穂乃果「助けないよ……絶対に」 (70)

花陽「だ、誰か助けてぇぇ!!」

凛「か、かよちん!! 今助けに」

穂乃果「ダメだよ!!」

凛「え……!?」

海未「穂乃果の言う通りです、助けに行ってはいけません」

凛「で、でも……」

花陽「誰か助けてぇぇ!!」

ことり「かよちゃん! 自分で何とかできるよね?」

凛「ひ、酷いにゃ! ことりちゃん!! 」

海未「凛、これも花陽の為を思ってのことなのです」

凛「みんな何言ってるの!? かよちんがあんなに助けを求めてるのに」

花陽「助けてぇぇぇぇ!!!!」

凛「も、もう見てられないにゃ!!」

真姫「待ちなさい!! 凛」

凛「真姫ちゃんまでかよちんを放っておくの!?」

真姫「そうよ、大体かよちんは普段から人に頼り過ぎなのよ」

海未「そうですね、それは私も前々から感じていました」

ことり「凛ちゃん、これはかよちゃんが成長する為に必要なことなんだよ」

凛「う~ん、そうなのかなぁ……」

花陽「誰か助けてぇぇ!!」

凛「う~ん、う~ん……」

絵里「辛いのは貴女一人じゃないわ、凛」

凛「絵里ちゃん」

希「本当はうちらだって今すぐ助けに行きたいんよ?」

凛「希ちゃん」

絵里「今のままだと花陽は常に誰かに助けてもらわないと生きていけない弱い人間のままよ」

希「今はうちらがいつも一緒におるから何とかなっとるけど三年後、五年後、十年後のこと想像したことある?」

凛「十年後……」

花陽(25)『誰か助けてぇぇ!!』

希「二十年後!」

花陽(35)『誰か助けてぇぇ!!』

希「五十年後!!」

花陽(65)『誰か……助けて……』

希「百年後!!」

花陽(115)『だ、だれか……たすけ……げほっげほっ……』

凛「……」

凛「かよちんの将来が心配だにゃ……」

希「やろ?」

穂乃果「だから決めたんだ!」

凛「穂乃果ちゃん?」

穂乃果「これから先、かよちゃんを助けることを禁止するって!!」

凛「えぇ!?」

海未「何があっても花陽を助けることは許しません」

絵里「これは先週のμ's幹部会議で決定したことよ」

凛「凛、呼ばれてないにゃ……」

ことり「というわけだから納得してくれた?」

凛「う~ん……」

花陽「ダ、ダレカタスケテェェ!!」

凛「っ!!」

花陽「タスケテェェ!! タスケテェェ!!」

凛「……凛も心を鬼にする日が来たにゃ」

海未「わかってくれましたか、凛」

凛「うん! かよちんの為だもんね!」

海未「その通りです!」

希「偉いやん! これでμ'sとしてのチーム力も底上げやね」

絵里「ハラショーよ、凛」

凛「えへへ」

花陽「だ、誰か助けてぇぇ……!!」

穂乃果「誰も助けないよ! かよちゃん!」

海未「自分の力で何とかしてみなさい!!」

ことり「かよちゃんなら大丈夫だよ!!」

花陽「そ、そんなぁ……!!」

花陽「うぅ……ひぐっ……」

絵里「ちょっと可哀想だったかしら……」

真姫「何言ってるのよ、エリー」

希「さっき自分で言うとったやん、みんな辛いんやで」

絵里「そうよね」

にこ「にっこにっこにー☆」

希「ニコっち、エールを送るのも禁止や!」

にこ「え~!」

真姫「まぁそのくらいだったらいいんじゃない?」

