エレンのお願い13か条(554)

*エレン13変化の続編っぽい安価SSです。

*今回はミカサの方がエレンの為に頑張ります。
(現実世界ではエレンの誕生日はだいぶ先ですがそこは気にしないで下さい)

*書きながら話を考えるので、安価次第ではエロ展開入ります。

*エレミカ(ミカエレ)中心です。他カプも展開次第ではあるかも?

エレンの誕生日が間近に迫ってきたその頃。

エレンは突然、ミカサからとあるプレゼントをもらってしまった。

13枚の白い紙。そしてペン。

受け取った瞬間、エレンは何故それを手渡されたのか分からず、首を傾げた。

エレン「ミカサ……こういうのだったら、アルミンの方が喜ぶと思うぞ?」

自分は書物をする趣味は無い。

勉強の道具は足りてるし、何よりこの紙、ノートとして使うには少し面積が小さい。

ミカサ「ううん。これはエレンへの誕生日プレゼント」

エレン「? これがか?」

ミカサ「そう」

エレン「ああ……まあ、ありがたく使わせてもらうけど……ん?」

紙の隅っこに使用期限が書いてあった。

自分の誕生日から、来年の自分の誕生日までが使用期限だった。

エレン「まさか、これ………肩たたき券みたいなやつか?」

ミカサ「そう! エレンは誕生日から来年の誕生日まで、その空白のチケットに何でもお願い事を書いていい。私がそれを13個、叶える……ので」

エレン「俺のプレゼントの真似しやがって」

ミカサ「真似じゃない。アレンジしただけ」

エレン「………まあいいけどさ。俺、別にミカサにして欲しいことなんて、13個もねえよ」

ミカサ「そこは頑張ってひねり出して欲しい」

エレン「んー」

エレンはその紙の裏側を見た。注意書きが書いてある。



『*ただし、そばを離れろという願いだけは却下』



エレン(ちゃっかりしてやがるなあ)

エレンは半眼になって、ついそう思ってしまった。

エレン「分かったよ。自分の誕生日までに13個考えて書いてくる。それでいいんだろ?」

ミカサ「うん! 待ってる」

そうして軽い足取りで女子寮に帰っていくミカサなのであった。

エレンは男子寮に戻ってとりあえず、ミカサにして欲しい事を考えてみた。

エレン「んー……今、ざっと思いついたのはとりあえずこれくらいかな」



1.風邪ひくな。

2.怪我するな。

3.体を冷やすな。

4.人前では過剰にベタベタするな。

5.女子と仲良くしろ。

6.俺と対戦するときは手加減するな。わざと負けるのも以ての外。

7.いきなり触るのもやめろ。びっくりする。




と、ここまで書いて、




エレン(あれ? 俺、して欲しい事より、して欲しくねえ事が多くねえ?)

これじゃチケットの意味がない気がしてきたエレンはこの案を没にした。

もう一度、最初から考え直す。

エレン(うーん……参ったな。俺の頭だけじゃ、13個もひねり出すの難しいぞ)

エレンはもう一度、考えた。下書きのリストを作り直す。

とりあえず、これくらいならミカサにしてもらっても大丈夫だろうと思われる事を書いてみる。



1.耳が痒い時、耳かきをしてもらう。

2.筋肉が張ってる時、マッサージをしてもらう。

3.背中が痒い時、代わりに掻いてもらう。

4.柔軟体操(ストレッチ)に付き合ってもらう。




エレン「ううううーーーーん」

しかしこれ以上、何も案が出てこなくて唸るエレンだった。

するとそこに、

アルミン「何を唸ってるの? エレン」

アルミンがひょいっと顔を覗かせてきた。

エレン「あ、アルミン! 聞いてくれよ~」

心底困ったようにエレンはアルミンに頼った。すると………

アルミン「あははは! この間の、エレンのプレゼントのお返しかあ。確かに今度はエレンが受け取る番だね。じゃあ頑張って考えないと」

エレン「っつてもよー……13個もして欲しいこと出てこねえって」

アルミン「じゃあ僕も手伝ってあげようか?」

エレン「おう! 頼むよ」

アルミン「じゃあ…………>>5なんかどうかな?」

安価失敗したwwwすまんぬwwwww

アルミン「じゃあ…………>>7なんかどうかな?」

ハグしてもらう

アルミン「ハグしてもらったらどうかな?」

エレン「あーでも、それはこの間、俺の方から散々やったからなあ。いいのかな? 被るけど」

アルミン「別にいいんじゃない? 被るのが嫌なら寒い時の限定で。人肌が一番体が温まるし、いいと思うけど」

エレン「あーそれもそうか。じゃあ……」


5.寒い時だけでもいいのでハグしてもらう。


エレン「こんな感じか。よし、一個埋まった」

エレンはちょっと先に進んでほっとした。

その時、今度はコニーがエレンの書物を覗きに来た。

コニー「何書いてるんだ? 勉強してんの?」

エレン「いや、違う。今、ちょっとリスト作っててさ」


かくかくしかじか。


コニー「ああ! この間のお返しかあ。だったら、アレじゃね? >>10くらいしてもらってもいいんじゃねえの~♪ ちょっとエロい事を要求してもいいじゃん」

エレン「?!」

エレンは赤面した。うっかり。

キス

エレン「ななんあ……何言ってんだよ! そういうのは、別に要らねえよ!」

コニー「えー? 本当か? キスくらい要求してもバチあたんねえって! それくらい、エレン頑張っただろ?」

エレン(既にもう貰ってるなんて言えねえ……)

しかも二回も。

エレンはあの時の事を思い出して恥ずかしくなった。

エレン「それは、どうしても全部埋まらなかった時の為の、最終手段だ!! 他に何かねえか?!」

コニー「えー素直じゃねえなあ……ククク………」

アルミン「じゃあ、こういうのはどうだろう? エレンの好きなポーズ……例えば>>12のポーズをしてもらうとか!」

クレヨンしんちゃんのケツだけ星人でw

エレンはずっこけた。アルミンがあまりに酷い事を言うもんだから。

エレン「おまえなあああああ!!! アルミン、女子にそんな変態ポーズやらせてどうする!!!」

アルミン「ミカサならきっとやってくれるよ(`・ω・´)キリッ」

エレン「だとしてもだ!!! それは却下!! あ、コニー!! 何勝手にリストに書き加えてるんんgdgldjldg;ds……!!」

コニーが本番用の紙を勝手に奪って、その内容を書いてしまった。

しかも、ナンバリング1の紙に。

エレン「コニーーーーーーー!!!! 何勝手な事してんだ!!」

と叫んで、エレンは紙を奪い返した。

コニー「だってよ、エレン、エロいの提案しても書きそうになかったから、代わりに書いてやろうかと思って」

エレン「こんなん要求したらミカサにドン引きされるだろうが!!!」

コニー「ミカサだから大丈夫じゃねえ?」

エレン「コニーもアルミンも、ミカサをなんだと思ってやがるんだ!!」

コニー&アルミン「エレンの犬」

エレン「アホかああ!! ミカサは俺の家族!! ミカサの人権、無視するような要求は却下だ!!」

アルミン「でもその紙、結構、高い紙だよ? 無駄にしていいの?」

エレン「うっ……」

アルミン「書いちゃったんだから、それは捨てたら勿体無いよ? エレン」

エレン「…………わかった。じゃあこうする」

エレンは下に書き加えた。



ナンバー①

クレヨンしんちゃんのケツだけ星人のポーズをする。

(*尻は実際に出さなくて良い)


アルミン「妥協したねー(プークスクス)」

アルミンは笑いを堪えるのに必死だった。

>>12
すまんwwww爆笑したんだが、実際に尻を出すのは、
私の腹筋が持たないのでこれで勘弁してくださいwwwww

コニー「よーし、この調子でエロい提案もどんどん混ぜていこうぜ」

コニーはノリノリだった。

人の事なのに、いや、人事だからこそ、悪ノリしている。

コニー「キスは最終手段なら………あれだ。別の場所ならいいんだろ? >>16の場所をペロペロ舐めてもらうってのはどうだ?」

エレン「指ぃ?! いや、ちょっと待て。指なんか舐めさせてどうすんだよ」

コニー「え? 結構よくねえ? 俺、そういうの好きだけど」

エレン「そ、そうなのか? いや、でも……うーん……」

エレンの中ではどうやらグレーゾーンらしい。

エロいけど、許容範囲のエロだったら、書いてもいいと思い始めているようだ。

するとアルミンがナンバリング2の紙を奪って、

アルミン「はいはい、さっさと書く! (カキカキ)」

エレン「あああああ!!!」

と、アルミンに先に書かれてしまった。



ナンバー②

指をペロペロ舐める。



その紙を見つめてエレンは「本当にこれで良かったのかな」と思った。

ライナー「なんだなんだ? さっきから騒がしいな」

ベルトルト「皆で勉強してるのかい?」

その時、騒ぎに気づいたライナーとベルトルトが寄ってきた。

アルミン「いや、違うよ。実は……かくかくしかじか」

ライナー「ははは! なるほどな。今度はミカサが頑張る番なのか。だったら……男のロマンを叶えてもらってもいいんじゃないか?」

エレン「お、男のロマン……?」

ライナー「ああ! 男のロマンと言ったら、パフパフだろ!!」

エレン「パフパフ?」

コニー「女の胸の間に顔を埋めて挟んで貰うんだよ」

エレン「ぶーーーーー!!! ば、馬鹿!! そういうエロ過ぎるのは、ミカサにドン引かれるから無しだ!! もうちょっと、ソフトな要求にしてくれよ!!」

ベルトルト「ソフトねえ……」

その時、ベルトルトは思いついた。

ベルトルト「じゃあ………可愛い格好で歌って踊ってもらうとか?」

エレン「お、おう……それならセーラー服もあるし、できるな!」

アルミン「じゃあセーラー服を着て歌って踊って貰おうか。曲は……>>19とかいいんじゃない?」

コニー「>>20もいいと思うぜ」

ライナー「俺は>>21でもいいと思う」

エレン「じゃあ3曲くらい歌って貰おうか」

ポニーテールとシュシュ

チチをもげ パルコ・フォルゴレでw

中島みゆきの糸

すごい三曲がきたwwwww特にコニーの提案がすごいなあwww
了解しました!

エレンはナンバリング3の紙に指示を書いた。



ナンバー③

セーラー服を着て歌って踊る。

曲のタイトル
1.ポニーテールとシュシュ
2.チチをもげ
3.糸

他にミカサ自身が歌いたいのがあれば適当に追加してもいい。



エレン「こんな感じか? (チチをもげってどんな曲か知らんけど……)」

アルミン「いいんじゃない? これで半分くらい埋まったかな?」

エレン「ああ……さっき下書きした分も書き写していくか」





ナンバー④

耳が痒い時、耳かきをしてもらう。


ナンバー⑤

筋肉が張ってる時、マッサージをしてもらう。


ナンバー⑥

背中が痒い時、代わりに掻いてもらう。


ナンバー⑦

柔軟体操(ストレッチ)に付き合ってもらう。


ナンバー⑧

寒い時だけでもいいのでハグしてもらう。



ライナー「やっつ埋まったのか。ん? ナンバー④は、書き加える部分があるだろう?」

エレン「え?」

ライナーはエレンの承諾もなく、勝手に書き加えた。



ナンバー④

耳が痒い時、耳かきをしてもらう。

勿論、膝枕付き。




エレン「えっ……膝枕?!」

ライナー「でないと、出来ないだろう?」

エレン「いや、別に膝枕は無くでも出来るだろ? 立ったままやれば…」

アルミン「そんな耳のかき方聞いたことないよ。ここは膝枕も一緒にお願いした方が自然じゃないかな?」

エレン「そ、そうか……」

そう言われると押し切られてしまうエレンだった。

コニー「次は9番目のお願いだな。うーん……なあ、これって、ミカサにしてもらうもの限定なのか?」

エレン「え? 多分そうじゃねえのかな?」

コニー「エレンの方からしたいことを書いちゃダメなのか?」

エレン「えーっと……それは確認しねえとわかんねえけど」

アルミン「多分、大丈夫なんじゃない? ミカサの事だから細かいところは気にしないと思うよ」

コニー「だったらさー……エレン、ミカサにしてやりたい事、書いたらどうだ?」

エレン「俺が、したいこと………ねえ」

エレンはしばし考えた。

すると、ポンと手を叩いて言った。

エレン「あ、ミカサの髪の毛、触りてえかも。あいつの髪、サラサラして気持ちいいんだよな」

アルミン「うん。いいんじゃないかな。それでいこう」




ナンバー⑨

ミカサの髪を触りたい時にいつでも触らせてもらう




エレン「こうやって皆で出し合うと、結構あっと言う間に集まったな。残りみっつか」

アルミン「そろそろ、キスも入れていいんじゃない?」

コニー「だよなあ……」

エレン「馬鹿! それは、ネタがない時の最終手段だって言っただろ!! ほら、あとみっつ!! 頑張って出そうぜ!!」


と、その時、その騒ぎに気づいたジャンとマルコが覗きに来た。


ジャン「………何集まってるんだ?」

コニー「げっやべ!!」

コニーはさっと紙を隠そうとしたが、時すでに遅し。

ナンバー⑨の紙をジャンに見られてしまったのだ。

書き間違えた。再投下。


コニー「次は9番目のお願いだな。うーん……なあ、これって、ミカサにしてもらうもの限定なのか?」

エレン「え? 多分そうじゃねえのかな?」

コニー「エレンの方からしたいことを書いちゃダメなのか?」

エレン「えーっと……それは確認しねえとわかんねえけど」

アルミン「多分、大丈夫なんじゃない? ミカサの事だから細かいところは気にしないと思うよ」

コニー「だったらさー……エレン、ミカサにしてやりたい事、書いたらどうだ?」

エレン「俺が、したいこと………ねえ」

エレンはしばし考えた。

すると、ポンと手を叩いて言った。

エレン「あ、ミカサの髪の毛、触りてえかも。あいつの髪、サラサラして気持ちいいんだよな」

アルミン「うん。いいんじゃないかな。それでいこう」




ナンバー⑨

ミカサの髪を触りたい時にいつでも触らせてもらう




エレン「こうやって皆で出し合うと、結構あっと言う間に集まったな。残りよっつか」

アルミン「そろそろ、キスも入れていいんじゃない?」

コニー「だよなあ……」

エレン「馬鹿! それは、ネタがない時の最終手段だって言っただろ!! ほら、あとよっつ!! 頑張って出そうぜ!!」


と、その時、その騒ぎに気づいたジャンとマルコが覗きに来た。


ジャン「………何集まってるんだ?」

コニー「げっやべ!!」

コニーはさっと紙を隠そうとしたが、時すでに遅し。

ナンバー⑨の紙をジャンに見られてしまったのだ。

紙をもう一度確認して、ジャンは呟いた。



ナンバー⑨

ミカサの髪を触りたい時にいつでも触らせてもらう




ジャン「何、これ………(ゴゴゴゴゴ……)」

ジャンにとっては、嫉妬玉(*元気玉みたいなの)が出来そうな勢いの嫉妬がふつふつと湧いてきた。

マルコ「あ、もしかして、この間の、ミカサの誕生日のお返しかな?」

アルミン「そうそう。今度はエレンの誕生日が近いから、ミカサが似たような事をしようとしているんだ」

マルコ「ははは……ジャン、見ないほうが良かったかもね」

ジャンはズーンと落ち込んで部屋を出ようとした。

エレン「ま、待てよ、ジャン」

ジャン「ああ? なんだよ」

エレン「ジャンだったら、ミカサに何をしてもらいたい? あとよっつ、考えねえといけねえんだけど」



それをジャンに聞くかー?!



と、アルミンは思ったが、ジャンは「ナンバー⑨以上の要望は俺には出ねえよ」と言って力なく退場しようとした。

エレン「待ってくれよ! わかった! ジャン、ナンバー⑨の権利はお前も追加してやってもいい!! だから、お前も俺にネタをくれよ!!」





なんですとーーーーーーーー?!





ジャンの目が、光り輝いた。

ジャン「本当だな?! 俺もミカサの髪に触る権利をくれるんだな?!」

エレン「え? ああ……一回だけでいいならな」

ジャン「十分だ!!! よっしゃああああ!!! ネタ出すぞ!! 残りよっつだな!!!」

自分がされる訳じゃないのに、その程度の報酬でやる気を出すジャンが哀れに見えるアルミンだった。

アルミン(こりゃ他のカードは……ネタ出しが終わるまではジャンに見せない方がいいかもね)

特に膝枕の耳かきとか、見られたらジャンは吐血して死んでしまいそうだなと思った。

ジャン「ぬぬぬ……やっぱり、ミカサと言えば……あのロングスカートだろ? 風でめくれるところとか、見てみてえよなあ」

エレン「?! おいジャン、お前……そんなエロい事考えてたのかよ!!」

ジャン「なんだよ……普通だろ? だって男の子だもん!!」

エレン「くっ……そ、そりゃあ考えた事がねえって言われれば嘘になるが」

エレンがゴニョゴニョ本心を誤魔化している。

マルコ「なるほど……そういう感じのアクシデント系のエロスもいいね。だったら、こういうのはどう? ミカサが>>30してくれるとか」

今日はここまで。もう寝る…ZZZ
なんか、ハプニング系のエロスが欲しい。
何がいいだろー。ZZZZ
一回寝てから、考えようと思ったけど、ネタがあるなら頼りたいZZZ
おやすみZZZZ

全身の筋肉見して

ミカサのスカートが風でめくれるwwwスカートの下に履いてるのはふんどしとかどうよwwww

なんか増えてるwww皆ありがとう。
大分、案が埋まってきましたね。これは楽しいことになりそうだww

マルコ「全身の筋肉を見せてくれるとか」

エレン「どんなアクシデントが起きればそんな事態になるんだよ」

マルコ「えーそればずばり、『着替えにうっかり遭遇』しかないでしょう」

エレン「難しい要求だな。それは……」

コニー「背中流してくれるとかは?」

エレン「それはもはや、アクシデントじゃねえ。サービスだ」

アルミン「スカートがめくれる時に、実はパンツじゃなくてふんどしが見えるとか……」

エレン「ふんどし??」

ライナー「パンツとはちょっと違う、下着の事だな。しかし普通は男性がつけるものだぞ。それは」

エレン「だったらダメだ」

ベルトルト「ツイスターゲームとかは? あれは、失敗すると体が密着して、アクシデントが起きるよ?」

エレン「えっ……体が密着するのか? それはちょっと……」

皆が次々と提案してくれるのにエレンはどれも決められなかった。

アルミン「もう、エレンは我儘だなあ……」

エレン「皆が悪ノリするからだろう!! 俺は真剣に悩んでいるんだけど!!」

ジャン「でもこの中だったら、うっかりパンツを見ちゃうのが一番健全な気がするぜ? マリリン・モンローやって欲しい……(デレデレ)」

エレン「マリリン・モンロー?」

アルミン「ロングスカートがめくれて見えそうで見えない感じで「きゃー」ってやってもらうやつ」

ライナー「いや、そこは「きゃー」じゃなくて「うわぁお」だろ」

ライナーのツッコミはどうでもよかったが、

エレン「うううーん。なんかもう、それでいい様な気がしてきた……」

頭を使いすぎて疲れてきたエレンは、それにする事にした。

判断力が鈍ってきたとも言う。

アルミン「あ、じゃあ……こうしよう」

アルミンはエレンの代わりに書き込んだ。



ナンバー⑩

風でロングスカートがめくれる瞬間を見せてもらう。

パンツはふんどし。




エレン「おい、こら。アルミン!!! 何勝手にふんどし書き込んでいるんだよ!! ふんどし推しかよ!!」

アルミン「えー普通じゃつまらないと思ってさ」

ライナー「ふんどしはエレンがプレゼントすればミカサならつけてくれるだろう」

エレン「そりゃやってくれるかもしれんが、なんだ、もう俺が買いに行くの決定か?!」

マルコ「だね」

コニー「だなー」

ジャン「決まりだな」

エレン「ああもう……だんだんカオスな要求になってきた気がする……(ふらふら)」

ライナー「残りみっつか」

コニーはエレンがフラフラしている隙をついて、勝手に書き込んでいた。



ナンバー⑪

一緒に風呂に入る。「お背中流しましょうか」と言って背中流してもらう。



エレン「こらコニーーーーー!!! お前また、なんつー要求を書いてる!!」

コニー「王道だろ?」

エレン「そうだけど!!! つか、無理だろ!! どうやって一緒に混浴するんだよ!!」

コニー「そこはほら……俺の考えるところじゃねえから」

アルミン「男子風呂の方に来てもらったら? その時は皆で協力するよ」

エレン「しなくていいから!!! あ、マルコまで、こら!!!!」

もう皆好き勝手に行動していた。マルコは12番目のカードに要望を書いている。



ナンバー⑫

着替えているところを見せてもらう。



ベルトルトもマルコに釣られて書いている。勝手に。


ナンバー⑬

一緒にツイスターゲームをする。



アルミン「あ、これで13個埋まったじゃない。良かったね、エレン」

エレン「良くねえよ……なんだよもう。皆して、人事だと思って……」

ジャン「あ、俺の要望も忘れずに書いててくれよ!!」

エレン「くそう…」




ナンバー⑨

ミカサの髪を触りたい時にいつでも触らせてもらう。

(*ジャンにも一回だけ触らせてやる)



エレン「これでいいんだろ!! ったく……」

エレンはカードを確認させた。よしよしと頷くジャンだった。

さて、おさらいしてみよう。


ナンバー①

クレヨンしんちゃんのケツだけ星人のポーズをする。

(*尻は実際に出さなくて良い)


ナンバー②

指をペロペロ舐める。


ナンバー③

セーラー服を着て歌って踊る。

曲のタイトル
1.ポニーテールとシュシュ
2.チチをもげ
3.糸

他にミカサ自身が歌いたいのがあれば適当に追加してもいい。


ナンバー④

耳が痒い時、耳かきをしてもらう。


ナンバー⑤

筋肉が張ってる時、マッサージをしてもらう。


ナンバー⑥

背中が痒い時、代わりに掻いてもらう。


ナンバー⑦

柔軟体操(ストレッチ)に付き合ってもらう。


ナンバー⑧

寒い時だけでもいいのでハグしてもらう。


ナンバー⑨

ミカサの髪を触りたい時にいつでも触らせてもらう。

(*ジャンにも一回だけ触らせてやる)


ナンバー⑩

風でロングスカートがめくれる瞬間を見せてもらう。

パンツはふんどし。


ナンバー⑪

一緒に風呂に入る。「お背中流しましょうか」と言って背中流してもらう。


ナンバー⑫

着替えているところを見せてもらう。


ナンバー⑬

一緒にツイスターゲームをする。


こうやって見直してみると結構、酷い要望になってしまったと思うエレンだった。

アルミン「まあいいじゃない。ミカサなら全部ちゃんとやってくれるでしょ」

エレン「……………俺の方が精神的にきついかもしれんぞ、これ」

ライナー「ははは! まあ、それはそれ、これはこれ、だ。頑張れエレン」

エレン「しくしくしく………」

そんなわけで出来上がったカードというか、紙を、翌日、ミカサに渡しにいくエレンであった。

出来上がった要望を見てミカサは「ふむふむ」と頷いたり「おおっ」と驚いたり「?」となったり忙しかったが、概ね了承したようだった。

ミカサ「ふんどしは、持っていない……ので、それだけは用意してもらえれば」

エレン「ああ、それは俺が今度、自分のパンツ買う時に一緒に買ってくる」

ミカサ「ふふ………では、明日から早速、カードを使って欲しい。明日はエレンの誕生日、なので」

エレン「使う順番は、前後してもいいんだよな」

ミカサ「構わない。エレンの好きなように、使っていっていい」

エレン「わかった」

エレンはまずは、ナンバー⑦のカードを選んだ。

エレン「明日は丁度、格闘術の訓練あるし、訓練前に一緒にストレッチしようぜ」

ミカサ「了解した! 念入りにさせてもらう」

ミカサはすごく嬉しそうに頷いた。その姿を見ていると、

エレン(なんかもう、この笑顔だけで十分なんだけどな……)

と、赤面を手で隠しながらうっかり思うエレンであった。

ナンバー⑦ 柔軟体操(ストレッチ)に付き合ってもらう。



ミカサ「では、やろう。エレン」

エレン「おー」

ミカサと組んで早速ストレッチに取り組むエレンだった。

その様子をアルミンとコニーがクスクス笑いながら眺めている。

コニー「お、早速、使ってやがるな」

アルミン「みたいだねーまあ、ストレッチから始めるあたりがエレンらしいよね」

ニヤニヤ笑いが止まらない二人だった。

ミカサ「エレン、まずは股割りから」

エレン「おー」

両足を左右に広げて、体を大きく地面につける。

昔は出来なかったが何度も繰り返し練習していくうちに、だんだん出来るようになったストレッチのひとつだ。

ミカサに背中をぐいぐい押してもらいながら、エレンは息を吐き出した。

ミカサ「これくらいでいい? 強さは」

エレン「もうちょい、強くしてもいいくらいだな」

ミカサ「では……(グイッ)」

エレン「ふっ………!」

限界ギリギリまで足の筋を伸ばして息を吐くエレンの悩ましげなポーズに、ミカサはうっかりドキドキした。

ミカサ(こ、これは……)

エレンよりむしろ自分の方が得しているのでは?

と、うっかり思ってしまうミカサだった。

エレン「………どうだ! ミカサ! 前に比べたら、柔らかくなっただろ!!」

ミカサ「う、うん………」


ドキドキドキドキ……


ミカサの両手に熱が篭る。

ミカサ「ま、まだ続けるの?」

エレン「あと1分くらいならいける! そのまま押しててくれ」

ミカサ「…手で押してていいの?」

エレン「? 手、以外でどうやって押すんだよ」

ミカサ「例えば……こうやって(グイッ)」

その時、ミカサは自分の胸をエレンの背中の上に乘せるようにして体を密着させた。

エレン「?! (胸が……当たってる?!)」

ミカサ「こっちの方が、より、体重がかかって、エレンの柔軟が出来る……」

エレン「そ、そうかもしれんが、そこまでしなくていいって!!」

ミカサ「しかしこれくらいしないと、私の方が得してしまう……ので」

エレン「何の話だよ?! いや、十分だって、いいって!!」

しかしイニシアチブはミカサに握られているので、抵抗できない。

ミカサ「もうちょっとだけ………」

エレン「……………」

エレンはミカサの胸に押し潰されているような格好だったが、耐えた。

胸の感触が心地よいのは、本当なので。

エレン(やべ……ストレッチって、結構、なんか)

書いたときはそう思わなかったが、やり方次第では十分エロい事に今更気づいたエレンだった。

キース教官「では、そろそろ格闘術の訓練に入る。各自、ペアを組んで、始めろ!!」

エレン「はっ………!」

キース教官の合図で我に返った。

エレンは慌ててミカサに離れるように伝える。

ミカサ「…………エレン、今日は一緒に」

エレン「いや、ちょっと……今日は無理」

ミカサ「ガーン………」

エレン「俺、今日はアルミンと組むわ」

そう言ってそそくさとミカサから照れたように離れるエレンに、一人残されたミカサは傷ついてしまうのだった。

アニ(…………サービス過剰にするからだよ)

その様子をこっそり見守っていたアニは内心、そうツッコミを入れていた。

>>32さんがふんどし推しだったから。
大丈夫。きっとミカサなら履きこなせる…はず。

アルミン「エレン…何やってるの。もう」

エレン「すまねえ……」

エレンはまだ照れているのか、ミカサの方を見れないでいた。

ミカサは渋々、ライナーと組んでいるようだった。

エレン「背中に胸の感触が残ってて……つい」

アルミン「そのくらいの事で動揺してたら他のカードも使えないんじゃないの?」

エレン「……………使用期限が切れるまで使うのやめとこうかな」

アルミン「それじゃあミカサに悪いじゃないか。エレン、ミカサも精一杯頑張るつもりなんだから、エレンも受け止めなきゃダメだよ」

エレン「ああ……それは分かっているんだが」

しかしエレンは先程の胸の感触を思い出しながら、言った。

エレン「ちょっと、なんていうか……その、困るっていうか」

アルミンはエレンの動揺を見つめてニヤニヤが止まらない。

人事だからよけいに。

エレン「あいつ、あんなに胸の感触良かったのか。大きくなったのかな」

昔に比べれば、そりゃ大きくはなるだろう。

しかし実際にそれを実感する機会に恵まれるとは思わない。

エレンも予想外の展開に戸惑っているのだ。

アルミン「そりゃ、ミカサも成長期だし。大きくなってるんじゃない?」

エレン「……………」

エレンはふーっと息を吐き出して煩悩を空に放った。

気持ちをどうにかして切り替える。

エレン「他のカードは、明日以降に使うよ」

一日一枚が限界だ、と思ったエレンだった。

糸って歌詞がエレンとミカサの二人みたいだな

ぴったり左衛門

ふんどしって確か後ろ姿Tバックみたいな感じだったよな…

続きまだかなぁ~?

>>45
聞いてみて私も同意。いい曲でした。

>>46
ええ。ふんどしですからね。

>>47
すいませんwww最近、結構ハイペースで書いてたので、
体が思ってたより疲れてたようで。寝てきましたwwww

では、少しずつ進めます。

エレンの誕生日のその夜。

夕食後、ミカサが一度、男子を集めて器械体操室(体育館のような大きな部屋。雨天時等に使用する)に来るように、と伝えた。

わらわら男子が適当に集まると、

エレン「何をするんだ?」

エレン達男子がだいたい集まると、そこには、紺色や黒のセーラー服に着替えた女子一同が既に集まっていた。



ざわ……ざわ……



ミカサ「今から女子一同からのエレンの誕生日プレゼントを披露する」

エレン「え?! 女子一同から?!」

ミカサ「うん。これは私の誕生日とは別の、皆からの贈り物」

ライナー「ほほう。そいつは見ものだな。良かったじゃないか、エレン」

エレン「まじか……なんか、悪いな」

ミカサ「ううん。皆が自主的に決めたこと……なので」

ユミル「この間のミカサの誕生日の時の、エレンの男気に敬意を評して、女子一同でなんかまたやろうぜってなったんだ。あれ以来、衣装作るのにはまっちまってな」

クリスタ「そうそう。訓練の合間の、いいストレス発散にもなるしね。けっこう皆、ノリノリだったよね」

ミーナ「うん! 私もまた、衣装を作れて楽しかった!」

と、女子一同は言いながら、定位置についた。

キース教官にも今夜のことは許可を頂いているので、無礼講である。

レコードの針を、アニがスタートさせる。

流れてきた音楽は、エレン達が全く知らない曲だった。




チャン♪チャン♪チャチャチャ♪チャンチャンチャンチャン♪





ミカサ「セーラー服を~♪」

女子コーラス「にゃんにゃんにゃーにゃーにゃーにゃー」

ミカサ「脱がさないで♪」

女子コーラス「にゃんにゃんにゃーにゃーにゃーにゃー」

ミカサ「今はダメよ~我慢なさって~♪」

エレン一同(((おおおう?!)))

何だこれ?!

男子一同は女子全員の可愛らしい振り付けと歌に釘づけになった。

ちょっと……いや、かなりエロい歌詞と動きに前のめりになって注目してしまう。

曲が進んで、メインボーカルがくるくる変わる。

ミーナ「セーラー服を~♪」

女子コーラス「にゃんにゃんにゃーにゃーにゃーにゃー」

クリスタ「脱がさないで♪」

女子コーラス「にゃんにゃんにゃーにゃーにゃーにゃー」

サシャ「嫌よダメよ~こんなところじゃ~♪」

ミカサを中心に、女子が集まる。

ミカサ「女の子はいつでも~MI-MI-DO-SHI-MA♪」

周りが手をひらひらさせて、まるでライトアップのようにミカサが輝く。

ミカサ「お勉強してるのよAH-毎日~♪」

そしてまた定位置に戻ってメインボーカルがくるくる変わる。

アニ「友達より早く」

女子コーラス「にゃんにゃんにゃーにゃーにゃーにゃー」

クリスタ「エッチをしたいけど♪」

ライナー(ぶふうー!!)

アルミン(なんだってー?!)

なんという歌詞だ!! ありがとうございます!!

ライナー、アルミン、他クリスタファンが全員悶絶していた。

ミーナ「キスから先に進めない~♪」

サシャ「臆病すぎるの~♪」

ハンナ「週刊誌みたいな♪」

女子コーラス「にゃんにゃんにゃーにゃーにゃーにゃー」

ミカサ「エッチをしたいけど♪」

女子コーラス「にゃんにゃんにゃーにゃーにゃーにゃー」

ユミル「全てをあげてしまうのは~」

クリスタ「もったいないから~♪」

女子全員「「「あげにゃい♪」」」

男子全員が一番の曲を聞いただけで萌え死にかけていた。

エレン「なななな……!」

さすがのエレンもこの歌の破壊力には勝てないようで、赤面していた。

しかも、2番もあるようだ。

ミカサ「セーラー服を♪」

女子コーラス「にゃんにゃんにゃーにゃーにゃーにゃー」

クリスタ「脱がさないで♪」

女子コーラス「にゃんにゃんにゃーにゃーにゃーにゃー」

ミーナ「スカートまで~まくれちゃうでしょ~♪」

スカートをまくる仕草が可愛すぎる…。

ハンナ「セーラー服を♪」

女子コーラス「にゃんにゃんにゃーにゃーにゃーにゃー」

サシャ「脱がさないで♪」

女子コーラス「にゃんにゃんにゃーにゃーにゃーにゃー」

アニ「胸のリボン~ほどかないでね~♪」

ベルトルト(ぶほおおお?!)

胸のリボンをちらっと触る仕草を入れたアニに悶絶するベルトルトだった。

ミカサ「男の子はその時~どうなるの~♪」

クリスタ「興味津々~しちゃうのよ~AH-不思議ね~♪」

ミカサとクリスタのダブルウインクが入って、ジャンもライナーもアルミンも萌え死んでいる。

ユミル「デートに誘われて♪」

女子コーラス「にゃんにゃんにゃーにゃーにゃーにゃー」

サシャ「バージンじゃつまらない♪」

女子コーラス「にゃんにゃんにゃーにゃーにゃーにゃー」

ハンナ「パパやママは知らないの~」

ミーナ「明日の外泊~」

サシャ「ちょっぴり怖いけど♪」

女子コーラス「にゃんにゃんにゃーにゃーにゃーにゃー」

ハンナ「バージンじゃつまらない♪」

女子コーラス「にゃんにゃんにゃーにゃーにゃーにゃー」

ユミル「おばんになっちゃう~その前に~♪」

ミカサ「おいしいハートを………」

女子全員「「「食べて♪」」」



チャチャチャーチャン♪



男子一同は拍手喝采だった。

ピューピューと、指笛を鳴らして興奮する者までいる。

エレン「な……なんだこの曲……聞いたことねえぞ!」

ミカサ「キース教官が、教えてくれた。昔に流行った曲らしい」

ユミル「セーラー服ならこれだろ? みたいな代表曲だぜ」

ライナー「いや、本当、まさにそのとおりだったな」

フランツ「この曲を考えた奴は変態紳士だな。しかも超一流の」

ジャン「そこにしびれる憧れるううう!!!」

ジャンのテンションがおかしなことになっている(笑)。

ミカサ「次は………衣装チェンジをするので少し待ってて欲しい」

女子は一度、退散して、次の衣装に着替えてきた。

全員、何故かマントに包まっている。

ミカサ「エレン、ナンバー③と、内容が被ってしまって申し訳ないのだけども、ここでもう少し披露させて欲しい」

エレン「え? ああ……別に構わないねえよ。自由にやっていいぜ」

ミカサ「では………AKB48の曲で『ポニーテールとシュシュ』」

バサッ……!!




男子一同(((?!)))




マントを脱ぎ捨て、出てきた衣装は………

なんと、女子全員が、ビキニの水着(プラスポニーテール)という格好だった。

サシャは普段からポニーだが、それ以外の女子、髪の足りないメンバーはつけ毛を着用している。

男子一同「「「うおおおおおお?!」」」

雄叫びがあがった。少年の、歓喜が、会場を盛り上げる。

ビキニと言っても、それほど際どいものではない。

白やピンク、黄色、水色などのパステルカラーのフリルのビキニに身を包んだ女子が、ミカサをセンターにして、歌って踊り始めたのだ。



ミカサ&アニ「カレンダーより~早く♪」

ミーナ&ハンナ「シャツの袖口~まくって」

サシャ&ミカサ「太陽が近づく~気配♪」

ユミル&クリスタ「僕の腕から衣替え♪」



二人ずつ、中央に寄って、メインボーカルをくるくる変える。

振り付けは先程のセーラー服の曲より激しかった。

しかしいやらしさはなく、どちらかというと爽やかな曲だ。色気は衣装で底上げしている。



サシャ「青い海~波打ち際で♪」

アニ「君と会いたい」

ミカサ「裸足の~水しぶき♪」


サビに入ると、全員の動きが一気に激しくなった。


サシャ「ポニーテール~♪」

女子コーラス「揺らしながら~」

クリスタ「風の中~」

アニ「君が走る~」

女子コーラス「僕が走る~」

女子全員「砂の上~」

サシャ「ポーニーテール~♪」

女子コーラス「揺らしながら~」

アニ「振り向いた~」

クリスタ「君の笑顔~」

女子全員「僕の夏が始まる~♪」

エレン(うわああ……なんだよこれ…!!)

まるで夢の世界のようだった。エレンはただただ、顔を赤くする。

周りの男子は曲に合わせて合いの手まで入れ始めている。ノリノリだ。

アルミン「エレンも、ほら! 一緒にのろうよ!」

エレン「えっ……ああ」

エレンはあまりの嬉しさに呆然となっていた。

ステージを見るだけで精一杯だったのだ。

ミカサもそうだけど、他の女子も、皆輝いていた。

ジャンに至っては興奮し過ぎてなんか顔がおかしい事になっている。



ミカサ「ポニーテール~」

女子コーラス「ほどかないで~」

ミカサ「変わらずに~」

サシャ「君は君で~」

女子コーラス「僕は僕で~」

女子全員「走るだけ~」

サシャ「ポニーテール~」

女子コーラス「ほどかないで~」

サシャ「いつまでも~」

ミカサ「はしゃいでる~」

女子全員「君は少女のままで~」



LaLaLaLaLaLa……

LaLaLaLaLaLa……

LaLaLaLaLaL……


LaLaLaLaLaLa……

LaLaLaLaLaLa……


LaLaLaLa……

男子一同「いいぞいいぞー!!」

ヒューヒュー!!

拍手喝采二度目である。そしてミカサは三度目の、衣装チェンジをすると言って、また着替えに行った。

エレン(まだ続くのかよ……)

既にもうお腹一杯な気持ちでエレンは前のめりになっていた。

なんていうか、こういうのって、やられる側になるとどう反応したらいいかさっぱり分からん。

アルミン「良かったねえ…エレン」

エレン「ああ……嬉しいけど、なんか、どう言ったらいいか困る」

アルミン「それだけ、前回のサプライズをミカサも喜んでくれたって事だよ。きっと」

いい事すると、返ってくるって事だね。

そんな風にアルミンは言うが、エレンはただただ照れるしかなかった。



そして次の衣装に着替えた女子一同は、これでラストだと言った。

フリフリの王道のアイドルの衣装に着替えた一同の、圧巻のステージが始まる。


ミカサ「締めはももいろクローバーで『いくぜ!怪盗少女』」

女子全員「YES! YES! We're the ももいろクローバー♪」

女子全員「レニ カナコ アカリ シオリ アヤカ モモカ」

女子全員「Go! Now! 君のハートめがけて Sing a song!」



サシャ「チャイムが鳴ったら~急いで集合!」

ミーナ「宿題なんかは~している暇ない♪」

クリスタ「制服脱ぎ捨て~華麗に変身!」

ユミル「その名も怪盗ももいろクローバー♪」

アニ「狙った獲物は逃がさないそう神出鬼没の大泥棒」

アニの流し目にベルトルトだけでなく、ライナーですら、うっかりときめいた。

ハンナ「世界中みんな血まなこ」

クリスタ「マイクを片手に~今日も飛び回る~♪」

ミカサ「誰一人~止められない~♪」



サシャ「ピカピカのダイアモンド♪」

アニ「そんなものは興味がないの♪」

クリスタ「欲しいものはひとつだけ」

ミカサ「あなたの~その心~OH Yeah!」



女子全員「笑顔と~歌声で~世界を照らしだせ♪」

女子全員「行くぜ~Let's Go~♪」

女子全員「ももいろのハートを~」

アニ「狙い撃っち(バキューン☆)」

アニに狙い撃ちされた男子がバタバタと倒れていく。

女子全員「ナイスな~ミュージックに乗せて♪」

女子全員「犯行予告です♪」

ミカサ「いっちょ~ソバット~♪」

女子全員「あなたのそのハート~いただきます♪」

女子全員「YES! YES! We're the ももいろクローバー♪」

女子全員「Here We Go Now! お待たせしました」

クリスタ「2番♪」

クリスタの「2番」が可愛すぎて生きるのが辛い。

アルミンとライナーがピクピク痙攣していた。


サシャ「春夏秋冬~いつでもノンストップ♪」

ユミル「オトナが仕掛けた~罠をくぐり抜け~」

クリスタ「出欠とりまーす! Are you ready?」

ユミル「ばんごう!」

ミカサ「1!」

クリスタ「2!」

ユミル「3!」

アニ「4!」

サシャ「5!」

ミーナ「6!」

女子全員「イエイ!!」



サシャ「目に見えちゃうものなんて~」

クリスタ「いつか~いつか~消えていくでしょ♪」

ユミル「目に見えないものだけを~」

ミカサ「全力~集めてみたい~Ah は~ん♪」



女子全員「華麗なステップで♪ 世界中かけめぐれ♪」

女子全員「行くぜ~Let's Go~♪」

女子全員「ももいろマシンガン」

ミカサ「乱れ打っち(バキューン☆)」

今度はジャンがブッ倒れた。流れ弾に当たったようだ。

女子全員「諦めないからね~手に入れてみせるよ♪」

ミカサ「今夜~まるっと~」

女子全員「あなたのそのハート~いただきます♪」


女子全員「3、2、1、GO!!」

間奏に入った。そしてミカサが中央にやってくる。





ミカサ「無限に広がる~星空よりも~キラキラ輝く~みんなの瞳~♪」

クリスタ「何よりいとしい~宝物だから~」

ユミル「いつも全力で~」

女子全員「歌おう~踊ろう~笑おう~♪」





女子全員「笑顔と~歌声で~世界を照らしだせ♪」

女子全員「行くぜ~Let's Go~♪」

女子全員「ももいろのハートを~」

アニ「狙い撃っち(バキューン☆)」

アニに狙い撃ちされた男子がまたバタバタと倒れていく。

女子全員「土日は~よろしくね♪」

女子全員「週末ヒロインです♪」

ミカサ「いっちょ~ソバット~♪」

女子全員「あなたのそのハート~いただきます♪」



女子全員「YES! YES! We're the ももいろクローバー♪」

女子全員「レニ カナコ アカリ シオリ アヤカ モモカ」

女子全員「Go! Now! 君のハートめがけて Sing a song!」


チャラチャッタタチャーン♪


最後、女子全員の決めポーズが決まって曲が終わった。

三度目の拍手喝采は今まで一番大きかった。

男子はテンションが上がりすぎて、曲が終わった後も暫く興奮が冷めずにドキドキしていた。

ミカサ「エレン、どうだった?」

ミカサが赤いフリフリの衣装を着たままエレンに駆け寄った。

エレンは自力では立ち上がれずに、ヨロヨロしている。

どうやら腰を抜かしてしまったようだ。アルミンに支えられている。

クリスタ「やった! エレンも腰を抜かしちゃったね! 成功したね!」

ユミル「ふふ……ミカサと同じ状態にさせるのが目標だったからな」

女子一同は「イエーイ!」と手を叩き合って、ミッションが成功した事を喜び合った。

エレンだけではない。ジャンやベルトルト、他の男子も、女子のパフォーマンスにドキドキしっぱなしだった。

ジャン「エレン!! てめえ、果報者だぞ!! もっと喜べよ!!」

エレン「喜んでるよ!! くそっ……何だよ、こういう時、どういう顔していいか、分かんねえよ」

ミカサ「笑えばいいと思う」

エレン「それ、前にもやらなかったか?」

ミカサ「ふふふ……でも、それが一番嬉しい。エレンが笑ってくれるのが、一番の、報酬」

エレンはそう言われては後には引けず、ニヤニヤ笑ってみせた。

なんていうか、すごくぎこちなかったけれど。

ミカサ「でもまさか、ナンバー③の要望と、被ってしまうとは思わなかった。残りの二曲は、今、レコードがないから、後日でいいだろうか?」

コニー「あ、レコードだったら俺が持ってるぞ」

ライナー「俺も持ってる」

ミカサ「レコードがあれば、今、追加してやってもいいけれど」

エレン「あ、ああ……その辺は任せるよ」

そしてミカサはコニーとライナーから受け取った曲を試聴して……

コニーの方の曲を聞いて、顔を真っ赤にしていた。

ミカサ「これ、本当に、私が、歌うの……?」

エレン「え? なんか変な歌なのか?」

ミカサ「ずっと、チチをもげって言ってる……」

エレン「?!」

曲のタイトルから察しろよ、とジャンとアルミンは思ったが、エレンは今の今までそういう曲だと思っていなかったようだ。

エレン「コニー!!!! お前、なんつー選曲してんだよ!!」

コニー「え? ダメなの?」

エレン「ミカサに歌わせるような曲じゃねえだろ」

コニー「だったら、書く前に却下しろよ~もう今更、取り消すのは無しだって」

エレン「うぐぐぐ……」

他の女子もコニーの選んだ曲を聞いて、コニーを殴ろうとしている。

特にユミルが。

ユミル「ふざけんな!!! コニー!! これ、どう聞いてもセクハラソングじゃねえか!!」

コニー「えー……いいじゃん別に!!」

ミカサは困った顔をしていたが、一度引き受けたことだから、やることにしたようだ。

ミカサ「わかった。やる。私一人でも………歌ってみせる」

クリスタ「待ってミカサ!! だったら私もやる! 一人ではいかせない!!」

ユミル「クリスタ!! お前、無理すんなって!!」

クリスタ「でも一人でこれ歌うのって相当勇気いるよ?!」

サシャ「ううう……確かにこれは恥ずかしいですね~」

サシャですら抵抗があるようだ。

アニ「ごめん……私はパスさせて。無理」

アニは当然逃げた。もうこれ以上は勘弁して欲しいという顔だ。

ミーナ「うわあ……よくこんな曲見つけたよね…」

ハンナ「コニー最低~」

コニー「なんだよ!! 普通だって! 男子は皆好きだろこういうの!!」

コニーの視線から逃げる男子一同だった。エレンは除く。

エレン「俺、こういう曲があること自体、初めて知ったぞ」

エレンは曲の存在を初めて知った。他の男子は知っていたようだが、コニーには賛同しなかった。

好きだけど、それを認めるのは恥ずかしかったのだ。

そんないたたまれない空気にコニーはちょっとだけしょげた。

コニー「何だよ……俺だけ悪者みたいな扱いしやがって。そんなに嫌ならいいよ」

ミカサ「待ってコニー。やる。あまり上手ではないかもしれないけど」

ミカサはコニーの好意を無碍に出来ずにステージに立った。

衣装はももくろのままだけど。

ミカサ「衣装チェンジはしなくてもよい?」

コニー「お、おう……」

ミカサ「では……(こほん)」

ミカサとクリスタ(コーラス)による、『チチをもげ』がスタートした。

ちょっと休憩します~。

ミカサ「チッチッチッチッ~おっぱい~♪ ぼいんぼい~ん♪」

クリスタ「ぼいんぼい~ん」

ミカサ「チッチッチッチッ~おっぱい~♪ ぼいんぼい~ん♪」

クリスタ「ぼいんぼい~ん」

ミカサ「もげ、もげもげ」

クリスタ「うーわお!」



この時点で既に顔が赤いミカサだったが、彼女は引かなかった。

残りも似たような歌詞がずっと続く。


ミカサ「もげ、もげもげ~チチをもげ!」

ミカサ「もーげプリリン~ポヨンもげ~♪」

ミカサ「も~げポロロン~プヨンもげ~」

ミカサ「まんまるチッチッチさんかくおっぱーい~ロケットボイン~♪」



ミカサ「やさしく」

クリスタ「もげ!」

ミカサ「いきなり」

クリスタ「もげ!」

ミカサ「微妙に」

クリスタ「もげ!」

ミカサ「連続」

クリスタ「もげ!!」

ミカサ「チッチッチッチッ~おっぱい~♪ ぼいんぼい~ん♪」

クリスタ「ぼいんぼい~ん」

ミカサ「チッチッチッチッ~おっぱい~♪ ぼいんぼい~ん♪」

クリスタ「ぼいんぼい~ん」

ミカサ「もげ、もげもげもげ チチをもげ! ………もげ!」




なんなんだこの曲。一体誰が考えたんだ。

と、ツッコミを入れたくてしょうがないユミルだった。

乳のない女子は微妙にダメージの喰らう歌でもあった。

曲は似たようなフレーズを繰り返すだけだ。


ミカサ「今日も」

クリスタ「もげ!」

ミカサ「明日も」

クリスタ「もげ!」

ミカサ「とにかく」

クリスタ「もげ!」

ミカサ「毎日」

クリスタ「もげ!」



ミカサ「チッチッチッチッ~おっぱい~♪ ぼいんぼい~ん♪」

クリスタ「ぼいんぼい~ん」

ミカサ「チッチッチッチッ~おっぱい~♪ ぼいんぼい~ん♪」

クリスタ「ぼいんぼい~ん」

ミカサ「もげ、もげもげもげ チチをもげ! ………もげ!」



途中、何度も詰まろうとしたミカサだったが、やりきった。

そのミカサの勇敢な根性に何故か女子の方から拍手が湧いた。

男子はなんというか……嬉しかったけれど罪悪感の方が強くて顔をあげられなかった。

エレン「ミカサ……良くやった。おまえはよくやったよ」

ミカサ「ちょっと恥ずかしかった………」

歌い終わった後、顔を隠してエレンに抱きしめられるミカサであった。

ライナー「お、俺の選曲は普通だからな。安心しろ、ミカサ」

ライナーの選んだ曲は普通の曲だった。

次はそれを試聴して「なるほど」と頷くミカサだった。

とりあえず、ここまで~またねノシ

ミカサ「な~ぜ~めぐり逢うのかを~」

ミカサ「私たちは~何も~し~らない~♪」

先程の曲とは打って変わって、しっとりした曲になると、全員が一斉に聞き入った。

ミカサの表情も真剣だ。

ミカサ「いつ~めぐり逢うのかを~」

ミカサ「私たちは~いつも~し~らない~♪」

エレンもまた、ミカサの美声に聞き入っていた。

何故か、胸にこみ上げてくる熱い感情がそこにあった。

ミカサ「どこに~い~た~の~」

ミカサ「生きて~き~た~の~♪」

ミカサ「遠い~空の下~二つの物語~♪」

サビに入り、感情の波が緩やかに、盛り上がった。

ミカサ「縦の糸は~あなた~」

ミカサ「横の糸は~わたし~♪」

ミカサ「織りなす布は~いつか誰かを~~~~」

ミカサ「暖めうるかも~しれない~~~~♪」



おおおおお………

パチパチパチ……!!!


一同はそこで一度、拍手せずにはいられなかった。

エレンも、皆と一緒に自然と拍手をしていた。




ミカサ「な~ぜ~生きてゆくのかを~」

ミカサ「迷った日の後の~ささくれ~♪」

ミカサ「ゆ~め~追いかけて~走って~」

ミカサ「転んだ日の~後の~さ~さくれ~♪」

ミカサ「こんな~い~と~が~何にな~る~の~」

ミカサ「心許なくて~震えて~た~風の中~♪」



ミカサ「縦の糸は~あなた~」

ミカサ「横の糸は~わたし~♪」

ミカサ「織りなす布は~いつか誰かの~~~~」

ミカサ「傷を庇うかも~しれない~~~~♪」



ミカサ「縦の糸は~あなた~」

ミカサ「横の糸は~わたし~♪」

ミカサ「逢うべき人に~出会えることを~~~~」

ミカサ「う~いえ~♪」

ミカサ「人は仕合わせを~呼びます~~~~♪」



エレンは自然と、大粒の涙を流していた。

アルミンも、ジャンも、ライナーも、コニーも、ベルトルトも。

他の男子も、女子も、泣いていないのは、アニくらいだった。

それくらい、涙腺にくる曲だった。

まさに「名曲」と呼ぶにふさわしい曲だろう。

ユミル「くそっ……ライナーのくせになんでこんな曲を知ってるんだ」

コニー「全くだぜ」

ジャン「ライナーには似合わねえよ!!」

ライナー「どういう意味だ。それは。ナカジマミユキを舐めるなよ」

ベルトルト「いや、そういう意味じゃないよ、ライナー。君がこの曲を選んだ事に皆びっくりしているんだよ」

ベルトルトはツッコミを入れずにはいられなかった。

ライナー「ぬぬぬ……そんなに似合わないか。残念だ」

エレン「いや、そんな事はねえと思うぞ? 俺、この歌好きだと思ったし」

サシャ「意外なのは意外でしたけどねー……でも、ライナーって、ロマンチストな部分もあるんですね」

ライナー「はははっ……まあな」

ライナーは貶されたり持ち上げられたりで忙しかった。

ミカサ「これで今日はお仕舞いになる。皆、本当にありがとう」

ステージに立つミカサが皆の前でお辞儀をした。ペコリと。

ミカサ「こういう機会を設けてくれたキース教官に感謝します。そして協力してくれた皆にも、お礼を言わせて欲しい。そして何より、聞いてくれたエレン、そして男子一同にも、感謝する」

ひゅーひゅーと、拍手喝采がまた起きた。

ユミル「エレン、お前もなんか言えよ」

エレン「え? ああ……ちょっと待って。こほん」

そしてエレンはユミルに押し出されてミカサと一緒にステージ側に立たされた。

エレン「なんか、こういう時、どう言えばいいか分かんねえけど……まずは、ありがとう。こんな事になるなんて、思わなかったし、その……ミカサもだけど、女子全員、すげえ綺麗だった。楽しいひと時を過ごせた。皆、本当にありがとう」

わーわーパチパチ……

エレン「というか、前回の無茶ぶりの時も、女子には世話になったし、俺、何も返せてないんだけど……どうしたらいいんだ?」

ユミル「来年はもっとすごいの期待するぜ」

ミーナ「だねー! 来年もまた、着せ替えさせてよ」

エレン「来年もやるのかよ!?」

クリスタ「バージョンアップして、是非やりたいね!」

ミカサ「そ、それは私の心臓が持たないのでもういい……((((;゚Д゚))))」

ミカサが真っ赤になってブルブル震えてそう答えると、一同は爆笑した。

エレン「あー来年はまた別の何かをするって事で。今日はとにかく、皆ありがとうな。今日はこれで締めにしていいか?」

ユミル「そうだな。もう時間も遅いし、お開きにはちょうどいいだろう」

エレン「じゃあ……本日はこれにて、解散!!」

エレンの合図で皆わいわい、後片付けに入った。

女子はアイドルの格好からいつもの私服に着替えるべく、裏に戻る。

その間、ステージ等の掃除を男子が受け持ち、片付けて、その日の夜はお開きになったのだった。







そしてその日の夜。

男子一同はそれぞれ素敵な夢を見ていた。

中でもエレンは、格別すごい夢を見ていた。

それはある意味では天国で、またある意味では地獄のような夢だった。

エレンは夢の中で何故か裸だった。全裸だった。

いつ服を脱いだのか覚えてないが、そこで裸で寝ていたのだ。

周りには何もない。真っ白な煙がもやもやと漂うくらいだ。

エレン(さむっ…!)

エレンはぶるっと体を震わせた。

エレン(毛布は……毛布はどこだ?)

キョロキョロと、辺りを探すが見つからない。

このままでは風邪をひいてしまうだろう。

と、考えていたその時、

セーラーミカサ『エレン、毛布がないなら、私が代わりに暖めてあげる』

アイドルミカサ『いいえ。エレンを暖めるのは、私』

ビキニミカサ『いいえ、私の方が』


何故か三人のミカサが現れて、エレンに近づいてきたのだ。


アイドルミカサ『邪魔しないで』

セーラーミカサ『そっちこそ、邪魔しないで欲しい』

ビキニミカサ『邪魔なのは、貴方達。エレンは、私を選ぶ』

アイドルミカサ『いいえ、私を選ぶ』

セーラーミカサ『いや、私』


三人のミカサが何故か誰がエレンを暖めるかでもめている。

それを傍で眺めていたエレンは『喧嘩すんな!!』と言って間に入って止めさせた。


エレン『何故、ここにミカサが三人いるのか分からんが、喧嘩するなよ。喧嘩するような事じゃねえだろ』

三人のミカサは同じ不機嫌な顔になってエレンに迫る。

アイドルミカサ『しかしエレン……これは大事な事……なので』

セーラーミカサ『エレンは誰を選ぶの?』

ビキニミカサ『誰を選ぶの?』

エレン『はあ? 三人とも同じミカサなんだろ? だったら選べるわけねえだろ』

セーラーミカサ『誰も選ばないというのなら、三人まとめてエレンが相手をしてくれるの?』

エレン『あー……まあ、そうだな。三人まとめて面倒見るしかねえか』

ビキニミカサ『嬉しい!! では、私は右側のエレンを…(ピトッ)』

セーラーミカサ『私は左側を…(ピトッ)』

アイドルミカサ『では私は真ん中のエレンを……(ピトッ)』

三人ミカサ『『『いただきます!!! (がばっ!)』』』

エレン『?!』

と、言って、三人のミカサは裸のエレンに絡みついて、押し倒し、エレンの体に愛撫し始めたのだった。

今日はあんまり調子よくないからここで切る。
頭痛いの、まだ治らん…。
暫く放置するかもだが、続きはちゃんと書くので安心してね。
ではまたノシ

仮眠とったら、ちょっと良くなった。
やっぱり寝不足がたたるといかんね…。
他の放置SSにも手出しすぎて、ちょっと書きすぎて反省。
とりあえず、今はこのSSを中心にやっていく…。

本当、すんません。無理しない程度にちょっとだけ続ける。

エレン『?! ちょ…え?! なっ……ミカサ?!』

ミカサシスターズ(と、仮に命名)はエレンの乳首とあそこを同時に愛撫していた。

つまり、ビキニミカサはエレンの右乳首を、セーラーミカサは左乳首を、アイドルミカサは、あそこを口に含んで、舐め始めたのだ。

一斉に性技が始まったものだから、さすがにエレンも混乱した。

エレン『ひゃあ! ああ……ミカサ!! ちょっと待て!!』

いきなりの波状性技に狼狽えるエレン。

しかしミカサシスターズは、全く聞く耳を持たない。

エレン『待てって!! こら!! あん…くそっ…はあ……気持いいだろ?!』

セーラーミカサ『なら良い。エレンはこのまま、私達に身を任せていればいい』

ビキニミカサ『私達が、エレンをイカせてあげる………ので』

アイドルミカサ『安心して、イっていい』

エレン『アホか!! 三人がかりで、俺を襲うなよ!! 勝てるわけねえだろこんなの……ああああっ……!!』


ビクン……ビクン……ビクビク……!!


