ほむら「うぇるかむとぅーざぱーふぇくとわーるど」さやか「!」なぎさ「!!」 (468)

・叛逆ネタ注意!

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                ◇WER TRÄUMT◇






魔獣「ババババババ」
魔獣「ババババババ」
富野「ババババババ」
魔獣「ババババババ」



ほむら「マミ……杏子……」

ほむら「まどか……」


  ガンバッテ


ほむら「……」




QB「あの魔獣を相手に生き残るとは」

ほむら「あなた、居たのね」


ほむら「自分でも不思議……こんなに濁っているのに」

QB「一撃とは恐れ入った。生へのすさまじい執念を感じたよ」

ほむら「まどかの声が聞こえた……から」

QB「それは本当かい?」

ほむら「……さぁ。空耳かも」



ほむら「いえ、空耳よ。あの子はもう……」

QB「あっ、鹿目まどかだ!」

ほむら「えっ?どこどこ?」

QB「あっちの檻の中だ!」

ほむら「居ないわよ?」


  ガシャン


ほむら「しまった!」

ほむら「罠だ!」



ほむら「騙したわね。ソウルジェムを奪ってどうするつもり」

QB「嘘は付いていないよ。遅かれ早かれ円環の理に導かれる」

QB「まどかに会うことは君の幸せなのだろう?会わせてあげるよ」

ほむら「いったい、何を企んでいるの」

QB「宇宙のためだ。この実験は、めぐりめぐって君たち人類のためにもなるんだ」

ほむら「そんなの聞いてないわインキュベーター」

QB「聞かれなかったからね」


ほむら「返しなさい!!!」シュバッ

QB「どんな攻撃をしても無駄だよ。この遮断フィールドは外側から干渉出来ないのさ」

ほむら「フィールドの隙間を縫ってでもソウルジェムを破壊してやる!」

QB「そんなの不可能に決まっているじゃないか」

QB「外の衝撃にも耐えられるように、ほむらのソウルジェムは保護されているんだ」

ほむら「壊れない……ですって」

QB「砕けたらおじゃんだからね!調節したのさ!!」

ほむら「……ふざけないで」


QB「遮断フィールドに隙間はない。外部の衝撃ではソウルジェムは壊れない」

QB「絶望に染まった魂は卵の内側に閉じ込められる」

QB「円環の理がどのように作動するのか楽しみだよ」

ほむら「や、やめて……!!」

QB「助かる方法はあるよ。内側からの誘導で円環の理が入り込めばいいのさ」



QB「さあ助けを求めるがいい!暁美ほむら」

QB「まどかと永遠に会えない未来は嫌だろう?」

ほむら「許さない……」グスッ

QB「さあ鹿目まどか。インキュベーターに支配されるがいい!」

ほむら「まど…………」





まど神「ほむらちゃん、つかまっちゃったかー」

さやか「どーすんの。これじゃほむらを導けないよ」

まど神「謎フィールド……。これで円環の理を観測するつもりだよね」

さやか「QBも懲りてないなあ」

まど神「もーちょっとだけ様子見よう」

まど神「導くのがわたしの役目だから、絶対に果たさないと」



早乙女「な、中沢君!」

中沢「和子ぉおおお!」



さやか「ありゃ。あの仲良しコンビ、ほむらの使い魔に連れて行かれたよ?」

まど神「うん。やっぱり犠牲者としてなら結界に侵入できるみたい」

さやか「この魔法少女さやかちゃんが魔女の結界を覗いてこようか」

まど神「内側から封印を解いて導こう。でもさやかちゃんはもう死んでるんだよね」


さやか「みりゃわかるでしょ?円環の理なんだから」

まど神「死者が現世の結界に入ると目立つよ。QBも結界内にいるはずだし」

さやか「あー、付きまとわれるといい気分しないよね」

まど神「いい考えないかなー」



―――――――
―――――


まど神「だからね、わたしの記憶と力を預かってもらいたいの」

まど神「その間は結界の調査だよ。インキュベーターの封印を壊したら、記憶を返してね」

なぎさ「チーズが食べれるならなんでもします!」

まど神「それじゃーなぎさちゃん行ってらっしゃい」

なぎさ「まかされました。ハイパーアルティメット様」

なぎさ「チーズ!チーズ!美味しいチーズ!!」



使い魔「Vor」キョロキョロ

使い魔「Gott」キョロキョロ


なぎさ「こんにちはー」


使い魔「Fort」

使い魔「Fort!」プイッ


なぎさ「そうでした。ほむらの求める形でないと運んでくれないのでした」

お菓子の魔女「ムジュムジュ」トテトテ


使い魔「!」

使い魔「!!」



さやか「今更だけど……なぎさで大丈夫だったの?」

まど神「いいの!なぎさちゃんは現世に未練が残ってるからね」

さやか「結構テキトーなんだね」

まど神「さやかちゃんもお迎え行こうよ」

まど神「わたしの手でほむらちゃんを導くために……」

まど神「絶望で終わらせないために、協力してほしいかなって」

さやか「ここ何もないし、たまには日常を謳歌しますかな!」

まど神「わたしの記憶と、残り半分の力をさやかちゃんに」




さやか「確かに受け取ったよ」

まど神「……無くさないでね?」

さやか「もう、まどかも心配性だなあ」

まど神「本気だよ。インキュベーターに消される覚悟は出来た?」

さやか「百も承知だよ」


まど神「死ぬまで魔獣と戦う覚悟も?」

さやか「?」

さやか「まどかはたまに変なこと言うよね。あたしもう死んでるし」

まど神「……変じゃないよ」



まど神「時間だね。そろそろ、わたしを送ってくれる?」

さやか「おっけー。記憶と力の運搬はあたしとなぎさに任せてね」

まど神「迷惑かけたらごめんねっ」

さやか「ほいさ」



まど神「……迷惑かけちゃってごめんね。ほんのちょっとのお別れだよ」




まど神「ほむらちゃんの使い魔は……」

まど紙「あれ?何しに来たんだっけ?」

まどかみ「何か大事な使命が……あったような」

使い魔「!!!!」

まどか「いや、何これ!」

使い魔「!!!!」
使い魔「!!!!」

まどか「逃げなきゃ……!」



さやか「さて、あたしも行きますか」

さやか「ほむらが苦しんでるお陰で、現世に介入できるのは喜んでいいのだか」

さやか「あいつには色々借りがあるからなあ」


―――――――
―――――




見滝原。
バベルの塔っぽい研究所。


ほむら「……」

QB「グリーフシードを持ってきたよ」

QB「穢れを取り除くにしては非効率だね。次からそのまま大気中に撒き散らそう」

QB「浄化が間に合わなかったら大変だ」

QB「了解だ」

  カタカタ

QB「よし、これで魔女化寸前のところで穢れが外部に放出される」



QB「暁美ほむらが穢れを溜め込んで自殺する可能性は絶たれた」

QB「魔女化したら封印が露出する恐れもあったからね」

QB「結界の仕組みが把握できない以上、物事は丁寧に」

QB「D班は報告しておいてくれ」

QB「ナイスな判断だよE班。これで救済は拒絶されない」



QB「やあA班。首尾はどうだい」

QB「上々さ。早速不思議な者が入り込んでいるよ」

QB「どれ。あれは……」


  「モグモグゴニョ」
  「マスカルポーネ!!!」


QB「あのヌイグルミは喋っているのかい!?」

QB「暁美ほむらの使い魔だろうか」

QB「同一種が観察出来ない。独立した一個体だね」

QB「暁美ほむらが話していた魔女に分類できそうだ」

QB「円環の理との関係がありそうだけど……」



QB「魔女の結界で数多くの人間が生活している」

QB「街一つを模倣しているのは驚きだ」


  「わーすげー!」
  「CDショップがあるよ!」


QB「どういうことだい?これは……」

QB「そう。特筆すべきは、注目すべきは、美樹さやかだ」

QB「彼女は円環の理に導かれているはず。ほむらのソウルジェムに引き込まれるのはおかしい」

QB「消滅したはずの美樹さやか……いったい何が起きているんだ」




ザワザワ
ザワザワ
ナカザワ
ザワワ


QB「どうしたんだい。T班の連中は大騒ぎじゃないか」

QB「H班の偵察か。実はだね――」

QB「来たんだよ。鹿目まどかが!」

QB「鹿目まどかが来たのさ!」

QB「冗談はよしてくれ。まだ実験は始まったばかりなんだ」



QB「インキュベーター うそ つかない」

QB「どれどれ」

QB「まさか、そんな簡単に……」


  「はー学校めんどくさいなー」
  「今日も木目の本数数えようっと」
  「んっ…………あっ……」


QB「まどかキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!!!」

QB「まどかはじまた」


ほむら「……」

QB「間違いないね」

QB「特徴は一致している」


  「特製のココア美味しい」
  「あれ?わたし……家族がいたような」



QB「過去にも未来にもこの少女は存在していない」

QB「確定だ」

QB「インキュベーターの総力を挙げて、徹底的に監視するんだ」

QB「伝令!伝令!」

QB「美樹さやかとかどうでもいいからこの桃髪を監視しろ。繰り返す。美樹さやかとかどうでもい」

QB「マジかよ!」

QB「無限の可能性キター」



結界内を見渡してみます。

―――――――
―――――

さやか「わーい全部街だー!」

さやか「街だよ!見滝原の街が再現されてるよ!」

さやか「あたしの家がある!学校がある!」

さやか「でもあんまり人が居ないなあ……」

ナイトメア「にゅ」

さやか「な、何これバケモノ!いや、使い魔……?」



さやか「戦うべきかな。あまり目立ちたくないんだけど」

さやか「でも攻撃はしてこないね……」

ナイトメア「にゅー」

マミ「美樹さん!私につかまって」

さやか「わっ!マミさん!?」



マミ「あれはナイトメア。危ないところだったのよ」

マミ「あら。美樹さんも魔法少女だったのね」

さやか「え、いやぁははは(本物のマミさんだあ!)」

マミ「手を貸してくれるかしら」

さやか「及ばずながら加勢しますっ」

マミ「それじゃあ行くわよ。2名様!ご案内!」

さやか「はい!」


さやか「はい?」




ナイトメア「……ヌ」

マミ「ケーキ、ケーキ、まぁるいケーキ」

さやか「(なんだこれ)」

マミ「まぁるいケーキはだぁれ?」

マミ「ケーキは美樹さん?」トントン

さやか「いえ、魔法少女……」

マミ「ちーがーうっ!ちゃんとやって。はい!」



さやか「こ、こうかな?」トンタン

マミ「神聖な儀式なの。リズムは一定に保つ。はいっ」


さやか「ケーキ、ケーキ……(つらい)」トントン

さやか「ケー……キはマミさん?」トントン

マミ「ちゃんと私の目を見るっ」

さやか「まぁるいケーキは…(もうやだ)」トントン



ナイトメアと戦う姿でさえ、とっても華麗で、素敵な人だと思います。
あの人のお陰で今の私があるといったら過言でしょうか。




マミ「ただいま、ベベ。今チーズを用意するわね」

べべ「マースカルポーネマースカルポーネ」ピョンピョン

マミ「この子はベベ。私の大切なお友達なの」

ベベ「マジョマ○コカマンベール」

さやか「(なぎさだ。順応してんなあ)」



マミ「初めてのナイトメア退治はどうだった?」

さやか「なんか嬉しくって涙が出てきました」グスッ

マミ「?」

マミ「美樹さん、紅茶はお好き?」

マミ「今朝、カルチェラタンの封を切ったところなの」

さやか「いやったあ!お願いします」



マミ「お味はいかが。熱くない……?」

さやか「とっても……懐かしい」

さやか「(あっ駄目だ)」ポロポロ

マミ「!」

マミ「ナイトメアは怖かったでしょう……」

さやか「違うんです。マミさんが元気でいてくれたから」グスッ

マミ「美樹さん、辛かったのね……」



さやか「……っ。すぐ、おさまります……」

マミ「女の子は我慢しちゃ駄目よ。私でよければ受け止めてあげる」

さやか「ごめんなさい……」ポロポロ

マミ「謝らなくてもいいのよ」ナデナデ

さやか「(勝手に消えて……ごめんなさい)」



さやか「(マミさんいい匂いだったなあ)」ポー

マミ「ふーんふーん」コトコト

ベベ「モヘー」ポトッ

さやか「ベベこっちおいで」

ベベ「マジョマン○カマンベール!」

ベベ『なんですか、さやか』

さやか『まどかは?』



ベベ『異常なしです。当分好き勝手できるのです』

さやか『つーかテレパシー使ったらまずいんじゃね?』

ベベ『円環パワーを持ったさやかにしか通じません。だからQBの監視は……』

ベベ『いえ、QBはまどかにしか興味ないっぽいです』

さやか『計画通りだね!ほむらは?』

ベベ『それが……』


マミ「ベベ、おまたせっ。スティルトンよ」

ベベ「マースカルポーネッ」

マミ「おいしい?」ナデナデ

ベベ「マスカルポーネ……」

さやか「(マスカルポーネじゃねえ!)」

ベベ「……」

マミ「そう、美味しいのね。また買ってくるわ」ナデナデ

ベベ「マスカル……」トテトテ

マミ「次は何のチーズにしようかしら」



マミ「美樹さんはチーズとか詳しい?」

ベベ「マスカルポ……」トテトテ

さやか「あたしは最近食べてないからなあ」

マミ「私はスティルトンが好きなのよ。紅茶に良く合うし」

さやか「でも食べるのは基本的にベベですよね」

マミ「私はあまり口にしないの。ベベが好きだから次いで程度ね」

ベベ「マスカルポーネ……」

マミ「スティルトンのおかわりかしら。さあどうぞ」

ベベ「マ゙ョ゙ョキョコ…」

さやか「(突っ込み待ち?)」


―――――――
―――――


マミ「でね、もうすぐ佐倉さんが来るんですって」

さやか「風見野からはるばる?」

マミ「もちろんよ。見滝原の応援に来てくれるの」

マミ「早乙女先生のナイトメアが猛威を振るっているのは知っているでしょう?」

さやか「なかなかの強敵だもんね(マミさんに迷惑かけすぎでしょあの先公)」

マミ「私一人じゃ抑えきれないのよね」




ベベ「モジュモジュジュベベ!!」

さやか「ベベは?」

ベベ「ムブチャ」ピョン

マミ「佐倉さんが来れば随分と楽になるわ」

さやか「(スルーかよ!)」


さやか「まどかにも手伝って貰いましょうよ」

マミ「二年生の……あの子も魔法少女なのね」

さやか「あれ。気のせいかも(まどかはどこに居るんだろ?)」


マミ「疲れているのよ。今日はゆっくりしていきなさい?私は一人暮らしだから」

さやか「そ……それってお泊り!」

マミ「迷惑じゃなければ、だけど……」

さやか「いやあ、このお礼は必ずしますっ。神に誓って!」

マミ「えへへ。いいのよ、私とベベじゃ広すぎるくらいだもの」

さやか「マミさん……」


―――――――
―――――




マミ「すやすや」Zzz


さやか「ベベ。マミさんの様子はどう?」

ベベ「マスカルポーネ」ボワッ

なぎさ「ふう、マミはでかいのです」

さやか「でかい?」

なぎさ「でかくてスタイルがいいです」

さやか「まじめに答えないと一生チーズ食べれない体にしちゃうよ」

なぎさ「冗談です。マミは私と長らく住んでいる設定になってます」


さやか「あたし達はさっき突入したばかりだよね」

なぎさ「ほむらの都合の良い世界設定が採用されています」

なぎさ「佐倉杏子という魔法少女が結界に飲み込まれたら、また設定が変わるかもしれません」

さやか「そのときはそのときだよ。ほむらの使い魔が欲しがるかわからないし」


なぎさ「今頃、円環パワーのないまどかもいい感じに出来上がってるはずなのです」

なぎさ「円環パワーが無いと結界の効力で洗脳っぽいことされちゃいますから」



さやか「まどかはちゃんと居るんだね。そうだ、ほむらはどうだった?」

なぎさ「まだ見つかりません。この世界に居ないようですが……」


さやか「え?」


なぎさ「役者が揃えば姿を現すのでしょうか?」

なぎさ「魔女として、あるいは人間の姿か。こればっかりはわからないです」

さやか「ナイトメアがほむらって線は?」

なぎさ「無くは無い、といったところなのです」

さやか「そっか。余計な行動は慎んだほうがいいね」

なぎさ「そのとおりなのです。上手くこの世界に溶け込みましょう」


―――――――――――――――
―――――――

なぎさ「おおよその世界観はこんな感じですね」

さやか「よく短時間で調べ上げたね」

なぎさ「円環パワーを借りれば造作ないです。さやかでも出来ます」


マミ「あら……ベベぇ?」

ベベ「モジュジュ!!」

さやか「あれマミさんどーしたの?(あっぶなかった)」

マミ「んー…ちょっとおトイレに」フラフラ

さやか「(さてあたしも寝ますか)」

さやか「(マミさんの枕もいい匂い……)」スーハー




初めての授業です。


さやか「授業つかれたー」

さやか「三人の授業って怖い。ずっと英語だし…はぁ……」

さやか「中沢と交互に当てられるとかもう地獄……」

マミ「美樹さん、一緒に帰りましょ」

さやか「マミさんも授業お疲れ様でしたー」

マミ「?」


マミ「私は自習してたのよ」

さやか「き、勤勉ですね(うらやましい)」

マミ「今日も……どうかしら」

さやか「泊まります!(この街、何か閑散としてるもんね)」

―――――――
―――――


さやか「かあーっ。疲れたときは紅茶に限る」グビグビ

マミ「ふふ、いい飲みっぷりね。ベベも飲む?」

ベベ「マスカルポーネ!!マスカルポーネ!!!!!」

マミ「チーズね。ちょっとまってて」

さやか『なぎさ、まどか居なかった』


ベベ『ずる休みですね。たまには自分で円環パワー使ったらどうですか』

さやか『地獄の早乙女を避けるなんてちゃっかりしてるなー。ほむらもいい仕事するよ』

ベベ『ちょっと気を探ったのですが木目の本数を数えてました』

さやか『マジか……』

ベベ『家族がこの世界に連れ去られたら通い始めるのでは?』

さやか『全部ほむら次第ってところが怖いね』




冷蔵庫「」

マミ「たしか買い置きが……あった」

マミ「はい、チーズよ。ベベ」

ベベ「マスカルポーネ!!」

マミ「はずれー。今日はロックフォールでーす。えへへ」

ベベ「マスカルポーネ……」

マミ「聞こえませーん」ニコニコ

さやか「(おおう、マミさん怖可愛い)」



お風呂に入りました。


さやか「あー生き返った!」ポカポカ


さやか「マミさん、お先にいただきましたー」

マミ「疲れはとれた?」

さやか「ええ、ばっちり!しっかり!」


マミ「良かった。ベベ、今日こそはお風呂に入るわよ?」

ベベ「ムベチャ!ムベチャ!」ジタバタ

マミ「こーら、逃げないのっ。ちゃんと綺麗にしないと駄目よ」ガシッ

ベベ「ムベチャーーー!!!」

さやか「ははは……ベベも大変だ」





……お風呂。


マミ「終わらない始まりへ♪本当の終わりへ♪」ポカポカ

マミ「お風呂あがりは紅茶よね。アッサムが全身を駆け巡るわ」コクコク

マミ「そしてストレッチ!いつナイトメアが現われてもいいように!」


マミ「ふう、それじゃ美樹さん寝ましょう?」

さやか「あ、はい」


さやか「あれ?なぎ…ベベは?」キョロキョロ

マミ「お風呂に決まっているじゃない」

さやか「マミさんと一緒に入らなかったんですね」



マミ「何を言っているの」ギロッ

マミ「言っていいことと悪いことがあるのよ」


さやか「あたしなにか変なこと言った?」

マミ「悪い冗談はよして。一緒に入れるわけ無いじゃないっ」

さやか「じゃあベベは…一人で?あの小ささで湯船に?」

マミ「湯船は汚れが落ちないでしょ」

さやか「え?お風呂……だって」



マミ「そこよ」

さやか「どこ?」

マミ「洗濯機の中よ」

マミ「ほら」


洗濯機「ギュベベーーー!!!」ゴウンゴウン

洗濯機「モビェーーー!!!」ゴウンゴウン


さやか「……」

マミ「……」

さやか「寝よう。寝る」

マミ「電気消すわね」カチッ



<ギュモネーー!!!


