた。そいつらからプシュケーを取り出せば、かなり強いジコチューが生まれるんじゃないか?」

マーモ「なるほど。普段からジャネジーを溜めている人間なら、それだけたくさんのジャネジーが奪えるというわけね」

イーラ「そういうこと!」

ベール「…どうでもいいが、お前たちも手伝ってくれ…」

レジーナ「ねえまだ~? はやく~」

イーラ・マーモ「………」

~~ブンビー・カンパニー~~

ブンビー「…それで? 今日はなんでまた私のところに? それも人数を増やして」

マナ「はい! やっぱりあたしたち、この会社に社会見学させてもらおうと思いまして!」

ブンビー「何度も言わせるんじゃないよ。ここを見学しても勉強にならないから、他のところに行きなさいと…」

マナ「大丈夫です! あたしたちの社会見学は、職場体験も兼ねることにしましたから!」

ブンビー「職場体験?」

六花「期間中だけその会社の従業員になって、一緒に働いてみる課外活動のことです」

ありす「マナちゃんは、ブンビー・カンパニーさんを立て直そうとしているのですわ」

ブンビー「気持ちは嬉しいが、君たちみたいな子供に助けてもらったところで…」

マナ「子供じゃありません! この会社で職場体験させてもらうと決めた以上、最後までやりとげる会社員です!」

真琴「…マナはこうなったら止められないわよ」

亜久里「何もしなければ状況は好転しません。ここはマナに任せてみてはいかがですか?」

ブンビー「…わかったよ。今日から君たちは、うちの従業員だ」

マナ「はい! 精一杯頑張ります!」

真琴「けれどマナ、働くといっても何をすればいいの?」

マナ「それは……」

ブンビー「そうだな、じゃあとりあえず…―――」グゥゥ~~…

全員「………」

ブンビー「……///」

マナ「腹が減っては戦はできぬ! まずは腹ごしらえだね!」

~~洋食屋・ぶたのしっぽ亭~~

ブンビー「………!」ムシャムシャバクバク

六花「す、すごい食べっぷりね…」

ブンビー「……ううっ!」

マナ「どうしたの!? ひょっとしてのどに詰まった!?」

ブンビー「うまいっ!」

ブンビー「こんなにうまいオムライスは初めて食べた…!」

健太郎「娘の友達に喜んでもらえて光栄です」

宗吉「ふん。わしに言わせりゃまだまだだ」

マナ「おじいちゃん…」

ブンビー「どうしてこんなにうまいメシが作れるんだ? 何か反則技でも使ってるんじゃないか?」

健太郎「反則技って…。違いますよ。僕たちはただ、お客さんの笑顔が見たい」

健太郎「美味しい料理を食べて、幸せになっている人たちの姿を見たい」

健太郎「だから心を込めて、料理を提供してるんです」

ブンビー「お客さんの幸せな笑顔?」

健太郎「ええ。相手のことを想いながら仕事をする。それが僕たち、シェフなんです」

マナ「さっすがパパ! いいこと言うね!」

宗吉「ふんっ」

ブンビー「………」

~~翌日:ブンビー・カンパニー~~

六花「はい。というわけで、今日は経済学について勉強します」メガネキラリ

ブンビー「…あれ? 君たち職場体験するんじゃないの?」

マナ「まぁまぁ、細かいことは気にしない気にしない」

六花「午前は私があなたにみっちり経済のノウハウを叩き込みます。そして午後からは―――」

ありす「私が経営者の基本を伝授いたしますわ」

ブンビー「は、はい…」

ブンビー「(なんだこの中学生…)」

~~正午~~

六花「―――…と、いうわけよ」

ブンビー「お、終わった…」グッタリ

マナ「ブンビーさん、グロッキーだね…」

ありす「そろそろお昼にしましょうか」

