あやせ「お兄さんがセクハラしてくれなくて寂しい」(161)

うん

あやせ(あっ、あそこに居るのは……)

あやせ「お兄さん、こんにちは」

京介「おっ、あやせか。こんなところで何してんだ?」

あやせ「ちょっとお買い物です。お兄さんの方こそ何を?」

京介「用事があって急いでるところだ、悪いけど今は時間無いからもう行くよ」

あやせ「えっ? あ、あの……」

京介「やっべ、急がねーと!」ダッ

あやせ「あっ……行っちゃった。……もう」

あやせ(前は「あやせに会えたらそれだけで十分だ! 用事とか知らねーよ!」)

あやせ(とか、それくらいは言ってくれたのに……最近は、全然)

あやせ「寂し……って、違う! ……でも、やっぱり」

あやせ(……今度、今度会った時はきっと何か言ってくれるはず)

次の日

あやせ(でも、そんな毎日会える訳でも無いから……)

京介「よう、あやせ。今日も買い物か?」

あやせ「お、お兄さん……? 急に声を掛けないでください、驚きました」

京介「悪い悪い、驚かすつもりは無かったんだけどな」

あやせ「えっと……今日もお忙しいんですか?」

京介「あぁ、俺も受験生だからな」

あやせ「そうですか……あの、お兄さん」

京介「ん? どうした?」

あやせ「わたしに何か、言うことはありませんか?」

京介「おまえに言うこと? ……何かあったかな」

あやせ(……今日は少し可愛い服着てるから、きっといつもみたいに言ってくれるはず)

続けたまえ

京介「んー……何もねえな。もしかして、桐乃と何かあったのか?」

あやせ「えっ? い、いえ、桐乃とは別に何も」

京介「じゃあ何も思いつかないな……悪い、教えてくれねーか?」

あやせ「え、えっと……その、……何でもありません」

あやせ(可愛い、とか結婚しよう、とか言わないんですか? ……なんて聞けない)

京介「そうか、……やっべ、もう行かねーと。じゃあな!」ダッ

あやせ「あっ……さようなら」

あやせ(また、何も言われなかった……)

あやせ(……今までは、あんなにセクハラみたいなこと言ってくれたのに)

あやせ(……わたしのこと、どうでもよくなっちゃったのかな)

あやせ(い、いや、あのお兄さんに限ってそんなことがある訳がない……きっとまた、その内)

また次の日

あやせ(ここで二日連続会えたから、きっと今日も出会えるはず)

あやせ(……お兄さんの帰り道だから会えるのは当たり前だけど)

京介「ふわぁ……」

あやせ(……来た!)

あやせ「お、お兄さん、こんにちは。また会うなんて偶然ですね」

京介「あれ、あやせか。本当に偶然だな、これで三日連続か?」

あやせ「そうですね、わたしとしてはなるべく会うのは避けたいですけど」

京介「きっつい言い方すんなー……まっ、おまえらしくて良いのか」

あやせ(……違う、違いますよ! そこは「俺はあやせに会いたかったけどな!」でしょう!?)

京介(……なんか不満そうな顔してんな。変なこと言う前にさっさと帰るか)

あやせ「……お兄さん、最近桐乃とはどうなんですか?」

京介「桐乃と? いや、別におまえの心配するようなことは何も起きてねえよ」

あやせ「そうですか、でもお兄さんは変態ですから……信用できませんね」

京介「はいはい、無いけどな」

あやせ「本当ですか? そう言いながら桐乃に何かしたいと思ってるんじゃ……」

あやせ(こう言えばきっと、「俺が何かしたいのはおまえだけだよ!」って、ふふっ……)

京介「しねえっつーの、……やっべ、こんなことしてる場合じゃねえんだった」

あやせ「こ、こんなこと!? お兄さん、それどういう意味ですか!」

京介「ん? 別に意味なんて……って、行かねーと! じゃあな、あやせ」ダッ

あやせ「……また、何も言われなかった」

あやせ(明日こそはきっと……セクハラされる、はず……)

次の日

あやせ(今日はモデルのお仕事があるから時間が無いけど……)

あやせ(それでも、今日こそはお兄さんにセクハラをさせる……!)