マミ「すやすや」

さやか「うるさくないっすか?」

マミ「ううん…。脱水が終わったら静まるから」


<……。


さやか「ほんとだ。さすがマミさん」

マミ「……ね?」


洗濯機「」ゴウンゴウン


さやか「あれ。まだ動いてますよ……」

マミ「今日は早かったわね」

さやか「早いって……」

マミ「そんな日もあるのよ」


<カマンベール!!


さやか「寝れない」

マミ「脱水まで待ちましょう」

マミ「赤ちゃんは泣くのが仕事だから…」

さやか「そうですね(泣いてるのかな?)」

マミ「ふぁぁ。夜更かししてると明日起きれないわよ」

さやか「うん。頑張って寝てみる」



<……

<……パッ

<ウィルヘルム・ルー!!

<カマンベール!!!!



洗濯機「ボコボコ…」ゴウンゴウン



マミ「ちーず……ない」ムニャムニャ

さやか「ZzzZzz」

<パパパパパ…

<パルミジャー……

夢にまで見た夢のような生活です。
まだ夢は続きそうです。

続きはまたあしたー




何日か経ちました。通学路に、夢にまで見た光景があります。
時間はあっという間に過ぎ去ってしまうものです。



まどか「さやかちゃーんおはよう」

QB「きゅー」

さやか「きゅー?(久しぶりのまどかだ!つうか何こいつ!)」

QB「きゅーい」

さやか「おっはよーまどか(演技!演技!)」

杏子「急がないと遅刻しちゃうぞ!」

さやか「あ、杏子……」


さやか「(元気そうで良かった)」グスッ

杏子「寝不足かい?」

さやか「そ、そうだよ。寝不足に決まってるじゃん……」

杏子「へんなやつ。昨日もマミん家に泊まったんだってな」

さやか「あれ?知ってたの」

まどか「ベベと一緒にお泊りしたいって言ってたよ!」

さやか「……?」

さやか「(まどかも杏子も初めて会ったはずなんだけど……記憶の操作?)」



さやか「知りたい?」

まどか「……」コクリ

さやか「すごかった」ワキワキ

杏子「まさか、あんた!」

まどか「さやかちゃんのえっち!」

さやか「うそうそ、触ってないって!」

さやか「見るだけで満足、眼福だよ。触ったら天国に行けそう……」

杏子「マミは怒ると怖いからな」

杏子「何かの拍子に揉んでたら享年14になってたぞ」

まどか「うぇひひ、そんな向こう見ずな子いないよねー」

さやか「だよねーあははは (あれ?あたし享年14じゃね)」


まどか「素敵で優しい先輩って感じがするのに意外だよね」

マミ「怒らせるほうも悪いんじゃないかしら」

杏子「大らかそうに見えるけど、すげー神経質なんだよな」

マミ「あー……そうかも」

さやか「マミさんが聞いてたら絞められちゃうぞー」

マミ「美樹さんは私に絞めて欲しいの?」

さやか「まさかそんなわけな……いぃぃ!!」

マミ「みんな、おはよう。とても楽しそうなお話ね」ニコニコ



「「「……」」」



マミ「おはよう?」ニッコリ






杏子「やっべ宿題わすれてた!」

さやか「まどかやった?」

まどか「やってない!急ごう杏子ちゃん!」

マミ「ねえ美樹さん、おはよう?」ガシッ

さやか「あ……あ…」ガタガタ

杏子「じゃ、おっ先にー」ダッ

まどか「さやかちゃん、また後でね」

QB「きゅーぅ」



さやか「い、いつから……」

マミ「美樹さんの手つきが怪しくなったころよ?」

さやか「ええっと、ベベはカバンの中に入れたんですか」

マミ「私の体目当てだったのね」ニコニコ

さやか「ベベはまだふてくされて……」

マミ「美樹さんは死後の世界を信じてる?」

さやか「どーいう意味ですか……」

マミ「ちょうど片道切符持っているのよ。答えないとマスケット銃が……」


さやか「(あ、この人ガチだ)」

さやか「どっちかというと声と匂いです。ごめんなさい」

マミ「なんてね冗談よ。あんまり怒ってないから安心……え?」

さやか「さ、さあ行きましょ」ガシッ

マミ「そんなに引っ付かれると歩きにくいわ」

さやか「急ぎましょ」ギュイ

マミ「ちょっと頭の整理をしたいのだけど……」

さやか「絶対に離しませんっ」

マミ「……美樹さんが怖い」ガタガタ




早乙女先生の授業です。だいぶ人が増えてきました。


早乙女「はい!中沢君!」

中沢「ブラウン・ラチェットのほうがエレガントだと……」

早乙女「その通り!」

「「「オオォーー」」」
「ソース」
「アァ!_?」


杏子「んだよ。シラードのエンジンのほうがシンプルでいいじゃねーか」

「「オオーォォオオ!!!」」
「ダイテ!!」
「ステキ!」
「ワカメ」

QB「きゅー」

まどか「木目…数えたく……ないよ」Zzz


さやか「恭介はどっち派よ。つうか意味わかる?」

恭介「佐倉さんの太股。凄いよね。序盤、中盤、終盤。隙がないと思うよ」フリフリ

さやか「あんたはどこ見てるのよ」

恭介「だけどさやかのもっちり感には敵わないよ。82点だ」

さやか「こりゃ仁美も大変だわ」


恭介「躍動するさやかの太股を皆さんに見せたいね」フルフル

さやか「ほんと普通に洗脳してよ。こいつ頭おかしいでしょ。一緒にいちゃヤバいタイプでしょ」

恭介「はは…………素面だよ」

さやか「おい誰か恭介を洗脳しろ。脳みそ洗ったほうがいいって」

恭介「でもこんな風にさやかの太股を見れるのは懐かしいような……」

さやか「洗脳されたフリだよね?そうだよね?実は円環の使者だよね?」

恭介「太股を見ると興奮する」

さやか「(あたしが消えてから何に目覚めた……)」




早乙女「ですから、ここは現在形ではなく既に過去形なんですね……」


さやか「(ここ数日でモブキャラは増えてたけど。まさか、まどかと杏子までが揃って登校とはねえ)」

さやか「(円環パワー使ってみよう)」ポワワーン

さやか「(小さな気をたくさん感じる……)」

さやか「(他のクラスも人が増えてるね)」

さやか「(ほむらに連れて来られた犠牲者多いなあ。普通の学校みたいだよ)」

さやか「(後はほむらの転校待ちですかな)」

さやか「(ファッサファッサしてるんだろうなあ)」



早乙女「はい!中沢君」

中沢「山羊の子の夢かなあと」

早乙女「惜しいですね。もう少しで山羊の子でしたが正解は――」

杏子「……寂しい……もんな」Zzz

まどか「またトマト…………三ヶ月目だよ……パパ」


QB「きゅー?」

さやか「(こいつうぜえ)」

QB「きゅー!」

さやか「どうしたのかなー(まどかだけ監視してればいいのに)」ナデナデ

QB「きゅー♪」

さやか「ちょっと机には乗んな!寝れないでしょうが!」ゲシ

QB「きゅっぷい」




待ちに待ったお昼休みの時間!