真琴「でも、誰も食べるものなんて持ってきてないんじゃ…」

マナ「どこかに食べに行く?」

亜久里「疲れた時は甘いものに限りますわ!」キラキラ

六花「待って。外から話し声が聞こえない?」

ブンビー「…この声は…」

のぞみ「こーんにちはー! ブンビーさん!」ガチャリ

マナ「のぞみちゃん!」

のぞみ「あれ? マナちゃん!?」

マナ「わー、久しぶりだねえ!」

のぞみ「久しぶり久しぶり~!」

うらら「あ、真琴さん! おはようございます!」

真琴「うらら。こないだ共演して以来ね」

うらら「はい!」

ありす「かれんさん、その説は大変お世話になりました」

かれん「いいのよ。私も有名な四葉財閥のパーティで演奏できて光栄だったわ」

ブンビー「なんだ、お前たち知り合いだったのか?」

リン「ああ、この子たちもプリキュアなの」

ブンビー「なんだと!?」

六花「ちょっとリン! そんな普通にばらさなくても!」アセッ

こまち「大丈夫よ六花さん。ブンビーさんは、私たちの元・敵なの」

ドキ勢「ええっ!?」


~~数分後~~

マナ「へえ、そんなことがあったんだねぇ…」

リン「ホント、色々あったよ」

くるみ「事あるごとに私たちの前に立ちはだかって大変だったわ」

こまち「突然「プリキュアのリーダーになる!」なんて言いだしたこともあったわね」

かれん「懐かしいわね」

5GoGo勢「あはははは!」

真琴「(…何かしら。この子たちを見ていると、無性に歌いたくなる…)」

ブンビー「…ところでお前たち、今日は何しに来たんだ?」

のぞみ「そうそう! お腹空いてるだろうと思って、ブンビーさんにお昼ご飯を作ってきたの!」

リン「ちょっと作りすぎちゃったけどね」

マナ「お昼ご飯!? ちょうどよかった! のぞみちゃんお願い! あたしたちも一緒に食べてもいいかな?」

のぞみ「もっちろん! どうせ私たちだけじゃ食べきれなかったしね!」

かれん「デザートもあるわよ」

亜久里「デザート!?」キラキラ

くるみ「ココ様とナッツ様特製の大福とシュークリームよ。感謝して食べなさい!」

こまち「羊羹もあるわよ」

うらら「私はカレーライスを作ってきました!」

のぞみ「よ~し! それじゃ今日は、みんなでランチパーティするぞ~! けって~い!」

~~午後~~

のぞみ「じゃ~ね~!」

マナ「ばいばーい!」

ブンビー「………」

ありす「…さて、のぞみざんたちも帰ったことですし、今度は私の番ですね」

ブンビー「もう勉強はこりごりです…」

ありす「勉強といっても、大したことではありません。ブンビーさん、会社関係のお知り合いは何人いらっしゃいますか?」

ブンビー「知り合い? うーん…ひ、一人?」

ありす「それではいけません。何をするにも、特に会社を経営するには、コネクションは大きな武器になります」

ブンビー「それはそうだが、なにぶん前にいた会社では上司や部下に散々悩まされてきたからな…」

ありす「もちろん、人間関係は広ければ広いほど、煩わしいものになってきます」

ありす「けれども同時に、圧倒的な力になることの方が多いのです。セバスチャン?」

セバスチャン「はい、お嬢様」スチャッ

ブンビー「…? なんだ? この会社名がびっしり書いてある紙は…」

ありす「四葉グループの息がかかった会社リストです。今からブンビーさんには、ここにあるすべての会社に電話し、会合のアポを取ってもらいます」

ブンビー「すべての!? 一体どれだけ労力がいると思ってるんだ!?」

ありす「甘えないでください!」

ブンビー「っ!?」ビクゥ!