京介「ふわぁ……眠い……」

あやせ(……来た! スカートはいつもより短めにした、少し胸元も開けてみた……これなら)

あやせ「お、お兄さん! こんにちは!」

京介「あれ? またあやせか、最近よく会う気がするな」

あやせ「そ、そうですか?」

京介「あぁ、もしかして……あやせって」

あやせ(これは……「俺の運命の人なのか!?」とか、「俺のことが好きなのか!?」)

あやせ(……間違いない。もう、お兄さんったら……さぁ、言ってください)

京介「帰る方向がこっちなのか? でも、確かこの辺じゃないはずだよな……」

あやせ(……何でこんな時に限ってセクハラしないいんですか!?)

あやせ(……時間が無い。こうなったら……直接)

あやせ「お、お兄さん、この服どうですか? 変じゃありませんか?」

京介「その服? 変には見えねーけど」

あやせ「えっと……似合ってますか?」

京介「あぁ、似合ってるよ。なんだ、それが気になってたのか?」

あやせ「ええ、でも心配なのでもう少しよく見てもらってもいいですか?」

京介「あー……悪いけど時間が」

あやせ「す、すぐ終わります! ほらっ……後ろとか、変じゃありませんか?」ピラッ

あやせ(きっと下着が見えそうで見えないくらいに……これならお兄さんも)

京介「うん、変じゃないって。……じゃあ、俺はもう行くから」

あやせ(え、ええっ!?)

京介「じゃあな、あやせ」ダッ

あやせ(…………)

あやせ(……また、何も言ってくれなかった)

あやせ(可愛いとか、結婚しようとか、あんなに言ってくれたのに……)

あやせ(……わたし、飽きられちゃったのかな。……い、いや、そんなことがある訳)

あやせ(でも、お兄さんの周りには可愛い人や綺麗な人が……中学生のわたしなんて)

あやせ「もう、どうでもいいんですか……わたしなんて……」

あやせ(それなら、お兄さんがセクハラしてくれないなら――)

あやせ「……うん、そうするしか……無いよね」

桐乃「じゃ、いってきまーす!」ダッ

京介「……ん? おふくろ、桐乃どっか行くのか? でっけえカバン持ってたけど」

佳乃「合宿だって、あの子も頑張るわよねー。それに引き替え……」

京介「……俺は俺なりに勉強してるっつーの。ほら、おふくろも出かけるんだったら早くしろよ」

佳乃「あら、もうこんな時間……ご飯はカレーとお味噌汁があるから適当に食べなさいよ」

京介「分かったから、さっさと行けよ」

佳乃「じゃあ、行ってくるから。ちゃんと勉強するのよ」

京介「はいはい」

京介(今日は夜まで俺一人か……まぁ、勉強するだけなんだけど)

京介(しっかし、休みの日まで勉強……受験生も辛いもんだな)

京介「さて、と……誰にも邪魔されないんだ、のんびりやるか」

京介(……ちょっと集中できなくなってきたな。音楽でも聞くか、少し大きめにしてっと……)

京介(…………)

ピンポーン

京介(……あっ、助動詞か)

ピンポーン ピンポーン

京介(それだとここは……2で、……よし)

ピンポーン ピンポーン ピンポピンポーン

京介(ふぅ……よし、どんどん解いてくか)

ピンポピンポピンポーン ピンポーン ピンポーン

京介(……いい感じに集中できてる気がするな、このペースでやるか)

京介(……あっ、違うのかよ。あー……なるほど)

京介(それだとここは……よし、これは合ってるだろ)

コンコン

京介(良い感じに進んでる、でも……先は長いな)

コンコン コンコン

京介(……ふわぁ……もう二時間か。……やっべ、眠くなって)

コンコン コンコン

京介「……すぅ……んんっ」

ガチャ

京介「……んん、……すぅ」


「…………」

京介「ん、んんっ……んー……やっべ、寝ちまったのか……あ?」

京介(なんか、手元に違和感が……って、はあ!?)