さやか「いやーよく寝た。ごはん!ごはん!」


ベベ「ダージリン!ダージリン!」

マミ「ごめんなさい、ベベ。今日はレディ・グレイなの」

ベベ「カマンベール!!カマンベール!!」

マミ「今日はフルムダンベールにしてみたの」

ベベ「カマンベール……」



杏子「おっ、マミとさやかはお揃いだな」

マミ「お手製のサンドイッチと揚げ物よ。佐倉さんもお少しいかが?」


まどか「さやかちゃん、から揚げ頂戴」ヒョイ

さやか「あっ……マミさんの愛がこもった聖なるモモ肉が!」

まどか「あーん」

QB「きゅー♪」

まどか「QB食べたいの?」

QB「きゅーい」



さやか「ストーップ!まどか!」

まどか「え?え?」

さやか「から揚げをQBに与えるなんてどうかしてるよ!!」

まどか「え?だって食べたがってたし……」

さやか「まどか。QBは生ゴミとミミズしか食べないよ!!」

さやか「むしろそれしか食べれないよ!!」

QB「!?」

まどか「あれ、そうだったの?さやかちゃん詳しいね」



さやか「まどかのペットなんだから、ちゃんと調べないと駄目だよ」

QB「きゅーっ!」

マミ「あらあら、あとで焼却炉に連れて行かないとね」

まどか「うちの近くにあったかなあ」

QB「きゅーーー!!!」

さやか「(ざまあみろ)」


ベベ「マジョマ○コカマンベール」ピョンピョン

さやか「ベベも嬉しそう」

マミ「あら、ベベも生ゴミやミミズ食べるの?」

ベベ「マスカルポーネ!!!!!!!」ブンブン

マミ「あー可愛い」

杏子「仲いいなーマミとベベ」

さやか「はは……」

QB「きゅー」

さやか「……」

きゅーきゅーうるさい。コイツあざとい。




まどか「焼却炉に寄ってから帰るね」

杏子「あんたマジなんだな!?」


まどか「じゃねーまた明日!」

QB「きゅー……」

さやか「ばいばーい」

マミ「男の子なんだからたくさん食べるのよ」

QB「キュー」ダダダダ

まどか「逃げちゃだめだよ」ガシッ

QB「……きゅべ」

まどか「QB、生ゴミ。食べよう?」

QB「……きゅ」



マミ「……あら?」

さやか「(なんか一瞬寒気がした)」ブルッ

マミ「佐倉さんが転校してから随分経つわ」

杏子「去年のいつだっけ……?まあマミが応援を求めたときは驚いた」

マミ「これも平和のためよ」

杏子「早乙女先生のナイトメアは凶暴だからね」

さやか「あんたがいると助かるわー(ああ。また書き換わったのね)」


ベベ「サヤ…サヤ…」

さやか「どったんベベ?」

ベベ『摂理の辻褄が合ってきました。より現実世界らしくなっているようです』

さやか『それだけほむらは苦しんでるわけだけど』

ベベ『さあ、意外と喜んでるかも知れません。魔女はそんなものなのです』

さやか『あたしはともかくあんたはチーズ探して苦しんでたじゃん』


ベベ『わたしは椅子に座ってただけなので……お菓子食べ放題なのは良かったですね』

ベベ『チーズだけは出せませんでしたが、そこはチーズおかきで補って……』

さやか『なにそれ反則スレスレじゃん』

ベベ『発想の転換なのです』

さやか『手下の使い魔が可哀想でしょ。あんたのために探し回ってたのに』

ベベ『さやか、人のこと言えるんですか?』

さやか『?』


ベベ『さやかの手下は24時間演奏しっぱなしでした』

ベベ『愛しのヴァイオリニストは激務のあまり下層に逃げて演奏放棄。ああ!』

ベベ『24時間ですよ?蟹○船ですか?聞くも涙、語るも涙なのです』

さやか「ベベ。ミミズだーいすき」

マミ「ん?」

ベベ「モジュモジュ!!!」ブンブン



マミ「私はこのへんで。また明日ね」

さやか「じゃねーマミさん、ベベ」

ベベ「カマンベール!!」フリフリ

杏子「明日、いつもの場所でな」

マミ「美樹さん、またお泊りにいらっしゃい。今度は佐倉さんも一緒に」

さやか「えー骨の髄まで甘えちゃいますよ」

杏子「マミん家の風呂はでかいからな。楽しみだ」

マミ「なあにそれ。フフッ」


さやか「ねえ杏子。うちに寄ってかない?」

杏子「何いってんだ?あたしはさやかの居候だぞ」

さやか「やだなーツッコミ頂戴よね(居候設定?マジか!)」

杏子「えーー面倒」

さやか「つれないなー。そだ、夜ご飯何食べる?」

杏子「なんでもいいよ。さやかと一緒に食べれるなら」


さやか「らしくないじゃん」

杏子「いや、なんだろうな。無性にさやかと話したい気分なんだ」

杏子「去年からずっと同じ屋根の下なのに不思議だよな」

さやか「うん。ふっしぎ……でも、その気持ちよくわかるよ」




―――――――
―――――

杏子「Zzz」

さやか「あんたは覚えてないだろうけど」

さやか「杏子にいっつも刃向かって、迷惑かけてたんだ」ナデナデ

さやか「魔獣がはびこる新しい世界でも同じ」

さやか「心配させて、足引っ張ってばかりで……」

さやか「何も言わずに消えて……ごめんね」

杏子「むにゃ」Zzz


さやか「お別れの言葉……一つや二つ言っておけば良かったかな」

さやか「(再開できて嬉しいんだか悲しいんだか)」グスッ


杏子「Zzz……。ん、さや…か?泣いてるのか」

さやか「な…なんでもないよっ」グシグシ

杏子「そうか?辛いことがあったらいつでもいいなよ」

さやか「ううん。そんなことない」


さやか「(全然辛くない……)」

さやか「(この世界は……眩しすぎるんだ)」

さやか「(はは、参ったなあ)」


友達との夢のようなひと時でした。
まだ夢は続きそうです。




何日か経ちました。みんな幸せに暮らしています。

昨日のナイトメア退治もそこそこに、今日は転校日です。


早乙女「ですから、婚期を見誤って自宅に拉致監禁するのは大きな間違いなんですね」

中沢「せ、先生?」


早乙女「あとそれから。今日は転校生を紹介します」

さやか「(おっ。ほむらの魔女がお目見えですかな?)」

杏子「そっちが後回しかよ」



早乙女「それじゃ暁美さんいらっしゃい」

ほむら「暁美、ほむら……です」グッタリ

早乙女「ん、続けて?」

ほむら「……あの」

ほむら「心臓の病気で入院していました。よろしくお願いします」ニコッ

まどか『指輪だ!』

杏子『ソウルジェム!』

さやか『えええっ!?(どこまで再現してるのよ!!魔法少女だし!!)』

早乙女「席は~~」




ほむら「……」ニコニコ

マミ「えへへ、内緒にしていたのよ」

さやか「なんだー。マミさんは知ってたんですか(あたしのが先に知ってたのに……)」

マミ「ごめんなさいね。みんなを驚かせたくって」

さやか「(マミさんずるい)」

ほむら「夕べのうちに挨拶を済ませるつもりだったのですが」

杏子「じゃあ昨夜のナイトメアのときにも……?」

マミ「実はちょっとだけ手伝ってもらったの」

マミ「暁美さんは凄いのよ。時間をとめて攻撃を何倍にも圧縮できるんだからぁ」


ほむら「そ、そんな私はサポートしか出来なくて。運搬と収納以外はからっきし駄目なんです」ニコニコ

杏子「運搬?まあ時間停止はすごいな。頼りにしてるぞ」

ほむら「収納も任せてください!」

まどか「ほむらちゃん!一緒に頑張ろうね」

ほむら「は、はい。改めて、暁美ほむらです。精一杯やってみますね」

さやか「よろしくね、ほむら」

ほむら「美樹さん。こちらこそ」ニコッ

さやか「(転校生の面影があんまりないっ!!)」




杏子「これでナイトメア退治が楽になるな」

マミ「五人揃ったわね」

さやか「そうだね。まどか、マミさん、杏子、ほむら、あたしで五人だよね」

マミ「美樹さん、それがどういう意味か分かっているの?」

さやか「そのままの意味じゃないんですか」

杏子「魔法少女五人でナイトメア退治、それ以上でもそれ以下でもないさ」

マミ「うーん、佐倉さん。『魔法少女』じゃあまりにも平凡すぎるのよ」

杏子「何が?」



マミ「ピュエラ・マギでどうかしら?」

まどか「それかっこいいです」

マミ「それと『五人』なのだけど私の解釈では、『五人』ではないの」

まどか「ですね」

杏子「五人だぞ?」


さやか「!!」

さやか「そうですよ五人ですって」

マミ「聖なる五人なのよね。この世界を護る選ばれし五人」

ほむら「ホーリー・クインテットですね」

まどか「ですね」

さやか「(遅かった……)」


―――――――
―――――

さやか「ピュエラ・マギ・ホーリー・クインテット……ねえ」

マミ「お気に召した?」

さやか「いや、来るところまで来たかなと」

杏子「戦隊物っぽいな!やっぱ変身ポーズも考えるのか?」

さやか「(やめて……)」

マミ「ポーズですって?」キラキラ

さやか「杏子ぉー余計なこといわないでよー」



杏子「え?いいじゃん。減るもんじゃないし」

さやか「増えるだろ!」

マミ「佐倉さん、ナイスよ。結束を高める手段として、振り付けは手軽で便利なの」

まどか「くじ引き作ったよー。変身ポーズのくじ引き!」

ほむら「何を書こうか悩みました」

さやか「あんたら手際いいな!打ち合わせでもしてたのか!」

まどか「いいからいいから。引いて引いて」




マミ「……」ペラッ

マミ「トウループとビールマンスピン?具体的なのね」

まどか「それアタリです」

杏子「ハズレがあるのかよ……」


ほむら「……」ペラッ

ほむら「ふぅ……助かりました」

さやか「助からないものを何故混ぜた!」


まどか「ハズレは一つだけだよ」ペラッ

まどか「……良かったあ」

杏子「」チラッ

さやか「」コクリ

さやか「……」ペラッ

さやか「……」

さやか「……!?」


杏子「……」ペラッ

杏子「なあカルメンって何だ?ハズレか?」

さやか「杏子は……セーフだよ」

杏子「お、えらくテンション低いな」

ほむら「美樹さんは何だったんですか」ニコニコ

さやか「……ブレイクダンス」

杏子「ぶふっ」

さやか「ブレイクダンス」

杏子「くふふっ」


ほむら「良かったですね」ニタニタ

さやか「ストレス溜まってるでしょ……」

ほむら「ちょっとやってみてくださいよ、ここで。ほら」ニコニコ

さやか「いつものあんたらしいわ……。生き生きしてる」


マミ「ブレイクダンスも悪いものじゃないわ」

マミ「でも恥ずかしい、そういうことね?美樹さん」

さやか「まあそうなんですけど」

マミ「私がブレイクダンスしてもいいのだけど……」


マミ「いいのだけど……」

マミ「……気を取り直して、それぞれ練習するわよ!」


          「「「はーい」」」


さやか「何でだ!くじを交換するイベントはどこいった!」

まどか「次は立ち位置を決めようよ」

マミ「真ん中は私がいいな」

まどか「左端がいい」

さやか「あたしも左端が良かったなあ……」



さやか「あれ?何で立ち位置の話になってんのさ」

杏子「いいじゃん、減るもんじゃないし」

さやか「着実に増えてるでしょ!決めポーズとかやめてよね」

マミ「!」

マミ「素晴らしいアイデアだわ。ピュエラ・ブルー」



さやか「いやいやいやいや、ちょっとマミさん!」

さやか「どこまで行く気ですか!この調子だとBGM鳴っちゃいますよ」

まどか「あ!」

さやか「!!!」

さやか「まどか、喋らせないよ。言いたいことは良くわかるから!ねっ!」

まどか「むぐむぐ」バタバタ

杏子「あんたどんどん墓穴掘ってるぞ……」

ほむら「……ふふっ」

ではまた次回




放課後です。


さやか「ねえ、まどか……」

まどか「なあに?」

さやか「なるべく、ほむらの側に居てやってくれない?」

さやか「多分あいつもそれを望んでいる。まどかにしか出来ないことだと思うんだ」

まどか「変なさやかちゃん。そんなこと言われなくてもほむらちゃんは友達だよ」

まどか「それにね。ずっと、ずっと、お話してみたいなって思ってたんだ」

まどか「おかしいよね。今日初めて会ったばかりなのに」


さやか「ううん。全然おかしくないよ、まどか」

さやか「まどかとほむらは――あっ」

さやか「(辛気臭い話はやめよ)」

さやか「みんなでほむらを支えようね!」


まどか「うん。もちろんだよ」

まどか「あとね……」

さやか「?」

まどか「最近のさやかちゃん何だか悲しそうだったんだよ」

まどか「マミさんも杏子ちゃんも、とっても気にしてた」


まどか「……さやかちゃんが泣いてたって」


まどか「だからマミさんが……敢えて変で奇妙でセンスのない馬鹿なふざけた馬鹿な馬鹿な提案して」

さやか「そうだったんだ……ちょっと色々あってさ」

まどか「わたしに出来ることなら、何でもするからね。気軽に言ってね」

さやか「悪いね、心配かけさせちゃって……」

まどか「あんなグループ名と振り付け……今聞いただけでも鳥肌が立っちゃうよ」

さやか「ブレイクダンス書いたのはまどかでしょ」


まどか「ほむらちゃんにも付き合わせちゃって」

さやか「転校早々気を使わせちゃったな……」

さやか「(あたし何やってんだろ……)」

まどか「ほむらちゃんは何も知らなかったんだよ。空気読んでくれたけど」

さやか「知らない!?うそ!」

さやか「ほむらは普通に被害者だよね!?名前考えてたじゃん!!」

まどか「ホーリークインテットって言ったときはわたしも驚いたよ」ボソボソ

さやか「本当は何て付ける予定だったの?」ボソボソ


杏子「そこの二人何密談してるんだよー」タッタッタ

マミ「佐倉さん、冷やかしはほどほどにしなさい」



ほむら「仲いいんですね二人とも」

QB「きゅぅーー」

ほむら「ん?」

ほむら「……」ガシ

QB「……きゅ」

ほむら「なにこれかわいい!」ギロッ

QB「きゅー」

まどか「あ、触っちゃ駄目。今日は生ゴミの日だから」

杏子「あんたマジでゴミ食わせてるのか!?」

さやか「そういう生き物なんだって(いい気味だわ)」

ほむら「ふーん」



べべ「ジュベベ」パタパタ

ほむら「?」

ベベ「マースカルポーネ!!マースカルポーネ!!」ピョンピョン

ほむら「うわあ。こっちは生理的に無理」

マミ「暁美さん、立場をわきまえなさい?」ニコッ

さやか「マミさん落ち着いて……」

マミ「元気になった?」ボソッ

さやか「!」

マミ「少しは先輩に頼りなさい。支えてあげるんだから」

さやか「はい!」


夢にまで見た素敵なひと時でした。
まだ夢は続きそうです。




それから一ヶ月は経った気がします。
時間はあっという間に過ぎ去ってしまうものです。

昨夜のナイトメア退治もそこそこに、今日もまた登校します。


さやか「おはよー」

杏子「よーほむら」


ほむら「おはよう。佐倉さん、美樹さん。まるで姉妹みたいよ」

杏子「おはようからお休みまで一緒だからな」

さやか「ほむら雰囲気変わったよね。明るくなった」

ほむら「ええ、とても充実しているわ。あなた達も仲がよさそうで嬉しい」

杏子「そいつは良かった。授業についてこれるか心配だったんだぞ」

さやか「杏子、人のこといえないでしょーが!」

杏子「いつでも相談に乗ってやるからな」


ほむら「ふふっ」

ほむら「日常がこんなに楽しいものだとは思いもしなかったわ」

ほむら「……」

ほむら「まるで夢を見ているよう」クスッ

杏子「案外誰かの夢だったりして!」

さやか「ちょっと大げさじゃない……?(おっ、気づいたかな)」

ほむら「さあどうなのかしら」


マミ「でね、今度自家製のバターを作ってみようと思うの」

まどか「わあ。マミさんすごいです。羨ましいなあ」

マミ「よければ味見してほしいなって」

まどか「本当ですか?やったあ」

QB「きゅー♪」

ベベ「カマンベール!!カマンベール!!」

マミ「チーズじゃないわ。バターよ」

ベベ「マスカルポーネ……」



  ガヤガヤ
     ワイワイ


ほむら「ごらんなさい。まどかも巴さんも幸せそう」

さやか「ベベは?」

ほむら「QBもあんなに喜んでる」チラッ

さやか「ねえってば」

ほむら「さあ今日も素敵な一日を過ごしましょう」




お昼です。

ベベ「マジョマ○コカマンベール!!」

マミ「またチーズ?」

マミ「たまには野菜も食べないと駄目」

ベベ「モヘージュポー」ブンブン

マミ「ベベを思って私なりにメニューを考えたのだけど」

ベベ「ジュベ!!!」ワクワク


マミ「今日のお昼抜きね」

ベベ「マースカルポーネ!!マスカルポ……」

ベベ「……ハァ?」



まどか「ベベはチーズしか食べてないもんね」

マミ「わりと困っているのよ。お店の人に顔覚えられちゃって……」

まどか「チーズに合う野菜があれば……そうだ!」

まどか「パパの作ったトマトが余ってるので持って行きましょうか」

ベベ「マスカルポーネ?」

まどか「チーズと良く合うんだよトマト」

マミ「あら助かるわ。でも本当にいいの?」


まどか「いつもマミさんにはお世話になってるから……」

マミ「ベベー?聞いた?当分トマトだけよ。おなかいっぱい食べましょうね」ニコニコ

ベベ「マジョマ○コカマンベールゥ……」

マミ「ベベ、とっても喜んでるわ」

まどか「お役に立てて嬉しいです!」

ベベ「ギュベベ!!ギュベベ!!」ブンブン

さやか「(何か同情したくなってきた)」



ほむら「そうそう。放課後、佐倉さんに確かめて欲しいことがあるのよ」

杏子「あーん?何用だい」

ほむら「それは秘密。すぐにわかるわ」




授業は終わり。
家に戻ったころには夕方になっています。

さやか「いつ帰ってくるんだろ。心配だなあ」

<キーミハ キヅイテイタカナー♪

さやか「杏子から電話だ。この世界でも通じるんだ」

さやか『やっほー。ほむらの用事は終わった?』

―――――――
―――――

杏子『いやあ、断れなくてさあ。付いてきて欲しいとか、パーフェクトがどうとか――』

杏子『――わりいな!今から風見野なんで帰りは遅くなるよ。じゃっ』

さやか『うん、わかったー』ピッ


さやか「杏子はほむらと晩ごはんか」

さやか「旨いラーメン屋ねえ」

さやか「(風見野……ほむらは違和感に気づき始めたか)」

さやか「どーしよ。先に食べちゃおうかな」

さやか「(両親が海外勤務だと食事に困るよね……)」

さやか「うちにあるのは……あー何もない」

さやか「うん、暇だしマミさんのところに行こう」

さやか「まどかはQBがすぐ側に居て怖いもんね」

さやか「おっし、善は急げ!」




そんなこんなで街中。

さやか「探しましたよ!」

マミ「あら。美樹さんどうしたの」

さやか「今からマミさんの家に遊びに行こうかな、なんて」

マミ「良いわよ。丁度バターの材料を買いに行くところなの。付き合ってくれる?」

さやか「さっすがマミさん、話が早い!」


マミ「美樹さんがいるからたくさん買っちゃいましょうか」

さやか「まかせて下さい。マミさんの御手はこのさやかちゃんが護りますよ」テクテク

マミ「もう、オーバーなんだから」


さやか「ベベはまた鞄の中?」

マミ「お留守番よ。スーパーに行くときはいつも置いていってるの」

さやか「あー……チーズかぁ」

マミ「一度駄々をこねるとなかなか止まらなくって」

さやか「それは大変ですね」

マミ「でもね、あの子のお陰でこうして元気に過ごせたの」

マミ「一人ぼっちの私を慰めてくれたのはベベしかいなくて……」

さやか「マミさん……」

マミ「ごめんなさいね。今はみんながいてとても幸せで幸せで……えへっ」


―――――――
―――――

夢にまで見た素敵なひと時です。
とても幸せそうな姿が印象に残りました。




マミの部屋。


ベベ「」キョロキョロ

ベベ「」テクテク

ベベ「」ポトッ

  ブボボッモワ

なぎさ「暇なのです」

なぎさ「何が『わがままな子はお留守番よ。うふふ』ですか。マミは鬼です」

なぎさ「まどかも余計なお世話です。モッツァレッラなしでトマト三昧はご免ですからねっ」


なぎさ「ブルーチーズばかり喰わされる身にもなって欲しいです」バタン

なぎさ「ここに来てからずっとブルーチーズなのです」


なぎさ「なんなのですか!試されているのですか!?」

なぎさ「あー!マスカルポーネ欠乏症がマックスでぱねえです」ゴロゴロ

なぎさ「カマンベール!ギブミーカマンベール!」ゴロゴロ

なぎさ「ノーモア青カビ!!!!」クワッ

なぎさ「白カビが足りない!!」ダンダン!


