やよい「でーと、してくれますか?」(165)

この作品はフィクションであり、実在する、
 
 人物・地名・団体とは一切関係ありません。

その点を了承した上でお読みください。

17:30/商店街

やよい「えと……、夕ご飯の買い物はおっけーで……。わあ! あれは、福引かなあ?」

やよい「すみませーん。お肉屋さんのおじさん、これは何ですかあ?」

肉屋オジ「おーやよいちゃんかい。いやあ、商店街でやってる福引でねえ。券は持ってるかな?」

やよい「ちょと待ってくださいっ。あ! これですね! 一枚だけもらいましたー」パアア

肉屋オジ「よーし。ならやよいちゃん! このガラガラを回してみな! 何事も、挑戦だよ?」

やよい「よおーっし。がんばりますっ! 集中、しゅーちゅう」ガラガラ

やよい「ええい!」コロンコロン


肉屋オジ「お、お、大大大当たりいいいいい~~~!!!」カランカラン

やよい「え、え~!? ほんとうですかあ?」

肉屋オジ「やよいちゃん一等だよ一等! はい、やよいちゃんにはこれ!」ピラリ

やよい「わああ! ありがとーございますぅ! んと……」

やよい「でぃ〇にーしー、ぺあちけっと?」ハテナ

…………
……

翌日/11:00/765プロ事務所

やよい「ねえ伊織ちゃん。わたし、どうすればいいかなぁ?」

伊織「あんた運いいわね~。で、誰と行くつもりなのよ?」

やよい「お父さんとお母さんにプレゼントしようとしたんだけど……、

やよいが当てたんだから、久しぶりに誰かを誘って楽しんできなさいって……」

伊織「よかったじゃない。この伊織ちゃんが付き合ってあげてもいいけど、

 ペアチケットだし、せっかくだし男を誘いなさいよ」ビシィ

やよい「え~!? そ、そんな人どこにも……」オロオロ

P「あ~。仕事疲れたなあ~。たまには気分転換にどこか遊び行きたいよなあ~。夢があるところが良いな~」

伊織「…………」

やよい「……」

伊織「やよい。あんたプロデューサーを誘いなさい」

やよい「へっ!? それは……その、め、迷惑になると思うし、わたしと行ってもつまらな」ショボン

伊織「んなこと無いわよ。それにこれはチャンスなのよ、やよい!」

やよい「ちゃんす?」

伊織「そうよ。これはあんたに課せられた試練なの。

 アイドルとして、今の自分に無い、新しい魅力を引きだすためのね」

やよい「新しい、みりょく?」

伊織「あんたは可愛いわ。それはもう、この伊織ちゃんが認めるくらいにね。

でもね、可愛いだけじゃトップアイドルにはなれないわ。

 私たちには“オトナの魅力”が圧倒的に足らないのよ!」

やよい「え、私たちって……?」

伊織「あっ……。と、とにかく、やよいはプロデューサーとデートして、

 アイドルとしての自分を開拓しなきゃならないのよ。ねえ、絶好の機会だと思わない?」

やよい「それは……、そうだけど……」

伊織「まあ、あまり重く考えずに……。ほら! 

 日頃から世話になっているプロデューサーへの感謝の気持ちってことでね? どうよやよい?」

やよい「……。じゃ、じゃあ、誘ってみるね!」トテテ

伊織「……。にひひ……」

やよい「あの……ぷろでゅーさー?」

P「おお。やよいか。お疲れ。何か用か?」

やよい「えと……、次のお休みって、何か予定はありますかあ?」

P「え? えーと、そうだな……」ペラリ

P「うん。特に無いぞ。どうしてだ?」

やよい「実は……、その……。ぷ、ぷろでゅーさー」

P「ん?」

やよい「でーと、してくれますか?」

P「!?!?!?!?」

のワの「!?!?!?」

ゆとり「なの!?!?!?」

やよい「だ、だめですかあ?」

P「いや待て待て! な、何がなんだか……」

やよい「これ、ぺあのチケットなんですけど……、

 ぷろでゅーさーにはいつもお世話になってますし……」

P「ま、まあ。やよいが行きたいって言うなら構わないんだがな」

やよい「ほ、ほんとですか? わたしと、でーとしてくれるんですかあ?」

P「で、デートかどうかは別にして、

 せっかく誘ってもらったんだしな。俺でよければ付き合うよ」

やよい「う、うっうー! ありがとございます!

  あの、ふつつか者ですが、よろしくお願いしますっ!」

P「なんだか妙なことになったなあ……」

のワの「…………」

ゆとり「…………」

…………

……

 13:20/765プロ事務所屋上

真「いったいどうしたのさ伊織。いきなり屋上に連れてきて」

雪歩「い、伊織ちゃん。何か危ない顔してるよお」

伊織「実は、アンタたち二人を見込んで頼みがあるのよ……」

真「頼み? へえ、伊織にしては珍しいね……」

雪歩「そ、それで何をすればいいんでしょうか……」

伊織「それがね……」ゴニョゴニョ

真「えええ~~!? やよいとプロデューサーがで、デートおお?」マッコマッコリーン

雪歩「ふ、二人を尾行するんですか~!?」ユキピョーン

伊織「にひひっ! そうよ。やっぱりやよいの事心配じゃない? 

 それに、プロデューサーが万が一を起こしたあかつきには……」

真「た、確かにアイドルをプロデュースする立場で、親密にさせてはいけないよね……」

雪歩「き、禁断の恋ですか……、んん~! 気になりますう~」><

伊織「ま、言うなれば、保護者として同伴ね! 

