俺「 …安価で行動する」(53)

俺「…」

俺「…」

俺「…うっ」

俺「…」

俺「…よし、安価で行動する」

下1

男「……ここは、どこだ?」

男「……」キョロキョロ

男「俺……なんで、こんな所にいるんだ……?」

男「……確か、俺にはやらなくちゃいけない事があったような気がするんだけど」


女「おはよう、お目覚め?」

男「あっ、どうも……おはようございます……」

女「男君だよね?おはよう?」

男「あれ……?どうして、俺の名前知ってるんですか……?」

女「……」

男「あ、あの~?それにここ、何処なんですか?」

女「……」

男「俺、確か何か『やらなくちゃいけない約束』があった気がするんですよ……?」

女「……約束?」

男「はい、その約束が何なのかは思い出せないんですけど……」

女「ふ~ん」

女「その約束ってさぁ?」

男「えっ?」

女「『安価で行動する』とかそういう事じゃないの?」

男「あっ……!」

女「ねっ、そうでしょ?」

男「そうだっ……!確か俺、そんな約束してた用な気がするっ……!」

女「ねっ?」

男「いや……待てよ……?でも、他にも別の約束があったような……」

女「?」

男「と、とにかく!俺はこんな場所にいちゃいけない気がするんです!」

女「……どうして?」

男「安価スレっていうのは、もっとおちんちん出してバカしたり……エッチな展開にしたり、そういう物だと思うんですよ!」

女「そんな事ないよ。安価は絶対だよ」

男「いや……でも……と、とにかくっ……!」

女「?」

男「俺は、こんな所にいては行けない気がするんですっ!お願いしますっ!出口を教えて下さいっ!」

女「……安価を無視するの?」

男「……はい」

女「出口は結構距離があるけど、大丈夫?」

男「……どれくらいの距離なんですか?」

女「う~ん……90キロ弱かな……?」

男「えっ!?すげぇ、遠いじゃないですか!?」

女「うん、しょうがないよ。ここは安価で作られた世界だからね?」

男「は、はぁ……?」

女「90キロ弱ぐらい先に、大きな川があるの。そこを越えた先が、この世界の出口よ」

男「マジかよ……遠いなぁ……」

男「……」テクテク

女「……」テクテク

男「あ、あの~?」

女「どうしたの?」

男「ここ、何にもないんですねぇ?」

女「安価で作られた世界だからね。殺風景でもしょうがないよ」

男「は、はぁ……?」

女「男君、行くよ?」

男「……」テクテク

女「……」テクテク

男「あ、あの~?」

女「……どうしたの?」

男「出口まで……後、どれくらいですかね……?」

女「アハハ、何言ってるの?まだ、1キロも歩いてないじゃない」

男「えっ?あっ、そうですよね……?」

女「90キロ弱だよ」

男「90キロ弱ですか……」

男「……」テクテク

女「……」テクテク

男「よ、よしっ!何か安価で行動してみますか?」

女「……どうしたの、急に?」

男「い、いやぁ……僕、こういう空気って苦手で……」オロオロ

女「アハハ、話題作ろうとしてくれたんだ?ありがと」

男「安価だったら、何でも答えますよ!僕、安価スレのプロですから!」

女「……」

男「さぁ、女さんっ!安価で僕に命令して下さいっ!」

女「……う~ん。別にいいや」

男「……えっ?」

女「気持ちだけ受け取っておくね?ありがと」

男「えっ……!い、いやっ……僕、安価で何でもしますよ……!?」

女「う~ん……私ね……あんまりそういうバカ騒ぎって得意じゃないんだ」

男「……えっ?」

女「淡々とこうやって、話してる方が好きだな?」

男「……そ、そうっすか」

男「……」テクテク

女「……」テクテク

男「……90キロって遠いですね?」

女「うん」

男「……」テクテク

女「……」テクテク

男「……今、何キロぐらい歩きましたかね?」

女「もう、そればっかり」

男「あっ……いや、すいません……」

女「そんなにこの、自分達だけの空間が不安なの?」

男「い、いや~……僕、こういう空気って苦手で……」オロオロ

女「だったら、さぁ……?」

男「?」

女「黙々と歩いてるのが嫌ならさぁ?」

男「はい」

女「男君の話を聞かせてよ?」

男「えっ……?」

女「男君って、年齢は?」

男「えっ……それは……」

女「趣味は?」

男「……え~っと」

女「特技は?」

男「あのっ……あのっ……」オロオロ

女「好きな食べ物は?」

男「うぅ……」

女「自分がベストだと思う女性のおっぱいのカップは、何サイズ?」

男「うぅ……わからないです……」オロオロ

女「……わからない?」

男「ご、ごめんない……」

女「どうして?自分の事だよ?」

男「違うんですっ……!その、なんて言うか……」

女「?」

男「自分の事なのに……何故か思い出せないんです……」

女「……」

男「自分の年齢も……趣味も……特技も、好きな食べ物も……そして自分がどうしてここにいるのかも……」

女「……ふ~ん」


男「あっ、でもおっぱいはDカップ好きだったような気がします!いや~、巨乳は正義ですな!ワハハハハ!」

女(Aカップ)「……死ねっ!」

男「……」テクテク

女「……」テクテク

男「あ、あの~?」

女「黙れ、黙って歩きやがれ」

男「い、いやぁ……貧乳はステータスだなんて、とち狂った事を言ってる連中もいますよ?」

女「黙れ」

男「ねっ?だから、あまり落ち込むのはよくないですよ」

女「黙れ、後90キロもあるんだ。黙って歩きやがれ」

男「す、すいません……」

女「……」


男(ま~た、話題なくなっちまったなぁ……安価でもしてみようかな……?)