なぎさ「……ですが、マミの攻勢はここまで」

なぎさ「わたしはわたしのやり方でカマンベールを見つけ出します」

なぎさ「今、この瞬間、わたしとマミの白カビ争奪戦に終止符を打ちましょう」


なぎさ「使い魔が居れば楽でしたが、身一つでも十分戦えるのです」

なぎさ「白カビさーん、もうすぐ食べてあげますよー」


なぎさ「そうですね――マミのことです」ウロウロ

なぎさ「夜な夜なカマンベール風呂に入っているに違いありません」

なぎさ「さらには、わたしに隠れて寝チーズを嗜んでいることでしょう。ええ、そうですとも」

なぎさ「あの艶やかな肌はまさしく本場のカマンベールあってこそ!!」


なぎさ「ふっふっふ。ベッドの下にカマンベールが大量に!!!」
  
    ひょい
  ぐいっ
 
なぎさ「そういう作戦ですか。ここに隠してたら簡単に見つかりますからね」

なぎさ「やはりここは……お風呂場にチーズの海が!」タッタッタ

  ガラガラ

なぎさ「想定内なのです。浴びたら流すのが礼節。ここにない事も、実はわかってました」ピシャ

洗濯機「」ゴウンゴウン

なぎさ「洗濯機は見るまでもありません。見たくもありません。つまり――」

  バタン

なぎさ「トイレにもありませんか。裏をかかれました。さすがマミ、お見それしましたよ!」カチャ



なぎさ「しかーし!円環力53万のわたしにはわかるのです!フルーティな香りが!」ダダダダ

  パカッ    パカッ
     パカッ
        パカッ
    パカッ

なぎさ「タンスにもないとは……驚きました。やり手ですね。プロの犯行です」

なぎさ「これには脱帽しました。さすが見滝原を手中に収めた『魔弾の射手』なのです」

なぎさ「だけど『なぎさちゃんはいっつもチーズ食べてるよね、飽きないの?』の異名は伊達じゃあありません」

なぎさ「わたしの探索能力に恐れおののくのです」


なぎさ「案外――靴箱に隠れているものです。へそくりは無くともチーズが……」テクテク

  じーっ

なぎさ「……無い。マミはどこにわたしのチーズを隠したのですか!」


なぎさ「!」

なぎさ「こんな言い伝えがあります。桜の樹の下には何かが埋まっていると!」

なぎさ「檸檬でしたっけ?ここ掘れワンワン的なアレなのです」


なぎさ「マミ。あなたの負けなのです!この観葉植物を逆さまにすると……」

  ぐぢゃ
    ぐちゃ
   
なぎさ「あっれ……。土しか出てきませんね」



なぎさ「白カビ……白カビ……」

  おろおろ

なぎさ「ふふ…ふふふふふ……なぎさはとんでもない勘違いをしていました」


なぎさ「なぞは解けましたよ。灯台下暗し!」

なぎさ「初心に返るのが原則にして鉄則なのです」バタバタ


冷蔵庫「!!」


なぎさ「さあ覚悟してください」ギロリ



なぎさ「チーズ!チーズ!おいしいチーズ!!!」パカッ

冷蔵庫「(゚∀゚)」

なぎさ「あああああああ!!!!」

なぎさ「無い!ありません!見つかりません!」

なぎさ「あああああああ!!!!」

なぎさ「あああああああ!!!!」



マミの部屋「ゴゴゴゴゴ」

なぎさ「そうですか。あくまでもわたしのチーズ道に立ちはだかる気ですか」

マミの部屋「ゴゴゴゴゴ」

なぎさ「この巨大なラビリンスを攻略して見せるのです!!!」



―――――――
―――――



マミの部屋「」

なぎさ「いい戦いでした。もう立ち上がる気力さえありません」

なぎさ「今回の勝負は引き分け……ってことにしましょうか」

なぎさ「へっ。痛みすら愛おしいなのです」


なぎさ「!」

なぎさ「お店で買えばよくね?なのです」

なぎさ「行きましょう!急ぎましょう!向かいましょう!」パタパタ


  ガチャ


マミ「ただいまー」

さやか「お邪魔しまーす」


なぎさ「なんということです。財布がどこにもありません!」

なぎさ「先立つものはお金。マネーなのに!マネー!!」

マミ「…………」

なぎさ「マ……ネェ」

マミ「あの……」

なぎさ「…………ぁ」

さやか「(頭痛がするわ……)」

本日はここまで


自分のスレで自演してた作者だったな
この作者のSSは嫌いじゃないんだが最近はずっと迷走してるな
これもつまらなくはないんだが今一つ

>>165
自演はしてません

長期間レス無しには慣れてますし、自分が読みたい物を書いてるだけなので。
読み手と嗜好がずれているのは織り込み済みです。

では投下

>>161の続きからー


マミ「あなたは、どちら様?」

なぎさ「……」ガタガタ

なぎさ「…ギュベベ」ブルブル

さやか「(何してるんだ……)」

マミ「ふざけないで。お名前は?」

なぎさ「水橋……えっと妹がたくさんいて思いだせま……」

さやか『正直に答えたほうがいいと思う……』

マミ「はっきり言いなさい」


なぎさ「百江なぎさ…………なのです」

マミ「ふうん、その指輪。あなた、魔法少女ね」

なぎさ「あっ!しまりました!」

マミ「空き巣に闇討ち、器物破損。あなたのしていること、わかっているの?」

なぎさ「なぎさは探し物をしていただけなのです」

マミ「財布、でしょ」

なぎさ「違いますよ。そんなものには興味ありません」

さやか「そうだよ、だってチーズ……」

なぎさ「今は諭吉を探してます。諭吉がないt」

マミ「なんですって?」

さやか「おい馬鹿」


マミ「情状の余地は無いわね」

なぎさ「ホントのこと言っただけです!無実なのです」

マミ「百江さん。私、怒っているのよ?」

なぎさ『さやか。何とかしろ下さいなのです!このままじゃ殉職です!』

さやか「しっかり聞いてあげても……」

マミ「ちょっと待っててね。美樹さん」ギロリ

さやか「えっ……」チラリ

なぎさ「さやかぁ」プルプル

さやか「マミさんの好きにしていいよ」

なぎさ『わーん、さやか!見損ないました!』

さやか『だって怖いんだもん』



大変な騒ぎでした……。


マミ「……はぁ」

なぎさ「落ち着きましょ、ね?」ガクガク

さやか「……あんたが言うか」

なぎさ『不肖、百江なぎさ。マミに拘束されてしまったのです』

さやか『見れば分かるよ。マスケット銃があんたの頭を狙ってることも』

なぎさ『マミが激おこで漏らしそうです。色んなものを漏らしたら心配してくれそうです』

さやか『やめろ』


なぎさ「ほら、深呼吸です!一緒に!すーはー!」

マミ「百江さん。高層マンションの窓から飛び降りるのは好き?」ニコッ

なぎさ「ひぃぃ!」ブルブル

さやか「マミさん……ちょっとやりすぎじゃないっすか」

マミ「片付けるの大変だったのよ」

さやか「まあまあ、何も盗られてないんだから」

なぎさ「そうです!ごらんの通り何も盗んでいません!」

マミ「……脱いで」

なぎさ「え?」

マミ「脱がないと証明できないわ」

なぎさ「ごめんなさいごめんなさい」

さやか「あんた、実は楽しんでるでしょ」


マミ「それでベベが居ないのだけど、どこに隠れたのかしら」ヒョイ

なぎさ「……ぁ」

マミ「冷蔵庫の中には居ないわね」パカッ

冷蔵庫「(*゚□゚)」

なぎさ「あ、あの!」

マミ「何?話しかけないで」ピラッ

なぎさ「実は……わたしがベベなんです」

マミ「……!!」

なぎさ「今まで黙っていてごめんなさい。でも落ち着いて聞いて欲しいのです」


マミ「はいはい。そんなわけないでしょ。ベベー出ておいでー」ガラッ

マミ「洗濯機の中にはいないわね」チラッ

なぎさ「何が悲しくて洗濯機の中に入るんですか!」

マミ「もう喋らないで。あなたの吐息で宇宙が穢れ切ってしまうわ」

なぎさ「あんまりなのです」

マミ「物置かしら」ガチャ

マミ「お鍋の中にも居ないなんて……変ね」パカッ


マミ「蓋の裏にも居ない」ヒョイ

さやか『変なキャラ付けされてるよ』

なぎさ『狭くて安全な場所が好きなのです。マミは良くわかってます』

マミ「もしかしてお外に出かけていったのかしら」

マミ「まずいわね……」

さやか「(仕方ない。そろそろ話をつけないと)」

さやか「マミさん……今まで騙しててごめんなさい」

マミ「美樹さん?」

さやか「実は……あたし」

マミ「……!!」


マミ「そんな美樹さんがベベだったなんて!」オロオロ

さやか「なんでだよっ!」ダンッ

マミ「目を見れば分かるわ」

さやか「全然わかってない!残念すぎる!」

マミ「いいえ、私にはわかるのよ。全部見えているのっ」

さやか「落ち着いてくださいマミさん。どうどう」

マミ「ベベ……立派に育って……」グスッ

さやか「全部話しますから、ね?」

マミ「ふふふふふふ」ナデナデ

さやか「……聞いてます?」



―――――――
―――――


マミ「魔獣……円環の理……。そう、たしかにそうだった」

マミ「ナイトメアもサオトメアも居なかった」

さやか「サオトメアって何よ。早乙女先生ディスってんの?」


マミ「この世界が暁美さんの……結界。嘘を付いている様子ではなさそう……」

なぎさ「事実なのです。ほむらの雰囲気が変わっているのです」

マミ「心当たりは有りすぎる」

マミ「暁美さんのあんなところやこんなところ……あんなところ」

さやか「何で二回言ったの?何かあったの?」

マミ「認めたくないけど、認めざるを得ない状況ね」


マミ「それでこの世界をどうやって戻すつもりなの」

なぎさ「そのためのまどかです。救済に来たのです」

さやか「記憶と力をあたし達が背負って覚醒のタイミングを見守ってる感じなんだ」

さやか「罪滅ぼし……になってればいいけど」

マミ「暁美さんに幸せでいて貰いたくて様子見しているのね」

なぎさ「!すでのな」

なぎさ「わたしは見滝原をチェックし、インキュベーターの封印を探し出す役割」

なぎさ「そう、チーズのように!」

マミ「あなたは正座、続けなさい」ニコニコ

なぎさ「はぃ」


さやか「マミさん」

マミ「えっと……何かしら」

さやか「今までどおり接してくれると嬉しいです」

マミ「難しい話よね。鹿目さんが円環の理で……美樹さんやべべも……」

マミ「記憶が戻りきったら、私の態度が豹変するかもしれないのよ?」

さやか「どの世界でもマミさんは……変わりません。最高の友達で憧れです」

さやか「この偽りの世界でも」

さやか「だから…このままでいいんです。今まで通りのマミさんでいて下さい」

さやか「あたし達、五人……まどかも、杏子も、ほむらも、最高の友達なんですから!」

マミ「あ、うん」


マミ「夜ご飯のお手伝いして。ほら、半分あなたのせいだし」プイ

さやか「あれ?(ここは手をかたく握り合って真の友情を確かめる感動の展開が……)」

マミ「テキパキ動くっ!」

さやか「はい!」


マミ「……こんなに嬉しい言葉は初めて」ボソッ

なぎさ「むぅ……」


マミ「うん。ばっちりね」コトコト

マミ「そうだ、明日バターの味見してくれる?」

マミ「最高の友達を呼んで集まりましょうよ。贅沢な紅茶とケーキも用意するわ」

さやか「マミさん……!」

なぎさ「ケーキですか!マミのケーキですか!食べたいです!」ガタッ

マミ「正座」

なぎさ「わたしベベですよ?もはや対等。友達?いいえ家族に匹敵し――」

マミ「正座」

なぎさ「ごめんなさいなのです」シュタッ


マミ「ずっとここに居ていいけど、明日のお茶会のときだけ、あなたはお外」

マミ「QBに見つかったら大変でしょう?」

なぎさ「ベベとして参加します!」

マミ「洗濯機」ボソッ

なぎさ「ちょうしにのりすぎましたごめんなさいほんとかんべんしてください」

マミ「体は童女。頭脳は大人なのに……残念ね」

なぎさ「チーズのためなら何でもしますから」


さやか「ははは……チーズ愛がすさまじい」


ほんのちょっとだけ、なぎさが可哀想だと思ってしまうのでした。
そうだ、明日チーズを食べさせたら幸せを感じてくれるでしょうか。



家に帰ると杏子がお出迎えです。

さやか「ただいま、杏子」

杏子「すげー遅かったじゃん。お泊りかと思ったぞ」

さやか「いやあ、色々あってね。マミさんと話し込んで、夕飯ご馳走になってたんだ」

杏子「んー?今日遅いし明日聞かせてよ。じゃー先に寝る」

さやか「お休みー」

さやか「(って、ちがーう!)」

さやか「ねえ杏子」

杏子「なに?」

さやか「今日ラーメン屋行ったんでしょ……どうだった?」


杏子「おー。めっちゃうまかった。魚介最高だね。時代は魚だよ」

さやか「迷わないで着いたの!?」

杏子「バスで一本だ。ちょっと遠いけど色々懐かしいもの見れたし、楽しかったなあ」

さやか「(あれ?風見野もばっちり再現してたんだ。気づかなかった)」

さやか「今度連れて行ってよ、そのラーメン屋」

杏子「ああ、さやかの頼みだ。絶対に連れて行ってやる」


杏子「でもあそこらへん不審者がうろついてるからなあ」

さやか「不審者?」

杏子「おっさんだよ。ガキにタカってるのをちらっと見たんだ」

さやか「なにそれ怖い」

杏子「ガキがおっさんにタカってたかも」

さやか「似てるようで全然違うよそれ」

杏子「もう殴り合いでさあ。ほむらと一緒に応援してた」

さやか「風見野まで行って何してるのよ」

杏子「そしたらほむらが、どっちが勝つか賭けましょうよ、って」

さやか「うん。馬鹿な提案だね」

杏子「あたしが勝ったからガキにりんごジュース奢ってもらった」

さやか「……乱入したの?」


翌日は待ちに待ったお茶会です。ケーキと紅茶が振舞われるようです。
まだ夢は続きそうです。



お茶会です。ケーキ美味しそう。食べたい。


マミ「どう?特製のシフォンケーキ。お口に合うといいんだけど」

さやか「めっちゃうまいっすよ」

杏子「うめえ!舌がとろけそうだ!」

まどか「この紅茶も絶品。とっても美味しいです」

マミ「グランボアシェリ・バニラと言うのよ」