ありす「自ら起ち上げた会社を成り立たせ、社員をまもるためには、どんな苦労も厭わない!」

ありす「それだけの覚悟がないのなら、今すぐ経営者なんてお辞めになってくださいな!」

ブンビー「…わ、わかりました、頑張ります……」

~~夜:真琴車内~~

真琴「………」

DB「…浮かない顔してるわね、真琴」

真琴「…私、何もできなかった」

DB「え?」

真琴「マナは昨日美味しい晩ご飯をあげたし、六花は勉強を、ありすはコネクションを作ってあげて…」

DB「…自分はブンビーさんに、何もしてあげられなかった、と」

真琴「………」

DB「真琴が気に病むことじゃないわよ。直接的には何もしてあげられなくても、一緒にいるだけで力になれるかもしれないじゃない」

真琴「…でも……」

真琴「………」

真琴「…あれ? あの子たちは…」

真琴「ダビィ、ちょっと車止めて!」

~~夕暮れの河原~~

咲「はー、つっかれたー!」

舞「お疲れ様。今日の試合もかっこよかったわよ、咲」

咲「えへへー、ありがとう、舞! 今日も今日とて、絶好調ナリ~!」

舞「ちょっと待って咲、誰か近づいてくるわ」

咲「へ? ほんとだ。…って、あれ真琴じゃない? おーい、真琴―!」

真琴「咲! 舞! 久しぶりね!」

舞「どうしたの? こんなところで」

真琴「…実は…―――」

咲「なるほど、そのブンビーさんっていう人の力になってあげたいのに、何もできなくて悩んでると」

舞「仕方ないわよ、私たち中学生だもん」

咲「そうだよねー、会社の経営とか言われても、ぜーんぜんわかるわけないって!」

真琴「でも、マナたちはそれぞれ自分のできることでなんとかしてて、私だけ何もできないから……」

舞「…だったら、真琴さんにしかできないことをしてみたら?」

真琴「…私にしかできないこと?」

舞「ええ。私ね、咲がソフトボールで困ってる時、絵を描いてあげるの」

真琴「絵…?」

舞「私はソフトボールできないから、なんとか咲の力になりたくて…」

舞「そういう時は、心が癒されるような絵や、「頑張ろう!」っていう気持ちになれるような絵を描いて、咲にあげるんだ」

咲「すごいんだよ! 舞の絵を見てると、ホントに力が湧いてくるの!」

舞「だから、真琴さんは真琴さんの得意なことで、力になってあげられるんじゃないかしら」

真琴「私の得意なことで、力になる……」

真琴「―――…よし」

真琴「…二人とも、ありがとう! もうちょっとだけ協力してくれる?」

咲・舞「もちろん!」

真琴「ダビィ、お願いがあるの! 今からのぞみたちに連絡を取って、会えるかどうか確認して!」

DB「わかったわ!」

~~翌日:ブンビー・カンパニー~~

マナ「それじゃ、ブンビーさん! 今日は昨日のおさらいを―――」

真琴「待って、マナ!」

マナ「まこぴー…?」

真琴「ブンビーさん。私、自分じゃあなたの力になれないって思ってた」

ブンビー「いや、そんなことはないが…」

真琴「けれど気付いたの。私には私にしかできないことがあるって」

真琴「だから、あなたのために歌を歌おうと思います!」

マナ「え!? まこぴー、歌作ってきたの?」

真琴「偶然会った咲と舞、それからのぞみたちにも協力してもらってね」

のぞみ「はいは~い! お待たせ!」ガチャ

六花「のぞみ!? それにみんなも!?」

ブンビー「お前たち、また来たのか?」

リン「ブンビーさんのための歌なんだから、カンベンしてよ」

うらら「私たちみんなで作ったんです。ね、真琴さん!」

真琴「この歌が、少しでもあなたの力になればいいと思って」

こまち「私たち全員で歌うわ」

くるみ「なんで私まで…」

かれん「まあまあ」

真琴「…それじゃ、聞いてください」

真琴「ガンバランスdeダンス~希望のリレー~」


http://www.youtube.com/watch?v=B5Fsdz_TbvQ

~~プリキュア帰宅後:ブンビー・カンパニー~~

ブンビー「…なかなかいい歌だったな」

ブンビー「しかし私は…一体何をしているんだ」

ブンビー「どこへ行っても上と下に板挟み」

ブンビー「自分で起ち上げた会社も経営不振」

ブンビー「挙句、中学生にまで励まされる始末」

ブンビー「私には働く才能がないんだろうか…」

ブンビー「いっそ、苦労しなくても楽して金が入る仕事に手を出してみるか」

ブンビー「………」

ブンビー「いやいや! それだけは絶対にダメだ!」

ブンビー「昔のような生活をしても、得られるものなんてないことはわかってるじゃないか!」

ブンビー「……あの子たちの期待を、裏切るわけにはいかないな」

ブンビー「なーんて! 私ったらちょっとかっこいいこと言っちゃった!」

ブンビー「………はあ……」

~~翌日:四葉邸の庭~~

マナ「それにしてもまこぴーのあの歌、よかったねぇ」

六花「そうね。さすがトップアイドルだわ」

真琴「ありがとう。自分でも気に入ってるの。まるで何年も前から知ってるような出来上がりだったから」

ありす「うふふふふ」

マナ「あたしも早速覚えて歌えるようになったんだよ! ♪手ェのひーら~タイヨウ向けーぇええ―――」

六花「ストーップ! マナ、まこぴーがCDで出してくれるまで待ちましょう?」

マナ「ええ~? …わかった、六花がそう言うなら…」

ダビィ「ホッ…」

亜久里「………」

マナ「? どうしたの? 亜久里ちゃん。深刻そうな顔しちゃって」

亜久里「え? ああいえ、大したことではありません。ただ……」

六花「ただ?」

亜久里「あのブンビーさんというお方、本当に私たちの力を必要としているのでしょうか?」