 もちろん、ディ〇ニーシーのチケットはこの輝ける美貌の持ち主、

 スーパーアイドル伊織ちゃんが手配したげるわ。悪い話じゃないでしょ?」

真「それは……。まあボクも久しぶりに遊びたいけど……。雪歩はどうしたい?」

雪歩「わたしは……真ちゃんと一緒ならどこへでも着いて行きますぅ」

真「そ、そう……。はあ、分かったよ伊織。今度の休みだね?」

伊織「決まりねっ! 当日の早朝、家に使いを向かわせるわ。楽しくなってきたわねっ!」

…………

……


デート前日/18:00/やよい帰路

やよい「なんだか、緊張してきましたあ……」トボトボ

やよい「プロデューサー、わたしと一緒で楽しいのかなあ?」

やよい「そだ! 明日どんな服来て行くか決めなきゃ……」オロオロ

やよい「いつものパーカーも可愛いし大好きだけど……。

 もっと違う方がプロデューサーは嬉しいのかも……」

やよい「伊織ちゃんに相談してみようかな……」

電話ボックス「ガラリ」

やよい「えと……テレホンカードと、電話番号……」ガサゴソ

公衆電話「ピポパ、ポ、パ、ピ」プルルル

???「はい、水瀬でございます」

やよい「あ、あのう……。伊織さんいらっしゃいますかあ? 

 わたし、同じ事務所のアイドルで、高槻やよいっていうんですけど……」

???「高槻やよい様でございますね。

 少々お待ちくださいませ。お嬢様にお取次ぎ致しますので」

伊織「もしもしやよい? どうしたのよウチに電話してくるなんて。

 ていうか、何で水瀬の番号知ってるのよ」

やよい「事務所の連絡網で……、そ、それどころじゃなくって……。

 伊織ちゃん。あの、明日のことなんだけど……」

伊織「明日? ああ。やよいはプロデューサーとデートだったわね」

やよい「で、デートかあ……」カアッ

伊織「何恥ずかしがってんのよ。自信持ちなさいよ。何か心配事でもあるの?」

やよい「その……、いつもの服で行っていいのかな。

 もっと可愛くなった方が、プロデューサーも喜ぶかなって……」

伊織「んー。そうね……。ねえやよい。あんたは可愛くなりたい?」

やよい「へ? それはモチロンだよ」

伊織「……わかったわ! この世界4大美女候補の

 伊織ちゃんにすべて任せなさい! とびっきり素敵にしてあげるわ」

やよい「そ、そんなこと出来るの?」

伊織「出来るわよ。私に出来ないことなんか何一つないのよ!」

やよい「あ、ありがとう、伊織ちゃん!」

…………

……

デート前日/21:00/水瀬邸

やよい「わあ~! 可愛い洋服がこんなにいっぱい……」

伊織「ドレスルームってやつ? まあ、社交用の服も多いけど、

 オシャレで大人っぽいのもたくさんあるわ。これでプロデューサーの心をばっちりつかめるわね!」

やよい「そ、そうかなあ? でも伊織ちゃん。本当に、ありがとう!」

伊織「いいのよやよい。さ……、それじゃコーデ始めましょ」

やよい「うっうー! がんばりますっ!」

―二時間後―

伊織「うん! 最高にキュートね」

やよい「わ、わああ~」パア

伊織「やっぱり“オトナの魅力”って言ったら、ある程度の『露出』よね!

 遊園地ってことも考慮して、下はホットパンツにニーソ、オーダーメイドのブーツね。

 それは私のだけど、サイズが合って良かったわ」

伊織「んで、上はアプリコットカラーの薄カーデね。

ま、やよいの髪にも合うし、いつもの元気百倍のやよいとは、

 ちょっと違うぞっていう意気を感じさせられると思うわ」

やよい「プロデューサー、かわいいって言ってくれるかなあ?」

伊織「これで反応ナシだったら伊織ちゃんがぶん殴ってあげるわよ」

やよい「ええ? 伊織ちゃんもでぃ〇にーしー行くの? それならそれで嬉しいかもです」

伊織「い、行かないわよ! せっかくのデートを邪魔したりなんかするもんですか。

ほら、今日はもう寝ましょう。朝は忙しくなるわよ。

 それに、髪もおろしてセットしてあげるんだから」

やよい「ありがとう伊織ちゃん。お世話になっちゃって……」

伊織「いーのよ。私が手伝いたいだけなの。さ、お風呂入るわよ」

やよい「うんっ!」

…………
……

デート前日/21:00/天海邸春香の部屋

春香「美希。いよいよ明日だね……」

美希「春香。やよいには負けられないの」

春香「うん。ほんと、思わぬ伏兵が居たものね……」

美希「明日のデート、見張り尽くしてやるの」

春香「美希。今日は作戦会議も早めに切り上げて寝ようね。

 明日お昼寝とかできないから」

美希「わかってるの。ハニーが他の女の子にデレデレしてるとこ、

見たくないけど……。美希、がんばるね」

春香「そう……。抜け駆けは、許せないよね」

美希「ハニーはわたせないの」

春香(プロデューサーはわたしの)

美希(ハニーは美希の)

春香&美希((ダーリンなの))