マミ「今日のために封を切ったの。最高の友達と最高のお茶会がしたくて」

まどか「ええ!?マミさんに何の変化が!」

マミ「ナイショ。女の子は秘密が多いものよ。ね、美樹さん?」

さやか「あははそうですね(まだ話せるわけ無いよなあ。この世界やなぎさのことも……)」

杏子「……ナイショねえ」グビグビ


杏子「そーいやほむらはどうした?」モグモグ

マミ「何でも大事な用事があるんですって。遅れてくるそうよ」

さやか「あいつの分は残してるから平気平気」

まどか「ほむらちゃん……」

杏子「どうした?心配ごとか?」

まどか「何かね。胸が苦しくなるの。遠い世界に消えちゃう気がするの」

さやか「気にしすぎだって!すぐに来るよ」

まどか「そ、そうかな」


マミ「佐倉さん、紅茶のおかわりは?」

杏子「サンキュー。もらうよ」

QB「きゅーう?」

まどか「だめ!ほむらちゃんの食べちゃだめっ!」パチン

QB「ぎゅェッ」ズシャァァァアアア

まどか「QBはミミズと生ゴミだけ食べてればいいの。あと視界に入らないでね」

QB「……きゅっぷっ」モグモグ

杏子「ほむらさえ揃ってればなあ」

まどか「絶対に来るよね……」

さやか「(ベベが居ないの誰も気づいてないのかな?)」

マミ「美樹さんもおかわりいる?」ニコニコ

さやか「マミさん気が利くぅ!」



屋上。

ほむら「ベベ。あなたにチーズの差し入れよ」

ベベ「マッスカルポーネ♪」

ほむら「いつもと違うチーズが食べたかったのよね」

ほむら「はい、ヴァランセ。色んなところを探し回ってやっと手に入れたわ」

ベベ「ムベムベブチャッチャ」ブンブン

ほむら「もっと喜びなさいよ」

ベベ「マジョマ○コカマンベール」ピョンピョン


ほむら「それにしても……」

ベベ「ジュベベ」シュタッ

ほむら「はあ……高層マンションの屋上で反省なんてどういう了見よ」

ベベ「マスカルポーネ!!マスカルポーネ!!」

ほむら「あなたと初めて会ったときから思っていたことがあるの」

ベベ「モヘー?」

ほむら「それ何語よ。全然伝わらないし、可愛いと思ってやってるの?」

ベベ「マスカルポーネ」ブンブン

ほむら「何かいらいらする」


ほむら「仕方ないわねえ」

  ブンッ

ベベ「マスカルポーネ?」<何シタ?

ほむら「ちゃんと字幕がでたわね。うんうん私にも理解できる」

ベベ「マジョ○ンコカマンベール!!」<最初カラヤットケ。

ほむら「で、私の頭でも分かるように説明してくれる?」


ベベ「モジュモジュ」<ベベ、反省スルスル。

ほむら「うん」

ベベ「ジュベベ」<チーズ探ス。

ほむら「うん」

ベベ「カマンベール!!!」<白カビ足リネェ。

ほむら「そう、カマンベールが食べたかったのね」

ほむら「もうずっとチンプンカンプンだったのよ」

ベベ「カマンベールゥゥー!!!カマンベーェェァォル!!!」<今ノ字幕イラナイ。

ベベ「モミャヘイ!」<カマンベールッテ言ッテルダロ。察シロ。

ほむら「何よ何よ、どんな口答えよ」


ほむら「今回は水に流してあげる。でもせっかく用意したチーズ……」

ほむら「もったいないから残さず食べなさいっ」

ヴァランセ「……」

ベベ「マジョマ○コカマンベール!!!!マジョマ○コカマンベール!!!」<コノチーズ苦手。

ほむら「ヴァランセもおんなじチーズにしか見えないけど……?」


ベベ「ムベチャ」<シェーブルタイプノチーズハ正直好ミジャナインデスヨネ。チョット癖ガ強スギテ。タダ白カビが表面ニ付イタタイプノモノダッタラ、上澄ミダケ有難ク頂戴シタノデスガ。デモナンデ、ヴァランセナノデスカ。山羊乳デ、シカモ黒炭ニ覆ワレタモノヲ手ニ取ルナンテ素人デスカ。馬鹿デスカ。味見シタンデスカ?マア、気持チダケハ受ケ取ッテアゲマショウ。ゴ足労オカケシマシタネ。ケッ。


ほむら「字幕が……世界を蹂躙してる」

ほむら「でも適当に選んだのに、白と黒の二種類があるチーズって珍しいわね」


ベベ「マッスカルポーーネ」<黒ハ遠回リ。白ハ一見美味シソウ。

ほむら「どっちも同じ中身でしょ?」

ベベ「ジュベベベ」<山羊チーズ、一番怖イ。

ほむら「やっぱりカマンベールがいいのね?」

ベベ「マジョマ○コカマン○ール!!!」<ソノチーズ売ッテナイ。金ナイ。¥5000寄コセ。

ほむら「なんて自分勝手な……。でも、そうね。たしかに白カビのチーズは見滝原には存在しない」

ほむら「意外な盲点だった。ちょっと海外から入荷しましょうか」ニコッ


ベベ「マスカルポーネ」<中二病カヨ。

ほむら「中二に何言っちゃってるのよ。それに今も闘病中よ」

ほむら「入荷入荷……」

  グオォン

ほむら「あー、ケーキ食べたい。マミの特製ケーキ」

ほむら「我慢できないわ。早く寄っていきましょう」

ほむら「このチーズは後で私が食べておくから、ここで反省していなさい」

ベベ「ジュベベ」<オ茶会ズリィ。喰イタイ。

ほむら「チンジャオロースー!!」<貴女が悪いのでしょう?

ほむら「ホイコーロー!!」<暫く待ってなさいな。



ほむら「遅くなってごめんなさい」

まどか「あ!ほむらちゃんだ」

ほむら「心配かけたわね、まどか」

杏子「遅かったじゃん。マミのケーキすっぽかしてどこ行ってたんだ?」

ほむら「ちょっと大事な用事を済ませてきたの」

マミ「いらっしゃい。さあこっちに来て一緒にパーティをしましょう」

ほむら「パーティ?」

さやか「お茶会だよ!早く早く!」


シフォンケーキ「!」

ほむら「まあ!盛り付けからこだわっているのね」

マミ「頑張って作ってみたの。お味はいかが?」

ほむら「これは……!!」モグモグ

ほむら「優しくて……穏やかな味がする」バクバクバクバク

マミ「良かった。おかわりはまだまだ用意しているわよ」

ほむら「ムベチャムベチャ」

マミ「?」
杏子「?」
さやか「?」

ほむら「ほむーほむほむ!」<喉に引っかかってしまったのよ。

まどか「はい、お水だよ」

ほむら「」ゴキュゴキュ

ほむら「助かったわ」


ほむら「この紅茶も美味しい!」ズズー

マミ「でしょう?ケーキに合いそうなものを考えて選んだのよ」

杏子「すげー満面の笑み」

まどか「癒しだよね。どこか抜けてるところが可愛い」



QB「きゅ~」

杏子「てめえは生ゴミ班だろ、こっちくんな」

QB「きゅ」

さやか「邪魔」ゲシ

QB「きゅっ」


ほむら「オムハヤシ」<消えなさい。

QB「きゅ?」


さやか「いいな、あたしも字幕出したい!」

ほむら「ペスカトーレ」<企業秘密よ。


まどか「えい」パシッ

QB「きゅー」ズシャァァアァア


―――――――
―――――

ほむら「……ベベが居ないわね」コクコク

QB「……きゅ?」

杏子「マジだ!タンスの中にも……居ない!」

まどか「ベベはお鍋の中でしょ?」パカッ

まどか「……居ない!」

さやか「(気づくのおせーよ)」

マミ「今ちょっと立て込んでるの」

ほむら「立て込んでる?」

マミ「天日干ししているのよ」

ほむら「反省……させているんですね?」

マミ「!」

マミ「暁美さんの言うとおりよ。実は、昨日チーズを――」


ほむら「なるほど……チーズを切らしているんですね……」

ほむら「ちょっとベベを借ります。一緒にチーズを買ってきますから」ニコニコ

マミ「……」

マミ「いいけど、あの子をチーズ売り場に近づけると大変よ?」

さやか「(魔女の存在にやっと気づいたのかな?)」

ほむら「大きめのお店に行くので、結構遅くなるかもしれません」

マミ「いいわ。それじゃあ茶葉も買ってきてもらえる?銘柄は――」

まどか「わたしもほむらちゃんと行く!」

ほむら「私一人で平気よ。とても遠いし、ご家族も心配するでしょう」

まどか「う……」

ほむら「どうしてもと言うなら……考えてあげるけど」

まどか「わかった。お家に帰るね……」

ほむら「ええ、きっとそれが正しいわ」


まどか「ほむらちゃん…………」

ほむら「まどか……」

まどか「かわりに業務用のケチャップ買ってきてくれると嬉しいかな」

まどか「パパに頼まれてたの」

さやか「あたし醤油切らしてる」

ほむら「よ、喜んで……」

マミ「暁美さん、ものの序でにミルクと……」

杏子「難儀だな」



屋上。

ほむら「ほむ?ほむほむ!ほむぅぅうう!」

ベベ「ジュベ」<日本語デ、オッケェ。

ほむら「……あなた、人間でしょう。もう隠さなくていいわ」

ベベ「モニュモニニュベベ」スタスタ

  ブボボッモワ

なぎさ「マミが漏らしましたか」

なぎさ「マミならいつか漏らすと思いましたよ」

なぎさ「あのマミのことですからね。漏らすことは知っているのです」

なぎさ「漏れ漏れなのです」


ほむら「いいえ。マミは何も話していないわ」

なぎさ「そうでしたか。ほむらにまんまと騙されたのですね」グスッ

ほむら「……騙した覚えはないのだけど」

ほむら「不都合なら、黙っておきましょう。あなたを悲しませたくないの」

ほむら「ただ、字幕を読むのって面倒なのよ。それにあなたの存在は……ね」

ほむら「だから、たくさんチーズ買ってあげるわ。さあ行きましょう百江なぎささん?」

なぎさ「ひゃっほーなのです」<嬉シイ。

ほむら「こいつ……使いこなしてやがる……」



ショッピングモール。


なぎさ「チーズ!チーズ!美味しいチーズ!!!」

ほむら「見た目は普通の女の子ね」


店員「いらっしゃいませ」

なぎさ「考えられないくらい充実した品揃えなのです」

ほむら「遠出した甲斐はあったかしら?」

なぎさ「近場のお店は、ブルーチーズ以外いつも売り切れでした」

なぎさ「ここにもたまに行くのですが、やはり白カビはありませんでした」

なぎさ「今日は何もかも全部取り揃えてます」

ほむら「お店で走ったら駄目よ」

なぎさ「ここは天国か何かですか!素晴らしい陳列なのです!」


ほむら「カマンベールと……後何が食べたいの?」ヒョイ

なぎさ「ここからここまで!全部買い取りなのです!」クワッ

店員「ありがとうございます」ペコリ

ほむら「ちょっとぉ!そんなお金どこにも無いわよ!」


「キャー」
「スゴーイ」
「セレブ!!」


ほむら「……」

ほむら「我慢せずに好きなだけ買いなさい」ナデナデ

なぎさ「本当ですか?本当にこの売り場のチーズを全部買い占めていいんですか!?」

ほむら「時を止める魔法少女でよかった……」


ほむら「売ってて良かったわね。それじゃあ戻りましょう?」

なぎさ「まあるいチーズは猫の夢!」バクバク

ほむら「ねえ、なぎささん」

なぎさ「ほむら。わたし名前言いましたっけ?」モグモグ


ほむら「……」

ほむら「あなた、今幸せ?」

なぎさ「ええ最高に幸せです。後悔なんてありません」ムシャムシャ

ほむら「みんなが幸せに過ごしてくれれば……もう何も怖くない」ガシッ

なぎさ「い、痛いです。すごく千切れそうです」モシャモシャ

ほむら「もう少しだけ……こうしていたい」

なぎさ「ほむら?何をしているんですか」パクパク

ほむら「もうすこし、もうすこしだから……」ズズズ



マミ「お帰りなさい、なぎさ。遅いから心配したのよ」

なぎさ「あのーご迷惑をおかけしました。これはほむらからの茶葉です。気持ち多めだそうです」

マミ「ちゃんと等級まで……」

マミ「……ミルクは?」

なぎさ「あ……。てへっ」

マミ「無くてもしばらく持つでしょう……ちょっと悪ノリが過ぎたかしら」

なぎさ「ほむらを困らせたかったのですか?」

マミ「せっかくだから頼んだだけで、今すぐ必要と言うわけではないのよ」

なぎさ「良かった。さやかとは大違いです」

マミ「美樹さん?美樹さんの家まで行ったの?」

なぎさ「なのです。お茶会を終えて帰宅してるだろうというほむらの提言があったのです」


なぎさ「さやかに醤油を渡したときは苦い顔をしていましたよ……」

なぎさ「本気で買ってきたのかよ、と目で訴えていました」

マミ「大丈夫。因果値50は溜まったから無駄な買い物ではないわよ」

なぎさ「?」

なぎさ「案外まどかも悪ノリかもしれません」

マミ「今度お礼に何か持って行きましょうか。暁美さんの好きなものは……」


なぎさ「ほむらは忙しそうなのです。そっとしておくのです」

マミ「ん、魔女がらみ?」

なぎさ「おそらく」

なぎさ「ほむらが全てに気づいたとき、結界は完成し、偽りの世界は終わるでしょう」

なぎさ「もしそうなったら見滝原の外壁は崩れ、封印がどこかに現われるのです」

なぎさ「多分、自分が魔女だと認めたくなくて奔走しているのです。悔いを残さないように……」


マミ「なぎさ……」

マミ「受け入れられないということは、必ずしも悪いことじゃないの。ちゃんと最後まで付き合ってあげましょう」

マミ「それが、最高の友達というものよ」

なぎさ「マミ……」


マミ「それと。はい、これ」

なぎさ「?」

マミ「特製のバターチーズケーキとバニラの紅茶。あなたも――最高の友達なのよ」

なぎさ「マミぃ……」ブワッ

マミ「泣かないで。私も……泣き虫なのは知ってるでしょ」グスッ



なぎさ「美味しい……美味しいのです」ポロポロ



マミ「まだまだあるわよ。お腹いっぱい食べなさい」ニッコリ

なぎさ「え。もう十分……」

マミ「……十分?」

なぎさ「カマンベール食べ過ぎてお腹がはち切れそうなのです」

マミ「なぎさ。こっちに来なさい」トントン


マミ「暁美さんに幾つチーズを買わせたの?」

なぎさ「ひっ」

マミ「正直に答えなさい」

なぎさ「さ、三個……」

マミ「暁美さんに電話してもいいかしら」

なぎさ「割と三個です!電話だけはやめるのです!」

マミ「121℃、15分」

なぎさ「うっ……何の数字なのですか……目が怖いですよ、マミ」

マミ「嘘を付く子は消毒よ」

とーか!



