千早「優かわいいよ優」(172)

・千早幼女時代

千早「優かわいいー。」ギュー

優「お姉ちゃん…苦しいよ。離して…」

千早「やだ。離さないもん。」

優「えい!」コチョコチョ

千早「きゃー!」

優「今だ!にげろー!」

千早「こら!待ちなさい!」

優「待たないよー。」

千早「ッ!!優!危ない!車が来てる!!」

優「えっ」

その時、男の人が道路に飛び込んだ
車に轢かれそうになった優を抱えて、反対側の歩道に向かって転がりこんだ

「怪我はないか?」

優「う、うん……」

「そうか。良かった。もう道路に飛び出すんじゃないぞ。」

優「ありがとう。お兄ちゃん。」

千早「優!大丈夫?」

優「うん……でも、怖かった……」

千早「あれ?優を助けてくれた人は?」

優「もう行っちゃったみたい。」

・数年後

優「お姉ちゃん。朝だよ起きて。」

千早「…………」

優「まだ寝てるのかな?」

千早「隙あり!」ガバ

優「わ」

千早「捕まえたわ」

優「離してよお姉ちゃん!」 ジタバタ

千早「やだ。優可愛いから離したくない」

優「朝からこんなことしてたら遅刻するよ!」

千早「少しくらい平気よ。」

優「ダメだって!!」バタバタ

千早「こら、暴れないの。」


ドン!!

千早「…………」

優「隣から壁ドンされたね……」

千早「そうね。近所迷惑になるし、そろそろやめようかしら。」

昨日の続きとちゃうんかい

>>5
一応最初からやろうと思ったけど続きからにしますか?

千早「そういえば、今日新しいプロデューサーが来るって社長が言ってたわ。」

優「へー。いい人だったらいいね。」

千早「そうね。前のプロデューサーはアイドルにセクハラしすぎてクビになったし、今回のプロデューサーはまともな人がいいわ。」

優「セクハラって……お姉ちゃん大丈夫だったの?」

千早「ええ大丈夫よ。」

千早(巨乳アイドルを狙ってセクハラしてたから……くっ)

千早「あ、もうこんな時間。そろそろ事務所に行かないと。」

優「いってらっしゃい。」

千早「おはようございます。」

春香「千早ちゃんおはよう。」

千早「まだ春香しか来てないようね。」

春香「うん。そんなことより、聞いてよ千早ちゃん。」

千早「どうしたの?」

春香「今朝、事務所に来る途中道路で転んじゃったの。」

千早「それは大変ね。」

春香「起き上がっている間に信号が変わって危うく車に轢かれそうになったよ。」

千早「軽く言ってるけど結構危ないわね。」

春香「本当に危なかったよ。通りすがりの人に助けてもらわなかったら今頃轢かれてたよ。」

その後、他のアイドルが次々に事務所に来てついに新しく来たプロデューサーの紹介になった。

社長「あーコホン。彼が今日から君たちのプロデューサーだ。」

P「初めまして。」

千早(この人前にどこかで会ったような……あ!!)

千早 春香「あー!あなたはあの時の!」

社長「おや?既に知り合いだった者がいるようだが……」

P「あー。そこのリボン付けている子なら、今朝会いました。」

春香「はい。この人は今朝車に轢かれそうになった私を助けてくれたんです。あの時はありがとうございました。」

P「いや、礼には及ばないよ。それより怪我がなくて良かった。」

P「でも、そこの髪の長い子は……ごめん思い出せそうにない。」

千早「私のことは知らなくて当然だと思います。昔、私の弟を助けてくれた人ですよね?」

P「んー。」

千早「ほら、車に轢かれそうになっていた時に…」

P「そんなこと言われても、俺3日に1度くらいのペースで車に轢かれそうな人を助けてるし。」

千早「えっ」

社長「実は私も3日前に彼に助けられたのだよ。」

P「その縁でプロデューサーにさせて頂いたという経緯があるのさ。」

P「あー段々思い出してきたぞ。なんか、姉のセクハラから逃げようとして道路に飛び出した子を助けたような……」

千早「あれはセクハラじゃなくてスキンシップです!!!」

律子「セクハラする人は決まってそう言うのよ。」

あずさ「前のプロデューサーも同じ言い訳してましたよね~。」

一通りPとアイドルの自己紹介を終えた後、Pの初仕事が言い渡された。

P「如月さんの現場までの送り迎えと監督か。」

千早「千早でいいですよ。」

P「ん?そうか。よろしくな千早。」

千早「はい。」

P「そういえば、弟さんは元気なのか?」

千早「はい、お陰様で。」

P「それは良かった。」

千早「今は弟と二人暮らしをしています。」

P「それは弟さんの貞操が危ないんじゃ……」

千早「危なくないです。むしろ、私が監視してないとどこかの泥棒猫に奪われる心配があります。」

P「なにそれこわい」

千早「優はモテるんですよ!!美少年だし、年の割りにしっかりしているし、バレンタインだって毎年凄いことになってますから!!」 ガンガン

P「こら、事務所の車を叩くんじゃない。」

P「でも、それだけモテているなら彼女の一人くらいいても……」

千早「ありえません。」

P「えー」

千早「実際、今まで告白されてきても全部断っているそうです。きっと私のためです。」

千早「ちなみに私も告白されたことありますけど、優のために断ってます。」

P(この子怖い)

P「さて、現場に着いたぞ。」

千早「はい。」

P(それにしても、お笑い番組の収録か……)

千早「ずっとこの番組に出るの楽しみにしてたんです!」

P(見た目はクールそうだったのにお笑いが好きとか意外……でもないか。千早と話してみると結構盛り上がったし……殆ど弟に関する話題だったけど)

芸人「なあ、千早ちゃんは彼氏とかおるん?」

千早「いませんよ。」

芸人「またまたー。そんなこと言っても本当はいるんやろ?」

千早「本当にいませんよ。でも、弟とは結構仲がいいんですよ。」

芸人「ほいきたー!アイドルの言う弟は彼氏のことに決まってる。彼氏って単語を弟に摩り替えただけちゃうかと。」

千早「違いますよ。本当に仲がいいんですよ。この前だって――」

P(千早に限っては本当に弟のことしか言わないから困る。)

P(さて、収録が終わったし電話報告するか。)

千早(家で優が待ってるって考えると……早く帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい)

P「はい、Pです。今収録が終わりました。え?今日はもう遅いから直帰でいい?わかりました。はい、失礼します。」

P「千早。今日の仕事はこれで終わりだ。」

千早「まあ、なんでもいいですけれど。」

千早(っし!!来た!!これで優に会える!!!)

P「事務所に車を返しにいくついでに家まで送っていくよ。」

千早「ありがとうございます。」

P「千早はどうしてアイドルになったんだ?」

千早「本当はアイドルよりも歌手になりたかったんです。でも……」

千早「優がテレビに映っているアイドルの衣装を見て、お姉ちゃんが着たらもっと似合うのにって言ってくれて……フフフフ」

千早「歌も歌えるし、アイドル衣装で優を悩殺できるアイドルになりたいと思ったんです!」

P(行動理由の殆どが弟絡みじゃねーか!)

千早「あ、ここが私の家です。」

P「よし、それじゃお疲れ。また明日な。」

千早「待ってください。折角だから家に寄っていきませんか?」

P「what!?」

千早「優に紹介したいんです。プロデューサーが命の恩人だってことを……」

P「あ、ああ。そういうことね。別に構わないけど。」

P(初日からアイドルに手を出してクビコースに入るかと思って焦った……)




千早「ただいまー。」

優「おかえりお姉ちゃん!!」

P「ど、どうもお邪魔しまーす。」

優「あ、どうも。」

優(誰だこの人。まさかお姉ちゃんに彼氏?いや、そんなはずない。お姉ちゃんは僕のものだ。誰にも渡さない。)

P(な、なんか殺気を感じる。)

千早「優。この人は私たちのプロデューサーよ。」

優「そうなんだ。弟の優です。姉がお世話になっております。」

優(なんだ彼氏じゃないのか……あれ?冷静に見るとこの人どこかで……)

優「あ!!あの時の!!!」

千早「気づいたの?」

優「僕を助けてくれた人だ……」

P「ハハハ。まさかまた会う日が来るとは思わなかったよ。」

P(その後、優君と話したらすっかり意気投合してお互いの連絡先を交換するまでに至った。)

P「そろそろ帰らないとな…」

優「え?もう帰るんですか?また来てください。」

優「お姉ちゃんの彼氏にならない限りは歓迎しますから…」ボソ

P(優君もシスコンだな……)

・翌日

P「おはようございます。」

小鳥「おはようございます。昨日はどうでしたか?」

P「まずまずです。まだ不慣れで大変でしたよ。」

小鳥「そうですか。頑張ってください。」

P「はい。あ、そういえば、昨日千早の弟に会ってきました。」

小鳥「千早ちゃんの弟ですか!!!いやあ、優君いいですよね。」

P「は?」

小鳥「こう抱きしめたくなるくらい可愛いっていうか、お姉さんが色々イケナイこととか教えたくなるような魅力があるんですよ!」

千早「……」ゴゴゴゴゴゴ

P「ヒイ!千早いつからそこに?」

千早「優は私のもの……」ギチギチ

小鳥「ピヨー……千早ちゃんヘッドロックやめてー」

P「それ以上いけない」

小鳥「死ぬかと思いました……」

千早「ごめんなさい。つい、頭に血が上って……」

美希「小鳥も懲りないの。この前も結婚相手には千早さんの弟みたいなタイプがいいって言ってヘッドロックかけられてたの。」

小鳥「あれは物の例えです。本当に手を出すわけがないじゃないですか。そもそも年齢差が……ウッ」

美希「自爆したの。」

P(今日はデスクワークが中心か……座ってるだけってのも意外にきついな。)

P(休憩がてらちょっと過去のライブのDVDでも見るか。)

――

P「うーん……」

春香「どうしたんですか?プロデューサーさん。」

P「ああ。ちょっと、過去のライブ映像見て気づいたことがあったんだ。」

春香「気づいたこと?」

P「千早の表情の違いだよ。こっちのDVDだと心から笑って歌っているような気がするけど、逆にこのDVDだとそうじゃない。なんていうか、何か笑顔の裏に不安を抱えているような……」

春香「言われてみれば……確かにそうですね。千早ちゃんいつも笑って歌ってるけど、そこまで細かく見たことはなかったです。」

律子「それはライブに弟が来ているかどうかの違いですよ。」

P「また弟……」

律子「ライブに弟が来ていると張り切っていつも以上の力が出るんですよね。逆にいないと緊張で少し固くなってしまうですよ。」

P「なるほど。」

春香「確かに優君はいつも千早ちゃんのライブに来ているのに、この日は来れなかった。」

律子「でも、よく気づきましたね。結構プロデューサーとしての才能があるのかも。」

P「いや、そんな大袈裟な…」

P(うーん……弟でテンションをコントロールか……アリかも知れないな。)

・某日

千早「うぅ…緊張してきた。」

P「そんな緊張しなくてもいい。いつも通りにしていれば絶対に上手くいく。」

千早「は、はい!」

P(本番前で緊張しているな。よし、あの手を使うか。)

千早「あ、携帯が鳴ってる。もしもし」

優「お姉ちゃん?」

千早「優!」

優「これから本番だよね。がんばって。」

千早「どうしてそれを……」

優「プロデューサーさんからメールで教えてもらった。緊張しているから励ましてやれだってさ。」

千早「そうなの。お姉ちゃん頑張るからね!」

P(優君の電話がきっかけで千早がいつも以上に力を出し切れたようだ。)

P(でも、ここまで効果があるなら、もう優君が千早のプロデューサーやった方がいいんじゃね?)


P「ありがとう優君。お陰で助かったよ。」

優「いえ、大したことはしていません。それにお姉ちゃんのためなら僕は何だってできますからね。」

P「そういえば、優君は将来何になりたいとかってあるの?」

優「僕は、お笑い芸人になりたいです。」

P「えっ」

優「その……なんというか……小さいころ、僕のギャグでお姉ちゃんがよく笑ってくれたから、それで芸人を目指したいって」

P「そのルックスで芸人目指すなんてもったいないような。」

優「でも、お姉ちゃんはいつも僕のギャグで大爆笑しているし、才能あると思うんです!」

P(そもそも千早の笑いの沸点は相当低いらしいし、参考にならないと思う。)

優「じゃあ、僕のネタを見てください。」

P「まあ、いいけど。」

優「相方はこの子です。」ドン

P「そのまな板で作った人形は何?」

優「まな板ちゃん人形です。彼女の他にも洗濯板ちゃん人形もいますが、今回はお休みです。」

P「どことなく、雰囲気が千早に似ているのは?」

優「気のせいです。」

優「ねえねえ優君。(裏声)」

優「なんだい?まな板ちゃん。」

優「この前、曲がり角を曲がったら男の子とぶつかったの。(裏声)」

優「そうなんだ。怪我はなかった?」

優「うん。大丈夫よ。それよりも、私ぶつかった男の子が結構好みのタイプだったの。それでさっきから心臓がドキドキしっぱなしよ。(裏声)」

優「それはまな板の恋だね。」

優「どうもありがとうございました。」

P(終わった!?)

P「はは…まな板の鯉と恋をかけているのね。」

優「その通りです。結構自信作なんだけどどうですか?」

P(反応に困る……)

P(正直言うと優君は芸人として大成するとは思えない。どっちかって言うとアイドルの方が向いてそうなんだよな。)

P(中性的な美少年だし、しっかり者の弟キャラだし、千早の弟だけあって声もいいし……)

P(優君がうちの事務所でアイドルになってくれれば、職場でも千早と一緒にいられて千早のテンションも上がり続けるし……)

P(あれ?もしかして千早と姉弟ユニットとか結成したら売れるんじゃね?)

P「優君。アイドルになってみないか?」

優「え?アイドル?僕がなりたいのは芸人…」

P「いいか?よく聞くんだ。厳しい芸能界で、現状のまま優君が芸人としてやっていけるとは正直思えない。」

優「そうですか…」

P「なぜなら、優君には芸人向きのキャラじゃないからインパクトが足りない。何か他の芸人にないようなものが飛びぬけてないと生き残れる世界じゃない。」

P「そこでだ。もし、元トップアイドルの芸人がいたら話題になると思わないか?」

優「元トップアイドルの芸人?そういうのもあるのか!」

P「そうだ。そうすれば最初からキャラで目立てる。だから、一度アイドルを経由してから芸人目指す方がいいと思う。」

優「確かに…プロデューサーさんの言う通りだと思います。」

P「だから、俺と一緒に一度トップアイドルを目指さないか?」

優「断る理由なんてありません。元はプロデューサーさんに助けてもらった命ですから、この命はプロデューサーさんと共に歩むために使います。」

P(なんとか説得できたか。)

優「というわけで本日から765プロ所属アイドルになりました如月優です。よろしくお願いします。」

千早(仕事でも優と一緒にいられるなんて……いけない。鼻血が出そう。)

小鳥(間近で見るとやっぱりかっこいい。でもうっかり手を出したら千早ちゃんに制裁されちゃいます…)

律子「千早。わかってると思うけど、仕事では優君を甘やかさないようにね。」

千早「わ、わかってるわよ。」

雪歩「お、男の人……」

真「大丈夫だよ雪歩。千早とのユニットが主体だから雪歩とはそんなに絡む機会はないと思う…多分」

社長「やあキミ。優君の調子はどうだい?」

P「順調に力を付けていってます。歌唱力は姉の千早にはまだ劣りますが、素質はありますので本人の努力次第では千早を超える可能性があります。」

社長「やっぱりか。私の目に狂いはなかった。キミが優君を連れてきた時はティンティンと来たからな。」

P「下ネタですか…」

社長「いや、そうじゃないよ。通常は1ティンなのに優君には2ティン感じるような何かがあったんだよ。」

P「はあ…」

社長「秋月涼君に会った時も同じようにティンティンきたな。」

P「やっぱり下ネタじゃないか(憤怒)」

千早「優ー」ギュー

優「どうしたのお姉ちゃん?」

千早「何でもないわ。ただ優のそばにいたいだけ。」

優「そっか。よしよし。」

小鳥(うぜえ…事務所にいるバカップルがうぜええええええ!!!あー壁とか殴りてえええええ!!!)

律子「ほら、そこ人前でイチャつかない。」

千早 優「はーい。」

小鳥(律子さんGJ)

美希「律子…さんは厳しすぎるの。ミキは少しくらいイチャつくのは別にいいと思うな。」

律子「そういうあんたもプロデューサーから離れなさい。」

美希「嫌なの。」

P「マジで離れてくれ…仕事にならない。」

真「いつの間に美希はプロデューサーに懐いたんだ?」

美希「プロデューサーが車に轢かれそうになっているミキを…」

真「またそのネタ!?」

律子「あずささんが道に迷うのとプロデューサーが他人の交通事故に遭遇するのも日常茶飯事なのよ。」

春香「だったら、私もプロデューサーに助けられてますからイチャついてもいいと思います!」

美希「春香はダメなの!」

千早「…………」チラッ

優「そんな目で見なくても別に僕は助けられたからってプロデューサーに抱きついたりしないよ。」

やよい「千早さんたちって仲が良いんですね。」

伊織「仲が良いのを通り越して病気よ。兄弟間でイチャつくなんてありえない。」

千早「高槻さんも弟に抱きついてみるといいわ。きっと喜んでくれるわ。」

やよい「うっうー!わかりました!今日帰ったら長介に抱きついてみます!」

伊織「やめなさいよ!」

優「抱きつく時は少し力を弱めてあげてね。お姉ちゃんは毎回全力で抱きついてくるから結構苦しい…」

千早「優が可愛すぎるのがいけないのよ。」

P「テレビ出演の依頼が来たけどこれ受けていいのか…?」

優「受けないんですか?」

P「いや…内容が内容なだけにな……」

千早「どんな内容なんですか?」

P「3人の女の子の中に1人だけ女装した男の子を入れて、誰が男なのかを当てるクイズだ。」

千早「なんですかそれ…」

P「3人のメンバーを送りこむ必要があるんだけど…まあ、1人は確定だな。」

優「へー女装かー……って、この事務所にいる男は僕だけじゃないか!」

P「受けるかどうかは優の意思次第ってことだな。」


千早「優の女装……いけない、鼻血が……」

優「他のメンバーはどうするんですか?」

P「他は……正答率を下げるためには真が確定か。後は胸が大きいアイドルは使えないから……」チラッ

千早「くっ」

優「お姉ちゃんが出るなら出ます。」

P「決断早いな。」

優「別にお姉ちゃんと一緒がいいとかそんなんじゃなくて、姉弟ユニットとして売り出していくためには共演の機会を逃しちゃいけないと思っただけです。」

千早(ツンデレ!?ツンデレなのね…おいしすぎるわ)ジュルリ

・収録当日

P「楽屋に入ったら指定された衣装に着替えるんだぞ。」

真「はい。」

優「…………はい」モジモジ

千早「優の着替えは私が手伝うわ!」

P「着替え部屋は男女別となっております。」

千早「くっ」

P「俺は男だから優の着替えに立ち会うけどな。」

千早「じゃあ、このビデオカメラに優の着替えシーンを……」

P「犯罪はお断りします。」

千早(この壁1枚越えた先に優の着替えシーンがあるのに…!)

千早(見ることが敵わないならせめて聞き耳を立てるまで!)

優「本当にこれに着替えるんですか?」

P「そうだ。」

優「し、下着まで……」

千早(下着!?下着ってことは、優の××××が!!)

千早「んあー(歓喜)!!!」

ドン!

千早(ここでプロデューサーからの壁ドン…少し大きな声を出しすぎたようね。)

真「まっこまこりーん。着替え終わりましたー。」

優「…な、なんか変な感じがする。」

千早「んあー(興奮)!!!!!」

P(こうして見ると誰が男か本当にわからないな。優は女装アイドルとしてもいけそうだな。)

・本番

司会「この3人の中に1人だけ女装した男性が混ざっております。」

観客「えー!!」

司会「今回のクイズは誰が男なのかを当てるクイズですねー。」

司会「それでは自己紹介をして頂きましょうか。まずは1番の子からお願いします。」

優「き、如月優です…」

司会「緊張しているのかな?可愛いねー。」

優「いえ…そんな。ありがとうございます。」

司会「はい。では続いては2番の子お願いします。」

千早「如月千早です。」

司会「ほう。彼女も如月って苗字ですか。偶然か、はたまた血縁関係があるのか。それは後で明らかになるでしょう。」

司会「では、3番お願いします。」

真「まっこまこりーん。菊地真でーす。よろしくお願いしまーす。」

司会「元気がいいですねー。」

回答者(なっ……なんだこの問題はっ……!滅茶苦茶だっ……!わかるはずがない……!)

回答者(1番は流石に女だろう……2番も名前からして女か……?男でもありえないことはないが……。消去法で考えれば3番……?いや、そんな安易な考えでは掬われる……!足元を……!)

司会(ククク……!悩むがいいさ…!イケメン王子とまな板に隠れた中性的な美少年っ……!これだけのメンツが揃っていれば当てるのはほぼ不可能っ……!)

司会「では、お答えを……!」

回答者「さ、3番だ!」

司会「なぜそう思いますか?」

回答者(んなこと聞くんじゃねえ……!勘に決まってんだろ……!しゃあねえ適当に答えるか)

回答者「3番が一番女っぽいって思ったからだ。こういうのは一番ありえなそうなのが案外正解だったりするから……」

回答者(こう言っておけばもし外れても3番の子に対して失礼じゃないだろう……!)

司会「なるほど逆転の発想ですか……が、不正解です……!」

回答者「なんだと……」ぐにゃ~

司会「正解は1番でした。」

観客「えー!見えなーい!」

司会「1番の如月優君は2番の如月千早さんの弟ですね。実はこの2人は」

真「ねえ、聞きました?今、ボクのことを女っぽいだって!やーりぃ!」

司会「元気なのはいいけど、司会が喋ってるときはお静かに願います。」

真「す、すみません。」

観客「アハハハハハ」

司会「えーこの2人は姉弟でユニットを組んでいるんですよ。」

観客「へー」

優「は、はい!まだ結成したばかりですがよろしくお願いします!」

観客「かわいいー!」

千早(観客席のメスブタ共め!私の優に色目使ってんじゃないわよ!!)

優「ふぅ…やっと収録終わった。」

P「お疲れ。」

真「最初にこの仕事が来た時は正直ちょっと嫌だって思ってましたけど来て良かったです!」

P「最初に3番って言い出した時は冷や冷やしたけど、回答者の機転に助けられたな…」

千早「女装した優が可愛すぎて生きるのが辛い。今度優に着せるために女物を服を買ってこようかしら」

P「自分は着ないのかよ!」

P「ふぅ…仕事も一通り片付いたし、気分転換にその辺を散歩してくるか。」

真美「兄ちゃんが散歩にいくの」

亜美「じゃあ、亜美たちは事務所に引きこもってるね」

P「なんでだよ。」

真美「だって兄ちゃんが散歩にでかけると交通事故に遭う確率が…」

P「人を死神みたいな扱いしやがって…」

亜美「だって、はるるんとミキミキも被害にあってるし」

P「むしろ助けたのに酷い言われようだ…」

P「あれ?あそこにいるのは雪歩か?」

雪歩「あ、プロデューサー。」

P(ん?あの車様子がおかしい。赤信号なのに減速する気配がない。)

P「雪歩!危ない!」

雪歩「えっ…きゃあ!!車が」

P(く…間に合わないか?一か八か突進だ!)

雪歩「きゃっ」

Pの突進で雪歩は車に轢かれずに済んだ。

P(な、なんとか助かった。)

チンピラ「てめーらジャマなんだよ!チンタラ道路を歩いてんじゃねえ!」

P「なんだと!信号無視したのはそっちだろ!」

チンピラ「あ?てめー俺を舐めてんの…か………」

P(何だ?様子がおかしい…)

チンピラ「すいやせんでした!!!」

P(雪歩に向かって土下座しただと……)

チンピラ「お怪我はありませんか?(冷や汗)」

雪歩「だ、大丈夫ですぅ。」

チンピラ「良かった……本当に良かった。こ、このことは、どうかお父様には……」

雪歩「別に言いつけるつもりはありませんよ。」

チンピラ「あ、ありがとうございます。では、失礼します。」




雪歩「プロデューサー?さっきのことは何も見てませんよね?聞いてませんよね?」

P「え?」

雪歩「何も見てませんよね?そもそも事故なんてありませんでしたよね?ね?」

P「ハ、ハイ。確かに事故なんてありませんでした。」

P(なんだろうこの感覚は。社会の暗部が見えそうだったよ。)

P「なかったことにされたとある事故の一件から4日後、珍しく特に事故もなく過ごせました。でも、そろそろ事故に遭遇しそうで怖いです。」

千早「まあなんでもいいですけれど。」

優「僕たちを呼び出した用件はなんですか?」

P「ああ、実は2人に地方のライブイベントに出てくれないかって要請があったんだ。」

千早「2人だけですか?優と2人っきりですか!?」

P「765プロからは2人だけだ。でも、他の事務所からもイベントに参加するアイドルはいる。」

優「ってことは、僕たちとそのアイドルで対決するようなものですか?」

P「まあ、そうなるだろうな。地方のイベントとはいえ、ここで手を抜くわけにはいかない。他の事務所に大きく負けるようなことがあれば、今後の仕事に支障が出る可能性だってある。」

千早「大丈夫です。私と優の愛の力があれば負けません。」

P「そうか。俺も全力でサポートさせてもらうぞ。」

優「そういえば、他の事務所のアイドルって誰なんですか?」

P「こだまプロの新幹少女だ。事務所も大きな力を持ってるし、強敵だぞ。」

P「後もう1組出る予定のグループがあるんだが…これは当日まで明かさないらしく、俺にも何のグループが伝わってないんだ。」

千早「誰が来ても同じことよ。私と優以上にラブラブなユニットなんているはずがないわ。」

P(確かに愛の重さだけで言ったら千早に勝てるやつなんていないな。)

ここから新作
書き溜めは少しだけありますん

・地方イベント当日 楽屋裏

優「僕ライブやるの初めてだけど大丈夫かな……」

千早「優の初めての相手は私なのね。」ニヤニヤ

優「ユニットの話だよね?」

千早「別の初めても奪ってもいいのよ。」

優「お姉ちゃんだったら…」

ひかり「あなたたちが噂の姉弟ユニット?」

千早「何?誰ですか?邪魔しないでくれます?」

ひかり「…………」イラッ


優「新幹少女さんですよね?」

ひかり「そうよ。」

つばめ「あたし達と同じステージに立つ相手の様子を見にきたの。」

のぞみ「弱小765プロだからどうせ大したことなさそうだけど」チラッ

のぞみ「!!!!」メトメガアウー

優「あの…どうかしましたか?」

のぞみ「な、なんでもないです!(裏声)」

千早「<●><●>」

のぞみ「一緒にがんばりましょうね!」ギュッ

優「あ…はい。」

ひかり「のぞみ!?あんた何やってんの!」

つばめ「そうだよ。男の子と手を握っているところを誰かに見られたらスキャンダルにされるよ。」

千早「……ったな」

のぞみ「え?」

千早「優の手を握ったなあああ!!!んあー!!!!」

のぞみ「ヒイイイイ!!!」

優「ちょっとお姉ちゃん。よその事務所にアイドルに手を出すのはまずいって!」

千早「んあー!!!んあー!!!」ジタバタ

P「この声は千早……って何やってんだ!!!」


こだまP「全く。おたくの事務所のアイドルはどうなってるの?」

P「すみません。」

こだまP「幸い怪我がなかったからいいものの大事なライブ前にアイドルに襲いかかろうとするなんて。」

P「本当に申し訳ありませんでした。千早、お前も謝れ。」

千早「くっ…すみませんでした。」

こだまP「ウチの大事な商品が傷ついたら責任問題だからね?アイドルの教育くらいちゃんとして欲しいよ全く。」



千早「プロデューサー。すみません。私のせいで……」

P「そんなに落ち込むな。千早が優のことで暴走する可能性があったのに目を離していた俺も悪い。」

千早「プロデューサーは悪くないです。悪いのは全部……」

千早「あの女狐……!」ギリッ

P(千早はブレないなぁ!!!)


優「そういえば、あののぞみって人に手を握られた時にこっそり紙を渡されてたな…」

優「携帯の番号とアドレスだ。」

千早「それこっちに頂戴……」

優「はい。」

千早「んあー!!!」ビリビリ

千早「絶対に負けない絶対に負けない絶対に負けない絶対に負けない…………」ブツブツ

P「闘志が感じられるのはいいことだけど、ちょっと怖いです。」

優「これがいつものお姉ちゃんです。」

P「平然としていられる優もすげー!」


ひかり「みんなー。今日は来てくれてありがとー。」

観客「わああああ!!」

つばめ「一生懸命がんばるので応援して下さいねー。てへ☆」

観客「うおおおおおお!!!」

のぞみ「それじゃあいっくよー!」

千早「んあー(憤怒)」

P「そこ、ステージ裏で変な声出さない。観客に声聞こえたらどうするんだよ。」

P(流石新幹少女…ボーカルもダンスもレベルが高いな。)

P(闘志に燃えている千早はともかく、優は萎縮してないといいけど……)チラッ

優「凄い……こんな近くでステージに立つアイドルを見れるなんて。」

優「僕ももうすぐあの舞台に立てるんだ。」

P「緊張しているのか?」

優「正直言うと少しだけ緊張してます。でも、早くステージに立ちたいって気持ちの方が強いです。」

P(心配なさそうだな。)


P「そろそろ出番だな。よし、全力でぶつかってこい!」

千早 優「はい!」


優「今日はお越しいただきありがとうございます!」

観客「今日は女装じゃねえの?掘らせろー!」

千早「思う存分楽しんでいって下さいね。」

観客「え?両方胸ないぞ。どっちが姉なんだ?」

P(観客が全然自重しない…大丈夫かな…)


優「実は僕、交通事故に遭いそうになったことがあるんですよ。」

P(なんかトークが始まった!?)

優「その時、助けてくれた人がいて、なんとその人が今の僕たちのプロデューサーなんです!」

観客「マジかよ!」

優「それにしても、交通事故って怖いですよね。僕も車が近くにくるまで気づきませんでしたし。」

優「車がくるまで。」

千早「ブフォ!!ちょwww車がくるまでってwwww」

観客「アハハ…」

P(優ドヤ顔。千早爆笑。会場半笑い。俺冷や汗。)


P(千早と優のライブは新幹少女に負けないくらいに盛り上がった。)

P(正直、新幹少女に太刀打ちできるかどうか不安だったけど俺の不安は杞憂に終ったようだ。)

P(尤も最初のトークのせいでこちらが判定負けしている感は否めないが……)

優「プロデューサー!僕のトークどうでしたか!?」

P「ライブが終って一番最初に言うことはそれか!」

千早「最高でしたよね。優のあのギャグは……プフ…車がくるまでwwww」

P「下手したら命を落としていたかもしれない状況なのにギャグにする前向きさは凄いと思います。」

P(後、残っている演目は当日までシークレット扱いされている枠だけだ…一体誰が出るんだ?)


観客「キャアアアアア!!」

P「黄色い歓声だと……。」

北斗「チャオ☆」

観客「鬼ヶ島羅刹ー!こっち向いてー!」

冬馬「ヶしか合ってねぇじゃねぇか!」

翔太「冬馬君また名前間違えられてるwwww」

観客「アハハハハハ」

P「あ、あれは961プロのジュピター!シークレット枠はジュピターだったのか!」

P(ジュピターのパフォーマンスは凄かった。今日一番の観客の盛り上がりを見せつけられてしまった。)

P(ボーカルもダンスもこちらより圧倒的に上回る現実を叩きつけられた。)

優「負けた……」

優「僕よりトークが盛り上がってたじゃないか(嫉妬)」

P「そっちかよ!!」

優「だって、僕芸人を目指しているんですよ!」

P(そういえばそうだったな。)

優「ファンに名前を間違えられて爆笑されるなんて……そんな勝手にネタが向こうからやってくるなんて汚いですよ!」

P「優の最終目標は芸人だとしても、まず最初はトップアイドルにならなきゃ始まらないだろ?そのためには、ジュピターよりファンを獲得しなければならないことはわかるな?」

優「はい。そっちも悔しかったです。」

優「もっと歌もダンスも上手くなりたい。次こそは絶対ジュピターに負けたくないです。」

P「よし、その意気だ!」


冬馬「おい、おっさん。何で俺達がこんな地方の小規模のライブに出ないといけないんだ。」

黒井「不満か?」

冬馬「当たり前だろ!俺達はもっとでかいことをしたいんだよ!」

黒井「折角、主催者に無理言って枠を作ってもらったんだがな。」

黒井(これで、客に対するこのライブの印象は完全にジュピター一色に染まった。765プロのアイドルなんて誰の記憶にも残らない。)

黒井(売り出し中の状況でこの打撃は痛いだろ?高木ィ!!)

黒井「フハハハハハ!!!」

冬馬「なんだ急に笑い出して気持ちわりいな。」


ひかり「ちょっと!どういうことよ!」

つばめ「あたし達が完全に当て馬みたいじゃない!」

こだまP「いや、このことは私も知らなかった……」

千早「自分達の実力不足を棚に上げてプロデューサーに当たるなんて新幹少女も案外大したことないわね。」

ひかり「はぁ!!あんただってジュピターに負けてたじゃないの!」

千早「少なくても私はプロデューサーのせいにしたりしないわ。どんな状況でも誰が相手でも勝つつもりで挑まなかったらトップアイドルになんてなれない。」

ひかり「ぐぬぬ…」

千早「私達はもっとレッスンを積んで必ずジュピターにリベンジする。」

千早「もちろん。貴女たちにも負けるつもりはないわ。」

ひかり「い、言うじゃない。私達だって負けないから!」


優「えっと…最初から最後まで喧嘩ばかりだなんて…なんかすみません。」

つばめ「あたし達も悪いところはあったし、気にしないで。」

ひかり「弟は常識人みたいね。姉と違って。姉と違って。」

千早「何で2回言うの!それに貴女には言われたくないわ!」

のぞみ「優さま……」ウズウズ

のぞみ(優さまに近づきたいけど、もし近づいたら妖怪ぬり壁が襲ってくるジレンマ。)

千早「<●><●>」

のぞみ(明らかにこっち見てる……)ガクブル


「765プロのプロデューサーさんですね?」

P「そうですが…貴方は?」

黒P「私は961プロ所属ジュピターのプロデューサーです。」

P「ジュピターの?あ、初めまして。」

黒P「今日のライブは大盛り上がりでしたね。」

P「そうですね。ジュピターに全部持っていかれた感じはありますが。」

黒P「実はジュピターの参戦は765プロを潰すための作戦だとしたら?」

P「え?」

黒P「売り出し中のアイドルに不意打ちで人気アイドルをぶつける。そうすれば、売り出し中のアイドルが明らかに負けますよね?」

黒P「最初からジュピターが来ることがわかっていれば、ジュピター目当てで来たファンにも売り出し中のアイドルを認知させることができる効果もある。」

黒P「でも、今回はシークレットだからそういった効果も望めない。」

黒P「明らかに悪意があるは思いませんか?」

P「何を言っているんですか?それにどうしてウチの事務所を潰す必要が……」

黒P「さぁ?黒井社長の考えていることは私にもわかりません。でも、私が765プロ潰しに加担する理由はあります。」

黒P「復讐ですよ。私をクビにした765プロに対する……」

P「まさか、貴方はアイドルにセクハラしてクビになった人じゃ…」

黒P「あれはスキンシップです!」

黒P「とにかく、潰されたくなかったら大人しくしていることですね。」

黒P「目ざとく行動しようとするとアイドル人生を終らせることになりますよ?」

P「悪いけど俺は961に屈するつもりはありません。どんな手を使ってこようとも絶対に勝ってみせます。」

黒P「そうですか。残念です。私は巨乳信仰ですから、貧乳と男には容赦しませんよ。例えば、あの姉弟ユニット……」

P「千早と優には手出しさせない!」

黒P「流石若いだけあって熱いですね。……おっと、そろそろ私は失礼させて頂きます。」

P(961プロ……絶対に負けるもんか。)

一応区切りがついたので、夜食でエネルギー補給してきます

P(俺は社長に黒井のプロデューサーとのやりとりを話した。)

社長「そうか。彼は961に拾われていたんだ。」

P「はい。そして、今は俺達の敵です。」

社長「彼は優秀なプロデューサーだった。才能はあったが、セクハラする癖があるのがアイドルと接するプロデューサーとして致命的な弱点だった。」

P「ジュピターは男性アイドルだから弱点を克服してますね。」

律子「千早のライブでの表情変化に一番最初に気づいたのもあのプロデューサーだったわ。」

P「優がいると表情が変化するやつか。あれは律子が気づいたわけじゃなかったんだ。」

律子「ええ。私にプロデューサーとしての心得を教えてくれたのもあの人だったわ……その分セクハラされましたが。」

社長「でも信じられないな。如月君の表情変化に気づくほど熱心に彼女を見ていたはずなのに、標的にするなんて。」

律子「セクハラすることを除けばいい人でしたからね。」

P「俺は過去のあの人を知らないから何とも言えません。」

P「とにかく765プロのアイドルは俺が全員守ってみせます。」

社長「うむ。心強いな。」

P「もちろん。律子もな。」

律子「わ、私もですか!?」

P「ああ。プロデューサーとはいえ、女の人なんだ。標的にされる可能性はないとは言い切れない。」

律子「そうですね。何かあった時は期待させて貰いますよ。プロデューサー殿。」

黒井「さて、今度はどうやって765プロに攻撃を仕掛けようか。」

黒P「私にいい考えがあります。」

黒井「ほう。いい考えとは?」

黒P「如月優を引き抜くんです。千早の原動力の殆どは優と言っても過言ではありません。」

黒P「優を失えば千早のテンションは負のスパイラルに陥り、2度とアイドルとしてステージに立てることはできなくなるでしょう。」

黒井「なかなか面白い考えだな。元765の人間だからこそ分かる弱点を突く作戦か。だが、問題はどうやって優を引き抜くかだが?」

黒P「それは……これから考えます。」

黒井「チッ。」

黒P「申し訳ありません。優は私がクビになった後に入ってきたので、弱点とかの情報が殆どなくて……」

黒井「まあいい。引き抜く方法は私が考えるから、貴様は引き抜いた後の如月優をどう使うか考えてろ。折角引き抜くんだからジュピターにも劣らぬアイドルに仕立て上げなければな!」

黒P「わ、わかりました。」

貴音「らぁめんおかわり」

店主「もう勘弁してください。材料がなくなってしまいます。」

貴音「そうですか……それでは致し方ありませんね。お会計お願いします。」


貴音(少し物足りませんね。また別のお店でらぁめんを……)

貴音「……!なにやつ!」

車「Booooo」

貴音「止まりなさい!ここは歩道です!」

貴音(止まる気配はないようですね。)

P「でぇあ!!」

貴音「あなた様……!」

P「貴音!どうして突っ立ってたんだ!ちゃんと反応出来ていたら避けろよ!」

貴音「しかし、ここは歩行者が優先される歩道というものです。避けるなら車の方が……」

P「もし車が貴音を避けなかったらどうするんだ!怪我じゃ済まないんだぞ!」

貴音「歩道なのに歩行者優先ではないことも考えられるのですか?」

P「運転手が全員善良な人間とは限らないだろ。」

貴音「なるほど。その考えには至りませんでした。」

P「貴音はどこか抜けているんだよな。」


運転手「もしもし、黒井社長ですか?すみません。四条貴音を轢き損ねました。」

黒井「まあ良い。轢かれそうになった事実だけでも十分牽制になる。では次の標的を狙いにいけ。」

運転手「かしこまりました。」

黒井「いくらあのプロデューサーが交通事故からアイドルを守ったところで、間髪入れずに連続で轢こうとすれば流石に対応できまい。」

黒井「人間の足では車には追いつけないからな!」


響「いぬ美ー!道路側に出たら危ないぞー!」

いぬ美「がるるるる」

響「どうしたんだ?いぬ美?」

運転手「ターゲット発見。」


響「え?ちょ!どうして車がこっちに突っ込んでくるのさー!」

運転手「死ねぇぇぇ!!」

警察「そこの車止まりなさい!」

運転手「げ、パトカー!?まずい!こんなやつに構ってる暇はない!さっさと逃げなければ。」

P「響ー!大丈夫か?」

響「プ、プロデューサー…怖かったぞ。ぐす…」

P「偶然近くにパトカーが通りかかったんだ。貴音を轢きそうになった車のことを話したら、その車を追跡しようって話になってな。」

P「それにしても、ウチのアイドルたちが同じ車に連続で狙われるなんて…明らかな故意犯だな。」

P(961の仕業か?でも、プロデューサーの方は巨乳信仰だから貴音と響を狙うわけがない。だとしたら、黒井社長の差し金か。)

亜美「お姫ちんとひびきんが同時に狙われるなんて。」

真美「やっぱり兄ちゃんはなにか持ってますな→」

P「君らどうしても俺のせいにしたいの?」

響「本当に怖かったんだぞ!プロデューサーがいなかったら自分は今頃……」

貴音「わたくしもあなた様に助けられました。」

優(もし、事故が961の仕業なら……名指しで指定された僕やお姉ちゃんはあんなものじゃ済まないんじゃ……)

P「優?どうかしたのか?」

優「いえ、なんでもありません。」

P「そうか。悩みがあったらいつでも言えよ?俺に出来る範囲なら何でも協力するからさ。」

黒井「如月優だな…」

優「誰ですか?」

黒井「私は961プロの社長の黒井という者だ。」

優「961プロが何の用だ!」

黒井「そんな喧嘩腰でこられても困るな。嫌われる覚えはないんだが?」

優「四条さんや我那覇さんを襲ったんじゃないのか?」

黒井「何を証拠に言っているんだ?」

優「証拠はないけど……」

黒井「まあいい。本題に入ろう。私は君の才能を高く評価している。その才能を活かすために961プロに移籍しないか?」

優「断る!」

黒井「姉がどうなってもいいのか?」

優「お姉ちゃんを人質にとるつもりか?」

黒井「そんなつもりはない。ただ、如月千早の身にいつ交通事故じゃ済まないようなことが起きるか心配しているだけだ。」

優「くっ」


優「961プロに移籍すればお姉ちゃんには手を出さないんだろうな?」

黒井「それは君の心がけ次第だ。」

優「…………」

黒井「先に言っておくが、961プロにいる間はこちらが用意した宿泊施設で暮らしてもらう。当然、如月千早がいる家には帰れると思うな。」

優「そ、それは無理!」

黒井「そろそろ姉離れをしたらどうだ?」

優「…………」

黒井「さあ早く決断したまえ。私はこれでも忙しいんだ。」

優「僕は…………」


千早(優遅いな……もう帰ってきてもいい頃だと思うのだけれど。)

千早(優に電話しても繋がらないし、プロデューサーに電話してみよう。)


P「もしもし。どうした千早?」

千早「優がまだ帰ってきてませんけど、知りませんか?」

P「え?まだ帰ってないのか?もうとっくに帰したはずだぞ。」

千早「そんな……」

P「優の携帯にも電話してみたか?」

千早「はい。でも、全然繋がりません。」

P「まさか……俺は今から優を探す。」

千早「私も…」

P「千早は家にいろ!もし、961の仕業なら千早が狙われる可能性がある。」

千早「でも…」

P「心配するな。俺が必ず優を見つけるから。」

千早「はい。わかりました。優をお願いします。」

P「優!どこだー!優ー!優ー!」


優「あ!」

黒井「どうした?」

優「今プロデューサーの声が…」


P「優!見つけたぞ!」

優「プロデューサー!」

黒井「遅かったな。高木の犬め。」

P「黒井社長!優をどうするつもりだ!」

黒井「自社のアイドルをどうしようと私の勝手だろ?」

P「自社のアイドル?どういうことだ?優は765プロの…」

優「ごめんなさい。プロデューサー。僕、961プロに移籍することになりました。」

P「な……」

黒井「そういうことだ。わかったら、さっさと事務所に戻って社長にこのことを報告するんだな。」

伊織「で、あんたはそのまま黙って優が連れ去られるのを見てたわけ?」

P「すまない……俺の力じゃどうすることも出来なかった。」

社長「優君自らが選んだ道だ。こうなってしまった以上は仕方ない。」

千早「そ、そんな優が………」

春香「千早ちゃん。大丈夫だよきっと。優君も何か考えがあって……」

千早「ごめん春香……しばらく独りにして……」

美希「千早さん可哀想なの。」

律子「千早はもうダメね……ただでさえ、優の移籍は辛いことなのに、よりによって移籍先が敵対している961プロだなんて。」

貴音「如月千早のめんたるでは、如月優と戦うことは適わないでしょう。」

やよい「優さんは家にも帰ってないですし、家族と離れ離れは寂しいです。」

伊織「それにしても961には本当に腹が立つわね!よりにもよって、千早と優を引き離すなんて!!」

雪歩「優君は男の人で怖かったけど、いなくなるとやっぱり寂しいですぅ」

真「ボクは961と戦うよ。それしか優君を取り戻す方法はないと思う。」

真美「全面戦争ってやつですな→」

亜美「765プロを怒らせるとどうなるのか思い知らせる必要がありますな→」

律子「言っておくけど遊びでやるんじゃないんだからね。」

律子「やるからには、こっちが961をぶっ潰す気でやらないと!」

美希「律子も結構ノリ気なの。」

律子「律子さんでしょ!」

翔太「あれ?君は確か765プロの子じゃん。どうしたの?」

優「…………」

冬馬「てめえシカトかよ!」

黒P「やめろ冬馬。彼は私達の新しい仲間だ。」

冬馬「どういうことだよ。」

黒P「黒井社長が引き抜いてきたんだ。お前達の後輩になるかな。」

冬馬「だったら、尚更先輩にはちゃんと挨拶しやがれ。」

優「どうも、天ヶ崎竜馬さん」

冬馬「ちょっとずつ間違えてんじゃねぇ!」

黒P「優はこれからヒール役として売り出していく予定だ。これも私が指示した演技だから許してやって欲しい。」

冬馬「チッなんだ演技だったのか。紛らわしいな。」

黒P「ちなみに私は名前間違えるところまでは指示していない。」

冬馬「ってことは、アドリブか。やるじゃねえか。」

優「普通に間違えただけですよ。ピピン板橋さん。」

冬馬「って、文字の数しか合ってねぇじゃねーか!大体、どこから来てるんだ、その名前は!?」

P(優が765プロを去ってから2週間が過ぎた。最初は元気がなかった千早だが、徐々に元気を取り戻してアイドル活動を再開できるようになった。)

千早「今まで迷惑かけてごめんなさい。こんな時だからこそ、私がしっかりしないといけないのに。」

P「気にすることはない。それより大丈夫か?今日の番組の収録の共演者に……」

千早「優がいますね。」

P「優は961に入ってから印象が変わったというか……悪役に撤している感じがするんだ。」

P[千早相手にも悪役を演じるようなことがあるかも知れない。それでも耐えられるか?」

千早「…………大丈夫です。優と向き合ってみます。」

P「そうか。無理はするなよ。」

千早「はい。」

司会者「それでは本日のゲストを紹介します。まずは新幹少女のひかりさん。」

ひかり「はーい。よろしくおねがいしまーす。」

司会者「続いて如月千早さん。」

千早「よろしくお願いします。」

司会者「最後に如月優さん。」

優「……………」

司会者「あの何か一言。」

優「んあー(挑発)」

司会者「…………だそうです。」

司会者「みなさんアイドルということで、何か歌が上手くなるためにしていることってありますか?」

ひかり「私はボイスレコーダーに自分の歌声撮って聴いて、改善点があるかを探してますね。」

ひかり「ボイスレコーダーもいつも持っているんですよ。」

司会者「なるほど。」

千早「私は毎日腹筋を1000回してます。」

司会者「多すぎでしょwwwそこまでやるとかえって逆効果な気もしますが」

優「基本的に口パクなんでボイストレーニングはしてないっすわ」

司会者「それテレビで言っちゃダメでしょwwwwww」

ひかり(え?嘘でしょ?あの時のライブでは汗だくになりながらも本気で歌ってたのに。)

千早「嘘よ!優はそんなこと言わない!」

司会者「…………」ポカーン

千早「優は一生懸命レッスンしてたじゃない!それなのに……」

優「……!」

優「い、い……いつまで姉貴面してんだよ……」

千早「!!!」

優「もうあんたとは住む家も事務所も違う!もう関係ないだろ…」

P(な…まさか優がそんなこと言うなんて……)

黒P(いいぞ優。千早の精神をアイドルとして再起不能まで叩き込むんだ!)

千早「くっ」

黒P(よし。ここでもっとキツい罵声を浴びせるようにカンペを出して……)

優「あーあ。なんか白けちまった。もう帰るわ。」

司会者「え…ちょっと!」

黒P(お、おい!私はそんな指示出してないぞ!)

千早(待って優!)

千早「ぁ……」

千早(声が出ない……)

P「千早!大丈夫か?」

黒P(お、千早に十分ダメージが通ってるな。いいぞ。優を悪役として育て上げたのは、千早と優が共演した時に、優が千早に罵声を浴びせても不自然じゃなくするためだったのさ。)

黒P(これで千早潰しは完了だ。早速、黒井社長に連絡をしないと。)

司会者「どうすんだよこれ…放送事故レベルじゃねえか。」

ひかり「ちょっと待ちなさい!」

優「…………」

ひかり「どうしてあんなこと言ったの?あんなに仲が良かった姉弟だったのに。」

優「……って…」

ひかり「え?」

優「僕だってお姉ちゃんにあんなこと言いたくなかった!!!」

ひかり「なにそれどういうこと?」

優「今なら黒井社長とプロデューサーがいないから言うけど、僕は事務所に脅されているんだ。移籍したのも脅されたから。」

ひかり「脅されてるって…」

優「僕が事務所の言うことに逆らうとお姉ちゃんの身に危険が及ぶ。現に、黒井社長は交通事故に見せかけて他のアイドルに危害を加えようとしてたし。」

ひかり「そういうことだったのね。」

優「でも、僕はお姉ちゃんを守るどころか傷つけてしまった。僕はどうすればいいんだ。」

P(あの一件以来、千早は声が出なくなり家にずっと引きこもりっぱなしになってしまった。)

P(やっと千早の活動が再開できると思ったのに、振り出しに戻るどころかマイナスからのスタートだな。)

律子「もうすぐ定例ライブですね。」

P「ああ。」

律子「千早は出られますかね?」

P「わからない。携帯も繋がらないし、家を訪ねても居留守を使われる。」


ひかり「すみません。如月千早さんはいますか?」

P「君は新幹少女の……悪いけど千早は最近事務所にすら来てないんです。」

ひかり「そうですか…」

P「何かご用ですか?」

ひかり「いえ、なんでもありません。失礼しました。」


律子「なんだったんでしょうね。」

P「さあ?」

・定例ライブ当日

春香「プロデューサーさーん…わあ!」 ドンガラガシャーン

春香「いてて…転んで壁にぶつかっちゃいました。テヘ。」

千早「…………」

春香「ああ!これ壁じゃなくて千早ちゃんだった!プロデューサーさん!千早ちゃん来ましたよ!」

P「何本当か?」

千早「…………」

P「その様子だとまだ声を出せないみたいだな。」

千早「…………」コクリ

P「ステージに立つのは無理そうだな……」

千早「…………」

コンコン

「入るよー」

千早「…………」

ひかり「やっと会えた。あんたにこれ届けるためにずっと探し回ったんだから。」

千早(ボイスレコーダー?)

ひかり「それ、再生してみて。」

千早「…………」

『お姉ちゃん…』

千早「!!!」

『あの時はひどいこと言ってごめんね。僕も本当はお姉ちゃんにあんなこと言いたくなかったんだ。』

千早「こ……れ……は……?」

ひかり「いつもボイスレコーダー持ち歩いてるって言ったでしょ?あの後、あんたの弟を追いかけて声を録音したの。」

『本当はお姉ちゃんに直接会って話したいけど、黒井社長に監視されているから出来ないんだ』

『だから、ひかりさんにボイスレコーダーを借りて声を録音してお姉ちゃんに僕の声を届けてもらうことにしたんだ』

『僕が言うことを聞かないとお姉ちゃんに危害を加えるって黒井社長に脅された』

『961プロに移籍したのも、悪役に撤してお姉ちゃんにひどいこと言ったのも全部脅されてやったことなんだ』

『脅されたやったこととはいえ、本当にごめん。僕はお姉ちゃんを嫌いになったりなんかしないよ』

『大好きだよ。お姉ちゃん』

千早「…………」ポチッ

『大好きだよ。お姉ちゃん』

千早「…………」ポチ

『大好きだよ。お姉ちゃん』

千早「…………」ポチポチポチポチ

ひかり「ちょっと連打はやめて!壊れる!」

千早「んあーーーー!!!!」

ひかり「!!」ビク

千早「復活ッ!」

ひかり「ま、まあこれで私の役割終ったし帰るわ。」

千早「待って!そのボイスレコーダー売って!!」

ひかり「なんで?」

千早「優の声が録音されているからに決まってるでしょ!!」

ひかり「無茶言わないでよ。これには私の声も入ってるの。」

千早「大丈夫。それは消すから。」

ひかり「えー」

千早「1つだけ聞かせて。なんで貴女は私のためにこんなことをしたの?」

ひかり「言ったでしょ?あんた達には負けないって。今のあんただと勝ち負け以前に勝負にすらならないからよ。」

ひかり「このライブ絶対成功させなさい。そのくらいじゃないと張り合いがないわ。頑張ってね千早。」

千早「わかったわ。ありがとう。ひかり。」

千早「みんなー!」

春香「千早ちゃん!」

伊織「あんた声出せるようになったの?」

千早「ええ。優の愛が私の魂を再び呼び覚ましてくれたわ。」

律子「また訳のわからないことを…」

貴音「そのようなことがあったのですか。」

響「貴音は今ので通じたのか!?」

やよい「よくわからないけど復活おめでとうございます。うっうー!」

P「千早。大丈夫なのか?」

千早「今まで迷惑かけてごめんなさい。でも私はもう大丈夫です。」

P「ステージに立てるか?」

千早「はい!!」

千早(私は961プロなんかに屈しない!その姿を見せ付ければ優はきっと帰ってくる!)

P「よし、そろそろ開演の時間だ!いくぞ、みんな!」

『ハイ!!』

黒井「先日の765プロの定例ライブは大盛況だったそうだな。」

黒P「………はい。」

黒井「如月千早も完全復活したようだが?」

黒P「…………」

黒井「なーにが如月千早の弱点だ!貴様の作戦は失敗しているではないか!」

黒P「申し訳…」

黒井「この作戦は打ち止め!如月優は961プロから脱退させるし、貴様はクビだ!」

黒P「そ、そんな!見捨てないで下さい社長!」

黒井「私はもう貴様の社長ではないわ!」

千早「優かわいいよ優」

優「お姉ちゃんもかわいいよ。」

千早「もう言ったな~この!この!」


ドン!

社長「音無君!事務所の壁を殴るはやめたまえ!」

小鳥「じゃあ、壁殴り代行頼んでください(血涙)」

P「なんか前よりイチャつき度が上がってる気がするんだけど。」

律子「もう何も言う気はおきない…」

美希「じゃあ、ミキはハニーとイチャつくね!」

律子「あんたはダメ!それに、いつの間にプロデューサー殿のことをハニーって…」

美希「ふぇー律子…さんのいじわる~」


終わり

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