ランス「どういう意味でランス~?」

亜久里「どうもわたくしには、あの人が心から、他人に援助されるのを望んでいるようには見えないのです」

ありす「たしかに、自分より一回りも年下の私たちに指導されたのでは、大人として立つ瀬がありませんわね」

六花「それはそうかもしれないけど…」

マナ「う~ん…余計なお世話だったかなぁ…?」

亜久里「そうとは言っていません。あのまま何もしなければ、きっと状況は悪化する一方だったでしょう」

亜久里「ですが、あの人の心の声を、わたくしたちは理解していないのではないでしょうか?」

真琴「心の声?」

亜久里「そう。心の深くに眠る、本当の苦しみ。本当の悩み。そして願い―――」

亜久里「何よりもまず、それを知ることこそが、本当に相手のためになることなのではないでしょうか?」

マナ「………」

マナ「うん、亜久里ちゃんの言う通りだね!」

マナ「ありす、たしか来週、ブンビー・カンパニーと四葉系列会社の面談があったよね?」

ありす「ええ、予定しています」

マナ「それじゃ、そこで一つお願いがあるんだけど、いい?」

ありす「マナちゃんの頼みなら♪」

~~一週間後:某四葉財閥系列会社・オフィス前~~

ブンビー「はー、なんか緊張してきた…」

ありす「あまり気張らないでくださいな」

六花「緊張するのはいいことだけど、自分の力を精一杯出すのよ」

マナ「肩の力抜いて! ブンビーさん、あたしたち、あなたの成功を心から祈ってるからね!」

ブンビー「どうでもいいけど、君たち普通にタメ口使うよね」



~~オフィス内・第一会議室:社間面談~~

重役「…なるほど。脱サラして会社を興し、少ない従業員で零細企業を営んでいる、と」

ブンビー「はい」

重役「なるほど、よくわかりました」

重役「ところで、御社の情報を事前に調べさせていただきました。あまり経営が上手く行っていないようですね」

ブンビー「はあ、恥ずかしながら…」

重役「それに従業員も少なく、会社の経営方針もはっきりしていない、と」

ブンビー「…おっしゃる通りです」

重役「そうかしこまらないでください。何も我々は、御社を責めようというわけではないのです」

ブンビー「…と、言いますと?」

重役「実はこの度、御社を我が社の傘下に収めたいと考えているのですよ」

ブンビー「…はあ……」

重役「あなたの会社が入っているあのビル。あそこは我が社のライバルがたくさんありましてね」

重役「私としても、あのビルに系列ができるのは非常に有り難い。もちろん、あなたにもそれなりの待遇を与えます」

重役「ただし条件として、あなたは社長ではなく、支部長に降格。行動の範囲もかなり狭くなります」

重役「ですがこのままでは、あなたの会社は近いうちに倒産してしまうでしょう」

重役「しかし我が社の傘下に入り、あのビルでスパイ活動をしてくれるなら、定年まで雇用を約束し、給料も今の1.5倍は与えましょう」

重役「どうです? 悪くない条件だと思いますがね」

ブンビー「…はあ……」

重役「(…はあ、めんどくせーなあ。この男、本当にうちとコネ作る気あるのか?)」

重役「(こんなことしてる間にも、他の仕事はどんどん溜まってるってのに)」

重役「(いっそのこと、こいつの面談なんかほっといて遊びにでも行こうかな)」

重役「(……いやいや)」

重役「(これもありすお嬢様からの大切な頼みごと、仕事だ)」

重役「(ボーナスも貰ってるし、サボるわけにはいかないよな!)」

少年の声「サボっちゃえばいいじゃん」

重役「(なに…?)」

イーラ「お前の望み、叶えてやるよ」

重役「ぐわっ!?」

イーラ「暴れろ! お前の心の闇を解き放て!」

スーツ型ジコチュー「ジーコチュー!!」

ブンビー「な、なんだ~あ!?」

~~同時刻:同オフィス内・フリースペース~~

シャルル「闇の鼓動を感じるシャル!」

マナ「ええっ!? こんな時に!?」

複数の会社員「うわあああっ!」

真琴「どうやらあっちの方で何かあったみたいね」

六花「ちょっと、あの方向って…」

ありす「ブンビーさんがいる部屋ですわ!」

亜久里「皆さん! 急ぎましょう!」

~~第一会議室前・廊下~~

ブンビー「おいおい勘弁してくれよ! なんなんだ一体!」

マナ「ブンビーさんっ!」タタタツ!

ブンビー「ああお前たち! なんか知らんが、いきなり変な化け物が現れて…」

スーツ型ジコチュー「はーたらきたくないよー!」

イーラ「あっははは! もっと暴れろ! こんな会社めちゃくちゃにしちまえ!」

六花「イーラ! あなたの仕業ね!」

ありす「隠れていてください、ブンビーさん! ここは私たちが!」

マナ「いくよ、みんな!」

一同「プリキュア・ラブリンク!!」


http://www.youtube.com/watch?v=xzfbLnPcrmo
http://www.youtube.com/watch?v=LmmiTdXzFOM

キュアハート「みなぎる愛! キュアハート!」

キュアダイヤモンド「英知の光! キュアダイヤモンド!」

キュアロゼッタ「ひだまりぽかぽか♪ キュアロゼッタ!」

キュアソード「勇気の刃! キュアソード!」

キュアエース「愛の切り札! キュアエース!」

プリキュア「響け! 愛の鼓動! ドキドキプリキュア!」

キュアハート「愛を失くした哀しいスーツさん!」

キュアハート「このキュアハートが、あなたのドキドキ、取り戻してみせる!」

スーツ型ジコチュー「ドキドキなんかいらないから休みをくれー!」ズドォッ!