夢のような生活は続きました。
幸せな時間はあっという間に過ぎ去ってしまうものです。

なぎさが元気になって良かった。二人とも幸せそう。


さやか「なぎさとマミさんが思いのほか馴染んでて良かった」

さやか「(だけどベベがなぎさだとほむらに知られた……)」

さやか「(なぎさとほむらの関係がこじれる前に、ヒントを少しだけ出しておこう)」

さやか「なぎさの魔法が原因、って結論に至られたら厄介だもんね」


さやか「……何だか悪役みたいで嫌だな」

さやか「それにしてもどこいったんだろあいつ」

さやか「二日前から学校休んでるし……家の電気も付いてない」

さやか「参ったなあ。街は変わりないから何処かに居るはずなんだけど」

さやか「杏子にも話しておこう……まどかは、QBの監視がなあ」



ほむら「幼い眠りをまもりたい門番♪」

使い魔「Gott!」ヒョコッ

使い魔「Kreuz」ピョン

使い魔「Wunder」パシュ

使い魔「Segen」ムニョ

ほむら「よく働いてるわね、お疲れ様」ナデナデ

使い魔「♪」

ほむら「あなた達は……杏子に見られていたわね」ナデナデ

使い魔「Ja!」


ほむら「 い つ も お ま え は わ ら い も の 」ナデナデ


使い魔「Zukunft!!!」ガタガタ
使い魔「Teufel!」ブルブルブルブル
使い魔「Hexe!」ブルブルブルブル


ほむら「大丈夫よ。私がテキトーに取り繕ったから」

使い魔「♪」

ほむら「さあ、業務に戻りなさい」

ほむら「キリンの向こうも、やまネコの向こうも仕舞えたのだから……」

使い魔「Wohl♪」

ほむら「くっ……!」

使い魔「!?」

ほむら「ありがとう、まだ体調が……優れな……ぃ」バタッ

使い魔「!!」
使い魔「!!」



夜中。寝室。

さやか「――ってことなんだ。今まで黙っててごめん」

さやか「信じられないかもしれないけど……事実なんだよね」

杏子「円環の理……魔獣……か」

杏子「……やっと話してくれたんだな」

さやか「え!知ってたの?」

杏子「薄々気づいていた。どう考えてもおかしいってね」

杏子「幸せ過ぎるんだよ、この世界は」

杏子「ナイトメアは儀式で祓える。その割に見返りが大きすぎる」

杏子「魔法少女はもっと過酷なものだった気がするんだ……血で血を洗うようなさ」

さやか「……鋭いなあ。杏子はこうでなくっちゃ」


さやか「……怒らないの?」

杏子「何で?」

さやか「良かれと思って黙ってたし、騙したと思われても仕方の無いことだと思うから」

杏子「さやかを信じてたからね。不安だったけど怒りは湧かないよ」

さやか「へ、へえー。いい所あるじゃん杏子……」


杏子「しゃあない。ほむらの最期は看取ってやるよ」

杏子「宇宙が創られる前からの腐れ縁なんだろ」

杏子「んで、ほむらは学校休んでたな。探してどーするつもり?」

さやか「うーん……せめて、ヒントだけはあげたいんだよね。気づいてるか怪しいし」

杏子「そこらへんは任せるけど。のこのこヒントくれてやって平気なのか?」

さやか「というと?」

杏子「魔女ってのがいまいちピンと来ないけどさあ。ここが結界なんだよね」

さやか「そうだよ」

杏子「人がいる。建物がある。食べ物だって事足りてる」

杏子「ほむらが魔女になったら街に住み着いてる全員の命が危ないんじゃないか」


杏子「見滝原一帯にナイトメアみたいなのが湧くんだろ?」

さやか「……うん、きっと出てくるだろうね。風見野にも」

杏子「あたし達で何とかできるのか?」

杏子「幾らさやかが強くたって、経験を積んだからって、戦力は四人だ」

杏子「まどかは使い物にならないから除外。ショックを受けそうだ」


さやか「でもこのままじゃいけないのは……」

杏子「わかってるけど、答えを誘導するのもちょっと引け目を感じるんだよね」

杏子「自殺スイッチを他人が押すようなもんじゃないか」


さやか「押すわけじゃない。スイッチの存在に気づいてるか確かめたいの」

さやか「ずっと自分の世界に逃げ込んでたら駄目だよ」

さやか「だからね、誰かの手助けが必要だと思ってるんだ……」

さやか「ほむらはなぎさとは初対面だし、役割も知らない。敵対するのはごめんだもん」

杏子「気の済むまで夢に付き合えばいい。ほむらは案外賢い奴だから自力で察してくれる」

杏子「と言っても、さやかもほむらもバカ正直だから……はぁ、悩ましいねえ」



さやか「……いつか来る日に備える必要はある。もう少しだけ話を聞いて欲しい」

さやか「過程はどうであれ、行き着く先は同じ。示し合わせは不可欠だよ」

杏子「策があるなら手短に頼む」

さやか「結界が出来上がったら、あたし達で壁の綻びを壊して、封印の探索をする」

さやか「杏子には、この手助けをして欲しい」

杏子「多少どころじゃない犠牲がでるぞ」

さやか「速攻でケリをつけちゃえばいい……。魔女も使い魔も無視して封印の破壊を最優先する」

杏子「覚悟は出来てるのかい」

さやか「それを私に聞いちゃうの?」

杏子「はは、遠い処からわざわざ来てくれたんだっけ」

杏子「もう答えてるようなもんか」


杏子「……」

さやか「……」

杏子「気をつけろよ。ここは、ほむらワールドだ」

杏子「ほむらがさやかに会いたくないと思えば、何しても会えなくなる世界だ」

さやか「知ってる。まどかがずっと木目を数えてたころから……」

杏子「木目?一日中?」

さやか「英語嫌いだから……まどか。で、サボってる間ずっと木目」

杏子「他にも暇つぶしはあったんじゃないの」

さやか「遊園地に行くとか?」

杏子「庭の手入れ」


さやか「杏子はドライで現実的だね」

杏子「ドライなら、あんな頭おかしい話は信じない」

さやか「言ってくれるね……。マミさんはすぐに信じてくれたよ」

杏子「マミは関係ないだろ……」


杏子「……寝るよ」

さやか「寝ようか」

杏子「明日も探すのか?」

さやか「うん。明日は見つかる気がする。どこまで気づいてるか確かめる」

杏子「だったら一緒に寝てほしい」

杏子「背中貸してくれよ」ゴソゴソ

杏子「…………」


さやか「……苦しい。抱きつかないでよ」

杏子「……さやかの背中、あったかい」

さやか「杏子……」

杏子「懐かしい……」ギュ

さやか「……杏子の体……熱い」

杏子「やっと会えたんだ。絶対に……離さない」

さやか「こっちまで熱くなるでしょ……」



翌朝。平日ですが学校はお休みします。


さやか「突然伺ってすみません」

マミ「大事なときなんだから良いのよ。それに、にぎやかな方が楽しいじゃない」

さやか「なぎさは?まだ寝てるの?」

なぎさ「むにゃむにゃ……もう食べられません……」Zzz

さやか「あらら(小学生だもんね)」

マミ「何だか疲れているみたいで、二、三日前から元気がないの」

なぎさ「うーん……鮭ちゃう……」Zzz

さやか「(……顔が青白い?)」

杏子「こいつがベベか……普通のガキだな」


                 パラディーゾ・ホーリーナイト
マミ「……百江なぎさという円環の聖なる騎士よ。黒き幸を断ち切る祝福の剣なの」

マミ「佐倉さんも、この世の真理を聞いたのよね」

さやか「(ホーリーナイト……黒猫さんの名前かな?)」

杏子「さやかから全部な。一から十まで頭に叩き込んだから……」

マミ「そう。なら私から話すことは何もないわね」

さやか「(どうでもいいけど、騎士なのか剣なのかだけハッキリして欲しいわ)」

マミ「美樹さんも怖い顔しないの。一番辛いのは暁美さんなんだから」

さやか「悪いのは全部QBなんだけどね」

マミ「QBねえ……。昨日鹿目さんの近所でQBをたくさん見かけたの。驚いたわ」


さやか「たくさん?たくさん居たの?」

マミ「集団でゴミ捨て場を漁っていたわ。ちょっと怖かった」

杏子「嫌な想像しちゃったよ……」

さやか「だったら、急がなきゃ!」

マミ「美樹さんどうしたの?」

さやか「ほむらを探しに行きます。QBが動いたとなると……かなりマズい」

マミ「私も行くわ」

杏子「全員で乗り込んでもいいんだぞ」


さやか「いい、一人で十分。もし戻ってこなくてもなぎさが多分何とかしてくれる」

マミ「あてはあるのかしら」

さやか「円環時代に培った勘だよ!」

さやか「絶対に戻ってくるから!紅茶とケーキよろしくね!」ダッ

杏子「お、おい!」

マミ「……佐倉さん。行かせてあげましょう」


そんなこんなで絶不調の中、決着をつけようと思いました。
向こうが望むなら、夢のような現実を突きつけてやります。



なぎさ「……」Zzz

マミ「……」

杏子「……なあ、何で止めた」

マミ「……」

マミ「……」

マミ「い い 加 減 起 き な さ い !」

なぎさ「……」Zz

マミ「あなたの考えよ……私と佐倉さんに説明して」

なぎさ「……いけないのです」


なぎさ「……動いてはいけないのですよ」

なぎさ「ほむらを説得できるのはさやかだけなのです」

なぎさ「さやかはほむらの事を良く知っています。ほむらもさやかの事を深く知るでしょう」

なぎさ「……魔女を深く知らないマミ、杏子には理解の及ばない話に発展するのです」

マミ「……」

杏子「……」

なぎさ「QBがたくさん居ることもおかしな兆候なのです。だからわたしは止めました」

なぎさ「インキュベーターの狡猾さは人の身で対抗できるものではないのですよ」

なぎさ「だからさやかを信じるのです。わたしも何だか気だるいですし……」


杏子「……付いていったところで無駄なんだな」

なぎさ「無駄なのです」

マミ「なぎさがこうも意固地になるなんて……不安でしょうがないわ」

なぎさ「……わたしだって不安なのです。手伝いたいのはやまやまです」

なぎさ「ですが、さやかのテキトーさ加減は折り紙つき!」

なぎさ「多分大丈夫かもなのです」

杏子「まど神は何でこいつを選んだ……」

マミ「仮にも神様なんだから考えあってのこと……なのかしら?」

なぎさ「だからチーズでも食べて、さやかの帰りを待つのです!」ニコニコ


なぎさ「マミぃー!紅茶が飲みたいです!バニラのが飲みたいのです」ニコニコ

マミ「まだあったと思うわよ」

なぎさ「やったぁー」

マミ「あーん可愛い」

なぎさ「杏子もまったりくつろぐのです!」

杏子「いいのかなーこれで」

なぎさ「いいのです!」



ほむら「今日は燃えるゴミ……の日」イソイソ

さやか「やっほー、ほむほむやっと見つけた」

ほむら「おはよう、美樹さん。ゴミ出し終わったらお茶でもしましょうよ」

さやか「シーツ被ってゴミ出し?」テクテク

ほむら「朝は冷えるから……で、一応聞くけど何用かしら」テクテク

さやか「学校に来てないから心配でね。無断欠席してるほむらが気になって」

ほむら「担任には伝えたわよ?お腹壊したって」

さやか「へ?(聞いてないよ)」

ほむら「?」


ほむら「あまり知られたくなかったの。ほら、イメージ崩れるし」

さやか「大食いでもしたの?」



             「いいえ」



ほむら「あなたには理解できないかもしれないけど……」

ほむら「……勢いで買ったチーズを食べたのが全ての始まりね」

さやか「(出オチだよ。全ての始まりとか言葉選んでも出オチには変わりないよ)」

さやか「あんたチーズ食べるんだ」

ほむら「初めて買って、初めて食べたの」

さやか「ほーほー(だから出オチだって)」

ほむら「外が黒くなってる珍しい種類の一品よ。どうなったと思う?」

さやか「体に合わなくて崩したんでしょ……」

また明日とうかしますのし


ほむら「あなたには隠し事できないわね」

さやか「自分で言ってたじゃん。馬鹿にしてるの?」

ほむら「滅相も無いわ。良く気づいたわね的な意味で言ったの」

さやか「病院行こうよ。頭のほうが先ね」

ほむら「お腹を壊すという表現が直接的過ぎて、怒っているのね……」

さやか「全然違うよ。まじで何言ってるんだ」

ほむら「美樹さんもまだまだ純ね。唐突に、うんこ、って言ったら笑うタイプ?」

さやか「違うから!子供扱いはやめて!」


ほむら「そうねえ……」

ほむら「オブラートに言うと、上は洪水、下も洪水だったのよ」

さやか「なぞなぞっぽくしても無駄だよ!生々しいわ!」

ほむら「デトックスとも言うのかしら」

さやか「ちょっとズレてる!」

ほむら「意味も分からない癖にツッコミなんてどうかしてるわ」

さやか「さすがにわかるよ。さやかちゃんに毒吐きすぎでしょ」

ほむら「巧いこと言ったつもり?少ししか笑えなかった」フフッ

さやか「(めんどくせえ)」



ほむら「そうだ、昨日まどかからお見舞いの品を貰ったのだけど、少し食べていかない?」

ほむら「ここでの立ち話は近隣の迷惑だと思うの」テクテク

さやか「まどか知ってたのかー(……探し回ってたあたしが馬鹿みたいじゃん)」テクテク

ほむら「どうせ暇なんでしょ?明日にでも自殺する予定なんでしょ?」

さやか「そうだよ」

ほむら「え!?え?!」オロオロオロ

さやか「そこで素になるかな普通」テクテク



家。

さやか「(普通の家だ)」

ほむら「粗茶ですが。あとコレ」

さやか「いえいえ、お構い……トマト?何で?」

ほむら「まどかがお見舞いに――」

さやか「オッケー全部理解した」



さやか「で、何でお茶にもトマト入れてるの?綺麗な赤が浮いてるよ」

ほむら「知ってた?お茶と一緒にトマトを食べると体に良いのよ」

さやか「目がマジだけどジョークだよね?」

ほむら「まどかが言ってたから事実よ。あの子は嘘を付かないから」

さやか「(頭はいいのに。色々可哀想な子だなあ)」

ほむら「トマト多すぎるのよね……。布団が片付けられなくて……。ほらっ」ガラッ

さやか「押入れに置くもんじゃないよ、トマト」ピシャッ

ほむら「色々考えた結果がこれ。これしかなかったのよぉぉぉ……」グスッ

さやか「何で泣くのさ!周りの住民に配りなさいよ!」

ほむら「住民は、トマトなんか求めてない!」


さやか「(違う違う。ほむらに乗せられてちゃ話が進まない)」

さやか「知久おじさんのトマトなんてどうでもいいよ」ムシャムシャ

知久「こんなに美味しいのに……生でもいけるのに?」モシャモシャ

さやか「今から、あんたにヒドいこと言うと思うから……」

ほむら「ヒドいこと?」

さやか「恨んでもいい。怒ってもいい。でも大切なことなんだ」

ほむら「…………」

ほむら「藪から棒にシリアスなんて、あなたには似合わないわよ」ギロリ


さやか「(雰囲気が変わった!)」


さやか「ほむら、この世界ってどう思う?変だと思わない?」

ほむら「変?急に何よ……」

さやか「ナイトメアとかさ」

ほむら「実はサオトメアだったりして」

さやか「あんたもか!早乙女先生が不憫すぎるだろ!」

ほむら「聞いた?また振られたそうよ。今夜も早乙女先生の生首を回収する仕事が……」

さやか「バケツ持って行くわ」

ほむら「ぬめぬめしてるのよね、あのスライム」

さやか「今週分のゴム手袋はあんたが用意してよね」

ほむら「まだあったかしら……」ゴソゴソ


さやか「(ナイトメアは心当たり無しかな)」

さやか「もっと意見聞かせてよ。違和感すら無いのは……」

ほむら「別段。この世界では、不可解な出来事は起きてないわ」

ほむら「この世界では、ね」

さやか「見滝原にこんだけ人が居るのに、魔獣が居ないのは不思議に思わない?」

ほむら「魔獣?はてな」ニコッ

ほむら「あなたはそれを見たのかしら。居ないのは良いことじゃないの?」

さやか「良いことだと思う。でもおかしいよ……」

ほむら「夢のような世界。夢かもしれないと疑いたくなる気持ちは分かるわよ」

ほむら「はじめは色々試行錯誤したわ。そして証拠も集めた」


さやか「だったら、そろそろ違和感の一つや二つ……」

ほむら「だからこそ、この世界は完全に正しいはず……」

さやか「(全然気づいてないのか……。魔女を認めたくない段階まで来てるのか……)」

さやか「あ゛ーQBとかどうよ。仲悪そうにしてたけど」

ほむら「きゅーきゅー言ってて気味がいい位にしか」

さやか「他の特徴に思い当たりはある?」


ほむら「他?まどかの家でトマトの栽培に精を出してるのも特筆すべき点ね」

さやか「あれ実は喋る生き物なんだ。新種の外来生物で効率厨なんだよ」

ほむら「増え続けるトマトの話は関係ないっ!」

さやか「今、理不尽な切れ方したよね。なんであたしが怒られたのかな」

ほむら「当然のことだわ。はいトマト」モシャモシャ

さやか「(参ったなー。てんで進展してないのか……)」モグモグ

ほむら「美樹さんが何を言いたいのか良くわからないの。朝っぱらから中二病こじらせた?」

さやか「(ほむらは自力で気づくと思ったんだけど……こりゃ重症だなあ)」


さやか「たとえばまどかに違和感を覚えるときってある?」

ほむら「……」

ほむら「何が言いたいの?」

さやか「まどかはこの世界に居るのかって話」

ほむら「…………!」

さやか「偽者じゃないか、って考えたことは……」

ほむら「口を慎みなさい…………本物に決まっているわ!!」

ほむら「私の知らない、本当の気持ちを打ち明けてくれたのよ!」

さやか「(私の知らない気持ち?まるで……。嘘っ!)」

ほむら「まどかは今が幸せだって言ってた」

ほむら「家族とトマトに囲まれて、みんなと一緒に生活できることを望んでいた!」

ほむら「消えてしまったのは間違いだった!!」




ほむら「まどかは、円環の理になることは、望んでいなかったのよ!!」




さやか「(全部……思い出してる…………!!)」

さやか「ほ…ほむら……あんた!」

ほむら「ねえ、美樹さやか?」

さやか「何で……ほむらは魔女を自覚しているのに……」

ほむら「美樹さやか!」

さやか「……ッ」

ほむら「あなた今幸せよね?」

さやか「幸せだよ……厄介なくらいに幸せだよ」

さやか「だからさ、夢から覚めないと駄目なんだ」

ほむら「今のあなたは幸せ。全部知ってる。巴マミとの出会いからずっと知ってる」

ほむら「CDの試聴し放題。試食のウインナー片手に展示品のソファを独り占め」

ほむら「エトセトラ、エトセトラ」

ほむら「……さぞかし幸せだったことでしょう」

さやか「どうして。この世界に入ったときのことを……」


ほむら「簡単なこと」

ほむら「あなたを、ずっと見ていたのよ」

ほむら「いいえ。この世界があなたを見ていた、というのが正しい表現ね」

ほむら「私こそが世界。世界こそが私」

さやか「!!」

ほむら「でももう決めたの。まどかの力は私が管理するわ」ガシッ

さやか「い、痛い……裂ける」ギギギ

さやか「あたしの……預かった力が抜けていく……」

ほむら「この力は大きすぎる。強大すぎて、内側からソウルジェムと封印を破壊しかねない」ズズズ


ほむら「……二分したのはハイパーアルティメットグレート超ゴージャスまどかの計略ね」

さやか「誰だよ!!」

ほむら「イレギュラーの百江なぎさから、全てに近い力を入手し、記憶の一片を垣間見たのよ」

さやか「(なぎさ、まどかの名前に尾ひれ付けすぎだよ……)」

ほむら「あのイレギュラーは余りにも目立ちすぎた……」

ほむら「そして、美樹さやかから円環力を奪った今――私の世界は完成する」

ほむら「崩壊のない均衡の世界が!私に選択された世界が!」

ほむら「あっははははは」


さやか「……油断しすぎた」

ほむら「あなたも私を見ていたはずよ。ピュエラ・マギ・ホーリーナイト」

さやか「(上級職かな……)」

ほむら「上品で流麗、才色兼備で天真爛漫の私が悪いインキュベーターに騙されて、実験台になる過程」

さやか「(しょっぼい罠で檻にガシャンの流れが強烈すぎてあんまり覚えてない)」

ほむら「遮断フィールドに隙間はない。外部の衝撃ではソウルジェムは壊れない」

さやか「そんな設定あったっけ」

ほむら「気づいたでしょ?私のソウルジェムは最高の状態で保護されている」

さやか「うん。それはわかってるよ」


さやか「あんた自身の記憶は……いつから思い出してたの」

ほむら「私は初めから全部覚えているの」

さやか「転校生……」

ほむら「だって結界の主は私。世界を操作する側なのだから」

さやか「メガネ姿は……演技だったの?」

ほむら「あなたと同じよ。非難される言われは無い」




ほむら「こころざし半ばで実験台にされた気持ちがわかる?」

ほむら「全てを知っている私は、どうにかしてインキュベーターの企みを打ち砕く必要があった」

ほむら「魔女らしき空間で狂いながらも考えたわ。何でここには何も無いのだろうかと」

ほむら「大抵の魔女は発生場所に類した結界が広がるはずなのに」

さやか「あたしは……駅のホームだから線路や車輪があった」

ほむら「魔女の結界だとしたら、群馬砂丘に類した空間があってもおかしくないのに……何も無かった」

さやか「遮断フィールドの影響かもね」モシャモシャ

ほむら「絶望で押しつぶされそうになっていると見滝原が現われたの。使い魔も現れたわ」

ほむら「すると使い魔は私が求める物を持ってきてくれた――化粧水をね!」

さやか「なんて真似を……」ガクガク


ほむら「はじめは怖かったわ。得体の知れない人形が十四体。でもね、すがるしかなかった!」

ほむら「何度も検証していくうちに仮定は確信へと変わっていった」

ほむら「私の使い魔なら外から人間を運べる!物を運べる!私が欲しがるものを全部運べる!」


ほむら「人を集めた。物を集めた――風見野を持ってきた。日本を持ってきた」

ほむら「後は分かるでしょ?惑星も銀河も容易いことだわ!!」


さやか「風見野のラーメン屋っていうのは、本物の店……」

ほむら「店主のお兄さんも、秘伝スープの風味も本物よ」

さやか「ほむらが現実世界を……蹂躙したんだ」


ほむら「蹂躙?内側に持ってきただけよ」

さやか「……破綻してる。インキュベーターの機器を内側に持って来たなら、外のソウルジェムが砕ける」

さやか「遮断フィールドだって機能しなくなる……」

ほむら「馬鹿ねえ。見滝原だけは私の結界内で再現できてるの。土地は持ってこなくていいのよ?」

ほむら「だからソウルジェムの外には見滝原と、虚無の空間しかない」

ほむら「全部私の結界に運搬、収納したのよ」

ほむら「当然魔獣も出てくるでしょう。人を飲み込んだのだから」

ほむら「でもね。それに見合う使い魔を生み出せば、全てやっつけてくれるわ」


ゴミ箱「ガタガタ」

ほむら「?」

QB「よくもやってくれたね暁美ほむら」ニョキッ

ほむら「きゃっ」

さやか「うわぁ、どこから現われてんだ」

ほむら「盗み聞き……」

QB「話は全部聞いた。とんでもないことをしでかしたね」

ほむら「喋れるんなら早く喋ってればいいのに!」ゲシ

QB「これで仮説の裏づけが取れた。僕達も何が何だかわからなかったから助かるよ」

さやか「あんた達の仕業でしょ!何してくれちゃったのさ」


QB「魔女の結界を甘く見すぎていた。まさか全部収納するとはね」

QB「だけど無という極限状態では遮断システムにエラーが出ることもあるだろう」

QB「そうすれば、いずれソウルジェムの保護も切れる。そのときが終わりの始まりだよ」

ほむら「バベルの塔っぽい建物は健在。無人でもオートで十分に役割を果たしているわ」

ほむら「あなた達の技術力の高さが、私の世界を永遠に保障しているの」

QB「わかっているさ!でなければこの空間は保てなくなるはずなんだから!」

さやか「逆切れかよ」

QB「極限状態でも省エネルギーで稼動するバベルの塔が裏目に出るなんて!」

QB「もう少し脆く作っておくべきだったよ!」


ほむら「パーフェクトに作ってくれて感謝するわ」

QB「君は……宇宙の在り方がどうなったか理解しているのかい!」

QB「ほむらのソウルジェムが宇宙の構成要素をまるごと飲み込んだんだ!!」

QB「どれほどの大ごとかわかるかい!?」

ほむら「それが……どうしたのよ」

QB「何を……言っているんだ……」


ほむら「この宇宙は、コンパクトで、より安全な姿が与えられているのよ」ニタァ

ほむら「手に取ってきちんと守れる形にしてあげたの」

ほむら「もっとも――見滝原には私のしなやかな肢体以外、「手」はないのだけど」

QB「……理不尽だ。元の姿に戻してよ!」

ほむら「はぁ……」

ほむら「あなた達はいつもそうよね。事実をありのままに伝えると、決まって同じ反応をする」

ほむら「訳が分からないわ」

ほむら「どうしてインキュベーターはそんなに宇宙の在処にこだわるの?」

ほむら「なあんてね。うふふ」

ほむら「ふふふふふふ」


QB「僕達の完敗じゃないか……」

QB「魔女の結界という独自の物理法則空間がこんな結末をもたらすなんて」

さやか「あたしのしてきたことって……。そうだ、魔女を倒せば結界が崩れる」

QB「無理だよ……この世界に魔女なんて居ない。ほむらはまだ魔女になっていない……」

さやか「ソウルジェムが濁るまで待てば……きっと」

QB「宇宙空間に穢れが放たれるように装置を改良した。ギリギリのラインでね。もう濁らないよ」

さやか「余計なことを!」

QB「その苦情はE班にしてほしいな。僕のせいじゃないからね」

さやか「E班?へ?」


ほむら「策士策に溺れるとはこのことね」

さやか「(現状を打破するいい方法……いい方法……)」

さやか「ソウルジェムを物理的に壊せば、謎装置が動きをとめるんじゃないの?」

QB「常に魔女化寸前だから穢れによってソウルジェムが破壊されることもない」

QB「外側は言わずもがな。遮断フィールドで無理だ」

QB「一応、内側からならジェムを壊せるけど、宇宙並に広い空間を越える攻撃は実質不可能」

QB「詰んだ?」

さやか「こらっ。なんとかしなさいよ。これでも宇宙種族でしょ?」

QB「僕らの科学力を舐めないで欲しいね」

QB「まだこの空間を壊せる可能性は残っているよ」


QB「さやか、今すぐまどかを呼ぶんだ。記憶をまどかに戻すんだ!」

ほむら「科学力関係あるの?」

QB「無いよ」

ほむら「……」

QB「でもそれしかないだろう」

さやか「そっか!そうだよ!ナイスだよ!QB!」

さやか「監視してるQBが居ないなら、円環の理の観測はされない!」

さやか「まどかを支配するとか豪語したくせに、まんまと結界に飲み込まれた馬鹿なQBが居ないなら!」

さやか「すぐに呼んでくるっ」

>>325
訂正:下から三行目
さやか「監視してるQBが居ないなら、円環の理は観測されない!」

ここまで
しまっちゃうほむらさんのお話でした

なぎさちゃんの大事なもの奪ってくシーンはよ

だめなのですっ!なぎさが裂けちゃいますぅぅっう!!

>>327
ほむほむほむがチーズ買うとき地味に書いた気がする

ぼちぼち投下



ほむら「頭を回転させなさい。美樹さやか」

さやか「フルスロットルだよ!」


ほむら「力は私が奪ったのよ?記憶を戻すことがどういう意味か分かっているの?」

さやか「でも少しだけ残ってる。なぎさの分も足せば多分十分よ」

さやか「……こけおどしなんて効かないんだから」

ほむら「まどかの願いを覚えている?」

さやか「全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい。全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を、この手で」