にこ「さっすが真姫ちゃん!」

真姫「でっしょー!」

希「相変わらずニコっちには甘いんやね」

真姫「べ、別に……!!////」

花陽「誰か助けてぇぇ……ひぐっ」

にこ「にっこにっこにー☆」

凛「凛もやるやるー! にっこにっこにー!!」

穂乃果「かよちゃん、苦しい時こそ笑顔だよ! だって穂乃果たちはアイドルなんだから!!」

ことり「ほら、海未ちゃんも」

海未「し、仕方ありませんね…… に、にっこにこ……にー////」

花陽「うぅっ……ぐすっ……たすけて……」

希「あらあら、泣いてしもうた」

凛「かよちん! 頑張るにゃー!!」

花陽「た、助け……ひぐっ……」

穂乃果「もうっ! 穂乃果たちは絶対に助けないんだよ!? 自分で何とかしなきゃダメなんだよ!!」

ことり「穂乃果ちゃん……さすがにこれ以上は……」

海未「ことり、情けは人の為にならずです」

凛「そうだよ、ことりちゃん! かよちんには強い人間になってもらうんだにゃ」

希「凛ちゃんも成長しとるみたいやね」

凛「もちろんだにゃ! 凛はもうかよちんを助けないよ」

凛「例え、かよちんが銀行強盗の人質にされてても」


強盗「さっきからうるせーぞ!! こいつがどうなってもいいのかぁ!?」
カチャ

花陽「ひぃぃ!! 誰か助けてぇぇ!!!!」

強盗「おらおら!! さっさと金持ってこんかーい!!」
バキュンバキュン

花陽「ひぃぃっ……!! た、たたた助けて……」

穂乃果「かよちゃん、ファイトだよっ!」

海未「私は信じていますよ、花陽ならその程度のことやってのけると」

にこ「かよちん、ほらスマイルスマイル~! にっこにっこにー☆ って」

花陽「ひぐっ……だずげ……っ……ぐすっ……」

凛「凛、知ってるよ? かよちんならこんな窮地くらい簡単に乗り越えられるって」

希「がんばれー」

絵里「ハラショーよ、花陽」

真姫「ふわぁ……」

花陽(誰も助けてくれない……)

ガンバレー!! デキルヨー!! ファイトー!! ハラショー!!

強盗「うるせーぞ!! こらぁ!!」
バキュンバキュン

花陽「ひぃぃ……っっ!! だ、誰か助けて……お願いします……っ!!」

穂乃果「……」

海未「穂乃果、これは……」

ことり「ガッカリだよ」

絵里「はぁ……これ以上進展なさそうだし私はおうちに帰るわ」

希「そうやね、うちもヤボ用あるし」

真姫「なら私も、お金は置いていくわ」

にこ「ニコもバイトの時間だから行くね、ばいば~い」

凛「みんな、凛のかよちんの為にごめんね」

海未「穂乃果、もう暗くなってきましたし今日の所は一旦終了した方がよろしいかと」

穂乃果「……そうだね」

ことり「強盗さん」

強盗「あぁ!?」

ことり「お金です、これでかよちゃんを解放してくれますよね?」

━━翌日

海未「緊急ミーティングを行います」

絵里「議題はもちろんアレよね……?」

穂乃果「かよちゃん!」

花陽「は、はい……」

穂乃果「お金を都合つけてくれた真姫ちゃん、交渉してくれたことりちゃん、危険を省みずエールを送り続けてくれたみんなに何か言うことあるよね?」

花陽「え、えっと……」

花陽(一番危険だったのは花陽なんだけど……)