プリキュア「きゃああっ!?」

キュアダイヤモンド「何コイツ!? いつものジコチューより強い!」

イーラ「いいぞ! サラリーマンってヤツのジャネジーは最高だぜ!」

スーツ型ジコチュー「ジコー!!」

キュアハート「ここで戦ったらビルが壊れちゃう! みんな、外に誘導するよ!」

~~四葉系列会社・オフィス屋上~~

キュアハート「よし! ここなら安全なはず!」

スーツ型ジコチュー「ジーコチュー!」

ベール「来たか…」

マーモ「待ちくたびれたわ」

キュアエース「あなたたちは!」

キュアロゼッタ「ベールさんにマーモさん!」

ベール「見えるか? このビルから逃げ惑う人々の姿が」

オフィス前の人の流れ「うわあああっ!」

キュアソード「あなたたちが危ない目に合わせるからでしょう!?」

ベール「そうだ。だが俺が言いたいのはそういうことじゃない」

ベール「数えてみろ。これだけの高層ビルに、あれだけの人数だ」

ベール「少なすぎると思わないか?」

ベール「そうだ。大半の人間は、まだこのビルの中に残っている」

ベール「目の前で怪物が暴れ、命の危機にさらされても」

ベール「この国の人間は、本能に、どんな環境にあっても仕事を優先させる使命感を植え付けられている」

ベール「自分本来の意志ではない。なのに何故か、そうせざるを得ない」

ベール「そう、その感情は、紛れもなく、“他人から背負わされた自己中”だ」

マーモ「そういうこと。そんな大人たちのジャネジーを解放してあげれば、世界はあっという間に闇に染まるとは思わない?」

キュアロゼッタ「なんということを…!」

キュアダイヤモンド「一生懸命働いてる人をバカにするなんて、あなたたちどこまでジコチューなの!?」

キュアハート「…たしかに、あなたたちの言う通りかもしれない」

キュアソード「ちょっと、キュアハート!」

キュアハート「世の中の会社員たちは、嫌な思いをいっぱいして、それでも我慢して働いてる人ばかりかもしれない」

キュアエース「キュアハート! おやめなさ―――」

キュアハート「だけど!」

キュアハート「何があっても、自分のために、誰かのために!」

キュアハート「会社と仕事を大切にすることは、ぜったい悪いことなんかじゃない!」

スーツ型ジコチュー「っ!! …ジコ……」

イーラ「…ええいっ! ごちゃごちゃ言うな! ジコチュー! やっちまえ!」

スーツ型ジコチュー「………」

イーラ「何ボーっとしてんだよ!」

キュアエース「皆さん! 今がチャンスですわ!」

プリキュア「…!」コクリ

プリキュア「マジカル・ラブリー・パッド!」

http://www.youtube.com/watch?v=KvlKNLmhIWU

キュアハート「プリキュア・ラブリー・ストレート・フラーッシュ!!」

スーツ型ジコチュー「ラーブラーブラ~~~~ブ!!」チュドーン!!

イーラ「くそっ! また負けた!」

イーラ「……ん?」

ブンビー「おお…これが今のプリキュアの力か……!」

イーラ「…にひひ。まーだいい獲物がいるじゃん」

ブンビー「こいつらのリーダーになれば、私にもまた逆転のチャンスが…!」

ブンビー「…いやいや! それは前に失敗したじゃないか!」

ブンビー「それに、私には私の仕事がある!」

ブンビー「プリキュアの力なんか借りてたまるか!」

イーラ「借りちゃえばいいじゃん」

ブンビー「なに?」

イーラ「お前の望み、叶えてやるよ!」

ブンビー「ぬわああっ! ………んお?」

イーラ「な、なんだコイツ!? プシュケーが出てこないぞ!?」

ブンビー「…なんかよくわからんが、私はお前の言いなりにはならないぞ!」

イーラ「このオッサン、冴えない顔して強い心の持ち主だってのかよ!?」

レジーナ「まーったく、だらしないわねえ」

キュアハート「レジーナ!?」

レジーナ「誘いに乗らない強い心の持ち主なら、無理矢理闇に染めちゃえばいいじゃない」

レジーナ「ふふっ♪」

http://www.youtube.com/watch?v=wW_4_kgCwc0

レジーナ「あなたを素敵なジコチューに―――してあげるっ!」

ブンビー「今度こそぬわあああっ!!」

マーモ「ちょっと、プシュケーがジャネジーに染まったまま戻っていったわよ!?」

イーラ「本体と融合したぞ!?」

ベール「これは…―――」

ブンビー型ジコチュー「おおっ! 懐かしき私の本当の姿!」

キュアダイヤモンド「…なにあれ…」

キュアロゼッタ「虫…のようですわね」



~~某所~~

なお「」ブルルルッ

れいか「どうしたの? なお」

なお「いや、なんか今とてつもない悪寒が……」

キュアハート「ブンビーさん! しっかりして!」

ブンビー型ジコチュー「おおプリキュア! この私の前に姿を現すとは!」

キュアハート「ブンビーさん!」

キュアソード「ダメよ! 正気を失っているみたい!」

ブンビー型ジコチュー「私の真の力、とくと受けてみよ!」ズガガガッ!