さやか「あたしは円環の理の一部だったんだ……当然覚えてる」

ほむら「その一部なのにまだわからない?」

さやか「(わかんない)」チラ

QB「……」フルフル


ほむら「あなたの円環力はたったの5。なぎさと併せてもせいぜい亀仙人くらいよ」

さやか「それじゃ…そんな円環力じゃ…」

ほむら「消し去ることは出来ない」

ほむら「でもまどかは結界内に居るから、死に際の魔法少女の側には行ける程度」

ほむら「同年齢の子が死ぬ瞬間を永遠に見続ける概念になってしまうのよ?」

ほむら「地獄だと思わない?目を開けば死に至る姿しか映らない。考えただけで血の気が引くわ」


さやか「……そこまでして何を求めたの?」

さやか「わかんないよ!ほむらが何考えてるのか全然わかんない!」




ほむら「まどかの幸せ。みんなの幸せ。それだけよ」




さやか「みんな?」

ほむら「そう!みんな!」

さやか「……牛や鳥や豚の幸せも……?」

ほむら「もちろんよ。おけらやアメンボだって……幸せにしてみせる」

ほむら「インキュベーターは……生ゴミでも食べていなさい」

QB「不条理だ!あんまりだ!」

さやか「QBはミミズにごめんなさいするべきだよね」


ほむら「QBを出し抜いた。あなた達は結界の効力で受肉を果たした。そして白カビのチーズとまどか」

さやか「(同列かよチーズ)」

ほむら「夢にまで見た世界がここにあるのよ。それを否定するのは愚かよ」

さやか「間違ってる……何かが間違ってる」

ほむら「何が違うというの。あの子の本当の想いを汲み取っただけ」

ほむら「あなたの持つまどかの記憶は銀河の向こうに捨てたほうがいいわ」

ほむら「とっとと忘れ去ってしまいなさい」


さやか「あれは紛れもなくまどかだ!」

ほむら「古臭い記憶よ。今のまどかは日常を選んだのだから」

ほむら「救済を願ったまどかは数多のループにおいて一回きり」

ほむら「あのまどかを除いた、全てのまどかを尊重したい」

ほむら「いいえ、私の世界に入り込んだ概念ですら円環の理を否定したのよね」

ほむら「家族団欒を選んで慎ましく過ごしているわ」


さやか「だったら、まどかの記憶だけ戻してあんたを説得する。こっち来なさい」グイグイ

ほむら「痛い痛いちょっと、ちょっと聞いて後生だから」

さやか「……聞くだけ聞く」

ほむら「円環力0だと、もっと悲惨な存在になってしまうわ」

さやか「いこっか」グイグイ

ほむら「服が伸びる……ちょっと!!!」

ほむら「あのね、あのね。聞いてる?」ズルズル

さやか「聞いてますよー」グググ


ほむら「死に際の魔法少女の元へ自力で近づく存在になってしまうの」

ほむら「絶対に間に合わず、死体を見るだけの結末は嫌でしょ」

さやか「わかってるよっ」グググ

QB「それはつらいことだね」


ほむら「何かイラッとする」ズザザザ

さやか「まどかは学校だよね、ここからずっと引きずられてたら大根おろしだよ!」

ほむら「力技は止すのよ。よく考えなさい。悪い癖よ、さやか!」

さやか「あんたが話さないからこうなるんでしょ」

ほむら「経緯を話すのはやぶさかではないわ」

さやか「もったいぶるな!全部吐き出しなさいよ!!」



じっくり考えました。しっかり話し合いました。ばっさり割愛します。


さやか「あんたの気持ちはわかったよ」

さやか「まどかを失って……実験台にされて……辛かったのはよくわかるよ」

さやか「まどかのことも考えてこの手段を取ったんでしょ……」


ほむら「本当はね、いくつか選択肢はあったの……」

ほむら「じっくり考えた。しっかり行動した。ばっさり切り捨てていった」

ほむら「消去法で残ったのがこれ!これしか残らなかった!」

ほむら「私の選んだ世界が最高の結末に一番近いはずなのよ!」

ほむら「他は選びようも無かった……最悪の選択肢ばかり」


さやか「わかるよ。でも、幸せ……なの?」

ほむら「まどかに聞いて見るといいわ。というか私は聞いたわ」


さやか「違うよ。ほむら、だよ。それでいいの?ほむらは幸せなの?」

ほむら「わ、私……?見れば分かるでしょう」グスッ

さやか「……泣いちゃ駄目だよ」

さやか「でもね?あんたが選んだ道なんだ!責任持ちなさいよ!」バシッ

ほむら「う…うぁぁぁあ……」ポロポロ

ほむら「これしか残らなかった……こうするしかなかった……ひっぐ」ポロポロ




さやか「不器用なんだから……バカっ」



夢のような生活は夢ではなくなりました。
けれどもまだ夢だったのです。



―――――――
―――――

さやか「ってことがあってさー。もっと早くアプローチかけるべきだったかな」ズズー

マミ「あっさり終わったのね」

なぎさ「ほむらにあのチーズは荷が重過ぎるのです……。お腹も崩しますよ」モグモグ

杏子「すぐに見つけたんだな……。ほむらの居場所」

さやか「あはは、円環パワー使ったら一発だった……何日も走り回ってたのに」

杏子「なんで家から探さなかったのか弁明してもらおうか」


さやか「ほら、ラスボスって高いところに居るじゃん」

なぎさ「!すでのな」

さやか「まさか家で安静にしてて、ゴミ出しまでしてるとは思わないよ」

マミ「ピュエラ・ブルー、ときとして常識は邪魔になるのよ」

さやか「それやめてピュエラ・イエロー」

杏子「黄色は大食い」ボソ

マミ「私、食費削ってるもん!」ウルウル

なぎさ「今週もまどかのトマトで食いつなぎました」

杏子「ああ、わりぃわりぃ」


なぎさ「QBを出し抜く手段としてこれ以上のものは無いでしょう」

なぎさ「ほむらの言うことにも一理あるのです」

なぎさ「魔女結界でみんなが幸せになれるならそれも一興」

さやか「向こうの世界はチーズ無かったもんね」

なぎさ「というか何もなかったのです。思念の集合体ぽい感じで、ずっとふわふわしてました」

なぎさ「チーズくらい用意しろあのまど神野郎ふざけんなっ!なのです」

マミ「なぎさ。鹿目さんは女の子よ?」

杏子「戸籍上はな」

マミ「えっ!詳しく聞かせてくれるかしら」キラキラ

さやか「(マミさんもずれてるなあ……)」


なぎさ「マミ、今のは円環ジョークですよ。これが最高級のギャグなのです」

マミ「本当に辛かったのね、死後の世界は……」グスッ

なぎさ「でしょう?」

なぎさ「逆に、ほむらは最高なのです。まさにネ申というやつなのです」

なぎさ「普通のチーズを食べることが出来ました。今度はフレッシュチーズを所望します」

さやか「なぎさはほむほむ派だもんね」



さやか「……まあ、そんなこんなであんなことになったんだよね」

杏子「あいつの選んだ道だ。落とし前は自分でつけるさ」

杏子「それに穢れの浄化は続いてるんだろ?」

マミ「現実の宇宙空間に穢れが溜まる……だったかしら。スケールが大きすぎて何がなんだか」

さやか「元々の宇宙は巨大なグリーフシードみたいなもんよ」

マミ「不法投棄みたいでいい気持ちはしないわね」

さやか「E班がやらかしたんだってさ」


さやか「ほむらは魔女になるギリギリの線を調整されてるみたい」

杏子「あれ?凄いことに気づいた。魔法少女は魔女になるんじゃないか?」

なぎさ「杏子は……頭がいいのです」

マミ「何で魔女が?」

さやか「…………」

なぎさ「……さやか?どうしたのですか」

マミ「……?」キョロキョロ

―――――――
―――――



ほむら「取り返しの付かないことをしたのは……わかってる」ポロポロ

ほむら「みんなの笑顔が……とても嬉しくて、辛かった……」ポロポロ

ほむら「もっと上手くやれたかもしれないと思うと……ぐすっ」

さやか「ね、落ち着いてよ。この世界を望んだのはあんた自身なんだよ」

さやか「あんたが一番幸せじゃなくてどうすんのさ!未練たらたらじゃ誰も救われないよ!」

ほむら「でも……でも……」


QB「なんてことだ……宇宙が……コンパクトに。ただの石っころに……」

QB「あっ!!」

QB「お手柄だよ。暁美ほむら」

ほむら「うっう…」グスッ

ほむら「……?」ムクリ

QB「要は、この宇宙、見滝原を除いた宇宙全体が魔女結界の中にある、ということだろう?」

ほむら「……ええ。話した通りよ」

QB「結界はソウルジェムの中にある、ということはわかるよね」

ほむら「それは……あなたの仕業でしょう」

QB「まだわからないのかい?」

さやか「?」

ほむら「?」


QB「やれやれ。察しが悪いね」

QB「言い換えれば、宇宙は君のソウルジェムの中だ」

QB「ソウルジェムは遮断フィールドに覆われている」

QB「つまり宇宙全体が遮断フィールドに覆われたのと同義なんだよ?」

さやか「あ、ホントだ」

ほむら「!」

QB「遮断フィールド内なら、外部から作用する円環の理は手出しできない」

QB「お陰で魔女という概念が生じたんだ。これはお手柄だよ」





QB「円環の理を支配したのは君だったんだね、暁美ほむら」





ほむら「何ですって……」


QB「観測、干渉、制御。僕達のトーラス-インフィニティ制御理論で行けば、暁美ほむら――」

QB「――君は僕達のはるか先を行く第二段階まで達していた。残りは制御だけど……」

QB「君が美樹さやかと百江なぎさの持つ力を奪った以上、この世界に崩壊は訪れない」

QB「たとえ結界外部に円環の理的因子を残しておいても無駄に終わったわけだ」

QB「この瞬間、円環の理は完全に無効化された。今のまどかはガソリンの無い車のようなものだね」

QB「鹿目まどかという単一個体に拘るあまり、無意識のうちに宇宙の法則を克服していたんだ」

QB「後はいつか君が話してくれた通りだ。改変されたらしい、この宇宙にも魔女が現われるよ」

QB「暁美ほむら。君が僕達インキュベーターへの妨害を図ったお陰で、熱的死の回避に一役買ってくれたんだ」


QB「喜ばしい限りだよ。もしも僕達に感情があれば歓喜に震えるだろう。君の行動が宇宙を救うんだ」


QB「実験下での希望と絶望の相転移、感情から変換されるエネルギー総量は目を見張るものだったからね」

QB「とりわけ相当の魔力を持つ鹿目まどかなら観測しきれないほどのエネルギーがもたらされるだろう」

QB「やっぱり、感情は無限の可能性を秘めている」

QB「君達、魔法少女は魔女へと変化することでその存在を全うすべきだよね」

ほむら「まどか……まどかが魔女に……?」


QB「円環の理を克服したんだ、当たり前じゃないか。魔女にならないのは君だけだよ」

QB「精鋭のE班がやってくれたからね。君だけは――永遠に魔女にならないのは自明じゃないか」

QB「未知の力を少しだけ残している、円環の使者は断言できないけど……」

QB「巴マミ、佐倉杏子、鹿目まどかは魔女に成り果てるだろう」

QB「それがかつての魔法少女だと、いつだったかビルの天辺で話してくれたよね」

ほむら「あ……あ……」


「君が一番良く知っているんじゃないのかい。時間遡行者――暁美ほむら」






       「いやあああああああああああああああああああ」





キリが悪いですがここまで

投下します


さやか「ほむらのソウルジェムが……!」

ほむら「これは偽りのソウルジェム、割れたところで大したこと……ないわ」

ほむら「いいの……このまま絶望し続ければ、バベルの塔の機械に支障をきたすでしょう」

さやか「……ほむら」


ほむら「だったら……永遠に絶望し続けてやる。宇宙を穢れで満たして、世界を蹂躙してやる!」

ほむら「装置を粗砕する日が来るまで絶望するだけだわ……」


さやか「インキュベータァァァ!!」

QB「僕じゃないよ。全て暁美ほむらがやったことさ」


ほむら「……」グッタリ

ほむら「うーん……どうしましょう」グッタリ

ほむら「どうしましょう……美樹さやか。何とかしてくれると嬉しいなって」オロオロ

さやか「こういうときは誰かに頼るんかいっ」

QB「ナイトメアと魔女、魔獣が再臨する理想の世界じゃないか」

QB「ナイトメアは穢れの回復量、規模が段違いだから居ない方が助かるけど……」

QB「これはお手柄以外の何者でもない。名誉インキュベーターに登録してもいい位だ」

ほむら「あ……ああ!!それだけは!きゅっぷいだけはやめて!」ガタガタ


QB「きゅっぷい」




ほむら「いやああああああああああああああああ」




ほむら「やあああああ」

ほむら「あああーーあーー」

ほむら「……ふぅ、喉が荒れるわ」

ほむら「お茶、おかわりは?」

さやか「ありがと」


ほむら「今ので穢れがたくさん溜まったわね多分」グビグビ

さやか「溜まるかなー?」コクコク

ほむら「軽いことで絶望すればいいのよ。正直、ちょっと魅惑的な響きよね。名誉インキュベーター」

さやか「ポジティブだね、ほむらは」

さやか「(宇宙空間は当分綺麗なままだよ)」

ほむら「もっとネガティブに生きれば……宇宙が濁り切って装置が……」ブツブツ


さやか「絶望ねえ。絶望なんて故意に出来るものじゃないよ」

ほむら「うーん」

知久「トマト、おかわりは?」

ほむら「頂くわ」モシャモシャ

さやか「押入れのトマト見てたときは割と絶望してたよね」ムシャムシャ


ほむら「トマトよりも、もっと恐ろしいブツがあるわ。何だと思う?」モグモグ

さやか「ワサビとか?ツーンときて怖いよね」

ほむら「私いつもサビ抜きだから……よくわかんない」メチョメチョ


さやか「えー。皆目検討がつかないよ」

ほむら「そうでしょうね。恐ろしいものは意外と近くに潜んでいるもの……!」

ほむら「この子の出番よ」チラリ


タンス「?」


さやか「?」

ほむら「タンスの角に小指……ふふ、もうお終いね」

  げしっ

ほむら「痛ッ!!痛い!!」

ほむら「ぅぅ……ぅ」ゴロゴロ

さやか「うわぁ」



ほむら「あははははは」ゲシゲシ

ほむら「痛みを消しちゃえば、タンスを蹴っても痛くないんだあ!あはははは」ゲシゲシゲシ

さやか「馬鹿だよ。この人痛覚切っちゃったよ。絶望する気あるの?ないよね?」

         ゲシッ
   ゲシ         ゲシッ
       ゲシ

ほむら「あははははは」グシグシグシ

さやか「……」

ほむら「あははははは」ゲシゲシ

さやか「……?」

さやか「これあたしの真似だ!既視感ある!」

さやか「やめて……もうやめて!心になんか来るっ!」


QB「なるほど。装置を壊したら許容値を超え次第、ソウルジェムは濁り始める」

QB「タンスで生まれる絶望は相当なものだ。痛覚さえ消さなければ賢い選択だと思うよ」


さやか「遠まわしの愚か宣言だよ」

ほむら「あなたも手伝いなさい」ヒョイ

QB「わっ何をするんだ」

ほむら「えいっえいっ」ブンブン

QB「痛い!タンス痛い!」ガッガッ

さやか「仮にさ、装置が壊れないで何もない空間が濁りきったら、どうなるの?」

QB「穢れの行き場は無くなるよ」グルングルン

さやか「だったら穢れがこっちに逆流するんじゃないの?」

QB「多分ね」ガッガッ


ほむら「……あ」ピタッ



さやか「その穢れは使い魔と結界が吸っちゃうよね」

さやか「本当にソウルジェムが割れるのかどうか……」

ほむら「いやー知ってた。知ってたわ!」

さやか「ほむら、気づいてなかったでしょ!」

ほむら「色々と限界を迎えたこの私に気が付けと要求するの?」

さやか「はあ……ポジティブだなあ」


さやか「やれやれ」

さやか「(自殺スイッチを用意してあげますか……)」

さやか「……冴えた手がひとつだけあるよ。魔女が生まれない方法」

さやか「装置を壊さなくても、広大な結界を突き破る攻撃もいらない簡単な方法が」


ほむら「詐欺師みたいね……本当に大丈夫?」

ほむら「上げて落として絶望させるなんて姑息な手段じゃないわよね」

さやか「自分で姑息言うな」

ほむら「知ってる?姑息は誤用が多いのよ」

さやか「何故そこを掘り下げる!もっと食いつく情報があるでしょ!」

ほむら「はいはい、話しなさいよ」



さやか「まどかの力と記憶はこの結界内にあるんだ」


さやか「この状況は言うほど悲惨じゃないってこと」

ほむら「ええっと。円環力は私が奪ったわよ?」

さやか「先にあんたがまどかに円環力を戻すんだよ。そして、あたしが記憶を返す」

さやか「そうすれば円環の理が機能するよね。ほむらは無事に導かれてソウルジェムが無くなるから――」

さやか「宇宙が今までどおりの形に戻るんだよ!」

ほむら「なるほど!力と記憶の両方があれば何とか出来る!」

さやか「物わかりがいいね」


ほむら「……」

ほむら「じゃあ私の使い魔に円環の理を代行させましょう」

さやか「あっれ?どうしてそうなるのよ」

ほむら「まどかが日常を望んだからよ」

さやか「ほむら!まだそんな妄言を!」

ほむら「まどかが言ってたのだから間違いないわ」



ほむら「幼い眠りをまもりたい門番♪」


使い魔「?」ヒョコッ
使い魔「?」
使い魔「?」
使い魔「?」
………
……


ほむら「力は私が、記憶……救済の仕方は全員に教えられる?」

さやか「一応ね。力はともかく、記憶は減るもんじゃないし」

さやか「そうだった、使い魔に与えたらほむらも記憶を持つことになるんだよ?」

ほむら「同類の宿命。一蓮托生。全部注いでくれて構わないわ」


さやか「はいはい。今注ぎますからねー」ズズズ

ほむら「円環力はナメック星人のネイルくらいあれば十分ね」

  ピカー

使い魔「ウェヒヒヒ」
使い魔「ウェヒヒヒ」
使い魔「ウェヒヒヒ」
使い魔「ウェヒヒヒ」
………
……

  ミョワーン

使い魔「ほむらちゃほむほむ」スリスリ
使い魔「うぇひひ。おっけー」ピューン
使い魔「クラスのみんなにはナイショだよ!」ドヒューン
使い魔「ちょっとトイレ」タッタッタ
………
……