強がっても、体は正直である。

エレンはミカサシスターズの魔の手に捕まり、身動きが取れず、どんどん、あそこを固くしていた。

エレン『はあ……はあ……』

全身に血液が巡り、体はすっかり熱い。

ぼんやりする意識の中で、エレンは思った。

ミカサが三人いる時点で、この世界は夢だと分かる。

だったら、許されるんじゃないかと。

夢の中なら、何をしても許されるだろうと。

そう。例え、ミカサ三人同時に相手をしたとしても。

クソワロタ

糸は渋いなーいい曲だけどね

エレン『ミカサ………』

ミカサ達『『『なあに? (ちゅぱっ)』』』

エレン『三人まとめて、相手をしてもいいんだな?』

ミカサ達『『『え?』』』

その時、エレンは自分の両手を、左右のミカサの股の間にガッと勢いよく突っ込んだ。

セーラーミカサ『あっ……』

ビキニミカサ『あん……!』

そして、股間を責めているアイドルミカサには、ぐいっと腰を浮かせて、喉の奥まで、突っ込む。

アイドルミカサ『んぐっ?!』

エレン『誘惑を仕掛けてきた、ミカサ達が悪いんだからな。後で文句言うなよ』

そう、宣言した後、エレンは左右のミカサの股をほぼ同時に強引に服の上から愛撫した。

少し強めに、そこを擦ってやる。

セーラーミカサ『いやっ……あっ……! ダメ……エレン! そんな事しないで…! 乳首が……吸えない!』

ビキニミカサ『ああああ……!! エレン!! これじゃあ……何も出来ない!!』

左右のミカサは、エレンの指のテクニックにあっさり陥落しようとしていた。

攻めていたのは、自分達の筈なのに、エレンに形勢逆転されている。

エレン『いいんだよ、それで。ミカサは俺に尽くす必要なんてねえんだよ』

セーラーミカサ『でも……!!』

エレン『いいから……やらせろ。俺はミカサが何人いようと全員相手をしてやる。平等に、愛してやるから』

エレンの目つきは切り替わっていた。

尽くされるより尽くしたい。その本性を惜しみなく顕わにする。

>>80
安価のおかげですごい事になったwwww
毎回安価に助けられてますw

ビキニミカサ『ああん……ダメ!! そこを…そんなに擦らないで……らめええ……!!』

セーラーミカサ『はあはあ……気持ちいい……エレン、どうしてそんなに上手なの?』

エレン『ミカサが感じやすいだけなんじゃねえの?』

セーラーミカサ『そう……かもしれない……あああん!』

エレンは、スカートまで濡れているのを見て、まずはセーラーミカサの方に手を、パンツの中に突っ込んだ。

スカートは当然まくり上げる。その様が、とても眺め良かった。

ビキニミカサの方にも、同じく。両手を使って、二人のミカサを同時に責める。

そして真ん中のミカサには、腰を少しだけ浮かせて、喉の奥深くまで突っ込んでは、引いて、ミカサの口の中を犯していく。

三人同時に攻めるという、ちょっと忙しい状態だが、エレンは満足していた。

三人のミカサ、全員が感じて、体を震わせている。

なんて素晴らしい光景だろう。

アイドルミカサ『ふぐ……ふぐっ……んぐっ…』

喉の奥にまで突っ込まれて、息をするのも大変だ。

このままでは完全にイニシアチブを奪われると感じたミカサは、その状態から、舌を使って、吸い上げるように頑張った。

エレン『うっ……!!』

あそこに力を入れられると、今度はエレンの方が力を奪われる番だった。

エレン『馬鹿っ……そんなに頑張るなって……ミカサ…ああっ…!!』

アイドルミカサ『ひやだ……はんばふ……(嫌だ……頑張る)』

エレン『あっ……もう、こうなったら……』

エレンは、足を使って、ミカサの足の裏側をすりすりと、ゆっくり擦っていった。

足の踵や、先の方を使って、脹脛や膝の裏側に刺激を与える。

アイドルミカサ『あふ……(ビクン!)』

すると、ミカサは一度口を離してしまい、その刺激に酔いしれてしまった。

アイドルミカサ『あん……やっ……』

エレンは大変忙しい状態だが、これで何とか、落ち着いた。

股間の刺激さえ、停止出来れば、意識は戻せる。

エレンの本気がここから始まった。

エレン(まずは、セーラー服のミカサから……)

エレンは左側のミカサから陥落する事にした。

ミカサのあそこを刺激するのを一旦やめて、尻の方に手を持っていき、一度自分の方に引き寄せる。

そして、口の中を舌で舐めまわすような激しいキスを加えて、尻を撫で続ける。

セーラーミカサ『あふ……ふっ……』

歯茎や歯の裏側に舌を忍ばせて、敏感な部分を探していく。

特に上側の歯茎の内側に舌を沿わせると、ミカサの反応が良くなった。

下の方もどうだろうか。歯茎の内側に侵入して反応を確かめる。

セーラーミカサ『あ……う……んぐっ……』

唾液が、滴り落ちた。長いキスのせいで顎が疲れるくらいに大きく開けさせられて、ミカサはぷるぷるしている。

ビキニミカサ『あっ………エレン……私も……』

右側のミカサが、それを見ていたので、自分からおねだりしてきた。

だから一度、キスをやめて今度は右側を見る。

エレン『ん? キスして欲しいのか?』

ビキニミカサ『うん……キスして……』

エレン『ちょっと待ってろ。順番な。セーラー服のミカサを、先にイカせるから』

エレンは尻の方に持っていた手をまた前の方に移動させて、愛撫を再開した。

先ほどよりも愛液がたっぷりとにじみ出ている。

ぬるぬるしたそれを、中指と人差し指を使って、滑らせて、固くなり始めた部分に優しく優しく、塗りつけるように刺激を与える。

セーラーミカサ『ああ……あああっ……やっ……なんか、くる……』

ミカサはガクガクと震え始めた。本当なら、もっとじっくり濡らせてやりたいところだが、三人もいるのだ。仕方ない。

ちょっと乱暴な気もするが、エレンは耳元に口を寄せて『イって』と指示を与えた。

セーラーミカサ『ああっ……あああああっ……!!! (ビクンビクン)』

あそこの刺激を強くしただけで、セーラー服のミカサはイってしまったようだ。

その様子を、羨ましそうに見つめるビキニのミカサ。

左側のミカサはぐったりと、意識が落ちている。その隙に、今度は左側を相手にする。

>>86
訂正

左側のミカサはぐったりと、意識が落ちている。その隙に、今度は右側を相手にする。

左相手してまた左相手にしてましたwww
ややこしくてすみません。今度は右側のミカサを相手にします。

エレン『ビキニのミカサは……ポニーをちょっと取ろうか』

エレンはポニーテールのミカサのシュシュを外して自分の手首につけた。

ロングに戻ったミカサを見ていると、昔のミカサを思い出す。

エレン『うん、これでよし。ポニーもいいけど、おろしてるのも好きだぞ』

ビキニミカサ『そ、そう……あん!』

会話をしながらも、エレンの手は忙しい。右手は常にミカサの体をまさぐり、足はアイドルミカサの背中やお尻を撫でている。

エレンはミカサの髪をすいている。その度に、気持ちよさそうに目を細めるミカサだった。

エレン『ん? これ、気持ちいいのか?』

ビキニミカサ『うん……もっと、撫でて』

エレン『了解』

そう言いながら、エレンはキスをした。

髪を撫でながら、先程のセーラーミカサと同じように口内に舌を侵入させる。

ビキニミカサ『うぐっ……』

舌先同士で互いに押し合うように舐めあった。

ミカサの舌の側面にエレンの舌が侵入して、味覚を感じる部分に刺激が加わると、ぞわぞわとした、奇妙な感覚が湧き上がる。

その快感は、あそこの刺激とは全く違った、弱火の快楽だったが、一度つけられると、全身に広がり、指の先まで支配されるような錯覚すら覚えた。

ビキニミカサ『う……んぐ……』

鼻で息をするのも辛い。酸素不足でふらふらしてきた。

エレンは一度口を離して、自分の唇を自分で舐めた。

舌なめずりするようなその仕草に、ミカサはドキッとする。

エレン『おっぱい、吸っていい?』

ビキニミカサ『え?』

エレン『上のビキニ、外すぞ』

ビキニミカサ『あっ……待って! あん!』

ミカサの制止を聞かずにエレンは背中の紐をしゅるりと外した。

そして顕になった乳首とご対面する。そのままダイブする。

ビキニミカサ『あああっ……!!』

乳首に噛み付くようにエレンが顔を寄せた。はあはあと興奮する息遣いが肌に伝わる。

エレンのイェーガーも、硬度をあげて反り上がり、アイドルミカサの頬に擦りつけていた。

アイドルミカサは、それをじっと見つめて、堪らずもう一度、ちゅぱっと吸い付く。

エレン『うっ……(しまった)』

セーラーミカサとビキニミカサに気を取られてアイドルミカサへの愛撫が弱くなっていたせいで、またイニシアチブを奪われそうになった。

だが正直言えば、もっと沢山、そこを舐めてもらいたい。

エレンは自分の気持ちに正直になり、自ら腰を振って、何度も何度も喉の奥に突っ込ませた。

アイドルミカサ『ふぐっ……んぐっ……!!』

息苦しさに格闘しながら、ミカサはそれを口から離さないように努力した。

エレン(粘るなあ……)

アイドルミカサは根性があるようだ。ちっとやそっとじゃ離さない気らしい。

仕方ないので、エレンは左手をアイドルミカサの肩に手を乗せて、項あたりを指でそわそわとなぞった。

右側のミカサには、乳首とあそこを擦って、天国へイカせてやる。

アイドルミカサ『あっ……』

項を探られたら急に弱々しくなったミカサは、口を離してしまい、声をあげる。

アイドルミカサ『ふにゃあ……』

まるで動物のように力が抜けて抵抗しなくなった。

その隙をついて、エレンは右側のミカサの乳首への愛撫を強める。

コリコリ、噛み付くような愛撫と、先端を押し潰すような動きを交互に繰り返し、時には舌先で乳首の下側を舐めて、焦らして、ミカサを乱れさせる。

ビキニミカサ『あっ…ダメ……やだ……いく……イっちゃう……!!』

乳首の刺激のせいでイキそうになっているミカサを見ていたら、同時に右手で擦ってやりたくなり、右手を器用に使って、下の方も脱がせて、全裸にしてやった。

ぐちょぐちょになったそこに指を少しだけ入れて、乳首と同時に擦ってやると、ビキニのミカサも顔を真っ赤にして、全身を痙攣させた。

全裸ミカサ『ああっ……あああん……はあああああ!! (ビクンビクン)』

イった瞬間を眺めて、イエス! と気合が入るエレンだった。

エレン『さてと……待たせたな、ミカサ』

アイドルミカサの方は、項を責められただけで、既にヘロヘロになっている。

エレン『アイドルミカサが一番、頑張って奉仕してくれたもんな。ちょっとサービスしてやるよ』

そう言ってエレンはアイドルミカサを一度自分の方に引き寄せると、そのまま彼女に覆い被さるように押し倒した。

エレン『お返し、してやるからな(にやり)』

そして立場を逆転させて、今度はエレンの方が、アイドルミカサのパンツをずり下ろし、あそこに手をかけようとする。

アイドルミカサ『いや……ダメ!! エレン!!』

エレン『お前だけ、まだイってないだろ? ほら、足広げろって』

アイドルミカサは足を閉じて抵抗している。

エレンは両手を使ってこじ開けようとしているが、ミカサは首を左右に振っている。

アイドルミカサ『やだっ…!! 私は、エレンをイカせる為に……』

エレン『俺の事は後でいい。いから、俺にイった顔、見せろって』

ぐぐぐと、力を入れても、単純に力では勝てないので、エレンは頭を使った。

太ももを、舌でペロペロ舐め始めたのだ。

アイドルミカサ『いやああ!! はあ……はあ……あうっ……ひっ……あん! ああ…』

抵抗の度合いで言ったら、何故かアイドルのミカサが一番抵抗している。

快楽には弱いくせに、まだ足を開こうとしない。

そんなミカサを見ていたらますます興奮してきたエレンは、太ももにあちこち、キスマークを付け始めた。

アイドルミカサ『あっ……今、何を…』

エレン『キスマーク、つけた。これでもう、ミカサはアイドルやれねえな』

アイドルミカサ『やだ…酷い…エレン……』

エレン『んー? んふふふ……』

酷いと言われて何故か上機嫌になるエレンだった。

エレン『アイドルが、こんなに乱れちゃダメだろ? もう、俺だけのアイドルになれよ』

アイドルミカサ『あん……! (ビクン)』

太ももを指でなぞられただけで、痙攣してしまう。

もう下半身に力が入らず、ミカサはエレンに抵抗出来ずにМ字開脚をする羽目になる。

エレン『よし、観念したな。じゃあ始めるからな』


じゅる……じゅるじゅる……


ミカサ『ひゃあ! あああ……あっ…あああ!!』

快楽に抵抗するミカサの両足を固定するように押さえつけながら、エレンはそこを舐め続けた。

下から上に。上から下に。時には、回すように。

舌を縦横無尽に展開させる。レロレロレロ………

アイドルミカサ『あ……あ……うっ………ああああ!!!』

エレンの舌先のテクニックだけで、あっさりイカされた。

全身を波打ち、力尽きるミカサを見つめ、エレンはひと仕事を終えた男のように満足感を覚えた。

やっぱ、男はこうでないと。女をイカせてこその、男である。

エレン『さて……まだ、本番は終わってねえぞ? ミカサ?』

三人ミカサ『『『ビクッ』』』

エレン『誰からイクか? 俺の方はもう準備万端だけど』

エレンのそそり立つ、その立派なイチモツを見つめながら、ミカサシスターズは顔を見合わせて困っていた。

エレンのそれを、見ていたら、ヤリたいような怖いような、そんな気持ちになってきたのだ。

エレン『俺をここまでその気にさせといて、今更逃げるのは無しだぞ、ミカサ』

三人ミカサ『『『うっ……』』』

エレン『どうした? さっきまでの威勢はどこに行った? 俺とヤるの、怖いのか?』

エレンがニヤリと笑う。普段とは、別人のように。

エレン『俺が決めていいなら指名するぜ? ………まずはセーラー服のミカサ、お前にブチ込む』

セーラーミカサ『わ、私…?』

エレン『ほら、こっちこい(ぐいっ)』

セーラーミカサ『あっ……!』

エレンに引っ張られて、セーラーミカサは押し倒された。

エレン『男の子はその時どうなるのか、今から教えてやるよ(ニヤリ)』

ミカサ『あっ……(かああ)』

エレン『ほら、触ってみろ。男の子はな、その時になると、こんなに固くんるんだよ』

セーラーミカサ『本当だ。か、固い……』

エレン『バージンじゃつまらないとか、エッチしたいとか、そんな事言われたらなあ……こうなるんだよ、男ってのは』

セーラーミカサ『エレン、あれは、歌の歌詞……なので』

エレン『馬鹿。それは分かってても、その気にならん男なんぞいねえよ。責任取れよ(グイッ)』

ミカサ『あっ……!!』

エレン『おっと、スカートはまくらないで欲しいんだったっけ? じゃあ体位はこれしかねえな』

エレンが選んだのは対面座位だった。

これならスカートがまくれる事はない。他の体位に、比べればの話だが。

エレンのいきり立ったそれを挟むようにして、ミカサはエレンの上に乗っている。

全身を赤くしてプルプルしている。

セーラーミカサ『ほ、本当に入れるの…?』

エレン『ん? 嫌か? やっぱり止めとくか?』

ミカサは今更だけど、急に怖くなってきた。表情を見れば、それはエレンにも伝わった。

とりあえず、ここまで~。
以前、温泉の時に「乱交」つーリクエスト貰ってたんだけど、
乱交物書いたことないから、せめてこんな感じで書く事にした。
エレンさん大変だけど、まだまだ淫夢は続きますwwwww

素晴らしすぎてwwww
こんなのみると複数エレンとミカサの乱交みたくなってくるじゃないか…

エレンの夢が終わったらミカサの夢か

大変だな

>>95
逆バージョンも見たいということですか?
その発想も良いですねwwww

>>96
ミカサの夢は既に、エレン13変化の方で、
ミカサ白雪姫と13人の小人でやってますが…。
あっちと比べると、エレンの方が酷いと自分でも思います。

エレン『んー……ミカサが怖いっていうなら、仕方ねえな。今日は、触るだけでやめておくか』

そう言いながら、エレンはまたちゅっと、キスをした。

今度は優しい、バードキスの方を。

セーラーミカサ『ん………』

ちゅ……ちゅ……と、何度も繰り返される触れるだけのキスと、セーラー服の上から触れられる愛撫に、ミカサはびくんと、微かな反応を示す。

まだ舌は入れない。何度も優しく触れるだけのキスを繰り返す。

胸のリボンを触る。いやらしく、指を絡ませて。

外してしまいたい気持ちを押さえて、焦らすように、何度も触る。

セーラーミカサ『あ……エレン……もっと』

エレン『ん? 何?』

セーラーミカサ『もっと、触って……リボンを……外して』

エレン『リボンは外したらいけないんじゃないのか?』

セーラーミカサ『エレンになら、いい。外しても、構わない……』

エレン『そうか? じゃあ外すぞ?』


しゅるり……


胸のリボンは、エレンの手によって外されてしまった。

そのまま、そのリボンを床に捨てる。

背中の方に手を回して、ブラジャーのホックに手をかける。

プチっと、外してしまう。

セーラーミカサ『あ……』

ブラジャーの中に手を入れて、胸の突起に直接触れる。

ただひたすらに、優しく、優しく。

セーラーミカサ『あん……エレン……もっと』

エレン『もっと……何?』

セーラーミカサ『もっと、強く……』

エレン『どれくらい? 言ってくれないとわからねえよ』

エレンは意地悪そうに、先を促した。

セーラーミカサ『ねじって……摘んで……痛くして欲しい』

かあっと、恥ずかしそうにそう自己申告するミカサを見ていると、可愛くて仕方がない。

やばい。もっと言わせたい。

エレン『ん? 痛いのが好きなのか? でも、痛いと嫌じゃないのか?』

セーラーミカサ『ちょっとくらい痛いのが、いい……強すぎると、嫌だけど』

エレン『ふーん……ちょっとだけ痛いくらいだな。了解した』

エレンはそう答えて、指の先で胸の突起を摘んでくりっと回転させた。

セーラーミカサ『あん……! (ビクン)』

少しだけ強めの刺激に、腰が揺れる。

エレンは調子に乗って、今度は半回転させて、また捻じ戻す。

セーラーミカサ『あう……!! (ビクンビクン)』

反応が良くなった。やはりミカサは少し強めの刺激がお好みのようだ。

でも、だったら、尚更焦らしたい。

エレンは強めの愛撫を止めて、今度は中指の腹で突起を触った。

爪の先まで使って、じわじわと、焦らしていく。

セーラーミカサ『うっ……え、エレン? な、何で?』

さっきの刺激より弱いそれを受けて、ミカサが不思議そうにする。

セーラーミカサ『さっきので、いいのに』

エレン『んー? うふふふ………』

エレンはミカサを弄ってすっかり楽しんでいる。

セーラーミカサ『エレン……もっと、もっと強くしてええ』

エレン『まだダメだ。もっともっと、焦らしてやる』

セーラーミカサ『あう……エレンの意地悪……』

ぐすんと、ちょっぴり涙目のミカサが可愛い。

もうなんだ。今すぐ入れたくなってくる。

でも我慢だ。ミカサの方から「入れたい」って言わせるまで、我慢だ。

エレンはひたすら、ミカサの胸を優しく優しく刺激した。

キスも再開させる。舌を入れない、ふわふわのキスを。

何度も何度も繰り返す。

セーラーミカサ『あふ………』

ミカサの方はだんだん、頭がぼーっとしてきた。

思考能力が鈍り、もっと、もっと強い刺激が欲しくなってくる。

セーラーミカサ『エレン……早く……』

エレン『んー?』

セーラーミカサ『早く……早くして』

エレン『んー? 何をして欲しいんだ?』

セーラーミカサ『早く……入れて……』

上の空の状態で呟いたそれを、エレンは聞き逃さなかった。

エレン『…………入れていいのか?』

セーラーミカサ『うん……』

エレン『怖くねえのか?』

セーラーミカサ『うん………』

ぽーっとしているミカサの了承を得たので、エレンは内心「よし」と思った。

エレン『ミカサ、一度、膝立ちになってくれ』

セーラーミカサ『こう?』

エレン『そうそう。パンツ、脱がせるぞ』


しゅるり……


愛液がとっぷりついたそれを脱がせるとエレンはそれも捨てた。

ノーパンのスカート姿のミカサに今から、入れる。

そう考えると、頭の中が沸騰しそうになってきた。

エレンは一度、大きく息を吐いて興奮を鎮める。でないと、一気に獣になってしまうからだ。

慎重にいこう。挿入を焦ったら、ミカサを傷つける。

エレン『ミカサ……来い。ゆっくり、腰を落とすんだ』

ミカサの腰を支えながらゆっくりと、ゆっくりと腰を沈めさせる。

セーラーミカサ『うぐっ……』

それでも、充分慣らしたと思っていたけれど、やはり挿入時には、痛みを伴うのか、ミカサの表情が強ばった。

先端だけ入れた状態でしばし休憩を入れる。

ふーふー言ってるミカサを宥めながら、エレンはしっかり支えている。

エレン『ゆっくりでいい。焦るな。痛いなら、このままじっとしておこう』

セーラーミカサ『う、うん……ふーふー』

息をいっぱい吐き出して痛みを散らそうとしているミカサを見ていると、愛しさがこみ上げてくる。

エレンは腰を支えていた手を尻の方に持っていき、そこを指全体を使って、撫で回した。

セーラーミカサ『あっ……エレン?』

エレン『ほら、リラックス。体の力を抜けって……』

セーラーミカサ『あ……あう……あん!』

尻の方の性感帯を撫でられて、またびくんと体が震えた。

すると、痛みが少しだけまぎれて、奥の方に、ずずずっと、入っていく。

エレン(お、これはいいかもしれない)

エレンは尻の愛撫を続けた。ミカサの緊張をこれで解せるなら安いもんだ。

割れ目の方にも指を滑らせて、まるで楽器を引くような滑らかな指使いをする。

爪の先で軽く引っかきながら、指の腹も同時に使う。

神経が複雑に絡み合う、仙骨の辺りを、何度も何度も、責めてやる。

肛門がすぐそこに近い。触れるか触れないか、ギリギリのラインを見極めて、わざと触れない。

坐骨の方にも指を滑らせて、柔らかいそこをしっかり味わった。

ミカサの尻の筋肉は柔らかい。筋肉はしっかりついているけど、柔軟性もちゃんとついている。

筋肉はつければいいというわけでもない。ミカサのこの柔軟性は、努力の賜物だろう。

エレンは気を良くしてどんどん尻を触っていった。

調子に乗って、太ももの方にも手を伸ばし、ついでに後ろから、あそこにもちょっとだけ触れる。

セーラーミカサ『ああん!! (ビクビク)』

後ろから急にきた新しい刺激に、ぐっと勝手に腰が動いて挿入を深くしてしまった。

エレン『あ……入ったな』

セーラーミカサ『入った……』

今の勢いで最後まで入ってしまったようだ。

エレン『痛くねえか?』

セーラーミカサ『ちょっと痛い……』

エレン『そうか……でも俺の方もそろそろ限界だ。ちょっとだけ、動いてもいいか?』

セーラーミカサ『うん……』

ほんの少しだけ、前後に腰を揺らしてみる。

ぐいっと。動かしにくい体位ではあったが、エレンは少しだけミカサに刺激を与えた。

セーラーミカサ『はっ……!!』

痛みを堪えながらも受け入れてくれるミカサを見ていると切なくなった。

エレン『ごめんなミカサ……動くぞ』

セーラーミカサ『あん……! あああっ』

切なさを胸に秘めながら、エレンは体位を急に変えた。

対面座位からの、正常位へ移行する。

ミカサの両足をひっくり返すような動きをして、ミカサの奥深くまで、ぐっと自分の分身を押し込んだ。

セーラー服のスカートは、すっかり捲れ上がっている。

セーラーミカサ『あああっ……エレン………!!!』

ぐいっと、何度も波打つ腰の動きに翻弄されて、ミカサはエレンにしがみつくだけで精一杯だった。

セーラーミカサ『あああ……エレン……中に……中に出さないで…!!』

エレン『夢の中だから、いいだろ。別に』

セーラーミカサ『え? でも……やだあ! 妊娠しちゃう……!!』

エレン『予行練習にいいだろ? 孕ませてやるよ』

セーラーミカサ『ああん!! ああっ……あああああ!!!』

中をどんどん、こじ開けていくような感覚がそこにはあった。

女の体の中を、実際には知らない筈なのに。

エレンは奇妙な感覚を覚えながら、そこに自分の欲望をぶち込んだ。

体中に駆け抜ける快楽に身を委ね、そのままミカサの上に落ちる。

ミカサの股の間から、白い液体がねっとりと、溢れ出ていた。

その様子を、他のミカサはガン見していた。

エレン『ふう…………』

ひと仕事を終えて大変満足した。

一度、イったおかげで少し落ち着いたが、エレンのエレンの体力はまだまだこんなものではない。

エレン『さてと……』

自身をゆっくり引っこ抜いて、次は全裸のミカサに目をつけた。

エレン『待たせたな。次は全裸のミカサだ』

全裸ミカサ『ひっ……(ビクッ)』

急に怯えだしたミカサに、エレンは微妙に傷ついた。

エレン『なんだよ……これでも俺、大分優しくしてやったつもりだけど?』

全裸ミカサ『で、でも、血が出てる……』

セーラー服のミカサの股の間から、白いものと混ざって赤い血が流れていた。

処女膜が破れたせいだろう。それは予想の範疇だった。

エレン『そりゃそうだろうな。処女だったんだろうし。そっちのミカサも、処女なんだろ?』

全裸ミカサ『う、うん……そうだけど』

エレン『出来るだけ痛くしねえようにするからさ。来いよ』

全裸ミカサ『あっ……』

ぐいっと引っ張られて、全裸のミカサは顔を赤くした。

エレン『どうした? 何だよ。急に可愛い顔しやがって』

おでこにちゅーっと、キスを落としてやる。

全裸ミカサ『ち、違う……可愛い顔なんて、してない……』

エレン『それがしてるっつーの。ったく……どいつもこいつも、皆、可愛いなあもう!』

グリグリ頭を撫でてやる。ぎゅうぎゅうに抱きしめてやる。

エレン『さて、全裸のミカサには何してやろうかなー……』

全裸ミカサ(ビクビク)

エレン『なんか、小道具とかあればもっと楽しいんだけどなー』

と、エレンが妄想していると、急にそれがポンと出てきた。

エレン『おお? 夢の中だから何でもありか!! やった!!』

エレンが手に取った物とは………>>110だった。

休憩も兼ねて安価出します。
全裸のミカサには何を使おうか。悩む。

縄かむち

皆、SМ路線でワロタwwwww
この続きはまた明日ね。ではまたノシ

縄とムチが出てきた。これを使って、ミカサを虐める事が出来るようだ。

エレン『ん? なんだ…? ああ、なるほど、どっちか選べばいいのか』

適当に考えたもんだから、気を遣って二種類小道具を用意してくれたようだ。

エレン『じゃあ折角だから、縄を使おう。ムチは要らねえや』

と、言ってエレンは縄を選んだ。しっかりした、縄だ。

この太さなら、ミカサでも千切る事は出来ないだろう。

エレンが片方を選ぶと、もう片方の小道具は煙に消えた。

エレン『へー便利だな。よし、じゃあ早速使わせて貰おうかな』

エレンは鼻歌を歌いながら、全裸ミカサに近づいた。

全裸ミカサ『やだ……痛いのするの?』

エレン『ん? 痛いことはしねえよ。だからムチは選ばなかったんだし』

全裸ミカサ『でも……縄を使うんでしょう?』

エレン『うん。でも痛いことはしねえ。大丈夫』

エレンがそう言うのならそうなのだろうか。全裸ミカサはおどおどしながらエレンに体を預ける。

エレンは何かを考えて、そして、閃いた。

エレン(М字開脚縛りに挑戦してみるか)

折角縄が2本あるので、それぞれを使って、エレンは手足をそれぞれ縛ってみる事にした。

つまり、左手は左足と、右手は右足と繋いで、足を広げさせる拘束方法だ。

実に眺めがよい。これでミカサも抵抗できない。

全裸ミカサ『エレン……あの……は、恥ずかしいの、だけれども』

ミカサは羞恥心で顔を真っ赤にしている。

エレン『んー……いいから、もっと見せろって。ほら、足を広げて』

全裸ミカサ『あん……!』

触られていないのに、見られているだけで感じてしまう。

ミカサはふるふると、全身を震わせ、あそこも、きゅっと、締め付けていた。

エレン『…………』

アンダーヘアが、よく見えるそのアングルで、エレンの脳内にその欲望が膨れ上がった。

エレン『ハサミ、ねえかなー』

エレンがそう呟くと、ポンと、望み通りの代物が出てきた。

エレン『お、便利だなーこれ。よしよし』

エレンはハサミを右手にとって、ミカサのアンダーヘアに、手を添えた。

全裸ミカサ『え?』

エレン『ミカサ、暴れるなよ。暴れたら、傷つけるから。じっとしてろよ』

全裸ミカサ『え? え?』

エレン『ちょーっとの間、我慢しろ。ミカサのここの毛、少し切り揃えるから』

全裸ミカサ『ええええ?!』

ミカサはいきなりの展開に青ざめた。

全裸ミカサ『待って!! エレン、いくらなんでも、そんな事……!!』

しかしミカサの制止は全く聞かず、エレンはひと房、そこをカットした。


チョッキン………✂


全裸ミカサ『あああっ………』

ミカサは当然、縄で縛られているので抵抗できない。

何も出来ないまま、ただ、そのカットされていく様を眺めることしか。


チョッキン……チョキン……✂


エレンは全ての毛をカットするつもりではないようだ。

本当にただ、形を整えるだけのカットをしている。

少しもっこりしている余分な毛を、綺麗に切り揃えているのだ。

全裸ミカサ『あああっ………』

恥ずかしくて顔から火が吹き出そうだ。

手で顔を覆う事も出来ず、ミカサはその羞恥心を吐き出す事も出来ない。

エレン『もうちょっとだからな。我慢しろ』

エレンは真剣に形を整えている。その様はまさに、職人のようで。


チョキチョキ……✂


細かい部分を切り揃えている。もう少しで完成のようだ。

エレン『………………よし、出来た』

エレンはまたひと仕事終えた男の顔になって、ふーと息をついた。

いい感じに仕上がった。綺麗な形に整ったのだ。

エレン『ふふ………なんだ? ミカサ。触ってもないのに、そこから液が溢れてるぞ?』

ぬるり、と途中から出てきた透明な液を掬って、エレンが意地悪そうに言った。

全裸ミカサ『だって…だってええ……』

エレン『興奮したのか? カットしただけなのに』

全裸ミカサ『だって、そんな事されるなんて、思わない』

エレン『うん、俺も急に思いついたんだよな。ククク……楽しい』

エレンは出来上がったそこに軽いキスを落とした。

全裸ミカサ『あん………』

エレンの息がかかるのが、さっきよりはっきりと分かる。

エレン『ちょっとさっぱりしただろ? ミカサの毛は、上も下も俺がやってやるよ』

全裸ミカサ『下の毛はいい……』

エレン『なんでだよ。うまく出来たのに』

全裸ミカサ『だって、だって………恥ずかしかった……』

本当なら股を閉じたい気持ちでいっぱいだ。でも、それも出来ない。

それを見越してエレンはМ字開脚縛りをしたのだろう。

エレン『俺は楽しかったけどな』

全裸ミカサ『エレンの意地悪……』

エレン『ククク……そう拗ねんなって。今から、気持ち良くしてやるからさ』

エレンの手はハサミを捨てた。代わりに、違うものが出てくる。

エレン『うーん。ミカサを気持ちよくさせる液体……』

出てきたのは、何故かチョコレートだった。液体タイプの。

エレン『? なんだこれ? これ、塗りつけろっていうのか?』

黒っぽいそれを、蓋を開けて舐めてみると、すっごい甘くて美味しかった。

エレン『おお! これはいいな! じゃあ早速、ミカサの全身に塗って食べよう』

全裸ミカサ『ええええ?!』

ミカサの驚きを無視してエレンは手の平にいっぱい、チョコレートを取り出した。

ぬちゃあと、広がる黒茶色の液体を、ミカサの胸の肌の上に滑らせる。

乳首の上だけ、わざと残して、塗らない。

全裸ミカサ『いやああ! 変な塗り方しないで!!』

逆に乳首だけ残されて変な気分になる。塗るのなら全身に塗られた方がまだマシだ。

エレン『乳首にも塗って下さいって言ってみろ』

全裸ミカサ『え?』

エレン『私の乳首にも、たっぷり塗って下さいって言ったら塗ってやる』

なんという、調教プレイだろうか。

エレンの顔は本気だった。

エレン『言わないなら、塗らない。このまま放置だな』

全裸ミカサ『! い、いや………塗って……』

エレン『んー?』

全裸ミカサ『わ、私の、乳首にも………』

エレン『もっとはっきり』

全裸ミカサ『私の乳首にも、たっぷり、塗って、下さい……』

エレン『ふふっ……良く出来た。合格』

そう、楽しそうに言って、エレンは乳首に直接液体を落とした。

全裸ミカサ『ひゃああ……』

少し冷たい刺激が直接乳首に舞い落ちる。

その刺激が、まるで脳みそを揺さぶるように心地よくて、しばし酔いしれた。

全裸ミカサ『はあ……はあ……はあ……』

息を荒げるミカサの乳首にエレンは吸い付いた。

その甘味にクラクラする。まるで酔っ払ったかのように、エレンの意識も興奮してくる。

チョコレートには興奮作用のある成分が混ざっている。

エレンは口から、ミカサは肌からそれを吸収し、体の中に取り入れる事で新陳代謝まで活発になっていた。

ミカサはチョコレートエステと愛撫を両方受けているようなものなのだ。

エレンのイェーガーは、チョコレートのおかげで更にパワーアップしている。

ぐぐっと盛り上がったそれを、肌で直接感じてミカサはまた、急に顔を赤らめた。

エレンの先っぽからは、少し液体が溢れ出ている。

それが腹の辺りに擦りついているのが分かるのだ。

全裸ミカサ『ああ……エレン……』

チョコレートを舐めとるエレンの仕草はまるで犬のようだった。

人間のそれより、獣に近い。今のエレンはチョコレートとミカサの汗の味しか感じていない。

肉を貪るようにエレンはミカサに食らいついて、塗りつけたチョコレートを舐めとった。

その結果、ミカサはすっかり下半身の方に、力が入らなくなっていた。

エレン(やべえ……このチョコレートってやつ、マジでやばい)

チョコレートを舐めれば舐めるほど、興奮してくる自分がいる。

もう既にミカサの中に入れたくて仕方がない気分だ。

焦っちゃいけないと分かっているのに。理性が吹っ飛びそうになる。

もっと舐めたい。チョコレートの入っているチューブから、新しい液体を絞り出して、もう一回、舐めようと思ったエレンは今度は、腹筋の方に液体を垂らした。

全裸ミカサ『まだ舐めるの?!』

エレン『ああ……まだ全然足りねえ!』

中毒症状が出ているかのようなそのエレンの様子に、ミカサは急に不安になった。

全裸ミカサ『ダメ……もう、やめてエレン!! それ以上は、良くない』

エレン『ああ? 何でだよ』

全裸ミカサ『それ以上舐めたら、多分、体に良くない』

エレン『んなこと、ねえだろ。そんな危険な食べ物じゃ……ねえだろ? 多分』

チョコレートの知識がないエレンにはそう答えるしかなかった。

厳密に言えば、チョコレートにも僅かながら、依存性のある物質は含まれている。

中にはチョコレート中毒と呼ばれる症状になる事もごく稀にあるが、それは毎日食べ続ければ、の話だ。

しかしミカサはエレンの興奮具合を見て、急に怖くなった。

知識がないのだから、尚更だ。

全裸ミカサ『その液体は本当に食べていいものなの? 体に悪いものではないの?』

エレン『えー……食べても問題ないって書いてあるぜ? あ、でも食べ過ぎにご注意って書いてある』

チューブのパッケージには一応、注意書きがしてあった。

エレン『小さいお子様等には十分注意して与えましょうとか、書いてあるな。うーん。食べ物だけど、食べ過ぎると体に良くねえのかな?』

全裸ミカサ『きっと、そう! だからエレン、もうやめよう。これ以上は食べないで』

エレン『ちぇ……勿体ねえなあ。腹に落とした分はどうするんだよ』

全裸ミカサ『あ、洗い流せば……』

エレン『それは嫌だ。ミカサも協力して舐めろよ』

エレンは指で腹の上の液体を掬って、ミカサに無理やり食べさせた。

全裸ミカサ『……………美味しい』

エレン『だろ? もっと食べろ。一人じゃ食べきれん』


はむ……


チョコレートを食べるその様がなんか生々しくていやらしい。

エレンは「これはこれでありかな」とちょっと思った。

腹に零したチョコレートを全部、ミカサの口に運ぶ。すると………

全裸ミカサ『た、たしかにエレンの言う通り、美味しい』

エレン『だろ? チューブにはまだ残ってるし、二人で全部食べようぜ』

全裸ミカサ『でも、ダメ……あんまり食べると、その……興奮しちゃう』

エレン『ああ? 今更何言ってんだ。むしろ興奮しろよ』

エレンは、ミカサの乳首に意地悪をした。

全裸ミカサ『あん!』

エレン『おまえのそういう、ストイックなところ、逆にすげえエロいんだよな』

エレンはそう耳元で囁きながら、ミカサの乳首を弄り続けた。

エレン『分かってて言ってるのか? チョコレート、食べちゃダメならもう、ミカサを食べるぞ?』

ね、眠いので一旦、寝る。おやすみ…。またねノシ

全裸ミカサ『ああっ……エレン……!』

弱々しく嫌々するミカサが可愛い。

普段と全然違うミカサの仕草に萌えてしまう。

エレン『………なんだよ』

全裸ミカサ『エレン、その………はうっ!』

腹筋に手を伸ばし、撫で回しながら、エレンはミカサの耳元に囁く。

エレン『んー? まだ抵抗するのか? もう、こんなに濡れてるくせに』



下の方に手を伸ばして、その証拠を感じさせる。



全裸ミカサ『あん……!』

エレン『もういいだろ? そろそろ………ここに、入れても』

中指の先をほんの少し、入れてみる。

ミカサは痛がらない。もう十分に濡れている。

だけどエレンは、もう少しだけ焦らす。

エレン『なあ………ミカサ』

全裸ミカサ『あう……(ビクビク)』

エレン『ミカサ………可愛い』

全裸ミカサ『あっ……(ビクン)』

エレン『こんなに濡れてる。そんなに気持ちいいのか?』

全裸ミカサ『あ……うん……』

エレン『じゃあもっと気持ちよくなりたくねえか?』

エレンはじわじわと、追い詰める。

全裸ミカサ『き………』

エレン『ん?』

全裸ミカサ『気持ちよく……なりたい……』

エレン『ん? よく聞こえねえけど』

全裸ミカサ『(絶対聞こえてるくせに……)気持ちよく……させて下さい』

少し拗ねたようなミカサの可愛い言い方にエレンは大変満足した。

エレン『ククク……それでいいんだよ』

エレンはミカサの了承を得て、指を引き抜いて、自分の先端を入れる作業に取り掛かった。

エレン『この格好ならこのまま正常位でいいよな』

縄で縛ったままやるならこのままミカサを下にしたままやるのが一番いいだろう。

エレンは自分のものをぐっと押し込んで、体を密着させた。

全裸ミカサ『あう……(ブルブル)』

ミカサは少し緊張してきゅっと、下半身に力を込めている。

エレン『ミカサ、力抜けって』

全裸ミカサ『む、無理……』

エレン『やっぱり、セーラー服のミカサと同じか。入れる時はどうしても緊張するんだな』

そう、スムーズに入れられるものではないらしい。

エレンはそう判断して、ミカサの唇にキスを落とした。

口の中にはまだチョコレートの味が残っている。甘い甘いキスがミカサの中に入ってくる。

全裸ミカサ『ふっ………』

口の中に残る甘い味。苦味もあるけれど、甘味の方が強い。

全裸ミカサ『うっ……』

徐々に奥の方に入ってくる、エレンの舌が、ミカサの意識を奪っていく。

奥歯の内側にまで届くような激しい侵入に息をするのも苦しくなる。

全裸ミカサ『エレン……ふっ……』

言葉すら塞がれて自由を奪われる。何も言わせるつもりはないらしい。

エレンはミカサの中にどんどん入りたくて仕方がなかった。

口も、下も。同時に入っていく。

エレン(気持ちいい……こんなの、何回味わっても、足りねえ)

いっそずっと繋がっていたいような、そんな誘惑に駆られる。

徐々に押し込む。ミカサはまだ震えているが、キスと一緒に入れていけば、何とかなりそうだ。

そしてやっとの事で、挿入が完了する。

まだ窮屈な感覚はあるが、ここからじっくり、またミカサを味わえる。

キスを離して、エレンは息をついた。

背中の方に手を回して、ぐっと奥まで押し込むように熱い抱擁をする。

エレン『はあ……はあ………はあ……』

エレンは何も言わず、しばらくそのままミカサをゆっくり味わっていた。

エレン『ミカサ……』

全裸ミカサ『何…?』

エレン『出来るだけ痛くないようにしたかったけど……ごめん』

全裸ミカサ『え?』

エレン『もう、無理だ。動きたい』

全裸ミカサ『え? え? エレン? あっ』


ぐいっ……


いきなり始まった強い前後運動にミカサは奥歯を噛み締めた。

全裸ミカサ『あっ……痛い……エレン……待って!!』

エレン『……………』


ぐいっ………


全裸ミカサ『ああっ……くっ………は……!』

痛みで意識が持って行かれそうになる。

ミカサは必死に耐えた。息を吐き出して、痛みを散らそうと必死に抵抗する。

でも、奥に突かれる度に擦れるその痛みにはどうしても、すぐには慣れない。

全裸ミカサ『待ってエレン! あああ……』

ミカサの制止を聞かないでエレンは自分勝手な性交を始めてしまった。

チョコレートの力のせいか、精力が増大して、自制がきかなくなってきたのだ。

ミカサの頬に涙が伝う。その姿を見ても、よけいに興奮する自分がいる。

全裸ミカサ『ふぐっ……エレン、嫌だ……待って……お願い……少しでいいから!』

エレン『はあ……はあ……はあ………無理だ』


ぐいっ………


全裸ミカサ『あああっ………!!』

エレン『もうイキたい………中に出させて』

全裸ミカサ『エレンの馬鹿……! 嫌い……! 大嫌い!!』



ピタッ………



その言葉で冷水を浴びたように体が冷えたエレンだった。

全裸ミカサ『ひっく………ひっく………』

よく見たら、ミカサに結んだ縄の跡が残っているし、股の間からは血が出ている。

ミカサは泣きじゃくっているし、どう見てもこれは、正常な性交ではない。

我に返ったエレンは慌てて一度自分の物を引き抜いて、縄を全て解いてやった。

そして涙をキスで全部拭ってやる。謝罪の意味を込めて。

エレン『ごめん………ちょっと暴走した』

全裸ミカサ『ひっくひっく………ううう………』

エレン『なんかエスカレートしてたな。俺……本当、ごめん。もうしねえよ。これ以上は』

全裸ミカサ『違う……しても、いい。けど……もうちょっと、ゆっくり……』

エレン『…………続けてもいいのか?』

全裸ミカサ『うん。やめてほしいわけじゃない。ただちょっと、痛いのに慣れさせて』

エレンは胸を撫で下ろした。

ミカサに『大嫌い』なんて言われるとは思わなかった。自意識過剰な自分が、怖かった。

そうだ。いくらミカサが何でも許してくれるからといって、ペースまで引きずってはいけない。

エレンは深く反省した。そしてもう一度、挿入し直して、今度こそ、ゆっくり押し進める。

エレン『これくらいなら、大丈夫か?』

全裸ミカサ『う、うん………はああ』

ミカサはもう、痛みを堪える必要はないようだ。

エレン『ミカサのペースに合わせるからな。やめて欲しかったら、肩を叩け』

全裸ミカサ『うん……でも、もう大丈夫だと思う』

ミカサは息を荒げているが、目元は少しトロンとしていた。

全裸ミカサ『エレンが止めてくれて良かった。一度、止めてくれたから、さっきより大分楽になった』

エレン『そっか……』

全裸ミカサ『気持ちいい。エレンのそれが、奥の方に当たると、気持ちいいのが、くるの』

エレン『こうか? (グイッ)』

全裸ミカサ『あん! そう……そのあたり……あああっ』

エレンは慎重に、用心を重ねながら腰を前後に振った。

先走りは十分だ。一気に進めればいつでもイケル準備は万端だ。

でも、もうちょっとだけ、ミカサが喘ぐ姿を見たい気持ちもある。

ゆらゆらを、もうちょっとだけ続ける。

すると、ある時点を過ぎたあたりから、エレンの締めつけがぐっと良くなった。

全裸ミカサ『あああん! エレン、エレン……!』

ミカサの方の腰の動きが急に良くなった。もう、強くしても良い合図だろうか。

そう判断してエレンは一気に腰の速度をあげた。

なんか全裸って名前に付いてるせいで微々たるシュール感が纏わりついてくる

>>131
まあ、本当は両方全裸なんですけどね。全裸エレンと全裸ミカサですけどね。
ミカサが三人いるから区別の為には仕方ない。

全裸ミカサ『あああっ……エレン!!!』

弓なりに背中が反り上がる。それを支えながら、エレンはもう迷わず、自分の欲望を叩き込んだ。

バンジージャンプの浮遊感に近いその開放感に、身を委ねて、ミカサの中に落ちていく。

ぐずぐずと続く快楽に両目を閉じて味わい尽くすと、息をどうにかこうにか整えた。

なんていうか、二回目の方がきつかった。

精神的にも肉体的にも、ハードに感じた。

ミカサも気持ちよかったのだろうか。頬を触ってみると、薄く目を開けた。

全裸ミカサ『エレン…?』

エレン『気持ちよかったか?』

全裸ミカサ『うん……痛かったけど、最後は気持ちよかった……』

エレン『そっか……それなら良かった』

そしてエレンは自分のものを引き抜いて、最後に残したアイドルミカサの方を見た。

アイドルミカサは両手で顔を隠しながら、チラチラこっちを見ていたようだ。

顔を真っ赤にして。恥ずかしそうに。

アイドルミカサ『え、エレン……まだ続けられるの? 大丈夫なの? 休まなくていいの?』

エレン『え? ああ………大丈夫。なんか、チョコレートのおかげでまだまだいけそうだ』

途中でエネルギーを補充したおかげで、まだいけそうだ。

エレンは残っているチューブの中身をちゅーちゅー吸って、全部食べ尽くした。

アイドルミカサ『あっ………』

その様子が何だか格好良くて思わずときめいてしまうミカサだった。

なんというか、野性的な仕草だったのだ。

エレン『あーうまい♪ チョコレートは最高だな』

エネルギーを再度、補充してエレンの体力はまた回復した。

エレン『さてと、アイドルのミカサには、何をしてやろうかなー』

アイドルミカサ(ドキドキ………)

エレン『あんまり可哀想な事はしちゃいけねえな。うん……アイドルミカサも楽しめるような……そうだ。>>135とかいいかもしれねえな」

制服ミカサと全裸ミカサの二人に近距離で見せ付ける羞恥プレイ

エレン『よし、アイドルミカサはラストだから、他のミカサに見せつけるプレイだ!』

アイドルミカサ『え……ええええ?!』

エレン『ぐったりしてるところ悪いけど、二人共、ちょっとこっち来い』

先にエレンにぶち込まれたミカサ二人がぽやーとした顔のまま、エレンに近づいた。

全裸ミカサ『どうするの?』

セーラーミカサ『何をすればいいの?』

エレン『二人は俺の両脇に正座待機だ。アイドルミカサと俺の性交をよく見とけ。勉強しろ』

二人のミカサ『『分かった』』

アイドルミカサ『えええっ……ちょっと、エレン!! 私だけ、酷い!』

エレン『なに言ってんだ。お前だって、他のミカサの性交を見てただろ? 指の間からチラチラと』

アイドルミカサ『そうだけど……やだ……そんなにじっくり見ないで』

セーラーミカサ『それは無理。エレンに頼まれたので(じーっ)』

全裸ミカサ『勉強するので(じーっ)』

アイドルミカサ『あうあう……』

アイドルミカサは顔を覆って恥ずかしがっている。

>>135
正座待機でいい? いいよね?(笑)

エレン『さてと………アイドルミカサには、どんな小道具を使おうか』

エレンはイメージした。アイドルミカサに相応しい小道具を。

エレン『なんかこう、楽しく虐められる道具、ねえかなあ』


ポン! ポン!


出てきたのはなんと、ローターセットだった。

エレン『なんだこれ? 取説までついてる。なになに? ほうほう。これを中に入れて、スイッチを入れると、振動するのか』


ぶぶぶぶ……


エレン『へー便利な代物だなあ。ん? もう一個あるな。おお、音量拡声器、マイクって書いてある。頭にかぶせるタイプだってさ』

そこで思いついたのは、エレンの悪巧みだった。

エレン『つまり、このローターを中に入れたまま、頭にマイクをつけて、俺の太ももの上に座って、ミカサに歌わせればいいって事だな』

アイドルミカサ『?!』

アイドルミカサは狼狽えた。今までと方向性の違うプレイに怯えてしまう。

エレン『さてミカサ、こっちに来い』

アイドルミカサ『やだ……そんなの、嫌だあ』

エレン『んー? 嫌なのか? 俺、ミカサの歌声聞きてえんだけど』

アイドルミカサ『………歌うだけなら』

ミカサはそう言って、エレンの太ももの上に乗った。

そしてヘッドホンタイプのマイクを受け取って頭に装着すると、発声練習を始めた。


アイドルミカサ『あーーーーー』


その隙をついてエレンはローターの先をさっと、ミカサの中に入れちゃう。

股は十分に濡れていたので、入れるのにさほど苦労はしなかった。

エレン『スイッチ、オン』

アイドルミカサ『ああああっ……!!』


ぶぶぶぶぶ………


股に規則的な刺激が伝わってきて、力が急に抜け出てしまう。

アイドルミカサ『エレン! 歌うだけって言ったのに!』

エレン『え? そうだったけ? 入れていいって言わなかったか?』

アイドルミカサ『言ってない~~ああああ~~~~!!』

ぶぶぶぶぶ……強い刺激にすっかり腰が砕けてしまう。

アイドルミカサ『これじゃ歌えない……エレン……無理ぃ!』

エレン『そっかー……じゃあ少し振動の力を弱めるぞ』


ぶぶ……


エレンは刺激の強さを弱まで落とした。

すると少しだけ、耐えられるようになったミカサだった。

それでも十分、いやらしい状態ではあるが。

エレン『よし、この状態なら歌えるだろ。なんでもいいから一曲お願いする』

アイドルミカサ『なんでもって言われても……』

エレン『じゃあ、何か指定したほうがいいか?』

アイドルミカサ『そうね……あん……』

蒸気した顔でそう答えるミカサが大変色っぽかった。

エレン『そうだなーじゃあ………>>141を歌ってくれ。サビだけでもいいから』

ベリーメロン 金色のガッシュベルのベリーメロンでw

エレンの要求がカオスwwww
でもいいや。ありがとう。

アイドルミカサ『ベリーメロン? その曲知らない』

エレン『曲は簡単だから、一度聞けば大丈夫だろ。ミュージック、スタート!』

そんなわけで、エレンの合図でその曲が流れ始めた。

なんというか、ものすごくエネルギッシュな曲だった。


『キャッチマイハート!! ベリーメロン♪』

『お口にとろける~ベリーメロン♪』


アイドルミカサ『なんていうか、すごい曲ね……』

エレン『ベリーメロン♪』

エレンも何故か一緒に歌っている。

エレン『ほら、ミカサも一緒に』

エレン&ミカサ『『ベリーメロン♪』』

リズムに乗らされて、ミカサはついつい歌ってしまう。

アイドルミカサ『私の心は釘付け~♪』

アイドルミカサ『一度食べれば釘付け~♪』

アイドルミカサ『ブルアア! ブルアア! ベリーメロン♪』

エレン『ベリーメロン♪』

アイドルミカサ『おかわりだ!!』


じゃーん♪


アイドルミカサ『変な曲…もうだめ……お腹が痛い』

エレン『ベリーメロン♪』

ミカサは曲の面白さにツボを突かれてこれ以上まともに歌えなかった。

エレンは勝手に続きを歌っている。

エレン『大好きだ!』

エレン『愛してる!』

エレン『キャッチマイハート! ベリーメロン♪』

エレン『……おかわりだ』


じゃーん♪


アイドルミカサ『ぷくくく……あははは!』

エレン『なんだよ。そんなに気に入ったか? この曲』

アイドルミカサ『だって、おかしくってもう……』

笑顔を見せたミカサに、エレンも一緒に笑った。

なんかラブい感じで今日はここまで。
ちょっと書きすぎて疲れた…。
休憩入れてから、また明日頑張る。

エレン『よしよし、ちょっとは緊張が解れたか?』

アイドルミカサ『え? ええ……そうね。ぷくく』

エレン『まーだ笑ってるのかよ。ミカサは笑い上戸だな』

アイドルミカサ『ふふふ……』

ミカサの笑顔を見ていると息子の方も元気になってきた。

エレンはローターのスイッチを切って、ミカサの股から引っこ抜くと、そこを一度確認した。

アイドルミカサ『あん……(ビクン)』

エレン『大分、緩んでるな。ちょっと、指、入れるぞ?』

アイドルミカサ『ああん!! (ビクンビクン)』

エレン『おお……入る入る。これなら挿入もいけるか?』

ローターで一度馴染ませる方法は案外、いいのかもしれないと思ったエレンだった。

よいしょっと、体勢を変えて、股を広げさせて、正常位で挿入してみる。

すると今までで一番、挿入に苦労せず、スムーズに入ったのであった。

エレン『おおっ……こりゃいいな。痛くないか? ミカサ』

アイドルミカサ『思ったよりは痛くない』

エレン『動いても、大丈夫か? (グイッ)』

アイドルミカサ『いやん! ああん……(グイッ)』

さっき笑ったせいだろうか。ミカサの緊張が大分抜けているのが分かる。

エレンはそれで気を良くして、ミカサの脇腹などを擽る作戦に出た。

エレン『そーれ~♪ (こちょこちょこちょ)』

アイドルミカサ『ひゃん! あははははは! エレン、やめてええええ!!』

身を捩ってくすぐったさを回避しようとするミカサに、エレンはますます面白がって擽る手を止めない。

エレン『ここはどうだ? ここはどうだ? (こちょこちょ)』

アイドルミカサ『あひゃひゃひゃ…うふふ……はは! はー……もうエレン! (バシッ)』

エレン『あいてっ!』

ミカサに遂には頭を叩かれてしまった。

アイドルミカサ『もうやりすぎ……』

エレン『悪い。ついつい』

アイドルミカサ『もう痛くない。不思議。笑ったら、緊張が抜けた』

エレン『みたいだな。じゃあ、動いてもいいな?』

アイドルミカサ『うん………』


ぐいっ……


奥まで突っ込むと、ミカサの頬が一気に赤く染まった。

アイドルミカサ『あん……!』

きゅっと締まる感覚が伝わってくる。それに気を取られると、一気に絞り出されてしまいそうだ。

エレン『お、ふ……』

その辺をうまく調整しながら、エレンはゆっくりと押し進める。

少し回転を加えるような前後運動をして、ミカサの中を徐々に味わっていく。

アイドルミカサ『ああ……エレン……もっと、もっと……』

エレン『もっと……なに?』

アイドルミカサ『もっと、もっと』

エレン『だから、何がもっと?』

アイドルミカサ『もっと、エレンが、ほしい……』

エレン『!』

急にそんな事を言われて、顔面が真っ赤に染まって動けなくなるエレンだった。

アイドルミカサ『………エレン?』

エレン『いや、今の……なんか』

顔を手で隠して、まともにミカサを見れない。

エレン『すげえ嬉しいな』

そう、答えるだけで精一杯だった。

アイドルミカサ『そうなの?』

エレン『ああ………そう言われると、はりきらざるおえん』

エレンの腰は、もっと深く、奥深く、突き進んだ。

アイドルミカサ『あん! エレン……! 気持ちいい……!』

エレン『こうか? これがいいのか? ミカサ』

アイドルミカサ『はあはあ……うん……ああっ……どんどん、突いて……!』



グイッ……!!



アイドルミカサ『あああっ!』

喉元が、仰け反る。

髪を振り乱し、脚をエレンに絡み付けるようにして、ミカサはエレンを独占した。

その様子を羨ましそうに見つめる、他のミカサ。

アイドルミカサは、そんな他のミカサと目が合って、ゾクゾクとした。

今、この瞬間だけは、エレンを独占しているのだ。

優越感で、一杯になる。

初めにあった羞恥心は消えて、今は勝ち誇ったような顔になる。

そんなミカサを見ていて、他のミカサは露骨に嫉妬心を顕わにした。

エレン(あああっ……やばい……俺の方が先にイキそうだ)

ミカサの中が気持ち良すぎて、ミカサより先にイってしまいそうだ。

そこをうまくコントロールしないといけないのに。

男としては、そこが腕の見せどころなのに。

エレンはミカサの顔を見ていたら、我慢できずに、そのまま………

エレン『うっ………』


ドピュウウ!!


中に大量の液を放出してしまった。

エレン『あっ………』

出してしまってから後悔した。

エレンはへなへなと、崩れ落ちてしまう。

エレン『くそー……失敗した』

アイドルミカサ『ふふ……私の勝ち』

ミカサはエレンを先にイカせた事に小さなガッツポーズを作る。

アイドルミカサ『エレンをイカせるのが、目標だった。私が先にいかせた……ので、私の勝ち』

エレン『くそおー……アイドルのミカサは負けず嫌いだな』

エレンは三人のミカサの微妙な違いに気づいていた。

多分、コスプレに合わせて若干性格にも差が出ているのだろう。

エレン『アイドルミカサにも、中でいかせたかったんだけどなー』

アイドルミカサ『そうなの?』

エレン『そりゃそうだろ。というわけで、二回目いくぞ』

アイドルミカサ『え? え? まだ続けるの?』

エレン『ああ。ミカサの可愛い顔を見てれば、俺の息子はすぐ復活するから大丈夫』

エレンはそう言いながら挿入を外さず、そのままおかわりをした。

エレン『ちょっと体位を変えてもいいかな。次は………>>153に挑戦しよう』

ミカサにケツだけ星人のポーズをさせながらエレンのエレンサン(Son)を挿入する

>>153
ケツだけ星人推しですねwwwww
要は前屈でいいんですよね? 図を見る限りそんな感じ?

エレンは一度、滾ったものを引き抜いて、アイドルミカサを立たせた。

アイドルミカサ『?』

エレン『ミカサ、一度、前屈をしてくれ』

アイドルミカサ『こう?』

エレン『もっとだ……もっと、深く。ギリギリまで、両手を下げろ』

アイドルミカサ『こ、こう……? (ぐいーっ)』

ミカサは体が柔らかいので前屈は得意だ。

エレン『そうそう。その姿勢のまま、両手は左右に伸ばして。手を振って』

アイドル『こ、こう?』

エレン『そうそう。そのまま左右に移動して「ケツだけ星人、ブリブリ~♪」って言ってみろ』

アイドルミカサ『?!』

ミカサは顔を赤らめてエレンの方を見た。

アイドルミカサ『け、ケツだけ星人?! な、なにそれ……』

エレン『子供の頃、読んでた本にそういう笑える本があったんだ。アルミンが貸してくれた』

アイドルミカサ『え、ええええ……』

ミカサはちょっぴり、アルミンに対して引いていた。

アイドルのミニスカートでは、あそこが丸見えだ。

実に眺めがよい。ああ、眺めがよい。

ミカサは『アルミンの馬鹿……エレンに変なこと教えて……』とブツブツ言っていたが、エレンのじーっと期待に満ちた視線にやられて、恥ずかしそうに、左右に移動して、お尻を振った。

アイドルミカサ『け、ケツだけ……星人……ブリブリ……』

エレン『声が小さい』

アイドルミカサ『け、ケツだけ星人……ブリブリ……』

エレン『腰の振りが足らん。もっと、激しく!』

アイドルミカサ『け、ケツだけ星人……ブリブリー!!』

ミカサはエレンに言葉責め(?)をされながら、羞恥心と戦った。

やけくそ気味に叫んで、涙目でエレンの方を見ると何故か『合格』と微笑まれた。

エレン『いやあ~もう、ミカサ、最高なんだけど』

アイドルミカサ『エレンの馬鹿……エッチ……』

顔を覆って消え入りたくなるミカサだった。

>>155
まさかケツだけ星人で興奮するとは思わなかったw

エレン『ははは……ミカサ、そのまま、前屈気味のまま、立ってろ』

アイドルミカサ『え?』

エレン『そのまま後ろから、俺の息子を入れてみる』

アイドルミカサ『ええ? このポーズのまま、入れるの?』

エレン『ダメか?』

エレンは好奇心が旺盛な少年だ。思いつくと何でもやりたがる悪い癖がある。

エレンの目の輝きに圧倒されて嫌とは言えないミカサだった。

アイドルミカサ『ダメじゃ……ないけど』

エレン『じゃあ、挑戦だ。尻、こっちに出して』

ぐいっと引き寄せられて、本当にそのポーズで挿入をされるミカサだった。

アイドルミカサ『あう……』

正常位の時とは少し違う圧迫感がある。

姿勢のきつさもあるが、なんというか、変な感じだ。

さっきより、不思議と、エッチな気分になってくる。

エレン『壁がねえと、支え辛いな。壁、出てこい!』

エレンがそうイメージすると、都合の良い白い壁が出てきた。

エレン『あ、ついでに全身を映せる鏡もお願いします』

そうお願いすると、追加して鏡も出てきた。

これでミカサの表情が良く分かるようになる。

>>157
忘れがちですが、これエレンの夢の中ですからね。
実際にはまだやってもらってないので、二回目ありますからね。

アイドルミカサ『ああん!』

鏡に自分が映って、より恥ずかしさが増す。

鏡越しに、他のミカサがじーっと見ている。

嫉妬の炎を感じる。どうやら二回目をされていることに嫉妬しているようだ。

その視線がより、快楽を導く。ゾクゾクして堪らない。

アイドルミカサ『ああ……エレン、早く、して』

エレン『焦るなよ。この体位は、なかなか…』

締め付け方が正常位と大分塩梅が違うなとエレンは思った。

なんというか、口でされている時の感覚に近い。

膣の向きが反対になるせいだろうか。エレンは自分自身をコントロールしながら、ゆっくりと、腰を回し始めた。

アイドルミカサ『ああん!! (ビクビク)』

彼女の柔軟性が成せる技だろう。立ちバックより更に難しいその体位なのだが、ミカサは素直に受け入れていた。

その激しい体の動きに遂には耐え切れず、ミカサは両手を壁につけてしまう。

だんだん立ちバック寄りの体位に変化してきたが、そのおかげでエレンの腰の速度は加速した。

このまま、一気にいかせてやりたい。

アイドルミカサ『あ…ダメ……なんか、くる』

ぶるぶる震え始めたミカサの様子を見てエレンは『いいから、いけ』と、耳元で囁いた。

アイドルミカサ『あ……あああああっ…あああっ!!!』


ぎゅぎゅ……


まるでエレンのそれを吸い込むような脈動が起きた。

それに引っ張られるように、エレンも遅れて中に出してしまう。

体の中がドロドロだった。ぬるぬるした感覚が体の中に残っている。

エレン『はあ……はあ……はあ……』

さすがのエレンも、四連発を終えると体力的に疲れが見え始めた。

少しだけ瞼が落ちそうになるが、ミカサを支えて、後ろから抱きしめる。

エレン『ちゃんとイったか?』

アイドルミカサ『うん……イった……はあはあ』

エレン『そっか、良かった』

ぎゅうぎゅう……

後ろから、ミカサを抱きしめる。

エレン『これで全員、ブチ込めたな。少し休憩しよう』

安堵感でいっぱいになったエレンはその時、すぐには気づかなかった。

すぐ傍に、第四のミカサが近づいてきている事に。



チャーンチャーンチャーン……チャチャチャーンチャチャチャーン♪



その時、何故かエレンにとっては聞き覚えのない音楽が流れた。

知っている人は知っている、某有名な曲だ。某登場人物が現れる時に使われる曲だ。

まあ、その音楽が流れるとだいたい、ラスボスが出てくるわけなのだが。



ミカサ『随分、お楽しみだったようね? エレン……<●><●>』



本妻、登場である。

立体機動をつけて飛ぶ時の普通の私服姿のミカサが何故かブレードを構えたままエレンに近づいていた。

ミカサ『エレン、あなたは随分、絶倫のようね。三人も相手にして、全員イかせるなんて<●><●>』

エレン『え? あの……ミカサ……さん?』

思わずさんづけしてしまうエレンだった。

エレン『え? え? ちょっと待て。全部同じミカサだろ? 俺、ミカサが好きなんだから、当然、手出してもいいんだろ?』

ミカサ『そうね。皆同じ、ミカサ……なので、エレンが手を出すのも道理。だけど』

ミカサはブレードを構えたまま近づいている。

一歩、一歩ずつ。ゆっくりと………

ミカサ『でもそっちのミカサは、いわばステージ用の私。何故、一番身近にいる筈の、普段の私には、手を出さないの? エレン?』

エレン『えええええ?! いや、ちょっと待て。落ち着けミカサ。別にお前に手を出したくないとか、そういう話じゃないぞ!! 最初に出てきたのが、たまたまこっちのミカサだったって話で……!!』

ミカサ『でも、欲情したのは、そっちの私。普段の私では、そこは勃たないのかしら? <●><●>』

エレンはミカサの迫力にたじたじだった。

エレン『そ、そんなわけないぞ! むしろ普段のお前が一番……!!』

手、出したいんだぞ!! と言いかけて、しかし自身の息子はすっかりしょげている様を見て、エレンはそれ以上言えなくなった。

四回も出したのだ。すぐに回復というわけにはいかないようだ。

その様を、ミカサにじーっと見られて、ますます不穏な空気になる。

ミカサ『口とあそこが一致してないようだけど?』

エレン『待て!! ミカサ、落ち着け!! 話し合おう。話し合えば、きっと……』

ミカサ『何を話し合うの? エレンはもう、勃たないんでしょう?』

エレン『ち、違う! 勃つ! ただ今はちょっとだけ、休憩してるだけだ!』

ミカサ『本当? まだいけるの? エレン』

アイドルミカサ『だったら、まだやりましょう、エレン』

全裸ミカサ『私も、もう一回やりたい』

セーラーミカサ『私も、是非』










四人ミカサ『『『『やりましょう、エレン』』』』










エレン「うわああああああああああああああああああああ!!!」

エレンの絶叫で、アルミンも飛び起きた。なんだなんだ? と。

アルミン「だ、大丈夫かい? エレン……何か寝汗が酷いよ。悪夢でも見たの?」

エレン「いや……悪夢じゃねえけど。悪夢じゃねえけど」

エレンはガクブルガクブルしていた。口と行動が一致していなくてアルミンは首を傾げる。

アルミン「どうしたの? 言ってごらんよ。楽になると思うよ?」

エレン「……………ひ、引かないか?」

アルミン「うん」

アルミンは即答したのでエレンは恐る恐る答えた。

エレン「……ミカサが四人出てきた。うち、三人とやらしい事して、四人目には怒られた」

アルミン「? ちょっと説明が端的すぎるよ。エレン、もうちょっと詳しく」

エレンは心臓の動悸を鎮めながら詳しい説明をするとアルミンは途中で吹き出してしまった。

エレン「アルミン!」

アルミン「ごめんごめん。いや、なんていうか、気持ちはすごく分かる。あのステージを見た後じゃ、そういう夢を見てもおかしくないよ」

エレン「そ、そうか…?」

アルミン「うん。実は僕もちょっとだけ、いい夢見させて貰ったよ」

周りを見ると、エレンが絶叫したのにも関わらず、アルミン以外は起きなかったようだ。

どうやら夢の世界を満喫しているようだ。似たような夢を見ているのかもしれない。

時刻は朝の4時過ぎくらいだった。中途半端な時間に起きてしまい、エレンは自身の下着を確認する。

案の定、悲惨な事になっていた。

エレン「アルミン、俺、下着洗ってくるわー」

アルミン「ああ……僕も付き合うよ」

二人は互いに照れくさそうに起きだして、朝のうちに自分の不始末を処理しようと思ったのだった。




そんなこんなで、あの夢のステージの次の日の朝は、男子は妙にそわそわしていた。ほぼ全員。

女子と目を合わせるのが照れ臭くてしょうがなかったのである。

朝食時、エレンはミカサの方をまともに見れなかった。

ミカサを見たら、夢の内容を思い出してしまうからだ。

エレン(夢の中の俺、本当、好き勝手にやっちまったなあ)

現実では絶対出来ないような事のオンパレードをやり尽くした。

そういう自覚はある。

だからエレンはミカサの食べる姿を目に入れる事すら出来なかった。

その唇を見つめるだけで、下半身がもぞもぞしてくる。

そんな不審なエレンの様子にミカサも怪訝な表情だ。

ミカサ「エレン? どうしたの? 食欲ないの?」

エレン「え? いや、そんな事ねえよ。ちゃんと食べるさ」

もぐもぐ……

決してミカサとは目を合わせないようにして会話をする。

ミカサはそんなエレンの動きに違和感を覚えつつも「そう」と答えたきり黙り込んだ。

パンを咥えて齧る様が、なんというか、艶かしく感じてエレンはさっと視線を外した。

ダメだ。だから見ちゃダメだって。

エレンはただの食事にすら、ムラムラしている自分を叱咤した。

だいたい食べ終わり、ミカサは言った。

ミカサ「そういえばエレン、今日はどのカードを使ってくれるの?」

エレン「え?」

ミカサ「まだナンバー⑦と③しか消化していない。どんどん使っていって欲しいのだけども」

エレン「うっ…」

昨日の夢のせいでエレンはカードを使うことに抵抗感があった。

だってほとんどのカードが、エロスに結びついている。

エレン(どうすんだよ、俺……)

今更だが、あんな変な要求、書くんじゃなかったと後悔する。

エレン(でも使わないわけにはいかねえし)

エレンは考えた。次は、どのカードを使おうかと。

エレン「分かったよ。じゃあ今日は、ナンバー>>169のカードを使う」

(*>>37を参照してください)

と、いうわけで一旦休憩します。腹減ったし、眠いし。
またねノシ

乙ゆっくり休んでくれw

13番でw

保守

>>169
>>170
ありがとう~!
ちょこっと続けます。

エレン「今日はナンバー⑬のカードを使わせてもらう」

ミカサ「ナンバー⑬というと、ツイスターゲームね。どんなゲームなの?」

エレン「俺も詳しくは知らん。それはベルトルトが書いたからな」

ミカサ「え? エレンが自分で書いたのではないの?」

エレン「………すまん。なんか皆と相談して決めている内に、成り行きで他の奴らにカードを奪われて書かれちまったのもあるんだよ」

ミカサ「それでは、エレンのお願いにはならないのでは……」

エレン「いや、いいさ。どうせ俺の頭じゃ13個も案なんて出なかっただろうし、皆の案を結局受け入れたのも、俺なんだし」

ミカサ「そうなの。ちょっと残念」

エレン「あ、勿論、自分で考えたお願いも混ざってるから安心しろ。その……もし、どうしてもダメだって思うものがあったら、却下していいからな」

ミカサ「う、うん……」

エレンは自分に予防線を張った。

これでもし、ミカサが断った場合は、失敗ということで逃げられる。

いくつか断って欲しいお願いを頭に浮かべながらエレンは席を立った。

今日は立体機動の訓練が主に行われる。準備をしなければ。

エレン「じゃあな、またな!」

ミカサとはそこで分かれて男子寮に戻るエレンとアルミンだった。

ミカサは一人、女子寮に戻ってから考える。

ミカサ(エレンの本当のお願いは、どれなんだろう?)

と、ちょっとだけ気になりながら訓練の準備に入るミカサだった。

そんなわけで一日の訓練を無事に終えて、エレンは早速、ベルトルトに「ツイスターゲーム」なるものを教えてもらうことにした。

ベルトルト「このゲームは、こういう色と番号を書いたマットの上に、男女が同時に手をついて、先に崩れたほうが負けっていう単純なゲームだよ」

ツイスターゲームのセットを持っていたベルトルトは、それを男子寮の中で広げながら説明してみせた。

エレン「へー……よくこんなゲーム持ってたな」

ベルトルト「いや、実はこれ、手作りなんだ。……ライナーの」

エレン「え?! ライナーが作った? 嘘だろ?」

ライナー「本当だ。パッチワークの要領で、それっぽく作ったんだよ」

よく見るとそのツイスターゲームのマットは、ツギハギだらけの、手作り感満載の代物だった。

エレン「すげえ……よく作ったな。こんなの。でも何でわざわざ作ったんだ?」

ライナー「いつか、天使とこれで遊べる日がくるように祈ってな」

エレン「天使?」

アルミン(クリスタの事か……)

アルミンは察していた。天使といえば、クリスタしかいない。

ライナー「ごほん、まあいいじゃないか。皆で楽しく遊べる日が来ると思ってな。頑張って作ったんだ。本家とはちと違うツイスターゲームだが、だいたいのルールは同じだから、楽しく遊べるぞ」

エレン「じゃあ、誰か模擬ゲームやって見せてくれよ。俺とミカサがやる前に」

ベルトルト「えっ……(男同士でやるのは、地獄なんだけど)」

エレンにそう言われて焦るベルトルトだった。

ベルトルト「お、僕は……指示を担当するよ。誰か他の人が見せてやってくれない?」

ライナー(ずるいぞ! ベルトルト!)