プリキュア「きゃあああっ!」

イーラ「おい、コイツめちゃくちゃ強ェぞっ!」

ブンビー型ジコチュー「はーっはっは! もうお茶汲みばかりの毎日や、仕事に悩む毎日とはおさらばだ!」

ブンビー型ジコチュー「これからは私の思うように、欲しいものすべてを手に入れてやる!」

ベール「(…何故だ。こいつ、俺と同じ匂いがするぞ)」

ブンビー型ジコチュー「プリキュア! お前たちを倒すのは後回しだ!」

ブンビー型ジコチュー「まずはこの世界の人間を全員洗脳して、私のためだけに働く優秀で忠実なしもべを作り、私だけの世界を作ってやる!」

ブンビー型ジコチュー「わーっはっはっはっは!」ヴーーーーン…

マーモ「飛んでっちゃったわ…」

キュアハート「待ってブンビーさん! そっちへ行ったらダメ!」

イーラ「おおっと! そうはさせないぜ!」バッ

ベール「あいつを放っておいた方が上手く事が運びそうだ。お前たちはここで足止めさせてもらう」

キュアハート「どいてよ! あたしたち、ブンビーさんを止めなくちゃいけないの!」

マーモ「行かせるわけないでしょ? ついでにあなたたちも、ここで私たちにやられちゃいなさい!」

イーラ「行くぜ、プリキュア!」

キュアハート「ブンビーさあああああんッ!」



???「プリキュア! シューティング・スター!」ドォンッ!

イーラ「うわっ!?」

マーモ「何!? 何が起きたの!?」

キュアハート「あなたたちは…!」

http://www.youtube.com/watch?v=AOWAsMwEpsg

キュアドリーム「お待たせ、キュアハート!」

キュアハート「キュアドリーム! それにみんなも!」

キュアミント「遅くなってごめんなさい」

キュアルージュ「ドリームが道に迷ったりするから…」

キュアレモネード「皆さんの助っ人に来ました!」

キュアアクア「ここは私たちに任せて、あなたたちはブンビーさんを追って!」

キュアハート「みんな…!」

マーモ「ちょっと! 一体なんなのよアンタたち!?」

キュアドリーム「大いなる、希望の力! キュアドリーム!」

キュアルージュ「情熱の、赤い炎! キュアルージュ!」

キュアレモネード「はじけるレモンのかおり! キュアレモネード!」

キュアミント「安らぎの、緑の大地! キュアミント!」

キュアアクア「知性の青き泉! キュアアクア!」

プリキュア5「希望の力と、未来の光!」

プリキュア5「華麗に羽ばたく五つのこころ!」

プリキュア5「Yes! プリキュア5!」


レジーナ「めんどくさーい! プリキュアってこんなにいるの?」

レジーナ「けどいいわ、アタシが全員ぶっ倒しちゃえばいい話だもん」

ミルキィローズ「そうはさせないわよ!」

レジーナ「ちょっと、誰アンタ?」

ミルキィローズ「青いバラは秘密のしるし! ミルキィローズ!」

キュアエース「…皆さん! 彼女たちが時間を稼いでいる間に、わたくしたちはあの人を止めに向かいましょう!」

キュアハート「…そうだね!」

キュアハート「みんな! ありがとう!」ダダッ!

キュアドリーム「キュアハート!」

キュアハート「えっ?」

キュアドリーム「ブンビーさんを、よろしくね!」

キュアハート「…うん!」

マーモ「絶対に行かせないわよ!  私があいつらを追うわ!」シュバッ!

キュアダイヤモンド「キュアハート! マーモが追ってくるわよ!」

キュアハート「そんな! でも構ってる場合じゃ―――」



???「プリキュア! スパイラルスター・スプラーッシュ!!」



マーモ「きゃあっ!?」

キュアエース「また!?」

キュアソード「あの子たちは…!」

http://www.youtube.com/watch?v=B1E_Q86_Hj4


キュアブルーム「間に合ってよかった!」

キュアイーグレット「キュアハート、助けに来たわよ」

キュアハート「ブルーム! それにイーグレット!」

マーモ「ちょっと、次から次へとなんなのよ!」


キュアブルーム「輝く金の花! キュアブルーム!」

キュアイーグレット「煌く銀の翼! キュアイーグレット!」

プリキュアS☆S「ふたりはプリキュア!」

キュアイーグレット「聖なる泉を汚す者よ!」

キュアブルーム「アコギなマネは! お止めなさい!」

キュアソード「二人ともごめんなさい! 私たち、先へ行かなくちゃいけないの!」

キュアブルーム「まかせて! ここは私たちが食い止めるから!」

キュアイーグレット「早く片付けて、みんなであの歌でも歌いに行きましょ?」

キュアハート「ありがとう!」ダッ!



マーモ「くぅうっ! アンタたちもプリキュアだかなんだか知らないけど、邪魔するんじゃないわよ!」

キュアブルーム「そっちこそ何者なの!?」

マーモ「私はマーモ! キングジコチュー様の忠実なるしもべよ!」

キュアブルーム「まーぼー?」

マーモ「マ・ア・モ! どんな耳してるのよアンタ!?」

キュアイーグレット「ブルーム……」

ブンビー型ジコチュー「はーっははは! やはり人間どもが怯える姿は最高だな!」

ブンビー型ジコチュー「このまま人間界を支配して、働くのに苦労しない世界にしちゃうもんねー!」

キュアハート「ブンビーさん!」バッ!