ほむら「がんばってね」ウルウル

さやか「すげー複雑な気分」

ここまで




QB「こんな結末になるなんて……」ガッガッ

ほむら「残念ね!あなた達は幸せにさせないんだから!!」

QB「君は宇宙の未来を考えないのかい!?」ゲシゲシ

ほむら「考えなかった結果がこれよ!!!」

ほむら「これで魔法少女は絶望で終わらない。ざまあ見なさいインキュベーター」

さやか「あんたはまどかの想いを踏みにじったけどね」

ほむら「さあてどうかしら」

さやか「強気だな!尊敬するよ!」




―――――――
―――――

杏子「ほむらの使い魔は概念じゃないんだな」ズズー

さやか「そりゃそうよ。ほむらの意思が混じってるからね。手動で導くんだよ」モシャモシャ

なぎさ「鞄持ちのわたしが概念にならないのと同じなのです」

マミ「暁美さんは円環されないのね……」

さやか「ほむらを導いたら使い魔が機能しなくなる。そしたら宝の持ち腐れ」

さやか「使い魔もそれを理解してて動いてるんじゃないかな。個々の円環力もそこそこだし」

杏子「じゃあ今までどおりサオトメアと魔獣の退治か?」

さやか「そうだね(サオトメア流行ってるの?)」

杏子「サオトメア……」


マミ「暁美さんはどうなってしまったの?」

さやか「結局まどかの記憶をほむらに与えた形になったんだけど」

さやか「それでも、ほむらは何が正解かわからなくて悩んでるんだ」

さやか「ほむらの想いとまどかの想いがごっちゃごちゃになって、もっと苦しむと思う」

なぎさ「日常生活と救済生活は相反しますからね……」

さやか「落ち込みながら学校に向かったみたいだし、あたし達で支えてあげないとね」


なぎさ「ほむらはこの世界を本当に受け入れるのでしょうか」

マミ「なぎさ。私の言葉、覚えている?」

なぎさ「はい?」


マミ「受け入れられないということは、必ずしも悪いことじゃないの。ちゃんと最後まで付き合ってあげましょう」

マミ「それが、最高の友達というものよ」


マミ「ね?美樹さんの言うとおりフォローしてあげるのよ」

なぎさ「はいなのです!」




学校です。

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「まどか、こんにちは」

ほむら「今朝、色々あって遅れてしまったわ。心配かけたわね」

まどか「体調は戻った?」

ほむら「……」グッタリ

ほむら「少しだけ気分が優れないわ」フラフラ

ほむら「連れて行ってもらえる?保健室」

まどか「うん。手、貸そうか」

ほむら「いいえ、まだ一人で歩ける」




渡り廊下です。


ほむら「まどか、あなたは今の生活が幸せだと思う?」

まどか「うん、幸せだよ。とっても幸せ」

ほむら「家族や友達を大切だと思ってる?」

まどか「大切だよ。家族も、友達のみんなも。大好きで、とっても大事な人達だよ」

ほむら「本当に?」

まどか「本当だよ。嘘なわけないよ」


ほむら「そう。もしそれが本当なら、今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね」

ほむら「さもなければ、全てを失うことになるわ」

まどか「え……?」

ほむら「あなたは、まどかのままでいればいい。今までどおり、これからも」

まどか「何だかほむらちゃんらしくないよ……」



ほむら「……でもね、もし今と違う自分になりたくなったら――」

ほむら「……全てを失ってでも違う自分を望むのなら――」

ほむら「今度は見届けてあげる。支えてあげる」

まどか「ほ、ほむらちゃん……?」

ほむら「やっと、覚悟できた」

ほむら「まどか、私のわがままに巻き込んでしまってごめんなさい」

ほむら「いつでも準備はしてあるの。あなたは、この世界を解放する力を持つのよ」


まどか「今日のほむらちゃん……寂しそうだよ。辛そうだよ」

ほむら「あなたの成長を否定したかった」

ほむら「ずっと窓辺でさえずって欲しかったけど……私にはわかるの」ニコッ

ほむら「あなたが、あなた自身の幸せを捨てる日が来ることを」

ほむら「私達の希望そのものになる日を――」

まどか「ほむらちゃん……」

まどか「わたしはどこにも行かないよ。ほむらちゃんとずっと一緒だよ」

ほむら「本当に?」

まどか「本当だよ!嘘なわけないよ!!」

ほむら「……」


―――――――
―――――

こんばんはー投下します




夢のような生活が再び始まりました。
幸せな時間はあっという間に過ぎ去ってしまうものです。


風見野。

さやか「このラーメン美味しい!風見野まで来た甲斐があったよ」

杏子「だろ?やっぱり魚介は最高だね」ズルズル

さやか「七味唐辛子……七味唐辛子……」

唐辛子「」イラッ

さやか「あった!」サッサ

  ドシャー

さやか「……えっ」


さやか「……うぅ」ゴクゴク

さやか「赤いニシンが利いてて意外といい香り!」ズルズル

杏子「おまえのスープ赤くね?」

さやか「七味の蓋が反乱起こした」

杏子「燻製ニシンになんてことを……」

さやか「大丈夫、杏子のオススメだもん。粗末にはしないよ!」

さやか「杏子は唐辛子いる?」

杏子「さやかが全部使い切っただろ」

さやか「あたしのをちょっとすくえば出来なくもないよ」


杏子「」モグモグ
さやか「」ゴキュゴキュ

杏子「よく飲めるね」

さやか「だってもったいないもん」

杏子「がっつり混ぜなければ、そのラーメン致命傷で済んだと思うんだ」

さやか「混ぜたほうが辛味が薄まるでしょ?」

杏子「あんたなあ……。これもう粗末にしてる部類だよ」

さやか「七味ラーには堪らないのよ。わかる?」

杏子「わからないね。コショウで風味付けするくらいが丁度いいんだ」ヒョイ

GAB○N「!!」


杏子「ふんふん♪」サラサラ

  ドシャー

杏子「どういうことだおい!」

さやか「しかもバジルパウダーじゃん」

G○BAN「250g」

杏子「……」ズズー

杏子「むせる」

さやか「あたしのと混ぜたらどうなるか試そうよ。少し貰うね」

杏子「あんた……マジなんだな」



まだ夢は続きそうです。



幸せな時間はあっという間に過ぎ去ってしまうものです。

ベベ「マッスカルポーネ」<チーズケーキ旨エ。

マミ「小さくなると食費が浮くわね……」

マミ「見ていて飽きないし……可愛い。うふふっ」

ベベ「マジョ○ンコカマンベール」<寝ム寝ム。眠イ。

マミ「はいはい。お風呂に入ってからね」

ベベ「ジュベベ!!!!!!!!!」<寿命チヂム。


マミ「漬け置きと洗濯機どっちがいい?」

洗面器「!」

洗濯機「!!」

なぎさ「洗濯機はもう嫌なのです……」

マミ「聞こえなーい♪」

なぎさ「お風呂がいいです!マミと入りたいです!入れさせてくださいっ!」

マミ「えっ。私と……?本気?」

なぎさ「いいから入りますよ。洗濯機は論外なのです!」グイグイ

マミ「引っ張らないで…っ。お風呂は逃げないわ……」

なぎさ「早く!早く!わたしの背中流してください!」ピョンピョン

マミ「まったくもうっ。わがままなんだから……ふふっ」

―――――――
―――――


マミ「あらあら、あんなに元気だったのに」ツンツン

なぎさ「……」ポー

マミ「のぼせちゃった?はいお水」

なぎさ「……」ゴクゴク

なぎさ「……」ポー

マミ「少し横になりましょう。濡れタオル持ってくるわね」

なぎさ「……天国と地獄を見てしまったのです」

マミ「え?」


なぎさ「背中は天国でした。マミの柔らかくて大きな大きな……」

マミ「?」

なぎさ「前は地獄でした。硬くて薄い現実がなぎさを襲いました……」

マミ「のぼせたわけじゃないのね?」

なぎさ「ある意味のぼせました」

マミ「ある意味?」


なぎさ「なぎさはマミくらいのお胸が欲しかったのです……」

マミ「……次から洗濯機にしましょうね、ベベ」

なぎさ「なんでですかー!!マミと入ったほうが楽しいのです!」

マミ「うふふ。だったら、もっと押し付けちゃうわよ」

なぎさ「!?」

なぎさ「わざと当ててたのですか!?」

マミ「さあどうでしょう?」

なぎさ「わたしの最高の友達が魔性の女でした!!怖いのです!!」



マミ「はぁ……可愛い……」


まだ夢は続きそうです。




QB「僕と契約してサオトメアを倒してよ!」

QB「え?サオトメアからはエネルギーが回収出来ないって?」

QB「サオトメアに慣れたら魔獣退治に参加してよ。この地域には滅多に現われないけど」

QB「大丈夫、早乙女和子は永遠に悪夢を見るんだ」

QB「後継者もいるよ。志筑仁美さ!彼女が二代目を襲名するだろうね」

QB「匂い?僕が生ゴミ臭いのは見滝原限定だよ。ほむらワールドなんだから」

QB「ほむらワールド?都合のいい非現実空間さ」

QB「でも一部のチーズが無かった時期があったようだよ」

QB「他の地域は現実の世界から持ってきた空間だからチーズはあるん――ああ、待って」


QB「やれやれ、また素質のある子を探さないと」

短いですがここまで
次回かその次で完走できそうです

                     ◇

マミ「こういう場所ってあまり慣れないのよね……」

さやか「大丈夫ですって。マミさんが緊張してどうするんですか」

なぎさ「そうですか……?カーペットがふかふかしてて恐れ多いのです」

マミ「慣れてるのは美樹さんくらいよ。みんなを見てみなさいな」


―――――――
―――――


まどか「うぇひひ。でねそのときの上条くんが――」

ほむら「太股に点数を付けられる志筑さんの身にもなって欲しいわ」

杏子「あたし84点になった。2点プラスでさやか越えしたんだ」

ほむら「杏子……よく覚えてるわね。あんな優男の陳腐な言葉」

杏子「なんだよ。まっ、あたしの魅力に屈するんだな」

ほむら「杏子は上位の世界を知らないのね。だから教えてあげる……」゙

杏子「良い度胸じゃないか。聞いてあげるよ」

ほむら「私は……一応90点ね。全体のバランスの良さに定評があるの」

杏子「嘘……だろ」

ほむら「事実よ」



まどか「ほむらちゃん、本当は嬉しいんでしょ。はにかんでるよ」

ほむら「私のことなんてどうでもいいの。全ての物事はまどかが優先よ!」

ほむら「まどかは、なにもかもが100点よ。身も心も全部」

まどか「ほ、ほむらちゃん息が荒い……」

ほむら「いつでもウェルカム。まどかの全部を受け入れてあげるわ」

まどか「えっそんなぁ」デレデレ

ほむら「……」ニコニコ

ほむら「常に準備をしているもの……」

杏子「熱いねえ!お二人さん」

―――――――
―――――


マミ「ね?美樹さんだけよ。緊張してないの」

さやか「マミさん、目を閉じないでっ」

なぎさ「みんな緊張してます。手に取るようにわかるのです」♪

さやか「なぎさ、口笛を吹かないの」

さやか「そういえば、あんた達、性格似てきた?ちょっと図太くなったよ」

マミ「どこが似てるのよ!」
なぎさ「どこも似てないのです!」

さやか「あははは、そっくりだ」

マミ「どこをどう見たらそうなるのよ」

なぎさ「そうです。さやかはマミの本性を知らないのです」


なぎさ「本当は寂しがりやで人懐っこいくせして疑り深いのです」

マミ「……美樹さんに図太さの極意を教えてもらいましょう」

なぎさ「そうなのです。さやかは肝が座っているのです。一番図太いのです」

さやか「残念だけど趣味クラシックだから繊細な性格でーす」

恭介「さやか。趣味と性格は関係ないよ」

さやか「あっ恭介!コンサートの本番前にいいの?」

恭介「挨拶だけでもしておこうと思ってね」

恭介「やあ皆さん、今日は――ぁぁぁああ!?」ガクガク

マミ「な、なんでしょうか?」


恭介「極めて……美しい。このラインと艶は95点に相当する」

マミ「えっえっ?」

さやか「ちょっと、恭介。自制しなさいよ」

恭介「さやかは女神様のお友達だったんだね」ウルウル

なぎさ「この男!呪いよりもおぞましいオーラを放っていますっ」

恭介「……君は37点だね精進してくれると僕も嬉しいよ」

なぎさ「なんの点数ですか!?」

さやか「帰れー!」

仁美「こんにちは、さやかさん。後始末は、私にお任せください」ガシッ

恭介「もう時間だね。それじゃあ楽しみにしてくれ。最高の音色を女神様に捧げるよ」ズリズリ

さやか「仁美ー、デスブランドでよろしくね」

恭介「さやかは本当に手加減を知らないんだから……」ズルズル

仁美「上条君。何度も言いますが、私はプロレスも少々嗜んでいますの」ズリズリ

                     ◇

マミ「今のは何だったのかしら」

杏子「口だけのへたれだから気にすんな」

マミ「美樹さんの幼馴染って随分変わっているのね……」

杏子「変なことされそうになったら首絞めればいいよ」

なぎさ「逆に喜ばれそうで怖いのです」

ほむら「その様子、あなた達も洗礼を受けたようね」

マミ「洗礼?」

ほむら「天啓の数値よ。マミは何点だったの?」

マミ「上条くんのこと?よくわからない数字は言ってたわね。私は……」



杏子「クラシック聴く気分じゃねえ……」

ほむら「家で演歌聞こう……」

まどか「二人ともどうしたの?ねえってば」ユサユサ

ほむら「まどか、夢見る女の子には辛すぎる現実なのよ」


なぎさ「ちなみに、なぎさは30点台だったのです」

杏子「さて……クラシック聴くか」

ほむら「……ちょっと元気出てきた」

なぎさ「?」


杏子「なぎさ、後でチーズケーキ買ってやるよ」

ほむら「今日はほむらお姉さんに甘えてもいいわ」

なぎさ「ちょろい性格してるのです」

                     ◇


さやか「もうすぐだよ。第二ヴァイオリンの……あそこにいるのが恭介だね」

杏子「さやかも物好きだよなあ。あんなにたくさん居て聴き分けられるのかい?」

さやか「こういうのは聴き分けるものじゃないよ」

さやか「みんなそろって一つの音色になるんだ」

さやか「ホルンもファゴットもハープもヴィオラもティンパニも――」

さやか「全部で一つなんだよ!」


なぎさ「さっきのはなんて名前の曲なのですか?」ボソボソ

マミ「ラコッツィ行進曲……かしら」

ほむら「鬼火のメヌエットよ」

杏子「妖精の踊り……らしいな」

さやか「あのねえ、まだ第四楽章だよ。幻想の鐘は鳴ってない」

さやか「第五楽章が終わってからラコッツィだよ」

まどか「幻想の鐘……?」


                     ◇

QB「トマトの生産が間に合わないよ」

知久「逆にトマトからトマトを減らしたらどうだろう」

QB「無理だね。出来ないよ」

使い魔「トマトはトマトだよ」

知久「僕たちがやらずに誰がやるんだ。僕たちの手で新しいトマトを作り上げるんだ!」

使い魔「「「「「んー?」」」」」

使い魔「「どうやって?」」

知久「発想を変えるんだ。トマトはトマトだけで出来ているんじゃない」

QB「なるほど!」

使い魔「(わかんないよ)」



まどか「おはよーパパ」

知久「おはよう。まどか」トマト

QB「やあまどか。朝食は出来ているよ」トマト

まどか「朝から精が出るね」

使い魔「」グイグイ

まどか「大事な話?」

使い魔「」コクリ

まどか「QBの監視と魔獣狩りと農耕と救済と家事と掃除で忙しいって?」

使い魔「」ブンブン

まどか「え?ほむらちゃんのことで話がある?」

使い魔「」コクリ

                     ◇

           幸せな、幸せな夢は続いていきました
          言葉に出来ないくらい熱くて深い夢でした

                     ◇

杏子「頼まれてたハッパ買って来た。ハッパ」

さやか「杏子もっと言葉選びなさいよ。はい、マミさんの葉っぱ」

マミ「美樹さん、佐倉さん……ありがと。これで全員揃ったわね」

杏子「まどかとほむらは?」

なぎさ「多分……お休みなのです」

さやか「お茶会来ないの?珍しいね」

マミ「あのね。よく聞いて」

マミ「今朝、鹿目さんのおば様からお電話が――」


杏子「……そうか、全部話したのか」

さやか「まどかはまどかだなあ……」

なぎさ「まどかはまどかなのです」

マミ「辛い選択よね。精神体が受肉しているから……今回は残るのでしょう?」

杏子「なまじ覚えている分、周りも不幸だよな」

マミ「全部忘れ去られてしまうよりも幸せよ……。生きていた証が残るもの」

マミ「通夜の日程は……」


―――――――
―――――


杏子「ということは、ほむらも――――か」

マミ「そういうことになるわ……。とても寂しくなるわね……」

杏子「……」

マミ「……」

杏子「……残されたほうの気持ちも分かって欲しいな」

マミ「魔法少女の宿命は変えられないの。仕方の無いことだわ」


さやか「落ち込まないで!杏子!マミさん!」

なぎさ「言うほど悲しい運命ではないのですよ!!」<ミンナイルイル。

なぎさ「ほんのちょっとのお別れなのです!!いつの日かまた会えるのです!!」


                     ◇

                 目醒めのときです

        幼い眠りをまもっていた門番の仕事は終わります
            大人になる門は開いてしまいました

                     ◇

まどか「わたしはほむらちゃんのお陰でこうして過ごせた……」

まどか「今度はわたしがほむらちゃんを支えてあげたいの」

まどか「ほむらちゃんの本当の想い、今のわたしにはわからないから……」

まどか「ずっと気づけないのは……辛くて、悲しいことだと思う」

まどか「だから、ほむらちゃんのこと全部知りたい。最後まで付き合ってあげたい」

まどか「それが最高の友達……だったよね」



ほむら「かつて在った世界の私なんてどうでもいいのに……」

まどか「どうでもよくないよ!誰にも気づいてもらえないなんて、そんなの……寂し過ぎるよ」

ほむら「まどか、あなたは優しすぎる。正しすぎる」

まどか「それでも、ほむらちゃんに背負わせるのは、何かが違うと思うの」

まどか「わたしの、大切で、大事な想いだから……」

まどか「わたしが望んだ願いだから」

ほむら「いいわ。本当にあなたがそれを望むなら……」

ほむら「家族や友達を悲しませてでも、あなたがそれを望むなら……」

ほむら「まどか……お願い……幸せを……」



まどか「……ごめんね。ほむらちゃん」


ほむら「!」

ほむら「やっぱり、まどかはまどかなのね……」

ほむら「こちらこそ、意気地なしでごめんなさい」

ほむら「本当はわかっていたの。ずっと、ずっと昔から」

ほむら「あなたの想いは――本物だってこと」


                     ◇

ほむら「…………」

ほむら「じゃあ、預かっていた物を返さないとね」

ほむら「はいどうぞ。あなたの記憶と力……少し使ってしまったけど」

まどか「わたし達のために……夢のような世界に導いてくれてありがとう」

ほむら「いいのよ。私が勝手にやったことなのだから」

ほむら「出来ることなら、このまま普通の人生を歩んで欲しかったのも……事実ね」



ほむら「まどかはもうすぐ概念として機能するでしょう」

ほむら「そのときは私の世界は崩れ、ソウルジェムも消滅する。宇宙は元通りになるのでしょうね」

まどか「うん……」グスッ

ほむら「素敵な顔が台無しだわ。あなたは――」

ほむら「あなたは希望になるのよ。わたし達、魔法少女の全ての希望に」

まどか「懐かしい……ずっとずっと昔に聞いたような……」

                     ◇

ほむら「まどか……」

まど神「ほむらちゃんへの大切な想い……失いたくなかった」

まど神「素敵な素敵な想いがやっと戻ってきた」

まど神「ありがとう、ほむらちゃん。また会えて嬉しい……」

ほむら「記憶の無かった『まどか』が、あなたと同じ果てに行き着く――」

ほむら「それほどの意思があるなら、私から言うことは何も無いわ」

まど神「今のわたしが戻ってきたのは、全部ほむらちゃんのお陰なんだよ!」

使い魔「うぇひっ」

まど神「わわわわ!」

ほむら「?」


                     ◇

ほむら「……」

まど神「……」

ほむら「みんなとお別れの挨拶はしなくて良かったの?」

まど神「うぇひひ。みんな知ってるんだよ」

まど神「さやかちゃんもマミさんも杏子ちゃんもなぎさちゃんも!」

まど神「わたし達を最後まで見届けてくれたの」

まど神「だってみんな最高の友達なんだから!」

ほむら「ふふ、そうだったわね」

まど神「ほむらちゃんはいいの?」

ほむら「まどかがそう言うのだから、喜んで歩んでゆくつもり」

ほむら「あなたはいつだって正しい……話さなくても通じ合うのでしょう?」

まど神「ほむらちゃん……」

ほむら「私はあなたを受け入れているの。あなたが満足なら私も、きっと……満足よ」グスッ


                     ◇

まど神「それじゃ、いこっか」

ほむら「ええ、行きましょうか」

まど神「でもそのまえに……」

ほむら「どうしたの?」

まど神「もう一度この世界を振り返るのも悪くないよ」

ほむら「そうね。ここは……私のソウルジェムの中にある世界なのだから」

ほむら「少しくらい眺めても、少しくらい回想しても、バチは当たらないでしょう」

ほむら「……」

ほむら「見るなら、あなたも一緒に。一緒にこの世界を見ましょうよ」

まど神「うん!」


まどかの手をとって――結界内を見渡すのでした。

優しい世界です。優しい世界でした。

そぼくな日常です。すてきな日常でした。


青く澄んだ空に向かって、手を大きく振る友人たちの姿があります。

マミ。さやか。杏子。なぎさ。

微笑みを返します。見えていますか。

手を振ります。見えていますか。


最後に。
温かい想いをかみしめて目を閉じるのでした。



                     ◇


                ◇WER TRÄUMT◇

                夢は覚めるものです
        では、いったい誰が夢を見ていたのでしょうか
                     ◇


       山羊の子の夢?黒い子ネコの夢?白い子ネコの夢?


                     ◇


  一つ確実なのは、白い子ネコはなんの関係もなかったということ

       どう考えても幸せには全く荷担しないのですから


       もう一つ確実なのは、私は山羊ではないということ


       幸いなことに剣の使い方を知っていたのですから
独断的ではあったかもしれませんが、あの子の想いは汲み取れたのですから


                     ◇

         だから15番目の切り札を選びませんでした
                 もし選んでいたら

                     ◇

                     _

                     ..::´::::::::::::::::ヽ
                  /::::::::::::::::::;::、::::ム
                     l:::::::::::o:::::/ }:::::::!    __
                    ゝ::::::::::::ノ /::::::::!   〈;;;;:`; _
                ..-..、  ̄ /:::::::::::ム  r、 }::}::)::)
                 l::::r 、:::::..ー..:::::;;:::::::::::::ム  ー、::::r'
              ヾヽ `ー -::/ \::::::::::::\  |::::|
              _〉::〉   /    \:::::::::::::..ー.'::::|
       _         f:::::::::::}/       \f ` ー "   .._
       `ヽ\|\l`ヽ.ヾ:;;;/          \ /l/|/ 〉//
        ∨       \          /       /
            ヤ.    ---\        /-ー- 、    /
          \ /:::::::::::::::::::::\     /:::::::::::::::::::ム  /
               `|::::::::::::f  ̄ _\ _/::::::::::::::::::::::::::ム'
              ∨:::::::::::ー::´:::::::::_:;;:: --、:::::::::::::::::::::;
               \::::::::::::::::>´      }::::::::::::::::::/
                ̄  r::::-- .. _. /:::::::::::::/

                   ヽr‐- 、::::::::::::::::::::
                         ̄ ̄


                     ◇


          あの子を悲しませてしまうかもしれません


                     ◇

 
           消去法で残ったのは黒い子ネコでした               



         もうなにもかも、黒い子ネコの仕業だったのです 

                     ◇


                     ◇

           私は友達の言葉を全部聞いていました

            だから夢から覚めようと思いました

                     ◇


         「ずっと自分の世界に逃げ込んでたら駄目だよ」


                     ◇

          まどかはこの世界を受け入れませんでした

          だから私はこの世界を受け入れませんでした

                     ◇


     「受け入れられないということは必ずしも悪いことじゃないの」


                     ◇

              まどかは救済を望みました

             だから私は救済を望みました

                     ◇


          「初心に返るのが原則にして鉄則なのです」


                     ◇

                   出来損ない

                   成り損ない

                   間抜けな姿

                     ◇


       「あいつの選んだ道だ。落とし前は自分でつけるさ」


                     ◇


        不完全な魔女が作り上げたパーフェクトな世界は

          よりパーフェクトなものとして孵化します


                     ◇






    「わたしはどこにも行かないよ。ほむらちゃんとずっと一緒だよ」




                     ◇


            『Welcome to the perfect World』


                     ◇


                 堅果粗砕の魔女
               その性質は自己完結

この宇宙の全てを強制的に吸い上げ 彼女の作った完全な世界へと導いてゆく


  この魔女を倒したくば 幸せよりも大事な想いを教える以外に方法は無い

    もし大切な想いが伝われば 魔女は希望の国へと歩んでゆくだろう


                     ◇

              In a Wonderland they Lie

             Dreaming as the days go By

             Dreaming as the summers Die

             Ever drifting down the Stream

             Lingering in the golden Gleam

              Life, what is it but a Dream?

                     ◇

以上です。最後まで読んで下さりありがとうございました。
トリップ外れてましたが、>>442マデ。

所謂円環エンド。
遮断装置で地球覆えばいいじゃんという映画公開直後の意見を目にして書きました。
QBの遮断は観測実験段階なので、あのまま現実に適応すると太陽光すら届かない暗黒になるんですかね。
研究を重ね、まど神バリアーに仕立て上げたとして、叛逆よろしく頑張れば内側から壊せなくも無いわけです。
そのバリアーに極端な分離性(選択的透過?)を与えると、
内側からの攻撃をもスルーするような、まどっちだけに干渉する夢の装置が出来上がります。

ここまで来たら、人類が別の星に移住するか、地球の座標を変えるか、まど神のバージョンアップか。
もはや打つ手なし。打開策が見えません。

つーことでこのSSでは宇宙が小さくなりました。
魔女化寸前のほむらが自意識を保っていたら、というIF

蛇足

Welcome to the perfect world

ニュータイプ11月号の表紙
http://i.imgur.com/KA93sn8.jpg

カルチェラタン
ラベンダー風味の紅茶

花言葉
ラベンダー「あなたを待っています」「期待」「私に答えてください」「疑い」「不信」
バニラ「永久不滅」
ワサビ「目覚め」「うれし涙」
バジル「何という幸運」
唐辛子「旧友」「挑戦」「生命力」「悪夢が覚めた」「幼なじみ」
トマト「感謝」「完成美」

15?猫って何だ?何このAAと英語?意味わかんないって人用に以下も蛇足
特に見なくてもいいです あぶり出しにしておきます

ヴァランセ
山羊:デビほむルート<一番怖イ。
黒猫:運搬収納ほむら円環ルート<黒ハ遠回リ。
白猫:QB円環の理制御・魔女再臨・宇宙救済ルート<白ハ一見美味シソウ。

山羊は悪魔の象徴【稲妻、気紛れ、生け贄】
黒猫は幸せの象徴【不吉の前兆、七年後魔女や悪魔に変身する、悪魔の使い】

詢子「正し過ぎるその子の分まで、誰かが間違えてあげればいい」
詢子「その子のこと諦めるか、誤解されるかどっちがマシだい?」

叛逆劇中の魔女文字:いつもおまえはわらいもの、できそこない、じこかんけつetc

赤いニシン
地の文は全部ほむほむの独白
「きりん」座の方向にある天体MACS0647-JD 322億光年
「やまねこ」座超銀河団 129億光年

早乙女会談
このSSの内容 マクスウェルの悪魔

ホーリーナイト
BUMP OF CHICKEN 『K』

15はタロット、大アルカナ悪魔、バフォメット
悪魔は剣の持ち方を知らない
◇のAAはルシほむの紋章
トカゲ?バジリスク?この生物、総集編のエンドロールにも居ました
エンドロールにはQBも隠れています 逆立ちしてご覧あれ

英文は鏡の国のアリス引用【黒猫説、叛逆の魔女文字、薔薇園の魔女等設定モチーフetc】
幻想交響曲【叛逆の魔女文字、モチーフ】
ファウストの劫罰【同、標題音楽ネタ】

bye-bye

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