海未「え? 無いんですか?」

花陽「あ、あの……その……ごめんなさい……」

ことり「かよちゃん、昨日のことなんだけど……自分でどうにかできなかったのかな……?」

花陽「む、無理だよぉ……」

絵里「そうやって自分で自分に限界を作ってしまうから出来ることも出来なくなるのよ」

希「かよちんはうちらのことを頼りにしすぎやな」

花陽「うぅ……!!」

凛「みんな!! このままじゃかよちんが可哀想だにゃ!!」

花陽「り、凛ちゃん!」
パァー

海未「しかし、凛」

凛「かよちんにもう一回チャンスを与えてあげてほしいにゃ!!」

花陽「え?」

真姫「でもまた同じ様な結果になるんじゃない?」

凛「そんなことないよ! ね? かよちん 」

花陽「え? あ……えっと、その……」

ことり「穂乃果ちゃん、どうしよう?」

穂乃果「いいんじゃないかな?」

凛「さすが穂乃果ちゃんだにゃ!」

絵里「まぁ穂乃果がそう言うなら」

希「じゃあこれがラストチャンスいうことで」

にこ「で、次は何をするの?」

希「そうやなぁ……昨日の銀行強盗ですら何もできんかったところを見ると」

海未「……時に真姫」

真姫「何よ?」

海未「昨日、花陽を“救出”する為に用意して頂いたお金はいくらでした?」

真姫「さぁ? 適当に持ってきたのだから五千万くらいかしら?」

海未「なるほど……花陽」

花陽「は、はいっ!」

海未「当然、このお金は花陽から真姫に返すのが筋というものですよね?」

花陽「そ、そんなぁ……ご、ごせんまんなんて大金……とても花陽には……」

真姫「まぁ私はどっちでもいいけど」

ことり「何かバイトでも探す?」

希「普通にバイトしとったんじゃ五千万はさすがに難しいんやない?」

海未「……決めました」

凛「海未ちゃん?」

海未「花陽、貴女にはマグロ漁船に乗ってもらいます」

花陽「……た、助けて」

━━太平洋

花陽「だ、誰か助けてぇぇ……!! おぇぇっ……!!」
ビシャビシャ

海未「この程度の揺れで……全く情けない!!」

穂乃果「いい? 今回は何があっても穂乃果たちは助けてあげないからね」

ことり「えっと……とにかく大きいマグロを釣り上げればそれなりの報酬は貰えるらしいから頑張ってね!」

絵里「穂乃果ー!!」

穂乃果「絵里ちゃん」

絵里「貴女たちまでそっちの今にも沈みそうな船にいることないんじゃない?」

希「こっちの真姫ちゃんちの豪華客船、快適やでー」

真姫「たまにはクルージングも悪くないわね」

にこ「みんなもこっちおいでよ~! 一緒に遊ぼう~!」

ことり「じゃあことりはそっちに行こうかな! かよちゃん、釣竿とルアーはここに置いとくね」

海未「穂乃果はどうします?」

穂乃果「穂乃果、ちょっと船酔いしちゃったから向こうに戻るよ」

海未「大丈夫ですか? 花陽のことは私に任せて穂乃果はゆっくり休んでください」

穂乃果「うん、ありがと」

穂乃果「あ、海未ちゃん……わかってると思うけど」

海未「はい、絶対に助けたりしませんよ」

穂乃果「うんっ!」

凛「凛はかよちんと一緒にお魚さん釣るにゃー!」

ダレカタスケテェェー

凛「にゃ? 今、かよちんの声が……気のせいかにゃ?」

海未「そういえば先程から花陽の姿が見えませんね」

タスケテェェー

凛「でも声は聞こえるにゃ」

海未「まさかもう逃げたしたのですか!?」

花陽「はぶっ……ごほっごほっ……た、たすけ……!!」
バシャバシャ

凛「あ、かよちん見つけたにゃー!」

海未「何処に隠れていたのですか?」

凛「えーっとね、海?」

海未「いつの間に海に投げ出されて……」

花陽「だ、だずげ……げほっげほっ……!!」
バシャバシャ

凛「溺れてるにゃ!」

海未「……なるほど」

凛「?」

海未「恐らく花陽は自らを餌に見立ててマグロを誘い出す作戦にうってでたのではないかと」

凛「さすがかよちんだにゃ!じゃあもうすぐ大きいお魚をかよちんが捕まえるってこと?」

海未「えぇ」

花陽「げほっげほっ……たす、け……ブクブク……」
バシャバシャ

凛「……」
ワクワク

花陽「た、たすけ……げほっげほっ!!」
バシャバシャ

凛「……」
ワクワク

花陽「ぶくぶく…………」

凛「……?」

凛「ねぇ海未ちゃん……様子が変だよ? 」

海未「あれは沈んでいます」

凛「まさか狙いを深海魚に!?」

海未「それはないです、……仕方ありませんね」

凛「海未ちゃん!?」

海未「……また穂乃果に怒られてしまいますが見殺しにするのは心が痛みます」