男「……」テクテク

女「……」テクテク

男「いやぁ……まだまだ先は長いですね……?」

女「そうね」

男「車でもあれば、楽だったんですけど……ん……?」

女「安価で作られた世界だからね。車なんてないよ」

男「……車」

女「……どうしたの?」

男「そうだっ!車だよっ!車、車、車っ!」

女「……車、三つで?」

男「車、三つで轟です!ギューン、ソイヤ!」

女「アハハ、懐かしいね?」

男「って……違う違うっ!車だよ!そうだよ俺、確か車……」

女「……車がどうしたの?」

男「あれ……あれ……?車が、なんだったっけ……?ダメだ、思い出せない……」

女「男君、車好きなの?」

男「いや……多分嫌いだと思う……」

女「……多分?」

男「うん……理由はよくわからないんだけど……多分、車は嫌い……」

女「ふ~ん……」

男「……何でだろ?おっかしいな、わかんねぇや」

女「ふ~ん……私もね、車はあまり好きじゃないかな?」

男「……えっ、そうなの?」

女「私もよくわからないんだけどね?歩きながら話そうか?」

男「う、うん……」

男「……」


男「……」


男「……」


男「……」


姉「ねぇ、男……?あんたがどうして……起きてよ……」ボロボロ

男「……」

姉「あんたさ……?今日、幼馴染ちゃんと買い物行くって約束してたじゃない……?」ボロボロ

男「……」

姉「幼馴染ちゃん、引きこもりのアンタの事、凄く心配してたんだよ……?」ボロボロ

男「……」

姉「アンタがバイト始めてさ……?始めてのお給料で、服買いに行くの付き合ってって言った時、凄く嬉しそうにしてたんだよ?」ボロボロ

男「……」

姉「どうして、事故なんかに……ねぇ、男……起きてよ……?」ボロボロ

男「……」

姉「お姉ちゃんも、あんたの初給料祝いにさ……?あんたの大好きな>>28沢山作ってあげるからさ……?」ボロボロ

男「……」

姉「ねぇ、男……?お願いだから、起きてよ!」ボロボロ

間違えた
>>30

たらこスパ

女「私はゴリエちゃんが好きだったな」

男「へぇ?あぁいうのって、女の子好きなんだ?気持ち悪くないの?」

女「ううん、前向きで明るい所が好きだったな。顔は気持ち悪かったけど」

男「ふ~ん……俺は落武者とかの方が好きだったや……」

女「あっ、あれは気持ち悪くてダメだった!」

男「まぁ、女受けはしなさそうなキャラだったからねぇ……んっ……?」

女「……どうしたの?鼻、ヒクヒクさせて」

男「この湯気の香り……」

女「……香り?」

男「そして、微かに香るバターの香り……かつお出汁の香りもあるぞっ……!?」

女「……何、言ってるの?」

男「海の香り……これは塩と海苔だな……!?こ、これは間違いないっ……!」

女「?」

男「これは、たらこスパゲティの香りだっ!」

男「何処だっ!?何処かに、スパゲティ屋があるぞ!?」

女「……何、言ってるの?こんな殺風景な場所にスパゲティ屋さんがあるわけないじゃない」

男「い、いや……でも……」

女「ほら、見渡す限り、地平線だよ?こんな所にまでスパゲティの香りがするわけないじゃん?」

男「確かにそうだけど……で、でも確かにするんだって!たらこスパゲティの香りがさ……!」

女「ふ~ん……嗅覚凄いんだね?ひょっとして、前世は犬とか?」