京介「て、手錠!? な、なんでこんなも 「お兄さん」

京介「――っ!? だ、誰だ!?」

あやせ「そ、そんな風に驚かないでください……わたしです」

京介「あや、せ? おまえ、いつの間に……」

あやせ「何度もインターホンを押したんですけど、誰も出なくて……」

京介「あ、あぁ、桐乃もおふくろも出かけてるし、親父は仕事だからな……」

あやせ「お兄さんは気付かなかったんですか?」

京介「いや、ヘッドホンしてたから……」

あやせ「そうですか……でも、良かったです。こうしてあなたに会えて」

京介「……はい?」

外に出るから保守してくれるとありがたいです。落ちたらNIPでやります
二時間ってのは勉強始めてからの時間、二時間インターホン押し続けた訳じゃないっす
ヤンデレにはならないと思う、多分

京介「俺に会いに……? 桐乃じゃなくて?」

あやせ「はい、桐乃は合宿だということは知っていますから」

京介「あの、あやせさん?」

あやせ「はい、何ですか?」

京介「……とりあえず、この手錠を外してくれないか?」

あやせ「ダメです、しばらくそのままでお願いします」

京介「いや、外してくれよ! つーか何で手錠されんきゃいけねーんだ!?」

あやせ「だ、だって……お兄さんが」

京介「俺が、何だよ」

あやせ「……何でもありません、ともかくそのままでいてください!」

京介(……こええ。何されるか分かんねーし、大人しくしとくか……)

京介「……なぁ、あやせ」

あやせ「はい、何ですか?」

京介「俺、何かしちまったのか……? こんなことするなんて、何か理由があるんじゃ……」

あやせ「……そうですね、お兄さんのせいだというのは間違いありません」

京介「そ、そうか……俺、気付かない内にあやせに何したんだ?」

あやせ「……違います、何もしてくれなかったんです」

京介「何もしてくれなかった……?」

あやせ「どうして、どうして……」

京介「あ、あやせ?」

あやせ「――どうしてなんですか!? もうわたしのことなんてどうでも良いんですか!?」

京介「……はあ?」

あやせ「やっぱり、桐乃やお姉さんの方が……わたしなんて……」

京介(……さっぱり状況が掴めねえ)

京介「そ、その、俺が何かしなかったからあやせは怒ってるってことで良いんだよな?」

あやせ「……はい、その通りです」

京介「じゃあ、その何かを教えてくれねーか?」

あやせ「……それは、恥ずかしくて言えません」

京介「いや、それが分からないと何もできないんだけど……」

あやせ(お兄さんにセクハラされなくて寂しい、なんて言える訳が……)

京介「えっと、俺に会いに来て手錠をした……その後はどうするつもりだったんだよ?」

あやせ「……そうですね、今日会いに来た目的は」

京介(……刺されたり、しねーよな?)

あやせ「お兄さん、ベッドに移動してください」

京介「お、おう……(今は大人しくするか……あやせを刺激しないように……)」

京介「とりあえずベッドに移動したけど、これでいいのか?」

あやせ「はい、……失礼します」

京介「なっ……何で隣に座る必要があるんだよ!?」

あやせ「そ、それは……こうしないとできないからです」

京介「……ちなみに手錠は」

あやせ「そのままでお願いします、今外す訳にはいきませんから」

京介「……別にどこにも行かねーんだから外しても」

あやせ「……だって、いつもどこかに行ってしまうから」

京介「ん? 何か言ったか?」

あやせ「な、何でもありません! ……それより、わたしが来た目的ですが」

京介「そ、そうだったな、何でもいいけど痛いのだけは無しにしてくれよ」

あやせ「痛くは無いと思います、……多分」

京介(……あやせは何がしたいんだ?)

京介「……じゃあ、その目的とやらをさっさとやってくれねーか?」

あやせ「は、はい……でも、やっぱり……」

京介「どうした? そのために来たんだろ?」

あやせ「……分かりました。お兄さん、こちらを向いてください」

京介「へいへい……こうか?」

あやせ(お、お兄さんの顔が目の前に……やっぱり、恥ずかしい……)

京介「あやせ? 大丈夫か?」

あやせ(でも……やるしか、今日はそのために来たんだから……)

京介「あやせー? おーい、聞こえてるかー?」

あやせ「……お、お兄さん!」

京介「お、おう」

あやせ「すぅー……わ、わたしと――」



あやせ「――け、結婚してください! 今すぐ!」


京介「…………へっ?」

京介「あ、あやせ……?」

あやせ「きょ、今日もカッコいいです! 素敵です!」

京介「あ、あの……」

あやせ「お、お兄さんの……服の匂いを嗅げたらが、頑張れます!」

京介「えっと……」

あやせ「ら、ラブリーマイダーリン……京介さん!」

京介「…………」

あやせ(い、言っちゃった……)