ザバーンッ



海未「全く……世話の焼ける後輩です」

花陽「」

凛「かよちん!」

海未「気を失ってるだけです、一旦客船の方に戻りましょう」

━━客船

絵里「リーチ」

ことり「それポン!」

希「ならうちもリーチや」

絵里「希との引き合いなんて勝てる気がしないわ……」

ことり「もう降り……かな」

希「一発ツモ……っ!! ……ならずや」

ことり「ホッ……」

穂乃果「……ツモ。 6000オールだよ」

希「!?」

絵里「さすが穂乃果ね」

ガチャ

希「海未ちゃん?」

絵里「何でずぶ濡れなのよ?」

海未「実は……」

海未「というわけで」

希「大変やったなー」

真姫「シャワールームならすぐそこにあるから使ったらいいわ」

海未「ありがとうございます」

穂乃果「……」


━━シャワールーム

ジャー……

海未「はぁ……」

穂乃果「海未ちゃん」
ガチャ

海未「ほ、穂乃果!?」

穂乃果「穂乃果、言ったよね? 助けちゃダメって」

海未「す、すみません……」

穂乃果「お仕置きが必要かな?」

海未「や、やめ……、んんっ!! あっ…… や、あっ……んく……!! ////」

海未「す、すみません……遅くなりました////」

ことり「海未ちゃん……顔赤いよ?」

海未「の、のぼせてしまったのかもしれません」

ことり「シャワーで?」

海未「そ、そんなことより!! 花陽の様子は……」

絵里「まだ目を覚ましてないわ」

花陽「」

凛「かよちん、大丈夫かなぁ……」

花陽(このまま目を瞑ってれば酷いことされないよね……)

穂乃果「だったら続きからしようよ!」

希「続きって……麻雀の?」

穂乃果「違うよ、海未ちゃんが助ける前からのだよ」

花陽(……!?)

真姫「助ける前って……かよちんが海で溺れてるところ!?」

にこ「すぅすぅ……zzz」

穂乃果「そうだよ! 助けることは協定違反だからね、海未ちゃんには相当の罰を受けてもらったよ」

海未「……っ////」

ことり「……」

絵里「それって今から花陽を海に投げ入れるってことよね?」

希「でも外はもう真っ暗やで?」

穂乃果「かよちゃんが目を覚まさないんだからしょうがないよ」

花陽(……っ!!)

凛「かよちん……今度こそ海の藻屑になっちゃうの?」

ことり「かよちゃんが目を覚ましてくれたらこんなことしなくていいのに……」

花陽「はっ……! こ、ここは……!?」

凛「かよちん!」

絵里「よかった、やっと気がついたのね」

希「これで鮫の餌にならんで済んだね」

穂乃果「……かよちゃん」

花陽「は、はい……」

穂乃果「マグロは何匹釣れた?」

花陽「え……えっと……ぜ、ぜろ……」

海未「ならば何故こんなところにいるのですか? 貴女の船はあっちです!」

花陽「はい……」

ことり「かよちゃん、頑張って!」

花陽「……助けて」

━━漁船

花陽「あ、あの……凛ちゃんは……?」

海未「凛なら『眠くなったにゃ 』と言い、部屋で休んでいます」

花陽「そう……ですか」

海未「安心してください、花陽」

海未「凛の代わりに絵里が応援に駆け付けてくれました」

絵里「麻雀も飽きてきたし、生徒会長として花陽の成長を見ておかないとね」

花陽「助けて……」

海未「さぁ早く釣ってください」

絵里「朝までに目標、五十匹ってとこかしら

一ヶ月後

━━部室

海未「花陽の様子は?」

凛「カモメからの報告によるとまだ一匹も釣れてないらしいにゃ……」

絵里「先は長そうね」

希「かよちんひとり大海原に置き去りにしてきて大丈夫なんかな?」

ことり「でもことりたちが一緒にいたら助け求められちゃうし」

真姫「生きてるならひとりで何とかやってるってことでしょ?」

にこ「かよちん、早く帰って来ないかなぁ~!」

穂乃果「成長したかよちゃんに会うの楽しみだよねっ!!」


━━漁船

花陽「ひぐっ……うぇっ……おえぇぇっっ ……!!!!」
ビシャビシャ

花陽「だ、誰か助けてぇぇぇぇ !!!!」

━━fin━━

かよちんも可愛いけど一番可愛いのはみもちゃんですよねー

大海原でみもニーしたいですー

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年03月15日 (日) 07:47:50   ID: TXGP4pxS

か、かよちんかわいそう

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom