マミ「魔法少女の『素質』って一体なんなのかしら」 (106)

キュゥべえ「」

マミ「ねぇキュゥべえ、魔法少女のs」

キュゥべえ「マミ!そんなことより僕の晩御飯はまだかな?もうおなかが減っちゃって」

マミ「あらいけない、そうだったわね。今用意するわ」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1385049755

マミ「・・・・・・結局キュゥべえにははぐらかされてしまったわ。一体、どんな女の子なら魔法少女の『素質』を持つことになるのかしら」

マミ「私の場合、あの交通事故のタイミングでキュゥべえは現れた」

マミ「元々私に『素質』があったなら、なんでもっと早くに魔法少女にしてくれなかったのかしら」

マミ「もし魔法少女の状態で事故にあってたら、魔翌力でお母さんとお父さんを救えたかも知れないのに・・・・・・」

マミ「あれ?でももし事故の前にキュゥべえが私の前に現れていたとして、その時私はどんな奇跡を願うのかしら」

マミ「・・・・・・よく考えたら、戦いの日々に身を落としてまで叶えたい願いなんて、以前の私にはなかったわ」

マミ「ということは、『生きたい』と強く願った気持ちがキュゥべえを呼び寄せたということ?」

マミ「つまり、奇跡を望む少女にこそ魔法少女の『素質』が与えられる、ということかしら」

マミ「佐倉さんの場合もそうよね、お父さんのお仕事をうまくしたいという純粋な少女の願いが、きっと奇跡をもたらすキュウべえを呼んだんだわ!」

マミ「・・・・・・あれ?でもおかしいわね。そうすると鹿目さんや美樹さんはどうなるのかしら」

マミ「この間一緒にケーキを食べた時、2人にはそんなに強い願いがあったようには思えなかった」

マミ「うーん、ただ奇跡を願うだけじゃだめなのかしら」

マミ「あの2人にはどうしてキュゥべえが視えたのかしら・・・・・・」

マミ「まさか、薔薇の魔女との戦闘に巻き込まれたことで魔的なパワーが乗り移って・・・・・・」

マミ「ううん、たしか鹿目さんは言ってたわ。『この子に呼ばれた』と」

マミ「つまりキュゥべえはまったく純粋な状態の鹿目さんの素質を見抜いていたことになる」

マミ「ということは、やっぱり持って生まれた体質なのかしら」ハァ

マミ「(もし『素質』が後天的なものなら、そのメカニズムを解明すれば魔法少女のお友達を増やせると思ったんだけどな・・・・・・)」

マミ「暁美さんなら知ってるかもしれないわね。はぁ、仲良くできればいいのになぁ暁美さんと」

ほむら「」ガチャ

マミ「?あ、あけみさん!?い、今のは、その、せ、戦力的な意味で!そう、きっと私とあなたの魔法が仲良く攻撃できれば魔女に与えるダメージんぐっ!」

ほむら「学校でその言葉を言わないで」ギュッ

マミ「!・・・・・・!く、くるしい・・・・・・!はぁ、はぁ。わ、私としたことが迂闊だったわ」

ほむら「あなたはいつでも油断しすぎよ」

マミ「そんなこと・・・・・・!あるわね。ごめんなさい、本当は私もあなたと仲良くしたいの。もちろん、普通のお友達として」

ほむら「なら、まどか達を魔法少女に誘惑するのはやめて」

マミ「うっ・・・・・・」

マミ(ねぇ暁美さん?魔法少女の『素質』って、一体何なのか知ってるかしら)ネンワ

ほむら(?考えたことも無かったわ)

マミ(そう・・・・・・どうして鹿目さんにはすごい素質があるのかしらね)

ほむら(さぁ。それこそキュゥべえに聞いたらいいじゃない)

マミ(この話をするとはぐらかされちゃうのよ)

ほむら(へぇ・・・・・・)

キーンコーンカーンコーン

マミ「あら、昼休みが終わってしまったわ。またね、暁美さん。今度会うときはできれば友達として」

ほむら「あなたの考え方が変わらない限り、それはないわ」

マミ「そう・・・・・・」

マミ(ねぇ暁美さん?魔法少女の『素質』って、一体何なのか知ってるかしら)ネンワ

ほむら(?考えたことも無かったわ)

マミ(そう・・・・・・どうして鹿目さんにはすごい素質があるのかしらね)

ほむら(さぁ。それこそキュゥべえに聞いたらいいじゃない)

マミ(この話をするとはぐらかされちゃうのよ)

ほむら(へぇ・・・・・・)

キーンコーンカーンコーン

マミ「あら、昼休みが終わってしまったわ。またね、暁美さん。今度会うときはできれば友達として」

ほむら「あなたの考え方が変わらない限り、それはないわ」

マミ「そう・・・・・・」

マミ「暁美さんも知らないみたいだったわね。そうなるとやっぱりキュゥべえを問い詰めるしかないかしら」ガチャ

キュゥべえ「おかえりマミ」

マミ「ただいまキュゥべえ。いい子にしてた?」

キュゥべえ「僕をペットとして扱ってるみたいだけど、それはできればやめてほしいな。僕も君たち人間と同じ知的生命体なんだよ?」

マミ「ふふ、ごめんなさい。お詫びに後でお菓子をあげるわ」

キュゥべえ「きゅっぷい!」

マミ「ところでキュゥべえ、以前鹿目さんには魔法少女としてのすごい素質があるって言ってたわよね」

キュゥべえ「すごいなんて表現は控え目だね、それこそなろうと思えば神にだってなれる素質を持っているよ」

マミ「どうして鹿目さんにはそんなにすごい素質があるのかしら」

キュゥべえ「実を言うと、それは僕にもよくわからないんだ」

マミ「えっ?」

キュゥべえ「一国の王や救世主に匹敵する素質を持っていると言っても過言ではない。ただ、どうして鹿目まどかのような平凡な少女にそんな素質があるのか、その理由ははっきりしていない」

マミ「そうなの」

キュゥべえ「これは仮説に過ぎないけれど、鹿目まどかは将来的に人類にとって神にも匹敵する存在になる運命なのかもしれないね」

マミ「えっ(思ったより鹿目さんってすごいのね)」

キュゥべえ「これで疑問は晴れたかい?」

マミ「えぇ、なんとなく。でも、私にもそういう、普通の人として活躍するような素質があったかも知れないのよね、あの時事故に遭わなかったら」

キュゥべえ「そうとも言えるし違うとも言える」

マミ「そっか・・・・・・」

マミ「(ということは、もし鹿目さんが魔法少女になったら人類にとって損失足りうるということじゃないかしら)」

マミ「(そっか・・・・・・だから暁美さんは鹿目さんに魔法少女になってほしくないのね。人類のためにも)」

マミ「(あ、でもこの事実は暁美さん知らなかったんだわ。今度教えてあげましょう)」

マミ「(そしたら暁美さんが鹿目さん達を魔法少女にしたくない理由も教えてくれるかも)」

キュゥべえ「マミ!今日の晩御飯はなんだい?」

マミ「今日はね、ビーフストロガノフに挑戦してみようと思うの」

キュゥべえ「きゅっぷい!」

マミ「昨日の今日で屋上にくるかしら・・・・・・」ガチャ

ほむら「!」

マミ「あ・・・・・・暁美さん、いたのね」

ほむら「邪魔しないでくれる?」

マミ「ごめんなさい、教室では食べづらくて。ところで、ちょっと聞いて欲しいことがあるのだけど」

ほむら「なにかしら」

マミ(あなたが鹿目さんを魔法少女にしたくない理由、それは彼女を魔法少女にすることが人類にとって最悪の結果をもたらすから、ではないかしら)

ほむら「!」

ほむら(一体、どこでその情報を・・・・・・!!)

マミ(あら、図星だったかしら。暁美さん知っていたのね)

ほむら(というか巴マミ、その真実を知って何故絶望していないの!?)

マミ(絶望・・・・・・?どうして絶望する必要があるのかしら。それは、私は確かに魔法少女になって、普通の人間ではなくなってしまったけれど、あの事故で生き延びることができたことには感謝してるのよ?)



マミ「(普通の人として生きていれば、外交官くらいにはなれたかしら・・・・・・)」

ほむら「(魔女化の真実を知ってなお、巴マミの心は破られていない!)」

マミ「確かに人として生きる道を大きく曲げられてしまったことは事実。だけど、それでも今生きてることに感謝して、自分のやるべきことをやる、それが私の生き方よ」

ほむら「巴マミ・・・・・・」ウルッ

マミ「!?ど、どうして暁美さん泣いているの!?泣かないで、昨日作ったご飯の残りでよければあげるわ」

ほむら「ふふっ、泣いてしまってごめんなさい。巴さんが、強い人でよかったなって」

マミ「(巴さん!?)そんなことないわよ。私だってまだ中学三年生、一人で魔法少女やってれば寂しいこともあるわ」

ほむら「そうですね、私もそうです。魔法少女って、なんて残酷な運命なんでしょうね・・・・・・」

マミ「(何故突然敬語になったのかしら・・・・・・)あなたが鹿目さんと美樹さん、ううん、それどころか他の素質ある少女達を魔法少女にさせたくない理由がわかったわ。今後、私も2人をむやみに勧誘したりしないわ」

ほむら「!」

マミ「ただ、もしもの時、たとえばそう、交通事故に遭ったりしてどうしても魔法の力が必要なとき、その時は仕方がないと思うわ」

ほむら「あっ・・・・・・(そっか、巴さんの過去って)」

ほむら「巴さんも、色々つらかったんですよね」

マミ「どうしたの?いきなり後輩ぶっちゃって」

ほむら「!あ、あの、今まで失礼なこと言ってすいませんでした。巴さんが、この真実を知ってもなお道を歩いていける人だと思わなくて・・・・・・」

マミ「それも充分失礼よ?」

ほむら「すっ、すいません!あの、もしよかったらなんですけど」

マミ「待って。私も暁美さんに謝らないといけないわ。事情も知らないで魔法少女を増やそうとして、本当にごめんなさい」

ほむら「いえ、もういいんです。私は、うれしい、です」ウルッ

マミ「もう、泣かないで。もっとクールな子だと思ってたわ。はい、私の作ったビーフストロガノフよ。お肉だけだけど」

ほむら「ありがとうございます・・・・・・!」

マミ「それから魔女退治には2人で行くようになったの。仲良くやっていきたいわ、ひとりぼっちはさみしいもの」

マミ「暁美さんのいろんな素顔が見れてうれしいの。結構あの子後輩体質だったのね」

さやか「あの転校生が!んー、クールな仮面の下にそんな萌えポイントを隠し持っていたとはー!」

まどか「マミさんいいなぁー。私たちもほむらちゃんともっと仲良くなりたいです」

さやか「まどかはホントいい子だなーウンウン。でもさー、なんで転校生は私たちとマミさんでそんなに態度が違うわけ?」

マミ「さぁ・・・・・・なんで暁美さんはあなたたちと打ち解けられないのかしら?」

まどか(やっぱり魔法少女じゃないからですかね)シュン

マミ(そ、それは違うわ!魔法少女になっても喜ばないわよきっと!)

さやか(まぁ、さんざ釘打たれてますからね、そうなんでしょうけど)

マミ「(と言ったけど、私は暁美さんが2人と距離を取る理由を知っている)」

マミ「(そもそも、魔法少女は魔法少女以外で友情を結んではいけない)」

マミ「(私もそう。ぼっちなのは仕方が無いの)」

マミ「(魔女退治に生活の多くを割かないといけないから、通常の学業をこなすためには、友人付き合いなんてとても)」

マミ「(それに魔女退治で命を落としてしまえば、死体は残らないから一生行方不明として扱われる。そんなの、まだ死亡が確定している方がマシだわ。そんな思いをさせる人を増やしてはならない)」

マミ「(鹿目さんの場合、魔法少女に接することで魔法少女への憧れを増幅している雰囲気があるわ。暁美さんはそれも懸念しているのかも知れない)」

マミ「(結局、魔法少女は一般人と関わるべきではないのよね)」

さやか(でもでも!私たちマミさんと知り合えてホントによかったです!また魔女退治連れて行ってくださいね!)

マミ(美樹さん、その話なんだけど、もう行くのはやめにしましょう)

さやか「えーっ!!」

まどか「さやかちゃん、声に出てるよ!」

さやか「おっといけないいけない」タハハ

さやか(ってマミさん!なんでですか!)

マミ(うーん、実はね。この間魔法少女の真実を知ってしまったのよ)

まどか(魔法少女の真実?)

マミ(そう。実は魔法少女はんぐー!!」

ほむら「ちょっと静かにしてもらえるかしら・・・・・・」ゴゴゴ



中沢「(あれ、巴先輩静かだったよな・・・・・・?)」

マミ「ぷはっ。あ、暁美さん、突然何するの?」

ほむら「何するのじゃないわよ。ちょっとこっちへ来て下さい!」ズルズル

まどか「いっちゃった・・・・・・」

さやか「ほむらのキャラが乱れてましたなぁー」ニヤニヤ




ほむら「で、どういうつもりかしら」

マミ「(キャラが戻ってる・・・・・・!)どういうつもりって、私はただこの間発見した新事実を2人に伝えようと」

ほむら「どうして!それが!危険なことだって!わからないんですか!」

マミ「え、えぇ・・・・・・?」ウルウル

ほむら「私たちに将来がないって伝えて、二人はきっと同情するでしょうね」

マミ「ハッ」

マミ「(そうか・・・・・・特に鹿目さんには素質があって、人として立派になる将来が約束されているのに、私たち魔法少女は永遠の迷路に閉じ込められているから)」

マミ「罪悪感を持ってしまうかも知れない」

ほむら「最悪、私たちを人間に戻す願いで契約してしまうかもしれない」

マミ「(えっ)そ、そうね。あの2人はやさしいから」

ほむら「馬鹿!」

マミ「!?」

ほむら「それで一番つらい思いをするのは・・・・・・巴さんじゃないですかぁ」ボロボロ

マミ「!?!?」

ほむら「あなたは、最期まで、正義の魔法少女を貫くんですよね」ウルウル

マミ「え、ええ、そのつもりよ」

ほむら「だったら!魔法少女の真実を2人に伝えてはだめです!私が最期まで一緒にいますからぁ」ボロボロ

マミ「わかった、わかったから、私が悪かったから、もう泣くのをやめて!誰かに見られたr」

中沢「」ガチャ

マミ「」

ほむら「(巴マミ・・・・・・今回の時間軸ではメンタルが強すぎるわ。自分が最期には魔女、災厄を撒き散らす存在に変化してしまうことを知りながら、それを魔法少女でもないまどか達に伝えようとした)」

ほむら「(おそらく2人の魔法少女幻想を打ち砕くためにそうしたのでしょうね。でも、そんな献身、あなたがつらいだけじゃない・・・・・・)」

ほむら「(私はいつか人類の敵になります、なんて。正義を貫くならば、とてもじゃないけど伝えられないわ)」

ほむら「(もしワルプルギスの夜を越えられたのなら、いつか誰かがソウルジェムを砕いてあげないといけない)」

ほむら「(悔しいけれど、生き延びて少女から成長する魔法少女はいないらしい。できれば、巴さんのジェムは、私が)」

ほむら「(でも、時間停止が使えなくなった私の方が先に魔女にやられちゃうかな)」

マミ「なんで暁美さんあんなに怒ったのかしら」

マミ「もしかして私の知らない魔法少女の真実はまだあるのかしら?」

マミ「そういえば、結局魔法少女の『素質』って運命で決まるんだったわね」

マミ「だったらどうしてキュゥべえは私が事故で死にかけた状態になるまで現れなかったのかしら」

マミ「鹿目さん、美樹さんには強い願いがない。つまり、願いでキュゥべえは選んでいるわけではない」

マミ「ねぇキュゥべえ、魔法少女のs」

キュゥべえ「マミ!そんなことより今日の晩御飯はまだかな?」

マミ「あらいけない、ちょっと待っててね。今日はパエリアに挑戦してみるわ」

キュゥべえ「きゅっぷい!」

マミ「で、どうなの?キュゥべえはどのタイミングを見計らってみんなの前に現れているの?」

キュゥべえ「そんなに気になるかい?」

マミ「別にあなたを責めるんじゃないわ。むしろ生きさせてくれたことに感謝しているの」

キュゥべえ「そうかい」

マミ「でもね、気になっちゃって」

キュゥべえ「実を言うと、僕にもよくわからないんだ」

マミ「えっ」

キュゥべえ「僕は魔法少女になる必要がある少女を見つけ出しているんだけど、いろんな状況が考えられる」

マミ「ふむふむ」

キュゥべえ「絶対条件としては素質があるかないか。ただ、これは言ってしまえばどんな少女にだってあるんだ。願える奇跡の大きさと天秤になってしまうけどね」

マミ「つまり、願いの大小によって必要となる素質が異なるだけで、素質自体は全ての女の子が持っているのね?」

キュゥべえ「まぁ、だいたいそんなところかな」

マミ「それで、いろんな状況って?」

キュゥべえ「その願いが実際に実現するかどうかが決め手だ。つまり、その少女の素質と、その少女が持つ願いとの天秤が最も平行に近づいた時、僕は勧誘するのさ。勧誘したのに素質が足りなくて奇跡を叶えられない、なんてことになったら面目が立たないからね」

マミ「キュゥべえにも面目なんてあったのね」

マミ「でも、それだと鹿目さんと美樹さんを勧誘した理由にならないわ」

キュゥべえ「あれは事故みたいなもんだよ。マミが一番よくわかってるじゃないか。僕が暁美さんに命を狙われている時に誰彼構わず助けを求めた、そこに偶然2人は居合わせた」

マミ「そういえばそうだったわね。でも、暁美さんはなんでキュゥべえの命を狙ってたのかしら」

キュゥべえ「さぁ。それは僕にもわからない。最近仲良くしているなら聞き出して欲しいくらいだよ」

マミ「多分だけど、魔法少女をこれ以上増やしたくなかったからだと思うわ。これから社会に出て立派な人になってほしい、魔法少女になって将来をあきらめないで欲しいということだと思う」

キュゥべえ「それならどうして暁美ほむらは僕の命を狙うことをあきらめたんだい?確かに鹿目まどかと美樹さやかの契約は達成する見込みは薄くなったけれど、他の魔法少女の勧誘に行くとも限らない」

マミ「確かに・・・・・・鹿目さん、美樹さんが特別なのかしら。暁美さんにとって」

キュゥべえ「とりあえず、明日色々暁美ほむらと話してみるといいよ。できれば僕も彼女について知りたいことがあるんだ」

マミ「こら、急かす男子は嫌われるぞ」

キュゥべえ「きゅっぷい」

マミ「暁美さん、スペイン料理はいける口かしら?」

ほむら「巴さんの作る料理はなんでもおいしいです」

マミ「もう、からかわないで」

ほむら「でもこのパエリアもおいしいですよ。本場の味はわからないですけど」

マミ「ふふっ、ありがとう。ところで暁美さん」

ほむら「なんですか」

マミ「これは私の推測なんだけど、暁美さんは鹿目さんと美樹さんを特別視しているわよね?」

ほむら「!」

マミ「そう、やっぱり図星なのね」

ほむら「い、いえ、そんなことは・・・・・・」アセアセ

マミ(あなたが人の将来のことを考えて魔法少女の増加を食い止めようとしていたのはわかったわ。でも、どうして鹿目さんと美樹さん限定だったのかしら?最近キュゥべえの命を狙ってないみたいじゃない)

ほむら(そ、それは・・・・・・。だって、キュゥべえは巴さんの友達ですし)

マミ「あら、もしそう思ってるなら最初っから狙ったりしないで欲しかったわ」

ほむら(ご、ごめんなさい・・・・・・)

マミ「そう。でもね、私も一応キュゥべえには、本当にどうしようも無い時以外は魔法少女の勧誘をやめるように言っておいたわ」

ほむら「巴さん!」ウルッ

マミ「でもね、そしたらキュゥべえなんて言ったと思う?」

ほむら「?」

マミ「鹿目まどかが魔法少女になれば、最強の魔法少女になって、最高のエネルギーが得られるのに、ですって。まったく、デリカシーが無いわよねー」

ほむら「!!」

マミ「あ、暁美さん・・・・・・?」オロオロ

ほむら「」ゴゴゴゴゴ

マミ「ど、どうしたの?目が怖いわよ?」アタフタ

ほむら「まどかを・・・・・・エネルギー扱いするなんて・・・・・・許せない・・・・・・!!」ゴゴゴゴゴ

マミ「と、とりあえず落ち着いて!ほら、キュゥべえには私がお灸を据えておくから!キュゥべえだけに!」

ほむら「えっ」

マミ「あっ」

ほむら「ごめんなさい、取り乱してしまいました・・・・・・」

マミ「いいえ、こちらこそごめんなさい。あんまり気分のいい話じゃなかったわよね。これでも飲んで落ち着いて」サッ

ほむら「(まだエントロピーのくだりは巴さんは知らないはずだものね、悪気があったわけじゃない)」ゴクゴク

マミ「ところで、やっぱり鹿目さんにご執心なのね。もしかして、好きなの?」

ほむら「」ブーッ

マミ「あら、図星ね」

ほむら「ち、違います!いや、もちろん好きですけど、それは友人としてという意味であって!」

マミ「ふーん。じゃぁなんで鹿目さんだけ特別扱いなのかなぁ?お姉さんに言ってご覧?」

ほむら「・・・・・・わかりました、巴さんには話しておこうと思います」

マミ「ついに開けてしまうのね、パンドラの箱に封印されし禁断の愛の形を」

ほむら「違いますって!」

ほむら「私がどうしてまどかを特別視してるか、でしたね」

マミ「そうね」

ほむら「これには、私が魔法少女になった経緯が関係しています」

マミ「あら、意外」

ほむら「今回のマミさんなら、きっと話を聞いてくれると思います」

マミ「(今回?)大丈夫よ、しっかり聞いてあげるわ」

ほむら「実は私、未来から来たんです」

マミ「えっ」

マミ「そんな、たった一つの真実を求めて、永遠の迷路をさまよっているだなんて・・・・・・」ウルウル

ほむら「これがまどかを特別視している理由です(まどか山の話や、巴さんの錯乱話は避けたわ)」

マミ「約束、絆、コネクト。そっかぁ、2人は深い因果で結ばれているのね」

ほむら「もちろん救えるものなら、巴さんや杏子とも一緒にワルプルギスの夜を越えたいんです」

マミ「そんなに強いのね、ワルプルギスの夜」

ほむら「大丈夫です、三人で力を合わせればきっと勝てます!」

マミ「でも、図らずももう一つ謎が解明されたわね」

ほむら「?」

マミ「どうして暁美さんがそんなに私になついてくるのか、よ」

ほむら「・・・・・・巴さんは、いつまでも私の先輩ですから///」

マミ「まさか暁美さんが時間停止魔法だけでなく、時間遡行魔法も使えたなんてね」

マミ「そして明かされる壮絶な過去。あんな小さな体に色々なものを背負い込んで、つらいこともいっぱいあったはず」

マミ「私が彼女を先輩として支えていかなきゃ!」

マミ「あれ、でも魔法少女のキャリアで考えたら圧倒的に暁美さんの方が上ね・・・・・・」

マミ「私、ダメな子だ・・・・・・」

キュゥべえ「どうして役職についていた時間の尺度で地位を決定するんだい?わけがわからないよ」

マミ「キュゥべえ?」

キュゥべえ「大切なのは個人個人が相手をどう認識しているか、じゃないか。たとえ実時間の経過に差があっても、暁美ほむらがマミを先輩と認識していることには変わりないだろう?」

マミ「そうね、そうなんだよね・・・・・・キュゥべえ、ありがとう」

キュゥべえ「きゅっぷい!」

キュゥべえ「それにしても暁美ほむらが時間遡行者だったとはね。これで鹿目まどかに関しての一つの仮説が立てられる」

マミ「鹿目さん?」

キュゥべえ「どうして平凡な女子中学生に過ぎない鹿目まどかが、ここまで強力な因果を持ってしまったかということだよ」

マミ「それって魔法少女の『素質』のことよね」

キュゥべえ「そうだね。鹿目まどかの素質、すなわち因果は、おそらく暁美ほむらが時間遡行を繰り返すことによって強化されていった」

マミ「ふーん・・・・・・ん?」

キュゥべえ「暁美ほむらの数回のループから推測するに、彼女の魔法は時間遡行というより世界線の分岐だ。つまり、あまたの並行世界を創り出すことができる」

マミ「(なんかかっこいい)」

キュゥべえ「そうして、今回の時間軸において最強クラスの魔法少女足りうる素質を鹿目まどかに束ねていったんだ」

マミ「なるほど、つまり暁美さんの魔法によって鹿目さんは最強になった」

キュゥべえ「そういうことだね」

マミ「このことを暁美さんは多分気づいていないわね。今度教えてあげようっと」

キュゥべえ「あくまで仮説に過ぎないけどね」

マミ「まさに暁美さんの愛が鹿目さんの将来を開花させたってことね!愛の力ってすばらしいわ!」

キュゥべえ「ところで今日の晩御飯はなんだい?マミ」

マミ「あらいけない、結構話し込んじゃったわね。今日はタイカレーに挑戦するわ」

キュゥべえ「きゅっぷい」

ほむら「今日はお菓子の魔女が高確率で病院に出現する日・・・・・・巴さんが命を落とす確率も高い日だけれど」

マミ「大丈夫よ、私には時をかける魔法少女がついてるもの」

ほむら「え、えぇ・・・・・・」

マミ「心配しないで、魔女の特徴はあらかた頭に叩き込んだわ。帰ったら一緒にお夕飯食べましょう」

ほむら「(フラグ!)わかりました、絶対に食べましょう!振りとかじゃなくて!」



――シャルロッテ戦――



マミ「ね、言ったでしょ。大丈夫だって」

ほむら「よかった・・・・・・巴さんが生きてる」ウルウル

マミ「もう、泣き虫なんだから」

ほむら「か、カレーが辛かったんです!」

マミ「はいはい」クスッ

キュゥべえ「入っていいかい、暁美ほむら」

ほむら「・・・・・・」

マミ「今のキュゥべえは大丈夫よ、もう鹿目さんを魔法少女にする気はないわ」

ほむら「でも、せっかく久しぶりに巴さんの部屋にお邪魔して、おいしいカレーを食べてるのに台無しです」

キュゥべえ「ひどい嫌われようだね」

ほむら「こいつ・・・・・・!」

マミ「暁美さん、ここは一つ私の顔に免じて、ね?」

ほむら「巴さんがそういうなら・・・・・・」パクパク

キュゥべえ「ところで暁美ほむら、君はどうして鹿目まどかが最強の魔法s」

マミ「キュゥべえ・・・・・・!」ギロッ

キュゥべえ「やれやれ、黙って食べるよ」

ほむら「・・・・・・?」

ほむら「ご馳走様でした」

マミ「お粗末様でした」

キュゥべえ「きゅっぷい」

ほむら「そういえば、さっきキュゥべえがまどかについて言いかけてましたね」

マミ「そうそう。その話だけど、私から暁美さんに話したかったのに、キュゥべえったら」

キュゥべえ「あれは僕が発見したものだよ。まぁ仮説の域を出ないのだけれど」

ほむら「それで、一体なんの話ですか?」

マミ「それがね、鹿目さんがどうしてすごい『素質』を持っているのか、についてなんだけど、実は暁美さんのおかげなのよ!」

ほむら「?」

マミ「暁美さんが時間遡行をするたびに、因果の束が集まって鹿目さんの素質を高めていったの」

ほむら「・・・・・・」

マミ「つまりね、鹿目さんが人類にとって大きな影響を及ぼす存在となる素質を、暁美さんが創り出したのよ!あぁ、愛のパワーって不思議だわ」

ほむら「嘘」

キュゥべえ「事実に基づいて導いた推論だよ」

ほむら「嘘よ、そんな、そんなことって」プルプル

マミ「ど、どうしたの暁美さん?」オロオロ

ほむら「あなたも・・・・・・!どうしてそんな平気な顔していられるの!?正義の魔法少女じゃなかったの!?」

マミ「えっ、えっ」アタフタ

ほむら「ごめんなさい、今日はもう帰るわ。お邪魔しました、カレーおいしかったです・・・・・・」バタン

マミ「行ってしまったわ・・・・・・玄関の理に導かれて」

マミ「それにしてもどうしてあんなに怒ったのかしら。今日のは尋常じゃなかったわね・・・・・・とにかく、また明日学校で謝らなきゃ」

キュゥべえ「(なるほどね、暁美ほむら。かまをかけてよかった、おそらく暁美ほむらは魔法少女の魔女化について知っている。そして運のいいことにマミはまだ魔女化のことを知らない。この状況をうまく利用すれば)」

マミ「ねぇキュゥべえ、どうして暁美さんはあんなに怒ったかわかるかしら?」

キュゥべえ「キュゥ・・・・・・キュゥ・・・・・・」zzz

マミ「あら、もう寝ちゃったのね。お休みキュゥべえ」

マミ「さて、どうして暁美さんは豹変したのかしら」

マミ「自身の魔法によって鹿目さんの素質を高めた、これに対して、私が愛のパワーって言ったことが原因よね」

マミ「茶化したからかしら?でもそんなことで怒るかしら・・・・・・」

マミ「推論を事実みたいに言ったから?でも、魔法少女にとってキュゥべえの推論はほとんど事実みたいなものだし、そこじゃないわよね」

マミ「ということは、やっぱり自身の魔法によって鹿目さんの素質を高めた、このことを暁美さんはネガティブに捕らえている可能性が高いわね」

マミ「どうしてかまではわからないけれど、できるだけ不謹慎にならないよう気をつけなくちゃ」

マミ「屋上に、いたわね」

ほむら「・・・・・・」

マミ「昨日はごめんなさい、多分私は暁美さんが知っている事実を知らない、そのせいでキュゥべえの仮説に対しての見解に齟齬が生じているのだと思うの」

ほむら「・・・・・・そう」

マミ「とりあえず、ご飯にしましょう。昼休みは短いわ。今日はキッシュを作ってみたの、暁美さんもよかったらどうぞ」

ほむら「・・・・・・ありがとう、いただくわ」

マミ「味は、その、どうかしら?」オロオロ

ほむら「えぇ、とってもおいしいわ。巴さんが作る料理はなんでも、おいしい」

マミ「よかった」ニコッ

マミ「じゃぁ、まず私の見解から話させてもらうわ。気分が良くなくなったらすぐに言って、話すのをやめるわ」

ほむら「・・・・・・」モグモグ

マミ「私はね、暁美さんの別の時間軸で行ってきたことが、この時間軸でもちゃんと結果を生み出していて、それが鹿目さんの素質を高めていることで、よかったなって思ったの」

ほむら「・・・・・・」ピタッ

マミ「続けるわね。つまり、鹿目さんの今後の人生がきっと人としてすばらしい、歴史に名を残すようなものになる運命は、暁美さんが創り出したものだったという、壮大なファンタジーに感動したの」

ほむら「!?ちょ、ちょっと待って。人としてすばらしい、って言ったの?」

マミ「そうよ、魔法少女の素質は因果に関係している。もし魔法少女にならなかった場合、因果が強いほど人類にとって影響を与える運命を与えられる。そうでしょ?その因果が暁美さんの献身だったと知って、私はね」


ほむら「嘘」

マミ「(しまった)」

ほむら「嘘よ、そんな、そんなことって」プルプル

マミ「あの、えっと、暁美さん?」オロオロ

ほむら「よ゛がっだぁ゛ぁ゛・・・・・・ッ!」

マミ「え、知らなかったの?」

ほむら「はい、たくさんループを繰り返してきましたけど、まさか魔法少女としての素質がそのまま、人として生活し続けた時の運命に関係しているなんて知りませんでした」

マミ「なーんだ、そうだったんだ」ホッ

ほむら「そっか・・・・・・私のしてきたことは無駄じゃなかったんだ、無駄じゃ、ながっ、ぁぁぁ・・・・・・ッ!」ボロボロ

マミ「うふふ、そうよ。無駄じゃなかった。だけど、そろそろ泣き止んで?今日は屋上に誰もいなかったけど、こんなところを誰かにみられたr」

まどか「」ガチャ

マミ「あ」

まどか「嘘、マミさんがほむらちゃんを泣かせてる?」

マミ「ちょーっとまって鹿目さん!それは、ご、誤解よぉっ!」アセアセ

ほむら「ヒックヒック」

マミ「ほ、ほら、暁美さん!早く誤解を解いて」

まどか「ほむらちゃん、大丈夫?」

ほむら「マドカァー!」ダキッ

まどか「きゃぁっ!」

マミ「あらあらうふふ」



マミ「それからなんとか鹿目さんの私に対する誤解は解けたわ。そう、『私に』対する誤解は」

マミ「まぁ、暁美さんに対する誤解もゆっくり氷解していくはずよ。他の世界で結ばれた絆ですもの」

マミ「それはともかく、結局一つだけ謎が残ったままだわ」

マミ「どうして暁美さんは激昂したのか。これは、魔法少女の素質が人としての運命にも関係していることとは関係ないわ。つまり、暁美さんはこれをネガティブに捕らえるべき情報を持ち合わせていたということ」

マミ「それは一体、何」

キュゥべえ「そんなことよりマミ!今日の晩御飯はなんだい?」

マミ「あらいけない、考え込んでしまったわ。今日はねぇ、キュゥべえの大好きなタコライスにしようと思ってるの」

キュゥべえ「きゅっぷい!」

さやか「ごめんなさいマミさん、急におしかけちゃって。でもどうしてもマミさんに相談したいことがあるんです」

マミ「ううん、いいのよ。むしろ頼られて嬉しいくらい。今ダージリンが空いているのだけれど、それでいいかしら?」

さやか「やったー!実は紅茶を飲みたくて来ちゃいましたぁ!」

マミ「もう、からかわないの」

キュゥべえ「それで美樹さやか、話ってなんだい?」

さやか「実は私、叶えたい願いができちゃったんです」

マミ「なるほど、ね。それは、あなたの人生をつぶしてまで叶えなきゃいけないもの?」

さやか「・・・・・・多分、そうです」

マミ「そうなの。ねぇ美樹さん、もしよかったら詳しく聞かせてもらえるかしら」

マミ「交通事故・・・・・・」

さやか「あいつの腕が治れば、きっと素敵なバイオリン演奏をたくさんの人が聴くことになって、みんなのためにもなると思うんです!」

マミ「ねぇキュゥべえ、上条君が遭ったって言う交通事故なんだけど」

さやか「?」

マミ「もしかして、魔女?」

さやか「!」

キュゥべえ「そうかも知れない。ただ、今すぐそれを調べる方法はない。確認のためには、実際にその魔女と戦って、魔翌力の痕跡から上条恭介との接点を見つけるしかない」

さやか「そんな、なんで、なんで魔女が!恭介を!」

マミ「実はね、美樹さん。私の家族が遭った事故なんだけど、今思えば魔女の仕業だった気がするのよ」

さやか「!」

マミ「ただ、その時偶然にも側にキュゥべえがいてくれたから私は一命を取り留めたのだけれどね」

キュゥべえ「きゅっぷいきゅっぷい」

さやか「もし魔女だとしたら、絶対に許せません!あたしが、あたしが魔法少女になって、殺してやりますよ!」

マミ「だめ」

さやか「えっ」

マミ「だめよ。絶対にだめ」

さやか「なんでですか!そんな、あたしの思いは」

マミ「美樹さんあなた、死ぬしかない、って言われて、命を落とせる?」

さやか「・・・・・・えっ」

マミ「私が魔法少女になったときはね、死ぬか、魔法少女になるかの二択だったの」

さやか「・・・・・・」

マミ「暁美さんも、重い心臓病にかかっていて、その病苦のために普通の人以上に苦しんで死ぬ運命だったの」

さやか「・・・・・・」

マミ「私の知ってるもう一人の魔法少女もね、お父さんの仕事がうまく行かなくって貧困に喘いでいたわ」

さやか「・・・・・・」

マミ「あなたは目の前に死が迫ってるわけでも、重い病気なわけでも、生活が苦しいわけでもない。だから魔法少女になってはだめ」

さやか「でも!あたしの幼馴染が腕を!」

マミ「上条君は美樹さんにとって運命の人なの?」

さやか「えっと、いや、そんな、運命の人っていうほどでは」タハハ

マミ「じゃぁダメ。それに上条君、命に別状はないんでしょう?」

さやか「そんなっ!だって、あいつの夢が!バイオリンが弾けないんですよ!?」

マミ「バイオリンが弾けなくても私は生きていけるわ」

さやか「!!」

さやか「それ、は、っ」

マミ「それとも、上条君は重度のバイオリン依存症で、バイオリンの演奏ができないと禁断症状を引き起こすのかしら?」

さやか「・・・・・・CDプレイヤーを壊しました」

マミ「それって死ぬの?」

さやか「・・・・・・死にはしません」

マミ「そう、なら上条君が魔法少女になる必要はないわね」

さやか「!?」

マミ「よって、他人である美樹さんが魔法少女になる必要こそ、まったくないわ」

さやか「」

マミ「・・・・・・少し、落ち着きましょう。今新しいお茶を持ってくるわ」

さやか「・・・・・・はい」

マミ「ラベンダーのハーブティーよ。これで落ち着いて」

さやか「ありがとう、ございます」

マミ「ふぅ。そうそう、この話はまだ美樹さんにしてなかったわね」

さやか「はい?」

マミ「魔法少女って素質のある人ない人いるでしょ?」

さやか「あぁ、まどかは最強の素質だとかなんとか」

マミ「素質自体は誰にでもあるの。ただその量が違うだけ。それで、その量っていうのはね、魔法少女にならなかった時の運命の力そのものらしいのよ」

さやか「えっと、つまり素質があればあるだけ魔法少女になった時も強いし、普通に生活してても運がいい、ってことですか?」

マミ「うーん、多分そうかしら」

さやか「そんなぁ、ずるい!不公平だぁー」ジタバタ

マミ「確かにそうかもね」クスッ

マミ「でもね、魔法少女になるってことは、人としての運命を魔法少女の素質に変えてしまうこと。つまり、人として生きることを完全にあきらめることと同じなの」

さやか「!」

キュゥべえ「正確には違うけどね」

マミ「もう、話を折らないで。だから私は聞いたわ。死ぬしかない、って言われて、命を差し出せるのかって」

さやか「あ・・・・・・」

マミ「魔法少女になるって、そういうことよ」

さやか「そうだったんですね」

すまん寝る

マミ「そうそう、暁美さんって美樹さんと鹿目さんに魔法少女になってはだめって言っていたでしょ?あれもあなたたちに魔法少女になってほしくないから、人としてすばらしい人生を歩むべきだと考えたからよ」

さやか「えっ、縄張りを独り占めしたいからじゃ・・・・・・」

マミ「あっ、あれは私の勘違いだったわ」テレ

さやか「なーんだ、そうだったんですか。じゃぁほむらって結構いい奴?」

マミ「そうね。私のためにわんわん泣いてくれるくらいはいい子よ」

さやか「そうなんですか!すげー意外・・・・・・」

マミ「ただ泣き虫なだけかも」クスッ

さやか「それこそないっすわー」

さやか「マミさん、あたしは確かに甘く考えすぎてました。だけど、本当にごめんなさい、もう一日だけよく考えさせてください」

マミ「そう。でもね、暁美さんのやさしさを汲んであげて欲しいな」

さやか「うっ。転校生にも悪いなぁとは思ってますけど」

マミ「美樹さん」

さやか「?」

マミ「あ・け・み・さ・ん、でしょ?」

さやか「!い、いつまでも転校生なわけないですもんね」タハハ

マミ「暁美さんと仲良くしてあげてね。いつもはクールぶってるけど、あの子さみしがり屋さんだから」

さやか「うーん、まだちょっと信用できないところありますけど、マミさんがそう言うなら」

ほむら「(まどかに変な誤解を植え付けてしまったわ)」

ほむら「(私は別に『誰かに抱きつかないといけない発作』が出る病気で入院していたのではないのだけど)」

ほむら「(でも魔法少女の『素質』については初耳。多分キュゥべえから聞き出したんでしょうけど、あいつがしゃべるなんて意外だわ)」

ほむら「(たしかにまどかが魔法少女にならなかった場合は人としてしっかり歩んでいけることがわかった。だけど、まだまだ魔法少女になってしまうかもしれない)」

ほむら「(少なくともワルプルギスの夜を越えるまでは)」

ほむら「(なのに巴さんは楽観視しすぎている。キュゥべえに釘を刺したからってそれで上手くいくとは思えない)」

ほむら「(メンタル強すぎよ、巴マミ・・・・・・)」

さやか「あーあ、マミさんと派手にやっちゃったなー。でも、それもあたしの人生を親身に考えてくれたおかげなんだよね」

さやか「でもなぁ、恭介のバイオリンもう一度聞きたいな。事故の前に時間を巻き戻せればなぁ」

さやか「あれ、まどかと仁美?それと、あれあれ!?なんかやばい雰囲気になってる!?」

まどか「さやかちゃん!助けて!仁美ちゃんが、魔女の口付けに!」

仁美「素敵な世界を作るんですわー」ウフフアハハ

さやか「こんな時に!マミさんとほむらはまだ気づいてないの!」

まどか「ご、ごめんね。さっきマミさんに電話かけようとしたらそこのおじさんに携帯壊されちゃって・・・・・・」

おじさん「ウボァー」

さやか「くそっ、なんでこんな時に携帯家に置いてくるかなーあたし!こうなったら」

さやか「・・・・・・という感じで、魔法少女になってしまいました」タハハ

マミ「そっか。でもキュゥべえ、美樹さんを魔法少女にするよりも先に、私に連絡してほしかったな」

キュゥべえ「僕もたまたま近くに居合わせただけなんだ。たとえマミに連絡を取ったとしても、マミが来た頃には集団自殺事件が起きた後だったろうね」

ほむら「あなたはどこまでおろかなの美樹さやか・・・・・・!」

さやか「ほ、ほむらぁ、ごめんってば!」

マミ「暁美さん、そんなに怒らないであげて。美樹さんはちゃんと思い悩んで私に相談してくれたの。その上で決めたことだから」

ほむら「だから仕方ないっていうの?そんなのって、あんまりじゃない」

マミ「暁美さん、あなたは優しすぎる。たしかにもう人としての全うな道を歩くことはできないでしょう。でも、魔法少女だってそんなに捨てたもんじゃないわよ」

ほむら「!?」

マミ「常人とかけ離れたパワーが使えるってのは、結構楽しいし。それに衣装とかかわいいじゃない。美樹さんも似合ってるわ」

さやか「あ、ありがとうございます」テレ

ほむら「巴マミ、あなたは楽観視しすぎよ」

マミ「(フルネーム呼び!?)」

ほむら「(私の統計では美樹さやかは高速高確率で魔女化する)」

ほむら「(この情報はさすがの巴さんでもきっとつらいわ。相談を親身になってしてあげたのなら尚更)」

ほむら「(でも、巴さんが少し魔女化に対して甘く考えているのも事実。ここは教えてあげた方が慎重になってくれるかしら)」

キュゥべえ「入っていいかい、暁美ほむら」

ほむら「なんのようかしら、インキュベーター」

キュゥべえ「その名前まで知っていたとは。さすが時間遡行者といったところかな」

ほむら「用件を簡潔に述べてさっさと帰りなさい。巴さんが心配するわよ」

キュゥべえ「そうそう、君はおそらく美樹さやかがすぐに魔女になってしまうことを恐れているね」

ほむら「別に・・・・・・美樹さやかだけじゃなく、すべての魔法少女が魔女になってしまうことを恐れているわ」

キュゥべえ「(やっぱり魔女化のことは知っていたようだね)そのことはマミには言わない方がいい」

ほむら「あら、それはどうしてかしら」

キュゥべえ「今のマミは魔女化についてかなり敏感な精神状態だ」

ほむら「!」

キュゥべえ「魔女化の現実から目を背けて、ひたすら前だけ見ようとする傾向がある」

ほむら「やっぱり美樹さんの説得に失敗したことを負い目に感じているのね・・・・・・」

キュゥべえ「美樹さやかをいかに魔法少女として強くさせるか、今はそっちの方が大事だと考えているよ」

ほむら「そう(キュゥべえと話すのは癪だけれど、巴さんのことを最も間近で見ているのも事実ね)」

キュゥべえ「それに今君がすべきことは佐倉杏子を見滝原に呼び込むことじゃないかな」

ほむら「そうね。さやかの教育は巴さんに任せて、私はそっちの準備をしようかしら」

キュゥべえ「きゅっぷい」

まどか「さやかちゃん、昨日はごめんね・・・・・・」

さやか「なんでまどかが謝るのさ。私はまどかが魔法少女にならなくてよかったって本気で思ってるよ?」

まどか「だって、さやかちゃん、これから魔女を退治しなきゃいけないんだよ」

さやか「そうだけど、それはきっと仕方ない。奇跡を二つも叶えちゃったんだもん」

まどか「ふた、つ?」

さやか「恭介のバイオリンがまた聞けること、それから親友のピンチを救えたこと、かな」

まどか「あっ」

さやか「それにまどかは、お城で勇者の活躍を見守ってるお姫様、って方が似合ってるよ」

まどか「お姫様だなんて」テレ

さやか「だからさ、私の戦いを、ううん私たちの戦いを、見守っていてくれるなら、それはうれしいよ」

まどか「うん、そっか。応援するね、さやかちゃんも、ほむらちゃんも、マミさんも!」

さやか「さて、見滝原の平和はこの魔法少女さやかちゃんが守りまくっちゃいますからねー!」

マミ「そのためにはまず強くならないとね。今日の特別トレーニング、始めるわよ」

さやか「待ってましたー!魔女も使い魔もみーんな成敗してくれるー!」

まどか「が、がんばってさやかちゃん!マミさんも!」








杏子「なんだあのお遊戯会の練習は」

ほむら「そういわないであげて。あれでも必死なの」

マミ「!あなたは、佐倉さん?」

杏子「よう、久しぶりだな、マミ先輩」

さやか「えっと、どちらさん?」

杏子「結局甘っちょろいやつと仲良しこよしを演じてるわけか。変わらないねぇマミ先輩は」

さやか「あれー、登場早々馬鹿にしてるのかなー君は」

ほむら「杏子、話が違うわ。煽らないで」

杏子「はいはい。マミのメンタルが強くなったってことは認めてやるよ」

マミ「?」

杏子「だけどな、他人のための願いで魔法少女になったやつと、よくもそう白々しくチームを組めるよな」

マミ「!」

さやか「なんなのあいつ、感じ悪い」

まどか「お、落ち着いて!」

ほむら「杏子、怨み言なら後にしてもらえるかしら」

杏子「べ、別に怨み言なんかじゃねーよ!わかったよ、とりあえず今日は挨拶に来ただけだ」

杏子「佐倉杏子だ、よろしくな。ワルプルギス退治のメンバーとして付き合ってやるよ」

マミ「そう・・・・・・暁美さん、交渉はうまくいったのね」

さやか「あれ、とりあえず仲間ってことでいいのかな?」

杏子「こんな甘ちゃんと仲間なんて反吐が出るけどな」

さやか「な、な、何をー!」

まどか「さやかちゃん剣しまって!」

マミ「そうだ、折角だから佐倉さんもトレーニングに付き合ってもらえるかしら」

杏子「はぁ?それは約束と違うぞ。んー、まぁこいつにものをわからせてやるのもいいかもな」ニヤリ

さやか「あんたはそうやって上からモノをいうー!」

マミ「何言ってるの佐倉さん、あなたもトレーニング『する』のよ?」

杏子「えっ」

さやか「はっは!ざまーみろ!マミ先輩には適わないですなぁ」

まどか「結構遅くなっちゃいましたね」

ほむら「2人が白熱するから」

杏子「回復魔法使ってんじゃねーぞ!正面からかかってこい!」

さやか「あたしの固有魔法をあたしが使って何が悪いのよ!」

マミ「さ、今日はみんなでお夕飯にしましょう。シャワーも使っていいわ。今日は特製スタミナ丼よ」

杏子「いやっほー!マミの料理はなんでもうまいからな」

キュゥべえ「僕の分からはマヨネーズを抜いてくれるかな」

まどか「キュゥべえにも好き嫌いあるんだ」

マミ「もう、好き嫌いしちゃだめよ」

マミ「佐倉さん、今日は泊まるところあるの?」

杏子「今日からはほむらの家に居候することになってるんだ、心配すんなよ」

マミ「そう。それならいいけど。でも佐倉さん」

杏子「あーもう!必要以上に話かけるなよ。甘ちゃんが移っちまうぜ」

さやか「ちょっと杏子!そんな言い方ないでしょ!だいたいマミさんのどこが甘ちゃんだってのさ!」

杏子「こいつは使い魔もしっかり倒そうとする正義の魔法少女気取りなんだ。魔法を無駄使いしてんのさ!」

まどか「あの、えっと」

さやか「それがどういけないわけ!?街を守るのが魔法少女の仕事でしょ!?」

杏子「ハッ。ちゃんちゃらおかしいね。魔法は自分だけのために使うもんだ!」

さやか「人を助けて何が悪いってのよ!」

ほむら「い゛い゛加減に゛じでぇ゛!!!!!!!!!」

一同「!?」

ほむら「巴さんの気も知らないで・・・・・・巴さんがどれだけつらい思いをしてるのかわかってるの!?」

マミ「えっと」ティロティロ

杏子「はぁ?そんなこと知ったこっちゃ無いね。自業自得だ」

ほむら「馬鹿!杏子、あなたは固有魔法が使えなくなって、巴さんの足手まといにならないように縁を切ったんでしょ?自分の正当化のために巴さんを悪く言わないで!」

杏子「はぁっ!?なんでそれを・・・・・・って、違う!断じてマミに助けてもらうのがつらくて逃げたとか、そういうことじゃなかった!」

マミ「やっぱり、もう幻惑の魔法は使えなくなっていたのね」

杏子「私はマミが許せないと思った。私と同じ過ちを繰り返させて、さやかを魔法少女にしちまったことにな!」

さやか「あっ」

ほむら「だから!巴さんだって必死に説得したの!巴さんは悪くない!」

杏子「どうしてそんなに巴マミの肩を持つんだよ・・・・・・気持ち悪い」

さやか「杏子、でも今のは本当。マミさんは最大限の忠告をあたしにしてくれたのに、それなのにあたしは」

マミ「仕方が無かった。美樹さんが魔法少女になってしまったのは、私と同じで事故みたいなものじゃない」

ほむら「それに杏子が巴さんに使い魔まで倒して欲しくないのは、魔法少女としての命を保つためでしょう?」

杏子「だっかっら!なんでお前はそうやって曲解するんだよ!別にそんなんじゃねえっての!」

ほむら「ソウルジェムが濁りきった後の真実を知った後でも巴さんにひどいこと言えるのかしら?」

杏子「うっ、それは、ああ、言えるさ。そういう意味でも、魔法は無駄遣いするべきじゃねぇ」

杏子「でも勘違いすんなよ!別に巴マミの身を案じてるわけじゃねぇぞ!とっとと魔女にでもなってくたばっちまえ!」

マミ「えっ」

さやか「杏子!あんたなんてことを!」

杏子「あれぇ、そこの甘ちゃんはまだ知らなかったのか?魔力を使いすぎたとき、ソウルジェムが魔女を産むんだって、暁美ほむらが言ってたぞ」

まどか「嘘・・・・・・そんな、そんなのってないよ」

ほむら「事実よ。私はこの目で何度も見てきた」

ほむら「でも、巴さんはこの事実を知ってなお魔法少女としての正義を示してくれた。私は、気がつけば魔法少女としての悪に染まっていきそうだった・・・・・・そんな私を救ってくれたの」

さやか「どうして!どうしてその事実をあたしが魔法少女になる前に教えてくれなかったんですかマミさん!」

ほむら「教えられるわけないじゃない!魔法少女になる前のあなたはただの人間なのよ!巴さんはいつか魔女になってあなたの命を狙うかもしれない存在になるなんて、そんな自己申告できるわけない!」

さやか「!」

まどか「悲しすぎるよ、ひどすぎるよ。もう元には戻れないの」

ほむら「戻れないわ。だけど安心してまどか。この事実を知った魔法少女はみんな魔女になる前に自分たちのソウルジェムを破壊するわ」

さやか「そんなぁ!」

杏子「まぁ、それしかねぇだろうな。新たな魔女を生み出す前に、みんな死ぬしかねぇんだもんな」

ほむら「巴さんはね、そういう真実を知ってなお、魔法少女として生きる道に明るい未来を描いているの。その強さが一体どれくらいのものか、わかる?」

マミ「」

ほむら「まどか、落ち着いて」

さやか「・・・・・・」

まどか「ひどいよぉ、あんまりだよぉ」ボロボロ

杏子「・・・・・・」モグモグ

キュゥべえ「きゅっぷい」

マミ「えっと、あの、みんな?」







マミ「嘘」

マミ「(可愛い後輩に囲まれて、一緒の目標に向かって歩いていく)」

マミ「(時にはつらいこともあるけれど、みんなの力を合わせて乗り切っていく)」

マミ「(キャリアは上なのに私を先輩として尊敬してくれる頼れる少女)」

マミ「(まだ魔法少女に成り立てだけど正義のために一生懸命頑張ろうとするけなげな少女)」

マミ「(一度は離縁してしまったけれど、また戻ってきてくれた不器用な少女)」

マミ「(魔法少女ではないのにも関わらず、やさしくていつも応援してくれる少女)」

マミ「(この五人でなら仲良くやっていけると思っていた。いつまでもこんな日々が続けばいいと思った)」

マミ「(佐倉さんとの仲直りのチャンスをくれた暁美さんには感謝してもしきれないわ)」

マミ「(でも・・・・・・でも・・・・・・)」



キュゥべえ「すべて事実だね、巴マミ。ソウルジェムは魔女を産む。いずれ魔女になる存在の少女たちに名前を付けるとしたら、それは魔法少女と呼ぶにふさわしいだろうね」

マミ「嘘・・・・・・どうして、そんな・・・・・・」

杏子「?なんだ、もしかしてマミ、知らなかったのか?」

ほむら「!」

マミ「ソウルジェム、が、魔女を、産む、な、らっ」

ほむら「そんな、巴さん」アワワ

マミ「・・・・・・くっ」ダッ バタン

さやか「行っちゃった・・・・・・?」

杏子「ほむら!話が違うじゃねーか!」

ほむら「そんな、そんなことって」

まどか「ど、どうなっちゃうの!?」

ほむら「・・・・・・私の統計によれば、魔法少女の真実を知った巴マミは高確率で自殺するわ」

杏子「!」

さやか「!」

まどか「!」

杏子「てめーふざけたこと言ってんじゃねぇぞ!統計ってなんだよ統計って!いい加減なこと言うのも大概にしろ!」

さやか「でも自殺したくなる気持ちもわかるよ、うん。だって、つまり今まで殺してきた魔女の多くは元魔法少女なんでしょ?あたしは幸い一人も倒してないんだけどさ」

まどか「そんな言い方ってないよ!」

キュゥべえ「まずいよ、マミのソウルジェムが急速に濁り始めている!このままだとマミが自殺する前に魔女を生み出してしまうかもしれない!」

杏子「誰のせいだと思ってんだ、いい加減にしろよ・・・・・・」ゴゴゴ

ほむら「そんな、巴さん、いやぁ・・・・・・っ」ボロボロ

杏子「ほむらぁ!いつまでもしょぼくれてんじゃねーぞぼんくらが!早くマミを探しにいってなんとかしないと!」

さやか「でも、なんとかって、どうすれば!」

杏子「わかんねーけどやるんだよ!」

ほむら「巴、先輩・・・・・・っ」ボロボロ


杏子「っ!」バシーン

ほむら「!?」ヒリヒリ


杏子「ほむら、お前マミがこのまま死んでもいいのか」

ほむら「いやぁ・・・・・・」ウルウル

杏子「だったら!とっととマミを助けにいくぞ!後悔とか自責とか、そんなの後にしろ!懺悔だったらあたしがいくらでも聞いてやる!」

ほむら「!」

ほむら「(巴さん・・・・・・巴さん・・・・・・死なないで・・・・・・)」

杏子(おいさやか、そっちはいたか!?)

さやか(だめ、見つからない)

杏子(ほむら!そっちはどうだ!)

ほむら(・・・・・・いないわ)

杏子「(くそっ、なんだってほむらはマミのことをかき回したんだ!)」









ガタンゴトン


ほむら「・・・・・・巴さん」

マミ「あら、暁美さん。見つかっちゃったわね。どうしてここがわかったのかしら」

ほむら「それは」

マミ「あぁ、きっと私がここで魔女になる世界があったから、かしら」

ほむら「・・・・・・」

マミ「ねぇ暁美さん、どうして教えてくれなかったの」

ほむら「それは・・・・・・」

マミ「私のこと慕ってくれてるみたいだったけど、もしかしておちょくってたのかしら」

ほむら「!っ違う!そんなことは」

マミ「あなたはいいわよね、また時間遡行魔法でやりなおせるんだもの」

ほむら「あっ・・・・・・」

マミ「でもね、この世界に私という存在は私しかいないの」

マミ「あーぁ、おかしい。私、一体なんのために生きてきたのかしら」

マミ「こんなことならあの事故で死んでおけばよかった」

ほむら「!」

マミ「ねぇ暁美さん、どうして教えてくれなかったの」

ほむら「それは・・・・・・」

マミ「私のこと慕ってくれてるみたいだったけど、もしかしておちょくってたのかしら」

ほむら「!っ違う!そんなことは」

マミ「あなたはいいわよね、また時間遡行魔法でやりなおせるんだもの」

ほむら「あっ・・・・・・」

マミ「でもね、この世界に私という存在は私しかいないの」

マミ「あーぁ、おかしい。私、一体なんのために生きてきたのかしら」

マミ「こんなことならあの事故で死んでおけばよかった」

ほむら「!」

ほむら「私は!あなたと出会えてよかった!事故を生き延びてくれてよかったんです!」

マミ「・・・・・・」

ほむら「あなたと出会った時のこと、今でも覚えています。魔法少女でもない私に優しくしてくれて、魔法少女としてだめだめだった私に暖かく指導してくれて。いつでもあなたは私より先に死んでしまって・・・・・・!」

ほむら「まどかと、巴さんと、一緒に入れた日々のことは、こんなに時間が経ってしまった後でも、鮮明に覚えています」

マミ「でも、それは私じゃないわ」

ほむら「いいえ、あなたはいつでも魔法少女でした。あなたはどの時間でも魔法少女としての誇りを探して、生きる意味を見つけ出していました」

ほむら「そんなマミさんに憧れてました。素敵な人だと思っていました」

マミ「暁美さん。どうしてその憧れが私を苦しめてることに気づかないの?」

ほむら「・・・・・・?」

マミ「私はあなたが思うほどに、強くならなきゃいけなかった。でもね、本当は中学三年生の女の子に過ぎないの。あなたの幻想に私を付き合わせないで」

ほむら「そんなっ・・・・・・!」

マミ「じゃぁ、そろそろソウルジェムを砕かなきゃ。魔女にはなりたくないものね」

ほむら「うぅぅぅぅうっ・・・・・・」

マミ「あれ、おかしいな。マスケットの引き金を引けないわ。こんなになっても、死にたくないなんて滑稽ね」

ほむら「やめて、もうやめて」

マミ「暁美さん、私の最期のお願い聞いてくれるかしら」

ほむら「やめてぇ!!」

マミ「馬鹿な私を、殺してくれないかな」ピキッ

杏子「ほむらぁ!マミっ!なんだこれ、一体どうなってやがんだ!?」

さやか「もしかしてこれって、魔女の結界!?」

ほむら「うぅぅぅぅぅっ・・・・・・」

杏子「てめぇ!状況を説明しろ!これは、まさか、マミの結界なのか!?」

さやか「ってことは、これはマミさんの使い魔・・・・・・?」


ももいろさん「アハハ」

あかいろさん「ウフフ」



杏子「くそっ、もうほむらは使いものにならねぇ!とりあえず一旦退却するぞ!」

さやか「う、うんわかった!」

杏子「で、マミの家に戻ってきたわけだが・・・・・・」

まどか「ほむらちゃん・・・・・・」

ほむら「・・・・・・」

杏子「まどか、そいつはもうだめだ。眼から戦う意志がなくなってやがる」

さやか「でも、そんな、ホントにマミさんが魔女になっちゃうなんて・・・・・・」ウルッ

杏子「くそっ。おいキュゥべえ!」

キュゥべえ「呼んだかい?」

杏子「ほむらは魔女になったら元に戻る方法は無いって言ったが、それは本当なのか?なんとかして元に戻すことはできないのか?」

キュゥべえ「前例はないね」

杏子「ってことは、あるんだな?方法が」

キュゥべえ「それは僕にもわからない。魔法少女は奇跡を起こす存在だからね」

さやか「杏子、あんたまさか」

杏子「巴マミを取り返す。あたしらの力で」

杏子「で、ほむら。あんたにも協力してもらいたいことがある」

ほむら「・・・・・・その必要はないわ」

さやか「はぁ!?あんた何いってんのさ!」

ほむら「一度魔女になってしまった魔法少女は二度と元には戻らないわ」

杏子「だから、やってみなくちゃわかんねぇだろうが」

ほむら「そんなことより、私は巴さんに会いに行く」

まどか「ほ、ほむらちゃん?」

杏子「まさか、お前マミの後を追っかけようなんて腹じゃ!」

ほむら「違うわ。私はあなたと違う。あなたたちと違う時間を生きているの」

さやか「タイムリープするの?」

ほむら「察しがいいわね。図星よ。私の戦場はここじゃない」

杏子「・・・・・・仕方ねぇ。さやか、まどか。三人でなんとかするぞ」

さやか「えぇっ!?そんな、ほむらはそれでいいの!?マミさんのこと大事だったんじゃないの!?」

杏子(ほむらお前、鹿目まどかを魔法少女にさせないんじゃなかったのかよ。このままじゃ、ワルプルギス討伐のためにまどかが魔法少女になるしかないぞ)

ほむら(私には巴さんに頼まれたことがあるの。それを叶えなければならないの)

杏子(そうかよ・・・・・・もう、好きにしやがれ)





ほむら「(まだ時間遡行するには日付が残っているけど、今回の時間軸はあきらめるわ)」

ほむら「(巴さんは結局、すべての時間軸で私より先に死んでいる)」

ほむら「(最も最悪だったのは、やっぱりあの錯乱の時だけど、今回もひどかったわね)」

ほむら「(なにがあっても魔法少女の真実だけは伝えてはいけないのね)」

ほむら「(魔法少女の真実に気づくくらいなら、魔女にやられて死んだ方がマシだわ)」

ほむら「(最期に頼まれた巴さんの願いを叶えにいかなくちゃ)」

ほむら「(私の、最高の先輩)」



カチャ

ほむら「おめかしの魔女、今すぐ殺してあげるわ」カチッ

キャンデロロ「」

くろいろさん「」

ほむら「・・・・・・あんな使い魔、居たかしら」ドーン




ほむら「これでこの時間軸の巴マミの死亡を確認したわ」

ほむら「さて、次の時間軸の準備をしなきゃ」

ほむら「まだ巴さんのお願いは叶ってないのだから」



end

支援してくれた人ありがとう
マミほむが書きたかったのにどうしてこうなった/(^o^)\

一週目の中で、ほむらがまどかを大切に思うようになる切欠を見出すような流れは多いけど、それなら同じくらいマミさんを大事に思ってなきゃおかしくね?と思って書きました後悔はしている反省はしていない

マミさんかわいいよマミさん

マミさんの魔女化自体は書き始めた時から決めてたごめんね捻くれてて

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年05月12日 (火) 17:12:38   ID: vqovkXEv

バッドエンドSSは後味が悪いが、このスレには共感した
マミさん悲しいよマミさん

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