…………

……

当日/6:00/水瀬邸

伊織「それじゃ、行ってらっしゃい」

やよい「伊織ちゃん。わたし、頑張ってくるねっ」ノシ

伊織「最高に可愛いわよやよい! 気合入れていきなさいっ!」

やよい「ほんと~に~、ありがと~~~」

伊織「はいはい。ふう……。さてと、それじゃ……」

携帯「ピプポ」

伊織「もしもし真? 起きてる?」

真「ん……いま起きたところ。って雪歩!? なんでボクのベッドに!?」

雪歩「うーん……真ちゃん、あったかいよお……」

伊織「あんたたち一夜を共にしていたのね」

真「別に特別なことはないからっ! どうせ朝早いし、雪歩が泊まりたいって……」

伊織「ま、いいけどね。それより、

後三十分後に着くように車向かわせるから。急いで準備しなさいよね」

真「ええ!? まだ寝癖とか……、メイクとかしなきゃだし……

 ってわあ? どこ触ってるのさ雪歩お!」

雪歩「ふぇ~、何も、聞こえませえ~~ん」スヤスヤ

伊織「とにかく! 光の速さで支度しなさい! じゃあね」

真「あ、ちょまっ、伊織~~~!」

携帯「ブチッ、ツーツー」

伊織「さてと……、わたしも荷物の確認くらいしとこうかしら?」


…………
……

9:10/ディ〇ニーシー

やよい「うわああ~! すごい人ですねっ! プロデューサー!」

P「そうだなあ。ま、ここはいつも混むからな。

何しろ全国から人が集まるアミューズメントだし」

やよい「わたし、こういう所来るの初めてなんです~」

P「そうだったのか……。んじゃあ、めいっぱい楽しまないとな!」

やよい「はいっ! よろしくお願いします! プロデューサー!」

やよい(はっ……忘れてましたぁ。きょ、今日のわたしは、オトナの……)

やよい「…………」

P「んー? どしたやよい?」

やよい「ぷ、プロデューサー。今日のわたし……その、どうですか?」クルリ

P「ん……。そうだな。いつもと違う感じで、新鮮だし、とっても可愛いよ。

 やよい。髪もおろしたんだな。似合ってる」

やよい「……///」

P「やよい~。早くファストパス取りに行くぞー」

やよい「あ、あの……。は、はいっ」

やよい(な、なんだろうこのキモチ……わたし嬉しい、のかな)ドキドキ

P「おーい、やーよーいー!」

やよい「はっはい! 待ってください~プロデューサ~!」トテテ

…………

……

9:20/ディ〇ニーシー

春香「ここを甘く見てたわ」ズゥーン

美希「人、多過ぎ……、なのぉ」ヘローン

春香「入口で張ってれば見つかると思ったんだけどねぇ……」

美希「やよいの髪は目立つからすぐ見つかるって言ったの、春香だよ~?」

春香「ええ~? ていうか、美希が中々起きないから準備が……」

美希「そ、それより、今はやよいとハニーを探すのが先だよ!」

春香「そう、だね。よーっし。歩きながら策を練ろうっ!」

美希「おーっなの! あっ! 〇ッキーだああ! わーいっ」ペタリ

春香「もお、美希ぃ~~~」

…………

……

9:20/ディ〇ニーシー

伊織「さてと、ようやく到着ね」

真「なんか朝から疲れちゃったよ……」

雪歩「ね、眠いですう~」

伊織「あんたたちシャキッとしなさいよね?

  尾行するのよ? び・こ・う!」

真「わっ! あんまり大きい声で言わないでよ伊織。

注目浴びちゃったらどうするのさ」

伊織「ちゃんと変装してるんだし。大丈夫でしょ? 

それより雪歩。あんた何よそのサングラスは」

雪歩「こ、これは響ちゃんが貸してくれて……」

伊織「もうちょっと可愛く変装しなさいよ……

 まあいいわ。それじゃあ行きましょうっ!」

真「ちょっと待ってよ。もうプロデューサーたち見えないけど、どこに行くのさ?」

伊織「伊織ちゃんに任せといてって言ったでしょ?」

携帯「brrr」

伊織「来たわ。ターゲットは“火山”の方へ移動中……。

なるほど、初っぱなからアレに乗るつもりね」

雪歩「アレって、何ですかあ?」

真「ていうか、いったい誰からのメールなのさ……」

伊織「“火山”と言えばひとつしかないでしょ!」

伊織「地球の、中心よ!」

10:00/火山待機列

P「しっかし、人気アトラクションだけあって、密度がすごいな」

やよい「そーですねえ。でもでも、こういう時間も楽しいですよねっ! えへへ」

P「“恐怖の塔”のファストパスはとったし、ひとまずゆっくり並ぼうか」

やよい「そうですねっ!」

やよい(こういう時、デートなら何の話をするんだろう……?)

やよい(そ、そうだ……。他のひとを見て考えよう……)

カップル男「あんまりくっつくなよ~。歩きにくいだろ~?」

カップル女「え~? だってぇ、出来るだけ触れてたいんだも~ん」

カップル男「仕方ねーなあ。ったくう可愛いやつめ」

やよい「……///」プシュー

P「やよい? 顔赤いけど大丈夫か?」

やよい「ふぇっ!? だ、だいじょうぶですっ! はいっ」

やよい(どーしよう、あんなに近づけない……けど)

伊織『これはあんたに課せられた試練なの。

アイドルとして、今の自分に無い、新しい魅力を引きだすためのね』

やよい(もっと、頑張らなくっちゃ……。恥ずかしいけど……でも)

やよい「ぷ、プロデューサー?」

P「んー?」

やよい「そのう……腕を組んでも……いても、イイ、ですか?」

P「なっ!? ど、どうしたんだ? 藪から棒に……」

やよい「 えと……、人も多いし、わたしドジだから転んじゃうかもだし……」

P「ま、まあ、やよいがそうしたいなら……」

やよい「…………」コクッ

ギュッ……

やよい「歩きにくく、ないですか?」

P「だ、大丈夫だ。やよいこそ、平気か?」

やよい「わ、わたしも。あ、列進みますね」

やよい(男の人の腕って、おおきいなあ。プロデューサー、迷惑じゃ、ないかなあ?)