ベルトルト(ごめん……)

視線だけで会話する二人だった。

さて、誰を指名するべきか。

ミカサ「では、>>175>>176の二人でやって見せて欲しい」

ライナー

アニ

ミカサが奇妙なことを言った。ここにはアニは居ないはずなのに…。

と思っていたら、よく見たら、周りにアニがこっそり紛れ込んでいた。

ベルトルト「あれ? アニ…いつの間に男子寮に」

アニ「? ……あれ? 何でだろ?」

ライナー「おいおい大丈夫か? アニ? 疲れてるのか?」

アニ「なんか散歩してたらいつの間にか男子寮に来ちゃったみたいね。……今から何かするのかい?」

ライナー「ああ……ツイスターゲームをするんだ。アニもやるか?」

アニ「やらないよ。それ、結構しんどいゲームじゃないか」

ミカサ「そうなの?」

アニ「ああ。体のリーチの短い私には不利なゲームだ。ベルトルトとか、ライナーみたいに手足が長くないと勝つのは難しい。それと、体が柔くないと」

ミカサ「そう……だったらアニ、模擬ゲームをやってくれるなら私の明日の朝のパンをあげよう」

アニ「サシャじゃあるまいし。別に要らないよ」

エレン「えーでも、折角来たんだからやってみせてくれよ。俺、アニがやってるところを見てみてえんだけど」

アニ「………なんで?」

エレン「え? そりゃあ………アニは強いからさ」

アニ「私が強い?」

エレン「格闘術でもダントツだろ? だったら、こういうのも強いのかなって思ったんだけど」

アニ「さっきの話聞いてたの? これは、リーチの差があると不利なんだって。いくら格闘術の得意な私でも、負ける時は負けるよ」

エレン「ちぇ……そうなのか。なら仕方ねえな」

アニ「私はこういうのは見てるほうが好きだね。他に誰かやれば?」

男子一同(((男同士ではやりたくねええええ)))

アニ「どうしてもって言うなら、勝ったら何かご褒美が欲しい。それ次第では、やってあげてもいいけど」

ライナー「ご褒美……例えば>>178とかか?」

ライナーとベルトルトが踊る

ベルトルト「ちょっと……今、なんて言った?」

ライナー「え? 俺とベルトルトで踊って見せると…」

アニ「へえ……踊ってくれるんだ? 二人で? 社交ダンス?」

ベルトルト(しかも社交ダンスの指定が入ったー?!)

ライナー「ああ、別にいいぞ。いいよな? ベルトルト」

ベルトルト「う、ううう………」

ベルトルトは困っていたが、がっくり項垂れた。

ベルトルト「仕方ない。妥協しよう。じゃあアニ、模擬戦やってくれるかな?」

アニ「了解♪」

アニは髪をかきあげた。対戦相手は当然、ライナーだ。

ライナー「お手柔らかに頼むぞ」

アニ「ふん……絶対勝って、躍らせてやる」



カーン! (イメージゴング)



というわけで、ライナーVSアニのツイスター対決が始まった!

ライナーのお手製ツイスターゲームはこんな感じの図面だった。

上から見ると、赤、黒、青、緑の丸い布に1から6までの数字が書かれている。

つまり、上から見るとこんな感じ。

赤黒青緑
①①①①
②②②②
③③③③
④④④④
⑤⑤⑤⑤
⑥⑥⑥⑥





ベルトルト「ええっと、じゃあいくよ……ライナーが緑の1番」

ライナー「ほっ!」

ベルトルト「アニが赤の6番」

アニ「ふっ!」

まずはライナーが端っこに足の先をのせた。

アニも同じく。

ベルトルト「次はライナーが黒の1番。アニは緑の6番」

ライナー「まだまだ余裕だな」

アニ「まあね」

とまあ、こんな感じで繰り返していくのである。

ベルトルト「ライナーが赤の2番、アニが黒の5番」

ライナー「よいしょ」

アニ「んっしょっと」

ベルトルト「ライナーが青の4番、アニが青の4番」

ライナー「さあて、ここからが本番だ」

アニ「だね」

ベルトルト「よっつ足がついたから、次は自由に手足を一個外していいよ。次は……ライナーが赤の4番。アニは赤の3番」

ライナー「ふっ」

アニ「ふー」

うまくクロスさせて、ギリギリ手や足をつけている。

エレン(なんか、結構際どいゲームだな)

見ているだけでドキドキしてきた。

これは柔軟性がないときついかもしれない。

そしてゲームがどんどん進み、アニとライナーはかなりギリギリな姿勢になってきた。

アニ「くっ……ライナー粘るね」

ライナー「まあな……アニもなかなかやるじゃないか!」

アニの胸が、ライナーの腕に当たっている。

丁度、ライナーの指示数字が、アニの胸の下の部分にあるのだ。仕方がない。

ライナー「ふふ……いつか来る未来の為に、俺はこっそり特訓していたのだ!」

アニ「変態だね」

ライナー「なんとでもいえ! アニ! お前には負けん!!」

アニ「そう……でも、これならどう? (どすん)」

アニは体勢をうまくひっくり変えてブリッジ状態でライナーの背中に乗った。

一同に歓声が湧き上がる。

エレン「すげえ! 形勢逆転した!! アニ、すげえ!」

ミカサ「なるほど。柔軟性だけでなく、頭も使って戦うのね」

ライナー「ふっ……アニの体重くらいなら、軽いものだ。余裕だな」

アニ「あっそ……でも、これでもまだ耐えられる?」

アニはその時、自分の体重を全部、ライナーの背中に乗せた。

自分だけ楽チンになれるように。

ライナー「ふぐっ……!」

アニ「まだ粘るの? ふーん」

ベルトルト「ライナー緑の6番、アニ、赤の1番!」

アニ「ちっ……」

ベルトルトの助け舟にアニは舌打ちした。

今の指示で少し離れざる負えなくなったのだ。

アニ「ちょっと……今のはないんじゃないの?」

ベルトルト「そんな事ないよ。公平にしたつもりだけど」

アニ「ふん……えこひいきして。まあいいけどさ」

そして勝負を続ける。

アニは極力、ライナーの上に乗るような形で手足をのばした。

逆をやられたら、一発でアウトになってしまうから。

そのハンデを承知の上で、アニは頭をうまく使って手足を伸ばして、頑張った。

が……

遂にどうしても頑張れない状況に追い込まれる。

アニ(くそっ……顔面にライナーのぴーーーが)

顔がどうしても、それに近すぎて気持ち悪い。

正直、近づけたくない。さてどうするか。

アニ(違う手を交差させるか? いや、でも、ここを乗り切らないと後が辛い)

ライナー(うお……アニの顔が、俺のブラウンに近いぞ!!)

外野が急にざわざわし始めた。

やるのか? やるのか?

そう、期待の視線がアニに突き刺さるが………

ベルトルト「ライナーアウト! 右手が外れてるよ!!」

ライナー「え? ああ………」

ベルトルトのジャッジで勝負はそこまでとなった。

胸を撫で下ろすベルトルトであった。

エレン「おおお……アニ、やるじゃねえか」

ミカサ「見直した。体のハンデを頭を使ってうまくかわしていた」

アニ「ふん……まあ、不利なのは代わりないけどね。さてと……ライナー、ベルトルト、社交ダンスやってくれるんだよね?」

ライナー「仕方ねえな。ベルトルト、頼むぞ」

ベルトルト「とほほ………」

アニ「やるなら、ちゃんとした衣装を着てやって。大丈夫。ライナーの女装衣装は私が作ってやるよ」

ベルトルト「本格的!?」

アニがククク……と不気味な笑みを浮かべていた。

アニ「それとも……ベルトルトが女装をするかい?」

ベルトルト「ライナーでお願いします(`・ω・´)キリッ」

ライナー「お、おい………困ったな。俺が女装するのか」

何だか満更でもなさげなライナー兄貴を見ていると、ちょっとだけ微妙な表情になるエレンだった。

エレン(まあ前回、女装しまくった俺がどうこう言える立場じゃねえけどな)

ミカサ「なるほど、だいたい分かった。これをエレンと私がすればいいのね?」

そう言えば忘れていたが、本題は二人のゲームだった。

アニ「え? ミカサとエレンもやるのかい?」

ミカサ「元々、そのつもりだった。私達はルールを知らない……ので、その為に模擬戦を見せて欲しかったの」

アニ「………そうだったの」

アニは何やら神妙な顔つきでエレンを見ていた。

エレン「な、なんだよ」

アニ「あんたの方から言いだしたのかい? とんだムッツリ野郎だね」

エレン「ムッツリ? 何だよそれ」

アニ「ムッツリをムッツリって言って何が悪い。まあライナーもたいがいだけど」

ライナー「心外だな。何を言う。俺はムッツリじゃない。オープンだ」

エレン「だから何の話だよ」

エレンは首を傾げている。

エレン「なあアルミン、ムッツリって何だ? なんか馬鹿にされてる気がするんだけど」

アルミン「ああ………ええっとね。うん。スケベ心を隠すタイプのスケベがムッツリで、それを隠さないタイプがオープンって言うんだ。このツイスターゲームをやりたい奴は……まあムッツリと言えなくもないかな」

ベルトルト(すんません……)

まるで自分のことを言われているようで胸が痛むベルトルトだった。

エレン「え? なんでだ?」

アルミン「ゲームに格好つけて、女の子の際どい場所に触れたりするからね。大義名分というカモフラージュを身にまとって、スケベな事が出来るから、別名ムッツリゲームと言えなくもない……かな?」

エレン「なっ………そ、そうなのか」

エレンはようやく納得したように顔を赤くした。

エレン「み、ミカサ……ど、どうする? やりたくねえなら、キャンセルしたっていいんだぞ?」

ミカサ「えっと………>>187

エレンのしたいようにしてほしい

ミカサ「エレンのしたいようにしてほしい」

エレン「え?」

ミカサ「だって、エレンのお願いだもの。私が決めるのは変な話」

エレン「いや、でも、嫌なら断っていいんだぞ? 俺、そう言ったよな?」

ミカサ「だから、エレンがしたいのならしていいと言っている」

エレン「う~~~~~~~」

ここで「したい」と答えたらムッツリスケベが確定したようで何だか複雑な心境になるエレンだった。

エレン(そりゃどっちかと言われたら、俺は多分、ムッツリだとは思うけどさ……)

コニーやライナーに比べたら、自分はそこまでスケベ心を表には出せない質なので、多分、合っているんだろう。

出来るなら、断って欲しい。

ミカサが嫌だって言ってくれさえすれば、全てが丸く収まるのに。

けれど、ミカサが動いてくれそうにないので渋々エレンの方から妥協した。

エレン「したいわけじゃねえけど………」

ミカサ「じゃあやめよう。無理にする必要はない。ナンバー⑬は破棄ということで」

アニ「ふーん………やめるんだ」

ライナー「勿体ねえな」

コニー「勿体ねえよ」

ジャン(ほっ……やめるのか)

それを見てジャンだけがちょっとだけ、安心していた。

アルミン「………本当にいいの? エレン」

アルミンが心配そうにエレンの顔を覗いている。そして小声で耳打ちする。

アルミン「別にムッツリだと思われてもいいじゃないか。ミカサは気にしないって」

エレン「そういう問題じゃねえよ」

アルミン「じゃあなんでやめるの。ここまできて。エレンらしくないよ」

エレン「だってさあ………その……は、恥ずかしいだろ」

アルミン「そりゃそういうゲームだからね。でも、本当はやりたいんじゃないの?」

本心は…………やりたい。

でも、それを認めるのが恥ずかしくて、エレンは素直に頷けなかった。

エレン「やっぱりいいって。俺、やめるわ。ベルトルト、すまねえな」

ベルトルト「え? ああ……いいよ。どうしても無理なら、やめた方がいい」

ミカサ「………………」

そんなエレンを見てちょっぴり寂しそうな顔をするミカサだった。

なんだかお開きムードになりかけたその時、ミカサは言った。

ミカサ「じゃあ別の誰かとやってみる。私と、やってみたい人、いる?」

エレン「?!」

ジャン「はい!!! はいはいあひあはいはいあ!」

アルミン「ジャン……興奮しすぎだから。気持ち悪いよ」

ジャン「なんとでもいえ! ミカサとなら、俺やるぞ! 絶対やる!!」

アルミン「(鼻息荒くて本当気持ち悪い)ジャンがやるくらいなら、僕がやるよ」

アルミンは仕方なく助け舟を出した。

アニ「ミカサが相手なら、私でもいいけど」

三人の候補があがった。さて、誰と対戦しようか。

ミカサ「では……>>190と一緒にやってみる」

ジャンでw

エレン(なん……だと?!)

エレンは振り向いた。ジャンが勝ち誇った目でエレンを見ている。

ジャン「よっしゃあああああ!!!」

エレン「本気かミカサ……」

ミカサ「折角、ベルトルトが用意してくれた……ので、一度もやらずに仕舞うのはどうかと思って」

エレン「だからって、何でジャンを選んだ?! アルミンやアニでもいいだろ?!」

ミカサ「…………一番やりたそうだったから」

ジャン「そうだな!! やる気があるのは俺だな!!」

むふーとやる気満々のジャンにアニとアルミンは若干、いやかなり引いていた。

アニ「うわあ……」

アルミン「エレン、止めるなら今のうちだよ?」

エレン「…………………」

エレンは一度言い出した事なので、今更自分がやるとは言えなかった。

言えなかったけど……ニヤニヤしているジャンを見ているとぶん殴りたくなるほどムカついてくる。

エレンの酷い顔に、アルミンは内心「そんなに嫌ならなんで止めないの」と思ったがそれ以上は言わなかった。

アニ「仕方ない。指示は私がやってあげるよ。ジャッジはベルトルト、頼んだよ」

ベルトルト「ああ…分かった」

アニ「じゃあ準備して」

ミカサとジャンがスタンバイした。

アニ「じゃあ……ミカサは>>194、ジャンは>>195を触って」

眠いので今日はここまで~ノシ
指示に合わせて体勢が変わるぜwwwまたねノシ

凄くウザイじゃん...

すまん

右手を赤で

あれ?みんなボケないんだ…
番号わざと書いてなかったんだけど…まあいいや。

>>197
んじゃ自分のした安価はナシにしとくわ
ボケろと言われても正直あの振りじゃ分からんよ

アニ「ミカサは凄くうざいジャン、ジャンは右手で赤を触って」

ジャン「?! 意味が分からんが」

アニ「赤なら何番でもいいんだよ。ボーナス指示だよ。勘の悪い奴だね」

ミカサ「凄くうざいジャン、とは……ジャンのどこかを触ればいいの?」

アニ「ああ。ジャンは今、『すごくうざいジャン』だからね」

ジャン「…………(←ツッコミ入れるのが面倒臭い)」

ミカサとジャンは指示通りに手を触れた。

ミカサはジャンの服の先っちょを摘む。

ミカサ「これでいい?」

アニ「いいよ。次の指示いくよ。ミカサは赤の>>199、ジャンは緑の>>200を触って」

エレン(あれ? なんか普通のツイスターゲームじゃなくなってねえか?)

エレンは異変に気づいていたが、何故か他の奴らが誰もツッコミを入れなかった。

すまぬ。ヒントが少なすぎたね。安価出しなおす。
あと、ライナーお手製のツイスターゲームですまぬwww
貧乏だから、買うより作るかなと思ってね。


オリジナルツイスターの表記、追記しとくわ。

赤黒青緑
①①①①
②②②②
③③③③
④④④④
⑤⑤⑤⑤
⑥⑥⑥⑥


アニ「いいよ。次の指示いくよ。ミカサは赤の>>202、ジャンは緑の>>203を触って」

エレン(あれ? なんか普通のツイスターゲームじゃなくなってねえか?)

エレンは異変に気づいていたが、何故か他の奴らが誰もツッコミを入れなかった。

3

5

ジャン「緑の5番だな」

ミカサ「赤の3番ね」

よいしょっと、それぞれ手足を伸ばしていく。

図解を交えて解説しよう。

ミカサ→●

ジャン→■

で表していくので、脳内で想像を補完して頂きたい。


赤黒青緑
①①①①
②②②②
●③③③
④④④④
⑤⑤⑤■
■⑥⑥⑥


現在の配置はこんな感じだ。

ジャンは赤の6番、緑の5番を、ミカサは赤の3番と、ジャン自身を触っている。

アニ「次は……ミカサが緑の4番、ジャンが赤の4番」

赤黒青緑
①①①①
②②②②
●③③③
■④④●
⑤⑤⑤■
■⑥⑥⑥

アニ「次は…ミカサが青の5番、ジャンが黒の3番」

赤黒青緑
①①①①
②②②②
●■③③
■④④●
⑤⑤●■
■⑥⑥⑥

かなりごちゃごちゃになってきた。ここからが本番だ。

アニ「ここからは好きな手をひとつだけ離していいからね。次はミカサが青の6番、ジャンが青の2番」

ジャン「まじか……!」

結構しんどい体勢になってきた。

赤黒青緑
①①①①
②②■②
●③③③
■④④●
⑤⑤●■
■⑥●⑥

ミカサがジャンに触れていた手を離してジャンの下になってギリギリの姿勢で耐えている。

周りの歓声があがる瞬間だった。

ジャン(ぐああああおれのキルシュタインがミカサの背中にあたってるうううう!)

想像するとアレだが、気持ち悪いのは耐えて頂きたい。

アニ「次はミカサが黒の5番、ジャンが赤の5番」

赤黒青緑
①①①①
②②■②
●③③③
■④④●
■●●■
⑥⑥⑥⑥

ジャンがミカサの上に覆いかぶさるという何とも言えない状況に、エレンは静かに怒りを溜めていた。

アルミン(だから嫉妬するくらいなら何故やらないのエレン)

アルミンは困惑するしかなかった。

アニ「ちょっと指示するの疲れた。パス……アルミン、お願い」

アルミン「え? ああ……じゃあ、ミカサは赤の>>210、ジャンは緑の>>211で」

1

1

ジャン「なんだと…?」

かなり辛い体勢にさせられる番号を指示されてしまった。


赤黒青緑
●①①■
②②②②
③③③③
■④④●
■●●■
⑥⑥⑥⑥


ジャンは緑の1番、5番に足を、赤の4番と5番に両手をついている。

更に言うなら、ミカサは大股を開け広げ、物凄い地面ギリギリで耐えている。

赤の1番、緑の4番に足先を、黒と青の5番に両手をつけているのだ。

ミカサの額に汗が浮かんでいた。

そんな様子を眺めていたら、エレンのイェーガーも反応せずにはいられない。

アルミン「次は、ミカサが青の3番、ジャンが緑の3番」

赤黒青緑
①①①■
②②②②
③③●■
■④④●
■●●⑤
⑥⑥⑥⑥

アルミン「次は、ミカサが黒の3番、ジャンが青の2番」

赤黒青緑
①①①①
②②■②
③●③■
■④④●
■●●⑤
⑥⑥⑥⑥

だんだん絶妙に体が重なってきた。

まるで、ミカサの上にジャンが乗っかっているように見える。

エレンの我慢の限界が、そろそろやってきようとしていた。

ジャン(やべええ……このゲーム最高すぎる!)

もうずっとやっていたい心地で両手両足をプルプルさせるジャンだった。

エレン「ミカサが黒の6番……ジャンが赤の1番」

アルミン「え?」

アルミンは驚いた。エレンが勝手に指示したから」

アルミン「エレンはダメだよ。参加しないんでしょ?」

エレン「指示ならいいだろ。ミカサ、いいよな?」

ミカサ「うん……」

赤黒青緑
■①①①
②②②②
③●③■
■④④●
■⑤●⑤
⑥●⑥⑥

エレン「ミカサが緑の6番、ジャンが青の1番」

赤黒青緑
■①■①
②②②②
③●③③
■④④●
■⑤⑤⑤
⑥●⑥●


エレンが徐々に二人を引き離そうとしているのは見え見えだった。

ジャンは舌打ちしてエレンを睨む。

エレン「ミカサが青の4番、ジャンが赤の3番」

赤黒青緑
■①■①
②②②②
■③③③
④④●●
■⑤⑤⑤
⑥●⑥●


アルミン(うわああ……露骨な引き離しだ)

ジャンの指示がかなりアクロバティックになっているが、ジャンは耐えていた。

ジャンはミカサのお尻をガン見する位置にいるが、重なるのよりは、こっちのほうがいいとエレンは思ったらしい。

ジャン(くそおおお……もう無理だ! ミカサの尻がああ尻があああ!!)

もうゲームそっちのけでジャンはミカサの尻を見ていた。

ジャン(俺の負けでいい!! キルシュタイン、いきまーす!!)

ジャンはそして力尽きたフリをして、体の体勢を崩した。

ミカサの尻の上に顔をつけるというラッキースケベ作戦の気配を感じたアルミンは、すぐさま「ミカサ、青の6番!」と指示をした。

ミカサはジャンの頭が尻にぶつかる前に、さっと右足を移動させて、難を逃れた。

ジャンの頭は、青の4番あたりに落っこちた……。

アルミン「はい、ジャンの負けー……結構二人共粘ったねー」

ミカサ「私が勝ったの?」

アルミン「うん、ジャンがバランス崩したからね」

ジャンは顔を伏せたまま、ピクピク痙攣していた。

尻にダイビングするのは失敗したが、概ね幸せそうである。

エレン「はー……ミカサ、どうだった? 楽しかったのか?」

エレンは不機嫌なままそう言う。ミカサは「うーん」と微妙な顔つきだ。

ミカサ「もう少し、粘りたかった。まだ余裕があったので、もっと強い人とやりたかった」

エレン「まじか……お前、相当足広げてたのに、まだ余裕あったんか」

ミカサ「自分ひとりなら、赤緑の1番と、赤緑の6番を触っても余裕はあると思う」

アルミン「ミカサ、これはそういうゲームじゃないから……」

アニ「まあ今のを見ている限り、そこまで酷い変形が必要な場面はなかったし、ミカサだったらもっと難しいのでもやれたんじゃない?」

エレン「………………」

なんかこの空気だと、第2戦やりそうだな。

そう思って、エレンは手を一度、パンと叩いた。

エレン「もう時間だ。あんま遅くまで遊んでると明日が辛いだろ。もうやめようぜ」

アルミン「あれ? もうそんな時間だっけ。じゃあ続きはまた今度でいいか」

ミカサ「そうね。今日はこれでお開きにしましょう」

そう言って、ようやくツイスターゲームはおしまいになった。

しかしジャンは顔をつけたまま気絶していたので、マットが片付けられない。

アルミン「………しょうがない。ジャンに毛布かけて、明日の朝、片付けようか」

アルミンの優しさでジャンはそのまま放置されることになった。







エレンはその日の夜、また夢を見ていた。

今度は全裸ではなく、ちゃんと私服を着ていた。

目の前には、全身タイツを着たミカサが寝転がっていた。

エレン『………………何だこれ?』

ミカサ『エレンが私とツイスターゲームをやってくれないから、いっそ私がツイスターゲームそのものになろうと思って』

エレン『アホか。俺はやらねえぞ』

エレンはさっさと離れようとしたが、その時、アナウンスが聞こえた。

アルミン?の声『赤の1番』

エレン『へ?』

その後、体が勝手に、ミカサの体の……赤の1番は右肩の部分だったが、にくっついてしまった。吸い寄せられるみたいに。

エレン『ちょ……なんだよこれ! 手が……くっついて』

アルミン?の声『赤の2番』

次はもう片方の手が、ミカサの胸と右肩の間にくっついた。

なるほど、ということは、赤の3番は、右胸か!

アルミン?の声『青の5番』

次は何故か左側の腹筋に、手がくっついた。

エレン『や、やめろ……! 俺をこれ以上、変態の道に導かないでくれ!』

しかしエレンの抵抗も虚しく、アルミン?の声は次々と指示を続けた。

アルミン?の声『青の>>220番』

またかよ! という声が聞こえてきそうですが、
夢の変態エレンパート第二弾です。
どんどん、エレンを変態の道へ導いていきます(笑)。

ジャン

アルミン?の声『青のジャン番』

エレン『え? 青のジャン番???』

青のジャン『呼んだか?』

青い全身タイツのジャンが何故か現れた。

ちなみに、ミカサは青と赤のセンターマンタイプの全身タイツである。

ミカサ『エレンが私を拒むのなら、ジャンが代わりに相手になる』

エレン『ええええ?! そんなカオスな展開いらねえよ!!』

ミカサ『では選んで。青の6番を。エレン、ここを、触って』

青の6番は、ミカサのあそこの位置に近かった。

ほんの少し、中央寄りに触ればバッチリ触れる位置である。

エレン『ごくり……』

ジャンを触るくらいならミカサの方がいい。

エレンは吹っ切れて、ミカサの体に触れた。躊躇いなく。

ミカサ『あっ……』

小さく漏れたその甘い声に、ビリビリと、電流が走る。

エレン『全身タイツの上から触ってるのに、感じてるのかよ』

ミカサ『仕方ない。だって、エレンの手には、そういう力があるのだから』

エレン『ええ? そんな馬鹿な。俺にそんな能力はねえよ』

ミカサ『いいえ。エレンには私を感じさせる力がある。どこを触っても、エレンに触られると、私は感じてしまうの』

エレン『そいつは困ったな……他の場所もそうなのか?』

ミカサ『試しに好きな場所を触ればいい』

エレン『じゃあ……青の5.5番』

ほんの少し、上にずらしてみると、

ミカサ『あん!』

ミカサがまた、高揚した。ちょっと面白い。

エレン『赤の5.8番』

少しまた、ずらす。どうやら、番号を適当に言っても、手が勝手に自動修正してくれるようだ。

青のジャン『くそおおお羨ましいいいいい!! (ギリギリ)』

青のジャンは嫉妬心を顕わにしてエレンを睨んでいる。

エレン『へっ……現実との逆転だな。ジャンに見せつけてやろうぜ、ミカサ』

ミカサ『あん……エレン!』

エレンは一度だけ青のジャンを睨み返すと、そのまま、手を滑らせた。

エレン『青の5.9番』

ミカサ『ああ! (ビクン)』

エレン『くそ……本当は直接触りてえんだけどな……無理か』

ミカサ『ごめんなさい。このタイツは脱げないの』

エレン『だろうな。まあいいさ。全身タイツの下は、どうなってんだ?』

ミカサ『勿論、全裸だけど……』

エレン『それが分かれば十分だ!』

ぐいっ………



ミカサ『きゃあ! エレン! ちょっと……間に、挟まってる…!』

エレン『挟んでるんだよ』

ミカサ『それじゃツイスターの意味がない! ゲームを途中でやめないで!』

エレン『うるせ! ばーか! こんなムッツリゲーム、やってたらこうなるに決まってるだろうが!』

ミカサ『ひゃん! (ビクン)』

エレン『この状態を皆に見られるの、嫌だったんだ。絶対バレると思って……だから出来なかった。ごめん』

ミカサ『エレン………』

エレン『中には入れないから、素股でいいから、このままちょっとヤらせてくれよ』

ミカサ『うん………』


青のジャン『もう帰りたい……』


青のジャンは悲しそうにその光景を見つめていた。

エレン『じゃあいくぞ……! (グイッ)』

ミカサ『ひゃん! (ビクン)』

エレン『はあ……はあ……』

前後に腰を動かすと、先走りが全身タイツに絡みついて湿ってきた。

こういうのもたまには悪くないかもしれない。

エレン『ミカサ、顔のタイツ、外すぞ(グイッ)』

ミカサ『あ……』

髪が汗でぐっしょりしていた。全身タイツだから当然だ。

というか、ミカサの汗の量が凄い。

タイツが汗に染み込んで変色し始めている。

エレン『暑いのか? ミカサ……』

ミカサ『すこし……』

エレン『脱水症状になるとまずいな。水! 水出てこい!』


ポン!


毎度お馴染みデリバリーが、出てきた。

エレン達がよく使う、革製の水筒がエレンの手に収まる。

一気に口に含んで、ミカサに口移しをした。

ミカサ『ふぐっ………ぷはあ!』

エレン『俺もちょっと飲もう』

ごくんごくんごくん……

飲み終わってからふと冷静になる。

エレン『ん? よく考えたら、全身タイツは脱がせたほうがいいよな。ハサミ出てこい!』


ポン!


エレン『よっしゃ! これでタイツに穴を開けられる!!』

ミカサ『き、切っちゃうの?』

エレン『だって暑いんだろ? そりゃ切るさ。>>229の部分を切ってもいいか?』

ミカサ『お尻?! お尻の部分を切っちゃうの?』

エレン『ああ…だってほら、こんなに汗、かいてるだろ? 気持ち悪くないか?』

ミカサ『かいてるけど…は、恥ずかしい』

エレン『ダメか?』

ミカサ『ダメじゃないけど……』

エレン『ダメじゃないのか。じゃあいいよな?』

ミカサ『………うん』

ミカサはエレンにひっくり返されて、尻を向ける羽目になった。

エレン『動くなよ。動いたら肌、傷つけるから』


ジャッキン……✂


伸ばしたタイツに切込みを入れて、丸く、尻を見せるように綺麗に切り取った。

切り取られた部分は、汗が大量に染み込んでいて、ミカサの匂いが移っていた。

それを、口の中に入れてむしゃむしゃ噛んで見せるエレンに、ミカサはぎょっと驚いた。

ミカサ『エレン! 何してるの?! 汚い!!』

エレン『んー? 別に? ちょっと塩味がして美味いぜ?』

ミカサ『やめて………エレン、恥ずかしい……』

プルプル震えて懇願するミカサを見ていると、エレンはついつい目を細めてしまった。

口の中のタイツの切れ端を捨てて、エレンはミカサを寂しそうに見つめた。

エレン『悪いなミカサ。これが俺の本性だ。やっぱ、引くよな、こういうの』

ミカサ『え………?』

エレン『こういう部分、見たくなかっただろ? でも俺、本当はこういうのが好きなんだ。ミカサが恥ずかしそうにする顔を見るのが、大好きなんだよ』

ミカサ『……そ、そうなの?』

エレン『ああ。だから、どうしてもダメだって思ったら全力で言ってくれ。でないと……ついつい調子に乗って、俺、いろいろやらかしちまうから』

ミカサ『………うん』

エレン『尻、破いたから少しは涼しくなったか?』

ミカサ『すーすーする………』

エレン『じゃあここから、入れてもいいか?』

ミカサは一度、左右を見た。

青のジャンと目が合う。

ジャンは泣きそうな顔をしていたが……

ジャン『もう好きにしろ。俺は見ない…』

と言って、ジャンは背中を向けてしまった。

ミカサ『うん、いい。エレン、入れて』

エレンは挿入をする為に、カチャカチャと、下半身の衣服を全て脱ぎ捨てた。

そそり立つそれは、ミカサの中に入りたくてうずうずしている。

エレン『今日はバックだな。この格好だし』

ミカサ『ん? ん………』

エレン『もう少し慣らした方がいいかな。指いれてみるぞ』


ぬるり……


エレン『おお……なんだ? 意外と楽に入ったな』

前回の淫夢の時よりスムーズになっててびっくりした。

以前、あんなに苦戦したのが嘘みたいだ。

ミカサ『言ったでしょ……エレンには、私を感じさせる力があるって』

エレン『ミカサ……』

ミカサ『入れて。早く……私を、ツイストして』

エレン『なるほど……洒落がきいてるな』

エレンはぐぐぐっと、後ろから押し入った。

ミカサ『はあああ! (ぎゅうう)』

エレン『ちょっと……ミカサ! そんなに急に締め付けるなって!』

ミカサ『だって……ああん、もっと、深く、押し込んでえええ』

エレン『なんか今日のミカサ、すげえノリがいいな』

ミカサ『あふ……焦らさないでええ……』

エレン『やべ……動きたいのに、すぐ動けねえ』

ミカサに気力を吸い取れるような感触がある。

ふわふわしてきた意識の中で、エレンは一度、息を吐いた。

そして、腰を一旦、後ろに引いて、押す!

ミカサ『あん…!』

押す!

ミカサ『ひゃあん!!』

力強く、押す!

ミカサ『もっと、もっとおお!』

エレン『はあ……はあ……!』

このペースだと早漏と思われても仕方ないかもしれない。

エレン『いかん……もう出そうだ……』

ミカサ『いい……出して……お願い…!』

エレン『おま、前は出しちゃダメっつってたのに』

ミカサ『いいの……出したほうが、気持ちいいの!』

エレン『そうかよ!!』



ドピュ………ドクドクドク……!



注ぎ込んだ、一発目。

ミカサはそれを自分の中に吸い取るように、ひくひく体を言わせている。

エレン『はあ……はあ…………はあ……』

イったのに、硬度が弱っていない。二発目も、いくか?

エレン『はあ……はあ……はあ……』

まだまだ。こんなのは序章に過ぎない。

もっと、もっと、もっとミカサが欲しい。

そう思い、エレンは一度、自分のものを引き抜いて、ミカサの顔をこっちに向かせた。

ドロドロに溶けたミカサの表情は、普段の固いものとは雲泥の差があった。

エレン『もう一回、行くぞ……』

しかしそう宣言したその時、






ミカサ「エレン………? まだ起きないの?」






突如、耳の奥に落ちたその声にハッと我に返った。

目が覚めると、男子寮に何故か、普段着のミカサが、いた。

エレン「あだのsfんfksdlgsdgls………!!!」

言葉にならない言語が出た。心臓が飛び飛び出そうになった。

アルミン「あ、やっと起きた。もう……朝ご飯の時間、終わちゃったよエレン」

エレン「え? なんで……起きなかったんだ俺?」

アルミン「何度も起こしたんだけどね。ぜーんぜん起きる気配がなかったんだ。死んだように寝てたよ、エレン」

エレン「そっか……疲れてたのかな、俺」

アルミン「かもねー。一応、パンだけはこっちで取っておいたよ。はい、どうぞ」

エレン「……悪い」

エレンはハンカチに包んだパンだけ、その場でもぐもぐ食べた。

ミカサ「エレン、昨日のツイスターゲームの事なのだけども」

エレン「んぐ!」

ミカサが急に話しかけたものだから、喉を詰まらせかけた。

アルミン「ああもう、ミカサ! 今のはミカサが悪いよ」

ミカサ「………ごめんなさい」

エレン「んぐ! いや、大丈夫だ。で? 何?」

ミカサ「ツイスターゲームなのだけども、エレンはどうしても、やりたくない?」

エレン「ん? んーまあな。あんまり、やるのは気が進まねえな」

ミカサ「……私と、二人きりでも?」

エレン「え?」

ミカサ「皆に見られるのが嫌だったんでしょう? 多分……違う?」

エレン「………………」

違わない。その通りだ。

ミカサ「だったら、ちょっとベルトルトに借りて、どこか皆のいない場所でやればいいのでは? と思ったのだけども」

エレン「そんな都合のいい場所、ねえだろ」

アルミン「んー……なくはないんじゃない?」

アルミンは意地悪そうに答えた。

アルミン「倉庫とか、ちょっとスペース空ければ出来なくはないよ。二人でやればいいんじゃない?」

アルミンは暗に二人でイチャイチャする事を勧めてくる。

ミカサ「エレン……ダメだろうか?」

エレン「だっ……」

下半身は幸い、今、布団で隠れているので、ミカサには見られてないけども。

実はさっきの淫夢のせいで、エレンのそこはビンビンなままだ。

そんな状態で、おねだりされたら、いろいろと困るわけで。

エレン「ダメだ。ツイスターゲームは、却下。俺はやらない」

ミカサ「…………どうしてそんなに拒むの?」

エレン「だって……勝てるわけねえもん」

ミカサ「そこは、私がわざと負ければ」

エレン「いや、そういう意味じゃなくて」

理性が勝てないという意味なのだが、微妙に通じていないようだ。

アルミンはニヤニヤ笑っている。くそう。

ミカサ「ではどういう意味?」

エレン「……………」

淫夢を思い出していろいろと困るエレンだった。

エレン「悪い。ミカサ、これ以上は追求しないでくれ」

ミカサ「…………」

エレン「今日は別のカード使うからさ、>>237のカードを使うから。勘弁してくれよ」

(*>>37を参照してください)

今回はここまで~またねノシ
なんかサクサクカードを消費できなくてすみません。

12

ミカサ「ナンバー⑫ね。……着替えているところを見せてもらう、か。一緒に着替えるの?」

エレン「いや、俺は着替えないけど。ミカサが訓練服から私服に着替えるところを見せて貰えたらそれでいい」

ミカサ「場所は何処で? 女子寮ではさすがに出来ない」

エレン「あ、そっか……」

アルミン「医務室行ったら? あそこなら、カーテンすれば誰にも見られないよ」

ミカサ「じゃあ仮病を使って医務室に行きましょう。今から行く?」

エレン「! い、いや……普通に訓練が終わってからでいい。そんなに急がなくていい!」

ミカサ「………そう」

エレン「じゃあ、そろそろ時間だろうし、今日の準備するか。ミカサ、また後でな」

ミカサ「分かった」

そしてミカサはいつものように窓から男子寮を出て行った。

エレン「……………はあ」

心臓はまだドキドキしている。

ナンバー⑫を選んだのはいいけど、この調子で最後まで持つのだろうか。不安だ。

そんなエレンにアルミンは言った。

アルミン「いい加減、降参したらいいのに」

エレン「アルミン…………」

アルミン「前回の、キス事件の時から思ってたけど、エレン、ミカサの事を女として見てるよね?」

エレン「は、はっきり言うな馬鹿!! それはその………アルミンにはさすがにバレるか」

アルミン「いや、僕だけにバレてるとかそういう話じゃないと思うけど(皆にバレバレだと思うけど)」

アルミンのツッコミをスルーしてエレンは頭をわしわし掻いている。

エレン「あーもう……あの時、気絶してるミカサにうっかりキスしちまってから、どうも調子がおかしいんだよ、俺。前はここまで酷くなかったのに」

アルミン「だからいい加減、降参した方がいいって」

エレン「ダメだろ! その……み、ミカサは俺の大事な家族で、本来ならそういう対象として、接したらいけない………」

アルミン「そりゃ世間の常識を当てはめれば、その通りだろうけど。でも理屈でどうこうなる問題じゃないんじゃない?」

エレン「ううう………」

エレンは懇願するような目でアルミンを見つめている。

エレン「でもアルミン、俺、怖えんだ。ミカサの事、好きだけど、そのせいで、関係が壊れたらって思うと……」

アルミン「君たちに限って言えばそれはないって」

エレン「分かるもんか! あいつは俺の汚い部分を知らないから……知られたら、嫌われるに決まってる」

アルミン(うーん………)

あのミカサに限って言えば、それはないだと言いたいアルミンだけども。

アルミン(多分、僕がどれだけそれを言ってもエレンは信じないだろうね)

それ以前に、男のそういう部分をあまり好きな子に見せたくないというのは、同じ男として共感出来るので、アルミンはあまり深くは突っ込まなかった。

エレン「いや、仮に嫌わなかったとしても……あいつが許してくれたとしても、だんだんそれに甘えそうになる、自分が怖いんだ。暴走したらって思うと、歯止めがきかなくなった時、俺、ミカサにどんな仕打ちをしちまうか……」

アルミン「うーん、そうだね。でもエレン、僕は君だったらその辺をうまくコントロール出来るんじゃないかなって思うんだけど」

エレン「……無理だ。俺、最近、夢の中で何度もミカサを滅茶苦茶に抱いてる。酷いこと、結構してるんだ(*淫夢参照)」

アルミン「あ、そうなの? そこまで認めちゃうんだ。あ、だから今日も寝坊したんだね」

エレン「ああ。俺、自分がこんな変態野郎だなんて、自分でも思わなかった」

エレンはすっかりしょげているが……

アルミン「男なんて皆似たようなもんだって。僕だって、女子の淫夢を見たり、抜いたりしょっちゅうやってるよ?」

エレン「………例えば?」

アルミン「う……具体的に言わせる? うーん。例えば、そうだね。自分が子供の体になって、好きな子が保母さんになってて、子供のふりして好き放題触ったりとか」

エレン「………アルミンにも、あるんだ」

アルミン「そりゃあるよ。普通じゃない? 他の奴にも聞いてみる?」

アルミンはその辺にいたコニーとライナーに話題をふってみた。

ライナー「なんだ? 今日の訓練は格闘術だからゆっくりしているが、長い話は出来ないぞ」

アルミン「いやね、ライナーって、いやらしい夢……淫夢を見たりする?」

ライナー「藪から棒になんだ? まあ、それはそれなりに見たりするぞ」

アルミン「どんな内容か覚えてる?」

ライナー「ああ……自分が逮捕されて、美人なお姉さんにお仕置きされたり、とかな」

コニー「げっ……ライナー、おまえドМかよ~気色悪いな」

ライナー「そういうコニーはどんな夢を見るんだ?」

コニー「俺? んーそだな。外でヤったりとか? 星空の下で、幼馴染とヤっちゃう夢とか……」

アルミン「なかなか野性的な夢だね」

コニー「まあ、願望も混じってるんだろうけどな。割とそういうの、好きだし」

エレンはコニーの「願望も混じってる」という発言に更に落ち込んでいた。

エレン「やっぱり………アレが俺の願望なのか」

コニー「お? エレンもなんかやらしー夢でも見たのか? どんなの? どんなの?」

エレン「言いたくない……」

両手を顔で覆って拒否するエレンにコニーはつまらなさそうに言い返す。

コニー「なんだよー俺たちにばっか言わせてさー……ははーん、さては人に言えないくらい酷い夢だったんだな? エレンのド変態め」

エレン「返す言葉がねえ……」

ライナー「まあまあそんなに落ち込むなって。皆、誰だってそんなもんだ。エレン、俺達はお前がどんなやらしー夢を見ようが、大丈夫だ。だから言ってみろ」

ニヤニヤしながらライナーが言うので、エレンは「本当に?」と念を押した。

ライナー「ああ。変態度で言ったら、多分、俺もどっこいだと思うしな」

ライナーがそう言うので一応信用し、エレンは今朝の淫夢を言ってみた。

エレン「……………全身タイツの、女の尻の部分をハサミでちょんぎって、そこからヤろうとしてもか?」




しーん……




直後、静まり返り、コニーとアルミンとライナーは、腹筋崩壊した。

コニー「エレン…それは酷いwwwwwいい意味で、だけどwwwwww」

ライナー「やばいなwwwwwこんなに大爆笑させられるとはwwww」

アルミン「斜め上の発想だった。いやあ……そこに痺れる憧れるとはこの事だね!!」

エレン「やっぱり、俺……変か?」

エレンは皆の反応を見て青ざめていたが、逆に皆は「いや、逆にいい!」と認めた。

ライナー「いや、俺は全然……俺だったら、ついでに乳首のところも切っちゃうな」

コニー「俺も俺も。自由に切っていいならやるやる!」

アルミン「男のロマンのひとつだよね。いやあ……エレンが羨ましいなあ」

ライナー「だな。いい夢見れてよかったな! エレン!」

エレン「そ、そうかな……」

ライナー「ああ! だからそんなに落ち込むなって! あ、そろそろ時間だな。着替えてグラウンドに行こう」

アルミン「そうだね。じゃあ、エレン、行こうか」

エレン「お、おう……」

皆に励まされて、少しだけ気持ちが楽になったエレンだったが……。

エレン(その相手が、ミカサだっていうのが、一番の問題なんだが)

エレンはそう内心密かに思いながら、また深く、頭を垂れるのであった。

アニ「あんた、今日はどうしたんだい?」

アニと格闘術を組んでいたエレンはアニに不思議そうに聞かれた。

エレン「え?」

アニ「いつもと違って覇気が無さ過ぎるよ。怪我したいのかい?」

エレン「悪い……今日は調子が出ねえわ」

アニ「全く……女のアレじゃないんだから、しっかりしなよ。男だろ」

エレン「面目ねえ」

そう答えながらエレンはアニに引っ張り上げられた。

エレン「はあ……もうあれかな。いっそのこと、女でも買った方がいいんだろうか」

アニ「?! いきなり何言ってんの?」

アニが両目を見開いて驚いているがエレンは構わず続けた。

エレン「でも訓練兵の身分じゃな……そんな高級な贅沢出来ねえもんな」

アニ「あんたにはミカサがいるだろうに。相手して貰えば? 溜まってるの?」

エレン「まあ…………平たく言えばその通りだな」

アニ「あっそ……じゃあ今日は寝技は無しね。うっかり勃たせたら責任取れないし」

エレン「悪い。もう、今日は受身の練習だと思って頑張るよ」

アニ「しっかり落ちなよ。頭から落ないようにね」



ドシーン………!



エレンはまたひっくり返った。それを上から見下ろすようにアニは言い放つ。

アニ「全く。今のあんたは、ミカサの誕生日の時と比べると、格好悪いね」

エレン「ん?」

アニ「あの時はちょっとだけ、いい男になったと思ったのに」

エレン「そ、そうか?」

アニ「ミカサも満更じゃないんだろ? 何を遠慮してるのか知らないけど、さっさと男らしく観念したらどうだい」

エレン「…………アニだったらさ」

エレンはその時、アニに聞いてみた。

エレン「自分の恋人がもしも、変態だったらどうする?」

アニ「え?」

エレン「それが自分の許容範囲を超えるものだったら、どうするんだ?」

アニ「まあ……まずは、蹴り倒すかな。それで罵って、やめるように言うかも」

エレン「それは無理だって言われたら?」

アニ「うう~~~~ん………って、何でいきなりそんな話に?」

エレン「俺、自分でも思ってなかったけど、結構、変態だったみたいだよ」

アニ「?!」

エレン「自分でも最近、気づいたっていうか……だから、その………いろいろ参ってる」

アニ「あんた、じゃあまさか、私に対してもそういう………」

エレン「え? アニは違うよ。ないない。それは大丈夫」

アニはエレンの腹を踏んづけた。ぐしっと。

エレン「ぐほおお!? いきなり何するんだよ」

アニ「別に。ただ、なんとなく」

エレン「足どけろって! なんかこのポーズ、危ないプレイみたいだろうが! 人が見てるぞ!!」

アニ「(ひょいっ)ふん………全く。難儀な男だね、あんたって奴は」

アニはそっぽ向いて言った。

アニ「でも………そうだね。恋人が変態だったら、そりゃあ困るだろうね。女としては」

エレン「だろう? だから、その……俺も落ち込んじまうんだよ」

エレンはため息をついて、座り込んでしまうのだった。

エレン「なんか、体の成長とともに、そういうのが酷くなってきてるんだよな。前はここまで酷くなかったのに。まるで動物みてえで嫌なんだよ」

アニ「ああ……そういう意味もあるわけね」

エレン「ああ。人間なんだから、そういうのはちゃんと理性で自制しねえとな。家畜じゃねえんだから。やりたい放題やるのは、ダメだろ」

アニ「………そう」

アニは少しだけエレンの事を見直した。

アニ「あんたのそういう所は、認めてやってもいいよ。女は、か弱い生き物だからね。男の方がちゃんとコントロール出来る事に越したことはない」

エレン「…………」

アニが「か弱い」という言葉を使う度に首を傾げたくなる心地になるが、前にそれを言ったら、酷い寝技をかけられたので自重するエレンだった。

アニ「でも、それにも限界があるんじゃないの? 人間だもの。流される事も、時には必要じゃないの?」

エレン「………その結果に対しての責任も負えないのに、か?」

アニ「……………」

エレン「そりゃ俺だって、流されたい時がないと言えば嘘になるけどな。やっぱ……先のこと考えると、不安になるからな。俺が我慢するしかねえんだろ」

アニ「あんた、調査兵団を希望してたもんね」

エレン「ああ。その問題も含めてな。いろいろ俺も考える事はあるんだよ……」

……っと、いいながら、エレンは立ち上がった。

エレン「だからと言って気合が抜けるわけにもいかねえか。よし、アニ、来い! 今度は俺が投げ飛ばしてやる!」

アニ「無理でしょ」

エレン「もう大丈夫だ! ちょっと落ち着いたしな。かかってこい!」

アニは木の短刀を持ちながら、少し呆れたようにため息をついたが、「じゃあ行くよ」と言って、突進した。

エレンはそれをがっちり受け止めて、反撃に出る。

しかしそれをかわして、もういっちょ…!


ドシーン………


アニ「私に勝とうなんて10年早い……なんてね」

と、ちょっぴりお茶目に言ってみるアニだった。

いったん切ります。またねノシ









格闘術の訓練が終わり、午後は立体機動の実技練習を行った。

そして今日も一日、無事に訓練を終えて、宿舎に帰る途中、ミカサはエレンを捕まえた。

ミカサ「医務室に行くのでついてきて欲しい」

エレン「お、おう………」

そう言えば、そういう約束だった。

心臓がどくん、と跳ねて、一気に緊張が高まる。

ミカサは立体機動の訓練で少し足をひねったかもしれない、とキース教官に嘘の報告をして、医務室に行くことにした。

医者は「大したことなさそうね。一応、テーピングしておきなさい」という言葉と、包帯だけを残して、適当な治療を施すと、自分の仕事に戻った。

ミカサ「すみません。そこのベッドで、着替えさせて貰ってもいいですか?」

医者「ん? ああ……今は誰もいないから、いいよ」

ミカサとエレンはカーテンで仕切られた、ベッドに座った。

ここに来る時に私服を持ってきていたので、それに早速着替えようとするミカサを、エレンが止める。

ミカサ「? どうしたの? エレン」

エレン「えっ………いや、その……」

思わず反射的に止めてしまった。不自然に。どうしよう。

ミカサ「着替えるところを見たいのではなかったの?」

エレン「えっと……あ、そうだ! ちょっと付け加えてもいいか?」

ミカサ「何を?」

エレン「俺、後ろ向いてるからさ。鏡越しに着替えを見せて欲しいんだ」

ミカサ「鏡………」

エレン「今、手鏡持ってねえか?」

ミカサ「持ってない。でも、鏡くらいなら、そこの壁にかかっているので、それを使えば」

医務室の壁に一枚だけ、縦が30センチくらいの鏡がかけられていた。

エレン「おお! 丁度良かった。じゃあ失敬して」

その壁の鏡をちょいっと借りて、エレンはそれを持って、ミカサに背中を向けた。

エレン「これでいい。あと、もう一つ注文していいか?」

ミカサ「うん」

エレン「絶対、こっちを見ないでくれ。ミカサも俺に背中を向けたまま、着替えて欲しいんだ」

ミカサ「? エレン、私の裸が見たかったのではないの? それではあまり意味がないのでは」

エレン「いや、こっちの方がいいんだ。理由はちょっと言えねえけど……」

ミカサ「……分かった」

エレンの意図がいまいち理解出来なかったが、ミカサは一応頷いた。

エレンはベッドに座ったままだ。そして鏡越しにミカサを見ている。

ミカサは戸惑ったように考えていたが、とりあえず、立ち上がって、エレンに背中を見せて上の茶色のジャケットからまず、しゅるりと脱いだ。

その様子が鏡に写りこんでいるが、エレンはチラリとしか見ていない。

そう。これは鏡というクッションを置くことで、強烈な刺激にならないよう、エレンなりに考えた作戦だったのだが……

この時のエレンはあまり冷静ではなかったと言えるだろう。

はっきり言ってしまえば客観的に考えて、そっちの方がどう考えてもエロい。

しかしエレンにはその自覚はない。くれぐれもその辺は誤解のないように頂きたい。

上のボタン白シャツをしゅるり、と脱ぎ捨てた。

白い二の腕が現わになる。その筋肉の美しさに見蕩れて、エレンは少しだけ羨ましい気持ちになった。

そして下着も一気に脱いだその直後、上だけミカサは胸当てだけの姿になった。

背中の筋肉が素晴らしい。

広背筋の滑らかな曲線と、僧帽筋の適度な量が、ミカサの体の美しさを際立たせていた。

大円筋(肩甲骨の付近の筋肉のこと)や、それにかけての、上腕三頭筋(二の腕の筋肉あたり)、外腹斜筋(ウエスト部分)、専門的な筋肉はこれ以上は分からないが、エレンはその筋肉の繋がりを目に焼き付けるように鏡越しに見ていた。

すると、ミカサはチラリと振り向いて、エレンを見た。

エレン「こっち見んな」

ミカサ「! ご、ごめんなさい」

ミカサはさっと前を向いた。

ミカサ(…………今のは、一体)

一瞬だけ、見えた。鏡に映ったエレンの顔つきが別人のようだった。

いつも大きい眼を半分位に細めて、口角をほんの少しだけ釣り上げていた。

目の奥が暗くて、ゾクリとした。

あんな表情のエレンは、初めて見る。


ドクドクドクドク………


自然と心拍数が上がる。ただ着替えているだけなのに、何でこんなに緊張をするんだろう。

エレン「ミカサ、早くしろよ」

ミカサ「! ご、ごめんなさい」

ドキンと、また心臓が跳ねた。何か今、また。

変な心地になって、そわそわして、落ち着かない。

ミカサ(エレン、今の声……)

苛立っている訳じゃないようだが、なんていうか……

ミカサ(面白がっている?)

そう。今のエレンの声は、低いけれど、決して不機嫌ではなかった。

なんていうか、そういうワクワクした心境を押し殺す時の、エレンの声だった。

エレンが喜んでいるのなら続けよう。

そう気を取り直して、ミカサは後ろに手をやった。

背中の留め具を外して、胸当てを外す。

汗で染み込んだそれはあまり長くつけていると、かぶれを起こす事もある。

なのでミカサは一日の訓練が無事に終わると、下着も全て一度着替えることにしている。

汗が染み込んで臭いし、早めに洗わないと、布そのものも傷んでしまうからだ。

だから、胸当ても外したのだが……

ミカサ(ビクンッ)

胸当てを外した瞬間、良く分からない感覚に襲われた。

まるで背中から射抜かれたような、矢が突き刺さったような……

ミカサ(いや……)

その表現は不適切だ。実際の経験上、ミカサは背中に矢を刺された事はないので、その痛みを脳内に再現出来るわけではない。

しかしエレンの視線は、それに近いものだとしか言えなかった。

ぞわり、と神経が逆立つのが分かる。

まるで自分の意思とは関係なしに、第六感が警報を鳴らしているようだ。

ミカサ(で、でも……エレンは着替えろって言ってるし)

エレンのお願いを無下にしたくなかったミカサだったが、自分の意思とは反対に体がうまく動かなかった。

エレン「………どうした? 取らないのか?」

ミカサ(ビクンッ)

ミカサは肩を震わせた。胸当てを外す途中で止まっていたので、エレンが不審がっているようだ。

ミカサ「う、うん……」

ミカサは妙な気配を感じながら、しゅるりと、胸当てを外した。

その直後、

エレン「そのまま」

ミカサ「え?」

エレン「ちょっとでいい。そのままで」

ミカサ「…………」

上だけ裸の状態でストップをかけられてしまった。

エレンの謎の指示にミカサは戸惑う。

ミカサ「え…でも、早く新しい胸当てをつけたいのだけども」

エレン「あとちょっとだけ」

ミカサはますます不審に思った。でも後ろを振り向けないので何も出来ない。

ミカサ(エレンは一体、私に何をさせたいの?)

裸を見たいのかと思えば、中途半端に鏡越しに見たいとか言い出すし、服を着替えている途中で、止めさせるし。

こんな変な事をするくらいなら、普通に着替えているところを、普通に見ればいいのに。

ミカサは別にエレンになら自分の裸を見られても、そう恥ずかしくはない。

小さい頃から一緒に暮らしていたのだ。開拓地でずっと一緒にいた。

訓練兵になってからは、男女が別々に生活するので、自然と分かれてしまったが、それまでは、別に着替えを見せ合う事も珍しくはなかった。

だから、ミカサは今、不思議でしょうがなかった。

エレンの意図がいまいち良く分からなくて、首を傾げるしかない。

ミカサ「エレン、もういい? そろそろ寒いのだけども」

エレン「あ、ああ……もういいぞ」

ミカサの声でようやく許可が下りた。

ミカサは新しい胸当てをつけて、その上から新しい下着を着る。

白いボタンシャツも替えて、上はだいたい着替え終えた。

残るはズボンだ。

ズボンの前のチャックを下ろして、さっと下に下ろす。

その瞬間、また。

ミカサ(ビクンッ)

良く分からない感覚がミカサに突き刺さった。

思わず、動きを停止してしまう。

尻を少しだけ突き出したまま、両手は下に下ろしたまま、その状態でしばし固まってしまった。

ミカサ(まただ……)

ミカサはエレンの様子が気になってしょうがなかった。

どうにかして様子が見たい。ちょっとでいい、ので。

ミカサはエレンに気づかれずに後ろを見れないだろうかと考えた。

すると、

エレン「絶対、こっち見るなよ」

エレンの声がそれを見透かしたように制した。

ミカサは困ったように眉を潜めて「分かった」と答えた。

そしてズボンを脱ぎ捨てて、パンツに手をかける。


しゅるり……


エレン(大殿筋、内転筋群、中殿筋……バランスが絶妙だな)

大殿筋とは、尻の一番大きな筋肉で、所謂臀部である。内転筋群は太ももと尻の内側の境目付近で、中殿筋は、腰骨付近の筋肉だ。

座学で体の筋肉の名称は一通り習うので、エレンはその筋肉の流れに見蕩れていた。

もっとずっと、眺めていたい気持ちになるが、あまり時間をかけると不審に思われるので我慢する。

しかしエレンはその時、見逃さなかった。

シルエットになってて、よく見ないと分からないが、そこには確かに。

エレン(……? まさかアレは)

股越しに、ミカサの、陰毛の先が、見えて、そこに絡みついている、何かが。

透明な糸のようなものが。

それを認識した瞬間、エレンの全身の毛が逆立った。

興奮が一気に高まって、ヤバイ。

心拍数が駆け上がる。一度両目を閉じて、休憩する。

エレン(あれが、ミカサの……)

そう思っただけで、やばかった。

夢で見た時の比ではなかった。

現実にそれを直視すると、こうも違うのかと思うと、エレンは胸をおさえた。

今の映像を、ずっと残していたい。忘れたくないとさえ思った。

次にエレンが目を開けた時はもう、ミカサはいつものロングスカート姿になっていた。

ミカサ(もう着替え終わったけれど)

ミカサは後ろを振り向いていいものか迷う。

暫くあえて黙っていたミカサは、そのままの姿勢でエレンの言葉を待っていた。

エレン「着替え終わったな、ミカサ」

ミカサ「うん……」

エレン「じゃあこれでナンバー⑫はおしまいだ。ありがとうな。手間かけさせて」

ミカサ「それはいいのだけども、エレン」

エレン「ん?」

ミカサ「これの何が楽しいのか、私には理解出来ないのだけども」

エレン「んー……それは説明しなくてもいいだろ?」

ミカサ「そうだけども……気になる」

エレン「いいだろ別に。俺はもの凄く楽しかったんだから! じゃあ明日は~」

ミカサ「エレン」

エレンの言葉を遮ってミカサは振り向いた。

ミカサ「私は、エレンが楽しめればそれでいいと思っていたけれど」

エレン「ん?」

ミカサ「その実感が、まだ沸かない。エレンは私にいろいろしてくれた時、同じ気持ちになった?」

エレン「あーうん。まあな。これで本当にいいのかよ!! ってツッコミ入れたくなったな。途中で何度も不安になった」

ミカサ「そう……なら、私のこの不安は、大した問題ではないのね?」

エレン「ああその通りだ。今は実感湧かねえかもしれんが、俺は楽しんでるから、心配するなって」

エレンの機嫌がすこぶるいいようなので、ミカサはそれ以上言わなかった。

エレン「明日はどれにするかな……あと残っているのは……」

ミカサ「エレン、あのね」

エレン「ん?」

ミカサ「順番、なのだけども」

エレン「うん」

ミカサ「私の方からも、選んでいい?」

エレン「お、おう……別にいいぞ。先にやりたいのがあるなら」

ミカサ「でもこれは、むしろ私がして欲しい事なのだけど、いいのだろうか」

エレン「ん?」

ミカサ「ナンバー⑨の、髪を触ってもらうというお願いは、エレンより、私の方が得しているような気がする……ので」

エレン「そうか? 別にそう思わないけどな。じゃあ、今、やっちまうか?」

ミカサ「いいの?」

エレン「おう、いいぞ」

という訳で、エレンは鏡を元の位置に戻してきてベッドに座り直し、ミカサはエレンにちょっと近づいて、頭を差し出した。

ミカサの綺麗な黒髪とつむじが見える。髪に鼻を近づけて匂いを堪能した後、エレンは右手でミカサの髪をナデナデした。

ミカサ「気持ちいい……」

うっとりリラックスしているミカサを見ていたら、自然とエレンも笑みを浮かべた。

エレン「そっか……」

ミカサ「もっと撫でて欲しい」

エレン「こうか? (ナデナデ)」

ミカサ「うん……」

目がとろんと、蕩けているミカサを見ていたら、エレンもだんだん心地よくなってきた。

耳にかかっている髪にも指を絡ませる。ゆっくりと、耳の後ろにも指の先をなぞっていく。

ミカサ「あっ………」

ビクン……と、その時、身を震わせて、ミカサが小さく喘いだ。


ゾクゾク……


エレンはその反応が楽しくて、生唾を飲み込んだ。

ミカサ「なんか今、くすぐったかった。エレン、耳の後ろは……」

エレン「ん? くすぐってえのか。ふふ……」

ミカサ「あっ……」

くすぐったいと申告したのに、よけいにそこを触るエレンにミカサは「もう」とちょっとだけ不貞腐れた。

ミカサ「エレン、そこはやめて。くすぐったい」

エレン「えー……無理」

ミカサの拒否を無視してエレンは面白がってミカサの耳の後ろ側を念入りに撫でている。

その度にプルプル震えるミカサが可愛らしくてしょうがなかった。

ミカサ「もう……エレン、あっ……」

ミカサはちょっとだけ困っているが、本気で制止しようとはしていない。

エレンの好きなようにさせてもいいか、と思っている。

そんなミカサの優しい態度に、エレンもつい調子に乗って、その指を首の後ろに回してしまう。

頭というより、項のあたりを念入りに触れているエレンに、ミカサも恍惚の表情で両目を閉じる。

ミカサ「そこも気持ちいい……」

その瞬間、エレンは急激にムラムラした。

さっきのアレといい、今のミカサといい、下半身はとっくの昔に準備完了している。

ミカサが両目を瞑った瞬間、エレンの体は自然と動いていた。

自分の方に引き寄せて、そのまま唇を重ねようと画策した、その時………



医者「まだ着替え終わってないの? 終わったならさっさと宿舎に戻りなさい」



と、カーテンをしゃっと開けて、医者が注意してきたので慌てて離れた二人だった。

医者「ん? 何? ここは乳くり合う場所じゃないんだけど?」

エレン「す、すみません……! もう戻ります!!!」

エレンは青ざめて慌てて謝罪してミカサを連れて宿舎に戻っていったのだった。

その日のエレンは淫夢を見なかった。

翌日、自然に起き上がる事が出来たのでほっとした。

エレン(そう何度も淫夢を見れるわけねえか)

ほっとした反面、残念な思いもあった。

毎回酷い夢だとは思うが、夢を見ることである程度、気持ちを発散している部分もある。

アルミン「エレン、今日はやらしー夢が見れなかったみたいだね」

エレンより先に起きていたアルミンが、訓練兵の制服に着替えながら言った。

エレンも起きだして、着替えをしながら話す。

エレン「え? ああ……まあな。ま、そう何度も見れるようなもんでもねえよ」

アルミン「だろうね。今のところ、順調に進んでいる? あのカード」

エレン「ああ……③と⑦と⑨と⑫と⑬番は消化したな。今日もまた、指定しねえといけねえな」

アルミン「ふーん……まあぼちぼちだね。じゃあ次は、>>263番を使わないとね」

(*>>37を参照にして下さい)

安価間違えた。take2

アルミン「ふーん……まあぼちぼちだね。じゃあ次は、>>265番を使わないとね」

(*>>37を参照にして下さい)

11でお願いします。

エレン「ぶふーっ!?」

内容的にラスボスに近いナンバーを指定されて吹き出すエレンだった。

エレン「ばばばっばば……馬鹿!! それは最後にしようと思ってたのに!!!」

アルミン「え? そうなの? でも、やるなら今日がチャンスだと思うよ」

エレン「え? 何で?」

アルミン「今日の男子の風呂掃除の当番じゃないか。僕たち。一番風呂を、ミカサと入っちゃえば?」

エレン「そういやそうだったな……」

アルミン「僕、外で見張っておくからさ。ちょっとだけ貸切にしてあげるよ。長い時間は無理だけど」

エレン「もういっそ、三人で入らねえ?」

アルミン「ええ? まあ……どうしてもって言うならそれでもいいけど」

アルミンは困った顔をしているが、一応、釘を刺しておく。

アルミン「僕、もし二人がおっぱじめても止めないからね。その時はそっと抜け出すから」

エレン「………アルミンが俺の命綱だ。だから頼む」

アルミン「しょうがないなあ」

という訳で、結局は三人で、男子風呂の一番風呂に入ることになったのだった。




ミカサ「一応、エレンに水着を用意して来いと言われてきたのだけども」

ミカサは遅れてやってきた。先に水着に着替えたアルミンとエレンはその格好のまま、風呂掃除をしていた。

アルミン「あ、ミカサ。来たね。あともうちょっとで掃除が終わるから、着替えて待ってて」

ミカサ「分かった」

ミカサは戸と閉めると、水着に着替え始めた。

そのシルエットがすりガラス越しに見えてついつい、手を止めてガン見するエレンに、アルミンは「エレン」と声をかけた。

エレン「はっ…悪い、アルミン」

アルミン「顔が赤いよ、エレン。今からそんなんでどうするの」

エレン「そうだな。深呼吸、深呼吸…」

訓練用の黒い水着に着替えてきたミカサにアルミンとエレンは注目した。

こうやってみると、ミカサの体はスタイルがいい。

手足も長いし、ウエストもきゅっと引き締まっていて、実にいい。

アルミンもついつい、見入ってしまうくらいだった。

ミカサ「で……水着のまま三人で一緒に風呂に入ればいいのね?」

アルミン「まあね。規則違反だけど、内緒にしてね」

ミカサ「それは構わない。そもそも女子の私が男子の風呂に入る事自体、違反している」

エレン「すまねえな、ミカサ」

ミカサ「別にいい。でも、このお願いはエレンが書いたものではなさそうね」

アルミン「あはは。ご名答。コニーが書いちゃったものだよ」

ミカサ「そう……まあ、それでも構わない。こうやって三人、ゆっくり過ごせる時間は貴重」

アルミン「そうだね。よし、お湯を入れるよ」

粗方風呂掃除が済んだので、湯を入れて準備をする。

その間、手持ち無沙汰だったので、ミカサは「背中から先に洗う?」と言ってきた。

エレン「え?」

ミカサ「お湯が溜まる待っている時間が勿体無い。エレン、洗おう」

エレン「お、おう………」

エレンはミカサに背中を見せて座った。それにかけ湯をして、タオルに石鹸をつけて、エレンの背中をゴシゴシ洗い始めるミカサだった。

アルミン(おお………)

こんな風に実際にやっている姿を見るのはアルミンも初めてだ。

アルミン(エレンがちょっと大人しい。この調子なら大丈夫かな?)

客観的に見ればそう見えなくもないが実際は違った。全くの逆だった。

エレン(やべえ……もう既に勃ってきた)

背中を洗われているだけなのに、もうドキドキしてきた。

早すぎる体の反応にエレンも戸惑っている。

この場にアルミンがいるからかろうじで堪えきれているが、居なかったらと思うと、本当、恐ろしい。

ざばーっと、さっと背中を洗い終わり、次は腕の方まで洗おうとするミカサだった。

エレン「ちょ……馬鹿! 背中だけでいいって!!」

ミカサ「面倒なので、全部洗いたい」

エレン「自分で出来るところは自分でするって!! おい、ちょっと……やめろ…あっ…!」

ミカサ「ダメ。二の腕も洗う」

ゴシゴシ……ゴシゴシ……

後ろから丁寧に施されてかあっと顔を赤らめてしまうエレンだった。

アルミンはそんな二人の様子をニヤニヤ眺めている。

アルミン(お湯……溜まってきたけど内緒にしとこう)

もう少し、大人しいエレンを見てニヤニヤしたいアルミンだった。

脇の方に手が伸びて、さすがにそこは止めた。

エレン「馬鹿! やりすぎだ! もういいから! タオル貸せ!」

ミカサ「あっ……」

タオルを無理やり奪われて、しょんぼりするミカサだった。

エレンは乱雑に自身の体を洗った。そしてかけ湯をして泡を落とすと、風呂に足をつける。

エレン「もうお湯、溜まってるから先に入るぞ!!」

プンプン怒りながら、二人に背を向けるエレンにアルミンはニヤニヤが止まらなかった。

ミカサ「アルミンも背中を洗おうか?」

アルミン「え? どうしようかな」

エレン「!?」

エレンがアルミンの方を見た。凄い顔をしている。

アルミン「……やっぱりいいよ。自分で出来るから」

ミカサ「そう……残念」

そして二人も体を洗ってさっさと泡を落とすと、お湯に体をつけたのだった。

エレン、アルミン、ミカサの順番で並んで三人はお互いに見ている。

アルミン「こういうの、久しぶりだね」

ミカサ「確かに。ここに来てからは、三人揃う時間も、減っていた」

アルミン「うん。だんだん忙しくなってきたからね。訓練も、二年目にそろそろ突入するし」

ミカサ「二人共去年に比べると筋肉がついた」

アルミン「そう? 嬉しいなあ。まあ、ミカサに比べると僕はまだまだだけどね」

ミカサとアルミンが楽しそうに笑って雑談している。

エレンはそれを黙って聞いている。

ミカサ「そんな事ない。アルミンは努力をしている……ので、着実に筋力はついている。少し触らせて欲しい」

アルミン「どうぞ」

エレン「………」

ミカサ「二の腕の弾力が去年とは全く違う。内側に持久力がついてきた証拠」

アルミン「そうかな? 皆に比べればまだまだだけどね」

ミカサ「私は逆に脂肪がついてしまった。どうしても、女の子なので、胸の方に、脂肪が……」

エレン「…………」

アルミン「それはいい事なんじゃないの?」

ミカサ「立体機動の時にどうしても邪魔に感じる。でも、これがあるおかげでクッションになる時もあるので、一長一短」

アルミン「ああ……なるほどね。胸を打った時は、脂肪が緩衝材になるからね」

ミカサ「そう。なので、大きくするべきか悩んでいる。あまり大きすぎると邪魔になるけど、その……ある方が、男の人は好きだとも聞くし」

アルミン「うーん、さて、どうだろう? エレンはどう思う?」

エレン「俺にふるなよ……」

確信犯のアルミンの振りにエレンは困ったように言った。

エレン「ミカサの好きにすればいいだろ。俺の意見は別に…」

ミカサ「いえ、エレンの意見はとても貴重。ぜひ聞きたい」

エレン「…………」

アルミン「だってよ? エレン。大きいほうがいいのかい? それとも今のままでいいのかい?」

エレン「………今くらいで丁度いいんじゃねえの?」

そう、エレンはそっぽ向いて言った。

エレン「髪と一緒だよ。あんまり長かったりすると邪魔になるだろ。適当が一番いい」

ミカサ「なるほど。では私は胸のマッサージはやめておく。今、女子の間で豊胸マッサージが流行っているけど、やめておく」

アルミン「え? それ本当? 皆やってるの?」

ミカサ「小さいと思ってる子達は特に。多分、胸の大きさに差が出てきたせいだと思う」

早い子や胸の大きくなる素養のある子は、普通、13歳を過ぎた当たりから急成長を遂げる。

ここが女子のひとつの分岐点とも言えるので、遅れをとっている女子は焦っているらしい。

ミカサ「ユミルとクリスタが最初に始めた。サシャも何故か釣られてやっている。今度教えると言われたのだけど……エレンがそう言うならやめておく」

エレン「皆やってんなら、話は別だ。だったらやった方がいい」

ミカサ「え? 何故…」

エレン「人付き合いも大事だろ? ミカサは女子の友達少ないんだし、皆でやってるなら、俺はやった方がいいと思う」

アルミン(うはー……エレンも素直じゃないねえ)

アルミンは「大歓迎してるくせに」と内心思ったが言わなかった。

というか、クリスタもやってるといういい情報が聞けて嬉しかった。

ミカサ「そう。だったらやってみる。ありがとう、エレン」

エレン「別に礼を言われるようなことじゃねえよ」

ミカサ「いいえ。やはり話して良かった。こういう時、私はなかなか一人では決められない…ので」

アルミン「うん、良かったね。その程度の話ならいつでも相談してくれていいよ」

ミカサ「そう……心強い。ありがとう」

ミカサはそう言ってペコリと軽く頭を下げた。

アルミン「いいって! 誰だって迷う事はあるしね。ねえ、エレン」

エレン「まあな……(豊胸マッサージか)」

胸がこれ以上大きくなるのであれば、いろいろ違うことも出来るかもしれない。

……と、一瞬考えて止めた。

エレンは下半身の疼きを誤魔化して、考えるのを放棄した。

ミカサ「男子もそういう体の悩みはあるの?」

アルミン「!」

エレン「!」

ミカサ「女子とは体の仕組みが違うから、筋肉で悩んだりもする?」

なんだ、そっちか。

アルミンとエレンは一緒に胸を撫で下ろした。

ミカサ「?」

そんな二人にミカサは疑問符を浮かべる。

アルミン「うん。筋肉で言えば僕が一番悩んでいるかも。筋肉のつき方に差があるからね。どうしても、体格の差があるのと、遺伝的要素で差が出てきているからね」

エレン「アルミンのおじいちゃん、体小さかったもんな」

アルミン「うん。僕はおじいちゃんに似てるから、そうだろうね。エレンはお母さんに一番似てるから、もう少し大きくなるかもね」

エレン「母さん、女にしては少し大柄だったからな。俺ももうちょい背が欲しいな」

背を伸ばすのであれば魚類を食べるのがいいが、彼らの食糧事情ではなかなかうまくはいかない。

ミカサ「エレンの背がのびるなら、私ものばしたい」

エレン「ん?」

ミカサ「同じくらいの目線でいたい。お揃いがいい」

エレン「無茶言うなよ。まあ、今はそうだけど、そのうち俺の方が大きくなるって。というか、そうならないと困る」

ミカサ「どうして?」

エレン「そりゃだって…その方が都合がいいだろ?」

ミカサ「? 別に……今のままでも都合は悪くないけど」

エレン「いや、俺の都合が悪いんだが」

ミカサ「良く分からない。エレン、もっと詳しく」

アルミン「ああ……背の差があった方が、いろいろ都合がいいんだね」

ミカサ「アルミンまで……」

エレン「そうそう。男の方が大きいほうがいいんだよ。背はな」

ミカサ「むー……」

納得いかないような顔でミカサは不貞腐れた。

ミカサ「同じでいいのに」

ミカサがそういうので、エレンもムキになった。

エレン「いーや、俺の方が背が高いほうがいい。つか、いつかそうする」

ミカサ「だから何で……」

エレン「だってその方が並んだ時に絵になるだろ」

ミカサ「??? 絵になる? 肖像画を作るの?」

アルミン「ミカサ、そういう意味じゃないよ」

アルミンは二人の会話がおかしくてつい吹き出した。

アルミン「その……その方が格好がいいって意味だよ。男はそういうつまらない事にこだわる生き物なんだ」

ミカサ「それは女には分からないということなのね。残念……」

ミカサはたまに感じる男女の差にしょんぼりした。

ミカサ「体だけじゃない。そういう感性の話になると、私は二人についていけない時がある。それが寂しい」

アルミン「んー…ごめんね。ミカサ。こればっかりは、感覚の問題だからね」

アルミンもエレンの言い分にほぼ同意なので、ミカサの味方は出来なかった。

アルミン「なんとなくだけど、背が大きい方が小さい方を守れるような気がするでしょ? そういうことなんだ」

ミカサ「ん? つまりエレンは私を守りたいという事なの?」

エレン「うぐっ……!」

痛いところをいきなり突かれて動揺するエレンだった。

エレン「アルミン!」

アルミン「いや、今のはあくまで例えだからね。例えだから」

ミカサ「だったら私はエレンより背を高くしたい。エレンを守りたい……ので」

エレン「おいおい……ふざけんなよ」

エレンはその時、カチンときた。

エレン「言っとくけどな、背だけは男の方が有利なんだからな。絶対勝ってやる」

ミカサ「それは分からない。遺伝的要素もある。私の母も父もそれなりに背丈はあった。ので、私もこれから背がのびる可能性は高い」

エレン「ふん……絶対、負けねえからな。ミカサにだけは、負けんぞ!」

何故か睨み合いになる二人に間に挟まれたアルミンは困惑した。

アルミン「ちょっと二人共……僕の目の前でそれ以上、背丈の話はしないでよ! イヤミにしか聞こえないんだけど?!」

ミカサ「あっ…ごめんなさい」

エレン「悪い。つい、カッとなった」

アルミン「全くもう………二人共単純なんだから」

面目なさそうにしょげる二人だった。

ライナー「おーい、まだ終わらないのか?」

その時、ひょいっと風呂を覗きに来たライナーだった。

ライナー「あ、今日はミカサも来てたのか。三人で水入らずだったんだな。悪い悪い」

アルミン「いや、いいよ、そろそろ僕たちもあがるから。ミカサ、先にあがってて」

ミカサ「いいの?」

アルミン「もし他の子とかちあったら面倒だからね」

ミカサ「分かった。では先にあがる」

そう言って、風呂から出ていき、先に着替え始めたミカサを見てエレンは目を細めていた。

アルミン「エレン、その顔、ちょっと怖いからやめなって」

エレン「あ……悪い」

エレンは視線をずらしてミカサのシルエットを見ないようにした。

アルミン「どうだった? 大丈夫だったかい?」

エレン「アルミンのおかげで暴走せずにすんだ……ありがとう」

アルミン「実は僕もちょっと照れくさかったんだけどね。でも、なかなか出来る事じゃないから、嬉しかったよ」

エレン「そっか……まあたまにはいいか、こういうのも」

そう言って、エレンはタオルを目の上に乗せたのだった。






そんなわけで、その日の夜は、三度目の淫夢タイム突入である。

三回目になるとさすがに動揺はしないエレンだった。

エレン『ああ……今日は淫夢が見れるんだな。つか、目の前でミカサが着替えてるからな』

今回はエレンの目の前でミカサが着替えている。

ただ、そのミカサの年齢が、10歳の時の、もので。

自分が何故か、今より年食っているという、ちょっと犯罪的な状況だった。

エレン『おれ、20歳くらいか? 体が大きいし、鏡で顔見たら老けてた。でもこの年で10歳の子と一緒に風呂入るって、どうみても子育てじゃねえか』

さすがに子供の頃のミカサには欲情しないだろうと、エレンは思っていたが………。

予想を反して、エレンのイェーガーはちょっと反応しかかっている。

エレン『俺って、ミカサだったら何でもありなんだな』

と、思わずにはいられなかったエレンだった。

10歳ミカサ『エレン! いっしょにおふろにはいろう! ぬいで!』

話し方も今より大分幼かった。ああ、可愛い。

エレン『おーいいぞ。ちょっと待ってろ』

エレンは服をポンポン脱いで素っ裸になると、裸のミカサをひょいっと抱えて風呂場に入った。

男子で使う方の風呂場に一緒に入る。

エレン『体洗うぞー』

ミカサを前に座らせて、かけ湯をしてやった。

頭からお湯をかけると、プルプル震えるミカサだった。

10歳ミカサ『あたま、あらってー』

エレン『おう! ちゃんと目つむっておけよ』

わしわしわし……

おとなしくされるがままの小さいミカサにエレンは萌えを感じていた。

エレン(やべえ…かわええ……いいなあ、こういうのも)

こういう癒される夢の方がいいなあとエレンはついつい思ってしまった。

わしわし何とか髪を洗うと、またお湯をかけた。

そして泡を落として今度は背中や体を洗ってやる。

10歳ミカサ『つぎは、わたしが、エレンをあらう、ばん、なので、こうたいする』

エレン『ん? いいのか? できるのか?』

10歳ミカサ『わたしは、できる!』

やる気満々のミカサに『そうか』と答えてエレンはタオルを渡した。

エレン『じゃあ頼むぞ、ミカサ』

ミカサは拙い手で一生懸命泡をたてて、背中をごしごし洗ってくれた。

エレン(癒されるなあ……)

こういうのもたまにはいいなあと、じーんと思うエレンだったが。

10歳ミカサ『まえも、わたしがあらう!』

と、言ってミカサは鼻息を荒くしながら、前にするりと入ってきたのだ。

エレン『お、おい…!』

無知なミカサは、エレンの股間にも手をのばして小さな手でごしごし念入りに洗い始めたのだ。

エレン『待て! そこはいいんだ! そこは、いい!!』

10歳ミカサ『どうして? ここはだいじなところなので、あらうべき』

エレン『そこは自分で洗う場所なんだ。いいか? 自分で丁寧に洗うんだ』

10歳ミカサ『でも……お母さんは、お父さんのそこをあらってた』

エレン『お、お母さんはいいんだ。お父さんのを洗っても』

10歳ミカサ『では私もいいはず。なぜなら、わたしは、エレンのおよめさんだから!』

エレン『ぶふーっ!!』

鼻から鼻水が飛び出るエレンだった。

ちょっと休憩します。

10歳ミカサとお風呂でいっしょ、です。犯罪臭ぱねえ…。
このあとの展開が白紙なので、妄想を書いてもいいよ。
採用できそうなのがあれば出来るだけ盛り込むよ。

NTR推しワロタwwww腹筋崩壊するwwww
10歳のミカサを誰が寝取るんだ? アルミンか? ジャンか?
夢の中だから、まあ好き勝手にやっていいかwwww

エレン『10歳のミカサを嫁にしたのか?! いよいよもって犯罪的な……』

10歳ミカサ『何を言ってるの? 良く分からない』

エレン『ああ、いい。分からなくていい。子供は分からなくていい』

10歳ミカサ『む……こども扱いしないで! では、何歳だったらここをあらわせてくれるの?』

エレン『えええ? そりゃあ20歳以上だったら……』

10歳ミカサ『わかった。では、成長しよう。エレンがそう言うのなら』

エレン『え?』

すると、ミカサはニョキニョキと手足や髪を急成長させた。

あっと言う間に、エレンと同じくらいの姿に様変わりする。

エレン『…………!』

20歳ミカサ『どう? エレン? これなら問題ない?』

20歳を超えたと思われるミカサが登場した。

素っ裸だから当然だが、大きな胸を直視できる。乳首も含めて。

今のミカサの胸の大きさも、ハリも、大人の女性のものだ。

髪の長さが腰までのびて、妙に艶かしい。

濡れた長い髪が、エレンの心を直接、揺さぶっている。

エレン『なななんあななんあn……おま、どういう事だこれ?!』

20歳ミカサ『エレンが一緒に風呂に入るなら、小さい頃の私の方がいいと言ったので、年齢を変えたのだけども、洗わせてくれないのなら、こっちの方がいいと思って』

エレン『それじゃあ今のミカサは、年を自由に変えられるのか?』

20歳ミカサ『ええ。その通り。エレンの希望通りに、私は変われる』

エレン『へー……』

大人の姿になったミカサはとても綺麗だった。思わず、見惚れてしまう。

筋肉の量は、体を鍛えているのだから仕方ないとして、腹筋は相変わらずだったが、それに加えて、胸の大きさが、今の10代のミカサの倍以上あった。

これは、顔を挟んでパフパフが出来るサイズだろう。

20歳ミカサ『では、洗ってもいい?』

エレン『お、おう……どうぞ』

20歳ミカサ『では遠慮なく』

ミカサはしゃがみこんでエレンのそこを口に咥えた。

エレン『?! おいこら、ちょっと待て!』

20歳ミカサ『はに?』

エレン『普通に洗うだけでいいんだって! 何、いきなりそういう事をしようとしている』

20歳ミカサ『ふぇふぁひはらはめなの?』

エレン『しなくていい! その……普通に洗ってくれたらそれでいいから!』

ミカサはちっと小さく舌打ちして口を離した。

20歳ミカサ『エレンはいつもそう……私からしようとすると、必ず遠慮する』

エレン『いや、遠慮するのは普通だからな。何言ってんだ?』

20歳ミカサ『…………私が嫌がるとやらせるくせに。天邪鬼』

エレン『! それはその……はい、すみません』

20歳ミカサ『まあいいけれど。では、今日は普通に洗ってあげる』

ミカサは泡をつけなおしてエレンの腕を掴んで、腕から洗い始めた。

タオルの泡がもこもこと膨らんで、エレンの乳首の上にも乗る。

そこをわざと掠めるようなミカサの指使いに、エレンも何度かビクンとさせられてしまった。

エレン『おま……わざとか?』

20歳ミカサ『何が?』

エレン『いや、なんでもねえ』

どうも今のはわざとではないらしい。

ただ熱心には洗ってくれているので、エレンもミカサに体を預けた。

胸や腹や、股間は自重してもらったが、足もだいたい一通り洗って貰うと、湯をかけて貰った。

エレン『あーなんかさっぱりしたな』

20歳ミカサ『そう。それは良かった』

エレン『一緒に湯船に入るか?』

20歳ミカサ『もとよりそのつもり』

エレン『じゃあ入るぞ』

ざぱーん……

そして肩を並べて近距離で、向かい合って風呂に入るエレンとミカサだった。

エレンはようやく20歳のミカサをまじまじと見つめる。

20歳ミカサ『……何?』

エレン『いや、胸がでっかくなったなあと思ってな』

20歳ミカサ『10代の途中から豊胸マッサージを早めにしたおかげでこうなった』

エレン『まじか……あの時のアレか』

20歳ミカサ『エレンが後押ししてくれたおかげ。あれがなかったら、このサイズにはなっていない』

エレン『ちょっと触ってみていいか?』

20歳ミカサ『どうぞ』

エレン『じゃあちょっとだけ……』


もみもみもみもみもみもみもみもみもみ………


20歳ミカサ『エレン……』

エレン『ん?』

20歳ミカサ『それはもう「ちょっとだけ」じゃない気がする……のだけども』

エレン『あ、ああ……すまん。ついつい。弾力が楽しくてな』

20歳ミカサ『やはり男の人は、大きいほうが好きなのね』

エレン『嫌いっていう奴は少ないかもしれねえな。あるに越したことはない』

20歳ミカサ『そう……でもこれ以上大きくなると、ちょっと困る。肩が凝るので』

エレン『おーそうなんか。それは困ったな。じゃあ、肩もみしてやるよ』

20歳ミカサ『いいの?』

エレン『そのくらいいいさ。反対向けよ』

そしてエレンはミカサの肩をもみもみし始めた。

20歳ミカサ『あああん! きくうううう』

ミカサが突然、色っぽい声をあげだしたので、驚いた。

エレン『え? そんなにか? 俺、そこまで強く押してねえぞ?』

20歳ミカサ『いいの……丁度いい。ああん……ずっと、もんで欲しいくらい』

エレン『まじか……肩もんで喘ぐって、変な感じだな』

もみもみもみもみもみもみもみ……

20歳ミカサ『あふ……ああん……もっと、続けて…あふ…』

ミカサがどんどん色気のある声を出し始めたので、エレンのイェーガーも立体機動に移った。

肩から首筋に移動してそっちも一緒に揉んでやる。

>>286
パフパフきたーーーーーーーーーーー




ジャンアンドゲスミンがミカサをNTR展開はまだですか?

20歳ミカサ『ああそこ……そこなの……きくううう!!』

びくんびくん……涎が出る勢いでミカサが喘いでいる。

エレン『確かに凝ってるな。胸が大きいと、大変なんだな。定期的に俺が揉んでやるよ』

20歳ミカサ『ありがとう…エレン…あふん……』

エレン『背中も少し凝ってるんじゃねえか? 触るぞ』

20歳ミカサ『あん……』

エレン『ああやっぱりな。筋肉が大分張ってるな。これはいかん』

エレンはついつい楽しくなって湯の中でミカサの体の筋肉を解しにかかった。

しかし湯の中であまり続けるとのぼせるので程ほどにしておく。

20歳ミカサ『エレン、ありがとう…』

すっかり涎を垂らしてトロンとした目をするミカサに、エレンはついつい笑ってしまった。

エレン『だらしねえ顔だな、おい』

20歳ミカサ『エレンがテクニシャンなのが悪い』

エレン『そうか? 普通じゃねえ?』

20歳ミカサ『そんな事ない。気持ちよかった。至福の時だった』

エレン『ふん……じゃあもっと気持ちよくなるような事、するか?』

20歳ミカサ『………………いいの?』

エレン『いいぜ。ただ、湯の中でやっちまうと、のぼせるだろうから、一回あがろうか』

20歳ミカサ『そうね』

そして二人は湯船から出ると、体をタオルで拭いて、一度風呂場から出たのだった。

エレン『ベッドが欲しいなあ……ベッド、出てこい!』

毎度お馴染み妄想デリバリーは何でも出てくるようだ。

エレンがそれを願うと、ハート型のピンクの大きなベッドが出てきた。

エレン『なんだこれ? こんな形のベッド、初めて見るぞ?』

20歳ミカサ『本当。変わったベッドね』

エレン『まあいいか。よし、ミカサ、こっちこい』

20歳ミカサ『?』

エレン『よいしょっと』

ひょいっと、お姫様だっこをしようとして、うっとなるエレンだった。

エレン『思ったより重いな……』

20歳ミカサ『うっ………ごめんなさい』

エレン『いや、俺の筋力不足だな、これは。くそう』

20歳ミカサ『胸に正比例して体重も増えてしまったので……』

エレン『今何キロだよ』

20歳ミカサ『70キロ超えた……』

エレン『通りでボリュームあると思ったよ。まあいいや……じゃあ、10代の頃に戻ってくれるか? それだったら抱えられると思うから』

20歳ミカサ『分かった』

というわけで、15歳のミカサの姿になった。

エレン『よし、ああ……大分楽になったわ。これならいける』

お姫様だっこをして女をベッドに運ぶというのは、まあ一度はやってみたいドリームである。

15歳のミカサは髪がアルミンのようなボブカットスタイルだった。

胸の大きさは半分になってしまったが、こっちの方が今のミカサに近いと言える。

……ので、それはそれでいいかと思ったエレンだった。

15歳ミカサ『では、しよう。エレン』

エレン『んー……』

エレンはまた悪巧みをする時の顔になった。目を細めて何やら考え込んでいる。

15歳ミカサ『エレン?』

エレン『いや……折角、いろんな年代のミカサが見れるなら………どの年代が一番ベストかなあって思ってさ』

15歳ミカサ『それは何を基準に言ってるの?』

エレン『うーん。感度とか? 体力とか?』

15歳ミカサ『それを言ったら恐らく、今の私が一番、ピークだと思う。この頃の私は神がかっていると良く周りに言われた』

エレン『まじか……じゃあもうすぐじゃねえか。あと二、三年後に、ミカサが覚醒するのか』

15歳ミカサ『そうね。でも、この年代の私は一番、苦労が多かったと言える』

エレン『ん? なんだよ。どういう意味だ?』

15歳ミカサ『それは今は言えない。でも、今の私がいるのはエレンのおかげ。エレンの覚醒がなければ、私も今、生きていない』

エレン『………それは未来の話なんだな? 聞いてもいいのか? それって』

15歳ミカサ『詳しくは言えない。でも、エレンは15歳になると、運命的な覚醒を果たすの。そのおかげで、人類は進撃する事が可能になった』

エレン『……それが聞けただけでも嬉しいな』

エレンはミカサにちゅっと、愛しいキスを落とした。

エレン『じゃあ未来の俺達は、結婚してたりするのか?』

15歳ミカサ『それは言えない』

エレン『なんだ……結婚してねえのか。残念だな』

15歳ミカサ『それは…………エレン次第じゃない?』

エレン『ん?』

15歳ミカサ『エレンが、判断すべき時に判断しなかったので……その……』

エレン『なんだよ。歯切れが悪いな』

15歳ミカサ『ごめんなさい。実はもう、私、人妻なの』

エレン『お、おう? 相手は誰だよ』

15歳ミカサ『アルミン』

エレン『そうかそうか……相手はアルミン………………アルミン?!』

エレンはぎょっとした。思わぬ伏兵に脂汗がぶわっと吹き出る。

エレン『え……まじでか? 本当に? 未来で、ミカサとアルミンが結婚するのか?』

15歳ミカサ『エレンがヘタレ過ぎて私を待たせ過ぎたせい。いくら私でも、40歳を超えるまで待たされたら、さすがに心が揺れる』

エレン『ちょちょちょちょっと待て! じゃあ待て、お前の今の本当の精神年齢はいくつだよ!!』

15歳ミカサ『言いたくない。女性に年齢を聞くなんて失礼』

エレン『ああ、じゃあいいや。まあいい。お、俺はじゃあ結局、独身だったのか?』

15歳ミカサ『そうなる。私達より、先に死んでしまった……ので、残された私とアルミンは、自然とそうなった』

エレン『まじかよ……そうか……そんな未来が……』

15歳ミカサ『でもエレン、今のあなたはまだ、選べるはず』

エレン『え?』

15歳ミカサ『今のあなたはまだ、幼い。だから、未来は自由に変えられる。私との未来を望むのなら、出来る限り早く決めて欲しい。でないと………あなたは』

ミカサは非常に言いづらそうに口を閉ざした。

エレン『……………分かった。それ以上はいいよ』

エレンはミカサの気持ちを汲み取って口に人差し指を押し付けた。

エレン『ありがとうな。言いたくないことまで言わせちまって』

15歳ミカサ『構わない。きっとエレンなら、未来を変えてくれると信じてる』

エレン『ああ……じゃあこのまま、一回、ヤってもいいんだな?』

15歳ミカサ『うん……では、しよう。エレン』




二人が、お互いを見つめ合って唇を重ねようとしたその時…………




アルミン「おーい、エレン。また寝坊する気かい?」

エレン「は!」

アルミン「唇突き出して気持ち悪いよ~誰とキスするつもりだったんだい?」

エレン「んfそdhfsfbklsdbgfls……」

エレンはばっと飛び起きて、寸止めで終わったキスにがっくりした。

エレン(くそう。今日は挿入までいかなかった)

淫夢のくせに、淫夢だったら、ヤらせろよ!

と、理不尽な心地で一杯になるエレンだった。

>>289
NTRというか、NTR未来が待ってるぞオチになってしまった。
すんません。今回はうまく話に絡められなかった…。

淫夢なのにエロ展開寸止めですんませんwwww

布団に八つ当たりをして起き出すエレンにアルミンも少しびびる。

アルミン「え、エレン? なんか怖いよ? 何? いい夢じゃなかったの?」

エレン「いい夢だったんだけど、寸止めで終わっちまった」

アルミン「ぷっ……それはご愁傷様。ヤレなくて残念だったね」

エレン「……………」

アルミン「? どうしたの?」

エレン「いや、なんでもねえ」

夢の中でミカサの言った事が気になった。

アルミンと、結婚しているミカサ。

そんな未来が、もし来るとすれば、自分が先に死んでいる未来だという。

エレン(そりゃ、アルミンならミカサを任せてもいいとは思うけど)

少し意外だったのだ。

アルミンは以前、ミカサは自分のタイプではないし、他の好きな子がいるような事を言っていたのに。

それでも、アルミンはミカサと結婚する未来を選べるという事実に、衝撃を隠しきれなかった。

アルミン「なんだい? 変な顔してるね。何か苦いものでも食べた? 夢の中で」

エレン「まあな。ある意味、すげえ苦かった」

アルミン「そう………まあ詳しくは聞かないよ。朝食、食べに行こうか」

そしてエレンは起きだして、アルミンと食堂に向かう。

ミカサは先に食堂で席を取って待っていた。

ミカサ「おはよう、二人共」

エレン「お、おう。おはよー」

エレンはついつい照れてしまった。ここ最近、ミカサがどんどん可愛くなっている気がして。

三人はそれぞれ朝食を取ると、席に座って食べ始めた。

ミカサ「エレン……この間はその、ありがとう」

エレン「ん? 何が?」

ミカサ「あ、頭を撫でてくれて」

エレン「あ、ああ……なんだ。そんな事か。別にいいよ。俺が触りたかったんだし」

アルミン(おお、朝っぱらからお暑いね)

アルミンはそんな風に思いながら、クスッと笑ってしまった。

ジャン「よ、よう!」

そんな二人を邪魔する存在が現れた。ジャンだ。

ジャン「おい、エレン。あの約束、覚えてるか?」

エレン「約束? なんだっけ」

ジャン「カードの事だよ! ナンバー⑨の! 一回だけ、頼んだだろ?」

エレン「ああ……そういやそうだったな。忘れてたわ」

ジャン「そのさ…実は俺、もうすぐ誕生日なんだが、その時にお願いしてもいいか?」

エレン「いつだっけ?」

ジャン「4月7日だ。あと4日でくるんだよ」

エレン「そうなのか。へー……ジャンは俺とほぼ一年違いなんだな」

ジャン「まあな。その……いいかな?」

エレン「まあ、いいか。ミカサ、頼んでもいいか?」

ミカサ「………………………分かった」

ものすごく嫌そうな顔をしたミカサだったのだが、渋々頷いた。

その感情の機微を察したのはアルミンくらいだったが。

アルミン(よけいな指示を追加しちゃったもんだよね)

まあ、流れでそうなったので仕方ないと言えば仕方ないが。

ミカサの嫌そうな顔というのは、普通の人のものと比べると非常に分かりづらい。

表情が固くなるというか、緊張でこわばるのだ。

エレンはそれに気づいてしまい、困ったなと思った。

エレン「あーミカサ、嫌なら断っていいぞ? あれはあくまで俺のカードなんだし、ジャンはついでみてえなもんだし」

ジャン「お、おい……」

ミカサ「3秒くらいなら」

エレン「だってさ。悪いな、ジャン。ミカサがこう言ってるから、3秒だけな」

ジャン「……………分かったよ」

ジャンは二人の絆にしくしく退散していった。

アルミン「そもそも、ジャンが触るっていうのも変な話なんだけどね」

エレン「ん?」

アルミン「だってあのカードの補いは、皆で決めたものだし。ジャンだけ特別扱いするのはちょっと変な気がするなあ」

ミカサ「そうなの? 男子が皆で助け合ったの?」

アルミン「うん。僕もいろいろ考えたしね」

ミカサ「アルミンはどのカードを考えたの?」

アルミン「ええっとね、ナンバー①とナンバー⑧とナンバー⑩のふんどしかな」

ミカサ「ふんどし? あれはアルミンの案だったの? 意外……」

アルミン「スカートめくりはジャンだけどね。そのままだと面白くないし、と思って」

ミカサ「アルミン、酷い………」

アルミン「ごめんごめん♪ でも、エレンがきっと、ミカサのお尻を見たいだろうと思ってさ」

エレン「アルミン………」

エレンは半眼になってアルミンを睨んだ。

アルミン「だって、エレン、ミカサのお尻をよく見てるじゃないか」

エレン「み、見てねえよ! ミカサ、見てねえからな!」

ミカサ「いや……それは気づいているけど」

エレン「えっ……」

ミカサに肯定されて戸惑うエレンだった。

ミカサ「それを言ったら、私も同罪なので、別にいい」

エレン「え?」

ミカサ「私もよく、エレンのお尻を見ている……ので」

エレン「おい、マジかよ! やめろよ!!」

エレンは思わず立ち上がった。

エレン「男の尻なんか眺めてなんになるってんだ。その……そういうのは、やめようぜ、お互いに」

アルミン「あ、自分が見てたことは認めるんだ」

エレン「! い、いや……見てねえけど、見てねえけど、見てたんなら、やめようぜって話だよ」

ミカサ「そう。そうね。下半身の動きが良くなったなあと思って、見てたのだけど。エレンが嫌がるならもうやめる」

エレン「え?」

ミカサ「格闘術の時の下半身の足の運びに、以前よりキレが出てきたなと思ってたの。下半身、特に臀部に筋肉がついて安定してきた証拠だと思う。立体機動も、うまくなったでしょう? そのおかげで」

エレン「あ……ああああ! そ、そうだな……」

ミカサが尻を眺めていた理由と自分の理由が全く違っていた事に気づいて居た堪れない気持ちになるエレンだった。

ミカサ「でしょう? 下半身の筋肉は大事。エレンの成長を眺めるのは、私にとっては、趣味みたいなものなの。でも、エレンが嫌ならもうやめる」

エレン「そ、そうか……」

アルミン(エレンの顔が面白すぎてお腹が痛い……!)

腹筋崩壊とはこのことだなあとアルミンは思わずにはいられなかった。

エレン「………………成長、してるかな、俺」

ミカサ「してると思う。少しずつだけど。エレンも、アルミンも」

エレン「そうか。そうだよな」

エレンはしみじみと思った。少しずつだけど、変わってきているんだと。

そう思って、パンを齧る。もう一個、食べたいくらいだけど。

一回の食事に一人一個ずつしかパンが食べられないので我慢する。

エレン「………今日は、どのカードにしようかな」

話題を変える。空気を変えたくて、そう言うと、

ミカサ「では、今日は>>301のカードにしよう。エレン」

と、ミカサから提案してきた。

(*>>37を参照してください)

1で(キリ

エレンは「え?」とした顔になった。

ミカサ「これって昔、エレンが子供の頃、好きだった、あの絵本のアレのポーズでしょう?」

エレン「え……それ、もうやっちまうのか? もっと後でもいいんだぞ?」

ミカサ「ナンバー①はアルミンが考えたのよね?」

アルミン「そうだね。懐かしいよね。ケツだけ星人、ブリブリ~!! っていう、変なポーズを見てゲラゲラ笑ったの覚えてるよ」

ミカサ「そうね。あのポーズ、詳しくはどんなのか覚えてないけど、確か、お尻を左右に動かしてたと思うんだけど」

アルミン「そうそう。こうやって両手をのばしてぐるぐる回して、ね」

エレン「……………」

エレンはすっかり笑っている二人に何も言い返せなかった。

ミカサ「あれくらいなら、簡単なのでさっさとすませようと思ったのだけども」

エレン「いいのか? やるのか? 出来るのか?」

ミカサ「多分、出来る。なんならここでやっても……」

エレン「やるな! 訓練が終わってからでいいから! あと、二人きりの時でいいからな! 人前でするなよ?!」

ミカサ「う、うん……」

ミカサはエレンが何故照れているのか分からないが頷いた。

エレン「分かった。じゃあ、やろう。それでいい」

そう、そっぽ向いてエレンは先に食器を片付けに行ったのだった。

というわけで、エレンは訓練が終わった後、ミカサと二人きりになって、ケツだけ星人をやってもらうことになった。

エレン(どこでやってもらおうか)

場所が問題だった。誰かに見られたくないので、エレンは滅多に人が来ない場所を探そうと画策したが……。

エレン(ダメか。夜の自由時間は、どこかで誰かがいる。密室じゃねえと、完全には防げない)

ミカサ「エレン、それ以上は敷地の外になるので出ちゃダメ」

エレンはいつの間にか歩き過ぎて、敷地の端っこまで来てしまったようだ。

ミカサ「ここまでくれば人は滅多に来ないと思うけど」

エレン「そ、そうかな…」

ミカサ「では、やってもいいだろうか」

エレン「お、おう…」

ミカサはさっと、お尻を向けて、両手を伸ばして、ぐるぐるさせた。

お尻をふりふり、「ケツだけ星人、ブリブリ~!!」と言ってみる。

ミカサ「こんな感じではなかっただろうか?」

エレン「いや……ちょっと違うな」

ミカサ「そう? どこの辺が違う?」

エレン「もっとこう…顔が地面につくのかってくらい、前屈してたし、お尻はもっと突き出してたし」

ミカサ「こう? (ぐいっ)」

エレン「いや、もっとだな。こう……」

エレンはその時、つい、ミカサの後ろから回って、ミカサの腹筋を支えるようにして触った。

ミカサ「あっ……」

エレン「もっと、こんな感じだった。気がするんだが……」

エレンはそう言って、ミカサと体を密着させている。

数秒遅れて、それがちょっとイケナイ姿勢だと気づいて、顔を赤らめた。

エレン「わ、悪い。えっと、やっぱ、そこまで厳密にせんでもいいわ」

エレンは照れて飛び離れた。ミカサの体につい、触ってしまったけれど、ポーズをさせる為にそんな事をする必要はない。

ミカサ「そ、そう? じゃあもう一回……ケツだけ星人、ブリブリ~♪」

何だか可愛らしいケツだけ星人に、うっかり釘づけになるエレンだった。

ミカサ「…………もういい?」

エレン「お、おう……もういいぞ!」

思ったよりミカサが恥ずかしがらずにやってのけたので、ちょっと拍子抜けするエレンだったが……

エレン(まあ恥ずかしがってやられたら、それはそれで困るけど)

あの時の淫夢を思い出して、うっかり口元を押さえてしまうエレンだった。

ミカサ「………エレン」

エレン「な、なに?」

ミカサ「その………エレン、楽しい?」

エレン「お、おう……楽しいゾ!」

ミカサ「本当に? これで正解なの? ケツだけ星人、なんか大事な部分が抜けてる気がするんだけど」

記憶が曖昧なので厳密に思い出せないミカサだった。

ミカサ「なんだろう。モヤモヤする。正確なケツだけ星人の絵を見たいけれど」

エレン「ん? なんだよ。まさか、ケツ出してやってくれるのか?」

ミカサ「え? ケツ出してたの? そうだったかしら?」

エレン「本物は実際にケツを出してケツを見せて左右に激しく動いてる絵だったな」

ミカサ「……………見たいの?」

エレン「いや! そこまでしなくていいからな!!」

エレンは逃げるように言った。

エレン「ってか、女の子が、ケツだけ出して、ケツだけ星人やるって、アホだろ。ポーズだけで十分なんだよ」

ミカサ「そうね。確かにアホっぽいけど……でも、エレンは見たいのよね?」

エレン「いいってば! やろうとするなよ? 絶対やるな!! つかアレ、俺が考えたお願いじゃねえんだから!!」

ミカサ「ああ……アルミンが出してくれたのよね。でも、アルミンの事だから、きっとエレンが喜びそうなアイデアを出したのよね?」

エレン「!」

そう言われればその通りだが、確かにその通りなのだが。

エレン「ミカサ、やるなよ。もう帰ろう。このカードはこれでクリアでいいからさ」

ミカサ「そう……エレンがそういうのなら、いいけれど」

エレン「ならいいよな。うん、俺は十分堪能したし、帰ろうぜ」

ミカサ「でも、ちょっとだけ待って、エレン」

エレン「なんだよ」

ミカサ「エレンの考えたカードって何枚、混ざってるの?」

エレン「あー………悪い。5枚しかねえけど」

ミカサ「そう……だったらそっちを優先的に消化してもいいのだけども」

エレン「ああ。それもそうか。そうだな。じゃあ今、消化するか」

ミカサ「どれを消化する?」

エレン「あー……もうナンバー⑤でいいか。背中掻いてくれ。ちょっと痒いし」

ミカサ「そう。じゃあ背中に手をいれるので、いい?」

エレン「どうぞ」


もぞもぞ……


エレン「あー丁度良かったわ。あーそこそこ」

ミカサ「ここ?」

エレン「そうそう。肩甲骨のあたりはよく痒くなるんだよなあ」

ミカサ「こうね? (もぞもぞ)」

エレン「そうそう………」


もそもぞ……もぞもぞ……

ミカサ「この辺も痒い?」

エレン「あーそこそこ! かゆいかゆい」

ミカサ「ふふ……エレン、可愛い」

エレン「ん? なんだよ……別にいいだろ」

ミカサ「ふふ……えいっ」

エレン「わっ……なんだ?! 馬鹿! 脇腹はいいって! あひゃひゃ!」

ミカサは途中で手を移動させてエレンを後ろからくすぐった。

エレン「やめろってミカサ! くすぐってえ!」

ミカサ「ふふ……エレンはここが弱いのよね」

エレン「ミカサだって脇腹は弱いだろー? このやろ……やり返してやる!」

ミカサ「あ……!」

エレンは急に振り向いて、ミカサの脇腹に手を寄せた。

こちょこちょ返しをする。こちょこちょと。

ミカサ「あはははは! やめて! エレン!!」

エレン「馬鹿! やめるかよ! このやろ! えい! えい!」

ミカサ「あはははは! うふふふふ……! はああ……もう、ダメ、笑いすぎて!」

乱れたミカサの髪が、敷地の壁に張り付いて、まるで押し倒されているように見えるが、実際は二人共立ったまま、会話をしている。

ミカサ「あーもう…エレンのせいで髪がぐちゃぐちゃ」

エレン「あ、悪い悪い」

髪をとかしてやる。すると、またうっとりとしたミカサの顔が、現れて。

何だか期待しているようなその目つきに、ズキュンとやられる。

ここは外だ。外灯は、氷爆石(ガス)をつかった古いタイプのものが点々と、念の為に敷地の壁沿いに等間隔でつけられているが、その明かりは弱い。

かえって星空と月明かりの方が明るく感じるその世界で、二人はどうみても、客観的に見ればイチャイチャしているようにしか見えない。

エレンにも少しその自覚は出てきたようで、視線を下げた。

エレン「帰ろうか。もう、宿舎に帰ろう」

ミカサ「もう帰るの? もういいの?」

エレン「他のカードは、ここでやるようなのじゃないだろ」

ミカサ「ナンバー②なら、ここでやってもいい」

エレン「!」

ミカサ「ここで、してもいいのだけど」

ナンバー②は指をペロペロ舐めるという、カードだったはず。

確かにあれも人に見られるとやばい代物だが。

ミカサ「ダメ……だろうか?」

エレンは迷った。どうしようかと。

エレン「>>307

よし、やろう

エレン「……………よし、やろう」

そう答えて、一応、周りをキョロキョロ見渡した後、エレンはミカサに右手を見せた。

細いけれど、確かに男の子の手であった。

節々がゴツゴツしたその指を見ていると、ミカサは不思議な心地になる。

エレン「ミカサ?」

ミカサ「はっ……! ご、ごめんなさい」

思わず観察をしてしまった自分を諌めた。

ミカサ「で、では………」

まずは人差指を口に含んでみた。傷を癒すように、優しく。

エレン(うわ………)

その様が、艶かしくて、エレンは一瞬、視線を下に逸した。

エレン(これ、あんまり長くはやらせられないな)

既にちょっと、なんというか、ドキドキする。

心拍数がじわじわと上がってくるのを実感しながら、エレンはミカサに身を委ねていた。

ミカサは指を噛まないように、丁寧に舐めている。そして、次は中指に移行する。

一本一本、確認するように綺麗に舐めてくれる。

そんなミカサを見ていたら、ついつい、エレンは指先を、ちょっとだけ動かしてしまった。

ミカサ「ふぐっ……動かないで」

エレン「あ、悪い……」

指を動かした瞬間、ミカサはビクッと反応した。

指先が、ミカサの歯茎の内側を掠めたらしい。

エレン(………………)

エレンはその時、目を細めて口角を自然と釣り上げていた。

自覚もなく、それを行ってしまった。

ミカサ「ふぐっ………エレン?」

ミカサの口内を探るようにもっと奥に、指を突っ込んでいったのだ。

ミカサ「エレン………うっ……!」

ミカサは指を舐めようと思っているのにこれでは出来ない。

じっとしていて欲しいのに、エレンは好き勝手に指を動かしてミカサの口の中を探っているのだ。

それは次第に、でも着実に、ミカサの神経を撫でていた。

口の中には多くの神経が集まっている。

そこを撫でればどうなるか。結果は分かりきっている。

ミカサ「ふっ………あふっ………!」

もうこれではミカサがエレンの指を舐めているというより、エレンがミカサの口の中を指で犯している図にしか見えない。

エレンは中指と人差し指の二本をミカサの口内の奥……奥歯の内側にまで伸ばして、そろそろと動かしている。

これでは指で歯磨きをしてやっているような図に見えなくもない。

ミカサはじりじり焼けるような、小さな快感に耐えていたが、次第に力が入らなくなり、腰が抜けそうになった。

がくん、と膝が崩れそうになって初めて、エレンは我に返った。

エレン「ミカサ!」

慌てて口から指を引っこ抜いて、ミカサを支える。

エレン「わ、悪い……い、今のは、その……つい……」

また悪い癖が出てしまった。

すぐ調子に乗る自分を責めてしまうエレンだった。

ミカサ「え、エレン………」

ミカサは戸惑ったように俯いた。

ミカサ「今のは………何? なんだか、体が変な感覚になった」

エレン「えっ……」

ミカサ「指で歯磨きしているみたいなのに、その……気持ちよくて、体が変な感じになってしまって……」

エレンはまた、全身の毛が逆立つような感覚を覚えた。

ミカサ「も、もう一回、しても……いい?」

エレンはおかわりを要求されて困った。続けたら多分、もっと……

もっとミカサが欲しくなってしまう。

エレン「今の、気持ち悪くなかったのか?」

ミカサ「全然……気持ちよかった。もう少し続けたい」

エレン「………続けたい、のか」

ミカサ「ダメだろうか? 勿論、エレンが嫌ならやめるけど」

エレン「………いや」

エレンはミカサを引き上げると、否定した。

エレン「俺ももう一回、して欲しい。けど………」

ミカサ「けど?」

エレン「けど、その……こ、今度は、もっと激しくするかもしれんけど、いいのか?」

ミカサ「激しくする?」

エレン「意味分かんねえならやめといたほうがいいぞ」

一応、念押しする。エレンはチラリと、ミカサを盗み見る。

ミカサはいまいち分かっていないようだったが、頷いた。

ミカサ「分かった。やろう」

エレン「………おい、今、分かってねえくせに頷いたな?」

ミカサ「うん。でも、やってみないと分からない、ので」

エレン「………後悔するなよ」

エレンはそう言って、唾液のついた右の指先を一度、自分で舐め直して、もう一度、ミカサの口の中に指を入れた。

ミカサ「ふぐっ………?!」

ミカサはいきなり奥深く、舌の上に指が乗ってきて驚いた。

先程は歯茎を中心になぞっていたのに、今度は舌の上を指で触っているのだ。

ミカサ「ふぇえん……」

ビク…ビクン……

体が思わず痙攣する。

味覚を感知する部分を乱暴に触られて、何だか変な心地になる。

ミカサ(やだ……さっきより、酷い……)

ともすればおえっと、吐き気を伴いそうで怖いが、其の辺はエレンも調整しているようで、それ以上は奥深く入れない。

絶妙な位置で、味覚部分を弄って、ミカサの中で遊んでいる。

ミカサはただエレンに身を任せていた。下手に動くと指を噛んでしまいそうだったから。

エレンは舌への弄りをやめると、今度は上顎の歯茎の内側を摩っていった。

手前から奥に、何度も指を滑らせる。

ミカサの唾液が指に絡みついて、途中で口の端から溢れて顎を伝っていた。

プルプル震えるミカサの様子を見ていたら、エレンは、もう片方の手、つまり左手を、ミカサの耳の裏にもって行きたくなり、その誘惑に耐え切れず、ゆっくりと、触っていった。

ミカサ(あっ………!)

口の中と耳の裏側の両方の刺激に、一気に快感が高まった。

ミカサ(やっ……待って……なんか、変……)

口の中だけだとてっきり思い込んでいたミカサはそこでようやく焦りを見せた。

しかし抵抗は弱々しく、エレンの胸元に手を添えるくらいしか出来ない。

ミカサは両目を閉じた。自然と、その快楽に身を委ねてしまう。

そんなミカサを見てエレンも調子に乗った。

耳の裏側から、項にかけて指を走らせ、鎖骨の方にも、手を入れていく。

何度も交互に走らせる指使いと、口の中を勝手に動き回る指。

エレンはじっと見ていた。

自分の指で、感じている、ミカサを。

脳内に焼き付けるように………

ミカサ(エレンが何もしゃべらない…)

そう言えば先程からエレンが何も話さないと気づいてミカサはうっすら目を開けた。

すると、その先には、目を細めて、目の奥が暗い、エレンがそこにいた。

ミカサ(あ……この表情は……)

見覚えがあった。そう、着替えを鏡越しで見ていた時の、エレンの顔だ。

少し怖いけれど、口の端は釣り上がっているので、楽しんでいるのだろう。

エレンが楽しいのであれば、受け入れたいと思うけれど……

ミカサはぶるっと、また体を震わせた。

本能が、警鐘を鳴らしている。




カンカンカンカン…………




ミカサがそう感じたその時、偶然にも、本物の鐘が鳴った。

消灯時刻を知らせる合図の鐘だ。

これ以上はもう、自由に宿舎の外に出てはいけない。

戻らないといけない時間だ。

エレンは鐘の音で我に返り、慌てて指を引っ込めた。

エレン「悪い……ミカサ、帰るぞ」

ミカサ「…………」

ミカサはすぐに返事を出来なかった。こんな事は初めてだ。

エレン「ミカサ?」

ミカサ「………………」

ミカサはエレンを見つめ返した。

もう、いつものエレンの顔に戻っているので少しほっとしたけれど。

ミカサ「何でもない。戻ろう、エレン」

その気持ちを押し殺してミカサはエレンに頷いた。

エレンは少しだけ不思議そうにしていたけれど、突っ込まないで、ミカサを女子寮に送ると、自分も男子寮に帰っていった。

そして布団の中に戻ってから一人反省会を行う。

エレン(遂にやっちまった………)

エレンは頭を抱えていた。

指でミカサの口内を弄って、項を触って、ミカサを感じさせてしまった。

すげえ楽しかった。夢のひとときだった。

でも、された方のミカサは、どう思っただろう。

特別に嫌がってはいないようだが、それでも今日のこれは、後で絶対、追求されるだろう。

そう思うと、エレンは穴の中に隠れたい気持ちになった。

布団の中にずっといたいような気持ちでエレンは体を丸めている。

エレン(でもすげえエロかった。ミカサのやつ、なんであんなにエロいんだよ)

そんな事を言われても、きっと本人も困るだろう。

しかし今のエレンは責任を何故かミカサに押し付けていた。

エレン(あんなにエロい顔して、俺の指で感じて……くそっ……!)

日に日に、最後までヤリたい気持ちが膨らんでくる。

でもそれをやってしまえば、今まで通りではいられないとエレンも感じているので、そこは最後の砦だった。

エレン(やばい……今夜は眠れそうにないな)

布団の中でいっそ、シコるか。

そう思ったが、シコるとイカ臭くなるので、アルミンに気づかれるだろう。

エレン(いったん、便所で抜いてから寝よう)

そう思い、エレンは布団から抜け出して便所に向かった。

男子寮の方の、近い方の便所に向かい、大の方の個室に入ろうと思ったのだが……

女訓練兵「やだ……こんなところで、するの?」

男訓練兵「静かにしろよ。バレたらやばいんだから」

女訓練兵「あん…まって! ああ……」

トイレの個室でやっている男女に出くわして、腹が立つエレンだった。

エレン(てめえら! ヤるなら別の場所でやれよ! つか、便所でおっぱじめるとか、不衛生過ぎるだろ!!)

思わずツッコミたくなる状況だが、先を取られてしまったので仕方ない。

外に設置している方の便所に急遽、方向転換し、エレンは渋々そこで抜こうと思った。

外は誰もいなかった。外の便所は、夜は使用率が低い。

幸い個室も空いていた。エレンはそこに占拠して、先程のミカサの事を思い出す。

思い出すと、プルプル全身が震えてしまうエレンだった。

エレン(時間の問題なのかな……)

右手で抜き出した自分の息子を摩りながらエレンは思っていた。

エレン(俺、このままだといずれ、ミカサに本当に手を出しかねん)

そう感じている。自分の欲望をいずれぶつけてしまう予感があった。

エレン(どうすんだよ……もしもそのせいで、気まずくなって、ミカサに嫌われたら)

今はまだ、この程度で収められたから良かったものの。

エスカレートしていくのは目に見えている。

白濁が飛び出て、賢者モードに入る。

一度溜まったものを出してしまえば、少しは落ち着くのだが……。

エレン(自慰行為の回数、増やそう。出して出して、ミカサの前でそういう気持ちにならないように、発散しとこう)

エレンは決意した。今のままのペースでは、ミカサを見る度にムラムラが酷くなる。

せめて先に発散させて、自制するしかない。

そう考える、エレンだった。





一方その頃、布団の中でミカサは考えていた。

ミカサ(口の中がこんなに気持ちいい場所なんて知らなかった)

歯磨きをしている時はそう感じないのに、指でまさぐられたら、全然違った。

こんな経験、生まれて初めてだった。

ミカサ(また、して欲しい。………なんて言ったらエレンはどう返すのだろうか)

しかしもう、これ以上はしてくれないような気もしていた。

自分の方からおねだりして、もし断られたら、ちょっと寂しい。

ミカサ(………眠れない)

あんな事をされた後では、さすがにミカサもすぐには眠れなかった。

ミカサ(興奮し過ぎて眠れない。体は訓練で疲れているのに)

明日もあるのだ。こんなことで寝不足になってはいけない。

そう思うのに、先程の事を思い出すと、興奮が止まらない。

ミカサ(どうすれば、いいのだろうか)

こういう時、誰かに相談出来れば、と思うが……。

ミカサ(そうだ。アルミン……明日、アルミンに聞こう。アルミンならきっと、こういう時にどうするべきか知っているはず)

頼りにされているアルミンが今、この場にいたら、きっと困った顔になっていただろう。

しかしミカサはアルミンに頼る事にした。明日、明日になればきっと。

一日くらいなら、寝不足でも構わない。

そう思いながら、ミカサは今日の余韻を抱えながら、そしていつの間にか、自然と眠りについていたのだった。





翌日。エレンは自然と目覚めた。

淫夢は見なかった。いや、現実で散々、エロい事したから、別にいいのだけども。

エレン(なんとなくだけど、法則性がわかってきた気がするぞ)

エレンは布団から起き出しながら今までの事をざっと振り返った。

エレン(あのお願いのカードを使った時に、実際にエロい体験をした場合は、淫夢を見なくて、エロい事を見て、出来なかった場合は淫夢で消化してるみてえだ)

エレンはそう思った。何故なら、そういうサイクルで淫夢を見ているからだ。

確認してみよう。

3月30日は、エレンの誕生日だった。

ここで使用したのはナンバー⑦のストレッチと、③の歌って踊る。

ナンバー⑦はエロいことをしたと言えなくもないが、その時間は短かったし、一瞬だった。

それに比べてナンバー③は、もうそりゃ天国のようなステージで。

でも、実際にエロい事が出来た訳じゃないから、淫夢の方でハーレム状態だった。

3月31日はナンバー⑬のツイスターゲーム。

この日は結局、現実ではやれなくて、淫夢で全身タイツのミカサとツイストした。

4月1日はナンバー⑫の着替えを見せてもらった。ナンバー⑨の髪を触るのも、あった。

あの日は相当、エロを発散できた。現実の世界が淫夢と遜色なかった。

4月2日はナンバー⑪一緒にお風呂に入った。アルミンも一緒に入ってもらった。

だから、自制したせいで、夢の中でミカサと風呂に入ってしまった。

4月3日はナンバー①のケツだけ星人、ナンバー⑤の背中を掻いてもらった。

そしてナンバー②の指をペロペロ舐めてもらうで、弾けてしまった。

そのおかげで、淫夢を見ることはなかった。

振り返れば、多分、そうなのだ。

エレン(ははは……マジかよ。俺って、夢でも現実でも結局は、ミカサにエロい事してえのか)

救いようのない馬鹿だと、自嘲するエレンだった。

アルミン「エレンー今日は早いね。やらしー夢は見れなかったの?」

先に起きていたアルミンが男子寮の部屋の中で何やら勉強していた。

テーブルに一人座って、書物をしている。

他の皆は、まだ寝ている奴もちらほらいる。そんな時間帯だった。

エレン「朝から勉強してるのか。えらいな、アルミン」

アルミン「んー……勉強というより、ちょっと気になる事があってね。調べ物してるところ」

エレン「調べ物?」

アルミン「うん。感染症について、ちょっとね」

アルミンは分厚い本をペラペラめくりながら、真剣な表情で言った。

アルミン「座学で習う部分だけの知識じゃ不十分かと思ってね。気になることがあったから」

エレン「気になる? なんだよ。俺も気になるな」

アルミン「うん……まあ、ちょっと大きな声では言えないけど」

アルミンは声を落としてからエレンに言った。

アルミン「噂なんだけどさ……先週、女子の方の訓練兵が、一人、開拓地に送られたでしょ?」

エレン「ああ。名前は忘れたけど、そうだったな」

アルミン「うん、その子がどうも……その原因が『性感染症』のせいで開拓地送りになったって噂がたっているんだ」

エレン「!」

エレンはがばっと立ち上がり、アルミンの横の席に急いで座った。

エレン「それ、本当なのか?」

アルミン「いや、僕も裏は取れてないんだけど。どうも、普通の治療法では治らないような、そういう類の病気にかかってしまったらしいんだよね。あくまで、噂で言われてるんだけど」

エレン「まじか。そんな病気が存在するのか?」

アルミン「うん。みたいだね。気になったから、僕も調べてみたんだけど、どうやら薬では治せない性感染症は本当に存在するらしい」

アルミンはノートに書き写したその文章をエレンにも読ませた。

エレンは目の奥まで見開くような気持ちで食い入るように読んでいる。

エレン「………こんなの、初めて知った。あるんだな、そういうのが」

アルミン「みたいだね。どうも普通の人は知らない新しい病気みたいだよ」

エレン「治す方法がねえってことは、感染したら死ぬだけじゃねえか」

アルミン「その通りだね。死亡率はかなり高いよ。その原因は、ウイルス感染で免疫系の疾患が起こるせいらしいけど、詳しい実情はまだ分かってないみたいなんだ」

エレン「そんな……」

アルミン「エレンが最近、ちょっとムラムラしてて悩んでいるみたいだったから、丁度良かったよ。調べられて。エレン、ミカサを守るためにも、暫く自重しておいた方がいいかもしれないよ」

エレン「病気を防ぐ方法もねえのか?」

アルミン「避妊具を使うのが一番だって書いてあったね。生でやるのが、どうも一番ヤバイらしい。今のところ、わかってるのはそれくらいかな」

アルミンは分厚いその本を栞を挟んで閉じると、エレンに向き直った。

アルミン「辛いだろうけどもう少し待ってて欲しい。僕もまだ調べている途中だから。多分、この新しい病気に関しては、まだ正確な情報がまわっていないと思うんだ。噂が独り歩きしてて、皆、不安になってる」

エレン「…………」

アルミン「キース教官もまだこの事はあまり表立って話題にするなと、釘を刺されているんだ。箝口令程ではないにしろ、あまりこの手の不安な話題は士気に関わるからね。エレンも、あまり大きな声でこの事を言わないでね」

しーと内緒のポーズを取られてエレンは頷いた。

エレン「ああ、もちろんだ。アルミン、教えてくれてありがとな」

アルミン「いいよ。僕はただの耳年増なだけだから、ね」

>>317
訂正

アルミン「キース教官にもまだこの事はあまり表立って話題にするなと、釘を刺されているんだ。箝口令程ではないにしろ、あまりこの手の不安な話題は士気に関わるからね。エレンも、あまり大きな声でこの事を言わないでね」

に、が抜けてました。




そんな訳で、朝っぱらから衝撃的な情報を入手してしまい、エレンは肝を冷やしてしまった。

エレン(アルミンから新しい情報が入るまでは、俺はミカサにそういう意味で触れないようにしねえと)

理性を繋ぎ留める新しい情報が入ったのは返って有難かった。

エレンはアルミンと一緒にいつものように食堂に行き、ミカサを探した。

しかしいつのも席にミカサがいなかった。珍しい。

その代わり、そこにはサシャとクリスタとユミルの三人がいた。

エレン「おはよー……ミカサはまだ起きてないのか?」

ユミル「ああ……起こしてやったんだけどな。珍しく起きてこなくてな。放置してきた」

クリスタ「何度も起こしたんだけどね。ごめんね、エレン」

エレン「いや……そうか。そうだな。たまにはそういう事もあるよな」

昨日の事が原因なのだろうか。

そう思い、エレンは少しだけ罪悪感を持った。

サシャ「ミカサが起きないなら、私がミカサの分のパンを……」

クリスタ「ダメだよサシャ! パンは後で部屋に持って行くから!」

ユミル「だな。スープはしょうがねえけど、パンくらいなら、ミカサに後で持って行ってやろうぜ」

まるでこの間のエレンのようだなとアルミンは思ってしまった。

サシャ「とほほ~残念です」

クリスタ「にしても珍しいよね。ミカサが寝坊するなんて」

ユミル「だな。なんか昨日、ちょっとぼーっとしてたし、様子が変だったな」

エレン(ギクリ)

ユミル「なんかあったのか? エレン」

エレン「なんで俺に聞く?」

ユミル「いや、今、露骨に肩を震わせたから」

クリスタ「あー……もしかして、ミカサとイチャイチャしてたとか?」

エレン「し、してねえよ」

ぷいっと顔を逸らすエレンのその態度は肯定しているようなものだった。

ユミル「ははは……! エレンはとことんムッツリスケベだな! この間の、アレもそうだったが、いい加減、認めちまえよ」

エレン「もうその事は忘れてくれよ……」

ユミル「んー? まだ無理だね。あんな面白い話は、そうすぐには忘れられねえな」

クリスタ「だよねえ。まさか気絶しているミカサにキスするなんて、ねえ?」

サシャ「しかも、その後にそれが本人にバレて、逆にミカサからキスされてましたからね」

ユミル「ん? なんだそれ? その話は知らねえぞ? サシャ」

サシャ「え? 言ってませんでしたっけ? あの事件は後でアルミンが真相を暴いて、ミカサにバレちゃったんですよ」

ユミル「ぶはははははははっは!!! エレン、お前、最高だな!!」

エレン「~~~~~~!!!」

返す言葉がないエレンだった。

クリスタ「それ本当? バレちゃったんだ……」

サシャ「はい。まあ、私がうっかりしゃべってしまったようなものですけどね」

ユミル「ん? どういう事だ?」

サシャ「エレンが私の作った料理の味を知ってる風な事を言い出したので、味見もさせてないのに、おかしいなあと、私がうっかり、つぶやいてしまって……そのせいで、その矛盾点を暴いたら、エレンが実はミカサにキスしてたって事がバレたんですよ」

ユミル「ああ、なるほどな。肉汁のアレか。全く……エレン、お前ってやつは……ぷっ」

クリスタ「ユミル、笑いすぎ……ぷっ」

エレン「クリスタも笑ってるじゃねえか」

エレンは席についたまま、また不機嫌でいる。

そんなエレンを宥めるように、アルミンが二人分の朝食を持ってきてくれた。

サシャ達と向かい合って食べ始める。

アルミン「あの時は本当に悪いことしたよー知らなかったとはいえ、僕もやりすぎたって反省してる」

エレン「いや、アルミンは別に悪くねえんだけどな。俺が、全部悪いんだけど」

ユミル「まあ、あそこでおっぱじめなかっただけでも、エレンはすげえよ。やってたら、さすがに私も引いてたと思うが」

クリスタ「そうね。居た堪れないもんね」

エレン「…………そのことで思い出したんだが」

エレンは三人にひそひそと、聞いてみた。

エレン「あのさ……最近、だと思うんだが、女子で誰かと付き合ってるって奴、いるか?」

ユミル「ん?」

エレン「男子便所でおっぱじめてる奴らがいたんだ。偶然、遭遇しちまって、な。声だけだと誰か判別出来なかったんだけど、多分、あの感じだと、定期的にやってる感じだったんで、気になったんだが」

ユミル「ああ………何人か、彼氏持ちはいるな。でも、男子便所でおっぱじめるのは、ちょっと嫌だな」

クリスタ「汚いよね。さすがに……」

エレン「俺もそう思う。こういうのって、注意したほうがいいんかな」

エレンがそう困ったように言うと、ユミルは「んー」と曖昧に言った。

ユミル「少し様子を見たほうがいいかもな。んで、そう何度も遭遇するようだったら、こっそり注意した方がいいな。それで本人達が改める気がねえなら、周りにこっそり言いふらせ。今、ちょっとヤバイ噂がたってるし、警戒しておいたほうがいいと思う」

エレン「……ユミルも知ってるのか? 例の話」

ユミル「ああ。まあな。その手の話題は女子の方が早く回るからな」

そう言いながら、ユミルはスープを飲み干した。

ユミル「例の話の真相というか、もう少し詳しい情報が来ないうちは、あんまりいろいろしねえ方がいいだろうな。エレン、お前も辛いだろうけど、自重しろよ」

エレン「それは言われなくともやるさ。……………むしろ聞けて助かった」

あれ以上の事は出来ないと、つくづく自分に言い聞かせるエレンだった。

エレン「知らなかったら多分、俺もどうなってたか分からん」

ユミル「私が聞いた話では、一応、そのウイルスにかかっているか否かの検査だけなら、希望者は出来るって聞いたぜ?」

エレン「本当か?」

ユミル「ああ。まだ正式には発表されてないけど、そのうち、上の方からも発表があるだろうからな。今はまだ待っておくしかねえけど、キース教官もいろいろ対策を準備してるって聞いたぜ」