ブンビー型ジコチュー「あ? なんだお前たち、わざわざやられに来たのか?」

キュアハート「違う! あなたを止めに来たんだよ!」

ブンビー型ジコチュー「私を止めに? ふんっ、私を止めてどうするつもりだ?」

キュアダイヤモンド「どういう意味?」

ブンビー型ジコチュー「そのままの意味だ!」

ブンビー型ジコチュー「この世界を見ろ!」

ブンビー型ジコチュー「大人たちは皆疲れ果て、毎日朝から晩までくたくたになるまで、やりたくもない仕事をさせられている!」

ブンビー型ジコチュー「その結果手に入れたものはなんだ?」

ブンビー型ジコチュー「日々生きていくのがやっとのちっぽけな給料だけだ!」

ブンビー型ジコチュー「寝る時間を削り! 遊ぶ金すら渡されず!」

ブンビー型ジコチュー「上からの重圧に耐え、下からの期待に応えた末に、得られるものは希望も癒しもない人生!」

ブンビー型ジコチュー「私はまさにその真っ只中で生きてきた!」

ブンビー型ジコチュー「だから終わらせるのだよ! そして誰も、バカみたいに働かなくてもいい社会を築き上げるのだ!」

ブンビー型ジコチュー「あーっはっはっはっは!」

キュアハート「…ごめんね、ブンビーさん」

ブンビー型ジコチュー「はっはっは―――…は?」

キュアハート「あたしたちが、ブンビーさんに余計なことしちゃったから、ストレスたまっちゃったんだよね」

キュアハート「ブンビーさん言ってたもん。上からも下からも悩まされたって」

キュアハート「あたしたちは下から、ブンビーさんにすごいプレッシャーを与えてたんだね」

ブンビー型ジコチュー「………」

キュアハート「でも、思い出して! ブンビーさんの本当の姿は、そんなんじゃないはずだよ!」

キュアハート「だってブンビーさん、たとえ下に悩まされても、上から圧力をかけられても!」

キュアハート「どれだけつらくても、働くのを辞めようとしなかったじゃない!」

ブンビー型ジコチュー「…!」

キュアハート「働き始めたら、今まで以上に大変なことがたくさん増える」

キュアハート「ぜんぶ投げ出して、怠けてしまいたくなる時もある」

キュアハート「理不尽なことだらけで、きれいなままじゃ生きていけなくなるかもしれない」

キュアハート「だけど! それでも一生懸命働いて、一生懸命生きている人を、あたしたちはバカにしたりなんかしないよ!」

キュアハート「愛を失くした哀しい社会人さん!」

キュアハート「このキュアハートが、あなたのドキドキ、取り戻してみせる!」

ブンビー型ジコチュー「そんな……」

ブンビー型ジコチュー「このガキども…何も知らないくせに、私たち大人に愛を取り戻そうというのか?」

ブンビー型ジコチュー「やがて大人になり、自分も私たちと同じように社会の歯車となるかもしれないのに」

ブンビー型ジコチュー「それでも希望を持って、我々と共に歩んで行こうというのか?」

ブンビー型ジコチュー「なんと甘い…! なんとくだらない!」

ブンビー型ジコチュー「……だが何故だ」

ブンビー型ジコチュー「こいつらを見ていると、不思議と力が湧いてくる…」

ブンビー型ジコチュー「悪しき力ではない。まるで心の中からあたたまるような、美しいものに満たされていく……」

キュアハート「みんな! いくよ!」

http://www.youtube.com/watch?v=c1GBYF6ST4g

プリキュア「プリキュア! ロイヤル・ラブリー・ストレート・フラーッシュ!!」

ブンビー型ジコチュー「ぬおおっ!!」ドシュッ!



ブンビー型ジコチュー「―――…ああ、これだ…」

ブンビー型ジコチュー「我々大人が欲していたのは、甘えや怠惰なんかじゃない…」

ブンビー型ジコチュー「このあたたかくて、幸せな気持ち……」

ブンビー型ジコチュー「そう、その名は―――」

ブンビー型ジコチュー「ラーブラーブラ~~~~ブ!!!」チュドォォォオン!!

~~同時刻:オフィス屋上~~

レジーナ「なーんだ、もうやられちゃったのね」

イーラ「くそっ! 今度こそ上手くいくと思ったのに!」

ベール「仕方がない、今回は引き上げるぞ」

マーモ「覚えてなさいっ!」シュシュッ!

ミルキィローズ「消えちゃったわ」

キュアブルーム「じゃーねー! サーモンさん!」

キュアイーグレット「ブルーム……」

キュアドリーム「…キュアハートたち、やってくれたんだね」

キュアドリーム「ありがとう、ブンビーさんをまもってくれて―――」

マナ・六花・ありす・真琴・亜久里「ごめんなさい!」

ブンビー「な、なんだいきなり!?」

マナ「あたしたちのせいで、ブンビーさんにストレス与えちゃって…」

亜久里「軽はずみな姿勢で余計な手を貸してしまったことを、反省しています」

ブンビー「いやいや、君たちが気にすることじゃないさ!」

ブンビー「私がああなってしまったのは、私自身の心の弱さが原因だ」

ブンビー「どんなにつらくても、やけになって取り返しのつかないことをしては、大人失格だからな」

マナ「ブンビーさん……」

ブンビー「…さあ、戻ろうじゃないか」

六花「戻るって、どこへ?」

ブンビー「さっきの会社に決まってるだろう? 私はまだ、大事な話し合いの途中だったからね」

マナ「…はいっ!」

~~四葉系列オフィス・第一会議室~~

重役「それでは、先ほどの続きを始めようと思います。御社との提携についてですが―――」

ブンビー「あの!」

重役「はい?」

ブンビー「その件ですが、お断りさせてください!」

重役「……何故ですか?」

ブンビー「はい! 実は私、ある少女たちと出会いまして」

ブンビー「…その子たちを見ていて思い出したんです」

ブンビー「自分にも野心があること。そして、私は生きるために働いているのではなく、働くために生きているのでもなく」

ブンビー「幸せになるために働いているのだということを!」

ブンビー「ですから、私自身の幸せを叶えるために、御社の傘下に入って命令に従うというのは、どうしてもできません!」

ブンビー「本当に申し訳ございません!」

重役「…謝らなくて結構ですよ」

ブンビー「…え?」

重役「実は私、ありすお嬢様からある依頼をされていたんです」

ブンビー「…と、申されますと?」

重役「あなたの野望を、本当の願いを見るために、わざと意地悪な質問をするように、と」

ブンビー「わざと、意地悪な質問を…」

重役「ええ。だからあなたの意志を棄てさせ、プライドを折るような提案をしたんです」

重役「そこでもしあなたが媚びへつらい、誇りを棄ててでも企画に飛びつくようなら、その場で容赦なく話を蹴ってしまうように命じられていました」

ブンビー「………」

重役「ですが予想以上だ。私まで刺激されるようです」

ブンビー「…はあ…」

重役「ブンビーさん。残念ながら、あなたに資金援助をすることはできません」

重役「それはきっと、あなたのプライドを傷つけることに繋がってしまうから」

重役「しかし、もし御社が望むのであれば、我々にできうる限りの協力をして、あなたのお力になりますよ」

ブンビー「…ありがとうございます!」

重役「こちらこそ!」

ブンビー「では、失礼いたします!」ガチャッ



重役「………」

重役「…さて、仕事だ仕事!」

重役「今日はなんだかとっても晴れやかな気分だ!」

重役「帰って旨いビールを飲むぞー!」

~~一時間後:ブンビー・カンパニー~~

ブンビー「さて、そうは言ったものの…」

ブンビー「一体何をして会社を立て直そうか」

ブンビー「いっそのこと、あの子たちを正社員として雇ってみるか?」

ブンビー「いやいや、それはあいつらが自分で決めることだ!」

ブンビー「たとえ私一人でも、この会社を立派な一流企業にしてみせるぞ!」

ブンビー「♪雨風吹いても 雲の上は Solar サン サン♪」

ブンビー「♪でもねくじけちゃう時 自分がちっちゃくなる♪」

ブンビー「♪だから大空を見て 未来地図を広げよう♪」

ブンビー「♪そしてガンバランスdeダンス そんでもってミステイクもリメイク♪」

ブンビー「♪明日は絶対いい日になる~♪」

ブンビー「♪プリキュアの魔法 ☆happy coming☆♪」

ブンビー「♪ヘイッ♪」

???「うるさいですよ、社長」ガチャッ

ブンビー「お、お前は! カワリーノ似の人!」

カワリーノ似の人「いつも言ってるでしょう? カワリーノって誰なんですか?」

ブンビー「お前、どうしてここに!? 会社を辞めたんじゃなかったのか!?」

カワリーノ似の人「風邪を引いて寝込んでいただけですよ」

ブンビー「なんだと? それならそうと連絡ぐらいしろ!」

カワリーノ似の人「どうして私がいちいちあなたに連絡しなくちゃいけないんですか?」

ブンビー「貴様、相変わらず…!」

ブンビー「…いや、そんなことはどうでもいい!」

ブンビー「治ったからにはバリバリ働いてもらうぞ!」

ブンビー「そしてこのブンビー・カンパニーを、日本一、いや世界一有名な会社にしてみせるのだ!」

カワリーノ似の人「どうぞお好きに」

~~同日:夕暮れの河原~~

マナ「はーあ…」

六花「どうしたのマナ? ため息なんかついて」

マナ「結局あたしたち、全然ブンビーさんの力になれなかったなあって思って…」

ありす「そんなことありませんわ。ブンビーさんに啖呵をきるマナちゃん、とっても素敵でした♪」

真琴「かっこよかったわよ、マナ」

亜久里「プリキュア五つの誓い!」

亜久里「一つ! 愛は与えるもの!」

亜久里「たとえ結果がどうなろうとも、他人に愛を与えようとすることは、マナのよさであり、魅力であり、強い武器ですわ!」

マナ「みんな……」

マナ「うん! そうだね! ブンビーさんを信じよう!」

ありす「それでこそマナちゃんですわ」

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