P(ど、どうしたんだ今日のやよいは……。

服装といい、髪型といい、なんだかオトナっぽいぞ……)

やよい(ドキドキするけど……、これが、わたしの為になるんだよね、伊織ちゃん……)

…………
……

中途半端な改行ですごく読みづらい

10:00/尾行中
伊織「やっぱりやよいは可愛いわねぇ」

真「ていうか、すっごく積極的……、少女漫画みたいで羨ましいかも」

雪歩「男の人とあんなにくっつくなんて、私には考えられないですう~」

真「いーなあ。ボクも女の子以外に好かれればなあ」

伊織「なら、今度プロデューサーに頼んでみればいいじゃない」

雪歩「そ、それはダメです! 真ちゃんは、みんなの王子様だからっ」

>>70
了解しました。

真「ははは。気持ちは嬉しいけどさ雪歩……。ボクも本当はフリフリでキャピキャピの衣装を着て……」

伊織「まっこまっこりーん! でしょ? 恥ずかしいからやめなさいよねあれ」

真「なっ! ば、バカにするなよ伊織~!」ガシッ

伊織「ちょっ! 押さないでよ真っ! きゃ、きゃあ~~」

真「う、うわああ~~!」

雪歩「きゃ、真ちゃんと伊織ちゃんが……」


…………

……

春香「プロデューサーさん、見つからないねえ」

美希「…………」

春香「っていうか、ほんと人多過ぎるよねえ。ちょっと休憩しようよ美希」

美希「…………」

春香「美希? どおしたの?」

美希「ハニーの匂いがするの」

春香「ハニー? あ、ああハチミツ的な意味で? そういえばお菓子も美味しいんだよね……」

美希「違うの。ハニーの匂いが、あの山の方からするの」

春香「は、はい?」

美希「だから、ハニーがあっちに居るの! 行くよ! 春香」ガシッ

春香「え、え~~? 美希ィ、ちょっと引っ張らないでよ~、あーれー」クルクル

…………
……

11:00/地球の中心

P「やっと乗れるなー」

やよい「ちょ、ちょっと怖いかもです……」ガクブル

P「ははは。大丈夫だよやよい。精一杯楽しもうな」

やよい「は、はい! プロデューサー」

船員「それでは、快適な旅を、祈っております」ペコリ

ギィィイイ……

P「久しぶりだなー。このコースター結構速いんだよ」

やよい「そ、そうなんですか? あ、安全バーとか壊れてたら……」

P「心配症だなやよいは。それより、ちゃんと両手挙げて「わああああ」ってやらないとダメだぞ?」

やよい「手を放すなんて、できませんよお」

P「やよい。右見てみな」

やよい「へ? 右……。な、なんですかこの大きな恐竜さんっ!? 火を吹いてます~」

P「あははは。やよいは怖がりだなあ」

やよい「ば、バカにしないで下さい~」

11:00/コースター

伊織「とりあえず一つ後ろのに乗れたわね」

真「まあ、ここからじゃよく見えないし、素直にアトラクションを楽しもうか。ね? 雪歩?」

雪歩「な、なんかここ無性に掘りたくなりますね……」

真「雪歩……、危ないからちゃんと座ろうよ」

伊織「そろそろ速度も上がってきそうね」

雪歩「ま、真ちゃん。ちょっと私怖いかもしれないです~」ブルブル

真「ぼ、ボクも身震いしてきたよ……。手つなごうか。雪歩」

雪歩「う、うん。離れないように……」ギュッ

真「ほらっ。伊織も」サッ

伊織「ば、バカいってんじゃないわよっ! なんで伊織ちゃんがあんたと……」

真「まあまあ、そう言わずに……」

伊織「ちょ、ちょっとぉ……。ま、まあ? どうしてもって言うなら……。特別よ、トクベツ。ふんっ」

ガタン、ガタン……ゴゴゴゴゴオ

P「さあ、そろそろ本格的に加速するぞ。やよい平気か?」

やよい「は、はい……。心の準備はできてます!」グッ

P「一気に加速したら、すぐに落下するからな。タイミング逃すんじゃないぞ」

やよい「コワイけど……、がんばりますう!」

ゴゴゴゴゴ……ゴアアアアア

真「うわああ!! 速いよこれ~~!!」

雪歩「こ、怖すぎますよお真ちゃーーん」><

伊織「ちょ、あんまり手強く握らないでよお! そんなにされたら……」

真「あれ!? なんだか前が煙で見えないよ!?」

雪歩「も、もしかして……」

伊織「落下するわよっ! 真! 雪歩!」

真&雪歩&伊織「イヤアアアアアアア!!!」

P&やよい「ウーーーワッホーーーイ!!!!」


…………
……

11:30/火山出口付近

美希「あっ! 春香。ハニー達出てきたの」

春香「うわあ……ほんとに居たよ」

美希「ちょっと見て春香! あれっ!」

春香「や、やよいとプロデューサーさんが……」

美希&春香「「腕を組んで歩いてる!」

美希「……」

春香「……」

春香「とりあえず、後を追いましょう」

美希「がってんしょうち、なの」

…………
……

11:40/喫茶「300エーカーの森」

伊織「とりあえず休憩と、早めの昼食ってとこかしら?」

真「そうみたいだね。でもやよい、楽しそう」

雪歩「真ちゃん。この、はちみつシュークリーム美味しそうだよ~」

伊織「私たちも、お昼にしましょう。真、メニューは?」

真「えーと、これだ。うわあ! 可愛いのが多いねここ」

雪歩「あ……これも美味しそうだなあ。うーん、迷っちゃうよお」

伊織「ゆっくり決めなさいよ雪歩。それより、やよいとプロデューサーは何を食べてるのかしら?」

真「んー。ここからじゃあよく見えな……!?」

伊織「……どうしたのよ真。ヘンな顔して……」

真「伊織! みて! あれ見てよっ!」ビシィ

P「あー。『森のBLTサンド』は美味いなあ……。やよいのはどうだ?」

やよい「はいっ! とっても美味しいです! もう、こんな贅沢しちゃっていいのかなって……」

やよい「…………」

P「ん? どうしたやよい? 俺の顔に何かついてるか?」

やよい(プロデューサーのほっぺ、マヨネーズがついてる……)

やよい(こういう時、“オトナ”だったらどうするんだろ……?)

やよい「……」

P「や、やよい?」

やよい「ぷ、プロデューサー」

P「な、何だ?」

やよい「じっとしてて……下さい」スッ

P「!?」

やよい「……ペロリ」

伊織「ちょっ! ラブラブかっ!」

真「思わずツッコミを入れちゃったんだね……」

雪歩「やよいちゃんって、実は大胆なんですねえ」

真「こっちまでドキドキしちゃうね。あーいうの見せられると」

伊織(やよい……。可愛すぎるわねやっぱり)

真「これが、巷で最近話題の“ギャップ萌え”ってやつなのかな」

雪歩「でも真ちゃんは男の子の格好が素敵だと思うなあ」

真「ボクもふりふりファッションしたいよ~」><

P「…………」

やよい「……///」

P「やよい。今日、なんかいつもと違うな」

やよい「へっ!? そ、そんなことないですよう」アセアセ

P(思わずときめいてしまった……。いつもの子供っぽさが抜けて……何か、可愛い……)

やよい「ぷ、プロデューサー?」

P「あ、ああ。もう少し休憩したら、出ようか……」

やよい「そ、そうですね……」

…………
……

同時刻/300エーカーの森・死角

美希「は、春香ぁ~~。お、落ち着くの」ガシイ

春香「カレのほっぺについたものをぺろり、は私がプロデューサーにやってあげたかったのにぃ……」

美希「み、見つかっちゃうってば。春香あ~」

春香「あ! お店出ていくよ美希。早く追いかけよっ!」

美希「春香が熱くなってきちゃったの……」

…………
……

4:20/恐怖の塔

P「次はここな。ファストパスとってあるし、今度は並ばずに済むぞ」
やよい「なんだか特別な気がして、良いですね」

P「そうだな。足元、気をつけて進めよ。アイドルに怪我されちゃ困るしな」

やよい「は、春香さんじゃないんだから、そんなに転びませんよう」

のワの「!?」

やよい「わっ! わわ」ヨロッ

P「おっと」ガシッ

P「ほら言わんこっちゃない。大丈夫か? やよい」

やよい「……///」

P「やよい?」

やよい(手、握られちゃった……。恥ずかしいかも……)

やよい「だ、大丈夫です! すみません支えてもらっちゃって」

P「いや、それは構わないんだが……その、手……放さないのか……?」
やよい(オトナだったら……ここは?)

やよい「その……、手つないでもらっても、いいですか?」

P「……///」

やよい(も、もう何がオトナでなにがコドモなのか分かんない)

P(こ、これは……。いったいやよいに何が起きてるんだ…!)

P「と、とにかく、先に進もうか」

やよい「は、はいい!」


ギュッ……

真「ありゃ~、繋いでますね。あれは」

雪歩「なんだか、やよいちゃんが乙女です」

伊織「これは予想の範疇を超えてきてるわね」

真「ていうか伊織。ボクたちのファストパスいつ用意したの? 自然にプロデューサーの尾行続けてるけどさ」

伊織「手を回したに決まってるじゃない」

真「水瀬財閥カッケーっすね!」

雪歩「真ちゃーん。私たちも手つなごう?」

真「そうだね。中は暗いし、転んじゃったら大変だからね。ほら、伊織も……」

伊織「ま、またなの!? し、仕方ないわねぇ……」

ギュギュッ……

春香「こ、今度は手を繋いでますよ。美希さん……」

美希「これは、帰ったらお仕置き決定なの……」

春香「それにしても、ここの中は暗いねえ……。美希、転ばないようにね?」

美希「春香にそれを言われてちゃ、おしまいなの」

春香「ぐぬぬ。あ、それにしてもファストパス、取っておいて良かったね」

美希「美希はね。ハニーのことならなんでも分かるの~」

春香「あはは。流石に嗅覚で居場所察知はできないと思うけど……てわわっ!?」ステン

美希「あーあ。だから言ったのに……春香ってほんとドジっ娘なの」

春香「いたたた……。災難続きだよう~」><

美希「ほら。つかまって? 手つないで歩こ」

春香「美希……うん。ありがと」

ギュ……

P「このアトラクションは資産家の大豪邸のエレベーターが舞台なんだよな」

P「だから垂直落下に耐えられるかどうか。俺が前に乗った時は結構内蔵にキちゃったからな」

やよい「怖いです……怖いですけど」

やよい(プロデューサーに手を握ってもらうと、安心する……どうしてだろ)