男「本当だって!信じてよ!?」

女「はいはい、わかりましたわかりました。……歩きながら、話そうか?」

男「あっ……ごめん……」

女「男君は前世が犬だったから、臭いに敏感なんだよね?」

男「だから、本当にするんだってば……」

女「面白そうだな。私も来世は犬になりたいな」

男「だからさぁ~?」

男「……あれ?」

女「どうしたの?」

男「……そうだっ!俺、たらこスパゲティ好きだったんだ!思い出したぞ!」

女「どうしたの?そんなに、興奮してさ?」

男「いやっ……ほら、さっきさ……?好きな食べ物聞かれた時、俺答えれなかったじゃん!?」

女「……そんな話、したっけ?」

男「したって!したよ!でもさ、俺はたらこスパゲティが好きなんだよ!」

女「ふ~ん」

男「何か急に思い出したよ……何でだろ……?」

女「……さぁ?」

男「……」テクテク

女「……」テクテク

男「……10キロぐらいは歩いたかなぁ?」

女「まだ、5キロも歩いてないんじゃない?」

男「そういや、君の好きな食べ物って何?」

女「……ん?急にどうしたの?」

男「いや~、自分の好きな食べ物思い出したからさ……なんか話のネタにならないかと思って……」

女「あっ、話題振ってくれてたんだ?ごめんね、反応出来なくて」

女「私はね……?」

男「うん」

女「特にないかな……?」

男「えぇっ?」

女「アハハ、私好き嫌いとかって、特にないんだ?」

男「そうなんだ」

女「だから、特別好きな食べ物もないし、特別苦手な食べ物もないかな?」

男「え~?何か一つぐらいあるでしょ……?」

女「う~ん……」

男「ほらほら、探して探して?」

女「アハハ、ごめん。やっぱり、思い浮かばないや?」

男「え~?」

女「ごめんね?折角、話題振ってくれたのに、期待に応えれなくて」

男「う~んとね……じゃあさっ!じゃあさっ!?」

女「……どうしたの?」

男「好きなスパゲティの種類にしようよ!?君の好きなスパゲティは?」

女「どうしたの?この話題はなかなか折れないんだね?」

男「いや~、二人でただただ黙々と歩くのもつまんないじゃん?」

女「う~ん……スパゲティの種類かぁ……」

男「ほらほら?ナポリタンとか、カルボナーラとか……?色々あるじゃん?」

女「う~ん……?」

男「イカスミスパゲティとか?ケチャップで遭えただけのシンプルなヤツとか?」

女「う~ん……そうだなぁ……?」

男「何々?何か、出てきた?」

女「私は……スパゲティだったら……」

男「うんうん」

女「お醤油で遭えただけの、シンプルなヤツが好きかな?」

男「えっ……?」

男「な、なんか……」

女「どうしたの?」

男「……おっさん臭い料理だね?」

女「アハハ、そうかな?」

男「うん、何かそれって、給料日前のサラリーマンが食べてるようなイメージ……」

女「アハハ、そうかもしれないね?」

男「……君、貧乏なの?」

女「……」

男「……あっ!ごめん、ごめんっ!」

女「アハハ、大丈夫だよ。気にしないで?」

男「……」テクテク

女「……」テクテク

男「……ご、ごめんね?」

女「だから、気にしてないってば。そんなに謝らなくいいよ?」

男「ご、ごめん……」

女「ほら?また、謝ってる」

男「あっ……!」