アルミン「さすがユミルだね。僕より情報通だなあ」

ユミル「ん? まあ、聞き耳をたてるのは得意だからな」

ペロリと朝食を平らげてユミルは言った。

クリスタ「でも可哀想よね。開拓地送りになった子が」

ユミル「生でヤっちまったのがいけなかったんだろ? 多分。自制しなかったから、そうなるんだよ。自業自得だって」

クリスタ「でも、まさかそんな事になるとは思わなかったと思うんだよね。その子自身も」

クリスタはパンを食べる手を一度止めていった。

クリスタ「無知って怖いよね。知ってさえいれば、止められたかもしれないのに」

ユミル「まあ、それはそうかもしれんが」

ユミルはんーと、ほほ杖をついて言った。

ユミル「でも、その女は男の方に愛されてなかったんだろ? 多分、ヤリ捨てられたんじゃねえのかな」

クリスタ「そうなの……かな?」

ユミル「話を聞く限りでは女の方だけが感染してるとは思えねえんだよな。むしろ、男の方が拡散してたりしてな」

サシャ「うひいい……怖い話ですね」

ユミル「自分がその病気にかかったのを知って、自暴自棄になって、道連れにしようとしたとしても、何もおかしくねえよ。誰だって自分だけが死ぬなんて、嫌だしな」

アルミン「でももしそうだとしたら、ちょっと許せないね」

アルミンはそこで静かに口を挟んだ。

アルミン「僕には分からない感覚だな。そういうのは」

ユミル「アルミンやエレンのような善人ばかりじゃねえからな。世の中って奴は」

ユミルは二人をそんな風に評価するが、エレンは意外そうに言った。

エレン「俺のこと、悪人面だって前に言ってなかったか?」

ユミル「ばーか、外見じゃなくて中身の話だよ。お前ら二人は、他の男らに比べたら、善良なうちに入るって言ってるの。ミカサは幸せもんだよ、本当に」

エレン「……………」

ユミル「ただ、一番最初の正確な感染経路がよくわかってないのが一番の問題だからな。人から人の感染は幸い、空気感染じゃねえから、その点は安心出来るが、一応、清潔にしておくことに越したことはねえな」

アルミン「そうだね。暫く警戒するに越したことはない」

アルミンも概ね同意だった。

今回はここまで~またねノシ
キリが悪くてごめんね。

やっぱりキリが悪すぎるのでもうちょっとだけ続ける。

そんな訳で朝っぱらから重い話になってしまったが、朝食を終えてエレン達は今日の訓練に向かった。

馬術と兵站行進の日なので、今日は体力的にきつい日だ。気合を入れないと。

エレンはそう思いながら、馬の世話をして準備に取り掛かった。

訓練所には沢山の馬が飼育されている。

新しく生まれた子馬もいて、その世話は訓練兵が交代で面倒を見ている。

馬の世話はクリスタが一番、上手だった。馬は皆、クリスタに懐いている。

クリスタ「エレン、今日の馬術の事なんだけども」

エレン「ん?」

クリスタ「ミカサが乗る予定のメジロクライアンが、今日は機嫌が悪いみたいだから、注意するようにミカサに伝えておいてね」

エレン「へ~気分まで分かるのか。すげえな、クリスタ」

メジロクライアンというのは、クリスタが勝手に名づけた馬の名前だった。

それぞれの馬にあだ名をつけているようなのだ。

クリスタ「うん。エレンの乗る、サクラノオトメは、機嫌がいいみたいだから大丈夫だよ」

エレン「前から思ってたけど、その長い名前はどこから来てるんだ?」

クリスタ「秘密☆」

クリスタにはまだまだ謎が多いなと思ったエレンだった。

エレン「まあいいや。分かった。ミカサに伝えてくるわ」

少し遅れて馬小屋にやってきたミカサにエレンはその事を伝えに行った。

ミカサ「え、エレン……」

エレン「ようミカサ! おはよ! 今日、おまえが乗る予定の、メジロクライアンだけど、機嫌が悪いらしいから、注意しとけってクリスタが言ってたぞ」

ミカサ(ボーッ)

ミカサはエレンの言葉が耳から抜けていた。

エレン「ミカサ? ちゃんと聞いてるか?」

ミカサ「は! 聞いてる。ちゃんと聞いてる」

エレン「そうか? ならいいけど……ちゃんと気をつけとけよ!」

エレンは伝言を受け渡したと思い込み、その場を去った。

ミカサはまだ頭の中がぼーっとしている。

ミカサ(いけない。こんな事ではいけないのに…エレンを見ると、昨日の事を思い出してしまう)

甘い疼きを思い出して体が震えてしまうミカサだった。

そして馬術の訓練の時間になった。

皆それぞれ、交代で、馬を駆けさせる練習を行う。

馬によって性格も違うので、少しずつ、相性を確かめながら、馬を調教していかなければいけないのだ。

ミカサの乗る馬は、いわばお転婆な馬だ。

足はとても速いがたまに暴走する時もあるので、気性の激しいエレンのようなタイプとは合わない。

ミカサがこの馬に乗る事になったのは、以前、ミカサが我慢強くついていけたからだ。

しかし今日のミカサは集中力がかけていた。

故にその感覚は、馬にも伝わっていたようで、機嫌の悪い暴れ馬は、途中で両足を跳ね上げた。

エレン「ミカサ?!」

ミカサは慌てて手綱を取った。腹筋の力でどうにか落馬は免れたが、危うく事故になりかけた。

そんなミカサに対して、訓練後、エレンは思わず怒鳴り散らしてしまった。

エレン「おま……俺、ちゃんと言っただろ!! 今日のお前の馬、機嫌悪いから気をつけろって!!!」

ミカサ「ご、ごめんなさい」

エレン「らしくねえよ。どうしたんだよ、一体……」

ミカサ「…………」

エレン「昨日のこと、気にしてるのか?」

ミカサ(ビクン)

ミカサが怒られる事を覚悟で頷いた。

すると、エレンは冷たく言い放った。

エレン「落馬しなかったのは運が良かっただけだ。落ちてたら、死なねえまでも、首打ったりして、体が動かなくなることだってあるんだ。知ってるだろ。神経やって、植物人間状態になった奴もいるんだ。もう忘れたのか?」

ミカサ「…………うん」

エレン「馬は貴重だからな。人間より手厚く保護されてるくらいだし、人間の方が馬に合わせないといけねえんだよ。乗る時は、ちゃんと集中しろ。いろんなことあっても、それは横に置いておけ」

ミカサ「…………うん」

エレン「今回の事は俺のせいだけど、訓練中は切り替えろ。それが出来ないなら、俺はもうあのカードの残りを全部、処分する」

ミカサ「!」

エレン「いいな。忘れるな。どんな事があっても、訓練中は集中しろ。俺もたまにそれが出来なくて、イライラすることもあるけど………特に危険度の高い立体機動と馬術の訓練は、必ず集中しろ。いいな」

ミカサ「分かった」

エレン「よし。ならいい」

そう言ってエレンはミカサから離れた。

ミカサはひとり取り残されて、静かに息を吐き出した。

エレンの言う通りだった。自分はなんて馬鹿だったんだろう。

エレンはこういう時に冷静な大人の対応を取れる男だ。

尊敬できる。だから好きなのだけれども。

ミカサ(この気持ちを、抱えるのは、エレンのせいなのに)

少しだけ理不尽な心地でミカサは項垂れてしまうのだった。





そしてその日の訓練後の夜、夕食前にキース教官から正式な発表が行われた。

例の噂の件も含めてキース教官はその病気についての、現段階の情報を訓練兵に提示した。

現在分かっている二次感染ルートは「傷口からの血液による感染」及び「性交渉によるもの」とほぼ断定し、空気感染の可能性はないと発表した。

それにあたって、一度、訓練兵全員に検査を受けるように指示され、一同は動揺を隠しきれなかった。

それはつまり、まだこの中に感染者が存在すると疑われているという事である。

キース「一番最初の感染経路については未だ不明だ。そこを叩かない限り安全とは言い切れないが、二次被害を出すことも防がなければならん。この病気にかかってしまうと、長くても半年以内に死亡する可能性が高い」

エレン(半年……)

キース「よって、検査結果が出るまでは、男女の交流を禁ずる。緊急事態だ。どうか、協力して欲しい。今後については、経過が分かるまでは男女は別々に訓練を行い、食事の時間も別個にする。宿舎の移動も今までは自由に行っていたが、男女が異性の宿舎に入ることを全面的に禁止する」

訓練兵「「「はっ……!」」」

キース「男子訓練兵の娼館通いも禁ずる。現在、厳戒態勢だ。詳しい事が分かるまでの辛抱だから、どうか耐えて欲しい。以上だ。解散!!」

キース教官の指示が終わると一同はざわめきに包まれた。

アルミン「思ってた以上に事態は深刻みたいだね」

エレン「ああ。ミカサ、例の残りのカードの件は一旦、保留にするぞ」

ミカサ「………そうね」

良く分からない得体の知れない恐怖が伝染していた。

訓練兵はその日から、もやもやに苛まれながら、日々を過ごさざる負えなくなったのだった。

血液検査は次の日の、4月5日に一斉に行われた。

検査結果が出るまではだいたい一週間ほど時間がかかるそうで、それまでは男女は完全に隔離される事になった。

当然、運の悪いジャンはそのせいで、自分の誕生日の日にミカサの髪を触る事が出来無くなった。

エレンも当然だが、他の男子も意気消沈している。

食事時はお通夜のように静まり返っていた。

コニー「誰……なんだろうなあ」

ライナー「どうした? 突然」

コニー「病気を持ち込んだ奴だよ。絶対、男子の中で、やっすい娼館に通った奴がいるに決まってる。そこから病気を持って来たんだろ? 多分」

アルミン「コニー、それは言いすぎだよ」

アルミンが諌めるが、コニーは横に座るジャンを盗み見た。

コニー「ジャン、まさかお前じゃねえよなあ?」

ジャン「はあ? 俺が他の女にぶれるわけねえだろ。俺はミカサ一筋なんだよ!」

コニー「本当かあ? 欲求不満が溜まって娼館通ってるとか、ないよな?」

ジャン「けっ! ありえないね! だいたい娼館にいるようなブサイクな女のどこがいいんだか! ミカサの方が100倍いいだろうが!」

ライナー「おい、お前ら、その辺にしとけって」

苛立っているのは皆、同じだった。

普段だったら気にも留めないような事でイライラしてしまうのだ。

エレン「そうだぞ。どうせ検査結果が分かれば、病気を持ち込んだ奴が分かるだろ」

ジャン「ああ……まあそりゃそうだな」

エレン「これだけ大々的に検査をやったんだ。多分、病気のレベルとしては、かなり危険度が高いやつだと思うぜ」

医者の息子であるエレンは真剣にそう言い放った。

エレン「それに性交渉だけじゃなく、傷口からの感染も有りうるなら、俺たち、全員可能性があるぞ。一度も怪我したことねえ奴なんてここにはいねえだろ」

コニー「うっ……」

エレン「だからあんま、犯人探しとかするな。詳しいことはまだ何も分かってないんだからな」

ライナー「エレンの言う通りだな。今はただ、結果を待つだけしか出来ない」

そう言って、ライナー達は先に席をたって男子寮に戻っていった。

今はまだ、闇の中に佇むしかない彼らであった。





エレンは自身の検査結果が全部、良性だった事にほっとした。

他の面々も同じようで、エレンの顔見知りの間では、感染者はいなかったようだ。

正式な発表はされなかったが、感染者は数人、見つかったらしい。

そして彼らは強制的に訓練兵を辞めさせられて開拓地に移る事になったようだ。

この訓練施設には、病気になった者を置いておけるほどの良心的な場所ではない。

ここはあくまで、軍人になる為の養成施設なのだから。

自己管理ができない奴、訓練に適応できない奴は、問答無用で切り捨てられても仕方がないのだ。

そして後日、キース教官が訓練兵を集めて新しい発表を行った。

キース「今回の事件を教訓として、男子訓練兵の娼館通いを全面的に禁止させてもらう。今後、もしそれが発覚した場合は、死ぬまで開拓地への強制労働を強いる事になる。十分に心得ておくように」

訓練兵「「「はっ!」」」

キース「また、女子の方も、もし妊娠などをして訓練に支障をきたすようになった場合も、面倒を見きれない事を伝えておく。君たちはまだ一人前として認められていない。衣食住を自力で確保出来ない年に、子供を作ってしまった場合の責任はこちらでは負えない。十分、気をつけるように」

訓練兵「「「はっ!」」」

キース「ただ、こうやって規則で縛っても、過去に何度も違反者が出てしまっているのも事実だ。そこで、我々としても妥協案を提示する」

キース教官はそう言って、避妊具を一人一個ずつ、全員に支給したのだった。

キース「座学の授業ではまだ、実際にこれの使い方を説明していなかったが、いずれ皆、知ることになるだろうから、早めに見本として一個ずつ、支給しておく」

男子は少しざわめいていた。女子も赤面している。

キース「希望者がいれば、以後もこちらで避妊具を販売しようと思う。これで全ての感染症が防げるという訳でもないが、ないに越したことはない。くれぐれも、責任の負えない行動は取らないように注意しろ」

訓練兵「「「はっ…!」」」

キース「明日からは男女混合の訓練に戻る。ただし、宿舎の男女間の行き来については、特別な場合を除いて、夜8時以降は禁止にさせてもらう。いいな」

以前は10時までは自由時間だったのだが、時間が短くなってしまったようだ。

キース「とりあえず、こちらからの連絡は以上だ。何か質問はあるかね?」

キース教官が質問はあるか?
と言っているので、質問がある訓練兵は挙手をお願いします。

何もない場合は、そのまま省略して進みます。


これは質問させたかったら、誰それにこれこれこういう事を質問させて欲しいと書けばいいのか?

>>332
そんな感じでもいいし、普通に質問だけだったら、
モブ訓練兵として発言させます。

ここが多分、物語の分岐点になるので、
今のうちに聞きたいことを聞いていいですよ。

>>333
あり
難しいな…
分岐点になると言われると特に
他の人はどうなんだろうか

>>334
何もないなら、このまま省略しますぜい。

んじゃ、質問は無しルートで続き書きますねー。

訓練兵が誰も挙手しなかったので、キース教官は少し眉間に皺を寄せた。

キース「……特に何もないようだな。まあいい。もし何か不都合な点があれば後日でもいい。私のところに直接来るように。いいな」

訓練兵「「「は!」」」

キース教官がそう言い残して出て行ったのが妙に気になるアルミンだった。

アルミン「なんだろう……キース教官のあの口ぶりだと、何か質問をして貰いたいような気配だったね」

エレン「ああ……それは俺も感じた。けど、俺も聞きたいことって言われても何も思い浮かばなかった」

アルミン「追々、問題が出てくるかもしれないね。今はとりあえず、様子を見るしかないかな」

とりあえず、明日からは男女合同の訓練に戻ることが分かりほっとするミカサだった。

ミカサ「では今から8時までは話せる。エレン、アルミン、少しここに残ってお話しよう」

アルミン「だね……情報交換に入ろう。ミカサ。そっちはどんな様子だった?」

三人はとりあえず、食堂に残り、椅子に座って三人で近況を報告し合った。

ミカサ「こちらは検査にひっかかった子が五人いた。可哀想だけど、開拓地行きが決まってしまったようね」

アルミン「そうか……男子は一人だけいた。じゃあやっぱり、考えられるのはその男子が最初の原因という可能性だね」

エレン「ひでえ野郎もいるもんだ」

エレンはつくづくそう思った。

エレン「人を巻き添えにしやがって……」

アルミン「うん。正直、胸糞悪い話だけど、もう仕方がない。済んでしまった事だからね」

ミカサ「でもまさか、性交渉を通してかかってしまう死の病が存在するなんて、知らなかった」

アルミン「僕も初耳だったよ。普通はかかってしまっても、薬があれば治るものが多いのに、治す手立てすらないなんてね」

エレン「無知っていうのは、怖えよな」

エレンはアルミンがいたおかげで突き進まずに済んだが、もし、アルミンという頼れる人間が居なかったらと思うとぞっとした。

エレン「俺、もっと他の事にも情報を耳に入れるように頑張るわ。訓練だけ頑張っても意味がねえって今回の事で身にしみたし」

アルミン「うん。そうだね。ここで生きていく以上、情報交換は必須だ。三人でこれからも助け合っていこうね」

ミカサ「うん。私も夜は出来るだけ女子とお話する」

エレン「頼むぞ、ミカサ。女子の話題は女子のほうが聞きやすいからな」

ミカサ「うん」

アルミン「にしても、一番最初の感染ルートが未だ不明っていうのが怖いよね」

アルミンは深いため息をついて言った。

アルミン「二次感染が空気感染じゃなかったのは幸いだけど、この先もずっとそうであるという保障はどこにもない。早いところ、手を打って欲しいよね」

エレン「でも専門的な話は俺達じゃどうしようもねえしな」

アルミン「そうだよね。せめて最初の感染者の男子に話聞けたら良かったけど、隔離されちゃったし、それは出来ないもんね」

コニー「その件だけどさー」

その時、こっそりエレン達の話に聞き耳を立ててたコニーが近寄ってきた。

コニー「俺、ちょっと聞いてきちゃったぜ。その男子が捕まる前に」

アルミン「え? 嘘……どうして分かったの?」

コニー「んー……実はさ、この間、ジャンに俺、ふっかけただろ? お前が犯人じゃねえのって」

アルミン「そうだったね」

コニー「あの時、見てたんだよ。ジャンに話題を振った時、動揺してる奴がいねえかどうか。そしたら、一人だけ、目逸らして、挙動不審な奴がいたからさ。その後、こっそり問い詰めてやったんだよ」

エレン「マジか。コニー、お前、意外と頭回るな。意外だったぜ」

コニー「二回も意外って言うなよー。まあ、問い詰めたと言っても、その時は証拠も何もない訳だし、本人は認めなかったけどな。でもその後、別の奴から、外出したそいつが街で娼館に入るところを見かけたらしくてさ。そいつを尾行したらしいんだ」

エレン「やっぱり娼館経由か。くそ……女好きめ」

コニー「いやいやいや、女じゃないんだな、これが」

アルミン「ん? どういう意味?」

コニー「俺も聞いて驚いたけど、そいつ、女じゃなくて、男が好きだったらしくてさ。そういう人を相手にする、所謂、男娼の方に入ったっていうんだよ」

エレン「え……マジかよ。それ」

コニー「そいつはてっきり、女性の方の娼館に入るとばかり思ってたから、そいつがそっちの趣味だって分かってからは、縁切ったって言ってた。つまり、普通のやり方でなくても、感染はするんだよ」

アルミン「新しい情報だね。それは」

コニー「まあな。俺もびっくりしたわ。男同士でも感染するって、ひでえ病気だよな」

アルミン「いや、でもちょっと待って」

アルミンはそこで矛盾を感じた。

アルミン「だとしたら、何で女子のほうが五人も感染者がいて、男子は一人だけなの?」

コニー「え?」

アルミン「だって、見つかった男子はそっちの趣味なんだよね? 女子を相手にする筈がないじゃないか」

コニー「…………あ!」

アルミン「なんだろうこれ。何か、見落としているのかな。変な感覚だ」

ミカサ「女子の方も、そういう場所に通って貰ってきた可能性は……」

アルミン「あまり聞いたことはないけど、女性が男性を買う場所もあることは一応、知っている。でも女性の場合は性的な意味じゃなくて、会話やそれを含まない店の方が主流だって聞いたことあるよ」

ミカサ「………アルミン、詳しいのね。すごい」

アルミン「僕も耳年増だからね。でも、コニーの情報は有難かった。この病気は、まだ謎が多すぎる気がする」

アルミンは一応、今の話を頭に入れて後で整理しようと思った。

アルミン「とりあえず、今分かっている事は少ないからまた明日、情報を集めよう」

ミカサ「そうね。私もそうする」

エレン「だな。コニーも頼むぞ!」

コニー「おけー! 任せろ!」

アルミン「じゃあそろそろ、宿舎に戻ろうか。ミカサ、送っていくよ」

ミカサ「ありがとう」

そしてミカサを女子寮に送ってその日は解散になった。

エレン(ったく……まだまだしばらくミカサとの時間もお預けになるな)

エレンはそう思いながら、くそうと、悔しさを抱えるのであった。

翌日、予定を変更しての緊急の座学が行われた。

本来ならもう少しあとに勉強する内容を前倒しで習うことになったエレン達だった。

主に感染症についての勉強だったが、その内容は、普通に暮らしていれば、いろんな方面から入ってくる性の知識の復習だった。

ただいつもと違うのは、感染症にかかった場合のリスクの強調をしている部分だ。

座学教官「………というわけで、感染症の歴史はまだ新しい。研究も他の病気に比べれば一歩遅れているのが現状だ。それを改善すべく、発明されたのがこの「避妊具」であり、男性器の外側に装着する事で、それを90%近くまでなら防げるようにはなった。しかしこの避妊具も、使い方を誤れば、失敗する場合もある。くれぐれも使用する際は慎重に行うように」

座学教官「また、女性側の妊娠のリスクを軽減させる薬もある。ただしこの薬に関して言えば、副作用もあり、若い君たちには、効果が強すぎる場合もある。よって、使用の方は15歳以上となっている為、君たちはまだ使えない。くれぐれもその点は注意して欲しい」

座学教官「またー……」

エレンは真剣に聞いていた。

内容はごく当たり前の常識ばかりだが、今回の件で皆、座学に集中しているのが良く分かる。

そして一通り授業を終えると、背伸びをするエレンだった。

エレン「んー終わったー!」

ミカサ(カキカキ)

エレン「ん? まだ板書すんでねえのか?」

ミカサ「男性器の形の絵の模写がまだ終わっていない」

エレン「ぶっ……おま、そんな真剣に書き写さなくても」

ミカサ「何故? 大事なこと。覚えなければいけない」

エレン「あー……まあ、そうだけどなあ」

真面目なミカサにちょっとだけ顔を赤らめてしまうエレンだった。

エレン「あれはあくまで、授業用の絵だからな。実際とちょっと違う部分もあるし……」

ミカサ「そうなの?」

エレン「そうだよ。だって、図解だもん。まあ、だからそこまで真剣に絵を描かなくても……」

ミカサ「では本物を見てみたい……見比べれば、違いがわかるはず」

エレン「アホか! 何言ってる。そこまで勉強する必要はねえよ!」

アルミン「エレンに同感。ミカサ、それは勉強しなくてもいい部分だよ」

アルミンまでもが呆れてしまった。

ミカサ「そう……それなら仕方がない」

しょぼんとして、途中で書き写すのをやめてしまうミカサだった。

ミカサ「名称だけ覚えればいいのね」

アルミン「そうだね。あくまで定期試験用に、知識として覚えておけば十分だよ」

ミカサ「…………」

ミカサはノート類を片付けながら思った。

ミカサ「男の子は、女の子の裸を見たがるのに、逆はダメなのね」

エレン&アルミン「「ぶふーっ!!」」

ミカサ「はしたなくてごめんなさい。もう言わない」

ミカサは少しだけ照れたようにそう言って、二人から離れてしまった。

顔を見合わせるエレンとアルミンだった。

アルミン「エレン……ミカサがあんな事言うなんて、君、何かしたの?」

エレン(ギクリ)

アルミン「ああ、したのか。じゃあ責任取ってやらないと」

エレン「馬鹿! 出来るか! そんな事……」

アルミン「でも今のミカサって、その……なんていうか、ちょっと……可愛かったよね? 僕の見間違い?」

エレン「見間違いじゃねえよ。つか、アルミンもそう思うこと、あるんだな」

アルミン「ないわけないでしょ。ミカサは美人だし、その………僕だって、たまにはそう思う事もあるさ」

エレン「………………」

エレンは少しだけ複雑な顔になった。

アルミン「ああ、心配しないで。だからと言って、僕自身がミカサとどうこうなりたいとか、そういう意味じゃないんだ。なんていうか……ミカサの挙動って、たまにとんちんかんだから、ねえ?」

エレン「ああ。その意味はわかる」

アルミン「エレン、僕は君の苦労の半分も背負えないけど、頑張ってね」

変な風に励まされて逆に困惑するエレンだった。






それから暫く月日が流れ、性感染症の騒動もひとつの落ち着きを見せた頃、ミカサはエレンにカードの件をどうするか、相談しに来た。

ミカサ「残っているカードをそろそろ消化したいのだけども、ダメだろうか?」

エレン「ああ……そういや、あと何が残ってたっけ?」

ミカサ「ナンバー④の耳かきと⑤番の筋肉マッサージと⑧番のハグと、⑩番のふんどしね」

エレン「そういやふんどしまだ残ってたなーしまったー」

ミカサ「街に買い物に行く?」

エレン「そうだな。ふんどしはさすがに買わねえと」

ミカサ「面倒なら作ってもいいけど」

エレン「作れるのか?」

ミカサ「あの直線的な布パンツの事でしょう? 普通のパンツより作るのは簡単」

エレン「マジか。だったら作ったほうが早いかもな」

ミカサ「布を買った方が、後々他の物を作ったりも出来るので、その方がいいかもしれない」

エレン「じゃあそうするか。一緒に買い物に行くか」

食堂に着くと、アルミンは先に食堂で席を取って待っていた。

エレンは他の子達と話していたアルミンに話しかけた。

アルミン「あ、エレン」

クリスタ「アルミン、エレン達にもこの話、言ったほうがいいと思うよ」

そこで何故かクリスタが真剣な表情で言った。

食堂にはまだ、クリスタ、ユミル、サシャの三人と、アルミン、エレン、ミカサのグループと、ほか数名しかいない。

夕食前。まだ食事の前だが、早めに彼らは席についた。

エレン「なんだよ。また新しい情報か?」

声を潜めて、こそこそ話すエレンだった。

アルミン「うん………どうも、悪い知らせだ。一度落ち着いてた、例の病気の件が、どうもまた、女子の方で出たみたいだ」

エレン「え……なんだよそれ」

アルミン「僕はどうも、真犯人が別にいるような気がする。疑いたくないけど………」

そこで一度切って、エレンに言ったアルミンだった。

アルミン「訓練兵以外にも、感染者がいるのかもしれない」

エレン「訓練兵以外で?」

アルミン「考えられるとすれば、教官だ。前回の検査では、教官達は検査をしていない」

エレン「はあ?! 教官が、訓練兵を食い物にしたっていうのかよ?!」

ユミル「エレン、声が大きいぞ。証拠がある訳じゃない。悟られるな」

エレン「す、すまん……」

アルミン「うん。そもそも、僕らは賃金が少ない。そう何度もその手の方面から感染するとは思えないし、女子の訓練兵が点数を脅しに使われて、食物にされて、ヤリ捨てられたと考える方が自然だよ」

ユミル「もし点数をネタにされたら、女子は多分、拒めないもんな」

ミカサ「じゃあまさか、キース教官も感染者だっていうの?」

ユミル「ありえない話ではないが……キース教官は大分年いってるからな。ちょっと考えにくけど」

クリスタ「でも一番点数の権限を持っているのはキース教官なのよね」

アルミン「その感染した子達は今はどうしてるの?」

ユミル「勿論、隔離されたよ。来週には開拓地送りになるだろうな」

サシャ「可哀想な話です……」

サシャは少し俯いている。

サシャ「開拓地に行ったら、今までのような食事は出来ないですよね」

アルミン「そうだね」

サシャ「病気になるとただでさえ辛いのに、更にパンも食べられないなんて、ひどすぎます」

エレン「何とかならねえのかな」

エレンは下唇を噛みながら言った。

エレン「証拠があれば、問い詰められるんだよな」

ユミル「無理だろ。手を打つ方法なんて……何も」

エレン「でもこのままだと、被害が拡大する一方じゃねえのか?」

ユミル「エレン、落ち着け。気持ちはわかるが」

ユミルはとりあえず諌めた。

ユミル「犯人がキース教官だと決まった訳じゃないし、外部犯の可能性だって十分にある。そもそも第一感染経路もはっきり分かってねえ病気に、証拠もくそもねえよ」

アルミン「そうだね。女子はむしろ性感染症ではなく、別ルートから感染した可能性も考えるべきかもしれない」

サシャ「それって、所謂、牛や豚からの感染、とかですか?」

アルミン「そうだね。動物からの感染も十分に考えられる。一番いいのは、感染してしまった子達の証言を聞くのが一番いいんだけど……難しいよね」

ユミル「開拓地に移るのは来週だから、それまでなら、何とかやりとり出来ねえかな」

クリスタ「…………食事を運ぶ係の人を買収すれば何とかなるかも」

クリスタは言った。色仕掛けをしてみると。

アルミン「クリスタが?!」

クリスタ「食事係は男性の教員よ。うん、うまく誤魔化して、私が食事を運ぶ係をしてみる」

ユミル「一人で大丈夫か? なんなら私も」

クリスタ「ううん、警戒されるとまずいから私一人で行く。彼女達に詳しい話を聞いてくるから」

ミカサ「では私も微力ながら途中まで同行しよう。何かあるといけないから」

ユミル「当然だ。私も行く」

アルミン「あまり無茶はしないでね。皆」

アルミンは心配しているが、女性陣は逞しかった。

クリスタ「今回は女子のほうが被害も多いし、立ち上がるしかないよ。頑張るわ」

そう言って微笑むクリスタが、まるで戦う戦乙女のように映ったアルミンだった。

今日はここまで~。とりあえず、次回またノシ
ちょっと話が遠回りするけど、ごめんね。

そんな訳でクリスタが特攻をかます事になった。

ユミル、ミカサ、サシャ、アルミン、エレンの五人は、一応すぐ近くに待機し、もしもの時を考えて、準備していた。

クリスタが食事係りに話をつけている。

その様子は和やかで、すぐにOKが出たようだ。

しかしクリスタが隔離室に入ろうとしたその時、

キース「何をしている。そこの新兵」

運悪く偶然、見回りに来たキース教官に後ろを取られてしまったエレン達だった。

エレン「あっ…何でもありません!」

キース「何でもないわけないだろう。ここは新兵には近寄らないように前もって言っておいたはずだが?」

ユミル「…………すみません」

エレン達より先にユミルが前に出て謝罪した。

ユミル「今回見つかった感染者の女子にどうしても、聞きたいことがあり、独断で接触を図ろうとしました」

キース「…………」

ユミル「どんな処罰も受け入れます。ですので、ここは……」

キース「クリスタ・レンズがここにいないようだが?」

ユミル(ギクリ)

ユミルがクリスタの時間稼ぎをしようと画策したが失敗してしまったようだ。

>>350
訂正
キース「何をしている。そこの訓練兵」

間違えた。訓練兵です。

>>350
訂正2
キース「何でもないわけないだろう。ここには近寄らないように前もって言っておいたはずだが?」

訓練兵と新兵を時々間違える。すんません。

ユミルの態度で事態を察知したキース教官はすぐさま隔離室に急いで向かった。

キース教官が中に入ると、幸いまだ、クリスタは感染者と話をしていなかった。

どの部屋に女子が隔離されているのか、すぐには分からなかったのだろう。

キース教官は少しだけ焦ったようにクリスタを引き止めた。

キース「レンズ! 貴様、何をしている!」

クリスタ「!」

見つかってしまい、顔を青ざめるクリスタだった。

言い訳はきかない。ここは素直に敬礼をするしかない。

クリスタ「申し訳ありません。独断で、感染者の女子に接触を図ろうとしました」

キース「感染ルートの事情を聞き出そうとしたのか」

クリスタ「はい」

キース「貴様にはその権限はない。大人しく帰れ」

クリスタ「ですが、教官!」

キース「命令だ。感染者の今の状態を健康な者に見せるわけにはいかんのだ。堪えてくれ」

クリスタ「……………」

キース「これはレンズ、貴様の為に言っている。見ない方がいい」

クリスタ「……………」

キース「何故、そこまで頑ななのだ」

クリスタ「このままでは被害が拡大する可能性が高いと思ったからです」

クリスタは一歩も引かなかった。

クリスタ「今回の感染は女子のほうが被害を受けています。その原因を突き止めなければ、女子の被害が拡大する可能性が高いです。情報を、知るべきだと思いました」

キース「……………感染者は全員、口を割らなかった」

そこでキース教官は諦めたように言った。

キース「恐らく、何処かで貰ってきたに違いないのだが、感染者は全員、どれだけこちらが聞いても口を割らなかったのだ。レンズ、貴様が聞いても無駄だろう」

クリスタ「ですが……!」

キース「レンズ。貴様は誰が犯人だと思っている?」

クリスタ「!」

キース教官はクリスタを真正面から見据えて何かを待っているようだ。

クリスタは、言いたかった。しかしそれを口に出す勇気が出なかった。

唇を震わせて、言葉を噛み殺している。

その様子にキース教官は落胆の色を隠せなかった。

しかしその時、

アルミン「キース教官を含めた、訓練兵以外の関係者、全員です」

アルミンが勝手に隔離室に入ってきた。

エレン達も我慢できずに、キース教官の後を追ってきたのだ。

アルミン「こういう事態になった以上、キース教官、申し訳ないとは思いますが、我々も嫌疑をかけざるおえません。前回の検査では、教官を含む大人の関係者は検査をしなかった。ですので、キース教官も、検査を受けるべきだと思います」

キース「アルレルト、貴様はわしに嫌疑をかけるのか?」

アルミン「はい」

キース「証拠も何もない。わしがそれを受ける義理はないが」

アルミン「では、署名運動を起こさせて貰います。訓練兵全員の意思であれば、さすがに動かざる負えないでしょう?」

キース「その覚悟があるのだな? アルレルト」

アルミン「はい」

キース教官はようやく深い息をついて、安堵したように笑った。

キース「その言葉を待っていた」

アルミン「………え?」

キース教官の意外な返事にアルミンも驚いた。

キース「ようやく勇気ある意見が出たな。アルレルト、感謝する」

アルミン「一体、どういう事でしょうか?」

キース「わしも本来なら、検査は全員するべきだと思っていたのだが、今回のケースでは、わし一人の権限では、他の教官を含む関係者の検査を受けさせる事が出来なかったのだ」

キース教官は「大きな声では言うなよ」と前置きしてから続けた。

キース「感染者が見つかれば開拓地送りになるだけではない。病気の進行具合では、その場で殺処分もありうる。そんな検査を素直に受け入れられる訳が無かろう。だから、必要だったのだ。『嫌疑』という名の大義名分がな」

アルミン「では、あの時、教官が質問を募ったのは………」

キース「ああ。あの時点で誰かが「感染者の可能性は訓練兵だけなのか?」と、いう声があがれば、動けたのだ。表立って嫌疑をかけられれば、わしが動ける理由になったのだが」

アルミン「そうだったんですか」

アルミンはその時点でその事に気付かなかった自分を責めた。

エレン「なっ………じゃあ、キース教官は他の関係者を疑っておきながら、動かなかったんですか?!」

エレンはそう詰め寄ったが、キース教官は「動かなかったのではない。動けなかったのだ」と言い放った。

キース「検査をするのもタダではないのだ。証拠が全くない状態で、わし一人の嫌疑だけで、上を動かす事は出来ない。もしやれば、それこそ組織に亀裂が入る」

アルミン「なるほど……訓練兵側の声もあがらなければ、何も出来なかったんですね」

キース「その通りだ。アルレルト。訓練兵を代表して、貴様が動いて貰えるだろうか」

アルミン「はい。やらせて頂きます」

アルミンはその場で敬礼をしてみせた。キース教官はクリスタの方に向き直り、

クリスタ「……と、いうわけだ。レンズ。貴様の行動は勇気のあるものだが、肝心な場面でしくじっては元も子もないぞ。今回だけは大目に見るが、以後は勝手な行動は慎むように」

クリスタ「はっ……!」

キース「この件は今の段階では内密にしておいてくれ。騒ぎが広がると、士気にも関わるからな」

一同「「「「「「はっ……!」」」」」」

キース「では、全員宿舎に戻れ。解散!」

キース教官の言葉で一同は宿舎に戻ることになった。

ユミル「なるほどな………そういうことかよ」

ユミルはようやく納得して天を仰いだ。

ユミル「その発想はなかった。くそっ………確かに訓練兵の側からの嫌疑の声でもない限り、教官達に検査を受けさせるのは無理だな」

アルミン「うん……僕もその発想はなかった。くそっ……何で思いつかなかったんだろ」

エレン「つか、でも、俺、まだ納得できねえんだけど? キース教官は教官の中での代表者だろ? 何でトップの人間にその権限がねえんだよ」

アルミン「エレン、それが組織というものだよ。嫌疑をかけるていうのは、責任を伴うものなんだ」

アルミンはキース教官の言い分を理解していた。

故に、その発想に至らなかった自分を酷く責めていた。

アルミン「もし、そのせいで全員白だった場合、どうなる? 検査代もタダじゃない。確実に黒に近いグレーでない限り、動くことは難しいんだ」

エレン「そうかもしれないけど、でも、もしキース教官が早く動いてくれれば、あの女子も感染してなかったかもしれないだろうが!」

アルミン「確かにその通りかもしれない。でもエレン、それは結果論だよ」

アルミンは辛そうな表情で続ける。

アルミン「いや、むしろ僕達は大人も含めて疑うべきだったんだ。教官だからといって、その立場の人を疑ってはいけないという、固定観念に縛られていた。それがいけなかったんだよ」

ミカサ「でも………もし嫌疑の思いがあったとしても、点数の記録をするのは教官達なので、それを表立って言う勇気のある人間は少ないのでは?」

ミカサが最もな事を言った。するとエレンは「それは違う」と突っ込んだ。

エレン「俺が思いついてたら、俺はその場で言ったさ! くそっ……こういう時の自分の頭の悪さが本当、むかつくぜ!!」

アルミン「エレン、それを言ったら僕もだよ。こういう時こそ、僕のような人間が動かないといけなかったのに」

ミカサ「…………」

ユミル「まあ、あれだな。今回は「それに気づいた人間」と「それを言える勇気」を両方兼ね備えた人材がいなかったのが、敗因だな」

ユミルは冷静に分析していた。

ユミル「確かにエレンやアルミンなら言えただろうけど、思いつかなかったのは事実だし、もしかしたら、他の奴らの中には思ってた奴もういたかもしれんが、言えなかったのかもしれんし、どっちにしろ、私らはまだまだ半人前って事だな」

クリスタ「でも、気づいたのだからまだ良かったと思うわ」

クリスタはせめて前向きに考えようとしていた。

クリスタ「気づかなかったら、もっと酷いことになってたかもしれない。だから、今回の事は無意味なんかじゃないと思う」

ユミル「クリスタは優しいな」

クリスタ「自分に言い聞かせてるだけよ」

そう言って苦笑いをしてみせるクリスタだった。

サシャ「そうですね。今度からは気をつけましょう。『疑う事は罪ではない』という、いい勉強になったと思えば」

アルミン「………そうだね」

疑う事は、罪ではない。

苦々しくそう思い、心に刻み付けるアルミンだった。

>>356
訂正
キース「……と、いうわけだ。レンズ。貴様の行動は勇気のあるものだが、肝心な場面でしくじっては元も子もないぞ。今回だけは大目に見るが、以後は勝手な行動は慎むように」

キース教官のセリフが何故かクリスタになってて吹いた。
間違えてごめん。

>>355
訂正2
キース「……と、いうわけだ。レンズ。貴様の行動は勇気のあるものだが、肝心な場面でしくじっては元も子もないぞ。今回だけは大目に見るが、以後は勝手な行動は慎むように」

今度は安価先間違えた。もうわけわかめだな。申し訳ない。

と、いうわけで正式な署名活動と共に、教官一同も検査を受けることになった。

これでもう、これ以上の被害は食い止めることが出来るだろうと考え、一同は安心していたが……。

その後に届いた検査結果にキース教官は息を呑む羽目になる。

キース「誰もひっかかっていない……だと?」

教官、その他の関係者の訓練施設の職員一同、全員に検査をさせたのだが、それでも感染者は出なかった。

その結果に対して、教官達の間で不満の声が広がってしまい、訓練兵代表者のアルミンに対する風当たりが激しくなってしまった。

数日後、キース教官はアルミンを教官室に呼び出して頭を下げた。

キース「すまない。アルレルト。検査結果が出たが……全員白だった」

アルミンは青ざめた。

まさかそんな結果になるとは思わなかったのだ。

アルミン「全員、ですか。検査漏れはないんですか?」

キース「ああ。職員一同、教官全員が検査を受けた。全員、白だった」

アルミン「では、二次感染ではなく、やはり未だ特定不明の一次感染ルートの方を疑うべきでしょうか」

キース「なのかもしれないが………これ以上は下手に動けない。わしの力では、どうする事も出来ん」

アルミン「そうですね…………」

アルミンは検査結果の紙をキース教官が確認させて貰った。

アルミン「……? あれ? キース教官」

キース「なんだ」

アルミン「あの、訓練施設に常駐している、お医者様に対しては、検査を行っていないんですか?」

キース「医者、だと? 彼らは派遣された契約の医者なのだ。正式なここの職員ではないのでその権限は……」

アルミン「僕達は、キース教官を含めた、訓練兵以外の関係者、全員と、言った筈です」

キース「!」

アルミン「疑いたくはありませんが、ここに来てもらっているお医者様にも検査を受けて頂きたい」

キース「……………」

キース教官は悩んだ。

万が一、白だった場合、辞職の覚悟も必要になるかもしれないと思って。

アルミン「教官!」

キース「状況証拠すらないのに、疑ってかかるのか?」

アルミン「疑う事は罪ではありません。キース教官、自分は教官にそう教えられました」

キース「………………分かった。少し時間が欲しい」

キース教官はすぐには答えを出さなかった。

キース「今すぐ、嫌疑をかける訳にはいかない。こちらで何とかしよう」

アルミン「…………時間が経てば、また新しい犠牲者が出るかもしれないのに、ですか」

キース「決定的な証拠がないのに動くわけにはいかん」

アルミン「…………では、証拠を釣り上げてみせましょう」

アルミンはその時、決意した。

自分の身を犠牲にする覚悟を決めたのだ。

アルミン「自分が餌になります。その証拠を教官が目撃すればその場で権限を行使出来るはずです」

キース「ダメだ。アルレルト。それは許可できない」

アルミン「何故ですか?」

キース「君たち訓練兵は、国の財産だからだ」

アルミン「!」

キース「訓練兵は将来、国の為に心臓を捧げる事を誓う代わりに、その身分を保証されるのだ。つまり、君達の所有権は、わしではない。国にあるのだ。だから君達は許可がない限り勝手な行動は許されないし、ましてや身を危険に晒すことも許されない」

アルミン「しかしこのままでは問題を解決出来ないのでは」

至極真っ当なアルミンの意見にキース教官も辛そうな表情を見せた。

キース「……常駐の医者は二人いる。二人のうちどちらかが拡散しているのだろうか」

アルミン「女性と、男性のお医者様、でしたよね」

キース「ああ。何か、何か検査を実行できる切欠があればいいのだが」

アルミン「……………」

苦々しく唇を噛むアルミンだった。

思いつけ。何か策をひねり出せ。

自分はこういう時くらいしか、人の役に立てないのに。

ここで何も出来ないと、訓練兵が餌食にされてしまうかもしれないのに。

アルミン「別の理由でお医者様を交代させる事は出来ないんでしょうか」

キース「その権限はない。人事の管轄は、わしにはないのだ」

アルミン「では、このまま事態を静観するしかないのでしょうか」

キース「……………」

アルミン「教官。せめて、感染者の証言があれば、動かせるのでは?」

キース「わしがどんなに説得しても彼らは口を割らなかった。彼らは、誰から感染した事を皆にバラしてしまえば、それ以上被害が拡大しなくなる事を分かっている。感染してしまった者達の立場から考えれば、それは面白くないのだろう」

アルミン「かかってしまった側は、他人を道連れにしようと思っているんですね」

キース「そうだ。未だに露見していない真犯人がそう入れ知恵をしたのかもしれんな。とにかく、今はどうにも……」

アルミン「では、偽の証言を作りましょう」

キース「!」

アルミン「証言が本当か嘘かは、その真犯人側からすれば、確かめようがない。偽証罪にはなりますが、その拡散した真犯人は、まだまだ被害者を増やして道連れを増やそうとしている。どちらの罪が重いかと言えば、一目瞭然だと、自分は思います」

キース「…………………」

キース教官は訓練兵にそこまで言われては、動かないわけには行かなかった。

キース「分かった。では、今すぐに動こう」

キース教官は賽を放った。

この博打に、残りの教官人生を全て賭けて。





キース教官は後日、アルミンを教官室に呼び出して、結果を報告した。

キース「アルレルト。貴様の読み通りだった。男性の方の医者が、黒だったよ」

アルミン「本当ですか!」

キース「ああ。検査をさせた結果、黒だった。本人は余命一ヶ月程度だと自分で分かっていたらしい。前途のある若い訓練兵を見ていたら、嫉妬心で巻き添えにしたくなったと、自白した。即刻、クビになったよ」

アルミンはほっと胸を撫で下ろした。

手汗と背中の汗がぶわっと出て、神経の緊張が解れたのが分かる。

アルミン「良かった………本当に良かった………」

キース「アルレルト。貴様の勇気ある行動には感謝する。すぐには踏み切れなかった、自分を恥じるよ」

アルミン「いいえ! 自分の案を採用して下さった、キース教官のおかげです! 自分は何も……」

キース「謙遜しなくていい。アルレルト。貴様はこの先、似たような場面に出会った時には、そうやって勇気を出していけ。貴様の活路は、きっとそこにあるぞ」

アルミン「有り難きお言葉です」

アルミンは涙目になって喜んだ。

自分が人の役に立てた事に、心底ほっとしているのだ。

キース「その医者が言うには……彼もまた、別の人間から病気を感染させられたらしい。医者なのに、その危険性を警戒してなかったのは、やはり若さ故だろうな。娼館通いの中で、そういう娘と出会ってしまい、そうなってしまったと証言していたよ」

アルミン「……………」

キース「アルレルト。貴様も充分、自己管理には注意しろ。これから先、そういう欲求も成長していくだろうが、くれぐれも、軽はずみな行動をするな。自分の将来を大切にするんだぞ」

アルミン「はっ……!」

アルミンは深い敬礼をしたのち、教官室を後にした。

その後ろ姿を見ていると、キース教官はしみじみと思った。

若い奴らの中にも、骨のある人材が育ってきているな…と。





アルミンが右腕を高々と上げて男子寮に帰還したので、エレンは思わずアルミンを抱きしめた。

エレン「真犯人が見つかったんだな!」

アルミン「ああ! 僕の読みが的中した。とりあえずは、これで一安心だよ」

エレン「よっしゃあああ!!」

エレンもアルミンも一緒に喜んだ。その様子をコニーもジャンも見つめてほっとしている。

ジャン「そうか……じゃあとりあえず、一安心だな」

コニー「アルミンすげえな! よくまあそんな大博打を打てたな」

アルミン「だって、これ以上、被害者を出したくなかったしね」

アルミンは心底嬉しそうにそう告げた。

男子は皆が皆、アルミン、グッジョブ! と歓迎している。

エレン「にしても………まさか常駐していた男の方の医者が真犯人だったなんて、なあ。くそっ………」

エレンはギリギリ歯を食いしばって悔しがっていた。

エレン「俺が医務室行った時は、女の方の医者だったからな。もし男の方だったら、ぶっとばしてやったのに」

アルミン「エレン、無茶言わないの。その時点じゃ、誰も犯人分かってなかったんだし」

エレン「けどよ! 医者なのに、人を巻き添えにするって、医者の息子としては、許せねえよ!!」

アルミン「そりゃまあ、そうだろうけど。原因は安易な性交渉だった訳だし、ね」

コニー「だな………生でやるのは危険だって、今回の件でつくづくそう思ったぜ」

ライナー「ああそうだな。男同士でも感染するって分かったしな」

ベルトルト(ライナー、何故そっちにツッコミ入れる…?)

ベルトルトはちょっとだけ汗を掻いていた。

アルミン「不特定多数の相手とするのはやめた方がいいのは当然だけど、決まった相手でもやる時はちゃんと避妊具しないとね」

エレン「当たり前だよな! 生でやるのは相手のことを大事にしてない証拠だぜ」

コニー「だなー………あと娼館に行くのはやめた方がいいのも分かったぜ。病気もらったら怖ええもん」

ジャン「そもそも、そういう可能性があるのに何で行くんだろうな?」

ジャンはすっかり首を傾げている。

ジャン「俺には理解出来ないぜ。そんな危ない橋を渡ろうとは思わんな」

マルコ「まあ、ジャンは憲兵団を希望するくらい、安全思考の持ち主だからね」

ジャン「安全なのが一番だろ? 何言ってるんだ?」

マルコのツッコミにも首を傾げるジャンだった。

ジャン「俺は官能小説か、裸の女の絵くらいでいいわ。実際の女はミカサがいるし」

エレン「ああ? 今、なんつった? ジャン」

ジャン「ああ? ミカサがいるから他の女はいらんと言っただけだが?」

エレン「ミカサはてめえの女じゃねえぞ? 何勘違いしてんだ、コラ」

ジャン「ふん………お前の女でもねえだろうが。お前らつきあってんのか? ああ?!」

アルミン「ジャン! もうその程度にして! もうすぐ消灯時間だから! 喧嘩しないでよ!」

ジャン「ちっ……」

ジャンはエレンから視線を外して舌打ちした。

そしてさっさと自分の布団に戻る。

そしてそれぞれ、他の男子も布団の中に戻るのだった。

エレンもまた、布団の中で舌打ちした。

エレン(つきあってはいねえけど………でも、ミカサはジャンのものじゃねえよ)

ミカサのことを思い出してつい、そう毒ついてしまう。

エレン(…………いかん、思い出すと急に会いたくなってきた)

完全に病気だなと思いながらも、新しい規則でもうこの時間帯にはミカサに会えないので、無理やりその思いを振り払う、エレンなのだった。

そして翌日からようやく平穏な日々が戻り、エレンも例のカードの件を再開する決意をしたのだった。

ミカサ「今回はいろいろあったけれど、考えさせられる事件だったし、いい教訓になった」

そう言いながら、朝食を食べるミカサに頷くエレンとアルミンだった。

ミカサ「エレン、娼館には通わないでね」

エレン「ああ、通わない。そういう気持ちになっても、絶対いかねえ」

アルミン(おお……エレンが普通に返事してる。よほど今回の事が堪えたみたいだね)

普段だったら「通うか馬鹿!!」と言い返すところだと思うアルミンだったが、今のエレンは少しだけ、大人しかった。

エレン「ミカサも変な男にナンパされてもホイホイついていくんじゃねえぞ?」

ミカサ「うん。大丈夫。ナンパされてもついていかない」

エレン「うんうん。それがいい。それがいい」

アルミンはお互いが素直になっているその雰囲気にちょっとだけ、「おや?」と思った。

何だか二人の距離が縮まっているようなそんな気配だった。

アルミン(僕の知らない間に何かあったのかな?)

確信はないがそんな予感のするアルミンだった。

しかしそんなアルミンの気配は気づかず、ミカサは言う。

ミカサ「エレン、では残りのカードを、今日から消化しよう。ふんどしは布を買わないと出来ないので、今すぐは無理だけど、それ以外で」

エレン「あー…じゃあ、>>365のカードにするわ」

(*>>344の会話のシーンを参照にしてください)

>>359
訂正
キース「君たち訓練兵は、王の財産だからだ」

アルミン「!」

キース「訓練兵は将来、王の為に心臓を捧げる事を誓う代わりに、その身分を保証されるのだ。つまり、君達の所有権は、わしではない。王にあるのだ。だから君達は許可がない限り勝手な行動は許されないし、ましてや身を危険に晒すことも許されない」

国→王
思いっきり書き間違えた。申し訳ない。

というわけで再安価。take2

エレン「あー…じゃあ、>>367のカードにするわ」

(*>>344の会話のシーンを参照にしてください)

4

ミカサ「耳かきね。では、夕食後、空いた時間にやりましょう」

エレン「おー頼むわ」

アルミン(おお……なんか二人の雰囲気がいつもより刺々しくないな)

むしろいい感じに見えて、ちょっとだけ照れてしまうアルミンなのだった。





そんな訳で、ようやく平和な時間が訪れて、エレンはミカサに耳かきをして貰うことになった。

誰かに見られるとさすがに冷やかされるので、どこかいい場所ねえかなと探すが……

夜8時で事実上の消灯になるので、あまり時間はなかった。

結局仕方なく、食堂の椅子を借りてやる事にした。

コニー「お? 早速あのカード使ってるのかよ、エレン」

エレン「うるせ。いいだろ。別に」

たまたまそこに居合わせたコニーに早速冷やかされた。

コニーは「にしし」と笑っているが、それ以上は突っ込まず、退散した。

ちらほら食堂に人はまだいるが、エレンはもう、気にしない事にした。

エレン「あーそこそこ!」

ミカサ「ここ?」


カサカサ……


木を細く削って作られたその耳かきをそろりそろりと使って、ミカサはエレンの耳の中を掃除していた。

ミカサ「取れた。耳垢、奥に結構溜まってる。自分ではしなかったの?」

エレン「あー……ついつい、小指でほじってそのまんまだな」

ミカサ「ちゃんと耳かきでして。不衛生」

エレン「ああ……今度からそうする」

不衛生では無いけどな



カサカサ……



エレン「あー至福だな、これ」

今、右耳を先にやって貰っている。

こんな風に誰かに耳を掻いてもらうなんて久しぶり過ぎて。

じんわりと、綿に包まれるような心地よさがあった。

ミカサ「また取れた……」

エレン「すまん」

ミカサ「耳の外側もついでにする」

エレン「お、おう…」

エレンはびくっと身を震わせてその刺激に構えた。

エレン(おお……こっちはなんかくすぐってえ)

プルプルしながら耳かきの刺激に耐える。

ミカサ「外耳にも汚れが……エレン、今度から定期的にしてあげる」

エレン「え…いいって。今度はちゃんと自分でやるって」

ミカサ「ダメ。すぐほったらかすくせに」

エレン「………………」

エレンはむっとしているが、ミカサは構わず続けた。

ミカサ「見てみる? ほら? こんなに汚れてた」

耳垢を実際に見せられて「げっ」と思うエレンだった。

>>369
小指で耳かき過ぎて、そこからバイキン入って、
病院に行く羽目になったことがある>>1です。
病院の先生に怒られましたwwwww

エレン「まじか……気付かなかった」

ミカサ「でしょ? だから今度からは、定期的に私がする」

エレン「ミカサは自分でやってるのか?」

ミカサ「やってる」

エレン「ふーん」

ミカサ「エレン、反対側もする」

エレン「お、おう……」

エレンは一度体を起こして、左側の耳を、体の位置を反対にしてミカサに見せた。

ミカサ「? 何故そんな面倒な移動をするの? 普通にひっくり返ればいいじゃない」

エレン「あ? そうすると顔が腹の方の向きになるだろうが」

ミカサ「ああ、気を遣ってくれたのね。気づかなくてごめんなさい」

エレン「……………」

エレンは照れくさそうに無言を貫いた。

ミカサはエレンの左側の耳も丁寧にカサカサほじってやった。

ミカサ「こっちも結構ひどい。いっぱい取れた」

紙の上に耳垢を落として集めた全部のそれを見ると、うへえと思うエレンだった。

エレン「すまん。次からは自分でも気をつけるわ」

エレンが起き上がろうとするのでミカサは「待って」と止めた。

ふっと強い息を一度吹きかけて、仕上げをする。

その息の感触にうっかりドキッとさせられるエレンだった。

エレン「何、息かけてんだよ!」

ミカサ「仕上げ。粉になった耳垢を飛ばした」

エレン「先に言え! び、びっくりしたじゃねえか!」

エレンはドキドキしながらそう文句を言った。

ミカサ「………ごめんなさい」

エレン「全くもう………まあ、いいけどさ」

エレンはよいっしょと体を起こした。

エレン「これでナンバー④のカードはクリアだな」

ミカサ「そうね」

エレン「後は筋肉マッサージとハグとふんどしか。だんだん終わりが見えてきたな」

エレンはちょっとほっとした。

このままの調子でいけば、この間のような失態はせずに済むだろうと安心している。

しかしミカサ自身は少しだけ不満な表情だ。

ミカサ「エレン……」

エレン「ん?」

ミカサ「エレンが書いたお願いは、本当にエレン自身のお願いだったの?」

エレン「お、おう……そうだな」

今更何を言い出すんだ? と思ったエレンだったが、

ミカサ「本当に? 本当はもっと……違うお願いがあったのではないの?」

エレン「何でそう思うんだ?」

ミカサ「だって………」

その時、ミカサはエレンの地雷を踏んだ。

ミカサ「こ、この間の、エレンの、あの時の、表情………は、その………こ、こういう事じゃない事を望んでいるような気がして」

エレン「ぶふーっ!!」

遂に突っ込まれてしまったその事実にエレンはちょっぴり狼狽する。

エレン「あ、あの時は……」

なんかいろいろ調子に乗ってすみません。本当、すみません。

そんな気持ちでいっぱいになるエレンだった。

エレン「あの時は、ついついふざけ過ぎただけだ。悪かった。もうしねえよ」

ミカサ「別にするなとは言ってないのに」

エレン「あのな、ミカサ。今回の事件の教訓を思い出せよ? 俺達はまだ、そういう事をするような年じゃねえんだって」

ミカサ「……………」

エレン「あの時はその………本当、俺もなんか、頭湧いてたっていうか、そういうのに興味出てきたっていうか、ミカサ相手にする事じゃねえのに、なんていうか、したくなっちまって、悪かったと思ってる」

ミカサ「……………」

ミカサは無言を貫いている。

エレン「だからその……本音を言えば、ミカサの方も俺をあんまり刺激するような事をしないでくれ。家族でも、その辺の礼儀は必要だと思うから」

ミカサ「エレンは私に対してそういう気持ちになる時があるの?」

エレン「!」

遂に突きつけられたその刃に、エレンは息を呑んだ。

ここまでいろいろやってしまえば、否定をするのも難しい。

だから観念したように、エレンは自分の口から言った。

エレン「そりゃ……裸を見ちまったり、肌が触れ合えば、男だからな。ドキドキはするさ」

エレンは視線を合わせないようにして白状した。

エレン「でも、それは男の都合だしな。そんなもんにミカサを付き合わせる訳には……」

ミカサ「私も、同じだと言ったら?」

エレン「え?」

その時、視線を戻すと、ミカサは俯いて、前髪で顔を隠していた。

ミカサ「私もエレンと触れ合うとドキドキするの。昔はこんな事、なかったのに。これって、エレンを異性として認識しているって事よね?」

エレン「…………」

ミカサ「それとも、体の成長と共に起きる体の反応なの? その境目が、よく分からないの」

エレン「…………多分、両方なんじゃねえの?」

エレンはそう、努めて優しく言ってやった。

エレン「俺だってよくわからなくなる時があるしな。単に性欲の捌け口にしようとしているのか、そうじゃないのか。俺だって、こんがらがる時はあるんだよ」

ミカサ「そうなのね」

同じだと知ってミカサは安心した。

ミカサ「では、この問題はこれからどうすればいいのだろう?」

エレン「………………我慢していくしか」

ミカサ「無理だと思う。その結果が、あの事件の末路だった」

エレン「……………」

ミカサ「エレン。私達は幸い、避妊具を支給された。今後も購入すれば使用する事は出来る。だから……その……」

エレン「俺としてみたいって、言うのか?」

ミカサ「……………」

ミカサはそこで頷けなかった。その勇気がなかったのだろう。

エレンはふーっと息をついて頭をわしわし掻いた。

エレン「あのな、ミカサ。俺は、お前を家族として大事にしたいと思ってるんだぞ」

ミカサ「それは私も同じ」

エレン「常識的に考えれば、こういうのは、恋人同士でする事なんだぞ?」

ミカサ「それも知ってる」

エレン「お前は俺と、恋人になりたいのか? でも、恋人と家族は、違うんだぞ?」

ミカサ「…………そうね」

ミカサは諦めたように頷いた。

ミカサ「エレンの言う通り。私はエレンとは家族でいたい。でも、体はその意思に反して、違うことを望んでしまう」

エレン(ギクリ)

まるで自分に言われているようでエレンは胸が傷んだ。

ミカサ「そのせいで頭がぼーっとなったり、集中力が欠けるのはとてもやりにくい。今まで経験したことのないものばかりで、私も対処の方法に悩んでいる」

エレン「………そういう悩みを他の女子に話したりはしたのか?」

ミカサ「皆、同じような事はあるらしい。でも、我慢するしかないとも、言っていた。もしくは妄想をして発散するしかないと」

エレン(……俺でいう、淫夢みてえなもんかな)

思い当たる節を思い出して頷くエレンだった。

ミカサ「妄想……というのはいまいち良く分からないけど、エレンも妄想したり、する?」

エレン(ギクギク)

そりゃあもう、ええ。妄想しまくりの天国ですが何か?

と、言いたくなるが、エレンはぐっと堪えた。

エレン「たまーに、あるけどな。まあ、皆、似たようなもんなら仕方ねえよ」

ミカサ「ではせめて私も妄想をしてみたいのだけども」

エレン「ぶふーっ!」

エレンはそんな妙な要求を突きつけられて非常に困った。

エレン「無茶するな。いや、そういうのは、俺に聞かれても困る」

ミカサ「では、エレンの妄想を教えて欲しい」

エレン「話聞いてたのか? 聞かれても困るんだが」

ミカサ「………ケチ」

エレン「ケチだろうが何だろうが、言わねえよ。つか、そんなのは人にあんまり言う話でもねえの。自由に妄想すればいいじゃねえか」

ミカサ「自由に?」

エレン「そうそう。妄想や夢の中なら、自由だよ。何をしようがな」

ミカサ「………もしかして、以前見た、あの夢が、そうなのかしら」

エレン「ん?」

ミカサは前回の自分の誕生日の後に見た夢を思い出した。

ミカサ「エレンが13人、子供の姿で出てきて一緒に暮らしていた夢。ああいうのが、妄想なの?」

エレン「あ、ああ……まさにその通りだな。なんだ。ミカサもちゃんと妄想してたな、そう言えば」

ミカサは直後、かあっと顔を赤らめた。

エレン「ん?」

ミカサ「な、何でもない……!」

<(\)><(\)>
期待ですな~♪

<<(×)><(×)>>
こんな風にならないよう体調にもお気をつけて

>>377
サンクス! 休憩入れながら続けます。

夢の中でエレンにキスされた事を思い出して一気に火照るミカサだった。

その急な表所の変化にエレンも思わずドキッとさせられる。

エレン「何だよ急に。エロい事でも思い出したか?」

ミカサ「ち……違う」

エレン「嘘つけよ。まあ別にいいけどさ。夢の中なら、何しようが勝手だし、ミカサも好きにすればいいんじゃねえの?」

そう言って、エレンは結論づけた。

エレン「まあそう言う訳だから、お互いに気をつけようぜ。今後もな」

ミカサ「……………そうね」

エレン「あ、やっべ。もうそろそろ時間だな。戻るぞ。送ってく」

ミカサ「ありがとう」

そしてエレンはミカサを女子寮に送ったのち、男子寮に戻っていった。

残りは筋肉マッサージとハグとふんどしだ。

エレン(明日はどっちを先にしようかな)

ふんどしは、ミカサと買い物をしてからじゃないと出来ないので、来週以降に持ち越しだ。

その前に他の二つを消化してしまおうと考えるエレンだった。





その日の夜、エレンは何故か、ミカサの耳を掻いてやる夢を見た。

エレン『しまった……そうだった。この法則性を忘れていた』

カードを使用した時に、実際にエロい事をしなかった場合はこっちで発散してしまう自分に、エレンはついつい毒ついてしまった。

ミカサは自分の太ももに頭をのせている。エレンは木の細い棒でミカサの耳を覗いていた。

エレン『ま、いっか。どうせ夢だしな。んー……思ってたより汚くねえな』

ミカサ『そう? 耳垢溜まってない?』

エレン『ああ。まあ、ちょっとはあるけど。一応、取ってもいいか?』

ミカサ『お願いする』

エレン『じゃあ取るぞ』


カサカサ………


ミカサ『あん……! (ビクン)』

エレン『馬鹿! 動くなって! あぶねえだろうが!』

ミカサ『ごめんなさい。気持ちよくて』

エレン『…………もっと奥まで入れても大丈夫かな』

ミカサ『あとちょっとだけなら』

ミカサがそう言うので、ちょっとだけ奥まで突っ込んでみる。

ミカサはふるふる震えてそれに耐えているようだ。

両目をきつく閉じて震えているミカサを見ていると、何だか変な気分になってくる。

ミカサの反応を見つめながら慎重に、鼓膜を傷つけないように丁寧に耳かきの棒を突っ込んでいた。

ミカサ「はあ……はあ……はあ…」

耳を掻かれているだけなのに既に興奮して蒸気しているミカサにエレンもちょっとだけ面白くなってきた。

耳かきの棒を抜いて息を吹きかけて仕上げをしてやる。

ミカサ「あん……!」

強く吹き付けた息にまで反応している。

これでは悪戯したくなるだろうが。

と、エレンはまた、いやらしい感情を開放した。

腰を折り曲げて、ミカサの耳に唇を寄せて外耳に舌を這わせる。

ぺっちゃぺちゃと、舌を滑らせて、甘噛みして、耳の裏側にも吸い付いて見せると、ミカサはまた、ビクンビクンと大きく反応した。

ミカサ「あ……エレン……やだ……噛まないで」

エレン「んー? でも体は反応してるじゃねえか」

エレンは自分の太ももを枕にして横になっているミカサの胸に手を滑らせた。

ミカサ「あふ……あ………あああ」

そしていつものように愛撫を開始する。ボタンを外して中の方に指を入れていく。

だんだん手慣れてきたエレンのペースの速さにミカサも戸惑っているようだ。

しかしミカサは抵抗しない。抵抗出来ないのだ。

耳をはむはむしながら、エレンの手は乳首に忍び寄る。

ミカサを喘がせて、また気持ちよくさせたくて、どんどん、舌を耳の中にまで入れていく。

ミカサ「ああああ!」

耳の刺激を強くすると、乳首が少し硬くなったのが分かった。

エレン『ん……?』

あれ?