エレベーターガール「シートベルトを、お締めください」

ガチャ……

P「さ、そろそろ動き出すぞ……」

やよい「はいっプロデューサー!」

伊織「わたしこれ苦手なのよ……」

真「へえ。意外だなあ。絶叫系はめっぽう強いのかなあと思ってた」

雪歩「真ちゃーん。暗くて怖いよお」><ブルブル

真「あはは。雪歩はこわがりだなあ」

伊織「それより、やよいとプロデューサーはどう?」

真「やよい達は最前列に座ってるから……ここからじゃ良く見えないなあ」

伊織「まあ、い、いいわ。耐えましょ」

『のワのウトゥンドゥの呪い』

P「うわーーーーーーー!!!」

やよい「ζ*'ヮ')ζきゃあー!」

伊織「イヤアアアアアアア!!!」

真「マッコマッコリーーーーン!!」

雪歩「ミスドリラアアアアア!!!」

ゆとり「ナノーーーーーーーーーーー!!」

のワの「…………」

15:20/とあるベンチ

P「はあ~~。やっぱりアレはこたえるなあ」

やよい「わ、わたしも足に力がはいりません~」

P「ちょっとそこのベンチで休憩しようか。お! ソフトクリーム売ってるな。ちょっと買ってくるよ」

やよい「あっ……行っちゃった」

やよい「…………」

やよい(結局プロデューサーに甘えっぱなしだなあ。オトナっぽいところ、出せてるのかな?)

やよい「…………」

やよい(何か、ドキドキしてる。どうしちゃったんだろ……)

やよい「…………」

やよい(何からなにまで……、プロデューサーさんに迷惑かけちゃってるよね)

やよい「…………」

P「お待たせ。やよい。ほら」スッ

やよい「あっ……。あの、そふとくりーむ、プロデューサーが食べてください」

P「え? いや、俺はお腹いっぱいだし。やよいのために買ってきたんだしさ……」

やよい「わたしは、オトナ……ですから……」

P「や、やよい?」

やよい「ご、ごめんなさい。何でもないんです」

P「そっか」ハムッ

P「おー。これ美味しいなあ。これ、バニラと……アンズが混ざってるのかな? すげーウマイ」

やよい「…………」

P「是非食べて欲しいなー。やよい、食べたくないか?」

やよい「ず、ずるいですプロデューサー」

P「あはは。ごめん。でもさ、俺はやよいに食べて欲しいんだよ」スッ

やよい「は、恥ずかしいので……その、あまり見ないでください」///

P「はいはい。んじゃ、落とすなよ?」

やよい「……ペロ」

やよい「あまいです……。とっても、美味しいです」

P「だろ? 食べてよかっただろ? それよりもさ、夜になったら、中心の海でショーがあるんだ。よかったら観ないか?」

やよい「はいっ! すっごく楽しみです!」

真「ついに間接ちゅーしちゃったよ……」

伊織「あくまでも自然なカンジね」

雪歩「き、昨日の晩わたし真ちゃんと……」///

伊織「雪歩は相変わらずなのね……」

真「そ、それよりもさ。水上ショーだって! ボクたちも観ようよ! きっとキレイだと思う」

雪歩「幻想的で素敵だと思いますう」

伊織「ま、やよい達も観るでしょうし、変わらず近くで張ってればいいでしょう」

真「でも、この調子だと一線を超えちゃうんじゃないかな?」

伊織「い、一線って? まさか」

雪歩「き、キスですかあ?」

真「幻想的風景に魅せられて、二人はアイドルとプロデューサーという立場を顧みずに、禁断の領域へと足を踏み入れ……」

伊織「なんて事になったら流石にマズイわね。それは阻止しないと」

雪歩「じゃあ、万が一が起きてしまったら、穴掘ってでも止めてみせますう」グッ

真&伊織「「相変わらず(だ)ね、雪歩は……」」

美希「ミキもう疲れちゃったの……」

春香「わたしも呪い過ぎて体力が……」

美希「ハニー、ミキの元に帰ってきて~」

春香「諦めちゃだめよ美希。それより、今日の夜の水上ショーが山場ね。ロマンチックな雰囲気に当てられて、もしかしたらチューとかしちゃうかも……」

美希「そ、それはダメなの! ハニーのファーストキスはミキの……」

春香「いや……、プロデューサーさんも学生時代に一回ぐらいは……」

美希「……」

春香「……」

美希&春香「「あるのかなあ?」」

20:00/秘密の場所

やよい「プロデューサー? そろそろショー始まっちゃいますよ?」

P「わかってる。実はさ、あのショー観るための穴場があるんだ」

やよい「穴場、ですか?」キョトン

P「そう。すごくキレイに見えるんだ」

やよい「それは、楽しみですねっ」

真「ちょっと。プロデューサー達、ショー見ないのかなあ?」

伊織「いえ、違うわ。多分、二人きりになれる場所を探しているのよ!」

雪歩「ふ、二人きりですか~」アセアセ

真「そ、そうなのかな……。ボクたちもショーみたいけど、とにかく追いかけるしかないよね!」

伊織「雪歩! 置いていくわよっ!」

雪歩「ま、待ってください~」><

春香「美希……。プロデューサーさんとやよい、人気のないところに……」

美希「ま、マズイの……。どうしよ~春香あ」

春香「ぐぬぬ……。とりあえず追いかけるしかないわね。もしイイムードになった時は、身体を張ってでも阻止するしか……」

美希「ハニー……美希のこと忘れてないよね?」

春香&美希「ゼッタイ、ユルサナイ!」ゴゴゴゴゴゴ

P「どうだ? やよい」

やよい「とってもよく、見えますね」

 中央に広がる、暗い海に、ショーの始まりを告げる陽気な声が響く。楽しげに、水上で踊る〇ッキーさんに、わたしは釘づけになってしまった。

「ようこそ! この素晴らしい、魔法の世界へ!」

P「このショーはな、やよい。相容れない存在である、“水の精”と“火の精”が出会い、恋に落ちるストーリーなんだ」

やよい「あい、いれない存在?」

P「要は、決して一つになることの無い二人が、結ばれる話ってとこかな?」

やよい「ロマンチックです」

 幻想的なオーケストラと共に、何本もの水の線が弧を描いて、水の精の登場を演出する。

こうしてプロデューサーと並んで、ショーを見ていると、今、こうして二人きりで居るコトが、すごく特別な気がして、少し気恥ずかしかった。

P「…………」

やよい「…………」

P「なあ? やよい」

やよい「はい。なんですか? プロデューサー」

 名前を呼ばれて、プロデューサーの顔を見あげてみる。淡いブルーのライトに照らされた、穏やかな顔。

P「今日のやよいさ。やっぱりどこか変じゃなかったか?」

やよい「えっ!? そ、そんなこと……ないですよぅ」

P「俺の目はごまかせないぞ。やよい。なんたって、プロデューサーなんだからな」

やよい「……っ」

 いつも、プロデューサーはわたしや他のみんなを、ちゃんと見てくれる。きっと、たぶん、ずっと気づいてたんだろうな。

P「いつもは子供っぽくて、元気なやよいが、今日はやけに大人びててさ。そりゃその……、可愛いとは思うんだが。何か無理しているように見えちゃってな」

やよい「……いつごろから、バレてたんですかあ?」

P「まあ、最初から少し変だな、とは思ったけど。さっきソフト買ってきた時にさ」

やよい「ご、ごめんなさいプロデューサー」

結局、わたしは空回りしてばかりで、プロデューサーに迷惑ばかりかけちゃったと思う。

でも、プロデューサーは優しいから、ちょっと変なわたしでも、自然に受け入れてくれたんだ。

P「何か、思うところがあったのか? よかったら、話してほしい」

暖かさをたたえた目をして、わたしの頭をプロデューサーが撫でた。

くすぐったいような、それでも気持ちよくて、胸がどきどきと高鳴る。

やよい「実は……伊織ちゃんが……」

雪歩「ま、真ちゃん! 火の精が出てきましたよ~! ん~、とってもキレイですねぇ」ポワーン

真「す、すごいや……。み、見て! 少しづつ花火が上がってくよ」

雪歩「真ちゃんとこんなショーが見られて、わたし、幸せです~」ピトッ

真「ちょ、ちょっと雪歩……。あまり近づかないでよ。は、恥ずかしいよ」デレデレ

伊織「ほんと幻想的よね~……ってちがーう! あんたたち、自分たちの本分を忘れたわけ!? やよいとプロデューサーの……」

真「って伊織っ! ちょ、やよいとプロデューサーが……」

伊織「へっ? ま、まさか……」チラリ

真「…………」

伊織「…………」

真&伊織「まずい、かも?」

雪歩「真ちゃ~ん」スリスリ

春香「うっわーー!! 素敵だねぇ美希!」パアア

美希「すっごいの! 美希、こんなにキレイなの見たことないの!」キュン

春香「火って……、すごく美しいものなんだね……」トローン

美希「水と火の、ちょーわなの……。美希、心が震えてる……」

春香「…………」

美希「…………」

春香(はっ! ショーに見とれてる場合じゃなかった! プロデューサー達は……)チラリ

美希(……。ハニーの、隣で見たかったなあ……)チラリ


のワの「!?!?!?」

みき「!?!?!?!?」

 プロデューサーにわたしの変化の理由を話している間にも、ショーはどんどんクライマックスに近づいていた。

 不思議な火の灯りと、海と風だけが知っている水の力が、混ざり合って、まるで魔法の世界に誘われているようだった。

P「なるほどな。伊織の入れ知恵だったわけか……まったくあいつは……」

やよい「でもでも! 伊織ちゃんはわたしのことを思って……。わたし、子供っぽいし……。元気だけが取りえだから、新しい自分を見つけるために……」

P「そういう事か。今日は服装もそうだし、髪も下ろしてるもんな。それに……、いろいろ、あったし」

やよい「あ、あれはそのっ! オトナの魅力って……わたし、どんなのかわからなくって……プロデューサーに迷惑をかけちゃって……」

P「いや、別に責めてるわけじゃないさ。それにやよい。俺も嬉しかったよ。普段と違う、新しいやよいの一面が見れてさ」

やよい「ほ、ほんとですかあ? それは……わたしも嬉しいです」

 クライマックスへ向かう、音楽と魔法の世界。

 それと、プロデューサーの言葉に、胸がふるえる。鼓動が速くなって、足に力が入らなくなってしまう。

P「でもな、やよい。無理しなくて、いいんだ」

やよい「わたし、ムリなんて……」

P「確かに、アイドルとしての自分を磨きたいって気持ちはわかるよ。家族のために頑張っているやよいを見てるとさ、ほんとうに尊敬する」

やよい「尊敬されるような、こと……」

P「だけど、やよいの魅力はやっぱり、“人を元気にする力”だと思うんだよ」

やよい「人を、元気に……?」

P「ああ。事務所に届くファンレター、読んでるだろ? やよいのファンはみんな、たくさんの元気をくれるやよいに感謝してる。もちろん俺だって、やよいと居ると、楽しくなるんだ」