京介「…………」

あやせ「ど、どうですか!? ……あれ? もしもし、お兄さん?」

京介「――はっ!? わ、悪い……頭の中で処理しきれなくて思考停止しちまった」

あやせ「そ、そうですか……」

京介「あ、あの……あやせさん?」

あやせ「……はい」

京介「えっと、多分、つーか間違いなく聞き間違いなんだけどよ」

あやせ「……はい」

京介「……えっと、結婚しよう、とか言ったのか?」

あやせ「……はい」

京介「カッコいいとか、素敵とか、服の匂いがどうとか……」

あやせ「……はい」

京介「その、ラブリーマイダーリン……京介さん? って本当に言ったのか……?」

あやせ「……言いました」

京介(き、聞き間違いじゃなかった……!?)

京介「一つずつ、確認してもいいか?」

あやせ「……どうぞ」

京介「今日来たのは、さっきのを言うためだったのか?」

あやせ「……その通りです」

京介「……誰かに言えって言われたのか? 何かの罰ゲームとか」

あやせ「ち、違います!」

京介「えっと……じゃあ聞くけど、何であんなことを言ったんだ?」

あやせ「お兄さんが……お兄さんが悪いんです!」

京介「さっきから言ってるけど、その俺が悪いってのは何なんだよ!?」

あやせ「だ、だって、お兄さんが……」

京介「俺が?」

あやせ「……セクハラ、してくれなかったから」

京介「……はい?」

あやせ「お、お兄さんがセクハラしてくれなかったのが悪いんです!」

京介「はあ? さっぱり意味が分かんねーんだけど……」

あやせ「……今までだったら、会う度に『愛してる!』 とか『結婚しよう!』とか言っていましたよね」

京介「あ、あぁ、確かに言ってたな……」

あやせ「それなのに……最近、全然言ってくれないじゃないですか」

京介「……そうなの?」

あやせ「そうなんです! どうしてですか!? もう、わたしなんて……どうでもいいんですか?」

京介「いや、別にそんなことは誰も」

あやせ「……わたしなんて、あなたにとってはただの妹の友達ってだけだったんですね」

京介「あの、人の話を……」

あやせ「……わたしが、もっと可愛ければ。もっと綺麗だったら、きっと……」

京介(……どうすりゃいいんだよ)

京介「でも、別にセクハラされなくてもいいだろ? むしろしない方がいいんじゃねーのか」

あやせ「それはそうですけど……でも」

あやせ「今まで好きだとか愛してるとか言われてたのに……急に言われなくなったら、その……」

あやせ「……寂しく、なっちゃうじゃないですか」

京介「つ、つまり、セクハラされなくて寂しかったと」

あやせ「……そうです。そもそもお兄さんが悪いんです! 忙しいって言ってすぐにどこかに行ってしまって……」

京介「あー……最近は家に戻って勉強しようって感じだったから、確かにあんまり相手はできなかったな」

あやせ「……だから、もうわたしのことなんてどうでもいいんだ、って思ったら」

京介「それで今日ここに来た、と。……でも、あんなこと言う必要ないだろ」

あやせ「ああいう風に言えば……またお兄さんが同じようなことを言ってくれるかと思ったんです」

京介「……なるほどな」

あやせ「ご、ごめんなさい……でも、わたし……」

京介(……そういえば、最近あやせとあまり話せてなかったな。だったら……)

あやせ「……わたし、やっぱりどうかしてたんだと思います。本当に、ごめんなさい……」

京介「……なぁ、あやせ。手錠、外してくんねーか」

あやせ「……わかりました。……んっ、どうぞ」

京介「サンキュー。じゃあ、手も自由になったし……あやせ、もっとこっち来い」

あやせ(お、怒られる……)

京介「あやせ、……ごめんな」

あやせ「あっ……ど、どうしたんですか……急に頭なんか撫でたりして」

京介「いや、おまえが言ったんだろ? セクハラされなくて寂しいって」

あやせ「……言いましたけど」

京介「だから、思う存分おまえの嫌なセクハラってやつをしてやるよ。まずはボディタッチからな」

あやせ「……変態、いつものお兄さんに戻っちゃったんですね」

京介「おまえが言ったんだぞ? こうして欲しいってさ」

あやせ「あ、頭を撫でて欲しいなんて言ってません!」

京介「じゃあ、やめてもいいのか?」

あやせ「そ、それは……やめないでください」

京介「へいへい、……あやせの髪ってサラサラで撫でて気持ちいいな」

あやせ「へ、変態!」

京介「何とでも言ってくれよ。でも、勿体ないことしちまったな……」

あやせ「勿体ないこと、ですか?」

京介「あぁ、せっかくあやせが『結婚しよう』とか言ってくれたのにちゃんと聞けなかったからさ」

あやせ「……い、今考えると恥ずかしいです」

京介「いいじゃねーか、どうせ本心って訳じゃないんだろ?」

あやせ「なっ……冗談であんなこと言いません! わたしはお兄さんと違うんです!」

京介「お、怒るなって…………ん? なぁ、今……」

あやせ「えっ? ……あっ」

京介「つ、つまり……素敵です、とかラブリーなんたらってのは……本心ってことか?」

あやせ「それは……その、……察してください」

京介「……あやせ」

あやせ「……何ですか」

京介「あやせ、いや――ラブリーマイエンジェルあやせたん!」

あやせ「お、お兄さん!?」

京介「いやー、言ってくれよ! 俺に構って欲しかったんだよな! あやせー!」

あやせ「なっ……急に何言い出すんですか!?」

京介「くうー! 怒った顔も可愛いぜ、さすが俺の天使あやせだ!」

あやせ「ひ、ひいっ!? ち、近寄らないでください! 通報しますよ!?」

京介「そう言いながらも内心は嬉しいんだろ? 分かってんだって!」

あやせ「へ、変態! これ以上近づかないでください!」

京介「それは無理だな……あやせ、あやせええ あやせ「き、きゃああ!!」ゴスッ

京介「ぐほあっ!? な、何で……」

あやせ「はぁ……はぁ……い、いきなり何するんですか!?」

京介「し、仕方ねえだろ……あやせが可愛すぎるから……悪、……ぐふっ」

あやせ「あの、大丈夫ですか?」

京介「あぁ……痛えけど、その代わりにあやせが元気になったら十分だ」

あやせ「……ありがとうございます。でも、急に来られると……びっくりします」

京介「それもそうだな、悪かったって。俺はこれからもあやせにセクハラする、これで良いんだよな?」

あやせ「言い方を変えてください! ……その、相手をしていただければ」

京介「寂しいから構ってくれってことだろ? 寂しがり屋のあやせたんマジ天使!」

あやせ「そ、そうやって茶化さないでください! ……それより、お兄さん」

京介「おう、どうした?」

あやせ「……わたしの気持ち、もう分かっちゃいましたよね」

京介(……やっぱり、こうなるよな)

あやせ「お兄さん……いつもわたしに『愛してる』って言ってたのは冗談だったんですか?」

京介「……どうなんだろうな。でも、本気であやせと一緒に居たいって思ってた訳では無かったと思う」

あやせ「……そうですよね。分かってました、お兄さんとのやり取りは『遊び』みたいなものだって」

あやせ「でも、ずっと言われ続けたら……その気になっちゃうんですよ?」

京介「あやせ……」

あやせ「それに、わたしはあなたのことが……好きですから、冗談じゃなければ良いのにって思ってたんです」

京介「おまえ、本気で……」

あやせ「はい、……鈍感なお兄さんは気付いていなかったかもしれませんが」

京介「……あぁ、嫌われてはいないと思ってたけど」

あやせ「お兄さん。……わたしに、本気でセクハラしてくれますか?」

京介「……俺は」

あやせ「ご、ごめんなさい……わたし、訳分からないこと言ってまた困らせて……」

京介「……あやせ、本気でって言ったよな? それがどういう意味か分かってんのか?」

あやせ「分かってる……つもりです」

京介「今、おまえが居るのは俺の部屋、それでベッドの上に居る……それも分かってるんだよな?」

あやせ「えっ……? お、お兄さん……?」

京介「……本気でセクハラ、って言ったらそういうことになっちまうな」

あやせ「わ、わたし……その、そこまでは……」

京介「あやせ、目を閉じてくれるか?」

あやせ「お、お兄さん……それは」

京介「どうするんだ?」

あやせ「……分かりました。……んっ、これでいいですか」

あやせ(……まさか、本当に……でも、それもお兄さんとなら)

京介(目瞑りながら震えてるのか……無理すんなっつーの)

あやせ「ま、まだですか……?」

京介「……あやせ、ほら」ギュッ

あやせ「あっ……お兄さん、――んっ……」

京介「……ん、はぁ……目、開けてもいいぞ」

あやせ「お、お兄さん……今、わたしに」

京介「……本気のセクハラ、したつもりだ」

あやせ「……変態、中学生にキスするなんて」

京介「自分の好きな女の子にキスしたんだ、どう言われても後悔しねーよ」

あやせ「えっ……? あ、あの、今のは……」

京介「……あぁ、今度は本気だ」

あやせ「お兄さん……わたし、わたし……っ……嬉し、っ……」

京介「な、泣くなって……よしよし」

京介「落ち着いたか?」

あやせ「……はい、おかげさまで」

京介「でも、これであやせが俺の彼女って訳か……」

あやせ「そ、そうですね……」

京介「やべっ、そう思うとテンション上がってきた! 生きてて良かった……」

あやせ「もう……大げさです。……でも、意外でした」

京介「意外? 何がだよ?」

あやせ「本気でセクハラする、って言ったから……その、もっと先までされるのかと」

京介「……いくら何でも、震えてる中学生にそんなことしねーよ」

あやせ「……優しいですね」

京介「……まぁ、正直に言うと我慢はしてるけどな」

あやせ「我慢ですか……っ!? あっ、あの……お兄さん、それは……」

京介「ん? ……あっ」

京介「い、いつの間に……違う、違うからな! 別にそこまでするつもりは……」

あやせ「で、でも……わたしとキスしたから、そうなってしまったんですよね……」

京介「……あぁ、そうだろうな。あやせの前でこんなことになるなんて……」

あやせ「……わたしに魅力を感じてくれてるんだったら、嫌では無いですけど」

京介「ま、まぁ、こんなのほっとけば戻るから気にしないでくれ」

あやせ「……お兄さん、本当はわたしを、押し倒しいんじゃないですか?」

京介「なっ……だからそこまでしねえって!」

あやせ「でも、わたしが中学生じゃなかったら……どうしていました?」

京介「……さぁな、考える意味は無いだろ」

あやせ「お兄さん、わたしを彼女だと思ってくれるのなら……その……」

京介「だ、大丈夫だから! 分かってくれ、なっ?」

あやせ「……分かりました。でも、辛くなったら……ちゃんと言ってくださいね」

京介(……正直、辛いです。いや、今は我慢だ……我慢……)

あやせ「……そういえば、勉強の邪魔してしまいましたね。ごめんなさい」

京介「いや、どうせ休憩しようとしてたから別にいいって。……結果的に最高の休憩になったけどな」

あやせ「……もう」

京介「さてと……腹減ったな、飯でも食いに行かねーか?」

あやせ「いいんですか? 外に出る時間なんて……」

京介「せっかく彼女ができたんだ、少しくらい楽しまねーと損だからな」

あやせ「……じゃあ、行きましょうか」

京介「あぁ、駅の方まで行くか?」

あやせ「えぇ、そこまで行かないと何もありませんからね」

京介「よし、準備するから下で待っててくれ」

京介「あやせ、準備できたから行こうぜ」

あやせ「はい。……あの、お兄さん」

京介「ん? どうした、忘れ物か?」

あやせ「違います! ……その、えいっ」ギュッ

京介「……手を繋ぎたいんならそう言えって」

あやせ「は、恥ずかしいんです……」

京介「本気でセクハラしてください、って言う方がもっと恥ずかしい気がするけどな」

あやせ「なっ……! 何言ってるんですか!?」

京介「怒るなって。ほら、しっかり握ってろよ?」

あやせ「もう……お兄さんのいじわる」

こうして俺とあやせは付き合うことになった。まぁ、まだ周りの誰にも言ってないのが若干不安ではあるけど。
でも、俺はあやせと一緒に居たいと思うし、向こうもそう思ってくれてるはずだ。それに――

「どうしたんだ、あやせ……俺、また何かやっちまったか?」

「……最近、忙しそうですね」

「だから機嫌悪いのかよ……悪かった、時間作るから許してくれよ」

「……違います、忙しいのは仕方ありません。でも、たまに会えた時でも……」

「言ってくれよ、あやせ」

「……お兄さんがセクハラしてくれなくて寂しい」

「そっか……じゃあ、こっち向いてくれよ」

「は、はい……。――んっ……はぁ……」

「セクハラってのは、これでいいんだろ? 許してくれるか?」

「……駄目です、もっとしてくれたら許してあげます」

セクハラしてください、と照れ隠しにキスをねだるあやせが可愛すぎて幸せなので何も問題は無い。


終わり(?)

その後のある日の休日

京介(……ふわぁ、今日は凄まじく眠い)

京介(今日も俺以外は誰も居ないんだ……だったら)

京介(桐乃に無理やり渡されたエロゲ、こいつで眠気でも覚ますか!)

京介(そういえば、まだインストールしてなかったな……少し待つしかねーか)

京介(ん? 何だこれ……桐乃のメモ?)

『二番目の妹の話マジで泣けるから! 絶対クリアして感想言いなさいよ!』

京介(……面倒くせ、適当に……や、やべえ……眠気が)

京介「……すぅ、すぅ……」

あやせ(たまたま近くを通りかかったけど……お邪魔してもいいかな)

あやせ(でも、お兄さんは多分勉強中だし……)

あやせ(そ、そうだ、応援。お兄さんの応援をするってことで!)

あやせ(よ、よーし……)

ピンポーン

あやせ(……誰も居ないのかな?)

ピンポーン

あやせ(……また今度にしようかな)

佳乃「あら、どうしたの? 桐乃に何か用?」

あやせ「あっ、こんにちは。いえ、お兄さんに用がありまして」

佳乃「京介に? それならどうぞ入って、私はまたすぐに出るから何もお構いできないけど……」

あやせ「い、いえ、大丈夫ですよ。では、お邪魔します」

佳乃「じゃあ、京介にお菓子でも出すように言っておいてね。ごゆっくり」

あやせ(お兄さん、お部屋かな……また寝てたりして)

あやせ(優しく起こしてあげようかな。それとも、また驚かして……)

あやせ(一応、ノックしてみた方がいいよね)

コンコン

あやせ「……返事がない。じゃあ、お邪魔しまーす……」

京介「……すぅ、すぅ……」

あやせ(やっぱり寝てたんだ……机の上で寝たら風邪ひいちゃうのに)

あやせ(すぐに起こして……あれ? パソコンが動いてる……)

あやせ(なんだろ、これ……っ!? こ、これは……)

あやせ(妹物語……? あっ、このケースにも同じ名前が……っ!?)

あやせ(こ、これ……いかがわしいゲーム!? お、お兄さん……まさか)

京介「……すぅ、すぅ……」

あやせ(こんなものをやって……変態! わたしが居るのに……!)

あやせ(……何かメモがある。これは、桐乃の字だ……)

『二番目の妹の話マジで泣けるから! 絶対クリアして感想言いなさいよ!』

あやせ(……桐乃のせいみたい。で、でも、やろうとするお兄さんも……)

あやせ(…………)

あやせ(桐乃の趣味、お兄さんもやろうとしてる……)

あやせ(…………)

あやせ(これ、かな……)カチッ カチッ

『お兄ちゃん、朝だよ! 起きて起きてー』

あやせ(……妹が三人も出てくるんだ)カチッ カチッ

『あー、兄ちゃんほっぺにご飯粒ついてるよー。えいっ!』

あやせ(自分で取ればいいのに)カチッ カチッ

『兄さん、一緒に学校に行きましょう?』

あやせ(……なんでみんな髪の毛の色が違うんだろう)

カチッ カチッ カチッ

京介「……すぅ、すぅ……」

カチッ カチッ カチッ カチッ

三時間後

あやせ(ええっ!? この子、後少ししか生きられないの……?)

京介「……zzz」

あやせ(今までみんなで仲良くしてきたのに……そんな)

カチッ カチッ カチッ

あやせ(助ける方法が無いなんて……)

カチッ カチッ カチッ

京介「……すぅ、すぅ……」

さらに一時間後

『あたしは、兄ちゃんと一緒に居られれば……幸せだったから』

あやせ(……後数か月しか生きられないなんて)

『ねえ、兄ちゃん……こんなあたしだけど、思い出……くれないかな?』

あやせ(思い出……? それって……)

・夏美を抱く
・夏美の気持ちには応えられない

あやせ(えっ? だ、抱くってまさか……妹なのに、そんなことが……)

あやせ(でも、夏美は本当に好きだから……それを断るなんて)

あやせ(……うん、こうしてあげないと、夏美が)カチッ

『……へへっ、ありがと。……優しくしてね』

あやせ(えっ? そ、そんないきなり……わ、わわっ……)

あやせ(い、妹だけど……でも、夏美は……もう長くはないから)カチカチッ

京介「……すぅ、すぅ……」

さらにさらに一時間後

『ありがとね、兄ちゃん……兄ちゃんのおかげで、あたし……』

あやせ(夏美が……生きてる?)

『うん、嘘じゃないよ。だからさ……今までできなかったこと、たくさんしてあげる』

あやせ(嘘じゃないんだ……よかった、本当に……って、ええっ!?)

『ごめんね、まだ体の具合は悪いんだ。だから、こうしてあげるしか……』

あやせ(い、妹なのに……でも、今までのことを考えると仕方ないというか……)

『んっ……はぁ、こういうのも嫌いじゃないでしょ?』

あやせ(……こ、こういうのもあるんだ)

京介「……ん、んんっ? やっべ! 今何時……って、あやせ?」

あやせ「……あっ。お、おはようございます……」

京介「お、おう……あれ? おまえ、それは……」

京介「……何であやせがエロゲやってんの?」

あやせ「あ、あの……これは、違うんです! な、夏美が……」

京介「夏美って誰だよ……つーか起こしてくれよ、もう三時か……」

あやせ「ご、ごめんなさい…………あっ」

京介「ん? ……あっ、い、いや、これは寝起きの生理現象だからな!?」

あやせ「……あ、あの……お兄さん」

京介「だからこれは……その――んっ……あ、あやせ!?」

あやせ「んっ、はぁ……じ、じっとしていてください、お兄さん……」

「……ここ、苦しそうですね。今、楽にしてあげますから……」

「ま、待て! どうしたんだ? 急にこんなことして……」

「夏美ちゃんが、久しぶりに触れ合えた時に……愛おしいって言って、こうしてたんです」

「そ、それはエロゲの話だろ? 落ち着けって、なっ?」

「……嫌です。お兄さん、んっ……んんっ……」

「あ、あや――んっ……ぷはっ。お、おまえ……」

「こうやって、キスしながら……ここを、触ってあげればいいんですよね……」

「や、やめ……んんっ……」

「……キス、やめちゃダメです。もっと、もっと……んちゅっ、れろ……」

(あやせの舌が……な、なんでこんなことに……)

「……えいっ。……こ、こうなってるんですね、男の人のって」

「あ、あやせ! これ以上は――っ……くっ……」

「……変態なお兄さんなら、喜んでくれるはずです。えっと、こうやって……手で包み込んで、上下に……」

(な、何だよこれ……人にされるのってこんなに……っ……!)

「あ、熱い……ここって、こんなに熱くなるんですね」

「あやせ……今からでもいいから、もうこんなことは」

「……嫌です。お兄さんともっと、キスしたいですから……あむっ、ずずっ……んっ」

(くっ……駄目だ、気持ち良すぎて何も考えられねー……)

「あっ……こうすれば……えろん、んちゅ……」

「じ、自分の手なんか舐めてどうすんだよ……」

「こうすれば、滑りが良くなるって……えいっ」

「……っ! あ、あやせ……! それ、以上は……もう……」

「お兄さんの……びくびくしてる……可愛い、もっと……舌、舐めたい……んっ、れろ……ずちゅ……」

「くうっ……だ、ダメだ……もう、俺……!」

「お、おにいひゃん……わはひの、ちゅっ……手で、えろっ……きもちよくなってください……」

「あ、あやせ…………俺、――っ!」

「あぁっ! あ、熱い……これ、お兄さんの……」

(……や、やっちまった……中○生の手でなんて)

京介「……あやせ、おまえなぁ」

あやせ「……お兄さん、可愛かったですよ、ふふっ」

京介「はぁ……まぁ、正直気持ち良かったから何も言えねーんだけど」

あやせ「それならいいじゃないですか。お兄さん……またして欲しくなったら、言ってくださいね」

京介「言わねーよ! ……多分」

あやせ「あっ、お兄さん」

京介「何だよ……そういうのは無しで頼むぞ」

あやせ「えっと……このゲーム、続きやってもいいですか?」

京介「あぁ、それなら……駄目に決まってんだろうが!」

あやせ「で、でも夏美ちゃんが……それに秋子ちゃんも」

京介(……エロゲのやめさせ方を桐乃に相談してみるかな)

前乗っ取ったのと合わせて妄想を出し切ったので終わり

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