今、一瞬、何か変な感覚があった。

妙にリアルだった。今の、感覚。

まるで実際に触ったかのようなリアルな感触に、エレンは手を止めた。

エレン『夢の中、だよな。この世界は』

にしては今、一瞬だけ、変な感覚だった。

夢にしてはリアル過ぎるというか。

ミカサ『エレン……?』

急に手を止めたエレンにミカサも戸惑っている。

ミカサ『エレン、もっと……もっと、噛んで』

エレン『ああ……』

今のは気のせいだろうと、エレンは思った。

そして愛撫を再開する。

ミカサ『あああん! エレン、もっと……』

エレン『ミカサ、こっち向け』

仰向けになるように指示して、エレンはミカサを自分の方に向かせた。

ミカサはもうすっかり蕩けている。エレンは前ボタンを全て外して、ちゅ、ちゅ、と、甘噛みを繰り返した。

鎖骨を中心にその周辺にキスマークを落としていき、その間に耳を触って、ミカサをどんどん、追い詰めていく。

ミカサ『エレン……エレン………エレンは、私のこと、好き?』

エレン『ああ、好きだよ。愛してる』

夢の中だからいいかと思い、素直にその言葉を言った。

すると、ミカサは微笑み返しをして、

ミカサ『嬉しい。その言葉をずっと聞きたかった。私も愛してる。だから………現実でも、そう言って』

エレン『え?』

エレンはその手を止めた。何故、そんな事を言われたのか分からない。

ミカサ『エレンは夢の中でだと素直だけど、現実だと、天邪鬼。それが寂しい』

エレン『え? え? 何言ってるんだ? ミカサ』

ミカサ『だってそうでしょう? エレンはなかなか現実では素直になってくれない』

エレン『いや、そうじゃなくて、何でお前が現実の俺を知ってるんだよ』

妙な会話だとエレンは思った。鐘が、ガンガン鳴り響く。頭の中というか、夢の中だけど。

うるさいくらいに、鳴り響いている。

ミカサ『? だって、私も妄想していいって言った。だから、エレンの夢の中を覗くという妄想をしてみたの』

エレン『?!』

言っている意味が分からない。

いや、ちょっと待て。それってつまり。

エレン『まさかと思うが、夢が繋がってるのか? これ?』

夢の中でお互いがつながっているのか? そんな馬鹿な。

そんな話は聞いた事がない。

しかしミカサは『そうなのかしら?』と曖昧に答えた。

ミカサ『よく分からない。これは夢だっていうのは分かるけど、私から見た都合のいい夢なのかもしれない』

エレン『待て待て待て。いや、待て。これは起きて確かめてみないと分からん。一回、起きよう!』

エレンは自身に『起きろ!』と言い聞かせるが無駄だった。

エレン『くそ……そう簡単には起きねえか。いや待て。俺の夢がもしミカサにバレてるなら、これ以上はイチャイチャしねえ!』

ミカサ『なんで?!』

エレン『だってこんなの、本人が知らないから出来ることだろうが! バレてんのなら出来ねえよ!』

ミカサ『エレンの意気地なし』

エレン『そういう問題じゃねえ!』

二人は夢の中なのに喧嘩をおっぱじめてしまった。

エレン『いいか? 妄想は、妄想なんだ。本人にバレていいものじゃねえんだよ!』

ミカサ『別にいいのに……怒らないのに』

エレン『俺が恥ずかしいって言ってるんだよ! くそ……何だこのいつもの日常のような夢は! 夢でくらい、好き勝手にさせてくれよ!』

エレンが何故か両手を組んで祈り始めてしまった。

ミカサは仕方なく体を起こして前のボタンを直して立ち上がる。

エレン『み、ミカサ……?』

ミカサ『もういい。エレンには勇気がない事が分かった。もうアルミンに乗り換える』

エレン『?!』

ミカサ『エレンより、アルミンの方が私を幸せにしてくれそう。だからもう、エレンとはこういう事は一切しない』

そう言い捨ててさっさと消えてしまい、エレンは手を伸ばしたが、間に合わなかった。

エレン『ミカサああああああ?!』







エレン「ああああああ?!」

がばっと跳ね起きた。全身が汗だくだった。

何だ今の夢は。今のは一体………。

アルミン「んんー………あれ? エレン? もう起きたの? まだ夜中じゃない?」

アルミンはエレンの起きた気配に釣られて起きてしまった。

アルミン「どうしたの? 顔色悪いけど」

エレン「アルミン、お前、他人の夢の中、覗いたことあるか?」

アルミンは突然そんな質問をされてしまって困った。

アルミン「いや、あるわけないけど。どうしたの? 何か変な夢でも見たの?」

エレン「夢の中でミカサが俺の夢と繋がっている夢を見た」

アルミン「……? ちょっと意味が分からないんだけど」

エレン「そういう夢だったのか、実際に繋がってたのか分からないけど、夢の中のミカサがリアル過ぎて、なんていうか、夢じゃないような感覚だったんだ」

アルミン「ああ……そういう意味か」

アルミンは体を起こしてエレンに向き直った。

アルミン「それに近いことなら僕にもあるよ」

エレン「本当か?」

アルミン「僕の場合は、首を絞められている夢を見ていたら、実際に起きてみた時に、喉が詰まりかけてて呼吸困難になってたんだ。喘息が出ててね。慌ててエレンのお父さんのところにかかりにいったよ。一時的なストレスからによるものだろうって事ですぐ治ったけど、実際の体の状態と夢がリンクする事はたまにあるよ」

エレンはその言葉を踏まえて考えてみた。

そしてアルミンの前ボタンが全部外れている事に気づいて青ざめた。

エレン「アルミン、お前、前ボタン、どうした?」

アルミン「え……? あれ? おかしいな? いつ外したんだろ? 寝る前はちゃんととめてたのにな」

アルミンは首を傾げているが、その言葉でエレンは自分がやっちまった事に気づいた。

エレン「うわあああああ! アルミン、俺を殴ってくれ!!!!」

アルミン「え?」

エレン「俺、夢の中でミカサの前ボタン外してる夢見てて……実際は寝ながらアルミンの前ボタン、外してたのかも」

アルミン「ええええええ……Σ(゚д゚lll)」

アルミンはさすがにその衝撃にドン引きした。

アルミン「それはなんというか……エレン、ちょっとまずいんじゃない?」

エレン「自分でもそう思う。俺、明日から両手両足を自分で縛って寝る」

アルミン「いや、そこまでしなくてもいいけどさ。欲求不満が溜まりすぎているんじゃないの?」

エレン「……………」

そうなのかもしれないと、思い始めたエレンだった。

アルミン「まあ、あれだよ。今回の事はエレンが寝ぼけてたせいって事で許すけど……僕はそっちの趣味は無いからね? 一応、言っとくけど」

エレン「本当にすまん………いっそ俺を百叩きにしてくれ」

アルミン「嫌だよ。罪悪感を処理するのは自分でしてくれ。それよりもう、いい加減、ミカサとのことをちゃんと決着つけたほうがいいと思うけど」

エレン「……………」

アルミン「エレンがなかなか踏ん切りつかないもの分かるけどね。前回の事件の事もあるし、そういう関係になるのが怖いのは分からなくもないけど」

エレン「………………」

アルミン「今度、二人で街に買い物行くつもりなんでしょ? 一度二人きりでゆっくり時間を過ごしてみなよ」

エレン「アルミン………頼む。着いて来てくれ」

アルミン「無理。今回ばかりはちょっと、僕には手に負えない。二人の問題だからね」

エレンは項垂れた。そして念のため、本当に自分の両手を縛って布団に戻る。

そんな律儀なエレンの態度にアルミンもため息をつくしかなかった。

アルミン(全くもう………通りで僕も変な夢を見たと思った)

アルミンの見た夢は、ここでは内緒である。





そんな訳で、遂に二人きりで街に買い物にいける日がやって来てしまった。

この日は久々のお休みで、尚且天気も晴れて、買い物日和だった。

なのでエレン達以外にも、お出かけする訓練兵はいるようで、外出希望者はそこそこ居た。

アルミンはお留守番するようだが、マルコとジャンと三人でいろいろやる事があるらしい。

アルミン「こういうまとまった自由時間は貴重だからね。立体機動装置のメンテナンスを念入りにやっておくよ」

エレン「おう。なんかいい情報があったら教えてくれよ」

アルミン「うん! エレンも気をつけて行ってきてね。お土産も宜しく」

エレン「了解」

そしてエレンは私服姿で街に出かけることになった。

ミカサとの二人きりの時間をどこまで耐えられるか、不安ではあったが………

エレン(決着をつけろって言われてもな…)

まるで街でヤッて来いと言われているようで、心臓が変にドキドキしてしまうエレンだった。

ミカサも遅れて待ち合わせ場所にやってきた。

普段より綺麗におめかししている。唇もプルプルしている。

リップクリームだろうか。髪もサラサラしていて触ったら気持ちよさそうだ。

ミカサは白いブラウスにいつものロングスカート姿だったが、それだけでも充分映える。

エレン(しょっぱなから、何、ムラムラしてんだ俺は!)

自重、自重するんだ。そう言い聞かせ、エレンは精神集中をした。

ミカサ「エレン、行こう。馬車の時間に遅れる」

訓練所が用意してくれる乗合馬車で希望者全員で移動する。

自由時間は決まっているので、街に着いたら時間以内に集合の場所に戻らないと、成績が減点される。

なので訓練兵は本当に必要な個人的な買い物くらいしか出来ないのであった。

エレンとミカサは街に着くと、とりあえず雑貨屋を見て回った。

ミカサ「布がいっぱい出てる。去年はなかった柄もある」

新作の柄が出ているようだ。これは幸運だなと思ったエレン達だった。

ミカサ「エレン、このピンク色の布はどうだろう?」

エレン「お、おう…じゃあそれにするか?」

ミカサ「待って。こっちの黄緑色も捨てがたい。ああ、こっちの水色もいい。でもシンプルな白もいいし、水玉も、花柄もいい。どうしよう。迷ってしまう」

エレン「まーた、迷ってんのか。どうして女の買い物はこう面倒くさいんだ?」

ミカサ「ではエレンに決めて欲しい。エレンはどれがいいの?」

エレン「もう>>391でいいんじゃね?」

エレンはその布を選んで手にとってみた。

花柄

ミカサ「花柄ね。わかった。花柄のふんどしを作る」

エレン「お、おう……」

想像すると少しファンシーな気がしたが、まあいいやと思ったエレンだった。

ミカサ「エレン、他に何処か行きたい場所はある?」

エレン「ああ。アルミンに土産を頼まれてたんだ。本屋に寄るぞ」

買い物当番の日か、もしくは自由時間のある休みの時にしか本屋に立ち寄れないので、こういう時間は貴重だった。

エレンはアルミンに頼まれていた本を購入して会計すると、さっさとミカサの元に戻った。

エレン「ん? 何か欲しいのがあるのか?」

ミカサ「服の型紙とか。花柄なので、折角なので布が余ったらまたスカートを作ろうと思って」

エレン「そうか。こう、ふわっとしたスカートっていいよな」

ミカサ「エレン、そういうのが好きなの?」

エレン「女の子らしい服装は普通に好きだからな」

ミカサ「そう」

ミカサはその一言で購入を決めたようだ。

用事も終わったので本屋を出ようと思ったその時、

エレンはうっかり、15禁コーナーを目の端に入れてしまった。

そこで立ち読みをしている青年がいる。

本屋の端っこだが、何やら怪しいコーナーのように見える。

前回、いろいろ男子にお使いを頼まれた時にもその辺を立ち寄ったが(購入は勿論出来ない。立ち読みしただけだ)、ミカサと一緒にそのコーナーに入った事はなかった。

あの時は確かクリスタとユミルと一緒に来た時に立ち寄った。

エレンはミカサの視界にそれを入れないようにさっと立ち位置を変えた。

その不審な動きにミカサも「?」となっている。

ミカサ「エレン、通れない。店の外に出ないの?」

エレン「こっちから出よう。あっちは通りにくい」

ミカサ「え? こっちはレジ前で人がいるし、通りにくい。あっちから出よう」

エレン「え? ああ……レジがあくまで待とう。あっちは通らないほうがいい」

ミカサ「何故? 折角あいているのだから……」

ミカサがひょいっと背伸びをしてエレンの後ろを見たとき、目の端にそれは映った。

ミカサ「15禁コーナー?」

エレン(ギクリ)

ミカサ「そんなコーナーがあるのね。なるほど」

エレン「…………」

ミカサ「では、そこを通って店を出よう」

エレン「なんでだよ!」

ミカサ「通るだけだから別にいいのでは? 立ち読みする訳ではないし」

エレン「女の子は近寄ったらダメなんだよ」

ミカサ「そんな理屈聞いた事ないけど」

エレン「俺が今決めたんだ」

ミカサ「そんな横暴な」

ミカサはガーンと露骨に表情を変えた。

ミカサ「エレン、どうしてすぐそう、何でも隠そうとするの? 私はそんなにか弱い女でもないのに」

エレン「そういう意味じゃねえんだよ。これは、なんていうか、気遣いというか」

未だに立ち読みしている他の男性客がいる。

そいつらがミカサの気配に気づいたら、居た堪れないだろうと思って、エレンはミカサを止めているのだ。

エレン「とにかく、女の子は近寄っちゃダメなんだ。これは社会のマナーだ」

ミカサ「本当に? でも、女の子がその本を買いたい場合はどうするの?」

エレン「その時は男に代わりに買わせるんだよ。女の子は買ってはダメだ。つか、俺達の年齢だとまだ買えないしな」

本来なら立ち読みもアウトなのだが、その辺は店員に見つからない限りはグレーゾーンである。

ミカサ「じゃあエレン、エレンが15歳になったら、私の代わりに買ってくれる?」

エレン「え……」

ミカサ「それならエレンの言うことを聞く」

エレン「…………」

珍しい。ミカサが自己主張をしている。

こういう時はエレンが駄々をこねたらだいたいミカサが折れてくれるのに。

エレンは仕方なく頷いた。どうせ先のことだから。

エレン「いいよ。俺が買える年齢になったら買ってやるよ」

ミカサ「分かった。では、レジがあくまで待とう。エレン」

エレン「やれやれ……」

そんな訳で、ミカサを何とか引き離す事に成功したエレンだった。

エレン「やっと出れた。後は何処に行くかな」

本屋を出て街を歩くと、エレンは適当に店を眺めながら、呟いた。

ミカサ「私の用事は終わってしまった……ので、他にする事がない」

エレン「俺もねえな。まあ、同室の奴らにお菓子でも買っていくか」

ミカサ「そうね」

お菓子屋に立ち寄ると、そこはすごくいい匂いがした。

店内には可愛らしい丸いお菓子がいろいろ並んでいる。

エレン「どれにするかな。この芋まんじゅうでいいかな」

ミカサ「私はこのキャラメルにする。美味しそう」

無難なお菓子を10個ほどそれぞれ買って店を出る。

何だかんだで、結構歩いて小腹がすいてきた。

エレン「何か喉が渇いたな。お茶でもするか?」

ミカサ「そうね」

そして近所の喫茶店に入り、紅茶を頼む二人だった。

手荷物を横に置いて向かい合って座る。

店内はそこそこ賑わっており、若い男女の客が多かった。

エレン「ふー……帰りの馬車の時間まであと3時間もあるのか。買い物をサクサク進めたせいで時間が余っちまったな」

ミカサ「そうね。戻るのは15分もあれば足りるし、残りの時間をどうしよう」

エレン「そうだな……中途半端に時間が空いちまったな」

さて、どうしようかと悩むエレンだった。

ミカサ「そうね。でも、他にしたい事もない……ので、ここでお話でもして時間を潰してもいいかも」

エレン「え? 2時間もしゃべるのか? 俺とミカサで?」

ミカサ「ダメだろうか?」

エレン「いや、ダメじゃねえけど……」

なんていうか、急に気恥ずかしくなるエレンだった。

今までそんな長い時間をミカサと話すだけで過ごすなんて、した事がない。訓練兵になってからは、特に。

小さい頃は一緒にしゃべって時間を過ごしていた事もあるが、それでも、そんなに長い時間をずっと、しゃべって過ごすなんて、記憶にない。

アルミンとだったら、何時間でもしゃべって、徹夜もした事もあるくらいだが。

エレン「俺、ミカサと話すの、そんなに上手じゃねえだろ?」

言葉のキャッチボールがうまくいかない事などしょっちゅうある。

その自覚はあるので、エレンがそう聞くとミカサは「違う。下手なのは私の方」と否定した。

ミカサ「私は話すのが苦手……なので、訓練したいと思う」

エレン「お、おう……」

そういうつもりなら付き合ってやらねばと思うエレンだった。

エレン「そういやさっき、お菓子買ったよな。珍しく俺と同じのにしなかったけど」

ミカサ「ああ……キャラメルはサシャに頼まれていた。もし見つけたら買ってきて欲しいと前に言われていたので」

エレン「サシャがか? あいつは芋まんじゅうの方が似合ってるだろ」

ククク……と笑って見せると、ミカサは「キャラメルの方が珍しいので」と言った。

ミカサ「サシャはまだ、キャラメルを食べた経験がないそう……なので、一度食べてみたいと言っていた」

エレン「ああ、そういう事か。なるほどな」

ミカサ「私は、おじさんがいた頃にエレンと昔、食べたことがあるから」

エレン「まあな。あの頃はお菓子もまだ今より食べられたよな」

巨人が攻めてきてからは、食糧事情も一気に下降した。

シガンシナ区で生活していた頃はまだ、彼らも人並みの生活をしていたのだ。

ミカサ「街にキャラメルを売ってる店があって良かった」

エレン「そうだな」

ミカサ「エレンの芋まんじゅうも美味しそうだけど」

エレン「………一個くらいなら、ここで食うか」

ミカサ「いいの?」

エレン「いいよ。半分こしようぜ」

エレンはお土産の芋まんじゅうを一個だけ取り出してミカサと半分こにした。

紅茶と芋まんじゅうというアンバランスな組み合わせだったが、二人は満足して食べた。

こういう贅沢が出来るのも、訓練兵という立場になれたからである。

ふと、開拓地に追いやられていた時代を思いだして、そして今という時間を過ごせる事に感謝して、エレンは笑みを浮かべていた。

口元に芋の餡のカスがついているミカサを見ていると、ちょっと可愛い。

エレン「ミカサ、左。ついてる」

ミカサ「エレンも右についてる」

エレン「マジか」

ゴシゴシと、拭おうとするが、ミカサは「逆」と言った。

ミカサ「いい間違えた。エレンから見て左。私からは右」

エレン「なんだよ……ちゃんと言えよ」

そう言ったその時、ミカサはふいにふと手を伸ばして、カスを手で拭ってしまった。

その甲斐甲斐しさに、エレンは赤面する。

周りに人がいるのにミカサはたまにこういう事をするのだ。

エレン「馬鹿! 言えば自分でするのに、やめろよ! そういうのは」

ミカサ「面倒くさかったので」

エレン「だとしても、するなって! 特に人前では! 見られてるだろ!」

ミカサ「…………周りは誰もこっちを見てないけど」

カップルが複数組いるが、皆が皆、自分達の世界に入って周りなど見ていない。

むしろエレンとミカサを超えるイチャイチャぶりを発揮している人も多く、中には膝の上に女を乗せている男もいる。

公共の場の筈なのに、何故だ?!

ミカサ「………どうもここは、カップルの社交場のようね」

エレン「みてえだな」

ミカサ「あ、あそこの席の二人がキスし始めた」

エレン「!」

エレンはミカサの視線の先を追った。すると本当にぶちゅーとかましていた。

エレン「………店、出るか」

知らずに入った自分を恥じるエレンだった。

ちょっと如何わしい店に入った事を後悔してエレンは再び街を歩いた。

ミカサはちょっぴり残念そうにしている。お話が途中で途切れてしまったからだろう。

ミカサ「エレン、別のお店に入ろう」

エレン「そうだな。どこかで休憩出来る場所、ないかな」

ベンチに座って話すだけでもいいや、と思ったのでエレンは視線をキョロキョロしたが………

ミカサ「エレン、ここは『休憩所』と書いてある。一時間1000円も取られるなんて、高い」

エレン「ぶふーっ!!」

エレンはその建物の看板の前に佇むミカサをずるずる引っ張って引き離した。

ミカサ「?」

エレン「そんな場所で真剣に悩むな馬鹿!」

ミカサ「悩む? ただ看板を見てただけなのに」

エレン「いや、入りたそうにしてただろお前」

ミカサ「どんな場所なのか興味はあったけど、料金が高いので入ろうとは思わない」

エレン「ああいう場所は金持ちが利用するところなんだ。俺達には不相応だ」

ミカサ「それは分かってるけど……何でそんなに焦っているの? エレン」

エレン(ギクリ)

汗を垂らす。何かまずい気配だった。

ミカサ「あの『休憩所』は何か特別な施設なの?」

案の定、問われた。

エレン「…………そうだよ」

ミカサ「そう。もしかして、その…………そういう事をする場所なの?」

エレン「察しの通りだよ。だからあんまりジロジロ建物を見るなって」

ミカサ「ああ、なるほど。通りで先程の喫茶店と隣接していたのね」

エレン「みたいだな。こっちはそういう色町なのかもしれん。大通りに抜けるぞ」

エレンはミカサを引っ張って、そういう道通りを通り過ぎて、人の波に出た。

エレン「ふー……」

午後になるとそれなりに人が集まっている。

通り沿いには「市場」も出ていて、野菜や肉等の販売も行われていた。

エレン「あー美味そうだけど、もう金もそんなにないしな」

ミカサ「見てるだけでも楽しい」

エレン「そうか? じゃあ見て回るか」

普段食べられないような色とりどりの野菜が並んでいた。

採れたての野菜がエレンとミカサを誘惑する。

私を食べて、と。

エレン「う~……やっぱり見ると食いたくなってくるな」

ミカサ「トマトくらいなら、いいのでは?」

エレン「来月きついけど、一個だけ買うか!」

エレンは思い切ってトマトを買って食べた。ミカサも同じものを買って食べる。

ミカサ「美味しい。やっぱりたまには野菜も食べないと」

エレン「だな………あーうまかった。俺、昼飯これでいいや」

ミカサ「ふふ………」

エレンとミカサは広場のベンチに並んで座って休んだ。

ミカサ「こうやって見ると、平和ね」

エレン「まあな」

ミカサ「巨人が攻めてきた事なんてまるで忘れているみたい」

エレン「そうだな」

そうぽつりと呟いて、エレンは少しだけ気が重くなった。

エレン「でも、爪跡はシガンシナ区にはまだ残っている。ここだって、いつそうなるかなんて分からない」

ミカサ「そうね」

エレン「その時の為に俺達は………大人にならねえといけねえな」

ミカサ「………………」

ミカサはエレンの方を見ている。

エレンは街の様子を眺めながら呟いている。

エレン「この平和な状態がいつまでも続けばいいんだが」

そう思う反面、近い将来、またあの時のような悲劇が起きるかもしれないと思うエレンだった。

それを想像すると、どうしても気が重くなる。

戦うつもりではいるけれど、その戦術が実際に通じるかどうかは、まだ分からない。

今はまだ半人前だ。早く、一人前の新兵になりたいと強く願うエレンだった。

そうやって二人が黙り込んで暫く時間を過ごしていたその時、

急な雨雲がやってきて、広場が一気に薄暗くなってきた。

そしてゲリラ的な雨が降ってきて、一気に周りが騒然となった。

エレン「やべっ! 雨宿りするぞミカサ!」

ミカサ「うん!」

エレンは慌てて適当な店の中に入った。

とにかく雨さえ凌げればそれでいいと思い、ろくに確認せず、店の中に入ってしまう。

幸いすぐに逃げたので土産や本の被害は最小限で済んだが……

エレン「まずいな。この天気じゃ、集合場所に戻るのにも面倒だ」

ミカサ「少しでも止めばいいけれど」

エレンは頷いた。そしてふと、隣に立っているミカサを見つめる。

ミカサの髪は濡れて、額にくっついている。

服も当然、少し濡れていて、胸当てが透き通って見えていた。

エレンはさっと目を動かした。直視するとまずいと思った。

ミカサ「…………そういえばこの店は、何の店だろうか?」

入ったのはいいけれど、特に何もないガランとしたフロアの店だった。

エレン「? 確かに変だな。商品もなにもねえ」

あるのはただ、受付と思われるところが一つだけ。不気味だ。

ここにいても大丈夫なのか分からないが、特に咎められてもいないので、そのままそこに佇んで雨を待つ二人だった。

すると、受付の女性がガラス越しにエレンに声をかけた。

受付「あらお二人共、雨に濡れて雨宿りされるなら、こちらで休憩されてはいかがですか?」

エレン「え?」

受付「こちらの休憩所は只今、サービス中でして、1時間なんとタダで提供しております」

ミカサ「タダ…ということは無料なんですか?」

受付「はい。ただし、モニターとして、とある物を使用して頂ければ、の話ですが」

怪しげなその雰囲気の女性の招きにミカサは警戒心を強くする。

ミカサ「モニターとは?」

受付「はい。とある試供品をお二人で使って頂き、感想を教えて下さればタダで休憩所を提供するというものです。一時間だけですが」

エレン「…………」

受付「そちらの彼は準備は既に出来ているようですし、お二人でお試ししては頂けないかと」

ミカサ「? 言っている意味が分からない」

ミカサは首を傾げているが、エレンは正しく認識していた。故に即座に断った。

エレン「断る。そんな怪しい誘いに誰が乗るか」

受付「おやおや……でしたら営業妨害になりますので、今すぐそこから出て行ってもらえませんかね?」

エレン「はあ?」

受付「勝手に雨宿りをされては困ると言っているんです。この建物の敷地の権利は私にありますので。私の許可がない人間は、不法侵入で訴える事も出来ますよ?」

エレン「…………」

受付「お客様であれば手厚くもてなしますが、ただの雨宿りに貸す屋根なんてございません。金を取ろうと言っている訳ではないのですから、どうか、ご協力くださいまし」

エレン「ミカサ、どうする?」

ミカサ「仕方がない。協力するしかないようね」

一時間くらい経てばきっと、この通り雨も止むだろう。

そう判断してエレンとミカサは渋々その怪しげな休憩所を利用する事になってしまった。

エレンは初めて訪れたその『休憩所』に緊張していた。

休憩所は男女が性交渉をする際に主に使われる施設だということは知識としてあるが、実際に利用するのは勿論、これが初めてだ。

中は清潔な大きなベッドと、可愛らしい絵画、そしてクローゼットなど、宿屋としての機能を一通り揃えた設備だった。

こうやってみれば、普通の宿とは遜色ないように見えるが、それ以外の必要な道具も全部準備してあるところが一般の宿とは違う部分である。

当然、避妊具も用意されていたし、それ以外の、プレイに必要な道具も一通り揃っていた。

エレン「渡された紙袋を開けるぞ」

受付の女性から手渡された怪しげな道具を広げてみた。

それには、どこか見覚えがあった。

エレンが夢の中で見た、例のアレだ。

エレン(こ、これは……!)

女性のあそこに突っ込んで、振動させるおもちゃである。

何故こんなものを手渡されたのか分からないが、これは確か、そうやって使うものである。

エレン「………………」

夢が現実になろうとしている。

その事に酷く動揺してエレンは顔を真っ赤にした。

ミカサ「これは何? まるでウインナーのような形だけど、どうやって使うの? あ、動いた」

ミカサが勝手にスイッチを入れて動かしている。

その様子が卑猥すぎて耐え切れないエレンだった。

エレン「やめろやめろやめろ!!! 勝手に触るな!!!」

ミカサ「………ごめんなさい」

エレン「こんなの、出来るかよ! ミカサ、使用した事にして、嘘ついて誤魔化そう!」

ミカサ「それは………いいのかしら?」

エレン「どうせバレっこねえって! 感想を聞かれたら、一言『良かったです』って言えばいい! それで誤魔化せるから!」

ミカサ「でも『どんな感じに良かったの?』と問われたらどうすれば」

エレン「その時は『痛くなかった』って言えばいい。それで通じるから!」

ミカサ「ちょっと待って。エレン。何故そんなに詳しいの?」

エレン「そ、それは……」

夢でこれ使って楽しんだので、なんて言えず、口ごもるエレンにミカサの両目は釣り上がった。

ミカサ「エレン……? まさかとは思うけど、エレンは誰かと、こういう場所に来て、前にも使った事がある…とか?」

エレン「それはねえよ!! 俺だって休憩所に来るのは初めてだしな!」

ミカサ「では何故、この道具の存在を知ってるの? どこで知ったの?」

エレン「それは言えない」

ミカサ「………何故?」

エレン「答えたくない」

ミカサ「だから何故?!」

エレン「しつこいぞ! 理由は言えねえっつってるだろ!!!」

二人は立ち上がって睨み合った。

ミカサ「前に使ったのではないの?」

エレン「使ってねえよ!」

ミカサ「嘘! ではなぜ私の目を見ないの?」

エレン「うぐっ………ぐぐぐ……」

ミカサ「私の目を見て答えて、エレン」

エレン「ぐぐぐぐぐ…………」

エレンはミカサにずんずんと詰め寄られていた。

壁際まで寄り切られて逃げ場を失ってしまう。

エレンはどうしてもミカサの目を見れずに逸らしてしまう。やましさ大爆発であるが故に。

ミカサ「使ったでしょう? 使ったのね? 私以外の誰かと、使ったのね?」

エレン「使ってねえし!」

ミカサ「嘘! エレンは嘘をついている!」

エレン「嘘ついてねえよ! 俺は、ミカサにしか使ってねえ!」



しーん……



ミカサ「…………え?」

言ってしまった後でエレンは慌てて自分の口を塞いだ。

ミカサ「私に使った? 私はこれを初めて見るのに? 意味が全く分からない」

エレン「…………(遠い目)」

ミカサ「エレン、分かるように説明して」

エレン「…………(遠い目)」

ミカサ「エレン!」

ミカサはエレンの両肩を揺さぶった。我に返って項垂れてしまうエレンにミカサはまだ離れない。

ミカサ「エレン、お願い。説明して。このまま放置されては、私は夜も眠れない」

ミカサに懇願されてもう根負けしたエレンはそのままミカサの肩に自分の頭を乗っけて言った。

エレン「…………夢の中で、ミカサを抱いた」

ミカサ「え……?」

その言葉を聞いてもすぐには理解できずミカサは両目をパチパチさせた。

エレン「夢の中では、何度も抱いた。その時に、それと同じ道具が何故か出てきて、使えたんだ。実在するなんて思わなかったけど、俺にだって理由は分からねえよ」

ミカサ「え、エレン……?」

エレンがミカサの体を強く抱きしめ始めた。

少しだけ湿った服がくっついて、ひやっとする。

だけど体は暖かくて、いや、熱いくらいで。

じんわりと、熱が、滾っていく。

エレン「その道具は性交渉をする際に使う道具だ。ここの店の受付の人は、その性能を試したいんだろうな。でも俺は、もうそれの効果を良く知ってる」

ミカサ「……………」

エレン「だからいいんだよ。使わなくても、使った事にして、ここに雨宿りは出来る。だからもう………」

ミカサはその時、エレンの背中に自分の手を回した。

まるでエレンに答えるように。

エレン「ミカサ……?」

ミカサ「ずるい」

エレン「え?」

ミカサ「そんなの、ずるい……」

ミカサの声は上ずっていた。

ミカサ「夢の中の、私に嫉妬する。どうしてそっちはエレンに愛されて、目の前の私のことは愛してくれないの?」

エレンはその瞬間、両目を広げて息を呑んだ。

ミカサ「ひどいひどいひどいひどい……(ぎゅうううううううう)」

エレン「痛い痛い痛い! ミカサ! あばらが痛いって!」

ミカサ「痛くしている」

エレン「なんでだよ! 折れたらどうすんだよ!」

ミカサ「私の心の痛みを伝えている(ぎゅううううう)」

エレン「分かった分かった分かった! 一旦、離せ! 頼むから!」

エレンは懇願してミカサを離した。そして思いっきりため息をつく。

エレン「悪かった。その………ごめん」

ミカサ「謝るくらいなら今すぐヤろう」

エレン「その誘い文句、どうなんだよ……」

何でそんなに男前な誘い方なんだと思わずには居られないエレンだった。

エレン「…………………」

エレンは頭を掻きむしった。

その一歩を踏み出すのがまだ、怖かった。

自分の本性を晒すのが、怖い。

スイッチが入ったら多分、ミカサが嫌がっても、止められないかもしれない。

何度も考え直し、やめようと言い聞かせた。

ミカサを説得しようと思った。この時点でも、まだ。

だけど、ミカサはずっと待っている。

エレンは口をパクパクさせて言葉を言おうとしては、胃の中に飲み込んでいた。

その様子にミカサもだんだん落ち込んでいく……。

ミカサ「…………もういい」

エレン「え?」

ミカサ「エレンがしてくれないなら、この道具を、エレンに使ってやる」

エレン「はい?!」

ミカサ「別に受付の人は女が使えとは言わなかった。男性の中に入れても問題ないでしょう?」

エレン「ちょっと待てええええええ!?」

エレンは逃げ出した。ミカサからダッシュで逃げ出した。

エレン「俺に使うって、まさか、尻の穴に入れる気か?」

ミカサ「それ以外は思いつかない」

エレン「待ってくれ! それはやめてくれ! 本当、マジで勘弁してくれ!!!」

ミカサ「嫌。私の力なら、エレンを無理やり犯す事も出来る」

何故かミカサの方がやる気モードに入ってしまい、エレンは声なき絶叫をあげた。

そしてじりじり近寄ってくるミカサと何故か、本気の格闘術の訓練のような事態に陥ってしまう。

ミカサに本気を出されると、エレンの方が圧倒的に不利だ。

エレンはひたすら逃げたが寝技に持ち込まれるとあっと言う間にマウントポジションを取られてしまい、まるで自分の方が女のような逆転状態になってしまった。

ミカサ「エレン、大人しくして。大丈夫。痛くしないように努力するので」

エレン「それは男の子の台詞だろうがあ!!!」

ミカサ「エレンが踏ん切りをつけないのが悪い。私はもう、限界なので」

エレン「ちょちょちょ……こらあああ!!! あっ……」

ミカサはエレンのズボンのベルトに手をかけて、腰の緩めてチャックを一気に下ろした。そして下着も当然ずらして……

すると当然、エレンの息子とご対面する羽目になり、その瞬間、真っ赤になって動揺するミカサに、エレンも一緒になって赤くなった。

エレン「なんだよ……前に実物を見てみたいと言ってたじゃねえか」

ミカサ「で、でも……絵と全然違う」

エレン「だろうな。これが男の真の姿だからな」

所謂、イェーガー状態と何故か言われるアレである。

ミカサがさっきまでの勢いが萎んでオロオロしているのを見てエレンは腹筋の要領で体を起こした。

そして額と額を付き合わせて、自分の方から、軽いキスをする。

ミカサ「え、エレン……?」

エレン「この程度でオロオロしてるくせに、俺を犯すとか言うなよな」

ミカサ「うっ…………」

ミカサが俯いた。その隙を狙ってエレンは道具を奪い返す。

ミカサ「あ!」

エレン「これは没収。ダメ。もう、俺のもんだ」

ミカサ「そんな……勝手な」

エレン「俺が使えばいいんだな?」

念押しする。それがどういう意味なのか分からせる為に。

エレン「俺がミカサに使って見せれば、ミカサは文句ないんだな?」

ミカサ「使ってくれるの?」

エレン「自分で使うくらいなら、ミカサが使ってるところを見たいよ、俺は」

ミカサ「では………エレン、本当に、いいのね?」

今度はミカサがエレンに念を押した。

ミカサ「エレン、私と、し……?!」

最後までミカサに台詞を言わせずに、エレンは唇を完全に塞いだ。

そしてそのまま強引に立場を逆転して、ミカサを床の上に寝かせる。

ベッドまで運ぶ手間が面倒だと思ったけれど、エレンは一度、唇を離した。

そして真正面からミカサを見つめる。

影になったエレンの目の奥は薄暗く、口の端はほんの少しだけ釣り上がり、笑っていた。

ミカサの背筋に、一気に汗が浮かんできた。

何故だろう。

この表情のエレンは、何故か、ゾクゾクさせられる。

そしてエレンは一度、立ち上がり、「折角だから、手錠も使わせてもらおうかな」と言い出して、その部屋にあった道具の箱の中からプレイ用の道具を吟味し始めた。

エレン「あったあった。はい、ミカサ、逮捕だ」

ガッシャンと、ミカサの両手首をそれぞれ一個ずつ繋いで引っ張り、ベッドの両端にある棒にも繋いでやった。

これでミカサは、ベッドの上に寝かされて両手を上にあげた状態で完全に拘束された事になる。

その時になって初めて、ミカサはエレンの様子がいつもとは違うことに気づいた。

ミカサ「え、エレン……?」

ミカサは自分の口の中が乾いているのに気づいた。

エレンは目を半眼にして、笑っている。

エレン「ん? 呼んだか? ミカサ」

ミカサ「あの……どうして、手錠をするの?」

エレン「ん? そういうのが好きだからだ」

エレンはそうとしか言えず、そのまま答えた。

エレン「ミカサ、俺としたいんだよな?」

ミカサ「う、うん……」

エレン「じゃあ仕方ねえよ。うん……仕方ねえ」

そしてエレンは悲しそうに微笑んで言った。

エレン「もう、我慢しねえから。そのつもりでいてくれ」

エレンはミカサの上に覆い被さった。そして耳元に告げた。

エレン「ミカサがどんなに嫌がっても、多分、もう止めてやらねえから」

と、ゾクリとするようなその言葉を、ミカサの耳の中に落としたのだった。

今回はここまで~またねノシ

ミカサ「エレン? 言ってる意味が良く分からない……あっ……!」

その直後、エレンはミカサの胸を触った。服越しに。

ミカサ「エレン……その……あの……」

ミカサの言葉は全く聞かないでボタンを一つずつ丁寧に外していき、下着を上にたくし上げ、胸当てをじっと見つめるエレンだった。

エレン「今日は白か。うん、よしよし」

ミカサ「エレン? あの、さっきから、何か……変……」

エレン「ん? ああ……そう見えるかもな。でも、これも俺の一部なんだ。今までミカサには隠してただけで」

エレンは悲しそうに何度も何度も、ミカサを見つめた。

エレン「多分今から、お前の中の俺をぶっ壊すから。幻滅するかもしれんが、その時は、ごめんな」

ミカサ「エレン……?」


ぐいっ!


ミカサ「あっ……!」

胸当ても後ろの繋ぎの部分を指先で弾かれるように外されて、たくし上げられた。

ぷるんと現わになった二つの胸がエレンを出迎える。

じっと、それを目に焼き付けるエレンの視線の動きが、妙に静かで、怖かった。

何を注意して見ているのか分からない。怖い。

何か文句を言われるのではないかと構えるミカサにエレンはついつい、言ってしまった。

エレン「乳輪の大きさが左右で少し違うのか。初めて知った」

ミカサ「え?」

エレン「乳輪だけじゃねえ。乳首の大きさも、胸の大きさもよく見ると左右対称じゃない。左の胸の方が若干、大きいんだな、ミカサは」

ミカサ「あっ……」

エレンに胸を査定されているようだ。その解説にだんだん恥ずかしくなってくる。

ミカサ「エレン、やめて。品評しないで……」

エレン「無理だ。もっとよく見せろ」

グイッ……

ミカサ「あ!」

乳輪の部分に宝ひげのような毛が一本だけ生えていた。

処理をしていなかった部分をエレンに摘まれて、ミカサは羞恥心で消えたくなった。

ミカサ「やだエレン! 乳の毛を引っ張らないで!」

エレン「処理のし忘れか? ミカサ。ククク……」

エレンはすっかりその一本だけの毛を気に入ったのか、グイグイ引っ張って遊んでいる。

ミカサ「やだ、痛い! 抜かないで!」

エレン「ん。分かった。抜かないけど、これ、後で俺にくれ」

ミカサ「えええ? 貰ってどうするの」

エレン「それは秘密だ」

そしてエレンは乳首の毛を離して次の場所を狙いを定めた。

少しだけ重力で潰れたおっぱいに優しく触れてみる。

ふわっと、したその感触に感動した。

夢の中で感じていたそれとは全く違う柔からさに、直様かぶりつきたくなる。

でもその感情を抑えながら、エレンはまずはその弾力を存分に楽しんでいた。

エレン「やっぱり本物は全然、違うな……なんだよこの柔らかさ。嘘だろ」

ミカサ「エレン……?」

エレン「脂肪の塊りだってのは分かってたけど……全然分かってなかった」

エレンはそっと何度も何度も下から上に撫で上げた。

脇の方から脂肪をかき集めるような仕草で、何度も、何度も。

その触れるだけの仕草で、ミカサは既に濡れていた。

下半身がじんわりと、下着がそれに侵食されていくのが分かる。

染み込んでいるだろうそれを思うと、ミカサは両目をきつく閉じるしかなかった。

ミカサ「エレン……ダメ……あの……その……あん!」

ミカサの制止の声なんか全く聞かず、エレンは遂に乳首を摘んだ。

ミカサ「あっ……………ん……………」

ミカサは弱々しく声をあげた。

夢の中のそれとは少し反応が違った。

なんというか、夢の中のそれは少し大げさな感じで、こちらはもっとリアルだった。

よく聴かないと聞こえないくらいのか細い喘ぎ声にエレンは少しだけがっかりした。

エレン「もっと素直に鳴けよ」

ミカサ「え……?」

エレン「気持ちよくねえのか、ここ」

グリッと、いきなり強い刺激を与えると、ミカサはびくんと震えたが、声をあげなかった。

痛いのを堪える時のミカサの表情にエレンも今のはやり過ぎたと気づいた。

エレン「うーん……もっと、優しい方がいいか?」

エレンはそう言いながら摘む仕草をやめて指の腹で撫でる動作に変えた。

すると、

ミカサ「ああっ…………!」

ようやく感じ始めたのか、ミカサが少し素直に声を出してきたのでよしよしと思ったエレンだった。

エレン「初めはやっぱりこれくらいの方がいいんだな」

エレンはあまり強い刺激を与えないように注意した。

何度も何度も、指の腹を使って、優しく乳首を撫でてやる。

そうすると、次第にミカサの口が力なく開いてきたのでその中に、左の指を突っ込んで、歯茎の刺激を入れてやった。

ミカサ「うう……!」

二箇所を同時に責められてミカサの両目は虚ろになった。

ぼんやりと、天井を見上げているようだが、その様子を、エレンも楽しそうに見つめている。

エレン「いい顔してるぞ、ミカサ。めちゃくちゃエロい」

エレンはノリノリでミカサを弄っている。

エレン「耳の裏も好きだよな、ミカサ」

ミカサ(あっ………)

声が頭に直接響くようなその至近距離で愛撫されて、どんどん体が溶かされる。

ミカサの口の中に突っ込んでいた指を引き抜いて、今度は耳の裏側に手を入れる。

唾液が髪にも絡みついた。その感覚が妙にいやらしくて、辛い。

またビクビクと震えるミカサに、エレンも調子に乗り始めた。

エレン「ミカサ、可愛い。お前は世界で一番、可愛い女だ」

ミカサ「!」

エレン「俺と一緒にいる時のミカサは多分、誰にも負けないくらい可愛い」

ミカサ(エレン……?)

急に口説かれてミカサは体をもぞもぞさせた。

そんな反応を見てもっと気を良くしたエレンは、まだまだミカサを弄ぶ。

エレン「俺の感触を覚えてろ。俺の匂いを覚えてろ。記憶のずっと奥深くに、刻みつけてやる」

ミカサ(はわわわわ………)

ナニコレ。こんなエレン、見たことない。

ミカサは全身が震えてどう反応をしたら良いのか分からず、困惑を極めた。

ガシャン……

手錠が擦れる音が、静かに響いた。

エレン「どうした? ミカサ」

ミカサ「エレン………その………」

エレン「ん?」

ミカサ「何だか、こそばゆいので、やめて欲しいのだけど」

エレン「何を?」

ミカサ「さっきから言ってる、その、口説き文句のような、それを」

エレン「ふーん。何で?」

ミカサ「だから、こそばゆいので」

エレン「こそばゆく、させる為に言ってるから無理だな」

ミカサ「ええええ?」

エレンはニマニマ笑っている。

何故ならミカサがさっきから顔を真っ赤にして恥ずかしがっているからだ。

エレン「俺、ミカサの恥ずかしそうな顔、好きだからなあ」

ミカサ「そ、そうなの?」

エレン「ああ。濡れてるだろ? 股のあいだが」

ミカサ「それは言わないで……」

顔を覆いたくて堪らないのに両手の自由を塞がれてそれが出来なくて顔を背けるミカサに、追いかけるようにキスをする。

ミカサ「ふぐっ………」

舌を入れるキスをされた。舌で口の中をまさぐられて、ミカサはその気持ちよさに寄ったように目の裏がぐるぐるし始めた。

ミカサ(こんなの………いつまで耐えられるの?)

既に最初の愛撫で濡れ濡れにされて困り果てるミカサの様子に、エレンはじっくりそれを観察している。

汗を浮かべて、ぐったりし始めたミカサには、水が必要だ。

エレンは一度ミカサから離れて、部屋に備えてあった水筒を持ってきて、自分の口に含んで、ミカサにも口移しで飲ませてやった。

ミカサ「ぷはあ……ありがとう。エレン」

エレン「脱水症状には気をつけないとな。お互いに」

ミカサ「うん……あの、その……出来れば裸にして欲しいのだけども」

エレン「手錠で繋いでいるからそれは無理だな。我慢しろ」

ミカサ「でも、このままでは服に汗が染み込んで、まずいので……」

エレン「じゃあ切ってしまえばいいだろ」

ミカサ「え……?」

何を言ってるの? と、ミカサは思わず青ざめた。

ミカサ「エレン、服を切ってしまっては、帰れなくなるので」

エレン「知らん」

ミカサ「は……? エレン、待って。そのハサミは本気?」

エレンは道具箱からまた道具を取り出して、本当に服を分解し始めた。

上のシャツと下着に線を入れて、胸当ても紐を切って上を全裸にしてしまう。

ミカサは困惑した。帰りをどうするつもりなのだろうと。

ミカサ「エレン……! どうするの? 帰りは、どうするの?」

エレン「そんなことは後で考える」

ミカサ「そんな……ああ! やめて! スカートまで! 切って!!」

ザクザクと、パンツまで切って全裸にひん剥いた。

その達成感にエレンは満足そうに笑っている。

ミカサは少しだけ怯えていた。ハサミを持ったエレンが次にやりそうな事を予感して。

エレン「ミカサ。動くなよ。次は、乳の毛を刈り取るから」

案の定、そう言い出したエレンにミカサは成すすべもなかった。





乳の毛を大事そうにハンカチに包んで保管したエレンにミカサは頭を悩ませた。

乳の毛だけではない。次は別の毛まで切りそうな気がして……。

案の定、アンダーヘアに手をかけようとしたので、ミカサはさすがにそこは食い止めた。股を閉じて嫌だと訴える。

ミカサ「エレン、今は毛を刈っている時間はない。早くその、受付の人に渡されたそれを使わないと」

エレン「んー……別にあれはもうどうでもいいよ。使わなくても出来るし」

ミカサ「で、でも、そういう約束で始めたので」

エレン「本当に使いたいのか? アレ」

ミカサは意識を逸らせる為に嘘をついた。毛を刈られるよりはマシだった。

エレン「仕方ねえな。じゃあ突っ込んでやるけど」

そしてエレンはローターの先をミカサの濡れた股の間にぐっと押し込むと、力を最大限にしてやった。




ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ………




ミカサ「?!」

急に訪れたその体を内側から揺さぶるそれに、ミカサは困惑した。

刺激が強すぎて、意識ごと、ガクガク揺さぶられる。

ミカサ「何これ…いや……ああ……助けて……エレン!」

エレンは最大の力のおもちゃの動きと、ミカサの股の間から出てくる透明な液に興味津々だった。

エレン「おお……濡れてる。やっぱりこれ気持ちいいんだな」

ミカサ「エレン! 止めて! 助けて! これはちょっと、強すぎて……ああ!」

身を捩って快感から逃げようとするミカサにエレンは何もしてやらない。

完全放置で水筒の水を呑気に飲んでいる。

ミカサ「あああ………エレン……エレン……」

水を飲み終わるとエレンは水筒をベッドの上の空いた場所に置いて、胸の突起に吸い付いた。

ミカサ「! エレン、何をしているの?」

エレン「何って、おっぱい吸ってるんだが」

ミカサ「そ、そうじゃなくて、止めてと言ってるのに。何故、やめてくれないの?」

エレン「え? 俺、最初に言ったよな?」

エレンはきょとんと言い返す。

エレン「ミカサがどんなに嫌がっても、多分、もう止めてやらねえからって。それはこういう意味なんだけど」

ミカサ「?!」

エレン「痛いんだったらやめてもいいけどな。でも、気持ちよくよがってるのは止める理由にならねえよ」

ミカサ「そ、そんな……ああっ……!」

ミカサは胸を逸らして喘いだ。もう何が何だか訳が分からない。

急激な快楽の世界に叩き落とされて不安で不安で仕方がないのに。

ミカサ「エレン……もう、あそこがぐちゃぐちゃで、辛い……抜いて……お願い……」

エレン「だから言ったのに……お前、人の言う事、ちょっとは聞けよな」

エレンは困ったように眉を寄せて結局は一度、止めてやっておもちゃを引き抜いた。

ミカサ「はあ……はあ……はあ……はあ……」

全身が真っ赤に染まって、乱れに乱れたミカサを見ていたらもうそろそろ、準備してもいいだろうと判断した。

エレンはズボンとパンツを脱ぎ捨て自分も全裸になると、避妊具を装着して挿入の準備をし始めた。

その様子を目の端に入れてミカサはドキッとする。

ミカサ「エレン……まさか、もう入れるの?」

エレン「入れるよ。その為に準備してるからちょっと待ってろ」

ミカサ「エレン……お願い。ちょっと待って」

ミカサは急激な体の変化についていけずに愚痴りだした。

ミカサ「こんなに、こんなに大変な事だって思わなかったの。ごめんなさい。私が悪かった……ので、今日はここまでにして貰えないだろうか」

エレン「………………」

エレンは装着し終えた避妊具に手を添えたまま動かなくなった。

ミカサ「私の覚悟が足らなかった。その……無理にお願いしたのに申し訳ないのだけども、私はここで止めたい」

エレン「………………」

エレンはミカサを冷たく見下ろしていた。

心の芯から冷えていく自分を感じて、まずいと思った。

やめろという、声が遠くから聞こえているのに。制止する事が出来そうにない。

やってはいけない事をやろうと、体が勝手に動き出す。

エレンは一度装着した避妊具を完全に外して捨てた。

その動作で、やめてくれると感じたミカサはほっとしたのだが……

その予想に反して、エレンはミカサの上に覆い被さった。

そしてまるで野獣のような乱暴なキスを、ミカサの口の中に押し込む。

ミカサ「!!!」

エレンが加速したのでミカサも困惑した。

様子がおかしい。明らかに、おかしい。

ミカサ「エレン……あ……!」

股を広げてエレンのものが押し込まれようとしていた。

避妊具を外した上での挿入は、種付けの意思の現れだ。

無理矢理引き裂かれるような力で押し込んでくるその異物にミカサは声なき絶叫をあげた。

当然、加減のない挿入は裂傷を生む。ミカサの股の間には、一筋の血が流れていた。

エレン「………ふざけんなよ」

エレンは遂に怒りを吐き出した。

溜まり溜まったドロドロとした感情が一気に爆発して燃え上がってしまった。

エレン「おまえ、ふざけんなよ。散々、こっちを振り回しておきながら、今更やめますとか、本気で見損なったぞ」

ミカサ「…………!」

エレン「俺は何度も言ったよな。やめようって。こうなるのが怖かったのに……俺は、お前に、ぶち込みたくて、しょうがなくて、そういう気持ちを、ずっと堪えてたのに……」

エレンは涙を流しながら言った。

押し殺したものを全てぶちまける様に。

エレン「お前がこじ開けてきたのに、戻れないところまで来たのに、ギリギリでやめようって、お前、俺の事、本当に好きなのかよ!!」

ミカサ「………!」

エレン「お前が好きなのは、多分、あの時の、昔の俺だ。あの時俺が、お前を助けたから、そのせいで、そうなっちまったんだろうなってのは、分かってた。歪ませたのは俺のせいだって分かってた。でも家族になったから、守ろうと思ってた。そういう意味で見ちゃダメだって、ずっと言い聞かせてここまできた。でも、俺はお前が好きで、どうしようもなくて……なのに……」

涙が、ポロポロと、止めどなく溢れていく。

涙の先は、ミカサの頬の上だった。

エレン「俺もだんだん、おかしくなっちまって、堪えるのがしんどくなってたんだよ。だからせめて、夢の中でしかお前を抱けなかった。こうなる事が怖かったから。なのに……」

ミカサは口を大きく開けたまま放心していた。

エレン「何で今更そんな事、言うんだよ!!」

ミカサ「エレン、落ち着いて」

ミカサはやっと合点がいった。全ての事が。繋がった気がした。

エレンの頬を包み込むように両手で掴んで微笑んで見せる。

ミカサ「エレン、ごめんなさい。私は勘違いをしていた」

エレン「は……何をだよ」

ミカサ「私は、私の我侭にエレンが仕方なく付き合ってくれてるだけなのだと思ってた」

エレン「え………?」

ミカサ「本当はしたくないのに、私があんまりダダこねるから、この性交渉もつきあってやってくれるのだと、そう思っていたの。ごめんなさい。まず、そこが最初に間違っていたのね」

エレン「は………?」

何がどうなってそういう解釈になるのかさっぱり理解出来なかった。

ミカサ「だってそうでしょう? 私は我が儘な性格をしている……ので、今までたくさん、エレンに迷惑をかけてきた。勿論、エレンも我が儘だけど、私はもっと、我が儘なので」

エレン「……………」

ミカサ「あなたを死なせたくない。あなたの傍にいたい。あなたの世話を焼きたい。私の世界はエレンを中心に回っているので、エレンに不快な思いをさせる事もあるのは分かっていた。でも私は自分の願いを譲れない。そういう性格なので、多分、それは一生変わらないと思う」

ミカサは一体、今、何の話をしているんだ?

と、エレンは少し困惑していた。

しかしそれを無視してミカサは続ける。

ミカサ「なので、私はエレンと繋がりたいという新しい欲求も堪えきれずに、安易にお願いしてしまった。でも、繋がる為にはこんなにとても大変な過程が必要だとは思わなかった。予想を超えた世界に、私は戸惑ってしまったの」

エレン「……………」

よく考えてみればその通りだ。

ミカサ側から見ればこれは未知の体験なのだ。

怖いと思わせても仕方ないのに。また、自分勝手に突っ走ってしまった。

夢の中のミカサが一度だけ「大嫌い」と叫んだ事を思い出す。

あの時のような、思いはごめんだと、心に誓ったはずなのに。

どうして同じことを繰り返してしまうのだろう。

ミカサ「だからその……私は、エレンの方がそんなに、これを楽しみにしていたなんて、思ってもいなかった。エレンがそれほどまでに望んでいるのなら、話は違う。エレン、続けていい」

エレン「はあ? なんでそうなるんだよ」

ミカサの話がとんちんかんで、全く理解出来なかった。

エレン「お前、やめろって言ったり、続けろと言ったり、どっちなんだよ!!」

ミカサ「だから、私はエレンが仕方なく、性交渉につきあってくれているのだと、勘違いしていたと言った」

エレン「まずそこの勘違いがおかしいだろ!! なんでそうなるんだよ!!」

ミカサ「だってエレンは散々、肝心な場面になると嫌がった。だから……」

エレン「嫌な訳ねえだろ!! むしろしたくてしょうがなくて毎日、困るくらいだっつの!!」

ミカサ「では何故今まで、嫌がったの?」

エレン「嫌がってたんじゃなくて、理性で堪えてただけなんだよ! ………あ」

ミカサはまさか、自分の態度をそのまま受け取っていたのだろうか。

そのせいで、そう解釈して、だから、そのせいで。

それに気づいてエレンは思わず萎えた。

…………自業自得だ、これ。

慌てて一度、自分のものを引き抜いた。

ミカサの股の間からは血が出てて、続けるどころではない気がする。

今日はこれ以上やる気にはなれないエレンだった。

エレン「悪い。痛くないか?」

ミカサ「ちょっと痛い。ヒリヒリする。あ、血が出てたのね」

エレン「無理やり奥まで一気に突っ込んだからな。ごめん……大分、おもちゃで慣らしたつもりだったけど、それでもやっぱり初めての時はもっと慎重にするべきだった」

ミカサ「それは仕方がない。やってしまった事はもう、取り戻せないので」

ミカサがそう言った直後、アラームが鳴った。

もうすぐ一時間が経つらしい。5分前にアラームが鳴ると聞いていたので、エレンは困った。

エレン「調子乗って服、切っちまってすまん。どうしよう……」

ミカサ「バスタオルはない? それに包まっておくしかない」

エレン「そうだな。服を買ってくる。もうほとんど金ねえけど、全額使ってくるわ」

ミカサ「では私はその間に片付けをしよう。エレン、手錠を外して欲しい」

エレン「おう…」

そしてエレンはミカサの両手を外すと、先に一度、部屋を出て受付の方に事情を話し、一度適当な服屋に行って、出来るだけ安い下着やワンピースを買って戻った。

エレンはミカサに新しい服を買ってそれを着せてやると、バラバラにした服をかき集めて「これって直せるのか?」と聞いてみた。

ミカサ「うん。直線的に切ってるから、元に戻すのは簡単なので大丈夫」

エレン「そっか……なら良かった」

ミカサ「にしてもエレンがまさか、そういう趣味なのだとは思わなかった」

エレン(ギクリ)

肝が冷える、エレンだった。

エレン「………引いたのなら、言ってくれ。ドン引きしたか?」

ミカサ「引くというより、びっくりした」

ミカサは素直に驚きを隠せなかった。

ミカサ「でもよりびっくりしたのは、エレンも性交渉を楽しみにしていたという事実」

エレン「うっ………」

ミカサ「あと、ひとつだけ否定させて欲しい」

ミカサは新しいワンピース姿で笑った。

ミカサ「私が好きなのは、今も昔も、エレンの全て。昔のエレンだけが好きだなんて、そんな事はありえない」

エレンは頬を染めた。

もうここを出ないといけないのに、そんな事、言わないで欲しかった。

エレン「ミカサ、帰るぞ」

ミカサ「うん……」

エレンは手荷物を取って、ミカサと手を繋いで帰る事にした。

受付の人には「もうちょっと、力が弱い方がいいです」と伝えて道具を返却して休憩所を出る。

受付「あらそう? まだまだ改善の余地がありそうね。このローター」

と、受付の女性は、ニヤリと笑っていたのだった。

エレンとミカサが休憩所を出る頃には、雨はすっかりあがっていた。

ゲリラ的な豪雨は、雨降って、地が固まったようだった。

>>421
訂正
エレンの頬を包み込むように両手で掴んで微笑んで見せる。

そんな錯覚が、エレンの中によぎった。



一文、抜けてた。実際に手で包んだわけじゃないです。
手錠でつながれてるので、そんな幻想を抱いた感じで。






そんな訳でいろいろあったが、無事に宿舎に戻ってきたエレンは、夜、アルミンにお土産の本やお菓子を手渡した。

アルミン「おお、新刊出てたんだね。ありがとう」

エレン「途中で雨に降られちまって、ちょっと濡れてるかも。ごめんな」

アルミン「いいよ。文字が読めさえすれば。どうせボロボロになるまでページめくるし」

エレン「はー………」

エレンはどさっと座った。

何だか今日はいろんな事が起きすぎて、頭の整理がまだ追いつかない。

そんなエレンの様子にアルミンも首を傾げている。

アルミン「どうしたの? ミカサとのデート、うまく行かなかったの?」

エレン「うー………」

そして唸り出す始末だ。この肯定とも否定とも取れぬ曖昧さにアルミンはまだ首を傾げる。

アルミン「もしかして、ヤっちゃった?」

エレンは小さく頷いた。その反応に「おおっ」と素直に驚いたアルミンだった。

アルミン「それはおめでとう。………と、言ってもいいのかな?」

エレン「いや、あまりめでたいもんじゃねえな。というか、失敗しちまったようなもんだ」

アルミン「…………詳しく聞かせてくれる?」

エレンはアルミンにだいたいの成り行きを話して聞かせた。

するとアルミンは「ああなるほど! そういう事だったのか」と、すぐに理解してくれた。

エレン「アルミン、今の説明で、ミカサの言い分、よく分かったな」

アルミン「そりゃ分かるよ。うん。その場合ならミカサが勘違いしちゃったのも、しょうがないかもしれないね」

アルミンの客観的な意見に更に落ち込むエレンだった。

エレン「やっぱり俺が悪いのか。そうか……そうだよな」

ずーんと落ち込むエレンにアルミンは「まあまあ」と宥めた。

アルミン「いいじゃない。結果的には誤解も解けたんだし。もうお互いにわだかまりは消えたよね?」

エレン「………………」

完全に拭えたわけではないが、当面の不安は払拭されたと考えてもいいのだろうか。

ミカサはあれだけの自分の性癖を見ても動じてはいない様子だったが………

それがいつまでも続くとは限らない。

ついつい調子に乗ってしまう自分を、いつか、見放す可能性だってある。

それを思うと、エレンの中の不安は完全には消えないのだった。

アルミン「まあ、これから先、似たような行き違いはあるかもしれないけどさ。それは今までだってそうだったんだし、大丈夫じゃないかな」

エレン「そうだといいけどな」

アルミン「今後はエレンも、もうちょっと素直にミカサに甘えていったらいいのに」

エレン「それが出来れば苦労はしねえよ」

そんな風に毒ついて、布団の中に自分を隠してしまうエレンなのだった。

そして月日が少し流れ、二年目のカリキュラムに入った訓練兵達は一年目よりも更に過酷な訓練を強いられるようになってきた。

訓練のメニューが倍近くなり、兵站行進などは100キロ近く歩かされる事も珍しくなくなってきた。

エレンも最初はそのボリュームアップした訓練に筋肉が悲鳴をあげそうになり、慣れるまではミカサの事をしばし忘れるくらいだった。

性欲どころの話ではなく、食べて寝てまた動いてという、まるで機械のように体を酷使する日々が続き、ミカサとゆっくり話す時間もなかなか取れなかった。

そんな調子で皆が皆、二年目の訓練に悲鳴をあげていたその頃、ミカサはようやくエレンに「完成品」を見せたいと言ってきた。

休みの日のお昼にようやく花柄のふんどしが完成したそうである。

エレン「おま……よくこの過酷な訓練の合間に作れたな」

ミカサ「地味にコツコツと、空いた時間を使って作った」

エレン「へー……」

完成品をよく見てみると、丁寧に縫われているのが良く分かる。

これで例のアレが出来るわけだが……

ミカサ「最近、訓練の量が多くなってなかなか余裕がなかったけれど、残りのカードをそろそろ、消化してもいいだろうか」

エレン「ああ、そうだな。筋肉マッサージとハグと、ふんどしの三つだな。あ、でもハグはこの間、思いっきりしてもらったから、もうあれでいいや」

ミカサ「ええ? そんな……アレはハグとは言えないような」

エレン「あばら折れそうな勢いでハグしてた癖に何言ってんだよ。凶暴なハグだったけど、あれもハグだろ?」

ミカサ「寒い時って、書いてあったのに……」

エレン「んな事言ったって、今は季節が夏だし、冬は当分先だろうが。いいよ、もう。残りは筋肉マッサージと、ふんどしだ」

ミカサ「そう。では、どっちを先にやる?」

エレン「ふんどしはラストに見たいから、筋肉マッサージを先にお願いするよ。いいな?」

ミカサ「うん」

エレンは「筋肉が張ってたし丁度良かったわ」と呟きながら、何処でやって貰おうかな~と考えた。

エレン「うん。今日は医務室のベッドで筋肉をほぐして貰おうかな」

ミカサ「医務室?」

エレン「ああ。事情を話せば、少しの間なら借りられるだろ、多分」

ミカサ「そうね」

そして二人は医務室の戸を開いた。

女性の医者が一人いて、何故か「丁度良かったわ~」と微笑まれた。

医者「ごめんなさい。今からちょっと席外すから、貴方達二人、医務室にお留守番しててくれない?」

エレン「え? ああいいですけど、どれくらいで戻るんすか?」

医者「2~3時間かな。ちょっと、野暮用が出来ちゃってね。すぐに戻れないけど、職務放棄は出来ないしで、困ってたのよ! 後で報酬弾むから! お願いね!」

そしてその医者はダッシュで医務室を出て行った。

なんとまあ、無責任な医者ではあるが、2、3時間ならいいかと思ったエレンだった。

ミカサ「でももし、急患が訪ねてきたらどうしよう」

エレン「んー今日は訓練のない日だし、よほどの事がねえ限りは大丈夫だろ」

ミカサ「でも病気は突然、訪れるものだし……」

エレン「その時は先生が帰ってくるまで待ってて貰うしかねえな。怪我の手当くらいだったら、俺たちでも処置出来るしな」

ミカサ「そうね」

エレン「じゃあミカサ、頼むわ」

エレンは奥のベッドに向かってカーテンを閉めた。

そしてベッドの上に俯きになって横になり、ミカサに身を預ける。

エレン「腰とか背中とか、足とか全体的に頼む。乳酸溜まっててきついんだ」

ミカサ「了解」

ミカサは腕まくりをすると、丹念にエレンの筋肉を解しにかかった。

特に太ももがパンパンに張っていた。沢山走らされすぎて、筋肉が固く成りすぎている。

ミカサは親指の腹と先をうまく使って、体の線に沿って筋肉を解していった。

その度に訪れるふわっとした快感にエレンは既に涎を垂らしていた。

エレン「あーきくわー……まじ気持ちいい」

ミカサ「脹脛もパンパンね。エレン、お風呂でもちゃんと揉んでおかないと」

エレン「あー悪い。風呂入るとそのまま寝ちまってる」

ミカサ「それはいけない。風呂上がりもストレッチをやるべき」

エレン「そうだな。気をつけるわ」

エレンは涎を垂らしながら両目を瞑って、この天国に酔っていた。

マッサージをするだけでも大分、明日の訓練が楽になるだろう。

ミカサは何故かムラムラしてきて、困った。

ミカサ(い、いけないと思うのだけども……)

涎を垂らしてうとうとしているエレンを見ていると、急にムラムラしてきて。

もっと直接的に触りたい気持ちが膨らんできて、困った。

ミカサ(エレン……寝ちゃった…?)