やよい「わたしが、みんなを楽しくさせる?」

P「ゲンキを与えられる人なんだ。もちろん、オトナなやよいも可愛いと思うんだ。でも、やっぱり俺が好きなやよいは……」

 言葉を耳にするのと同時に、よろめくようにわたしは、プロデューサーにしがみついた。 

 大きな身体に、包み込まれて、優しい暖かさを感じる。

 P「やよい? 大丈夫か?」

 やよい「ご、ごめんなさい……わたし……」

 頭では、わかっているのに。離れなくちゃいけない事、わかっているのに。

 何かを求めるように、わたしはプロデューサーにすがり付いていた。

 プロデューサーが、大きな手で、もう一度わたしの頭を撫でた。

 たくさんの光が弾ける海で、水と火の精がゆっくりとその距離を縮めている。

やよい「プロデューサー……その……」

P「やよい?」

やよい「…………///」ググッ

P「なっ……」

 ああ。わたしは何をしているんだろう? 

 ショーは最後の盛り上がりを迎えて、高揚感あふれる音楽と、いくつもの花火が舞い上がる。

 真っ暗だった空は途端に彩られて、淡く、あわく、光を受け入れる。

やよい「ぷ、ろ、でゅーさー……す……」

言ってはならない言葉が、わたしの口から漏れるのと同時に、祝福するように、火山の噴火のように、花火が上がる音が聞こえた。

 目を閉じていても、何色もの光の線が空へとのびてゆくのが見えるようだった。

ショーが……終わる。

その時、聞きなれた声がした。

伊織「そ、それはダメーーー!!!」バタバタ

美希「ハニーは、ミキの、なのーーーー!!!」ダダダ

伊織「きゃうっ!?」ゴッツン

美希「やんっ!」ガッチン

春香「み、美希~。だ、大丈夫!? って……あれ?」

真「い、伊織~! すごい音したよ? あの……大丈夫ですか? って……」

雪歩「ま、真ちゃん。伊織ちゃん。待ってよ~」><

伊織「…………」ジーッ

美希「……なの?」ジーッ

のワの「……」

真「……」

雪歩「あれ? 春香ちゃんに美希ちゃん。奇遇だね~」

伊織「な、なんであんたが居るのよ美希!」

美希「あ~! でこちゃんっ! もう、痛いよお~」サスリ

真「これはいったい……?」

のワの「ど、どういうことなの……?」


P「お、おまえら……何、してるんだ……?」

…………
……

21:30/P車内


P「荷物、忘れ物ないかー?」

春香「はいっ! ばっちりおっけーです。プロデューサーさん!」

真「すみません……、僕たちまで乗せてもらっちゃって」

雪歩「でも、ちょっと狭いかもです……」

伊織「まったくよ……、どうしてこのスーパーアイドル伊織ちゃんが、こんな車ですし詰めにされなきゃいけないのよ」

美希「でこちゃんうるさいの。美希もう眠たいから寝るね~」スピー

伊織「あ、ちょっと! 寄りかかって来ないでよ暑苦しいじゃない……もうっ!」

やよい「あはは。でも、ほんとうに驚きましたー。みなさんも来ていたなんて」

春香「そ、そうだよね~。たまたま美希と行こうって約束してて……」

真「ほ、ホントにね~。ボクと雪歩は伊織に誘われただけで……」

伊織「ちょっと! わたしが悪いみたいな言い草じゃないのっ!」

雪歩「でも……とっても満足な一日でした~」ポワン

真「ん? 雪歩も寝るの? じゃあボクも寝かせてもらおうかなあ……」

P「みんな寝て構わないぞ……。プロデューサーとして、責任もって送り届けてやるからな」

春香「さ、さすがにそれは申し訳ないというか……」

P「春香も、気にするなよ。仕事のために、パワー蓄えておいてくれな」

春香「じゃ、じゃあ……お言葉に甘えて……」クタッ

 ブロロロロ…………

美希「……」スヤスヤナノナノ

伊織「……」スウスウ……ニヒヒッ

 真「……」マッコマッコ……リーン

雪歩「……」アナ……ウマッテ…スー

春香「……」ヒザマズキ……ナサイ

P「見事に全員寝ちまったな」

やよい「皆さん、お疲れみたいでしたから」

P「やよいも起きてなくていいんだぞ?」

やよい「そ、そんなわけにはいきませんっ!」

P「ははは。やよいは本当に元気だなあ」

やよい「当然です! うっうー! 明日からまた、頑張りますよ~!」

P「やよい、声のトーン、落としなさい」

やよい「はうっ! す、すみませんプロデューサー」ヒソヒソ

P「そこまで小声じゃなくても大丈夫だよ」

やよい「えへへ。すみません」

P「……」

やよい「プロデューサー?」

P「なんだ? やよい」

『でーと、してくれますか?』

FIN

長くなってしまいましたが以上で終わりです。

読んでいただいた方、本当にありがとうございました。

前回の真美SSに続いて、リクエストのあったやよいSSを書いてみました。

もし、何か希望を言ってくだされば、検討しますの、どしどし意見を下さいませζ*'ヮ')ζ

それでは、ありがとうございました。

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