女「ふふ」

男「……」テクテク

女「……」テクテク


男(まぁ~た、話題が無くなっちまったよ……困ったなぁ、安価でもしようかな……?)

男「あっ!そうだっ!」

女「……どうしたの?急に大声出して?」

男「ここから、出たらさ?二人でスパゲティ食べに行こうよ!?」

女「……何、それ?もしかして、ナンパ?」クスクス

男「いやっ……!俺、お金ないからさ……?割り勘で……?」

女「アハハ、最低~。でも、こういうナンパも新しいのかもね?」

男「いや……しょうがないじゃん……?だって俺、バイト始めたばっかりでさぁ……?」

女「……」

男「……そ、そうだ。俺、バイトしてるんだった」

男「そうだよ!俺、バイトしてるんだった!何か、急に自分の事、思い出してきたっ!」

女「ちょっと……!ちょっと、落ち着きなって……?」

男「そうだ!明日も確か、シフト入ってたような気がする……!何か、思い出してきたぞ!?」

女「それで……男君はどこでアルバイトしてるの?」

男「……えっ?」

女「だから、男君がアルバイトしてるお店」

男「えっと……それは、それは……」

女「……」

男「……ごめん、思い出せない」

女「……謝らなくていいよ?とりあえず、歩きながら話そうよ?」

男「……うん」

男「……」テクテク

女「……」テクテク

男「……くそっ、おっかしいなぁ」

女「……どうしたの?」

男「いやぁ……自分の事、思い出してるような気がしてるんだけどね……?」

女「……うん」

男「……な~んか、肝心な事は思い出せないんだよなぁ?何でだろ?」

女「……さぁ?」

男「そもそも、何でバイトの事とか、好きな食べ物の事、思い出したんだろ……?」

女「アハハ、知らないよ?とにかく、出口に向かおう?」

男「う、うん……」

男「……」


男「……」


男「……」


男「……」


幼馴染「男っ!?ね、ねぇっ!男っ!?」ボロボロ

男「……」

姉「幼馴染ちゃんっ!?」

幼馴染「あ、あのっ……!お姉さんっ……!携帯の留守電聞いて……待ち合わせに警察の人がいて……それで、それで……」

男「……」

姉「うんうん、幼馴染ちゃん、落ち着いて……?」

幼馴染「それで……あのっ……この病院に急いで来て……」ボロボロ

男「……」

姉「うんうん、幼馴染ちゃんありがとう」

幼馴染「男……男は……大丈夫なんですか……?」ボロボロ

男「……」

姉「……ダメかもしれないって、お医者さんが言ってた」

幼馴染「!」

男「……」

幼馴染「ねぇ、男っ……!約束したじゃないっ……!服買いに行くんでしょっ……!?」ボロボロ

男「……」

幼馴染「ねぇ、男っ……!起きてよっ……!今から一緒に服買いに行こうよっ……!?」ボロボロ

男「……」

幼馴染「バイトの給料入ったんでしょ……!引きこもり生活から抜け出したばっかりじゃないっ……!」ボロボロ

男「……」

幼馴染「今月の給料で洋服買いに行ってさ……?来月の給料で>>50って言ったじゃんっ!」ボロボロ

男「……」

幼馴染「約束したじゃないっ……!ねぇ、男、起きてよっ……!」ボロボロ

うわぁ…
俺が実は1だったなんておもわないのか…

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