エレンが次第に寝息を立て始めたので、ミカサは一度、手を止めた。

ミカサ(ごくり…………)

ミカサは唾を飲み込んで、エレンの脹脛を直接触りたくなって、ズボンの裾をめくった。

エレンはそんなに毛深い方ではないが、それでもすね毛が全くない訳ではない。

指をすね毛の生えている方にそろそろと忍ばせても、エレンは起きない。

ここを触って起きないのだから、寝入っているに違いない。

ミカサ(直接、触ってもいいよね。少しくらいなら)

ミカサはその誘惑に耐え切れず、エレンの脹脛に直接触ってみた。

乳酸が溜まっているような感覚がある。筋肉の張りを探してそこを重点的に血流をよくするように、揉んでいく。

ミカサ(直接触る方がやりやすい)

ミカサはそう思ったので、本当なら太ももも直接触りたかった。

でもこれ以上は、裾を捲れないので出来ない。

ミカサ(いっそ、ズボンを下ろしてしまおうか)

寝ている今なら、出来るだろうか。

ミカサは迷った。どうしようかと…………

ミカサ「やっぱり、ダメよね……」

そんなはしたない事をしてはいけない、と自分に言い聞かせたミカサだった。

ミカサ「眠ってしまったし、これ以上はしなくてもいいのかしら?」

スースー寝息を立てて俯きの姿勢で器用に寝ているエレンを見ていると可愛い。

何かむにゃむにゃ言っているようで、耳を近づけてみる。

エレン「んー………すぴー」

でもはっきりとは聞こえない。むにゃむにゃ言っているだけだ。

ミカサは一人取り残されて、さてどうしようかと考えた。

ミカサ(お医者様が帰ってこないと、私も動けないし、エレンを起こすのは可愛そうだし)

ミカサはいっそこのままずっと、エレンの寝顔を堪能するのも悪くないかなと思い始めた。

エレンの横に一緒になって寝てみる。

至近距離にエレンの顔を観察すると、とても面白い。

エレンの睫毛はとても長い。女の子と遜色ない程に。

眉が少し濃い目だが、綺麗に生え揃った毛が綺麗に一定の方向にのびている。

眉毛の手入れは定期的にしているのか、と前に一度尋ねたら「してねえ」と言っていたので、これは天然の生え揃いらしい。

すごくかっこいいと思う。ミカサはエレンのこの目と眉のラインがとても好きだった。

自分の顔とは恐らく正反対のその形に、惹かれている自分がいる。

そんな事は、一度も伝えた事はないけれど。

鼻だって、綺麗だ。特別高いわけじゃないけれど、すっとのびたいい形をしている。

口のバランスは少し大きめだけれども、唇は薄めだ。

顔の形は丸に近く、童顔ではあるけれど、ミカサはエレンの顔が大好きだった。

ずっと眺めていたいようなそんな気持ちになるけれど。

普段あまり見ていると、すぐ気づかれて、ぷいっと顔を逸らされてしまうので、日常の中でこういう風にじっくり見れる機会は少ない。

だからもうちょっとだけ楽しませて貰おうと思い、ミカサは顔を近づけた。

ミカサ(それにしても、あの時は本当に驚いた)

エレンと二人で出かけた時のあの時の事を思い出す。

自分の我が儘を仕方なくきいてくれたのだとばかり思っていたのに。

実際に蓋を開けたら、エレンも望んでいてくれたなんて。

あの時の事を思い出すと自然と顔が熱くなる。

急に変になった、あの時の表情と今のエレンを比べると、別人のようだ。

長く一緒にいるのに、まだまだ知らないエレンの顔があるという事実を知って、嬉しいような寂しいような。

エレンの事を一番理解しているのは自分だと思っていたのに。

そういう知らない部分がこれからも増えていくのかもしれないと思うと、それは憂鬱だけど。

でもあの時の顔を知っているのはきっと、自分だけだと思うと、優越感もある。

いろんな感情が混ぜこぜになっている。でも変わらないのは一つだけ。

今、こうやってエレンと一緒にいる時間が、一番の、幸せ。

こういう至福の時を過ごせるのはきっと、これから先、何度もないだろう。

だから今を、感じていたかった。

エレンの成長と、これからのエレンも全て。

傍で、ずっと感じたい。

きっと、もっと驚くような事もあるかもしれない。

それは女の勘、というべきか。エレンはまだまだ隠し事をしている気がする。

その全てを暴くことは出来ないだろうけど、その全てを仮に見たとしても。

自分はエレンについていくだろう。そう、決めたのだから。

エレン「んー……」

エレンが寝ぼけ眼で起きた。

エレン「あ、悪い。一瞬、寝てたな。いやー気持ちよかったわ」

エレンの意識が覚醒したようなのでミカサはふふっと笑った。

ミカサ「寝顔、可愛かった」

エレン「は? 何だよ。見てたのか?」

ミカサ「うん。だって、起こすの可哀想だった……ので」

エレン「起こしても良かったのに。まだ先生帰ってきてねえの?」

ミカサ「うん。戻ってきてない」

エレン「そうか………」

エレンは困ったなと思いながら寝転んだままミカサの髪を触った。

ミカサ「………………」

エレン「どうする? ミカサ」

ミカサ「ん?」

エレン「時間、なんか潰さねえと」

ミカサ「うん………」

エレン「……………」

エレンは少しだけ目を細めている。唇は一文字だけども。

エレン「あのさ……ミカサ」

ミカサ「うん?」

エレン「この間は、ごめんな」

ミカサ「この間? もしかして、一緒に布を買いにったあの時の?」

エレン「ああ。俺の勘違いのせいで、ミカサに傷をつけちまって」

ミカサ「ううん。私も言葉の選び方が悪かった……ので」

二人してあの時の事を反省する。

しゅん…とした空気を纏いながら、エレンは先に口を開いた。

エレン「そのお詫びっていうのも、変だけど……さ」

エレンは意を決してその提案を差し出した。

エレン「普通の、その……多分、ごく普通の、そういうのをしねえか?」


今、ここで。時間の許す限り。


そう、小さくエレンが呟き、ミカサは喉を鳴らした。

エレン「勿論、挿入はしねえよ。ゴム持ってきてねえし。でも、ちょっとだけ、触れ合うくらいなら、出来るだろ?」

ミカサ「うん………したい」

ミカサは頷いた。心から望んで。

するとエレンは目元を柔くして笑い、口角をあげた。

この間のような、怖い笑顔ではなかった。

ミカサがエレンの動きを待っていると、おずおずと、唇が塞がれたのが分かった。

コナン見てたら筆が進まないので今日はここまでにする。
またいいところで切ってごめんね! またねノシ

ミカサもエレンもお互いに目を細めて、お互いに探りを入れるようなキスをした。

エレンはミカサの上に被さり、体を押し付けるように体重を乗せた。

体の重みをしっかり感じて、ミカサはエレンの背中に手を回した。

エレンは足元に寄せていた布団を引っ張って被った。

少し蒸し暑いけど、もし最中を突然、見られたら困るので予防策はしておく。

ちゅ……

ちゅ………

エレンの優しいキスは嬉しいけれど、まるで遠慮をしているようなキスだった。

本当はもっと、好き勝手に暴れて欲しい。そう願ってしまうミカサだった。

ちゅ……

ちゅ………

物足りなく感じてしまうのは、今までが甘美すぎたせいだろうか。

エレンの顔を見ると、あの時のような暗い瞳ではなかった。

まるで照れたように何度も拙いキスをしてくれるエレンにミカサはついつい、逃げるようにしてキスを外した。

エレン「ミカサ……?」

ミカサ「なんか、違う」

エレン「え?」

ミカサ「エレン、全然、本気を見せてない」

エレン「……………」

バレていた事にエレンは驚いた。違いを察知されるとは。

ミカサ「手加減しないで。エレンもいつも私に言ってる事でしょう?」

エレン「それは、訓練の時の話で……」

ミカサ「私の口の中に指を突っ込んだ時みたいな、酷いキスをして欲しい」

エレン「!」

ミカサ「もしくは、手錠で私を拘束した時に、してくれた、キスでもいい」

エレン「だから、そういうのは………あんまり」

ミカサ「見せて欲しい。大丈夫。もう、途中でやめてなんて言わないから」

エレンはぐぐっと、またあそこが固くなるのを感じた。

ここで自分を全部解き放ったら、最後までやってしまいそうな気がするけど。

ミカサがこれでは満足出来ないのだったら……。

エレン(いやいや……)

エレンは自重した。前回、そうやって調子に乗って勘違いしてミカサの体を傷つけたのを忘れてはいけない。

エレン「あんま煽るなって。馬鹿……」

誤魔化すようにエレンはおでこをゴツンと突き合わせた。

エレン「時間が許す限りって言っただろ? 今日はちょっと味見する程度しか出来ねえよ」

ミカサ「そうだけど………」

エレン「こういうの、嫌いなのか? 普通のキス」

ミカサ「別に嫌いじゃないけど」

エレン「じゃあいいじゃねえか。何が嫌なんだよ」

ミカサ「……………エレンが」

そこでミカサは拗ねたように言った。

ミカサ「エレンが隠し事をしているのが、嫌」

エレン「え?」

ミカサ「エレンはいつも、本当の事を隠そうとする。だから私も判断を間違える時がある」

エレン「………………」

ミカサ「どうして隠そうとするのかが理解出来ない。エレンが何を怖がっているのかが、分からないのが嫌なの」

エレン「怖がってるの、バレてたのか」

ミカサ「そりゃバレる。それくらいなら私にだって分かる」

エレン「ふー………」

エレンは観念した。ここはもう吐き出すしかないと思ったのだ。

エレン「…………嫌われるのが怖かったんだよ」

ミカサ「え?」

エレン「俺、自分の性癖が人と比べて大分、特殊だって気づいてからは、特に。ミカサがこういうの知ったら、ドン引きするだろうと思って最初は堪えてた。けど、お前、意外とすんなり受け入れるもんだから、俺も「もっといいかな」と思っちまって、どんどん、自分の欲求を大きくしちまって……この間のアレは、その結果だよ」

ミカサ「……………」

エレン「そもそも一番最初のキスだって、ミカサが気絶している隙にやっちまったし、どうかんがえても、普通じゃねえ。肉汁ごと、ミカサを吸いたくなるとか………」

エレンは今までの事を振り返り、反省した。

エレン「だから、どこまでだったら、許されるんだろうっていつも思いながらも、許容範囲の境界線を越えた時、ミカサに嫌われたらと思うと、その……躊躇っちまって」

ミカサ「そうだったのね」

エレン「ああ。お前、俺の事、受け入れてくれるけど、本当に大丈夫なのか? 今までの事だって、その……我慢してたりしてないのか?」

エレンの顔がまた泣き出しそうな程、切なく歪んでいた。

その顔が愛しくて堪らなくて、ミカサはその両頬を手で添えて支えた。

この間は手錠で繋がれていたから出来なかった、その動作をして、エレンを安心させてあげたかった。

ミカサ「なんだ……そんな事だったのね」

エレン「え?」

ミカサ「そんな事、大した事じゃない」

エレン「ええ?」

ミカサ「だって、ありえないもの」



私が、エレンを嫌いになるなんて。



と、耳元で言ってあげたら、エレンの全身がビクビク震えたのが分かった。

エレン「………ッ」

ミカサ「でも良かった。私も同じ気持ちになる時はある」

エレン「え?」

ミカサ「私だって、エレンに嫌われたくない。出来る事なら愛されたい」

エレン「嫌ったりしねえよ、馬鹿」

ミカサ「でもエレンはすぐ、私から離れたり、そっぽ向いたり、してたでしょう?」

エレン「だから、それは……!」

ミカサ「今は照れ隠しだって分かってるけど、知らなかった頃は普通に傷ついてたりしてた」

エレンはその言葉で、ミカサは本当に純粋なんだと、悟った。

エレン「…………悪かったよ」

エレンは両頬の手を外しながら言った。

エレン「俺も今まで素直じゃなかった。紛らわしい事してたしな」

ミカサ「うん……」

エレン「でも、そうでもしねえと、もっと酷く突っ走ってたと思う。男なんて、理性の手綱が無くなったら、ただの動物だ。雄になっちまう………」

ミカサ「そうね。そういう意味では、ありがとう、エレン」

でもね、とミカサは言う。

ミカサ「今の私達はちゃんと、必要なことは勉強した。こういう行為をする危険性も、その利点も知った」

エレン「…………」

ミカサ「だったら、お互いが許せる範囲でなら、してもいいのではないだろうか?」

エレン「…………お前、どこまでだったら許せるんだ?」

ミカサ「うーん………」

ミカサは考えてみた。しかしパッと思いつかない。

ミカサ「今までの事は全部大丈夫だったけど、そうね。私でも、ダメだって思う事はあるかもしれないし、いろいろ試していくしかないと思う」

エレン「試すって………」

ミカサ「エレンは一言で言うなら、私をどうしたいの?」

エレン「…………………」

難しい質問だと思った。

エレンは浮かんだ事を列挙して、その中から選んでみようとするが………

エレン(俺はミカサを喘がせたいし、泣かせたいし、可愛がりたいし、楽しませたいし、気持ちよくさせたいし……)

欲望は限りなく続いてしまう。その感情を一言で表すなんて……。

エレン(この感情を全て繋ぐ言葉なんて………)

…………………ある。

それに気づいて、エレンはぶわっと、脂汗が出た。

ミカサ「…………?」

でも、そんなの、夢の中でしか言ってない。ような。

エレン(というか、今、ここで、それを言うのか? この俺が?)

気障過ぎて、ヤバイと思う。

こんなの自分じゃない。ああ、らしくない。だけど……

それしか、言葉が見つからない。

エレンは一度、大きく深呼吸した。ふーふーと腹式呼吸をした。

そして、唾も大きく飲み込んで、その「一言」を選んだ。

エレン「俺は、ミカサを『愛したい』」

ミカサ「!」

エレン「これからもずっと、俺が、ミカサを愛したい」

これが、自分の結論だ。

エレン「だからその……他の人と比べたら、かなり変な愛し方かもしれんが、俺についてきてくれるか?」

ミカサは頷いた。柔らかく、微笑んで。

ミカサ「うん…………」

そして再び、二人は唇を重ねた。もう、遠慮はしない。

時間の許す限り、ここで愛し合おう………。

さーて、この続きのイチャイチャを見たい人は挙手してね。
挙手がなかったら、このタイミングで先生が帰ってくると予告しておきます。

いつの間にかいっぱい挙手が……。
そうか、だったらもう、先生にはもう少しお買いものに行ってて貰います。
(*医者は現在、消毒液等の備品を切らしてた事を忘れてて買い出し中。ドジっ子の新人さんです)

普通のイチャイチャにしようと思って続きを書いてたんだけど、
やっぱり途中でエレンさん、変態化してきた。すまんぬ……。
もうこのシリーズのエレンさん、過去最高の変態さんだ。
今更で申し訳ないが、エレンファンの方には土下座しとく。

もうちょっと投下に時間かかりそうなんで、ちょっと待っててね。

ぼちぼちゆっくり再開します。お待たせしてごめんね。

カプッ……

まるで野生の獣が狩りを覚える為に、子供同士でじゃれるような甘噛みで最初は仕掛けた。

そこには覚えたての技をもう一度、試したくて堪らないという、子供の好奇心が混ざっている。エレンも例外ではない。

舌を使って歯茎の裏側やその奥に舌の先を這わせて、ミカサの口の中を好きなようにベチャベチャにする。

ミカサは「これでいい」と思った。このやんちゃな感じが堪らなく好きだ。

エレンの好奇心を満たせるのなら、それでいい。

エレンの手がするりと忍び寄った。前のボタンを器用に全部外して、指を入れていく。

胸当ての後ろの留め具も外して、前回のように衣服を全部たくしあげて、また胸を晒す。

布団のせいで少し影になっているが、これはこれで楽しめた。

エレンは自身の頭を布団で隠して、ミカサは顔だけ布団から出している。

ミカサ側から見れば、エレンが何をしようとしているのか分からないので、ドキドキが増加する。

エレンは胸の谷間に浮かんだ汗の珠を舐め取るようにべロンべロンと大きく舌を使っていた。

その遠慮ない刺激にミカサは思わず「あっ…」と声を小さく漏らしてしまう。

ミカサ(いけない……)

いつ、先生が帰ってくるか分からない。

医務室を訪れる訓練兵が、突然やってくるかもしれない。

そのスリルのせいで快感が酷くなる。

ミカサは自分の口を自分の手で塞ぐ事にした。

その様子に気づいて、エレンは一度、布団から顔を出した。

エレン「声、我慢するなよ」

ミカサ「だって、誰かが来たら……」

エレン「んーまずいか。でもなあ……」

エレンはその時、ふと閃いた。

ミカサに見せて貰った花柄のふんどし。

あれを使えば、もっとスリルが楽しめる。

エレンは一度起きだして、ベッドの傍に畳んで置いていた花柄ふんどしを手に取った。

ミカサ「? エレン? 何をやってるの?」

エレン「んー………ふふふ」

エレンの口角が小さく釣り上がった。

目の奥が、また少し暗くなった。

ミカサ(あっ………)

まただ。この表情のエレンは、すごく変な事をする時のエレンだ。

案の定、エレンは悪い事を思いついて、ミカサに仕掛けた。

ミカサの両目を塞ぐようにして目隠しをしたのだ。

ミカサ「あっ……! エレン?」

その後に、余った布の部分で、両手首を繋ぐように拘束する。

つまり今のミカサは両腕を頭の後ろ、項辺りに持っていき、胸をぐっと前に出すセクシーポーズにさせられたのだ。

しかも、目隠しをされるという、おまけつきで。

絵的に見て、これはもう、エロい以外のいいようがない。

エレン「ミカサ、この格好、最高にいいぞ」

ミカサ「え……?」

エレン「手錠より興奮する。やべえ……思いついた自分が怖え」

ミカサ「え? え? エレン、興奮してるの?」

エレン「多分、今まで一番、興奮してる。やべえよ。収まる気がしねえ」

エレンはそう言って、しばしその姿のミカサをじっくり眺めた。

ミカサは急に目隠しをされて戸惑っているようだが、そのオロオロした感じがよけいにエロスを増大させている。

ミカサ「エレン……でも、これじゃエレンの顔が見えない」

エレン「ああ……そうだな。嫌か?」

ミカサ「エレンの顔が見えないのはちょっと……」

エレン「んーじゃあ代わりに、一杯、囁いてやるよ」

ミカサ「あ……」

エレンの声が耳元に落ちた。

視覚を奪われているせいで、まるで反響しているように、はっきりと声を感じる事が出来る。

エレン「ミカサ、今、お前、最高にエロいぞ……」

ミカサ「あっ……」

そんな風に囁かれるだけで、下半身に力が入らなくなるのが、分かる。

ミカサ(なに、これ……)

ミカサは今までとは違う感覚に驚いた。視覚がないだけで、こんなに聴覚の差が出るなんて。

そしてエレンの手が耳の後ろに添えられる。そっと、侵入してきた手の動きを予測出来ずに身構えるしかない。

ミカサ「ああっ……!」

ビクン……!

エレン「反応がいいなあ。ミカサ、お前も結構、興奮してるだろ」

その声も耳元に囁くように言ってくるので、ミカサはどんどん力が抜けていった。

たらしこまれるという感覚を全身で味わってしまう。

ミカサ「駄目……エレン、こんな姿、もし、誰かにバレたら……私……」

エレン「バレたくないなら、声は自力で抑えて見せろよ。手は使うな」

ミカサ「そんなあ……あっ……」

乳首をさわさわと、優しく撫でられて、その感じ方が先程よりもはっきり分かり、戸惑う。

気持ち良すぎて、体が浮いているような感覚に襲われる。

ミカサ「ふっ……あっ……ふっ……」

でも大声は出せない。必死に声を噛み殺しているミカサのその姿は、歴代最強でエロかった。

エレン(やべえ……何だこれ……声を噛み殺してるのに、乱れて……)

顔は当然、真っ赤に染まり、じわじわとした汗が滲み出ている。

熱に浮かされたミカサは不安げで、震えている。

唇が何度も開いては閉じて、開いて、誘惑しているようにしか見えない。

エレンは我慢出来ずにそこに指を突っ込んだ。

ミカサ「ふぐっ……」

エレン「ここ、気持ちいいか?」

ミカサは頷く。すると、わざとそこを避けてエレンが違う場所を触っていく。

ミカサ「へへん……ううう…」

一番感じやすい場所は避けてエレンは指の中を動かしている。

ミカサ(いや……もっと……もっと奥を触って欲しいのに)

エレンはとことん意地悪だった。ミカサのいいところを知ってるくせに、わざと外して、焦らしている。

そして耳元でペチャペチャと水音を立てながら、耳たぶを甘く噛んでは離して息を優しく吹きかける。

ミカサ「ふぐっ………」

ミカサはふぐふぐ言うくらいの事しか出来ない。

抵抗は当然出来ないし、エレンにされるがままに身を委ねるしかない。

ミカサ(ああ……駄目……下半身が、ぐちゅぐちゅしちゃう…)

濡れて濡れ過ぎて下着の心配をしたくなる程だった。

ミカサ「ヘヘン……ひはひ……」

エレン「ん?」

エレンは一度、指を引っこ抜いてミカサの声を聞いた。

エレン「どうした?」

ミカサ「下着が、濡れて、大変な事になってるから、脱がせて……」

エレン「あ、そっか。ごめんな。今、脱がせるから」

すっかり下着の存在を忘れていたエレンは慌ててスカートの方に手を突っ込んだ。

そしてしゅるりと、パンツを脱がせて、そのパンツを手に取ると……

エレン「あれ? なんかこのパンツ、内側にポケットがあるぞ」

エレンは変わったその構造に気づいて、中を探ってみた。すると……

エレン「! ミカサ、お前……」

なんとパンツの内側に避妊具が一個だけ入っていたのである。

エレン「これって、いつも持ち歩けるように自分でパンツを改造したのか?」

ミカサ「うん。いつ必要になるか分からないから、念の為……」

エレン「さすがミカサだ。しっかりしてるぜ」

エレンはミカサの髪を「よしよし」と言いながら褒めて撫でてあげた。

エレン「こいつが手元にあるなら話は違う。使ってもいいか?」

ミカサ「いいけど……大丈夫かしら?」

エレン「まだ帰ってくる気配はないし、大丈夫じゃねえか?」

ミカサ「エレン、するのなら、あまり焦らしすぎないでね」

エレン「そうだな。ゆっくり時間かけられなくて、ごめんな」

ミカサ「ううん。もう十分、濡れているから。きっと大丈夫」

微笑んだミカサにエレンは軽いキスを落として、そして準備に取り掛かった。

包装を剥ぎ取って、下半身の衣服を全部脱ぎ捨て、慎重に自分の息子に装着すると、エレンはミカサの上に再び覆い被さって、布団も被った。

エレン「あ、スカートを脱がせ忘れてた。脱がせた方がいいよな」

ミカサ「うん。ホックの外し方、分かる?」

エレン「ちょっと待ってろ……ああ、ここだな。よいっしょっと」

試行錯誤でロングスカートも脱がせて、よそにやる。

今度こそ、傷つけないように慎重に押し込めたい。

ひくひくと、運動を繰り返すそこにエレンは手を移動させた。

ミカサ「ひっ……!」

ミカサはその瞬間、全身に駆け巡った強い快楽に悲鳴をあげた。

ミカサ「エレン……駄目……そこはこすらないで! 声、出ちゃう……ああああ!」

エレン「うーん……ここはさすがに声、堪えるの無理みてえだな。分かった。じゃあ…」

エレンは自身の唇でミカサの口を完全に塞いだ。

ミカサ「んーーーー!?」

エレン(塞いじまえば問題ないだろ)

キスで口を塞いであそこの愛撫も同時に続ける。

エレンの唇のせいで嬌声をあげることも叶わず、あそこへの刺激を逃がすことも出来ず、受け入れるだけの強い快楽に、次第にミカサは意識が朦朧としてきた。

自身で腰を揺らしている自覚も無く、ミカサはその動きを本能的に行い始めた。

エレン(ん? ミカサ……自分から腰、振ってる?)

激しい動きではないが、ミカサは自分から腰を振っていた。

早くイってしまいたくて堪らないのだろう。快楽から逃げたいのか、そうやって何とか耐えているようだ。

エレン(なんていやらしい奴だよ。全く……)

でもそんな事をされれば、抑えつけたくなるのが、男ってもんで。

エレンも例外なく、また意地悪な目つきになった。

エレンは口を塞ぐ何かはないかなーと考えた。

エレン(そうだ。ここは医務室なんだから、包帯あるだろ)

エレンはそう思いついて、一度、ミカサから離れた。

ミカサ「エレン?」

エレン「ちょっと待ってろ。すぐ戻る」

エレンはベッドから離れて包帯を少しだけ失敬して戻ってきた。

それを今度は口の方に拘束して猿轡と呼ばれるあの状態にする。

エレンは猿の存在を知らないので、その動作をただの「口の拘束」としか知らない。

ミカサ「うぐ……」

これでミカサは声をあげたくてもあげられなくなった。

ミカサ(目も口も塞がれてしまった……)

完全に外界と断絶されたその世界でミカサはエレンの体温と声だけが頼りだった。

そしてエレンはまた布団の中に潜って、今度はミカサのあそこを舌でじわじわと舐めはじめた。


ビクン……!


ミカサは当然抵抗したが、エレンは両足でがっつりミカサの両足を固定して、両手で腰を支えているので、暴れさせる事すら許さなかった。

ミカサ(あああ……エレン……!!)

エレンの舌がミカサの中に入っていく…。

その感触にミカサは頭を振り乱して、感じて、どうにもならない快楽を受け入れるしかなかった。

ミカサ(やあああ!! こんな……激しいの……あああ……)

弄ばれている自身の体を持て余す。エレンが好き勝手に自分を触っているのが、気持ち良くて堪らない。

もっと、もっと、もっと、していい。

浅ましく欲望が膨れて、期待を高めてしまう自分が怖かった。

ミカサ(こんなの、知ってしまったら……もう)

何度でも味わいたくなってしまうだろう。

はまり過ぎて、溺れてしまう未来の自分を安易に予想出来て、怖かった。

でも今は、どうにもならない。快楽の波に身を預けるしかないのだから。

ミカサ(あ、ああああ……くる……もっと大きいのが、くる……!)

遂にその時が来た。

ミカサはエレンの舌の動きに完全敗北して、全身をぴくぴく痙攣させた。

直後、どろり、と流れ出す透明な液の感触にエレンは満足した様子で顔をあげた。

エレン「ミカサ、いったか?」

ミカサ(こくり)

ミカサは頷いた。小さく、だけど。

エレン「気持ち良かっただろ? でも、もう一回、いかせるからな」

ミカサ(え?)

エレン「今度は俺のを入れるから」

エレンは緩くなったあそこにぐっと、自分のものを押し込んだ。

エレン「あの時より大分、緩くなってるな。これなら大丈夫だろ」

エレンはずずず…と押し進んだ。そして体を密着させて耳元で囁く。

エレン「ふー……やっぱり、ミカサの中は最高だな」

ミカサ(!)

エレン「時間、あんまり余裕ねえだろうから、動くぞ」

ぐいっと、エレンがその動きをし始めた。

ミカサ(はう……!)

イった直後にもう一回、である。

正直、頭はふらふらしていたが、ミカサには抵抗する術もない。

だらしなく涎は溢れて包帯に染みついて、下半身は、ぐちゅぐちゅにされて。

でも、今、この瞬間、エレンを独占しているという優越感は、果てしなくあって。

酷い事をされているのに幸せだという、不思議な感覚に、ミカサは酔いしれた。

そしてエレンもまた、自身の手をミカサの背中にまわして、突き上げた。

今はまだ、避妊具をつかった性交渉でしか愛せないけれど。

いずれは将来、ミカサに本当の自分の欲望をブチ込みたい。

そんな風に思いながらその腰の動きを一気に高ぶらせた。

エレン「はあ……はあ……はあ……うっ!」

急激に突き抜ける感覚がきた。

空を飛ぶ、立体機動の宙返りに似た解放感に包まれながら、エレンは自身の白濁を叩きつけた。

全部を出し切った後、エレンのそれは少しだけ萎れたが、その直後、ミカサの腰の動きが続いてまた復活した。

エレン「お、おい……ミカサ?」

ミカサはまだ満足していないようだ。まだまだ腰を振りたくてしょうがないといった風だ。

エレン「…………そうかよ」

エレンはその誘いを受けて立った。

ミカサの両足を更に高く持ち上げて、もっと奥深くまで、突き上げる。

エレン「はあ……はあ……」

全身から汗が噴き出していた。体の奥から流れ出すエネルギーが、消耗しているのが分かる。

喉は乾いて、意識もふらふらしているのに、エレンはその行為を止められなかった。

水を欲している体の警告を無視して先に突き進む。エレンもまた、ミカサと同じくらいに、理性が吹っ飛んでいた。

汗が滴り、布団もシーツもかなり悲惨な状態になっている。にも関わらず、エレンはおかわりを続けた。

挙句には体位を途中でバックに変えたりもした。調子に乗って騎上位までし始めた。

もう、布団の存在を完全に忘れている。誤魔化す配慮も忘れている。

今この瞬間、誰かに見られたら、言い訳の出来ない状況なのに。

エレンの意識は虚ろで、ただ快楽を貪る獣のようになっていた。

エレン「はあ……はあ……うっ!」


ドピュ……ドクドクドク………


避妊具が遂に許容量を超えた。もう、これ以上は出来ない。

エレンの白濁は大量に外に放出されて、辺りはその独特な匂いに包まれた。

所謂、イカ臭いアレである。その匂いにミカサは気づいて、ふにゃっと体を弛緩させた。

まるでまたたびを匂った猫のようである。

エレンは自身を引き抜いてそれをどう処理するか悩んだ。

ゴミ箱に捨てるわけにもいかないし。水道はこの部屋にはないし。

未だに目隠しと口を塞がれたミカサは事態を把握できずにただぐったりしている。

ミカサ(そろそろ口だけでも解放してほしいけど)

まだ、お預けなのだろうか。ミカサはエレンを探して甘えてみる。

ミカサ(すりすり)

エレン「あ、ああ……悪い。ちょっと待ってな」

エレンはその意味を理解してミカサの拘束を全て取り払った。

目元を泣き腫らし、すごい顔にさせてしまって、少しだけ罪悪感の生まれるエレンだった。

エレン「悪い。目、すげえ腫れちまったな」

ミカサ「え? ああ……途中で何回も泣かされたので」

エレン「うっ……ちょっとやりすぎたか」

ミカサ「ううん……気持ち良かった。とても」

エレン「痛くなかったか?」

ミカサ「最初は少しだけ。でも、慣れたらもう……やばかった」

エレン「そっか……」

エレンはそんなミカサを見ていたらまたムラムラしてきたけど自重した。

キリがない。もう今日のところはこの辺で一端お終いにしよう。

エレン「……………」

エレンは避妊具にぶちこんだ自身の白濁を見つめてミカサ言った。

エレン「ミカサ、これ、飲んでみるか?」

ミカサ「え?」

エレン「飲んでるところ見てみたいんだが……」

ミカサ「飲んでもいいの? 体には悪くないの?」

エレン「一応、飲んでも害はないらしい。………多分」

ミカサ「そう。じゃあ飲んでみる」

ミカサは手渡されたそれをおそるおそる口の中に含んでみた。

ミカサ「…………!」

しかしそれを喉に通した瞬間にきた、吐き気にミカサは混乱した。

体が勝手に拒否する。何故か分からないが。

その様子を見てエレンは「やっぱ駄目か」と諦めた。

そして洗面器を持ってきて、それに吐き出すように背中を擦って促す。

エレン「悪い。無理言って。やっぱ、飲み込むのは無理だな」

ミカサ「ごめんなさい。何故か良く分からないけど、体が拒否をした」

エレン「そっか……そうとうまずいのかな、これ」

ミカサ「味じゃなくて、なんていうか……薬品のような匂いに拒否反応が出たみたい」

エレン「え? そうなのか」

ミカサ「多分、その避妊具には薬品も混ざっているのでは?」

エレン「えーっと、さすがにそこまではわからんな」

ミカサ「直接舐めて飲む分には大丈夫だと思うけど」

ミカサがそんな事を言い出したので思わず「お、おう」とたじろくエレンだった。

エレン「まあ、それはまた今度にしようぜ。洗面器の中、外に捨ててくるわ」

ミカサ「うん」

エレンは自身の服を着て汚物を捨てに行った。

その間、ベッドの上で座って待っていたミカサは、なんとも言えない心地でぼーっと過ごした。

ミカサ(凄かった…)

一言でいえばまさにその通りだった。

ミカサ(こんなに凄いことを体験できるなんて思わなかった)

股の間は多少はひりひりしているが、その痛みは仕方ないとして、それ以上の満足感がミカサの体を包み込んでいた。

ミカサ(また、いつかしたい……)

今度はもっとちゃんとした設備のあるところか。

いや、逆にもっとスリルのある場所でもいい。

ミカサ(駄目……こんな事では、訓練に差し支えてしまう)

ミカサはそんなはしたない自分を叱咤した。

この間、ぼーっとして落馬しかけた時に怒られたばかりなのに。

ミカサ(でも、今日のこれは今までで一番、凄かった。エレンの本気が見れた)

今回はここまで~またねノシ

エレンが怖がっていた理由が少しだけ分かった気がした。

こんな世界を望んでいたのなら、臆するのも分かる気がする。

でもエレンはそれを教えてくれた。それが堪らなく嬉しかった。

ミカサは余韻に浸りながら暫くの間、何も出来ずにエレンを待っていた。

そしてエレンが数分後、洗面器を抱えてバタバタと戻ってきた。

エレン「まずい! ミカサ、急いで着替えろ。先生がすぐそこまできてる」

ミカサ「!」

ミカサは慌てて自分の服を着直した。

パンツは濡れていて気持ち悪く、履けたものではなかったが……

ミカサが一瞬、躊躇しているのを感じてエレンはとっさに「ふんどしの方がマシかもしれん」と言い出した。

ミカサ「え?」

エレン「パンツ、濡れてるだろ。これは俺が隠しておくから。ふんどしはいてろ」

ミカサ「う、うん……」

ミカサはエレンに言われるがままにふんどしを装着した。

実際に自分の肌につけるのは初めてだったが、なんというか、意外と着心地がよくて悪くない。

そしてミカサが服を着て情事を誤魔化すと、遅れて医者が戻ってきた。

医者「いやーごめんね。消毒液、切らしてたのをすっかり忘れててさ。慌てて買いに行ってきたの。明日、訓練あるでしょ? 治療する子出てくるだろうし、用意しとかないとって思って。私がいない間に急患はきた?」

エレン「いえ、特には誰も」

医者「そっかそっか。じゃあ君たちにはお礼に、これをあげよう」

ミカサ「これは……?」

医者「んと、頑張りたい時に飲む栄養剤かな。ま、バテてる時とかに飲むと一気に回復するよ。決めたい時に飲んでね」

と、言いながら医者は2本、小さなボトルを渡したのだった。

所謂、現代で言うところのリポビ●ンDのような存在の栄養剤である。

医者「あんまり飲み過ぎるとビンビンになっちゃうからダメだけど、訓練に疲れてる時に飲むといいよ」

エレン「あ、ありがとうございます」

これ以上、やる気が増えたらそれはそれで困るんだが、と内心思いつつも、エレンは一応それを受け取って、医務室を出たのだった。

エレンとミカサは二人並んで、暫く無言で歩いていた。

もう時間は夕方だ。そろそろ夕食時である。食堂に行かないと。

しかし二人はちょっとだけ気まずかった。あれだけのことをやった後なのだ。

お互いにお互いをまともに見れなくて照れてしまう。

そんな甘ったるい空気に耐え切れず、エレンの方から先に口を開いた。

エレン「み、ミカサ……あの……」

ミカサ「うん……」

エレン「さっき、脱いだパンツ、俺に暫く預けてくれないか」

ミカサ「え? 洗ってくれるの?」

エレン「お、おう……! 洗って返す。それくらいはしてもいいだろ」

ミカサ「そ、それはエレンに悪い。そういうのは、自分で出来るので……」

エレン「いや、悪いとか思わなくていい。むしろ、いいんだ。頼む。預からせてくれ」

ミカサ「そ、そう……そこまで言うなら」

ミカサはエレンが使用済みパンツをどう有効活用するのか想像していない為、あっさり了承した。

そんな純粋なミカサに対して多少の罪悪感はあるものの、エレンはもう己の欲望を隠すことはやめる事にした。

エレン(ごめんな。俺、変態で……)

心の中でだけそう謝罪するエレンだった。

そんな風に二人が会話をしていたら……突然、大きな風が吹いた。

ミカサ「きゃあ!」

そしてエレンは目に入れてしまった。

その一瞬の大きな風のおかげで捲れあがった長いスカートが、ふんどしをお披露目する場面を。

エレン(おおおおお!)

偶然とは言え、エレンは見ちゃった。

前から突風が吹いたおかげで、ふんどしが現わになる姿を。

エレン(意外といいなあ、これ)

風さん、あざーっす!

と、何故か風に感謝してしまう気持ちでエレンはミカサにデレた。

そんなエレンの気配にミカサは「もう…」とちょっとだけ不機嫌だ。

ミカサ「エレンのエッチ……」

エレン「ぶふーっ!」

ミカサにそう言われるとダメージを食らってしまう。

エレン「おま、今更それを言うなよ。散々、やった後なのに」

ミカサ「そうだけども。今、物凄く目を見開いて、こっちを見た……ので」

エレン「うっ……偶然の風だったからしょうがないだろ。あ、でもこれで、13個のお願いは全部終わったな」

ミッションコンプリート! おめでとう!

と、いう歓声をここにはいないアルミンから浴びたような心地でエレンは自分だけの満足感に浸った。

ミカサ「そうね。これでようやく13個全てクリアした……けれども」

エレン「ん?」

ミカサ「ツイスターゲームは、あれはクリアしたと言えないような気もする」

エレン「んー……まあ、そりゃそうだけど」

ミカサ「それにお風呂も。アルミンも一緒だったし、二人きりではなかったし」

エレン「う………」

ミカサ「柔軟体操だって、中途半端だったし」

エレン「うう……」

ミカサ「ハグだって、何だかついでみたいに消化した……ので」

エレン「もういいじゃねえか。そうは言っても、何だかんだで消化したんだし」

エレンはもう自分の中では気が済んでいるので、ミカサが「解せぬ」という表情になっていても、それ以上ミカサの文句を受け付けなかった。

エレン(それにこのカードが切っ掛けに、俺の一番欲しいものは貰ったしな)

しかしミカサは未だに「解せぬ」顔をしている。

眉間に深い皺を寄せて「本当にこれで良かったの?」と言っている。

エレン「俺がいいんだからいいんだよ。あんま深く考えるなって」

ミカサ「そう……エレンがそう言うなら仕方がない」

ミカサは渋々納得したようだ。そんなミカサの手を握って「帰るぞ」と言う。

エレン「………………………一番欲しいものはもう貰ったしな(ボソッ)」

ミカサ「え? 今、何か言った?」

エレン「なんでもねえ」

エレンは誤魔化して、いつものようにそっぽを向いたのだった。







そしてあれから少しの月日が経ち………

夜中だが、腹減ったので、今、飯食ってる。
食い終わったら再開する。







女子訓練兵1「ああもう信じられない!」

とある女子訓練兵が女子寮の便所の手洗い場で思いっきり愚痴っている場面に、ミカサは偶然遭遇した。

女子訓練兵2「どうしたのいきなり」

女子訓練兵1「彼氏のエッチが酷すぎて別れたい……」

女子訓練兵2「ぶふーっ……何されたの」

女子訓練兵1「最中に無言なの。しかも前戯が下手すぎる……」

女子訓練兵2「あらら………」

女子訓練兵1「無言ってありえない。なんかこう、盛り上がりも何もないというか……」

女子訓練兵2「うーん、確かに何も話さないっていうのはちょっときついかな」

女子訓練兵1「でしょう? しかも終わってからなんて言ったと思う? 今度は縛ってみたいとか言い出したんだよ」

女子訓練兵2「うわ……きついね、それ」

女子訓練兵1「私は性欲処理の道具じゃないっての。あんな酷い人だとは思わなかった」

ミカサ(…………………)

ミカサはその女子訓練兵の会話に思わず耳を大きくして続きを聞いていた。

女子訓練兵2「それ、やめた方がいいかもね。別の人に乗り換えたら?」

女子訓練兵1「うん。近いうちに別れると思う。大した男じゃなかったし……」

ミカサ「あの……」

ミカサは思わずその女子訓練兵に声をかけてしまった。

二人の方はミカサの事を知っているので、まさか向こうから話しかけられるとは思わず、びっくりした。

女子訓練兵1「み、ミカサ……居たんだ。びっくりした」

女子訓練兵2「気配なかったからびっくりしたよ」

ミカサ「ごめんなさい。消してたつもりはなかったんだけど、ちょっと、聞きたい事があって」

女子訓練兵1「何?」

ミカサ「あの……そういうのって、変なの? 最中にしゃべらなかったり、縛ったりするのって」

女子訓練兵1「え? 変に決まってるでしょ。どう考えても」

女子訓練兵2「普通じゃないよね」

ミカサ「そ、そうなの?」

女子訓練兵1「女に対する配慮があったらそんな事、しないって。そうでしょ?」

ミカサ「………………」

女子訓練兵2「なになに、まさかミカサの彼氏も同じなの?」

下世話な話が聞けると思って踏み込んでくる二人にミカサは「違うと思う」と言った。

女子訓練兵1「え……ミカサ、もしかして縛られたことあるの?」

ミカサ「…………」

ミカサは自分のことについてはノーコメントを貫いた。

こういう話はあまり他人に話すべき事ではないと本能的に思ったのだ。

ミカサが思った「違うと思う」というのは、その相手の彼氏についてだ。

ミカサ「私の勘、なのだけども。その相手の彼氏さんは別に配慮がない訳ではないと思う」

女子訓練兵2「え? なんでそう思うの?」

ミカサ「私が思うに、大なり小なり、男の人にはそういう、変な部分があるのだと思う。だから、それが嫌であるのなら、きちんと伝えた方がいいと思う」

女子訓練兵1「え……嫌よ。面倒臭い。こじれるに決まってる」

女子訓練兵2「何も言わないで切る方がいいよね。こういう時は」

ミカサ「………そうなの?」

女子訓練兵1「だって言ったってしょうがないでしょ。言わなきゃ分かんないような馬鹿とは付き合いたくない」

ミカサ「……………」

女子訓練兵2「うーん。こじれてもいいからぶつかるだけの価値があれば、言うけどね」

女子訓練兵1「うん。そこまで相手の事好きじゃないし。別にいいよ」

ミカサ「では何故、その相手と体を繋げようと思ったの?」

女子訓練兵1「うーん、折角避妊具を支給されたし、一回くらいなら使ってみようかなって思っただけだったのかも」

その彼女は微妙な顔をして言った。

女子訓練兵1「やってみたら、痛いわきついわで、楽しくなかったし、やるんじゃなかったなあって後悔したなあ」

ミカサ「そう……」

女子訓練兵1「ミカサもやるなら相手を選んだほうがいいと思うよ? もし縛りたいとか抜かす奴が出てきたら、その時はぶっ飛ばしてやりなって!」

ミカサ「…………」

ミカサはそれ以上何も言えなかった。

女子訓練兵の二人はそれで気が済んだのか、ケラケラ笑いながら、もう別の話題をしながら便所を出て行った。

その二人を見送りながらミカサは思った。自分は自分が思っていた以上に幸運だったのかもしれない、と。

ミカサ(あの子達は知らない。アレの本当の楽しさを)

自分が一歩、先取りしているのだと思うと変な優越感が湧いた。

でもそれは誰にも言えない秘密だった。エレンとの、秘密だった。

ミカサ(縛られるのも、目隠しされるのも、愛していれば、快感に変わる)

元々そういう素質があったのかもしれないが、ミカサはエレンとのプレイに満足していた。

だからあの子たちが可哀想だとも思った。それを教える義理はないけれど。

ミカサはそんな風にちょっとだけ、小悪魔のような笑みを浮かべて、リップクリームを塗り直したのだった。







この時のミカサは幸せの絶頂だった。

だからまだ、この時のミカサは思わなかったのだ。

エレンにはまだ、もっと奥深い、闇の部分があることを。

想像していなかったのだ。







ミカサはちょっとだけおめかしし直して、エレンのいる男子寮に顔を覗かせた。

ちょっとだけ顔を見たくて、つい「来ちゃった」みたいなノリで、ミカサはエレンの様子を見に来たのだ。

しかしその時、ミカサは目に入れてしまった。信じられない光景を。






エレンが、女の子の人形を見て目を輝かせている光景を。






エレン「アルミン! おまえ天才だな! これ手作りなんて言われても信じられねえよ。どうやって作ったんだ?」

アルミン「木を彫刻刀で掘ってヤスリかけて絵の具で塗ってニスで加工して……って感じかな。ごめんねー。エレンの誕生日に間に合わせようと思ってこっそり作ってたんだけどさ。間に合わなかったんだ」

エレン「全然いい! それだけの価値はある! これ、本当にすげえな!」

大きさは30センチくらいだろうか。

所謂、現代で言うところの「フィギュア」のような女子の人形を木で掘って完成させたのだ。

ジャン「アルミン! これ、俺にもくれよ! ミカサ人形!!!」

アルミン「2体作るのは無理だよ……これ、半年前からコツコツ作ってやっと完成したんだから」

エレン「この表情とかよく出来てるなあ……ミカサそっくりじゃねえか」

アルミン「顔は普段からよく見てるから再現は簡単だったよ。一番の難関はやっぱり下半身のラインかな。曲線が難しかった」

ライナー「アルミン、次はクリスタの分もお願いしたい」

ベルトルト「僕はアニを……」

アルミン「え? む、無理だって! 一体作るのに半年かかるって今、言ったでしょ?」

ライナー「そこを何とか」

ベルトルト「無理を承知で」

アルミン「もー……じゃあせめて自分で作ってよ。作り方は教えるからさ」

ジャン「本当か! 教えてくれるのかアルミン先生!!」

ライナー「宜しく頼む!!」

男子が何故かアルミンの前に行列を作っていた。

その異様な光景に、ミカサは生まれて初めて「ドン引きする」という感情を知った。



そんな顔面蒼白のミカサの気配に遅れて気づいてエレンは振り向いた。

目が合った瞬間、何故か目を逸らされてしまい、その瞬間、エレンは悟った。

あ、まずい。と。

ジャン「お、ミカサ……何だ。来てたのか」

ジャンはミカサに気づいて頬を赤らめているが、ジャンの視線も逸らす。

ミカサはじりじりと、男子寮を出て行ってしまった。

その瞬間、エレンは全てを悟って、その場に崩れ落ちてしまった。

エレン「しまった。あいつ……こういうのはダメだったのか」

アルミン「え?」

エレン「今のミカサの顔、見ただろう? ドン引きしてた」

アルミン「………みたいだね」

ジャン「え? まじか? 顔の表情は変わらなかったから分からなかったんだが」

エレン「顔が完全に固まってただろうが! あああ……」

恐れていた自体が起きてしまった。

エレンは頭を抱えつつも「アルミン、ごめん」と言って慌ててミカサを追いかけた。

ミカサは男子寮の廊下の隅っこで蹲ってブツブツ独り言を言っていた。

ミカサ「エレンが女の子の人形を見てニヤニヤしてた。ニヤニヤしてた。ニヤニヤ……」

エレン「ミカサ!」

エレンがミカサを見つけて近寄ると、ミカサは思わず警戒してしまった。

ブルブル震えてすっかり困惑しているようだ。

ミカサ「エレン、エレンはもういい年した男の子……なので、人形遊びは卒業するべき。今すぐ、卒業するべき……」

どうやらミカサはアレを、小さな女の子がままごとでやる、人形遊びにエレンがはまっていると勘違いしているようだ。

確かにそういう風に捉えてしまってはドン引きするのも無理はない。

アレは大人の趣味のうちの一つだと言っても、ミカサは信じないだろう。

エレン「あれはな、アルミンからの誕生日プレゼントなんだよ。だからその……」

ミカサ「アルミンが作ったの? ますますダメ……アルミンをそんな道に引きずり込んでは……アルミンに悪い」

エレン「あ、あのな。ミカサ……」

ミカサ「ご、ごめんなさい。私にはアレは、受け入れられない」

エレンは初めてはっきりミカサに強い拒絶をされてショックを受けた。

ミカサ「わ、私は男の子らしい、エレンが好き……なので、女の子がするような遊びに夢中になるエレンは、とても受け入れられない」

エレン「いや、あのな、アレもある意味、男の子らしい趣味といえば、趣味なんだが……」

主に大きなお兄さん用のアレだが、ミカサには全く理解出来ない世界だった。

ミカサ「嘘つかないで。男の子は人形になんか、興味は持たない筈」

エレン「…………」

美少女の場合は例外なんだああああと、叫びたいエレンだったが、ミカサに通じるとは思えなかった。

エレン「おま、俺が女装したときは別に引かなかったじゃねえか」

ミカサ「あれは、別にいい。似合ってたし」

エレン「じゃあ人形遊びはなんでダメなんだよ……」

ミカサ「それは、その……良く分からない。とにかく、気持ち悪いと思ってしまった……ので、説明が難しい」

エレン「……あの人形は、ミカサがモデルなんだぞ? それでも嫌か?」

ミカサ「…………ダメみたい」

ミカサは未だにブルブル震えている。こんなに嫌がるミカサを見るのは珍しい事だった。

今まで何でもかんでも受け入れてくれたから、思わなかったけれど、ミカサにも嫌なものはある。

それを無理に突き合わせるのは良くないと、エレンはそう思って観念する事にした。

エレン「分かったよ。でもアレはアルミンが半年もかけて作ってくれたもんだから、捨てるとかは出来ねえから。飾っておくだけにする。それでいいな?」

ミカサ「うん。飾りとして使うなら、気持ち悪くないのでいい」

エレンはミカサのドン引きのラインがなんとなくわかった気がした。

エレン(ミカサには、所謂「オタク」っぽい闇の部分は見せねえ方がいいな)

拘束プレイやパンツの収集は許容範囲でも、二次元的な趣味になるとミカサは嫌がるようだ。

その違いが分かったので違う面から見れば幸いだったとも言える。

エレンは前回、ミカサの誕生日の時に各方面からいろんな知識を渡されて、徐々にはまり始めていた。

人形の趣味もそれを通じて知ったのだが、ミカサは未だにその辺の感性が一般人のそれのようだ。

エレンはアルミンやライナーに徐々に影響を受けてそういう文化もあるんだな、とすんなり受け入れてしまったので、今は以前ほど、そういう文化に抵抗感はない。

だがミカサがダメである以上、この辺は自重しておこうと心に決めたのだった。

エレン「ほら、立てって。そんなに怯えるなよ。傷ついちまうだろうが」

ミカサ「ごめんなさい………」

ミカサは謝りながらもまだ困惑していた。

ミカサ「エレンだけじゃない。男子が一斉に人形にはまっている光景は、とても異様に見えた」

エレン「うっ……」

皆、テンション上がりまくってたもんな。と、エレンは思わず思った。

ミカサ「お、男の子には、女の子には良く分からない世界があるのは仕方ないけど、アレはちょっと……」

エレン「理解出来ないならそれでいい。悪かった。もうああいう部分は見せないように気をつける」

ミカサ「………趣味をやめてはくれないの?」

背中を突き刺すようなミカサの声にエレンの肩は揺れた。

エレン「うぐっ……」

ミカサ「どうして? 今、エレンは飾るだけって言った。それはやめるって意味ではないの?」

エレン「うっ……」

ミカサ「酷い。私というものがありながら、違うものに夢中になるなんて……」

ミカサが嫉妬のエネルギーを集めて嫉妬玉(*元気玉みたいなの)のようなものを発生させようとしている。

ミカサの目つきが恐ろしいものに変化しようとしているのでエレンは「すまん! やめるから! やめるから!」と嘘をついて宥めた。

ミカサ「本当に……? 本当にやめるの?」

エレン「ああ、やめる。大丈夫。ミカサが嫌がることはしねえから」

その笑顔が嘘くさくて微妙な顔になるミカサだったが………

ミカサ「エレンがそう言うなら(一応)信じよう」

と、少しだけ拗ねたように言うミカサがちょっとだけ可愛くて、やばいと思ったエレンだった。

だがやはり、ミカサには何でもかんでも見せないほうがいいとも思った。

エレン(借りてるアヤナミやアスカの画集とか見つかったら俺、ミカサに殺されるかもしれん)

ミーナとハンナがエヴァの話をするようになってから、エレンはエヴァをすっかり気に入ってしまい、その関連本を借りて読んだりしていた。ミカサには勿論、内緒で、だが。

更に言うなら、手錠で拘束プレイとか、目隠しプレイ等もエロ本に載っていたような事をついついやってしまったという経緯もある。

そんな訳で、エレンはまだまだ自分の闇の部分をミカサには見せられないと改めて思った。

せっかくここまでいい感じできたのに、そのせいでぶっ壊してしまったら元も子もない。

エレン「おう、信じてくれ。俺もミカサには嫌われたくねえし」

ミカサ「エレン……」

エレン「だからその………ちょっとここでキスしていいか?」

ミカサ「うん……」

何だか多少誤魔化されているような気もしなくもないが、ミカサは頷いた。

そして廊下の端っこで、舌を絡めるキスをする。

誰も通らないその廊下では、その水音が静かに響いた。

エレン「ミカサがさ……」

ミカサ「ん?」

エレン「パンツにポケット作ったから、俺も真似してみることにしたよ」

そう言ってエレンは自分のズボンのチャックをちょっとだけ下ろして、そのパンツの腹の部分を見せた。

自分で改造したせいでミカサのよりは不格好だったが、ちゃんと避妊具を入れられるくらいの内ポケット入りだ。

ミカサ「なるほど。それを作るために私のパンツを借りていったのね」

エレン「え? あああ……そうだよ」

本当は違う理由だが(*匂いを堪能する為です)、エレンは嘘をついた。

そういう事にしておいた方がいいだろうと思ったのだ。

一旦切ります。仮眠取る…ZZ

エレン「いつ、そういう気分になるかなんて分かんねえもんな。こんな風に……」


さわさわ……


エレンの手は既にミカサの感じやすい場所を探っている。

ミカサ「あっ……エレン、ダメ……ここは、廊下、なので」

エレン「んー? ふふふ……」

弱々しい抵抗が余計にいやらしい。誘っているようにしか見えないが。



カンカンカン……



無情にも、二人を邪魔するように鐘は鳴る。

男女が行き来できる自由時間が短くなってからは、なかなかまとまったイチャイチャ時間が取れないので非常に残念だ。

エレン「………次の休みまでお預けだな」

エレンは自分のズボンを戻してミカサの頭に手をポンポン乗せて諦めた。

エレン「女子寮まで送ってく。行くぞ、ミカサ」

ミカサ「うん」

エレンに連れられてミカサは外に出る。

今日は月夜の美しい日だった。月明かりに見送られながらミカサは思った。

今の状態はまるで、この満月のように満ち足りた時期なのかもしれないと。

ミカサ(この満月がずっと、続けばいいのに……)

しかし月の姿は変わる。刻々と、時間とともに姿を変えて、いつかは闇に消える。

そんな日がいつか来ないことを、ミカサはただ、祈るしかないのだった。






訓練は相変わらず厳しい毎日だったが、それでも満ち足りた日々が続いていたある日。

座学の授業が終わった後、エレンは席を立って男子寮に戻ろうとしたその時、ノートから一枚の紙切れを落としてしまった。

ミカサはそれを拾い上げ、そのメモの内容を見てしまう。

ミカサ(………?)

それには、こう書かれていた。



1.風邪ひくな。

2.怪我するな。

3.体を冷やすな。

4.人前では過剰にベタベタするな。

5.女子と仲良くしろ。

6.俺と対戦するときは手加減するな。わざと負けるのも以ての外。

7.いきなり触るのもやめろ。びっくりする。



ミカサ(???)

これは何の箇条書きなのだろうか?

ミカサはアルミンと先を行くエレンを追いかけて呼び止めた。

ミカサ「エレン、メモを落とした。これは一体……?」

エレン「ん? ああ……懐かしいな。これ、以前、ミカサから貰った誕生日プレゼントのカードの中身を考えたときに、最初に書いてたメモだよ」

ミカサ「え?」

エレン「つまり没案だな。こっちはカードとしては使えないと思って、やめたんだよ」

エレンはその紙切れをミカサから受け取ると照れくさそうに回収した。

エレン「こっちはお願いつーより、なんていうか、注意みてえだし、と思ってな」

アルミン「へー……なんだ。エレン、没案持ってたんだ。僕、知らなかったよ」

エレン「あ、ああ…アルミンが来たのは丁度、没案を捨てた直後だったからな」

ミカサ「そう……でも、エレン」

ミカサはエレンに食いついた。嬉しそうに。

ミカサ「こちらの方がエレンらしい。私はこちらでも良かったのに」

エレン「はあ?! 今更それ、言うか?!」

ミカサ「だって………私はエレンの本当のお願いを聞きたかった」

ミカサがクスクス笑いだしたのでエレンは苦い虫を食べたような微妙な顔になった。

エレン「マジかよ………それだったら、こっちの方向でいくらでも出したのに」

ミカサ「今からでも遅くない。残りの6つ足して、13個完成させてほしい」

エレン「今から? はあ……全く、しょうがねえやつだな」

エレンはメモ紙を見つめながらそこで立ち止まり、廊下に背中を預けてそこで続きを考えた。

エレン「うーん……じゃあ、こんな感じか?」

そこには、こう付け足された。

エレンのお願い13か条

1.風邪ひくな。

2.怪我するな。

3.体を冷やすな。

4.人前では過剰にベタベタするな。

5.女子と仲良くしろ。

6.俺と対戦するときは手加減するな。わざと負けるのも以ての外。

7.いきなり触るのもやめろ。びっくりする。

8.何か悩みがある時は、俺かアルミンに必ず相談するように。

9.俺の私物を勝手に見るな。

10.俺の為に無理するな。我慢はしないで欲しい。

11.食事は残さず食べろ。サシャにパンをあげすぎるな。

12.他の男にはあんまり優しくしないでよろしい。勘違いする奴が出てくる。

13.以上の事を、出来る限りでいいので守って欲しい。

ミカサ「? 最後の一文は、変。何故入れたの?」

エレン「あ? だから、出来る範囲でいい。別に厳密に守れって話じゃねえって事だよ」

ミカサ「それではお願いではないような……」

エレン「いいんだよ。それで。十分だ」

エレンはそう言って、今度こそ本当の、エレンのお願い13か条をミカサに手渡したのだった。

エレン「ま、こんなもんはもう、言われなくても分かってるかもしれんけどな」

ミカサ「うん……でもこうやって改めて言われると、嬉しい」

エレン「ん?」

ミカサ「エレンの本音が見えたみたいで、嬉しい」

エレン「……………」

ぶわっと、耳から赤くなってしまうエレンだった。

そんな二人の様子をニヤニヤ見守るしかないアルミンだったが、

アルミン「そうだね。特に12番目あたりに本音が凝縮されてるね」

エレン「アルミン!」

ミカサ「でも、この勘違いする奴っていうのは誰の事? そんな人、いたかしら?」

エレン「いや、今は居なくても、優しくすると出てくるだろうって話だよ」

ミカサ「ああ、なるほど。では気をつける」

アルミン(若干一名、既にいるけどね)

名前を出すのは可哀想なので言わないでおいてやるが。

ミカサ「うん……分かった。この新しいお願いを、私は守る」

ミカサはそう言って頷いた。その紙切れを大事にしまい込む。

ミカサ「でも危なかった」

エレン「ん?」

ミカサ「もし言われなかったらエレンの私物をチェックするところだった」

エレン「え……? (青褪め)」

ミカサ「この間の件を本当に守っているかどうか、チェックするべきだと思っていた……ので。でもエレンがそう言うなら仕方がない。やめておく」

エレン(ブルブル)

間一髪だった、と思ったエレンだった。

ミカサ「エレン、私はあなたを信じている……ので」

ミカサの笑顔がちょっとだけ怖かったが、エレンはこくこく頷いた。

そしてミカサは足取り軽く女子寮の方へ戻っていった。

エレンとアルミンはお互いにお互いを見合う。

アルミン「エレン、良かったね。発覚する前に釘を刺せて」

エレン「ああ……神様に感謝するぜ」

アルミン「この間の人形ですらドン引きしてたから、それ以外のオタク文化にもはまってるって聞いたら、ミカサは気を失うかもしれないね」

エレン「くそ……こんな事なら、染まるんじゃなかった」

アルミン「無理だよ。もう過去には戻れない。僕もまさかエレンがそっちの才能も持ってるとは思ってなかったからなあ」

アルミンはエレンがはまる以前のエレンを知っているのでよけいにそう思う。

アルミン「エレンは萌えを知らない純粋培養というか、一般人側の人間だと思ってたのに」

エレン「お、俺だって知らなかったんだよ。自分にこんな変態の素質があるなんて」

アルミン「まあ、もう逃げられないよ。エレンは僕達の仲間だ。ミカサにはせいぜい、本性がバレないように気をつけるしかないね」

エレン「その時は助けてくれよ、アルミン」

アルミン「うん……まあ、出来る限りでいいならね」

と、13か条の最後の一文のように答えるアルミンだった。





しかし事態は思わぬところから綻びを見せる事になる。

ミカサが女子寮に戻って自分の部屋に戻るとそこにはミーナとハンナが二人でしゃべっていた。

ミーナ「エレンをエヴァの道に引きずり込めて良かったあ」

ハンナ「今じゃうちらより詳しくなっちゃってるよね」

ミーナ「うんうん。しかもこの間、エレンにアヤナミの2等身人形あげたらさ、もう凄い食いついちゃって。やっぱり思った通り、アヤナミ派だったわね、あいつ」

ハンナ「みたいね。エレンはやっぱり、ああいう顔立ちが好きなのかしら」

ミーナ「そうなんじゃない? ミカサっぽい、お人形のような綺麗な顔立ちが好きなんだと思うよ」

ミカサの唇は、一文字に引き締まった。

ミーナ「エヴァがいけるなら、次は何にはまらせてやろうかしら。うふふ」

ハンナ「次はやっぱりガンダムじゃない? 初代から読ませてやろうよ」

ミーナ「いいね! エレンってそういう、男の子向けのやつにすぐはまりそう」

ハンナ「ダブルオーもいいかも。私はターンエーも好きだけど」

ミーナ「私はウイングもありだなあ。でも、エレンが好きそうなのはダブルオーの方かもね」

二人がキャッキャと企みを話している姿を見てミカサは二人を捕獲した。視線だけで。

ミカサ「ねえ……二人共。それ、私にも、教えて」

ミーナ「え?」

ハンナ「え?」

ミカサ「二人がエレンに何を教えたのか、教えて欲しいの」



ゴゴゴゴ………



二人はミカサのオーラに当てられて、すっかりびびっていた。

ミーナ「え? あの……ミカサ、どうしたの? 急に……怖いんだけど」

ハンナ「な、なんか私達、悪いこと、したのかな?」

ブルブルガタガタ……

手を合わせてすっかり怯える二人にミカサは言い放った。

ミカサ「いいから教えて。エレンがこれ以上、私以外の者に夢中になる前に、知りたいの」

ミーナ&ハンナ「「ひいいいいい!!!」」

二人はまるで肉食動物に狙われた草食動物のように怯えきって泣いてしまった。




そして数日後…………

ミカサ「エレン、話がある」

それは朝食が始まる前の朝早い時間だった。

ミカサは神妙な面持ちでエレンに突如、話しかけた。

まだ朝の支度も終わってない。エレンは歯磨きの最中だったのだが。

男子寮に顔を出してきたミカサに首を傾げる。

エレン「ほっとはってろ(ちょっと待ってろ)」

口を濯いで着替え終わってから、エレンは廊下で待つミカサの元に向かった。

ミカサは何か凄く思いつめた顔をしている。

エレン「どうしたんだ? ミカサ。急に」

ミカサ「エレン………」

エレン「ん?」

ミカサ「やっぱりエレンの私物を見せて欲しい」

エレン「え?」

ミカサ「どうしても確かめたいことがある。だから、見せて欲しい」

エレン「そ、それはダメだ。お願いにも書いただろ?」

ミカサ「出来る限りでいいって、言った」

エレン「だとしても、なんでだよ! 理由を言え!!」

ミカサ「エレンが浮気しているかもしれないから」

エレンは心外だと言う顔で言い返した。

エレン「何言ってるんだ? 俺が浮気なんかするわけ……」

ミカサ「アヤナミ………」

ミカサはぽつりと呟いた。その瞬間、エレンの肩は揺れた。

ミカサ「私が以前、誕生日の時に演じたキャラクター、あれがお気に入りだそうね」

エレン「ギクッ!」

ミカサ「ミーナ達から聞いた。エレンは、アヤナミが好きなのだと。たとえ実在の人物ではなくとも、それに夢中であることには違いない」

エレン「…………」

ミカサ「それだけじゃない。世の中にはそういうフィクションの世界を更に個人的に楽しむ範囲内で妄想を楽しむ「二次創作」というジャンルがある事も教えてもらった。そういう世界では、エレン、あなたが私にしたようなエッチなことは特別、珍しくないそうね?」

エレン「ギクギク」

ミカサ「合点がいった。エレンのエッチのテクニックは、そういう知識から基づいて生まれたものだったのだと」

エレン「……………」

エレンは追い詰められていた。ここから逃げ出したくて堪らなかった。

しかしどこに逃げる? この狭い宿舎の何処に。

ミカサ「エレン。見せて。お願いだから。私はあなたを信じたいの」

エレン「い、嫌だ……」

ミカサ「断るなら、エレンは認めたことになる。私が追求した事を全て」

エレン「………ッ」

エレンは唇を噛んで考えた。ここをうまく切り抜ける方法はないかと。

私物の中にはミカサには到底見せられないような男の子の夢が詰まっている。

エロ本を含むあれら全てを見られたら破局も免れない気がする。

土下座でもすれば勘弁して貰えるだろうか。そう、エレンが小細工をしようとしたその時、

ミカサ「酷い。私はそのアヤナミとかいうヒロインに負けてしまうのね」

さめざめと、悲しそうに言い出すミカサにエレンもドキッとさせられた。

エレン「馬鹿! 何言ってんだ! 俺はミカサが一番なんだぞ!」

ミカサ「本当に?」

エレン「当たり前だろ!」

ミカサ「じゃあ見せられるはず」

エレン「うっ……」

ミカサ「見せられないなら、私は負けたことになる」

ミカサの極論の論理を突きつけられて遂にエレンは敗北した。

そして渋々、本当に渋々、エレンは自分の罪(?)をミカサに告白する羽目になった。

それにはアルミンも立ち会っている。エレンがもしもの時の為に仲裁に入ってくれるよう、頼んだのだ。

ミカサに静かに吟味されているエレンの姿はまるで処刑を待つ罪人のようだった。

ミカサは人形やらいろんなそういうグッズを見ては、不機嫌そうに吟味していた。

ミカサ「やっぱりあった……人形をコレクションにしている」

エレン「それはミーナから貰ったんだよ」

ミカサ「このエッチな本は何? エレン、こういうのはまだ私たちの年齢では買えない筈でしょう?」

エレン「そ、それは……ちょっと特殊なルートで手に入れたんだよ」

ミカサ「特殊なルートって?」

エレン「それは口が裂けても言えん!!」

アルミン「ミカサ、それは僕も同じ。男の子には秘密が多いんだよ」

ミカサ「そう。アルミンも言うなら仕方がない。…………縛り方全集?」

エレン「…………も、もうその辺でいいか? 頼む。もういいだろ?」

ミカサ「良くない。ふむ……なるほど。エレンはこういう事をちゃんと勉強していたのね」

アルミンはその様子を見ていて「なんだこの羞恥プレイは」と思わずにはいられなかった。

巻き添えを食ったような感じだが、アルミンには止められない。

ミカサの目が見開いてじーっとガン見している様が居た堪れなかった。

エレンの顔がもう、赤いのを通り越して黒くなってきているような気がする。

ミカサ「分かった。エレンにはこういう隠れた趣味があったのね」

エレン「………ああ」

ミカサ「私がやめてほしいと言ったらやめてくれるの?」

エレン「………やめないと、ダメか?」

ミカサ「本音を言えば。でも、エレンもここまで沢山集めてきた物を捨てるのは無理だと思う……ので。条件次第では私も妥協してもいい」

エレン「じょ、条件……?」

エレンは凄く嫌な予感がした。ぞわぞわと、寒気が来た。

ミカサはちょっとだけ楽しそうな顔で続けた。

ミカサ「来年の私の14歳の誕生日には、私のお願いを14個、叶えて欲しい」

エレン「え?」

ミカサ「プレゼントを予約させて貰う。その条件を呑んでくれるなら、目を瞑ってあげてもいい」

エレン「……………」

エレンは目の前が一瞬、暗くなった。

ふらふらと、頭が酸欠状態になったように、倒れそうになり、アルミンに後ろから支えられてしまう。

しかしそれでも、ミカサに伝えた。

エレン「ああ……分かったよ。来年は俺が精一杯、お返しさせて貰うよ」

そうエレンが答えたら、ミカサは満足そうに微笑んだのだった。











(エレンのお願い13か条。おしまい☆)

エレンさんの変態妄想のルートは多分、同人誌経由です。
ものごっつメタ臭い話になってしまったが、
エレン13変化の時もエヴァとかいろいろ書いたので、
其の辺はご勘弁下さい……。

歴代最高の変態エレンさんが書けて幸せだった。ありがとう。
全ては安価で支援してくれた皆のおかげだ。本当に助かった。

ではではこれにて。
おまけは今のところ、何も思いついてないけど、
何か書いて欲しい追加ある?
何もなければ、ここでおしまいです。

(☆おまけ☆)


エレン「……………」

その日の夜、エレンは自分の私物入れの中がやけに丁寧に整頓されている事に気づいた。

これは自分の置き方ではない。これは明らかに、誰かに触られた証拠だ。思い当たるのは、一人しかいない。

エレン(ミカサの奴、まーた俺の知らん間に私物のチェックしやがったな)

一体、いつの間にやっているのか見当がつかないが、多分、どうにか隙をついてやっているのだろう。

エレン(借りていってる形跡はねえ……ってことは、単に中身を見てチェックしてるだけなんだよな)

これではエレンのお願い13か条の役目を果たしているとは言えないが、文句を言えば、ミカサは「出来るだけって言った」と言い返すに決まっている。

……にしても、奇妙だ。

何故、ミカサはチェックだけしているのだろうか。

エレン(前みたいに、そういう趣味をやめて欲しいっていう気配はねえけど)

もう、諦めたのだろうか。

でも、こうやって勝手に整理整頓されるのは、無言の抗議のような気もする。

エレン(………あれ?)

その時、エレンはふと異変に気づいた。

いや、整理整頓されているという異変に隠れて気付かなかったというべきか。

エレンは「縛り方全集」の本に、しおりが挟まっているのに気づいたのだ。

本を開いてしおりのページを見る。しおりは、13か条の時に使ったカードを一枚、しおり代わりに挟んであったが。

そのページには、縛り方の極意や、注意点等の、所謂「心構え」のようなものが書かれていた。

エレン(あいつ………もしかして)

ミカサはもしかして、エレンのいない隙にこのページを読んだのだろうか。

エレン「……………」

もし、そうだとしたら。

エレン(はあ……もう、あいつ、なんだよ)

健気過ぎるだろ。

と、エレンは思い、急にミカサに会いたくなった。

だけど今はもう、宿舎の行き来の出来る時間帯ではない。

明日も訓練がある。そういう事に、時間は割けない。

だけども………。

エレン(いかんいかんいかんいかん……)

規則違反をして点数を減らしたら元も子もない。エレンはそう言い聞かせて自重した。

理性の発達なくして、人間とは言えない。

エレンは我慢した。我慢して、我慢して、寝ることにした。





しかし、その日の夜…………。




エレン(やっぱりダメか)

一度ムラムラすると、なかなか寝付けなかった。

他の男子はすやすやと眠っている。アルミンも綺麗な寝顔を浮かべて寝ている。

こんな夜中にギラギラしているのは自分くらいだろう。

エレンはため息をついて、起き上がった。便所に行ってこようと、部屋を出る。

ふと、外の景色が明るいことに気づいた。

今日は満月らしい。

月明かりが綺麗な夜は、ふと、ミカサの誕生日を思い出す。

エレン(そういやあの日も、やけに月明かりが綺麗な夜だったな)

だからこそ、あのファッションショーも出来たようなものだ。

エレン(はー……)

あの頃に比べると、自分の変化に驚いてしまう。

まさか自分がこんな風に斜めに急成長するとは思わなかった。

訓練で体が疲れているのにも関わらず、眠れないのは、この熱を発散出来ないからか。

自分の中に宿る性の衝動を、恐ろしくも感じる。

エレンは外の便所に移動しようと、外に出た。

すると、何故かそこには………




ミカサ「エレン……?」



偶然にも、ミカサも外の便所に来ていたようだ。

エレン「おい、ミカサ。一人で外の便所使うなよ。あぶねーだろ」

ミカサ「だって、つい……月が綺麗だったから」

外の景色を見たくなって、つい。

そうミカサが言って、誤魔化すように照れた。

ミカサ「どうせ用を足すなら、外に出ようと思って」

エレン「気持ちは分からんでもないが………」

ミカサ「それになんとなく、だけど」

エレン「ん?」

ミカサ「エレンに会えるような、気がして」

エレン「…………」

ミカサ「女の勘、当たった」

ミカサはたまにこういう、野性的な行動で当てる時がある。

それこそ、女の勘、らしい。

エレン「俺に会いたかったのか? 訓練でいつも会ってるだろ」

ミカサ「そうだけど」

エレン「けど?」

ミカサ「二人きりでゆっくり話せる時間は、そう多くはない」

エレン「…………」

ミカサ「でしょう?」

エレン「まあ……そうだな」

エレンは用を足しに来た事もしばし忘れて頷いた。

エレン「少し、話していくか?」

ミカサ「エレンは、便所に行かないの?」

エレン「あ、ああ……その、どうしても行きたかったわけじゃねえし、いいよ」

エレンはつい、ミカサを優先した。

聞きたかった事もついでに聞こうと思った。

エレン「ミカサ、あのさ」

ミカサ「何?」

エレン「お前、定期的に俺の私物、整理整頓してるだろ?」

ミカサ「なんの事……?」

エレン「とぼけるなよ。しおり、挟めるのはお前だけだろ」

ミカサ「………あ」

エレン「あの本、読んだのか?」

ミカサ「ごめんなさい。どうしても、気になって」

エレン「…………」

ミカサ「その……エレンが、何故、私を、縛ろうとするのか」

エレン「うん」

ミカサ「その……最初は、不思議だったので、つい」

エレン「理由が知りたかったのか?」

ミカサ「うん……あの本を読んで、ようやく納得した」

エレン「…………」

エレンはものすごく恥ずかしい顔で月を見た。

ミカサの方はちょっと照れくさくて見れなかった。

ミカサ「私は別に抵抗する気など、ない……ので、縛られる理由が理解出来なかった」

エレン「だろうな」

ミカサ「でも、エレンはその……そういう状態そのものに興奮してしまうのよね?」

エレン「ああ……まあ、そうだな」

ミカサ「ならいい。だったら私は、それを受け入れる……ので」

どんどん、縛って欲しい。

と、変な事を言い出したミカサにエレンはつい、ぶーっと吹き出して笑ってしまった。

ミカサ「エレン? あの……変な事、言っただろうか?」

エレン「ああ……自分から縛って欲しいなんていう奴は、そうはいねえよ」

肩を震わせて夜なのにククク……と咬み殺すように笑ってしまうエレンだった。

ある程度笑い終えてエレンは涙を拭うと、

エレン「悪い。でも、それも俺のせいだな。俺の趣味につきあわせたせいだし」

ミカサ「そうだろうか?」

エレン「ああ。俺が教えなきゃ、ミカサは純粋なままだったろうな」

ミカサ「…………」

エレン「染めちまったのは俺のせいだ。でももう、知っちまったら、元には戻れねえ」

エレンはそこでミカサを壁際に寄せて顔を近づけた。

エレン「………ごめんな」

少しだけ寂しげに、そして切なげにそう呟いてエレンはミカサにキスをした。

誰もいない。夜の世界で、つかの間の、逢瀬。

長い時間はかけられない。だからこそ、エレンは言った。

エレン「……まだやってないやり方、いっぱいあるぜ」

ミカサ「ん……?」

とろーんとした瞳でミカサが聞き返すと……


エレン「今度は、М字開脚で縛ってやるから、覚悟しとけ」


ミカサはその言葉を飲み込んで、その言葉の意味するところを思い出して、顔を真っ赤にした。

ミカサ「ええ? あ、アレ? あのポーズ、をやるの?」

ミカサは縛り方全集を予習させてもらったので、言っている意味は理解している。

ミカサ「エレン、あれはなかなか、その……」

恥ずかしさで言えば上級レベルだと認識している。

それがわかった上でエレンは意地悪そうに言った。

エレン「ん? どんどん縛って欲しいって言ったの、お前だろ?」

ミカサ「そ、そうだけども……はわはわはわ……もっと初心者向けからお願いしたい」

エレン「一からレッスンか? んな事しなくても、ミカサならすぐ上達するだろ」

エレンは言った。何故なら、ミカサは才能があるからと。

エレン「ま、練習していけばすぐ慣れるだろ。大丈夫。痛くしないようにするからさ」

ミカサ「う、うん……」

ミカサは不安げな表情で、でも頷いた。そんないじらしいミカサがますます可愛い。

あー今ここに紐があればここでヤっちまってもいいくらいなんだが。

と、思いつつもエレンはそれ以上は自重した。いくら何でも外でやるのは、良くない。

良くないが……もうちょっとだけ、ミカサとイチャイチャしたい。

なので、エレンはもう一回だけ、キスをした。だけどその途中でミカサが嫌がり、

ミカサ「あん………ダメ、エレン」

エレン「んー?」

ミカサ「これ以上、したら、その気になっちゃう」

エレン「…………」

誘い方も上手くなったな。

なんて、事まで思ってしまうエレンだった。

ミカサ「ここでするわけにはいかない……ので」

エレン「うーん。そうだな」

ミカサ「それに、明日も訓練があるし」

エレン「そうだな」

ミカサ「寝ないと、明日が持たない……ので」

エレン「そーだなー」

エレンは先程からずっと棒読みで答えている。

そんな不真面目なエレンにミカサはつい「聞いているの? エレン?」と言った。

エレン「聞いてる。聞いてる。ミカサも俺と同じ事考えてたんだな」

ミカサ「それは当然。こういう時は、キスで収めないと……」

エレン「収まらないって言ったら?」

ミカサ「…………ッ」

ミカサは直後、眉を八の字にして困った。

押し付けられたそれの感触に、かあっと、頬を赤らめる。

エレン「はあ……もう、どうしよっかな、これ」

ぐりぐりと、押し付けてくる。それを困ったように、ミカサは盗み見ている。

ミカサ「え、エレン………」

エレン「ん?」

ミカサ「やっぱりその気になっちゃったの?」

エレン「とっくの昔にそうなってるっつーの。全く……」

困った困った。と、言いながらエレンはミカサをまたぎゅうぎゅうに抱きしめた。

ミカサ「エレン………」

エレン「ん?」

ミカサ「どうしても、収まらないの?」

エレン「んー……ここまで滾っちまうと、出さないと辛いな」

ミカサ「では……出す? その………便所の個室を使えば、出すだけ、なら出来る……ので」

エレン「んー……あんまり便所ではするもんじゃねえけどな。こういうのは」

自分一人でならよくやる事だが、相手を連れ込んでまでやるような事ではない。

衛生面で考えれば適した場所ではないからだ。

しかしこの訓練施設の中で、誰にも邪魔されずにやれる場所と言えば限られてくる。

しかも人気のスポットは、それなりに込み合うのでかち合うこともしばしばだ。

そういう意味では、外の便所の個室は、適当な場所とも言えるが……。

ミカサ「でも、他に場所がない」

エレン「いや、ダメだ。ミカサとする時にそういう場所は使いたくねえ」

ミカサ「ではどうするの?」

エレン「うーん。どうすっかなー」

エレンは考えた。ミカサとイチャイチャするのに適した場所はないかと。

しかしやはり思いつかない。こんな真夜中、どこの施設も鍵がかけられているだろう。

空いているのは馬小屋くらいだろうか。

エレン「馬小屋はさすがにくせえだろうし、便所も微妙だし、やっぱり訓練施設内で、夜中にイチャイチャするのは難しいか」

ミカサ「そうね。それに戻らないと、夜中の見回りの時にいない事がバレたら」

エレン「ああ、その問題もあったな」

エレンとミカサはお互いにちょっぴりしょんぼりした顔になった。

しかし未練タラタラの表情でミカサが先に呟いてしまう。

ミカサ「でも………やっぱり、したい」

エレン「………ッ」

ミカサ「エレンのそこが勃っているのを見たら、私も、ドキドキしてきた……ので」

エレン「そ、そうか」

ミカサ「エレン、私は悪い子だろうか」

ミカサは自虐的に嘆いた。

ミカサ「イケナイ事だと分かっているからこそ、誘惑に駆られてしまう」

エレン「…………」

ミカサ「でも、それにエレンを巻き込んではいけないとも思う。こういうのを、ジレンマというのよね」

エレン「ああ……そうだな」

そのジレンマはエレンの中にも常に付きまとっていた。今も、当然。

エレン「悔しいけど、今の俺達にはそんな自由はねえ」

ミカサ「うん……」

エレン「ミカサ、送っていくから」

ミカサは渋々頷いた。エレンの優しさにはいつも感謝しているが。

それでも、エレンはこういう場合、ミカサを優先する。

本当なら馬小屋だろうが、便所であろうが、外であろうが、エレンが望むなら、してもいいのだが。

エレンには自分の中でのその辺りの線引きがあるようで、そういう場所ではあまりやりたがらない。

二人が帰ろうと、したその時……

エレン「ん?」

倉庫のドアが風に揺られて小さな音を立てているのに気づいた。

エレンはつい、気になってそこに手を触れる。

エレン「うわ……鍵が錆びてて壊れてるじゃねえか。無用心だな……」

どうやら年季の入った錠前だったようで、ボロボロになっている。自然とポロっと外れてしまい、おかげで倉庫の中を覗き見ることが出来た。

ミカサ「エレン、中に入ってみる?」

エレン「おう。そりゃ勿論、入ってみるぞ」

ここはエレンもミカサも初めて見る倉庫だった。

中にはいろんな部品のような物があった。木の箱の中に山積みにされている。

エレンはその箱に近づいて中身を一個だけ取り出して観察してみた。

エレン「立体機動装置の部品に似てるけど、ちょっと違うな…」

部品の数々に手を取ってみる。パーツそのものは似ているが、今使っている物とは少しだけ形が違うように見えた。

そういった金属の部品が沢山、箱の中に入っている。まるでパズルのピースのように。

ミカサ「錆びているものも結構ある。何故こんな物が保管されているのだろうか」

エレン「アルミンがここにいれば、多分、何の部品か分かるかもしれんな」

ミカサ「そうね。明日、アルミンに詳しく聞いてみましょう」

エレンとミカサがそう結論づけて部品に夢中になっていた、その時、

キース(む? ドアが開いている)

キース(新しい物に取り替える前に遂に壊れたか)

キース(この倉庫の中を見られるわけにはいかん。新しい錠前を用意しておいてよかった)




ガッシャン……




キース教官が夜中の見回りのついでに、その倉庫に新しい錠前をかけてしまった。

中にエレンとミカサがいることに気づかないまま………

エレンはその音でふと、振り向き、慌ててドアの方に向かうが、時既に遅かった。

エレン「ああああ………嘘、だろ? キース教官、中に人がいる事に気づかないで鍵かけやがった」

ミカサ「エレン、ドアを蹴り破りましょう」

エレン「馬鹿! 備品を壊したら、弁償させられるぞ!」

エレン「キース教官! キース教官!」

ドンドンドン!

慌ててエレンはドアを叩いたが、その時は既に、キース教官は倉庫から大分離れていて、ドアを叩く音にも気付かなかった。

エレン「あーもう……」

エレンはついついしゃがみこんで、頭をわしわし掻いた。

エレン「くそー……倉庫の中に閉じ込められた。どうすんだよ、今夜」

ミカサ「仕方がない。ここで一晩、過ごすしかないようね」

エレン「そうだけど……布団もねえのに、寒いだろ、いくらなんでも」

ミカサ「そうね。寝るのには、さすがに寒い」

エレン「窓から出れねえかな。くっそ、……外側に鉄格子かけてあるし」

窓そのものは開けられたので、空気が遮断される事はないようだが……。

隙間風のある倉庫の中で寝ろというのは少しばかり酷であった。

エレン「はー……何かねえかな。ミカサ、箱の中とかいろいろ探してみようぜ」

ミカサ「うん……」

エレンとミカサは二人で手分けして中を捜索してみた。

すると、エレンはいいものを見つけた。

エレン「やった。ランプとマッチ、あったぞ。これで明かりはつけられる」

エレンは早速それに火を灯して倉庫の中を明るくした。

火があるだけでも大分ありがたい。ランプの明かりのおかげで気分も楽になった。

ミカサ「エレン、中に一枚だけ毛布があった」

エレン「おお、それは助かる」

薄い毛布だったが、何も無いよりはマシだった。

ミカサ「他にも、少しだけ食料があった。乾パンが数枚だけど」

エレン「食えそうか?」

ミカサ「多分、大丈夫だと思う」

エレン「そうか。にしてもこの倉庫、なんなんだろうな。今まで中には入ったことなかったけど」

ミカサ「外の便所と女子寮のすぐ傍にあったのに、今まで立ち寄る機会がなかった。私達が普段使う倉庫から大分、離れているのは何故だろう?」

エレン「そうだな。普通、倉庫は倉庫同士、近くに立てられる筈なのに」

ミカサ「倉庫なのに、位置的にここにあるのも変。もともとは倉庫ではなかったのだろうか?」

エレン「あーかもしれないな。昔は別の目的で使ってて、それがなくなって倉庫に変わったとか、かもな」

ミカサ「だとしたら、合点がいく。ここには昔、人の気配があったに違いない」

エレン「どうしてそう思うんだ?」

ミカサ「ノートも見つけたから」

ミカサが見つけたそれには、何かの設計図のようなものが書かれていた。

ランプを近づけて文章と絵を見てみるが、エレンにはなんのこっちゃ分からない。

エレン「ああーこういう時にこそ、アルミンがいてくれたらなあ」

ミカサ「このノート、後でアルミンにも見せてみよう」

エレン「そうだな。きっとアルミンならこのノートのことも分かるかもしれねえな」

そんなこんなで、謎の倉庫の中を粗方探索し終えた二人はやることがなくなった。

二人で毛布に包まって、とりあえず一番窓から遠い端っこに座り、ランプを置いて、座り込んで見る。

エレン「………………」

ミカサ「………………」

屋根はあり、雨を凌げるその場所で、少し寒いが、毛布はある。

鍵は外からかけられて、誰にも邪魔されない。

こんな状況に押し込められて、その気にならない奴がいるだろうか?

…………いや、いない。

エレンはそう、結論づけて、ミカサの方を向いた。

すると、ミカサも同じようにこっちを見ていた。

頬だけが、赤く染まっていた。まるでりんごのように。

冷たい空気と室内の温度差による、体温の変化でこうなる時がある。

ミカサは肌が白い方なのでよけいにそれが目立つのだ。

ランプをつけたおかげで、最初よりは少しだけ室内の温度があがっている。

最も、それでも肌と肌を合わせたくなるような寒さではあるのだが。

エレンは無言で、ミカサの腰を自分の方に引き寄せた。

ミカサ「あっ………」

エレン「さっきの続き……してもいいか?」

ミカサは頷いた。これは、神様がくれたチャンスだと思った。

だからエレンも遠慮せずにミカサに唇を寄せた。舌を入れるキスを、仕掛ける。

倉庫の中は掃除も久しくされていないようで、少しだけホコリっぽいが、それは気にする程度のものではなかった。

だからエレンはミカサを押し倒した。毛布に包まりながら、ミカサを冷やさないように注意しながら。

ミカサの体は少しだけ冷えていた。女の体は男に比べると、油断するとすぐ冷える。

それは体質的な要素もあるのだが、ホルモンの関係でもあるらしい。

その辺の理屈はエレンにはよく分からないが、ミカサが冷えると、あの時の事を思い出してしまうので、エレンは極力、ミカサを冷やしたくなかった。

体が冷えてしまうと、ミカサは悲しい記憶を呼び覚ましてしまうのではないか。

そう、考えてしまうのだ。

だから、エレンはミカサの手を摩った。

冷たくなっている指先を、自分の口の中に含んで舐めてみる。

ミカサ「あ………」

エレン「ん?」

ミカサ「逆……」

エレン「逆?」

ミカサ「前は、逆だったのに、って思って」

エレン「そーだなー」

ミカサ「私も、口の中をこちょこちょしていいの?」

エレン「ダメ」

ミカサ「………ケチ」

エレン「いいんだよ。俺、ケチだから。ミカサは、俺の命令に従ってればいいんだよ」

ミカサ「横暴……我が儘……」

エレン「知ってるくせに」

ミカサ「…………うん。知ってる」

ミカサがクスクス笑っている。その仕草が実に可愛い。

ミカサ「でも暖かい……」

エレン「ん?」

ミカサ「エレンの口の中、すごく熱い……」

エレン「暖まってきたか?」

ミカサ「うん。大分、楽になった」

エレン「ミカサは油断すると、すぐ冷えるもんな」

ミカサ「うん」



ちゅぱ………



もっと奥まで、指を口に含んでみる。

ミカサ「はう………」

指を舐められて、その先端からビクンと、感じてしまうミカサに、エレンは調子づいた。

一度、口を離して、問い詰めてみる。

エレン「指先も、気持ちいいのか」

ミカサ「うん……みたい」

エレン「ミカサは、気持ちよくない場所を探すほうが難しいな」

ミカサ「うう……そうかもしれない」

エレン「全身が性感帯ってやつだな」

ミカサ「うう……だって仕方ない」

エレン「ん?」

ミカサ「エレンが、私を、そういう風に、変えた……ので」

そんな風に言われては、萌えないわけにはいかなかった。

エレンはまた、指先を口に含んで、指の腹を舌で舐め回した。

されるがままに、ミカサはそのか弱い快楽を受け入れる。

ミカサ「ああっ………はあ……」

手首の内側に舌を沿わせると、大きなため息が溢れた。

ミカサは両目を閉じて長い睫毛を震わせて感じてくれているようだ。

エレンはそんなミカサを目を細めて見つめながら、手は胸の方に入れていった。

慣れたように前ボタンを外して、今回はミカサのマフラーも外そうとするが……

ミカサ「ダメっ……」

エレン「え?」

ミカサ「マフラーは、外したら、ダメ……」

エレン「なんで?」

ミカサ「これは私の体の一部だから」

エレン「どんな理屈だよ」

ミカサ「とにかく、ダメ。これだけは、体から離したくないの」

エレン「…………」

体から離したくない、か。

そう思った瞬間、エレンはまた思いついてしまった。

エレン「…………ミカサ」

ミカサ「何?」

エレン「ミカサの体から離さなければいいんだよな?」

ミカサ「え?」

エレン「マフラーを使って、縛りプレイはしてもいいよな?」

ミカサ「!」

エレン「今日は偶然にも、俺もマフラーしているしな」

外に出るときに少し寒いと思ったので、マフラーをつけてから外に出ていたのが幸いだった。

お互いのマフラーを使えば、やりたかったあのポーズをやらせる事が出来る。

ミカサ「えええ……ここで、アレをするの?」

エレン「嫌か?」

ミカサ「う……うーん…」

ミカサは微妙な表情をしている。

思い出の、大事なマフラーを、そんなプレイの一環に使っていいものか。

そう考えて困惑しているようだ。

ミカサ「ま、マフラーを、そういう事にはあまり使いたくない……」

エレン「ふーん。じゃあ仕方ねえか」

エレンがミカサの返事にあっさり諦めたので、逆に驚くミカサだった。

ミカサ「いいの?」

エレン「何が?」

ミカサ「エレンは、え、М字開脚縛りを見たいのではなかったの?」

エレン「そりゃみてえけどな。でも、マフラーを使いたくないなら出来ねえだろ?」

ミカサ「そ、そうだけど……」

エレン「ん?」

ミカサ「ちょっと意外……」

エレン「何が?」

ミカサ「エレンが、我が儘言わないから」

エレン「んー………ま、俺もどうしてもって訳じゃねえから」

エレンはそう言って、ミカサのマフラーを触りながら言った。

エレン「マフラーは代替案だからな。本当は、縄か紐できちっと縛ってやりたい」

そう言い切った時のエレンの目つきが非常に鋭くて、ぞくっとさせられた。

ミカサはぶるっと一度震えたが、その様子にエレンもニヤニヤしている。

エレン「マフラーだったら途中で外れるかもしれねえし……うん、やっぱいいわ」

エレンはそう言いながらマフラーの下に指を差し込んだ。すると、

ミカサ「あああ!」

ビクン!

エレン「……ん? なんだ? やけに反応いいな」

ミカサ「あああ……(ビクビク)」

エレン「もしかして、ミカサ……」

ミカサ「はあはあ……」

エレン「お前、項もそうだったけど、もしかして、普段、マフラーで守っているところって」

ミカサ「い、言わないで……エレン」

そこでエレンは確信した。見過ごしていた自分を恥じながら。

項を探ったあの時に、何故それに思い当たらなかったのだろうか。

ミカサの髪を撫でてやったあの時、項の方にまで手を伸ばした時に気づくべきだった。

エレン「……ミカサ、ちょっとだけ我慢しろ」

エレンはそう呟いて、エレンはマフラーを一回だけ外した。

首元を外気に晒されて震えるミカサにエレンは生唾を飲み込む羽目になる。

ランプの明かりだけだから違いは分かりにくくはあったが……。

ミカサの首元は、他の肌に比べたら色が少し薄いように思えた。

前回、ヤった時はそこまで気づく余裕はなかったが、つまり、これは。

エレン(ミカサの首元は、まだ未開拓地みてえなもんか)

夢の中なら何度かキスマークを残したこともあるが。

実際はまだ、やってはいない。

エレンは一度、唾を飲み込むと、思い切ってそこに吸い付いた。

おろしたての新品のノートに初めて文字を書き込むようなそんな感覚で、エレンはそこに自分を記した。

少しだけ跡の残ったそこは、ミカサの白い肌の上に綺麗に残った。

初めてつけた、キスマークにエレンは「おおっ」と感動した。

エレン(ちゃんと跡が残った。このやり方でいいんだな)

エレンは知識だけで身につけたそのやり方で、何度も実践練習をした。

深く吸い付いて軽く歯で噛むような仕草を繰り返し、ミカサの体にいくつも跡を残していく。

するとミカサ自身が、弱々しく抵抗し始めた。

ミカサ「え、エレン……? 今の、何?」

エレン「えっとな、キスマークってやつを、つけてる」

ミカサ「キスマーク?」

エレン「こうやって深く吸い付いて……(ちゅぱ)」

ミカサ(ビクン!)

エレン「…………こうやって、離すと、跡が残るんだ」

ミカサ「エレン、それ、なんか、変……」

エレン「ん?」

ミカサ「自分がまるで食べられているみたいな感覚になる……」

エレン「……………」

ミカサ「き、気持ちいいけど………は、恥ずかしい………」

エレン「(ちゅぱ)………」

ミカサ「はう! (ビクン)」

エレンはミカサの抗議(?)を無視してまたキスマークを沢山つけた。

ミカサ「エレン、もういい。もういいから……」

エレン「んー? まだダメだ」

ミカサ「エレン……」

エレン「どうせマフラーで隠せるし、もうちょっとだけ……(ちゅぱちゅぱ)」

エレンは隠せる範囲内の全てを埋め尽くすようにキスマークをあちこちにつけた。

これはもし、後日バレる事になったら、ミカサは周りに冷やかされること必至だ。

ミカサ「エレン、マフラーで隠せても、お風呂では、隠せない……」

エレン「…………あ、そっか」

ミカサのツッコミに今更気づいて「やっべ」と思ったエレンだった。

エレン「………ちょっとつけすぎたかもな」

まるで赤い花びらが散ったように、ミカサの首周りはあちこち赤くなっていた。

ミカサ「もう……エレンの馬鹿」

文句を言っているが、本気で怒っている訳ではないらしい。

むしろ、困っているその顔がまた、キュンとくる。心臓はまた、大きく跳ねた。

だからエレンはキスマークをつけたそこを舌でなぞる様に舐めていった。

すると、ミカサはまたビクビクと震えて快楽を感じたようだ。

ミカサ「あっ………あああっ……はあ……はぅん……」

ベロベロと、容赦なく舐める間に乳首への刺激も重ねていく。

すると、震え方が一気に激しくなり、ミカサの吐息も、それに比例して激しくなった。

ミカサ「ああ……ふっ……ん……んー……ああっ」

堪えて、でも、息が抜けて、また堪えて、感じて。

ミカサはエレンの手と舌の動きに合わせるように小さく体を捩り、涙目を浮かべている。

エレン「気持ちいいか? これ……」

エレンは確認をしながら愛撫を続ける。ミカサはこくこくと頷くしか出来ない。

エレンは内心「よしよし」と思いながら、ミカサの服を全部脱がせる作業に入った。

そして自身の下半身も脱ぎ捨てて毛布を一枚被ると、

ミカサ「エレンも……」

エレン「え?」

ミカサ「エレンも裸になって……」

エレン「え? 俺も? なんで?」

性交渉をするのには下半身さえ自由なら男の方は問題ない。

しかしミカサは首を左右に振った。

ミカサ「私もエレンの裸が見たい」

エレン「そ、そっか……」

まさかそんな風に期待されるとは思わず、エレンはつい照れた。

だからエレンは上の服もポイッと脱ぎ捨てて、また毛布を被り直した。

エレン「これでいいか?」

ミカサ「うん……(うっとり)」

ミカサはエレンの胸元に顔を寄せて嬉しそうに微笑んでいる。

そんなミカサの様子にエレンもうっかり、照れる。

エレン「な……なんだよ。急に」

ミカサ「ん?」

エレン「俺の裸を見たいとか。ミカサもそういう願望、あんのか」

ミカサ「あるに決まってる」

ミカサは少しだけむっとした表情で言い返した。

エレン「そ、そうか……」

その時になって初めて、自分が迂闊だったとエレンは気づいた。

エレン「じゃあ、今日はミカサの方の願望を叶えてやるよ」

ミカサ「え?」

エレン「この間は散々、俺の趣味に付き合わせたしな。だから、ミカサのやりたい事、ここで出来る範囲内で、俺が叶えてやるよ」

ミカサ「……………」

急にそんな事を言われても、すぐには思い浮かばないミカサだった。

ミカサ「わ、私の願望……?」

エレン「俺の裸以外に、何かないのか?」

ミカサ「他に………」

ミカサは一生懸命考えた。こんなチャンスはなかなか巡ってこないだろうと思って。

しかし考えれば考えるほど頭がぐるぐるして思い浮かばない。

だからただ、エレンをぎゅううううと、抱きしめる。

エレン「ん?」

そんなミカサにはてなを浮かべるエレンだった。

エレン「どうした? ミカサ」

ミカサ「これで十分、幸せ、なので」

エレン「え?」

ミカサ「エレンと一緒に居れる時間が、幸せで、それ以外の願望が、ぱっと思い浮かばない……」

エレン「……………」

ああもう、本当、可愛いやつだな。

エレンは鼻血が出そうな勢いで照れてしまった。

エレン「で、でも……探せばあるだろ。多分」

ミカサ「う、うーん……わかった。探す」

エレン「お、おう。探してみろ」

ミカサ「エレンの裸以外で、それ以外で……」

エレン「…………」

ミカサ「あ……」

エレン「お? あったか?」

ミカサ「あったけど」

エレン「じゃあ、それをしよう」

ミカサ「本当に、いいの?」

エレン「おう」

ミカサ「では、体勢を逆にして欲しい」

エレン「俺が下になるのか?」

ミカサ「うん」

エレンとミカサは体勢を逆にしてミカサがエレンの体の上に乗った。

そしてミカサは毛布の中に隠れて下の方へ移動する…。

その動きで、エレンはようやく、ミカサのやりたいことを理解した。

エレン「!」

ミカサは自分からエレンの下半身に向かっていったのだ。所謂、口淫である。

エレン「ちょちょちょ、ちょっと待てミカサ!」

エレンは慌てて体を起こしてストップをかけた。

ミカサの口にはそれを含んだまま、中途半端に止まっている。

ミカサ「はに? (なに?)」

エレン「やるんなら、ちょっと待て。ちゃんと用意する。直接やるのはダメだ」

ミカサ「ほうして? (どうして?)」

エレン「勉強しただろ? 直接やるのは好ましくないって」

口淫での愛撫にも、僅かながらではあるが感染症の危険性はある。

特に女性側の危険性が大きいので出来ればゴムを介したものが安全である。

ミカサ「でも、エレンは今、健康でしょう?」

エレン「そうだけど、それとこれとは別だ。検査ではクリアしてるけど、だからといってそれをしていい理由にはならん」

ミカサ「そうなの?」

エレン「あのな、ミカサ。そういうのは、女のお前の方が拒否していい話だからな」

ミカサ「?」

エレン「だから、ああもう……話が通じてねえな、コレ」

エレンは自分の目を覆ってしまった。しかしミカサは言い返す。

ミカサ「エレンもこの間、直接、私のあそこを直接、舐めたくせに……」

エレン「うぐっ……」

ミカサ「エレンはよくて私がダメなんて不公平……」

エレン「うぐぐ……」

エレンは言い返せなくて非常に困った。

ミカサ「私もここを、直接、舐めてみたい……」


ドックン……


一度、大きく心臓がまた、跳ねた。

エレンの理性がぐらぐらと揺れる。錠前が壊れそうだ。

本音を言えばやらせてみたい。是非とも。お願いしたい。

だけども、いいのだろうか。大丈夫なのか。

検査ではそりゃ、一応、異常はなかったし。大丈夫だとは思うけど。

もしも。でももしも、その後にミカサに異変が起きたら…。

そもそも感染症というものは、免疫の力が全てものをいう。

予防をしたからと言って必ずしも全部防げる訳ではないし、防がなくとも、免疫力があれば病気には勝てる。

それにどこから感染するか、というのも、全ての病気について完全に分かっている訳ではない。

でもだからこそ、こういう「避妊具」という予防策が生まれた訳で。

現実に今、分かっている範囲内ではちゃんと予防をするべきだとは思う。だけど、



ミカサ「エレンの、アレを直接、飲んでみたいの」



ミカサのその言葉が鍵になって、錠前が外れた。

音をたてて、ガチャりと。

エレン「…………分かった。じゃあ、やってみろ」

許しを得た瞬間、ミカサの顔がぱあっと明るくなった。

その瞬間の罪悪感と、恍惚感を、どう言い表せばいいのか分からなかった。

しかしエレンは手放した。気が緩んでしまったとも言う。

だからエレンは身を任せた。ミカサがやりたいように好きにさせたのだ。

ミカサはもう一度毛布を被って、姿を隠した上でエレンのそれに食いついた。

エレンの方からはミカサの様子が分からないが、そのせいでよけいに、舐められている感覚が鋭敏になる。

エレン(うっ……これは……)

夢の中のアレが現実になるなんて。

夢の中の時よりも、やり方は拙いけれども。

だけど、ミカサが一生懸命吸い付いていると考えるだけで、もう。堪らなく、興奮してくる。

奥に突っ込みたい。喉の奥まで届かせたい。そんな誘惑に駆られる。

だけど初めてのコレで、そんな無慈悲な事はさせたくなかった。

ミカサ「エレン……気持ちいい?」

ひょいっと、毛布から顔を出して少しだけ汗ばんだ状態でミカサが出てきた。

エレン「あ、ああ……気持ちいい」

ミカサ「もっとこうして欲しいところがあったら、言って」

先端を支えながらミカサは言った。

ミカサ「どの辺が一番気持ちいいのか、分からない」

エレン「あ、ああ……まあ、あんま深く考えずに、適当でいい」

ミカサ「むむ……適当が一番難しいのに」

エレン「そうかもしれんが、はあ……やばい」

ミカサがそれを咥えて、奉仕してくれる。

もう、この図だけで下半身にどんどん力が入るような気がする。

エレン「はあ……はあ…」

エレンの顔が次第に緩んで、だらしなく口が開いていた。

切なげに眉を寄せて頬は赤らめて、吐息も荒い。

よく見ると、乳首の先端が少しだけ尖っているように見えた。

前回は、観察する余裕があまりなくて、ただ、身を任せるだけのミカサだったが……。

こんな風に感じているエレンを見れる事に至福の喜びを感じる。

エレンはそこまで毛濃い方ではないが、それでも陰茎の周辺にはちゃんと生え揃っている。

その辺りにも手を添えて、睾丸の裏側にも手を伸ばし、刺激を与えると、エレンの肩が大きく揺れた。

エレン「うっ……! はあはあ……」

一度、口を話して問う。

ミカサ「こっちも気持ちいいの?」

エレン「ああ……なんかもう、やばい」

きつく目を閉じて必死に堪えている。

ミカサ「何がやばいの?」

エレン「早すぎるけど、出そうだ……」

ミカサ「出して(レロレロ)」

エレン「うっ……でも、本気で飲む気か?」

ミカサ「うん」

エレンはまだ躊躇っていた。この間の、失敗を思い出しているのだ。

でもミカサは引かない。そのまま吸い上げる勢いで、先端から咥えて、奥の方まで思いっきり食いついた。

エレン「うっ………!」

もうダメだ。

エレンは情けなく思いながらも一度、出してしまった。

ドピュ……と、体の中の物が出て行くいつもの感覚を味わいながら、薄目を開けると……

ミカサは非常に辛そうな顔でそれを受け止めていた。

エレン「ミカサ!」

エレンは青褪めた。当然だ。ミカサの異変に戸惑ったのだ。

エレン「大丈夫か?! 無理すんな。吐け!」

しかしミカサは首を左右に振って、それを一気にごっくんした。

喉を通っていくそれを、ミカサはじっくり味わいながら眉間に皺を寄せている。

口の端から、白い液が少しだけ溢れていた。

ミカサ「…………うん。やっぱり全然違う」

エレン「え?」

ミカサ「この間の味と、全然違う。直接だと、味が違う」

エレン「ど、どう違うんだよ」

ミカサ「ゴムに残ってた方は、とても飲めなかったけど、直接出た分は、ミルクに近い」

エレン「え……?」

ミカサ「勿論、臭みはあるけれど。美味しくはないけど、大丈夫」

そう言ってミカサは満足げに口の端を拭ったのだった。

ミカサ「これくらいなら飲める。何度でもいける」

エレン「…………」

エレンはその言葉にゾクリとした。背筋から、快感が走って止まらない。

手足が痺れるようなその快感は、エレンをあっさり支配した。故に、止められなかった。

エレンは、体勢を変えてミカサの上に覆い被さった。その体位の名は、所謂、69と呼ばれるアレだ。

ミカサ「?!」

初めての体位にミカサは驚いた。自分のあそこを舐められて、でも自分の顔の目の前には、エレンのそれがあって。

お互いにお互いのあそこを舐めるという体位にさせられて、戸惑う。

ミカサ「エレン、あの……あああん!」

しかしエレンはもう、それがしたくてしょうがなかった。

だからがっちり足を固定して、この間とは逆向きでミカサのそこを責める。

ミカサはどうすればいいのか迷ったが、エレンが好き勝手にそこを舐めているから、自分もしていいのだろうと判断した。

もう一度、そこを咥える。おずおずと、そしてぱくっといっきにいく。

エレン「ふっ……」

その瞬間、エレンの腰が揺れた。この角度からの愛撫でも気持ち良いらしい。

その事が分かってミカサは安心した。

だから躊躇わず、もう一度、奥まで深くエレンのものを咥えた。

じゅる……じゅる……ぬる……ちゅぱ……

お互いのものを舐めあう卑猥な水音が部屋の中に静かに響いた。

小さく喘ぐ声と、水音が混ざり合い、二人は互いに互いのものを貪った。

そしてそれが暫く続き、二度目の絶頂は、エレンが先にイった。

エレン「うっ……!」

舌をうまく使ってそれを受け止めて、飲み込む。

気道の方には入らないように気をつけて、ミカサはそれを飲み込んだ。

エレンが直後、ぐったりしたが、まだその姿勢を崩すつもりはないらしい。

エレンは暫く休憩したが、そのままミカサのあそこの愛撫を再開した。

ミカサ「や……エレン……」

エレン「ん?」

ミカサ「気持ちいいけど、いいけど……出来るなら、この間のような向きでお願いしたい」

エレン「逆だとダメなのか? (ちゅ)」

ミカサ「そうじゃないけど……あん」

エレン「気持ちいいならこのままでいいだろ?」

ミカサ「いいのだけども、なんていうか……」

エレン「ん?」

ミカサ「いくところまで、いけない感じで……」

エレン「……………ふむ」

言いたい意味がなんとなく分かり、エレンは納得したが、しかし、

エレン「ならいいか。気持ちいいなら、そのまま続ける」

ミカサ「?!」

エレン「今日はじっくり時間があるんだ。慌てる必要はねえ。ゆっくり良くしてやるよ」

エレンはそう言って、わざと逆さまからの愛撫を続けた。

ミカサ「ああ………!」

するとプルプルとまた、吐息混じりに震え始めるミカサにエレンのそこも徐々に復活を遂げる。

吐息がそこに直接かかっていて、くすぐったいのだが、まあこれはこれでエロいので良しとする。

ミカサ「エレン、ダメ………ああ……ふっ………」

気持ちいいけれど、決定的なそこには触れずにじわじわと追い詰められる。

ミカサ「ひっ……やっ……あ………ん………」

頑張ろうと思っていたが、ミカサは次第に力が入れられなくなり、エレンのものを口で愛撫する余裕がなくなってきた。

ただ、そうやって体を捩ると、頬が丁度エレンのそこに当たる格好になり、本人は意識せずに刺激を与えている。

その感触が堪らなく良くて、エレンはもっと念入りにミカサのそこを舐め続けた。

ミカサ「ああ……ダメ……エレン……ああ」

快楽から逃げようし始めるミカサをがっちり押さえ込む。

膝の裏側にも手を入れて、優しく撫でてやると、ビクンビクンと、また反応が良くなった。

太ももの裏側からも刺激を伝えて、舌で太ももの内側にも唾液を塗りつける。

あそこと、太ももを交互に行き来して決定的な刺激をすぐには与えない。

すると、まただんだん、ミカサは自分から腰を前後に振って快楽を逃がそうとし始めた。

ミカサ「エレン……エレン……もう、いい。入れて」

エレン「ん?」

ミカサ「もう、十分、濡れてるから、入れて」

エレン「んーもういいのか?」

エレンはちょっとだけ物足りない気配を出しながら一度体を起こすと、後ろ向きにミカサの方を見た。

ミカサは髪を振り乱して、前髪が全部、見えた状態だった。

おでこにキスを落とすと、かあっとまた頬が赤くなったミカサが可愛くて、ついつい、キスを続ける。

ミカサ「エレン……?」

ちゅ、ちゅ、と啄むバードキスを落とす。すると、ミカサはもっと赤くなった。

ミカサ「エレン? 何で? まだ入れないの?」

エレン「んー…まだいいや」

エレンはもう、ミカサの体が準備出来ているのにも関わらず、急ごうとはしなかった。

何故なら既に2回も自分のものを先に出してしまったせいで、そこまで性急にしたい気分ではなくなったから。

少しだけ余裕のある今だからこそ、ミカサにもっと、愛撫をしてやりたかった。

エレン「もう少しだけ、キス、してみていいか?」

ミカサ「え……?」

エレン「なんか、今、キスしたら、ミカサの顔が、可愛かったから。こういう、軽いキスも結構好きなんだろ?」

エレンはそう言ってまた、頬にキスを落とした。

キスマークをつける時のような強いものではないが。

ちゅ……と、ただ皮膚を合わせるだけの軽いキスにミカサは溶けそうになる。

ミカサ「はう……」

おでこから再スタートして、瞼や頬、顎や首筋、鎖骨、胸、腹、脇腹……。

そして指先に戻って、手首、肘、二の腕、脇、とキスをしていくエレンの様子にミカサはもう、身悶えるしかなかった。

ミカサ(あわわわわ………)

いやらしい感じではないのに、ドキドキする。

優しくされるこの感じの方がむず痒くて困るミカサだった。

ミカサ「え、エレン……もういい。もういいので」

エレン「あ? 何がもういいんだよ」

エレンはちょっとだけ不満そうな顔だった。

エレン「まだ終わってないぞ。足の先までキスするから」

ミカサ(ひええええ………)

急に気障なことをし始めたエレンにミカサはプルプル震えて顔を覆って恥ずかしがった。

そんなミカサの反応に、エレンは片眉を跳ね上げてニヒルに笑う。

エレン「なんだよ。顔、隠すなよ」

ミカサ「む、無理……(←両手で顔を隠してる)」

エレン「好きなくせに。こういうの」

ミカサ「す、好きだけども……むずむずする……ので」

むずむず抵抗するミカサを見ていると、この間の事を思い出したエレンだった。

エレン「そういや、俺がわざと口説き文句言った時も似たような反応してたな」

ミカサ「そ、そうだったかしら?」

エレン「お前、もしかして、気障なのがちょっと苦手なのか?」

ミカサ「ううう………そうなのかも、しれない」

それは嫌いだから苦手というよりも、恥ずかし過ぎて居た堪れなくて苦手なのだ。

ミカサにとっては、エレンに好き勝手に乱暴に愛撫される方がよほど受け入れやすい。

乙女チックな展開の方が実は苦手だと分かり、エレンは「ふーん」とした涼しい顔になった。

そしてエレンは出来る限りで思い出した少女向け小説のワンシーンを再現しようと試みた。

エレン「この爪の先、髪の一筋に至るまで全てが俺のものであり……」

ミカサ「?!」

エレン「それら全てで俺に愛されるということを今から教えてやる」

ミカサ「…………(口パクパク)」

エレン「………悪い。確かこんな感じの台詞だったと思うんだが、細部がうろ覚えだな」

ミカサ「な、何の話?」

エレン「そういう、女の子向けのお話のワンシーン。クリスタがよくそういう本、回してくるから、俺も読むようになってな」

ミカサ「そ、そうなの? (ドキドキ)」

エレン「女の子って、そういうのが好きなんだろ?」

ミカサ「ちょっと、気障過ぎるのでもう少し控えめにお願いしたい……」

エレン「とか言って、ミカサ、顔、赤いぞ」

ミカサはプルプル震えて視線を逸した。

エレン「………やっぱりミカサは可愛いな」

ミカサ(ドキッ……)

エレンは太ももにキスを落としながら呟いた。

エレン「感じやすいし、照れるし、もう、最高だよ」

ミカサ「エレン、それも何かのセリフなの?」

エレン「いや? 今のは俺の本音だけど」

ミカサ(ブルブルブルブル)

エレンの本音の方がもっと気障に感じてますます震えるミカサだった。

ミカサ「や、やめて、エレン……」

エレン「んー?」

ミカサ「この間も思ったけど、その、こそばゆいので」

エレン「ふふ……」

エレンは笑った。ついつい、笑みが溢れてしまう。

エレン「体を触るだけが、責める方法じゃねえよ」

ミカサ「あ……や……」

エレン「こういうのって、言葉責めっていうらしいぜ? 感じてるんだろ? ミカサ」

ミカサ「あ……ふっ……」

エレンの吐息が腹の方にかかってこそばゆい。

触れないギリギリの位置でエレンは息をかけながら、笑っている。

エレン「肌も綺麗だな。あ、ほくろ見っけ」

ミカサ「やっ……エレン、観察、しないで」

エレン「数を数えてみるか。腹に1個……太ももにも1個」

ミカサ「エレン、聞いてる?」

エレン「ああ、聞いてるけど? 前にも言ったような気がするが、無理だ」

ミカサ「そんな……あ……」

エレンは観察をやめない。見つけたほくろに舌で舐める。

ミカサ「や……ああ……」

ミカサはもういい加減、早くエレンとひとつになりたかった。

快楽も長く続くとだんだん疲れてくるという事を初めて知る。

ミカサ「エレン、もう……遊ばないで」

エレン「ん?」

ミカサ「もう、体が疲れてきた……ので」

エレン「え? あ、悪い」

弄られ過ぎて不機嫌になったミカサの気配を感じてエレンは慌てて準備を始めた。

パンツに仕込んでいた避妊具を装着してミカサのそこに指を入れてみると……

エレン(おお……どっぷり溢れてる)

これだけ濡れていればさぞ、挿入もしやすいだろう。

そう思ってエレンはぐっと、中に入れてみる。

………が、思ったよりは緩くない。それなりにきつさを感じた。

ミカサは少しだけ痛みを堪えているような表情だ。

エレン「……やっぱり、一度、口でいかせた方が良かったかな」

ミカサ「いい。これ以上弄られたら、本番前に私が持たない」

ミカサが「持たない」なんて発言をするとは思わなかった。

ミカサ「エレンは本当に意地が悪い……私が嫌がると、すぐそれをやりたがる」

エレン「悪い。ついつい、な」

エレンはバツの悪そうに照れた。

エレン「ミカサの可愛い顔見ちまうと、ついついからかいたくなっちまって」

ミカサ「…………」

エレン「怒ってるのか?」

ミカサ「お、怒ってはないけど」

エレン「けど?」

その瞬間、繋がったそこが、きゅっと締まるのを感じた。

エレン「うっ……急になんだよ」

その刺激にエレンはドキッとさせられた。

エレン「急に締め付けるなよ。びっくりするだろ」

ミカサ「う……体が勝手に、その……」

エレン「ん?」

ミカサ「今、みたいに、なってしまうので、困る」

エレン「……………そうか」

エレンは優しく微笑んだ。それが意味するところを理解している。

エレン「困っちまうミカサが好きだから、仕方ねえだろ」

そう言い返してエレンはキスをした。今度は少しだけ激しくする。

舌を絡ませて息をするのも苦しいくらいに、侵入していく……。

ミカサ「ん……ふぐ……」

鼻でしか息が出来ないくらいに思いっきり塞がれて、そのまま乳首を弄られて、自然と下半身も、自分から動かしてしまう。

ミカサの誘いに合わせるようにエレンも腰を前後に動かし始めた。

中に打ち付けられるその刺激は、ミカサの気持ちいい場所を掠めては、離れていく。

その焦れったい刺激にミカサは自然とそれを追いかけるように腰を動かした。

二人はもう、お互いの事しか見えていなかった。

今、この瞬間、ただ、お互いの快楽を追う事にしか、集中出来なかった。

本来の二人であれば、或いはそれに気づいたのかもしれない。

だが二人はこの時点ですぐに気付かなかった。

二人が愛し合うその姿を、窓の外から見つけてしまった人物がいるなんて……。

その人物は声をかけるべきか悩んだ。

今、この瞬間、窓の外からノックをすれば、二人は気づくだろうが。

素っ裸で抱き合って、愛し合う二人を邪魔するのも野暮だと思う。

思うが、思うが、それでも、一応、止めるべきだろうか。

悩んだ。非常に悩んだ。悩んだ末、その人物は、もう少しだけ、放って置くことにした。

だから踵を返して方向転換しようと、その時、

足元に注意が回らず、その人物は石ころに足を引っ掛けて思いっきりこけてしまい、バターンと音を立ててしまった。

その音にびくっと気づいて、エレンはハッと我に返った。

振り向いて、窓の方を見る。毛布をミカサに被せてそろーっと外の様子を覗いてみると、そこには、

エレン「あ、アルミン…?!」

窓の外で「いてて」と情けない声をあげて立ち上がるアルミンの姿を見てエレンはびっくりした。

窓の内鍵を開けて声をかける。

エレン「アルミン、何やってんだよ」

アルミン「それはこっちの台詞なんだけどなあ……」

膝を摩りながらアルミンは言った。

アルミン「目が覚めたらエレンが姿を消してるし、いつまで経っても帰ってこないし、何かあったのかなって思って、あたりを探してたんだよ」

エレン「そ、そうだったのか。す、すまねえ」

アルミン「しけこむなら一応、前もって言っておいてよ。心配するじゃないか」

エレン「いや、その……実は俺達、倉庫の中に閉じ込められちまって」

アルミン「ええ? どういう事?」

エレンは事情を簡潔に話した。するとアルミンはようやく納得して、

アルミン「ああ、そういう事か。なるほどね。じゃあ僕が代わりにキース教官を呼んでくるから」

エレン「頼むよ」

アルミン「…………今すぐでいいの? もうちょっと楽しんでからでもいいよ?」

エレン「いや、いいから! 今すぐ頼む!」

アルミン「はいはい」

そしてアルミンは多少呆れながらもエレンに頼まれて教官室に向かったのだった。

エレンはほっとしてミカサの方に戻ると、

エレン「ミカサ、アルミンが来てくれた。これで戻れるぞ」

ミカサ「そ、そうね……」

エレン「…………どうした?」

ミカサ「アルミンに、今の、見られたのかしら」

エレン「う………(多分、そうだな)」

今のアルミンの様子だと見られた可能性の方が高いだろうと思ったエレンだったが口には出さなかった。

ミカサ「私、全然、気づかなくて、その……ごめんなさい」

エレン「俺だって気付かなかった。つか、窓にカーテンもねえのに、俺も何やってんだろ。通行人に見られても全然おかしくねえのに」

自分が迂闊だった事に気づいてエレンのそれはすっかり萎えていた。

エレン「本当、ごめん。ミカサ、早く着替えろ。教官が戻ってくる前に」

ミカサ「そ、そうね……」

二人は慌てて現実に戻り着替えてマフラーをつけなおした。

ミカサの方が最後までイクところまではいけなかった事が、エレンにとっては心残りだったが、それを言っている場合ではなかった。

キース教官が戻ってきて鍵を開けてもらい、二人は教官に説教を喰らう羽目になる。そして中で見たものは他言無用だと念押しされてしまった。

エレンは渋々その場ではそれを了承したが、どうしても納得出来ずにこっそり、その時に手に入れたノートをアルミンに見せる事にした。

部屋に戻ってからアルミンは部品の説明とノートを見比べてある結論を出した。

アルミン「うーん。もしかしたら、立体機動装置以外の物を作ろうとして、失敗したものなのかな」

エレン「失敗した? 失敗した部品なのか? あれは」

アルミン「設計図を見る限りでは。空を飛ぶ方法が他にもないか、いろいろ試したんじゃないかな?」

アルミンは鞄のような物を背に乗せてそこから下へエネルギーを発射して飛んでいる人間の図や、人間に羽をつけたようなデザインのそれを見てそう結論してみた。

アルミン「うーん。まあ、部品を見てみないことにはなんとも言えないけど、設計図を見る限り、何かを作ろうとしていたのは間違いないと思うよ」

それが途中で放置されているという事実に少し怪訝な思いもあったが、アルミンの好奇心は十分に揺さぶられた。

アルミン「明日、またその倉庫にちょっと入ってみようか、エレン」

エレン「え? でも新しい錠前がかけられたからもう入れないだろ」

アルミン「大丈夫。僕に任せて」

アルミンはちょっとだけ悪い顔をしてエレンにそう答えた。

そして翌日の夜。

人気の少ないその時間帯にエレンとアルミンはこっそり外に出た。

そして例の怪しげな倉庫に再び訪れると、アルミンは錠前の方ではなく、鉄格子のついている窓の方に寄っていった。

アルミンはちょちょっとその鉄格子を触るとカッコンと簡単にそれを外してしまった。

エレン「おおおお?!」

アルミン「元々、外付けの鉄格子みたいだから取り外すのは簡単だよ♪」

手には工具が握られていた。こういう細やかな事をやらせるとアルミンの右に出る人物はそうはいない。

アルミン「窓の内鍵は外したままだったから…ほら、中に入るのは簡単」

ひょいっとその倉庫の中に入って、アルミンは中のランプに火を入れるとこっそり中を捜索する事にした。

アルミン「おお……本当に部品の山がある。これはワクワクするねえ」

アルミンの目は幼い頃のそれに戻っていた。

興味深い部品の数々を手にとって、アルミンは考える。

設計図と照らし合わせながら、この部品は何を作ろうとしていたのかを想像する。

ノートのページをペラペラとめくりながら、そしてアルミンは気づいた。

アルミン「まさか、とは思うけど」

アルミンの目の中に驚きが見えた。

エレン「どうした? 何か分かったのか?」

アルミン「うんとね、どうもこの設計図は、空を飛ぶ乗り物を作ろうとしていたみたいだよ」

エレン「空を飛ぶ乗り物? 立体機動装置とどう違うんだ?」

アルミン「えっと、立体機動装置の方は遠心力を利用して、振り子の原理を応用して飛ぶけど、これはどうも、そういうのではないらしい」

エレン「ど、どういう事だ?」

アルミン「模型があれば説明しやすいんだけど……あ、あった」

それに近い模型が箱の中に混ざっていたのでそれを取り出してアルミンは説明し始めた。

アルミン「この鳥の羽を広げたようなこの乗り物に一人、または二人乗って空を飛ぶ装置を作ろうとしていたみたい」

エレン「え……一人、また二人、だって?! すげえな。二人も乗せられるのか」

アルミン「理論上はそうみたいだよ。もしかしたらその研究の途中で計画が頓挫したんじゃないかな」

何故ここを今まで教官が隠していたのは分からないが、何か言えない事情があるのかもしれない。

アルミン「多分、何か裏事情がありそうだね。まあ、部品そのものは大分錆びているし、その研究自体、相当古いものなのかもしれないけど」

エレン「も、もし……それが可能なら、これって巨人に対する強力な武器にならないか?」

アルミン「最初はそう思って作ってたんだと思うよ。でも何かがあって、それが頓挫したんだと思う」

エレン「くそおおお……一体何が起きてこうなったんだよ!」

アルミン「気になるところだけど、キース教官は教えてくれなさそうだね」

アルミンはそう言いながらちょっとだけ悔しそうにしていた。

アルミン「あーむずむずするね。こう、研究心のようなものをくすぐられるけど」

エレン「あ、あのさ……アルミン」

アルミン「エレン、言いたいことは分かるけど、僕には手に負えないよ」

アルミンは悔しそうな顔のままエレンに答えた。

アルミン「多分、この研究は一人で後を引き継げるような大きさのものじゃない」

エレン「…………」

アルミン「悔しいね。何が起きてこうなったのか分からないけど。この部品にはどれだけの先人が関わっていたんだろうって考えるだけで切なくなるよ」

エレン「……そうだな」

アルミンの意見にエレンも同意した。

アルミン「でも、見れて良かった。部品が処分されてないって事は、頓挫しただけで、廃止なってはいない証拠だ」

エレン「え……あ、そうか」

アルミン「うん。何らかの理由で途中で止まっているだけだとしたら、研究の再開も夢ではないと思う」

エレン「そうなれば、いいな」

望みは薄いだろうとは思いつつもエレンはアルミンに相槌をうった。

エレン「………帰るか」

エレンはあまり長くここにいるとまた教官に注意されると思い、適当な頃合にそうエレンが言うと、

アルミンはちょっとだけ名残惜しい思いで頷いて、また窓から出て行った。

鉄格子を元に戻して男子寮に戻ろうとするが……

アルミン「あのさ……エレン」

エレン「ん?」

アルミン「ごめんね、エレン」

エレン「え? 何が?」

アルミン「いや、この間、途中で邪魔しちゃったから……」

エレン「ぶふーっ!」

いきなり思い出させないで欲しかった。

エレン「い、いや……謝らんでいい。つか、謝らんでくれ」

エレンはアルミンの方を見れずにむしろ謝った。

エレン「俺もちょっとどうかしてた。あんな場所で、盛っちまって……」

アルミン「閉じ込められてその気になるのは普通だよ」

エレン「そ、そりゃそうかもしれんが、俺、見られる危険性、考えてなくて……馬鹿だった」

アルミン「見られたのが僕だけで良かったね」

エレン「心底そう思う……(ずーん)」

エレンは心の底から落ち込んでいた。その様子をアルミンも困ったように見守る。

アルミン「……………」

アルミンは道中、複雑な顔でいた。

そんな暗いアルミンの様子にエレンもだいたい意味を理解して気まずくなる。

そりゃあそうだろう。普通は誰だってあんな場面に遭遇したくなんかない。

アルミンが普通にしてくれるだけでも有難いと思わないと。

そう、エレンは思いながら無言で男子寮に戻っていたが……

男子寮に戻る直前、アルミンはぽつりと呟いた。

アルミン「二人で開拓地に行くような事にだけはならないでね」

エレン「! だ、大丈夫だ、それは!」

アルミン「大丈夫かなあ……」

アルミンの冷たい視線にエレンはこくこく頷いて青い顔で肯定する。

エレン「その……大事にしようと思ってる。ミカサの事は、ちゃんと……」

アルミン「本当に?」

アルミンの冷たい呟きにエレンの背筋はひやっとした。

アルミン「エレン。僕は君の事、好きだけど、それと同じくらい、ミカサの事も好きなんだからね」

それを忘れないで。

と、微妙な顔で注意されてしまい、エレンは「お、おう」と頷き返した。

そのアルミンの絶妙な言葉にエレンはやはり気づいてしまった。

いや、本当は前々から薄々、気づいてはいたんだけども。

今、この瞬間まではそれを認めたくなかったと言うべきだろうか。

だからエレンは、そのもやもやをアルミンに言いかけたのだが、

アルミン「良かった。その言葉が聞けて」

と、それを言わせないようにアルミンが先手を打って言ったので、エレンは口を閉ざしてしまった。

アルミンは、多分。いや、きっと。アルミンも本当は、きっと……。

エレンは部屋に戻ってから、寝床の隅っこに設置しているミカサ人形を眺めた。

精巧なその人形に込められたものは、それ無しには作れない代物だと思う。

このまま気づかないふりを続けるべきか。エレンは布団に潜ってからも考えた。

でもエレンには言えなかった。その蓋を開けるのが、躊躇われた。

エレン(ごめん……アルミン)

今の幸せはアルミンのおかげだと感謝すると同時に。

その影でもしかしたらアルミンは、悲しんでいるのかもしれないと思うと。

エレンは壁に顔を向けて寝てしまう。アルミンに背を向けるように。

すると、アルミンはそれに気づいて、柔らかく答えた。

アルミン「エレン、さっき何か言いかけた?」

エレン(ギクリ)

アルミン「……………」

エレン「……………」

アルミン「大した事じゃないの?」

エレン「いや………」

アルミン「ん?」

エレンはアルミンの方を見ないまま問う事にした。

エレン「アルミンも、ミカサの事、好きだよな」

アルミン「うん。好きだよ」

エレン「いや、その好きじゃなくて……」

アルミン「うん。まあ、その…………うん」

アルミンが意外とあっさり肯定したのでエレンの目は大きく開かれた。

アルミン「……………で?」

エレン「え?」

アルミン「今更、それを聞いてどうするの?」

エレン「え、あ、いや……その、悪い。確認したかった、だけだ」

アルミン「ああ、そういう事か。なるほどね」

エレン「………………いつからだ?」

アルミン「うーん、そんなの覚えてないよ。エレンと同じじゃないかな」

エレン「……………」

エレンとアルミンは互いに背を向けたまま話続けた。

アルミン「でも、ミカサの事も好きだけど、僕はクリスタの事も好きなんだよね」

エレン「そ、そうなのか」

アルミン「うん。まあ、浮気者って言われたら困るけど。好きなものはしょうがない」

エレン「いや、別に俺はそうは思わねえけど」

アルミン「そう?」

エレン「ああ」

アルミン「なら良かった」

アルミンは少しだけほっとしたように呟いた。

エレン「…………アルミン」

アルミン「何?」

エレン「……………俺にもしもの事があったら、ミカサを」

アルミン「そんな事言うなら、僕は怒るよ」

エレン「………………」

アルミン「それだけは、勘弁して欲しい。そんな未来は、僕は望んでいない」

エレン「………分かった」

エレンはそれだけ答えて布団の中に深く潜った。

アルミンもまた、同じように目を閉じて眠る事にした。






そしてそれから、また月日が流れ……。




休日、エレンはミカサと街に来ていた。

今度はちゃんとお金を払って休憩所を利用する為に。

ミカサはエレンに手を引かれて俯き加減についていく。

二回目だから、前回よりは緊張しないで済んだけども。

エレンは神妙な顔つきでミカサと一緒にその部屋に入った。

前回の逢瀬から三週間以上経っていた。

こんな風に時間を作って二人の逢瀬を楽しめるのは、月に一度、出来ればいい方だ。

それくらい、ここ最近、訓練がどんどん厳しくなっている。

卒業まで残り半分を切った。折り返し地点にきた今、油断をするわけにはいかない。

だからエレンはちゃんとそういう事が出来る場所でしか、ミカサとやらないようにした。

その分、欲求不満は溜まってしまうが、前回のような失敗はしたくないと思った。

だから部屋に入った直後、エレンはミカサを抱きしめて、ベッドの上にすぐに押し倒した。

エレン「………今日は、アレ、やるぞ」

エレンの手には、縛り方全集が握られていた。

ミカサのほっぺは、また、あの時のりんごのように赤く染まっていた。

ミカサ「………よ、宜しくお願いします」

何故か丁寧に答えて顔を伏せるミカサに、エレンは幸せそうに微笑んでいたのだった。





(☆おまけ☆ おしまい)

アルミン側の話がちょっと中途半端に消化不良だったのでおまけ追加したが、
アルミンは多分、エレンもミカサも両方、好きなんだろうと思うので、
エレンからミカサを奪うとかそういうのは無理だと思い、
でも、ミカサの事、全く好きじゃないのも不自然だし、とも思ってこうなった。
NTR展開、うまく盛り込めなくてすんません。

でもエレンがもし、死んだら、
ミカサの事を引き受けるくらいの男気はあると思いたい。男前アルミン推奨派です。

縛りプレイの練習は脳内補完でお願いします!
それでは、今回はここまで! またね!

何か新作のネタ、書いて欲しいのあったら↓に書いて下さい。
拾ってかけそうなのあったら、また書くよ。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年02月03日 (月) 00:26:53   ID: oKD5qR9h

続編見たいです!

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom